ヒストリア「…」エレン「…」【71、5話】 (15)




ヒストリア「…」


エレン「…」ギュウウ



ヒストリア「…どうですか?エレンさん」

エレン「ああ。やっぱり変わんねぇな…何も思い出せねぇ」

ヒストリア「こんな年頃な女の子を掴まえて何回も手を握って収穫無しとはもう手を握りたいがためにわざとやってるんじゃないかと勘繰ってしまうよ」

エレン「訳わかんねぇ事言うなよ」

ヒストリア「ごめん」

エレン「…まあ、そうやって変なこと言って元気付けようとしてくれてるのだろうけど」

ヒストリア「おうよ」

エレン「…」

ヒストリア「…でも、なんか雰囲気変わったね」

エレン「え?」

ヒストリア「なんか雰囲気や表情が穏やかになったというか、余裕が出てきたというか…」

エレン「ああ…」

ヒストリア「教官に会いに行ったんだってね」

エレン「ああ。会って良かったよ…俺はどうしようもないことばっかり考えてた」

エレン「俺は特別じゃなかったとか何とか言ってたけど……みんな、生まれた時からそれぞれ特別な存在なんだよな」

ヒストリア「エレンらしくないこと言ってビックリ」

エレン「悪いか?」

ヒストリア「いえ、いいと思います」



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ヒストリア「…エレンのお母さんはそんな名言を残していたんだね…何だか聞いてる私も涙が出てきたよ」

エレン「…だから…いつまでもくよくよ悩んでたって、母さんに悪いからな…」

ヒストリア「そうだね。私もそんなお母さんが欲しかった…」

エレン「…ちょっと反応に困るな」

ヒストリア「気にしなくていいよ」

エレン「…」

ヒストリア「…でね、私の予想なんだけど」

エレン「お!?おう」

ヒストリア「きっと訓練兵団で一番最初にエレンが姿勢制御に失敗したのは、教官がエレンを戦わせたくなかったからだと思うんだ」

エレン「…まあ…確かに、そうかもな。教官なりに…」

ヒストリア「色々考えたらまた涙が出てきたよ…」

エレン「お前は感情豊かになったな…いや、前からか」

ヒストリア「…いよいよもうすぐだね、ウォール・マリア奪還作戦。私は行けないけど…」

エレン「お前は女王の仕事があるからな」

ヒストリア「まあ、女王というか孤児院の先生みたいになっちゃってるけどね」

エレン「…まあ…いいんじゃないか。お前らしくて」

ヒストリア「しかも皆なついてくれるし、何か周りからは『牛飼いの女神様』なんて呼ばれちゃうし、人気者は困るよ~うしし」

エレン「…」

ヒストリア「…」

エレン「…」

ヒストリア「…」


エレン「なあ………今のダジャレか?」



「牛飼いの女神」
「うしし」



ヒストリア「もう忘れて恥ずかしい!」ボカボカ

エレン「わかったわかった、心にしまっておくよ」

ヒストリア「しまっちゃ駄目、忘れてー!!」

ヒストリア「…で…話を戻そう」

エレン「おう」

ヒストリア「…ライナーやベルトルトも…また、来るのかな」

エレン「…」

ヒストリア「………」


エレン「…ライナーとベルトルトは、絶対に戦わなきゃいけない相手だ。あいつらが敵でいる限り…壁は破壊され続ける」

ヒストリア「…うん…」

ヒストリア(ユミルは…どうしてるんだろうな…)

エレン「…泣きそうな顔になってるぞ」

ヒストリア「そりゃあ…私だって女の子ですから…」

エレン「…もうちょいマシな誤魔化し方は無いのか」

ヒストリア「はあ…なんで、こんなことになったんだろうね…」

エレン「…」

エレン「わからない…けど、生きるためには前を向くしかねぇんだ」

ヒストリア「…そうだね…」

エレン「俺達は絶対に勝つために、全力で戦うさ…お前も女王として頑張れよ」

ヒストリア「おう、ありがとね。エレンに応援されたの久しぶりかな」

エレン「たくさん失って、全ては戻らないけど……マリアを奪還して、俺達が生まれた故郷だけは、絶対に取り返してみせる……」

ヒストリア「…うん、頑張れ…ヒストリアパンチで気合いを入れてあげるよ」

エレン「もうヒストリアパンチは既にもらったよ」


ヒストリア「…ミカサやアルミンの為にも取り返さないとね」

エレン「ああ。俺達の故郷を取り戻して、またあの頃みたいな日々に…」

ヒストリア「…」

ヒストリア「ちゃんと取り返すんだよ。もう今度は君がミカサを守る番だ」ポンッ

エレン「は!?急になに言ってんだよ…」

ヒストリア「三人の友情愛情パワーなら取り返せるって信じてるよ」

エレン「…前はミカサにも嫉妬しちまっててよ…情けなかったよ、俺は。ミカサだって一人じゃどうにもならないし、皆の小さい力がそれぞれ合わさって、1つの大きな力に変えることができる」

