ジャン「俺はサシャと生きたいんだ」(1000)


ジャン「俺はサシャが好きなんだ」の続きになります




ジャン「(……年が明け、850年になった)」

ジャン「(4日間の年末休暇も終わり…)」

ジャン「(今年の春には訓練兵を卒業し、その後の行き先を決めなければならない)」

ジャン「(だが、その前に雪山での訓練がある)」

ジャン「(アルミンが言うには、雪山訓練では毎年かなりの負傷者や、ひどい時には死者が出ることもあるそうだ)」

ジャン「(3人一組の班で2泊3日のコースを回るらしく、その班は教官側で決められる)」

ジャン「(今日、その班の発表がある)」



サシャ「…ジャン! おはようございます」

サシャ「今日、班分け出るんですよね?」

ジャン「そうだな」


ジャン「(少し前の秋頃、俺とサシャは付き合い始めた)」

ジャン「(ずっと俺を想ってきてくれたその真摯さに心を打たれ、俺もまたサシャを好きになった)」

ジャン「(サシャは放っておけない…というか、妙に危なっかしい所があるように思う)」

ジャン「(…なので、是非とも雪山では同じ班になる事を祈っている)」


ナック「…貼り出されたぞ!」

ジャン「!」



ジャン「(俺は…1班、2班… ねえな)」

ジャン「(あった12班! 他には…)」

ジャン「(トーマス…と ミリウス)」ガーン!

ジャン「(一緒になれなかった…)」ズゥーン


ジャン「(…サシャは… 15班か)」

ジャン「(15班はあと… ライナーとハンナ)」

ジャン「分かれちまったな」

サシャ「…まあ、そう都合良くはいかないってことですよ」

サシャ「あ、でもクリスタとユミルは同じ班ですね。 ホラ、8班…」

ジャン「ハァ!? …マジでユミルの奴、教官の弱みでも握ってんじゃねえのか?」



ジャン「(トーマスとミリウス…)」

ジャン「(……微妙)」

ジャン「(ほとんど喋った事ねえ…)」

ジャン「(どう考えても、この中でリーダー的な役割になるのは… 俺だよな)」

サシャ「ジャン、私… ライナーとハンナと ちょっとお話ししてきますね!」

ジャン「ああ…」



ミカサ「…エレンと分かれてしまった…」ガックリ

ミカサ「でも、アルミンとは同じ班」

アルミン「大丈夫だよミカサ、 エレンはマルコと一緒の班だし、心配はいらないと思うよ?」



ライナー「俺は人妻2人と一緒か…」

サシャ「ライナー!」

ライナー「サシャ」

サシャ「ワタクシ、不束者ですが…どうかよろしくお願いします!」ペコリ

ライナー「イヤイヤ、こちらこそよろしく頼むぞ」

サシャ「頼りにしてますよ?」ニコッ


サシャ「…ハンナー!」タッタッタ



ジャン「…ライナー」

ライナー「何だ、どうしたジャン?」

ジャン「エット …頼んだぞ」

ライナー「ハハッ、任せとけ!」



ジャン「(…そしてその日の訓練終了後、装備や雪山での注意点、説明等の書いた用紙を貰った)」

ジャン「(説明によるとこの訓練では1~5、6~10班… と5班ずつ別々の山に振り分けられ、ひとつの山の5つのルートをそれぞれ回ることになるらしい)」

ジャン「(12班の俺と、15班のサシャは同じ山の違うルートを行くワケだ)」

ジャン「(山には小屋が点在し、コース上そこに寝泊りできるようになっているが、迷った場合や小屋に辿り着けない時等の為に、テントは班に1つ必ず持参する)」

ジャン「(途中リタイヤもできる。 …しかし、それは減点になるので絶対に避けたい)」


サシャ「班は違っても山は同じなんですね」

ジャン「一緒ったって、広い山ン中で会うこともねえだろ」

サシャ「そんなこともないかも知れませんよ」

サシャ「一応近くを通る事もあるんですよね。 …ホラ、この辺で」

ジャン「フーン… でもまあまず無理ってモンだろうさ」

サシャ「ですねえ…」



――― 夕食


サシャ「…ユミルは何か教官の弱みを握ってるんですか?」

ユミル「何だそりゃ、人聞きの悪い」

クリスタ「フフッ、運が良かっただけよ」

サシャ「もう一人は誰なんです?」

ユミル「ダズなんだが… アイツいつも顔色悪いし、あんまり頼りになりそうにないな」

クリスタ「ユミルったら、そんな事言っちゃダメでしょ!」

ユミル「…つーかサシャ、お前こっちじゃなくてライナーんトコ行けよ」

サシャ「へ? ナゼです?」

クリスタ「そうね。 雪山の班ごとにまとまってる所がほとんどね」

サシャ「…フム、それでは移動しますか」トコトコ



サシャ「…ライナー、ここ空いてますか?」

ライナー「サシャか。 珍しいな」

サシャ「班の人と一緒の方がいいんじゃないかと言われまして」

ライナー「それもそうだな。 まあ座れ」

サシャ「…アルミン、隣 失礼しますね」ガタ

アルミン「どうぞ。 今、ちょうど雪山での注意点について話し合ってたんだ」ニコ



ライナー「…やはり天候が変わりやすいのが困り物だな」

アルミン「ガスや吹雪なんかで、どちらに進むのか分からなくなってしまうからね」

サシャ「近くに大きな木があれば、そこで視界が良くなるまで待つこともできますが…」



ミカサ「過去には滑落事故も多かったと聞いたけど…」

サシャ「何もない所だと、あっという間に滑り落ちてしまいますもんね」

ミカサ「…やはり雪山はとても危険。 エレンが心配」

ライナー「エレンはマルコと同じ班なんだろう? マルコは慎重だし、まず問題はないと思うが…」

ミカサ「…ユミルが羨ましい」フゥ

ライナー「サシャ、ジャンは誰と一緒なんだ?」

サシャ「トーマスとミリウスだそうですよ」

ミカサ「顔が分からない…」

アルミン「僕もあまり話した事はないけど、2人とも悪い人ではないよ」

ライナー「しかしまぁ、リーダーはジャンて事になるだろうな」

サシャ「うちはライナーでお願いしますよ!」

ライナー「ハハ、頑張るさ」



ジャン「(…その日の夕食はトーマスとミリウスと食った)」

ジャン「(トーマスは口数が多く元気で、ミリウスは人当たりが良く穏やかな印象を受けた)」

ジャン「(2人とも、悪い奴ではないようだ)」

ジャン「(訓練ではうまくやっていけると思う)」



ジャン「(…そして休日がやってきた)」

ジャン「(サシャは午前中 当番があるので、昼を一緒に食う約束をした)」



ジャン「…暇だな」スタスタスタ

ジャン「ライナー達の部屋にでも行くか」



―― ライナー達の部屋


ジャン「…よう、入るぞ」ガチャ

ベルトルト「いらっしゃい、ジャン」

ライナー「何か用か?」

ジャン「いや、暇でな。…なんだ、マルコもこっちに来てたのか」

ジャン「…アルミン」ドキ

ジャン「アルミン、エレンは?」

アルミン「ミカサと一緒に雪山の装備を点検してるよ。僕はもう揃えたからって、今日は断ったんだ」

ジャン「ふーん。…ん?うわっ!」バサバサッ

ジャン「何だエロ本かよ。 崩れるまで積み重ねやがって」…パラパラ

ライナー「ハハッ、今度片付けるさ」

ジャン「誰かに見られても知らねえぞ」ペラペラ



マルコ「…今ね、どうやったら女の子とエッチできるか話してたんだ」

ジャン「何か、いつもくだらねえ事ばっか話してる気がするな」

ライナー「ジャンお前、もういい加減ヤッたんだろう?」

ベルトルト「それはヤッたろうね」

ジャン「…ヤ、ヤッて…ねえよ?」キョロキョロ

ライナー「目が泳いでるぞ」

マルコ「どんななんだい、ジャン!?」

ジャン「…イエ…ヤッて…ませんから」

ベルトルト「信じられないね!」


アルミン「…………堪らない?」

ジャン「そりゃ堪らんさ!! あの時だって…」ハッ!

ジャン「……」

アルミン「」ニャリ



ライナー「ハハハ、羨ましい限りだが、そのくらいにしといてやろうじゃないか」

ジャン「……」

ライナー「そういえば、サシャは山に詳しいのか?」

ジャン「…田舎育ちだし、趣味が山での狩りって言ってた位だから、それなりに詳しいんじゃねえの? 冬山は分からんが」

ベルトルト「狩りか… 随分活動的だね」

ライナー「そうか。 なら大丈夫そうだな」

マルコ「どうしたんだい?」

ライナー「実は正直、女2人 連れてでは、少々荷が重いと思っていたんだが…」

ライナー「ハンナはどうも、山歩きは苦手そうだしな」

ベルトルト「ああ… 確かに、2人して倒れられたら どうにも動けないね」

ジャン「まあ、多分問題ねえだろ。 …おっ、もうすぐ昼だな。 んじゃ俺行くわ」スクッ

ベルトルト「またね、ジャン」

アルミン「………」



ジャン「(……アルミン、あれからずっと無言だったな)」スタスタ

ジャン「(時々なにやら微笑んでたが…)」

ジャン「(…面白い話、してたっけ?)」

ジャン「(サシャは当番終わったかな?)」



――― 食堂


サシャ「ジャン! 待ってましたよ!!」

ジャン「おぅ、悪ィな遅くなって…」

サシャ「昼食を!!」

ジャン「そっちかよ」



サシャ「というのは冗談で、午前中どこか行ってたんですか?」

ジャン「…別に、ライナー達の部屋で喋ってただけだけど」

サシャ「ライナーは何か言ってませんでした?」

ジャン「イヤ、特に何も言ってないが… 何でだ?」

サシャ「ウーン…」

サシャ「…女2人抱えて困ってなければいいなぁ、と」

サシャ「うちとクリスタの班だけじゃないですか、男1女2人なの…」

サシャ「あちらはユミルがしっかりしてるし、クリスタも大丈夫でしょう」

サシャ「ライナーは上位を目指してますし、足手まといだと思われなければいいなぁ… とですね」

ジャン「…んなこと考えねえだろ、ライナーは」

サシャ「ならいいんですけど…」


ジャン「(…コイツも一応、そういうこと考えてるんだな)」


サシャ「……ですから…って、ジャン! ちゃんと聞いてます!?」

ジャン「エ、ああ… 何だっけ?」

サシャ「もう! ちゃんと聞いててくださいよ」プンプン

サシャ「風下の方の、雪の出っ張ってる所には近付ちゃダメですよって!」

ジャン「うんうん、分かった分かった」コクコク

サシャ「…大丈夫ですかねえ…」

サシャ「何だか心配になってきましたよ?」フゥ…

ジャン「俺はその言葉を、そっくりお前に返してやりたいが」



サシャ「さて、食べ終わりましたし、外に出ましょうか」

ジャン「ああ…」

ジャン「お前、この後何か予定あんの?」

サシャ「何もありませんよ」

ジャン「んじゃ、散歩でもするか?」

サシャ「…ハイ!」パアァ

ジャン「(…可愛い)」



サシャ「やっぱり冬ですから寒いですね」

ジャン「…ん。 上着いるか?」モゾ…

サシャ「イエイエ、いりませんよ。 ジャンが冷えちゃうじゃないですか」

サシャ「私 体温高いですし、寒さには割と強いんです」トコトコ

ジャン「そっか…。 で、ドコ行くんだ?」スタスタ

サシャ「向こうの裏の方です」

ジャン「(裏…)」ドキドキ

サシャ「ジャンに見せたいものがあって」

ジャン「見せたい?」

ジャン「…服の中とか?」

サシャ「もう! そうじゃありません!!」//

サシャ「それはさすがに寒すぎるでしょう!?」

ジャン「……だよな」



サシャ「……ホラ!!」

ジャン「花が咲いてるな。 …白くてちっちゃいのがいっぱい」

サシャ「…見事に無感動ですね」ガク

サシャ「今は冬ですよ、冬!!」

サシャ「なのにお花さんだって、こんなに頑張って咲いてるんじゃないですか!」

ジャン「うーむ…」

ジャン「…俺はお花さんより、お前の方に興味がある」ダキ

サシャ「///!」

ジャン「体温高いってのは本当だな。 あったかい…」

ジャン「でも顔は冷たいな。 …唇も」チュ

サシャ「…んっ…//」



サシャ「……ふぅ//」

ジャン「残念ながらここまでだな。 外は寒いし、外出するほどの時間はねえし」

ジャン「…一体フランツ達はいつもどうしてんだ?」

サシャ「寒いのなら、何かして遊びましょうか?」

ジャン「遊ぶ… って何して?」

サシャ「鬼ごっことか…」

ジャン「2人で走り回るのかよ。 なんか馬鹿みたいじゃねえ?」

サシャ「それなら他の皆も誘いましょう。 それで手つなぎ鬼しましょう!」

ジャン「手つなぎ鬼ねえ…」



アニ「……寒い」ブル

ミーナ「アニってば、寒いから走って体をあっためるんでしょ!」

エレン「俺達いつも3人で遊んでたから、手つなぎ鬼なんて初めてだな!」ウキウキ

ミカサ「エレン子供みたい…」フフ

アルミン「2人とも今日は自主錬してないし、丁度いいんじゃない?」

ライナー「遊びがてらの走り込みだな」

ベルトルト「僕はどちらかというと部屋でヌクヌクしてたいんだけど…」

マルコ「ジャンにしては珍しいね」

ジャン「言っとくけど、言い出したのは俺じゃねえぞ」


サシャ「では、鬼を決めましょう!!」



ミカサ「……負けた」ズーン

ミカサ「いいえ、これはこれで…」

サシャ「じゃあミカサ、よーいドン から10数えてスタートしてくださいね!」

サシャ「それでは …よーいドン!!」タタタ

ダダダダダダ

ミカサ「1…2…3…4…5…6…7…8…9…」

ミカサ「10!」ダッ

ミカサ「(まずはエレンを…)」ダッシュ

エレン「うわっ! 何でまっすぐ俺んトコ来んだよ!!」ダダッ

エレン「…つーかミカサ怖い!なんかコワイぞ!」ダダ


ミカサ「……捕獲」タッチ

エレン「お前速過ぎるだろ…ハァハァ」



ミカサ「…こうして手を繋いで次の人を追う」ホクホク

エレン「誰狙う?」

ミカサ「アルミンがいいと思う」

エレン「…アルミン…と。 あ、いた!」

エレン「行くぞミカサ!!」ダッ

ミカサ「ええ!」ダダッ

アルミン「うわあぁ! こっち来たあぁぁ!!」ダダダ


…タッチ

アルミン「ふわぁ疲れたぁ。 やっぱり僕、足遅いんだね」

ミカサ「アルミンはこっち。 私の左に」

エレン「次どうしようか?」

アルミン「マルコが近いよ」

エレン「よし! そんじゃ次はマルコだ。 行くぞ!!」ダッ

アルミン「はやっ!…速いって2人とも!!」タタッ



エレン「…マルコ、ターッチ!!」

マルコ「…ふぅ、回り込まれちゃったね」

ミカサ「(エレンが楽しそう…)」ニコニコ

アルミン「あ! サシャがあそこにいるよ!」

エレン「ヨシ行くか! …って4人にもなると走りづらいな!」ダダダ

サシャ「来ましたね! 私の俊足をナメてもらっては困りますよ!」タタッ

サシャ「あぅ!!」ベチャ


アルミン「…はいタッチ」

サシャ「うう…まさか転ぶとは…」パッパッ

アルミン「サシャ、大丈夫? すごく痛そう…」

サシャ「なんてことありません! では手を繋ぎましょう」ニコッ

*
ジャン「(…あっ! アイツ捕まりやがった!!)」

ジャン「(手! …手を!!)」ダダダダダ

ジャン「」ズザアアァァ

タッチ

サシャ「ジャン! 自分からタッチしに来てどうするんですか!?」

ジャン「…いいんだ」

ジャン「(左手は死守した…)」

ジャン「(…次にミーナ、ライナー、ベルトルトと、逃げ道を塞ぎながら捕獲し… 最後に残ったのはアニ)」

ザッザッザッ…
ザッザッザッ…

アニ「怖いから! その人数で迫って来ると怖いからぁ!!」フルフル

アニ「ひゃあぁ」タッチ

ベルトルト「…アニ、捕まえたよ。 さあ手を繋ごう!」

アニ「…もう追い掛けるヤツいないからいいじゃん」

ベルトルト「」



――― 夕食


ジャン「…何か妙に疲れたんだが」グダ

マルコ「あの後ドロケイもやったしね」

ジャン「…の割に、皆 元気だな」

ジャン「まあ普段の訓練より、ずっと楽だし…」

ジャン「…やっぱ慣れねえこた、しない方がいいってことか」

ジャン「(サシャもすげえ元気そうだ)」

ジャン「(また嬉しそうにメシ食ってんなぁ…)」

ジャン「(アイツが楽しんだんなら、まあいいか…)」



――― 数日後


ジャン「(明後日からは雪山訓練なので、俺は自分のベッドの上で最終的な装備のチェックをした)」

ジャン「(問題ない)」

ジャン「(…ふと、枕元に飾ってあるお守りに目が行った)」

ジャン「(それは白・黒・茶と… 3つのウサギの足で、付き合い始めた頃サシャが作ってくれたものだ)」

ジャン「(本当にお守りかは分からないが、触り心地が良いので、時々眠るときに触ったりしている)」

ジャン「(俺は何気なくお守りの金具を外しリュックに付け、そしてまた撫でてみた)」

ジャン「(本当は一緒に行きたいものだが…)」

ジャン「(ここはライナーに頼るしかない)」

ジャン「(…どうか無事でありますように)」



――― 雪山訓練初日・朝


サシャ「それじゃクリスタ、ユミル、気を付けて行ってきてください!」

クリスタ「サシャもね!」ニコ

ユミル「ジャンとは途中まで一緒なんだろ?」

サシャ「同じ山ですからね。 途中で分かれて自分達の登山口に入ります」


ピピィィーーー!


クリスタ「…あ、 そろそろ集合するみたいよ」

サシャ「おっと、それでは2人ともお達者で!」タッタッ



サシャ「…あれ? ソレ、持ってきたんですか? ウサギ…」パカパカ

ジャン「…ん。 これ触ってると気持ちいし、なんとなく」パカパカ

サシャ「フフフ」

ジャン「何だよ?」

サシャ「イエ、何か嬉しくて…」ニコニコ

ジャン「//」

ライナー「…どうしたジャン、顔が赤いぞ?」ニヤニヤ

ジャン「っせえ! 何でもねえ!」


ライナー「…もうすぐ分かれ道に入るな」パカパカ

サシャ「ジャン! 天候にはくれぐれも注意してくださいよ!」

ジャン「大丈夫だって。 お前こそ気を付けろよ! …じゃあな!」パカラッパカラッ



ライナー「…ジャンが気になるか?」

サシャ「そうですねぇ… 正直自分の事より心配ですが…」ハァ

サシャ「しかしそうも言っていられません。 …頑張りましょうねハンナ!!」

ハンナ「そうね、私もフランツがとても心配だけど… 私達は私達で頑張りましょう!」

ライナー「(…皆で心配し合うくらいなら、いっそのこと全員で登ればいいと思うんだがなぁ)」ウーム

ライナー「…おっ、あそこら辺が登山口か? 先輩方が待っている」

サシャ「では、ここで馬から降りまして…」

サシャ「出発しますか!!」



――― 雪山訓練初日・午後


ライナー「…フム、中々順調に進んでいるな」ザックザック

サシャ「今のところは…。 大丈夫ですかハンナ?」

ハンナ「…え…ええ…」ハァハァ

ライナー「大分疲れているな… よし、荷物を貸せ。 俺が持ってやる」

ハンナ「で、でも…」

ライナー「多分、その方が効率が良いだろう」

サシャ「それならライナーの持ってるテントを私が持ちましょう」

ライナー「しかしこれも結構重いぞ?」

サシャ「それくらい平気です。 それにライナーが無理して動けなくなったら、私達では運べませんからね」

ライナー「ハハ、違いない。 じゃ悪いが頼むぞ」



ライナー「…予定より早く山小屋に着けたな」

ハンナ「ライナーごめんなさい。 歩き方にもやっと慣れてきたし、明日は荷物ちゃんと持つから…」

ライナー「うむ。 しかし無理そうだったら、遠慮なく言うんだぞ?」

サシャ「ちゃんと小屋の中に薪を用意してくれてるんですね」

ライナー「一応テント泊用に燃料を持ってきてはいるが、ありがたいことだな」

ライナー「じゃ、少し早いが火を熾して飯でも食うか」

サシャ「ハイ!」



パチパチパチパチ…


ライナー「…毎度の事だが、携帯食糧というのはウマくもマズくもないな」ハァ

サシャ「フッフッフ…」ゴソゴソ

ライナー「な、何だ? サシャどうした?」

サシャ「ジャーン! 持って来ました塩漬け肉!!」バーン

ハンナ「そんな物まで荷物に入れてきてたの!?」

サシャ「これを薄く スライス スライス♪」

サシャ「食べる事とは生きる事。 ささ、召し上がれ!」

ライナー「それはとても嬉しいがしかし、サシャが人に食べ物を分け与えるとは…」

サシャ「何だかとても失礼な事を言われてる気がしますが… まあしっかり食べて、明日も頑張りましょう!」

ライナー「すまんな。 それじゃ有り難く頂戴するとしよう」

サシャ「食べた分だけ荷物も軽くなりますしね」ニコッ



ジャン「(…訓練初日は、概ね順調に終わった)」

ジャン「(ただ、慣れない雪道を歩いて疲れたのか、口数の多いトーマスもやや元気がなかった)」

ジャン「(いつもより早めの食事を取り、先に2人は休んだ)」

ジャン「(…こうして1人、火の番をしていると思い出す)」

ジャン「(サシャと2人で山小屋で過ごした時のことを)」

ジャン「(俺の無神経さから傷付けてしまったサシャと過ごした時のことを)」

ジャン「(あれは、まだ秋の事で…)」



――― 雪山訓練2日目・午後


サシャ「…ハンナの趣味は何ですか?」ザックザック

ハンナ「私は編み物とか、縫い物かなぁ。 ついこの間はフランツに帽子を編んであげたの」

サシャ「女の子らしいですねえ!」

ライナー「サシャの趣味は狩りだと聞いたぞ」

サシャ「それと、料理ですね」

ライナー「何だ、料理なら十分女らしいじゃないか」

サシャ「私のは獲物を捌く作業からですから、女らしいと言えるかどうか…」ウムム

ライナー「ハハッ、逞しい限りだな」



ハンナ「…また降り出してきたわね」

サシャ「そうですね…」

サシャ「……」

ライナー「どうしたサシャ?」

サシャ「…ライナー、少しペースを上げることはできますか?」

ライナー「そりゃできるが、何でだ? 雪が降ってきたからか? 雪なんか午前中も降ってたろう」

サシャ「もうすぐ日も暮れますし、できるだけ早く小屋に着いた方がいいと思うんです」

ライナー「ふむ。 サシャが言うならそうしようか」

サシャ「それで…あの…」オズオズ

ライナー「ああ、荷物か。 ハンナ荷物貸せ、俺が持つ」

サシャ「あっ、テント持ちます。 …負担掛けてすみません」

ライナー「何、こんなの構わんさ」



……ビュウウウゥゥ


ライナー「…吹雪いてきたな」

サシャ「ライナーあそこ! 山小屋です!!」

バタンッ…

ライナー「ふぅ…、何とか間に合った」

サシャ「これ以上視界が悪くなると大変ですからね。 ハンナ、大丈夫でしたか?」

ハンナ「ええ… 荷物持ってもらってたし、私は平気よ」

ライナー「じゃあ、さっそく火を熾すか」

サシャ「他の皆は大丈夫でしょうか…」

ハンナ「…心配ね」

サシャ不足だからありがてえ
原作もそろそろ今の話終わりそうだから、もうしばらく待てばサシャ出るかなー

乙 新作来てましたか
ただ此処の>>1は音もなく現れて音も無く去って行くから
リアルタイムで乙出来ない

>>41 早くサシャ出てきて欲しいね
そんでサシャは最後まで人類側であって欲しい
>>42 ごめん時々ageるようにはしてんだけど…



―― 少し前


ジャン「(…予定より遅れてる)」

ジャン「(今日は昨日より険しいコースだからな)」

ジャン「(昨日の疲れも残ってるだろうし、無理もないが…)」

ジャン「(また…降り出してきた)」

ミリウス「ウワッ!」ズルッ

ミリウス「ウワアァァ!」ズザザザアァァ

…ドサッ

ジャン・トーマス「ミリウス!!」

トーマス「ミリウスが滑り落ちた!」

ジャン「…ああ、木に引っ掛かって止まってくれて良かった」



ジャン「大丈夫かミリウス? 今ロープを投げる! トーマス、一緒に持ってくれ」

トーマス「分かった」

ジャン「(…横の急斜面に落ちたミリウスは特に怪我もないようで、ロープに摑まり上ってこようとしたが、そこは雪が深いらしく上り切るのに大分苦労した)」

……ビュウウウゥゥ

ジャン「…吹雪いてきたな」

トーマス「これは山小屋まで行き着くのは無理そうだね」

ミリウス「すまない …僕のせいで」

ジャン「イヤ、気にすんな。 どこかテントを立てられる場所を探そう」



ジャン「(…テントを設営し終えた俺達は燃料で湯を沸かし、食事を取った)」

ジャン「(予定よりかなり遅れている為、明日は厳しいものになるだろう)」

ジャン「(今日のような事故が起こらなければいいが…)」

ジャン「(俺達は明日の行程を話し合い、寝袋に包まった)」

ジャン「(……サシャ)」

ジャン「(たった一日会わないだけなのに、もう長いこと顔を見てないような気がする)」

ジャン「(…会いたい)」

ジャン「(そしてその肌に触れたい)」

ジャン「(サシャ…)」



――― 雪山訓練最終日・朝


サシャ「さて、最終日ですよ2人とも!」

ハンナ「ウフフ、サシャは朝から元気いっぱいね」

サシャ「お肉もなくなって荷物も軽くなったことですし、張り切って行きましょう!!」

ライナー「最後まで気は抜くなよ?」

サシャ「もちろんですよ!」

ライナー「ハハハ、お前がいると、こんな訓練 なんてことないような気がしてくるな」



ハンナ「…いい天気ねえ。 今日は楽に行けそうだわ」ザッザッ

サシャ「山の天気は変わりやすいですから、最後まで油断は禁物ですよハンナ」

ライナー「昨夜、他の班はどう過ごしたんだろうな」

サシャ「各班 成績上位者が1人はいるようですし、大丈夫とは思いますが…」

ライナー「まあ他の班の心配より、まずは自分達がしっかりしないとな」

サシャ「…ですね!」



ライナー「今日もいいペースで進んでいるな」ザクザク

ハンナ「そうね」

サシャ「……」

ライナー「何だサシャ、急に大人しくなって。 疲れたのか?」

サシャ「そうではないんですが… ライナー、予定より早いですが少し休憩しません?」

サシャ「テントを張って」

ライナー「たかが休憩にテントを?」

サシャ「……」

ライナー「そうした方がいいと思うのか?」

サシャ「うまく言えないんですが、なんとなく…。 それに前に進むより、休んだ方が効率が良い場合もあります」

ライナー「……分かった」

サシャ「ありがとうございます!」パアァ

サシャ「…あそこ! あそこら辺の木々の間にしましょう!!」



ハンナ「……みるみるうちに視界が真っ白になってきたわ」

ハンナ「雪が舞い上がって…」

サシャ「お湯が沸きましたよ。 これに持ってきたハチミツを少し垂らして…と」

サシャ「ハイどうぞ!」

ライナー「悪いな。 しかしそんな物まで持って来ていたとは、随分用意がいいな」

サシャ「疲れた時には甘い物。 まあ、さほど疲れてはいませんが」


…ゴオオオオォォォォ


ライナー「…すごい風だな。 テントまで飛ばされそうだ」

サシャ「こんな時に外にいると、体力を消耗しますからね。 天候が落ち着くまで待つのが一番です」

ライナー「……」

最近乱立がひどいから前スレに余裕があるなら続編は前スレに書いてほしい

>>52 ふむ、そういうものですか。
初心者で申し訳ない。今度から気を付けます。



ジャン「(…今日は天気が良いな)」

ジャン「(いつまで持つか分からんが、行けるうちに先に進んでおきたい)」

ミリウス「ジャン!」

ミリウス「昨日はジャンにテントを持ってもらってたから、今日は僕が持つよ」

ジャン「…ああ、交代だったっけか。 じゃ頼むわ」

トーマス「今日中には訓練所に戻れるのか」

ミリウス「天気も良いし、早く戻れるといいね」

ジャン「まぁ、また いつ荒れるか分かんねえからな。 急ぐとするか」



ミリウス「昨夜の吹雪で大分積もったね」ザッザッ

トーマス「うん… 歩き辛いな」

ジャン「俺、前歩いた方がいいか?」

トーマス「いや、ジャンが後ろにいてくれた方が安心する」

ジャン「そうか…」

ジャン「(…サシャは昨日、あの吹雪の中をどう過ごしたんだろう)」

ジャン「(まぁライナーは頼りになるし、今は自分達の事に専念しねえと)」

ジャン「(…風が出てきたな)」



ジャン「(視界が…悪い…)」

ジャン「(雪が舞って、周りが良く見えねえ)」

ジャン「オイ! ちょっと止まるぞ!!」


ビュオオォォオォーーー

ジャン「ヤベエ突風だ! 2人共しゃがめ! 頭下げろ!!!」

…ゴオオオオォォォォ



トーマス「…ふう、すごい風だったな」

ジャン「…イヤ、まだだ。 また来るぞ! 頭下げたままでいろ!!」

トーマス「エ?」

ビュオオォォオォーーー

トーマス「…ウッ! ワアァッ」ブワッ

ジャン「トーマス!!!」ガシッ!

ジャン「」…ブワッ


ジャン「!?」

ジャン「(ここの雪…地面がねえ)」

ジャン「(崩れ……)」

ジャン「ウ…ワアァァーー!」

トーマス・ミリウス「ジャーーーーン!!!」




ジャン「………」


ジャン「(…え…アレ …俺… 落ちて…?)」

ジャン「(…気ィ…失ってたのか…?)」

ジャン「(…ヤベエ!)」

ジャン「(どんだけ意識なかったんだ? 5分か、10分か?)」

ジャン「(ここ…ここはマズイ! …早く移動しねえと)」バッ

ジャン「(…痛ッ!)」

ジャン「(どこも…折れてはいないようだが…)」

ジャン「(雪とリュックがクッションになったとはいえ、あの高さから落ちたんだ)」

ジャン「(どれくらいだ? 9…10mくらいか? …だが傾斜がひどくて登れやしねえ)」

ジャン「(吹雪と風で、声も届かない…)」



ジャン「(とにかく、移動しねえと…)」

ジャン「(…クソッ、体が…思うように動かねえ)」ズル

ジャン「(あ…黒ウサギの足が落ちてる)」

ジャン「(俺が落っこった時に外れちまったのか)」

ジャン「(これも持ってかねえと…)」

ジャン「(失くしたっつったらサシャ怒るだろうからな…)」ズル

ジャン「(どこか…風が避けられる所…)」

ジャン「(テントはねえし、雪洞を掘れるような場所も力もねえ…)」

ジャン「(あそこ…あの崖下…少し窪んでいるように見える)」

ジャン「(あそこに…)」ズルズル




サシャ「…さて、ピークも過ぎたようですし、ぼちぼち行きましょうか?」

ハンナ「ハチミツ美味しかったぁー!」ニコニコ

サシャ「すみませんね、ライナー。 ワガママ聞いてもらって…」

ライナー「俺は構わんよ」


ライナー「…だがサシャ、本当にテントを張る必要があったか?」ボソッ

サシャ「ライナーにはないでしょう。 …多分、私にも」

ライナー「……なるほどな」

サシャ「…行きましょう!!」ニコッ



ライナー「サシャ、お前は誰に山の歩き方を習ったんだ?」ザッザッ

サシャ「へ? 父ですよ」

サシャ「夏山も冬山も、狩りの仕方もキノコの見分け方も、すべて父が教えてくれました」

サシャ「狩りの最後ほど、注意が必要だということも…」

サシャ「それが何か?」

ライナー「…イヤ、いい親父さんだな」

サシャ「フフ、それはどうも…」



サシャ「(…お父さん…本当は私、まだ人と向き合うのが少し怖いんです)」

サシャ「(でも、いつか貴方に… 立派になった、と褒めてもらいたい)」



ライナー「サシャ、お前は誰に山の歩き方を習ったんだ?」ザッザッ

サシャ「へ? 父ですよ」

サシャ「夏山も冬山も、狩りの仕方もキノコの見分け方も、すべて父が教えてくれました」

サシャ「狩りの最後ほど、注意が必要だということも…」

サシャ「それが何か?」

ライナー「…イヤ、いい親父さんだな」

サシャ「フフ、それはどうも…」



サシャ「(…お父さん…本当は私、まだ人と向き合うのが少し怖いんです)」

サシャ「(でも、いつか貴方に… 立派になった、と褒めてもらいたい)」



ハンナ「…後はもう下るだけなのよね?」サク サク

サシャ「ですねぇ」

ライナー「まだ先はあるが… 早く帰って熱い風呂に入りたいな」

サシャ「近道も、なくはないんですよ」

サシャ「夏道ですから、今は無理ですけどね」

ライナー「何だ、そんなのどこで知ったんだ? ここへ来た事があるのか?」

サシャ「来るのは初めてですが、訓練がこの山だと分かった時に、教官に頼んで他の班のコースと夏のルートも見せてもらいました」

ライナー「…そうか」

サシャ「まぁ、趣味みたいなモノですからね!」



ハンナ「…アレ? 向こうの方に誰かいる…」ザクザク

ライナー「あれは…トーマス…と、ミリウスか?」

ライナー「…ジャンがいないぞ!」

サシャ「!!」ザザザッ



サシャ「トーマス! ミリウス!!」

トーマス「サシャ!!」

サシャ「ジャンは? ジャンはドコですか!?」



ライナー「(…2人の説明によると…)」

ライナー「(先程の吹雪の際の突風で、吹き飛ばされそうになったトーマスをジャンが庇い、その反動で逆にジャンが風に煽られ…)」

ライナー「(飛ばされた先は雪庇で…雪が崩れ、そのまま落ちて行ったのだそうだ)」

ライナー「(風と吹雪で声は届かず、突風がおさまっても視界が悪く、ジャンの姿は見えなかったという)」

ライナー「(吹雪が少しおさまり、動けるようになって2人は下へ行ける道を探そうと ここまで下りてきたらしい)」

ライナー「(…みるみるうちにサシャの顔色が青ざめていくのが分かった)」



サシャ「下…下では駄目です。 落ちた場所まで案内して下さい」

ミリウス「わ、分かった!」

サシャ「ライナー、ハンナ、…いいですか?」

ライナー「勿論だ」

ハンナ「当たり前じゃない!」



ミリウス「あの後の雪で…僕達の足跡も消えてしまって…」ザッザッ

トーマス「あの時、俺が立ち上がったりしたから…」

ライナー「今はそんな事を言ってる場合じゃないだろう」

ライナー「落ちた場所というのはまだなのか?」

トーマス「多分…もうすぐ…」


ミリウス「…この辺りだとは思うんだけど」

ライナー「目印はないのか?」

サシャ「…確かに雪が落ちた形跡はあります」

サシャ「でも、ここだけじゃない」

ライナー「どこだ」

サシャ「気を付けて。 あまり乗り出さないで下さい」

ライナー「分かってる」…ゴリッ



ライナー「今、何か手に当たった。 …何だこれ?」

サシャ「それ…、それはジャンが持っていたお守りです!」

サシャ「私が作ったウサギの足!!」

サシャ「やっぱり、ジャンはここから……」


ライナー「よし、俺が下りる」

サシャ「いいえ、私が行きます」

ライナー「しかし…」

サシャ「ジャンに何かあった場合、ライナーとジャンの2人を私達だけで引き上げるのは難しい」

サシャ「お願いですライナー、私に行かせて下さい」

ライナー「…分かった」



サシャ「…ロープ2つを結び合わせて」

サシャ「ハンナ、お湯を沸かしておいて下さい」

サシャ「それに、私のリュックからさっきのハチミツ出して全部放り込んで!」

ハンナ「え…ええ!」

サシャ「ライナー、…上の事 お願いします」

ライナー「うむ」

サシャ「…行きます!」



シュルルルル… スタッ


サシャ「(下に降りてはみたけれど…)」

サシャ「ジャン!」バッサバッサ

サシャ「(…もう、ここにはいない)」

サシャ「(いなくて良かった…)」

サシャ「(どうか、どこかに避難していて下さい)」

サシャ「(でも、足跡はとっくに消えてしまって…)」

サシャ「(…何処へ?)」キョロキョロ

サシャ「(ジャン、お願いです。 …どうか無事で!!)」

…サアアァァァ

サシャ「(雲…が流れて、太陽が…日の光が…)」

サシャ「!?」

サシャ「(向こうの方の崖肌で何か光った!?)」

サシャ「ジャン!!!」ザザザッ



ジャン「(……どれくらい…経ったんだろう…)」

ジャン「(…よく…分かんねえな…)」

ジャン「(…風…止んだ…のか…?)」

ジャン「(……暖かい…)」

ジャン「(…やっぱり…お前の肌は…暖けえな…)」


ジャン「(…サシャ…)」

ジャン「…サ…シャ…」


「……!!」

「………!」


ジャン「(…誰かが…何か…叫んでる…)」



サシャ「…ジャン!!!」

ジャン「…サ…シャ…?」

サシャ「ジャン!!」ギュウッ

ジャン「…お前…来たんだ…」

サシャ「良かっ… 良かった!!」ボロボロボロ…

ジャン「…何? …また泣いてんの…?」

ジャン「…あぁ… 泣かせたの… 俺か」

ジャン「…ごめんな…いつも…」

サシャ「これ… お守りの金具が光って…」

ジャン「…それ…荷物下ろす時に…上に置いて…」

ジャン「…ハハ…効くのな…お守りって…」

ジャン「でも…悪ィ…1個 失くしちまったみたいだ…」

サシャ「もう1つは上に落ちてました。 今…今、連れて行きますから!!」



サシャ「……っ」ザクッ…ザクッ…



ライナー「…サシャ! 見つけたのか!?」

サシャ「ライナー! 2人同時に上げられますか!?」

ライナー「よし! 皆手伝え!!」

サシャ「ジャン、少し苦しいけど… ロープを結び付けるので我慢してください」


サシャ「…お願いします!!」



サシャ「毛布を! ハンナ、お湯は沸いてますか?」

ハンナ「ええ! ハチミツも入れてあるわ!」

サシャ「スプーンを… ジャン、ゆっくりと… 飲めますか?」

ジャン「………ん…」ズ…

ジャン「…暖かい…けど…甘過ぎる…」

サシャ「文句言わないでください! ゆっくりでいいですから、飲んで… 体を温めて!」

ミリウス「ジャン! 良かった…」

トーマス「すまない… 俺のせいで…」



ライナー「…ジャンは、俺が担いで行こう」

サシャ「ジャンのリュックは私が持ちます」

サシャ「トーマス、ミリウス、ライナーの荷物をお願いできますか?」

トーマス「分かった」


ライナー「…サシャ、お前さっき近道があると言ったな?」

サシャ「でも…あれは夏用で…」

サシャ「急な道ですし… ライナーの負担が一番大きいのに、危険です」

ライナー「そんな悠長な事を言ってる場合じゃないだろう。 …俺なら大丈夫だ」

サシャ「すみません… では、私が先頭を進みますので、皆足元に気を付けて!」



サシャ「…私の踏んだ所を歩いてください」ザク

ザッ… ザッ…

サシャ「…ここ…は、少し危ないです。 ハンナ、手を…」

ハンナ「ええ…」


ライナー「(…それは夏道だというだけあって、冬場にはかなり歩きづらいものだった)」

ライナー「(正直、何度か滑りそうになった)」


サシャ「あそこ… あそこで元の道に合流します!」

サシャ「もう少しですから、頑張って!」

ライナー「(サシャは常に皆を励まし、皆もまた懸命にそれに応えた)」



サシャ「…ここからはもう、歩きやすい道ですから」サクサク


サシャ「下山口が見えてきましたよ!」」

ハンナ「…本当だわ!」

ミリウス「先輩達の姿も見える!」


ジャン「…ライナー」

ライナー「ジャン、もうすぐだぞ。 大丈夫か?」

ジャン「…悪ィな、迷惑かけちまって…」

ライナー「気にするな。 仲間同士なら、助け合うのは当たり前だろう」

ジャン「ハハ…そっか…そういう奴だったよな…お前」

ジャン「ライナー、俺を降ろしてくれ」

ライナー「しかし…」

ジャン「最後くらい、自分の足で歩きたい…」



ライナー「(…下山し終えた俺達のうち、ジャンは馬車で…)」

ライナー「(俺とサシャとハンナは自分の馬で訓練所に戻る事になった)」

ライナー「(トーマスとミリウスは、ジャンの班の下山口から馬が連れてこられ次第、戻ってくるという事だ)」

ライナー「(俺達は馬車を囲む形になりながら、訓練所へと馬を走らせた)」


サシャ「…ライナー」パカラパカラ

ライナー「どうした?」

サシャ「あの…ありがとうございました」

サシャ「ライナーと同じ班になれて、本当に良かった…」

サシャ「もし… ライナーがいなかったらと思うと、ゾッとします」

ライナー「……逆だ。 助けられたのは、俺の方だ…」



――― 訓練所・医務室


…カチャ


サシャ「(…ジャン)」

サシャ「(眠っている…)」

サシャ「(打撲に低体温症… 軽度ではあるけれど凍傷も…)」

サシャ「(…良かった。 …間に合って、本当に良かった…)」

サシャ「(きっと覚えていないでしょう…)」

サシャ「(…私があなたを見つけた時)」

サシャ「(あなたは、自分の荷物から防寒具も出せていないほど力ない状態だったのに…)」

サシャ「(…最後にリュックに付けていた、白のお守りを…固く握っていたんです)」

サシャ「(……ジャン)」


サシャ「…もしも、私が」

サシャ「…………」



サシャ「(……この世界に、本当にいるのなら…神様)」

サシャ「(私…… 私の事は、もういいです)」

サシャ「(この人が、その人生の最後を迎える時…)」

サシャ「(…その心が絶望ではなく、満ち足りた安らぎに包まれたものでありますよう)」

サシャ「(その魂を…どうか貴方の御許にお導き下さいますように)」


サシャ「(…そしてそれが、遠い遠い未来の事でありますように…)」

サシャ「(……)」



ジャン「……ん…」

ジャン「…そうだ、ここ 医務室か…」…ムクッ

サシャ「…」スーー

ジャン「(サシャ…ずっと そばにいてくれたのか…?)」

ジャン「(何か、かけてやらないと…)」ファサ…

…カチャ

ライナー「…ジャン、起きたのか。 …具合はどうだ?」

ジャン「ああ… まだ指先なんかは思うように動かないが…」

ジャン「…世話になったな」

ライナー「イヤ…」



ライナー「…サシャは眠ってしまったんだな」

ライナー「今さっき、教官に聞いてきた。…今回の訓練での減点はないそうだぞ」

ライナー「その負傷、及び途中のコース変更は、仲間の変事に対応した為… とのことだ」

ジャン「…そいつは有難い」


ライナー「…ジャン、サシャは… サシャは、見事な女だな」

ライナー「以前はただ奔放なばかりだと思っていたが…」

ライナー「…俺を気遣い、ハンナを気遣いながら、周囲の者まで明るくする」

ライナー「お前が転落したと聞いた時も、泣くでも喚くでも、ましてトーマス達を責めるでもなく… ただ懸命にお前を探そうとしていた」

ライナー「…強い女なんだな」

ジャン「…ん。 分かってる…」

ライナー「夕食はクリスタに、部屋に運んでもらうよう言った。 …しばらく寝かせてやれ」

ジャン「……サンキュ」



サシャ「……ん?」パチ

サシャ「…ハッ!? 私、眠ってしまって」ガバッ

ジャン「…よぉ」

サシャ「ジャン! 目が覚めたんですね! 具合はどうですか!?」

ジャン「…ん。 もう平気…」

サシャ「良かったァーー!」

ジャン「…夕食、クリスタが部屋に運んでくれたって」

サシャ「そうですか」

ジャン「だからその…」

サシャ「?」

ジャン「…もう少し、ここにいてくれるか?」

サシャ「勿論です!!」ニコッ



ジャン「あ… ベ、ベッド入るか?」

サシャ「…ハ… では、お言葉に甘えて少しだけ…//」モゾモゾ

ジャン「……」

サシャ「///」

ジャン「あの、俺の事… 探しに来てくれて ありがとな」

サシャ「イエそんなの! …ジャンが無事だと分かった時、私本当に嬉しくて…」

ジャン「…ごめんな、心配かけて…」

サシャ「」フルフル

ジャン「…あったかい」

ジャン「すげえ暖かい…」



サシャ「ジャンが落ちたと聞いた時、目の前が真っ暗になって…」

サシャ「…鉛の棒を、無理やり胸にねじ込まれるような気がしました」

サシャ「…ジャン」ナデナデ

ジャン「サシャ…サシャ? あの… ドコを撫でてるんですか?」

サシャ「…ハッ!? こ、これは違うんです//!!」

サシャ「本当に具合が良くなったのか、確かめようかと//!」

サシャ「ん… でも、何だか元気に…」

ジャン「……」

サシャ「あ…っと、スイマセン! …私、そろそろ戻りますね//!」

ジャン「…この状態でですか?」

ジャン「サシャが上になってくれるなr」
サシャ「ゴメンナサイ! まだ調子良くないのに…」

ジャン「…イヤ、口でm」
サシャ「今日はゆっくり休んでください! …それじゃ!!」

ジャン「」


ジャン「(…ウーン)」

ジャン「(この状態で去っていくとは…)」

ジャン「(しかし… サシャらしいと言えば、サシャらしい)」クックッ

ジャン「(続きは次の休日の楽しみとしよう)」



ジャン「(…俺は間違ってた)」

ジャン「(サシャは強いようで 弱いんじゃない。 一見脆いようで、…本当はしなやかに逞しいんだ)」

ジャン「(摘めばすぐ折れてしまいそうなのに、厳しい寒さの中でも大地にしっかり根付いて咲く、あの白い花のように)」


ジャン「(…俺、寒さで意識が遠くなっていく時に、確かにお前の名を呼んだんだ)」

ジャン「(そしたら… 気付いたら、お前がいて)」

ジャン「(あの日、あの丘の上でお前が言った事…)」

ジャン「(俺が呼べば、どこにでも駆け付けると 誇らかに言ったお前を思い出して…)」

ジャン「(サシャ… お前と、ずっと一緒に生きていきたいと思ったんだ)」


おしまい

転載禁止でお願いします。
山に関する知識のなさ、二重投稿等 読み辛い点やキャライメージの違いなどは、すべてスルーして下さい。

乙。って、え?
今回で終わり?




続きあるよな?









あるよな?(威圧


読んでくれた人、ありがとうございました。
本当は最初の倉庫の時点では寸止めで、荒川の星とアマゾネスをっぽい感じで終わるはずだったのに
…酒って怖いね。 休みだからって、昼間っから酒飲んでたら全く違うものになってしまったよ。
そして長くなったよ。

