モバP「野球を観よう」 (59)

モバマスSSです。
P「なんで仕事が休みのアイドルも事務所にいるんだ…?」

ありす「寮では、CSは映らないので途中で中継が切れてしまうんですよ」

巴「そもそも、地上波じゃやってないんじゃ」

友紀「あはは、うちと戦う以外はテレビじゃやらないからねー」

P「テレビは一個しかないんだから取り合いは止めろよ。特に友紀は年上なんだからな」

友紀「まぁ、あたしはCSで見なくてもいいから別に取り合う気はないけどね」

ありす「なら、今は私が使わせて貰いますね」

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実況「さぁ、偉大な記録が徐々に現実味を帯びてきました!」

ありす「まだ、ノーヒットノーランだったんですね」

巴「さっきからずっとレッスン中なのに、携帯をチラチラ見てた癖に良く言うんじゃ…」

ありす「う、うるさいですっ!気になってたんですよ!」

巴「沙紀さんはまだお仕事じゃけぇ知らんじゃろうなぁ…」

ありす「前監督時代に完全試合を逃してから大分待ちましたよ…」

友紀「確か、マメがどうとか言ってて自分から代えて欲しいって言ったらしいって」

ありす「でも、そこで代えることが出来るのは凄いとは思います」

巴「確かにウチが監督じゃったら記録を作らせてやりたいと思って代えないのぉ…」

ありす「確かその前にノーヒットノーランをやったのが山科さんですよ」

P「あの人何者なんだ…。凄いなぁ。俺も頑張らないと」

友紀「何を頑張るのさー?」

P「そうだなぁ…アイドルの代わりに始球式でもやるよ」

巴「笑えない冗談じゃ」

ありす「そんなことはさせませんからな」

P「ごめんごめん。冗談だって。もし、始球式のオファーがあったら教えるよ」

友紀「約束だからねー」

穂乃香「お疲れ様です」

P「あ、お疲れ様。レッスンはどうだった」

穂乃香「えぇ、とても有意義なものとなりました。また表現の幅を広げることが出来たと思います」

P「そこまで言ってくれると嬉しいよ」

穂乃香「と言うより、今日はやけに事務所に人が多いですね」

P「まぁ、皆でテレビ見てただけなんだけどな」

穂乃香「…ほどほどにしないと目を悪くしてしまいますよ?」

ありす「ちゃんと離れて見てるんで問題ないですよ……あっ!」

友紀「ありゃ…おっ、ナイスキャッチ!」パチパチ

巴「ウチのもあれくらい頑張ってくれればいいんじゃけどなぁ」

穂乃香「確か…ファインプレーが出る試合は大記録が生まれやすいんですよね」

ありす「えぇ、そうですね。これは記録が出ますねっ」

巴「そう言えば、ウチのエースもノーヒットノーランやったけぇ」

友紀「ここでやられると二年連続ノーヒットノーランかぁ…辛いねぇ」

ありす「他人事って感じですね」

P「そんなチームに七点差ひっくり返されたけどなぁ…」

友紀「う…それは言わないで」

穂乃香「あ、そう言えば、仕事が少しの間空くのでその間にでも…」

P「うん。分かってるって。ごめんな待たせて」

穂乃香「いえ、あくまで仕事が優先ですよ。公私を混同してはいけません」

P「どっちも公だと思うけど」

穂乃香「えっ、あ、そう言えばそうですね」

友紀「なになに?プライベートでPさんに来て欲しかったとか?」

穂乃香「なっ…!」カァァ

友紀「あははー、そんな顔を赤くしないでよー」

ありす「…きゃあっ!」

P「ど、どうしたんだ?」

ありす「ノーヒットノーラン達成です。やりました!」

P「お、凄いなぁ」

友紀「ウチ相手じゃなくてよかったよ…」

巴「む…これで四つどもえから頭一つ抜けてしまうんじゃ…」

穂乃香「んんっ!それじゃ、明日宜しくお願いしますね」

P「おぉ、分かってるって」

穂乃香「それは良かったです。それでは私はこれで失礼します」

P「あぁ、気を付けて帰れよ」

穂乃香「お心遣い感謝します。それではさようなら」

友紀「ばいばーい」

翌日



P「お、いたいた」

穂乃香「おはようございます。お仕事の疲れなどはないでしょうか?」

P「あぁ、問題ないよ」

穂乃香「それは良かったです。私の両親もPさんに会えるのを楽しみにしていましたよ」

P「そうなのか」

P(何となく厳しそうなご両親なんだよなぁ…)

穂乃香「それでは、新幹線で行きましょうか。そこまで掛からないと思いますよ」

P「そうなのか。それじゃ行こうか」

穂乃香「えぇ」

車内

穂乃香「昨日はお仕事をどのくらいまでされてたんですか?」

P「んー、十時過ぎには家に帰ったよ」

穂乃香「十時ですか…お疲れ様です」

P「大体そのくらいまでは働いてるよ」

穂乃香「私たちの為に働いているお二人には感謝しきれませんね」

P「俺たちの方が感謝してるって。いつもありがとうな」

穂乃香「そんな…私は別に…」カァァ

穂乃香「そ、そうだっ!以前言ってましたけど野球観に行きましょうよっ」

P「でも、そこまで詳しくないんじゃなかったか?」

穂乃香「う…。いいんですっ!行ったことないんで行ってみたいんですよ」

P「なら行こうか」

穂乃香「えぇ、そうしましょう」

P「穂乃香ってさ…」

穂乃香「な、なんですか?」

P「球技とかは得意なのか?」

穂乃香「そうですねぇ…もちろんそれなりには出来ると思います」

P「やっぱり運動神経いいんだな」

穂乃香「そこまで自慢できるものではないとは思いますけれど」

P「そうかな」

穂乃香「そうですよ」

仙台

穂乃香「思えば久々に帰ってきた気がします」

P「最近働きづめだったもんな」

穂乃香「便りがないのが元気の印と言いますし…」

P「そうだな」

穂乃香「Pさんはご実家に帰らないんですか?」

P「俺はそうだなぁ…時間があればだな」

穂乃香「時間取れるといいですね」

P「そうだな。ありがとう」

穂乃香「いえいえ。それでは、私の家に参りましょうか」

穂乃香「ここです」

P「お、ありがとう」

穂乃香「き、緊張しますね」

P「そこまで緊張しなくてもいいと思うけど」

穂乃香「い、いえ、緊張するなというのは無理ですよ」


穂乃香「た、ただいま」

穂乃香母「お帰りなさい」

P「ご無沙汰してます」

穂乃香母「あ、プロデューサーさんもご一緒でしたか。ささ、どうぞ」

P「お邪魔します」

穂乃香母「これ、粗茶ですが」

P「あ、わざわざすみません。いただきます。こちらつまらないものですが…」

穂乃香母「わざわざすみません」

P「いえいえ、先日千葉に行った際に買って轟太鼓というお菓子です」

穂乃香母「まぁ、後で美味しく頂かせていただきますね」

P「しかし……」キョロキョロ

穂乃香「どうかしましたか?」

P「いや、トロフィーが多いなって思ってさ」

穂乃香「まぁ、色々な賞を頂いたりしましたから」

P「聞いてはいたが、凄いな」

P(これで満足出来ないって言ってアイドルやるなんて凄いよなぁ…)

穂乃香「結果的にアイドルの世界に入って正解だったと思います。表現の幅が広がりました」

P「そう言って貰えると嬉しいよ」

穂乃香母「最初は驚いたけど、穂乃香の今の顔を見て、その選択は間違ってなかったと思います」

P「そうですね。それでは、早速ですが、お仕事のお話を——」

P「——とやはり、バレエをやっていただけあってそっちのお仕事も多いですね。それに最近はライブも精力的にこなしていますし、ウチの事務所のエースですよ」

穂乃香「そ、そんなことないですって…」

P「親御さんから、これからの希望などはありますでしょうか?」

穂乃香母「そうですねぇ…。ちょっとイメージと違うことにもチャレンジさせてあげて下さい。この子の言葉を借りると表現の幅が広がると思うんです」

P「例えば…なんでしょうか」

穂乃香母「例えば、お料理とか」

P「料理ですか…穂乃香出来るか?」

穂乃香「つ、作ったことは余りないですけど、手順を踏めば簡単だと思います」

P「なるほどな。いっそお菓子でも作ってみるか」

穂乃香「そ、そっちは作ったことがないので分からないですね」

P「分かりました。それでは、その要望も取り入れて今後頑張っていきたいと思います」

穂乃香母「はい。これからもよろしくお願いしますね」

P「いえいえ、こちらこそよろしくお願いします」

穂乃香母「あ、プロデューサーさん一つよろしいですか?」

P「はい?なんでしょうか」

穂乃香母「この子、事務所に入ってから今まで見て何か変わったかしら?」

P「そうですね…本人が言う通り表現力は上がったと思いますよ。

勿論素人意見なのですが、笑顔を見せてくれるようになったと思います」

穂乃香母「そうですか」

P「あと、ストイックなのは変わらないですけど、こちらの意見もちゃんと聞いてくれて、なにより自分の——」

穂乃香「そ、そこらへんにしてくださいっ!」カァァ

P「ん?どうかしたか?」

穂乃香「恥ずかしいんですよ。察してください」

P「それはごめんな。まぁ、そんな感じです」

穂乃香母「そうですか。ありがとうございます」

穂乃香母(そっちの方も順調みたいね…)

穂乃香「そっ、そろそろ球場に向かいましょう!遅れては十全に試合を楽しめませんしっ」

P「お、おう…分かった」

P(そんなに時間ギリギリじゃないんだけど…)



P「多分まだ球場行っても早いと思うぞ?」

穂乃香「そうなんですか?」

P「多分だけど、今日はナイターだから入場はゆっくりなんだよ」

穂乃香「そうなんですか…。あっ、それじゃ、こっちで私が通ってた高校とか見ますか?」

P「高校をか?」

穂乃香「はい。Pさんにはアイドルをしてる時以外の私も見て貰いたいんで」

P「そこまで言うなら見せて貰おうかな」

穂乃香「ま。見せるって言っても外から見るだけなんですけどね…」

学校

P「大きな学校だな」

穂乃香「久しぶりに見ると私もそう思います。バレエの大会などで満足に出席出来ない時もありましたが、ここでの生活もまた楽しかったと思います」

P「ここに戻りたいのか?」

穂乃香「い、いえっ、決して今が楽しくないわけじゃないんですよ。ただ、たまには感傷に浸ろうかなって」

P「そうか。良ければ話し相手にはなるぞ」

穂乃香「はい。そうですね——」

穂乃香「——ということがありまして」

P「なるほどなぁ。楽しそうだ」

穂乃香「えぇ、色褪せない記憶です。あっ、時間の方は平気でしょうか?」

P「お、そろそろ丁度いいんじゃないか?」

穂乃香「そろそろ参りましょうか」

球場

P「ここは初めて来たなぁ…」

穂乃香「私もここが話題になった時には既に東京の方にいましたから初めてですよ」

P「そういや、そうか」

穂乃香「えぇ、あ、あれなんでしょうか?」

P「ん?なんだ?」


カメラマン「はい。そのままのポーズで」カシャ

カメラマン「はいオッケー。いいね。流石だよ」

?「そんなことないですって」

P「撮影やってるみたいだな」

穂乃香「モデルさんでしょうか?」

P「穂乃香は知らないのか?」

穂乃香「えぇ、申し訳ないですが…」

P「んー……あっ!分かった。佐久間まゆさんだ。読者モデルの」

穂乃香「読者モデルなんですね。なるほど…」

球場スタッフ「あの…すみません」

P「はい?」

球場スタッフ「私、ここの球場関係者なんですけども」

P「はい。なんですか?」

球場スタッフ「お隣の方は綾瀬穂乃香さんですよね?」

穂乃香「はい。そうですが…」

球場スタッフ「あの…誠に恐縮なのですが…始球式に来るはずだった一人が欠席してしまいまして…」

P「代わりを穂乃香に?」

球場スタッフ「はい。大変申し訳ないと思っているんですが、綾瀬さんは地元では有名なので…お願い出来ないでしょうか?」

P「どうする?」

穂乃香「構いませんよ。何事も挑戦ですから」

球場スタッフ「本当ですか?ありがとうございます。それではご案内しますので…」

P「あ、それじゃ、俺はチケットを…」

球場スタッフ「いえいえ。それはこちらから用意させて頂きますのでご安心下さい。それでは、プロデューサーさんも一緒に付いてきて貰っていいですか?」

P「あ、はい」

P「それで、今日は穂乃香一人が投げるんですか?」

球場スタッフ「いえ、もう一人、佐久間まゆさんが投げる予定です」

P「二人で始球式をやるんですか?」

球場スタッフ「えぇ、ちょっとした試みで」

P「なるほど…」

P(そう言えば、この間どっかのアイドルグループがやってた気がするなぁ…)

球場スタッフ「それではこれグローブになりますが少し体を動かしておいて下さい。今スグにユニフォームを作ってきますので」

P「あ、はい」

穂乃香「なんだか忙しくなってきましたね」

P「みたいだな」

P(友紀ならともかく穂乃香とキャッチボールするなんてな)

P「投げれそうか?」

穂乃香「肩は痛めてないので問題ないと思いますが、投げ方に自信は…」

P「まぁ、始球式だからそこまでやらなくても…」

穂乃香「いえ、それは甘えというものです」

P(あ、スイッチ入ってる)

穂乃香「とりあえず、何通りかの投げ方で投げますんで評価して下さい」

P「わ、分かった」

P「おー…」ポスッ

穂乃香「どうですか?」

P「中々綺麗なフォームだったよ。体柔らかいせいもあってか一連の動きで投げられてる気がする」

穂乃香「そうですか、ありがとうございます。あ、でも、個人的には足をもう少し上げた方が安定しますね」

P(まぁ、スカートじゃないからいいか…)

穂乃香「ほら、安定しましたっ!」

P「おー、凄いな。俺じゃ固くて無理だよ」

P(スパローズのライアンみたいだ)

球場スタッフ「すみません。完成しました。これは始球式後に差し上げますんで…」

穂乃香「わざわざすみません」

球場スタッフ「いえいえ。それではまだ時間があるので少しの間時間を潰していてください」

まゆ「ここでいいんですかぁ?」キョロキョロ

P「あ、佐久間さんこんにちは」

まゆ「えーと、関係者の方ですか?こんにちは」

穂乃香「今日一緒に始球式をやることになった綾瀬穂乃香です。よろしくお願いします」

まゆ「佐久間まゆです。よろしくお願いしますね」

穂乃香「佐久間さんはグローブを頂きましたか?」

まゆ「はい。それじゃ二人でキャッチボールでもしましょうか」

穂乃香「えぇ、そうですね。Pさんはそこで休んでいてください」

P「分かった」

穂乃香「それっ」

まゆ「わわっ、運動神経いいですねぇ綾瀬さん」

穂乃香「それほどじゃないです」

まゆ「それほどですよぉ。えいっ」

穂乃香「ナイスコントロールです」ポスッ

ウグイス嬢「さぁ、アードラーズ対オリオンズの試合を始めたいと思います」

ウグイス嬢「試合開始に先立ちまして始球式を執り行いたいと思います」

ウグイス嬢「今日の始球式は、読者モデルとして人気が高い佐久間まゆさんと、バレエで数々の賞を取り、現在はアイドルとして活躍中の綾瀬穂乃香さんです」

ワーワー

P「盛況みたいでよかった」

ウグイス嬢「それでは同時に…え?失礼しました。それでは最初に佐久間さんからお願いします」

P「お、お願いが通ったのか」

P(穂乃香も佐久間さんもどうせならマウンドから投げたいって言ってたもんな…)

ウグイス嬢「バッターは一番セカンド根本」

まゆ「えいっ」

ポスッ

P「お、ナイスコントロール」パチパチ

ワーワーワー パチパチ

ウグイス嬢「ピッチャーの交代をお知らせします。佐久間に代わりまして綾瀬」

穂乃香「いきますっ」

パスッ

P「本当にあそこまで足上げたのか」

P「運動神経いいんだな。あとバランス感覚も」

ワーワーワー ライアンダー

ウグイス嬢「それでは、両名に今一度大きな拍手をお願いいたします」

パチパチパチパチ

穂乃香「あ、Pさん見ていただけましたか」

P「あ、凄かったな」

まゆ「あ、綾瀬さんのプロデューサーさんだったんですねぇ」

P「えぇ、そうです。佐久間さんのマネージャーかプロデューサーさんは?」

まゆ「いませんよぉ。人に管理されるのあんまり好きじゃないんで」

P「そうなんですか。あ、それなら三人で一緒に試合でも観ましょうよ。いいよな穂乃香?」

穂乃香「えぇ、構いませんよ。ここでさよならというのは少し味気ない気がしますから」

まゆ「それじゃお言葉に甘えて…」

球場

P「なるほど、バックネットか」

穂乃香「いい席ですね」

まゆ「選手が近くに見えますねぇ…」

P「佐久間さんは野球は好きなんですか?」

まゆ「そうですねぇ…そこまでは詳しくないです。嫌いじゃないですけど」

穂乃香「私と似たような感じですね」

P「そうですか。なら俺が少し位なら解説するな」

穂乃香「ありがとうございます」

カキーン

穂乃香「思ったより打球が飛びましたねツーベースですね」

P「お、ここで四番か。BJかぁ、打ちそうだなぁ…」

カキーン

穂乃香「あっ!」

P「おー、打ったか。流石メジャーリーガーだな」

まゆ「メジャーリーガーなんですかぁ?」

P「あぁ、メジャーリーガーだよ」

まゆ「なんだかすごい人ですねぇ…笑顔が素敵です」

カキーン

P「危ないっ!」バチッ

まゆ「きゃっ!」

P「大丈夫ですか?」

まゆ「は、はい」

ウグイス嬢「ファールボールにご注意下さい」

穂乃香「てっ、手は大丈夫ですか?」

P「ん?平気だぞ。音に反してそこまで痛くないから」

穂乃香「なら良かったですけど…」

まゆ「だ、大丈夫ですかぁ…?まゆの為に怪我なんて…」

P「大丈夫ですって。あ、そうだ、この球あげますよ。佐久間さんに」

まゆ「本当ですかぁ。ありがとうございまぁす」ニコッ

穂乃香(いいなぁ…)

P「穂乃香はまた今度機会が行った時にでもいいだろ?」

穂乃香「何か口に出してましたか…?」

P「そんな顔をしてたよ」

穂乃香「以後注意します」

まゆ「なんだかごめんさない。綾瀬さん」

穂乃香「べ、別にいいんですよ。いい記念になりましたね」

まゆ「えぇ」

カキーン


穂乃香「オリオンズも負けずに打ちますね」

まゆ「見ていて飽きませんねぇ」

P「お。追いついたな。これで2-2か」



四回裏

カキーン

P「また打ったのか…」

穂乃香「ホームラン一本で逆転されてしまうと少しやるせない気がしますね…」

まゆ「ちょっと相手が気の毒に見えてきましたよぉ」

五回裏

P「お、流石に三打席連続ホームランはなかったか…」

カキーン

穂乃香「と思ったら後ろの外国人が打ちましたね…」

まゆ「怖いチームですねぇ…。まゆだったら投げたくないですよ」

P「凄いよなぁ…。本当に最近勢いがあるから怖い怖い」

P(怖いと言えば、さっきから周りの視線が怖い…。仙台で有名な二人と一緒にいる男ってだけで刺されそうだ…)

P(こりゃ、迂闊に買い物にもいけないな)



P「オリオンズも猪口が奮闘してるけど、流石に無理かな…」

穂乃香「四点差ですから、しょうがないですね」

まゆ「あ、終わっちゃいましたぁ…」

ウグイス嬢「本日の試合は8-4でアードラーズの勝利となります。それでは、引き続きヒーローインタビューに移りたいと思います」

P「今日のヒーローインタビューはやっぱりBJか」

まゆ「あの人ニコニコしてますねぇ」

穂乃香「笑顔でプレー出来るというのはいいことですね」

アナウンサー「それでは、ヒーローインタビューに移りたいと思います。今日のヒーローは二打席連続ホームランのBJ選手です。やりましたね」

通訳「——、——」

BJ「oh、…サイコーデース!」

ワァァァァ


BJ「———、——」ペラペラ

通訳「監督は自分たちの父親であり、喜ばしてやりたい」

通訳「そして、仙台にチャンピオンフラッグを持っていきたいです」

ワァァァ!


BJ「thank you! サイコーデース!」

アナウンサー「以上でヒーローインタビューを終わりたいと思います。3.2.1、burn!」

BJ「burn!」

P「それじゃ俺たちも帰るか。送ってくよ」

穂乃香「ありがとうございます」

P「えーと佐久間さんはどうしますか?」

まゆ「まゆは電車で帰りますよぉ?」

P「それじゃ、一緒に帰りましょうか」

まゆ「本当ですか?ありがとうございます」



穂乃香「私はこっちですが、佐久間さんはどっちですか?」

まゆ「私もそっちですよ。あ、そうだ、プロデューサーさん一つお願いいいですかぁ?」

P「はい?」

まゆ「ボールを頂いた記念にサインしてくれませんかぁ?」

P「ボールに?」

まゆ「はい♪プロ野球選手のサインより珍しそうですし」

P「確かに珍しいとは思うけど…。まぁ、それがいいって言うなら…はいどうぞ」

まゆ「ありがとうございます。あ、丁度電車が来ましたねぇ」

穂乃香「乗りましょうか」

車内

P「あ……」

穂乃香「どうかしましたか?」

P「いや、なんでもない」

P(しまった。穂乃香送って間に合うかな終電)

まゆ「どうかされたんですかぁ?」

P「なんでもないですよ」



穂乃香「あれ?佐久間さんもここなんですか?」

まゆ「ちょっと買い物しなきゃいけないのを思い出しまして」

穂乃香「こんな夜に大丈夫ですか?」

まゆ「ご心配ありがとうございます。でも、駅の中で済むので平気ですよぉ」

穂乃香「ならいいですけど」

P「それじゃ、お疲れ様です」

まゆ「はい。さようなら…」


まゆ「ふぅ…」

穂乃香「佐久間さん平気ですかね?」

P「だと思うけど…」

穂乃香「そう言えば、一つ気になったんですけど」

P「うん。どうした?」

穂乃香「終電って大丈夫ですか?」

P「平気なんじゃないかな」

穂乃香「……本当ですか?」

P「本当だって」

穂乃香「えーと…今の時間は…。乗り換え検索で…」

P(あ、マズい)

穂乃香「私の目が確かならとっくに終電が過ぎてるんですけど…」

P「あ、そうだったかごめんな。でも、安心してくれ深夜バスがあるから」

穂乃香「深夜バスですか?」

P「そうそう。それなら何とかなるからさ」

穂乃香「……ダメです」

P「えっ…」

穂乃香「今夜はうちに泊まっていって下さい」

P「いや、いきなりは悪いって」

穂乃香「…私が泊まって欲しいんです。ダメですか?」チラッ

P「そこまで言うなら…って親御さんは平気なのか?」

穂乃香「平気だと思います。多分、いや、絶対説得してみせますからっ」

P「そこまで言うならお願いするよ」

P(一応念のために明日、半休にしておいてよかった…)

穂乃香母「すみません、穂乃香が無理言ってしまったみたいで」

P「いえいえ、こちらこそ泊めて貰ってすみません」

穂乃香母「いえ、構いませんよ。穂乃香のプロデューサーさんですからね」

P「本当にすみません」

穂乃香「わ、私が泊まって欲しいって言ったんですから何も悪くないですよ」

P「そう言ってくれると助かる」

P(今度から行ける所は車で行くことにしようかな…行けたらだけど)

穂乃香母「ま。謝るのはそのくらいにして上がって下さい」

P「すみません。失礼します」

穂乃香の部屋

穂乃香(…なんであんなこと言ってしまったんだろう)ハァ

穂乃香(泊まって欲しいだなんて…あぁ、もう)カァァ

穂乃香「あ、とりあえず、お風呂入らないと…」


Pの部屋

P「とりあえず、部屋は分かれていたみたいで良かった」

P(何故だか、広島と名古屋の時は一緒の部屋で寝てたからなぁ…)

コンコン

穂乃香「綾瀬です。お風呂どうぞ」

P「あ、ありがとな」

穂乃香「一応父の着替えを置いておきます」

P「わざわざごめんな」

穂乃香「いえ、それでは」

P「さてと、明日はなるべく早く東京に帰ろう」

P(朝早すぎると迷惑だろうから…七時の電車にでも乗るか)

P「穂乃香は…休みだから平気だな」

P「それじゃ寝るか」

穂乃香の部屋

穂乃香(隣でPさんが寝てるんですよね…)

穂乃香「寝れない…」

穂乃香「うーん…」

穂乃香(Pさんは寝たんでしょうか…?)


Pの部屋

スーッ

穂乃香(寝てますよね…?)

P「…穂乃香か?」

穂乃香「ひゃいっ!?」

穂乃香「起きてたんですか?」

P「まぁな」

P「どうした?もう朝か?」

穂乃香「いえ、まだですけど…」

P「なら、どうした?」

穂乃香「い、いえ、なんでも!し、失礼しました」

P(どうしたんだろう?)

