池袋晶葉「ダンボール戦機?」 (158)


晶葉「ああ、LBXのことか……知っているぞ」

 俺の目の前の少女は、笑みを湛えて俺の問いに応えた。
 
P「おお、知っていたか。まあ、あれ小さなロボットだしね、晶葉の興味の範疇か」
 
 商標登録名『ダンボール戦機』……正式名称『Little Battler eXperience』、縮めて『LBX』。
 和訳すると、小さな戦士の体感、といったところか。
 もしかしたら、ホビー系統のロボットは特に気にしていないかも、とも思ったが……。

晶葉「興味どころか……知らないのか? アレはロボット工学に置いても、小さくない革命だったのだぞ?」

 どうやら、そんな心配は杞憂だったようだ。
 目の前の少女――俺の担当アイドル、池袋晶葉。
 
 天才ロボ少女アイドルは、手のひらサイズの小さな戦士のことも、もちろんご存じだったらしい。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375200224



※注釈
・『アイドルマスターズ シンデレラガールズ』と『ダンボール戦機』とのクロスSSです。
・時間軸は1作目『ダンボール戦機』→2作目『ダンボール戦機W』の中間、と考えてください。


http://i.imgur.com/WwGkDzx.jpg
http://i.imgur.com/emwYgVm.jpg
池袋晶葉(14)


晶葉「まず、人間とそう変わらない駆動系統を備え、CCM連動による簡潔な操作の実現! 
  さらに、エネルギー効率の極限化に成功……そこから生まれた高機動性、高パワー!
  それこそ、あまりにも高性能になりすぎて、ホビー過去販売中止になるほどだ!」

晶葉「そしてなにより、量産体制に対応し子供の小遣いで買えるほどの安価さまで保っている! 
  これを生み出した山野博士率いる研究チームは大したものだ……。
  少なくとも当時の私に、これが出来たとは思えないな」

 得意の工学分野の話のためか、饒舌になる晶葉。
 ……さらりと、今の自分なら開発できると言わんばかりの言葉をこぼしやがった。
 
P「つーか、当時の私って……LBXが発明されたのが確か8年前だから、晶葉はまだ4歳。
 ロボ開発とか出来る年齢じゃないじゃないか」
 
 呆れたように言ってやると、晶葉は不敵に笑いながら、答えを返してきた。

晶葉「出来なかったと思うか?」

 ……一瞬でも、4歳でもロボ開発やってたかも、と思わせるところが恐ろしい。


晶葉「ま、流石に冗談だ。そのころの私に出来たのは、精々時計を分解してから元に戻すくらいだろう」
 
 ……それでも十分スゴイと思う。流石、天才。

晶葉「で? そのLBXがどうかしたのか、助手よ」

 おっと、そうだった。つい、話が脱線してしまった。

P「実はサイバーランス……知らないかな? LBX開発も行ってる」

晶葉「ああ……あのIT企業か。知っているぞ、CPU駆動プログラムに定評がある所だな」

P「そうそう。で、そこでイメージガールの起用の話があってね……そこに晶葉を推薦しようかと思ってるんだ」

晶葉「ほう、少し珍しいな。あそこは結構ストイックなイメージがあったのだが……」

P「LBX開発では後発だから、打てる手は打っておきたい、との事らしい。で、どうする? やってみる?」

晶葉「ふむ、そうだな……」

晶葉「……他ならぬ助手が持ってきた話だ。……よし、お願いしよう! その話、ぜひとも進めてくれ!」


 そんなやりとりから数週間後、晶葉本人の面接を経て。
 晴れて彼女は、サイバーランスのイメージガールに採用となった。

P「しかし、晶葉がLBXをほとんど触った事がなかった、というのはやっぱり意外だったかな。
  ロボットとしては、今一番有名で身近といっても過言ではないものだし」

晶葉「うん? そうだな……まあ、私の興味から少しずれていたのさ。
   私はどちらかと言うと、ロボは一から組み上げたいと思っていたからな。
  LBXも参考程度にしか扱ってこなかったんだ」

P「へぇー……おっと、そろそろ着くぞ」

晶葉「ふ……サイバーランス、2度目の訪問だな!」

 駐車場への案内に従い、車を走らせる。
 銀に光る先鋭的なビルに、2度目の対面を果たした。
 さあ、お仕事だ。……気合を入れて行こう!


CL課長「お待ちしておりました、CGプロの方々!」

 恰幅の良いサイバーランスの担当社員――課長さんが、俺たちを出迎えてくれた。
 俺たちは揃ってお辞儀し、挨拶をする。

P「恐縮です。このたびは弊社のアイドル、池袋晶葉を選んで頂き、誠にありがとうございます」

晶葉「ありがとうございます。精一杯、頑張らせていただきます!」

CL課長「いえ、こちらこそよろしくお願いします。さあ、立ち話もなんですし、こちらへどうぞ」


 課長さんに通された先は、机とソファーが置かれた談話室の様なところ。
 だが、そこには談話室には似つかわしくないものが設置されていた。

晶葉「おお……流石LBX開発会社、こう言う所にも強化ダンボールのステージが……」

 LBXの闘う舞台。内外の衝撃を80%吸収する強化ダンボールで作られたバトルフィールド。
 古城を思わせるジオラマが、そこには展開されていた。

CL課長「ハハハ……ここは談話室として使うだけでなく、ちょっとしたテストプレイにも使用しますからね」

 そう言いながら、課長さんはソファーに座った後、俺たち2人を対面に座るよう促してくる。
 俺と晶葉は軽く会釈した後、並んで着席した。

CL課長「さて……では、確認も含めてお話をしましょうか」


P「……なるほど…………では今までとはイメージを変える形で……」

晶葉「確かに、Cool属性の子たちに近い衣装に…………」

CL課長「そうですね。ある程度は、こちらのイメージを崩さないよう……」

P「……なるほど、それならこういうのはどうでしょう…………」

 話し合いは滞りなく続く。
 イメージのすり合わせ、使用楽曲、イベントの手順……。

CL課長「……ふむ、今回決めるのはこれくらいですかね」

P「ええ……では最終チェック終了後、至急手配のち……また、後日になりますかね」

CL課長「そうですね。それでお願いします……っと、では切りもいいですし、一息つきましょう」


 課長さんに呼ばれた社員さんに飲み物を持ってきてもらい、休憩後。
 もうひとつ、あらかじめ言われていたことの確認が入った。

CL課長「いや、今回はできれば機械に詳しい人の方がイメージにあってね……では、池袋さん。
     作ってきたLBX、見せていただけるかな?」

晶葉「はい」

 そう、晶葉の機械への造詣を考慮し、彼女が専用LBXを制作し所持する、との提案があったのだ。
 いわゆる、アイドルと一緒のマスコット的な存在はどうか、とのことであった。
 今回は、晶葉のLBX制作技術を見るためのテストも兼ねているのだろう。

晶葉「これが私の制作したLBX……『ウサちゃんロボver.LBX』……略して、ウサちゃんXです!」

 出てきたLBXのインパクトは、間違いなく凄かった。


 大事なことなので2度言おう。出てきたLBXのインパクトは、間違いなく凄かった。
 その外見は、以前晶葉が作ったウサちゃんロボ……胴体と頭は、それそのものだった。
 
 違いは、両腕が巨大なドリルに、脚部が横に広めのキャタピラになっていることである。
 ……率直に言って、すごくシュールな見た目だった。

CL課長「ほう……これは、これは……キャタピラの中心にもブースターを仕込んでいるのだね……」

 そんなシュールな機体を、課長さんは興味深そうに眺める。
 技術者としての血が騒ぐ。彼の瞳はそう言っているようだった。


※注釈
「ウサちゃんX」の見た目は
ウサちゃんロボがハカイオー・キリトカスタムみたいな
キャタピラとドリルな腕を装着してると思ってください。


※参考
http://i.imgur.com/R6FmiFM.jpg
ウサちゃんロボ
http://i.imgur.com/K0tl736.jpg
ハカイオー・キリトカスタム


晶葉「少なくともスペック上であれば、無改造の市販LBX相手なら、まず遅れは取りません」

 自信たっぷりに言い放つ。それは決して口から出まかせではないだろう。
 晶葉の技術力の高さは、側で見ていた俺がよく知っていいる。

CL課長「ふむ……確かに、高い技術で作られているようだ。だが、実際動いている所を見ないとね」

 テストプレイ……模擬戦というわけか。
 だれが相手だろう……さっきの社員さんか……と、考えていると。
 課長さんが、俺の方を見つめてきた。

CL課長「ではPさん。晶葉さんとの模擬戦、よろしく頼むよ」


 ……へ? 俺ェ??