>>88 続き? 卒業後は特に考えてないけど、年末休暇中の話くらいなら書けると思う。
エロでもいいの? 苦手だけど


>>90
是非とも見たいです

前の方に、スレに余裕があるなら続けて書いた方が良いとあったんで、このまま続けていきましょうか

ジャン「>>92 俺…俺、今度こそサシャにちんこって言わせてやるんだ!!」
ジャン「…ィヤッフウゥーーーー」タッタッタ

ジャンはどこかに走って行きました。
…以下は、ただのエロスレになります。

少しだけど再開します



ジャン「(……年が明け、850年。 今日は新年1日目だ)」

ジャン「(俺達は昨日から4日間の休暇に入った)」

ジャン「(今年の春には訓練兵を卒業し、その後の行き先を決めなければならないのだが…)」

ジャン「(少し前の秋頃、俺に彼女ができた。 …サシャだ)」

ジャン「(サシャは美人で気立てが良くてスタイルも良い)」

ジャン「(…もう何度かヤッた)」

ジャン「(他の女は知らんが、サシャとの相性は抜群に良いと思う)」


ジャン「(…その女が今、俺の隣で眠っている)」

ジャン「(昨夜は何もできなかった)」

ジャン「(ここは、男子寮の俺の部屋…)」



ジャン「(…昨夜、年末休暇に帰郷しない者達で年越しを迎えた)」

ジャン「(皆で俺の部屋に集まり、酒も飲んだ)」

ジャン「(酒に酔ったのかサシャがそのまま寝つぶれてしまったため、その後サシャと俺とを残し、それぞれ自分達の部屋へ帰っていった)」

ジャン「(…これは本来絶好の機会のはずなのだが…)」

ジャン「(結局何もできなかった)」

ジャン「(寮の壁は薄いのだ)」

ジャン「(筒抜けになってしまう)」

ジャン「(…俺は壁の薄さを呪いつつ、一睡もできないまま悶々と朝を迎えた)」

ジャン「(顔を洗いに外に出ると、アルミンに会った)」

ジャン「(アルミンもあまり眠れなかったのか、目の下に隈を作り、無表情でコクリと頷いた)」



ジャン「……」ガチャ

サシャ「あ、おはようございます」

ジャン「…起きたのか」

サシャ「ハイ。 すみません私、昨日そのまま寝ちゃったみたいで…」

サシャ「起きたら自分の部屋じゃないからビックリしました」

サシャ「どうしたんですジャン? 疲れた顔して… まさか、一晩中飲んでたんですか?」

ジャン「これは違う」

サシャ「ああ! 私がベッドを占領してしまったので、よく眠れなかったんですね? …ホントすみません」

ジャン「…いいから顔洗って来い」



――― 食堂


サシャ「…今日は人が少ないですねえ」モグモグ

クリスタ「ほとんどの人が昨日帰っちゃったものね」

ユミル「サシャ、昨日 部屋に戻ってこなかったな」

サシャ「ああ… そのまま眠ってしまって。 やっぱり慣れないお酒なんて、飲むものじゃありませんね」

サシャ「ジャンにも迷惑を掛けてしまいました…」ショボン


ジャン「…サシャ」ボソ

サシャ「え…ハ、ハイ! 何でしょう!?」

ジャン「メシ食って少ししたら出るぞ。 支度しとけ」

サシャ「あの…でも、新年用に買ってきた食材があるので お昼の準備をと…」

ジャン「それは夜に回せ。 …後でな」スタスタ

サシャ「……」

サシャ「……やっぱり、機嫌が悪いです。 怒ってるんでしょうか…?」



ジャン「行くぞ」

サシャ「ハ、ハイ…」トコトコ

ジャン「……」スタスタ

サシャ「……」チラ

サシャ「…あの…怒ってます?」

ジャン「怒ってない」

サシャ「でも…」

ジャン「怒ってないから付いて来い」

サシャ「……」トコトコ



――― 宿


サシャ「ここは…」

ジャン「いいから入れ」

サシャ「……」

ジャン「フゥ…」バタン

ジャン「……やっと落ち着いた」

サシャ「…やっぱり…怒っているのでは?」

ジャン「何でそう思うんだ?」

サシャ「私がいたせいで眠れなかったみたいですし、機嫌悪いし…」

ジャン「機嫌悪いワケじゃねえよ。 …ただまあ、お前のせいってのはあるかな」

サシャ「スミマセン…」

ジャン「だから違えっての」ドサッ

サシャ「ひゃっ//」



ジャン「…俺、一晩中ガマンしてたんだぜ?」

ジャン「隣にお前が寝てるってのに、何もできないでさ」

サシャ「え…?」

ジャン「手ェ出したら、他の部屋に聞こえちまうしよ」

ジャン「お前柔らかいしイイ匂いだし、拷問かと思ったぞ」

ジャン「だから、今日は、覚悟して下さい」

サシャ「!」ビクッ//



ジャン「(…服を脱がすと、真っ白な肌が露わになる)」

ジャン「(サシャは恥ずかしそうに顔を背け、その胸を隠す。…俺はその手をどかし、長いキスをする)」

サシャ「……んぅ…っ」

ジャン「(髪を撫でながら唇を吸い、舌を絡ませる)」ムニュ

サシャ「んふぅ…んっ//」

ジャン「…サシャの胸、大好き」モミモミ

サシャ「はあっ…あ…んっ//」

ジャン「お前可愛いな」ボソ…

サシャ「ひゃぁんっ//」ゾクゾクッ



サシャ「…みっ…耳はぁ…っん」ビクンッ

ジャン「…耳弱い?」チロチロ

サシャ「あっ…ンッ///」

ジャン「(耳を舐め回しながら胸を揉む。 …時々乳首を爪で弾くと、その度サシャの体がはねる)」

サシャ「ひゃぁっ…んはぁ」

ジャン「…どうしたの? 足モジモジさせて」

サシャ「…あの…し…下も…」

ジャン「まだ駄目」チュゥ

サシャ「はぅッ…//んっ」

*
ジャン「ん…サシャのおっぱい、美味しい」チュク チュバ

ジャン「…俺だけの」ヂュウゥゥ

サシャ「ふあぁっ ダメで…す…んんっ、そんなに強く…吸ったらぁっ」

サシャ「あ…跡が…ついちゃ…くぅっ」

ジャン「いいじゃん。 俺だけのっていう証拠 …もっと付けたい」ヂュルウゥゥ

サシャ「んくっ…ああぁっ//」

ジャン「下は…」クチュ

サシャ「ひゃうっ///」ビクン



ジャン「すっげえ濡れてんな」ヌプ…チュクチュ

サシャ「っはぁ…あッ…あはぁッ…///」

ジャン「聞こえる? すげえやらしい音」グチュ クチュクチュ

サシャ「あんっ…あ…ひゃぁっ///」

サシャ「はあァんっ!//」ビクンッ

サシャ「やぁっ…あっ…そ そこっ!…ダメェッ」ゾクゾクッ

ジャン「…ん? ここ?」クチュクチュグチュッ

サシャ「ひぁっ…も…もうっ!…んはぁッ…だめぇっ///」ビクビクンッ…

サシャ「……ハァッ…ハァ」クタ

ジャン「イッちゃった?」

ジャン「(潤んだ瞳に上気した肌…)」

ジャン「すげえエロイ」

ジャン「…こんなお前、皆が見たらどうなんだろうな」クチュクチャ

サシャ「ひゃぁんっ//」



ジャン「サシャがこんなエロい体なんて知ったら、どう思うんだろうな」ズチュ クチュ

サシャ「はあぁッ…ジャン…お願っ…//」

ジャン「イッた時の顔なんて見たら、皆どうしちまうんだろうな」クチックチュ

サシャ「いっ…挿れて//…くださ…んあぁっ」

ジャン「…じゃあ、ちゃんとおねだりして?」

ジャン「何挿れて欲しいの?」チュクッ

サシャ「はぅっ! ジャ…ジャンの…っ」

サシャ「…あの…あ///…ぅぅ」ジワァ

ジャン「今日は泣いても駄目」

サシャ「私…の…ここに…」クニュ…

サシャ「ジャン…の、お…おち///…ぅっ//…ウエエェェェン」ポロポロ

ジャン「あー分かったよ、挿れてやるから…な?」



ジャン「チクショウ、何でこんな可愛いんだよ」…ズッ

サシャ「んはあぁっ!//」

ジャン「…んっ、すげえ…なかトロトロだ」ズッズッズンッ

サシャ「うあっ あっ…はぁっ//」

ジャン「ん…っく…」パンッ パン パン

ジャン「…繋がってんのっ…よく見える」パンッパンッ

サシャ「はあぁ…あんッ// んふ」

ジャン「…あ…ゴメッ、俺もうダメかも」パンパンパンッ

サシャ「んぁっ…あっ…ひゃぁんっ」

ジャン「…う…っく、…イクっ」




サシャ「……グスッ」

ジャン「もう泣くなって、な?」ナデナデ

サシャ「だって…ジャンが…イジワルばっかり…」

ジャン「だってお前、可愛いんだもん」

ジャン「ヤッてる時の涙目のお前、すげえ可愛いぞ?」

ジャン「皆に見せてやりたいくらいだ」

サシャ「私は見世物ではありませんよ!」

ジャン「分かってるって」チュッ

サシャ「///」

ジャン「…はあぁぁ、満足」

ジャン「超! 満足」



サシャ「…やっぱり跡になってしまいました」

ジャン「何が?」

サシャ「赤いのがポツポツと… 胸の周りばかり」

ジャン「どうせ服で隠れんだろ?」

サシャ「お風呂どうすればいいんですか!?」

ジャン「いっつも皆で、夕食前にお風呂入ってるのに!」

ジャン「…あ」

サシャ「あ、じゃないですよ!!」

ジャン「イヤ、だってさ… 我慢できなくて…」

サシャ「……もう」フフッ



ジャン「俺さ、…お前がツライとか、悲しいとかで泣いてんの、すげえヤだけど…」

ジャン「こういう時だけは別な。 もっと泣かせたくなる」

ジャン「…恥ずかしがんないでいいのに…」

サシャ「///」

ジャン「もうちょっとエロくなった方がいいのに」

サシャ「…ハ…あの、では…今後努力します//」

ジャン「努力する?」

サシャ「エット…頑張ります…」

ジャン「そっか」

ジャン「…じゃあ、もう1回!」ガバッ

サシャ「エェッ!?」

サシャ「……んあっ…ひゃあぁんっ//」ビクビクッ



――― 街中


サシャ「…うぅ…あまり、足に力が入りません…」

ジャン「ハハッ、悪ィ悪ィ」

ジャン「…っと、 もう昼回っちまったな。 メシどうする?」

サシャ「夕食の準備もありますし、何か簡単な物でも食べて行きましょうか」

ジャン「そうだな。 …ん?」

ジャン「向こうから来るの、エレン達じゃないか?」

サシャ「あっホントですね!」

サシャ「おぉーーい、 ミカサァー! エレェーン! アルミィーン!」ブンブン

ジャン「(…声かける必要ねえだろ)」



サシャ「ミカサ! どこかお出掛けしてたんですか?」

ミカサ「昔お世話になっていた駐屯兵の人の所へ、新年の挨拶に…」

エレン「年明け早々酔っ払ってたけどな」

サシャ「アルミンもですか…? って、アルミン顔色良くないですね。 …大丈夫ですか?」

アルミン「ウン、大丈夫だよ。 ホラ、昨日お酒飲んだでしょ? 変に目が冴えて眠れなかったんだ」ニコッ

サシャ「はぁ… 私なんかはすぐ眠くなってしましましたしねえ…。 ミカサやエレンはお酒強いんですね」

エレン「俺、乾杯の時しか飲んでねえもん」

ミカサ「それでも、今朝は起きれなくて自主錬をやめた。 …エレンはお酒が弱い」

サシャ「お昼はもう済ませたんですか? まだなら一緒にどうです?」

エレン「何か、安くて旨い店知ってるのか?」

サシャ「お任せください!!」

ジャン「(一緒に食うのかよ!)」



ジャン「(…結局5人でそこら辺の、値段の割りには味も良くボリュームのある定食屋に入って昼飯を食った)」

ジャン「(その後、サシャがもうひとつ買いたい物があるからと、3人とは別れた)」

ジャン「…何買うの?」

サシャ「鳥を。 昨日買った野菜と調味料はあるので、鳥をそのまま焼き上げようかと!」

ジャン「フーン、旨そうだな」

ジャン「俺、何か手伝うか?」

サシャ「イエ、香草を振って焼くだけなので大丈夫ですよ!」

サシャ「…それに、お風呂入れないから時間ありますし…」

ジャン「うっ」

サシャ「フフッ… 夕食、楽しみにしててくださいね。 なんせ新年1日目ですから!!」ニッコリ




ジャン「(サシャはいつも調理場の隅っこで料理をしている)」

ジャン「…よぉ、何かやることあるか?」

サシャ「ああ、もうお風呂上がったんですね!」

サシャ「じゃあコレと… 取り皿持って行ってもらっていいですか?」

ジャン「何コレ?」

サシャ「昨日買ったお芋と野菜を、塩漬け肉と一緒に炒めました」

サシャ「鳥はもう焼き上がりますから、こっちは私が持って行きますよ」

サシャ「他の皆さんも、そろそろやってくる頃でしょう」

ジャン「…旨そうだな」



エレン「…おっ、すっげえイイ匂い!!」

ライナー「これは食欲をそそるな」

ミカサ「エレンはお昼あんなに一杯食べたのに…」

エレン「時間が経てば、腹は減るんだよ」

アニ「……」キュークルクル

ベルトルト「(アニのお腹の音が聞こえた…)」

クリスタ「ウワァ! 美味しそう!!」

ユミル「芋女だけあって、料理は上手いよな」

サシャ「今、切り分けますから!」

サシャ「…コニーもお肉好きなのに、実家に帰ってしまってて残念ですねえ」

ジャン「アイツはアイツで旨いモン食ってんだろ、実家で」



アルミン「サシャは手料理を皆に振舞うの好きだよね」フフッ

サシャ「そうですねぇ… まあ、皆で食べた方が楽しいですし」

サシャ「あれ? アルミン、顔色少し良くなりましたね。 ちょっとは眠れたんですか?」

アルミン「ウン。 ちょっぴりだけど、寝たら大分楽になったよ」

サシャ「そうですか、良かった! いっぱい食べてくださいね?」ニコ

ユミル「よーぅジャン、料理上手な嫁さんで良かったな!」

サシャ「///」

ジャン「っせえな//!!」

クリスタ「ウフフ、サシャ可愛い」



ジャン「(…新年1日目の夕食は普段の食事の他に、サシャの作った鳥の丸焼きと芋の炒めたヤツを皆で食った)」

ジャン「(皆がウマイと言って喜ぶと、まるで自分の手柄のように嬉しく感じた)」

ジャン「(確かにサシャの料理は旨かった。 明日は残った食材で俺だけに作ってくれるらしい)」

ジャン「(いい一日だった)」

ジャン「(短いけど、これまで生きてきた人生の中で最高の年明けだったと思う)」

ジャン「(俺は片付けを手伝いながら、そう思った)」

ジャン「(今日は昨日のように誰かの部屋に集まることもなく、それぞれが自分の部屋に帰って行った)」

ジャン「(昨夜は一睡もできなかったので、それはとても有難い)」

ジャン「(マルコも実家に帰って部屋には俺1人だし、今夜はゆっくり眠れそうだ)」



ジャン「(…普段は4人部屋を2人、もしくは3人で使っているが、マルコが留守で1人になってみると、妙に部屋が広く感じる)」

ジャン「(…サシャを見せたい)」

ジャン「(2人きりでいる時の、あのエロいサシャを)」

ジャン「(今日、つい口から出た言葉だが、その考えは妙に俺を興奮させた)」

ジャン「(サシャは大事だ。 本当はどこか塔の奥にでもしまいこんで、俺以外の男の目に触れさせたくない)」

ジャン「(しかしそれは、あのごく自然で活力に満ち溢れたサシャの美しさを損なってしまう)」

ジャン「(誰にも見せたくない… でも誰かに見せつけたい)」

ジャン「(例えばそう… アルミンに)」

ジャン「(あんな可愛い顔して、アルミンはそれをどう眺めるんだろう)」




ジャン「(…翌日の朝食の時、サシャに後で俺の部屋に来るよう言った)」

ジャン「(男子寮に1人で来るのは抵抗があるようだが、時々ミカサもエレン達の部屋に来ているので問題ない と言うと納得した)」


サシャ「……お邪魔します」ガチャ

ジャン「…ん。 まあ座れよ」

ジャン「何キョロキョロしてんだ?」

サシャ「イエ、一昨日初めてこの部屋に入った時も思ったんですが、綺麗に片付いてますよね」

ジャン「俺もマルコも結構片付ける方だからな。 お前の部屋は汚ねえの?」

サシャ「なっ! 汚くはありませんよ!」

サシャ「ただ私のトコは3人ですし、女の子の部屋は色々物が多くてですね」

ジャン「フーン、そんなモンか」



サシャ「他の人達はどうしてるんですか?」

ジャン「ライナーとベルトルトは街に行くって出てった」

ジャン「エレンはミカサと自主練だな。 昨日サボったからって、張り切ってたぞ」

ジャン「アルミンはもしかしたら隣にいるかもな」

サシャ「……明日には皆帰って来るんですね」

ジャン「そうだな、マルコも明日の昼には戻るって言ってたし」

サシャ「もうお休みも終わりですねえ…」

ジャン「休み足りないか?」

サシャ「イエ… これ以上遊んでたら、体が鈍ってしまいます」

サシャ「雪山訓練があるんだなぁと思って…」

ジャン「ああ… 班分けどうなるんだろうな」



ジャン「俺と一緒になりたい?」

サシャ「そうですねえ… できれば」

ジャン「できれば?」

サシャ「だって3人ですし、もう1人が誰かによっては居心地悪いかなぁ… と」

ジャン「俺は気にしねえけどな。 もう1人が誰でも」

サシャ「そうですか?」

ジャン「あっ、使えるヤツがいいな。 マルコとかライナーとか」

サシャ「…何だかジャンが心配になってきましたよ」ハアァ



サシャ「…ところで、どうもこの部屋は… あまり男臭さというものを感じませんね」

ジャン「ん?」

サシャ「健康な男子なら、もうちょっとこう… イケナイ物とか置いてあっても…」

ジャン「何だそりゃ。 エロ本とかか?」

サシャ「まあ…有体に言えば、そういう物ですねえ」

ジャン「俺はライナー達とは違うからな。 一目でそれと分かるようなのは置いてない」ゴソゴソ…

ジャン「…ほれ、これ声に出して読んでみ」

サシャ「何ですか この本は…」

サシャ「えーと、ナニナニ? …彼女の蜜壷を押し広げ…いきり立つ肉棒を奥深く…?」

サシャ「!?」

サシャ「…何ですかこれはァッ///!?」



ジャン「官能小説ってヤツだな」

サシャ「なんかヤラシイ! 思ってたよりずっとヤラシイです//!!」

ジャン「ハハッ、なんなら貸してやるぞ?」

サシャ「いっ、要りませんよ!!」

……コンコン

アルミン「ジャン、この間借りた本…」ガチャ

サシャ「アルミン」

アルミン「わっ! サ、サシャ!?」バサバサッ

サシャ「あらら、大丈夫ですか?」ヒョイ

アルミン「や、やめて拾わないで!!」

サシャ「…ん? 『穢れた野の花』、『視姦される悦び』…」

サシャ「…ア…アルミン…?」

アルミン「///」



アルミン「ぼ… 僕、もう行くからッ//!」

ジャン「何だよ、せっかく来たんだから ゆっくりしてけよ」

アルミン「だ…だって///」

サシャ「そうですよぅ。 私、気にしてませんから」ニコッ

アルミン「ウ、ウン…//」チョコン

サシャ「少し意外でしたけど…」

アルミン「ぼっ! 僕だってそのぅ… 一応男だし//」

サシャ「あっ、すみません… 別に責めている訳ではないんです」

サシャ「こういうのって、面白いんですか? 絵とか全然描いてないですけど」

ジャン「だから想像力が働くんだろうが」

サシャ「…そういうものですか」



サシャ「ちゃんとした物語なんですか?」

アルミン「本にもよるけど… これなんかは ちゃんと内容があったよ」

アルミン「野性味あふれる可憐な美少女を 性奴隷に仕立て上げていく… という話なんだけど」

サシャ「せい…どれい?」

アルミン「その過程が秀逸でね。 何度も読み返したよ!」

サシャ「…ほほぅ 読み返す…ほど面白いと」パラパラ

ジャン「アルミン、エレンはまだ訓練場か?」

アルミン「今日は立体起動装置の使用許可も取ってたから、まだまだ帰って来ないんじゃないかな」

ジャン「…この寒いのに、相変わらずの訓練バカだな」



アルミン「ライナー達は出掛けたんだよね?」

ジャン「ああ。 なんか買い物がどうとか言ってたな」

アルミン「皆が帰って来るのは明日だし、今日は一段と寮が静かだね」

ジャン「ハハ、明日は騒がしくなるだろうさ」

アルミン「でも長期休暇の後って、皆お土産持って帰ってくれるじゃない?」

ジャン「そうだ。 確か去年はコニーが山ほど芋を持って帰ってきて…」

ジャン「芋なんか、訓練所でいっつも食ってるってのにな」

アルミン「フフ、サシャは大喜びだったけどね」

ジャン「サシャ… ん?」

サシャ「………」ジーーーッ

ジャン「…サシャ?」

サシャ「………」ジーーーッ

サシャ「……ハッ!!」パタンッ


サシャ「な…何です?」アセアセ

ジャン「…何じっくり読んでんの?」

サシャ「イ、イエ別に… 読んでませんが//?」

ジャン「面白い?」ジリッ

サシャ「べ、別に面白いとかじゃ…//」

サシャ「な…なぜ にじり寄ってくるんです?」

ジャン「そういうの… 興味あんのかなぁと思ってさ」

ジャン「調教… とか?」ボソッ

サシャ「ひゃっ… みっ、耳元で言うのやめてください//!」

ジャン「耳弱いもんな、お前」フー

サシャ「ちょっ… ジャン! やめっ//… ア、アルミンが…」ゾクッ

ジャン「いいじゃん、ちょっとくらい見せてやれよ」

ジャン「…アルミンだって、見てみたいだろ? サシャのエロい顔」ペロ

サシャ「ア…アルミ…ンッ」ビクンッ

アルミン「///」



サシャ「ん…っく//」

ジャン「…大丈夫、大丈夫。 服脱がせたりはしないから」

ジャン「ただちょっと上から触るだけ…」ムニュ

サシャ「はうぅ//…っん」

ジャン「…耳も」ペロペロ

サシャ「ひゃあぁっん//」ビクビクッ

ジャン「服の上からでも乳首勃ってんの分かるな」モミモミモミ

ジャン「…アルミンに顔 よく見てもらいな」

サシャ「はあぁっ// …ア、アルミン… みっ、見ないでくださ…んあぁっ//」


アルミン「///」ジィィー…

ジャン「ほら、アルミンもサシャはエロくて可愛いってさ」



ジャン「…俺の前で、あんな本読むから悪いんだって」

ジャン「苛めて欲しいって言ってるようなモンだろ?」チロチロ

サシャ「…はあァんっ!//」ビクンッ

ジャン「もう…下もビショビショなんじゃねえの?」

サシャ「んっ…ジャ…ジャン、お願…い もうっ、やめ…」ジワッ

ジャン「どうしよっかなー」モミモミ

サシャ「お…お願い…ですっ…からああぁッ//!」

サシャ「…うっ…ヒック…えぐっ」ポロポロ


―――――――――――――

――――――――

――――


ジャン「(……ヤバイ)」

ジャン「(すげえ興奮した…)」



ジャン「(…妄想に耽ってしまった)」

ジャン「(でも、いかに想像上でもアレ以上は見せられない)」

ジャン「(もちろんアルミン本人にも、他の人間にも… あんなの絶対見せない)」

ジャン「(あれは、あの体は…)」

ジャン「(あの表情も全部、…俺だけのだからな)」

ジャン「(…今、何時だろう?)」

ジャン「(昨日も寝てないんだし、早く寝ないと…)」

ジャン「(……)」

ジャン「zzz」



――― 年末休暇3日目・朝 食堂


クリスタ「明日で休暇も終わりね」

ユミル「静かに過ごせるのは今日までだな」

サシャ「短いようで長くて、やっぱり短いですよね」モグモグ

クリスタ「…そういえば、ジャンの姿が見えないんじゃない?」

サシャ「…あ、そうですね、言われてみれば。 …寝坊でもしてるんですかねえ」


ライナー「サシャ」

サシャ「あれ、どうしたんですかライナー?」

ライナー「…ジャンが具合悪いらしくて、部屋で寝たきりになってる。 さっき、部屋に行ったら寝込んでた」

ライナー「俺とベルトルトは今日出掛けないといけないんで、見ててやることができない」

ライナー「後で見に行ってやってくれるか?」

サシャ「エェ!? ハイもちろん!!」



ジャン「……」ボーーーッ//

ジャン「(…罰が当たったんだ。 きっと…)」

ジャン「(妄想とはいえ、サシャを他の男に見せたから…)」

ジャン「(…うぅ…サシャごめん… もうしません)」

ジャン「(俺、熱あんのかな…)」

ジャン「(せっかく休暇中なのに… もっといっぱい遊びたかったのに…)」

ジャン「(…起きられねえ)」

ジャン「(皆、メシ食ってんだろうな…)」

ジャン「(…ライナー達、ホントに出掛けるって言ってた…)」

……コンコン

サシャ「…入りますよーー」…カチャ



ジャン「サシャ…」

サシャ「ああ、寝たままでいいですよ」ニコッ

サシャ「ライナーから聞きました。 …具合悪いんですって?」

サシャ「…ロクに寝てないのに昨日、 頑張り過ぎたからですかねぇ…」

ジャン「…うぅ」

サシャ「朝食と、あと医務室行って薬貰ってきました。 ゴハン食べられそうですか?」

サシャ「薬飲むのに、せめてスープだけでも…」


ジャン「……ん」ズズ



サシャ「熱…少しありますね」

サシャ「薬も飲んだし、このまま大人しく寝てれば 大丈夫かとは思いますが…」

ジャン「どっか行くの?」

ジャン「…そういえばお前、昨日 風呂どうした?」

サシャ「夕食の片付けが終わってから、誰もいない時に1人で入りましたよ」

ジャン「…そっか」

サシャ「どうしたんですか? しおらしくなって…」フフッ

サシャ「…どこにも行きませんよ。 今日はジャンだけに、ご飯作るって言ったじゃないですか」

ジャン「……ん」



ジャン「…薬飲んだら眠くなってきた」

サシャ「たっぷり寝てください」

ジャン「ここにいる?」

サシャ「ジャンが眠るまでちゃんといますよ」

ジャン「…サシャ、頼みがあるんだが」

サシャ「何でしょう?」

ジャン「…ベッドの下に置いてある本を… どれでもいいから音読してみてくれないか」

サシャ「本ですか?」ゴソゴソ

サシャ「これでいいですかね」



サシャ「……夫人はその凶暴な肉器官を舌で拷問にかけ…」

サシャ「…裂くような勢いで入ってきた怒張に夫人は…」

サシャ「…召使いはまた激しく蜜壷を凌辱し…」


サシャ「……何ですかこれ? 呪文みたいで全然分かりませんけど、こんなの面白いんですか?」

ジャン「うぅ… それが分からないとは…」

ジャン「…現実はなんて残酷なんだ…」

サシャ「いじけてないで早く寝てください」

サシャ「ね?」ナデナデ

ジャン「……ん」

ジャン「……」

ジャン「…」スー



サシャ「(ジャンには悪いですけど…)」

サシャ「(…なんだかとても幸せな気分です)」フフ

サシャ「(睫毛結構長い…)」

サシャ「(寝顔はとっても可愛いですねえ…)」

サシャ「……」ニコニコ

サシャ「(おっと、食器を片付けないと…)」

サシャ「(起こさないよう静かに静かに…)」

……カチ



サシャ「…結局スープしか飲みませんでしたねぇ」トコトコ

サシャ「余ったパンは私が美味しくいただくとして…」

サシャ「ハテ、どうしたものか…」


――― 食堂


クリスタ「サシャ!」

サシャ「あれクリスタ。 何で食堂に?」

ユミル「どうせ部屋に戻っても、やる事ないからな。 朝からずっといた」

クリスタ「お昼にはまた来ないといけないしね」

ユミル「食器下げに来たのか」

クリスタ「ジャンの調子はどうだったの?」

サシャ「多分、疲れが出たんでしょう。 今は薬飲んで眠ってます」



サシャ「ただ、あまり食欲がないみたいで」

サシャ「…お粥でも作りましょうか」ウーム

ユミル「お前は本当マメっつーか、甲斐甲斐しいよな」

クリスタ「良いお嫁さん過ぎるわ…」ウル

サシャ「ハァ… でも私、何も取り柄ないですからねぇ…」

サシャ「クリスタみたいに可愛い訳でも、ユミルみたいに頭が良くも、ミカサやアニみたいに強い訳でもないですから…」

クリスタ「サシャ… サシャ?」

ユミル「お前は鏡見たことないのか?」

サシャ「何ですか、私だって鏡くらい毎日見てますよ! 失礼しちゃいますねぇ」プンスカ

ユミル「…分かった。 お前が自分のことを分かってないって事は分かった」

サシャ「私は全く分かりませんよ。 じゃあ私、厨房でお粥作りますんで…」




サシャ「…………♪」

ジャン「…」スー


ジャン「……ン…ん?」

ジャン「…サシャ?」

サシャ「はい」

サシャ「目、覚めましたか。 …熱どうです? ちょっとオデコ拝借…」

サシャ「…朝よりは、下がってますね」

ジャン「…なんか、すごい寝た気がする」ボーッ

サシャ「それは良かったです」ニコ

サシャ「もうお昼過ぎてますよ。 ご飯、食べられそうですか?」

ジャン「…ん、多分」

サシャ「じゃあ、すぐ温めて持ってきますから待っててください」…ガチャ



ジャン「(…超 寝た)」ボーーッ

ジャン「(こんなに気分良く眠れたの、いつ以来だろう…)」

ジャン「(なんだろう… 歌声が聞こえてた気がする)」

ジャン「(よく覚えてないけど…)」

ジャン「(…ん? 熱あったからか、結構汗かいてるな 俺…)」

ジャン「(…着替えるか)」

………モゾモゾモゾ

サシャ「…入りますよー」ガチャ

サシャ「ひゃっ//!」

ジャン「何? どうしたの?」

サシャ「…イエ、着替え中だったのでびっくりして…//」

ジャン「そんなの、これまで何度も見たろうに…」

サシャ「まあ、そうなんですけど…//」



ジャン「…それ何?」

サシャ「あぁ、ミルク粥です」

サシャ「あまり食欲なさそうだったので、せめて栄養のつく物を…」

サシャ「今は寒い時期ですし、昨日の残りは明日に回しても良いかなぁ、と思いまして」

ジャン「…食べる」

モグモグ…

ジャン「…旨い。 あったかいし…」

サシャ「朝よりは食欲あるみたいですね。 良かった」

ジャン「…なあ、…さっき、歌ってた?」

サシャ「エ!? 起きてたんですか?」アセアセ

サシャ「…き、聞いてないと思って…//」



ジャン「もう一回歌ってよ」モグモグ

サシャ「エェ!? ヤですよ、恥ずかしいですもん//」

サシャ「…さっきは寝てると思って…」

ジャン「どんな歌だったの?」

サシャ「エット… 私の故郷の方の歌で…」

サシャ「…いつか志を果たしたら、また故郷に帰りたい… というものですよ」

ジャン「…フーン、もっかい聞きたいのに…」モグモグ

サシャ「恥ずかしいからダメです//」

サシャ「歌、ヘタなんですから…」



ジャン「…ハァ、 旨かった」

サシャ「タオル濡らしてきたんで、顔だけでも拭きますか? 結構汗かいたみたいですし…」

ジャン「…ん」フキフキ

ジャン「お前、昼飯は?」

サシャ「ここに持ってきて済ませました。 あの…あんまり食欲ないと思って、ジャンのパンもらっちゃったんですけど…」

ジャン「いいよ、そんなの別に」

ジャン「…俺、こっちのが良かったし」



ジャン「…朝より大分調子良いんだけど、起きちゃダメか?」

サシャ「ダメです! もう明後日から訓練始まるんですよ?」

サシャ「今日は寝ててください。 また薬 貰ってきましたし、もうひと寝入りくらいできるでしょう?」

サシャ「ほら、薬飲んで…」

ジャン「…ん」ゴク

ジャン「…でも寝てばっかりってのも結構疲れるな」

ジャン「読み聞かせしてほしくても、お前 全然さっきの本の内容とか分かんねえしよ」

サシャ「…じゃあ、これでいいですか? ちょっと失礼しますよ」モゾッ

ジャン「サシャ、これじゃ風邪が移っ…」

サシャ「私に風邪は移りません」

サシャ「…だから、今日は一日ゆっくり休んでください」ナデナデ



ジャン「…」ソロソロ

サシャ「ダメですよ。 また体力使うような事するなら、出て行きますからね?」

ジャン「ち、違ぇって!」

ジャン「ただ、こうしてると落ち着くから…」ギュム

サシャ「んむ… まあ寮の壁は薄いとの事ですし、今日はそんな力もないでしょうが」

サシャ「…あの、 このまま頭 撫でてもいいですか//?」

ジャン「……ん」

サシャ「フフ…」ナデナデナデ

サシャ「(いいコ いいコ…)」ナデナデ

ジャン「…なんか、また眠くなってきた…」

ジャン「………」

ジャン「…」スヤスヤ



サシャ「(……さて)」

サシャ「(あれからどれだけ経ったんでしょう…)」

サシャ「(一体、今何時なんでしょう?)」

サシャ「(片方の腕で私の腕を巻き… もう片方は私の胸に置いて…)」

サシャ「(…まったく身動きできません)」

……コンコン

ライナー「ジャン、具合どうだ? もうすぐ夕食…」ガチャッ

サシャ「ライナー…」

ライナー「ウワッ! すまんサシャ!!」

サシャ「あっ、行かないで!」

ジャン「………ン?」



ジャン「…何だ、もうメシか」ムクッ

ライナー「…すごく驚いたぞ」

サシャ「すみません。 途中から身動き取れなくなって…」

サシャ「ジャン、ご飯食べられそうですか? …ここに運びましょうか?」

ジャン「…イヤ、食堂行く…」

ライナー「そうか。 なら、俺はもう行くからな」

サシャ「すみません、ありがとうございます」

サシャ「…私、一度部屋に戻ってから食堂に行きたいんですけど、大丈夫ですか?」

ジャン「…平気」



――― 食堂


サシャ「…ジャン!」

ジャン「ん? お前遅かったな」

サシャ「部屋に戻ってから、ザッとお風呂に入ってきたもので…」

サシャ「調子どうですか?」

ジャン「ああ、もう全然平気。 やっぱ疲れてたのかな」

サシャ「それは良かった。 夜もちゃんと寝てくださいよ?」

ジャン「…ん。ごめんな? 料理、作ってくれるって言ってたのに…」

サシャ「イエ、そんなの明日でも…」


ユミル「……クリスタ、どう思う?」ヒソ

クリスタ「ウフフ、サシャは自分の良い所が全然分からないのね。 それもサシャの良い所なのかもしれないけど…」

ジャンサシャとか誰特かね

>>158 まあ俺得ではあるけど人様は分からんからな。
一応sageて進めてるんだが、気に障ったらゴメンよ



ジャン「(……こうして俺の休日3日目は終わった)」

ジャン「(今日はサシャがすごく優しかった)」

ジャン「(昨日みたいにイチャイチャしたのもいいけど、今日みたいのも 良いんじゃないかと思った)」

ジャン「(明日には皆、帰ってくる)」

ジャン「(これから卒業までは もう長期休暇もないし、もうこんな一日は過ごせないと思う)」

ジャン「(昼間あれだけ寝たのに、昼の事を思い出すとまた眠くなってきた)」

ジャン「(…頭 撫でられるのって、気持ち良いんだな)」

ジャン「(サシャが歌ってた歌、 …歌詞は覚えてないけど、曲調だけなんとなく覚えてる)」

ジャン「(またいつか歌ってもらおう)」

ジャン「(歌、ヘタじゃなかったよな… すごく綺麗な声だった)」

ジャン「……」

ジャン「…」スーーー



――― 年末休暇4日目・朝 食堂


ジャン「…よぉ」

クリスタ「おはよう、ジャン!」

ユミル「具合良くなったのか?」

ジャン「ああ、もうすっかりな」

サシャ「そうですか! やっぱり たくさん寝たのが良かったんですねえ」

ジャン「今日どうする?」

サシャ「病み上がりなんですから、外出はダメですよ?」

ジャン「……だよな」

サシャ「それじゃちょっと調べたいものがあるので、後で図書室に付き合ってもらってもいいですか?」

ジャン「図書室? …いいけど珍しいな」

サシャ「私だって、たまには本くらい読みますよ」



――― 図書室


ジャン「…で、何を調べるって?」

サシャ「雪山の…」

サシャ「過去の遭難事例とか、対処法とかをですね」

ジャン「ああ、訓練のか」

ジャン「…お前、俺と同じ班になりたい?」

サシャ「もちろんじゃないですか!」

ジャン「そ、そうか… そうだよなウン!」

サシャ「もう、心配で心配で!!」

ジャン「…エ?」

サシャ「だってジャンってば、前の登山訓練の時 ロクに地図も見てなったじゃないですか!」

サシャ「あんなので雪山なんて、遭難しに行くようなものですよ!」



ジャン「今回とは状況が違うだろうが!」

ジャン「…あ、あの時はそんな状態じゃなくて…」アセアセ

ジャン「その……」

サシャ「…フフッ」

ジャン「///」

ジャン「…次はちゃんとやる」ムスッ

サシャ「分かりました。 じゃあ、ちょっとコレ読んじゃいますから」

ジャン「…ん」



ジャン「(…ゆっくり本なんか読むの、久しぶりだな)」

ジャン「(サシャ、真剣に読んでる…)」

ジャン「(俺も今回はしっかりやらないと)」

ジャン「(マジで誰と組まされるか、分かんねえからな…)」


サシャ「……フゥ」パタン

サシャ「終わりました。 …ジャンは何を読んでたんですか?」

ジャン「…ああ、兵法書だ」

サシャ「難しそうですねえ。 続き、まだ読みます?」

ジャン「何度か読んだやつだし、もういい」

ジャン「…静かだな。 誰もいねえし」

サシャ「今は人自体 少ないですからね」



ジャン「(誰もいない図書室…)」

サシャ「…じゃ、外 出ますか」

ジャン「サシャ」グイッ

サシャ「ひゃっ」

サシャ「だ、誰か来たら…//」

ジャン「誰も来やしねえよ、こんなトコ…」チュゥ

サシャ「……んっ//」

…ガチャッ

ジャン「」バタバタ

サシャ「」バタバタ



――― 外


ジャン「(……教官だった)」

ジャン「(良かった… 見られなくて)」

サシャ「もう! 心臓止まるかと思いましたよ!」

ジャン「ハハ、悪かったって」

ジャン「…それにしても、今日はイイ天気だな」

サシャ「そうですねぇ… あんまり寒くないです」

ジャン「昼飯、外で食わねえか?」

サシャ「外?」

ジャン「一昨日の残りあんだろ? それ使って」

サシャ「お弁当ですか! いいですねえ」ニコッ



――― 食堂


サシャ「…それでは何か簡単な物でも」

ジャン「もうすぐ昼だもんな。 俺も何かする」

サシャ「じゃあコレ薄切りにしてもらえますか?」

ジャン「塩漬け肉か。 貸せ」


ジャン「……」デローン

サシャ「おや… 随分と厚切りですねえ」

サシャ「しかも下が切れてないので全部繋がってますねえ」デローン

サシャ「あのぅ… 座って待っててもらっていいですか?」

サシャ「もう後、詰めるだけなんで」

ジャン「……スマン」



サシャ「ジャン、用意できましたよ。 裏庭でいいですか?」

ジャン「ああ。 普通のメシはどうする?」

サシャ「私の分は後で取りに来るので、ジャンの分だけ貰ってきてください」

ジャン「おぅ」スタスタ

クリスタ「あれ、サシャどっか行くの?」

サシャ「ええ、お天気がいいので裏庭で食べようかと思いまして」

ユミル「そういや今日はあんまり寒くないな」

サシャ「クリスタ達も一緒にどうです?」

クリスタ「そうね、 いつもと雰囲気変えるのもいいわね」

クリスタ「行きましょユミル!」



――― 裏庭


サシャ「…じゃ 私、自分の分取ってきますから、先に食べてていいですよ」

ジャン「いいよ待ってる。 行って来い」

サシャ「ハイ!」タッタッ


ユミル「…なぁ、それ何だ? サシャが持って来たヤツ」

ジャン「ん? こないだの残りで作った弁当」

クリスタ「…サシャ、なんて健気な…」ウルッ

ユミル「イイ嫁さんだな、ジャン」

ジャン「何だよ、俺だって手伝ったよ」ムスー

ダメだ飲み過ぎた眠い
今日終わらせたかったのに



サシャ「……お待たせしました!」


ライナー「ふむ、今日は外でもいいかもな」

ベルトルト「風がないからね」

アニ「…それでも寒い」ブルッ

エレン「でも食堂より明るいだろ」

ミカサ「ピクニックみたい」

アルミン「こういうのも楽しいよ」


ジャン「…なんだ、随分大勢連れて帰ってきたな」

サシャ「ちょうど食事を取りに行ったら、そこで会いまして…」

サシャ「お弁当、開けましょうか」



ジャン「…それ何?」

サシャ「茹でたお芋に、余った野菜を足してサラダにしました」

サシャ「パンに挟んでも美味しいですよ」

ユミル「…察するに、この厚みが均一でない肉は ジャンが切ったヤツか」

ジャン「っせえな!」

サシャ「アハハ、せっかく手伝ってもらったので、厚さはそのままにしました」

サシャ「量はそんなにありませんが、良かったら皆さんもつまんでください」



エレン「外で食う飯って いいよな」

アルミン「昔はよく3人でピクニックしたよね」

ミカサ「おばさんが作ってくれたお弁当を持って…」


ライナー「…この肉はなんというか、食べ応えがあるな」モグモグ

ベルトルト「噛んでも噛んでも…」モグモグ

ジャン「だから、うるせえっての!」

アニ「あ、サラダ美味しい」

クリスタ「ちぎったパンの上に乗せて食べると美味しいね」ニコニコ


エレン「…まだ誰も帰って来ないな」

アルミン「いつもだったら、早い人はもう帰ってくる頃だよね」

ライナー「ぼちぼちなんじゃないか?」



コニー「…アァーッ! こんなトコにいやがった!!」

コニー「メシ時なのに食堂 誰もいねえし、すげえ探したんだぞ!!」

サシャ「コニー! お帰りなさい!!」

ライナー「今年はコニーが一番か」

ベルトルト「去年はジャンが一番だったね」

ジャン「俺、家までそんな距離ないからな」

コニー「早起きして出てきたんだよ。 …ホラ、これ土産」ドサッ

ジャン「また芋か!」

サシャ「ヤッタァー! コニー、ありがとうございます!!」

アルミン「フフッ、サシャ大喜びだね」ニコニコ

コニー「俺の土産でこんな喜ぶの、サシャだけだよな」

サシャ「食べ物だったら、何でも嬉しいですよ!!」

サシャ「今度、また何か作りますね!」



ジャン「(…昼飯を食ってしばらく皆で話をして…)」

ジャン「(そろそろ風が出て冷えてきた…と、それぞれ部屋に戻って行った)」

…ガチャ

マルコ「ジャン!」

ジャン「マルコ、戻ってきてたのか」

マルコ「つい今しがたにね」

マルコ「…はい、コレ」スッ

ジャン「ん? 何だこれ」

マルコ「母が作ったお菓子なんだけど、ジャンは甘いもの苦手だろう?」

マルコ「サシャにでもあげてよ」

ジャン「…おぅ、サンキュ」



ジャン「…休暇はどうだった?」

マルコ「ハハ、いつもと変わらないよ」

マルコ「実家に帰って、地元の友達に会って…」

マルコ「やっぱり 母の作ってくれる食事は美味しかったな」

マルコ「ジャンは? ゆっくりできた?」

ジャン「…まあな」

ジャン「すげえ のんびり過ごした」

ジャン「休みを訓練所で過ごすのも悪くねえな」

マルコ「…もう、これで最後だけどね」



ジャン「(…夕食の時、サシャにマルコの土産を渡した)」

ジャン「(サシャはすごく喜んで、マルコに礼を言いに来た)」


ジャン「(……良い休暇だった)」

ジャン「(今までで、一番良い休みだった)」

ジャン「(心残りがあるとすれば…)」

ジャン「(4日のうち、1日しかサシャとヤれなかった事か)」

ジャン「(そして『あの言葉』を言わせられなかった事…)」

ジャン「(…まあいい。 先が楽しみだ)」


ジャン「(…また明日から訓練が始まる)」

ジャン「(卒業まであと、残り僅か………)」






おしまい

転載禁止って1回書いたからもういいよな

ジャンサシャ俺得な方々、ありがとうございました。
しかしフン張ってもフン張っても、卒業後の明るい未来が捻り出てこない

もし続くようなら、このまま下に書いてきます

ジャンが尖ってないのも新鮮でいい
面白かったよ乙

>>188 まあ休暇バージョンだからさ
こういうのもいいかと思って

もうちょっとだけ続けます。



ジャン「(…雪山訓練は終了したが、事故を起こした俺は翌日も休まなければならなかった)」

ジャン「(まだとても、本調子と言える体ではないからだ)」

ジャン「(この訓練、及び休みに関しての減点はないそうだ)」

ジャン「(上位を目指している俺にとっては、とても有難い)」

ジャン「(今日は一日医務室で、座学の復習でもしていよう)」

……コンコン、ガチャ

サシャ「…ジャン、起きてますか?」

ジャン「ああ、これから訓練か?」

サシャ「ええ。 お昼には食事を持ってきますんで、ゆっくりしててくださいね」

ジャン「…ん」

サシャ「それじゃ行ってきます!」



ジャン「…さて、俺も勉強すっか」パラパラ


ジャン「(…転落事故を起こした俺を、最初に見つけたのはサシャ)」

ジャン「(それを担いで、連れて帰ってくれたのはライナー)」

ジャン「(2人がトーマス達に会えたのは、本当に偶然だったようだ)」

ジャン「(…確かに近い所を通ることもある、とサシャは言っていたが…)」

ジャン「(あの2人がいなかったら、俺はどうなっていただろう)」

ジャン「(…想像したくもない)」

ジャン「(俺は上位に入って内地に行って…)」

ジャン「(内地に行って…)」

ジャン「(…その先、どうしたいんだろう)」

ジャン「(巨人から、より離れるための技術の高め合い…)」

ジャン「(…サシャは、どうするんだろう)」

ジャン「(俺達は、どうなるんだろう…)」



――― 昼休憩


エレン「…よぅ、入るぞ」ガチャ

ジャン「何だ、エレンか」

ミカサ「」

ジャン「…」

エレン「ジャン、昨日 雪山でぶっ倒れたんだってな」

ジャン「なっ!? 倒れたんじゃねえ! 落ちたんだ!!」

ミカサ「そう、エレン。 私は突風で飛ばされそうになったトーマスを庇ったと聞いた」

ジャン「そうだよ!」

エレン「そんなの知ってるって」

エレン「これ、アルミンから… 午前中の座学の内容の写し」スッ

エレン「多分マルコも写してるだろうが、一応重要箇所に 線引いてあるからって…」

ジャン「お、おお…」



ジャン「…アルミンは?」

エレン「今日は昼食の当番だ。 だから代わりに持ってきた」

ジャン「そうか…」

ミカサ「エレン、ジャンはまだ体が治ってない。 休ませてあげた方がいい」

エレン「ん、そうか。 …じゃ飯食いに行くか。 じゃあな ジャン!」

ミカサ「…お大事に」

ジャン「…ウン」

ガチャッ…

エレン「わっ!? サシャ!!」

サシャ「エレン!!」

サシャ「すみません、私 今 昼食を…」アセアセ



サシャ「あ…あの、昼食を持って来たんですが…」

ジャン「ああ…サンキュ」

ジャン「お前は? ここに持ってきて食えばいいのに」

サシャ「私は片付けの当番があるので…」

ジャン「今日の午後は何?」

サシャ「技巧です。 さすがに昨日の今日で、あまり体を動かすようなことは しないみたいですね」

サシャ「…私、そろそろ行きますね!」

サシャ「あ…っと、夕飯どうします?」

ジャン「多分、食堂で食う」

サシャ「そうですか!」ニコッ

サシャ「それじゃあ、また夕食で!!」

ジャン「…ん」



――― 夕食・食堂


サシャ「……それでユミル達は、結局リタイアになっちゃったんですか?」

ユミル「だって、ダズが2日目の昼に いきなり吐いてぶっ倒れてさ」

ユミル「そこから全然動けなくて、クリスタが寝袋に包んで移動したんだけど、毛虫みたいな速度でな」

ユミル「まあ、私達のせいじゃないから、減点にならなかった事は 有難いが…」

クリスタ「…ユミル、もう一度聞くけど…… あそこから、どうやって移動したの?」

ユミル「だから言ったろう? …内緒だ」

ユミル「それを言う時はお前が…」

クリスタ「?」

サシャ「…でも、無事だったんだから 良かったじゃないですか!」

サシャ「ダズも、2人も!!」

クリスタ「そうね… そういえば、ジャンも事故を起こしたんでしょう?」



サシャ「ええ… でも、もうかなり回復したようですが…」

サシャ「…あ」


ジャン「…アルミン、これ さっきエレンが持ってきてくれた、座学のノート」

アルミン「もう写したの?」

ジャン「俺は午後も暇だったしな」

ジャン「ミカサ、エレンは?」

ミカサ「夕食を取ってすぐ、倉庫掃除に行った」

ジャン「…そっか。 エレンにも、礼 言っといてくれ」

ミカサ「自分で言えば良い…」

アルミン「僕が言っておくから!」

ジャン「…ウン」



クリスタ「ジャンは、大分元気になったようね」

ユミル「ダズとはエライ違いだ…」

ユミル「あいつ、まだ寝込んでるぞ」

サシャ「フフ、それは丈夫に生んでくれた親に感謝しないといけないですね」ニコッ

サシャ「何せ、高い所から落ちた上に、吹雪に晒されていたんですから」

ユミル「救出したのはお前だと聞いたが?」

サシャ「それはライナーですよ!」

サシャ「そうだ… 私、借りた本を返しに図書室行って来ないといけないんで…」

サシャ「お先に失礼しますね!」

サシャ「あ、クリスタちょっと顔色悪いですよ! 今日は早めに寝てください!」

クリスタ「エ、…あ、うん…」



――― 翌日・訓練前


サシャ「おはようございます ジャン」

サシャ「今日から復帰ですね!」

ジャン「おぅ」

ジャン「午前は格闘か…」

ジャン「まあ、適当に流すとしよう」

サシャ「また…。 いいですけどね、別に」

サシャ「まだ無理はできないでしょうから」

ジャン「お前、誰と組むの?」

サシャ「今日はアニにお願いしてあります」

ジャン「そっか」



サシャ「それではアニ、お願いします!」

アニ「…アンタとやるの、あんまり気が進まないんだよね」ハァ

サシャ「エエ! ナゼです!?」ガーン

アニ「だって中々 当たらないし、掴めないし」

アニ「本当に避けるのばっかり上手になって…」

アニ「ちゃんと蹴り技の受け方なんかも教えたろ?」

サシャ「だ… だって、受けても痛いものは痛いし… スネとか」

アニ「アンタ目も勘も良いんだから、タイミング読んでカウンターで合わせにくることだって出来るのに」

サシャ「だってアニってば、更にかぶせて合わせてくるじゃないですか!」

アニ「そんな事言うなら、もう教えてやらない」プイ

サシャ「アッ! まっ、待ってください!!」

サシャ「やりますから! ちゃんと受けますからぁっ!!」


……ゴスッ

サシャ「……イッタァーイ!!」



サシャ「…イタタ、今日もきっとアザだらけですね」サスリサスリ

アニ「サシャはさ、性格が攻撃的でないから訓練では本気出せないのかもしれないけど…」

アニ「持ってるモノ自体は、すごくイイんだからさ」

アニ「まぁ… なかなか優秀な教え子だと思うよ」

サシャ「ホントですか!」パアァ

サシャ「アニ!」ダキッ

アニ「!!」

サシャ「…ここまで上達できたのも、アニのお陰です」

サシャ「…ありがとうございます」ギュ

アニ「……うん」



――― 休日


ジャン「(…この時期になってくると、外出する者は少なくなる)」

ジャン「(皆、卒業試験を意識し始めるからだ)」

ジャン「(今日は雨が降っているため、皆で図書室で勉強している)」



ミカサ「…エレン、また間違えてる」

エレン「え、そうか?」ゴシゴシ

エレン「んーと…」

ミカサ「そうではなく… 貸して」カキカキ…ポキッ

ミカサ「芯が折れた… エレン、替えを持っている?」

エレン「俺、持ってきてねえ」

ジャン「ミカサ、これ使え」スッ

ミカサ「ありがとう、ジャン」

サシャ「………」



コニー「…ダメだ、全然分かんねえ」

アルミン「コニー、ここはね…」

サシャ「…アルミンすみません… ちょっと教えてもらっていいですか?」

ジャン「俺に聞け。 どこだ?」

サシャ「…えっと、この問題なんですが…」

ジャン「何だ、そんなの前のページ見りゃ分かんだろ」

サシャ「………」

サシャ「………」

ライナー「どうした、手が止まってるぞ? サシャ」

ライナー「ああ… それは先に、こっちを解いてからやるといい」

サシャ「あっ、そうでしたか。 ありがとうございます」カキカキ



ジャン「…あれ? ミカサ、そこ違くないか?」

ミカサ「ああ… 本当」ゴシゴシカキカキ

ジャン「ハハ、ミカサでも間違える事あるんだな」

ミカサ「…恥ずかしい」

コニー「…ダメだ、やっぱり分からねえ」

アルミン「コニー、これの解き方もさっきと同じだよ」

サシャ「………」

サシャ「…あの…ジャン、次の問題って…」

ジャン「だから、前のページ見ろっての」

サシャ「………」

サシャ「………」ガタ

ジャン「どこ行くの?」

サシャ「…ちょっと、トイレなどに」



サシャ「……フゥ」テクテク

サシャ「(…図書室は息が詰まりますねぇ)」

サシャ「(今日は雨だから、馬にも乗れないし…)」

サシャ「(ちょっと顔でも洗いましょうか)」

…パシャパシャ

サシャ「(…少し スッキリしました)」ゴシゴシ

テクテク

サシャ「…あれ? アルミン」

アルミン「ん? サシャもトイレ?」

サシャ「私はちょっと顔を洗ってました。 あ、そうだアルミン」

サシャ「後で、分からない所教えてもらえませんか?」

アルミン「いいよ、僕なんかで良ければ」ニコッ

サシャ「あと、その… できれば、皆に内緒で…」



ジャン「(…例の雪山の一件で、ライナーの サシャを見る目は少し変わったらしい)」

ジャン「(以前はただ奔放で、食い意地が張った女だと思っていたようだが…)」

ジャン「(まあ… 付き合うまでは実際、俺もそう思っていたことは否定できない)」

ジャン「(ライナーのサシャに対する評価が変わった事は、嬉しい)」

ジャン「(とても嬉しい… が、その反面 複雑な気分になる)」

ジャン「(無論、ライナーは性的な意味でサシャを見ている訳ではないだろう)」

ジャン「(ライナーは人の女に興味を持つような男ではないし、信頼できる)」

ジャン「(…この気持ちが何なのか、俺にもよく理解できない)」



――― 馬術


サシャ「ウーン、久しぶりですねえ 馬に乗るの!」

ユミル「お前、この時間だけは本当に楽しそうだよな」

サシャ「だって、好きなんですもん」

クリスタ「あら? サシャの馬、まるでスキップしてるみたい」フフッ

サシャ「ああ… これは前に進まない、足踏みみたいなものですよ」

サシャ「早く走りたいっていう、私の気持ちが分かるんですかねえ」

ユミル「お、サシャも馬の気持ちが分かるようになったか?」

サシャ「逆ですよ。 馬が察してくれてるんです」

サシャ「今ならクリスタくらい、簡単に飛び越せそうですよ!」ニコニコ



ジャン「(…馬術の時間のサシャは、イキイキしている)」

ジャン「(並足も駆け足も、障害すらサシャには全く関係ない)」

ジャン「(真冬の風を受けながら、サシャは颯爽と駆ける)」

ジャン「(目を輝かせ、髪を揺らし、頬を染めながら)」

ジャン「(…この何ヶ月か、色んなサシャを見てきた)」

ジャン「(笑顔、泣き顔、寝顔…)」

ジャン「(心配そうな顔や怒った顔、それからベッドの中での顔も…)」

ジャン「(泣き顔は胸が痛むが、全部好きだ)」

ジャン「(でも、この嬉しそうに馬を走らすサシャが、多分 俺は一番好きだ)」

ジャン「(…本当に、好きなんだ)」



――― 夕食・食堂


サシャ「お待たせしましたぁー!」

クリスタ「珍しい、 随分遅かったのね」

サシャ「今日は久しぶりなのに、お馬さんに無理させてしまいましたから」モグモグ

サシャ「ブラッシングがてらのマッサージなどを念入りに…」モグモグ

ユミル「お前も結局、クリスタ並の馬好きなんじゃないか」

サシャ「だって、卒業後も 今の馬にはお世話になるでしょう?」ズズー

サシャ「酷使することになるかもしれないんですから、今のうちに恩を売っておかないと…」モグ

クリスタ「ウフフ、サシャったら…」



ジャン「」…ガタ



サシャ「…あっ、私もう行きますね!」ガタッ

ユミル「早ッ!!」



サシャ「……ジャ…」タタタ
サシャ「!」ササッ…

ジャン「…ミカサ、これ筆記用具…」

ミカサ「?」

ミカサ「…何故 私に?」

ジャン「こないだ、替え持ってなかったみたいだから…」

ジャン「年末に家から沢山持ってきたし… いらないなら、エレンにでもくれてやれよ」

ミカサ「…ありがとう」

ミカサ「…助かる…」



サシャ「(…思わず隠れてしまいました…)」

サシャ「(…これまで何度かあったけど)」

サシャ「(どうしてその度、私は隠れてしまうんでしょうか…)」

サシャ「(別に、悪い事をしている訳ではないのに…)」

サシャ「(…何だか、後ろめたい…)」

サシャ「(……後ろめたい?)」

サシャ「(…この気持ちは何なんでしょうか)」

サシャ「(私には、理解できない…)」



――― 立体起動訓練


サシャ「コニー! 競争しましょう!!」

コニー「おう! 的いっぱい削った方が勝ちな!!」

コニー「パンどうする?」

サシャ「もちろん賭けますよ!」

サシャ「ジャンもやりましょう!!」

ジャン「馬鹿か、俺はやらねえよ」

ジャン「お前ら、遊ぶのは勝手だけどな。 俺を巻き込むんじゃねえぞ!」

サシャ「…分かりましたよぅ」プクー



コニー「…よーし、スタートだ!!」パシュッ!

サシャ「ヒャッホーー!!」バシュッ

…ヒュゥーーーーン パシュッ ゴオォッ

ジャン「(……あった、あそこだ 俺が一番に…)」ゴオォ

ヒョーーーイ

コニー「…へっ、もーらい!」ヒュン…

ジャン「あっ! コニー てめえ!!」

…バシュッ!

サシャ「…ヤッタァー!!!」ピョーン

コニー「あーっ! サシャ!!」

コニー「ズリイぞお前!!」

ジャン「…お前ら! 俺の周りをチョロチョロするんじゃねえ!!!」



サシャ「……うぅ、負けた…」ガックリ

コニー「へへっ、どんなモンだ!」

ジャン「俺の獲物、かっさらった罰だろ」

ジャン「全く… 俺の行くトコ 行くトコ、ついてまわりやがって」

サシャ「パン… 私のパンが…」ウゥ

ジャン「…聞いてねえし」

コニー「半分返してやるよ」

コニー「前に俺が負けた時、半分返してもらったもんな」

サシャ「ホントですか!?」パアァ

サシャ「ああ… ここにも神が…」

ジャン「元気なのは構わねえがよ。 午後は座学だぞ?」

ジャン「はしゃぎ過ぎたからって、寝るんじゃねえぞ」

サシャ「……う」



――― 座学


ジャン「(立体起動か…)」

ジャン「(…サシャはいつも、どっから出てくるのか予想がつかないんだよな)」

ジャン「(後ろにいたと思ってたのに、気付いたら上にいたり…)」

ジャン「(まぁ、立体起動の成績は決して悪くないし)」

ジャン「(体 動かしてんのは楽しそうだからいいけどよ…)」

ジャン「(…案の定、眠そうにしてる)」

サシャ「……」フアァ

ジャン「(そんなでっけえアクビすんじゃねえ!)」

ジャン「(教官に見つかっちまうだろうが!)」

サシャ「……」カキカキ

ジャン「(おっと、俺もちゃんと写さねえと…)」カリカリ



サシャ「……うぅ、やっと終わりました」

サシャ「この時間だけは、本当に苦痛で苦痛で…」

アルミン「最後の方、こっくりこっくりしてたね」フフッ

サシャ「…お恥ずかしい//」

アルミン「サシャ、僕のノート貸そうか?」

アルミン「一応、大事だと思う箇所には印付けてあるし」

アルミン「今年に入ってからの内容は、全部そこに書いてあるから…」

サシャ「本当ですか!?」

サシャ「ありがとうございます、アルミン!!」



ジャン「…サシャ、アルミンにノート借りたのか?」

サシャ「え、ハイ」

ジャン「何だよ、俺に言えば貸してやるのに」

サシャ「あ… それならジャンの物も貸してもらえますか?」

サシャ「2つあった方がいいかもしれませんし…」

ジャン「…ん、ほらよ」スッ

サシャ「ありがとうございます」ニコ



――― 夕食後・部屋


サシャ「(…ウーム)」

サシャ「(人によって、これ程ノートの取り方が違うとは…)」

サシャ「(…アルミンは丁寧で細かいですねぇ)」

サシャ「(重要箇所に線を引いて、なぜ重要か まで書いてあります)」

サシャ「(ジャンのノートは…)」

サシャ「(見事に要点だけ… といいますか)」

サシャ「(単語が並んでる感じで… 矢印での説明書きがいっぱいです)」

サシャ「(しかし、これはジャンしか分からないのでは…)」

サシャ「(字は綺麗なんですけどねぇ…)」

サシャ「(私も人の事は言えませんが… )」

サシャ「(今日の後半の部分なんて、自分で読んでもチンプンカンプンです)」

サシャ「(ちゃんと写さないと…)」カリカリカリカリ



――― 翌日


サシャ「ジャン!」

ジャン「…ん?」

サシャ「あの… ノート、ありがとうございました!」

ジャン「ああ… もう写したのか?」

サシャ「エ… エエ、おかげ様で!」

サシャ「…なんというか その、すごく興味深かったです」

ジャン「フーン、 そうか…」

サシャ「では私、アルミンにもノート返してきますんで!」



サシャ「アルミン!」

アルミン「どうしたの? サシャ」

サシャ「…これ、昨日借りた…」スッ

アルミン「えっ!? もう写したの?」

サシャ「ええ… それであの…」オズ…

サシャ「…できれば去年の… 今期に入ってからの物があったら、お借りしたいんですが…」

アルミン「そんな事くらいワケないよ!」ニコッ

アルミン「僕も今は使ってないし…」

サシャ「…すみません、助かります」

アルミン「それなら昼の休憩か、夕食の時にでも渡すね」

サシャ「ありがとうございます!」パアァ



ジャン「…サシャ、今日の格闘は誰と組むんだ?」

サシャ「アニはエレンと約束があるらしくて、今日はライナーに頼んでますが…」

ジャン「…ライナーね」

サシャ「?」

ジャン「ま、いいんじゃねえの?」

サシャ「そうですか! ではまた後で!!」



ジャン「(ライナーねぇ…)」

ジャン「(ライナーはゴツイけど、兄貴みたいに優しくて頼りがいがあって…)」



サシャ「…ライナー! 今日はこちらから行きますよ!!」ササッ

ライナー「お! サシャから来るとは珍しいな。 来い!」サッ

サシャ「(…ライナーに掴まれたらダメです)」

サシャ「(まず接近させないように、長く早い突きで放して…)」

サシャ「…フッ!」 シッ シュンッ

ライナー「」…クッ クイッ

サシャ「(…避けられた。 まだ遠いんですかね… でも、もうちょっと詰めれば…)」

サシャ「」ビッ ビュッ

ライナー「」バッ! …ガシッ

サシャ「(う、腕を戻すと同時に入られ… 襟を掴まれて…)」

サシャ「…っく、まだまだ!」ヒュンッ …ゴッ!

