モバP「幸子のプロデュース記録」 (101)

Rから自称カワイイまで。

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輿水幸子。

新しくウチのプロダクションに入ってきた14歳。

自分でスカウトしておいてなんだが、こいつが苦手だ。

なにが『カワイイボク』だ。

確かに見た目はいいかもしれんが……

ウチにはお前くらいかわいい子なんて、沢山いるんだ。

良い気になるんじゃねえぞ?

……ってそこまでは思っちゃいないけどさ。かわいいし。

ただ、他の子と比べると、難アリだな……

うまくやっていけるといいんだが……

「ボク、かわいいですよねぇ……」

なに鏡見て愉悦に浸ってやがるんだ……

口を開けば、それだよな……

確かに、お前の見た目はかわいいよ?

だからって、それはねえよ。みんな居るのに。

せめて、一人か、俺しかいない時にやれよ。

その方が、被害は少ないだろうよ。

みんないる時にやられると声掛けづらいしよ……

しっかし、こんな自意識過剰娘に優しくしてやる、

ウチのアイドルたちは天使ばかりだな。

幸子、お前、家で鏡ばっかり見てんじゃねえか?

勉強とかしないと、後々大変だぞ?

「エスカレーター式の私立に通ってますから、アイドル活動も大丈夫ですよ?」

そうか。でも、鏡に張り付くのはやめような。

「失礼ですね! 流石のボクでも、いつも鏡を見ている訳ないじゃないですか!」

いや、めっちゃ見てそうなんだけど……見てるだろ?

「見てませんってば!」

……そういうことにしといてやるよ。

「あっ、信じてませんね! まったく、○○さんは……」

「○○さん、遅いです! 遅すぎます!」

しっかたねーだろ? 凛たちを局に送ってたんだ。

売れっ子は忙しいんだよ。お前と違ってな。

「むっ、ボクだって、すぐに売れっ子になってみせますよ!」

おう、頑張ってくれ。

「どうして他人事みたいに言うんですか! ○○さんはボクのプロデューサーなんですよ!?」

悪かったって。でも簡単じゃないんだぜ?

いきなり売れっ子になんて、なれないって。

「それは、そうかもしれませんけど……」

別に、お前のことをどうでもいいなんて思ってない。

俺がこういう風なのは仕様だからな、我慢してくれ。

「変える気はないんですね……」

今更変わるもんでもない。

でも、お前の為にいくらでも仕事はとってくるから。

「……わかりました。許してあげます!ボクはカワイイので!」

別に許しは請わないが……っていうか、お前がカワイイのは関係あるのか……?

しかし幸子よー……

お前、あちこちでカワイイって言われてるじゃん。

「フフーン、当然ですね!」

だからさ、別に俺に言われる必要はないじゃん?

「な、なんでそうなるんですか!?」

いや、俺みたいなやつにぶっきらぼうに言われるより、ちやほやしてくれる奴らがいるんだからさ。

俺の前でカワイイアピールしてもしょうがないだろ?

「しょうがなくないです!」

うおっ、いきなり声荒げるなよ、びっくりした……

「ぼ、ボクは、○○さんが、一番カワイイって言ってくれればいいんです!」

え、なんで……? 担当プロデューサーだからか?

「そんなコトもわからないのですか?」

うん、教えてくれ。

「いやです! 自分で考えてください!」

ええー……

「プロデューサーさん、どうかしたんですか? 顔がひどいことになってますよ?」

顔がひどいのは元からだ。ほっとけ。

「そんなこと言ってないです! ボクは、○○さんを心配してるのに……」

……そうか、そりゃ悪かった。

ちょっと凛と言い合いになっただけだよ。

ちょっと無神経なこといっちまった。

「○○さん、女の子の扱いを知らないなんて可哀想ですね!」

お前は俺を心配してんのか、本当に。

「し、してますよ! 本当に……」

……だからって、無理にくっつかなくてもいいぞ。

「む、無理なんか、してません……」

なんで幸子に撫でられてんだろ、俺……

「○○さんが立ち直るまで、撫でてあげますよ! なんといっても」

幸子はかわいいからな。

「ちょっと! ボクのセリフ取らないでください!」

またCMのオファーかぁ。

いやー、楓さん綺麗だもんなぁ。

「ありがとうございます。○○プロデューサーのおかげですよ」

いやいや、俺なんて大した役になってませんから。

「謙遜しなくてもいいのに、ふふっ」

本当ですって……あ、やべ、時間だ。

すいません、幸子を現場に送ってきますね。

「はい、わかりました。ではまた後で」

はい! お祝いに一杯やりましょう。

「喜んで。忘れちゃ嫌ですよ?」

忘れませんよ。じゃあ行ってきますね。

幸子は……あれ、どこだろ?

