【不思議の海のナディア】ネモ船長「巨人?」【進撃の巨人】 (69)


——はじめに——

不思議の海のナディアと進撃の巨人のクロスオーバーです

某スレに投稿した短編を、個人的な理由で加筆転載しました

巨人の種類について、アニメ未放送分のネタバレあり

現行の原作(10巻まで)では敵の姿が明らかにされていないので、敵の姿は完全に妄想設定です


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372160180


———

——


ネモ船長「ここはどこだ?」

エレクトラ副長「……わかりません」


操舵長「突然景色が変わりましたね」

エーコー測的長「レーダー反応も不明瞭です」

機関長「機関は依然として停止中です。修復作業を継続します」

ネモ「頼む」


ネモ「現在位置はわからないが、ここが地上であることは間違いない」


エレクトラ「ですが……我々は旧タルテソス王国の地下にいたはずです」

エレクトラ「ナディアたちへの接触を試みようとした矢先でした」

エレクトラ「なぜ突然こんなことが……」


ネモ「うむ……」


ネモ(景色が変化する直前にブルーウォーターが一瞬反応した……)

ネモ(上空にいたガーゴイルが原因だろうか?)


ネモ「機関長」

機関長「ハッ」

ネモ「こうなる直前に船体のいずれかに反応がなかったかね?」


機関長「……微弱ではありますが」

エレクトラ「何かあったのですか!?」

機関長「ワープ用の次元跳躍装置部分に熱反応がありました」


エレクトラ「なんですって!」

エーコー「どういうことだ……」


ネモ(……そうか)


ネモ「諸君」

ネモ「詳細はわからないが、我々は本艦の次元跳躍装置の発動によって強制転移させられたものと思われる」

航海長「強制転移……」


エーコー「次元跳躍装置とは……一体?」

エレクトラ「ある場所からある場所へ一瞬で移動するための装置です……よね? 船長」


ネモ「そうだ……知らなかったのも無理はない」

ネモ「本来は恒星間飛行に使うもの。地球上では不要の機能だ」

エーコー「恒星間飛行……」


ネモ「うむ」

ネモ「本艦の正式名称は第四世代型超光速恒星間航行用超弩級万能宇宙戦艦ヱクセリヲン」

ネモ「……星の海を旅するための艦なのだよ」


エレクトラ「でも、装置の突然の発動なんて……なぜそんなことが」

機関長「んむ。機関も動いていないはずだしな」


ネモ「恐らく原因は私の持つブルーウォーターだ」

エレクトラ「!?」

ネモ「こうなる直前にブルーウォーターが一瞬反応したのだ」

エレクトラ「どういうことですか」

ネモ「私にもわからん……が、他に心当たりは無い」



ネモ「……ともかく我々は元の場所に戻ることを考えねばならない」

ネモ「まずは現状の把握に努めたい」

エレクトラ「そうなると、ここはそもそも地球ではない可能性もあるわけですね」

ネモ「そうだな」


エレクトラ「航海長。外部データの取得を」

航海長「ハッ」



航海長「……大気成分は地球とほぼ変わりません」

航海長「外気気温21度。天候は晴。季節は……秋と思われます」

エレクトラ「秋ですって?」

操舵長「若干の季節のズレがありますな」

ネモ「……」


エーコー「船長! 対人レーダーに反応があります!」

ネモ「なに?」

エーコー「レーダー反応物を光学望遠にて捕捉」

エレクトラ「補助電源のパワーをモニターにまわしてください」

機関長「うむ」

エーコー「映像、モニターに出ます」



エーコー「!?」

エレクトラ「これは!?」

機関長「なんじゃ……この怪物たちは」

エレクトラ「……巨人? おびただしい数」

ネモ「ネオアトランティスかっ!?」



エレクトラ「……しかし様子が変です」

エーコー「我々を無視してどこかへ向っています」

操舵長「ネオアトランティスではないのか?」


ネモ「副長」

エレクトラ「ハッ! 怪物の向う先にあるものを光学望遠にて捜査!」

エーコー「了解!」



エーコー「……捉えました。モニターにまわします」



エレクトラ「……壁? なんて長大な」

機関長「ずいぶん高い壁のようじゃな。城壁のようにも見えるが」

エレクトラ「城壁ですって?」

エーコー「今は19世紀だぞ!? そんな前時代的な」

機関長「じゃが、そこにあるのは事実だ」


エーコー「壁の高さ……なんと50メートルに達します」

エーコー「長さ……測量不能。恐らく数千キロメートル!」

エレクトラ「!?」


操舵長「50メートルの高さの長城だと……」

航海長「そんなものは聞いたことがない」

ネモ「…………」



エレクトラ「船長……これは」

ネモ「おそらく……ここは我々とは異なる世界だ」

一同「!」


ネモ「どのみち主機関が動くまでは何もできん」

ネモ「我々に危害が及ばぬうちは様子を見る」

一同「ハッ!」


——



——845年——



——ドオォォォォォン!



ミカサ「!!?」ビリビリビリ

アルミン「な……何だ!? 今の音と振動」

エレン「地震ってやつか!?」


<ざわざわざわ>


アルミン「街の人みんなが向こうを見てる」

エレン「壁のほうか?」

アルミン「行ってみよう」


——



エレン(……壁の向こうに……煙?)


超大型巨人「…………」ヌッ


ミカサ「……ッ!?」

アルミン「え……そ、そんな……あれは」

アルミン「あ、あ、あの壁は……50メートルだぞ……」



———— その日、人類は思い出した ————


エレン「……ヤツだ……」


———— ヤツらに支配されていた恐怖を ————


エレン「巨人だ……」ブル


———— 鳥籠の中に囚われていた屈辱を ————


ミカサ「……ぁ」ガタガタ



超大型巨人「……」



——ドゴォッ!!!

——メキメキメキ……ドオォォォォォ



エレン「……あ……あ…………」

アルミン「か……壁に……」

ミカサ「……ぅ……」ブルブル


アルミン「穴を……空けられた……?」



<ひぃっ!!>

<うわああああああああ!!>

<あああぁぁぁ……!!>



アルミン「逃げるぞ二人とも!」

アルミン「早くしないと次々と巨人が入ってくる!!」


エレン「くっ!!」ダッ

ミカサ「エレン!?」


エレン「壁の破片が飛んでいった先に家が!! 母さんが!!」ダダダ

ミカサ「!!」ダッ

アルミン「エレン! ミカサ!!」



アルミン(も……もぅ……駄目なんだ……)

アルミン(この街はもう……無数の巨人に占領される……)


アルミン「うっ……」

アルミン「うわぁぁぁ……エレェェェェン!! ミカサァァァァ!!」


——



エーコー「大型の巨人が城壁を蹴り破りました!」

エレクトラ「城壁の向こうに……街があるの!?」

操舵長「人間がいるのか!?」


エーコー「壁の裏側! 対人レーダーに無数の反応!」

エーコー「光学ズームでモニターにまわします!!」



機関長「こ、これは」

航海長「うっ」

エレクトラ「人々が……逃げ散ってる……」

ネモ「……ッ!」



エーコー「さきほどの大型の巨人の体に変化!」

エーコー「巨人の体が……消滅します」


機関長「……なんじゃと?」

操舵長「こ、これは」

エレクトラ「中から人間が……」

航海長「……子供か?」

ネモ「…………」


機関長「どういうことじゃ」

操舵長「巨人は……人間なのか?」



ネモ(ブルーウォーターに反応……)

ネモ(……これは)


ネモ「巨人の生体データのリサーチはできるかね」

エーコー「やってみます」


エーコー「……リサーチ装置にかけるエネルギーが足りません」

エレクトラ「対生体走査線発振器に補助電源出力をフォーカス!」

機関長「出力フォーカス!」



エーコー「……結果が出ました」

エレクトラ「報告を」


エーコー「各巨人はうなじの部分に人間らしきものが入っています」

エーコー「……ですが、それらは基本的に生体ユニットとでもいうべきコアとして癒着」

エーコー「大多数がすでに人間ではありません」

エレクトラ「そんな……」


エーコー「彼らはコアのあるうなじの部分が弱点と思われます」



エーコー「ただ、ごく一部ですが癒着せず人間として活動できる者もいるようです」

エーコー「さきほどの大型の巨人もその一人ですね」

ネモ「……」


エレクトラ「その者たちと他を分けてマーキングできますか?」

エーコー「主機関が起動すれば可能ですが、現状では……」

エレクトラ「わかりました。ひとまず集中した出力を戻してください」

機関長「了解じゃ。モニターをつけるぞ」


——



カルラ「……」

カルラ「……はっ!?」


カルラ(……気絶……していたの? 私)


カルラ「周りにガレキが……」


カルラ(そうだ。家が崩れて……倒されたんだわ。私)

カルラ(とにかく起きなくちゃ)



カルラ「う……」ズキン

カルラ「…………ッ!! い、痛い」


カルラ(あ、足が……潰されてる……)


カルラ「ぅう……」


——



機関長「……!」

航海長「街に多数の巨人が侵入している」

操舵長「すでに虐殺が始まっているようだ」


エーコー「巨人が……手当たり次第に人間を生きたまま飲み込んでいます」

エレクトラ「!!」

機関長「人を喰らっておるのか」

エレクトラ「……ひどい…………うっ……」

ネモ「……」



エレクトラ「機関はまだ動きませんか!?」

機関長「たった今、修復が完了したようじゃ。自動修復装置が機能を停止していっとる」

エレクトラ「行きましょう船長!! 目の前の惨劇を見過ごすことなんてできません」



ネモ「……だが、ネオアトランティスの動向がわからん」

ネモ「そもそも、ここは我々の世界とは異なる……」

ネモ「我々の目的を忘れてはならん……軽率に動くべきではない」


エレクトラ「彼らの文明レベルから見れば……」

エレクトラ「この先にあるのが惨状のみである事は、目に見えています!」

ネモ「…………」



エレクトラ「……ブルーウォーターは……なぜ我々をここに連れてきたのですか」

ネモ「……仮説に過ぎん」


エレクトラ「船長!!」

ネモ「……」


エレクトラ「たとえ無関係であっても……」

エレクトラ「目の前の……大勢の人の命の重さも考えて下さい」


エーコー「船長!」

操舵長「船長!」

エレクトラ「……お願いします!」

ネモ「……」



ネモ「命の重さか……変わったな、君も」

エレクトラ「船長……」

ネモ「……フ」


ネモ「測的長」

エーコー「ハッ」

ネモ「主機稼動後、移動中に既に人間ではない巨人のみへのマーキングを完了せよ」

エーコー「……では!?」

ネモ「うむ……」



ネモ「副長」

エレクトラ「はい!」



ネモ「……全艦発進準備!」

エレクトラ「ハッ!!」



エレクトラ「全艦発進準備! 各員……艦体起動に入りなさい!」

一同「はい!」



機関長「機関……始動!」


機関長「補機対消滅機関チェック完了」

機関長「フライホイール接続準備よろし」


ネモ「フライホイール……接続!」

機関長「接続!」



機関長「主機オルフェウス型大型縮退炉内圧力上昇! 臨界点を突破」

操舵長「反重力推進及び……粒子推進機へ動力伝達!」

エーコー「半径60キロ以内に新たな目標なし!」

エレクトラ「各部問題なし! すべて離陸位置」



ネモ「——いくぞっ」

ネモ「ニューノーチラス号……発進!!」



——轟音が響いた


幻の発掘戦艦と呼ばれた巨大な艦体

それを途切れる事のない膨大なエネルギーが持ち上げた


艦のあった地表面が吹き飛ぶ

周囲に舞い上がった土砂は100メートルの高さに達した



ネモ「大気圏内飛行モード……重力制御翼を展開!」

エレクトラ「重力制御翼展開!」


ネモ「針路1-7-0……第一戦闘速度」

エレクトラ「針路1-7-0! 第一戦闘速度!」

操舵長「推力上昇……1160万トン!!」



艦体に加速がかかる

N‐ノーチラスは翔けた……この星の何者よりも速く


——



エレン(家に当たっているわけがない)


エレン「はあ……はあ……」

ミカサ「はあはあ……」


エレン(とっくに逃げたに決まってる……!)