ライナー「ウワッ!?」



サシャ「ああぁ ライナー! ごめんなさい大丈夫ですか!?」

ライナー「イテテ… 何だ? 今のは肘か?」

サシャ「すみません! 私、夢中で…」

サシャ「あぁっ 口の端、切れちゃった! 今、タオルを…!」アタフタ

ライナー「イヤ、これくらい構わん」

サシャ「でも…」

ライナー「ふむ…。 俺の掴んだ腕に水平にかぶせ、腕を振り抜いて…」

ライナー「俺の腕と顔が下がった所で、下から左肘か」

ライナー「大分やるようになったな」

サシャ「ホントすみません… 腫れないといいんですけど…」フキフキ


ジャン「」イラッ



ジャン「…ん? あれミカサ、相手いないのか?」

ミカサ「……」

ジャン「ああ… 今日エレンはアニと組んでるし、ベルトルトの相手はマルコだし、ライナーもいないもんな」

ジャン「んじゃ俺と組むか」

ミカサ「でも、ジャンとでは…」

ジャン「まぁ サボッてると思われるよか、マシだろ。 やろうぜ」

ミカサ「それなら…」



サシャ「」チラッ



ライナー「…ここまで成長したんだったら、少し俺の本気を見せてやろうか」

サシャ「ライナーの本気ですか?」

ライナー「ウム、 構えろ」…ググッ

サシャ「エ… ひ、低ッ!!」

ライナー「行くぞ!」ザザザッ

サシャ「エェッ!? ひ…低過ぎます!!」ササッ

サシャ「(これじゃ、突きも蹴りも… )」

ライナー「…ヨッ」パシッ

サシャ「あ、足首… ひゃあっ!!」コテッ

ライナー「ハハ! 後ろ走りじゃ不安定だぞ!」

ライナー「本当なら、ここから持ち上げてしまってだな」

ライナー「後はブン投げるなり、叩き付けるなりできるんだが、それは勘弁してやろう」

サシャ「…フフ、これまでもずっと手加減しててくれてたんですもんね」

サシャ「ありがとうございます、ライナー」



ライナー「…悪い、タオルは洗って返す」

サシャ「えっ? いいですよ、そんなの」

ライナー「イヤ、洗って返す」



ジャン「」…イライラ

ミカサ「…ジャン 危ない!」

…ゴスッ

ミカサ「だから言ったのに…」

ジャン「…スマン」イテテ

ミカサ「…ジャンも決して弱くはないのに、集中力が足りない」

ジャン「……」



――― 夕食前


アルミン「…サシャ、これ 持ってきたよ!」

サシャ「アルミン! ありがとうございます!!」

アルミン「僕はもう、全部頭の中に入ってるから…」

アルミン「返してくれるのはいつでもいいからね!」ニコッ

サシャ「うぅ… この世になんて神の多いことか…」ウル

サシャ「明日は休みですし、頑張って写します!」



――― 休日・朝 食堂


サシャ「…今日も、ユミルとクリスタは部屋でお勉強ですよね?」

ユミル「多分な」

クリスタ「サシャは図書室で?」

サシャ「私は借りたノートがあるので、できれば部屋で写すのに専念したいんですが…」

ユミル「なら、部屋でやりゃいいだろう?」

サシャ「そうですねぇ…」



ジャン「…サシャ!」

サシャ「ハ… ハイ!?」

ジャン「メシ食ったら、後で図書室来いな!」

サシャ「え… でも、今日は部屋で…」

ジャン「お前、目ェ離したらサボるかもしれないだろ」

サシャ「……う」

サシャ「…分かりました」


ユミル「…呼び出し食らっちまったな」

サシャ「うぅ… サボらないのに…」



――― 図書室


コニー「…だから、サッパリ分かんねえっての」

ライナー「うーむ、コニーに教えるのは難しいな…」

エレン「…あっ そうだ! ジャン、筆記用具ありがとな!」

エレン「今の時期、なかなか街にも出られないし、助かったぜ!」

エレン「な、ミカサ」

ミカサ「えぇ、とても…」

ジャン「…そっか、なら良かった」

サシャ「………」



サシャ「ア…アルミン…」ガタ

ジャン「どこが分からない?」

サシャ「…あの、これが…」

ジャン「問題、最初っからちゃんと読めば分かるだろ」

サシャ「………」

サシャ「………」

アルミン「サシャ、ここはこの公式を当てはめればいいと思うよ?」

サシャ「ああ… なるほど」カキカキ

ベルトルト「…ライナー、自分の分が全然進んでないよ?」

アニ「コニーに教えるのに一生懸命なんだろ」



コニー「…大体、何でこんなこと勉強しなきゃならねぇんだ?」

ライナー「そりゃ必要だからだろう、色々と…」

コニー「だって壁上兵器なんて扱うの、ほとんど駐屯兵だけだろ?」

コニー「俺、憲兵になるんだからよ」

アニ「まだ、なれるか分からないでしょうに…」

ベルトルト「全部の武器を使いこなせての憲兵なんじゃないかな」

コニー「そっか… そうだな!」

サシャ「………」



エレン「そういえば、また今度 座学でレポートの課題が出るって言ってたな」

アルミン「まだテーマは教えてもらってないけどね」

ミカサ「エレンのレポートはいつも短すぎる」

エレン「あれは無駄を省いてるだけだ」

ミカサ「エレンのは省き過ぎ…」

ジャン「ハハッ」

サシャ「………」ガタ

ジャン「どこ行くの?」

サシャ「……ちょっと」



サシャ「……フゥ」テクテク

サシャ「(やっぱり… 図書室は息が詰まって…)」

サシャ「(今日は晴れてる…)」

サシャ「(少し… ほんの少しだけ…)」タタッ


――― 厩舎


サシャ「元気にしてましたか? お馬さん」ナデナデ

サシャ「ちょっとだけ、お散歩でもしましょうか?」

サシャ「お馬さんだって、繋がれてるのはイヤですよね」

馬「」ヒヒーン

サシャ「フフ…」



サワサワサワ…

サシャ「(…風が冷たくて気持ち良い)」

サシャ「(どうして私は…)」

サシャ「(どうして皆みたいに、座ってじっくり物を考えるということができないんでしょうか…)」

サシャ「(コニーだって頑張ってるのに)」

サシャ「(あそこは何だか居心地が悪くて…)」

サシャ「(休暇中にジャンと2人で図書室にいた時は、何も感じなかったのに…)」

サシャ「(私、一体どうしてしまったんでしょう…)」



サシャ「(…マズイ!)」

サシャ「(もうお昼じゃないですか!)」

サシャ「(私ったら… ほんの少しだけのつもりだったのに…)」

サシャ「(図書室の窓…)」ソーッ

サシャ「(皆いない…)」

サシャ「(ジャンだけ…)」ドキ

サシャ「………」

………カチャ

ジャン「…サシャ、どこ行ってた?」ムスッ

サシャ「す… すみません… 私」オドオド

ジャン「どこ行ってたのかって、聞いてるんだ」

サシャ「あの… ちょっと気分転換をと思ったら… その…」

ジャン「真面目にやらない奴に、気分転換なんか必要ねえだろ!」
サシャ「」ビクッ



ジャン「誰のためにやってると思ってんだよ!」

サシャ「ゴ、ゴメンナサ」
ジャン「謝れなんて、言ってねえ!!」バンッ
サシャ「」ビクゥッ

サシャ「…だ… だって… 分からなくて…」

ジャン「分からねえなら、ちゃんと聞けって言ったろうが!」

サシャ「だって… ジャン、怖くて聞きづらくて…」ジワァ

サシャ「よく読めとか、前の問題見ろとか… それじゃ私、分からなくて…」

ジャン「アルミンやライナーなら分かるってのか」

サシャ「………」

ジャン「格闘ン時だって、ライナー相手にヘラヘラしやがって」

サシャ「別にヘラヘラなんかしてません!」

ジャン「昨日のメシの前にも、アルミンとコソコソ何かやってたろうが!」

サシャ「コソコソって… 私は、ただノートを…」

サシャ「……」キュッ


サシャ「…何でそんな風に見るんです?」

サシャ「皆、仲間じゃないですか」

ジャン「そりゃそうだけどよ!」

サシャ「それを言うなら、そもそも(…嫌だ、言いたくない)」

サシャ「私は…ジャンとは違います(言いたくないのに…)」

サシャ「ずっと、ミカサを想ってきたジャンとは全然違います!!」

ジャン「なっ! 何でそこでミカサが出てくんだよ!」

サシャ「私はあなた以外、他の誰に対しても特別な感情を持った事はありませんが…」

サシャ「誰かに教わってはいけないと言うなら、1人でやります」

ジャン「んなコト言ってねえだろ!」

サシャ「少しは、私の事を信用して下さい。 …もう行きます」クル

ジャン「ちょっと待てっての! 勝手に話、終わらせんじゃねえ!!」ガシッ

サシャ「抜け出したことは謝ります。 私、1人でもちゃんとやりますから…」

サシャ「すみません。 お願いですから、しばらく1人にして下さい…」

ジャン「………」



――― 部屋


サシャ「…ただいまでーす」ガチャ

クリスタ「お帰りなさいサシャ、遅かったのね」

ユミル「今から食堂か?」

サシャ「ええ… アレ? どこかお出掛けですか?」

クリスタ「ウン。 天気良いし、少しお散歩して来ようかと思って」

ユミル「お前は昼 食べたらまた図書室か?」

サシャ「イエ、 午後は部屋でやろうかと思って」

クリスタ「そう、 じゃ行って来るね!」

サシャ「行ってらっしゃーい」フリフリ



サシャ「(何だか食欲がありません… もういいや、お昼…)」

サシャ「…それじゃ、このまま始めちゃいましょうか」

サシャ「(1人でやるとは言ったけど、アルミンに借りたノートだけは写さないといけませんからね)」

サシャ「…うわ」

サシャ「(さすがに去年の分は、すごい量ですねぇ)」

サシャ「(これは1日2日ではとてもとても…)」

サシャ「………」カキカキカキ

サシャ「(ジャンを怒らせてしまいました…)」

サシャ「(せっかく教えてくれてるのに、無理ないですね)」

サシャ「(私… 何でこんなにダメなんでしょう)」

サシャ「(……でも、分かった)」



サシャ「(そうだ分かった… あの後ろめたい感じ…)」

サシャ「(…私、ミカサに嫉妬してたんですね…)」

サシャ「(ミカサ…)」

サシャ「(ジャンの大好きなヒト…)」

サシャ「(…綺麗な黒髪)」

サシャ「(強くて、綺麗で賢くて…)」

サシャ「(優しくて冷静で、真っ直ぐで…)」

サシャ「(……私には、何もない)」

サシャ「(ジャンが望むもの… 私は何も持ってない…)」

サシャ「(ミカサの事、大好きなのに…)」

サシャ「…う…っ、ヒック…」ポロポロ



サシャ「(自分にこんな汚い感情があったなんて)」

サシャ「(…いつの間にか、こんなに欲張りになっていたなんて)」

サシャ「(ジャン……)」

サシャ「(ジャンが許してくれるのなら、どこへでも付いていきたい)」

サシャ「(2人で肩を並べて戦いたい)」

サシャ「(ジャンの背中を守れるようになりたい…)」

サシャ「(…それだけだったのに)」

サシャ「………」ボロボロボロ

サシャ「(…私はやっぱり駄目なんでしょうか)」

サシャ「(……お父さん…)」



サシャ「(…帰りたいとは思わない)」

サシャ「(……森と、山と湖と…)」

サシャ「(鳥の羽ばたき… 鹿の鳴く声… 早朝の緑…)」

サシャ「(…父と2人で獣を追い)」

サシャ「(夏は湖で魚を釣り、 冬は窓辺でしんしんと降る雪を眺め…)」

サシャ「(…年に一度のお祭りでは、皆で火を囲って歌を歌って)」

サシャ「(大きな炎はまるで夜空を焦がすようで)」

サシャ「(もう、帰る事はないのかもしれないけれど)」

サシャ「(あの頃と同じ故郷は、もうないのかもしれないけれど)」

サシャ「(ただ 私は…)」

サシャ「(あの小さな世界が私の全てだった頃がただ… 時々、無性に懐かしくなるんです)」

サシャ「………」ポロポロポロ



ジャン「(サシャ… 食堂来なかった)」

ジャン「(飯ちゃんと食ったのかな…)」

ジャン「(さっき… 泣き出すかと思った)」

ジャン「(けど……)」

ジャン「(…目も 合わせなかったな)」

ジャン「(…悲しそうな顔してた)」

ジャン「(あんな顔… 見た事ない)」

ジャン「(俺… サシャのこと、すげえ大事なのに…)」

ジャン「(何で俺… あんな言い方しかできないんだろう)」

ジャン「(あんなに怯えさせて…)」

ジャン「(1人にしてくれだって?)」

ジャン「(嫌だ、1人になんてしたくない)」

ジャン「(サシャ…)」



クリスタ「ただいまー!」ガチャッ

サシャ「お帰りなさい2人とも!」

クリスタ「今日は風もなくて、いいお天気だったよ!」

クリスタ「サシャはずっとお勉強してたの?」

サシャ「エエ」

ユミル「サシャ、目ェ赤いぞ。 どうした?」

サシャ「…ちょっと頑張りすぎて目が疲れました」

サシャ「慣れない事するのは大変です」

サシャ「私、今日は先にお風呂入っちゃいますから!」



--- 風呂


チャプ…


サシャ「(お腹… 空きました)」

サシャ「(でも、食堂行きたくない)」

サシャ「(私の顔、見られたくない…)」

サシャ「(こんな情けない顔、誰にも見せたくない…)」ブクブク…


サシャ「ハァー! 行きますか!!」

サシャ「試験まで頑張らないと!」



――― 夕食・食堂


マルコ「…どうしたの ジャン、何か疲れてそうだけど」

ジャン「何でもねえ… 今日はちょっと字を見過ぎた」

ジャン「そういやマルコは、今日ドコ行ってたんだ?」

ジャン「ずっと部屋にもいなかったしよ」

マルコ「僕はミーナに頼まれて、講義室でずっと彼女に教えてたんだ」

ジャン「へーえ」

マルコ「人に教えるのっていいね。 何だか改めて、自分が理解し直せるような気がするよ」

ジャン「…そんなモンか」



ジャン「(サシャ、飯 食ったらすぐ出て行った…)」

ジャン「(普通にクリスタ達と話してたけど…)」

ジャン「(こんな気まずい感じ… 前にもあった)」

ジャン「(一見にこやかに話してるのに、全く入り込めない…)」

ジャン「(そういう時は… ただ無機質な瞳で、俺を寄せ付けないんだ)」



――― サシャ達の部屋


クリスタ「…サシャ、また勉強?」

サシャ「これまで怠け過ぎていたバツですよ」

サシャ「…最後の試験まで、もう間もないですからね」カキカキ

サシャ「今からでも、ちゃんとやらないと…」



ユミル「…サシャ、 もう消灯時間だぞ」

サシャ「あっ…ああ、そうですね! 今 消しますから!!」

サシャ「すみません、いつまでも明かり付けてて…」…カチッ

サシャ「おやすみなさい!」

クリスタ「お休みサシャ」

ユミル「………」



クリスタ「」スー

ユミル「」スー

サシャ「(もう… 大丈夫でしょうか)」モゾ… ゴソゴソ

サシャ「(明かりと毛布とノート… 筆記用具)」

サシャ「(すみません、ちょっと行ってきます…)」

………カチャ…



サシャ「(…そーっと、そーっと)」ヒタヒタ

サシャ「(どこでやりましょうか…)」

サシャ「(…寮の中では、教官が見回りに来るかもしれませんねぇ)」

サシャ「(…そうだ、講義室横の準備室なら…)」

サシャ「(机もあるし、近いし…)」ヒタヒタ


――― 準備室


サシャ「(…明かりを置いて、と)」

サシャ「(寒ッ… 毛布持って来て良かったです)」

サシャ「(頑張らなきゃ…)」カリカリカリカリ…



――― 翌日夕食・食堂


サシャ「………」

クリスタ「どうしたの、サシャ?」

サシャ「ご飯が… 足りなくて…」グテ

サシャ「保存食は切れてしまって…」

サシャ「試験が終わるまでは、街にも狩りにも行けないし…」

ユミル「一日くらい、行って来りゃいいじゃないか」

サシャ「ダメです!!」ガバッ

サシャ「今はそれどころじゃないんです!」

サシャ「…という訳で、先に部屋に戻ってお勉強しますんで」ガタ

サシャ「それじゃ!」



サシャ「……」カキカキカキ

サシャ「(ウーム… やっぱりすごい量ですねぇ)」

サシャ「(アルミンはこれが全部、頭に入っていると…)」

サシャ「(私はまだ書き写してるだけですから、終わったら今度はこれを覚えないと…)」


……ガチャッ


ユミル「…おっ、やってるなサシャ」

ユミル「今までこんなに机に座ってたことないんじゃないか?」

サシャ「フフ、私は生まれ変わったんですよ」

サシャ「あ、でも消灯にはちゃんと終わらせますから」


――― 消灯後


クリスタ・ユミル「」スヤスヤ

サシャ「…」ソーッ



――― 格闘訓練


サシャ「……」ポツン

ライナー「どうしたサシャ、相手がいないなら組んでやろうか?」

サシャ「イ、イエ… 今日はその…」

ライナー「そうか、まあ困ったらいつでも言えよ」

サシャ「すみません…」

ジャン「(サシャ… 俺がこないだあんな事言ったから)」

サシャ「……」ウロウロ

ジャン「…サ」タッ
ユミル「何だサシャ、今日は1人か?」

クリスタ「それなら3人でやろうよ! ね?」ニコッ

サシャ「あっ、ありがとうございます」…ホッ

ジャン「」



ジャン「(…あれから全然サシャと喋ってねえ)」

ジャン「(俺がくだらないコト言ったから…)」

ジャン「(あんな縛り付けたら、誰だって逃げ出したくなるの 当たり前じゃねえか…)」

ジャン「(…サシャが分からないなら、分かるまで丁寧に教えてやれば良かった)」

ジャン「(俺は自分が分かる事なら、人もそうだろうと勝手に思って…)」

ジャン「(…1人になりたいって、いつまでだ?)」

ジャン「(早く話したい…)」

ジャン「(お前の笑顔が見たい)」

ジャン「(…その肌に触れたい)」



――― 数日後・準備室


サシャ「(…やっと …終わった)」パタン

サシャ「(後少しと思って 全部終わらせたけど…)」

サシャ「(もう夜が明けてしまいそうです)」

サシャ「(早く戻らないと…)」

サシャ「(今日の午前は座学…)」

サシャ「(居眠りする訳にはいきません)」

サシャ「(今夜は少し眠れる…)」

サシャ「(…明日は休み)」

サシャ「(今日寝たら… また明日から頑張りましょう)」


――― 夕食・食堂


クリスタ「…ねぇ、サシャ大丈夫?」

クリスタ「すごく顔色悪いよ?」

サシャ「エ… ああ、平気ですよ」

サシャ「今日、座学でまた課題が出たじゃないですか」

サシャ「あれをやること考えたら、ちょっと鬱で…」

クリスタ「トロスト区の襲撃を想定した作戦のレポートね」

ユミル「…サシャ、今夜は何もせず大人しく寝ろよ」

ユミル「ホント、紙みてえな顔色だ」

サシャ「大丈夫、今夜はちゃんと寝ますよ」

ユミル「絶対だぞ?」

サシャ「エエ。 でも、その前に立体機動装置の点検をしておかないと…」

サシャ「午後の立体機動の訓練の後、やってないのは私だけでしょうから」


………ガッシャーーーン!



エレン「……この敗北主義者が!!」

ジャン「俺は敗北主義者じゃねえ! 誰よりも現実を見てるだけだ!!」

ジャン「見ろよ! 誰もお前に賛成なんかしねえ!!」

エレン「なら、さっさと行けよ内地に!!」ガシッ

ジャン「お前こそ、さっさと壁の外行け! 大好きな巨人が待ってんだろ!!」ガシッ



ユミル「…あーあ、また始まった」

ユミル「ここしばらくは2人とも大人しかったのに…」

クリスタ「サシャ… 騒いだらマズイよ」オロオロ

サシャ「フフ、止めるんですか? 私が?」

ユミル「…」

サシャ「すぐ… 収まりますよ」



ミカサ「……」フゥー

ミカサ「…2人とも、いい加減にして」

エレン「!」
ジャン「!」

ミカサ「ここ数ヶ月は喧嘩もないから安心してたのに…」

ミカサ「ジャン、エレンを焚き付けるのはやめて」

ミカサ「エレンも。 いちいち熱くならないで」

エレン「だってジャンが!!」

ミカサ「…エレン」

エレン「……」

ジャン「…チッ」



サシャ「…ほら、終わりました」

サシャ「それじゃ私、装置の点検に行ってから部屋に戻りますから」ガタッ

ユミル「……」



ライナー「…クリスタ、サシャはどうした?」

クリスタ「あ、エット… 食べ終わって、もう出て行っちゃったんだけど何か?」

ライナー「…この間の格闘訓練の時に、サシャのタオルを汚してしまってな」

ライナー「洗濯も終わったんで、返しに来たんだが…」

クリスタ「それなら後で渡しておくね!」ニコッ

ライナー「うむ…」

ユミル「…何だ、ライナー。 まだ何かあるのか?」

ライナー「イヤ、大した話じゃないんだが… この前の雪山訓練の事でな」

クリスタ「ジャンの事故の件?」

ユミル「アンタが助けたって聞いたぞ、ライナー」

ライナー「俺が? 確かに最後に担いでったのは俺だが、見つけたのはサシャだぞ」

ライナー「ジャンを探して、俺達の待つ所まで連れ戻してきたのはサシャだ」



ライナー「その後の対処も、近道である、夏道を案内してくれたのもサシャだ」

クリスタ「そうだったの…」

ライナー「…何と言ったらいいのか、よく分からんのだが…」ウーム

ライナー「…サシャは、危機に対する察知能力に長けている気がするな」

ライナー「それを回避する能力にも…」

ユミル「…ハ?」

ライナー「クリスタやユミルのいた山では分からんが…」

ジャン「ジャンが転落した時間帯は、ひどい風と吹雪でな」

ユミル「ああ…」



ライナー「その頃、俺達はサシャの言う通り、テントを張って休憩していたんだ」

ライナー「最初は、何をテントを張ってまで… と思ったのだが」

ライナー「結果的に、あそこで余計な体力を消耗していなかったことで、ジャンを助ける事ができたのだと思う」

ライナー「俺は勿論、サシャやハンナもな」

ライナー「サシャは そこにいるだけで周囲の空気を明るくし、また人をよく気遣う」

ライナー「そして大抵の人間は、サシャに気遣われている事にも気付かないんじゃないだろうか」

ライナー「本当は辛い訓練のはずなのにな。 …ハハ、まるでピクニックでもしてるような気分だったぞ」

ライナー「その礼も合わせて言おうかと思っていたんだ」

クリスタ「うん… ウン、そうなの!」

ライナー「ついでに御馳走になった肉と蜂蜜の礼もしといてくれ」

ライナー「それじゃあな」



――― 部屋


…ガチャッ

クリスタ「ただいまサシャ! さっき、ライナーが…」

クリスタ「…あれ? サシャまだいない…?」キョロキョロ

ユミル「先に寝てるワケでもないみたいだな」

クリスタ「装置の点検くらいなら、もう戻っててもいいのに…」

クリスタ「…ねぇ、ユミル?」

ユミル「見に行ってみるか?」

クリスタ「ええ!」



クリスタ「…ユミル、早く!」タタタ

ユミル「分かってるって」タタッ

クリスタ「あ、保管庫… 扉が開いたままで、まだ明かりが…」

ユミル「まだ、中にいるのか?」


――― 立体機動装置・保管庫


クリスタ「サシャ… どこ?」キョロキョロ

ユミル「クリスタ、あそこ!」

サシャ「」



クリスタ「サシャ!!」ダッ

クリスタ「サシャ、どうしたの!?」ユサユサ

ユミル「クリスタ、どけ!」

ユミル「サシャ… サシャ?」ペチペチ

サシャ「」

ユミル「駄目だ、意識が無い…」

ユミル「クリスタ、このまま部屋まで運ぶぞ」

クリスタ「うん!!」



――― 部屋


サシャ「………ん…」

クリスタ「サシャ!?」

サシャ「…私… あれ…?」

クリスタ「サシャー!!」ブワッ

サシャ「クリスタ… 私、装置の…」

クリスタ「保管庫で倒れてたんだよ! 良かったサシャ!」ウエェーン

ユミル「時間が時間だったから、医務室じゃなく部屋に運んだんだが…」

ユミル「倒れた理由も 大方予想がつくしな」

サシャ「……」

ユミル「寝不足からくる疲労…」



ユミル「…お前、最近夜中いなかったろう」

ユミル「私達が寝た後、部屋抜け出して…」

サシャ「……」

ユミル「気づかないワケないだろ!」

ユミル「…何か事情があるのかと黙ってたんだが、体壊すまでやるなら話は別だ」

ユミル「ちゃんと話してもらうぞ」

サシャ「あの、借りたノートを書き写してて…」

サシャ「アルミンの… は、早く返さなくちゃと思って…」



ユミル「…本当にそれだけか?」

サシャ「それだけです。 あっ… で、でも もう終わったので!」

サシャ「もう無茶しませんから! ちゃんと寝ますから…」

サシャ「…ジャンには言わないでください」

サシャ「お願いです」

ユミル「………」

サシャ「すみません… 迷惑かけて」

クリスタ「違うでしょサシャ!」

クリスタ「迷惑じゃない! 心配なの!!」ギュッ

サシャ「クリスタ…」

ユミル「…お前を部屋に運ぶのは、これで2度目だな」

ユミル「…2度目の恩は、高くつくぞ」

サシャ「ハ… ハイ」

ユミル「もういい、早く寝ろ」



サシャ「(…情けない)」

サシャ「(こんなことくらいで倒れるなんて…)」

サシャ「(自分の体調管理もできない… 1人では 何もできない人間だと思われるのはイヤ…)」

サシャ「(…私、ちゃんとやりますから)」

サシャ「(どうか嫌いにならないでください…)」

サシャ「(…ジャン)」

サシャ「……」

サシャ「」スーー



――― 翌朝・休日 食堂


サシャ「…昨日は本当にすみませんでした」

サシャ「おかげで寝たらスッキリしました」モグモグ

クリスタ「もう無理しちゃダメよ、サシャ」

サシャ「ハイ!!」


………ギイイィィ


キース「…サシャ・ブラウスはいるか?」

サシャ「エ… あ、ハイ!」バッ

キース「食事が済んだら、教官室に来い」

サシャ「しょ… 承知しました!」



ユミル「…今度は何しでかしたんだ、サシャ?」

サシャ「心当たりはないんですが…」

サシャ「また走らされるんでしょうか…」

サシャ「…うぅ、気が重い」

サシャ「仕方ない… 怒られに行ってきます」トボトボ


ユミル「クリスタ、先に部屋に戻っててくれるか?」

ユミル「私は少し用事があるから…」

クリスタ「分かった。 じゃ、先行くね!」ガタ


ユミル「……」ガタッ スタスタ

ユミル「…ジャン、ちょっといいか?」

ジャン「ん… ああ」

ジャン「外、出るか…」ガタ



ユミル「…大体分かってるとは思うが… サシャと何があった? 最近、全然一緒にいる様子を見ないが」

ユミル「2人の問題だし… 私も、もうあまり口は出したくないんだがな…」

ジャン「…アイツに聞けばいいだろ」

ユミル「サシャは… いつだって肝心な事は話さないんだよ」

ユミル「…そうして心を閉ざして、人を締め出してしまうんだ」

ジャン「……」

ジャン「…しばらく、1人にしてくれって言ってた」

ユミル「サシャがか!?」

ジャン「でも、それは俺が悪いんだ…」



ユミル「………」

ユミル「…それは… ひょっとして、ただの焼き餅ってヤツじゃないのか?」

ジャン「返す言葉もない…」

ユミル「それでお前はサシャと話せず、苛々してエレンとケンカって訳か」

ユミル「言っちゃ悪いが… 人の好意の上にアグラかいて 傲慢になってく男は見苦しいぞ、ジャン」

ジャン「俺はそんなんじゃねえよ!!」

ジャン「俺の教え方が悪かったってのも分かってるし…」

ユミル「サシャはお前が悪いなんて思ってないだろうよ」

ユミル「ただ、ひたすら自分を責めて、自分自身を追い詰めていく」

ジャン「……」

ユミル「……だから、あんなになるまで」

ジャン「あんなって何だよ?」ズイッ



ユミル「サシャに口止めされてんだよ。 ジャンには言うなってな」チラッ

ジャン「言いかけたんなら教えてくれよ、頼むから!」

ユミル「……昨日の夜、倒れたんだ」

ジャン「!!」

ユミル「夕食の後、立体起動装置の点検に行って…。 クリスタと2人で部屋に運んだんだが」

ジャン「な… 何でだよ!?」

ユミル「ここしばらく… 多分こないだの休みからだろうが、 私達が寝た後に夜中抜け出して、1人で勉強してたらしい」

ユミル「毎日、戻ってくるのは明け方近くでな。 …疲労が重なったんだろうさ」

ジャン「何でそんな…」

ユミル「さあな」

ユミル「…しかし、ジャンはともかく… サシャの方は大分 根が深そうだ」

ジャン「どういう意味だ?」



ユミル「…ミカサのこと言ってたんだろ?」

ジャン「あ、ああ…」

ユミル「ジャンはミカサが大好きだったからな。 そりゃ意識しないハズないだろうよ」

ジャン「でっ…、でも今は!」

ユミル「あー 分かった 分かった」

ユミル「…サシャはさ、自分の事… 何の取り得もない人間だと思ってるんだ」

ユミル「年明け早々、ジャンが寝込んでた時かな。 …そう言ってた」

ユミル「だから、お前に尽くすのは当たり前なんだと」

ジャン「そんなコト、ある訳ねえだろ!!」

ジャン「だってあんな女… あんな…」

ユミル「…なら、口に出してそう言ってやれ」

ユミル「お前は無価値なんかじゃないんだと。 …自分に必要な人間なんだと」

ユミル「誰かと比べる必要なんてない… と、そう言ってやればいいさ」

ジャン「………」



――― サシャ達の部屋


サシャ「戻りましたよー」ガチャッ

クリスタ「お帰りサシャ、教官の話って何だったの?」

サシャ「とりあえず、走らされる事はなかったです」

サシャ「よく分かりませんが… お茶、御馳走になりました」

クリスタ「エエェ!? あの教官が?」

サシャ「…あれ? ユミルは?」

クリスタ「用事があるからって、外に出てるよ」

サシャ「そうですか。 あ、私もちょっと本を借りに行ってきますんで!」

サシャ「ついでに返せたら、アルミンにノート返してきます」

サシャ「お昼には戻りますから、それじゃ!」



――― 図書室


サシャ「」ソーッ… コソコソ

…カチャ

サシャ「」キョロキョロ

サシャ「…あ! アルミン!!」タタッ

アルミン「サシャ?」

サシャ「アルミン、これ… ありがとうございました!」

アルミン「エェ! もう写したの!?」

サシャ「ハイ、とりあえず 写すだけは何とか…」

サシャ「ホント助かりました。 後は自分で何とかできますから」

アルミン「そう? …困った事があったらいつでも言ってね?」ニコ

サシャ「ハイ!」ニッコリ



サシャ「(…アルミンにノート返せて良かった)」

サシャ「(でも、レポート用にと思って、ついつい本を借り過ぎましたねぇ…)」ヨイショ

サシャ「(他に借りたい人もいるでしょうから、早く読んでしまわないと…)」

サシャ「(写したノートの内容も覚えないといけないし、中々忙しい)」

サシャ「(…もうお昼)」

サシャ「(ササッと食べて、始めちゃいましょう)」トコトコ

サシャ「(とりあえず、本を部屋に置いて…)」



ジャン「(…ん、 あれサシャか?)」

ジャン「(あんなに本抱えて… あ、女子寮入っちゃった)」

ジャン「」ズゥーン…



ジャン「(サシャ… 結局、食堂でも会えなかった)」

ジャン「(どんだけ早食いなんだよ)」


ジャン「(……サシャに取り得がないだって?)」

ジャン「(そんなワケない)」

ジャン「(だってあんなに綺麗だし、明るくて優しくて料理は上手で…)」

ジャン「(一途で、雪山では一生懸命俺を探してくれて、強くて頑張り屋で)」

ジャン「(一緒にメシ食ってると、こっちまで幸せな気分になって)」

ジャン「(馬を走らせてる時なんか、キラキラ瞳 輝かせて)」

ジャン「(時々 怒ったり泣いたりするけど、それがまた可愛くて…)」

ジャン「(良いトコ挙げたらキリねえぞ)」



ジャン「(…………待てよ)」



ジャン「(…俺、一度でもアイツにちゃんと好きって言ったか?)」

ジャン「(胸が好き… とは言った)」

ジャン「(可愛いとか綺麗とかエロいとか…)」

ジャン「(よく考えたら俺… セックスの時にしかサシャの事、褒めてなくないか?)」

ジャン「(……最悪)」

ジャン「(俺… 最低)」

ジャン「(これじゃまるで、体目当てみたいじゃねえか)」

ジャン「(…今すぐ抱きしめて言ってやりたい)」

ジャン「(お前が大好きだと)」

ジャン「(…誰よりも大事なんだと)」

ジャン「(明日… 明日必ず…)」



――― サシャ達の部屋


クリスタ「…サシャ、私達お風呂行くけど 一緒に行かない?」

サシャ「私はもうちょっと… キリのいい所までこの本を読んだら行きますんで、どうぞ先に行っててください」

クリスタ「そう? じゃあ、先に行くね」

ユミル「メシの前には風呂入れよ」

サシャ「分かってますって」

サシャ「もう2~3ページですから」



サシャ「……フゥ」パタン

サシャ「(真面目に読むと結構かかりますねぇ…)」

サシャ「(お風呂行きましょうか)」

サシャ「エート…、 シガンシナ区の例では…」ブツブツ



――― 風呂


サシャ「お待たせしましたー」ガララ

サシャ「お、今日もいい湯加減ですねえ」ザッパザッパ

サシャ「先に体洗わないと …ん?」

ミカサ「…クッ、腕が…」

サシャ「ミカサ、どうしたんですか?」

ミカサ「今日… 自主錬でエレンを背中に乗せて、右手の親指で指立てしてたら腕が思うように上がらなくなった…」

サシャ「うはぁー、ミカサはスゴイですねぇ… でも腕が上がらないなら、背中流しましょうか?」

ミカサ「…悔しい… けど、できればお願いしたい」

サシャ「フフッ、構いませんよ」

ゴシゴシ…

サシャ「(ミカサ… 背中スベスベでとっても綺麗ですねぇ…)」ゴシゴシ

ミカサ「…サシャ、ありがとう。 後は大丈夫」



サシャ「ふぅ…」チャプン

サシャ「お風呂は良いですねえ… 癒されます」

ユミル「なんかオッサンみたいだぞ?」チャプ

クリスタ「ユミルー、私 のぼせちゃうから先に上がるね!」ガラッ

ユミル「おーぅ」

サシャ「…オヤ? もう皆 上がってしまいましたね」

サシャ「ユミルはのぼせないんですか?」

ユミル「私は風呂好きなんだよ。 風呂は堪らんね」

サシャ「フフ、ユミルの方がオッサンぽいですよ」



ユミル「…今日、教官室で何を話したんだ?」

サシャ「んーと… お茶を貰って…」

ユミル「それは聞いた」

サシャ「憲兵団に行きたいのかって」

ユミル「そんで?」

サシャ「別にそういう訳ではないと答えましたが…」

サシャ「憲兵団に行きたいから努力するのではなく、努力した結果が 憲兵団に繋がるだけだと思うんですがねぇ…」

ユミル「しかしまぁ、前者のヤツがほとんどなんじゃないのか?」

サシャ「そうなんでしょうか…」



サシャ「あと…」チャプ

ユミル「…ん?」

サシャ「焦り過ぎだと言われました」

サシャ「焦り過ぎると、私らしさ… 私の良い所がなくなってしまうんだと…」

ユミル「そうか…」

サシャ「…よく分かりません」

サシャ「私らしさって何なんでしょう」

サシャ「私に良い所なんて、特にないと思うんですが…」

ユミル「…何を言ってんだ、お前は」イラッ



サシャ「…だって良い所って、人様より優れてる所ってことですよね?」

サシャ「私にはそんなもの…」

ユミル「お前、それ本気で言ってんのか!?」

サシャ「へ?」キョトン

ユミル「人をイラつかせるな。 自分を知らないにも程があるぞ!」

サシャ「あっ… すみません…」

ユミル「いちいち謝るな! …ちょっと来い!!」ザパァッ

サシャ「エ… ちょっ、ユミル… 裸でドコへ?」ザパッ


ユミル「…いいから! ここに立ってみろ!!」

サシャ「か… 鏡?」



ユミル「…何が見える!?」

サシャ「何って… それは勿論、私ですが… 裸の」

ユミル「もっとしっかり見ろ!!」

ユミル「私には…」

ユミル「雪みたいに真っ白な肌、大きなパッチリした目にツンとした鼻の…」

ユミル「サクランボみたいな唇した、とびっきりの美人が映って見える」

ユミル「それに気配り上手で料理上手な… 何より惚れた男に懸命に尽くす、健気な頑張りやの姿が見える」

サシャ「ユミ…」

ユミル「入団した頃よりマシになったと思ったが、全然変わってないじゃないか!」

ユミル「何でそんなに卑屈になんだよ… なあ」

ユミル「何がそんなに怖いんだよ」



サシャ「…わた…私はただ…」ポロ…

サシャ「嫉妬や妬みや… どんどん自分が汚いものになっていくようで…」

サシャ「最初はただ… 気付いてもらえればそれで良かったのに…」

サシャ「…今だって、ジャンのそばにいられるのは夢みたいに幸せのはずなのに」

サシャ「私だけ見て欲しいとか、どんどん欲張りになっていく自分が嫌で…」

サシャ「一度始まったら、今度は終わりが来る事が怖くて…」ポロポロ

サシャ「ジャンが望むもの、私、何ひとつ持ってない…」

サシャ「私には、何もないんです」



ユミル「…お前は人と向き合う前に、まず 自分と向き合え」

ユミル「何もなくなんて、ないだろう?」

ユミル「お前が笑顔でいることで、どれだけ周りが明るくなるか知ってるか?」

ユミル「お前が作ったメシ、皆 喜んで食ってなかったか?」

ユミル「お前の惚れた男は、そんな事も分からないような奴なのか?」

ユミル「…嫉妬や独占欲なんて、そんな感情… 人間なら当たり前だろう?」

ユミル「相手の全部を手に入れたいと思う事くらい、人として当たり前じゃないか」

ユミル「終わりなんてそんなの… サシャがジャンを嫌いになった時が終わりなんだよ」

サシャ「嫌いになんてなりません!!」

ユミル「なら、終わらない」

サシャ「……終わらない?」

ユミル「うん、終わらない」



サシャ「ユミル……」ボロボロボロ

サシャ「ユミル!」ギュッ

ユミル「…ちょっ! 裸で抱き付くな!!」

サシャ「…私」

サシャ「ユミルもクリスタも皆… いつもいつも」ポロポロ

サシャ「大好きです」…ギュウ

ユミル「だから裸で抱き付いて、そういう事を言うんじゃない//!!」

ユミル「………」ナデナデ

ユミル「…な? だから、もうちょっと自信持て」

ユミル「こんなイイ女、中々いないぞ?」

クリスタ「……忘れ物 忘れ物」 ガララッ
クリスタ「!?」

クリスタ「……ユミル…サシャ…?」

ユミル「ちっ、違う! 違うクリスタ!!」アワアワ

ユミル「…私の嫁はクリスタだけだから!!」



ユミル「…あー ビックリした」

サシャ「すみません…」

ユミル「イヤまあ いいけどさ…」

ユミル「サシャ… その体は反則だぞ?」

ユミル「大体 その体で迫られて理性を失くさない男がいたら、そいつはホモだ。 …間違いない」

サシャ「…ハァ。 …でもこの胸とかは、結構コンプレックスなんですが…」

ユミル「あ? 何だイヤミかそれ」

サシャ「前に誰かに言われたんですよ」

サシャ「頭に行く栄養が、全部こっちに回ってしまってるんじゃないかって」

ユミル「誰だ そのボンクラ」

サシャ「イエ、 誰だったかは覚えてないんですけど…」



――― 翌朝


クリスタ「おはようサシャ、今日も良い天気よ!」ニコ

サシャ「…おはようございますクリスタ」

サシャ「ホント、良い朝ですね」

ユミル「サシャ、ちょっと顔見せてみろ」クイッ

ユミル「…ウン、憑き物が落ちたみたいだな 別嬪さん」

サシャ「///」

ユミル「頬を赤らめるんじゃない。 キスしてなんかやらないぞ」

ユミル「とっとと顔洗って来い」

サシャ「ハイ!」バタバタ



クリスタ「…ウフフ」

ユミル「何だ クリスタ?」

クリスタ「私、ユミルのこと大好きよ」



――― 午後・立体機動訓練


サシャ「コニー! 今日もやりますか?」

コニー「もちろんだぜ! またパン奪ってやっからな!」

サシャ「フフッ、昨日までの私だと思ったら大間違いですよ!」

サシャ「ジャンもやりませんか?」

ジャン「…エッ!?」

ジャン「やっ… やる! やるに決まってんだろ!!」

コニー「おおっ、珍しいな! よっしゃ負けねえぞ!!」


ジャン「(…サシャが話しかけてきた!)」

ジャン「(笑顔で… 話しかけてきた!!)」

やっぱりユミクリは最高や!

>>302 おぅ、ユミクリ好きだ
が、このスレはそっと閉じた方がいいんじゃないかと思うぞ?



コニー「…よぉーし、行くぞッ!!」パシュッ

サシャ「ヒャッホー!」パシュッ

ジャン「!」バシュッ

ヒュゥーーーーン パシッ ビシュッ

ジャン「(すげえ嬉しい… ホント嬉しい…)」ヒュゥー

ジャン「(けど勝負事は別。 的… ドコだ?)」ゴオォォ

ジャン「(あ… あった! アソコ!!)」

コニー「…シャアッ! 見つけたあァ!!」ヒュオォーー

ジャン「あっ、またコニー テメェ!!」

ヒュゥーーーン

サシャ「…今、必殺のォ…」

サシャ「ナントカ斬りィーー!!」ザンッ!!



サシャ「キャッホーーイ!」ピューーン

コニー「うわぁー! サシャに持ってかれた!!」

ジャン「お前! どっから出てきた!?」バシュッ

サシャ「私はドコにでも現れますよ!」ゴオォォ

コニー「つーか、さっきのナントカ斬りって何だよ!?」ヒュンッ

サシャ「必殺技です! 後で一緒に名前 考えてください!!」パシュッ


ジャン「(今まで、俺の周りチョロチョロして鬱陶しいとか思ってたけど…)」

ジャン「(…これ、すげえ楽しいぞ!)」ヒュゥーー



ゴオォォーーーー

サシャ「(…おや? あれはミーナ)」ヒュゥーーン

サシャ「(あんな木の端にアンカーを刺して…)」

サシャ「(…あれでは、抜けてしまう)」パシュッ!


ミーナ「…あ!」ポロッ…
サシャ「ミーナ!!」ゴオォォォ

ズザアアァァッ! …ドシャッ

ジャン「サシャ!!」
マルコ「ミーナ!!」


ミーナ「……う…イテテ…」

サシャ「ミーナ、大丈夫ですか? …痛ッ! 」

ミーナ「…サシャ! ごめんなさい 私…」

ミーナ「あぁ… サシャ… 額に血が!!」

サシャ「ちょっと枝で切っただけですよ。 ミーナ、怪我はありませんか?」



キース「…負傷か? ブラウス訓練兵」…ザッ

キース「医務室に行け」

サシャ「エ… 私、大丈夫です! 少し切れただけですから!!」

キース「貴様の判断は必要ない、医務室へ行け。 …カロライナ、付き添ってやるがいい」

ミーナ「ハッ!」

キース「ブラウスは訓練にはもう、戻らなくて良い」

キース「午後の訓練終了まで、もう間もない。 医務室で休んでいろ。 …分かったな」

サシャ「ハ… ハイ!」

ミーナ「ごめんなさいサシャ、私のせいで…」

サシャ「ミーナのせいではありませんよ。 大したケガがなくて良かったです」


コニー「…サシャ、大丈夫かな?」

ジャン「………」



ジャン「(サシャ… さっきの的を獲った後、あんな所に移動してたなんて)」パシュッ

ジャン「(予想のつかない動きをするとは思っていたが…)」

ジャン「(よくアレに反応できたな)」ゴオォ

ジャン「(訓練戻らなくていいって言われてた)」ザクッ

ジャン「(…後で医務室行ってみよう)」

ジャン「(ケガ… 大丈夫かな…)」ヒュゥーーン



――― 訓練終了・医務室


ジャン「(サシャ、まだいるかな…)」


カララッ…


サシャ「」スースー

ジャン「(いた… 寝てる…)」ホッ

ジャン「(額のガーゼに血が滲んでる… 痛そう)」

ジャン「(綺麗な顔に傷が…)」…ソッ

ジャン「(ごめんなサシャ …俺)」ナデ…

ジャン「(お前が目を覚ましたら)」

ジャン「(俺、ちゃんと言うから…)」



サシャ「……ん…?」パチ

ジャン「あっ …悪い、起こしちまったか?」

サシャ「…ジャン」ムクリ

ジャン「あ、あの… 俺」

サシャ「ジャン!」ガバッ

ジャン「!」

サシャ「…ごめんなさい、私… 意地張って…」ギュ

ジャン「…何でお前が謝るんだよ。 悪いのは俺の方なのに」

ジャン「お前が誰よりも努力してるの知っていながら、くだらないヤキモチ妬いて」

ジャン「…本当は少しだってサシャの事、傷付けたくないのに」

サシャ「ジャンは悪くありません」



サシャ「私は 私の事を信用しろと言いながら、ジャンを信じようとしなかったんです」

サシャ「自分を人と比べて… 勝手にいじけて、ないものねだりして…」

サシャ「ただ私は、私であることを受け入れれば良かったのに…」

サシャ「…ジャン」

サシャ「私はジャンが好きです」

ジャン「サシャ…」

サシャ「…大好きなんです」チュゥ

ジャン「……」ギュウ

ジャン「(俺の目を真っ直ぐ見て…)」

ジャン「……ん」

ジャン「サシャ… ケガ、大丈夫か?」

サシャ「こんなの! ちょっと枝にかすっただけですよ!」



ジャン「傷跡、残らないといいな」

ジャン「せっかく綺麗な顔なんだから…」ナデ

サシャ「エッ!?」

ジャン「え? いやその… キ、キレイな… さ」

サシャ「エェッ!?」

ジャン「カオ……//」

サシャ「///」

ジャン「あの…//」

ジャン「(…言おう。 俺もサシャが好きなんだって)」

ジャン「お、俺さ… サシャが倒れたって聞いて、心配で心配でそしたら」

サシャ「エェッ!?」

ジャン「エ?」



サシャ「だっ、誰が…」

サシャ「ユミル… ユミルですね!?」

ジャン「そう、だけど… あ」

サシャ「(ユミル~~~~!)」

サシャ「こうしてはいられません! 戻らないと!!」バッ

サシャ「…ああっ、ガーゼ邪魔です!」ベリリッ

サシャ「さあ! 戻りますよ ジャン!!」

ジャン「あの… 話、途中…」

サシャ「早く早く! お風呂にも入らないといけませんからね!」

ジャン「ウ、ウン…」



サシャ「それじゃあジャン、また夕食で!」

ジャン「……ん」

ジャン「(結局、言えなかった…)」



サシャ「」タタタ

クリスタ「…あれ、サシャ? ケガ 大丈夫だった?」

サシャ「へっちゃらですよ! クリスタはどこか行くんですか?」

クリスタ「エエ、教官に頼まれて、これを倉庫に返しに行かないといけないの」

クリスタ「戻ったら、お風呂一緒に行こうね」

サシャ「ハイ!!」



――― 部屋


ガチャッ

ユミル「お帰り。ケガ大した事なさそうで良かったな」

サシャ「ユミル~~」ジトー

ユミル「何だ何だ?」

サシャ「喋らないでって、言ったじゃないですかぁ!」

サシャ「自己管理も満足に出来ないと思われたらイヤじゃないですか!」

ユミル「ああ、アレね」

ユミル「そんな風には思われなかっただろ?」

ユミル「ちょっとくらい心配させてやっていいんだよ、そんなの」

サシャ「でも!」

ユミル「それに、私は分かったなんて、一言も言ってないからな」

サシャ「もう! ユミルのばかぁ! 組み敷きますよ!!」

ユミル「オ!? やんのか?」



バタバタバタバタ


サシャ「うえぇ… 逆に組み敷かれてしまいましたぁ」

ユミル「私の上に乗ろうなんざ、100年早いぞサシャ」

ユミル「お仕置きだ、くすぐってやろう」コチョコチョ

サシャ「キャフ、ユミ… やめッ あ…ンッ」

ユミル「変な声出すな! おかしな気分になるだろうが!!」

クリスタ「ただいまー!」ガチャッ
クリスタ「!?」

クリスタ「な… 何してるの2人とも?」

サシャ「あぁっ! クリスタ良い所へ!!」ジタバタ

サシャ「私1人ではダメなんです 手伝って! ユミルをくすぐりの刑に!!」

クリスタ「ワアァーイ!!」タタッ

ユミル「オイ! 2人がかりなんて卑怯だぞ!!」バタバタ

ユミル「ちょっ… フッ、フハハハハ!!」



――― 夕食・食堂


サシャ「コニー!」

サシャ「今日は 途中で勝負を中断しちゃってすみませんでした」

コニー「そんなのいいって。 また今度やろうぜ」

サシャ「ハイ!!」


ジャン「(…ん? あれはサシャとコニー?)」


ジャン「…何の話だ?」

サシャ「ああ、必殺技の名前を考えてて…」



コニー「だから火炎斬りでいいだろ? カッコイイし」

サシャ「火というよりは風のイメージなんですが… 立体機動ですから」

サシャ「ジャン、何かないですか?」

ジャン「…斜め横断斬りとか?」

サシャ「見たままじゃないですか。 それに長いですよ」

ジャン「そんじゃ襷斬りとか」

サシャ「タスキ斬り… フム、襷斬りですか」

サシャ「それじゃ今回はそれにしときましょう」

ジャン「なんで偉そうなんだよ」

コニー「俺もなんか必殺技作ろうっと」

ジャン「馬鹿なこと考えてないでサシャ、お前は自分のトコ行ってメシ食って来い」

サシャ「ハーイ」トコトコ



ジャン「(…それからしばらくは休みも含め、試験勉強と課題とに追われ、ゆっくり休む間もない)」

ジャン「(休日の図書室では、サシャはレポートに専念している)」

ジャン「(見せて欲しいと言っても、サシャは恥ずかしがって見せてくれない)」

ジャン「(ユミルが言うには、一時期ほどではないにしろ、毎晩遅くまで勉強しているらしい)」

ジャン「(…つい半年前には、俺の中でこんなにもサシャの存在が大きくなるなんて、想像もしていなかった)」

ジャン「(この俺が、これほど誰かを幸せにしたいと思うようになるなんて、予想もつかなかった)

ジャン「(…たった一言、好きだと口にする事が、こんなに難しいとは思わなかった)」

ジャン「(心の中では、何度だって言えるのに)」

ジャン「(サシャ…)」



――― 卒業まで残り1ヶ月


ジャン「………こんな所にいたのか」

サシャ「…ん… はい」ゴローン

ジャン「休憩中だからってこんなトコでゴロゴロと…」ドサッ

サシャ「…何だか今日はポカポカして気持ち良くて…」

サシャ「もうすぐ春なんですねぇ…」ウツラウツラ

ジャン「そうだな…」ゴロン

ジャン「…ん」グイ

サシャ「ウデ枕… あ… でも私に付き合わなくていいですよ」

サシャ「…ゆっくりしててください。まだ時間ありますよね…?」トローン

ジャン「時間はあるが、起こす奴がいなきゃ、お前休憩終わっても起きないだろ。 …いいから寝ろ」



ジャン「お前… 毎晩遅くまで起きて勉強してるって聞いたぞ」

ジャン「…頑張るのはいいけどよ。体壊しちまったら元も子もねえぞ?」

サシャ「…こんなの ……今までに比べたら…なんてことありませんよ…」

ジャン「(…今だ)」

ジャン「…サシャ、俺… お前のこと好きだぞ」

ジャン「(い、言えた!)」

サシャ「…フフッ… 知って… ます…… よ」

サシャ「私、今…とても幸せなんです」

サシャ「……こんな日が… ずっと… 続けば…」スー



ジャン「(寝ちまった…)」

ジャン「(頑張って言ったワリには、軽く流されたような気がするが…)」

ジャン「(フフ、それもサシャらしいか)」

ジャン「(…次の休みまでには、全部の試験が終わってるな)」

ジャン「(今度の休みは街に出て、久しぶりに目一杯楽しもう)」

ジャン「(…しかし今日は随分暖かいな)」ボーッ

ジャン「(……ヤバイ… なんか俺まで眠く… なってきた…)」

ジャン「zzz…」



ジャン「(…休憩中にサシャに腕枕をしながら眠ってしまった俺は)」

ジャン「(目が覚めたら、誰が呼んだのか、いつの間にか皆に囲まれていて…)」

ジャン「(散々冷やかされ、からかわれた)」

ジャン「(そして最後は皆で笑って、『こんな日がずっと続けばいい』と言った、サシャの気持ちが少し分かったんだ)」

ジャン「(…もうすぐ俺達は卒業し、それぞれの道を行くことになる)」

ジャン「(3つの道…)」

ジャン「(上位しか行けない憲兵団)」

ジャン「(壁の強化を努める駐屯兵団)」

ジャン「(壁外に挑む調査兵団)」

ジャン「(…エレンと常にそのそばにいるミカサは別だが、ほとんどの上位以外の人間は、駐屯兵団に入ることになるだろう)」

ジャン「(ずっと憲兵団を意識し、それを目指してきた俺だが…)」

ジャン「(今はただ… エレンに寄り添うミカサのように、サシャのそばにいてアイツを守ってやりたい)」



――― 数日後


サシャ「………終わった」


サシャ「……試験が…」


サシャ「終わりましたァーーー!!」

クリスタ「サシャ、浮かれるのも分かるけど… まだ課題の提出が残ってるでしょ?」

サシャ「それも終わりました! 今ッ、提出してきます!!」

サシャ「ヒャッホーー!!」タタタッ

クリスタ「ウフフ、サシャ… よっぽど嬉しいのね」

ユミル「そりゃそうだろ。 正直、私だって今回は少々疲れたよ」

クリスタ「珍しいね、ユミルが弱音吐くなんて」

ユミル「まあ… たまにはな」



――― 夕食・食堂


ユミル「…明日はやっと休みらしい休みが取れるな」

サシャ「うぅ… 年末休暇が大昔のことみたいに感じます」

クリスタ「サシャは明日の予定は?」

サシャ「やりたい事がいっぱいあり過ぎて困っちゃいますねぇ」モグモグ

サシャ「狩りもしたいし、街にも行きたいし…」

クリスタ「街!? それなら私達と一緒に行こうよ。 もちろんジャンにも声かけて!」

クリスタ「サシャに付き合って欲しい所があるの!」

サシャ「ハァ… ドコですか?」

ユミル「………服屋だ」

サシャ「エッ…」ドキ

クリスタ「そうなの! 私ずっと、サシャに似合う服を考えててね!」キラキラ

クリスタ「もう春だし、また新しいの見た方がいいと思うの!」

サシャ「し、しかし… それは…」オロオロ



ジャン「…何だサシャ、どうした?」

クリスタ「ジャン、いい所に!」

クリスタ「明日は街へ?」

ジャン「あ、ああ… そうできればと思って、声を掛けに来たんだが…」

クリスタ「明日、午前中だけでいいから、私達に付き合ってくれないかな?」

クリスタ「私、どうしてもサシャを連れて行きたい所があって… お願い!」

ジャン「俺は… 別に構わない… が?」チラ

サシャ「………」

ユミル「…サシャ、2度目の恩は高くつくって言ったろ?」

サシャ「あぅ… 分かりました…」

ジャン「マルコもライナー達と街に行くって言ってたぞ」

ユミル「久しぶりだからな。 明日はほとんどのヤツが街に出るんじゃないか?」

ユミル「まあ観念するんだな、サシャ」



――― 翌朝


クリスタ「おはようサシャ、起きて起きて!」ユサユサ

サシャ「…んむ… クリスタ?」

サシャ「…随分 早起きですねぇ」ボー

ユミル「今日は張り切ってんだよ。 私なんか、もっと前に起こされたぞ」

クリスタ「早めに朝食取ったら すぐ支度するから! ホラ、顔 洗ってきて!」

サシャ「…ふあぁーい」


サシャ「支度くらい、そんなに時間かからないんですがねぇ…」トコトコ



――― 食堂

ザワザワ…

サシャ「…結構 早めに来たのに、人が多いですね」モグモグ

ユミル「皆、休みが楽しみだったんだろうよ。 中には一日、寝て過ごすヤツもいるんだろうがな」

クリスタ「サシャ、食べたらすぐ部屋に戻って支度するからね?」

サシャ「ハイ。 もう観念しましたし、今日はクリスタにお任せしますよ」

ユミル「良い心がけだ」



マルコ「…ジャンは今日、サシャと街に行くんだろう?」

ジャン「ああ、午前中はクリスタ達と一緒に回る」

マルコ「まあ、今ここにいる人は ほとんど外出する人だろうけど」

ジャン「マルコはライナー達と一緒だよな」

マルコ「ウン。あとコニーもね」

マルコ「…でも結局、行き先は大体同じだから、皆で出掛けるようなものだね」

ジャン「違いない」



ジャン「(…実は 昨夜はあまり眠れなかった)」

ジャン「(最後に休日らしい休日を過ごすしたのは、雪山訓練以前で…)」

ジャン「(サシャと訓練所以外で2人きりになるのは、年末休暇以来だからだ)」

ジャン「(今日は久しぶりに、あの肌を思う存分 触ることができる…)」

ジャン「(…と、そんな事を考えていたら)」

ジャン「(空が白み始めてしまったという訳だ)」

ジャン「(全く、俺ってヤツは…)」


ジャン「(サシャ… 早く出てこないかな)」ウキウキ



ユミル「よう、待たせたなジャン」

クリスタ「ごめんね、思ったより時間かかっちゃった」

ジャン「サシャ、髪下ろして…」

クリスタ「そうなの。 でも横は編み込んで下で束ねてあるから、そんなに邪魔にはならないよ」

クリスタ「髪多いしサラサラだから編みづらくて時間かかっちゃったけど、可愛いでしょ?」

ジャン「あ、ああ…」

サシャ「何だかいつもと違うのは落ち着かないものですね」

クリスタ「じゃああとは、サシャに似合う服を選んでっと」ニコニコ

サシャ「……うぅ。クリスタ、お手柔らかにお願いしますよ?」

ユミル「だから、もういい加減諦めろって」


マルコ「…アレ? おーい、ジャン!」ゾロゾロ

ジャン「マルコ…」

ジャン「ん… 随分大勢だな」

マルコ「他の皆ともそこで会ってね、結局一緒に行くことになったんだよ」



ライナー「ジャン、またお前は女3人に囲まれてイイ思いをしようと…」

ジャン「そんなんじゃねえっての」

ミーナ「あ、サシャ! 髪かわいー」

ミーナ「アニももう少し伸ばしたらいいのに」

アニ「だって、あんまり長いと邪魔になるし…」

ベルトルト「束ねてるなら問題ないんじゃない?」

アルミン「そういえば昔からミカサが髪を結ってるのって、見たことないね」

ミカサ「結ぶのは面倒くさい… ので、切った」

エレン「立体機動とか、危ないもんな」

コニー「皆、俺くらい短けりゃ楽なのに」

アルミン「コニー、それはちょっと…」



ミーナ「4人はどこに行くの?」

クリスタ「春物の服を見に行くのよね!」ニコッ

サシャ「エ… エエ」ニ、ニコ

ライナー「そうか、もうすっかり春だものな。 俺達もちょっと覗いてみるか?」

ベルトルト「最後に本屋に寄れるなら、僕はどこでもいいよ。 マルコとコニーは?」

マルコ「そうだね、もう長いこと新しいの買ってないから…」

コニー「俺はブラブラしてえだけだし、構わねえぜ?」

ミーナ「あ、私達も行くー! ね、アニ!!」

アニ「いいけど… 騒がしい」

ミカサ「エレン、袖の所が破れてきている」

エレン「ホントだ。 じゃ俺達も行くかアルミン?」

アルミン「ウン!」ニコリ

クリスタ「ワーイ! 観客がいっぱい!!」

サシャ「ぁぁぁぁぁぁ……」



ゾロゾロゾロ…


ユミル「…団体さんになっちまったな」

クリスタ「大勢の方が楽しいわよぅ」キャッキャ

ユミル「クリスタ、そっちは馬車が来る。 こっち側来い」グイ

サシャ「うーむ… ユミルは本当に男前ですねぇ」

サシャ「もしユミルが男の人だったら…」

ユミル「…惚れちまうか? だが残念、私の嫁はクリスタだからな」

サシャ「フム、第二夫人というテもありますが…」

クリスタ「そしたら3人でずっと一緒なのね! 楽しそう!!」

ジャン「何を言ってるんだお前は」

ユミル「ハッハ、妬くなジャンさん。 イイ女は私に惚れるモンなんだ」

ユミル「まあ、せいぜい私が女だったことに感謝するんだな」



――― 服屋


サシャ「…着いてしまいました」

コニー「エレン、隣の店にコマ売ってたぜ!」

エレン「ホントか! アルミン、ちょっと行って来る! ミカサ、適当に選んどいてくれ!!」

ミカサ「もう… エレンは」フゥ

アルミン「フフッ、ミカサの選んでくれる服なら何でもいいってことだよ」

ミーナ「アニー! 見て見て コレ可愛いよ!」

アニ「…どれだって?」

クリスタ「サシャ、今 試着するヤツ持ってくるから、ちょっと待っててね!」スタタ

サシャ「ジャン… 私、イヤな予感しかしないんですが…」

ジャン「大丈夫だ… 俺が何とかする」



クリスタ「お待たせー。 持ってきたよ」ドッサリ

サシャ「うわ… こんなに」

クリスタ「まず、コッチから着てみて。 それから次はコレとコレ」

サシャ「ハ… ハイ」

モゾモゾモゾモゾ(試着中)

