【ダンロンV3】百田「オレ四態」 (15)


※ニューダンガンロンパV3の2次創作SSです
※原作のネタバレ注意
※独自の設定と解釈を含みます
※パロディ


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1554658986


百田「」

東条(大声で呼び掛けても微動だにしないから可怪しいと思ったけど…どうも昏睡状態に陥っているようね)

東条(症状からして恐らく重篤な体温異常降下。早急に処置しなければ彼の命は無いわ)

東条(とは言っても、呼吸と脈拍は正常だから私に出来るのは患者の身体を温める事くらい─)

赤松「あのー…」

東条「丁度良かった。少し手伝ってくれないかしら」

最原「えっ?」

東条「メイドが仕えるべき相手に頼み事をするなんてあるまじき行為だけど、流石に人命と天秤には掛けられないもの」

赤松「じ、人命って…」

東条「説明は後でするわ。貴方たちのどちらかは向こうの寄宿舎から布団を、もうひとりは湯たんぽでもカイロでもいいからとにかく身体を温められる物を持って来て。一刻も早く」

赤松「よく判らないけど自己紹介してる場合じゃなさそうだね。私、倉庫に行ってくる!」

最原「じゃあ僕は寄宿舎だね。布団を届けた後も、熱源になる物が見付かってなかったら赤松さんを手伝うよ」

赤松「うん、お願い。また後でね!」ノシ

タッタッタッ…


─倉庫─


バァン!

入間「ひゃんっ?!」

赤松「はあ…はあ…」

入間「さっきのブスか…あんま驚かせんじゃねーよ」

赤松「湯たんぽ!それかカイロ!」

入間「は?」

赤松「何か暖まりそうなもの見なかった?!」

入間「なんだよ突然」

赤松「早く答えて!人の命が懸かってるの!!」

入間「ひうぅ…そんなに怒鳴らないでよぉ」


ザワザワ

王馬「ねーねー、これホントに何しても反応しないの?」

茶柱「別に男死がどうなろうと知った事ではありませんが、女子の手を煩わせるくらいならとっとと起きてほしいものです!」

東条「患者を無闇に動かしてはいけないわ」

最原「なんだか大事になっちゃったね」

星「こんな所に閉じ込められた時点で既に大事だろう」

真宮寺「みんな集まってるようだから来てみたんだけど、何があったんだい?」

赤松「あのメイド服の女の子─東条さんが目を醒まして寮から出た時に、藤棚下のテーブルにああやって突っ伏してる男の子を見付けてね。意識が無いし身体が冷たいから低温症だろうって。応急処置はしたんだけど全然よくならなくて…このままだと死んじゃうかも知れないの」

真宮寺「なるほど、それは大変だ。助けを呼べない以上は僕達でなんとかするしか無いからネ」

夢野「しかし特に寒い訳でもないのに低温症になぞなるのか?」

天海「体温を調節する器官に異常が発生している可能性が高いっすね」

白銀「こうなったらもう、誰かが彼にキスするしか…!」

キーボ「そんな民間療法、見た事も聞いた事もありませんが」

王馬「アレは現実とフィクションの区別が付かない人間の戯言だから真に受けちゃ駄目だよ」

ゴン太「キスをすればこの人は助かるの?だったらゴン太がやってみるよ!」

アンジー「主は言いました…『誰も幸せにならないから止めておけ』と」

百田「ん…」モゾ

東条「!ちょっとみんな、静かにして」

百田「」ムクリ

春川「普通に起きたね」

百田「誰だオメーら。暑苦しいわ騒がしいわでロクに眠れやしねー」

東条「失礼するわ」ピトッ

百田「?」

東条「信じられない…体温が35度8分まで上がってる」

茶柱「超高校級のメイドともなると、手を当てるだけで正確な温度が測れるんですね…」

百田「よく解らんがとにかく凄いのは判った」

入間「けっ、散々揉ませといてお気楽なこった」

百田「オレが寝てる間に何したんだ」

白銀「気を揉んだんだよね?主語が抜けると地味に紛らわしいよ?」

赤松「取り敢えず、今の状況を私達が知ってる範囲で教えるね」カクカクシカジカ


百田「マジかよ」

赤松「マジなんだよね、残念ながら」

最原「つくづく絶望的な事態だね…」

百田「泣き言だの愚痴だのは言うもんじゃねー。男なら尚更だ」

最原「…うん」

百田「超えられねー壁なんてねーんだよ。あの壁だってそうだ」

天海「そこまで言うのは何かしらアテがあるからっすか」

百田「…ああ、無くは無いな」

アンジー「ホントにー?神様の前で嘘吐いたら生きてるハリセンボンを丸呑みしなきゃいけないんだよー」

キーボ「魚の方のハリセンボンなんですね」

百田「ま、程々に期待して待っててくれや」

東条「病み上がりなんだから無理はしないで頂戴」

百田「オレは別に病気でもなんでもねーぞ。冬眠しようとしてた所を叩き起こされたから本調子じゃねーのは確かだが─」

白銀「トーミンって…熊とかが冬に眠るヤツ?」

百田「他に何があるんだよ。オレは毎年冬になると基本的に春まで起きねーんだ」

ゴン太「じゃあ、その間学校はどうするの?」

百田「そりゃ休むしかないだろ。小中の時は義務教育だからなんとかなったし、高校は通信制あるとこ選んだから意外と大丈夫だぞ。そもそも冬期休暇だったり、年に依っては学級閉鎖の時季と重なるしな」

夢野「んあー、羨ましいのう。ウチも冬の間だけでいいからサボりたい…」

茶柱「夢野さんは真似しないでください!男死が感染ってしまいます!」

星「感染性なのか…」

王馬「どうしよう…オレと百田ちゃんのキャラが被ってる…!」

百田「どの辺が被ってんだよ」

王馬「自分の胸にでも聞いてみれば」

真宮寺「結局、百田君だけなかなか目を醒まさなかったのはどうしてなんだろうネ?」

百田「だから冬み」

春川「私達ってさ、どうやってここに連れて来られたか誰も憶えてないでしょ?」

最原「…あ、うん」

春川「だからあくまで想像でしかないけど、麻酔薬で弱らせられて捕まったって事も充分考えられるよね」

キーボ「そうですね。拐うにしても一筋縄ではいかなそうな人が何人かいますし…」

春川「で、こいつは犯人のミスとかで必要以上の量を投与されたんじゃないの」

天海「だとすると、低温症はその副作用っすかね」

白銀「…………」ジトー

物陰から様子を窺っていたモノクマ(いやいや、そんなヘマしてないから)ブンブン

入間「それにしてもお前…ホントに保育士か?」

春川「」ギロリ

入間「な、なんで睨むのぉ…?」


─隠し部屋─


ギイッ

白銀「お疲れ様でーす」

モノクマ「お疲れ。百田クンの検査結果出たよ」

白銀「低温症の原因、はっきりした?」

モノクマ「まずはこれを見て」

白銀「うん……何これ?」

モノクマ「なんだろうね…」

白銀「ていうか、最初に脱がせた時に誰も気付かなかったの?」

モノクマ「着替えさせたのはモノクマーズだからね。モノタロウが『ゴミが付いてると思って引っ張ったけど、取れなかったから放っといた』って言ってた』

白銀「そっかぁ…モノクマーズならしょうがないのかなぁ」

モノクマ「百田クンも百田クンだよ。こんな特殊な体質の持ち主ならオーディションの時にアピールすればよかったのに。もうこれだけで超高校級レベルでしょ」

白銀「いや、わたしには解る。それは愛だよ」

モノクマ「愛?」

白銀「だってこんなのズルいもん。だから真正面から勝負しようとしたんだよ。ダンガンロンパへの愛ゆえにね」

モノクマ「彼って3の未来編見ただけじゃなかったっけ?そんな愛情湧く?」

白銀「…湧かないとは限らないよ」


ぬこの手からスレ建てた後エラー画面に飛ばされるの心臓に悪いのでやめてほしいです。
続き投下日時未定。おやすみなさい。

あんな微妙なアニメ見てデスゲーム参加しようと決意する奴がいるのか……

>>8
参加型のデスゲームやバトロワそのものに興味があるだけでダンガンロンパはたまたまアニメ3だけ知ってた説(そしてオーディションの皆殺し発言に至る)




─中庭─


バシュッ
チュインチュイン
ドゴーン

赤松「……」

赤松「」ゴシゴシ

赤松「ねえ、最原くん…」

最原「赤松さんの目が変になった訳じゃないよ。多分、僕にも同じものが見えてる」


エグイサルイエロー「ったく…ちょこまかと逃げよって!」

百田「そりゃ逃げるに決まってんだろ!」ヴヴヴ…

エグイサルブルー「ヘルイェー!止まらないとマジで撃っちまうぞ!」


赤松「…何が起こってるんだろう?」

最原「百田くんが空を飛んでいて…エグイサルがそれを寄って集って撃ち落とそうとしてるね」

赤松「そうなるよね、見たままの情報をまとめると」

最原「赤松さんが訊きたいのはそういう事じゃないんだろうなっていうのは判るよ。でも僕もかなり混乱してるんだ」

赤松「百田くん、大丈夫かな?」

最原「うーん、飛行が不安定だからいつ狙撃されても可怪しくない状態だけど…今のところ、エグイサルは威嚇だけで本当に命中させる気は無いんじゃないかな」


バキューン!

百田「うおっ?!」グラ…

赤松(危なっ─)


百田「…!」ガシッ

赤松(と思ったけど、なんとか大丈夫そう…かな?)

赤松(バランスを崩して落ちそうになった百田くんは、建設中の校舎の鉄骨に掴まって難を逃れた)

エグイサルピンク「い、今直ぐ両手を上げて降伏してくれないかしら?出来れば手荒な真似はしたくないのよ…」

百田「手を離したら落ちるだろーが!」

エグイサルレッド「飛べるのに?」

百田「降下は苦手なんだよ」

エグイサルレッド「駄目じゃん」

エグイサルグリーン「オイラガ地面ニ下ロシテアゲルヨ」

エグイサルイエロー「頼むでモノダム。こんなしょーもない事で怪我されたり死なれたら敵わんわ」

百田「テメーらの助けなんかいらねー!」

エグイサルグリーン「ハイハイ、大人シクシテネ」

赤松(抵抗虚しく、百田くんはエグイサルに捕らえられてしまった)

エグイサルブルー「これに懲りたらもう飛んで逃げようなんて思うなよ!次は助けねーからな!」

エグイサルピンク「モノキッドは何もしてないじゃない」

エグイサルレッド「ねえ、もう帰ろうよー」

エグイサルイエロー「やる気の無いリーダーやな…ま、今回はこの辺にしといたるわ。ほなまた」

エグイサルs「ばーいくまー」ビョーン

赤松「百田くん!」タッタッタ…

百田「お、赤松と最原か」

最原「どうしたの?その…」

百田「背中のこれが気になるのか?」

赤松「聞いても大丈夫?」

百田「構わねーぜ。こうなった以上は隠す意味も無いしな」


─食堂─


赤松(黒くてつやつやした上翅は肩甲骨辺りから生えていて背中の半分くらいまでの長さ。透明で全体に細い筋が走っている下翅は真っ直ぐ伸せば足首に届く)

王馬「すっげー!気持わりー!」

ゴン太「百田くんって虫さんだったの?!」

百田「ちげーよ」

ゴン太「じゃあ虫さんの仲間?」

百田「仲間っつーのがどういう意味かイマイチ分かんねーが…まあ、ゴン太がそう思うんならそれでいいぞ」

白銀「ゴン太君、本当に嬉しそうだね」

天海「ここってなぜか1匹も虫がいないみたいっすからね」

赤松(私はその方が嬉しいけど…)

夢野「逆にあやつはアレでよいのか?」

東条「それだけ恋しかったんでしょうね」

キーボ「百田クンに生えているアレ…昆虫の翅のように見えるのですが、本物なんですか?」

最原「僕と赤松さんは彼が飛んでいるところを見たし、ちゃんと翅として機能するのは確かだよ」

入間「メシ食い終わった後も食堂に残れっつーから何かと思えば…こんなもん見せるためだったのか?」

赤松「飛べる人がいるだけでも、あの地下道をクリアし易くなるんじゃないかって思ったんだ。だからみんなで共有して─」

王馬「希望があるから諦めるなって言ってまたみんなに押し付けるの?」

赤松「いや、それはやりたい人だけで…」

星「…もうその辺でいいだろう。そういや、百田はどうしてあの時飛ばなかったんだ?」

百田「服を脱ごうとしたら茶柱に投げられたんだよ」

アンジー「なるなるー、言われてみればそんなこともあったかなー?」

真宮寺「茶柱さんはさっきからもずっと目を逸らして黙ってるね」

茶柱「……」

白銀「今の百田君はシャツを捲り上げてるだけだけど、半裸と言えなくもない状態だから。出来るだけ見たくないんだろうね…」


春川「いや、変でしょこんなの」

夢野「百田のことか?」

春川「確かに1番変なのは百田だよ。で、なんでアンタらはそれを当たり前のように受け入れてるの」

最原「言うほど受け入れてるかな…色々あったから、常識が麻痺してきてるだけのような」

春川「そもそもこんなの本物な訳無いし」グイ

百田「うわっ、何すんだ?!」ヴヴヴヴヴ

春川「」パッ…

百田「ったく…痛くはねーけど破れたら戻るまでに時間かかるから困るんだよ」

真宮寺「結構強く引っ張られていたけど平気なのかい?」

百田「なんか翅だけは殆ど痛覚感じねーんだよな」

アンジー「魔姫ー、顔が青いよー?」

春川「いや、別に…平気」

ゴン太「春川さん、あんなことしちゃダメだよ!」

春川「うん…なんか多分、私が悪かった」

百田「判ったならそれでいい。あんま気にすんな」

赤松(春川さんが急に大人しくなったのは罪悪感のせいではないと思うけど…)

春川「帰る」フラッ

タッタッタ… パタン


キーボ「なんだか気不味い空気になってしまいましたね…」

茶柱「あの、百田さん」

百田「ん?」

茶柱「もうよくないですか?早く服着てください」

百田「あー、ちょいと待ってくれ。翅しまうから」

入間「下翅は畳んで上翅に収納出来るようになってんのか。ムダに機能的だな」

ゴン太「ハネカクシさんとお揃いだね」

アンジー「似たような虫がいる事にびっくりだよー」

赤松「百田君、ちょっといいかな」

百田「なんだ?」

赤松「もしかして最初に言ってた冬眠の話って本当なの?」

百田「信じてなかったのかよ…」

天海「申し訳無いっすけど、昨日の時点で信じた人はほぼいなかったかと」

星「そもそも今は春だろう?寝坊でもしたのか?」

百田「オレの体内カレンダーが冬眠の季節だって言ってたんだよ」

王馬「それ壊れてるよ絶対」


─隠し部屋─


白銀「結局百田君ってなんなの?」

モノクマ「検査で判ったのは、人間の部分は普通に人間で昆虫の部分は普通に昆虫って事くらいかな」

白銀「どういうことなの…」

モノクマ「それより、なんで百田クンは飛べるんだろう」

白銀「翅があるからでしょ」

モノクマ「翅があっても飛べるかどうかは別だよ。百田クンの場合は身体の大きさと重さの割に翅が小さいから計算上は飛行出来ないはずなんだけど」

白銀「あー…でもそういう虫がいるってなんかで聞いた気がする」

モノクマ「クマバチは飛べるって信じてるから飛べるとかいうやつ?ピーターパン理論だっけ」

白銀「それ」

モノクマ「あれは空気の粘度のお陰で飛べるんだよ」

モノクマ「大気にも粘り気があって、体積が小さいものや軽いものほど影響を受け易いんだ。蟻が壁を歩いたり出来るのもこれのお陰ね」

白銀「へー…じゃあ百田君はその恩恵を受けられないと」

モノクマ「そうなんだよねー。だから謎なの」

白銀「百田君、どんな不可能でもやり遂げさえすれば可能になるってよく言ってるけどもしかして…」

モノクマ「いやいや、そんなまさか。それキミが考えた決め科白だし」


参考(※虫注意)
https://youtu.be/DqMzqU-jWf8

レスありがとうございます。続き投下日時未定。おはすみなさい。


ピーターパン理論とかいうワードが専門用語じゃない事に後から気付いてひとりで悶絶しました。
知ったかぶる奴って恥ずかしいよね!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom