エレン「俺たちは、過去の戦場に呼ばれたってわけか…」(155)


先日、途中まで投稿した作品だったのですが、多少手直しをしたため、再投稿させてもらいます。

紛らわしくてすいません。

前回の投稿分+α まで一気にいきます。

少し長い作品ですが、遅くとも明後日までには完結させます。

もし良ければ、お付き合い下さい。

~立体機動訓練 休憩中~


エレン「よしっ!やっと休憩だ!」

アルミン「い、いやぁさすがに疲れたね…」

ミカサ「エレン、休む前に軽く身体をほぐした方がいい」

エレン「ったく、うるせぇな…」

ミカサ「私はエレンの身体の心配をしているだけ」

エレン「それがうるせぇっての」

ジャン「へっ!またミカサにお守りされてんのか?」

エレン「んだよっ!いちいち突っかかってくんなっ!」

サシャ「うわぁ…またジャンの遠回しな愛情表現が始まりましたよ」

コニー「あいつ本当に口悪いよな」

ジャン「お、何だ?否定しないってことは図星かぁ?」ニヤニヤ

エレン「この野郎!喧嘩売ってんのか?」

ミカサ「エレン、やめなさい」

ベルトルト「エレンをからかう元気あるなら、休めばいいのにね」

ライナー「まったくだ。まぁ、あれはあれでジャンらしいが」

アニ「ねぇ…休憩中くらい静かにして欲しいんだけど?」

エレン「俺じゃねぇよ!ジャンの野郎から突っかかってきたんだ!」

アニ「……どっちでもいいから、とりあえず静かにして」

マルコ「ほ、ほらジャン。向こう行こうか?」

クリスタ「み、みんな!疲れてイライラするのわかるけど、な、仲良くしよ、ね?」

ユミル「あ~、ほらほら!バカがうつるからあっち行こうな、クリスタ」

ミカサ「エレン、いちいち相手にしない。ほら、私が手伝ってあげるから、ストレッチしよう」

ジャン「あ、あ~、ミカサ、もし良ければ俺のストレッチも手伝ってくれないか?」

ミカサ「…何故?」

ジャン「何故って…な、なぁ、ほら…」

ミカサ「?…わからない。私はエレンだから手伝う必要がある」

ジャン「っってめぇ!死に急ぎ野郎!うらやましいんだよっ!」

エレン「知らねぇよ!うるせぇな!ミカサもよくわかんねぇこと言うな。ってか俺より、疲れてるアルミン手伝ってやれよ、なぁアルミン?」

アルミン「……」

エレン「ん?アルミン、寝てんのか?」

アルミン「……」

エレン「な、なんだ?めまいか?」クラッ

ジャン「な…これは…?」バタッ

エレン「お、おいっジャンッ!」

ライナー「…」バタッ

ベルトルト「…」バタッ

アニ「…」バタッ

エレン「お、お前らまで!?」

クリスタ「…」バタッ

ユミル「…」バタッ

コニー「…」バタッ

サシャ「…」バタッ

マルコ「…」バタッ


ミカサ「な、なんか身体が、変…エ、エレ…ン…」バタッ

エレン「ミ、ミカサッ!」

エレン「くっ…み、みんなっ!…な、なんだ?お、俺も…」バタリ

~???~

???「エレン!?」

エレン「ん…あ?」

ミカサ「エレン、目が覚めたのね?良かった…」

アルミン「エレン、大丈夫かい?」

エレン「あぁ…一瞬、意識失ったのか?まだ頭がぼんやりする…」

ミカサ「無理をしてはいけない」

エレン「はっ!そうだ、みんな大丈夫か?いきなり倒れてたけど」

ライナー「まぁな…とりあえずは、だが…」

エレン「どういうことだ?」

ジャン「ふん、これだよ」

村人「お、おい!こっち見たぞ」

村人「なんかバケモンみたいなのが現れると思ってたけど、俺たちとあんまり変わんねぇな?」

村人「あぁ、言葉も同じみたいだし…しかもあの金色の髪の娘っ子なんて、女神様みたいじゃねぇか。べっぴんだぁ」

村人「ん?あの黒髪の女子は、俺らと何となく似てねえか?」

村人「あぁ、あの子だけオラたちと顔立ちが近いな」

エレン「お、おいっ!なんだよあんたたち!?」

村人たち「ひぃぃっ!」

村人たち「きゅ、救世主様!」ドゲザーッ

エレン「な、なんだよ、これは?」

クリスタ「そ、それが私たちもよくわからないの…」

マルコ「ぼ、僕たち、さっきまで教練場にいたよね?」

ユミル「夢でも見てなきゃな…」

ベルトルト「それか、もしくはこっちが夢なのかな…?」

コニー「お、おい!この状況がわからないのは、俺がバカだからじゃないよなっ?」

アニ「…そうだね」

サシャ「よ、よくわかりませんが、きょ、今日の夕食は食べられますかっ!?」

祈祷師「成功じゃあ!」

一同「!」ビクッ

ジャン「あぁん?この状況…婆さんの仕業か?」

祈祷師「いかにもっ!」

ユミル「ほぉう、じゃあ説明してもらおうか?」

クリスタ「ちょ、ちょっと、ユミル!乱暴な態度は失礼だよっ!」

村長「それは…私から説明しましょう…」

ライナー「まぁ、事情がわかるなら、誰が説明しても構わないが…」

エレン「なぁ爺さん、どういう状況なんだよ、これは?」

村長「あなたたちに……私たちの村を救っていただきたいのです」

村長「私たちの村は今、山賊に狙われています…」

マルコ「山賊…ですか?」

村長「いかにも。我々は今までこの山奥で、ひっそりと暮らしてきました」

コニー「そういや、森の香りがするなっ」クンクン

サシャ「わかりますわかります!なんか故郷に帰ってきた気がしますね」クンクン

村長「貧しいながらも、村人全員、家族のように助け合って生きてきました。そのおかげもあって、飢えずにきましたし、わずかな蓄えもあります」

クリスタ「素敵な村なのですね…」

村長「はい、年老いた私にとって、村の人々、自然、すべてが宝物です」

ユミル「…で、爺さんの宝物であるこの村が山賊に狙われていると」

村長「その通りです。今までも山賊に狙われたことはあったのですが、自警団とこの山々になんとか守られてきました」

ジャン「へぇ、一応自警団なんてもんがあるのか」

エレン「それが何だって今回はダメだったんだ?」

村長「今までの山賊は、多くても数十名という単位でしたので、何とかなりましたが…」

サシャ「なりましたが?」

村長「今回の狙われている山賊は、最近ここ周辺で勢力を伸ばしてきた大型の山賊団で、その数……およそ400前後」

コニー「400の山賊!俺でも大変なのがわかるぞ!」

アニ「400ねぇ…」

ベルトルト「ちょっとした兵団クラスだね」

村長「何とか一度は撃退しましたが…」

ライナー「ほぅ、一回でも撃退できたなら大したもんだ」

村長「しかし、次はもう持ちません。こうなった我々がすがったのが……この村に古くから伝わる呪法です」

アルミン「じゅほう…呪法、かな?それは呪いの類ですか?」

村長「詳しくは私にはわかりませんが……伝承の祈祷をすることで、異世界から異形の者たちを呼び出し、使役することが出来ると」

マルコ「祈祷で異世界から異形の者を呼び出す…現実離れした話だね…」

ジャン「使役だぁ?俺たちを使おうってのか?」

村長「め、滅相もありません。ただ我々はもう異世界からの救世主様たちに頼るしかないのです!」

コニー「ん?…まぁ、俺たちで助けになるなら力になろうぜ!」

ユミル「てめぇ、状況がよくわかってないのに、安請け合いしてんじゃねぇ!」ポカッ

コニー「いてぇっ!」

クリスタ「でも…困ってるなら、私も何か力になりたいよ、ユミル。……みなさん、大変だったでしょう?」

村人「め、女神様からありがたいお言葉をっ!」

村人「ありがてぇ!ありがてぇ!」

村人「きっとこのお方は、天から舞い降りた女神様だ」

クリスタ「め、女神様だなんて!///」アタフタ

村人「じゃああの男は、大猿の神の化身か?」

村人「へへぇ!山の神じゃ」

ライナー「な、なんだ?よくわからねぇが、なんか俺も崇められてるのか?…へへへ、悪い気しねぇな」

アニ「…バカにされてんじゃないの?」

アルミン「いくつかお聞きしたいのですが、ここは何という国ですか?」

村長「ここは××ノ国と言います」

アルミン「…聞いたことないな」

ミカサ「私も知らない…」

エレン「アルミンが知らないのに俺らがわかるわけねぇだろ、ミカサ」

ミカサ「それは確かにそう」

アルミン「……はっ!い、今は何年ですか?」

村長「今ですか?△△52年でございます」

アルミン「…知らない年号だ。ほ、他に年数の呼び方はありませんか?」

村長「はて?他に……あぁ、この前、港町に行った時に聞いた、他国の呼び方では、今は350年と言っておりました」

アルミン「っ!」

マルコ「350年っ!?…ということは僕らは、500年前にきてしまったのか…?」

ミカサ「過去に…?」

ライナー「おいおい、本当かよ…盛大なドッキリか何かじゃないのか?」

村人「な、なぁ、この腰に着いているのは何なんだ?」

村長「こら、口の利き方に気をつけなさい」

村人「す、すみませんだ!」

サシャ「全然いいですよっ!って立体機動装置知らないんですか?」

村人「りったい、きどうそう、ち?」

コニー「巨人を倒すための道具だぜ?知らないことないだろ?」

村人「巨人?あんなのおとぎ話じゃねぇか?」

村人「でいだらぼっちみたいな奴のことだろ?」

村人「そんなもん、この世におらんだよ」

ベルトルト「巨人を知らない…巨人がいなかった時代…なのか?」

ジャン「マジかよ…」


エレン「俺たちは、過去の戦場に呼ばれたってわけか…」

アルミン(待てよ…何かに呼び出される?なんかこんな体験、どこかで聞いたことあるような…)

