紗南「ディスプレイ・オーバー」 (54)

こんばんは。
一人の紗南Pとして、このSSを捧げさせてもらいます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372162078

———344さんがログインしました———

———製作者さんがログインしました———

344『あ、来た来た♪』

製作者『こんばんは。今日もログインしているんですね』

344『ここのところは毎日ログインしていますよ』

製作者『僕が言うのもなんですけど、あんまりゲームばっかりやってたらダメですよ?』

344『むぅ、お母さんみたいな事言いますね』

製作者『ははは、すみません。自分より年下の子供達と関わる仕事をしていますので。こういう口調になっちゃうんですよ』

344『へぇ。もしかして保育士さんとか?』

製作者『いえ、保育士ではないですね……詳しくは言えませんが、なかなかにやりがいのある仕事です』

344『そうなんですかぁ。仕事と言えば、私も面白い仕事やってるんですよ』

製作者『へぇ、どんな?』

344『あたしも秘密です♪貴方が教えてくれたら、教えちゃおうかなー」

製作者『勘弁してください……』

344『それで、今日は何を———』

製作者『あ、すみません。その前に一ついいですか?』

344『はい?なんですか?』

製作者『……くだらない事なんですが、相談できるのが344さんくらいしかいなくて』

344『相談、ですか』

製作者『はい……』

344『どんな相談なんですか?』

製作者『その……ちょっとした、恋愛相談……です』

———翌日 事務所———

紗南「ふわぁぁ……おはようございます……」

ちひろ「あら、紗南ちゃんおはよう。随分眠そうね」

紗南「はい……ちょっと昨日、チャットで白熱しちゃって」

ちひろ「チャットってオンラインゲームのかしら。あんまり遅くまでやっちゃダメよ?」

紗南「わかってます……それより、Pさんは?」

みてます

ちひろ「プロデューサーさんは杏ちゃんの送り迎えに行きましたよ」

紗南「もう送り迎えってレベルじゃないですよねアレ……」

ちひろ「まぁ、杏ちゃんですから」

紗南「そうですね。杏さんだし仕方ないですね」

ちひろ「そういう紗南ちゃんは、今日はオフのはずだけど」

紗南「Pさんに、ちょっと聞きたいことがありまして」

ちひろ「そうなんですか?だったら少し待ってれば戻ってくると思います」

紗南「わかりましたー……」

紗南「うーん……すみません。ソファで寝てていいですか?」

ちひろ「はい。プロデューサーさんが来たら起こしますね」

紗南「よろしくお願いしますー……」

ちひろ「あっとういう間に寝ちゃいましたね……どれだけ長く会話してたんですか」

紗南「zzz……」

———数十分後———

P「おーい紗南。起きろー」

紗南「うにゅ……にゃぁに、Pさん……」

P「いや、にゃぁにじゃなくて、お前が呼んだんだろ?」

紗南「そうだったっけ……ふわぁ」

P「お前、夜ふかしはあれ程」

紗南「ごめんごめん、昨日は特別っと……」

P「コーヒーでも飲むか?」サッ

紗南「うぇ、苦いの嫌い。頑張って起きる」

P「そうか」ゴクゴク

紗南「よく飲めるね」

P「大人だからな……大人なのも、困りものだが」

紗南「あー……なんだっけなぁ。そうそう、思い出した!」

P「俺に聞きたい事があったんだって?」

紗南「そうそう。あー、えっと、これはそう、友達、友達の話なんだけど」

P「うんうん」

紗南「そのー……もしも、自分より大分年下の子の事を好きになっちゃったら、どうすればいいのかなーって」

P「……紗南、お前……ショタk」

紗南「あたしじゃない!あたしの友達の話!」

P「でも友達の話、なんて切り出し方してくる場合、基本的に話し手の事だからなぁ」

紗南「あー、もう。いいから答えてよ」

P「そうだな……年はどれくらい離れてるんだ?」

紗南「えーっと……少なくとも10歳以上」

P「完全にショタコンじゃねぇか」

紗南「だ、だからあたしじゃないって!」

P「わかってるよ。それで……どうしてその子を好きになったんだって?」

紗南「んー……ごめん、そこまでは」

P「そうだなぁ。単に年下の子が好きになっちゃっただけなら、その子が成長するまで待つというのがある」

紗南「ふむふむ」

P「成長して、結婚とかも出来る年になってから告白したり……まぁ、それでも世間体からの目は厳しいだろうな」

紗南「なるほどぉ。なんかPさんが言うと説得力あるね!」

P「おいおい……まぁ、そうだなぁ。あとはもう世間体がなんだって告白する」

紗南「あたし的にはそっちのがかっこいいかな〜」

P「ほう、やっぱり紗南の話だったのk」

紗南「違うってば!もう!」

P「はいはい、わかったよ」ニヤニヤ

紗南「ニヤニヤしないで!」

杏「あうー……飴ー……」

P「ただいまくらい言えよ……」

杏「疲れてるんだもん」

P「全く……」

P「そういえば、紗南はショタコンらしいぞ」

杏「えっ、マジで?」

紗南「違うってばー!!」

———その日の夜———


———344さんがログインしました———

———製作者さんがログインしました———

344『っていうのはどうですか?』

製作者『なるほど……でもどっちにしても、苦労しそうですね』

344『でも、好きなんですよね?』

製作者『ええ、好きです』

344『言い切りますね。あたし、そういう思い切りのいい人、あたしは好きですよ』

製作者『ははは、どうも』

———黒騎士さんがログインしました———

344『はれ?どなたですかね』

製作者『あ、僕の知り合いです。紹介しておこうと思いまして』

黒騎士『……』

製作者『黒騎士さん、こちらが344さん』

黒騎士『よろしく頼む』

製作者『344さん。こちらは僕の現実でも知り合いの黒騎士さん』

344『こちらこそ、よろしくお願いしまーす!』

製作者『344さん、○○の素材が足りないって言ってたじゃないですか』

344『ああ、そうなんですよー。△△の防具に必要で———』

製作者『黒騎士さん、あいつ倒すの得意なんですって』

344『へぇ!あいつ、癖があるのに凄いですね!』

黒騎士『そうでもない。癖があるぶん、その癖を逆手に取れば簡単だ』

344『そうなんですか?』

黒騎士『ああ。なら実際にレクチャーしながら狩りに行ってみるか?』

344『よろしくお願いします!』

製作者『今回は僕は援護に回りますねー』

344『はい』

344『(……あれ、個人チャット?)』

製作者『(はい、申し訳ないのですが先ほどの話は黒騎士さんには秘密にしていただけますか?)」

344『(あ、はい。わかりました)』

製作者『(どうもからかわれそうで……)』

344『(ははは。わかりますその気持ち)』

製作者『(よろしくお願いします)』

344『(了解しました。じゃあ明日は20時頃に)』

製作者『(はい!)』

———翌日———


紗南「そろそろいるかな……?」

———344さんがログインしました———

———製作者さんがログインしました———

製作者『好きになった人の特徴、ですか?』

344『はい。どんな外見かとか性格か、とかですね』

製作者『わかりました』

製作者『まず背はかなり低いですね』

344『ふむふむ』

製作者『それでいて、ゲーマーな所がありまして』

344『もしかしてこのゲームもその人の紹介で?』

製作者『あ、いえ。そうじゃないです』

製作者『あと……引き込もりっぽいですかね』

344『なるほど。典型的なダメ人間っと』

製作者『そこまでは言ってませんよ。ただ……』

344『ただ?』

製作者『女の子なのに、ゲームしようとか、気軽に部屋に呼ぶのとかはやめて欲しいですね』

344『なんだ。仲、いいんじゃないですか』

製作者『それなりには。でもきっと、あっちはなんとも思ってないでしょう』

344『じゃあまずは、製作者さんの好意をその人に自覚させるところからですかね?』

製作者『そうなりますよね……でもストレートに【好き】とか伝えると、引かれそうで』

344『年下ならありえますね……』

製作者『大変です。本当に』

———黒騎士さんがログインしました———

製作者『(では、今日はこの辺で)』

344『(わかりました。とりあえず色々考えておきますね)』

———344さんがログアウトしました———

紗南「ふぅ……」

紗南「恋愛相談、とか言われてもな」

紗南「あたしはPさんしか……あ、いや。うん……そもそも、Pさんからの受け売りを話してるだけだし」

紗南「……今度は、あたしの主観で話してみようかな」

———翌日———


紗南「……うん、話す内容はこれでいいかな」

———344さんがログインしました———

———製作者さんがログインしました———

———黒騎士さんがログインしました———

344『あれ、黒騎士さん?』

製作者『えー。あのー。その』

製作者『バレました』

344『あらら』

製作者『散々からかわれましたよ』

黒騎士『全く。私にも相談してくれればよかったのに』

製作者『絶対からかうじゃないですか』

黒騎士『まぁな』

344『だから、今回は黒騎士さんも同伴で?』

製作者『ええ、まぁ……』

黒騎士『私は色恋沙汰には疎いのだがな』

製作者『散々からかったんですから、付き合ってくださいよ』

黒騎士『仕方ないな……』

344『それじゃ、今日はあたしの主観だけで話してもいいですか?』

製作者『主観、ですか?』

344『はい。今までのは他の人の受け売りが入ってたので』

製作者『ほう、聞かせてもらっていいですか?』

344『これはあくまで、あたしの主観なんですけど……やっぱり、ストレートに【好き】って言ってあげた方がいいと思います』

黒騎士『それはなぜだ?』

344『女の子っていうのは他の人の噂とかに敏感でも、自分のことになると急に疎くなるんです』

344『それこそ、些細なことで嫌われた、とかそんな勘違いしてしまいますから』

黒騎士『……経験論、に聞こえるな』

344『恥ずかしながら、そのせいで一度引きこもってしまった事がありまして』

製作者『……なるほど』

344『だから、言ってあげてください。【好き】だよって』

製作者『……』

黒騎士『ここまで言われたなら……やるよな?製作者』

製作者『……わかりました。明日、告白してみます!』

344『はい!その調子ですよ!』

黒騎士『頑張れよ……私は手伝わない』

製作者『お前な……』

344『さて!じゃあ景気付けにひと狩り行きましょうか!』

———344さんがログアウトしました———

紗南「……これで、よかったんだよね」

紗南「あとは製作者さんの恋が上手くいくように、神様にお願いするだけだよね」

紗南「神様、のの様、お願いっ!」パンパン!

紗南「……頑張って、製作者さん!」

———翌日 事務所———

紗南「おはようございます!」

ちひろ「おはよう。今日は元気みたいね?」

紗南「あの時は偶然ですってば。あの、Pさんいますか?」

ちひろ「Pさんなら今日も杏ちゃんのお迎えですよ」

紗南「お礼を言いたかったのにな」

ちひろ「ああ、例の恋愛相談のですか?」

紗南「ええ、友達からもお礼を預かってきてますし」


ちひろ「そうですか……もうちょっとで帰ってくると思いますよ」

紗南「それじゃ、あたしは適当に時間潰してますね」

ちひろ「はい。わかりました」

紗南「あ、じゃあPさんのパソコン借りようかな」

ちひろ「変なサイトとか言ったらダメですよ?」

紗南「行きませんよ!もう」

紗南「……ん?」

紗南「Pさん、パソコンつけっぱなしじゃん……もう。消しておかないと電池がもったいないよ」

紗南「……あれ、このゲーム……」

紗南「……えっ?」

———製作者さんがログインしました———

———黒騎士さんがログインしました———

紗南「製作者って……」

紗南「た、たまたま同じ名前なだけ……だよね?」

紗南「……ステータスも、一緒……会話内容も……」

紗南「そんな、じゃあ……製作者さんって」

P「ただいま連れてきましたー」

杏「うぇー……眠い……」

ちひろ「おかえりなさい」

紗南「……P、さん?」

杏「ねぇねぇ、飴ちょーだい?」

製作者『まず背はかなり低いですね』

杏「えー?いいじゃん、前払い前払い」

製作者『それでいて、ゲーマーな所がありまして』

杏「んー♪うまうま」

製作者『あと……引き込もりっぽいですかね』

杏「もう一個ー。えー、いいじゃん」

製作者『女の子なのに、ゲームしようとか、気軽に部屋に呼ぶのとかはやめて欲しいですね』

紗南「———そん、な」

紗南「……」

ちひろ「紗南ちゃん、ちょっと杏ちゃん運ぶの……紗南ちゃん?」

紗南「……っ!!」ダッ ガチャッ バタン!

P「え、紗南?!」

ちひろ「紗南ちゃん?!」

杏「……?」

P「ちょ、ちょっと俺追ってきますね!」ダッ

ちひろ「は、はい!」

杏「……」スタスタ

ちひろ「……杏ちゃん?」

杏「……電源つけっぱなしじゃん。あの馬鹿」

ちひろ「え?」

杏「プロデューサーのパソコン、借りるね。ああ、文句はあの馬鹿プロデューサーに言って」

ちひろ「ちょ、ちょっと!?」

———女子寮 紗南の部屋———

紗南「……Pさんの恋愛相談に乗ってたんだ。あたし」

紗南「杏さんに対しての好意とも知らずに、応援する気で」

紗南「……」ポロポロ

紗南「失恋、しちゃった」

紗南「初めて好きになったのにな……二次元以外で」

紗南「ゲーマーで引きこもりだったあたしを外へ引っ張り出してくれて」

紗南「キラキラしたものを、沢山見せてくれて」

紗南「……不器用なりに、手作りのチョコもあげたりして」

紗南「ゲームオーバーって、こういう事を指すのかな」

紗南「目の前が、真っ暗になった……なんて。あははは……」

ピピピピピピ!

紗南「……?」

紗南「黒騎士さんから、個人チャット……?」

———344さんがログインしました———

344『(えと、あの)』

黒騎士『(……ねぇ、それでいいの?)』

344『(え?)』

黒騎士『(それでいいのって聞いてるの)』

344『(何、を)』

黒騎士『(悩んで一人で引きこもってるでしょ?)』

344『(な、なんで)』

黒騎士『(今はそういうのいいから。で、諦めるの?)』

344『(諦めるって)』

黒騎士『(フラれたかもしれない、程度で諦めるの?)』

344『(……どうして)』

黒騎士『(私からは不器用だから、これしか言えないけどさ)』

黒騎士『(きっと勘違いだと思うよ)』

344『(勘違い?)』

黒騎士『(いつか言ってたじゃん。勘違いがどうのって)』

344『(た、確かに言いましたけど)』

黒騎士『(344さんはまた勘違いしてるんだよ。きっと)』

344『(……そんな、ワケ)』

黒騎士『(言いたいのはそれだけ。じゃね、バイバイ)』

344『(え、あ、ちょ!?)』

紗南「……なん、なの?」

紗南「黒騎士さん、貴方は何者なの……?」

P「紗南っ!!」ガチャッ

紗南「えっ?!P、さん?!なんで、部屋、に」

P「鍵、空きっ放しだったぞ」

紗南「あ……」

紗南「……何しに、来たの?」

P「……344さんって、お前、だったんだな」

紗南「……そうだよ。製作者さん」

P「……あの、その、なんだ」

紗南「何?」

P「……えっと、ああもう———どうにでもなれっ!」

紗南「何を———わぷっ?!」

P「……」ギュッ

紗南「P、さん?」

P「背が低くて」

P「ゲーマーで」

P「ちょっと引きこもりっぽくて」

P「たまに部屋にゲームしよう、なんて誘ってくる」

P「……俺が好きなのはお前だよ。紗南」

紗南「……へっ?」

P「アドバイスありがとう。だから、俺はアドバイスの通りに告白するよ」

P「紗南。俺はお前のことが好きだ。もちろん、アイドルとしてじゃない」

P「アイドルとか、そういうの抜きで———一人の女の子として、俺と付き合ってくれ」

紗南「……えっ、あっ、うっ?」

P「もう一度言う……好きだ、紗南。付き合ってくれ」

紗南「……あたし、なの?」

P「おう」

紗南「あたしで、いいの?杏さんじゃなくて、いいの?」ポロポロ

P「どうして杏が出てくるんだ」

紗南「……P、さん。うぐ、ぐす、えぐっ」

P「ああもう泣くな……ちゃんと伝えなくちゃダメって言ったのは、お前だろ?」

紗南「うん、うんっ」

紗南「だから、落ち着く、まで……こう、してて?」

P「わかってるよ」

紗南「Pさん……あたしも……Pさんのこと、大好きっ!」

———事務所———

杏「はー……疲れた」

杏「こういうのは、杏の役割じゃないんだけどなぁ」

ちひろ「杏ちゃん……もしかしてこれ、ゲームやって……」

杏「げっ。ち、違うよこれは」

ちひろ「こんな一大事に何してるんですか!」

杏「違うんだよー!」

ちひろ「罰としてレッスン二倍ですからね」

杏「勘弁してよー……うー……」


杏「……ま、いいや。二人共、お幸せに」

———黒騎士さんがログアウトしました———


おわり

お疲れ様でした。
今日になってから誕生日だと気づいたので、突発的に書く事になり、拙い内容になってしまったかもしれません。
しかし、この作品をここまで見てくださった方々に最大限の感謝を。

願わくば、紗南Pが増えてくれることを信じて。
ありがとうございました。

おつおつー、紗南誕生日おめ!

紗南ー!
俺だー!結婚してくれー!

紗南 ハッピーバースデー!!

紗南ちゃん誕生日おめでとう!

乙、紗南ちゃんかわいい!

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