ナルメア「団長ちゃん、何かしてあげよっか?」グラン「じゃ艇を降りてくださいよ」 (176)

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>>1です、規制中なので携帯から建てました。。

ナルメア「えっ?」

グラン「バルツに着いたら、艇を降りてくださいよ」

ナルメア「……え…」

ラカム「おーい団長ー! 目的地に着いたぞー!」

グラン「ありがとうラカムー! 今行くー!」ダッ

ナルメア「あ、」

ナルメア「……??…団長ちゃん……?」

*

イオ「結局、あんたたちがほしい物だけしか売ってなかったわね」

ラカム「原初の砂に赤熱鉱……まだまだ足りないけどな」

ルリア「でもいっぱい買えました!ね、シエテさん?」

シエテ「そうだねぇ」

シルヴァ「……イオは何が欲しかったんだ?」

イオ「んー別にこれと言ってないんだけど、自分がほしい物がないって、なんだか損した気分じゃない?」

シルヴァ「む……」

イオ「なんだっていいのよ、せっかくまたバルツに寄ったんだから師匠に会いたかったけど別の島の領主に会いに行っちゃってるし。 私も何か買いたかったんだけど、バルツの中は知り尽くしちゃってるし……」

イオ「ねぇ、これってワガママかな?」

シルヴァ「そんな事はない。素直でいることは子供の特権だ」

イオ「ちょっとー。 私は子供じゃなくて、レディーなんですけど?」

シルヴァ「む……」

シエテ「あらら。怒っちゃったねぇ」

グラン「あちゃー。シルヴァさんだめですよ?イオに謝らないと」

シルヴァ「むっ!? す、すまない……」

ラカム「おいおい団長。ガチで謝らせてどうすんだお前は」

グラン「あーーごめんごめん! シルヴァさん、冗談です、ごめんなさい!」

シルヴァ「じょ、冗談だったのか」

イオ「そうよ。グランはバカ言うのが大好きなんだから……ね? このバカ!」ボカッ

グラン「あだーーーーー!! 杖で殴るのは反則だよイオ!?」

イオ「あんたもよ!」

シエテ「えーーーーー!? なんで僕まで叩かれるの!? 頭目だよ、僕!?」

イオ「知らないわよー!」

*

シルヴァ「……冗談が好きなのだな、団長は」

ラカム「ああ。バカだけどな」

ルリア「はわわ~」

シルヴァ「……」フッ

シルヴァ「私はあまり冗談が得意ではない……だが。あの団長は裏表がなく、不思議と悪い気分じゃないんだ」

シルヴァ「良い騎空団に入れて良かった」

ルリア「!」

ラカム「そいつぁよかったな、新入り」

シルヴァ「む」

グラン「おーーいシルヴァさーーん! みんなでごはん行きますよーーーー!!」

シルヴァ「あ……あぁ!」

ラカム「ほれ行くぞ。ルリアも。……また飯ヒュゴるんじゃねえぞ?」

ルリア「し、しませんよぉ! ……ん?」

ナルメア「……」

ルリア(あれ。あそこの陰にいるのは、ナルメアさん……?)

*

ルリア「ナルメアさーん! どうしたんですか?そんなところで」

ナルメア「ルリアちゃん……。」

ナルメア「……ううん! なんでもないの、お姉さんちょっとめまいがしちゃってね」

ルリア「だ、だいじょうぶですか?」

ナルメア「うん!お姉さん頑張る! ちょっと先に艇に戻って、おそうじでもしてくるね!」

ルリア「あ、ナルメアさーーん! ごはん……」

*

ゴシゴシ ゴシゴシ

ナルメア(あれはどういう意味だったんだろう……)

ナルメア(私、なにかしちゃったかな……? 団長ちゃんの気に入らないこと)

ナルメア「………」ゴシゴシ

ナルメア(……そうだ、団長ちゃんの好きなおかしを作って、謝りに行こうかな)

ナルメア(お菓子……あれね、チャンクで作ったミートパイと、のみものはエリクシールハーフ)

ナルメア(そう、それだわ!)

ナルメア(あれ、はじめてご馳走したときの団長ちゃん、すっごくうれしそうだったなぁ)

ナルメア(あんな顔されちゃったらお姉さん、それはもうすごく頑張って、がんばって練習しちゃうじゃない)

ナルメア(だからあのお料理だけは、すっごく自信あるんだよ? 団長ちゃん)

ナルメア(あれから何回もごちそうして、何回もおかわりしてくれたよね、団長ちゃん)

ナルメア(取り分けるときとか、ナイフ危ないからって、私なんかに気遣ってくれたよね?)

ナルメア(やらせてって言っても、ナルメアさんの分は僕がって、聞いてくれなかったよね……)

ナルメア(すっごくおいしそうに食べてくれて……、これで夜まで走れるって……言ってくれたよね……)

ナルメア(お姉さん…………すっごく、うれしかったよ、団長ちゃん)

ナルメア(……また、食べてくれるよね……?)

ナルメア(……食べてくれるわ、団長ちゃんは)

ナルメア(じゃあ、おいしいって言ってくれるかな……?)

ナルメア(おいしいって、言ってくれるかな……? ごめんね、団長ちゃん……)

ナルメア(ごめんね、私、なにか怒らせちゃったから……)

ナルメア(嫌わないで……きらわないでよぉ……許して、団長ちゃん……!)

ナルメア(う、う、ごめんね…… 団長ちゃん……)

*

グラン「ただいまーグランサイファーのみんなー! ……ふぅ、おいしかったね」

ラカム「お前食べすぎだこのバカ、ルリア並みに食いやがって」

シエテ「1000ルピのランチを10セットも食べるとはね!見たかいあの店員さんの顔、ひきつってたねぇ!」

グラン「や、なんかおなかがめっちゃ空いてたんだよね。まだイケるよ!」

イオ「いけるよじゃないわよバカ!」

シルヴァ「……男らしくて良いと思うが……」ボソ

イオ「なんですってえぇ!!?」ギロッ

シルヴァ「!?」ビクッ

ルリア「グラン……最近特に頭が悪いですけど、大丈夫ですか?」

グラン「ル、ルリア……(苦笑)」

ミリン「おやみなさん。帰ってきたでござるか!おかえりなさいでござる!」

ラカム「おう。これ、お前の弁当な。団長チョイスだ」

ミリン「わー!おいしそうなからあげ!ハンバーグ!あ、これがごまだんごでござるか!!」

ミリン「……漢のサムライ弁当でござる!」

グラン「ごめんね、茶色ばっかで! それが一番人気で、いろいろ入ってたから……」

ミリン「いえ、おいしそうでござるよ! かたじけない!」

グラン「ほんと? はは、よかったよ」

イオ「これをこのバカは10個も食べてたのよ、信じられる?」

ミリン「ルリアどのではなく、でござるか?」

ルリア「わ、私はそんなに食べませんよー!」

ラカム(嘘つけ……)

グラン「ホントおなか空いちゃっててさ、ミリンはそれひとつで足りる?」

ミリン「拙者は大満足でござる!」

グラン「よかった。じゃあイオ、僕は艇のみんなにお弁当渡してくるからね」

イオ「うん、いってらっしゃーい」

ミリン「せ、拙者も手伝うでござるよ!」

グラン「いい、いい!」

ラカム「お前、ちゃんと配れよ!? もう食うなよ!わかってるな!」

グラン「わかってるよ!(笑)」

*

ミリン「……。」

ラカム「あ? なにやってんだよお前。団長の後ろ姿なんかじっと見て」

ミリン「はっ! ラカムどのラカムどの」

ラカム「あ?なんだ?」

ミリン「団長どのは良い人でありますなー」

ラカム「はぁ??」

ミリン「や。拙者、思い出したでござる。シルヴァどのと同じように、この艇に乗せてもらった時のことを」

ミリン「拙者、異国の情緒や文化を知りたいゆえ、いろんな研鑽を積みたいというのが入団のきっかけでござる」

ミリン「だからもちろん、こういう食の文化も同じでござりて」

ラカム「団長の話か?」

ミリン「ござる。団長どのは、寄港した時はかならず拙者を連れ出して、お買いものとか食事処とか、なるべく拙者に外の新しい文化を見せてくれようとしてくれるのでござる」

ミリン「今日みたいに見張り番の時は、いつもおもしろいお土産とかお弁当を持ってきてくれるでござるよ」

ミリン「頭の片隅のほんの少しでも、拙者をお傍において頂けている……その気遣いが、たまらなくうれしいのでござる……」

ラカム「……」

ミリン「だから拙者……」

ミリン「団長どのがだいすきでござ……」ボソッ

ラカム「おいおい、口が滑りすぎじゃ……」

ミリン「!!!」ハッ!

ミリン「ち、ちがうでござる! 好きというのは、そういう意味ではなくてでござって!」

ミリン「つ、ついうれしくて……口が勝手に……ござる……」

ラカム(バカしかいねえのか、この団は……)

ミリン「忘れるでござる、ラカムどのーーーーーっ!」

*

コンコン コンコン

ナルメア「!」ビクッ

ナルメア「は、はい、どなたですか?」

シーン

ナルメア「……?」

ナルメア「はい……?」ガチャ

グラン「あぁ、ナルメアさん」

ナルメア「だ、団長ちゃん!?」

(グラン『艇を降りてくださいよ』)

ナルメア「っ………」

グラン「はい。これ今日のお昼」

ナルメア「え、あ……っ、ありがとう団長ちゃん、ごめんねもってきてもらっちゃって」

グラン「……。 入っていいですか?」

ナルメア「! あ、う、うん、どうぞ……! あ、で、でも、わたしの部屋、ちょっと散らかっててね、ごめんね、いい? 団長ちゃん……」

グラン「……ベッド座っていいですか?」スタスタ

ナルメア「あ、ぅ、うん! あ、おしりにクッション敷く? あの、ね? ベッド、わたしさっきまで使ってたから……、お姉さんちょっと恥ずかしいなー…――」

グラン「」ドスン

ナルメア「なん、て……」

グラン「……。なんかちょっと枕湿ってません? なんでです?」サワサワ

ナルメア「あ!? そ、それは……そ、み、水を」

グラン「それに……このにおい」チラ

グラン「何か作ったんですか? なんかを焼いた匂いだ」

ナルメア「あっうん、これね……! 団長ちゃんの好きな」

グラン「ちょっと」サッ

ナルメア「え」

グラン「ゲホ…………!」(煙たそうな仕草)

ナルメア「……っ…!」ピタッ

グラン「ごめんなさい、少し気分が悪くなって。 何ていいました?」

ナルメア「う……ううん! ごめんね、くさかったよね! ごめんね……すぐ窓開けるから!」

グラン「ナルメアさん、その前に! なに作ったのか、聞いてるんですけど」

グラン「それとも、僕を無視するつもりですか?」ジト

ナルメア「…………、ぇ、と……!」

ナルメア「な、なにも……」

グラン「ゲホッ!! ゴホッ!!!」

ナルメア「っ……」ビクッ

グラン「……」

ナルメア「…………、っ、っ、っ、ぉ」

ナルメア「お、“おねえちゃん、とくせいの”……」

*

*

(グラン『ナルメアさん、このパイめっちゃウマイですね! シェフですよシェフ!!』)

(ルリア『はわわァァァアアアアアアアアアア!!! すッごくおいしいです~~~!!!』ヒュゴゴゴゴゴゴ)

(グラン『ってルリア!ヒュゴるな!! このパイは絶対あげないからな!!』)

(グラン『だ、駄目だ。食べるのに夢中で聞く耳持ってない……』)

(ナルメア『お、大げさだよ団長ちゃん……! 恥ずかしいから……』)

(グラン『いや!何度でも言うよ、ナルメアさんのミートパイは全空一だ!おいしい!!』)

(グラン『ナルメアさん、刀の腕前もすごいけど料理もこんなにすごいなんて。こんな小さい団なのに、ナルメアさんが入団してくれて本当にうれしいです!』)

(ナルメア『だっ団長ちゃん褒めすぎだよっ!? ごめんね、気持ちはすっごいうれしいよ!? 本当だよ!? で、でも、だって、あまりもののグラッチチャンクで作ったから……、その、ほんとはすっごく大味なんじゃないかな……?』)

(ナルメア『……無理しないでいいよ……? 団長ちゃん優しいんだもん……あまりもので作って、そんなおいしいわけ、ないし……』)

(グラン『………』)

(グラン『ナルメアさん、自分で味見はしました?』)

(ナルメア『えっ? し、したよ、もちろん! だって、団長ちゃんが食べてくれるんだから……!』)

(グラン『おいしかった?』)

(ナルメア『……、お、おいし、かったかな?』)

(グラン『自分でもわかってるじゃないですか、おいしいって!』)

(ナルメア『!』)

(グラン『ベースに黄金小麦、いろどりの青い果実。これ、普通の露店じゃ売ってないです』)

(グラン『どうりで肉々しい感じがあんまりしない』)

(グラン『すっごく気を遣ってくれてるのがわかります』)

(ナルメア『あ……!』)

(グラン『でも……』)

(グラン『これを作るためにナルメアさん、ひとりでどっか採りに行ったんですよね?』)

(ナルメア『あ…あはは、うん。ごめんね……?』)

(グラン『どこかに一人で行くときは、団員は必ず団長報告って言ってたのに』

(ナルメア『ごっごめんね!! で、でもね、団長ちゃん! あれくらいは一人でもだいじょ……!』)

(グラン『団長としてそこはキッチリ清算します』)

(ナルメア『ご、ごめんね……』)シュン

(グラン『……。でも僕、ナルメアさんが僕のために、一生懸命作ってくれたって事がうれしくて』)

(グラン『なんだか、怒る気がなくなっちゃいましたwwww』)

(ナルメア『……!』)

(グラン『あーわかった。じゃあ罰としてですね。ウン、今回のよりもっとウマい、おなかいっぱいのパイを……』)

(ナルメア『団長ちゃんっ!』)バッ

(グラン『わっ、ちょ、食べてますから!離れてください、落としちゃうから!?』)

(ナルメア『うふふっ、団長ちゃん団長ちゃん、お姉さんうれしいっ! うれしいのっ!』)

(グラン『うわぁーーーーーーーーっ!?』)

*

*

ナルメア「……“お、なか、いっ…ぱい、パイ”……今回ので、11、号……」

ナルメア「………です……。」

グラン「“おねえちゃんとくせいの、おなかいっぱいパイ、11号”?」

グラン「………」

グラン「……フッ」

ナルメア「……?」

グラン「はははははははっ!!!」

グラン「ブワハハハハハハハハハハハハハッッ、アーーーーーーーーッヒャッヒャッヒャッハッハッハッハッハッハッハwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ナルメア「……!?」ビクッ

グラン「ゲホゲホッ!ハハハ!ウグッ、ウワハハハッ!!ヒーーーーーッ!ヒハハハハハハハハ!!!」

グラン「ケハッ、カッカッカッカッカッ………! ぐははははははは……ゲホッ!」

グラン「クククク………あーー、ひっひっひ、ははは、ゲホ、っぷくくはははは……」

グラン「フフ………ははははははははは……あーー、はぁーーーーーーーーーーーーーーぁあ……。」

グラン「………フンンッ!!」ブンッ!!

ナルメア「んぶふっ!!?」ベシャッ!

ナルメア「うっ……、げほっ、えほっ!? ……ぇ……え……!?」

グラン「オーやった! これぞパイ投げってやつですかね、ナルメアさんよお」

グラン「顔面クリーンヒットは何点ですか?」

ナルメア「だっ……、だ、団長ちゃんっ!? いくらなんでもひどいんじゃないかな!?」ゴシゴシ

ナルメア「食べ物を粗末にするのは、だ、駄目だし! 床も、パイでべしょべしょだし……!」

ナルメア「私はいいけど! ……その……」チラッ

パイグチャァ……

ナルメア「……だ、団長ちゃん、また作ってって、おいしいって言ってくれたから……お姉ちゃんも、前のよりおいしくなるよう、がんばったよ……?」グチャ…グチャ…

ナルメア「だからお姉さん、ちょっとだけ悲しいかな……」グチャ…

グラン「うえー。変なモンかき集めないでくださいよ、後でやってください。見苦しい、マジでやめてくれません?」

ナルメア「! っ……ご、ごめんね……」ピタ

ナルメア「…あ……」

ナルメア「団長ちゃん、手……」

グラン「ん? ああ 汚れちゃったな。鷲掴みにしたから」

ナルメア「………、これ、お姉さんのハンカチ……使う?」

グラン「うん、その前に手を洗おうかな……これで。ちょうどいいのがあった」キュポッ

ナルメア「……だ、団長ちゃん、それエリクシ…… きゃっ!?」ビシャッ!(ナルメアの真上から半汁をかける)

グラン「うお~~ 半汁で手を洗うってなんか罪悪感あるなあ」パシャパシャ

グラン「ほらナルメアさんよぉ。半汁だぞもったいねえ、口開けてほら。あんたは排水溝なんですから、ちゃんと飲まなきゃ」

ナルメア「~~~~っ、~~~ッ、~~…!」ビシャビシャ ビシャ

グラン「口開けてホラ! ……そうそう、上手ですよー」

ナルメア「ぇほ!あぶぶ……、~~~!! ゲホッ!かはっ!」

グラン「うはは。あーあー……こぼしちゃって。ほんともったいないわ、半汁もタダじゃないんですよ?」ピッピッ

グラン「ふぅ。ハンカチ」

ナルメア「ケホッ……グスッ………」ポタポタ

グラン「ハンカチッ!!!!!!!!!!!!」

ナルメア「っあ!? グスッ、ぁ、ごめ、ね、はい、ハンカチ……!」スッ

グラン「ハァァーーー。 もう気が失せたから行きます。掃除しといてくださいね、臭くてたまらんから」ゴシゴシグシャッ ペッ(ナルメアの顔に丸めたハンカチを投げ捨てる)

