【安価】受付嬢「ふーん、あなたが新人冒険者?」 (545)

男「そうだが?」

受付嬢「また軟弱そうな奴が来たな、と」


そういえばこの女、俺が受付所に入った時から値踏みするような目を向けていたな
役職上、色々な者を見てきたのだろう
俺はそのお眼鏡にかなわなかったというだけの話だ
だが、なんだかムカついたので言い返してやった


男「だからなんだよ」

受付嬢「べつに?」

男「なら俺にできる依頼を回してくれ。何がある?」

受付嬢「>>3

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一人暮らしの老人の話し相手でもやってもらいましょうか

受付嬢「一人暮らしの老人の話し相手でもやってもらいましょうか」

男「いいっすよ」

受付嬢「冒険したいと、思わないんですか?」

男「この世に下積みより大切なことなんて無い」

受付嬢「一生下積みでも?」

男「だったら、俺はソコまでの人間ってことさ」


鼻で笑うような態度の彼女を軽く手を振り別れを告げる

依頼を受けた際に渡された地図に老人の家の場所が記されていた
家のドアをノックすれば、少し時間を置いて開けられる
朗らかな笑みの老人が出迎えてくれた


老人「どうぞ入って」

男「お邪魔します」


リビングに通され、お茶が出される
なかなか丁寧なご老人だし楽しく話せそうだ


老人「お茶は如何でしたか?」

男「美味でした。それで、本日はどんな話をされるんです?」

老人「>>7

>>6+ああ、念のためあなたの得意な武器は常にお手にとっておいてください

老人「嘘だと思うような私の現役時代の冒険話です。もしもあなたが私のお眼鏡に似合う相手だったら......」

男「......」

老人「ああ、念のためあなたの得意な武器は常にお手にとっておいてください」

男「お気遣い感謝する」


空気が張り積める
一体このご老人、どのようにして俺を試すつもりなのか
すると真後ろから殺気がした。ゆらりとうごめく何かがある


男「っ!」

咄嗟に横に跳ぶ
すると自分がいた場所のソファーが真っ二つになっている
その虚空には歪みのような穴が空き、そこにいる『何かの生き物』がこちらを見ていた


老人「いい反応をしなさる」

男「なんだこいつは!?」

老人「一度避けたからといって油断してはならんよ」


再びゆらめく気配が真後ろに
何らかの本体がいることは分かったので、今度は反撃してみることにした
細身の剣を抜き、振り返り様に刺突する


???「ォォォ......」

男「命中」

弱っている様子のその生物を観察すると、それは無数の立体の集合体だった
それが人の形を取り、刀を振るっていたのだ


老人「ふむ......合格じゃ」

男「感謝する。ところでこの集合体は何なんです?」

老人「儂のペットじゃ。『八十八番目』と呼んでおる」

男「怪異のような名前ですね」

老人「怪異じゃからな」

男「これは失敬。では、冒険話をお聞かせ願えますか?」

老人「いいじゃろう」


>>12...どんな話?

かつてとある村を襲った強大な魔物を倒しきれず、やむなく封印した話
あの封印そろそろガタが来てるんじゃなかろうか

老人「とある村がの、魔物に襲われたんじゃよ」


老人がその魔物の姿を教えてくれた
黄金色に輝く蛇のような生き物らしいのだが、尻尾のところで別れているそうだ
尻尾を中心に別れた無数の頭部を持つ蛇が暴れていた、ということらしい


老人「そいつがもう強くてのう......儂のフルパワーでも倒しきれなかったんじゃ」

老人「だからやむなくその村の地下に封印したんじゃ」

男「まるで聞いたことのない生き物ですね」

老人「そうなんじゃよ......」


老人は少し思案するような素振りを見せ、虚空を見つめて言い放つ


老人「......あの封印そろそろガタが来てるんじゃなかろうか」

その後、老人とは満足した様子で別れた
受付所に戻れば報酬金が受け取れるそうなので、受付嬢を訪ねることとした


男「終わったぞ」

受付嬢「......無傷?」

男「ちょっと危なかった」

受付嬢「そうですか。これが報酬金です」

男「どうも」

実は俺は出稼ぎに来ている身なのだが、この報酬金では飯代にはなれど宿は取れない
どうやら野宿をしなければならないようだ


受付嬢「何度も金を数えてるのみっともないですよ」

男「それもそうだな。ところであの老人から聞いた話なんだが......」


彼は強大な魔物の話と、封印が弱まっているという話をした


受付嬢「......老人の話を真に受けたんですね」

男「嘘を言っているようには見えなかったからな」

受付嬢「じゃあ私から話は通しておきます」

男「そうか」

幸運なことに、綺麗な公園を見つけた
寝床が決まったので、ベンチに座ってサラダをむさぼる
雑草も食えるらしいが、流石に食べる気はない
食事を終えて、夜も深まりつつあるので、眠ることにした


男「ふぅ......」


柔らかい芝生の上に寝転がる
目を閉じて眠りにつこうとすると、こちらに向かってくる足音がする


男「誰だ......?」


向かって来ているのは、>>18だった

生意気そうなクソガキ

クソガキ「おw野宿してる奴おるw」

男「......ちーっす」

クソガキ「惨めだねぇ」

男「うっせ」

クソガキ「貧乏人が文句言うなよ」

男「こんな時間に公園にくる子供も大概だと思うがな」

クソガキ「俺はきちんと家で寝るから」

男「それはそれとして、お前どこの子供だ?」

クソガキ「俺は農民の子供だよ」

男「この街に農民なんていたのか」

クソガキ「ああ、いるとも。じゃあな」


生意気そうなクソガキは去っていった
こんな時間に出歩いている辺り、彼も何か後ろ暗いモノを持っているのだろう
そう考えながら眠りに落ちていった

朝が来た
あけぼのに温められた肉体は日の出と共に目覚める
早速受付所に行き、依頼を探すことにした


男「どうも」

受付嬢「朝っぱらからあなたの顔を見なきゃならないんですか」

男「おう、依頼回してくれ」

受付嬢「>>23

・・・ストーカー退治です
依頼者は私です

受付嬢「・・・ストーカー退治です」

男「この街にもそんな奴がいるんだな......引き受けるが、誰を守ればいいんだ?」

受付嬢「依頼者は私です」

男「......ほぉー......」

受付嬢「何ですかその意外そうな目は」

男「いやあその口の悪さでストーカーなんてする奴いるんだなぁ」

受付嬢「......心底ムカつきますが、それぐらいの相手の方が近くに置いても緊張しませんね」

男「それじゃ、俺は座ってるから」


そう言って薄笑いを浮かべつつ待合席にどかっと腰を下ろした


受付嬢「退治する気あるんですか?」

男「......んー、ここに来るまでに尾行されてる感じとかあった?」

受付嬢「無かったです」

男「じゃあ今の会話は聞かれてない可能性が高いな。だとしたらストーキングの為に依頼所に来るかも」

受付嬢「それを見つけると?」

男「そういうこと」

それから数時間、彼は見張り続けた
冒険者の数はかなり多いので、そこから不審な人物を見つけるのは難しい
そこで彼女が昼休憩に入ったとき、声をかけた


受付嬢「どうしたの?」

男「作戦を変えよう。人が多すぎる」

受付嬢「はぁ。やっぱバカですね」

男「うっせうっせ、いいかよく聞け」

昼休憩が終わり、彼女が復帰した


男「おい、お茶淹れてくんね?」

受付嬢「分かりましたよ......これでいいですか?」


彼女は予め用意していたお茶を彼の持つティーカップに注ぐ


男「ありがと。今日もうめぇな」

受付嬢「そうですか。ありがとうございます」


彼はお茶を飲み終わると受付所を出た
そのまま街中を歩き、路地裏に入る

恐らく、ストーカーであれば彼女と仲良くする人間が許せない筈だ
そしてその執念深さから、それを行動に移すのは間違いない
彼は仲良くするような素振りを見せてストーカーを挑発したのだ


男「......さて」

男「ストーカーよ、お前はまんまとおびきだされたという訳だ」

男「コソコソ隙を伺ってないで姿を見せな!『決闘』だぞ」


すると、物陰から>>30が現れた

デュエリスト

デュエリスト「ほう『決闘』か......」

男「ああそうだ」

男(やべぇ......『決闘』するとは言ったものの、カードゲームなんて一年前にやめたぞ)

デュエリスト「良いだろう。『決闘』は絶対......私が勝ったら貴様は二度とあの女に近寄らないと約束していただこう」

男「......やってやるさ。俺が勝てばストーカーは止めることだな」

デュエリスト「この私に勝つつもりでいるのか?」

男「だが少し待ってくれ。デッキ調整をさせてほしい」

デュエリスト「構わんよ」


彼は昔使っていたデッキを取り出す
中身を確認し、別のデッキとカードを入れ換えたりしつつ調整した


男「デッキ調整終了だ」

デュエリスト「ならば早速......」

二人「「決闘!!」」


>>34...どっちが勝った?

デュエリスト

デュエリスト「ふふふ......私の勝ちだ」

男「なんだそのデッキ......」

デュエリスト「大会優勝常連の環境デッキだ」

男「や、やはりか......」

デュエリスト「だが、貴様にもヒヤッとさせられたぞ......だがお前のデッキは既にナーフされていたのさ」

男「ブランクは大きいな」

デュエリスト「さらばだ。違う形で出会えていればよきライバルになれたかもしれんな」

デュエリストは路地裏から去っていった
彼もまた立ち上がり、路地裏を去ろうとする
すると、先ほどデュエリストの現れたところに気絶した薄汚い男が倒れていた


男「......まさか、まさかな」


彼が受付所に戻ると、受付嬢とデュエリストが一緒にいた


受付嬢「ストーカーはお前か!」

デュエリスト「今日から私がストーカーだ」

受付嬢「何言ってるんです!?あなたは前からストーカーでしょう!?」

男「......ふふふ」

受付嬢「ちょ......おいそこの貧弱冒険者!どうにかしろ!」

男「......?」


わざとらしく振り向いてみせる


受付嬢「お前だよ!!」

男「また俺なんかやっちゃいました?」

受付嬢「今からやるんだよ!いいからこいつをどうにかして!」

男「......あぁ、そいつ新しいストーカー。君が退治して欲しいほうはもう懲らしめた」

受付嬢「ふざけるな!」

男「いやそいつ多分良い奴だから気にすんな」

デュエリスト「はっはっは。お守りしますよ」

受付嬢「......くそぉ......お前も弱そうなんだよ」

男「いや、デュエリストは強いぞ」

受付嬢「そうなの?」

男「カードゲームはフィジカルも重要だからな」

受付嬢「?????????????」

男「それより報酬金をくれよ」


そう言われた彼女は憎らしげに男を睨む
ぎりぎりと歯ぎしりの音が聞こえてくるようだ


受付嬢「......しょうがないね......ほら」

男「ん、どうも」


今晩は宿がとれそうだ

寝床を探していると一つの宿が彼の目にとまった
温かみのある木造の宿は彼に是非泊まりたいと思わせた


男「部屋空いてます?」

主人「ラスト一部屋空いてますよ」

男「おお、ならば泊まりたい」

>>43「あっ、部屋空いてないならご一緒したいんですが」

男「ん?」

駆け出しの↑

女魔法使い「私まだ駆け出しでお金が無くて」

男「じゃあ割り勘といこうか。主人さんは構わない?」

主人「ああ、問題ない」


二人は部屋に入った
男はと言えば、疲れているので早速眠ろうとする


女魔法使い「あの」

男「どうかしたか」

女魔法使い「いえ、その......あなたも冒険者なんですか?」

男「そうだ。実を言えば俺も出費は減らしたい所だったんだ」

女魔法使い「へー......珍しい剣使ってるんですね」

男「あぁ、レイピアだな」


鞘を掴んで見せる


女魔法使い「どうしてレイピアなんですか?勇者は剣を使いますが、レイピアを使った勇者はいません」

男「そこまで勇者に憧れてない。あと剣術は俺の爺ちゃんに教えてもらったんだが......」

女魔法使い「それがレイピア前提の剣術だったと?」

男「そんなとこ。でもあの剣術使っといてなんだが気持ち悪いんだよな」

女魔法使い「気持ち悪いんですか?」

男「なんかな。無駄に紳士的というか......急所を敢えて外すよく分からん型なんだ」

女魔法使い「つまり私をいきなり五回ぐらい刺しても死なないってことですか?」


沈黙。急に物騒なセリフを聞けば誰でも驚く


男「......おう、多分生きてると思うぞ」

彼は今度こそ眠りに落ちた

翌朝、目を覚ますと彼女が隣で寝ていた
それだけなら普通なのだが、彼女の脚が彼の脚をホールドしていた
腕は魔導書をホールドしていることから、抱き枕を常用するタイプだと分かる
分かったからといって脱出はできないので、不本意な二度寝をすることになった

そこから少し時間を置いて彼女も目覚める


女魔法使い「......はっ、魔導書を掴んで寝てしまっていました......」

女魔法使い「ということはこの脚は......」

女魔法使い「>>48

ああ……なんということを……これは責任をとらなければ行けませんね///

女魔法使い「ああ......なんということを......これは責任をとらなければ行けませんね///」

男「......」

女魔法使い「それじゃあ失礼して......」

男「......ん、んん?起きたのか......ってぇい!」


彼女は距離を詰め、少しでも近付けば接触が起きる位置にまで来ていた


女魔法使い「責任はとりますから」

男「何を言ってるんだ!?」

女魔法使い「大人しくしてて大丈夫です。天井の染みでも数えてて下さい」

男「それ君のセリフなの!?」

女魔法使い「大丈夫ですよ......料理だってできるんです」

男「そりゃ!!」

女魔法使い「ふぉっ!?」


峰打ちで気絶させようとしたが、レイピアに峰は無い
代用として柄で気絶させた


男「はぁ......はぁ......昨日ストーカーを適当に処理したから罰が当たったのか......?」

彼女は中々にタフネスがある
ものの数分で起き上がってきたのだ


女魔法使い「ぅ......私は......」

男「起きたか」

女魔法使い「あ、どうも......あれ私......ああ!!」


どうやら先程までのことを思い出したようだ
思い出さなくていいのに


男「うるさい」

女魔法使い「すみません無礼をはたらいてしまいましたお許し下さいぃぃぃ......」

男「あー......ま、別に気にすんな。それに......別に嫌じゃなかったし......」

女魔法使い「えっ///あっ、ありがとうございます!?」

なんだか気まずくなりながらもチェックアウトを終えた
お互い冒険者なのでその内顔を合わせることもあるかもしれない
あったらどんな顔をすれば良いのか......
そんなことを考えている内に受付所に到着した


男「依頼を回してくんろ......」

受付嬢「疲れてますね。そんなんで務まるんですか?」

男「これには深い訳があるんだ、とにかく依頼をくれないと俺は金欠でもっと弱る」

受付嬢「>>55

だったらその見苦しい辛気臭い顔早く直してくださいね
今回は合同での依頼ですので一緒になる方にまで不快思いをさせないでください
今回の依頼は単なる雑魚モンスターの駆除ですけど数が少し多いんで二人で行ってもらいます
女魔法使いさ~ん!今ちょうど空いてる人来ました~!

>>55 五分で書けるの凄い


受付嬢「だったらその辛気臭い顔早く直してくださいね」

受付嬢「今回は合同での依頼ですので一緒になる方にまで不快思いをさせないでください」

男「そうか、それもそうだな、そうするよ」

受付嬢「今回の依頼は単なる雑魚モンスターの駆除ですけど数が少し多いんで二人で行ってもらいます」

男「安心できる奴がパートナーだと助かるんだが......」

受付嬢「女魔法使いさ~ん!今ちょうど空いてる人来ました~!」


すると今朝のトラウマがこちらに向かってくる
最初は期待に満ちたような顔をしていたが、パートナーをその目で認めるとすこし表情が固くなった


女魔法使い「お、おお、男さんでしたっけ?」

男「そうだが......俺で良いのか?」

女魔法使い「はい!大丈夫ですよ!はい!」

近隣の森まで馬車で出向くことになった
遠出をさせるなら一度に運ぶほうが当然コスパが優れている
だから二人で行くことになったのだろうか......数が多いといっても、そんなにいるのか?


