ベルトルト「ユミル、処女で死ぬのは寂しいよね?」X`mas SP(75)




ユミル「残念だったな!このSSにエロはねぇんだよ!ダハハハハ!」


クリスタ「ガッカリした人はそっと閉じてね」




『ベルトルト「みんなの食べ方」』ってSSを乗っ取ろうと思って書いてたら別物が出来たよ

なので、結局別スレ立てた、すまん



最初から最後まで一気に貼るので、感想があれば適当に挟んでもらって構わない

マルユミ、ユミクリ、ベルユミ要素あり

ないのかよ!(ぷんぷん!)


ベルトルト「今日は休日だけど…」

ベルトルト(ライナーは教官に呼ばれていて、部屋には本を読むアルミン一人だけ)

ベルトルト(暇だなぁ…僕ものんびりと本でも読んでいようか?)

ベルトルト「うん、そうしよう」




ベルトルト「あ、もうこんな時間だ…食堂に向かわないと…」パタン

ベルトルト「ねぇアルミン、昼食の時間だよ。一緒に行かない?」


アルミン「えっ…もう?時間が経つのは早いね。じゃぁ、一緒に行こうか」

アルミン「午前はお互いゆっくりと本を読めたね」ニコッ


ベルトルト「そうだね。アルミンと二人っきりで休日を過ごすなんて初めてじゃない?」

アルミン「あはは。そうかもね」


アルミン「ところでベルトルトは何の本を読んでいたの?」

ベルトルト「!?」


ベルトルト「あの、誰にも…言わない…?」

アルミン「ひょっとして、エッチな本…?」

ベルトルト「ち…違うって!それはない」

ベルトルト「…その…恋愛小説」

アルミン「へぇ…意外だね」

ベルトルト「そう?図書室から借りてきて読んでるんだけどハマっちゃって…」

アルミン「どんな内容?」


ベルトルト「えっと、重大な罪を犯した3人が、それぞれの好きな人…恋人じゃなくて」

ベルトルト「相手にしたら、ただの友達か知り合い程度の付き合いなんだけど…」

ベルトルト「その人達を死を待つだけの牢獄から連れ去って…」

ベルトルト「ずっと遠くの街へ6人で逃避行する話なんだ」


ベルトルト「まだ最後まで読んでないから結末はわからないけど…」

ベルトルト「きっと最後は全員幸せになれる…って信じて読んでいるんだよ」


アルミン「重大な罪を犯した3人が、知り合いをさらって逃避行って…犯罪臭いね…」


ベルトルト「いやいや!純愛物だってば!」

ベルトルト「だって、罪人たちが連れ去らなかったら、相手はいずれ死んでたんだもの!」

アルミン「でも罪人なんでしょ?」


ベルトルト「…うん。罪人だけど理由のある『罪』なんだ。僕は彼らに同情できる…」

アルミン「そう、なんだか面白そうだね」

アルミン「読み終わったら、教えて」


アルミン「僕も今読んでるのが終わったら読んでみたいから…」


ベルトルト「うん!…アルミンは何の本を読んでいたの?」


アルミン「科学実験の本」

アルミン「過去の錬金術師の成果とか。この本は果物を用いた実験の結果が書いてあるよ」

アルミン「でも今じゃ果物も高くなったし…」

アルミン「気軽に食べられるものでもなくなったから、もし食事に出てきたとしても…」

アルミン「実験なんかに使う余裕はないけどね…」


ベルトルト「そう…残念だね」



~訓練兵団兵舎内 食堂~



ベルトルト「ここ、座っていい?」カタン…

マルコ「ふふっ。もう君、座ってるでしょ」

アルミン「じゃ、僕も一緒でいい?」

マルコ「はいはい。どうぞどうぞ」フフッ…


マルコ「いつも一緒にいる二人が居ないね。ライナーやエレンはどうしたの?」

ベルトルト「ライナーは教官に呼ばれて朝から教官室へ行ってるよ」

アルミン「エレンもなんだよね、何かあるのかな?」

マルコ「そう言えばジャンとコニーも呼ばれていたみたいだよ、休日なのにね」


アルミン「ひょっとして現在の成績上位陣はみんな呼ばれてる?」


ベルトルト「ん?…でもその理屈だと僕も呼ばれてなきゃおかしいよ。暫定3位だし」


マルコ「僕も呼ばれてないしね、まぁ戻ってきたら理由を聞いてみようか?」


ユミル「お!ここ空いてる」

ユミル「クリスタ!!ここにしようぜ」


クリスタ「もう!勝手に決めちゃだめだよ、ユミル。まだ確認もしていないのに…」

クリスタ「マルコ、ベルトルト、アルミン。私達も同席していいかな?」


マルコ「もちろん、どうぞ!女の子と食事が出来るなんて光栄だ」

ユミル「おいマルコ!なんか下心ありそうな言い方すんじゃねぇよ」

マルコ「し…下心なんてないよ!」

マルコ≪ただ…ユミルと一緒だなんて、嬉しいなぁって…≫///ボソッ


ユミル「は?…聞こえねえな、もう一回言え」

マルコ「えっ…あの…」///カァァァ…

ベルトルト(マルコって…ユミルの事好きだったんだっけ、確か)


クリスタ「ユミル!もういいから食べようよ、スープが冷めちゃう」

ユミル「あ、あぁ…なんだよ、ったく」


ベルトルト キョロキョロ(上位陣が教官に呼ばれているのならアニは…あ、居た!)