サシャ『…クリスタ、きつくて入りません… 』

クリスタ「とりあえず、どんどん着ていって。 着れたらちゃんと教えてね」

サシャ『これもまた派手な… でも、一目でサイズが合わないと分かりますね』

サシャ『おや、これは着れそうですが…?』

サシャ『…クリスタ! これはダメです!! こんなピチピチで露出が高いの、恥ずかしくて着れません!! 』

ライナー「(…恥ずかしい、だと?)」ピク

ベルトルト「」

ジャン「!!」

アルミン「……」ピタッ



クリスタ「大丈夫 大丈夫、ちょっとだけでいいから!」

クリスタ「私、どうしてもサシャが着てるトコ見たいの! ネ、お願い!!」

サシャ『うぅ… じゃあチョットだけですよ?』…モゾモゾ

アルミン「…ミカサ、エレンにはこっちの色の方が合うんじゃないかな?」

ミカサ「そうかしら…」ウーン

アルミン「エレンは無頓着だから、どっちでも大差ないと思うけどね」フフッ

アルミン「…ごめん、ちょっと僕も自分の服を見てきていいかな」

ミカサ「ええ、ありがとうアルミン」

アルミン「……」スタスタ

サシャ『…クリスタ… き、着れました… けど、クリスタだけに見てもらっていいですか?』

クリスタ「待ってました! …ちょっと開けるね」ソーッ

クリスタ「!!」

クリスタ「………スゴイ」



サシャ『…こ、こういうのは大人っぽ過ぎて、ユミルの方が似合うと思うんですが…』

ユミル「サシャ、余計なコト言うんじゃない」

ユミル「どれどれ、私にも見せてみろ」ヒョイ

ジャン「」ソワソワ

ユミル「ウーン… こりゃ確かに涎モンだな」

クリスタ「見せたい… 皆に見せたい… 私の選んだ服を着たサシャを皆に…」

サシャ「エェッ!?」

クリスタ「少しだから… ほんの少しだけだから… 開けるよ!!」ザッ
サシャ「ヒィ!!」
ジャン「チョット待ったアァーー!!」ババッ

クリスタ「ジャン! 邪魔しちゃヤダ!」

ジャン「…せ、せめて俺が確認してからにしてくれ!」アセアセ

クリスタ「しょうがないなあ… ハイ、どうぞ」



ジャン「」チラ

ジャン「………うわぁ//」

サシャ「///」

クリスタ「ね、似合うでしょ? 皆に見せてもいいでしょ?」

ジャン「…ダメ… 駄目です。 それは許可しません」キリッ

クリスタ「えー、ジャンのケチー」

ジャン「クリスタ、頼む… 頼むから普通の服を見繕ってくれ!!」

ユミル「ハハ、ジャンもこう言ってるんだ。 今日はこのくらいで勘弁してやれクリスタ」

クリスタ「…もう、分かったよ。 じゃあ本命の服、持ってくるね」スタタ

サシャ『た… 助かりました』ホッ

ジャン「早く何か上に着ろ」

ライナー「(…ジャンだけ見てズルイ… とは言えんか)」

ベルトルト「(ちょっと見てみたかった…)」

アルミン「…………チ」



クリスタ「…ハイ、こっちが本命」

ジャン「(さっきまでは、遊ばれてたワケか…)」

クリスタ「着せてあげるから、私もちょっと中に入るね」ススッ

クリスタ『…まずこのブラウスを』

サシャ『ほうほう』モゾモゾ

クリスタ『それからこっちを着て、横の紐で調節して…』

クリスタ『…可愛い! すっごく似合うよサシャ!! これなら皆に見せても大丈夫でしょ?』

サシャ『エ、エエまぁ これでしたら…』

クリスタ「見て見てー!」ザーッ

ユミル「おっ、似合うじゃないかサシャ」



クリスタ「薄めの白のブラウスの上に、ビスチェのワンピースを重ねたの」

クリスタ「これなら清楚だし、紐で調節できるから サシャのスタイルの良さも一目で分かるし、いいと思うんだけど…」

サシャ「随分と肩が開いてますねぇ… 普段着慣れない物はどうにも落ち付かなくて…」ソワソワ

クリスタ「春だし、肩キレイなんだから、それくらいいいじゃない」

クリスタ「ワンピースは赤か緑か迷ったんだけど、サシャは赤の方が似合うかと思って…」

クリスタ「…ジャン、どうかな?」

ジャン「///」

ジャン「………似合う//」

サシャ「///」

ジャン「…クリスタ、それいくらだ? 俺、買う」

クリスタ「やったァー! お買い上げ、ありがとうございます!!」キャッホー

サシャ「エェッ!? そんなの悪いですよ!!」

ジャン「…いい、買ってやる。 そんで、さっき着てきたヤツ包んで その服着て」

アルミン「……」グッ!



エレン「ただいま。 …あれ、どうしたんだアルミン、何かゴキゲンだな」

ミカサ「久しぶりの休みなのだから、それは皆ゴキゲン…」

エレン「あ、今コニーと コマ買ってきたんだ! ミカサ、後で遊ぼうぜ!!」

ミカサ「エエ! あ、 エレンにはこの服を買ったのだけど… これで良かった?」

エレン「何でもいいよ、ありがとな!」

ミーナ「アニはさっき見てたヤツ、買ったの?」

アニ「迷いに迷って… 結局買わなかった…」ショボン

ミーナ「まぁ、まだ休みはあるからね!」

ジャン「マルコは何か買ったのか?」

マルコ「ああ、僕は適当にね。 ほら、こんなの…」


ミーナ「エェー! サシャ可愛い! それ買ったの!?」

サシャ「エット… おかげ様で…//」

アルミン「ウン! とても似合うと思うよ!!」ニコニコ



エレン「…メシ、どうする? 皆で食ってくか?」

ライナー「俺達は別に、何でも構わんよ。 な、コニー」

ベルトルト「アニとミーナは?」

ミーナ「私達は特別、決まった用事があるわけじゃないし… ね、アニ!」

アニ「うん、後は任せるよ。 靴下は買えたから…」

ジャン「マルコは?」

マルコ「僕も今 帰ってもやることないし、皆と一緒に行くよ」

ジャン「サシャ、どうする?」

サシャ「あ、あの… できれば私は、他にも行きたい所があるんですが… ダメですか?」

ジャン「ん? 全然ダメじゃねえよ?」

ジャン「…あ、じゃあ俺達はここで別れっから。 じゃあな」

ライナー「おぅ、夕食までには帰れよ!」

アルミンが時々腹黒い?
さて、パンツを脱ぐ展開はありますかね?

>>

ジャン「(…2人きりになった)」テクテク

サシャ「…」トコトコ

ジャン「(さっき買った服… すげえ可愛い)」

ジャン「あの…さ」

サシャ「?」

ジャン「…手ェ… 繋いでもいいか?」

サシャ「ハ、ハイ…//」ギュ

ジャン「(アレ…? 俺、何でこんなに緊張してんだろ…)」

ジャン「あ、あの…」

サシャ「ハイ?」

ジャン「その服… すげえ似合ってる」

ジャン「か、髪型にも合ってるし…//」

サシャ「そ… それはドウモ…//」

>>348 アルミンは腹黒いんじゃない
時折、欲望に素直になるだけなんだ



ジャン「(よく考えたら… 手ェ繋ぐのも初めてだよな…)」テクテク


ジャン「(セックスから始まって… 次にキスして…)」

ジャン「(それから好きだって言って、最後に手ェ繋ぐなんて…)」

ジャン「(逆じゃん! 全部の順序、逆じゃん!!)」


ジャン「えっと… 行きたい所ってドコ?」

サシャ「あの… 本当はその…」

サシャ「誰もいない、2人きりになれる場所へ…//」



ジャン「///」

サシャ「あの… ダメ… ですか?」

ジャン「ダッ、ダメな訳ねえよ!!」

ジャン「…嬉しい」

ジャン「サシャからそういうこと言ってくれるの、すげえ嬉しい!!」

ジャン「俺、これまで強引過ぎたかと思ってて…」

ジャン「行こう! 早く行こう!!」グイグイ

サシャ「そ、そんなに急いだら転んでしまいますよ!」フフッ



――― 宿


ジャン「(…来たはいいけど、なんか緊張する… 何でだろう?)」

サシャ「…ジャン?」

ジャン「(こ… 小首を傾げて…)」

ジャン「(いつも… 可愛いとか、綺麗とかは思ってたけど…)」

ジャン「(なんか今日… いつもと違う風に見える)」

ジャン「(服装と髪型だけのせいじゃないよ な…?)」

サシャ「…ジャン」ギュッ

サシャ「」チュゥ

ジャン「(……ッ//)」



サシャ「……ン…ム」プチプチプチッ

ジャン「(服のボタン、あっという間に外された…//!)」

サシャ「…腕… 抜いてください…」ヌガシヌガシ

サシャ「」…ドサッ

ジャン「(ベッドに… 押し倒された!)」

ジャン「(お… 俺が!?)」

サシャ「…ジャン」カチャカチャ

ジャン「(ベルトも!?)」

サシャ「足… 少し上げて…」

ジャン「…ん」ヒョイ

サシャ「…フフ」ズリズリッ

ジャン「サ… サシャは服着たまま//?」

サシャ「私はまだ… いいです。 …それより」ハムッ

ジャン「!」ビクゥッ



サシャ「…ン」ジュルジュル ジュパ…

ジャン「(イッ…イキナリそっち? あ… 唾液が 糸引いて…)」ビクッ

サシャ「…ジャン」

サシャ「ジャンの耳… 耳たぶ… 柔らかそう… ハム」ニュルニュル

ジャン「(…てっ 手ェ滑らすために舐めたのか!?)」ゾク

サシャ「…好きです」ニュルニュル

ジャン「…ン…っく…//」

サシャ「首筋も… ペロッ」ニュルニュル

サシャ「ココも…」レロレロ

ジャン「(それ… 乳首…ッ//)」

ジャン「…っくぅ…///」ビクビクッ



サシャ「…大好きです」シコシコ ニュルニュル

ジャン「…ァ… だっ、駄目サシャ//!」

ジャン「それ以上触ったら! で… 出ちゃうからァッ!!」

サシャ「」ピタッ

ジャン「…うぅ//?」

サシャ「…」ヌギヌギヌギッ


サシャ「…ジャン、手を…」スッ

サシャ「…私、もう… こんななんです」ヌルッ

ジャン「!」

サシャ「だから… もう」

…ズズッ



ジャン「(う… 上に!?)」

サシャ「…はぁ…っん//」ズッズッ

ジャン「ん…ッ…//」

ジャン「(し… 下から見上げる乳… すっげえ揺れて…)」ガシッ モミモミ

サシャ「んはぁ…ッ//」ユッサユッサ

サシャ「ジャン… ジャン、 好きですぅ//!」ズッズッ

ジャン「サ、サシャ… そんなに激しく動いたら…!」

ジャン「ダメだって! お、俺… もう、イッちゃう//!!」




ジャン「サシャ… どうした今日、何か違う…」

サシャ「こういう私はいけませんか?」

ジャン「そんなコトねえよ!」

ジャン「……最高」ギュ

サシャ「もう少し大胆になった方が良いといったのはジャンですしね」

ジャン「覚えてたのか」

サシャ「忘れませんよ! ちゃんと努力するって言ったじゃないですか」

ジャン「……ん」

ジャン「サシャは頑張りやだもんな」ナデナデ

サシャ「///」



サシャ「…私」

サシャ「これまで私の中の私はいつも、自分だけの小さな世界に住んでいて…」

サシャ「そこに人が踏み入ってくることが怖くて」

サシャ「そこから出て、人と関わりを持つことも怖くて… でも」

サシャ「もう少し勇気を出して、きちんと人と向き合えるよう…」

サシャ「自分の言いたいことを言えるように…」

サシャ「そして、ジャンを好きになった自分のことも、好きになっていこうと決めたんです」

ジャン「サシャ… 俺」

ジャン「俺は… いつだって、俺なんかよりお前の方が勇敢だと思ってる」

サシャ「フフッ、そうですか? それなら勇気を振り絞って、ひとつお願いしてみましょう」

ジャン「何?」

サシャ「ジャン… もう1回…」ニギッ

ジャン「///」



――― 街中


サシャ「…アァッ!」

ジャン「な、何だどうした?」

サシャ「何か忘れてると思ったら、お昼食べてないじゃないですか!」

サシャ「どうりでお腹空いてるハズですよ!」

ジャン「そういや そうだな」

ジャン「お前にしては珍しい」

サシャ「さっきはそっちにばかり気がいってしまって…」

ジャン「やった、サシャの食い気に勝ったぞ!」

サシャ「うぅ… もうこんな時間じゃないですか」

ジャン「なんか買って、つまみながら帰るか?」

サシャ「そうするしかないですねぇ…」



ジャン「……お前、何買ったの?」

サシャ「お芋を揚げたヤツです」モクモク

ジャン「結構な量だな」

サシャ「こんな量では私のお腹は満たされません」

ジャン「つったって、じき夕食だぞ?」

サシャ「それはまた別腹ですよ」

サシャ「ジャンはお粥だけですか?」

ジャン「ああ」

ジャン「おカユって、昔はそんなに好きじゃなかったんだけどな。 ドロドロしてて」

ジャン「前に食ったのがウマかったから…」

サシャ「ほほぅ」モクモク



ジャン「サシャが作ったヤツなんだけど…?」

サシャ「おぉ! アレですか!」ピーン

ジャン「お前鈍いだろ」

ジャン「うーん… やっぱサシャの作ったヤツの方が旨いな」ズズッ

サシャ「あの程度で良いなら、またいつでも作りますよ」

ジャン「…ん(ワーイ)」

ジャン「芋の他にもなんか買ってたな」

サシャ「エエ、これは夕飯用に卵と青菜を少々…」

サシャ「時間がないのであまり手の込んだものは作れませんが、服を買ってもらった、せめてものお礼です」ニコ

ジャン「れ、礼なんかいいのに…」

ジャン「///」

ジャン「サシャ、食い終わったんなら その… 手を//」

サシャ「ハイ!!」




ジャン「(…夕食ではサシャが服の礼だと言って、青菜入りのオムレツを出してくれた)」

ジャン「(簡単な物で申し訳ないと謝っていたが、オムレツはふわふわで、中はトロトロの熱々ですごく旨かった)」

ジャン「(俺が旨そうに食っていたからなのか、マルコが物欲しそうな目で見ていたので一口やった)」

ジャン「(マルコが驚いたような顔でウマいと褒めてくれたので、俺はとても嬉しくなった)」

ジャン「(俺の好物がまたひとつ増えた)」

ジャン「(サシャといると、俺の好きなものが増えていくような気がする)」

ジャン「(以前は腹が満たされればそれでいいと思っていた食事も)」

ジャン「(点数を上げる為だけにこなしていた立体機動も)」

ジャン「(ただの移動手段としか考えていなかった馬も)」

ジャン「(馬があんなに優しい目をしているなんて、俺はそんなことも知らなかったんだ)」

ジャン「(…卒業まで、もうあとほんの僅か)」




座学教官「……サシャ・ブラウス訓練兵は、また落ち着き取り戻したようですね」

座学教官「一時はかなり切羽詰った様子でしたが…」

キ-ス「最終試験で焦っておったのだろうが、あれでは逆効果だ」

キース「まったく…準備室の机の物の位置が変わっていることくらい、気付かんとでも思っていたのか」

キース「こっそり覗いてみれば、案の定だ」

キース「あんな土のような顔色をしては、良い結果が出るはずなかろうに」

座学教官「秋頃からですか。 何故、急にあんなに頑張り始めたのか不思議でしたが… 憲兵団に行きたい訳ではなかったんですよね」

キース「うむ」

キース「生き残りたいからだ、と言っておった」

キース「生き残りたいから、学ぶ事だけに集中できる今、努力するのだと」

キース「そして自分はもう、頑張ったからというだけで許される子供ではないのだと」

座学教官「…結果の出せない努力は、努力と言えない、ですか」

座学教官「確かに生き残らなければ、戦う事も誰かを守る事もできませんからね」

キース「そう考えられるようになるほど、奴も成長したということか」



座学教官「…そうそう、彼女が提出した例の課題も中々面白い事が書いてありましたよ」

キース「トロスト区襲撃を想定したアレか」

座学教官「はい、ご覧になりますか?」

キース「うむ…」

キース「…何だこれは」

座学教官「面白いでしょう? 巨人の肉を利用した防護壁なんて」

座学教官「明日でも技術班の方に上げてきますかね」

キース「ふむ… 他の者のレポートも見てみたい」

キース「後でこちらに回してくれるか?」

座学教官「もちろんですとも」ニコリ



――― 卒業式当日・夜明け前


サシャ「(……緊張し過ぎて、眠れませんでした)」

サシャ「(今日で、全てが決まる…)」

サシャ「(少し、外でも歩きましょうか)」

サシャ「(憲兵団を目指していたジャン…)」

サシャ「(私はただ、彼に付いて行きたいと…)」

サシャ「(ジャンを守りたい…)」

サシャ「(この世の全ての辛いことから、守ってあげたい…)」

サシャ「(フフ…、これじゃまるで母親のようですね)」



サシャ「(…もうすぐ夜が明ける)」

サシャ「(ピンと張り詰めた空気…)」

サシャ「(…全てが瑠璃色に染まるこの時間が、私は一番好きです)」

サシャ「(瑠璃色から、徐々に明け染めてゆく空…)」

サシャ「(この空気… 故郷と変わらぬ木々や山… 小鳥のさえずり)」

サシャ「(ユミル… クリスタ、アニやアルミンやライナー… 皆)」

サシャ「(…ジャン)」

サシャ「(どうして気付かなかったんでしょう)」

サシャ「(私を包むこの世界は今、こんなにも優しくて美しいのに…)」

サシャ「(………ユミル)」



サシャ「(ユミル… あなたも本当は知っているはずです)」

サシャ「(終わりの来ないものなどないのだと…)」

サシャ「(…この世界が今、崩れかけているように)」

サシャ「(ただ、その優しさから言わないだけで…)」

サシャ「(でも… それでも私はこの、壊れゆく世界の流れにたゆたいながら)」

サシャ「(時には急流に揉まれ、また時には抗いながら…)」

サシャ「(精一杯生きて… 精一杯愛してゆきたい…)」


サシャ「(いつか… その時が来るまでは…)」

おしまいです
長々とお付き合い頂いてありがとうございました。

まったく違う話になるかもしれないが、オマケというか番外編
※幼女ネタ注意



――― 849年3月・教官室


アルミン「……食欲を抑える薬…ですか?」

ハンジ「…正確には満腹感を持続させる効果があるといったところだね」

ハンジ「これは栄養価が極めて高くてね。1粒飲めば軽く10日は飢えを凌げるはずだ」

ハンジ「すごいだろう?」キラキラ

アルミン「……ええ」

アルミン「…ですが、その薬と自分がここに呼ばれた事と、どういった関係が?」ドキドキ

ハンジ「ああ、それはね…」

ハンジ「キース教官に聞いたんだよ」

ハンジ「今期の訓練兵の中にすごい食欲旺盛な子がいるってね」

アルミン「…サシャのことですか?」

ハンジ「そうそう、その子」

ハンジ「それで君には彼女にその薬を飲ませて、経過を報告してほしいんだ」



ハンジ「君も知っての通り、食糧難のこのご時世…」

ハンジ「その薬は今はまだ開発途中だし、量産できる体制になんてないけど」

ハンジ「…長期の行軍や、いずれ壁外に遠征できるようになった時の食糧の代わりになる」

ハンジ「ゆくゆくは家畜の飼料としても利用できるかもしれない」

アルミン「…しかしなぜ自分が?他にも適任がいるかと思いますが…」

ハンジ「観察力があって冷静な分析ができると、教官が君を推薦したんだよ」

ハンジ「…まあそういった訳で、私が訓練所まで出向いてきたんだ」

ハンジ「あ、あと変に意識させたくないから、本人には黙っておいてね。薬は食事にでも混ぜればいいから」

ハンジ「それじゃあよろしく頼んだよ。 報告、楽しみに待ってるからね」

アルミン「……」



アルミン「……というワケなんだ」ハァ

エレン「ハンジ・ゾエ? …聞いた事ないな」

アルミン「調査兵団の分隊長だそうだよ。でも、あまり偉そうな感じはしなかったな」

エレン「調査兵団か!」キラキラ

アルミン「うん …それよりこの薬、どうやって飲んでもらったらいいだろう」

アルミン「本人には黙ってって…」

エレン「水に溶かしちまえば?」

アルミン「味が変わってしまうんじゃないかな」

ミカサ「パンに差して、口に詰め込んでしまえばいいと思う」

ミカサ「私は何度かやったことがある。 ので、私がやろうアルミン」



――― 夕食・食堂


ザワザワザワ…

サシャ「…配膳当番が終わって、ようやくご飯にありつけると思ったら…」

サシャ「空いてる席、空いている席と…」キョロキョロ

エレン「サシャ!」

エレン「サシャ、ここ空いてるぞ!」



サシャ「…すみませんエレン。ミカサ、隣失礼しますね」ガタ

ミカサ「どうぞ」

アルミン「…」ドキドキ

サシャ「いただきまぁす!」



サシャ「…ご飯は私の唯一の楽しみなのに」モグモグ

サシャ「どうしてこんなちょっぴりしかないんですかねぇ…」ズズ

サシャ「…あぁ… もう食べ終わってしまう…」

ミカサ「食べ足りないのならサシャ、このパンをあげる」ザクッ

サシャ「!!」モガッ

アルミン「(ここで!?)」

サシャ「…ハムハム…」ゴリッ

サシャ「…アレ、今なんかゴリッと…?」

ミカサ「それは気のせい。 お水を飲めばいいと思う」グイグイ

サシャ「こふっ、そうれふね」ングング

サシャ「…でもせっかくパンを貰ったのに… あまり味わえなかったです…」

ミカサ「それは私が悪かった。…また今度あげるから」

サシャ「ヤッタァー! ミカサ、大好きです!!」

アルミン「……」ホッ



ミカサ「…エレン、口の端に付いてる」

エレン「ン? ああ…」ゴシゴシ

ミカサ「エレン、服で拭いてはダメ」

サシャ「…フフ」

アルミン「サシャ、どうしたの?」

サシャ「イエ…、将来 子供が生まれたら、ミカサはとても良いお母さんになるだろうなと思って…」

サシャ「綺麗だし、優しいし、しっかりしてるし」

エレン「それじゃなんか、俺が子供みたいじゃねーか」

ミカサ「大して変わらない。 …エレンは今も小さな子供みたい」フフ

アルミン「フフッ…」

エレン「何だよアルミン、笑うなよ!」



サシャ「3人を見てると、飽きませんねぇ…」ウツラウツラ

エレン「サシャどうしたんだ? すげえ眠そうだぞ?」

サシャ「…んむむ、何だか急に眠気が…」

サシャ「…あれれ、今日はそんなにハードな訓練でもなかったと思ったんですが…」トローン

アルミン「(まさかもう、薬の効果が!?)」

サシャ「…私、もう部屋に戻りますね」

ミカサ「サシャ…、私も一緒に行く。 部屋に帰る」

サシャ「ダイジョーブですよ、私も子供ではないですから…」

サシャ「ミカサはゆっくりしてって下さい」ガタッ テクテク



ミカサ「アルミン」

アルミン「ご、ごめんミカサ… 薬の効果どうかは分からないけど、今夜は様子を見てもらっていいかな?」

アルミン「…幸い、同室だし…」

ミカサ「ええ…」



アルミン「(ハンジ分隊長から仰せつかった命令は、とても面倒な内容で…)」

アルミン「(たとえ今、サシャとミカサが同室であったにしても、ミカサに少なからず協力及び迷惑を掛けてしまうことが申し訳なかった)」

アルミン「(…何より、何も知らないサシャを実験台にしてしまった自分に罪悪感を感じている)」

アルミン「(現在、サシャとの同室は、ミカサとユミルとクリスタ)」

アルミン「(ミカサ以外の2人にも、事情を話した方がいいのかもしれない…)」

アルミン「(仮にサシャが全く食事を取らなくなってしまったら、真っ先に不審がるのは彼女達であろうから…)」



――― 翌朝


クリスタ「おはよう、ユミル」

ユミル「おはようクリスタ」

クリスタ「あれ、ミカサは?」

ユミル「私がさっき起きた時、どっかに出て行くトコだった」

ユミル「随分慌てていた様子だったが…」

クリスタ「サシャは?」

ユミル「まだ寝てんだろ」

ユミル「いっつも起きるのはギリギリだからな」

クリスタ「でも、そろそろ起こしてあげないと…」

ユミル「そうだな」

クリスタ「…サシャ、サシャ… カーテン開けるよー?」サササ…


クリスタ・ユミル「「!!??」」



――― 男子寮


バタァーーン!!


ミカサ「アルミン! アルミン!!」バタバタ

ジャン「うぉっミカサ//!? ここ男子寮…」

ミカサ「ジャンはすっこんでて。 私はアルミンを…」

アルミン「ミカサ!?」

ミカサ「アルミン!!」

アルミン「どうしたのミカサ! …まさか」

ミカサ「サシャが… サシャが大変なの」

ミカサ「一緒に来て!!」



――― 女子寮


ガチャッ


クリスタ「ミ、ミカサ… ひゃっ、アルミン!」

アルミン「ご、ごめんクリスタ//!」アセアセ

ミカサ「ごめんなさい2人とも。 非常時なので許して」

ユミル「…こりゃ確かに非常事態だわな」

サシャ「?」チョコーン

ミカサ「…起きたの」

アルミン「サ… サシャ!?」

アルミン「…サシャが… ちっちゃくなっちゃった!!!」

サシャ「」ニコ

ユミル「一体どういう状況だってんだ。 全部話してもらうぞ」


サシャ「おようふく… だぶだぶです」



アルミン「(ユミルとクリスタにはミカサから事情を話してもらうことにし、僕は急ぎ教官室に向かい状況を説明した)」

アルミン「(キース教官はひどく驚いた様子だったが、早馬を出し調査兵団本部に知らせを出した)」

アルミン「(どんなに早くても、その知らせを受けたハンジ分隊長がこちらに着くのは昼にはなる)」

アルミン「(あの状態のサシャを放っておくことはできないし、もう他の皆に秘密にするという訳にもいかないだろう)」

アルミン「(僕はもう一度女子寮に行き、ミカサに頼んでなるべく人目に付かないよう、サシャを連れてきてもらった)」

アルミン「(小さなサシャは、クリスタの物だという服に着替えていたが、それでも大きいらしく袖が余っていて)」

アルミン「(ミカサに抱っこされながら、僕を見るとにっこりと微笑んだ)」

ミカサ「…サシャはとてもイイコにしていた」フフ



――― 再び教官室

…コンコン

アルミン「…入ります」ガチャ

アルミン「連れてきました。 …さぁ、サシャ」

キース「!!」

キース「…これがサシャ・ブラウスか!」

サシャ「」ササッ

サシャ「…おじさんは… だれですか?」オズオズ

キース「おお、これはすまなかった」シャガミ

キース「おじさんの名前はキースというんだ」ニコ

アルミン「その… 以前の記憶はないようで、誰の名前も覚えていないんです」

キース「…フム」



キース「とりあえず、午前の訓練は座学に変更する」

キース「その旨は後で私から発表するが、貴様はまず朝食を取って来い」

アルミン「ハッ!」バッ

サシャ「アルミンくん… いっちゃうですか?」ジワァ

アルミン「ああサシャ、泣かないで!」オロオロ

アルミン「後でまた会えるから! ね?」ニコ

サシャ「はい!」パアァ

キース「それじゃサシャちゃんは、ここで少しおじさんと遊んでいようか」

キース「朝ご飯もすぐ持ってきてあげるからね」



アルミン「(食事中に教官から、午前の訓練ついての変更が発表された)」

アルミン「(おそらく、ハンジ分隊長が来るまでの時間稼ぎだろう)」

アルミン「(ユミルとクリスタにはミカサから事情を話した上で、口止めしてもらった)」

アルミン「(今の所、他にはサシャがこの場にいないことに気付いている人間はいないようだ)」

アルミン「(しかし、いつまでも皆に黙っているわけにもいかないだろう…)」

アルミン「(さっき僕の服の裾をつかんで、不安そうに僕を見上げていたサシャを思い出すと心が痛む)」

アルミン「(…同時に、口の端が緩む)」

アルミン「(早く顔を見に行ってあげたいな…)」

これはジャンサシャじゃないのか??
でも、サシャ可愛い



アルミン「(…座学の授業中に、教官Aから呼び出しを受けた)」

アルミン「(ミカサと… クリスタだけがこちらを心配そうに見ていた)」

アルミン「(あの小さなサシャは、この数時間… 泣いていなかっただろうか)」

アルミン「(…僕は駆け足で教官室に向かった)」


…コンコン


アルミン「アルミン・アルレルト、入ります」ガチャ

サシャ「!」バッ

サシャ「わあぁい! アルミンくーん!!」トテテテ

アルミン「…サシャ、いい子にしてた?」ニコッ

サシャ「ウフッ」

>>393
>>1はとにかくサシャを愛してるんだ。勿論ジャンも好きだけど



ハンジ「やぁ!」

アルミン「ハンジ分隊長!!」

アルミン「…これは、一体…」

ハンジ「今朝… ついさっきなんだけど、様子を見に来ようとした私と、こちらからの早馬が出くわしてさ」

ハンジ「急いで訓練所に来たのはいいんだけど…」

ハンジ「…ウーン、こんなはずじゃなかったんだけどなぁ…」

アルミン「…分隊長?」

ハンジ「まぁ… もともと薬の効果は10日前後のはずだし、このまま君が面倒見てあげてよ」

アルミン「…そ、それは!」

ハンジ「そこまでは隠し切れないだろうし、皆にも言ってしまって構わないよ」

ハンジ「調査兵団の新薬の実験だってね」



キース「…では昼食時に私から説明しよう」

アルミン「サシャは本当に元に戻るんですか?」

ハンジ「多分ね」

アルミン「多分て…」

ハンジ「馬で試した時はうまくいったんだけどなぁ…」

ハンジ「まあいいや。 また何か変わった事があったら連絡よこしてよ」

ハンジ「じゃあね、サシャちゃん」ナデナデ

サシャ「はぁい! またねですー」ニッコリ

ハンジ「ハハ、サシャちゃんは可愛いなあ」



アルミン「(…ハンジ分隊長は、思ったよりとんでもない人だったようだ)」

アルミン「(馬では成功しただって?)」

アルミン「(可哀想なサシャ… 馬の代わりだなんて)」

アルミン「(こんな状態のサシャを見てると…)」チラ

サシャ「♪」

アルミン「」ニヘラ

アルミン「(…駄目だ。 ニヤニヤしてる場合じゃないぞ、僕)」

キース「もう戻っていいぞ、アルレルト」

キース「先程言った通り、後で私から説明する」

アルミン「ハッ」

キース「サシャちゃんは、ここでお絵かきの続きをしてようね」



アルミン「(昼食時、教官に伴われて現れたサシャを見て、皆は一様に驚いていた)」

アルミン「(もちろん事情を知っていた、ミカサやクリスタなどは別だったが…)」

アルミン「(サシャが元に戻るまでは、僕らで面倒を見なければならない)」

ミカサ「…サシャ、こっちへ」

ミカサ「ここで一緒に食事を取りましょう」

サシャ「ワーイ、ミカシャたーん」テケテケ

エレン「ハハ、ちっこくなったなぁお前」

サシャ「だれですか?」

ミカサ「彼はエレン、私の家族」

サシャ「エレンくんはミカシャたんのかぞくですか!」

サシャ「アルミンくんは? アルミンくんもかぞくですか?」

エレン「アルミンは昔からの親友… 友達だよ」

サシャ「へえぇ」キラキラ

アルミン「サシャ、ご飯 食べちゃおうね」フフッ



サシャ「…はぐはぐ」

エレン「サシャ、パン屑ポロポロ落っことしてるぞ」

ミカサ「サシャ… 食事中に足をブラブラするのはお行儀が悪い」

アルミン「…フフッ」

エレン「どうしたアルミン?」

アルミン「昨日サシャが言ってたように、ミカサはいいお母さんになるだろうなと思ってさ」

アルミン「それに、エレンがサシャの世話を焼いてるのがおかしくて…」

アルミン「普段、ミカサがエレンにしてることと同じなんだもの」ニコニコ

エレン「ちぇ、何だよそりゃ」プクー

サシャ「…ごちそうさまでしたぁ!」

エレン「ン?サシャ、ご飯足りたのか?」

サシャ「もうおなかいっぱいです! ちょっとあそんでくるです!」

ミカサ「皆の食事のジャマはしないようにね?」

サシャ「はあい!!」トテテ



サシャ「♪」トコトコ

サシャ「!!」スタタ

コニー「…おっ? サシャ」

コニー「なぁ… お前本当にサシャなのか? こんな小さくなって…」ナデ

サシャ「おなまえ、なんですか?」

コニー「お、俺はコニーだよ」

サシャ「こにぃ… おイモみたい。 アタマかして」

コニー「何だ、そういうトコはやっぱサシャだな。 ホラよ」スッ

コニー「かぶりつくんじゃねえぞ?」

サシャ「じょりじょり…」ウフフ



サシャ「ふあぁ、ジョリジョリたのしかったですー。 …あ!」テテッ

サシャ「ユミちゃーん! クリスたちゃーん!!」

ユミル「朝以来だな、サシャ。 良い子にしてたか?」

サシャ「はい!」

サシャ「キースのおじさんと、おえかきしてました!」

ユミル「プッ、あの教官がお絵かきか?」

クリスタ「サシャ、今夜お洋服 少し詰めてあげるからね」ニコニコ

ユミル「しかし、お前はチビッコになっても敬語なのな」

サシャ「ねぇねぇクリスたちゃん、あそこのきんぱつでゴツゴツしたひとはだれですか?」

クリスタ「彼はライナーっていうのよ。 その隣の黒髪の人はベルトルト」

サシャ「ベルト… ベルベ… ベル」

サシャ「ベルくん!」



サシャ「それじゃあユミちゃん、すぐそこの コワイかおしたひとはだれですか?」

ユミル「あれはジャンだよ」

サシャ「ふぅん… おめめがコワイですねぇ」

サシャ「ちょっぴりユミちゃんに にてるです」

ユミル「私はあんなに凶悪なツラしてないぞ」

サシャ「ユミちゃんは、おクチもわるいですねぇ」

ジャン「…誰の目付きが悪ィって? ガキンチョ」

サシャ「ふわぁ!!」ササッ

クリスタ「ジャン! 子供相手に威嚇しないで!」

ジャン「…子供ったってよ」

ジャン「チッ、調子狂うな」



アルミン「(午後の訓練の間、サシャは座学の教官が仕入れてきた絵本を読んだり、散歩して過ごしたようだ)」

アルミン「(それでもよほど退屈だったのか、訓練後に顔を合わせた時は、しょんぼりした顔を満面の笑みに変えて駆け寄ってきた)」

サシャ「…サシャも、みんなといっしょにいたいです…」

アルミン「サシャ…」

サシャ「あっ、そうだ!」

サシャ「キースのおじさんに、おねがいしてきます!!」

ミカサ「サシャ、もうお風呂に入るから…」

サシャ「すぐもどるですー!!」テテテテ



――― 夕食・食堂


サシャ「えへへ」

エレン「どうしたサシャ、ニコニコして」モグモグ

サシャ「あしたから、みんなといっしょです」

サシャ「おじさんが いいっていってくれました!」ハグハグ

アルミン「良かったね、サシャ」ニコ

サシャ「アルミンくんや、ミカシャたんといっしょにいられます」

ミカサ「フフ」

サシャ「さっきね、ミカシャたんがアタマあらってくれました!」

ミカサ「サシャは、ずっと目をギュッと瞑っていた」

サシャ「ミカシャたんは とってもやさしいです」ニコニコ



エレン「ミカサは俺には厳しいぞ?」

ミカサ「そんなことない、エレン」

サシャ「ミカシャたんはエレンくんの おヨメさんなんですか?」

ジャン「」ピクッ

エレン「ハァッ!? 違ェよ!!」

サシャ「だって、かぞくって…」

アルミン「家族同然に育ったってコトだよ、サシャ」

サシャ「ふぅん …それならケッコンしたら、ほんとうのかぞくですねぇ」

サシャ「とっても おにあい」

ミカサ「サシャ…//」

サシャ「ごちそうさまぁ! あそんできます!!」トテテ



サシャ「あっ、ライナーのおじさんです! おじさーん!!」テテッ

ライナー「サシャか。 何だ、オジサンて」

ベルトルト「…プッ、言われてみれば確かにオジサンぽい」

ライナー「ベルトルトまで…」

サシャ「おてて、さわっていいですか?」

ライナー「ン? ああ」

サシャ「スゴーイ、おててスゴーイ! ゴツゴツです!」

ライナー「ハハ、立ってやるからちゃんと掴まってろよ」ムキッ

サシャ「うわぁ、もちあがっちゃった!」キャッキャ

ライナー「軽いなあ、サシャは」



サシャ「ライナーのおじさんは、ちからもちですねぇ…」

サシャ「それに、すごくおおきいです」

ライナー「背だけならベルトルトのがでかいぞ。 ベルトルト、ちょっと立ってみろ」

ベルトルト「うん」ガタッ

サシャ「ふわあぁ… おっきーい…」

サシャ「ぜんぜんとどきません」ピョンピョーン

ベルトルト「フフッ、今度肩車してあげるよ」

サシャ「ワァイ、ベルくんはやさしいですー!」

ベルトルト「ベルくんて…//」

ライナー「どうしたベルくん、顔が赤いぞ」

サシャ「ねぇベルくん、あそこのおんなのこはだれですか? ひとりでごはんたべてる…」

ベルトルト「ああ、彼女はアニっていうんだよ」

サシャ「アニちゃんですか…」テテテ



サシャ「」トコトコ ガタ

アニ「……」モクモク

サシャ「……」ジーッ

アニ「……何?」

サシャ「アニちゃんは、どうしてひとりでごはんたべてるんですか?」

アニ「別に… 1人が好きだから」

サシャ「ひとりがすきですか。 …サシャ、ここにいたらじゃまっけですか?」

アニ「…どうでもいい。 座ってたいなら座ってれば?」

サシャ「そうですか。 なら、ここにいます」

アニ「……」モクモク

サシャ「」ニコニコ



ミカサ「…サシャ、そろそろ部屋に戻るから」

サシャ「はぁい」

サシャ「アニちゃん、またねです」

アニ「……」

アルミン「ごめんねミカサ、色々お願いしちゃって…」

ミカサ「構わない… というか、私は結構楽しんでいる」

アルミン「サシャ、また明日ね」ニコ

サシャ「はい、おやすみなさいです アルミンくん!」



――― 部屋


クリスタ「寝巻きは私のTシャツでもいいかな。 ウン、このくらいで丁度いいや」

クリスタ「下着も小さいのを用意してもらった方がいいね」

ユミル「サシャ、1人で寝られんのか?」

サシャ「ダイ…ジョウブ、です…」

ミカサ「私と一緒に寝よう」

サシャ「ホントですか!」パアァ

ミカサ「ええ」ニッコリ

ユミル「ミカサは子供には優しいんだな」

ミカサ「…エレンやアルミンにも私は優しい」



――― 翌日・乗馬訓練


キース「サシャちゃんはおじさんと一緒に乗ろうね」ヨイショ

サシャ「おうまさん… おっきいですねぇ。 かわいい」

サシャ「…きのうは、いろんなひとの おなまえおしえてもらいました」ニコニコ

サシャ「ミカシャたんにアルミンくん、クリスたちゃんとユミちゃんと、エレンくん…」

サシャ「おイモがこにぃで、コワイひとがジャン…」

サシャ「おっきくてくろいアタマがベルくん、ちからもちがライナーのおじさん…」



キース「よく覚えたね、でもライナーくんもオジサンなのかい?」

サシャ「ダメですか」

キース「駄目じゃあないさ。 でも、それだとオジサンが2人になってしまうね」

キース「そうだ、こうしよう。 私の事はオジサンではなく、『おじちゃま』と呼んでくれないかな。 そうすれば区別できるから」

サシャ「はい、キースのおじちゃまですね!」ニコ

キース「うむ!」


サシャ「(…あと、アニちゃん)」

サシャ「(ひとりぼっちがすきだって…)」

サシャ「(ひとりぼっち、さびしくないのかな)」

キースおじちゃんというよりおじいちゃんが孫に接してるみたいに……

>>417
まあ全く違う話だと思った方が気楽だと思うよ



――― 午後・格闘訓練


サシャ「」ジイィー

コニー「とうっ!」バッ

マルコ「コニー …何だいそれ?」

コニー「これはカマキリの拳… 蟷螂拳だ!」

マルコ「コニーはまた…」ハァ

コニー「何だよマルコ、ノリ悪ィな」

コニー「こんな時、サシャだったらなぁ…」

サシャ「こにぃ、とってもおもしろいです!」ウフフ

コニー「おっ!俺の良さが分かるとは、やっぱちっちゃくてもサシャはサシャだな」



サシャ「」トコトコ …ジッ

エレン「今日も頼むぞアニ」

アニ「ハァ… 毎度毎度、暑っ苦しい男だね」

アニ「まだ蹴られ足りないってのかい?」

アニ「…いいよ、かかってきな」

サシャ「アニちゃん、エレンくん、がんばってくださーい」

エレン「サシャか、見てろよ! 行くぞアニ!!」ダッ

アニ「……フッ」ゴスッ!

アニ「フンッ!!」ブンッ

エレン「ッテェ! …うっわ」グルンッ

エレン「」ドシャ

サシャ「うわあ! エレンくんがグルンってなりました! アニちゃんすごーい!!」パチパチ

アニ「……」


サシャ「(アニちゃん、すこしうれしそう…)」



ジャン「フワアァ…」ダラー

サシャ「」ジーッ

ジャン「…ん? 何見てんだチビッコ」

サシャ「ジャンはどうして マジメにやらないですか?」

ジャン「いいんだよ、こんな大した点数にもならない訓練」

サシャ「でも、がんばってるひと いっぱいいます」

ジャン「放っとけっての」

ジャン「つーか、何でお前 俺とコニーだけ呼び捨てなんだよ?」

ライナー「…ハッハ、俺なんかライナーおじさんだぞ、ジャン」

サシャ「ゴ、ゴメンナサイ! イヤならもうやめます!!」

ライナー「いいんだサシャ、お前の呼びたいように呼べば」ニコリ

ライナー「…な、ジャン!」

ジャン「……チッ」

サシャ「……」



――― 夕食


サシャ「サシャ見てました。 ミカシャたんも、とってもつよいんですねぇ」ハグハグ

サシャ「ライナーのおじさんが ころがってました」

ミカサ「ライナーが弱いわけじゃない」

エレン「そうだ、ライナーは弱くない。 ミカサがちょっとおかしいんだよ」モグモグ

サシャ「エレンくんもがんばってましたよ!」

エレン「でも結局ブン投げられちまった」

サシャ「…アレはたぶん、エレンくんがさいしょにだした ひだりのてが…」

サシャ「すこし まえにいきすぎてて… えっと、なんていったらいいんでしょう…」



アルミン「重心が前に?」

サシャ「た、たぶん…」アセアセ

ミカサ「それで足元が疎かになったと?」

サシャ「む… むつかしいことばは わかんないです… ゴメンナサイ」シュン

エレン「俺だって難しいことは分からねーよ」

エレン「でも、なんとなく理解できた。 俺、いつも気持ちばっかり前に出ちゃうから… ありがとうな、サシャ!」

サシャ「」パアァ!

アルミン「サシャはよく見てたんだね」ニコッ

ミカサ「…おりこうさん」ナデナデ

サシャ「///」



サシャ「…あの、あのですね」

サシャ「どうしてオンナのコと、オトコのコはいっしょにねてはいけないですか?」

ミカサ「小さい時はいい。 でも大きくなったら、体も… 考え方も違ってくるから…」

サシャ「ミカシャたんも、ちっちゃいころはエレンくんといっしょにねてたですか?」

ジャン「」ピクッ

エレン「ああ、昔はな」

エレン「今は勿論ないけどさ」

サシャ「…サシャはまだちいさいから、だれとオヤスミしてもいいですか?」

アルミン「誰かと一緒に眠りたいの?」

サシャ「うーんと…」

サシャ「よくわかんないです!」ニコ



――― 部屋


サシャ「…ミカシャたん、おねがいがあるですが…」

ミカサ「何? サシャ」

サシャ「…アニちゃんのおへやにつれてってほしいです」

サシャ「サシャはきょう、アニちゃんといっしょにねたいです」

クリスタ「…アニ?」

サシャ「オンナのコならいいですよね?」

サシャ「ダメ… ですか?」

ユミル「そりゃアニさえ良いって言えば、いいだろうけどさ…」

ユミル「なんか意外だな」

ミカサ「…アニに頼んであげよう」



――― アニ達の部屋


…コンコン

ミーナ「ハーイ!」

ミカサ「……失礼、アニはいる?」ガチャ

ミーナ「え、アニ?」

アニ「………何?」

ミカサ「サシャが、アニと一緒に寝たいと言ってるのだけど…」

アニ「ハ? 何でさ?」

サシャ「…サシャ、イイコにしてますから」ヒョコ

サシャ「おねがいします」ペコリ

アニ「………」

サシャ「…」チラ

アニ「……ハァ、仕方ないねぇ… 今日だけだよ」

サシャ「わぁい!」



ミカサ「じゃあ私は行くから…」

サシャ「ミカシャたん、ありがとうございます」


ミーナ「サシャ、いらっしゃーい!」

ミーナ「教官から話を聞いた時はびっくりしたけど、本当に小さくなっちゃたのね! 可愛い」

サシャ「おじちゃまのおはなしは むつかしくてわからなかったです」

サシャ「まだ、おなまえきいてないですね」

ミーナ「私はミーナよ。 こっちはハンナ」

ハンナ「よろしくね、サシャ」

サシャ「ミーナちゃんと、ハンナちゃんですか」ニコ


アニ「サシャ、歯磨いておいで。 …もう寝るよ」

サシャ「はい!」テテテ



サシャ「…おじゃまします」モゾ…

アニ「……」

アニ「…アンタさぁ、何で私のトコ来たの?」

サシャ「それはですねぇ…」

サシャ「す… すきだから…」

アニ「ハァ? 全然分かんないんだけど」

サシャ「だってキ、キレイだし… つよいし」

アニ「私は綺麗なんかじゃない」

サシャ「キレイです! …この かみのけも」ナデ

アニ「金髪ならクリスタのが綺麗でしょ」

サシャ「クリスたちゃんもキレイだけど… アニちゃんのはお月さまみたいです」

サシャ「アニちゃんは、お月さまみたいにキレイ…」

アニ「……」



サシャ「それに、きょうのアニちゃんは とってもカッコよかったです。 エレンくんがグルンてなってました」

サシャ「どうして アニちゃんはつよいですか?」

アニ「それは… お父さんに習ったから…」

アニ「私の技は、全部お父さんに習った」

アニ「…習い始めたのは、今のアンタと同じくらいの頃かな」

サシャ「それじゃあサシャも、いまからがんばれば アニちゃんみたいになれますか?」

アニ「私みたいになりたいの?」

サシャ「はい! おしえてくれますか?」

アニ「…今度、気が向いたらね」

サシャ「ぜひ おねがいします」

アニ「アンタ、子供のくせに喋り方変…」フフッ



アニ「……お休み、サシャ」



――― 技巧


サシャ「…アルミンくん、それはなんですか?」

アルミン「立体起動装置だよ。 このベルトを巻いてね、お空を飛ぶんだ」

サシャ「りったい… きどう」

アルミン「こうやってちゃんと整備してあげないと、事故を起こしたら大変だからね」

サシャ「おそらをとべるですか?」キラキラ

アルミン「フフ、実際は自由に飛べる訳じゃないけどね」

アルミン「それでも地面をてくてく歩くよりも、ずっと速いし高いよ」

アルミン「午後は立体機動の訓練だから、サシャも見てごらん」

サシャ「はい!」



――― 立体機動


サシャ「…みんなさっきのを こしにつけてますねぇ」

サシャ「ほんとうに おそら とべるんでしょうか」

キース「よく見ていてごらん」

…バシュッ パシュッ ゴオォーーー
ヒュゥーーーン シパッ

サシャ「うわぁ! ホントにおそらとんでるみたいです!!」

キース「あれは体のバランスを取るのがとても難しいんだよ」

サシャ「スゴイですねぇ…」

キース「フム… 今日は班ごとの連携がメインでブレードも使わんし、サシャちゃんも少しお空を飛んでみるかね?」

サシャ「ホントですか!?」キラキラ

キース「立体機動が得意な者におんぶしてもらってだが」

サシャ「ヤッタァー!!」

キース「皆、もう少ししたら集まるからね」

書いといてなんだが、割とダメ教官だな



ジャン「………」

ジャン「(…何だこりゃ)」

ジャン「(…何だって俺は、こんなモン背負わされてんだ?)」

サシャ「あ… あぅ…」パタパタ

サシャ「お、おじちゃま… サシャやっぱり…」

キース「…実際、立体機動時に 負傷者をそのように背負う場合もある」

キース「貴様にとっても、良い訓練になるだろう」

キース「今日は無茶をせず、より正確な移動を目標としろ」

ジャン「ハ… ハッ!」

サシャ「……ぅぅ」



ライナー「イイ格好だな、ジャン」ニヤニヤ

ユミル「プ… 意外と似合うぞ」

ジャン「っせえぞ、お前ら!!」

ジャン「(あの教官が… アレじゃただの孫思いのジジイじゃねえか!)」

ミカサ「ジャンは優秀だし、サシャをおぶらせても安心…」

ジャン「……//」

ジャン「…しょうがねえなあ、もう!」

ジャン「暴れんじゃねえぞ、しっかり掴まってろ ガキンチョ」

サシャ「はっはい!」

ジャン「行くぞ!」…パシュッ



ヒュウウウゥーーーーン

サシャ「ふ… ふわぁぁ… おそらとんでる…」ゴオォー

サシャ「あ… あのぅ…」

ジャン「あ? 何だ」パシュ

サシャ「ご、ごめんなさい ジャン… くんは」

ジャン「ああ? 何で急にクン付けなんだよ。 もういいよジャンで」ヒュンッ

サシャ「ジャン… は、サシャのことキライなのに、おんぶさせて…」

ジャン「別に嫌いじゃねえよ」

サシャ「だって、『ちっ』ていうし…」

ジャン「…クセなんだよ、舌打ち。 それに俺、子供得意じゃねえから…」ゴオォー

サシャ「おっきければいいですか?」

ジャン「まあ、小さいよりはな」

サシャ「そうですか! あの… おんぶしてくれて、ありがとうございます」ウフ

ジャン「……ん」



――― 数日後・格闘訓練


アニ「…」ズルズル

エレン「何持ってきたんだ アニ?」

アニ「これはボロ布をまとめて紐で縛って…」

エレン「フーン、何に使うんだ?」

アニ「それは…」

アニ「あ… エレン、私は今日約束があるからアンタとは組めない」

エレン「エ! そうか… そんじゃライナーにでも頼むか」

アニ「…悪いね」

エレン「いいって、教えてもらってんの俺だしな」

エレン「…でも珍しいな、アニが俺に謝るなんて…」

アニ「……」



アニ「…サシャ」

サシャ「アニちゃん! おしえてくれるですか?」トテテテ

アニ「…うん、一応… 約束したし」

サシャ「やったぁ!」

アニ「とりあえず… 回し蹴りでいいかな。 …ちょっとベルトルト、これ持ってて」ボスッ

ベルトルト「な、何これ?」

アニ「それの紐のトコ持って、肩下くらいの高さで」

ベルトルト「う、うん」ガシッ

アニ「いいサシャ? 1回やってみせるから、よく見てな」

アニ「まず、左足を踏み出すように…」

アニ「同時に右腕を左に振り上げて、上体を少しひねった反動で…」

アニ「軸足を回転させ、全体重をかけて… 蹴る!!」ドンッ!!

