一方通行「あン、オマエがオレのマスターかァ」イリヤ「!」 (128)

 禁書×FateのクロスSSです

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 薄暗い地下室。その床に描かれた幾何学的な図形。それはまるで魔法陣のような形を成していた。

 その陣を見下ろすように白銀の少女“イリヤスフィール・フォン・アインツベルン”が立っていた。

 不意にイリヤは口を開き、言葉を紡ぎ始める。そして、それに呼応するかのように魔法陣が輝き始める

イリヤ「―――汝三大の言霊を纏う七天。抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ―――!!」

 陣の輝きが最高潮に達し、次の瞬間、光は何事もなかったかのように収まった。ただ、その陣の中心にいる者を除いては―――

 その者は少年か少女かの見分けが付かない程、中性的な顔立ちをしていた。そして、まるで雪原のように汚れのない純白の髪に朱い瞳。天使のような人物だった。

一方通行「あァ? オマエがオレのマスターか」

イリヤ「えっと、あなたは―――」

一方通行「一方通行。どォやらバーサーカーのクラスに現界したよォだなァ」

イリヤ「えっ!? バーサーカーなの!」

イリヤ(嘘、だってバーサーカーに自我はないはず、なんで)

イリヤ「あなたは本当にバーサーカーなの?」

一方通行「はン、どォやらそォみたいだなァ」

イリヤ(…信じられない。なんで自我があるの? とりあえずステータスを見よう)

【一方通行】
バーサーカー
悪・中立
筋力E-
耐久C
敏捷D
魔翌力E-
幸運B
宝具EX
狂化A
自我の電極B
黄金率C
反射A
頭脳A+

一方通行
天使の翼

イリヤ「……」

イリヤ(なにこれ、なんでこんなのがバーサーカーなの!?)

一方通行「あン、どォした」

イリヤ「なんでもないわ」

イリヤ(こんなので大丈夫かしら)

イリヤ(ううん、こんなのでも英雄なんだからきっと何とかなるはず……多分)

一方通行「ああ、それとオレは他の英霊と違って姿を消すことができねェから」

イリヤ「はぁ!?」

一方通行「オレは魔術は使えねェんだよ」

イリヤ「………」

イリヤ(ああもう! これは負ける、絶対負ける!)

イリヤ「はぁー、どうせならギリシャ神話の英雄のヘラクレスとかが良かった」

一方通行「まァ、安心しろ。聖杯は必ず取ってやる」

イリヤ「あのステータスでその自信はどこからくるのよ」

一方通行「確かにオレの弱点はオマエの言うそのステータスとやらかもしれねェな」

一方通行「だがよォ、オレの能力はその弱点を補っても余りあるンだよ」

イリヤ「…能力? なによ、それ」

一方通行「それは後でのお楽しみだァ。それとオマエ、銃は用意できるか?」

イリヤ「ええ、用意できるわ。だけどまさか英霊相手に銃を使うつもり!?」

一方通行「あァ、そンなところだ」

イリヤ(本当に大丈夫なの)

一方通行「―――こンなに用意したのか」

イリヤ「ええ、この聖杯戦争に勝ち抜く為ですもの。必要なものは用意するわ」

一方通行「そォか、ありがとよォ」

イリヤ「別にお礼なんて必要ないわ。それで銃は用意したけど、いつ仕掛けるの?」

一方通行「そォだなァ―――今からだ」カチッ

 一方通行はチョーカーのスイッチをオンにし、能力使用状態になった瞬間、その細い針金のような身体が吹き飛ばされ、壁を突き破り、隣の部屋まで飛んでいった

イリヤ「一方通行!?」

「おいおい、なんだよ。こんなもんかアインツベルンのサーバントは」

 全身青タイツの男がその身の丈ほどある長い槍を肩に担ぎ、一方通行の飛んでいった方向に視線を向ける。

イリヤ(槍、ランサーね)

ランサー「はッ、話になんねぇな。おい、お前も不運だったな、あんなに弱いサーバントを引き当てるとは」

一方通行「おいおい、いきなり不意打ちの攻撃でもう勝利宣言かァ? とンだ弱虫さンですねェ」

ランサー(こいつ、無傷だと! どんな手を使いやがった)

ランサー「お前、クラスは何だ。キャスターか?」

一方通行「バーサーカーだ」

ランサー「!?」

一方通行「ンじゃー次はこっちの番だ! 悪いがもう一回、[ピーーー]!」タッ

ランサー「ははっ、面白ぇ!!」タッ

ヒュン! ガギン!

イリヤ(す、すごい。ランサーとまともにやり合ってる)

ランサー「うぉらっ!!」

ガキーン!

一方通行「聞かねェなァ!」タッ

ズガン!

ランサー「ちッ」

ランサー(動きはまったくの素人なのにどういうこった。なんで俺のゲイボルグが刺さらねェ!)

一方通行(おかしい。確かに反射してるはずなのになンで反射が作用しねェ。あの槍、魔術礼装かなンかか!)

ヒュン! ドゴォン!

一方通行「はっ、所詮は三下。この程度かよォ」

ランサー「ゲホッ、ゲホッ、この野郎!」

『……もういい、戻れ』

ランサー「っ!?」

ランサー「ちッ、覚えてろ!」ヒュン

一方通行「なッ、消えた!?」

イリヤ「バーサーカー!! あなた意外と凄いのね!! 正直、ランサーが現れた時は負けると思ったわ」

一方通行「はッ、オレがあンなのに負けるかよォ」ぽんっ、ナデナデ

イリヤ「ふぇっ」

一方通行「…あっ」

一方通行(や、やっちまったァ!! ついつい打ち止めにするように頭を撫でてしまったァ!!)

一方通行「あァ、すまン」

イリヤ「ふん、頭を撫でるくらい別にいいわ」

一方通行「イリヤ、次はどォする?」

イリヤ「今日はもう寝るわ」

一方通行「そォか。そンじゃーオレが策を練るが、いいかァ?」

イリヤ「いいわ。作戦はあなたに任せるわね、バーサーカー」

一方通行「おォ、頭脳A+の知力を見せてやる!」

一方通行「……あのガキは寝たか」

一方通行(はァ、どォやら電極のバッテリーは心配ねェよォだなァ)

一方通行(さっきあのガキに触れた時、その触れてる間だけ充電されたンだよ)

一方通行(どうやらオレの場合は魔翌力供給が電力供給みたいなもンか)

一方通行(だがよォ、電力供給をするにはあのガキに触れる必要があンのかよォ)

一方通行「厄介だなァ」

一方通行「まァ、そンなことよりだ」

一方通行(あの槍使いは恐らくランサーか。誰のサーバントなンだァ)

一方通行(だがひとつ分かったことがある。あれは単なる使い捨ての駒のよォだなァ)

一方通行(あいつはあンなに追い詰められてンのに宝具の真名を解放しよォとはしなかった。敵陣視察の為だけに使わされた捨て駒と見るべきだなァ)

一方通行(あいつのマスターが他のマスターと手を組ンでるのか、そこまではまだ分かンねェ)

一方通行(いや、それはもういい。まずはこれからのことだなァ)

一方通行(ランサーのおかげでオレの能力は宝具にも通用することが分かった。次は反射だなァ。オレの反射は―――――だなァ)

翌日。

イリヤ「ふあぁ、ばーさーかー! おはよー」

一方通行「あァ」

イリヤ「もう、バーサーカー愛想悪いよね!」

一方通行「そォか?」

イリヤ「それはそうとバーサーカー。今日は何をするか決まったの?」

一方通行「ちょっと試したいことがあるンだよなァ」

イリヤ「試したいこと?」

一方通行「オレの力の性能テストだ」

イリヤ「そんなの必要あるの?」

一方通行「まずは自分の力がどこまで有効かを知る必要があンだよ」

すまん。ちょっと旧約三巻を読み直してくるわ。一方通行の喋り方が曖昧。

そういえば語尾を伸ばすのはテンションが高ぶってるときだけだったっけ

>>61
一方さんの口調は変化してる
旧約3の頃は「~でしょォかァ?」のように文末にァィゥェォついてべちゃっとしてる
そこから一方さんが落ち着くにつれて文末のァィゥェォ率が減って
ロシアのころにはほとんどついてない
そういうあたりでメンタルの変化を実はこっそり描写してたかまちースゲエ、という説を見たことがある

あと一方さんの一人称は「俺」 「オレ」なのは土御門だけだったりする

それと、二人称は基本的に「オマエ」で統一だったと思う
ごく稀に「テメェ」って言うことも有ったっけか?

ーーーーーーーー

一方通行「ーーー到着」スタッ

イリヤ「ふにゃあ・・・」ぐったり

一方通行「・・・おい、起きろ」

イリヤ「うぅ、気持ち悪い・・・」

イリヤ「バーサーカー、もっとゆっくり運びなさい」

一方通行「あァ、悪い」

イリヤ「それで、ここは」

一方通行「前回の聖杯戦争にアインツベルンの魔術師として参加した衛宮切継の養子・・・衛宮士郎が住ンでる家だ」

イリヤ「・・・ここがキリツグの」

イリヤ「シロウの家」

一方通行「恐らく、セイバーのマスターは衛宮士郎になる」

イリヤ「何でそんなことが分かるの?」

一方通行「・・・確証はまだねェが、ろくに回復魔術を使えなかった衛宮切継は、大火災の中どォやって衛宮士郎を助けたンだ?」




イリヤ「それは奇跡的に無事だっただけなんじゃないの」

一方通行「勿論、その可能性も高いだろォな。だけど、それならどォして衛宮切継は、士郎という子供だけを養子にしたンだ?」

イリヤ「それは分からないけど、そういう気分だったんじゃない?」

一方通行「気分ねェ、ま、可能性がある以上、衛宮士郎の監視はするぞ」

イリヤ「・・・」

イリヤ(なにもこんな朝から監視する必要はないよね)

ーーーーーー夕方。学校

イリヤ「・・・ねぇ」

一方通行「なンだ?」

イリヤ「暇・・・」

一方通行「あんぱんあるから、これを食え」

イリヤ「・・・ん、ありがと」もふもふ

イリヤ(こんなこと本当に意味があるのかしら)

イリヤ(・・・あんぱん美味しい)もきゅもきゅ

一方通行「あっ」

イリヤ「どうしたの、バーサーカー」もきゅもきゅ

一方通行「サーヴァントの気配が・・・ひとつ増えたか」

イリヤ「みたいね」

一方通行「まだ姿は見えねェが、これは」

今日はここまでです

イリヤ「どうしたの?」

一方通行「・・・はじまるか。だが、このままだとまずいな」

イリヤ「なにが?」

一方通行「この学校全体の大気のベクトルを掴ンで、魔術師の居場所を探ってたンだが、風を裂いて動く物体が二つある」

イリヤ「サーヴァントの気配と同じじゃない。その二つがマスターなんでしょ」

一方通行「ひとつは衛宮士郎のはずだ。朝見たときは令呪なンてなかったンだ。その可能性は低いはずだ」

イリヤ「じゃあーーー」

一方通行「そろそろはじまるか」

イリヤ「あ、あのサーヴァントは」

一方通行「あの時の奴か。ランサー・・・それにあれはセイバーか」

イリヤ「どうやらあなたの予想は外れたみたいね。あの赤いのがセイバーなんだからシロウはマスターではないわ」

一方通行「それはそれでまずいな。このままだと衛宮士郎があれを目撃するが、どォする?」

イリヤ「うーん、リンが何とかするでしょ。わたし達は高見の見物ね」

一方通行「あァ」

一方通行「おい、イリヤ」

イリヤ「・・・なによ、バーサーカー」

一方通行「衛宮士郎が殺されたンだが」

イリヤ「・・・みたいね」

一方通行「・・・」

イリヤ「・・・」

一方通行「とりあえず火葬の準備でも」

イリヤ「あ、リンがなにかをはじめるみたい」

一方通行「あン?」

一方通行「おいおい、生き返りやがった」

イリヤ「そうね」

一方通行「だが・・・」

イリヤ「うん、あのままだとまたすぐに殺されるわね」

一方通行「どォすンだ、おい」

イリヤ「うーん」

一方通行「とりあえず監視は続けるか」

イリヤ「それでいいわ」

とりあえず朝はここまでです

イリヤ「そういえば、バーサーカー」

一方通行「なンだ?」

イリヤ「今朝、力を確かめるとか言ってたけど、どうするつもりなの?」

一方通行「ああ、それな。最優のサーヴァントを相手に、どこまで反射が適応なのかを調べる」

イリヤ「セイバーと戦うの?」

一方通行「まァな。とりあえずセイバーの姿は確認したンだ。後は対策を練るだけ」

イリヤ「セイバーを相手に真正面から挑んで大丈夫なの?」

一方通行「なンだ、イリヤ。心配してくれンのか」

イリヤ「ち、違うわよ! ただ、このわたしのサーヴァントがズタボロに負けるのが耐えられないだけよ!」

一方通行「まァ、心配すンな。この俺が負けるわけねェだろ。安心しろ。聖杯は必ずオマエの元に」ぽふっ、なでなで

イリヤ「ふぇ、な、撫でないで!」

一方通行「あァ、悪いな」なでなで

一方通行(充電充電っと)

今日はここまでです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年06月20日 (土) 08:56:04   ID: T6j7peUt

士郎にも負けるわ

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