ゴメン、今日はここまでです。
明日か明後日の夕方に再開します。


再会します。


>>5の最初の晶葉のセリフの修正。

×晶葉「まず、人間とそう変わらない駆動系統を備え、CCM連動による簡潔な操作の実現! 
  さらに、エネルギー効率の極限化に成功……そこから生まれた高機動性、高パワー!
  それこそ、あまりにも高性能になりすぎて、ホビー過去販売中止になるほどだ!」

○晶葉「まず、人間とそう変わらない駆動系統を備え、CCM連動による簡潔な操作の実現! 
  さらに、エネルギー効率の極限化に成功……そこから生まれた高機動性、高パワー!
  それこそ、あまりにも高性能になりすぎて、過去販売中止になるほどだ!」

……他にも修正すべき文もあるだろうけど、あえて無視で。


 思わず目が点になる。いやいや、聞いてないですよ?

CL課長「Pくん、もっと前段階の打ち合わせの時、言ってたじゃないですか。
     販売中止になる前のLBXの扱いは、上手かったほうだって」

 うっ、そういえばそんなことも言ったような……。

晶葉「ほう……それはそれは。ぜひとも助手の腕前、見せて欲しいモノだな?」

 晶葉がニヤニヤしながら言ってくる……あれ……? なんか様子が……?
 
CL社員「…………」●REC

 ……さっき飲み物を持ってきてくれた社員さんが、
 そんな俺たちのやりとりをビデオで録画をしている。

P「えーと……これは……」

CL課長「……プッ! ハハハハハハ! すまんね、Pくん! 種明かしをしよう!」


P「えーと……つまり、この辺のテストプレイも録画して、CMにしてしまおうと?」

CL課長「その通り! いや、実は晶葉くんのことを調べているうちに、君が結構有名なことがわかってね」

P「え……それは……」

 課長さんの言ったことは本当だ。

 CGプロは、まだまだ新興の事務所。
 人員が足りず、俺もマネージャーみたいなこともやっている。
 特に活動初期は、俺も晶葉と一緒に現場入りすることがほとんどであった。

CL課長「天才ロボ少女に付き従う『助手くん』として、度々目撃されてるらしいじゃないですか」

 そうやって晶葉に付き従って仕事をしている内に、ファンにも俺の存在が認知されていったらしい。

CL課長「ほら、ITの掲示板でも……『助手兄貴オッスオッス!』とか『助手くんキタ━(゚∀゚)━!』とか、
     こんなに大人気! これは生かさないと、と思った次第で!」

 
P「なるほど……それで、晶葉のイメージガールとしての裏方活動などを編集して、

  インターネットで配信、広報番組として使うと……」
 
 驚く俺をしたり顔で見やる晶葉。

 ……こいつ、CLの人から先に話を聞いていたか。

 まあ、嵌められたのは置いといて、なるほど、確かに面白い試みではある。
 だが……。
 
P「しかし、少女アイドルに大人の男がつき従うのは……」

CL課長「ああ、あまりファンはイイ気はしないだろうってことですか? 
それは大丈夫でしょう。ほら、ここのやりとりも……」


155 名前:非通知さん@CCM起動中[sage] 投稿日:2050/07/29(火) 18:12:29.64 ID:tYaNITigo

お前ら何言ってんだ……?
助手くんは、俺たちの知らない晶葉を独り占めしている敵だろう!?


156 名前:非通知さん@CCM起動中[sage] 投稿日:2050/07/29(火) 18:12:33.61 ID:SixyOUsEi

>>155
あんたこそ、何を言ってるんだ……?
私達が晶葉ちゃんに会えたのも、全部助手くんのおかげじゃないか!


157 名前:非通知さん@CCM起動中[sage] 投稿日:2050/07/29(火) 18:12:34.97 ID:reiAtuGa0

>>155
謝れ! 助手くんに謝れ!


CL課長「……とまあ、こんな風に自治も出来ている。なんとかなると思いますよ?」

 ……これも一種のネタだと言った方がいいんだろうか?
 しかし、訓練された方が多い……。

CL課長「まあ、試しに撮って見て使えたら使ってみましょう……と。
     今日の、その試験も兼ねて……ということで、どうでしょう?」

晶葉「私としては構わないぞ。助手よ、どうだろう?」

P「うーん……まあ、プロダクションに確認する必要が色々とありますが、
  面白い考えだと思います。ただ、やはり裏方が顔を出すのは賛同しかねますね……」

CL課長「ああ、それなら考えがありますよ。おい君」

CL社員「はい……どうぞ、これを」

 ……社員さんが俺に差し出してきたのは、巨大な『P』であった。
 文字通り、アルファベットの『P』であった。


P「え……ええと、これは……?」

CL課長「ジョークトイ、『巨大アルファベットヘッド』シリーズのPヘッドです」

P「ヘッドと言うことは……これを被れ、と?」

CL課長「ええ。これで顔は隠せます。裏方が顔を出すことを防げますよね!」

 ……よもや、顔を出さない(物理)で解決を図るとは思わなんだ。


P「……とりあえず被ってみました」

晶葉「ブプゥッ!! ……に、似合っていいるぞ……助手よ……」プルプル
 
 ……晶葉のヤロウ、思いっきり笑いを堪えてやがる。
 課長さんと社員さんも思いっきり笑顔だし……ハァ。

CL課長「では、晶葉さんの相手となるLBXを、Pさんに作ってもらいましょう」

 そして、俺にサイバーランスの販売しているLBX、カブトのキットが渡される。
 ……ここで、作るのか。


http://i.imgur.com/RY4mBnH.jpg
カブト


 とりあえず、カブトは数分で組み上がった。
 LBXは組み立て自体は、かなり簡単なのだ。

 その作業中、俺はPヘッドを被ったままだった。
 社員さんは、俺を録画し続けた。
 晶葉は部屋の隅で、肩を震わせていた。

P「……よし、準備完了です」

CL課長「準備は整ったようですね。では晶葉さん、模擬戦をお願いしますね」

晶葉「はい! ……よし、ではいくぞ、助手よ」

 流石に笑い終えた晶葉が、歯車マークがプリントされたCCM――
 LBXを無線遠隔操作するための携帯端末を構える。

P「……もしかして、CCMも自作なのか、晶葉?」

晶葉「まあな……だが、流石に1から全てではないぞ? 本体もしかりだ。

   規格をある程度合わせないと、メンテや修理が面倒になるからな……
   ま、本体の性能と合わせて、CCMの性能も改良してあるがな!」
 
CL課長「では、お二人とも、お願いします。まずは全力でバトルして見てください」


P「よし……じゃあやるぞ、晶葉! 行け、カブト!」

晶葉「すぐにやられてくれるなよ、助手よ! ウサちゃんX、出陣だ!」


――バトルスタート!――


――1分後


PCCM<アタックファンクション、スイングハンマー!

晶葉「う、ウサちゃんXゥウーーー!!!!」


 バトル開始から1分。
 戦いは、まさかのウサちゃんX敗北で幕を閉じた。

 アタックファンクション――LBXにプログラムされた、主に所持する武器に対応する必殺技。
 俺のカブトが放ったそれが、ウサちゃんXにクリーンヒット。勝負の決め手となった。

晶葉「ば、馬鹿な……僅差どころか、余裕を持たれて負けただと……」

 晶葉は驚愕に目を見開いたままであった。
 ……いかん、全力でバトルしろと言われて、この結果は……。
 
 課長さんと社員さんも驚いた様子である。
 これは……マズったか……?


CL課長「……晶葉さん、Pさん。すみませんが、もう一線して頂けませんか」

 そこに、課長さんが声をかけてきた。

晶葉「そ、そうですか……よ、よし、助手よ、メンテが終わったら再戦だ!
   今回はちょっと調子が悪かっただけだ!」

P「……わかりました」

CL課長「ああ……今度もお互い手を抜かず、全力でやってくださいね」


――バトルスタート!――



――50秒後


PCCM<アタックファンクション、アースクエイク!

晶葉「う、ウサちゃんXゥウーーー!!!!」


 バトル開始から50秒後。
 戦いは、またもやウサちゃんX敗北で幕を閉じた。

晶葉「うう……まさか……さっきより早くやられるとは……」

 晶葉はorzの姿勢となり、完全に落ち込んでしまった。
 ……やはり、手を抜くべきだったか?

