もしもヒッチが104期生で成績上位10名に入ったら(727)

ヒッチ(って言うか、当然、私が入るだろうけどね)

847年 入団式

キース「貴様は何者だ!?」
アルミン「シンガシナ区出身!アルミン・アルレルトです!!」

ヒッチ(私は出身地区じゃ10年に一度の神童と、6歳までは呼ばれていたほどの美少女だし、10位以内なんて楽勝ね)

キース「そうか!バカみてぇな名前だな!!親がつけたのか!?」
アルミン「祖父がつけてくれました!」

ヒッチ(パッと見た感じ、そこそこ可愛い女子もいたみたいだけど、垢ぬけて無いのばっか)

キース「アルレルト!貴様は何しにここに来た!?」
アルミン「人類の勝利に役立つためです!!」
キース「それは素晴らしいな!!貴様には巨人のエサになってもらおう!!」

ヒッチ(どの子も私の相手じゃないね。やっぱりここでも私が一番美人だし可愛いしセンスいいし)

キース「3列目、後ろを向け!貴様は何者だ!!」
トーマス「ト、トロスト区出身トーマス・ワグナーです!」

ヒッチ(肝心の男はっていうと……ちょっと期待外れかな。もう少し恰好いいのがいるのを期待してたんだけど)

キース「声が小さい!聞こえん!!」
トーマス「トロスト区出身トーマス・ワグナーです!!」

ヒッチ(私はメンクイなんだよ。出身地区でも、つねに一番顔がいいって評判の男と付き合ってきたんだ)

キース「貴様は何者だ!!」
ミーナ「トロスト区出身ミーナ・カロライナです!」

ヒッチ(もちろん全員、私から振ってやったけどね。開拓地に行くようなツマンナイ男が、私と釣り合うかってーの)

キース「違うッ!貴様は豚小屋出身家畜以下だ!!」
ミーナ「はっ! 自分は豚小屋出身!家畜以下のメス豚であります!」

ヒッチ(出来る女は外見が良いだけじゃなく、実力もあるもんなの。だから当然、私は憲兵団に入るし、彼氏だってそれ相応の実力がなきゃ)

キース「スタスタ ギロッ
アニ「……」

ヒッチ(それにしても、さっきからこの教官って怒鳴ってばっか。男って、恫喝して優越感を覚えるようなバカが多いよね)

アニ「……」
キース「クルッ スタスタ

ヒッチ(あれ?今の子には何も言わなかった。なんでだろう?)

キース「貴様は何者だ!!」
ジャン「トロスト区出身ジャン・キルシュタインです!」

ヒッチ(……あ~なるほど、そういうことか。つまり、教官も所詮は男ってことね。やっぱり美人は贔屓しちゃうよね)

キース「何のためにここに来た!」
ジャン「憲兵団に入って、内地で暮らすためです」

ヒッチ(今あいつ、なんつった?バカなんじゃない?こんなトコで本音喋って得することなんか一つも無いっつーの)

キース「そうか!貴様は内地に行きたいのか。ふん!」ゴツッ
ジャン「!!」ヨロッ
キース「オイ!誰が座ってよいと言った!!こんな所でへこたれる者が憲兵団になどなれるものか!!」

ヒッチ(かっこわるwww尻もちついてんじゃんwww顔は中の上くらいだけど、あいつはパス)

キース「貴様は何だ!!」
マルコ「ウォール・ローゼ南区ジナエ町出身マルコ・ボットです!」

ヒッチ(もうすぐ私の番か。でも、私にはきっと何も言わないでしょ。さっき飛ばされた子より、私のが10倍は美人だし)

キース「何しにここに来た!」
マルコ「憲兵団に入り、王にこの身を捧げるためです!!」

ヒッチ(うわっ、すっごい優等生的発言。無難だけど、男としての魅力皆無。顔も平均以下。却下。落第。)

キース「そうか、それは結構なことだ。目指すといい。だが、王はきっとお前の体なんぞ欲しくない」

ヒッチ(私の番は次の次か。……隣の女、あんま見慣れない顔立ちだな。……どこの田舎者だろう?)

キース「スタスタ ギロッ
ミカサ「……」

ヒッチ(こいつは、見ようによっちゃ美人かもしんないけど、髪はボサボサだし、色気ないし、私の敵じゃないな)

ミカサ「……」
キース「クルッ スタスタ

ヒッチ(どうやら教官のお気には召したようだね。さて、次は私だけど……まぁ余裕でパスでしょ)

キース「スタスタ ギロッ

ヒッチ「……」

キース「貴様は何者だ!?」

ヒッチ「え゛?!」

キース「貴様だ!聞こえなかったのか!!貴様は何者だと聞いているんだ!!」

ヒッチ「え……あ……」

ヒッチ(なに??なんで??!なんで圧倒的なまでに超絶美少女の私が、恫喝されなきゃいけないの?!!)

ヒッチ(…………落ち着こう)

ヒッチ(きっとこのハゲオヤジは、私があんまりにも可愛かったんでイジメたくなった変態なんだ……)

ヒッチ(こういう時は、視線だけ動かして、自然な上目づかいを心がけて……)

ヒッチ「×××出身ヒッチ・△△△です!!」

キース「ゴゴゴゴ

ヒッチ(どうよ、私の可愛さにちょっとグっときちゃった?オジサンwww)

キース「フッ

ヒッチ(! 鼻で笑った?)カチン

キース「小便臭いのにいっぱしの女気取りか。出身地に戻って売春婦でもやったらどうだ?」

ヒッチ「!!」

キース「次だ!次!!」

ヒッチ(なななな……今、なんつった?……あのハゲ)

キース「貴様だ!!貴様は何者だ!」
コニー「ウォール・ローゼ南区ラカゴ村出身コニー・スプリンガーです!!」

ヒッチ(この美人をつかまえて、小便臭いだってぇ?!ふざけんなよ!!そこらにいる処女丸出しの女と私を一緒にすんなっつーの!!)

キース「逆だ、コニー・スプリンガー……」ガシッ
コニー「!!……」ミシミシッ

ヒッチ(私の可愛さが分からないとか、あのハゲ、インポなんじゃねーの?!バイアグラでも飲んでろ!!)

キース「最初に教わったハズだ。この敬礼の意味は『公に心臓を捧げる』決意を示すものだと。貴様の心臓は右にあるのか、コニー?」ミシミシッ
コニー「ブクブク

ヒッチ(…………ちょっと冷静になろう。興奮し過ぎた……。どうせ、これからは教官のご機嫌も取らなきゃいけないんだし……)

キース「……!!」
サシャ「モグモグ
キース「……」
サシャ「ハフハフ

ヒッチ(……はぁ、考えてみると、オヤジ相手にすんのは気が滅入るや……。だいたい、私は処女じゃないけど、男とするの自体は好きじゃないんだよね……)

キース「おい……貴様は何をやってる?」ドサッ
コニー「ピクピク
サシャ「!?」

ヒッチ(?? なに?なんかハゲオヤジ、すげー驚いてるけど、どうしたの?)クルッ

サシャ「?」ゴクン
サシャ「ムシャムシャ
キース「なっ!?」

ヒッチ(ちょ!!!なんだよ、あいつ!!!)

キース「貴様だ!貴様に言ってる!!貴様、何者なんだ!?」
サシャ「!」ムシャムシャ

ヒッチ(あいつ、なんなの?!バカなの?!死ぬの?!)

サシャ「モグモグ ゴクン
サシャ「ウォール・ローゼ南区ダウパー村出身サシャ・ブラウスです!」
キース「……」

>>28みすった
ヒッチがもしもトロスト区の104期生だったらって話ってことでいいんだよな?

>>30
そこらへんはアバウトにしか考えてなかったんで、そんな感じでお読みください。

キース「サシャ・ブラウス、貴様が右手に持っている物は何だ?」
サシャ「蒸かした芋です。調理場に丁度頃合いの物があったので、つい!」

ヒッチ(こいつ、兵団デビュー、完全に失敗だろ。天然だったらバカすぎてハブだし、狙ってたとしたら、もっとウザいし)

キース「貴様、盗んだのか……。なぜだ…。なぜ今、芋を食べ出した?」
サシャ「冷めてしまっては元も子もないので……今、食べるべきだと判断しました」

ヒッチ(でもまぁ、集団って、こういうバカをスケープゴートにして結束してくもんだし、ちょうどいいかな)

キース「……いや、分からないな。なぜ貴様は芋を食べた?」
サシャ「それは、何故人は芋を食べるのか、という話でしょうか?」

キース「……」
サシャ「…?」

ヒッチ(取り敢えず、集団の力関係ってのは最初が肝心なんだ。上位に入るためには内申も欲しいし、女子の友達も作っておかないと……)

サシャ「あ!」パカッ

ヒッチ(……大丈夫、やっていける。私は、この集団の中でうまく振舞ってやる……。絶対に憲兵団に入って、内地へ行くんだ……)

サシャ「半分、どうぞ……」
キース「……半分?」

サシャ「ゲフーッ

ここまでお付き合い有難うございます。
火曜夜に続き書きたいと考えてます。

見切り発車なんで絶対とは言い切れませんが、NTRとか鬱エンドとかにはならないけど、
ヒッチちゃんが色々悪さを働くと思うんで、多少はイヤな展開あるかも。

夜 食堂

コニー「おい、あの芋女、まだ走らされてるみたいだぞ」

エレン「すごいな、5時間ぶっ通しか」

ヒッチ「でも、死ぬ寸前まで走れって言われた時より、今日は食事抜きだって言われた時の方が、悲しそうな顔をしてたよね。食べるのだけが楽しみで兵団に入ったのにぃ、みたいな?www」

キャハハ チョーウケルー

コニー「ダウパー村ってのは確か人里外れた山奥にある少人数の狩猟の村だ」

マルコ「まだ、そんな村があったなんて驚いたな」

ヒッチ「ちゃんと私たちの言葉通じてんのかなぁ。入団式の時も、教官の言ってる事、通じて無かったっぽいしwww」

キャハハ ダヨネー イエテルー

ヒッチ(もうちょいあの芋女をネタにしてやりたいけど、性格悪いって誤解されそうだから、このぐらいで止めといてやろうかな)

マルコ「そういえば君はどこに住んでいたんだい?」

ヒッチ(こいつは王様に仕えたいとか寒い事言ってた真面目君……。なに、私に興味持っちゃった?困るなぁ~。本当は私の好みじゃないんだけど、仕方ないから会話してあげるか)

ヒッチ「私はね~、えっとぉ」

エレン「俺か?」

マルコ「うん、教官から聞かれてなかったよね」

ヒッチ「」

ヒッチ(…………この草食ヅラ野郎。顔面偏差値48以下のくせに、60オーバーの私にフェイントかけるとか10年早いんだよ!!)

エレン「俺はこいつ、アルミンと同じシガンシナ区だ。そこから開拓地に移って、12歳になるまでそこにいた」

ヒッチ(……と、いけない。ムカついたせいで、また冷静さ失っちゃった。ほんと、見る目の無い田舎者ばっかの集団にいると、調子狂って困るわ)

コニー「ってことはよ、あの日もいたんだよな、シガンシナに!」

ヒッチ(それよりも、このシガンシナ出身だっていう目つき悪い男子、ちょっと気になるかな)

コニー「見たことあるのか?超大型巨人!」

ヒッチ(顔は、まぁ平均レベル。私はメンクイだけど、見た目だけで判断しない寛大な心の持ち主だから、足切りしないであげる)

エレン「あぁ……」

ヒッチ「えぇ、本当?!見た事あるんだぁ!すご~い!!どのくらい大きかったの?」

エレン「大きさは、壁から首を出すぐらいだ」

地味顔なモブ子たち「私は、壁を跨いだって聞いたわよ!」「私も!」「私の村でもそう言ってた!」

エレン「いいや、そこまでデカくはなかった…」

ヒッチ(チッ……横から会話に割り込んでくんなよ、ブサイクなその他大勢のクセして!!)イラッ

ヒッチ「じゃあ、どのくらい大きかったのぉ?」ニジリニジリ

エレン「大きさは、壁から首を出すぐらいだ」

ヒッチ「そ~なんだ~、知らなかったぁ。やっぱりシガンシナ出身の子って本物見ててすごいね~」ピトッ

エレン(このテーブル、狭いのかな。隣との間隔が近過ぎて食べにくいぞ)

地味顔なモブ子たち「超大型巨人ってどんな顔だったの?」「ウォール・マリアを破った鎧の巨人は見た?」

ヒッチ(私が男と話してんの邪魔するとか、地味グループのクセして生意気なんだよ!!)イライラ

エレン「顔は、皮膚が殆ど無くて口がデカかったな。鎧の巨人って呼ばれてるヤツも見たけど、俺の目には普通の巨人に見えたな」

ヒッチ「じゃあ、普通の巨人は?」

エレン「―――――――――――」

ヒッチ(あれ?動きが止まっちゃった……)

エレン「うっ…」

ヒッチ(! なに!なに、こいつ!!なに、いきなり吐きそうになってんの?!)アトズサリ

マルコ「みんな、もう質問はよそう。思い出したくないこともあるだろう」

コニー「す、すまん!色々と思い出させちまって……」

エレン「……ハッ!違うぞ……」グッ

エレン「巨人なんて、実際大したことねぇな。俺たちが立体起動装置を使いこなせるようになれば、あんなの敵じゃない!!」

ヒッチ(うわ~、ビビってたのバレバレなのに強がっちゃって……)

エレン「石拾いや草むしりじゃなくて、やっと兵士として訓練できるんだ。さっきは思わず感極まっただけだ」

ヒッチ(でも、耐える男の表情って、ちょっと色っぽいよね。私ってこういうセックス・アピールのある男ってわりと好きなんだ)

エレン「そんで調査兵団に入って、この世から巨人共を駆逐してやる!そして…」

ヒッチ(調査兵団に入りたいってところはマイナスだけど、そのうち唾だけはつけておこう)

ジャン「オイオイ正気か?今お前、調査兵団に入るって言ったのか?」

エレン「ああ、そうだけど……。お前は確か、憲兵団に入って楽したいんだったっけ?」

ジャン「オレは正直者なんでね。心底怯えながらも勇敢気取ってやがるヤツより、よっぽどさわやかだと思うがな」

ヒッチ(こいつは教官の頭突きで尻もちついてたヤツ……。性格悪そうだな~)

エレン「それはオレのことか?!」

ジャン「あー、すまない。正直なのはオレの悪い癖だ。気ぃ悪くさせるつもりも無いんだ」

ヒッチ(でも、こういう性格悪いのにかぎって、グループの中心になっちゃったりするんだよね)

ジャン「あんたの考え方を否定したいわけじゃない。どう生きようと、人の勝手だと思うからな」

ヒッチ(ふ~ん、単なる性格悪い男ってわけじゃないのか……。昼間はパスって思ったけど、ゴメン、やっぱりアリで)

カンカンカンカン

「晩飯終わりだー。片づけるぞー」

ワイワイガヤガヤ カチャカチャ

エレン「分かったよ。オレも喧嘩腰だったな」

ジャン「あぁ、これで手打ちにしよう」

エレン「はいよ」ポンッ

ヒッチ(尻もち君に、ちょっとだけアピールしておこうかな)

ヒッチ「私、食器集めるね」ニコッ

ジャン「あ、悪いな」

ヒッチ「ううん、気にしないで。私ってぇ、綺麗好きって言うかぁ、片づけとか率先してやっちゃうタイプなんだぁ」

ミカサ「スッ

ジャン「!……なぁ、あんた……」

ヒッチ(かかった!私のこと、気になっちゃったでしょ?wwwチョロいwwwやっぱり男ってチョロいよwww)

ヒッチ「なにかしら?」ニコッ

ジャン「とても綺麗な黒髪だな……」///

ミカサ「どうも」

ヒッチ「」

******

食堂付近 外

ワイワイガヤガヤ キャッキャ アハハハ

スタイルのいいモブ子A「だよねー、あのハゲオヤジ最悪だよねー」
ちょっと可愛いモブ子B「私は別に兵士なんかなりたくないのに、なんであんな事言われなきゃいけないっつーの」
そこそこ美人なモブ子C「いちいち凄んじゃってさ、キモいんだよ」

ヒッチ「みんなーやめなよwwwあのハゲ、自分が枯れちゃってるから私らのこと僻んでんだよwww」

キャハハハハ

ヒッチ(同期で、そこそこ可愛くって、そこそこ社交性があるのはこいつらだな。ツルんでおけば、後々役に立ちそう)

ヒッチ(あと、もう一人、目を付けといたのがいるんだけど、食事が終わった後、そわそわとどっか行っちゃった)

ヒッチ(男受け良さそうな顔してたし、あの子とも知り合いになっておかないと)

兵舎付近 外 

サシャ「やっと…終わった……」ゼェゼェ フラフラ

サシャ「本当に死ぬ寸前まで走らされた……故郷の森を出れば旨い物が食べられると思ったのに……」ガクッ ドサッ

サッサッサッサッ

サシャ「ピクッ

サシャ「ガバッ!! バクーッ!!

クリスタ「キャアッ!!」

サシャ「これは?!パァン!!」

物陰

ヒッチ(……なるほど。そういうことか)

ヒッチ(あの子、可愛い顔してなかなかやるね……。あの芋女を手懐けておいて、あとでいいようにコキ使おうって腹積もりか)

ヒッチ(確かに、ここで快適に過ごすには、そういう手ゴマが必要かも……)ニヤッ

クリスタ「それだけしか無いけど、取っておいたの」

サシャ「神様?」

ヒッチ「でも、まず先にお水を飲まなきゃね」ヒョッコリ

クリスタ「…え?」

ヒッチ(あんただけに美味しい思いはさせないよ。その水袋、よこしな!!)グイッ

クリスタ「あ……」

ヒッチ「お水飲まないで食べたら、胸につかえちゃうでしょ?」ニッコリ

サシャ「あなた方が神様ですか!?」ゴクゴクッ ムシャムシャッ

ヒッチ「シーッ。静かにしないと、人がきちゃうよ」

ユミル「……おい」ザッ

ヒッチ「!」

ユミル「何やってんだ?」

ヒッチ(誰だ、こいつ?!後から来て、便乗しようってのか?なんて厚かましい……)チッ

ヒッチ「え~っとぉ、この子は今まで走りっぱなしでぇ…」

ユミル「てめーには聞いてねぇよ」

ヒッチ「」

ユミル「ましてや、この芋女のことでもない。お前だ。お前、何やってんだ」

クリスタ「私?」

ユミル「晩飯のパンを隠してる時からイラついてた。親に内緒で飼ってるペットにエサやるみてぇな」

ヒッチ(このそばかす女、なんなの?!やたら背ぇ高いし、目つき悪いし、ちょっと怖いんだけど……)

サシャ「ZZZZ

ユミル「なぁ、お前、『いいこと』しようとしてるだろ。それは芋女のためにやったのか?お前の得た達成感や高揚感は、その労力に見合ったか?」

クリスタ「え……」

ヒッチ(なに言ってんの?わけ分かんない。私もこいつも、自分のためにやってるに決まってんじゃない)

クリスタ「私がこうしたかったのは、役に立つ人間だと思われたいから…なのかな?」

ヒッチ(カマトトぶっちゃって……。あとでパシリとして利用するためか、底辺人間に施しを与えて優越感に浸りたいか、どっちか以外ないでしょ)

ユミル「知るかよ…。ともかく、芋女をベッドまで運ぶぞ」

クリスタ「え!?」

ヒッチ「はぁ?!」

ユミル「お前じゃこいつを担ぐのはしんどいハズだ」

クリスタ「…あなたは何で『いいこと』をするの?」

ユミル「こいつに貸し作って恩に着せるためだ。こいつの馬鹿さには期待できる」ヒョイ

ヒッチ「ちょっと!なに勝手に決めてんのよ!!こいつを運ぶのなら、私とこの子の2人で充分だから、横からしゃしゃり出てくんなよ!!」

ユミル「ギロッ

ヒッチ「ビクッ

ユミル「……そーか。なら、お前に運んでもらおうかな」ホイッ

ヒッチ「え…ちょ!!いきなり……ぐぇ」ヨロヨロッ ドスン

ユミル「おいおい、このぐらいで潰れんなよ。やっぱり私が力貸してやんないとダメか?」ニヤニヤ

ヒッチ「だ、誰も私一人で運ぶなんて言ってないでしょ!この子と私の2人で運ぶって言ったのよ!!」

ユミル「残念ながら、こいつは自分の水袋を持ってかえんなきゃいけないみたいだ。この水袋、お前のなんだろ?」

クリスタ「う、うん。そうだけど……でも、やっぱり私も手を貸すよ。一人じゃベッドまで運ぶの大変でしょ」

ユミル「んな事、気にしなくていいんだよ。こいつが頑張るって言ってんだから」

ヒッチ「誰もそんな事、言ってないでしょ!つーか、あんた、何様よ!!途中からしゃしゃり出てきて!!関係無いんだから引っ込んでなよ!!」

ユミル「おいおい、それは私の台詞だよ」グイッ

ヒッチ「ひっ」カオチカイ…

ユミル「途中からしゃしゃり出てきたのはてめーだろ。美味しい思いしたいんなら、ちっとはてめーも働きな…」ボソッ

ヒッチ「ブルッ

ユミル「つーわけで宜しくな。さ、行こうぜ」クチブエ♪~

クリスタ「う、うん…」(いいのかな?)

ヒッチ(あのクソアマ……。覚えてろよ……)ギリッ

女子寮 部屋

ヒッチ(くそ……結局、芋女を私一人で運ばされる羽目になった……。なんで私がこんな目にあわなきゃいけないの?!ムカつく……)

ヒッチ(それで、えっと、私の部屋はここか……。3人部屋らしいけど、同室は誰だろ?)