ミカサ(おばさん……!)


エレン「ハァッ……ハァツ……」

ミカサ「ハァハァ……」


エレン(あの角を曲がれば……いつもの家が……)ザッ


エレン「!!」

ミカサ「!?」


エレン(家に瓦礫が……突き刺さってる!)


エレン「か……母さん!!」ダッ

ミカサ「おばさん!」ダダ


エレン(嘘だ嘘だ嘘だっ!)

エレン(母さん……どこだっ)



エレン「か……母さん……?」

カルラ「……エレンかい?」


エレン(倒れた柱の下に……)

エレン(……くっそおぉぉぉ)


エレン「ミカサ、そっちを持て!! この柱をどかすぞ!!」

ミカサ「うん!」




——ウオオオオオオオン!



ミカサ「!!?」



——ズシン!!



エレン「うっ……」


カルラ(……あれは)

エレン(きょ、巨人……!!)



カルラ「エレン!! ミカサを連れて逃げなさい!!」

エレン「!?」



カルラ「早く!!」


エレン「母さんを置いて行くなんて……」

エレン「……嫌だっ!!!」


カルラ(エ……エレン……)


カルラ「……」

カルラ「母さんの足は潰されて……とても走れない……」

カルラ「……わかるでしょ?」



エレン(嫌だっ!! わからない!!!)


エレン「オレが担いで走るよ!!」


カルラ(馬鹿……馬鹿馬鹿……ッ!)ジワ



カルラ「どうして……」

カルラ「どうしていつも母さんの言うこと聞かないのっ!」



カルラ「私の最後くらい……言うこと聞いてよ!! お願いだから!!!」



エレン「嫌……だ…………」ギリギリ

カルラ「ミカサ!!」


ミカサ「ヤダ……イヤダ……」ポロポロ

カルラ「あなたたち……」



——————ズシン



カルラ「!!」



————ズシン


——ズシン



カルラ(巨人が……来る……)


——

ちょっと夕食中断します

投下再開



ネモ「都市の外側を迂回して都市の背後から侵入せよ」

操舵長「迂回侵入、ヨーソロ!」

ネモ「面舵10度! 艦首を外壁城門側に向けろ」

操舵長「面舵10度!」


航海長「都市上空に侵入します」

ネモ「艦減速! スローダウン」

操舵長「スローダウン!」


エレクトラ「都市上空に到着」

ネモ「艦停止!」


——


カルラ(急に辺りが暗く……?)


ミカサ「……?」

エレン「……なんだ?」



——ズズズズズ



エレン「え?」

ミカサ「!?」

カルラ「え?」


エレン(真上に何か巨大なものが浮いてる……)

ミカサ(な……なに……?)


エレン「て……鉄の……船?」


——


エーコー「都市内部に巨人が多数侵入しています!」


航海長「まるで地獄絵図だ……」

機関長「……むごいもんだの」

エレクトラ「くっ……」


ネモ「副長」

エレクトラ「ハッ」


ネモ「域内の巨人殲滅作戦を開始する」

エレクトラ「ハハッ!」


ネモ「マーキングした都市内の巨人群に対し攻撃準備!」


エーコー「マーキング目標数346! 目標箇所……巨人後部うなじ部分!」

エーコー「自動追尾装置セット完了!」


ネモ「我々が都市を破壊するわけにはいかん……」

ネモ「ピンポイント攻撃をかけるぞ」


ネモ「……ホーミングレーザー全砲門開け!」

エレクトラ「全60門発射準備よし!」


ネモ「発射」

エレクトラ「発射!!」


——



エレン「な……っ」

ミカサ「え……」

カルラ「何が起きているの……?」



ミカサ「あの船から……たくさんの青い光が……」


エレン「光が次々に巨人を追いかけて……」


ミカサ「……巨人が蒸発して消えてる」



エレン「なんだ……これ……」

ミカサ「……」

エレン「助かった……のか? オレたち」


——


エーコー「第一次目標60体消滅! 残り286体」

ネモ「全砲門そのまま自動連射! 射撃間隔1.5秒……5連!」

エレクトラ「連射継続!」



——次々と放たれる無数の鋭い光が街を駆け巡った

それらは意思があるかのようにあらゆる障害物を避け

おのおのが巨人のうなじに誤差なく突き刺さってゆく



エレン「まるで……光の雨だ……」

ミカサ「……きれい」

カルラ「神……様……?」


——



エーコー「都市内部の目標全て沈黙」

エーコー「ですが……破られた城壁から後続が続々ときます!」


ネモ「壁開口部に超電磁バリアーを展開しろ! 後続の侵入を防げ!」

エレクトラ「超電磁バリアー展開!」



機関長「おお……やつらもバリアーを越えられないようじゃな」

エレクトラ「ですが、バリアーは60秒しか持ちません」

エーコー「それに……城壁外側にはまだおびただしい数の巨人がいます」

ネモ「うむ」


ネモ「微速前進。城壁の外に出ろ」

操舵長「微速前進、ヨーソロ!」


——


エレン「船が……動くぞ」

ミカサ「すごい音……」


エレン「外で戦うのか……?」

ミカサ「……きっとそう」


エレン「今のうちに母さんの上の柱をどけよう」

ミカサ「……うん!」


エレン「いや……誰かくるぞ」

ミカサ「あ」

エレン「……ハンネスさんだ!」


——


エレクトラ「射撃位置につきました」

ネモ「よし……フェーザー砲全門の斉射でなぎ払う。発射準備」

エレクトラ「三連装フェーザー砲14基、連装フェーザー砲20基、発射準備」


エレクトラ「……全砲門展開完了!」

エーコー「自動追尾装置セット完了!」


ネモ「発射」

エレクトラ「発射!!」


——


ハンネス「おまえら! 無事か!?」

エレン「ハンネスさん! 母さんが柱の下に……助けて!」


カルラ「ハンネスさん……」

ハンネス「……っ!」


ハンネス「これは三人じゃ持ち上がらねぇ……」

ハンネス「よし、待ってろ! 近くにいる仲間たちも呼んでくる!」

エレン「ありがとう!!」



ハンネス「しっかし……なんだ空のあれは……」

ハンネス「壁外の巨人を倒しているのか? すごい光だ」

ハンネス「……ま、わからんものは後回しだな。残った人を救わな」


——


エーコー「マーキング済みの全目標消滅!」

エレクトラ「船長。付近にはもういないようです」


ネモ「……」

エレクトラ「どうしました?」


ネモ「……ここの敵の根源を叩かない限りは無駄だ」

エレクトラ「……そうですが」



ネモ「敵の位置をブルーウォーターが私に示してくれた」

エレクトラ「なんですって」


ネモ「少し遠いな……針路0-6-0」

エレクトラ「ハッ! 針路0-6-0!」


ネモ「速攻で……叩き潰すぞっ! 大気圏内最大戦速!」

エレクトラ「大気圏内最大戦速! ……時速1万2千キロに加速!!」


——


獣の巨人「……」

獣の巨人「……向こうから何か飛んで来るね」

獣の巨人「なんですか、あれは」


——


エレクトラ「あ、あれは!?」

エーコー「なんだ……あそこは……」

操舵長「あの一帯が本拠地というわけか」


ネモ「……」

機関長「ずいぶん広いの」

エレクトラ「半径……20キロはあります。船長」


ネモ「……一撃で……終わらせよう」


エレクトラ「で、では!?」

ネモ「本艦の主砲を放つ」

エレクトラ「ハッ!」


航海長「一撃で40キロ圏内をやるってことは」

機関長「……主機のエネルギーを流し込むのじゃな」


ネモ「電子砲撃戦用意!」

エレクトラ「全艦電子砲撃戦用意!」


ネモ「目標! 敵本拠地中央!」

ネモ「主砲第一第二砲塔全自動射撃! 最大火力充填!」


エレクトラ「第一第二砲塔へ動力伝達! 最大火力充填モード!」

機関長「縮退炉から砲塔へ、エネルギーバイパス接続!」

機関長「動力伝達!」


ネモ「主砲エネルギー充填開始」

エレクトラ「エネルギー充填開始!」



——艦体がうなりをあげた

無限のエネルギーを生み出す縮退炉から莫大な力が主砲へ流れ込む



エレクトラ「エネルギー充填完了!」


エーコー「方位盤、目標を捕捉! 全自動追尾装置セット完了!」

エーコー「装薬充填完了!」

エレクトラ「主砲! 発射準備完了!」


ネモ「発射!」

エレクトラ「発射!!」



——流星のような光が青くきらめいた

螺旋の尾を引きながら、四本のエネルギーの束が空間を猛進する



獣の巨人「……え?」

獣の巨人(青い光の筋が……こっちに……)



——着弾



光は目標を深くとらえた

過去……この星が体験したことのないような巨大な光球が地表に現れる



——その閃光——熱波と轟音



それはこの100年の間

壁内の人類がためた鬱憤の顕現と言わんばかりの光景だった


——


エレクトラ「目標一帯沈黙」

操舵長「やった!」


機関長「凄まじい威力じゃの……大地が溶けて蒸発しとるぞ」

エーコー「巨人の生体反応は皆無です」



エレクトラ「船長……これで……」

ネモ「ああ」


ネモ「……帰ろう。我々の世界へ」



機関長「しかし、帰るといってもどうされますか」

ネモ「大丈夫だ……ブルーウォーターが教えてくれる」

エレクトラ「では……」

ネモ「うむ……このままネオアトランティスに奇襲をかける。その後にナディアたちの回収をする」


エレクトラ「予定が変わりましたね」

ネモ「そうだな」


機関長「宇宙へ出ますか?」

ネモ「あぁ……宇宙で次元跳躍装置を稼動させよう。恐らくワープで戻れるはずだ」


ネモ「上昇する……いくぞ、機関最大戦速! 針路0-0-0」

一同「ハッ!」


——



——853年——


エレン「じゃあ父さん母さん……いってくる」

ミカサ「おじさんおばさん、お元気で」


グリシャ「長い旅になるだろう。二人とも気をつけていってきなさい」

カルラ「歩けない母さんの分まで楽しんできて」


グリシャ「母さんのことは私に任せなさい」

カルラ「帰ってきたら旅の話をたくさん聞かせてね」

エレン「もちろんさ」



グリシャ「アルミン君にもよろしく」

エレン「わかってるって! じゃあ!」

ミカサ「いってきます」



エレン「オレたちもようやく18歳か」

ミカサ「大人になった」

エレン「おかげで、ようやく念願の壁外冒険の旅に出られたな」

ミカサ「うん」


エレン「巨人がいなくなってくれて本当に良かった」

ミカサ「あれは結局なんだったの」

エレン「さぁな……」



エレン「お、アルミンもう集合場所に来ていたのか……おーい!」

アルミン「やぁ、二人とも。大荷物だね」

エレン「ああ。でもこれぐらいなら全部アルミンの馬車に乗せられるだろ?」

アルミン「うん、大丈夫だよ」



エレン「よーし、すぐ行こうぜ」

ミカサ「エレンはせっかち」

アルミン「あはは」

エレン「三人で旅に出るこの日をずっと待っていたからな!」

アルミン「そうだね」



アルミン「さぁ行こう……炎の水、氷の大地、砂の雪原、塩水の海がボクたちを待っているんだ!」

ミカサ「うん!」

エレン「おう!」





おわり

読んでくださった方、どうもありがとうございました

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