高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「朝涼みのカフェで」 (37)

――おしゃれなカフェテラス――

高森藍子「う~ん……。こっちも美味しそう、でもこっちも……!」

北条加蓮「……藍子ー? 選ぶのまだかかるー?」

藍子「もうちょっとだけ、もうちょっとだけですからっ」

加蓮「そろそろお腹空いたんだけど……」グゥ

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レンアイカフェテラスシリーズ第77話です。

<過去作一覧>
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「カフェテラスで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「膝の上で」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「最初にカフェで会った時のこと」

~中略~

・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「しっとり雨模様のカフェで」
・北条加蓮「藍子と」高森藍子「真剣勝負のカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「そわそわ気分のカフェで」
・高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「のんびり勝負のカフェで」

藍子「どれにしよう……。トーストも、ご飯の定食もおいしそうです。あっ、こっちのホットケーキも! 写真や値段がいつもと違うのは、朝のメニューだからかな……?」

藍子「加蓮ちゃんは、ベーコンと卵のトーストにするんですよね?」

加蓮「そだよ」

藍子「じゃあ、私はご飯のメニューにしようかな……。でも、定食にも種類がいっぱいあって……うぅ~」

加蓮「……、」ハァ

加蓮「藍子」

藍子「あ、はいっ」

加蓮「これは、……これってモバP(以下「P」)さんが言ってくれたことだっけ。それとも藍子から教えてくれたことだっけ……?」

藍子「む。加蓮ちゃんは、私が言ったことなのか、それともPさんが言ってくれたことなのか、覚えてくれていないんですね」

加蓮「……そういう言い方しないでよ」

藍子「ふふっ。な~んて……。いっぱいお話しましたもんね。わからなくなっても、仕方ないことですよ」

藍子「私だって、あのお話はついこの前加蓮ちゃんがしてくれたことだったかな? それとも、ずっと昔に教えてくれたことだったかな? って、迷っちゃうこともありますから」

加蓮「それどっちも私が言ったってことじゃんっ」

藍子「それで、どんなお話なんですか?」

加蓮「一番基本的なメニューこそが、その店の味が一番出る味。迷ったらそれにしておきなさい……って。うん、思い出した。これPさんが教えてくれたことだ!」

藍子「なるほど~。それなら決めましたっ。今日は、基本の朝定食にします。すみませ~ん」

加蓮「おはよー、店員さん」

藍子「おはようございますっ。えっと、ベーコンと卵のトーストと――」

……。

…………。

藍子「ん~~~~。周りに自然があるところで、朝の涼しい時間に、思いっきり伸びをするのって――ん~~~~~~っ! すっごく気持ちいいっ」

加蓮「ん~~~~っ。ふうっ。夏の朝の涼しさって、すぐ無くなっちゃうレアな時間だよね」

藍子「なんだか空気も軽い感じっ。ちょっと、歩いてみたくなっちゃいます」

加蓮「こら。注文したばっかりでしょ。どっか行っちゃったら店員が悲しむよ?」

藍子「それもそうかも?」

藍子「ふわ……。でも、朝早くに起きて歩いたので、ちょっぴり眠たいかもしれません」

加蓮「私も6時とかに起こされたもんね……」ジトー

藍子「うっ」

加蓮「誰かさんが電話かけてくるせいでー?」

藍子「……え、えへ」

加蓮「たまたま予定が空いてたからいいけど、普通"いつものカフェのモーニングを食べに行きましょうっ"ってその日の朝に言う?」

藍子「い、一応、"もしよければ"って前置きはつけましたから」

藍子「予定だって、たまたまじゃありませんよ。前から加蓮ちゃんのスケジュールは、しっかり確認しましたもん」

藍子「今日なら大丈夫かな? って日を、ちゃんと狙ったんです。ただ予定が空いているだけではなくて、前後に1日埋まるような予定もなさそうで、元気いっぱいな日を狙って……」