ナルメア「あうっ! ……ぅ、うん、すぐ片づけとくね…… ごめんね、団長ちゃん……」

*

書き溜め分がいったん終わりましたので、また明日以降に投下します。

シエ

シエテ「もう夜だし、そろそろいいんじゃない?団長ちゃん」

グラン「そ、そうですね……よし、今日のヘイローは終了!みんなお疲れ様ー!」

ラカム・イオ・シルヴァ「~~~~~~~~~~!!」バターン

シルヴァ「わ、わた、しは!この、団を、今日で、抜けるッ!!」ハァハァハァ

ラカム「新入り、根を上げるには早すぎんだろうが……!」ハァハァハァ

イオ「そうよ……!逃がさないんだから……!地獄に……道連れよ」ハァハァハァ

シルヴァ「」ゾォッ

シルヴァ「ヒ……ふざ……ッ、ウ……!!」バターン

グラン「ちょっ、シルヴァ!? あちゃー、初日から飛ばしすぎたかな? よいしょ」(抱き上げ)

シエテ「今まで一人だったから、いきなりの集団行動で体がびっくりしちゃったんじゃないかな?」

グラン「そうですね……とりあえず部屋まで連れて行きます」

シエテ「一人で大丈夫かい? 団長ちゃん」

グラン「大丈夫! シエテさんには悪いけど、ラカム達を頼めますか?」

シルヴァ「オロシテクレ……」

グラン「あはは……」

シエテ「オッケー! 気を付けてね!」

シルヴァ「くっ……降ろしてくれーーーーーーーーーっ!!!」

*

シルヴァ「おぉっ……! このシチュー、最高にウマいな……!」

シルヴァ「疲れた体に沁みる……」パクパク

ラカム(この打って変わりよう。こいつもバカ組か……?)

グラン「でしょ? ローアインさん喜ぶだろうなぁ、調理室にいるだろうから後で紹介しますね」

シルヴァ「あぁ。こんな繊細な料理が作れるなら、きっと老練の調理師に違いない。私も失礼がないようにしなければ……」

グラン「あはは……(苦笑)」

イオ「昨日もこのシチューだったけどね。一気に作りすぎなのよ」

ラカム「へっ。いらいらすんなよ、俺のパン食うか?」

イオ「いらないわよ、寄越すならかじる前に寄越しなさいよね、まず!」

ラカム「そりゃあ悪ぅーございました、なんか食欲がねえんだよな。おい、ルリア」ポイッ

ルリア「ヒュゴォォオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」ゴゥッ!!

イオ「もう、ルリア? あんた最近掃除機みたいよ? 普通に食べてくれない?」

ルリア「はぇ……?」モグモグ

グラン「シルヴァさん、それで足りる? パン、シチューにつけて食べるとおいしいですよ」

シルヴァ「む……」ヒタヒタ パクッ

シルヴァ「むっ……!」

グラン「でしょ? パンが固いときは僕いっつもそうしてるんです」

シヴァ「あ、ありがとう、団長。……ひとりの時はいつもレーションしか食べてなかったから、こういう凝った料理は久しぶりでな。こういう上手な食べ方も忘れてしまう……」

グラン「そうなんですね……」

グラン「じゃあ、甘い物とか好きですか?」

シルヴァ「! すっ、好きだ!」

グラン「なら今度、ミリンって子が行きたいってクレープ屋さんがあるんで、一緒に行きますか?」

シルヴァ「う、うむ! 行く……!」ズイッ!

グラン「わ、わかりました……、おーいミリンちょっとー! いるー!?」

グラン「ありゃ? ねえイオ、ミリン知らない?」

イオ「ミリン? いつもクロエと一緒に食べてるじゃない、2人掛けの席の方よ」

グラン「ありがと!」

*

グラン「あーいたいた、ミリンちょっとー!」

ミリン「んぇ」モグモグ

クロエ「あ、だんちょじゃん。やっほー」

グラン「あーごめん、クロエと食べてたのか、邪魔しちゃったね」

クロエ「全然よきよきー、クロエじゃま的な?テキーラ?わら」

グラン「ううん! ていうか、メイクしながらごはん食べてるの……?」

クロエ「もち、もてスタ勉強中なんよー、どう? かわいいっしょ?わら」

グラン「うん、かわいい!」

クロエ「あはは、やば! バリ直球でうける!わら」

ミリン「団長どの、なんでござるか? シルヴァどのも一緒に」

クロエ「あ、ほんとだシル姉ぇもじゃん、どったのどったの~?」

シルヴァ「ど、どうも……」

グラン「シルヴァさんがさ……、「あのクレープ屋」行きたいって」

クロエ「えーうっそ!マジ!? めっちゃテンアゲぶっかまぽなんですけど!わら」

ミリン「テンアゲでござる~! あの「鬼盛り」のでござるか!?」

シルヴァ(お、鬼盛り……!?)

グラン「それね! シルヴァさん甘いもの好きだけど、あんまりお店とか行かないみたいだから、2人でリードしてくれないかな?」

クロエ「クロエにおまかせ~!」

ミリン「ござる! シルヴァどの、ここ座ってください!いま雑誌もってくるでござる!」

シルヴァ「あ、ぁ、……あ、ありがとう!」

グラン「僕も一緒に行くからあとで教えてね、クロエ」

クロエ「承知丸~!」

シルヴァ「……テッ、テンアゲだ!」

グラン「む、無理して合わせないでいいですからね……。」




グラン「やれやれ……… ん?」

ナルメア「……。」モソモソ パクパク

グラン「……ナールメーアさんっ!」

ナルメア「ひぁぁぁぁぁぁっ!?」ビクゥゥッ!!!

グラン「うおおおっ!?」ビクッ

ナルメア「っ…っ……だ、っ、団長、ちゃん……!?」ドキドキドキ

グラン「ごめん、驚かして! なんか今日、すっごい端っこで一人で食べてたから、何かあったのか、と……」

グラン「どっどうしたんですか? 顔色、すごく悪い……」

ナルメア「ぇ、えっ……!?」

ナルメア「そ、そう、かな……ぁ、あれ、団長ちゃん……?」

グラン「は、はい……?」

ナルメア「ぉ、おこ、おこ、て、怒ってない、の……!?」ビクビク

グラン「僕? 怒ってないですよ? ――――!」

グラン「ナルメアさん、目……」

ナルメア「ひっ……!?」ビクッ

グラン「……泣いていたんですか? 目、腫れて、まっかです」コソコソ

ナルメア「……っ、……??……そ、……えっ…?」

グラン「何かありました? 話しにくいなら、別の場所行きましょう」コソコソ

ナルメア「………えぇ……?」

グラン「ナルメアさん、さぁ」(手を差し出す)

ナルメア「っ………」(俯く)

グラン「! ナ、ル…………。」

グラン「となり、座ってもいいですか?」

ナルメア「…………………」(頷く)

グラン「……。僕がそばにいたら、いやですか? ひとりのほうがいいですか?」

ナルメア「………」(首を横に振る)

グラン「あんまり、話したくないですか?」

ナルメア「………」

グラン「………」

グラン「ごめん、ナルメアさん」

ナルメア「……!」

グラン「僕は団長なのに、肝心な時、いっつも力になれない……!!」

ナルメア「……ぁ、あの、団長ちゃん……?」

グラン「んっ?」

ナルメア「覚えて、ないの……?」

グラン「ん……………!?」

グラン「うぅ~~~……………~~ん」

グラン「……ごめんなさい! 心当たりないです……」

ナルメア「………」

グラン「あ! あれかな? トイレ、間違えて入っちゃって……!」

ナルメア「っ! だ、団長ちゃん……っ!?! それは私がカギをかけ忘れたから……!」

ナルメア「それに声、大きいよ……っ!」

グラン「ごっごめん!! ……そのことじゃない、ですよね。 顔見ればわかる」

ナルメア「………」

ナルメア(団長ちゃん……。本当に、覚えていないの……?)

グラン「ナルメアさん、もうちょっと話をしてもいいですか?」

ナルメア「………」

グラン「……ナルメアさん、辛い時、一人で抱え込むことを……僕は否定しません」

グラン「僕だってそういう時ありますから。何も間違ってないんですよ」

グラン「ナルメアさんは正しい。僕たちの、頼れるお姉さんなんですから」

ナルメア「………」ギュッ

グラン「だから僕知ってますよ、みんなから頼られちゃうから、人一番しょい込みやすいって事も」

グラン「戦闘の時、いっつも最前線に立ってくれて。おかげでいつもナルメアさんには生傷が絶えない」

グラン「この際言いますけど。ヒールで治せばいいって訳じゃないんですよ」

グラン「ナルメアさんが生傷を作るたび、僕は死ぬほど後悔するんです。またナルメアさんを傷つけてしまったって」

ナルメア「………」

グラン「あとは……掃除する時、僕より何時間も先に起きてもうやってたり」

グラン「買い物の時なんて、僕たちの荷物全部持とうとするじゃないですか」

グラン「この前イオが怪我した時なんて、イオよりナルメアさんのが泣いてたり」

グラン「僕たちがシルヴァさんに艇の中案内してる時、シルヴァさんの部屋、いつの間にか掃除したり荷物運んだりしてくれてたの、あれもナルメアさんですよね?」

グラン「いっつも甘えちゃって……すみません」

ナルメア「ん……ううん……」グスッ

グラン「フ、あと、戦闘が終わった後は必ず手を洗うクセがあったり」

グラン「甘いものを作ってくれた時は、必ず飲み物はエリクシールハーフですね」

グラン「もっともっと知ってますよ、ナルメアさんの事」

グラン「……ずっと目で追っていると、いろんな事も分かっちゃうんですよ」

グラン「でも僕は、痛いとか、つらいとか、さみしいとか、泣きたいとか。ナルメアさんの口から聞いたことありません」

グラン「……僕の手、握って。ナルメアさん」スッ

ナルメア「…っ……!」(手を重ねる)

グラン「僕のこと、嫌いですか?」

ナルメア「そっ! ……そんなわけ、ないよ……っ!」

グラン「……いままで、すっごく頑張りましたね、ナルメアさん」

ナルメア「ッ……!!」ギュッ

グラン「あたま、なでていい? ナルメアさん」

ナルメア「……ぅ、うん……うんっ……なでて……!」グスグス

グラン「僕の前でくらい……今日だけでも、弱くていいんじゃないかな? ナルメアさん」ナデナデ

ナルメア「団長ちゃんっ!!」(抱きつく)

グラン「うおっ!?」

ナルメア「怖かった……! 怖かったよぉ……!!」

グラン「よしよし、よく頑張ったね、ナルメアさん……。 ん?」

団員「「「「「「………!………!……・・・・・・!」」」」」」(絶句&ガン見)

シエテ(だッ、団長ちゃァーーん!? ここ、大食堂だよ!? みんな見てるから!?)←(ジェスチャー)

ナルメア「……っ、ぅぅ……っ!……ひっ……えぐっ……」

グラン「………(汗)」

*

また明日以降、投下します。
グランのキャラ崩壊は理由がありますので、もしよければまた見ていただければと思います。

グラン「夜の甲板って、涼しくて気持ちがいいよねぇ」

ナルメア「………あの、団長ちゃん」

グラン「ん?」

ナルメア「ごめんね、団長ちゃんの服、汚くしちゃって……」

グラン「何言ってんの、僕嬉しいって言ったでしょ? ナルメアさんの本当の気持ち、やっと見れたからって」

ナルメア「団長ちゃん……」

グラン「あ!! うれしいっていうと、ちょっと変態っぽいかな、あはは……?」

ナルメア「……」ポカーン

ナルメア「……くすっ、団長ちゃんは素敵な人よ 変態さんじゃないと思うな」

グラン「そ、そう?」

ナルメア「うん。お姉さんだって、団長ちゃんのことずーっとみてるから分かるの」

グラン「!? そ、それって……」

ナルメア「うん! お姉さん、団長ちゃんのお世話さんしてる時が一番楽しいから!」

グラン「あ、あぁ……! な、なるほどね!」

ナルメア「うん! そう!」

グラン「は、ははははは!」

ナルメア「あっ、あはははは!」

グラン「あはは、あ~……、うん、そういう……オチなのね……」ボソッ

ナルメア「! ………」

ナルメア「……、じゃ、じゃあ……どっ、ど、ぅ…!」

ナルメア「……どういう、オチが……良かったのかな、団長ちゃんは………?」(俯く)

グラン「え、えっ!?」

ナルメア「………っ…!」ギュッ

グラン「………ッ」

ナルメア「………~~~~っっ…!」ドキドキドキ

グラン「…………………、そ」

ナルメア「なっっ!!」

ナルメア「なぁーーーーーーんてね! あは、ごめんね団長ちゃん、お姉ちゃん何言ってんだろうね!?」

ナルメア「ごめんね! あ、水飲む!? あっ寒いかな! 私、ちょっと暑くなっちゃって……!」(手で顔を扇ぐ)

グラン「あぁ~…… うん、大丈夫!」

ナルメア「ほ、ほんと? なんでもいいから、してほしい事あったらお姉ちゃんに言ってね!? あは、あは……!」パタパタ

ナルメア「!!」

ナルメア(わ、私……あれから団長ちゃんと、ずっと手を握ったままだ……!!)

ナルメア(うそ……わたし今、団長ちゃんの事、すっごく意識しちゃってる……!)

ナルメア「だ、だっ団長ちゃん!? 手、繋いだままだと暑いよね!? ごめんね!?」

グラン「え? い、いや別に……」

ナルメア「ほ、ほんと? それなら良かった……、で、でも、お姉ちゃん、ごめんね、手の汗、すごかったりしない……?」

ナルメア「嫌だよね!? ごめんね、離すねっ!!」パッ

グラン「あ」

ナルメア(あ……ああ~~~~~!! 団長ちゃん、ごめんね……! わたし、手汗、きっとすごかったから……!)

ナルメア(うぅ……ハンカチ……!)ゴソゴソ ゴシゴシ

ナルメア「……、あ……」

グラン「? どうしたんですか?」

グラン「そのハンカチ、なんか、クシャクシャですね……」

ナルメア「………うん、あのね……?」

*

*


グラン「な、なんですかそれ……!」

ナルメア「団長ちゃんは悪くないの! それは絶対に!」

ナルメア「お姉ちゃん、最近ちょっとだけ疲れててね? だから、ちょっと悪い夢を見ちゃったってだけよ?」

ナルメア「ごめんね団長ちゃん、こんな話、気分悪くなっちゃうよね……」

ナルメア「ごめんね! お姉さん、もう大丈夫だから!」

グラン「ナルメアさん……!」

ナルメア「ごめんねっ! でも、もういいの!」

グラン「!」

ナルメア「……団長ちゃん、こんな私にも、すっごく優しくしてくれるでしょ? ……私、いまとっても幸せよ」

ナルメア「でもね? そんな団長ちゃんを、夢の中とは言え、わるものにしちゃった自分のことが……あまり好きになれないの」

ナルメア「団長ちゃんも、そんな嫌な夢をみる人のことなんて、絶対……」

ナルメア「……。だからね! もうじゅうぶん! お姉ちゃんは団長ちゃんから、いっぱい幸せをもらったよ!」 

ナルメア「だからね、お返しをさせて? お姉ちゃん、今までの団長ちゃんからもらった幸せ、少しずつでもお返ししていきたいの!」

ナルメア「だからね、もう大丈夫。 私なんかが、もう団長ちゃんに優しくされる資格なんて――」

グラン「それは違うよ、ナルメアさん!」

ナルメア「違くないよ、団長ちゃんっ!」

グラン「っ」

ナルメア「ごっごめんね、強く言っちゃって……でもね。団長ちゃんがそう言ってくれても、これは私の気持ちの問題なの」

グラン「そんな……」

ナルメア「………」

グラン「じゃあ、僕の気持ちはどうするんですか」

ナルメア「!」

グラン「僕は……、ぼくは……」

グラン「ナルメアさんといると……、……い、その、とても、あたたかいというか……!」

グラン「ほっとけないんです!! ……ナルメアさんが、いますごく苦しそうにしている顔見て、僕……あぁ、何て言えばいいのか……!」

グラン「なんで僕から離れて行こうとするんですか!? 変な理由、こじつけないで下さいよ!」

ナルメア「ち……ちがっ……!」

グラン「僕のためを思って離れるって、何ですか……意味わかんないです。 僕は……、頼りないかもしれないけど! いつかナルメアさんを追い越して、僕がナルメアさんを守ります! ナルメアさんと……ずっと一緒にいたいから!」

ナルメア「……っ…!!」ドキッ

グラン「僕は団長で、何百人の団員のみんながいるけど! ……す、好きになったひとは、たった一人だけです!!」

グラン「……そ、そう、ひとりだけです……(く、口が滑った・・・)」

ナルメア「っ………!!」

今日の書き溜めが終わりましたので、また明日以降投下します。

グラン「…………ッッ……」

ナルメア「………そ、そう、なんだ……!?」ドキドキ

グラン「そっ、そう、です……!」

ナルメア「…、………!」

グラン「っ………………」

ナルメア(……、が、がんばって……っ)ボソッ

グラン「っ」

グラン「ナ、ナルメア、さん……!」

ナルメア「な、なぁに……? 団長ちゃん……?」(手を握る)

グラン「………………………………………………………………」

グラン「好きです…………!」

ナルメア「っ……!」ピクッ

グラン「だ、大好きですっっ!!!!!」

ナルメア「……うれしい、うれしいよ、団長ちゃん……っ……っ」ポロポロ

グラン「い、い、いいです、か……?」

ナルメア「うん……いいよ、カッコイイよ、団長ちゃん」

グラン「! こ、ここ、こ、これから、ナルメアさんを、抱きしめます……よ……?」

ナルメア「うん……。お姉ちゃんを、抱きしめて……?」

グラン「っ!!」ギューッ

ナルメア「! やっぱり男の子だね、団長ちゃん……力強くて、気持ちいい……」

ナルメア「いいのかな……いいのかな、わたし……」

グラン「ナルメアさん……。僕、いますごく幸せです……」

ナルメア「……ほんと? 私は、生まれてから今までで、いちばん、しあわせだなぁ……っ」

グラン「ぼ、僕だって……!」

ナルメア「! ふふ、団長ちゃんの腕、かたくてきつくて、おっきいね……」

グラン「ご、ごめんなさい! 痛かったですか?」(腕を緩める)

ナルメア「ううん違うの! ……安心したの、お願い団長ちゃん。もっと強く抱きしめてくれないかな……?」

グラン「! こ、これくらいですか?」

ナルメア「うんっ ありがとう……団長ちゃん……」

グラン「……ナルメアさんの腕は、すごく、細くて白いですね」

ナルメア「ん……そう、かな? 太くなるの嫌だから、気にしてたの……」

グラン「細くて、かわいいです、ナルメアさん」

ナルメア「! ふふっ、ありがと、団長ちゃん」

ナルメア「団長ちゃんには、可愛く見られたいから……ね? うん、お姉ちゃんうれしいな、そう言ってくれると……」

グラン「! ……あの、僕、ナルメアさんの顔、もっと近くで見たいです」

ナルメア「え、えぇっ……!?」バッ(団長の胸に顔を埋める)

グラン「ちょ、なんで隠れるんですか……!」

ナルメア「だ、だってだって! なんで言うの!? なんで言っちゃうのかな、団長ちゃん……!」

ナルメア「そんなの、絶対、意識しちゃうよ……」

グラン「……、い、意識、してください!」

ナルメア「っ………」

ナルメア(団長ちゃん……かっこよすぎるよ!? こんなの、もっと大好きになっちゃうよ……団長ちゃん……っ)

グラン「……髪留め、取りますよ、ナルメアさん」

ナルメア(あ、あ、……髪留め、取られてる……準備、進められちゃってる…!)

グラン「わ、髪……さらさらで、きれいで……すごく、い、いいにおいが、します」

ナルメア「だ、団長ちゃんっ!!? 恥ずかしいから、かがないでっ……!」

グラン「じゃあ、こっち向いてください……お姉さんでしょ」

ナルメア「……っ………恥ずかしいよ、団長ちゃん……」

グラン「ナルメアさんの顔、見せてください……っ」

グラン「キ、キス、できない、ですから……!」

ナルメア「~~~~~~!!?!? 団長、ちゃん……っっ!?」

ナルメア(なんで言うのっ!? なんでいうのっ!? なんでいうのぉ……!!)

ナルメア「お……お姉ちゃんわかったわ、団長ちゃんは、ほんとうは、悪い団長ちゃんだったんだね、いじわるさんだったんだね……!?」

グラン「す、すみません! ……僕、でも、かっこいい言葉、出てこなくて……」

グラン「思ったことしか言えないくらい、余裕ないんです……!」

ナルメア「っ……」ピクッ

ナルメア「……、……っっ……!」

グラン「………」

ナルメア「……、うえ、向いていい……?」

グラン「は、はい……!」

ナルメア「っっ……、………ぁ…」スッ

グラン「……!」

ナルメア(団長ちゃんも、顔、まっかだったんだ……)

グラン「っ……目、閉じて、くれますか?」

ナルメア「………うん」(目を閉じる)

ナルメア「団長ちゃん、だいすきよ……」

グラン『ナルメアさん……僕も、大好きです』

ナルメア「っ………」ギュッ

ナルメア「…………!」



ナルメア「……、………!」




ナルメア「…………?…」



『……家畜種族が、夢見てんじゃねえよ』


ナルメア「えっ?」

ナルメア「ッッ、がはッッ…………―――――――!!?!?!?」

*

また明日以降、投下します。
お目汚し失礼しました。

ナルメア「げうっ!?!」ダンッ!!

ナルメア「が、ぐッ、う……っっ!!?」ダンッ ゴンッ ドンッ 

ナルメア「い゛っ………!?」ゴツンッ

ナルメア「…………、――――。 …―――…!」フラフラ

ナルメア(な―――――――なに、が………)

ナルメア「くはッ…………ぁ!!!」ズキッ

ナルメア(い、痛いっ………! 息が…… 敵…… 戦………)

ナルメア(てき、敵……! 誰…… 団長ちゃんは……!)

ナルメア「う゛っ!」ズキッ

ナルメア(あたま、が、くらくらする……! みぞおちに、攻撃された…… いつの間に、艇に……誰……な、なにが……! ま、まずは、こっ呼吸、を……)

ナルメア「エホ……ッ ケホ………ッ ハ……ハッ………」ゼェゼェ

ナルメア「ハッ………、ハァゥ、げほげほ、はぁっ、はひ! はぁはぁはぁは」

ナルメア「はっ ッ!? ぁあぅう゛……!!!?」ドカァァッ(再度攻撃を食らう)

ナルメア(―――――ッ……ま、た……)クラッ

ナルメア「………痛ッッ…―――――!!」バタッ

ナルメア(だ、だめ……意識が…… せめて、団長ちゃん、は、ぜったいに……)

ナルメア「団長ちゃ…… ゲホ、に、逃げ………」

ナルメア「あああうっ!!!?」グイーッ

?『ぬおっ! うーわっ重いなぁ~お前!』(ナルメアの角を掴み上げる)

?『無駄なモンばっか食ってっからそんなだらしねえ体になんだよ』

ナルメア「あ、あうあ、やめ…… ゲホッゲホッ! えほ、ツノ、お、折れ、ちゃ……!」

?『ツノが折れる? じゃあ、ドコ持てばいいんだよ、えぇ!?』(角を持って全身を揺さぶる)

ナルメア「い、痛! いだい! いた……ゲホ、ハァ、ハァ……!」

ナルメア「はぁ、はぁ……はあっ、団長ちゃん、っは、はぁっ、にげて、逃げてえっ!!」

?『…………』

ナルメア「ッ、ハァ………ハァ……ハァ…!」

?『……まさかお前、気付いてないのか?』

ナルメア「ハァ……ハァ、っ、………」

?『団長ちゃんなら、目の前にいるじゃねえかよ』

ナルメア「ッ」ビクッ

ナルイメア「……、団長ちゃんを、侮辱するな……!」

?『は?』

ナルメア「団長ちゃんは、貴様のような人じゃないっ!!」

?『はぁぁ? おい、こっち見ろ』グイッ

ナルメア「! ハァ………! ハァ、ハッ、ハッ……」

ナルメア「い、嫌……」(目を伏せ瞼を閉じる)

?『こっち見ろ、オイっ!』グイグイ

?『何が嫌なんだよ、こっち見ろ、ブタァ!!』ボコッ ボコッ

ナルメア「うぅっ!! ……イヤ、嫌ぁっ!! いや……イヤ……イヤ、嫌………ぁ!」

?『………』

?『ナルメアさん、顔あげて』

ナルメア「っ………」ビクッ!!

ナルメア「はッッ……ハァッ、うぅっ……! ゲホ、っは、ハァ………!」

ナルメア「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はっ、はっ、はっ……!」

?『大丈夫ですか? 落ち着いて、ね』(ナルメアの背中をさする)

ナルメア「!」ビク

ナルメア「……、はぁっ、はぁ、ウグ、っふぅ、はぁ、はぁ……っ」

?『………』ナデナデ

ナルメア「……っ グスッ……! なん、でぇ……っ」

ナルメア「……… やめて……っ さわらないで……!」(手を振り払い、立ち上がる)

?『………』

ナルメア「……、…。」

ナルメア「……」クルッ

グラン「……やっと俺を見てくれたね、ナルメアさん」

ナルメア「っ……」

ナルメア「う、うう……っ っ、っ、ぅ、ぅ、っ………!!」(膝から崩れ落ちる)

グラン「どうしたの??? 泣かないでよぉナルメアさんww」

ナルメア「団長ちゃん……っ 信じたくなかった……どうして、どうしてひどいことするの……?」

ナルメア「なんで…… なんでなんで……? ひどいよ、ひどいよ、団長ちゃん!!」

グラン「チッ。あー落ち着け落ち着け、うっせえなぁ……そういうのは求めてねえんだよ」

ナルメア「っ、でもっ!」

グラン「まずデカい声出すなッッ!!! 耳障りなんだよ、聞こえねえと思うか!!? この至近距離でよォ!! なぁ!!」

ナルメア「っ……、わ、わかった……」

グラン「ごめんなさいは?」

ナルメア「………」

グラン「ごめんなさいはどうしたよッ!!!!!!!!!?」バチッ!!(ガチビンタ)

ナルメア「あうっ!? ……、っご、ごめん、なさい」

グラン「ったく、はぁ~~~イライラさせんなぁ! で!? 俺と…… 豚が?」

ナルメア「っ……!!」ギュッ

グラン「同じ気持ちだって?」

ナルメア「だ、団長ちゃんは、そんな事言わない……!」

グラン「なんだって?」

ナルメア「どうしちゃったの、団長ちゃん……!? いきなり、いきなり怖くなっちゃって、わたし……うぅ、もう、どうしたらいいのか……」

ナルメア「ごめんね、きっと私がなにか、気に障ることしちゃったんだよね? わたし、っ、がんばって、治すから……! だからお願い、ぶたないで、ね? あんまりひどいことも、言わないでほしいな…… おねがい……」

