【デレマス】ほんの少しのおサボリタイム (15)

―暦の上では八月も終わりに差し掛かろうとするこの時期。そろそろ商戦は秋の準備をしている頃

―しかし

モバP(以下P)「……暑い」

―営業帰り、スーツ姿で歩いている彼にとってはどうでもいいことだった

―先程までの商談場では、涼しいエアコン、さわやかな秋の衣裳、冷たいアイスコーヒーが味わえたが、灼熱の太陽の下ではいかんともしようがない



P「……ちょっと寄り道するか」

―ふとそんな考えが浮かんだとしても、彼を責めるのは酷であろう

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―とは思ったものの、先ほどコーヒーを頂いたので喉が渇き切っているというものでもなく

P(なんつうか、軽く冷たい……かき氷よりはアイスみたいなのが欲しいな)

―アイドル達と一緒に仕事をしていることもあり、嗜好も少しそんな方向に移っている彼ではあるが……問題は

P(ただ……一人じゃ入りにくいんだよな)



―意外に小心者だったことだろうか

アイドルと冷たいもの(アイス)を食べる話です

作者の嗜好で書いてますので、これは違う云々があるとは思いますが、御了承くださいませ

―そんな普段から鬼悪魔と付き合っている彼に、幸運の女神は微笑んだようだった

「あれ?Pさん?」

「こ……こんにちは……」

P「ん?」

―声のする方を振り向くと、そこには仕事帰りだろうか?担当するアイドルのかわいらしい姿があった

奈緒「こんなとこで奇遇だな」

由愛「あ、あの……暑いですね」

P「二人は……奈緒は撮影で、由愛は少ししたらレッスンだったな」

奈緒「あぁ、さっき一緒になってな」

由愛「レッスンまで少し時間もありましたから……」

―そんな二人……同じクール属性ではあるが、接点が少なそうな感じはある

P「珍しいな。二人が一緒だなんて」

由愛「あ……あの、奈緒さんも本に興味が……」

奈緒「元々は比奈さんが原因だけどな」

P「なるほど、薄い本繋がりか」

―元は鬼悪魔……アシスタントが目をつけて始めたJC'sによる同人誌作りが、こんな形で縁を広げていたと少し感心する

―そこで給料日を迎えたことで気が大きい彼の取った行動は……

カランコロン

―そこは一般に言うアイス専門店。たしかに男性一人では入りにくいが、女の子。しかも今をときめく人気アイドルと入るならまったく別だ

由愛「わぁ……色々ありますね」

奈緒「でもいいのか?アタシ達だけにって……」

―事務所でもプロデューサーと一緒に買物に行っただの食事を一緒にしただのの会話はある。しかし、それは一種のステータスでもあった

―表向きには、アイドルとプロデューサーの関係で付き合いが多い=目をかけられているとされ、その分仕事がもらえるとされている

―……約一人を除く

―しかし、なんといっても女性率が高い職場。自然とプロデューサーに目を向くのは当然ともいえよう

―しかも、200人近いアイドルをプロデュースし、業界にも名が知れ渡り海外からのヘッドカウントもあるとされる人物だ

―将来の伴侶としてもかなりの優良物件である彼に好意を持たない者は存在せず、何かこうした出来事だけで愛憎あふれる話題になることは間違いない

―そんなことを少し気にした奈緒ではあったが

P「まぁ、今から事務所へのお土産でセット買いするから、手伝ってもらえたとすれば文句は少ないだろう」

―こういう所も人気がある一因だ

奈緒「60種類入りのアレか……Pさんも太っ腹だな」

P「人数的に3つか4つはいるだろうから……」

由愛「あ……でも今日、全員は……」

P「まぁ、ウチの冷凍庫はデカいしいざとなったら、食堂のを貸してもらうさ」

―デカい事務所にはそれなりの大きさのインフラも必要となる一例である

P「ま、できあがるまで時間はかかるだろうから、それまで好きなのを注文していいぞ」

奈緒「よっし!」

由愛「ありがとうございます!」

―そんな二人の姿を見てふと呟く



P「……俺が頼むのは二人が頼んで、反応を見てからでいいかな」

―やはり小心者であった

―世の中には日本人の血を流れた土地で作られたのが有名な31種類のアイスもあるが、ここの店は夏という時期もあり60種類はある

―定番かつシンプルなバニラだのチョコだのから、中にティラミスとチーズケーキが入っているわけのわからんのまであり、常連でも簡単には選べるものではない

由愛「えーと、えーと、スライスストロベリーとチョコのミックスもおいしそいだけど、メープルシロップとカスタードのもいいかな……」

奈緒「凛ならチョコ系を選ぶだろうけど、どれもうまそうだし……」

―ほんの数分、散々迷って一言

奈緒「なぁ、Pさんが選んでくれよ」

P「んっ?!」

―急な提案に思わず椅子から転げる所であった

由愛「あ……それ、いいな……」

P「おいおい、由愛までか……」

由愛「あ……ダメ……でしょうか」

―少し悲しげな表情をする由愛。可愛い。

―もちろんそんな表情をされて断る男がいるわけでなく

P「決めるのは構わんが、あとで文句を言うなよ……特に奈緒」

奈緒「アタシ?」

―突然の指名に思わず自分で自分を指差す。可愛い

P「アタシはこんな衣裳なんか……とか言うじゃないか」

奈緒「こんな時に仕事の話かよ……まぁ、たしかに最初は戸惑ったよ。アタシがこんなフリフリを着れるかって」

奈緒「でも、本当にPさん一人で選んでいるようならスタイリストさんやメイクさんとかも何か言うだろうし」

奈緒「それに……」

―そう言いながらPの顔を指を近づけて一言



奈緒「最近はこれも悪くないかな……そう思ってるんだぜ」

奈緒「めいいっぱい仕事を楽しんで、良いステージにするためにもな」

―そう言う顔はまさにプロのアイドル。その辺のモデル顔負けの凛々しさを伴うものだった

由愛「……」

由愛「奈緒さん……カッコいいです」

由愛「それに今の笑顔……とても素敵でした」

奈緒「あ……あはは、あんまり凛や加蓮には言ってくれるなよ。これでも言ってて恥ずかしいんだからさ」

由愛「はいっ」



―そう微笑む由愛もまた、最高の笑顔だったのは本人には内緒にしておこう

―そう写真を撮り終えたプロデューサーはそう思った

P(でも……もっとわがままを言ってもいいんだがな。仕事だからって割り切る必要もない。それだけアイドルとしての成長が見られるわけだし)

P(ま、今はこの笑顔を大切にするとしよう……)

P「で、下手にミキシングするよりシンプルなのを選んだわけだが……」

奈緒「ここのバニラは天然バニラビーンズを使っているいいものだから、問題ないって」

由愛「ストロベリーもとってもおいしいです……」

奈緒「それに……」

―そう言いかけて意味深の笑顔を由愛に向ける

由愛「はい……こうして私……私たちは」



二人「Pさん色に染められていく(きます)から……ね」

P「まいったな……ズルいよ。一本取られたな」

―そのままでも充分可愛いのに、今のように少し見せる大人の笑顔もいい

―また二人のこれからの成長が楽しみだと思ったプロデューサーであった

おまけ

ちひろ「また……どうしたんですか?こんな量」

P「みんな頑張ってますからね。この夏最後のご褒美ってことで」

ちひろ「もう……言って下されば経費で落とすのに」

P「はははっ」





凛「私はチョコがいいかな?」

加蓮「ポテト味なんてあるんだ……奈緒は何にするの?」

奈緒「いや……アタシは後でいいよ」

「「ふーん……」」

凛「加蓮!」

加蓮「イエッサー!」

奈緒「ちょ!何でひっぱるんだ!」

凛「その余裕を持った顔……これは尋問開始だね」

加蓮「夜はまだまだこれからだよ」

奈緒「やーめーろー!」

由愛「……」

由愛(バレないようにしないと……)ビクビク





雪美、千枝、ありす「……」

聖(な……何か冷たい調律が……)

むつみ(由愛ちゃん、骨は拾ってあげますよ……)



―女の戦いは始まったばかりだった

~Fin

地の文なんて久々にやるので、気持ち悪いかもしれませんが勘弁を

次回、由愛ちゃんは襲われます予定(not性的)

それではありがとうございました

一応薄い本シリーズの前作
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【デレマス】むつみ「出陣」由愛「こ、コミック」乃々「マーケット……」凪「96!」 - SSまとめ速報
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