【ガルパン】エリカ「パラレル対談会?」 (57)


キャラ崩壊注意。
あとタイトルの元ネタとは一切関係ない内容です。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1561217761






エリカ「この戦術は……今の私じゃ制御できないわね。こっちは簡単だけど対策が立てられやすい……」カリカリ

エリカ「はぁ……なんで寄りにもよって今年復活するのよ無限軌道杯……せめて、来年なら……」

エリカ「……って何言ってるの私。弱気になってる暇なんて無いのに」ブンブン!

エリカ「さ、気を取り直して……」

ユラァ…

エリカ「っ……眠くなってきたわね……コーヒーでもいれ、て……」



バタリ







エリカ「……え」パチクリ

エリカ「……ここ、どこ?廊下?どこの?」キョロキョロ

エリカ「ていうか私PJ着て……どういう事なの……?」

エリカ「……ん?」



【A】



エリカ「この扉……A?なんのことかしら……ねぇ!!誰かいるのー!?」


シーン…


エリカ「……このままここにいてもしょうがないわね。……行くか」


ガチャ ギィィ…







エリカ「……ここは、教室?黒森峰のに似てるけど……でも机も椅子も無い……黒板だけねあるのは」

トコトコ ガッ

エリカ「……扉は開かない」

トコトコ

エリカ「窓も開かないし外は真っ暗で何も見えないわね……本当、いったい何処なのここ―――」クルッ



【C】【N】



エリカ「っ!?なにあの扉!?二つも!?さっきまであんなの……」


『この扉……A?なんのことかしら……』


エリカ「そういえば、私が入ってきた扉は教室の引き戸じゃなくて、木製の開き戸……なら、あの扉も……」

ガチャ ギィィ…

エリカ「っ……」ビクッ

???「……教室?黒森峰の……とは違うっぽいわね」

???「ここ……何処?私、部屋にいたはずなのに……」

エリカ「なっ……あ、あなた達……」

???「ちょっ!?アンタ……」

???「え、嘘……」









エリカ「「「私と、そっくり……」」」









エリカ「だ、誰よアンタ!?私の偽物!?」

エリカ「な、何言ってるのあなたがそうでしょ!?」

エリカ「はぁ!?んなわけないでしょ!!私は正真正銘逸見エリカよ!!」

エリカ「だからっ!!それが私で、あなたはそれを知って私を騙っているんでしょ!?」

エリカ「違うわよっ!!」

エリカ「一体……何がどうなって……私のそっくりさんが二人も……」

エリカ「……もういい。ぶっ叩いて直接吐かせてやるわ」

エリカ「な、なによ……来るならかかってきなさいっ!!返り討ちにしてやるわ!!」

エリカ「ま、まずい……ちょ、ちょっと待って!!喧嘩はやめましょうっ!?」

エリカ「偉そうに仕切ってんじゃないわよっ!!アンタも私の偽物でしょっ!?」

エリカ「いや私からすればあなた達こそ……ってこれじゃあ堂々巡り……えっと、何か、何か……」キョロキョロ…

エリカ「覚悟しなさい。私をこんな目に遭わせた事、後悔させてやるわ」

エリカ「それはこっちのセリフよっ……」

エリカ「まずいまずいまずい……ん?」

エリカ「……っ!!」ダッ!!

エリカ「はぁっ!!」ダッ!!

エリカ「ストーーップ!!あれ見てあれ!!」

キキーッ ピタッ

エリカ「はぁ?あれって……」

エリカ「いったい……」

エリカ「黒板!!黒板見て!!」





『パラレル対談会』







エリカ「え……?何、あれ」

エリカ「アンタが書いたんじゃないの?」

エリカ「ち、違うわよ!?私が来た時にはあんなの書いてなかったわ!!」

エリカ「どうだか。私を混乱させようとしてるんじゃないの?」

エリカ「だから違うってばっ!!」

エリカ「私もっ!!何も書いてない黒板を見てたわっ!!入ってきた時、視界に入ってた!!」

エリカ「……」

エリカ「ほ、ほら」

エリカ「……アンタたちがグルだって可能性も……」

エリカ「疑り深いわね……何をどうグルになったらこんな変な教室にあなたを呼び出せるのよ。そもそも、あなた達が入ってきた扉も、いつのまにか消えてるし……どうできるってのよ」

エリカ「それは……」

エリカ「あの、とりあえず一旦落ち着きましょう?ほら、あの黒板の文字、何か意味があるかもしれないわ。そっくりな私たちがこんなところにいきなり呼び出された理由がわかるかも」

エリカ「言い争うにしても、情報を揃えてからにしましょうよ」

エリカ「……わかったわ。それじゃあ、あの黒板の文字は一体どういう意味なのかしら?」

エリカ「パラレル?対談会?」

エリカ「これだけじゃなんの事かわからないわね―――え?」

エリカ「そもそも、この教室は何なの?なんで外は真っ暗で何も見えないの?」

エリカ「わからないわ。時計も、携帯も持ってきてないし……」

エリカ「ちょ、ちょっと……」

エリカ「何よ。今あなたの言う通り何か意味が無いか考えて―――え?」

エリカ「どうしたの――――は?」

エリカ「……この教室、椅子なんて置いてあったっけ?」

エリカ「……机も、椅子も無かったはずよ。あったのは黒板だけ」

エリカ「なのに、今は目の前に椅子が3つあるわね……」

エリカ「……もうわけわからない」ハァ…

エリカ「それは私も同じよ……」




エリカ「椅子が三つ。円座で置かれてて、対談会。つまり……」

エリカ「何かを話せって事?」

エリカ「何を?」

エリカ「そんなの私が知るわけないでしょっ!!」

エリカ「いきなり怒鳴らないでよ……あら?」トテトテ

エリカ「どうしたのよ」

エリカ「ねぇこれ……」スッ

エリカ「箱?」

エリカ「円座の真ん中に置いてあったわ。なにか、ヒントとか入ってるかも」

エリカ「開けてみましょう」


パカッ


エリカ「これって……」


『A』『C』『N』


エリカ「何このプレート……名札?」

エリカ「ACNって何かしら……」

エリカ「アルファベット……ねぇ、確かあなた達アルファベットの書かれた扉からこの部屋に入ってきたわよね?」

エリカ「ええ。私は【N】って書かれた扉」

エリカ「私は【C】よ」

エリカ「それで私は【A】……これ、それに対応しているんじゃない?」

エリカ「なるほど……」

エリカ「なら、とりあえず付ける?いい加減誰が誰だかわからないし」

エリカ「そうしましょう」






Cエリカ「付けたけど……別に何か起きるとかじゃ無いわね」

Nエリカ「この名札も本当にただの名札っぽいし……」

Aエリカ「ホント、どうしろっていうのよ……」

Nエリカ「……ねぇ」

Aエリカ「何?」

Nエリカ「……私たち、そっくりね」

Cエリカ「今さらどうしたのよ?」

Nエリカ「変装とか、そういうのでもなさそうだし……」

Cエリカ「髪も地毛ね」グイグイ

Nエリカ「ちょっ……引っ張らないでよ……」

Aエリカ「この髪色で地毛なんてそうそういないでしょうね」

Nエリカ「……私たち似てはいるけど全員ちょっとずつ顔つきが違うわね」

Aエリカ「ええ。でも他人の空似というにはあまりにも似すぎてる。それに……私たちは皆自分を『逸見エリカ』だと名乗ってる。

    そして『パラレル』……つまり、私たちは」

Nエリカ「平行世界の同一人物……って事?」

Cエリカ「はっ、バカバカしい。SFの見すぎよ」

Aエリカ「私たちがいるこの場所がもうSFでしょ」

Nエリカ「黒板の文字や椅子も突然現れたし……それに、私たちこの教室から出られないわ」

Aエリカ「扉も窓も、開かないわね」

Cエリカ「……窓ならぶっ壊せるかもね」ガタッ

Aエリカ「ちょっ!?あなた何―――」

Cエリカ「ふんっ!!」ブンッ! 





ガンッ!!



Nエリカ「うわっ!?」

Cエリカ「……壊れないわね。強化ガラス?」

Aエリカ「い、いきなり椅子ぶん投げるんじゃないわよ!?危ないでしょっ!?」

Cエリカ「ちゃんと当たらないように気を付けたわよ」

Aエリカ「そういう事じゃなくてっ!?」

Nエリカ「はぁ……それにしても、ここの部屋……というよりこの空間?なんなのかしら……外は真っ暗で何も見えない。この部屋が何階なのかさえわからないわ……」

Aエリカ「そもそも、私たちがここに来たのも自分の意志ではない。気が付いたらここに繋がる扉の前にいた。……でしょ?」

Nエリカ「ええ」

Cエリカ「そうね」

Aエリカ「あなたの言う通りSFの見すぎなのかもしれない。誰かが私たちを驚かして反応を楽しんでいるのかもしれない。でも……私は、あなた達が他人だとは思えないわ」

Nエリカ「……私も。どういうわけか、あなた達に親近感……いえ、それ以上の何かを感じてる」

Cエリカ「……」

Aエリカ「ねぇ、あなたもでしょ?」

Cエリカ「……わかった。わかったわよ。降参するわ。私たち3人はパラレルな存在。別の世界の『逸見エリカ』。それで良いわよ」




ポコン♪




Cエリカ「何、今の音……」

Nエリカ「近くから聞こえたけど……」

Aエリカ「……あら?」

Cエリカ「どうしたのよ」

Aエリカ「名札が入ってた箱の中、また何か……紙?」ペラッ



『自己紹介』



Aエリカ「これは……自己紹介しろって事かしら……」

Cエリカ「ちょっともうどういう事なのか考えるのもめんどくさくなってきたわね……」

Nエリカ「この指示?をこなしていけば帰れるのかしら……」

Aエリカ「わからないわ……でも、現状ヒントはこれしか無いしとりあえず、席について自己紹介しましょうか」

Cエリカ「……そうね」ストッ

Nエリカ「そうしましょうか」ストッ

Aエリカ「じゃあ私から―――私は逸見エリカ。少なくとも、私自身は私が逸見エリカだと思っているわ」

Nエリカ「やっぱり私なのね」

Cエリカ「まだわからないわよ」

Aエリカ「……なら、もうちょっと詳細なプロフィールを。黒森峰女学園の2年生。戦車道チームの隊長をやってるわ。今は冬季大会に向けて頑張ってるところよ」

Nエリカ「隊長……」

Cエリカ「あら、もう隊長してるのね。流石私」

Aエリカ「……一応よ。まだ、何も出来てないわ」

Cエリカ「……」

Nエリカ「冬季大会って事はあなたの世界は今冬なの?」

Aエリカ「あら?そっちは違うの?」

Nエリカ「私の所は夏の大会が終わってひと月ぐらいね」

Cエリカ「こっちもそのぐらいね」

Aエリカ「じゃあ……私がこの中で一番年上になるのね」

Cエリカ「数か月程度で年上も何もないでしょ……。もう自己紹介は終わり?ならさっさと次行きましょ」



Aエリカ「そうね。ほら、次はあなたの番よ」

Cエリカ「……私も逸見エリカよ。学校も学年も同じ。まだ副隊長だけど、明日……ここでこの言い方が合ってるかはわからないけど、明日には隊長就任の予定よ」

Aエリカ「あなたもなのね。やっぱり隊長は留学したの?」

Cエリカ「え?何それ。そんなの聞いてないわよ」

Aエリカ「え?」

Cエリカ「まほ隊長は単に夏の大会が終わったから引退するんであって、私が隊長引き継ぐのも明日がその日だからよ」

Aエリカ「え?え?」

Cエリカ「まほ隊長……まほさんも引退はするものの来年の卒業まではちょくちょく指導してくれるって言ってるし」

Aエリカ「……そう。羨ましいわ」

Cエリカ「ていうかアンタはどうなのよ?一応隊長って……誰かの代理なの?」

Aエリカ「そういう訳じゃないけど……私もまほさんに指名されて、隊長に就いたわ」

Cエリカ「なら一応なんて情けないセリフ付けるんじゃないわよ」

Aエリカ「……こっちにだって色々あるのよ。知らないくせに好き勝手言わないで欲しいわ」

Cエリカ「へぇ?言い訳だけはいっちょ前ね?アンタの所のまほ隊長は戦車道じゃなくて言い訳の仕方を教えてくれたの?」

Aエリカ「……喧嘩売ってんの?」

Cエリカ「違うわ?馬鹿にしてるの。アンタをね」

Aエリカ「それを、喧嘩売ってるっていうのよっ……」ガタッ

Cエリカ「あら、やる気?良いわよ。私、体動かすの得意だもの」スッ

Nエリカ「ちょ、ちょっと待って!?また喧嘩とか勘弁してよ!?」

Cエリカ「……ふん」ドサッ

Aエリカ「……チッ」ストッ





Nエリカ「……とりあえず、私の自己紹介がまだなんだから聞いて」

Aエリカ「ああ、そうだったわね。ごめんなさい」

Cエリカ「じゃあさっさとどうぞ」

Nエリカ「はぁ……私は……あなた達と同じ。名前も学校も学年も。でも、私はまだ副隊長よ。隊長になるのは……本当に、私がなって良いのかしら……」

Cエリカ「はぁ?副隊長ならそのまま隊長になるのは自然の流れでしょ?」

Nエリカ「そうだけど……私は、もっと私なんかよりも相応しい人がいるんじゃって……」

Cエリカ「なにそれ?まほさんの見る目を疑ってるの?」

Nエリカ「そういう訳じゃないけど……」

Cエリカ「歯切れ悪いわねぇ。あなた、本当に私?なんか随分と弱々しく見えるんだけど」

Nエリカ「そんな事言われても……」

Aエリカ「ほら、また喧嘩売らないの」

Cエリカ「……別に、今のはそういうのじゃないわよ」

Aエリカ「えっと……Nの私?その気持ちわからなくはないわ。……いえ、わかるわ」

Nエリカ「……」

Aエリカ「私も、隊長が留学して私一人で色々考える事が多くて、正直私なんかに出来るのかって思ってるわ」

Cエリカ「はっ、情けない」

Aエリカ「そこ、黙りなさい。……でも、それでもやるしかないって思ってる。どんな理由であれ人の上に立ったのならちゃんと責任を果たす。それは、その立場になった人の義務よ。私は、そう思ってる」

Nエリカ「……そうね。私は、副隊長なんだから。ちゃんと、やらないと」

Aエリカ「……これで、自己紹介は全員終わったわね。何か変化は―――」




ポコン♪






Cエリカ「……今の音」

Aエリカ「ええ……」

Nエリカ「……あ、箱の中に新しい紙が……」ペラッ

Aエリカ「誰も触ってないはずなのに……」

Cエリカ「もうなんでもいいわよ……」

Nエリカ「えっと内容は……」ペラッ



『西住みほについて』



Cエリカ「みほについてって……」

Aエリカ「何を話せばいいのよ……」

Cエリカ「そもそも何の目的でこんな話させようとしてるの?」

Aエリカ「それがわかったら苦労しないわよ……」

Nエリカ「とりあえず、各々が持ってる西住みほへの印象とか……を話してみましょう?」

Cエリカ「じゃあ順番通りAの私からどうぞ」

Aエリカ「いきなり振らないでよ……私は……どうだったかしら。あの子への印象と言われても一言で言えるようなものじゃないし……」

Nエリカ「どんな関係だったの?仲は良かった?」

Aエリカ「……一緒にトレーニングすることは多かったけど……仲良かったかはわからないわ。私はともかく向こうがどう思ってるかなんてわからないし」

Nエリカ「……きっと、向こうはあなたの事を友達だと思ってるわよ」

Aエリカ「なんであなたにそんな事わかるのよ」

Nエリカ「それは……なんとなく?」

Aエリカ「アバウトねぇ……」

Cエリカ「アンタの所のみほは何してたの?」

Aエリカ「普通に副隊長してたわよ。実力も申し分なくって、隊長とのコンビネーションなんて惚れ惚れするほどだった。だけど……」

Cエリカ「決勝での事故の後学校を去った」

Aエリカ「……そうよ」

Nエリカ「あなた達の所も……」



Aエリカ「どうやら、どの世界でもあの子は黒森峰からは逃げ出すみたいね……」

Cエリカ「所詮、その程度の覚悟だったのよ」

Nエリカ「そういう言い方はやめましょうよ……」

Cエリカ「はぁ?アンタに指図される筋合いは無いわよ」

Nエリカ「っ……」

Aエリカ「……はいはい。そこまでにしましょう。次はあなたよ。どうなの?あの子と仲良かったりしたの?」

Cエリカ「そんな事ないしぶっちゃけ普通に嫌いよ」

Aエリカ「きっぱり言うわね……」

Cエリカ「だってあの子昔っから私や戦車道の事舐めてたんだもの」

Nエリカ「何があったの?」

Cエリカ「……中一の頃、副隊長の座を賭けた勝負であいつ手加減したのよ」

Aエリカ「あなた、そんな事したの……」

Cエリカ「それにムカついてぶっ叩いてやったわ」

Nエリカ「ちょっ……乱暴すぎでしょ」

Aエリカ「いきなり暴力は……」

Cエリカ「ふんっ。まぁ、最終的にみほの実力は認めてたわよ。戦友としても。でも……」

Aエリカ「決勝での事故があった」



Cエリカ「……まさか、あそこまで根性無しだと思わなかったわ。強かったのに、副隊長だったのにその責任から逃げ出して。負けた事なんてその後勝って見返せばいいだけなのに」

Nエリカ「……」

Cエリカ「そのくせ転校先でぬけぬけとまた戦車道始めて私たちの前に現れるんだからいい度胸してるというか、はっきり言って無神経なのよあの子」

Aエリカ「それについては同感ね」

Nエリカ「あの子にだって事情があるのはわかってるでしょ?あまり、責めるものじゃないわ」

Cエリカ「事情があろうとなかろうと私たちが迷惑被ったのは事実よ。ほんと許せなくて大洗に怒鳴り込んでやったわ」

Aエリカ「え、そんな事したの?」

Cエリカ「だって、向こうはこっちの苦労も知らずへらへらしてると思ったら腹立つでしょ?」

Aエリカ「いやそれはわからなくもないけど……行動力ありすぎでしょ」

Cエリカ「……結局その大会であの子率いる大洗に負けるし、踏んだり蹴ったりよ」

Nエリカ「だから、あの子にだって理由が……わかってるでしょ?」

Cエリカ「それなら私たちに迷惑かけていいの?事情があるなら、何したって良いの?」

Nエリカ「そうは言って……」





Cエリカ「……事故の事も転校も仕方ないとは思うわ。でも、あの子が去った後私は、隊長がどれだけ腐心して隊をまとめようとしてきたのか一番近くで見てきた」

Nエリカ「それは……」

Cエリカ「なのにみほは……あいつは何も言わずに戦車道を再開して、あまつさえ私たちの前に立ちはだかってきた。そんなの、許せるわけないでしょ」

Aエリカ「そうねぇ……私も流石に怒鳴りこみはしなかったけど、イラついたのは事実よ」

Nエリカ「優しい子だから……どうしても思い詰めがちなのよ。私たちの事だってきっと沢山悩んで……」

Cエリカ「無いわよ。無い無い。だって私が怒鳴り込んだ時のあいつの顔『そんな事思ってもみなかった』って感じだったもの」

Nエリカ「……」

Cエリカ「逃げ出したからそれで全部終わり。私たちがどう思ってるかなんて知ろうともしなかった。なのに、こっちにいた時は人の目ばかり気にしていたんだからどうしようもないわ」

Nエリカ「……」ピクッ

Aエリカ「っ……!?ちょ、ちょっとそこまでにしましょう?それ以上はただの悪口に……」

Cエリカ「人の心に無関心で、自分のする事をいつだって正しいと思ってて、それを責められると被害者面するんだから、ホント―――」

Nエリカ「やめろ」

Cエリカ「……あら?そんな顔出来るのね?しおらしい顔しか出来ないと思ってたわ」

Nエリカ「あの子を、馬鹿にしないで」

Cエリカ「馬鹿にしてるわけじゃないわ。ただ事実を言っただけ」

Nエリカ「事実なんかじゃない。あの子は、いつだって自分のした事に悩んでたわ。決勝でフラッグ車を投げ出して救助に行った事も」

Cエリカ「……アンタ随分とみほにお優しいのね?あの子もう西住流とは関係ないらしいからゴマ擦っても無駄よ?」

Nエリカ「違うっ!!私はッ!!私はただっ……あの子を馬鹿にされるのが我慢ならないだけよッ!!」ガタッ

Cエリカ「はっ、やる気?」

Aエリカ「ちょっとやめなさいよ!?」



Nエリカ「……あの子がいたから私は戦車道を続けられてる。私のせいで、あの子は一度戦車道を辞めてしまったのに……」

Aエリカ「……え?」

Cエリカ「はぁ?」

Nエリカ「だから、だから私……せめてあの子の代わりになれるようにって……でも、私なんかじゃ役者不足で……それが腹立たしくて、私を置いていったあの子にまで苛立って……」

Cエリカ「何言ってんのこいつ?」

Aエリカ「いったい、どういう……」

Nエリカ「だから、あの子と会った時、ごめんなさいって、ありがとうって素直に言えなかった……なのに、そんな私をあの子は許してくれて……」ポロポロ…

Cエリカ「うわっ、泣き出した」

Aエリカ「ね、ねぇNの私?ちょっと聞きたい事が……」

Nエリカ「だからっ!!あの子を馬鹿にするのなら例え私でもっ!!」グッ…

Aエリカ「ストーーップ!!」バッ!!

Nエリカ「邪魔しないでっ!!」

Cエリカ「そうよ。喧嘩の邪魔しないで」

Aエリカ「あなたは黙ってなさいっ!!Nの私、今度はあなたが喧嘩しだしてどうするのよ!?ていうかそれよりもっ!!『私のせいで』ってどういう事!?」

Nエリカ「え……?」

Cエリカ「ああそれ。私も気になるわね。私が一体何をどうしてあの子が戦車道を辞める原因になるのよ。言いがかり甚だしいわ」

Nエリカ「な、何言ってるのよっ!?」

Aエリカ「ごめんなさい、本当に私には心当たりが無くて……」

Cエリカ「右に同じ」

Nエリカ「ふざけないでっ!?私たちが乗ってた戦車が決勝で川に落ちた時、助けてくれたのがあの子でしょうっ!?」

Aエリカ「えっ!?」

Cエリカ「はぁー?」




Nエリカ「あの子はッ!!自分の危険さえ顧みずに私たちを助けてくれたのにっ!!どうしてあなた達はそんなッ!!」

Aエリカ「あ、あのっ!!お、落ち着いて?」

Nエリカ「こんな、こんな恩知らず共が私だなんてっ……」

Cエリカ「私、川になんて落ちてないわよ」

Nエリカ「……え?」

Aエリカ「わ、私もよ。川に落ちたのは私が乗ってたのとは別の戦車」

Nエリカ「そ、そんな……」

Aエリカ「……ねぇ、Nの私。赤星小梅って子知ってる?」

Nエリカ「赤星小梅……?」

Aエリカ「こう、髪がモジャっとしてて……」

Cエリカ「みほの腰巾着かと思いきや意外と根性のある強い子よ。知った風な口聞いてくるのは気に入らないけどね」

Nエリカ「い、いえ……知らないわ。そんな子、隊にいたかしら……?」

Aエリカ「……私と、Cの私の世界では水没した戦車に車長として乗ってたのはその子よ」

Nエリカ「え……?」

Cエリカ「まぁ、他の乗員は転校しちゃったけど……赤星さんだけは残ったわ。みほがしたことを誰にも否定させないためにって」

Nエリカ「それって……」

Aエリカ「たぶん、小梅はあなたと同じ考えだったんでしょうね。でも、あなたはそこに副隊長って責務まで重なった」

Cエリカ「まぁ……気苦労は絶えないでしょうね。他でもない10連覇を逃した原因なんだから」

Nエリカ「……そっか。別の世界の私は……事故に遭ってなかったのね」

Aエリカ「そういう事。ていうかNの世界だと小梅は黒森峰にいないのね……いえ、そもそも存在しているの……?」

Cエリカ「縁起でもないわね……別の学校にいるとかでしょ」




Aエリカ「……どうやら私たちの世界って思っている以上に違うみたいね。それこそ、人生レベルで」

Cエリカ「私とアンタも似ているようで結構違うしね」

Aエリカ「ええ……。まぁ、とにかく。Nの私が西住みほにとても恩義を感じているのはわかったわ。ほら、あなたも謝りなさい」

Cエリカ「はぁ?なんでよ。こいつはみほに恩義を感じているかもしれないけど私は関係ないわ」

Aエリカ「あなたねぇ……」

Nエリカ「い、良いのよ。確かに、あなたたちからすれば言いがかりみたいなものだったわね……ごめんなさい」

Aエリカ「……こっちの私は随分と物分かりがいいのに、それに比べて……」

Nエリカ「でも……Cの私。あの子は良い子よ。それは、分かって欲しいわ」

Aエリカ「まぁ『西住みほ』はどの世界でも似たような感じらしいし、そうなのかもね」

Cエリカ「……みほの事は嫌いよ。それは、まぎれもない事実だわ。変えるつもりもない」

Nエリカ「……」

Cエリカ「でもまぁ、あの子の率いる大洗は強いし、戦って楽しいし。だからまた戦える日が楽しみよ。プライベートでは絶対付き合いたくないけど」

Aエリカ「さっぱりしてるのかねちっこいのかわからないわね……」

Nエリカ「ふふっ……良いわよそれで。ぶつかり合って、分かり合って。それで……いつか友達になればいいわ」

Cエリカ「ふんっ……一生来ないわよそんな日」



ポコン♪


Aエリカ「あら、今ので合格みたいね」

Cエリカ「さっさと次のお題にいきましょう」

Nエリカ「えっと……」ペラッ



『西住まほについて』



Aエリカ「尊敬する隊長」

Cエリカ「敬愛する隊長」

Nエリカ「感謝……しているわ」

Aエリカ「……なんにも起きないわね」

Cエリカ「つまりまだ対談が足りないって事か……なら、ねぇNの私」

Nエリカ「何?」

Cエリカ「隊長に感謝しているらしいけどなーんか含みあったわね。嫌いなの?」

Nエリカ「そんなわけないでしょ!?私なんかを副隊長に指名してくれたんだから。感謝したってしきれないわ」

Aエリカ「ならどうしてそんな歯切れが悪いの?」

Nエリカ「……さっきも言ったけど、私は、黒森峰の10連覇を阻んだ張本人よ。私がいなければ、あの子も転校せずにそのまま隊長になってたはず……

    だから……私よりも相応しい子がいたんじゃないかって。隊長は……ただ私に同情しているだけなんじゃ――――」

Cエリカ「っ!!」ガタッ

Aエリカ「座りなさい」グイッ

Cエリカ「ちょっ!?」

Aエリカ「自分同士でケンカなんて不毛な事、これ以上させないわ。言いたい事があるなら、ちゃんと言葉で言いなさい」

Nエリカ「……ごめんなさい、私またあなたを怒らせたみたいね」

Aエリカ「良いのよ。この子が喧嘩っ早いだけなんだから」

Cエリカ「勝手な事言わないで」

Aエリカ「なら、ちゃんとあなたが言葉にしなさい。Nの私の何が気にくわなかったの?」

Cエリカ「……あの人は、隊長は同情で副隊長なんて責務を背負わせないわ。他でもない、みほが背負っていたものを」

Nエリカ「……」

Cエリカ「Aの私も言ってたでしょ。誰かの上に立ったのなら、その責任を果たす義務がある。アンタの座っている椅子は、決して軽い物じゃないのよ」

Nエリカ「……」




Cエリカ「やりたくなければ断ればよかったのよ。副隊長という立場を受け取っておいて誰かに責任転嫁するような真似、許されるわけないでしょ。それはとても卑怯な事よ」

Nエリカ「……ごめんなさい。その通りだわ」

Cエリカ「……覚悟しなさい。隊長という立場は副隊長なんかよりずっと過酷で、何よりも強さを求められる場所よ。

    生半可な気持ちで上に立たれたら、下の人たちが可哀想だわ。いやならさっさと頭下げて他の人に代わってもらいなさい」

Nエリカ「……ええ、わかったわ。ちゃんと考えるわ。今の事も、これからの事も。私だって、優勝したいもの。あの子と、隊長に恥をかかせないように。何よりも私のために」

Cエリカ「……なら、私がこれ以上言う事はないわ」

Aエリカ「はぁ……いちいち喧嘩になりそうな空気作らないでよね……」

Nエリカ「……何も、起きないわね」

Aエリカ「ええ……何か言い足りない事とか無い?」

Cエリカ「何度聞かれても私が持つまほ隊長への印象や言葉は変わらないわ。強くて、凛々しくて、私の憧れの人よ。それ以上はあってもそれ以下はありえないわ」

Aエリカ「なら……」

Cエリカ「私はこれ以上言うことは無いし、Nの私もさっきので充分でしょ。だったら残りは一人でしょ」

