女騎士「くっ、体が熱い……、貴様!私に何を飲ませた!?」オーク「ククク……」 (16)


オーク「唐辛子酒さ!」

女騎士「なんだと!貴様!酒に唐辛子を混ぜるとは何を考えている!」

オーク「ふ、正確にはウォッカだ。なので唐辛子ウォッカというべきかな」

女騎士「どっちでもいい!」

オーク「なんだ、女騎士はコーレーグースを知らないのか?唐辛子を沖縄の蒸留酒である泡盛に漬けこんだものだぞ」

女騎士「コーレーグースは調味料だろう!そのまま飲むものではない!」

オーク「他にもブラディマリーなどのカクテルにはタバスコを入れるものもあるぞ」

女騎士「そういうカクテルはトマトジュースなどを使って旨味の強いスープに近い味わいを楽しむものだ。酒にそのまま唐辛子を入れるわけではない!」

オーク「ごちゃごちゃと屁理屈を並べ立てるものだな。ならばその唐辛子ウォッカは不味かったか?」

女騎士「なに!……、キリッとした唐辛子の辛味が悪くないな。それにウォッカにはないはずの旨味も感じられる。いったいどういうことだ……?」

オーク「くくく。ウォッカは数ある蒸留酒の中でも特に雑味の少ないピュアな味わいだ。それゆえに漬けこんだものの味が純粋に楽しめる」

オーク「すなわち唐辛子の辛味や旨味をそのまま楽しめるのさ!」

女騎士「な、なんだと!?だがそれなら唐辛子をそのまま舐めればいいだろう!わざわざウォッカに混ぜる意味はあるのか!?」

オーク「クックック。愚かだな女騎士!唐辛子をそのまま舐めれば辛すぎて旨味を楽しむどころではない!」

女騎士「うっ!た、確かに!な、なら水とかお湯に溶かせばいいではないか!なぜわざわざウォッカを使う!?」

オーク「馬鹿め!唐辛子には水に溶ける成分と水に溶けない成分が含まれている!アルコール飲料なら両方溶けるのさ!」

女騎士「そ、そんな理屈が……」

オーク「さらに液体に溶けない固形分が除去されるため味わいはもっとピュアになる」

オーク「だから唐辛子自体をそのまま食べる以上に唐辛子の香りと旨味を純粋に楽しめるというわけだ」

女騎士「……く、そこまで計算していたなんて……」

オーク「それに元々ウォッカは寒いロシアの酒だ。ロシアでは酒に胡椒や唐辛子などの香辛料を漬け込んで飲むことはポピュラーだぞ」

オーク「ならその文化で作られたウォッカが唐辛子と合わないはずがない」

女騎士「そ、そうだったのか……」

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オーク「クックック。相当ダメージを受けているようだがさらに追い打ちをかけてやろう。さあ、唐辛子ウォッカを飲んだ直後にこいつを喰ってもらおうか!」

女騎士「そ、それは……!ウィンナーではないか!し、しかし焼き目がないぞ!どういうことだ!?ウインナーと言えば焼き目のついたパリッとした皮がなければ魅力が半減だ!」