加蓮「そこまで考えてくれてたんだ。ならもっと前から言ってくれてもよくない?」

藍子「……モーニングを食べたいって思ったのは、朝起きた時だったんです」

加蓮「相変わらず強引なんだから」

加蓮「ん~~~っ、ふうっ。でも、結構気持ちいいから許す」

藍子「許してもらえましたっ」

加蓮「ふふっ。……あ、店員さん。早いねー。卵とベーコンのトーストありがと」

加蓮「……いい匂い。美味しそー♪」

藍子「ほ、本当にいい匂いがしますね……。お腹、なっちゃいそう」

藍子「うぅ~」ジー

加蓮「ん? 何? ほしいの?」

藍子「ううぅ~」ジー

加蓮「犬みたいに唸っちゃって。ほれほれー。藍子ちゃんが欲しいのはこれ? これなの? ほーれほれほれー」スッ

藍子「うううぅ~!」ジー

加蓮「……そんなに食べたいなら交換する? 私、朝定食でもいいよ」

藍子「ダメですっ。朝定食を食べるって決めたのは私なんですから!」

加蓮「何そのこだわり……。じゃあ、いただきます。あむっ」

藍子「半熟の卵が、どろっと流れてる……」

加蓮「わ、これ美味しい……! 卵がすごいふわってしてる!」

藍子「ベーコンの柔らかさも、見ているだけで伝わってきますっ」

加蓮「このベーコン――」

藍子「べ、ベーコンが?」

加蓮「今すぐにでも全国のあらゆるハンバーガーショップはこのカフェに土下座して味付けを教えてもらうべきでしょ!」

藍子「ま、また大きく出ましたね」

加蓮「だって美味しいもん。ピリ辛なのが刺激的って感じで……はぐはぐ……。っと、卵がこぼれそう。じゃあ反対側から――」

藍子「……、」グゥ

藍子「!」サッ

加蓮「よかった、こぼれてない。……ん? 藍子、なんであっちの方向いてんの?」

藍子「そ、それは~……。あっ、加蓮ちゃん見てっ。あっちの方に、ちいさな水たまりが残ってますよ」

加蓮「そういえば昨日雨が降ったんだっけ。ジメジメにならなくてよかったね」

藍子「一応、傘は用意してきてますけれど、今日は大丈夫だと思います」

加蓮「私持ってきてないや。降ったら入れさせてね?」

藍子「は~い」

藍子「……予報、はずれないかな……」ボソ

加蓮「?」

藍子「あっ、店員さん。ありがとうございます♪」

加蓮「もぐもぐ……。定食も美味しそうじゃん」

藍子「いただきますっ」

藍子「……ん~~~♪ 白ご飯、ほくほくで美味しい!」

加蓮「絶対炊きたてだよね。見ててわかっちゃうもん」

藍子「だけど私の家のご飯とはお米が違うみたいで……。ふふっ。面白い♪」

加蓮「あむあむ」

藍子「サラダも、しゃきしゃきで美味しいっ♪」

加蓮「あむあむ。……ところで藍子。そのトマトを半分くらい私に譲ってみたり、」

藍子「はい?」ギロ

加蓮「ナンデモナイ」

……。

…………。

藍子「ごちそうさまでした♪」

加蓮「はいこれ。藍子の分のコーヒー」スッ

藍子「さっき注文してくれていましたよね。ありがとうございます」ズズ

藍子「……、」

藍子「……やっぱり、トーストも注文しようかなぁ」コト

加蓮「食べ足りないの?」

藍子「き、聞こえちゃってたんですか」

藍子「食べ足りな……足り、足りないってほどじゃないんですっ。足りなくはなくて、ただ、加蓮ちゃんが美味しそうに食べるから……」

加蓮「だって美味しかったもん。卵がねー、すごいふんわりしてるの。それがベーコンの辛味にいい感じに絡まって、」

藍子「わ~~~~っ」ミミフサグ

加蓮「あれー? 藍子ちゃん、私の話を聞いてくれないのかなー? ショックだなー」

藍子「だって、聞いたら絶対そのまま注文しちゃうっ……!」

加蓮「しちゃえばいいのに」

藍子「最近急に暑くなっちゃったから、アイスばっかり食べちゃってるんですよ私っ」

加蓮「あー」

藍子「た、体重とか……その」

加蓮「……あとね、パンもただのパンじゃなくて、たぶんあれマーガリンを少し塗ってるのかな。味が――」

藍子「わ~~~~~~~~っ!」ミミフサグ!