ガチャ

ハンナ「あ、来たみたい」

ミーナ「遅かったね。どうしたの?」

ヒッチ(ソバカス地味女と、あとは入団式で雌豚呼ばわりされてた子か……。豚子が中の下、地味子は下の中かな)

ヒッチ「遅くなってゴメンねぇ。仲良くなった子とお話してたら、引き止められちゃったのぉ」

各々自己紹介後

ヒッチ(くそ狭い部屋だなぁ。まぁ文句言っても仕方ない。そのうち、私の好きな飾り付けをしよっと。……あれ?ひょっとして……)キョロキョロ

ヒッチ「…ねぇ、それぞれのベッド、もう決めちゃった?」

ミーナ「あ、うん、あなた来るの遅かったし、悪いけど、私たちで先に決めさせてもらったわ」

ヒッチ「ふ~ん…………。あのさ、私、ベッドは一人用のがいいな。代わってくれない?」

ミーナ「え?」

ミーナ「え、えっと……もう荷物ほどいちゃったし…」

ヒッチ「聞こえなかった?私、一人用のベッドを使いたいから、荷物どかしてくんない?」

ミーナ「そ、そんなこと言われても…」

ハンナ「わ、私が代わってあげるよ。こっちのベッドの下の段ならどうかな?」

ヒッチ「私、一人用じゃないと落ち着いて眠れないの。分かる?」

ミーナ「ムカッ

ハンナ「あ、あの、眠れないんじゃ仕方ないよね。ミ、ミーナの荷物は私が運んであげるよ……」

ヒッチ「そう。悪いね」

ドサァッ

ミーナ「ちょ!」

ヒッチ「あ~、疲れちゃったなぁ。話があるんなら明日にしてもらえる?」ゴロッ

ハンナ「オロオロ

ヒッチ(ふん……豚子と地味子が私に逆らうとか、百年はえーんだよ……)

読んでくれた方、ありがとうございます。木曜夜に続き書きます。
誰にでも愛されるヒッチを目指して頑張ります。

_________
____
_

翌日 立体機動適性検査

ミカサ「ピタッ
コニー「よっと」
サシャ「ほいっ」
エレン「おわ~っ!!」グルンッ

ヒッチ「くっ…ぐぐぐ……」プルプル

ヒッチ(で、出来た!!)ヒッシ

見廻りの教官「今期はできる者が多いようだな」ザッザッ

ヒッチ(ど、どんなもんだい!やっぱり、私は何でも出来る人間なんだ!!フフフ、褒めて!もっと私を褒めていいのよ!!)

ジャン「おっし」
ライナー「ふんぬっ」
ベストルト「ふぅ」
エレン「おわわわわわわ~っ!!」グルングルングルンッ

ハンナ(うう…うまくバランスがとれないよ……)フラフラッ

キース「何をしてる!しっかりと姿勢を保て!!」

*******

ミカサ「基本通りにやれば出来るはず。上手くやろうとか考えなくていい」
アルミン「落ち着いてやれば出来るよ。運動苦手な僕だって出来たんだから」
エレン「こ、今度こそ出来る気がする!」

ハンナ(私も居残りになっちゃった……。でも、まだ友達が出来てないから、あそこの3人みたいに手伝ってくれる人がいない……)

ヒッチ「ハンナったら、どうしたのぉ?」ニヤニヤ

ハンナ「…あ、あの、実は」

ヒッチ「まさか姿勢制御できなくって居残りとか?そんなわけ無いよね~www」キャハハ

ハンナ「……」

スタイルのいいモブ子A「ヒッチ、お疲れ~」

ヒッチ「あ、お疲れ~。みんな、どうだった?」

ちょっと可愛いモブ子B「もう最悪。またあのハゲ教官に怒鳴られちゃった」

そこそこ美人なモブ子C「誰、その子?」

ヒッチ「あ、この子、私の同室の子」

ハンナ「……」ペコ

スタイルのいいモブ子A「ふ~ん、何やってんの?」

ハンナ「あ…あの…その……」

ちょっと可愛いモブ子B「ねぇ、もしかして、この子、居残りなの?」ヒソヒソ

そこそこ美人なモブ子C「うわ、マジで?www超受けるんですけどぉ~www」ヒソヒソ

ヒッチ「ちょっとみんなぁ、そんな事言ったら可哀そうだよぉ~www」ヒソヒソ

キャハハハハハ

ハンナ「……」

ヒッチ「ねぇ、誰か補助してくれる子はいないの?一人じゃ無理でしょ」ニヤニヤ

ハンナ「あの、私…同郷の出身者が少ないから、頼める人がいなくて……」

ヒッチ「へぇ~、そうなんだぁ」ニヤニヤ

スタイルのいいモブ子A「あ~、今日も疲れちゃったなぁ」

ちょっと可愛いモブ子B「さっさと着替えて食堂いかない?」

そこそこ美人なモブ子C「そうだね、行こう行こう」

ヒッチ「じゃあねぇ~」ヒラヒラ

ハンナ「あ…うん……」

ハンナ「はぁ……補助お願いって言えなかった……。あの人たちはなんだか苦手だしなぁ……」タメイキ

ハンナ「どうしよう…。一人じゃロープの巻き上げも出来ないし……」

ハンナ「うんしょ!……って無理かぁ」

フランツ「よかったら僕が手伝おうか」ヒョッコリ

ハンナ「きゃっ!!」

フランツ「あ、突然で驚かせちゃったね……。なんか、一人で困ってるみたいだったから」

ハンナ「え、あ、ご、ごめんなさい。急にだったからビックリしちゃっただけで……」

フランツ「あの……僕はフランツって言うんだ。さっきから君のことを見てたんだけど、もうちょっとで出来そうだと思うんだ」

フランツ「それで、君さえよければ僕に手伝わせてくれないかな……」///

ハンナ「え?!あ、ありがとう!!……あの、私はハンナ。よろしくね……」///

エレン「よし、上げてくれ、アルミン!」
アルミン「いくよ!」キリキリキリキリ
エレン「どわああああ~っ!!」グルン ドゴーン!!グシャッ ピクピクッ
ミカサ「エレーンっ!!」

夕食時 食堂

ワイワイガヤガヤ

スタイルのいいモブ子A「も~面倒くさ~い。そのうち装置の整備とかもやらないといけないんでしょ~」

ちょっと可愛いモブ子B「私は別に憲兵団とか目指すつもりないから、適当に流すけどぉ」

そこそこ美人なモブ子C「その点、ヒッチはいいよね、教官からも素質あるって言われてたし」

ヒッチ「全然よくないよぉ。私って昔から勉強でも運動でも彼氏より良く出来ちゃったりするから、それが原因で別れちゃったりしてぇ」

スタイルのいいモブ子A「あ~分かる分かる。いるよね、自分のが何でも優れてるってとこ見せつけないと気が済まない男」

ちょっと可愛いモブ子B「そういうのって、男の自信のなさの現われだよねぇ。やたら自分の土俵に上げたがるって言うか」

ヒッチ「こっちが踵高いローファー履いてんのに、ちょっとバスケやってみない?とか誘ってきて、そんでこっちがシュート決めると急に不機嫌になったり」

そこそこ美人なモブ子C「結局、女をダシにして強い男ぶりたいだけなんだよねwww」

キャハハハハハ

ヒッチ「私、ちょっとお手洗い行ってくるね」カタッ

スタイルのいいモブ子A「うん、行ってらっしゃ~い」

スタスタ

モブ子ABC「…………」

スタイルのいいモブ子A「なに今の。自慢?」

そこそこ美人なモブ子C「私って優等生なの~って言いたいわけ?ついでに、彼氏いましたアピールまでして」

ちょっと可愛いモブ子B「ちょっと空気読めてないよねぇ。あ、でも良い子だとは思うよ」

スタイルのいいモブ子A「うん、良い子だよね。だけど、ちょっとウザいっていうか」

ちょっと可愛いモブ子B「私も良い子だとは思うけどさぁ、結局、お前がバカな彼氏しか掴まえられなかったんだろって話じゃん?」

そこそこ美人なモブ子C「でも、本人もバカっぽいし、その程度の男がお似合いなんじゃない?www」

キャハハ イエテルー

ゴボッ ジャー

ヒッチ(はぁ……あの3人、昨日は役に立ちそうって思ったけど、立体機動の適性が私よりはるかに低かったし、予想以上に使えないかも)

ヒッチ(それと、どいつもこいつも性格悪いな~。自分たちじゃ可愛いと思ってるっぽいけど、性格の悪さが顔に滲み出てるっつーの)

ヒッチ(ま、でも地味グループのヤツらとなんて絶対ツルみたくないし、我慢してやるか)

スタスタ

ヒッチ「お待たせ~」ニッコリ

モブ子ABC「おかえり~」ニッコリ

スタイルのいいモブ子A「あ~あ、これから水汲みしないといけないのかぁ。面倒くさいなぁ」

ちょっと可愛いモブ子B「早く部屋に戻って休みたいよ~」

ヒッチ「あ、それだったら、当てがあるんだぁ。実は……」

*******

ミカサ「私はエレンだけ開拓地に戻れと言ってるんじゃない。その時は私も一緒に行くので……」
エレン「行こうぜ、アルミン」スタスタ
アルミン「う、うん」スタスタ
ミカサ「だから……そんなことは心配しなくていい」
サシャ「ん?えーと?つまり?それ貰ってもいいってことですか?」
ミカサ「パクッ
サシャ「」

ヒッチ「ねぇ~、サシャ。何やってんのぉ?」

サシャ「は、はい!」

ヒッチ「私の分の水汲みやってくれるって約束したよねぇ?」

サシャ「は、はい。今すぐやります、恩人様、神様。へへへ……」

ヒッチ「それとぉ、こっちの子たちの分もついでにやってほしいんだ。私の友達なんだけど」

サシャ「え……4人分……ですか?」

ヒッチ「やってくれるでしょ?救われたあなたの命って、軽くないハズだもんねぇ~」

サシャ「あ、えっと……はい…」

ミカサ「……」

ヒッチ「じゃあ、よろしくね~」

スタイルのいいモブ子A「超ウケるwww」
ちょっと可愛いモブ子B「あの子、あれでしょ?昨日の入団式で芋食べてたwww」
そこそこ美人なモブ子C「ヒッチ、ありがと~。おかげで助かっちゃった」

ヒッチ「友達じゃ~ん」

キャハハハハハ ジャアネー マタアシター バイバーイ

ヒッチ(あの3人に恩を売る事も出来たし、今日はいい事づくめで嬉しくなっちゃう。これで昨日のイヤな事も帳消しだね)

スキップスキップ ランランラン

クリスタ「ちょっと待って!ダメだよ!!あんなことしちゃ!!」

ヒッチ「ん?ああ、昨日の子じゃん。あの時はあんま話せなかったけど、私、ヒッチっていうの。宜しくね」

クリスタ「あ、ハイ。よろしく……私、クリスタ・レンズです…」

ヒッチ「ねぇ、昨日のソバカス女、あれってあんたの知り合い?」

クリスタ「え?知り合いっていうか、私も昨日の晩に初めて会ったんだけど……」

ヒッチ「ふ~ん……。あんた、可愛いよね。ねぇ、私たちって友達になれると思うんだ。仲良くしようよ」

クリスタ「う、うん。それは構わないけど……」

ヒッチ「じゃあ宜しくね、クリスタ。私、今日は疲れたから、もう戻るね。じゃあね~」

クリスタ「お休みなさい……じゃなくて!!」

ヒッチ「なに?まだ用事あるの?」

クリスタ「あ、あの、さっき食堂でサシャに水汲み頼んでたでしょ?ダメだよ!ちゃんと自分でやらなきゃ!!」

ヒッチ(何こいつ、嫌味臭い正論言っちゃって。もしかして、結構性格悪い?まぁ、今日は気分いいから、寛大に対処してあげよう)

ヒッチ「別に、無理にあの子に頼んだわけじゃないの。あの子が私に昨日のお礼をしたいって言うから、水汲みをお願いしただけ」

クリスタ「4人分も頼むなんて、ちょっとやらせ過ぎだよ」

ヒッチ(ははぁ、この子、自分の分を頼みたかったのに、私に先を越されて悔しいんだな。だから文句言ってきたのか)

ヒッチ「だったら、あんたもサシャに頼めばいいじゃない。パンあげてたんだから」

クリスタ「私が言いたいのは、そういう事じゃなくて……」

ヒッチ「あ~、もうこの話はこれでおしまい!心が広い私は、明日になったらまた笑顔であんたに挨拶してあげる。だから、ここらで引き下がっときな」

クリスタ「ま、待って……」

ヒッチ(ウザったい子だなぁ~。男釣るエサには使えそうだけど、友達続けるかどうかは考え直そうかな)

スタスタ  ドシンッ

ヒッチ「痛ッ!!誰だよ、通路の真ん中にボーッと突っ立ってんのは!!」

ユミル「私だよ」

クリスタ「ユミル……」

ヒッチ(げっ!!昨日のソバカス女……こいつ、威圧感あるから苦手なんだよなぁ……)

ユミル「昨日の晩に続いて、なかなかやってくれんじゃない。私もあんたの友達になってやろうか?」ニヤニヤ

ヒッチ「え?……いや、別にいいけど……」

ユミル「しかし、あんた、結構物覚えが悪そうだね。私が色々教えてやるよ。なんつっても私は親切だからな」ガシッ

ヒッチ「な、なによ……」

ユミル「昨日、芋女にやったのは、パンも水も全部クリスタの物だろ。あんま調子こいてんなよ」ボソッ

ヒッチ「ヒッ

ユミル「分かったら自分のケツは自分で拭きな」

ヒッチ「で、でも、今頃は、もうあの子が全部汲み終わってるんじゃないかな……」

ミカサ「その心配はいらない。サシャは自分の水だけ汲んで部屋に戻った。私が帰らせた」スタッ

ヒッチ「はぁ?!」

ヒッチ(誰こいつ?!いきなり出てきて、何してくれてんの?!)

ミカサ「一部始終見てたけど、あなたは少しやり過ぎた。頼むなら、自分の分だけに留めるべきだった」

ヒッチ(それじゃ意味がないんだよ!3人に恩を売った上で、私が人をいいように扱き使えるって事を見せつけるのが重要なんだよ!!)

ユミル「はっ!こいつは傑作だ!!さぁ、今からあのお友達3人を呼び戻して、みんなで仲良く水汲みに行ったらどうだ?」

ヒッチ(そんな事できるわけないでしょ!今さら呼び戻したら、自分の失敗を吹聴するようなもんじゃない!!)

クリスタ「……あの、もしよかったら、私が手伝ってあげようか?」

ヒッチ「…は?」

クリスタ「もしかして、お友達にもう一回来てもらうの、バツが悪いんじゃないかなって思って……」

ヒッチ(……この子、最悪だ。……最悪に性格悪い)ギリギリッ

クリスタ「どうかな……」(ト手を差し伸べる)

ヒッチ「結構だよ!」パシッ

クリスタ「キャッ」

ヒッチ「あんたらの力なんか借りないよ!!」フンッ

ユミル「お~、ご立派ご立派。4人分、頑張れよwww」

ミカサ「……」

ヒッチ(くそ…どいつもこいつも私の邪魔ばっかしやがって……。私が何したって言うのよ!!)

女子寮 部屋

ミーナ「…それでそれで?その後、どうなったの?」

ハンナ「それで、夕食の時にまた会って、一緒に食べることになって…」

ミーナ「ふんふん、それから?それから?」

ハンナ「それから、お互いの出身地の話とかして…」

ミーナ「うんうん」

バタンッ

ハンナ/ミーナ「ビクッ

ヒッチ「あ~疲れた!!」ドスドスドスッ

ミーナ「お帰り。遅かったね」

ヒッチ「……」ドサッ ゴロン

ミーナ「………………シカトかよ」ボソッ

ヒッチ「ガバッ

ミーナ「ビクッ

ヒッチ「ゴメンね~。疲れてて、答える気力が無かったんだぁ」ギロッ

ミーナ「そ、そうなの…。こっちこそゴメンね…」ドキドキ

ヒッチ(こんな地味女どもに舐められてたまるかよ…)ケッ

ヒッチ「そう言えば、ハンナってあの後、どうなったの?」

ハンナ「え?!…あの後って?」ドキッ

ヒッチ「立体機動で居残ってたでしょ?ちゃんと出来たの?」

ヒッチ(こいつをいじめて憂さ晴らししてやろ)イヒヒ

ハンナ「あ、ああ、あの後ね…。ちゃ、ちゃんと出来たよ…。心配かけてゴメンね」

ヒッチ「ふ~ん……」

ヒッチ(チッ、つまんね)

ヒッチ「私、もう寝るねぇ~。お休み」

ミーナ「う、うん、お休み…」

ハンナ「…ビックリした。あの後っていうから、食事の後、フランツとどうしたのかって聞かれてるのかと思っちゃった」ヒソヒソ

ミーナ「こいつにその話はしない方がいいよ。なんか引っかき回されそうだし」ヒソヒソ

ハンナ「で、でも、実際、まだ何かあったわけじゃないし……」ヒソヒソ

ミーナ「それをこれからどうにかしてくんでしょ?!」ヒソヒソ

ハンナ「う、うん…」///

ヒッチ(…なんか、私のいない隙に2人とも仲良くなってんじゃん。内緒話なんかしちゃって、気に食わないな……)

ヒッチ(…それにしても、マジで4人分の水汲みしたから疲れた……。私って、とっても不幸……)zzzz

お付き合い有難うございました。ヒッチはやれば出来る子だと思います。
続きは土曜日に書きます。お疲れさまです。

>>103訂正

スタイルのいいモブ子A「なに今の。自慢?」
そこそこ美人なモブ子C「私って優等生なの~」
ちょっと可愛いモブ子B「ちょっと空気読めてない~」
スタイルのいいモブ子A「うん、良い子だよね~」
ちょっと可愛いモブ子B「私も良い子だとは~」
そこそこ美人なモブ子C「でも、本人もバカ~」

スタイルのいいモブ子A「なに今の。自慢?」
ちょっと可愛いモブ子B「私って優等生なの~」
そこそこ美人なモブ子C「ちょっと空気読めてない~」
スタイルのいいモブ子A「うん、良い子だよね~」
ちょっと可愛いモブ子B「私も良い子だとは~」
そこそこ美人なモブ子C「でも、本人もバカ~」

どーでもいい細かい所だけど、モブ子の順番がおかしくて、話が噛み合ってなかった。

_________
____
_

ヒッチ(どこの訓練兵団も同じだと思うけど、大抵の場合、最初の一週間で各々が属するグループっていうのは決まっちゃう)

ヒッチ(そして、女子グループの力関係が何によって決まるかっつーと、実は5割がたはファッションで決まっちゃうんだ)

ヒッチ(正確に言うと、ファッションに気を使っているか否かが、もの凄く大きな比重を占めてるってこと)

ヒッチ(私が人のことを地味子とか呼ぶ時、あれは、地味なファッションを好む子という意味で使ってるんじゃなくて…)

ヒッチ(ファッションに無頓着な子という意味で使ってるの。既にその時点で、彼女たちはお洒落な子に対してビハインドを負ってるわけ)

※このSSはフィクションです。実際の訓練兵団はきっと違うでしょうし、現実の何かを仮託しているわけでもありません。

ヒッチ(ただし、あくまでもファッションで決まるのは5割がたであって、この他にも色々なものが絡んで力関係は決まる)

ヒッチ(座学や実技演習の成績みたいに数値として見えるものから、コミュ力だの人望だの曖昧なものまで絡んでくる)

ヒッチ(こういうの何て言うんだっけ、ハイパーメリヤスだっけ、ハイパーメリーとニコラウスだっけ?)

ヒッチ(とにかく、そういう感じのが空気として充満してって、私たちはそれを学者先生よりも敏感に嗅ぎ分けてヒエラルキーを完成させる)

ヒッチ(まったく、集団生活の世界って残酷だよね。美しさなんか、どこにも無いっつーの)

ヒッチ(ふぅ…………)

ヒッチ(で、ここまで長々と前置きしたのは何でかっつーと……)

初年度前期実力考査の結果発表 

1位 ミカサ・アッカーマン : 896(900点満点中)
2位 ライナー・ブラウン : 684
3位 ベルトルト・フーバー : 669
4位 アニ・レオンハート : 623
5位 ユミル・××× : 610
6位 ジャン・キルシュタイン : 598
7位 マルコ・ボット : 571
8位 サシャ・ブラウス : 557
9位 コニー・スプリンガー : 555
10位 ヒッチ・××× : 552

ヒッチ(たとえ、実力考査で腹筋女やソバカス女や芋女に負けていても、女子グループ内じゃ私のが上にいるって事を言いたかったの!!)ギリギリッ

ワイワイガヤガヤ

スタイルのいいモブ子A「わぁ、ヒッチ、凄いじゃん!!10位だって!」

ちょっと可愛いモブ子B「立体機動だけじゃなくて座学の点数も良かったよね」

ヒッチ「今回はたまたま運が良かっただけだよ~。試験前日、急に部屋の掃除を始めちゃったから、寝不足でコンディション最悪だったし」

そこそこ美人なモブ子C「あ~分かる分かる。試験前って普段どうでもいい事が、すっごく気になったりするよね」

アルアルー キャハハハハ

スタイルのいいモブ子A(こいつ、座学の試験前にも『全然勉強してないの~』とか言ってたな、ウゼェ……)

ちょっと可愛いモブ子B(いちいち予防線張りながら自慢すんの、やめてくんないかなぁ。イラッとするんだけど)

そこそこ美人なモブ子C(立体機動がちょっと得意だからって、いい気になり過ぎぃ~)

ヒッチ(こいつら、誰も50位以内に入ってないとか、終わってるよな……。バカっぽいのは言葉づかいだけにしとけよ)

モブ子ABC「……」

ヒッチ「……」

ヒッチ/ABC「アハハハハハー

アルミン「実技演習、とくに立体機動の配点が予想以上に大きかったね。僕じゃまったく歯が立たないよ」

ミカサ「エレンは35位……。だんだんと立体機動に慣れてきているみたいだから、次回の実力考査が楽しみ」

エレン「それよりも、お前の成績はなんなんだよ……。化け物か」

*****

ジャン「おう、マルコ。お前もなかなかやるじゃなぇか。ま、俺ほどじゃないけどな」

マルコ「今回は負けたけど、次回は勝たせてもらうよ。お互い、憲兵団を目指す同志として頑張ろう!」

*****

フランツ「やったよ、ハンナ!僕もきみも150位以内に入れたよ!!」

ハンナ「フランツが励ましてくれたおかげで頑張れたんだよ!ありがとう…」グシュ

*****

ユミル(う~ん、本気出すとこんなもんか。次回からは適当に手を抜こう……)

クリスタ「わぁ!ユミル、やったね!5位だよ!!」ピョンピョン

ユミル「なんでお前がそんなに喜んでんだよ…」

ヒッチ「……」チラッ

ヒッチ(あれから結局、ソバカス女のせいでクリスタを私のグループに引き入れるのは失敗しちゃった……)

ヒッチ(あの子、処女厨に受けそうな顔してるから、いい餌になるハズだったのになぁ……くそッ)

ヒッチ(で、クリスタがどこに所属しているかっていうと、特定の集団には入らず、大人しめの子のグループ複数と付き合いがあるって感じ)

ヒッチ(原因は勿論ソバカス女。あいつは当たりが強いから、基本的にクリスタ以外から敬遠されてる)

ヒッチ(そのソバカスがいつもべったりだから、自然とクリスタも特定グループには入れなくなっちゃってるんだよね)

ヒッチ(それはともかく、このままじゃ私の気が収まらないし、なんとかしてソバカスに一泡吹かせてやりたいんだけど……どうしよう?)

