【ガルパン】エリカ「私は、あなたを救えなかったから」 (778) 【現行スレ】




濁流が、少女を乗っている戦車ごと押し流そうとしてくる


冷たい水が、命を奪っていくのを少女は肌で感じる




「やめてっ!!離してっ!!」

「やめません、離しません」







SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1514554129





流されていた戦車は浅瀬にか、あるいは突き出た岩にでも引っかかったのか、車体全部を水に沈めながらもキューポラから上体を出すことで少女は辛うじて息ができていた。

だが、それも長くは持たないだろう。戦車の川への抵抗は少しずつ弱くなっていく







「っ…あなたまで流されるわよっ!?」

「大丈夫です、エリカさん。あなたは絶対に助けますから」









エリカと呼ばれた少女―――その眼前にいる栗毛の少女は、片手で必死に車体を掴みながらも、もう片方の手で水に沈むエリカの手を握りしめていた

荒れ狂う濁流は少女たちを、繋いだ腕ごと引き裂こうと言わんばかりに容赦なく襲い掛かってくる

このままじゃ共倒れだと、私を見捨てて。と、エリカが何度叫ぼうとも栗毛の少女はその手を緩めず、必死にエリカを引き上げようとしていた









「このままじゃっ、あなたまでっ!!」












エリカの体が、戦車の抵抗が無くなっていくのを感じ取る






「――――逃げて!!お願い私のことなんかっ!!」

「エリカさん。大丈夫だから」

「なんで!?―――も死んじゃうっ!?」













大丈夫。その言葉にどれほどの説得力があるのか、それはきっと栗毛の少女自身が感じているだろう。

そして、とうとう車体の抵抗がなくなる。

重い車体がゆっくりと押し流されていく










「っ!!」


それを感じ取った栗毛の少女は、一層強くエリカの手を握りしめる



「どうして……どうして離してくれないの……?お願いっお願いだから……」



エリカは必死で懇願する。もはや自身の命よりも、目の前の少女の命が自身のせいで散ることを恐れていた



「お願い……あなたまで巻き込みたくないのよ」








「エリカさん」




体力を冷水に奪われ、もはやつぶやくような声しか出なくなったエリカに

栗毛の少女はそっと顔を近づけ―――――








「絶対にあなたを死なせたりしない。だって――――」
















「私は、あなたに救われたから」


















微笑んだ










キーンコーンカーンコーン


エリカ「……」

沙織「ヘイ彼女!一緒にお昼どう?」

エリカ「……?」

華「突然すみません。よろしければ一緒にお食事できたら、と」

エリカ「……遠慮しとくわ。食事は一人で摂る主義なの」ガタッ

華「あっ……」

沙織「フラれちゃったぁ~」

華「やはり、いきなり声をかけたのがまずかったのでは……」






ガヤガヤワイワイ




エリカ「……」モグモグ

沙織「華―!ここ空いてるよー!」

華「沙織さん、待ってくださ……あら?」

エリカ「あなた達……」

沙織「アレー?逸見さんじゃん。奇遇ダネー」

華「沙織さんったら……」

沙織「ねぇ、ここ座っても良い?」

エリカ「別に、私の場所じゃないから……勝手にすれば?」

沙織「やったぁ♪」

華「それでしたら、失礼します」

沙織「あっ逸見さんそれハンバーグ定食?お目が高いね!それ、ここの人気メニューなんだよ?」

華「私もよく頂いています」

エリカ「……ええ、たしかに美味しいわね」

沙織「……あのさっ!私達前から逸見さんのこと気になってたのっ!」

エリカ「……は?」

沙織「逸見さん綺麗で、佇まいもなんか凛としててクールな感じでさ。ついつい目が向いちゃってたんだ」

エリカ「……そう」

沙織「それにこの髪!!雪みたいに綺麗で……おとぎ話の住民みたい!!」

エリカ「……ま、まぁ、それなりにケアには気を使ってるわね。……私の、自慢だから」

沙織「あっ!やっと笑ってくれた―!」

華「可愛い笑顔ですね」

エリカ「か、からかわないで!」

沙織「ふふっ、最初断られたときは駄目かなーって思ったけど頑張ってよかった」

華「はい。逸見さん、よろしければ私達と友達になってもらえませんか?」

エリカ「……武部さんに五十鈴さんだったっけ?私と友だちになっても良いこと無いわよ?」

沙織「友達ってそういうものじゃないでしょ?……ってあれ?私達の名前知ってるの?」

エリカ「一応、クラスメイトのフルネームぐらいは把握してるわよ……昔の癖でね」

沙織「へぇー、逸見さん自分以外の人間に、っていうか人類に興味ないって感じだったのに」

エリカ「ケンカなら買うわよ?」

華「沙織さん、いきなりケンカを吹っかけるだなんてやりますね」

沙織「ちょっ!?違うから!?な、なんていうか、どこか浮世離れしてる感があったっていうかー」

華「たしかに、どこか近寄りがたい雰囲気はありましたね」

エリカ「……はぁ。良いわよ」

沙織「え?」

エリカ「友達。なってあげるわよ……一人なのもいい加減退屈だし」

沙織「やっったぁー!!よろしくね、エリカ!!」

エリカ「い、いきなりね……」

沙織「改めて、私は武部沙織!」

華「五十鈴華と申します。エリカさんも、私達のことは名前で呼んでください」

エリカ「……沙織、華、よろしくね。……これでいい?」

沙織「うんうん!!よろしくね♪」

華「よろしくお願いします」






沙織「今日帰りにお茶してかない?」

エリカ「遠慮しておくわ」

沙織「えー?そっけなーい……」

華「沙織さん。エリカさんにも予定があるのですから」

沙織「でもさーせっかく仲良くなったんだから一緒に甘いものでも食べながらおしゃべりしたいよー」

エリカ「……別に予定があるわけじゃないわ。ただ、その……あなた達が喜ぶような話の持ち合わせは無いわよ?」

沙織「いいよいいよ!だったら私達がいっぱい話すから!!エリカまだ転校してきたばっかでしょ?ここの事一杯教えてあげるから!」

エリカ「……わかったわ」

沙織「決まり!それじゃあ放課後ね!」

エリカ「あなた、意外と強引ね?」

沙織「男をオトすなら守るより攻めろっ!だからね♪」

華「オトせた人数は0ですが」

エリカ「説得力無い話ねぇ……」

ガラララッ

桃「失礼する」

杏「……」

柚子「……」










沙織「あれって……」

華「確か、生徒会の……」

桃「会長。彼女が」

杏「おーい。あー……逸見ちゃんだっけ?ちょっといいかな?」

桃「少々話がある」

エリカ「……何か用ですか?」

杏「必修選択科目なんだけどさぁ、戦車道とってね。よろしく」

エリカ「この学校に戦車道は無かったはずじゃ……」

桃「今年度から復活することになった」

エリカ「……何故私に?」

杏「わかってんでしょー?とにかくよろしく!」

エリカ「……話を聞かせてもらえます?履修するかどうかはそれからで」

杏「……おっけー、なら放課後生徒会室に来て?まぁ、絶対に戦車道履修してもらうけどさ」

エリカ「沙織、華。悪いけどお茶の予定はキャンセルで」

沙織「エリカ……」

華「エリカさん……」






エリカ「……で、なんでついて来てるわけ?」

沙織「だってエリカ生徒会室の場所知らないって言うから案内してあげたんじゃん」

エリカ「なら、もう着いたんだから大丈夫よ」

沙織「せっかくここまで来たんだから最後までついて行かせてよ。乗りかかった船ってやつ!」

華「学園艦にはすでに乗っていますけどね」

エリカ「……はぁ。邪魔はしないでよ」

沙織「わかってるってー」

華「承知しています」

エリカ「……」コンコン

杏『どうぞー』

エリカ「失礼します」

沙織「失礼します!」

華「失礼します」

杏「やーやーよく来てくれたね。ありゃ?その二人は?」

沙織「エリカの付き添いです!」

華「付き添いの付き添いです」

エリカ「だそうです」

杏「あっそ、まぁいいや。早速だけど逸見ちゃん、戦車道履修してよ」

沙織「戦車道って……」コソコソ

華「華道・茶道と並び立つと称される伝統的な武芸ですね。乙女の嗜みと言われています」コソッ

沙織「へぇー。で、なんで生徒会はエリカに戦車道を履修させたいの?」コソッ

桃「それは逸見が戦車道の経験者だからだ」

沙織「わっ聞こえてた……って、え?そうだったの?」

桃「逸見エリカ。かつて大会9連覇の偉業を達成した強豪、黒森峰女学院戦車道チーム。お前はそこの元レギュラーメンバーでその実力は副隊長に次ぐと内外に評価されていた。……合っているか?」

エリカ「まぁ、大体合ってますね」

桃「ふふん。我々生徒会の諜報力を甘く見るなよ?」

柚子「調べたのは会長でしょ?」

エリカ「でも一つだけ間違ってるわ――――逸見エリカの実力は副隊長を超えていた。そう訂正しておきなさい」

杏「ああ、そりゃすまないね」

沙織「エリカそんなすごい人だったのっ!?」

華「戦車道で、黒森峰……戦車道に明るくない私でも名前程度ですが聞いたことがあります」

エリカ「それで?」

桃「は?」

エリカ「それだけですか?」

桃「それだけって、何を言って……」

杏「とにかくさー逸見ちゃん経験者なんでしょ?ウチも昔は戦車道をやっていたとはいえ、もう20年以上も前の話でね。経験者がいてくれると色々と捗るんだよ」

柚子「そういうわけなの。やってくれない?」

エリカ「……なるほど。話はわかりました」

杏「おっ、話が早いねー。それじゃあよろしくっ!」

エリカ「その前に一つだけ聞かせてください」

杏「何ー?」

エリカ「あなた達、何か隠していますよね?」

杏「何のことかな?」

桃「そ、そうだぞっ!?我々に隠し事なんてあるわけないだろ!?」

柚子「桃ちゃんっ!」

沙織「エリカ、どうしてそう思うの?」

エリカ「生徒会の皆さん、あなた達の行動にはどこか必死さがある」

杏「そんなこと無いと思うけどなぁ」

エリカ「そもそも経験者を欲しいだけならわざわざ生徒会直々に勧誘しにこなくてもいいんじゃない?」

杏「だからー初心者しかいないより経験者がいたほうがいいじゃん?」

エリカ「そのためにわざわざ私の評判まで調べたっていうんですか?経歴だけなら転校する時に書類に書いたはずですけど」

杏「……あー、明日のオリエンテーションで話す予定だったんだけどさ、数年後に戦車道の世界大会が日本で行われることになってんのよ」

エリカ「聞いたことがありますね」

杏「それでさ、文科省から全国の高校に戦車道に力を入れるようにってお達しがあったわけ。うちが戦車道を復活させたのもそういう理由があるのよ」

エリカ「それでも、そんなの所詮文科省から言われただけですよね?生徒会とはいえただの生徒であるあなた達がそこまで必死になる理由が私にはわかりません」

杏「だからさー」

エリカ「そう……あなた達の言動、行動、隠しきれてない焦り……経験者がいると便利だから?……違う、それだけじゃ……」ブツブツ

沙織「エリカ何ブツブツ言ってるの?」

華「沙織さんちょっと静かに」

エリカ「……何か、あなた達にとって不都合な事態が起きている?」

杏「別にぃ?」

エリカ「いえ、あなた達が。生徒会が隠したいことということは大洗女子学園自体に何か……例えば……学園艦?そういえばそんな話聞いた気が……」ブツブツ

桃「おい逸見!ブツブツ言ってないでさっさと戦車道を履修すると決めろっ!」

エリカ「――――たぶん、これね」

沙織「だから何が?」

エリカ「……猶予はどのくらいなんですか?」

桃「っ!?」

柚子「!?」

杏「……逸見ちゃん、思ってたよりずっと頭がいいんだね」

エリカ「いいから答えてください」

杏「今年度中。……実質今大会が最後だね」

エリカ「……そんなに切羽詰ってたんですね」

杏「こっちもいきなりだったからねぇ。とはいえ、理由はわかってもらったんでしょ?やってよ、戦車道」

エリカ「いいえ」

杏「まだ何かあるの?逸見ちゃんも戦車道の無いうちに転校してきて燻ってたんでしょ?戦車道やりたいんでしょ?なら、こっちの提案を断る理由はないと思うけどなぁ」

エリカ「戦車道のない高校に転校してきたのよ?普通、嫌になって辞めたって思いませんか?」

杏「聞いたでしょ?逸見ちゃんのことを調べたって」

エリカ「……ええ。確かに、戦車道の無い大洗に転校してきたのははっきり言って不本意よ」

沙織「そうなのっ!?」

華「沙織さん」

エリカ「―――それでも、隠し事をするような人たちの頼みを安々と聞くほど、馬鹿でもお人好しでもないわ。――――会長、あなたの口から本当のことを言ってください」

杏「もうわかってるんでしょ。それでいいじゃん」

エリカ「私にじゃないわ。戦車道を履修する子全員によ」

杏「……それはできない」

エリカ「私の想像が合ってるならこの問題は生徒会だけで抱えて良いものじゃないわ。―――少なくともあなた達はそのために戦車道を利用しようとしている。説明責任があります」

杏「知らないほうが良いこともあると思うな―」

エリカ「確かに情報統制も時には必要です。だけど……あなた達だけの問題じゃないんですよ。知らないうちに爆弾を抱えさせられてるだなんて、あんまりだわ」

杏「気づかなければ何もないと一緒だよ」

エリカ「それを予期せぬ時に気づかれたら立て直すのは困難です。一度も負けられない上に、チームプレイが必要な戦車道においてそれは致命的よ」

杏「悪いけど、それについては譲るつもりはないんだ。それに――――隠し事ってのはお互い様じゃない?」ボソッ

エリカ「っ……」

桃「会長今なんと?」

杏「かーしま。悪いけどちょっと静かにしててくれ」

桃「はっはい!」

杏「いくら不本意で転校してきたとはいえ、またすぐに転校ってのは避けたいでしょ?」

エリカ「あなたは、どこまで知って……」

杏「ごめんね。本当はこんな脅すような真似したくなかったんだけどさ。逸見ちゃんの言う通りこっちにも事情があるの。

  だから、おとなしく戦車道履修してくれない?」

エリカ「…………わかりました」

沙織「エリカっ!?」

エリカ「納得してないし、あなた達への不信感はあるけれど、それ以上に私は戦車に乗りたいの。――――多少の不満には目をつぶるわ」

杏「ありがと♪」

エリカ「ただし、経験者として私を入れるのなら私が隊長よ。練習・試合その他もろもろ私の指示の下にやってもらいますから」

杏「ああ、もとよりそのつもりだよ。よろしくね、逸見ちゃん」

今日はこれで終わりです。
あんまり書き溜め無いんで今後はちょっとずつの投稿になると思います。







沙織「エリカ、ほんとに良かったの?生徒会の人たち何か隠してるんでしょ?」

エリカ「……確かにそれはまだ不安材料だわ。それでも、この学校で戦車道ができることは正直、願ってもないことよ。……私には戦車道しかないのだから」

沙織「それなら、そもそもなんで戦車道のない大洗に転校してきたの?」

エリカ「……色々あるのよ」

沙織「うーん、ミステリアスな女の子ってのもモテ要素なのかな?私も何か秘密もとうかなー」

華「現在の体重なんてどうでしょう?」

沙織「それは乙女の秘密だけどミステリアスとは違うー!!」

エリカ「そういえば、あなた達は必修選択科目何にするの?」

沙織「あっそうだ私達も考えないと……エリカの事で頭がいっぱいだった……」

華「まるで恋する乙女ですね」

沙織「やだもー!確かにエリカは綺麗だけど、私そういう趣味はないからー!ていうか、華はどうするつもり?

華「私は、戦車道を履修しようかと」

エリカ「え?」

沙織「華の家って華道の家元でしょ?てっきり華道選択するかと思ってたんだけど」

エリカ「華道の家元って……その佇まいはハリボテじゃ無かったってわけね」

華「ふふっ、褒めていただけて幸いです」

エリカ「華道と戦車道。確かにどちらも乙女の嗜みと言われているけれど、芸術と武道でその方向性は大きく違うわ」

華「ええ、だからこそです。私前々からアクティブな事に憧れていまして……いい機会ですから是非、と」

エリカ「そう。まぁ、授業の一環なのだから好きにすると良いわ」

華「……私が戦車道を選ぼうと決めたのはエリカさんがいるからですよ?」

エリカ「はぁ?なんでよ」

華「先程の生徒会の方への啖呵を切る姿。とても凛々しく、美しかったです」

沙織「あっ、それ私も思った!エリカ生徒会にあんな堂々と立ち向かうだなんて凄いね!」

エリカ「納得出来ないのが嫌なだけよ」

華「あなたのその在り方は、道となってあなたの歩みを助けてくれます。私も、その先が見たいのです」

エリカ「……そう。まぁ、好きにすれば?」

華「はい。そうさせてもらいます」

沙織「私はどうしようかな~」

華「沙織さんも一緒に戦車道をしませんか?」

沙織「え~?戦車道って鉄臭くて油まみれになりそうでなんかなー」

エリカ「間違ってはないわね」

華「それでもせっかくですから……」

沙織「うーん……」

エリカ「別に今すぐ決めなくても明日オリエンテーションがあるんだから、それからでもいいでしょ」

沙織「そうだね、でも戦車道なぁ……」

エリカ「ま、ゆっくり考えなさい」







ザワザワ……


エリカ「……オリエンテーションってこんないきなり呼び出されるものだったかしら」

華「うちの生徒会がすることですから」

桃「それではこれから必修選択科目のオリエンテーションを行う」








デーンデーンデーンデーン♪




エリカ「え、何このBGM?」














女と生まれたからには、誰でも一生の内一度は夢見る「モテモテの淑女」。

戦車道とは、「モテモテの淑女」を育成する武芸のことであるッ!









テッテッテッテッテーレテレレ♪


アイbelieveツキノヒカリ トケルカリソメノメロディー♪





エリカ「」

華「まぁ……神イントロですね」

沙織「わぁ……」








沙織「エリカ、私戦車道やるっ!!」

エリカ「あ、あの紹介でよくやる気になるわね……プロパガンダもいいところだったでしょ……」

沙織「だってモテモテの淑女だよっ!?女の子なら一度は憧れる!!」

エリカ「いや、うん……あなたの理想をどうこう言うつもりは無いけど……」

華「いいじゃないですか。せっかくやる気になってくれたのですから」

エリカ「……はぁ、まぁいいわ。ただし二人共」

沙織「ん?」

華「はい」

エリカ「戦車道はね、確かに安全に配慮して行われているわ。だけど、それでも事故ってのは起きるの。怪我はもちろん時には死者が出たことだってあるのよ」

沙織「……お、脅かさないでよ……」

エリカ「脅しじゃないわ。あなた達がどんな理由で戦車道をやろうと構わない。ただ、戦車道をやるということはそういうアクシデントに見舞われることがあるってことを忘れないで」

沙織「……」ゴクリ

華「……」

エリカ「……ごめんなさい。怖がらせるつもりは無かったの。ただ、そういう事がかつてあったってことよ。

    戦車はもちろん砲弾も安全性に配慮したものだから、ちゃんと私の指示に従っていればそんな事には絶対にさせないわ」

沙織「や、やだもー……エリカ急に怖い顔になるからさぁー」

エリカ「だいたい、どんなスポーツでも怪我や事故は起きるけど、重大なモノって大抵ふざけたり、危険を認識できないやつが起こすものなのよ」

沙織「う、うん」

エリカ「だから、ふざけて好き勝手やったりは止めなさいよ?ってこと」

沙織「はいっ!気をつけます!」

華「肝に銘じておきます」

エリカ「なら良いわ」






ザワザワ・・・・


沙織「ここにいるのが戦車道の履修者?」

華「全員で18人ですか」

エリカ「少ないわね……やっぱりあのオリエンテーションで戦車道やりたいってなる奴は学園の少数派……変わり者ばかりなんでしょうね」

沙織「エリカが言うと説得力あるね」

エリカ「ケンカなら買うわよ?」

華「さすが沙織さん。景気づけに一戦交えようってことですね?」

沙織「違うからっ!?」

優花里「……」ジーッ

エリカ「……ん?」

優花里「!?」サッ

沙織「どうしたの?」

エリカ「いや、なんか視線を感じて……」

桃「静かに。これより、戦車道の授業を開始する」

優花里「あの……戦車は、ティーガー?それとも……」

杏「さぁー、なんだっけな?」

エリカ「とりあえず見せてください」





エリカ「これは……」



ウヘー

ナニコレー

ボロボロー

アリエナーイ




華「侘び寂びでよろしいんじゃ……」

沙織「これはただの鉄さび」

エリカ「……Ⅳ号戦車ね」ソッ

エリカ「……ティーガーと比べると装甲も主砲も貧弱。……でも、あるだけましか」

沙織「エリカ?」

エリカ「この子はまだ生きてる。ボロボロなのは見た目だけよ」

沙織「ほんとっ!?」

華「それでしたら……」

エリカ「それで?他の戦車は?」

杏「無いよ?」

エリカ「は?」

杏「何せ20年以上前だからねー当時使ってた戦車は大体売っちゃったんだよ」

エリカ「そ、それでどうするんですかっ!?この人数なら5両は必要なのに!?」

杏「探すっきゃないねー」

エリカ「あ、あなたねぇっ!そんな適当な状態で戦車道やるだなんて言ったんですか!?」

杏「まあまあ、落ち着いてってば。売っちゃったとは言え全部じゃないからさ、探せばどっかにあると思うんだよ」

沙織「何か手がかりないの!?」

杏「無いっ」

桃「加えて、明後日戦車道の教官がお見えになる。それまでに残り4両を見つけ出すこと」

沙織「嘘ぉ!?」

エリカ「……」

桃「……ん?逸見どうした?」

エリカ「……減に」

沙織「エリカ?」

華「エリカさん?」












エリカ「いい加減にしてくださいっ!!!!!!!!!」













桃「ひっ!?」

杏「うおっ」

柚子「わっ!?」

エリカ「さっきから聞いてれば戦車がない?ヒント無いけど二日後までに探せ?ふざけないでくださいっ!!」

桃「い、逸見?」

エリカ「そんな状態でよく戦車道をやろうって言えましたねっ!?大体Ⅳ号はもう事前に見つかってたのになんで修理してないんですかっ!?
 
    それなのに明後日ってっ!?戦車道を遊びでやろうともモテるためにやろうとも!どんな理由でも構いませんっ!でも、でもっ!

    やるからには本気でやってくださいっ!!ほんとに、ほんとに……っ!もおおおおおおおおおーっ!!!!!!!!!!」

杏「ご、ごめんね逸見ちゃん?こっちも急なことだったからさ……そんな怒んないでって」

柚子「そ、そうなの。逸見さんには悪いって思ってるけど、なんとかお願いできない?」

エリカ「っ~~~~!!わかりましたっ!!――――あなた達っ!!」

全員『は、はいっ!?』

エリカ「ここにいる生徒会連中がろくに準備もしてこなかったせいで現状戦車は1両しかないわ。あなた達がどんな理由で戦車道を選んだのか知らないけど、

    このままじゃ大会出場どころか開講すら危ぶまれる状況よ。だから……残りの戦車死ぬ気で探しなさいっ!!」

全員『は、はい!!』

エリカ「わかったらさっさと行きなさいっ!!」


ダダダダダッ!!

梓「……」チラッ タッタッタ

エリカ「……あなた達」

桃「な、なんだ?」

エリカ「あなた達生徒会チームは最低でも1両は見つけなさい。見つけられなければ――――そこのⅣ号の的にでもなってもらうわ」

桃「わ、わかったっ!わかったからっ!?」

杏「頑張るよー」

エリカ「っ!沙織!華!私達も行くわよっ!!」タッタッタッ

沙織「え、エリカ待ってってばー!」

華「エリカさん!」

桃「…………こ、怖かったよ柚子ちゃ~んっ!!」

柚子「わ、私も……」

杏「いやー……逸見ちゃん案外激情家だったんだねぇ」

柚子「……会長。戦車探しに行きましょう?」

杏「……だね。逸見ちゃん本気で私達を的にしそうだし」

今日はここまでです。

続きは来年ですね。良いお年を。





エリカ「まったく、あいつら何考えてるんだかっ!!」プンプン!

沙織「エリカ落ち着いてってば。怒ってばっかじゃ戦車探しても見落としちゃうよ?」

華「激情も時には原動力となりますが、今は心を静めて捜索に集中しましょう」

エリカ「……ふぅー。……ええ、もう大丈夫よ」

沙織「よしっ!それにしてもエリカがあんなに怒鳴るだなんて……」

エリカ「キャラじゃなかったかしら」

沙織「いや、キャラ通りっていうか、声かける前はすぐ怒りそうな子だなーって思ってた」

エリカ「なんでそんなのに声かけようと思ったのよ……」

華「ですが……ふふっ、ちょっとだけ良いものを見られたと思います」

エリカ「何がよ?」

華「エリカさんは誰に対しても一線を引いているような気がして……ですがあのように苛立ち、それを表に出せる方なのですね」

エリカ「……別に線引いてるつもりはないわ。ただ、どう近づけば良いのかよくわからないだけよ」

沙織「エリカ……」

華「なら、エリカさんはそのままでいいですよ」

エリカ「は?」

華「私達が近づいていきますから」

沙織「そう、そうだねっ!えりりん一緒に頑張ろう!!」

エリカ「え、えりりん?」

沙織「エリカだから、えりりん。とりあえず今までよりちょっと近づいたでしょ?」

エリカ「私的には3メートル位近づかれた感じなんだけど……」

沙織「慣れて慣れて!」

エリカ「……努力するわ」

沙織「うんっ……でもさ『もおおおおおおおおおーっ!!!!!!!!!!』って。えりりんあんな可愛い怒り方するんだね」

エリカ「っ!?」

華「確かに。普段見せない姿ですから一層、可愛らしく見えました」

エリカ「う、うるさいわねっ!良いから早く戦車探しに行くわよ!!」

沙織「はーい」

華「はい」






優花里「……」ジーッ






エリカ「……それで、あなたはいつまでそこで隠れてるつもりなの?」

優花里「ひゃっ!?あ、あの、わ、私……えっと……」

沙織「あっ!えりりんが女の子いじめてる!!」

華「本当ですか?」

エリカ「ちょっ、人聞き悪いこと言わないでよ!?」

優花里「あのっ!私、普通二科2年C組の秋山優花里といいます。よろしければ戦車の捜索にご一緒させていただけないでしょうか!?」

沙織「ほんとっ!?一緒に探してくれるなら助かるよー。私、武部沙織!」

華「五十鈴華です」

エリカ「私は―――」

優花里「逸見、エリカ殿ですよね……?」

エリカ「え?よく知ってるわね」

優花里「いや、その……戦車道の履修者の名前は全員覚えてるんです」

沙織「えりりんみたいな人他にもいるんだね……」

華「そうですね」

エリカ「聞こえてるわよ。優花里……って呼んでいいかしら?」

優花里「はいっ!」

エリカ「そう、なら私のことはエリカでいいわ」

優花里「本当ですかっ!?」

エリカ「良いも何も、そこの二人にはそう呼ばれてるしね。……内一人には変な呼ばれ方してるけど」

沙織「もー変ってひどいー!」

華「それでしたら私達も優花里さんと呼ばせて頂きます」

優花里「はいっ!」

エリカ「挨拶も済んだし、戦車探しに行きましょうか。裏の山林あたりに行ってみましょう」

優花里「了解であります!」

沙織「えー!?山ー!?駐車場あたりとか探さない?」

華「駐車場に戦車は止まってないかと」

沙織「だって一応は車じゃない……」

エリカ「時間無いんだからさっさと行くわよ」

沙織「はーい……」 






エリカ「……38t、八九式、Ⅲ突、M3。ダメ元だったけどなんとか集まったみたいね」

杏「逸見ちゃーん?」

エリカ「……何かしら?」

杏「もう1両忘れてない?」

エリカ「……はぁ、それに三式中戦車も」

優花里「よく見つけましたね!どこにあったんですか?」

杏「ん?職員駐車場に停めてあったのを見つけた」

沙織「ええ―っ!?えりりんやっぱり駐車場にあったじゃん!!」

エリカ「まさか本当にあるとは……」

杏「灯台下暗しってやつだね」

エリカ「……ちっ」

桃「逸見貴様っ!今舌打ちしただろ!?」

エリカ「とにかく、これで履修者分の戦車は見つかったわね」

桃「無視するなーっ!!」

沙織「でも一台余っちゃうよ?」

エリカ「とりあえず一番修理に時間がかかるものを後回しにして、明後日はそれ以外の5両を使いましょう。振り分けは……」

梓「あ、あの……!」

エリカ「あなたは?」

梓「私、一年の澤梓です!い、逸見先輩、ですよね?」

エリカ「ええ、そうよ」

梓「あの、戦車なんですけど……私達、自分で見つけたのに乗りたいです!」

エリカ「あなた達が見つけたのって確かこのM3だったかしら?」

梓「は、はい!」

エリカ「どのみち八九式を外して三式を使うつもりだったからこれに乗りたいっていうなら構わないわ。

    ……でも、言っちゃ悪いけど、このM3は『7人兄弟用の棺桶』なんて悪名がある戦車でね。

    見つけてくれたのは嬉しいけど、そんなに良いものじゃないわよ?」

梓「それでもっ!自分たちが見つけたものに乗りたいって皆と話し合ったんですっ!」

エリカ「……そう。なら良いわ、これに乗りなさい」

梓「あ、ありがとうございますっ!!」

エリカ「あなた達が見つけたんでしょ?なら、そっちのほうが愛着持つかもね。……一緒に頑張りましょう」

梓「は、はいっ!!」

沙織「えりりん優しいじゃん!『もっと合理的に考えなさいっ!』とか言うと思ってた!」

エリカ「そりゃあそうも思うけど、経験者として戦車に愛着持ってもらえるのは嬉しいしね」

優花里「ですねっ」

華「ですが、修理と時間を考えると……」

???「あーごめん。ちょっとどいてもらえる?」

沙織「あっ、すみません」

???「いいっていいって。あーこれかぁ」

エリカ「えっとあなた達は?」

ナカジマ「ん?ああ、私たちはここの自動車部だよ」

杏「おーはやいねー」

ナカジマ「6台も見つかったって言うからとりあえず修理箇所の確認だけでもしておこうかなってね」

杏「あんがとー。それじゃあよろしくっ!」

ナカジマ「オッケー。皆!」

自動車部『はーい!』

沙織「わ~凄い……テキパキと動いてる」

華「さすが本職と言ったところですかね?」


エリカ「あの自動車部、あなたが呼んだの?」

杏「そうだよ。戦車の修理、整備全般引き受けてくれるって」

エリカ「……あなた、もしかして意外と人望あるの?」

杏「一応生徒会長だからねぇ。それなりには」

エリカ「……あなた達のやり方、言動行動はっきり言って気に食わないわ」

杏「はっきり言ってくれるね」

エリカ「それでも、やろうとしていることは理解しているつもり」

杏「……私は」

桃「おい逸見っ!会長と一体何を話している!!」

エリカ「うるさいわね。なんでもないわよ」

桃「お、お前!敬語はどうした敬語はっ!?先輩だぞっ!!」

エリカ「うるさいって言ってるの。あなた達敬語使ってもらえるような事した?的にされなかっただけありがたいと思いなさい」

柚子「桃ちゃんここは、ね?」

桃「桃ちゃん言うなっ!逸見!お前には上下関係をしっかりとだなっ!」

エリカ「えー?桃ちゃん何か言ったー?」

桃「桃ちゃん言うなー!!?」








ギャーギャー



杏「……逸見ちゃん、ごめんね」



















杏「私は、逸見ちゃんを理解できないよ」











あけましておめでとうございます。

今日はここまでです。





ナカジマ「とりあえず全部の戦車を見させてもらったけど」

エリカ「……」

ナカジマ「修理。なんとか間に合うと思うよ」

エリカ「本当ですかっ!?」

ナカジマ「うんうん。見た目ほどボロボロじゃないし、カーボンさまさまってところかな? 

     生徒会長たちが見つけた戦車も一度エンジンばらしていじくる必要はあるけど状態は良いからなんとかなるね」

エリカ「良かった……」

ナカジマ「とはいえ流石に6台も修理するとなると終わるのは明後日の朝になると思うよ」

エリカ「充分です。……よろしくお願いします」ペコリ

ナカジマ「おっけー。まかせてよ」

杏「戦車が間に合うなら振り分けは一年生チームと同じで見つけたのに乗ればいっか」

エリカ「……そうね。どうやら他の子達も自分で見つけたのに愛着持ってるらしいし」

杏「それなら私らは三式に――――」

エリカ「いいえ、あなた達は私達の見つけた38tに乗ってもらうわ」

桃「何故だ?」

エリカ「私はまだあなた達を信頼していない。――――だから、いつでも私が見張ってるって思ってもらわないと」ギロッ

桃「ひっ!?」

杏「おー情熱的だねぇ」

柚子「会長、余裕ですね……」

エリカ「それじゃあ私たちはⅣ号に乗らせてもらうわ」

桃「おい、それじゃあ一番損傷のない三式が余るではないか」

エリカ「どうせ明後日には全部直るんでしょ?なら、好きなの選ばせてもらうわ。私、ドイツ戦車好きなのよ」

桃「適当な……それじゃあ三式の乗員も探さないと……」

エリカ「それは私も探しておくわ。とはいえ、私にここの人脈なんて無いに等しいからあなた達に任せっきりになると思うけど」

杏「まぁ、そこは任せてよ」

エリカ「……頼んだわ」






~せんしゃ倶楽部~

エリカ「帰りに寄り道したいっていうからどこかと思えば……こんな店があったのね」

優花里「はいっ!私のいきつけです!」

華「すごいですね……」

沙織「でも戦車ってみんな同じに見えるー」

優花里「ち、違います!全然違うんです!どの子も皆個性というか特徴があって、動かす人によっても変わりますし!」

華「華道と同じですね」

沙織「うんうん。みんなちがって、みんないい。ってやつだね」

エリカ「ざっくりまとめるわね……ん?」





アナウンサー『次は戦車道の話題です。高校生大会で昨年MVPに選ばれて国際強化選手となった、黒森峰女学院、西住まほ選手にインタビューしてみました』





エリカ「……」

沙織「えりりん?」

『戦車道の勝利の秘訣とはなんですか?』

まほ『諦めないこと。そして、どんな状況でも逃げ出さないことですね』






エリカ「っ……」

沙織「……そうだっ、この後えりりんの部屋遊びに行って良い?」

エリカ「え?」

華「私もお邪魔したいです」

エリカ「……面白いものなんて無いわよ?」

沙織「いいのいいの♪」

エリカ「そう、なら良いわよ。優花里はどうするの?」

優花里「え!?あ、あの……私もご一緒させていただいてもいい、ですか?」

エリカ「1人増えたって変わらないわよ。遠慮しなくていいわ」

優花里「はいっ!ありがとうございます」

沙織「むぅー……えりりん、なんかゆかりんにだけ優しくない?」

優花里「ゆ、ゆかりん……」

エリカ「無遠慮な子にはそれなりの態度をとってるだけよ」

沙織「えりりんひどいっ!?」






エリカ「綺麗にしてるんだから、散らかさないでよ」

沙織「うわー……彩りゼロ。ホントにえりりんここに住んでるの?」

エリカ「失礼ね……最低限の物は揃ってるでしょ?」

華「ある意味エリカさんのイメージ通りな部屋ですね」

エリカ「それ褒めてるの?」

優花里「機能性を追求してて素晴らしいと思いますっ!」

エリカ「そう?ありがと」

沙織「やっぱりゆかりんには優しくない?」

エリカ「そんなことないわよ。ほら、ご飯さっさと作っちゃいましょ」

『はーい』






沙織「それじゃあ」

『いただきます』

エリカ「……おいしい」

沙織「おっ?えりりんの口に合ったみたいでよかったー。やっぱ男を落とすにはまず胃袋からだね!」

エリカ「……あなた、口だけじゃなかったのね」

沙織「でしょー?」

華「残念ながら成功に結びついてはいませんが」

沙織「うるさいなぁ!」

優花里「でも、この肉じゃが美味しいです!そう、おふくろの味ってやつですねっ!!」

沙織「彼氏じゃなくて子供ができちゃったっ!?」

エリカ「言ってることはわかるわね」

華「はい」

沙織「もー!」ゴロン

エリカ「ちょっと、食事中に寝転がるんじゃないの」

沙織「……あれ?」

華「どうかしました?」

沙織「ベッドの下に何か……ぬいぐるみ?」

華「まぁ……随分と怪我をされてるようで……」

優花里「全身包帯に眼帯……ちょこんと乗ってる略帽がアンバランスです……」

沙織「えりりんの心の闇が垣間見えるね……」

エリカ「失礼なこと言わないで。それに、それは私のものじゃないわよ」

沙織「そうなの?」

エリカ「前の学校の子から預かってたんだけど、引っ越しの時に忘れてこっちに持ってきちゃったのよ」

沙織「え?それじゃあ返さないと」

エリカ「……そうね」

沙織「それにしてもこの子ボロボロで可哀想だね」

エリカ「『それがボコだから』だそうよ。気に入ってるんだからそう言わないであげて」

沙織「あっ、でもこの子の着けてる帽子は可愛いね。……あれ?このマークって……」

優花里「黒森峰女学院のマークですね。こんなぬいぐるみも作ってたんですか」

エリカ「いえ、その略帽は手作りよ」

沙織「へぇー!この子の持ち主女子力高いんだねっ!!」

エリカ「……ほら、ご飯食べてるんだからいつまでもぬいぐるみいじってないの」

沙織「はーい」

華「なんだか、お母さんみたいですね」

エリカ「それ、褒めてるの?」

華「ええ」

沙織「えりりんも私と同じお母さん扱いだね!」

エリカ「沙織と、同格……」ズーン……

沙織「なんで落ち込むのっ!?」






沙織「それじゃあえりりん、また明日」

エリカ「ええ、また明日」






バタン

エリカ「……」










『ボコはどんな相手にでも立ち向かうけど弱いからボコボコにされちゃうのっ!』

『……それのどこがいいの?かっこ悪いだけじゃない』

『いいのっ!それがボコだから!』

『……なら、ファンのあなたもその子を見習って、もうちょっと強気になりなさい』

『う……そ、それはいいかな……』

『なんでよ?』

『だって……私には、エリカさんがいるから』

『……しょうがない子ね』












エリカ「……ほんとうにしょうがない子」














エリカ「消えてくれて清々したわ」









今日はここまでです。





チュンチュン

エリカ「……ん?」

麻子「……」フラッ フラッ

エリカ「ちょっと、あなた大丈夫?」

麻子「辛い……生きているのが辛い……だが、行かねば……」フラッ

エリカ「……」ガシッ

麻子「……?」

エリカ「ほら、肩貸してあげるからちゃんと歩きなさい」

麻子「……」

エリカ「それと、私の前で生きているのが辛いだなんて二度と言わないで」






そど子「冷泉さん、これで連続245日の遅刻よ」

エリカ「どんだけ遅刻してるのよ……」

麻子「朝は何故来るのだろう……」

そど子「朝は必ずくるものなの。成績が良いからってこんなに遅刻して。留年しても知らないよ」

麻子「うぁ……」

エリカ「ほら、しっかりしなさい」

そど子「えっと……逸見さん?もし途中で冷泉さんを見かけても、今度から先に登校するように」

エリカ「それは、私が決めることよ」

そど子「……はぁ、ほら行っていいわ」









麻子「……悪かった」

エリカ「勝手にやったことよ。……でも、感謝してるなら『悪かった』じゃなくて『ありがとう』って言ってほしいわ。……誰かを思い出してイラつくから」

麻子「……ありがとう」

エリカ「どういたしまして」

麻子「いつか借りは返す」

エリカ「別に良いわよ」

麻子「……それでもだ」

エリカ「そう。なら好きにしなさい」






桃「本日我々を指導してくださる戦車教導隊所属の蝶野亜美1尉だ」

蝶野「あなた達の指導を任された蝶野亜美よ!よろしくねっ!」

エリカ「直前に学園長の車スクラップにしといてなんでこんな爽やかな挨拶ができるのよ……」

華「随分とおおらかな方ですね」

蝶野「戦車道は初めての人が多いと聞いていますが、一緒に頑張りましょ!」

沙織「あ、あのっ!戦車道ってモテるって本当ですかっ!?」

蝶野「え?うーん、モテるというより狙った獲物は外さないわ。撃破率120%よ!」バキューン☆

沙織「わぁ……」

エリカ「120%ってなんなのよ……」

華「一度落とした人をまた落としてるんじゃ?」

エリカ「数字の水増しが疑われるわね……」

蝶野「それじゃあ早速、本格戦闘の練習試合をやってみましょう」

エリカ「えっ?あの、初心者が多いのにいきなりですか?」

蝶野「大丈夫よ!何事も実践実戦♪戦車なんてバーっ動かしてダーッと操作してバーンと撃てばいいんだから♪」

エリカ「……本当に教導隊の方なの?」

優花里「腕は確かなはずですよ。体で覚えるのはある種体育会系の基本ですし」

エリカ「……はぁ。やるしかないわね」






エリカ「ホントに二日で6両修理できたのね……とんでもない集団だわ」

優花里「エリカ殿、役割分担はどうしますか?」

エリカ「そうね……このⅣ号なら車長、砲手、操縦手、通信手、装填手が必要ね。車長は私がやるとして……なにかやりたいのある?」

優花里「わ、私は戦車に乗れればなんでも……」

沙織「私もなんでも良いよ?」

華「私は……どうしましょう?」

エリカ「意志薄弱。今時の子ね」

沙織「えりりんはどこ目線なのさ……もう良いからくじ引きで決めよ?」









エリカ「……で」

沙織「私装填手ー!」

優花里「私が砲手ですっ」

華「私が操縦手ですか」

エリカ「……まぁ、なんとかなりそうね。あと、通信手がいないから沙織兼任ね」

沙織「えー!?私やること多くない!?」

エリカ「しっかりやれとは言わないから。人数が揃うまでの数合わせよ。……それにしても」

典子「バレー部復活のためっ!一致団結して頑張るぞ!!ファイトーッ!!」

  『オーッ!!』





左衛門佐「初陣で初首を取って名を上げるぞー!!」

エルヴィン「戦功名欲しさに散る新兵は多いぞ……」

おりょう「やるからには勝つぜよ」

カエサル「とりあえず早く乗れ」





紗希「……」ボー……

桂利奈「戦車かぁ!怪獣倒せるかなっ!」

梓「二人共早く乗ってってばっ!!」












エリカ「……その、個性的な子が多いわね」

沙織「えりりんが言葉をえらんだっ!?」

今日はここまでで。次、練習試合入ります。






蝶野『みんな、スタート地点に着いたようね。それじゃあ、試合開始!!』






沙織「えりりんどうするの!?」

エリカ「まずこちら側にいる2両を倒すわ。先に片方を潰して森を目眩ましにもう片方を撃破。

    その後橋を渡って川向うのチームを撃破で行くわよ!まずはBチームを――――」



ダァン!



