塩見周子「どっちがいーい?」 (35)


※コメディ


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――事務室

モバP(以下P)「ん?」

周子「や」

P「ああ、周子か。お疲れ」

周子「お疲れさま、Pさん。それで、どっちにする?」ガサッ

P「ビニール袋? なんだ?」

周子「お差し入れ。コーヒー選んで」

P「おー、ありがたい。何があるんだ」

周子「えーとね」

周子「無糖とMAXコーヒー」

P「0か100かー」


周子「目についたんコレだったからさー」

P「そのチョイスは絶対選んだろ」

周子「にゃはは」

P「似てない。ごまかすな」

周子「まぁまぁ、いいじゃん。どっち?」

P「無糖」

周子「即答かー。苦い方がいいん?」

P「甘いのは別に嫌いじゃないけど、限度はあるなぁ」

周子「これはその限度外?」

P「飲んだことは無いけど……でも練乳入りってどう考えても甘すぎだろう」

周子「えっ、練乳」

P「書いてあるじゃん」

周子「うわ、ほんまや」

P「知ってて買ったんじゃないのか」


周子「すごく甘いってのだけ噂に聞いてたんだよね。自販機にあったの見てつい」

P「やっぱり選んでいたか」

周子「てへぺろ♪」

P「それ、甘さもだけどカロリーも結構あったろ」

周子「どれどれ……おー……」

P「どんなもん?」

周子「1回」

P「1回?」

周子「レッスン1回」

P「ベテトレ? マストレ?」

周子「んー……トレーナーさんかな」

P「そんなもんか」

周子「一緒にレッスン受けてから言ってみて」

P「ははは、断る」


周子「こんなん飲んだら血糖値あがるわ」

P「周子はむしろ少し上げといた方がいいんじゃ」

周子「そうかもしれないけどさー」

P「まあ諦めて飲むんだな」

周子「こっちだけ渡しとけばよかったなぁ」

P「その分レッスン増やしておくか?」

周子「うえー」

周子「あ、じゃあさ、途中から交換にしよ」

P「はい?」

周子「だからー、Pさんが無糖半分飲んで、あたしがこっち半分飲んで、交換」

P「選んだ意味無くなった」

周子「ええやん、アイドルしゅーこちゃんとの間接キッスよ?」

P「その条件なら俺が先MAX飲みたい」

周子「だめ、あたしもあとで無糖飲む」

P「どんどん選択肢削られていくんだけど」


周子「じゃあどうすればいい?」

P「……先にMAX半分ずつ飲んで、それから無糖半分ずつでどうだ」

周子「やーん。そんな2回も間接キス狙いだなんて、Pさんもやり手だねー」

P「ああそうかい」

カシュッ

周子「あっ、この人勝手に缶開けた!」

P「先に飲んじゃえばこっちのもんよ」

周子「いまどきチンピラでも言わんようなセリフを!」

P「なんで缶コーヒーふたつでこんなウダウダやらなきゃいけないんだ」

周子「むー、あたしが買ってきたんだよー」

P「お前、それ言っちゃおしまいだろ」

周子「ね、せめて一口残しといてーん」

P「だから俺が半々を提案したろ」

周子「折れたら負けかなって」

P「なにが」

周子「京女のプライド?」

P「缶コーヒーで決まったらいくら紗枝でも怒ると思う」


P「もうわかったから、そっちの半分飲めよ」

周子「はーい」

周子「あ、先に飲む?」

P「どうぞご随意に」

周子「反応薄いなぁ」

P「間接キスでどうのなんて、いいとこ中学生までだろ」

周子「ま、そんなもんかもね」カシュッ

周子「それじゃあお先に、いただきまーす」

ゴク

周子「あははっ、あまーい。Pさんすごいよこれ」

P「そんなにか」

周子「コーヒーじゃなくて、コーヒー風味のなんかだね」

P「残さなくていいぞ?」

周子「絶妙に半分以上残しとく」

P「文句つけづらいくらいの微妙な量のやつな」

周子「あはは、わかってるねー」


P「頭すっきりさせたくもあったし、糖分も欲しかったし、ちょうどいいといえばちょうどいいか」

周子「お、そんな頭脳労働してたん」