ヒッチ(こういう時は基本に立ち返って、まずは身辺調査と情報収集かな。嫌がらせの極意は、手間を惜しまない事だし)

ヒッチ(……って、これはそもそも嫌がらせじゃないし!!むしろ、私があの女に嫌がらせされてるんだし!!)

―――――観察中

食堂

ユミル「お前、そんな小食じゃ大きくなれないぞ。もっと食えよ」ホラホラ

クリスタ「そ、そんなに食べられないよ……」

ヒッチ「ジーッ

講義室

クリスタ「ユミル、寝てちゃダメだよ」ユサユサッ

ユミル「うるせぇなぁ、歴史の授業とか、私には無意味なんだよ……」ムニャムニャ

ヒッチ「ジーッ

岩壁登攀演習

ユミル「ほらっ!私の肩に足を乗せろ!!」

クリスタ「う、うん!ゴメンね…」ヨイショ

ヒッチ「ジーッ

ヒッチ(う~ん、喧嘩したり、陰口言ってる場面になかなか出くわさないなぁ……)

ヒッチ(って言うか、そもそも2人とも常にベッタリで、なかなか単独行動しないんだよなぁ……)

ヒッチ(たしか、寮の部屋も同室だって聞いたし、ほとんど四六時中一緒じゃんか……)

ヒッチ(これじゃまるで、デキてるみたい)ハハハハ…

ヒッチ(…………)

ヒッチ(……もしかして)

ヒッチ(実力考査で4位の子が、あの2人と同室だったハズ。ちょっと確かめてみようっと)

図書室

アニ「……」ペラッ

ガラッ

ヒッチ「やだぁ!もう、こんな所いたのぉ?探しちゃったぁ」

アニ「……」

ヒッチ「私、図書室って初めて来たなぁ。アニってば、いつもこんな所に一人でいるの?もっと友達とおしゃべりしようよ」

アニ「……」ペラッ

ヒッチ「あ、もしかして、おしゃべりする友達とか、いないの?ゴッメ~ン、悪いこと聞いちゃったかなぁwww」

アニ「……」ペラッ

ヒッチ「ねぇ、もし良かったら、私が友達になってあげようか?」

アニ「……」ペラッ

ヒッチ「そんな気にしなくていいのよ。私って、ほら、一人で孤立しちゃってる子とかぁ、ほっておけないタチじゃない?」

アニ「……」ペラッ

ヒッチ「そのせいか、昔から私ってば、いろんな子から頼りにされちゃってぇ」

アニ「……」

ヒッチ「私が訓練兵団入る時も、出身地区じゃ泣いて引き止める子もいたり、もう大変でぇ」

アニ「……」パタン

アニ「……ねぇ」

ヒッチ「生まれついてのヒロインって言うかぁ…って、なぁに?」

アニ「あんた、誰?」

ヒッチ(はぁ?!私のこと知らないの?!!実力考査10位の美少女、名実ともに女子グループのトップである私を知らないの?!)

ヒッチ(……いや、きっとこいつは私に嫉妬して、知らんぷりしてるだけなんだ。この根暗女め!)ムギギギギギ

ヒッチ「ん~、人見知りするからって、そんな引っ込み思案になることはないよ?私が有名人だからって、気後れしなくていいから」ニコッ

アニ「……」

ヒッチ「でも、せっかくだから自己紹介してあげるね。私はヒッチ。実力考査では、アニとちょっとの差で10位だったの」←ちょっとの箇所を強調して発音

アニ「……」

ヒッチ「ほら、こう言えば分かるでしょ?」ニコッ

アニ「そう……。悪いけど、興味無いんで覚えてなかったの。これからもあんたとは関わらないだろうし、関わりたくないし」

ヒッチ「も~、興味無いとか強がっちゃってぇ。本当は興味津津のクセにぃ」

アニ「……用が済んだなら、さっさと帰ってくれない?」

ヒッチ(こいつ、さっきから偉そうだなぁ。何様のつもり?いい加減、温厚な私もキレそうなんだけど……)ムカッ

ヒッチ(…でも、情報を引き出すために我慢してあげる。あ~あ、私って人が好過ぎて損するタイプだなぁ~)

ヒッチ「コホンッ あのね、ちょっとアニに聞きたい事があるんだけど、いいかな?」

アニ「……」

ヒッチ「アニと同室の2人、クリスタとユミルについてなんだけど、あの2人って仲良いよね。部屋でもあんな感じなの?」

アニ「……さぁ」

ヒッチ「さぁ……って!あんた、あの2人と同室なんでしょ?!それぐらい分かるでしょ?!!」

アニ「興味無いから」

ヒッチ(興味無いって……これだからボッチは使えねーんだよ!この社会不適応者が!成績良いだけじゃ世間は渡っていけないっつーの!!)

ヒッチ「いいわ。じゃあ、これから私の質問に対してイエスかノーで答えて。知らない場合も、イエスって答えて」

アニ「……私が質問に答えたら、ここから出てってくれる?」

ヒッチ「え?それは勿論。こんなとこ……じゃなくて、ここに長居したら悪いもんね」ニコッ

アニ「そう……。それじゃさっさと済ませて」

ヒッチ「えっとね…まず、あの2人が手をつないでいるところを見たことある?」

アニ「イエス……かな」

ヒッチ「それって恋人つなぎだった?」

アニ(恋人つなぎって何だろう?知らないからイエスにしとくか)「イエス」

ヒッチ「あの2人が一緒のベッドで寝てるところを見たことはある?」

アニ「……ノー」

ヒッチ「それじゃ、あの2人が一緒のベッドに腰掛けてるのを見たことはある」

アニ「イエスじゃないかな、あんまり覚えてないけど……」

ヒッチ「ズバリ!2人はデキてる?」

アニ「なにが?」

ヒッチ「恋人関係にあるってこと!」

アニ「知らないよ……くだらない」

ヒッチ「知らないってことはイエスね。分かったわ。協力ありがとうね、アニ。これからも友達でいましょう」

アニ「……遠慮しとく」

ヒッチ「じゃあね~」←最後のアニの言葉は耳に入ってない

ギィ バタンッ

アニ「……」

アニ「……あいつを殺せる日が待ち遠しいわ」ボソッ

ヒッチ(ふふふ、これは結構使えそうなネタよね。この噂を広めて、2人がキモがられてハブられれば私の勝ち)

ヒッチ(そうじゃなくても、あの2人が気まずくなって分断できれば、クリスタだけ引き入れて、ソバカスを孤立させる!)

ヒッチ(どっちに転んでも面白そう。あ~、久しぶりに楽しくなってきちゃった)

スタイルのいいモブ子A「どうしたの?なんだか楽しそうじゃん」

ヒッチ「うふふ、やっぱり分かる?あのねぇ、実は~」

ヒソヒソヒソ

モブ子ABC「「「え~っ!!うっそぉ~!!!」」」

女子寮 部屋

ミーナ「なるほど、ずっと彼が励まし続けてくれたんだ」

ハンナ「うん、私ってすぐ弱気になっちゃって、俯いてばっかりだったんだけど……」

ミーナ「そこで『僕はハンナが出来るって信じてるよ』か。うわ~、これは私でも惚れちゃう!」

ハンナ「ダ、ダメだよ!そんな……」

ミーナ「じょーだんよ、冗談。もうここまできたら、告白するしかないでしょ」

ハンナ「で、でも、フランツが私を好きかどうか分かんないし……」

ミーナ「大丈夫だよ!絶対にハンナのこと、好きだって!!」

ハンナ「……恐いの。告白したことで今の関係が崩れちゃったら、どうしようって……」

ミーナ「む~。そんなこと言ってボヤボヤしてたら、誰かに取られちゃうかもしれ」

バタンッ

ハンナ/ミーナ「ビクッ

ヒッチ「たっだいま~。2人とも元気ぃ?」ルンルン

ハンナ「お、お帰りなさい……」

ヒッチ「どうしたの、2人とも。悩みがあるのなら相談に乗ってあげるよぉ」ニコニコ

ミーナ「気味悪いくらい上機嫌ね……」ヒソヒソ

ハンナ「ヒッチにだけは相談したくないなぁ……」ヒソヒソ

ヒッチ「ねぇねぇ、実は面白い話があるんだけど、聞いてくれるぅ?」

ハンナ/ミーナ「?」

_________
____
_

―――――噂は駆け巡る

「ねぇねぇ、聞いた?」

「聞いた聞いた、あの2人って女同士でデキてるんだって」

「そういえば、お風呂一緒に入った時も目つきおかしかったし」

「毎晩一緒のベッドで寝てるんだってぇ」

「私の聞いた話だと、寝る時は裸で抱き合ってるってさ」

「合体したまま立体機動してたんだって」

「うわっ、だいた~ん!!」

エピソードの途中ですが、すいません、今日はここで切ります。
明日夜、百合疑惑エピソードの最後までやります。
お付き合い有難うございました。

ユーミール「どうせ腐れ売女が言ったことだろ?気にすんな。」

くらい言ってほしい。姐さん神っとるがな!!
オチンコスキーのくせにに誰とも噂(疑惑)がないのは、
ちょっとおかしい気もするが、訓練に忙しいのか、いい男がいないのか・・・
今日も乙です。明日が楽しみです。

ヒッチ・オチンコスキーwwwマジワロタ
あとこのSSだとユミル姐さんが輝いてるな!!
苦しくなったヒッチがアニに『この子がそうやって言ったもん』とか言いそうで・・・
マルロは マルロ・ガチンコスキーとかだったらワロス。

とにかくはよ書いてほしい!!期待!!

食堂 朝食

クリスタ「おはよう。お隣、いいかな?」

地味なモブ子「あ、は、はい!私は別の席に移るんで……」ソソクサ

クリスタ「あ……わざわざ場所を空けてくれなくてもいいのに」

「ホラ、あれが噂の2人よ」ヒソヒソ
「やっぱりぃ。前々からあやしいって思ってたのよね~」ヒソヒソ
「やばいよ、近付くと私たちも襲われちゃうかも」ヒソヒソ

ユミル「? なんか雰囲気が妙だな……」

サシャ「た、大変ですよ~、2人とも!!」バタバタッ

食堂 外

ユミル「なにぃ?!なんでそんな噂が一晩のうちに蔓延してんだよ!!」

サシャ「よく分かりませんけど、今朝、私が食堂に来た時にはもう皆が知ってる状況で……」

クリスタ「ユミル、どうしよう……」

ユミル「くっ……」

ユミル(私はどう言われようとも気にしないけど、こいつは他人に避けられたりしたら傷つくだろうしな……)

サシャ「あ、あの~、2人にちょっと聞きたいんですけど、あれって、あくまでも“噂”なんですよね……?」

クリスタ「えっ……」

ユミル「カチンッ

ユミル「だったら、どうなんだよ」

サシャ「へ?」

ユミル「……もし、噂が本当だとしたらどうすんだよ、お前は!!」ガシッ

クリスタ「ユミル!乱暴はダメ!!」

サシャ「あわわ」

ユミル「お前はバカな芋女だが、こんなことで人を避けたりするほどのバカだとは思ってなかったんだがな」

サシャ「え、いや、あの、その」

ユミル「それとも、私が買いかぶり過ぎてたか?」

サシャ「ごごご誤解です!!」

ユミル「誤解?」

サシャ「あの、私としては、もし噂が本当だったら、2人の仲を応援してあげなきゃって……」

クリスタ「サシャ……」

ユミル「……悪かった。私の早とちりだったね。ちょっと頭に血が上ってたみたいだ」

サシャ「仕方ありませんよ。いきなり、みんなから避けられる状況になったんですから、冷静じゃいられないですよ」

クリスタ「それにしても、どうしてこんな事になっちゃったんだろう……」

サシャ「……あの、それで」

ユミル「ん?」

サシャ「噂は本当なんですか?」キョウミシンシン

ユミル「知るか!」ゲシッ

講義中

「この紙、読んだら隣に回して」ヒソヒソ
「OK。なになに……。うわっ、あの2人、講義中にそんな事やってたんだぁ」ヒソヒソ

ユミル(くそ、ほっとくと噂が無限増殖してくぞ……)

野外演習中

「見て見て、あの2人が一緒に走ってる」ヒソヒソ
「息が荒いけど、もしかして興奮してんじゃない?」ヒソヒソ

ユミル(走ってんだから息上がって当然だろ!!)ハァハァ

お手洗い

「ここのトイレで2人がヤってるのを見ちゃった子がいるんだってぇ」
「きゃ~!妊娠しちゃいそうwww」

ユミル(するか!ボケェ!!)

クリスタ「なんだか、みんなからスッカリ避けられちゃって困ったね……」タハハ……

ユミル(クリスタのヤツ、笑ってはいるけど、明らかに声に元気が無いな……)

ユミル(全員からってわけじゃないが、大多数の女子と一部の男子はあからさまな態度を取ってるし……困ったぞ)

サシャ「気にすることありませんよ。人の噂も近付く八十八夜って言いますし」

ユミル「お婆ちゃん子にしか分からんようなボケはやめろ。さてと、どうしたもんかな……」

ミーナ「あの……ちょっといいかな?」

ユミル「! 誰だ?!」

クリスタ「あなたは…34班のミーナと、そっちはハンナだっけ?」

ハンナ「うん…。実は、今朝の噂について、知らせておきたいことがあるの……」

カクカクシカジカ

ユミル「つまり、元凶はやっぱりあの性悪女だったってことか」

ミーナ「あとは取り巻きのモブ子ABC。私たちはあいつら嫌いだから、あんまり言いふらさなかったけど……」

ハンナ「でも、やっぱり数人には言っちゃって……。ゴメンナサイ!こんな事になるなんて思ってもみなかったの……」グスッ

クリスタ「そ、そんなに思いつめないで。あなたたちの責任じゃないんだし」

ユミル「いいや、少しは責任感じてもらわなくちゃ困る。クリスタはお人好し過ぎんだよ」

クリスタ「ユミル、ダメだよ!この2人を責めたって、問題が解決するわけじゃないんだから」

ユミル「むむむ、それはそうだな……。ここまで噂が広がったら、出火元を特定した程度じゃどうにもならない」

サシャ「そのうち、もっと目新しい話題が出てくれば、みんなの注目もそっちに移りますよ」

ユミル「ひたすら耐え忍ぶのは、私の性に合わないんだ」

クリスタ「だからと言って、自分で新しい噂を捏造したらダメだよ!それで傷つく人が出ちゃうんだから」

ユミル「う~ん、現在の噂を否定するにはどうしたもんかなぁ……」

ミーナ「あの、噂の否定っていうのは難しいと思うの。よく言うじゃない、悪魔の証明って」

ユミル「確かに、私たちがデキてないって言い張っても、証拠を示せるわけじゃない、か」

ハンナ「だから、噂を否定する方向じゃなくて、別の手段を考えた方がいいんじゃないかな」

クリスタ「つまり、ちゃんとした真実をみんなに伝えないといけないの!」

ユミル「クリスタはちょっと黙ってろ……。そんな正論は、集団生活の中じゃ役に立たねぇんだよ……」

クリスタ「もう!」プンプン

ユミル(……しかし、考え方としちゃ間違ってない。噂を打ち消すんじゃなくて、事実で塗り潰してしまえば……)

ユミル「ピーン!

サシャ「ん、どうしました?何か閃いたって顔してますけど」

ユミル「ああ、思い付いたぞ!!もうすぐ夕食でみんなが集まってくる。すぐに作戦決行だ!」

クリスタ「どんな作戦なの?」

ユミル「悪いが、クリスタには教えられない」

クリスタ「ええ~っ!!どうして?!まさか、何か悪いこと企んでるんじゃないの?!」

ユミル「いや、誓ってそういうわけじゃない。演技じゃなく、クリスタの自然なリアクションが欲しいだけなんだ」

クリスタ「?」

ユミル「まぁまぁ、後のお楽しみってことで。それはそうと、ミーナとハンナにもちょっとだけ協力してもらうぞ」

ミーナ「私たち?」

ユミル「注目を集めるためのちょっとした演技だ。なぁに、ヒッチとも遺恨が残らないような軽いもんだから、安心しろ」

食堂 夕食

ワイワイガヤガヤ

スタイルのいいモブ子A「でさぁ~、その男がキモくてさぁ、そういうのを男同士の友情(笑)とかぬかすしwww」

ちょっと可愛いモブ子B「分かる分かるwwwそういうのを言い訳にするヤツは大抵ロリコンだしwww」

そこそこ美人なモブ子C「しかも、そういうのに限って女に誘われるの待ってるとかwww」

ヒッチ「ギャハハハ、キモすぎwww最悪wwww」

ヒッチ(あ~、今日は何を食べても美味しい~わ。ハブにされてたソバカスの顔を思い出すのが最高の調味料ね)

ドシンバタン

スタイルのいいモブ子A「あれ?なんか、あっちの方が騒がしいけど、どうしたんだろ?」

ヒッチ「?」

ユミル「てめぇだな!いい加減な噂を言い触らしたのは!!ふざけんじゃねぇぞ」

ミーナ「や、止めてよ!別に私だけが言ったわけじゃないんだから」

ハンナ「お、お願い!乱暴はやめて……」

*****

スタイルのいいモブ子A「なんかあっちの方で、噂のレズ女が揉めてるみたいよ」

ヒッチ(うわ、バカだ、あのソバカスwwwあんなことしたら、ますます孤立するってのにwww私の掌の上で面白いように踊ってるよwww)

ちょっと可愛いモブ子B「面白そうだから見物に行かない?」

そこそこ美人なモブ子C「行こう行こう!」

ユミル「てめぇらの噂のせいで、私はすげー迷惑を被ってんだ!どうしてくれんだよ!!」

ミーナ「噂って言うけど、本当のことなんじゃないの?嘘だって証拠はどこにも無いし」

ユミル「なんだとぉ!!だったら見てろよ!」グイッ

(とクリスタの手を掴んで引き寄せる)

クリスタ「え?」

ヒッチ「へ?」

ユミル「いただきます」ボソッ

クリスタ「ちょ」

ユミル「ズキュウウウウウウウウウウウウウン!!

「「「!!!!」」」

男子モブ「うおぉ!!すげぇぞ!女同士でキスしてるぞ!!」

女子モブ「見ちゃった!初めて見ちゃった!!」

ユミル「レロレロレロ

クリスタ「ん~~!!!ん~~~~!!!!」

ヒッチ(……あ、あいつは何を考えてんだ?!)

ユミル「ぷはぁ」チュポン

クリスタ「///~~~~~~~」

クリスタ「いきなり、何するのよ!」

バチ~ン!!

クリスタ「ユミルなんて大嫌い!!」グスッ

タッタッタッタッタッ

一同「……」

ザワザワ

男子モブ「え、何なに?何がどうなってんの?」

女子モブ「つ、つまりこれって、やっぱり2人が恋人同士だったってこと?」

男子モブ「で、でも、あの子、泣きながら走って出ていっちゃったけど……」

ユミル「お前らも見てたろ!!」

一同「!」

ユミル「つまりだなぁ、ビアンの私はストレートのあいつを落とそうと思って、ここまで努力を重ねてきてたんだ」

ユミル「それが、あんな噂が立ったせいで、結局あいつから嫌われる羽目になっちまった」

ユミル「私から一方的にアプローチかけてたのに、全て水の泡だ。この落とし前、どうつけてくれるんだ!!」

ザワザワ

女子モブ「ってことは、あの小柄な子は普通の子なんだけど……」

男子モブ「実は、あっちのデカい女が無理やり付きまとってたって事なのか?」

ユミル「さぁてと、それじゃこの2人に落とし前をつけてもらおうかな」ボキボキ

ミーナ「た、助けてぇ~」タッタッタッタッ

ヒッチ「へ?」

ミーナ「助けて、ヒッチぃ!」

ヒッチ「え゛」

ミーナ「わ、私はただ昨日の晩にヒッチから聞いた話をみんなに伝えただけなの~」

ヒッチ「い」

ハンナ「お願い、助けて!このままじゃ私たち、あの人にイジメられちゃう」

ヒッチ「あ、え、う」

ユミル「ほほう、あんたが勝手な話を広めた張本人か」ボキボキ

ヒッチ「え、い、いや、あの、わ、私じゃなくて……」

ユミル「あんたじゃなくて?」

ヒッチ「そ、そう!私は、あんたと同室のアニって子から聞いた話をしただけなの!私が話を作ったわけじゃないの!!」

ユミル(さすが精神的クズ女、悪あがきだけは一流だな)

ユミル「アニがあんたに話したって証拠はあんのか?」

ヒッチ「しょ、証拠?!それはこの場であの子に直接聞いてみれば分かる事だし!」

ヒッチ(あの鷲鼻根暗女なら弁が立たないだろうし、うまく罪をなすりつけられるハズ!!)

ヒッチ「ア、アニ?!どこいんのよ!!隠れてないで出てきなさいよ!!」

ベルトルト「アニならさっさと食べ終えて、もう部屋に帰ったよ」

ヒッチ「がふっ!」

ヒッチ(く~っ!これだから協調性のないヤツは嫌いなんだよ!!)

ユミル「いないんじゃしょうがないな。部屋に帰った時、私が直接問い質しとくよ」

ヒッチ(直接こいつがアニから話を聞いたらゴマかせない!くそっ、どうする?!)