エレン「俺もミカサもアルミン…皆も、それぞれ違うのは、きっとそういう時のためなんだ」

ヒストリア「うん。いいこと言うねエレンさん」

エレン「俺はミカサより強くなきゃいけないなんて思ってた…でも、そんなことはないんだよな。嫉妬なんてミカサには悪いことしてたよ…」

ヒストリア「良かったね、ミカサ。これでエレンと一歩近づいたよ!」

エレン「…なに言ってんだお前、ミカサはここにいねぇぞ」

エレン「…まだ3ヶ月しか経ってねぇんだよな。解散式から」

ヒストリア「凄く濃い3ヶ月だよね…もう5年以上くらいは経った気分だよ。漫画にしたら単行本18巻分くらいの気分」

エレン「漫画にしたらって、漫画じゃねぇんだからよ」

ヒストリア「あはははー」


エレン「…色々あったな…」

ヒストリア「うん…」


ヒストリア「…アルミンが変なおじさんに欲情されたり…愉快なケニーおじさんが現れたり…ザックレー総統が変態おじさんだったり…色々あったね…」

エレン「…おじさんばっかりじゃねぇか…」

ヒストリア「ごめん、真面目に言うのが照れ臭くて」

エレン「そうか…」

ヒストリア「まあ、でも…真面目に、本当に色々あったよね……結局私達が選んだ事は正しかったんだろうか…正しかったって信じるしか無いよね」

エレン「ああ、間違ってるはずがねぇよ」

ヒストリア「そうだね、間違ってるはずがないね!」

ヒストリア「…エレン、そろそろ帰らなきゃ」

エレン「そうだな、そろそろ戻るよ」ザッ

ヒストリア「頑張ってね。まあ、当日は私も見送りには行くからさ」

エレン「おう。お前も壁内のこと頑張れよ」

ヒストリア「ミカサとも頑張ってね☆うししし」

エレン「な、なに言ってんだよ!!」

――――――――

ウォール・マリア奪還作戦 当日



エレン「…いよいよだな…」

ミカサ「ええ、ついにこの日が来た…」

アルミン「体調は大丈夫?」

エレン「ああ、バッチリだ」

ミカサ「体調が悪くなったらいつでも私に頼ってくれていい。何ならシガンシナ区までおんぶしてあげてもいいと思っている」

エレン「おんぶとか子供じゃねぇんだからよ…まあでも、困ったら助けてもらうよ、頼りにしてるぜ」

ミカサ「エレンに頼りにされた!」ドキーンッ

アルミン「エレン丸くなったね」



ジャン「…エレン、ちゃんと壁は塞げるだろうな」ザッ

エレン「ジャン、ああ、問題ない。取り返して、皆で生きて帰るぞ」

ジャン「…ふん、いい表情になったじゃねぇか」

コニー「言われるまでもねぇ、生きて帰るぞ。俺は……いや、俺達は、天才だからな」

サシャ「カッコいいです、コニー!」

エレン「ははは…」


リヴァイ「おい、お喋りは終わりだ。行くぞ」

エレン「あ、兵長」

ジャン「…出発か」

ヒストリア「おーい、みんなー!!」ダダダダダッ

アルミン「あ、ヒストリア」

エレン「よう」


ヒストリア「はあ…はあ、遅れるところだった」


リヴァイ「…」


ミカサ「見送りに来てくれたの?」

ヒストリア「うん。みんな頑張ってね!帰って来てね!!」

サシャ「当たり前です、帰って来ますよ」

ジャン「しくじったらもう人類がおしまいだからな…何にしろ無事に成功させるしか道はねぇさ」

コニー「女王様に言われちゃ失敗する訳にはいかねぇな」

ヒストリア「いやいや、そんな女王様だなんて照れるよー」

アルミン「いや、実際に女王様でしょ」



ミカサ「…みんな相変わらず仲良し…とてもいいこと。これは生き延びなきゃいけない」

エレン「ああ…そうだな。誰も死なせやしないさ」

ミカサ「…うん」

エレン(大丈夫だ。取り返してやる…奪われた全てを…)

ミカサ「!」



ヒストリア(エレンったらミカサをチラ見しちゃってるわ!!)



ヒストリア「よし、その調子で気合い一発入れて、しっかり行ってこーい!!」ベチンッ

エレン「痛い!」




その後、ウォール・マリア奪還に成功し…


104期は再び集う事が出来た



おしまい


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