ベルトルト(現在、暫定10位のユミルも目の前にいるし、サシャもミカサとしゃべってる)

ベルトルト(やっぱり上位陣が呼ばれてる訳じゃないみたい)ホッ



ライナー「よし!昼食に間に合った」

ライナー「1席空いてるよな?俺も混ぜてくれ」

ベルトルト「ライナー!」


ライナー「クリスタ、隣の席いいか?」ガチャン…

クリスタ「うん!いいよ」


ユミル「てめぇはダメだ!ライナー」

ライナー「は?なんでだよ」


ユミル「下心が見え見えで、気持ち悪ぃんだよ。それ以外の理由はない」

ライナー「…」


ユミル「クリスタ。席替われ…お前、マルコの向かいで端っこ行け」

ユミル「私はベルトルさんの向かい」

ユミル「ライナーは私の隣で…んで、アルミンと向かい合って食えよ?それでいいだろ」


ライナー「クソっ…あぁ、もうそれでいいよ」


アルミン(鉄壁の守備だね、ユミル。君のクリスタ防衛ラインには本当に敬服するよ)

マルコ「はぁ…ユミル…」クスン…


ベルトルト「さ…さぁ、食べようよ。スープ冷えてきた」

ベルトルト「今日の食事は…えっ!牛乳…?」


クリスタ「豪華だよね、牛乳なんて珍しい」

上げでやっても良いとおもうよ?マルコ青春してんなー


ユミル「それだけじゃねぇんだ…ほらスープがクリームシチュー…」

ユミル「さすがに肉は入ってないが、ジャガイモ以外の具も入っている」


アルミン「しかも手に入りにくい果物まで…苺なんて久々に見たよ。どうしたんだろ」


マルコ「あの…みんな見てアレ…ほら、今ゆで卵が来た…」

マルコ「僕、みんなの分も貰ってくるね」

マルコ「えっと…6人分だね」


ベルトルト「牛乳…タマゴ、それと苺にシチューって…信じられない…」


ユミル「おいおい!今日は『王』の誕生日だったか?…ありえねぇぞ、最近の食糧事情で」


クリスタ「今日は休日だから、外にお出かけした人はこれ食べれなくて残念だね…」ハァ

ベルトルト「訓練兵団の食糧予算が底をついたのか?ってくらい粗食だったもんね…最近」


ライナー「それなんだがな、今朝から俺が呼ばれたのもその件なんだよ…」

一同「…?」


ライナー「ウォール・ローゼ南方面駐屯訓練兵団の財務管理をやっていた兵士が、」

ライナー「兵団の差配資金を横領して捕まったのは知ってるな?」


ユミル「あぁ、そのせいなんだよなぁ…最近の配給食の粗食っぷり」


ユミル「チッ…盗んだ奴が悪いってのに、なんで私らにそのしわ寄せがいくんだよっ!」


クリスタ「…仕方ないじゃない。今の訓練兵団にお金がないのは事実なんだから…」

クリスタ「毎月のお給金、減らされなかっただけでも良しとしようよ」


ユミル「給金は私らの権利だろ!?王のために命を捧げてキツい訓練してるんだからさぁ…」


ユミル「飯だけじゃなくて、金まで減らされたら200人近い規模で暴動起きるぞ…はぁ…」

ベルトルト「…」


アルミン「で、何で呼ばれたの?ライナー」

ライナー「あ、あぁ…それでな、粗食の上にキツい訓練だ…」

ライナー「栄養失調で倒れる奴が続出しただろ?男女ともに」

ユミル「あぁ、ざっと20人は下らないね。女子なんか月の物が止まった奴もいる。私もだが」


クリスタ「ゆ…ユミルのばかっ!!男子の前でそんなこと言っちゃだめだよ!」///カァァ…



マルコ「卵、貰ってきたよ。遅くなってごめん…ってみんなどうして黙ってるの?」


ベルトルト「あ…な、なんでもない」///

ベルトルト(なんでユミルはこういう事、男の前でもサラっと言っちゃえるんだろう…)


マルコ「塩まで付いてるんだ。高価なのに…。おかげで争奪戦だよ…ボタン引きちぎられた」

アルミン「ご、ごくろうさま…。マルコ。僕らのために、ありがとう」


ユミル「はぁ…仕方ねぇな、お前の苦労に免じてそのボタン、付けてやるよ。飯の後でな」

マルコ「ユ…ユミルありがとう!」

マルコ「ユミルは優しいね。そういうところが女の子らしくて、僕は好きだよ」///ドキドキ


ライナー≪おまっ…ユミルが優しいって本心から言ってるのか?マルコ…≫ボソボソ


ユミル「なんだよ!聞こえてんだよ、この変態野郎。いつもクリスタを視姦しやがって!」

ライナー「おい!勝手に濡れ衣を着せるな!」


クリスタ「あーーあーー!!聞こえない!!」


アルミン「もう…みんな静かに食べようよ…お願い…」キリキリ…


ベルトルト(ユミルが女の子らしいだって…?バカバカしい。恋は盲目なんだな…)

ベルトルト(まるで、僕が今読んでいる恋愛小説みたいだ)

ベルトルト(相手の事しか見えないくらいに深くはまり込んで…恋に溺れていく)

ベルトルト(身体を重ねた後はそれが加速して。読むのは好きだけど、実際はごめんだ)

ベルトルト(だって、怖いじゃないか恋なんて。相手の事しか見えなくなるんだよ…アニ)