男「......腹減ったな」

女魔法使い「パン分けましょうか?」

男「小娘に恵んでもらうほど落ちぶれちゃいねぇさ......」

女魔法使い「小娘って、男さんも同じぐらいじゃないですか」

男「心はいつでも歴戦の老兵だ」

男は同時に眠気をも抱えていた


男「しかし木漏れ日が馬車を覆って......ふぁーぁ......」

女魔法使い「今です!」

男「んぐぅっ!!」


素早い動きで彼の口内にパンをねじ込んだ
これには眠気も退散せざるを得ない


女魔法使い「どうですか!実は薄くバターが塗り込まれているんですよ!」

男「んぐ......殺す気か!......まぁ、それはそれとして美味いけどな」

馬車が目的地に到着した
空気が清涼で、準備体操をするのも気が進む


男「沢山雑魚モンスターが居ると聞いたが......」

女魔法使い「特に何かがいる様子ではないですね」

男「出てこいモンスター!森焼くぞ!......ん?」


木陰から>>67が現れる

ザコモン狩りスレイヤー

ザコスレ「おっす」

男「人?」

ザコスレ「ここに雑魚モンスターが沢山居ると聞いて急行してきたんよ」

女魔法使い「そういう趣味の人なんですか?」

ザコスレ「そういうこった。ここにいるモンスターはみんな殺しちまったよ」

男「何者だ?」

ザコスレ「ザコモン狩りスレイヤーだ」

男「ザコモン狩り」

女魔法使い「スレイヤー......」

ザコモン狩りスレイヤーってことはザコモンスターを狩る人じゃなくて、ザコモンスターを狩りに来た不届きものをスレイする人って事なんじゃ……

>>69 小学生並みのミスですみません


男「......ってことはさ」

女魔法使い「?」

ザコスレ「覚悟はできたか?」

男「やっぱ敵だよなぁ!」


お互いにその獲物を構える
ザコスレの武器は>>73

ハンドアックス

彼はハンドアックスを持ち、バトンのようにくるくる回してみせる


男「それでは......行くぞ!」

ザコスレ「来い!」


男の武器はレイピアなので、間合い管理が重要だ
そしてそのことを相手も心得ている場合、接近を渋るので彼から圧をかけていかなくてはならない


男「そりゃあ!」

ザコスレ「おっと?」


回避をされてしまった
急所はハンドアックスで弾けるようにしていたので、急所狙いを読んでいたようだ
しかし男はほぼ急所を狙うことはないので、それが予想外だったようだ

ザコスレ「今だ!」


レイピアを引き、手元に戻す一瞬
ハンドアックスを横に構えて接近する


男「速いな」

ザコスレ「ちぇあ!」

男「くっ......」


剣先でいなそうとするが、威力を殺しきれない


ザコスレ「パワー重視だからな!」

あわや体勢を崩すかというところだったが、どうにか持ちこたえた


男「だが!」


反撃に転じようと、連続で刺突を繰り出す
その攻撃はすべて構えた斧に防がれる


ザコスレ「狙い過ぎだな!トロいぜ!」

男「トロいのは認めよう」

ザコスレ「反撃の機会は奪ったぜ!」


彼が斧を再び振りかざす
その時、その手斧の刃と柄が分離する

男「だが、俺はテクニック重視なんだ」

ザコスレ「な、何ぃ!?」


すっとんきょうな声を上げる彼
迷いなく構え、突く


男「はぁぁぁぁっ!!」

女魔法使い(本当に急所を外して攻撃してる......)

ザコスレ「ぐぅ......っ」

男「残念だったな。お前の全身の腱は麻痺している」

男「お前が慈善の為に俺を殺そうなんて思う奴じゃなくて良かった」

ザコスレ「......く」

男「お前が準備運動で依頼を達成してしまっているから、気兼ねなく帰れるという訳さ」

ザコスレ「ま......」

男「体はじきに動くようになるから日光浴でもしてろ。それじゃ、馬車に戻ろう」

女魔法使い「は......はい!」


こうして、二人は仕事を終えた
彼女は見ているだけだったが、彼には割の合わない仕事だっただろう

馬車に揺られて街まで帰る


男「はぁ......」

女魔法使い「回復しましょうか?」

男「いいのか?」

女魔法使い「私だけ何もしてませんし」

男「それならどうぞ」


彼女は両手をかざし、集中している
魔力を高めているのだろう


女魔法使い「そうです。私まだ駆け出しなので魔法を誤爆するかもしれません」

男「へ?」


>>82...何が発動した?

男「......」


かくんと首が下がる
そのまま倒れこみ、意識を手放した


女魔法使い「......え?ちょ!呼吸確認っ!」


彼女は慌てて呼吸確認をする
どうやらきちんと呼吸出来ているようだ


女魔法使い「よ、良かったぁ......」

馬車は街へと帰ってきた
だが、依然として彼は快眠中


女魔法使い「どうしましょう......」

男「......」


御者に促され、やっとのことで彼を背負い馬車を降りる
しかしその重さに耐えきれず落としてしまう


女魔法使い「うっ!」

男「......」


なおも快眠

ここでどうせ起きないだろうと判断し、受付所まで彼を引き摺った


女魔法使い「うぇぇ......」

受付嬢「......ん、ん!?どうしたんですか!?」

女魔法使い「依頼は終わったんですが、うっかり眠らせちゃって......」

受付嬢「何それ」

デュエリスト「ふむ、なら彼は私がソファーに運んでおきます」

しばらくして、休憩室のソファーにて


男「んー」

女魔法使い「やっと起きましたね」

男「む......どうしてここで寝てんだ?」

女魔法使い「間違って私が魔法で眠らせてしまいました」

男「そういうことか......」

女魔法使い「これが報酬金です。受付嬢さんに『全部取ってけば?』って言われましたけど」

男「ありがとう。これで今夜もゆっくり眠れるよ」

もうだいぶ寝てしまった
すぐに宿をとったところでどうせ眠れないだろう


男「そうだなぁ......」

男「これまで宿、公園、受付所にしか行ってないし、どこか別の所に行こうかな」

男「街を探索だ」


>>91...どこへ行く?

町の景色を見渡せる丘の上

気になっている場所があった
この街には目立つ丘があるのだ
一番にそこを思い出した彼は丘に登った


男「ふぅ.......」


丘を登り、そこから街の景色を見渡す
丘を登っている最中に陽が暮れてしまったため、夜景を拝むことができた

平坦に、しかし活気を持って広がる街
その街が綺麗に見えるのはきっと、同じ優しい炎の灯りが街を照らしているからだろう
街はまるで一つのアロマキャンドルのように、いつまでも見ていられるようだった

男「綺麗じゃねぇか」

男「あとはもう少し宿が安ければなぁ」


彼は財布の中身を数える
何度数えても当然中身は変わらない


男「はぁ......今日は泊まれるが、明日はどうか......」


心が荒んできたので、丘から降りようと思ったとき、あることに気付く
いつからか、隣に>>95がいて街を見下ろしているのだ


>>95「こんばんは」

メガネ+↑

女賢者「こんばんは」

男「......いつからそこに」

女賢者「宿の話からです」

男「そうか」


彼女はいかにも理知的な様子で、メガネを掛けている


女賢者「もしかして、この街の人じゃないんですか?」

男「そうなるな。このみすぼらしい格好から推測される通り出稼ぎで来ている」

女賢者「そう自分を卑下しないで下さい。出稼ぎということは則ち、あなたは何かを守っているに他ならない」

男「結局はその『つもり』なんだ。俺がもっと優秀な奴なら宿になんて困らない」

男「そして、やることがないからと言って意味もなく黄昏るようなことはないんだ」

女賢者「......あなたは、今とても危険です」

男「ほう?」

女賢者「あなたは与えられた使命に生かされているだけです。いつか命を投げますよ」

男「そういうことか。それなら分かってる。どっかで死ぬね。死地に赴くか身投げか」

女賢者「それでいいんですか」

男「いいさ。生きても虚しいだけだ」


すると彼女は黙ってしまう
教会の聖女を気取って話しかけたのかもしれないが、所詮は他人で心から心配などしていない
空気が良くないので、さっさと帰ろう


女賢者「待って下さい」

男「っ......!」


後ろから手を掴まれた
彼は良心の押し売りを快く思わないことから、少し苛立つ

女賢者「私にあなたを放っておくことはできません」

男「......そのセリフ、何度目だ?救世主気取りはやめることだな」

女賢者「逆ですね。賢者になった私をここまで感情的にさせたのはあなたが初めてです......!」


より強い力で掴まれる
振り払おうと思えばそれは容易だが、有無を言わさぬ圧力が彼女から発せられている


男「じゃあどうしろと?こんなクズの心を救えるのか?一体どうやって?」

女賢者「>>100

女賢者「私と一緒に旅をしませんか?」

男「......残念だが、出稼ぎの身だからそれはできない」

女賢者「そうですか」

男「だが......忌々しいが......その目。やる気は伝わる」

女賢者「でしたら」

男「だから勝手についてくるのは許可しよう。旅はできないが」

女賢者「そうですか。それもそうですよね」

男「それじゃ」

女賢者「早速逃げないで下さいよ!」

男「そりゃあ俺にとってお前は面倒な奴だからな」

女賢者「だから勝手についていくわけですねぇ!」


彼は遂に観念し、宿屋までの追跡を許してしまった
だが勝手についてくる許可を出したのは彼自身だった
なので彼はそのことに関してとやかく言うつもりはなかった。しかし......


男「部屋は別でもよくない?」


彼女はなんと彼のとった部屋にまで入り込んできたのだ


女賢者「>>104

おや?もしかして恥ずかしい?
可愛いとこあるんですね♪ニヤニヤ

女賢者「おや?もしかして恥ずかしい?可愛いとこあるんですね♪」ニヤニヤ

男「くっ......」

女賢者「ふふ、いいんですよ」

男「良くないから言っているんだ」

女賢者「あなたはそうやってぶっきらぼうを装ってますが、どこか上品なんですよ」

男「品などあるものか」


つんとした態度を貫き通す


女賢者「いーえ。私の見立てに間違いはありません。正しい心を取り戻したあなたにエスコートされてみたいですね」

男「エスコートって......そんな王子みたいな奴と出会えると思わないほうが気楽だぞ」

女賢者「賢者とはいえ、私だって女の子なんですよ」

男「そうかよ。俺はもう眠いから寝るぞ」


彼がベッドに入ると、彼女も入ってくる
思わず体が強張る


女賢者「ん?お姉さんと二人で緊張しちゃってるのかなぁ?」

男「うるせぇ。寝るからな」

女賢者「おやすみ」

翌朝を迎える
彼が眠りから目覚めると、すぐそこに彼女がいた


男「......なんだ、起きてるんじゃないか」

女賢者「起きてますよ」

男「だったらなんでそこにいるんだ」

女賢者「>>109

女賢者「可愛い寝顔を見たかったからです♪」クスッ

男「ぶっ飛ばすぞ」

女賢者「やーん怖~い......おうっ!?」


彼が脛を蹴ると、電流が流れたように反応する


男「俺は優しくないぞ」

女賢者「いくらなんでも女性を蹴るんですか!?」

男「そんな奴に自由意思で着いてきてるのは誰だろうな」

彼が受付所まで行くと、女賢者が話しかけてきた


女賢者「やっぱり冒険者なんですね」

男「ああそうだよ」

受付嬢「......おや、その方は?」

男「俺のストーカーです」

女賢者「人聞きが悪いですよ!」

デュエリスト「おや、私の同志ですか」

女賢者「むああああああっ!!」

発狂する彼女を尻目に、彼は話し始めた


男「何か依頼はあるか?」

受付嬢「あなたがストーカー退治を依頼するのではなく?」

男「あいつは......諦めてもらう他には無理かな......ああ見えて強いタイプだ」

受付嬢「そうですか。依頼でしたら、>>114

人攫いの捕縛依頼が

受付嬢「人拐いの捕縛依頼があります」

男「......そんな奴がいんの?」

受付嬢「いるんですよねぇ」

男「そうなのか。よし、そいつを捕まえよう」


意外と治安が悪い街の現状に驚く
夜に出歩くのは危険かもしれない


女賢者「ちょっ、男くん!なんとか言ってやってよ!」

男「どこで俺の名前を知ったこのストーカー」

わちゃわちゃしている奴らを無視して話を続ける


男「となると、何も考えず調査するのは危険だな」

受付嬢「そこまで強い影響力があるかは不明ですが......」

男「まだ死ねないんだよ俺は。何か手がかりとかないのか?依頼が届く時に何か言われたりとかさ」

受付嬢「>>118

受付嬢「そうですね...去っていく際に何か物の破片を残していますが......これです」

男「んー?」


石のような物体だ
破片というだけあって、欠けた一部分のように見える
しかし、何か違和感のようなものを覚える。持つと胸騒ぎがするような......


受付嬢「どうです?」

男「これを持つと胸騒ぎがしたり不安になったりするか?」

受付嬢「へ?しませんが」

気がかりな違和感の正体を掴むことができない
悶々とする彼の手からそれは唐突に奪われた


男「おい!?」

女賢者「何でこんなもの持ってるの!?」

男「......?人拐いが落としていく手がかりらしいが」


彼女の様子がおかしいのは一目見れば分かる
見ずとも声があまりに焦燥している


女賢者「......こんな禍々しい魔力を纏っている物体、そうそうないですよ」

男「ということは、これが何か見当は付くのか?」

女賢者「んー......クリスタル......?ちょっと自信がない」

男「そうか。俺はそいつらを捕まえなきゃならん」

女賢者「なら私も行きますよ」

男「なぜだ」

女賢者「死にますよ」

男「......いいだろう」


凄味というのはこういうものだ
有無を言わさず信用を勝ち取る力


女賢者「いいですか、私がこの破片を利用して動物の嗅覚のそれと同じ方式で魔力を辿ります」

男「その先にいる奴を捕まえればいいわけだ」

女賢者「そういうことです!さあ、行きますよ!」


>>123...どこに辿り着いた?

森の中のザコスレと戦った場所

そこからは結構な距離を歩いた
どこか見覚えのある林道を歩く


男「しかしすごい追尾能力だ。利用価値はあるな」

女賢者「私を道具かなんかだと思っていませんか?」

男「自分を蔑ろにする奴は往々にして他人も蔑ろにしてるんだ。そしてそれは勝手に出てくるんだ」

女賢者「やはり私があなたに生きる意味を教えなければなりませんね」

男「知ってるって。一過性だけど......あれ、ここは」


森は同じ景色が続く
しかし彼はそこに見覚えがあり、なぜならば深く記憶に残る場所であったためだ


女賢者「知ってるの?」

男「まぁ......な」

つい先日の戦闘
己がザコモン狩りスレイヤースレイヤーになったところである


女賢者「ここら辺ですが」

男「先日ここへ来たんだが、どうやら魔物が多く居たらしい」

女賢者「何か関係があるかもしれませんね」

男「ああ。魔物を探してみよう」


二人は茂みを漁り始めた
魔物が激減している以上、身を隠せる場所にいるだろうと踏んだのだ


>>127...何が出てきた?

謎の破片を大量に打ち込まれすでに事切れたザコスレ

何か筋ばったものが足に当たる
モンスターかと思って身構えると、それが動く気配はない
それを掴み、草むらから引きずり出す


男「......っ!!」

女賢者「どうかしま......えっ!!!?」


身構えていたのに驚きは予想以上
それは死体だった。そうでないと信じたいが、医学的知識はないが、死んでいると感じる
その体にはあの謎の破片が大量に撃ち込まれてあった
何よりそいつは、彼とつい先日会ったばかりのザコスレなのだ

男「冗談キツいぞ......」

女賢者「あぁ......そ、そんな馬鹿な......」

男「くそっ、だが俺は昨日こいつに会っている。ならばそこまで遠くに加害者が逃げたとは考えづらい」

女賢者「ですが、追うのは危険です」


彼女の忠告はもっともだ
実際命はまだ惜しいし、こいつがこれ程までに痛め付けられるような相手に勝てる確証などない


男「......そ、そうだな......死体を見た俺たちの命も危うい、注意しなければ」

女賢者「急いで森から出ましょう。破片の形状から考えて、飛び道具だった場合に森は危険過ぎます」

男「確かに、今は注意すべきだな」


二人は来た道を駆け出した
周囲を警戒しつつ走る


女賢者「何か良くないことが起こっているのは明白です!」

男「俺もひしひしと感じるよ」


その時、森の木陰から、次に近くの茂みに気配がする
そこから出てきたのは____


>>137
1.ただの獣
2.破片が飛んできた!
3.自由安価

2

男「危ないっ!」

女賢者「わわっ!?」


茂みから破片が飛んできた
間一髪、彼女はそれを回避できた


男「やはり気付かれている!」

女賢者「飛び道具に注意すれば問題ありません!有利な状況を放棄するような奴はいませんから!」

その後、どうにか森を抜けることができた


男「よし!」

女賢者「これで手は出しづらいはずです......おや男さん、それは?」

男「あぁ、これか。さっき飛んできた破片を回収したのさ」


ポケットから破片を取り出してみせる


女賢者「でしたら、それを私に」

男「ん?構わないが」


彼女は破片を持ち、魔法を詠唱し始める
詠唱が長いことから、難しい魔法であると推測される


女賢者「......*涙の源流*!!」


彼女が魔力を強く込めると、破片が発光する
それと同時に空間が歪む


女賢者「これで強制的に犯人を引き寄せました!」


空間の歪みから放り出されるように犯人が出てくる


>>141...犯人の特徴

見た目は幼い女の子だが訓練を受けている立ち振舞いをしている

そこから出てきた『彼女』に二人とも驚いた
そもそも二人は女性が出てくるとは思っていなかったのだ
しかもその姿は幼い女の子だった


男「......何......!?」

女賢者「女の子?」

幼女「......チッ」


即座に一定の距離を取る
不利な状況な為、逃走も攻撃もできる体勢になる


男「訓練されてやがるな!」

女賢者「油断はできませんね」

幼女「......」


懐から破片を取りだし、投げつける
忍者のクナイのような動作だ


男「おっと、だが軌道は分かりやすいな?」


彼は素早く距離を詰め、レイピアでの攻撃を試みる


幼女「......ふん」


破片を用いてガードしてみせる
ガードを破ろうと連続攻撃を仕掛けるが、ことごとく防がれる


女賢者「魔法射撃!」


その隙を突いて魔法弾の連続射撃を放つ
しかし、彼の攻撃を防ぐ方のもう一方の手に持った破片でガードする

彼は尚も攻撃を続ける
だが彼は攻撃に集中するあまり、足元に気が及ばなかった


男「おおっと!?」


笑えない状況で、うっかりこけてしまったのだ


幼女「勝機!」

男「ぐあああっ!!」


空中で黒い破片が彼に突き刺さる
彼は少し吹き飛んでしまった


女賢者「っ____」

幼女「......」


完全に攻撃の姿勢へ移行した
勝利のビジョンは、いとも容易く崩れ去った

風よりも素早く距離を詰め、破片で刺しにかかる


女賢者「速......っ!」

幼女「......一発は防いだようだな......だが」


彼女が鋭利な破片を振り抜く
その時、彼女の後ろに影が走るように人影が


幼女「な......ぐっ......」

男「.............んー......殺せたか?」


彼のレイピアは彼女の心臓を真っ直ぐに貫いていた
それも一度ではなく、肉片が飛び散る程の高速での連続だ

女賢者「あ......ああああっ!!」


彼女は思わず男を殴り飛ばした
先程まで自分の命を狙っていた相手を庇ったのだ


男「ごふっ」

幼女「う......」


二人は地面に崩れ落ちた
特に、男の体には刺さった破片から黒いオーラが体に送られていた
それを急いで引き抜き、幼女を治療しようとした


女賢者「きちんと動きを封じておけば安全だし、何より男さんは人を殺しちゃならない!」

彼女が倒れた幼女を縄でぐるぐる巻きにして治療していた所、男が目をさました


男「......く......どうして、そいつを治療してるんだ?」

女賢者「あなたが人を殺したらそれこそこの子と変わりませんから」

男「そうか。だが縄で巻いた程度じゃそいつは多分動きだす。俺に任せろ......何、殺しゃしねぇ」


彼はレイピアで肉体の様々な場所を刺突する
すると、回復の速度が早まり幼女も目をさました


幼女「......どういう細工だ、さっぱり動けない」

男「麻痺させてるだけだ。それよりお前、どうして人拐いや人殺しなぞしているんだ?」

幼女「>>149

幼女「......?何を言っているこれは私にとって必要な......あれ?」

男「とぼけるんじゃないぞ......!」


彼はレイピアを向け、敵意をみなぎらせる
だがその姿には先程見せたような殺意は無かった


女賢者「どうせ嘘をついてもバレますよ?」

幼女「本当によく分からない......」

男「なら......」

女賢者「殺しは私が許可しません」

男「お前に指図される筋合いはないが、どうせ殺しはしない。魔法捜査官に取り調べさせる」

女賢者「そうですか」


こうして、目下の脅威は去った
彼らは捜査官に彼女を預けるのだった


男「____という訳だ」

受付嬢「そんな代物だったんですね......しかし、なぜあなたは無事なんです?」

男「......うーん......闇属性に強いのかもな」

受付嬢「そう、なんでしょうか......?」

女賢者「実は私も腑に落ちないと思っているの」

受付嬢「へぇ、女賢者さんも分からないなんて相当ですね」

報酬金は危険に見合って比較的高額になった


男「ちょっとは貯蓄ができた」

女賢者「男さん」


今までとは少し違う声音だ


男「......なんだ。というか、俺は年上に敬語で呼ばれるのが苦手なんだが」

女賢者「では男。そろそろごたつきも収まりましたし、生きる意味を見つけてもらいます」

男「助けて貰った礼もある。一つご高説を聞いても良い」

女賢者「言葉だけでは伝わらないと私は考えています。ですので、>>155

世界を知りましょう
要は一緒に旅をしようということです
お金のことならご心配なく、充分に蓄えはありますので
要は綺麗なお姉さんに養われながらちょっとした旅行です♪

女賢者「世界を知りましょう」

男「?」

女賢者「要は一緒に旅をしようということです」

男「しかしだな、金が___」

女賢者「お金のことならご心配なく、充分に蓄えはありますので」

女賢者「要は綺麗なお姉さんに養われながらちょっとした旅行です♪」

男「......なんか腹が立つ物言いだが、金があるなら問題ないだろう」

女賢者「それでは明日出発しましょう」

男「そうだな」


戦闘らしい戦闘をこなして疲れてしまったので、さっさと眠ることにした
いつもより少し良い宿をとって寝ることにした


女賢者「少し素直になったんじゃないですか?」

男「俺はいつも素直だが?」

女賢者「口は減りませんね」

それから宿で寝て、目をさます
目の前にニヤニヤ顔の女がいることには慣れなければいけないだろう


女賢者「それじゃ、出発しましょうか」

男「そうだな」


会計を済ませようとすると、主人に声をかけられる


男「どうしました?」

主人「手紙を預かっております」


彼は不審に思いつつも手紙を受け取り、読んだ


>>160...手紙の内容

女魔法使いから別れの手紙。
本当はもっと男といたかったが、やむ得ない事情で離れないといけなかったことが書いてある(なお、手紙は涙が落ちた跡でカサカサになっていた)

そこにはこう記されている


男さんへ
私は町を出て冒険することにしました
理由に関しては恥ずかしいので書けません
この広い世界でまた会えるか分かりませんが、会えたらとても嬉しいです
女魔法使いより


男「......ふーん」

女賢者「どうかしたの?」

男「いや、知り合いが町を出て冒険するんだと」

女賢者「知り合いなんていたんだ」

男「うるせぇ置いてくぞ」

町を出る
美しく色づいた自然がそこにある
そしてそれを割るようにした街道もそこにある


男「のどかなもんだよ」

女賢者「それは確かにそうですね」

男「......?まあいい、行き先とか決まってんの?」

女賢者「>>167

女賢者「近くの都に行こうと思っています」

男「ほう、旅と言うからには辺境の地を渡り歩くものかと思っていたが」

女賢者「あそこならあの町より人や物もたくさんありますし」

女賢者「それに色々と情報も得られる可能性もありますからね」

男「情報?」

女賢者「貴方も先日の一件とか気になるでしょう?」

男「そうだな」

女賢者「それじゃあ行きましょう」


そう言って彼女は一歩を踏み出した


男「看板を見る限り、反対方向だが?」

女賢者「あれっ?」

男「......お前、もしかして方向音痴か?」

女賢者「何のことでしょう?」

数時間歩くと峠が見えてきた


男「......峠か」

女賢者「そうですよ。確かここを越えれば都です」

男「道に関しては信用ならんな」

女賢者「なんですと!?」


しばらく歩き、峠の頂上にまでやって来た
木が生えすぎて景色を楽しむことはできない
故に足元を見ることになったが、彼らはあるものを発見する


男「......なぁ、なんか埋まってないか?」

女賢者「本当だ、『何か』埋まってますね」

男「掘り出してみよう」


>>175...何が埋まっていた?

読んだらカルト教団の亡霊に付きまとわれる教本

埋まっていたのは本だった
地面に直接埋められていたせいで劣化してはいるが、問題なく読めるだろう


女賢者「その本、なんか怪しくありません?」

男「どうだろう。何かを極めた達人の本だったらそれ以外のセンスが壊滅的かもな」


彼は全開の油断でその本を開いた
どうやら宗教の教本の様だが、聞いたことのない宗教だ
記されている内容も胡散臭く、カルト教団の教団であると推測される


女賢者「どうです?」

男「......大した本じゃなかった」

男「売るのも恥ずかしいから埋めたんだろうな」

???「コラ!」

男「うげ!おい何すんだ!」


後頭部に衝撃を受けたように動く


女賢者「......何もしてませんが」

男「じゃあ誰がおんねん」

女賢者「怨念がおんねん......あっ」

男「引っ掛かったな嘘つきめ!」

女賢者「いや、そのですね......本当にいますよ」

男「つまらない駄洒落を引きずるな」

亡霊「いますよ」

男「......!?」

亡霊「ようやく気付いたな」

男「なんだお前!?」

亡霊「亡霊」

男「......なるほど、俺が悪かった」

亡霊「よろしい」

男「......」

女賢者「成仏しないんですか?」

亡霊「しない」

男「しろ」

亡霊「してほしくば>>180

私の娘に会わせてくれ

亡霊「私の娘に会わせてくれ」

男「だとさ」

女賢者「いいですよ」


随分と安請け合いだ
娘に会わせた所で、カルト宗教の信者のこだわりとそぐわない生き方をしているだろう
果たしてそれを認めるのか?認めなかったら成仏してくれるのか?
不安は募っていく


亡霊「それでは娘を捜すぞ」

男「ならばこの峠を超え都に行くべきだ」

女賢者「情報ですね、やはり情報は重要なんです」

都に到着した
平坦な町に比べて、高低差がある
隅から隅まで歩くだけで一日経ってしまいそうだ
レンガ造りの道路や建物も美しく彩られている


男「でかいな」

女賢者「そうでしょう?町なんて田舎ですよ」

亡霊「田舎者め」

男「無理やり成仏させてやろうか」

大きな坂を上っていく
すると対向して冒険者の様な風貌の人が来たので、話しかけてまることにした


男「すみません」

???「はい」

男「あの、カルト宗教の家に産まれた娘について知っていますか?」

???「>>186

???「もしかして教祖様が自殺した......あの?」

男「......そうです!」

女賢者「その方の家を教えてほしいのです」

???「それなら確か、この坂を一番上まで上ってすぐの塀の高い家だね」

男「ありがとうございます!」


彼らはにこやかに会釈をして別れる
坂を上るのはだんだん苦になってきた

坂を上りきり、塀の高い家を訪ねる
ドアをノックすれば女性が出てくる


男「突然申し訳ない。あなたがこの家の家主ですか?」

女性「は、はい」

女賢者「実はあなたの父親の亡霊が貴女に会いたいと言っていまして」

女性「父が、ですか?」


怪訝な表情を浮かべる彼女から目を逸らすように振り返る


男「ほら亡霊。これで満足か?これがお前の娘の顔だ」

亡霊「>>191

亡霊「少し見ない間に随分べっぴんさんになったな」

女性「お、お父さん!」

亡霊「もしかして好きな男でもできたか?」ニヤニヤ

女性「ちょっとからかわないでよ!もう......」

亡霊「わはははは」


時間をも忘れて娘と話し込む彼の姿はとても楽しげだ
カルト宗教の教祖だった彼も今だけは一人の父親としてそこにいれるのだろう


男「......ふん」

女賢者「嬉しそうですね」

男「全く愚かだ。自殺なんぞしなければ良かっただろうに......結果論だがな」

もう彼がついてくる様子はなかったので、こっそりとその場を去った


女賢者「では徳を積んだところで依頼でも探しに行きましょうか」

男「そうだな。しかし受付所はあるのか?」

女賢者「ないです」

男「......おい、俺は勇者じゃないんだぞ。ちまちま住人から受注なんてやりたくない」

女賢者「ご心配なく。ギルドがあります」

男「ギルド......徒党のことか?」

女賢者「なにやら偏見を感じますが、そんな所です。本部のあるギルドはメンバー以外にも依頼を回すんですよ」

男「では行ってみようか」

大きなサーカステントのような建物を見つけた
ギルドの看板が出ている


男「入ってみよう」


入ると、松明の光に照らされたパーティー会場のような空間が広がる
その一角に受付カウンターが設置してある


男「どうも、依頼は受けられるのか?」

受付嬢「はい、可能です」

女賢者「じゃあ早速何かさせてもらえる?」

受付嬢「>>196

~アイテム屋からの依頼~ とある在庫商品を大々的に宣伝しながら売ってほしい

受付嬢「アイテム屋からの依頼です」

男「内容は?」

受付嬢「とある在庫商品を大々的に宣伝しながら売ってほしいとのことです」

男「ふむ、いいだろう。ところで何を売ればいいんだ?」

受付嬢「それなんですが......そろそろ届くはずなんです」


在庫が届くまでの間、どうするかを話し合うことにした


男「マーケティングとか分からんぞ」

受付嬢「安心してください。あなたの思うヒット商品を思い浮かべてください」

男「......おう」

受付嬢「誰でも思い付きそうなキャッチコピーでしょう?」

男「それもそうだが......」

女賢者「確かにそうね」

男「じゃあ『賢者』なんだろ。考えてくれ」

女賢者「賢者なんて只の肩書きです。資格が必要なだけで音楽のジャンルみたいなもんです」

男「食い物だったら食べ歩きでもするんだが」

女賢者「じゃあ私食べる役ですね」

男「太られるとイメージ落ちるからやめろ」


そうこうしていると、段ボールに入った商品が運ばれてきた


受付嬢「お待たせしました」

男「これを売ればいいのか」


彼は恐る恐る箱を開ける


>>200......何が入ってる?

ハーピーの孵化直前のゆで卵

その匣を開けた彼らは予想を遥かに上回る絶望を味わうことになる


男「......ん、ゆで卵?」

女賢者「とりあえず食べてみます。お代は出しておくので」

男「どうぞ......っ!?」


彼女はそのゆで卵らしき物体にかぶり付く
しばらく美味しそうに食べていたが、その動きが停止する
さらに、彼女はぶるぶると震え出したのだ


女賢者「うっ......ひぃ......!」

男「おい!どうしたんだ!」

女賢者「こ、これ......うぇっ、ハーピーですよ」

男「ハーピー?ハーピーの卵は一般的な卵だが」

女賢者「違うよ!ほら......」

男「!?」

一見すればただのゆで卵。しかしその中身を見れば恐怖にとりつかれる
おぞましい何かの塊が、その内臓が、そこにあった


女賢者「......分かりました?これ、孵化直前のハーピーの『有精卵』のゆで卵です」

男「ああ、分かっちまった。俺も食ってみるかな」


彼は覚悟を決めてそれにかぶり付く
彼の運命や如何に


男「......珍味だと思えば、まだ食えるかな」

女賢者「食えるの?」

男「別にご馳走だと思って食えはしないがな」

女賢者「これどうやって売るんです?私まだ眼球の感触が残って気持ち悪いです」

男「正攻法ではどうやっても無理だな」

女賢者「正気とは思えないブツですよ」

男「そうだ!」


彼は閃いたようで、表情が少し明るくなった


女賢者「?」

男「天候いじれる?」

女賢者「あぁ、まぁ、はい......」

夕日が沈みきり、夜がやってくる
今日は夜と一緒に雪がやってきた


女賢者「はぁ......」


雪の中、例のブツが入った籠を持って佇む彼女
一目見て薄幸な奴なんだろうと分かる雰囲気だ


女賢者「何が『バロット売りの少女作戦』ですか!ふざけるのも大概にしてほしいよ!?」


しかし彼の姿はない
彼は余った在庫を持ってどこかへ行ってしまったのだ
そんな彼女を憐れんで一人の男性が声をかける


男性「どうしたんだい?」

女賢者「実は私、このゆで卵を売らなければならないんです。買ってくれませんか?」


見てくれは普通のゆで卵なので、とにかく買わせることが重要だ


男性「>>206

男性 ドキッ(き、綺麗だ///)

男性(こんな綺麗な人がこんな寒空の下で辛そうにゆでたまごを売っているなんて!)

男性「は、はい!買います!」

女賢者「そうですか!?ありがとうございます!」


ゆで卵を売ると、そそくさと退散する
彼が気の毒だとは思ったが、まぁ食えないことはない(らしい)のでそこまで気にしなかった


女賢者「こんなか弱い女性に悪どい商売をさせるなんて......」


彼女は無意識の内に笑顔をたたえていた

一方そのころ


男「ゆで卵いらんかねー、ゆで卵いらんかねー」

男「うちの卵は一味ちがう!スペクタクルを確約するよー!」


彼は一人の女性に目をつけ、話しかける


男「嬢ちゃん、ゆで卵買ってかない?」

女性「え?」

男「ちょっと俺も金に困っててよ。それに嬢ちゃん、好きな人が居るんだろ?」

女性「なぜ分かったんですか」

男「いいってことよ。これ食って綺麗な肌を手に入れて想い人を落とすんだ。さあさどうぞ」

女性「>>210

ぜんぶ買うわ

女性「ぜんぶ買うわ」

男「まいど!」


代金を受け取ると、籠ごと渡して去ることにした
純粋な心を利用するというのは彼の考案した策ではない
嫌そうなそぶりの賢者の入れ知恵なのだ


男「とんでもないことをした気分だ」

結構良心ある人間が多かったお陰で、ゆで卵を売り切ることはできた
こんな目に逢っては、明日から良心はその姿を消すだろうが


男「女賢者。俺の分は売り切った」

女賢者「私もよ」

男「じゃあ在庫処分は終わったな。受付嬢、報酬金を貰おうか」

受付嬢「......外道ですね」

女賢者「外道に仲介をしたのは貴方ですよ」

受付嬢「ふふ、それもそうですね。こちらが報酬金です」

もう夜も遅いので、宿を探すことにした
しかし、彼が雪を降らせるよう命令したのが仇となった


男「どこも満室だ」

女賢者「このままだと本当にマッチ売りの少女みたいに野垂れ時ぬことになりますよ」

男「まずいぞ......」

女賢者「こうなったら誰かの家に泊めて貰うしかありませんね」


彼女の提案を飲み、民家へ向かった


男「すみません、宿がなくて......泊めて貰えますか?」


ノックすると家主が姿を表した


>>214>>215

魔法使い

泊めて欲しいなら男は俺の部屋で寝れば良い

中から魔法使いにポピュラーなローブを羽織った家主が出てきた
顔許は隠れている


魔法使い「泊めて欲しいなら男は俺の部屋で寝れば良い」

男「あぁ、ありがとう」

魔法使い「そこの方には別室を用意しよう。来客用の部屋があるんでね」

女賢者「いいんですか?では、お言葉に甘えて」


まだ魔法使いとしてあまり経験を積んでいないのだろう
男性のようだが、声は変わりきっておらず背も低い

男は魔法使いの部屋に入った
隣の部屋には女賢者が入ったようで、豪華な部屋に興奮する彼女の声が聞こえる


魔法使い「寒い中疲れたでしょう。どうぞベッドに」

男「お気遣いありがとうございます」


ベッドに入り、脱力する
すると魔法使いも勢いよく同じ毛布に入ってきた
困惑している内に魔法使いはローブで隠れた顔許を露にする


男「......へ?」

女魔法使い「まんまと騙されましたね♪」

男「お前、どうして......」

女魔法使い「ん”......んっ、声も戻りました。いやあ、あっちの受付嬢さんに言われたんですけど」

女魔法使い「『貴女は才能があるから都に旅に出たら?』っていうようなことをですね」

男「あー......なるほど、だからここにいるのか」

女魔法使い「そういうことです。いやまさか、男さんが女連れてるなんて思いませんでしたよ」

男「なあ」

女魔法使い「なんですか?」


態々毛布に入りこまれたときに言っても良かったことを今言うかと彼は悩んだ
しかし言うことにした


男「顔近くね?」

女魔法使い「>>225

女魔法使い「別いいじゃないですか。それともこんなかわいい女の子が近くだとドキドキしちゃいますかー?」

男「う、うっせ」


まずい。この女のペースに乗せられるとまた面倒なことになる
どうにか打開しなければ......


女魔法使い「この前は変な雰囲気になっちゃいましたけど......今回こそ」

男「な、何をだよ」

女魔法使い「ナニをですよ」

危険を感じ、ベッドから脱出しようとしたが腕を捕まれる
その力は明らかに異常で、魔法による強化がなされていることは明白だった


男「落ち着け!」

女魔法使い「私は......いつだって冷静ですよ」

男「その呼吸の荒さで言われて誰が信じる!?」

女魔法使い「うるさいですね!黙って押し倒されてればいいんですよ!」

男「本性出してきた!」


隙間風。
そちらには開きつつあるドアと、その向こうに女賢者
彼女はこちらを見ながら部屋に入ってくる


女賢者「>>232

男性同士で何やってるんですか?
まさか男さんはホ・・・あれ?魔法使いさんが女の子になってる

女賢者「男性同士で何やってるんですか?」

女賢者「まさか男さんはホ・・・あれ?魔法使いさんが女の子になってる」

女魔法使い「あ、バレた」


彼女が気を取られた一瞬の隙を突いてベッドから逃げ出す


男「た、助かった......」

女賢者「お邪魔しちゃいましたか?」

男「いや待て!話を聞いてくれ!」

どうにか引き止め事情を話した


男「_____という訳さ」

女賢者「なるほど」

女魔法使い「......」

男「そもそもだな。前回のは寝惚けてただけで何も起こってないだろ?」

女賢者「もしかしたら何かあったかもしれませんよ?」

男「ない。あったら身を捧げても良い。......で、なんで今回俺を襲った?」

女魔法使い「>>236

私だって年頃の女の子ですからそういうことに興味津々ですし~///♪
男さんなら色んな経験を共にした親しい間柄ですし押し倒してあんなところやこんなところを弄り回してみても許されるかなって♪テヘペロ

女魔法使い「私だって年頃の女の子ですからそういうことに興味津々ですし~///♪」

女魔法使い「男さんなら色んな経験を共にした親しい間柄ですし」

女魔法使い「あんなところやこんなところを弄り回しても許されるかなって♪」テヘペロ

男「......はぁ」

女賢者「確かにそうかもしれませんね」

男「いや、別に許さないが?相手が俺じゃなかったらぶん殴られてるぞ」


空気が静まりかえる
彼にでも分かる。これは失言をしたときの空気なのだ


女魔法使い「......え、俺じゃなかったらって///」

男「いやいやいや、そういうんじゃないからな!?」

女賢者「誤魔化すんですか?」

男「違え!これは俺の成育環境に由来する『習性』なんだ!」

女魔法使い「でもなんだかんだ優しいじゃないですか」

男「うるせぇ。俺はもう寝るからな」


一気に掛け布団を被って寝てしまった
そのままもぞもぞしている


女賢者「こういうとこですよね」

女魔法使い「こういうとこです」

女賢者「それでは」

翌日

目覚めると、何か感触がある
もうきりがないのでさっさと抜け出して起きる


男「んー......」

女賢者「おはようございます」

男「おはよう......あれ!?」

女賢者「女魔法使いさんなら今朝食の準備をしています」

男「あ、あぁ......そうか」

リビングに出ると、食卓に朝食が並べられていた
こんがり焼かれた食パンがそこにある

男「うまそうだな」

女魔法使い「そうですか?」

女賢者「良い匂いもします」

男「ではいただこう」


彼は椅子に腰掛け、食事を始める
パンを食べる前に、彼はナイフとフォークを持つ


男「その皿にある生ハムをパンに乗せてもいいか?」

女魔法使い「かまいませんが」

男「では失礼して」


彼は慣れた手付きで生ハムを切断し、パンに乗せる
そしてそれに勢いよくかぶりついた


男「うまいな。カリっとしているが、食パン特有の柔らかさを損なっていない」

食事は何事もなく終了した


男「ごちそうさま」

女賢者「ごちそうさまでした」

女魔法使い「お粗末様でした」


そろそろ出ようかと思ったとき、不意にチャイムが鳴り、女魔法使いが応対をしに行く
すると、どうやら何故か彼に用のある訪問者らしく、彼が呼ばれた


男「どうしてここが分かったんです?」


玄関先に佇む黒服の男性に問いかける


黒服「この家の家主が貴方のお知り合いのようでしたので、行方でも伺おうかと思ったのですが」

男「ふむ。ご用件をどうぞ」

黒服「以前貴方が捕まえた少女と妙な結晶なのですが」

男「少女はどうなったんです?」

黒服「彼女は無罪が立証されました。......その理由があの結晶なのですが」

男「何かしらの作用があったと?」

黒服「そういうことです。その内の一つに、>>245

古の王と思われる邪念が放出されてる

黒服「古の王と思われる邪念が放出されてることが挙げられます」

男「古の王......聞いたことはある」

黒服「やはりご存じでしたか」

男「......お前......俺の出生を知っているな?」

黒服「なんのことでしょうかね?」


おどけて見せる
とぼけていることがバレていることを知っているようだった

男「まぁいい。古の王が復活していようがしていなかろうが、俺には関係のないことだ」

黒服「果たしてそうでしょうか?」

男「勿体ぶる奴だな。腕利きの冒険者にでも......あるいは勇者をとっ捕まえて頼めばいいだろう」

黒服「そうですか。なかなか手堅いようですね。それでは私はこの辺で」


彼は帰っていった
素早く稼ぐ為にできれば面倒なことは避けたいので、これは幸運だった

もういい時間なので、ギルドとやらに行って依頼を受けるとしよう

ギルドにやってくると、立場の偉そうな人と受付嬢が何か話していた
邪魔をすると悪いので、財布の中身を数えて待っていると、いつの間にか会話が終わっていた


男「こんにちは」

受付嬢「依頼ですか?」

男「話が早くて助かるよ。何か回してくれ」

受付嬢「>>251

では要人警護はどうでしょう?

受付嬢「では要人警護はどうでしょう?」

男「仕事がある限りはやるさ」

受付嬢「では受注ということで」


手続きをしていると、後ろから足音がする
気になったので振り向いた


女賢者「いつの間にここに来たの?」

女魔法使い「置いてかないで下さいよ」

男「お前達といると面倒に巻き込まれそうだからな」

女賢者「聞き捨てなりませんね」

女魔法使い「誰が面倒な女ですって!?」

男「そういうとこだからな」

そうこうしている内に手続きは済んだ
要人はある屋敷にいると言われ、地図を手渡された
彼らはすぐさま屋敷へ向かうことになった


男「......でかい屋敷だな」

女魔法使い「山の中にこんな屋敷があるなんて」

女賢者「とりあえずチャイムを鳴らしてみますね」


すると、中から>>255が出てくる

警護対象の女性

女性「こんにちは、もしかしてあなた方が私の警護員ですか?」

男「そうです」

女性「三人もいらっしゃるのであれば安心です。どうぞ上がって下さい」


彼女に促され、屋敷へと入る
中も外観に違わず美しい装飾が施されており、彼女の身分が透けて見えるかのようだ


女魔法使い「ほえー......」

女賢者「なんと美しい......」

男「キョロキョロしすぎだ。これだけ広い空間なのだし、注意をはらっておいた方がいいだろう」

女性「そう緊張なさらずとも問題ないですよ。ここが私の部屋です」


黒光りする高級な木製のドアを開く
すると、ホテルの一室のような内装が広がっていた


男「ではここで待機しよう」

女賢者「そういえば、どんな奴が来るのか知っているんですか?」

女性「>>259

安価↑

女性「いえ···私を狙う輩はたくさんいますので···」

女賢者「そうですか......」

女魔法使い「せいっ」


彼女の声が聞こえた直後に何かが剥がれる音がした
そちらを見ると、彼女がコンセントをいじっている


男「どうした?」

女魔法使い「あったあった。盗聴機だね」

女賢者「そんなものまで......かなり危険ですね」

男「本格的に狙われているな......む」

女性「どうかしましたか?」

男「この屋敷、屋根裏部屋はありますか?」

女性「はい、ありますが」

男「ということは......梯子で入るタイプの屋根裏ですね?」

女性「そうですが、どうしてそんなことを?」

男「屋根裏から音がします。ごくごく小さな音ですが、何かいますよ」

女性「ええっ!?でしたらその方を退けて下さい!」

男「当然そのつもりです。梯子はどこですか?」

女性「この部屋を出て左に直進突き当たりです」

男「分かりました」


彼は足早に部屋を出て、指示された場所へ向かう
鉄製の梯子を上り、埃っぽい屋根裏部屋に到着する


男「おい、そこの」

>>263>>264

モヒカンの黒装束男

ひゃっはー!なんだぁてめえは

モヒカン「ひゃっはー!なんだぁてめえは」


彼は黒装束に身を包んでいた
しかし、不自然に盛り上がった頭部は彼がモヒカンであることを示していた


男「俺はあの女のボディーガードさ。お前には消えてもらう」

モヒカン「なんだと!」

男「今すぐここを去るか、痛い目を見るか。......その様子では聞くまでもなさそうだ」

モヒカン「死ねぃ!」


彼は手に持った機械からおびただしい数の銃弾を発射した
狭い空間では近接武器の方が有利だが、ガトリング銃が相手となれば話は別だ

男「アーチステップ......だったかな」


しかし銃弾が命中することはなかった
彼はスーパーボールのように縦横無尽に跳び回る


モヒカン「何ぃ!?」

男「執行する」


男の振り抜いたレイピアがモヒカンを刺す
雨の様な連打でモヒカンは動けなくなる


男「......まぁ、某百裂拳みたいに死ぬことはない」

モヒカン「くっ......くそ......あ、兄貴ー!助けてくれー!」

男「屋根裏にまだいるのか?まるでゴキブリだな.....」


彼の声に呼応するように、屋根裏の暗がりから>>268が現れる

武闘家

武道家「どうしたゲス野郎。お前のそれは無敵なんじゃないのか?」

モヒカン「そんなこと言わずに助けて下さいよ!」

武道家「......仕方あるまい」

男「お前もやるのか?」

武道家「そうとも。優れた戦士を葬るのは気が進まないがな......!!」


彼は不敵にもこちらにゆっくりと歩いて近付いてくる
しかしながら彼の目は正確に男を見つめ、強大な威圧感を有していた


男「間合いは......ふむ、三歩ぐらいか?」

武道家「悪くない目をしている。だが!」


一瞬にして距離を詰め、肘を腹部に叩き込む


男「っが......」

武道家「それは『必殺』の間合いだ......より広い『致命』の間合いがある」


動けない男の前で彼は礼をする
その後、彼は男に蹴りを叩き込む
実は彼に死に至らしめるつもりは無く、飛ばして壁に叩きつけたのみである


男「......」

武道家「儚いものよ」

その時、彼に激痛が走る


武道家「ぐっ!?」


彼が痛みを感じた右腕を見ると、蛇が絡み付いていた


武道家「毒蛇だと!?いつの間に......」


煩わしく思ったので、叩き潰そうとした
しかし蛇にダメージはなく、毒を送り続けている


武道家「ば、バカなっ!」

「やれやれ、これだから脳筋は困りますね」

武道家「お前は!?」

女魔法使い「その蛇はボディーガードのボディーガードです。魔力を持たない武道家ではダメージを与えることすらできませんよ」


梯子を登って捨て台詞を吐き、また帰っていった


男「かっこつけてる......暇が......あるなら......ぐっ、部屋にいろ......」

男「......と、言いたい所だが......今回は助かった......」

その後、二人が部屋の警護をしていると男がよろよろと帰ってきた


女性「大丈夫ですか!?」

男「かすり傷......というか、傷口一つありません。よって無問題です」

女性「しかし......」

女賢者「......あの」


不思議そうな顔をする彼女は久し振りだった
なにせ賢者だからだ


女魔法使い「どうしたの?」

女賢者「なんか、焦げ臭くありません?」

男「言われてみれば確かに......」

彼が目を見開く


男「も、燃えている......屋敷が!屋敷が燃えているんだ!」

女性「ええっ!?どうして!?」

男「おそらく、あのモヒカン野郎の武器だな......あれと同じ形状の火炎放射機を知っている」

女賢者「かなりまずいですね」

女魔法使い「とにかく、ここから一旦外へ行かなくちゃ!」

男「しかし敵は何人居るか分からん。遮蔽物の少ない外は危険がありすぎる」

女賢者「ふふん」


落ち着き払って笑う者一人
どうしたものかと当然伺う


女賢者「こんなこともあろうかと、この敷地内から遠くにワープできる魔方陣を組んでおいたよ!」

男「それじゃあ早速ワープだ!」

女賢者「......てへっ、実は発動までに時間かかります」

女魔法使い「ええっ!?」


すると彼は警護対象の女性を担ぎ、窓を叩き割り屋敷から脱出した
二階から飛び降りたが、ダメージはなかったようだ


男「ならば敷地内で耐えるのみ!ついてこい!」

女賢者「そうね!」

女魔法使い「えええっ!?」


小さく円陣を組むように女性を取り囲む
魔方陣が作動するまで守り抜くための布陣だ


すると、チャンスとばかりに>>278が現れる

実は生きていたザコスレ

無理なら安価↑

ザコスレ「久し振りだなァ!」

男「......おまえは!」

女魔法使い「まさか......?」


そのハンドアックスを見れば、彼がまさしくザコスレであると分かる
しかし、彼は死んでいるはずだ
それに彼の体は所々機械化しており、一目で彼であるとは分かりづらい


ザコスレ「俺はお前を倒すため舞い戻ってきたのさ!......契約上はそこの女を殺す為だがな」

男「ならその勝負受けて立とう」

ザコスレ「言っておくが......」


彼は地面を滑るような高速で移動する
瞬きする間に距離を詰めきっていた


男「っ!?」

ザコスレ「今の俺は無敵だ!」


彼のハンドアックスをレイピアで受ける
前回は体勢を崩しつつもいなせたが、今回は衝撃が伝わりづらいはずの形状であるレイピアごと吹っ飛ぶ


女魔法使い「男さん!?」

女賢者「......あいつ、体を機械で改造してますね。馬力が圧倒的です」

続けてハンドアックスによる攻撃が繰り出される
しかし今度は辛くも攻撃の溜めを読み、体勢を立て直しつつジャンプして攻撃を避けた


男「くっ......確かにパワーもスピードも段違い」

ザコスレ「もう一発ゥ!」


ハンドアックスによる追撃
攻撃を受けきるため、レイピアを両手で抑えて受け止める
それにより彼の左手から血が迸る


男「つっ......」

ザコスレ「諦めてブッ潰れなァ!!」

男「ぐおおおおっ......!諦めるのはそっちのほうだ!*小電撃魔法*!」

ザコスレ「何!?ぐあああっ!!」

男「ふぅ......これで機械はマヒする」

ザコスレ「ぐ、ぐがぁっ......」

男「また大人しくしてろよ」


レイピアの刺突を叩き込む
これにより、再び彼を動けない状態にした


女賢者「......ふむぅ......」

女魔法使い「やりましたね!男さん!」

男「あぁ____」


その時、動かないはずのザコスレの体が動き出した


女魔法使い「危ないっ!」

男「何っ!?」


彼のハンドアックスが、男の肉体を切り裂く


ザコスレ「流石だな。機転を利かせ俺を止めた上に、致命傷は避けたようだ」

男「なぜ動ける!?」

ザコスレ「電撃を動力として吸収したのよぉ......!これで無理やり人間の肉体も引っ張れる!」

男(だが、次の攻撃を避ける体力はない......万事休すか)

ザコスレ「とどめだ!死ねぇっ!」

しかし、彼のハンドアックスが命中することはなかった
彼がハンドアックスを降り下ろし終えた時、男はおろか、その他三人の姿さえもなかった

一方そのころ


男「............生きてる」

女魔法使い「あ、あれ?」

女賢者「ワープが間に合ったみたいね」

男「それにしても、ここはどこだ?」

女賢者「>>286

都の↑

女賢者「都の酒場の近くですね」

男「ならばギルドに連れ帰ろう」

女魔法使い「いや、すごい流血してるよ?酒場で少し休憩したら?」

女賢者「確かにそうすべきですね。ここにまで敵がいるとは考えづらいですし」

女性「私も人に死なれると寝覚めが悪いです」

男「あなたは今夜無事に寝れるかすら不確定なのに、随分と心が広いのですね」

どうにか酒場へたどり着いた


マスター「おや、お客さん。だいぶ酷くやられたようで」

男「かすり傷だが?」

女賢者「強がらないでください。今から魔法で治療しますから動かないで下さいね」

女魔法使い「私も手伝います!」

マスター「そこの嬢ちゃんは?」

女性「私ですか?......そうですね、では彼に酒を。度数は低めで薬になるものを下さい。代金は私が出しますので」


こうして治療が始まった

談笑などしつつ、時を過ごした


女賢者「これで後は放っておけば完治します」

男「ああ、助かった」

女魔法使い「良かったです!」

マスター「お客さん」

男「......何か?」

マスター「失礼ながら、私にはあなたが何か悩みを抱えているように見えるのです」

男「......」

マスター「職業柄、なんとなく分かってしまうのです」

男「まぁ、そう......俺は金を稼がねばならないんだが、どうも俺は弱い」

マスター「でもあなたは負けが込んでいるのに生きていますよね」

男「運はいい方だと思っている」

マスター「いえいえ、それはあなたの力ですよ。ですが確かに冒険者にとってそれは死活問題ですね」

男「......何が言いたい?」

マスター「魔法は師に困らないでしょう。しかし獲物の取り回し立ち回りはそうもいかないようで」

男「これでも昔に鍛えてもらったんだがな」

マスター「そうでしたか。しかしまぁ、やって悪いこともありません。師匠を紹介したいのです」

男「師匠、ね......」

マスター「あなたもギルドで依頼を受けているでしょう?話は通しておきます」

男「そうだな。そういうのもたまにはいいかもしれん」


こうして、ギルドに彼女を連れ帰った
家が燃えたので報酬は減額されたが、それでも結構な額だった
折角なので少し奮発して良い宿に泊まることにした


女魔法使い「今日は疲れました」

男「俺もそうだな」

女賢者「お二人とも、警護は初めてでしたか?」

女魔法使い「そうですね」

男「俺もそうだが......ん?」


ドアがノックされる
ルームサービスのようだ
ドアの隙間から>>293が入れられる

町1番の大金持ちの招待状

男「これは......招待状?」

女魔法使い「お家に招いてもらえるみたいですね。でも、差出人誰?」


女賢者はちらりと差出人の名前を見る
その瞬間、目の色を変えて食い入るように招待状を見る


女賢者「その人は町1番の大金持ちですよ!」

男「へぇ、金持ち。コネを作っておくに越したことはないし、明日早速出向こう」

女魔法使い「金の力で揉み消さなきゃならないことをそもそもしようとしないで下さい」

翌日、豪邸へ向かった
豪邸を目にするのは二日連続だ
門の前に立つと執事が現れて屋敷の中へと案内してくれる


執事「それではここでお待ち下さい」


応接室とおぼしき場所まで連れてこられる
フカフカのソファーがあったので、三人並んで座った
しばらくすると、この豪邸の主がやって来た


大金持ち「やあみなさん。こんな朝からすみません」

男「こちらこそ、こんな時間から訪問となってしまいまして」

大金持ち「冒険者さんは時間に都合が付きづらいですしね。気にすることはありません」

男「お気遣い痛み入ります。それで、本日は一体どのようなご用事で?」

大金持ち「>>298

我が屋敷のメイド達にミニスカフリルビキニメイド服をサプライズで作ってプレゼントしたいので本人にバレないよう三日以内にメイド達のスリーサイズを計ってください

大金持ち「我が屋敷のメイド達にミニスカフリルビキニメイド服をサプライズで作ってプレゼントしたい」

男「......ふむ?」

大金持ち「なので、本人にバレないよう三日以内にメイド達のスリーサイズを計ってください」

男「な、なるほど、承りました......おい二人とも」

女魔法使い「私はそんなことできません」

女賢者「私もです」


きっぱりと即答
彼女らの意思の固さが感じられる


男「......分かりました。俺が聞いてきますよ」

大金持ち「うむ、よろしく頼むぞ。この屋敷のメイド達には君たちのことを探偵として話を通してある」

男「先ほどの執事さんも?」

大金持ち「ああいや、彼は幼少の頃から仕えてくれていてね。彼にだけは本当のことを言ってある」

男「へえ、そうなんですね」

大金持ち「一階にある空き部屋を君たちには貸し出すこととしたので、ひとまずそこに行ってくれ」


言われた通り、空き部屋にやって来た


男「......そんな嫌か?」

女魔法使い「はい」

女賢者「そんなの渡されても困りますよ」

男「俺も正直どうかと思う。だが仕事がある限り俺はやり続ける」

すると、部屋のドアがノックされる
どうやら、メイドのようだ


男「はじめまして。どうされましたか?」


彼女の服装はきちんと整っている
メイドらしい身なりで、髪も切り揃えられているが少々目付きが悪い


メイド「ご主人様より、昼食を運ぶように、と」


彼女はお盆に三人分の昼食を乗せている
それを回収し、室内の二人に渡す


メイド「それでは」

男「ああ、待ってくれ」

メイド「何ですか」

男「スリーサイズを教えてくれ」

メイド「>>303

ふふっ、随分と斬新な口説き方をするのですね
夜のベッドの上でスリーサイズだけでなく女性の口説き方や扱い方など色々教えてあげましょうか?クスッ

メイド「ふふっ、随分と斬新な口説き方をするのですね」

男「えっ」

メイド「夜のベッドの上でスリーサイズだけでなく女性の口説き方や扱い方など色々教えてあげましょうか?」クスッ

男「あ、あぁいや別にそういうアレではなくて、そのなんというか」

メイド「別にいいんですよ?それではまた」


そう言って彼女は立ち去った
なんとも言えない表情で彼も部屋に戻る


男「......何がいけなかったんだ?」

女魔法使い「流石に蹴りますよ」

男「正月で雅な気分だからといって人で蹴鞠をするのは違うぞ」

女賢者「それじゃあけん玉でもしましょうか?男がボールですけど」

豪華な昼食を平らげる頃に、再びノックの音がする


男「はい」

執事「食器を回収しに参りました」

男「だろうと思って食器を持ってきました」

執事「ありがたいです。......それと、お伝えし忘れていたことがありまして」

男「?」

執事「この屋敷に勤めるメイドは三人です。先ほどこちらに参った目付きの悪いメイドが一人」

男「つまりあと二人居るんですね」

執事「はい。彼女はその目から『鷹』と呼ばれています」

男「へえ」

執事「それでは失礼します」


彼は去っていった
あと二人も聞き出す対象がいるのなら、それなりに作戦を練らなければならないだろう


男「......という訳だ」

女魔法使い「作戦、ですか」

女賢者「はい」

男「おっ、何か良い案があるのか?」

女賢者「>>309

医者に変装して健康診断を装って計るのはどうですか?

女賢者「医者に変装して健康診断を装って計るのはどうですか?」

男「な、なるほど......天才か」

女魔法使い「確かに、これで一掃ですね」


屋敷の主人に話を通し、健康診断をするという名目で集まってもらった
変装も完璧だし、認識阻害の魔法もかけてもらった


男「それでは健康診断を始めます」

男「これは簡易的なものです。今回のデータに異常が確認された場合、然るべき機関へ受診をお願いしますよ」

大金持ち「と、いうわけだから速やかに受診されるように。個室を用意しているのでプライバシーにも配慮しているぞ」

しばらく待機していると、小柄で茶髪のメイドが入ってきた
一瞬メイドかどうか迷うような幼さがあり、ヘッドドレスも付けていない
だが、何故かその代わりに緑のベレー帽を被っている


メイド「あの......」

男「どうぞご遠慮なさらず。こちらにお掛けになってください」

メイド「ありがとうございます」

男(一応医者ってことだし、それらしいことも聞いておくか......)

男「最近何か心身に悩みなど抱えていますか?教えられる範囲でいいので教えてください」

メイド「>>313

胸が・・・全然大きくならないんです
もうゴニョゴニョ歳なのにこれっぽっちで(泣)

メイド「胸が・・・全然大きくならないんです」

男「ふむ」

メイド「もうゴニョゴニョ歳なのにこれっぽっちで」(泣)


確かに胸が貧相だ
どの程度貧相か表すならば、死ぬまで決して縦縞セーターを着ることはないと断言できるレベルだ


男「......ふむ......もしかしたら、何か深刻な病の前兆かもしれませんね」

メイド「えっ!?ど、どうしたらいいんですか?」

男「慌てないで下さい」

メイド「そ、そんなこと言われても」

男「私を......いや、俺を信じろ!」

メイド「はいぃ......」

男「まずスリーサイズを教えてくれ。計ったことはあるか?」

メイド「む、胸はありますよ?」


心配そうに上目遣いでこちらを見る


男「ふむ、胸だけですか......胸はまぁ計るまでもないので、WとHを計りましょう」

メイド「ぐはっ」


放心状態の彼女にメジャーを当て、計測する


>>317......WとHのサイズ

53/75

まずWを計る
スリーサイズなど計ったことはないので大雑把だが、53だ


男「ほっそ」

メイド「ポケーッ」


続けてHを計る
75のようだ。相当細いことは彼にでも分かった


男「こんなものか」

メイド「はっ!」

放心状態から立ち直った彼女は恐る恐る質問を投げ掛ける


メイド「ど、どんなもんでした?」

男「健康に関していえば問題ありませんね」

メイド「一安心です」

男「一つコメントしてもよろしいですか」

メイド「はい」

男「では簡潔に一言で言い表します。『板』ですね」

メイド「>>321

むぅ~(ほっぺ膨らませ)
身長か胸どっちかだけでも大きかったらまだ色気も出てくるのに~!!

メイド「むぅ~」


彼女は言葉の意味を理解するや否やほっぺを膨らませる


メイド「身長か胸どっちかだけでも大きかったらまだ色気も出てくるのに~!!」

男「あなたはそう思うんですね」

メイド「当たり前でしょ!?」

男「......俺はその体型、素敵だと思いますけどね」

メイド「......」

男「おや、気に障りましたか」

メイド「な、な......」

男「ひとまずおいとまさせていただきますよっと!」


彼は素早くドアを開けて走り去る
たなびく白衣の起こす風だけが室内に残った


メイド「......あ、あのヤロー......」

日が暮れる頃、また戻ってくると一人のメイドが居た
見たことがないメイドなのでこの人が三人目だろう


メイド「あなたがお医者様?」

男「え、まぁ、そうなりますね」

メイド「さっき犬耳ちゃんが凄い顔してここから出てきたのを見たのだけれど」

男「犬耳?」

メイド「あのベレー帽を被った子よ。実はあの下に犬耳が生えてるの」

男「そうなんですねぇ......私は悩みを聞いてあげただけですよ」

メイド「......本当かしら」

男「ええそうですとも。長らくお待たせいたしました、診察を再開します」

メイド「分かったわ」


彼女はこちらへ向き直る
ショートの黒髪に白エプロンの掛かった和服の身に纏う
立ち振舞いも凛としており、和風メイドのようだ


男「心身に何か悩みを抱えていますか?あったら教えられる範囲で教えていただきたいのです」

メイド「>>327

メイド「最近、胸が大きくなりすぎて仕事に支障が......」

男「......そ、そうなん......ですか......」

メイド「どうかしましたか」

男「いえその、犬耳さんからたまに変な目で見られたりとかしますか」

メイド「......どうして?」

男「いえ、なんでもございません。そうですね、確かに何か病気の疑いがなくもないですね」

メイド「確か、しこりとかができたら危険なんですっけ」

男「よくご存じで。しかしそのサイズではしこりができても分かりづらいかもしれませんね」

メイド「そうなんですか?」

男「はい」

メイド「では、どうしたら良いのですか?やはり定期的な検査が......」


彼女の顔が次第に雲っていく
あまり不安感を与えすぎるのもよくないだろう


男「今は大丈夫です。ですが、念のためにスリーサイズを教えていただけますか?」

メイド「>>331

メイド「100/60/88です」

男「......ああ、それなら大丈夫ですよ」

メイド「よ、良かったです」

男「これで検診は終わりです。お疲れ様でした」

メイド「ありがとうございました」


彼女はゆっくりと出ていく
まさか胸が大きすぎることが悩みな人がいるとは思わなかった


男「ふぅ」

「それでは、私もお願いできるかしら?」

男「!!」


鷹に後ろから声をかけられる
恐ろしいことに、部屋に入られたことにすら気付かなかった


鷹「安心してください。お部屋の掃除は済ませておきましたので」

男「......診察を、始めても?」

鷹「ふふ、構いませんよ」


彼女は椅子にゆっくりと腰掛ける
見慣れた動作だが、不思議な威圧感がある


男「ではまず、最近何か心身に悩みなど抱えていますか?」

鷹「>>335

気になる殿方が出来まして……そういえば貴方によく似ています(手を男の頬で触りながら)

口調違ったら直してください

鷹「気になる殿方が出来まして......そういえば貴方によく似ています」

男「っ!?」


彼女の透き通るような手が彼の頬に触れる
彼女のときめきが伝わってくるようだ


男「......ふむ、恋の病というやつでしょうか」

鷹「そうです」

男「なるほど。でしたら私に考えがあります」

鷹「考え?」

男「ええ、まぁそうです。最近の口説き文句の流行りを知っていますか?」

鷹「いえ」

男「堂々と相手のスリーサイズを聞く、といったスタイルです」

鷹「......あぁ」


何か納得したような表情だ
どうせもう会うことはないだろうし、嘘をついても問題はない


男「気に障るなら申し訳ありませんが、あなたは美人です」

鷹「そうですか」

男「彼もあなたを放ってはおかないはずです。先程の様子から鑑みるに、聞かれたことがありますね?」

鷹「はい」

男「でも答える勇気があればこんなこと相談されませんよね」

鷹「そうです」

男「あぁそうだ。彼の居場所を教えてくれれば、私を介してスリーサイズを教えることもできますよ」

鷹「......」

男「直接言うのが恥ずかしいということであればですがね」

鷹「スリーサイズ、伝えるしかないんでしょうか」

男「うーん......口説き文句の流行りがすぎるまで待つという手もありますよ」

鷹「それではただ問題が先送りになるだけです」


彼らは思考した
一方は純真な顔で、一方はその下に秘密を抱えて


男「そうです!では予行練習をしましょう!彼にに私が似ていると貴方は言いましたよね」

鷹「いいんですか?」

男「はい。という訳で、あなたのスリーサイズはいくつですか?」

鷹「>>341

98/57/92ですよ。これでよろしいですか?私を"口説いた人"♪
安価↓

よく分からないですが、>>341のままにします


鷹「98/57/92ですよ。これでよろしいですか?私を”口説いた人”♪」

男「......ふむ......いつから気付いていたんだ?」

鷹「最初からです。丁度あなたが巨乳ちゃんを言いくるめていたところね」

男「そうか。......なぁ、君の言い方だと、気になる殿方ってのは俺になるんだが」

鷹「はい。それがどうかしましたか?」

男「......いや、なんでもない」

じゃあスリーサイズは90.57.85ということで


鷹「どうして恥ずかしがっているんですか?口説いてきたのはあなたでしょう」

男「......意地悪なひとですね」

鷹「あらあら、他の子にもスリーサイズを聞いていた人に言われたくはないですよ」

男「あの」

鷹「はい?」

男「俺が他の人にもスリーサイズを聞いていて、そんな所を見たのにあなたは俺に幻滅しないんですか」

鷹「>>349

男性が女性の身体に興味を持つのは当たり前のことですからね、それくらいでは幻滅しませんよ
それに・・・(男の胸板をイヤらしく撫でる)
女性も男性の身体に興味があるんですよニヤリ

鷹「男性が女性の体に興味を持つのは当たり前のことですからね、それくらいでは幻滅しませんよ」

男「そ、そうか」

鷹「それに・・・」

男「っっ!?」


彼女は彼の胸板をイヤらしく撫でる


鷹「女性も男性の身体に興味があるんですよ」ニヤリ

男「だが、俺なんかで......」


彼女のじっとりと熱を帯びた視線に耐えかねて目をそらす


鷹「良い身体をしていると私は思いますよ。......ふふ、あなた良くかわいいって言われるタイプでしょう」

男「ど、どうしてそのことを?」

鷹「こうして距離を詰めると、すごく初々しい反応をするからよ」


彼女は男より一回り小さな体格をしている
しかし今はそんな彼女が今にも襲いかからんとする獣にしか見えなかった
彼は慌てて椅子を立ち、部屋から出ようとする


男「すまない今日は......!?」

鷹「逃がしませんよ♪」


腕を掴まれる
彼にはその腕に込められた力がまるで万力のそれのようだと感じられた


男「......俺にも、心の準備ってもんがあるんだぞ」

鷹「その表情、すごく扇情的です。誘ってるんですか?」

男「お、俺は誘ってなんか......!」

鷹「強がらなくてもいいんですよ?」


彼女は再び距離を詰めてくる
今度は少しでも動けばお互いの肌と肌がふれ合うような距離感
視線を外すことすらできない
彼女がいたずらに微笑んだその次の瞬間___


男「あっ......」

鷹「今日はここまでにしておいてあげます」


彼女は彼の頬に口付けをする
呆然とする彼の隣を気品漂うメイドに戻った彼女が横切る
彼が気が付いた時には、部屋にはもう彼女はいなかった

彼はひとまず自室へと戻った


男「......つ、疲れた」

女魔法使い「んー。どうだった?」


出迎えた彼女は出されたお菓子を食べている


男「とりあえず全員から聞き出せたよ」

女賢者「それは良かったですね。楽しめましたか?」

男「全然。肝冷やしっぱなし」

女魔法使い「......ふーん。ほっぺにキスされた跡あるけど」

男「えっ!?あぁ、いやこれはだな。ちょっと犬にかまれたようなあれでだな?分かってくれるだろ?」

女賢者「>>356

ふーん、随分とお楽しみだったようで(キスされたほっぺツンツン)

女賢者「ふーん、随分とお楽しみだったようで」


彼女はキスされた側の頬をつついてくる


男「あれは不可抗力だったんだよ」

女魔法使い「どうだかね」


物凄く居づらい雰囲気になったので部屋を出た
全員のスリーサイズは調べ終わっているので、大金持ちの所に報告するとしよう


男「......という訳です」

大金持ち「ご苦労だった。仕事が速くて助かるよ」

執事「私からも感謝します。私がやると完全にセクハラなのでね」

男「いえ、俺は仕事のある限り働きますので」

大金持ち「頼もしい若者だ。君の未来に期待しているよ」

男「光栄です」


大金持ちはやりとりを終えるとソファーに深く腰掛ける
何かを察した様子の執事に目配せをすると、彼はどこかへ行った


大金持ち「それでは報酬をとらせよう」

男「はい」

大金持ち「よし、持ってこい!」


彼が合図するとガラガラとキャリア付きの台に載せられて>>361

すみません、訂正します

>>362が運びこまれてきた

です

珍しいアイテムや装備品の数々

運びこまれてきたのはアイテムや装備品
そのいずれもがきらびやかに輝いている
これらは間違いなく珍品や業物であると直感的に分かる


男「......これは」

大金持ち「最初は金銭を渡そうと思っていたんたがな、君の目を見ていてこれにしようと思ったんだ」

男「では選ばせていただきます」

大金持ち「......ふふ、やはりそうか」

男「?」

大金持ち「別に全てくれてやってもいいと思っていたんだがね」

彼はいくつかのアイテムや装備品を貰うことにした
そして、それを部屋に持ち帰った
折角なので、今晩は泊まっていってくれとの事だ


男「おーい、ドア開けてくれ」

女賢者「どうしたんですかドアぐらい開けれ......!?」

女魔法使い「それ何!?」


彼は抱えたアイテムや装備品を部屋に置いた


男「これは報酬だ」

女賢者「豪勢ですね」

女魔法使い「依頼は気に入らなかったけど、この報酬なら文句は言えないね」

女魔法使い「私これ欲しい!」


彼女が手に取ったのは杖だった
軽い金属で出来た杖で持ち手に宝石で刻印があしらわれている


男「そう言うと思った」

女賢者「では私はこれを」


彼女が手に取ったのは時計だった
歪な形をしており、またあり得ない周期で時を刻み続けている


男「......それ、なんか持った時に変な感覚になったから持ってきたんだけど大丈夫か?」

女賢者「それは正しい反応ですね。これは別の時空を通してこちらの時間に干渉する力を持つ時計です」

男「だからか、あの心臓のリズムが狂ったような異様な感覚」

女賢者「ちなみに女魔法使いさんが選んだのは七曜杖です」

女魔法使い「七曜杖?」

女賢者「日月火水木金土属性を全て最高適正で扱えます」

女魔法使い「へぇ!」

男「それは凄いな」


女魔法使いは杖を見て目をキラキラさせている
一方女賢者は既に時計のリズムに波長を合わせているようだ


女賢者「......そういえば、男は何を戴いたんですか?」

男「俺か?俺はこの>>368

厨二と銘のあるド派手な剣

彼が取り出した剣は、一瞬目を覆う程にきらびやかだった
あえて粗忽に見えるような整形を施された大きな刀身
それを飾る眩い宝石達
何より目を引くのが刀身に大きく銘打たれた『厨二』の二文字


男「......どうよ」

女賢者「......うーん......まぁ多分業物ではあると思いますが......うーん......」

女魔法使い「センスいいね」

女賢者「えっ!?」

男「そうだろ?」

しばらくすると、夕食が運ばれてくる
海鮮主体のメニューで、ぺろりと平らげてしまった


男「旨かったな。特に今回はエビが良かった」

女魔法使い「私もそう思います」

女賢者「おや......?」

男「どうした」

女賢者「そのお尻に付いているのは何ですか?」


彼が自らの尻を触ると、何か硬いものが付いている
引っ張ってもなかなか取れず、何か引力を受けているようだった
どうにか引き離し確認すると、それは石だった


女魔法使い「魔石のようだけど」

男「ああ。でも磁石みたいな力でくっついてたぞ」

女賢者「そこのポケットに何か入れてますか?」

男「......ま、まぁ入れてるが......この際見せるか」

彼がポケットから取り出したのは、茶色の魔石だった
その魔石から全くエネルギーは出ていない。これは先ほど引き離した魔石もそうだ


男「エネルギーは出ていないが、エネルギーを持っていることは分かるだろう」

女魔法使い「直感的にだけどね」

女賢者「......まさかそれは......いや、ありえない」

男「これは父親の形見なんだ。俺の記憶の中では会ったことないけど......っ!?」


引き離した魔石と形見の魔石が引き合い、激しくぶつかった
引き離した魔石は、碧く輝きながら形見の魔石と融け合っている
そこには、ひとつになった二つの魔石が残った


女魔法使い「おお......」

女賢者「ふーん......もしかしたらそれ、凄い石かもね」

男「本来なら、形見が変質して悲しむべきなのかもしれない。しかし不思議と悪い気分はしない」


まるで、パズルのピースが埋まったような感覚

女魔法使い「そろそろ眠くなってきた」

男「確かにな」

女賢者「今日は良い日でした」

女魔法使い「そうそう。旨いもの食えたし」


他愛もない会話をしていると、ドアをノックされる
こんな時間に一体誰だろうか。ドアを開けてみることにした


男「はい」

>>373>>374

こんばんは♪夜這いに来ました♪(顎クイッ)
って言ったら可愛らしい反応をするんですよね

鷹「こんばんは♪夜這いに来ました♪」

男「えっ!?ま、待ってくれ!俺はその......」


入り込んできた彼女に顎クイされる


鷹「って言ったら可愛らしい反応をするんですよね」


彼女は微笑み満足げに手を離す


男「っく......い、一体どうしてここに?」

鷹「別に、あなたの顔が見たかっただけですよ」

男「そうか」


彼はドアを閉める
こんな素っ気ない対応はしたくないが、嫌な予感がするのだ


鷹「つれないですね?」

男「......その移動法はなんなんだ」


またいつの間にか背後をとられていた
まるで視界の外を自由自在に動き回るかのようだ


鷹「乙女の秘密ですよ」

男「どうして俺に付きまとう?」

鷹「私、勘づいたんですよ。あなたは明日いなくなるって」

男「勘づいたということにしておいてやろう。俺は地雷原に踏みいるほど愚かじゃない」

鷹「そこで!>>378

鷹「あなたのメイドになろうと思うんです」

男「......正直怖いぞ」

鷹「ご安心下さい。あなたの望むように振る舞いますので」

男「そ、そうか。じゃあ後はみんなが許可するかだな」

女賢者「どうも、彼にキスしたのは貴女?」


彼女は振り向くとそこにいた
みんな気配を遮断するのが上手なようだ


鷹「そうです」

女賢者「......まぁ、彼が拒絶しないのであれば問題ないでしょう」

男「女魔法使い。お前はどうだ」

女魔法使い「......いいですよ」


彼女は眠気に耐えかねて枕に顔を埋めている


男「おめでとう。鷹」

鷹「ありがとうございます。ところで......」

男「ん?」

鷹「私はメイドですので、主人の望むよう振る舞う義務があります」

男「そういうのはいいよ。好きなように振る舞ってくれ」

鷹「それでは>>382

では私が好きなようにということであなたを押し倒・・・冗談ですので魔翌力の手錠を解いてくれませんか?どちらがやったのか分かりませんが(この私がこうもあっさりと・・・中々できる方々のようで…)

鷹「では私が好きなようにということであなたを押し倒・・・」

男「っ!?」


彼女が肩に手を伸ばそうとする
しかしその手がこちらに向かうことはなく、彼女の手には手錠がかけられる


鷹「冗談ですので魔力の手錠を解いてくれませんか?どちらがやったのか分かりませんが」

男「あはは......外してくれよ。多分そんなことするやつじゃないからさ」


彼が二人に笑いかけると手錠が解かれる


鷹(この私がこうもあっさりと・・・中々できる方々のようで...)

その夜は速やかに寝ることになった
そして翌日


男「......んん、朝だ」

鷹「おはようございます。お茶を淹れておきましたのでどうぞ」

男「ありがとう。流石だな」

女魔法使い「男さんは何飲んでるんですか?私はミルクティーでした」

男「これは紅茶だな。なんとなく懐かしい味がするよ」


テーブルを見ると白いコップと茶色の水滴の残るコップがあった
女賢者はおそらくコーヒーを飲んだのだろうと推測できる

その後、大金持ちにだけことわって屋敷を出た
折角なので女賢者と女魔法使いの服も仕立ててやろうかと言われたが、彼女らは拒否した

そして日銭を稼ぐため、祖父の生活を豊かにするために彼は再びギルドへ向かう
その道中、しょっちゅう意識の外を鷹が歩くのでそれを捕捉しようとして気が休まらない
途中で捕捉できなくなっても女賢者が見ている方向に必ず彼女はいるのでどうにか捕捉できた


男「ギルドに着いたが......」

女魔法使い「なんか凄い攻防をしていた気分です」

男「受付嬢。何か依頼を回してくれ」

受付嬢「>>387

内容:護衛

客車(馬車)が目的地に一般客を下車させ、客車が無事に街に戻ったら報酬を与える

受付嬢「護衛の依頼がありますよ」

男「ほう。具体的にどういった内容だ?」

受付嬢「客車が目的地に一般客を下車させ、客車が無事に街に戻ったら報酬を与えるというものです」

男「......それ、護衛の必要ってあるのか?」

受付嬢「うーん......詳しいことは分かりませんが、何か訳があるか、そういったサービスなのかもしれませんね」

男「なるほど。じゃあ受けるとしよう」


ギルドに客車の馬車が来ているとのことなので、すぐに向かうよう言われた


女賢者「なかなかやりますね」

鷹「そちらこそ」


二人はじゃんけんをしている
引き分け続けていることから、おそらく相手の手を見て反応する高速の後出しじゃんけんだろう


男「張り合うなぁ」

女魔法使い「私もああなりたいような、なりたくないような」

外に出ると、客車が停まっていた
既に乗客は乗車しているようで、御者が挨拶をしてくる


御者「あなた方が護衛を担当されるんですね?」

男「ああ。結構立派な馬車だな」


その馬車は豪華ではないが、大きく作られている
人だけでなく、物の輸送も可能だろう


御者「ありがとうございます。ウチの自慢の馬車でしてね」

男「この馬車、どこまで行くんだ?」

御者「>>394

御者「隣街までです」

男「分かった」


前部、中部、後部座席とあるので男は前部座席に着いた
乗客は中部座席に座り、最も警戒すべき後部座席に三人を配置した


御者「それじゃ、行きますよっ!」


客車は動き出した
大きな馬車だが馬の足取りは実に軽やかで、隣街まであまり時間を要せず移動できるだろう

御者「隣街までです」

男「分かった」


前部、中部、後部座席とあるので男は前部座席に着いた
乗客は中部座席に座り、最も警戒すべき後部座席に三人を配置した


御者「それじゃ、行きますよっ!」


客車は動き出した
大きな馬車だが馬の足取りは実に軽やかで、隣街まであまり時間を要せず移動できるだろう

その後馬車は数分をかけてさらに加速し、風を切るほどになる
しかし、その速度は急に落とされ停止した
彼は異常を感じ、御者に話を聞くことにした


男「よし、俺が御者に話を聞いてくるから三人は待機していてくれ」

女魔法使い「分かったよ」


彼は馬車から降りる


男「御者さん。一体どうしたんだ?」

御者「>>399

感じの悪い不愛想な老人が いきなり前に立ってきたんです!

御者「感じの悪い無愛想な老人が、いきなり前に立ってきたんです!」

男「なに......?」


御者は前方を指差し、そちらを見ると確かに老人がいた
その顔は皺にまみれており、魂の抜けた老木のような雰囲気だ


老人「......」

男「そこのご老人。申し訳ないが、そこをどいてもらえるだろうか」


しかし彼に反応はなかった


男「聞いているのか?」

老人「ケケケ......」

男「!?」

尚も立ち塞がる老人は不敵に笑い出す
その鉛のような瞳にだけは生気が宿り、こちらを見つめる


御者「ひっ」

男「......ジジイ、お前何者だ」

老人「それが人にモノを聞く態度か?老人を敬ってもらわんとなぁ......まぁいいが」

男「悪いが戯言を聞いている暇はないんだ。もう一度だけ問うが、お前は何者だ?」

老人「>>403

勇者……お前を潰すために来たんだよ

老人「男......お前を潰すために来たんだよ」

男「いいだろう、そこまで多くの因縁を負った覚えはないがな」


彼は御者に手で合図を出し、その合図で客車は再び隣街へと向かった


老人「ケケケ......お目付けは要らぬと申すか?......まぁいいが」

男「お前が俺に挑むなら、俺が相手をする。別に不思議なことでもあるまい」

老人「ック、ケケケケケ!お主、なかなか祖父に似たようだ」

男「あの人の知り合いか......一筋縄じゃいかなそうだ」

老人「むむむ......」


彼は魔法の詠唱を始める
最近の魔法使いは素早い詠唱を軸とする者が多い
しかし彼は早くはないが、着実に詠唱をするタイプのようだ


男「トロいぜ!」


素早い相手にはレイピアを使うのが有効だ
しかしそれでは一撃の威力が低い
多少相手を傷つけることになっても重い一撃が必要だった

故に彼は大剣を振りかぶる


老人「......!」


詠唱が終わった


>>408...魔法の効果

呪い解除
呪いを解除する魔法

彼の一撃は性格に老人を叩き斬った


男「ふん」


しかしその一撃は老人を殺しきるには至らなかった。そして____


???「全く、甘んじて攻撃されてやる程隙を作らねばならぬとは......」

男「!?お、お前は一体......!」


もはやそれは老人ではなかった
刃の深く刺さったその体は光沢ある緑色をたたえている
顔も若返り、より邪悪なものとなっている


???「はぁ!」

男「うっ!?」


それが咆哮すれば、大剣も彼も吹き飛ばされてしまう

虚空を見つめるように虚だったその鉛には情熱の火が灯った


古将「我は古将!古の王に仕える最大の忠臣である!」


彼はどこからともなく大きな薙刀を取り出す
そのまま突撃し、薙刀を振り回す


男「まだまだトロいぜ!」


薙刀による攻撃は強烈な刺突と強い力での振り上げや振り下ろしだ
どちらもガードを破壊したり捲ったりするような強力な攻撃である
男はそれを知っているので、回避に専念している
威力は高いが長物なので攻撃の速度は大してなく、軌道も直線的にならざるを得ない


古将「流石だな......しかし!これを避けきれるかな!?>>413

薙刀を地面に叩きつけて全方位の衝撃波攻撃

古将「両面蛇式!」


薙刀を分離させ、二刀流の構えになる
そこから放たれる斬撃は空を切る速度だ


男「く......速い!」


盾を持たない彼にとっては、速度で上回る敵はまさに天敵だった
弾き飛ばされた剣を拾う間もなく攻撃されるので、後手に回ることもできない


古将「ふははは!愚かな若造が我を倒せるとでも!?」

男(確かに奴は速い。だが......視ることはできる!)


彼はレイピアで片方の薙刀を弾き、もう片方の薙刀は回避した
速度で勝る相手への弾きは高等技術であり、集中を必要とする
しかしながら彼は認識外を『視る』力を付けていた

すみません>>413でした。申し訳ございません

古将は地に薙刀を打ち付ける
その瞬間、強烈な衝撃波が起こる


男「くっ......!?」


衝撃波により、全身の骨が揺さぶられるようなダメージを負う
だが何よりも恐ろしいのは全身が痺れ、言うことを聞かなくなるという第二の効果だった


古将「ふははは!もらったぞ!」

男「*極小風魔法*!!」

巻き起こした風は彼の体を反らした
しかし、薙刀の一撃は避けきることはできなかった


男「ぐああっ!」

古将「......落ちたものよ」

男「......だが、お前のその傷は落ちた奴によるものだぜ」

古将「そうとも、だが!証人はお前だけだ!」


再び大きく薙刀を振りかぶり、衝撃波の構えだ
彼はそれを避けようともせず、ポケットから魔石を取り出す

男「*大地制御*!」

古将「ぬぅあああああ!」


大地が鳴動するのが分かる
なぜなら、唯一彼の立つ地のみ微動だにしないからだ


男「お前にも俺の気持ちを味わってもらおうか!*吸収*!」

古将「何!?」


薙刀を振り切って油断したその足元が地に沈む
砂のようになった大地が古将を飲み込む

古将「ぬうっ!?」


胸部まで沈み、脱出を試みる
その内に彼は大剣を回収する


男「ちょっと沈めすぎたかな?まぁいい」

古将「貴様何を......!?」

男「さあな。だが俺の爺もこれができたはずだ、この技を知らぬということはお前はその程度ということ」

古将「我を愚弄するか」

男「そうだ。お前は『黄泉』を遡って甦ったんだろう?」

古将「......そうだ」

男「俺は俺として戦ったが、どうやら俺の爺はお前と『剣士』としてしか戦わなかったようだ」

古将「我は......」

男「何が忠臣だ。お前は古の王の足元にも及ばない」

古将「殺せ」

男「断る。お前はこのまま沈めて地中に封印してやる」


彼がそう告げると、古将の体は地中へ落ちていく
無様な断末魔があまりに聞き苦しいので、穴はさっさと閉じてしまった


男「......やはりこの魔石、地の精霊と水の精霊によるものだな」

男「隣街へ急ぐとしよう」

無心で隣街まで走る
到着すると、街の入り口で三人が待っていた


女賢者「_____!」

女魔法使い「_______?」

鷹「_____......_____?」

男「......?」


口々に何か言っている
しかし耳から聞こえる音は混濁し、ノイズと変わらない
次第に視界が霞んでいく

彼は地面に崩れ落ちてしまった

男「......う......ここは......」


手放した意識を取り戻す


鷹「......!おや、お目覚めですか」

男「ああ、どうして俺はここに?」

鷹「原因は不明ですが、あなたの肉体から魔力エネルギーが完全に消えていました」

男「それで俺は倒れたのか?」

鷹「はい。お二方は大変肝を冷やしておられましたので、後で精神的な補填をした方がよいかと」

男「気遣いが心に沁みるよ。ところで、ここはどこなんだ?」

鷹「>>426

私達が今日泊まる宿です
部屋は一つしか空いてなかったので4人でこの部屋を使うことになります

鷹「私達が今日泊まる宿です」

男「......みんないるようだが」

鷹「部屋は一つしか空いてなかったので4人でこの部屋を使うことになります」

男「ああ、そういう」


一通り事情を聞くと、二人が近寄ってくる


女賢者「気分はどうですか?」

男「俺は問題ない」

女賢者「私は最悪ですよ。いいですか?男はあの時死の一歩手前にいたんですよ?」

男「は、はぁ......魔力が枯渇しただけだろ?」

珍しく此方を睨み付け、怒っているようだ
思えば、彼女と出会ったときもこんな顔をしていた


女賢者「魔力が枯渇した状態で体が急激に魔力に触れたり、使ったりするとどうなると思います?」

男「触れれば吸収できるし、そもそも使えないだろ?」

女賢者「いいえ、あなたの体は弾け飛びますよ。そうして死んだ知り合いを数多く見てきましたから」

男「......すまない」

女賢者「......!いえ、こちらこそすみません。熱くなりすぎました」

男「気にするな。むしろその、人に心配されるってのは相当久し振りでな......まぁ、悪い気分じゃない」

女賢者「>>430

……ふ、ふふっ♪
最初の頃よりずっと素直で可愛げありますね、お姉さんは嬉しいです♪(頭なでなで)

女賢者「......ふ、ふふっ♪」

男「?」

女賢者「最初の頃よりずっと素直で可愛げありますね、お姉さんは嬉しいです♪」


彼女はニコニコ笑いながら頭を撫で始めた


男「や、やめろ!//////」

女賢者「照れなくてもいいんですよー?」

男「うるせぇうるせぇ!」


ベッドに戻り、毛布にくるまってしまった
それなのにせわしなくバタバタしている

暫くすると、彼は落ち着いた


女魔法使い「男さん」

男「......はい」

女魔法使い「なぜ私に心配をかけさせるんですか?」

男「倒れたことは悪いと思っている。何か埋め合わせでも___」「違います!」


両手をテーブルに叩きつける


女魔法使い「いつも決闘だの一騎討ちだの理由をつけて一人になる」

男「それは戦略的なものだ」

女魔法使い「そうかも知れませんが、これは私のエゴかもしれませんが」

女魔法使い「......あなたが命の危機にあるのを見ると、私は辛く苦しいです!無力感を覚えます!」

男「し、しかしだな......」

女魔法使い「そんなに、私が頼れませんか?」


彼女は涙ぐみこちらを見つめる
その真摯な視線を裏切ることができる奴がいるだろうか


男「>>434

男「・・・いや、凄く頼りになるよ、この前の戦いもお前のお陰で助かった、ありがとう」

女魔法使い「そ、そうですか?」

男「ああ。それにな、別に直接手助けしてくれなくても俺にはお前が心の支えになっている」

女魔法使い「!」

男「俺がくたばれば死で割りを食うのはお前だからな。気分悪いぜ」

女魔法使い「......なんだ、そういうことですか」

男「どうかしたか?」

女魔法使い「もういいです。なんかバカらしくなりました」

男「......どうやら、みんな何か俺に思うところがあったようだ」

鷹「まぁ、あなたはこのご時世なかなか見ない性格してますからね」

女賢者「みんな悪い人じゃないと思ってますよ」

女魔法使い「一緒にいれば大なり小なりそういうとこありますよ」

男「うーん......折角だし、何か俺が取り組むよ。不満は貯めないのが一番だし」


すると、三人は会議を始めた
そこまでする必要があるのだろうか?


鷹「決まりました」

女魔法使い「何でもいいんですよね?」

男「......な、何でも?まぁいいけど」

女賢者「それじゃあ>>438

明日私達が変わりばんこであなたと二人っきりになって出掛けます
つまり私達三人とデートですね♪

女賢者「明日私達が変わりばんこであなたと二人っきりになって出掛けます」

男「ほう?」

女賢者「つまり私達三人とデートですね♪」

男「で、デート......」


思わず頭を抱える


女魔法使い「もしかして......嫌?」

男「そういう訳じゃない。そういう訳じゃないが......」

鷹「ふふ。期待していますよ?」

そんなこんなで翌日を迎えた


女賢者「それでは私が一番乗りです」

男「デートの経験はないが、やり方は知っている。至らない所があれば言ってくれ」

女賢者「そうですね。デートに正解はありませんので、特にあれこれと言うつもりはないです」

男「そうしてくれるとこちらも気が楽だ。それじゃあ行こうか」


彼は彼女の手を握る
彼女は驚き彼を見るが、彼は困った顔で目をそらす


女賢者「......ふふふっ、それで、今どこに向かってるの?」

男「映画館だ。どうやら映像を幕に投影する施設らしい」

女賢者「最近流行ってるのよね、是非一度行ってみたいと思っていたの」

男「俺より詳しいようだが、何か見たい映像はあるのか?」

女賢者「>>442

では恋愛物で
デートの定番です

女賢者「では恋愛物で。デートの定番です」

男「そう......なのか?」

女賢者「そうですよ!」


二人は映画館に到着する
チケットを購入し、席へと移動する
冗長な宣伝の後に、映画は始まった

宿命や苦悩に襲われる青年が、優しい女性に心を助けられる
次第にその心は彼女に惹かれていく
二人は残酷な運命と向き合い、そしてその運命に決着をつけるという内容だ

誠死ね


女賢者「いい話でしたね」

男「そうだな。演技も生き生きとだった」

女賢者「あー私もなんだかあんな風に抱き締められたくなってきたなー?」


わざとらしく男を見る
男は気恥ずかしそうな表情を浮かべるが、すぐに小さくため息をつく
そして彼はその両手で彼女を抱き締める


男「......これでいいか?」

女賢者「ふふっ、ええ、いいですとも。本当素直になったものです」

男「......別に、やれと言われたからやっただけだ。お前に媚びたわけじゃない」

>>446 男「そうだな。演技も生き生きとしていた」
でした。誤字すみません


女賢者「素直じゃないですね」

男「うるさい。そろそろ時間だから帰るぞ」

女賢者「わ、分かりましたから!だからさっさと行かないで!」

男「しょうがないな。ほら」


目線を外しながら手を差し出す


女賢者「ふふ♪じゃあ行きましょう?」

男「そうだな。映画というのも悪くない、また今度観に行こうか」

こうして、二人は宿に戻った
時刻はちょうど太陽が頭上で燦々としているときだ


男「ただいま」

女賢者「どうもー」

女魔法使い「お、お楽しみだったみたいだね」

鷹「......その言い方は語弊があるような気がしますが」

女魔法使い「えっ!?」

女魔法使い「それじゃ、今度は私の番ですね」

男「そうだな」

女魔法使い「私、今日一緒に行きたいところがあるんです!」

男「おお、プランを練ってくるタイプか」

女魔法使い「ふふん」

男「ところで、どこに行きたいんだ?」

女魔法使い「>>451

新築のマンション視察(もちろん男と今後住むための)

女魔法使い「新築のマンションを視察しましょう」

男「......マンション?なんだその建築様式は?」

女魔法使い「えっ」

男「あれ、もしや建物じゃないのか」

女魔法使い「い、いや建物だけど......マンションを知らないんですか!?」

男「生憎田舎者でな」

女魔法使い「......とりあえず、行きましょう?」

男「お、おう」

女魔法使い「この町も最近潤ってきたんですよ」

男「詳しいのか?」

女魔法使い「来たことはあります。高級な石造りの建物ができてきたんですよ」

男「煉瓦でも、神殿のような造りでもないな」


町並みを楽しみつつ歩を進めると、高層マンションが見えてきた
マンションを見慣れない男はともかく、女魔法使いまでもが圧倒される


女魔法使い「ここです」

男「......そういや、何のために来たんだ?」

女魔法使い「え、ここに住むからですよ」

男「へぇ、まあこういう所にあった方がアクセスが良いしな」

女魔法使い(男と一緒に住むための、ですけどね!)

圧倒されつつも、フロントへと入っていく
豪華な造りのきらびやかな受付がまず目についた
しかし、すぐさま目線はその奥へと移動した
そこには人一人分はある巨大なハンドルがあり、屈強な作業員達がいる


男「......なんだこれ?」

作業員「こちらのハンドルを回すとこの隣の箱が上昇します」


確かに、人が数人入れるくらいの箱がある


女魔法使い「人力昇降機ですね!」

作業員「はい。いずれ魔力で可動するエレベーターという乗り物になる予定です」

男「へぇ」

作業員「何階まで行かれますか」

女魔法使い「100階まで」

作業員「100階ですか!?」

男「......へ?」


呆気に取られていると、作業員がハンドルに手をかける
彼女は男の手を引き、箱へと連れていく
ハンドルが勢いよく回され、箱は上昇していく

そうこうしている内に、100階へ到着する


男「高いな」

女魔法使い「そりゃあ100階ですからね。こっちに来てください」


彼女の示す先には、黒光りするドアがある
扉を開き、中へ入ればそこには美しい眺望が広がっていた


男「ここは......リビング、なのか?」

女魔法使い「そうです。その眺望も拝めるように大きな窓がついているんです」

男「視察と言ったが、本当にここに住むのか?」

女魔法使い「はい」

男「......お前、家賃払えるのか?」

女魔法使い「私の家って結構金持ってるんですよ。なんで問題ないです」

男「もう住むことを決めていたような口振りだが、何のために俺をここに連れてきた?」

女魔法使い「>>464

女魔法使い「母を紹介したいのです」

男「......どういうことだ?」

女魔法使い「隠れてないで出てきてください」


彼女が告げると、部屋のクローゼットから女性が出てくる


女魔法使い母「バレてた?」

女魔法使い「当然です。いつもやられていれば分かりますよ」

男(個性的な家庭だなぁ......)

女魔法使い母「ご紹介にあずかりました、私、彼女の母でございます」

男「はは、エネルギッシュですね」

女魔法使い母「まだまだ若い者には負けませんよ」

男「それはそれは。......ところで、どうしてお母さんの紹介を?」

女魔法使い母「そんなの、決まっていますよね」

女魔法使い「>>468

私に相応しい男性か見てもらうためですよ
あなたの旅に付いていくと決めたので、まずは私を任せられる人かどうか一目見たかったらしいです

女魔法使い「私に相応しい男性か見てもらうためですよ」

男「お前に?」

女魔法使い「あなたの旅に付いていくと決めたので、まずは私を任せられる人かどうか一目見たかったらしいです」

男「なるほど......正直な話、結構困るな」

女魔法使い「何か後ろめたいことでもあるの?」

男「俺は人の身を預かるにはまだまだ早いんだ。以前爺に言われた」

女魔法使い「そうかな?」

男「ああそうだ。実際お前達の中に不満が発生したから今ここにいるんだ」

女魔法使い「でも、男さんは私達を一度も危険な目に遭わせてないですよね?」

男「当たり前だろう」

女魔法使い「......んんん?」


彼の言葉があまりにひっかかったようで、首を捻っている


女魔法使い母「まぁ!素晴らしい心意気ですこと」

男「いえ、ですから当然のことですよ」

女魔法使い母「何言ってるのよ。それじゃあ何が足らないの?」

男「常に気を配り、あらゆる場面でのエスコートをすることです」

女魔法使い母「あらあら、あらあらあらあら......私、もう満足したわ。それじゃあね」


彼女はそう言って帰っていった
おそらくはお眼鏡にかなったということなのだろう

女魔法使い「ちょっと!」

男「どうかしたか」

女魔法使い「どういうことなんですか!私だって仲間なんですよ!?」

男「......悪い。何を言いたいんだ?」

女魔法使い「ああもう!危険な目に遭わせないのが当然って、私に戦うなって言いたいの?」


詰め寄られ、服を掴まれる


男「いや、お前は後衛だろう」

女魔法使い「敵が私を遠距離攻撃で狙ったら?」

男「俺が盾になる。俺のポリシーどうこうではなく、前衛がそうあるべきなんだ」

女魔法使い「じゃあ私がダメージを受けるか男さんが死ぬかだったら!?」

男「そうだな。まぁ死ぬだろう」

女魔法使い「ふ......ふざけないで!」


全力で突き飛ばされる
予想外のことに、バランスを崩して倒れてしまう


男「......伝え忘れていたが、俺は自分の命に大した価値も意味もないと思っている」

女魔法使い「っ!」

男「だが心はある。だから何かを失うくらいなら死ぬ。そういうことだ」

女魔法使い「うるさいっ!!もう口を開かないで!(*?*)」


彼女が叫ぶと、体が言うことを聞かなくなる
指一本動かないのだ


男「ぐっ!?これは魔法か......?し、しかし!」

女魔法使い「どうして男さんが女賢者さんと旅をしていたか、なんとなく分かったの」

男(誤算だった......まさか彼女もまた、俺の考え方を否定する者だとは)

女魔法使い「その考え方、絶対に変えさせてあげます」

男「そこまで言われるとは、失言だったようだ」

女魔法使い「男さんにとってはそうですが私としては、男さんについて知ることのできる機会でした」

男「忘れたほうが楽だと思うが」

女魔法使い「......ふふ、そういう意味では、忘れられない思い出になりそうですね」


彼女がこちらを見据える目はより確かになっていた
かつての熱に浮かされたような視線は嘘のようだ


男「ひとまず帰ろう」

女魔法使い「そうですね」

男「......いや、動けないのだが」

女魔法使い「え!?」

男「こっちのセリフだ!解き方が分からないのか!?」

女魔法使い「いや、待ってください。もしかしたら出来るかもしれません」

男「お、おい!?いいか落ち着けよ!?この前も俺を眠らせたばかりだろう?」

女魔法使い「大丈夫です。私だって仲間なんですから信用してください」

男「当然信用している。念入れだ」

女魔法使い「むむむむむ......はっ!!」


>>476...何が起きた?

辺りが霧に包まれ始めた

彼女が力を込めると、辺りに霧が立ち込めた


男「......な、なんだこの霧は!?」

女魔法使い「もう何がなんだか分かりません!!」

男「だが......動けるぞ!」


霧が体にまとわりつき、魔法の拘束を弱めていく
どうやらこの霧には魔法を弱める力があるようだ


女魔法使い「どうにか解けたようですね」

男「ああ、一時はどうなることかと思ったが」

どうにか騒動も終わり、宿に帰ってきた


男「ただいま」

女魔法使い「はちゃめちゃに疲れましたよ」

女賢者「魔力がだいぶもってかれてますね」

男「ちょっとはしゃぎ過ぎちゃってね」

女魔法使い「えへへ」


二人は椅子に腰掛け、ハーブティーを飲み始めた
しかし、ハーブティーを淹れたと思われる彼女の姿がない


男「あれ?」


見回していると、ちょいちょいと服を摘ままれる
振り向けば、彼女が部屋の入口で既に外出の準備を整えている


鷹「......すみません。服を摘まむというのは不躾でした」

男「別に気にしないさ。それじゃあ行こうか」

鷹「どこへ行かれるか決まっておりますか?」

男「いくつか目星はつけてあるが、どこか行きたい所があるのか?」

鷹「いえ、私はあなたの行くところにどこまでても着いていく所存です」

男「......そうか、じゃあちょっと歩こうか」


二人は日の暮れた町を散策する
都の隣にあるだけあって、夜でも活気がある


鷹「こういった所は初めてです」

男「そうか?俺も田舎者だからよく分からないぞ。それが新鮮な面白さって奴なのかもな」

鷹「そうかもしれませんね」

男「お、あれは......」


陽気なオヤジがスイーツを売っている
出来た人だかりを掻き分けて、甘い匂いが漂ってくる


鷹「スイーツ、でしょうか。おそらくソフトクリームの類でしょう」

男「あれ食べたいか?」

鷹「......しかし、あなたは既に二人とデートしています」

男「そうか、買ってくるよ」

鷹「え?」

彼はソフトクリームを持って戻ってきた
驚くような高さのソフトクリームを二人分買ってきたのだ


男「ほらよ」

鷹「......では、いただきます」

男「それでいい。少しいい顔になったな」

鷹「先程から、一体どういうことですか?」

男「んー?クリームが溶けちまうぞ。これ食ったらな」

鷹「分かりました」

二人はソフトクリームを食べ終えた
先に食べ終わった彼女は、神妙な顔でただじっとしている


男「うまかったな」

鷹「はい」

男「......お前、もう少しわがまま言ったらどうだ?」

鷹「しかし......」


普通なら目を逸らす所を、彼女はそらさない
目付きが鋭いので、むしろこちらが緊張する


男「これがデートだと分かっているのならわがままの一つでも溢すのが対等な関係だ」

鷹「......」

男「別にお前が悪いと言うつもりはないさ。だがな、少なくとも今お前と俺は主従関係じゃない」

鷹「そうですね」

男「だったらやりたいことは色々あるだろう。俺の仲間になる前のお前はもっと欲を見せていた」

鷹「恥ずかしい限りです」

男「いいか、手始めに一つだけわがままを聞いてやる。よく考えて言うんだ、いいな?」

鷹「......はい......でしたら......>>485

デートの間は常に腕を組んで歩きましょう

鷹「デートの間は常に腕を組んで歩きましょう」

男「ああ、構わないぞ」


男は立ち上がり、左腕を差し出す
彼女はその手を掴んで立ち上がり、腕を組んだ


鷹「ふふ......ふふふ」

男「どうした?」

鷹「なんでもございませんよ。それじゃあ行きましょうか」

男「足元に気を付けて歩けよ」

男「......ありゃ、もう閉まってる」


彼が連れていく予定だったカフェは既に閉店時間を過ぎていた


鷹「残念です」

男「申し訳ない。どうしたものか」


思案していると、首筋に冷たいものが当たる


鷹「おや」

男「これは......雪か。誰か降らせているのか?」

鷹「物好きな魔法使いはやるかもしれませんね」

男「そうだ!行きたいところがある!」

鷹「ここは......公園ですか?」

男「そうだ。もう雪が積もっているな」

鷹「ロマンがありますね。真っ白な世界で二人きりなんて」

男「だろ......っと!?」


華麗な足払いで男を倒す
それに引かれて彼女自身もまた、雪の中に倒れる


鷹「足元には気を付けて下さいよ」

男「この......」

鷹「そう怒らないで下さい。疲れましたよね?ここで少し休みましょう」

男「そうだな、しかしなんだか眠くなってきたぞ」

鷹「死にますよ」

男「あぁ、このままじゃ死んじゃうよ。だから何か目の覚めるようなことを言ってくれ」

鷹「>>490

鷹「寝たら犯します」

男「ひっ」

鷹「ふふふ。ここにはスリルもロマンもありますよ」

男「風邪ひくぞ」

鷹「それもそうですね......」


雪は止み、雲間から星の瞬きが差す
澄んだ空気の中に、雄大な宇宙を感じることができる


男「綺麗だ」

鷹「......あなたが先におっしゃるんですね」

男「む?」

鷹「なんでもありません」

二人は宿に帰ってきた


男「ただいま......俺はもう寝るぞ......」


男はベッドへ倒れこんだ


鷹「やはり、無理をさせてしまったかもしれません」

女賢者「気にすることはないと思いますよ」

女魔法使い「男さんは多分こういうこと嫌がってないと思いますしね」

鷹「......そうですね。私ももう少し強気に出ようと思います」

翌日


男「おはよう」

鷹「おはようございます。モーニングティーの用意を致しますね」

男「あぁ、ありがとう」

女魔法使い「疲れは取れた?」

男「寝たからな。当然元気だ」

女賢者「......そろそろ、都市に帰りますか?」

男「そうそう、それなんだがな」

鷹「失礼します。モーニングティーでございます」


香ばしい紅茶が運ばれてきた


男「ありがとう。悪いね......それでな、一回実家に帰ろうと思う」

女魔法使い「実家!?」

男「やけに食いつくな。理由としては、ある程度金が貯まったからだ」

女賢者「仕送りなら、郵便で送って貰えばいいじゃないですか」

男「うーん......まず郵便業者は実家に辿り着けないな。山とか谷とかがあるから」

鷹「なるほど、そういう訳なんですね」

男「そうだ。というかそもそも住所が存在しない所に住んでるから、受け付けて貰えない」

女魔法使い「じゃあ男さんが迷ったらそこで終わりですね」

男「自分の庭で迷う奴があるかよ。途中までは馬車で行けるから、そこまで乗せていって貰おう」

そこから、馬車に揺られること数時間
馬車から降り、周りを見回せば一面の森
太陽は空の頂に上りつめ、異世界に迷いこんでしまったような雰囲気だ


男「それじゃいくぞ。多分こっちだ」

女魔法使い「動物とか出ます?」

男「そんな出ないと思うぞ。出ても狐とかそんなもんよ」

女賢者「確かに、穏やかな森ですね」

鷹「山菜採りに来たいですね。きっと楽しいですよ」

男「......楽しい......うーん、俺はよく毒系の山菜やらキノコやら採って苦しんでたからなぁ」

草木を掻き分け、森を進む
途中には段差や穴があったが、男が把握していた為、さして苦戦しなかった


男「そろそろだな......」


彼が呟いたその直後
森を抜け、新鮮な風が吹き込む
しかし、そこにあったのは目的地ではなく大きな谷だった
大口を開けて待ち構えるその亀裂を越えるのは容易ではないと分かる


男「あれ、吊り橋がないな」

女魔法使い「えっ!?」

女賢者「どうしましょうか?」

鷹「そうですね......」

女魔法使い「そうだ!>>498

近くにいるグリフォンを捕まえて飛んで渡りましょう!

女魔法使い「近くにいるグリフォンを捕まえて飛んで渡りましょう!」

男「......グリフォン?そんな奴、この山には居ないぞ」


彼がそう言って笑うと、四人に大きな影が落ちる


鷹「ですが、あれはグリフォンではありませんか?」

女賢者「間違いないですね。幻獣とは珍しい」

男「へ?」


そこに居たのは猛獣の体に鳥の顔を持ち、天翔ける両翼をもて余すように羽ばたかせる巨獣だった
先程から感じていた風はより強くなる


女魔法使い「やいそこなる幻獣よ!我々を谷の向こうまで運びたまえ!」

男「なんだそのしゃべり方」

グリフォン「断る」

鷹「それは困りましたね」

男「......うぅむ......面倒な......」


彼は急に苦虫を噛み潰したような顔になる
何やら俯いて考えているようだ


女賢者「どうかしました?」

男「これ、多分うちの爺が橋を落としたんだと思うぞ......」

女賢者「どうしてですか?いくら人が通らないからといって橋は落とさなくともいいでしょう」

男「どうにかこいつを納得させて谷を渡れってことらしい。俺の真心とやらを試すつもりのようだ」


彼は頭を上げ、グリフォンに対して向き直った


男「天の宮殿の主。汝は素晴らしき宝物を宮殿に収めていると聞く」

グリフォン「いかにも」

男「誠に残念ながら、我々は宝石を持っていない」

グリフォン「ならば帰れ」

男「しかし、献上するにふさわしい話はございます」

グリフォン「ならば語れ。我を楽しませてみせよ」

男「時に空の主。だじゃれというものを知っているか?」

グリフォン「知らぬ」

男「一つの文における五十音の被り、とくに同音異義語などを見つける遊びです」

グリフォン「......ほう。その内容の如何によって貴賤が分かれるということか?」

男「左様にございます。その中でも特に上質なものを献上することと致します」

グリフォン「言うてみよ」

男「>>503

捜査官が「今日の夜も激しくやるぜ」というと女は「そう、お盛んね」と答えた

男「捜査官が「今日の夜も激しくやるぜ」というと女は「そう、お盛んね」と答えた」

グリフォン「......」


場には静寂が立ち込める
実際には谷に風が吹き、風鳴りはしていたが、感覚的にそうだった


女魔法使い(さすが下ネタはまずかったんじゃあ......)

グリフォン「ふむ、面白い。良いだろう、汝らを谷の向こうまで運んでやる」

男「感謝します」

女賢者「見事なものです。私はもうダメかと思いましたよ」

鷹「......え?面白かったですよね」

男「だろ?」

女魔法使い「......」

四人はグリフォンに騎乗する
大きなその体には不思議な安心感がある
空の許す限りどこまでも飛んでいけそうだ

しかし、癒しの時間はそう長くは続かなかった
谷を渡るだけなのだから当然と言えば当然なのだが


男「......また、どこかで会えたら」

グリフォン「うむ。汝は聞いていた通りの男だったぞ」

女賢者「貴重な体験をさせていただきました」

女魔法使い「それじゃ!」

鷹(グリフォン、かわいいなぁ)

陽が暮れる頃、小さな城の様な建物に辿り着く


男「ここが俺の家だ」

女賢者「......なんですかこの家?城や宮殿のような建築様式ですが」

鷹「もしかしていかがわしい建物ですか?」

男「違うわ!」

女魔法使い「早速おじいさまに会いにいきましょう!」

男「お、おう。何か勘違いしてないか?」

女魔法使い「何のことでしょう」

玄関のドアをノックする


男「ただいま帰りました」


すると、待ち構えていたような反応速度で扉が開きはじめる
ゆっくりと開いているので、食いぎみな印象は受けない


爺「......」

男「値踏みするような目で見てくれるな」

爺「>>511



それにしても……どの子も美人ばかりじゃのぉ……ハナノバシー

爺「…ワシが若い頃でも流石に三股は…」(ドン引き

男「いや違うから」

爺「しかも三人一緒に引き連れて家来るって少し見ない間にとんでもない性欲魔神の節操無しになりおったな」

男「そういうのでもないし!清い関係だから!」

爺「それにしても......どの子も美人ばかりじゃのぉ......」ハナノバシ-

男「爺さんも大概じゃねーか!」

女魔法使い「これは『そういうこと』ですよね!?」

男「うるせぇ!」

爺は立ち話も何だと四人を応接室に招いた
女性陣は備え付けのソファーに座らされたが、彼は爺と女性陣の間に座らされた
大変居づらそうだが、これがディナーの席であれば主催の座る位置だ


爺「第一、清い関係と言っておったが、お主は彼女らそれぞれとの関係性を説明できるのか?」

男「で、できるとも!」

爺「じゃあまずそこのお姉ちゃんからじゃ」

男「......」

女賢者「......えっ」

爺「どうやら、そういうことらしいな」

男「いやいやいや、違うから!彼女は俺の仲間だ!そうだよな?」

女賢者「>>515

・・・ニヤリ
何度か同じ部屋で、同じベッドで共に夜を過ごしましたね♪

女賢者「......」ニヤリ

女賢者「何度か同じ部屋で、同じベッドで共に夜を過ごしましたね♪」

爺「ほう!」

男「待て待て、それには語弊がある」

女賢者「でも事実でしょう?」

男「くっ......」

爺「お主、この姉ちゃんと同じベッドに入った上で一切彼女を意識せんかったと言うのか?」

男「......ま、まぁ......意識ぐらいはしたかもしれないが......」


節目がちでしゃべる彼を見て、彼女は勝ち誇ったような顔をする

爺「まったく、お主という奴は......」

女賢者「ふふ、まぁそういう関係にないのは事実ですので、どうかご容赦を」

爺「そうなのか?」

男「そうとも」


どうにか乗りきった
これ以上の事態にはもうならないだろう


爺「うむ、ではその隣のお嬢さんとはどうなんだ?」

男「彼女もまた、俺の仲間です。時々奇行に走りますけど」

爺「相違ないか?」

女魔法使い「>>520

ふふっ♪男さんにぜ~ったいに(以前語られた考えを改めてもらうって私に決意させた)責任取ってもらうまでついていきますからね!

女魔法使い「ふふっ♪男さんにぜ~ったいに(以前語られた考えを改めてもらうって私に決意させた)責任取ってもらうまでついていきますからね!」

男「せっ、責任!?」

爺「お主......やはりそういう関係を持っておったのか」

男「違う!やましいことはない!......まぁ、何度か寝込みを襲われたりはしたが......」

女魔法使い「それは男さんがもともと......その......///」

男「お前は何を勘違いしているんだ!?」

爺「これ、それ以上言うとお嬢さんが傷付くじゃろう」

男「む......」

爺「ところで、そこのメイドさんとはどういう関係なんじゃ?」

男「彼女も仲間だ」

爺「む?メイド服を着ているが.....」

男「確かにメイドらしいこともよくしているが、彼女はああ見えて結構女性らしい。そして何より強いんだ」

爺「ほう。そうなのか?」

鷹「>>524

鷹「はい。男......いえ、ご主人様には初対面の時に情熱的な口説き方をされまして......」

爺「なんじゃお主、口説いたのか。レイプしかできんのかと思ったわ」

男「どっちもできねぇ!」

鷹「私、あんなに強く求められたのは初めてだったのでつい......」

爺「ふん。やはり性欲魔人じゃの」

男「違うからな。確かにどこかで彼女を求めてたかもしれないけど、俺は何も言ってないからな」

鷹「おや」


彼女が目を細める
またしてもやってしまったのだ

男「......ふん」

爺「くくく、面白いのう」

鷹「あら、自分の息子を笑うとは酷い親ですね」

爺「くく、仲間を笑うお主らには言われとうないがの。わしは少し席を外すぞ」


そう言って爺はどこかへ行ってしまった


男「......覚えてろよ」

女賢者「んふ、怖いですね」

女魔法使い「私なんか言いました?」

鷹「すみません、ついご主人様がかわいいもので」

男「まだ呼び方が抜けてないぞ」

しばらくすると、箱を持って爺が帰ってきた


爺「そろそろ息子が帰ってくるじゃろうと思っていたところでの」

男「その箱はなんだ?」

爺「そう焦るな。お主らに贈り物じゃ」


爺は大理石のテーブルの上に置かれた箱を開け、中身を取り出す


男「......なんだ、それ?」

爺「>>529

勿論コンドー・・・じょ、冗談だってば
こっちが本命じゃ!つ大きな卵

爺「勿論コンドー・・・」

男「今日こそは屍になってもらおうか老いぼれ」

爺「じょ、冗談だってば、こっちが本命じゃ!」


出しかけたコンドームをしまい、大きな卵を取り出す
というかこの爺、ご丁寧にコンドームまで持ってきたらしい


鷹「おいしい卵焼きができそうですね」

爺「うぅむ......まぁ実際うまそうじゃが、これは食用じゃないぞ」

女魔法使い「じゃあなんですか?」

爺「これはな、ドラゴンの卵じゃ」

男「......ド、ドラゴン!?」

爺「あと、お主はそろそろ運命が近づいておるな」

男「運命......」

女賢者「運命とは何ですか?」

爺「うちの子供は若い内に宿敵と戦うんじゃ」

女魔法使い「なるほど、よく変な敵と戦ってますね」

男「あれは前座だ。いつか世界の脅威になるような奴と戦うことになる」

爺「それなりに強く育てたつもりではあるが、正直お主の仲間の方が強そうじゃがの」


男は複雑な表情をしている


鷹「気にしないでください」

男「ん?あー、まぁ......うん」

爺「その卵はじきに孵るじゃろう」

男「そうだ爺さん。古王ってやつの封印がそろそろ解けてるっぽいんだが」

爺「あぁ、あやつか?なあに大した奴じゃないぞ。ただ死なないだけの化物じゃ」

男「それが問題だと思うんだが」

爺「また封印すればええじゃろう。そこら辺に埋めておけ」

男「......はぁ。あと、もう一ついいか?」


男が問いかけると、家がどこからかの強い衝撃を受ける
何かが家を揺さぶっているかのような感覚だ


爺「なんじゃ」

男「その卵、どう調達した?」

爺「巣からとってきた」

男「やっぱりか!」


男は家の外に武器を持って飛び出した

家の外には、ゆうに4mを超える巨大なドラゴンがいた
家の屋根にしがみついて揺さぶっている
このままでは、家の崩壊は時間の問題だろう


男「おいドラゴン!」

ドラゴン「......クァ......!!!」

女賢者「ちょ、待って下さい!そうやって一人で無茶ばかり!」

女魔法使い「デカい!」

鷹「......しかし、ここで殺すというのは少々かわいそうですね」

男「だが、こいつはあくまで野生の生物。卵を寄越したからといって大人しく見逃してくれるとは思えない」

男「ここで仕留める!」


男は素早く、ドラゴンの喉元に飛び掛かる
しかし、それは同時にドラゴンの逆鱗に触れることにもなる


ドラゴン「ゴアアアッ!!!」


ドラゴンは口から炎を噴いて攻撃しようとする
彼はあくまで攻撃をされる前にドラゴンを殺すつもりのようだ


女賢者「水球反作用!」


女賢者は水の玉をドラゴンの口許に発射し、炎を消火した
これで安心して攻撃できるというわけだ

男「ぜぁっ!!」


彼は懐から大剣を取りだし、ドラゴンの首をはねた


男「......よし!」

爺「ほっほっほ。これで夕飯を買いにいかずにすんだぞい」

女魔法使い「ということは?」

爺「本日の夕飯はドラゴン肉じゃ」

女魔法使い「やったー!」

鷹「私も調理を手伝いますよ」

ちなみにドラゴンは親子共々悪霊になって男の次の代で復讐しにきます


爺「......げっ」

男「どうした?」

爺「お主、逆鱗ごと斬りおったな?」

男「まぁ......そうなんじゃないか?どうも大剣は上手くコントロールできないんだ」

爺「逆鱗は高く売れるんじゃ。しかもこいつを失って死んだドラゴンは成仏できんのじゃ」

女賢者「ドラゴンゾンビというやつですね」

爺「わしが死んだらドラゴンの魂が宿るかもしれんぞ?」

男「爺の相手は遠慮したいなぁ」

鷹「ところで、一体どこの肉を食べるんですか?」

爺「んー......まず腕とかは駄目じゃ。流石に堅すぎる。食える奴もいるがの」

鷹「顔の周りも駄目そうですね」

爺「顔は駄目じゃが、首と顎の繋ぎ目の部分はいける」

鷹「と、言われますと......尻尾は向いてますかね」


ドラゴンの周りをぐるぐると回りながら目星をつけていく


爺「うむ。比較的柔軟に動く部分は食べやすい」

女賢者「ええ。このドラゴンのそういった部分はサメの歯のようになくなればまた形成されます」

目の回りの肉は絶対旨いはず魚のアラなんか最高やからな目の回りは

>>540
ほへぇ、そうなんですか。参考にします


その後、爺と鷹はダイニングにドラゴンの肉を運び込んだ


鷹「ダイニング大きいですね」

爺「うむ。こういうこともあるじゃろうと思うての」

鷹「私もやりやすいですよ」

爺「ところで、一体どのように料理するんじゃ?」

鷹「>>543

鷹「まず細かく切ります」サッ


どこからともなく包丁を取りだし、肉を切り始める


爺「それは___」

鷹「ご安心を、殺菌してありますので」

爺「そうか。調理の準備はしておくでの」

鷹「助かります。この量の調理を一人で、というのは流石に骨が折れますからね」

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