ピリリリ

P「はい、Pですが…」

穂乃香「あ、あの…」

P「穂乃香か、どうした?って言うかさっき何しに来たんだ?」

穂乃香「え、あれは部屋を間違えてしまって」

P「そうだったのか。わざわざそれを謝るために電話したのか」

穂乃香「は、はいっ。その通りです。おやすみなさい」

P「あぁ、おやすみ」


穂乃香(うぅ…私の意気地なし)

穂乃香「寝よう…」ハァ

翌日

P「それじゃ、ありがとな」

穂乃香「いえ、とんでもないです。あ、これ受け取って貰えますか?」

P「ん?なんだ封筒?」

穂乃香「はい。新幹線の中で開けて下さい。それじゃ」

P「あぁ、ありがとな」



P「何書いてあったんだろう…」

P「『私にとって、あなたは恩師です。いえ、恩師以上の存在です。なくてはならないです。——私はズルいですね。いつか、言葉で伝えます。その時までこの手紙を持っていてくれると嬉しいです』

?「おはようございまぁす」

P「ん?あ、どうも」

まゆ「プロデューサーさんは今から東京に帰るんですかぁ?」

P「えぇ。佐久間さんは?」

まゆ「うふふ。まゆでいいですよぉ」

P「…まゆさんは東京でお仕事ですか?」

まゆ「そうですねぇ…そんな感じですね。あ、そうだ、ここで会ったのも何かの縁ですから事務所を見せて貰ってもいいですか?」

P「事務所ですか?別にいいですけど」

まゆ「ふふ。ありがとうございます。まさか朝の駅で会うなんてまゆは運命を感じますよ」

P「確かに珍しい偶然もありますね」

まゆ「あ、敬語も使わなくていいですって。ちょっと堅苦しくてまゆの息が詰まっちゃいます」

P「そうですか?なら努力するよ」

まゆ「はい。お願いしますね」

車内

まゆ「昨日の試合楽しかったですねぇ」

P「そうだなぁ…」

まゆ「まゆが思うにですね。昨日の試合は実は三番を打ってた選手がキーマンだったと思うんですよぉ」

P「ん?」

まゆ「だって、あの人がいたから大量得点に繋がったと思うんです」

P「うん。そうだな」

P(あれ?昨日はあまり興味ないって言ってた気が…)

まゆ「あれ?まゆ間違えちゃいましたか?」

P「いや、ちょっと驚いてさ、意外に詳しいんだなって」

まゆ「そんなことないですよぉ」ニコニコ

P(凄い嬉しそうだ)

P「あ…」

まゆ「どうかしましたか?」

P「いや、なんでもないよ」

P(鞄の中に真新しい野球名鑑が…。勉強したのかな)



P「ふぅ。お疲れ様。これから仕事?」

まゆ「まだ、時間があるので先に事務所を見せて貰っていいですか?」

P「え、別に構わないけど」

まゆ「うふふ。ありがとうございます」

事務所

P「ただいま帰りま——」

友紀「Pさんちょっとここに正座!」

P「な、なんだよ急に」

千奈美「まぁ、今ばかりは友紀さん側に付くわ」

P「千奈美まで…と言うか、後にしてくれ。折角見学しに来てくれる人がいるのに」

友紀「ん?あ、後ろにいる子?」

P「そうそう。仙台で読モやってる佐久間まゆさんだ」

P(あれ?なんで仙台で仕事してるのに事務所の見学に来たんだ?)

まゆ「うふふ。初めまして新しく事務所に入ることになりました佐久間まゆです」

P「えっ!?」

まゆ「以前の事務所はもう辞めてしまいました。なのでここでお世話になろうって思いまして」

P「そ、そうなんだ…」

P(事務所間の移籍の問題とかは大丈夫なんだろうか…?)