CL課長「……すみません。ちょっとよろしいですか?」

 課長さんが掛けてきた声に、晶葉はビクリと肩を震わせる。

晶葉「こ……これは……その……すみません……スペックは……
   確かに、高く作っていた筈なのですが……」 

CL課長「いえ、ちょっと試したいことがありまして……。

     Pさん、貴方がウサちゃんXを使ってバトルしてくれませんか?
     相手は私がやりましょう……Pさん、貴方のカブトを私に貸してください」

P「え……あ、はい……すまん、晶葉。借りるぞ」

晶葉「ああ……わかった、助手よ……」



――バトルスタート!――



アキハCCM(P操作)<アタックファンクション、旋風!


CL課長「こちらのカブトの負けですね……」

晶葉「おお……余裕の勝利だ……!」

 晶葉からウサちゃんXを借り、課長さんがカブトを操作しての試合。
 今度は、ウサちゃんXの大勝利となった。
 
 ウサちゃんXを操作していてわかったのだが、
 この機体は、カブトよりも数段上の機動性とパワーを備えている。
 晶葉は良い仕事をしていたのだ。


――20秒後


アキハCCM(P操作)<アタックファンクション、旋風!


CL課長「こちらのカブトの負けですね……」

晶葉「おお……余裕の勝利だ……!」

 晶葉からウサちゃんXを借り、課長さんがカブトを操作しての試合。
 今度はウサちゃんXの大勝利となった。
 
 ウサちゃんXを操作していてわかったのだが、
 この機体は、カブトよりも数段上の機動性とパワーを備えている。
 晶葉は良い仕事をしていたのだ。

……すみません。38のレスは無視でお願いします。


CL課長「やはり……そういうことか……」

晶葉「ああ……ウサちゃんXは、確かに高性能機として仕上がっていた。
   だが、私にそれを扱いきれるほどの腕がなかったということか……」

 晶葉が落胆を呟いた。
 が、課長さんはそうではない、という。

CL課長「晶葉さんの操作テクニックは、決して悪いものではなかった。
     むしろ、Pさんの腕が良すぎるんですよ」

 思わぬ方面からのツッコミが入った。


晶葉「それは私も思った。私が操作するよりも、明らかにウサちゃんXの動きが良かったからな」

CL課長「いや、過去回収騒ぎの頃から、それ以降はやってないなんて思えませんよ。
     少なくとも、今現在サイバーランス本社にいるテストプレイヤーの誰よりも強い」

P「ま、まさか、そこまでは……」

CL課長「本当に驚きです。晶葉さんには我が社の技術部門の中心人物に、
     Pさんは契約プレイヤーになっていただきたいぐらいです」


晶葉「しかし助手よ……君が、あそこまでLBX強かったとは……驚いたぞ」

P「いや……俺自身も驚いているよ。まさか、晶葉どころか、LBXの開発元から
  そんなお墨付きが貰えるとは思わなかった」 

晶葉「……納得いかんな」

P「……晶葉?」

晶葉「よもや、助手の方が強いなど……どうにも恰好がつかない!

   それに自作のLBXを扱いきれていないなど、イメージガールとして、イメージ悪過ぎではないか!
   ここは……特訓だ! 私がウサちゃんXを扱いきれるように……せめて、助手を倒せるまでは!」

CL課長「おお……いい気合です! LBXの上達は、子供の方が早いというデータもありますしね。

     それなら、わが社の広報活動に来た時に、一緒にPさんと特訓するのはどうですか?
     それを撮っていけば、先程の配信CMに使えるかもしれませんし……」

晶葉「おお……それは良い考えですね。よろしければ、ぜひ!
   なあ助手よ! よいだろう!?」

P「あ、ああ……ちゃんと確認取ってからな」

晶葉「よーし、そうと決まれば、まずは今日のバトルで気付いた問題点を一つずつ修正していく!
   忙しくなるぞ……! フハハハハーー!!」


CL課長「いやいや……晶葉さん、情熱ある方で感心しました!
     出来ればネット配信の方も、許可の方をお願いしますね」

P「は、はい……」

CL課長「……配信するなら、中島み○きの『地上○星』、使えないでしょうかね」

P「……それは、ちょっと無理かもしれませんね」

 ……この課長さん、プ○ジェクトX風に仕上げるつもりだったのだろうか?
 後、ここまで俺はPヘッドを被ったままだった。


 それから、1ケ月。

 他のアイドル活動もこなしながら、晶葉はLBXの特訓を続けて行った。
 主にサイバーランスに出向していった時に、俺を相手にバトルをする。

 操作の改善点を順次修正。機体も晶葉自身のプレイングに合わせて微調整を重ねる。

 ちなみにネット配信CMを事務所に相談したところ、事務所側のチェックを条件に
 配信OKが決まった。晶葉の自然体な姿を見れると言う事で、中々好評のようだった。

 ……後、俺もたまに映るのだが、その時はいっつもPヘッドを被ったままだったため、
 『助手くん』の他に『Pヘッドくん』なる呼び名が追加されていた。
 
 そんな俺たちに、サイバーランスから大きな仕事の話が来た。


P「アルテミス優勝チームをゲストとして招待しての……本格バトル!?」

CL課長「ええ……今は海外に行っているのですが、わが社の契約プレイヤー、

     海道ジンが所持している最新鋭LBX、ゼノン。
     その技術をフィードバックした一般販売用LBXの告知を兼ねてのイベントです」

晶葉「海道ジン……LBXプレイヤーの間では“秒殺の皇帝”と呼ばれている彼か」

CL課長「ハハハ……彼は、わが社の抱えているLBXプレイヤー達の中でもトップクラスです。

     彼は今年のアルテミスで、そのチームと決勝を争ったんですよ。
     その彼と、晶葉さんとでタッグを組んで、ゲストとバトルして頂きたいと……」

http://i.imgur.com/yOk7DNF.jpg
海道ジン(13)


P「なるほど……その、海道さんとは、いつ会えるのでしょうか?」

CL課長「それが……申し訳ないのですが、彼もスケジュールが詰まっておりまして……
     晶葉さんと対面出来るのは、イベント前日になりそうなんです」

P「前日ですか……中々厳しいですね……」

晶葉「いいではないか、助手よ。“ファンを待たせるわけにはいかない”、そうだろう?」

 自信ありげな笑みを湛えて、晶葉が言う。


晶葉「アレから私もLBXの腕を上げた……今では助手に勝率7割は取れるようになった!
   強行軍だろうが、立派に仕上げて見せるさ!」

P「晶葉……そうか、そうだな」

 晶葉の言葉に後押しされ、俺たちはそれに全力で取り組むことを決意した。
 唯一不安があるとすれば、大会前日まで対面できない海道さんのほうだが……。

 が、課長さんによれば、彼ならば大丈夫だ、とのこと。

CL課長「彼は、LBXの扱いについては一級ですから、急なタッグでも合わせられず

     グダグダになることはないと保証できます。
     ともかく、連絡を強化して、イベントに備えましょう!」
 
 
 そうして、イベントの準備を進めて行ったのだが……

 思わぬところで、トラブルが起きてしまった。

ゴメン、ここで一旦止めます。
続きは今日の深夜か、明日の夕方になります。

後46さんには申し訳ないのですが、今回オタクロスは出てきても名前だけ、くらいになりそうです。

戻ってこれたので続けます。

>>34の誤字修正

×CL課長「……晶葉さん、Pさん。すみませんが、もう一線して頂けませんか」

〇CL課長「……晶葉さん、Pさん。すみませんが、もう一戦して頂けませんか」


――サイバーランス、イベント前日


P「海道ジンが……戻ってこれない!?」

CL課長「本当に申し訳ございません……どうやら、彼のいる国で航空機器関係全てに
     大きなトラブルが起こってしまったらしく、しばらくは身動きが取れないと……」

晶葉「ああ……ニュースでもやっていたな……このところ、いろんな国で機器関連のトラブルを聞く……
   それで、課長さん。海道さんの身の安全は、大丈夫なのですか?」

CL課長「ええ……とりあえずは、彼の身に危険はありません」

P「それを聞いて安心しました。しかし……確かに困りましたね」

晶葉「今回のイベントは、いわばゼノンを元にした量産型の発表……
   その肝心の大本になった機体、それを操る有名プレイヤーが不在、と言う訳か……」

CL課長「まだ、商品として発売できる段階ではなく、『こういう新商品を出しますよ』
     というプロモーションですからね……しかし……代役を立てようにも……」

 そうして3人で頭を抱えているところ……
 晶葉が、とんでもない意見を提示した。

晶葉「……そうだ、いるじゃないか! 代役を立てるなら、適任が!」  

――サイバーランス、イベント当日


晶葉「皆さーーん! 本日はサイバーランスのイベントに足を運んでくれて本当にありがとう!
   また、私のファンも駆けつけてくれたようで、感謝しているぞーー!」

 歓声の中、コート風の衣装に身を包んだ晶葉が声を張り上げる。
 満員御礼の中、晶葉は滞りなく司会を続けて行く。

晶葉「さて、会場にいる方々には、もう待っていられないって人もいるだろう!
   じゃあ、入場していただこう! 今年のアルテミス優勝者……『山野バンチーム』!」

 ウワァァァ! と、またしても歓声が上がる。
 それに迎えられながら、ステージ脇から少年2人と少女1人が登場した。

山野バン「うわぁ……すごい人だ。LBXファンだけじゃなく、アイドルファンの人もいるからかな?」

青島カズヤ「おお……本物の池袋晶葉だ! ちっさカワイイなぁ……」

川村アミ「ちょっと、カズ! もう、調子にのっちゃだめよ!」


http://i.imgur.com/7eBkRGx.jpg
山野バン(13)

http://i.imgur.com/LDerm7P.jpg
青島カズヤ(13)

http://i.imgur.com/lbO3xnb.jpg
川村アミ(13)


晶葉「よく来てくれた、山野バン、川村アミ、青島カズヤ……アルテミスの覇者達」

カズ「へへ……アイドルにそんな風に言われると、照れるぜ……」

アミ「もう、カズったら……大体、アルテミス決勝はバンとジンとの一騎打ちだったじゃない」

バン「いや、こちらこそ。招待ありがとう、池袋さん」

晶葉「ふふ……晶葉と、名前の方で呼んでくれて構わないぞ? 山野バンくん」

バン「それじゃあ……今日はよろしく! 晶葉さん!」

晶葉「ああ、よろしく(この少年が山野博士の息子……1個下とは思えないほど貫禄があるな。
   アルテミス優勝者としての自信か、それともあの噂が真実なのか……)」


晶葉「ところでチームバン、そして会場の皆に謝らなくてはならないことがある。

   今回、サイバーランス側のゲストとして海道ジンを呼んでいたのだが……
   彼は旅客機のトラブルで、こちらに戻ってこれなくなってしまった」

バン「ええ!?」

 バンをはじめとして、アミやカズ、会場の観客たちにも動揺が伝わる。
 だから、それを大きなインパクトで打ち消す!

晶葉「だが、安心してくれ! 海道ジンの代わりに私とタッグを組んでくれる、
   頼もしい助っ人が、今日ここに来ている!」

カズ「助っ人……?」


 瞬間。
 会場の照明が一段階暗くなり、スポットライトがステージの中央奥を照らす。

アミ「な、何!?」

 そして、ファンファーレじみた音楽が鳴り始める。 

カズ「おいおい、なんだか物々しい演出じゃないか……」

 会場も突然の演出に、ザワザワと、戸惑っている。

バン「何が起こるっていうんだ……?」


晶葉「その名前は誰も知らない……その素顔は誰も知らない……

   全てが謎に包まれた、正体不明のLBXプレイヤー!
   さあ、私を助けてくれ! マスクドP!」

 晶葉の言葉が終わると同時に、
 スポットライトに照らされた部分に向かって、
 勢いよく煙が噴射された。

 その煙が徐々に晴れていくと……そこには、人影が。

観客「何だ!? 誰かいるぞ!?」

 観客の一人が気付いて、指さし叫ぶ。
 その指の先には……Pヘッドがスポットライトに照らしだされ、悠然と輝いていた。


バン「な!? 何、あれ!?」

 混乱するバンの横で、カズが声を張り上げた。

カズ「あーー!! 晶葉ちゃんのネット配信動画で出てくる……
   『助手くん』こと『Pヘッドくん』じゃん!!」

 それがきっかけとなり、観客もその正体を察したようだ。

観客1「Pヘッドくん? なにそれ、聞いたことない……」

観客2「ほら、今日司会してるアイドル、晶葉ちゃんの……そのネット配信の動画で
    彼女から助手って呼ばれてる男がいるんだよ。多分そいつだ」

観客3「ああ、あの晶葉ちゃんのウサちゃんXをふるぼっこにするぐう畜の……」

観客4「何言ってんだよ、晶葉ちゃんをプロデュースしてくれたぐう聖だろォ?」

観客5「え? あの人ってマネージャーじゃなかったの? それにPヘッドの色が違くね?」


アミ「え、えーと、それでマスクドP? さんが、晶葉さんのチームってことなのかしら?」

カズ「何言ってんだ、Pヘッドくんだろ」

晶葉「フフフ……まあ、とにもかくにも、彼が私の味方なのは正解だ!
   確かに恰好は奇抜だが……彼の実力も、そして操るLBXも! 一筋縄ではいかないぞ!」

 その言葉が終わると同時に、ステージの奥から何かが飛んできた。
 
 大きさは手のひらくらい……ステージ上の人間と観客の数人は、それがLBXだと瞬時に気がついた。
 背中から羽根の様に伸びたパーツ、そこに設置されたブースターから火を吹かしてステージ上を小さく旋回。
 そのままマスクドPの手元に着地したのを、中空のホログラムモニターが映し出す。
 
 映し出されたのは、紫に彩られたLBX。
 鋭角の鎧を着込んだようなシルエットに、頭部には角と白のたてがみ。
 どことなく悪鬼を思わせる風貌のLBX、それを山野バンは知っていた。

 なぜなら――それはかつて自分の親友、海道ジンが使っていた機体なのだから。

バン「……プロトゼノン!!」

http://i.imgur.com/CfWd9Sa.jpg
プロトゼノン


――回想

P「えぇ! 俺が代役を!?」

晶葉「そうだ! 助手よ、君のLBX操作技術はかなりのものだ。

   加えて、私と毎日のようにバトルをし、互いにクセも知り尽くしている。
   だから、今回私とタッグを組むなら君がベストだと、私は考える!」

P「し、しかし……流石に、動画に出てるとはいえ、裏方がそこまで出しゃばるのは……」

晶葉「だったら、マスクドPとか、別名義にすればいい!」

P「そんな無茶な……!」

CL課長「……いや、ありかも知れません、その案」

P「ええ!?」


CL課長「今回のイベントでは、発表する新型LBXの関係上、ゼノンが必要。
     しかし、ゼノンの代わりになりうるLBXはあるのです」

晶葉「代わりになるLBX? ……ゼノンのプロトタイプとか?」

CL課長「流石晶葉さん、鋭い。その通りです。名前はズバリ、プロトゼノン。

     完成型であるゼノンより荒削りな分、操作も難しいのですが……
     Pさん、貴方の操作スキルなら十分使いこなせる!」

P「……そう、なんですか」


――回想終わり


P「(2人に説得されて、急遽プロトゼノンを預けられ、色違いのPヘッドを付けられ……
  とにかく急だったからプロトゼノンも、まだ動作調整を終わらせただけ……)」

P「(ええい、実戦で慣れて行くしかない……このイベント、失敗は絶対回避する!)」

晶葉「さあ、戦いの準備は整った! いざ、開戦だ! アルテミスの覇者たちよ!」

カズ「バン、アミ……あのマスクドPが『Pヘッドくん』と同一人物なら、相当手ごわいぞ。
   動画で見てただけだが、LBXの扱いは俺たちに劣らないと思ったほうがいい」

アミ「ええ……それに、晶葉さんの機体もかなり高性能だと聞いたわ」

バン「ああ……ともかく全力を尽くそう! 2人とも!」


晶葉「さあ、バトル開始だ! ウサちゃんX!」

P「……プロトゼノン!」


カズ「ゴー、フェンリル!」

アミ「行って、パンドラ!」

バン「頼むぞ、オーディーン!」


――バトルスタート!――

http://i.imgur.com/F9oaGNk.jpg
オーディーン(真ん中)パンドラ(左)フェンリル(右)


晶葉「さて、先手必勝だ! 切り込め、ウサちゃんX!」

 開始早々、晶葉が仕掛けた。

 ウサちゃんXがキャタピラで砂煙を巻き上げながら、
 バン達のLBX3機目掛けて豪快に突っ込む!

カズ「へっ、真っすぐ突っ込んでくるだけじゃ、狙い撃ちだぜ!」
 
 それに対応し、フェンリルがライフルを構える。

アミ「! カズ、よけて!!」

 アミの声にとっさにフェンリルを下がらせるカズ。
 そこに、幾重ものミサイルが飛来した。

カズ「な、なんだぁ!?」


 ミサイルの出所は、プロトゼノン。
 晶葉の突進に合わせて後ろ手に飛び、瞬時に武器をランチャーに持ち替え。
 そして、ウサちゃんXを援護するようにミサイルを放ったのだ。

アミ「晶葉さんの突進はオトリだったの……?」

晶葉「いいや、オトリじゃないさ!」

アミ「!?」

 ミサイルを回避し、着地したパンドラをウサちゃんXのドリルが捉える!

アミ「くっ!!」

晶葉「ほう……かすっただけか、だが逃がさん!」


 尚もパンドラを追撃しようとするウサちゃんX。だが――

カズ「それ以上、好きにはさせないぜ!」

 同じくミサイルから逃れたフェンリルが、態勢を立て直し狙撃してきたのだ。
 威力を抑えた連射が、ウサちゃんXに数弾ヒットする。

晶葉「ちぃ!」

 たまらず距離をとるウサちゃんX。

カズ「逃すかぁ!」

 それに追撃の狙撃を試みるフェンリル。だが――

カズ「……いぃ!? またミサイルかよ!?」

 プロトゼノンの放ったミサイル第2波に阻まれる。


アミ「く……絶妙なタイミングで援護を……!」

 同じく態勢を立て直し、ウサちゃんXの迎撃に向かおうとしたパンドラも足止めをくらう。

P「よし……もう一発!」

 プロトゼノンがミサイル第3波を放とうと、ランチャーを構えなおしたとき。

バン「そうはさせるか!」

 オーディーンが槍を突き出し、プロトゼノンに突撃した!


P「! く……」

 プロトゼノンはとっさに体をひねり、オーディーンの突進を交わした。
 ……いや、かわし切れていなかった。

P「……! これは……!」

 オーディーンの一撃は、本体ではなくランチャーを切り裂いていた。
 
 プロトゼノンは、傷ついたランチャーを即座に手放す。
 次の瞬間、ランチャーは爆発。爆風に呑まれないよう、後ろ手に飛ぶ。

バン「そこだ!」

 が、爆風をつき斬って、オーディーンが再びプロトゼノンに肉薄する!
 
P「……!!」

 プロトゼノンはとっさに大型ハンマー「オべロン」を手にし、
 オーディーンの攻撃をなんとか受け止めた。

バン「止められた……! やっぱり強い……!」

P「これが……アルテミス優勝者の力か……!」


カズ「バンは……プロトゼノンの方か……」

アミ「でもチャンスだわ、こちらは2対1に持ちこめた!」

 言葉が終わらないうちに、アミはパンドラを奔らせ
 ウサちゃんXに攻撃を仕掛ける!

アミ「カズ、援護をお願い!」

カズ「任せとけ!」

晶葉「フ……天才ロボ少女アイドルを……舐めるなよ!?」

 
 パンドラの素早い斬撃が、ウサちゃんXを襲う。
 ウサちゃんXも、それをドリルの腕を振り回して器用に凌ぐ。

晶葉「ぐ……これは、互角ってところか……?」

アミ「いえ……互角である必要はないのよ、カズ!」

カズ「任された!」

 アミは、パンドラの攻撃をある程度一定のリズムになるよう調整していた。
 そこで、わざとタイミングをずらす!

晶葉「な!?」

 結果、ウサちゃんXの攻撃は空振り。大きな隙ができる。

カズ「ちょっと卑怯っぽいが……撃たせてもらうぜ!」


晶葉「く……だが、それも想定済みだ!」

 晶葉がCCMを素早く操作する。
 すると、ウサちゃんXのドリルが中心で割れ……中から砲身が顔を覗かせた!

カズ「! 銃仕込みか!」

晶葉「フ……武器腕の特権と言うヤツだ!」

 フェンリルとウサちゃんXが、同時にお互いを狙撃する。
 そして、どちらも態勢を崩す。

アミ「そこよ! 必殺ファンクション!」

 そして、パンドラはこの機を逃さない!

アミCCM<アタックファンクション、旋風!

晶葉「そうは……させるかぁ!! 必殺ファンクション!」

アキハCCM<アタックファンクション、地獄乱舞!


バン「アミ!」

P「晶葉!」

 バンとP、どちらも味方のアタックファンクションの打ち合いに気を足られる。
 それは、両者に全く同じ隙を生むことになった。

バン&P「「……! 必殺ファンクション!!」」


バンCCM<アタックファンクション、ライトニングランス!

PCCM<アタックファンクション、インパクトカイザー!


 アミと晶葉、両者の近接での必殺ファンクションの打ち合い。
 その結果は……。

アミ「!? そんな……撃ち……負ける!?」

晶葉「ハハハ! こっちは重量もあり、装甲も厚い……
   単純なパワー差ならば、こちらに分がある!」

 先にパンドラが力付き、吹っ飛ばされる。

アミ「パンドラ!」

晶葉「よし!」

カズ「おっと、俺を忘れてもらっちゃこまるぜ! 必殺ファンクション!」

晶葉「しま……! もう立て直していたのか!?」


カズCCM<アタックファンクション、ホークアイドライブ!


 晶葉が、必殺ファンクションの打ち合いに勝ち気を抜いたところに
 フェンリルの遠距離必殺ファンクションが発動。
 強力な3本のレーザーが、ウサちゃんXを狙い打つ!

晶葉「ちぃい……!!」

 懸命にCCMを操作し、レーザーを交わしていく晶葉。
 1本目を紙一重で、2本目を首の皮一枚で交わし……3本目が、ウサちゃんXの左腕を貫いた。

晶葉「しまった!」

アミ「そして、こちらもまだやられていないのよ!」

晶葉「!!」

 腕をもがれたウサちゃんXに、ダメージを残しながらも、パンドラが果敢に襲いかかる!

>>84

×1本目を紙一重で、2本目を首の皮一枚で交わし……3本目が、ウサちゃんXの左腕を貫いた。

〇1本目をすんでの所で、2本目を紙一重でかわし……3本目が、ウサちゃんXの左腕を貫いた。


晶葉「(しまった……先っ程のレーザーで腕を失った左側から……これは、対処できない……!)」

 迫るパンドラに、ほとんど棒立ちのままのウサちゃんX。
 このまま、倒されるか……と晶葉が諦めかけたその時!


PCCM<アタックファンクション、アースクエイク!


アミ「! プロトゼノンがこっちに!? くっ!!」

 パンドラは瞬時に引き、プロトゼノンの攻撃をかわした。

晶葉「助手、どうしてこっちに!」

P「助けに来た……と言えたら、カッコよかったんだけどな。
  さっきのオーディーンとの技の打ち合いに負けて、こっちに飛ばされてきたんだ」

晶葉「そして、偶然私を助けた……か、確かにしまらないな」

P「ともかく、一旦引いて、態勢を立て直すぞ、晶葉!」

晶葉「ああ!」

ゴメン、ここで一旦切り上げます。
明日か明後日の夕方に再開します。

予定より遅れたけど再開します。

そして、86の誤字ェ……

×晶葉「(しまった……先っ程のレーザーで腕を失った左側から……これは、対処できない……!)」

〇晶葉「(しまった……先程のレーザーで腕を失った左側から……これは、対処できない……!)」


バン「カズ、アミ! 大丈夫!?」

カズ「俺は2、3発、撃たれただけだ! まだまだいけるぜ!」

アミ「私の方は……結構厳しいわね。撃ち負けた時のダメージが大きい……」

バン「よし……アミ、一旦武器を片手銃に持ち替えて距離を取ろう。
   コンディションを整えるんだ! カズは引き続き、援護射撃を頼む!」

アミ「わかったわ!」

カズ「了解だ!」


晶葉「く……バンチーム、流石だな。もう立て直しはじめている!」

P「晶葉! Cゲージは!?」

晶葉「ああ、十分だ! こちらも反撃いくぞ、助手よ!」


アキハCCN<アタックファンクション、インビジブル!


 晶葉の操作を受け、ウサちゃんXの姿が霞んでいく。

カズ「消えていく!?」

アミ「錯乱用の技……まずいわね、ロックオンできなくなってるわ!」

バン「く……2人とも、気をつけ」

P「おっと、悪いが警戒する暇は与えない!」

 プロトゼノンが「オべロン」を振りかざし、オーディーンに斬りかかる!

バン「く……!」

 オーディーンは槍でそれをいなし、近接戦闘に応じる。
 そのまま、オーディーンとプロトゼノンの斬撃、打撃の打ち合いが始まった。


カズ「バン! く、援護を……」

 ライフルを構え、狙撃体制に入ったフェンリル。
 だが、そのフェンリルが突如殴られたかのように吹っ飛んだ!

カズ「!? な、なんだぁ!?」

アミ「晶葉さんのLBXよ! まさか、もうここまで接近していたなんて……!!」

 パンドラが片手銃でフェンリルの近くを撃ってみるが、手ごたえはない。

晶葉「フフフ……インビジブルの効果が消えるまで、精々疑心暗鬼になってもらうぞ!」


 一方、バンのオーディーンとPのプロトゼノン、2度目の近接戦闘。
 1度目はオーディーンが押す展開であり、それは必殺ファンクションの打ち合いでも同じ。
 終始、オーディーン側の優位だったのだが……今度の2戦目は、ほぼ互角に打ち合っていた。

バン「く……さっきよりも動きがいい……!」

P「(よし……だいぶ慣れてきた! このまま善戦を続ければ、

  ゼノン系統の凄さを見せるっていう目的の一つは達成できる見ていいだろう。
  そうなれば、後は負けてしまってもいいんだけど……)」
 
 ここでプロトゼノンがさらに攻撃速度を上げた。

 オーディーンはたまらず、盾を構えての防戦にまわる!

バン「ぐ……!?」

P「(別に、倒してしまっても構わんのだろう? ってね……!)」


バン「く……負けるか!」

 プロトゼノンの一瞬の隙を見極め、オーディーンが反撃に出る!
 槍の切っ先がプロトゼノンの胴体を狙う……が、「オべロン」の柄部分でいなされる。
 またしても、両者は激しい打ち合いに移行した。

P「やはり……強いな……!!」

 その時である。Pの焦りが操作に反映されてしまったのか、
 プロトゼノンの攻撃が、オーディーンの盾を滑る格好になってしまった。
 そのせいで、プロトゼノンは僅かではあるが体勢を崩してしまったのだ。

バン「今だ!」

 その隙を見逃さす、槍のひと突きを繰り出さんとするオーディーン。

 が、そこに思わぬ横やりが入る。
 どこからか砲撃がオーディーン目掛けて襲いかかり、オーディーンが逆に体勢を崩したのだ!


カズ「!? アレは……!」

 カズの目線の先にいたのは、インビジブルの効果がきれて姿を現すウサちゃんX。
 その右手のドリルは半分に割れ、煙の昇る砲口が見えていた。

アミ「いつのまにあそこに……!!」

晶葉「今だ、助手よ!!」

P「ああ、必殺ファンクション!!」


PCCM<アタックファンクション、ブレイクゲイザー!


 プロトゼノンの放った衝撃波が、オーディーンに襲い来る。
 先程の砲撃で体勢を崩したオーディーンは、それを避け切れない!

バン「不味い!」

アミ「バン!」

カズ「間に会え……!」


アミCCM<アタックファンクション、ハイパーエネルギー弾!

カズCCM<アタックファンクション、ビームショット!


 瞬時に放ったパンドラとフェンリルのアタックファンクションが
 ブレイクゲイザーの衝撃波にぶつかり合い……大爆発を引き起こした!

P「くぅ……!」

 爆風から逃れ、後方に着地するプロトゼノン。
 一方のオーディーンは爆風から逃れられなかったものの、
 パンドラとフェンリルの活躍により、ブレイクゲイザーの威力が弱まっていたこと、
 さらに、とっさに盾を構えたことが幸いして、ダメージは大きく軽減されていた。

晶葉「く……これは決まったと思ったんだがな……!」

バン「ありがとう、2人とも……助かったよ!」

カズ「なーに、いいってことよ!」

アミ「勝負はまだまだ、これからよ!」

 そうやって、Pと晶葉、バン達が気合を入れ直した時。
 突如、会場に激震がはしり、物品が崩れ……幾重もの悲鳴が響き渡った。
 

ゴメン、再開してほとんどすぐで申し訳ないんだけど、ここでまた一旦筆を置きます。
再開は今日の24時前後、もしくは明日の夕方になります。

一発ネタ

師匠「こいつは……揉ンスター……! 私の中で沸き立つ
  (女の子の柔らかい部分への)渇望、羨望……そして探求!
   つまり……私そのものだ!」


アツミCCM>アタックファンクション、揉むぞダース!

再開します。


――サイバーランス、イベント会場管制室


CL課長「おお……思った以上にバトルが盛り上がっている。
     やはり、彼に代役を頼んで正解だった……」

CL社員A「た、大変です、課長!!」

CL課長「どうした?」

CL社員A「そ……それが、物品搬入用の重機……イジテリウス8が暴走を……!」

CL課長「な、なんだって!!」

CL課長B「か、課長! ダメです、コントロールを受け付けず……会場に……!」

CL課長「……!! いかん、すぐに入場客の避難を!」


――サイバーランス、イベント会場


晶葉「う…く……?」

P「大丈夫か、晶葉!? どこも痛くないか!?」

晶葉「ぅえ!? じょ……助手よ……ちか……!!」

P「いきなり会場が揺れて……とっさにお前だけは庇えたんだが……」

晶葉「わ、私は大丈夫だ! だ、だから……いつまでも抱いてくれるな!!」


P「ああ……今離すよ」

晶葉「あ……その……助けてくれた事には……感謝する……」

P「! 晶葉、見ろ!」

 その指さした先には、巨大な――数本のアームを備えた、大型の作業用重機が
 会場の壁を壊して、侵攻してきていた。

晶葉「な、なんだ!? 機械か何かのトラブルなのか……!?」

P「!! まずい! あのまま進むと、観客席に!!」




バンCCM<アタックファンクション、JETストライカー!


 突如として、小型の飛行物体が高速で飛びあがり、会場の天井目掛けて飛んでいく。
 そして、天井の大型ライトの付け根を次々と破壊し、作業重機の周辺に落とすことに成功!
 重機はそれに動きを阻まれ、進行速度が格段に落ちた。

P「!? なんだ、今のは!?」

晶葉「アレは……オーディーンだ! あのLBX、飛行形態への変形機能も備えていたのか……!」


カズ「晶葉ちゃん、Pヘッドくん!!」

アミ「2人とも、大丈夫ですか!?」


晶葉「アミくん、カズくん!」

P「ええ、こちらは無事です! そちらも怪我など内容で、何より!」

カズ「ああ、言うまでもなくバンも無事だぜ! ついでに言っとくと、俺たちのLBXもな!」

アミ「でも……お2人のLBXが……」

 そう言って、アミがウサちゃんXとプロトゼノンを差し出す。
 重機が飛ばした瓦礫にでも当たったのか、2機ともバトルしてた時より損傷が激しい。

 ウサちゃんXはキャタピラ部分が潰れ、残っていた右腕も関節が破損。
 プロトゼノンは頭部がなくなったのに加え、胴体が罅だらけになっていた。

晶葉「回収してくれたのか……礼を言うぞ」


観客1「う、うわーーー! 大変だぁあ!!」

観客2「俺たち死んじまう、死んじまうぞォオ!!!」

 観客の数人が叫び出し、その余波が会場全体に伝わり始める。

P「!? いけない、観客がパニックを起こしかけている!!」

 そのPの言葉にはっとなった晶葉。
 自分でも気付かないうちに立ちあがり、観客に向かって叫んでいた。

晶葉「皆、落ち着いてくれ!!」

カズ「晶葉ちゃん……」

アミ「晶葉さん……」


 よく透る晶葉の声に、会場の観客たちは、一瞬気を取られる。
 こちらに興味が向いた――晶葉は、そこにすかさず声を張り上げる。

晶葉「頼む! 皆! このいきなりの事件、怖い気持ちもわかる!

   怒りを感じる人もいるかもしれない! だが……どうか、堪えてくれ!
   堪えて……自らのために、そして自らの隣の人のために……どうか、心を落ち着けてくれ!」

P「晶葉……」

 晶葉の懸命な訴えに、観客たちは完全にクールダウンしていった。
 そこに、ちょうどCL社員が到着、観客の避難誘導を始めた。


CL課長「晶葉さん、ありがとう! 貴方のお陰で、非難がスムーズに進んでいます!」

晶葉「ふふ……私も必死だったが……うまくいってなによりだ……」

 今だドクドクと、心臓が早鐘を打っている。
 うまくいって良かった――緊張がほぐれ、晶葉は思わず倒れそうになる。

P「晶葉……本当によくやってくれた……」

 そこに、Pがさりげなく晶葉の身体を支えた。
 Pの触れたそこが熱くなるのを、晶葉は嫌でも感じ取った。

晶葉「……助手よ、本当に君は憎いやつだな……」

CL課長「晶葉さん、ありがとう! 貴方のお陰で、避難がスムーズに進んでいます!」

晶葉「ふふ……私も必死だったが……うまくいってなによりだ……」

 今だドクドクと、心臓が早鐘を打っている。
 うまくいって良かった――緊張がほぐれ、晶葉は思わず倒れそうになる。

P「晶葉……本当によくやってくれた……」

 そこに、Pがさりげなく晶葉の身体を支えた。
 Pの触れた部分が熱くなるのを、晶葉はいやでも感じ取った。

晶葉「……助手よ、本当に君は憎いやつだな……」

すみません……115のレスは無視でお願いします……


CL課長「お二人とも、さあ、早く避難を!」

晶葉「そうだな……ってどうした、助手よ?」

P「おおーい、そこの3人、早く逃げるんだーー!」

 Pが呼びかけるのは、チームバンの3人。
 彼らは物陰に隠れてCCMを操作している――
 そう、LBXを操作して、件の重機に攻撃を仕掛けているのだ。

バン「俺たちはここに残ってアレを攻撃し、足止めをします!」

アミ「バンがライトを使って動きを鈍くしてくれたけど……それも完全じゃないですから!」

カズ「俺たちの事なら心配いらないぜ! 色々と、慣れているからな!」

CL課長「そ、そんな無茶な! アレをLBXで止めるなど……!」

晶葉「いや……いけるかもしれん!」


P「晶葉!? 何を……!?」

晶葉「そもそも、普段のバトルではLBXにリミッターが掛かっている……。

   それを解除すれば、LBXの性能は普段の3倍近くに跳ね上がる!
   加えて、彼らのLBXは元よりかなりの高性能……駆動系統を破壊するくらいは可能だ!」

CL課長「し、しかし……!!」

P「だとしても……彼らだけを残していくのは……せめて、彼らを助けるLBXがあれば……」

晶葉「……それもあるぞ、助手よ!」

P「え!?」

※注釈
上記の晶葉のセリフは3倍うんぬんは、ゲーム中の「アンリミテッドレギュレーション」が元です。
ご了承ください。


晶葉「忘れたか……? LBXはパーツの付け替えが可能だ。

   プロトゼノンの腕と足……ウサちゃんXの胴体と頭部、
   無事な所を合わせれば、1体のLBXとして使える!」

 言うが早いか、晶葉は素早く2体のLBXを1つに纏めていく。
 ついでのように、比較的無事だったプロトゼノンのブースター付き羽根パーツまで移植した。

 ウサちゃんロボの頭と胴体に、プロトゼノンの腕と足、
 そして羽根を取りつけた、これまたシュールな機体が出来上がった。

晶葉「ニコイチ完了……名付けて、ウサゼノンだ!」


CL課長「ちょ、ちょっと2人とも……! なんでそんなに闘うことに前向きなんです!?」

晶葉「……すみません、課長さん。これは私の推測にすぎないのですが……
   あの重機の制御、かなり難航しているのではありませんか?」

CL課長「……!」
 
 一瞬で見抜かれたことに驚く課長。
 天才少女の名は伊達ではない。

晶葉「それならば、ここで少しでもアレの機動性を奪った方がいい……私はそう判断したのです」


P「……だとしても、晶葉、お前はここから避難するんだ。
  いくら身を隠すスペースがあるとはいえ……ここは危険だ」

晶葉「……ここで残ると言っても助手のことだ、聞かないんだろうな。

   だが、今回はそうしようと思う。私ができそうなこともあるしな……
   課長さん、お願いがあります」

CL課長「は、はい!?」

晶葉「あの重機……サジタリウス8でしたっけ、それを外部から制御、
   あるいはコンタクトがとれる場所があるなら、私をそこに連れて行ってはくれませんか?」

CL課長「えぇ!?」


P「……だとしても、晶葉、お前はここから避難するんだ。
  いくら身を隠すスペースがあるとはいえ……ここは危険だ」

晶葉「……ここで残ると言っても助手のことだ、聞かないんだろうな。

   だが、今回はそうしようと思う。私ができそうなこともあるしな……
   課長さん、お願いがあります」

CL課長「は、はい!?」

晶葉「あの重機……サジタリウス8でしたっけ、それを外部から制御、
   あるいはコンタクトがとれる場所があるなら、私をそこに連れて行ってはくれませんか?」

CL課長「えぇ!?」

ありゃ……また二重投稿になってる……
すみませんが、123は無視でお願いします……


晶葉「無茶なことを言っているのは重々承知しています。
   しかし……私は、今回の事件解決において、出来る事があればやりたいのです!」

CL課長「晶葉さん……」

晶葉「今日のこの騒ぎが大きくなれば、LBXを『好き』でいてくれた人達の気持ちが、

   消えてしまうかもしれない……私が頑張っても、無駄な事なのかもしれない。
   でも私は……ただ、それを手をこまねいて見ているだけなんてことは出来ないのです!」

P「晶葉……」

晶葉「どうか、お願いします……課長さん……」


CL課長「……わかりました。正直、今は人手が欲しいところです。晶葉さん、こちらへ!!」

晶葉「ありがとうございます!」

P「よし、俺はこのウサゼノンを使ってバン君達を援護する! 晶葉……頼んだぞ!」

晶葉「フ……その言葉、そのまま返す。頼むから……怪我とかしてくれるなよ? 助手よ……」

P「ああ……任せてくれ!」


 管理室の向かって走りながら、晶葉は考える。
 少し前に知ったネット上での噂……人知れずLBXを使って世界を救った子供達がいる、ということを。

晶葉「(その子供たちがあの山野バン、そしてその友人たちとのことだが……)」

 もしかしたら、それは本当なのかもしれない。
 バン、カズ、アミ……3人ともこのような有事の際に、ほとんど動じることなく対処している。
 さらに卓越したLBX操作技術を生かし、足止めとはいえこの場の大きな助けになっているのだ。

晶葉「(ふ……まったくもって証拠はないが……彼らならやっているかも、と思えてくるな……)」

CL課長「こちらです、晶葉さん!」

晶葉「わかりました! ……さて、と! 天才少女の面目躍如といこうか!」


アミCCM<アタックファンクション、ハイパーエネルギー弾!

カズCCM<アタックファンクション、ホークアイドライブ!


 パンドラの片手銃とフェンリルのライフルから攻撃が放たれ、サジタリウス8のアームに命中する。
 そこに、オーディーンとウサゼノンが斬りかかる!

バン&P「「いっけぇえーー!!」」

 その斬撃は、アームの関節部に見事命中!
 これで、2本目のアームの無力化に成功した。

カズ「やったぜ! 流石、バンとPヘッドくんだ!」

アミ「でも……あの重機の稼働自体を止められていないわ……
   ……足止めのライトも、もうもちそうにない……!」

 アミの言った通り、サジタリウス8の足元のライトは今にも潰れそうである。

バン「弱点は……どこかに弱点はないのか!?」

 その時、Pの持つCCMに晶葉からの通信が入った。

晶葉『助手よ、そっちは無事か!?』


P「晶葉! ああ、怪我人は出ていないし、LBXもダメージこそあるが4機とも健在だ! 
  だが、足止めのライトの限界が近い……そちらからの完全制御は、まだ時間がかかりそうか!?

晶葉『悔しいが、完全制御は数分程度では不可能だ……だが、光明はある!

   ある程度こちらから制御が及んだ事で、そちらである部分を壊して貰えば、
   とりあえず、緊急停止できることが判明した!』

P「! 本当か!!」

晶葉『ああ! 機体の右中部……ランプが3つ並んでる部分があるのがわかるか?』

P「ランプが3つ……あった! 確認できたぞ!」

晶葉『よし! そこにありったけの威力で、必殺ファンクションを叩きこんでくれ!』

P「わかった……ありがとう、晶葉!!」


P「3人とも!」

バン「聞こえてましたよ、マスクドP!」

アミ「あのランプの下目掛けて、攻撃を仕掛ければいいんですね!」

カズ「よーし、やってやるぜ!」

P「ああ……一斉攻撃、いくぞ!」


バン「少しでも技の威力を上げる……オーディーン、エクストリームモード!」


バンCCM<エクストリームモード!

 
 その言葉と共に、オーディーンが金色に輝く。
 機体性能を一時的ではあるものの、飛躍的に上昇させる特殊モードを起動させたのだ。

P「凄いな……! そんな機能も……!」

カズ「驚いてないで、攻撃いくぜ! まずは俺からだ!」


カズCCM<アタックファンクション、スティンガーミサイル!


 攻撃の口火を切ったのは、フェンリルの必殺ファンクションであった。
 フェンリルの本体から幾重ものミサイルが放たれ、目標を爆撃する!

 その着弾から間髪おかず2機のLBXが飛びかかり、必殺ファンクションを同時に放った。

バン&アミ「「必殺ファンクション!!」」


バンCCM<アタックファンクション、グングニル!

アミCCM<アタックファンクション、蒼拳乱撃!


 オーディーンが放つ、巨大な紅蓮の槍状エネルギー。
 パンドラが放つ、幾重もの蒼い衝撃弾。

 その二つがスティンガーミサイルでダメージを負った装甲に、追い打ちをかける。

P「いい加減、止まれェ!!」


PCCM<アタックファンクション、Ωエクスプロージョン! 


 そして、トドメと言わんばかりにウサゼノンが攻撃を放つ。
 青白いエネルギーを身にまとい、ウサゼノンは目標に向かい弾丸となって突撃する!

 
P「どうだ……、やったか……!?」

 ウサゼノンの渾身の一撃が見事に命中! 爆発と共に煙が上がる。
 衝撃の大きさに、ウサゼノンが反動で吹き飛ばされ煙から出てくる……が。

晶葉『まだだ、助手よ!』

 サジタリウス8の装甲もかなりのモノ。
 これまでの必殺ファンクションの多段ヒットを受けても、大きな罅が入ったのみ。
 
P「く……ダメなのか……!!」

バン「いや……これで終わりだ! 必殺ファンクション!」


バンCCM<アタックファンクション、超プラズマバースト!


 エクストリームモードになっていたことにより、
 余力が残っていたオーディーンが、再び必殺ファンクションを放つ。
 
 巨大なエネルギーの渦を作りだし……それを槍に纏わせ、一気に突っ込む!

バン「いっけぇえええ! オーディーン!!!」

 バンの気力を受け取ったかのような、強烈な一撃がサジタリウス8に迫る!
 それは、罅の中心に命中し、そのまま機械内部に侵入。内部の機会をことごとく破壊していく!

 そして……一際大きな破壊音の後、サジタリウス8は完全に行動を停止した。


カズ「止まった……やった! 止まったぞ!」

アミ「やった! やったわ!!」

 アミとカズは、跳ねまわって喜んでいる。

晶葉『ふぅ……完全停止を確認。やったな! 助手よ!』

P「ああ……本当によかった……。そちらも……ありがとうな、晶葉……」

 安心のあまり、その場にへたり込むP。
 そんな彼に、バン達が近づき声をかけてきた。

バン「ありがとうございます、マスクドP! それからこの場にいないけど、晶葉さんも!」

アミ「ええ、貴方達のサポート、本当に助かった! ありがとう晶葉さん、マスクドP!」

カズ「凄かったぜ、2人も……っていうか、やっぱPヘッドくんだろ、あんた?」

P「いや……それを言うなら、君たちも凄い。

  大人としては危険に顔を突っ込むのは容認できないが……
  今回は本当に助かったからな。ありがとう、そしてお疲れ様!!」


 そして、この時Pは気がついた。
 自分が未だにPヘッドを被っていた事を。あの惨状の中、Pヘッドがまったく壊れなかったことを。

P「(凄いな、これ……ジョーク商品とは思えないほどの頑丈さだ。
  被ってもほとんど視界を阻害しないし……どこのだれが作ったんだろうな?)」






???「ぶぇーっくしょん! 誰かワシの噂をしてるデヨ? 出来れば萌え萌えな少女であって欲しいデヨ!
    さーて、チェックを……ウッヒョー! 今度の新作ゲームも買いでよ! 早く特許料、入ってこいデヨ~~!!」


――イベントから、数週間後


晶葉「ふう……今日もハードスケジュールだったな……」

P「あの事件から、サイバーランス社のイメージ回復に

  色々走りまわらなくてはいけなくなったからな……
  事件に巻き込まれたお詫びも含めてなのか、ギャラもアップしたけどね」

晶葉「そういえばあの事件、まだ根本から解決はしていないんだろう?」

P「ああ……なんらかの不正アクセスが原因だってことはわかったんだが、
  その出所は不明のまま……まあ、本社のセキュリティは一層強化したらしいけど」

晶葉「そうか……(うーむ……海道ジンがいた国で起こった旅客機関係の機器トラブル、

   それに類似した、世界各地で度々起こっている機器の異常……
   今回の件に関係ある……というのは、考え過ぎだろうか……?)」


――???


???「日本の“パラダイス”部品搬入ルート、確保完了いたしました」

???「ご苦労……と言いたい処だが、サイバーランス社での事件から、
    我々の足取りが掴まれることはないかね?」

???「大丈夫です。むしろ、目を逸らしてくれる恰好の材料になってくれるでしょう」

???「ならばいい……正しき世界のために、我々は失敗できんからな」

???「はっ……重々、承知しております」


晶葉「フフ……しかし、すっかりLBXアイドルとして有名になってしまったな、私達は」

P「ああ……俺まで有名になるとはな……」

 そう、アレからP自身もマスクドPとして、すっかり露出は増えてしまっていたのだ。

 一応、助手くんとは別名義なのだが、Pヘッドこそ色違いのモノを被っているとはいえ
 体格は同じ、しかも晶葉が興奮すると「助手」呼びしてしまうため……

 「マスクドP……一体何助手くんなんだ……?」「マスクドPの正体はPヘッドくんだった!」

 ……とまあ、公然の秘密みたいなことになっていた。


晶葉「フフフ……アレ以来、私のウサちゃんXと助手のプロトゼノン……

   いや、Pロトゼノンのコンビの名声は、留まる事を知らないからな!
   仕事の関係上、中々会えないが……バン達アルテミス優勝者の友人という肩書も得たしな」

 ちなみにあの事件の後、Pはサイバーランスからプロトゼノンを譲渡されていた。

 そして使いやすくするよう、Pは晶葉協力の元で、プロトゼノンにカスタマイズを施した。
(といっても、よく見ると細部が違う、くらいでほとんど姿は変わっていない)

 その時の改造もネット配信していたのだが……完成したときに晶葉が

「よし、私がこの生まれ変わったプロトゼノンのゴッドファーザーになってやろう!
そうだな……プロデューサーのPを取って『Pロトゼノン』という名はどうだ!」
 
 と言い放った事が広まり、Pロトゼノン、は半公式の愛称になってしまった。


晶葉「やれやれ……ここまで助手が有名になってくると、私としては複雑な気持ちだな」

P「いや……これは、ギャグみたいなものだろう。
  この人気は晶葉……間違いなく、お前の好きだという気持ちが、皆に伝わったからだよ」

晶葉「また君はくさいセリフを……フフ、だがそんな君に私は多くのことを教えられた。
   ラボに籠っているだけでは、けっして知りえないことをな……」

 そう言って晶葉は、いつもの自信ありげな笑顔を……
 いや、いつもよりも柔らかい笑顔を、Pに向けた。
 
晶葉「これからも、いろんな素敵なことを教えてくれ! 期待してるぞ……助手よ!」


-終わり-


と、言う訳で、この世界でのPヘッド制作者がオタクロスと判明したので終わります。

途中の誤字や二重投稿など、お見苦しい所をお見せしてすみませんでした。

読んでくださった方々、レス下さった方々、本当にありがとうございました。


ついでに補足しておくと、レス140で謎会話を繰り広げている悪そうな奴らは、
2作目『ダンボール戦機W』の「パラダイス編」の黒幕たちです。

たぶん『W』開始以前から、色々暗躍してたんじゃないかな、という妄想の産物です。

これを書いている途中、他にLBXを扱えそうなアイドルっていないかな? と考えていたんですが……。

イプシロン(ゲーム1作目のマイナーチェンジ版限定のLBXで、アニメには出てこない)
を空気を読まずに持ち出してきて、華麗に使いこなすのあさん。

フェアリー(ストーリー後半に出てくる敵側のLBX。自立稼働可能。見た目はフ〇ーザ似)
を「ひろって…きたのー」とか言って持ち出してきて、しかも強いこずえちゃん。

そんなコンビをなんとなく思い浮かべました。


すごく、ゲームの隠しボスっぽいなあ、と思いました。

……一応、132も……修正ですね……

×アミ「あのランプの下目掛けて、攻撃を仕掛ければいいんですね!」

〇アミ「あのランプ目掛けて、攻撃を仕掛ければいいんですね!」

oh……重機の名前がバラバラですね。なぜ気がつかなかったのか……。
一応、ゲームで出てきたイジテリウスが元ネタなので、それが正式名称です。

……ではなくてイジテウスですね、なんというグダグダ……

さんくす、ダンボール戦記わからんのでぐぐってみようとしたら見つからなくてな

ゲームとしてはカスタマイズロボットアクションとかなのかな
どこぞのACみてーな、ちょっと面白そうな感じがする

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