【モバマス】桜と一緒に咲くこの想い (13)

―それはバレンタインの時、起こった

サッ

雪美「はい……P…私のキモチ……」

モバP(以下P)「ありがとう。開けてもいいかな?」

雪美「うん……感想……待ってる…」

P「じゃあ…」

ガサゴソ

P「お、チョコでいちごをコーティングしたのか」

雪美「うん……食べやすくした……」

P「あぁ……じゃあ、いただくよ」

カプッ

P「うむ、少しすっぱいいちごとチョコの甘さが加わって」



?「世界レベルよ!」バタン



雪美「……侵入者?」

P「……気にするな」

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P「それはともかくとして、おいしいよ」ニコッ

雪美「んっ!」ズキュッ

(今貰ったあなたの笑顔。それだけで、私はこんなにも胸の奥からドキドキする)

雪美「……よかった」

ズキズキ

(でも、今日はいつもと違う)

ドクンドクン

(もっと奥からズキズキと痛みを感じる)

ビリビリ

(それは……背筋からくるよくわからない痺れと……)



P「雪美……?」



(お腹の下の方から、ぐっと締め付けられるような感覚……)

(どうしよう……まるで病気になったみたい……)

P「雪美……?大丈夫か?」

雪美「うん……」

雪美「でも……少し頭が痛くて……熱っぽい……」ハァハァ

P「それは大丈夫じゃないな……少し横になるか」

P「ちひろさん、仮眠室借りますよ」

ちひろ「あ、はい……大丈夫?頭痛の薬とか必要かしら?」

ツゥー

(私の足を伝う何か……)

(汗かな……って見たら……)

雪美「え…………血?」

(その日、私は)

雪美「あ……どうしよう……病気……?」ガクガク

P「もしかして?」

ちひろ「……千秋ちゃん、清良さんを」

千秋「はいっ!」





(私は「女」になりました)

―数日後

ガチャ

雪美「お……おはよう……ございます……」

千枝「あ、雪美ちゃん。おはよう!」

由愛「おはよう、雪美ちゃん……もう大丈夫なの?」

雪美「うん……でも、何か変な……」

千秋「少ししたら慣れるから……大丈夫よ」

雪美「あ……千秋……ごめんなさい」ペコリ

千秋「謝らなくてもいいのよ。女の子なら必ず一度は訪れことなんだから」

ワイワイキャッキャッ



ありす「……」

ありす(……私……まだ来ていないんですけど……)

ガチャ

P「おはようございます……お、雪美?!大丈夫なのか?」

雪美「うん……」



雪美「初めて(バレンタインの手作りチョコ)をあげた……だからP(から貰った笑顔)が原因(で女の子に早くなったと思う)…………」

雪美「……責任重大……結婚する……」



みんな『へぇ……』ジトメ

P「ちょ!!」

―もちろん、みんなその場にいたので誤解は解けました

P「まったく……」

雪美「ごめんなさい……Pの横に……早く並びたくて……」

P「いや、あれは悪ノリしたあいつらが悪いだけだからな。ま、これからしばらくは安定するまで、あまり激しいレッスンとかはできないなぁ」

雪美「安定……?」

P「雪美もまだ始まったばかりだから、あまり乱暴なことをやると、中がびっくりするってことさ」

雪美「うん……わかった」



雪美「……ありがとう……」

雪美「やっぱり……あなたが好き……」ボソリ

P「ん?何か言ったか?」



雪美「むぅ……」ペチペチ

P「おっと。どうした、急に絡んで来て?」

雪美「むぅ!……むぅ!」ペチペチ

(大人になる……)

(……それは、いつもPの前からと背中からしか見てこなかった私の一番の願い)

(いつもPの横にいる大人が羨ましかった……)

(涼みたいに恰好良くなれる)

(文香みたいに静かになれる)

(千秋みたいに大胆になれる)

(茄子みたいに……あいみたいに……真奈美みたいに……)

(だから、横になって対等になりたいって……いつも思ってた)

(そうすれば、前や後ろからと違い、子供扱いされないし、いつも一緒にいられるって)

(飛鳥や蘭子みたいに気を使われずにすむし、凛や加蓮みたいに重く思われたりもしないでいい……)

(比奈みたいにいつも怒られずにすむし、奈緒みたいにからかわれないでいい……)

(それが私の理想……)





(けど……)

(そうなった時……Pは私だけを見てくれるの?)

(もしかして、まだ今の私が子供だからこうやっていっしょにいてくれるの?)

(もしそうなら……)





(大人になんて……なりたくない……)



(でも……このお腹の底から来る痛さは、それを否定していた)

(身体だけ成長しても……心だけ成長しても……)

(あの人が私を「好き」でないなら……それこそ生きていても仕方がないんだ)

(そう結論づけてしまった私は……悩み抜いてしまい)



(知恵熱で数日休むことになってしまった……)

(この……新たに痛み出した、心と向き合えと言わんばかりに……)

―3月14日

(学校も休みになり、しばらくアイドル活動も休止状態ではあったが、一度ケリをつけるべく事務所に向かう)



(ふと、その途中に……)

雪美「あ……桜……?」

(それは雪の降る中、咲いていた桜の一枝)

(まるで……私の……心の底を見たかのように)

(そう……初めてわかったこのキモチ……好きとは何かとようやくわかったこの……)



(……恋心を後押しするかのように)

タタタッ

(今はただ……Pに会いたかった……)

(会ってどうなるわけでもない……)

(でも会いたい!)

(顔を見たい。手を繋ぎたい。横でいいから一緒にいたい……)



(そして何より……)



(さっきまで乱れていた心が澄み切ったかのように、溢れ出てくる。もう感情だけでは抑えきれない)



雪美「P……P……」



雪美「Pーっ!!」

バタン

P「おぅ、久しぶりだな。雪美」

雪美「P……」

(何でだろう……今まで一杯沢山考えていたのに顔を見た瞬間に……)

(疾風がそよかぜになったように……嵐が凪になったように……不安は消えて)

(物凄い満足感で一杯になった)

(この間までとはまるで違う感覚。これが本当に……人を好きになることなんだ……)

(だから……私は……)

雪美「P……私は……」



おしまい

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