櫻井桃華「クレイジーバッファロー」 (42)

桃華「……‘狂える猛牛’という意味ですわね」

ちひろ「どうする? 映像、止める?」

桃華「いいえ。最後まで見ますわ」

ちひろ「でも、顔色が……」

桃華「わたくし、知っておきたいんですの」


バイソン『ハーハハハ! 少しやり過ぎたかぁ?』


桃華「……ボクシングが、どんなものかを」


https://www.youtube.com/watch?v=Wr3IavT9P70

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1552915890

桃華「今度のお仕事に関係があるのですから」

ちひろ「でも、無理をしなくても」

桃華「ちひろさん……」

ちひろ「ボクサーだったら、他にも沢山居るわ」

桃華「ええ、勿論! 先程見せていただいた――」


桃華「――ダッドリーという方の映像!」

桃華「野蛮だと思っていたボクシングに、あんな紳士が居ただなんて!」

桃華「それに、薔薇の花が似合う殿方なんて、そうそう居ませんもの!」

桃華「……Pちゃまも、あの方の様なおヒゲを生やさないかしら?」


ちひろ「そ……それはちょっと」

桃華「それに比べて……」


バイソン『オラァ! 弱ぇカスは引っ込んでな!』


桃華「……この方は、見るに耐えませんわね」

ちひろ「だったら――」

桃華「――だからこそ、ですわ」

ちひろ「えっ?」


桃華「良い部分ばかりを見ていては、きちんと理解したとは言えませんわ」

桃華「ボクシングは、スポーツとは言え殴り合い……」

桃華「だから――」

桃華「――良い部分を見せるため、ダッドリーという方の映像を」

桃華「――悪い部分を見せるため、この、バイソンという方の映像を」

桃華「Pちゃまは、わたくしに用意したと思いますの」


ちひろ「……」

桃華「なら、最後まで見るのが努めですわ!」

ちひろ「……桃華ちゃん」

桃華「ダッドリーちゃまは、このバイソンという方に言ったそうですの」


桃華「――君はボクサーの恥だ」

桃華「――君はボクサーを名乗るに値しない人間だ」


桃華「……って」

桃華「これを見る限りでは、わたくしもそう思いますわ!」フンス!

ちひろ「あ、あはは……」


バイソン『I'm champion!!』


桃華「何がチャンピオンなものですか!」

桃華「あなたなんて、ただのゴロツキにすぎませんわ!」

ちひろ「桃華ちゃん! これは映像だから!」

ちひろ「落ち着いて? ねっ?」

  ・  ・  ・

帰宅中、車内


ブロロロロッ…


桃華「はぁ……」

桃華(わたくしとした事が、レディーにあるまじき事を……)

桃華(……映像を見て、声を張り上げるだなんて)


桃華「……よし!」

桃華(今後は、今日のような事が無いようにしませんと!)

桃華(それにしても……ダッドリーちゃまは素敵でしたわ~♪)

桃華(お仕事で関わる方が、皆あのような紳士なら良いのですけれど……)


キキーッ!!


桃華「きゃっ!?」

桃華「きゅ、急ブレーキだなんて……何かありましたの!?」

運転手「ま、周りを囲まれてしまって!」

桃華「どういう事ですの!?」


ガンッ! ガンッ!


桃華「ひっ!? な、何!?」

運転手「桃華お嬢様! ドアから離れてください!」

桃華「えっ!?」

運転手「外から、車が攻撃されています!」

桃華「攻撃ですって!?」

運転手「防弾仕様なので、警察が来るまで耐えられ――」


ガァンッ! ガァンッ!

…ピシッ!


運転手「――っ!?」

桃華「そんな……!?」


桃華(……お願い……誰か……!)

桃華「誰か……助け――」


ピシッ! ピシピシピシッ…!


