佐城雪美の野良猫発見記 (19)

雪美ちゃんが拓海や留美さんと江ノ島にいくお話です。

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雪美「………拓海」

拓海「ん、どうしたんだ雪美」

雪美「この間……乃々と、猫………見に行った」

拓海「うっ、あぁ行ったよ。それがどうした?」

雪美「……………私も、行きたい」

拓海「あん? あー、ちょっと待ってくれ。プロデューサーにスケジュール確認しないといけないだろ?」

雪美「わかった…………」

拓海「なぁプロデューサー、あたしと雪美のオフが重なるのって何時だ?」

P「なんだ、今度は雪美とデートか?」

拓海「うっせ。いいから教えてくれよ」

P「はいはいっ、と。んー、今度の土曜なら空いてるね」

P「はいはいっ、と。んー、今度の土曜なら空いてるね」

拓海「ん、サンキュー」

P「でも、その日はこの間の猫カフェ定休日だぞ?」

拓海「げっ」

雪美「……………そう」

拓海「そんな顔すんなよ、雪美ぃ。……お、そうだ」

雪美「……………?」

拓海「なぁ雪美。猫カフェは休みだけどよ、代わりに猫が沢山いる場所に行かないか?」

雪美「……どこ?」

拓海「江ノ島だよ」

雪美「えの、しま………?」

P「なるほど、確かにあそこなら野良が沢山いるな」

拓海「だろ?」

雪美「……行きたい」

拓海「よし、なら決まりだな! じゃああたしは美世の所に行ってくるか」

P「ちょい待ち」

拓海「んだよ」

P「お前、まさかバイクで行くつもりじゃないだろうな」

拓海「ダメか?」

P「安全面を考慮して、な。行くなら電車を使ってくれ」

拓海「サイドカーでもか?」

P「でもだ」

拓海「わーったよ。雪美、細かい話はまた後でな!」

雪美「……………楽しみ、ね?」

P「良かったなー、雪美」

雪美「……うん♪」

数日後 某駅前

拓海「……なんで姉御もいるんだ?」

雪美「私が、………誘った」

留美「それもあるし、プロデューサーから頼まれたのよ。向井さんが無茶をしないように、って」

拓海「あのヤロー……。まぁいいか。今日はよろしくな、姉御」

留美「その姉御っていうの、止めて貰えないかしら? 少し恥ずかしいわ」

拓海「そっか? んじゃあ、よろしくな、留美さん」

留美「えぇ、こちらこそ」

雪美「……早く、猫………」

拓海「そうだな!」

留美「ところで、その髪型似合ってるわね雪美ちゃん」

雪美「加蓮が………やってくれた、の」

拓海「あたしら一応アイドルだろ? 人の集まるところには多少なりとも変装しねーとな?」

留美「そうね。向井さんも、その髪型似合ってるわよ。そのまま事務員も出来そうじゃない」

拓海「あー、これは里奈のやつが……。まぁあたしがやんない髪型だから変装にはピッタリかもな」

雪美「……拓海、素敵、ね?」

拓海「雪美もそのツインテール似合ってるぞ」

雪美「……ふふっ♪」

留美「こうして見ていると、なんだか親子みたいね貴女達」

拓海「姉、留美さん。流石にそれは勘弁してくれよ……」

留美「ご、ごめんなさい。姉妹というべきだったわね」

拓海「親子っつうならそっちの方があってるでしょ」

留美「……あり得なくはない年齢差ですものね」

拓海「す、すまねぇ……」

雪美「……………留美ママ?」

留美「うっ!? ……これが母性愛というものなのかしら」

拓海「楽しそうなら何よりっす」

小田急、片瀬江ノ島駅

拓海「ふー、やっと着いたな!」

留美「えぇ。雪美ちゃん、振り返って駅舎を見てみて」

雪美「……………竜宮城?」

留美「えぇそうよ。元々竜宮城をモチーフに建てられていて、今度のオリンピックに合わせて本格的に竜宮城のようにするらしいわ」

拓海「へー」

雪美「物知り…………」

留美「事前に調べただけよ」

拓海「雪美、一枚撮っとくか?」

雪美「……うん」

拓海「待ってろ。……すんません、カメラいいっすか?」

拓海「よし、撮るぞ。笑え雪美!」

雪美「……♪」

カシャッ

拓海「どうもっす。……お、良く撮れてるな!」

留美「そうね。雪美ちゃんもいい笑顔よ」

雪美「ふふっ」

拓海「よーし、んじゃ江ノ島まで行くか!」

雪美「……おー」

江ノ島大橋上

拓海「留美さん、この橋にはなんか話とか無いんすか?」

留美「そうね、プロデューサーに聞いた話だけど、昔はここを通るのにお金がかかったそうよ」

拓海「マジかよ」

留美「本当に昔だそうだけれどね」

雪美「……………プロデューサーも、物知り?」

留美「そうね。あ、そろそろ橋が終わるわね」

拓海「相変わらずさざえと醤油の匂いがたまんねーな」

雪美「……………拓海、よく来るの?」

拓海「あぁ。と言ってもあたしの場合はバイクでだけどな」

雪美「……………楽しそう」

拓海「あと6年経ったら一緒にツーリング行こうな」

仲見世通り

留美「それにしても、こんな季節でも人が多いわね」

拓海「っすねー。雪美、手」

雪美「……うん」キュッ

留美(向井さん、本当に面倒見がいいわね)

