エレン「クリスタ義姉さんは俺が守る」 修正(504)

※10巻までのネタバレ注意
※キャラ崩壊注意
※一部立場が変更されてます
※850年からの修正です

訂正

訓練兵団編(847年)からの修正です。

昨日は皆さんのアドバイスありがとうございました。

エレンの巨人化無しを念頭に置きすぎた結果迷走しましたが皆さんのアドバイスのお陰で何とか適正出来ました。

長い前置きになりましたが無理なくやってきます。

訓練兵団入団式

ザッ ザッ

キース「オイ。貴様」

アルミン「ハッ!」

キース「貴様は何者だ!?」

アルミン「シガンシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」

キース「そうか!バカみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」

アルミン「祖父がつけてくれました!」

キース「アルレルト!貴様は名にしにここに来た!?」

アルミン「人類の勝利の役に立つためです!!」

キース「それは素晴らしいな!!貴様は巨人のエサにでもなってもらおう」

キース「貴様は何者だ!?」

ジャン「シガンシナ区出身!ジャン・キルシュタインです!」

キース「何のためにここに来た!?」

ジャン「……憲兵団に入って内地で暮らすためです」

アルミン「…」

キース「そうか!貴様は内地に行きたいのか?」

ジャン「はい!」

キース「ふん!」ゴッ

ジャン「!!」

キース「オイ!誰が座って良いと言った!!」

キース「こんな所でへこたれる者が憲兵団になどなれるものか!!」

キース「貴様は何だ!」

マルコ「ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身!マルコ・ボッドです!」

キース「何しにここに来た!」

マルコ「憲兵団に入り!王にこの身を捧げるためです!!」

キース「…そうか…それは結構なことだ。目指すといい…だが王はきっとお前の体なんぞ欲しくない」

キース「次!!貴様だ!!貴様は何者だ」

コニー「ウォール・ローゼ南区ラガコ村出身!コニー・スプリンガーです!」バッ

キース「逆だ…コニー・スプリンガー」ミシミシ

コニー「……!!」

キース「最初に教わったハズだ。この敬礼の意味は「公に心臓を捧げる」決意を示すものだと…」

キース「貴様の心臓は右にあるのかコニー?」

コニー「……」

キース「…!!」

サシャ「…」モグモグ

キース「オ…イ…貴様は何をやってる?」

サシャ「?」モグモグ ムシャリ

キース「貴様だ!貴様に言ってる!!貴様…何者なんだ!?」

サシャ「!?」モグモグ ゴックン

サシャ「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身!!サシャ・ブラウスです!」

キース「サシャ・ブラウス…貴様が右手に持っている物は何だ?」

サシャ「「蒸かした芋」です!調理場に丁度頃合いの物があったので!つい!」

キース「貴様…盗んだのか…。なぜだ…。なぜ今…芋を食べ出した?」

サシャ「…冷めてしまっては元も子もないので…今食べるべきだと判断しました」

キース「イヤ…分からないな。なぜ貴様は芋を食べた?」

サシャ「…?それは…「何故人は芋を食べるのか?」という話でしょうか?」

サシャ「…?」

サシャ「あ!」

サシャ「半分…どうぞ…」

キース「は…半…分…?

サシャ「…」フーッ

エレン(個性的なやつばかりだな)

ーーー

ーーー

コニー「オイ…あの芋女まだ走らされてるぞ」

ジャン「は?すごいな5時間ぶっ通しか。」

ジャン「しかし死ぬ寸前まで走れと言われた時より今日はメシ抜きと言われた瞬間の方が悲壮な顔をしたよな」

コニー「ダウパー村ってのは確か人里外れた山奥にたる少人数の狩猟の村だ」

マルコ「まだそんな村があったなんてな…」

マルコ「そういえばジャンは出身シガンシナなんだよね?」

ジャン「あ…まあな。」

コニー「ってことはよ「その日」もいたよなシガンシナに!」

マルコ「お、おい!」

コニー「見たことあるのか?超大型巨人!」

ジャン「あぁ……」

ーーー

食堂

エレン(義姉さんは大丈夫だろうか)

エレン(一人で走らされた芋女の所にパンと水を持って行って)

エレン(食べ終えたら俺も行くか)

ワイワイ ガヤガヤ

エレン(何だ?やけに騒がしいな)

「超大型巨人はどのくらい大きいんだ!?」

ジャン「壁から首を出すぐらいだ…」

「何!?俺は壁を跨いだときいたぞ!」

「私も!!」

エレン「…」

「どんな顔だったの?」

ジャン「皮膚が殆ど無くて口がでかかったな」

「ウォール・マリアを破った「鎧の巨人」は!?」

ジャン「それも見た。そう呼ばれているが俺の目には普通の巨人に見えたな」

エレン「…」

「じゃあ、普通の巨人は?」

その時ジャンの脳裏には母親を巨人に喰われたのが浮かんだ。

ジャン「ウッ…」

マルコ「…みんなもう質問はよそう。思い出したくないこともあるだろう」

コニー「すまん!色々と思いださせちまって…!」

ジャン「…ああ、人類は巨人には勝てない。俺はババアを助けようとしたが助けられずに喰われてしまった」

ジャン「だから、俺は巨人の脅威を思い知ったから憲兵団に入る」

エレン「とんだ臆病者だな。お前は」

ジャン「あ?何だお前は?」

ジャンに視線を向けていた周りはエレンの方に視線を向ける。

エレン「俺はシガンシナ出身のエレン・イェーガーだ。…といっても色々あって「その日」にはいなかったがな」

ジャン「お前もシガンシナ出身か。それより「その日」にはいなかっただ?そんな巨人を見たことない奴が俺を馬鹿にするんじゃねえ!」

エレン「いや、俺が言ってるのはそういうことじゃない。」

エレン「確かに俺は巨人を見たことない。だがな、仮に俺がお前の立場だったら母親の仇を討つために巨人を駆逐するだろうな!」

カン カン カン

エレン「…まぁ悪かったな。俺も人の事情を知らずにお前に言ってしまったな」

ジャン「…分ればいい。俺も喧嘩腰だった」

エレン「これで手打ちにしてくれ」

ジャン「あぁ」

ポンッ

エレン(早く義姉さんのところに向かわないとな)

ドン

エレン「おっと、すいません」

ミカサ「…」

エレン「…何だったんだ?今のは?」

黒髪の少女は特に気にも止めず通り過ぎて行った。

ーーー

エレン「義姉さん!」

俺が向かった時は倒れて寝ている芋女と義姉さんと長身の女が居た。

エレン「…誰だ?お前は?」

ユミル(こいつがクリスタの義弟か)

ユミル「私はユミルだ。よろしく」

エレン「こちらもよろしく。俺はクリスタ義姉さんの義弟のエレン・イェーガーだ」

エレン「義姉さん。これはどういう状況だ?」

カクカクシカジカ

エレン「なるほどな。とりあえず芋女は俺が担ぐよ」

クリスタ「で、でも」

エレン「大丈夫だ。女子寮に入ったらユミルと担いでくれ」

エレン「それまで義姉さんは楽にしててくれ」

クリスタ「…わかった。ありがとうエレン」

ーーー

男子寮 寝室

エレン(疲れた)

エレン(たった一日だけでいろんな人と会ったな)

エレン(こんな時は直ぐに寝るのが一番だな)

アルミン「あ、あの」

エレン「ん?」

アルミン「君はシガンシナ出身のエレン・イェーガーだよね?」

エレン「ああ、そうだが」

アルミン「僕はアルミン・アルレルト。よろしく」

エレン(教官に馬鹿みてぇな名前と言われてた奴か。正直義姉さんに近い容姿だな)

エレン「こちらもよろしく。何で俺の名前を知ってるんだ?」

アルミン「食堂でジャンに突っかかってたから」

エレン「…ジャンの友達か。悪いこと言ったな」

アルミン「別に良いよ。…ジャンはあの出来事以来変わってしまった」

エレン「シガンシナ陥落か。俺はその日いなかったから分からないが人類が巨人の恐ろしさを思い知ったのは分かる」

アルミン「エレンはどうして「その日」に居なかったんだ?」

エレン「…色々あってな。両親が病気で他界してからクリスタ義姉さんの家庭に養子として生活してたんだ」

アルミン「クリスタ義姉さんて…エレンてクリスタ・レンズの義弟なの!?」

エレン「そうだが。なんでそんな驚く必要があるんだ?」

アルミン「驚くも何も彼女は男子の中で話題が持ちきりだったんだよ!」

エレン「はぁ?なんで?」

アルミン「まだ分からないの?彼女の容姿に惚れている人がたくさんいるということだよ」

エレン「…アルミン、それはお前もか?」

アルミン「え?それは…」

エレン「まぁ、いいや」

エレン「ところで話が変わるが、ジャンが何でシガンシナ陥落から変わってしまったんだ?」

アルミン「…エレンは外の世界について知ってるかい?」

エレン「知らないな。外の世界には何があるんだ?それとジャンに何の関係がある?」

アルミン「エレン。この世界の大半は「海」っていう水で覆われているんだよ」

アルミン「しかも「海」は全部塩水なんだって」

エレン「……!!塩だと!?嘘つけ!!塩なんて宝の山だから商人がすぐ取り尽くすだろ!!」

アルミン「いいや!取り尽くすないほど「海」は広いんだ!」

エレン「…そんなわけ…(いや、こいつ本気だ)」

アルミン「塩が山ほどあるだけじゃない!!炎の水!氷の大地!砂の雪原!きっと外の世界は壁の中の何倍も広いんだ!」

エレン「外の世界…すごいな。初めて興奮した」

エレン「ジャンはそのことについてどう思ったんだ?」

アルミン「うん。小さい頃話したことがあるんだけど最初は興味を示さなかったんだ。」

アルミン「だけど、話していくうちに興味を示してくれて外の世界を探検したりしようと約束したりしたんだ」

エレン「つまりシガンシナ陥落のお陰で現実的な考え方をするようになったということか」

アルミン「うん。その日以来ジャンは変わってしまったんだ」

エレン「まあ、仕方ないじゃないか?誰だって母親を目の前で喰われたりしたら巨人の脅威を思い知って遠ざかるために内地に行ける憲兵団を目指すだろうな」

エレン「俺みたいな考え方をする奴が以上なだけだ」

アルミン「でも僕はその考え方を尊敬するよ。ジャンなら絶対に出来ない考え方だしね」

エレン「ありがとな。とりあえず明日から訓練始まるからもう寝ないか?」

アルミン「そうだね。僕もつい興奮して話してしまった」

エレン「あのさ、アルミン」

アルミン「どうしたの、エレン?」

エレン「俺さ、もうアルミンの友達だよな」

アルミン「うん。僕はもうエレンの友達だよ」

エレン「ありがとな。おやすみ」

アルミン「おやすみ。エレン」

その夜久しぶりにぐっすり眠れた気がした。

エレン「まあ、仕方ないじゃないか?誰だって母親を目の前で喰われたりしたら巨人の脅威を思い知って遠ざかるために内地に行ける憲兵団を目指すだろうな」

エレン「俺みたいな考え方をする奴が以上なだけだ」

アルミン「でも僕はその考え方を尊敬するよ。ジャンなら絶対に出来ない考え方だしね」

エレン「ありがとな。とりあえず明日から訓練始まるからもう寝ないか?」

アルミン「そうだね。僕もつい興奮して話してしまった」

エレン「あのさ、アルミン」

アルミン「どうしたの、エレン?」

エレン「俺さ、もうアルミンの友達だよな」

アルミン「うん。僕はもうエレンの友達だよ」

エレン「ありがとな。おやすみ」

アルミン「おやすみ。エレン」

その夜久しぶりにぐっすり眠れた気がした。

教官A「んん…今期は出来る者が多いようだ」

教官B「あの…彼は…」

教官A「…素質というものだろう。人並み以上に出来ることがあれば…」

エレン「…!?」

教官A「人並み以上に出来ないこともある」

キース「何をやってるエレン・イェーガー!!上体を起こせ!!」

ユミル「…」

ジャン「wwwww」

クリスタ(エレン…)

エレン(え…?何だこれ…こんなの…どうやって…)ドクン

エレン(ウソ…だろ?これじゃああの時と…)

ーーー

クリスタ「基本通りにやれば出来るはず上手くやろうとか考えなくていいよエレン。私でも出来たから」

クリスタ「上半身の筋肉は固く下半身は柔らかく」

クリスタ「前後のバランスにだけ気を付けて腰巻きと足裏のベルトにゆっくり体重を乗せれば出来るよ」

エレン「すまない…教えてくれて」

アルミン「落ち着いてやれば出来るよ。運動苦手な僕だって出来たんだから」

エレン「…今度こそ出来るような気がする。上げてくれアルミン!」

アルミン「いくよ」キリキリ

エレン「!?」

アルミン「あ!?」

クリスタ「え!?」

エレン「」ゴッ

ーーー

夜 食堂*

ザワザワ

エレン「…」

モブA「オイ…あいつ確か昨日の晩に…ジャンに突っかかって自分だったら巨人を皆殺しにするようなことを言ってた奴だよな」

モブB「それがあの初歩の姿勢制御訓練で既に死にかけたんだと」

モブA「本当かよ…あんなことも出来ねぇ奴がいるのか…」

モブA「そんなんでこれから先訓練に耐えられるのか?」

モブB「さぁな…しかしこのまま
じゃいずれここを追い出される。役立たずに食わせるメシなんかねぇからよ」

モブA「つかなんであいつ天使と一緒にメシを食べてるんだ?羨ましい!」

モブB「知るか!どうやら義弟みたいらしいぞ」

モブA「マジかよ…!」

エレン「…」

クリスタ「エレン!」

エレン「すまない義姉さん…考え事をしてた」

クリスタ「考えても仕方ないよ。とにかく明日出来るように頑張ろう」

エレン(「何が義姉さんを守る」だ。情けねぇ。これじゃあ義姉さんとの約束を守れねえじゃねぇか)

ユミル「あんたみたいなやつじゃ兵士に向いてないな」

エレン「なに…!?」

ユミル「そうだろ。向いてないやつがようやく出来る程度では無駄に死ぬだけだ」

ユミル「あんた巨人を実際に見たことはないんだろ?そんなやつが仮にギリギリ卒業して兵士になってもろくに対抗出来ず喰われてお終いだ」

クリスタ「ユミル!言い過ぎだよ!」

エレン「…いいよ、義姉さん。外に出て風に当たってくる」ガタッ

クリスタ「待って!エレン!」

ーーー

エレン(くそ!そんなこと分かってんだよ!)

食堂でユミルに言われたことを思い出す。

エレン(だが、どうする?このままアレが出来なきゃ話にならねぇ)

『あの娘を守ってくれ』

エレン「…」ギリッ

エレン「…とにかく誰かに教えてもらって出来るようにするしかない」

ーーー

男子寮

コニー「コツだって?悪いけど俺…天才だから「感じろ」としか言えん」

ジャン「俺は逆に教えてほしいね。あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ…」

エレン「ッ…そうかよ。悪かったな」

マルコ「まぁまぁ。コニーとジャンの他にも上手いって言われてたのはあっちにいる二人だよ」

マルコ「名前は確か…」

ーーー

ベルトルト「う~ん…姿勢制御のコツか…」

エレン「頼む!二人もすごく上手いって聞いた」

エレン「ベルトルト、ライナー」

ライナー「すまんが…ぶら下がるのにコツがいるとは思えん。期待するような助言は出来そうにないな…」

エレン「そうか…悪かったな。無駄な時間取らせて」

エレン(もう…駄目なのか)

ベルトルト「待って」

エレン「…なんだ」

ベルトルト「君はシガンシナ区出身でも巨人の恐ろしさを知らないよね」

ベルトルト「なのに…どうして兵士を目指すの?」

エレン「…俺はシガンシナ区出身でも両親とも病気で他界して天涯孤独になった」

エレン「それでもクリスタ義姉さんの養子として家族に迎えられた」

エレン「孤独で血が繋がってない赤の他人の俺にも関わらず義姉さんは俺に接してくれた」

エレン「嬉しかった。だから義姉さんが訓練兵を志願した時俺は約束した」

エレン「自分の身が尽きようと義姉さんの隣にいて守る、と」

エレン「だから訓練兵を志願した。例え巨人だろうと義姉さんに危害を加えるやつは俺が駆逐して義姉さんを守る」

エレン「それが兵士を目指す理由だ」

ベルトルト「…」

ライナー「…」

エレン「すまなかったな。長々と無駄話をして。邪魔者は去るよ」

ベルトルト「僕は!」

ベルトルト「僕は…君と違って臆病だ」

エレン「え?」

ベルトルト「僕は巨人の恐怖を知らず世間的な体裁を守るここにいる人達と同じだ」

ベルトルト「訓練兵になっても調査兵団にならないようにして憲兵団を目指しつつ駄目だったら駐屯兵を選んで憲兵団への異動を伺ったりする」

ベルトルト「僕はそんな考え方をしている臆病な人達と同じだ」

ベルトルト「僕は体動かすの得意だから…憲兵団の特権階級狙いで兵士を選んだ」

ベルトルト「それが駄目だったら全部放棄するかもしれない。僕には…自分の意思が無い」

ベルトルト「羨ましいよ…自分の命より大事なものがあって…」

エレン「…俺は巨人の恐怖を実際に目の当たりにしたわけじゃないから説得力があることなんて言えない」

エレン「自分の命を大事にすることも立派なことだと思う」

エレン「俺はここにいる人達と違い反対なことを言ってしまった」

エレン「俺は普通の人達にとって異端者と思われても当たり前なやつだよ」

ライナー「…お前は仮に巨人と遭遇してもその考え方は変わらないのか?」

エレン「まぁな。とにかく今は兵士になれるかどうかだ。兵士になれば自分の命に関わる」

エレン「だけどな義姉さんを喰おうとする巨人は俺が殺す」

エレン「それだけのことだ」

ライナー「……」

ライナー「俺にもあるぜ。絶対曲がらないものが…」

エレン「…」

ライナー「帰れなくなった故郷に帰る。俺の中にあるのはこれだけだ」

ライナー「絶対に…何としてもだ」

エレン「…そうか」

ライナー「ベルトの調整から見直してみろ。明日は上手くいく…」

ライナー「お前ならやれるはずだ。エレン・イェーガーだったっけ?」

エレン「あぁ、ありがとよ…ライナー・ブラウンだっけ?」

ライナー「そうだ。よろしくな」

エレン「こちらもよろしくな。早速寝る前にベルトを確認するよ」

ーーー

エレン「…何だこれ」

エレン「ベルトの金具が破損してるじゃねぇか」

エレン「だから上手くいかなかったのか」

エレン「…義姉さんに心配かけさせちまったな」

エレン「明日謝ろう」

ーーー



エレン「おはよう、アルミン」

アルミン「おはよう、エレン。エレンなら今日の適性試験合格出来る!だから頑張って」

エレン「ありがとな。アルミン。あと、お願いがあるんだ」

アルミン「お願い?」

エレン「今日一日だけベルトを交換してほしいんだ」

アルミン「どうして?」

エレン「昨夜ライナーのアドバイスでベルトを確認したら金具が破損してたんだ」

アルミン「分かった。それにしてもベルトが破損するなんてあるんだね」

エレン「あぁ、だがベルトを交換したら必ず出来るわけじゃない。あとは俺自身の実力だ!」

食堂

エレン「おはよう、義姉さん。昨日は心配かけさせてごめん」

クリスタ「いいよ。それより今日の適性試験頑張って!エレンなら絶対合格出来るよ!」

ユミル「果たして上手くいくのやら。まあ、失敗したら開拓地に行く前にあの間抜けヅラを笑わせもらうよ」

エレン「大丈夫だ。絶対合格してみせる!」

立体機動適性試験

キース「立体機動装置を操ることは兵士の最低条件だ。出来なければ開拓地に戻ってもらう…いいな?」

エレン「はい!」

エレン(やる!俺は絶対やる!!)

エレン(俺には素質がねぇかもしれねぇけど…根性だけは誰にも負けねぇ!)

キース「始めろ」キリキリ

エレン(理屈なんか知らん!根拠もない!でも俺にはこれしかねぇ!)

エレン(これが俺の武器だ!)

キース「…」

「おお!!」

エレン(やった…出来た!!)

キース「…エレン・イェーガー」

エレン(…どうなる)

キース「合格だ」




エレン(や…やった!!)

ユミル「やるじゃねぇか」

クリスタ「エレン!おめでとう!」ニコッ

アルミン(天使だ)

ライナー(結婚したい)

エレン(これで俺はやれる!巨人とも戦える!!)

エレン(ようやく義姉さんを守るための力をつける一歩を踏めたんだ!)

夜 食堂

クリスタ「エレン!合格おめでとう!」

エレン「ありがとう。義姉さん」

ユミル「しかし何で急に出来るようになったんだ?昨日までは上体すら上げれず間抜けな顔をしてたじゃねぇか」

エレン「ベルトの金具が壊れてたんだよ。だから、今日一日ベルトを交換してやったんだ」

クリスタ「ベルトの金具が壊れるなんて珍しいこともあるんだね」

ユミル「まあ、あんなの出来て当たり前だ。こんなんで浮かれてたら巨人なんて殺せない」

エレン「そうだな」

男子寮

アルミン「エレン、合格おめでとう!僕は信じてたよ」

エレン「ありがとな。アルミン。お前がベルトを交換してくれたおかげだ」

アルミン「そんなことないよ。エレン自身の実力だよ」

アルミン「そういえばだけど、エレンが合格した後教官にベルトのことについて伝えておいたよ」

アルミン「そうしたら新たに整備項目に加えることを言ってたよ」

エレン「そうか」

アルミン「あと、明日起きたら教官のところに行って新しいベルトを貰ってきて」

エレン「分かった。ありがとな。そこまでしてくれて」

アルミン「友達として当然のことをしたまでだよ。おやすみ、エレン」

エレン「あぁ、おやすみ。アルミン」

エレン(友達か…性格悪くて喧嘩ばかりしていたから昔はいなかったな)

エレン(義姉さん。俺に初めて友達と言える人が出来たよ)



エレン(今日は対人格闘の訓練をする日か)

エレン(その前にキース教官からベルト貰ってこないとな)コンコン

キース「誰だ?」

エレン「訓練兵のエレン・イェーガーです。新しいベルトをもらうために来ました」

キース「入れ」

エレン「失礼します」ガチャ

キース「新しいベルトだ」

エレン「ありがとうこざいます。キース教官」

エレン(また金具が壊れてるとかは…ないみたいだな)

キース「昨日の訓練が出来たからといって浮かれずこれからも修練に励め」

エレン「はい!」

対人格闘訓練

ライナー「行くぞ!」ダダダ

エレン「来い!」ガシッ

エレン「ふん!!」ブン

ライナー「くっ!」ドサ

エレン「大丈夫か?」

ライナー「イテテ…大丈夫だ。ほら次はお前がならず者をやる番だ」

ライナー「まったく…俺の巨体を投げ飛ばすとは…」

エレン「悪い…力の加減が下手でよ」

ライナー「お前取っ組み合いに慣れてやがるな」

エレン「小さい頃は体ばっかりでかいやつとか喧嘩していたからな」

ライナー「へぇ…」

エレン「正直この訓練は巨人に対して意味があるとは思えない」

ライナー「教官に聞こえねぇようにな」

エレン「義姉さんに危害を加えるのは巨人だけじゃねぇ。人間だってあり得るかもしれない」

エレン「だから俺はこの訓練を真剣にやってるが他のやつはどうなんだろうな」

ライナー「さぁな。俺はいくら不利な状況でも逃げてはいけない時がある」

ライナー「守る対象が脅威に晒された時その間に入って盾にならなければならない」

ライナー「相手が何であろうとだ。俺達は大砲でも格闘術でも使いこなして力をつけなきゃならん」

ライナー「俺はそう思う」

エレン「そうか…。悪かったな。訓練にもどろうぜ」

アニ「…」

ライナー「そうだな…ん…?」

エレン「どうした?」

ライナー「あいつ…」

エレン「あぁ、アニ・レオンハートか。うまく教官にバレないようにサボってるみたいだな」

ライナー「…よし。俺たちでアニにも短刀の対処を教えてやるぞ」

エレン「は?」

ライナー「あの不真面目な奴に説教して兵士とはどうあるべきか…教えてやろうじゃないか」

ライナー「教官の頭突きは嫌か?」

ライナー「それ以上身長を縮めたくなかったら真面目にやるんだな」

エレン「おい!その言い草は…」

アニ「…」

エレン(あ…!すげぇ怒ってる…。入団式の時も怖い顔をしてると思ってたが…本当に怒った顔は比じゃねぇな)

ライナー「そら始めるぞエレン!」

アニ「…」スッ

エレン「(!?何だあの構えは)アニ。これは刃物の対処を形式的に覚える訓練だぞ?…やり方は知ってるよな?」

エレン「行くぞ!」

ーーー

ライナー「」

エレン(アニの倍近くあるライナーが宙を舞いやがった)

エレン「すげぇ技術だな。誰から教わったんだ?」

アニ「…お父さんが」

エレン「親父さんがこの技術の体現者なのか?」

エレン(この技術を習得出来れば…)

アニ「どうでもいい」

エレン「え?」

アニ「こんなことやったって意味なんか無いよ」

エレン「どういう意味だ?それはこの訓練のことか?」

アニ「「対人格闘術」なんか点数にならない。私を含め熱心な内地志願者は真面目にやらず流すもんさ」

エレン「…そうか。俺はバカ正直にやってるが目的があってやってる」

エレン「それに意味がないことなんてない」

アニ「…」

エレン「マズイ!教官だ」

アニ「…」ビュッ

エレン「!危ねえ!」ガシ

アニ「とにかく…点数の高い立体機動術じゃなきゃやる意味が無い」

アニ「目指してるのは立派な兵士ではなく内地の特権を得ることだから」

アニ「なぜかこの世界では巨人に対抗する力を高めた者ほど巨人から離れられる。どうしてこんな茶番になると思う?」

エレン「…さぁな。それが人の本質で自分の保身にしかまわることが出来ないやつだと思うがな!」

アニ「!」バシッ

エレン「う!」ドサッ

アニ「…私の父もあんたらと同じで何か現実離れした理想に酔いしれてばかりいた」

アニ「幼い私は心底下らないと思いながらも…この無意味な技の習得を強いる父に逆らえなかった…」

アニ「私はもうこれ以上この下らない世界で兵士ごっこに興じれるほどバカになれない」

エレン「…」

エレン「待ってくれ!」

アニ「…何だい?」

エレン「俺はお前…アニのその技術に興味がある!」

エレン「俺にその技術を教えてくれ!」

アニ「何故?」

エレン「俺には自分の命よりも守りたい人がいる。その人を守れる力をつけれるならどんな技術でも学びたい!」

エレン「頼む!教えてくれ!」

アニ「…そんなにこの技が気に入ったんなら教えてやってもいいけど?」

エレン「!ありがとな!アニ!」

キース「そこまでだ!各自昼食を食って次の立体機動装置の訓練に備えろ!」

エレン「…終わりか」

アニ「次回の訓練で教えてあげる。次の立体機動の訓練に遅れないようにするんだね」

エレン「あぁ。今日はありがとな」

アニ「別にいい」

午後 立体機動の訓練

キース「これから立体機動の訓練を開始する!」

キース「毎年訓練中に事故を起こして死亡するやつがいるがそんなやつが巨人と戦うなど不可能だ!!」

キース「覚悟して受けろ!!いいな!?」

訓練兵一同「ハッ!!」

キース「各班に別れて開始しろ!!」

1班
ライナー、ベルトルト、アニ

2班
ミカサ、マルコ、ジャン

3班
コニー、サシャ、アルミン

4班
エレン、クリスタ、ユミル

その他

エレン(俺は義姉さんと同じ班か)

エレン「義姉さん大丈夫か?」

クリスタ「うん、大丈夫。緊張しちゃって」

エレン「義姉さんなら上手くいく」

エレン「立体機動装置の対G能力は女性の方が優れてるから身長が低い義姉さんには適してるから」

ユミル「人の心配する暇があるなら自分の心配をしろ。また開拓地に送られたいのか?」

エレン「…そうだったな。すまない」

エレン「始めるぞ!」

ーーー

夜 食堂

エレン「すまない、義姉さん。
俺が点数を稼げなくて」

クリスタ「エレンのせいじゃないよ。エレンは頑張った」

ユミル「気にする必要はない。適性訓練みたいな結果だったら文句を言ってたが今回は違う」

ユミル「あんたは頑張った。次頑張ればいい」

1位が2班、2位が1班、3位が4班、4位が3班という結果だった。

エレン「ありがとう、義姉さん。あと、ユミルも」

エレン「正直ユミルからそういう言葉が出るとは思わなかったがな」

ユミル「おいおい。私もそういう言葉も言えるっての」

エレン「そうか」

緊張感が続く訓練のなかで久しぶりに笑った気がした。

アルミン「あ、あの。一緒に食べさせてもらっていいかな?」

エレン「ん?アルミンか。いいよ。食事は大勢で食べた方が美味いと思うからな」

アルミン「ありがとう、エレン」

俺はジャンとマルコとサシャが居る席を見る。

エレン「にしても、お前ジャン達と一緒に食べなくていいのか?」

アルミン「…いいんだ。僕が苦手意識をもって距離をとってるから」

エレン「…ジャンか?」

アルミン「うん」

エレン「俺はお前の友達だけどそんな深いことまでは言えないが…」

エレン「出来たらちゃんと仲直りした方が良いと思う。特にこんな集団生活してるなかで溝が出来ていたりしたら訓練に支障をきたす」

エレン「…まあ取り敢えず今は食事しようぜ。こんな会話してたら不味くなる」

アルミン「…うん。ありがとう、エレン。僕にアドバイスをしてくれて」

エレン「気にするな。困った時はお互い様だ」

その日の夕食は義姉さんとユミルとアルミンと一緒に話をしながら食事をした。

エレン「ごちそうさま。ちょっとジャンが居る席に行ってくる」

クリスタ「ジャンのところに?」

アルミン「ど、どうして?」

エレン「大したことじゃない。ジャンに用があるだけだ」

ジャン「でさ今日ミカサと一緒に対人格闘と立体機動の訓練出来たんだよ!」

マルコ「ジャン、ミカサに一目惚れしたからね。今日はどうだったの?」

ジャン「話してくれないんだよな。なんというか他のやつなんて眼中に無い感じでさ」

ジャン「まぁ、一緒に訓練出来るだけでもいいけどな。対人格闘は流せないけど」

エレン「ジャン」

ジャン「何だ、エレン?」

エレン「食後話があるんだがいいか?」

ジャン「話?ここじゃ駄目なのか?」

エレン「あぁ、2人きりで話したいんだ」

ジャン「…分かった」

ーーー

ジャン「俺に何のようだ?エレン」

エレン「何のようかというか…お願いがあるんだ」

ジャン「お願い?」

エレン「お前立体機動装置扱うの得意なんだろ?さっき夕食の時に聞いてた」

ジャン「…つまり教えてほしいということか?」

エレン「理解が早くて助かる。俺も代わりに馬術を教える」

エレン「こうみえてクリスタ義姉さんに小さい頃教わっていたから他のやつより出来る自信はある」

エレン「お互い順位を上げる為に協力しないか?」

ジャン「…お前にしてはいいこと言うじゃねえか。いいぞ」

ジャン「その話のった」

エレン「交渉成立だな」

ジャン「まあ、憲兵団目指している俺にとっては将来役に立つ可能性はないが上位に入るためにも必要だからな」

エレン「…そうか。まあ、俺にはどうでもいい」

エレン「あと、俺は介入する気はないがアルミンとも出来るだけ仲直りしろよ」

ジャン「…あいつなんてどうでもいい」

エレン「…は?」

ジャン「あんなやつ頭が良いだけで体力面は駄目なやつだ。開拓地送りにされてもおかしくないやつだ」

ジャン「そんなやつとは友達になった気なんかねぇな」

エレン「…」ブチッ

ドガッ!

ジャン「っ!何しやがる!」

エレン「俺はお前とあいつに何があったかは深く知らねえ。だけどな」

エレン「自分の友達にそんな酷い言葉言うんじゃねぇ!!」

ジャン「テメェには関係ないだろうが!!」

ジャン「…まあいい。交渉は破棄しねぇからさっさとどっか行けよ!!」

エレン「そうさせてもらうよ。悪かったな」

俺はアルミンのことについてジャンを許せない気分だったが我慢してこの場を去った。

ジャン(アルミンについては悪いのは認めるが俺を殴りやがって)

ジャン(対人格闘で見返してやる!)

ジャン(…そういえばあいつアニに教わるようなこと言ってたな)

ジャン(あいつを見返すために俺もアニに教われるよう頼んでみるか)

ジャン(そして絶対あいつを超えてやる!)

今書いても上手く書けない気がするので今週は休みます。

申し訳ございません。

850年

1位 エレン・イェーガー

2位 ライナー・ブラウン

3位 ベルトルト・フーバー

4位*アニ・レオンハート

5位 ミカサ・アッカーマン

6位 ジャン・キルシュタイン

7位 マルコ・ボッド

8位 クリスタ・レンズ

9位 コニー・スプリンガー

10位 サシャ・ブラウス

「以上10名」

エレン(やっとここまで辿り着いた)

エレン(これで義姉さんを守ることが出来る!!)

「本日を以って訓練兵を卒業する諸君らには3つの選択肢がある」

「壁の強化に努め各街を守る駐屯兵団」

「犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む調査兵団」

「王の元で民を統制し秩序を守る憲兵団」

「無論新兵から憲兵団に入団出来るのは成績上位10名だけだ」

「後日配属兵科を問う。本日はこれにて第104期訓練兵団解散式を終える…以上!」

訓練兵一同「ハッ!」

クリスタ「エレン、成績1番おめでとう!」

エレン「義姉さんも8番だ、おめでとう。今まで頑張ってきた結果が出たんだな」

クリスタ「エレンが私に教えてきたおかげだよ」

エレン「ありがとな。俺も義姉さんが8番になれるよう教えることが出来て嬉しいよ」

エレン「ところで義姉さんは所属兵科はどうするんだ?」

クリスタ「私は…まだ決まってない」

エレン「そうか…あと一日あるからじっくり考えればいいよ。ユミルは?」

ユミル「私もまだだな」

エレン「そうか…まぁ、俺もだがな」

エレン(出来れば義姉さんには憲兵団にしてほしいがな)

モブA「いーよなお前らは10番以内に入れてよ!どーせ憲兵団に入るんだろ?」

ジャン「はぁ?当たり前だろ。何のために10番内を目指したと思ってんだ」

マルコ「俺も憲兵団にするよ。王の近くで仕事が出来るなんて…光栄だ!!」

ジャン「まだお利口さんをやってんのかマルコ…」ガシッ

マルコ「ぶっ!!」

ジャン「言えよ本音を。内地に行けるからだろ?」

ジャン「やっとこのクッソ息苦しい最前線の街から脱出出来るからだ!!」

ジャン「内地での安全で快適な暮らしが俺達を待ってっからだろうが!!」

エレン「…」

ミカサ「…」

ザワザワ ヒソヒソ

アルミン「や…やめなよ!ジャン!」

マルコ「お前…恥をしれよ!少なくとも俺はー」

ジャン「あ~すまん。俺が悪かった。お前は優等生だったな」

ジャン「しかしお前らならどうする?」バッ

ジャンは周りにいる訓練兵達に問いかける。

ジャン「俺達が内地に住める機会なんてそうそうないぜ!?」

ジャン「それでも「人類の砦」とかいう美名のためにここに残るのか?」

「……」

「そりゃあ…好きでこんな端っこに生まれたわけじゃないし…」

「巨人の足音に怯えなくて住むんなら…」

ジャン「だよなぁ…みんな内地に行きたいよな…」

ジャン「で…お前らは?」

ベルトルト「僕は憲兵団を志願者するよ」

アニ「私も憲兵団を志願するけど…」

アニ「ジャン、私はあんたと格闘訓練を一緒にやってたけどあんたのそういうところは好きじゃなかった」

アニ「だからあんたと一緒だと思われたくないわ」

ジャン「…そうかよ」

ジャン「なぁ、エレンはどうするんだ?」

エレン「…なぁ、お前内地が快適とか言ってるがこの街も5年前までは内地だったんだぞ」

ジャン「……」

エレン「ジャン…内地に行かなくてもお前の脳内は「快適」だと思うぞ?」

クリスタ「エレン…やめて」

エレン「すまない義姉さん。こいつにはちゃんと言わないと駄目だと思ったんだ」

ジャン「…エレンよぉ。それは俺が頭のめでたいヤツだと言いたいのか?」

ジャン「それは違うな…俺は誰よりも現実を見てるし実際に経験もした」

ジャン「4年前、巨人に奪われた領土を奪還すべく…人類の人口の2割を投入して総攻撃を仕掛けた」

ジャン「しかもその中にはアルミンの爺さんも含まれてた」

エレン「アルミンの…!?」

ジャン「そうだ。そしてその殆どがそっくりそのまま巨人の胃袋に直行した。あと何割か足せば領土は奪還出来たのか?」

ジャン「巨人を1体倒すまでに平均で30人は死んだ。しかしこの地上を支配する巨人の数は人類の30分の1では済まないぞ」

ジャン「もう十分分かった。人類は…巨人に勝てない…」

エレン「…」

ジャン「はぁ…見ろ。お前のせいでお通夜になっちまった」

エレン「それで?」

ジャン「おい…人の話聞いてたか」

エレン「「勝てないと思うから諦める」とこまで聞いた」

ジャン「…」

エレン「なぁ…諦めて良いことあるのか?あえて希望を捨ててまで現実逃避する方が良いのか?」

ミーナ「…」

エレン「そもそも巨人に物量戦を挑んで負けるのは当たり前だ」

エレン「4年前の敗因の1つは巨人に対しての無知だ…負けはしたが得た情報は確実に次の希望に繋がる」

エレン「お前は戦術の発達を放棄してまで大人しく巨人の飯になりたいのか?…冗談だろ?」

エレン「俺は所属兵科を何にするかは決めてない。だが、もし義姉さんが憲兵団以外の兵科に所属することになったらのために」

エレン「俺は必死に義姉さんを守れる力をつけるために訓練した。そのための3年間だったからな…!!」

エレン「…お前の言うことも分からなくはない。だがな空気を読まずに言うのはやめろ」

エレン「ここにいる全員の士気に関わるからな」

ジャン「…言いすぎた。俺もお前と立体機動装置の扱いと馬術の訓練で共にやってて関わるようになってた」

ジャン「それでお前がクリスタを守るために必死に努力してるのを知った」

ジャン「…悪かったな。6番になれた興奮で無神経なことを言いすぎた」

エレン「分かればいいんだ」

ジャン「ここで会った時と同じように手打ちで許してくれないか?」

エレン「あぁ」

ポン

エレン「ジャンが皆に悪いことを言ってすまなかった」

エレン「こんな空気で言うのもあれだが引き続き送別会を楽しんでくれ」

そう言いエレンはクリスタ達の席に戻っていった。

ジャンによりお通夜になってしまった空気も徐々に少しずつ戻っていった。

ジャン「…言いすぎた。俺もお前と立体機動装置の扱いと馬術の訓練で共にやってて関わるようになってた」

ジャン「それでお前がクリスタを守るために必死に努力してるのを知った」

ジャン「…悪かったな。6番になれた興奮で無神経なことを言いすぎた」

エレン「分かればいいんだ」

ジャン「ここで会った時と同じように手打ちで許してくれないか?」

エレン「あぁ」

ポン

エレン「ジャンが皆に悪いことを言ってすまなかった」

エレン「こんな空気で言うのもあれだが引き続き送別会を楽しんでくれ」

そう言いエレンはクリスタ達の席に戻っていった。

ジャンによりお通夜になってしまった空気も徐々に少しずつ戻りつつあった。

ジャン「騒がせて悪かったなミカサ」

ミカサ「いいえ、ちゃんと治まったから問題ない」

ミカサ「エレンと争うことになったら私も入って止めようとしたが今は違う」

ミカサ「あなたは変わった。昔だったら殴り合いになってたが今はそうならずに解決した」

ミカサ「そういう意味ではあなたは成長した」

ジャン「そう褒めるな。俺が調子にのらなければよかった話だ」

ミカサ「…ジャン、私はあなたがどう変わろうがついていく。あなたのお母さんとの約束だから」

ジャン「…ババアの話はやめてくれ」

アルミン「ジャン、僕悪いけどエレンの席に行ってくるね」

ジャン「あぁ、分かった」

アルミンがエレン達の席に行ったことによりミカサとアルミンだけになった。

少しの間無言になったがジャンからミカサに話をかけた。

ジャン「…ミカサは所属兵科は何処にするんだ?」

ミカサ「ジャンが憲兵団にするなら私もそうする」

ジャン「そうか。悪いな付き合わせて」

ミカサ「別にいい。あなたがあの日私を助けてくれなければ今生きてるかなんて分からないから」

ミカサ「それに私はもう友達みたいな関係じゃない。家族みたいなものだから」

ジャン「ミカサ…」

ジャン「…ありがとな」

アルミン「エレン、隣いいかい?」

エレン「あぁ、いいぞ」

アルミン「失礼させてもらうね」

アルミン「エレンとクリスタも成績上位おめでとう」

エレン「ありがとな、アルミン」

クリスタ「ありがとね、アルミン」

アルミン「エレン達は所属兵科はどこにするか決めている?」

エレン「それは…まだだな」

クリスタ「私も」

ユミル「私もだな」

アルミン「そっか…僕も所属兵科決まってないけど」

アルミン「迷ってるんだ。僕はミカサとジャンと一緒に憲兵団にしたかったんだ」

アルミン「だから駐屯兵団に所属して憲兵団の異動を伺おうと思うんだけど…どう思うかな?」

アルミン「ミカサには座学が1位なのを活かして技巧に進みなさいと言われてるんだ。巨人と戦闘する兵科じゃ僕は危ないと言われて…」

エレン「…」

クリスタ「…」

ユミル「…」

クリスタ「…私は」

クリスタ「私は…アルミンには危ない目にあってほしくないからミカサの言う通り技巧の方がいいと思う」

エレン「俺は…自分の意思で行動した方がいいと思うが長所を捨ててまで非効率な選択をするのはいいと思わねぇ」

エレン「こんなことを言いたくないが俺も技巧の方がいいと思う」

エレン「調査兵団と違い巨人との戦闘回数は多くないがそれは昔の話だからな」

エレン「いつ超大型巨人が現れて壁を壊すかなんて分からない。その時は命を懸けてでも戦わないといけないからな」

エレン「アルミンにその覚悟があるなら何も言わない。…ただ勇気と無謀は意味が違うからな」

アルミン「…ありがとう。まだあと1日あるからじっくり考えてみる」

エレン「そうか…っ!」

パリン!

エレンは飲もうとした水が入ったコップを落とした。

クリスタ「エレン!?」

ユミル「どうした!?」

エレン「…大丈夫。ただ頭がすごく痛くて…」ズキ ズキ

アルミン「と、とにかく医務室に行こう!」

エレン「あぁ…」

ーーー

エレン『父さん…その注射は…なに…?』

グリシャ『…エレン』

グリシャ『本当はこんなもの使いたくないが…私はもう死ぬ」

グリシャ『だからお前にこれを使う!』

エレン『なに言ってるんだよ…やめろよ父さん!』

エレン『父さんは母さんが病気で死んで狂ったんだ!!』

グリシャ『エレン…この注射を打ったらお前は打たれたことを忘れるのと別の出来事に記憶がすり替わるだろう…』

グリシャ『打ち終えたら手紙の当て主の所に行け!!』

グリシャ『エレン!…腕を出しなさい』

ーーー

翌日

エレン「…ん」

クリスタ「エレン!」

アルミン「よかった…目が覚めて」

目覚めたエレンは周りを見渡す。

薬品の匂いがすることから医務室のベットだった。

ベットで寝てることから激しい頭痛に襲われた後気絶してしまったことを確認した。

クリスタ「どうしたの?ひどくうなされていたよ」

アルミン「なにか悪い夢でも見たの?」

エレン「…分からない」

エレン(何だったんだ。何故父さんが…)

ーーー

壁上

エレン「はぁ…!?調査兵団にするって?」

エレン「コニー…お前9番だろ!?前は憲兵団に入るって…」

コニー「憲兵団がいいに決まってるだろ…けどよ…」

トーマス「お前の昨日の演説が効いたんだよ」

エレン「演説ってほどじゃねぇよ。俺はあいつに自分の言いたいことを言っただけだ」

コニー「イ…イヤ!!俺は…アレだ…。ジャンと同じ兵団に入りたくねぇだけだ!」

エレン「…調査兵団に入る説明になってねぇよ」

コニー「うっ…うるせぇ!!自分で決めたんだよ!」

トーマス「そう照れるなよ。やるべきことは分かっていても踏ん切りがつかないこともあるさ」

トーマス「それにお前だけじゃ…」

サシャ「あのぅ皆さん…」

そうトーマスが言いかけようとしたときサシャが会話に入ってきた。

サシャ「上官の食料庫からお肉盗って来ました」

エレン「な…!?サシャ…お前独房にぶち込まれたいのか…?」

トーマス「お前…本当にバカなんだな」

コニー「バカって怖えぇ…」

サシャ「後で…皆さんで分けましょう。スライスしてパンに挟んで…」

コニー「戻してこい」

ミーナ「そーだよ。土地が減ってから肉なんてすごく貴重になったんだから」

サシャ「大丈夫ですよ。土地を奪還すればまた…牛も羊も増えますから」

トーマス「なるほどな。ウォール・マリアを奪還する前祝いに頂こうってわけか」

トーマス「食ったからには腹括るしか無いもんな!!」

エレン「トーマス…」

サムエル「…俺もその肉食う!!」

ミーナ「わ…私も食べるから取っといてよ!!」

サムエル「よし!皆作業に戻ろうぜ!戻んねぇとバレちまうからな!」

こうして全員が作業に戻る…はずだった。

空は晴天なのに稲妻が出た。

そしてそれは…現れた。

超大型巨人「…」

5年前にウォール・マリアを陥落させた50mで皮が全身剥がれている人体模型のような…超大型巨人が。

エレン「なっ…!?」

突然現れた超大型巨人に驚いたが…しかし本能的に危機を察した。

エレン「全員飛び降りろ!!」

エレンの一声により全員がその声に従った。

超大型巨人の風圧で飛ばされながらも全員立体感機動に移り壁にアンカーを立てた。

エレン(全員無事みたいだな…)

安心したのも束の間だった。

ドオオオオ

超大型巨人によりウォール・ローゼの壁は壊された。

トーマス「壁が壊された…」

コニー「まただ…また…巨人が入ってくる…」

エレン「…野郎」

エレンの脳裏にジャンとアルミンの言葉が過った。

エレン(シガンシナ…父さんと母さんと住んでた故郷)

エレン(あいつが俺の住んでた故郷を…)

エレン「固定砲整備4班!各員は
本部に事態を報告しに撤退しろ!」

コニー「無茶だ!!一人でやつと戦う気か!?」

サシャ「そんなことやめてください!」

エレン「お前らじゃ戦えねぇ!それに俺には奴に借りがある!」

ミーナ「で、でも!」

エレン「俺は死なない。俺は義姉さんを守るという約束がある!」

エレン「だから」

エレン「先に行け!!」

コニー「わ、分かった!」バシュ

サシャ「死なないでくださいよ!」バシュ

エレン(これは好機だ!) ダダダ

エレン(壁を壊せるのはこいつだけだ!!こいつを仕留めれば)バッ スタッ

エレン「…よう」

エレン「初めましてだな…」

エレン「お前か俺の故郷を陥落させたのは…」

超大型巨人「…」

超大型巨人は右腕でエレンに振りかぶってきた。

エレン(…来る!) バシュ

ズガガガガ!

攻撃を躱したエレンは超大型巨人の右腕にアンカーを突き立てた。

エレン(こいつ…固定砲を狙いやがった…!!)

エレン(それだけじゃない!開閉扉を狙ったのも偶然じゃなかった!!)

エレン(こいつ知性がー)グラッ

エレン「くっ!!」

超大型巨人の腕が揺れて走っていた足場がぐらつく。

エレン(しかし)ダン パシュ

エレン(壁を破壊出来るのはこいつだけ!) ヒュウウ

エレン(こいつさえ仕留めれば…!!)

エレン「鈍い!!」パシュ

エレンは超大型巨人のうなじにアンカーを突き立てた。

エレン「いける!!」

エレン(殺った!!)

超大型巨人「…」

ゴオオオ

うなじを削ごうとした瞬間超大型巨人から出た蒸気がエレンを襲う。

エレン「熱っ…!?」

エレン「行けぇぇぇ」ブン

エレン「…!?」

エレン(手応えが無い…!!外した…!?)

エレン(イヤ…違う)パシュ

エレンは超大型巨人が居た場所を見る。

エレン(消えた…)

エレン(…とにかく合流しに行くか)

ーーー

本部

クリスタ「エレン!」

本部に戻ってコニー達と合流した後クリスタがエレンに駆け寄った。

クリスタ「大丈夫?怪我はなかった?」

エレン「大丈夫だ。心配かけさせてごめんな」

ユミル「聞いたよ。あんた超大型巨人を撃退させたんだな」

エレン「…あれは撃退じゃない。奴は勝手に消えた」

エレン「とりあえず集合がかかってるから行こう」

エレン(次は絶対に殺ってやる)

ーーー

小鹿「それでは訓練通りに各班ごと通路に分かれ駐屯兵団の指揮の下補給支援・情報伝達・巨人の掃討等を行ってもらう」

小鹿「前衛部を駐屯兵団が中衛部を我々率いる訓練兵団が後衛部を駐屯兵団の精鋭部隊がやる」

小鹿「我々はタダメシのツケを払うべく住民の避難が完全に完了するまでこのウォール・ローゼを死守せねばならない」

小鹿「なお…承知しているであろうが敵前逃亡は死罪に値する。皆心して命を捧げよ」

小鹿「解散!!」

訓練兵一同「ハッ!!」

ジャン「なんで今日なんだ…!?明日から内地に行けたっつーのに!!」

ジャン(折角憲兵団の所属が決まったのに結局やつらに殺されるのかよ!)

ジャン(ちくしょう。死にたくねぇ…!!)

ダズ「うぅ…」ビチャビチャ

クリスタ「大丈夫!?」

エレン「しっかりしろ!ダズ!」サスサス

ジャン(くそ…俺もババアのように)

ミカサ「ジャン」

ミカサ「戦闘が混乱してきたら私のところに来て」

ジャン「は!?…何言ってんだ!?俺とお前は別々の班だろ!?」

ミカサ「混乱した状況下では筋書き通りにはいかない。私はあなたを守る!」

ジャン(そうだ…ミカサが守ってくれるじゃねぇか)

ジャン「あぁ…じゃあ危なくなったら行く」

ミカサ「…死なないで」

ジャン(クソ…それでもまだ震えが止まらねぇ…)

ジャンは思い出していた。

自分の母親が巨人に喰われる光景を。

シガンシナで住んでいた住民が巨人に喰われる5年前の地獄絵図を。

ジャン(もう駄目だ)

ジャン(俺もあの時みたいにー)

エレン「ジャン」

エレン「震えてるぞ。落ち着け」

ジャン「…落ち着けだ?」

ジャン「落ち着いていられるか!やっと巨人に喰われずに内地に行けるはずだったのにー」

ドゴッ!

ジャン「っ!なにしやがる!?」

エレン「ジャン、お前この3年間なんのために訓練してきたと思っていやがる」

エレン「憲兵団に所属するためでもあるが…巨人殺しの技術を習得するためだろ」

エレン「そういえば俺に対人格闘で勝つこと言っといて結局負けたな。しかも順位でもな」

エレン「お前立体機動以外で俺に負けてるな。俺に勝つのは嘘だったのか?」

エレン「訓練初日のように言ってやろうか?」

エレン「臆病者が」

ジャン「…テメェ!」

ドゴッ!

エレン「…」

ジャン「ふざけんじゃねぇ!俺を臆病者だ!?馬鹿にすんじゃねぇ!!」

ジャン「俺は訓練兵団で上位に6番で卒業したジャン・キルシュタインだぞ!!」

エレン「…そうだ。お前は6番で卒業したジャン・キルシュタインだ」

ジャン「お前…!?」

エレン「悪いな。わざとお前を馬鹿にするようなことを言った」

エレン「俺たちは必死に訓練して上位に入って卒業した訓練兵だ」

エレン「それを忘れるな」

そう言いエレンはクリスタのところに行った。

ジャン(あいつに目を覚まさせられるとはな…クソッ!)

ジャン「行くぞ!マルコ!ダズ!」

マルコ「あぁ、それより頬大丈夫なのか?」

ジャン「どうってことねぇよ!クソッ!」

クリスタ「エレン!どうしてあんなことしたの!?」

エレン「すまない義姉さん。あいつに活を入れさせたかったんだ」

クリスタ「だからって…!?」

エレン「大丈夫だ。それよりユミル」

ユミル「…なんだ?」

エレン「義姉さんを頼んだ」

ユミル「…あぁ、任せとけ」

エレン「義姉さん」

エレンはクリスタを抱きしめた。

エレン「…死なないでくれ」

クリスタ「…うん。エレンも死なないで」

エレン「大丈夫だ。俺は訓練兵団で首席で卒業したから簡単には死なない」

エレン「だから必ずあとでまた会おう」

クリスタ「うん…行ってらっしゃい」

エレン「行ってきます」

ーーー

ーーー

エレン(…いよいよか)

エレン「お前ら」

エレンはアルミン、トーマス、ナック、ミリウス、ミーナを含めた34班に向けた。

エレン「34班の班長として言いたいことがある」

エレン「俺等の学んできたことは実戦ではどこまで通じるか分からない。もしかしたら死ぬかもしれない」

エレン「だがな調査兵団に入団するやつはこの初陣で活躍しとけば俺達は新兵にして…スピード昇格間違いなしだ!!」

トーマス「あぁ…間違いない!!」

ミーナ「言っとくけど二人とも…今期の調査兵団志願者はいっぱいいるんだからね!!」

トーマス「さっきはエレンに遅れを取ったけど今回はまけないぜ!!」

トーマス「誰が巨人を多く狩れるか勝負だ!!」

エレン「言ったなトーマス!数をちょろまかすなよ!!」

駐屯兵「34班前進!!」

エレン「よし!行くぞ!!」

34班「おおおおお!!」

バシュ スタッ ダッ

エレン「あれは…!?」

エレン「俺達中衛まで前衛に駆り出されている!?」

ミーナ「巨人がもうあんなに…」

ナック「何やってんだ!普段威張り散らしている前衛の先輩方は…」

エレン「まだ殆ど時間が経ってないのに…」

トーマス「前衛部隊が総崩れじゃないか」

エレン(決して楽観視していたわけじゃなかったが…これはあまりにも)

エレン「奇行種だ!!」

34班「!!?」

エレン「避けろッッ!!」ヒュ

ドオ

エレン「全員無事か!?」

アルミン「い、いや」

アルミン「トーマスが…!!」

エレン「!!」

トーマス「うっ…!?うっ…!!」

エレンが見たのは奇行種の口に入った涙目になってるトーマスだった。

トーマス「うわぁ…クッ…クソ!!」

エレン「ト…トーマス!!」

ゴクン

無慈悲にもトーマスは奇行種の巨人に飲み込まれた。

ーーー
トーマス『お前の昨日の演説が効いたんだよ』

トーマス『食ったからには腹括るしか無いもんな!!』

トーマス『さっきはエレンに遅れを取ったけど今回はまけないぜ!!』

トーマス『誰が巨人を多く狩れるか勝負だ!!』

ーーー

エレン「…ッ!!」ギリッ

エレンはトーマスを喰った奇行種を追おうとした。しかし班長である自分が勝手に単騎行動を取ったらどうなるか。

班長としての責任が問われた。

アルミン(エレン…)

エレンは下唇を強く噛んだ。そのせいか血が出ていた。

エレン「…お前ら行くぞ!」

エレン「トーマスの死を無駄にするな!!」

エレン「俺等はあいつの代わりに巨人共を駆逐するぞ!!」

エレンは班長としてアルミン達を取った。

34班「お…おおおおお!!」

アルミン達は目の前の出来事に思考停止をしたがエレンの一声により再び思考を活動させた。

ーーー

「28班前進!」

ジャン「行くぞお前ら!エレンより多くの巨人を狩るぞ!」

28班「おおおおお!!」

マルコ「さっきと全然違うね」パシュ*

ジャン「勘違いするな。俺はあいつに馬鹿にされたことに腹立っただけだ」パシュ

マルコ「そうか。まあさっきエレンに言われなかったらあのまま怯えてた状態だったね」

ジャン「…マルコ!」

マルコ「それより目の前に10m級が来たぞ!」

ダズ「俺とマルコが囮になるからジャンはうなじを頼む!」

ジャン「あぁ、任せろ!」バシュ

ジャン「おらっ!」ブン

ジャン「よし!討伐数1!」

ダズ「や、やった!」

マルコ「この調子で討伐するぞ!」

ジャン「あぁ!」

ーーー

ブン

エレン「…討伐数6」

一方エレン達34班は苦戦を強いられていた。

最初は班での連携で討伐していたが奇行種が多くてナックとミリウスが喰われて残りはアルミンとミーナだけになった。

更に良くないことが起こった。立体機動装置のガスが少なくなってきたのにガスの補給部隊が来ないのだった。

エレン(クソ!ガスの補給部隊はまだか!)

エレン(俺はいい。アルミンとミーナが)

プス プス

エレン(…!?)

ガスが無くなった音がした。自分のではなかった。

エレン(…誰のだ?)

アルミン「ミーナ!?」

ミーナ「いやぁ!誰かぁ!」

エレンが見たのは怯えて動けなくなったアルミンとガスが無くなり目がつぶらな巨人に喰われそうなミーナだった。

ーーー

トーマス『うわぁ…クッ…クソ!!』

ナック『うわぁ!嫌だ!死にたくない!』

ミリウス『死にたくない!助けてくれぇ!』

ーーー

エレンの脳裏に浮かんだのは奇行種により喰われて死んだトーマスとナックとミリウスだった。

エレン「…調子に」パシュ

エレン「のるんじゃねぇ!!」

ザシュ

ミーナを喰おうとした巨人はエレンの斬撃により絶命した。

エレン「おい!しっかりしろ!?」

ミーナ「う…あ…エレン…怖かったよ!!」

九死に一生を得たミーナは泣きながら言った。

エレン「アルミンも無事みたいだな」

アルミン「ごめん…ミーナが喰われそうだったのに助けられなくて」

エレン「気にするな…どうやらそう言ってる場合じゃないみたいだな」

エレンは周りを見渡す。

エレン「囲まれたみたいだな…俺達は」

アルミン「そんな…」

エレン「見た感じ10m級以上なのばかりだな」

カン カン カン

エレン「…こんな時に撤退の鐘か」

エレン(こんなに囲まれてちゃ逃げ切れねぇ)

エレン「…アルミン、ミーナ。お前らは先に撤退しろ」

アルミン「エ、エレン!?」

ミーナ「なに言ってんの!?無茶よ!!あんな数の巨人を一人で戦うのは!!」

アルミン「僕達も戦うよ!!」

エレン「…なに言ってんだ。お前ら」

エレン「生まれたての子鹿みたいに震えているやつが戦えるわけねぇだろ」

アルミン「そ、そんなー」

ドガッ!

エレンはアルミンを気絶させるぐらいの強さで腹部を殴った。

アルミン「っ…」

エレン「班長命令だ。アルミンを連れて先に逃げろ」

ミーナ「い、嫌よ!!」

ミーナ「エレンを残して逃げるなんて絶対嫌だ!!」

エレン「ミーナ」

エレン「さっきお前調査兵団にするとか言ってたが辞めろ」

エレン「囲まれただけで震えているやつが調査兵団に所属したところで無意味に死ぬだけだ」

エレン「死に急ぐな。死に急ぐのは俺だけで十分だ」

10m級の巨人がミーナとアルミンに襲いかかる。

ザシュ

襲いかかろうとした巨人はエレンの斬撃により腕を切り落とされた。

エレン「分かったな…だからお前はアルミンを連れて生き延びろ!!」

エレン「あと、義姉さんに伝えておいてくれ。…心配しなくても必ず戻ってくると」

ミーナ「…あとで絶対に戻ってきなさいよ!!」バシュ

ミーナは泣きながらエレンを置いてアルミンと一緒に撤退することを決意した。

エレン「…待たせたな」

エレン「あいつらを喰うなら俺を喰ってから行け」

エレン(これ以上無粋に俺の物に触れる奴はどんなやつだろうと)

エレン(俺が駆逐してやる!!)

エレン(一匹残らず!!)

エレン「うおおおおお!!!」

>>126
エレン(これ以上無粋に入って俺の物に触れる奴はどんなやつだろうと)○

エレン(これ以上無粋に俺の物に触れる奴はどんなやつだろうと)×

乙です。修正前よりずっと面白い
しかし一つ疑問が。
ガス切れしたはずのミーナが立体起動を使えたのは何故?
いつの間に修正前のようにガス交換をしたのだろうか

>>129
描写忘れてました。修正前と同じエレンがナックの死体からガスを交換しています。

ーーー

ジャン「おらっ!」ザシュ

巨人への恐怖が無くなったジャンによる斬撃で28班は2人死亡しながらも巨人の討伐は順調だった。

ジャン「これで討伐数5だ!」

カン カン カン

ダズ「撤退の鐘だ!」

マルコ「巨人も掃討したから撤退しよう!」

ジャン「あぁ!」バシュ

ジャン(俺は今まで何で巨人に怖がってたんだ)

ジャン(俺は訓練兵団で必死になって6番になったじゃねぇか)

ジャン(あの時とは違う)

ジャン(もう何も怖くねぇ!!)

ーーー


エレン「…」ハァ ハァ

エレン(一体どれだけ討伐したんだろうな) ハァ ハァ

エレン(30体は討伐したかもしれねぇ) ハァ ハァ

アルミンとミーナを逃がすために一人で残ったエレンは奮闘して囲っていた巨人を掃討した。

エレン「…汚ねぇ」

返り血で濡れた顔を拭い呟く。

巨人を掃討したエレンの全身は返り血で濡れていた。

エレン(ガスの残りも少なく、ブレードの刃も今付けているなまくらだけか)

エレン(補給斑が来ない以上自分から行くしかねぇな)

エレン(…最悪ガスが切れたらさっきみたいに死体から現地調達して合流するか)バシュ

巨人との戦闘で疲れながらも思考を巡らせて住宅を飛び越える。

そのせいなのだろうか。集中力を切らしていたエレンは気づかなかった。

エレン「!?」

ガブッ!