オーク「今日のウィンナーは焼きではない。茹でだ」

女騎士「くっ、茹でだと?いったい何を考えているというのだ……」モグモグ

女騎士「うぅ、これは、美味い!弾けるようなプリプリの皮の弾力にまろやかな肉の旨味!それをウォッカに溶けた唐辛子の風味が高める!」

オーク「ふっふっふ。焼いたウィンナーももちろん美味いが茹でたウィンナーは皮がプリプリになりまた違った食感を楽しめる」

オーク「さらに余分な脂が抜けるし中心まで均一に火が通るから焼きよりも中身の肉がまろやかになるのさ!」

女騎士「まさか茹でウィンナーがこれほどまでとは……、だがこの後口に残る純粋でストレートな旨味は一体何なんだ!?茹でただけでこうはなるはずがない!」

オーク「舌に残ったアルコールによって本来は混ざらない脂の旨味と純粋な唐辛子の旨味が混じりあったのさ!」

女騎士「なんだと!?そんな現象が私の口の中で起こっていたというのか!?」

オーク「この唐辛子ウォッカとウインナーの味のテーマはピュアだ。雑味の少ないウォッカによって唐辛子のピュアな旨味を抽出する」

オーク「そしてウィンナーは茹でることで刺激の少ないまろやかな味わいに仕上げる」

オーク「両者は口の中でウォッカの濃いアルコールによって溶け合って舌の表面に残る」

オーク「そして肉のしつこさは唐辛子の辛味によって中和され、唐辛子の尖った辛味は肉の旨味で中和される」

オーク「後には旨味の快楽だけが口に残り、最高の後口を演出するというわけさ!」

女騎士「ぐぅ!つ、つけ入る隙がない……」

オーク「さて、ではいったん薄茶で口の中を流してもらおうか。そしたらお次はこれだ!飲んでみろ」

女騎士「こ、これは……?」

女騎士「か、辛い!だが唐辛子ではない!いったい何なんだこれは!」

オーク「くくく、わさびを溶かした日本酒さ!」

女騎士「な、なんだと!?貴様!いくらなんでもわさびを日本酒に溶かすなんて!」

オーク「おいおい、わさび醤油で食べるお刺身と日本酒の相性は最高だろう」

女騎士「だからって日本酒にわさびを溶かして美味いはずが……はずが……」

オーク(ニヤリ)

女騎士「わ、悪くない……、なぜだ……?わさびならではの清涼な辛味に複雑な旨味が絡んでコクがある……」

オーク「上質の本わさびは辛いだけでなく甘味や旨味成分も豊富に含んでいる」

オーク「そして日本酒は数ある醸造酒の中でも特に旨味成分が強い。旨味と旨味が混じり合えば美味いものだ」

オーク「わさびは皮ごとすりおろしてそのまま混ぜて雑味を強調しているぜ」

女騎士「雑味だと!?貴様!さっきの唐辛子ウォッカの時と正反対の理論ではないか!私にウソをついたのか!」

オーク「ふっ、浅はかだな!女騎士!」

女騎士「なに!?私のどこが浅はかだというのだ!」

オーク「雑味も使いようということだ。雑味のないピュアな味わいも美味しいがあえて雑味を加えることで味わいを複雑で奥深くすることもできる」

女騎士「ぐぐ、美味しさは一種類ではないということか……!」

オーク「さらに違う種類の旨味同士が混ざると旨味を増幅する効果がある。日本酒の旨味が本わさびの旨味を強調することでわさび単体では分かりにくい旨味が分かるということだ」