ユミル(くくく、いい感じで追い詰められてんな……)

ユミル「なぁ、全てをチャラにするチャンスをあんたにやろうか」ヒソヒソ

ヒッチ「は?」

ガチャ ギィ

キース「今しがた大きな音が聞こえたが、誰か説明してもらおうか……」

ユミル「あんたの恰好いい姿を私に見せな」ボソッ

ヒッチ「!」

キース「コツコツコツ

ヒッチ「……」

ヒッチ(くっ……やるしかないのか……)

ヒッチ「わ、私が……」スッ

キース「ギロッ

ヒッチ「私が放屁した音です!!」

シーン

キース「貴様か」フッ

ヒッチ(鼻で笑われた……)ムギギギギギ

キース「少しは慎みを覚えろ」ギィ バタン

ヒッチ(く、屈辱だ……)ギリギリッ

ユミル(やばいwww笑いが抑えられないwww)

ユミル「いや~、予想以上に面白いもん見せてもらったんで、チャラにしてやんよ」ププププ

ヒッチ「ワナワナ

モブ一同「……」

ヒッチ「……なに見てんだよ。私はあんたらをかばってやったんだよ!散れ!!」

モブ一同「ソソクサ

スタイルのいいモブ子A「ヒッチ……」

ヒッチ(……なんだよ、今話しかけんじゃねーよ)

ちょっと可愛いモブ子B「あれはないわ」

ヒッチ(そんなこと、分かってんだよ)

そこそこ美人なモブ子C「正直、ちょっと引いた」

ヒッチ(私が一番引いてるわ!)

*****

サシャ「ユミル、これでよかったんですか?」

ユミル「ま、最善じゃないかもしれないが、私としちゃ溜飲が下がったし、役得もあって一石二鳥だったんだよ」

サシャ「でも、ユミルについては前以上に色々と言われちゃいますよ」

ユミル「私は何を言われようと気にならないからな。クリスタのイメージさえ守れればオールOKだ」

サシャ「ふ~ん、そんなもんですか」

ユミル「それにお前も言ってたろ?七十五日も立てば、騒がしいのは元に戻るさ」

サシャ「……ところで、どうなんですか?」

ユミル「なにが?」

サシャ「今言ってた事は本当なんですか?」

ユミル「お前はどう思うんだ?」

サシャ「え?!わ、分かりませんよ……」

ユミル「本当だったらどうする?」

サシャ「それは、やっぱりさっきと同じ答えですね」

ユミル「じゃあ、本当の事なんでどうでもいいだろ?どっちでも変わらないんだから」

サシャ「そ、そうですよね!」

ユミル「ククク

サシャ「なんで笑ってるんですか?」

ユミル「お前がバカで助かったと思ったんだ」

*****

ヒッチ(これですんだと思うなよ~、あのクソアマ!!)

ここまでお付き合い有難うございました。
全然練らずに勢いで書いちゃったんで、無駄が多い上に整合性無くなったかも。ゴメンなさい。
火曜日夜にまた来ます。お疲れさまでした。

前回までのまとめ

私、絶望の時代に咲いた一輪の可憐な花こと超絶美少女ヒッチちゃん。
訓練兵団でみんなと仲良く楽しい毎日を送ってたんだけど、
ソバカスのいじめっ子に妬まれちゃって、も~大変。激おこプンプン丸だよぉ!

_________
____
_

スタイルのいいモブ子A「人の悪口ばっか言ってるヤツてぇ、似たような仲間を見付けてツルむのが得意だよねwww」

ちょっと可愛いモブ子B「いるいる、そういうの。粗探しばっかして大袈裟に茶化して面白いと思ってる連中www」

そこそこ美人なモブ子C「他人を嘲笑うことでしか盛り上がれないとか、終わってるよねwww」

ヒッチ「そういう人たちは中身も外見も可哀そうなヤツらなんだから、あんまり悪く言っちゃ可哀そうだよwww」

「……」

キャハハハハハ ダヨネー

ヒッチ「……」

ヒッチ(どうも食堂での一件以来、この3人とは壁を感じるな……。今も、私の発言の後、無意味に一拍置いてたし……)

ヒッチ(いや、この3人だけじゃない。それまでは私に唯々諾々と従ってた連中も、なんとなく距離をとろうとしている……)

ヒッチ(あいつらムレるしか能が無いくせに、人の揚げ足を取るのだけは好きだからな……)

ヒッチ(このままじゃマズい!!)

ヒッチ(まずは、次の実力考査で前回以上の成績を叩きだして、「ヒッチってば何でも出来るんだね」と改めて言わせてやろう)

初年度後期実力考査の結果発表 

1位 ミカサ・アッカーマン : 899(900点満点中)
2位 ライナー・ブラウン : 681
3位 ベルトルト・フーバー : 658
4位 アニ・レオンハート : 617
5位 ジャン・キルシュタイン : 605
6位 マルコ・ボット : 597
7位 ユミル・××× : 566
8位 コニー・スプリンガー : 542
9位 サシャ・ブラウス : 539
10位 エレン・イェーガー : 520

ワイワイガヤガヤ

アルミン「今回は前回よりも評価が厳しくて、平均点が下がったらしいよ」

ミカサ「エレン、凄い!!一気に順位が上がった!やっぱり、エレンはやれば出来る子!!」ナデナデ

エレン「頭撫でんなよ!!……それにしてもお前の評価、高過ぎだろ」

クリスタ「私は前回よりちょっと評価上がったけど、ユミルは下がっちゃったね……」ショボン

ユミル(そこそこ手を抜いてこんなもんか。次からはクリスタのバックアップに徹しても大丈夫そうだな)

*****

ハンナ「フランツ、やったね!あなたの順位、前回よりも一つ上がったよ!!」

フランツ「うん!!……実は、前回よりも成績が上がったら、きみに言おうって決めてた事があるんだ……。聞いてくれるかな……」///

ハンナ「……えっ」///

*****

ヒッチ「……」

ヒッチ(私の名前が無い…だと…?)

スタイルのいいモブ子A「ヒッチってば11位だよ、凄いじゃ~ん」

ちょっと可愛いモブ子B「あ~、でも、あれかな?やっぱり10位以内じゃないと満足できない?私らと違うよね~」

そこそこ美人なモブ子C「私なんかギリギリで100位以内だよ。マジでヤバいわ」

ヒッチ「……そ、そんなことないよぉ?だって、10位以内って、みんな凄い人ばっかじゃん。私なんかじゃ勝てないよぉ」ヒクヒク

スタイルのいいモブ子A(心にもないこと言っちゃって……。顔が引きつってるっつーの)

ちょっと可愛いモブ子B(でも……まだ、こいつが女子グループの中で発言権を保っているのも確かなんだよねぇ)

そこそこ美人なモブ子C(なにしろ、ベスト10内の女子は天然か孤立気味のヤツばっかで、派閥には関わってこないからなぁ)

ヒッチ(うぐぐ……こうなったら、もう、とにかく男を見つけるしかない!!)

ヒッチ(10代女子にとって、彼氏持ちと彼氏無しの間には越えられない壁があるし、場合によっては、彼氏は最強の切り札にも成り得る!!)

ヒッチ(幸い、今のところABCに男の影はないから、私が先手を打って彼氏作っておけば、また私の優位性が確保できるハズ!!)

ヒッチ(この際、男のランクはある程度は妥協しよう)

ヒッチ(私としては、あんまマッチョやショタはタイプじゃないし、好みとしてはジャンかエレンあたりなんだけど……)

ヒッチ(……くやしいけど、ミカサとかいう筋肉ダルマの腹筋女が2人を侍らせていい気になってんのよねぇ~)

ヒッチ(まずは、基本に立ち返って観察してみよう。やっぱり横取りの基本……じゃなくて恋の駆け引きは敵情視察からよね~)

朝 食堂

ジャン「ミ、ミカサ!今日も綺麗な黒髪だな……

ミカサ「どうも」スタスタ

ヒッチ「ジーッ

食事中

ミカサ「エレン、迷い箸は行儀が悪い」

エレン「うるさいなぁ、一々言う事が細か過ぎるぞ、お前は」

ヒッチ「ジーッ

立体機動演習中

ジャン「どうだ、死に急ぎ野郎!!俺の討伐数のが上だな!!」

エレン「くそっ……負けちまったか……」

ミカサ「エレン、もしよかったら、次から私が見付けた巨人を譲るけど」

エレン「ふざけんな!!」

ヒッチ「ジーッ

ヒッチ(ふ~ん、状況としてはジャン→ミカサ→エレンという感じみたいね)

ヒッチ(男2人を私の方に向かせて腹筋女を悔しがらせるには……まず、エレンを私の彼氏にする)

ヒッチ(すると、腹筋女は私に嫉妬して嫌がらをする。陰湿な嫌がらせをする腹筋女に幻滅したジャンが、私を庇ってくれる)

ヒッチ(これで目出度く男2人は私のもの!腹筋女はショックのあまり成績ガタ落ち。完璧な作戦だわ!!)

ヒッチ「私ってば、自分の頭があまりにも優れてるんで、時々恐くなっちゃうのよねぇ」イヒヒヒヒ

マルコ「ヒッチ、ちょっといいかな」

ヒッチ「え?」

ヒッチ(予想外の男から声を掛けられちゃった!やっぱり私みたいな可愛い子って、周りがほっといてくれないのよね)

ヒッチ(ふ~ん、こいつかぁ……。成績はいいし、友達は結構多いみたいだけど、男としての面白味が足りないんだよなぁ……)

ヒッチ(いやいや、ここは妥協だ、妥協。一応、キープしておこう。私だって、告られりゃちょっとはドキッとしちゃうしね)

ヒッチ「私に用?なにかしらぁ?」キャピ

マルコ「うん、実はこれをきみに渡してくれって頼まれてね」ハイ

ヒッチ「……そう」ムスッ

マルコ「確かに渡したよ、じゃあね」スタスタ

ヒッチ「……何これ?手紙?」ガサガサ

ヒッチ「なになに、『食堂裏の伝説の樹の下で待ってます』……って、なんてベタベタなラブレター?!」

ヒッチ「二十年くらい時代を間違えてるんじゃないの?えっと、差出人の名前は……って書いてないのかよ!!」

ヒッチ「……まぁ、いいわ。これも何かの役に立つかもしれないし、取り敢えず持っておこうっと。言い寄ってくる男が多くて、ホント大変だわ」

ヒッチ「それよりも、今はエレンを私の彼氏にしないと」イソイソ

ジャンは正直ものだから、ヒッチに対して思ってること普通にぶちまけそうだな。
というかぶちまけろ!!

エレン「いい加減にしろよ、ミカサ!何でも簡単にこなしちまうお前にとっては取るに足らない事かもしれないけどな、俺にとっては」

ミカサ「エレン、私はそういう事を言いたいわけじゃない。そうじゃなくて」

アルミン「2人とも少し落ち着いて!」

エレン「……くそっ」ガタッ スタスタ

ミカサ「エレン!どこへ行くの!!」

エレン「ついてくんなよ!」

ヒッチ「……チャ~ンス」

エレン!キースぶっ叩いていいぞ!

>>297草生えたぞwwwwwwwww

屋外

エレン「くそっ……」ゴロン

エレン(ミカサの言ってることは正しい。いくら俺が粋がってても、実力が伴わなくっちゃ意味が無いんだ……)

エレン(だけど俺は、いつまでもミカサに面倒みてもらってるガキでいたくはないんだ!)

エレン「……」

ヒッチ「……ねぇ」スッ

エレン「ん?」

ヒッチ「隣、横になってもいいかなぁ?」ニッコリ

逆にキースはヒッチのこと『売春婦でもやってろ』って言ってくれたから
キース好きになった。うん、あの瞬間はすっきりした。

エレン「え?あ、ああ……別にいいけど……」

エレン(……こんな広い所で、なんでわざわざ俺の横に?)

ヒッチ「ありがとう。うんしょっと」コロン

エレン(正直、一人になりたかったんだけどなぁ……)

ヒッチ「う~ん、たまには外で寝っ転がるのも気持ちいーわね」キャピィ

エレン(え~っと、誰だっけな……確か、名前は……)

エレン「ビッチ、だっけ?」

ビッチwwwwwナイス、エレンさん!!

     ・                         ・
普通に「ヒッチだっけ?」って言ったかと思ったら「ビッチだっけ?」って言ってたwww

ヒッチ「誰がビッチよ!!」クワッ

エレン「うおっ!」

ヒッチ(……と、いけないいけない。スマイルスマイル)

ヒッチ「ヒッチよ。これまで、お互い意識し合ってたのに、ちゃんと話した事はなかったわね」ニッコリ

エレン「あ、ああ……」

エレン(お互い意識って……何を言ってるんだ、こいつは?)

ヒッチ「ねぇ、エレンとミカサが付き合ってるって本当?」

こいつマジうぜぇwwwワロタ!!自意識過剰にもほどがあるwww

エレン「はぁ?!誰がそんなこと言ってたんだよ?!あるわけないだろ!!」

ヒッチ「ヤダァ~!そんなにハッキリと否定しちゃったらミカサが可哀そうじゃな~い」

ヒッチ「私ぃ、いつも見てたけどぉ、2人ともすっごくいい雰囲気だものぉ。あとはお互いが素直になるだけなんじゃないの?」

エレン「だから!俺とミカサはそんな関係じゃないんだって!!」

ヒッチ「ふ~ん」ニジリニジリ

ヒッチ「じゃあ、私が彼女に立候補しちゃってもいいかなぁ?」ピトッ

エレン「え゛?」

ヒッチ「……迷惑かなぁ」ウルウル

エレン「え、いや、迷惑ってわけじゃなくて」

ヒッチ「……そうよね。そんな事したら、ミカサに悪いわよね」グスッ

エレン「いや、だから、ミカサは関係ないだろ!!」

ヒッチ「じゃあ、いいわよね」クワッ

エレン「い、いいけど……」

ヒッチ(チョロいわ~www男なんて体擦り寄せるだけで簡単に釣れるわwww)

小石でよくね?あ、巨人の腹の中でいいか。

ヒッチ「じゃあ、一緒に戻りましょ」ウデクミマショ

エレン「お、おい……」

ヒッチ「でも、こうなっちゃうと、ミカサがちょっと可哀そうね」

エレン「は?」

ヒッチ「だって、ミカサはきっとエレンのことが好きなのよ。それを私が……」

エレン「ちょ、ちょっと待ってくれ。何か誤解が……」

アルミン「あっ、エレンが戻って来た」

ミカサ「……エレン、何をしてるの」

エレン「ミ、ミカサ!待ってくれ、俺の話を……」

ヒッチ「ごめんなさい、ミカサ。でも、私たち、お互いの気持ちが抑えられず、こういうことになってしまったの……」

ミカサ「エレン……」ギリギリ

アルミン「なんて軽はずみなことを……」

ヒッチ(ふふふふ、怒れもっと怒れ。もしここでミカサが私に手をあげれば、ミカサは嫉妬に狂って暴力を振るった女として評判を落とすだけ)

ヒッチ(逆に私は悲劇のヒロインとして、兵団中の同情票を集めまくってやる!!)

エレン「ま、待て待て待て!なんだか話がおかしいぞ!!」

アルミン「おかしいってどういう事?エレンは、ヒッチと付き合う事になったんじゃないの?」

エレン「いやいや、そんな事は一言も言ってないぞ!」

ヒッチ「へ?」

エレン「俺は付き合うなんて言ってないだろ!」

ヒッチ「えっ……。だって、さっき、『いい』って言ってくれたじゃん!!」

エレン「あれは、『彼女に立候補』してもいいかって聞かれたから、別にいいぞって答えただけだろ」

ヒッチ「」

という感じの下らないオチで、このエピソードもとくに山場なく終わりそうなんですが、
取り敢えず明日夜にまた続きます。更新ちょこっとだけですいません。
お付き合い有難うございました。

ヒッチが良いキャラ出してるwwワロタ

異論じゃなくて?

ヒッチ(はぁあああああ?!!!あり得ないだろ!!あそこまでアプローチかけてやったのに、『彼女に立候補』を許可しただけって、お前は何様だよ!!)

ヒッチ(童貞力高いにも程があるっての!……こうなったら実力行使あるのみ!!)ウリウリ

エレン「うっ……」(胸を押しつけてくるなよ……)

ヒッチ「でもぉ、ミカサのことは何とも思ってないけどぉ、私の事は女として意識してるんでしょお?」ウワメヅカイ

エレン「イラッ

エレン「だから、誰が!いつ!どこで!そんな話をしたんだよ!!」

アルミン(あ、エレンがきれた)

エレン「さっきから勝手に話を進めてるだけで、俺の方は最初からあんたに興味なんか丸っきり無いし、正直、これからも興味が湧いたりはしないと思うんだけど!!」

アルミン(さすがエレン、男らしく言い切った!)

アルミン(まぁ、現実としては、ここまで言い切っちゃうと、その後の集団生活に波風立ち過ぎて厄介な事この上無いから、ムカついても空気読める人は口にするのを自重しちゃうんだよね)

アルミン(そういう意味じゃ、エレンも空気読める性質とは言い難いし、ヒッチとは空気読めない同士で互角のバトルになってるよ)

ヒッチ「……」

ヒッチ「……ふっ」

ヒッチ「ふざけんじゃないわよぉおおおおお!!!」

ヒッチ「こっちだって最初からあんたみたいな男、ただ利用価値があるから相手してやっただけなの!」ガーッ

ヒッチ「この腹筋女や周りの女どもが悔しがらない限り、あんたに興味なんてこれっぽっちも無いんだから!!」グワーッ

ヒッチ「だいたい私はねぇ、出身地区じゃ5年に一度の秀才と、10歳までは呼ばれていたほどの美少女なのよ!!」グワワーッ

ヒッチ「そんな私とあんたが釣り合うだなんて本気で思ったの?!冗談じゃないわ!!」グワグワーッ

ヒッチ「ゼィゼィ ハァハァ

一同「……」

エレン「そ、そうか……。なんか、今度はあんたの言ってる事がよく分かった。えっと……つまり俺たちはお互い興味無いってことでいいんだよな」

ヒッチ「え」

エレン「じゃ、そういう事なら、もう俺ら行くよ」

ヒッチ「あ……」

エレン「行こうぜ、2人とも」スタスタ

ミカサ「うん」スタスタ

ヒッチ「ちょ……」

アルミン(こういう時のエレンの思い切りよさは恰好いいよね。大事じゃ無い物はバッサリ切り捨てる感じ)

アルミン(これぞ、何かを変える事のできる人間!!……というわけでもないか)

ヒッチ「あ、あんたのことなんか最初から全然好きじゃなかったんだからねっ!!」

エレン「いや、それはもう分かったって……」

アルミン(新手のツンデレ?)

ヒッチ「……」

ヒッチ「ポツン

ヒッチ「……」トボトボ

ヒッチ「……って、なんで私がヘコまなきゃいけないのよ!!」バシッ

ヒッチ「あんな、いかにも頭悪そうな男連れて喜んでるなんて、腹筋女もたかが知れてるわね!」

ヒッチ「こうなったら、ジャンを彼氏にして、腹筋女の目の前でこれ見よがしにイチャイチャして悔しがらせてやる」ギリギリ

ヒッチ「そうよ!エレンよりジャンのが実力考査の順位も上だったし、憲兵団入りを希望してるし、好都合じゃない」

ヒッチ「あの腹筋女の悪行を、逐一ジャンに伝えてやるんだから!!」

ヒッチ「と、噂をすればさっそく向こうからジャンが……。ホント、世の中って私の都合に合わせて動いてくれるから助かっちゃう」

少し離れた所

ジャン「くそ、今日もあの死に急ぎ野郎はミカサに世話焼かれてデレデレしてやがった……。心底ムカつく野郎だぜ」

マルコ「まったく、ジャンも執念深いなぁ……。そんなにミカサが好きなの?」

ジャン「バっ、バカ野郎!!俺は別にミカサのことが好きとかそんなんじゃなくて、ただ単にあの黒髪が目を引くだけであってだな……」

マルコ「はいはい」

マルコ(まったく、普段は口が悪いくせに、こういうところは純情なんだから)

マルコ「それじゃあ、他に好きな子とかいないの?」

ジャン「そんなヤツいね~よ。だいたい、この兵団内に付き合いたいと思うような女がいるかぁ?」

マルコ「う~ん、僕はあんまりよく分からないけど、そう言えば、さっきヒッチにラブレターを渡してくれって頼まれたなぁ」

ヒッチ(どうやら、ちょうど私の話をしてるみたい。やっぱりアイツも私のこと、気になってたんじゃない)キキミミ

マルコ「彼女、成績はいいし、友達も多いみたいだし、顔は……まぁ普通だし、人気あるんじゃない?」

ジャン「ヒッチかよwwwあれはどう見ても中古の非処女だろwww赤の他人が使ったオナホと変わんないような女なんてキモすぎwww」

ヒッチ「」

マルコ「ジャン……女子がいるところでは、絶対にそんなこと言わないでくれよ。周り中、敵だらけになるから……」

ジャン「だったら、お前がヒッチと付き合ったらどうだ?」

マルコ「それは僕もちょっと遠慮したいかな……」

ジャン「なんだよ。結局、お前も俺と同じじゃねーか。非処女なんて、タダでやらせてくれるならともかく、付き合いたいとか絶対思わねぇよな」

マルコ「いや、僕の場合、偏見から言ってるんじゃなくて、ただ単に気が合わなそうと言うか……」

ヤイノヤイノ スタスタ

ヒッチ「……」

カァー カァー

*****

フランツ「ほ、本当はずっとこのままの関係でもいいと思ってたんだ。友達としてお互い励まし合いながら3年間過ごしていくのでも……」

ハンナ「……」

フランツ「でも、ハンナがすごく頑張りやな子だって分かっていくうちに、出来るなら、ずっと側で応援していたいなって思うようになって……」

ハンナ「……」

フランツ「だから、僕と付き合ってください!!」

ハンナ「ジワッ

フランツ「うわっ!ハ、ハンナ……?」

ハンナ「ご、ゴメンね、泣いちゃったりして……あんまり嬉しくって涙が……」ポロポロ

フランツ「そ、それじゃあ……」

ハンナ「……本当は私から言いたかったんだけど、私に勇気が足りなかったから……」

フランツ「そ、そんなことないよ!ハンナは凄く勇敢な子だって、僕は思ってるよ」

ハンナ「フランツ……」

ヒッチ「……」ジーッ

フランツ/ハンナ「!」ギョッ

ヒッチ「トボトボ

フランツ「……行っちゃったね。ビックリしたけど、今の誰?」

ハンナ「私の同室の子……。なんかいつもと様子が違ったな」

フランツ「大丈夫かな?」

ハンナ「うん、心臓の毛で巻き髪アップのヘアスタイル作れるぐらいの子だから大丈夫だとは思うけど……」

ヒッチ「……」トボトボ

ヒッチ(あんなダンゴムシみたいな地味子にまで彼氏が出来るなんて……)トボトボ

ヒッチ(なんでこの兵団には見る目の無い男しかいないのかしら……)トボトボ

食堂 裏手

ヒッチ(でも!私にはまだこのラブレターが残ってる!!)

ヒッチ(残り物に福があるのは、昔からの定番!もしかしたらイケメンが待ってるかも……)ザッ

???「!」

ヒッチ「あのぉ、お手紙読んだんですけどぉ」キャピ

ダズ「き、来てくれたんだね!」

ヒッチ「」

ダズ「実は、来てくれるかどうか不安だったんだけど……」

ヒッチ(だ、誰だ、こいつ?!)

ダズ「ホラ、前からお互い意識し合ってたのに、ちゃんと話した事がなかったから~~」ベラベラ

ヒッチ(なに言ってんの?あんたなんか名前も知らないっつーの!)

ダズ「でも、来てくれたって事はOKってことだよね~~」ベラベラ

ヒッチ(一人で勝手に喋ってんなよ、鬱陶しい……)

ダズ「こう見えても俺って男たちの間じゃすっげぇ慕われてて~~」ベラベラ

ヒッチ(……でも、この男は、私のことをずっと見ていてくれたわけよね)

ダズ「もしよかったら今度の休日、一緒に街へ行って~~」ベラベラ

ヒッチ(今の私なら分かる……。男は顔じゃなくて、大切なのは思い遣り……)

ヒッチ「……」

ヒッチ「……って」

ダズ「え?」

ヒッチ「そんなこと思うわけあるかぁっ!!!」ウガーッ!!

ヒッチ「あんた鏡見たことあんの?!よくそんな顔で生きてて恥ずかしくないわね!!」

ヒッチ「ネアンデルタール人みたいな顔しやがって、私に告白とか30万年早いのよ!人類に進化してから出直してきな!!」

ヒッチ「だいたい『前から意識し合ってた』とか、どんだけ自意識過剰なのよ!あんたのことなんてミジンコほども知らないっつーの!!」

ヒッチ「現在進行形の黒歴史の塊みたいなクセして彼女が欲しいとか、キモすぎ!自分の股間のにおいでも嗅いでろ!!」

ダズ「」←あまりの剣幕に放心状態

ヒッチ「……」ハァ

ヒッチ(なんだか怒鳴ったら元気が湧いてきたわ)

ヒッチ「取り敢えず、今日からあんたは私のパシリね」

ダズ「え?」

ヒッチ「せいぜいコキ使ってやるから有難く思いなさい」

ダズ「なんで俺が!あんなボロクソに言っといて、よくもそんな口が」

ヒッチ「私の気が向いたら胸ぐらい触らせてあげるわよ」

ダズ「」

ヒッチ「さぁ、分かったら早く行って。一緒に居るトコなんて、あんまり見られたくないから」

ダズ「……本当に触らせてくれるのか?」

ヒッチ(きもっ!!)

ヒッチ「気が向いたらね」

ダズ「……」スタスタスタ

ヒッチ(まぁ、気が向く事なんてあり得ないけど)

ヒッチ「……さてと」ノビ~

ヒッチ「よ~し、明日からも元気に頑張ちゃうぞぉ!!」

お付き合い有難うございました。半分以上は終わったハズです。
金曜夜にまた来ます。お疲れ様でした。

前回までのまとめ

私、残酷な世界に舞い降りた美しき天使こと超越美少女ヒッチちゃん。
え、訓練兵団には既に本物の天使がいるって?みんな、騙されちゃダメ!
あれは私のパクリ!私のコピペ!私の模倣で猿真似なの、ムッキー!!

半年後 行軍訓練中

バシャバシャ

ヒッチ「ハァハァ

ダズ「ヒィヒィ フゥフゥ

ヒッチ「……ねぇ、私の荷物、少し持ってくれない?私、疲れちゃったぁ」

ダズ「じょ、冗談言うなよ。ヒィヒィ……自分のだけで精一杯だってのに」ゼェゼェ

ヒッチ「……お願い」ウルウル

ダズ「お、おう」

ヒッチ「じゃ、よろしく」ドサッ

ダズ「ぐえっ」

ヒッチ(こいつがブッ倒れる寸前に自分の荷物だけ回収しなきゃな)タッタッタッタッ

ヒッチ(評価の大部分は立体機動の出来如何にかかってるんだから、こんな体力使うだけの訓練なんて真面目にやるだけ損)タッタッタッ

ヒッチ(行軍訓練なんて順位を競うわけでもないし、みんなから遅れない程度にやっとけば充分なのよ)タッタッタッ

ヒッチ(ここで体力を温存しておいて、あとで立体機動の自習練した方が賢明ってものよね)タッタッタッ

ダズ「も、もう…げ、限界……」ベチャ

_________
____
_


女子寮 部屋

ミーナ「……ねぇ、ハンナ」

ハンナ「なぁに?」

ミーナ「もうキスってした?」

ハンナ「ブフーッ

ハンナ「ど、どうして急にそんな話を?」

ミーナ「いや、今読んでる本がさ、18巻でようやく主人公カップルがキスしてさ、ここまで長かったなぁと思って」

ハンナ「……」

ミーナ「……むっ、その反応は」

ハンナ「……えっ」///

ミーナ「うわ~っ、したんだ!その反応はしたんだぁ!!」

ハンナ「は、恥ずかしいから、そんな大きな声で言わないで……」///

ミーナ「いいなぁ、そんな話を聞いちゃうと、私も三次元の彼氏が欲しくなってくるよ」

ハンナ「三次元って……」ニガワライ

ミーナ「あ~あ、どっかに『××のバ×ケ』の○○っちみたいな眼鏡男子っていないかなぁ。ついでに、私と趣味を共有してくれる人」

ハンナ「ハ、ハハハ……」

ミーナ「じゃあ、ハンナってば毎日ラブラブで充実しまくりでしょ。楽しくて仕方ないって感じ?」

ハンナ「うん……。でもね、時々不安になる事もあるんだよ……」

ミーナ「え?それってどういう……」

ガチャ

ハンナ/ミーナ「ビクッ

ヒッチ「……ただいま」ドスドス

ハンナ「お、おかえり……」

ヒッチ「ドサアッ

ヒッチ(つ、疲れた……。自習練たって自己流じゃ限度があるなぁ……。かと言って腹筋女や芋女に頭下げて教わるのはイヤだしなぁ……)

ヒッチ(巨人討伐の模擬訓練で楽できる方法があれば、それに越したことはないんだけど……)

ヒッチ(ダズに目標発見させて私が撃破するって作戦やろうとしたら、ダズが全く使い物にならなくて話にならなかった……)

ヒッチ(でも、次こそは必ず10位以内に返り咲いてやるぞ……)

ヒッチ「zzzz

二年度前期実力考査の結果発表

1位 ミカサ・アッカーマン : 900(900点満点中)
2位 ライナー・ブラウン : 762
3位 ベルトルト・フーバー : 715
4位 アニ・レオンハート : 621
5位 ジャン・キルシュタイン : 609
6位 マルコ・ボット : 598
7位 エレン・イェーガー : 584
8位 サシャ・ブラウス : 553
9位 コニー・スプリンガー : 547
10位 ユミル・××× : 536

ワイワイガヤガヤ

ユミル「お、クリスタが11位に入ってるじゃないか。やったな!!」

クリスタ「最近のユミル、変だよ……。なんだか私のサポートばっかりしてるみたい……」

ユミル「気のせいだろ、気のせい」カンラカンラ

ヒッチ「……」

ヒッチ(あのチビッ子にすら抜かれた…だと…?)

スタイルのいいモブ子A「ヒッチ、相変わらず凄いね~。12位だって」

ちょっと可愛いモブ子B「私なんて、もう最近の訓練とか全然ついていけないから、教官でも誑し込もうかってマジで考えてるんだけど」

そこそこ美人なモブ子C「何あんた、その年でもう枕?終わってんだろ~www」

ヒッチ/モブ子ABC「キャハハハハハハー

ヒッチ(……って笑い事じゃないっつーの!あんたらボンクラと違って、私は憲兵団目指してんだよ!!)

ヒッチ「あ、私、ちょっと用があるから先に行くね~」バイバ~イ

スタイルのいいモブ子A「うん、またね~」バイバ~イ

ちょっと可愛いモブ子B「……」

そこそこ美人なモブ子C「最近あの子、付き合い悪くね?」

スタイルのいいモブ子A「そうだね~。でも、あの子は憲兵団目指してるし、うちらと一緒に適当してるわけにもいかないでしょ」

ちょっと可愛いモブ子B「でも、あのサル顔の男子をパシらせるのはやめてほしいな~。うちらの格が落ちるって言うかぁ」

そこそこ美人なモブ子C「だよね~。あんな男、近くに置いとくだけでもキモいってのに」

ヤイノヤイノ

整備室

カチャカチャ

ヒッチ(今のうちに装置のチェックをしておこう。授業時間内のチェックだけじゃ不安が残るし……)カチャカチャ

ヒッチ(……なんとなくアンカー射出口の擦り減り方が偏ってるかなぁ。もしかしたら、私の使い方に癖があるのかも……。だとしたら)カチャカチャ

ガラッ

ユミル「クリスタも真面目だなぁ。何もこんな自由時間まで使って整備なんかやる事ないだろ」

クリスタ「でも、立体機動装置は私たちにとって命綱なんだよ。常に気を配っていないと、いざという時に困ると思うの」

ユミル「はいはい、分かりましたよ……っと、先客がいたみたいだな」

クリスタ「あっ……」

ヒッチ(……チッ、よりによってこいつらかよ)

ユミル「こりゃ意外なところで顔を合わせるもんだな。誰かの装置に小細工でもしてるのかい?www」

ヒッチ「冷やかしなら帰ってくれない?それとも、わざわざライバルの私を邪魔しに来たのかしら?」

クリスタ「あっ、ゴメンナサイ……。あの、騒がしくしないから、私たちにも使わせてね」

ヒッチ「どうぞご自由に。ここは訓練兵全員に開放されてる場だから、いちいち私の許可を得なくてもいいのよ。そんな事も分からないの?」

ユミル「……お前も、いちいち嫌味で返さなくていいんだぞ」

コマ切れで申し訳ないですが、明日夜続きやります。
お付き合い有難うございました。

カチャカチャ

ヒッチ「……」カチャカチャ

クリスタ「ねぇ、ユミルはどう思う?」

ユミル「う~ん、これってもしかして斜流ファンじゃなくて軸流ファンそのものに問題があるんじゃねぇか?」

クリスタ「そうなのかなぁ。だとすると、私が下手にいじるより、技工部の人に相談した方がいいのかな?」

アーダコーダ

ヒッチ「……」カチャカチャ

ヒッチ(チッ、こいつらがいるせいで気が散ってしょうがないわ……)

ヒッチ(もういいや。今日はこれで引き上げて、また次の機会やろう。ついでに、今度こいつらのブーツの中に画鋲でも入れてやろう)

ヒッチ「お先にぃ」ガタッ

クリスタ「あっ、あの、ちょっと待って」

ヒッチ「何か用?私、あんたと違って人気者だから、あんまりヒマじゃないんだけど」

クリスタ「ご、ごめんね。あの……最近、よく自由時間に自主練習してるよね」

ヒッチ「私みたいな自立した女は、あんたみたいにすぐ男に頼る女と違って努力家なの。あぁ、あんたの場合、頼ってるのも女か」フンッ

ユミル「おいおい、クリスタに喧嘩売ろうってんなら、私が相手になるぜ」ガタッ

クリスタ「ちょっとユミル、やめて」

ヒッチ「それで、私に何の用?」

クリスタ「うん、あの、もし良かったら、私と一緒に自主練習しない?」

ヒッチ「へ?!」

ユミル「え?!」

クリスタ「一人で練習してても限界があるって言うか、分からないところとかもあると思うの。お互いで確認し合う事で上達も早まるだろうし」

ユミル「ちょ、ちょっと待て!だったら、こんなヤツを誘わなくても、私が一緒にやってやるよ!!」

クリスタ「じゃあ、ユミルも参加して3人で一緒にやろうね」ニコッ

ユミル「な!」

クリスタ「ねぇ、どうかな?一緒にやらない?」

ヒッチ(くそ、ちょっと実力考査で私より成績よかったからっていい気になりやがって……)

ヒッチ「ク、クリスタってば、最近まぁまぁ頑張ってるみたいだけど、上から目線で私に教えてあげようって態度はどうかと思うな」ヒクヒク

クリスタ「え?!べ、別にそんなつもりじゃ……」

ヒッチ「これは親切心で言ってあげてるんだけどね、男の前でだけ可愛こぶって偽天然キャラ演じるのもどうかと思うのよ」

クリスタ「ムッ

ヒッチ「陰じゃ『あの子って本人が思ってるほど可愛くねーからwww』って噂されてるから、気をつけた方がいいよ」←噂してるのはヒッチとABC

クリスタ「どうしてそんな曲解ばかりするのかなぁ!私は上から目線なんかしたつもりはないし、単に一緒にやろうって誘ってるだけなのに!!」

ヒッチ「うわっ?!なに、私に図星指されたからって逆ギレ?!こんな風にすぐ責任転嫁するから○○り世代は困るのよね」

ユミル「いや、世代ってお前ら同い年だろ……」

ヒッチ「とにかく!私は一人でも充分練習できるから!!」

ガラッ ピシャン

クリスタ「……思わず言い返しちゃった。……怒らせちゃったよね?」

ユミル「怒らせた云々以前に、元からあいつは私らの事を目の敵にしてるし、いいんじゃね?」

クリスタ「私は、同じ訓練兵団の仲間なんだから、いがみ合わずに協力してやっていきたいと思ってるんだけど……」

ユミル「無理無理、ぜ~ったい無理!つーか、お前もあんなの相手にすんなよ。バカを相手にしてると自分がバカを見るぞ」

クリスタ「シュン

ユミル「ハァ……まったく、クリスタのお人好しにも呆れるよな」

ユミル(それこそ、こっちが不安を覚えるほど、こいつはお人好しなんだよな。ちょっと度を超えてるって言えるくらいに……)

ユミル(いつか、本気で自分の命を捨てて他人を助けるなんて綺麗事をやりかねない危うさを感じるよ)

ユミル「……なんてな。杞憂だよ、まったく」

クリスタ「どうしたの?」

ユミル「なんでもない。さて、さっさと続きをやろうぜ」

女子寮 部屋

ヒッチ「ただいま!」ガチャ

ヒッチ「……って誰もいないのかよ!せっかく地味子と豚子をイジってストレス解消しようと思ったのに!!」

ヒッチ(それにしてもあのチビっ子、ムカつく!ブーツの中に画鋲入れるくらいじゃ腹の虫がおさまんない!!)

ヒッチ(あいつがお風呂入ってる隙に、下着に練りワサビ塗ってやる!!)

ヒッチ(……何よりもムカつくのは、あの子が本気で綺麗事を言ってそうなところ!!)

ヒッチ(苦労知らずの箱入りかっつーの!どこの世界のお嬢様だよ!!)

ヒッチ(……くっそー、ふて寝してやるぅ~)

(布団かぶって眠る)

_
____
_________

ヒッチ「zzz

ヒッチ(……あ、布団かぶったまま寝ちゃってた)ヨダレタレテル

ヤイノヤイノ

ヒッチ(……声が聞こえる。ミーナとハンナが帰ってきてるのかな)

ミーナ「ふんふん、それで?」

ハンナ「それで、私の事を好きだって言ってくれたのは、告白してくれた時の一回だけで……」

ミーナ「うんうん、なるほど」

ハンナ「もちろん、普段はとっても優しいし、私の事を大事にしてくれてるのは伝わってくるんだけど……」

ミーナ「ふむふむ」

ハンナ「だけど、フランツは誰でにでも優しいから、私以外の子からも好かれちゃったりして、それで……」

ミーナ(いや~、それは無いんじゃないかな~)

ミーナ「つまり、要約すると、彼の気が変わって他の子に取られちゃうんじゃないかって心配してるってことね」

ハンナ「コクン

ミーナ「ハンナってば乙女ね~。私がGL好きだったら、今ごろ襲ってるくらい可愛い!」

ハンナ「……それって褒められてるのかな」ハハハ…

ミーナ「これはズバリ!2人の仲を次の段階までステップアップさせるべき時期なんじゃないのかな!!」

ハンナ「ええ?!次の段階って……」///

ミーナ「もちろん!既成事実を作って愛を確かめ合うのよ!!」ムフーッ

ハンナ「……そう…なのかな?」

ミーナ「そうよ!『私はまだ本気を出してない』とか言ってる場合じゃないわ!!本気で、体を張って恋愛しなきゃ!」

ハンナ「ちなみに、それは誰の台詞?」

ミーナ「これはこの前に買った薄い本の中で……って、あわわわ」

ハンナ「……」

ハンナ(ミーナの知識は偏ってるからなぁ……。信用していいのかなぁ……)

ヒッチ「不安があるなら、私が相談にのってあげるわよ」ムクリ

ハンナ/ミーナ「!」

ミーナ「……い、いたの?」

ヒッチ「うん。ずっといたの。あんたたちの話も全部聞いてたの」

ハンナ/ミーナ「!」

ヒッチ「それで、私でよければ、なにか力になってあげられないかなと思って」ニッコリ

ミーナ(妙に親しげで気持ち悪いなぁ。何を企んでるんだろう……)

ヒッチ(ストレス解消のいい鴨だ。適当におちょくって遊んでやろうっとwww)

_________
____
_

ヒッチ「~~って感じでさぁ、そいつが『タンポン使ってる女子って慣れてるから痛くないんじゃないの?』とか言ってきやがってwww」

ミーナ「アハハハハハハ~wwwさすがにそれは私でも分かるwwwタンポンの大きさと比べてどーすんのって話だよねwww」

ハンナ(いつの間にか、私そっちのけでミーナとヒッチが打ち解けて盛り上がってる……)

ミーナ「それで、実際のところ、どのくらい痛いものなの?」

ヒッチ「激痛」

ミーナ「うわ~……本当に?」

ヒッチ「本当」

ハンナ(ミーナってこういう話題、好きだったんだなぁ……。趣味が趣味だから、知識はけっこう豊富だし……)

ミーナ「でも、ホラ、人によっては我慢できないほどの痛みじゃなかったって言うじゃない」

ヒッチ「そんな恵まれてるヤツはみんな爆発しちゃえばいいんだ」

ミーナ「www」

ヒッチ「私の時は冗談抜きで、叫ぶほど痛かったんだって」

ミーナ「もしかして、鼻からスイカが出るような痛みってやつ?」

ヒッチ「それは出産でしょ!私の場合、そういう『メリメリッ』って感じじゃなくって、もっとダイレクトに『グサッ』って感じだった」

ミーナ「なにそれ怖い」

ヒッチ「いや、スイカとか球状のものをねじ込むんじゃなくて、刃物で刺されるような、そんぐらいの激痛だった」

ミーナ「じゃあ、出血もすごかったり?」

ヒッチ「それが一回目の時は全然。なのに、なぜか2回目以降には血が出て、あの時は結構焦ったなぁ」

ミーナ「ええ?!そういうことってあるの?」

ヒッチ「あるみたい。実は今でもよく分かってないんだけど、当時は母親に相談するのも気が引けて、それで当時の彼氏に相談したら~~」

ミーナ「ふんふん」

ハンナ(ううっ、話を聞いてるだけで、なんだか怖くなってきたな……)

ヒッチ「~~って経緯で最初の彼氏とは別れたんだけど、その次の男がまた最悪で~~」

ミーナ「なるほどね~」

ヒッチ「で、そんな浅い位置でゆっくりこすられたって痛いもんは痛いって言ってるのに、どうも分かってないらしくってさぁ」

ハンナ(だんだん、ヒッチの過去の男に対する愚痴大会になってきてる……)

ヒッチ「こう真剣な表情作っちゃって、ムードたっぷりに『俺の痛みだと思えば耐えられるだろ』とか言い出しやがって、イタイのはお前の発言だっつーの!!」

ミーナ「アハハハハハ~www」

ヒッチ「そいつの腹にヤクザキックして帰ってきちゃったよ。で、それから、その次の男がこれまたどうしようもなくて~~」

ヒッチ「~~で、私がやっぱり痛がるもんだから、そいつがローションなんか持ってきやがったから、ふざけんなって顔面に投げ返してやったんだけど~~」

ミーナ「先生、質問があります!」

ヒッチ「なんで敬語になってんのよ?って言うか、いつから私、先生になったの?」

ミーナ「あの、私も(BL限定で)ローション・プレイとか妄想しちゃってるんですが、やっぱり塗れにくい時は使った方がいいんじゃないですか?」

ヒッチ「あんたねぇ……そういう中途半端な知識を披露するから、あんたみたいな腐女子は私らからバカにされんのよ!!自覚してる?!」

ミーナ「す、すみません!」

ハンナ(ミーナがすっかりノリノリになってる……)

ヒッチ「挿れ易くするためにローション使ったら、結局、身体の中にまで入ってきちゃうのよ!後で洗い流すのが、どれだけ面倒くさいか分かってる?!」

ミーナ「な、なるほど!」

ヒッチ「だから、そういう場合、普通はゼリー使うの。口に入っても無害なタイプのもあるし、それから、コンドームでも、元から塗られてるタイプあるでしょ?」

ミーナ「うっ……そういうの、実物見たこと無いんで、よく分かんなくて」テヘヘ

ヒッチ「まったく、これだから耳年増は……。ちょっと待ってなさい」ガサゴソ「はい、コレ」ポイッ

ミーナ「これが噂の……」

ヒッチ「ハンナも持っておきなさいよ。どうせ近々、あのぬぼ~っとした男とヤるんでしょ?」

ハンナ「え、あ、その……」///

ヒッチ「それフリーサイズだけど、まぁどうせあいつは童貞くんだろうから、どのサイズ用意すればいいのかなんて自分でも分かってないだろうし」

ハンナ「あ、ありがとう……」///

ヒッチ「ん……」

ヒッチ(って、いつの間に、私ってば地味子にまともなアドバイスなんかしちゃってるわけ?)

ミーナ「いやぁ、ヒッチって意外と面白い人だったんだね」

ヒッチ「え?!」

ミーナ「第一印象が最悪だったから、ヒッチのこと、ずっと苦手だったんだけど、こうやって話してみると、そうでもないかなって思ったの」

ヒッチ「何それ?……って言うか、あんたら腐女子と私を一緒にしないでくれる?私とあんたたちじゃ住んでる階層が違うんだから」

ミーナ「まぁ、確かに派手めの子たちからしてみたら、私たち地味なオタクと一緒にされたくないのかもしれないけど、だからっていがみ合うのもおかしな話だと思うんだ」

ヒッチ「いがみ合ってるんじゃないの、見下してんのよ」

ミーナ「うわっ、言い切られた」

ヒッチ「あんたたちが紙の上であり得ない常識の妄想でハァハァしてる間に、私らは身体張って経験積んでるのよ。見下して当然じゃない」

ミーナ「いや、それこそあり得ない常識に基づいた偏見だよ」

ミーナ「ヒッチの腐女子観はごく一部の人間を取り上げて大袈裟に言ってるだけだし、それにヒッチが体験から得た知識が、紙に書かれた知識の全てを凌駕するとは限らないでしょ?」

ヒッチ「……」

ミーナ「とにかく私としては、せっかく同室になったんだから、これからはもう少し仲良くした方がお互いに過ごし易くないかなって」

ヒッチ「……じゃあ、一つ注文。『ホモが嫌いな女子なんていない!』とか言うの、やめてくれない?私、BLとかその類のもの、大っ嫌いなんだけど!!」

ミーナ「アハハハハハ~。ゴメンゴメン。ああいうのは、場の勢いで言っちゃうだけの冗談なんだけどね。これからは気を付けるよ」

ヒッチ(チッ、こいつらをイジるつもりが、なんだか妙に親しくなっちゃった……)

ヒッチ(……でも、男どもの悪口をぶちまけたせいか、ストレスは一気に解消できたなぁ)

お付き合いありがとうございます。
私用により、続きは早ければ水曜夜、遅ければ木曜夜に続き書きます。
お疲れさまでした。

前回までのまとめ

だいぶ日が空いたので、真面目な粗筋。
エレンたちと同じ訓練所に配属されたヒッチは、時に他人を利用したり、たまに真っ当な努力をしたり、
ユミルとクリスタを目の敵にしたり、ハンナやミーナと少し打ち解けたりしながら、憲兵団入りを目指す。
現在、入団後2年目の上半期まで終了。

対人格闘術訓練

クリスタ「エイッ!ヤッ!!」

ユミル「よっ、ほっ」

クリスタ「キャア!」バタンッ

ユミル「おっと、悪い。大丈夫か?」

クリスタ「うん、平気」ヨイショ

ユミル「クリスタと私じゃ体格が違うんだから、そんな真っ正直に正面から向かってきても無駄だぞ」

クリスタ「そうだね、もうちょっと考えて対処しなくちゃいけなかったかな」

ユミル「それに……そもそもこんな訓練なんか、真面目に取り組む必要ないと思うけどな」

クリスタ「でも、やっぱりサボったりするのは良くないよ」

ユミル「はいはい、そう言うと思ったよ。仕方ないから付き合ってやるか」

*****

ヒッチ(よ~し、うまいことサボって骨休めしよっと!)チンタラ

ヒッチ(こんな点数にならない訓練を真面目にやってるのは、バカ正直な奴らか単なるバカのどっちかね)ブラブラ

キース「カツカツ

ヒッチ(あ、ヤバい!ハゲが見廻りに来ちゃった。適当な誰かと組んで、訓練してるフリしないと……)

アニ「ポツーン

ヒッチ(お、ボッチ発見!あの子でいいや)トコトコ

ヒッチ「ねぇ、アニ。一緒に訓練やってあげようかぁ?」ニコッ

アニ「……別にやらなくていいよ」

ヒッチ「そんな、友達いないからって卑屈にならなくてもいいんだよぉ。大丈夫、私が付き合ってあげるから」

キース「カツカツ

キース「……」ギロッ

ヒッチ「やっ、とぅ」ダラダラ

アニ「……」パシッパシッ

キース「カツカツ

ヒッチ(なんとかやり過ごせたみたいね)ホッ

ヒッチ「ねぇ、危ないところだったでしょ?私がいなかったら、アニってばきっと教官に怒られてたと思うの。あ、感謝は今度なにか目に見える形でしてね」

アニ「こんな訓練、やったって意味無いよ……」ボソッ

ヒッチ「やっぱり、アニもそう思う?だよね~。これって点数にはならないし、役にも立たないし、憲兵団目指すならまったく不必要よね」

アニ「……あんたは」

ヒッチ「ん?」

アニ「あんたはなんで憲兵団を目指してるの?」

ヒッチ「そんなの当然じゃない!安全快適な内地勤務、年収も駐屯兵団より上、全ての面で優遇されてるんだから」

アニ「……」

ヒッチ「アニだって憲兵団志望なら、それぐらいわかるでしょ?」

アニ「私はただ……」

ヒッチ「?」

アニ「自分が助かりたいだけだよ」

ヒッチ「だから、こんな最前線の街から抜け出して内地に行こうってんじゃない!アニってば頭の回転が鈍いのね」

ヒッチ「私はシガンシナに住んでたわけじゃないし、知り合いが巨人に食われたって事も無いから、危機感は薄い方かもしれないけどさぁ」

アニ「……」

ヒッチ「それでも、話に聞くだけで絶対そんな目には遭いたくないって思うもん。それは皆も同じでしょ?誰だって、死にたいなんて思うわけないし」

アニ「あいつはどうなの?」クイッ

ヒッチ「ん?ああ、エレンね。よくジャンから死にたがり野郎ってからかわれてるけど、別にエレン自身は死にたがってないじゃない」

アニ「……そうだね」

ヒッチ「エレンの場合、『殺られる前に殺ってやる!』って感じじゃない?いかにも男子らしい発想だし、それもアリかなって思うよ」

ヒッチ「けど、私は、そんな分の悪い賭けみたいな事に労力を割きたくないの。私は、もっと利口に生きたいの」

アニ「……それじゃ、利口なあなたに一つ尋ねてもいいかな」

ヒッチ「なに?さっきの講義で分からない問題でもあったの?少なくとも、座学の成績だけは私のがアニより良いんだからね」

アニ「立体機動に優れた者ほど内地へ行ける。つまり、この世界では巨人に対抗する力を高めた者ほど巨人から離れられる。どうしてこんな茶番になると思う?」

ヒッチ「はぁ?そんなこと?やっぱりアニってば、私よりずっとバカねぇ!それもやっぱり当然のことじゃない!!」

アニ「……」

ヒッチ「だって、世間っていうのは、優れてる者が得をするように出来てるのよ」

ヒッチ「アニだって、この集団生活を2年近くも送ってるんだから分かってるでしょ?バカやブスよりも、成績優秀で可愛い子の方がチヤホヤされるし、グループは人数が多ければ多いほど発言権を持つって」

ヒッチ「そして、そのグループのトップにいることは、集団生活を仕切っているにも等しいじゃない。これは、この兵団が解散した後も続く、普遍的な原則よ」

ヒッチ「アニはブスじゃないし、成績だって悪くないけど、誰ともツルまないから、集団の中じゃなんの力も持たない。結局、世間ってものを理解してないから、そんな不器用な生き方してるのね」

アニ「……」

ヒッチ「私ったら優しいから、貴重なアドバイスをついつい無料でしちゃった。これも貸しにしとくから、ちゃんと目に見える形の感謝してよね」

アニ「……そうね、あんたの生き方は利口かもしれない。でも、どっちにしろ、あんたも私も正しい人間にはなれない、普通の人間だよ」

ヒッチ「何それ?正しい人間ってなんのこと?」

アニ「さぁ、なんだろうね……。自分よりも他人を尊重したり、現実離れした夢を追い求めたり、理想に殉じたり……。とにかく、利口なあんたや不器用な私には決してなれない種類の人間だよ……」

ヒッチ「つまり『人間には無限の可能性がある!』みたいな綺麗事を恥ずかしげもなく言っちゃうヤツってこと?やだやだ、私はそんなヤツらと関わり合いたくないなぁ」

アニ「……私は、そういうヤツを少し尊敬するけどね。でも、それだけ。私は、自分の選択した生き方しか出来ない……」

ヒッチ「ふ~ん。アニってば普段無口のクセに、変なこと考えてるのね。『正しい人間』とか言い出したのが、ちょっと意外だったwww」

アニ「……」

ヒッチ「ところで、アニって同室の子たちとうまくやってる?」

アニ「クリスタとユミル?……別に問題はないよ。ただ、ちょっとお節介なのが鬱陶しい時もあるけど」

ヒッチ「へ~……。ねぇ、なんだったら、アニのこと、私のグループに入れてあげてもいいよ。ここでの生活はまだ1年以上あるのに、ボッチじゃつまんないでしょ?」

アニ「別に……。一人のが気楽だし……」

ヒッチ「ボッチは強がって皆そう言うの。イジメたりしないから大丈夫よ。たださ、私もアニの同室の2人が鬱陶しいから、そういう話で盛り上がったり、弱みを握ったりしたいなぁってだけで……」

アニ「遠慮しとく。……余計な関わりを持つと、後で躊躇してしまうから」

ヒッチ「は?躊躇ってなにを?」

アニ「ギロッ

ヒッチ「!……な、なによ。そんな人殺しみたいな目ぇして……」

アニ「そろそろ訓練終了の時間だから、行くね……」クルッ

ヒッチ「う、うん……」

アニ「スタスタ

ヒッチ「……変な子。やっぱり、コミュ障を相手にするのは疲れるや」

_________
____
_

数日後 女子寮 部屋

ハンナ「~~という感じで、その……2人が色々アドバイスしてくれたおかげで、フランツと……あの……その……」///

ヒッチ「……もしかして、成功しちゃった?」

ハンナ「コクン ///

ヒッチ(ちっ、失敗して気まずくなって別れた方が面白かったのになぁ)

ミーナ「なに、この展開?!肝心の場面が飛ばされてない?!!」

ハンナ「えっ…/// ……詳しく話さないと…ダメ?」///

ミーナ「ダメだよ!後学のためにも詳しく聞きたいんだから!!」

ヤイノヤイノ

ヒッチ「……」

ヒッチ(つーか、初めてでスンナリ入っちゃうヤツってどうなの?私なんか、入るまでに2回も日を改めてトライしたってのに!)

ヒッチ(思い返してみれば、失敗に終わった本当の1回目は、ひたすら気まずい空気のオンパレードだったなぁ)

ヒッチ(電気消すタイミングが分からなくって、いつまでも部屋が明るいままで、相手がコンドームつけようと悪戦苦闘してる背中がまぬけに見えたり)

ヒッチ(しかも、コンドームで手間取ってる間に乾いてきちゃって、相手が準備できた時には、こっちはもう一度初めからって状態だったし)

ヒッチ(なかでも、私が一番イラッとしたのは、何と言ってもアレだ)

ヒッチ(我慢に我慢を重ねて何とか入った時、男が動くたびにこっちは痛いわ苦しいわで最悪なのに、相手がなんか気持ち良さそうな顔してたこと!)

ヒッチ(多分、その時の相手と私のテンションは、高低差ありすぎて耳キーンってなるくらいだった)

ヒッチ(初体験は、そんな感じの気まずさと恥ずかしさとイライラと痛いのとが混ざり合った、ロクでもないものだったなぁ)

ヒッチ(けど、して良かったなぁと思えた瞬間が一つだけあった)

ヒッチ(それは……)

ヒッチ(それは、友達に自慢して最高の優越感を味わった時!)

ヒッチ(周りの子がまだ誰も経験してない中で、私だけが知っているっていう優越感は格別だった)

ヒッチ(素直な子は私を崇拝したし、ヒネくれた子は侮蔑しながらも畏敬していたし、とにかく私はみんなの中心にいて、特別なものになった気分だった)

ヒッチ(優越感を誇示するのって、自分に自信が無い人間の代償行為だとか、わけ分かんない事を学者先生は言ってるけど、そんなのは嘘だと思う)

ヒッチ(だって、他人に褒められなくちゃ自信なんかつかないし、他人が欲しがらなきゃ価値なんて発生しないんだ)

ヒッチ(彼氏は、連れて歩くだけで他人に自慢できるほどのイケメンじゃなきゃ意味無い)

ヒッチ(他人に認められ、他人に羨望されてこそ、人は楽しく生きられるんだ)

ヒッチ(その点、ハンナの彼氏のランクは相当低い)

ヒッチ(背は高いほうだけど、成績はパッとしないし、顔もハニワみたいでかっこ悪い。あんなの連れてたって、なんの得にもならない)

ヒッチ(まぁ、ハンナ自身も大して可愛くないし、身の程を弁えたカップルって感じ。私の邪魔になりそうもないから、別にいいんじゃない?)

ハンナ「~~それで、顔を見られてるのがすごく恥ずかしかったから、彼にしがみついちゃって~~」///テレテレ

ミーナ「それでそれで?!」ムフーッ

ヒッチ「……」

ヒッチ(やっぱ、私よりも幸せそうにしてんのがちょっとウザいかも)

ヒッチ(そもそも、打算的な気持ちを一切持たず、本当に好きな相手と迎える初体験なんて、ミーナみたいなオタクが抱く妄想の産物だと思ってたんだけどなぁ)

ヒッチ「……羨ましいって言うか、ハンナのくせに生意気」ボソッ

ハンナ「え?」

ヒッチ「なーんでもなーい」

_________
____
_

なんか板が重い。
お付き合い有難うございました。2/3は終わったハズ。なんとか頑張って収拾つけます。
金曜夜、続き書きます。お疲れさまでした。

なにこれ経験談?

今日これから書く箇所、クズっぽいモブ男出すつもりなんで
若干胸糞かもしれないです。もしもイヤな気分なったらゴメンなさい。
それにしても、今日は繋がりにくいなぁ……

>>518
いやいや、まさか。
でも、こういう事ってあるよねってな感じの逸話にしたかったんで
そんな感じで受け止めてもらえたら本望です。

二年度後期実力考査の結果発表

1位 ミカサ・アッカーマン : 900(900点満点中)
2位 ライナー・ブラウン : 743
3位 ベルトルト・フーバー : 728
4位 アニ・レオンハート : 634
5位 ジャン・キルシュタイン : 597
6位 エレン・イェーガー : 589
7位 マルコ・ボット : 571
8位 コニー・スプリンガー : 562
9位 サシャ・ブラウス : 556
10位 クリスタ・レンズ : 545

ワイワイガヤガヤ

ユミル「お、ついに10位に入ったじゃないか!やったな!!」

クリスタ「ジトーッ

ユミル「うっ……なんだよ、その目は……」

ユミル(ちょっとあからさまにクリスタのアシストをし過ぎたかな……完全に疑われてるよ)

昨夜は突然繋がらなくなって驚いた。
昨日1レス投下した続きから再開します。

ヒッチ(……チビッ子とは僅差で11位か。ソバカスはいきなり成績下がって50位以下かよ)

ヒッチ(って言うか、どうやらチビッ子の得点になるよう、便宜図ってるっぽいんだよな~。何考えてんだろ?)

ヒッチ(チビッ子が憲兵団行けると、ソバカスに何か得があるのかな?それとも……)

同日 夜 食堂

スタイルのいいモブ子A「最近さぁ、訓練兵団辞めるヤツが多くなってきたよね」

ちょっと可愛いモブ子B「憲兵団入りが絶対無理って分かってきちゃうからじゃない?」

そこそこ美人なモブ子C「でも、開拓地行きはやだなぁ。私は街生まれだし、今さら僻地で土いじりなんか出来ないよ」

スタイルのいいモブ子A「ヒッチの志望は憲兵団一本でしょ?」

ヒッチ「そのつもりだけど……結構ギリギリで、ちょっと焦ってるんだよね」

ちょっと可愛いモブ子B「上位の常連メンツは固定されちゃってるしねぇ。まぁ、頑張んなよ。私らの中から、一人くらいは憲兵団行ってもらわないと」

そこそこ美人なモブ子C「そうそう。私らは駐屯兵団で適当にやるつもりだしさ、その時はヒッチが内地から色々融通してよ」キャハハ

ヒッチ「アハハ、考えといてあげるから、今度なんか奢ってよね」」キャハハ

*****

チェックシャツのモブ男「……ったく、女は気楽でいいよな」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「仕方ないね。俺たちは理性的に考えられるけど、女は感情でしか考えられないからな」

デニムシャツのモブ男「それにしても女って、なんであんなに薄ら寒い自慢話をベラベラと楽しそうに喋れんのかね。マジ、胸糞悪いわ」

チェックシャツのモブ男「しかも、普段は男女平等とかギャアギャア叫んでおいて、都合が悪くなるとすぐ女の権利を持ち出すしよ」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「『男のクセに』を正論ぶって話しておきながら、『女のクセに』って言われると、急に男尊女卑だとか騒ぎだすよな」

デニムシャツのモブ男「ほんと、ああいうバカ女が憲兵団に入るようになったら、世も末だよ」

チェックシャツのモブ男「ま、女にできることっていったら、たかが知れてる。憲兵団に入る方法は一つしかないだろ」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「ああ、だろうね」

デニムシャツのモブ男「今の成績だってどうせ、な」

*****

ヒッチ/ABC「……」

スタイルのいいモブ子A「何あいつら?ニヤニヤしながら臭い息吐いてんじゃねーよ。話があんならこっち来いってんだよ」

ちょっと可愛いモブ子B「ダメダメ。ああいう輩は面と向かって喋れないタイプだから。私らと目も合わせらんないのよ」

そこそこ美人なモブ子C「直接話せないから、わざと聞えよがしに話してんの?うわっ、顔だけじゃなくて性根も終わってんのね」

ヒッチ「童貞こじらせ過ぎて脳みそ膿んでるんじゃない?あ、女と接したこと無いから、間違った知識信じちゃってるんだ。可哀そーwww」

キャハハハハー

モブ男3人「……」「い、行くか……」「あ、ああ……」

ソソクサ

スタイルのいいモブ子A「あいつらどっか行っちゃったよwww」

ちょっと可愛いモブ子B「ヘタレ過ぎるwww」

そこそこ美人なモブ子C「巨人の餌にでもなってろっつーのwww」

ヒッチ「それも無理でしょwwwあーいうのは駐屯兵団に入っても、真っ先に逃げ出すタイプだしwww」

スタイルのいいモブ子A「ま、巨人がまた来るなんてことはないから、余計な心配だとは思うけどさー」

ちょっと可愛いモブ子B「そうかなー、大丈夫かなー」

そこそこ美人なモブ子C「大丈夫でしょ。だって、シンガシナ襲った時の前は、100年間も来なかったんだもん」

ヒッチ「確かに、壁が破られるなんて想定外の出来事、そう頻繁にあっても困るし」

スタイルのいいモブ子A「そうそう、ウォール・ローゼの中に居れば安全だよ」

ちょっと可愛いモブ子B「言われてみれば、そうだよね」

そこそこ美人なモブ子C「それでも、内地のが快適ってのは変わんないけどぉ」

アハハハハハハ

バッターン!!

ヒッチ/ABC「!」

ヒッチ「何、今の音?誰か倒れたみたいだけど……」

*****

ベルトルト「だ、大丈夫かい?」

ライナー「……あ、ああ、すまん」

クリスタ「どうしたの?!」パタパタ

ライナー「なんでもない。ちょっと気分が悪くなっただけだ……」

クリスタ「顔色が真っ青だよ!もしかして貧血?」

ライナー「いや、本当に大した事はない……」

ベルトルト「……ライナー」

ライナー「なんだ?」

ベルトルト「しっかりしてくれ。頼むよ……」

ライナー「……分かってる」

クリスタ「本当に大丈夫なの?医務室とか行かなくて……」

ライナー「ああ、平気だ」スック

*****

ヒッチ/ABC「……」

スタイルのいいモブ子A「私さぁ、クリスタ見てると、世の中捨てたもんじゃないのかなぁって思うんだ」

ちょっと可愛いモブ子B「ねぇ、あんないい子、今どきいるんだねぇ」

そこそこ美人なモブ子C「男子どもの間じゃ、女神とか天使とか呼んでるヤツもいるんだって」

ヒッチ「なに、天使って?キモいよwww男どものオナペットになって嬉しいのかな?www」

スタイルのいいモブ子A「あはは、ヒッチはあの子のこと、嫌いだもんね~」

ちょっと可愛いモブ子B「確かに、ちょっとウザい時もあるけどさぁ、私は好きだな」

そこそこ美人なモブ子C「ちっちゃくて可愛いもんね。私も嫌いじゃないよ」

ヒッチ「…………イジんのは勘弁してやるから、私の視界に入ってくんなっつーの」

スタイルのいいモブ子A「やだ、ヒッチったら怖~いwww」

キャハハハハハ~

食堂外

スタイルのいいモブ子A「んじゃ、私ら先に戻ってるね~」

ヒッチ「うん、じゃ~ね~」

スタスタ

ヒッチ(くそっ、今日は女子洗面台の掃除当番か……ダズにやらせるわけにもいかないし、面倒くさいな)

ハンナ「あれ、ヒッチ、どうしたの?」

ヒッチ「ん……ハンナは、水汲み当番か。……ねぇ、よかったら洗面台の掃除当番と交換しない?」

ハンナ「え、ヤだよ……。だって、もうお水汲み終わったから、あとは運ぶだけだし」

ヒッチ「ちぇっ、使えないなぁ。最近、ハンナってば反抗的よね。さては、処女捨てたからっていい気になってるでしょ?!」

ハンナ「そ、そんな事ないよ」

ヒッチ「……」

ハンナ(うっ……黙っちゃった。もしかして怒らせちゃったかな?)

ハンナ「あ、あの……」

ヒッチ「シッ……なんか、声がしない?」

ハンナ「?」

ヒソヒソ

チェックシャツのモブ男「ハンナも処女じゃないってよ。あんなブスとよくヤるな。相手は誰だ?」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「俺は知り合いじゃないけど、3班のフランツって野郎らしいぜ」

デニムシャツのモブ男「どーせ、そのうち堕ろすだの何だの騒ぎだすんじゃね?」

*****

ヒッチ(あいつら、近くにいたのか……)

ハンナ「……」

ヒッチ(私には関係ないし、正直ほっといてもいいんだけど……)

ハンナ「……」ウルッ

ヒッチ(ハンナってば見た目どおり、メンタル弱いなぁ~。これくらいで泣きそうになるなんて)

ヒッチ(さて、どうしようかな……)

ヒッチ「ピンッ!

ヒッチ「ねぇ、その水桶貸して」

ハンナ「え?」

バシャーッ

チェックシャツのモブ男「うわっ?!」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「冷てっ?!」

デニムシャツのモブ男「なんだ?!」

ヒッチ「ごめんなさ~い。お水掛かっちゃったぁ?この子が手を滑らせちゃってぇ」

ハンナ「私が?!」

チェックシャツのモブ男「ふざけんなよ!どう見てもお前がやったんだろ!!」

ヒッチ「え~、そんな言いがかりつけられてもぉ」

ハンナ「オロオロ

ヤイノヤイノ アヤマレヨ

ヒッチ(粘着質な男どもだなぁ~。でも、こうやって騒いでれば、そのうち私のシンパの男どもが仲裁に来てくれるでしょ)

パタパタ

クリスタ「揉めてるみたいだけど、どうしたの?」

ユミル「こんな夜に穏やかじゃねぇなぁ」

ヒッチ(あんたたちかよ!!)

クリスタ「喧嘩してたの?」

ユミル「やめとけよ、どうせ営倉送りになるのが関の山だぜ」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「こいつが一方的に水ぶっかけてきたんだよ!!」

ヒッチ「ハンナが間違って水こぼしちゃってぇ、謝ったんだけど、許してくれなくてぇ」

ユミル「私らの前でまで猫撫で声だして喋んなよ、気味悪い」

ヒッチ「……」チッ

クリスタ「とにかく、謝ってるんだから、許してあげなよ。悪気は無かったみたいだし」

デニムシャツのモブ男「いや、どう考えても悪気ありありだろ!」

クリスタ「喧嘩はしないでほしいの。ダメかな……」ウルッ

チェックシャツのモブ男(うっ、罪悪感が……)

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男(クリスタに頼まれると断りにくい……)

デニムシャツのモブ男(まさに掃き溜めに鶴、訓練兵団に天使だ……)

チェックシャツのモブ男「しょ、しょうがないな……」

白シャツ黒縁眼鏡のモブ男「お、おう……。俺たちは心の狭い男じゃないし……」

クリスタ「ありがとう」ニコッ

モブ男3人(結婚したい!!)

****

ユミル「はぁ、なんとか引き下がってくれたみたいだけど、何やってんだ、お前らは」

ヒッチ「余計なお世話よ……」

ハンナ「あの、ヒッチは私をかばってくれたの……」

クリスタ「え、そうなの?」

ヒッチ「そうだった!そうなのよ!!私はハンナのためにヤツらを懲らしめたのよ!友達だもんね!!」

ハンナ「う、うん……。ありがとう」

ヒッチ「じゃあ、私に感謝してるよね。お礼してくれるよね」

ハンナ「わ、私に出来ることなら……」

ヒッチ「洗面台の掃除当番、代わりにやっといてね」ニコッ

ハンナ「」

ハンナ「そ、そしたら水汲み当番と交換……」

ヒッチ「はぁ?そっちはもともとハンナの受け持ちでしょ。私は助けてあげた側だし、自分で汲みなおしてきなさいよ」

ハンナ「」

ユミル「こいつは相変わらずだな……」

ハンナ「でも、今日は助けてもらったし……。うん、当番は私が代わりにやっとくよ」

ヒッチ「ありがとね~。女子用の洗面台ってすぐ髪の毛詰まるから、念入りにやっといてね~」

ハンナ「あはは……」トコトコ

ヒッチ「……ちっ、掃除当番一つのために、とんだ茶番をやっちゃったよ」

クリスタ「……」

ヒッチ「なに?まだ何か用があるの?」

クリスタ「ヒッチは、ハンナと友達になったんだね」

ヒッチ「は?」

クリスタ「さっき、ハンナと友達だって言ってたから。前は、あんまり仲が良さそうじゃなくて心配だったんだ」

ヒッチ「……」

クリスタ「私とヒッチはお互い心にわだかまりがあるけど、それでも、このままじゃいけないと思うの」

ヒッチ「ふ~ん……。つまり、クリスタは私とお友達になりたいんだぁ」

クリスタ「え?う、うん。いきなり友達っていうのは難しいかもしれないけど……」

ヒッチ「それじゃあさ、一つ、私に譲って欲しい物があるんだ。そしたら考えてあげるよ」

クリスタ「え?」

ヒッチ「憲兵団に入るための権利」

ユミル「!!こいつ……」

ヒッチ「つまり私が10位以内に入れるよう、クリスタが成績を下げてくれればいいの」

ここまでお付き合い有難うございます。皆さんのレスがガソリンです。
一応、ゴールは見えてきた感じです。残すはヒッチvsクリスタ&ユミルの最終決戦+エピローグです。
また明日夜、続き書きます。お疲れさまでした。

ヒッチ「友達になるんでしょ?それぐらい融通きかせてくれてもいいんじゃない?」

クリスタ「ダメだよ!そんなの不正じゃない」

ヒッチ「そんなこと言っていいの?そっちのソバカスは、どうやら不正してるみたいじゃない」

クリスタ「えっ……」

ユミル「……」

ヒッチ「おかしいと思ったのよ。冷静に考えてみれば、クリスタが私に勝ってるのって馬術くらいじゃない。なのに、なぜか順位では負けてる」

クリスタ「それは……」チラッ

ユミル「ちっ……」

ヒッチ「ねぇ、あんたはそこまでして憲兵団に入りたいの?」

クリスタ「私は、憲兵団に入るつもりなんてないもん!」

ユミル「くっ……」

ヒッチ「だったら、これからは適当に手を抜いてよ。そっちのソバカスの力を借りるのも止めてね」

クリスタ「……ユミルの手助けは受けない。それは約束するよ」

ユミル「おいっ!」

クリスタ「でも!訓練で手を抜いたりはしない。憲兵団と関係無く、私は常に最善を尽くしていたいの」

ヒッチ「うわ~、すごぉい、立派ね~。でも、だったら友達にはなれそうもないわ。あ~あ、残念だなぁ」

クリスタ「……」

ヒッチ「それじゃ話はここまでね。私はもう戻るから」

ユミル「さっさと帰れ」

ヒッチ「あ、そうそう。私とハンナが友達だって?あんな言葉、社交辞令みたいなもんだから」

クリスタ「えっ……」

ヒッチ「そういう空気はちゃんと読んでよねぇ。私があんな地味子と本気で友達になるわけないじゃんwww」

ユミル「お前、本当にいい性格してんな……」

クリスタ「じゃあ、なんでハンナを庇ったりしたの?!少しでも彼女のことを思い遣っているからじゃないの?!!」

ヒッチ「打算に決まってるじゃない。それに、あの男どもが、非処女なら何を言っても傷つかないと勘違いしてるみたいなのもムカついたし」

ユミル「……」

ヒッチ「それじゃお休みなさ~い」スタスタ

クリスタ「……」

ユミル「……クリスタ、あいつの言う事なんか気にすんなよ」

クリスタ「ねぇ、ユミル。やっぱり、私の成績が10番以内っておかしいよね……」

ユミル「えっ?!い、いや、そんな事はねぇだろ……。お前が精一杯努力してるのは誰だって知ってるさ」

クリスタ「憲兵団を目指す人たちはみんな相応の努力をしてる。私一人が頑張ってるわけじゃない」

ユミル「……」

クリスタ「ユミル、あなたは私を憲兵団に入れようとしてるの?」

ユミル「はぁ?!何を言ってんだよ……」

クリスタ「もしかして……」

ユミル「あ゛~!聞~こ~え~な~い~!!この話はこれでおしまいだ!さっさと部屋に帰るぞ!!」

スタスタスタスタ

クリスタ「あっ……。ごまかされちゃったな……」

トボトボ

*****

ヒッチ(今日でハッキリ分かった。あいつらは、ただ単にムカつくヤツってだけじゃない)

ヒッチ(あの2人は……私の敵だ!あいつらと決着をつけない限り、私は憲兵団に入れない!!)

_________
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最終年度前期実力考査の結果発表

1位 ミカサ・アッカーマン : 900(900点満点中)
2位 ライナー・ブラウン : 757
3位 ベルトルト・フーバー : 746
4位 アニ・レオンハート : 692
5位 エレン・イェーガー : 684
6位 ジャン・キルシュタイン : 609
7位 マルコ・ボット : 595
8位 コニー・スプリンガー : 571
9位 サシャ・ブラウス : 569
10位 ヒッチ・××× : 523

ワイワイガヤガヤ

ヒッチ(ホッ、なんとか10位以内に復帰はできた)

ヒッチ(けど、最終的には三年間の成績が合算されて上位10名は選出される。計算してみると……)

ヒッチ(やっぱり10位争いは、私とチビとソバカスの三人に絞られるのかぁ)

ヒッチ(現状だと私が僅かにリードしてるから、このまま差をキープしていれば大丈夫!)

スタイルのいいモブ子A「ねぇ、聞いた?来月の雪中行軍訓練、配点かなり高いらしいよ」

ちょっと可愛いモブ子B「知ってる。でも、すっごいキツそー。三日かけて雪中50キロだよ?!信じらんない!!」

そこそこ美人なモブ子C「実際かなりキツめだから、参加は志願者のみだって。勿論、私はやらないけど、ヒッチはやるの?」

ヒッチ「まぁ、ここまできたら、やるしかないでしょ」

スタイルのいいモブ子A「それと、あれって三人一組のバディ単位で評価されるらしいね」

ちょっと可愛いモブ子B「つまり、一人でも脱落すれば点にならないってこと?」

そこそこ美人なモブ子C「それじゃ、組む相手によっても有利不利変わってきちゃうね」

ヒッチ「協調性みたいなものも評価対象なんじゃない?それにしても……つまりバディ同士は同じ評価ってことになるのかぁ」

いつも思うんだけど、ミカサは馬術と座学で満点とってらっしゃるの?

_
____
_________

雪中行軍演習 当日

ヒッチ「というわけで、今日はよろしくね♪」

ユミル「何がよろしくね、だ。私たちはダズと一緒の組だった筈だぞ!」

ヒッチ「それがぁ、ダズったら体調崩しちゃったらしくてぇ、私が急遽あたなたちと組むことになったの」

ユミル「ちっ、私らの足を引っ張んじゃねぇぞ」

ヒッチ「そっちこそ、せいぜい足手まといにならないように気をつけてね」

ヒッチ(配点が高いこの演習、万が一あの子らが合格して私が落とした場合、致命的な差が生じてしまう)

ヒッチ(けど、同じ班なら成功しても失敗しても同じ評価。現状の差は確実に維持できる!)

ヒッチ(それに、ダズが体調崩したってのもあながち嘘じゃないしね。とにかく、こんなところで躓いてられるかっての!)

クリスタ「午前06時55分、私たちの出発の時刻ね。行こう」ザッ

ヒッチ「おーっ!」

ユミル「ったく、調子のいい女だな……」

ザッザッザッ

ここまでお付き合い有難うございます。
あと2~3回の更新で終われます。3週間以上もダラダラやってしまった……
火曜日夜に続きやります。お疲れさまでした。

>>591
キースがミカサを「あらゆる科目を完全にこなす」って評してたから
座学や馬術も満点じゃなかろうかと想像してる

五時間後

ユミル「そろそろ正午だな。いったんここで休憩して昼食にしようぜ」

クリスタ「それじゃ、そこの窪地で休もうか」

ヒッチ「はぁ~疲れた!でも、ここまでは結構順調に進んでるわね。少なくとも10キロは進んだんじゃないかしら」

ユミル「ああ、そうだな。だが、今日中に20キロ近くは進んでおきたいからな、まだ半分だ」

ガサゴソ

ヒッチ「それにしても……野戦糧食のシリアルバーって、美味しくも不味くも無く、微妙な味よね」モチャモチャ

ユミル「いつものことだろ」モチャモチャ

クリスタ「……ねぇ、ヒッチ」

ヒッチ「なによ?」モチャモチャ

クリスタ「どうしてヒッチは私のことが嫌いなの?」

ユミル「ブホッ!!

ヒッチ「ゴホッゴホッ!! ちょっと!噛まずに飲んじゃったじゃない!!」

クリスタ「ずっと気になってたの。10位争いとか憲兵団に入る権利とか、私たちの間に立ち塞がってるものはそれだけなのか、それとも違うのか」

ヒッチ「……」

クリスタ「私たちが所属してるこの訓練兵団は、あと半年足らずで解散してしまう。だから、その前に理由を知っておきたいの……」

ヒッチ「生理的に無理」

クリスタ「え?」

ヒッチ「理由なんて無い。気に食わないから嫌い。ただそれだけよ」

クリスタ「そんなのおかしいよ!それは、きっとヒッチが私のことを誤解してるからで」

ヒッチ「あんたの、その!」

クリスタ「ビクッ

ヒッチ「人は誰でも分かり合えると思ってるところが!誰もが仲良くできると思ってるところが!大っ嫌い!!」

ヒッチ「少しは想像力を働かせてみたら?私があんたやこのソバカスと仲良くやってる姿なんて思い浮かべることができる?」

ヒッチ「全員仲良くとか、夢見過ぎなんじゃない?104期生だけで何人いると思ってるのよ」

ヒッチ「これだけの人数がいたら、気の合わない人間がいて当たり前だし、さらには優劣も贔屓も差別もあって当然でしょ!」

クリスタ「それは……・確かに、人間関係の軋轢とかで、生き難さを抱えてる人は多いかもしれないけど……」

ヒッチ「いい加減、気付きなよ!人間は平等じゃない。私たちの生きてる世界は残酷なんだって!!」

クリスタ「それでも、どんな集団生活も、他人とは理解し合えるんだってことを、どこかで信じてなきゃ成り立たないと思うの」

クリスタ「優劣があるからこそ、人は誰かの助け無しに答えを導き出すことが出来ないって思わない?」

クリスタ「ヒッチにだって思い当たる筈よ。私たちの周りでは、いつも誰かが誰かに何かを相談していたでしょ」

ヒッチ「……」

クリスタ「私たちは集団の中で挫折をたくさん繰り返すかもしれないけど、それでも人と繋がる事への憧れを捨てられない」

クリスタ「それは、私たちが世界の残酷さだけじゃなく、美しさも認めているからじゃないの?」

ヒッチ「ふん!そういうエセヒューマニスト的な物言い、あんたを嫌いな理由の一つに挙げてあげる!」

ヒッチ「アニが言ってたよ。立体機動に優れた者ほど内地へ行ける組織構造は茶番だって」

ヒッチ「それってある意味、相互理解を信じることに、大多数の人間が諦めちゃってる結果なんじゃないかな」

ヒッチ「世界の美しさとか、そういう観念的なお題目を掲げても、この訓練兵団から憲兵団へ行けるのはほんの一握り」

ヒッチ「大多数の人間は、駐屯兵団やら開拓地やらへ行って、自分は所詮こんなもんだと折り合いをつけながら生きていく」

ヒッチ「結局、美しさなんかじゃ誰も救われず、世界の仕組みに負けて絶望するだけ。私は絶対負けたりしないけど」

クリスタ「……ヒッチはまるで、一部分に絶望したから、全てに懐疑的になっちゃったみたい……」

ヒッチ「カチン!

ヒッチ「これだから処女はダメなんだよ。夢見過ぎだっての!」

クリスタ「そ、そんなの関係ないじゃない!!」///

ヒッチ「いいや、あるのよ。セックスはね、他人と分かり合える可能性っていう契機を、根っこにしてるの」

ヒッチ「さっきあんたが言ったような他人との相互理解を、欲望に転化させたものがセックスだとも言えるわけ」

ヒッチ「もしかしたら、自分と他人は繋がる事が出来るかもしれないとか、そういう幻想への欲望ね」

ヒッチ「で、結局のところ、そんなもの客観的には無いんだって、身をもって知ることになる」

ヒッチ「残されるのは、優越感みたいに、自分のが上だとか下だとか、そういう分かり易い形での繋がりだけ」

クリスタ「……」

ヒッチ「私の言ってる事、ユミルなら多少は分かってくれるんじゃない?」

ユミル「……ん、ノーコメントだ」

ヒッチ「何よそれ」

ユミル「それよりも、そろそろ出発しようぜ。風が出てきた。天候が変わらないうちに、先を急ごう」

ヒッチ「そうね」ヨイショ

クリスタ「……」

五時間後

ザッザッザッザッ

ユミル「もうすぐ日が落ちる……。今日はここまでだな」ハァハァ

クリスタ「天候が悪くなってきちゃったね……」ハァハァ

ヒッチ「ついてないなぁ……。ねぇ、お昼からどのくらい進んだと思う?」ハァハァ

ユミル「おそらく7キロってところか。予定よりもだいぶ遅れちまった」

クリスタ「でも、雪も降ってきたし、暗い中をこれ以上進むのは危険だよ」

ユミル「ああ、そうだな。ここに雪濠を掘って露営しよう」

ヒッチ「私、疲れた~。これ以上の重労働はできな~い」

ユミル「ガタガタぬかすと、お前だけ野ざらしで寝かすぞ」

ヒッチ「それってイジメぇ。イジメかっこ悪いよぉ」

クリスタ「二人とも冗談言ってる場合じゃないよ!この吹きさらしで立ち止まっていたら、体温奪われちゃう!!」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ヒッチ「……掘ればいいんでしょ」

ユミル「……ああ」

お付き合い有難うございました。
短いですが、ここでいったん区切らせて下さい。頭ん中でまとまってるようでまとまってないんで……。
明日夜も、今日くらいの分量になっちゃうかもしれないけど、続き書きます。

ラスト付近なんで、この先、多分ずっとシリアス。笑えないコメディでゴメンなさい。
さらに、最後も多分しんみり系エンド。コメディとしては反則かも。

雪壕内 深夜

パチパチパチ

クリスタ「zzzzzz

ヒッチ「zzzzzz

ユミル「……おい」ユサユサ

ヒッチ「zz……ん、ん~」

ユミル「見張り交代の時間だ。火の番ヨロシクな」

ヒッチ「ふぁ~あ。なんだか休んだ気がしないなぁ。ねぇ、雪って少しは弱くなった?」

ユミル「いや、相変わらずだ。こりゃ明日以降の行軍、かなりシビアになりそうだぞ」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ヒッチ「……」

ユミル「じゃ、私は寝るぞ。お休み」

ヒッチ「ねぇ……」

ユミル「なんだよ、寝るの邪魔するなよ」

ヒッチ「なんで、私とクリスタが言い争ってる時、黙ってたの?」

ユミル「……別に、深い意図はないよ」

ヒッチ「本当は、ユミルだってクリスタに言ってやりたい事があるんじゃないの?」

ユミル「……」

ヒッチ「私と同じように、実は、クリスタの綺麗事に辟易してるんじゃないのぉ?」ニタッ

ユミル「……お前って嫌味言う時、心底嬉しそうだな」

ヒッチ「レーションよりずっと美味しいからね」

ユミル「私らはお前の食い物かよ」

ユミル「でも……そうだね、確かにクリスタの考え方は、すごく危ういよな」

ヒッチ「きっと、ああいうヤツが内地で宗教に搾取されてんのよ」

ユミル「どうだろうな。クリスタはそういうのとはちょっと違うと思うけど……」

ヒッチ「じゃあ、むしろ宗教家に祭り上げられる方かな?女神様ぁ~みたいに」

ユミル「ハハハ……。私が思うにあいつはな、一見、見返りを求めず献身してるようでいて、実はとんでもなく大きな見返りを求めてるんだよ……」

ヒッチ「ええっ!そうなの?!そんな欲張り女だったの?!!」

ヒッチ「やっぱりクリスタって憲兵団入り狙ってるの?ハッ、もしかして私から人気者の地位も奪い去るつもり?!」

ユミル「ちげーよ。……あいつが求めてるのは、そんなんじゃないんだ。おそらく……」

ヒッチ「おそらく?」

ユミル「……あのさ、お前とクリスタって、ある点では似てるんだよな」

ヒッチ「似てるとこって……顔と雰囲気くらい?」

ユミル「奥歯ガタガタいわされてーのか。そうじゃなくって、自分をよく見せようって、つねに気を張ってるところだよ」

ユミル「お前はかわい子ぶったり、周囲を蹴落としたりして、他人の視線を支配しようとしてる。つまり、優越感って物差しでよく見せようとしてるわけだ」

ユミル「一方のクリスタは、私心無く他人に尽くしたり、人道主義に徹したり、自分の思い描く理想に向き合う事でよく見せようとしてる」

ユミル「ありがちなコインの裏と表なんだよ」

ヒッチ「……」

ユミル「理想ってのはさ、世界の美しさとほぼ同義なんだ。そして、理想は人によって異なるものだ」

ユミル「だから、世界の美しさと残酷さは、必ずしも対立項として存在するわけじゃない」

ユミル「例えば、ミカサを見てみろ。あいつは、いつもトップのくせに、良い成績取る事が目的じゃないって顔してて、浮世離れしてるだろ」

ユミル「なら、あいつは何をもってして『世界は美しい』と言うと思う?」

ヒッチ「……そんなの分かるわけないじゃん」

ユミル「クリスタみたいに、人は分かり合えると信じてるからこそ世界は美しいって言うと思うか?」

ヒッチ「それは無いと思う……。あの子、絶対に超エゴイストだもん。自分のお気に入りの子のためだったら、相当残酷なことでもやってのけそう」

ユミル「だろうな。つまり、もしミカサが『世界は美しい』って言ったとしたら、そこには博愛精神の欠片も入る余地は無いんだ」

ヒッチ「ふ~ん……まぁ、そうかも」

ユミル「美や理想は、世界の残酷さと並立できる、個人的欲望の一形態に過ぎない。たまたま、クリスタの欲望が博愛的ってだけなんだ」

ユミル「本来、理想ってのは馬の鼻先にぶら下げた人参みたいみたいなものでさ」

ユミル「一生走り続けても齧りつけないだろうけど、齧りつけるかもしれないという可能性はキープされる」

ユミル「お前の原動力になってる優越感との大きな違いはそこなんだよ」

ユミル「優越感は、他人より優位に立たない限り達成されないけど、理想ってのは、ある意味、掲げた段階で目的を達成してんだ」

ヒッチ「なによ。結局は私よりクリスタの考え方のが正しいって言いたいの?」

ユミル「そーじゃねぇよ。私が言いたいのは、クリスタは、手が届かなくてもいい筈のものに、一足飛びに跳躍しようとしてるってことなんだ」

ヒッチ「それが、クリスタの求める見返りってこと?」

ユミル「そうだ」

ヒッチ「??結局のところ、何を言ってるのか全然分かんない!やめてよね、そういう思わせぶりな言い方!!」

ユミル「……長く話し過ぎたな。もう寝かしてくれよ。年長者なんだから、少しは敬えってんだ」

ヒッチ「一つ違いぐらいで、何が年長者よ。さっさと眠っちゃってよね、お婆ちゃん」

ユミル「お前、いつか尻の穴に手ぇ突っ込んでやるからな」

ユミル「ゴロン

ヒッチ「……」

ヒッチ「……ほんと、わけ分かんない」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

翌日 昼過ぎ

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ユミル「くそ、視界が悪くて仕方ねぇな」ザクッザクッ

クリスタ「どうしようか……。今日はここまでにして、天候回復を待ってみる?」ザクッザクッ

ヒッチ「もう少し距離かせいどいた方がいいんじゃない?全然進んでないでしょ」ザクッザクッ

ユミル「ここまでで全行程の約半分ってところか。厳しいな」ザクッザクッ

ヒッチ「ねぇ、ここを迂回せずに突っ切れば、かなりのショートカットになると思うけど」ザクッザクッ

クリスタ「そっちは崖に近いから、危険だよ」ザクッザクッ

ヒッチ「勿論、崖に突っ込むような進路はとらないよ。地図だと、ここに林があって」ザクッザクッ

ズザッ

ヒッチ「!」

ズザザザザザザザザザザザザッ

ヒッチ「キャアッ!!」

クリスタ「あぶない!!」

ユミル「クレバスか?!掴まれ!!」

ガシッ

ユミル「ふんっ!」グイッ

ゴロゴロゴロ

ヒッチ「いたたた……」

クリスタ「ヒッチ、大丈夫?!!」

ヒッチ「だ、大丈夫……」

ユミル「ふぅ、驚いた……。冷静に見てみりゃ、クレバスっつーか、単なる岩の割れ目だな。しかし、こんな地形になってるって事は、もしかして」

ヒッチ「大丈夫だけど……」

ユミル「なんてこった。地図で確認してみたら、私らが考えてたよりもずっと崖に近付いてたみたいだぞ」

クリスタ「大丈夫だけど?」

ヒッチ「岩に引っかけて、外套が破けちゃったみたい……」

クリスタ「!」

ヒッチ「中に着てる物が濡れちゃったかな……。ヤバいね……」

ユミル「おい!すぐに雪濠作るぞ。濡れた物を脱がせるんだ。ほっておいたら、あっという間に体温が下がっちまうぞ」

クリスタ「う、うん!」

ヒッチ「ホントについてないな……。なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないのよ……」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

お付き合い有難うございます。残り僅か。
金曜日夜に続きやります。その時、最後まで書けたらいいな。

雪濠内 夜

パチパチパチ

クリスタ「……」

ユミル「……」

ヒッチ「さ、寒い……」ガタガタガタ

クリスタ「大丈夫?もっと火を強くしようか」

ユミル「おいおい……これ以上強くしたら寝袋にまで燃え移っちまうぞ」

ヒッチ「ウツラウツラ

クリスタ「眠い?でも今は我慢して。とにかく、起きて体温を保ってないと……」

ユミル「まったく、なんて天候だよ。10年に一度の大寒波でも到来しましたってか」

ヒッチ「あ……私…寝ちゃっ…てた?」

クリスタ「う、うん……」(なんだか、ヒッチの反応が鈍くなってきてる……)

ヒンヤリ

クリスタ(!!どうしよう、ヒッチの顔がすごい冷たい……)

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ユミル「いい加減やんでくれよな。私らだって凍えちまうぞ」

クリスタ「ユミル、ちょっと……」

ユミル「あ?」

クリスタ「ヒッチの体温がすごく下がってるみたいなの。危険かもしれない……」ヒソヒソ

ユミル「そうか……」

クリスタ「たしか講義だと、体温が1度下がると、安静にしていても消費エネルギーが倍以上増えるって……」ヒソヒソ

ユミル「身体に震えが残ってるうちは、まだ何とかなる。震えは体温を上げるための生理反応だからな……」ヒソヒソ

ヒッチ「ガタガタガタ

明け方

クリスタ「ユミル!!ヒッチが……」

ユミル「おい、起きてるか?!返事しろ!!」

ヒッチ「……う…ん」ウツラウツラ

クリスタ「震えが小さくなってきてるの!回復のための代謝が低下してるから、こうなると加速度的に悪化しちゃう!!」

ユミル「……天候は少しずつだが回復しつつある。このまま待てば、遅くとも今夜半にはやむはずだ」

クリスタ「そんなの待ってられないよ!急いで出発しよう!!」

ユミル「おいおい、どうやってヒッチを連れてくんだよ。おんぶに抱っこか?笑えないぜ」

クリスタ「木切れで簡素な橇を作って、寝袋に入れたままに括り付けよう。私が引っ張ってく」

ユミル「マジかよ……」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ヒッチ(……)

ヒッチ(…………あれ、私、また眠ってたのかな)

ヒッチ(……今、どんな状況なんだろう)

ヒッチ(震えはとまってるみたい……)

ヒッチ(でも、声が出ない……。身体が動かせない……)

ヒッチ(ボンヤリして頭が働かない……)

ヒッチ(風の音しか聞こえない……)

ズルズルズル

ヒッチ(……なんだか地面が動いてるみたい)

ズルズルズル

ヒッチ(……そうじゃない)

ズルズルズル

ヒッチ(……もしかして、私が引き摺られてるの?)

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ユミル「……クリスタ、もう諦めろ」ザクッザクッ

クリスタ「……」ザクッザクッ

ユミル「なぁって……」ザクッザクッ

クリスタ「イヤだ……」ザクッザクッ

ユミル「ヒッチなら既に虫の息だ。私らのせいじゃない。運が悪かったんだ。こいつの命はここまでだったんだよ」

ヒッチ(!!)

ユミル「このまま毛虫並みの速度で麓まで歩いてたら、こいつはもちろん助からねぇし、私たちもヤバい。朝まで保たねぇ」

ヒッチ(……なに勝手なこと言ってんのよ!なんとかしなさいよ!!)

ユミル「とすると選択肢は二つだ」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ユミル「ヒッチを置いて私たちは生き残るか、3人とも死ぬか……」

ヒッチ(……私を見捨てて2人で帰還するつもり?……ウソでしょ?)

ユミル「どっちにする?」

ヒッチ(……ウソじゃ…ないの?)

ザクッザクッ

クリスタ「……3つ目にする」

ビョオオオオオオオオオオオオオ

クリスタ「ユミルの見立ては間違っていて、私はこのままふもとの施設に辿り着き、ヒッチも助かる……」

ヒッチ(……そうだよ……こんなところで私が死ぬ筈ないよ)

クリスタ「もちろんユミルは先に行ってて助かる……。これでいいでしょ?」

ヒッチ(……死んだら何もかもおしまいなんだよ)

クリスタ「あなたには迷惑が掛からない。私たちは絶対に辿り着くから……先に行ってて」

ヒッチ(……今までのこと全部謝るから……許してよ)

ビョオオオオオオオオオオオオオ

クリスタ「ハァハァ……」ザクッザクッ

ユミル「……」

ヒッチ(……お願いだから)

クリスタ「ハァハァ……」ザクッザクッ

ユミル「……」

ヒッチ(……私を見捨てないで)

クリスタ「……ねぇ、何してるの?」

ユミル「んん?」

ヒッチ(……私を助けて)

クリスタ「早く行かないと危ないでしょ……。先に行ってよ……」

ユミル「……なぁ」

ヒッチ(……行かないで)

ユミル「なんで私に助けを求めないんだ?どう考えてもガキみてぇな体のお前と私とじゃ……私がそいつを引いた方が早いと思うだろ?」

ヒッチ(……一緒に手伝って)

ユミル「お前さぁ」

ヒッチ(……死にたくないよ)

ユミル「やっぱヒッチを助ける気ねぇだろ?」

クリスタ「!」

ヒッチ(!)

ビョオオオオオオオオオオオオオ

ユミル「さっきお前、危ないって言ったが……このままじゃ自分も死ぬって自覚があるんだよな」

ヒッチ(……え?)

ユミル「お前、このまま死ぬつもりだったんだろう?なぁ?」

ヒッチ(……クリスタが?)

ユミル「そんで私に女神クリスタ様の伝説を託そうとしたんだろ?」

ヒッチ(……そんな)

ユミル「一方的に嫌われてたヒッチを、自分の身を省みず助けようとして、挙句の果てに一緒に死んだとしたら大した美談だしな。イヤ、これは考え過ぎか」

クリスタ「……」

ユミル「ダメだろ……クリスタは良い子なんだから、この女が助かるためにはどうすべきか……私に聞いたりする姿勢を一旦は見せとかないと。…なぁ」

ヒッチ(……なんで)

ユミル「自分が文字通り死ぬほど良い人だと思われたいからって、人を巻き添えにして殺しちゃあ……そりゃ悪い子だろ?」

ヒッチ(……どうしてクリスタはそんなことを)

ガシッ

クリスタ「違う!……私は……そんなこと……」

ヒッチ(……ああ、そうか)

クリスタ「私は……」

ヒッチ(これが、クリスタの求める見返りなのか……)

ヒッチ(誰だって、死ぬのは怖いんだ……)

ヒッチ(だから、普段の私たちは死ぬことばかりを考えたりしない……)

ヒッチ(いつか死ぬんだって考えたら……何もかもが無意味でバカらしく思えちゃうから……)

ヒッチ(だけど、あの子は……死にたくないって思ってない……)

ヒッチ(どうやって死んだら褒めてもらえるのかって……そんな考えがあの子を生かしてるんだ……)

ヒッチ(……怖い)

ヒッチ(そんなこと考えてる子が私の側にいるってだけで……怖いよ……)

ヒッチ(……ダメだ、眠くなってきた……もう…目覚めないのかな…私…)

ヒッチ(誰か助けてよ……)

ヒッチ(怖いよ……)

ヒッチ(……)

ヒッチ(…)

ヒッチ()

ヒッチ「」

ヒッチ「…」

ヒッチ「……」

ヒッチ「……ここは?」

衛生官「気がついたかい?心配無い。ここは麓のベースだ。きみは雪中行軍の演習中に低体温症になっていたんだ」

ガチャ バタン

クリスタ「ヒッチ!」

ユミル「……」

衛生官「彼女がきみを運んできたんだ。感謝するんだね」

ヒッチ「……私、助かったんだ」

クリスタ「よかった……本当によかった」ギュッ

ヒッチ「ビクッ

クリスタ「あ、ゴメンね。痛かった?もしかして、酷い凍傷になってたり?」

ヒッチ「……あ、いや、別に、そういうわけじゃないんだ」

クリスタ「そう……」

ヒッチ(……これからは、もうこの子に関わるのはやめよう)

ユミル「……」

ヒッチ(私はこの子に勝てない……。そして何よりも、この子が怖いんだ……)

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_________


850年 第104期訓練兵団解散式

教官「本日、諸君らは訓練兵を卒業する。その中で最も訓練成績が良かった上位10名を発表する。呼ばれた者は前へ」

教官「首席ミカサ・アッカーマン。2番ライナー・ブラウン。3番ベルトルト・フーバー」

教官「4番アニ・レオンハート。5番エレン・イェーガー。6番ジャン・キルシュタイン」

教官「7番マルコ・ボット。8番コニー・スプリンガー。9番サシャ・ブラウス」

教官「10番……」



教官「ヒッチ・×××」

翌日 トロスト区市街地

エレン「しっかし、最前線の街だっていうのに人が増えたよな」

ハンナ「もう5年も何も無いんだもん。数年前の雰囲気のままとはいかないでしょ」

フランツ「この5年間で壁もずいぶん強固になったしね!」

ハンナ「もう大型巨人なんて来ないんじゃないかな」

エレン「なに腑抜けたこと言ってんだ、バカ夫婦!!そんなことじゃ!」

ハンナ「そ、そんな夫婦だなんて……」///

フランツ「お似合い夫婦だなんて気が早いよ、エレン」///

エレン「……ったく」

エレン「じゃあ、俺は固定砲の整備当番だから行くぞ。またな」

ハンナ「うん、気をつけてね」

スタスタ

フランツ「明日からは皆それぞれ新しい部署へ散らばっていくのか。なんだか寂しいね」

ハンナ「訓練兵団での3年間、アッと言う間だったなぁ……」

フランツ「ハンナと出会えたこの兵団のこと、僕はずっと忘れないよ……」

ハンナ「フランツ……」///

ヒッチ「ハンナってば最後まで乙女ちっくラブコメね。頭の中に甘ったるいナレーションでも流れてるんじゃないの?」

フランツ「!」ビクッ

ハンナ「ヒッチ!」

ヒッチ「明日から、2人は揃って駐屯兵団?」

ハンナ「うん。ヒッチは念願の憲兵団だね。おめでとう」

ヒッチ「ありがと。まぁ、言っちゃあ何だけど、私ってちょっと他の人から抜きんでた存在っていうか、内地が似合う女っていうかぁ」

ハンナ「ハハハ……。相変わらずで良かったよ。一時期、ちょっと元気が無かったから心配してたんだけど」

ヒッチ「……ご心配ありがと。出来る女は、たまにアンニュイな気分にもなるのよ……」

タッタッタッタッ

ミーナ「た、たいへんたいへん!整備当番に遅刻しちゃいそう!!」ハァハァ

ハンナ「あ、ミーナ。さっき、同じ班のエレンが一足早く行っちゃったよ」

ミーナ「もう、最終日に当番なんてついてないな」

ヒッチ「駐屯兵団入るなら、明日からも固定砲整備の仕事は続くんじゃない?」

ミーナ「そうだね……。でも、実は……私、調査兵団に入ろうかって思ってるんだ」

ハンナ「えぇ?!」

ミーナ「昨日のエレンの演説聞いてさ、私も、このままでいいのかなって考えるようになったんだ……」

ヒッチ「……」

ミーナ「まだ、ちょっぴり迷ってるんだけどね」

ヒッチ「……迷ってるんなら、やめといた方がいいんじゃない?」

ミーナ「そうだよね、そうなんだけどね……」

ハンナ「……」

ミーナ「整備の時に、もう一回エレンと話してみるつもり。そうしたら、どうするか決心がつくかも」

ハンナ「そう……」

ミーナ「それじゃあね!急いで行かないと、皆から怒られちゃう」パタパタパタ

ハンナ「やっぱり、みんな進路はバラバラになっちゃうんだね……。訓練兵団が解散するって、こういう事なんだね」

ヒッチ「……」

フランツ「ハンナ、そろそろ行こうか」

ハンナ「うん、そうだね。それじゃ、ヒッチ。私たちも行くね」

ヒッチ「これからお楽しみ?ちゃんと避妊しなさいよね」

ハンナ「もう、なに言ってるのよ」///

スタスタスタ

ヒッチ「みんなバラバラ、か……」

スタイルのいいモブ子A「お~い、憲兵さまぁ」

ヒッチ「あ、みんなも買い物?」

ちょっと可愛いモブ子B「適当にブラブラとね」

そこそこ美人なモブ子C「ねぇ、内地行ったら、良いコスメ送ってよね」

ヒッチ「アハハハハ、最近は口を開けば、そればっかだね」



ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン



ヒッチ/モブ子ABC「?!!」

*****

カンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカンカン

「所持する財産は最小限に!落ち着いて避難してください!」

フランツ「大丈夫だよ、ハンナ…僕が必ず君を守るから!」

ジャン「うおぉぉお!!なんで今日なんだよ?!明日から内地に行けたっつーのに!!」

ダズ「うぅ」ビチャビチャ クリスタ「大丈夫?!」

ヒッチ「え……」

ズドォォオン 「ぶどう弾装填急げ!!」

エレン「こんなところで死ねるか……オレは……外の世界に…」

コニー「オイ、落ち着け!アルミン!!みんなは?!」

ユミル「周りを見りゃ分かるよ!これ以上そいつに構ってる時間は無ぇんだ!!」

クリスタ「みんな気が動転してるんだよ!急にたくさん友達が死んでいくんだもん……」

ヒッチ「え……」

ハンナ「助けて!フランツが息をしてないの!!」

マルコ「僕らはこの街から出られずに全滅だ。……いったい何のために死ぬんだ?」

アルミン「以上5名は自分の使命を全うし、壮絶な戦死を遂げました!!」

ミカサ(この世界は残酷だ……そして、とても美しい)

ヒッチ「え……」

_________
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エピローグ

ウォール・シーナ東城壁都市ストヘス区憲兵団支部

ヒッチ「zzzzz

ヒッチ「ムニャムニャ……ん、ん~……朝か。ふぁ~あ、もう起きなきゃ」

ヒッチ「アニは……うわっ、すごい形相で寝てるよ。起こしてあ~げないっと」

ヒッチ「この前だって一日ずっといなくなってたし、遊びすぎでしょ」

ヒッチ「訓練兵時代は大人しかったのに、憲兵団デビューってヤツ?生意気ね」

ヒッチ「起こさないように、そ~っと、そ~っと……」

キィ パタン

ヒッチ「おはよ~」

マルロ「遅い。5分前行動を心がけろと昨日も言っただろ」

ヒッチ「相変わらず口うるさい男ね~。遅刻さえしなければ別にいいじゃない」

マルロ「同室のアニはどうした?」

ヒッチ「まだ寝てるみたい」

マルロ「なに?!どうして起こしてこない!!」

新人憲兵モブ「ほっといてやれよ。アニとヒッチはあのトロスト区から来たんだぞ。この支部でも唯一の実戦経験者だ」

マルロ「むっ」

新人憲兵モブ「まだ癒えるわけないだろ。地獄を見てきたばかりなのに」

ヒッチ「……」

巨人が襲撃してきた日から、一ヶ月あまりが過ぎていた。
あの日、私は作戦途中で傷を負い、負傷兵として運ばれていった。
そのおかげで命を落とすことなく、生き延びることが出来た。

結局、成績上位者の中で憲兵団へと進んだ者は、私とアニの2人きりだ。
ユミルとクリスタは調査兵団に入った。
あれだけ憲兵団入りを望んでいたジャンは、突然なぜか調査兵団へ進路を変更した。
ジャンと同じく憲兵団志望だったマルコは、死んだと聞かされた。

フランツ、ミーナ、他にもたくさんの同期が死んだ。
ABCは、兵士を続ける自信を失い、開拓地へと赴いた。
そういう人間は大勢いた。
一度巨人の恐怖に屈した人間は、二度と巨人に立ち向かえない。
私も同じだ。
私も、恐怖から逃げ続けてここにいる。

6歳の時、私は10年に一度の神童だった。10歳の時、私は5年に一度の秀才だった。
なら、日一日と夢が少しずつ砕けていく15歳の私はなんだろう?
現実の恐怖から逃げ続ける、その他大勢のうちの一人に過ぎないのだろうか。

ハンナの生死は確認されていない。
無事に生き延びて、やはり開拓地へと逃げのびたのか。
それとも、遺体の損傷が激しく、確認がとれないのか。
私には分からない。

あの日、最後にハンナに会った時、あの子はこう言ってた。
「やっぱり、みんなバラバラになっちゃうんだね」
私はそれを思い出すたび、本当はみんな死んだんじゃなくて
別々の配属先に進んでバラバラになっただけで
駐屯地や開拓地などの新しい土地で、今も生きてるんじゃないかと考える。

カツンカツン

ヒッチ「やっと起きた」

アニ「……」

ヒッチ「あんたのさぁ、寝顔が怖くて起こせなかったんだ。ごめんね~、アニ」


人は、誰かが忘れない限り生き続けることができる、なんてバカげた話は信じない。
それでも、やっぱり私は身近な人間の死を受け入れられないでいる。
なぜなら、彼女たちの記憶が未だ鮮明に残っているから。

マルロ「お前は最近弛みすぎだぞ」

アニ「……」

ヒッチ「なに~?も~、怒ってんの?」クスクス

マルロ「愛想の無いヤツだな」


この憲兵団の中でその記憶を持っているのは、私とアニの2人しかいない。
そうだ、アニなら分かってくれるだろう。
アニなら分かち合えるだろう。
今日の任務が終わったら、話して聞かせよう。
私の記憶を、彼女たちの思い出を、あの子たちが確かに生きて、私たちと同じ時を過ごしていた事を。


マルロ「? 何をニヤニヤしてるんだ?」

ヒッチ「べっつにぃ~」

ハンナが聞かせてくれたフランツへの想い。

ミーナと笑い合ったくだらない下ネタ。

ABCたちと盛り上がったみんなの悪口。

ユミルと巻き起こした諍いの数々。

クリスタが胸に秘めていた望みへの怖れ。

食堂の喧騒。

女子寮での噂話。

日々のざわめき。

雪原を吹き荒ぶ風の音。

うたかたの夢まぼろし。

今はもう会えない人たち。

それら全部が、私の目蓋の裏で、耳の中で、心の奥で、くるくると渦を巻いて回転する。

おしまい

本編でヒッチの出番が増えることを信じて

ここまで読んで下さった方、本当にありがとうございます。
スレ立てたの7月14日だから、ほぼ一ヶ月経ってる!
見捨てずに付き合ってくれた方には、感謝してもしきれません!!
ネタ元は別フレ、別コミ、新井理恵の少女漫画などなどでした。

しかし、今さらながら、タイトルは失敗した……

ホントに良いSSでした 自分の中のベスト10に間違いなく入りますです
他に書いてるのあったら教えてくださいな 次回作も期待

>>706
宣伝させてね。

アニ「メイク道具?」
アルミンくんは女の子じゃないもん!

2本とも長いから、お暇な時にでも時間潰しに眺めてください。

面白いけどもっとメインキャラとの絡みが見たかったかな

>>713
スマンね
ただでさえ長いのに、これ以上盛り込むのは長過ぎると判断して色々省いた結果がコレだよ
アニメでヒッチが出れば、きっとヒッチssが増えてくれるさ

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