ベルトルト「うっ…わ」ヨロッ



サシャ「スゴーイ!! あんなにおっきいベルくんが、フラついて…」パチパチ

アニ「拍手してる場合じゃないだろ。 次はアンタがやるんだ」

アニ「もう行っていいよ、ベルトルト」

ベルトルト「あ… ああ(そんだけだったの?)」

アニ「ホラ、やってみな」スッ

サシャ「エット… ひだりあしをだして、おててあげて… やあっ!」タシッ

アニ「……」

サシャ「なんかちがいますねぇ…」

アニ「…腰が落ちてる」

アニ「いいかい? 足だけを振り上げて蹴るんじゃない。 胸のこの辺から足だと思って全身を使うんだ」チョンチョン

アニ「右の腰を相手にぶつける感じで… 右腕を鋭く引くと、自然に出るだろ?」シュッ

アニ「まあ… コツを掴むまでは繰り返すしかないが…」

サシャ「やります!」

バシッ バシッ



バシィ ドシッ

サシャ「……うむむ、むつかしいですねぇ」

アニ「こればっかりは、繰り返すしかないから…」

サシャ「…けりおろすっていうのが、よくわかんないです」

アニ「簡単だよ。 膝を内側にひねってやれば、カカトが上を向くだろ?」シュッ

サシャ「…あ」ヒュッ

サシャ「なんか… わかったようなきが…」ヒュン

アニ「膝を使って下に…」

サシャ「せい!」ドンッ

アニ「… つ、続けてサシャ」

サシャ「エイ! エイッ!!」ドンッ ドシィッ!

アニ「(これは…)」

アニ父『…いいぞ、アニ。 さすがは俺の娘だ』

アニ「いいよサシャ、その調子!」



サシャ「アニちゃんは、おしえるのじょうずですねぇ」ニコニコ

アニ「(この子は……)」

アニ「(…飲み込みが早いなんてモンじゃない… 体の使い方を本能で知っているような…)」

サシャ「…アニちゃん?」

アニ「あ、ああ… ごめん」

アニ「…サシャ、ちょっと他の人で今のヤツ練習してきたら?」

サシャ「ためしていいですか!」パアァ

アニ「ああ。 エレンと交代して、ライナーとやってごらん」

サシャ「ライナーのおじさんですか! いってきます!!」テテテ



エレン「…約束があるって、サシャとだったんだな」

エレン「結構、面倒見いいよなアニって。 なんだかんだで俺の相手もしてくれるし」

アニ「……」

エレン「さっきの、俺にも教えてくれよ」

アニ「ヤダよ。 アンタの本気の蹴りなんて食らったら堪らないからね」

エレン「ちぇ」


ライナー「アニとどんな練習してたんだ、サシャ?」

サシャ「えへへ、ナイショです」

ライナー「よおし、かかって来い!」

サシャ「エーイ!」ポクポク

ライナー「ハッハ! 強いなあサシャは」

アニ「サシャ! そうじゃない、さっき教えたヤツ!!」

サシャ「あ、そうでした。 えーと、ひだりあしを… ヒザをなかに… フンッ!!」ドシィ!

ライナー「痛ッ!!」



ライナー「…今のは割と本気で痛かったぞ」

サシャ「アニちゃんがおしえてくれました!」

サシャ「でも、イタかったですか… ゴメンナサイ」シュン

サシャ「サシャはイタいのヤです。 だれかがイタいのもヤです」

ライナー「ナニ、俺なら大丈夫だ。 今度はちゃんと受けるから、やってごらん」ニコリ

サシャ「いいですか!」パアァ

サシャ「せいッ! ていっ!!」バシッ ドンッ

ライナー「おお! 強いぞサシャ!!」

ドシッ バシィ

サシャ「……」チラ

ジャン「ふわあぁ…」ダラー

サシャ「(また… さぼってます)」



――― 昼食


サシャ「きょうは、アニちゃんとたべるです」

サシャ「アニちゃーーん!」トテテ


アルミン「…午前の格闘、サシャはアニに教えてもらってたんだって?」フフ

エレン「ああ、中々いい蹴りだったってライナーが言ってた」

ミカサ「フフ、私も見てた。 サシャはスジが良いと思う」


エレン「…もうすぐ戻っちまうんだな」

アルミン「最初はなんて面倒な事を… と、ハンジ分隊長を少し恨んだけど…」

アルミン「…僕、今すごく楽しいんだ」

ミカサ「それは私も同じ」

エレン「…今の記憶って、どうなるんだろうな」

アルミン「さあ… それは誰にも分からないよ」



ミーナ「…私も一緒にいい?」ガタ

サシャ「ミーナちゃん!」

アニ「…どうぞ」

サシャ「サシャはさっき、アニちゃんにおしえてもらったですよ! アニちゃんはおしえるの、とってもじょうずなんです!」

ミーナ「良かったねサシャ」ニコ

ミーナ「…私、これまでアニのこと誤解してたんだと思う」

ミーナ「ずっと、無口で近付き難い女の子だと思ってた…」

アニ「その通りなんだけどね」

アニ「ああサシャ… 口の周りについてる」フキフキ

サシャ「むむぅ… きょうのごはんは、たべるのむつかしいです」

アニ「フフ…」

ミーナ「ああっ、アニが笑った! すごい可愛い!! いつももっと笑えばいいのに!!」キャッキャ

アニ「///」

サシャ「ウフフ」



アルミン「(…サシャが薬を飲んでから、今日で6日目だ)」

アルミン「(ハンジ分隊長が言うには、薬の効果は10日ほど)」

アルミン「(しかしこれは満腹感を維持させる期間との事で、今回はまったくアテにならない)」

アルミン「(食欲… に関しては、どうなんだろう)」

アルミン「(確かに子供の体に見合った量… 普段の食事1人前をなんとか食べるといったところだ)」

アルミン「(もしかしたらサシャは、お腹が空いていなくても食べているのかな)」

アルミン「(夕食の時にでも聞いてみようか)」


アルミン「(…サシャはいつもニコニコしている)」

アルミン「(小さな彼女の周りだけ、ポッと明かりが灯っているようだ)」

アルミン「(それに触れると、周囲の者達もふんわりと明るくなる)」

アルミン「(以前からそんな所はあったけど、今 僕はとてもそう感じている)」



――― 夕食


アルミン「サシャ、今お腹空いてる?」

サシャ「?」

サシャ「すいて… るとおもいます」

サシャ「でも、ペコペコじゃないかもしれません」

アルミン「そう…」

アルミン「(一応、効果はあるってことなんだろうか…)」


エレン「前のサシャは、いっつも腹減らしてたんだけどな」

サシャ「あまりよくおぼえてないですが…」


エレン「…壁の外には、ここにはないような ウマイ物がたくさんあるかもしれないぞ」

サシャ「かべの… そと?」

ミカサ「…エレン」

エレン「何だよ、別にいいだろ話したって」

エレン「外の世界には、塩でできた湖があるんだ」

アルミン「『海』だよ、エレン」

エレン「そうそう、それに何だっけ… 炎の…」

アルミン「『炎の水』や『氷の大地』」

サシャ「ふわあ… いろんなものがありますねぇ」

サシャ「おかしでできたやま も、あるですかねぇ…」

ミカサ「…フフッ」

アルミン「どうだろうね」ニコ

エレン「…分かんないけど、いつか俺はそういうものを探しに外の世界に行ってみたいんだ!」



ジャン「まぁた夢みたいなコト言ってやがんのか、エレンは!」

ジャン「めでたい頭だなぁ、オイ!!」

エレン「…なんだと!?」ガタッ

ミカサ「……やっぱり」フゥ

ジャン「実力も伴わねえクセに調査兵団なんて、お前なんかアッという間に巨人の胃袋直行だって言ってんだよ!」

エレン「この… 負け犬野郎が!!」

エレン「やってもみないで諦めて、現実逃避すんのか!?」

ジャン「ハッ、現実逃避はお前だろ! 自分の実力考えろってんだ!」ガタン

ジャン「そんでそのままミカサも巻き込むつもりだろうが!!」

エレン「!!」

ジャン「…めんどくせぇ」ズイ


サシャ「やめてください!!」タタッ



サシャ「エレンくんをいじめないで!!」バッ

ジャン「…ハァ!? なんも知らねえガキはすっこんでろ!」

サシャ「エ… エレンくんは、よわくないです!」フルフル

サシャ「サシャ、みてたもん!」

サシャ「ちょっぴりでも、いちにちずつ つよくなってる!」

サシャ「まいにち どんなくんれんでも、いっしょうけんめいガンバッてます!」

サシャ「よわいのは、ジャンのほうです! サボッてばっかりで!」

サシャ「そんなにズルばっかりしてたら、アットいうまにみんなにおいぬかれちゃうんですから!!」

エレン「サシャ…」

アルミン「サシャ、こっちへ」

ミカサ「ジャン、もうやめて…」

ジャン「……」

ジャン「…チッ」スタスタ

ギギイィィ バタンッ!



ミカサ「…エレン、席に着いて」

エレン「…うん」ガタ

エレン「…ゴメンなサシャ …あんなこと言わせて」

サシャ「エレンくんが ちょっとずつ つよくなってるのは、ホントだとおもいます」

サシャ「ホントです」

ミカサ「…サシャ」

サシャ「………」

サシャ「アルミンくん」クル

アルミン「どうしたの?」

サシャ「…サシャは、ゴハンもういいです。 のこしてゴメンナサイ」

アルミン「サ、サシャ?」

サシャ「」テテテッ



サシャ「…ユミちゃん、クリスたちゃん」テテッ

クリスタ「ん? どうしたの サシャ」ニコ

ユミル「ジャン相手に ズイブン頑張ってたな」

サシャ「……」

サシャ「サシャ、ジャンにヤなこといってしまいました…」

ユミル「まあ アイツには、あれぐらい言っても構わんと思うが…」

ユミル「…もし気になるなら、謝っておいたらどうだ?」

クリスタ「…時間が経てば経つほど、どんどん謝りづらくなっていくものだからね」ナデナデ

サシャ「……」

サシャ「…サシャ、いってくるです」トテテテテ

ユミル「ああ、行っておいで」

ギイィー バタン

クリスタ「…ウフフ」



――― 外


サシャ「」テテテッ

サシャ「」キョロキョロ

サシャ「!!」

トコトコトコ…


ジャン「……」

サシャ「……」

ジャン「……何だよ クソガキ」

サシャ「」テクテク ギュッ…

ジャン「…服の裾 握んな、なんか用かよ」



サシャ「………ごめんなさい」ギュゥ



サシャ「…ジャン、ごめんなさい…」ポロッ

サシャ「…ジャンは、よわくないです」

サシャ「おじちゃまも、おそらとぶのじょうず っていってました」

サシャ「サシャ、おんぶしてもらったのに…」

サシャ「やさしくしてくれたのに… ごめんなさい」ポロポロ

ジャン「…まあ、サボってんのは確かだからな…」

ジャン「点数低い訓練には、手ェ抜いて…」

ジャン「何となくだけどさ… 俺だって本当は分かってんだぜ?」

ジャン「このままじゃ、どうにもならないって事も…」

ジャン「アイツが勇気のある、強いヤツだって事もさ…」

ジャン「…ハハ、お前に言ってもしょうがないけどよ」

ジャン「…もういい、泣くなチビッコ」クシャクシャ

ジャン「ほら、早く帰んないと皆が心配すんぞ?」

サシャ「……はい」



――― 部屋


…カチャッ

クリスタ「お帰り サシャ」

サシャ「ミカシャたんは?」

ユミル「今は明日の訓練のことで、ちょっと話し合いに行ってる」

ユミル「…ちゃんと謝れたか?」

サシャ「」コクリ

クリスタ「偉いね、サシャ」ナデナデ

サシャ「クリスたちゃんは、何やってるですか?」

クリスタ「ああコレ? 冬物のセーターの袖がほつれちゃったから、全部ほどいてるの」

クリスタ「何か編んであげようか? それとも毛糸玉欲しい?」

サシャ「けいとのタマ、ほしいです! あやとりできます!」パアァ

クリスタ「そう、じゃあコレ… お手々をこうして… 巻いていくからね」

サシャ「」ニコニコ



――― 翌日


ザアァァーーー

クリスタ「…ス、スゴイ雨だね」

ユミル「こんな中で兵站行進とは、ツイてないな全く」

ミカサ「サシャ… 今日は雨なので、サシャを連れて行けない」

ミカサ「お昼にも皆 帰って来れないし… 一応昼食の時には、人が来てくれる事になっているけれど…」

サシャ「ダイジョウブです! おへやであやとりしてあそんでますから!」ニコッ

サシャ「サシャ、ちゃんとイイコにしてますから!」

ミカサ「…そう」ニッコリ

クリスタ「じゃあ行ってくるね、サシャ」

サシャ「おカゼ、ひかないでくださいね! 行ってらっしゃい!」



サシャ「…だれもいないと、しずかですねぇ」

サシャ「きょうは、おじちゃまもいないし…」

コロン…

サシャ「あ、そうだ あやとり…」

サシャ「おそと… すごいあめです…」

……ザアァァーーー

サシャ「……」ジイィー

サシャ「!」

サシャ「」セッセセッセ…



ザアァアアァアァアァーーーー
バチャッ バチャッ バチャッ


アルミン「…ハァ…ハァ」バチャバチャ

キース「どうした アルレルト! 貴様だけ遅れているぞ!!」

アルミン「」ハァ ハァ

キース「貴様には重いか!?」

キース「貴様だけ装備を外して、サシャを背負うか!?」バチャッ バチャッ

アルミン「!!」

アルミン「………」バシャバシャ

ザザアァァーーー

ライナー「…貸せアルミン、このままじゃ不合格だぞ」ヒョイ

アルミン「……クッ!」バッ! ダダダッ

ライナー「…な!? オイ!?」

アルミン「こっ、これだけは… 譲るものかあァーーー!!」ダッダッ

書いといてなんだが、ちょっと頭オカシイな この教官



――― 部屋


クリスタ「…た… ただいま…」ガチャ

サシャ「お帰りなさいクリスたちゃん! …ビショビショじゃないですか!」

サシャ「タ、タオル…」オロオロ

クリスタ「大丈夫よ、サシャ。 すぐお風呂に入るから…」ハァハァ

ユミル「ああ… 私もすぐ風呂だな」ハァー

サシャ「ユ… ユミちゃんもビッチョビチョ…」ウルッ

サシャ「そんなにたいへんだったですか?」

サシャ「サシャ、ひとりでおへやでラクして…」ウルル…

ミカサ「…私達は大丈夫。サシャは1人で寂しくなかった?」ニコ

サシャ「そんなのヘーキです! サシャはひとりでずっと…」

サシャ「ミカシャたん、お手々冷たい… はやくオフロに…」



――― 夕食


エレン「…ン? サシャ、その袋何だ?」モグモグ

サシャ「これは、あとでチョット…」

サシャ「エレンくんもアルミンくんも、きょうはタイヘンだったですか?」ハグハグ

エレン「ウン …でもまあこのくらい、よくあることだからな」

エレン「それより、今日はアルミンがすごく頑張ってたんだぞ!」

サシャ「そうですか!」パアァ

アルミン「エット… でも今日はたまたまかもしれないから…//」

ミカサ「フフ、ライナーも驚いてた」

サシャ「」ニコニコ


サシャ「あ… あの、サシャ… ごちそうさまでした!」

サシャ「…ちょっといってきます!!」トテテテテ



サシャ「…ジャン!」テテテッ

ジャン「んぁ? 何だチビ」

サシャ「これ… ちょっとアタマさげてください」ゴソゴソ

ジャン「…ア?」ヒョイ

サシャ「」マキマキ

サシャ「……できた!」

ジャン「……何だよコレ…」グルグル

サシャ「あの… あのね! こないだいっしょにねたトキ、ミカシャたんにきいたです!」

サシャ「ミカシャたんは、エレンくんにマフラーもらって、それでかぞくになったんですって!」

ジャン「…マフラーなのか、これ? …細ぇし、グリングリンじゃねえか」

サシャ「そ、それはユビであんだから…」アセアセ

サシャ「イ、イヤですか? いらないですか?」ジワァ

ジャン「…まあ 一応もらっとくよ、アリガトな」クシャクシャ

サシャ「」パアァ!



サシャ「アルミンくん、アルミンくーん!」シタタタ

アルミン「ど、どうしたのサシャ?」

サシャ「サシャは、ジャンと かぞくになりました!」

サシャ「だから、いっしょにオヤスミしてもいいですよね?」

アルミン「エェッ!?」

ジャン「…ちょっ! ちょっと待てってお前!!」ダダダッ

サシャ「だってサシャはまだちっちゃいから、かぞくなら オトコのコでもオヤスミしていいって!」

サシャ「ミ…ミカシャたん… ダメですか?」

サシャ「サシャ、きょう がんばってマフラーをあんだです…」ウルル

ミカサ「サシャ…」ウルッ

ミカサ「ジャンは、サシャの家族…」

ジャン「何だそりゃあァーーー!!」


ユミル「…ハハッ、サシャは小さい方が 大胆でいいんじゃないか?」

クリスタ「ウフフ」



――― ジャン達の部屋


ジャン「ハァァ… 何でこんな事に…」

ライナー「いいじゃないか、羨ましいぞ ジャン!」

ジャン「ならライナー! テメエが一緒に寝ろ!!」

サシャ「サシャのかぞくはジャンなので、それはダメです」ギュッ

ジャン「袖を掴むなっての! まったく… どうせなら、アルミンとでも寝りゃいいのに…」

サシャ「ジャンは やっぱりサシャと寝るの、ヤですか…」ジワッ

サシャ「…かえるです… グスッ」クル

ベルトルト「あーあ、泣かせちゃった」

マルコ「ジャン、初めて女の子にモテたのに、それはないだろう?」

ジャン「女の子ってなぁ! …アァ、もう分かったよ! 分かったから泣くな、こっち来い!!」

サシャ「」パアァ

ライナー「…くれぐれも、イタズラだけはするなよ?」

ジャン「するか! 俺はロリコンじゃねえ!!」



サシャ「」モゾモゾ

ジャン「あんましモゾモゾすんな」

サシャ「ジャンは… サシャとかぞく、ヤですか?」

ジャン「んなコト、考えたこともねえよ」

サシャ「…ミカシャたんがスキだからですか?」

ジャン「ハァ!? 何だよそれ//!」

サシャ「だって、ミカシャたんたちと おはなししてるトキ、ビクッとして こっちみてることありました」

ジャン「…目ざといな、お前…」

サシャ「サシャがコドモだからですか?」

ジャン「まあ… 子供に興味はねえな」

サシャ「じゃあサシャ、はやくおっきくなります! だから、まっててくれますか?」

ジャン「ウーン、 大きくなったら考える」



ジャン「だからもう、早く寝ろサシャ…」



――― 翌朝


ジャン「(……ん)」

ジャン「(何か柔らけえな… 何だコレ)」フニッ

ジャン「(…イイ匂い…)」

ジャン「…んあ?」パチ

サシャ「」スースー

ジャン「…うわぁっ!!」ガバッ!

ジャン「(サシャが… でっかくなってる!!)」

サシャ「…んむ?」パチ

サシャ「……ジャン」

ジャン「」ドキドキ

サシャ「……あれ?」

サシャ「サシャ… なんかヘンですねぇ」ポワー



サシャ「…なんだか、おっきくなってる?」ムクッ

ジャン「お前… ひょっとして中身まだ子供…?」

サシャ「クリスたちゃんにもらったねまき… すごくぴちぴち…」

サシャ「はやく おっきくなりたいとおもったから、おっきくなったでしょうか」

ジャン「ああ… 元に戻ったの、外見だけなんだな」ホッ

サシャ「おっぱいおっきい…」フニフニ

ジャン「自分で触ってんじゃねえ」

ジャン「まあ、確かに無駄にデカイな」

ジャン「…大方、頭に行く栄養が 全部そっちに回っちまってんだろ」

ジャン「待ってろ、今アルミン呼んでくる。 ほら、毛布かぶっとけ」バサ



サシャ「……えいよう…」

サシャ「……」ジワッ



…パタパタパタパタ


アルミン「サシャ!」ガチャッ

サシャ「アルミンくん…」タタッ

サシャ「ふえぇーん、アルミンくーん!」バサ ガバッ

アルミン「う、うわ! サシャ、毛布落ちた//!!」

ライナー「…ン? 何だ何だ?」ムクッ
ライナー「うぉ//!?」

ジャン「サ、サシャ! 毛布!!」バッ

サシャ「アルミンくん… ヒック」ギュウゥ

アルミン「ジャン! サシャに何したの!?」キッ

ジャン「おっ、俺は何もしてねえよ!」アセアセ

アルミン「だってこんな格好で、こんなに泣いて…」

ジャン「こんなカッコは元からだろうが!」

ジャン「…ん? お前 何で泣いてんの?」



サシャ「だって… きゅうにおっきくなってて…」グスッ

アルミン「…ああ、不安だったんだね」ナデナデ

ジャン「アルミン…」

サシャ「あれ? アルミンくんがちっちゃいです」

アルミン「サシャ、いいこだから毛布巻いて、一緒にミカサの所へ行こうね」ニコ

サシャ「はい…」トボトボ

サシャ「」チラッ

ジャン「?」

ガチャッ…



マルコ「ただいま」ガチャ

ジャン「マルコか… ドコ行ってたんだ?」

マルコ「僕は早くに目が覚めてしまって… 少し散歩してきたんだよ。 サシャは?」キョロキョロ

ジャン「アルミンが女子寮に連れてった。 体だけ元に戻っちまってよ」

ライナー「…俺はスゴイものを見たぞ マルコ」

ライナー「毛布が落ち、Tシャツパンツでアルミンに抱き付くサシャの後ろ姿を…」

ライナー「腰上までずり上がったTシャツから覗く、綺麗な背中から長い脚までのライン…」

ライナー「そして極めつけは、ピチピチのパンツからはみ出た尻の肉…」

ライナー「……イイケツだった」シミジミ

マルコ「うわぁ… それは僕も見たかったなぁ…」

ライナー「ジャン… お前、本当に何もしなかったのか?」

ジャン「するかっての! さっき起きて気付いたばっかだし、それにアイツ、中身はガキのままなんだぞ!!」

ライナー「ううむ… 勿体ない」

ジャン「もういいだろ、その話は。 …オイ、お前もいい加減起きろベルトルト! 」ゲシ



アルミン「(…サシャを女子寮のミカサに預け、僕は教官室に急いだ)」

アルミン「(既に着替えを済ませていたから良かったものの、今朝は忙しい…)」

アルミン「(教官には一通りの説明をしたが、あいにく今日は人が出払っていて、調査兵団本部へ知らせに行ける人間がいないらしい)」


キース「…フム、それではアルレルト、朝食後 貴様が馬に乗せて連れて行ってやれ」

キース「あちらへ行って誰か寄越すより、その方が早いだろう」

キース「訓練には、戻り次第参加しろ」

アルミン「ハッ!」



アルミン「(…何故だろう。 部屋を出る時、教官はほんの少し寂しげだった)」



サシャ「…おうまさんのおカオが ちかくなりました」

サシャ「おメメかわいいですねぇ」ニコニコ

アルミン「サシャ、僕の後ろに乗れる?」

サシャ「だいじょうぶです。 …エイッ」

アルミン「そんなにスピードは上げないけど、ちゃんと掴まっててね」

サシャ「はい!」ギュゥ

アルミン「(わ… ム、ムネが…//)」

アルミン「(でも今朝に比べたら…)」

アルミン「じゃあ、行くよ」

サシャ「はい!」



パカラッ パカラッ パカラッ


サシャ「…アルミンくん」

アルミン「何だい?」

サシャ「サシャ… これからどうなるですか?」

サシャ「サシャ、こわいです…」ギュ

アルミン「サシャ……」ウルッ

アルミン「そう… だよね… 怖いよね 不安だよね」

アルミン「ごめんね、サシャ…」

サシャ「どうして アルミンくんがあやまるですか?」

サシャ「アルミンくんは、なにもわるくないですよ?」

アルミン「………」パカッ パカッ



――― 調査兵団本部


ハンジ「…やぁ、待たせたね」バタン

アルミン「」バッ!

ハンジ「ああ、堅苦しいことはいいよ。 そっちがサシャちゃん?」

ハンジ「おや サシャちゃん、大きくなって美人になったね」

サシャ「」ニコッ

ハンジ「…話は大体聞いたけど、もう7日経ったしね。 薬が切れかかってきてるんだろう」

ハンジ「それで、食欲についてだけど…」

アルミン「…食べようと思えば食べられる、程度の物かと思われます」

アルミン「量に関しては、体に見合った通常の人間と同じくらいです」

アルミン「普通の人間ならもしかしたらもう少し、少ないかもしれませんが… 今回の内容だけで判断するのは…」



ハンジ「…結局、よく分からず仕舞ってことか」

アルミン「お役に立てず、申し訳ありません…」

ハンジ「まあ予想もしてなかったからねぇ」ウーン


ハンジ「……さて、サシャちゃんなんだけど」

ハンジ「これからちょっと不安定な状態になるかもしれないし、こちらで預かるよ」

ハンジ「アルミン君だっけ? ありがとう、 君は訓練所に戻っていいから」

サシャ「エェッ!?」

サシャ「アルミンくん、いっちゃうですか!? アル…」ブワッ

アルミン「サシャ…」

サシャ「…う、うえぇ… えぐっ」ボロボロボロ

ハンジ「ありゃりゃ… やっぱりそうなるよねぇ」

ハンジ「…ちょっとゴメン」スタスタ バタン



アルミン「サシャ… 泣かないで?」

サシャ「いいこにしますから… みんなをこまらせたりしませんから…」

サシャ「お… おいてかないで…」ギュ

アルミン「サシャがそんなに泣いたら、ぼ… 僕だって…」ジワァ

サシャ「ああっ! ゴ、ゴメンナサイ こまらせないっていったのに!」オロオロ

サシャ「サシャ、もうなかないですから! おハナもかみますから!」ゴシゴシ チーン

サシャ「…また、すぐ あえるですよね?」

アルミン「ウン…」



…バタン

ペトラ「お邪魔しまーす…… アレ?」

ペトラ「…ハンジさん、もう泣き止んでますよ サシャちゃん」



アルミン「(…サシャが訓練所に戻ってきたのはそれから2日後で、薬を飲んだ日からちょうど10日が経っていた)」

アルミン「(使いの人に尋ねたところ調査兵団本部でのサシャは、元に戻ったり また子供の人格になったりとを何度か繰り返し、昨日あたりようやく落ち着いたのだという)」

アルミン「(…元の人格に戻っている間は、自身が子供であったことは覚えていなかったそうだ)」

アルミン「(つまり今ここにいるサシャは、小さかった自分をまったく覚えていないんだ)」

アルミン「(教官はこの10日間の事を皆に口止めし、一切その話をすることを禁じた)」

アルミン「(サシャは、調査兵団の新しい実験に参加した… という体になっているが、それはあながち間違いでもないだろう)」

サシャ「…アルミン、どうかしましたか?」

アルミン「イヤ、何でもないよ」ニッコリ

サシャ「そうですか… なんだか悲しそうに見えたんですが…」


アルミン「(…そうして僕らは何事もなかったかのように、日常へと戻り)」

アルミン「(元の辛い訓練生活を送っているうちに、そんなことがあったことも、段々と忘れていったんだ)」



――― 849年 12月 31日・夜


ミカサ「…何故ジャンの部屋? どうしてエレン達の部屋ではないの?」

ジャン「なこと言ったってエレンはヤダって言うし、ライナーんトコは本が一杯でこの人数入れねえしよ」

ミカサ「エレンはまた部屋を片付けていないの?」

エレン「休みの間にやるってば」

アルミン「僕の私物も結構あるからね。 ここが一番、空きスペースがあるんじゃないかな」

ミカサ「…なら仕方ない」

ジャン「オイ、そこ! 何 引き出し開けようとしてんだ!?」

サシャ「アハハ …ちょっと気になってですね」



サシャ「…あれ? 何ですかコレ… マフラー?」プラーン

ジャン「あっ!」

サシャ「…ジャンのですか?」

ジャン「昔… もらったんだよ」

サシャ「へぇー 懐かしいですね、こういう指編み」

サシャ「私も小さい頃、父に編んで… 父に?」

サシャ「イエ… 家族にあげたんですが… なんでしょう、よく思い出せません…」

ミカサ「……」

ジャン「…もういいから ソレ、しまっとけ」



アルミン「……それでねサシャ、この世界の大半は『海』という水で覆われていて、しかもそれは全部塩水なんだそうだよ」

アルミン「他にも『炎の水』『氷の大地』『砂の雪原』や… 外の世界は、とても広いんだって!」

サシャ「お菓子の山もあるんでしょうか!?」キラキラ

ミカサ「サシャ…」

アニ「…バカ」フフ

アルミン「…フフッ、お菓子の山は分からないけどね」ウル

サシャ「見てみたいですねぇ、エレン!」

サシャ「探検できたらいいですねぇ!」

エレン「……」




アルミン「(…人は誰でも 朝目覚めた時、見ていた夢の大半を忘れてしまう)」

アルミン「(それでも… 小さな小さな夢の欠片は、今も彼女のどこかに残ってるんだろうか…)」

アルミン「(僕らが今もまだ、その頃を思い出しては暖かい気持ちになれるように…)」

アルミン「(…アニがサシャを見つめる目が、時折ひどく優しげになるように)」

アルミン「(ほんの短い間だったけれど…)」

アルミン「(…あの時、僕らは確かに小さな彼女と時間を共有したんだ)」

アルミン「(震える手で僕の服を握り締めていたサシャ…)」

アルミン「(僕を困らせないようにと、不安を隠して涙を止めたサシャ…)」



アルミン「(あの… 小さいけれど、暖かくて優しい君の手を… 僕はこれから先、幾度となく思い出すことだろう)」


おしまい

色々違和感ありますがご容赦ください
この話でのアルミンルートは、またの機会に

かなり書いたつもりなのに、まだ500いかないんだな

書いてやる… スレが埋まるまで書いてやるってんだチクショウ!



ジャン「(マルコが死んだ)」

ジャン「(…ミーナも、雪山で一緒だったトーマスも、ミリウスも)」

ジャン「(トムやナック、そしてフランツも…)」

ジャン「(…大勢の人間が死んだ)」

ジャン「(そして仲間の死を利用して…)」

ジャン「(俺は今、生きている)」

ジャン「(兵士になんか、ならなければ…)




ジャン「(マルコ… どれがお前の骨だったかも、もう分からない)」



エルヴィン「…トロスト区の扉が使えなくなった今、東のカラネス区から遠回りするしかなくなった」

エルヴィン「その4年間で調査兵団の9割が死んだ」

エルヴィン「4年で9割だ」

エルヴィン「…調査兵団は常に人材を求めている」

エルヴィン「隠したりはしない。 今期の新兵調査兵も、ひと月後の壁外調査に参加してもらう」

エルヴィン「…この惨状を知った上で、自分の命を賭してもやるという者は この場に残ってくれ」

エルヴィン「もう一度言う」

エルヴィン「調査兵団に入るためにこの場に残る者は 近々殆ど死ぬだろう」

エルヴィン「自分に聞いてみてくれ」

エルヴィン「人類のために心臓を捧げることができるのかを…」




ジャン「…サシャ!」タタッ

ジャン「お前… お前まで、調査兵団に…」

サシャ「…ハイ」

ジャン「で、でも… こればかりは自分で決めずに務まる仕事じゃねえよ」

サシャ「私は最初から決めていますよ?」ニコ

サシャ「言ったハズです。 地の果てだって付いていくと」

ジャン「お前… あれを見ても…?」

ジャン「…俺達はもう… 知ってしまっただろ?」

ジャン「(奴らがどうやって人間を食べるのか ――)」


サシャ「………本当は怖い… すごく怖いです」

ジャン「なら!」

サシャ「…でも、その怖さを知らなかった頃よりも、今の方が…」

ジャン「………」



サシャ「…まあ、1度は屈服してしまいましたがね」フフッ

ジャン「ああ… お前 確か謝ってたよな、巨人に」

ジャン「あのとんでもない1日の中でも、ほんの少しだけ笑っちまった」

ジャン「それも… 生きていたからこそ言える事だが…」

ジャン「サシャ… よく生きててくれたな」

サシャ「でも私は、巨人の1体も倒すことができませんでした」

ジャン「お前、サムエルを助けたって聞いたぞ?」

ジャン「俺は… 巨人1体倒すより、人ひとり救う方がよほど価値があることだと思う」

サシャ「ジャン…」

ジャン「…そろそろ移動しよう。 もう皆行っちまった」

ジャン「今日から調査兵団宿舎だ」

ジャン「もう… あの訓練所に戻ることはないんだな」

サシャ「……ええ」



ジャン「(…それからの俺達は ひと月後の壁外調査に向け、ネス班長指導の下『長距離索敵陣形』を叩き込まれることになった)」

ジャン「(これはエルヴィン団長が考案した理論で、その陣形を組織することで調査兵のの生存率を飛躍的に伸ばしたらしい)」

ジャン「(俺達新兵は、荷馬車の護衛班と索敵支援班の中間あたりで、予備の馬との並走や伝達を任される)」

ジャン「(新兵が最初の壁外遠征で死亡する確率はおよそ5割…)」

ジャン「(それを越えた者が生存率の高い、優秀な兵士へとなっていく)」

ジャン「(第104期調査兵団は、21名…)」

ジャン「(皆、生き残るために必死で学ぶ)」

ジャン「(俺は必ず生き残ってやる)」

ジャン「(…俺達は、必ず生き残ってやるんだ)」



――― 食堂


ザワザワザワ…

サシャ「……調査兵団とはいっても、食事は訓練所と大して変わらないですねぇ」

ユミル「お前はどんな状況でも、飯の心配してそうだな」

サシャ「食に対する私の姿勢は、揺るぐものではありませんからね!」キリッ

クリスタ「そういうサシャを見てると、すごく安心するんだけど…」フフ

クリスタ「…サシャ、私達とじゃなくてジャンと一緒に食べたら?」

サシャ「…あ」

サシャ「そうですね… そうします」スタスタ



ユミル「もう… マルコもいないしな」

クリスタ「皆 いつまで無事でいられるかも分からないものね」

ユミル「ン? そんな悲しそうな顔するな、クリスタ」

ユミル「私はずっとお前と一緒にいるから」



サシャ「…ジャン、ここいいですか?」ガタ

ジャン「ん? ああ」

ジャン「珍しいな、お前がこっち来るなんて」

サシャ「ここの食事も訓練所と大差ないことが分かったので…」

サシャ「これからは毎日、ジャンの顔をオカズに食事しようかと思います」

ジャン「オカズってな… 人の顔なんだと思ってんだ全く」

サシャ「フフフ」

ジャン「…何だよ、あんまりジッと見んなよ。 メシ食いづらいだろうが」

サシャ「これはいいオカズですねぇ」モグモグ

ジャン「///」

サシャ「おや、早く食べないと冷めちゃいますよ?」

ジャン「だ… だから、あんま見んなっての//!」



ジャン「(…壁外調査とは、『いかに巨人と戦わないか』に懸かっているそうだ)」

ジャン「(確実に前後左右が見える距離で等間隔に兵を展開し、可能な限り索敵・伝達範囲を広げる)」

ジャン「(主に巨人と接近するのは、初列索敵班の兵士…)」

ジャン「(…彼らは巨人を発見次第、赤の信煙弾を発射)」

ジャン「(信煙弾を確認したら、同じようにして伝達する)」

ジャン「(こうして先頭で指揮を取る、エルヴィン団長に巨人の位置を知らせたら…)」

ジャン「(今度は団長が全体の進路を変えて、新たな方角を示すため緑の信煙弾を撃つ)」

ジャン「(これも全隊に方角を知らせるべく、皆が緑の信煙弾を発射)」

ジャン「(この要領で巨人との接近を避けながら、目的地を目指す)」



ジャン「(…大抵の巨人は馬の長距離走力には敵わない)」

ジャン「(個体によるが、力を消耗した巨人は極端に動きが鈍る)」

ジャン「(そして、やはり個体によっては短時間の馬の走力を上回るものもいる)」

ジャン「(また索敵の取りこぼしにより発見が遅れ、巨人の内部への進入を許してしまう場合があり…)」

ジャン「(陣形を分断、もしくは破壊されては大損害であるため相応の対処をする)」


ジャン「(…しかし、そこまでの対処法が通じるのは『通常種』までの話で…)」

ジャン「(行動が予測できない奇行種に対してのみ、戦闘が必要だ)」

ジャン「(平地では 立体機動装置本来の性能を発揮できないが…)」

ジャン「(陣形を壊させる訳にはいかない)」

ジャン「(…捕捉次第、積極的に仕留める)」




サシャ「…ずっと 座りっぱなしってのは疲れますねぇ」

ジャン「またお前… 休憩だからって、こんな所でゴロゴロと…」トスッ

ジャン「…お前、真面目に聞いてんだろうな?」

ジャン「ちゃんと聞いとかないと、マジで死ぬかもしれないんだぞ?」

サシャ「問題ありません!」

ジャン「なら いいけどよ…」ゴロン

ジャン「外での訓練に入る前に、色々覚えなきゃいけない事があんだからさ」

サシャ「調査兵団の先輩方は、なんかおっかないですよね?」

サシャ「キース教官は、厳しいけど… なんだかんだで優しいトコありましたから…」

ジャン「そりゃ、ここの人達の修羅場くぐった数は俺らの比じゃねえからな」

ジャン「でもここは、大分マシな方だと思うぜ?」

ジャン「腐り切った憲兵団なんかに比べりゃよ」

サシャ「そうですねぇ…」



サシャ「…そういえば」

ジャン「ン?」

サシャ「壁外調査までの間に、1日だけ休暇をもらえるそうですね」

ジャン「ああ… そんなコト言ってたな」

サシャ「こんな状況なのに、新兵が休みなんか貰っていいんでしょうか?」

ジャン「(新兵が最初に死亡する確率はおよそ5割…)」

ジャン「…いいんじゃねえの?」

ジャン「まあ、英気を養えってこった」

サシャ「初回の壁外遠征での 死亡確率は約半分と言ってましたが…」

ジャン「」ドキ

サシャ「全員が生き残れるよう、祈っておきたいものですねぇ」

ジャン「祈るだけで生きてられんなら、死者なんか出ないだろうが!」

ジャン「まったく… お前は緊張感てモノが足りねえな…」フフッ



ジャン「サシャ… はい」スッ

サシャ「う、ウデ枕ですか//? …でも、誰か来たら…」

ジャン「うちの連中はもう皆 知ってることだろ」

サシャ「そ… そうですね。 では失礼して」モソ…

サシャ「眠くなってしまっては困りますが…」

ジャン「いいよ寝ても。 ちゃんと起こしてやるから」

サシャ「寝ませんよ。 …もったいないですからね」

サシャ「今は本当に、一日一日がもったいなくて…」

ジャン「サシャ… こっち向いて」

サシャ「?」

ジャン「…ん」チュ


ハンジ・ミケ「」……スタスタスタスタ


ジャン「///」ガバアァッ!
サシャ「///」バタバタッ!



ジャン「」バッ!
サシャ「」バッ!

ハンジ「ん? ああいいよ、敬礼とか堅ッ苦しいコト。 …今期の新兵?」

ジャン「ハッ! あの、失礼ですが…」

ハンジ「私はハンジ、…ハンジ・ゾエ。 分隊長をやってる」

ハンジ「こっちの彼は…」

ミケ「」スンスン スンスン

ジャン「あ… あの…?」
サシャ「……ひゃ」

ミケ「…フッ」

ハンジ「彼も同じ分隊長の、ミケ・ザカリアス」

ハンジ「ごめんね彼、初対面の人の匂いをかいでは、鼻で笑うクセがあるから…」

ハンジ「今は休憩時間中だろう? 私達はもう行くから、ゆっくりしててよ。 …それじゃ」スタスタ

ハンジ「」チラ

サシャ「……」



ハンジ「…いいねえ、新兵は初々しくて」スタスタ

ハンジ「私達にもあんな頃があったんだっけ? もう忘れちゃったけどさ」

ミケ「………」スタスタ



ハンジ「(…私達にも、あんな頃があった)」

ハンジ「(でも、たくさんの仲間の死…)」

ハンジ「(朝… 遠征から帰ったら酒でも飲もうと約束し、そのまま戻らなかった多くの仲間)

ハンジ「(そうして生き残るごとに、無口になっていく者…)」

ハンジ「(また ある者は失くした友の分まで補うようにと、饒舌になっていく…)」



ハンジ「…1人でも多く、生きて帰ってほしいものだね」

ミケ「……そうだな」



――― 宿舎


コニー「なあ、ジャン…」

ジャン「ん?」

コニー「…エレンが巨人て知った時、どう思った?」

ジャン「……」

コニー「俺… あの時、指令が何言ってんのか よく分からんなかったけど…」

ジャン「…アイツは人間だよ。 エレンは『巨人の力』の存在も、あの時まで知らなかった…」

ジャン「けど… エレンには俺達と人類の命が懸かってる」

ジャン「だから知っておくべきなんだ。 エレンも俺達も…」

ジャン「…自分達が、何のために命を使うのかってな」



コニー「あの2体の巨人… 殺したの誰なんだろう」

ジャン「ああ、捕獲した巨人か。 夜明け前に2体同時にやられたんだって?」

ジャン「2人以上の計画的作戦じゃないかとは言ってたが…」


コニー「巨人を殺して罰せられることもあるんだな」

ジャン「…確かに変な話だが、貴重な被検体だからだろ」

コニー「俺バカだからさ、分かる気がするんだ」

コニー「巨人が憎くてしょうがなかったんだろうって…」


ジャン「…俺だって憎いさ」



ジャン「(…マルコは死んだ)」

ジャン「(お前に限ってありえねえと… ずっと思ってた)」

ジャン「(立体機動装置もなく、とんな最期だったかも分からず…)」

ジャン「(誰も見てない所で人知れず死んでいった…)」

ジャン「(…訓練兵になってからの3年間、マルコとはいつも同室だった)」

ジャン「(最初は8人部屋、2年目は4人部屋)」

ジャン「(最後はマルコと2人で…)」

ジャン「(…勇ましくなんかない俺を、指揮役に向いてると言った)」

ジャン「(弱い者の気持ちが理解できると…)」

ジャン「(俺が強い人間ではないから…)」

ジャン「(……そうだ、俺は強くなんかない)」

ジャン「(マルコ……)」

ジャン「………」

ジャン「」スゥ




コニー『…チクショウ! どうなってんだ!? やっと撤退命令が出たってのに!!』

コニー『あんなに巨人が群がってちゃ、ガスを補給しに行けねえじゃんか!!』

ジャン『戦意喪失、か… 気持ちは分かるけどよ…』

ジャン『(もう… ガスがない)』

ジャン『(俺達はもう、壁も登れない…)』

コニー『クソッ! イチかバチかあそこの巨人どもを殺るしかねぇ!!』

ジャン『イチかバチか… ね』

ジャン『まあ、ここにいても巨人が集まってくるだけだしな』

ジャン『行くとするか』

ジャン『…サシャ! 行くぞ!!』

サシャ『ハイ!!』



トム『ウワァァ!』

ジャン『!?』

トム『うぅ…』カチカチ …プシュ

ジャン『!!』

コニー『まずい! あいつ… ガス切れだ!!』

… ズシ ズシ ズシッ

トム『うああああぁぁぁっ!!!』ググ…

コニー『トム! 今助けるぞ!!』ダッ

ジャン『よせ! もう無理だ!!』

コニー『やめろぉぉおお!!!』ゴオォッ

………ガッ

ジャン『コ… サシャ『コニィーー!!!』ダダダッ バシュゥッ
ジャン『ダメだサシャ!! 行くなァッ!!!』



ドオォオオオオオォン!!


ジャン『ウワッ!!』

ジャン『きょ、巨人が建物に体当たりを…』

ジャン『く… 崩れ』


ジャン『うあぁああッ』ドシャアアァァッ!


ジャン『……クッ』

ジャン『!!』

コニー『ぎゃあああぁぁぁあ』ブチブチ

サシャ『アアアアァァアァッ』ググッ


ジャン『や… やめろ コニーを食うな! サシャを返せ!!』バッ

ジャン『…ッ!?』



ジャン『た… 立てな…い?』

ジャン『(俺の脚… 奇妙な方向に捻じれて…)』

ジャン『(う、腕も… ぶら下がってるだけで…)』


コニー『…………ッ』

サシャ『………! …!!』

ジャン『(………)』

ジャン『(俺は… 何を見てるんだ)』

ジャン『(目の前で… 仲間が… サシャが… 食われて…)』


…… ズシン ズシン ズシィ


ジャン『(………)』ガシッ ググッ…

ジャン『ウ… ウアアアァァァアアッ!!』ブチィッ

ジャン「……うわあぁぁあああっ!!」ガバァッ!



ジャン「ハァ… ハァッ…!」

ジャン「…夢… か…?」

ジャン「……ウッ」タタタッ ガチャッ


バシャバシャ

ジャン「…ウグ… ガハァッ」ビシャッ!

ジャン「……ハァ…」


ジャン「(さっき慌てて出てきたが… コニーは起きなかったか?)」

ジャン「(今… 何時だ?)」

ジャン「(あんな夢見ちゃ、もう寝られやしねえ…)


ガチャ…

コニー「」スピー

ジャン「(大丈夫…)」

ジャン「(上着持って… 外 行くか…)」



ジャン「」スタスタ バタン…ッ


ジャン「(コニー『ぎゃあああぁぁぁあ!』ブチブチッ)」

ジャン「(サシャ『アアアァァアァッ』…ググッ)」


ジャン「(………)」

ジャン「(俺… 駄目かもしれねえ…)」

ジャン「(マルコ… 俺、やっぱりただの弱いだけの人間かもしれねえ…)」

ジャン「(あんな… あんなの…)」


……ガサッ


ジャン「誰だ!?」バッ

サシャ「ひゃ…」ビクッ!

ジャン「サシャ… か… ?」

サシャ「…ジャン…?」



ジャン「…お前… 何してんだ… こんな夜中に…」

サシャ「…わ、私はただ… 一度起きたら、そのまま寝付けなくなって…」

サシャ「…ジャンもですか?」ニッコリ

ジャン「………ッ!」

サシャ「?」ニコッ

ジャン「…サシャ…… サシャ!!」ガバッ

サシャ「ジャン!?」ドサッ

サシャ「ど、どうし… んんッ//!…む」チュゥ

ジャン「……ン…ッ」ヂュルゥ …

ジャン「…サシャ」

ジャン「サシャ!」ババッ

サシャ「……ッ//!」

サシャ「……ン…あぁっ…//」ビクンッ!



――――


ジャン「………」

ジャン「…ゴメン… こんなトコで…」

ジャン「なんか… 顔見たら、急に…」

サシャ「イエ」

サシャ「いつだって、ドコでだって… 私 構いませんから!」ニッコリ

サシャ「…あ でも、あんまり人前ではそのぅ…//」

ジャン「…人前でなんかしない」ギュ

ジャン「俺… さっきイヤな夢見てさ…」

ジャン「とにかく、お前の顔見たくて 見たくて…」

ジャン「そしたら… 本当にお前がソコにいたから……」ギュゥ

サシャ「……」ナデナデ


ジャン「その… 寒くないか? もうすぐ夜明けだ…」



サシャ「夜明け……」

サシャ「私… この時間が、一番好きです…」

サシャ「一度… ジャンと一緒に見たかった…」

ジャン「綺麗だな… 段々と、空が紫がかってく…」


ジャン「…俺… あの日、もうガスも残りわずかで… ただ屋根の上にうずくまってた時…」ギュゥ

ジャン「俺の人生が終わりだと思ったあの時…」

ジャン「それまで言おうと思っていながら、言えないでいたこと… すげえ後悔したんだ… だから…」

ジャン「サシャ…」

サシャ「…ハイ?」

ジャン「全部が… 何もかも終わったら…」

ジャン「結婚… してくれるか?」

ジャン「ずっと… 俺のそばにいてくれるか?」

サシャ「ジャ…」ボロボロボロッ



ジャン「…ダ、ダメか?」

サシャ「ジャン!」ギュウッ

サシャ「……ジャン」ポロポロポロ…

サシャ「私… 私には、あなただけです…」

サシャ「誓います… 私は生涯、あなたを愛し続けます」

ジャン「そう… そうか、俺も…」

ジャン「俺ずっと、お前のこと大切にするから…」

ジャン「ずっと、お前のそばにいるから」

ジャン「サシャ……」




ジャン「……戻ろう。 もう夜が明けちまった」

サシャ「今日、居眠りなんかしちゃダメですからね?」

ジャン「…あのな。 その言葉、そっくりそのままお前に返すぞ」

サシャ「フフッ」

ジャン「じゃあ… また後で」



……ガチャッ


ミカサ「おはようサシャ、どこか出掛けていたの?」

サシャ「ええ、ちょっと散歩に…」

ミカサ「…何かあった?」

サシャ「へ? 何もありませんよ」ニコ

ミカサ「ならいいのだけど…」


ミカサ「とても… 悲しそうに見えたから…」




ジャン「(…あんな夢見たのが、嘘みたいだ)」

ジャン「(あの時の俺は…)」

ジャン「(自分が弱い… どうしようもない人間だと思えて… 堪らなくて)」


ジャン「(…どうしてサシャは、俺が会いたいと思った時に現れるんだろう)」

ジャン「(サシャの声聞いたら、涙が出てきた… 涙が溢れて止まらなかった)」

ジャン「(…暗くて良かったと思ったのは初めてだな)」

ジャン「(でもサシャは、ひょっとしたら気付いてたのかもしれない…)」

ジャン「(気付いてたから、何も言わずに受け入れてくれたのかもしれない)」



ジャン「(そうだ俺は、これから先… ずっとサシャを守って生きていくんだ)」



ネス「…長距離索敵の班を発表する!」

ネス「まず次列の一 …」


ザワザワザワ…


ジャン「…サシャ!」

ジャン「お前… 次列三だったよな?」

サシャ「エエ、ジャンは三列の四でしたね」

ジャン「…クソッ! 離れ過ぎだ!」

ジャン「何とかなんねえかな…」

ユミル「今回ばかりは無理だろ、ジャンさん」

ユミル「私もクリスタと離れちまった」

ジャン「ユミル… ネス班長の弱みは握ってないのか?」

ユミル「ナニ言ってんだ、人聞きの悪い…」

ユミル「言っとくが、雪山の時はたまたまだぞ?」



サシャ「うむむ… 確かに離れるのは心配ですねぇ」

サシャ「ジャンは現実的に見えて時々、 向こう見ずな所がありますから…」

サシャ「ちゃんと自分の力量を考えて、くれぐれも無茶しないで下さいよ?」

ジャン「何だそりゃ、俺がエレンみてえな死に急ぎだって言いたいのか?」

ジャン「お前のがよっぽど無鉄砲だろうがよ!」

サシャ「そんなコトはありません!」

サシャ「私は身の程をわきまえてますからね」

サシャ「手に負えないと思ったら、迷わずトンズラします」キリッ

クリスタ「アハハ、サシャったら!」

サシャ「とにかく死んでしまっては、これまで頑張ってきた意味もあったモンじゃないですからねぇ」

ユミル「まあ生きてさえいれば、何度だって戦うことはできるからな」

ジャン「敵前逃亡の罪に問われなければ、だけどな」

アハハハハ…



――― 食堂


ジャン「」キョロキョロ

サシャ「ジャン! こっちです!」



クリスタ「ずいぶん遅かったのね」

ユミル「何してたんだ?」

ジャン「ああ… ちょうど、ウチの班の班長だって人に会ってな。 ちょっと話してたんだ」

ユミル「班長か… 私はまだ知らないな」

クリスタ「私は会ったよ! 中性的で、スゴク綺麗な人だった」

ユミル「クリスタ… 浮気は許さないぞ?」

サシャ「フフ… さ、ゴハン食べましょうか!」

ジャン「何だ、先に食ってれば良かったのに…」



ジャン「班長ったって、明日には会えるだろ。 もう演習始まんだから」

ユミル「クリスタんとこの班長、確認しとかなきゃな」

クリスタ「なぁにソレ」ウフフ

サシャ「演習が始まる …ということは、近々お休みがあるワケですね」

ジャン「そうだな」

サシャ「…ジャンのお家は今、どうなってるんですか?」

ジャン「俺んチは無事だったよ」

ジャン「区内でもかなり内側だし、巨人掃討後の戦場処理の時に見てきた」

サシャ「そうですか、良かった…」



クリスタ「休暇は家に顔出すの?」

ジャン「まだ何も考えてねえが…」

サシャ「もし帰るのなら、私は今度は遠慮しておきますよ」

ジャン「何でだよ!」ガタッ

サシャ「エ、だって… せっかくの家族水入らずですし、邪魔するのは…」

ジャン「邪魔なワケねえだろ!!」

ジャン「まあ… 帰ると決めたワケじゃねえけどよ…」

ジャン「サシャがやだって言うなら、しょうがねえけどよ…」

サシャ「イエイエ、別に嫌じゃないですって!」アセアセ


ユミル「…サシャ、ジャンはどこだって サシャを連れてきたいんだよ」フフッ



ジャン「(…長距離索敵の演習が始まる)」

ジャン「(明日、ウォール・ローゼ南東にある兵団施設に、調査兵団の兵士全員が集まることになる)」

ジャン「(これが班長との初顔合わせになる奴もいるだろう)」

ジャン「(初めての大規模演習…)」

ジャン「(この3日間の演習を終え、戻ってきたら休暇だ)」

ジャン「(調査兵団に入ったこと… 話しておきたいんだが)」

ジャン「(ウチの親はずっと、俺が憲兵狙いだと思ってたからな)」

ジャン「(けど、俺だけの都合でサシャを振り回すワケにはいかねえし…)」



――― ウォール・ローゼ南東 兵団施設


ユミル「…クリスタんとこの班長ってアレか?」

クリスタ「そうだけど… アレって言わないで。 ナナバさんだよ」

ユミル「フーン… 確かに綺麗だな。 男か女か分からんが… まあ頼りにはなりそうだ」

ユミル「性別不明といえば、分隊長の1人もそうだったな」

クリスタ「ハンジ分隊長ね」

ジャン「サシャ、お前のトコの班長はどうだった?」

サシャ「ああ、優しそうな人でしたよ」

サシャ「他の班長さんたちより、ちょっと年上みたいです」

ジャン「そうか…」



エルヴィン「…長距離索敵陣形! 展開!!」

ドドドドドドドド…

ジャン「(前方半円状に長距離…)」

ジャン「(隣の班が、かろうじて見える距離か…)」

ジャン「(…これじゃサシャのいるトコなんて、まるで分かりゃしねえな)」

ジャン「(おっと、馬の受け渡しだ)」ドドドド

…ドォォ

ジャン「(右手から赤の信煙弾が…)」

班長「ジャン! お前が撃て!!」ドドド

ジャン「ハイ!」…ドォン!



班長「…今度は団長だ! 緑の信煙弾が上がったぞ!」

班長「向こうだ、あちらの進路の方角に撃て!!」ドドドド…



コニー「……ようやく1日目が終わったか」

ジャン「さすがに黒の信煙弾は使わなかったな」

アルミン「奇行種の動きは予想が付かないからね。 使い様がないんじゃないかな」

ミカサ「…エレンの班が来ていない」

アルミン「特別作戦班は、当日になって参加するみたいだね」

ライナー「最終日の演習終了後、各班長に陣形編成表が配布されるそうだが…」

ジャン「…らしいな」

ベルトルト「班長といえば、僕のトコは無口でおっかなくて… 必要最低限の会話しかしてくれないな」

アルミン「僕はネス班長だから、他の人と比べたら色々話しやすいけど…」

ライナー「俺のとこの班長も、気さくで話しやすい人だったな」

ジャン「俺は上のヤツが口を聞こうが聞くまいが、有能なら気にしねえが」

ライナー「ハハッ、ジャンらしい」



ジャン「(こうして演習1日目が終了し、2日目もまた同じような訓練で終わった)」

ジャン「(初日と違う点といえば、陣形の急転回くらいか…)」

コニー「…なあ、明日の午前の演習が終わったら帰るんだよなぁ?」

コニー「そんで、明後日休みでさ」

ジャン「そうみたいだが… どうしたコニー?」

コニー「イヤ、せっかくここまで来たし、本部に戻らねえで実家に帰らせてくんないかと思ってさ」

コニー「俺の家、こっから結構近いんだよ」

ジャン「一応、聞くだけ聞いてみたらどうだ?」

コニー「よっしゃ! メシの前に、ネス班長んトコ行って聞いてくる!!」


ジャン「(そうか… コニーの家はローゼ内だからな)」

ジャン「(サシャもだが… アイツは帰りたいんだろうか)」



――― 夕食


サシャ「……へ? 帰りませんよ?」モグモグ

ジャン「で、でも今日中に申請出せば、ローゼに住んでた奴は明日一緒に戻らなくてもいいって…」

ジャン「コニーも直接、実家に行くって言ってたぞ?」

サシャ「コニーの所はそうでもありませんが、私の故郷はもっと離れていますし…」

サシャ「…戻ったところで」

ジャン「え? 何だって?」

サシャ「戻っても、結局トンボ帰りになってしまいますから」ニコ

サシャ「それより、ジャンは帰りたいんでしょう?」

ジャン「エ… いや、あの…」

サシャ「いいですよ? 私で良ければ、お付き合いしますから」ニッコリ

ジャン「ホントか!?」

サシャ「今回は、前もって分かってますしね」フフッ



――― 演習最終日・昼


コニー「…終わったアァーー!!」

コニー「ヨシ! 急いでメシ食ったら、俺もう出るから!」

ジャン「班長に挨拶だけはしてけよ」

コニー「分かってるって!」タッタッ

ライナー「ハハ、コニーは随分はしゃいでいるな」

ジャン「自分チが好きなんだろ? いいコトじゃねえか」

ライナー「まったくだ」

ライナー「…さて、俺も自分の班長に挨拶でもしてくるかな」



サシャ「…クリスタ、クリスタ!」パタパタ

クリスタ「どうしたの、サシャ?」

サシャ「あの… 明日の予定は…?」

クリスタ「明日はユミルと街に、甘い物でも食べに行こうかと… ね? ユミル」

ユミル「ああ… 何かあんのか?」

サシャ「イエ… ちょっとお願いがあって…」


ジャン「…サシャ!」

サシャ「ハイィ!?」クルッ

ジャン「明日、朝食後すぐ出れるようにできるか?」

サシャ「ぁぅ…」

クリスタ「大丈夫! 隣部屋だけど、私がちゃんと起こしてあげるから!」



ジャン「…何だライナー、遅かったな」

ライナー「ああ… 話しやすい班長だからと、つい話し込んでしまってな」

ベルトルト「まあライナー自体、新兵には見えないよね」

ジャン「…ハッ、違いねえ」

ライナー「俺がフケてるとでもいうのか?」

ザワザワ…

ジャン「…おっ、集合だぞ。 もう出る時間だ」


…パカラッ パカラッ


ユミル「…お願いってなんだったんだ、サシャ?」パカパカ

サシャ「イエ… クリスタに髪の編み方を教えてもらおうかと思ったんですが…」

サシャ「でも、そんな時間ないみたいですから…」

クリスタ「いいよ、明日の朝やってあげるよ! 多分 少し髪を濡らせばすぐできるから!」ニコッ



――― 本部宿舎


ジャン「…訓練所ほどじゃないにしても、やっぱコッチのが落ち着くな」

アルミン「もう、ひと月近くは過ごしてるからね」

ジャン「アルミンは… 訓練所に戻りたいと思ったことがあるか?」

アルミン「…フフッ」

アルミン「訓練所は3年も過ごした所だし、苦しい事もあったけど… やっぱり皆と会えて楽しい事の方が多かったから…」

アルミン「…でも、じきに この宿舎もそう思えるようになるよ」

ジャン「…そうだな」

ジャン「(生き残れれば…)」

書いててなんだが、不幸しか見えないな



――― 翌朝


ライナー「…おはよう、ジャン」

ジャン「何だライナー、随分早いな。 もう出掛けるのか?」

ライナー「まあな」

ジャン「俺も結構早起きしたんだが… こんな朝っぱらからドコ行くつもりだ?」

ライナー「昨日ローゼからの帰り道、良さそうな店をいくつか見つけたんで、ちょっと行ってみようかと思ってな」

ジャン「ベルトルトもか。 どうせまた本屋巡りだろ、エロ本も大概にしとけよ」

ジャン「読み切れない量買ってきても、死んじまったら未練残すだけなんだからな」

ライナー「ハハッ、肝に命じておくさ」

ジャン「オイ、飯も食ってかないのか?」

ライナー「1日限りの休暇だからな。 せっかくだから、朝食は外の屋台で食う」

ライナー「夕食までには戻る。 じゃあな」



――― 食堂


クリスタ「ジャン、おはよう!」

ジャン「おう …3人とも早いな」

ジャン「ん? サシャ、またクリスタに髪編んでもらったのか?」

サシャ「エエ、多分 次からは自分でできると思うんですが… ジャン、今日はまた昼過ぎにはあちらを出る予定ですか?」

ジャン「一応そのつもりだが… 予定でもあんのか?」

サシャ「昨日ネス班長に聞いたら、厨房の隅っこを使ってもいいとのことだったので、夕食用に何か作ろうかと思って… ダメですか?」

ジャン「ダメじゃねえよ、全然」

サシャ「ジャンは何か食べたい物ありませんか?」

ジャン「お、俺は… お前が作ってくれるモンなら何でも…」

サシャ「何でもいいですよ? 一番好きなモノ」

ジャン「一番好きな…? あ… あったかい物、かな」

ユミル「漠然とし過ぎだろ、ジャン」

クリスタ「アハハハ」


サシャ「ううむ… 暖かいモノですか…」

ユミル「…しかしジャン、相変わらず健気な嫁さんだな」

ジャン「だろ?」シレッ

ユミル「!?」

ユミル「クリスタ… ジャンの様子がいつもと違うぞ…?」

ジャン「何だ? 俺、何か変なコト言ったか?」

クリスタ「サシャ… 一体何があったの?」

サシャ「エッ、イヤ… あはは//」

ユミル「アァッ! 分かったぞお前!!」ガタッ

ユミル「そうか、とうとう…」

クリスタ「ユミル、私 全然分かんないよ」

ユミル「後で教えてやる …良かったな、サシャ」



サシャ「…すみません、お待たせしました!」タタッ

ジャン「あっ、その服…」

サシャ「着替えに少し手間取って… さ、行きましょう!」

ジャン「(…前に俺が買ってやった服 …赤いワンピース)」

ジャン「(やっぱり、似合う… すげえ可愛い)」

サシャ「…どうかしました?」

ジャン「イ、イヤ… 馬乗れるか? 2人で乗った方がいいか?」

サシャ「フフッ、誰だと思ってるんですか。 余裕ですよ!」

サシャ「さあ、急ぎましょう!」

ジャン「ウ… ウン」



サシャ「…手土産も用意したし、今回の準備は万全です」トコトコ

ジャン「んなの、気にしないでいいってのに…」スタスタ

サシャ「何を言ってるんですか、これはケジメですよケジメ!」

ジャン「そういうモンなのか」

サシャ「私が勝手に選んでしまいましたが、ジャンのお母さんは 何が好きなんですか?」

ジャン「…気にしたコトねえな」

サシャ「一度お昼をご馳走になっただけですけど、普段はどんな料理を作ってたんです?」

ジャン「まあ… 食える物作ってたとは思う」

サシャ「………」ハアァ…

ジャン「何だよ?」

サシャ「この息子は、まったくもう…」

サシャ「もうちょっと、気にしてあげてくださいよ!!」プンプン

ジャン「わ、分かった… 分かりましたって!」



ジャン「……ただいま」ガチャ

ジャン母「…あれ、ジャン? アンタ今日休みだったの?」

ジャン「ああ… 一日だけ休暇貰えたから、顔見せとこうと思って」

ジャン母「あっそう、まあ上がんなさいよ …アラ?」

サシャ「こっ、こんにちは! すみません… また厚かましく付いてきちゃいまして…」ペコリ

ジャン母「あらぁ サシャちゃん、いらっしゃい! まあまあ可愛らしくなって!!」ニコニコ

ジャン母「ホラ、上がって上がって! おばさん、女の子大歓迎よ!!」

ジャン「なんか、態度全然違くないか?」

ジャン母「ハァ? 無愛想なアンタには、これで十分でしょ」

ジャン「…ババァ」

ジャン母「ああ、上行ってちょっとしたら下りてきて。 お茶入れるから」



…パタパタパタ

ジャン「…茶は?」

ジャン母「今 淹れてる」

ジャン母「ジャン、卒業成績どうだったの?」

ジャン「…6番だ」

ジャン母「へえぇ、なかなか優秀ね。 アタシに似たのかしら」

ジャン「何言ってんだか…」

ジャン母「サシャちゃんは?」

ジャン「9番」

ジャン母「スゴイじゃない、女の子で! ねぇ… 本当に彼女じゃないの?」

ジャン母「アンタと一緒にいてくれるコなんて、そうそういないんだから 付き合っちゃえばいいのに…」

ジャン「親がそういうコト言うのはどうかと思うが、もう付き合ってる」

ジャン母「!!」

ジャン母「……あんな可愛いコ… ちょっとアンタを見直したわよ、ジャン」



ジャン母「でも、2人とも10番以内だったということは…」

ジャン「……ごめん」

ジャン「俺… 俺達、調査兵団に入ったんだ」

ジャン母「まさか!?」ガチャンッ!

ジャン母「だって… あんなに憲兵に行くって…! 何でそんな危険な!!」

ジャン「知ってんだろ! 憲兵がどんだけクソなのか!」

ジャン「こないだの襲撃の時ですら、アイツら内地から動こうとしなかったんだぞ!!」

ジャン母「それなら駐屯兵だってあったでしょう!」

ジャン「俺には分かるんだよ! 俺達が今やらなきゃいけないことが!!」バンッ

ジャン「……ごめん」

ジャン「…安心させてやれなくて …ごめん」

ジャン「でも、俺… 俺達 必ず生き残るから…」



ジャン母「お茶… こぼしちゃった。 もう一度淹れ直すから…」



……バタン

ジャン「…悪ィ、遅くなって」カチャ…

サシャ「ど、どうしたんですか? 何か言い争っていたような…」オロオロ

ジャン「何でも… なくはねえな。 調査兵団に入ったって報告した」

ジャン「案の定、危険だのと言われたが… 分かってくれたから…」

サシャ「そう… ですか…」

サシャ「やっぱり心配ですもんね…」

ジャン「お前は、手紙の一通でも書いて報告したのか?」

サシャ「イエ、私は…」

ジャン「サシャは自分の故郷の話になると、とたんに口が重くなるな …何でだ?」


サシャ「……本当に、自然しかないような所でしたから…」


サシャ「それに私の故郷はきっと… 私の心の中にあるんです」



サシャ「昨日も今日も、道すがら見てきましたが…」

サシャ「ひと月足らずでも大分復興が進んでるんですね。 人も増えてきて…」

ジャン「…駐屯兵も頑張ってるしな」

ジャン「ウチの親も、戦場処理の数日後には戻ってきたらしい」

サシャ「人は逞しいものですね…」

ジャン「結局ここの人間は、ここにしか居場所がないからな」

サシャ「居場所ですか。 私の居場所は…」ジッ…

ジャン「///」

ジャン「……サシャ」スッ…

ジャン母「ジャン! ちょっと買出し行ってくるから!」ガチャッ!

ジャン「だからノックしろって言ってんだろが ババァ!!」バッ

サシャ「ああ! 買出しなら一緒に…」スチャッ

ジャン母「いいのいいの、近所の人と話もしてくるから。 ゆっくりしてて!」

ジャン「早く行け、早く!」



……バタンッ


ジャン「…行ったか」

サシャ「ジャン、引き出し開けてみてもいいですか?」

ジャン「いいけど… 多分もう何もねえよ?」

サシャ「イヤイヤ… 細かい物が割といっぱい…」ゴソゴソ

サシャ「これは… どんぐりのやじろべえ? こっちは…手作りのパチンコですか」

サシャ「フフッ、意外と子供らしいものが入ってますね」

ジャン「そんなのもう捨てたと思ってたんだよ//」

サシャ「子供が一生懸命作った物なら、捨てられないものなんでしょう」

サシャ「…あ、耳かき発見!」

サシャ「ジャン、こちらへ …私の膝に頭を」

ジャン「……ん?」モソモソ



コショコショ カリカリ…


ジャン「なんか、くすぐったい… けど、気持ちいい」

サシャ「…ジャンは好物とか、本当にないんですか?」

サシャ「肉でも魚でも野菜でも… 私、作ってみますから…」

ジャン「…俺は、お前が作ってくれた物なら何だって」

ジャン「サシャの作ってくれた物は、いつだって暖かかったから…」


ジャン「…俺のコト気に掛けてくれるの、すげえ嬉しいけど… なんかヤダよ」

ジャン「あんまり俺に優しくするなよ…」

ジャン「…なんか、これが最後みたいじゃねえか」ムクッ

ジャン「もう会えなくなるみたいじゃねえか」

ジャン「そんなの俺… ヤダよ」ギュッ…

サシャ「ジャン……」



サシャ「……そんなワケないじゃないですか」

サシャ「私はそう簡単には死んだりしませんよ?」ナデナデ

サシャ「…言ったでしょう? 私、逃げるのだけは得意なんですから」

ジャン「……フッ」

ジャン「そうだな… サシャは本当は、俺よりずっと強いんだもんな」

ジャン「俺よりずっと、生命力に溢れてて…」

サシャ「………」

サシャ「…そうですよ。 だから私がジャンを守るんです」

ジャン「それも微妙にヤダなぁ…」

ジャン「たまには俺が、格好良くサシャを助けてみたいモンだ」

ジャン「あの雪山ン時みたいにさ」

サシャ「山限定なら、まずそんな日はやってこないでしょうねぇ」ニヤリ

ジャン「なんか腹立つな……」


……バタンッ



ジャン「……ん? もう帰ってきたのか」

ジャン「気ィ利かせて、もうちっとゆっくりしてくりゃいいのに…」

サシャ「またそんなコトを…」

サシャ「これからお昼の準備なんでしょう? 私、下に行って手伝ってきます」スクッ

ジャン「お、俺も行く…」スクッ

サシャ「いいですよ。 2人でやれば多分すぐ終わるでしょうから」

サシャ「支度できたら呼びますね。 じゃ!」


ジャン「………」

ジャン「…俺だけ仲間はずれか」

ジャン「……ん? 引出しの奥、何だコレ」ゴソゴソ

ジャン「うぉ! 昔集めてたメンコじゃんか、懐かしいな…」



――――


ジャン「…んじゃ、また来るから」

ジャン母「壁外調査っていつなんだい?」

ジャン「3日後」

ジャン母「そう…」

ジャン「何だよ、まだなんかあんのか?」

サシャ「あ… 私、馬連れてきます!」タタッ


ジャン「大丈夫だって、今回は練習みたいなモンなんだし」

ジャン母「うん… アンタはまあ… そうかもしれないけど」

ジャン「サシャか?」

ジャン母「だってあんなイイ娘… ジャン、ちゃんと守っておやりよ?」

ジャン「あのなあ… 言いたかないが、俺よりアイツのがよっぽど逞しいんだぞ」

ジャン「あれは確実に、俺より長生きするさ」



…パカラッ パカラッ


サシャ「…お土産まで頂いてしまいましたねぇ。 却って気を遣わせて、申し訳ないことしました」パカパカ

ジャン「菓子だろ? そんくらい別にいいじゃん」

ジャン「俺、甘いの食わねえからお前食えよ?」パッカパッカ

サシャ「それじゃありがたく、クリスタ達やミカサと頂戴します」


サシャ「…さっき、帰りがけに何を話してたんです?」

ジャン「ン? 俺もお前も、気を付けて行って来いとさ」

ジャン「お前は? メシ作ってる時、なんか話したのか?」

サシャ「フフ、手際が良いと褒めてもらえました!」

サシャ「あと、何だかしきりにお礼を言われたんですけど… なんででしょうねえ」

ジャン「…なんでだろうな(ババァ…)」

サシャ「そうだ! 食材買って帰らないと…」



――― 夕食前・厨房


ジャン「サシャ!」

サシャ「おや、もうお風呂上がったんですか?」

ジャン「ん。 さっきアレコレ買い物してたが、何作ってんだ?」

サシャ「鶏を骨付きのままブツ切りにして煮込んでます。 香辛料を入れて、ちゃんと臭みは取ってありますよ」

ジャン「随分デカイ鍋で煮込んでるんだな」クツクツ…

サシャ「もう少し柔らかくなるまで煮込んだら、野菜を入れますからね」

サシャ「これなら皆の分も足りるでしょう」ニコ

ジャン「お前、風呂は?」

サシャ「入りたいんですけど… 火を使ってるので、目を離すワケには…」

ジャン「何だよ、見てるだけでいいなら俺が見とくから、風呂行って来いよ」

サシャ「そうですか? じゃあサッと入ってきちゃいますんで、お願いしますね」



――― 夕食・食堂


ジャン「ライナー、こんな遅くまでドコほっつき歩いてたんだ?」

ライナー「ああ… 普段見ない店ばかりだったもんでな。 珍しいからと色々回って…」

ジャン「フーン、そっか。 まあ以前は同じ店ばっか行ってたからな」

サシャ「ジャン!」

ジャン「お、できたか?」

サシャ「すみません、お鍋 一緒に運んでもらっていいですか? エット、取り皿は出てますよね」

ジャン「さっき出した」スタスタ

ライナー「……」



ジャン「……ウマい」

ジャン「鶏肉って、こんな柔らかくなるんだ…」ハフハフ

ユミル「いいダシ出てるな」ズズ

クリスタ「また香辛料が ほど良く効いてて…」

コニー「肉サイコー!」パクパク

ミカサ「体が温まる…」

アルミン「サシャは兵士じゃなくなっても、食堂開いてやっていけるんじゃない?」ニコッ

サシャ「あ… ありがとうございます//」

サシャ「おや… ライナー、進んでいないようですが お口に合わなかったですか?」

サシャ「ちょっと塩っ気強すぎましたかね…」

ライナー「イヤ、そうではないんだ。 旨いぞ」ニコ

ライナー「……とても旨い」

ベルトルト「………」



ジャン「(…休み明け、演習での反省や注意点等を再確認…)」

ジャン「(その他 荷馬車や予備の馬の手配、必要物資の運搬の手伝いなどに追われた)」

ジャン「(遠征前日は、自分達の装備… 立体機動装置の点検や調整等をし…)」

ジャン「(通常より少し早いが、各自明日に向け備えることとなった)」


ジャン「(…明日、壁外へ出る)」


ジャン「(俺は訓練兵として入団してから、ずっとエレンを意識してきた)」

ジャン「(…ミカサのことだけじゃない)」

ジャン「(俺はずっとアイツの馬鹿正直さや、その頑なさにイライラしてた)」

ジャン「(巨人を駆逐し、外の世界を目指すなんて… 現実を知らないガキのたわ言なんだと)」


ジャン「(でも… 本当は、戦わなきゃいけねえってことぐらい分かってた)」

ジャン「(分かってたんだ、マルコ)」



――― 遠征前日・夕食


サシャ「食事が終わったら… 少し外でも歩きませんか?」

ジャン「……ん」


…サワサワサワ


サシャ「…風が気持ちいいですね」トコトコ

ジャン「……ウン」

サシャ「風は…」

ジャン「…え?」

サシャ「この風も… 星空も、壁の中・外… 同じなんですね」

ジャン「ああ。 そうだな…」



サシャ「…私、前にジャンと夜中に会ったあの晩、本当はとても怖い夢を見て…」

サシャ「それがとても怖くて怖くて、眠れなくなってしまったんです」

ジャン「く… 食われる夢か?」

サシャ「…いいえ」

サシャ「皆、食べられてしまって… 私ひとりが生き残る夢です」

サシャ「誰もいなくなった瓦礫だらけの街を、私は人々の骨を捜しながら 彷徨って…」

サシャ「…ジャン、あなたの骨をずっとずっと捜し続けるんです」

ジャン「サシャ…」

サシャ「それで私、目が覚めて… 堪らなくなって外に飛び出したら あなたがそこにいて…」

サシャ「…あの時、暗くて良かった」

サシャ「私… ずっと泣いてたんです」ニコッ



ジャン「…サシャ!」ギュッ

サシャ「それでも私… 以前の何も知らなかった頃の私より、今の方が強くなれたと思います」

サシャ「怖くても、前に進もうとする勇気… それをくれたのは あなたですよ?」ナデナデ

ジャン「違う! 俺… 俺の方こそがいつだって…」

ジャン「いつだって…」ギュウゥ


ジャン「…サシャ」

ジャン「死ぬなよ?」

サシャ「…ええ」

ジャン「絶対だぞ?」

サシャ「ええ、絶対に…」

しなないよな・・・



――― 壁外遠征・当日


…ザワザワザワ ヒヒィーーーン


サシャ「ジャーーン!」パッカパッカ

ジャン「おぅ、オハヨ」

サシャ「慌しくて 朝食一緒に取れませんでしたが、昨夜はちゃんと眠れたんですか?」

ジャン「なんか、すげえ寝た」

ジャン「…こんなに寝たの、久しぶりってぐらい」

サシャ「それは良かった!」ニッコリ

サシャ「さあ! いよいよ壁外ですよ!!」

ジャン「何でそんな嬉しそうなんだよ」

サシャ「別に、嬉しい訳ではないですけどね」



サシャ「まあ、たかだかウォール・マリア… そこからシガンシナを経て、ようやく本当の壁外ですから」

サシャ「…そう考えたら、少し気楽になりました!」ニコッ

サシャ「でもジャンは、決して無茶しないでくださいよ?」

ジャン「しねえっての」


…ザワザワッ


ジャン「…ホラ、もう各班集合だ」

ジャン「自分のやるコトだけは、きっちりやるんだぞ?」

ジャン「敵前逃亡は最終手段だからな!」

サシャ「分かってますって!!」ヒヒーン ブルルッ

サシャ「じゃあ、また後で!!」

ジャン「おう」



………ザワ……ザワ…



ジャン「(……耳を澄ますと、声が聴こえる)」

ジャン「(巨人どもに食われ、死んでいく者達の断末魔の声が)」


「…付近の巨人はあらかた遠ざけた!」


ジャン「(…絶望の淵を覗くと、底にはマルコがいる)」

ジャン「(マルコが、トーマスやミリウスが…)」

ジャン「(フランツやトム… 多くの兵士達がいる)」


「…開門30秒前!!」

「…これより人類はまた一歩前進する!!」


ジャン「(彼らは虚空を見つめるが、その目はもう何も映さない)」




ジャン「(この世界にただひとり残されたような孤独感…)」


「…開門始め!!」ゴゴゴゴゴ…


ジャン「(…ふと、横を見ればサシャがいる)」


「第57回、壁外調査を開始する!!」


ジャン「(同じように絶望を抱え、恐怖に震えながら…)」

ジャン「(しかしその目は凛然と前を見据え、揺るがない)」


「前進せよ!!」ドドドドド…


ジャン「(そうして横を見れば …サシャ)」

ジャン「(俺の隣に立つ、お前を見つけるだろう)」

おしまい


>>565 今の所ここまでなんで、誰も死なないです
原作の隙間を縫って書いてるだけだから
もう少し本編に動きがあってからじゃないと、続き書けないなコレ


とりあえずこのスレは埋め切るって骨の燃えカスと約束したから、また何かしら書きます

卒業試験後、最初の休日以降の続きです
多少、世界観やキャラ崩壊あるかもしれないんで
番外として考えてください



ジャン「…『オンセン』って何だ?」

コニー「ああ、トロスト区にはなかったのか?」

コニー「温泉てのは、地面の熱で温められた地下水が湧き出てるトコだよ」

コニー「不思議なことに、その湯に浸かると 肩こりや筋肉痛… ちょっとした傷なんかも治っちまうんだ」

ジャン「…風呂か?」

コニー「あったっけえし、まあ風呂みたいなモンだな」

コニー「年末くらいに、トロスト区からエルミハ区へ北上する道中に新しい施設ができたらしい」

コニー「年末休暇で帰った時に噂で聞いて、ついでに見てきた」

ジャン「へえぇ…」

ジャン「そんで、その風呂がどうしたっていうんだ?」

ライナー「ただの風呂じゃないらしいぞ」

ライナー「なんでも、水着を着て男女混浴で入れる施設だそうだ」

ジャン「…ミズギ?」



ジャン「ミズギってあの、川とかで泳ぐ時に着るヤツだろ?」

ジャン「ダメだろ、そんなの着て風呂に入ったら」

コニー「だーかーら! そこはそういう風に水着で入る風呂なんだよ!!」

ジャン「何 怒ってんだコニー」

ジャン「つーか、それが何なんだってんだよ!?」

コニー「ハアァ!? お前さっきの教官の話聞いてなかったのか!」

ジャン「聞いてたっての! 今週末、教官全員 内地での会議でいなくなるって話だろ!!」

コニー「そーだよ! だから、今週末は2日間の休みがあんの!!」

ライナー「ジャン、お前はその後 俺達で話してたコトは聞いてなかったみたいだな」

ライナー「…せっかくの2日休みだし、皆でその温泉施設に行こうと話してたんだ」

ベルトルト「施設には附随の宿もあるから、1泊でね」

コニー「そーだよ!」

ジャン「オンセン… オンセンねぇ…」



サシャ「温泉ですか? 知ってますよ」

サシャ「行ったことはないですけど、ローゼ内の山間部には多いと聞きます」

サシャ「私の故郷の辺りにはありませんでしたけど… それが何か?」

クリスタ「『何か?』じゃないよ、サシャ」

クリスタ「さっき、今度の休みに皆で行こうって話してたんだよ?」

ユミル「そうそう、1泊でな」

ジャン「そうだったのか… 俺、なんかボーッとしてて皆の話、全然聞いてなかった…」

サシャ「ほほぅ… 皆、週末はどこかお出掛けするんですね?」

ユミル「お前もだってんだよ、サシャ!」

サシャ「エエェ!?」



ジャン「(…卒業試験も終わり、俺達が訓練兵でいるのもあと3週間程度…)」

ジャン「(今週末、ここの教官達は俺らの試験結果、および最後に提出したレポートを持って内地で会議をするらしい)」

ジャン「(そこには各地区の教官が揃い、トロスト区襲撃に備えた俺達の作戦レポートの中で、採用できる物があるか検討するそうだ)」

ジャン「(…自分の物が採用されたら、名誉なことではある)」



ジャン「(オンセン…)」

ジャン「(行ったこともないが、行ってみたいような気はする…)」

ジャン「(1泊… つまりはお泊りだ)」

ジャン「(訓練所以外で、サシャとお泊り…)」

ジャン「………」

ジャン「(…いいかもしれない)」

ジャン「(しかしミズギって… 要は服着て風呂入るようなモンだよな)」


ジャン「(…それで風呂に入る意味あんのか?)」



ジャン「…なぁコニー」

コニー「あン?」

ジャン「俺、ミズギなんて持ってねえぞ。 どうすりゃいいんだ?」

コニー「俺だって自分用の持ってたのなんざ、ガキの頃だけだよ」

コニー「水着 貸し出してっから、問題ねえだろ」

ベルトルト「僕らだって借りるし、大丈夫だよ」

ジャン「フーン、そっか」

アルミン「結構大きいらしいね、そこ」

ジャン「知ってんのか、アルミン」

アルミン「前に新聞に出てたんだ」

アルミン「お風呂を水着で楽しめる、観光施設って」

ジャン「でも風呂なんだろ?」

アルミン「体を洗ったりする所ではないようだけど…」

ジャン「何だか、よく分かんねえなぁ」



ジャン「マルコも行くんだろ?」

マルコ「もちろん」

マルコ「なんたって、女子の水着姿が拝めるんだものね!」

ジャン「そういうモンか?」

ジャン「(ビッショビショに濡れた服ってのも、確かにエロい気はするが…)」

マルコ「ジャンはさ、水着どころか、その中身まで頼めば見せてくれる人がいるけど…」

ジャン「///」

マルコ「僕らはもっとこう… 刹那を生きているから…」

ジャン「何遠い目してんだよ」

マルコ「…君にはもう、分からないさ」



エレン「…水着… は借りるからいいとして、あと着替えとタオルと洗面用具だろ」

エレン「途中でおやつ買ってけるかな?」

ミカサ「お店はたくさんあると思うけど…」

ミカサ「…エレン楽しそう」フフッ

アルミン「1泊とはいえ、皆と旅行なんて初めてだからね」ニコッ

エレン「泳いでもいいのかな!!」キラキラ

アルミン「それは行ってみないと分からないねぇ」

エレン「すげえ楽しみだ!」


ジャン「(エレンはひどく浮かれている…)」

ジャン「(エレン… 風呂で泳ぐのはマナー違反だと思うぞ?)」



ライナー「…ここはやはり、ビキニだろう」

ベルトルト「いやいや、ワンピースの方が品があって…」

ベルトルト「フリルが付いたのもいいな」

ライナー「死ぬまでに一度、マイクロビキニというのを見てみたいものだな」

ベルトルト「…全然聞いてないね、ライナー」

ライナー「ハハ、男の夢さベルトルト」



ジャン「(…ライナーは何を言ってるんだ?)」

ジャン「(ベルトルトの言ってることは分かる)」

ジャン「(でもフリルのワンピースなんか着て風呂に入ったら、後が大変なんじゃないか?)」



ジャン「(皆の… 男どものテンションが、何だかおかしい気がする)」

ジャン「(そりゃ女子とのお泊まり会なんて、浮かれる気持ちも分からなくはねえ)」

ジャン「(かくいう俺も結構楽しみなんだが…)」モワモワ…



サシャ『…せっかくのミズギがびしょ濡れになってしまいましたねぇ』ビショビショ

サシャ『うむむ… 体に張り付いて脱ぎにくいです』

ジャン『そんなフリフリのワンピースなんか借りるからだろ』

サシャ『ジャン、脱がしてください』

ジャン『しょうがねえなぁ…』ヌガシヌガシ

――――
―――
――

ジャン「///」

ジャン「(……イイ)」

ジャン「(イイぞ、最高じゃねえかチクショウ)」

ジャンがアホになっていく…



サシャ「…うーむ。 温泉もいいんですが、山の近くなんですよね? ソコは」

ジャン「何だよ、狩りでもしたいのか?」

サシャ「狩りはちょっと… 歩き慣れた山でないと」

サシャ「山菜やきのこなんかが採れるかなと思って」

クリスタ「キノコって秋に採れるんじゃないの?」

サシャ「春のモノもありますよ」

ユミル「また食い物か、サシャ」

サシャ「『食』なくして私の存在は語れません」キリッ

ジャン「…お前はブレないな」

ジャン「なんか安心したぞ」



――― 休暇当日朝・食堂


コニー「…ハァー、教官の説教長かったなぁー」

ジャン「説教じゃねえ、連休の注意事項だろ」

コニー「一緒だっての。 おっ、サシャ! メシ食ったらもう出るぞ!」

サシャ「ハイ! 支度はできてますよ!」ニコッ

コニー「他の女子にも言っといてくれな!」


ジャン「…サシャ、おいサシャ!」

サシャ「ふぁ? 何ですか?」

ジャン「お前、一体どんなミズギ借りるつもりでいるんだ?」

サシャ「さあ…? でも、クリスタは何やら張り切っていましたが…」

サシャ「ハッ!?」

サシャ「なんだか… またしてもイヤな予感がしますねぇ…」



……パッカラ パッカラ


サシャ「…トロスト区を抜けて、ローゼの山道に入りましたね」キョロキョロ

ジャン「それがどうした?」パカパカ

サシャ「イエ… 食べ頃の物がいっぱいあるなぁ、と…」

ジャン「ま、明日の帰りに時間があったら採ってけばいいんじゃん?」

サシャ「そうですねぇ…」

クリスタ「サシャ、もうすぐみたいよ」

クリスタ「そこの角に看板が出てたから」

ユミル「…意外に早く着きそうだな」パッカパッカ



…ザワザワ… ザワ


ジャン「…何だ、結構人いんじゃねえか」キョロキョロ

マルコ「週末だからね」

コニー「ここで入場料払って、更衣室に移動だ」

コニー「更衣室の手前に水着の貸し出し所があるからよ」

ライナー「じゃあここで女子達とは一旦お別れだな」

エレン「着替えたら更衣室出たトコで待ってっからな、ミカサ」

ミカサ「ええ、なるべく早く行く」

クリスタ「ユミル、サシャ行こっ」

ミーナ「アニも早く行こう!」グイグイ

ミーナ「アニはどんな水着借りるの?」

アニ「…見てみないと分かんないよ」



――― 水着貸し出し所


ジャン「……なんだコレ…」

ジャン「パンツじゃねえか…」ブラーン

マルコ「普通のパンツより長いだろう? 膝上くらいまではあるはずさ」

ジャン「そうだけど…」

ジャン「上は? 上にはナニ着るんだ?」

ライナー「普通、男はそれだけだろ」

ベルトルト「…ジャンはもしかして、水着を着たことがない?」

ジャン「お、おう… 街中で育ったし、近くには泳ぐような川もなかったからな」

ライナー「…ということは、生の女の水着姿も初めてか?」

ジャン「…だな… …ハッ!!」

ジャン「もしかして、女もパンツ一丁なのか!?」

コニー「なワケねえだろ。 馬鹿言ってねーで、とっとと更衣室行くぞ!」



――― 更衣室出口


ジャン「……なんだアレ…」ボーゼン

ジャン「何で、女は下着姿なんだよ!」

マルコ「いやいや、あれが女の子用の水着だから」

ジャン「だってベルトルト、フリルのワンピースがどうとか言ってたろ!!」

ベルトルト「ワンピースっていうのは …ホラ、ああいう上と下が繋がってるヤツだよ」

ライナー「ちなみにビキニというのは上下が分かれていて… 本当に下着みたいなデザインだ」

ライナー「…というかジャン、俺の部屋にあったエロ本に、そんなのたくさん載ってただろう?」

ジャン「……あれ全部下着だと思ってた…」

ジャン「アレが水着…」ハッ!

ジャン「サ… サシャは!?」



コニー「オッ、女子達が出てきたみたいだぞ!」



ミカサ「…お待たせエレン、アルミン」

ミカサ「水着を選ぶのに、少々手間取ってしまって…」

エレン「お、似合ってるぞミカサ」

アルミン「本当だ、胸下に切り返しがあってフンワリ広がって… 下は短パンなんだね」

ミカサ「///」

マルコ「…ミーナはピンクのビキニか」

マルコ「胸元も、下もフリルがいっぱいだ…//」

ベルトルト「アニはワンピースだね。 白地に小花柄で、シンプルなデザインだ」

ベルトルト「(意外とおっぱい大きいな…)」

ライナー「クリスタもワンピースだな。 首の後ろで結ぶタイプの…」

ライナー「黄色のヒマワリ模様か… クリスタらしく愛らしい」



ライナー「ユミルは… うぉッ!?」

ベルトルト「まさかの黒ビキニ!?」

マルコ「長身にスレンダーな体… 紫ラメ入りの黒ビキニが良く似合うね」

ライナー「あれはワイヤーが入って… 若干底上げしているのか?」

ライナー「…しかし、イイ!」

ジャン「サシャ… サシャは!?」

ユミル「オォーイ サシャ! 私ももう諦めたんだ!」

ユミル「お前もイイ加減、観念して出て来い!!」

サシャ『…こんな… こんな格好ではとても…!』

クリスタ「もう… サシャったら、恥ずかしがって出てこないのよ」

クリスタ「ジャンもここから呼んで!」

ジャン「エ… エット…」オロオロ

クリスタ「早く!!」

ジャン「サ… サシャー? おーい、出てこーい」



サシャ「…うぅ」オズオズ…

クリスタ「そんな、せっかく出てきたのにタオルで隠したりなんてしないで!」

サシャ「だ… だって…」

ユミル「周りの客見てみろよ、結構いるぞ? ビキニの奴」

サシャ「そ、そうですね… 言われてみれば…」キョロキョロ

クリスタ「ほらタオル取って!」バッ!

サシャ「ひゃぁッ//!」

ジャン「!?」


ベルトルト「(アレは… 純白の三角ビキニ!)」

ライナー「(そして… デカイ)」

マルコ「(ジャンは、アレを…?)」

アルミン「………」

ジャン「…なッ、何だソレはァーーッ///!!」

サシャ「ウワアァーン、クリスター//!!」



サシャ「ク… クリスタが… 恩人が…」ウルウル

クリスタ「ユミルが黒で、サシャが白 …いいでしょ?」

クリスタ「私が選んだの!」ニッコリ

ジャン「やっぱりクリスタか…」

ユミル「でも周り見てみろって、ジャンさん」

ユミル「割といるだろ? ビキニ」

ジャン「う… まあな…」

ユミル「サシャもすぐ慣れるって!」

サシャ「そうなんでしょうか…」

ジャン「あの、サシャ…」

ジャン「その… に、似合ってるぞ//?」


コニー「…フーン、サシャって おっぱいデッカイんだな。 知らなかった」

サシャ「///!」



ジャン「へえぇ、これが温泉か…」

ジャン「普通の風呂と変わらん気がするが…」チャプン

アルミン「でもホラ、この看板… 読んでみると、ちゃんと効能が書いてあるよ」

ライナー「ナニナニ、肩こり打ち身 筋肉痛や腰痛… 切り傷なんかにも効くんだな」

サシャ「…ほほぅ、万能ですねぇ」

ユミル「サシャ、もう慣れたのか?」

サシャ「アハハ… もうなんだか、どうでもよくなってきました」チャプ

ユミル「そうそう、人間諦めが肝心だ」

ジャン「(サシャの水着… 首の後ろと、背中で紐を結んである…)」

ジャン「(こんなん誰かが紐引っ張ったら、あっという間にほどけちまうだろ)」

ジャン「(下はパンツみたいだしよ… 引き締まった腹… くびれたウエストも、ケツの形まで丸分かりじゃねえか)」

ジャン「(…イイケツをしている)」

ジャン「(どこのどいつだ? 水着をこんなにエロいデザインにしたのは…)」

ジャン「(つーか… 皆が皆、サシャをエロい目で見てるような気がしてならねえ)」



エレン「…オイ! 向こうのでっかい風呂、泳いでいいみたいだぞ!!」

コニー「マジか! 前に見に来た時は、まだ出来上がってなかったんだよ、アソコ!」ジャバッ

エレン「アルミンも… 皆 行ってみようぜ!!」

ライナー「うむ」ザバァ

サシャ「(…おや? あんな所にキノコが生えて…)」

サシャ「(あれはシメジ… ハルシメジ?)」

サシャ「(でも、色がおかしい…)」

サシャ「(妙に赤っぽいのと、黄色味がかかったのと、真っ白なヤツが…)」

サシャ「(あとで採っておいて、訓練所に帰ったら図書室で調べてみましょうかね)」


ジャン「…サシャ、どうした? 早く来い」

サシャ「あっ、今行きます!」ザブッ



ジャン「…泳いでいい風呂ってのもあるんだな」

ベルトルト「ここはお湯の温度が低めになってるんだね」

コニー「でないと、潜ったりできねえからな」

クリスタ「ちょ… ちょっと深いんじゃない?」

ユミル「ん? 抱っこしてやろうかクリスタ」

アニ「私にも少し深い… かな」

ミーナ「あそこで浮き輪貸してるみたいだよ」

ミカサ「エレン、浮き輪と一緒にボールも貸し出してる」

エレン「あ、俺 借りてくる!」



クリスタ「ワーイ、浮き輪―!」チャプチャプ

ユミル「浮かんでるだけかクリスタ、全然前に進んでないぞ」

ミーナ「アニ、私も浮き輪 掴まらせてー」

アニ「2人で掴まったら沈んじゃうって」

エレン「いくぞミカサー!」ボヨーン

ミカサ「はい、アルミン」ポーン

アルミン「うわっぷ!」ベシャッ!

コニー「ハハッ、滑ったのかアルミン!」

ライナー「…向こうにいる、赤いビキニの女が…」

ベルトルト「僕はその隣の水色のワンピースの方が…」

マルコ「フフッ、ほのぼのしてるね」

ジャン「そうだなぁ…」

サシャ「うーん …熱くも冷たくもない、いいお湯ですねぇ」ノビー

ジャン「あっ…(そんな伸びしたら下乳が出ちゃうだろうが!)」



サシャ「私もちょっと混ざってきます」チャパチャパ

サシャ「ミカサー! 私も入れてくださいなー!」

ジャン「ちょっ、俺も行く!!」

コニー「エレン行くぞー」ポーン

エレン「よっしゃミカサ! アタックだッ!!」ビシッ

ミカサ「なんのッ!」ボヨン

サシャ「せーい!」

ジャン「………」ボヨヨン

ジャン「(何か… 気が気じゃねえ)」

ジャン「(首の後ろの紐… 緩まってねえか? あ、また…)」

…スルッ

ジャン「ハッ!? サ… サシャァアアー!!」ザブザブ

サシャ「!?」

ジャン「」ガシィッ!



ジャン「(一瞬… 世界の時間が止まったように、ゆっくりと流れた…)」

ジャン「(…サシャの首紐がスルリと外れ、ハラハラと落ちていく)」

ジャン「(俺は走る… が、まるで夢の中のように、足が思うように進まない)」

ジャン「(…そして、今まさに水着が落ちようとするその瞬間)」

ジャン「(俺の両手は、サシャの胸を隠すことに成功した)」

ジャン「(俺は間に合った… 間に合ったんだ!!)」ガッシリ


サシャ「ひゃああジャン! なッ何を//!?」

ライナー「…ブハァッ!」

ジャン「違うサシャ! 水着が… 水着がアァー!!」

ジャン「ミ、ミカサ頼む! タオルを… タオルを!!」

ミカサ「ま、待ってて今持って来る!」ザバァッ

ジャン「………」ガッシリ

サシャ「///」



ライナー「(サシャの水着の中身… その先端は、ジャンの手によって守られた…)」

ライナー「(しかし… ジャンの細いが筋張った男の手が、白く豊かな乳房を…)」

ベルトルト「(鷲づかみだよ…)」

マルコ「(…ジャン、君は気付いていないのかい?)」

マルコ「(なまじ見えてしまうよりももっと、今の状況の方がエロいってことに…)」


アルミン「」ブクブクブク…

エレン「…アルミン! アルミンどうしたんだ!?」

コニー「溺れたのか!?」

アルミン「…ぷはぁっ! ハアッハァッ…」ザバッ

エレン「大丈夫かアルミン! 顔真っ赤だぞ!!」

アルミン「ハァハァ… 大丈夫… ちょっと足を滑らせただけさ…」



クリスタ「もぅサシャったら… だからさっき、結んであげるって言ったのに…」

サシャ「だって… できたと思って…」

ユミル「ホラ、結んでやるから」

ジャン「…いい。 俺が結ぶ」キュウゥ

サシャ「イ…イタッ! ちょっとキツ過ぎますって…」

ジャン「すぐ慣れる…」

ジャン「とにかく、これくらいしっかり結ばないとダメだろ」


ジャン「はぁ… やっと落ち着いたような気が…」

ジャン「(アレ? あの向こうの方にある、小さい岩風呂…)」

ジャン「なあコニー、今夜泊まる宿ってドコだ?」

コニー「ああ、あっちの… 向こうのデカイ建物だよ」

ジャン「へえぇ… 良さそうな宿だな」

コニー「だろ? こないだは日帰りだったから、今回楽しみだったんだ!」



サシャ「ふあぁ… 遊び疲れましたねぇ」

クリスタ「お湯に浸かりすぎて、指がフヨフヨになっちゃった」

ライナー「部屋の手配をしたのはコニーなんだろう?」

コニー「おう! 男女1部屋ずつで良かったろ?」

ベルトルト「雑魚寝だね… もちろん構わないけど」

アルミン「まあ僕らはどこだって寝られるよね」ニコッ

ジャン「!!」

エレン「とりあえず、部屋ってみようぜ!」




――― 受付

ジャン「…スイマセン、部屋ひとつ空いてないですか?」



ジャン「(…空いてなかった)」ズゥーン

ジャン「(そりゃ、週末だからな…)」

ライナー「…それじゃ、夕食までは自由時間だな」

ライナー「夕食の時に1階の広間に集合、その後食べ終わった者はこちらの… 男子部屋に集まるといい」

アニ「…引率の先生みたいだね」

サシャ「ご飯の時間まで自由なんですよね?」

ライナー「そうだが…」

ジャン「何かあんのか?」

サシャ「イエ、少し散歩でもと…」

サシャ「(さっきのキノコを…)」

ジャン「なら、俺も行く」

ジャン「コニー、借りた水着っていつ返せばいいんだ?」

コニー「宿泊客は明日、宿を出るときに返せばいいらしいぞ」

ジャン「そっか、サンキュ」



サシャ「」トコトコトコ… ジャン「」テクテクテク…

サシャ「(キノコはと…)」

ジャン「(あ… これさっき見えた岩風呂…)」

ジャン「(小さいし、木々が陰になってて…)」

ジャン「(しかも宿から直接来れるな)」

サシャ「(…あ、あった変なキノコ!)」タタッ ムシリ

サシャ「(袋に入れて、と…)」

ジャン「…ン? 何やってんの?」

サシャ「キノコ採集です」

ジャン「ふーん」

ジャン「…ここの温泉って、夜やってんのかな?」

サシャ「ああ、夜は閉まってしまうみたいですよ。 入り口に書いてありましたから」

ジャン「そうなんだ」

ジャン「(…でも、コッソリとなら…)」



――― 夕食後


サシャ「…うーむ、久しぶりに食べたって感じです!」

ユミル「確かに訓練所のメシとは、比べ物にならなかったな」

クリスタ「それでもサシャは食べ過ぎじゃないの?」フフッ

サシャ「なんの! この後はオヤツが待ってますからね!」

サシャ「ほどほどにしておきました」

サシャ「そういえばここに来る道中、エレンもいっぱいオヤツを仕入れてましたねぇ」

ミカサ「買い過ぎだと言ったのだけど…」

アニ「こんな時くらい、多少ハメ外したっていいんじゃない?」

ミーナ「そうよぅ! 私もたくさん買い込んできちゃった!」

ユミル「…そんじゃ、隣の部屋行くか?」



ライナー「…酒を何本か買ってきたぞ!」

ジャン「お前、結構 酒飲むよな」

ライナー「果実酒では薄いくらいだ」

ライナー「だが、女子にはこれくらいがいいだろう」

ベルトルト「…ヘンなこと考えてないよね、ライナー?」

ライナー「何を言ってるんだベルトルト。俺はどうせ酒を飲むなら、皆で楽しめた方がいいかと…」

マルコ「僕も、実家に帰った時には飲んだりするよ?」

コニー「やっぱ男は、多少酒くらい飲めねえとな」

エレン「マジか!? じゃあ俺も飲む!」

アルミン「エレンは前回、乾杯だけしか飲まなかったくらいだし、無茶はしないほうがいいと思うよ?」ニコ



ミーナ「…なんか、ポワッってなってきた」

アニ「味はイイんだけどね…」

ミカサ「…なまじ味が良いから、つい飲んでしまう」

ユミル「クリスタ、酔っ払ったら私が部屋に連れてってやるから」

クリスタ「ありがとユミル、でも私まだ全然大丈夫だから」グビグビ

ライナー「(…クリスタは意外と酒が強いんだな…)」

エレン「…アルミンどうした?」

アルミン「僕、ちょっと顔が火照っちゃって…」

アルミン「少し外に出て、酔いを醒ましてくるよ」スクッ

ミカサ「気を付けてね、アルミン」



ジャン「……サシャ、ちょっと」ヒソヒソ

サシャ「……何です?」



コソコソ…

ジャン「……部屋戻って、中 水着に着替えてきたか…?」ヒソッ

サシャ「着てきましたよ。 まだ湿ってて若干気持ち悪いですが…」

ジャン「…デカイ声出すなって。 どうせまた 湯に浸かるんだからいいだろ?」

ジャン「こっちこっち… 足元気を付けろよ」


ジャン「ホラ… ここで上に着てるヤツ脱いで、風呂入って…」

サシャ「」ヌギヌギ

ジャン「こっち来て、俺の前座って」チャプ…

サシャ「ハ… ハイ」チャプン

ジャン「…月明かりだけだな」ギュ

ジャン「静かだし、誰もいねえ…」

ジャン「…水着姿見たときから、こうしたかった」ギュゥ

ジャン「俺の前に座らせて、こう…」モゾ…

サシャ「//!」ビクンッ



ジャン「…いくらクリスタに言われたからって、こんな…」モミモミ…

ジャン「…こんなの… 裸と変わらねえじゃんか」グニッ

サシャ「はぅ…! ぁッ//」ビクビクッ

ジャン「声… 出しちゃダメな?」

ジャン「…誰か来たら恥ずかしいだろ? 俺はいいけどさ…」ムニッ

サシャ「…ぅ// …ッ」

ジャン「…皆見てたぞ? サシャのコト…」ボソ

サシャ「…ッ//」ゾクゾクッ

ジャン「ウチの奴らだけじゃねえ…」

ジャン「他の客も… サシャはエロい体してんなって… 皆見てた」

ジャン「…ン? 乳首立ってんじゃん…」

ジャン「…大丈夫だって、脱がさないから… 横から手ェ入れるだけ」キュッ

サシャ「はァッ//… ん ぁぅ//」ビックン

ジャン「…見られると、感じちゃう?」



サシャ「ち… 違ッ…//」フルフル

サシャ「み… 水着って、こういう…」

ジャン「他の水着… ミカサやクリスタみたいのもあったろ?」

ジャン「…だってさ、この体… こんな布の切れッ端だけで隠せるワケねえじゃん」

ジャン「俺だけじゃなくて… 他のヤツにも見せちゃって…」グニィッ!