桃華「――っ!?」



????「よーう! 楽しそうな事やってんじゃねえか、ええ?」



運転手「外の声が聞こえて……」

桃華「……この声、どこかで」



????「乗ってるのは誰だ?」

????「ハッ! 何にせよ、金の匂いがプンプンしやがるぜ!」

????「……テメェらは失せな!」

????「オレ様に寄越せ! さもなきゃ[ピーーー]!」


桃華「!? この声は、さっきの映像の――」



バイソン「あぁ? やるってのか、この雑魚共が!」



桃華「――マイク・バイソン!」

saga忘れ>>7

桃華「誰か……助け――」


ピシッ! ピシピシピシッ…!


桃華「――っ!?」



????「よーう! 楽しそうな事やってんじゃねえか、ええ?」



運転手「外の声が聞こえて……」

桃華「……この声、どこかで」



????「乗ってるのは誰だ?」

????「ハッ! 何にせよ、金の匂いがプンプンしやがるぜ!」

????「……テメェらは失せな!」

????「オレ様に寄越せ! さもなきゃ殺す!」


桃華「!? この声は、さっきの映像の――」



バイソン「あぁ? やるってのか、この雑魚共が!」



桃華「――マイク・バイソン!」

桃華「っ……!」

そっ…

運転手「! お嬢様、危険です!」



バイソン「!」

ガシッ!

覆面A「!?」

バイソン「ボケがっ!!」

ドッ! ドゴッ!

覆面A「うぐおっ!?」

…ドサッ


バイソン「!」

ガシッ!

覆面B「!?」

バイソン「寝てろっ!!」

ドガァッ!

覆面B「があっ!?」

…ドサッ!



桃華「つ……掴んでから殴るだなんて……!」

運転手「桃華お嬢様っ!」

覆面C「くっ!」

…チャキッ



桃華「! 危ない! 銃ですわ!」



バイソン「――!」



覆面C「おおおっ!」

ドォンッ!

バイソン「――シッ!」

クルッ!



桃華「えっ!? 銃弾を避けた!?」



バイソン「無駄だっ!!」

ドガァッ!

覆面C「ぐううっ!?」

…ドサッ!

  ・  ・  ・

バイソン「――へっ! 弱ェ弱ェ!」

バイソン「ザコがいくら群れようと無駄なんだよ!」



運転手「す、凄い……あの人数を一人で……!」

桃華「けれど、さっきの言葉……」

運転手「っ!? そ、そうです!」

運転手「私が時間を稼ぎますので、桃華お嬢様は――」

桃華「……いいえ」


桃華「――いつでも優雅たれ」

桃華「今は、そう振る舞うのが……わたくしの」

桃華「櫻井桃華の、役目ですわ」



バイソン「さぁて……中に居るのはジジイか?」

バイソン「それとも、ガキか女か?」

バイソン「何にせよ、儲けさせて貰うぜぇ……!」

バイソン「おい、聞こえてんだろうが!」

バイソン「さっさと出てこねぇと、車ごとオシャカにすんぞ!」


…ガチャリ


桃華「――お待たせしましたわね」


バイソン「何でぇ、ガキか」


桃華「わたくし、櫻井桃華と申します」

桃華「まずは、助けて頂いたお礼を」ニコッ!


バイソン「はっはぁ! 助けただぁ?」

バイソン「何抜かしてやがる!」

バイソン「オレが、そんな真似をするように見えるか? あぁ?」


桃華「いいえ、全く」

桃華「けれど、助けて頂いた事は事実ですわ」ニコッ!


バイソン「……何だ、このガキは」

桃華「是非、お礼をさせてくださいな」

桃華「わたくしの屋敷に、ご招待しますわ」ニコッ!


バイソン「おい、ガキぃ!」

バイソン「何をゴチャゴチャ言ってやがる!」

バイソン「オレは、女子供でも容赦しねえぞ!」


桃華「まあ、怖い」ニコッ!

桃華「それで、ご招待は受けて頂けるんですの?」ニコッ!


バイソン「……」


桃華「……っ」プル…プル…


バイソン「……へっ」


バイソン「金は用意出来るんだろうな?」


桃華「ええ、勿論……」ホッ!

桃華「桃華にお任せくださいですわ」…ニコッ!

  ・  ・  ・

櫻井家、応接間


バイソン「――用心棒だぁ?」


桃華「はい」

桃華「今回のお礼とは、また別にお給金――ギャラも差し上げますわ」

桃華「なので、雇われては頂けませんか?」


バイソン「……面白いことを言うじゃねえか」

バイソン「オレ様の報酬は高いぜ? へっへっへ!」


桃華「ええ、構いませんわ」ニコッ!


バイソン「ポリ公が来る前に、消えるように居なくなっちまうようなのが相手だ」

バイソン「たんまりはずんでもらわなきゃ、割に合わねぇなぁ~?」ニヤァッ!


桃華「勿論、そのつもりですわ」ニコッ!


バイソン「ほぉ……言うじゃねえか」

桃華「次に、いつまた襲ってくるかわかりませんもの」

桃華「すぐに手配出来る人間は……生憎」


バイソン「そりゃそうだろうなぁ!」

バイソン「オレ程の強さの奴は、そうそう居ねぇ!」


桃華「ええ」

桃華「有名な――マイク・バイソンさんですもの」


バイソン「……はっはぁ!」

バイソン「オレの事を知ってて雇おうってか!」

バイソン「……」


バイソン「良いぜ、金を払ってる間は働いてやるよ」


バイソン「だが、オレはオレのやり方でやらせてもらう」

バイソン「文句はねぇな?」


桃華「それでは、まず……」


バイソン「あぁん?」


桃華「少し臭うので、お話はシャワーの後にしても良いかしら?」

寝ます
おやすみなさい

  ・  ・  ・

桃華「――もしもし」

桃華「突然お電話してすみません」


???『あら、私(わたくし)と桃華さんの仲じゃありませんの』

???『むしろ、遠慮されるとこちらが困ってしまいますわ』


桃華「……ふふっ、ありがとうございます」


???『それで? 今日は、一体何の御用かしら?』

???『初めに言っておきますが、アイドルになる気はありませんわよ?』

???『パーティーのお誘いでしたら、歓迎ですけれど』


桃華「実は……謎の集団に襲われましたの」


???『何ですって!?』


桃華「そこを……マイク・バイソンという方に助けられたのですわ」


???『成る程、それは――』


かりん『この神月かりんに相応しい、パーティーのご招待ですわね』

かりん『桃華さん、お怪我は?』


桃華「ありませんわ」

桃華「それで、今後の相談をしたくて……」


かりん『そうですわね……』

かりん『一先ず、神月家くのいち衆を向かわせますわ』

かりん『私がすぐにでも行きたい所ではあるのですけれど……』

かりん『強い格闘家が居ると聞き、今は南米にいますの』


桃華「そ、そうなんですのね……」


かりん『おーっほっほっほ!』

かりん『……しかし、マイク・バイソンですか』

かりん『桃華さんならば、上手く言いくるめたのではありません?』


桃華「はい」


かりん『ならば、くのいち衆が来るまでは時間を稼いでくださいな』

かりん『大丈夫、桃華さんならばきっと出来ますわ』


桃華「そう、でしょうか?」


かりん『ええ!』

かりん『桃華さんは、とても優秀な方ですし……何より――』


かりん『――バイソンは、腕は立つけれどオツムは弱いですもの』

  ・  ・  ・

シャワアァァ…


バイソン「……へへへ!」

バイソン「オレにも、ツキが回ってきやがったぜ!」


バイソン「……」

バイソン(シャドルーも壊滅して、金も底をついてたんだ)

バイソン(次の雇い主が現れるまで、あのガキで小遣い稼ぎをするかなぁ!)

バイソン(……ひひひ!)

バイソン(襲ってきたのは、どこの組織の連中だぁ?)

バイソン(ガキを攫うには、オレ様が邪魔でしょうがねぇよなぁ!)


バイソン「無駄な真似はやめて、おとなしく交渉に来るこったな!」

バイソン「金額次第じゃ――」

バイソン「あのガキを手土産に、雇われてやっても良いぜ!」


…キュッ!


バイソン「……しかし、あのガキの喋り方に覚えがあるのは、何でだ?」

バイソン「どっかで聞いた覚えがあるんだが……」

バイソン「……まあ良い、思い出せないなら大した奴じゃねえか」

  ・  ・  ・

かりん『――と、こういう事を考えているに違いありませんわ』

かりん『だから逆に、こちらが利用してやりますの』


桃華「……やっぱり、最低な方ですのね」

桃華「あの、マイク・バイソンという人は!」


かりん『しかし……桃華さんを襲ったという連中、気になりますわね』

かりん『念の為、桃華さん以外の方の所にも人を向かわせますわ』

かりん『桃華さんも、何かあったらすぐ私に連絡を』


桃華「わたくし以外の方の所……?」


かりん『桃華さんは、資産家の娘という他にも――』

かりん『――アイドル、という職業についていますもの』

かりん『所属するプロダクションには、同じ様な方が居ますでしょう?』


桃華「成る程!」

桃華「確かに、その通りですわ!」


かりん『経済界だけでなく、一般社会にも影響を与える人物に目をつける……』

かりん『これは……少し、嫌な予感がしますわね』

  ・  ・  ・

数日後、櫻井家、一室


ガチャッ!

バイソン「――よぉ、やってるじゃねえか」


桃華「っ!?」

桃華「あの……何か、御用ですの?」


バイソン「ちょっとした暇潰しだ」

バイソン「何せ、ここ数日暇でしょうがねえからよ」

バイソン「雇い主が何をしてるのか、暇だから見に来たんだよ」


桃華「……本当に暇ですのね」

桃華「けれど、自主レッスンを見ても楽しいものですの?」

桃華「わたくしは、別に構いませんけれど」


バイソン「楽しくはねぇなぁ!」

バイソン「いい女だったら、もっと違う楽しみをしたい所だがよ!」

バイソン「はーっはっはっは!」


桃華「もっと違う楽しみ……?」

桃華「……ゴホンッ! 子供扱いはやめてくださいな」


バイソン「……」

バイソン「オメェ、意味わかってねえのに言ってるだろ?」

桃華「……けれど、少し意外でしたわ」


バイソン「あん? 何がだよ」


桃華「貴方は……」

桃華「アイドル、というものを馬鹿にするような方だと思っていました」


バイソン「アイドルってのは要するに、アレだろ?」

バイソン「いい女が、歌って踊るもんだろう?」

バイソン「だったら、オレが馬鹿にする理由はねえな」


桃華「……」


バイソン「だがなぁ、お前は別だ」

バイソン「ヘッタクソなステップをしやがって」

バイソン「ピヨピヨ、ピヨピヨ! まるでヒヨコじゃねえか!」


桃華「なっ!?」

桃華「わ、わたくしを馬鹿にしに来ましたの!?」

バイソン「自宅の一室を改装……良いねぇ」

バイソン「恵まれてる奴ってのは、こんな事も出来る」


桃華「……」


バイソン「だが、使う人間がゴミならただのゴミ箱よ」

バイソン「トレーニングってのは、実戦を想定してやるもんだ」

バイソン「トレーニングのためのトレーニングなんて、無駄よ無駄!」


桃華「!」

桃華「言われてみれば……本番を意識しては、いませんでしたわ」

桃華「貴方は……それをわたしくしに教えるために?」


バイソン「あぁ?」

バイソン「このオレ様が、そんな面倒な事をするかよ!」


桃華「けれど、貴方の言葉で自主レッスンの効果が上がると思いますわ」

桃華「……ふふっ!」

桃華「バイソンさん、ありがとうございます」ニコッ!


バイソン「……」

バイソン「チッ! 調子の狂う奴だぜ」

桃華「これで、より上手く……」

桃華「わたくしの愛をファンの方にお届けする事が出来ますわ!」


バイソン「……んだ、そりゃあ?」

バイソン「ステージに立つのは、お前だろうが」


桃華「だからこそ、ですわ」

桃華「ファンの方よりも高い位置――ステージに立つのは」

桃華「――注目を集めるため、ではなく」

桃華「――わたくしの愛が、より遠くまで届くように」

桃華「……と、思っていますの」


バイソン「……へっ、理解出来ねえな」

バイソン「そんな言葉じゃ、オレには届かねえ」

バイソン「口だけだったら、何とでも言える」


桃華「あら! なら、丁度良いですわね!」


バイソン「……何?」


桃華「桃華の、今日のこの自主レッスン」

桃華「貴方が見ていれば、本番さながらですわ!」ニコッ!


バイソン「……」

バイソン「チケット代を払う気はさらさらねぇぞ?」

  ・  ・  ・

更に数日後、櫻井家、夜


バイソン「……」

バイソン(……チッ! 調子が狂いやがる!)

バイソン(あのモモカってガキ、何なんだ?)

バイソン(アイドルってのは、皆‘ああ’なのか?)


バイソン「……これも、しばらく誰かを殴ってねえせいだ」

バイソン「野郎ども、さっさと来やがれってんだ!」

バイソン「このオレの、サンドバッグになりやがれ!」


パリィィンッ!!


バイソン「――!」

バイソン「へっへっへ……おいでなすったぜ!」

バイソン「体がなまってた所だ……!」

バイソン「簡単にぶっ壊れねえよう、オレに殴られろや!」

  ・  ・  ・

桃華自室


桃華「……! 来ないでください!」


覆面D「……」


桃華「っ……!」



バガァァンッ!!



覆面D「!?」



バイソン「――ちょいと強くノックをしたら、ドアがいかれちまった」

バイソン「修理代は、そこのソイツが払うってことで良いな?」



桃華「――バイソンさん!」パアッ!

覆面D「……!」

…ダッ!


バイソン「何処に行こうってんだ! あぁ!?」

バイソン「ストレィ――ト!!」

ボッ!


覆面D「っ!?」

ガシッ!


バイソン「この前の奴らよりはマシみてぇだな!」

バイソン「だが、敵じゃあねえんだよ!」


覆面D「……!」

覆面D「――今だ!」


バイソン「何っ?」



桃華「きゃあっ!?」

覆面E「……」



バイソン「チイッ!」

覆面D「……」

バイソン「そこをどきやがれ!」

バイソン「失せろッ!!」

ドガァッ!

覆面D「うぐぅっ!?」

…ドサッ!



覆面E「……」

桃華「バイソンさん――」

スッ…



バイソン「! 待ちやがれ!」



桃華「――――」

覆面E「……!」

トンッ―!



バイソン「……クソッ!」

―しゅたっ!

くのいち「……桃華様は!?」


バイソン「連れてかれたぜ」


くのいち「何っ!?」

くのいち「くっ……すぐに後を追わなくては!」


バイソン「そうかい、ご苦労なこった」


くのいち「おい、どこに行くつもりだ!?」


バイソン「さぁな!」

バイソン「雇い主が居なくなっちまったんだ」

バイソン「オレには、此処に居る理由がねぇ」


くのいち「お前……!」


バイソン「あぁ!? なんか文句あんのか!?」

バイソン「所詮この世は金なんだよ!」

バイソン「それがわからねぇ奴は、オレに話しかけんじゃねえ!」

バイソン「ぶっ殺すぞ!」


くのいち「……!」

  ・  ・  ・

https://www.youtube.com/watch?v=dx9a2gYZu4Y


バイソン「……」


バイソン「……なめやがって」


  ・  ・  ・


桃華『バイソンさん――』


桃華『――お達者で』


  ・  ・  ・


バイソン「……」


バイソン「……オレ様を安く見やがって」


バイソン「今晩のファイトマネーは、きっちり頂く」


バイソン「……逃げようったって、そうはいかさねえ!」

  ・  ・  ・

桃華「……ん」

桃華「っ!? ここは……!?」

桃華(わたくし、気を失っていましたのね……)

桃華(それで、何処かに連れ去られて……)


覆面達「……」


桃華「あ、あのっ!」

桃華「わたくしを……どうなさるおつもりですの!?」


覆面達「……」


桃華「……!」

桃華(駄目……誰も、何も反応しない)

桃華(助けは、かりんさんのくのいち衆が詰めていたので来るでしょうけれど……)

桃華(……それでも、間に合うかどうか)


桃華「お願い……誰か……!」




「ストレェィ――――トッ!!」


バガァァァンンッ!!!



覆面達「っ!?」



桃華「…………ど」

桃華「どうして、ここに……?」



バイソン「あぁん!?」

バイソン「そんなの決まってんだろうが!」


バイソン「――テメェは大事な金づるだからな!」

バイソン「そいつを横から掻っ攫おうだなんて、許しちゃおけねえ!」

バイソン「何が、お達者でー、だぁ?」

バイソン「ガキの癖に気取ってんじゃねぇぞコラァ!」



桃華「……」

https://www.youtube.com/watch?v=UIGsMMWSRRI&t=87s

桃華「……ふ、ふふふっ!」

桃華「貴方って、本当に最低な人ですわね!」

桃華「せめて、助けに来た、とは言えませんの?」


バイソン「ケッ!」

バイソン「オレがそんな良い子ちゃんに見えるか?」


桃華「いいえ、見せませんわ」

桃華「とーっても怖い、悪人面をしてますわよ」


バイソン「はーっはっは! 言ってくれるじゃねぇか!」


桃華「それに、食べ方も汚いし、下品だし」

桃華「お金と、女の人の事しか言わないし」

桃華「いつでもグローブを外さないなんて、信じられません」


バイソン「……それで?」

バイソン「そんなオレの雇い主は、何をさせようってんだ?」



桃華「――全員まとめて……ぶっ飛ばしてくださいですわ!!」



バイソン「――オーケー、ボス!!」

バイソン「Don't escape!!」


覆面達「……!」


バイソン「ストレィ――ト!」

ボッ!

覆面「うぐあっ!?」

…ドサッ!


バイソン「次はテメエだ! オラァ!」

ゴガッ!

覆面「ぶぐえっ!?」

ドシャァッ!


覆面「う、うわああっ!」

ブンッ!

バイソン「遅ぇなぁ! 蚊が止まるぜ! オイ!」

サッ!

バイソン「格が違うんだよ、格が! オォルァ!」

ドブォッ!

覆面「ぐぎゃぁっ!?」

ズダァンッ!

覆面大男「ウオオオッ!」

ドガァッ!

バイソン「うぐおっ!?」

ヨロッ…



桃華「バイソンさん!」



バイソン「……オイ、何しやがる」ギロッ!

覆面大男「!? お、オオオッ!」

ブンッ―

バイソン「オォイッ!!」

バキャァンッ!

覆面大男「……!?」

ヨロヨロッ…


バイソン「Don't Stop Me!!」


バイソン「10カウントは聞けねぇぜ!」

ブンッ…ブンッ…!


バイソン「あの世へ行きなぁっ!!」

ドゴォアアンッ!

覆面大男「……!?」

クルクルクルッ……ドグシャアッ!


バイソン「へっ! 見掛け倒しかよ、張り合いがねぇ!」

バイソン「……どうよ?」

バイソン「お望み通り、全員片付けてやったぜ!」


桃華「そんな事より!」

桃華「頭から、血が出ていますわ!」


バイソン「あぁ? そんなの、知ったこっちゃねえよ」

バイソン「んな事より、だ」

バイソン「この働きは、ボーナスが出るんだろうな?」

…ヨロッ


桃華「っ!」


バイソン「オイ、何か言えよ」

バイソン「まさか、タダ働きをさせようってんじゃ――」

ヨロヨロッ…

バイソン「――ねえだろう、な……」

…ドサァッ!


桃華「バイソンさんっ!!」

  ・  ・  ・

柴崎「――かりんお嬢様、ご報告が」


かりん「――柴崎」

かりん「今回の件に関して、何かわかりましたの?」


柴崎「いえ……詳細は、残念ながら」

柴崎「しかし、お嬢様のお考えの通りでした」

柴崎「櫻井様の様な、資産家でアイドルの方……」

柴崎「そちらの方に、襲撃がありました」


かりん「首尾は?」


柴崎「お嬢様の言いつけ通り、リスト上位の格闘家を向かわせていました」

柴崎「なので……間一髪間に合った、といった所です」


かりん「全く……今度は、どこの誰が悪事を企んでいるのやら」

かりん「けれど、必ずや後悔させてあげますわ……!」グッ!


柴崎「そ、それは! 神月流、覇者の腕組み!」

柴崎「覇道を行く覇者の風格で、三千里すら離れた相手を圧倒するという……!」



かりん「おーっほっほっほ!」

  ・  ・  ・

桃華「――起きてください!」

桃華「目を覚ましてください、バイソンさんっ!」



バイソン「……チッ、ピーピーわめくんじゃねえ」



桃華「起きているなら、返事をしてくださいな」

桃華「まるで反応がないから、焦ってしまいましたわ」


バイソン「へっ! くたばってるとでも思ったか?」


桃華「いいえ」

桃華「今日という日に、貴方が死ぬわけがありませんもの」


バイソン「まぁな……わかってるじゃねえか?」



桃華「今日は、貴方のプロボクシング復帰の大事な一戦ですから」ニコッ!



バイソン「……おう、そうだな」

バイソン「まさか、オレがまたリングに上がる日が来るとはな」

バイソン「……夢にも思わなかったぜ」


桃華「色々と条件がつけられている事をお忘れなく!」

桃華「貴方は、一度ボクシング界を追放されたみたいですからね!」

桃華「今度、意図的な反則をしたら……」


バイソン「どうなるってんだ? あぁ?」


桃華「わたくしは、こう思いますわ」

桃華「――貴方は、反則をしなければ勝てない弱い人だ」

桃華「……ってね!」


バイソン「……チッ! そいつは面白くねぇ冗談だな!」

バイソン「オレは強ぇ! 誰よりもだ!」

バイソン「この拳さえありゃ、何だって出来るんだよ!」


桃華「はい♪ その調子で今日の試合もお願いしますわ♪」ニコッ!


バイソン「……ケッ!」

桃華「あ~あ! どうして、貴方なんでしょう!」

桃華「――346プロが、ボクサーのスポンサーになる」

桃華「……その一人目が、貴方だなんて!」


バイソン「どこぞのガキを助けた、ってんでな」

バイソン「今のオレ様は、イメージが良いらしいぜ」

バイソン「はっはっは! バカな奴らだなぁ、オイ!」


桃華「試合後、わたくしのLIVEがありますから」

桃華「あまり長引かせないでくださいまし」


バイソン「オイ、聞いてねぇぞ!?」

バイソン「……だがまぁ、すぐに終わらせるがな!」


桃華「当然、貴方も見ていくでしょう?」

桃華「曲名は『ラヴィアンローズ』――薔薇色の人生、ですわ」ニコッ!


バイソン「そいつは締まらねえエンディングになりそうだな!」ニィッ!

バイソン「……だがよ!」


バイソン「オープニングは、オレ様の好きにさせて貰うぜ!」


https://www.youtube.com/watch?v=qZsYraSSpSc





おわり

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