田中摩美々「プロデューサー、これ、誰ですかぁ?」 (48)


独自設定があります。



ガチャ

摩美々「お疲れ様でーす」

シャニP(以下P)「…………」

摩美々(あれ、気づいてないみたい……)

P「~♪」

摩美々(……ふふー。担当アイドルそっちのけでスマホ弄ってるんだから、驚かされても文句は言えないよねー)

摩美々「……」ソローリ




摩美々「…………あれ」

P「えっ、おわっ! ……なんだ、摩美々か。驚かせるなよ」

摩美々「一応、挨拶はしたんですケド」

P「あっ、そうだったかすまん。お疲れ様」

摩美々「お疲れ様でーす。……それで、なんですけどー」

P「……もしかして、見た?」

摩美々「……はい」

P「見られちゃったかー。いやぁ、困ったなー」

摩美々「……誰、なんですかー?」

P「えっ聞いちゃう? はは、はづきさんとか社長には内緒にしてくれよマジで」

摩美々「……」



P「に、睨むなって。……彼女だよ」


摩美々「……カノジョ……」

P「そうなんだよ! ここ数年寂しかったけど、ついに俺にも彼女が出来たんだ!」

摩美々「……そう、ですかぁ」

P「……な、なんか微妙な反応だな」

摩美々「別にー、そんなことないですよー。写真、見せてもらってもいいですかぁ?」

P「いいけど、ツーショットだからちょっと恥ずかしいな。ほら」スッ

摩美々「………………」

摩美々(……綺麗……胸も大きいし、優しそうな人……)

P「どう? 美人だろ? いやぁほんと、俺にはもったいないくらいの人なんだ」

摩美々「……そうですねー」

P「……なんだよ。もうちょっと反応あるかと思ったのになー」

摩美々「……いつから、付き合ってるんですか?」

P「先月かな。俺から告白したんだ」


摩美々「……そこまで、聞いてないですケド。……いつ、出会ったんですかー?」

P「ええと……そうだな、たしか……摩美々をスカウトしてすぐのことだったから、ええと……九か月くらい前だったかな」

摩美々「……」

P「それがさ、結構ドラマチックな感じだったんだよ。営業行くときにボタンが外れかかってたみたいで、それを見かねた彼女から声かけられてさ。初対面なのに直してもらっちゃったんだよね。それで、そこから――」

摩美々「……まみみ、もう帰りますねー」

P「えっ。あっ、おい! 送ってくぞ?」

摩美々「大丈夫でーす。……それじゃ」

バタン

P「……なんか、まずいこと言ったかな。……自慢みたいになってたかも。反省しよう……」




摩美々「彼女……プロデューサーに……」

摩美々(なんでだろう……すごく、モヤモヤする……)



――――――――


P「時間は……よし、セーフだな。あとは場所が間違ってなければいいんだけど……」

P「……あっ」


「Pさーん!」タッタッタ


P「こ、こんばんは!」

「はぁ……はぁ……すみません、待たせちゃったみたいで」

P「い、いえ! 俺もさっき来たばかりですから」

「ふふ、お気遣いありがとうございます」

P「い、いえいえ。それじゃ、行きましょうか。ち、千雪……さん」


千雪「もう、千雪でいいって言ってるじゃないですか」

P「はは……お恥ずかしながら、まだ緊張しちゃってて」

千雪「そうなんですね。でも、早く慣れてくださいね」

P「はい……今日も、お仕事ですか?」

千雪「ええ」

P「毎日遅くまで、大変ですね」

千雪「それを言うなら、Pさんだって」

P「ああ、いえ。俺の方は嬉しい悲鳴って感じですから。失礼かもしれないですが、雑貨屋さんってそんなに忙しそうなイメージもなかったので」

千雪「うちは、従業員もあまり多くありませんしね。でも、毎日とっても充実してるんです」

P「それは、千雪……さんのお話を聞けばすぐにわかります。すごく楽しそうですから」

千雪「ありがとうございます。……行きましょうか」ギュッ

P「ひゃ、ひゃい!」


P「そういえば……」

千雪「どうしました?」

P「いえ、大したことじゃないんですけど。えと、交際をしてること摩美々にバレちゃいました」

千雪「バレた?」

P「ああ、いえ! 別にやましく感じてたとかそんなことはないんですけど、ちょっと気恥ずかしくてですね、摩美々には言ってなかったんですよ」

千雪「そうだったんですか?」

P「あっ、違いますよ! 気恥ずかしいっていうのは、俺なんかが千雪さんみたいな素敵な人と付き合ってるっていうのが、ちょっと恐れ多いって意味で……」

千雪「大丈夫ですよ、Pさんがそんな人じゃないって私わかってますから。……摩美々ちゃん、忙しそうですよね。ここのところ毎日テレビで見ます」

P「ええ。WINGで優勝できたのもあって、休む暇もないままたくさん仕事が来てて」


千雪「……摩美々ちゃんは、誰かとお付き合いしたりしてないんでしょうか?」

P「摩美々が、ですか? 多分、ないと思いますけど……」

千雪「……」

P「まあ、摩美々も年ごろですし、俺に隠れて……なんてこともありえなくはないですけど」

千雪「……そうですか」

P「でも、アイドルとして、スキャンダルとかはない方が助かりますけどね! ……あいつは強要したとしても聞いてくれなさそうですけど」

千雪「……反応は」

P「え?」

千雪「Pさんが交際してるって話を聞いて、摩美々ちゃんはどんな反応でしたか?」

P「反応……ですか。……あんまり、喜んでくれた感じはしなかったかな」

千雪「……」

P「多分、俺が自慢げに話しちゃったから面白くなかったんだと思います。す、すみません……」

千雪「いえいえ」






千雪(きっと……違う)

千雪(Pさんがする摩美々ちゃんの話を聞くと……摩美々ちゃんは……)

P「……千雪さん?」

千雪「あ……すみません。ちょっと考え事をしていて」

P「ああ、いえ」

千雪「Pさんといつも一緒にいられる摩美々ちゃんが、ちょっと羨ましいなーなんて」

P「いやぁ、そんないいもんじゃないですよ。摩美々がひと段落ついたのもあってアイドル募集中ですし、千雪さんも……なんて」

千雪「いえいえ。私、今の仕事気に入ってますから。でも、お世辞でも嬉しいです」

P「お世辞じゃないんだけどなぁ……」


――――――――

摩美々(プロデューサー……)

摩美々(私、どうしちゃんたんだろ。……最近ずっと、プロデューサーのことばっかり考えてる)

「――み。おい、摩美々!」

摩美々「……あ」

P「やっと気づいたか。……大丈夫か? お疲れさま。はい、スポドリ」


摩美々「あ……ありがとうございますー」

P「まあ、収録長かったからな。でも、体調悪かったらすぐに言うんだぞ?」

摩美々「大丈夫ですよー」

P「うん、ならいいんだ。今日はこれで終わりだから、駅まで送ってくよ」

摩美々「わかりましたー。……あの、プロデューサー」

P「ん? なんだ?」

摩美々「この前の話……なんですケド」

P「この前? ……ああ、千雪さんの話か?」

摩美々「そうですねー」

P「摩美々が聞きたいっていうから、出会いから何から、全部話したんだけどな……。で、それがどうした?」


摩美々「確か、その彼女さんの雑貨屋さんとここってー、結構近いところにありますよねー」

P「……まさか」

摩美々「摩美々、ちょっと雑貨に興味が出てきたっていうかー。……まだ、時間に余裕ありますよねー?」

P「えぇ……」

摩美々「ダメ、ですかー?」

P「別に、ダメってことはないけどさ……。一応言っておくけど、店であんまり変なことしないでくれよ?」

摩美々「……まみみも、常識くらいありますよー。イタズラするのは、プロデューサーだけにしておきますー」

P「それが問題だっての……。ま、いいや。俺も久しぶりだし」

摩美々「……通ってたんですねー」

P「聞こえてるぞ。ほら、変装して。お前の場合髪型でバレやすいんだから」

摩美々「はーい」



カランカラン

摩美々「ふーん、可愛い小物が沢山ありますねー」

P「そりゃ、千雪さんが働いてるような雑貨屋だしな」

摩美々「ふふー……プロデューサー、こんなところに通ってたんですかー?」

P「その話はいいだろ! 俺だって恥ずかしかったわ!」


摩美々「本当に……かわいい」


P「ん? まあ、そうな……。で、千雪さんは――」キョロキョロ




摩美々「……いないんですかー?」

P「そうみたいだな……休憩中かも。店員さんに聞いてみるか?」

摩美々「そうですかー……別に、どっちでもよかったですし、大丈夫ですよー」

P「大丈夫って、それが目的だったんじゃ……」




「Pさん!」




摩美々「!」

P「あれ、千雪さん」

千雪「あれ、じゃないですよ。驚きました。休憩時間だったんですけど、Pさんが来たって先輩が教えてくれて――」


摩美々「…………」


千雪「!」



摩美々「…………」

千雪「…………」

P「あ、そうだったんですね。はは、すっかり顔覚えられちゃったみたいで恥ずかしいです」

千雪「……そう、ですね。Pさんは『ずっと』このお店に来てもらっていますから」

摩美々「……」

P「あっ。紹介します。といっても知ってるかな。俺の担当している――」

千雪「田中摩美々ちゃん、ですよね」

P「えっ、ええ。摩美々、こちらが――」

摩美々「桑山千雪さん、ですよねー」

P「おっ、おう」

千雪「…………」

摩美々「…………」




千雪「いつも、テレビで見ています。よろしくね、摩美々ちゃん」

摩美々「私も、『最近』話を聞いてますよー。よろしくお願いしますー」

P「お、おお?」




摩美々「……プロデューサー、帰りましょー」

P「え、なんで?」

摩美々「なんでって、挨拶できたじゃないですかー?」

P「え、だってお前雑貨に」

摩美々「いいですから。それじゃ、千雪さん、さよならですー」グイッ

P「お、おい手ぇ引っ張んなって! あっ、千雪さん、またあとで!」


カランカラン



千雪「……………………」


――――――――


摩美々(おかしい……)

摩美々(そんなつもりじゃなかった。あんな……険悪な感じじゃなくて、普通に一目見てみたかっただけなのに)

摩美々(……あれ。なんで、見てみたかったんだろ。プロデューサーの恋人って、私からしたら他人なのに)

摩美々(プロデューサーの……恋人……)

摩美々(…………)


――――――――

P(ここ一か月くらい、摩美々の様子がどこかおかしい)

P(ボーっとしているのをよく見るようになった。イタズラも、心なしかキレがない気がする)

P(何かあったのか聞いても「なんでもないですよー」の一点張りだ。何もないわけがないのは、短くない付き合いだからわかる)

P(千雪……の様子も、ちょっとおかしい気がする)

P(名前で呼ぶよう、以前よりも増して強く言ってくるようになった。おまけに、敬語も取り払うようにと言われている。それは、恋人としては喜ばしいことかもしれないけど)

P(何か、焦っているような……。こっちは気がするだけだから、何があったかは聞けてないけど)


P「……ま、そっちは明日聞けばいっか」



摩美々「……」ジー



P「……摩美々、俺の顔になんかついてる?」

摩美々「……別にぃ、ついてませんけどー」

P「そ、そっか……」

摩美々「……なんだか、楽しそうですねー?」

P「え? そんなことないと思うけど」

摩美々「そんなことありますよー。……もしかして、千雪さんですかー?」

P「え゛っ」

摩美々「……」ジー

P「……いやまあ、実はそうなんだよね」

摩美々「へー……」

P「最近さ、俺も色々やってて忙しかったろ? 明日やっと休みになったからさ、久しぶりにデート行く約束してて」

摩美々「……」


P「な、なんだよその目は」

摩美々「まみみ、明日はレッスンが入ってるんですケド」

P「あー……その点に関しては、本当に申し訳ない! で、でもさ! 摩美々は摩美々で別の日にオフ入ってるだろ?」

摩美々「それは、そうなんですけどぉ……」

P「だ、だから勘弁してくれ! な! お土産も買ってくるからさ」

摩美々「……別に、いりませんよー」

P「拗ねないでくれよー」

摩美々「拗ねてるわけじゃ、ないですけど……」

P「……じゃあ、一体――」

摩美々「大丈夫ですよー。まみみは、一人でもちゃーんとレッスンできますからー」

P「……?」


――――――――


キュッ キュッ

摩美々「…………」

はづき「はい、そこでターンしてくださいね」

摩美々「はぁい」



キュッ キュッ

摩美々「…………」



『明日やっと休みになったからさ、久しぶりにデート行く約束してて』


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『久しぶりにデート行く約束してて』


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『デート行く約束してて』


キュッ キュッ

摩美々「…………」



『デート』



キュッ キュッ

摩美々「…………」

摩美々(……デート)





キュッ ガッ

摩美々「……あっ────」


はづき「――――はい、これで応急処置は完了です」

摩美々「……ありがとうございます」

はづき「いえいえ。ただのねん挫みたいでよかったです。でも、念のためちゃんと病院に行くようにしてくださいね。……あ、ご両親には?」

摩美々「……まだ、連絡はしていません」

はづき「そうですか。私は用事があって少しだけ席を外しますけど、もしその間にご両親が来れないみたいだったら、私が病院に送りますから」

摩美々「はい。……あの」

はづき「どうしました?」

摩美々「その……すみません。ちょっと、集中してなかったかも……」

はづき「いえ。ダンスレッスンにケガはつきものですし、あまり気を病まないようにしてくださいね。それでは、すぐに戻ってきますから」



摩美々「…………はぁ」


摩美々(何してるんだろう……)


摩美々「……電話は、仕事中だから出ないよねー」


摩美々(……プロデューサーは、今頃……)


摩美々「……」




摩美々(…………やっとわかった。嫌なんだ、私……)


摩美々(プロデューサーが、遠くに行っちゃうのが。ほかの女の人に、目を向けてるのが)


摩美々「……プロデューサー」ジワッ


摩美々(私、プロデューサーのことが……)



ガチャッ バンッ!


P「摩美々!」

摩美々「…………え?」

P「大丈夫か! って、おいおい、涙まで流して……」

摩美々「プロ、デューサー……?」

P「ごめんな、遅くなっちゃって。立てるか? 車で来たから、そのまま病院に行こう」

摩美々「なんで……」

P「はづきさんから連絡もらったんだ。まだ出発前で助かったよ」

摩美々「……デートは」

P「気にすんな、デートはいつだってできる。ちゃんと千雪にも連絡入れた」


摩美々「……あ」

P「どうしよ……肩貸すけど、おんぶの方がいいか?」

摩美々「……ああ」



摩美々(わかった…………私、好きなんだ)



P「お、おい? 摩美々?」

摩美々「……ふふー」




摩美々(プロデューサーのことが、好きなんだ)




P「泣きながら笑うなよ……もしかして、頭も打ったのか?」

摩美々「いえ、打ってませんよー。……おんぶで、お願いしますー」

P「なら、いいけど……ほら、つかまれ。よっ……と」

摩美々「……」ギュッ

P「お前、軽いなあ。ちゃんと食べてるのか?」

摩美々「最近、ダイエットしてましたから。ふふー、でも、これから戻ると思いますー」

P「ならいいけどさ。でも、食べすぎるなよ?」

摩美々「どうでしょうねー。まみみ、悪い子ですからー」

P「それだけ軽口叩けるなら、本当に頭は打ってないみたいだな」

摩美々「……ねえ、プロデューサー。愛してますよー」

P「なんじゃそら。はいはい、俺も愛してるぞ~」

摩美々「……ふふー」

摩美々(暖かい)

摩美々(……これからも、摩美々がアイドルでいる限り、ずっと――――)











千雪「………………………………………………………………」









――――――――

摩美々「……え」

P「……」

摩美々「それ、本当ですかぁ?」

P「嘘ついても仕方ないだろ」

摩美々「……でも、振られたって」

P「仕方なかったのかもな。俺も千雪も忙しくって中々会えなかったし。まあ、仕事楽しくてずっと仕事してる俺が悪かったんだよ、きっと」

摩美々「……あの。もしかして、摩美々が」

P「ああいや、摩美々がケガしたのは関係ないさ。そのあと、仕事終わってからだけど何回か会ったし」


摩美々「そう、ですか……」

P「……ああもう、暗い顔するんじゃない! 社会人の男女が付き合えばいずれにせよ別れるか結婚するかするんだから! それより! お前、俺の鞄に下着入れただろ!」

摩美々「……ふふー、そうですよねー。それより、なんでそれが摩美々のだってわかるんですかー?」

P「切り替えが早すぎるだろ……ちょっとは気にしろよ」

摩美々「まーまー、いいじゃないですかー」

P「ったく……俺の鞄に下着入れる奴なんてお前くらいしか思いつかないよ」

摩美々「そうですよねー。私くらいしか、いませんよねー」

P「……最近、摩美々のイタズラが過激になってる気がするよ」

摩美々「そうですかー? ……おらーっ」

P「おい、抱きつくなって! 暑いから」

摩美々「ふふー……まみみがー、慰めてあげますからねー」

P「お、おい離れろって! こんなところ、誰かに見られたら――――」






千雪「ふふ。楽しそうですね、Pさん……」





摩美々「……えっ」バッ

P「……ち、ゆき……なんで……」

千雪「お久しぶりです。『プロデューサーさん』」

P「どうして……ここに……?」

千雪「どうしてって……決まってるじゃないですか」




千雪「私も、アイドルになることを決めたんですよ」





P「ちょっ、こっちに来てください!」グイッ

千雪「……」チラッ




摩美々「……」


P「どうしたんだ、いきなり」

千雪「どうもこうもありません。私、アイドルになります」

P「だ、だって。雑貨屋の仕事は……」




千雪「辞めました」

P「え?」

千雪「辞めちゃいました。雑貨屋さん」

P「う、嘘だろ……? か、考え直せよ」

千雪「あら、『プロデューサーさん』が、私がアイドルになれるって言ってくれたんですよ」

P「それは、確かに言ったし……誓って、嘘じゃないよ。でも、あんなに仕事を気に入ってたのに……」


千雪「アイドルの方が、楽しそう……というと語弊がありますね。魅力を感じましたから」

P「なんで……。土下座、すればいいのか?」

千雪「どうして、プロデューサーさんが土下座する必要があるんですか?」

P「だって……おかしいじゃないか。振った相手の職場に来るなんて」

千雪「……」

P「なあ、千雪。俺が……俺が悪かったよ。あれだけ、しつこいくらいアプローチしたりしてさ、いざ交際してもらえたら仕事仕事で……俺に呆れて怒るのもわかるよ」

P「でも……そのために、俺みたいなダメな男のために千雪の人生が大きく変わっちゃうのはまずいよ。良くないよ……それは……」

千雪「……」

P「千雪……さん……」


千雪「……Pさんは、やっぱり、優しいんですね」

P「……」

千雪「でも、いくつか勘違いしてますよ。まず、私は貴方に怒ってなんていません」

P「え……?」

千雪「アイドルになるのを決めたのは、さっきも言いましたが、アイドルに魅力を感じたからです。雑貨屋をやめたことも後悔していませんし、それに、もうはづきさんと天井社長には話を通してあります」

P「……それは」

千雪「Pさん、言ってたじゃないですか。『アイドル募集中だ』って。だから、仕事を辞める前に二人と話をつけておいたんです」

P「なんでそんな、回りくどいことを」

千雪「だって……こうして、私のことを心配して。Pさんは、止めてくれるじゃないですか」

P「それは……」

千雪「それと……もうひとつ。私は」スッ


チュッ

P「!」

千雪「……今でも、貴方のことを、愛しています」

千雪「Pさん、言っていましたよね? アイドルなら、スキャンダルなんてない方がいいって」

P「言いました、けど……。なら、なおさらなんでアイドルを……」

千雪「私、気づいちゃったんです」

千雪「あなたが、どんなに私のことを大切に思ってくれていたとしても……『プロデューサーさん』は、摩美々ちゃんが……アイドルが、何よりも大切だったんだってことが」

P「そんな、こと……」

千雪「言い切れましたか。交際しているとき、もし私が風邪をひいたり、ケガをしたとしたら。摩美々ちゃんと一緒の仕事を休んで、私のところに来てくれたって。……言い切れましたか」

P「……」

千雪「……だから、私もアイドルになったんです。アイドルである内は、私も我慢します。プロデューサーとアイドルとして。……ねえ、今でも私のこと……好きでいてくれますか?」

P「……千雪、さん……」







摩美々「……そっか」




P「……あたらめて、紹介するよ。摩美々」



千雪「アイドルとして活動することになりました。桑山千雪です」

摩美々「……田中摩美々、ですよー」







摩美々「……私、アイドルとしてなら、誰にも負けませんからー」

千雪「……ふふ。お手柔らかに、ね」


終わり

終わりです。読んでいただいてありがとうございました。
摩美々ちゃんの口調難しいです……。

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