サシャ「ひゃぁあンッ//!」

ジャン「…声出しちゃう? また誰かに見られたいの?」

サシャ「~~~~ッ///!」ブンブン

サシャ「ゴ… ゴメン ナサイ …もう、ンッ//」ウルウル

サシャ「こんなカッコ… あぁッ// しないです… からぁ…っ//」

ジャン「」ゾクゾクッ

貴方のSS大好きです

>>618(110さん) ありがとう、すごい嬉しいです。



ジャン「…イイねぇ」

ジャン「ほら… 足、開いて?」

サシャ「も… もう、これ以上、は…っ//」

ジャン「…アレ? 言うコト聞けないんだ?」グニグニ

ジャン「フゥン… そんなら耳でも噛んじゃおうかな」カプッ レロレロ

サシャ「ぁンッ//!」ビクッ

サシャ「ぁ…ッく、ぅぅ//」ブルブル

ジャン「足… 開けって」ペロッ

サシャ「ひゃ… ひゃい」

ジャン「よしよし、イイコだサシャ…」ニュル

ジャン「お湯ン中でもヌルヌルだ…」クニュクニュ

サシャ「やあァ…ッ// んはぁああっ//!」



ジャン「…いいの? 声出しちゃって…」ジュプッ

サシャ「はぁッ…ン//! だッ、だってェ…んッく// が… ガマン、できなッ///!」

サシャ「ジャ… ァン わ、私… もう//」ウルル

ジャン「…サシャのおねだり顔、可愛い …ン」チュゥ

サシャ「んっ… む…ぅ」レロ…

ジャン「……ふぅ」

ジャン「サシャ… そこ立って、手ェ岩に置いて」

サシャ「ハ… ハイ」

ジャン「尻、もっと上げて」

サシャ「…ぅぅ//」

ジャン「サシャの尻…」グニグニグニ…

ジャン「水着を… こう」グイィッ

サシャ「ひゃんッ// …く、食い込んで…っ//」

ジャン「超エロい…」グニグニ



ジャン「……舐めたい」グニグニ

サシャ「あ… ダ、ダメですっ// こんな体勢、恥ずかし…ッ」

ジャン「駄目じゃないでしょ」

ジャン「水着を横にズラして… 動くなよ?」ヂュウゥ

サシャ「…ふあぁッ//! やっ… やぁンッ//!」ビクンッ

ジャン「動くなって… どうしても声出ちゃうなら、片手で口塞いどきな…」ペロ ジュルッ

サシャ「ん… んふぅ… うっく…//」

ジャン「すげえ… どんどん溢れてくる…」チュゥ ズチュッ

ジャン「ン… サシャ、おいしい…」ジュク…ヂュッ

サシャ「…は… ぁぅッ//… ンンッ」

サシャ「もう、た… 立って、られな…」ガクガク

ジャン「…もう?」ベロッ

サシャ「…んぁぅッ//」ヒクッ


ジャン「そんじゃ… 挿れるぞ?」…ズッ



ジャン「…ンッ、やっぱサシャん中… 超気持ちイイ」ズンッ ズンッ

サシャ「…ぅんッ// ぁ… ひゃんっ//」

ジャン「サシャの胸も、 尻もココも… 俺の、俺だけの…ッ」ズッズッズッズッ…

ジャン「サシャ好き… 大好きだからッ… んっく//」

ジャン「…他の男に、体… 見せたりしないで」

ジャン「俺だけ見て… 俺だけ好きでいて」パンパンパンッ

サシャ「そ、そんな…のっ// …はぁぅッ」

サシャ「わた、私には最初からァッ…//」

サシャ「ジャン…だけ、です、からぁぁっ// はあぁあんっ///」

ジャン「…ン、ゴメ… 俺、もう無理…」パンパンパン

ジャン「サシャ、俺… イッていい?」パンッパンッ

サシャ「は、はい…ぃ」

ジャン「あ、イく… ンンッ」ビクビクビクン



……ガチャッ


エレン「…オッ、お帰りアルミン! ずいぶん長い間、外 出てたな」

エレン「酔い醒めたか? …って、アルミン泣いてんのか!?」アワアワ

エレン「何だよアルミン、転んだのか!?」

ミカサ「どうしたのアルミン! 変なお客に絡まれたりしたの!?」ゴゴゴ…

アルミン「違う! 違うんだ2人とも…」

アルミン「今夜は… つ、月があんまり綺麗だったから…」

アルミン「つい感動しちゃって…」ボーッ

エレン「…感動? 月を見て?」

アルミン「…ミカサ、僕 お酒もらっていいかな」

ミカサ「でも… 酔っ払ってしまうんじゃ…?」

アルミン「大丈夫。 なんだか、あの月を見た後なら… どんなに飲んでも酔いそうにないよ…」

ミカサ「フフ…、アルミンは詩人みたい」



アルミン「」ゴクゴク

エレン「ア… アルミン、酒弱いのに急にペース上げ過ぎじゃないか?」

アルミン「エレン… エレン、君は… 神の存在を信じるかい?」

エレン「あ、会ったことねえし… 分かんないけど…」

アルミン「僕の、僕にとっての神はきっと… このローゼの地に坐したんだよ」


……ガチャ


ライナー「何だジャン、どこ行ってたんだ?」

ジャン「ン? ちょっと宿内の探検… 俺にも酒くれ」

マルコ「どうぞ、ジャン。 何か面白い物はあった?」

ジャン「…受付に、ハゲたオヤジがいた」

ベルトルト「ハハ、それだけかい?」

ジャン「まあな」



……ガチャッ


クリスタ「あー! サーシャー! 何してたのー?」

ユミル「髪が濡れてんな。 また風呂入ってきたのか?」

サシャ「エ、エエ! お風呂大好きなんで、宿のお風呂などに!」ニッコリ

サシャ「あの、ひょっとしてクリスタ… 酔っ払ってます?」

ユミル「ああ… もう酒止めろって言ったんだけどな」

クリスタ「だって美味しいじゃなぁーい!」

サシャ「サッパリしたことですし、私も一杯頂きましょうかね」

ライナー「ほらサシャ」スッ

サシャ「あ、ありがとうございます」コクコク

ミーナ「…私もうダメェー。 アタマぐるぐるするぅー」クタッ

アニ「しょうがないなぁ… ホラ、部屋帰るよミーナ」ズルズル

ベルトルト「アニはお酒強いなぁ」

アニ「水で薄めて飲んでたからね」



ジャン「もう… あと半月で卒業か」

エレン「俺は嬉しいけどな。 やっと、調査兵団に行ける」

エレン「ずっと夢に見てた …こんなコト言うと、またお前に何か言われそうだけどな」

ジャン「…別に言わねえよ」

コニー「俺はもちろん憲兵団だがな!」

コニー「これで母ちゃんや… 村の皆に自慢できる」

マルコ「まだ決まったワケではないよ、コニー」

コニー「何だよ、もうほぼ確定だろ」

ライナー「そういえば今回の旅行は、上位組… 多分だが… が、ほとんどだな」

ベルトルト「特別仲が良いんでなければ、結局 似たような成績の人間でまとまってしまうんじゃない?」

アルミン「僕は、とても上位には…」

ミカサ「アルミンは、他の誰よりも賢い」ニコッ

ユミル「…クリスタ、いい加減部屋に帰るぞ」グイグイ

クリスタ「う、うぅーん… ユミルー」トローン



サシャ「……」スー

ジャン「あ、コイツ! 妙に静かだと思ったら、寝てやがる!」

ジャン「ホント、酒飲んだらすぐ寝るなサシャは」

ライナー「ハハ、まあ寮ではないし、寝ているならそのままにしておいたらどうだ?」

ベルトルト「どうせ皆、雑魚寝なんだしね」

マルコ「布団の上に移してあげるくらいはしないと…」

ジャン「ン? そんじゃ移すか …ヨッコイセっと」ポスッ

ミカサ「何か掛ける物を…」

ライナー「クリスタ達も帰ったし、女子1人というのもアレだから、ミカサもこっちで寝たらいいんじゃないか?」

ミカサ「…そう? なら、私もこの部屋で…」

エレン「寝相に気を付けろよミカサ」

>>633
http://shingeki104ki.doorblog.jp/
1さんのサイトです。ここに全部ありますよー。(多分)

最初のを書く前に見た、巨人兵団のアルミンの顔が強烈過ぎて
脳内修正できないまま現在に至ってしまった。
でもいつか別の形で、アルミンへの愛を表そうかと思う。
>>635(110さん) お手を煩わせて申し訳ありません。
一応そこにあるのが全部です。



ライナー「……ん、酒ももうなくなったか」

マルコ「もう遅いし、そろそろ寝るかい?」

コニー「」スピー

ジャン「だな。 ミカサ、サシャの隣で寝たらどうだ?」

ミカサ「私はここでいい。 エレンとアルミンの間…」

エレン・アルミン「」スヤスヤ

ジャン「そうか、そんじゃ俺が行くとするか」

ライナー「ベルトルト、寝相悪いからといって、周りの奴らを潰すんじゃないぞ?」

ベルトルト「…気を付けるよ」

マルコ「お休み、みんな」

ジャン「…ん、お休み」



サシャ「」スースー

ジャン「(…サシャの寝息)」

ジャン「(…さっきの風呂でのサシャ、すげえ可愛かった)」

ジャン「(必死に声抑えて… 涙目でフルフルしながら謝って…)」

ジャン「……」モワモワ

ジャン「(…ダメだ、今興奮するワケにはいかねえ)」


ジャン「(良いトコだな、ココ)」

ジャン「(いつかまた来れたらいいな)」

ジャン「(なんか… すげえ幸せだ)」

ジャン「(手ェ握って寝よ…)」



ジャン「(……お休み、サシャ)」



チュンチュンチュン…


ジャン「……ん…」パチ

ジャン「(…あれ? サシャいない…)」ムク

ジャン「(まだ皆寝てるな …顔、洗ってくるか)」ソーッ ガチャ…


ジャン「…イイ天気だな」

ジャン「(サシャ、ドコ行ったんだ?)」バシャバシャ ゴシゴシ



サシャ「ジャン! 起きたんですか」トコトコ

ジャン「お前ドコ行ってたの?」

サシャ「朝風呂に行って… その後少し庭を歩いてました」

ジャン「何だ、起こしてくれりゃ良かったのに…」

サシャ「フフ、よく寝てるみたいだったので… 昨日は遅くまで飲んでたんでしょう?」

サシャ「朝食までまだ時間ありますけど、ぼちぼち皆さんを起こした方がいいですかね」



――― 朝食・大食堂


サシャ「…私はちょっと、寄りたい所… というかやりたいことがあるので、今日は遊ばず先に帰りますよ」

ジャン「俺も昨日、水に浸かり過ぎて疲れたからな」

ジャン「これ以上泳いだりしたら、帰りに馬の上で寝ちまいそうだ。 先に会計済まして帰る」

コニー「そっか? 俺なんか全然遊び足りねえが…」

エレン「俺もだな。 今日はミカサと競泳するんだ」

ライナー「俺達も、もうひと泳ぎくらいしていくか、ベルトルト」

ベルトルト「僕は構わないよ」

クリスタ「頭… イタイ…」ガンガン

ユミル「だから飲み過ぎだって言ったんだ、クリスタ」

ユミル「後で薬あるか探してきてやるから、お前は皆が遊んでる間 休んでろ」

アニ「ミーナも 結構飲んでた割には元気だね」

ミーナ「そうね。 でも今日は、お風呂よりお土産屋さんを見たいな」

アルミン「僕も皆が出発するまで、本でも読んでるよ」



サシャ「…それじゃ一足先に出発しますか」

ジャン「おう」


パカラッパカラッ


ジャン「…やりたいことって何?」パカパカ

サシャ「ああ… 来る途中で見た、食材集めですよ」

サシャ「ジャンは本当はもう少し 遊びたかったんじゃないですか?」パカパカ

ジャン「俺はもういい …昨日はマジで疲れたし」

ジャン「…それに俺が残るって言ったら、お前も残るだろ?」

サシャ「そうですねぇ… でももう、お風呂には入らないでしょうが」

サシャ「…見せちゃダメなんですよね?」

ジャン「そっ! それは、そのぅ…//」

サシャ「…フフッ」

サシャ「あ! あそこら辺です!」パッカパッカ



サシャ「(うーむ… やっぱりここらに生えてるのは普通のきのこ…)」キョロキョロ

サシャ「(まあ普通のきのこなら食べられるからいいんですが…)」ムシリムシリ

ジャン「オーイ サシャ、これ食えんの?」

サシャ「あっ、それダメです。ポイしてください」

ジャン「フーン、こっちは?」

サシャ「それは大丈夫、いっぱい採ってください」

ジャン「やったぁー」ムッシムッシ

サシャ「それでは私は山菜など集めてきましょうかね」トコトコ

…ムッシムッシ ワッサワッサ

ジャン「サシャー、袋いっぱいになったー」

サシャ「おぉー、よく集められましたね」

サシャ「お利巧さんです」ニッコリ

サシャ「さて、私の袋も一杯になったことですし、そろそろ行きましょうか」



――― 訓練所


ジャン「…割と早く着いたな」

サシャ「行きはオヤツだのなんだの、色々買い込みましたからねぇ」

ジャン「昼メシも途中で食えたし、しばらく時間あるな。 どうする?」

サシャ「一旦荷物を置いたら、図書室で調べ物をしたいんですが…」

ジャン「試験終わったのに?」

サシャ「ええまあ、少しですけど」

ジャン「じゃあ俺も図書室行く。 きのこ渡していいか?」

サシャ「ハイハイ、では後ほど…」



サシャ「(荷物を置いて… と)」

サシャ「(おっと、温泉から持ってきたきのこを…)」

サシャ「(赤・白・黄色…)」

サシャ「(うむむ… やっぱり見たことない)」

サシャ「(温泉の成分か何かが混ざってるとか?)」

サシャ「(お父さんだったら分かるんですかねぇ…)」

サシャ「(まぁいいや、とりあえず調べてみましょう)」



――― 図書室


サシャ「(きのこ図鑑、きのこ図鑑… あった)」

サシャ「(どれどれ…)」

ジャン「……」パラパラ

サシャ「(うーん… 載ってない)」

サシャ「(でもまあ今は春だし、周りに生えていた木から見ても毒性はないはず…)」

サシャ「(しかし気になりますねぇ…)」

ジャン「……」ウツラウツラ

サシャ「あ、ジャン」

ジャン「…んぁ?」

サシャ「すみません私、夢中になって…」

サシャ「天気良いですし、眠いんだったら裏庭でも行きましょう」

ジャン「…膝枕してくれる?」

サシャ「ええ!」ニッコリ



――― 夕食前・厨房


ジャン「…サシャ悪ィな さっき寝ちまって…」

サシャ「いいですよ、疲れてたのに図書室付き合せてすみませんでした」

ジャン「それ何? いい匂い…」

サシャ「ああ… 山菜の半分ときのこを、ちょっと濃い目の味で煮てるんです」

サシャ「残った山菜は粉をつけて、皆が帰ってきたら揚げてしまいますんで」

ジャン「夕食までには皆 帰るって言ってたな」

サシャ「先にお風呂入ってきたらどうですか?」

ジャン「お前は?」

サシャ「私は朝風呂入ってますし、夕食後で構いませんよ」

ジャン「…ん、そんじゃ行ってくる」



サシャ「(とりあえず持ってきたけど… やっぱり、このキノコは使わないでおきましょうか)」

サシャ「(3本… 袋に入れて、こっちに避けておいて…)」

サシャ「(…ジャンは昨日、遅くまで起きてたんですかねぇ)」

サシャ「(膝枕でスヤスヤ寝て…)」

サシャ「(ちょっと、涎垂れてました…)」

サシャ「(こういうの… いいなぁ)」フフッ


…ガララッ ドヤドヤ


コニー「…ただいまー!!」

エレン「ふぁー! 疲れたァーッ!」

サシャ「…ああ! お帰りなさい皆さん!」タタッ



――― 夕食・食堂


アニ「ミーナがお土産買い過ぎるから…」

ミーナ「アニだって、一生懸命見てたじゃない!」

エレン「…結局、1回もミカサに勝てなかったな」

ミカサ「背泳ぎなら、エレンの方が速かった」

アルミン「僕、本読みながらいつのまにか寝ちゃって…」

クリスタ「あー、やっと頭痛治った」

ユミル「昼もロクに食えなかったんだから、酒はもう大概にしとけよクリスタ」

ライナー「…だから昨日の赤ビキニが…」

ベルトルト「いや、ワンピースだって…」

マルコ「不毛な言い争いはもういいだろ、2人とも」



コニー「…なんか、イイ匂いがする…」

サシャ「お待たせしましたァー!」ダムッ!

サシャ「イテッ、角にぶつかった…」

サシャ「山菜の揚げ物と、キノコの煮物です」

コニー「お、イイ匂いしてたのこれか!!」

エレン「へえぇ、今日の帰りに採ってきたのか?」

サシャ「ハイ!」ニコニコ

サシャ「…ところで、ジャンは?」キョロキョロ

アニ「ああ… 食堂来る途中に、教官に捕まってるの見たよ」

ミーナ「何か頼まれ物でもしてたんじゃない?」

サシャ「そうですか…」


キノコの袋「」コロコロ… ポトッ



…ギィーィ バタン


ジャン「」スタスタ

サシャ「…ジャン、教官から何か?」

ジャン「ああ… 内地に持ってった資料の片付け頼まれてた」

サシャ「すみません、すぐ来ると思って揚げ物出してしまったんですが…」

ジャン「ん? いいよ別に」

サシャ「あ、じゃあ今、煮物の方よそってきます」ガタ

ジャン「そんくらい自分でやるって」テクテク

サシャ「それ、冷めても味染みて美味しいはずですから…」

ジャン「俺はあったかい方がいいから、もっかい火ィ入れる」



………コロンッ


ジャン「(あれ? きのこ1個落ちてる…)」

ジャン「(食材ムダにするヤツじゃないから、気付かなかったのかな…)」

ジャン「(いいや、ちょっとすすいだら ちぎって入れちゃえ)」ムシムシ ボトボト

ジャン「(あ… 火にかけたらイイ匂いしてきた)」

ジャン「(サシャの作るメシって、いつも旨いよな…)」クツクツ

ジャン「(昨日の宿も中々だったけど、やっぱサシャの作ったのが一番旨いと思う)」

ジャン「(お、最後に入れたのも煮えたか?)」



ジャン「」テクテク

サシャ「すいませんね、わざわざ温めてもらって」

ジャン「…いや」



ジャン「…何かコレ、酒飲みたくなるな。 旨い」

サシャ「そうですか? では私めも…」ハムハム

サシャ「ふむ、火を入れ直してさらに味がこなれたというか…」

ライナー「昨日酒を飲んでる時にあったら、いいツマミになってたろうな」

コニー「俺の母ちゃんの作るヤツに、ちょっと似てる」

サシャ「ちょっと田舎っぽい料理で不安だったんですけど… 口に合ったなら良かった」ニコ


エレン「…ミカサ、明日の訓練って何だったっけ」

ミカサ「明日は午前が座学で…」

アルミン「午後は対人格闘だよ」

サシャ「あ! そうだ。 私、明日の朝 水汲み当番でした!」

サシャ「少し早起きしないと…」

ジャン「思い出して良かったな」



サシャ「……では後片付けなどを」カチャカチャ

クリスタ「手伝うよ! …いつも美味しいモノ作ってくれてアリガトね、サシャ!」ニコ

サシャ「こんなの… ただの趣味ですから//」ヘヘッ

ユミル「イヤイヤ、毎回堪能してるぞ?」

ユミル「クリスタなんて、今日は二日酔いでほとんど食べてなかったのに、夕飯はペロッといけた」

サシャ「…フフ、いつか兵士辞めたら食堂でも開きましょうかね」

ジャン「…お前が食堂開いても、客の分まで食っちまうんじゃないか?」

サシャ「ハッ! …それはあり得る…」

クリスタ「アハハハ」



サシャ「ア… アレ? 袋の中のキノコがひとつない…」キョロキョロ

ジャン「あ? 白いのだったら下落ちてたから、洗って鍋に入れちまったぞ」

サシャ「エェ!? あ… そうですか」

サシャ「(…まぁ毒性はないし、私も食べたし大丈夫でしょう)」



ジャン「(……たったの2連休)」

ジャン「(兵士が連休取れるのも有難いことなんだが)」

ジャン「(…でも、すげえ楽しかったな)」

ジャン「(皆と温泉浸かったり泳いだり…)」

ジャン「(サシャときのこ採ったり、膝枕してもらったり…)」

ジャン「(俺の幸せ記録、また更新した気がする)」

ジャン「(卒業まであと半月…)」

ジャン「(…まだ更新できんのかな)」

ジャン「(でもサシャ、お前が傍にいればきっと…)」

ジャン「(きっと、毎日が幸せでいられる)」

第一部完ッ!
以降、第二部更なるキャラ崩壊注意報発令

キャラ崩壊&女体化注意!



――― 翌日・早朝


ジャン「(……ン…?)」

ジャン「(…何だ… 首元… 鬱陶しい)」

ジャン「(…毛か? コレ…)」サラッ

ジャン「(ハ? 何で毛?)」

ジャン「(つーか俺、なんかオカシイぞ?)」モゾモゾ

ジャン「うわっ!?」ガバッ!

ジャン「(何だコレ… む、胸が…)」ギュム

ジャン「(でっかくなってる!?)」

ジャン「(こ… こっちは…?)」サワサワ

ジャン「(え… ナニナニ? 理解できないんだけど?)」

ジャン「(お、俺の… 俺の大事な…)」

ジャン「(俺の大事なナニが…)」

ジャン「(ねえじゃねえかアァァアアァァーーー!!!)」



ジャン「(…ちょっと待て、落ち着くんだ俺)」ハァハァ…

ジャン「(こんな時は素数を数えて2… 3… 5… 7)」

ジャン「(そうじゃねえ!!!)」

ジャン「(俺は男だ、男のはずだ…)」

ジャン「(そうか分かった、これは夢なんだ)」

ジャン「(ならもっかい寝直そう…)」ポスッ

ジャン「(…って、違うだろうがアァァ!!!)」ガバッ

ジャン「(一体どうなってやがんだ?)」ドキドキドキドキ

ジャン「(とりあえず何か着て… 外の鏡を…)」モソモソ

ジャン「(ふ… 服もなんかデカイんですけど…?)」


………ソーーーッ ガチャ



ジャン「…………」

ジャン「(…女だな、コレ)」

ジャン「(随分と目つきの悪ィ女もいたモンだ…)」

ジャン「(目線が低いし、髪も伸びて…)」

ジャン「(…まさか!?)」ハッ!

ジャン「(これまでが夢だったとか!?)」

ジャン「(…そんなワケねえだろ、錯乱すんな俺!!)」

ジャン「(どうなってんだよ…)」ジワァ

ジャン「(サシャ… サシャは今日水汲みって言ってた!!)」

ジャン「(サシャアァァ、助けてエエェ!!!)」…タタタタッ



――― 井戸付近


ジャン「サシャー、サシャァーーー!」タッタッタ…


…ザブザブ

サシャ「……ハテ? 誰かが私を呼んで?」キョロキョロ

ジャン「…いた! サシャ!!」ハァハァ

サシャ「!?」

サシャ「………」

サシャ「エート…」

ジャン「何だよ、分かんねえのかよ! 俺だってば!!」

サシャ「オレさん……ハッ!?」

サシャ「その髪の色、目つき… まさか…… ジャン?」

ジャン「そうだよ俺だよ!!!」

サシャ「エエエェェエェエ!!??」



ジャン「…どうしよう、俺どうしちゃったんだろうサシャ」オロオロ

サシャ「エェエ!? …ちょ、ちょっと待ってください」アワアワ

サシャ「こっ、こういう時は、まず落ち着いてですね…」スーハースーハー

ジャン「ウ、ウン」ゴクリ…

サシャ「素数を数えるんです」

ジャン「もう数えたよ!! サシャのバカアァァ!!!!」

サシャ「…というのは冗談で」ケロッ

サシャ「水汲みは一時中断、とりあえず教官室へ行きましょう」

ジャン「エ? お、おう」

ジャン「…何でお前、そんな落ち着いてんだよ?」

サシャ「まあ何となくではありますが、心当たりがなくもないので…」

ジャン「そ、そうか」…ホッ

ジャン「(サシャのトコ来て良かった……)」



――― 教官室


キース「…で、そのキノコが原因だと?」

サシャ「おそらく、ですが。他に思い当たる節もないので…」

キース「……いつまでだ?」

サシャ「ハ?」

キース「その効果は、いつまで持続するのかと訊いている」

サシャ「通常、体外へ排出するまでの時間を考えれば、丸一日から長くて三日ですが…」

サシャ「毒性のモノですと後遺症を残す場合もありますし、一概には何とも…」ウーム

ジャン「ハアァ!? マジかよ!!」

キース「静かにしろ、キルシュタイン」

キース「…何にせよ、その格好のままという訳にもいくまい」

キース「倉庫に下着や訓練着の予備などあるだろうから出してやれ」

キース「ブラウス、貴様が責任持って面倒を見ろ」

キース「全く… この代は問題ばかり起こす…」



サシャ「…なんだか、あまり驚いていないようでしたねぇ」トコトコ

サシャ「よくあることなんでしょうか?」

ジャン「そんなコトより! 何だよ後遺症って!!」ツカツカ

ジャン「ずっとこのままなんてこたねえだろうな!!」

サシャ「エ? あぁ… 大丈夫ですよ、多分」

サシャ「さっきは教官にああ言いましたが、毒性はないハズです。 私の見立てに間違いはないでしょう、おそらく」

ジャン「『多分』とか『ハズ』ってなぁ… 頼むぞマジで…」

サシャ「責任は取ります」

ジャン「どうやってだよ?」

サシャ「もしもジャンがずっとそのままだったら、私が男になります」キリッ

ジャン「そうじゃなくて、俺を元に戻せってんだ!!!」



ジャン「つーか、どんな顔して皆に会えばいいんだよぉ…」

サシャ「顔… 顔ですか」ピタ

ジャン「あ?」

サシャ「…美人ですね」

サシャ「ジャンにお姉さんか妹がいたら、こんな感じなんでしょうか」

ジャン「いいよ顔なんかどうだって…」

ジャン「そういや何でお前も同じの食ったのに、何ともないワケ?」

サシャ「さあ? たまたま口に入らなかったのか、性別が変わるというより、女性化する類のモノだったのか…」

ジャン「男になったサシャってのも、ちょっと興味あるな」

サシャ「そうですか? まあ私はどちらでも生きていけそうですが…」

サシャ「やっぱり長いコト女として生きてますし、このままがいいですかね」

ジャン「俺だってそうなんだっての!!」

サシャ「…さて、一応身長など測りたいので、医務室に寄ってから倉庫に行きましょう。 急がないと」



――― 倉庫


ジャン「…俺、10cmも縮んだのか」

サシャ「今は私の方が背が高いんですねえ」ゴソゴソ

ジャン「なのに体重は同じなのか…」

ジャン「…あんだけ食ってるくせにおかしいだろ」

ジャン「宿で散々メシ食った後だって、菓子ボリボリ食ってたクセに…」

サシャ「ブツブツ言ってないで、はいコレ。 下着と訓練着です」

サシャ「早く着替えないと、食事の時間になってしまいますよ」

ジャン「うわぁ、メシ行きたくねえなぁ…」

ジャン「…ン? 何だよ、見んなよ」

サシャ「女同士なのに」

ジャン「なんかヤなんだよ。 あっち向いてろ」

サシャ「ちぇー」

サシャ「…そうだ、水汲み昼にやらないと…」



――― 食堂


コニー「マジか!? マジでジャンなのか!?」

ジャン「……おう」

ミーナ「へぇぇ、結構美人…」

エレン「目つきの悪さはあんま変わってないな」

マルコ「…信じられない」

ライナー「せめて女でいる間は、口のきき方を直したらどうだ? ジャン」

ライナー「女が口汚いのはどうも…」

ジャン「うるせえってんだ//」

ベルトルト「フフッ… その姿で凄まれても、あまり怖くないなあ」

サシャ「…残るキノコはあと2つ」



サシャ「性別変化に記憶障害、はたまた媚薬か惚れ薬か」

サシャ「…効果の程は分かりませんが、私なら」

サシャ「食事にこっそり混ぜ込むこともお茶の子サイサイ」

サシャ「…それでも笑いますか? ベルトルト」ニッコリ

ベルトルト「イ、イヤ僕はそんなつもりじゃ… その、スイマセン…」

サシャ「さて、食事にしましょうかね」


ベルトルト「女のライナーとか… すごく見たくないよ…」

ライナー「…惚れ薬ってのはいいな」

エレン「ミカサが男になったら、さらに強くなるのか?」

アルミン「…ウーン、想像すると恐ろしいね」

ミカサ「(…女の子になったエレン//)」

ジャン×サシャから、キノコによって、サシャ×ジャン

>>672 あいにくサシャにキノコ生えてないんだが…
生やした方がいいのか、すごく迷ってるんだ



マルコ「///」

ジャン「何赤くなってんだよ、マルコ」

マルコ「だって… とてもジャンとは思えなくて緊張しちゃって…」

マルコ「こうしてると、ちょっと顔立ちのキツめな綺麗な女の子だから…」

マルコ「…なんだか落ち着かなくて」

ジャン「そんなコト言われてもなぁ」

ジャン「多少 違和感はあっても、鏡見ねえと女だって実感ないし…」

ジャン「まあいいや。 マルコが落ち着かないってんなら、あっちで食うわ」ガタッ スタスタ

マルコ「あ…」

マルコ「(何か、すごく勿体ない事をしたような…)」

ああ、別に生えなくてもサシャ×ジャンだな



クリスタ「…声も変わったのね」

サシャ「骨格からして違いますから」

ユミル「女にしては、若干低めか?」

ジャン「ウーン、確かに自分の声が変に聞こえる…」アーアー

ユミル「それより今夜からどうすんだよ、ジャン」

ジャン「何が?」

ユミル「男子寮にはいられないだろうが」

ジャン「何で?」

ユミル「何でって… 襲われるんじゃないか?」

ジャン「でも俺だぜ?」

クリスタ「見かけだけは立派な女の子だから…」アハハ

ジャン「うわ、男に襲われるのはカンベンだな …気持ち悪ィ」

サシャ「今日の訓練後に教官に聞いてみますよ。 ジャンが襲われては堪りません」



――― 座学


ジャン「(…なんかやっぱり落ち着かねえ)」

ジャン「(ケツの座りが悪いっていうか…)」

ジャン「(…ホントに女なんだな)」

ジャン「(さっき着替えた時思ったけど…)」

ジャン「(胸あるし… 下はねえし…)」

サシャ「……ジャン」ヒソ

サシャ「…そんなに大股開いて座らないでください」

サシャ「みっともないですよ」

ジャン「…んなコト言われてもよ」

ジャン「(…早く元に戻りてえ)」ハァァ…



――― 昼


サシャ「急いで水汲みの続きをしないと…」

ジャン「あ、俺手伝う」

ジャン「俺のせいで終わらせられなかったんだもんな」

サシャ「元はといえば、私が悪いんですけどね」

サシャ「変なモノ拾ってきて、本当にすみませんでした」

ジャン「い、いいよもう… そのうち戻るんだろうしさ」


…ザブザブ


ジャン「…うっ」

ジャン「水の入ったバケツって、こんな重かったっけ?」

サシャ「筋力も普通の女の子ですから…」

ジャン「バケツでこんなだったら、兵站行進とか大変なんだろうな」

ジャン「…お前らって、すげえんだな」



――― 格闘訓練前


ベルトルト「…で、どんな感じなの? ジャン」

ジャン「なんか… バランスが悪ィ」

ジャン「重心がこう… 腰じゃなくて、上にあるっていうか…」


クリスタ「最初に見た時、ビックリしたでしょサシャ?」

ユミル「ジャンに姉ちゃんか妹がいたら、あんな感じなのかね?」

サシャ「それは私も思いました。 でも目つきと口の悪さは、少しユミルにも似てますね」

ユミル「私は自分のこと、オレなんて言わない」


ライナー「…胸があるってのは、どんな気分なんだ?」

ジャン「邪魔ってだけだな。 触っても何とも思わんし…」

ライナー「どれどれ、ちょっと触ってみていいか?」


サシャ「」ピクッ



ジャン「…あ? いいぜ少しなら」


サシャ「!?」


ライナー「それじゃ、失礼して…」…フニ

ライナー「…どうだ?」フニフニ

ジャン「どうって… 別に触られてんなぁとしか…」


サシャ「ラァイナァァアーーーッ!!!!」ダダッ

ライナー「…エ?」

サシャ「ジャン! ソコどいて下さいッ!!」ダダダ

ジャン「んあ?」

サシャ「どかんかアァーーいッ!!!!」ダッ!!!

ジャン「ウワアァ!!」バッ!


ドッゴオオォォーッ!!!!



アニ「まさかの空中胴回し回転蹴り!?」

アニ「一撃必殺の大技! …から、マウントポジションへ!!」

サシャ「ア、レ、はッ!」バキッ

サシャ「私のやし!!」ボグッ! メキッ!

サシャ「私のなんやしいィィーーーッ!!!」ゴスッ バキッ ゴッ ガツン ボカッ!!

アニ「連打連打連打連打!!!」

ライナー「サ、サシャ… スマ、ン… 俺ッ、が、悪かっ… おぶぅッ!!」

ベルトルト「サシャアァーー!! もうやめたげてエェェエーー!!!」

サシャ「ジャアァアーーンッ!!!」グリンッ ツカツカ

ジャン「ひいいぃぃッ!?」

サシャ「アンタもなアァァーーッ!!!」ガシッ!

クリスタ「胸倉を!?」

サシャ「ナニ簡単に触らせとんのオオォォーーーーッッ!!!!」ユサユサユサユサユサユサユサユサ

ジャン「ヒイッ! ごっ、ごめんなさいイイィィイイ!!!!」ガクガクガクガクガクガク



ユミル「サ、サシャ落ち着け」

サシャ「…………まだ…」ポロリ…

サシャ「まだ… 触ってないのに……」ポロポロ

サシャ「…私まだ… 触ってないのに…」ボロボロボロ

サシャ「ウワアアァアァーーン!! ユミルゥーーー!!!」

サシャ「ジャンが… ジャンが… とんだアバズレだったんですうぅーー!!」ビエエェエェーン


キース「……これは一体どういう状況だ?」

サシャ「ウワアアァァァァーーーーン!!!」

キース「誰か説明してもらおうか…」

サシャ「ビエエエェエェェーーーーーン!!」

サシャ「ジャンの初おっぱいがアアアァァアァーーーーー!!!」

キース「……………」



ジャン「(…初めて聞いたサシャの故郷の言葉は、天地を揺るがすような怒号でした)」

ジャン「(こ… 怖かった…)」フルフル

エレン「スゲー! サシャって強かったんだな!!」

サシャ「良かったですねえ、ジャン」ケロリ

サシャ「今夜は、離れの教官用仮眠室で過ごして良いとのことで…」

サシャ「私もそこで、ジャンの面倒を見る許可ももらえましたし」

サシャ「教官は話の分かるイイ人ですねぇ」

ジャン「(サシャの勢いに気圧されてるようにしか見えなかったが…)」

ジャン「(おっぱいおっぱい連呼しやがって…)」

サシャ「…ライナー」クルッ

サシャ「すみません、私興奮してやり過ぎてしまいました」ギイィィ

ライナー「イ… イヤ、こちらこそ たっ、大変失礼しました」ビクビク

クリスタ「サシャ… 口の端だけを釣り上げて… 笑顔のつもりなのかな」

ユミル「…アレは捕食者の目だ」



サシャ「さぁて、訓練訓練…」

サシャ「ジャンは私と組みましょうねぇ」ニッコリ

ジャン「お? おう…」

サシャ「…ささ、掛かって来てください!」

ジャン「い… 行くぞ?(俺だって、弱かねえからな)」

ジャン「フンッ!!」ビュッビュッ

サシャ「」ヒョイヒョイ

ジャン「…な!?」ブンブンブンッ

サシャ「」ペシペシペシ

ジャン「(ぜ、全部はたき落とされた! 見えてるってコトか? …クソッ!!)」ブゥンッ

サシャ「」ヒョイ …ガシッ!

ジャン「(あっ… 今出した右拳のヒジの服掴まれて…)」

ジャン「(回り込まれた!! やっ、やられ…)」

サシャ「」…フゥーッ



ジャン「///!?」ゾクッ

ジャン「なッ!? ナニ耳に息吹きかけてんだよぉーッ//!!」

サシャ「気のせいでしょう? …続けて」

ジャン「…チクショウ!」ビュンビュンビュン

サシャ「」ペンペンペンッ

ジャン「(…何で当たんねえんだよ! コイツ速過ぎんだろ!?)」

ジャン「(いくら女の体になったとはいえ、こんなに差があったとは…!)」ブンッ!

サシャ「」パシッ …グリンッ!

ジャン「ウワッ!?(…後ろ手に締め上げられた!)…クッ!!」

サシャ「………触らせましたね?」ボソリ

ジャン「!!」ビクン

サシャ「…私には見せてもくれなかったのに… 先に触らせちゃいましたね?」…フウッ

ジャン「エェッ//!?」ゾク



ジャン「(…なんか… 異常に疲れたんだが…?)」ハァハァ…

ジャン「(サシャの奴… シレーッとした顔しやがって…)」

ジャン「(何で疲れねえんだよ…)」

サシャ「ジャン!」

サシャ「私達は夕食後、皆が入り終わったあと最後にお風呂ですからね」

ジャン「…ああ」

ジャン「(まさか、女子風呂に入る日がくるとはな…)」

サシャ「一度、男子寮に戻って、一通り必要な物を持ってきてください」

サシャ「簡単な私服や寝巻き程度なら、元々着ていた物でも大丈夫でしょう?」

ジャン「まあな」

サシャ「私も一応、入用な物は持って行きますから…」



――― 夕食後・女子寮 風呂


ジャン「…つーか、一緒に入る必要なくねえ? 教官もそこまでは言ってなかったろうが」

サシャ「私は入りたいんですよ」

ジャン「…俺はなんか、ヤなんだが…」

サシャ「まあまあ、あまり深く考えずに」ヌガシヌガシ

ジャン「ちょっ! 自分で脱ぐからあ//!」

サシャ「ふむ、綺麗な体じゃないですか」

ジャン「見んなよぉ…//」

サシャ「それじゃ、入りますかね」ガララッ


サシャ「背中を流してあげましょう。 そこ座ってください」

ジャン「自分でできる…」

サシャ「流してあげましょう」

ジャン「………ハイ」



サシャ「石鹸をよく泡立てて…」スルッ

ジャン「ひゃあっ//! な、何でタオルじゃなくて手なんだよ!?」

サシャ「肌を痛めないようにですよ。 女の子は皆、こうして洗うんです」ヌルヌル

ジャン「俺、男だからいいって!!」

サシャ「ハイハイ、片手貸してください」ニュルリ

ジャン「(手つきがすごいヤラシいんだけど…)」

ジャン「やっ! 腋の下くすぐったいから!!」

ジャン「(せ、背中に回って… 手が腹から段々上に上がってくる… 胸、きた)」

ジャン「…くぅっ//」ゾクゾク

ジャン「(なんか… ヘンな感じ… 自分で触っても、なんとも思わなかったのに…)」

ジャン「…ヒッ//!?」ビックン

ジャン「(…乳首!? お… 男の時と、全然感じ方違うぞ!)」

ジャン「…もっ、もうおしまい//! 女が皆、こんな洗い方してるワケねえだろ馬鹿!!」

サシャ「バレましたか…」

ちょっと飽きたから小ネタを挟む

『ジャンが増えた』

――― 休日・朝

サシャ「ジャーン! 今日は何して遊びますか?」タカタカ

ジャン「俺、午前中は固定砲整備の当番なんだよ」

サシャ「えぇ~、いっぱい遊ぼうと思ったのに…」ショボン

ジャン「しょうがねえなあ …ホラよ」

……キュポンッ!

ジャン2「……」

サシャ「うわあっ! ジャンが増えたぁ!!」ワーイ

ジャン「そんじゃ俺行ってくっから、ソイツと遊んでろ ……あ」

ジャン「そうだ、テメエが当番行きゃいいのか。 オイ2、行って来い」

ジャン2「ああ? テメエのやる事くらい、しっかりやれってんだよ。 俺はサシャと遊ぶんだ」

ジャン「…チッ! 我ながら嫌なヤツだな」スタスタ

サシャ「わあぁい、何して遊びましょうかジャン2?」 続くかも



ジャン「(…色々大変な1日だったなあ)」

ジャン「オイ、ぼちぼち寝るぞ!」

サシャ「ハァイ!!」ボスッ

………モゾモゾモゾモゾ

ジャン「さ… 触るんじゃねえ//! 大人しくしてろ!!」ペシッ

サシャ「エエェ…」

ジャン「エーじゃねえだろ! まったくもう…」

サシャ「……」ゴソゴソ

ジャン「……オイ」

ジャン「…何でそんな端ッコで、背中向けて寝んだよ」

サシャ「…いいんです」

ジャン「………」

サシャ「……グス」

サシャ「グスッ… ぅぇっ… ぅぇぇ…」



ジャン「……何で泣いてんだよ」

サシャ「泣いてません……グシッ」

ジャン「…こっち向けよ」

サシャ「ヤです……」

サシャ「せ… せっかく、一緒に眠れるのに…」

サシャ「卒業成績如何によっては、もうこんな機会、ないかもしれないのに…」

サシャ「いいんです… 私はきっと… この世に未練を残したまま、死んでいくんです…」

サシャ「これ以上 ジャンの女体に触れられないまま、死んでいくんです」

サシャ「もう… 私のことは放っておいてください…」

ジャン「わ… 分かった分かった、分かったからアアァーーッ!!」

ジャン「こっち来い! その… ちょっとなら触っていいから//!!」

サシャ「そうですか」ケロッ

ジャン「…あッ! お前、嘘泣きか? 嘘泣きだったのかァー!?」

サシャ「違いますよ。 ちょっと気持ちの切り替えが早いだけです」



サシャ「では、許可も頂いたことですし…」チュゥ

ジャン「……ンッ//」

サシャ「…んむ… むちゅっ… 」レロレロ

ジャン「(キ… キスしながら、サシャの手がっ… 寝巻きのボタンを外してくッ…//)」

サシャ「…はむ… ん、ちゅ…」

ジャン「(クッ… 胸、下から持ち上げて円を書くようにゆっくりと揉み上げて…//)」

サシャ「…フゥ… ハムッ」

ジャン「///」ビックン!

ジャン「…ん、ふぁっ… サシャやめッ…!」ブルブル

ジャン「(し、舌を硬くして… 乳首押し付けるように…ッ//)」

ジャン「(ヤバイ… なんか、声出ちゃいそう… 俺、これまでそんなことなかったのに…ッ//!!)」

サシャ「ガマン… しなくていいのに…」コリッ

ジャン「はあぁッン///!!」



ジャン「(声… 出ちゃった…// こっ、こんなハズじゃ…)」

ジャン「…あぁッ//! サシャ、下脱がせちゃダメエェッ///!!」

サシャ「大丈夫… やさしくしますから」クニュ

ジャン「ちょっ! ダ、ダメッ//!! ダメだってばァァーーッ//!!」ビクビクッ

ジャン「(…ヤバイ、良過ぎて声出ちゃう// 俺、男なのに… 男なのにぃ//)」

ジャン「(でもっ… ちょ、超気持ちイイんですけど…)」ビックン

サシャ「ジャン… 可愛いです…」クニュクニュクニュ

サシャ「はあぁん// すごく可愛い…//」クニクニ

ジャン「アッ//… ひゃぁっ// …ン!!」ゾクゾク

サシャ「…んっ…と」グイィッ

ジャン「サッ、サシャやだぁッ! こんなカッコやだってエェェッ///!!」



サシャ「(女の子の… マジマジ見るのは初めてですねぇ…)」ドキドキ

ジャン「サシャやだぁ//! 恥ずかしいってばアァッ!!」

サシャ「お互い様ですから」ハムッ

ジャン「んあああぁぁッ//!!」ビクビクッ

ジャン「(ダ… ダメッ//! なんか… 全然ガマンできないッ//!)」

ジャン「(す、吸ったり押したりが… 絶妙なんだってエェ//!!)」

ジャン「サ、シャ… だめぇッ//! もう… それ以上、はッ// 」ゾクゾクゥッ

サシャ「んむんむんむ…」

ジャン「ふあッ//! …あぁッ… ハアアァぁぁッンッ///!!!」ビクビクビックン

ジャン「ん… はぁ…// …んっく」フルフル…

サシャ「う… ジャン…」ブワッ

サシャ「ウワァァン! ジャンが可愛過ぎるうゥーー!」

サシャ「奪いたい奪いたいジャンの処女…」ハァハァ

ジャン「サシャ怖いってえェェーー!!」

書いといてなんだが、ただのレズじゃねーか

『ジャンが増えた・2』

サシャ「それじゃあ、双六でもしましょうか!」

ジャン2「…ン? ああ」

…コロコロ

サシャ「ワァイ、討伐数2! ふたつ進む」チョイチョイ

ジャン2「…何の成果も上げられず、1回休み」イラッ

サシャ「ストヘス区からウォール・シーナへ…」

ジャン2「…巨人に右半身を食われる… スタートに戻る」イライラ

サシャ「内地で快適… 上がりです!」

ジャン2「何だよコレ、腹立つなあァァー!!」

ジャン2「…もうやんない。 俺、どっか行く」プイッ

サシャ「ええぇ~」ションボリ

ジャン2「…しょうがねえから、コイツやるよ」

……キュポンッ!

ジャン3「……」 続く



――― 翌朝


サシャ「………神様」

サシャ「昨夜、あんなにあんなにお願いしたのに……」

サシャ「……生えてないなんて…」ガックリ

サシャ「ハッ!? そうだ残りのきのこを…」

ジャン「何バカなこと言ってんだ。 ホラ、支度すんぞ」

ジャン「全く… 人の体で遊びやがって…」

サシャ「遊んだワケではありませんよ! でも…」

サシャ「そのぅ…… イヤでしたか」シュン

ジャン「ヤ、ヤじゃねえよ …まあ、気持ち良かったしよ」

サシャ「そうですか!!」パアァ

サシャ「それは今夜もOKと捉えていいんですね!!」

ジャン「あうぅ」



――― 食堂


サシャ「おはようございまーす!」ニコニコ

クリスタ「おはようサシャ、ご機嫌ね」

ユミル「もう1人はどんよりした感じだが…」

ジャン「だってもしかしたら、今朝には戻ってるかもって思ってたから…」

ユミル「まあまあ。 せっかくなんだから、女であるコトを楽しめばいいじゃないか」

クリスタ「そうよぅ。 こんな機会、まずめったにないんだから…」

サシャ「ですよねぇ。 私も一度は男になってみたいです」

クリスタ「男のサシャって、なんか想像つかないなぁ…」

ジャン「クリスタだと、アルミンみたくなんのかな」

ユミル「うーん… クリスタが男でも女でも、可愛いコトに変わりはないだろうな」

サシャ「ユミルが男の人になったらカッコ良さそうですねえ」

ユミル「ハハ、惚れんなよ?」



サシャ「…ジャン、昨日 体のバランスがどうとか言ってましたが、立体機動大丈夫なんですか?」

ジャン「やってみないと分かんねえなぁ… でも、いつも通りってワケにはいかねえだろ多分」

サシャ「ケガだけは気を付けてくださいね」

ジャン「……ん」


……ガチャガチャガチャ


ジャン「う… 胸のベルトが痛い…」

サシャ「少しならいいかとは思いますが… あまり緩め過ぎるワケには…」

ジャン「でも痛い…」

サシャ「きょ、教官に言って休ませてもらいましょう、ね?」オロオロ

ジャン「ヤダ、やる。 このくらい我慢する」

サシャ「……ジャン」



ジャン「…行くか」

サシャ「え、ええ…」

ジャン「」パシュッ! サシャ「」バシュ!

ジャン「(動きづれえ…)」ヒュウゥーーーー

ジャン「(慣れもあるんだろうが… 女ってこんな窮屈なんだな)」

ジャン「(よくもまあ、ミカサやサシャはあんなに動けるモンだ…)」

ジャン「(非力だし… つーか、女の体でライナーブン投げるミカサとか、どんだけ化け物なんだよ)」ゴゴオォォーー

サシャ「(ジャン… やっぱりいつもと動きが違う…)」タンッ パシュッ

サシャ「(…射出と巻き取りのタイミングが悪い)」

サシャ「(それに、上手に体を動かせていない…)」

ダズ「…ウワッ!?」ゴォッ!

ジャン「エッ!?」ヒュンッ

サシャ「!!」



ジャン「(ヤ、ヤベェ体勢崩した!!)」ゴオォオ

ジャン「(も… 持ち直… せねえッ!!!)」

サシャ「ジャン!!!」ビュウンッ

ジャン「(木にぶつかっ……)」

サシャ「ジャアァーーンッ!!!」…ガシィッ!

サシャ「…くぅっ!(マズイ支え切れない!! このままじゃ2人とも……)」ゴォッ

サシャ「嫌アァーーーッッ!!!!」


――― ドックン!!!


…ダンッ! パシュッ ズザザザアァァーーーーッ!!



ジャン「………エ?」



サシャ「ジャン、怪我は!! 怪我はないですか!!??」…バッ!

ジャン「サ… シャ…?」

サシャ「…エッ!? あれっ? 私何かヘン!?」

ジャン「お、お前… 女?」

サシャ「むっ… 胸がないっ! ……って、アアァッ!!」

サシャ「イッタァアーーーーイッ!!!」バタバタ

ジャン「ど、どうした怪我か!?」オロオロ

サシャ「違ッ… ベッ、ベルトが食い込んで…あぁッ」

サシャ「お股が… お股がイタアアァァイ!!!」

サシャ「服もギッチギチですううぅぅ!!」ウワアァアア



サシャ「……はあぁぁ、死ぬかと思いました」フハァ…

ジャン「…だらしねえ格好だな、オイ」

ジャン「前全部はだけやがって… ブラ見えてんぞ」

サシャ「そんなコト言ったって、キツくてキツくて… ベルト外すの大変でしたねえ」

キース「………またか」…ザッ

キース「またなのか、貴様らは…」フウゥーー

サシャ「効果が遅れて出たのか、体が危機に対応したのか分かりませんが、お蔭で大きな事故を起こさずに済みました」ケロッ

サシャ「ああっ! ジャン、擦り剥いてるじゃないですか! ホラここ!!」

キース「……もういい、貴様らはとっとと医務室でも倉庫でも行って来い」

キース「やれやれ、だ……」スタスタスタ

サシャ「それじゃ、医務室寄ってから倉庫にでも行きましょうかね」ヒョイッ

ジャン「ひ、人を軽々と持ち上げるんじゃねえ//!!」バタバタ

サシャ「まあまあ。 今の私は力持ちですから…」テクテク

あああ… とうとう生やしちった…



サシャ「…178cmですか」

ジャン「マルコと一緒だな… ていうか」ジーッ

ジャン「髪は長いまんまだが、随分と男前じゃねえかチクショウ」

サシャ「元のジャンと体型も近いので、お互い服を取り換えればいいのでは?」

ジャン「……そうだな」

サシャ「どうかしました?」

ジャン「なんか俺… 情けない。 お前に助けてもらってばっかで…」

サシャ「何を言うんです。 ジャンがいることで、私がどれだけ助けられているか…」

ジャン「…ホントか?」

サシャ「エエ! 1人じゃベルト外せませんでしたよ!」

ジャン「俺が言ってんのはそういうコトじゃねえ!!」

サシャ「冗談ですよ …私はいつだって、あなたに助けられてるんです」フフッ

『ジャンが増えた・3』

ジャン2「…じゃあな!」スタスタスタ

サシャ「エ? …ちょ、ちょっと!?」チラッ

ジャン3「……」ニコ?

サシャ「……」ニッコリ

サシャ「て、天気もいいし… 裏庭でお昼寝でもしましょうか? まだ昼前ですけど…」

ジャン3「」コクリ

サシャ「…フフッ」

ジャン3「…サ、サシャ!」

サシャ「はぁい? 何ですか?」

ジャン3「オレ… オレ、手ェ繋いで寝たい!」

サシャ「ワァイ! お手々つないでお昼寝ですね!」

ジャン3「ウン!!」ニコニコ

サシャ「じゃあ、お手々つないで裏庭に行きましょう!」トテテッ

ジャン3「やったアァー!」タタタッ



――― 昼


クリスタ「エェェーーーッ!? サシャ… サシャなの!!??」

クリスタ「いつの間にか、訓練からいなくなったと思ったら……」

ミーナ「やあだ! カッコイイじゃない!!」

サシャ「フハハハ! ユミルを見下ろせる日が来るとは思いませんでした!」

ユミル「なんか腹立つんだが…」

サシャ「でも、ベルトルトにはまだまだ追いつきません」

ライナー「ハハッ、まずは俺を超えないことにはな」

エレン「戦闘力上がったんじゃないか?」

ミカサ「ぜひ手合わせをお願いしたい…」

サシャ「ヤですよ痛いの嫌いですもん。 暴力反対です」

ライナー「(……俺には昨日、何をした?)」

マルコ「…ジャン、色々大変だねえ君達…」

ジャン「俺は早く戻りてえよ…」ハァァ…



サシャ「……うっひょーい」タンッ

アニ「…側宙!? から、助走をつけての…」

サシャ「てぇいっ!」タンタン タァーンッ

アニ「…後方宙返り1回ひねり!!」

コニー「オオッ! やるなサシャ!!」

ジャン「順応性高すぎんだろマジで……」

サシャ「まあ、それが私の特技といえば特技ですからねえ」

ユミル「なんか口調がカマっぽいな」

サシャ「ふむ… それでは『私』でなく『僕』に変えてみましょうか」

サシャ「午後は馬術ですがジャン、僕の後ろに乗りませんか?」キリッ

ジャン「立体機動じゃあるまいし、馬くらい1人で乗れるっての!!」

ミーナ「私が乗りたいわよ、まったく男前なんだから…」



――― 夕食後


ジャン「……ダメ」

サシャ「エェ~」

ジャン「ダメったら駄目、絶対。 今日は1人で風呂入る」

サシャ「ジャンに背中を流してほしかったのにぃ…」

ジャン「自分でやんなさい。 とにかく俺は1人で入るから、お前先に行け」

サシャ「ちぇー」トボトボ

ジャン「(…この体で一緒に風呂入るのは、昨日で懲りた)」

ジャン「(しかも今日はサシャ… なんかイイ男になってるしよ)」ドキドキ

ジャン「(…アレ? 何で俺ドキドキしちゃってるワケ?)」

ジャン「(俺、どうしちゃったんだ…//?)」



ジャン「フゥ…」チャプン

ジャン「(…風呂がすごく広い)」

ジャン「(女の、体…)」ムニッ

ジャン「(サシャほどデッカくはないが…)」ムニムニ

ジャン「(やっぱり自分で触っても、なんとも思わねえ)」

ジャン「(男のサシャ…)」

ジャン「(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!)」

ジャン「(俺どうしよう、今夜OKしたと思われてるし!)」

ジャン「(アイツはヤる… ヤる奴だ)」

ジャン「(いくらサシャでも、俺の処女… 俺の処女だけは、何としても守り通さねば!!)」



……ガチャ


サシャ「お待ちしてましたよ、ジャン!」

サシャ「いやぁ… 体洗ってたら、下がヘンなコトになって困ってしまいました!」

ジャン「(やっぱ一緒に入らなくて良かった…)」

ジャン「(しかしコイツ……)」ジィー

サシャ「…ささ、髪を乾かしたら どうぞお布団へ!!」

ジャン「(……完全にヤる気だ)」

ジャン「お、俺ッ! 今日はなんか、本でも読もうかなって…」

サシャ「ほほぅ読書ですか! それは素晴らしい!」

サシャ「ではこちらにお座りください。 読書の間、ワタクシが髪など乾かして差し上げましょう!」

ジャン「お… おう」



ジャン「……」

サシャ「~♪」ゴシゴシ

ジャン「(…この体勢はまさしく、温泉の時と同じ…)」

ジャン「(しかもケツっつーか腰に… 当たってる)」

ジャン「(ギ、ギンギンじゃねえかよオイ…)」オロオロ

サシャ「…このくらいでいいでしょう」ギュ…

ジャン「あの… サシャ? 俺の腹抱えるのはやめてもらえないでしょうか」

サシャ「ああ、どうぞ気になさらず読書を続けてください」

サシャ「私は勝手にやってますんで」ムニュッ

ジャン「ッ//!」

ジャン「ちょっ! 待て待て俺に触るな!」バタバタ



サシャ「……ナゼ?」ギュウゥ

ジャン「けっ、今朝はヤじゃないって言ったけど、それはお前が女だったからなの!!」

ジャン「男のお前は触っちゃダメ!!」

サシャ「…無理です」

サシャ「ジャンだって分かってるクセに……」ボソリ

ジャン「//!!」ゾクッ

サシャ「男だったんですから… 男の体くらい分かってるでしょう?」ボソボソ

ジャン「~~ッ///!」

サシャ「……ここで止められるワケないって」ペロッ

ジャン「やあぁあンッ///!!」ゾクゾクゥッ

ジャンサシャは好きだが…俺はここで離脱する…
逆転ネタが終わったら教えてくれ

>>716 書いといてアレなんだけど
この展開疲れてきたんで、もうぼちぼち終わる
やっぱりサシャは可愛い女の子でないと…

『ジャンが増えた4』

ジャン2「」テクテク

ジャン「あっ、テメェ何してやがる! やる事やれって言ったろうが!」

ジャン2「遊んだよちゃんと! 双六ムカついたから、ちょっと気晴らしに歩ってただけだっての!」

ジャン2「その間、3を置いてきたからいいだろ別に」


ジャン「……2人ともいねえじゃねえか」

ジャン2「ドコ行った3の奴…」


ジャン「あ、裏庭にいた!」

ジャン3・サシャ「」スヤスヤ…

ジャン2「寝てやがる…… しかも手ェ繋いで…」

ジャン「」ムカ ジャン2「」ムカ

ジャン「オイ、ちょっと3をズラすぞ」

ジャン3「…うぅ…」ズリズリ



ジャン「わっ、分かった分かった、分かったからアァー//!!」

ジャン「ヌいてやるから! 手でやってやるからそれで我慢しろ!」

サシャ「手ですか… それはそれで味気ないような…」

ジャン「んなコト言ったって男のモノ咥えるのなんざ嫌だし、マトモにヤるのは持っての他だ」

ジャン「それやっちまったら、俺はもう帰れなくなっちまいそうなんだよ」

サシャ「うぅ… 分かりました」

ジャン「…ホラ、出せ」

サシャ「…出せと言われると恥ずかしいものですねぇ//」

ジャン「今さら恥じらってんじゃねえ、早くしろ」

サシャ「分かりましたってば…」モソモソ



サシャ「……フム、不思議ですねえ。 先程とは打って変わったような気分です」

ジャン「…そういうモンなんだよ」

サシャ「なるほど、ひとつ勉強になりました」

ジャン「そんな勉強は必要ねえな。 そんじゃもう寝るぞ」

サシャ「ふぁい」ヌギヌギ

ジャン「ナゼまた脱ぐ?」

サシャ「いやぁ、素肌にシーツというのが気持ち良さそうでですね… 女では中々できないですから」

ジャン「勝手にしろ、俺は脱がないからな」

サシャ「…おお、やっぱり気持ち良い」スリスリ

サシャ「それではジャン、お休みなさい」

ジャン「……ん、お休み」



――― 夜明け前


ジャン「(…ん…?)」パチ…

ジャン「………アレ?」サワサワ

ジャン「(胸… なくなってる… 下、下は…)」モゾモゾ

ジャン「(……ある)」

ジャン「(俺… 戻ったのか?)」

ジャン「(髪は長ェままだが…)」

ジャン「(…やった、やったぞ! 長年慣れた自分の体だ!!)」

ジャン「起きろサシャ! 俺、元に戻っ…」ムニュ

サシャ「……んむ」コロンッ

ジャン「」ムニムニムニ

ジャン「……」ニヤリ



ジャン「……」ハムハム ペロペロ モミモミ チュウチュウ

サシャ「…あぅ//… ン」

サシャ「…ふぁ… ひゃあァッ//!!」ガバッ

ジャン「…おはよう、サシャ」

サシャ「おは、おはようございます… あれ?」

ジャン「俺、体元に戻ったみたい」

サシャ「…エ… あッ、あれれ?」

ジャン「サシャも戻ったみたい」

サシャ「そ… そうみたい……」

サシャ「とっ、とりあえず冷えるといけないんで、服など着てですね…」アワアワ

ジャン「…着させるワケねえだろ?」ニッコリ

サシャ「は… はやゃ…」

ジャン「素肌にシーツ、気持ちイイだろ? …ん?」ペロッ

サシャ「…ッ//!」ビックン



――― 食堂


コニー「オッ! 戻ったのかジャン!!」

ジャン「おおよ」

エレン「何で髪は長いままなんだよ?」

ジャン「知るかっての。 さっきは慌しかったから切れなかったが、昼にでも切る」

ミーナ「えぇー、サシャもう戻っちゃったの?」

クリスタ「サシャは1日持たなかったんだね」

サシャ「なんででしょうか… でも、これで今まで通りです」

サシャ「やっぱりこっちの方が落ち着きます!」

ミカサ「無理にでも、昨日のうちに手合わせしてもらえば良かった」

サシャ「怖いコトを言わないでください、ミカサ」



――― 訓練前


ライナー「…本当に元通りなのか?」

ジャン「何のことだ?」

ベルトルト「身長とか色々とさ」

ジャン「訓練着ピッタリなんだから、元通りだろ」

ベルトルト「でも長髪のままだし…」

ライナー「アッチの方はどうなんだ?」

ジャン「あ? 下のコト言ってんのか?」

ジャン「元に戻ってるってば、ホラ」パンパン

サシャ「!!」

ライナー「…どれどれ」…スッ

サシャ「ジャアァアーーンッ!!!!」

ジャン・ライナー「ヒイィィッ!?」

おわり
キレたサシャが書きたかっただけなのに、どうしてこうなった
でも誰だって迷走する時あるよね。 あるよね

あなた様のジャンサシャ大好きです!!毎回楽しみにしてます(^ω^)

『ジャンが増えた5』

ジャン2「…やった、3を90度までズラした!」

ジャン「俺、ウデ枕する …ヨッコイセ」グイグイ

ジャン2「じゃあ俺、サシャの腿をマクラにする!」ポヨン

サシャ「…う… んむ…」スースー

ジャン2「……起きねえな」

ジャン「ちょっと触ってみっか」胸ムニムニ…

ジャン2「そうだな」腿サワサワ…

ジャン「あっ、テメェ! スカートの中、手ェ入れんじゃねえ!!」

ジャン2「うるせえ! そっち取ったテメェが悪ィんだろ!!」

ヤイノヤイノ…

サシャ「…う、うぅ…」

サシャ「うるっさあぁぁい!!!」ガバァッ!