「幸子ちゃん、さっきからずっと後ろにいますよ?」

え? うおっ、マジだ。

……なあ、なんでそんなふくれっ面なのお前。

「別に何でもないですっ! ほら、早く行きますよ!」

ちょっと待てって、引っ張んな!

@車の中

「○○さん、楓さんとボクで態度が違いすぎです……」

は? そりゃあそうだろ。楓さんは俺より年上だし。

「そういうこと言ってるんじゃありません!」

じゃあなんだよ? 訳わかんねーな。

「楓さんにデレデレしすぎです! ボクにはしないのに!」

はぁ? そんなにデレデレしてたか、俺。

「してました! 凄くだらしない顔でしたよ!」

そうか……で、何、俺にデレデレになってほしいの?

「そ、そういうことじゃなくて、楓さんにあまりデレデレして欲しくないというか……」

別に関係なくね? 俺が楓さんにデレデレしてようがさ。

俺のデレデレした顔が不快なら、見なけりゃいいじゃん。

「むむー……○○さんの分からず屋!」

ええー……俺が悪いんすか……

「当然です! ○○さんはボクだけ見れてばいいんです……」

そりゃ無理だろ……わかった、わかったからそんな顔すんな。

かわいい顔が台無しだから、な?

「……こういう時ばっかり、そういう事言わないでください」

んー、難しいなー、さっちゃんは。

「……プロデューサーさん」

はいはい、どうした? 

「ボクをもっとプッシュしてください!」

プッシュって、結構してると思うけど……

「楓さんに負けたくないんです……」

そっか、そういうライバル意識があるのはいいことだ。

俺に出来る限りは、幸子を後押しするからな!

(この人、絶対わかってないですね……もう)

「ボクが一番に決まってますよね?」

いきなりなんだ幸子、今忙しいんだが。

「いいから、答えてください! ボクが一番ですよね!?」

何がだよ……ああもう揺らすなって!

わかった、わかった! 幸子が一番でいいから!

「フフーン! やっぱりボクが一番大事なんですね!」

は? どゆこと?

「ちょっと幸子、それはないんじゃないかな」

「そんなやりかたで一番って言われても、勝ったとは言えないよ!」

凛、未央、何の勝負だよ?

「○○プロデューサーにね、誰が一番大事にされてるかって勝負!」

あ、そういうアレだったのか……

「ボクが一番って言いましたよね! ね!」

ズルをする子は嫌いです。


「残念だったね、幸子」

うわぁ、意地悪い笑み……そそるわ。

「私が一番って言ってくれるなら、虐めてあげるよ?」

……俺はみんな一番だよ。

「ちょっと悩んだね! すけべー!」

「まぁ、そう言うと思ったけどね」

(ふっ、視線独り占めです!)

おっ、いいねー幸子ちゃん、今の笑顔もっと頂戴!

「いいですよ! フフーン、ボクはカワイイですからね!」

かわいいねえ、いいよいいよー!

……幸子の奴、ノリノリだなぁ。

なんか俺の方ずっと見てる気がするし……

いや、自意識過剰か。でも、まあ、見とくか。水着だし。

ハイ、オッケー! 幸子ちゃんお疲れー!

「はい、ありがとうございました!」

今日は前よりとっても良かったね! いいことあった?

「ふふ、ありましたよ? でも、秘密です!」

そっか、残念! じゃあ、またお願いね!

「こちらこそよろしくお願いします!」

……あいつ、外では礼儀正しいんだよなー。

俺には無礼極まりないのに、ったくよー。

「プロデューサーさん!」

おう、お疲れさん、幸子……はいはい、撫でてやるから。

「ん……もっとです……ボク、頑張りましたよね?」

ん、今日は、その、良かったぞ。

「そ、そうですか。素直に褒めてくれるなんて、何かやましいことでもあるんですか?」

べっ、別にねーよ。ほら、メシでも行こうぜ。今日のご褒美ってことで。

「なんか怪しいですけど……いいですよ!」

俺は無理だってば。仕事あるし……

「それについては大丈夫です! ちひろさんが引き受けてくれました!」

ちひろさんが? いくら払ったんだ?

「無償に決まってるじゃないですか! 何言ってるんですか、もう」

ああ、そういやアイドルには優しいもんな……

「ほら、早く行きましょう! 慶さんも待ってますよ!」

慶ちゃん待たせたら申し訳ないな、行くか。

「何でもいいですから! 早く!」

はいはい、ったく元気いいねえ幸子は。

@レッスン場

「おはようございます、○○プロデューサーさん!」

お、慶ちゃん、おはよ。今日もかわいいね。

「え、あ、プロデューサーさんに褒められると、悪い気はしないですねっ」

俺で良ければいくらでも褒めるよ。

「て、照れちゃいますってば、もう……」

「なんでですか!?」

うおっ、うるせーな。なんだよ?