加蓮「くくくっ」

藍子「…………」ギロ

加蓮「涙目で睨まれても怖くないよ?」

藍子「…………、」ジワ

加蓮「はいはい、もう言わないから。ちょっと意地悪しちゃったね」

藍子「……いじわるっ」スワリナオシ

加蓮「体重が気になるなら、今日は止めておいて……また来た時に食べようよ。もうちょっとしたら夏休みに入るし、朝来やすくなるでしょ? 予定は頑張って空けないといけないけどね」

藍子「……ぜったいですよ」

加蓮「はいはい」

藍子「絶対ですよ」

加蓮「わかってるわかってる」

藍子「じゃあ……卵とベーコンのトーストは、その時までのお楽しみってことで」

加蓮「だからってアイスを食べまくって衣装が入らなくなっても知らないわよ?」

藍子「あ、あはは……」

加蓮「……、」ズズ

藍子「……、」ズズ

加蓮「……なんだかおかしな感じ」コトッ

藍子「?」

加蓮「まだ今日も始まったばっかりで、ほら、今日ってまだ朝ご飯を食べただけでしょ? この後買い物に行ったり、……そういえば藍子、今日はまたうちに来るつもり?」

藍子「そこまでは考えてませんでした。加蓮ちゃんがいいって言うなら、お邪魔しちゃおうかな?」

加蓮「いいよー。お風呂から上がったら一緒にアイス食べよっか」ニヤリ

藍子「……わ、私は加蓮ちゃんが食べているのを見ているだけでいいですよ?」

加蓮「いやそれ絶対つられて食べたくなるヤツじゃん。アイス絶ちするなら、私が食べてるとこ見てちゃ駄目だよ」

藍子「え~っ。せっかく加蓮ちゃんの家にいるのに、加蓮ちゃんのいないところにいるの、寂しいじゃないですか」

加蓮「そういうもの?」

藍子「そういうものです。晩ご飯もひかえめ……ひかえめ……」

加蓮「いっぱい食べたいです」ボソ

藍子「いっぱい……うぅ~。加蓮ちゃんのお母さんの料理、すごくおいしいからっ」

加蓮「わかるけど味付け薄すぎるから私はきらーい」

加蓮「……あはは、まただね」

藍子「朝ご飯を食べたばかりなのに、もう晩ご飯や、夜食のお話になっちゃってる」

加蓮「しかも次にここに来る予定を立てちゃったりして。私がだよ? 滑稽って言うか、おかしいね……なんて」

藍子「おかしくなんてないです。加蓮ちゃんだって、明日のことや明後日のこと、1週間後のことを想像しても、いいんですよ?」

加蓮「そうかな」

藍子「はいっ」

加蓮「……そっか」

加蓮「それをあんまり変だってもう思わないのも……。変に思わないことが、変な感じ」

加蓮「……なんて、ちょっとややこしい言い方になっちゃった。この前ちょっと蘭子と飛鳥と話したからさ。影響されちゃったかもね」

藍子「おふたりとも、独特のお話し方ですよね」

加蓮「絶賛黒歴史中なのにカッコイイもん。嫉妬しちゃうよ」

藍子「それが、アイドルの輝きってことです♪」

加蓮「へーぇ? 藍子ちゃんがアイドルについて語るんだ?」

藍子「えへ」

加蓮「はい、高森さん。アイドルをやっていて一番いいなって思うのは、どんな瞬間ですか?」ズイ

藍子「そうですね~……。やっぱり、皆さんの笑顔を見られた時ですっ♪」

加蓮「……くそぅ。からかうネタが思いつかない。これもアイドルの輝きってことかな……」トオイメ

藍子「♪」キラキラ


□ ■ □ ■ □


加蓮「っと、こら、虫こっち来んなっ」ペシペシ

藍子「雨上がりの日は、やっぱり虫が寄って来ちゃいます」

加蓮「虫よけスプレーも買わなきゃね。藍子は他に何か買いたいものとかってある?」

藍子「そうですね~……。う~ん。加蓮ちゃんは?」

加蓮「服」

藍子「それは何回も聞きましたよ~」

加蓮「じゃあ水着」

藍子「あぁ。水着……」

加蓮「今年のトレンドも出た頃だし、体型だって変わってるでしょ? 遅れないように新調しとかないとね。藍子の分も――」

藍子「私は、水着は大丈夫です」

加蓮「いやでも、」

藍子「水着は、大丈夫です」

加蓮「……あぁ、そう」

加蓮「じゃあ水着を買わない分まで藍子の服を選んであげなきゃね。何系がいい? 今年はどういう方向で攻めるつもり? アクティブ系かな。それとも文学少女っぽく行っとく? 私のオススメだとちょっと肌が出る感じになるけど――」

藍子「わ、待って。お話が早くて追いつけないっ。えっと……」

加蓮「っと。ごめんごめん。スイッチ入っちゃった」

藍子「まず何系がいいかですよね。私は……やっぱり、ナチュラルなコーデがいいかな?」

加蓮「却下」

藍子「じゃあなんで聞いたんですか!」

加蓮「なんかイヤだったから」

藍子「せめて何か理由を考えましょう!!」

加蓮「アンタ他に何かないの。自然体が大事なのはもう分かったから。たまには別路線行っとこうよ」

藍子「……じゃあ、お散歩コーデ?」

加蓮「それもいつもの藍子じゃないの!!」

藍子「ごめんなさい~っ」

加蓮「決めた。昨日3パターンくらい予定してたけど全部試すから。全部試着させてやるっ」

藍子「お手柔らかに、お願いしますね」

加蓮「やだ。藍子が許してって言っても許してあげない」

藍子「そんなに張り切りすぎると、途中で疲れちゃいますよ……?」

加蓮「……もしバテたらお願いしてもいい?」

藍子「はい。その時は、加蓮ちゃんをおぶってあげますね」

加蓮「これで無理できる!」

藍子「……助けがいる時には助けますけれど、それは無理をしてもいいよってことではありませんからね?」

加蓮「わかってるってー」

藍子「無理をしすぎるようなら、Pさんに報告しちゃいますから」

加蓮「…………藍子」

藍子「はい、何ですか?」

加蓮「服買ってあげるからそれはやめよ?」

藍子「気に入った服があったら、自分で買いますね。そして、Pさんには報告します」

加蓮「報告するなら私のことよりお気に入りの服を買ったことにしようよ? あ、もしかしてそれも兼ねてお披露目していく感じ。私の話題は口実って訳か。へー、やるね」

藍子「へっ?」

加蓮「じゃあ藍子ちゃん用に、ううん、Pさんの隣に並んでも大丈夫なように藍子さんコーデを考えなきゃ」

藍子「あの、加蓮ちゃん――」

加蓮「やっぱり色気は大事――」ジー

加蓮「……、」

加蓮「……無理かー」

藍子「話が急ぎ足すぎてよく分かりませんけど加蓮ちゃんがひどいこと言ってるのは分かりますっ」

加蓮「気のせい気のせい」

藍子「とにかく、無理はしすぎないでくださいね。疲れちゃったら、早めに言ってください」

加蓮「はーい」

藍子「……言ってくださいよ?」

加蓮「繰り返し言わなくても。……何よ。その信じてませんって目は」

藍子「……」ジトー

加蓮「む……」ジー

藍子「……」ジー

加蓮「むむ……」ジー

藍子「……♪」ジー

加蓮「……アンタ、なんで嬉しそうにしてんの?」

藍子「こうやって加蓮ちゃんを見てるの、楽しくて♪」

加蓮「そう……。藍子はどうせ気付くでしょ? 私がキツそうにしてる時に」

藍子「気づくことができれば、いいんですけれど……。今日は、加蓮ちゃんをしっかりチェックしなきゃ」

加蓮「息苦しくなるからやめてー」

加蓮「おんぶかぁ」

藍子「?」

加蓮「藍子におぶられることって結構あるし、たまには趣向を変えて――」

加蓮「……、うん、ないない」

藍子「今度は、何を思いついたんですか?」

加蓮「何、ってほどでもなくて、えー……」

藍子「教えてくださいっ」

加蓮「……レッスンの後とかお仕事の後とか、それこそ1日ぶらぶらした日とか、私、よく藍子におぶってもらっちゃう時があるでしょ?」

加蓮「いつもおんぶだから、たまには、抱っこ……とか…………」

加蓮「あははっ、ちょっと思いついただけ! ないないっ」

藍子「確かに、抱っこしてあげるのはちょっと厳しいかもしれませんね。背の高さも同じですし、そこまで自信はないかな……」

加蓮「……あの、藍子? ないっていうのは、できるできないってことじゃなくてこう、見た目的にっていうかこう色々とないってことなんだけど」

藍子「……、」ウーン

藍子「!」ピコーン

藍子「加蓮ちゃん、ちょっとちいさくなってください!」

加蓮「いや意味わかんないんだけど!?」

藍子「加蓮ちゃんがちいさくなれば、私が抱っこしてあげることもできるかもしれません」

加蓮「色々おかしいでしょ! 小さくなればってどうやって――」

加蓮「……できちゃうね」

藍子「はい。できちゃいます」

加蓮「うちの事務所ならそれくらいできるよね……。最近は新人ちゃんばっかり注目してたけど、もともとおかしいのばっかりいるもんね、うちの事務所……」

藍子「個性派って言ってあげてくださいっ」

加蓮「何、そんなに抱っこしてみたいの?」

藍子「やったことないから……。ほらっ、膝枕も、おんぶも、それに、ここでのんびりすることも。最初はぜんぶ、やったことがなかったんですよ?」

加蓮「それはそうだけど違う話でしょ。その話なら、藍子が小さくなって私に抱っこされてもよくない?」

藍子「加蓮ちゃんが疲れちゃった時のお話ですから、加蓮ちゃんがされる側ですっ」

加蓮「小さくなったら藍子の方が私より先に疲れるかもしれないじゃん!」

藍子「それこそ、違うお話ですっ」

加蓮「とにかく小さくなるとか嫌だよ。副作用とかだって怖いし」

藍子「……」ジー

加蓮「……そのお腹が空いた時のかな子や愛梨みたいな顔はやめようね? 地味に怖いから。実力行使とかやったらホントにキレるからね?」

……。

…………。

加蓮「結局、買い物リストがぜんぜん増えないなぁ」

藍子「買いたいものって、なかなか思いつきませんね」

加蓮「藍子が変な話ばっかりするから」

藍子「最初に言ったの、加蓮ちゃんの方……」

加蓮「いつもは色々買ってすぐお財布が空っぽになっちゃうのにね」

藍子「おいしそうな物がいっぱいあると、つい食べたくなりますよね」

加蓮「……体重気にしてるんじゃなかったの?」

藍子「そ、それと雑貨もっ。かわいい小物入れとか、キーホルダーも! つい買っちゃいますよね!」

加蓮「誤魔化したね? でも、いいのあったら買っちゃうよねー。で、帰ってみたら家に似たのがあったりして」

藍子「そういう時は、クラスメイトの友だちやお母さんにあげたりしちゃうなぁ……」

加蓮「えー。私にも何か頂戴よー」

藍子「ふふ。今度、探してみます」

加蓮「ちょっと最近使いすぎちゃうことが多くなってさー。お金がすぐ足りなくなっちゃって。最近、たまにお父さんと買い物に行ってあげるんだよね」

藍子「お父さんと? あっ、もしかして」

加蓮「娘の特権だし。お父さんが買ってくれるって言うんだから仕方ないじゃん」

藍子「絶対言わせてる……」

加蓮「前にさ、もし私が男の子だったらどうする? って、冗談で聞いてみたの」

藍子「男の子の加蓮ちゃん」ジー

加蓮「……変な妄想するのはやめなさい。なんでそんなすごい真面目な顔なのよ……」

加蓮「で、そしたらお父さん、すごく熱く語っちゃって。男の子だったらやりたいことが、みたいな話を聞かされちゃった」

藍子「ふんふん」

加蓮「そういうの面倒くさいよねー。お父さんもお母さんも。まっ、その時はいつもの倍くらい買ってもらったからいいんだけどね」

藍子「ほどほどにしてあげてくださいよ?」

加蓮「ホント、こうやって改めて今日は何買おっかって話してたらなかなかピンと来ないなぁ……。変なのー」

藍子「何か買いたい物……。あっ。まだ早いですけれど、花火なんてどうでしょうか」

加蓮「花火?」

藍子「事務所に持っていって、晴れた日の夜にみんなでしちゃいましょう。絶対、楽しいですよ!」

加蓮「いいね。ちょっとフライングしてるけど、うん、夏が始まるよー、みたいな……って、あー」

藍子「?」

加蓮「花火はいいんだけど……。みんなでやるってなったらまた私が企画をやらされるじゃん」

加蓮「ちょっとパーティー計画が1回上手くいったからってさ。未央のヤツ、最近こういうことあると私にばっかり主催をやらせるんだよ?」

藍子「あ~」

加蓮「しかも、未央ってちょっと放っとくと参加者をどんどん増やして行くし。同じ事務所にいるって言ってもあまり話さない相手とかいるのに……」

藍子「未央ちゃんなりに気遣っているんだと思いますよ、きっと。加蓮ちゃん、1人でいることも多いから」

加蓮「余計なお世話っ。でも、なんか未央には怒れないんだよね」

藍子「そうなんですか? ときどき言い争っている時があるような……」

加蓮「ケンカはしなくもないけどガチで泣かれても困るし」

加蓮「それに、未央ってやってることハチャメチャに見えて抑えるとこ抑えてて、みんなに楽しんでもらう! っていうとこ一貫してて、パーティーもいつも盛り上げるでしょ?」

加蓮「その時の未央ってすごく真剣だって、伝わって来てさー」

加蓮「そのために私を巻き込んだり、何かやろうとしてミスっても、本気で怒れないよ。ヤバイ! ってなったらすぐ謝ってくれるし」

加蓮「それに飽きないんだよね。毎回毎回、色々思いついて、なんでも挑戦してみて」

加蓮「……そうそう、たまに私に聞いてくることがあるの。みんなどんな感じだった? って」

加蓮「聞かれても楽しそうにしてたよしか言えないんだけど、そしたら未央がすごくホッとして。良かった、とか言って」

加蓮「ホント、友達想いというか、周りの人想い? なのがすごく分かるんだよね――」

藍子「…………」

加蓮「……って、あー……。熱く語るつもりとかなかったのに。今のは本人には内緒にしてね?」

藍子「……。……直接伝えてあげたらどうですか? 未央ちゃんも、すごく喜ぶと思うから」

加蓮「やだよ恥ずかしいし。こういうのは本人がいないから言えるものだよ。目の前で言える訳ないでしょ」

藍子「そうですか? 私は言えますけれど……。それなら、私が代わりに伝えておきます」

藍子「あっ、その時は加蓮ちゃんも一緒に来てくださいっ。加蓮ちゃんが言いづらいって言うなら、後ろにいるだけでもいいですから」

加蓮「伝えなくていいし一緒にも行かないわよ! まーた藍子を返せって言われ続けるだけなんだけど、それ」

藍子「あはは……。……加蓮ちゃん、未央ちゃんのこと、すごくよく見ているんですね」

加蓮「見ているっていうか見さされるっていうか。向こうから絡んでくるっていうのもあるけどね」

藍子「……茜ちゃん――」

加蓮「?」

藍子「それなら、茜ちゃんのことはどうですか?」

加蓮「茜? どうって……。茜はボンバーでしょ」

藍子「茜ちゃんはボンバー」

加蓮「全部ひっくるめてボンバー。それ以上何かあるの?」

加蓮「あっ。さては、私から悪口を引き出させてこっそり裏で伝えるつもりでしょー?」

藍子「ええっ。そんなつもりじゃ……!」

加蓮「くくくっ」

加蓮「茜かー。茜……。改めて聞かれると答えにくいなぁ」

藍子「……さっき、未央ちゃんのことはあんなにお話してくれたのに?」

加蓮「ぐっ……。さっきから何なのよ。どーしても未央の前に私を引きずり出させたいの?」

藍子「え?」

加蓮「黒歴史を作るのは飛鳥と蘭子だけでいいでしょ! 私はそういうのはもう卒業したんだからっ」

藍子「……えっと……それとこれとは、別のお話のような?」

加蓮「まー時々すごい大きいおにぎりとかタッパーいっぱいのはちみつレモンとか押し付けてきて、あれ量多すぎて困るけど別に嫌いって訳じゃないし。普通に好きだよ、ってくらいに伝えといて」

藍子「…………今度、伝えておきますね」

加蓮「うん。……、……?」

藍子「じゃあ加蓮ちゃん――」

藍子「わたし……」

藍子「……」

加蓮「……藍子、さっきから」

藍子「ほっ、他に、買い物! 買い物リストをもっと作りましょうっ。せっかくお出かけするんですから」

藍子「ほら、ええと、日用品で足りないものとか、あれ買いたいな~っていうのとかありませんか?」

藍子「そうだ。行ってみたいお店でもいいですよ。ちょっと遠くても、きっと大丈夫です!」

加蓮「…………、そうだね。日用品なら、そういえばコンディショナーがちょっと減ってたかも」

藍子「私と私のお母さんのおすすめ、気に入ってくれましたか?」

加蓮「あれすごいナイス。あ、日用品を漁るならお母さんにも聞いてみよっかな。貸しにしてやるんだー♪」

藍子「もうっ、加蓮ちゃんったら――……あれっ? 店員さん?」

加蓮「やっほー。……藍子、何か注文してたの?」

藍子「ううん。私は何も」フルフル

加蓮「じゃあ何で――メニューの交換? あ、うん、邪魔ならどくけど」スッ

藍子「モーニングメニューとランチメニューの交換ですね」

加蓮「……どゆこと?」

藍子「ほら、モーニングとランチで、メニュー表自体、違うものなんです。気づきませんでしたか?」

加蓮「全然……。こら、藍子。ドヤ顔するなっ」

藍子「えへへ」

加蓮「へー、入り口とかレジの横の小物も変えるんだ。細かいー」

藍子「内装にも、朝用と昼用があるんですね……って、ランチメニュー……?

藍子「……わ~っ!? 大変ですっ。もう11時……ううんっ、もう12時です!」

加蓮「え――うわっ! ホントだ。いつの間……藍子ー? アンタまた!」

藍子「ごめんなさい~っ」

加蓮「さっさと買い物行くわよ! お昼になる前には出ようって思ってたのに……藍子のコーデ揃えないといけないんだから!」

藍子「わ、待ってっ。お財布……あ、お財布のチャックが何かに引っかかってる。加蓮ちゃん、ちょっとだけ待ってくださいっ」

加蓮「……レジ済ませて来るから落ち着いて準備してなさい」スッ

藍子「取れたっ。靴を履き直して……忘れ物、大丈夫だよね? 私の席、加蓮ちゃんの席、あと、メニュー置き場の裏っ」

<藍子ー? 会計したわよー。さっさと行くよー?

藍子「は~い。今行きます」スッ


<買い物リストにタイマーも追加しなきゃいけないね
<ごめんなさい~……
<……うわ、道に出た瞬間からもう暑っ
<……おんぶしましょうか?
<まだいける!


【おしまい】

作者です。
既にまとめて頂いているところ大変恐縮なのですが、タイトルの一部誤りを修正させてください。

誤:高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「朝涼みのカフェで」
正:高森藍子「加蓮ちゃんと」北条加蓮「朝涼みのカフェテラスで」

以前にも同じミスをしてなお同じことを繰り返してしまいましたことも併せてお詫び申し上げます。大変申し訳ございません。

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