女騎士「便意超特急」(34)

女騎士「便意超特急」

~とある公園~

女騎士「ヤバいヤバいヤバい」

ダダダッ

女騎士「お腹が痛い。さっき食べたしらす丼か…?」

ダダダッ

女騎士「確かここの公園にはトイレがあった筈…おっ、見つけたぞ」

ダダダッ

女騎士「女子トイレの大便個室A…先客は…」

ガチャガチャ

排便者A「入ってまーす」

女騎士「ちぃぃっ…次、大便個室B!」

ガチャガチャ

排便者B「入ってまーす」

女騎士「南無三!」

グキュルルル…

女騎士「ぐぬっ…更に便意が加速…しかも大便個室は満室…フフ、絶体絶命というしかないな」

ニヤリ

女騎士「だがこんな状況さえも私は!楽しむ事が出来るだけの余裕がある!」

グキュルルル…

女騎士「そもそも、便を便器に出さねばならぬと、誰が言った?」

女騎士「大便個室だけが排便する場所にあらず…ならば!」

ヌギッ

女騎士「この世界全てが!便器であると言っても過言では無い!」

リキミィ…

女騎士「やる、やってやる…やってやるさ…」

プルプル

女騎士「便器ではない、床に…私は!」

プルプル

女騎士「…」

ポロッ
ポロポロ

女騎士「ふぐうっ…ひぐっ、えぐっ…何で…何で出ない…?便器か否かという違いだけで…何故私は排便できないっ…!?」

ガチャ バタン

排便者A「それは」

ガチャ バタン

排便者B「君に羞恥心があるからさ」

女騎士「は、排便者A!それに排便者B!」

排便者A「いやなに、何やら苦しそうな声がしたものでね」

排便者B「尻も拭かずに出てきたって訳ですわよ」

女騎士「お、お前らぁ…」

排便者A「困っている人を放ってはおけないからね」

排便者B「ええ。便器以外に便をもらすなんて、敗北者のする事ですものね」

女騎士「!」

グキュルルル

女騎士「ハァッ…ハァッ…」

ブリュッ

女騎士「敗北者…?」

排便者B「そうですわ…便器以外に便を出すのは…敗北者じゃけぇのぅ!」

女騎士「取り消せよ…!」

ブリュブリュブリュ

排便者A(めちゃくちゃうんこでてる)

排便者B「敗北者!敗北者!敗北者ったら敗北者!」

排便者A「へいへいへーい!」

女騎士「ぐぎぎぎぎ…」

排便者B「何も言い返せない…やはり敗北者じゃけぇのぉ!」

女騎士「取り消せよ…!」

ガバァッ
オシリ テンタカク

女騎士「取り消さなきゃ…私のっ…フヒッフヒッ…しっ、尻がよぉ…あっあっ…暴れちまうよぉぉぉ!?」

排便者B「や、止めなさい!尻を天に向けるのは止めなさい!」

女騎士「何を!」

排便者A「分からない奴ね!止めろと言っている!尻を!」

女騎士「何が!」

排便者A「ほ、本当に止めないと…」

排便者B「わ、わたくし達にも考えがありますわよっ…!」

女騎士「面白い…やれよ…やって!みせろよ!」

シリアナ フルエル

女騎士「会いたくて…会いたくて震える!尻穴が!」

プスーップスッ

排便者A「…フフッ」

排便者B「脅かしやがって、ですわ…。不発!便花火、パッと光って咲くこと無く!不発ッッ!」

女騎士「クックック…まるで、まるで分かっちゃいない…便花火…その見方を!あんたらはまるで分かっちゃいない!」

クルッ

排便者A「!?」

排便者B「尻穴を横に!?」

女騎士「便花火の真価は…下から見るか横から見るかでまるで違う…!横からの便花火…この至近距離でまともにぶつかれば!」

排便者A「や、やめろーーーっ!」

排便者B「こ、この距離で便花火を打ち上げれば!貴方も無事では!」

女騎士「そうだな。生き死には五分五分といったところだろう」

排便者B「おやめなさい、今なら引き返せますわ!きっとまだ!」

女騎士「終わらない…そんな事では終わらない!私の!私の家族の苦しみは!『翡翠』一族の肉染みは!」

排便者B「翡翠…」

排便者A「!」

排便者A「ま、まさか貴方は…翡翠一族の…生き残りだと…!?」

女騎士「だったら!どうだと!」

グキュルルル

女騎士「どうだと!言うんだァァァァァッッ!」

プスーップスッ
プスッブチュッ
ブリュブリュブリュ!

排便者B「べ、便花火!」

排便者A「うわぁぁぁ!かつてない便が来る!」

女騎士の尻穴から放たれた一筋の光は
排便者Aに当たって弾けた。
それは目も覚めるような鮮やかな緑色の便花火であった。

ブキュルルル!
ビチャパァァァン!

排便者A「ぎいやぁぁぁ!」

排便者B「緑の便花火…やはり翡翠の一族なのですね…!」

女騎士「そうだ…そしてそれを知っているという事は!お前も!あの事件の関係者だという事!」

排便者B「あの事件…『緑のバレンタイン』の事…ですわね…」

女騎士「くふっ…くふふっ…やった、やったぞ。直撃だ、生きてはいまい!」

排便者B「くっ…たとえ貴方が酷い目にあったといったって!排便者Aやわたくしに便花火を放っていいという理由には!」

女騎士「なるさ。いや、ならなかったとして、それがどうした?」

排便者B「!?」

女騎士「私が翡翠の一族だろうが何だろうが…本当はそんなもの…」

ポロッ…

女騎士「私が今までに何人を便花火で始末してきたと思う?無慈悲に無差別に…老人や赤子…明日が予定日の妊婦さえも…私は!」

排便者B「あ、貴方…は…」

女騎士「戻れない…止まれない…私は!走り続けるしか!便花火を打ち上げ続けるしか!」

ズズッ

女騎士「!」

排便者A「ふ、ふ…黙って聞いてりゃピーチクパーチクと…まったく他人の愚痴ってえのは不快極まるぜ。まるでフライドチキンに揚げたバターをぶっかけたみてぇに胸焼けがする」

女騎士「ば、馬鹿な!?便花火の直撃で生きている筈が!」

排便者A「直撃だァ?バカ言うなありゃあキスされただけだよ。ちぃっと臭いはキツかったがドブ暮らしの娼婦よかいくらかマシさ」

排便者B「排便者A!無事だったのですわね」

排便者A「たりめーだ、私を誰だと思ってやがる」

ガサゴソ シュボッ

排便者A「フーッ、こんなメタン臭ぇところでも相変わらず煙草はうめぇ」

プハーッ

揺らめく紫煙。毒々しいそれは
まるでヒトの頭蓋のような形をして消えた。

女騎士「紫煙の煙草…なるほどあんた旧式の『魔法使い』か」

排便者A「そ。珍しいだろ?今時煙草で魔力補給なんてぇのは、よ」

女騎士「ふん、そんな化石まがいのものに私の便花火が防がれた、というのか…?」

排便者A「まぁな。確かにあんたの便花火は一級品だが…私の『追放』の魔法にかかりゃ、こんなもんよ」

スパーッスパーッ

女騎士「ふ、ふ。随分と吹かすじゃあないか。追放の魔法とやらは魔力をべらぼうに消費するとみた!」

排便者A「ちっ、その通りさ。私は魔法使いとしちゃあ燃費がすこぶる悪いんだよ。落ちこぼれってぇヤツでよ…」

スパーッスパーッ
ポイッ

排便者A「一回で一本…吸い貯めもできねぇ。不便でしょうがねぇ」

女騎士「なるほど…ならば二発!便花火を連続で放てばお前は!」

シリアナ ググンッ

女騎士「おしまいという訳だな!」

排便者A「おいおい…まじかよ」

タラーッ

排便者A「やめてよね…」

ズッ
ゲンッ

女騎士「しいっ!」

フワッフワ
ブリャリャリャリャ…

排便者A(一発目!あえて勢いの弱い便を…)

女騎士「さぁどうする。これを避けても私は間髪入れず二発目の便花火を放つ!それで貴様は終わりだ!」

排便者B「は、排便者A!」

排便者A(ちっ…そんな心配そうな目で見やがって…もう二度と悲しまずに済むようにやってきたってのによう…私は…)

キッ

排便者A「私は!とんだ馬鹿者だ!」

ギャリリリリ!
ギュパィィィィィン!

排便者A「術式拘束解除…!」

女騎士「何をしようとしているか分からんが、無駄だ!もはや一発目の便花火が貴様の目前に来ているぞ!」

排便者A「…」

スッ
ギュパィィィィィン!

女騎士「なっ…!?」

ギュパィィィィィン!

女騎士「便花火が…消えた…?排便者Aが右手をかざしたら私の放った便花火が一瞬で消え去ってしまった!?」

排便者B「ほ、本当ですわ!排便者Aが右手をかざしたら女騎士の放った便花火が一瞬で消え去ってしまったのですわ!」

排便者B「言っただろう…私の使う魔法は…『追放』だ、と。私のとっておき…その名を」



【追放する絶対勝利の右手(バイバイバタフリー)】

女騎士「ば、追放する絶対勝利の右手(バイバイバタフリー)…!?」

排便者A「そう!私の右手は全てを追放する!便花火も!過去の過ちも!お前の罪さえも!」

ギュパィィィィィン!

女騎士「私の罪…?き、貴様な、何をいっ

ギュパィィィィィン!

そして容赦無く女騎士は追放された。

排便者A「追放する絶対勝利の右手は万物平等に追放する…例外は、無い。そして追放とは…『初めから無かった事にする』という意味…ゆえに女騎士よ、お前のそんざ

キィィィィィン…

排便者A「…」

排便者A「なんだったっけ…?」

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