エリカ「なっ!?」

沙織「なになに!?」

優花里「砲撃ですっ!!」







典子「まずはⅣ号Aチームを叩くっ!!」








エリカ「っ……八九式ねっ。仕方がない先にあっちを――――いや、この様子だと……華っ!前進してっ!!」

華「わかりました!」

優花里「エリカ殿いったい……」

エリカ「初心者だと思って油断したわ!BとCは私達を挟み撃ちにするつもりよっ!!」

沙織「ええーっ!?」

エリカ「とにかく前進して!動いてる的に当てるのはまだ難しいはずよ!!」

華「はいっ!」

優花里「ですが、エリカ殿の言うとおりなら……」

エリカ「ええ、すぐにⅢ突が来るはずよ。華、正面から来たⅢ突に回り込むように側面に入れる!?」

華「すみませんっ!この速度だとまっすぐ走るだけで精一杯で……」

エリカ「なら次の分岐路を右に行ってっ!」

華「はいっ!!」

  







エルヴィン「っ!?逃げられた!追うぞ!!」








エリカ「よし、このまま森を抜けて、橋の前まで行って脇に隠れて停止、追ってきた奴らを……っ!?停まって!!」

華「んっーーー!!!」

ズザザザザッ!

優花里「どうしました!?」

エリカ「ちょっと待ってて!!」ダッ

沙織「えりりん危ないよ!?」

麻子「……」グー

エリカ「あなたこんなところで何してるの!?」

麻子「……んあ?」

エリカ「っ!生徒会の奴ら戦闘区域の周知すらろくにできないの!?」

沙織「えりりん早く!!後ろきちゃう!!」

エリカ「仕方ない、こっち来て!!」

麻子「んー……」

沙織「えりりん何やって……って麻子!?何やってるの!?」

麻子「沙織か……私は、シエスタを……」

沙織「授業中でしょっ!!」

エリカ「華、出して!!」

華「はいっ!!」

エルヴィン「見えたぞっ!撃てー!!」


典子「どんどんスパイク打っていくよー!!」








沙織「えりりん追いつかれちゃったよ!?」

エリカ「この距離じゃ待ち伏せはできない……なら、橋を渡る?いえ、華が運転に慣れてない現状では危険だわ……」

優花里「エリカ殿!」

エリカ「華っ!超信地旋廻よっ!こうなったら真っ向―――」


ズドォン!!


エリカ「くっ!?」

沙織「きゃああ!?」

優花里「うわああっ!?」

左衛門佐「討ち取ったりー!!」

エルヴィン「いや、まだだ!!」





エリカ「なんとか持ちこたえたみたいね……華?華っ!?」

華「……」

沙織「えりりん!華気絶してるっ!!」

エリカ「っ怪我はない!?」

沙織「大丈夫みたい!!多分音と衝撃で……」

エリカ「それなら良いわ!仕方ない、私が……」

麻子「なら私が変わろう」

エリカ「あなた何言って……」

麻子「今朝の借りを返させてもらう。マニュアルは読んだ」

エリカ「そんなの……」


ダァン!


エリカ「っ……!」

麻子「時間が無いのだろう?」

エリカ「……できるの?」

麻子「任せておけ」

ギュイイイン!!


エルヴィン「なっ!?こっちに向き直ったぞ!!」

典子「撃たれる前にこちらのスパイクを決めるぞ!!」






麻子「どうすればいい?」

エリカ「右のⅢ突の横に回り込んで盾にしつつ撃破、

    そうなったらこっちが見えないから八九式は下がって狙おうとするはず!そこを先に撃つわよ!」

麻子「わかった」





エルヴィン「こっちに来たぞ!撃て撃てっ!!」

左衛門佐「っダメだ!この戦車じゃ横の動きに対応しきれない!!」

エルヴィン「なら下がって!!」

おりょう「もうやってるぜよ!!」

エリカ「遅いわ!!」


ダンッ!

シュポッ


優花里「やりました!!まずは1両撃破です!!」

エリカ「ならこのまま相手が下がってくるのを待って!沙織、装填急いで!」

麻子「わかった」

沙織「了解!!」

エリカ「優花里!外さないでね!!」

優花里「はいっ!!」

華「……ん」

沙織「あ、華起きた?」

華「あ、私……すみません」

エリカ「華起きたの?なら、無理せずそのまま休んでなさいっ!」




典子「うーん、Ⅲ突が邪魔で狙えない……仕方ない下がって!!」

忍「はいっ!!」

エリカ「来るわよ!!……今っ!!」

優花里「っ!!」



ダンッ!!  

シュポッ


優花里「やりましたぁ!!2両撃破です!!」

エリカ「よくやったわ!!」

華「今のジンジンする衝撃……なんだか、気持ちいい……」

沙織「華?」

桃「よしっ!森を抜けたぞってああっ!!?もう2両やられてるー!!?」

杏「逸見ちゃんやるねー」


梓「あの戦車って……逸見先輩の!」






優花里「橋の向こう、38tとM3です!!あちらも協力してこっちを狙ってるみたいです!!」

エリカ「ちっ!とんだ人気者ねっ!!」

麻子「どうする?」

エリカ「……冷泉さん。あの橋渡れそう?」

麻子「任せておけ」

エリカ「……わかったわ。なら、橋を渡って!!」

沙織「危ないんじゃっ!?」

エリカ「冷泉さんの運転技術を信じるわっ!みんな、衝撃に気をつけて!!」

沙織「それ落ちるかもってこと!?」

エリカ「特殊なカーボンを信じなさいっ!!」

沙織「いやー!?」

麻子「……うるさい」

エリカ「優花里、橋に入る直前で先頭の38tに向けて撃って!」

優花里「ええっ!?動きながら当てるのは難しいです!!」

エリカ「当てなくてもいい!とにかくひるませるのよ!!」

優花里「わ、わかりました!」

麻子「行くぞ」







桃「っ!!Ⅳ号橋を渡ってくる!?撃て撃てー!!」

柚子「いや、撃つの桃ちゃんでしょ?」





梓「……撃って!!」

あゆみ「わかった!」

あや「おっけー!」

ダンダンダンッ!!


沙織「向こうも撃ってきたー!?」

エリカ「優花里っ!!」

優花里「はいっ!!」


ダンッ!


桃「うわあっ!?撃ってきたぞ!?」

柚子「そりゃそうだよー」

桃「さ、下がって!!」

柚子「はいはい」

エリカ「よし、38tが怯んだ!今のうちに渡って!」

麻子「了解」


ガタガタガタ


沙織「麻子凄い!?なんでこんなに早く進めるの!?」

麻子「なんでって……やればできるだろ」

エリカ「……掘り出し物ってところかしら?」


ガタガタガタ


杏「かーしま。逸見ちゃんたちこっち来るぞ」

桃「くっ!当たれええええ!!」


ダンッ スカッ


柚子「この距離で外すのー……?」

エリカ「どうやら38tの砲手は精度が悪いようねっ!沙織、眼鏡と頭の交換をしなさいって相手砲手に伝えなさいっ!!」

沙織「えりりん生徒会には当たり強いね……」

華「恨みつらみを吸い取って彼岸花のように咲き誇っていますね」

エリカ「優花里!冷泉さん!3秒後に一旦停止して砲撃。その後即前進で!」

麻子「ん」

エリカ「2、1……撃てっ!!」


キッ ダァン!!


シュポッ


柚子「やられちゃったね桃ちゃん」

桃「桃ちゃん言うなっ!」

杏「……さすが逸見ちゃん」







沙織「やったっ!!」

エリカ「このまま橋を渡ったら次はM3よ!これだけプレッシャーかけたのだから下がるはずっ!そこを狙うわっ!」

優花里「はいっ!!」






あや「こっちくる!?逃げよ逃げよっ!?」

梓「……駄目っ!!」

あや「ええっ!?」

梓「真正面から迎え撃ちたい!!桂利奈、前進っ!!」

桂利奈「う、うん!!」

優花里「ッ!M3前進してきます!!」

エリカ「……へぇ?」ニヤッ

優花里「どうします!?」

エリカ「そのケンカ買ったわっ!!こちらも前進して、真っ正面貫いてやりなさい!!」

優花里「っはい!!」


ダァン!ダァン!!


あや「うぇええ撃っても撃っても止まらないよー!?」

あゆみ「っ!?」

梓「くっ!!」

ダァンダァン!!



エリカ「…………撃てっ!!」

優花里「っ!」



ダァン!


シュポッ








蝶野『DチームM3、Eチーム38t、CチームⅢ号突撃砲、Bチーム八九式。いずれも行動不能。よって、AチームⅣ号の勝利!!』







今日はここまでで。

エリカ「……はぁ」

沙織「やったねえりりん!私達勝ったよ!!」

エリカ「ええ、なんとかなったわ」

華「お見事でした」

優花里「さすがですっ!」

エリカ「……あなた達もね。特に冷泉さん、ありがとう。おかげで助かったわ」

麻子「借りを返しただけだ」

エリカ「……そう。っと、ちょっと私出るわね」

沙織「え?えりりんどこ行くの?」

エリカ「すぐ戻るわよ!」

あや「やっぱり負けちゃったじゃーん!」

あゆみ「とはいえ、逃げても勝てたかどうか……」

桂利奈「でも、楽しかったね!」

紗希「……」ボー

梓「やっぱり、逸見先輩は凄い……」

エリカ「Dチームの車長は誰?」

あや「逸見先輩っ!?」

梓「しゃ、車長は私です!」

エリカ「あら、澤さんだったのね」

梓「覚えててくれたんですか!?」

エリカ「え、ええ。名乗ってくれたし。それにしても、最後なんで前進してきたの?あの状況なら下がると思ったんだけど」

梓「あっ、そ、それは……」

エリカ「どうして?」

梓「そ、その……わ、私、逸見先輩と戦いたかったんですっ!」

エリカ「わ、私と?」

梓「は、はい。私……ていうか私戦車道を取ったのは単位とか色々特典があったからで……」

エリカ「そうなの?まぁ、モテるから取った。なんて子もいるしね」

梓「だ、だけど、エリカさんが生徒会の方たちに怒ってるのを見て、ああこの人は本気なんだって。中途半端は失礼だって思って……」

エリカ「……恥ずかしいところを見せたわね」

梓「そんなことありませんっ!!それで、私達がM3を使いたいって言った時、愛着を持ってくれるならいいって」

エリカ「そうね、何事もまず愛着を持つところから。自分たちが見つけたっていうのがきっかけになるなら、それに越したことはないわ」

梓「だから、私この戦車で逸見先輩と戦いたかったんです!!」

エリカ「……」

梓「結局負けちゃいましたけど……」

エリカ「……あなた達は怖くなかったの?」

あや「そりゃあ怖かったですし、逃げようって言いましたよ」

桂利奈「でも、梓ちゃんが前にって言うならって……」

優希「まぁ、付き合ってあげよっかなーって」

あゆみ「ねっ」

紗希「……」コクリ

エリカ「……そう。良いわ、あなた達」

梓「え?」

エリカ「敵を前にして前進する勇気。怖くても車長を信頼してそれを実行する乗員。あなた達、良いチームね」

梓「わぁ……」

桂利奈「褒められちゃったっ!」

あや「うんっ!」

エリカ「とはいえ、実際の試合ではちゃんと指示通りにしてよ?突撃だけが作戦じゃないんだから。時には退くことも覚えなさい」

『はいっ!!』

エリカ「ん。それじゃあ戻りましょうか―――――期待しているわよ、新兵さん♪」






蝶野「みんなグッジョブ!初めてとは思えなかったわっ!特にAチーム、よくやったわね!」

優花里「わぁ……」

沙織「やったっ」

華「ええっ」

エリカ「まぁ、このぐらいはね」

蝶野「これからも訓練励むように!わからないことがあったらメールしてね」

桃「一同、礼!」





『ありがとうございましたー!!』









沙織「さーってお風呂行こー♪」

華「そうですね」

優花里「流石に疲れましたぁー」

麻子「疲れた……眠い……」









エリカ「……」

蝶野「逸見さん、ちょっといいかしら?」

エリカ「なんでしょうか?」

蝶野「いえ、ちょっと気になってね」

エリカ「……ナンパならお断りですよ?」

蝶野「それは残念ね。……その、あなたがまた戦車道をしているとは思わなかったわ」

エリカ「……ええ、私もこのチャンスを活かしたいと思っています。転校こそ不本意でしたが、どうやら私と戦車道は切っても切れないようですね」

蝶野「……そう。私はあなたの事情を理解しきれていないけど、それでも去年の事は……」

沙織「えりりん何してるのー?お風呂行こーよー!」

エリカ「……すみません、そういうことなのでもういいでしょうか?」

蝶野「……ええ。ごめんなさいね呼び止めちゃって」












蝶野「……こればっかりは即撃破って訳にはいかないわね……」













カポーン


沙織「なんか告白されるよりドキドキしちゃったー♪」

エリカ「された事あるの?」

華「沙織さんの脳内での話です」

エリカ「そう……」

沙織「冗談だからっ!?そんな哀れみの目でみないで!?」

華「しかし、今日は後半役に立てなくて申し訳ありません……」

エリカ「しょうがないわよ。むしろ初めてにしてはよくやったほうよ」

優花里「そうですっ!最初の挟撃から逃げられたのも華殿のおかげですからっ!」

華「ありがとうございます……あと、その……私に砲手をやらせていただけないでしょうか!?」

エリカ「え?」

華「あの、撃った瞬間のジンジンとした快感が忘れられなくて……」

エリカ「そ、そう?まぁ、いいんじゃない?華集中力ありそうだし」

優花里「それでしたら私が装填手をやらせていただきますっ!」

沙織「じゃあ私は通信手かなー」

エリカ「それじゃあ操縦手は……」

麻子「……」ザバァ

エリカ「……冷泉さん。操縦手やってくれない?」

沙織「あっ!それいい!麻子、運転すごく上手かったし!」

麻子「断る。それに、もう書道を選択している」

エリカ「……お願い。あなたの力が必要よ」

麻子「借りはもう返した」

エリカ「なら、私への貸しでっ!!」

麻子「人に貸しを作るつもりはない」

エリカ「っ……」

華「なんとか、お願いできないでしょうか!」

優花里「冷泉殿の運転なら安心して任せられます!!」

麻子「悪いが他をあたってくれ」

沙織「っ!単位3倍だよ!!遅刻200日分免除だよ!?どうするのっ!このままじゃ留年して、私達を先輩って呼ぶ羽目になるんだよっ!?
  
   私、実は上下関係には厳しいタイプだから後輩になった瞬間徹底的にこき使うからねっ!それに、おばあちゃんになんて説明するのっ!?」

麻子「っ…………………わかった、やろう」

優花里「やったっ!よろしくお願いします!」

華「よろしくお願いします」

エリカ「よろしく」

麻子「……ん」






沙織「それじゃあえりりんまた明日ー!」

華「エリカさんまた明日」

エリカ「ええ、明日もよろしくね」

優花里「……」











エリカ「……」スタスタ

優花里「あ、あのっエリカ殿!!」

エリカ「優花里?どうしたのよ」

優花里「その、聞きたいことがありまして……」

エリカ「聞きたいこと?さっき聞けばよかったのに」

優花里「その、二人っきりじゃないと聞けなくて……」

エリカ「そう。で、何?」

優花里「その、私ずっと前から戦車道に興味があって……でも、大洗女子学園は戦車道は廃止されてて……

   だから、雑誌や試合を見に行って楽しんでたんです」

エリカ「そういう楽しみ方もあるわね。それで?」

優花里「それで……その……」

エリカ「聞きたいことがあるならはっきり言いなさい」

優花里「その、私去年の全国大会の決勝見てたんです。……現地で」

エリカ「……それが?」

優花里「だから、その、あの事故が気になって調べたんです。それで……っ!エリカ殿っ!あなたはっ!!」



ガッ




優花里「ぐっ!?」


ギリッギリ


優花里「え、エリカ殿、く、苦しい………っ」

エリカ「――――あなた、そこまで知っているのね。よく調べたわ」

優花里「エリカ、殿……」

エリカ「でも私言ったわよね?無遠慮な子にはそれなりの態度を取るって」グッ

優花里「ぐぅっ!?」

エリカ「だから、それはあなたの胸に秘めておきなさい。うちのチームにはあなたが必要だから」バッ

優花里「っ!げほっ、えほっ!?」

エリカ「……あなたが何も言わない限り、私は何もしないわ。……せっかく戦車に乗れたんだもの。まだ楽しみたいわよね?」ジッ……

優花里「ひっ……」

エリカ「わかった?」

優花里「は、はいっ!!」

エリカ「それでいいわ。……それじゃあね、また明日」スタスタ











優花里「エリカ殿、あなたは……あなたは何故……」








今日はここまでです。





エリカ「……」テクテク

優花里「あっ……」

エリカ「優花里、おはよう」

優花里「お、おはようございますエリカ殿……」

エリカ「……そんなに怖がらないでよ。昨日はちょっとやりすぎたって思ってるんだから」

優花里「い、いえ……こちらこそ配慮が足りず申し訳ありませんでした……」

エリカ「……」

優花里「……」

エリカ「……今日の戦車道の授業は私が指揮を取るわ」

優花里「え?」

エリカ「まずは戦車を思い通りに動かせるようにしてもらわないと。その後は射撃訓練ね。

    練習だから装填速度は求めないけど、一発一発を効率よく装填できるように考えながらやりなさい」

優花里「……はい」

エリカ「頑張りましょう」

優花里「はい…………エリカ殿」







エリカ「………何、これ」







八九式『バレー部復活!』

典子「うんうん!意気込み充分っ!」






おりょう「Ⅲ突、かっこよくなったぜよ」

カエサル「支配者の風格だな」






杏「おほー、ド派手だねぇ」

桃「会長の威光を世に知らしめましょうっ!」

柚子「ちょっと目に痛いかな……」





あや「やっぱ私達もピンクとかに塗り替えようよー」

梓「だめっ!このままで行くのっ!!」

エリカ「……ねぇ優花里。私が知らないだけで実は凄いタクティカルアドバンテージがあるのかしら?」

優花里「ああぁぁぁ……なんてことを………」

エリカ「……無いわよね」

沙織「私達も塗り替えれば良かったっ!!」

エリカ「……そうねぇ」

優花里「エリカ殿っ!?」

沙織「えりりんもそう思う!?」

エリカ「私だったら……そうね、月光をそのまま閉じ込めたような美しい銀色にするからしら」

沙織「えー?えりりん生徒会とセンス変わんないね」

エリカ「……まぁ、色はそのうち戻るでしょう」

沙織「そうなの?」

エリカ「とにかく、今日は基礎訓練よ。基礎を固めないことには上昇は見込めないわ」






桃「今日の訓練ご苦労だった。基礎固めは戦力の向上において絶対に避けられないことだ。各自自主練に励むように!」

『はーいっ!』

桃「それと突然だが今度の日曜日練習試合を行うことになった」

エリカ「え?」

沙織「練習試合?」

優花里「どことやるんですか?」

エリカ「いや、そのうちどこかとやらせようとは思ってたけど……私何も聞いてないわよ?」

桃「相手は聖グロリアーナ女学院」

エリカ「聖グロっ!?全国大会で準優勝したこともある強豪じゃないっ!?こんな無名校との試合、どうやって取り付けたのよっ!?」

杏「え?なんか、練習試合したいからよろしくーって頼んだらOKもらった」

エリカ「そんな適当な……」

桃「とにかくっ!これは全国のレベルを知る絶好の機会だ。全員気を引き締めて望むようにっ!解散っ!」






エリカ「さて、リーダーは全員揃った?」

杏「いるよー」

典子「はいっ!」

カエサル「うむっ」

梓「はいっ!!」

エリカ「ん、それでは作戦会議を始めるわ。聖グロリアーナの特徴は一言で言うと、強固な装甲と連携ってとこね」

典子「それだけですか?」

エリカ「それだけって……正直、戦車道においてこれ以上の強力な特徴は無いわ。こちらのスパイクはいくら打ってもブロックされるのに、

    相手のスパイクはバンバン入る……こう言うとわかってもらえるかしら?」

典子「は、はいっ!それは強力ですっ!」

エリカ「それに対して私達の戦車は装甲は貧弱。砲撃も100メートル以内じゃ無いと通用しない。おまけに連携もろくに取れないでしょうね」

桃「そっ、それでは勝てないではないか!?」

エリカ「落ち着きなさい桃ちゃん」

桃「桃ちゃん言うなっ!」

エリカ「確かに勝ち目は薄いわ。でも、だからこそ作戦が重要になってくるの」

カエサル「何か策があるのか?」

エリカ「私たちと相手で私たちが勝ってる部分それは、試合会場がホームということよ」

典子「勝手知ったる土地。落ち着いて戦えますっ!!」

エリカ「その通り。地の利というのはそれだけで戦況をひっくり返せるアドバンテージになるわ」

梓「でも、今の私たちじゃ落ち着いて戦えても……」

エリカ「もちろんそれだけじゃないわ」

桃「ほかに何かあるのか?」

エリカ「ええ、試合会場のこの地点。この高台に敵をおびき寄せて上から全車両で攻撃。戦車は上の装甲が弱いからこれなら私達の車両でもチャーチルを撃破できるわ」

梓「どうやっておびき寄せるんですか?」

エリカ「私達のⅣ号が囮になるわ」

梓「だ、大丈夫なんですか!?」

エリカ「現状、一番戦車を動かせるのは私達だからね」

カエサル「なら、任せよう!」

典子「スパイクはきっちり決めるから!」

エリカ「……でも、こんな安直な作戦聖グロに通用するとは……」ボソッ

杏「逸見ちゃんどうしたの?」

エリカ「……いえ、なんでもないわ。リーダーは今言ったことをちゃんと乗員に伝えてね。それじゃあ、解散」



『はいっ!』




エリカ「……素人集団にあれ以上を求めても難しいだろうし……決着はすぐに付きそうね」

杏「あ、逸見ちゃん。負けたらあんこう踊りだから」

エリカ「は?」





沙織・華。優花里『あ、あんこう踊りーーーーーーーーー!!?』

エリカ「あなた達も他の子とおんなじリアクションするのね……」

沙織「あんなの見られたらお嫁に行けなくなっちゃうよっ!?」

優花里「一生ネットの晒し者……」

華「かくなる上は聖グロの隊長に薬でも盛って……」

エリカ「一名物騒なこと考えてるわね……」

沙織「こうなったら勝つしか無いよ!!」

優花里「はいっ!」

華「命、咲かせてみせましょう」

エリカ「……まぁ、士気が上がったならいいか」






キュラキュラ

エリカ「……まさか戦車で送迎する日が来るとは思わなかったわ」

麻子「うぁ……」

沙織「ほら麻子、顔洗って歯磨きして、ご飯食べて着替えちゃって」

麻子「無理だ……人は、寝なくてはいけない……」

エリカ「この駆動音の中でよく寝ぼけてられるわね……。まぁ、現地に着くまでは寝かせておいてあげなさい」

麻子「か、感謝する……ぐぅ」

沙織「ああ麻子!?もう、せめて着替えてってば!!」






桃「本日は急な申込みにも関わらず、試合を受けて頂き感謝する」

ダージリン「構いませんことよ。それにしても、随分個性的な戦車ですこと」

エリカ「この日本でそんな佇まいのあなた達も体外だと思いますよ?まぁ、戦車については同感ですけど」

ダージリン「あら?あなたは確か……逸見、エリカさんでよかったかしら?」

エリカ「……聖グロの隊長に名を知られてるなんて有名になったものですね」

ダージリン「ええ、それなりには。……黒森峰から転校したとは聞いていましたが、まさかこんなところで戦車道を再開しているとは思わなかったわ」

エリカ「……私もそう思っています」

ダージリン「それは喜ばしいことだけれど勝負は勝負。私たちは例え戦車道が復活したばかりの学校相手でも手加減はしないわ」

エリカ「望むところです」

ダージリン「サンダースやプラウダの様な下品な戦い方はいたしませんわ。優雅に余裕を持って美しく。……楽しい試合にしましょう?」

エリカ「……ええ、胸を借りる気持ちでやらせていただきます」






エリカ「みんな、聞こえてる?」

優希『Dチーム、聞こえていまーす』

妙子『Bチーム、オッケーですっ!!』

エルヴィン『Cチーム、聞こえているぞ』

杏『Eチーム、オッケーだよ』

エリカ「よし、それじゃあ確認しておくけど、今回の試合は5対5の殲滅戦。どちらかが全滅したら負けになるわ。作戦は事前に説明した通り私達のⅣ号が前に出て相手をおびき寄せて、

    その間にあなた達は高台に移動。私達が敵を引き連れてくるのを待ってて。敵がキルゾーンまで来たら一斉砲撃。……なにか質問はある?」

梓『あの……』

エリカ「澤さん?どうしたの?」

梓『もし高台で敵を仕留められなかったら……』

桃『貴様っ!そんな弱腰でどうするっ!絶対に仕留めるんだっ!!』

エリカ「桃ちゃん黙ってて」

桃『だから桃ちゃんと言いうなー!!』

エリカ「そうね、確かにその可能性は充分にあるわ。……だけど、今のあなた達に必要なのは勝つことじゃなくて自分たちの現状を知ること。

    今言った作戦に集中しなさい。……一応、策は考えてあるから必要になったら指示するわ」

梓『わかりましたっ!』

エリカ「それじゃあ試合開始と共に作戦開始よ」








『試合開始っ!!』













エリカ「作戦開始っ!!Ⅳ号が先行して偵察、その後囮になるわ。冷泉さんお願い」

麻子「わかった」

沙織「絶対に勝つよっ!!」

華「ええ」

優花里「あんこう踊りは絶対に避けましょうっ!!」

エリカ(……そんなに嫌がられるってどんな踊りなのよ……)

今日はここまでで。


誤字訂正

>>20および>>68  黒森峰女学院→黒森峰女学園 


>>94 エリカ「華っ!超信地旋廻よっ!こうなったら真っ向―――」→エリカ「華っ!信地旋廻よっ!こうなったら真っ向―――」


上記のように訂正いたします。Ⅳ号戦車は超信地旋回できなかった……

たぶん今後もこういうのが出てくると思いますが、見つけ次第訂正するようにします。





エリカ「マチルダⅡ4輌、チャーチル1輌前進中」

優花里「さすが、綺麗な隊列ですね!」

エリカ「ええ。正直この時点で相手との実力差を思い知らされるわ。その上戦車の性能も相手が上。勝ち目は薄いわね」

優花里「そんなこと言わないでくださぃぃ……」

エリカ「わかってるわよ。負けることも勉強だけど、勝ちを目指さない敗北は無意味よ」

優花里「その通りですっ!」

エリカ「勝負は戦術と腕……それと運で決まるわ。今回は運がこちらに傾くことを祈りましょう」

優花里「運頼みですかぁ……」

エリカ「運が転がってきた時に取りこぼさないのも実力よ。ほら、そろそろ行くわよ」

優花里「はいっ」






ダァン!

オレンジペコ「仕掛けてきましたね」

ダージリン「こちらもお相手しますか」


ダァンダァン!!


エリカ「よしっ、釣られてくれたわっ!!冷泉さん移動してっ!!」

麻子「了解だ」

エリカ「こちらの装甲は薄いから射線を取られないように注意してねっ!」






桃「っ……逸見はまだ来ないのかっ!?」イライラ

杏「落ち着けって。待つのも仕事の内でしょ」

柚子「だからってバレー部はバレーの練習始めてるし、一年生チームは大富豪してるし……緊張感無いなぁ」

あや「梓は混ざんないのー?」

梓「逸見先輩たちがいつ来ても良いようにしておかないと……」

優希「梓真面目ー」

梓「みんなもそろそろ準備してよー!」

エリカ『こちらⅣ号、敵の引きつけに成功。あと3分でそっちに到着するわ。準備お願い』

桃「っ!Ⅳ号が戻ってきたぞっ!全員戦車に乗れーっ!!」


エリカ「……もうすぐね。冷泉さん、スピード上げて!ここで引き離すわよっ!!」

麻子「わかった」

沙織「えりりん、そんなところから体出してたら危ないよっ!?」

エリカ「え?……ああ、大丈夫よ。戦車は特殊なカーボンで守られてるんだから」

沙織「えりりんはカーボン製じゃないでしょっ!?せめてもうちょっと頭下げてってばっ!!」

エリカ「こっちのほうが見やすくて良いんだけどね。まぁ、そう言うなら……はい、これでいいでしょ?」

沙織「もー……見てて危なっかしいんだからぁ……怪我はさせないって言ってるえりりんが怪我したらどうするのっ!」

エリカ「そう当たるものじゃ無いわよ……っと、そうこう言ってるうちに着いたわよ。冷泉さん、そのまま高台に――――――」




ダァンダァン!!



エリカ「なっ!?」





桃「撃て撃て撃て―!!撃って撃って撃ちまくれーっ!!」

梓「河嶋先輩っ!!あれは逸見先輩たちの戦車ですってっ!?」









ダァンダァンダァン!!



沙織「味方を撃ってどうするのよーっ!?」

エリカ「……戦場での死亡理由って結構な数が味方からの誤射なんだっけ?」

優花里「今その話必要ですか―!?」

エリカ「……沙織、38tに繋いで」

桃「撃て撃て撃て―!!」

エリカ『すぅーっ……河嶋桃ぉぉぉぉー!!!!!!!!!!!』

桃「ひぃっ!?」ビクゥッ

エリカ『あなた、味方を撃ってどうするのっ!?』

桃「い、いや私だけじゃ……」

エリカ『あなたの乗ってるピッカピカの下っ品な金色38tから撃ちだしたの見えてたわよっ!!』

桃「そ、その……」

エリカ『……良いから落ち着きなさい。破れかぶれに撃っても弾は当たってくれないわ、冷静に、心を落ち着けて。

    今回は見逃してあげるから。いい?狙うのは敵戦車よ。わかった桃ちゃん?』

桃「も、桃ちゃん言う……」

エリカ『返事はっ!!?』

桃「は、はいっ!!」

エリカ『ならよしっ!!』

桃「……うぅ」

杏「怒られちゃったね」

柚子「あれは桃ちゃんが悪いよぉ」

桃「桃ちゃん言うなぁ……」

ダージリン「あちらの練度は低いようね。それに加えて、こんな安直な囮作戦が通用すると思っているの?」

桃「き、来たっ!?今度こそ撃て撃てー!!」



ダァンダァンダァン!!



エリカ「バラバラに撃ってもダメッ!!上部装甲なら私達の戦車でも倒せるわっ!!」


ダァンダァンダァン!!


ダージリン「このまま挟み撃ちにしてやりましょう」


ダァンダァンッ!!


沙織「全然当たってないよぉー!?」

エリカ「っ……やっぱりまだ練習試合には早かったかしら……」

優花里「挟み撃ちされますっ!?」

エリカ「っ!八九式とⅢ突は左側、38tとM3は右側の先頭車両の履帯を狙ってっ!1輌でも動きを止めなさい!!」

ダージリン「……攻撃」

ドォンドォン!!

典子「凄いアタックッ!!」

あや「ありえなーいっ!!」

エリカ「落ち着いてっ!攻撃を止めないで!!」




あゆみ「無理ですぅーっ!!」

優希「もう嫌ぁああっ!!」

梓「っ……落ち着いてっ!!!!砲弾の中、外に出たらもっと危ないよ!?戦車はちゃんとカーボンで守られてるから安全だって!!」

優希「梓ちゃん……」

梓「わ、私だって怖いよ……でも、私達が決めたんだよ。M3<この子>に乗るって。だからっ!!」

あや「梓、なんだかバレー部の人達みたい……」

桂利奈「私はまだやれるよっ!」

紗希「……」コクリ

あや「紗希もぉ?なら、やるしか無いじゃん!」

あゆみ「……うんっ!」





ズドォン!ズドォン!!

柚子「あれ?あれれっ?」

杏「あー履帯が外れちゃったね。38tは外れやすいからなぁ」

ズドォン!ズドォン!!


エリカ「っ……なんとか全員生きてるけど、このままじゃ……」









栗毛の少女『……』









エリカ「っ!?あなた、なんで……」

沙織「え?えりりんどうしたの?」

エリカ「っ!?なんでもないわ!!」



栗毛の少女『……』スッ






エリカ「町……?私だって考えたわ。でも、相手の方が練度も性能も上なのにゲリラ戦を仕掛けたところで各個撃破されるのがオチよっ……」


ドォンドォンッ!


沙織「えりりんっ早く指示をっ!!このままじゃ皆やられちゃうっ!!」

エリカ「ッ……私は、あなたの作戦なんかっ……」

梓『逸見先輩っ!!』

エリカ「澤さん……?」

梓『私達逃げませんっ!!練習だからって、このまま終わるなんて嫌ですっ!!」

エリカ「……」

梓『だからっ!指示お願いしますっ!!私たちは―――――まだ戦えますっ!!』


エリカ「……わかったわ。動ける車両は私達の後に付いてきてっ!」

桃『何っ!?逃げるのか!?許さんぞ!!』

梓『っはい!!』

典子『わかりましたっ!!』

エルヴィン『心得たっ!!』




エリカ「……」





栗毛の少女『……』スゥ―






エリカ「……あなたの策に乗るわけじゃないわよ。ただ、あの女王様のドヤ顔がイラつくだけ……だからっ!」












エリカ「みんなっ!ここからが第二ラウンドよっ!!気合い入れていきなさいっ!!」








『はいっ!!』



ここまでで。

ダージリン「逃げ出したの?追撃するわよっ!」

オレンジペコ「履帯の外れた38tはどうします?」

ダージリン「放っておきなさい。そちらにかまって時間稼ぎをされると厄介だわ。

      ……それに、これはあくまで練習試合。勝利だけを求めて、動けなくなった相手を撃つのは騎士道精神に反するわ」

アッサム「ダージリンらしいですね」







エリカ「これから市街地に入るわっ!あなた達、土地勘はある!?」

エルヴィン『古書類は陸じゃないと見つからないからな。寄港の度にカエサル達と手分けして探してるぞ』

妙子『バレー用品店によく……』

優希『彼氏とのデートでよく来てまーす♪』

エリカ「どいつもこいつも色気のない話ね……約一名はただの惚気だったけど。

    まぁいいわ。これより各チームは各々の意志で行動してっ!」



エルヴィン「高度の柔軟性を維持しつつ臨機応変にというわけか」

おりょう「要するに、行き当たりばったりということぜよ……」

エリカ『違うわよっ!』



エリカ「Ⅲ突の狭い射角も待ち伏せがしやすい町中ならデメリットが小さくなるわっ!
   
    八九式は例えゼロ距離で撃っても相手の装甲を貫くのは難しいわよ。油断しないでっ!!

    M3も同じ!この際、建物の事は気にせず逃げるため隠れるためどんどんぶっ壊しなさいっ!どうせ補償は国が払ってくれるわっ!!」

麻子「外部に流れたら叩かれそうな発言だな」

エリカ「はっきり言ってこの作戦、最後にものを言うのは各員の腕よっ!あなた達の実力、見せてみなさいっ!!」




『了解っ!!』




ダージリン「ん?消えた……」

オレンジペコ「土地勘を活かしてゲリラ戦術ってことですかね」

ダージリン「ふっ舐められたものね。『獅子は兎を捕らえるにも全力を尽くす』
 
      相手が兎さんでも私達のすることは変わらないわ。紅茶の一滴も零さず狩り尽くすまでよ」

オレンジペコ「はい。ダージリン様」

ダージリン「各車散開。誘いに乗ってあげましょう」





エルヴィン「……マチルダⅡこちらに接近中」

左衛門佐「今度こそ初首を……」

カエサル「焦るな。この距離なら一撃で仕留められる」



エルヴィン「…………今っ!!」

左衛門佐「っ!!」


ドォン!! 


シュポッ



エルヴィン「よっしっ!!」

左衛門佐「初首だーっ!!」

カエサル「次行くぞっ!!」

おりょう「おうっ!」


ドォンドォン!!


エルヴィン「くっ、見つかったか。路地裏に逃げ込めいっ!!」

おりょう「おうっ」

エルヴィン「入り組んだ道に入ってしまえば良い。Ⅲ突は車高が低いからな」

左衛門佐「このまま闇討ちで大将首だーっ!!」

カエサル「……あっ、旗」

エルヴィン・左衛門佐・おりょう『あっ』


ドォンッ!!


シュポッ










―立体駐車場内―


妙子「キャプテン、これ本当に大丈夫ですか……?」

忍「気づかれたら逃げようが無いですよ?」

典子「八九式の主砲じゃこの距離じゃないと仕留められない。じっと待つんだっ!」

あけび「……来ましたっ!」

典子「よしっ!………………今だっ!!」

あけび「っ!!」

ダァンッ!

バァンッ!!

妙子「やったぁ!」

典子「油断するなっ!……っ!?燃えてるのは表面だけだっ!!まだ相手は生きてるっ!!撃ち続けろっ!!」

あけび「っ!!」

ダァンッ!カンッ!

あけび「弾かれるっ!?」

典子「怯むなっ!!どんどん撃てーっ!!根性見せるんだっ!!」

忍「砲塔がこっちを向きますっ!!」

ダァンッ!カンッ!

典子「この距離でもっ……くっそおおおおおっ!!」

あけび「っ!!!!」


ダァン!

ドォンッ!!



シュポッ




典子「……隊長、すみません。セット、取れませんでしたっ…!!」









ドォンッ!!

あや「うわあああ見つかったあああっ!?」

梓「とにかく逃げてっ!路地裏に逃げて後ろを取れればっ!!」

桂利奈「あいっ!!」

梓「っ!まだ追ってくるっ!!」

桂利奈「怪獣映画みたいー!!」

あゆみ「言ってる場合っ!?」

梓「っ!?まずいっこの道はっ!?」

あゆみ「真っ直ぐじゃんっ!?どーするの!?逃げ場無いよ!っ!?」

あや「追いつかれるよっ!?」

梓「……こうなったらっ!家主さんごめんなさいっ!!桂利奈ちゃんっ!右の家に突っ込んで!!ショートカットだよっ!!」

桂利奈「あいっ!!!」

優希「ええ!?乱暴ー!?」

梓「行っけー!!」


ドォォォン! 



梓「そのまま突っ切ってっ!」



ドォォン!

あゆみ「道に出たっ!」

あや「相手の後ろ取れたよっ!!」

梓「撃ってっ!!」


ダァンダァン!

あや「駄目っ!固くて通らないっ!!」

梓「もっと近づいてっ!薄いところなら通るはずっ!!砲塔旋回される前にっ!!あゆみしっかり狙ってっ!!」


ダァンダァン!!


シュポッ


梓「……やった」

あゆみ「うん……」

あや「私達……」

優希「勝ったのね……」

桂利奈「やったあああああああああ!!」

紗希「……」ボー……





『攻撃を受け走行不能っ!!』

『こちらもですっ!!』


ダージリン「なっ!?」ポロッ


パリンッ!!


ダージリン「お、おやりになるのねっ……!」

アッサム「2輌も撃破されるとは……」

ダージリン「でも、ここまでよっ、残った2輌は集合して。Ⅳ号を討つわよ」










エリカ「マチルダ2輌撃破……まさかホントにできるとはね。これならっ……澤さん」

梓『はいっ!』

エリカ「あなた達に頼みがあるわ。……難しいけれど、私はあなた達に頼みたい―――――やってくれる?」

梓『任せてくださいっ!!』







沙織「うわああ!?えりりん来てる来てるー!?」

優花里「マチルダ2輌にチャーチル1輌、残存戦力で私達を叩きにきましたっ!!」

エリカ「聖グロの女王様に追いかけられるだなんて光栄な話ね」

麻子「どうする?」

エリカ「囲まれたらまずいわ。とにかく振り切って」

麻子「わかった」

エリカ「華、当たらなくていいから追手を撃って。一瞬でも足止めできれば充分よ」

華「はいっ」


ドォン!ドォン!!



麻子「……しまった」







『全面通行止』






エリカ「これを知ってて……ッ!下がって横の道に……っ!!」

沙織「来たっ!?」

優花里「追い詰められましたっ!?」

ダージリン「……こんな格言を知ってる?『イギリス人は恋愛と戦争では手段を選ばない』」

エリカ「っ……こうなったら刺し違えてでもあと1輌――――」


ギュイイイン!

杏「さんじょー!!」




エリカ「生徒会チームっ!?」

優花里「履帯直ったんですねっ!」






杏「かーしまっ!!」

桃「は、はいっ!!」









『……良いから落ち着きなさい。破れかぶれに撃っても弾は当たってくれないわ、冷静に、心を落ち着けて』







桃「っ!!」

ダァンッ!!


シュポッ

柚子「桃ちゃん当たったよっ!!」

桃「や、やったっ……」

杏「でも、残りの砲塔こっちむいてるね」


ドォンドォンッ!


シュポッ

エリカ「っ!!今のうちに左に入ってっ!!」

麻子「わかった」

エリカ「華っ!!」

華「はいっ!!」

ドォンッ!


シュポッ





エリカ「……桃ちゃん」

桃『も、桃ちゃん言―――』

エリカ「よくやったわ。……ありがとう」

桃『え?』





アッサム「残ったのは私たちだけです」

ダージリン「……まさか私たちがここまで追いつめられるとはね」

オレンジペコ「油断しすぎです」

アッサム「ですね」

ダージリン「……そうね、勉強になったわ」






優花里「チャーチル追いかけてきてますっ!!」

エリカ「そりゃそうよねっ!冷泉さん、こちらのほうが足は速いけど引き離しすぎず、ぎりぎり追いつかれそうな距離を保ってっ!」

麻子「わかった」

華「でも、一年生チームのことは……」

エリカ「気づいているでしょうねっ!!でも、私達を逃したらそれこそ挟み撃ちにされるから見逃すことはできないわっ!!」

沙織「これ、ほんとに勝てるかもっ!!」

優花里「エリカ殿、そろそろ!!」

エリカ「ええっ!冷泉さんっ!そのまま反転!側面に突っ込んでっ!!」

麻子「ん」

エリカ「華はさっき話した通りにお願いっ!!」

華「わかりました」

エリカ「行くわよっ!!」

アッサム「突っ込んできます」

ダージリン「側面を取るつもりね。アッサム、速度は相手のほうが上よ、落ち着いて狙って」

アッサム「はい」



エリカ「っ撃てっ!!」

ダージリン「撃て」


ダァン! ダァン!


シュポッ



エリカ「っ……華ッ!?」

華「こちらはやられたようです。……ですが、目的は果たせました」

エリカ「よしっ!」

ダージリン「履帯をやられた?」

オレンジペコ「狙いが外れたんでしょうか?」

ダージリン「いえ、違うわ……彼女たちの目的は―――――」




ドォォォン!!







アッサム「M3!?住宅の中に隠れてたのっ!?」

ダージリン「最初からこのつもりだったのねっ!!」

オレンジペコ「囮作戦っ……」





エリカ「女王様、確かにあなた達は強いわ。だからこそ胸を貸してもらおうと思ったんだもの」

   ――――でも、ちょっと余裕かましすぎたわね?同じ作戦に2度も引っかかるなんて」

オレンジペコ「履帯がっ……旋回できないっ!後ろを取られましたっ!!」









エリカ「だから潔く買ってやりなさい―――――あの子達のケンカを!!」







梓「行くよみんなっ!!」

『おーっ!!』

オレンジペコ「ダージリン様っ!アッサム様!どうしましょうっ!?」

アッサム「落ち着きなさいペコ」

ダージリン「そうよペコ。履帯をやられても、もう片方あれば角度をつけることはできるわ。――――アッサム、撃ち抜いてやりなさい」






梓「相手は動けないわっ!!砲塔がこちらに向く前にとにかく撃ってっ!!」

あゆみ・あや「「オッケー!!」」

ダァンダァン!!

カンッ!ダンッ!

あゆみ「弾かれたっ!?」

紗季「……来る」

桂利奈「ん゛っ!!」

キュラキュラ

ドォンッ!!

ガンッ!!






アッサム「避けられたっ!?」

ダージリン「でも、掠ってバランスを崩したわ。ペコ装填急いで」

オレンジペコ「はいっ!」

梓「早く向き直ってっ!次が来るっ!!」

桂利奈「ん゛ん゛っーーーー!!」









梓「撃てっ!!」







ダージリン「撃て」







ダァンダァン!!

ガンッガンッ!!


ドォンッ!!



シュポッ!












『大洗女子学園、全車両走行不能!よって、聖グロリアーナ女学院の勝利!』








ここまでで

誤字訂正


>>111>>145>>149>>163>>164

優希→優季

>>174

紗季→紗希


以上のように訂正いたします。






エリカ「……負けた、か」

梓「あの……」

エリカ「澤さん?」

梓「逸見先輩すみませんでしたっ!!せっかくのチャンスを活かせなくて……」

エリカ「良いのよ、むしろ聖グロ相手にあそこまで肉薄できたのだもの。上出来よ」

梓「でも……」

エリカ「……確かにM3の主砲でもあの距離ならなんとかなったかもしれないわ。

    でも、それは結果論よ。それに納得出来ないならもっと上を目指しなさい」

梓「は、はいっ!!」

エリカ「今回の敢闘賞は間違いなくあなた達よ。期待してるわ。梓……って呼んでいいかしら?」

梓「は、はいっ!はいっ!!わ、私もエリカ先輩って!!」

エリカ「ええ、これからもよろしくね……そこのみんなもね」

梓「えっ?」

優季「ばれちゃったぁー」

あゆみ「やっぱり一箇所に隠れるのは無理だったね」

あや「まぁいいじゃん」

桂利奈「私もよろしくお願いしますっ!!」

紗希「……」

梓「みんないたのっ!?」

優季「梓だけが怒られたら可哀想だなって思ったからね」

あや「その時は一緒に怒られようって」

梓「みんな……」

エリカ「ほら、言ったでしょ?」

梓「え?」

エリカ「あなた達、いいチームねって」

梓「……はいっ!」






エリカ「……」

ダージリン「随分と後輩に慕われているようね」

エリカ「ダージリンさん?」

ダージリン「私も、情報収集の一環で調べた程度だけれど……黒森峰の時とは随分変わったみたいね」

エリカ「……人のプライベートに口を出すのはあまりいい趣味とは言えませんね」

ダージリン「それは失礼。なら話を変えるわね。……まさかここまで追い詰められるとは思わなかったわ」

エリカ「……私もそう思います。正直、あの子たちが……大洗がここまでやれるとは思いませんでした」

ダージリン「なら、それを引き出したのはあなたよ」

エリカ「聖グロの隊長にそう言ってもらえるだなんて光栄です」

ダージリン「あのM3の子たちはあなたを信頼していたからこそあれほどの力を見せたのだから。

      部下の失敗は上司の責任だというけれど、部下の成功にも自身がそれの一助になった程度の功績は誇ってもいいと思うわよ?」

エリカ「ふふっ、ありがとうございます」

ダージリン「……ねぇ、こんな格言を知ってる?『何があっても人生には続きがある』」

エリカ「え?」

ダージリン「ロバート・フロストという詩人の言葉よ。あなたがどれだけの困難に直面したか、私には想像もつかないわ。……それでも、自分の人生を諦めないで」

エリカ「……聖グロリアーナでは生徒にカウンセラーの真似事もさせるんですか?」

ダージリン「……ごめんなさい。出過ぎたことを言ってしまったわ」

オレンジペコ「ダージリン様こんなとこにいたんですか」

ダージリン「あらペコ。遅かったじゃない」

アッサム「居場所も言わずにいなくなったのはあなたですよ」

ダージリン「そうだったかしら?」

沙織「えりりん見つけたっ!」

エリカ「あなた達……」

華「私たちも探してたんですよ?」

優花里「エリカ殿、そろそろ戻りましょう?」

エリカ「……そうね。聖グロのみなさん、そういうわけだからそろそろ戻らせてもらうわ。今日は、ありがとうございました」

ダージリン「ええ、こちらこそ。とても楽しかったわ――――白雪姫さん」

エリカ「は?なんですかそれ」

ダージリン「だって、雪のような髪を持ったあなたにぴったりじゃない?とっても素敵な髪だと思うのだけれど」

エリカ「白雪姫は肌が雪のように白いのであって、髪は黒だったと思いますが……」

ダージリン「あら、そうだったかしら?」

オレンジペコ「ダージリン様。よその学校の生徒に変な名前付けるのは止めましょうよ」

沙織「ええー!良いじゃん白雪姫っ!!私もえりりんにぴったりだと思うよっ!」

ダージリン「ほらぁ」

アッサム「またそんな得意げな……」

華「私も、良いと思います」

優花里「わ、私もですっ!」

ダージリン「ほらぁ!」ドヤァ

アッサム「……大洗の皆さん。あまりダージリンを甘やかさないでください」

エリカ「私もいい迷惑なんだけど……」

ダージリン「今日の試合、とても楽しかったわ。友好の印に後で紅茶を送らせるわね」

エリカ「あまり紅茶を嗜む習慣はありませんけど」

ダージリン「なら、これを機に。ね?」

エリカ「……考えておきます」

優花里「エリカ殿、聖グロから紅茶を送られるのはとても名誉なことなんですよっ!」

エリカ「そうなの?」

優花里「知らなかったんですかっ!?」

ダージリン「……エリカさん」

エリカ「まだ何か?」

ダージリン「戦車道、楽しんでね」

エリカ「……行くわよみんな」

沙織「あ、えりりん待ってってばっ!」

華「失礼します」ペコリ

優花里「今日はありがとうございましたっ!」ペコッ

アッサム「なんだか慌ただしい人たちでしたね」

ダージリン「良いことよ。泣いてばかりよりずっと」

オレンジペコ「え?」

ダージリン「エリカさん、あなたを白雪姫と呼んだ理由はもう一つあるのよ?」










ダージリン「眠り続けるあなたがいつか目覚めるようにって。だって、あなたはまだ生きているんだもの」














麻子「お前たち遅いぞ」ツルッ ペタッ

エリカ「え……冷泉さん何その格好……」

麻子「何って、負けたんだからこれからあんこう踊りだぞ」

エリカ「……え?あんこう踊りってそんなの着るの?……え?」

麻子「……」コクッ

エリカ「……私、ちょっと用事を思い出したから」

ガシッ

沙織「どこ行くの?白雪姫様」

華「一緒に咲いて散りましょう」

優花里「自分だけ逃げるだなんて許さないですよ!」

エリカ「……ダメ?」







『ダメ♪』






アアアン アアアン アン アン アン♪

あの子 会いたや あの海越えて~♪






沙織「お嫁に行けないよーっ!!」クネクネ

華「エリカさん、もっと伸びやかに、恥を捨ててくださいっ!!」クネクネ

優花里「恥ずかしがってる方がもっと恥ずかしいですよっ!」クネクネ

エリカ「っ~~~~~!なんなのよこの踊りっ!!?」クネクネ

麻子「受けたのは逸見さんだろ」クネクネ

筆が進んだんで投稿。

今日はここまでで。





エリカ「本当になんだったのよあの踊り……もう二度と御免よ……」

麻子「逸見さんにトラウマが刻まれたようだな」

華「仕方がありません……」

優花里「おいたわしやエリカ殿……」

沙織「あれ?あなた達……」

妙子「あの、すみませんっキャプテンを見ませんでした?」

エリカ「キャプテンって磯辺さんのこと?」

さけび「はい。学園艦に戻ってから見てなくて……」

忍「今日の試合が終わった後、元気が無かったみたいで……」

華「あの元気の塊のような磯部さんが……」

沙織「それで探してるの?」

妙子「はい、体育館や寮は探したんですけど……」

エリカ「元気がなくなったのは試合の後なのよね?」

妙子「はい」

エリカ「……なら、あそこにいるかも」

妙子「知っているんですか!?」

エリカ「ええ。たぶんだけどね」

あけび「どこですか!?」

エリカ「……まず私に行かせて」





―車庫―


典子「……」

エリカ「やっぱりここにいたのね」

典子「隊長……」

エリカ「そんなところにいたって八九式は直らないわよ」

典子「……隊長、教えてほしいことがあります」

エリカ「何?」

典子「この子は……八九式は、弱いんですか……?」

エリカ「……あなたがそれを聞くってことは、それなりの理由があるのね」

典子「今日の試合、この子の砲撃は相手の戦車に傷一つ付けることができませんでした」

エリカ「……そう」

典子「何度も至近距離でのアタックをしても、ダメでした」

エリカ「……やっぱり、そうなったのね」

典子「っ!」

エリカ「磯部さん、この八九式はねそもそも戦車を相手にすることを考慮されていないの。

    砲撃も、装甲も、機動力も劣っている。――――はっきり言ってこの戦車での戦車戦は無理よ」

典子「そんな……」

エリカ「もし、車長であるあなたが望むなら、余っている三式中戦車にバレー部のみんなと乗ってもらってかまわないわ。

    いえ、今後大会に出ることを考えたらそっちのほうが遥かにいい。私としてもそっちをおすすめするわ」

典子「でも……」

エリカ「確かあなた達はバレー部復活のために戦車道を履修したのよね?なら、この子は捨ててもっとちゃんとした戦車に乗ったほうが

    目的を果たす近道になると思うわよ?」

典子「わ、私は……」

エリカ「……弱いものを切り捨てるのも勝利のための努力の一つよ。それが人であろうと戦車であろうと」

典子「……逸見隊長、私は―――――」








妙子「違いますっ!!」







典子「近藤?それに佐々木に河西……」

あけび「弱さを捨てることを努力だなんて言いませんっ!!」

エリカ「……聞いてたんでしょ?なら、あなた達も理解しているはずよ。八九式ではダメだって」

忍「ダメなんかじゃないっ!!」

妙子「私たちはいつだって自分の弱点を克服しようと頑張ってます。でも、弱いところダメなところはどんなに治してもでてきます

  ――――だから、私たちは努力するんです。弱くても、ダメでも強くなれるようにっ!!」

忍「キャプテンっ!あなたが私たちに教えてくれたんじゃないですかっ!!どうしようもない弱さでも、それにしっかりと向き合えば

  きっと、きっとっ報われるって!!弱さを、歯を食いしばって受け止めるのが根性だってっ!!」

典子「みんな……」

あけび「逸見隊長、私たちは八九式で戦いたいんです。私達が見つけて、私達が選んだこの子と一緒に、戦いたいんですっ!!」

エリカ「……そう、あなた達の言い分はわかったわ。どこまでいっても合理性のかけらもない感情論ね。

    その根性とやらで八九式は強くなるのかしら?――――ねぇ、磯辺さん。あなたはもう理解しているのよね?

    だったら、この子達に言ってあげなさい。八九式ではダメだ。別の戦車にしようって」

典子「……」

妙子・あけび・忍「「「キャプテンっ!!」」」

典子「……きっと、逸見隊長の言うことは間違ってないんだと思う」

妙子「っ!?キャプテンっ!!」

典子「でも、私達が決めたんだ。自分たちの道を。八九式<この子>に書いた『バレー部復活!!』の文字は、

   私達が胸に刻んだ覚悟なんだっ!!正しいとか、合理的とか、そんなちっぽけなもののために私たちはバレーを、戦車道をやるつもりはないっ!!」

エリカ「……なら、どうするの?戦えない戦車に用はないわ」

典子「考えますっ!!できることを、みんなとこの子でできることをっ!!」

エリカ「やられてばかりになるでしょうね。あなた達が敗因になるかもしれない」

典子「それでもっ!!決してあきらめませんっ、それが根性ですっ!!」

エリカ「……そう、なら好きにするといいわ」スタスタ

典子「逸見隊長……ありがとうございますっ!!」

妙子「キャプテンっ!!」

あけび「バレーも戦車道もがんばりましょうっ!!」

忍「この子でもやれるって、見返してやりましょうっ!!」

典子「みんな……ああっ!根性だっ!!」






『はいっ!!』






エリカ「まったく、暑苦しい連中ね」

沙織「えりりんも大概だとおもうけどなー」

エリカ「あら?あなた達もいたのね」

優花里「そもそも、エリカ殿がバレー部の皆さんをここに連れてきたんじゃないですか」

華「磯辺さんを煽ったのも、皆さんを鼓舞するためだったのでしょう?」

エリカ「さぁね?言ったことは本心よ。それを彼女たちがどう思うかなんて知らないけど」

沙織「えりりん素直じゃないなぁ」

華「いいじゃないですか。それもエリカさんの良いところですよ」

優花里「同感ですっ!」

エリカ「そんなことより、公式戦のことでも考えてなさい」

沙織「公式戦?」

優花里「戦車道の全国大会ですっ!!」




―抽選会場―



『大洗女子学園、8番!!』




エリカ「……え?8番って」






優花里「一回戦の相手は、サンダース大付属……」

沙織「強いの?」

優花里「優勝候補の一つです」

沙織「えーっ!?大丈夫なのっ!?」








まほ「……」









エリカ「サンダース大附属……これは、まずいわね……」

雪で出かけられないので投稿。





早速ですが訂正です。

>>195>>197

磯部さん→磯辺さん


以上のように訂正いたします。





―戦車喫茶 ルクレール―



エリカ「まずいわね……まずいわ……」

沙織「えりりん抽選会からそれしか言ってないよ?」

華「飲食店でまずいを連呼するのは営業妨害と取られかねませんよ?」

麻子「追い出されるのはゴメンだぞ」

優花里「と、とりあえず何か注文しましょうかっ!」


カチッ ズドォーン!!

沙織「わ、びっくりした」

店員「ご注文はお決まりですか?」

優花里「あ、エリカ殿は何にしますか?」

エリカ「ショートケーキ。……まずいわね……」

沙織「だから、その繋げ方はまずいって……」

華「沙織さんもですよ」






沙織「美味しいー!」

華「ええ、とても良いお味です」

優花里「見た目が戦車なのも可愛いですねっ!」

エリカ「……」モグモグ

沙織「えりりん落ち着いた?」

エリカ「……ええ。決まってしまったのはしょうがないしね」

優花里「そうですよっ!大事なのはこれからですっ」

エリカ「考え方を変えればむしろ一回戦で強豪校に当たって良かったとも言えるしね」

沙織「どうして?」

エリカ「公式戦は一回戦から準々決勝までの参加車両数が10輌って定められてるのよ。

    現状5輌しか使えない私達にとって、後に当たるほど相手との戦力差は大きくなるわ」

優花里「それでも、2倍差になってしまいますが……」

エリカ「そもそも戦車を揃えられないような学校が参加するのがおかしいのよ。……戦車道の全国大会にはね無名校は参加しないっていう暗黙の了解があるの」

沙織「そうなの?」

エリカ「ルールに明文化されているわけでもないから守らなくても罰則はないけど、私は大事なものだと思ってるわ」

華「どういうことですか?」

エリカ「そもそもなんでこんな暗黙の了解があると思う?」

麻子「不確定要素を弾くことで強豪校が有利になるようにか?」

エリカ「……それは結果の一面でしかないわ。どのスポーツもそうだけど、戦車道っていうのは数の差がそのまま有利不利につながるのよ

    11人でやるサッカーで相手が5人しかいない状態で始まる試合を見たことがある?戦車道の試合はそれが許されるのよ」

優花里「現に私たちがそうですし……」

沙織「バレー部のみんなは人数が足りないから廃部になったのに戦車道だと少なくてもいいんだもんね……」

エリカ「……数の差は個の能力で覆すのは難しいわ。そもそも数すら揃えられない学校が個で相手を上回るなんてのはまず無理なのだから」

優花里「戦車がそろっていればそれだけ練習の効率もあがりますね」

エリカ「結果として試合で繰り広げられるのはただの弱い者いじめ。それはやる方もやられる方も――――見ている方も辛いものよ」

麻子「……なるほどな」

エリカ「そんな試合が何回も繰り返されたら戦車道の人気そのものに影響が出てくる。戦車道をやるのもタダじゃない。

    頑張ってひねり出した予算で出た試合が散々な結果だったら誰も得しないわ。それは無名校も強豪校も関係ない。だからこそ暗黙の了解は維持されてきたのよ」

沙織「……それでも、私たちは試合に出るんでしょ?」

エリカ「ええ。だから、戦車道の今後のために中途半端な試合はできない。数が足りなくても、個で負けていても。それでも勝利を目指すしかないのよ」

優花里「ならなおさら作戦が重要になってきますね」

エリカ「そう。でも、現状数が足りないのが致命的すぎるわ……やっぱりあの三式の乗員を探さないと」

沙織「生徒会も探してるんだっけ?」

エリカ「ええ、でもあいつらだけに任せておくのは癪だわ。この際なんでも良いから見つけないと……」

沙織「もーまた難しい顔してるっ!せっかく美味しいケーキがあるんだから、こっちに集中しよっ!」

エリカ「……それもそうね」モグモグ








まほ「まさか、お前がまた戦車道を始めてるとはな」







エリカ「隊長……!?」ガタッ

沙織「え?隊長?」

華「どちら様でしょうか?」

優花里「黒森峰の戦車道の隊長、西住まほ殿ですよっ!?」

まほ「……何故また戦車道を始めた。お前は戦車道をやるに値しない。そう言ったはずだが」

エリカ「……隊長、私は……私には戦車道しか―――――」

グイッ!

エリカ「っ!?」

まほ「……けるな、ふざけるなっ!!」

優花里「ちょっ!?」

エリカ「ぐっ!?た、隊長……っ」

まほ「お前がどれだけの人を傷つけてると思ってるっ!?お前のしていることがどれだけあの子を侮辱していると思ってるっ!?」

優花里「ぼ、暴力はいけませんっ!!」

沙織「ほら、やめてってば!!」

エリカ「う、ぐ……す、すみません隊長……」

まほ「お前がっ!お前みたいな奴がっ!!?私のことを隊長だなんて呼ぶなっ!!」

麻子「落ち着け。いくらなんでも騒ぎすぎだ」

華「そうです、他の方のご迷惑になっていますよ?」

まほ「っ!」バッ

エリカ「えほっ!げほっ!?」

まほ「……無名校が思い出づくりのつもりで参加するのならやめておけ。時間の無駄だ」

沙織「なっ!?そんな言い方ないでしょ!?」

優花里「私たちは真剣に優勝を目指して……」

まほ「そうか、だったら真っ先にこいつを外すんだな」

沙織「えりりんは私達の隊長です!」

まほ「隊長……?お前は、どこまで……ッ!」

エリカ「西住たい……西住さん、私は決して黒森峰に刃向かいたくて戦車道を再開したんじゃ……」

まほ「……もういい。お前がこれ以上無様を晒す前に一刻も早く棄権することを祈っているよ」スタスタ

沙織「ちょっ……行っちゃった」

優花里「エリカ殿、大丈夫ですか……?」

エリカ「……ええ、大丈夫よ。騒がしくしてごめんなさい」

沙織「えりりんが謝ることじゃないよっ!?ひどいのはあの人だよ!!」

麻子「強豪校の隊長とはいえ、流石にあの態度はどうかと思うな」

エリカ「いいの……悪いのは私だから」

華「一体、あの人と何があったんですか?」

エリカ「……ごめんなさい。それは、言えないわ」

沙織「……なら、いいよ。えりりんが言いたくなったら教えてくれれば良いから」

華「はい」

エリカ「……ありがとう」

麻子「ケーキおかわりしていいか?」

優花里「冷泉殿空気読んで……」

逸見の日らしいんで投稿。

ここまでです。





エリカ「優花里、今日の練習来なかったわね。風邪でもひいたのかしら?」

沙織「ゆかりんが戦車道の授業休むって相当だからね。たぶんそうかも」

華「なら、お見舞いにいきましょうか」

エリカ「そうね」





―秋山理髪店―



淳五郎「まさか優花里に友達ができるだなんてっ!!」

好子「ええ、本当に嬉しいわ。あの子、戦車戦車ってうるさいかもだけど、よろしくね」

エリカ「はい、こちらこそ」

沙織「優花里さんにはいつもお世話になってますから」

好子「ふふっ、でもごめんなさい。優花里まだ学校から帰っていないんですよ」

エリカ「え?」

沙織「学校って……」

麻子「サボりか」ボソッ

好子「だからちょっと待っててもらえます?お茶とお菓子くらいは出しますから」







麻子「……」モグモグ

華「麻子さん、ちょっとは遠慮したほうが……」モグモグ

沙織「華、説得力0」

好子「ふふっ良いんですよ。喜んでもらえて嬉しいわ。それじゃあごゆっくり」


バタン


エリカ「……いいご両親ね」

麻子「……」

華「はい、優花里さんのことをとても大事におもっているんでしょうね」

沙織「でも、ゆかりん学校に行ったって……えりりん、何か心当たりない?」

エリカ「……そういえば昨日、『せめてサンダースの編成かフラッグ車だけでもわかれば……』って優花里に愚痴ったわね」

華「それって……」

ガララッ


優花里「よいしょっと」

沙織「ゆかりんっ!?」

優花里「あれ?みなさんどうしたんですか?」

エリカ「それはこっちのセリフよっ!優花里、あなた戦車道どころか学校までサボって何やってたのっ!?」

優花里「サボって……いや、確かにそう思われても仕方ありませんが、私も大切な任務をしてきたんですっ!!」

沙織「任務って?」

優花里「ちょうどいいですっ、皆さんに見て頂きたい物があって……」

華「見てほしいもの?」

麻子「なんだ」





エリカ「―――――なるほどね、サンダースに偵察に行ってたってわけ」

優花里「はいっ!!」

エリカ「偵察はルール上認められているし、それについてはよくやったわ。

    ……でも、最後のサンダースの機甲師団との壮絶な撃ち合いの末、隠し持っていた大日本帝国時代の巨大化薬で

    巨人と化した優花里をサンダースの隊長が戦車での壮絶な特攻で打ち倒し、残った隊員は隊長の意志を胸に刻み

    大洗との一回戦に挑むって下り、明らかにサンダースの手が入ってたわよね?」

優花里「……さぁ?」

沙織「誤魔化し方雑っ!?」

華「ラストの『サンダース!!サンダースッ!!』の大号令はお国柄を感じましたね」

麻子「B級映画甚だしかったがな」

沙織「ていうか、協賛にがっつりとサンダースって入ってるじゃんっ!?」

華「技術協力にサンダース映画研究部も入っていますね」

優花里「いやー向こうの映像技術は凄く勉強になりましたー!!」

エリカ「何を学んできてるのよ……こっちの情報漏らしてないでしょうね?」

優花里「それはもちろんっ!!捕まったときはどうなるかと思いましたが、向こうの隊長のはからいで、無傷で帰してもらえましたっ!

エリカ「……それが余裕なのか、コチラなんて相手にもしていないのか、はたまた隊長個人の性格なのかはわからないけどね」

優花里「あ、でもアリサっていう人にはデータを消すようにせまられました」

エリカ「それが普通よ」

沙織「なら、さすがに編成は変えてくるんじゃ……」

エリカ「それは多分無いわね」

沙織「どうして?」

エリカ「サンダースの基本戦術は数を活かした正面からのぶつかり合い。輌数制限がある一回戦であってもその戦法は今まで変えてないわ

    単純。故にどんな状況でも効果的。むしろ、下手に編成を変えたら私たちに怯えていると取られかねないわ」

優花里「ですね」

沙織「なるほどー。だったら私達でも勝てるかもっ!!」

エリカ「話聞いてた?向こうは編成がバレたって良いのよ。元より正面からこちらをすり潰すつもりなんだから」

沙織「……それじゃあどうするの?」

エリカ「……M4自体はそこまで堅い戦車じゃないわ。Ⅳ号やⅢ突で充分貫ける程度よ。でも、同じ戦車を使い続けてる私たちと違って
    
    サンダースは車両保有数1位の高校。どんな時でもベストな状態の戦車で戦うことができるわ」

優花里「いいなぁ……」

エリカ「数で負けてる私たちに正面からの突破は無理。なら、やることは一つよ。戦力分断からのフラッグ車撃破。

    でもそのためにはもっと戦車が必要ね……」

優花里「三式の乗り手が見つかれば良いんですが……」

エリカ「うーん……」





エリカ「うーん……」

沙織「えりりん昨日からずっとそれだね」

エリカ「しょうがないでしょ……生徒会の連中もまだ乗員を確保できてないのだから」

華「一応、交渉中ではあるそうですが……」

エリカ「そんなちんたらしてる余裕は無いのよ。こうなったら弱みでも握って……

    ってそれじゃあ生徒会の奴らと一緒じゃないっ!?やっぱり私が探すしか……」

沙織「一応私も何人かに声かけてるけど中々ね……」

優花里「私はそもそも友人が少ないので……」

沙織「……世知辛いね」

優花里「……はい」

エリカ「うーーーーーん……」














『やっぱり、戦車はかっこいいな……』










エリカ「―――――今誰か戦車って言ったっ!?」

沙織「え?言ってないよ」

優花里「私も……」

華「私もですが」

エリカ「いえ、確かに聞こえたわっ!戦車かっこいいって!!」

沙織「えりりん、戦車のことを考えすぎてついに頭が……」

華「そんな……」

優花里「おいたわしや……」

エリカ「違うわよっ!!確かに戦車って……こっちからっ!!」ダッ

沙織「ちょっ!?えりりんどこ行くのっ!?」





ダダダキキーッ!!


エリカ「っ!!ここねっ!!」



ガララッ!




ねこにゃー「やっぱり戦車はレオパルト2が一番だにゃー」カチカチ

ももがー「いやいやメルカバMk.4だって負けてないナリ」カチカチ

ぴよたん「それを言ったらチャレンジャー2だって良いってばよ」カチカチ

エリカ「……え?」

ねこにゃー「あれ?逸見さん……?」

ももがー「ねこにゃー殿のご友人ですか?」

ねこにゃー「えっと、クラスメイトの人……逸見さん、どうしたの?」

エリカ「あの、今戦車の話してなかった?」

ねこにゃー「ああ、それならこれだよ……」

エリカ「これって、ゲーム?」

ねこにゃー「ボクたちがやってるネトゲの携帯版なんだ。この人達もネトゲの友達。携帯版が発売したから、いい機会だってこないだ初顔合わせしたの」

ももがー「ももがーももよ!」

ぴよたん「ぴよたんぴよ!」

ねこにゃー「それで……逸見さんもこのゲームに興味があるの?」

エリカ「……ごめんなさい、私の聞き間違いだったわ。私は戦車道の履修者を探していたのよ」

ねこにゃー「戦車道……」

エリカ「邪魔して悪かったわね。とはいえ空き教室でゲームやるならもうちょい声は抑えなさい。……それじゃあね」

ねこにゃー「ま、待ってっ!!」

エリカ「何かしら?」

ねこにゃー「せ、戦車道の履修者求めてるって……」

エリカ「ええ、今度公式戦に出るのだけど人数が足りなくてね。戦車はあるのだけれど……」

ねこにゃー「それ、ボクに乗らせてくれないっ!?ねぇ、ももがー、ぴよたんさん一緒にやらない?」

ももがー「戦車乗れるのっ!?」

ぴよたん「願ってもない話しだっちゃっ!!」

ねこにゃー「あの、逸見さん。そういうことだから私達……」

エリカ「……………遊び気分でもいないよりマシか」ボソッ

ねこにゃー「え?」

エリカ「良いわ。あなた達を戦車道の履修者として受け入れます」

ねこにゃー「わぁ……」

エリカ「ただし、やるからには本気でやってもらうわよ。戦車道は授業の一環なんだから、単位とかの特典分は頑張ってもらうわ」

ねこにゃー「も、もちろん」

ももがー「がんばるですっ!!」

ぴよたん「本物の戦車に乗れるんだなー!」

エリカ「それなら早速今日から練習に参加してもらうわ。必修選択の時間に車庫前に集合よ」

ねこにゃー「はいっ!!」

ももがー「了解ももっ!」

ぴよたん「任せてぴよっ!!」

エリカ「それじゃあ……まずは、あなた達の本気を見せてもらおうかしら?」

『え?』






キュラキュラキュラ

ももがー「ぐぬぬぬぬぅーーー!!」グググ

エリカ「三式遅れてるわよっ!!隊列を崩さないでっ!!」






ダァンダァン!!


ぴよたん「はぁっ、はぁ……」

ねこにゃー「うぅ……」

エリカ「三式、狙いが甘いし装填も遅いっ!!気合い入れなさいっ!!」






チーン



ねこにゃー「せ、戦車って動かすの大変なんだね……」

ももがー「そ、そうだねー……」

ぴよたん「ぴよぴよ……」

エリカ「お疲れ様」

ねこにゃー「あ、逸見さん……」

エリカ「どう?初めて戦車動かした感想は?」

ねこにゃー「大変だね……」

ももがー「シフトレバーが重いってばよ……」

ぴよたん「砲弾も重くて腕がぷるぷるするだっちゃ……」

エリカ「……なら、辞め―――」

ねこにゃー「でも、楽しかった」

ももがー「うんっ!!」

ぴよたん「ずっと、憧れてたからね」

エリカ「……戦車、好き?」

『うんっ!!』


エリカ「……」











『あなた、戦車嫌いなの?』

『……違うよ、戦車は好き。……だけど、戦車道は楽しいって思えないな』

『なら、戦車道を好きになる素質はあるわよ』

『……そうかな』

『私は好きよ、戦車も戦車道も。戦車に乗れることが楽しいし、その上で負ければ悔しいし、勝てば嬉しいわ』

『……』

『でも、一番好きなのは……競い合ってる時。相手が本気で向かってきて、こちらが本気で迎え撃つ時

 戦車と乗員と一体になったような瞬間、私は最高に楽しいわ』

『……エリカさんは凄いね。ちゃんと、みんなと一体にになれるんだから。……私は、そんな風にできないよ』

『なら、今度一緒の戦車に乗りましょう?』

『え?』

『たしかうちってII号戦車があったわよね。あなたが車長兼砲手で、私が操縦でいいかしら?』

『で、でも……』

『あくまで練習の一環よ。あなたの手腕、間近で見せてもらうわ』

『……うん』

『どう?少しは戦車道楽しめそう?』

『……うんっ!』










エリカ「……そう、ならとりあえず合格ね」

ねこにゃー「ご、合格って?」

エリカ「中途半端な覚悟で戦車道やられるといるだけで邪魔だからね。でも、少なくとも戦車が好きならいいわ。……一緒に頑張りましょう」

ねこにゃー「は、はいっ!!」

ももがー「がんばるももっ!」

ぴよたん「やぁーってやるぜっ!!」

エリカ「……とはいえあなた達には体力が足りないわ」

ねこにゃー「そ、それは……ボク達インドア派だから……」

エリカ「体づくりはゆっくりやっていきましょう……って言ってあげたい所だけど、時間がないのよ。だから」パチッ

典子「隊長っ!!お呼びでしょうかっ!!」ズザーッ

ねこにゃー「え?」

エリカ「磯辺さん、彼女たちを一ヶ月間バレー部に体験入部させてもらえない?」

ももがー「え?」

典子「ほ、本当ですかっ!?三人もっ!!?」

エリカ「ええ、運動なんてろくにしてこなかったらしいから、基礎からみっちりやってあげて欲しいの」

典子「任せてくださいっ!!」

ぴよたん「ちょ、ちょっと待ってほしいぴよ!?」

エリカ「幸い、戦車道は授業でバレー部は部活だから時間が被ることはない。昼間は皆と一緒に戦車に乗って基礎を体に染み込ませて、

    休日と放課後はバレー部の特訓に参加してもらうわ」

ねこにゃー「い、いきなりハードな運動は体に良くないって思うなー……」

エリカ「若いんだから大丈夫よ。その辺りのケアも大丈夫でしょ?」

典子「はいっ!!倒れる寸前までやっても、次の日には全快させてみせますっ!!」

エリカ「ほら、大丈夫だって?」

ねこにゃー「で、でもっ!?」

エリカ「戦車、好きなんでしょ?なら、彼女の特訓を乗り越えればもっと好きになれるわ――――頑張りましょう?」ニコッ

ねこにゃー・ももがー・ぴよたん「」

典子「さぁっ!早速練習だっ!!気合い入れていこーっ!!」



ズルズルズル





エリカ「……頑張ってね」




ここまでです。






エリカ「チーム名?」

梓「はい。この間の聖グロ戦で負けたのが堪えたみたいで戦車の色はみんな戻したんですけど、

  それならせめてチーム名とエンブレムで区別できるようにしたいって……」

エリカ「今までどおりABCDEでも区別つくでしょ?」

梓「さ、流石にそれは味気ないかなーって……三式も合流したのでいい機会ですから」

エリカ「……そうね。チーム名やエンブレムで士気高揚を図るのはよくある話だからね。何かいい案はある?」

梓「え!?う、うーん……私達のチームはそうだなぁ……あ!ウサギさんチーム!!」

エリカ「ウサギさんって……どうして?」

梓「M3ってウサギ小屋で見つけたんです!だから、ウサギさんチーム!!可愛くていいかなって」

エリカ「……なるほどね。そういえば大洗の名物はあんこうだっけ?なら、私たちはあんこうチームでどうかしら?」

梓「それ良いですねっ!!」

エリカ「なら、そんな感じで決めておくわ」

梓「よろしくお願いしますっ。ところで……」

ねこにゃー「はぁ、はぁ……も、もう無理ぃ……」

ももがー「もう10周も走ってるぜよ……」

ぴよたん「ぜぇ……ぜぇ……」

典子「ペース落ちてるよー?あと20周頑張ろう!!」

ねこにゃー「む、無理ですにゃぁ……」

典子「うんうん、根性だっ!!」












梓「あの人達は何か悪いことをしたんですか?」

エリカ「……まぁ、今までの怠惰な生活のツケが来てるってところかしら?」






―試合会場―



エリカ「いよいよ当日ね……」

優花里「緊張します……」

エリカ「できる努力はしてきたつもりよ。……って、あら?アリクイさんチームは?」

優花里「アリクイさん……?ああっ、ねこにゃー殿達ですか。そういえばまだ来ていませんね」

エリカ「何やってるのよ……遅刻とかシャレにならないわよ。……って、バレー部もいないじゃないっ!?」

優花里「これは……何かあったのでしょうか?」

エリカ「試合前だって言うのにどこに行ったのよもうっ!!」










『ここにいるさっ!!』








エリカ「っ!?」

優花里「ね、ねこにゃー殿達……それに、バレー部の皆さん……」

エリカ「……遅れた言い訳、聞かせてもらえるのよね?」

典子「……隊長、命令通り仕上げてきましたよ」

エリカ「は?」

典子「……」スッ

エリカ「それって、砲弾?75mmの」

典子「安心してください。これはレプリカです。……重量以外は」

エリカ「えっと……それで?」

典子「遅れたのは最後の仕上げをしていたからですよ、見ててください。……ふんっ!!」ブンッ

エリカ「ちょっ!?何投げてんのよっ!?」

典子「お前達の成長、見せてやれっ!!」

ねこにゃー「……まかせるにゃ」キラッ

ぴよたん「ふんっ!!」バンッ

優花里「ほ、砲弾をレシーブしたっ!?」

ももがー「うりゃぁっ!!」ドンッ

エリカ「それをトスっ!?」

ねこにゃー「……ダッ!!」ダンッ

エリカ・優花里「「飛んだぁ~~~っ!?」」

典子「……決めろっ!!」

ねこにゃー「ッ!!ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」バッシィ!!




ドゴォン!!



ねこにゃー「……」スタッ

エリカ「れ、レプリカだって言ってたわよね?」

優花里「で、ですが爆発音が……着弾点にクレーターが……」

典子「……隊長、言われた通りあいつらにみっちり基礎を叩き込んでやりましたよ」






ねこにゃー「逸見さん、ボクたち逸見さんの期待通りになれたかな」ムキッ

ももがー「辛いこともあったけど、戦車のためにがんばったももっ!!」メキメキッ

ぴよたん「……最高だぴよ」ボッ

エリカ「」

典子「褒めてやってください。あいつら、根性ありますよ」

優花里「え、エリカ殿……」

エリカ「……ふっ、あなた達見違えたじゃない。……あなた達のポテンシャルは私の想像以上だったようね」


『ありがとうございますっ!!』


優花里(いや、想像以上っていうか異常って顔してますけど……絶対あそこまでのポテンシャルは求めてなかったでしょ……)

エリカ「とはいえ、まだ試合はこれからよっ!その鍛え上げた体がハリボテじゃないとこを見せてもらうわっ!!」

『はいっ!!』

エリカ「それじゃあ各員準備に入りなさいっ!!」

『了解ですっ!!』 ダッ!!

エリカ「……ねぇ優花里」

優花里「何でしょうか?」

エリカ「最近のインドア派って、凄いのね」

優花里「……ですね」

アリサ「アンタ達っ!!試合前になにやってんのよっ!?」

エリカ「あなたは達は……」

優花里「アリサ殿にナオミ殿っ!!この間はお世話になりました」

ナオミ「礼は良いさ。うちの隊長がお前のことを気に入ったみたいだしな」

アリサ「それよりっ!今の音、砲弾が暴発したのっ!?」

エリカ「……いや、ちょっと砲弾が落ちてきてね」

アリサ「砲撃を受けたっ!?」

エリカ「いや、ち、違うのよ?ただ、想定以上の結果を受け止めきれてないのは私達も一緒で……」

アリサ「何言ってるかわかんないけど、試合前に怪我人出して試合に影響が出るとかやめなさいよ。

    ……もっとも、弱小チーム相手に試合をするのも時間の無駄だから棄権するなら構わないわよ?」

エリカ「……へぇ?随分と弱気ね。勝ち目が薄いと知って盤外戦術?勝利にこだわるその姿勢は好きだけど、優勝候補にしてはちょっと情けないんじゃない?」

アリサ「なんですって?」

沙織「ちょっと、何騒いでるの」

エリカ「……別に騒いでなんかいないわよ」

ナオミ「すまないな。ところで、大洗の皆さん、もしよかったらうちにこない?交流も兼ねてお食事でも」

沙織「わっナンパだ」

エリカ「いや、なんでわざわざ敵陣になんか……」

杏「いいじゃんいいじゃん。行こ行こ」

優花里「会長殿?」

杏「向こうの誘いをわざわざ無碍にするのもねー」

エリカ「……まぁ、いいか。行ってあげるわよ案内しなさい」

アリサ「なんでそんなに偉そうなのよ……」

沙織「ごめんなさい、えりりんこういう子だから……」

ここまで




優花里「わぁーっ!!救護車にシャワー車、ヘアサロン車まで……」

麻子「いや、ヘアサロン車はいらないだろ」

エリカ「うちはこんだけお金持ってますよって自慢なんでしょ」

沙織「またえりりんはそんなこと言って……」

華「さすがサンダースですね、食事のサイズもアメリカンですっ」モグモグ

沙織「もう食べてるっ!?」

麻子「しかもタダだ」ペロペロ

沙織「麻子までっ!?」   

優花里「右手にハンバーガー左手にホットドッグ……。5段のアイスクリーム……」

エリカ「馴染みすぎでしょ……」

ケイ「ハーイ!大洗のみんなー!!」

杏「やぁ、お誘いありがとう」

ケイ「良いっのよアンジー!」

優花里「ケイ殿っ!」

ケイ「オッドボール監督っ!来てくれてありがとうっ!!」

優花里「そ、その呼び方はちょっと……」

ケイ「あなたの撮影した映画、サンダースの学園艦で人気なのよ?」

優花里「そうなんですかっ!?」

ケイ「ええ、次回作はもっと凄いのを期待するわっ!もちろん、資金提供は任せてっ!」

優花里「はいっ!」

エリカ「あの潜入動画人気なのね……サンダースの人たちの感性はわからないわ……」

麻子「食べ物も映画も大雑把で脂っこいのが好きなんだろ」

ケイ「ハーイ、エリー!あなたも来てくれたのねっ!」

エリカ「ご招待を無碍にするほど礼儀知らずじゃないですよ。ていうかエリーって……」

ケイ「エリカだからエリー。いいでしょ?それとも白雪姫様がいい?」

エリカ「……は?」

ケイ「ダージリンが言ってたのよ、大洗の逸見エリカのソウルネームは白雪姫だって。よく似合ってるじゃないっ!」

優花里「ダージリン殿広めてるんですね……」

沙織「えりりんいいなぁ……」

エリカ「あ、あのドヤ顔紅茶女王なんてことをっ……!?」

ケイ「それで、エリーと白雪姫どっちがいい?」

エリカ「エリーでお願いします」

沙織「ええー?もったいない……」

エリカ「沙織は黙っててっ!!」

ケイ「あははっ、仲いいわねっ!!」

エリカ「そういえば、優花里が世話になったみたいですね、ありがとうございます」

ケイ「良いのよ別にっ!諜報はルール上認められてるんだからっ」

エリカ「……それをわざわざ見逃すのもルールにありましたっけ?」

ケイ「ノンノン!違うわよ、どんなに手の内を暴かれても私たちはいつも通り正々堂々と戦わせてもらうってことよ!」

エリカ「そのフェアプレイ精神、黒森峰でも有名でしたよ」

ケイ「そうなの?それは光栄ねっ」

エリカ「……でも、その余裕が仇にならないといいですけどね」

ケイ「エリーそれは違うわ、フェアプレイは余裕じゃない。正々堂々は私たちの全力勝負なのよ」

エリカ「……甘い事を」ボソッ

ケイ「……エリーの戦車道ってなに?」

エリカ「え?」

ケイ「私にとって戦車道は、勝敗関係なくお互いを高めるためにあるものよ。勝っても負けても試合後はノーサイドっ!

   だって戦車道は戦争じゃないんだからっ!!楽しまなきゃ損。でしょ?」

エリカ「……私は、私の戦車道は―――――」









『間もなくサンダース大付属高校と大洗女子学園の試合を開始いたします。選手はすみやかに集合してください』













エリカ「……時間みたいですね」

ケイ「そうね、さっきの答えは試合後に聞かせてっ!―――――いい試合にしましょう」

エリカ「……ええ」






エリカ「……カメさんチーム、カバさんチーム、アヒルさんチーム、ウサギさんチーム、アリクイさんチーム全員準備はできてる?」

『はいっ』

桃『気の抜けるチーム名だな……』

エリカ「聞こえてるわよ。……それじゃあ作戦の確認ね。説明した通り彼我の戦力差は大きいわ。とはいえ試合はフラッグ戦、相手のフラッグ車さえ倒せばこっちの勝ちよ」

麻子「それができれば苦労しないんだがな」

沙織「麻子っ!」

エリカ「スタート後森に入り相手を誘い出し、敵戦力を分断。その後フラッグ車を誘い出し、隠れたⅢ突で撃ち抜く」

桃『そんなに簡単に行くのか?』

エリカ「……たぶん、簡単にはいかないでしょうね」

桃『それじゃあまずいじゃないかっ!!?』

エリカ「落ち着きなさい桃ちゃん。……今回の鍵はアリクイさんチームよ」

ねこにゃー『えっ?ボク達……?』

桃『桃ちゃん言うなっ!』

エリカ「あなた達の乗ってる三式はM4に対抗するために作られた戦車。おまけにギリギリでの出場登録――――嫌でも相手はあなた達に注目するわ。あれは大洗の秘密兵器では?って」

ねこにゃー『っ……』

エリカ「初試合のあなた達には酷かもしれないけど、今回のあなた達の仕事は生き残ることよ」

ねこにゃー『生き残ること……』

エリカ「そう。相手のM4を正面から倒せる三式は相手にとって脅威よ。だからこそ、あなた達は存在するだけでプレッシャーになるわ」

ねこにゃー『……』

エリカ「一瞬でも相手の意識を反らせればいい。後は他の子達が狩るから。だから、無理に攻撃しないで。あなた達がやられるとしたら最後よ――――フラッグ車である私達は、絶対に生き残るから」

ねこにゃー『はいっ!!』

エルヴィン『頼もしい将だな』

エリカ「以上よ。―――全員、健闘を祈るっ!!」

『了解っ!!』





『試合開始っ!!』










エリカ「パンツァー・フォー!!」









ここまで





エリカ「……全員いるわね。まずは相手戦力を分散させるわ。ウサギさんチームはD55地点に、

    アヒルさんチームはG44地点に偵察に向かって。敵車両を発見次第陽動して分断を図って。撃破は考えなくていいわ」

『了解』

エリカ「残りはこのまま前進。……戦車の数も性能も、練度も相手の方が上。……私たちが勝つのに必要なのは作戦と」

優花里「運。ですか?」

エリカ「……勝利の女神様が微笑んでくれるのを期待するわ」

沙織「なら、えりりんに期待だね」

エリカ「なんでよ?」

沙織「だって、私達の勝利の女神はえりりんだもん」

エリカ「……あなたねぇ、よくそんな恥ずかしいこと言えるわね」

優花里「私は沙織殿の意見に賛成です」

華「私も」

麻子「私は知らん」

エリカ「……ま、良いわよ。女神だなんて言われて悪い気はしないからね」






梓『こちらウサギさんチーム。敵のシャーマン3輌発見』

エリカ「よし、そのまま陽動に入って」

梓『わかりま―――っ!?さ、下がってっ!!』

エリカ「どうしたの!?」

梓『敵シャーマンに発見されたようですっ!!まだ距離はあるはずなのにっ……嘘っ!?もう3輌っ!?』

エリカ「っ!?とにかくそこから離れてっ!!救援を出すわっ!!」

梓『はいっ!』

エリカ「カメさんとカバさんはウサギさんの救援に向かってっ!!ここで一輌失うのは痛いわっ!!」

エルヴィン『了解』

杏『任されたー』

ねこにゃー『あの、ボクたちは……』

エリカ「アリクイさんはこのまま私たちについてきて!下手に敵の前に晒すよりここぞって時に陽動になってもらうからっ!」

ねこにゃー『わ、わかった』






エリカ「まさかこんなに早く見つかるだなんて運が悪いわ……」

優花里「相手は強豪校……偵察の技術も上ということでしょうか」

エリカ「そういうことなんでしょうね」

杏『あー逸見ちゃん逸見ちゃん』

エリカ「どうしたの?」

杏『ごめん、挟み撃ちされてる。ウサギさんチームとは合流できたんだけど、私達の後ろからシャーマン3輌来てね。内1輌はファイアフライ』

エリカ「はああああああああっ!?」

エルヴィン『どうやらこちらの動きは完全に読まれていたようだな』

優花里「ファイアフライを含むシャーマン9輌を森に投入だなんて随分思い切った作戦ですね……」

沙織「えりりんどうするっ!?」

エリカ「っ……挟み撃ちの状況で下手に立ち向かってもやられるだけだわ。木を障害物にしてなんとかバラバラに逃げてっ!!」

『了解っ!』

典子『隊長っ!我々も救援に向かったほうがいいですか!?』

ねこにゃー『い、逸見さんボク達も……』

エリカ「……っ!!」バッ

沙織「えりりん急にどうしたの?」

優花里「外に敵車両がいるんですか!?」

エリカ「……やっぱり。―――アヒルさんチームはその場で待機しててっ!」

典子『しかしっ!』

エリカ「いいからっ!!M4の集団に八九式が突っ込んだところでやられるのがオチよっ!だったらさっき指定した高台でフラッグ車を探してっ!!」

典子『っ……了解』

沙織「えりりん一体……」

エリカ「無線が傍受されてるわ」

沙織「えっ!?ほんと!?」

エリカ「ええ、傍受機が上げられてる」

沙織「ズルじゃん!?」

優花里「いえ、確か無線傍受についてはルールの記載がなかったかと……グレーゾーンってとこでしょうか?」

沙織「でもでもっ!!」

エリカ「……優花里、サンダースの隊長は無線傍受をするような人だと思う?」

優花里「……私の感想としてはそんなことをする人とは思えません」

エリカ「私もケイさんがそんなことをするとは思えないわ」

沙織「それなら誰が無線傍受だなんて……」

エリカ「無線傍受してそれを元に指示を出しているなら、やっているのはサンダースのTOP3のどれか……

    ケイさんは違う。いくらルールに規定が無いからと言ってグレーゾーンな無線傍受なんてするとは思えない」ブツブツ

沙織「えりりん?」

エリカ「なら、あのナオミって人?……いや、そもそも前線に出ている人が傍受なんてする?たとえ主犯だったとしても戦いながら指示をする余裕があるとは思えない。

    だとしたら―――フラッグ車のあいつか」

優花里「エリカ殿、現状ばらばらに行動していますから無線での意思疎通ができないとなると各個撃破の危険が……」

エリカ「……よし」













ぴよたん「ど、どうなっちゃうんだっちゃ……」

ももがー「いきなり大ピンチだぞな……」

ねこにゃー「……あれ?逸見さんが何か……止まれ?」

エリカ「猫田さん聞こえるっ!?」

ねこにゃー「聞こえるよ……」

エリカ「悪いけど時間がないから手短に話すわねっ!!私達の無線は傍受されてるわっ!!」

ねこにゃー「えっ!?」

エリカ「だから現状無線は使えないわっ!」

ねこにゃー「そ、それじゃあどうするの……?無線が使えなきゃ連携なんて……」

エリカ「そうよ。だから、私達でフラッグ車を仕留めるのよっ!!」

ねこにゃー「……え?」







ケイ『アリサ、ごめんなさい。取り逃がしちゃったわ』

アリサ「大丈夫です隊長。大洗の戦車は6輌。内3輌をそちら側に投入したということはフラッグ車を守っているのは三式と八九式。

    八九式なんていないようなものですから実質護衛は1輌ということになります。そのまま逃した車両を追いつつ森を捜索してください」

ケイ『オッケー!』





エリカ『こちらあんこうチーム。各車状況を伝えて』

杏『カメさんチームは生きてるよー』

梓『こちらウサギさんチーム。なんとか生きていますが、カメさん、カバさんチームとは離れてしまいました……』

エルヴィン『上に同じだ』

エリカ『っ……仕方ないわ、こうなったら戦力を集結させて、一点突破。敵フラッグ車を直接叩きにいきます!

    敵が戦力の殆どを遊撃に費やしているなら勝機はあるわっ!!アヒルさんチームはそのまま偵察を続けてっ!

    残りの車両は私達のいるB23地点に集まってっ!!』

『了解!』


アリサ「勝機ですって?……残念だけどそんなものは無いわよ。――――敵フラッグ車はB23付近にいる。

    おそらく戦力を集結させてこちらのフラッグ車に仕掛けてくるわ。先回りしてフラッグ車を仕留めてっ!!」

ケイ『オーケー!でも、相手が仕掛けてくるつもりならこちらも何輌かフラッグ車の護衛に回しましょうか?』

アリサ「いえ、そのままで大丈夫です。相手との距離を考えるとそのままフラッグ車を叩きに行ったほうが早いですから」

ケイ『わかったわ!』







典子「……偵察っていっても敵全然いないなぁ……」

妙子「やっぱり私達も皆のところに行ったほうが……」

典子「いや、隊長はここを指定したんだ。なら、何か意味があるはず……」

ギャギャギャッ

典子「っ敵!?」

キュラキュラ


エリカ「……っと。あ、いたわね」

典子「隊長!?どうして!?」

エリカ「悪いけど説明は後よ。ついてきて」

典子「っはい!!」

エリカ「物分りが良くて助かるわ――――さぁ、反撃開始よ」

ここまで






エリカ『こちらフラッグ車、敵のシャーマンを視認。B23からC25まで後退するわ!みんな、早く来てっ!!』

杏『あいよー』

エルヴィン『今行くぞっ!!』

梓『待っててくださいっ!!』




アリサ「ふっ、逃げても無駄よ。―――敵のフラッグ車はC25地点まで後退したわ!」

ケイ『Really!?なんでそんなことまでわかるのっ!?』

アリサ「サンダースで培ってきた経験と、女の勘ですっ!」

ケイ『ふふっ何それ?まぁいいわ。乗らせてもらうわよっ!!』

アリサ「……無名校が全国大会にでるのがどういうことか、しっかりと味わってもらいましょう」

ダァンッ!


アリサ「きゃぁっ!?砲撃っ!?」






あけび「命中ですっ!!」

典子「よしっ逃げろーっ!!」






アリサ「八九式!?なんでこんなところにっ!?」

操縦手「どうしますっ!?」

アリサ「追いなさいっ!あんなポンコツ私たちだけで充分よっ!!」





妙子「追ってきてますっ!!」

忍「どこまで逃げ切れるかっ……」

典子「隊長が信じてくれてるんだっ根性見せるぞっ!!」

――――
―――
――




エリカ「いい?戦力の殆どを遊撃に費やしてるということはフラッグ車は無防備な状態ということよ。

    本隊から離れた場所にいるでしょうけど離れすぎると今度は自身が攻撃された時に助けを呼べなくなる。

    それを踏まえた上でフラッグ車の位置を予測すると……おそらくここね」


沙織「森の端っこのほうだね……」

エリカ「ここにいられると木々が邪魔で砲撃が通りにくいわ。敵主力が来るまでに終わらせないといけないからここから動いてもらう必要がある」

沙織「それじゃあどうするの?」

エリカ「八九式に引っ張ってきてもらうのよ」

沙織「……つまり、また囮作戦?」

エリカ「……少数で強敵を撃破するには一番効果的なのよ」

優花里「そうですよっ!」

エリカ「アヒルさんチームっ!」

典子「はいっ!」

エリカ「今から言うポイントに敵のフラッグ車がいるわっ!!あなた達にはそいつを平原まで引きずり出してほしいっ!」

典子「なるほどっ!!」

エリカ「相手はM4、そちらは八九式。相手の撃破はまず無理だけどとにかく逃げて、生きて、おびき寄せてっ!!」

典子「任せてくださいっ!!」

エリカ「頼んだわっ!!……典子」

典子「……了解っ!!」


エリカ「それじゃあ各自移動を……」

ねこにゃー「逸見さん、作戦名は?」

エリカ「は?」

ねこにゃー「い、いや、なにか作戦名があるといいなーって」

エリカ「あのね……時間がないって言ってるでしょ」

沙織「いいじゃん、なにか決めてよ」

優花里「少数で大軍をかき回すのですから何かしらの暗号名があったほうが燃えますっ!」

エリカ「……作戦名ねぇ」












『……※※、さっきの作戦はなんなの?』

『え、何かまずい手を打ってた?』

『違うわよ名前よ名前、何よボコボコ作戦って。気が抜けるわ』

『相手を挟み撃ちにして手も足も出させないうちに撃破する作戦だったから……』

『あなた、意外とエグイ事考えるわね……』

『え?可愛くないですか?ボコみたいでっ!!』

『……まぁいいけど』

『なら、エリカさんも作戦名に使っていいよっ!ボコボコ作戦ツヴァイとかっ!』

『遠慮しておくわ』

『そんなぁー!?』








エリカ「……それじゃあ、コッソリ作戦で」

沙織「コッソリ作戦?」

エリカ「この作戦の事を知ってるのは今ここにいる3チームだけよ。敵も味方も欺いてコッソリ勝利を勝ち取りに行くわっ!!」

ねこにゃー「チーム名もそうだけど、逸見さん意外とかわいいネーミングセンス……」

エリカ「あなたが作戦名が欲しいって言ったんでしょっ!?もう、いいから行くわよっ!!」

――
―――
――――



典子「避けろ避けろーっ!!」

忍「っ!!」

あけび「効かなくても挑発くらいにはっ!!」


ダァンッ  ガンッ!


アリサ「はっはーっ!!豆鉄砲が痒いわねっ!!」

砲手「連絡はいいんですか?」

アリサ「あの程度の相手に隊長たちの手を煩わせる必要はないわっ!」








ケイ「アリサの言う通りならそろそろなんだけど……」


ダァンッ!!

ケイ「っ!?みんな、気を付けてっ!!敵は近くにいるわっ!!」





ねこにゃー「んー……やっぱり当たらないか」

ぴよたん「目的は撃破じゃないって言ってたぴよ」

ももが「とにかく、相手を引き付けるももっ!!」

ねこにゃー「そうだね……どんどん撃とう!」


ダァンッ!   ダァンッ!








ケイ『三式のものだと思われる砲撃を確認っ!!』

アリサ「っ!?三式はフラッグ車の護衛。なら、近くにフラッグ車もいるはずです!数で押し切ってくださいっ!!」

ケイ『オッケー!!』




典子「逃げろ逃げろー!!」






アリサ「ちょこまかとっ!!……撃てっ!!」


ドォン! ガァンッ!

シュポッ





典子「痛つつ……」

妙子「やられちゃいましたぁ……」

アリサ「全く、手間取らせてくれたわね。本隊から離れすぎたわ。急いで戻りま――――っ下がって!!」


ダァンッ!!


ドォンッ!




華「っ……」

沙織「外れたっ!?」

エリカ「いえ、避けられたのよっ!!装填急いでっ!!」

優花里「待ち伏せがバレたなら下がったほうがいいのではっ!?」

エリカ「逆よっ!あっちはもう主力を呼び戻しているわ、一対一の今を逃したらもう勝ち目はないっ!!追ってっ!!」

麻子「おう」

エリカ「っ……サンダースの副隊長の肩書は伊達じゃないってことね」

梓『こちらウサギさんチーム、カメさん、カバさんと合流してポイントまで到達しましたっ!!あんこうチーム達はどこですかっ!?』

アリサ「Ⅳ号っ!?なんであんなところにっ!?」

ケイ『アリサっ!38tとM3、Ⅲ突が来たわっ!!だけど、相手のフラッグ車が全然見つかんないんだけどっ!?』

アリサ「すみませんっ!!それは囮だったみたいですっ!!フラッグ車は、Ⅳ号は今目の前にいますっ!!」

ケイ『っ!?すぐ救援に行くわっ!!』











ダァンッ! ダァンッ!!


ナオミ「……チッ、さっきからあの三式傾斜に隠れてなかなか顔を出さないな……」

ケイ『ナオミっ!!それは囮よっ!フラッグ車は今アリサのとこにいるってっ!!三式たちはほかの子に任せて、私たちは戻るわよっ!!』

ナオミ「何っ!?」





ダァン!  ダァンッ!

アリサ「さっさと逃げなさいっ!!合流地点まで行けばあんな奴らボッコボコにできるんだからっ!!」

操縦手「だから連絡しなくていいんですかって聞いたのに……」

アリサ「うるっさいわねっ!!?ほら、こっちもどんどん撃ち返しなさいっ!!」

装填手「傍受機のせいで弾が遠くて……」

アリサ「っ~~~~~!?なんで、なんでなのよっ!!あんな奴らさっさと倒して今頃タカシと電話してるはずだったのにっ!!」

装填手「番号交換してたんですか?」

アリサ「初電話よっ!!やっと番号手に入れたんだからっ!!」

装填手「ほかの人から聞いたんですね……」

砲手「もしくは不正アクセス?」

アリサ「黙って働きなさいっ!!」


ダァンッ!!

エリカ「麻子っ!!絶対に逃がさないでっ!!」

麻子「わかっている」

ダァンッ!!

華「っ……動いている的に当てるのは、今の私にはっ……」

エリカ「華落ち着いてっ!この距離ならどこかに当たれば倒せるわっ!!」

優花里「どういうわけか相手は砲撃に時間がかかっています!!今ならっ!!」





ダァンッダァンッ!!



ケイ『アリサ!ごめんっ、全速力で戻ってるけどもうちょっとかかりそうっ!!』

アリサ「っ……深追いさせすぎた……」

装填手「相手の砲撃、どんどん精度があがってますっ!?」

アリサ「なんなのよあいつらはぁッ!?」

砲手「どうしますっ!?」

アリサ「っ……そうだ、こうなったらっ!!」

梓『先輩っ!?エリカ先輩っ!?今どこにいるんですかっ!?』

沙織「えりりん、返さなくていいの?」

エリカ「今はそれどころじゃないわっ切っといて!!」

優花里「……相手の砲撃が止みましたね」

エリカ「え?」

華「弾切れですか?」

優花里「チャンスですっ!!一気に仕留めましょう」

華「はいっ!!」

エリカ「……っ!?まずい、砲撃待っ―――――」

華「っ!!」



ダァンッ!!



アリサ「今よっ!!」

キキーッ!!

エリカ「急停止っ……冷泉さんっ!!曲がってっ!!」

麻子「っ!!」

ギィイイイイイ!





アリサ「停止射撃ならっ……撃てっ!!」


ダァンッ!!    ダァンッ!!


シュポッ! シュポッ!!








『大洗、サンダース両校のフラッグ車の走行不能を確認、これより判定に入ります』







ここまで






『大洗、サンダース両校のフラッグ車の走行不能を確認、これより判定に入ります』








梓「……え?どういうこと?」


桃「あいつら、どこで何してるんだ?」


左衛門佐「人知れず果し合いでもしてたのか?」

優花里「……相打ちですか?」

華「……こちらは撃っていません」

沙織「え?ならなんで」






『判定の結果、サンダース大学付属高校フラッグ車が先に走行不能と確認。よって、大洗女子学園の勝利っ!!』





沙織「え?………………やった、やったやった勝ったよっ!?勝ったよえりりんっ!!?」

優花里「あのサンダース相手に勝てたんですね私たちっ!!」

華「ですが、誰が相手のフラッグ車を……」

麻子「……あれだろうな」チラッ

沙織「あれって……ん?アリクイさんチーム?なんであんなところにっ!?」

エリカ「直接聞いたほうが早いわね」

沙織「あ、そっか。試合終わったから無線使えるね」

エリカ「猫田さん?」

ねこにゃー『逸見さん?ボクたち、勝てたんだね……』

エリカ「ええ、あなたたちの砲撃のおかげでね。そんなところからよく当てられたわね?」

ぴよたん『足止めしようって適当に撃ったら当たったぴよっ!!』

エリカ「……ていうか、あなたたちなんでそんなとこいるの?敵の主力をおびき寄せるために森の奥にいなさいって言ったわよね?」

ねこにゃー『ほ、ほかのチームが見えた段階で囮は任せてこっちにきたの……コッソリ作戦の事、知ってるのボクたちだけだったから……』

エリカ「……つまり命令無視の独断専行ってことね」

ねこにゃー『ご、ごめんなさいっ!?』

エリカ「黒森峰だったら謹慎10日は食らうわよ?……でも、今回は助けられたわ。よくやった、とは口が裂けても言えないけどね」

ねこにゃー『……うん!』

エリカ「次からはちゃんと命令は遵守しなさいよ。それじゃあ、後でね」

優花里「ねこにゃー殿たちお手柄ですねっ!」

エリカ「……っ!!」ガンッ!!

沙織「わっ!?えりりんどうしたのっ!?」

優花里「エリカ殿、手がっ!?」

エリカ「……負けたわ。完璧に」ギリッ

優花里「そ、そんなこと」

エリカ「猫田さんたちが偶然当ててなかったら負けてたっ!!わかるでしょっ!?」

優花里「それは……」

エリカ「偉そうに指揮して、大口叩いて、その結果がこれ?私は……私にはやっぱり……」

沙織「……えりりんっ!!」

エリカ「……沙織?」

沙織「ほら、手だして。……ちょっと切れてるじゃん!?消毒して、絆創膏貼るから!!もう、女の子なんだからもっと体は大事にしてってばっ!!」

エリカ「……」

沙織「えりりん、さっき言ったこと覚えてる?」

エリカ「……?」

沙織「私たちの勝利の女神はえりりんだって」

エリカ「……ええ」

沙織「えりりんは偶然勝ったことに納得してないのかもしれないけど、えりりん言ってたじゃん相手のほうがずっと強いって」

エリカ「……練度も車両性能も、数も相手が上。普通にやって勝てるわけがなかったわ……」

沙織「でも、私たち勝ったんだよ。偶然でも、たまたまでも、勝ち目がない試合で勝ちを引っ張ってこれたのはえりりんが指揮したからだよっ!!」

エリカ「私が……」

沙織「猫田さんたちだってそう、この試合に猫田さんたちが参加できたのはえりりんが見つけたからなんだよ?」

エリカ「……」

沙織「その猫田さんたちがちゃんとえりりんの指示を聞いて、その上で自分たちで何とかしようって動いた結果なんだよ」

エリカ「それは……」

沙織「えりりん。納得できない気持ちはわかるけど、それでも勝ちは勝ち。喜んだってバチはあたらないって思うな」

エリカ「……そう、ね」

沙織「そうそう♪」

華「ですね」

優花里「はいっ!!」

麻子「結果オーライだ」

沙織「はい、絆創膏貼ったからもういいよ」

エリカ「沙織……ありがとう」

沙織「ん。そうだほかのチームのみんなに連絡しないとっ!?」

エリカ「そういえばそうね」

優花里「アヒルさん、アリクイさんチーム以外は何が起きたかわかってないでしょうしね」

沙織「えっと……あーっ!?」

エリカ「どうしたの?」

沙織「携帯っ!!これ使えば良かったじゃんっ!?」

優花里「あー……確かにチーム内ならメールでの連絡もとくに規定はなかったはず……」

沙織「これでみんな集めればあんなギリギリの試合しなくても良かったのにぃー」

エリカ「……ま、いいじゃない勝ったんだから」

沙織「えりりんがそれを言う!?」

エリカ「っと、ごめんなさい私ちょっと出るわね。ほかの子たちへの連絡は沙織がやっといて」

沙織「えりりん?」





栗毛の少女『……』




エリカ「……言ったでしょ?あなたの策には乗らないって。私は、あなたなんかに頼らない。――――さっさと消えなさい」




栗毛の少女『……』スゥー




今日はここまでで





アリサ「そんな……私たちが一回戦で……」

エリカ「だいぶ堪えてるみたいね」

アリサ「あなた……」

エリカ「……無線傍受するなら次はもっとうまくやりなさい」

アリサ「っ!?気づいてたのっ!?」

エリカ「あからさまにやりすぎよ」

アリサ「……笑いなさいよ。無名校相手に手段を選ばなかったのにまんまとやられたんだから……」

エリカ「……アリサさん、私は――――」

ケイ「アリサっ!!」

ナオミ「アリサっ!!」

アリサ「た、隊長……ナオミ……」

エリカ「―――――あら?遅かったじゃない」

アリサ「隊長……すみません、私……」

エリカ「この子のお陰で勝たせてもらったわ。ありがとう」

ケイ「……どういうこと?」

アリサ「隊長、私、私……」

エリカ「どうもこうもないわ。この子が指示を出しているってのは早い段階でわかってたもの。

    あとはこちらのフラッグ車をチラ見せしつつ、あなた達主力引きつけて、孤立したフラッグ車をドンッ!……まぁ、ギリギリだったけどね」

アリサ「……え?」

ケイ「……そっか。さすがねっ!!完敗よ!」

エリカ「あなたこそ、なんでこんなのをフラッグ車においたの?」

ケイ「アリサがやる気だったからね。それに、私も前線で暴れたかったからよ」

エリカ「そう。なら残念だけどこの子に指揮官の才能は無いわ。卒業までに別の候補を見つけるのをおすすめするわよ」

アリサ「っ……」

ケイ「あははっ、悪いけどアリサはもう私の後に隊長を継ぐって決まってるの」

エリカ「そうなの?なら、来年もサンダースは一回戦敗退ね」

ケイ「……そんなことないわっ!来年のサンダースはもっと強くなる。頼れる後輩が私にはいるんだもの!来年も正々堂々と戦わせてもらうわっ!」

エリカ「お得意のフェアプレイ精神?残念だけど、こいつにそんな才能はないわよ。ご自慢のシャーマン部隊も、ファイアフライも何一つ活かせなかったんだから」


ガシッ



ナオミ「……そこまでにしてもらおうか」

ケイ「ナオミ、ダメよ」

ナオミ「その口をそれ以上開いたら……」

エリカ「……仲良しこよし。ずいぶん楽しそうね?来年は小学生の部で出場すれば?」

ナオミ「お前ッ!!」

アリサ「やめてっ!!!」

ナオミ「っアリサ……」

アリサ「わた、私が悪いのっ!私が、あんな……」

エリカ「……ふん、わかったならいいのよ。悪いけど私たちには次の試合があるの。あなた達と違ってね?さっさと帰らせてもらうわ」

ナオミ「待てっ!!」

ケイ「ナオミ」

ナオミ「っ……」

ケイ「……エリー」

エリカ「……何?」

ケイ「あなた、変わったわね」

エリカ「……ケイさん、試合前に私にこう問いましたよね?あなたにとっての戦車道は何?って」

ケイ「ええ」

エリカ「私にとっての戦車道は―――――勝つことです」

ケイ「……」

エリカ「どんなに戦車が弱くても、どんなに練度が低くても、持てる力をつぎ込んで勝つことです。そうでなきゃ―――――私には何もないから」

ケイ「っ……」

エリカ「……さよなら」スタスタ

ケイ「……さぁ、私たちも戻りましょう!まだ試合後の挨拶があるんだから」






エリカ「あら?いたの」

優花里「は、はい……」

沙織「……」

エリカ「梓達には連絡してくれたのよね?私はちょっと気分が良くないわ。悪いけど、試合後の挨拶は桃ちゃんたちに頼んでおいて」

優花里「あ、はい……」

沙織「……えりりん」

エリカ「何?」

沙織「もう、ああいうのはやめて」

エリカ「……何のことかしら?」

沙織「アリサさんを庇ったんでしょ?無線傍受の事、バレたら大変だって思って……」

エリカ「……さぁね。私はただ、言いたいことを言っただけよ」

沙織「……次は黙ってないから」

優花里「私も……沙織殿と同じ気持ちです。エリカ殿、あまり偽悪的に振る舞うのはやめてください」

華「あのような振る舞いはあなただけではなく、私たちも同じように辛いものです」

麻子「……あまりいいことではないと思うぞ」

エリカ「……考えておくわ」

タッタッタッ



アリサ「待ってっ!!」

沙織「アリサさん?」

エリカ「……何か用?」

アリサ「どうして無線のこと言わなかったのよ」

エリカ「別に、ルール違反ってわけじゃないでしょ?」

アリサ「だったら、なんであんな……あなたが悪者になるようなことっ!!」

エリカ「……試合前に私言ったでしょ?勝利にこだわるその姿勢は好きだって。それに……隊長のためだったんでしょ?」

アリサ「っ……なんで」

エリカ「なんとなくね。黒森峰にいた時にあなた達のデータも入ってたから、あなたの人となりもある程度は。

    尊敬する隊長は最後の大会で、なんとしてでも優勝旗を捧げたかったのよね」

アリサ「……」

エリカ「はっきり言って、今回私たちが勝てたのはたまたまよ。私たちの初撃が避けられた時点で勝ち目はほぼなかった。

    それに最後の砲撃、完全にしてやられたわ……勝てたのは本当に偶然。何百回かに一回の幸運が転がり込んできたから勝てたのよ」

アリサ「無線傍受までしてあそこまで追いつめられてる時点でね……」

エリカ「……アリサさん、あなたの間違いはただ一つ。―――秘密を抱えたまま試合に挑んだことよ」

アリサ「……」


エリカ「隊長を、サンダースを本気で勝たせたいならあなたはしっかりと無線傍受について事前に話しておくべきだった」

アリサ「知ってるでしょ?隊長はそういうことを嫌う人だから」

エリカ「それでもよ。そこで意見をぶつけることを避けたから。この人はこうだからって諦めたから。だから、1輌で……いえ、1人で戦うことになるのよ」

アリサ「……」

エリカ「サンダースの練度と車両で真っ向勝負されたら勝ち目なんて無かった。

    無線を封じられて、連携が取れなくなった状態であなた達の意思疎通が完璧だったら手も足も出なかったわ。

    だけど、偶然に助けられたとはいえ結果は私たちの勝ちだった……紙一重どころかほぼ負けだったけどね」

アリサ「……」

エリカ「ケイさんのフェアプレイ精神は素晴らしいものよ、勝利だけが全てじゃない。真正面から本心でそう言える人はきっと少ないでしょうね」

アリサ「だから、私は隊長についてきたのよ」

エリカ「だから、あなたは1人で動く羽目になった……ケイさんは戦車道に勝敗は関係ないって言ったわ。でもね、勝利は一番わかりやすい慰めになるのよ。大切なものを失っても勝利が残れば……何もかも失うよりましよ」

アリサ「……私は」

エリカ「言っておくけど、無線傍受のこと言うんじゃないわよ。あなたの車両のメンバーもしっかり口封じしときなさい。

    でないと、私のしたことが無駄になるから」

アリサ「……あなた、酷い人ね」

エリカ「よくわかってるじゃない。来年はあなたが隊長なんでしょ?なら、影の一つくらい平然と抱えていられるようにしなさい」

アリサ「エリカっ!あなたは、辛くないの……?」

エリカ「……何のことかしら?」

アリサ「……ごめんなさい。なんでもないわ」

エリカ「そう、それならさっさと戻ったほうがいいわよ」

アリサ「うん……エリカ」

エリカ「何よ」

アリサ「次の試合、頑張ってね」タッタッタ

エリカ「……勝者を応援できる。それも、立派なフェアプレイ精神よ」

沙織「でも、えりりんはアリサさんに重い荷物を背負わせちゃったね」

エリカ「……」

沙織「きっと、あの場で言ったほうが良かったよ。ケイさんだって謝ればすぐ許してくれただろうし」

エリカ「余計なことだったってこと?」

沙織「……わからないよ。えりりんの言う通りルール違反じゃないんだもん。だけど、アリサさんがどう思うかはまた別の話だよ」

エリカ「……そうね」

沙織「……帰ろっか」

エリカ「……うん」



prrr



沙織「電話?」

麻子「私のだ」


pi


麻子「もしもし……え?」

沙織「麻子?」

麻子「はい、はい……わかりまし、た」

沙織「麻子どうしたの?

麻子「……おばぁが、倒れて病院に……」

沙織「えっ!?それじゃあすぐに行かないとっ!?」

華「ですが、ここから大洗まで距離が……」

優花里「学園艦に寄港してもらうにもすぐには……」

麻子「……泳いでいく」

沙織「馬鹿言ってないで!!ちょっとえりりんも何とか言ってってばっ!!」

エリカ「何とかって…………ん?」

沙織「えりりん?」

エリカ「あのヘリは……ならっ、冷泉さん来てっ!!」ガシッ

麻子「なっ、なんだっ?」

エリカ「いいから走ってっ!!」

沙織「ちょ、えりりんどこいくのっ!?……行っちゃった」

連休なので投稿。多分月曜も投下します







まほ「……」

エリカ「西住隊長っ!!」

麻子「逸見さん、こいつは……」

まほ「……お前か。何の用だ」

エリカ「あのっ、私にヘリを貸していただけないでしょうかっ!?」

まほ「いきなり来たと思えば……そんな頼みを聞けるわけがないだろう」

エリカ「隊長!!お願いしますっ!!どうしても今ヘリが必要なんですっ!!」バッ

麻子「逸見さんっ!?」

まほ「いくら頭を下げようと……私が、今のお前の頼みを聞く思っているのか?」

エリカ「……この子の祖母が病院に運ばれたらしくて、一刻も早く連れて行かないとっ……」

まほ「……」

エリカ「お願いしますっ!!隊長が……西住さんが私を恨んでいるのはわかっています!だけど、だけど今回だけは!!力を貸してくださいっ!!」

麻子「やめてくれ……私のためにそこまでしなくてもっ……」

エリカ「黙っててっ!!……西住さん、私にできることなら、何でもします。だから、どうか……」

まほ「……ふっ、くくっ……ははははっ、あははははははっ!!」

エリカ「西住さん……?」

麻子「何がおかしい」

まほ「……ああ、すまない。だがそこのがあんまりにもおかしい事を言うものだから。

   ―――お前が差し出せるものなんて何もないだろ。中身のない偽物が」

エリカ「っ……」

麻子「……いい加減に」

まほ「―――――ねぇ、あなたの名前は?」

麻子「…………冷泉麻子」

まほ「そこのとどんな関係なの?」

麻子「逸見さんとは……友達だ」

まほ「そう。……私は忙しいんだ。これ以上お前たちの話に付き合っている暇はない」

エリカ「そんなっ……お願いですっ!お願いですから……」

まほ「さっきも急に事務局の人に呼ばれたんだ。せっかく帰れると思ったのにまだしばらく残る羽目になるだろう」

エリカ「……え?」

まほ「ヘリも一人で乗ってきたからな。こんな野ざらしでは誰に盗まれるかわかったものじゃない。

   こんなことなら、副隊長も連れてくれば良かった。だが……これも強豪校ゆえの悩みなのかもな」

エリカ「それって……」

まほ「どけ。私はもう行かなければならないんだ」

エリカ「ありがとうございます!!」

麻子「あ、ありがとう」

まほ「何を言っているかわからないな。さっさと散ってくれ」スタスタスタ





バババババ

麻子「逸見さん、ヘリの操縦もできるんだな」

エリカ「黒森峰の時にね。ほかにも船とか飛行船も動かせるわよ?」

麻子「凄いな……」

エリカ「初見で戦車をあれだけ動かせるあなたも大概よ……」

麻子「……なぁ、逸見さん」

エリカ「何?」

麻子「なんで私にここまでしてくれるんだ?さっきの、黒森峰の隊長との関係はお世辞にも良いとは思えなかったが」

エリカ「……そうね、たしかに隊長は私を嫌ってる……いえ、憎んでいるのかもね」

麻子「理由は……言えないのだったな」

エリカ「……ええ。だけど、私にとって隊長は隊長なの。黒森峰から出てった今でも、逸見エリカにとって一番尊敬に値する人よ」

麻子「……」

エリカ「それに、私にはあんなんだけど隊長は優しい人よ?なんだかんだ言ってヘリ貸してくれたじゃない」

麻子「だが、それは逸見さんが頼んでくれたからだ」

エリカ「ほかにヘリ持ってそうな知り合いはいないしね。隊長がたまたま来ていてくれて良かったわ……っと、ほら見えてきたわ降りる準備しときなさい」

麻子「ああ」








バババババ



エリカ「ついたわよ。早くおばあさんのところに行ってあげなさい」

麻子「逸見さん」

エリカ「何?早く行きなさいって」

麻子「――――ありがとう。本当に、感謝してる」

エリカ「……いいわよ別に。だって、私たち友達なんでしょ?」

麻子「……ああっ」

エリカ「なら、気にしないで。また明日ね……麻子」

麻子「……ああ。また明日」






エリカ「……久しぶりに操縦すると結構疲れるわね……」

まほ「……」

エリカ「隊っ……西住さん」

まほ「……今日の試合、たまたま見る機会があった」

エリカ「そ、そうだったんですか」

まほ「……無様な試合だ。無線傍受程度であんなにも追いつめられて」

エリカ「っ……」

まほ「特に、最後のはなんだ?偶然三式の砲撃が当たったから良かったもののあんなのは負けと一緒だ」

エリカ「……私も、そう思っています」

まほ「ああ、指揮も統率もろくにとれないようなお前が戦車道の隊長をしようだなんて、私たちを……西住流を馬鹿にするのも大概にしてほしいな」

エリカ「……返す言葉もありません」

まほ「……なぁ、お前はいつまでそうしているつもりだ?」

エリカ「…………私は、私にはこれしかできません」

まほ「さっきの子、友達だって。まさかお前のような奴に友達がいるだなんて思ってなかった」

エリカ「……あの子だけじゃない。西住さん私、大洗に来て友達がたくさんできたんですっ!もうできないと思っていた戦車道をもう一度始められて、仲間ができたんですっ!」

まほ「だったらなおさらだ。友達を、仲間を騙して、お前は何も思わないのか」

エリカ「っ……だって、だって……私にはもう、この生き方しかできないの……」

まほ「……ああそうか、そうか。……わかったよ。やっぱり私は――――――お前を許せない」





エリカ「……」トボトボ

沙織「あっ!えりりん帰ってきたっ!!」

優花里「どこに行ってたんですか?冷泉殿は?」

エリカ「……たまたまヘリを持ってた知り合いがいたから、乗せてもらったのよ」

沙織「そんな知り合いいるのっ!?」

華「まぁ……」

エリカ「……帰りましょう」

沙織「え?」

エリカ「……疲れたわ」

沙織「う、うん……」





ガチャ

エリカ「……ただいま。って誰もいないか」

スタスタ バフッ

エリカ「……寝るならお風呂入って、着替えないと……でも、疲れたな……」






栗毛の少女『……』






エリカ「っ!?」バッ

栗毛の少女『……』

エリカ「あなた、まだっ……」

栗毛の少女『……』

エリカ「……消えなさい。わかったでしょ?あなたなんかに頼らなくたって私は勝てるのよっ!!」

栗毛の少女『……あ、』

エリカ「っ!?」

栗毛の少女『あなたは……弱い人』

エリカ「っ……ふざけんじゃないわよッ!!?あなたに、あなたみたいな奴がッ!!」

栗毛の少女『私が消えたところで、あなたは何一つ変わらない。変わらなかった』

エリカ「……うるさい、うるさいうるさいっ!!消えろっ消えろおおおおっ!!」

栗毛の少女『……』

エリカ「なんで、なんで消えないのよ……あなたはもう、死んでるのっ!!私が、私が殺したんだからッ!!」

栗毛の少女『……』

エリカ「死んだ奴が、いつまでも縋ってんじゃないわよっ!!!」






栗毛の少女『……』スゥー








エリカ「……」ハァハァ













『だって、私達の勝利の女神はえりりんだもん』















『どんなに戦車が弱くても、どんなに練度が低くても、持てる力をつぎ込んで勝つことです。そうでなきゃ―――――私には何もないから』














エリカ「っ……何が、何が勝利の女神よっ!?何が戦車道よっ!?私はッ!!こんなにも弱くてっ……無様で……空っぽなのに……」







ここまで。次はたぶん木曜で






沙織「んー……えりりん遅いなぁ」

優花里「まだ時間前ですから」

沙織「でも、えりりん時間に厳しいイメージがあるでしょ?」

華「昨日あれだけ頑張ったのですから疲れているのでしょう」

沙織「まだ寝てるのかな?それじゃあ戦車で迎えにいく?」

エリカ「勘弁してよね……」

沙織「あ、えりりん来たね。……ってどうしたの?目、赤いけど……」

エリカ「昨日は色々あったからね。ちょっと寝不足」

沙織「……大丈夫?」

エリカ「私が送っていったんだから最後まで付き合うわよ」

優花里「それじゃあ、お見舞いに行きましょうっ!」





久子「まったくいつまでも人を病人扱いするんじゃないよっ!!」

麻子「実際倒れたんだから文句言えないだろ」

久子「口答えするんじゃないよっ!!だいたいあんたはいつまでそんなだらしない生活を続けるんだいっ!?」

麻子「……最近はちゃんとしてる。学校だってこのペースなら卒業できる」

久子「そういうことを言ってるんじゃないんだよっ!!」









エリカ「……元気なおばあちゃんね」

華「一応入院中のはずなんですけど……」

沙織「おばぁはだいたいあんな感じだよ?」

優花里「私もいつまでもあのように元気でいたいですっ」

久子「だいたいあんたはねっ!!」

麻子「おばぁ、みんなの前であんまり怒鳴らないでくれ」

久子「まったく、口ばっかり達者になって……それで?あんたたちは麻子のなんなんだい?」

麻子「戦車道を一緒に履修している……友達だ」

久子「戦車道?」

華「五十鈴華です」

優花里「秋山優花里です」

エリカ「逸見エリカです」

久子「まぁっ!?あんたなんだいその髪はっ!?」

エリカ「……え?」

久子「そんな若いのにずいぶん苦労してきたんだねぇ……うちの麻子が世話かけてないかい?」

エリカ「いえ、この髪は……」

麻子「おばぁ、逸見さんの髪は元から真っ白なんだよ」

エリカ「そういうことです」

久子「なんだそうなのかい」

麻子「すまないな逸見さん」

エリカ「いいのよ。……大事でないようでよかったです」

久子「ああ、ありがとう。確かあんたが麻子を送ってくれたんだろ?ほら、あんたも礼をいいなさい」

麻子「もう言った」

久子「送ってもらったことだけじゃないよっ!!この子たちはねあんたのことが心配だからわざわざ来てくれたんだよっ!!」

麻子「……うん、わざわざ、ありがとう」

久子「もっと愛想よく言えないのかいっ!」

麻子「……ありがとう」

久子「変わってないよっ!!……まったく、戦車道なんて大変なことにこの子が役に立ってるんかい?」

華「ええ、冷泉さんの運転技術はとても素晴らしいです」

沙織「麻子、初めて乗った戦車をバンバン動かせたんだよ?」

優花里「冷静な判断力、とても素晴らしいですっ!!」

エリカ「むしろ、麻子さんがいなかったら私たちは一回戦を突破できませんでした」

久子「……そうかい。なら、まぁいいさ」






麻子「……じゃぁおばぁ、また来るよ」スタスタ

エリカ「失礼します」

久子「……あんた、ちゃんとご飯食べてるのかい?」

エリカ「え?」

久子「髪だけじゃないよ。年の功ってやつで、目を見ればどんな人生送ってるのかなんとなくわかるのさ

  ――――そんな優しい目をしてるのに、まるで自分が無い。……ずいぶん辛いことがあったんだろ」

エリカ「……そう、ですね。辛いだなんて言葉じゃ足りないくらい……生きているのが不思議なくらい……」

久子「それでも、生きているんだろ?なら、前を向きな」

エリカ「……」

久子「麻子は小学生の時に両親を事故で亡くしててね、そのせいかあんまり人づきあいが得意な方じゃない」

エリカ「そんなことが……」

久子「そんなあの子が沙織以外の友達を作れるだなんて思ってなかったよ」

エリカ「……麻子さんはとても頑張っていますよ。最初は嫌々始めた戦車道でしたが、今はもう私たちに欠かせない、大切な仲間です」

久子「そうかい……あの子は大切な人を失うのを怖がってる。それは、人として当たり前の感情さね」

エリカ「……はい」

久子「それでも前を向いているんだよ。……怠けてばっかでだらしない子だけどね」

エリカ「……麻子さんの事、大切に思っているのですね」

久子「当たり前だよ」

エリカ「……羨ましいです」

久子「……あんたも、いつまでも悲しみに縋ってないでもっと周りをみてみな。あんたが失ったものと同じものはないけれど、きっと悪くないものが見えるだろうさ」

エリカ「……はい」

久子「……年を取ると説経臭くなってしょうがない。引き留めて悪かったね、今日はありがとう……あの子の事、頼んだよ」

エリカ「はいっ」






エリカ「おまたせ」

沙織「あ、えりりんやっと来た。何してたの?」

エリカ「……なんでもないわ」

麻子「トイレか」

華「冷泉さん、もうちょっとデリカシーを……」

エリカ「ほら、さっさと帰るわよ」

優花里「はい」

沙織「せっかく陸に上がったんだしなんかご飯食べてこっ!」

華「ええ、是非ともっ」

優花里「何にしましょうか?」

麻子「甘いものも食べたい」

ワイワイ

ガヤガヤ



エリカ「……」




『いつまでも悲しみに縋ってないでもっと周りをみてみな。あんたが失ったものと同じものはないけれど、きっと悪くないものが見えるだろうさ』








エリカ「そんなもの必要ない。……だって」









エリカ「貴女が、私の全てだったんだから」







ここまで。次は土曜で





桃「貴様ら、この間の一回戦は良くやったと誉めてやろう。だが、まだ試合は続く、気を抜くなよ腰抜けどもっ!!」

柚子「私たち何もできなかったけどね……」

桃「そ、それも作戦の内だったんだ!」

梓「気が付いたら試合が終わってて活躍も何もって感じです……」

カエサル「同感だ」

桃「うぅ……」  

エリカ「そんなことないわよ。あなた達が敵を引き付けてくれたおかげで、相手のフラッグ車を孤立させられたんだから」

梓「先輩……」

エリカ「だから、いつまでも落ち込んでないで桃ちゃんを見習ってシャキッとしなさい」

梓「か、河嶋先輩を見習って……?」

カエサル「……うーむ」

桃「なんでそんな不満げなんだっ!?」

エリカ「……まぁ、気持ちはわからなくわないわ。だけど、これから先誰か一人でも欠けたら私たちの勝利は無いわ。

    あなた達全員が勝利の鍵だって事をもっと自覚しなさい」

梓「……はいっ!」

カエサル「そこまで言ってくれるのなら」


エリカ「……なんだか暑苦しくなっちゃったわね。桃ちゃん、続けていいわよ」

桃「偉そうに……いいかお前たち、次の相手のアンツィオ高校はノリと勢いだけだなんて言われている。だが、言い換えれば調子に乗られると危険だということだっ!!」

沙織「アンツィオってどんな高校なの?」

エリカ「イタリア系の私立ね。確か、戦車道チームの立て直しのために安斎千代美って人を招聘してたわ」

沙織「スカウトされたってこと?それじゃあ強いの?」

エリカ「実力としてはまだまだ優勝レースに入れるほどではないわね。でも、安斎さん自身は優秀な人だと聞いているわ。

    アンツィオの戦車道チームも安斎さんが入ったここ3年でだいぶ実力をつけてきているらしいし」

優花里「一人で立て直しを図るだなんて凄いですね……」

エリカ「ええ、油断ならない相手よ」

桃「逸見の言う通りだ。そして、今日皆に集まってもらったのはそれが関係している」

梓「なんですか?」

桃「お前らっ!!戦車を探すぞっ!!」

柚子「……桃ちゃんいきなりそれじゃ意味わかんないよ?」

桃「桃ちゃん言うなっ!!準決勝からは参加可能車両数が15輌になるっ!今後のことも考えると戦力の増強は急務だっ!!」

エリカ「なるほど、だから戦車探しってわけね。それで?今回はちゃんとヒントはあるの?」

柚子「この間学校の戦車道関連の資料を調べてたら、今ある戦車以外にも形跡があったの。

   詳しい場所までは分からないけれど、いくつか場所を絞れたよ」

エリカ「なんだ。それなら何とかなりそうね」

桃「だ、だから怒るなよ……?」

エリカ「……あの時はあなた達がろくに仕事もせずに人にぶん投げようとしたから怒っただけ。

    ちゃんとしてるなら何も言わないわよ」

沙織「えりりんいつも怒ってると思われてるんだね……」

桃「とにかくっ!!各員、気を引き締めて捜索にあたるようにっ!!」

エリカ「それじゃあ早速班分けをして探しに行きましょう。桃ちゃんは私と一緒の班ね」

桃「だから桃ちゃん言うなっ!!……って、私もかっ!?」

エリカ「捜索に人手はいくらあっても足りないでしょう?」

桃「い、いや、私は戦車道の資料を調べなくては……何かヒントがあるかもしれないし……」

柚子「それは私と五十鈴さんに任せて、桃ちゃんは戦車探しに行って」

桃「な、なんで五十鈴なんだっ!?私だって書類を調べるくらいは……」

柚子「えー?桃ちゃん見落とし多そうだからいいよー。五十鈴さん、お願いね?」

華「河嶋先輩、ここは私に任せてください」

桃「そんなっ!?」

エリカ「はいはい、ぐちぐち言ってないでさっさと探しに行くわよ桃ちゃん。まずはどこから探す?」グイッ

桃「ひ、引っ張るなっ!?た、助けて柚子ちゃあああああんっ!!?」ズルズルズル

エリカ「班分けは頼んだわよー!」








優花里「行っちゃいましたね……」

沙織「えりりん普段は桃ちゃん先輩への当たり強いわりに、気に入ってるっぽいんだよね」

優花里「聖グロとの練習試合での活躍を評価しているんでしょうか」

華「もしくは河嶋先輩の打てば響く性格がエリカさんの琴線に触れたのかも」

沙織「好きな女子をいじめる小学生男子じゃないんだから……」





桃「何故私まで駆り出されるんだ……」

エリカ「いい加減諦めて探しなさい。なんなら会長も連れてくるわよ?」

桃「会長の手を煩わせるわけにはいかない!さっさと探すぞ逸見っ!」

エリカ「……ねぇ、桃ちゃん」

桃「なんだ?」

エリカ「なんであなたは会長の事を尊敬してるの?」

桃「愚問だな。お前は来たばかりだから知らないのだろうが会長は偉大な方だ。学園のため、ひいては学園艦のために日夜尽力している」

エリカ「そうは見えないけどね」

桃「見せていないだけだ。生徒には余計な苦労は見せずに学生生活を楽しんでもらいたい。それが会長のお考えなのだから」

エリカ「その割には、私に無理やり戦車道をさせようとしてたわね?」

桃「うっ……それは、仕方がない理由があって……」

エリカ「もしも私が戦車道が嫌でしょうがなくて、なのに自分の意志を出せないような子だったらどうなってたでしょうね?」

桃「……すまない。それでも、私たちにはお前が必要だったんだ。たとえお前の意志を無視してでも」

エリカ「……情熱的ね。いいわ、許してあげる。あなた達の事情は知ってるもの」

桃「……すまない」

エリカ「いいわよ。こっちこそ意地悪言って悪かったわね」

桃「……なぁ逸見」

エリカ「何?」

桃「お前はなんで大洗に来たんだ?」

エリカ「ずいぶんな言い方ね」

桃「茶化すな。以前お前が言ってたことだ、大洗に来たのは不本意だと」

エリカ「……よく覚えてるわね」

桃「会長はその事について何も教えてくれなかった。それはつまり、何かあるということだ」

エリカ「……ええ、その通りよ。桃ちゃん私はね、黒森峰を追い出されたの」

桃「それは……何故だ」

エリカ「……誰かを助ける力も、差し伸べられた手を掴む勇気も無かったからよ」

桃「……具体的じゃないな」

エリカ「……桃ちゃん、あなたは自分を嫌いになった事がある?」

桃「急になんだ」

エリカ「いいから、答えて」

桃「……あるさ。力不足なこの身を悔やんだことなんて数知れない」

エリカ「そう。……私もよ。私がもっと強ければ。私がもっと賢かったら。違う選択肢を選べて違う未来があったのかもしれない」

桃「……大洗に来たのは今でも不本意なのか?」

エリカ「……わからない。というより、それを決める事ができないの」

桃「なんなんだそれは。お前の事だろうに」

エリカ「……ええ。そうね……大会が終わったらゆっくり考えるわ」

桃「そうしろ。こっちも今は大会に集中してほしいからな」

エリカ「桃ちゃん」

桃「なんだ」

エリカ「……なんでもない」

桃「……?」

エリカ「さ、捜索再開よ」

桃「あ、待て置いてくなっ!?」






エリカ「……で、結局見つけたのが」

優花里「Ⅳ号に使える長砲身とルノーB1bis、それに……ポルシェティーガーですね」

エリカ「ポルシェティーガーねぇ……」

桃「なんでそんなに残念そうなんだ」

エリカ「いや、長砲身とB1bisは良いのよ。特にB1bisは装甲に不安のある私たちにとって貴重な重戦車よ。

    でも、ポルシェティーガーかぁ……」

桃「何が不満なんだ?」

優花里「何と言いますか……ポルシェティーガーは乗る者に技量を求められるというか、その……」

エリカ「はっきり言ってやりなさい、まともに走らせるのも難しい失敗兵器だって」

桃「そうなのかっ!?」

優花里「いえっ、決して弱いわけではなく、堅くて強いっ!っていう戦車の王道な性能に対して、エンジン回りが劣悪を通り越していまして……」

桃「……使えるのか?」

優花里「……マニア垂涎の一品ではありますが、正直乗りこなせる乗員がいるとは……最悪スタート前に行動不能もあり得るかと」

エリカ「適当にレストアしてもらった後に売って別の戦車買いましょう。数の少ないレア物ではあるから、どこかしら買ってくれるでしょ」

優花里「えー?もったいないですぅ……」


エリカ「そんなこと言ってられないでしょ。とりあえず買い手を探さないとね」

桃「確かこれはドイツの戦車だったな。なら黒森峰が学術的資料として買い取ってくれないだろうか?」

エリカ「……その交渉、やるとしたら黒森峰に顔知られてる私も行くでしょ?追い出された奴が今度は失敗兵器を買い取ってってやってきたら、私だったらぶっ飛ばすわよ?」

優花里「むぅ……どうしましょうか」

エリカ「とりあえずネットで買い手を募集しましょうか」

???「その必要はないよ」

エリカ「誰っ!?」

ナカジマ「私、私。自動車部の中嶋だよ」

エリカ「中嶋さん?」

ナカジマ「艦内で見つかったあの戦車だけどさ、私たちに乗らせてよ」

エリカ「自動車部がってことですか?」

ナカジマ「そうそう、普段から戦車を整備している私たちならあの子も乗りこなせると思うよ?」

エリカ「……あれはそんじょそこらの戦車とは違いますよ?」

ナカジマ「そうみたいだね。だからこそ、レストアのし甲斐があるよ。どう?」

エリカ「……あなた達が本当にあれを動かせるなら、堅牢な装甲と、88㎜<アハト・アハト>を持つポルシェティーガーは、間違いなく私たちにとって重要な戦力になります」

ナカジマ「なら、いい?」

エリカ「はい。……お願いします」ペコッ

ナカジマ「ん、任せてよ。回収から修理まで丁重にやらせてもらうよ」

次は木曜で





―生徒会室―


桃「アンツィオはイタリア系の学校だ。先の一回戦においても使用した車両はCV33とセモベンテだった」

麻子「急に呼び出したかと思ったら作戦会議か」

華「CV33、可愛くて私好きですっ」

エリカ「機銃しか付いてないから戦車を倒すのはまず無理だけどね」

沙織「そんな戦車入れてるのに一回戦勝ったんだ」

エリカ「……まぁ、それについては数の少ない私たちも大概だしね。とはいえ、相手の指揮官が優秀なのは間違いないわ」

桃「話を聞けっ!……アンツィオが新型戦車を導入したという話もある」

沙織「新型?どんなのですか?」

桃「それは……不明だ」

エリカ「一回戦に出してないってことは秘密兵器って事でしょう」

杏「だろうね。でも、多分もうすぐわかるよ?」

エリカ「は?」

バンッ

優花里「秋山優花里、ただいま戻りましたっ!!」

沙織「ゆかりんっ!?」

エリカ「その恰好……通りでいないと思ったわ……」

杏「おかえりー」

優花里「みなさんおそろいのようで、それじゃあ早速試写会ですっ!!」








~~~~~~~~~~~~~~~~

  『サンダーフォース』

~コロッセオに封じられし秘宝~


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ケイ『はーい♪私の名前はケイ!特殊部隊サンダーフォースのリーダーよ♪』

ナオミ『……』

ケイ『この子はナオミ、寡黙で冷静な狙撃の名手よ!2キロ先の硬貨を撃ち抜けるぐらいの腕の持ち主なのっ!!』

アリサ『リーダー、遊んでないで準備してください』

ケイ『この子はアリサ。電子兵装のプロフェッショナル。どんな強固なプロテクトも彼女の前では何の意味もないわ。

   ちょっとずる賢いのと好きな男の子を前にするとアガっちゃうのが玉に瑕ね』

アリサ『関係ないでしょっ!?』

ケイ『そんな私たちが今回潜入するのは武装組織アンツィオ。巨大艦丸々一つを占領している危険な組織よ。

   私たちに下った指令はそこのコロセウムに隠されてる新型兵器の情報の入手、可能であれば破壊よ』

アリサ『……そんなに簡単に行くのでしょうか?』



ケイ『問題ナッシング!そのための助っ人なんじゃない!そうでしょ、Ms.オッドボール?』

オッドボール『ふっ、その通り』

ケイ『サングラスで正体を隠しているこの子はMs.オッドボール。今回の作戦のために上が寄越した助っ人よ

   怪しい風貌、あからさまな偽名。だけど腕は確からしいわ。アンツィオへの潜入のカギはこの子が握っているとも』

アリサ『こんなやつ、本当に信頼できるんですか?』

オッドボール『もらった金の分は働かせてもらうさ』

ケイ『期待しているわっ』

ナオミ『ケイ、そろそろアンツィオの上空だ』

ケイ『オッケー!みんな、行くわよっ!!』


アリサ『パラシュート降下の訓練はしてきたけど……』

オッドボール『怖いならこのまま帰ってもいいぞ?』

アリサ『っ!?うるさいわねっ!!』

ナオミ『オッドボール、あまりアリサをいじめないでやってくれ』

アリサ『いじめられてなんかないっ!!』

ケイ『みんなっ!準備は良い?それじゃあ、行っくわよー!!』


バッ



ケイ『イヤッホオオオオオオオオオオオオオオゥ!!』















『こうして私たちはアンツィオの野望を食い止めることができた。しかし、そのために払った犠牲は……決して小さくない』







ケイ『……』

アリサ『オッドボール……いえ、ユカリの死を無駄にしないためにも、私たちは生きないとね』

ナオミ『ああ。……っと、ケイ!!』

ケイ『……何?』

ナオミ『大統領の奴から直々の指名だ。私たちの力が必要だってさ』

ケイ『……そう、なら行きますかっ!』



『どうやら私たちに安息の時は来ないらしい。でも、それでいいのかもしれないだって私たちは――――』




ケイ『サンダーフォース、出動よっ!!』






~FIN~


エリカ「……」

pi!

エリカ「……ねぇ、私は何を見せられ―――」

沙織「面白かったっ!」

華「オッドボールさん……運命に翻弄される中でそれでも友との友情に殉じたのですね……」

優花里「オッドボール゛う゛ぅぅぅぅぅっ……!!」ウルウル グスグス

杏「いやーなかなか面白かったね」

桃「っ……」ウルウル

柚子「ほら桃ちゃん、涙拭いて」

エリカ「……え?」

麻子「……相変わらずの脂っこい内容だったな。見ていて胃もたれするかと思った」

エリカ「麻子っ!」パァァッ

麻子「だが……ふっ、たまにはこんな映画もいいかもな」

エリカ「え?」

パゾ美「私はもっとしっとりとした恋愛物が好みですね」

エリカ「誰?」

パゾ美「パゾ美です」

エリカ「……誰っ!?」

杏「おーパゾ美じゃん、そど子は?」

パゾ美「そど子は月末の書類整理で忙しいとのことで私が来ました」

杏「そっかぁ。……まだダメそう?」

パゾ美「……もうちょっとってとこですかね?」

杏「……おっけぇ。今度は私がそっち行くよ」

パゾ美「お待ちしてます」



バタン


エリカ「……結局誰なのよ」

優花里「エリカ殿おおっ!!オッドボール殿は素晴らしい方です゛よ゛ね゛え゛え゛え゛え゛!!」

エリカ「あー鬱陶しいっ!!」






エリカ「……で?さっきのB級映画はなんなのよ。見たところまたサンダースに協力してもらったみたいだけど」

優花里「はいっ!!アンツィオに潜入するって話をケイ殿にしたら是非私の2作目を撮って欲しいと」

エリカ「あの人たちも暇ね……」

優花里「いやー監督兼役者は初めてでしたが上手くできました!!サンダースは映像技術だけじゃなくて演技指導も素晴らしいものでしたっ!!」

エリカ「相変わらずあなたは変な方向での才能を開花させてるわね……」

優花里「いやぁ……」テレッ

エリカ「褒めてない……わよね?」

華「映画の中でアンツィオの学園艦が爆破されてましたが大丈夫なのですか?」

優花里「あはは、あれはもちろんCGですよっ!」

華「ならよかったです」

エリカ「アンツィオ高校を完全に悪役にしてたけど大丈夫なの?」

優花里「ちゃーんと許可はとってますよノリと勢いが強みなだけあって話の分かる方々でしたっ!」
    
     ―――で、潜入結果ですが、見てもらった通りアンツィオの秘密兵器はP40でした」

エリカ「それを口頭で伝えてくれれば私の120分の浪費は5秒になったでしょうね……」

沙織「P40ってどんな戦車なの?」

エリカ「え?……うーん、普通の戦車ってとこかしら」

沙織「普通の戦車?」

エリカ「それなりの装甲にそこそこの火力。そして微妙なエンジン。総合評価で平均点ぴったりって感じ」

沙織「……強いの?」

エリカ「装甲はともかく火力については75㎜長砲身だからそれなりのものよ。エンジンもレストアしているでしょうからそこまで悪くはないでしょうし、

    豆戦車のCV33と突撃砲のセモベンテが主力のアンツィオにとっては唯一の『戦車』ってことね」

沙織「そうなんだぁ。……勝てるかな?」

エリカ「……正直、わからないわね。確かに相手の構成車両の大半は豆戦車だけど、数は揃ってる。

    対して私たちは6輌しかないわ。数と質の差はほぼ同等。そこにP40が加わったとなると……」

桃「おい、今から弱気じゃ困るぞっ!」

エリカ「……何にしても相手の事を調べるのが先ね。特にP40は私も実物を見たことがないから一度詳しいスペックを知っておきたいわ」

杏「なら歴女チームのとこにいってみなよ。詳しい資料持ってるかもよ?」

エリカ「歴女チームが?」







エリカ「たぶんこのあたりのはずだけれど……」




カラ゙ンッ!  カラ゙ンッ!



エリカ「この音……」












カエサル「ッ!!」グイッ


ガランッ!!


カエサル「っ……はぁ、はぁ……」

エリカ「精が出るわね」

カエサル「隊長?」

エリカ「ごめんなさいね、呼んだのだけど誰も出ないから」

カエサル「ああ、気にするな」

エリカ「そう?それにしても炎天下の中ずいぶん頑張るわね。この練習装置わざわざ作ったの?」

カエサル「ああ。……先のサンダース戦で我々は何の役にも立てなかったからな」

エリカ「そんなことないわよ。あなた達やウサギさん、カメさんチームが敵の主力を引き付けていたから勝てたのよ」

カエサル「何が起きたのかわからないまま終わり、勝利を喜べと言われても納得できないさ。一年生チームも同じ気持ちだろう」

エリカ「……」

カエサル「次のアンツィオ戦、今度こそ私たちは役に立って見せる。そのための練習ならば、苦にはならないよ」

エリカ「……」










『エリカさん、そろそろ帰ろうよー』

『帰るならあなただけ帰りなさい。私はまだ練習したりないんだからっ!!』

『そうはいってももう暗いよー?昼間だって練習があったんだから』

『……私は、あなたと違って自分に甘くないのよ。どんなにきつい練習だって、勝利のためなら苦じゃないわっ』

『でも、あんまり遅くなるとお姉ちゃ、隊長が怒られちゃうんだよ?』

『うっ……』

『それに、努力と無茶は違うっていつも隊長言ってるでしょ?エリカさん、隊長の事尊敬してるのに隊長の言うこと聞けないの?』

『ぐぅっ……』

『だから、ほら。着替えてもう帰ろう?練習は明日だってできるよ』

『……わかったわよ』

『うんっ!あ、エリカさん、帰りにコンビニ寄ろう?新発売のスイーツみたいのっ!』

『嫌よ。あなたコンビニ行くと普通に30分くらい居座るんだもの』

『えーっ!?お願いっ!20分ぐらいにするからっ!!』

『あんまり変わってないじゃない……10分にしなさい』







エリカ「……なら、次の試合期待させてもらうわ」

カエサル「ああ、見ていてくれ」

エリカ「……筋力を付けたいならバレー部に体験入部してみたらどう?きっと喜ぶわよ」

カエサル「い、いや、さすがにあそこまでは……ていうかあれは筋肉とかじゃなくて別のエネルギーだろ……」

エリカ「同感よ……バレーボールって何なのかしら?」

カエサル「……わからん」

エリカ「……深く考えるとバレー部の闇に触れそうだから止めておきましょう」

カエサル「ああ……会長から話は聞いてる。せっかくだ、ゆっくりしていくといい」

エリカ「そうさせてもらうわ」

ここまで。次土曜





沙織「いよいよ2回戦だねっ」

エリカ「不安は残ってるけど、とれる対策はすべて取ったと思うわ。勝敗を決めるのは……」

優花里「戦術と腕。あと運ですか?」

エリカ「……今回は運が入る要素はほぼないわ。将棋のようにお互いが考える最善手を打ち続けて先に相手を上回れば勝ちよ」

優花里「なら、私たちは駒ですか?」

エリカ「その言い方はちょっとあれね……まぁ、命令をしっかり聞いてくれる優秀な兵士はありがたいけど」

沙織「私たちは兵士じゃないもん」

エリカ「言葉の綾よ。それに、戦車道は戦争じゃ―――」







『だって戦車道は戦争じゃないんだからっ!!楽しまなきゃ損。でしょ?』





エリカ「……」

沙織「……えりりん、やっぱりケイさん達ともう一度――――」


ブロロロロロッ


アンチョビ「たーのもーー!!」

カルパッチョ「たかちゃーん!!」

カエサル「ひなちゃんっ!!

杏「おーチョビ子ー。何の用?」

アンチョビ「チョビ子じゃないっアンチョビだっ!!試合前の挨拶に来たっ!」

エリカ「挨拶?わざわざご苦労なことですね」ヒョコッ

アンチョビ「おー、お前があの『大洗の白雪姫』逸見エリカかっ!」

エリカ「……それ、誰が広めてるんですか?」

アンチョビ「ん?お前たちとの試合が決まった後に聖グロのダージリンがうちに来てな。お前のことをえらく買ってたぞ」

エリカ「あんの似非英国人……一度あいつらの学園艦に強襲をかけようかしら。紅茶を全部海に投げ捨てれば堪えるでしょ」

優花里「それ、なぜかサンダースと聖グロの戦争になりそうなんでやめてください……」

アンチョビ「そうだぞ。食べ物は大切にするんだっ!」

エリカ「まぁいいわ。申し遅れました、大洗の隊長を務めている逸見エリカです。安斎さんの評判は私も耳にしていますよ」

アンチョビ「そんなかしこまらなくていいぞ」

エリカ「いえ、その……先日はうちの秋山が失礼したようで……」

アンチョビ「ん?あーあれかっ!!いやむしろお礼を言いたいくらいなんだよ」

優花里「どういうことですか?」

アンチョビ「あの映画がサンダースで上映された後うちの学園艦がいわゆる聖地になったらしくてな、サンダースの生徒が観光客として来てくれるようになったんだっ!」

エリカ「そ、そんなに人気なんですか?」

アンチョビ「ああっ!音響にこだわった爆音上映や4DXも始まってるらしい。おかげさまで観光地として名が上がって、うちの財政はかなり助かってるんだ」

エリカ「あなたいつのまにか学園艦一つ救ってたのね……」

優花里「そういえばアンツィオから感謝状が届いてましたね」

アンチョビ「今度は客として来てくれっ!全力でもてなすからなっ!」

優花里「はいっ!!」

アンチョビ「それにお前もだ逸見っ!」

エリカ「私ですか?」

アンチョビ「サンダースとの試合、私も見たが凄かったなっ!」

エリカ「……ギリギリの勝負どころか運が味方しての辛勝。褒められるようなことは何も……」

アンチョビ「何言ってんだっ!戦車道を復活させたばかりで、車両もそろってないような高校が、強豪校相手に勝ったんだぞっ!?

      それも相手のフラッグ車だけを仕留めるだなんて、最小の労力で最大の成果!これを凄いと言わずになんというっ!?」

エリカ「そ、そうですか?」

アンチョビ「ああっ!!運がなんだっ、それを引っ張ってきたのはお前たちなのだから。お前も胸を張れ、そしてチームの子を褒めてやれ!!」

エリカ「……はいっ、ありがとうございます」

アンチョビ「今日は正々堂々と勝負だ。試合、楽しもうなっ!」

エリカ「はい、よろしくお願いします」

アンチョビ「覚悟しとけよ?アンツィオは弱くないっじゃなかった強いんだからなっ!!」

エリカ「ええ、こっちだって」

アンチョビ「それじゃあなっアリヴェデールチ!!」

カルパッチョ「たかちゃん、それじゃあまたねっ!」フリフリ

カエサル「うん、またねっ!!」フリフリ



ブロロロロロッ……


エリカ「正々堂々楽しもう……か。ケイさんみたいなこと言うのね」

沙織「そうだね」

エリカ「同じように戦車を揃えるのに苦労してて、同じように努力して勝利を目指しているのに、

    安斎さんと私で、ああも違うものなのね……」

沙織「……えりりん」

エリカ「さ、もうすぐ試合開始よ。戦車に乗りましょう」

沙織「……うん」






エリカ「みんな、準備はいい?」

梓『はいっ!』

エルヴィン『ああ』

杏『おっけーだよー』

ねこにゃー『準備完了、だよ』

典子『できてますっ!』

エリカ「よし。試合開始したらアヒルさんとウサギさんに十字路の偵察に行ってもらうわ。

    アンツィオの基本戦術は機動戦。動きやすい環境を作られないように注意しなさい」

『はいっ!』

エリカ「ほかのチームはいざ敵と対面しても落ち着いて動きなさい。相手主力のCV33は機動力こそあれど武装は機銃のみ。

    深追いしてセモベンテやP40の前に引きずり出されないようにね」

『了解』

エリカ「……鈴木さん」

カエサル『なんだ?』

エリカ「………………あなた達には期待してるわ」

カエサル『……隊長はプレッシャーをかけるのが上手いな』

エリカ「ち、違っ、そんなつもりじゃ……」

カエサル『ははっ、わかってるさ。……期待に応えるのが将の仕事だ。見ていてくれ』

エルヴィン『この75㎜長砲身が飾りでないということを見せてやろう』

左衛門座『殿は任せろっ!』

お良『それ逃げてるぜよ……』

エリカ「ふふっ……ええ、頑張って。私たちも頑張るから」

カエサル『それとだ』

エリカ「何?」

カエサル『私の事はカエサルと呼んでくれ。元々ソウルネームは伊達や酔狂でつけたものだが、今は私たちの覚悟の証なんだ。偉人の名を語る以上、我々は負けるつもりはないというな」

エリカ「……そう。そっか……名前に、覚悟を込める。なるほどね」

エルヴィン『お、隊長も意外といける口か?』

おりょう『ならこの試合が終わったら私たちからソウルネームをプレゼントしてやるぜよ』

左衛門座『何か希望はあるか?』

エリカ「遠慮しておくわ」

カエサル『そうだぞ。隊長にはすでに大洗の白雪姫というソウルネームがあるからな』

エリカ「勘弁してよ……私は逸見エリカって名前がいいのっ!」

エルヴィン『残念だな』

エリカ「ほら、そろそろ始まるから。――――頑張りましょう。カエサル、エルヴィン、おりょう、左衛門座。……これでいい?」

『ああっ!!白雪姫殿っ!!』

エリカ「だからやめてってばっ!?」








『試合開始っ!!』







エリカ「パンツァー・フォー!!」




アンチョビ「アーヴァンティッ!!」


ここまで。次は火曜で






アンチョビ「……逸見エリカ。聞いていた話よりずいぶん元気だったな。いい事だ……本当に」

ペパロニ『マカロニ展開完了しましたっ!』

アンチョビ「よし、それじゃあ作戦開……ペパロニ、ちょっといいか?」

ペパロニ『何ですか姐さん』

アンチョビ「マカロニ、何枚設置した?」

ペパロニ『何言ってんすか、全部ですよっ!』

アンチョビ「……はぁ。二枚回収しろ」

ペパロニ『えー?せっかく設置したのに何でっすかー』

アンチョビ「あのなぁっ!全部設置すると11枚だろっ!?10輌しか参加できないのにそれじゃあすぐにバレるだろっ!!」

ペパロニ『なるほど~!さすが姐さん頭良いっ!!』

アンチョビ「何度も言ったのに何で覚えてないんだお前はー!?」






典子『こちらアヒルさんチーム、カルロヴェローチェ3輌、セモベンテ2輌発見。隊長の予想通りです』

梓『こちらウサギさんチーム、カルロヴェローチェ3輌、セモベンテ1輌が陣取ってます』

エリカ「もう十字路を押さえられてる。さすがね……」

優花里「目的は手薄な中央を突破させて包囲することですかね?」

エリカ「それでしょうね。でも……アンツィオにしてはずいぶん堅実な作戦ね」

優花里「ノリと勢いだけじゃないってことを見せたいんでしょうか」

エリカ「かもしれないわ。相手のほとんどが十字路の制圧に出向いているのならこちらも持久戦で行きましょう。アヒルさんチームをP40の捜索に当てるわ」

桃『そんなのんびりして大丈夫なのか?』

エリカ「待つのも戦いよ桃ちゃん」

桃『桃ちゃん言うな』






エリカ「……動かないわね」

沙織「だね……」

エリカ「アヒルさんチーム、そっちはどう?」

典子『もうすぐフラッグ車の予想地点に到達します』

エリカ「わかったわ。引き続き捜索をお願い」

典子『了解っ!』

エリカ「……相手が動き出すか、こちらがフラッグ車を見つけられるか。どっちが先かしら」

桃『逸見いつまでここでじっとしてるんだっ!?』

エリカ「……はぁ。桃ちゃんうるさいわよ。相手はこちらを待ち構えているの。わざわざ出て行ってあげる必要はないわ」

桃『だからと言ってあいつらに時間を与えるのは危険だっ!!あいつらは馬鹿かもしれんがアホじゃないっ!』

沙織「桃ちゃん先輩が言うと説得力あるんだかないんだか……」

エリカ「……でも、一理あるわ。正直、CV33を迎撃に回したところで大した意味はない。まともにやったところで八九式を倒すのが関の山よ」

優花里「言ってあげないでください……」

エリカ「そう考えるとむしろ違和感ね。……もしかして」

優花里「どうしました?」

エリカ「ウサギさんチーム、敵車両を撃ってもらえる?」

沙織「どうしたの?」

エリカ「念のため退路は確保しておいてね」

梓『了解ですっ!』



ダァンダァン!!   バスッバスッ!




梓『っ!?エリカ先輩っ!!十字路を陣取ってるのはただの看板ですっ!!本物は一輌もいませんっ!?』

エリカ「やっぱりっ……」

優花里「欺瞞作戦っ……」

エリカ「だとしたら、あの人の狙いは……」

ダララララッ


カンカンカンッ!

エリカ「っ!?」

沙織「何なにっ!?」

優花里「機銃ですっ!?」

麻子「囲まれたな」

ねこにゃー『逸見さんどうするっ!?』

桃『早く指示を出せ隊長ー!!?』

エリカ「落ち着きなさいっ!!機銃じゃ撃破判定は出ないわっ!!」

優花里「でもっ、このまま囲まれたらっ!?」

エリカ「ええっ!相手の狙いは包囲した上で追い立てて私たちを前進させること。ならここは左右に分かれるわっ!

    カメさん、カバさんチームはあんこうについてきてっ!アリクイさんチームはウサギさんチームと合流してっ!!」

『了解っ!』

典子『隊長っ!私たちはっ!?』

エリカ『あなたたち一刻も早くフラッグ車を見つけてっ!』

典子『わかりましたっ!』

エリカ「そうと決まればさっさと動きなさいっ!!」






アンチョビ「さーてどう動くか大洗……」

ペパロニ『姐さんっ!!』

アンチョビ「動いたかっ!?」

ペパロニ『はいっ!あいつら姐さんの言った通り二手に分かれましたっ!!』

アンチョビ「よしっ!大洗、悪いがこの試合勝たせてもらうぞっ!!」






ダラララララッ!!

カンカンカンカン

優花里「こちらにはCV33が3輌追ってきてますっ!」

エリカ「振り切るのは難しそうねっ……」

華「……っ!!」

ダァンッ!

華「また外しました……」

エリカ「行進間射撃なんてそうそう当たらないわよ、ましてや的が小さいんだから。華はそのまま威嚇を続けてっ!!」

華「……はい」

エリカ「カバさん、カメさんしっかりついてきなさいっ!」

エルヴィン『ああっ』

桃『しかし、逃げたままじゃどうしようもないぞっ!?』

エリカ「ええっ!だから今アヒルさんチームにフラッグ車を探してもらってるのっ!!」

沙織「えりりんっ!?」

エリカ「あれはっ!?」

優花里「前方、セモベンテ2輌ですっ!待ち伏せされましたっ!?」

エリカ「最初からこっちが本命だったのねっ……」

優花里「エリカ殿っ!フラッグ車狙われてますっ!」

エリカ「っ……全車森に入ってっ!突撃砲に真正面から突っ込むのはまずいわっ!!」






梓「こちらウサギさんチームっ!アリクイさんチームと合流っ!東方面へ逃げてますっ!!」

ねこにゃー『澤さんっ!今のところ相手は豆戦車2輌、ここは迎撃して逸見さんたちのところへ行ったほうがいいんじゃ……』

梓「……確かに、ならっ……」

優季「梓っ!?前前っ!!」

梓「え……っ!?セモベンテっ!?左に入ってっ!!」

桂利奈「あいっ!!」


ねこにゃー「え?澤さんたちどこに……」

ももがー「ねこにゃー、前方にセモベンテ2輌だももっ!!」

ねこにゃー「えっ!?避けて避けてっ!!」

ももがー「もう遅いもも……」


ギュイイイン ドーンッ!

     
ねこにゃー「っ……って、あれ?」

ぴよたん「何ともない?」

ももがー「……張りぼてっ!?」






アンチョビ「東に逃げた奴らも、マカロニで多少は足止めできるといいんだが……」

『ドゥーチェ!!M3とTipo 3を追ってましたが、M3はマカロニにビビッて森の中へ逃げましたっ!Tipo 3はマカロニを突き破ってそのまま直進っ!!』

アンチョビ「そうか、ならお前たちはそのままTipo 3を追え。こちらのフラッグ車の位置はまだ割れてない。Tipo 3の砲は脅威だ。少しでも時間を稼げっ!!」

『Si!』
 
アンチョビ「……ペパロニっ!そっちの状況はどうだっ!!」

ペパロニ『作戦通り相手を森に追い込みましたっ!!』

アンチョビ「よくやったっ!お前たちはセモベンテと合流して追いかけ続けろっ!挟み撃ちにするぞっ!!」

ペパロニ『任せてくださいっ!!』






沙織「えりりんっ!森に逃げたはいいけど、このあとどうするのっ!?」

エリカ「……おそらく、相手のフラッグ車はこの先で待ち受けているわ」

沙織「えっと、この先で待ち伏せするとしたら……高台があるっ!?」

エリカ「後ろからはセモベンテとCV33。まずいわね……」

優花里「二手に別れたのがまずかったのでしょうかっ!?」

エリカ「いえ、仮に別れなかったとしても、機動性の高いCV33で分断された可能性は高いわ」

優花里「な、なら今すぐウサギさんチームたちを呼び戻してっ……」

エリカ「すでにやってるわ。合流できるのは私達が相手のキルゾーンに到達した後になりそうね」

華「そんな……」

エリカ「桃ちゃんの言うとおりアンツィオに時間を与えるべきじゃ無かったわね。お詫びに後でいなり寿司買ってあげようかしら?」

優花里「のんきなこと言ってないでくださいーっ!?」

沙織「……えりりん」

エリカ「何よ?」

沙織「楽しい?」

エリカ「は?何言って……」

沙織「だってえりりん、さっきからずっと笑ってるよ?」

エリカ「……え?」

沙織「えりりん、ケイさんに自分の戦車道は勝つことだって言ってたけど、ほんとはえりりん自身がそう思ってないんじゃないの?」

エリカ「……」

沙織「……ごめんね、試合中に。聞かなかったことに―――」

エリカ「サンダースの時は必死だった。数でも質でも負けてて、その上隊長としての器まで相手のほうが大きくて。

    せめて勝つことで自分のほうが上だって思いたかったのかも」

沙織「えりりん?」

エリカ「アンツィオは私たちとよく似てるわ。資金難で碌に戦車も揃えられなくて、だけど安斎さんが全力で強くあろうとしている」

優花里「あれはまさしく『総統』<ドゥーチェ>の姿なんでしょうね」

エリカ「ええ。思えば私たちは聖グロ、サンダースって格上としか戦ったことがなかったわ……初めてなのよ。同格の相手と戦うのは」

沙織「……」

エリカ「沙織、私今楽しいわ。追い詰められてるのに、楽しくてしょうがない。相手が持てる全てを駆使しているって伝わってくる。この、ヒリヒリするような感覚。

    ……だからこそ、勝ちたいっ!!私たちの全力で、持てるすべてを使ってっ!!アンツィオに勝ちたいっ!!」

沙織「……うんっ!」

優花里「はいっ!」

華「私たちだって、負けるより勝ちたいですし」

麻子「そうだな」

エリカ「……安斎さん、あなたの言う通りよ。アンツィオは弱くない―――いえ、強いわっ!!」










エリカ「でも、私達だって強いんだからっ!!勝負はここからよっ!!」







次土曜で





アンチョビ「あと少しでこっちに来るぞ。みんな、狙うのは先頭のフラッグ車だけだ!砲撃を集中しろっ!!」

カルパッチョ『はいっ!』





エリカ「もうすぐ相手のキルゾーンよっ!!」

沙織「このままじゃ狙い撃ちだよ!?」

エリカ「良いから、速度を落とさないでっ!!」







アンチョビ「よし……今だ撃――――」

ダァンッ!!  ガァンッ!


アンチョビ「うああっ!?」

ダァンッ!

ガンッ  シュポッ!


アンチョビ「CV33がっ!?誰が――――あれはっ!?」

カルパッチョ『Tipo 89っ!?』






典子「隊長。命令通り相手フラッグ車を見つけましたよ」






エリカ「信じてたわ典子っ!!このまま前進っ!!キルゾーンを抜けるわよっ!!」

『了解っ!』

華「せめて、追手のCV33だけでも……っ!!」

ダァンッ

ガンッ!!  

シュポッ!

華「当たった……」

沙織「これで振り出しに戻れたっ!?」

エリカ「いえっ!!依然こちらが追われてることにかわりはないわっ!!でも、勝ちの目が見えたっ!!」





アンチョビ「逃げられたっ……89式はっ!?」

カルパッチョ『そちらも逃げられました……』

アンチョビ「してやられたっ……ええいっ!!回り込むぞっ!!!」





エリカ「沙織っ!追手はっ!?」

沙織「先頭にCV33が2輌っ!遅れてセモベンテが2輌だよっ!!」

エリカ「よし、各車射線を取られないようにっ!!」

杏『あいよー』

エルヴィン『走り回るのもいい加減飽きてきたな』

エリカ「安心しなさい。そろそろ追いかけっこは終わりにしましょう。梓、準備は良いっ!?」

梓『はいっ!』





ペパロニ「くっそーあいつら中々射線取らせないな……」


ギュィィンンッ!!

ペパロニ「M3っ!?森に隠れてたのか!?」

ダァンッ!  


シュポッ!!



ペパロニ「セモベンテがっ!?」

『姐さんすみませんやられましたっ!!』

ダァンッ!  ダァンッ!

ガァンッ!

シュポッ!

ペパロニ「前からもっ!?まずい、今度はこっちが挟み撃ちだっ!?残った車両は私についてこいっ!一旦逃げるぞっ!!」





エリカ「……よし」

優花里「なんとかしのげましたね」

沙織「今度こそ振り出しだね」

エリカ「梓、助かったわ。特に相手のセモベンテを落とせたのは大きいわよ」

梓『はいっ!先輩たちこそ無事で何よりですっ!!』

エリカ「おかげさまでね。――――アリクイさんチーム!今どこにいるっ!?」

ねこにゃー『CV33が逃げたから今そっちに向かってるとこだよ』

エリカ「なら、これから言う地点にそのまま向かって」

ねこにゃー『わかった』

エリカ「相手はおそらく戦力を集結させてフラッグ車を強襲してくるわ。

    依然、機動戦は相手に分がある。ならやることは一つ。相手の戦力が整う前にこちらから攻める」

沙織「でも、フラッグ車の場所がわからないよ?」

エリカ「……典子」

典子『はい』

エリカ「相手のフラッグ車の場所、わかる?」

典子『ええ。すでに捉えています』

エリカ「さすがね」

沙織「アヒルさんチーム凄っ!?」

エリカ「これがあの子たちの戦い方よ。――――さぁみんなっ!!今度はこちらから仕掛けるわよっ!!」

『了解っ!!』





ペパロニ『姐さんすみませんっ!!挟み撃ちを食らってCV33とセモベンテ1輌撃破されましたっ!』

アンチョビ「いや、最初の挟撃を失敗した時点で一度退くべきだった。深追いさせた私が悪い」

ペパロニ『姐さんどうしますかっ!?』

アンチョビ「このままじゃジリ貧だ。戦力を集結させて立て直しを図るぞっ!!全員戻ってこいっ!!」

『Si!』

アンチョビ「私たちも移動するぞ。カルパッチョ付いてこい」

カルパッチョ『はいっ!』




典子「フラッグ車が移動する。このまま追跡するぞっ」

忍「はい」




アンチョビ「…………撃てっ!!」


ダァンッ!

典子「なっ!?」

ガンッ


シュポッ!!


アンチョビ「やっと顔をだしたな。追跡に気がせったか」

カルパッチョ『これでこちらの居場所はもう伝えられませんね』

アンチョビ「いや、現在位置からの予測は立てられるだろう。一刻も早く移動するぞっ!!」






典子『隊長っすみませんやられましたっ!!』

エリカ「そう。大丈夫よ、敵の現在位置から予測は立てられる。あなた達は良くやってくれたわ」

典子『……っはい!』

エリカ「私たちはこのまま移動するわよっ!!」






ペパロニ『アンチョビ姐さんっ!!』

アンチョビ「ペパロニよく来たっ!!このまま残りのCVと合流して―――――っ!?」


ダァンッ!!




エリカ「見つけたわよ安斎さんっ!!」

優花里「まだ残りのCVとは合流していないみたいですっ!!」

エリカ「なら、その前にっ!!」




アンチョビ「っ……仕方ない、賭けに出るぞっ!セモベンテはⅢ突とM3の足止めを頼むっ!!」

カルパッチョ『はいっ!』

優花里「セモベンテ2輌、こっちに向かってきますっ!!」

エリカ「ウサギさんっ!!カバさんっ!!頼んだわっ!!」

カエサル『任されたっ!!』

梓『はいっ!!』




カルパッチョ「あのマーク……たかちゃんッ!!」

カエサル「悪いが先を急がせてもらうぞひなちゃんッ!!」




エリカ「カメさんチームはこのままついてきてっ!一気に仕留めるわよっ!」

杏『あいよー』

桃『絶対に逃がさんぞっ!!』

エリカ「ええっその通りよ桃ちゃんっ!!」









エリカ「この先は……なるほどね。いいわ、そのケンカ買ったわよっ!!」







ここまで。次は火曜で。







アンチョビ「開けた場所に出た……ここで決めるぞっ!!」



エリカ「決着を着けるわよっ!!」





ダァン ダァン

桃「ええいっ!何故あたらんっ!?」

柚子「こっちが聞きたいよー……」

杏「ごめーん逸見ちゃん、まだ河嶋にこの距離は難しいみたい」

エリカ『いいわ、そのまま撃ち続けて相手の注意をそらしてっ!!』

杏「はいよーって、ん?」

『姐さんっ!!』

アンチョビ「お前らっ!!」




優花里「敵CV2輌合流っ!!」

エリカ「っ……」

杏『逸見ちゃんあいつら何か仕掛けてくるっぽいよ』

アンチョビ「CVが揃ったなら……ペパロニっ!!」

ペパロニ『Si!!お前ら、やるぞっ!!」


ギュィィンンッ!

ガン ガン ガン


エリカ「なっ!?」

優花里「CVで3方を塞がれたっ!?」

沙織「動けないっ!?」







アンチョビ「足止めは一瞬で充分だ―――撃てっ!!」







ギュィィンンッ!




桃「逸見いいいいいいいいっ!!」




ダァンッ!


シュポッ!!


優花里「カメさんチームが盾に……」

エリカ「麻子っ!!」

麻子「ああっ」

ペパロニ「っ……下がられたっ!!お前ら、もう一度行く―――」

ダァンッ!!

シュポッ!

ペパロニ「なにっ!?」




ねこにゃー「アリクイさん、参上……」


ダァンッ!!  ダァンッ!!

シュポッ!   シュポッ!

ペパロニ「うわぁっ!?」

アンチョビ「Tipo 3、Ⅲ突にM3っ……」

カエサル『今度は蚊帳の外にならずにすんだな』

梓『エリカ先輩っ!!護衛は全て排除しましたっ!!』
 
エリカ「ええっ!!―――――華っ!!」

華「はいっ!!」




アンチョビ「っ……撃てっ!!」

エリカ「撃てっ!!」



ダァン! ダァンッ!



シュポッ!









『アンツィオ高校フラッグ車走行不能っ!よって、大洗女子学園の勝利っ!!』




ここまでー。逸見エリカさん誕生日おめでとうございます。

次は土曜で






エリカ「……ふぅ」

沙織「勝ったーっ!!」

優花里「これでベスト4ですよっ!!」

エリカ「ええ、なんとかなったわね」

杏「逸見ちゃんやったねー」

エリカ「会長。最後は助かったわよ」

杏「お礼なら河嶋に言ってよ」

エリカ「桃ちゃんに?」

柚子「桃ちゃんが『逸見を守るぞっ!!』って」

エリカ「そうだったの……」

桃「フラッグ車がやられたら私たちの負けなんだから当然の事をしたまでだっ!!」

エリカ「……桃ちゃん」

桃「な、なんだ?」

エリカ「ありがとう。あなた、意外と頼りになるのね?」

桃「っ……あ、当たり前だっ!!私は誉ある生徒会の広報なんだぞっ!!あと桃ちゃん言うなっ!!」

エリカ「……ふふっ」

アンチョビ「おーい!」

エリカ「安斎さん?」

アンチョビ「いやー負けたよ」

エリカ「いえ、こちらもギリギリでした。特に最初の欺瞞作戦はさすがです。そこからの読みも完璧でした」

アンチョビ「それで勝ったお前たちはもっと凄いさ。……試合前に言ったこと覚えてるか?」

エリカ「え?」

アンチョビ「試合、楽しもうって。逸見、楽しかったぞ」

エリカ「……はい。あなたたちの全力を私たちの全力で迎え撃ちました。本当に……楽しい試合でした」

アンチョビ「……そうか。なら良かった」ギュッ

エリカ「あ、安斎さん?」

アンチョビ「決勝まで行けよ?応援するからな」

エリカ「……はい」

アンチョビ「ん。それじゃあ―――お前たちっ!!」

『はーいっ!!』

沙織「なになに?」

優花里「何が始まるんですか?」

アンチョビ「大洗諸君には我々の戦車道を最後まで知ってもらわないとな」

エリカ「……?試合はもう終わって……」

アンチョビ「チッチッチ、試合だけが戦車道じゃない。勝負を終えたら試合に関わった選手スタッフを労う。―――これが、アンツィオの流儀だっ!!」






アンチョビ「せーのっ!!」




『いただきまーすっ!!!』





ザワザワ ガヤガヤ



沙織「うわぁ、美味しいっ!!」

華「おかわりいいですか?」

ペパロニ「どんどん食べろっ!!」

麻子「……うまい」モグモグ

優花里「フィールドキッチンをここまで活用する学校はそうそうないですよっ!!」

ねこにゃー「良質なたんぱく質……」

ももがー「美味しいももっ!!」

ぴよたん「でも、ちょっとカロリーが……」

典子「大丈夫っ!!」

ぴよたん「キャプテン?」

典子「どんなに食べても、バレーをすれば全消費。つまり、カロリー0だっ!!」

ぴよたん「キャプテンっ!!」

典子「食べろっ!!それがお前たちの明日の肉体を作るんだっ!!」

『はいっ!!』



忍「……いや、カロリー0にはならないでしょ」

妙子「もっとバランスよく食べないと……」

あけび「まぁ、今日ぐらいは……」

ワイワイガヤガヤ


カルパッチョ「今日は負けたわ。たかちゃん達、凄く強かった」

カエサル「ううん、こっちもギリギリだったよ」

カルパッチョ「でも、たかちゃんも装填手だったなんて、なんだか運命ね?」

カエサル「な、何がさ」

カルパッチョ「んー?……ふふっ」

カエサル「ひなちゃん?」

カルパッチョ「……いいえ、私はカルパッチョ。偉大なるドゥーチェアンチョビの副官。……強い人、あなたの名は?」

カエサル「……私はっ!栄光ある大洗女子学園の将が一人、カエサルっ!!」

カルパッチョ「……来年は負けないわ」

カエサル「こっちだって」

カルパッチョ「ふふふっ」

カエサル「あはははっ」


カルパッチョ!

カエサルサマッ!




左衛門座「……二人の世界」

おりょう「あれは、割り込めないぜよ……」

エルヴィン「いや、二人とも連れてけばいいだろ。ごはん冷めるからさっさと行くぞ」


エリカ「……」モグモグ

アンチョビ「どうだ、我が校の戦車道は」

エリカ「……とても素敵です。こんな戦車道、私には思いつきもしなかった」

アンチョビ「我が校は食事のためならどんな労もいとわないからなっ!!……このやる気をもうちょっと試合に活かせるといいんだけど」

エリカ「いえ、きっとこれが、これこそが。あなたたちの強さの秘訣なのかもしれません」

アンチョビ「そう言ってくれるとありがたいよ」

エリカ「……安斎さん」

アンチョビ「なんだ?」

エリカ「戦車道にとって、勝利って何なのでしょうか」

アンチョビ「みんなで騒ぐための口実の一つだ」

エリカ「……は?」

アンチョビ「……冗談だ。まぁ、嘘でもないけどな。……そんな顔して聞くことだ、何かあったんだろ?」

エリカ「……私、サンダースの隊長に言ったんです。私の戦車道は、勝つことだって」

アンチョビ「……」

エリカ「勝たなきゃ自分の、みんなの努力が無駄になるから。勝利こそが全てだって……思ってたはずでした」

アンチョビ「今は違うのか?」

エリカ「……あなた達との試合、本当に楽しかった。試合中、勝ち負けとかじゃなくて、ただただ全力でぶつかることが。

    ―――――だからこそ、私の戦車道は間違ってるんじゃないかって。沙織……チームの子にも同じことを言われて」

アンチョビ「……負けた私たちが言うのも何だけど、勝つことが全てだってのも間違いじゃないと思うぞ?」

エリカ「え?」

アンチョビ「お前が言ったじゃないか、みんなの努力を無駄にしたくないって。考えた作戦は、積み重ねてきた努力は、勝利のためにあるものだ」

エリカ「……はい」

アンチョビ「私たちだって勝つために練習して、無い予算を絞って新しい戦車を買ったりしてるんだ。

      試合後に宴会をするのだって、負けを引きずらずさっぱりした気持ちで次の試合に臨むため。

      なら、これもまた勝利のための行動だ」

エリカ「……」

アンチョビ「まぁ、だからって負けたらそれらが全部無駄になるかっていうとそんなことは無いと思うが……んー、あー……

      逸見。なんていうか、お前はもうちょっと適当でいいと思う」

エリカ「適当?」

アンチョビ「お前の戦車道はお前の自由にしていいんだ。悩んでもいいが、凝り固まるな」

エリカ「……だけど」

アンチョビ「戦車道を楽しむ事と勝利を目指すことは矛盾しない。それは、今日の試合でお前たちが証明したことだ」

エリカ「……」

アンチョビ「いいじゃないか、戦車道なんて人それぞれなんだから。『楽しければいい』でも『勝利が全て』でも、あるいは『楽しんで勝つっ!』って戦車道だって良いさ」

エリカ「……私はそんな器用になれるでしょうか」

アンチョビ「器用になろうなんてするな。不器用でも、取りこぼしても、やりたいことをやれ。……ゆっくり見極めればいい、お前の戦車道を」

エリカ「……はいっ!」

アンチョビ「元気出たな?ならっ、よーしっ!!お前たち今日はこのまま夜通しの宴会だっ!!」

エリカ「えっ?」

アンチョビ「安心しろ!食事はまだまだあるっ!!飲んで食べて騒ごうじゃないかっ!!」

エリカ「え、あの」

アンチョビ「よーしどんどん食べろっ!!」

エリカ「い、いや、私食事はもう……」

アンチョビ「ダメだぞ逸見ーお前はちょっと細すぎる。もっと食べて健康的になれっ!!」

エリカ「いや、一応健康管理には気を使ってて……」

アンチョビ「そんなん今気にすることじゃないっ!!明日のお前が何とかしてくれるさっ!!」

エリカ「それは後先考えてないだけじゃ……」

アンチョビ「ほらパスタにピザに肉に魚っ!!野菜も食べろっ!!」

エリカ「あ、あのっ!?ん~~~~っ!?」モゴモゴ

ここまでー。次火曜で








エリカ「……」

沙織「えりりんっ!」

エリカ「沙織?」

沙織「こんなところで何してるの?」

エリカ「別に。……月がきれいだなって」

沙織「……ホントだ。高地だからいつもより大きく見えるね」

エリカ「……ええ。照らすものすべてが煌めいて見える銀色の光」

沙織「えりりん?」








『私、昔は月って好きじゃなかったわ。太陽の、誰かの力を借りないと輝くこともできない弱い存在に思えて』

『今は違うの?』

『……私たちは太陽があるから生きていられる。熱を、光をもらって。だけど、それは時に命を奪うこともあるわ。

 誰も太陽に近づけないし、直接見ることはできない』

『そうだね』

『でもね、月は違う。太陽の見えない夜でも、太陽の光を私たちに届けてくれる。その光は、私たちに熱をくれないけれど、この世のどんな宝石よりも美しい光だと思うわ』

『……』

『それに気づいたから、私は月が好きになった。誰かの力を借りたものだとしても、自分だけの輝きを持ってる。とても、素敵だと思わない?』

『……うん』

『※※。あなたは誰かに阿って自分を変えられるほど器用じゃないわ』

『え?』












『あなた、自分が思っている以上に頑固で不器用なんだから。自信をもってあなたのやりたいようにやりなさい。副隊長さん?』

『……だけど、みんながそれを許してくれるかな』

『なら、やりたいことがあったら私に言いなさい。あなた、説明するのあんまり得意じゃないんだからそういうのは私がやるわよ』

『エリカさんに迷惑だよ……』

『言ったでしょ?私は月が好きって。私ひとりじゃダメでも、誰かと一緒なら私も輝けるのよ』

『なら、エリカさんの太陽って……』

『……内緒よ』

『そんなぁ!?はっきり言ってください!!』

『ダメよ。聞きたかったらあなたが隊長になってみなさい』

『お姉ちゃんがいるからまだまだ先だよ……』

『……どうかしら。案外早くその時はくるかもよ?』





エリカ「……」

沙織「……えりりんって意外とかわいい系の顔してるんだね?」

エリカ「いきなり何?」

沙織「えりりんいつも難しい顔してるからさ、そういう風にしてれば私たちが声かけなくてもきっと誰かが友達になってくれたと思うよ」

エリカ「……あなた達みたいなお節介じゃないと無理でしょうね」

沙織「そう?」

エリカ「……ほら、そろそろ戻るわよ。風邪ひくわ」

沙織「そうだっ、だから呼びに来たんだった」

エリカ「安斎さんたち毛布とか貸してくれるかしら?」

沙織「ゆかりんが寝袋人数分持ってきてたから大丈夫だよ」

エリカ「……いや、あの子なんでそんなの持ってきてるのよ」






チュンチュン

沙織「えりりん、みんなの撤収終わったよ。あとは私とえりりんだけ」

エリカ「そう、わかったわ。アンツィオの皆さん、いろいろお世話になりました」

アンチョビ「気にするな。私たちも楽しかった!大会が終わったらまた交流試合でもしようじゃないか」

エリカ「ええ、是非とも」

ペパロニ「次は負けないからなっ!」

エリカ「ふふっ、こっちもよ」

アンチョビ「……逸見」

エリカ「はい」

アンチョビ「次の試合頑張れよ」

エリカ「……言われなくても」

アンチョビ「……そうか。なら安心だっ!」

エリカ「……それじゃあそろそろ」

アンチョビ「ああ」

ペパロニ「……」ジーッ

エリカ「……?まだ何かあるの」

ペパロニ「……なー大洗の隊長さん。西住みほの事、あんまり悔やむなよ?」

沙織「え?」

ペパロニ「私も詳しい事情は知らないけどさ、事故だったんだろ?なら――――」

アンチョビ「馬鹿っ!?」

ペパロニ「もがっ!?ふぇ、ふぇーふぁん?」

アンチョビ「黙ってろっ!すまない逸見、こいつは本当に何も知らないんだ……」

エリカ「……沙織、帰るわよ」

沙織「え……えりりん?」

アンチョビ「っ……逸見!!」

エリカ「……」

アンチョビ「うちの学校の近くに来ることがあったら寄ってくれ!!予算は無いが美味しい食事ならいくらでもあるんだ!!」

エリカ「……ええ、近くに寄ったら」

アンチョビ「あ、ああっ!!まってるからなっ!!絶対にだぞ!!」

エリカ「……さ、戻りましょう」スタスタ

沙織「……」









沙織「西住、みほ……」






次木曜で。





エリカ「……」ピッ







―AKIYAMA FILM―





~♪





伝統と格式が彩る学びの園 聖グロリアーナ女学院

学業はもちろんのことスポーツ、芸術、ボランティアなど課外活動にも力を入れており世界に羽ばたく淑女の育成に力を入れています

一歩踏み入れればあなたも淑女の仲間入り





『私もこの学校に入ったおかげですっげぇ礼儀正しく優雅になりましたわよっ!』(1年 Rさん)








そんな聖グロリアーナがもっとも力を入れているのが戦車道です

高い実力を誇る戦車道チーム

どんな時でも優雅に美しく戦うその姿は学園中の憧れです

今回は戦車道チームの隊長、3年ダージリンさん(通称)にお話を伺いました


― 戦車道は荒々しいイメージもありますが、優雅にというのはどういうことでしょうか?




ダージリン『戦う事と優雅である事は決して矛盾しません。大事なのは美しくあろうとする気概。心の持ちようですわ』







― 聖グロの戦車道チームでは戦車の中でも紅茶を嗜むそうですが、何故そのような風習を?





ダージリン『単純に好き。というのもありますが、何よりも戦いの最中であっても冷静に、優雅にという気持ちを持ち続けるためです』







― 同じ3年生であるアッサムさん(通称)にも話を聞いてみましょう




アッサム『え?私は……正直やめてほしいなって思ってます。たまにこぼして火傷しそうになるので』

ダージリン『あら?昔ならいざ知らず、最近はそんな事ないわよ』

アッサム『あのですね……大洗との練習試合の時に盛大にこぼしたの忘れたんですか?あなたがどっか行ってたせいで私が掃除したのですけど』

オレンジペコ『ローズヒップさんも盛大にこぼしていますね。整備の生徒から結構苦情が来てますよ』

ダージリン『……ここ、カットでお願いするわ』




1年生にして未来の隊長候補と目されるオレンジペコさん(通称)にも話を聞いてみました
 


― 1年生にして隊長の副官ポジションにまでなっているオレンジペコさんですが、やはり聖グロはキャリアに関係なく能力のあるものを取り立てるという事でしょうか?



オレンジペコ『はい、伝統と格式を重んじる我が校ですが、決してそれに凝り固まってるという訳ではありませんから』

ダージリン『これで、OG会をもうちょっと静かにできたらいいんだけどね』

アッサム『ダージリン、声入ってますよ』






― 最後に、聖グロリアーナ女学院について一言ずつお願いします




オレンジペコ『努力と才能を認めてもらえる。これ以上は無いです』

アッサム『データじゃ学べない経験を教えてくれます』

ダージリン『こんな格言を知ってる?『成功するために大切なのは、どこから始めるのかではなく、どれだけ高く目標を定めるかである。』』

オレンジペコ『ネルソン・マンデラですね』

ダージリン『我が校は優秀な淑女を求めるのではないわ。高い理想に、高い目標に、真摯になれる人を求めているのよ。――――貴女たちと共に学べる日を待っているわ』



― ありがとうございました。





オレンジペコ『よくよく考えたら、ダージリン様は3年生だから来年入学の子と一緒に学ぶには留年する必要がありますね』

ダージリン『……あ』












~優雅で高貴な淑女の学園~ 聖グロリアーナ女学院








(制作:秋山フィルム    ナレーション:秋山優花里)







エリカ「……」ピッ!



エリカ「……ねぇ、優花里あなた何しに行ったんだっけ?」

優花里「はっ!プラウダ高校の偵察でありますっ!!」

エリカ「それで、何で聖グロのPV撮ってきてるの?」

優花里「……プラウダは今までの高校と違って警備が厳重でして……途方に暮れてるところを聖グロの皆さんに声をかけられてPVを撮ってきました」

エリカ「……うん。わからないわ」

沙織「はぁ……いいなぁ、聖グロ……」

華「花の香に満ちてそうな素敵な学園ですね……」

麻子「ゆったりできそうだな」

桃「お前ら何言ってるんだっ!我が校だって良いとこ一杯あるだろっ!?」

柚子「お金は無いけどね……」

杏「まーまーよそはよそ、うちはうちって事でさ」

エリカ「まったく……」

パゾ美「古き良き映画の1シーンのような雰囲気、憧れますね」

エリカ「……誰?」

パゾ美「パゾ美です」

エリカ「……何しに?」

杏「パゾ美じゃーん」

パゾ美「会長、園、後藤、金春いつでも大丈夫です」

杏「おっけー、それじゃあ後で迎えに行くね」

パゾ美「……失礼します」バタンッ

エリカ「やっぱり誰なのよ……」

優花里「あ、お礼にティーセット貰ったんで、この間の紅茶でも飲みましょうか」






華「さすがダージリンさんが選んだだけあっていい香りですね」

麻子「よくわからん」

沙織「カップもなんだか芸術品みたいだね」

杏「ねーねー逸見ちゃん、秋山ちゃん。これ来客用に生徒会室に置いてもいい?」

エリカ「私は構わないけど……」

優花里「私もいいですよ。役立ててもらえるならそっちのほうがいいですから」

柚子「ありがとー!来客用の茶器ぐらい良いのを揃えようって前々から言ってたの」

エリカ「……それで、本題だけど。次のプラウダ戦どうするかって事よ」

桃「次の試合からは参加車輛が15輌になるな……」

柚子「また戦力差が広がるね……」

エリカ「B1は次から参加できると良いんだけど、それでも7輌……一回戦の参加上限にすら達してないわ」

杏「それでも、やるっきゃないんだよねー」

エリカ「……ええ、そうよ。あとは……相手がどう出るかね」

優花里「すみません私が調べられれば……」

エリカ「気にするような事じゃないわよ。相手の使う戦車に関しては今までのデータを参考に対策を立てましょう」

コンコン

杏「どうぞー」

ナカジマ「失礼します。……あ、いたいた逸見さん」

エリカ「ナカジマさん?」

ナカジマ「依頼通りⅣ号の長砲身への換装、B1の修理完了したよ」

エリカ「本当ですか?まさかこんなに早くできるだなんて……ありがとうございます」

ナカジマ「いいよいいよ、やりがいがあったし。それと、ちょっと外出てもらえる?」

エリカ「え?」






ナカジマ「それじゃあみんな、行くよっ!」


ドドドドド キュラキュラキュラ


エリカ「……ポルシェティーガー。レストア完了してたんだ……」

優花里「本物が動いているのを見る日が来るなんてっ!!生きててよかったっ……」

沙織「そんなに?」

優花里「そんなにですっ!この戦車はまともに動かすのも難しいんですよっ!?」

沙織「……それ使えるの?」

優花里「火力と装甲は凄いんですってっ!!」

沙織「でも動かすのが難しいんだよね?」

優花里「いやいやですが――――」


キュラキュラ ボンッ!!

沙織「火事っー!?」

優花里「……ちょっとエンジンが燃えやすくて壊れやすいだけですよ」

エリカ「改めて言われるとほんっとにひどい戦車ね……」

ナカジマ「あちゃー、ホシノー消化器消化器ー!!」

沙織「……ホントに使えるの?」

エリカ「……私も不安になってきたわ」

ナカジマ「いやー、今日は行けると思ったんだけどねー」

エリカ「あの、あれに本気で乗るつもりですか?」

ナカジマ「うん。いやーあれ良い戦車だねっ!いじり甲斐があって楽しいよっ!」

エリカ「そ、そうですか」

優花里「戦車乗りではなく、技術者ならではの視点ですね」

ナカジマ「というわけで、今日から練習にも参加させてもらうね」

エリカ「ありがとうございます。……自動車部の皆さんにはホントに感謝してます。

    あなた達がいなかったら、準決勝どころか試合をするのすら無理だったと思います」

ナカジマ「いやいや、こっちも大変だったけどやりがいあったからね。それに、逸見さんが頑張ってるの見てたらね」

エリカ「私ですか?」

ナカジマ「……戦車を整備してるとね、なんとなくわかるんだ。これに乗ってた人がどんな人なのか。

     Ⅳ号はいつだって必死で戦ってる。撃破されたり撃破寸前だったり、切れる寸前な履帯だったり。それを見て思うのは逸見さんは本気なんだなって事だったよ」

エリカ「皆の助けを借りてようやく勝っているんです。必死なだけじゃなんの意味もないですよ」

ナカジマ「でも、隊長が一番頑張ってる姿を見て奮起しないような皆じゃなかったでしょ?」

エリカ「……ええ」

ナカジマ「だから私たちもそれにあてられたんだよ。……さすがに徹夜が続いたのはキツかったけどね」

エリカ「中嶋さん。本当に、ありがとうございます」

ナカジマ「いいよ。これで私たちも大洗戦車道チームの仲間入りだね」

エリカ「……いえ、あなた達はこの学園の戦車道が始まった時からずっと――――私達の仲間ですよ」

ナカジマ「……そっか。ならますます頑張らないと」





―格納庫―

優花里「Ⅳ号F2型いいですねっ!」

エリカ「ほんと、自動車部には頭が上がらないわ」

華「砲身が長くなったからか、なんだかシュっとして見えますね」

沙織「私もⅣ号みたいに足を長いのにできたらなぁ……」

エリカ「Ⅳ号の強化とB1、ポルシェティーガーの参加。これで少しはマシになるといいんだけど……」

沙織「でも、まだ相手との差は大きいね」

エリカ「……だからこそ、連携が大事になるわ。仲間の戦車の場所を全員が常に理解して常に最善の行動をとり続けないと」

優花里「元々エリカ殿はチームの連携を重視していますしね」

エリカ「……戦車道に一発逆転なんてない。一糸乱れぬ鋼の連帯こそが、勝利への近道よ」

優花里「身に沁みますっ!!」

エリカ「……まぁ、一回戦も二回戦もしっかり連携ができたかっていうと……」

優花里「一回戦は言わずもがな、二回戦も敵の策に嵌っててんやわんやでしたね……」

麻子「常に最善手が打てたことなんてないな」

エリカ「……だからこそっ!次の試合こそ私が学んだ西住流を見せる時っ!」

優花里「頑張りましょうっ!」

沙織「……西住流って?」

エリカ「そういえば話したこと無かったわね。私は黒森峰にいた時、西住流って戦車道の流派を学んでたのよ」

華「どんな流派だったのですか?」

エリカ「撃てば必中 守りは固く 進む姿は乱れ無し 鉄の掟 鋼の心――――それが西住流よ」

沙織「……もっとわかりやすく」

エリカ「……一糸乱れぬ陣形と、圧倒的な火力で敵を打ち砕く。勝利が至上の流派よ」

沙織「んー……横綱相撲?」

エリカ「まぁ、それでいいわよ……」

優花里「西住流と島田流。この二つが日本の戦車道流派の双璧と言われています。ですが、西住流は最古にして最大の流派。

    つまり、日本で一番勢力の強い流派ってことです。そして黒森峰の戦車道チームはその歴史上、西住流の影響を強く受けています

    西住流の師範であり、高校戦車道連盟の理事長でもある西住しほ殿も黒森峰の出身です」

沙織「へぇー、そんなに強いんだ」

エリカ「まぁ、この私がいた学校だもの当然よ」

沙織「でもえりりんって確か黒森峰追い出されたって言ってたよね?」

エリカ「……そういえばB1bisの搭乗員ってどうなったのかしら?」

沙織「逃げた……」

華「西住流は舌戦には苦手のようですね」

杏「お、いたいた。西住ちゃーん」

エリカ「会長、なんの用よ」

杏「紹介したい人がいてね。ほら」

そど子「今日から戦車道の授業に参加することになりました。園みどり子です」

ゴモヨ「後藤モヨ子です」

パゾ美「金春希美です」

そど子「よろしくお願いします」

エリカ「あなた達って、確か風紀委員の……ていうか、金春さんって……」

パゾ美「どうも」

麻子「そど子もやるのか」

そど子「そど子って呼ばないでっ!……私たちだってやるつもりは無かったわよ。でも、会長に直接頭下げられたらね……」

杏「いやー交渉に苦労してね」

エリカ「……そう、会長も一応頑張ってるのね」

杏「まぁ、できる限りはね?」


エリカ「それじゃあ園さんたちはルノーB1bisに乗ってもらうわね」

杏「チーム名はどうしよっか?」

エリカ「……B1ってカモっぽい見た目してるわね」

杏「じゃあカモで」

そど子「カモですかっ!?」

エリカ「それじゃあ動かし方は麻子が教えてあげて」

麻子「私がか」

エリカ「あなたが一番操縦上手いんだもの」

麻子「……仕方がない」

そど子「冷泉さん、頼むわね」

麻子「しっかり学べよそど子」

そど子「だから略さないでってっ!!」






麻子「やっと帰れる……」

沙織「まさか麻子が放課後の自主練までするとは思わなかった」

麻子「……授業ではそど子達に教えて私はあまり動かさなかったからな」

優花里「冷泉殿がやる気に……っ」

華「いよいよ準決勝ですから、自然と気合が入ってしまいますね」

エリカ「ほら、あまり遅くなっても良くないわ。早く帰りましょう」

優花里「はいっ!」

華「ええ」

麻子「さっさと帰るか」

沙織「……ねぇ、えりりん」

エリカ「何?」

沙織「聞きたいことがあるの――――西住みほさんについて」

エリカ「……」

華「西住みほ?」

麻子「誰だそれは」

優花里「さ、沙織殿、それは後にしませんかっ!?」

エリカ「優花里、いいわ。……どうしてそんなことが聞きたいの?」

沙織「アンツィオの人が西住みほって名前を出したとき、明らかにえりりんの反応がおかしかったから」

エリカ「……」

沙織「だから、西住みほって子について私なりに調べたの。えりりんがさっき話してた日本の戦車道二大流派の一つ、西住流。

   西住みほさんはその師範の娘で、私たちも知ってる西住まほさんの妹なんだよね?」

華「まほ……あの喫茶店での」

麻子「あいつか……」

エリカ「……いいわ、続けて」

沙織「みほさんは中学時代に戦車道で優秀な成績を収めてる。

   だけど、その子の名前が出てくるのは去年の大会で黒森峰の副隊長をしていたってところまでで……

   当時1年生だったんだから今年もいるはずなのに、2回戦までの黒森峰の出場選手には一回も載ってなかった……」

エリカ「……」

沙織「怪我とか病気での長期離脱っていうのも考えたんだけど、調べてもそういった情報はでてこなくて……」

エリカ「去年の大会以降の情報がない……当然ね。だって―――――」










エリカ「西住みほは、もう死んでいるのだから」







ここまで。次は土曜で


すみません、間違えました。
>>525

杏「お、いたいた。西住ちゃーん」

杏「お、いたいた。逸見ちゃーん」

に訂正でお願いします。

華「それは……」

麻子「……」

優花里「っ……」

沙織「……やっぱり。えりりんが前に話してた戦車道での死者って……」

エリカ「西住みほの事よ」

沙織「……一体、何があったの?」

エリカ「……そうね、いい機会だから話しておこうかしら」

優花里「エリカ殿……」

エリカ「去年の決勝戦、黒森峰とプラウダとの試合で事故があった」

沙織「……」

エリカ「私はその時西住みほの傍にいたわ」

沙織「えっ……」

エリカ「……西住みほの乗るフラッグ車と指揮する部隊は敵の裏を取るために川沿いの崖を進んでいた。だけど、その作戦は読まれていたのよ。

    待ち伏せしていた敵からの砲撃を受けた際、突然の豪雨で滑りやすくなっていたせいでフラッグ車を護衛していた先頭車両が川に落ちたの」

沙織「そんな……」

エリカ「西住みほはそれを見て、単身救助に向かった。……自身のフラッグ車を放り出してね」

沙織「……」

エリカ「流されてた戦車には5人の乗員が乗ってた。操縦手、通信手、砲手、装填手、それと――――車長の逸見エリカがね」

沙織「っ!?」

華「エリカさんは、事故に遭われた本人だったのですか……」

エリカ「……そして、5人の命が助かったわ」

沙織「みほさんは、それで……」

優花里「……」

エリカ「身を挺した救出劇。はたから見れば美談になるのかもしれない。だけど、そうはならなかった」

沙織「どういうこと?」

エリカ「戦車道の世界大会、そしてプロリーグの設立が控えている大事な時期に強豪校、それも西住流の師範の娘が事故で亡くなっただなんて世間に知られたら

    大く影響が出る。戦車道という競技そのものの存続が危ぶまれるかもしれない。だから、事故の詳細と、亡くなった生徒の名前が公表されることはなかった。不幸な事故で亡くなったのは名もない1生徒だってね」

沙織「そんな……」

エリカ「……事故が判明した段階でもう動き始めていたんでしょうね。生徒のプライベートが、家族の気持ちを考えて。

    そんな理由で名前は出されず不幸な事故とされ、偉い人が再発防止を誓って終わりよ」

優花里「当時の戦車道関連の雑誌や、ネットニュースは『どういうわけか』ほとんどこの事を報じず、

    一般の人はもちろん、戦車道をしている人でもこの事件について詳しい人はあまりいません」

沙織「ひどい……」

エリカ「仕方ない事よ。日本の戦車道は今、一番大事な時期なのだから」

沙織「でも……」

エリカ「もちろん協会もただ形だけの謝罪をしたわけじゃないわ。戦車そのものの安全性や競技中の事故に関するマニュアルの強化などできる限りの事はしたわ」

沙織「……えりりんはそれで良いの?みほさんが亡くなった事を、それで納得できたの……?」

エリカ「……私がどうこう言うことじゃないわって言いたいところだけど、それじゃ納得しないわよね」

沙織「……うん」

エリカ「私は……これでよかったと思ってる。不幸な事故のせいで、

    戦車道そのものが無くなる可能性があったことを考えれば、連盟の行動は最適解だったと思うわ」

沙織「……」

エリカ「私は、戦車道が好きよ。私の存在意義と言って過言じゃないわ。だから連盟の、大人たちの思惑を経て私たちの今があるならば……これでよかったのよ」

沙織「……そっか」

エリカ「これが私の知ってる全てよ。もういい?」

沙織「……うん。ごめんね、辛い事を思い出させちゃって」

エリカ「気にしないで。さ、もう帰りましょう」

沙織「うんっ」

優花里「……良かった」ボソッ

麻子「話は終わったか」

華「私、お腹が空いちゃいました」

エリカ「なら、どこか寄ってから帰りましょう」

華「すみません……」

エリカ「今さら何言ってるの。友達なんでしょ?」

華「はいっ」

沙織「あ、えりりん。最後にもう一つだけいい?」

エリカ「何よ」

沙織「みほさんってどんな人だったの?」

エリカ「臆病者」

沙織「……え?」

エリカ「家柄と経験だけで何の資質も持ってない子だったわ」

華「……エリカさん?」

エリカ「臆病で、いつも誰かの顔色を伺ってばかり」

麻子「……」

エリカ「そのくせ性根ではいつだって自分が正しいと驕っていた」

優花里「エリカ殿っ!!?」

エリカ「挙句の果てに自分勝手な正義感でフラッグ車を投げ出して黒森峰の偉大な記録を、名声を、地に落とした」

沙織「ちょ、ちょっとまってよ!?えりりんって、去年の決勝で川に落ちた戦車に乗ってたって……!」

エリカ「ええ、そうよ。あれは私にとっても苦い経験ね……」

沙織「そ、それを助けたのがみほさんで、みほさんは……」

エリカ「死んだわよ。ほんと、滑稽ね」

沙織「ッ!?なん、で」

エリカ「何でですって?そんなの決まってるじゃない」

エリカ「何もできないくせに何でもできると驕って」

沙織「……えりりん、やめて」

エリカ「自分を死なせて」

沙織「ねぇ、お願いだから……」

エリカ「優勝旗も守れなかった」

沙織「えりりんッ!!」











エリカ「馬鹿な副隊長よ―――あぁ、『元』だったわね」










エリカ「馬鹿な副隊長よ―――ああ、元副隊長だったわね」








バシィッ!!






エリカ「……っ」

沙織「……なんで、なんで自分のために命を落とした人をそんな風に言えるの……?」

エリカ「……事実だからよ」

沙織「えりりんが……あなたがそんな人だと思わなかったッ!!」

エリカ「……だったら何?」

沙織「私……もうあなたの戦車には乗らないッ、あなたのような人と一緒に戦えないッ!!」ダッ

優花里「あっ!?沙織殿!!?」

エリカ「……4人いればなんとかなるわよ」

華「―――――なら、これで3人ですね」

優花里「華殿……?」

華「エリカさん、私があなたと共に戦おうと思ったのはあなたの中に道を見たからです」

エリカ「……」

華「ですが、それはどうやら私の見誤りだったようですね。……死者を、それも命の恩人を愚弄するような輩と共に歩く道は、私にはありません」

エリカ「……そう」

華「今までお世話になりました」

優花里「ああそんなっ……華殿まで、ま、待ってください!?」

エリカ「止めなくて良いわよ。やる気のないやつはいるだけで邪魔だから」

優花里「エリカ殿っ!?」

エリカ「……麻子、あなたはどうするの」

麻子「……私は逸見さんに個人的な恩がある。おばぁの一件、今でも感謝している。だから、私は最後まで残る」

エリカ「……そう。あなたは?」

優花里「えっ!?わ、私も最後まで残るつもり、です」

エリカ「それなら、せめてもう一人乗員をみつけないとね……とりあえず、優花里。あなたにはしばらく砲手も兼任してもらうわ。負担が増えるけど代わりが見つかるまでなんとか頑張って」

優花里「そ、それは構いませんが……」

エリカ「なら、今日はここまでね。私は帰らせてもらうわ」

麻子「……ああ、ゆっくり休んだほうが良い」

優花里「ちょっ、エリカ殿!!」






優花里「待ってくださいっ!エリカ殿!!」

エリカ「……何?」

優花里「あのっ、沙織殿達ともう一度話してもらえませんかっ!?」

エリカ「言ったでしょ?やる気の無いやつにいられても迷惑だって」

優花里「違いますっ!!お二人は決して戦車道が嫌になったとかじゃっ」

エリカ「……わかってるわよ。でも、私の指示に従えないなら同じことよ」

優花里「お二人は、え、エリカ殿の事を誤解してるんです!!あの、本当の事を話せばきっとっ!」

エリカ「っ……黙れっ!!」

優花里「っ!?」ビクッ

エリカ「あなたに……あなたに何が分かるのよっ!?知識だけで、何も知らないあなたにっ!?」

優花里「っ……」

エリカ「あ……ごめんなさい、私……帰るから」スタスタ

優花里「……なんで、なんでですかっ!!?こないだは、アンツィオ戦後はあんなに笑ってたじゃないですかっ!!?

    敵も味方も関係なしに笑って、はしゃいで……エリカ殿だってっ!!なのにっなんでこんな事になっちゃうんですかエリカ殿っ!!?」

エリカ「……それが、偽物だったってだけでしょ」

優花里「っ!?何、言って……」

エリカ「じゃあね、優花里。……また明日」

優花里「……エリカ殿の、エリカ殿の……っ馬鹿あああああああああああああああああっ!!」








エリカ「……ええ。ほんと、救えないわね」











初めてあなたと一緒の戦車に乗った日

私は長い間、本当に長い間忘れていた気持ちを思い出した

小さなII号戦車に私が車長と砲手であなたが操縦手

私が指示をし時にはあなたが指示をして……あの瞬間、私は一人じゃなかった

ひたすら夢中で戦車を動かして、試合が終わった後になってようやく気付いた

ああ、そうだ。戦車道ってこんなに楽しかったんだって

それを思い出した瞬間涙が流れて、止まらなくて

そんな私を見てあなたはあたふたしながらもそっと、頭をなでてくれた

貴女がいたから、私は私を思い出せた






私は、貴女に――――エリカさんに救われたんだよ






>>547 ド派手にミスしました。上の部分は無視してください。

続きは水曜で。

>>520 これもですね。

ナカジマ「あちゃー、ホシノー消化器消化器ー!!」
      ↓
ナカジマ「あちゃー、ホシノー消火器消火器ー!!」

上記の訂正でお願いします。消火器今回は一発で変換できたのに……

始める前に、

>>547 はやっぱり エリカ「馬鹿な副隊長よ―――あぁ、『元』だったわね」

でお願いします。

  







エーリっカさん♪



――やめて












エリカさんっ!



――黙れ









エリカさん



――私は、










エリカさん。貴女に会えて、良かった







弱いあなたが憎くてたまらない









エリカ「っ!?」バッ


チュンチュンチュン


エリカ「……っ、最悪の目覚めね」





『私……もうあなたの戦車には乗らないッ、あなたのような人と一緒に戦えないッ!!』

『死者を、それも命の恩人を愚弄するような輩と共に歩く道は、私にはありません』






エリカ「……全部夢だったらいいのに」








エリカ「……」モグモグ

麻子「逸見さん?」

エリカ「麻子?どうしたのよこんなところで」

麻子「ここは私の昼寝スポットの一つだ。校舎の影で人通りも少なくて涼しいからな」

エリカ「そう」

麻子「逸見さんこそ、こんなところで昼食か」

エリカ「たまには一人でパン食べるのもいいかなって思っただけよ」

麻子「……そうか」

エリカ「……っと、私は食べ終わったから戻るわね。あなたも昼寝は良いけれど授業はちゃんと出なさいよ」

麻子「沙織みたいなことを言うんだな」

エリカ「……じゃあまたね」

麻子「……ああ」






桃「いよいよ次は準決勝だっ!!相手は前回の優勝校であるプラウダ高校っ!!全員、気を引き締めろっ!!」

杏「……あれ?武部ちゃんと五十鈴ちゃんは?」

優花里「そ、それは……」

エリカ「二人とも今日はお休みよ。体調が悪いんじゃない?」

杏「……そっか」

桃「二人ともたるんでるなっ!」

杏「まーまー、いいじゃないの。そんな時もあるよ」

桃「ですが会長……」

エリカ「とりあえず今日の練習はいつも通りの基礎訓練よ。参加車輛が増えたとはいえ、相手の15輌に比べれば依然心もとない数。

    だからこそ各車、各チームの技量を高める必要があるわ。数の少ない有象無象を少数精鋭にまで押し上げる。そのための基礎よ」

梓「はいっ!」

あゆみ「また基礎かぁ……」

あや「たまにはドンパチした練習がやりたいなぁー」

梓「あゆみ、あやっ!!」

エリカ「気持ちはわかるけれどこれも必要な事よ。それじゃあ早速始めましょう」






優花里「今日は3人で動かすことになるんですね……」

エリカ「仕方がないでしょ。ほら、さっさと乗って」

麻子「ん」

優花里「はい……」

エリカ「……っと」

麻子「それじゃあ出すぞ」

エリカ「……」

優花里「エリカ殿?」

エリカ「……やっぱり今日はⅣ号は出さないでおきましょう」

優花里「え?」

エリカ「皆、悪いけど練習内容を変更するわ。Ⅳ号を抜いた7輌で4対3の紅白戦をしましょう」

梓『え?』

エルヴィン『こちらは構わないがどういう風の吹き回しだ?』

エリカ「……基礎はもちろん大事。でも、チームの実力を把握しておくのも連携には必要なことよ。

    その点紅白戦はそれにうってつけって事。初心者のカモさんチームとレオポンさんチームは一緒でお願い」

桃『キリが悪いな……お前たちは参加しないのか?』

エリカ「あら?今さら私たちの実力を図る必要がある?」

ねこにゃー『逸見さん超強気……』

エリカ「……冗談よ。麻子と優花里にはカモさんとレオポンさんチームのサポートをお願いしたいからね」

そど子『私たちはまだ初心者なんだからそのあたり頼むわよっ!!』

ナカジマ『こっちも動かす以外は素人だからお願いねー』

エリカ「って事だから麻子、優花里お願いね」

優花里「は、はい」

麻子「……わかった」

桃『お前はどうするんだ?』

エリカ「私は監視台から皆の試合を見させてもらうわ。桃ちゃん、最近は0距離なら当てられるようになったけど、もうちょっとなんとかなるようにしなさい」

梓『0距離なら当たるようになったんだ……』

優花里「エリカ殿の必死の指導でなんとかそこまで持ってけるようになりました……」

エルヴィン『ある意味才能だな……』

桃『うるさいうるさいっ!あと桃ちゃん言うなっ!!』

エリカ「桃ちゃんだけじゃないわ、ウサギさんチームは指示を守るために他がおろそかになる時がある。指示を守るのと自分の頭で考えないのは別よ。

    隊長からの指示をただ受けるだけなら車長なんていらないわ。その事をよく考えなさい」

梓『っ……はいっ!!』

エリカ「カバさんチームはなまじⅢ突に火力があるせいか攻め急ぐ癖があるわ。突撃砲の運用は待ち伏せが基本よ。

    聖グロの時のように瞬時に地形を把握して自身に有利な状況を見つけられるようにしなさい」

エルヴィン『耳が痛いな』

エリカ「アヒルさんチーム、火力も装甲もない八九式で偵察をこなせるようにしたのは良いけれど、それはほかの戦車でもできることよ。

    あなた達がその子を選んだのだから、誰にも負けないっていう自信を持って、もっと技術を高めなさい」

典子『はいっ!!』

エリカ「アリクイさんチームはラッキーパンチを狙いすぎ。桃ちゃんほどじゃないけれど闇雲に撃つ癖があるわ。

    三式は砲撃に車長と砲手の息を合わせる必要がある。もっとタイミングを見極めて確実な瞬間をとらえなさい」

ねこにゃー『りょ、了解』

エリカ『カモさんチームはまだ戦闘は難しいでしょうけど、B1は装甲が厚いわ

    焦らず、麻子たちの指示を聞いて出来る事からやって』

そど子『はい』

エリカ「レオポンさんチームは操縦に関しては心配してないわ。でも、癖が強い戦車には変わりがない。

    実戦形式で動かす中で、そのあたりを掴んで本番でもしっかり動かせるようにして」

ナカジマ『オッケー』

エリカ「それじゃあ始めましょう」






桃『アヒルさんチームだ撃て撃てーっ!!』

エルヴィン『うぉおおおおおっ!?なんでっ!?なんでこっち飛んでくるっ!?』

桃『また外れか……』

ねこにゃー『いやあれはもはや空間が曲がってないとおかしい弾道だったような……』

典子『何か知らないけど今のうちに逃げよう』







ゴモ代『う、うわわっ、冷泉先輩どうすればっ!?』

麻子『こう、レバーをグイっとしてなんかこう、シュッってやった後ウィィィンってやればいい』

ゴモ代『わかりませーんっ!』

そど子『ちょっと冷泉さんっ!ちゃんと教えなさいよっ!!』

麻子『……めんどくさいな』






ホシノ『ナカジマーエンジンがお熱っぽいぞ』

ナカジマ『仕方ない、ちょっとあやすね』

梓『嘘っ!?走りながらっ!?』

優花里『設備の無いところであのレベルの修理をできるだなんて!信じられないです!!』






左衛門座『ウサギ狩りだーっ!!』

梓『あんなところにっ!?』

エルヴィン『背の高いお前らはよく見えていたぞ』





シュポッ シュポッ

エルヴィン『……相打ちか。まさか車高の高さを利用してあんな攻撃をしてくるとはな』

梓『まさか車高の低さをあんな形で利用してくるだなんて……』

エルヴィン・梓『『……ま、実戦じゃ絶対できない動きだけど』』





エリカ「終わったわねー?それじゃあチームを変えてもう一回よ」

『はーい!』

エリカ「……」






エリカ「沙織、華……」ボソッ











エリカ「……」モグモグ

麻子「……逸見さん」

エリカ「麻子?なんでこんなところに……」

麻子「私の昼寝スポットは学園艦の各地にある。ここもその一つだ」

エリカ「そ、そう」

麻子「逸見さんはまたぼっち飯か」

エリカ「言ってくれるわね……」

麻子「秋山さんはどうした」

エリカ「……正直、今はあの子と話しても傷つけるだけよ」

麻子「……隣、いいか?」

エリカ「いいけど……昼寝はどうしたのよ」

麻子「少し、話をしよう」

エリカ「……」

麻子「逸見さん。沙織が何であんなに怒ったかわかるか?」

エリカ「……説教ならやめてほしいわ」

麻子「そうじゃない。ただ、沙織が誤解されているのはあまり嬉しくないから」

エリカ「誤解?」

麻子「沙織は、逸見さんが西住さんとやらの死を侮辱したから怒ったんじゃないんだ」

エリカ「……なら、何よ?」

麻子「沙織は逸見さんの『酷い言葉』に怒ったんじゃない。酷い言葉を『逸見さん』が言ったから怒ったんだ」

エリカ「……」

麻子「私は沙織が誰かをぶつのも、あからさまに人を避けるのも初めて見た。……沙織は誰とでも仲良くできる。

   もちろん中には反りが合わなかったりする奴がいたかもしれん。それでも沙織は表面上を取り繕って波風をたてないようにする。お互いのためにな」

エリカ「よくやるわね」

麻子「ああ、私もそう思う。だけど逸見さんにはああいう態度をとった。その意味を、その理由を……理解してほしい」

エリカ「……」

麻子「言いたいことはそれだけだ。こないだ言った通り、二人が仲直りしようがしまいが私は最後まで逸見さんについていく。……後は好きにするといい」スクッ 

エリカ「麻子」

麻子「……」

エリカ「私は、沙織を誤解したことなんて一度もないわ」

麻子「……なら、それをちゃんと言ってやれ。話せばわかるのに勝手に決めつけて、それが最後になるだなんてのを私は……もう見たくないんだ」スタスタ

エリカ「……はぁ、私って本当に馬鹿ね」

相変わらず自分の文章は三点リーダーの消費が多いなぁと思います。

今日はここまで。次は土曜で。





キーンコーンカーンコーン


ザワザワ

カエリドッカヨローヨー

ジャア、ワタシ アマイモノタベターイ




エリカ「……」

沙織「……華、帰ろう」

華「……はい」

エリカ「……っ沙織、華っ!!」ガタッ

沙織「……」

エリカ「あなた達と話がしたいっ!!」

沙織「……私は、逸見さんと話したくない」

エリカ「っ……」

沙織「……華、行こ」スタスタ

華「……沙織さん」


ガシッ

エリカ「お願い、話を聞いてっ……」

沙織「っ……うるさいっ!!」ダッ

エリカ「沙織……」







優花里「追ってくださいっ!!」






エリカ「優花里……?」

優花里「いいからっ!!早く行ってっ!!ここで諦めたら――――きっと後悔しますよっ!?」

エリカ「――――うんっ!!」ダッ

優花里「……エリカ殿、頑張ってください」

麻子「まったく、騒がしいやつらだな」

優花里「麻子殿……」

麻子「……秋山さん」

優花里「?」

麻子「……大丈夫だ」

優花里「……はいっ」





華「……私、置いてけぼりですね」

優花里「あ……」






ダダダダダッ!!

エリカ「沙織っ!!」

沙織「ついてこないでっ!!」

エリカ「嫌よっ!絶対に逃がさないわっ!!」



カエサル「何やってんだあいつら……」

エルヴィン「ラップランドか?」

カエサル「ゲルマン民族大移動だ」

左衛門座「いや、島津の退き口だな」

おりょう「いやいや逃げの小五郎ぜよ」

「「「それだっ!」」」



典子「隊長、ランニングですかっ!?お付き合いしますっ!!」

ねこにゃー「キャプテン、それは違うと思うな……」





ダダダダダッ!!


沙織「逸見さんとはもうなんでもないんだからっ!!」

エリカ「今さら他人行儀な呼び方しないでっ!!」






梓「エリカ先輩に武部先輩……?」

あや「どうしたんだろ?」

優季「痴話喧嘩かもよぉ?」

あや「男の取り合い……」

梓「変なこと言わないでっ!!」

紗希「……」ボーッ






ダダダダダッ!!


エリカ「お願いっ話を聞いてっ!!」

沙織「うるさいうるさいっ!!」





杏「逸見ちゃんたち何してんだろ」

柚子「廊下は走っちゃだめだよー……」

桃「武部の奴、体調不良だと言ってたのに元気じゃないかっ!?」



ナカジマ「廊下でレースかな?」

ホシノ「学校での交通ルールは守らないと」



ダダダダッ!

そど子「あなた達廊下を走るとか何考えてるのー!!」

ナカジマ「……参加者が増えたね」






―屋上―



沙織「はぁっ……はぁっ……」

エリカ「ぜぇ……ぜぇ……もう、逃げ場はないわよ……」

沙織「……もう、なんなのっ!?あなたと私はもう何の関係もないんだからっ!!」

エリカ「……沙織。私は……ここで終わりだなんて嫌」

沙織「っ……」

エリカ「沙織、私が嫌いなら、信頼できないならそれでも良いわ。だけど、私は――――」

沙織「こないでっ!!」

エリカ「……」

沙織「ねぇ、あなたは誰なの……?」

エリカ「っ!?何、言って」

沙織「私、あなたの事何も知らない……みほさんの事も、黒森峰での事も……」

エリカ「……沙織」

沙織「えり、逸見さんがみほさんをどう思ってるかっていうの、あれ本当なんだよね……?」

エリカ「……ええ。あの言葉は間違いなく――――私の本心よ」

沙織「それがわかったから私は……でも、私はあなたの優しいところもたくさん見てきたっ……」

エリカ「……」

沙織「あなたが戦車道に強い思い入れがあるって知ってる。だけど、あなたはそれを押し付けたりしなかった。

   厳しい時もあったけど、それがあったから皆戦車道を楽しんでる。一年生チームだって、あなたの厳しさがあったから本気になれたって

   アリクイさんチームも、あなたが見つけてきたんだよ……?」

エリカ「勝つために必要だと思ったから。……かもしれないわよ」

沙織「バレー部やアリサさんのために自分を傷つけて」

エリカ「……それが最適解だと思ったから」

沙織「自動車部の皆にだって、ずっと仲間だと思ってたって……」

エリカ「……それも、」

沙織「あなたはそんなに器用な人じゃないよ」

エリカ「……何も知らないだなんてよく言うわね。私の事、よく見てるじゃない」

沙織「ねぇエリカ。私達、あなたと出会ってまだ半年も経ってないんだよ?なのにエリカと出会ってから今日まで、本当に長かった。あなたとの思い出が沢山できたっ……」

エリカ「……私もよ」

沙織「でもね、だからかな。……あの時のあなたがどうしても許せなかった」

エリカ「それは、あなたが優しいからよ」

沙織「違う、違うのエリカ……私は、私はただ嫌だったのっ!あんな事を言うエリカがっ!」

エリカ「……」

沙織「誰だって嫌いな人や苦手な人はいるよ。私はそれを否定できるような聖人じゃない。なのに……あなたがみほさんの事を悪く言っているのが、どうしても耐えられなかった……

   あなたがあんなにも誰かを蔑んで、憎む顔を、見たくなかったっ……」

沙織「あなたの言葉は間違ってる。だけど、そんなの些細な事なのっ、私は……私はただ……あなたと一緒に笑顔でいたかっただけッ!!」

エリカ「……」

沙織「……エリカ、もう一度言うね。誰かを悪く言うあなたが嫌い」

エリカ「……」

沙織「だけど――――それ以上に、あなたを嫌いになる私が嫌い」

沙織「あなたは厳しくて、だけど優しい人だから。誰かを嫌ったり、憎んだりしないだなんて決めつけて、

   それが違ったから裏切られただなんて思って、こんなエゴにまみれた私に、あなたの友達でいる資格なんて――――」


   

ギュッ





沙織「エリカ……?」

エリカ「……沙織、あなたには感謝してる」

沙織「……え?」

エリカ「初めて話しかけてくれたこと、今でも感謝してるわ」

エリカ「一緒に戦車道をやると言ってくれたこと、本当はとっても心強かった」

エリカ「今日の訓練、私は見学してたわ。だって3人じゃ戦車動かせないもの……そんな誤魔化しでみんなを、自分を納得させた」

エリカ「3人だって動かすぐらいできるわ、戦闘は無理でもやろうと思えば練習できた。……でも、したくなかった」

沙織「……」

エリカ「初めてよ。あんなに戦車に乗りたくないと思ったのは。あなた達がいない戦車は……あんまりにも寒かったから」

沙織「えり、」

エリカ「私も同じよ沙織。あなた達と出会ってから本当に長かった。たくさんの思い出ができたの」

沙織「……うん」

エリカ「……沙織、あなたは何も間違ってない。間違ってるのは私なの。優しいあなたを無遠慮な言葉で傷つけたのは、私なの」

沙織「……」

エリカ「だけど、それでも私は―――――――あなた達の乗る戦車に乗りたい。あなたを傷つける事になっても、それでも私には……あなたが必要よ」

沙織「……えりりん」

エリカ「……何?」

沙織「私は、みほさんとえりりんがどんな関係だったのか何も知らないよ」

エリカ「……話すつもりはないしね」

沙織「えりりんが私たちに何か隠してるのも知ってる」

エリカ「……そう」

沙織「だから、きっとえりりんにも何か事情があるのかもしれない、理由があるのかもしれない。

   それでも、私はえりりんにあんな言葉を言ってほしくなかった」

エリカ「……ええ。でも、撤回するつもりはないわ」

沙織「私は、初めてえりりんの嫌いなところができたよ」

エリカ「……」

沙織「だからもっとえりりんの良いところを私に見せて」

エリカ「私には、戦車道しかできないわ」

沙織「それでいいから、それが見たいから――――いっぱい笑って、いっぱい楽しんで、みんなとの思い出をたくさん作ろうよ。ね?えりりん」

エリカ「……沙織」

沙織「なあに?」

エリカ「……ありがとう」

沙織「ううん、私こそありがとう。それと、ごめんね。ぶったりして……」

エリカ「ええ、痛かったわよ。誰かにぶたれたのなんて久しぶりだったから結構効いたわ」

沙織「ふふっ、私も鍛えられてるのかな?」

エリカ「かもね」

沙織「……えりりん」

エリカ「なあに?」

沙織「あなたと友達になれて良かった」

エリカ「……ええ、私も」












優花里「ううぅ……エリカ殿、沙織殿ぉ……」グスッ

麻子「ほら、あんまり大声出すと見つかるぞ」

優花里「す、すみません……」ズビッ

麻子「……良かったな逸見さん、沙織」

はいここまで。次は火曜で。







エリカ「沙織、私はまだ話さないといけない人がいるの」

沙織「……華、だよね」

エリカ「ええ」

沙織「……話しづらいなら、私から」

エリカ「駄目よ。……わかるでしょ?あなたにそうしたように、華とも向き合って話したいの」

沙織「……うん」






キーンコーンカーンコーン



エリカ「華っ!」ガタッ

華「申し訳ありません。私この後お稽古事がありますので」スタスタ

エリカ「あ……」

沙織「完っっっ全に脈無しだね……」

エリカ「……どうしよう」

沙織「……こうなったら」






沙織「手紙だよっ!」

優花里「ある種由緒正しいやり方ですね」

沙織「そうっ!メールとは違って手書きの手紙には温もりがあるのっ!」

麻子「私が就活するころにはそんな風潮全て滅んでて欲しいものだな」

優花里「就活するんですか?」

麻子「……別にニート志望というわけではない」

沙織「とにかくっ!想いを伝えるのに手紙を使うのは古今東西の常套手段っ!そこに恋も友情も関係ないよっ!」

エリカ「でも、何を書けばいいの?」

沙織「そこはほら、華に伝えたいことがあるでしょ?」

エリカ「伝えたい事……」カキカキ







『この度は私、逸見エリカの不用意な発言によって五十鈴華様の気分を害してしまい大変申し訳ありませんでした。

 今後はこのようなことが無いよう、最大限配慮し、注意致します。     逸見エリカ』





沙織「謝罪文っ!!?」

エリカ「え……だって、とりあえず謝るところから始めないと……」

沙織「始まるどころかこれじゃあただ謝ってるだけでしょ!?それも事務的なっ!

   謝るにしてもちゃんとえりりんの気持ちを伝えるようにしないと」

エリカ「そう……」カキカキ







『この度は私、逸見エリカの不用意な発言によって五十鈴華様の気分を害してしまい大変申し訳ありませんでした

 今後はこのようなことが無いよう、最大限配慮し、注意致します。

 しかしながら、私の発言自体には華様への侮辱、あるいは不快にさせるような意図が含まれていたわけではなく

 あくまで私個人の西住みほへの感想であったため、発言を撤回することは無く訂正もいたしません。

                          
                                             逸見エリカ』




沙織「そうじゃなーーーーーーーーいっ!!」

エリカ「えぇ……?」

沙織「確かに気持ちを伝えろとは言ったけどこれじゃあ開き直ってるだけじゃんっ!?」

エリカ「でも、私は私の考えを変えるつもりはないし、でもそのせいであなた達を傷つけて……私、ほんとに馬鹿みたい」

沙織「その話は終わったからっ!今は前を向いて華への思いを書き連ねてっ!!」

エリカ「私の華への思い……」

沙織「えりりんだって手紙書いたことぐらいあるでしょ?家族に、友達に。変に格式ばった書き方する必要ないんだよ。

   大事なのは何を伝えたいのか。口に出せない思いを文字に込めるのが手紙なんだから」

エリカ「……」







『エリカさんお待たせっ!』

『別に待ってなんかいないわよ』

『そう?なら良かった。それじゃあ学校行こ』

『ええ、でも途中ちょっとポストに寄るわよ』

『手紙でも出すの?』

『ええ、陸の家族にね』

『へー。エリカさんちゃんと手紙で家族と連絡とってるんだね』

『別にメールや電話もしてるわよ?でもね、自分でペンをとって日々の事を書いてると、その時思った事、伝えたい気持ちが自然と文章に現れるのよ』

『そういうものなんだぁ』

『あなたもたまには家族に手紙でも書いてみれば?』

『お父さんはともかく、お母さんに下手な手紙書くと赤字で修正入って、お説教されそうだし……』

『あなた自分の母親をなんだと思ってるのよ……じゃあ隊長に出せば?』

『毎日会ってるのに?』










『いいじゃない。交換日記みたいなものよ』

『……だったら私はエリ―――』

『二人とも、おはよう』

『隊長っ!?おはようございますっ!』

『エリカは朝から元気だな』

『そうでなくては黒森峰で戦車道なんてできませんよ』

『中々言うじゃないか。なら、今日も期待しているぞ』

『はいっ!』

『……むー』

『どうしたんだ※※?』

『お姉ちゃんはずるいよ』

『?』

『※※、なんか言った?』

『なんでもないよっ!ほら、ポスト寄るんでしょ。早く行こっ』

『あ、ちょ、引っ張らないでよ。隊長、それじゃあまた後でっ!』






エリカ「……」

沙織「えりりん?」

エリカ「……やっぱり私が今、華に伝えたいのはこの言葉ね」カキカキ






『放課後、体育館裏で待つ  逸見エリカ』





沙織「果たし状っ!?」






―体育館裏―





エリカ「……」











沙織「……華、来てくれるかな」コソッ

優花里「さすがにあれを無視するような方ではないかと……」コソソッ

麻子「あまり騒ぐなよ。逸見さんは一人で行くと言っていたのだから。それに、心配することは無いと思うぞ」コソソソッ

沙織「……来たっ!?」

エリカ「……華」

華「中々古風な誘い文句ですね、つい足が向いてしまいました。それにこの絵、

  判別ができませんでしたが、おそらく私の内臓をぶちまけてやるという意思表示だと解しました」

エリカ「え……あんこう、なんだけど……ちょっと余白があったから何か描こうかって。

    私たちのチームエンブレムだし、いいかなって……」










優花里「ほんとに何なんでしょうあれ……エンブレム見ながら書いてましたよね?」

沙織「だからやめとけって言ったのに……」

麻子「生まれ持ってのセンスはどうしようもなかったな」

華「それで?私とのタイマンをお望みでしたら受けて立ちます」スッ

エリカ「なんであなたはそんなに好戦的なのよ……華、私ともう一度戦車に乗って欲しい」

華「……私はもうあなたと共に歩むつもりはありません。果し合いではないというなら私はもう帰らせていただきます」

エリカ「っ……華っ!!」

華「……なんでしょうか」






エリカ「ご飯食べに行くわよっ!」









エリカ「……」モグモグ

華「……」モグモグ







沙織「こっそりついてきたけど……さっきから無言だね」

優花里「ただ黙々と口にものを運んでいるだけです……」

麻子「デザート頼んでいいか?」

エリカ「……ここのハンバーグ結構おいしいでしょ」

華「そうですね」

エリカ「遠慮しないでもっと頼んでもいいわよ?ここは私が出すから」

華「遠慮します。あなたにそこまでされるいわれはないので」

エリカ「……」

華「……」







沙織「あぁ……また黙っちゃった……」

優花里「見ているこっちのお腹が痛くなります……」

麻子「フォンダンチョコッシュか……ちょっと気になるな

エリカ「……華、私ともう一度戦車に乗って欲しい」

華「同じことを言わせないでください」

エリカ「私にはあなたが必要なの」

華「あなたがそうであっても、私は違います」

エリカ「っ……」








沙織「っ……えりりん」

優花里「頑張ってくださいっ……」

麻子「熱っつ!?なんだこれ中のチョコが熱っつ!?めっちゃこぼれるなこれ」

エリカ「……そうね。あなた意外と頑固だものね」

華「わかってくれたようで何よりです」

エリカ「……沙織も、あなたも、優花里も麻子も。自分だけの意志を、信念を……道を持ってる。それは、私には無いものよ」

華「……」

エリカ「私は、道や信念だなんて立派なものを持ってない。戦車道も私にはそれしか無いからやってるだけ」

華「……」

エリカ「……だけど大洗に来て、戦車道を再開して、私……楽しかった。戦車も練度も、何もかも足りなくても……それでも。

    あなた達と、みんなと。全身で全力で勝利を求め続けた今日まで本当に楽しかったわ」

華「……」

エリカ「華、私はあなたに許してもらおうとは思わない。だけど、もう一度チャンスをちょうだい。もう一度だけ、私と共に歩んでほしい」

華「……あなたは、私に弁解しないのですか?自分が死者を愚弄するような輩であることを否定しないのですか?」

エリカ「……しないわ。私にとって西住みほはどうしても許せない存在だから」

華「つまり、私に道を曲げてあなたと共に歩めということですね」

エリカ「そうよ。そう、私は……私にはあなた達が必要なの。だから絶対に離さない――――たとえ、あなたの意志を無視しても」

華「……ワガママ、自分勝手。でも……情熱的ですね」

エリカ「……同じ事を最近私も思ったわ」

華「あなたは、私以上に頑固ですね。自分が間違っているとわかって、その上で押し通すと言っているのですから」

エリカ「……かもね」

華「……正直なところ元々私はあなたへの怒りはそれほどもっていません。私が離れたのは西住みほさんの事もありますが、何よりもあなたが沙織さんを悲しませたからです」

エリカ「……」

華「ですから、あなたが沙織さんと和解した時点で私もあなたへのわだかまりはなくなっていました。沙織さんは優しい方です。

  だけど、人を見る目は確かですから。……だからと言って何もなしに元の鞘に収まるつもりはありませんでしたが」

エリカ「……」

華「エリカさん」ピッ

エリカ「何、その指?」

華「望み通りチャンスをあげます。……代わりに誓ってください」

エリカ「……何を」

華「もう、沙織さんを悲しませないと。私はあなたの主義思想についてとやかく言うつもりはありません。

  ですが、沙織さんは私にとって大切な友人です。たとえ沙織さんが自分で選んだ道だとしても、私は……沙織さんのあんな顔をもう見たくないのです」

エリカ「……」

華「戦車道を始めたことで私は自身の華道をより深めることができました。優花里さんや、麻子さんだけでなく、たくさんの方々と出会えました。

  戦車道は私にとって大切な物になりました。……あなたには感謝しています。だから……エリカさん、お願いです。私に、この指を折らせないでください」

エリカ「……誓うわ。もう、沙織を悲しませない」

華「……信じます。エリカさんの言葉ですから」










優花里「なんか結婚の許しをもらいに来た恋人と、娘を愛するお父さんの会話みたいですね」

沙織「やだもー!私、ちゃんと素敵な旦那さんと幸せになるからねお父さんっ!!」

麻子「うっわ制服についてしまった……沙織、洗ってくれ」

沙織「えー?もうしょうがないなぁ……」

優花里「亭主関白だ……」

華「……あなたの闇は決して小さくない。でも、例えそれで傷つく人がいたとしても歩みを止めないというのであれば……それもまた、道なのでしょう」

エリカ「華……」

華「エリカさん、我がままで、頑なで、歪で、だけどひたむきなあなたの想い。しかと受け止めました」

エリカ「……」

華「そして、忘れないでください。私たちと今日まで歩んできた足跡は間違いなくあなただけの道なのだということを」

エリカ「……」

華「その道に何を見出すのかはまだわかりません。ですが、どんな結果であろうとも私たちはあなたのそばにいます――――友達ですから」

エリカ「……うんっ!」









沙織「えりりんっ……良かった……」

優花里「エリカ殿、やりましたねっ……」

麻子「だから言ったろ。心配することは無いって」

エリカ「華……ありがとう」

華「こちらこそ――――ごちそうさまです」ピンポーン

エリカ「……え?」

華「あ、ここからここまで全部お願いします。……ああ、サラダも」

エリカ「ちょ、華?」

華「ここはエリカさんが出してくれるのですよね?」

エリカ「いや、あなた断っ……」

華「それは、エリカさんと仲直りしていなかったからですよ。もとの関係に戻れた以上、遠慮するほうが無粋というものです」

エリカ「いや、それはそう……なの?」

華「ええ。だからこそエリカさんも食事代を持つだなんて言ったんですよね?」

エリカ「……はぁ、わかったわよ。好きにしなさい」

華「はいっ♪じゃあデザートも……このフォンダンチョコッシュというの、美味しそうですね?」

エリカ「……いいわよ。好きにしなさい」

華「はい、遠慮しません♪」










沙織「華のあんな振る舞い初めて見た……えりりん大丈夫かな」

優花里「た、たぶん……ほら、余裕な表情を」

麻子「……いや」






エリカ「私の財布、頑張ってっ……負けないでっ……1円でも多ければ大丈夫だからっ……」ブツブツ










沙織「……まずそうだったら私たちも出そう?」

優花里「……ですね」

麻子「逸見さん、まぁあれだ。……頑張れ」

華「エリカさん、ほらアーン」

エリカ「んっ……」モグモグ

華「美味しいですね?」

エリカ「……ええ」

華「今度は……そこにいるみなさんと来ましょう」コソッ

エリカ「……そうね、みんなには心配かけてばっかだから」

華「ふふっ、エリカさん?」

エリカ「何?」

華「試合、頑張りましょう」

エリカ「……言われなくても。華、頼りにしてるわ」

華「任せてください」

ここまで。次土曜。




エリカ「今日の訓練はこれで終わり。みんな、よく頑張ったわね。それじゃあ解散っ!!」


ザワザワ 

ツカレター

オフロハイリニイコー



エリカ「……」

杏「逸見ちゃーん」

エリカ「会長?」

杏「今日もお疲れー。最近は特に熱が入ってるねー」

エリカ「何よ急に」

杏「いやー、一時はどうなるかと思ったよ。仲直り出来て何より何より」

エリカ「……やっぱり気づいてたのね」

杏「生徒の事はよく見てるからね」

エリカ「そう。……あなた達にも心配かけたわね」

杏「いいよいいよ、逸見ちゃんには世話になってるからね。……それよりも、後で生徒会室来てくれる?」

エリカ「……?」






ガチャ

エリカ「来たわよ」

杏「おー逸見ちゃんよく来たね。ままっ、入って入って」

桃「会長お手製のあんこう鍋だ」

柚子「おいしいよー」

エリカ「生徒会室なのにこたつに鍋って……あなた達ほんとに好き勝手やってるわね……」

杏「いいじゃんいいじゃん。北緯50度を超えてもう寒くてしょうがないんだから」

桃「次のステージは雪原か……プラウダのホームみたいなものだな」

杏「向こうについたら管理局で選手と戦車の登録しないとなー」

桃「会長、この寒さですしそれは私が行きます」

杏「いいって」

桃「だったらせめて名簿の作成ぐらい……」

杏「それも大丈夫。私が全部やっておくよ」

桃「しかし、サンダースの時からずっと会長が全部やって……」

杏「いーのいーの、こういうのは一番偉い私がやるもんなの」

エリカ「なんか、随分やる気ね?」

杏「いやいや、河嶋達には準決勝までの時間を有効に使ってほしいからね。このぐらいの雑務は私がやるよ」

桃「会長っ……」ウルッ

エリカ「ちょろいわねぇ……」

柚子「逸見さん、こっちは雪原での経験がないけど大丈夫?」

エリカ「全車両の雪原塗装や、防寒の準備なんかは進めてるわ。操縦手のみんなにも私から雪上での操縦のコツとか注意事項は話してあるし」

杏「そういや、さっき自動車部が頑張ってたねー」

柚子「会場は雪原なのに戦車まで白いんじゃ見てるこっちも寒くなるよー」

エリカ「仕方ないでしょ。できる策はとっておかないと」

杏「だね」

エリカ「……それで?何の用よ」

杏「慌ただしいなぁ。ごはんまだなんでしょ?ほら、よそってあげるから」

エリカ「そう?ありがとう。ごちそうになるわ」

桃「?今日はやけに素直だな」

エリカ「先日、ちょっと浪費しちゃってね……できるだけ出費は抑えたいのよ……」

桃「お前、学生の内に金遣いが荒いと将来苦労するぞ」

エリカ「桃ちゃんに言われると効くわね……」

桃「どういう意味だっ!?」

杏「はい、どうぞ」

エリカ「いただきます」

杏「どう?」

エリカ「……確かにおいしいわ。こだわりを感じる味ね」

杏「気に入ってもらえたようでなによりだよ」

エリカ「……」モグモグ

杏「……それにしても、逸見ちゃんがここに来てからずいぶんと慌ただしくなった気がするよ」

エリカ「巻き込んだあなたが言う?」

杏「あーそれもそうだね。でも、悪くなかったでしょ?」

エリカ「……そうね」

桃「もうすぐ準決勝か……」

柚子「ここまで来れるとはね……」

杏「そうだなー……ほんとうに、ここまで来れるとは思ってなかったよ」

エリカ「……」

杏「逸見ちゃん。今日呼んだのはね、一度逸見ちゃんに話しておきたかったんだよ。この学園の事を」

エリカ「転校して4か月もたてばもうだいぶ知ってるわよ」

杏「そういう事じゃないってわかってるでしょ?」

エリカ「……どういう風の吹き回し?あれだけ黙秘していたのに」

杏「私も話すつもりは無かったよ。でも、私たちがここまでこれたのは逸見ちゃんのおかげだから」

エリカ「……あなた達だって頑張ったじゃない」

杏「あはは、ありがと。……3人で決めたんだ、逸見ちゃんにちゃんと真実を伝えようって」

エリカ「……私は、あなた達の事情に大体の察しはついてるわ」

杏「それでも、言葉にしてちゃんと伝えたいんだよ。お互いが分かっているつもりにならないために」

エリカ「……」

杏「逸見ちゃん、この学校は、大洗女子学園は……このままだと廃校になる」

エリカ「……そう。やっぱり……学園艦は維持運営費がかさむものね、公立の学園艦は順次統廃合していく。ニュースで聞いたとおり。……まさか自分が当事者になるとは思わなかったけど」

杏「みんなそうだよ。私も、河嶋も、小山も。卒業するまで、卒業してもずっとこの学園艦があると思ってた」

柚子「……遅くとも来年度にはこの学校は学園艦ごとなくなるの」

エリカ「……」

杏「正直、理由は理解できるんだよ。逸見ちゃんの言う通り学園艦は維持費がかかる。国のお金だって無限じゃないんだから。そんで、

  どの学園艦を潰すかってなったら生徒数が減少してて、なんの実績もないうちが選ばれるのもまぁ、仕方ないと思う」

エリカ「……だけど、理解はできても納得はできなかった」

杏「……うん。どれだけ正しい理由であろうと、大洗が廃校になる事でその浮いたお金でもっと正しい事ができるとしても――――ここは私たちの学校なんだよ。

  親元を離れてる子が多い中、それでも寄り添って生きてきたんだ。学園艦は、私たちにとってもう一つの故郷なんだよ」

エリカ「……」

杏「まぁ、向こうの答えは最初から決まってるんだ。それをいくら生徒会長とは言え生徒の言葉で覆すことなんてない」

エリカ「……だけど、あなたは譲歩を引き出した」

杏「向こうがどれだけ本気かわからないけどね。軽い口約束だよ『戦車道の大会で優勝すれば廃校は取り下げる』ってね。

  20年以上前にやってた事で今さら優勝できるだなんて向こうも思ってないよ」

エリカ「そこに私が転校してきた」

杏「天啓だと思ったね。これは大洗を存続させろって神様が言ってるんじゃないかって」

エリカ「……」

杏「……ごめん。本当はそんなの思ってなかった。ただ、どうせやるなら経験者がいたほうがみんな楽しめるかなって」

エリカ「最初に私に言った事、嘘じゃなかったのね」

杏「私だってそれなりに戦車道を調べたんだよ。たった一人のエースで戦況が覆るほど、戦車道は甘くない」

エリカ「ええ、その通りよ。なのにあなたは大会に出ることを選んだ。無様に負ける可能性のほうが高かったのに」

杏「……」

エリカ「それはたぶん―――――桃ちゃんのためなのよね」

桃「……」

杏「……なんでそう思ったの?」

エリカ「何となくよ。会長も副会長もどこか廃校について達観してるから。……ていうか、今にも泣きそうな桃ちゃん見てたら私も同じ気持ちになるわよ」

桃「な、泣いてないっ!」グスッ

柚子「ほら桃ちゃん、ハンカチ」

桃「だから泣いとらんっ!」

エリカ「……桃ちゃん、この学校好き?」

桃「大好きだっ!……だから、守りたいんだ……」

エリカ「……」

杏「……逸見ちゃん、次の試合……勝てると思う?」

桃「会長っ!?何を弱気な事をっ!?」

柚子「桃ちゃん」

桃「っ……すみません」

杏「いいよ。……で、どう?」

エリカ「……正直、私が部外者なら棄権したほうが時間の浪費をしなくて済むと思いますね」

桃「っ……」

杏「そっか。だよねぇ……」

エリカ「戦力差があまりにもありすぎる。準決勝では参加車輛が15輌までになるのに対してこちらが使えるのは8輌。

    おそらくこれが大洗のフルメンバーになるわ。時間も、戦車も、人も。これ以上探してる余裕はないんだから」

桃「でもそれはサンダースの時だってっ!」

エリカ「ええ、そうよ桃ちゃん。サンダースの時も2倍近い戦力差があった。それでも勝てたのは運が味方したからよ」

桃「なら今回だってっ!!」

エリカ「戦車道に限らず戦いは数こそが最大の勝因よ。相手は前年度の優勝校、それに加えて準決勝は雪原ステージ、相手のホーム。

    ……勝てると思う?サンダースでの幸運がまた降ってくると思う?」

桃「でも、それでもっ!!」

杏「河嶋。逸見ちゃんの意見は正しいよ」

桃「っ……だけどっ戦う前に諦めるだなんて事したくないっ!!」

エリカ「……一つだけ策があるわ」

桃「ほんとかっ!?」

エリカ「ええ。……でも、あくまで1割に満たないであろう勝率をわずかに上げる程度のものよ」

桃「それでもっ無いよりましだっ!!」

エリカ「……そしてこの作戦をするにあたって条件がある」

杏「条件?」

エリカ「廃校の件を戦車道の履修者全員に伝える事よ」

杏「……逸見ちゃん、それは」

エリカ「……あなたがみんなに学園の存続を背負わせたくないのはよくわかるわ。だけどね、この作戦には高い練度となによりも意識の統一が必要になる。

    みんなは現状全力でやってくれているわ。だけど、それはあくまで試合中での事。あの子たちは自分たちがどれだけ追い込まれているのか知らないの」

杏「……それを知ったってプレッシャーになるだけじゃない?」

エリカ「私は、みんながその程度で潰れるような子だとは思ってないわ」

杏「……そっか。……うん、そうだね。わかった」

エリカ「なら、明日早速――――」

杏「私から言うよ」

エリカ「……いいの?」

杏「むしろ私以外に誰が言うのさ?言い出しっぺは私なんだから」

エリカ「……わかったわ」

桃「……」グスッ

エリカ「……桃ちゃん」

桃「……なんだ」

エリカ「大洗ってどんな学内行事があるの?」

桃「体育祭、合唱祭、学園祭……」

杏「去年は大カレー大会なんてのもやったよ」

柚子「ほかにもハロウィンの仮装祭り、夏の水かけ祭り、泥んこプロレス大会だなんてのもやったんだ」

杏「まぁ、大体は私の思い付きだけどねっ」

エリカ「ふふっ、楽しそうね。……なら、今年も期待しているわ」

杏「逸見ちゃん?」

エリカ「……勝つわよ。絶対に」

ここまで。次火曜で。






ザワザワ

杏「逸見ちゃん、全員揃ったよ」

沙織「えりりん、みんなを集めてどうしたの?」

エリカ「みんな、今日は練習前に話しておきたいことがあるわ」

沙織「話しておきたいこと?」

華「なんでしょうか?」

優季「先輩に彼氏ができたとかだったりして~」

沙織「ええーっ!?ちょ、えりりん私聞いてないよっ!?」

エリカ「そりゃそんなの出来てないから言ってないわよ……話ってのは会長からよ。それじゃあ、お願い」

杏「ん。――――みんな、この学校は好き?」

沙織「え……何急に……」

あや「学校が好きって……」

優季「愛着はありますよぉ?中学の時からいるしぃ」

梓「先輩に出会えてほんとに良かったですっ!」

優花里「私は、戦車道が始められてほんとに感謝してますっ!」

華「皆さんと出会えたのは、この学校があっての事です」

麻子「……まぁ、色々面倒なことはあったがここまで進級できたのはこの学校だからだと思ってる」

そど子「その面倒に私は含まれてないでしょうねっ!?」

カエサル「勝手知ったる地元。腰を据えて歴史に没頭できるのは他にはない長所だ」

ナカジマ「学園艦グランプリなんて他じゃできないだろうしねー」

ねこにゃー「ぼっちな私に、リアルな友達ができたのはここだからだよ」

典子「たとえ人数が足りなくとも、同じ志を持ったチームメイトに出会えた事が何よりの幸運ですっ!」

エリカ「だってさ」

杏「そっか……うん。なら」

桃「っ……」

柚子「……」

杏「みんながこの学校を好きだってわかってほんとに嬉しい。……でも、このままじゃ大洗女子学園は無くなるんだ」


ザワッ……

沙織「ど、どういうことなの?」

杏「……私たちが出てる戦車道の全国大会。これに優勝できないと―――――我が校は廃校になる」

優花里「なっ……どういうことですかっ!?」

沙織「廃校になるっていったい……」

杏「大洗女子学園は学園艦の統廃合の対象に選ばれたんだ。そのため、このままだと今年度末には廃校になる」

エルヴィン「随分急な話だな……」

妙子「部の復活どころか学園がなくなっちゃうなんて……」

あや「そんなのないよぉ……」

梓「で、でもっ!優勝すれば廃校にはならないんですよねっ!?」

エリカ「ええ、そうよ」

梓「だったらっ……」

エリカ「でもね、次の相手は前回の優勝校。戦車道を再開してまだ間もない私たちが本当に勝てると思う?」

梓「そんな……エリカ先輩何弱気な事っ……」

エリカ「弱気だとかそういう話じゃない、純然たる事実よ。プラウダの質は人も、戦車も全てにおいて今までの相手より上よ」

梓「っ……でもっ!私たちだって強くなりましたっ!戦車だって、一回戦の頃より増えて……」

エリカ「そう、戦車も増えた。何よりもあなた達が強くなった。それもまた紛れもない事実だわ」

梓「ならっ!!」

エリカ「……それでも、相手のほうが上なのよ」

梓「っ……」

杏「……みんながこの学園を好きだってのはわかった。なら、もう一つ聞くよ――――――みんなはどうしたい?」

沙織「それは……」

杏「勝ち目が薄いのは今逸見ちゃんが言った通り。だからこのまま負けても誰も責めない。そもそも、廃校の事を生徒で知ってるのはここにいる人たちだけなんだから」

カエサル「……つまり、こう言いたいのか。悪あがきをせず、潔く負けて残り少ない大洗での生活を楽しめ、と」

杏「そういう選択肢もあるって事だよ。イベントでもなんでもたくさんやって、最後の思い出をみんなで作るってのも悪くないと思うけど?」

麻子「……確かに、一理あるかもしれん」

沙織「麻子っ!?」

麻子「私は戦車道に詳しいわけではないが、逸見さんの言ったことが間違ってるとも思わん」

沙織「だからってっ!!?」

桃「っ……嫌――」






梓「嫌だっ!!」




桃「澤……?」

あや「梓……?」

桂利奈「梓ちゃん?」

梓「私は……この学校が好きです。みんなと出会えて、先輩たちと出会えて、そして戦車道に出会えてっ!」

エリカ「……」

梓「みんな、諦められるのっ!?ここまで来れたから充分だって、負けても廃校になっても、よく頑張ったからいいってホントに自分に言えるのっ!?」

典子「……そうだな。どんなに追い込まれててもそこで奮起できないようじゃバレー部復活なんて夢のまた夢だ」

あけび「キャプテン……」

梓「エリカ先輩っ!!私は、あきらめませんっ!!相手が優勝校だろうと、数で、人で負けてようともっ!!」

エリカ「根性ってやつ?それで勝てるなら苦労しないわ」

梓「……戦う前に負ける事を考えるやつがありますか?」

エリカ「……言ってくれるじゃない」

梓「だって、他でもないあなたが、エリカ先輩がそうじゃないですか。聖グロとの試合からずっと、いつだって勝ちを目指してここまで来たんじゃないですかっ!!」

エリカ「……」

あや「……そうだね、大変だったけど私たちはそれでも全力でやってきたんだもんね」

左衛門座「合戦に向かう以上勝利以外はいらないな」

ツチヤ「まだまだ先輩たちとやりたいことがたくさんあるんですっ!こんなところで終われませんっ!」

ももがー「やれることがあるならなんだってするももっ!」

ゴモ代「先輩が残してくれた伝統を無にしたくないです」

ホシノ「後輩に情けない姿は見せられないな」

ぴよたん「後に続くみんなのためにも、学園を守って見せるぴよっ!」

柚子「みんな……」

桃「そうだ……そうだその意気だっ!!」

ねこにゃー「逸見さん、何か考えがあるんでしょ?」

エリカ「……どうしてそう思うの?」

ねこにゃー「だって会長も逸見さんも『勝ち目が薄い』とか『相手のほうが強い』とはいうけど、『勝てない』だなんて一度も言ってないんだもの」

エリカ「……言葉の綾よ」

ねこにゃー「それともう一つ。……この中で一番諦めが悪いのは逸見さんでしょ?」

エリカ「……はぁ。―――――よく知ってるじゃない」ニヤッ

梓「先輩っ……!」

ねこにゃー「逸見さんっ……!」

典子「隊長っ!!」

エリカ「みんな、どんなに絶望的な状況でも勝機を見つけ出す。それは戦車道をする上での最大の作戦であり礼儀よ。

    だけど、そのためには個々人の意志が強くないといけない。……答えなさい。あなた達、このまま終わっても良いのっ!?」

沙織「みんな……」

優花里「……エリカ殿は信じてたんですね」

華「はい、みなさんが決して諦めるような人たちではないと」

麻子「……逸見さん、話してくれ。何かあるんだろ」

エリカ「……今のあなた達ならできるはず。逸見エリカの得意技<フェイバリット>を」

優花里「それは、いったい」

エリカ「一糸乱れぬ統率で、雷の如く敵の懐に入り込み、フラッグ車を撃破する」

優花里「そうか……」

エルヴィン「……なるほど」

左衛門座「して、その作戦名は」









エリカ「作戦名は――――ゴロゴロ作戦。これで、勝ちに行くわよ」






ここまで。次は土曜で




梓「私たちはこのまま終わりたくないですっ!!」

ねこにゃー「やっと見つけた居場所を守りたい」

典子「そのために必要なことは努力と根性でやってみせますっ!」

カエサル「座して死を待つ事が美徳だなんて思えんからな」

そど子「学園の風紀を守るためにも、学園を守って見せるわっ!」

ナカジマ「皆の努力を見てきたからね。最後まで付き合うよ」

桃「やっと掴んだ光明なんだっ!ここで、諦めてたまるかっ!!」







―プラウダ高校学園艦―

ダージリン「カチューシャ、準決勝進出おめでとう」

カチューシャ「この程度当然よ。それより、あなた達こそ私たちが勝った相手に負けるだなんて」

ダージリン「勝負は時の運。と言いたいところだけれど、正直なところ私は黒森峰に負けたとは思ってないわ」

カチューシャ「……?あなたにしてはずいぶんと陳腐な負け惜しみね」

ダージリン「……私たちは、黒森峰の隊長と副隊長に負けたのよ」

カチューシャ「同じじゃない」

ダージリン「違うわ。……もっとも、それは対峙した人じゃないとわからないでしょうけど」

カチューシャ「どういうこと?」

ダージリン「二人の戦い方は戦車道というにはあまりにも……怒りがこもっていた」

カチューシャ「怒り……」

ダージリン「まだかろうじて西住流の体裁を整えていたのが逆に恐ろしいわ。もしも決勝だったら彼女達はきっと、なりふり構っていなかったでしょうから」

カチューシャ「……」

ダージリン「カチューシャ、あなた達が戦う大洗は」

カチューシャ「あいつがいるんでしょ。とっくに知ってるわよ」

ダージリン「……あなたは彼女との因縁があるものね。……向こうは知らないでしょうけど」

カチューシャ「まさかあんな無名校に転校してるだなんてね」

ダージリン「カチューシャ。あなたは、彼女と戦える?」

カチューシャ「愚問ね。相手が誰であろうと叩き潰すわ」

ダージリン「……そう答えると思ってたわ。……大洗の隊長は、逸見エリカは強いわよ」

カチューシャ「……あら、あいつそんな名前だったの?知らなかったわ」






―西住邸―

まほ「……お母様、明日行われる準決勝で私達の相手が決まります」

しほ「ええ」

まほ「強豪のプラウダに対し、相手は素人集団です。順当に考えてプラウダが勝ち進むでしょう」

しほ「……ええ」

まほ「お母様、かねてよりお願いしていたように大洗が負けた場合、大洗の隊長を西住流より破門して頂きたい」

しほ「……」

まほ「元より、何故あいつが未だに西住流の門下生として名を連ねているのか。私には理解できません」

しほ「……私も大洗の試合には注目していました。1回戦、2回戦、共に少ない戦力を効率よく使うことで勝利を手にしている。

   西住流は勝利こそ至上。ならば、あの子の西住流も決して間違っては――――」

まほ「違うっ!!あんなのは西住流じゃないっ!!見苦しい、偽物だッ!!」

しほ「……」

まほ「……すみません。取り乱しました」

しほ「いえ、かまいません」

まほ「……お母様、私は西住流そのものです。あなたの娘である私こそが、次代の西住流を継いでみせます」

しほ「……ええ、その通りです。西住流の未来はあなたにかかっています」

まほ「ありがとうございます。……ならばもう一つ。破門に加えて、あれが二度と戦車道をできないようにして欲しいです」

しほ「……何故」

まほ「戦車道をさせないために黒森峰から追い出したのに、転校先でまた始めるような事をするのであれば、もう出場自体をできないようにするしかありません」

しほ「まほ、私にそこまでの権限は……」

まほ「無いとは言わせません。あなたは、『西住しほ』なのですから」

しほ「……確かに、あの子にはそちらのほうが幸せなのかもしれません。戦車道は今のあの子にとってあまりにも……重すぎる」

まほ「わかってくれてなによりです。なら、私はもう戻ります。練習があるので」スクッ

しほ「……まほ」

まほ「……」

しほ「……あの子を、許してあげて」

まほ「……お母さんがそんなに弱い人だと思わなかった」スタスタスタ

しほ「…………っ、みほ……」






沙織「うぅ……寒いよー……」

エリカ「ほら、ちゃんとカイロ貼っときなさい。なんなら腹巻でもしておけば?」

沙織「さすがにそれは……」

麻子「あったかくていいぞ」ポンポン

沙織「麻子は凄いね……」

華「この寒さと雪では花もしおれてしまいます……」

優花里「試合が始まればエンジンで少しは暖かくなるといいんですが……」

沙織「うーん、戦車も真っ白で見てるだけで寒くなるよ……」

エリカ「しょうがないでしょ」

沙織「えりりん、後ろ向くと髪のせいで戦車との境目が分からなくなるね……」

エリカ「沙織、あなた意外と余裕あるわね……」

ブロロロロ……




優花里「ん?誰か来ましたよ?」

エリカ「あれは……プラウダの」

カチューシャ「……」

ノンナ「……」

優花里「隊長である『地吹雪のカチューシャ』と副隊長である『ブリザードのノンナ』ですね」

カチューシャ「……ずいぶんと貧相な戦車。それに、戦車の色をこちらに合わせてくるだなんて、あなた随分人真似が上手いのね?」

エリカ「少しでも勝率を上げるためですよ。……初めまして、隊長の逸見エリカです」

カチューシャ「へぇ、あなたが大洗の隊長?よく知ってるわよ。……これなら楽に勝てそうね」

梓「っ……何、あの人」


エリカ「あら?そう思って頂けるなら幸い。この積雪ですもの、浮足立った奴の足を掬うだなんて簡単にできますから」

カチューシャ「……ふんっ、ならせいぜいカチューシャを楽しませてみなさい。去年の決勝みたいにつまらない結果は嫌だから」

エリカ「……ええ、こちらこそ」

カチューシャ「じゃあね、大洗の白雪姫さん。ピロシキ~」

エリカ「え、ちょ……」

ノンナ「ダスビダーニャ」

沙織「なんか、相手の隊長小っちゃいけど態度は大きかったね」

優花里「それだけの実力がある。という事でしょうね」

エリカ「ええ、その通りよ。……それはそれとして、そろそろあのエセ英国人に痛い目を見せる時かしら?」

優花里「……悪気があるわけじゃないかと」

エリカ「なおさらタチが悪いわね。……この試合見に来てないかしら?そのまま雪に埋められるのに」






ダージリン「くしゅんっ」

オレンジペコ「……ダージリン様、やっぱり雪降る中で野点は無理じゃないですか……?」

ダージリン「あら、ペコもまだまだね。こんな言葉を知ってる?『心頭滅却すれば火もまた涼し』」

オレンジペコ「涼しすぎです……」

ダージリン「これも風情よ、楽しみなさい」カタカタ

オレンジペコ「震えてるじゃないですか……」

ダージリン「……紅茶を飲んで温まりましょう」

オレンジペコ「はぁ……ん?あれは……」






まほ「……」

ダージリン「まほさん」

まほ「……ダージリンか。何の用だ」

ダージリン「何の用かだなんて、随分ね。この寒い中ただ見てるのも退屈でしょ?良かった私たちの所に来ない?温かい紅茶も入れて差し上げますわ」

まほ「……断――」

???「いいじゃないですか。せっかくのお誘い、断るなんて失礼ですよ」

まほ「お前……」

ダージリン「あら?あなたも来てたのね」

???「お久しぶりです。ダージリンさん」

ダージリン「ええ、元気そうで何よりよ」

???「はい。決勝もあるのに、体調崩してる暇なんて無いので」

ダージリン「いい心がけね。さすが副隊長さん」

???「あはは……まだそう呼ばれなれてないので普通に呼んでください」

ダージリン「……そう。なら、あなたも一緒に来ない?―――――小梅さん」






小梅「ええ。是非とも」










エリカ「みんな、準備……はできてるわよね」

『はいっ!』

エリカ「なら、覚悟はできてる?」

『はいっ!』

エリカ「いい返事よ。何度も説明した通りゴロゴロ作戦は高度な連携が求められるわ。そのために廃校の件を伝えて意志の統一を図った。

    ……負けた時の事は負けた時に考えなさい。今は、全力で勝ちに行くわよ」

『はいっ!』

エリカ「カモさんチーム」

そど子『なんですか?』

エリカ「初試合がこんな追い込まれた状況なのは同情します。だけど、あなた達も大事な戦力なんです。悪いですけど、期待させてもらいます」

そど子『……はい。私たちだって廃校は嫌ですから』

エリカ「レオポンさんチーム」

ナカジマ『はいはいー』

エリカ「操作技術に関しては心配してません。だけど、それだけじゃないってのはもう十分知ってると思います」

ナカジマ『そりゃあね、ここの戦車全部私たちが診てきたんだから』

エリカ「堅い装甲、強い砲撃。あなた達が今回の攻撃の要になります。頼みますよ」

ナカジマ『……任せて』

エリカ「最後に……アヒルさんチーム」

典子『はいっ!』

エリカ「今回のフラッグ車はあなた達よ。作戦の都合上、移動速度の遅い89式と護衛のB1には離れてついてきてもらうことになるわ。

    視界は良くないけど決して私たちを見失わず、つかず離れずを保って」

典子『了解ですっ!』

エリカ「あなた達をフラッグ車に選んだのは私たちが前線に出るからってだけじゃないわ。

    ……今のあなた達ならたとえプラウダの猛攻を受けても生き残れるって信じてるからよ」

典子『……はいっ!』

エリカ「みんな……勝ちましょう。そのための全てを、私たちは持っているわ」

『はいっ!!』

エリカ「さぁ、そろそろ時間よ。相手が優勝校だろうと関係ない。私たち大洗の力、見せてやりましょうっ!!」

『おーっ!!』





『試合開始っ!!』







エリカ「パンツァー・フォー!!」






ここまで。
書き溜めが心もとないのでしばらく週一での投稿になります。
次は来週の土曜で。





オレンジペコ「どうぞ。温まりますよ」

小梅「ありがとうございます。ほら、隊長も」

まほ「……始まったな」

オレンジペコ「装甲の厚いポルシェティーガーを先頭にして敵陣へ一直線。大洗は早めに決着を着けようとしてるみたいですね」

ダージリン「ペコ、それは正しいけれど正確ではないわ」

オレンジペコ「どういうことですか?」

ダージリン「大洗が、エリカさんがやろうとしているのは――――」

まほ「電撃戦<<ブリッツ・クリーク>>……エリカが、最も得意としていた作戦だ」

オレンジペコ「電撃戦……」

ダージリン「本来なら戦車だけでなく航空部隊と歩兵を合わせてやるものだけど、大洗は車両数の少なさをそのまま少数精鋭という強みに変える事で作戦を可能にしてるわ」

小梅「フラッグ戦ルールにおいて、最短距離でフラッグ撃破を目指す電撃戦は強力で、一見簡単なように見えますけど、その実、高い練度と統率が求められます」

オレンジペコ「……確かに、動かすのすら至難の業のポルシェティーガーを含めて、大洗は車種が全て違うのにあの速度であんな統率の取れた動きを……凄い、本当にまだ初めて半年も経ってないんですか?」

ダージリン「ええ。隊長はもちろん、隊員の練度と意思統一が素晴らしいわ。才能……そんな言葉でまとめたくないほど」

まほ「……やっぱりか」ボソッ

小梅「……」

オレンジペコ「え?」





まほ「どれだけ取り繕っても……偽物は、偽物でしかないということだ」









エリカ「みんなっ!遅れてないっ!?」

優花里「全車両ちゃんとついてきてますっ!!」

エリカ「レオポンさん、そっちはどうっ!?」

ナカジマ『今のところ大丈夫。寒いからエンジンも熱くなりすぎなくて丁度いいくらいだよ』

エリカ「よしっ!このまま一気にフラッグ車を叩くわよっ!!」

優花里「まさしく電撃戦っ!!テンション上がりますっ!!稲光<ブリッツ>の如く、速攻ですっ!!」

沙織「でも、本当に敵がこの先にいるの?」

エリカ「フィールドは広くてもスタート地点は決まってる。その上で予想していたいくつかのルートに相手の編成を加味すれば進行ルートは絞れるわ」

華「なるほど……」

エリカ「加えて、この移動速度。エンジンいじってるとはいえ、種類の違う戦車で隊列を組んだままこの速度でくるだなんて予測できないはずよ」

沙織「だけど失敗したら……」

エリカ「囲まれて全滅でしょうね。だからこその一撃必殺。二の太刀いらずってやつかしら?」

左衛門座『今薩摩隼人の話した?』

エリカ「してないから集中しなさいっ!!」

優花里「エリカ殿、そろそろ」

エリカ「……見えたっ!敵の側面っ!!」

沙織「ほんとにここに来てた……」

優花里「部隊の展開はまだしてないようですっ!」

エリカ「フラッグ車は……いたっ!!全車、フラッグ車に砲撃を集中してっ!!」

『了解っ!!』

優花里「……あれ?」

沙織「ゆかりん、どうしたの?」

優花里「いや……10、11……相手の部隊12輌しかいないです」

沙織「他のは後ろで待ってるとか?私たちだってカモさんとアヒルさんは後ろの方だし」

麻子「もしくは待ち伏せか」

優花里「ですが、そうだとしても3輌で待ち伏せは……相手は私たちがどこから攻めてくるかわからないはずです」

沙織「なら……」

エリカ「……」









『あら?あなたが大洗の隊長なのね、よく知ってるわよ。……これなら楽に勝てそうね』







エリカ「……まさかっ!?」

ダァンッ!!

沙織「きゃぁっ!?」

優花里「砲撃ですっ!?」

エリカ「っ……どこからっ!!」

優花里「えっと………あそこですっ!!あれは……T-34/85が2輌、それにISっ!?木々に隠れてこちらを狙ってますっ!?」

麻子「……おい」

エリカ「っ!?敵部隊の進行方向が変わった、こっちに向かってくるっ……」

沙織「ばれてたっ!?」

優花里「まずいですっ!?」

ノンナ『カチューシャ、Ⅳ号射程内です。この距離なら外しません』

カチューシャ「そう、ならさっさとやっちゃって」

ノンナ『……よろしいのですか?』

カチューシャ「いいわよ。この程度の相手に策を取ろうとした私がバカだったわ。頭を潰して、指揮系統が乱れたところを頭を潰して終わり。さっさと帰るわよ」

ノンナ『……わかりました』

カチューシャ「……大洗の隊長さん」






カチューシャ「予想通り、つまらない試合だったわ」








エリカ「麻子ッ急いで下がってっ!!」

麻子「間に合うか……」

優花里「ああ……来ますっ!?」





ダァンッ!!











沙織「っ…………当たってない?」

ナカジマ『あんこうチーム無事ー?』

優花里「レオポンが盾にっ!?」

沙織「え、でもレオポンさんって私たちの前にいたんじゃ……」

エリカ「とにかく今は下がるわよっ!!みんな、急いでっ!!」







ノンナ『申し訳ありませんカチューシャ、Ⅳ号を撃ち漏らしました』

カチューシャ「あら?珍しいわね」

ノンナ『Ⅳ号前方にいたポルシェティーガー明らかにスペックを超えたスピードで後退し、そのままⅣ号の盾になりました』

カチューシャ「へぇ、何したのかしら?まぁいいわ。当初の作戦通りそのまま部隊と合流してフラッグ車以外全部倒しちゃって」

ノンナ『良いのですか?』

カチューシャ「気が変わったわ。私たちの実力を見せつけてやるんだから」

ノンナ『……わかりました』







エリカ「早く下がってっ!!」

典子『隊長、いったい何が……』

エリカ「敵に作戦が見破られてたわっ!!アヒルさんは護衛を付けるからそのまま後退してっ!!」

典子『っ……了解っ!』

エリカ「みんな、とにかくフラッグ車を守りなさいっ!」

『はいっ!』

エリカ「レオポンさんチーム、応答してっ!!」

ナカジマ『はいはいー』

エリカ「動けるっ!?」

ナカジマ『うーん、ごめんちょっと無理っぽい。辛うじて撃破判定出てないだけでちょっとでもエンジンに負荷かけるとボンッしそうだね』

エリカ「っ……」

ナカジマ『砲塔は使えるからこのまま殿を務めるよ。まぁ、私たちはここまでだけど』

エリカ「……ごめんなさい、私のせいで」

ナカジマ『違うよ。逸見さんの作戦が最善だったんだ。それが失敗したなら他の策でも同じことだったよ』

エリカ「……」

ナカジマ『気にしないで。まだ試合は終わってないんだから。……私たちを次もこの子に乗せてね』

エリカ「っ……はい。絶対にっ……」






ホシノ「みんな、逃げられるといいな」

ツチヤ「私、すること無くなっちゃったんですけど……」

スズキ「やっぱ急造品じゃ3秒も持たなかったね」

ナカジマ「うーん、せめて決勝までに5秒はいけるようにしたいなぁ」

ホシノ「なんだ、もう次の試合の事を考えてるのか」

ナカジマ「ん?そりゃそうだよ。逸見さんは次もこの子に乗せてくれるって約束してくれたんだから」

ツチヤ「ははっ、先輩逸見さんの事気に入ってるんですねー」

ナカジマ「まーねー、妬ける?」

ツチヤ「もー何言ってるんですかー」

ホシノ「……来たぞ」

スズキ「……よし、それじゃあもうひと頑張りしますか!」

ナカジマ「うん。……逸見さん、頑張って。さぁ――――かかってこいっ!!」






オレンジペコ「大洗は一気に追いつめられてしまいましたね……」

ダージリン「そうね。カチューシャの読みは完璧だったわ」

まほ「読み……そんな大層なものじゃないな」

オレンジペコ「どういうことですか?」

まほ「ある程度チームの練度があって、その上で戦力差を考えればあいつがとる選択肢なんて一つしかない。……たとえ、他の選択肢があったとしても」

オレンジペコ「……?」

ダージリン「まほさん、相手が事情を知ってる前提で話すのはあまり良い事とは言えませんわ」

小梅「そうですよ隊長」

まほ「……ふん」

ダージリン「ペコ、カチューシャはね誰よりもエリカさんの事を知ってるわ。エリカさんの得意技もね」

まほ「……」

オレンジペコ「なるほど。プラウダがあんな早い段階で待ち伏せをしていたのも、エリカさんが電撃戦を仕掛けてくるとわかってたからですか」

ダージリン「ええ、そうよ。……最も、彼女を知ってる人なら全員同じ読みをすると思うけれど」

オレンジペコ「……?ダージリン様、相手が事情を知ってる前提で話すのはあまりいい事ではないのですよね?」

ダージリン「あらごめんなさい」

小梅「……」







まほ「自身の考えにこだわった結果、仲間を危険にさらす。……やはり、お前は救えないな」





今日はここまで。次の土曜にまた。

以降は土曜更新ってことなのかい>>1ーシャ

その予定です同志>>748

書き溜めが出来次第投稿日を増やす予定ですが、当面は週一予定です。

なお、たまに息抜きで書いてるこのスレとは関係ないSSは随時投稿すると思います。あくまで気が向いた時ですが。





エリカ「全車固まらないでっ!!KVの榴弾を食らったらひとたまりもないわっ!!距離を取りつつお互いの位置を把握し続けてっ!!」

梓『はいっ……でもっ……』

杏『まずいねー追い込まれてる』

エリカ「っ……障害物のない平原じゃ狙い撃ちされるわっ!射線を取られないようにしつつ障害物のある街を目指しなさいっ!!」

エルヴィン『了解だっ!!』

エリカ「お願いみんなっ……なんとか耐えてっ……」

典子『隊長っ!街が見えましたっ!!』

エリカ「そのまま街に入ってっ!!建物を壁にしつつ迎え撃つわよっ!!」

典子『了解っ!!』





ノンナ『カチューシャ、そちらは状況はどうですか』

カチューシャ「ポルシェティーガーにT-34が2輌道連れにされたわ。まったく、あいつらはシベリア送り25ルーブルね。

       手負いの虎にまんまとやられるようじゃまだまだよ」

ノンナ『大洗は雪原を抜け、障害物の多い街を目指しているようです』

カチューシャ「ま、そうするわよね。私たちはこのまま追い立てるわよっ!!」

ノンナ『Да』









ダァンッ!!  ダァンッ!!

梓「早くっ!!建物を壁にしてっ!!」

桃『逸見っ!!全員街に入ったぞっ!!』

エリカ「このままフラッグ車を守りつつ迎え撃ちますっ!!まずは―――」

ダァンッ! ダァンッ!!

エリカ「っ!?どこからっ!?」

沙織「えりりん!?あれっ!!」

エリカ「っ!?あんなところにっ!?」

ねこにゃー『逸見さん、こっちも……』

典子『これは……』

桃『囲まれたぁっ!?』

エリカ「そんな……」

ダァンッ! ダァンッ!!

沙織「えりりん、どうするっ!?」

エリカ「とにかく反撃を……でも、このまじゃ……」


ダァンッ!! ガァンッ!!


梓『ウサギさんチーム、主砲身吹っ飛びましたぁっ!!?』

エルヴィン『隊長、このままじゃ全滅だ』

ねこにゃ―『じりじりと輪を狭めてきてるよ……』

エリカ「あれは……教会?……とにかく逃げないとっ!!全車、あの教会に入ってっ!!」

『了解っ!!』

ねこにゃー『逸見さん危ないっ!!』

エリカ「っ!?」


ダァンッ!!

ガインッ!!


エリカ「猫田さんっ!?」

ねこにゃー『な、なんとか大丈夫……角度が良かったのかな?とにかく早くっ!!』

エリカ「っ……みんな急いでっ!!」





エリカ「……どうにか全員退避できたみたいね」

沙織「砲撃、止んだね……」



ザッザッザッ


優花里「あれは、プラウダの……」

エリカ「……隊長自らがおいでだなんて随分ね。何の用?」

カチューシャ「降伏しなさい。あなた達に勝ち目はないわ」

エリカ「……舐めた事言ってくれるわね。そんな事するわけ」

カチューシャ「おとなしく降伏すれば大洗の隊長、あなたを我がプラウダ高校に迎え入れてあげるわ」

エリカ「……はぁ?」

沙織「何言ってるのっ!!そんなの、認められるわけないでしょ!?」

桃「ふざけるのも大概にしろっ!!」

カチューシャ「逃げ出したとはいえ黒森峰にいたのなら、少しは役に立つかもしれないからね」

エリカ「……」

カチューシャ「それに、どうせ負けたら廃校になるんでしょ?なら廃品利用も強者の美徳よ」

沙織「っ……廃校の話、知ってるんだ」

麻子「逸見さんはゴミ扱いか」

エリカ「……断る。たとえ帰る場所が無くなろうと、一緒に戦ってくれたみんなに背を向けて、あなた達の元へ行くほど恥知らずじゃないわ」

カチューシャ「……私は寛大よ。3時間あげる。ゆっくり考えなさい」



ザッザッザッ


華「塩でも撒きましょうか」

麻子「持ってきてないな」

沙織「それじゃあ雪でも撒く?白いし」

優花里「すでに辺り一面にまかれてます……」

エリカ「……とにかく、相手の方からわざわざ立て直しの時間をくれたんだから有効に使いましょう。とりあえず修理と点検、あと……」

優花里「偵察です!」

エリカ「そうね、この窮地を脱するためにも敵の配置確認は必須よ。優花里、頼める?」

優花里「お任せをっ!!」

エルヴィン「なら、私も行こう」

エリカ「ありがとう。でも、もう2人くらい欲しいわね」

麻子「なら、私が行こう」

エリカ「え?」

沙織「麻子がぁっ!?」

麻子「そんな驚く事か」

沙織「だって外寒いんだよ?雪降ってるんだよ?なのに麻子が自主的に行きたがるだなんて……」

麻子「……私だって、廃校を撤回させたいのは同じだ。それに私は目がいいからな。2.0だ」

エリカ「……そう。なら、頼んだわ」

麻子「任せろ。あと、そど子も連れて行く」

そど子「私もっ!?」

麻子「お前も確か目が良かったろ」

そど子「なんでそんな事知ってるのよっ!!」

麻子「だって、校門から遥か離れた私を普通に目視してただろ」

そど子「あれは、あんな時間にフラフラ歩いてるのはあなたしかいないからよっ!!」

麻子「じゃあ目、悪いのか」

そど子「2.0よっ!!」

麻子「なら問題ないな」

そど子「だからってあなたと行く理由にはっ……」

麻子「秋山さん、相手の戦車の特徴を教えてくれ。一回聞けば覚える」

優花里「麻子殿……さすがですっ!!」

そど子「聞きなさいよっ!?」





エリカ「……まさかここまで詳細な情報が集められるだなんて」

エルヴィン「グデ―リアンの機転で、敵から直接話を聞くことができたからな」

麻子「私たちはそど子のせいで見つかりかけたが」

そど子「私のせいっ!?」

エリカ「……」

杏「……逸見ちゃん、どう?」

エリカ「……完全に包囲されている。いくらこちらが降伏しないと言っても、その気になればこの建物ごと私たちを倒せるわ」

梓「建物ごと……どこか、穴はないんですか?」

エリカ「……ここだけ守りが薄いわね」

桃「ならそこから突破すればっ!」

エリカ「こちらがそう考えると思ったからこの配置にしたのでしょうね。……つまり罠よ」

桃「っ……」

エリカ「……」

梓「エリカ先輩……」

エリカ「……そんな不安な顔しないの。大丈夫、必ず手はあるわ」

梓「先輩っ……!」パァッ

エリカ「とはいえ、ちょっと考える必要があるわね」

沙織「えりりんどこ行くの?外は寒いよ?」

エリカ「丁度いいわ。頭冷やしながら考えたいから。10分もしたら戻るわよ」スタスタ

沙織「あ、えりりん……」

麻子「沙織、寒い。温かい飲み物をくれ」

沙織「え?うん、ちょっと待ってて」

桃「……」





エリカ「ふぅ、確かに寒いわね。カイロ、もっと持ってくればよかった……」

エリカ「……どうする。せめてレオポンさんチームがいれば話は変わったのに私の失策のせいで……」

エリカ「……何か、何か手があるはず。こんなところで諦めたら……」






やーってやる やーってやる やーってやーるぜ

いーやなあーいつをボーコボコにー




エリカ「っ!?」

栗毛の少女『あははっ、嫌なあいつって誰だろうね?』

エリカ「っ……消えろ。あなたの相手をしてる暇はないの」

栗毛の少女『どうせ、何もできないよ。あなたの考えなんて上辺だけなんだもの』

エリカ「……今日はずいぶんと喋るのね」

栗毛の少女『ホントはわかってるんでしょ?』

エリカ「……」

栗毛の少女『調子に乗ってみんなを鼓舞して大失敗♪まるでボコだね』

エリカ「……黙りなさい」

栗毛の少女『ああそうだね、ボコはちゃんと自分の信念があるから。何もないあなたとは似ても似つかないね』

エリカ「うるさいっ……」

栗毛の少女『廃校の危機にかこつけて、自分のしたことから逃げたかったの?』

エリカ「違うっ……私は、私は学校の……みんなのためにっ……」

栗毛の少女『だったら、選択肢なんてないよ?』

エリカ「……いいえ、あなたには頼らない。私と、みんなならきっとこの状況を打開できるはず」

栗毛の少女『あははははっ!!まだそんな事言えるんだ?そんな事、かけらも思ってないくせに』

エリカ「違うっ!?私は……ちゃんとみんなを信じてっ……」

栗毛の少女『嘘つき』

エリカ「……違う、違うっ!!私は、みんなを……仲間を信じてるっ!!だからきっと、今回だってっ……」

栗毛の少女『信じてなんかいないよ。だって、あなたはまだ何も教えてないもの』

エリカ「……」

栗毛の少女『無理だよ。あなたには』

エリカ「っ……黙れ」

栗毛の少女『あなたにそんな力も勇気もないよ。だってそれがあったなら―――――私はここにいないもの』

エリカ「黙れっつってんでしょっ!!!!」






「ひっ!?」





エリカ「っ!?誰っ!?」

桃「い、逸見……」

エリカ「桃ちゃん……なんで……」

桃「な、なんかお前の様子がいつもと違う気がして……誰かと話してたのか?」

エリカ「……独り言よ。気にしないで」

桃「そ、その割には随分と荒れてたみたいだが……」

エリカ「そういう時もあるのよ」

桃「そ、そうか……」

エリカ「……」

桃「……なぁ、逸見」

エリカ「何?」

桃「その……困ったことがあるなら、言ってくれ」

エリカ「……だから、さっきのはただの独り言だって」

桃「そうじゃない、それだけじゃない。……お前は、会長に似ているから」

エリカ「えぇ……?」

桃「そんな嫌そうな顔をするな……会長は、一人で抱える傾向がある。……お前みたいにな」

エリカ「……」

桃「それは、お前や会長が悪いんじゃない。……頼りない私たちが、私が悪いんだ」

エリカ「……そう?桃ちゃんもずいぶん頑張ってると思うけど」

桃「お世辞はよせ。……少なくとも、廃校の一件に関して、お前と会長にばかり負担をかけてい事ぐらい自覚している」

エリカ「……」

桃「だから、せめて何かお前の力になれる事があるなら言ってくれ。それぐらいしか、私にはできないから……」

エリカ「……桃ちゃん」

桃「な、なんだ?」

エリカ「あなたも、みんなも……私を責めないのね」

桃「……責める理由がどこにある」

エリカ「みんなを煽って、これなら勝てるって希望を持たせて、なのにこのザマよ?……私のせいって言われても仕方ないわ」

桃「……お前が一番戦車道に精通しているんだ。そのお前が立てた作戦でダメだったなら他の奴でも同じことになってた……いや、そもそも試合は終わってただろう」

エリカ「……自動車部のみんなも同じような事言ってたわ」

桃「なら、みんなもそう思っているさ。くよくよするぐらいなら、どうにかしようと足掻くんだ」

エリカ「……ねぇ」

桃「今度はなんだ?」

エリカ「私ね、桃ちゃんの事好きよ」

桃「はぁっ!?な、何言ってるんだ急にっ!?」

エリカ「そんな動揺しないでよ……人としてよ。変な意味じゃないわ」

桃「そ、そうか」

エリカ「真っ直ぐで一生懸命で……大切なものを守るためにどこまでも全力なあなたは、私にとってまぶしかったわ」

桃「私は生徒会としてやるべき義務があるからなっ!!」

エリカ「それが空回りする時もあるけどね?」

桃「うっ……」

エリカ「……それだけ。そろそろ戻りましょ。吹雪いてきたわ」

桃「あ、ちょっとまてっ!?」

ここまでー。また土曜に。

エリカ「私の名は! ミホトル! ズミノフ! これは私の復讐だ!!」
エリカ「1 2 3 5 7 11 13 17 19」

>>776
つまんね
そのゴミみたいなレスをよくよく読み返して同じようなゴミレスを二度としないように反省しろ

>>777
面白いレスだな

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