自分を喰おうとする巨人の存在に。

エレン「なっ…!?」

ドサドサ! ズサアアア

飛び越えようとしたときに巨人が飛んでエレンの左足を喰った。

左足を喰われたエレンは住宅を飛び越えたが転がりながら屋根の上に顔を擦らせながら転がった。

エレン「クソ…がっ…!」

左足を喰われた痛みと顔を擦ったことにより苦痛に歪めながらも屋根の上を匍匐前進で移動した。

しかしこれだけで済まなかった。

エレン「…まだ来るのか」

左足もなく超硬質ブレードの刃もなまくらで戦闘不可能な状態でも巨人は現れた。

エレン「おらぁ!」

エレンを喰おうと掴もうとした巨人の目に目掛けて刃を投げた。

目に刺さったことにより目を抑えながら悲鳴をあげた。

エレン「今のうちに…」 ハァ*
ハァ

エレン(クソッ…体がろくに動かねぇ)

エレン(あと少し動かなきゃいけねぇのに)

動こうとしても動くことは出来なかった。

エレンの体力は限界を迎えていた。

エレン(…諦めてたまるかよ!こんなところで)

必死に動かそうとしても現実は非情だった。

エレンは視力が回復した巨人により掴まれた。

エレン(…ここまでか)

エレン(ヒストリア)

エレン(約束守れなくて)

エレン(ごめん)

巨人が口を開けた。

エレン(いい人生だった)

バクッ!

ゴクン

ーーー

アルミン「ん…」

ミーナ「良かった!目が覚めたみたいね!」

一方時は遡りミーナはアルミンと一緒に撤退することが出来た。

しかしガス切れで壁を登ることが出来ず訓練兵達が集まっている住宅の屋根に避難した。

起き上がったアルミンはミーナの肩を掴んだ。

アルミン「エレンは!?エレンはどうしたの!?」

ミーナ「…エレンは…私達を逃がすために一人で巨人と戦った」

アルミン「!?」

ザワザワ ガヤガヤ

ジャン「あいつ…!?」

サシャ「そんな…」

ミーナ「ごめん…私エレンを身代わりにして逃げることしか出来なかった…!!」

アルミン「助けに行かないと!」

ミーナ「アルミン!!」

ミーナ「私達が行っても…何の役にもたたないよ…」

クリスタ「アルミン!」バシュ スタッ

周りが騒然としている中41斑のクリスタとユミルが現れた。

クリスタ「良かった…無事だったんだね…」

そこでクリスタは気づいた。

34斑のメンバーにエレンが居ないことに。

クリスタ「エレンは?」

周りは静寂に包まれた。

それを破るようにアルミンは口を開いた。

アルミン「エレンは…」

アルミン「僕とミーナを逃がすために一人で多数の巨人と…戦っている」

アルミン「ごめん」

アルミン「エレンを身代わりにして逃げて来て…」

ミーナ「逃げる前にクリスタに「心配しなくても必ず戻ってくる」ことを伝えてくれ、て言われて…」

誰も声を発しなかった。

アルミンとミーナのすすり泣く声だけが響いていた。

クリスタ「…」

クリスタ「…大丈夫」

クリスタ「エレンは絶対私のところに戻って来る」

アルミン「なに言ってるの…?クリスタ」

ミーナ「どこにそんな根拠があるのよ…!?」

クリスタ「エレンは死なない。必ず私を守るために帰ってくる」

クリスタ「そう約束したから」

アルミン「クリスタ…」

クリスタ「だから…アルミン達はエレンの頑張りを…無駄にしないで…」

最後の方は涙目になりながら言った。

心配しなくても必ず戻ってくる、分かっていても動揺は隠しきれなかった。

ミカサ「アルミン」

今まで黙っていたミカサが言葉を発した。

ミカサ「落ち着いて。今は感傷的になってる場合じゃない」

ミカサ「みんな」

ミカサはガス切れを起こして死ぬかもしれない絶望感を感じている訓練兵一同に向く。

ミカサ「私が先陣を切る」

ザワザワ ガヤガヤ

再び訓練兵一同が騒然とした。

「いきなりなにを言い出すんだ!?」

「あんなに本部に群がっているのにどうやって補給しに行くの!?」

「出来るわけねーだろ!!」

ミカサ「出来る」

「え……!?」

ミカサ「私は…強い…あなた達より強い…すごく強い!」

ミカサ「…ので私は…あそこの巨人共を蹴散らせることが出来る…例えば…一人でも」

ミカサ「あなた達は…腕が立たないばかりか…臆病で腰抜けだ…。とても…残念だ」

ミカサ「ここで…指をくわえたりしてればいい…くわえて見てろ」

「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!!」

「エレンだって1人でアルミン達を逃がすために多数の巨人と戦ってるんだぞ!!」

「戦って死んだかもしれないんだぞ!!それでもあの数の巨人を一人で相手する気か?そんなこと出来るわけが…」

ミカサ「…エレンは死なない。必ず生きてクリスタを守るために戻ってくる」

ミカサ「簡単に死なない人だと私は知ってるから」

ミカサ「私は今この場で出来ることをやる」

ミカサ「出来なければ死ぬだけ。でも勝てば生きる…」

ミカサ「戦わなければ勝てない」ダッ

「お、おい!?」

ジャン(残念なのはお前の言語力だ。あれで発破かけたつもりでいやがる…)

「あいつなに言ってんだよ」

「どうせ俺らは喰われてお終いなんだよ」

「潔く死ぬか…」

ジャン「…」

ジャンは前に出た。

「おい、ジャンお前も行くのか?」

「あの死に急ぎ女と一緒にガスの補給をしに行くのか?」

ジャン「…あぁ?」

ジャン「ギャーギャーギャーギャー…やかましいんだよ」

ジャン「発情期か。テメェら」

「なんだと…!?」

ジャンの発言にキレて訓練兵の男が殴りかかったが逆に殴り返された。

ジャン「お前ら分かってるのか?」

ジャン「俺等の兵力では本部に群がっている巨人をどうにかしてガスの補給を出来るか分からねぇ」

ジャン「そんなの百も承知だ 」

ジャン「だがなこのまま逃げてもいつ集まるか分からない巨人に喰われて死ぬだけだ」

「お前は…怖くないのかよ!?」

「首席のエレンだって死んだかもしれないんだぞ!?」

クリスタ「いい加減にして!!」

クリスタ「あなた達にエレンの何が分かるの…?臆病で腰抜けのあなた達よりも…エレンは強い!!」

クリスタ「そんなやつらがエレンを語らないで!!」

ジャン「クリスタ。落ち着け」

ジャン「…分かったな。あいつは絶対生きて帰ってくる」

ジャン「死んだら俺があいつを許さねぇ」

ジャン「それとな勘違いするんじゃねぇ。俺は死に急ぐために行くわけじゃない」

ジャン「このまま巨人に怯えていたらな…自分が自分じゃなくなるんだよ」

ジャン「あとな…俺達は仲間に一人で戦わせろと学んだか!?」

ジャン「お前ら!!本当に腰抜けになっちまうぞ!!」

ライナー「そいつは心外だな…」

アニ「……」

マルコ「…はぁ」

ライナー達がジャンに続けて向かう。

「あいつら…」

「ちくしょう…やってやるよ…」

「最後まで足掻いてやるよ…」

短いですがここまでにします。

お休みなさい。

忘れてました。

今のところ表現や描写におかしいところは無いでしょうか?

あったらお願いします。

>>161
ジャン「このまま巨人に怯えていたらな…自分が自分じゃなくなるんだよ」×

ジャン「このまま巨人に怯えて動かなかったらな…自分が自分じゃなくなるんだよ」○

脱字してました。出来たら夜頃投稿します。

感想ありがとうございました。

ジャンに発破をかけられたことにより訓練兵達は吹っ切れた。

クリスタ「アルミン、ミーナ」

クリスタは啜り泣き座っていたアルミン達の所に向かった。

クリスタ「立って。私達がいつまでも動かなかったらエレンに会わせる顔がないよ」

そう言いアルミン達を立たせた。

アルミン「…クリスタ」

アルミン「僕はもう迷わない」

アルミン「エレンに助けてもらった命を無駄にしないで」

アルミン「生き延びる!!」

ミーナ「私も…エレンの言葉を信じて生き延びるために戦う!!」

クリスタ「…それでいいんだよ」

クリスタ「行こうユミル。早くしないと遅れちゃう」バシュ

ユミル「あぁ」

クリスタ自身分かっていた。

自分の家族が唯一の血の繋がってない義弟が死ぬかもしれないことが。

唯一の家族を失うかもしれない恐怖に屈して泣き叫びたかった。

しかしそれは出来なかった。

エレンが生きて帰ってくることを信じているミカサとジャンがいたから。

例え血が繋がっていない義姉でも義弟が帰ってくるのを信じて戦い生き延びる覚悟を決めたから。

生き延びるために戦う覚悟を決めたクリスタはかつて内に秘めていた人類の役に立つために死ぬという考え方はしなかった。

ただ、義弟に会えることを信じて生き延び戦うことだけだった。

クリスタ(エレン。私はあなたが生きて帰ってくることを信じてる)

クリスタ(私もエレンと会えるように生き延びて戦う)

クリスタ(だから)

クリスタ(死なないで)

ーーー

???

エレン「ん…」

エレン(何で俺は生きてるんだ…?)

エレンは眼が覚めた。

エレン(あの時力が尽きて喰われたはずだ)

エレン(ここは何処なんだ…?)

エレン「!?」

周りを見回して絶句した。

死体。人間の死体が沢山浮かんでいた。

そして確信した。

自分は喰われて巨人の胃の中にいることを。

「お母さん…熱い…熱いよ…」

声が聞こえた。自分と同じ喰われても生きてる者だった。

エレン(…俺もこのまま時間が経って死ぬだけか)

絶望したり声をあげたりしなかった。

班のメンバーのアルミン達を逃がすために奮闘して巨人を掃討するという班長としての役割を果たしたから。

エレン(義姉さんは俺が居なくても元気にやれるしユミルがいるから大丈夫だよな)

エレンは無意味に思いながら腕を上に上げた。

エレン(ん?)

エレンは上げた手を見て気づいた。

指輪だった。クリスタと出会った日を祝うために買った指輪だった。

その瞬間エレンの脳裏にはクリスタとアルミン達と過ごした記憶がフラッシュバックした。

ーーー

ヒストリア『私はヒストリア・レイス。こちらもよろしく!』

ヒストリア『いいから。もうエレンは私の家族で義弟だから』

ヒストリア『辛かったら泣いて甘えていいんだよ。私は血が繋がってない赤の他人でも義姉でもエレンの家族だから』

クリスタ『えへへ…ごめんね、エレン。汚い私からはこんなことしか出来ないの』

クリスタ『エレン、成績1番おめでとう』

クリスタ『エレンが私に教えてくれたおかげだよ』

クリスタ『…うん。エレンも死なないで』

ーーー

ーーー

アルミン『僕はアルミン・アルレルト。よろしく』

アルミン『エレン、合格おめでとう!僕は信じてたよ』

アルミン『うん。僕はエレンの友達だよ』

アルミン『あのね…エレン…。僕ジャンと…仲直り出来たよ…』

アルミン『僕達も戦うよ!!』

ーーー

ーーー

ユミル『私はユミルだ。よろしく』

ユミル『あんたみたいなやつじゃ兵士に向いてないな』

ユミル『あんたは頑張った。次頑張ればいい』

ユミル『抱えていることがあったら私にも背負わせろ。あんたと同じクリスタを守るやつでも…あんたはクリスタの義弟だからな』

ーーー

ーーー

ジャン『俺は逆に教えてほしいね。あんな無様な姿晒しておいて正気を保っていられる秘訣とかをよぉ…』

ジャン『…言いすぎた。俺もお前と立体機動装置の扱いと馬術の訓練で共にやってて関わるようになってた』

ジャン『それでお前がクリスタを守るために必死に努力してるのを知った』

ジャン『…悪かったな。6番になれた興奮で無神経なことを言いすぎた』

ジャン『ふざけんじゃねぇ!俺を臆病者だ!?馬鹿にすんじゃねぇ!!』

ジャン『俺は訓練兵団で上位に6番で卒業したジャン・キルシュタインだぞ!!』

ーーー

ーーー

ミカサ『…あなたがジャンに何かを言うのは勝手。だが次手を出したら私が許さない』

ミカサ『ごめんなさい…私はあなたのことを誤解してた』

ミカサ『アルミンと友達になってくれて…ありがとう」

ミカサ『あなたはジャンにとってとても良い影響を与えてくれてる。…これからもジャンの競争相手としてよろしく』

ーーー

ーーー

ミーナ『言っとくけど二人とも…今期の調査兵団志願者はいっぱいいるんだからね!!』

ミーナ『エレンを残して逃げるなんて絶対嫌だ!!』

ミーナ『…あとで絶対に戻ってきなさいよ!!』

ーーー

ーーー

???『戦え!!戦うんだよ!!』

???『勝てなきゃ…死ぬ…勝てば生きる…戦わなければ勝てない…』

ーーー

ーーー

『我儘を言うかもしれないが許してくれ。ヒストリアは妾の子だ。それでも私の娘だ』

『ヒストリアに昨日のことを謝っていたことを伝えてくれ。…そしてあの娘を守ってくれ』

ーーー

今…生きてることが奇跡のように感じた。

…その瞬間体に力が湧いた気がした。

エレン(そうだ…俺はヒストリアと約束したんだ)

エレン(どんな苦難があろうが身が尽きるまで守ると)

エレン「…諦めてたまるかよ」

エレン「こんなところで!!」

エレン「駆逐してやる!!」

エレン「ヒストリアとアルミン達に危害を加えるやつを…一匹残らず駆逐して…」

エレン「俺が守るんだ!!」

ゴオッ

巨人の口から大きな腕が出た。

ドシャ バキバキ

???「…」

その時巨人の腹から15m級の巨人が現れた。

???「アアアアアアア!!!」

バキバキ

15m級の巨人は巨人の弱点を理解してるかのようにうなじを踏みつけ止めを刺した。

巨人「…」

そして5m級の巨人が15m級の巨人に襲いかかる。

ゴオッ

一瞬だった。5m級の巨人は15m級の巨人に口を貫通するように殴られ止めを刺さされた。

???「待ッテロ」

エレン「今助けに行く」

今日はここまでにします。

お休みなさい。

ここからが峠か…。

???「待ッテロ」

エレン「今助けに行く」

ここ無しでお願いします。

ーーー

エレン(何だよ…これ…)

エレン(訳が分からねぇ…)

エレン(何で俺が巨人になっているんだ)

エレン(だが自分の思い通りに体を動かせて再生もするみたいだな)

巨人を殺した時に損傷した腕が再生されていく腕を見る。

エレン(まるで本物の巨人だな)

自虐しながら思った。

エレン(だが…これでヒストリアとアルミン達を守れるなら…)

エレン(…待ってろ)

エレン(今助けに行く)

エレンは再び動き出した。

自分の仲間と家族を守るために。

ーーー

ザシュ

ミカサの斬撃により13m級の巨人が討伐される。

ジャン「急げ!ミカサに続け!」

最低限のガスを消費しながら立体機動装置を使いながら進む。

ジャン「とにかく短期決戦だ!!」

ジャン「俺達のガスが無くなる前に本部に突っ込むぞ!!」

ミカサ、ジャン、クリスタの斬撃により最低限の巨人を屠られたことにより今のところ死傷者は誰も出なかった。

コニー「しかし…ミカサとジャンもすげぇが…クリスタはどうやったらあんなに早く動けるんだ…」

ユミル「…あいつ」

ユミルは気づいていた。

さっきアルミンとミーナに冷静でいた様子でも動揺していることを。

クリスタ「…」

ザシュ

すれ違い様の斬撃でまた一体クリスタの手により討伐された。

ジャン「…!」

ジャン「あいつ…!」

ザシュ

クリスタの斬撃により討伐されたはずの巨人が立ち上がるのを気づいたジャンがうなじを切り取り再生を阻止する。

ジャン「落ち着け!クリスタ!殺し損ねてるぞ!!」

クリスタ「……!!」

動揺が殺し切れなかった。立体機動は小柄な体型を利用しながら立体機動が出来るが戦闘がまともに出来なかった。

ジャン「クリスタ」

ジャン「動揺しながら戦闘なんて出来るわけがねぇ。お前はただ進むことを考えろ」

クリスタ「動揺なんか…」

ジャン「してない、なんて言わせねぇぞ」

短いですがここまでにします。

会話シーンが浮かばなくてきつい…。

>>216
屠られたことにより ×
屠られ ○

>>219
立体機動は小柄な体型を利用しながら立体機動が出来る ×

立体機動は小柄な体型を利用しながら出来る ○

集中して投稿してきます。

ジャン「今のだって俺がフォローしなければあの巨人は復活して死人を出すかもしれなかった」

ジャン「お前…そんな奴が前方で巨人を討伐出来ると思うか?」

ジャン「エレンの生死で動揺して集中出来ないなら後方に下がれ。迷惑だ」

クリスタ「…ジャンに何が分かるの!」

クリスタ「エレンが…私の家族が死んだかもしれないんだよ!?」

クリスタ「本当はそのことを知った時点で助けに行きたかった!」

クリスタ「それでもガスがないから早く補給してエレンを助けに行きたいの!」

クリスタ「だから私が…」

ジャン「いい加減にしろ!」

ジャン「お前あいつの家族で義姉なんだろ?」

ジャン「その家族のお前があいつを信じてられなくてどうするんだよ!」

クリスタ「信じてるよ!」

クリスタ「それでも怖いの…エレンが私の前にいなくなるのが…」

ジャン「…俺だってあいつが死んだかもしれねぇと思ってるよ」

ジャン「家族を失っているかもしれない恐怖は俺でも分かる」

ジャン「だがな、それでも戦わなきゃいけないんだよ!」

ジャン「あいつは死なねぇ。そう簡単に死ぬような奴じゃねぇ」

ジャン「もし死んだら俺があいつを許さねぇ。死んでいたらその死顔が目覚めるまで殴ってやる」

ジャン「俺はあいつを超えなきゃいけねぇ…壁だと思っているからな」

クリスタ「ジャン…」

ジャン「だから…お前はあいつが生きていることを信じてガス補給に集中しろ」

ジャン「それが今お前がやることだ」

そう言い終えた時だった。

プス プス

ジャン「!?」

自分の隣でガスが切れる音がした。

その音と同時にクリスタは落下した。

ジャン・アルミン・ユミル「「「クリスタ!!」」」

ジャン(クソ!助けに行きてぇが俺が抜けたら…)

アルミン「ジャン!僕とユミルが助けに行くからそのまま進んでくれ!!」

ジャン(何言ってんだ!だが…)

ジャン「…頼んだぞ!」

ミーナ「アルミン!私も行く!」

アルミン「駄目だ!僕とユミルが助けに行くからミーナはガスの補給に集中してくれ!」

ーーー

クリスタ「…」ハァッ ハァッ

クリスタ(ガスが無くなるまで気付かないなんて…)

クリスタ(落下した場所が屋台のテントだったから助かったけど…もう戦えない) ストン

ガスの残量とブレードの刃も無し。

戦闘とエレンを助けに行くのは不可能な状態になった。

クリスタ「ごめんね…エレン」

クリスタ「約束…破ることになって」

クリスタ「妾の子で邪魔な存在な私でも…人の役に立てたかな…?」


ズシン ズシン

腹を太らせている巨人がニタニタ笑いながらやって来た。

クリスタ「私…死ぬんだなぁ…」

クリスタ「でも、これで…良かったよね…」

クリスタ(あはは…何で昔のことを思い出しているんだろう)

クリスタ(もう…死ぬのに…)

クリスタの頭に走馬灯が走った。

邸でエレンと過ごした思い出、訓練兵で必死にエレン達と過ごした思い出が駆け巡った。

ズシン ズシン

巨人が近づく音が聞こえた。そしてクリスタの前に立った。

クリスタ「嫌だ…死にたくないよ…」

クリスタ「助けて…エレン…」

泣きながら無意識に呟いた。

昼食を食べるので一旦抜けます。

>>234
クリスタ「約束…破ることになって」

クリスタ「情けない義姉で…ごめんなさい…」

抜けてました。

忘れてました。

ここまででおかしいところないでしょうか?心配なのでおねがいします。

ドオ!

クリスタ「…え?」

巨人に掴まれそうになった時だった。

後ろから来た15m級の巨人により顔を殴り飛ばされた。

クリスタ(一体…何が…)

エレン「アアアアア!!」

ドオッ

15m級の巨人はクリスタを喰おうとした巨人をただひたすらうなじを踏みつけた。

クリスタ(私を…助けてくれたの?)

クリスタはただひたすら困惑した。

巨人が巨人を襲うなんて聞いたことがなかった。

何故かは分からなかった。

しかしクリスタは微かに高揚した。

その光景は人類の怒りが体現されたように見えたから…。

エレン「アアアアアアアアアア!!!」

クリスタ「…」

ユミル「クリスタ!!」

バシュ

ドサッ

クリスタ「うっ!!」

助けに来たアルミンとユミルにより住宅の屋根に上げられた。

アルミン「クリスタ!!ガス切らして落っこちたろ!?ケガはない!?」

クリスタ「…私は大丈夫」

ユミル「良かった…お前が死んだら私は…」

バシュ

ストッ

ライナー「おい!!とにかく移動するぞ!!」

ライナー「まずいぞ!!15m級が2体だ!!」

クリスタ「イヤ…あの巨人は私を…」

アルミン「!!」

エレン「アアアアアア!!」

巨人(15m)「オオオオオ!!」

15m級の巨人が互いに対面した。

エレン「…」スッ

巨人「オオオオオ!!」

ヒュ

ドゴッ

襲いかかった巨人は首を殴り飛ばされた。

「「「「「ッー!??」」」」

ライナー「伏せろ!!」

殴り飛ばされた巨人の首が自分達の方に来たことに気付いたライナーは声をあげた。

ドオォォォ

伏せて避けたことにより巨人の首はそのまま建物にぶつかった。

巨人「…」

ドスッ

首が無くて倒れるも再生して立ち上がろうとしたがうなじを踏みつけられて止めを刺さされた。

アルミン「止めを…刺した!?弱点を理解して殺したのか…!?」

ユミル「…」

ライナー(巨人が巨人を殺すなど普通ならありえない)

ライナー(もしかしたらあいつは…)

ライナー(イヤ…今はそれを考えてる場合じゃないな)

ライナーとユミルは自分達と同じことが出来ることを考えたがやめた。

ライナー「とにかく移動するぞ。あいつがこっちに来る前に」

アルミン「イヤ…僕達に無反応だ…。とっくに襲って来てもおかしくないのに…」

クリスタ「格闘術の概念があるようにも感じた。あれは一体…」

ユミル「…奇行種って言うしかないだろ。分からないことが多いんだからよ…」

ユミル(あいつと顔が似ているような気がした)

ユミル(まさかな…)

ライナー「とにかく本部に急ぐぞ。皆が戦っているからな」

アルミン「待ってくれ!クリスタのガスがからっぽなんだ!!」

ライナー「…ガスが無い…!?」

アルミン「だから…僕のもあまり入ってないけど急いでガスを交換するんだ!!」

クリスタ「アルミン!!やめて!!そんなことしたらアルミンが…」

アルミン「…僕はエレンに助けられたから今もこうして生き延びられてる。それが無駄になるかもしれない」

アルミン「だけど…クリスタが死んだら意味がないんだよ!!」

アルミン「クリスタが死んだら…エレンに会わす顔が無くなっちゃうんだよ…」

クリスタ「アルミン…」

アルミン「だから…今度は大事に使ってくれよ」

アルミン「死に急ぐためにじゃなくて…生き延びるために使ってくれ」

クリスタ「…ごめんなさい」

アルミン「よし!!機動装置はまだ行けるぞ!!刃も全部足した」

アルミンはクリスタの折れた刃を手にする。

アルミン「ただ…これだけはここに置いていってくれ…」

アルミン「やっぱり…生きたまま喰われることだけは避けたいんだ」

クリスタ「…アルミン」

クリスタはアルミンが持っていた折れた刃を投げ捨てた。

アルミン「え…!?」

クリスタ「アルミンをここに置いていったりしない」

クリスタ「アルミンはエレンが初めて出来た友達。だから死なせたりしない」

アルミン「クリスタ…」

アルミン「でも、どうするの?巨人が大勢いるところを人一人抱えて飛び回るなんて…」

ユミル「アルミン」

ユミルがアルミンの手を掴んだ。

ユミル「あんたをこんなところに残していくわけないだろ」

ユミル「行くぞ。私がアルミンを抱える。ライナーとクリスタが援護だ」

ユミル「それでいいな?」

クリスタ「大丈夫だよ」

ライナー「大丈夫だ。俺が付近の巨人を近づかせないように殺す」

アルミン(ダメだ。よしてくれ…このままじゃ僕はまた友達を死なせるようなことをしてしまう)

アアアアアアア…

エレンの咆吼が辺りに響き渡る。

アルミンは奇行種がいる方向に目を向ける。

そしてある方法を思いついた。

アルミン「ま、待ってくれ!!」

アルミン「き…聞いてくれ!!提案があるんだ!!」

ライナー「提案だと?」

アルミン「……」

アルミン「やるのは三人だ…だから…三人が決めてくれ…」

アルミン「無茶だと思うけど…」

ーーー

ここまでにします。

間違えました。今日投稿する分はここまでにします。

ミカサ「…」

ジャン「ダメだ…」

ジャン(本部に近づけねぇ…犠牲を覚悟しない限りは…)

ミカサ「どうする?ジャン」

ジャン「どうするって言ったて…」

ジャン(クソ!本部はもう目と鼻の先だというのに)

「うあああああああ」

ジャン「!?」

悲鳴が聞こえた先を見たら住宅の下に訓練兵が居た。

その訓練兵はガス切れを起こしていた。

ジャン(まずい!!あいつガス切れだ!!)

ズシン ズシン

ガス切れを起こした訓練兵が居ることに気づいた巨人達はその訓練兵を喰うために群がった。

「うああああ!!嫌だ!誰かぁ!助けてくれぇ!」

「トム!!今助けるぞ!!」

ジャン「よせ!!もう無理だ!!」

「やめろぉおおお」

ガッ

仲間を助けるために立ち向かった訓練兵は糸も簡単に掴まれた。

ガブリ

ムシャムシャ

辺りに咀嚼音が響き渡る。

ジャン「…ッ!!」

ジャン「ミカサ行くぞ」

ミカサ「…えぇ」

ジャン「お前ら、今だッ!!!」

ジャン「巨人が少しでもあそこに集中している隙に本部に突っ込め!!」

ジャンは覚悟を決めた。

仲間の屍を踏み越えて進む道を。

ジャン「今しかない…」

ジャン「どのみち…ガスが無くなれば終わりだ。全員で突っ込め!!」

訓練兵全員覚悟して本部に突っ込んだ。

ガシッ

ミカサ「ジャン!!」

ジャン「ふっ!!」

ズバッ

足を掴まれたが指を斬って脱出した。

ジャン「うおおおおおおお」

目の前に本部の窓が見えた。

ガシャ!!

ズザザザザ ドオッ

ジャン「うッ!!」

ガシャ!! ガシャ!!

ミーナ「キャッ!!」

生き残った訓練兵達はジャンと同じように窓に突っ込んで来た。

ジャン「何人…辿り着いた…?」

ジャン「仲間の死を利用して…俺の合図で何人…死んだ?」

ジャンはほんの数秒前の出来事を思い出した。

仲間を助けようとしたが無慈悲に捕まり喰われた訓練兵。また本部に辿り着かず捕まり喰われた訓練兵の断末魔を。

そしてエレンに発破をかけられる前に思い出していたシガンシナで起きた出来事を。

ジャン「…」

ジャンは震えた。ただひたすら震えた。

ミカサ「ジャン!!」

ガシッ

ミカサ「落ち着いて。あなたのおかげで生き残った訓練兵は本部まで来れた」

ミカサ「彼らは死ぬ覚悟を決めてジャンに従って死んでいった。ので自分を責めないで」

ジャン「…そうだな」

ミカサに掴まれ震えていた手は収まった。

ジャン「すまねぇ。情けないところを見させてしまって」

落ち着いた時だった。

「…」

机の下に隠れている訓練兵に気づいた。

ジャン「お…お前ら…」

ジャン「補給の班…だよな…?」

「…あぁ」

ジャン「テメェ…!」

ジャンは怒りに任せて補給班の訓練兵の胸ぐらを掴んで殴ろうとした。

パシッ

ミカサにより殴ろうとした手は止められた。

ジャン「ミカサ…!?何で止めるんだ!?」

ミカサ「ジャン。今はこんな奴らを殴ってる場合じゃない」

ミカサ「今はガスの補給を優先するべき」

ジャン「…分かったよ」

ジャンは殴れなかった代わりに机に突き飛ばした。

ジャン「おい」

自分達を見捨て余計に死人が出たことに苛立ちながらももう一人の補給班に話し掛けた。

ジャン「今補給所はどうなっていやがる?」

「3mから4m級の巨人が入って来てる」

泣いて震えながら答えた。

ジャン「そうかよ」

ベルトルト「!?」

ベルトルト「みんな!伏せろ!!」

ドオオオ

「うわああああ」

巨人が頭で壁を壊し大きな穴を開けて覗いてきた。

それにより一部の訓練兵が吹き飛ばされた。

ジャン「ーーーッ!?」

ジャン(しまった…人が集中しすぎた…)

「早く中に逃げるぞ!!」

「よせ!!一斉には出れない!!」

巨人の襲撃により逃げ惑う訓練兵。そんな中ジャンはただ立ち尽くしていた。

ジャン(普通だ…これが現実ってもんだろうな…)

ジャン(俺は夢か幻でも見ようとしたのか?)

ジャン(何がもう何も怖くないだ)

ジャン(俺は実際に経験して知っていたはずだ。現実ってヤツを)

ジャン(普通に考えれば分かるはずだこんなでけぇヤツには勝てねぇってことぐらい…)

絶望しかけた時だった。

ゴッ

ジャン「!?」

ドオオオ

エレン「アアアアアアアアア」

覗いていた二体の巨人は突然出てきた巨人に一緒に殴り飛ばされた。

ジャン「は…!?」

ミカサ「なに…あれ…?」

ガシャン

ジャン「!?」

ジャン「クリスタ!??」

ベルトルト、アニ「ライナー!!」」

クリスタとライナーが窓に突っ込み隣の窓からアルミンを抱えたユミルが突っ込んできた。

ユミル「危ねぇ…もう空だ…」

ユミル(なんとかギリギリ着いたな)

ジャン「無事だったのか!!」

ベルトルト「良かったよ。君が無事で」

ライナー「当たり前だ。クリスタの危機に駆けつけないわけないだろ」

ユミル「とにかく…やったなアルミン!!」

ユミル「あんたの作戦は成功だ!!」

ユミルはアルミンの頭を撫でた。

アルミン「う、うん」

ユミル「みんな!!あの巨人は巨人を殺しまくる奇行種だ!!」

ユミル「しかも私達には興味がない!!」

ユミル「あいつの周りの巨人を私とクリスタとライナーで排除して補給所に群がる巨人の元まで誘導してきた!!」

ユミル「あいつを上手いこと利用出来れば私達はここから脱出出来る!!」

ミカサ「…!?」

ジャン「巨人を利用する!?」

ジャン「ふざけるなよ…巨人に助けてもらうだと……?そんな夢みてぇな話が…」

クリスタ「夢なんかじゃない…!!」

クリスタ「あの巨人は私が喰われそうなところを助けてくれた」

クリスタ「奇行種でも何でも構わない。ここであの巨人により長く暴れてもらう…」

クリスタ「それが現実的に私達が生き残るための最善策」

ーーー

抜けてました。

エレン「アアアアアアアアア!!」

エレン(憎くて仕方なかった。義姉さんを喰おうとした巨人が)

エレン(だが助けることは出来た)

エレンは穴が空いた本部に一瞬だけ振り向いた。

エレン(あとは俺が義姉さん達のガス補給が終わるまで辺りの巨人を…駆逐するだけだ!!)

エレン(一匹残らず!!)

エレン「アアアアアアアアア!!」

ーーー

今日はここまでにします。

感想ありがとうございました。

キャラね動かし方や台詞回しが難しくなってきましたが最後まで頑張ります。

奇行種の巨人により助かった訓練兵達はガス補給のためリフトがある階段の前に避難した。

ライナー「お前ら安心しろ。大丈夫だ」

ライナー「あの巨人は並の巨人より強い。あいつが派手に暴れている内はこの建物も潰されない」

ベルトルト「君達はあの巨人についてどこまで知っているんだ?」

ユミル「…助かってからでいいだろ。そんなこと」

ベルトルト「…そうだね。まずは助かることからが大事だね」

バタン

ジャン「あったぞ!憲兵団管轄の品だ。埃をかぶっていやがるが…」

ガス補給をするために付近にいる巨人を討伐するための作戦のために散弾銃を取りに戻ってきた。

アルミン「ありがとう、ジャン」

アルミン「みんな、ガス補給をするための作戦を説明するね」

ーーー

アルミン「ーという作戦なんだ」

アルミン「運動能力的に最も成功率が高そうな7人にやってもらうけど…全員の命を背負わせてしまって……その…ごめん」

ライナー「問題無いね」

アニ「誰がやっても失敗すれば全員死ぬ。リスクは同じだ…」

サシャ「……」

クリスタ「サシャ…?」

クリスタ「どうしたの?そんなに震えて」

サシャ「アルミン…」

サシャ「私は仕留める役ではなくていいですか…?」

アルミン「サシャ…?」

サシャ「私…本部に着く前に巨人に捕まったんですよ」

サシャ「ですが喰われる寸前に仲間に助けられたんですよ」

サシャ「その人は私の代わりに巨人に…」

サシャは知ってしまった。巨人がどうやって人間を食べるかという方法と

狩人と獲物の立場が逆転して自分が獲物として喰われそうになったことを。

そして巨人に屈服してしまった。

サシャ「だから…もう…」

クリスタ「サシャ」

クリスタ「私が代わりにやるから安心して」

ユミル「クリスタ!?」

ユミル「お前はやらなくていい!」

ユミル「代わりに私がやる!だから…」

クリスタ「いいの。ユミル」

クリスタ「私も戦えるから」

クリスタ「それにもうただユミルとエレンに守られてばかりの弱い自分ではないから」

クリスタ「だからやらせて」

ユミル「…分かった」

ユミル「その代わり絶対に成功しろよ」

許してやりたくなった。巨人を仕留める役など。

それでもクリスタの強い意志がこもった目つきに従うしかなかった。

サシャ「すいません。クリスタ…」

クリスタ「いいよ。サシャは自分の命を大切にして」

クリスタ「私は一度自分の命を大切にしないで投げ捨てるような行動をしてしまったから」

クリスタ「だからサシャはそんなことしないで」

ユミル「…分かった」

ユミル「その代わり絶対に成功しろよ」

許してやりたくなった。巨人を仕留める役など。

それでもクリスタの強い意志がこもった目つきに従うしかなかった。

サシャ「すいません。クリスタ…」

クリスタ「いいよ。サシャは自分の命を大切にして」

クリスタ「私は一度自分の命を大切にしないで投げ捨てるような行動をしてしまったから」

クリスタ「だからサシャはそんなことしないで」

クリスタ「アルミン。私がサシャの代わりにやるからそれでいい?」

アルミン「…いいよ」

アルミン「情けないけど僕からはなにも言えない」

クリスタ「ふふ…ありがとうアルミン」

クリスタ「絶対に作戦を成功させようね」ニコ

アルミン「うん…(天使だ)」

アルミン「でも…僕なんかの案が…本当にこれが最善策なんだろうか…?」

マルコ「アルミン」

マルコ「これで行くしかない。時間も無いからもうこれ以上の案は出ないよ」

マルコ「あとは全力を尽くすだけだ!」

アルミン「マルコ…」

ミカサ「大丈夫」

ミカサ「自身を持って…アルミンは正解を導く力がある」

ミカサ「私もジャンも以前はその力に命を救われた」

ジャン「…ミカサの言っていることは分からないがミカサの言う通りだ。自身を持て」

ジャン「お前の作戦は絶対に成功する。だから成功することだけを頭の中に浮かべろ」

「リフトの用意が出来たぞ!!」

「鉄砲もだ!全て装填した!」

ジャン「時間のようだな」

アルミン「待って!ミカサ」

疑問に思ったアルミンはミカサを呼び止めた。

アルミン「そんなことがいつあったの?」

ミカサ「…自覚が無いだけ」

ミカサ「また後で話そう」

アルミン「うん…」

そしてアルミン、マルコ、サシャ、ユミルの訓練兵達はリフトに乗りミカサ達上位7人は階段を降りた。

ーーー

アルミン(大丈夫…数は増えてない)

ガコッ

下に降りていたリフトが止まった。

アルミン(作戦を続行する!!)

巨人「…」

ズシン ズシン

巨人「…」ニヤリ

アルミン達の存在に気づいた4m~5m級の巨人は首を後ろに振り向き不気味に笑った。

ミーナ「ひッ!!」

サシャ「あ…あ…」

ユミル「…」

マルコ「落ち着け…まだ十分に引きつけるんだ!!」

ズシン ズシン

「待て」

ドクン ドクン

巨人達が近付く度に心臓が高鳴った。

ドクン ドクン

「待て」

散弾銃を撃つために握るトリガーの指が震える。

ドクン ドクン

「待て」

そしてーーー

「待て」

巨人達は目の前までに近づいた。

マルコ「用意…」

深呼吸をし目を見開いた。

マルコ「撃て!」

ドドドドド!!

マルコの掛け声により訓練兵達は一斉に銃弾を撃った。

カン カン カン

ヒュ

銃声が止んだと同時にミカサ達七人が散弾銃で目潰しをされた巨人達の項に斬り掛かった。

ザシュ

ミカサ(捉えた…!!)

クリスタ(皆は…!?)

ドサッ

項を斬り落としたミカサとクリスタは周りを見渡す。

ジャン達は項を斬るのに成功していた。

コニー「ウッ!!」

しかしコニーは項を斬るのは出来たが浅く討伐は出来なかった。

サシャ「コニー!!」

マルコ「急げ!!早くコニーに援護を!!」

コニー(やべぇ…一撃で仕留められなかった)

巨人から逃げるために後ろに逃げるコニー。

背中が後ろにあった壁に付く。行き止まりだった。

コニー(ちくしょう。俺は元々憲兵になるために村を出たのに…)

コニー(ここまでかよ…)

ズシン

コニー(…は?)

追い詰められ喰われそうになった時援護に駆けつけたアニの斬撃により討伐された。

アニ「無事か?あんた」

コニー「…助かった。すまねぇな……」

アニ「どうも…」

ライナー「オイオイ」

ライナー「危なかったなアニ…怪我をしなくてよかったぜ本当に…」

アニ「ガスが残り少ないにも関わらずクリスタを助けに行ったライナーに言われたくない」

ライナー「…そうだな」

ジャン「全体仕留めたぞ!!」

ジャン「お前ら補給作業に移行するぞ!」

ーーー

エレン「アアアアアア!!」

ドン

巨人化しているエレンの攻撃により12m級の巨人が殴り飛ばされた。

エレンにより本部周辺の巨人は討伐され残り僅かになっていた。

ガシ

13m級の巨人に掴まれた。

それだけでなく他の巨人も掴みエレンを喰い始めた。

振りほどこうとしても巨人の数が多く振りほどくことが出来なかった。

エレン「アアアアアアアアアアア
!!」

ーーー

「やった…!!」

「これで全員脱出出来るぞ!!」

「一斉に出るぞ!!」

ガス補給が終わり訓練兵達は歓喜に満ちていた。

クリスタ「!」

窓から立体機動装置を使い脱出しようとしたときクリスタはある光景を見た。

ヒュン

それを見たクリスタは一目散に立体機動装置を使い本部の屋上に向かった。

ユミル「クリスタ!?」

ヒュン

クリスタとユミルが本部の屋上に向かうのを目撃したアルミンも立体機動装置を使い向かった。

スタッ

クリスタ「……」

ユミル「クリスタ…早く逃げるぞ…」

アルミン「そうだよ。早くしないと」

クリスタ「待ってユミル、アルミン」

クリスタ「あの巨人が…」

ユミル「……」

アルミン「うッ!!?」

アルミン「共食い…?」

クリスタ達が見たのは奇行種が数体の巨人に共食いされている光景だった。

アルミン(体が再生出来てないのか…?)

一旦書き溜めてから投稿します。

忙しいので投稿は出来たら来週になります。

申し訳ございません。

エレン(…義姉さんとユミルとアルミンか)

エレン(あんなところに居るということはガスの補給は終わったみたいだな)

エレン(クソが!離れやがれ!)

