ママ「まぁた捨ておっぱいなんか拾ってきて……」 (35)

ぼく「でもこんなに可愛いんだよ? ちゃんと育てるからいいでしょ!」

ママ「あなたいつもそうやって結局死なせちゃうじゃない。この前もカブトムシを弱らせちゃって逃がすはめになったし……」

ぼく「それで学習したんだもん! 人間は学習する生き物だからね!」

パパ「まぁいいじゃないか。生き物を飼うのは教育にもいい」

ママ「パパは他人事だと思って!」

ぼく「ねぇいいでしょ! ペットフードとかもお小遣いで買うし、散歩もちゃんとするからさー!」

ママ「……もう今回だけよ。もしダメでもお母さんは面倒見ないからね」

ぼくは早速おっぱいの生態を調べ始めた
図鑑によると餌はミルクやヨーグルトなどの乳製品、それからコラーゲン豊富なものをあげると喜ぶらしい

飼育の時の注意点としては春頃に「はつじょうき」なるものがあるという
その時は一晩中鳴くが叱ってはダメなんだって

それ以外にもワガママで時々感情的になる
そういう場合は下から撫でてやると落ち着くみたい

そしてこれが一番大事
絶対に口である乳首を引っ張ってはいけない

ぼく「ほーらおっぱいちゃん、ミルクの時間ですよー」

ぼくがミルクの入ったお皿をおっぱいにあげるとおっぱいは飛び付いてゴクゴク飲み始めた

ぼく「おいしーい?」

勢いのある飲みっぷりにぼくも嬉しくなる

パパ「なんだかんだしっかり育てられてるじゃないか」

ママ「まだ一日目だもの。これが続いてくれればいいけど」

ぼく「さて、散歩の時間だ!」

二つの乳首にしっかり首輪をつける
うんちをしたとき用のビニール袋も忘れちゃいけない
準備ができたら出発だ

近所のおばちゃん「あらぼくちゃん、 おっぱい飼い始めたの? いいわねぇ」

玄関を抜けるとおばちゃんがいたから挨拶をした

近婆「可愛いわねぇ、なんてお名前なの?」

そこでぼくは「そういえば名前をつけてなかった!」と気づいて咄嗟に>>15と呼んだ

ちくび

ぼく「ちくびだよ!」

近婆「あら、いい名前ねえ! 大切に育てるのよー」

ぼくは我ながらいい名前をつけられたと感心して鼻の下をかいた

ぼく「それじゃあ散歩いってくるねー」

おばちゃんにお別れしてぼくは太陽の方に歩いていった
ちくびは日の光を浴びてプニプニした肌をてからせている
歩く度揺れるお尻やちょこなんとした二つの支点が実に可愛らしい

ぼく「がんばるぞー!」

それから三日間くらいはこんな感じでちゃんと育てられた

それは四日目のお昼の散歩の時だった

ともくん「ぼくちゃーーん!」

いつもと違うルートを散歩していたらクラスメイトのともくんに会った
ともくんはぼくの一番の仲良しだ

ともくん「何してるのー?遊ぼうよ!」

ともくんはぼくを呼ぶ
今は散歩の途中だったから少し悩んだけれど
ともくんがサッカーボールを持っていたからつい遊びたくなってしまった

ぼく「少しくらいなら……大丈夫……だよね」

そして公園の柵にリードを結ぶとぼくはともくんの所に駆けた
そして夕方になるまで遊んだ

ぼく「ただいまー」

ママ「お帰りなさい、遅かったわねぇ」

ママは玄関まで出迎えると、突然あれ!と声をあげた

ママ「ぼくちゃん、ちくびは!?」

それを聞いてようやくぼくは公園にちくびを忘れてきてしまったことに気づいた

ぼく「ママどうしよう!」

ママ「とにかく探しにいきましょう!」

そこで僕たちが見たのは弱りきったちくびだった

息を絶え絶え
柔らかい体は呼吸の度、激しく膨らんだり小さくなったりを繰り返していた

ぼく「ちくび!」

急いで抱き抱えてママに助けを求める

ママ「とにかく病院へ連れていきましょう!」

そしてママは動物病院に電話した

ーー入り口に猫と犬の絵が貼ってある小さな白い家だった
到着すると背の低い女の先生が神妙な顔つきでぼくのちくびを見る

お医者さん「見たところ、これは乳首を弄られたのでしょう」

図鑑の言葉を思い出した
「絶対に乳首をいじってはいけない」

おっぱいの乳首は非常に敏感でデリケートな部分らしい
生殖にも必要だから細心の注意を払わねばならない

先生「最近多いのよ。若者たちがね、捨ておっぱいや迷子おっぱいを見つけては憂さ晴らしや面白半分に苛めるの」

先生「とりあえず処置はするわ。でも助けられるかは怪しいし、子どもの作れない子になってしまうかもしれない。とにかく何が起こってもおかしくないってことだけは覚えておきなさい」

先生はちっちゃいのにすごく怖い顔でぼくにそういった
なんで忘れてしまったんだ

ぼくはこっそり泣いた

二時間もして先生は部屋から出てきた

先生は喜んでるのか悲しんでるのか判別できないような顔をしている

先生「ぼくくん、こっちおいで」

先生に従って部屋に入る
そこには先ほどまであった傷などにしっかり包帯を巻かれたちくびの姿があった

ぼく「ちくび!」

ぎゅっと抱きしめた
いつもみたいに柔らかい体に挟まれる
でもいつもと違って冷たかった

ぼくは何回ちくびの名前を叫んだだろう
その間にもたった四日間の、だけどたくさんの思い出が甦る
あんまりむしゃぶりついたからミルクがぼくに跳ねたこともあった
踏んじゃちゃって突進されたりもした

そしてたくさん僕と遊んだ

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