「前々からずっと思ってましたけれど!! なんでボクにはそういう風に言ってくれないんですか!?」

は? だって、お前に言っても

『フフーン、ボクがカワイイのは当然ですね! それより、オレンジジュースを買ってきてください。果汁100%のですよ!』

と、こうなるじゃん?

「それボクの真似ですか!? すごく不愉快です! ていうかオレンジジュースなんて子供っぽいもの頼みませんよ!」

へー……じゃあこのトロピカーナは要らないな。

「えっ」

慶ちゃん、レッスン終わったら飲もうね。

「ぷ、プロデューサーさん、あんまり幸子ちゃんいじめちゃだめですよ?」

いや、いじめてるつもりは……

「幸子ちゃんは、プロデューサーさんにかわいいって言ってもらいたんですから。ね?」

「は、はい……○○さん……」

あー、もうそんな目で見るなって! 俺が悪かった。

「ふふ、それでこそ○○プロデューサーさんですよ!」

慶ちゃんには敵わないな、あはは……

よし、幸子! レッスン頑張るか!

「は、はいっ!」

「さて、プロデューサーさんにも容赦しませんよー!」

@レッスン後

「なんだ、○○さんもやればできるじゃないですか! ね!」

ま、待って、話し、かけないで、ハァ、ハァ……

「ちょっと厳しくしすぎましたかね……?」

「いいんですよ。ボクをいじめた罰です!」

ハァ、ふぅー……もう動けないです、ハァ……

「○○プロデューサーさん、この後仕事だったりしませんよね……?」

いえ、今日は直帰です……ぐあー……

「○○さん、ご飯行きましょうよ、ご飯!」

えー……もう帰らせて……

「それじゃ、○○さんのお家にお邪魔したいです」

それは、無理だろ。

「じゃあご飯行きましょう♪」

しょうがねえなー……シャワー浴びてからでいいか?

「勿論いいですよ! 慶さんもどうですか?」

「わ、私も? そうね……お姉ちゃんたちが許してくれたら」

「○○さんも一緒って言えば大丈夫ですよ! 行きましょう!」

俺が責任持ちますから、行きましょうよ。

「は、はいっ! ふふ、この面子は初めてです!」

ですね。たまにはいいんじゃないですか?

「ほら、○○さん、早くシャワー済ませてください。後がつかえてますから!」

へいへい。あ、幸子、言い忘れてたけどな。

「何ですか?」

幸子の泣きそうな顔、すっげえ可愛いのな。じゃ!

「な、何を言ってるんですか○○さん!!」

「あはは……ちょっと変わってるよね、○○プロデューサーさん……」

おーい、幸子いるかー?

「なんですか、プロデューサーさん?」

ちょいとお前に頼み事があるんだが……

「ボクに頼み事ですか? もちろんイヤです!」

そっか、じゃあ他の子に頼むわ。

「ちなみに、どんな内容ですか?」

ケーキ食べてもらおうと思っただけだ。でも無理ならいいや。

「えっ」

おーい、あーにゃー……

「ダー……呼びましたか?」

おー。ケーキ食べない? 貰い物なんだけど、俺甘い物駄目なんだわ。

「私がもらってもいいんですか?」

うん。幸子は食べないってさ。

「た、食べないとは言ってないじゃないですか!」

え、でもさっき嫌って。

「ケーキなら話は別です! ボクも食べたいです!」

えー、何それうぜえ。

「Ой! 幸子に譲りますか?」

いや、二人で食べて。二つあるからさ。

「わかりました。ありがとう、○○プロデューサー」

うん。アーニャが喜んでくれたなら、俺も嬉しい。

「ダー、とても嬉しいです。では、幸子、いただきましょう」

「ふ、二つあったんですか……」

素直に引き受ければ良かったのにな、あはは……

「ぷ、プロデューサーさんのいじわる……」

「プロデューサーさん、ボクは思ってることが口に出ちゃうんですよ」

ボク、カワイイですよねぇ……

「不愉快なものまねしないでください!」

だってよー、もう無意識で言っちゃうほど聞かされてんだぜ?

「だ、だからそれは……」

そんな言わなくてもよー、幸子はかわいいんだからいいじゃねーか。

「……本当に、そう思ってますか?」

何だよ、疑ってんのか?

「だって、○○さんですし……」

俺はな、嘘でかわいいなんて、絶対言わねーよ。

「……そうなんですか?」

かわいい子にはかわいいって言わなきゃ気が済まないんだよ!