クリスタ「どうにかしてあの巨人の謎を解明出来れば…この絶望的な現状を打開する」

クリスタ「きっかけになるかもしれないと思ったのに…」

タン

ライナー「同感だ!」

ライナー、ベルトルト、アニ、ジャン、ミカサが駆けつけた。

ライナー「あのまま食い尽くされちゃ何も分からず終いだ!」

ライナー「あの巨人にこびりついてる奴らを俺達で排除して…取り敢えずは延命させよう!」

ユミル「…そうだな」

ユミル「何も分からない奇行種だが現状を打開するための利用価値はある」

ジャン「正気かライナー!!ユミル!!」

ジャン「やっと…この窮地から脱出出来るんだぞ!?」

アニ「例えばあの巨人が味方になる可能性があるとしたらどう…?」

アニ「どんな大砲よりも強力な武器になると思わない?」

ジャン「味方だと…!?」

ジャン「本気で言ってるのか!?」

ジャン「…ふざけたこと言ってんじゃねぇ!!」

ジャン「奴らは…巨人共は俺の故郷を襲い俺の目の前でババアを喰いやがったんだぞ!!」

ジャン「そんな奴を味方につける、だ?」

ジャン「寝言は寝て言いやがれ!!」

ミカサ「ジャン、落ち着いて」

ミカサ「今は言い争っている場合じゃない」

ジャン「…何だよ」

ジャン「お前は賛成するのか?」

ジャン「俺の両親を喰った害虫を味方につけることをよ」

ミカサ「…私もジャンの気持ちは分かる」

ミカサ「けど、この絶望的な状態を打開するにはあの巨人を味方につけるしかない」

ミカサ「ので、ジャンの意見は尊重出来ない」

ジャン「…お前もか…!」

アルミン「あ…あいつは」

アルミン「トーマスを喰った奇行種……!?」

エレン(!)

ダン

クリスタ達「!?」

エレン「アアアアアアアア!!」

トーマスを喰った奇行種を見つけたエレンは自分に喰いついている巨人を乱暴に振りほどき

ガブ

ブン

トーマスを喰った奇行種の項に噛み付き乱暴に巨人達がいるほうに投げ飛ばした。

本部周辺にいる巨人は全滅した。

エレン「アアアアアアアア」

ジャン「…オイ」

ジャン「何を助けるって?」

ズン

クリスタ「あ…!!」

ジャン「流石に…力尽きたみてぇだな」

ジャン「もういいだろ……?ずらかるぞ!」

ジャン「あんな化物が味方なわけねぇ」

ジャン「巨人は巨人なんだ」

ジャン「…オイ」

ジャン「どうしたんだお前ら?」

ジャン「そんな唖然として…?」

ジャン「!?」

エレン「……」

倒れた奇行種の項から返り血で濡れ目を見開いたエレンが出てきた。

クリスタ「エレン…!?」

立体機動装置を使い地上に降りた。

タンッ

タッ タッ タッ

徐々にクリスタの顔は喜びに満ちた表情になっていった。

そして返り血で汚れていてもクリスタはエレンを抱きしめた。

クリスタ「……」ハァ ハァ

エレン「…義姉さん」



エレン「ただいま」

そう言いエレンは力が尽き目を閉じた。

クリスタ「おかえりなさい」

クリスタ「エレン…!!」

クリスタはエレンの無事を確認して安堵したと同時に涙を流した。

ユミル「クリスタ!エレン!」

タンッ

ユミル「…無事だったのか」

ユミル「無茶しやがって…!!」

ユミルはエレンをおんぶしてクリスタと共に本部の屋上に向かった。

アルミン「…エレンだ」

ーーー

エレン『…アルミン、ミーナ。お前らは先に撤退しろ』

アルミン『エ、エレン!?』

ミーナ『なに言ってんの!?無茶よ!!あんな数の巨人を一人で戦うのは!!』

アルミン『僕達も戦うよ!!』

エレン『…なに言ってんだ。お前ら』

エレン『生まれたての子鹿みたいに震えているやつが戦えるわけねぇだろ』

アルミン『そ、そんなー』

ーーー

クリスタ「うわあああああん」

ユミル「この馬鹿が…」

ユミル「一人で多数の巨人と戦いやがって…」

ユミル「この死に急ぎ野郎が…!!」

ユミル「義弟のお前が死んだら誰がクリスタの隣に居て守るんだよ!!」

ユミル「だが…ちゃんと帰ってきたようだな」

ユミル「流石、私のエレンだ」

アルミン(あの時…僕はエレンと一緒に居たのに何も出来なかった)

アルミン(何も出来なかった不甲斐なさに自分を責めたくなった)

アルミン(だけど…)

アルミン「君が…無事に戻ってきてよかったよ…」

アルミン「エレン…」

アルミンはユミルが握っていないもう片方の手を握った。

ライナー「……」

クリスタとアルミンの泣き声が響く中ライナー達は巨人達の骨がある周辺を静かに見渡した。

ジャン「これをエレンが…やったってことか…?」

ーーー

今日はここまでにします。

お休みなさい。

クリスタ『嫌だ…死にたくないよ…』

クリスタ『助けて…エレン…』

10m級の巨人がニヤニヤと笑いながらクリスタを喰おうとした。

エレン(……その手で触んじゃねぇ)

エレン(そのうす汚ねぇ手で)

エレン(義姉さんに触んじゃねぇ!!)

ドゴオ!

クリスタを喰おうとした巨人が殴り飛ばされた。

エレン『アアアアアアア!!』

ドオッ! ドオッ!

項を踏みつけ止めを刺した。

エレン(もっとだ…)

エレン(もっと義姉さんに手を出した巨人を殺してやる)

エレン(モット…イッパイ)

ーーー





エレン「殺シテヤル…」

アルミン・クリスタ「「……エレン?」」

エレン「……」

エレン「は…!?」

ユミル「…気がついたか!」

エレン「……!?」

クリスタ「エレン!体は動く?意識は正常?」

アルミン「知ってることを全部はなすんだきっと分かってもらえる!」

エレン「義姉さん…アルミン……!?」

「オイ…聞いたか…」

「「殺してやる」って言ったんだ…」

「ああ…確かに聞こえた…俺達のことだ」

「あいつは俺達を食い殺す気だ…」

エレン「…!?」

エレン(何言ってんだ駐屯兵たちは…?)

エレン(何で……俺達4人は囲まれて…剣を向けられているんだ)

エレン(そいつは巨人を殺すための武器だろうが…)

エレン(何で…そんな目で俺を見る…!?)

エレン(!!)

エレン(まさか…)

巨人に囲まれて討伐した後に喰われた左足を見る。

エレン(あの時喰われたはずだ)

エレン(やはり巨人になった時に…)

キッツ「イェーガー訓練兵!!意識が戻ったようだな!」

キッツ「今貴様らがやってる行為は人類に対する反逆行為だ!!」

キッツ「貴様らの命の処遇を問わせてもらう!!」

キッツ「下手に誤魔化したりそこから動こうとした場合はそこに」

キッツ「榴弾をブチ込む。躊躇うつもりも無い!!」

エレン「……」

冷や汗が流れ緊張感が高まった。

キッツ「率直に問う」

キッツ「貴様の正体は何だ?」

キッツ「人か?それとも…」

キッツ「巨人か?」

エレン(…俺は人間だ)

エレン(それでも駐屯兵からしたら俺は巨人になることが出来る化物として見られてる)

エレン(答えても無駄かもしれねぇ)

エレン(だが俺は今と昔も変わらず義姉さん達と同じ)

エレン「人間です」

キッツ「……」

キッツ「…そうか…」

キッツ「悪く…思うな…」

キッツ「仕方ないことだ…誰もが自分が悪魔じゃないことを証明できないのだから…」

エレン「殺すのですか?」

キッツ「!」

キッツ「貴様!動くなと言ったはずだ!」

クリスタ「だ、駄目だよ!エレン!」

エレン「義姉さん」

エレン「俺は大丈夫だ。だから心配しないでくれ」

エレン「隊長」

エレン「率直に言わせてもらいます」

エレン「私、エレン・イェーガーは」

エレン「巨人になることが出来る人間です」

キッツ「巨人になることが出来る人間、だと?」

キッツ「…そうか」

キッツ「貴様嘘をついていたのか!?」

キッツ「人の皮を被った化物が!!」

キッツ「今すぐ榴弾をブチ…」

エレン「やってみてくださいよ」

キッツ「!?」

エレン「私は訓練兵で首席で卒業しました」

エレン「そして私は」

エレン「仲間を逃がすために囲んでいた巨人を30体以上一人で掃討しました」

キッツ「30体以上だと…?」

エレン「その後私は奮闘の末掃討し終え仲間と合流しようとしましたが7m級の巨人に左足を喰われて動けなくなった時に10m級の巨人に飲み込まれました」

エレン「そして何故かは分かりませんが私は巨人の胃の中でも生きていられ巨人になることが出来ました」

エレン「巨人になってもその力は掌握し自由自在に動けました」

エレン「その力で力尽きるまで私は本部にいた巨人を殲滅させました」

キッツ「信じられるか!そんなこと!」

エレン「信じなくてもかまいません」

エレン「私はこの力を使い」

エレン「超大型巨人により開けられた穴を岩で塞ぎます」

エレン「ですので!」

エレン「私が岩で塞ぐことが出来たらその後はどうなろうとかまいません!」

エレン「失敗したら私だけを殺してください!」

エレン「私は化物だろうと公に心臓を捧げた身です!」

エレン「人類の役に立てるならこの身がどうなろうとかまいません!」

エレン「ですが…彼女達は全く関係ありません」

エレン「彼女達だけは…殺さないでください」

エレン「それでも今ここで殺すなら私だけを殺してください」

エレン「そんなことをしたらこなまま巨人達にトロスト区を奪われ人類の活動領域が後退すると同時に」

エレン「人類にとって必要な戦力を失う二つの大損害を負うことになりますよ」

キッツ「……」

エレン「隊長。ここで私を殺すということは人類側にとって更に不利な状況を作ります」

エレン「隊長に…その損害を背負う覚悟はありますか…?」

賭けだった。

再び自分が巨人になれるかは分からなかった。

それでもこの場を潜り抜けるために頭を張り巡らせ思いついた一つの方法だった。

最悪巨人という理由だけで一蹴され殺されるというリスクがあった。

エレン「……」

キッツ「……」

再び場は静寂に包まれた。

キッツ「…うるさい」

キッツ「うるさい!うるさい!」

キッツ「貴様の言うデタラメなど信用出来るか!!」

キッツ「我々人類はお前のような得体の知れない者をウォール・ローゼ内に侵入させてしまっているのだ!!」

キッツ「そんな得体の知れない化物が偉そうなことを言うんじゃない!!」

キッツ「例え貴様らが王よりさずけられし訓練兵の一人であってもリスクの早期排除は妥当だ!!」

キッツ「私は間違っていない!!」

キッツ「今にもウォール・マリアを破壊したあの「鎧の巨人」が姿を現すかもしれない!!」

キッツ「今我々は人類存亡の危機の現場にいるのだ!!もう5年前の失態は許されない!!」

キッツ「だから」

キッツ「私は貴様を今ここで榴弾をブチ込んで処刑してくれる!」

エレンの賭けは失敗に終わった。

そしてキッツは榴弾を撃たせる合図をした。

ユミル「エレン!アルミン!クリスタ!上に逃げるぞ!!」

エレン「よせ!俺に構うな!」

エレン「義姉さんとアルミンだけ連れて逃げろ!」

クリスタ「嫌だよ!エレンを置いていくなんて出来ない!」

ユミル「そうだ。そんなこと出来るか!」

ユミル「クリスタ!私がエレンを抱えるから一緒に逃げるぞ!」

クリスタ「うん!」

ユミルはエレンの言うことを無視して抱き上げた。

アルミン「マズい…このままじゃ」

ユミル「!?」

クリスタ「上にも…!?」

アルミン「き…聞いて下さい!!巨人に関して知ってることを更に話します!!」

キッツ「……」

聞く耳を持たなかった。

エレン(ウソだろ…俺の所為でこんなことが…)

エレン(ちくしょう…)

チャリン

エレン「…!?」

エレン(鍵…?)

ーーー

エレン『父さん。どうしたの?こんな人気がない場所に連れ出して』

エレン『病気だから寝ていないと治らないよ』

ズキン

グリシャ『…エレン』

グリシャ『お前にこの鍵を渡す』

グリシャ『この鍵をずっと肌身離さずに持っているんだ…』

グリシャ『そしてこの鍵を見るたびに思い出せ…』

グリシャ『お前が地下室に行かなくてはならないことを…』

ズキン

エレン『鍵…?何言っているの?』

エレン『いきなりそんなことを一片に言われても分からないよ』

エレン『!?』

エレン『…父さん?』

エレン『何で泣いてるの?』

グリシャ『ごめんな…エレン』

グリシャ『私はもう永くない』

グリシャ『もう時期死ぬ』

グリシャ『身勝手なのは分かっている』

グリシャ『それでもお前にこの注射を打たなければならない』

グリシャ『この注射のせいで今からお前に記憶障害が起こる…』

ズキン ズキン

グリシャ『だから今説明してもダメなんだ…だがいつか地下室にある情報が必要になる時が来る』

グリシャ『辛く厳しい道のりだがお前はその時になったら地下室に辿り着かなければならない…』

グリシャ『この『力』はその時役に立つはずだ』

グリシャ『使い方は彼らの記憶が教えてくれるだろう…』

グリシャ『もしお前に大切な人が出来た時に救う場面が来たらお前はこの力を』

グリシャ『支配しなくてはならない』

ーーー

ドオッ

砲弾が発射された。

ユミル「ちっ…」

ユミル(正体がバレてしまうがやるしかねぇ!)

ユミルは自分の手を口に動かそうとした。

ユミル「おい!エレン!?」

全てを思い出したエレンはユミルから離れアルミンとクリスタを自分に寄せた。

ガブッ!

そして自分の手を思いっきり噛んだ。

今日はここまでにします。

お休みなさい。

ドオオオオ

稲妻が走り出てきた大きな腕が大砲の榴弾からクリスタ達を守った。

キッツ「……!?」

その場にいる駐屯兵達が目を疑った。

「うああああああああ」

エレン「…ッ」

エレン「ふんッ!!」

作られた巨人体の項からエレンが出てきた。

エレン「熱い…何なんだよこれは…」

アルミン「…砲声が聞こえたところまで覚えてる…。その後は凄まじい音と衝撃と…」

アルミン「熱…!!今…僕達は巨大な骨格の内側に!?」

クリスタ「一体何が起こったの…?」

ユミル「エレンが私達を守った…今はそれだけ理解出来ればいい」

エレン「オイ!?大丈夫か!?お前ら…」

アルミン「エレン!?これは…」

エレン「分からん!!…ただこいつはもう蒸発する!!巨人の死体と同じだ」

エレン「少し離れるぞ!!」

離れたと同時に巨人体は崩れ落ちた。

エレン(攻撃はしてこないみたいだな)

エレン「……」ハァ ハァ

エレン(体力の消耗が激しい…)

クリスタ「エレン!鼻血が…」

エレン「!」

アルミン「顔色も酷い。呼吸も荒い…明らかに体に異常を来たしている…!」

エレン「お前らを守れればこんなのどうってことねぇよ」

クリスタ「エレン…ごめんなさい」

クリスタ「私エレンを庇うことが出来ない役立たずで…」

エレン「…そんなことない」

エレン「俺が意識失っている間義姉さんは俺を庇っていてくれた」

エレン「それに謝らなくてはいけないのは俺の方だ」

エレン「俺が上手く交渉出来ないでこんな結果になったんだからな」

エレン「だから自分を責めないでくれ」

エレン「それより今はこの状況をどうにかしなきゃならねぇ」

エレン「まだ様子を窺っているのか…放心してんのか…今のところは駐屯兵団に動きは見られないが……最終的には」

エレン「攻撃を続行してくる…交渉も失敗してこんなもん見せた後で会話出来る自身なんか無い」

エレン(どうする…巨人化して逃げる方法はあっても体力的に無理だ)

エレン(だが…やるしかねぇ)

エレン「皆、聞いてくれ」

エレン「俺はもう一度巨人になる」

アルミン「そんなことが出来るのか!?」

エレン「自分でもどうやってやってるのか分からん。…でも出来るって思うんだ」

エレン「どうやって自分の腕を動かしているか説明出来ないようにな」

エレン「さっきは俺達を砲弾から防ぐことだけを考えた。だからそれ以上の機能も持続力も無く朽ちたんだ」

アルミン「……」

アルミン(エレンが巨人なのか……エレンが巨人を出現させて操っているのか…?)

アルミン(おそらくそれは今エレン自身にも分からないことだろう…)

エレン(俺がこうなったのも死んだ親父が原因だ)

エレン(地下に行けばおそらく巨人の正体も分かるはずだが…)

エレン(今はそれどころじゃない)

エレン「義姉さん達を巻き込んですまなかった」

エレン「俺が巨人化して身代わりになるから義姉さん達はその間に逃げてくれ」

エレン「俺を庇ったりなんかしなければ…義姉さん達は命まで奪われない」

アルミン「…そんな!!」

ユミル「…」

クリスタ「…エレン」

クリスタ「私も行く」

エレン「駄目だ」

エレン「義姉さんはユミル達と一緒に逃げてくれ」

クリスタ「嫌だ!私はエレンを置いて逃げてくなんて出来ない!」

エレン「…いい加減にしろ!」

エレン「義姉さんが死んだら意味がないんだよ!」

エレン「死ぬのは俺一人だけでいいんだ!」

パッシイァ

エレン「…ッ」

クリスタ「アルミン…?」

アルミンはエレンの顔をビンタした。

エレン「…何しやがる」

アルミン「エレン」

アルミン「どうして君は一人で何でも背負いこむの?」

アルミン「何で少しでも周りを頼ってくれないの?」

エレン「…何言ってんだよアルミン」

エレン「お前らを助けるための身代わりになるだけだろ」

エレン「何がおかしいんだよ?」

アルミン「…いい加減にするのは君の方だよ」

アルミン「死に急ぎ野郎!」

アルミン「君の今やっていることは守るという口実つけて死に急いでいるだけだ!」

アルミン「あの時は君が巨人化出来ていたから生きていられたけど本来なら死んでいた!」

アルミン「もし死んでいたら君は残されたクリスタをどうしていたんだ!?」

エレン「…だったらどうしろっていうんだよ!」

エレン「交渉してもあんな結果じゃどうしようもないんだよ!」

エレン「それなら俺が巨人化して身代わりに…」

アルミン「エレン」

アルミン「僕がもう一度隊長達に説得してくる」

エレン「…ふざけてんのか」

エレン「俺が説得していたところを見ていただろ?」

エレン「もう話し合いなんて出来ないんだよ」

アルミン「…エレン」

アルミン「僕はさっきあんなことを言ったけど君に命を助けられたんだ」

アルミン「感謝している」

アルミン「あの時僕は何にも出来なかった無力感に喚くことしか出来なかった」

アルミン「だから今度は僕が君を助ける番なんだ」

アルミンは立ち上がった。

エレン「やめろ…やめてくれ!」

アルミン「僕が三人助かるように必ず説得してくる」

アルミン「エレン…僕は君にとって初めて出来た友達で親友だろ」

アルミン「だから信じてくれ」

エレン、クリスタ、ユミルを助けるために臆病だったアルミンは動き出した。

エレン「やめろ!殺されるだけだ!」

エレン「…義姉さん、ユミル…!?」

立ち上がりアルミンを追い掛けようとしたエレンはクリスタとユミルにより腕を掴まれ止められた。

エレン「離してくれ!早くしないと…」

クリスタ「エレン、アルミンは皆がガス補給する時に作戦を立ててくれたから私達はここまで生き延びることが出来た」

クリスタ「アルミンはエレンが思っているほど弱い人なんかじゃない」

クリスタ「だからエレンはアルミンのことを信じてあげて」

ユミル「それにお前が巨人化して私達を逃がすのは無理だ」

ユミル「そんな体力が消耗している状態で出来ると思っているのか?」

図星だった。

エレン「……」

エレン「分かった」

エレン「今はアルミンを信じる」

エレン「だがまた大砲を撃ってきたらその時は再び俺が巨人化する」

エレンは信じることにした。

親友が自分が脅威ではないことを駐屯兵団に説得出来ることを。

ーーー

修正
>>351

キッツ「今にもウォール・マリアを破壊したあの「鎧の巨人」が姿を現すかもしれない!!」

キッツ「今我々は人類存亡の危機の現場にいるのだ!!もう5年前の失態は許されない!!」

キッツ「貴様が巨人の体内から姿を現した瞬間を大勢の者が見たという目撃情報があった!!」

キッツ「そして貴様の口から巨人であることもはっきりとした!!」

キッツ「だから」

キッツ「私は貴様を今ここで榴弾をブチ込んで処刑してくれる!」

エレンの賭けは失敗に終わった。

そしてキッツは榴弾を撃たせる合図をした。

ガシャン

アルミンは抵抗の意思がないことを示すために立体機動装置とブレードの刃が納刀されている鞘を下ろした。

アルミン(エレンが巨人になって戦ってた時からずっと引っ掛かってたことがある)

アルミン(まだ考えがまとまってない…けど)

アルミン(やってやる!喋りながらでも考えろ!)

キッツ「貴様!!そこで止まれ!!」

アルミン「彼は人類の敵ではありません」

アルミン「私達は知り得た情報を全て開示する意思があります!!」

キッツ「命乞いに貸す耳は無い!」

キッツ「目の前で正体を現しておいて今さら何を言う!」

キッツ「奴が巨人てないと言うのなら証拠を出せ!!」

キッツ「それが出来なければ危険を排除するまでだ!!」

アルミン「証拠は必要ありません!」

アルミン(そうだ…必要無い!!)

