【艦これ】提督「艦娘にハーフマラソン大会を代走させたろ!」 (33)

キャラ崩壊注意



提督「……というわけで陽炎、お前出場な」

陽炎「はあああああああああああああ!?」

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執務室――



黒潮「司令はん、どういうことや?」

提督「我が海軍は、ハーフマラソン大会の協賛をしているんだが……」

提督「毎年『海軍枠』として、提督一人を出場させることになっているんだ」

不知火「なるほど、つまり今年は司令にお鉢が回ってきた……と」

提督「さすがは不知火、賢いじゃないか」ナデナデ

不知火「……」ムフーッ

提督「でも俺はマラソンみたいな長距離競技は嫌いだから、代走を頼もうと思う」

陽炎「だからって何で私が司令のケツを持たなきゃいけないのよ!?」

提督「良い質問だ」

提督「ここに三人の艦娘がおるじゃろ?」

陽炎「あ、私ほのおタイプが良い!」ノ

黒潮「ほな、うちはみずタイプな!」ノ

不知火「では不知火はくさタイプで」ノ

提督「陽炎……不知火……黒潮……」

提督「よし!! 陽炎一択だな!!」

陽炎「ぬあんでよ!?」

提督「ならお前、不知火や黒潮を走らせたいのか?」

陽炎「走ったらいいじゃない! 良い運動になるわよ!」

黒潮「あたっ! あたたたっ! あいたーっ!」

黒潮「急に腰が痛なってきてもうたわーっ!」セナカポンポン

不知火「うっ……お腹が……うううっ……!」

不知火「これは腹痛ですね間違いぬい……!」オナカポンポン

陽炎「嘘臭っ!!!!!!!!」

陽炎「さっきまでピンピンしてたでしょ!!」

陽炎「コラ!! みずタイプ!! くさタイプ!! 耐えろ!!」

黒潮「あーあかんわーみるみるひんしやわー」

不知火「状態異常ふくつうには敵わない……」

提督「あちゃーこれは陽炎に頼むしかないなー」チラッ

陽炎「で、出来レース……!!」

不知火「ハーフマラソンなだけに」ボソッ

陽炎「ハア……分かった、分かったわよ! 代わりに出るから!」

陽炎「だからその茶番はやめてちょうだい!」

提督「やったーこれでサボれるー!」イエーイ

黒潮「めんどい仕事サボれたー!」イエーイ

不知火「いえ不知火は良かったんですよええ本当に別に代わりに出ても良かったとは思うんですよでもここは姉の威厳を見せつけて欲しいなあと思ったので二人のノリに乗っただけなんですよええ」

陽炎「不知火が一番うざったい!!!!!!!!」

コンコン

雪風「失礼しm――えっなにこの空気……」ビクッ

提督「おお雪風か、遠征お疲れ様ー」

雪風「これ報告書です」つ□

提督「どもども」

提督「んー、やっぱり雪風の書類は読みやすいなあ」

雪風「ありがとうございます!」

雪風「それで、これは何の集まりなんですか?」

陽炎「ちょっと聞いてよ!」

陽炎「司令が、私をハーフマラソンに出場させるとか言い出して!」

雪風「えっ! 陽炎姉さん、出場するんですか! 凄いです!」パァァ

雪風「雪風、当日は応援に行きますね!」ニコニコ

陽炎「……」

提督「……」

不知火「……」

黒潮「……」

陽炎「あ、うん……頑張るね……」

提督「お、おう……頑張れよ」

不知火「え、ええ……応援に行きます……」

黒潮「ほ、ほな……うちらはこれで……」ソソクサ

提督「あ、ああ……詳細は追って連絡する……」

陽炎「で、では……失礼しました……」ソソクサ

不知火「は、はい……失礼しました……」ソソクサ

パタン

雪風「陽炎姉さんが選ばれるなんて、同じ陽炎型として誇らしいです!」キラキラ

雪風「司令官も、一緒に応援しに行きましょう!」ワクワク

提督「……そうだな……そうしよう……」

雪風「やったあー!!」ピョンピョン

提督「……」

提督(雪風の純粋な反応には勝てなかったよ……)



――――――――
――――

当日――
舞鶴――



雪風(夏のお嬢さんmode)「わあ~! 人がいっぱいです!」

不知火(秋の私服mode)「舞鶴……久し振りですね」

黒潮「なんやねん二人ともホンマ立派なおべべ持っとっていや別に羨ましいとかそういうことはあらへんよホンマただこういうシーンで一人だけ仲間はずれが出来るんはどうやろなーって思うやんかせやからうちにもなんか限定グラをくれても罰は当たらん思うねんなホンマ……」ブツブツ

提督「限定グラ……早く実装されると良いな……」グスッ

陽炎「あ、いたいた! おーい!」ノ

提督「おーもう準備出来たのか」

不知火「陽炎、いつもの制服で良いんですか?」

陽炎「色々考えたんだけど、やっぱりこれが一番体に馴染んでるのよね」

雪風「慣れた装備が一番だと思います!」

黒潮「せや! 遠足は履き慣れた靴が一番やで!」

陽炎「20キロ以上ある遠足だけどね」

提督「そうそう陽炎、これを渡すの忘れてたわ」つ□

陽炎「あ! それゼッケン! どうりで無いと思った!」

黒潮「そんな大事なもん、なんで忘れとんねん!」

不知火「これは司令の落ち度です」

雪風「でも、間に合って良かったですね!」

陽炎「……まあ、そういうことにしておくわ」つ□

陽炎「えっと、私の番号は……ん?」

不知火「? どうしましたか?」チラリ

不知火「……って、これは……」

黒潮「んー、なんやー?」チラリ

黒潮「……え、ちょ……」

雪風「何かあったんですか?」チラリ

雪風「……あれ? あれれ……?」

提督「ん、どうした?」

陽炎「……こ、これ……!」ワナワナ










陽炎「男子のじゃん!!!!!!!!」








提督「あ、ホントだ、いっけね忘れてた」

提督「まあ俺の代走なんだもん、俺の情報で登録されてるに決まってるじゃんねー」

提督「アッハッハッハ!」

陽炎「ちょっとおおおおおお!!!!!!!!」

不知火「司令の出場は……三十代……男性……ププププ……」プルプル

黒潮「三十代www陽炎ww三十代男www」バンバン!

陽炎「笑うなあああああ!!」

雪風「あの司令、この場合陽炎姉さんは……?」

提督「ああ、想像している通りだ」

提督「三十代の男性としてハーフマラソンに挑むことになる……!!」ギリッ...!

陽炎「なにそれ最悪!!!!!!!!」

不知火「男の中に女が一人……プークスクス」ププププ

黒潮「むっさwww陽炎ww絵面むっさwww」ヒーッ!

提督「大変だと思うが、まあ頑張れ」

陽炎「ちょっと!! 他人事だと思って!!」

陽炎「艤装の無い艦娘は人間と同じなのよ!?」

陽炎「体力に差があり過ぎじゃない!?」

提督「えー一応参考までに適当にネットで調べてみたところ……」スマホスマホ

提督「十代女子のハーフマラソンの記録は『2時間18分』とあるな」

提督「ハーフマラソン上級者を目指すなら、1時間40分越えを目指せばいいらしい」

提督「まあ頑張れ」

陽炎「あのねえ……男扱いされる身にもなってよね!?」プンスカ!

