【ゆるゆり】京子「冒険者になるための特訓を開始する!」 (39)


(ごらく部部室)


京子「これからの時代は、冒険者だ!」

結衣「京子お前、この前はこれからの時代はスパイだとか言ってなかったか?」

ちなつ「本当に、京子センパイって唐突なんですから・・・」

あかり「冒険者になる特訓?何をするの?」



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京子「さて冒険者になるための特訓は・・・よっと」

結衣「ん?何だ京子、畳なんか剥がして」



京子「部室の畳の下にたまたまある、このダンジョンに潜ってもらう!」

結衣「だっ、ダンジョン!?何でそんなのが部室の畳の下にあるんだ!?」

ちなつ「こ、こんなのあったんですか!?今まで知りませんでしたよ!?」

あかり「い、一体どういう事なの!?」



京子「あれ?みんな知らないんだ?七森中のダンジョンには魔王が封印され眠りについてるって」

結衣「い、いやその・・・いきなり魔王とか言われても」

ちなつ「こ、このダンジョンの中に魔王が居るんですか?」

あかり「その封印って、解けないの・・・?」



京子「大丈夫だって。七森中に伝わる伝説によれば魔王が目覚めるのは1万年後だから」

結衣「1万年前から、七森中ってあったのか・・・?」

ちなつ「な、何だかとても現実とは思えないんですけど」

あかり「そ、それであかり達、何をするの・・・?」



京子「大丈夫大丈夫。ちょっと雰囲気を味わってすぐ帰ってくるだけだからさ」

京子「魔王は封印されて眠ってるんだし訓練だよ訓練。さ、靴履いたら降りて降りて」

結衣「ちょ、押すなって京子」

ちなつ「ほ、本当に大丈夫なんでしょうね・・・?」

あかり「うわぁーん、やな予感がするよぉー」












(ダンジョン内)