女騎士「別々に味わうのではなくあえて混ぜることにちゃんと意味があるということか……」

オーク「さあ、今度はわさび酒と一緒にこいつを喰ってみろ!」

女騎士「こ、これは、ざるそば……?ふん、語るに落ちたなオーク!」

オーク「なんだと?」

女騎士「ざるそばは日本酒のアテとしては一般的なものだ。しかもわさびを薬味として使うもの」

女騎士「だったらざるそばにわさび酒が合うのは当然のこと!実に工夫がないぞ!」

オーク「クックック。これを見てもまだ生意気な口を聞けるかな?」

女騎士「こ、これは、そばつゆに大根おろしが!バカな、大根おろしとわさびを同時に薬味として使うなんて!」

女騎士「薬味の味同士が喧嘩をしてとっちらかった味になることは必然ではないか!」

オーク「ふっ、言いたいことはそれだけか?女騎士」

女騎士「むぅ、オークのこの余裕、いったい何なんだ……?まだ何か企んでいるのか?」ズルズル

女騎士「……、う、辛い、が、さわやかだ!大根おろしの爽やかな辛味にわさびの清涼な辛味が、全然喧嘩していない!」

女騎士「両者はそばの香りとつゆの旨味と絡み合ってなんとも粋な味わいを演出している!どうしてこんなことが!?」

オーク「お前の言った通り大根おろしにわさびをそのまま混ぜれば両者の味が喧嘩をして野暮ったい味になることだろう」

オーク「だがあえて日本酒に適量のわさびを溶かすことでわさびは薄く延ばされ押しつけがましさがなくなる」

オーク「しかし日本酒の旨味とアルコールがわさびの旨味を強調しているため存在感も失わない。絶妙な味のバランスになるのさ」

女騎士「な、なるほど、だから大根おろしの辛味と喧嘩をせずにそばの味わいを高める役割をしていたということか!」

オーク「フフフ。そういうことだ」

女騎士「くっ、しかし、これは……そばの量が少ない……」

オーク「おいおい、そばだけで腹をいっぱいにする気か?そら、こっちの冷ややっこも合うぞ」

女騎士「くぅ、醤油のかかった冷ややっこにわさび酒の風味が合って美味い!普通の日本酒とワサビ醤油をかけた冷ややっこの組合せとはまた違った美味さだ!」

オーク「個々の材料は同じでも組合せの仕方を変えれば新しい美味しさが見つかるんだぜ」

女騎士「くぅ、やるな!」

オーク「さて、そろそろトドメといくか……。さあ、これを飲め!」

女騎士「この美しい琥珀色、力強い芳醇な香り……、これはウイスキーか!」

オーク「いかにも。シングルモルトで癖の強い濃厚なタイプの銘柄だが、果たしてお前に味が分かるかな?」

女騎士「舐めるな!女は甘い口当たりの良い酒が好きというのはただの偏見にすぎん!」

女騎士「ウイスキーは癖が強いくらい濃厚なほうが飲み応えがあるというものだ!……むぅ!?」

オーク「くくく……」

女騎士「ぐぅ!予想をはるかに上回るスパイシーさ!ピリリとした辛味……、これは、まさか……」

女騎士「そうか!これは胡椒か!オーク!貴様!ウイスキーに胡椒を振り交ぜたな!」

オーク「ご明察だ。いかにも胡椒入りウイスキーよ!」

女騎士「くぅ、確かにウイスキーの中には胡椒に似たスパイシーさがある銘柄もあるが、本物の胡椒を入れるなんて……」

女騎士「これでは元々のきつい風味がさらにとげとげしく、強烈に荒ぶっているではないか!こんなもの飲めたもののはずが……」

オーク「ハーハッハッハ!体は正直なようだな!女騎士さんよ!口ではそう言いつつもウイスキーを飲む手が止まっていないぜ!」

女騎士「ば、馬鹿な……、私の口がこの刺激的なウイスキー体験をさらに欲しているとでもいうのか!?」

オーク「くっくっく。じっくり味わえば胡椒の辛味がウイスキーの熟成香を引き締めて濃厚な旨味に一本の筋を通していることが分かるはずだぜ」

女騎士「おのれ、なんという力強い組合せだ……、とても抵抗できない!」

オーク「そしてそのウイスキーに最高に合うアテが……、あ!し、しまった!」

女騎士「ど、どうしたんだオーク!」

オーク「うーむ、俺としたことが……、そのウイスキーのアテとして鶏の手羽元の煮込みを出す予定だったんだが」

オーク「うっかりコンロにかけるのを忘れていた」

女騎士「えー!?ここまできてそれはないだろう……!?」

オーク「鰹節と昆布と干しシイタケの出汁を混合し、それに日本酒と濃口醤油と本味醂を混ぜて煮詰めたものを数日かけて熟成させた濃厚タレ」

オーク「こいつで特選地鶏の手羽元の和風煮込みを作る予定だったんだ」

女騎士「そんなの絶対に美味いに決まってるじゃないか!」

オーク「すまんすまん。ちゃんと材料は揃っているんだ。今から煮込むから一時間ほど待ってくれ」

女騎士「おいおい、ここまで期待させておいてこれから一時間も待つのは辛すぎるぞ……」

オーク「悪かったって。ほら、ポテチとかナッツとかの乾き物もあるから」

女騎士「うーん、それも悪くないけどさぁー……」

女騎士「……ん?なんだ、電子レンジがあるじゃないか。よし、オーク、その手羽元とタレを貸してみろ」

オーク「うん?おいおい、まさか電子レンジで手羽元を温める気か?そんなの美味い訳がないだろ!」

女騎士「そのまさかさ。だが手羽元だけを温めるわけじゃない。タレに漬け込んだまま丸ごと電子レンジで煮込むのだ」

オーク「そんなことをしてどうなるっていうんだ!手羽元の美味さは骨の旨味が肉に沁み込むところにある!」

オーク「骨までしっかり煮込んで骨の旨味を引き出すには鍋でじっくり長時間煮込まないといけないんだぞ!」

女騎士「まあまあ、大人しく見ていろ。調理用のジップロックと底の深い耐熱容器はあるか?……。よしこれでいいか」

女騎士「手羽元に串で穴をいくつか開けて、ジップロックでタレに漬け込んでよく揉み込んで……」

オーク「ちっ!何をごちゃごちゃしてるんだ……」

女騎士「耐熱皿に手羽元と手羽元が沈むくらいのタレを入れて、電子レンジのスイッチを入れて、と」

オーク「あーあ、最高の地鶏の手羽元が……もうどうなっても知らんぞ」

女騎士「……む、吹きこぼれそうだから出力を落とすか」

女騎士「よし、また最大出力に……」

オーク「なんだ?じっとレンジの中を見つめて、出力をころころ変えて……ほっとけばいいじゃねぇか」

女騎士「……よし、そろそろいいだろう」

オーク「おいおい、まだ15分くらいしか経ってないじゃないか。そんなんで骨まで煮込まれるはずがないだろ」

女騎士「ふっ、まあまず1つ食べてみろ」

オーク「やれやれ、レンジでパサパサになった肉なんて美味い訳が……」

オーク「……、う、美味い!」

女騎士「ふふ」

オーク「ば、馬鹿な、ちゃんと骨の旨味が肉や煮汁に出ている!それにタレの旨味も肉の奥深くまでしっかり沁みこんでいる!」

オーク「しかも照り焼きのような香ばしい風味まであって実に美味い!これはただ煮込んでも出ない味だ!」

オーク「お、女騎士!貴様!いったい何をした!」

女騎士「ただ電子レンジで煮込んだだけだ。お前も見ていただろう」

オーク「し、しかし……」

女騎士「ちゃんと説明してやる。これは電子レンジの加熱原理と鍋の加熱原理の違いによるものだ」

オーク「加熱の原理……?そんな違いなんかあるのか?」

女騎士「鍋で煮込む場合、手羽元はガスの炎で温められた煮汁によって外側から熱が入り込んでいく」

女騎士「だから骨の髄まで加熱してしっかり煮込むにはそれなりに時間がかかる」

女騎士「いっぽう電子レンジの場合、マイクロ波という電磁波の一種によって食べ物の水分子が振動して加熱される」

オーク「マイクロ波……、言われてみればそんな原理だった気もするが……」

女騎士「このマイクロ波は物質を貫通する性質があってな。手羽元の内部にまで浸透し、肉や骨の内部の水分を直接加熱する」

女騎士「だから即座に内部まで熱が通るというわけだ」

オーク「なるほど、だが、美味しくなるにはただ熱を加えればいいというものじゃないぞ!」

女騎士「説明は最後まで聞け。鍋で手羽元を煮込んだ場合、手羽元の温度は煮汁の温度より上がらない」

オーク「まあ当然だな。煮汁を通じて熱を伝えるんだから」

女騎士「そして煮汁は沸騰するとそれ以上温度は上がらない。その温度は気圧や煮汁の成分の濃度によっても多少変化はするがだいたい100℃くらいだ」

女騎士「なのでその煮汁に熱される手羽元もそれ以上温度は上がらない」

女騎士「だが電子レンジの場合、マイクロ波によって手羽元の内部も直接加熱されるため、内部温度はそれ以上上がる」

オーク「すると、手羽元の内部で水分が沸騰するな」

女騎士「その通りだ。手羽元の骨や肉の細胞の内部で水分が沸騰すれば水蒸気となり体積が膨張する」

女騎士「すると内側から骨や肉の細胞に分子レベルの小さな穴を開けるんだ。そのため骨の中の旨味が外部に飛び出すのさ」

オーク「そういうことだったのか。だから短時間で骨の中の旨味が肉や煮汁に溶けだしたんだな」

女騎士「それだけじゃない。その細胞に開いた穴のおかげで煮汁も肉の中に沁み込みやすくなる」

女騎士「だから煮汁の旨味も手羽元の中心までしっかり沁みとおったのだ」

オーク「なるほど、短時間で味が染みたのにはそういう科学的な原理があったのか」

オーク「では照り焼きのような香ばしさはいったい何なんだ?」

女騎士「それは手羽元に含まれる脂のおかげだ。電子レンジで脂を加熱すると100℃を大きく超える高温になる」

女騎士「手羽元に含まれている脂が高温になった結果、肉の一部を油で揚げたように加熱する」

女騎士「また、煮汁に溶けだした脂が煮汁の中の糖分や旨味成分を高温で焦がすんだ」

女騎士「それによって照り焼きのようにタレを焦がしたような香ばしさを出すのさ」

オーク「なるほどな。ん?だが、それは変じゃないか?マイクロ波は水分を加熱するのだろう。なぜ脂が高温になるんだ?」

女騎士「それについては私も専門家じゃないので聞きかじりだから参考程度に聞いて欲しいのだが」

女騎士「脂は水を弾くというが、分子レベルでは脂の分子と水の分子は接している。その水分がマイクロ波で加熱された結果、接している脂分子も間接的に加熱される」

女騎士「水は100℃くらいで沸騰するためにそれ以上温度は上がらないが、脂は200℃以上でないと沸騰しないため」

女騎士「熱エネルギーをどんどん蓄積して100℃以上の高温になるということらしい」

オーク「そういうことなのか」

オーク「……しかし、俺はこれまで電子レンジなど冷えた飯を温めるためのものとしか思っていなかったが」

オーク「ちゃんと原理を理解していれば美味しい料理も作れるんだな」

女騎士「お前は機械音痴だからな」

オーク「くっ、言わせておけば……」

女騎士「だが、この電子レンジで煮込んだ手羽元、短時間で加熱したからややパサパサ感がある」

女騎士「じっくり鍋で煮込んだ肉のほろほろとほぐれるしっとりとした食感や繊細な旨味には劣るな」

オーク「言われてみればそうかもしれないが、その代わり鍋で煮込んだ場合には出ない香ばしさがある」

オーク「どっちが上ということもない。どちらにも独自の美味しさがある。あとは好みの問題だと思うぜ」

女騎士「そう言ってもらえるとありがたいな」

オーク「俺も電子レンジを使って色々調理してみるかな」

女騎士「挑戦することはいいことだが、電子レンジで煮込みを作る時は気を付けろよ」

オーク「何か難しいことがあるのか?」

女騎士「まず、非常に吹きこぼれやすい。沸騰し始めたと思ったらいきなりすごい勢いで吹きこぼれる」

女騎士「気を付けないと電子レンジの中が大変なことになる」

オーク「そうなのか、掃除が大変そうだな……」

女騎士「それに肉が高温になりすぎると激しい水蒸気爆発で破裂することがある。この場合も煮汁が飛び散って掃除が大変だ」

女騎士「まあそうなっても肉自体は食べることはできるがな」

オーク「なるほどな。お前が電子レンジの前で真剣に中を見ながら出力を調節していたのはそのせいか」

女騎士「ああ。最初から最後まで最低出力で加熱するという手もある。その場合は鍋で煮込んだ場合と似たような味になる」

女騎士「ただしその場合はとても時間がかかる」

女騎士「また、電子レンジはあまりたくさんの量を作るのには向いていない。多人数向けにたくさん作る場合は素直に鍋で作った方がいいな」

オーク「電子レンジにも色々なテクニックがあるんだな」

女騎士「プロが使う業務用の電子レンジなら食材の温度に合わせて自動的に出力を切り替えてくれるものもあるらしいが」

女騎士「ものすごく値段が高いらしい。何十万円もするとか」

オーク「うーむ、俺達のような趣味で料理をするだけの一般人がそこまでのものを買うべきかは疑問だな」

女騎士「さて、調理談義はこのくらいにして、飲もうじゃないか」

オーク「ああ、そうだな。ふふ。濃厚でスパイシーな胡椒入りウイスキーが濃い目の煮汁の和風煮込みに合うんだよこれが」

オーク「肉と胡椒の相性の良さは言うまでもないが、醤油と味醂の濃厚な味わいがウイスキーの強さに負けないからな」

女騎士「くー、実に美味い!和食というとあっさりというイメージがあるがこういう濃厚な煮込み料理も最高だ!」

オーク「最初のウォッカや日本酒も残ってるし乾き物もある。好みで飲んでくれ」

女騎士「お、すまんな。うん、美味い。日本酒もこの手羽元に合う」

オーク「ちなみに手羽元の煮汁は骨のゼラチン成分が溶け込むから冷蔵庫で冷やしておけば煮凝りになってこれまた美味い」

オーク「一度口を付けた煮汁を使う場合は火を通して殺菌してから行うべきだろうな」

オーク「今からだと出来るのは明日になるが」

女騎士「煮凝りか!それも美味そうだな。せっかくだ。明日も一緒に飲んでやってもいいぞ」

オーク「なんでそんなに上から目線なんだよ。別にいいけど」

オーク「さて、今日は最近急に冷えたから体を温められるような香辛料と酒というテーマだったがどうだった?」

女騎士「うむ。実に美味かった。香辛料を酒に溶かすだけで思いがけない美味さになるものだな」

オーク「酒に混ぜると美味しくなるものってのはけっこうあるんだ。色々試してみると面白いぜ」

女騎士「考えてみればカクテルと同じ発想か」

オーク「カクテルにもスパイスを入れるものやスープを入れるものも結構あるからな」

女騎士「確かに。固定概念は良くないな」

オーク「さて、こんなところで今日はお開きにするか」

女騎士「うむ。明日の煮凝りも楽しみにしてるぞ」

お終い

このSSまとめへのコメント

1 :  MilitaryGirl   2022年04月19日 (火) 18:18:17   ID: S:rO3QKK

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2 :  MilitaryGirl   2022年04月21日 (木) 01:08:13   ID: S:EDPlQF

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