エレン「お、おいどうすんだ、アルミン?」

アルミン「……村長さん、状況は何となくわかりました。ただ、僕らもまだ混乱しています。少し、僕らだけにしてもらっても良いですか?」

村長「はっ!も、もちろんでございます。いきなりこちらの話ばかりで、申し訳ありませんでした。ただ何卒、お力添えを…」

ライナー「話が本当なら、とんでもないとこに来ちまったな…」

ユミル「はん、山賊に襲われてる村を助けるため、過去から救世主を呼び出したってか?こんなの三文小説でしか聞かないな」

クリスタ「でも…村長さんも村の人たちも本当に困ってるように見えたけど…」

ベルトルト「あぁ、少なくとも僕には嘘をついてるようには見えなかった」

コニー「俺もだっ!」

サシャ「コニーは人を信じやすいですねぇ。でも私も嘘じゃないと思いますよ」

アニ「ふん、どうだかね…」

エレン「おい、アルミン、どうした?」

アルミン「あぁ、ごめんよ。何か記憶の隅に引っかかってて…」

コニー「それにしても、いきなり眠くなったと思ったら、こんなとこに来ちまって、ホントに夢みたいだな!」

サシャ「ホントですね!お腹いっぱいになって眠くなるのと同じくらい、強烈な眠さでした」

アルミン「眠り……はっ!眠り病かっ!」

マルコ「ん?眠り病?なんだい、それは?」

アルミン「その病気にかかると、ある日突然、眠るように意識を失う。どんな医者もその原因を突き止められず、この病にかかった者は、そのまま眠るように死んでゆく…」

サシャ「ちょ、ちょっとアルミン!いきなりホラーはやめて下さいよぉ!」

アルミン「ただ…稀に意識を取り戻す者がいる。戻った理由はわからないけど、意識を取り戻した者たちは、口を揃えて『目的を果たしたから帰ってこれた』と言うらしい…」

ジャン「は?何だそりゃ?その病気がどうかしたのかよ?」

アルミン「まぁ、噂話を集めたゴシップ誌に載ってた話だから、ホントかどうかわからないけど…」



アルミン「今の僕らの状況に似ていないかい?」

クリスタ「眠るように倒れて…」

ベルトルト「起きたら目的を課せられている」

ユミル「はっ!なんだ、そのご都合主義な話。くだらねぇ」

ライナー「まぁ確かに、にわかには信じ難いな…」

アルミン「言ってる僕もだよ。ただ、もしこれが本当ならば…」

エレン「俺たちは、山賊からこの村を救うまで帰れないってこと、か」

トントン

サシャ「誰でしょうか?」

アルミン「村長さんかな?」

用心棒「失礼いたす」

クリスタ「あなたは?」

用心棒「拙者、武芸の旅の途中で、この村のお世話になっておる者でござる」

エレン「武芸の旅の途中…すげぇ!強そうだな」

用心棒「いえ、まだまだ未熟者。旅の途中でしたが、この村は居心地が良いゆえ、つい長逗留しておりました」

サシャ「なんかわかりますよ!良い村っぽいですし」

用心棒「さよう…そんな折、この村が山賊に襲われることとなり申した…。拙者、一宿一飯の恩を返すため、用心棒として、協力することにしたのだ」

ライナー「ふむ…そりゃ立派なことだ」

用心棒「武士として恩を返すのは当然のこと…しかし」

用心棒「今の状況では、この村は山賊を追い返すことはできぬ!」

用心棒「…拙者の命は惜しくないが、この村の人々は、本当に良い心の持ち主ばかり…死なせてしまうのは、無念でござる…」

用心棒「だから…どうか!この村に力を貸して下されい!」

アルミン「…わかりました。頭を上げて下さい」

用心棒「で、では、お力を!?」

エレン「乗りかかった船ってやつだ」

ジャン「どの道、そうしなきゃ帰れないみたいだしな」

ミカサ「私はいつだってエレンに従うだけ」

マルコ「こ、これも訓練かな!」

コニー「お!やるんだな?やるんだよな?」

サシャ「お礼は食事でいいですよっ!」

クリスタ「困ってる人たちのためだもんねっ」

ユミル「あぁ~、結局やるのかよ…」

ライナー「気に入ったぜ、用心棒のおっさん!」

ベルトルト「あとは僕らで退治できればいいけど…」

アニ「ふん…仕方ないね」

エレン「よし!決まりだな」

アルミン「…では、とりあえず、今の状況を教えてもらっても良いですか?」

村長「皆様!引き受けて下さるとのことで!」

村人たち「おぉ!やっぱり女神様御一行は慈悲深い!ありがたやありがたや!」

ユミル「おぉ、さすが私のクリスタ。私たちはクリスタ御一行になってるぞ」

クリスタ「えぇ~!誤解だよぉ!」

ライナー「ま、俺は別に構わないぞ(女神御一行バンザイ!)」

アルミン「それで、今の状況ですが…」

村長「はい、前回追い返してから時間が経ってますので、いつ来てもおかしくありません。ただ、物見の話では、もう少し時間はありそうです」

用心棒「自警団の数は100強。自警団と言っても普段は農民。ただ、力仕事の者たちゆえ、体力と忍耐はそれなりにある。あとは拙者が多少鍛えた程度だ」

マルコ「敵は4倍ほどか…」

ジャン「おいおい…こりゃ苦しいどころじゃねぇな」

村長「一応、ここは山に守られておりますので、敵が攻められるのは、正面の一箇所のみ。そこは塀などで固めてあります」

用心棒「ただ、前回の攻撃で塀や防備もかなり疲弊し、いつ破られてもおかしくない状況でござる」

ライナー「まいったね、こりゃ」

アニ「思ったよりきつそうだね…」

アルミン「…他に敵について知っていることがあれば教えて下さい」

村長「元々、この周辺の山賊は、数十名単位でした。しかし、今の賊頭領が来てから、ちらばる山賊集団をまとめ上げ、この辺一帯を牛耳るようになりました」

ベルトルト「山賊とはいえ、その頭領、それなりの人物みたいだね…」

ユミル「おいおい、こんな状況で本当にやんのか?負け戦だろ?」

コニー「お前、そういうこと言うなよな」

ユミル「馬鹿坊主の頭でもわかるだろ?どんなだけ絶望的な状況か」

コニー「ん?馬鹿坊主?そんな名前の奴はいないと思うが…」

ジャン「さすが馬鹿坊主」

アルミン「…いや、勝機はあるよ」

ユミル「あ?ってか他の面子は上位10名だからわかるけど、私とあんたは何でここにいるんだ?」

クリスタ「ユミルは訓練で手を抜いてるだけで、実際は私なんかより上位の力あるじゃない!」

ミカサ「アルミンは、誰よりも正解を導く力があるから」

エレン「そうだぞ!アルミンを馬鹿にすんじゃねぇ」

ユミル「へーへー、私が悪うございました。じゃあ、その優秀な頭で私たちを勝たせてくれよ」

クリスタ「ユミルッ!」

コニー「お前、素直じゃないなぁ」

アルミン「ははは、まぁそういうのは慣れてるよ」

アニ「で?その勝機っていうのを教えなよ」

アルミン「この村の攻め口は一つだけ。ここをしっかり固めれば、防備もあるから実際にぶつかり合う人数は限られる」

アルミン「一度にぶつかる人数を限ることで、数の不利はそれなりに覆せるはずだよ」

マルコ「山側…裏から登られる可能性は?」

アルミン「ないとは言えないけど、あれだけの山なら、少人数でしか奇襲はできない。だから少数精鋭で本陣を固めておけば、大丈夫だと思うよ」

ジャン「あと山賊どもは、こっちが農民の烏合の衆と思ってるから、いきなり俺たちが来て、状況が変わってることに動揺するだろうな」

アルミン「そう、僕らが来たことで今までより多少、組織的に動ける。そうすれば、この立地ももっと上手く活かせるから、山賊相手でも結構やれるんじゃないかな」

エレン「すげぇな!これ一瞬で考えたのかよ!アルミン」

アルミン「ははは、さすがに一瞬じゃないけどね。で、あとは、これだよ」コンコン

サシャ「立体機動装置?」

アルミン「そう、こればっかりはこの時代の人たちは見たことない、それこそ魔法みたいなものだから、かなり有効だよ」

ベルトルト「確かに、これだけ見たら異世界の魔法に見えるね」

コニー「お!こりゃ意外といけるんじゃねぇか?」

ミカサ「さすがアルミン」

アルミン「でも一点だけ注意しなきゃいけないことがある…この世界ではガスの補給ができない」

クリスタ「あ!そっか…」

ライナー「ちっ、そりゃそうだよな」

マルコ「しかも僕らは立体機動訓練中だったから、結構ガスを使ってしまっている」

アルミン「そう…だからみんな立体機動する時は、ここぞという時だけにして欲しいんだ」

サシャ「あの~…」

ジャン「なんだよ?」

サシャ「み、みんなで立体機動装置使って、直接敵のボスを倒しに行っちゃダメなんですかね?」

ユミル「…へぇ、芋女のくせに考えたな」

サシャ「えへへ、勘みたいなもので…」

アルミン「うん…実は僕もそれを考えたんだけど…」

ユミル「何だよ、なんか問題あるのかよ?」

アルミン「うん、相手の備えがわからない以上、いきなり突っ込むのはリスクが高すぎるよ」

ジャン「あぁ、わからないことが多い以上、リスクはできる限り避けるべきだ。それに頭領だけ倒しても400人の山賊は残るだろ?」

コニー「そりゃそうだ」

ジャン「でだ、目的達成が俺たちの帰る条件である以上、そいつらがヤケになって村になだれ込んできたら?」

サシャ「村が襲われちゃいます!」

ジャン「そうだ。これじゃ俺たちの目的が失敗になっちまう。だから結局、戦で勝ってこの村を守らなきゃならねぇんだよ」

ベルトルト「まぁ…どちらにせよ大きなリスクは避けないとだよね」

村長「さすがでございます…見た目はまだ皆さんお若いですが、さすがは救世主様…軍学に長けておられます」

アルミン「いえ、実戦はこれからですから(そう…実戦では、人を殺さなくてはいけない…)」

ライナー「少し休憩か。こんな時まで休憩とか気にするなんて、アルミンは出来すぎだな」

アニ「…ねぇ」

ライナー「何だ?」

アニ「あのさ…目的達成するだけなら、私たちが巨人化すれば、簡単だと思うんだけど」

ベルトルト「何言ってるんだ?アニ、ここには元の世界の人間は、僕らしかいないんだよ?…正体がばれるに決まってる」

アニ「でも戦で死ぬ人が出るんだよ?み、みんなだってどうなるかわかんないし…」

ベルトルト「それはそうだけど…」

ライナー「いや、ベルトルト。実は俺もそれを考えたんだが」

ベルトルト「ライナーまで!」

ライナー「だがな、ちょっと意識してみろ…巨人化できる気するか?」

ベルトルト「……っ!た、確かに巨人の力が感じられない…」

アニ「本当だ…何故?」

ライナー「わからん…とにかく今は普通の身体の状態じゃないってことだ」

ベルトルト「と、すると…」

ライナー「あぁ、どの道戦は避けられないってことだ」

コニー「お、弓か?」

サシャ「えぇ、貸してもらいました。弓、割と得意なんですよ!少しでもみんなの役に立ちたいですし」

コニー「そうかぁ!じゃあ俺も準備しとくかな」

サシャ「コニーも弓使えるんですか?」

コニー「当たり前よっ!俺も狩猟民族だからなっ!」

サシャ「それにしてもなんかこの村、山の感じが故郷の雰囲気と似てるから落ち着きます」

コニー「だな!山のぬくもりがあるっていうのか」

サシャ「…守りたいですね」

コニー「…だなぁ」

ジャン「しっかし、何なんだよ、この状況…」

マルコ「本当だよね。まだ夢じゃないかと思ってるよ」

ジャン「な。それだったらどんなにいいか……ま、俺はマルコの下ででも、悠々と戦わせてもらうぜ」

マルコ「ジャン…多分そうはならないと思うよ」

ジャン「は?何でだよ?」

マルコ「怒らずに聞いて欲しいんだけどジャンは…強い人ではないから、弱い人の気持ちがよく理解できる」

ジャン「…何だそりゃ」

マルコ「それでいて現状を正しく認識することに長けているから、今何をすべきか明確にわかるだろ?」

マルコ「まぁ…僕もそうだし大半の人間は弱いと言えるけどさ、それと同じ目線から放たれた指示なら、どんなに困難であっても切実に届くと思うんだ」

マルコ「ここの兵士は、みんな農民って言ってたよね?だから尚更さ…」

ジャン「はっ、どうかねぇ」

マルコ「僕は、この仲間の中でジャンが一番の指揮官だと思ってるよ」

ジャン「へっ…そりゃどーも(今、何をすべきか、か)」

クリスタ「い、戦って…人とだよね?」

ユミル「当たり前だろぉ?何だ、クリスタ、怖いのか?」

クリスタ「怖いに決まってるでしょっ!?人を…殺すんだよ!?」

ユミル「あ~、すまなかった…確かにそうだよな」

エレン「クリスタ…これから戦うのは、たまたま人の格好に似た有害なケダモノだ」

ミカサ「エレン…」ズキッ

エレン「そいつらを放っておけば…ほら見てみろ」

クリスタ「え?」

子どもたち「あっ!きゅーせーしゅさまだっ!」キャッキャッ

クリスタ「…」

エレン「今は戦うしかないんだ、クリスタ」

クリスタ「…弱音吐いて、ごめんなさい」

ユミル「クリスタ~、お前が謝るこたぁないさ。この死に急ぎ野郎はトチ狂ってるからなっ」

クリスタ「うぅん、エレンは正しい…私足手まといにならないように頑張る!」タタタッ

ユミル「お、おい!クリスタ!」


アッ メガミサマー
ウフフ コンニチハ

アルミン「エレン…」

エレン「何だ?アルミン」

アルミン「ありがとう。実は僕も怖かった…でも今の君の言葉に、戦う勇気をもらったよ」

エレン「へっ!…頼りにしてるぜ、親友!」

ミカサ「そう、アルミン、自信を持って。私たちは何があってもあなたを信じる」

アルミン「エレン、ミカサ…よし!みんなで生きて帰ろう!」

アルミン「まず、軍の編成を決めようと思うけど、いいかな?」

マルコ「賛成だよ、まずはそこからだよね」

アルミン「ありがと。じゃあまず一応、僕が考えた大まかな案を言うね。意見があったらどんどん言って欲しい」

アルミン「総大将…というと大げさかな?まぁこの戦の旗頭みたいなものだね」

クリスタ「総大将…」

アルミン「それにクリスタを推薦する」

クリスタ「へぇぇぇっ!?」

一同「賛成」

クリスタ「えぇ!何で!?みんなぁ~!」

アルミン「まぁまぁ、クリスタ落ち着いて。戦の指示は僕や現場の指揮官に任せればいいから」

クリスタ「で、でも、それじゃあ私は何をすればいいの?」

アルミン「クリスタには、村兵の士気を上げる役を務めてもらいたい」

クリスタ「士気を上げる?そ、そんなことできるないよぉ~」

ライナー「できる」

ユミル「できる」

アルミン「うん、幸い、村兵たちはクリスタを女神と崇めてるし、そのクリスタの下知ならみんなの士気は間違いなく上がるよ」

クリスタ「う~…わかった、私頑張るよっ!」

アルミン「ありがとう、クリスタ。で、次なんだけど、ある意味一番重要なポジション、左右の本隊指揮官」

アルミン「これは後方から戦場を見て、指示をする役だね。実際の戦場を動かすのは、この2人と言っても過言じゃない」

エレン「おいおい、責任重大だなっ」

アルミン「うん、ここには……マルコと、ジャンを推薦したいと思うけどどうかな?」

ジャン「なっ!」

サシャ「マルコならピッタリですね!いいと思います」

コニー「そういや何気に、ジャンが班長の時の訓練は、やりやすかったなぁ」

マルコ「…ありがとう。微力ながら、精一杯務めるよ」

ジャン「……ちっ!どうなっても知らねぇからな」

アルミン「2人なら大丈夫だ。本当に信頼おける指揮官だよ。で、2人には2人の作戦を実行する、前線指揮官を1人ずつ選んでもらいたい」

マルコ「僕らが選んでいいのかい?」

アルミン「うん、ここは実際の戦闘の最前線だから、2人がそれぞれやりやすい人を選んだ方が良いよ」

ジャン「そうか……それならライナーだな」

ライナー「おっ、光栄だな。実はお前の指揮下に一度入ってみたかった」

ジャン「へっ、死なせても恨むなよ。本当はミカサかエレンとも思ったけど、どうせお前のことだ。他のところで使いてぇだろ?」

アルミン「察してくれて助かるよ、ジャン」

マルコ「僕は……ユミルかな」

ユミル「はぁぁ!?何言ってんだ、マルコ!正気か?普通に考えて、ベルトルさんかアニだろ?」

マルコ「正気だし、本気だよ」

ユミル「かぁ~、わけわかんねぇ」

マルコ「ごめんね、こんな状況だから正直に言わせてもらうけど、ベルトルトは強いし、判断力もあるけど、決断が遅くなることがある…」

ベルトルト「その通りさ。さすがマルコ、的確だよ」

マルコ「アニは、集団を引きいるより、少数精鋭で動くか、単騎で動いた方がいいと思う」

アニ「集団行動は性に合わないからね」

マルコ「その点、ユミルは腕も立つし、決断も早い。何よりよく周りが見えている。僕が組みたい前線指揮官として理想的なんだよね」

クリスタ「うんうん!」

ユミル「…ちっ、これだけマルコに口説かれちゃしゃあねぇな。わかった、引き受けるよ」

アルミン「うん、最高の組み合わせだね」

コニー「おい!俺は?俺は?」

アルミン「コニーとサシャには、身の軽い村兵を率いて、撹乱と偵察をお願いしたい」

サシャ「なんかコソコソ隊ですねぇ」

アルミン「とは言っても、今までにない特別な動きになるから、敵はかなり混乱すると思うよ」

コニー「へへへ、特別か!悪くねぇな」

アルミン「ベルトルトとアニには、本陣の護衛をお願いしたい。やはり裏から登られる可能性は捨てきれないし、村長さんやクリスタに何かあったら、村兵の士気はガタ落ちだ」

ベルトルト「了解したよ、アルミン」

アニ「わかりやすくていいね」

エレン「おい、アルミン!俺らは何するんだ?待ちくたびれたぜ」

ミカサ「私たちのこと忘れていない?」

アルミン「ははは、忘れるわけないさ。ある意味、2人の働きがこの戦を決めるからね」

アルミン「2人には騎馬隊を率いてもらう。今、用心棒さんに村兵の中で、馬術に長けた人を選んでもらってる」

エレン「馬術か…まぁ苦手じゃねぇけどよ」

アルミン「2人の部隊は合わせて10名ちょっとだけど、騎馬隊だからこの数でも相当な突破力がある」

ミカサ「そう、歩兵から見た馬の圧力は、相当なものと聞く」

アルミン「2人は歩兵の援護をしつつ、隙を見つけて…」

アルミン「賊頭領の首を討ってくれ」

エレン「っ!なるほどな…」

ミカサ「アルミン!よく、私たちを選んでくれた」

アルミン「うん、2人のコンビネーションに賭けたんだ」

ジャン「ちっ!悔しいが、現状これほどの組み合わせはねぇからな…ムカつくけどよ」

マルコ「まぁまぁ。うん、さすがアルミンだよ」

アルミン「それで僕は本陣で、戦場全体を見て指示を出そうと思うんだけどいいかな?みんなに戦わせることになるけど…」

ライナー「問題ないね」

ベルトルト「うん、元々僕は、アルミンの考えに賛成するつもりだったよ」

コニー「俺も俺も!」

ユミル「どうせこれ以上の案は出ないだろ」

マルコ「よし、編成をまとめてみたからもう一回確認のために見てくれるかい?」

総大将…クリスタ

軍師…アルミン

左翼総指揮…ジャン
左翼前線指揮…ライナー

右翼総指揮…マルコ
右翼前線指揮…ユミル

本陣護衛…ベルトルト、アニ

撹乱偵察…コニー、サシャ

騎馬隊指揮…エレン、ミカサ

ジャン「よし、編成も決まったし、腹をくくるぞ!…これは訓練じゃない、実戦だ!」

サシャ「実戦…ですよねっ!」

クリスタ「…もう、弱音は吐かないよ!」

アニ「大丈夫、あんたのところに敵は行かせないよ」

エレン「ミカサ、よろしく頼むな!」

ミカサ「エレン…あなただけは私が死なせない」

エレン「おい、何言ってんだ!」ゴチンッ

ミカサ「いたっ」

エレン「みんなで生きて帰るんだよ!」

~村の広場~


アルミン「用心棒さんには、数名を引きいて、臨機応変に動く遊軍のような動きをお願いしたいのですが」

用心棒「承知した!アルミン殿たちの足を引っ張らぬよう、尽力いたす!」

サシャ「アルミン!村兵さんたち、全員集めましたよ!」

アルミン「ありがとう、サシャ。さぁ、クリスタ、よろしくね!」

クリスタ「あぁ…緊張してきたぁ…」

アルミン「まずは、歩兵総指揮の2人からだよ」

マルコ「右翼総指揮、マルコ・ボット!」

ウォォォッ!

マルコ「この村の、歴史と、未来と、誇りを守るために戦おう!賊に屈するな!怯えるな!…守るための戦、大義は我らにあり!」

ウォォォッ!

ドワァァァッ!

ユミル「やるねぇ、ウチの指揮官。くっくっく、いつもの情けない感じとは大違いだ」

コニー「すげぇ、マルコ!かっけぇ!」

ジャン「左翼総指揮、ジャン・キルシュタインだ!」

ウォォォッ!

ジャン「隣の友を信じろ…目の前の指揮官を信じろ、この俺を信じろっ!そして俺らの女神を信じろっ!!勝利は俺らの物だっ!……共に戦えることを誇りに思うっっ!!」

ウォォォッ!

ドワァァァッ!


ライナー「おいおい、ジャンの野郎…奮い立つ演説してくれるなぁ…」

サシャ「やりますね、ジャン!いつもの嫌な感じとは大違いですっ!」

アルミン「うん、ジャンが最高のお膳立てをしてくれたねっ」

クリスタ「ひぃぃっ!ジャァンッ!」

エレン「クリスタ、頑張れよ!」

ミカサ「あなたなら大丈夫」

クリスタ「う、うん!…よぉしっ!」



クリスタ「みなさん!」


村兵「」シーン


クリスタ「…私たちは、あなたたちに呼ばれて、遠い遠い所からやってきました。」


クリスタ「それはあなたたちを助けるためです。あなたたちを勝たせるためです」

クリスタ「あなたたちには…私が信頼する仲間がついています」

クリスタ「負けるわけがありません…私たちの未来には、勝利しかありません!輝かしい未来のため、立ち上がりなさい、我が子らよっ!」



ドワァァァッッ!

メガミサマッ!バンザイッ!

ウォォォォッ!

メガミサマッ!バンザイッ!

アニ「すごっ…」

サシャ「ひゃぁ~!やっぱりクリスタは本物の女神様じゃないでしょうかっ」

ユミル「へっ、すげぇよ、クリスタ。すげぇ、ホントにすげぇ…お前は生まれながの女王様だよ」

ベルトルト「まったくだね、これ以上ない演説だ」

アルミン「よし…士気は申し分ない…みんなのおかげで、いい状態で戦に入れる」

カーンカーンカーン!


伝令「敵、動き出しました!」

アルミン「よし、まず始めに軽く撹乱だ。今までと違うって所を見せて動揺を誘う!」

コニー「よっしゃあ!いくぜ」

サシャ「あぁ~土壇場になって緊張してきました」

アルミン「2人は部下を率いて、決めてあった場所に隠れる準備を!」

コニー「わかった!あの大木のとこだよな?」

サシャ「き、木登りは得意です!」

アルミン「そこでギリギリまで敵に弓矢を浴びせる。退却のタイミングはどっちかに任せる」

コニー「サシャ、退却の指示、頼むぜ!」

サシャ「嫌ですよ!コニーお願いしますよ!」

ケンケン ガクガク

ジャン「…はぁ、俺が出すよ、いいだろ、アルミン?」

アルミン「いいけど、大丈夫?」

ジャン「あぁ、塀の上からギリギリ目視できる距離だ。タイミングも間違わねぇと思う…こいつらの命は知ったこっちゃねぇが、部下の奴らが可哀想だろ」

コニー「おぉ!助かるぜ、ジャン!」

サシャ「私たちの命も知って下さいよぉっ」

マルコ「ははは、ジャンなら大丈夫さ、さぁ、2人とも頑張ってね!」

~潜伏中~

コニー(獣を待ち伏せする時と全く同じだな…なんか妙に落ち着いてる)

コニー(これから人殺すのにな。俺バカだから麻痺しちまってるのか?)

コニー(ま、人のもの奪おうとする奴らなんか獣以下だもんな)

コニー(それよりサシャは大丈夫か?こっからだと見えないが…)


サシャ(あぁ~、緊張MAXやぁ!人射るんかぁ…)

サシャ(痛いやろなぁ…嫌やな…)

サシャ(でも、私がやらな、あの素敵な村が襲われてまう!笑顔を守るんや)

サシャ(……お父さん、元気やろか)

山賊たち「」ザッザッザッ

コニサシャ(来たっ!)


コニー(よし、俺が合図だよな。へへへ、故郷の連中、ビックリするだろうな。小規模とは言え、軍を指揮する俺に)

コニー(さ、少し軍が通りすぎた…3、2、1…)

コニー「射てっ!」

ヒュンヒュンヒュン

山賊「ぐぇっ!」ドッ

山賊「ふ、伏勢だっ!」ドッ

山賊「いってぇ」ドッ

山賊「の、農民どもが、小癪な真似を!た、盾を出せ!」ドッ

コニー「ジャンの鉦が鳴るまで射ち続けろ!」

サシャ「くっ!すまんなぁっ」

ヒュンヒュンヒュン

山賊「そこの木の上だ!」

山賊「待て、一旦下がれ!うぐっ!」ドッ

山賊「下がるな!か、囲め!逃がすなよ!」


カンカンカンカン!


コニー「退却の鉦だ!」

サシャ「みなさん、生きて戻りましょうっ!」

山賊「思ったより少数だ!追え!」

山賊「うおぉぉ!」

コニー「サシャ、先行け!」ヒュン

サシャ「え!コニーはどうするんですか!?」

コニー「は?逃げるに決まってんだろ!?後ろ引き受けるだけだ!」

サシャ「そ、それなら私も、」

コニー「いいから行けっ!」ヒュン

サシャ「くっ!わかりました!死なないで下さいよ!」ダダダッ

山賊「待てぇ!」

山賊「この野郎、よくも、ぐぇっ」ドッ

山賊「逃がさんぞ!」


コニー「山賊のくせに思ったより指揮がしっかりしてやがんな。こりゃあ、逃げられるかどうか、ギリギリだな…」ヒュン

山賊「ぐぇっ」ドッ



ドドドドドドッ


コニー「新手か!?ちっ、まじぃな…」


エレン「コニー、助けに来たぞ!」

ミカサ「退却援護に来た」

コニー「エレン、ミカサ!助かったぜ!」

エレン「仲間だ!助けに来るのが当たり前だろ!」


ミカサ「あとは任せて」

コニー「頼んだぜ!追いかけて来てるのは、あの一群だけだと思う。弓持った奴はいなかったが、一応気をつけてくれ」


エレン「わかった!」

ミカサ「私たちも一撃加えたらすぐ戻る」

山賊「き、騎馬隊だと!」

エレン「ミカサ、突っ込むぞ!」

ミカサ「わかった!」


山賊「ひっ引けぇ!ぐえっ」ザンッ

山賊「な、何だこの先頭の2人!うぁ!」ザンッ

ミカサ「後悔しながら、死んで」ズバッ

山賊「ぐっ、つ、強すぎ、る…」

山賊「い、いったん引けぇ!深追い無用!引けっ!」


エレン「はっ!山賊ってのも大したことないな!」

ミカサ「所詮、弱い者を襲うだけの集団…任務は果たした、私たちも戻りましょう」

ライナー「おぉ、コニー、お疲れさん」

ジャン「退却の鉦、絶妙のタイミングだっただろ?」

コニー「おい、ジャン!ヒヤっとしたぞ!」

ジャン「へっ、お前らの退却は騎馬隊の援護込みで考えてたからな」

コニー「おい~、それなら言っておいてくれよなぁ。でもおかげで、先鋒にはそれなりにダメージ与えられたぞ」

サシャ「コニー!」ボロボロッ

コニー「うわっ!何で泣いてんだよ!?」

サシャ「だって、あの時のコニー、死にに行く人のセリフでしたもん!」

コニー「縁起でもねぇこと言うなよ!逃げるって言っただろ?戦が始まってすぐ死ねるか」

アルミン「コニー、ご苦労様!どうだい?実際に戦ってみて?」

コニー「おぉ、アルミン!いや、直接ぶつかりあったわけじゃないから何とも言えないが……」

アルミン「コニーが感じたままで良いよ」

コニー「…思った以上に統率が取れてる。ただの山賊と思わない方がいいと思う」


マルコ「そうか、やっぱね。実はジャンの鉦のタイミング、ジャンはああ言ったけど、あれでもかなり早目に打ったんだよ。だけど、実際はギリギリだった」

コニー「そうなのか…ありがとよ、ジャン」

ジャン「ふん、とりあえず俺らが思ってるより、敵は手強いってこったな」

ベルトルト「先鋒が立て直して、接近してきたよ!」

アニ「攪乱のおかげか、だいぶおよび腰だけどね…そろそろ配置に」

マルコ「よし、ユミル頼んだよ!」

ユミル「あんまり期待すんなよ」

ジャン「いっちょやってやろうぜ、ライナー」

ライナー「あぁ、俺たちの強さを見せつけてやろう」

クリスタ「はじまっちゃったね…」

アルミン「あぁ、僕らはここで見てることしか出来ない。みんなの健闘を祈ろう」

マルコ「塀の上の部隊は、弓、投石の準備!準備が出来た者は、合図があるまでそのまま待機」

ジャン「扉はいつ破られてもおかしくない状態だ!心しておけ」



ザッザッザッ

ユミル「来たな…構え!まだよまだよ~……」

ザッザッザッ

ユミル「…射て!」

ヒュンヒュンヒュン

ライナー「塀を乗り越えてくる敵は長槍隊に任せて、弓投石は、塀と扉を破壊しようとしてくる者を狙え!防備が長く持てば、その分だけ自分たちが楽になるぞ!」

ヒュンヒュンヒュン

賊長A「くっ、なんだぁ?思った以上に抵抗が激しいな…おいっ!早く塀を破る丸太持ってこい!」

ジャン「丸太来たな…丸太で突っ込んでくる奴を狙え!」

マルコ「弓隊、投石隊、丸太を持っている奴に集中!」

ユミル「はん、よくもまぁ、こんな状況で塀を登ってくるねぇ…賊とはいえ、大したもんだよ…槍隊!こいつら通すんじゃねぇぞ!」

村槍兵「おう!やってやるっ!」


ライナー「ふん!」ズバッ

山賊「ぐえっ!」

山賊「くそっ、こ、このガキっ…」

ライナー「…ほぅ、ガキの俺たちの腕でも、なかなかやれるもんだな」

クリスタ「…始まっちゃったね」

アルミン「うん」

クリスタ「今はどんな感じ?」

アルミン「そうだね…思ったよりみんな落ち着いて戦ってるように思えるよ」

クリスタ「そう…それなら良かった」

アルミン「特にジャンとマルコが落ち着いているのが大きいね。やっぱり2人は指揮官の器だ」

クリスタ「みんなすごいな。私は…私はただここで、殺し合いの恐怖に耐えているだけ…」

アルミン「クリスタ…いや、クリスタだって戦ってるよ!大したものさ!あの演説が、村兵を本来の力以上に動かしてるんだ」

クリスタ「そ、そんな!私はただ自分にできることだけを…」

アルミン「うん、そうだね。みんなできることはやっている。僕らは…みんなの無事を祈ろう」

マルコ「固まって登ってくる敵には、煮え湯を!……っ!」

山賊「よっしゃ!登りきったぞ!」

山賊「続け続け!」

マルコ「まずい、塀の上に敵の拠り所を作られる…」

村兵「うわぁぁぁ!」

山賊「へっへっへ、斬り合いになったら村人に負けねぇよ」

山賊「覚悟しろよ~!」

ギューーーン!

ユミル「は、残念でした」ズバッ

山賊A「な!こいつ、空を…ぐえ!」

山賊B「ば、化物か…がはっ…」

ユミル「化物ねぇ…ま、あながち間違いじゃないな」


マルコ「よし!ユミル、助かったよ…これで塀の上に作られかけた拠点は潰した!右翼は、もうしばらくこのまま持つ」

ライナー「くっ…こっち側のが攻撃きつくないか…?こっちの塀が特に弱ってるのに気づいてるのか…」

ライナー「ちっ、しかも少しずつ塀を乗り越える山賊が増えてきたな…」ザンッ

山賊「ぐぇ!」

ライナー「…しかし、前線が弱音を吐くわけにはいかんな!続け、お前ら!」

村兵たち「おう!」


ジャン「もう一踏ん張りだな……ちっ、何人かポロポロ中に入ってきたな…ほっといても何とかなりそうだが、犠牲が増えるのも嫌だな…立体機動使うか…ん?」


用心棒「これ以上は入らせぬ!」ズバッ

山賊「ぐわ!」

山賊「う、こいつ、やる…」

ジャン「へぇ、あのおっさん、やるじゃんか。よし、助かった。あそこは任せられる」

ジャン「こっちも動くぞ!…準備していた油をライナーのところへ!」

村兵「はっ!」

ギューーーン!

ライナー「おぉ、ジャン」

ジャン「すまんな、ライナー厳しいところを」

ライナー「なんてことはない、気にするな」

ジャン「左翼側で、この緒戦の勢いを変えるぞ!」

ライナー「よし、俺たちがやるんだな?……ほぅ、油か」

ジャン「あぁ、塀を破るための丸太が、今左翼側に多く集まっている状態だ」

ライナー「それを一気に燃やすわけだな」

ジャン「そうだ。丸太にも限りがある。今集まっているのが燃えれば、奴ら一時撤退を考えるはずだ」

ライナー「よし、やろう!」

ジャン「あぁ、ここの戦況が動けば、アルミンが次の策を打つはずだ」

ライナー「やるぞ!油、そして火矢の用意だっ!」

クリスタ「け、煙!?まさか塀が!?」

アルミン「……いや、あれは敵陣に上がった火だ。よし!ジャンたちが丸太を燃やしたな」

クリスタ「良かった…こっち側の被害者ないのね…」

アルミン「…ここで緒戦を決めてやる!」


アルミン「アニ、ベルトルト!やぐらの上に!」

アニ「出番?」

ベルトルト「待ちくたびれたよ、アルミン」

アルミン「2人には、立体機動を使って前線指揮官を討ってもらう」

アニ「わかった」

ベルトルト「でもいいのかい?立体機動装置を敵に見せちゃって」

アルミン「いいさ、もう前線でも使ってるし、逆にここで効果的に使って、敵に恐怖感を植え付ける」

クリスタ「確かに…自分たちの知らない道具を使ってたら怖いものね…」

アルミン「あぁ、道具と思わず、僕らを魔法使いか化け物か何かと思ってくれたら、なお良いけど」

ベルトルト「そうか、そういうことなら依存はないよ。で、アルミン、どいつを討てばいいんだい?」

アルミン「ここでずっと見ていたけど…おそらくあの男とあの男。服装は周りとほとんど変わりないけど、明らかにあそこから指示が出ている」

アニ「そんなことわかるのか…あんた、なかなか怖いね」

アルミン「ははは…褒め言葉として受け取っておくよ」

アルミン「危険なところに2人をやってしまうけど…その、ごめん」

ベルトルト「問題ないさ」

アニ「すぐ終わるよ」

アルミン「…頼んだよっ!」

クリスタ「2人とも、気をつけて…」

ベルトルト「これはなかなかの大役だね」

アニ「ふん、アルミンも簡単に言ってくれるね」

エレン「アニ、ベルトルト!頼むぞっ!」

ミカサ「あなたたちがいない間の本陣の護衛は任せて」

ベルトルト「ありがとう。2人が護衛をしてくれるなら、安心していけるよ」

アニ「ダメだったら、あとよろしくね」

エレン「何言ってんだ!?お前らなら絶対大丈夫だ!」

ミカサ「そう、アルミンは良い人選をした」

ベルトルト「……すごい期待だ、これは失敗できないね」

アニ「……ふん、ベルトルト、そろそろいくよ」

ベルトルト「しかし、こんな風に、人を殺すことになるなんてね」

アニ「……今更、人助けして…」

ベルトルト「うん?」

アニ「…救われるとは思ってないけど」

ベルトルト「うん…」

アニ「…わ、悪くないかもね」

ベルトルト「ふふふ…アニらしいよ」

アニ「っ!…ふん、ガラにもなかったね、いくよ!」

カシュッ ギューーン

ベルトルト「アニ、君だけは絶対に死ぬなよ…」

ジャン「きたぞ、合図だ!アルミン、ここで緒戦を決める気だな……ライナーに伝令!緒戦の終わりが見えた、前線はあと一踏ん張りだ、と」

伝令「かしこまりました!」ダッ

ジャン「ここにいる者たち、聞けっ!我らが軍師が策を仕掛けた。これが成功すれば、緒戦は俺たちの勝利だ!あと少し、耐えよっ!」

村兵「軍師様が!?」

村兵 「俺たちはまだまだ行けます!」

村兵「よし!いくぞ!」ウオォォォ

賊指揮官「えぇい!落ち着け!まずは燃えているものを片付けよっ!…っくそ!軟弱者どもが!」

ギューーン

アニ「…いくよ」

山賊「し、指揮官殿!な、何か来ます!」

山賊「ひっ、ひいぃ!そ、空を!」

賊指揮官「な、何だあれは!?…くっ、まやかしだ!まやかしに決まってる!」

アニ「は、まやかしかどうか、試してみるかい?」ザンッ

賊指揮官「ぐ!…ぐぇ」

山賊「ば、化け物だぁ!」

山賊「し、指揮官殿…う、討ち死に!指揮官殿、討ち死に!う、うわぁぁ!に、逃げろ!」

バタバタ

アニ「ふん、逃げ足だけは早いね…ん?あっちも?…ベルトルトもうまくやれたみたいだね……良かった」

クリスタ「みんな…本当に、本当にご苦労様!」

ユミル「おー!クリスタの労いで私の疲れは吹き飛ぶなぁ」

マルコ「ありがとう、クリスタ」

サシャ「うむむ、なんか私あんまり活躍してない気が…」

ミカサ「そんなことはない。敵の先鋒を撹乱できたのは大きい。あれで敵の勢いは削がれた」

コニー「そうだぞ!それに仮に俺らがダメでも、みんなが勝てばいいんだよ!」

サシャ「そ、そうですよね!」

アルミン「みんな、本当にありがとう!みんなの働きのおかけだ!」

村長「本当に、本当にありがとうございます……」

ライナー「おいおい、爺さん。まだ緒戦に勝っただけだ、泣くのは取っておいてくれよ」

ジャン「とりあえず、緒戦に勝てて良かった…だが」

エレン「何だよ、ジャン。煮え切らねぇな」

ジャン「ふん、これからも負けられない戦いが続くからな」

エレン「そうかもしれねぇけど、喜ぶのはいいだろうが」

ジャン「それはもちろんそうだが、気を抜くなって言ってんだよ」

クリスタ「ちょ、ちょっと、せっかく勝ったんだし、喧嘩はやめなよ」

ベルトルト「そうだよ、今は戦の最中だよ?」

エレン「そ、そうだよな。す、すまん」

ジャン「あ~、俺も悪かった…ちょっと気になることがあって、気が立ってた」

アルミン「気になること?」

ジャン「あぁ」

マルコ「もしかして…思ったより手応えがなかったってこと?」

ジャン「…お前も感じてたか」

ユミル「はあぁ?何言ってるんだ?こっちゃ必死だったっつうの!」

マルコ「あぁ、もちろん前線は間違いなく死闘だった」

ジャン「だがな、俺らの位置から見てると、相手の余力を感じたんだよ。攻め手の数が思ったより少なかった」

用心棒「確かに…前回を見ている拙者もなんとなく違和感は感じた…」

アルミン「様子を見られていた…ということか」

クリスタ「し、慎重になってたのかな?」

ジャン「いや、村長さんや用心棒の話を聞いてる限り、前回で村はギリギリだったはずだ」

マルコ「そう、今回はたまたま僕らが来たから防げたけど、普通なら今回で決めたに違いない」

アルミン「となると、何のための瀬踏みだったのか…」

アニ「嫌な感じだね…」

コニー「あ~」

ライナー「ん?どうした、コニー?」

コニー「……俺、敵陣に偵察行ってこようか?」

エレン「偵察?」

コニー「あぁ、身軽な俺なら入り込めると思うし…ここで相手のこと悩んでてもしょうがないだろ?」

サシャ「そ、それなら私も!」

コニー「あぁ、いいよ。見に行くだけだし、俺と俺の隊員数人だけで充分だろ」

アルミン「偵察か…確かに相手の準備や考えを掴めたら大きいけど…」

コニー「じゃあ決まりだな!そうと決まれば早速行ってくるぜ!」

ライナー「おい、コニー、深入りはするなよ」

クリスタ「む、無理はしないでね?」

コニー「あぁ、俺は大丈夫だ。村兵には悪りぃが、いざとなったら俺は立体機動あるしな」

コニー「って、意気込んで出てきたけど、俺が行って相手の考えとかわかるかなぁ…」

偵察兵A「大丈夫です、そこは俺らが見ます」

偵察兵B「そもそも、コニー殿がついて来てくれるだけでもありがたいです!」

コニー「…一緒に戦ってるんだからな、当然だろ!」



偵察兵A「相手の本陣付近です」

偵察兵B「思ったよりあっさり入れましたね」

コニー「ちっ、あんまいい気しねぇな…それにしてもお前ら身軽だなぁ」

偵察兵A「俺らは元々、狩人なので」

偵察兵B「ですから、山の中は庭みたいなもんです」

コニー「そうか、俺と一緒だな……しっ!誰か来たぞ…あれがボスか?」

賊頭領「…敵は思った以上に手強いな」

賊忍頭「えぇ、部下の報告では、今までとは違い、組織的な動きができているそうで…」

賊頭領「そうだろうな。じゃなきゃこんなことにはならん」

賊忍頭「とりあえず、今回は瀬踏みで抑えて良かったです」

賊頭領「あぁ、今回で村を落とす気でいったら、思わぬ損害を出すところだったな」

賊忍頭「ですので……火攻めは次の攻撃に回しました」

賊頭領「それでいい。次で決めてやる」

コニー「火攻め、か…」

偵察兵A「塀は簡単には燃えないようにしてありますが、塀近くの建物は燃える可能性があります」

偵察兵B「水の用意と…あと燃えやすいものは撤去した方が良さそうですね」

コニー「火は動物も人間も共通に怖がるからなぁ」

偵察兵A「でもこれで対策が練れます」

偵察兵B「えぇ、来た甲斐がありました。どうします?もう戻りますか?」

コニー「……いや、もう少しだけ聞いていこう」

賊忍頭「あとは例の報告が…」

賊頭領「…空を飛んでたって話か」

賊忍頭「見間違いかと思うかもしれませんが、何人も目撃しております。これは事実とお思い下さい」

賊頭領「空を飛ぶか…とんでもねぇな」

賊忍頭「似たような術は聞いたことがありますが、これほど高度な術は私も始めて聞きました」

賊頭領「……気にするな」

賊忍頭「は?気にするなとは?」

賊頭領「どうやって飛んでるのか考えても仕方ない…だから現状だけ見ろ」

賊忍頭「現状だけ、ですか?」

賊頭領「あぁ、報告では指揮官は、空を飛んできた奴に斬られたんだろ?ということは結局、倒すには近づいて刀を使わざるをえないわけだ」

賊忍頭「…なるほど、そういうことですか」

賊頭領「あぁ、敵には飛び道具がある。それは人ほどの大きさのものを飛ばす道具だ。しかし、それは近づかれなければ効果がない」

賊忍頭「そうですな…言ってしまえば、投石機と変わりなし」

賊頭領「そうよ。無用な心配は、無用な恐怖を生む」

賊忍頭「さようですな」

賊頭領「それに、奴らが無尽蔵に空を飛べるなら、もっと積極的に使ってくるだろう。そうしないということは、何か制限があるということよ」


コニー「マジかよ…ガスが切れたら使えねぇの何となくバレてんな…」

偵察兵A「ずっとまとまりがなかったこの周辺の山賊をまとめあげた男ですから」

偵察兵B「あの男、並の器量じゃないです」

コニー「あぁ…嫌だなぁ。何だってあんな奴を相手にしなきゃなんねぇんだよ…」

賊忍頭「…ん?申し訳ありません…」

賊頭領「どうした?」

賊忍頭「ネズミがおりまする」ギロッ

コニー「っ!見つかったか!お前ら逃げろ」

偵察兵A「コニー殿から!」

偵察兵B「俺らが食い止めますので!空を飛び、お逃げ下さい!」

コニー「だからだよ!俺はあとでも何とかなる!早く行け!」

賊忍頭「逃がさんよ」ブンッ

コニー「くっ(かすったか!)」

賊忍頭「ほう、よく避けたな…」

コニー「当たり前だろ、天才だぞ、俺は」

賊忍頭「天才か…本当にそうなら困ったな。私は早くお前を屠り、あの2人を追いかけなくてはならぬ」

コニー「お前はここで死んで、俺があいつらと一緒に仲間の所に帰るんだよ」

賊忍頭「まあいい。話しているのも勿体無い」ブンッ

コニー「ちっ!」キィンッ

賊忍頭「ふむ、これを止めるのか…」

コニー「当たり前だろ(速ぇ…まじいな…)」ブンッ

賊忍頭「まだ若いが、やるな…」キィンッ

コニー「だから、天才だって言った、だろっ!」ズバッ

賊忍頭「っつ!…ちっ!小僧、よくも…」

コニー「へっ、遅せぇよ!」ズバッ

賊忍頭「くっ…私に二度も刀を当てるとは…」

コニー「へっ、疾風の小坊主とは俺のことよっ!」

賊忍頭「…ふっ、しかし、所詮は子供よ…」

コニー「…あれ?」ガクンッ

賊忍頭「……やっと効いてきたか」

コニー(なんだ、力が…)フラッ

賊忍頭「ふ…私の刀には毒が塗ってあるのよ」

コニー(始めにかすった時か…しくったな)

賊忍頭「よく粘ったが、これで終わりだ」

コニー(力、入らねぇ…)

賊忍頭「もう足も動かんだろう?楽にしてやる」スッ

コニー(あぁ…もういいや……)

カシュッ

ギュイーーン

コニー「お前さえ倒せればな…」ザンッ

賊忍頭「っつ…!う、腕を…」

コニー「…あぁ、手元が…狂ったか。まぁ、いいか。片腕、もらってくぞ…」

賊忍頭「このクソガキがぁ!」ドスッ

コニー(へっ、やっぱ俺は、こんなもんか。でも…あの村の人たちを助けるためだもんな……故郷の奴ら、褒めて、くれる、かな…)

ユミル「…遅くねぇか?」

アルミン「…」

クリスタ「大丈夫、だよね?」

サシャ「そ、そうですよ!コニーはああ見えて機転が利きますし、大丈夫ですよ!」

ガタッ

ライナー「お、帰ってきたか!」

ジャン「コ、コニーか?遅かったじゃ、」

偵察兵A「申し訳ございません!」

偵察兵B「コニー殿は俺らを逃がすため、敵と残り…」

アルミン「なっ!」

ジャン「……」


マルコ「で、でも、ということは、まだ敵に勝って…帰ってくる可能性…あるんだよね?」

偵察兵A「い、いえ…俺ら、コニー殿が心配で、その…言いつけを破って、コニー殿の元に戻ったのですが…」

偵察兵B「その頃には…コニー殿は」

サシャ「そ、そんな…は、ははは。嘘ですよね?コニーのドッキリですよね?」

クリスタ「サシャ…うぅぅ…」

エレン「お、おい…マジかよ…」

ミカサ「……」ズキンッ

アルミン「ぼ、僕が了承しなければ…僕が!」

ライナー「やめろアルミン…」

ベルトルト「…そうだよ、誰も悪くない」

アニ「そう…これは、戦だから…」

村長「なんと…若い命を…しかも本来無関係なあなたたちの仲間を…」

用心棒「も、申し訳ござらん!」

ライナー「村長さんも用心棒も謝らんでくれ。謝られても…しょうがない」

ジャン「……おい、あんたたち」

偵察兵A「は、はい!申し訳ありません!」

偵察兵B「うぅ…俺たちは何も出来ませんでした!コニー殿の亡骸すら…どんな罰も受けます」

ジャン「コニーが生かした命に……俺たちが何か罰を与えると思うか?」

マルコ「ジャン…」

ジャン「……何か情報を掴んだんだろ?それを話してくれ」

サシャ「ジャン!今はそんなこと!……いえ、そう、ですよね。コニーの、コニーの命を無駄にはできませんよねっ」

ユミル「はん、芋女のくせに、生意気なこと言いやがって……」


ミカサ「そう、サシャの言うとおり。私たちがやっているのは戦。勝たなければ、コニーの死は無駄になってしまう」

アルミン「……」

クリスタ「…うぅぅ、くすん…」

エレン「…そうだぞ!おい、クリスタ!アルミン!お前らもしっかりしろよ!」

アニ「あんたたちがしっかりしないと…私たちは戦えないよ」

アルミン「……ごめん……嘆くのはあとだ…」

クリスタ「…そう、そうだよね。泣くのは、全部終わったあと…私たちが勝ったあとに」

サシャ「コニー…私たちは、勝ちますよ…」

ジャン「…そうか、前回の敵の攻撃は、やはり様子見だったのか…」

エレン「何だよジャン、何か引っかかってるのか?」

ジャン「いや、何か腑に落ちなくてな…」

マルコ「とにかく…次が正念場だね」

アルミン「敵は火攻めでくるつもりか……コニーのおかげで対策が練れるね」

ユミル「だけどよ、偵察にバレたし、火攻めだけじゃ落としきれないのは、向こうもわかりってるんじゃねぇか?」

ライナー「だろうな。だから、おそらく火攻めはきっかけ程度で、その後に腰の入った攻撃がくるに違いない」

エレン「なぁ、結局俺たちは、必死で戦うしかないんだろう?」

ミカサ「そう、最初と状況は変わらない」

アルミン「まぁ、そうなんだけどさ……サシャ」

サシャ「なんですか?アルミン」

アルミン「今回はもう撹乱は良いから、アニとベルトルトと一緒に本陣の護衛をお願いしても良いかい?」

サシャ「わかりました!アルミンとクリスタと村長さんを守ります」

ベルトルト「よろしく、サシャ。本陣が落とされたら一気に崩れるからね。必死にやろう」

アニ「…今回は本陣まで敵が来るってこと?」

アルミン「ありえるよ……敵が本気ならね」

アニ「そっか。わかったよ」

マルコ「僕とジャンのところは、愚直に敵の攻撃を防げばいいよね?」

アルミン「うん、本隊が崩れなければ何とか立て直せるからね」

ジャン「大丈夫だ、アルミン。村兵どもは、なんだかんだもう少し耐えられると思う」

ユミル「ただいつまでも耐えられるわけねぇんだから、勝つ策を早く見つけろよ」

アルミン「うん、必ず…必ず、見つけるよ」

エレン「俺とミカサは緒戦と同じで、とりあえず遊撃隊として、味方のやばそうなところをフォローしてればいいのか?」

アルミン「あぁ、頼むよ、エレン、ミカサ。君たちの出番は必ず来る」

ミカサ「大丈夫。私とエレンのペアは最高……なので、アルミンの期待以上のことをやってのけることができる」

用心棒「…拙者も遊撃隊として前線で働かせて下され」

アルミン「1人でも腕が立つ人が必要な状況です。お願いできますか?」

用心棒「もちろんでござる。コニー殿の分まで拙者が働きまする」

カンカンカン!

伝令「敵に動きあり!再度、攻めてくる模様です」

エレン「みんな、行くぞ!死ぬなよ」

ジャン「始まったな」

ヒュンヒュンヒュン

ライナー「情報通り、火攻めか……火矢に当たって、無用に怪我人を出すなよ!対策は十分に講じてある、火矢の始末は後方部隊に任せろ!」

村兵「ライナー殿の言う通り、火矢は気にするな!」

村兵「そうだ!前回と同じく、前線の俺たちは向かってくる敵を倒すことに集中しろ!」

村兵「くらぇ!この!この!……後衛、石をもっと持ってきてくれ~!」


ジャン「……よし、火矢の効果は薄いな。心の準備が出来てたせいか、火を見ても士気は落ちていない」

村兵「燃え移る前に消せ!」

村兵「水を運べ!火が大きいところには、一列になって順番に水を送るんだ!」

村兵「こっち、消火完了しました!」

ジャン「着火したところも水を用意したおかげですぐ消せている……コニー、お前の死…無駄じゃなかったぞ」

ジャン「よし!火矢はもうほとんど飛んでこない!敵の攻撃はこの程度だっ!前衛の補助に回れ!」

ジャン(まだまだ耐えられる…何があっても耐えてやる)

マルコ「ユミル!君の一団は、塀を登ってくる山賊に集中してくれ!」

ユミル「わかってるよっ!」

マルコ「弓隊、投石隊!仲間を信じるんだ!君たちのために、仲間が頑張ってるぞ!集中して丸太で扉を狙ってる敵を狙え!」

村兵「わかりました!」

村兵「任せて下せぇ」

マルコ(自分でも驚くくらい落ち着いている…戦を一度、経験しただけでこんなに変わるものなのか…)

マルコ(それともコニーの死が、僕の感情を麻痺させているのか…)

マルコ(心が澄みきってる…周りが、よく見える)

マルコ(この調子なら大丈夫だ。まだミカサもエレンも温存できている…僕らは勝てるんだ!)

マルコ「いいぞ!この調子だ!この守りを、山賊ごときが破ることは不可能だ!仲間を信じろ!……後詰、前進せよ!」

村兵「はっ!」

村兵「マルコ殿が勝てると言ったぞ!」

村兵「信じて進むんだっ!」

マルコ「さぁ、一緒に進もう!……ん?」

ザッ

マルコ「あぁ、どうしたました?何か戦況の変化が、」

ズッッ

マルコ「…え?な、何故…あなた、が?もしや…」

ドサッ

ユミル「はぁ、はぁ…くっそ!キリがねぇ…」ズバッ

村兵「ユミル殿!塀を乗り越える敵が、更にっ!」

村兵「ぐあぁっ!」

ユミル「ちっ!わかってるよ!…っくそ!マルコは何してやがる!全体に指示出せってんだ!」

ユミル「私の位置じゃ、右翼全体を見られねぇってのに……ん?」

ユミル「…なんだぁ?後方がやけに騒がしいじゃねぇか……まさか!マルコ…」

村兵「ユ、ユミル殿…後ろで何かあったのでしょうか?」

ユミル「……ちっ、知らねぇよ!くそっ、考えてもどうしようもねぇ……ジャンかアルミンが何とかするだろ!」

ユミル「私たちはここを死守だ!隣の奴と協力して、確実に敵を潰せ!」

村兵「敵の圧力が、急に増していますっ!」

ライナー「来たな!本腰入れてきやがった…落ち着け!今まで通り、力を振り絞れ!…ん?」

ライナー(右翼が慌ただしい!?何かあったのか!?)

用心棒「ライナー殿!」

ライナー「どうした!?」

用心棒「マ、マルコ殿…討ち死にっ!」

ライナー「な、なんだと!?何でだ!?敵にやられるような位置にいたのか!?」

用心棒「わからぬ!とにかく……事実でござる!」

ライナー「マジかよ…」

用心棒「現在、右翼は伝令を出せぬほど混乱しておる!拙者が来たのが、その証拠でござる!」

ライナー「マルコ…」

用心棒「嘆いている暇はござらん!拙者は右翼の綻びを少しでも補佐する!ライナー殿はここを死守してくれい!」

ライナー「…わかった!取り乱して、すまん!」

用心棒「なんの!ここは任せた」

ライナー「あぁ!よし……村兵ども、目の前の敵に集中だ!敵も必死だぞ!」


ドスッ


ライナー「…あぁ?」

用心棒「ふ、なんてね」

ライナー「ま、まさか…てめぇ…」

用心棒「強盗を安全に成功させるには、引き込み役ってのが必要なんだよなぁ」ヘラヘラ


用心棒「ま、強盗って言うには、少々規模の大きな獲物だが…だからこそ、俺みたいな奴が力を発揮するってわけよ」

ライナー「くっそ…なんだ、そりゃ」

用心棒「我ながら演技派だなぁ。村人含めて、お前ら全員、すっかり騙されてなぁ」

ライナー「…何で、俺たちに助けを求めた?」

用心棒「ま、強盗って言うにはこの村は、少々規模の大きな獲物だが、だからこそ俺みたいなのが役立つってわけよ」

ライナー「くっそ…なんだ、そりゃ」

用心棒「我ながら演技派よ。お前ら全員、すっかり騙されてなぁ」

ライナー「…何で、俺たちに助けを求めた?」

用心棒「何で?そりゃ、救世主救世主騒いでたあの状況で、反対したら怪しまれるだろうが」

用心棒「それと…お前らの仲間は可愛がってやるよ…まぁ女どもだけな。あんな珍しい人種で上玉なんざ、なかなかいないからな」

ライナー「きさまっ!」ガッ

用心棒「ふん、悪あがきはやめろ。その汚い手、俺の首から離せ」ズブズブ

ライナー「ごっ…がはっ…ゆる、さんぞ」グググ

用心棒「こんな状況で、大した力、だな…」グイィッ

ライナー「……ぐうぅ」ググググ

用心棒「っ!お、おい!離せっ」

用心棒「がはっ…は、離せ!ど、どこにそんな力が!お前…はらわたが、」

ライナー「…ふん!」ボキィッ

用心棒「っぐぇ」ドサッ


用心棒「」

ライナー「…それ相応の、報い、だな」

ライナー「かはっ…こりゃ…ごぼぉっ!…いくら、タフな俺でも、ちょっといかんな…」

ライナー「だが…まだ、倒れられん…」


1です、今日の更新は以上になります。

お付き合い、ありがとうございます。


~同時刻~

アルミン「な、なんだ!?急に乱れ始めたぞ!?」

クリスタ「ど、どうしたの!?」

アルミン「わからない!右翼が崩れ始めた」

クリスタ「まさかっ!…ユミルか、マルコの身に何かが!?」

アルミン「……クリスタはここにいてくれ!」ダッ

クリスタ「アルミン!」

ベルトルト「アルミン、やぐらから降りて、どうしたんだい!?」

アルミン「右翼が乱れてる!おそらく、マルコに何かが…」

アニ「いくの?」

アルミン「あぁ!もしマルコに何かあったなら、立て直さなくちゃ!サシャ!」

サシャ「はいっ!」

アルミン「僕についてきてくれ!」

サシャ「わかりました!」

賊忍頭「手を打つのが早い…なるほど、これは我らが手こずるわけだ。しかし…行かせぬよ」

ベルトルト「誰だ!?」

アニ「山を越えてきたの!?」

賊忍頭「お前ら、かかれ!」

賊忍たち「はっ!」

アルミン「くっ!急いでる時に!」

ベルトルト「まずはアルミンを守れ!」

サシャ「クリスタと村長さんがいるやぐらにも近づかせませんよ!」

アニ「は、結構な数だね」

ベルトルト「はぁぁっ!」ブォン!


賊忍「ぐぇっ!」

賊忍「がっ!」

アニ「やるね」ザンッ

ベルトルト「あぁ、ブレードから長槍に変えて良かったよ」

サシャ「そのリーチだと、敵はベルトルトに近づけませんねっ!」ズバッ

ベルトルト「あぁ、本陣にも近づかせないっ!」ブォンッ!

賊忍「ぐぅっ」

賊忍「このデカブツ…」

賊忍頭「ふん、お喋りとは余裕だな」シャッ

アニ「させないよっ」キィンッ

賊忍頭「また私の刃を止める者がいるのか……」

アニ「ふん、結構いると思うよ」

賊忍頭「まぁ…悔しくもないがな。我らには意地も誇りもない。あるのは、任務遂行の意思のみよ、第二陣!」

賊忍たち「はっ!」

アルミン「まずい!やぐらに取り付かれる!」

ベルトルト「アニ、やぐらに向かってくれ!」

アニ「それはあんたが!…こいつとあんたの相性は、」

ベルトルト「いいから!」

アニ「っ!わかったよ…」

ベルトルト「サシャはアルミンを!」

サシャ「わかってます!」ザンッ

アルミン「サシャ!僕は前線に行かなくてはいけない…ここを抜けるのは賭けだけど、僕を前線まで連れていってくれ!」

サシャ「はい!絶対に私が、アルミンを連れて行きますよっ!」


アニ「思ったより、中に入ってきてるね…」

賊忍「死ねぃ!」

アニ「…」ザンッ

賊忍「げぇっ!」

アニ「このやぐらには、近づかせないよ」

クリスタ「アニ!私も!」

アニ「何言ってんだい。あんたが来ても足手まといにしかならないよ」


アニ「それにあんたに何かあったら、どんでもないことになるからね。見てるだけは辛いかもだけど、あんたは、そこにいな」ズバッ

賊忍「くっ、この女、強い」

賊忍頭「お前が私の相手か…」

ベルトルト「……(こいつはやばすぎる…さすがのアニも)」

賊忍頭「おなごを生かすためか?だがそのおなごの命が奪われるのも、わずかな差よ」

ベルトルト「…」ブォンッ

賊忍頭「…遅い」シャッ

ベルトルト「ぐ…」

賊忍頭「先ほどのおなごのが、いい腕してるのではないか?」

ベルトルト「…」グンッ

賊忍頭「無駄よ!」ズッ

ベルトルト「っ……がはっ」

賊忍頭「弱いなぁ…あの坊主は、もう少し手応えあったぞ?」

ベルトルト「…坊主?」

賊忍頭「そうよ、まさか片腕を持っていかれるとは思わなかったがな」

ベルトルト「…そうか、お前がコニーを」

賊忍頭「恨むのは勝手だが、これも戦」

ベルトルト「いや、恨まないよ…人を恨むには、僕も汚れすぎてる」


ベルトルト「でも、仲間を殺された怒りは抑えられない!うぉぉぉっ!」グォッ

賊忍頭「ふん、少しは速いが、受け止められ、」

ガギィッン

賊忍頭「な…刀が、折れ、」

賊忍頭「ま、まさか…こんなガキどもに、私が…」バタッ

ベルトルト「片腕じゃなかったら、止められてた、かも、ね…」クラッ

ベルトルト「…血を、流し過ぎ、たのか?いや、毒…かな、まぁどっちでもいいか…僕にしてはよくやった、方かな…」ドサッ

アニ「ベルトルト!」

ベルトルト「ア、ニ…?」

アニ「ベルトルト!大丈夫かい!?」

ベルトルト「なんとか、ね…あの男は、倒した、よ」

アニ「そうか!良かった…さぁ、手当をするから」

ベルトルト「いや…もう、無理だ…」

アニ「何で!?まだ大丈夫だよ!」

ベルトルト「だめ、だよ…どうやら、毒、が…ごふっ!」

アニ「っ!」

ベルトルト「クリスタ、たち、は?」

アニ「……あぁ、あんたがあいつを倒したおかげで、無事だよ」

ベルトルト「そうか、良かった…でも、あいつを倒せ、たのは、コニーのおかげ、さ」

アニ「コニー?」

ベルトルト「あぁ、あいつの片腕、を奪ったのは、コニー、だった…」

アニ「そう、だったんだ…」

ベルトルト「ふ~……アニ、そろそろ、だ」

アニ「……そう」

ベルトルト「君は、死ぬ、な……僕、が本当に、守り、たかったの、は……ア…」

アニ「……ベルトルト」

ベルトルト「………」

ジャン「ちくしょう!何なんだぁ!?急に右翼が混乱し始めたぞ!…ん?こっちの前線も乱れてんのか!?」

伝令「伝令!マルコ殿…討死!」

ジャン「何ぃっ!?……マルコの野郎」

ジャン「……右翼の指揮も俺が取る!伝令!ユミルに、歩兵本隊の全権は俺が取る、下知に従うよう伝えてくれ!」

伝令「かしこまりました!」ダッ


エレン「ジャン!」

ジャン「エレン…」

エレン「マ、マルコが!」

ジャン「わかってる!言うな…」

エレン「っ!すまん……とにかく混乱がひどい。俺たち騎馬隊はどこに向かえばいい?」

ジャン「……右翼中央、敵がまとまっているところを叩いてくれ!次は左翼前線。そのあとは任せる」

エレン「わかった!」ドドドッ

アルミン「ジャン!」

ジャン「アルミン!本隊は俺が全指揮を執るぞ!いいな?」

アルミン「はぁ、はぁ…あぁ、頼むよ!それを伝えに来た」

サシャ「ふぅ…なんとかここまで来れましたね…」

アルミン「僕はここで、策を進言する。もう後ろで、ゆったり構えている段階は過ぎた!ここがギリギリのところだよ」

ジャン「…頼むぞ」

伝令「伝令!ライナー殿がっ…」

ジャン「何ぃ!……アルミン、サシャを借りるぞ?」

アルミン「……左翼、前線指揮だね?」

ジャン「サシャ!急いで、左翼前線に!」

サシャ「わ、わかりました!」

サシャ「ライナー!」

ライナー「おぉ……サシャか」

サシャ「…ひっ!……そ、そんな体で指揮を…?」

ライナー「誰か、代わりが来る、までは、と思ってな…そうか、サシャが来て、くれたか…」

サシャ「……わ、私が引き受けます…ライナーの代わりができるとは、思えませんが」

ライナー「サシャなら、大丈夫だ……よし、ちょっと、休ませて、もらう、ぞ」

サシャ「……えぇ、ゆっくり休んで下さい」

ライナー「大丈、夫だ…ちょっと、休め、ば……」


ライナー「……」

サシャ「っっ!……皆さん、ライナーは少し休憩に入りました!代わりは、私が引き受けます!ライナーのためにも、恥ずかしい戦いはできませんよ!」

賊頭領「…思ったより踏ん張るな。用心棒と賊忍頭は何してやがる…」

賊伝令「頭領!…用心棒殿、賊忍頭殿、討死!」

賊頭領「ほぉ……あいつらを討ったか。これで楽に勝つ術はなくなったな…」

賊頭領「ふん、あまり好きではないが、仕方あるまい。正面から行くか」

賊頭領「馬を持て!」

山賊「は、ただいま用意しやす!…とうとう頭領が出るので?」

賊頭領「あぁ、俺が前線で指揮を取る。この戦を終わらせるぞ」

ユミル「は…ようやく混乱が収まってきたか」

ドワアアアッ!

ユミル「な、なんだ!?」

賊頭領「俺が出てきたからには、絶対に負けぬ!そのためにお前らは、せいぜい俺の期待に応える働きを見せろ!」

山賊「頭領!」

山賊「頭領が本気になった!」

山賊「勝てるぞぉ!」

ユミル「くそ、士気が段違いに上がりやがった…厄介だな」ザンッ

山賊「がはっ…しかし…頭領が出てきたんだ、こんなところで」

ユミル「いいから、死んでろよ」ドスッ

ユミル「……雑魚も根性見せはじめたな…」


ドーンッ!

村兵「扉、持ちません!」

アルミン「扉が破られるか…まぁよく持った方なのかな」

ジャン「アルミン、こうなったら兵が分散しているのは無駄だ。塀の上の村兵も集めて固まろう」

アルミン「そう、だね…でも集まったらあとは正面切って戦うしかない」

ジャン「しょうがねぇだろ!それによくやった方だ、最初の想定通り、敵のボスを、前線に引き出した」

アルミン「うん、そうだよね…よし!最後の勝負に動こう」

ミカサ「アルミン、ジャン。騎馬隊は、一通りの動きはした。この後の指示を」

ジャン「分散してる兵を集める!そのための援護をしてくれ」

エレン「わかったぜ!」ドドドッ

クリスタ「最後の、賭けね」

アルミン「クリスタ!どうしてここに!」

アニ「どうしても前線に行くって聞かなくてさ」

クリスタ「扉、破られるでしょ?そうしたら、アルミンの予想していた通り、広場での決戦になる。違う?」

アルミン「そうだけど…だから!」

クリスタ「だから、ここに来たの……近くでみんなの背中を押しに」

アニ「と、いうこと…」

ジャン「へ、いい心構えだ。せいぜい俺たちの士気をあげてくれよ、女神様」

サシャ「集合の指示が出ましたね…とうとう扉が」

村兵「サシャ殿、先に下がってください!」

サシャ「下がる時は一緒ですよ!」

山賊「死ねぇっ!」

サシャ「っ!」



エレン「サシャ!」ズバッ

山賊「がはっ!」

サシャ「エレン!た、助かりましたぁっ」

エレン「サシャ、下がるぞ!右翼のユミルのところには、ミカサが援護に向かってる。最後の決戦のために、広場で布陣を組む」

サシャ「わかりました!…次で最後の戦いですか」

アルミン「最後だ。今にも扉は破られる。その前に広場へ布陣をしきたい」

ジャン「あぁ、敵を悠然と迎え撃つわけだ……密集隊形!左翼、右翼、村兵は、前線指揮官の下に集まれ!……指示出しながらですまんな、アルミン」

アルミン「当然だよ。決戦の前に編成を少しいじるよ、アニ!」

アニ「何だい?」

アルミン「アニは、エレンの騎馬隊を引き継いでほしい」

アニ「わかった」

クリスタ「エレンはどうするの?」

アルミン「エレンも騎馬隊からは外さない。ただ最初の予定通り……敵頭領の首を討つ、火矢になってもらう」


ドドドドッ

エレン「戻ったぞ!」

ミカサ「分散していた村兵は、ほぼ本隊に合流した」

アルミン「ありがとう!よし、これで布陣が完了だ」

ジャン「みんな、最後に編成をもう一度だけ確認してくれ」



総大将:クリスタ

軍師:アルミン

本隊総指揮:ジャン

右翼前線指揮官:ユミル

左翼前線指揮官:サシャ

騎馬隊:ミカサ、アニ、エレン


ドーンッ

山賊「扉、破ったぜぇ!」

賊頭領「やっとか…お前ら!気持ちが逸るのはわかるが、むやみに飛び込むなよ!」

山賊「頭領!敵が、村広場に布陣しています」

賊頭領「ふん、数的不利を抱えてるにも関わらず、正面からとはな…肝が座ってるのか、単にバカなのか…」

山賊「どうしますか?」

賊頭領「…蹴散らすのみよ!」



伝令「扉、破られました!」

アルミン「とうとう…よし!みんな、位置についてくれ」

ジャン「クリスタ!」

クリスタ「な、なに!?」

ジャン「村兵に、お前の声を聞かせてやってくれ」

クリスタ「…わかったわ!」

村兵「とうとう、山賊が村に…」

村兵「ここまで頑張ったけどよ…」


クリスタ「みなさん!」

村兵「め、女神様っ!」

村兵「女神様がこんなとこまで…」

シーン

クリスタ「みなさん、これが最後の戦です…」

クリスタ「しかし、終わりではありません……私たちが勝って、また新しい明日が始まるのです!」

クリスタ「苦しいと思います…苦しいはずです…苦しいに決まってます!…しかし、あと少しだけ…あと少しだけ力を!平和な明日のために力を振り絞りましょう!!」

ドワァァァァッ!

メガミサマ バンザイ!

ウオォォォォッ!


エレン「これが最後の決戦か…あっという間だったような、長かったような…」

ミカサ「あとは戦に勝って、元の世界に帰るだけ」

アニ「ふん、そのためにはあんたが頭領の首を取らないとね」

エレン「あぁ…2人とも、頼むぞ!」

賊頭領「…ガキのくせになかなか気の入った戦だったが…」

賊頭領「しかし、これで終わりよ!野郎ども、進め!」

山賊たち「おぉ!」ドドドッ


アルミン「来た…」

ジャン「アルミン、本隊はいつでも突っ込める体勢だ」

アルミン「うん、そのまま待機……ジャン、後方隊に例の指示を!」

ジャン「よし……弓隊、構え!」

山賊「うぉぉぉぉぉ!」

山賊「おらぁ!俺が一番乗りだ!」

山賊「へっ!あの女神みたいな女は俺がもらうぞ!」

ヒュンヒュンヒュン

山賊「何だぁ?」

山賊「火矢だ!こんな広場に燃えるものなんざないのに」

山賊「恐怖で頭おかしくなったんか?」

山賊「しかも、狙いがずれて、俺たちの手前に刺さってるぞ!」

山賊「へ!しょせんは農民だな!」


パンッ!パパパンッ!パパンッ!

山賊「ひ、ひいぃぃぃっ!」

山賊「な、なんだ!地面が爆発した!」

山賊「よ、妖術だ!」

山賊「う、うわぁぁぁ!どうにかしてくれぇ!」


アルミン「よし、爆発した!」

エレン「やったな、アルミン!見ろよ、あいつら混乱してるぞ!」

アルミン「いやぁ、運よくこの村に火薬の原料があったからね。この時代ならまだ火薬が一般的じゃないかと思ったけど、予想以上に混乱してる」

アニ「見事なもんだね」

ミカサ「さすがはアルミン」

アルミン「よし、敵が混乱してる内に…ジャン!」

ジャン「おう!よし、いくぞ!俺たちの出番だ!密集隊形のまま…突っ込めぇ!!!」

村兵たち「うおぉぉぉぉぉ!」

ドドドドッ

山賊「ひっ!きた!」

山賊「で、でもまた爆発があるかもしれねぇぞ…」

賊頭領「ちっ…妙な術、使いやがって…狼狽えるなっ!おめぇら、とりあえず前から来るやつらに備えろ!」

サシャ「合図があるまで、足を止めずに!止めたらやられますよ!」ザンッ

山賊「ぐえっ」

村兵「サシャ殿に続け!」

村兵「いくぞぉ!」

村兵「走れ!とにかく相手の陣形の中を突っ走れ!」

賊頭領「こっちの陣形を割ろうってのか……止めろ!横の隊を後ろに回して厚みを作り、陣を割らせるな!」

ジャン「………」

アルミン「合図の見極めは、任せたよ」

ジャン「………」

アルミン「………」

ジャン「……っ!鉦っ!」

ジャン「左翼右翼、それぞれ左右に散開!道を作れ!…騎馬隊のために!」

ユミル「くっ!はぁはぁ、だんだん前に進めなくなってきた…まだかよ鉦…」

カーン カーン!

ユミル「来たな!はん、馬面のくせに絶妙なタイミングだ…」

ユミル「よし!全員右向け!そして、走れ!」

村兵たち「おぉ!」

ユミル「右に走れば、とにかく真ん中に道が開く!……よし、大丈夫か」チラッ

少年村兵「うわぁぁ」ドタッ

山賊「この糞ガキが…」

山賊「まずはてめぇを血祭りだ…」

少年村兵「あ…うぅぅぅ…」


カシュッ

ギューーン!

…プスン

ユミル「……ちっ!」ザンッ

山賊「ぅぐぇ」

山賊「こ、こいつ…がはっ」

少年村兵「ユ、ユミル様!」

ユミル「…いいから、早く走れ!」

少年村兵「ユ、ユミル様は?」

ユミル「はん、私は空飛べるから、あんたより安全に逃げるよ」

少年村兵「そ、そうですよね!ありがとうございます!」タタタッ

ユミル「……ま、もうガス切れで飛べないけどな……」

ユミル「はぁ~、なんでこんなことを…」

山賊「うら!」ブンッ

ユミル「…」ズバッ

ユミル「それもこれも…あのお人よしのせいだ…」ザンッ!

山賊「こ、こいつ!強いぞ!か、囲め!」

ユミル「……糞みたいな人生だったなぁ」ズバッ!

ユミル「これからイカした人生送るつもりが…」

ドスッ!

ユミル「は…レディに対して…後ろから、刺すかね……」

山賊「よし!とったぞ!」

山賊「トドメ刺せ、トドメ!」ザンッ

ユミル(お前は、幸せ、になれ、よ…クリス、タ…)

クリスタ「ユ、ユミル!?」

アルミン「ど、どうしたの!?」

クリスタ「ユ、ユミルが…」ボロボロ

アルミン「土ぼこりがすごいからわからないけど…どうしたんだい?」

クリスタ「わからない…わからないけど、多分……」ボロボロ

アルミン「クリスタ……勝つしかない、勝つことでしか…死んだ人間は報われないんだ!……騎馬隊!突っ込め!」


エレン「行くぞ!」

ミカサ「アニ、私たちの足を引っ張らないように」

アニ「ふん、あんたこそね」

エレン「2人とも、頼むぞ!ボスまでの道、作ってくれよ!」

ミカアニ「承知!」

ドドドドッ

ジャン「……途中までだが、きれいな一本道だ……俺たちにやれることはやった」

ドドドッ

ミカサ「ジャン、ご苦労様」

アニ「あとは任せて」

ジャン「頼むぞ!」

エレン「ジャン!」

ジャン「エレン、てめぇ!死んでもボス討ってこいよ!」

エレン「あぁ!ありがとよ!」

ドドドッ


ジャン「だが……本当に…死ぬんじゃねぇぞ…」

山賊「き、騎馬隊が、歩兵の作った間隙に突っ込んできます!」

賊頭領「…大した用兵だな」

山賊「騎馬隊を率いているのは、先頭を駆けている女2人組」

賊頭領「ほぅ…女にしておくのは勿体ないほどの手練れだ」


ミカサ「はぁ!」ズバッ

アニ「ふっ」ザンッ

山賊「ぐぁ!」

山賊「こ、こいつら…強ぇ、げぅっ!」

エレン「いけるぞ!」

ミカサ「敵陣の切れ目が見えてきた」

アニ「抜けるよ!」ザンッ

山賊「がはっ」

アルミン「よし!抜けた!あとは本陣…立体機動だ!エレン!」

クリスタ「お願い……」


ミカサ「本陣が見えた!」

アニ「ボスまで届くよ!」

エレン「いくぞ!」

カシュッ

ギューーーン!

山賊「男が一人、飛んできます!」

賊頭領「来たか……合図!」

ザッ

賊頭領「弓隊、射て!」

エレン「ちぃっ!弓の伏兵だと…方向を!」

賊頭領「格好の的だ!撃て!」

ヒュンヒュンヒュン!

エレン「まずい!間に合わ…」


ギューーーン!

ドスッドドッド

エレン「なっ…」

ミカサ「がはっ…エレンの、邪魔は、させない」

アニ「…あと、少し…動いて、私のから、だ…」

エレン「お前ら!矢を…」

ミカサ「エレン…あなたには…あなたに、しかできない、ことを」

アニ「あんまり…もたないから、ね」

ザンッ ズバッ

山賊「ひぃぃ!」

山賊「この女ども!まだ…ぐはっ」

ミカサ「エレ、ン…」

アニ「…行って」

バタッ…

エレン「っっ!」

カシュッ

ギューーンッ

エレン「くらぇ!」

賊頭領「くっ!くそっ…」

ザンッ


~???~

???「エレン…」

エレン「…ん?」

????「あ、エレンが!」

エレン「な、なんだ…?」


ミカサ「おかえりなさい…エレン」


エレン「っ!ミ、ミカサ!?」

アニ「ふん、やっと起きたね」

エレン「アニ!?」

コニー「おぉぉ!エレンー!」

マルコ「良かった!」

エレン「コ、コニー!マルコも…」

ライナー「よ、お疲れ!」

ベルトルト「さすがエレンだね」

ユミル「あ~もういいだろ?いい加減、部屋に戻っていいか?」

エレン「み、みんな…どうして?…あれ?俺、夢見てたのか?」


アルミン「夢じゃないよ、エレン」

エレン「アルミン!」

アルミン「君が敵のボスを倒したおかげで、みんな戻ってこれたんだ」

エレン「倒した…確かに、倒したか…俺」

クリスタ「エレンだけ、なかなか起きなかったから心配したんだよ!」

ジャン「へっ、そのまま寝てれば良かったものを」

マルコ「ふふふ、そう言ってて心配してたくせに」

ジャン「あぁ!?マルコ!俺はな…」

エレン「な、なぁ…みんながそう言うなら夢じゃなかったんだろうけど…何で死んだ奴まで…」

コニー「それは俺が天才だからだ」

サシャ「違いますよ!何言ってるんですか!アルミンの話では…え~と、何でしたっけ?」

アルミン「ふふふ、これはあくまで僕の想像でしかないけど…要は意識だけがあの世界に行って、その意識が、あの世界での体を作り出した…思念体っていうのかな?」

ユミル「はん…こんな話、誰に話しても信じないだろうな」

クリスタ「ね、私たちですら、本気で信じられないよ」

ライナー「あぁ、俺も本当に死んだと思ったからな」

コニー「俺も俺も!」

サシャ「死んだことを得意がらないで下さいよっ」

アルミン「まぁ、とにかく向こうの体は実体ではなかった。だから目的を果たしたことで、実体が残ってるこちらの世界に意識も戻ってきたんだと思う」

エレン「実体がこっちに残ってたから、向こうで死んだ人間も戻ってこられたのか…」

エレン「その理屈は、イマイチよくわかんねぇけど…」

エレン「そっか…みんな、生きてたのか…良かった…本当に良かった」

ミカサ「エレン…」

サシャ「そういうことですっ!」

コニー「お前結局、何も説明してないのな」

サシャ「コニーだって何度聞いても理解しないじゃないですか!」

ベルトルト「とにかく、エレンが敵のボスを倒さなかったら、僕らは全員、一生寝たきりだったわけさ」

ライナー「104期生トップランカーたちが軒並み寝たきりとは、ゾッとするな」

エレン「いや、俺だけじゃない、みんなの力があったから…」

アルミン「そうだね、本当にそうだ」

クリスタ「私は見ていただけだったけど…苦しい戦いだったものね…」

ライナー「いや、あの女神ポジションはクリスタしかできなかったぞ(結婚しよ)」

ユミル「そうだそうだ!私のクリスタがナンバーワンだ!」

コニー「俺なんか早々に死んじまったから、あのあとどうなったかよくわかんねぇんだよ、誰か教えてくれよ!」

サシャ「そうだ!私の涙、返して下さいよ、コニー!」

コニー「はぁ?涙なんか返せないだろ?」

マルコ「僕にも最後の決戦の話、聞かせておくれよ。それにしても本当に良い経験になったなぁ」

アニ「そういえば、ベルトルト…最後、何言おうとしたの?」

ベルトルト「っ!…なんだったかなぁ?毒が回ってたから、よく覚えてないよ」

ライナー「ほぉ、そんなことが…それはゆっくり思い出してもらおうか」ニヤニヤ


ミカサ「とにかく、私はエレンが起きてくれて良かった」ガバッ

エレン「お、おい!いきなり抱きつくなよ!」

ジャン「てめぇ!この死に急ぎ野郎!うらやましいんだよ!」


ワイワイ ギャーギャー!


おわり

以上になります。


この作品以外には、まったく作風が違いますが…


エレンとアニの友達シリーズ

エレン「みんなに入れ替わりドッキリを仕掛ける」ミカサ「?」


などがあります。

もし良ければ、こっちもどうぞ。

読んでくれた方、コメントくれた方、本当にありがとうございました。

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