まゆ「あ、細かいことは全部平気ですよぉ。何とかしましたんで」

P「あ、はい…そうですか」

友紀「そんなことよりさー」

P「そんなことで済ませるのか…なんだ?」

友紀「いや、この子もなんだけど、昨日穂乃香ちゃんが始球式やってなかった?」

千奈美「ちなみにその佐久間さんもやっていたと思うけど?」

P「ま。飛び入りでね」

まゆ「思えば、そこから運命の糸は繋がっていたんですねぇ」

千奈美「友紀さんと二人で見ていたから良かったけど、橘さんや巴ちゃんが見たらきっと怒るわよ?」

友紀「アタシは、穂乃香ちゃんの投球フォームが思ったよりカッコよかったから許すけどさー」

P「ありがとな」

千奈美「そう言えば、いきなりこの事務所に入るって言ってたけど平気なの?」

P「どうなんだろうなぁ…。まぁ、契約とかなければ」

まゆ「丁度更新の時期でどうしようか迷っていた所だったんで平気ですよぉ。あっ…」コトン

友紀「ん…?こ、これって」

P「あ、それ、俺が昨日取ったボールだな」

友紀「Pさんのサインが入ってる…!うわーなんかよく分からないけど凄い」

まゆ「それは、まゆのですよ?」

友紀「うん。分かってる返すねー」

まゆ「ありがとうございます」ホッ

千奈美「気のせいかもしれないけれど、昨日あなたはバックネット付近にいたかしら?」

P「もしかして…見えた?」

千奈美「そんなことはないけれど、実況がファールボールを素手でキャッチした男性がいるって言ってたわ」

友紀「あ、言ってたねー。回転掛かってるのによく捕れたねって話してた」

まゆ「凄かったですよ」

友紀「今度はアタシと砂かぶり席に行ってファールボールを素手で捕ってよ」

千奈美「流石に命の危険がありそうじゃないかしら…?」

P「下手したら死ぬから勘弁してくれ…」

まゆ「プロデューサーさんは野球がお好きなんですか?」

P「嫌いじゃないよ」

まゆ「それじゃ、またまゆと一緒に野球観に行きましょうね」ニコッ

P「時間が合えばということで」

まゆ「身を挺して庇ってくれた時から、まゆはあなたのまゆですから」

P(ちょっと表現がオーバーな気がするが、さっきの野球名鑑と言い健気な子だなぁ…)

友紀「さーて、今日は星を料理しちゃってよ」

沙紀「と言っても、まだ同点じゃないですか」

友紀「いやー、負けるわけがないでしょ。あははは」

千奈美(何故かしら、どうもキャッツが負ける気がしてしょうがないわ。別にキャッツが負けてもいいのだけれど)



カキーン

友紀「おっ!ナイス内野ゴロ。こういう時に状況が読めてるといいよね。これで勝ち越しかー。決まったね」ドヤ

沙紀「ま、まだっすよ」

九回表

沙紀「とりあえず出てくれっす……」

カキーン

沙紀「やったぁ!」

友紀「あれ、おかしいな。なんでか知らないけど嫌な予感がするんだけど…」

千奈美「奇遇ね。私も何か起きそうな気がするわ」

沙紀「あぁ、なんでバントが決まらないんすか」

友紀「へへっ儲け儲けー♪」

実況「ここで、バッター代わりまして多田」

友紀「げ」

沙紀「勝ち越しホームランでもいいっすよ!」

友紀「それだけは……お願い!」

実況「フォアボールを選びました」

友紀「ま。それでもいいよ今は」

実況「おっと、ここで……中里でしょうか?」

友紀「やめーてー」

実況「ピッチャー北村このピンチをあぁ!」

P「あっ!」

実況「…大丈夫でしょうか。今完全に頭に当たったようでしたが…」

実況「あ、立ち上がりました。何とか大丈夫なようです。ここで北村が危険球で降板となってしまいました」

友紀「なんでだろう…ウチの方程式がスターズ戦の時だけボコボコにされてる気がするんだけど…」

実況「ピッチャーはマシゾンのようですね」

沙紀「荒浪はそのままっすか…」

沙紀(平気っすかね…?)

カキーン

沙紀「やったー!」

友紀「え、ちょっと嘘だよねっ!?」

P「打たれたなー。まぁ、緊急登板だったししょうがないか…」

沙紀「逆転したっすよ!」

まゆ「筋書きのないドラマってこういうことを言うんでしょうねぇ…」

終わりです。
見て下さった方ありがとうございました。

なんかごく自然に所属してしまったな・・・
綾瀬さんがかわいかった

とりあえず選手の名前が良く判らんのが難点だなぁ

うーむ…。現在北海道で書いてるんだが…いい試合がない。

>>56
今度から最後に正しい人の名前書いた方がいいかな?

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