「それはそれで問題な気もしますけど……」

それに嘘つくの下手だしな。隠してもすぐばれるし。

「確かにそうですね……」

それに幸子がかわいくなかったら、俺もこんなに構ってないし……って何言ってんだ俺は……

「……」

おい、黙るなよ。いたたまれなくなるだろ。

にやにやすんな。頼むから。ああ、くそ、俺の阿呆……

「○○さんだったら、ボクの横にいてもいいですよ。ねっ?」

いや、横は別に……

「む、じゃあどこがいいんですか?」

前だろ。顔がよく見えるし。

「え、あ、近いですよっ……」

あ、ごめん、つい……

「べ、別に、もっと近づいても、ボクは……」

な、何言ってんだよ……

「プロデューサーさんは独特の変わったセンスをしてますね」

お前も大概だと思うが……

「いくらボクでも、栄養ドリンクを混ぜて飲んだりしませんよ!」

そうか? 結構うまいんだけどな……

「逆に身体壊しそうですね……」

幸子ー、CMのオファーきたぞー。

「フフーン、とうとうボクもお茶の間の人気者ですね!」

そうだな、初CM、おめでとう。

「ありがとうございます! えへへ、ボクが人気でちゃって、焦ります?」

なんで焦るんだよ。喜びまくりだっつーの。

「え、でも、有名になってボクが離れてくみたいで、焦ったりしないのかな、なんて……」

……そりゃ、少しは思うよ。

「そ、そうですか」

でも、幸子がみんなに愛される方が、ずっと嬉しいからな。

「あっ……」

だから、淋しいのなんか我慢するさ。

「○○さん……」

おいおい、なんでしんみりしてんだよ……

「ボ、ボクは、有名になっても、○○さんと一緒ですから……」

……そ、そっか。嬉しいよ。

「最近の○○さんはボクのコトが分かっていて感心ですね!」

えー、そんなことないって。買い被りすぎだって。

「せっかく褒めてるのに……素直じゃないですね」

俺はお前と違って慣れてねーの、そういうのは。

「それじゃ、ボクが慣れさせてあげますよ! ボクは優しいので!」

いいよ別に……ほら、送ってくよ。時間だろ。

「帰りも迎えに来てくれますよね?」

行くから、ほら急げ急げ。

「○○さん、その後、ご飯に連れて行ってくれてもいいんですよ?」

おう、幸子を連れて行きたいとこみっけたんだ。楽しみにしてろ。

「はいっ! では行きましょうか」

幸子お疲れ。頑張ったな。

「ボク、カワイかったですよね!?」

ああ、今日の出演者の中じゃ、圧倒的に輝いてたぞ。

本当に成長したな、幸子は……

「いっ、今は撫でないでください、汗、かいてるから……」

いいじゃねーか。幸子の汗なら綺麗だよ。

「そ、そういうの、変態さんみたいですよ?」

変態だからいいんだよ。ほれ。

「うぅ……仕方ない人ですね……」

他のアイドルも実力ある子ばかりなのになー。

ホントすげーな、ウチのさっちゃんは……

「○○さん、聞いてくれますか?」

おう、なんでも言ってくれ。

「……○○さんは、ボクが一番ってこと、プロデュースで証明してくれました!」

……俺は大して何もしてねーよ。幸子の力だ。

「ねっ? やっぱりボクには魅力があるんだ♪」

おう、そうだよ。

「でも、○○さんが居てくれたから頑張れたんです!」

いいよ、そういうのは。やめやめ。

「ダメです! もっと素直になってください!」

なろうと思ってなるもんじゃねーって……

「それじゃ、素直になれるまで、ボクが調教してあげます!」

うえ……勘弁してくれ……

「ボクがここまで成長できたのは、○○さんが支えてくれたからですよ!」

……おう。

「これからも、よろしくお願いしますね?」

おう、こちらこそ、よろしくな。

お、幸子、お疲れさん。

「あれ、プロデューサーさん。ちょっと早く終わったのに……」

そんな気がしてな、早めに出たんだよ。

「へえ……エスパーさんですね!」

そんな大そうなもんじゃねーよ、ほら、帰ろうぜ?

「はいっ!」

@車内

「最近の○○さんはボクから見てもいい感じですよ?」

お前、この前からちょくちょく褒めてくるな……

「これも調教の一環です!」

はぁ……ていうか、調教なんてどこで覚えたんだか……

「飼ってる動物のしつけのことを調教って言うじゃないですか」

俺は幸子さんのペットですか……

「フフーン、ボクに飼われるなんて光栄ですよね!」

……お前、それかなり危ない発言だぞ?

「そ、そうですか? でも大丈夫ですよ!」

何を根拠に……

「こんなこと、○○さんにしか言いませんからね!」

よ、喜んでいいのかな、それ……

「最近の○○さんは隙がなくなってダメダメですね!」

褒めたり貶したり忙しい奴だなー……

「ボクは、前の○○さんの方が好きですよ?」

ええー……ダメダメですねとか言われてた気がするんだが。

「ボクなりの愛情表現ですよ♪」

良い笑顔しやがって、まったく。

「ふふ、もっと楽しませてください♪ アナタはボクのオモチャなんですから」

「なにニヤついてるんですか?」

いやー、明日は久々にオフなんだよ!

「へえ……そうなんですか」

おう! だらだら過ごすと決めてるんだ。

明日は買い物は付き合えんぞ!

「まだ誘ってないじゃないですか!」

たとえ誘われても断る! 誰の誘いだろうとな!

「楓さんにデートに誘われても?」

……それは、行っちゃうかも。

「プロデューサーさんっ!!!」

じょ、冗談だって……そんな事起きないから心配すんな。

「フーン、どうだか……」

とにかく、明日は俺は家から動かないからな。

電話しても来ても無駄だぞー。

「あの、○○さんっ」

なんだ? 行かないぞ?

「そうじゃなくて、えっと、そのですね」

歯切れわりーなー。どした?

「よければ、お邪魔してもいいですか……?」

お邪魔って、ウチに来るってことか?

「は、はい……ダメですか?」

え、や、駄目じゃないけど……マジで??

「い、嫌ならいいんですよ、断ってくれても」

いいよ、いいけど、うん。じゃあ、おいで?

「は、はいっ! ……それでは明日伺いますね」

……なんだあいつ、急にしおらしくなりやがって……

しかし荷物持ちでもないのに俺と居たいとか……

え、あいつ俺のこと好きなの? いや、まさかな……

@また別のオフ

おい、ちょっと待て幸子……

「遅いですよ、○○さん!」

おま、人をこき使っておいてこの野郎……

「こき使うだなんて人聞きの悪いですね! ボクの荷物持ちは栄誉ですよ?」

栄誉だぁ? ハァ……ハァ……

「ちょ、ちょっと苦しそうですね。やっぱりボクも半分持ちます」

いや、これひとつだけ持ってくれ。

「でも、これだけじゃ、○○さんが……」

いいって。今日は昨日のLIVEのご褒美だからな、ハァ……

「……今日はもう、帰りましょうか」

は? まだ全部回ってねーだろ。

「いえ、お家でお茶が飲みたくなりました。○○さんも当然、来てくれますよね?」

お、おう……けど、本当にいいのか、ショッピングは。

「もう結構買いましたし、十分です。帰りましょう!」

そっか……ありがとな、幸子。

「べ、別にボクは何もしてませんよ。ほら、早く! フフフ……」

「ふぁ……あれ?」

「あら、幸子ちゃんおはよう」

「おはようございます。ちひろさん、○○さんはどこへ?」

「私が席を外した時に出て行ったみたいですね。今日は外回りは無いし、コンビニでもいったんじゃないですか?」

「そうですね……その通りだと思います」

「待ってれば、すぐに戻ってきますよ」

「だといいんですけど……」

ふうー……ただいまー……

「○○さん!!」

うわっ!! なんだよ幸子! びっくりしたもー……

「勝手にいなくならないで下さい!」

あー? 勝手にって、断ろうにもお前寝てたじゃん。

「起こしてくださいよ!」

あんな安らかに眠ってたのに、起こせるかっつーの。

「ボ、ボクの寝顔見たんですか!?」

ふふ、よだれ垂らしてかわいかったぞー。

「最低です! ○○さんなんて最低の変態です!!」

痛い痛い叩くなって! 悪かった! ほら!

「? なんですか、これ」

新発売のきのこの山。一緒に食おうぜ?

「ボク、たけのこの方が……」

お前、輝子の前でも同じこと言えんの?

「きのこの山、食べましょう! ボクはきのこ派ですよ!」

「仁奈さんと言えば?」

きぐるみもふもふ。

「蘭子さんと言えば?」

熊本弁。

「楓さんと言えば?」

だじゃれ。

「友紀さんと言えば?」

キャッツ。

「麗奈さんと言えば?」

いたずらっ子。

「凛さんと言えば?」

しぶりん。

「あいさんと言えば?」

イケメン乙女。

「李衣菜さんと言えば?」

ロ……にわか。

「アナスタシアさんと言えば?」

超かわいい。

「で、ではボクと言えば?」

え、うーん……わがまま?