拓海「神社に続くこの通りの途中にも猫いたりするけど、探すか?」

雪美「……………探す」

拓海「っし。じゃあ先ずはここ入るか」

留美「こういう路地裏にも色んなお店があるのね」

ニャー

雪美「……いたっ」

拓海「お、ほんとだ。やっぱ人慣れしてんなー」

雪美「……うん、そう………」

拓海「なんだって?」

雪美「……ここなら食べるものに困らない、って」

拓海「だろうなー」

留美「……可愛いわぁ」カシャッカシャッカシャッ

拓海「留美さん、あんまし離れすぎると不審者に見えるぜ」

留美「ごめんなさい、でも近付きすぎると、ね?」

雪美「……またね」

留美「…へぇ、しらすビールなんてあるのね。帰りに買って帰ろうかしら」

拓海「色々あんなー」

雪美「…………………拓海、これ」

拓海「どしたー? って……」

留美「“江ノ島はろうきて○茶寮”……。彼女、どこにでもいるのね」

拓海「商魂逞しいっつうかなんつうか……」

雪美「……帰り、寄りたい………」

拓海「あ、あぁ。帰りに、な」

留美「やっぱり猫繋がりなのかしら?」

拓海「さぁ?」

江ノ島神社前

雪美「……長い」

拓海「江ノ島神社にはここを歩いていかないといけないからな。少し高くつくがエスカーもあるぞ?」

雪美「……………歩く」

留美「雪美ちゃん、頑張るのは素晴らしいけど、無理は禁物よ?」

雪美「わかっ、た………」

拓海「そういやここって弁天様を奉ってるんでしたっけ?」

留美「えぇそうよ。藤沢の七福神の一柱ね」

雪美「……しち、ふく?」

留美「七福神って言ってね、日本で幸福をもたらしてくれるって言われてる七柱、七人の神様の事よ。
ここの神社ではその内の一人を奉ってるの」

拓海「確かここで恋人同士で参ると弁天様が嫉妬して別れさせようとするんだっけ?」

留美「そんな言い伝えもあるわね」

雪美「……………プロデューサーとは、来れない?」

拓海「あー、お参りさえしなけりゃ平気だろ」

留美「そうね。それに、江ノ島には恋人向けのスポットもあるのよ」

雪美「……………どこ?」

留美「先ずは頂上まで行きましょうか」

江ノ島頂上付近

雪美「……………ふぅ、ふぅ……」

拓海「おい、無理すんなよ?」

雪美「う、ん………」

留美「あ、そう言えばこの辺りに前に高垣さんが来たカフェがあったわね」

拓海「んじゃそこで一息つきますか」

カフェ店内

雪美「……………すごい」

拓海「海を一望とは贅沢だなおい! ちと寒いけどよ」

留美「そうね。もう少し早い時期だったなら海風が心地よかったでしょうね」

雪美「……楓の、色紙」

拓海「ん、本当に来てたんだなあの人」

留美「この間のオフに1人で満喫したそうよ。川島さんオススメのお寿司屋さんにも行ったとか」

雪美「……拓海、私はもう…平気」

拓海「お、そっか。んじゃこれ飲んだら猫探しに行くか!」

雪美「……………楽しみ♪」

植物園付近

ニャー ニャー マーオ フミャー

雪美「……………っ!」

拓海「寒い時期だからいねーかと思ったけどそうでもねーのな」

雪美「……触っても、いい?」

ニャー

雪美「……………冬毛、モフモフ、ね?」

留美「」カシャッカシャッカシャッカシャッ

拓海「……留美さんも楽しそうで何より」

雪美「……きゃっ」

拓海「おーおー猫まみれじゃねーか雪美。大丈夫か?」

雪美「……………平気」

留美「猫の毛を取る用のガムテープは持ってきてるわよ」

拓海「準備いいっすね」

留美「それにしても……」

拓海「?」

留美「ここは天国なのかしら?」

拓海「……江ノ島っすよ」

恋人の丘

留美「あれが“龍恋の鐘”よ」

拓海「……なんか場違いな場所に来ちまったな」

雪美「………これにも、お話…ある?」

留美「えぇ、じゃあ簡単に。
昔、鎌倉に悪いことをする龍がいたんですって。その龍はある日天から現れた天女様に一目惚れをして妻になってくれとプロポーズしたの」

雪美「……………それで?」

留美「でも天女様は“お前みたいに悪さばかりする者の妻にはなりません”って振ったの」

拓海「まぁ当然だな」

留美「それを聞いて自分の行いを反省した龍は心を入れ換えるからって改めてプロポーズしたの」

留美「この言葉を信じて天女様はプロポーズを受け入れた。それから龍は人々の為に行動をして、命が尽きる時も山となってこの江ノ島を見守ってるそうよ」

雪美「………龍、偉い」

留美「そうね。その伝説にちなんで、この鐘が作られたそうよ。この鐘を恋人同士で鳴らして、南京錠をかけると永遠の愛で結ばれるそうよ」

雪美「……………素敵」

拓海「あたしはあんまり興味ねーな」

留美「感性は人それぞれよ、向井さん」

拓海「っすね」

留美「さぁ、そろそろ下に降りましょうか。降りるときはエスカー使いましょ?」

雪美「……うん」

仲見世通り

拓海「本当にキテ○だな」

留美「さっき調べたんだけど、このお店ってここと京都の2店舗だけだそうよ」

雪美「……………キ○ィいっぱい」

江ノ島大橋付近

拓海「やっぱ江ノ島来たらしらす丼食わねぇとな!」

雪美「……美味しい、ね」

留美「えぇ。他にも色々あるけど、次の機会にしましょうか」

片瀬江ノ島駅

拓海「はぁー、江ノ島ともおさらばか。雪美、楽しかったか?」

雪美「……うん、ありがとう、二人とも」

留美「どういたしまして。こちらこそ楽しかったわ」

拓海「だな。さーて、そろそろ電車も来るし戻るとするか!」

雪美「……うんっ」

後日、みくや春菜に自分達も連れていけと詰め寄られる拓海が事務所で見られたとか。

おしまい。

以上です。
元になったネタはTwitterのとあるタグから。
それでは失礼します。

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