アルミン「そもそも我々が彼をどう認識するかは問題ではないのです!」

キッツ「何だと!?」

アルミン「大勢の者が見たと聞きました!ならば彼と巨人が戦う姿も見たハズです!!」

アルミン「周囲の巨人が彼に群がって行く姿も」

アルミン「つまり巨人は彼のことを我々人類と同じ捕食対象として認識しました!!」

アルミン「我々がいくら知恵を降り絞ろうともこの事実だけは動きません!」

キッツ「…!!」

「確かにそうだ…」

「ヤツは味方かもしれんぞ…」

「じゃあさっき言っていたことは…」

キッツ「……」

キッツ「迎撃態勢をとれ!!」

キッツ「ヤツらの巧妙な罠に惑わされるな!!」

キッツ「ヤツらの行動は常に我々の理解を超える!!」

アルミン「な!!」

キッツ「人間に化けることも可能というわけだ!!」

キッツ「これ以上ヤツらの好きにさせてはならん!!」

ザワ…ザワ…

エレン「……!!」

エレン(駄目だ堪えろ)

エレン(俺はアルミンのことを信じると決めたんだ)

エレン(今ここで動くのは)

エレン(義姉さんとユミルとアルミンに対して裏切ることになる)

アルミン(ダメだ…考えることを放棄してる…)

アルミン(考えることが…怖いんだ!)

アルミン「エレン…クリスタ…ユミル…」

アルミンは抵抗の意思がないことを示しているエレン達の方を見た。

アルミンは抵抗の意思がないことを示しているエレン達の方を見た。

エレン達は依然と変わりなく弱気な目つきではなかった。

アルミンが説得を出来ることを揺るぎなく信じている強気な目つきだった。

アルミン(エレン…!クリスタ…!ユミル…!)

アルミンは弱気になり力が入っていない手に再び力を入れ握りしめた。

アルミン(僕が君達を…)

アルミン(助ける!!)

アルミンは諦めていた自分を奮い立たせた。

アルミン「私はとうに人類復興の為なら心臓を捧げると誓った兵士!!」

アルミン「その信念に従った末に命が果てるのなら本望!!」

アルミン「彼の持つ「巨人の力」と残存する兵力が組み合わされば!!」

アルミン「この街の奪還も不可能ではありません!!」

アルミン「人類の栄光を願い!!これから死に行くせめてもの間に!!」

アルミン「彼の戦術価値を説きます!!」

キッツ「……」

キッツ(どう命乞いしようと私は規則に従うまで…)

キッツ(規則に反する者は排除する)

ピクシス「よさんか」

キッツは手を挙げ壁の上にいる駐屯兵達に合図をしようとしたがピクシス司令に止められた。

ピクシス「相変わらず図体の割には小鹿のように繊細な男じゃ」

ピクシス「お前にはあの者の見事な敬礼が見えんのか」

キッツ「ピクシス司令…!!」

キッツ「今着いたところだが状況は早馬で伝わっておる。お前は増援の指揮に就け」

キッツ「ワシは…あの者らの話を聞いた方がええ気がするのぅ」

ーーー

ピクシス司令が来たことによりエレン達は助かった。

話を聞いたピクシス司令はエレンの巨人化の力を利用してトロスト区奪還作戦を開始した。

エレンはイアン達駐屯兵団の精鋭班に護衛されながら大岩でウォール・ローゼの開閉扉の穴を塞いだ。

イアン達精鋭班は急遽駆けつけたリヴァイ兵長と駐屯兵の増援により救出された。

その後調査兵団と駐屯兵団工兵部の活躍によりウォール・ローゼは再び巨人の侵入を阻んだ。

トロスト区内に閉じ込めた巨人の掃討戦には丸一日が費やされその間壁上固定砲は絶えず火を吹き続けた。

壁に群がった巨人の殆どが榴弾によって死滅し…僅かに残った巨人も主に調査兵団によって掃討された。

その際巨人二体の生け捕りに成功する。

人類が初めて巨人の侵攻を阻止した快挙であったがそれに歓喜する人もいたが掃討戦で出た死亡者と行方不明者が多すぎた。

ーーー

地下牢

エルヴィン「ー君が昏睡状態だった三日間に起きたことはこのくらいか…」

エルヴィン「エレン何か質問はあるか?」

エレン(調査兵団実行部隊のトップエルヴィン団長とリヴァイ兵長か)

エレン「…あの」

エレン「ここは何処ですか?」

エレン「手首に拘束されている鎖も一体…」

エルヴィン「見ての通りだが地下牢とだけ言っておこう」

エルヴィン「今君の身柄は憲兵団が受け持っている」

エルヴィン「先程ようやく我々に接触の許可が下りた」

エレン「これからどうなるんですか?」

エレン「あと…俺と一緒にいた訓練兵は!?」

エルヴィン「話を聞いているよ。あの三人以外にも君の過去を知る者全てにね」

エルヴィン「それにしても」

エルヴィンは懐から鍵を取り出した。

エルヴィン「これは何の鍵なんだい?」

エレン「…それは」

エレンは説明した。

自分の生家シガンシナ区にある家の地下室に巨人のことについての謎があることを。

エルヴィン「…そうか」

エルヴィン「それならこれから我々がすることはあまり今までと変わらないな」

リヴァイ「記憶喪失か…随分都合のいい話だな…」

エルヴィン「リヴァイ…彼が嘘をついているとは私は思えん」

エルヴィン「そのことについてはちゃんと結論を出す必要があるが…」

エルヴィン「今すべきことは君の意思を聞くことだと思う」

エレン「…!」

エレン「俺の意思ですか?」

エルヴィン「君の話を聞くと生家
を調べるためにはシガンシナ区ウォール・マリアの奪還が必要となる」

エルヴィン「破壊されたあの扉を速やかに塞ぐには飛躍的手段…君の「巨人の力」が必要になる」

エルヴィン「やはり我々の命運を左右するのは巨人だ」

エルヴィン「「超大型巨人」も「鎧の巨人」もおそらくは君と同じ原理だろう…」

エルヴィン「君の意思が「鍵」だ。この絶望から人類を救い出す「鍵」なんだ」

エレン「俺が…」

リヴァイ「オイ…さっさと答えろグズ野郎。お前がしたいことは何だ?」

エレン「……」

エレン(すまない。義姉さん)

エレン(こんな出来損ないな…義弟で…)

エレン「調査兵団に入って…仲間を一人でも守れるようにとにかく巨人をぶっ殺したいです」

リヴァイ「ほぅ…悪くない」

リヴァイ「…エルヴィン」

リヴァイ「コイツの世話は俺が責任持つ。上にはそう言っておけ」

リヴァイはエレンが入っている牢屋の鉄格子を掴んだ。

リヴァイ「俺はコイツを信用したわけじゃない。コイツが裏切ったり暴れたりすればすぐに俺が殺す」

リヴァイ「上も文句は言えんハズだ…俺以外に適役がいないからな…」

リヴァイ「認めてやるよ。お前の調査兵団入団を…」

ーーー

裁判終了後

エレン「……ッ」

エルヴィン「すまなかった…」

エルヴィン「しかし君の偽りのない本心を総統や有力者に伝えることが出来た」

エレン「はい…」

エルヴィン「効果的なタイミングで用意したカードを切れたのもその痛みの甲斐あってのものだ」

エルヴィン「君に敬意を…」

エルヴィンはエレンに手を差し出した。

エルヴィン「エレンこれからもよろしくな」

エレン「はい。よろしくお願いします」

リヴァイ「なぁエレン」

リヴァイは拍手し終えたエレンが座っているソファーの隣に座った。

エレン「…何でしょうか?」

リヴァイ「俺を憎んでいるか?」

エレン「いいえ。必要な演出として理解しているので」

エレン「ご心配なく」

リヴァイ「ならよかった」

エレンは睨みつけながらリヴァイに返事をしたが気にせずリヴァイは流した。

ハンジ「しかし限度があるでしょ…歯が折れちゃったんだよ」

ハンジ「ほら」

リヴァイ「解剖されるよりはマシだと思うが」

エレン「その通りですよ」

ハンジ「エレン口の中見せてみてよ」

エレン「分かりました」

ハンジ「…!…え?」

ハンジ「歯が生えてる」

エレン(…歯にも巨人の再生能力が効くのか)

ーーー

その後エレンはハンジに執拗な質問をされた。

エレン「あの、ハンジさん」

ハンジ「ん?何だいエレン?」

執拗な質問が終わりになってきたところでエレンはハンジに話し掛けた。

エレン「お願いがあるのですがいいでしょうか?」

ハンジ「…まぁいろいろ君に質問を答えてもらったからいいよ」

ハンジ「どんな頼みなんだ?」

エレン「ありがとうこざいます」

エレン「今日の裁判所にいたクリスタ・レンズ訓練兵、アルミン・アルレルト訓練兵、ユミル・×××訓練兵を含む104期生にー」

ーーー

一旦休憩します。

多分今日で終わると思います。

17時頃に再開します。

コニー「兵站行進、馬術、格闘術、兵法講義、技巧術、立体機動」

コニー「あんなに頑張ったのに…」

コニー「あんなに…やったのに…」

コニー「全部…無駄だったのか…?」

ジャン「……」

ジャン(皆後悔している)

ジャン(こんな地獄だと知ってりゃ兵士なんか選ばなかった。精魂尽き果てた今…頭にあることはそればっかりだ)

ジャン(なぁ…マルコ)

ジャン(もう…どれがお前の骨だか…)

ジャン(分かんなくなったよ)

ジャン(親は巨人に喰い殺されて親友も半分に噛み殺された)

ジャン(巨人共は…俺の大事なやつらを奪いやがる)

ジャン(ちくしょう)

ジャン(俺は…これから先ずっとやつらに奪われるのか…?)

ジャン(…イヤ)

ジャン(これから念願の憲兵団に所属出来るんだ)

ジャン(もう何も奪われない)

ジャンはマルコの遺骨を拾いあげた。

ジャン(…本当にそれでいいのか)

ジャン(このまま俺は巨人共に殺された親友と親のことを忘れてのうのうと過ごせというのか…?)

エレン『お前は戦術の発達を放棄してまで大人しく巨人の飯になりたいのか?』

ジャン(…てめぇに教えてもらわなくたって分かってんだよ)

ジャン(シスコン野郎)

>>390

エレン「俺が…」

リヴァイ「オイ…さっさと答えろグズ野郎。お前がしたいことは何だ?」

エレン「……」

エレン(したいこと…か)

エレン(俺は義姉さんを守る力をつける為に必死に三年間訓練をした)

エレン(あの時義姉さんに会えたから今の俺がいる)

エレン(だが今の俺は…巨人になることが出来る化物だ)

エレン(一緒に居たら義姉さんに迷惑をかけるだけだ)

エレン(…ごめん。義姉さん)

エレン(こんな出来損ないな…義弟で…)

エレン「調査兵団に入って…仲間を一人でも守れるようにとにかく巨人をぶっ殺したいです」

リヴァイ「ほぅ…悪くない」

リヴァイ「…エルヴィン」

リヴァイ「コイツの世話は俺が責任持つ。上にはそう言っておけ」

リヴァイはエレンが入っている牢屋の鉄格子を掴んだ。

リヴァイ「俺はコイツを信用したわけじゃない。コイツが裏切ったり暴れたりすればすぐに俺が殺す」

リヴァイ「上も文句は言えんハズだ…俺以外に適役がいないからな…」

リヴァイ「認めてやるよ。お前の調査兵団入団を…」

ーーー

兵法会議 当日

エレン「……」

エレン(化物か……確かにそれは間違いないな)

エレン(ここまで拘束するほど怖いのか…俺が…)

エレン(まあ無理もないか…自由自在に巨人になれる危ないやつを拘束しない方がおかしい)

エレン(殺されていないだけマシなのかもしれない)

エレン(…そういえば…)

エレン(義姉さん達は…一切俺を怖がったりしなかったな…)

エレン(…考えるな)

エレン(もう…決心したことだ)

エレン(そういえば今…なにしてるんだ…他の奴らはどうなった…)

エレン(こうなった俺を見て皆はどう思うだろうか)

エルヴィン『もう少しの間だけここで辛抱してくれ。我々が何とか話をつけてみる』

エレン(あれからもう何日経った?外はどうなっているんだ…)

エレン(まさか…俺…一生ここでこのままなんじゃ…)

ガチャ

エレン「!」

コツ コツ

ハンジ「ごめんねエレン。待たせてしまって」

ハンジ「でもやっとここから出られそうなんだ」

エレン「……!」

エレンはハンジと付き添いのミケと一緒に地下牢から出た。

その後ハンジ達によりある扉に案内された。

ハンジ「ごめん…無駄話しすぎた」

ハンジ「もう着いちゃったけど…大丈夫!」

ハンジ「むしろ説明なんか無い方がいい」

エレン「え?」

ハンジ「エレンが思っていることをそのまま言えばいいよ」

ハンジ「勝手だけど私達は…君を盲信するしかないんだ」

兵法会議では今回の奪還作戦の報告書で客観的な資料価値に足りていることによりエレンはこれまで通り兵士として人類に貢献し「巨人の力」を行使出来ることを証明出来た。

そのことにより人類の命運、人材、資金を託されることになった。

しかし一部の疑い深い一般人の発言によりエレンに対して根も葉もない疑惑が周りに伝染。

その疑惑をなくすためにリヴァイが躾と称してエレンを暴行して「もし裏切ったりしたらいつでも殺す」ことを証言した。

こうしてエレンを調査兵団に託すことになり兵法会議は終了した。

エレン「…いてぇ」

エルヴィン「すまなかった…」

エルヴィン「本来なら殴られる必要がなかったのに疑惑をなくすためあんなことをさせてしまって」

エルヴィン「しかし君の偽りのない本心を総統や有力者に伝えることが出来た」

エレン「はい…」

エルヴィン「効果的なタイミングで用意したカードを切れたのもその痛みの甲斐あってのものだ」

エルヴィン「君に敬意を…」

エルヴィンはエレンに手を差し出した。

エルヴィン「エレン。これからもよろしくな」

エレン「はい」

エレン「よろしくお願いします」

エレンは差し出された手に握手をした。

リヴァイ「なぁ、エレン」

リヴァイはエレンが座っているソファーの隣に座った。

エレン「…何でしょうか?」

その瞬間エレンは殺気を含めた鋭い目つきでリヴァイを睨んだ。

リヴァイ「俺を憎んでいるか?」

エレン「いいえ。必要な演出として理解しているので」

エレン「ご心配なく」

冷たい声で返事をした。

リヴァイ「ならよかった」

リヴァイはそんなことを気にもとめないまま流した。

ハンジ「しかし限度があるでしょ…歯が折れちゃったんだよ」

ハンジ「ほら」

リヴァイ「解剖されるよりはマシだと思うが」

エレン「その通りですよ」

ハンジ「エレン口の中見せてみてよ」

エレン「分かりました」

ハンジ「…!…え?」

ハンジ「歯が生えてる」

エレン(…歯にも巨人の再生能力が効くのか)

その後エレンはハンジに執拗な質問をされた。

エレン「あの、ハンジさん」

ハンジ「ん?何だいエレン?」

執拗な質問が終わりになってきたところでエレンはハンジに話し掛けた。

エレン「お願いがあるのですがいいでしょうか?」

ハンジ「…まぁいろいろ君に質問を答えてもらったからいいよ」

ハンジ「どんな頼みなんだ?」

エレン「ありがとうこざいます」

エレン「今日の審議所にいたクリスタ・レンズ訓練兵、アルミン・アルレルト訓練兵、ユミル訓練兵を含む104期生にー」

ーーー

冷たい声 ×
これ以上ない冷たい声 ○

兵法会議の後エレンは「巨人の力」を抑止するためのリヴァイ班に所属することになった。

「巨人の力」を掌握出来ていたのと兵士としての実力が備わっていたことから化物として扱われることはなく信頼は薄くなかった。

しかしリヴァイに対し反抗的な態度を取ったのを聞いたオルオからは「生意気な後輩」として見られた。

それから数日後捕獲していた実験台の巨人が殺された。

エルド「結局無許可で立体機動装置を使った兵士は見つからなかったようだ」

エルド「一体誰がやったんだろうな…」

グンタ「さぁな…しかし今はこの後の新兵勧誘式の方が心配だ」

グンタ「果たして調査兵団に入団する酔狂な新兵がどれほどいるのか…」

グンタ「なぁ、エレン」

グンタ「お前の同期にウチを志願する奴はいるのか?」

エレン「……」 返答に困った。 本当のことを言いたくなかったエレンは暈して返答をした。 エレン「いましたね」 エレン「今となっては分かりませんが」 ーーー

エレン「……」

返答に困った。

本当のことを言いたくなかったエレンは暈して返答をした。

エレン「いましたね」

エレン「今となっては分かりませんが」

誤字
エレン「今はどうか分かりませんが」


コニー「ジャン」

コニー「……」

言葉が続かなかった。その様子を見たサシャが代わりに続けた。

サシャ「ジャンどうして突然調査兵団に?」

サシャ「その…怖くないのですか?」

サシャ「ジャンは5年前に故郷を巨人に陥落されたじゃないですか」

サシャ「それにハンジ分隊長から私達は…」

ジャン「は?」

ジャン「嫌に決まってんだろ。調査兵団なんか」

ジャン「いいか」

ジャン「俺はハンジ分隊長からエレンの伝言を無視したのと別に巨人が怖くないから調査兵団に決めたわけじゃねぇよ」

ジャン「そして有能な奴は調査兵団になる責任があるなんて言うつもりも無いからな」

ジャン「いいか?」

ジャン「俺はあのシスコン野郎のために入るわけじゃないからな」

ジャン「俺は自分の意志で決めたんだ」

ーーー

数日前

コニー「兵站行進、馬術、格闘術、兵法講義、技巧術、立体機動」

コニー「あんなに頑張ったのに…」

コニー「あんなに…やったのに…」

コニー「全部…無駄だったのか…?」

ジャン「……」

日が沈みジャン達の目の前は戦死した訓練兵を火葬している火が辺りを照らしていた。

そしてその火葬の中にはアルミンの次に親友だったマルコも含まれていた。

ジャン(皆後悔している)

ジャン(こんな地獄だと知ってりゃ兵士なんか選ばなかった。精魂尽き果てた今…頭にあることはそればっかりだ)

ジャン(なぁ…マルコ)

ジャン(もう…どれがお前の骨だか…)

ジャン(分かんなくなったよ)

ジャンは火葬されたマルコの骨を拾い上げた。

ジャン(親は巨人に喰い殺され親友も半分に噛み殺された)

ジャン(俺は…一体どれだけ巨人に奪われればいいんだ…?)

ジャン(巨人共に両親を喰いころされ故郷を失った俺は開拓地でアルミンとミカサと一緒に避難して生活をした)

ジャン(酷く…惨めだった)

ジャン(それが嫌だった俺は外の世界の興味よりも巨人に遭遇しないようにするのと現状をどうにかするために兵士になり憲兵団を目指した)

ジャン(甘かったんだ…俺は…)

ジャン(何も…分かっていなかった)

ジャン(兵士になんかならなければ…お前らなんかに会わなければ…次は誰の番かなんて考えずに済んだのに…)

エレン『お前は戦術の発達を放棄してまで大人しく巨人の飯になりたいのか?』

ジャン(…何でこんな時に思い出したんだ)

ジャン(テメェに教えてもらわなくても分かってんだよ)

ジャン(戦わなきゃいけねぇってことぐらい…)

ジャン(でも…分かっていてもテメェみたいなやつにはなれねぇ…)

ジャン(誰しもお前みたいに…誰かを守ろうとするぐらい)

ジャン(強くないんだ…)

ーーー

マルコ『怒らずに聞いてほしいんだけど…ジャンは…』

マルコ『強い人ではないから弱い人の気持ちがよく理解出来る』

ジャン『…何だそりゃ』

マルコ『それでいて現状を正しく認識することに長けているから』

マルコ『今何をすべきかが明確に分かるだろ?』

マルコ『まぁ…僕もそうだし大半の人間は弱いと言えるけどさ…それと同じ目線から放たれた指示なら』

マルコ『どんなに困難であっても切実に届くと思うんだ』

ーーー


ジャン(俺は…このまま巨人にびくびく怯えなければいけないのか?)

ジャン(親友を両親を故郷を奪った奴らをそのままにして)

ジャン(何事もなく忘れて…バカみたいに暮らせということなのか?)

ジャン「今…何を…するべきか…」

ジャンは欠片になったマルコねた骨を握って立ち上がった。


ジャン(俺は…このまま巨人にびくびくと出荷を待つ家畜みたいに怯えなければいけないのか?)

ジャン(親友を両親を故郷を奪った奴らをそのままにして)

ジャン(何事もなく忘れて…バカみたいに暮らせということなのか?)

ジャン「今…何を…するべきか…」

ジャンは欠片になったマルコの骨を握って立ち上がった。

ジャン「おい…お前ら…」

ジャンはコニー、ミーナ、ミカサ、アニ、ベルトルト、ライナー、サシャに話を掛けた。

ジャン「所属兵科はなんにするか」

ジャン「決めたか?」

ジャン「俺は決めたぞ」

ジャン「俺は…」

ジャン「……」

必死に震えを抑えつけた。

ジャン「俺は…」

ジャン「調査兵団になる」

ーーー

火葬後

月の光だけが照らされている誰も居ない火葬場でジャンは静かに立ちつくしていた。

ミカサ「ジャン」

ミカサ「貴方…どうして調査兵団にするの?」

ミカサ「あれほど憲兵団になることに執着を持っていたのに」

ジャン「ミカサか…」

ジャン「ミカサの言う通りだ」

ジャン「俺だって本当は…憲兵団にしてぇよ」

ジャン「巨人がいる所から離れて憲兵団になって何事もなく寿命が尽きるまで人並み以上な生活をしてぇよ」

ジャン「だが、俺はな…誰の物とも知れねぇ骨の燃えカスと巨人の餌になって胃袋の中にいるババア達に」

ジャン「がっかりされたくねぇんだ…」

ジャン「それに放っておいたらアルミンもシスコン野郎の為に調査兵団にするかもしれねぇ」

ジャン「守秘義務が課せられた中アルミンだけがあいつを庇いに行った」

ジャン「もう…嫌なんだよ…」

ジャン「仲間と家族が奪われても何も出来ない臆病者になるのは」

ミカサ「…そう」

ミカサ「なら、私も調査兵団にする」

ジャン「…何言ってんだ」

ジャン「俺の勝手にお前を付き合わせるわけいかないだろ」

ミカサ「勝手じゃない」

ミカサ「私は叔母さんに貴方のことを頼まれている」

ミカサ「エレンについては貴方は悪くない」

ミカサ「私も貴方と同じようにエレンを庇うことが出来ずアルミンだけ行かせてしまった」

ミカサ「それにせっかく三人再び元通りになったのに」

ミカサ「またバラバラになるのを…私はもう見たくない」

ミカサ「ので、貴方が調査兵団にしようと私はついていく」

ジャン「…そうか」

ジャン「悪いな。こんなことに付き合わせちまって」

ジャン「本当に…すまねぇ…」

ーーー

「訓練兵整列!壇上正面に倣え!」

ジャン「俺はな…誰かに説得されて自分の命を懸けているわけじゃない」

ジャン「こればかりは自分で決めずに務まる仕事じゃねぇよ」

ミカサ「ジャン、始まるから早く整列して」

ジャン「あぁ…」

ーーー

エルヴィン「ー以上だ」

エルヴィン「他の兵団の志願者は解散したまえ」

ざわざわ

こうして調査兵団団長エルヴィン・スミスの新兵勧誘式が終わった。

話を聞いた訓練兵達は次々とその場を去って行った。

ザッ ザッ ザッ

ジャン(クソ…頼むぞ。お願いだ)

訓練兵の去る足音が周りを支配した。

ジャン(頼むからこれ以上…自分のことを嫌いにさせないでくれ)

サシャ「……」

ミーナ「……」

サシャ・ミーナ((今…ここから動かないと……))

サシャ・ミーナ((また…))

サシャとミーナは自分が巨人に喰われそうになった光景がフラッシュバックした。

コニー「……」

コニー(そうだ…俺は元々…憲兵になるために村を出たんだ)

コニー「……母ちゃん喜ぶぞ…」

コニー「憲兵になったら村の皆も俺を見直す」

ドクン ドクン

ミーナ(私達はもう知ってる)

ミーナ(もう見てしまった…)

サシャ・コニー((巨人がどうやって))

ミーナ(人間を食べるのか)

ザッ ザッ ザッ

足音が止んだ。

数々の訓練兵が去り残ったのはクリスタ、ユミル、アルミン、ミカサ、ジャン、ライナー、ベルトルト、コニー、サシャ、ミーナ、その他数名だけだった。

エルヴィン「君達は死ねと言われたら死ねるのか?」

「死にたくありません!」

エルヴィン「そうか…」

エルヴィン「皆…良い表情をしているな」

エルヴィン「では今!ここにいる物を新たな調査兵団として迎え入れる!」

エルヴィン「これが本物の敬礼だ!」

エルヴィン「心臓を捧げよ!」

104期生「ハッ!!」

ミカサ「……」

アルミン「……皆」

ジャン「あぁ…クソが…」

ジャン「最悪だ。ちくしょう」

ジャン「調査兵なんて…」

サシャ「う…嫌だよぉ…」

サシャ「こわいぃ…村に帰りたい……」

コニー「あぁ…もういいや…どうでもいい」

ライナー「……」

クリスタ「……」ブル ブル

ユミル「……泣くぐらいならよしとけってんだよ」

ユミル「エレンの伝言を聞いても調査兵を選びやがって…」

ベルトルト「……」

ミーナ「……」ブル ブル

ミーナは震えながらも去っていくアニを後ろに振り向いた。

ミーナ(アニ…)

ミーナ(本物にアニは憲兵団にするんだね)

エルヴィン「第104期調査兵団は敬礼をしている総勢22名だな」

エルヴィン「よく恐怖に耐えてくれた…君達は勇敢な兵士だ」

エルヴィン「心より尊敬する」

エレン「……」

グンタ「どうしたエレン?」

エレン「…いえ」

エレン「何でもないです」

エレンは被っているフードを更に深く被せた。

エレン「……」

エレン(分かっていた)

エレン(調査兵団にさせないようにハンジさんから義姉さん達に伝言させても無駄だということを)

エレン(それでも)

エレン(何で…何で…)

エレン(…ちくしょう)

エレン(ちくしょう!!)

ーーー

グンタ「いいか」

グンタ「旧市街地を抜けたら援護班の支援はそこまでこれより先は巨大な陣形を組織して巨人から身を守る」

グンタ「俺達特別作戦班はここだ」

グンタは長距離作敵陣系の地図の位置を指した。

グンタ「五列中央・待機」

エレン「随分後ろなんですね」

グンタ「この布陣の中で最も安全な配置なんだろうな」

グンタ「補給物資を運ぶ荷馬車よりも手厚い待遇だ」

グンタ「この壁外遠征が極めて短距離なのもお前をシガンシナ区に送るための試運転だからだ」

グンタ「今回はとりあえず「行って帰ってくる」ことが目標だ」

エレン「……」

エレン「あの」

エレン「俺には…この力をどうしたらいいのかも分からないままなんですが…」

エレン「事をこんなに進めてしまって大丈夫でしょうか…」

グンタ「……」

グンタ「お前…あの時の団長の質問の意味が分かったか?」

エレン「…いいえ」

エレン「先輩方には分かったのですか?」

オレオ「さぁな」

エルド「いいや」

ペトラ「いいえ」

グンタ「俺もさっぱり分かんなかったぜ」

グンタ「もしかしたらこの作戦には「行って帰ってくる」以外の目的があるのかもしれない」

グンタ「そうだとしたら団長はそれを兵に説明するべきではないと判断した」

グンタ「ならば俺達は「行って帰ってくる」ことに終始するべきなのさ」

グンタ「団長を信じろ」

エレン「…はい」

グンタ「では今日の訓練はここまで。さぁ…俺達の城に帰るとするか」

エレン(…信頼か)

エレン(俺にも信頼関係を築けるんだろうか)

エレン(こんな巨人の力を使える化物でも心の底から信頼出来る仲間が…)

ペトラ「…あら」

ペトラ「エレン。あれあなたの同期じゃない?」

エレン「え?」

エレンはペトラの指された方を見た。

エレン(…あ)

クリスタと目が合った。

ペトラ「行ってきなさいよ。待っててあげるから」

エレン「…余計なお世話です」

エレン「早く帰りましょう」

オルオ「テメェ…ペトラの気遣いを…!!」

エレン「オルオさんには関係ありません」

エレンは無視して城に戻ることにした。

会う資格がなかった。

約束を自分から破った挙句化物みたいな自分なんかに。

クリスタ「エレン!」

クリスタはエレンの所に駆け走った。

ユミル「おい!クリスタ!」

エレン「……ッ」

エレンはクリスタから逃げるために城まで走ろうとした。

ペトラ「エレン!」

エレン「……離してください!」

しかしそれはペトラに腕を掴まれ止められた。

エレン「俺みたいな化物なんか義姉さんに会う資格なんかないんですよ!」

ペトラ「エレン!」

ペトラ「あなたの唯一の家族なんでしょ…」

ペトラ「会ってあげなさいよ」

オルオ「その通りだ」

オルオ「いくらお前が生意気な後輩でもこういう時は先輩に従え」

エレン「…分かりました」

オルオ「それじゃあ俺等は邪魔になるから先行っているからな」

そう言いオルオ達は城に戻って行った。

クリスタ「エレン!」

クリスタ「久しぶり。何か…酷いことはされなかった?」

クリスタ「体を隅々まで調べ尽くされたとか精神的な苦痛を受けたとか」

エレン「…ないよ。そんなことは」

クリスタ「良かった…」

クリスタ「兵法会議の時エレンがリヴァイ兵長に一方的に殴られた時私とても心配で…」

エレン「あれぐらいどうってことない」

エレン「それでもごめん…心配かけさせてしまって」

少し休憩します。

再開します。

再開しようと思いましたが体力的に限界なのでここまでにします。

申し訳ございません。

おはようございます。

再開します。

クリスタのシーンが読んでてあれだったので加筆、修正してきます。

何度も申し訳ございますん。

>>456
家族に会える喜ばしさがあっても後ろめたさがあった。

クリスタ「…エレン!」

エレンと目が合ったクリスタはエレンの所に駆け走った。

アルミンや他の104期生もエレンの所に行こうとしたがユミルに止められた。

エレン「……」

クリスタが自分の所に来てるのを見たエレンは城に逃げ帰ろうとした。

ペトラ「エレン」

しかしペトラに腕を掴まれそれは出来なかった。

エレン「…何ですかペトラさん」

エレン「離してください!」

エレン「自分みたいな巨人になることが出来る化物なんか義姉さんに会う資格ないんですよ!」

ペトラ「エレン!」

ペトラ「私達は確かにエレンと一緒にいる期間は短い」

ペトラ「最初はあなたのことをいくら巨人の討伐数30で補佐が7の優秀な兵士で巨人の力を使役出来ても信用なんてしてなかった」

ペトラ「だけど…あの時初めて私達はエレンのことを分かった」

ペトラ「貴方は化物なんかじゃない」

ペトラ「だから自分を責めずに…会ってあげて」

オルオ「そういうことだ」

オルオ「こういう時は先輩の言う事に従え」

オルオ「そういうことで俺らは邪魔になるから先に城に戻るから終わったら戻ってこいよ」

オルオ「行くぞペトラ」

オルオはペトラを連れてグンタ達と先に城に戻った。

クリスタ「エレン!」

エレン「…暫く振りに会ったな」

クリスタ「何か…酷いことはされなかった?」

クリスタ「体を隅々まで調べ尽くされたとか精神的な苦痛を受けたとか」

エレン「…ないよ。そんなことは」

クリスタ「良かった…」

クリスタ「兵法会議の時エレンがリヴァイ兵長に一方的に殴られた時私とても心配で…」

エレン「あんなのどうということない」

エレン「あの後睨みつけつしまったが…リヴァイ兵長は悪い人ではなかった」

エレン「それでもあの後心配掛けさせて悪かった」

クリスタ「…エレンがいいならそれでいいよ」

クリスタ「でもあの時私エレンを一方的に殴ったリヴァイ兵長を許せなかった」

エレン「そのことはもういい」

エレン「なぁ…義姉さん」

エレン「どうして調査兵団を選んだんだ?」

エレン「ハンジさんから伝えるように言った伝言を聞いてなかったなんて言わせない」

クリスタ「…聞いたよ」

クリスタ「エレンは…優しいから私達に調査兵団にさせないようにまた一人で背負おうとしたんだね」

クリスタ「ユミルにも止められた」

クリスタ「それでも私は調査兵団を選んだの」

エレン「だったら…」

エレン「だったら何で調査兵団なんて選んだんだ!」

エレン「俺は…義姉さんに死んでほしくなんかない!」

エレン「あんな餌みたいに喰われてたまたま飲み込まれて生きていても胃袋の中で消化されず死体に囲まれて死ぬ目にあってほしくなんかない!」

エレン「だから…人類のことは巨人の力を使える俺みたいな化物に任せて」

エレン「義姉さんには安全な憲兵団を選んでほしかった…」

クリスタ「…いい加減に」

エレン「…?」

クリスタ「いい加減にしろよ!」

エレン「ッッッ!?」

腹部に思いっきり頭突きされた。

クリスタ「一部のやつらに化物扱いされただけでなに自分が可哀想な目にあった悲劇のヒロインぶってんだよ!」

エレン「ね、義姉さん…?」

クリスタ「人類のことは自分に任せて憲兵団に行け?」

クリスタ「ふざけんなよ!」

クリスタ「あんた駐屯兵団に囲まれた時から何も成長してないじゃない!」

クリスタ「そんな自己犠牲みたいなことをされても私は…」

クリスタ「私はちっとも嬉しくなんかない!!」

クリスタ「……」ハァ ハァ

エレン「……」

クリスタ「ねぇ…エレン」

クリスタ「エレンは確かに一部の人からは化物呼ばわりされてるけどあなたは…」

クリスタ「あなたはトロスト区を巨人の脅威から守った英雄じゃない」

クリスタ「それだけじゃない」

クリスタ「エレンはアルミン達を逃がすために一人で勇敢に囲んでいた巨人を討伐して私が巨人に喰われそうになっても助けてくれた」

クリスタ「エレンは化物なんかじゃない」

クリスタ「例え血が繋がっていなくても…」

クリスタ「エレンはどこ捜してもいない私の大切で自慢の義弟だよ」

エレン「……」

クリスタ「それに引き替え私はどうなの」

クリスタ「汚い妾の子でエレンが一人で巨人と戦っている危機にも関わらず自分のことばかり考えてガス切れを起こしてユミル達に迷惑をかけて」

クリスタ「エレンなんかと比べると私は…何も良いところなんかないよ」

クリスタ「だから…もう自分のことを責めないでよ…」

クリスタ「エレンの言う通りに私だけ憲兵団に行ったらどうなると思っているの…」

クリスタ「絶対に会えないわけではないかもしれないけど…私ひとりぼっちだよ」

クリスタ「唯一の家族と親友が居ない日々なんて考えたくないよ…」

クリスタ「お願い…」

クリスタ「置いていかないで…」

クリスタ「約束したでしょ…」

とうとう我慢出来なかったクリスタは泣き出した。

クリスタ「もう…誰かのために…死にに行こうなんて考えたりしない」

クリスタ「だから…エレンの隣にいさせて…」

クリスタ「エレンのことを化物呼ばわりする人がいても私はエレンから離れたりなんてしない」

クリスタ「私はエレンの家族で…私の義弟で…」

クリスタ「味方だから」

エレン「……」

エレン「…ごめん」

エレン「たかが人から化物扱いされただけで勝手に自信を追い詰めて…」

エレン「勝手に…誰も自分のことを信頼出来るやつなんていないと思いこんで」

エレン「勝手に…義姉さんとの約束を破って」

エレン「俺は…」

エレン「俺は義姉さんの気持ちを一つも考えることが出来ない…情けない義弟だ…」

クリスタ「…エレン」

クリスタはエレンの両手を握った。

クリスタ「もう一度約束して」

クリスタ「これからも私のことを守って」

クリスタ「そして…」

クリスタ「これからも家族である私とずっと一緒にいて」

クリスタ「私を…一人にしないで…」

クリスタ「…エレン」

クリスタはエレンの両手を握った。

クリスタ「もう一度約束して」

クリスタ「これからも私のことを守って」

クリスタ「そして…」

クリスタ「これからも家族である私とずっと一緒にいて」

クリスタ「私を…独りにしないで…」

エレン「…あぁ」

エレン「約束するよ」

エレン「もう…破ったりしない」

エレン「俺…エレン・イェーガーは!」

エレン「これからもクリスタ・レンズを守り生涯共にいることを」

エレン「誓います!!」

エレンはクリスタの両手を握り返した。

クリスタ「…ありがとうエレン」

クリスタ「大好きだよ」

クリスタ「これからもずっと一緒にいてね」

泣いていた顔は天使と言われている笑顔になった。

エレン「…あぁ!」

エレン「俺も義姉さんのこと大好きだ」

エレン「だから…義姉さんも死に急いだりしないで俺と一緒にいることを約束してくれ」

クリスタ「…うん!」

クリスタとエレンはお互いの指を差し出した。

そしてお互いの約束を守るためにゆびきりをした。

ユミル「話は終わったみたいだな」

エレン「ユミル!」

アルミン「ユミルだけじゃないよ」

アルミンの他にジャン、ミカサ、ミーナ、ライナー、ベルトルト、コニー、サシャが近づいてきた。

エレン「…お前らも調査兵にしたんだな」

アルミン「エレン、君のことだからあんな伝言をするぐらい分かっていたよ」

アルミン「僕や他の皆のことを心配して言ったんだろうけど」

アルミン「僕は親友の君と一緒に戦いたい」

アルミン「決して…足手纏いにはならないよ」

エレン「アルミン…」

ミーナ「エレン」

ミーナ「私ね…今もエレンに助けられる前に喰われそうになったことを思い出して手足が震えるの」

ミーナ「それでも私が今も生きていられるのはエレンのおかげ」

ミーナ「だから私はエレンのために戦いたい」

エレン「ミーナ…」

ミーナは巨人の脅威に屈して怯えていた弱々しい目つきではなく決意が固まった強い目つきをしていた。

エレン「…そうか」

エレン「自分で考えぬいて決めたのなら俺は何も言わない」

エレン「憲兵団に行ったのはマルコとアニとジャンで他は駐屯兵かそれ以外ってことか…」

サシャ「……」

エレン「ん?」

ジャン「マルコは死んだ」

エレン「ジャン…!?何でお前がここに…」

エレン「お前なら伝言しなくても憲兵に行ってるはずだ」

エレン「それよりも…今何て言った?」

エレン「マルコが死んだ…だと…?」

エレン「今死んだ…って……言ったのか?」

ジャン「誰しも劇的に死ねるってわけでもないらしいぜ」

ジャン「どんな最後だったかもわかんねぇよ…立体機動装置もつけてねぇし…」

ジャン「あいつは誰も見てない所で人知れず死んだんだ」

エレン「は…」

ジャン「エレン」

ジャン「俺ははっきり言って巨人共が憎い」

ジャン「だがな…俺は巨人になれるお前を憎いとは思えない」

ジャン「お前はお前だからな」

ジャン「俺…イヤ、俺達はお前が首席で訓練兵団を卒業して巨人の力を掌握出来る術を知っているお前を信頼している」

ジャン「だが、信頼していても命を懸けることなら別だ」

ジャン「誰しも無償で死ねるわけじゃない」

ジャン「だからこそだ」

ジャン「だからこそ知っておくべきだ。エレンも俺達も」

ジャン「俺達が何のために命を使うのかをな」

ジャン「じゃねぇといざという時に迷っちまうよ」

エレン「……」

ジャン「俺達はエレンに見返りを求めている」

ジャン「きっちり値踏みさせてくれよ」

ジャン「自分の命に見合うのかどうかをな…」

ジャン「だから…エレン」

エレン「!」

ジャンはエレンの方を掴んだ。

ジャン「本当に…頼むぞ?」

エレン「…あぁ!」

ーーー

1ヶ月後

カラネス区 早朝

「団長!!間もなくです!」

「付近の巨人はあらかた遠ざけた!!」

「開門30秒前!!」

「いよいよだ!!これより人類はまた一歩前進する!!」

「お前達の訓練の成果を見せてくれ!!」

オオオオオオオオオオ!!!

エルヴィン「開門始め!!」

エルヴィン「これより第57回壁外調査を開始する!」

エルヴィン「前進せよ!!」

エルヴィンの指示により調査兵を乗せた馬は前進した。

エレン(いよいよ第57回壁外調査が始まった)

エレン(この調査でたくさんの死人が出るかもしれない)

エレン(それでも)

エレン(それでも俺を化物でも信頼してくれているヒストリア義姉さん、アルミン達を守るために)

エレン(俺は戦い続ける)

エレン(俺は独りじゃない)

エレン(なぜなら…俺には守るための家族と信頼してくれる仲間がいるから)

END

これで終わりです。

一ヶ月間SSを読んでくださった方、途中で流れがおかしくなった時にアドバイスしてくださった方ありがとうございました。

また、終盤駆け足になってしまい申し訳ございませんでした。

最後にこのSSは加筆、修正をしたいのですが時間がないので転載は禁止でお願いします。

それではさようなら。

P.S.
感想をくださった方、体調を心配してくださった方もありがとうございました。

乙乙
出来れば平和になった後のエレンたちも見たいなー…(チラッチラッ

>>494
書いてみたいですが…流石にもう時間と余裕がない立場なので書けませんね。申し訳ございません。

某絵かきサイトのあるイラストがモデルで書いたのですがクリスタはやはり妹ポジの方がいいと思いました。

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