Aエリカ「私か……」

Nエリカ「何かまほさんに思うところとかない?こんなところを尊敬してるとか……あるいは」

Aエリカ「私も……大体はあなた達と同じよ。尊敬しているし憧れているし、あの人のように強くなりたいって思ってる。でも……いえ、なんでもないわ」

Cエリカ「また歯切れの悪い……いい加減にしなさいよ。そこのもそうだけどアンタ、格段に辛気臭いわねぇ。もっとシャキッとしなさいよ!!隊長なんでしょ!?」

Aエリカ「逆になんであなたはそんな暑苦しいのよ……」

Nエリカ「同感。戦車に乗ってるわけでもないのにそんな大声だして頭痛くならない?」

Cエリカ「うるさいわよっ!!」

Aエリカ「はぁ……さっき言ったでしょ?私の世界だともうすぐ冬季大会が始まるの」

Cエリカ「ええ。いいじゃない、新生黒森峰の実力を見せる絶好のチャンスよ」

Aエリカ「気軽に言ってくれるわね……周りの学校はみんな夏季大会の時と同じメンバーの中、黒森峰にはたいちょ、まほさんはいない……」

Nエリカ「……」



Cエリカ「だからこそよ。逸見エリカ新隊長の実力を見せてやろうって思わないの」

Aエリカ「……その通りよ。それが、正しいはずなのに」

Nエリカ「そうは思えないの?」

Aエリカ「違うの。ただ私は……自信が、無いのよ」

Cエリカ「……」

Aエリカ「……最近、思うのよ。あの人は……私の事なんかどうでもいいんじゃないかって」

Cエリカ「隊長に置いていかれたのが嫌だったの?仕方ないじゃない留学なんだから」

Aエリカ「そうじゃないわ。……でも、無関係じゃないか」

Nエリカ「どういう事?」

Aエリカ「まほさんって無口じゃない?」

Nエリカ「ええ」

Cエリカ「そうね」

Aエリカ「もちろん全く喋らないってわけじゃなかったわ。私の質問にもちゃんと答えてくれた」

Cエリカ「私の時もそうだったわよ。チームをまとめるのに忙しいのに私の為にもちゃんと時間を割いてくれた感謝してもしきれないわ」

Nエリカ「私の時はチームをまとめるのに加えて色々参ってる私を気遣ってくれたわね……」

Aエリカ「そう。それは……羨ましいわ」

Nエリカ「……あなたの所の隊長だって、決してあなたを蔑ろにしていたわけじゃないでしょ?」

Aエリカ「そうよ。……でもあの人、私にはあんまり言葉をくれなかった。技術的な答えはくれても、私の悩みに答えをくれなかった」

Cエリカ「……当たり前でしょ。そんなの、自分で探すものなんだから」

Aエリカ「わかってる。わかってるわ。だけど、ね。どうしても思っちゃうのよ。ここに、あの人がいたらって」

Nエリカ「……」





Aエリカ「あの人が一言『あなたなら出来る』って言ってくれたのなら。それを信じて戦えるのに……」

Cエリカ「……」

Aエリカ「……はい、ここまで。私の愚痴なんて聞くのも話すのも楽しくないわ。どうせ、答えなんて、人に聞いてわかるものじゃ無いんだから。たとえ、まほさんであっても」

Nエリカ「……そうね。きっとアドバイスすら、他人に求める物じゃないのかもしれないわ」

Aエリカ「……」

Nエリカ「でも、悩んでる事を、言いたい事を誰かに言うのは大事だと思う。たとえ答えが返ってこなくても、自分の思いを伝える事は決して無意味じゃないはず。

    少なくとも私は、ちゃんと伝えたい事を伝えて良かったと思ってるわ」

Cエリカ「私は嫌だけどね。そんなの、弱い奴のすることよ」

Nエリカ「あなただってわかってるでしょ?同じ『私』なんだから」

Cエリカ「……」

Nエリカ「だから……相談するって事を考えてみましょう?まほさんじゃない別の誰かにも」

Aエリカ「……ええ。ちょっと考えてみるわ」

Nエリカ「それで良いのよ。今はね」

Aエリカ「……不思議ね。いつもならそんな提案無視するのに。あなたが『私』だからかしら」

Nエリカ「ふふっ、そうかもね」






ポコン♪




Nエリカ「今ので良かったみたいね」

Aエリカ「これ以上何も言う事がなかったからよかったわ」

Cエリカ「さて、次のお題は何かしら……っと」ペラッ




『逸見エリカについて』



Aエリカ「ここにきてこれか……」

Cエリカ「なんか、まとめ感があるわね」

Nエリカ「もしかして、これが最後かも」

Aエリカ「だといいけど……」

Cエリカ「なら、今度は私からいかせてもわうわ」

Aエリカ「ええ、どうぞ」

Cエリカ「……私は強いわ。戦車道最強の学校、黒森峰女学園の次期主将よ。それでも……まだまほ隊長の背中は遠い」

Cエリカ「まほ隊長との最後の大会で優勝できなかった事、きっとずっと後悔するわ。でも、立ち止まるつもりなんて無い。私はあの人に黒森峰を託されたのだから」

Cエリカ「だから、頑張るの。信じるの。前に進むの。私は、戦車道が好きだから。強い相手と戦うのが楽しいから。だから―――私は、これからも進むわ」

Cエリカ「それが私、『逸見エリカ』よ」




Aエリカ「……あなた、ガサツでけんかっ早いと思ってたけど、ちゃんと考えてるのね」

Cエリカ「う・る・さ・い!!」

Nエリカ「まっすぐで……とてもいいと思うわ。私には眩しいぐらい」

Cエリカ「ふんっ、次はアンタよ」

Nエリカ「……ええ」ガタッ




Nエリカ「……私は自分が嫌いだった。私のせいで沢山の人の夢を潰した。恩人すら守れなかった」

Nエリカ「自分与えられた立場を、分不相応なものだと目を逸らし、そんな自分に苛立って恩人にすら牙を向けた。あの子は許してくれたけど……今でも、胸に棘は刺さったままよ」

Nエリカ「でも……あなたたちと話して、あの子の姿を思い出して……頑張ろうって思えた」

Nエリカ「例え分不相応な立場だとしても、いつかきっと相応しい人になろうって思えた。……いいえ、なりたいって思えた」

Nエリカ「だから、私はこれからも戦車道を続けるわ。あの子の行動が間違ってないと証明し続けるために。私がいつか、胸を張れるように」ニコッ

Nエリカ「それが私、『逸見エリカ』よ」





Nエリカ「……こんな感じでいいかしら?」

Cエリカ「まぁ、いいんじゃない?でも自信ぐらいさっさと持てるようになりなさい。アンタについていく人の為にも」

Nエリカ「……そのうちね♪」

Cエリカ「はぁ……もういいわ。はい、じゃあラスト」

Aエリカ「……」ガタッ

Aエリカ「……今日、ここにいる『私達』と話してようやく認められたわ。私は……怖いんだって」

Cエリカ「……」

Aエリカ「優勝できない事が怖い。負ける事が怖い。何よりも……私が、隊長としてやっていけるのかが怖い」

Nエリカ「……」


Aエリカ「きっと、これはもう性根の違いなのだと思う。私と『私達』との。きっと私は……どんな時でも悩んで悔やんで、怖がるのだと思う」

Aエリカ「引きずっているものはたくさんある。不安なんていくら数えてもキリがない。悩みの種はきっと尽きないのでしょうね。だけど、だからこそ、絶対に諦めたくないものがあるわ」

Aエリカ「私は……私も、優勝したい。来年なんて未来の話じゃなく冬季大会で。それだけは……譲れない。それだけは……決めた事なの」

Aエリカ「私は逃げたくない。そのつもりもない。私は隊長として黒森峰を王者として知らしめたい。どんなに怖くても。どんなに辛くても。私は……黒森峰が好きだから」



Cエリカ「……」

Nエリカ「……」

Aエリカ「……これで、全部よ」

Nエリカ「……ええ。とっても良かったわ。あなたの想い、痛いほど伝わった」

Cエリカ「言ってる事は情けないけどね」

Nエリカ「もう……でも、これで全員話し終わったわね。これ次は――――」

Aエリカ「っ!?」










【A】【C】【N】








【A】【C】【N】











【A】【C】【N】







Nエリカ「扉が、現れた」

Aエリカ「つまり、もう帰っていいって事みたいね」

Cエリカ「あの扉の向こうが自分のいた世界だなんて確証は無いけどね」

Aエリカ「ならずっとここにいる?」

Cエリカ「冗談。私はやるべき事があるの。さっさと帰らせてもらうわ」

Aエリカ「私もよ」

Nエリカ「……これで、お別れね」

Cエリカ「当然でしょ。元々こうやって顔合わせてる事自体がおかしいんだから」

Aエリカ「……まぁ、この出会いがちょっとは私たちにプラスになることを願いましょう」

Nエリカ「……ええ」

Cエリカ「それじゃあ私は行くわね。……あ、そうだ」


プチ


エリカ「この名札はもういらないわね」ポイ

Aエリカ「投げ捨てるんじゃないわよ……やっぱりガサツな子ね……」

エリカ「うるさい。……じゃあね『私』」

Aエリカ「……ええ。元気でね『私』」

Nエリカ「頑張ってね」

Cエリカ「ふん、言われなくても」


ギィ…バタンッ スゥー…



Nエリカ「消えた……」

Aエリカ「……ちゃんと帰れると良いわね」

Nエリカ「……なら、次は私ね。これ、お願い」プチッ

Aエリカ「私に渡されても困るんだけど……」

エリカ「適当に置いておけばいいでしょ。……その、私はあなたの立場も、苦悩も何一つ理解できないけど……」

Aエリカ「……」

エリカ「それでも、頑張って。何が正しいかわからなくなっても、歩みを止めないで。隊長もあの子も、きっとそうしてきたのだと思うから」

Aエリカ「……」

エリカ「……ごめんなさい。知った風な口を利いて」

Aエリカ「ありがとう」

エリカ「え?」

Aエリカ「私、頑張るわ。どうなるかわからないけど、どうすればいいかわからないけど。それでも」

エリカ「……ええ。頑張って。応援しているわ『私』」

Aエリカ「私こそ。応援しているわよ『私』」

エリカ「ふふっ。さようなら」


ギィ…バタンッ スゥー…




Aエリカ「……さて、残りは私だけか」


プチッ

『A』『C』『N』



エリカ「これは……まぁ、置いておけばいいか」





エリカ「それじゃあ、帰りましょうか。私の世界へ」



ギィ…バタンッ 









チュンチュンチュン


エリカ「……」パチッ ムクリ

エリカ「……夢ぇ?変な夢にもほどがあるわね……ってもう朝じゃない」


ダダダダバンッ!!


レイラ「エリカちゃんおはよう!!」

エリカ「ノックも無しに入ってくるんじゃないわよ。朝っぱらからうるさい子ね……」

レイラ「あーっ!!エリカちゃんまだパジャマ―!?ダメじゃない!!」

エリカ「んな事あなたに言われる筋合いは無いわよ……ていうか何の用よ。まだ登校するには早いわよ。だからといってあなたと遊んでる暇も無いんだけど」

レイラ「何言ってるの!!今日はエリカちゃん隊長就任の日でしょ!!早めに学校行って色々やる事あるでしょ!!なので親友の私がお迎えに上がりました!!」

エリカ「……いやあなたが迎えにくる必要なくない?」

レイラ「いいから!!早く着替えて学校行こう!!」

エリカ「朝ごはん……」

レイラ「行く途中でコンビニ寄ればいいでしょ!!」

エリカ「そんなの不健康よ……」

レイラ「寝坊した人が言えるセリフじゃないよそれ!!」

エリカ「寝坊って時間でも無いでしょ……やっぱ朝からうるさいわね」

レイラ「エリカちゃんには言われたくないよ……ほら早く早く!!」

エリカ「はいはい。着替えるから外で待ってなさい」

レイラ「はーい」

エリカ「あ、レイラ」

レイラ「何?」

エリカ「えーっと……あった。これ、返すわ」ポイ

レイラ「あ、貸した漫画。ちゃんと読んでくれた?」

エリカ「一応読んだけど……あなたコッテコテの少女趣味してるわね……胸焼けすると思ったわ」

レイラ「女の子なんだから当然でしょ!!エリカちゃんだってそのうち恋に興味をもつお年頃になるよきっと」

エリカ「私は当分そういうのは良いわよ……少なくとも黒森峰(ここ)にいるうちは」

レイラ「そんな事言って、行き遅れても知らないんだからね」

エリカ「余計なお世話よ」

レイラ「私以外友達がいなくなっても知らないんだからねっ!!」

エリカ「……まぁ、別にいいわよ」

レイラ「もーーー!!」

エリカ「ほらほら、さっさと出ていきなさい。着替えを人に見せる趣味はないの」

レイラ「むーっ!!」

エリカ「……あ、レイラ」

レイラ「……何?」

エリカ「………………これからもよろしくね」

レイラ「―――うんっ!!エリカ隊長!!」






エリカ「……」パチッ ムクリ

エリカ「ここは……私の部屋?……夢?……そりゃそうよね。でも、ホント変な夢だったわ……」

エリカ「……あ、まだ読み終わってなかったわ。早く読んで感想伝えないと……」


prrr


エリカ「あの子から……これの事かしら?」


pi!


エリカ「もしもし?……ええ、ごめんなさい。借りた小説まだ途中までしか読んでなくて……もう、なんであなたが謝るのよ。いいから。次にそっちで会う時にはちゃんと感想言うわ」

