P「モフらせて欲しい」有栖川夏葉「モフ……えっ!?」 (9)


P「あ、悪い。急に言われたらびっくりするよな」

夏葉「……ええ。詳しく説明してもらえるかしら」

P「ああ。その……なんて言えばいいのか。たまにストレスがたまるとさ」

夏葉「ええ」

P「もうダメだー、ってなって癒しが欲しくなるわけなんだが……」

夏葉「それで、その……も、モフ? りたくなったってことね」

P「そう。ダメか?」

夏葉「ダメかどうかは別にしても……それ、白昼堂々言うことではないと思うのだけれど」

P「ああ。仕事中に言うことじゃなかったな……すまん。もふもふしたい衝動に駆られて……ふと、な……」

夏葉「ふと、ってそれ言う相手を間違えたらアウトよ?」

P「わかってる。だから夏葉なんだ」

夏葉「……私以外にいないの?」

P「そうだなぁ……ああ、夏葉以外いない」

夏葉「……………………そう」


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P「小宮さんに頼んでもいいんだが、ちょっと小さいから満足感に欠けるしな……」

夏葉「……アナタ、それ冗談でも笑えないわよ?」

P「あ、いや、そういうつもりで言ったんじゃないんだ! 小宮さんがダメとか誰でもいいとか、そういうことを言うつもりは一切ない!」

夏葉「……いいわ。聞かなかったことにしてあげる」

P「ありがとう。それで、なんだが……ダメか……?」

夏葉「…………“私が”いいのよね」

P「ああ」

夏葉「………………“私じゃなきゃ”いけないのよね」

P「ああ!」

夏葉「いいわ。…………というか、そこまで言われたら断れないじゃない。もう」

P「ホントか!?」

夏葉「ええ。でも、場所は選ばせてもらうわ」

P「うん。任せるよ」

夏葉「そう、ね……私の家、というのはどうかしら。時間は今日の仕事終わりでどうかしら」

P「問題ないよ」

夏葉「決まりね。待ってるわ」




~夏葉の家~


P「さて、ちょっと緊張してきたな……」

P「………………よし! ぴんぽーん、と」

P「………………」

P「…………」

夏葉「はーい。……あら、早かったのね」

P「ああ。全速力で仕事を片付けてきた」

夏葉「ふふ、良い心掛けじゃない。それに、着替えてきたのね」

P「そりゃあ、まぁ、こんな一大イベントがあるからな」

夏葉「一大イベント……そうね。そう、よね……」

P「夏葉も着替えたんだな」

夏葉「ええ。収録で少し汗もかいたから」

P「そっか。……それで、えっと、本日はお招きいただき……」

夏葉「え、ええ……上がって頂戴?」

P「ああ。あとこれ、つまらないものだけど、良かったら食べてくれ」

夏葉「そんな気を遣う必要なんてないのに」

P「無理を言ってお願いしてる身でそういうわけにもいかないだろ」

夏葉「じゃあ、ありがたくいただくわね」


P「…………」

夏葉「…………」

P「…………」

夏葉「……そ、それでなのだけれど」

P「あ、ああ」

夏葉「……心の準備はいいかしら」

P「ああ。いつでも大丈夫だ」

夏葉「そう。……私の方も、問題ないわ」

P「……その、もう、ここで……リビングでいいか?」

夏葉「ここで!?」

P「あ、だめだったか?」

夏葉「……いえ、取り乱してごめんなさい。いいわよ。私はどこでも」


P「なんかちょっと緊張するなぁ。久々だし」

夏葉「久々……当然なのかもしれないけれど、プロデューサーにもそういう経験があるのね」

P「ああ、でも最後はかなり前だけどな」

夏葉「参考程度に具体的には何年前なのか、聞いてもいい?」

P「何年……そうだなぁ……小学生以来じゃないか」

夏葉「小学生!?」

P「そんなに驚くことか?」

夏葉「ちょっと早過ぎじゃないかしら……」

P「え、もっと前だと思ってた? それこそ幼稚園とか」

夏葉「そんなわけないでしょう!?」

P「めちゃくちゃ食い気味だな」

夏葉「食い気味にもなるわよ。もう」

P「そのときの子は、結構人懐っこい子でさ。ところ構わず触って触ってー、って子でさ」

夏葉「…………」

P「夏葉?」

夏葉「デリカシー、って言葉知ってるわよね」

P「あっ……。いや、比べるつもりはないんだ。ごめん」

夏葉「わかればいいのよ」


夏葉「それにしても……プロデューサーの前の……前の子はそんな感じだったってことは、誰に対してもそうだったんじゃないかしら」

P「……おお、よくわかるな」

夏葉「ちょっと考えたらわかるわよ」

P「さすが夏葉だな」

夏葉「……ねぇ、それ、嫌だとは思わなかったの?」

P「あー。まぁ、ちょっと複雑ではあったよな。結局誰でもいいのかよ! ってさ」

夏葉「でしょうね……」

P「もう昔の話だけどな。夏葉はそんなことないか?」

夏葉「心外ね。見ればわかるでしょう? そんなに軽くないわ」

P「あはは。だよな。賢そうだもんな」

夏葉「賢い、とかそういう話ではない気がするのだけれど……」

P「そうかなぁ」


夏葉「……それじゃあ、その」

P「ああ」

夏葉「いつでもいいわよ」

P「……ああ」

夏葉「目、瞑っているわね」

P「え、そんなに嫌か?」

夏葉「嫌ではないわよ。……でも、ほら、そういうものでしょう?」

P「……そういうものなのか」

夏葉「そういうものなのよ」

P「そうか……。じゃあ、失礼して……っと」


夏葉「…………」

P「………………」

夏葉「…………」

P「かわいいーーー!! このもふもふ感!! カトレア―!」

夏葉「えっ」

P「夏葉から写真見せてもらったり、話を聞いたりする度に会いたかったぞー!」

夏葉「えっ……えっ????」

P「カトレアー! もふもふだなお前ー!」

夏葉「そういう話!?!?!?!?」



おわり

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