「○○さん……ボクがカワイイのなんて常識以前の話ですよ!」

それじゃ、カワイイ。

「ボクの前のアナスタシアさんが『超かわいい』

 なんですから、最低でも『超』はつけてください!」

うわ、めんどくせえ……

「何か言いましたか?」

いえ、幸子さんはチョウカワイイデス。

「心がこもってないです! もう一回!」

勘弁してくれよー……

「プロデューサーさん、ボクがカワイイから仕方ないけど……ココ、見すぎです……」

つい目が行っちゃうんだよ……嫌ならボタンを留めろ……

「でも、暑いですから……」

そうだなー……クーラー早く直んねーかなぁ……

「あ、また見てる……」

そこの汗、舐めていい……?

「暑さで頭がおかしくなりましたね……」

幸子、かわいい……舐めたい……

「フフフ、いいですよ……ボクはカワイイので……」

茜「ただいま戻りましたーっ!!!」

二人「」ビクッ

茜「あれ、こんなに暑いのにくっついてどうしたんですか!?」

茜「も、もしかして……うううう〜〜〜〜……ボンバーーーーーーーっ///」

二人(あ、危なかった……///)

「○○さん、○○さんっ」

なんだいさっちゃん。

「ど、どうしたんですか、その呼び方」

気分だ気分。で、どした?

「明日のLIVEなんですけど……」

おー、緊張してんのか?

「いえ、その終わったらですね」

お、ご褒美か? 何がいい?

「とりあえず褒めてください!」

へ? そんだけかよ。

「はい! あ、もちろんご飯に連れてってくれてもいいですよ?」

うーん、わかった。どっちもしてやるよ。

「えへへ……ボク頑張りますね!」

(褒められるのがそんなに嬉しいのかねえ……)

「○○さん、どうかしました?」

いや、なんでも。今日は早く帰っとけ。送ってくから。

「はいっ!」

「私服でもこんなにカワイイボク……フフッ」

まーた始まった……

「どうですか、○○さん。ボク、かわいいですよね? ね?」

なぁさっちゃんよー……

「早く答えてください!」

いや、かわいいよ? かわいいけどさ……

「ですよね! これも買いですね!」

だからさー……

「次のやつに着替えますから、待ってて下さいね!」

幸子。

「覗いちゃ……だめですよ?」

……わかってるよ。

「フンフンフフーン♪ カワイイボーク♪」

(今のセリフはぐっときたけどさ……)

(試着室でファッションショーはなぁ……)

あー終わったあああああ……

「お疲れ様です、○○さん」

お、幸子ー。仕事終わりにお茶なんて気が利くな。

「フフーン、カワイくて気も利くなんて、流石ボクですね!」

そうだな。撫でてやろう。

「べ、別に撫でてほしくてやった訳じゃありませんよ?」

わかってる、わかってる。

「本当に分かってるんですか……?」

分かってるって。やー、今日の分(の仕事)終わってほっとしたよ……

「……まだですよ?」

え、終わったはずだけど。

「ちゃんとボクを送り届けるのも○○さんの仕事ですよ!」

あー、そういうね……ちひろさーん。

「あら、二人ともお帰りですか?」

「はいっ、お疲れ様でした!」

お疲れ様でした。では、お先に失礼しますね。

「はい、○○さんも幸子ちゃんも、お疲れ様でした」

あー、浴衣の美嘉かわいかったなー……

「……」

腕組んできたのは美嘉なのに超照れててさー、マジ乙女!

「……」

あんな派手なのに、意外性あるよな。ギャップ萌えってやつだな。

「……」

だから人気あるんだろーな。ぶっちゃけ惚れちゃったよ。

(え?)

美嘉と付き合いてえなぁ……

「○○さん!!!!!」

「うおぁっ!?」

「冗談ですよね!?」

「さ、幸子、脅かすなよ……」

「美嘉さんに告白したりしませんよね!?」

(聞かれてたのか……うわ、死にたい……)

「付き合いませんよね!? ね!?」

つ、付き合えるわけないだろ、俺なんかが……

(こ、この鈍感さんは……でも、好都合ですね)

「そうですよ! ○○さんが付き合える訳ないです!」

うわ、ちょっと事実でも傷つくからやめてよ……

「だから、ボクが付き合ってあげます!」

は? だってお前子供じゃん。俺犯罪者になりたくない。

「美嘉さんでも犯罪ですよ……というか、ボクは立派な大人ですっ!」

はは、それは142cm組を脱出してから言うんだな!

「す、すぐに脱出しますから!」

「そうですよ! ○○さんが付き合える訳ないです!」

うわ、ちょっと事実でも傷つくからやめてよ……

「だから、ボクが付き合ってあげます!」

は? だってお前子供じゃん。俺犯罪者になりたくない。

「美嘉さんでも犯罪ですよ……というか、ボクは立派な大人ですっ!」

はは、それは142cm組を脱出してから言うんだな!

「す、すぐに脱出しますから!」

おう、頑張れ。

「言われなくても頑張ります! っていうか、○○さん!」

え、身長を伸ばすのは手伝えんぞ。

「違います!」

あら、そうか。

「他の子じゃなくて、もっとボクのこと考えてください!」

幸子のこと……結構考えてるけどなぁ。

「本当ですか? 24時間でも足りませんよ!」

そ、そりゃ無理だ……コンビニかっつーの……

「フフフ……ボクが踏み潰しちゃいます」

いや、蜘蛛さんかわいそうだろ。

「ひっ……なんで触れるんですか!?」

かわいいもんだぞ? ほれ。

「やあっ!? こっちに近づけないでください!」

雫ー、今回の写真集も好調らしいぞー。

「ホントですかー?」

パーッとお祝いしなきゃな! 

「わー! 嬉しいですー!」

俺も嬉しいぞ! まー、雫なら売れて当然だけどな!

「そんなことないですー。○○さんと一緒に、こつこつ頑張ってきたからですよー」

そうやって謙虚なところも、ファンに愛される理由だな。

「……○○さんも、私のファンですかー?」

おう。当たり前だろ。雫超かわいいよー。

「もぉー、○○さんはー……」

???「……」ジー……

「ボクのカラダには可能性が詰まってますよね、○○さん!」

は? 頭でも打ったか?

「ボクも写真集出したいです! いいですよね!?」

まー無理ってこともないが……幸子はLIVE向きだしな。

「それでも出したいんです! 雫さんだって出してるじゃないですか!」

雫? ……まーた聞き耳立ててたのかお前は。

「い、いいじゃないですか別に」

お前なぁ、雫より売れる自信あるか?

「あ、ありますよ!」

雫はむちむちえろえろなスタイルが売りなんだぜ?

「へ、変態ですね相変わらず……」

幸子の幼児体型じゃ、ちょっと厳しいんじゃないか?

「い、今はそうですけど! もう少ししたら、ボクだって……」

(つるぺたを気にする幸子、実にいい……)

でもまぁ、俺は買うよ?

「え……?」

幸子の写真集があったらよ。ま、雫とは路線が違うだろうけど。

「そ、それじゃ、ボクの写真集も……?」

うん、一応出版社に持ちかけてみるか。

幸子の『カワイイ』を押し出す方向でな!

「は、はいっ! フフーン、絶対雫さんに勝ってみせますよ!」

幸子ー……って今日はオフか。

「ふふ、幸子ちゃんがいないのは珍しいですね」

そうですねえ……最近ずっと一緒でしたし。

「幸子ちゃんがいないと、淋しいですね」

……まぁ、静かですよね。仕事は捗りますよ。

「……それならいいですけど」

(本当に素直じゃないですねえ……)

ってやべ! 判子逆じゃねえか!

「あらあら……」

あっちゃー……めんどくせえ……

「プロデューサーさんらしくないですね」

そうですねー……、ったくいつもならこんなミス……

「フフーン、○○さんはボクがいないとダメダメですねっ♪」

……は?

「カワイイボクのお出ましですよ♪」

え、なんでお前いんの?

(会いに来たに決まってますって……)

「たまたまこの近くを通りかかったので! これ、差し入れです!」

「あら、この箱は……」

「今話題のマカロンですよ! 休憩しましょう、○○さん」

「……ふぅ、しょうがねえなー。幸子に免じて休憩するか!」

「ボクのカワイさに免じて、ですね!」

(プロデューサーさん、喜びを隠しきれてない、ぷぷ……)

えと、デレラジの次のゲストは輝子、その次が小梅。

で、その次は……

「ボクの出番ですね!」

……

「……え、まだ?」

まだ。で、晶葉、裕美ときて……

「次こそ、ボクの出番ですよね?」

いや? 次は蘭子、そんつぎナターリア、で!

「やっとボクの出番……!」

特別ゲスト、765の高槻やよいちゃん!

「ボ、ボクの……」

そんで、ようやく幸子だ!

「お、遅すぎです!」

ばっか、主役は遅れてくるもんだろ。

「カワイイボクは早く登場した方がいいに決まってます!」

焦らしに焦らしたほうが面白いだろ?

ていうかもう決まってるから変えられんわ。

「むー……待ち遠しいですね」

幸子も、ラジオ番組持てればいいのにな。

「ボ、ボク一人で?」

いや、一人じゃなくて……一人がいいのか?

「ボ、ボクのカワイさが引き立つように、他の子と一緒の方がいいと思いますよ?」

ぷぷ……

「何笑ってるんですか!?」

や、幸子の言うとおりにしよう。

面子は俺が決めるけどな。

「プロデューサーなんですから、当たり前でしょう?」

そうだな。ま、すぐにって訳じゃないから。

あんまり急かさないでくれよ?

「大丈夫です、ボクは子供じゃないですから!」

「○○さん、手を握ってください!」

き、緊張してんじゃねーよ……

「き、緊張じゃないです! っていうか○○さんだって……」

だ、だってよお前、なんでプロデューサーまで出演すんだよ……

「そういう企画だから仕方ないじゃないですか……」

幸子、手を握ってくれ……

「な、情けない人ですね! 優しくてカワイイボクが握ってあげますよ!」

おう……

(こ、恋人つなぎしちゃいました……)

\輿水さん、○○さん、お願いしまーす/

「○○さん、行きますよ!」

ちょ、このままはマズいって!

……あ。

「え? ……そういえば、このあたりでしたね」

だなー……もう懐かしく感じるよ。

「フフ、ボクと出会えたのは○○さんの一生分の幸運ですよ!」

一生分かぁ……

「そうですよ! なんといっても、このカワイイボクをスカウトできたんですからね!」

……いや、足りねーよ。

「えっ?」

『一生分』って言うなら、この先もずっとプロデュースさせてもらわないとな!

「そ、それって……」

さーて、今日の撮影も頑張らなきゃな、幸子さんよー。

「誤魔化さないでくださいよ! もう……」

「○○さん!」

おう幸子ー。おはよ。

「フフーン、ボクより早く来るなんて、いい心掛けですね!」

たまたま早く起きたんでな。

しっかしオフにさっちゃんの荷物持ちとは、ふあーあ……

「○○さんは普段頑張っているのでご褒美にボクが買い物に連れ出してあげてるんです! 感謝してくださいね!」

あー、幸せだなぁ……

「例によって心がこもってませんね……」

じゃ、幸子をだっこさせてくれたらちゃんと言うわ。

「ええっ!?」

じゃなきゃ言ーわない。

「い、嫌ですよ、恥ずかしいです……」

(冗談なのに真っ赤になっちゃって……かわいいやつめ)

ホントのところな、結構嬉しいよ、誘ってくれて。

「へ……?」

幸子が来るまではさー、オフなんて基本ずっとゴロゴロしてたからな。

「そうだったんですか?」

ま、凛とかと一緒にはちょくちょく出掛けたけど……

幸子みたいにオフごとに誘ってきたりはしなかったからな!

「だ、だからボクは○○さんの為に……」

おう、だから、ありがとな。

「〜〜〜〜〜〜っ!」

(お、照れてる照れてる)

「もう、行きますよ、○○さん!」

はいはい。今日はどこかなー。

引き抜きなー……まぁ、あってもおかしくないよな……

「ボクはカワイイから当然ですけど……驚きました」

……幸子はどうするつもりだ?

「断るに決まってるじゃないですか!」

おお、即答か……

「そんな当たり前のこと、聞かないでください!」

当たり前、か……

「ボクのプロデューサーは○○さんしかいないんですよ!」

えっ……

「そんなことも……わからないのですか……?」

……いや、その……分かってた、気がするけど……

「そ、それなら、なんで聞いたんですか?」

さ、幸子さんの口から言ってもらうまでは、確信できなかったといいますか……

「ヘタレですね……」

すまんなヘタレで……

「まったくです! ボクのプロデューサーなんですから、しっかりしてください!」

すまん……でもな、幸子。

「なんですか、ヘタレの○○さん」

仮にな、仮にお前が本気で出て行こうとしてたら、止められなかったと思うんだ。

幸子には、自分で選んだ、幸せだと思う方に進んでほしいからさ。

「○○さん……」

でも安心したよ、幸子はやっぱり幸子でさ……

「ボクはボクですよ、何言ってるんですか、もう……」

トップアイドル特集……

765に961に876か……

幸子も、絶対トップにしてやんなきゃな……

「ボクはきっとトップアイドルになりますよ♪」

うわっ!?

「○○さんが一緒なら、トップアイドルだって、何にだってなれます!」

え……

「だから○○さんはこれからも忙しくボクの為にイヌのように走ってくださいね!」

イ、イヌか……っていうか、毎回どっから湧いてくるんだお前は……

「○○さん在る所に、ボクも在りです! これからもずっと、一緒ですよ!」

以上っす。今度は嘘じゃないっす。

見て下さった方(主にID:wsKMpZy00さん)ありがとうございました。
html化依頼はすぐに出しておきます。では、フェスがんばりまS・H・O・W!

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