P「むしろメインなんだけど……まあ、いつにも増して頭脳労働してるな」

周子「どんな?」

P「聞きたいか」

周子「あたしに関係ある?」

P「ある」

周子「ほほう。売れててありがたいわぁ。羽衣小町?」

P「いや」

周子「じゃあLiPPS?」

P「違う」

周子「どのユニットなのー」

P「ユニットじゃないんだなー」


周子「お、あたしひとりかぁ。いいけど話し相手とかいないとちょっと退屈なんだよね」

P「そんなこと言ってる暇はないと思うぞ」

周子「はーい。グラビア? どっかのステージ?」

P「はずれ。まだまだ企画から少し進んだくらいだけど……まあいいか」

周子「なんなん、早く教えてよ」

P「2曲目」

周子「えっ」

P「塩見周子ソロ2曲目だ」

周子「えーっ、ほんと!?」

P「ほんともほんと。メロの打ち込みがあがってきただけだけど」

周子「えっ、気になる。聞かせて聞かせてー」

P「まだダメ。いずれ口出ししてもらうから、それまで待ってくれ」

周子「いけずー」

P「曲にもなってないんだよ。断片的なフレーズなんだから」

周子「うー」


P「しかしなんだな。普段から適当だのちゃらんぽらんだの自分で言ってるけど」

周子「そこまでゆーてないわ」

P「ソロ曲はやっぱり気になるか」

周子「そりゃね。新曲はソロじゃなくても嬉しいけど……やっぱり、特別感あるよ」

P「まあ、自分のための歌だもんな」

周子「ね、ね。聴くのは無理にしても、どんなイメージかくらいは聞きたいな~、なんて」

P「イメージ? あー、うん、イメージな」

周子「んー、どうしたん。歯切れ悪いよ」

P「なんていうかな」

周子「歌う本人にすら言えないイメージってどうなのかなー」

P「いや、そういうわけじゃない。そうじゃないんだけど……」

周子「……このコーヒー、まだふた口なんだけど渡していい?」

P「自分の差し入れ脅迫材料にしたぞこいつ」


P「言えない、わけじゃない」

周子「それなら」

P「うん、教える……えーと、企画書は……」ガサガサ

周子「そんなのいる?」

P「……コンセプト読み上げるだけにさせてくれ」

周子「やっぱり恥ずかしいやつなんね」

P「あー、こほん」

P「1曲目よりさらに塩見周子の内面にクローズアップし、同年代女性をメインターゲットとした」

周子「おお」

P「初恋のような甘さではないが大人という程の恋愛でもない、恋心と少しの我がままとを織り交ぜ」

周子「は」

P「気付いてほしいという気持ちと、自由に振る舞いたい気持ちを歌ったラブソング」

周子「あ」

周子「……」

P「……」

周子「あはは、なんか恥ずい」

P「聞き出しておいてこの反応だよ」


P「言い淀んだの解るだろ。本人目の前にして言うとか」

周子「ごめんごめん。でも、ふーん、そうかぁ。あたしがラブソングかぁ」

P「会議の時に伝えたかったが……あ、紙面見せりゃよかったな」

周子「そういうの、プロデューサーさんが考えるの?」

P「そう。別に企画さんがいなければ、俺がいろいろ考えるんだよ」

周子「企画書ってそんななんだね、あはは」

P「言っちゃなんだが、こういうのはおっさんたちが真面目に考えて作ってるんだよ。流行とかもそうやって決めてるの」

周子「あー、今年の色はコレ、とか」

P「そう。自然発生する流行もあるけど、こう言う業界は流行らせたいものを流行らせてるんだ」

周子「わお、芸能界の闇だね」

P「そこまで言ったつもりはないけど!?」

周子「じゃあ、なに?」

P「……エンターテイメントの供給の一環、とか」

周子「物は言いようだねー」


周子「それにしてもあたしがラブソングかぁ。はは」

P「ん、苦手か?」

周子「苦手っていうわけじゃ……あー、別に、女の子同士だったら気にしないんだけど」

P「まぁ、俺と話してても面白いもんじゃないだろうが」

周子「そういうことでも……いや、そうしとこか」

P「そうしとけ」

周子(ん……PCにささってるUSBメモリ……)

周子(普段はないから、あれが多分楽曲のデータやね)

周子「……ねえ、やっぱりフレーズだけでも聴かせてほしいなー」

P「聴かせてやりたいのはやまやまだけど、俺と周子だけの間だけでやることじゃないんだよ」

周子「どゆこと?」

P「作曲さんにとっては、考え抜いて作ったフレーズが飯の種だから」

周子「あー……Pさんは向こうに筋を通さなきゃいけないわけだ」

P「そう、俺が聴かせたなんてことで信用失ってみろ。この曲自体ポシャるぞ」

周子「わかった、うん、仕方ないね」


P「……やけにあっさり退いたな」

周子「素直に聴かせてもらうのは諦めたよ」

P「ほう」

周子「だからこのコーヒーを」

P「また脅迫に使う気か」

周子「まだそこそこあるよー?」チャポンチャポン

P「もう飲み干してやるからよこせ」

周子「げっ、効いてない」

P「脅迫への一番の対処は脅迫に従わないことだ」

周子「な、なら……」

P「どうするんだよ」

周子「舐める」

P「は?」

周子「この缶コーヒーの飲み口を、エロく舐める」

P「……」

周子「舐めるのをPさんの目の前で見せつけて、その缶を渡す」

P「悪かった。俺は悪くないが悪かった」


周子「じゃあ聴かせてくれる?」

P「それは駄目」

周子「やっぱり舐めるしか」

P「わかんねえ! 因果関係がわかんねえ!」

周子「いいからそのUSB、もらってくね!」バッ

P「うわ、目ざといなこいつ!」

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――事務所前

城ヶ崎美嘉「でさー★」

奏「ふふ、それで?」

P『おいこら、やめろって!』

美嘉「ん?」

周子『へへ、この中でしょ』

P『手を離せ、それはさすがにダメだ!』

美嘉「なんか騒がしいね」

奏「込み入ってたら悪いし……ちょっと様子見ましょうか」


P『あっ、こんにゃろ本気でもってくつもりだな』

周子『いやほんと、言うこと聞いてくれたらそれで』

P『させるかよ、ほら離せっ』

周子『うわっ、この人容赦ない』

P『やめろっての、抜こうとするなこら』

美嘉(何? コンセント?)ヒソヒソ

奏(さぁ……?)

P『あー、やっぱり話すんじゃなかった!』

周子『いや、これはPさんの責任にならへんから! あたしが無理やりやったってことで!』

P『口裏合わせなくてもそうだよ!』

奏(周子、何してるのかしら)ヒソヒソ

美嘉(険悪って感じじゃないけど……)ボソボソ


周子『わかった、じゃああたしがコレ飲み干すから!』

P『交渉材料になってない』

周子『あ、でもちゃんと後で、Pさんのも飲ませて』

P『なんだよ、そんなに苦いの欲しいのか』

周子『Pさんイケズやわー、そーんなにしゅーこちゃんにコレ、舐めさせたいんやね』

P『まて、落ち着けって』

周子『あたしやるときはやるよー? ここんとこに舌つけて、べろんべろん舐めるから』

P『それは困……りはしないけどいろいろ問題だから、おい、やめろって』

奏美嘉「「……」」

奏美嘉((えっ))

美嘉(ちょっ、えっ、か、かなぁ!?)

奏(ま、まっ、みか、おちついて!)


P『周子、やっぱりそれはダメだ』

周子『むっ』

美嘉(そうっ、Pさん、きちんと言ってあげて!)

奏(流されちゃだめよ!)

P『アイドルがしていい絵面じゃない』

美嘉(問題そこ!?)

奏(もっと根本的な問題が!)

周子『たしかにあたしもどうかなーとは思うよ? でも、それはPさんが悪いんだから』

P『確かに俺が迂闊だったよ。だけどな……こら、どさくさに紛れて手を動かすな!』

周子『もうちょっとで抜けると思うから!』

P『だからダメなんだよ!』

美嘉(ぬ、抜け……)

奏(手!? 手でなにしてるの!?)


周子『だいたい、あたしが飲まなかったらPさんが処理することになるよ?』

奏(飲むの!?)

美嘉(ダイタン!)

周子『それでもいいのー?』

P『片付けぐらいするっての』

P『いざとなったら、事務室来た子に飲ませるし』

奏美嘉((飲まされるの!?))

美嘉(あ……が、がんばる……!)

奏(美嘉!?)

周子『どうかなー、実態を知っている子が飲んでくれるとは限らないよ?』

周子『砂糖の塊みたいなん入ってるんよ? 練乳だよ?』

美嘉(練乳……?)

奏(あ……白くてどろっとした?)

美嘉(も、もー何言ってるの奏!)

奏(実態なんて知らないわよ、私!)

美嘉(アタシだって知らないよ!)


P『いい加減、いつまでも掴んでいるな。疲れてきた』

周子『ふーん、思ったより体力ないんだねー。あたしはまだよゆーあるよ』

P『額に汗かいて何を言ってる』

奏(汗だくになるまで……そういうのが好きなの?)

美嘉(あ、アタシもこれくらいの積極的になった方が……?)

周子『ふっ、確かにちょっと疲れてきたかな』

P『だろ。ここは素直に』

周子『と見せかけてぇ!』シュコッ

P『あっ、てめこら!』

周子『抜いたぁ!』

奏美嘉((抜いちゃったーー!?))


グラッ

周子『おっと?』

P『あぶなっ』

グイッ

周子『きゃっ…… あ、ありがと』

P『零すところだったな』

周子『こんなんかかったらシャワー浴びなきゃいけなくなっちゃうね』

P『まあ、そうだな』

周子『あ、ちょっと机に零れてる』

美嘉(シャワーとかのんきな話!?)

奏(机に零れる位の……)ドキドキ

P『こっちは拭いておくから……ほら、もう残り飲んじゃえよ』

周子『ほーい』

美嘉(軽くない!?)

奏(普通に飲んでるってこと!?)

周子『わー、手にもかかってる』

P『拭くか?』

周子『ん、いい……ぺろ……』

周子『うわー、やっぱりめっちゃ甘い』

奏美嘉((甘いの!?))


周子『ちょっと手洗ってくるね。それじゃ』

P『待て。どさくさで持っていこうとするな』ガシッ

周子『ちぇっ、上手くはいかないかー。あはは、Pさん、力強いね』

P『ほら、まあゆっくりしていけよ。周子、お前まだ苦いの飲んでないだろ』

周子『い、いやぁ、別にそっちはもういいかなぁって』

美嘉(ややや、やっぱり苦いの?)

奏(と、聞きはするけど……)

美嘉(えっ、じゃあさっきの甘いのって?)

奏(知らないわよ!)

P『付き合ってられん。さあ、拡げるんだ』

周子『や、ちょっと……無理矢理はだめだって』

奏(なにを!? どこを無理矢理!?)

美嘉(ね、ねえこれ、踏み込んだ方がいいんじゃ……)

奏(でも、初めは周子がリードしていたし……)

周子『ぐぐっ……あ、あたしは負けない……!』

美嘉(えっ、そう言うプレイなの!?)

奏(私に言われても困る!)


P『往生際の悪い……』

周子『ねぇ、見逃してよー』

P『そうはいかないって、分かってるだろ』

周子『いつなら聞かせてくれるん』

P『本番までには用意してやるよ』

周子『適当言い始めたわぁ。さっきのだってあたしが処理したんよ?』

美嘉(本番!? 処理!? えっ、なに、事務的なソレなの!?)

P『関係ないだろ。もともと周子が言いだしたことだし』

奏(あっ……)

美嘉(何か分かったの、奏!?)


奏(最初は周子から……その、言いだしたことで、しょ、処理をしてて……)

美嘉(うんうん)

奏(なのに、ほ、本番はその、さ、させてくれないから……)

美嘉(そっか、さすが奏! それでPさんが我慢できなくなって!)

奏美嘉「「……」」

美嘉(最悪の事態じゃん!!)

奏(こ、これはマズいわ!)

周子『きゃっ』

奏美嘉「「!?」」

ガシ

P『手ぇとった!』

周子『あ、ちょっとあかんよ!』

P『おっと!』

周子『わっ』

ガタタッ ボフッ

周子『ちょっともー……ソファ壊れてないよね』


P『アクシデントはあったが……ようやく両手封じたぞ』

周子『あらー、押し倒されちゃった♪』

奏(えっ、つ、ついに!?)

P『まだ余裕なようだな』

周子『いやぁそんなことないよ、Pさんが抑えつけてるんだから』

P『いいからこの手の中のモノ、入れ直させろ!』

奏(挿入れ!?)

周子『あかんって、いたいいたいってば!』

美嘉(やっぱり痛いんだ!)

P『おとなしくしろ、諦めた方が身のためだぞ!』

奏(もう看過できないわ!!)

美嘉(う、うん!!)

バターン!

奏美嘉「「ストーップ!!」」

周子・P「「!?」」

美嘉「ぷ、プププププロデューサー!」

奏「周子も悪いかもしれないけど、見損なったわPさん!」


P「えっ……えっと?」

美嘉「周子大丈夫!? 怪我してない?」

周子「はれー、奏に美嘉、どうしたん慌てて」

奏「そりゃ慌てもするわよ!」

美嘉「ね、年齢はクリアしてるにしても、ここここう言うことは、時と場所をさー!」

奏「そもそも、事務所で何てことしようとしているのよ!」

P「……」

周子「……」

周子・P「「えっ」」

P「まて」

P「まて、違う、違う」

奏「担当アイドルを組み伏せて何が違うの!」

周子「やーん、Pさんにあんなことこんなことされるー♪」

P「話をややこしくするな!」


周子「とりあえず、離れとこか」

P「え、あ、ああ」

周子「あと、Pさん正座しとき」

P「なんで」

周子「ひとまず、ふたりが考えている状況じゃないことを伝えておかないと」

奏「?」

P「えーと……」

奏「なにか言い分があるのかしら」

P「いや、これは……」

奏「……これは?」

周子「んー、カロリー消費?」

美嘉「カロリーって! いや、確かに運動量有るらしいケド? そうじゃなくってね!?」

P「周子、本当に状況伝える気ある?」


奏「……落ち着きなさい美嘉、なんか変よ」

美嘉「えっ、奏?」

奏「いい、緊急と思える時ほどクールに、よ」

美嘉「で、でも!」

奏「あっ、あなたパッションじゃない。じゃあ情熱的に……情熱的に冷静になりなさい」

周子「奏ちゃんが一番混乱してはるわ」

P「とりあえずいろいろ弁解させてくれ」

美嘉「……自分より混乱してる人見ると冷静になれるって本当なんだ」

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P「……というわけで」

奏「……」

美嘉「……」

P「分かっていただけたでしょうか」

奏「……」ムッスー

美嘉「……あはは」

周子「美嘉ちゃん顔まっかー」

P「茶化すな元凶」


P「それで、俺はとりあえず無罪放免だよな?」

美嘉「そ、そーだねー。え、えーと……周子2曲目おめでと★」

周子「ありがとー」

P「そんで」

P「美嘉は立ち直ったけど、そっちはなんでまだ不機嫌なんだ」

周子「あー、たぶん……事態は把握したけど、醜態晒したのに落ち込んでるのと」

美嘉「状況は分かったけど納得はしてないカンジ」

P「めんどくせぇ」

奏「うるさいわよっ、美嘉までっ!」

周子「あはは、耳だけ赤いわ」

美嘉「いやー、で、でも何事もなくてよかったぁ」

周子「まー、何事もなくてもいいけど……あっても別によかったよ?」

美嘉「えっ」

P「大問題発言」


奏「もうっ、もともと私達、周子を呼びに来ただけよ。そろそろレッスンだから!」

周子「あ、もうそんな?」

奏「先いってるわ」

周子「んふふ」

奏「ほら美嘉、あなたも!」

美嘉「あ、うん、いくいく」

美嘉「ごめーんPさん、アタシたちで機嫌取っとくから」

P「よろしくー」

バタン

周子「あたしも着替えなきゃ」

P「早くいけよ。まったく、大騒ぎだった……」

周子「ま、大丈夫だよPさん。奏ちゃんも少ししたら冷静になるって」

P「別に俺に非はないしな。こっちからは話題に触れないようにする」

周子「それがいいねー」

P「ふぅ」

周子「……」

P「……ん、なんだ?」

周子「ああ、いや。お詫びしておかないといけないかなってね」


P「お詫び? べつにいいよ」

周子「まあ、そう固いこと言わずに」

周子「そういやさ、苦いのと甘いの持ってきたけど、結局どっちが好きなん?」

P「甘い方は結局飲んでなかったろ」

周子「あ、そっか」

周子「えーと……これね」

P「残りおいてっていいぞ。無糖も持ってけ」

周子「あら、いいの」

P「淹れようと思えばブラックはあるし」

周子「そっか。でも最後に一口飲んでこー」

P「なんだ、甘いのも結構好きなんじゃないか」

周子「和菓子屋の娘だよ、甘いもので出来てるようなもんよ」

P「はは、変な理論だな」

周子「んで。Pさんは甘いのと苦いの、どっちがいーい?」

P「起き抜けとか食後とかで変わるだろ。……まあ今は、無糖を飲んだ後だから、甘いのかな」

周子「甘いのね」


周子「どれくらい甘いの?」

P「どれくらいって……また難しいな。程よく甘いのでいいよ」

周子「……じゃあ、例えばね」

P「ん」

スッ

P「……!?」

周子「……ぷは」

P「……」

周子「んふっ」ペロ

周子「こんくらい?」

P「……えっ、お、しゅ、周子?」

周子「あ、これお詫びの先払いね。さーて、レッスンレッスン」

バタン

P「……」

P「ん、先払い?」

P「あっ、USB!」

P「はー……」

ペロ

P「……甘っ」





おわり


お読みいただき、ありがとうございました。
ちがうんだ、こんなネタになるはずじゃなかったんだ。

次は関ちゃんか楓さんあたりでなんか書こうかと思います。
あ、でも奏の誕生日もそろそろ考えないといけないな。

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