ライナー「お前らのせいで全然話が進まんな…今から全員黙って聞けよ、本当に」ハァ…

ライナー「それでな、あまりに訓練兵が倒れるもんだから、」

ライナー「食事に関してのみに使用して良いとの事で、王から特別に予算を賜ったらしい」


ライナー「で、今日から食糧事情も順次改善される予定なんだ。今のはその第一弾だな」


ライナー「壁が破壊されてから4年も経って…」

ライナー「民衆も落ち着いて来て、徐々に食糧生産も安定してきているように見える」

ライナー「金さえあれば、食いたいものは一応、食えるまでには回復している…と思う」

ベルトルト「…」

ライナー「金、さえあればな…はぁ…」



クリスタ「キャァァ!アルミン…ちょっと、何してるの?!」

アルミン「えっと、科学の実験…かな?」


ユミル「キレイに食べろよっ!食べ物で遊ぶな!!この頭でっかちが」


アルミン「大丈夫!全部食べるから!」

アルミン「あの本に書いてあることが本当かどうか試してみたかったんだ」


ベルトルト「あの本ってさっき言ってた『果物を用いた実験』の事?」

アルミン「うん!…えっと酸味を感じる果物を潰して牛乳と混ぜると液体が分離する」


アルミン「…って書いてあったから試しているんだけど、本当に分離した…すごい!」パクッ…

アルミン「ん…でも味はいまいちだ。ドロっとした食感もそうだけど、美味しくない…」

アルミン「これなら個別に食べたり飲んだりした方が美味しいな…いい勉強になった」


ユミル「当たり前だろ…もったいねぇ」


アルミン「でもさ、どう食べたって栄養は同じなんだから、僕は満足だよ」ニッコリ

ベルトルト「探究心が強いよね、アルミンは」


ユミル「牛乳…分離……ねぇ」フム…


ユミル「ライナー、話を続けてくれ」


ライナー「あ、あぁ…どこまで話したっけな、王から特別支給金が出たとこまでだな」

ライナー「それで今朝から体力がありそうな奴らが教官室に呼ばれて、」

ライナー「みんなで手分けして朝から兵舎周辺の農家や酪農家などの生産者から、」

ライナー「食料品を分けて貰っていたんだ。あぁ、もちろん購入して…だぞ?」


ライナー「俺達は総勢200人超えの集団組織だからな、市場で買い付けたら高く付くし、」

ライナー「他の一般市民にも影響が出るだろ?なんせ大量買い付けだからな…」

ライナー「ま、次からは出入りの商会に食糧調達を頼むらしいから、俺達は今日だけな」


ベルトルト「ライナーとエレンとジャンとコニーは買い付けの手伝いで呼ばれたんだ…」


マルコ「別に上位陣だから呼び出された訳じゃなかったんだね。ふぅ、これで解決だ」


ベルトルト「でも僕とマルコとアルミンを呼ばなかったってちょっと酷くない?」

アルミン「酷くないよ。むしろ幸運だったんじゃないかな?だって休日だもん。今日」


マルコ「そうだね。幸運だった。僕は、朝は給仕当番で部屋には不在だったし…」

マルコ「ベルトルトはこないだ貧血で倒れたばっかりだから、あえて呼ばれなかったっぽいね」


ベルトルト「あぁ…あれね…」


ユミル「ベルトルさんは身体がでっけぇだろ?やっぱ、食事が足りてないんだよ」

クリスタ「私もそう思う…ここは良くも悪くも男女平等だから訓練の内容も同じなら、」

クリスタ「食事の内容も同じ…。量もほとんど同じ」


ユミル「でも体格差がありすぎるよな。体重が半分のクリスタと同じ食事の量ってのは…」

ユミル「正直、ちょっと可哀想だと思ってた」


ユミル「ライナーみたいに給金で何か買ってこっそり食えばいいのに…」

ライナー「いいだろ、あれじゃ本当に足りないんだよ…」


ベルトルト「う~ん…そうなんだけど、特に食べたいものもなくて…」

ベルトルト「まぁ、無理して食べなくても平気って言うか…」

マルコ「平気じゃないからこないだ貧血で倒れたんでしょ?」

ベルトルト「うん、そう…なんだけど」


ユミル「故郷の料理とか、食べたいのないのか?食欲が出るような…好きな味とか」

ベルトルト「すぐには思い浮かばないんだよね、料理は。でも甘いものは好きかな?」


アルミン「甘いものって…砂糖だよね?」

クリスタ「砂糖かぁ…砂糖も高価だよね。お金があったとしても売っているところがない」



一同「はぁ…」



ベルトルト「ちょっと!僕の事でため息つかないでよ!!もう貧血は良くなったし…」

ベルトルト「今後の事とか考えて少し憂鬱になって食欲が落ちているだけで」

ベルトルト「別に病気でも何でもないんだから!」


ベルトルト「『死ぬ前に好きな物食べさせてやろう!』みたいな悲壮感で話するの止めて!」グスッ



ライナー「まぁ、そうだな。卵や果物や牛乳が毎日出てくるわけじゃないが…」

ライナー「今後は食事内容も良くなるだろ。男女の食事量の事は今後キース教官と相談だな」


クリスタ「なんだか話し込んだらすっかりスープ冷めちゃったね…あ、ベルトルト!」

ベルトルト「ん?」


クリスタ「私の苺食べなよ…甘酸っぱくて食欲出るよ!果物は嫌いじゃないよね?」


ライナー「クリスタ…天使だな」

ユミル 「こんなのにやるなよ…クリスタ、いらないなら私が貰う!!」ヒョイ……パクッ


クリスタ「あ!ユミル!!もう…」

ユミル「私だって女子の中じゃデカい方なんだからな…貰ったっていいだろ」ムグムグ


クリスタ「もぉ…ユミルってば、いつもそう!」


ユミル「何やっても最後には必ず許してくれるクリスタが好きだよ。愛してるぜ」チュッ


クリスタ「ダメだったら…本当に…」///


マルコ(クリスタが羨ましい…)



~食堂から宿舎へ戻る廊下~



ユミル「待て、ライナー…と、ベルトルさん」


ライナー「何だ?」

ベルトルト「なに?」


ユミル「金…持ってるか?」

ライナー「は?」

ベルトルト「ん? 持ってるよ、で…いくら貸して欲しいの?」サッ


ライナー「おい待て!ベルトル。素直すぎるぞ…すぐ財布を出すんじゃない!!」

ライナー「ユミル、恐喝か?…それとも強盗か?」

ベルトルト「!?」

ベルトルト「えっ…そういう話なの!?」

ユミル「んなわけねぇだろ。ベルトルさんにご馳走してやろうと思ってさ!」


ユミル「まぁベルトルさんにかこつけて、自分が食いたいだけなんだけど…」

ユミル「みんなから少しずつな、参加費を頂戴することにした」


ライナー「参加費…何の集まりだ?」

ユミル「ここじゃないどこか、ひょっとしたら誰かの空想世界の物語かも知れない」


ユミル「昔の聖人の生誕をお祝いする日なんだ、今日」

ベルトルト「昔の聖人…」

ユミル「詳しい事は私も知らないんだ」

ユミル「その日はケーキを食べて、互いに贈り物を交換する日らしい」

ライナー「…ケーキ」ゴクッ


ユミル「幸い、今日は休日だ。今からみんなのお金を集めてクリスタと材料買ってくるわ」

ユミル「たった今、思い付いたからから…贈り物の準備は出来ないけど」


ユミル「ケーキだけは何とかなる」

ユミル「ベルトルさんも甘いもの食べて、元気出せよ!ここに居る連中だってさ…」

ユミル「…将来の事はみんな不安なんだ。お前、一人じゃないからさ。抱え込むなよ?」


ベルトルト「ユミル…」

ベルトルト(優しいな…じんわり、胸が温かくなる感じがする。なにこれ、変だ…)



ユミル「そんなわけでほら金、寄越せ!!」

ユミル「てめぇらデカいだろ、身体。良く食うと思うから他の奴らの2倍払えよ!!」


ライナー「!?」

ベルトルト「!?」


ベルトルト(やっぱりユミルはユミルだ。前言撤回だよ!)ウゥ…



~男子寮の一室~



ベルトルト「もう夕飯の時間だ…早いね」

アルミン「本当、本を読んでるとあっという間だね。でも今日は充実した1日だったよ」


ベルトルト「僕も…結構読み進めちゃった、この本」パタン…

ベルトルト「でも今切ない所でね、その中の主役の二人が思い違いでまたすれ違うんだ…」

ベルトルト「このままだと、永久に離ればなれになってしまう…グスッ…悲しい…」


アルミン「ふむ、その話の中の罪を犯した3人は、さらった友人達と幸せになれそう…?」

ベルトルト「う~ん…どうかな?」


ベルトルト「その続きは、アルミンが自分自身で読み進めていった方が楽しめるよ」

ベルトルト「なんて…まだ僕も知らないんだけどね、結末」


ベルトルト「あ、さらった友人達とは逃亡先でちゃんと恋人同士になったから安心してね」

ベルトルト「僕は小説も、食べ物も…甘いものが好きなんだ」ニコッ



~訓練兵団兵舎内 食堂~



サシャ「お~い!コニー。こっちですよ」

コニー「サシャ!お前ユミルから聞いているか?」


サシャ「えぇ、もちろん!えっと…何でしたっけ?くりすた集会?今夜ですよね」

サシャ「名前は忘れちゃいましたけどケーキ食べれるんですよ!ケーキ」ダラー


コニー「クリスタ集会って…クリスタの誕生日か何かかよ…」


ミカサ「隣、いい?」ガタ…

サシャ「はい、どうぞ!」


サシャ「ミカサ!私たち頑張りましたよね?」

ミカサ「えぇ…ユミルがどうしてもケーキを作りたいって言うから…」

ミカサ「砂糖代わりの蜂蜜…午後から訓練場で探してとってきた」


コニー(待て、蜂の巣ってそう簡単に見つかるものなのか?てか取れるのかよ…)


サシャ「前から美味しそうな蜂の巣だなぁって目をつけてた甲斐がありましたね!」

サシャ「蜂蜜はみんなの物ですが、蜂の子は私の物ですよ!!」フッフッフッ…

エレン「蜂の子なんてゲテ物いらねーよ…」


エレン「…で、蜂の巣取りで休日潰したのかよ…ミカサ」


ミカサ「そう…でもこれも全て、エレンとアルミンに美味しいケーキを食べさせるため…」

ミカサ「休日を半日潰したことに…後悔は…ない」


ジャン「エレン…お前また無意識にミカサの隣に座ってんじゃねぇよ!そこ替われ!」

ミカサ「ジャン…静かにして…早く座って」


ジャン「あ…あぁ、悪ぃ…」ガタッ

アルミン「僕もここいいかな?ミカサとサシャで蜂蜜取ってきてくれたんだってね」

アルミン「大変だったね。ありがとう」

アルミン「僕とベルトルトは結局何も頼まれなくて、部屋でゆっくりしてただけなんだ…」


エレン「ま、いいんじゃねーか?」

エレン「アルミンも最近顔色すぐれなかったろ?体力落ちてたみたいだし、粗食のせいで」

エレン「ユミルが気を使って呼ばなかっただけだろ?」


コニー「あのユミルが他人に気を遣うような女かよ…」ハハ…


サシャ「でもみんな楽しみですよね!ケーキ♪ケーキ♪」

ミカサ「とりあえず…女子だけ19時前には炊事場に集まるように…言われている、から…」

ミカサ「私たちは、蜂蜜を持って…忘れないように早目に行こう…」


サシャ「はい!それにしても鋼貨3枚も出したんですからね!」

サシャ「すっごい美味しいんでしょうね!」ダラ…


コニー「鋼貨1枚だったぞ…俺は」

サシャ「えっ!?」


アルミン「僕も…」

ジャン「俺もだ」

エレン「1枚だな…」


ミカサ「私も…エレンと同じ…」

サシャ「…」


サシャ「ユミルっ!ユミルどこですかっ!!」


サシャ「酷いですっ!だれかーーっ」

コニー「サシャ、うるせぇぞ!!よく食う奴から多めに払わせたんだろ…いいから座れ…」



一方、別のテーブルでは…



ベルトルト「えっ…ライナー戻って来ないと思ったら小麦粉買いに行ってたんだ」

ライナー「あぁ。ユミルに頼まれてな」


ライナー「こっそり食糧庫からもらっちまえばいいって言ったんだけど」

ライナー「それだと誘ってない他の訓練兵が割を食うだろってさ…」


ライナー「変なところで律儀なんだよな…」


ライナー「昼の苺は容赦なくパクってたんだが…」

ベルトルト「パクってたって言うか…苺とか食べ慣れてない人が残したものを」

ベルトルト「集めて隠しておいただけでしょ」

マルコ「苺…手に入れるの大変だもんね、それは仕方がない」


クリスタ「ここ…いいかな?」

ライナー「クリスタ、俺の向かいに来てくれ」

クリスタ「えっ…あ、うん。いいよ」


ベルトルト「ユミルは?」

クリスタ「もうすぐ来るよ、ほら来た!ユミル~こっちこっち!」チョイチョイ

ユミル「あ!クリスタ。お前、ライナーのそばに寄るなって言っただろ!!」


ライナー「何でそんなに俺を警戒しているんだよ…」

ユミル「お前がクリスタを狙ってるからに決まってんだろ…」ジロッ


ライナー「…」


マルコ「僕の前に座りなよ、ユミル」

ユミル「ん?じゃ、そうする」ストン…

マルコ「ありがとう。ユミル、僕らは20時に食堂に集合でいいんだっけ?」

ユミル「あぁ、男子どもは20時でいい。私とクリスタはみんなより早めに準備するぞ!」

クリスタ「うん!大丈夫だよっ、ユミル」

ユミル「見回りの奴に見付からねえように、こっそり抜け出して来いよ…お前ら」


ユミル「土台は25~30分ぐらいで焼けるんだが、使い慣れてないパン焼き釜だから…」

ユミル「正直、加減がわからん…」


ユミル「勘でやるけど、まっ黒こげになっても文句言わずに食えよ!」

マルコ「もちろん!ユミルのケーキだからね、残したら罰が当たる」


ユミル「はは、ちげぇねぇな!」ニヤッ


ユミル「あぁ…そうだ。マルコ、昼に付けたボタンは緩んでないか?」

マルコ「う…うん、大丈夫。ありがとう」


マルコ「女の子…だね、ユミルは。裁縫も上手だし、ケーキの作り方も知っている」



ユミル「別に男に生まれても良かったけどな…」

ユミル「そしたら本当にクリスタと結婚できたのに」ハァ…


マルコ「…」


クリスタ「ユミル、冗談でもここで言うことじゃないよ!…恥ずかしい…よ、もう」///


ベルトルト(クリスタも満更でもないって顔してるんだよね…禁断の世界を垣間見たな)


ライナー「しっかし、夜はまた粗食に逆戻りだな…これじゃいつもと変わらないぞ」

マルコ「薄く塩味が付いた豆のスープにいつもの硬めのパン…水とバナナ…」

マルコ「バナナ…?」


ベルトルト「あ、そうだった今日なぜかバナナが付いてきたんだよね」

ライナー「バナナって…ローゼで育つのか?」

ユミル「…さっき私も訳知り顔の奴に聞いてみたんだけどな、これ温室栽培なんだって」

ユミル「試験的に作ったものを試しにどっかの馬鹿が買い付けたんだろ?栄養満点だし」


ベルトルト「なるほど…温室栽培なんて高い果物を無理して買ったから、予算がなくて」

ベルトルト「後はいつもの粗食なんだな…」


ユミル「マジで迷惑な話だな…」ハァ…


クリスタ「ベルトルト、私のバナナあげる」



一同「!?」

>>1さんに良いクリスマスが訪れますように


ベルトルト「えっ!僕?」

クリスタ「だってバナナも甘いよ?栄養もあるし…もう貧血起こさないように」

クリスタ「それに私のバナナ他のより大きいみたい…私の手の大きさが16cmだから…」

クリスタ「ざっとこれは、22cmくらいかな?」


ベルトルト「ありがとう…でも悪いから僕のと交換にしようか?」

ライナー「ク…クリスタ!俺にもくれないか!」


クリスタ「じゃぁ、ベルトルトと交換したバナナ、あげるね」ハイ

クリスタ「私は食べなくても平気だから…」



ユミル「平気じゃねぇよ!!」


ユミル「だから身長伸びねえんだ!お前」

ユミル「なんだよ!今度は餓死でも狙ってんのか?雪山が失敗したからって…」


クリスタ「違うよっ!ユミル…私はそんなつもりじゃ…」


ユミル「くそっ!ベルトルさんも、こいつが変なこと言い出したら断れよ!」

ユミル「バナナなんて貰ってるんじゃねぇ!」

ユミル「貸せよ!いらねぇなら私が食ってやる!!」バッ


ベルトルト「あ…」

ベルトルト(ユミルが…僕の、22cmのバナナの皮を…ゆっくり剥いて…口の中に…)



ベルトルト「ダメ!!」

ユミル「!?」


ベルトルト「それは、僕が食べる。せっかくクリスタがくれたのに…」

ベルトルト「君にあげる訳にはいかないよ」

ユミル「チッ…歯形が付いてるけどこのまま返していいのかよ…」

ベルトルト「構わない、このまま僕が食べる」



マルコ「ねぇ…それって、間接キスだよね」ボソッ


ユミル「ば…ばか!違ぇよ…」///カァァァ…

ベルトルト「からかわないでよ!マルコ…」///カァァァ…


マルコ「…なんだよ、それ…二人とも意識しないでよ…」ギリッ



~19時、炊事場 女子たちの時間~



サシャ「ミーナとアニも誘いたかったですねぇ…」


クリスタ「気持ちはわかるんだけど…二人ともおたふく風邪にかかっちゃったから…」

クリスタ「私たちとは隔離されて、医務室で過ごしてるんだよね…」


ミカサ「仕方ないでしょ。世界は…残酷なんだから…参加できないのは…運がないから」

ミカサ「私達は、自分に出来ることをするだけ…」


ユミル「よし!このパン焼き釜でもかなり上手く焼けたぞ…少し冷ましておこう」

サシャ「うわっ…良い匂いです、ユミル」スカスカ…

ユミル「だろ?お前とミカサが取ってきてくれた蜂蜜のおかげだな」

サシャ「えへへ…」


ユミル「あとクリスタが一生懸命、生乳を混ぜてくれたおかげで、新鮮なバターが作れた」

ユミル「頑張ったな!クリスタ」

クリスタ「ううん。私何もしてないよ」


ユミル「バター作る時に出たこの乳清に手を加えて生クリーム代わりにする…」

ユミル「そうすりゃ、無駄は無いし…栄養もある」


ミカサ「アルミンも…元気になる?最近少し、顔色が…悪かった…」


ユミル「アルミンはベルトルさんより元気そうだけどなぁ…」

ユミル「ま、よくわからないがみんな元気になると思うぞ」


サシャ「さぁさぁ、もう男子が来ちゃいますよっ!飾り付け頑張りましょう!!」

ユミル「スポンジケーキ冷めたかな?」

ユミル「結構骨が折れるよな、なんてったってホールケーキ3個も作るんだからな」


サシャ「あ!ユミル、私お金払い過ぎです!!返してくださいよぉ…」

ユミル「お前…一人で1ホール食う勢いだろ…返さねぇよ!大人しく鋼貨3枚分味わえ」


サシャ「お…美味しいぃ…」モグモグ…

ユミル「おぃ!つまみ食いしてんじゃねぇよ!!」


クリスタ「ペタペタペタ…っと生クリームを塗って…苺を飾り付けて…」


ミカサ「完成…?こんなケーキ…初めて見た」

ユミル「これで完成だ!あってるよ。昔、本で見たとおりだ。魔法の国にあるお菓子」



ユミル「『クリスマスケーキ』の完成だ!」




マルコ「ユミル来たよ~」

アルミン「僕も来たよ。手伝わなくてごめんね」


ライナー「時間、早かったか…?」

ベルトルト「いい匂いがする…」スンスン


コニー「腹減った…」


ジャン「いいか?ミカサが切り分けたのは俺が食べるんだからな!」

エレン「うっせぇな!好きにしろよ。俺は誰が切ってもいいから早く食いてぇんだよ!」


コニー「なぁなぁ、早くケーキ持って食堂へ行こうぜ!ほらっ」



女一同「えっ…?」


コニー「見ろ!食堂…飾り付けしたんだぜ、俺達で。こっそりな」ニヤニヤ


ユミル「クリスタ誕生日おめでとう…?」

ユミル「なんだこれ…」


クリスタ「えっ!」

クリスタ「コニー違うよ…私の誕生日、来月だもん…」


ライナー「…は?」

マルコ「コニー…間違えたね」ジトッ


コニー「だってサシャが、今日は『クリスタ集会』だって言うから、てっきり誕生日かと…」


ユミル「サシャ…お前…。『クリスタ』じゃなくて『クリスマス』だって言ったろ?!」


サシャ「く…『クリスマス』なんて単語知りませんもん!」

サシャ「だって…クリスタの事だと思うじゃないですか!うぅぅ…」


エレン「なんだよ…勘違いで飾り損かよ…」

ジャン「いや、そうでもねぇぞ…」


一同「…?」


ジャン「おい、ベルトルト…お前、もうすぐ誕生日だったよな?」

ベルトルト「えっ!!」


ベルトルト「よく覚えてたね、前にちらっと言ったっけ…?」


ジャン「何となく覚えてたんだよなぁ」

ジャン「だからってプレゼントも何も用意してないんだが」

ジャン「だからここをこうして…チョイチョイ…ほらこれでいい!」


ジャン「何の集会かは知らないが、」

ジャン「今日は『ベルトルトお誕生日会』でいいじゃねぇか!なぁ」


クリスタ「ジャン…」


アルミン「うんうん!ジャンかっこいいね」


ユミル「クリスマス会…なんだけどな。はぁ…ま、いいか」

ユミル「もとはと言えば、ベルトルさんのために計画したようなものだしな。成り行きで」

マルコ「…」


エレン「どうでもいいからケーキ食べようぜ」

ミカサ「えぇ、そうしよう。私も卵を混ぜるの頑張った…蜂蜜も…」


ジャン「ミカサの手料理…」ゴクッ


クリスタ「ライナーもいっぱい食べてね。多めに作ってあるから」

ライナー「クリスタのお手製か…じゃ遠慮なく…」


アルミン「わぁ…3個もあるよ。大きいのが。ちょっと端っこかじられちゃってるけど…」

アルミン「ねぇ、他の部屋にも持ってちゃダメかな?」


サシャ「ダメです!私達だけでこっそり味わいましょう!!残ったら私が食べます」


サシャ「でも、アニとミーナだったらいいですよ。あとで医務室へ持って行きましょう」

アルミン「うん、そうしようか」ニコッ


ユミル「金貰いすぎて…作りすぎたんだよな」

ユミル「砂糖の代用で蜂蜜が手に入ったから、それでだいぶ浮いたのもあるし、材料費」


サシャ「もぐ…むぐ、もぐ…じゃぁ…お金かへひてくらさぃ…ゆみる…んぐっ…」

ユミル「お前!それまだ切ってないだろ!!」

ユミル「勝手にフォーク突っ込んで食ってんじゃねぇよ!お前ら」


エレン「見栄えはいまいちだけど味は良いな…むぐむぐ…」

コニー「俺、こっちのケーキもーらいっ!」


クリスタ「ライナーとベルトルトとマルコの分は私が切り分けてあげるね!」


ユミル「おい!お前ら食うのは『メリークリスマス!!』って言ってからなんだよ!」


ミカサ「エレン…クリームついてる」フキフキ…


ベルトルト「あはは…」

ベルトルト「みんな自由だなぁ…」


エレン「ベルトルト、ちょっと早いけど誕生日おめでとう!」


エレン「生まれてきて、良かったろ…?」



ベルトルト「…エレン…」ジワッ…

ベルトルト(あれ…どうして涙が…)


コニー「エレン!お前ベルトルト泣かすなよ」

エレン「違っ!俺じゃねえよ!!」


アルミン「みんなでちゃんとお祝い言おうよ」


アルミン「『ベルトルトお誕生日おめでとう』って!少しだけ気が早いけどね」


ライナー「はは、良かったな、お前」

ベルトルト「ライナー…」



アルミン「じゃ、いくよ」

アルミン「せーのっ!!



一同「「「ベルトルト!お誕生日おめでとう!」」」



ベルトルト「み…みんな…ありがとう」

ベルトルト「でも…大声出すと教官に見付かっちゃうかもだから静かにね…」シーッ



ユミル「ベルトルさん、いっぱい食べろよ。身体、大きいんだからさ。…でさ、」

ユミル「甘いもの食べて、栄養も取って、元気なれよ!」


ユミル「ここを出た後は、もうこんなことする機会はないだろうけど…」

ユミル「将来が不安なのはみんな同じなんだ。それぞれの場所で、立場で頑張るしかないんだ」

ベルトルト「うん…ユミル…ありがとう」


ベルトルト「今回のってさ、僕のためなんでしょ?ひょっとしたら誕生日の事も…」

ユミル「いや、誕生日は知らなかったんだ…ただ『クリスマス』って奴をな」

ユミル「一度やってみたかっただけなんだよ」


ベルトルト「そっか…それを聞いて安心した」

ユミル「ん?」


ベルトルト「だって何から何まで仕組まれてたら、君に悪いじゃない」

ベルトルト「何かお返ししないとね」


ユミル「何もいらねぇよ、見返りが欲しくてやってる訳じゃないんだ、気にしないでくれ」

ベルトルト「うん…」


マルコ「ユミル、ちょっといいかな?」

ユミル「ん?いいぞ、どうした?」

マルコ「ここだとちょっと…少し外に出ない?二人だけで話したい」

ユミル「あぁ…別にかまわないが…」

ベルトルト(マルコ…?)


~炊事場の勝手から少し離れた樹の下で~



ユミル「暗いな…」

マルコ「…」


ユミル「私に話があったんじゃないのか?」


マルコ「あの、あのさ…」

マルコ「僕は憲兵団に入るよ」


ユミル「あぁ、知ってる。入団式の時もそう言ってたもんな。王にこの身を捧げるって」


マルコ「ユミルはどうするの?今の所、10位以内だけど…」

ユミル「さぁな、クリスタが行くところに行くかな…だからあいつの成績次第だ」

ユミル「どう転ぶか、わからない」


マルコ「…」

マルコ「ユミル!あのさっ…僕に付いて来てよ!」

マルコ「僕と一緒に憲兵団に…」


ユミル「…?」

ユミル「いや、だからわからないって…」


マルコ「そうじゃなくて…僕は…」


マルコ「君が好きなんだ!ずっと一緒に居たい!!」


マルコ「もし君がこの先、10位以内から落ちて、憲兵団入りの資格を失っても…」


マルコ「僕が君をお嫁さんに貰うから!」


マルコ「だから兵士を辞めて僕と一緒に、ウォール・シーナまで来てよ!!」


ユミル「はぁ…気持ちは嬉しいが…」

ユミル「その期待には応えられねぇな…」


マルコ「好きな人がいるの…?」

ユミル「あぁ…」

マルコ「ベルトルト…?」


ユミル「違っ!なんであいつの名前が出てくるんだよ!!」

マルコ「…」

マルコ「だって君はいつもベルトルトの事、気にしてるように見えるから…」


ユミル「んなわけねぇだろ…そう見えるのは気のせいだ」

ユミル「好きなのは、クリスタだ…」


マルコ「クリスタは女の子だよ?」

ユミル「あぁ、知ってる。でも、それがなんだ?好きな気持ちに偽りはねぇんだ…」


ユミル「マルコ、悪ぃ…お前の気持ちには応えてあげられない」


マルコ「そっか…振られちゃったか…」

ユミル「…」


マルコ「手を出して」

ユミル「…?」


マルコ「僕からのクリスマスプレゼント」

ユミル「!?」


マルコ「今日は聖人の誕生日で、ケーキを食べて互いに贈り物を交換する日なんだろ?」

ユミル「あぁ…よく知ってるな」


マルコ「うん、今日の昼食の後、ライナー達と廊下で話してるのを聞いてね」


マルコ「急いで街まで行って買ってきた」


ユミル「…髪留め?」

マルコ「うん…」


ユミル「チューリップがモチーフか…」


マルコ「チューリップの花言葉は『永遠の愛』」


ユミル「…」

マルコ「でも、色によって花言葉が違うって知らなくって…」


マルコ「僕は『黄色』を買ってきちゃった」


マルコ「さっき調べなおして愕然としたよ」


マルコ「だって黄色のチューリップの花言葉って…『実らぬ恋』、『望みのない恋』だって」

ユミル「…ごめん」

マルコ「ううん、いいんだ」

マルコ「僕はまだ諦める気は無いから」


ユミル「えっ!」

マルコ「ユミル…もし、あとで気が変わったら、必ず僕に教えて!ずっと待ってるから」


ユミル「いやいや、ないって!諦めろ!!」

ユミル「それにこれは受け取れない…」

マルコ「どうして?」

ユミル「これを受け取る理由がない。あと、私はお前に贈り物を用意していない…」


マルコ「贈り物なら今、ここで貰う…」


マルコ「キスして…ユミル。僕は君の唇が欲しい…お願い…」ギュゥゥ…

ユミル「…」



~月日は流れ、シガンシナ区・開閉門壁上~



ユミル「くっそ~やっちまった…」

ライナー「このまま故郷に行けばお前はまず助からないんだぞ…?」

ライナー「逃げるなら…今だ」


ユミル「もういいんだよ」

ユミル「…もう」


ベルトルト「ユミル…何で…僕を助けてくれたの?」

ユミル「お前の声が聞こえちまったからかな…」


ベルトルト「…ありがとう…ユミル…」

ベルトルト「…すまない」


ユミル「いいや…女神さまもそんなに悪い気分じゃないね」


ライナー「ふぅ…ユミル、ベルトル…水でも飲むか」

ライナー「シガンシナ区は川が流れてるし、井戸もある」

ライナー「どっかで容器を拾って汲んでくる」


ライナー「鍋型は無理だな…立体機動じゃ、こぼしちまうからな。ははは」

ライナー「あと、ついでに酵母付きの食糧を見付けたいところだ。駐屯兵詰所が分かればなぁ」



ベルトルト「気を付けてね…ライナー」


ライナー「大丈夫、やつらは就寝中だ…」

ライナー「すぐ戻る…」タッ…   ヒュッ


ユミル「はぁ…」

ユミル「あのさ、ベルトルさん…」


ベルトルト「なに?ユミル…」

ユミル「さっき話した、アニの事なんだが…」

ベルトルト「うん…ユトピア区の地下で拷問を受けているって話だね…」

ユミル「あぁ…あれは、アルミンの嘘だと思う…私は」


ベルトルト「…どうしてそう思うの?」

ユミル「憲兵になめられてる少数派の調査兵団が、ユトピア区の地下奥深くまで…」

ユミル「入れてもらえるわけないだろ」

ユミル「しかも、アルミンなんか下っ端だし。見たようなこと言ってたみたいだが…」

ユミル「なおさら胡散臭いんだよ…だからあれはアルミンの嘘だ」

ユミル「あれは、苦し紛れに言っただけだよ」

ベルトルト「…」


ユミル「気にするなよ…?アニを故郷に連れ帰ったら、告白するんだろ、お前」

ユミル「私はもうダメだと思うが、お前は頑張れよ…」


ユミル「あぁ…くそっ!」

ユミル「こんな時に思い出すなんて…マルコがくれた髪飾り、置いてきちまった!!」

ユミル「黄色のチューリップがモチーフの綺麗な奴なんだ…ずっと大切にしていたのに」



ベルトルト「僕は、ユミルに恩を感じている」

ユミル「…?」


ベルトルト「故郷に連れ帰って…君を守れる自信がない、多分…無理だと思う」

ユミル「誰もそんな事、期待しちゃいねぇよ」


ベルトルト「…」

ベルトルト「そっちへ行っていい?」


ユミル「は?なんでだよ…来るな!!」


ベルトルト「…もう、来ちゃった」ニコッ

ユミル「…」


ベルトルト「ねぇ、ユミル…」

ベルトルト「処女で死ぬのは寂しいよね?」


ユミル「…いや全然。変な気、起こすなよ…食い殺すかも知れないぞ」

ベルトルト「…冗談だよ、ごめんね」


ユミル「冗談かよ…はぁ、ビビった…」

ベルトルト「人は生命の危機を感じると、子孫を残そうとして性欲が強くなるんだって」


ベルトルト「だからこれは、今日の戦闘のせいだ…」チュッ


ユミル「…ん!」

ベルトルト「んん…っ…ぷはっ…」

ユミル「なに…すんだよ…ライナーに言いつけるぞ…」


ベルトルト「キスもしないで死ぬのも嫌でしょ?」

ユミル「馬鹿にすんな、したことぐらい…あるよ。私だってな」


ベルトルト「…クリスタと?」

ユミル「いや、ちゃんと男だよ」

ベルトルト「僕の知ってる人…?」

ユミル「何でそんなこと聞くんだ?」

ベルトルト「君が好きだから」

ユミル「はいはい、わかったよ」

ベルトルト「本気なんだって!」


ユミル「アニはどうするんだよ、そんなん言ったってな…」

ユミル「私とアニが素っ裸でお前に『抱いてくれ』って迫ってきたら、どっちを抱く?」


ベルトルト「もちろん両方!」


ユミル「…気でも触れたか」


ベルトルト「アニを好きな僕ごと、僕を好きになってよ…ユミル」

ユミル「…」


ベルトルト「クリスタを好きな君ごと、僕は君を好きなんだから」


ベルトルト「君の包容力見せてよ…ね?」



ユミル「はぁ…私のどこに惚れたのか知らないが、」

ユミル「この先、お前の故郷で私が生き残れたら…考えてもいいよ」



ベルトルト「そっか、多分ダメだと思うから、ここで全部済ませちゃう?僕も童貞あげるよ」


ユミル「いらねぇよ!お前も食うぞ」


ベルトルト「じゃ、もう一度…キスだけ…」

ユミル「あ!ライナーだ!!」


ベルトルト「えっ!どこどこ!?…って居ないじゃないか、この嘘つき!!」


ユミル「少し、頭を冷やせ、この馬鹿!」




ベルトルト「ユミル、処女で死ぬのは寂しいよね?」X`mas SP

            ― 完 ―



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ユミル「この話はここで終わりだ」

ベルトルト「メリークリスマス!それで、良いお年を…だね」


読んでくれてありがとう

ほぼ、丸1日使って書いたが…時間の制約があり、色々消化不良だった
22cmのバナナはのちほど活用する予定だったが生かせなかった

次、頑張るよ、おやすみ!


くそ!寝る前に読み返してたら矛盾を見付けた…今日仕事だってのに
昼食の時はアニが居たがその後、おたふく風邪になった…という設定
でお願いします。なんで気が付かなかったんだよ、もう泣きたい

おつ!

乙。性夜じゃ無かったけど面白かった!

乙乙。ベルトルさんが一生のお願いのSS読んでるのかすごい気になってしまったw

乙!
ベルユミ前提のマルユミ好きな俺得だった~
Xmasと原作を上手くからめてるね
>>69と同じく『一生のお願い』リスペクト?と読みながら思ったよ


今、帰宅した!
全レスうぜぇだと思うが、このスレ自体あと3時間で賞味期限が切れるのでやっておく


>>2  お前、2get早すぎだろ!ビックリしたぜ
    でもガッカリさせてごめんな…

>>11 ありがとう。マルコ今回頑張ってたよ!

>>37 あなたのおかげでいい日だった
    24日はまるっとこれ書いて、25日は20時まで仕事で今一杯飲んでる
>>37も今日が良い日だったらいいな

>>67 読んでくれた君にも乙!ありがとな

>>68 性夜じゃなくてごめんな…
釣ろうと思った気持ちも確かにある

>>69 おぉ!彼が読んでたのはそれです
    しかも現行上げてる分より少し先まで読んでいるようでネタばれ気味だ
あっちも読んでくれてありがとう。また読んでくれると嬉しい

>>70 ごめんな…リスペクトじゃなくてセルフパロなんだ。読んでくれてありがとう
    ちなみに22cmのバナナもセルフパロで…
    良かったら「巨根か否かだ」も読んでくれたら嬉しいな


うわ…スペースがガタガタになってる…
まだ酔ってないのに…読みにくくてごめんね

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