ジャン・2「「スミマセン」」

>>726 ありがとうございます
毎度行き当たりばったりな上、着地がフワフワで申し訳ない…

考えても考えても、結局まとまりがつかないので書き始めてしまいます。
どこで終わらせるかまだ考えてないんで、もしかしたら12巻以降のネタも出てくるかもしれません。

いつも適当ですんません



――― カラネス区


「調査兵団が帰ってきたぞ!」

「今朝より数がかなり少なくなってないか?」

「…何しに行ったんだ?」

「さぁな… まぁしかし」

「俺らの税をドブに捨てに行くことには成功したらしいぜ」


「エルヴィン団長! 答えて下さい!!」

「今回の遠征でこの犠牲に見合う収穫があったのですか!?」

「死んだ兵士に悔いは無いとお考えですか!?」


ジャン「(今回の壁外遠征に掛かった費用と損害による痛手は…)」

ジャン「(おそらく調査兵団の支持母体を失墜させるには十分であったろう…)」

ジャン「(…俺達は失敗したんだ)」



ジャン「(右翼索敵の一部壊滅から始まった今回の遠征…)」

ジャン「(当初は兵站拠点作りの作戦のハズだった…)」

ジャン「(……女型の巨人)」

ジャン「(アルミンは、ヤツが巨人を率いて来たのだと言った)」

ジャン「(死んでいった兵士達には申し訳ないが…)」

ジャン「(ヤツが現れたのが左翼側でなくて本当に良かった…)」

ジャン「(巨大樹の森の西に集結した時、サシャの無事な姿見て… 心から安堵した)」

ジャン「(女型の知性と運動精度…)」ゾク

ジャン「(俺… 死ぬトコだった…)」

ジャン「(もう少しで、死んじまうトコだった…)」

ジャン「(ヤツがアルミンに気を取られ… ひとまず助かったが…)」

ジャン「(…俺の認識が甘かった)」

ジャン「(サシャに言われてたのに… 向こう見ずで無鉄砲なのは、俺の方だ…)」



ジャン「(…女型巨人の捕獲)」

ジャン「(一部の兵にしか知らされなかった、本当の作戦…)」

ジャン「(…兵団の中にいる諜報員の存在)」

ジャン「(あの日… あの時、あの場所で… 見てた奴らの誰か)」


ジャン「(…アルミン)」

ジャン「(俺には無理だ…)」

ジャン「(俺には、何かを変えることなんてできない)」

ジャン「(俺は大事なものを捨てることなんてできない…)」

ジャン「(……サシャを捨てることなんてできない)」


班長「…カラネス区を抜け、ローゼ内の施設まで移動するぞ!」



――― ウォール・ローゼ内 兵団支部


ジャン「…もう夕方か」

サシャ「ジャン!」タタッ

サシャ「再集結の時には顔しか確認できませんでしたが…」

サシャ「どこもケガしてませんか?」

ジャン「…大丈夫、お前は?」

サシャ「私はどこも… 途中でヘンなヤツに追われましたけど」

ジャン「奇行種か?」

サシャ「イエ… 顔はアホ面だったんですけど、四足でスゴイ勢いで追ってくるものですから…」

ジャン「ソイツはおっかねえな」



ユミル「…無事だったか、ジャン」

ジャン「おう …あ、そうだクリスタ」

ジャン「馬、アリガトな …ホント助かった」

クリスタ「いいのよ …間に合って本当に良かった」

ユミル「何だ? 何かあったのか?」

ジャン「…途中で俺の馬がどっか行っちまってよ」

サシャ「エ!?」

ジャン「呼んでも全然戻ってこないで困ってた所に、クリスタが馬連れてやって来てくれたんだ」



サシャ「………ジャン」

ジャン「ん?」

サシャ「あれほどあれほどあれほど、無茶をしないでくださいと言ったのに…」フルフル

サシャ「馬なしで一体どうするつもりだったんですか!」

ジャン「イ、イヤ… お前のトコにも伝達行っただろ? 右翼側は大変だったんだよ」

ユミル「まあまあサシャ、とりあえず生きて帰って来れたんだ。 良しとしようじゃないか」

サシャ「もう!」

ユミル「…しかしジャン、これでクリスタは恩人ってコトになったな」ニヤリ

ジャン「あ、ああ…」



ユミル「…今夜はここに泊まりか」

ジャン「だろうな。 上官達はまだ慌しくしてるようだが…」

サシャ「おや、担架が運ばれて…」

クリスタ「アレ? …あれエレンじゃない!」

ジャン「負傷したのか!?」ダダッ


ジャン「…ミカサ! エレンは? エレンは無事なのか!?」

ミカサ「一応… 巨人化して消耗し切ってはいるけれど…」

アルミン「ごめんミカサ、僕 団長に報告することがあるから…」

ミカサ「ええ… ありがとうアルミン、付き添ってくれて」



――― 翌日

コニー「…まだ待機だって?」

ジャン「ああ …内地に送った早馬が帰って来たんで、これからお偉方は会議だとさ」

ジャン「ん? アルミン、ドコ行くんだ?」

アルミン「僕も会議に呼ばれていて…」

ジャン「そっか… 昨日、なんか団長と話してたもんな」

ミカサ「」ガタッ

サシャ「ミカサも会議ですか?」

ミカサ「…ええ」

クリスタ「エレンの調子はどう?」

ミカサ「今朝は起きれた。 念のため、自室で食事を取ったけれど…」



サシャ「…ただ待つだけというのは、ツライものですね…」

ジャン「そうだな…」

コニー「何で新兵は ずっとここにいなきゃいけないんだよ?」

コニー「色々やるコトあるだろ?」

ユミル「…回収できた遺体の引き渡しや焼却か?」

コニー「そうだよ! そりゃ俺達は新参だけどさ… それでも仲間だろ?」

ジャン「何か… 理由があるんだろう」

ジャン「(おそらく5年前から生き残っている者だけに知らされた、今回の計画…)」

ジャン「(諜報員は5年前… 壁を壊すと同時に発生したハズ…)」

クリスタ「そういえば、ライナーとベルトルトを見てない」

ジャン「ライナーは昨日、女型に握り潰されそうになってたから…」

ジャン「一見 平気そうに見えたが… タフな奴でも、多少はダメージが残ってるのかもしれねえな」



……ガチャッ


アルミン「…ジャン、ちょっといいかな?」

ジャン「あ、俺? いいぜ別に…」ガタ

サシャ「」…ジィッ


ジャン「…ドコ行くんだ?」テクテク

アルミン「会議室へ… でも、その前に少しだけ…」スタスタ

アルミン「先程の早馬で、知らせが来たんだ」

アルミン「…明後日、エルヴィン団長を含む兵団の責任者が王都に招集されることになった」

アルミン「詳しい事は後で話すけど… ジャンにも同行して欲しくて…」

ジャン「…俺がかぁ?」



――― 会議室


エルヴィン「…すまんな、わざわざ呼び立てて…」

ジャン「イ、イエ…」ゴクッ…

ジャン「(す、すげえ面子だな… 団長にリヴァイ兵長、分隊長2人に… あ、エレンとミカサ…)」

ジャン「(一体何だってんだ…?)」

エルヴィン「…大まかに説明しよう」

エルヴィン「我々はストヘス区中で憲兵団に所属している、女型の巨人と思われる人物を見つけた」

エルヴィン「そして今度こそ目標… 女型の巨人を捕らえるために、作戦を立てた」

エルヴィン「明後日… 我々が憲兵段に護送される際、ストヘス区中でエレンが馬車から抜け出し、目標をおびき寄せる」

エルヴィン「ジャン、君には その時 彼の… エレンの身代わりとして、馬車に乗り込んでもらいたい」

ジャン「お、俺ッ… 自分がですか?」



ジャン「だ… 大体、女型が見つかったって一体…」

エルヴィン「それは時間がないので移動後に話そう」

エルヴィン「我々他必要人員は本日、ストヘス区へ向かう街道沿いにある宿舎まで移動する」

エルヴィン「残りの者は新兵を含め、ローゼ内の別施設に行ってもらう」

エルヴィン「昼食後すぐ出発する。 あちらに到着したら細かい打ち合わせをしよう」

エルヴィン「では解散だ」ガタッ

……ガタガタッ

ジャン「(エレンの身代わり… 影武者だって?)」

ジャン「(そりゃ命令とあらば従うが、アイツ等と別れてしまうのか…)」

ジャン「(…イヤこの場合、女型捕獲に関わるより、離れていた方が安全ではある)」

ジャン「(サシャが少しでも安全なら、それでいい…)」



…ガチャッ

ジャン「…ン? 何だ? 何だって皆、私服に着替えてんだ?」

コニー「お前がアルミンに呼び出された後、班長の1人がやって来てよ…」

ライナー「昼飯を食ったら、移動開始だそうだ」

ベルトルト「武器や立体機動装置も、後で届けるからって…」

サシャ「ジャンも早く着替えてしまわないと」

ジャン「お、俺は… お前らと一緒には行かないんだよ」

サシャ「…エ?」

ジャン「兵団責任者の、王都召還の護衛を頼まれてよ… (…ごめん、サシャ)」

アルミン『…あと、これは大事なことなんだけど…』

アルミン『これから会議室で話すことを、内密にしておいて欲しいんだ。 …同期といえども』

サシャ「そんな… 離れてしまうんですか?」

ジャン「あ… で、でも、明後日無事に送り届けたらすぐ合流するから!」

サシャ「………」



「…では出発するぞ!!」


サシャ「ジャン! 必ず… 必ず来てくださいね!!」…パカラッ

ジャン「分かったって、心配すんな! …そんじゃな!!」パカッ


ユミル「サシャ… そう何度も何度も振り返るな」

サシャ「え、ええ…」

サシャ「でもなんだかこう… うなじの辺りがゾワゾワするような…」

コニー「大丈夫かサシャ? うなじ切り取ったら蒸発しちまうんじゃないのか?」

サシャ「もう、なんてコト言うんですか! 私は巨人ではありませんよ!」

ユミル「食欲だけは相変わらず巨人並だがな」

クリスタ「ウフフ」



ジャン「(…憲兵団に女型の巨人がいるだって?)」パカラッ パカラッ

ジャン「(団長は後で話すと言ってたが…)」

ジャン「(昨日の今日で、どうやって目星を付けたんだ?)」

ジャン「(一体どこの誰だってんだよ…)」


ジャン「(アルミン…)」

ジャン「(…アルミンは知っている?)」

ジャン「(女型との遭遇で、何か気付いている…)」

ジャン「(…そしてそれを昨日、団長に報告したんだ)」

ジャン「(女型をおびき寄せるって… ヤツが街中でエレンみたいに巨人化したら…)」

ジャン「(街はどうなっちまうんだよ…)」



クリスタ「あと、どれくらい走るんだろう…」パッカ パッカ

ユミル「もう結構走ったような気もするがな」

サシャ「………」

ユミル「どうしたサシャ、さっきから何も喋らないな」

クリスタ「サシャ、顔色悪いよ? 具合悪い?」

サシャ「そうではないんですが…」

サシャ「何だか… このまま行ってはいけないような気がして…」

サシャ「もう戻れなくなるような…」

サシャ「…もう、ジャンに会えなくなるような気がするんです」

ユミル「………勘か?」

サシャ「……ええ」

ユミル「…分かった、信じよう。 クリスタ手ェ貸せ、サシャを離脱させるぞ」

サシャ「エエッ!? でも、そんなコトしたらユミル達が…」

ユミル「ナニ、簡単なコトさ」



クリスタ「…ナナバさん!」パカラッ

ナナバ「どうしたクリスタ」

クリスタ「あの、サシャが… 後ろのコが、腹痛で…」

クリスタ「昨日の緊張から解放されて、今日食べ過ぎてしまったらしくて…」

クリスタ「ああ、あんなに顔色悪くして… もう限界かも!」

ナナバ「し、しかし… ここらにはあの森の中くらいしか…」

クリスタ「粗相してしまうよりマシです! 彼女を森へやってください」

ユミル「…ここから先へは、どう行けばいいんですか?」

ゲルガー「ここからはこのまま少し真っ直ぐ行って… トロスト区からエルミハ区へ続く街道を登り、途中を左に入れば到着するが…」

ゲルガー「お前、奴に付き添ってやれ」

ユミル「エエ!? いくら女同士でもそれはできませんよ! 付いて来られたりなんかしたら、一生の恥です」

ナナバ「それなら彼女にこの先の道を説明して、後で追いつくよう言えばいい」

ナナバ「我々が少し速度を落として進めば、いくらなんでも左に入る前には間に合うだろう」

クリスタ「ありがとうございます!」



コニー「サシャ腹下してんだって? 大丈夫か?」

サシャ「エ、エエ… 道は分かりましたし、では私はちょっと失礼して…」

ユミル「芋女から放屁女、そして下痢女か… 確実に進化を遂げてるな」

サシャ「どうでもいいですよ、もう。 …ユミル、クリスタ… 恩に着ます!」

ユミル「ああ… 首尾良くやれよ」

サシャ「ハイ、それでは!」パカラッ

クリスタ「行っちゃった… ユミル、どうして簡単だって分かってたの?」

ユミル「…憲兵団じゃあるまいし、調査兵団で命令違反なんて誰ひとり思わないだろ?」

ユミル「仮に運悪くジャン達に会う事ができなくて、こちらに戻ってきても…」

ユミル「道に迷ってましたって言や、常に人材不足のこの兵団だ。 何かしらの罰則はあっても、さほど重いものにはならないだろうさ」

クリスタ「…そう」

クリスタ「……サシャ、無事に会えるといいね」

ユミル「ああ… そう願いたいものだな」


サシャ「(…………行った)」

サシャ「(もう少し… 姿が見えなくなるまで… よし!)」

サシャ「(ユミル、クリスタ… 皆さん、ごめんなさい)」ドカラッ ドカラッ ドカラッ…

サシャ「(進行速度まで落としてもらって、私がこのまま戻らなかったら… )」

サシャ「(何度謝っても、許してもらえるワケがない…)」

サシャ「(私… もう一度ジャンに会えたなら、その後はどんな罰でも受けますから…)」

サシャ「(…今日の宿舎から内地入りするなら、ストヘス区…)」

サシャ「(明後日の召還なら、今夜の宿泊はカラネス区から続く街道のどこかのはず…)」

サシャ「(…最悪見逃しても、夜通し駆ければストヘス区の門前で会うことはできる)」

サシャ「(……夜通し?)」ゾク

サシャ「(武器もなく、立体機動装置もなく… 火を熾せる道具もなく)」

サシャ「(足元も見えない、真っ暗闇を駆ける事ができるんだろうか…?)」

サシャ「エエイ! 余計な事は考えない私!!」

サシャ「今は考えるよりとにかく進む!!」ドカラッ ドカラッ

サシャ「苦労をかけます、お馬さん…」



ジャン「………アニ?」

ジャン「アニが? …女型の巨人だって言うのか、アルミン!」

ジャン「根拠は… 根拠は何だ!?」

アルミン「あの時… 僕らが時間稼ぎの足止めをしていた時…」

アルミン「女型が僕に気を取られていたろう?」

ジャン「ああ… 俺がもうワイヤー掴まれて終わりって時にな」

ジャン「おかげで生き延びたワケだが…」

アルミン「女型の巨人はエレンの顔を知ってるばかりか…」

アルミン「『死に急ぎ野郎』というエレンのあだ名に反応を見せた」

アルミン「理由はそれだけではないけれど… 何もしなければ、エレンが中央のヤツの生贄になってしまう」

ジャン「………」



サシャ「(…昨日泊まった宿舎のそばまで戻って来れた)」ドカッドカッ…

サシャ「(急がないと… 日が暮れてしまう)」

サシャ「(カラネス区の門から宿舎まで通った道に、確か民家があった)」キョロキョロ

サシャ「(そこでなんとか火種を頂いて、街道へ…)」

サシャ「すみません、火さえ手に入ったら少し休ませてあげられますから…」ポンポン

馬「」ブルルッ

サシャ「(…ユミルやクリスタ達はどうしてるでしょうか)」

サシャ「(私がいなくなった事で、責められているとしたら…)」…ギュッ


サシャ「(…ジャン)」

サシャ「(私を置いていかないで…)」



ジャン「(……確証はない)」

ジャン「(だが、やる)」

ジャン「(違ったら、アニの疑いは晴れる…)」

ジャン「(…マルコの立体機動装置を持っていただって?)」


ジャン「(マルコ… どんな最後だったかも分からず…)」

ジャン「(誰も見ていない所で、人知れず死んでいった…)」


ジャン「(どうか… どうか見間違いであってくれ)」



サシャ「(…火が手に入った)」ボオォ

サシャ「(親切なおばさんで良かった…)」

サシャ「(お水も貰えたし、馬を休ませることができました)」

サシャ「(…さて、行きましょう)」

サシャ「(でも、いくら街道とはいえ… 見えるのは足元がやっと)」パカッ パカッ

サシャ「(…多少速度は落としても、走らないワケにはいかない)」

サシャ「(私を送り出してくれた2人のためにも…)」

サシャ「(今… 今、行きますから)」



エレン「…何だ、ジャン? ドコ行くんだ」

ジャン「ちょっと外……」

エレン「もう遅いぞ。 外は明かりなんかねえし」

ジャン「なんか… 寝ろって言われても、寝れねえよ。 頭が混乱しちまって…」

ジャン「少し外で風に当たってくる…」

ギイィィ バタン…

ジャン「(風… 気持ち良いな)」

ジャン「(この風や空は、壁の内・外同じものだと… そう言ったのはサシャ)」

ジャン「(…今、お前は何してる?)」


ジャン「………何か聞こえる」

ジャン「あれは… 馬の足音…か?」



サシャ「(向こう… ぼんやりと明りが…)」パカッ パカッ

サシャ「(あそこ… なんだろうか?)」

サシャ「(行ってみよう…)」


ジャン「(足音… 近付いてる)」

ジャン「(松明が見える。 …伝令、とかか?)」


サシャ「(誰か… 立ってる? 不用意に近付いて危険だった…?)」


ジャン「(髪が揺れてる… 女か? 道に迷ったとか…。 イヤ、ねえな。 この真っ暗の中、あんな明りだけで馬走らせるなんて)」

ジャン「(……こちらに向かって来る。 やっぱり伝令だな)」

サシャ「」…パカラッ

ジャン「………エ…?」

ジャン「サ… サシャ! サシャか!?」

サシャ「…ジャン?」シュタッ! タタタッ

サシャ「ジャン… ジャァーーン!!」ダキッ



ジャン「サシャ… おっ、お前! 何やってんだよ!!」オロオロ

ジャン「皆と一緒に行ったんじゃないのか!?」

サシャ「……」

ジャン「ハッ! 伝令… そうだ、伝令だろ! そうだよな!?」

サシャ「」フルフル

サシャ「…途中で… 抜け出して…」ギュウゥ

ジャン「ハアァ!? …何だよそれ! 何やってんだ お前!! 命令違反じゃねえか!!!」

ミカサ「ジャンうるさい……」ギィ「…!?」

ミカサ「……サシャ!」

エレン「サシャ? サシャだって?」バタンッ

アルミン「サシャ! 一体どうしたの!?」

ジャン「コイツ… コイツ、途中で抜け出したって…」

サシャ「………」



ジャン「…と、とにかくだサシャ、お前は戻れ。 …な?」

ミカサ「……ジャン!」

エレン「こんな夜中に!」

ジャン「し、しかし… 命令違反は重罪だ!」

ジャン「今ならまだ間に合う… 頼む、戻ってくれサシャ!!」

サシャ「イヤ… ヤだ! 嫌です!!!」…ボロッ

サシャ「今… 今 離れたら、もう二度と会えないような気がするんです!!」ボロボロッ

サシャ「もう… 生きて会えない気がするんです…」

ミカサ「ア、アルミン… アルミン、サシャの勘は…」

アルミン「……分かってる」グッ

ハンジ「…何の騒ぎだい?」ギィッ 「…オヤ」

ハンジ「…サシャちゃん!?」

アルミン「ハンジ分隊長!」

エレン「ハンジさん!」



サシャ「分隊長! お願いです… 次の遠征では索敵でも殲滅班でも、私をドコに入れてくださっても構いませんから!!」

サシャ「お願いですから… どうか私も連れて行ってください! お願いです!!」ポロポロ

ジャン「なっ!? サシャ!!」

アルミン「ハンジ分隊長! 彼女は…」

ハンジ「………分かった」

全員「…エ?」

ハンジ「…さっき聞こえた。 向こうの施設に向かう途中に抜け出したんだろう?」

ハンジ「夜が明けたら… あちらのミケの所に使いを出すことになってるから、道に迷ってた君にたまたま会って、人が足りないから こちらに来るよう言ったと伝えさせよう」

エレン「ハンジさん!!」パアァァ

ハンジ「…ただし! これっきりだ… 我侭は今回だけだよ? サシャちゃん」

サシャ「ハイ… ハイ!! ありがとうございます!!!」ボロボロッ

サシャ「ありがとうございますぅぅ!!」ダキッ

ジャン「…ちょッ! 分隊長に抱き付くんじゃねえ!!!」



……バタンッ


リヴァイ「……らしくねえじゃねえか、クソメガネ」

ハンジ「オヤ、まだ起きてたの? リヴァイ」

リヴァイ「ガキの泣き落としが通じるテメェとは思えねえんだがな…」

ハンジ「ハハ… 窓から見てたんだ」

ハンジ「あのコには借りがあるというか… 私は弱いんだよ、彼女にはね。 特に泣かれるとさ」

ハンジ「彼女の身元は私が保証するから… 今回だけ大目に見てよ」

リヴァイ「……フン」


ハンジ「(…私も甘いねえ)」

ハンジ「(大きくなって、綺麗になって…)」



サシャ「ミカサ… ミカサ、ごめんなさい。 迷惑かけて…」

ミカサ「迷惑じゃない。 …それに」

ミカサ「それに… 仮に私がサシャの立場だったとしても、同じ事をする」

ミカサ「あんな風に言っていたけれど、ジャンは貴女がここに来てくれたのを一番喜んでいるはず」

ミカサ「私も嬉しい…」

サシャ「ミカサ…」

ミカサ「明日は今のところ移動はないらしいけど… もう遅い、そろそろ寝た方がいい」モゾ…

サシャ「ハイ。 ……あの」

サシャ「……ありがとうございます、ミカサ」


ミカサ「おやすみなさい、サシャ……」

ハンジとサシャって知り合い?

>>762 すいません、今更ですが書き忘れました。都合上、これまで書いた話を利用しています。
ハンジとサシャの絡みは>>397>>478辺りです。ハンジはサシャを知っていますが、サシャは覚えてません。
また、壁外調査の作戦企画書の件で、これは設定ミスですが>>532に書いた通り
企画書はともかく、全体の陣形編成表は各班の班長に配られています。



――― 翌朝


サシャ「…エレンの影武者? ジャンがですか?」

アルミン「うん……」

ジャン「(…昨夜サシャがこちらに来た後、俺達だけで少し話をした)」

ジャン「(ひどく混乱させてしまうであろうから、女型を知らないサシャにはアニの事は話さない)」

ジャン「(そしてエレンはストヘス区内の市街地で一旦俺と入れ替わり、用事を済ませ、シーナの門手前にある休憩所で再度交代する、と説明することになった)」

サシャ「なるほど、ただの護衛ではなかったんですね」

アルミン「黒髪のカツラや、他に入用な物は今日中に手配してもらうことになってるから…」

サシャ「最初からジャンが馬車に乗る事はできないんですか? そうすれば交代が一度で済むと思いますが」

ジャン「えっ?」

アルミン「そ、そうできれば楽なんだけど…」

アルミン「明日、馬車を迎えに寄こす者の中には審議所の査問会に出席した人がいるかもしれないから… まあ念の為にね」

サシャ「それは残念ですねぇ…」



サシャ「…では、私も馬車に同乗するワケにはいきませんか?」

エレン「サシャが一緒に?」

サシャ「ええ。 一昨日の様子を見る限りではエレンはかなり衰弱してましたし、まだ体調が回復し切っていないということで、その介助として」

サシャ「多分アルミンやミカサには、他にやる事があるんでしょう? 相手が弱っていると思えばあちらも多少油断するかもしれませんし、幸い私は私服で武器も持ち合わせていませんから…」

サシャ「手引きする人間がいれば、幾分やりやすくなるかと思うんですが… ダメでしょうか?」

アルミン「それは…」チラ

ハンジ「フーム… よし! じゃあそうしてもらおうか」

ハンジ「アルミン、彼女に入れ替わりの手順を説明しておいてくれるかい? 私はちょっと他の打ち合わせがあるから」

アルミン「分かりました」

サシャ「やったぁー!」

ジャン「何を喜んでるんだ、お前は」

サシャ「だって… せっかく無理を聞いてもらったんですから、多少なりとも役に立てるのが嬉しくて!」ニコニコ

ミカサ「……フフッ」



サシャ「…中央通りに入る手前の路地で入れ替わるんですね」

アルミン「ウン、護送自体は憲兵団本部の仕事だけど、中央通りから門までは支部所属の憲兵が立体機動で並走する事になるから、その前に」

サシャ「ふむ、手順は大体分かりました」

サシャ「アルミン、一応地図をもらっておいてもいいですか?」

アルミン「もちろんだよ。 用意しておくから、後で渡すね」

サシャ「ありがとうございます。 さて、しばらく待機ということでしたら、少し馬を見に行ってきます」

サシャ「昨日、苦労させてしまいましたから… 蹄を痛めたりしてないといいんですが…」

ジャン「あ、俺も行く」ガタッ



サシャ「良かった… 蹄は大丈夫ですね」

サシャ「昨日はありがとうございました。 今、ブラッシングしてあげますから…」

馬「」ブルルッ

ジャン「……サシャ」

サシャ「ハイ? 何でしょう」ゴシゴシ

ジャン「その… お前は怖くなかったのか? ここへ来る事が…」

サシャ「そりゃあ怖かったですよ!」

サシャ「私を逃がしたことで、クリスタやユミルが詰問されたり… 何か罰を受けているんじゃないかとか…」

サシャ「実はジャン達が先を急いで、もうストヘス区に入ってしまっているんじゃないかとか…」

サシャ「追い付けない… 間に合わない… 抜け出したことが全て無駄になってしまったらと思うと、怖くて怖くて…」

ジャン「それでお前は、あの真っ暗闇を駆けてきたっていうのか? …俺達に追い付くためだけに」

ジャン「馬鹿だな、お前……」ギュ…

サシャ「フフッ、確かにバカですねえ… でも、間に合いましたから!」ニッコリ

サシャ「あなたと離れずに済みましたから!」



エレン「…おっ、戻ったかジャン! カツラ届いてるぞ!」

サシャ「おお! 被ってみてくださいよ、さあ!!」ワクワク

ジャン「ちょっと待てっての。 …エート、どっちが前だ?」 ……装着中


サシャ「ほほぅ… 黒髪もお似合いではないですか!」

ミカサ「でも、エレンには似ていない…」

エレン「そうだよ、全然似てねぇよ」

アルミン「そんなコトもないよ。 2人は体型が近いし、目つきが凶悪で似たような悪人面だから」

エレン「何だよアルミン! 俺はこんな馬面じゃねぇよ!!」

ジャン「ンだとコラ! 喧嘩売ってんのかオイ!!」

サシャ「ふぅむ…… ジャン」

ジャン「あン?」

サシャ「私が馬好きである理由が分かったような気がします」

ジャン「なんだソレ………」プッ

…フフッ アハハハハハハ



リヴァイ「…何だか急に騒がしくなりやがったな」

ハンジ「ハハ、明るくなっていいじゃない。 皆緊張してたからね」

ハンジ「それに 中々どうして、ちゃんと考えてるのか本能なのか… 物事の本質を捉えていると思うよ、あのコ」

リヴァイ「大方後者だろ。 あの能天気そうなツラを見るに」

ハンジ「生き残るために本能は大事さ」

ハンジ「それに… 何か感づいてるのかね? まあ何にしろ余計なコトを聞き出さず、自分のすべき事に集中してくれるのは有難い」

リヴァイ「…兵士ってのはそういうモンだろ」



ジャン「(…明朝ここを出発し、ストヘス区へと続くこの街道を行く)」

ジャン「(憲兵団が門のこちら側まで迎えに来ているハズだ…)」

ジャン「(エレンとサシャは馬車に乗り、俺との交代地点へ向かう)」



ジャン「(今日1日で… 張り詰めていた空気が瞬く間に溶けていくのが分かった)」

ジャン「(…サシャがいるだけで、こんなに楽な気持ちになれるとは思ってなかった)」

ジャン「(お前がいれば、何もかもうまくいくような気がする…)」

ジャン「(だからもう… 考えるのはよそう)」

ジャン「(この作戦が失敗したらとか…)」

ジャン「(もしも女型が現れなかったら、俺はどうなるのかとか…)」

ジャン「(…そんな事を考えるのは、もうやめよう)」

ジャン「(俺に会うために暗闇を駆けてきたサシャ…)」

ジャン「(戻れなんて言ったけど… 本当は、涙が出るくらい嬉しかったんだ…)」



――― 召還日当日

サシャ「……おや、あそこに見えるのがお迎えですかねぇ」パッカ パッカ

サシャ「…エレン、ちゃんと元気なさそうなフリしてくださいよ?」

エレン「分かってるって」

アルミン「僕らは入れ替えの地点で待ってるから」

ミカサ「サシャ… エレンをよろしく」

サシャ「ハイ!」


憲兵「…止まれ。 そちらが例の小僧か?」

エルヴィン「そうだ」

憲兵「よし、乗れ。 …待て、その娘は何だ?」

エルヴィン「彼女はエレンの付き添いだ」

エルヴィン「先日の巨人化で、エレンは消耗し切っている」

エルヴィン「馬車の中でエレンに倒れられて困るのはそちらだろう?」

憲兵「……フン、まあいい。 たかが小娘1人だ …乗れ」



サシャ「さあエレン、掴まって…」

エレン「あ、ああ…」フラ

サシャ「大丈夫ですか? 足元に気をつけてくださいね」

サシャ「すみません憲兵の皆さん… お世話になります」ペコリ


憲兵「…なんだ、巨人になれるといっても、こんなに弱っていては何もできまい」

憲兵「気を張って損をしたぞ」

憲兵「こんなにフラフラになっちまうんじゃ、巨人化なんぞ何の役にも立たないな」

エレン「」ムカッ

……バタム

憲兵「ヨシ、出発するぞ!」

ガラガラガラガラ…



……ガラガラガラ


エレン「何だよ、腹立つなアイツら!」ムカムカ

サシャ「まあまあ。 あれくらいの方がきっと後が楽でしょうから、そんな元気いっぱいに怒らないでくださいよエレン」

エレン「ハハ、それもそうだな!」

エレン「それにしてもさ、オレ… あの中にオレを知ってるヤツがいたのか分かんねぇけど…」

エレン「顔… 全然確認されなかったな」

エレン「これだったらサシャが言った通り、最初からジャンが乗っても気付かれなかったんじゃないか?」

サシャ「仕事くらい、もう少しちゃんした方がいいですよねえ」

エレン「ズサン過ぎるよな」

サシャ「まぁ あんまりキリキリ仕事されても、こちらとしては困ってしまうんですけどね」

エレン「…フフッ」

クスクスクス…



サシャ「平地を抜けて… 市街地に入りましたね」

サシャ「市街地でも、路地よりは大きめの通りです」

エレン「エルヴィン団長やリヴァイ兵長は、どこら辺にいるんだろう」

サシャ「護送団の先頭あたりみたいですよ。 馬車が出発する前、先に出るのを見ました。 …結構離れてますねえ」

サシャ「私達の後ろには、調査兵団の方はいないようです」




「…何だ、知らなかったのか?」

「巨人の小僧と主要幹部が王都に召還されるんだとよ」

「今からこの街を通るぜ。 …お、来た来た」

「あれが調査兵団の団長だ。 その横が兵士長だな」

「巨人になれるガキがいるってのは本当だったのか…」

「…ああ、俺らの税金をドブに捨てるような大失態をしやがったのも本当さ」

「あの馬車に小僧が乗ってんのか…」



……ゴッ!!


サシャ「!!」

エレン「…なっ! 何だ何だ!?」スッ

サシャ「エレン! 立ってはダメ! 頭を下げて!!」ガバッ!


「…この税金泥棒が!!」

「何が人類の希望だ! 役立たず!!」

「俺達の稼いだ金を返せ!!」

…ガッ! ゴツッ! ガツッ!!

エレン「憲兵は何やってるんだ!?」

サシャ「余計な事は考えないで! 格子はあるけど隙間は広いし、窓も大きい。 石が入ってきます!」

サシャ「もうすぐ… もっと狭い道に入りますから、それまでガマンしてください」

ガツンッ! …ゴッ!!


憲兵「オイオイ… 仮にも護送団が馬車を守らなくていいのか?」

憲兵「…ハハッ、民衆の気を晴らすのも大事な仕事さ」

憲兵「幸い調査兵団の他の奴らは、ウンと前を行ってる」

憲兵「税金をドブに捨てたのは本当の事だしな!」


ガラガラガラ……


サシャ「馬車が曲がった… フゥ、もう大丈夫でしょうか…」

サシャ「エレン、エレン怪我は? 痛い所はありませんか?」

エレン「オレは平気だが… サ、サシャ! 頭から血が!! 当たったのか!?」

サシャ「なかなかイイ一撃を食らいましたねえ。 でもこれくらい、なんてコトありません!」

エレン「チクショウ! アイツら… 憲兵団の奴ら! 何してやがる!!」

サシャ「彼らを責めても仕方ありませんよ」

エレン「オレに覆い被さってたから… ごめんサシャ」

サシャ「謝らないでください。 それに… エレンが怪我しなかったのなら、それだけで同乗した甲斐があったというものです」ニコ

サシャ「あと交代地点までは細い道が続きますから、もう大丈夫ですよ」



サシャ「…中央通りから少し離れた路地… もうすぐですね」

エレン「サシャ、傷大丈夫か?」

サシャ「ああ、こんなものはお気になさらず。 …元々頭というのはすぐ出血するものですし」

サシャ「路地内の… 積荷が崩れる場所… アッ、あそこ! 地図通りです!」

「うわああぁッ!!」ドサドサドサドサッ!!

憲兵「何をやっている!!」

「ヒイィィ、すんません… すんません! …今、片付けますから!!」

憲兵「……チッ」イライラ

サシャ「(馬車の扉の横… まだ憲兵が立ってる…)」

サシャ「エレン… エレン、私ちょっと外に出ますから…」ボソッ

サシャ「…こちら側の見張りの気を引きますから、なんとかして外へ出てください。 …扉は開けたまま行きます」

エレン「…平気か?」ボソボソ

サシャ「なんの! …なけなしの色気を見せてやりますよ」ニヤリ



…パタンッ

サシャ「…アララ大変! 進まないと思って出てみたら!」

サシャ「…憲兵さん! 私、お手伝いしてきますね!」ニコッ

憲兵「ウ… ウム」

サシャ「…うぅ~ん、ヨッコイセ!」

サシャ「……ふぅ、ダメ… 重くて全然持ち上がりません…」

サシャ「スミマセン憲兵さん… せっかくお手伝いしようと思ったのに、私ったら非力で…」

サシャ「一緒に運んでいただけませんか?」ウルル

憲兵「チッ… し、仕方ないなぁ//… どれ」スタンッ スタスタ…

エレン「(…ヨシ、今だ! 頼んだぞジャン!!)」シュタッ スタタタ…

ジャン「(…任せとけってんだ!!)」スタタタタッ


サシャ「…ああ! 手伝って下さったおかげで、早く積荷を片付けることができました!」

サシャ「ありがとうごさいます、憲兵さん!」ニッコリ

憲兵「イ、イヤ… あのくらいならな//」



スタタ …パタム

サシャ「…おおジャン! ちゃんと入れ替われましたね!」

ジャン「お前は外で何やってたんだ」

サシャ「フフフ、私なりのお色気大作戦ですよ!」

サシャ「私の色気にかかれば… 憲兵の1人や2人、イチコロです」ニヤリ

ジャン「そんなコトは、しないでよろしい… って、アァッ!?」

ジャン「何だよお前! ケガしてんじゃねえか!!」オロオロ

ジャン「血の跡付いてんぞ! 何があったんだよ!?」

サシャ「そんなコト、気にしないでよろしい… ですよ?」ニッコリ

ジャン「で、でも…」

サシャ「…フフツ」ニコニコニコニコ

ジャン「///」



ジャン「サ、サシャ… 向かいじゃなくて、こっち… 隣 座れよ」

サシャ「ハイ」チョコン

ジャン「傷… 痛くないか?」

ジャン「俺、交代場所にいたから知らなかったけど… 何かあったんだろ?」

サシャ「こんなの大丈夫ですって!」

サシャ「それより… 黒髪もいいですね。 昨日の会話ではあまりソコに触れられませんでしたが…」

ジャン「…黒髪好きなのか?」ポソッ

サシャ「うむむ… 私が一番好きなのは亜麻色です!」

サシャ「いつもの… ジャンの髪の色です」ニコッ

ジャン「///」

サシャ「今の状況はさておき… たまにはこうして、馬車で移動するのも悪くはありませんねえ」フフッ



………ガラガラガラ


サシャ「中央通りに入ってしばらく経ちますが ……ジャン」

ジャン「どうした?」

サシャ「誰も… 何も言わないけれど… これから何か起きるんですよね?」

ジャン「……エッ?」ドキ

サシャ「口に出さなくても分かります」

サシャ「これから… 何か大変な事が起きるんでしょう?」

サシャ「そのために、エレンを抜けさせたんですよね?」

ジャン「………」

ジャン「(やっぱり… サシャは気付いてた? …そうだ、サシャは勘の良い女なんだ)」

サシャ「ジャン、手を…」ギュッ

サシャ「エレンには、エレンにしかできない事がある…。 せめて私達は彼がその役割を果たせるよう、祈りましょう」



――ドオオォォォオォォ!!!!


ジャン・サシャ「!!!?」

ナイル「何だ……!?」

ナイル「護衛班!ここはいい!状況を見てこい!」

「了解です!」

ジャン「サシャ!(…巨人化したのかエレン!!)」ギュッ

ジャン「(巨人化したという事は… やはり…… アニ!!)」

ジャン「(……考えたくなかった… 認めたくなかった!!)」

エルヴィン「ナイル… すぐに全兵を派兵しろ。 巨人が出現したと考えるべきだ」

ナイル「な…何を言ってる!ここはウォール・シーナだぞ!!」

ナイル「巨人なんかが現れるわけない!!」

ナイル「……エルヴィンお前… 一体… 何をしている…?」

エルヴィン「………」



リヴァイ「…オイ、出て来いガキども」バタン

リヴァイ「身代わりはもういい」

ジャン「…兵長! 何か… 何か自分達にできることは!?」

リヴァイ「立体機動装置も付けてねぇお前らの出る幕はねえ」

リヴァイ「それに… もうすぐ片が付く」

リヴァイ「ヤツを逃がさない限りはな…」


ドォッ ドォッ ドォ ドォ ドォ…


サシャ「音が… 遠ざかっていく…?」

ジャン「(頼むぞエレン!!)」



「やっと… やっと捕まえたのに!!」

「…クソッ、傷ひとつ付かねぇ…」ガツッ ガンッ!

「…どうなってんだ、こりゃあ… 何だよ!」

「この… 卑怯者がぁ!!」ガンッ ガンッ!

「てめぇ! どうしてくれんだ!」

「出てこい! 出てきてこの落とし前をつけろ!!」


ハンジ「…やめなさい、ケイジ!!」



マルロ「あの2体の巨人は巨人は何なんですか!?」

憲兵「今説明できる時間は無い! 下がってくれ!」

マルロ「住民に多数の被害が出てる! 死人も出た」

マルロ「なぜここに巨人がいて戦闘が行われてしまったのか!?」

マルロ「この責任は誰が負うのですか!?」



……ピトン ピトン ピトッ…


ハンジ「(どこかで… 水がこぼれてる…)」

ハンジ「(私達はまた… 失敗したのか…?)」

ハンジ「(アニから何の情報も引き出せず… 多くの死者を出し、その人生を失い…)」

ハンジ「(謎ばかりを残して…)」

ハンジ「(壁の中… )」

ハンジ「(落ちてくる破片が危ないと、ふと見上げた…)」

ハンジ「(アレはたまたま、あそこだけにいた…?)」

ハンジ「(もしそうじゃなきゃ… 壁の中すべてに巨人がぎっしり…)」

ハンジ「(壁の中すべてに巨人が…?)」

ハンジ「(いつのまにか忘れてた…)」

ハンジ「(こんなの… 初めて壁の外に出た時以来の感覚だ…)」

ハンジ「(………怖い)」



――― 地下室


ミカサ「エレン…」

エレン「」スー


エレン「(…アニ)」

エレン「(お前は… 嘘をつくのが下手な奴だと…)」

エレン「(オレはそう思っていた…)」

エレン「(なぁ… アニ)」

エレン「(お前… 何のために戦ってんだ)」

エレン「(どんな大儀があって人を殺せた…?)」



エレン「(……どんな…)」



ジャン「とりあえずはこれで… エレンが王都に召還されるって話はなくなったよな…」

アルミン「うん…」

ジャン「本当に… それどころじゃねぇよ…」

ジャン「アニが… 本当に女型で街で暴れて… 眠り姫になっちまって…」

ジャン「それから… 壁の中には実はずっと、大型巨人がいました… だって?」

アルミン「…うん」

アルミン「あの壁ってさ… 石の繋ぎ目とか、何かが剥がれた跡とか無かったから… どうやって造ったのか 分かんなかったんだけど…」

アルミン「巨人の硬化の能力で造ったんじゃないかな…」

アルミン「アニがああなったように、効果の汎用性は高い…」



…ガチャッ


サシャ「……遅くなってすみません」

サシャ「ミカサ… エレンの具合はどうですか?」

ミカサ「今はただ眠ってるけど… サシャ、頭の傷はどう?」

ミカサ「市街地でエレンを庇って、傷を負ったと聞いたけど…」

サシャ「こんなの… こんなのは、大した事ないですよ。 なのに、わざわざ治療なんかしてもらって…」

サシャ「すみません……」

アルミン「サシャ… 今日、エレンがジャンとうまく入れ替われたのは、サシャのおかげだよ?」

ミカサ「そう。 …エレン1人だったら、怒りで我を忘れるところだった」

ミカサ「たとえ石を投げたのが民衆でも、憲兵の対応はあんまりだったようだから…」



……ガチャ

「…アルミン」

「アルミン来て。会議に参加してくれって団長が呼んでる」

アルミン「は…はい」ガタッ

「ミカサ、あなたも会議に出られると思うけど、どうする?」

ミカサ「…私はここにいます」

「…そう」

サシャ「ミカサ…」ギュ

サシャ「どうか… どうか疲れ果てて倒れてしまう前に、誰かを頼ってください…」

サシャ「私達を… 頼ってくださいね?」

ミカサ「…ありがとう、サシャ…」

ジャン「…行こう、サシャ」



スタスタスタ…


サシャ「…ジャン、もう話してもらえるんでしょうか…?」

サシャ「それとも私には… まったく関係ないコトなんですか…?」

ジャン「少し… 離れた所に行こう」

ジャン「全部… 全部話すから…」

ジャン「勝手の分からない憲兵団支部でも… 庭くらいあるだろう…」スタスタスタ

サシャ「………」



-------------------


サシャ「……アニ?」

サシャ「アニも巨人だったと…?」

ジャン「ああ… 壁外調査で右翼から襲ったてきたのはアニ… 女型の巨人だ」

サシャ「だってアニは… アニは…」オロオロ

ジャン「俺だって信じたくない!」

ジャン「だけど… リヴァイ班の人達を殺したのも、ネス班長を殺したのも… アニなんだ! 女型の巨人なんだ!」

ジャン「言わなかったけど… 俺だって殺されかけた! アニにだ!!」

サシャ「アニは… 捕まって殺されて…?」

ジャン「いや… ワイヤーに繋がれ、地下にいるらしいが…」

サシャ「アニに会いに行くコトは!?」



――― 地下室


サシャ「………アニ?」

シャ「どうしたんですかアニ… こんな暗い所に繋がれて…」

ジャン「今は全身を水晶体で覆われて… 言葉なんざ届かねえよ…」

サシャ「アニ… どうか目を覚まして…?」

リヴァイ「何言ってやがんだ、小娘…」

リヴァイ「コイツは俺の部下を… 多くの命を奪ったんだぞ」

サシャ「でもそれは… それは、きっと違うんです」

サシャ「アニは優しい… アニはずっと優しかった…」ボロッ

サシャ「私が強くなれたのは、アニのおかげなのに…」ポロポロポロ

ジャン「もういい! もう行くぞサシャ!!」グイッ

ジャン「すみません兵長、失礼します」ズルズルズル…



ジャン「(サシャが取り乱すのは分かってた…)」

ジャン「(…俺だって知ってる。 あんなに… 周りの人間と一線置いてる奴だったけど…)」ズルズル

ジャン「(サシャがアニを慕っていたことも…)」

ジャン「(アニがサシャを見る目が、時々ひどく優しげだったのも…)」


サシャ「…ジャン」

ジャン「ん……」ズズズ

サシャ「もう… もう、引き摺らなくて大丈夫です」

ジャン「あ… 悪ィ…」

サシャ「私… しっかりしますから…」グシッ

サシャ「きっとアニには… 私達より、もっともっと大切なものがあったんでしょうから…」



――― 庭


ジャン「(…ともあれ、女型の捕獲には成功した…)」

ジャン「これで… 他の皆と合流できるな」

サシャ「クリスタやユミルに会えますね。 私、お礼を言わないと…」

サシャ「ああ、それにナナバさんや、他の皆さんにお詫びしなきゃ」

サシャ「私、ひと晩迷子になってたことになってるんですもんね」フフッ

ジャン「そういやお前、どうやって移動中に抜け出したんだ?」

サシャ「それは! 恥ずかしくて言えませんよ…//」

ジャン「何だよ、余計気になるじゃねえか」

サシャ「乙女の口からはとてもとても…」

ジャン「まぁいいさ。 しかしお前は、あそこで離れたら もう二度と会えない気がすると言ってたが…」

ジャン「これで合流なら、予定通りすぐ会えたことになるんじゃないか?」

サシャ「そうですねぇ… でも、元々悪い予感なんてものは当たらない方がいいものですから…」



ビュウゥゥウゥ…

ジャン「…今夜は風が強いな」

ジャン「今日はお前も疲れたろう。 …もう部屋に戻って休め」

サシャ「ジャンが一緒に寝てくれるのなら」

ジャン「あのな」

サシャ「フフ、冗談ですよ」

サシャ「でも… もう少しだけこうして… 今は1人になりたくなくて…」

ジャン「……ん」



サシャ「(アニ… いつもお礼を言うと、目を逸らして小さく頷いてた)」

サシャ「(態度は素っ気ないけど、よく見ると耳を少し赤くして…)」


サシャ「(アニ…………)」

第一部終了。 全然まとめ切れなかった…

ここから先は11巻より先の話も出てくるかと思いますので、単行本派の方はご注意下さい
…また漫喫行くのか



アルミン「(…事件当日、ストヘス区内の憲兵団支部の施設で、今回の件を総括する会議が行われた)」

アルミン「(調査兵団幹部召還の件は、ひとまず保留となったが…)」

アルミン「(調査兵団の独断で今回の作戦が実行されたことに対し、その是非が問われた)」


「…アニ・レオンハートからは何も聞き出せていないのだろ?」

エルヴィン「彼女は現在地下深くに収容されています」

エルヴィン「全身を強固な水晶体で覆われているため、情報を引き出すことは不可能です」

「…つまり、無駄骨なのか?」

エルヴィン「奴らの一人を拘束しただけでも、価値があると思います。 …奴らは必ずいるのです」


エルヴィン「一人残らず追い詰めましょう。 壁の中に潜む敵を… すべて…」



―― バァンッ!!


「エルヴィン団長!大変です!!」

ハンジ「トーマ!? なぜこっちに… 今は会議中だよ」

トーマ「それどころじゃありません! …ウォール・ローゼが!!」


トーマ「およそ12時間前… 南より、巨人襲来!」

トーマ「ウォール・ローゼが… 突破されました!!」

エルヴィン「エルミハ区への知らせは?」

トーマ「ここへ来る途中… 4時間ほど前、通った時に!」

トーマ「…壁の確認はしておらず、見たのは10体ほどの巨人の集団だけですが…」

エルヴィン「だがつまり… もう始まってしまったということか」



…ザワザワザワッ!


「………!?」
「…!…!!」
「~~~ッ!?」


サシャ「…おや、中が急に騒がしくなりましたよ?」

サシャ「何かあったんでしょうか…」

ジャン「分からんが… イイ知らせじゃねえコトだけは、確かみたいだな」

ジャン「…行ってみよう」タタタタッ…

サシャ「ええ!」…タタタッ


バタバタバタバタ…

ジャン「何だ… 皆のこの慌て様は…!?」

サシャ「…あっ! アルミン! アルミン!!」

サシャ「一体何が!?」



------------------------


サシャ「……巨人!?」

ジャン「ローゼが突破されただと!?」

アルミン「一時間後にエルミハ区に向かって出発だって!」

サシャ「大変です! 私達も急いで支度しないと! …って、アァッ! 装備が一切無い!!」

アルミン「サシャの戦闘服や立体機動装置は、倉庫にある予備から持っていっていいと思うよ」

サシャ「ありがとうございます! 忙しいのに引き止めてすみません、アルミン!」

アルミン「それじゃ、また後でね!!」タタタッ


ジャン「…トロスト区やクロルバ区がやられたのだとしたら、報告があるはず… だろ?」

ジャン「扉部分以外の壁を壊されたんだとしたら …壁の破壊の規模は計り知れない」

サシャ「もし壁に空けられた穴が扉部分だったとしても、都合のいいサイズの岩がその付近にない限りは…」

ジャン「…エレンがいても、穴を塞ぐことはできねえ」

ジャン「つまり… 考えうる限りで最悪の事態が今… 起きてるってことか」




――― 1時間後・憲兵団支部 正面玄関前


エルヴィン「事実上… ウォール・ローゼは突破されてしまった」

エルヴィン「…皆分かっていることと思うが、今日は人類最悪の日が更新された日だ」

エルヴィン「そして人類史上最も忙しく働くべき時が今だ …行くぞ!!」


…ガラガラガラガラ

サシャ「ミカサァー!」パカパカ

ジャン「…エレン、アルミン!」パカラッ

ジャン「目ェ覚めたんだな、エレン」

エレン「ああ… さっきより大分楽になった。 まだ馬には乗れないから馬車だけど…」

アルミン「サシャ、良かった。 支度間に合ったんだね! …体に合う装備は見つかった?」

サシャ「見つかったも何も… 腐るほど在庫がありましたよ! 私達なんて洗濯にも困ってるのに…」

サシャ「今度 行く機会があったら、忍び込んでかっさらってやりましょうかねえ…」ウーム



ハンジ「慎ましい生活しかさせてやれなくて、スマナイねぇ… サシャちゃん」

サシャ「なんの! 贅沢は性に合いませんよ、分隊長!」

ジャン「あ… でもお前、マントは?」

サシャ「さすがに調査兵団のマントはありませんでした」

ミカサ「憲兵団の物でも、持って来てしまえば良かったのに…」

サシャ「自由の翼でなければ、着けない方がマシです!!」

アルミン「…フフッ」

ジャン「それじゃ俺達、前に行くから…」

サシャ「せめて移動中はゆっくり休んでくださいね エレン」

サシャ「皆さんの馬は、責任持ってお届けしますから! ではまた後で!!」パカラッ…


リヴァイ「…騒がしいガキどもだ」

ハンジ「ハハ、不思議なコだねぇ… まるでピクニックにでも行くみたいじゃないか」

リヴァイ「さっきまでピーピー泣いてたようにゃ見えねぇな」



――― 3時間後(巨人発見より16時間後)


…ガラガラガラ

アルミン「でも、一体どうすれば… いきなりローゼが突破されるなんて…」

アルミン「これからエレンを現場に向かわせても、とてもうまくいくとは…」

ハンジ「……」ギュッ ギュ…

リヴァイ「…ハンジ、お前… ただの石ころで遊ぶ暗い趣味なんてあったか?」

ハンジ「これはただの石じゃない… 女型の巨人が残した硬い皮膚の破片だ」

アルミン「え… え!? 消えてない!?」

ハンジ「そう! もしかしたらと思ってね、『壁』の破片と見比べたら、その模様の配列や構造までよく似ていたんだ」

ハンジ「つまりあの壁は大型巨人が主柱になっていて、その表層は硬化した皮膚で形成されていた」

アルミン「あ…! じゃ、じゃあ…」



ハンジ「そう… このままじゃ破壊されたウォール・ローゼを塞ぐのは困難だろう…」

ハンジ「でももし… 巨人化したエレンが硬化する巨人の能力で壁の穴を塞げるのだとしたら…」

エレン「オレで… 穴を塞ぐ?」

ハンジ「…こんなこと聞かれても困ると思うんだけど… それって出来そう?」

エレン「………あ」

リヴァイ「出来そうか どうかじゃねぇだろ… やれ… やるしかねぇだろ」

リヴァイ「こんな状況だ… 兵団もそれに死力を尽くす以外にやることはねぇはずだ。 必ず成功させろ」

エレン「はい! オレが必ず穴を塞ぎます! 必ず…」


リヴァイ「俺はここまでか… あとは任せたぞ。 …お前らは、エルヴィンが決めた即席の班だ」



――― エルミハ区


サシャ「…お待ちしてました。 皆さんの馬ですよ!」

馬達「」ブルルルッ…

ハンジ「こっから先はもう巨人の領域になるよ。 エレン、馬には乗れそうか?」

エレン「ええ… 体の力が戻ってきました」

モブリット「―― 分隊長! たった今、早馬がコレを…」タタタタッ

ハンジ「…ん?」ガサガサ

アルミン「…何か、悪い知らせですか?」

ハンジ「イヤ… 今ようやく、アニの身辺調査の結果が届いたんだが…」

ハンジ「104期に2名ほどアニと同じ地域の出身者がいるようなんだ」



ハンジ「ライナー・ブラウンと、ベルトルト・フーバー」

エレン「は…?」

ジャン「…ライナーとベルトルトが?」

サシャ「ライナーとベルトルトが同郷だったのは知ってましたけど…」

ハンジ「今回、諜報員の存在を考慮して… 遠征の作戦企画書でも全体の陣形表が配られたのは、各班の班長だけ」

アルミン「僕は、たまたまネス班長だったので見せてもらえました」

アルミン「特別班は右翼前方に書いてあったから… 危険すぎるし、何かの間違いかと思ったんですが…」

ハンジ「特別班の位置は、ライナー・ブラウンの班の所には右翼、ベルトルト・フーバーの班には左翼後方と記してある」

ハンジ「女型の巨人が出現したのは、右翼側だったわけだが… どう思う?」

アルミン「僕は… アニとその2人が親しい印象はありません」

エレン「オレも… 2人がアニと喋っているのはあまり見たことがないような…」

ジャン「まぁ… アニは元々喋らなかったけどな…」

サシャ「アニが自分から話してくれたのは… 格闘技術と、彼女のお父さんのコトだけで…」

ミカサ「私は… 覚えていません」



エレン「イヤ… 無口なベルトルトは置いといても、ライナーはオレ達の兄貴みたいな奴で… 人を騙せるほど器用じゃありません」

アルミン「僕もそう思います」

ジャン「…待て、アルミン」

ジャン「ライナーは陣形を班長に聞いた… もしくは表を見せてもらった可能性がある。 …覚えてないか? あの長距離索敵演習の初日…」

アルミン「!!」


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ライナー『…最終日の演習終了後、各班長に陣形編成表が配布されるそうだが…』

ジャン『らしいな』

ベルトルト『班長といえば、僕のトコは無口でおっかなくて… 必要最低限の会話しかしてくれないな』

アルミン『僕はネス班長だから、他の人と比べたら色々話しやすいけど…』

ライナー『俺のとこの班長も、気さくで話しやすい人だったな』

ジャン『俺は上のヤツが口を聞こうが聞くまいが、有能なら気にしねえが』

ライナー『…ハハッ、ジャンらしい』



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アルミン「ライナーは…陣形編成のコトを気にしていた…?」

アルミン「そしてベルトルトは… 無口な班長には話しかけづらいと…」

ジャン「それだけじゃねえ… 演習終了日… おそらくは陣形表が配布された後だろうが…」

ジャン「ライナーは班長に挨拶してくるといって、集合ギリギリまで戻らなかった…」

アルミン「ライナーが、彼の班長と話し込んでいるのは僕も見た…」

ハンジ「…他に? 他に変わった所は何かなかった?」

ジャン「エ…ット、そういえば演習終了日の翌日… 休暇の日、実家に帰るため早起きした俺よりも、更に早く起きて出掛ける支度をしていたような…」

ジャン「帰って来たのも、確か夕食直前で…」

サシャ「おかしいといえば、ライナーはあの日… 全然食が進んでいなくて…」

サシャ「私が作った鶏の煮込みを 美味しいとは言いつつも、怖い顔をしてほとんど手を付けず… 私は塩気が強くて、口に合わなかったと思って…」

ミカサ「いつもであれば、サシャほどでないにしても食欲は旺盛だけれど…」