エリカ「え?……良いわね。なら、お昼はそこで食べましょうか。その後そっち案内してもらえる?」

エリカ「ええ。楽しみにしてるわ。……それと、」




エリカ「……あの時、助けてくれてありがとう。……え?ふふっ、ただなんとなくよ。なんとなく、また言いたくなっただけ」







エリカ「……ん」パチッ ムクリ

エリカ「あれ?私……やだ、机で寝ちゃってたの?……おかげで変な夢見ちゃったわ」

エリカ「……まだこんな時間か。なら、もうちょっと出来るわね」

エリカ「無限軌道杯。勝って黒森峰こそ王者だと証明しないと……」カリカリ…

エリカ「隊長……は、今は私か」

エリカ「……まほさん」ボソッ



『やってやる やってやる やってやるぜ イヤなあいつをボコボコに』



エリカ「……?やだ、テレビついてた?消さないと……」



『ケンカは売るもの 堂々と 肩で風きり 啖呵きる.』



エリカ「これ……こんな深夜にやってるんだ……」



『人生負けてもいいんだぜ いつか勝てると夢を見て!』



エリカ「ボコ、ね……ホント変なアニメ。何が良いのかしらこんなの」


ピッ



エリカ「さぁ、もうひと頑張り。負けるんじゃないわよ私」






エリカ「ん……」


パチッ


エリカ「……え?」



【A】



エリカ「嘘でしょ……夢じゃなかったの……?ていうかまた……?」


ガチャッ ギィィ…



エリカ「……やっぱり、この間と同じ教室……あら?」

Nエリカ「あなた……えっと、Aの私?」

エリカ「そういうあなたはNの……もう来てたのね」

Nエリカ「まさか、また会うだなんて思わなかったわ……」

エリカ「ホントよ……こっちは忙しいってのに」

Nエリカ「……大丈夫?」

エリカ「……ええ。なんとかね。あなたこそ、大丈夫?」

Nエリカ「ええ。おかげさまでね。……ちょっとずつだけど、自分に自信を持てるようにしようと思うわ。色んな人に助けられながらね」

エリカ「それで良いのよ」

Nエリカ「ふふっ、ほら、あなたもこれ付けておきなさい」ポイ

エリカ「え、ええ。でも……正直もうあなた達の見分けつくしいらない気も……」

Nエリカ「……」スッ

Aエリカ「え?何?」






【C】【LⅡ】【LL】【R】






Aエリカ「なっ!?扉が、増えてる!?」

Nエリカ「Cはたぶんあの子でしょうけど……他の三つはわからないわ……」


ガチャッ


Nエリカ「来るっ……」

Aエリカ「っ……」


ギィィ… トン




エリカ「全く……なんでまたこんなところに……ってあら?もう来てたのね」

Nエリカ「……はぁー。お久しぶり。Cの私」

Aエリカ「元気そうで何よりよ」

エリカ「こっちは二度と会いたくなかったわよ。……ってどうしたの?なんか様子がおかしいけど」

Nエリカ「……隣見てみなさい」

エリカ「え?……うわっ!?何この扉増えてる!?」

Aエリカ「見知らぬ『私』たちが来る前に名札付けておきなさい」ポイ

Cエリカ「っと……。ていうか、どういう事よ?私ってこんなにいたの?」

Aエリカ「普通は一人なんだから今さら過ぎるわね……」

Cエリカ「なんなのよもう……ていうか、なんでアンタたちはそんなに落ち着いてるのよ」

Nエリカ「いや驚きはしたけど……」

Aエリカ「理解を越えた出来事を理解しようとしたって疲れるだけってこと。あなたもいい加減落ち着きなさい」

Cエリカ「うるっさいわね……この中で一番年上になるからって姉ぶるんじゃないわよ……」

Nエリカ「どっちかっていうとお母さんかしら?」

Aエリカ「こんなガサツな娘はいらないわ」

Cエリカ「うるさいわよっ!!」


ガチャッ


Aエリカ「っ……今度こそ、来るわ」

Nエリカ「しかも3人同時……」

Cエリカ「変なの来ないわよね……?」


ギィィ…





LⅡエリカ「あら?ここ、どこ?ツェスカ―?小梅ー?……ってあら?あなた達……私そっくりね」ファサ…

Cエリカ「髪長っ!?私が切る前と同じかそれ以上!?あとなんか貫禄ある!!




Rエリカ「なっ!?なんなのよあなた達!?シナモンロール頭の差し金!?ご丁寧に私のコスプレしたところでそんな欺瞞作戦にかかる私じゃ無いわ!!全員まとめてかかってきなさいっ!!」グッ!!

Cエリカ「なんかめっちゃまつ毛長くて可愛い!?なのになんか変な気迫ある!?そんでもってジャージ!?アンバランスね!?」




LLエリカ「ちょっと!!ここどこなのよ!?私は隊長との休日デートに行く途中だったのに!!」シャラーン

Cエリカ「ケバー!!?いつの時代のファッションよそれ!!」




ギャーギャーワーワー!!



Aエリカ「……一気に騒がしくなったわね」

Nエリカ「まぁ、倍に増えたんだし、仕方ないわ」

Cエリカ「アンタたちも呑気にしゃべってないでこいつらなんとかしてよっ!?」

Nエリカ「あーはいはい。もうちょっと待ってて」

Aエリカ「それで……これはいつ終わるのよ……」

Nエリカ「わからないわ……」チラッ






『第二回 パラレル対談会』










エリカ「まぁ……とりあえず、自己紹介から始めましょうか。―――――初めまして『私』。私の名前は『逸見エリカ』よ」





―終―



ガルパンの各メディアに色んなエリカさんがいるけどどのエリカさんも微妙に性格違うなーって思ったので書いてみました。

メタネタ&妄想全開でしたが思いついちゃったのでしょうがありません。

読んでくれた方々ありがとうございました。





補足。

一応解説すると


Aエリカ=アニメのエリカ。言わずと知れたプレーンエリカさん。嫌味っぽかったのは劇場版まで。今は苦労性、辛気臭い。元副隊長。頑張って欲しい。好き。

Cエリカ=コミカライズのエリカ。めっちゃ感情的。よく怒鳴るしよく泣く。たまに手が出る。単身で大洗に怒鳴り込んでちゃんと理由を説明しつつブチギレる妙な理屈っぽさを持った恐れ知らずな行動力の化身。好き。

Nエリカ=ノベライズのエリカ。突如降ってきたエリみほの核弾頭。しおらしい。みほに対して恩義を感じている。好き。

Rエリカ=リボンの武者のエリカ。まつ毛長い。可愛い……頭大きめで体が細くて肩幅も狭いせいかアニメよりも小さく見える。可愛い……あと目がぐるぐる。可愛い……ジャージに帽子のアンバランスなスタイル。可愛い……。コロコロ表情が変わる。可愛い……。まつ毛長い。可愛い……好き。

LⅡエリカ=リトルアーミーⅡのエリカ。髪が長い。嫌味っぽさ残しつつなんだか余裕と貫禄のある感じ。元副隊長。好き。

LLエリカ=らぶらぶ作戦のエリカ。タイムトラベラーにしてあの姉妹と幼馴染疑惑。気合い入れたファッションがケバい。好き。


こんな独断と偏見と多分な妄想によって描かれています。



尚このSSだとコミカライズのエリカ=フェイズエリカのエリカと描写していますが、

これはあくまで私の勝手な妄想で、作者の先生はフェイズエリカからアニメに繋がるといったイメージで描いていたそうなのでご了承ください。


あと別スレですが、

【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」
【ガルパン】みほ「私は、あなたたちに救われたから」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1553347133/)

上のスレで毎週投稿しています。
まぁここ二週はサボっちゃいましたが…
来週からは普通に投稿予定なのでよければどうぞ。
なお上のスレは

1スレ目【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」
【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1514554129/)

2スレ目【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」
【ガルパン】エリカ「私は、あなたに救われたから」 - SSまとめ速報
(https://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1527426841/)

上記の続きなのであしからず。
両方共めっちゃ長いです。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom