芹沢あさひ「プロデューサーさんって、彼女いるんすか?」 (10)

あさひ「う~ん……」

P「どうしたんだ? あさひ」

あさひ「あ、プロデューサーさん! おはよっす!」

P「ああ、おはよう。で、あさひはどうしたんだ? 何か悩んでる様子だったが……俺に手伝えることなら聞くぞ?」

あさひ「あ、それなら聞きたいことがあるっす! いいっすか?」

P「おう、なんでもこい」

あさひ「プロデューサーさんって、彼女いるんすか?」


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P「……はい?」

あさひ「だから、プロデューサーさんって、彼女いるっす? あ、それとも彼氏さん? とにかく恋人! いるっすか?」

P「そ、それは……いない、が」

あさひ「? どうしてそんな変な顔してるんす? 苦いものを食べたときみたいな顔してるっす」

P「……あさひ。恋人がいるかどうかは、あんまり聞かないようにしような」

あさひ「なんでっすか?」

P「傷つく人がいるから、かな……」

あさひ「なんで傷つくんすか? でも、わかったっす。プロデューサーさんの言う通り、あんまり聞かないようにするっす」

P「そうしてくれ。……で、どうしていきなりそんなことを聞いたんだ?」

あさひ「……恋について知りたいんすよね」

P「恋?」

あさひ「はいっす! 恋って、すごいらしいじゃないっすか。だから、どんなものか知りたいんす!」

P「そういうことか……。少女漫画でも読んだか? いや、少女漫画だけじゃなく、色んな作品で……創作物だけじゃなく、どこでだって『恋愛は素晴らしい』ってことは言われてるか」

あさひ「そうなんすよね。でも、わたしは経験したことなくて……プロデューサーさんは、恋愛経験とかあるっすか?」

P「ぐっ……!」

あさひ「? どうしたんすか? プロデューサーさん」

P「……あさひ。恋愛経験があるかどうかも、あんまり聞かないようにしような」

あさひ「……? わかったっす」

P「ま、まあ、俺にも恋愛経験くらいある。それについての話ならできるぞ」

あさひ「ほんとっすか! さすがはプロデューサーさんっす!」

P「ははは。そうだろそうだろ」

P(……『恋した』経験ならあるからな。嘘じゃない)

P(そもそも、あさひが聞きたいのは『恋をしたときの感情』だろう。なら、恋人がいたかどうかは……関係ない……はず……)

あさひ「プロデューサーさん、どうしたんすか? なんか、また苦いものを食べたときみたいな顔してるっす」

P「な、なんでもない。そんなことより、聞きたいことがあるんじゃないのか?」

あさひ「それもそうっすね。早速っすけど、恋ってどんな感じなんすか? 気になるっす~!」

P「そうだな……うーん、どう表現すればいいか」

P「その人のことを考えるとドキドキして……胸があたたかくなったり、苦しくなったりして。ついその人のことを目で追っちゃったり、いつでもその人のことを考えるようになったりして……」

P「その人ともっと……ずっと一緒にいたい、って思うような気持ち……か?」

P(……こういうこと大真面目に言うと、なんか、恥ずかしいな)

あさひ「……ずっと、いっしょ……」

あさひ「……」

あさひ「……もしかしたら、わたし、恋してるかもしれないっす」

P「……は?」

あさひ「だって、わたし、プロデューサーさんとずっと一緒にいたいっすから」

P「は!?」

あさひ「でも、べつにプロデューサーさんのことを考えて胸が苦しくなったりはしないんすよね」

あさひ「……これって、恋、なんすかね?」

P「……そういうことか」

P「なら、それは恋じゃないと思うぞ。俺もあさひとずっと一緒にいたいからな。それだけだったら、それは恋とは言えない、と思う」

あさひ「そうなんすか? ……残念っす」

P「残念なのか……」

あさひ「これで恋の気持ちがわかった、って思ったっすから。これが恋なら納得だったんすけど……違ったんすね」

P「ん? 納得だったのか? 拍子抜けするんじゃなく」

あさひ「どうして拍子抜けするんすか?」

P「いや、だって……あさひは恋に期待してるんだよな?」

あさひ「そうっすね。すごいものなんじゃないかって思ってるっす」

P「それなら、俺なんかに対する感情が『恋』って言われたら『この程度か』って思わないか?」

あさひ「思わないっすよ? これが恋なら、確かにみんながすごいって言ってるのもわかるっす」

あさひ「……それとも、恋ってもっとすごいものなんすかね? ちょっと想像できないっす」

P「それは……ははっ」

あさひ「? どうしたんすか? プロデューサーさん」

P「いや……うん。ちょっと、嬉しかっただけだ」

あさひ「嬉しかった? 何がっすか?」

P「あさひがそう思ってくれてるってことが」

あさひ「わたしが……?」

P「ああ。……あさひ。いつか、あさひが誰かに恋をしたとき。そのときの気持ちがどんなものかは、俺にもわからない」

P「いま、あさひが俺に対して抱いてくれている気持ちと比べてどうなのか、ってことも、俺にはわからない」

P「だから、答えはそのときまでのお楽しみ、ってことにしておいてくれ。……個人的には、同じくらいだったりしたら嬉しいんだが」

あさひ「そのときまでのお楽しみ、っすか」

あさひ「……」

P「どうした? 待てないか? って言っても、待ってもらうしかないんだが……」

あさひ「あ、違うっす。ただ、ちょっと気になって」

P「気になる……? 何が気になるんだ?」

あさひ「……プロデューサーさんは、どうだったっすか?」

P「どう? どうって、何が?」

あさひ「恋の気持ちと、わたしへの気持ち。……比べたら、どんな感じっすか?」

P「あさひに……?」

P「……そうだな。俺の場合は……たぶん、今のほうが強いな」

あさひ「……!」

あさひ「そっか……これが……」

あさひ「プロデューサーさん。さっきのプロデューサーさんも、こういう気持ちだったんすね」

あさひ「胸の奥が、ちょっとくすぐったくて、ぽかぽかして……」

あさひ「……嬉しいんす。プロデューサーさんが、そう思ってくれてるってことが」

あさひ「わたしが、恋をしても……きっと」

あさひ「プロデューサーさんに対しての気持ちのほうが、強いっす」

P「……どうだろうな。もっとすごい気持ち、知りたくないのか?」

あさひ「それは知りたいっす! でも……わたし、それもプロデューサーさんが教えてくれるような気がするんすよね」

あさひ「――アイドルみたいに!」

P「……ははっ。それこそ、どうだろうな」

P「アイドルだって、俺が教えたわけじゃない。あさひが見つけたんだ」

P「でも……一緒に探すことくらいなら、できるかもしれないな」

あさひ「はいっす!」

あさひ「恋よりも……アイドルみたいに楽しいこと、いっしょに見つけるっす! プロデューサーさん!」



おわりです。ありがとうございました。

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