京子「さて、みんなにはこれから冒険者の厳しい現実を知ってもらう!」

結衣「お、おい京子声がデカイって・・・」

ちなつ「魔王が起きちゃいますって!」

あかり「暗くてひんやりしてて、怖いよぉー・・・」



京子「剣と魔法の華やかなイメージと違って、実際の冒険者の生活は地道なもんだ・・・」

結衣「そ、そうなんだ」

ちなつ「か、帰りません?もう十分ですって・・・」

あかり「何か出そうだよぉー」



京子「最初の仕事はモンスター退治ですらなく、近所のゴミ拾いやドブさらいを手伝って」

京子「そのお駄賃で冒険に必要な装備を揃え、出発の準備を整える事になる」

結衣「思った以上に地味なんだな」

ちなつ「冒険者って、苦労してるんですね・・・」

あかり「ゲームだと、あんなに簡単そうなのに・・・」



京子「ご近所付き合いも大切にしないといけない。何せ冒険者は危険な職業だ」

京子「何かとご近所さんにご迷惑をおかけする場合もある・・・」

結衣「近所迷惑にも、気をつけないといけないのか・・・」

ちなつ「いろいろ大変なんですね、冒険者って」

あかり「も、もっとこう、色んなとこを自由に冒険するって感じなのかなと思ってたけど」



京子「そして冒険には、武器や防具の他にも水や食料、照明器具、ロープなど必要となる物は多い」

京子「さらに、例え冒険が上手く行っても収入より必要経費が上回ってしまう場合もある・・・」

結衣「えらく生臭い話になってきたな」

ちなつ「もっとこう、ロマンのある物だと思ってましたけど冒険者って」

あかり「う、うん、お姫様を助けたりとかね」



京子「しかし、困難を恐れちゃいけない」

京子「なにせ、私達はこれから七森じゅうに散らばるダンジョンに挑戦するんだから・・・」

京子「だから、こうやってまず雰囲気に慣れてもらおうとしてるってわけさ」

結衣「いやあの、ダンジョンってそこら中にあるの?そんで、私達これからそこに潜る事になってるの?」

ちなつ「一体、何がどうなってるんですか・・・」

あかり「あかり達冒険者になるの?なんで?」



京子「そりゃあ、最終的に私たちで魔王を倒すためさ」

結衣「む、無理に決まってるだろそんなもん!」

京子「いや!地味な事からコツコツ始めて、気がつけば魔王を倒せるぐらいの実力に・・・」

京子「ゲームと一緒さ」

ちなつ「ゲームと一緒にしないで欲しいんですけど」

あかり「ゲームと違って、あかり達死んだら生き返らないよ!?」



京子「・・・と、歩きながら説明している間に」

結衣「ん?」


京子「着いた。この扉の先が魔王の封印されてる間だ」

結衣「お、おい!?」

ちなつ「ちょ、ちょっと京子センパイ静かに・・・」

あかり「ま、魔王が起きちゃうよ!?」



京子「だーいじょうぶだって。魔王は封印されて眠ってるって言ったろ?」

京子「最終目標の顔を先に見とくだけさ。さぁ、レッツゴー!」ギィ

結衣「バカ京子、お前そんな大声で・・・」

ちなつ「結衣センパイ、あかりちゃん、いざとなったら京子センパイを盾にして・・・」

あかり「ほ、本当に行くの!?やめようよぉ!」


(封印の間)


魔王「・・・」


京子「みんな、静かに・・・。ほら、あれが魔王だ」

結衣「ほ、本当に居るし・・・」

ちなつ「石のベッドに横たわってて、動きませんね・・・」

あかり「角とキバが生えてて、身長もあかり達の3倍はありそう、怖いよぉー・・・」


魔王「・・・」


京子「魔王は、かつてアトランティス大陸を丸ごと海に沈めたほどの力がある」

京子「今の私達の実力じゃ、とても太刀打ちできない・・・」

結衣「い、いや、いくら実力があってもな。無理だろ」

ちなつ「み、見なかった事にして帰りましょ」

あかり「い、いま起きたりしないよね・・・?」


魔王「・・・」ムクリ


京子「だーいじょうぶだって。いくら魔王といえど、眠ってる間は無防備だからねー」

結衣「・・・」

ちなつ「・・・」

あかり「・・・」


魔王「・・・」


京子「そのアドバンテージを生かせれば、私たちでもあるいは・・・。今はとても無理だけどね」

結衣「・・・」

ちなつ「・・・」

あかり「・・・」



結衣「・・・それでさ、京子」

京子「ん?どしたの結衣?」

結衣「封印されてから、1万年後に魔王って目覚めるんだよな?」

京子「そだよ?」

結衣「魔王って、いつ頃封印されたんだっけ」

京子「んーと・・・。今から1万年前?」



魔王「・・・」ゴゴゴゴ…


結衣「目覚めちゃってるんだけど、魔王・・・」

京子「ん・・・?う、うえぇぇーーーっ!?」

ちなつ「い、いやーーーーーっ!?」

あかり「やな予感が的中したよぉーーーっ!?」



魔王「グッフッフッフ・・・愚かな人間どもよ。1万年前は不覚を取ったが・・・」

魔王「今度こそ、滅ぼしてくれるわぁーーーーっ!」ドドォー


結衣「ひっ、ひぃーーーーっ!?きょ、京子、何とかしろよ!?」

ちなつ「そっ、そうですよ!1万年前、どうやって魔王を封印したんですか!?」

京子「そっ、それが、七森中の伝説には何にも伝わってなくって・・・」

あかり「すっごく怒ってるよぉーー!?」



魔王「さて、手始めにこの町を火の海に沈めてやるとするか。覚悟しろ人間どもよ!」


結衣「お、お前が余計な事をするから・・・あ、そうだ!」

京子「ん?ど、どうした結衣?」

ちなつ「何か思いついたんですか結衣センパイ?」

あかり「ゆ、結衣ちゃん、どうしたの?」



魔王「よくも、このワシを1万年も眠らせてくれおったな。今こそ、この恨み・・・」


結衣「1万年?」

魔王「ん?」



結衣「魔王さん、封印されてからまだ1年しか経ってませんよ?」

魔王「え?」


京子「そ・・・そうか!いいぞ結衣!」

ちなつ「え、ええ、結衣センパイの言う通りですよ!」

あかり「ほ、本当ですから?」



魔王「あ・・・あれそう?何かワシ、感覚的にもっと寝てたような気が」

結衣「ね、寝ぼけてるんですよ、きっと」

京子「そうそう!私もそういう事よくありますし!」

ちなつ「え、ええ!ほらまだ眠いですよね?魔王さん!」

あかり「う、うんまだ1年しか寝てませんから?ね?」



魔王「じゃあ仕方ない、あと9999年寝るとするか。よっこいせっと」

魔王「・・・グゥ~・・・」


結衣「やっ・・・!」

京子「しっ、結衣、みんな、今のうちに・・・!」

ちなつ「行きましょ、結衣センパイ、あかりちゃん!」

あかり「う、うん!」












京子「いやー、危ない所だったねぇー」

結衣「いやあのな、危ない所とかそういう次元じゃ・・・」

ちなつ「そうですよ。下手したら、町が火の海になる所だったんですからね?」

あかり「本当だよー。けど、これで9999年は大丈夫なんだよね・・・?」



京子「それにしても、結衣!いい機転だった」

京子「初クエストで、まさか最後のボスを倒しちゃうとは!」

結衣「い、いやぁ、倒したっていうか何ていうか・・・」

ちなつ「あ、それじゃこれで私たち冒険者にならなくってもいいんですか?」

あかり「あ、そうだよー」



京子「いーや、そうはいかない。これはあくまで訓練なんだ」

京子「次は、伝説の剣を守る火吹きドラゴンの住む山のダンジョンに・・・」

結衣「いいかげんにしろお前は」

ちなつ「絶っ対に、行きませんからねそんなとこ」

あかり「もう、ダンジョンは懲り懲りだよぉー」



京子「だって・・・した・・・最終的に・・・魔王・・・倒さな・・・」

ちなつ「そん・・・無理・・・決ま・・・」

あかり「そっと・・・いて・・・よ・・・」

結衣(・・・ん?)




結衣(何だか・・・周りの景色がボヤけて)


結衣(みんなの姿がかすれて、声も途切れ途切れで・・・)


結衣(・・・ああ。そうか、これって・・・)




結衣(はは・・・そうだよな。こんなのって・・・現実なわけないもんな)

結衣(さーて、これは夢オチか・・・?それとも・・・。京子の・・・)


―――

――




(ごらく部部室)


西垣「やーやー、みんなお目覚めかねー」

結衣「ん・・・?に、西垣先生・・・?」

ちなつ「あ、あれ?私たち、今まで・・・」

あかり「確か、ダンジョンに・・・あれ?」

京子「う、うーん・・・はっ」



京子「・・・にっしがきちゃーん、すっごく、面白かったよこれー?」

西垣「はっはっは、そうか、そんなに気に入ってくれたか」

西垣「私の、『冒険者になった体験ができるマシーン』を」


結衣「そ、そうか、思い出した・・・。西垣先生の発明品で京子が遊ぼうって」

ちなつ「い、今までのって、全部夢だったんですね・・・」

あかり「すっごく、リアルだったね・・・。あかり、途中で全然気づかなかったよぉ」



京子「けどもー、結衣が速攻でクリアしちゃうんだからー。つまんないのー」

京子「本当は、命からがら魔王から逃げて、そこからさらなる大冒険が待ち受けてて・・・」

結衣「いや待ち受けられてても困るから」

ちなつ「本当に死ぬかと思ったんですからね?リアル過ぎて・・・」

あかり「心臓に悪すぎだよぉー、全部ゲームで良かったけど」



西垣「さーて、次は『異世界でモテモテ勇者になった体験ができるマシーン』を試さないか?」

京子「あっ、面白そう!やる!」

ちなつ「もう付き合いませんからね」

あかり「冒険は懲り懲りだよぉ」

結衣(そうかそうか、こういうオチか・・・)ハハハ…



結衣「・・・ん?待てよ?西垣先生の発明品オチ?」

結衣「て、てことは・・・これは」


結衣「爆発オチだーーっ!」


ピカッ

ドッゴーーーーン…


終わり

冒険者アニメえんどろ~好評放送中
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