グラン「わかったよ、じゃあ俺からも最初のお願いだ」

グラン「俺は言ったよな? 今朝、お前に、『この艇を降りろ』って」

ナルメア「っ」

グラン「ここは俺の艇だ。降りろ、くせえ。動物の匂いがすんだよ」

ナルメア「っっ……」

グラン「それによ、劣等種を飼ってるなんて他の騎空団の奴らに示しがつかねえし、何よりその気持ちわりぃ顔を見るたびに不快になんだわ」

グラン「昼に俺がお前の部屋に行ったとき、あの時はまだいいぜ? 俺も鬼じゃねえ、すぐ出てくのは無理だと! 寛大な心で! 丁重に! お前が出ていかねえと困るから言葉も選んでやってたのに」

グラン「それがどうだ? 夜になってもお前は消えねえ、参ったね。 何のつもりだ豚女、うちにはお前を飼い続ける養豚場はねぇんだよ」

ナルメア「ぅ…………」(涙目)

グラン「おまけにそのだらしのねえ体! 少しは見てくれが良かったら考えるがよ、お前のその……ハハ、まあ、わかってると思うがよ、少しは努力したらどうだよ、ダルダルの腹! ブヨッブヨの腕!! ダルッダルの足ィ!!」

ナルメア「うぅ………!」(唇を強く噛みしめ涙を流す)

グラン「な、頼むよ。お願いします、この団から消えてください! 迷惑なんです!!」

グラン「この通りです、出て行ってくださいっ!! 俺の団からきえてくださいっ!!」(土下座)

ナルメア「いやっ……嫌ぁ、やめて、やめてよそんなの、うう、っ、団長ちゃん……っ!!」(思わず両手で顔を伏せる)

ナルメア「ごめんなさいっ! なおすから……いやなとこ、なおすからぁ……! やめて、教えてください、おしえてください………っっ」

グラン「あ、言ったな?いったな? よし起きろ、オラッ顔上げろ」(角を引っ張りナルメアの顔を上げる)

ナルメア「ああぁう……っ!」グイーッ

グラン「よし、まずな、その顔! よくその顔下げて歩けるよな、不思議でしょうがねえ。気持ちが悪い、だれからも愛されない醜い顔。きったねえ豚面。お前なんか、どんなに努力しても誰からも愛されねえ、なんてったって醜いから」

ナルメア「っ、っ、っ、ふっ、ん、ぅ、っ……ぅ」ポロポロ

グラン「あとな、におい。自分じゃわかんねえんだろ? お前が歩いた後はみんな振り返る、誰だあの浮浪者はって、このヨゴレ女が。お前は誰からも愛されねえ、お前は永遠に独りぼっちだ」

グラン「その声。蛾がしゃべってんのか? 耳まで腐らせるつもりかよ? 才能あるぜ、人に嫌われる才能がよ」

グラン「言いたいことは山ほどあるぜ、上げきれねえから困る。なあ俺って親切だよな? お前の不快なとこ全部教えてやってんだからさ」

グラン「……おい、ありがとうは?」

グラン「ありがとうって言えよ!! 笑顔で、ありがとうって感謝しろや!!」

ナルメア「…っ……っふ…、……っ、ぁ、あり……えぐ、ふぅ、んん……」ポロポロ

グラン「お前の豚汁で床を汚すなよ、拭け、ホラ」

ナルメア「っ、っ、ふぅぅぅっん……っく、う、ぅ、ぅ~~~……っ」ポロポロ

ナルメア「ごっ、め、ねっ……グス、うっうっ、ごめ、ね……っ ごめんね……っ」ゴシゴシ(手のひらで床に落ちた涙を力なく拭く)

グラン「まずそもそもなぁ、降りろって言われてんのに居座ってるって神経がわからねえ! 恥ずかしくねえのかお前!? どんだけ厚顔無恥なんだよっての!ははは!」

グラン「必要ねえのお前なんか!! 誰もお前と一緒にいたくねえんだよ!!! わかったか!?」

ナルメア「………」グスグス ゴシゴシ

グラン「……どうなんだよっつってんだよ」ゲシッ(蹴り)

ナルメア「う゛っ……!? ゲホゲホ、ごほっ……」

グラン「しっかし……ハハハ、しっかしよぉ! 滑稽だったなぁ~~~マジで」

グラン「お前が俺に惚れてるからイケるとこまで行ってみよとかいったら、お前ホント最後までノリノリだもんよぉ~~wwww 俺もなんか舌がノッちゃってさぁ、演技派だよねえ俺!」

ナルメア「っ!!」

グラン「ブタが人間様に本気で恋しちゃってんだもんなぁ~wwwwww もーさ、一生団内のネタにするわww よかったな、みんなの話題になれてよww」

ナルメア「それも……、それも嘘なの……?」

グラン「はぁ?」

ナルメア「嘘ッ!! うそだよね、団長ちゃん……だって、だってそれは、それだけは嘘だってわかるよ、わたしだって」

ナルメア「だってだって、あの時の団長ちゃんは……!」

グラン「そんなわけねえだろwwwwww」

ナルメア「………嘘」

グラン「……しつけえな豚ァ!!!! 誰がテメーの意見を聞いたんだよ!?」

ナルメア「っ…………」

ナルメア「わ、わかったわ、お願い、出ていくから……」

ナルメア「だからおねがい、最後に私のお願いも聞いてくれない、かな」

グラン「……絶対に出ていくならな」

ナルメア「ありがとう……ございます」

ナルメア「………。」(立ち上がり涙を拭き、真剣な目でグランを見据える)

ナルメア「……団長ちゃん、嘘でいいから、優しく……わたしのこと、もう一回、愛してるって……言ってくれないかな……?」

書き溜めが尽きたのでまた明日以降、投下します。

グラン「………」

ナルメア「………」

グラン「……はぁぁぁ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~」(ため息)

グラン「結局それかよ、俺はドラフとかいう劣等種に恋なんてしないし、お前の事は遊びだって言ってんのに」

グラン「何もかも嘘ってわかってても、それでもいいのか?」

ナルメア「嘘でいいから……、おねがい」

グラン「バカバカしい………」

グラン「………」

ナルメア「………」

グラン「ナルメアさん、愛してるよ」

ナルメア「……ほんとに?」

グラン「もちろん」

ナルメア「……本当に、本当にほんと?」

グラン「本当なわけねえだろ? バカ野郎」

ナルメア「………」

グラン「これでいいか? サービスは終わりだ、間抜け」(ナルメアを指さす)

ナルメア「うん、もう十分」

グラン「ならさっさと――」

ナルメア「なんで腕を組んでいるの?」

グラン「……、組んでて何が悪いんだ?」

ナルメア「……だって団長ちゃんは」

ナルメア「冗談でも嘘をつくときは「右手の人差し指を腰当てに引っ掛けるくせ」があるから」

グラン「………」

グラン「あ?」

ナルメア「……わかったわ団長ちゃん」

ナルメア「団長ちゃんは指を指すときは、親指は「立てずに」「中指でしまいこむ」し」

ナルメア「相手に対して怒るとき、下くちびるは「大きく開かずに」「尖らせる」」

グラン「……お前何言ってんだ?」

ナルメア「訝しむときは「眉は下がらない」し目は「細めるより大きく開いて」顎は上がらず「わずかに下がる」」

ナルメア「……その帯剣の柄頭を人差し指と中指でたたく仕草は「怒っているときにする仕草」ではなく「気分が高翌揚しているときのみ」する仕草」

グラン「っ……、気持ちわりィ!!! イカれてるわお前!!! ストーカーかよ!!?」

グラン「なおさらテメーと一緒にいるのが、気持ち悪くなったわ!!!」

ナルメア「それ以上、団長ちゃんの姿で口を開くな」

グラン「!」

ナルメア「……私は団長ちゃんのお姉さん。 団長ちゃんの事なら、団長ちゃん本人よりも、仕草やクセも外から見れる分知っているわ」

ナルメア「とってつけの「貴様」よりもね」

グラン「っ……!」

グラン(コイツ……人が変わったみてぇに元気になりやがった……!?)

ナルメア「貴様にも少なからず感謝しているわ」

ナルメア「私は団長ちゃんがすべて。団長ちゃんの事を疑うなんてあってはならない、絶対にしてはならないこと」

ナルメア「でも」

ナルメア「団長ちゃんが危ないのに、だからって何もしないなんて、そんな話あるわけない」

ナルメア「例え嫌われても団長ちゃんを守り抜く……その信念だけは、何があっても折れてはならない」

グラン「っ」

ナルメア「ごめんね団長ちゃん、団長ちゃんがあんなこと絶対するわけないのに」

ナルメア「団長ちゃんだからって疑いもせず、信じちゃうなんて……お姉さん、ほんとバカね」

ナルメア「……絶対、絶対助けてみせるわ。団長ちゃん」

グラン「勝手に話進めてるんじゃねぇッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ナルメア「っ」ビクッ

グラン「はぁーっ……はぁーーっ……!」

グラン「……なんだか、カッコイイことをほざいてるようだが」

グラン「だったら、取ってつけの俺ってやつは、いったいナニモンだって言うんだよ……!?」

ナルメア「………」

グラン「とにかく俺を悪者にしたいらしいが……! 俺は俺だ! グランだ! 他のなんでもねえ、他人に何が判断できるってんだ!? 仕草が違う?? そんなの人の勝手だろうが!?」

グラン「妄想で頭がいかれた家畜ドラフが、俺の事を語るんじゃねえよッ!!!!」(帯剣の柄を握る)

ナルメア「………」

グラン「………ッ!」

ナルメア「………剣は」

グラン「!」

ナルメア「団長ちゃんなら「団員には向けない」わ」

グラン「貴様ああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

*

短いですが書き溜めが終わったので、また明日以降投下します。

グラン「ハァ……ハァ、ゲホッ……ハァ、ッ、…ゲホゲホッ」

ナルメア「もういいかしら? 団長ちゃんの身体だから手加減している事を忘れないで」

ナルメア「貴様が貴様なら、その首一瞬で穿ってくれるわ」

グラン「く………」

ナルメア「星晶獣よね。 精神に干渉する、実体をもたないタイプ。 わたしでも倒せるってことは……相当弱ってるみたいだけど」

ナルメア「よりにもよって、団長ちゃんに取り入ったのはなぜ?」

グラン「………」

ナルメア「………」

グラン「……言えば、助けてくれるのか……?」

ナルメア「………勘違いしないで」

ナルメア「わたしが貴様に、親切に、順序立ててまで聞いてあげているのは、貴様がまだ団長ちゃんの身体を人質に使っているからに過ぎないの」

ナルメア「わたしにしてきた事はもうどうだっていい。わたしが一番気に入らないのは、団長ちゃんの身体を使って、今この時この瞬間も、団長ちゃんを騙って団長ちゃんを傷つけているからよ」

ナルメア「この話をしているほんの一瞬でさえも、団長ちゃんの身体が貴様のようなものに使われるなんてあってはならない」

ナルメア「殺して、殺して、殺しても足りないわ」

ナルメア「貴様が団長ちゃんから離れたが最後、苦しみぬいて死ぬよう、丁寧に、丁寧に、丁寧に、斬り刻んであげる」

ナルメア「……ただ、今すぐ団長ちゃんから離れるというなら、苦しまず一瞬で斬り殺してあげる」

ナルメア「それだけの差よ、死に方を選ばせてあげると言っているの」

グラン「ッ………」

ナルメア「………」

グラン「……………うう………、もう少し、だったのに……」

ナルメア「………貴様の事を話しなさい」

グラン「苦しまず、介錯してほしい……できるだろ? できないなら絶対話さねえ!!」

ナルメア「………」(じっとグランの目を見据える)

グラン「…………。 ハァ……俺は確かに、お前の言う通り星晶獣だよ、でもずっとヒューマンに寄生して力を吸い続けないと、俺の自我が保てなくなる……脆い存在なんだ」

ナルメア「………力?」

グラン「力は……力をためるには、いろんな感情を変換して吸うんだ、特に悲しみや絶望がいい」

グラン「コイツに対して、特別強い感情を寄せている奴を絶望させ、力を絞る……そうすれば、本来の俺の力を、星の力を徐々に取り戻せる」

ナルメア「………」

グラン「コイツに憑依したのは、特別濃い感情が取り巻き渦巻いているから…… 人望があるんだろうな、選ぶのは当然だ」

ナルメア「貴様……!」

グラン「お、おい、約束だろうが!? 痛めつけないって!!」

ナルメア「…………ッ」

グラン「………」

ナルメア「……団長ちゃんは、団長ちゃんは無事なの?」

グラン「ああ、無事というか……二重人格みたいなものだ、俺が起きようと思えば、コイツは裏で寝る事になる。人格の主導権は俺だ」

ナルメア「……なぜ貴様がずっと「表」にいなかった」

グラン「まぁ俺が表で居続けるのは力がいるからな……ずっと出ずっぱりってワケにもいかねえ、コイツに飯を食わせたり、休ませたりで力をためる」

グラン「コイツにめちゃくちゃに飯を食わせ続けていたのも、それが理由だ」

グラン「いいタイミングを見計らって、俺が出て……お前から感情を吸うと決めていた」

ナルメア「………」

グラン「……あと、コイツの記憶を俺は見れるが、逆は出来ねえ……コイツは一切、今回の事は覚えちゃいねえよ」

グラン「話のつじつまが合わなかったのは、そういう事だ……」

ナルメア「そう……」

グラン「………、もう、聞きたいことはないか」

ナルメア「貴様を[ピーーー]方法」

グラン「!」

ナルメア「貴様を団長ちゃんから引きずり出す方法を教えなさい」

グラン「っ………言ったろ、やめろ、痛いのは」

ナルメア「さっきまで散々わたしの事を痛めつけておいて、それは筋が通らない」

グラン「っ、そ、そうかもしれないが……」

ナルメア「わたしから力を吸い取るため、仕方なく?」

グラン「そう、仕方なくだ」

ナルメア「……もういいわ、団長ちゃんが帰ってきてくれるなら」

ナルメア「約束したしね。一瞬で殺してあげる、それは守る」

ナルメア「ただ、もう貴様が団長ちゃんの身体にいてもいい道理がない……それは、わかるわね」

グラン「………」

グラン「………、…………わかった、もういい……」

グラン「………」

グラン「コイツの、コイツの身体どこでもいいから深く傷つけろ、そうしなきゃ俺はコイツの精神から剥がれることが出来ねえ」

ナルメア「は……?」

グラン「深い傷と痛みがないと俺が剥離できないんだ、コイツの身体は傷つくが、傷は治る」

ナルメア「………、本当に? 嘘じゃないの?」

グラン「嘘じゃない……ただ俺は痛いのが苦手だからな、俺が痛みから逃げないように、俺とコイツの身体をしっかりお前が固定して傷をつけろ、そうじゃないと危ない」

ナルメア「……腑に落ちない、さっき痛いのは嫌だって……」

グラン「そりゃ、した事ないだろうから混乱するだろう。だがこれが普通なんだ、いいからやってくれ」

ナルメア「………それしか方法がないの? 団長ちゃんの身体に傷をつける以外に」

グラン「ない」

ナルメア「……………、………………………………わかった」

ナルメア「じゃあ行くわよ、じっとして。右の肩口を刺す、準備して」(グランの左腕を掴む)

グラン「ああ、やってくれ……」チラ

ナルメア「? どこを見ているの」

グラン「ああ気にすんな、さあ、早くやれ」

ナルメア「………」

ナルメア「ごめんね、団長ちゃん……ちょっと痛いけど、我慢して……!」グッ

*

*

グラン「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!?」(床に転がってのた打ち回る)

ナルメア「っ………」

ナルメア(終わった……? 元に戻ったの?)

?「やめるでござるーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっ!!!!!」

ナルメア「!? ……っ!」(すんでのところで、目前に迫った刃を受け流す)

ナルメア(な、何!?)

ミリン「はぁ……! はぁ……! はぁ………!」

ナルメア「ミ、ミリンちゃん!?」

ミリン「団長どのっ! 拙者の後ろに!!」

グラン「ああ……、ああ……ミリン……、はぁ、へぁ、へは、助かった……っ!!」

ミリン「団長どの、肩口と言えど傷が深そうでござる、止血は自分で出来るでござるか!?」(ナルメアを見据えたまま、後手にいるグランに問いかける)

グラン「ぐ……だ、駄目だ……クソ、ミリン、俺を守ってくれぇ……!」

ミリン「もちろんでござる……!」

ミリン「ッ」(ナルメアを睨む)

ナルメア「ミリンちゃん、待って、「そいつ」は……」

ミリン「っ……、ナルメアどのっっっ!!!!!!」

ナルメア「っ、ち、違うよ、待ってミリンちゃん、話を……!」

ミリン「黙るでござる!! どんな理由があるにせよ、この傷は冗談で済む範疇を超えているでござる!!」

ナルメア「それは、そう言われたから……!」

ミリン「団長どのが!? どこの世界に、自分を傷つけろと頼む者がいるでござるか!?」

ミリン「もっとマシな嘘を吐けばよかろうに……! しかも、「そいつ」でござるか……」

ミリン「ナルメアどの、見損なったでござる!!!」

ナルメア「っ」

グラン「ミ、ミリン……! ナルメアはもう、あのナルメアじゃ、ない……! 敵、だ……!」

ミリン「っ!?」

ナルメア「!? ちょっ……」

グラン「ク、ソ……痛い……いてぇよお、なぁ、ナルメアぁ……ク、クク、クククク……!!」

グラン「ひ、ひ、ひ、ひ、ひ……!」

ナルメア「………ッ!!!」ギリッ

グラン「ひ、ひぃ……!!」

ミリン「団長どの……っ! おのれ、ナルメアどのっっ!!!」

ミリン「あんなに、あんなに…… あんなに団長どののお近くにおられたのにっ!! なぜこんなことを、なぜっ……!?」

ミリン「こんなの、あんまりでござる……!!」

ナルメア「わたしの話を聞いて、ミリンちゃんっ!!」

ミリン「笑止千万っ!! 言い訳など、聞くに値しないでござるっ!!!」

ミリン「お覚悟を……! さあ、刀を構えるでござる、ナルメアどの」(涙を浮かべながら、刀を構えナルメアを見据える)

ナルメア「っ………」

ナルメア「わたしの、話を聞いて、ミリンちゃん……!」(持っている刀を床に落とす)

ミリン「っ、武士の前で得物を捨てるとは……」

ミリン「どういう事でござるか!? 拙者になど、必要ないと言う事でござるか」

ナルメア「………」(静かに涙を流す)

ミリン「っ……!?」

グラン「やれ、やれっ、ミリンッ!!」

ミリン「………」

グラン「やれッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!」

ミリン「っ、で、でも……」

グラン「俺の傷を見ろッ!! 油断すると、殺されるぞ!!! やれええええっ!!!」

グラン「早くッ、やれっっ、オラ、行けッッ!!!」(ミリンの背中を蹴る)

グラン「う゛ぅっ……!?」ズキッ バタッ

ミリン「ッ………、っ、承知!!!」ダッ!!

ナルメア「っっ…………」

ミリン「----お覚悟ッ!!!」グッ

ナルメア(ごめんね……団長、ちゃん…………)

**

*

書き溜めが終わりました、今週中の書き終わりは無理でした、嘘ついてすみません
次の投下は、オチを考えたいので少し間が空きます、すみません

**

*

ナルメア「…………、はっ!?」ガバッ

グラン「あ、起きた? ナルメアさん」

ナルメア「……団長、ちゃん……っ、あづ……っ!?」ビクンッ

グラン「あーあー起きなくていいですよ! ……ナルメアさん、峰うちされて気絶してたんですって」

ナルメア「っ、そ、そうだ、ミリンちゃんは……!?」

グラン「……ミリンは、いまはちょっと、会いたくないって」

ナルメア「……! ……そ、そう、そうだよね、うん……」

ナルメア「……あの、団長ちゃん、変なこと聞いていいかな」

グラン「ん?」

ナルメア「団長ちゃんは、団長ちゃん、だよね……?」

グラン「え……?」

ナルメア「………」

グラン「よくわかんないけど、僕は僕だよ、ナルメアさん」

グラン「うわぁ!?」(ナルメアがグランに抱き着く)

ナルメア「団長ちゃん、よかった……よかったよぉ………!」

グラン「……、まだ、弱いままのナルメアさんみたいですね」ナデナデ

ナルメア「……うん……おねえさん、団長ちゃんとこうしていられるなら……」

ナルメア「もう一生、よわくていい………」

*

*

ナルメア「……もう、ぜんぶきいたの? だんちょうちゃん」

グラン「うん、ミリンから一応はね」

ナルメア「………」

グラン「僕は、ナルメアさんとキスする直前、急にめまいがして……気が付くとここのベッドの上でさ」

*

*

(グラン『………、ん…っ!?』パチ)

(ミリン『よ、よかった!団長どの!団長どのぉ! 目を覚ましたでござる、みんなぁーーー!』)

(『ナニ!? ダンチョウガ!? ドイタドイタ!! オイオスナヨ!? ダンチョウダイジョウブカ!? ハヤクヒールカケロ!! シンパイシタヨォーー!! ダンチョウブジカ!?』)

(ルリア『もぉ~~~~!! グラン~~~~~!!(泣)』)

(イオ『あーもー! 押さないの! まだ全快じゃないんだから!』)

(シエテ『団長ちゃん大丈夫ぅ!? これフルーツ! 片手で食べれるやついっぱい、ってウワー!?』)

(クロエ『団長マジで大丈夫!? ほんと心配したよ、クロエ、団長死んじゃうかもとか思って……』)

(グラン『はは、クロエ、ギャル語抜けてる……』)

(シルヴァ『団長っ!! 目が覚めたか、よかった……もしや私の流れ弾が当たったのかと……』)

(グラン『あはは……』)

(ラカム『だーーーー!!!お前らもう見舞いしたならあっち行け!! 後でもってくから!散れ! 無事なんだから、もういいだろうが!?』)

ゾロゾロ退出……

(グラン『……ナルメアさんは?』)

(残った一同『!』)

(ラカム『……あぁ、それなんだがよ』)

(ミリン『ラカムどの、拙者が説明するでござる』)

(グラン『………?』)

*

*

(グラン『は、はぁ!? ナルメアさんが!?』)

(ミリン『ござる。拙者が夜風を浴びようと甲板に出たら、食堂から出て行ったきりの団長どのとナルメアどのが、2人で話していて……』)

(グラン『で、ナルメアさんが僕を、刺した? 何を言って……』)

(ミリン『本当でござるよ!? ホントでござる、拙者、見たのでござる! 拙者、団長どのが肩を斬られて悲鳴を上げるまで、拙者も、拙者も、もう何が何だか……!』)

(ミリン『わからないけど、わからないけど! 団長どのが殺されちゃうって思って、それで……飛び出して、でござる』)

(ミリン『……あと、団長どのはその時こういったでござる。ナルメアどのはもう、ナルメアどのじゃない。油断すると、殺される、って……』)

(ラカム『……言ったか?』)

(グラン『覚えてない……』)

(シルヴァ『トラウマショックだそれは。強いストレスがかかった際パニックになり、脳がその時の記憶を呼び起こさないようにする、強制的に忘れられるという自己防衛機能だ』)

(シルヴァ『つまり、ナルメアが団長に対して何かをした。そして団長が相当な強いショックを抱き、そして斬られた……』)

(イオ『何があったのかは、グランは思い出せないって事?』)

(シルヴァ『ああ、こればかりはどうしようもない』)

(イオ『じゃあ、何をしたか聞く分には……』)

(シルヴァ『ああ。そういうことだ』)

(イオ『どこにいるの? ナルメアは』)

(シルヴァ『捕虜室に……』)

(グラン『捕虜室ッ!!!??!?』ガバッ)

(一同『!?』ビクッ)

(グラン『……僕も行くよ、ナルメアさんに会いたい』)

(ラカム『なっ、何言い出すんだ!?』)

(シルヴァ『しまった……皆すまない』)

(イオ『自分を斬ってきた相手に、何が会いたいよ!? 危ないわ!!』)

(グラン『きっと理由があったんだ、それに大前提として……ナルメアさんが団員を傷つけるわけない』)

(ラカム『ッ……バカ言ってんじゃねえ!! 会わせられるか!!』)

(シルヴァ『何かあってからじゃ遅い、今は快復を……』)

(グラン『みんな……何言ってるんだよ。ナルメアさんがそんな事するはずない、みんなだってそれは知ってるはずだよ』)

(グラン『それに、捕虜室って……ナルメアさんから話は聞いたの……? ナルメアさんは、そこでいいって、納得はしたのかよ……!?』)

(一同『っ……』)

(イオ『……聞いてはいないわ……ナルメアも、ミリンの峰うちで気絶してたから』)

(シルヴァ『……すまない、私が、気絶したナルメアに手錠をかけた』)

(グラン『……なんだって…!?』)

(シルヴァ『ッッ!』ビクッ)

(ラカム『おい!!シルヴァを責めるのはお門違いだぜ!!冷静になれ、お前なら、わかるはずだろ……!』

(グラン『……そ、そうだ……ごめん、シルヴァさん』)

(シルヴァ『いいんだ、顔を上げてくれ……』)

(ラカム『ハァ……だがよグラン、みんな、お前が一番心配なんだ』)

(グラン『………』)

(グラン『……わかった、ありがとう。 勘違いさせやったらごめん、みんなに怒ってるつもりはないんだ』)

(グラン『じゃあ、影から僕を見守っててよ。ナルメアさんが危険じゃないとわかるまで』)

(一同『………』)

*

グラン「……みんな、全然納得してくれなかったけどね」

ナルメア「………」

グラン「………」

ナルメア「………」

ナルメア「……っ、だ、だんちょうちゃ」

グラン「だいじょうぶ」(ナルメアの手を握る)

ナルメア「!」

グラン「言ったでしょ? 僕がナルメアさんを、守ってみせますって」

ナルメア「………」

ナルメア「……っ、……っ」

ナルメア「だんちょう、ちゃん………」

グラン「がんばった……がんばりましたね、ナルメアさん」ナデナデ

グラン「ひとりぼっちで、こんなとこで、よく耐えてくれました」

ナルメア「……がんばったよ、わたし、つらかった……」

グラン「泣いていいんですよ」

ナルメア「……、……、ぅっ、ふぅぅ、うん、ごめんね………ごめんね………!」

*

今日はここまで・・・というか、途中投げてすみません
特に理由はないのですが、なんだか脱力してしまいました、すみません

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