雪風「でも、出場できることには変わりありません!」

陽炎「え、まあ、確かにそうなんだけど……」

雪風「大丈夫です! 陽炎姉さんなら、絶対にいい記録が出せますよ!」

雪風「だってこの雪風が! ううん、運命の女神が! 陽炎姉さんに微笑んでくれてますから!」ニッコリ

陽炎「……」

陽炎「うん、そうね! 誰が相手だろうと、私が三十代男性だろうと!」

陽炎「全員追い抜いちゃえばいいんだから!」

雪風「はい! その意気です!」

黒潮「いやー陽炎型のお姉ちゃんはさすがやわー」ウンウン

不知火「姉の貫禄に満ち溢れています」ウンウン

陽炎「おいそこの二番艦と三番艦」

陽炎「なに八番艦に負けとんねんオォン?(威圧感)」

ピンポンパンポーン

『出場選手はこちらに集合してください』

陽炎「あ、もう時間みたい」

陽炎「それじゃ、行ってきます!」ノ

提督「全力を出し切るんだ!」ノ

雪風「ファイトです!」ノ

黒潮「きばってきーやー!」ノ

不知火「お土産はカレー焼きを所望します」ノ

陽炎<自分で買いなさい!

スタート前――



参加者イ「よーし頑張るぞー」

参加者ロ「去年よりは早くゴールしたいな」

参加者ハ「今年こそ走り切りたい……」

参加者ニ「な、なあ、あれ……」

陽炎「絶対一位をとるぞー!」メラメラ

参加者ホ「おい、ジロジロ見るなって」

参加者ヘ「でも絶対三十代男性じゃないだろ」

参加者ト「いやーアレは揉めるとややこしい人かも知れないぞ?」

参加者チ「は? こんな可愛い子が女の子のはずがないだろいい加減にしろ!」

陽炎「周りの視線は無視するぞー!」メラメラ

『位置について……ヨーイ……』



パンッ!!









「「うおおおおおおおおー!!」」ドドドドドドドド








陽炎(くっ……この熱気と殺気……!)

陽炎(これがハーフマラソンだっていうの……!?)

陽炎(このむせかえるような熱量……!)

陽炎(まさに最終海域に匹敵する……!)

陽炎(しかも男の人ばかり密集してる場所に来ちゃったから、妙に男臭い……!)

陽炎(でも!!)

陽炎(私は最前線を生き抜いてきた艦娘!! 陽炎型の一番艦!!)

陽炎(十六人の妹――残り二人の実装首を長くして待っていますのでどうぞよろしくお願いします――の頂点に立つ者として……!)









陽炎「負けられないのよおおおおおおおおおうおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

ドドドドドドドドド!!

参加者リ(は、疾い……!?)

参加者ヌ(その後ろ姿はまるでジェット機が巻き起こした陽炎の如し……!)

参加者ル(ただの三十代男性女子と思って油断していた……!)

参加者ヲ(ヲッ……!?)

陽炎「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」

参加者タ(だが! 俺たちだって一流のハーフマラソンランナー!)

参加者レ(アヒャヒャヒャヒャ)

参加者ソ(誰にも優勝は譲らねえ!)

参加者ツ(優勝するのはただ一人! この俺だ!)

「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」」

ルート脇



妙高「頑張ってくだーい」

妙高「頑張ってくださいねー」



ダダダダダダダダダ



陽炎「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!」



ダダダダダダダダダ



妙高「頑張t――あら?」

妙高「今、陽炎ちゃんが走ってたような気が……?」ハテナ

陽炎は走った。

走って、走って、走り続けた。

それは何のため?

提督のサボりの尻拭いのため?

愛する妹たちのため?

自分との戦いのため?

そのどれでもあって、そしてどれとも違う。

走るから、走るのだ。

今走っているから、彼女は走っているのだ。

原因だとか結果だとか、そんなことは関係ない。

ただ前を見て、ただひたすらに、ただまっすぐに。

走れ陽炎。

走れ陽炎――!









……本当は、とっとと終わらせるために走っているのだ。

走れ陽炎――!!









――――――――
――――










オチ

1時間13分11秒という記録で総合5位を勝ち取りました。
(三十代男性の1位に輝いた)



おわり

以上です、ありがとうございました。

山風マラソンはじめました……

あ、終わった……

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