【シャニマス】芹沢あさひ「異性を好きになるってどういう気持ちなんすかね……」 (37)


注意書き

シャニマスSS


キャラ崩壊


誤字脱字


二次創作



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1587633014

事務所

P「お疲れ様でーす」ガチャ


あさひ「……」


P「お、あさひか。おはよう」


あさひ「……」


P(……いつものやつか)


P(それにしても珍しいな。あさひがしかめっつらでドラマの台本読んでるなんて)


P(いつもは涼しい顔しながらすぐにセリフとか覚えちゃうのに)

あさひ「んー……やっぱりしっくりこないなー」


あさひ「……」


あさひ「あ、プロデューサーさんじゃないっすか」


あさひ「いつ戻ってきたんすか?」


P「ちょうど今さっきだよ。どうやら煮詰まってるみたいだけど?」


あさひ「そうなんすよ! 折角なんでプロデューサーさんに聞いてみたいことがあるっす!」


P「俺でよければ力になるけど」


あさひ「実は異性を好きになるって感情がよくわからなくて……」


P「……ほう」

P(確かドラマの内容は中学生同士の複雑な恋愛模様を描いたものだったな)


P「ちょっと台本を貸してもらってもいいか?」


あさひ「どうぞっす!」


P「……」ペラペラ


P「なるほど。あさひの役は最初は男友達としてみていた存在を段々と距離が縮まるにつれて好きになってしまっていく女子中学生ね」


あさひ「そうなんっすよ! でも、具体的にどう思いながらやればいいのかわかんないっす」


あさひ「頭ではわかってはいるんすけど、どうにもしっくりこないというか……」


あさひ「異性を好きになる……どういう気持ちなんだろう……」


P「ちなみにあさひは恋愛経験したことある?」


あさひ「ないっすよ」


P「……まぁ、アイドルとしては正しいんだろうけど」

P「んー、好きな気持ちは……こう……相手が魅力的だなって思ったりとかさ」


P「優しいなぁー、可愛いなぁー、かっこいいなー、一緒にいたいなー、みたいに思えたりするんだよ」


あさひ「愛依ちゃんや冬優子ちゃんはずっと一緒にいたいって思ったりするっすけど、これも好きって感情っすか?」


P「好きとしては間違ってないんだろうけど、異性に向けたときはまたちょっと違う感覚……だよなー」


P「……恋愛ってなんなんだろうな」


P(な、情けないな。中学生に好きな気持ちを聞かれてろくに答えられないなんて)


あさひ「プロデューサーさんでも説明出来ない感情……」


あさひ「これは調査の必要があるっすね! 色んな人に聞いてみるっす!」


P(ああ、これは完璧あさひの面白いことスイッチが入っちゃってるな)

ガチャ

冬優子「おはようございまーす」


P「冬優子か。おはよう」


冬優子「もう最悪よ。あんなに並んだのにまさかふゆの前で売り切れになるなんて……」


P「今日は一段と機嫌が悪いな」


冬優子「なによ。それじゃ、毎日ふゆが機嫌悪いみたいじゃない」


P「いや、そうは言ってないけどな」


あさひ「ちょうどいいところにきたっす!」


冬優子「急になに?」


あさひ「好きって気持ちを教えてほしいっす」


冬優子「はぁ? そんなの情熱よ情熱。その好きのためなら他者を踏み潰してでも歩を進める。そんな気持ちよ」


あさひ「おお! なんかそれっぽいっすね!」


P「あさひが聞きたいのはそういうことじゃなくてだな」

冬優子「あら? 違ったの」


P「あさひは異性を好きになる気持ちを知りたいんだとさ」


冬優子「ふーん……なるほどね」ニヤニヤ


冬優子「そうね。まぁ、教えてあげてもいいけど、普通に教えても面白くないわ」


冬優子「土下座しながら『ふゆ様お願いします。恋愛について教えてください』ってやってみせたら考えなくもないわ」


あさひ「ふゆ様お願いします! 恋愛について教えてくださいっす!」


冬優子「ず、随分と安い土下座ね……」


P「ふ、ふゆ様お願いします。恋愛について教えてください……」


冬優子「ちょ!? なんであんたまでやってるのよ!」


P「……不甲斐なさから出た行動でございます」


冬優子「意味わかんない……」


冬優子「……はぁ。もうわかったわよ。教えればいいんでしょ教えれば」


あさひ「おお!」


冬優子「ただ……」チラ

P「どうかしたか?」


冬優子「ここじゃ話したくない。あさひ、倉庫に行くわよ」


P「じゃ、俺も」


冬優子「あんたは仕事! ほらさっさとデスクに戻る!」


P「そ、そうか……」

倉庫


冬優子「ったく……んで、男を好きになったときの気持ちよね」


あさひ「そうっすね。ドラマの役作りに必要なんす!」


冬優子「……相手を好きになったらまずはその人の一番になりたいと思うの」


冬優子「誰よりも一番に可愛く思われたい。誰よりも一番に頑張っていると思われたい」


冬優子「そういったその人の一番になりたいと考えるのと同時に、心の中ではなんでもその人が一番になるの」


冬優子「そうなるとね。頭の中がその人でいっぱいになって四六時中、顔が頭に浮かんでくる……」


あさひ「それが好きになるってことなんすか?」


冬優子「あくまでもふゆはそう考えるってだけよ」


あさひ「……んー人を好きになる気持ちって難しいっすね」


冬優子「ほんとに……複雑だわ」


冬優子「って、なにマジで答えてるのかしらふゆったら」


あさひ「あああ! わかったっす!」


冬優子「なによ急に」


あさひ「冬優子ちゃんの好きな異性っすよ!」


冬優子「はぁ!?」

あさひ「だって冬優子ちゃんいっつもその人の話題四六時中してるし」


あさひ「この前だって連絡を早く返せとか!」


あさひ「冬優子ちゃんの好きな人はプロ――」


冬優子「わぁー! わぁー! あんたなんてこと言おうとしてるの!」


冬優子「違うから! 絶対そんなのありえないから!」

ガチャ


P「ど、どうした!? なんか物でも倒れてきたか!?」


冬優子「勝手に入ってくんな……ってか、もしかして今の話聞いてた……?」


P「い、いや。叫び声が聞こえたからすっ飛んできただけだけど」


冬優子「そ、そう。よかった」ホ


冬優子「……ん? あさひはどこにいったの?」


P「あさひならさっきそこの窓から出て行ったけど……」


冬優子「……」


冬優子「せ……せりざわあさひぃぃぃぃ!」


P「ま、待て冬優子! お前の運動神経でここから出るのは無茶――」ガシ


冬優子「なによ!? ふゆがあの中学生に劣ってるって言いたいの!?」バタバタ


P「だ、誰もそんな話してないだろ! いいから――」

…………

―――


灯織「男の人を好きになったときの気持ち?」


灯織「……あ、あくまでも想像になっちゃうけどそれでも大丈夫?」


灯織「たぶん……その人はわたしに歩幅を合わしてくれる優しい人だから」


灯織「その人に合わせてもらうんじゃなくて寄り添って歩いていけるように、ずっと一緒にいれるように頑張っていかなきゃって」


灯織「そう思える気持ちがきっと私の好きって思い、かな」


灯織「参考になればいいけど……」

………

凛世「男の人を好きになる気持ち……ですか……?」


凛世「……言葉で表すのは大変難しいです」


凛世「ただあえて言えることがあるとするならば……」


凛世「水面に落ちた雫の波紋のように……」


凛世「好きという気持ちは……日増しに広がっていき……」


凛世「やがてそれは……自らを違うものへと変えていきます」


凛世「少し……怖く聞こえるかもしれません」


凛世「ただ……その違った自分を作った存在が……より愛おしく感じるのです」


凛世「ふふ……」


……

結華「あさたーん。どったのー?」


結華「ええ? 好きについて知りたい?」


結華「ふふん。いいでしょう。このアイドル恋愛シュミレーションゲームを網羅した三峰なら……」


結華「え? 同性じゃなくて異性?」


結華「……どうしても知りたいの?」


結華「お仕事で、ね。じゃあしょうがない、かな」


結華「好きはね。痛いんだよ。苦しい」


結華「うん。それだけ。それ以上はなにもない」


結華「幸せだと思う人もいるかもしれないけど……」


結華「それはきっとタイミングとか環境がよかった人だよ」

……

千雪「好きについて? うーん、中々難しい質問ね」


千雪「……」


千雪「私にとっての好きは受け入れてもらいたいって気持ちだと思うの」


千雪「どっちつかずでわがままで……それを隠そうとする自分」


千雪「そんなダメな自分を受け入れてもらいたいの」


千雪「よしよししてって甘えたいだけ。ふふ、ほんとよ」


千雪「今はそういう人はいないのかって?」


千雪「さてどうでしょう」

――


事務所


あさひ「……」


あさひ「色んな好きがありすぎてよくわかんないな……」


P「結局答えは出たのか?」


あさひ「……」


P「……」


あさひ「あ、すみません。今何か言ったっすか?」


P「じっくり考えてていいよ。あさひなりに答えを出そうとしてるんだろ?」

あさひ「いえ。考えても答えは出ないっす」


P「そっか」


P「……中学生にこんな話をするのも気が引けるけどさ」


P「好きって気持ちは根源を辿るなら子孫を残したいって感情だと思うんだ」


P「でも、人間はそんな単純な生き物じゃない。きっと理屈じゃないんだ」


あさひ「理屈じゃない……」


P「もっと楽に考えよう。芹沢あさひは『やる』『見る』で出来る子だ」

P「その場の雰囲気に合わせて気持ちを作っていこう」


あさひ「でも、それだと嘘になるっす。面白くないっすよ?」


P「即興で本当を作るのも面白いとは思うけどな」


あさひ「んー……」


あさひ「あはは! 確かにそれはそれでおもしろそうっす!」


P「プレッシャーをかけるわけじゃないけどあさひなら出来るさ」


P「俺が一番近くで見てるんだから間違いない」


P「ちょっと危なっかしいところもあるから不安ではあるけど……」


P「それもまたあさひの魅力だ」

あさひ「魅力……は!? もしかしてプロデューサーさんはわたしのこと好きなんすか!?」


P「え、いや……そういえば好きは魅力的な異性に対して思うとか言ったような……」


あさひ「わーい! やったっすー! プロデューサーさんに好かれたっすー!」


P「ニュアンスが違う気もするけど……」


あさひ「これは自慢できるっすね!」


P「……まぁ、喜んでるしいっか」

―――

収録現場


P(さて……ここ一週間の撮影だけど……)


あさひ「……」


P(傍目からは上手くやれてるように見えるけど……あさひは納得してないみたいだな)


あさひ「……これも違う。こうも違うか」ブツブツ


P「あさひ、次は一番重要な告白シーンだぞ。いけるか?」


あさひ「……」


P「信じるしかない……か」

P(あさひの告白シーンだけどかなり難しいんだよな)

P(あさひが演じている元気な女の子の好きですの一言)

P(一言で視聴者に本当に好きな人なんだろうなと思わせなきゃいけない)

『あさひちゃーん。いくよー」

あさひ「……」

『……あさひちゃん準備いいー?』

あさひ「……」

『えっとじゃーあさひちゃんのタイミングでいくんでカメラだけ回しますねー』

P(よかった。気持ちを作らせてもらえるぞ)

カチン


あさひ「……」


『たぶん……その人はわたしに歩幅を合わしてくれる優しい人だから』

『じっくり考えてていいよ。あさひなりに答えを出そうとしてるんだろ?』



『そんなダメな自分を受け入れてもらいたいの』

『ちょっと危なっかしいところもあるから不安ではあるけど……それもまたあさひの魅力だ』



『好きはね。痛いんだよ。苦しい』

あさひ(色んな感情が巡って苦しい……)


『そうなるとね。頭の中がその人でいっぱいになって四六時中、顔が頭に浮かんでくる……』


あさひ(いつもスーツ姿でわたしと遊んでくれる人――)



あさひ「好きです」


シーン

P「……」


P(ああ、そうか。好きって感情は色んな思いが積みあがって出来るものなんだな)


P(あさひの顔と声にはそんな色んな感情が確かに乗っていた)


P(しっかりと自分なりの答えは出せたみたいだ)


P(ただ……)

カット


助監督「……ちょっとびっくりしちゃいました。あんな大人びた顔出来る子だったんですね」


監督「……」


助監督「ただ、役柄的にもっと子供っぽいほうが……」


監督「いやこれで行こう」


助監督「え……!」


監督「恋をすれば人は変る。子供から大人になることだってあるだろう」


監督「それにあの演技をお蔵入りにするのももったいない」


P「どうやら一発オッケーみたいだな」


あさひ「……」


P「あさひ?」


あさひ「す、すっごく今ドキドキしてるっす……」


あさひ「なんだか自分じゃないみたいで……」


あさひ「おもしろかったっす!」


P「……そっか」


P(ああ、こうやって人はなにかを得て成長していくのか)

――

P「おおお! 見ろ! あの告白シーンの放送でSNSのトレンドあさひの名前が一位になってるぞ!」


あさひ「ああ! 騒がないでほしいっす! 今折角トランプタワー作ってるのに!」


P「わ、悪い」


P「それにしてもあのシーン凄かったな。今思い出しても鳥肌立つよ」


P「ところでどうしてあんな演技が出来たんだ?」


あさひ「んー、よく覚えてないっす」


あさひ「誰かの顔が浮かんだ気がして、ハッとしたらもうプロデューサーが横にいたっすよ」


P「そ、そうなのか」


P「……やっぱり天才肌だな」


あさひ「……」


P「もう聞いてないし」


あさひ「あ、そういえば!」


P「どうしたんだ。鞄なんて漁って」


あさひ「これっすよ!」


P「ああ今度やる新規のドラマの台本……」


P「確か兄を慕う妹役立ったな」


あさひ「はいっす! なのでプロデューサーさん。今日から少しの間わたしのおにいちゃんになるっす!」


P「……はい?」

あさひ「どうも台本読んでも納得が出来なくて……だからこうして妹になればなにか掴めるはずっす!」


P「いやいや、でもさすがにアイドルにおにいちゃん呼ばわりされるのは色々まずいだろ」


あさひ「おにいちゃん……ダメっすか?」


P「ぐ……なんて心に響くフレーズだ!」


P「これはやめないでもらったほうが――」


冬優子「……」


灯織「……」


凛世「……」


結華「……」


千雪「……」


P「……」


P「ふー」


P「待て。話せばわかる。俺らは言語という素晴らしいものを持っている」

冬優子「……好きなアイドルにおにいちゃん呼びさせてる男となにを意思疎通しろと?」

P「す、好きなアイドル?」

あさひ「すっかり忘れていたんすけど、今朝共有チャットでプロデューサーさんに好きって言われたって自慢しておいたっすよ!」

P「……」

灯織「プロデューサー。率直に言って犯罪です」

結華「Pたん……妹属性がいいのはわかるけどさすがに中学生はまずいよ。仕方ないから三峰がにーさんって呼んであげようか?」ゴゴゴゴゴ

凛世「凛世も……プロデューサー様がお望みなら……」ウルウル

千雪「す、少し大きな妹になってしまいますが構いませんよね!」

冬優子「プロデューサーさん。ふゆ一つだけお願いがあるんです」

P「そ、そうか! 何でも聞いてやるぞ!」

冬優子「実は今一番欲しいものがあってー」

P「な、なんだ?」

冬優子「ロリコンの首」

P「……あさひ」


あさひ「ここをこうしてこうして……」トランプ


P「あさひさん……」


P「あさひさーん!?」


冬優子「ロリコンのクビぃ!」


P「ばか冬優子! 息できない! 決まってる! タップタップ!」


ガヤガヤガヤ


あさひ「……」


あさひ(ふふ、やっぱりプロデューサーさんといると面白いっすね!)


end

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom