千歌「念能力でラブライブを目指す!」 (214)

内浦、海岸


千歌「…」

ザザーン


千歌「『あなたたちのやってることはスクールアイドルへの侮辱です』、か」

千歌「…」はぁ…


千歌(初めはただの憧れだった…。私もμ’sみたいに輝きたいって思ってた)


千歌(でも…。結局私はスクールアイドルになれればそれで良かったのかな)


千歌「それじゃあ本気でやってる人たちからしたら舐めてるって思われても仕方ないよね」

千歌「…」ぽろぽろ


千歌「何やってるんだろ…私」



ザザーン



―――――――
―――
――


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ダイヤ「…やはり、東京行は止めるべきでした。1番近くで見ていた私が」

果南「いや、ダイヤは悪くないよ。…でも、やっぱりあの‘壁’は今の千歌たちには高すぎる」

ダイヤ「あんな思い、絶対あの子達にはさせたくなかった…。もしかしたら、彼女達に身勝手な期待を押し付けていたのかもしれませんわ」

果南「ダイヤ…」

鞠莉「私は良かったと思うけどね」

果南「ま、鞠莉?!アンタいつの間に…!」


鞠莉「うふっ、マリー抜きで楽しそうな会話してるじゃない。果南、ダイヤ♡」

鞠莉「何よ、こんな時間に2人でラブラブしちゃって!マリーも混ぜなさいよ」グイグイ

果南「はぁ…、私たちがそう見えてるならさぞ毎日楽しいだろうね」

鞠莉「ふふ…♡当り前じゃない。で、どう?カワイイ後輩ちゃんたちは。今日帰ってきたんでしょう?」

果南「…説明いる?」

鞠莉「あーいいデスいいデス。じゃ、あの子達もこれからね♡」

果南「これからって…、無責任すぎでしょそれ。なんで千歌たちを東京に行かせたの?早すぎるよ…!」

鞠莉「んー。だって彼女達が行きたいっていうから。マリーは理事長として生徒の自主性を重んじただけよ?」

果南「鞠莉の言うこれからを奪ったかもしれないんだよ?!千歌達はまだラブライブを目指すって決めた訳でもないのに。私たち3人であの子たちを応援しようって決めたじゃない!」

鞠莉「遅い早いなんかないわ、結局はあの子たちがどうするかってこと。ねぇ、果南。憧れてしまったのよ、彼女たちは。スクールアイドルに。あの子達の目を見たでしょう?」

果南「ッ…!」

鞠莉「もうあの子たちは高みを目指すほかないの。このまま内浦でスクールアイドル‘ごっこ’だけして終われたかしら?諦められないってことは私たちが良く知ってるじゃない。」




鞠莉「ここからはあの子たちの『燃』の問題。私たちはただ答え待つだけよ♪」

――――――
―――
――

ザザーン

『千歌ちゃんは…、悔しくないの?』


悔しい、かあ
悔しいってなんだろ?


私、今まで悔しいって思ったことあったかな…?

悔しさを感じるほど譲れない事もなかったし、 むしろ何かあったら他の人に譲ってきた。


私には何の才能もないし、昔から敵わない事だらけだったから、
悔しい思いをしないように、そういう癖を作っちゃったのかもしれないね。



でも、それで良かったんだ。
だって、譲れない事もなかったし。

『悔しくないの?』

うん。悔しくないよ。

大丈夫だよ、ちゃんと分ってる。
こんな普通な私の望みがかなう訳ないってことくらい。



でも、なんでかな…?

千歌「うっ…うっ…」ポロポロ

なんで涙が止まらないのかな…?


―――――――
―――

『…ちゃーん?』

千歌(…?)

『千歌ちゃーん?』

千歌(梨子ちゃん…?)

梨子「あ、いたいた千歌ちゃん」ザッザッ


千歌(…こっちに来る)

千歌(どうしよ、泣いてるなんて知れたら大変だ…!!)

梨子「千歌ちゃん、こんなところにいたん―――

タタタタ!

梨子「え」


バッシャーン!!



梨子「きゃああああ千歌ちゃん?!」

―――――――
――――
――

梨子「なんで急に海に飛び込むのよ…」ぐっしょり

千歌「いや~。私も海の中で何か見つからないかな〜って思って」えへへ

梨子「…何よ、その理由」はぁ…

千歌「その理由って…、それを梨子ちゃんが言うんだ」ボソ

梨子「あ、あれは別にいいでしょ!あの時はどうしても海の音が聴きたかったの!」

千歌「私もどうしても見つけたいものがあったんだよ」あはは

梨子「はいはい。でもあなたの後ろ姿ね、まるで身投げしようとしてる風にしかみえなかったんだから」

千歌「だから〜、それを梨子ちゃんが言うの~?」

梨子「もー茶化さないでよ!」

千歌「ごめんごめん、心配してくれたんだよね。そろそろ帰ろっか。リーダーなんだし、私がしっかりしなくちゃ!それにしても、塩水目にしみる~」ごしごし

梨子「…」


梨子「…確かに」


梨子「あれはおかしかったね」



千歌「…え?」

梨子「あの時は、正直追い詰められてから」

千歌「梨子ちゃん?」

梨子「ピアノが弾けなくなって、追い詰められてて、1人じゃどうしようもできかった。とても不安だった」

千歌「…梨子ちゃん」

梨子「でもあの時、千歌ちゃんは私と一緒に飛び込んでくれた」

梨子「見ず知らずの私に、同じ目線で一緒に話をしてくれたし、聞いてくれた」

千歌「…そう、だっけ」

梨子「うん。正直あの時は訳分からなかったよ、いきなりスクールアイドルの話始めたりしてさ」

千歌「あ、あはは…」


梨子「ねぇ千歌ちゃん」



梨子「そんなに強がる必要ある?」

千歌「え」


梨子「リーダーだからって、無理する必要あるのかなって」

千歌「…そ、そんな、無理なんてしてないよ。やだな~梨子ちゃん」


梨子「確かに周りをグイグイ引っ張って行くリーダーなら、みんな安心して付いていける。でも、みんなと一緒に悩んで、同じ目線で話してくれるリーダーも素敵だと思うの」


梨子「私は千歌ちゃんがリーダーで良かったって思ってるよ。それにみんなも」




千歌(…)

千歌「…でもね、梨子ちゃん。そんな頼りない私のせいでみんなに辛い思いをさせちゃったんだよ」

梨子「1番辛いのは、千歌ちゃんでしょ?」

千歌「…え」

梨子「千歌ちゃんが、1番スクールアイドルやりたがってたじゃない。今まで千歌ちゃんが必死に頑張ってきたの、私知ってるよ」

千歌(私が…やりたがってた…)


梨子「強がらなくていいよ、千歌ちゃん。悔しいよね、私も悔しい…!」


千歌「梨子、ちゃん…」

曜「千歌ちゃんは肝心な所で弱みをみせないからね」

千歌「よ、曜ちゃん…!?どうしてここに」

曜「2人と一緒、やっぱ眠れなくてね。みんなもそうみたい」


千歌(―――みんな!?)


ルビィ「千歌先輩、わたし達話し合ったんです!やっぱり諦めたくないって…」

花丸「わたし達もっともっと練習頑張りますっ!だから…」

善子「こんなところで諦めるなんて言わないでしょ、‘リーダー’?」


千歌「みんな…」

曜「…だってさ」

梨子「千歌ちゃんは、どうしたい?」にこっ


千歌「私は…」



千歌(―――そうだ)

千歌「曜ちゃん」

曜「…ん?」

千歌「私ね、悔しい。」

千歌「悔しいんだよ、曜ちゃん」

曜「…うん」ニコ


千歌「私ね…、私なんかが悔しいなんて思うのおかしいって思ってた…!」ぽろぽろ

千歌「だって…、だって悔しいって思う権利がある人は、譲れないものがある人だからっ…!」グスッ

千歌「なんの取り柄もない私が…、何もない私が悔しがるなんて…そんなの…おかしいじゃん」

曜「…」


千歌「でもね、どうしてもやっぱり悔しいんだよ…!!」

千歌「私、スクールアイドルだけは譲れないみたい…」

千歌「これだけは…、譲れない。譲りたくない…!!」グスッ

曜「…そっか」よしよし

千歌「うぅぅ…」


千歌「うわあああん、悔しいよおお」ボロボロ

千歌「悔しいよおうわあああん」


曜「うん…うん…」

―――――
―――
――

翌日、理事長室



鞠莉「お帰りなさい。どうだった、東京は?」

千歌「やっぱり…、東京はレベルが全然違いました。私たちじゃ手も足も出なかったです」

鞠莉「そう」

千歌「考えの甘さを思い知らされました」

鞠莉「ふぅん」


千歌「でも」


鞠莉「ん?」



千歌「私、改めてスクールアイドルは凄いなって思ったんです…!みんな精一杯輝こうとしてて…、改めて惹きこまれました!私たちも負けたくないって、上を目指そうって…!」


千歌「そう決めたんです、みんなで!」

鞠莉「…」


千歌「私達は、ラブライブを目指します…!!」



鞠莉(…ふふ)

鞠莉(…ふふ)

鞠莉「いい事ね」にっこり

千歌「はい!!」

鞠莉「――でも残念」

千歌「え?」




鞠莉「あなた達じゃラブライブには出られないの」

みんな「…!!!」

曜「ど、どうしてですか?!」

鞠莉「今のあなた達じゃ『壁』を超えられないから♡」

花丸(壁…?)

善子「だ、だから…、今からたくさん練習して」

鞠莉「ふふっ、いい心がけね。でも」




鞠莉「――それだけじゃ、だ・め・な・の♡」ズズズ


鞠莉「さて、私は今何をしているでしょう?」ニヤリ

梨子「な、何って」

善子「何もしてないでしょ!?」

鞠莉「うーん、残念。あなたには見えないのね」

善子「?!、み、見えるわよ!」

花丸「善子ちゃん何がみえてるずら?」

善子「え、えーと…そう!!理事長の背に漆黒の翼が…!」

鞠莉「はずれ♫」

善子「なんでよ!私だって見えるんだからぁ」

曜「…なんか」


鞠莉「はい、渡辺さんなんでしょう」

曜「気のせいかもしれないですけど、理事長の雰囲気が変わったような…」


鞠莉(…ふーん、なるほど。この娘はいい線いってるわね)


鞠莉「タイムアップ。残念〜、ここまでよ♡」



鞠莉「今、私は『念』をつかってまーす」ズズズ

曜「念…?」

善子(何言ってんの、この人…)

鞠莉「んー何から説明したものかしら。念ていうのは誰もが持ってる潜在能力みたいなものね、ざっくり言うと」

善子(私にもそんな力があるのかしら…!!)わくわく

花丸「…善子ちゃん」シラー


梨子「あ、あの!話が見えないんですが…」

鞠莉「うーん、そうね。千歌っちがスクールアイドルに憧れた理由ってなんだっけ?」

千歌「え?えーっと…秋葉原でμ'sの映像を見て…、それが凄い輝いて見えて…、私も輝きたいって思ったからで―――


鞠莉「グレイト!いってしまえばあなたはμ'sのオーラに惹かれたって訳ね」

千歌「μ'sの…オーラ…?」

鞠莉「オーラは人を惹きつける。程度の差こそあれ世間で持て囃されているアーティストや大企業の社長さんなんかは人より強いオーラを持っていると言われているわ。意識しているかは別としてね♪」

ルビィ「…ということは」

鞠莉「昨今のスクールアイドルブームは、彼女たちの持つオーラがそうさせていることになるわね♡」


みんな「――――!?」



鞠莉「そして、ラブライブの上位に入るスクールアイドルになれば、全員それを『意識して』使っているわ」

千歌(あの時―――)

千歌(秋葉原でμ’sを見て感じたアレは…、μ’sのオーラだったの…?)

曜「じゃあ…、いや全然話飲みこめてないんですけど…、ラブライブで上を目指すためにはオーラが使えることが前提ってことになるんですか…?」

鞠莉「イエス♡いわゆる裏条件て奴ね。上に行くのにオーラが使えなくちゃ話にならないわ。」

花丸「そんな…」

鞠莉「今のラブライブは当初想定していたレベルを遥かに超える事態になっているのは知ってるわよね、μ’sやA-RIZEの影響でね。スクールアイドルの技術自体は当時と比べ物にならないほど進化した。それこそオーラが必須になるほどに。」




鞠莉「でも未だに彼女たちは夢見る少女を惹き続けている…。一体どれほどの念能力者だったのかしら…♫」


千歌「…」

鞠莉「ペラペラ喋ったけど早い話、ラブライブは念能力が使えないようじゃ通用しないってこと」

千歌「念能力…」

鞠莉「ええ、人を惹きつけると言われているオーラを念能力にまで昇華させる程の使い手になれれば取り敢えず勝負の舞台には立てるわね♫。そこから先になってやっとパフォーマンスの勝負ってところかしら。これで練習云々は2の次だって分かったでしょ?」


善子「じゃあ、早く念能力ってのを身につけなくちゃじゃない…!」

鞠莉「うーん、それは無理ね」

善子「ええー、なんでよ!」

鞠莉「言っとくけど念能力は1日、2日でなんとかなるものじゃ無いの。とても長い時間が必要よ?ラブライブ選考は9月から始まる、どう考えても間に合わないわ」
 

梨子「そんな…」

曜「鞠莉さんはそれ、どれくらいでものにしたんですか?」

鞠莉「うーん、だいたい3ヶ月ね。でもそれはただ使えるっていう状態よ。ものにしたって意味じゃ1年はかかったわ」


ルビィ「もう2ヶ月しかないのに…1年…」

鞠莉「残念だけどね。そこであなた達に提案があるの」

千歌「?」

鞠莉「―――今回のラブライブエントリーは、旧aqoursに譲ってくれないかしら」


みんな『旧aqours~~?!』



―――――
―――
――

曜「まさか果南ちゃんや生徒会長もスクールアイドルをやっていたなんて…」

ルビィ(お姉ちゃん…)

鞠莉「私達も2年前東京に行った。結果はあなた達と同じよ。今言った見えない壁に行く手を阻まれた」


鞠莉「私の留学もあって活動は有耶無耶になってしまったけど、私達は諦めたわけじゃ無い。この2年間、わたしはずっと念能力を磨いてきた。他の2人もそうよ。私達3人なら、ラブライブでも戦えるわ。」

善子「だから譲れと…?!」

鞠莉「あなた達はまだ来年があるじゃない。私達はこれが最後なの。」

曜「それは」


鞠莉「もちろんこっちの勝手な都合よ。そうね、じゃああなた達は名前を変えてエントリーするのはどう?まぁ、あなた達が万が一地区予選まで残っていたとしてもそこで私達に負けるんでしょうけど」

千歌「そんな…!名前は…捨てられないです。この名前を呼んで、応援してきてくれた人達もたくさんいるから…!」

鞠莉「なら、今年は力を磨きなさい」

千歌「あ、あの…私達、一緒のグループでやっていく事はできないんですか…?理事長たちなら喜んで」

鞠莉(…。)

鞠莉「…無理ね。今のあなた達じゃ私達からしたらただの足枷よ。言っておくけど名前を捨てられないのはこっちも同じ。これは大切な名前だからね。ラブライブは私達の夢だから、絶対に譲れないわ」


千歌(…!)

譲れない?

そうだよ
それなら…私だって…!


千歌「譲れないのは…、私達も同じです…!!」

曜(千歌ちゃん…)ギュッ

鞠莉(…ふふ)


鞠莉「困ったわねぇ。じゃこうするのはどうかしら♡まだ予選までは2ヶ月あります。そこまでにどちらが出場にふさわしいか勝負しない?どちらも折れないのなら、相手を折ってでも進むしかない…そうでしょ?これなら分かりやすくて良いと思うんだけど♫」


千歌「勝負…?」


鞠莉「もちろんカラオケバトルだとか、ダンスバトルだとか、男坂階段駆け上がり競争だとかじゃ無いわ。念能力を使った勝負。念とは言ってしまえば『その人の力そのもの』。才能、努力、気持ちーー全てがそこに集約される」




鞠莉「――決着に相応しいと思わない?」うふふ

梨子「そんな、理事長言ったじゃないですか…。今日知って明日できるものじゃ無いって!」


鞠莉「フェアな勝負じゃないと?でもラブライブには暗黙のルールとして念の習得があるんだし、勝負の条件としては妥当じゃ無いかしら?もちろんハンデはつけるわ。勝負はこちら3人と、あなた達6人。単純計算で2対1。これでどう?私達に2人がかりで勝てないようなら、どちらにせよあなた達に先はない。」


鞠莉「…譲れないっていうなら、奪われないような『力』が必要だと思う。どうかしら?」

千歌「分かりました。やります」



鞠莉(…♡)

梨子「千歌ちゃん?!」


鞠莉「千歌っちはもっとおっとりとした子だと思ってたのにな~。先輩を立ててくれるような♡」


千歌「そう見えていたのなら、…それは私に譲れないものがなかったからです。でも、今はもう違う。先輩たちがワガママ言うのなら、私たちも言わせてもらいます」

鞠莉「…ふーん♪」


千歌「あ…!ご、ごめんねみんな。勝手に1人で突っ走っちゃって…。あの――

梨子「…いいよ、"リーダー"。やりましょ!」

千歌「梨子ちゃん…」

ルビィ「ルビィも…、せっかくスクールアイドルになれたのに…その夢を今更譲るなんてできないです…!」

花丸「マルも、ルビィちゃんと同じずら!」

善子「念能力ねぇ…。ま、ヨハネなら楽勝よ。私は既に天界から授かりし闇の力にめざめているもの♪」


曜「…だってさ。私ももちろん付き合うよ、千歌ちゃん♫」


千歌「みんな…。ありがとう…!!」

鞠莉(…ふふ)

鞠莉「ok〜、分かったわ。それなら日を決めてなかったわね。9月手前、夏休み最後の日。この日に決着をつけるのでどうかしら?その後のことを考えるならこの日が限度よ。ここまで待ってあげる♡」

千歌「わ、分かりました」

鞠莉「うふふ、健闘を祈るわ。でも諦めるなら早く言ってね~、私たちも忙しいんだから…♪」

千歌「諦めませんよ、絶対に」

鞠莉「ふふ…、そ。あ、最後に一応言っておくけどね…みんな」

みんな「…?」

鞠莉「手加減はしないから」


――――?!

千歌「…はい」ぞくぞく

――――――
―――


ダイヤ「それで、あの子達はなんと?」

鞠莉「ふふ、乗って来たわよ。散々煽ったしね〜♫」

果南「前に…、進むんだね」

鞠莉「…だから言ったでしょ。前に進むしかないの♪なんたってあの子たちはスクールアイドルなんだし」

果南「…だね。良かったよ、本当に」

ダイヤ「こうなると、大変なのはむしろここからですわね。期日まで2ヶ月しかありませんのよ」

鞠莉「んー。でもラブライブを目指すって言ったんだから、それくらいはやって貰わないとねぇ…♫」


ダイヤ「こればかりは気持ちでどうこうできる世界でもないですが。しかし、あの子達は未熟だけど持ってはいると思います。スクールアイドルに必要な『何か』を」

鞠莉「そうね。それで、どう?2人とも調子は。あの頃からなまってないかしら」 ニヤリ

果南「ま、それなりかな」ふふん

鞠莉「あー怖い、これは千歌っち達も大変ね。このままじゃ本当に私たちがラブライブに出ることになるかもしれないわ。私、まだ2人とラブライブに出ること諦めたつもりないのよ?」チラリ

ダイヤ「ふふ。どの道全力で当たるだけですよ、鞠莉さん。私たちを超えられないようでは全国でも戦えないでしょうから…。その件についてはその時になったら考えましょうか」ふふ

果南「あとはあの子たち次第だね。楽しみに待っていようか」


鞠莉「うふふ。まだ始まってもいないのに、今から夏休み明けが楽しみだわ♡」

#.1


普通な私の日常に、突然訪れた奇跡

何かに夢中になりたくて、何かに全力になりたくて、脇目を振らずに走りたかった

何をすればいいのか分からずに,
くすぶる私を吹き飛ばし、舞い降りた――――


それが


千歌『…っ!!』


――――μ’s

あの時感じた『全身の毛穴が開くような』感覚――
私の中の『何か』が体から溢れて出たがってるように思えた
やっぱり嘘じゃなかったんだ


『君も感じてるよね、始まりの鼓動』
START:DASH!!



ここから、私たちの本当の物語が始まるっ…!!!

千歌「合宿を、します!」

みんな「おおっ」

千歌「夏休みを利用してここにいる全員に念能力を取得してもらいます!まずは理事長の言った通り、基礎練の見直しから始めるよ!!」


――――――
―――


回想


鞠莉『あ、そうだ。一応手引きというかヒントを与えとくわ』

千歌『…?』

鞠莉『オーラを操るにはまずオーラが出せるようにならなくちゃよ。オーラってのは精孔から出てるんだけど普通は閉じてるの。これを開けないことには始まらないわ』

花丸『精孔…』

鞠莉『オーラ自体は誰もが持ってるって言ったわよね。普通ならは精孔から微弱なオーラが漏れている状態だけど、まれに内在するオーラを精孔を閉じながらにあふれ出させいる子もいる。それがいわゆる「何故か気になる人」だとか、「原石」って呼ばれる人種ね。昨今のブームで人を魅了するスクールアイドル達が最たる例』


曜『どうやって開けるんですか?』


鞠莉『やり方は2つ。自然に開くことを待つか、強制的に開けるか。オススメは前者、いわゆる正攻法。でも今回ばかりは進められないわね。時間がかかりすぎるし』


梨子『じゃあ、後者は…?』

鞠莉『強制的に眠っているオーラを起こすの、念能力にその身をさらして。適性がないと最悪死ぬわ』



みんな『―――!!』

鞠莉『文字通りスクールアイドルに命を懸けることになるってことね。でも安心して、理事長としてウチの生徒にそんな危険は冒させないわ♪まず、適性を上げるためにも基礎的な能力をあげてもらう』

千歌「基礎的な能力?」

鞠莉「走り込みだとか、筋トレだとかのあれよ。いつもやってるでしょ?でも私に言わせればまだまだ、念能力で後れを取ってるんだからせめて基礎体力くらいはしっかり作り上げとかないと♪」

千歌「…はい、おっしゃるとおりです」


鞠莉『よろしい♪一応オーラが出せるまでは面倒見てあげる。でも私が面倒見れるのはそこまでね。一応明確に線引きはしとくわ。じゃないとズルズルと後腐れするでしょ。ずっと面倒見てるとアナタ達の能力も割れちゃうし、私たちはちゃんとした勝負がしたいの。』



――
――――
――――――

基礎練、
ジョギング中


タッタッタ

梨子「…なんか、改めて思い返すと凄い話になっちゃったね」

千歌「…あはは。そうだね」

ルビィ「まさかラブライブがそんな大会になっていたんて…。それに、お姉ちゃんがスクールアイドルやっていたなんて知らなかった…」

花丸「ルビィちゃんダイヤさんから一度も聞いたことなかったずら?」

ルビィ「…うん」

曜「私も果南ちゃんがスクールアイドルやってたなんて初耳だったな」

善子「何よ、譲っちゃうつもり?」

曜「まさか!あれは3年生の都合でしょ、それなら私たちもこっちの都合を通させてもらうまでだよ。だって私たちは――」

千歌「うん。ラブライブは譲れない…!」

善子「ならok。で、どうするの合宿って言ってたけど。場所は?それに私たちの修行を見てくれる人だって必要よ?さっき軽くスマホで調べたけど、やっぱり念能力なんてどこにも載ってなかったわ。これでもネット詳しい方だけど」

花丸「やっぱ情報操作されてるのかな。使い方によってはいくらでも悪用できるし」

千歌「…うーん。うちは旅館だし広いけど、やっぱ夏が一番のかきいれ時だし難しいなぁ。それに見てもらえる人も考えると…」

梨子「あの…、さ!」

みんな「?」

梨子「合宿の件は私に任せてくれないかな。心当たりがあるの」

千歌(…?)

曜「心当たりって?」

梨子「うん…。親戚、かな。大丈夫、きっと何とかするから!」

千歌「…分かった。梨子ちゃんに任せるね。」にこ

梨子「ありがとう、千歌ちゃん」

梨子(私も…、向き合わなくちゃ。スクールアイドルに…!)

――――
――


曜「それじゃあ今日の練習はここまでにしようか。焦る気持ちも分かるけど、休息も重要だからね!」

ありがとーございましたー



千歌「じゃあ梨子ちゃん帰ろっか」

梨子「ごめんね千歌ちゃん。私この後ちょっと用事があるの」

千歌「…。そっか、分かった。先帰ってるね…!」

梨子「うん…!またね、千歌ちゃん」

梨子「…」

―――
――

――帰り道
海岸沿いの道


千歌(結構遅くなっちゃったな…。でもこれくらいやっていかないととても間に合わない…。みんなの負担にならないかな…)

てくてく

千歌(それにしても日も大分伸びたなぁ。夏、だからね)

――夏
勝負の夏


千歌(…)ぐっ

千歌(オーラ、か)



千歌はオーラの存在を既に知っていた
しかし、理解はしていない
本能的に、無意識的に知っていたのだ

『私は普通だから…』


――自らを「普通」の人間だと思いこむことは、
――相手を「特別」な人間だと認識することから始まる。

それはつまり千歌が相手の持つ特別(オーラ)に敏感であるということを意味した


だからこそ、千歌の周りには「普通」ではないメンバーが集まった

昔から人気者だった、強いオーラを持つ曜、
素晴らしい音楽の才能を持つ梨子
そして、一目見た時から魅力に惹かれた花丸とルビィ。
あれは決して容姿だけで惹かれた訳ではなかった。
そして、独自の世界観を持つ善子―――

全員が「原石」である



千歌(じゃあ私はどうなんだろう…)


鞠莉の言葉がよみがえる

鞠莉『念なんて、時間をかければ誰でもマスターは出来るわよ。ただね、そういうものこそ―――』

――――才能の差がモロに出る♡


千歌(私は―――)


果南「やっほ、千歌。今帰り?」

千歌「果南ちゃん…?!」

―――――
――

ザザーン

果南「びっくりしたでしょ、私がスクールアイドルやってたなんて。」

千歌「うん…まあ」あはは

果南「柄じゃないしね」

千歌「そんなことないよ…!果南ちゃんはかわいいよ!」

果南「あはは、ありがと」


果南「…鞠莉から聞いたよ、私たちと闘り合うんだってね」

千歌「…!えーと、まあ…。」あせあせ

果南「ふふ、いいんだよ。千歌にも大切なものができたんだね」

千歌「…うん!」

果南「私たちにとってもそれは同じ。スクールアイドルはとても大切なことなの。で、どう?調子は」

千歌「正直…、まだ何とも言えないかな…。自分にそんな特別な力があるなんてイメージ沸かないし…」


――でも、負けたくない

果南「そんなもんだよ、最初は」

千歌「果南ちゃんもそうだったの…?」





果南「まあね。ねえ千歌、今から実際に念ってものを見せてあげるよ」

―――――――

千歌「え…、いいのそんなことして…?」

果南「相手に能力知られるのは悪手中の悪手らしいけどね。でも油断してるつもりはないよ」




果南「…今見せておけば」



果南「次会ったときは最初から全力で行けるからね――!」 ズズズズズ


千歌「ーーー?!」ぞっ



果南「言うなれば、気が済むからだよ。だからこれはただの、一方的な私の」


スッ








果南「自己満足」

能力を見せる、といったとき果南は距離をとった。
多分30mはあったと思う。

果南は、千歌の眼前にいた。

眼前、眼の前。
会話しているから目の前にいるのは当たり前
この場合、目線の話ではない。
距離の話だ

眼前というより、


―――顔前。




果南は千歌の鼻先数センチで
右手をピストルの形にし突き付けていた


千歌「あぁ…」へなへな



ほんの、数舜の出来事





果南「これが、私の念能力」

―――――
―――


鞠莉「怖いお姉さんね~、千歌っち腰抜かしてたじゃない」クスクス

果南「まず実物見ないことには始まらないでしょ。それに、のんびり屋さんの千歌にはいい刺激になったんじゃないかな。」

鞠莉「あれだけのオーラを生身に当てられちゃあね。文字通りいい刺激になったわね」

果南「てかアンタはまたこそこそと…、見んなし!」


鞠莉「私が見てること知ってて能力使ったんでしょ?強化系能力、『人魚雷(リトル・マーメイド)』、成長してるのは体だけじゃなさそうね。この見せたがり屋さん♪」


果南「うっさいなー」

鞠莉「ふふ。でもさすがね、前見た時とは全然違う。オーラの総量も能力の練度も」

果南「そりゃどうも」

鞠莉(あらら、照れちゃって♡)


鞠莉「でもこれで向こうは果南の能力を把握したってことね。ハメられないよう気を付けてよ。果南の能力に合わせた念能力を開発してくる可能性もあるわよ?」

果南「大丈夫だよ。私の能力は見られてどうこうって能力じゃないから。単純さゆえの強みって奴」

鞠莉「そ♡、まあ果南ならそこらへんも上手くやるんでしょうね」

―――


千歌「…」てくてく

「全身」から鳥肌が立つような感覚



この感じ、知ってる
私がはじめてμ’sを見た時と同じ

これが…



念能力―――!!

――その夜、黒澤家


ルビィ「た、ただいま帰りました…」

ダイヤ「おかえりなさい、ルビィ」

ルビィ「…!お、お姉ちゃん…、ただいま…」

ダイヤ「…」

ルビィ「…あの」

ルビィ「鞠莉さんに聞いたよ…お姉ちゃんスクールアイドルやってたんだってね…」

ダイヤ「…ええ。それがどうかしましたか」

ルビィ(…!)

ルビィ「な、なんでルビィに教えてくれなかったの…!」

ダイヤ「あなたに教える必要があるのですか?」

ルビィ「…!」

ダイヤ「あなたには関係ないことです。…が、もうそういう訳でもないのですね。いまや私たちは一つの椅子を争う敵同士」

ルビィ「て、敵?!そんな言い方って…!」

ダイヤ「私が勝負に出るという意味、あなたなら分るでしょう。敗北はないということです。ラブライブなど目指さずに、内浦で小さく活動してればよかったものを」

ルビィ「だ、だからあんなに東京に行くの反対してたの…?」

ダイヤ「…ええ、そうですわ」

ルビィ「…!」

ルビィ「ルビィは…お姉ちゃんと歌って踊ることが夢だったんだよ…?」

ダイヤ(…)

ダイヤ「…私に妥協をしろと?それは無理な話です。夢を語るには力と覚悟が必要なのですよ、ルビィ。今のあなたにはそのどちらも欠落している…」

ルビィ「…!」

ダイヤ「夕飯は先にいただきました。私は部屋に戻ります。ちゃんとあたためて食べるのですよ」



ルビィ(わ、私は…!)

――――
――

梨子「・・・。」


prrrrrrr…


梨子「もしもし…、『お姉ちゃん』…?」

梨子「うん…私。久しぶりだね。ちょっと声が聞きたくなっちゃって…」

梨子「あはは…そんなことないよ」


梨子「…うん、…うん…」


梨子「…実はちょっと話があって」


――――――

―――

――

―――

――――――


梨子「突然ごめんね。…うん、ありがとう」


梨子「…うん、忙しいもんね。じゃあ…切るね」

梨子「電話、待ってるから」


pi...



梨子「…」ボフッ

#.2


――翌日、学校

ダイヤ(…)

鞠莉「そんな気になるなら、そんな心にもないこと言わなきゃよかったのに」

ダイヤ「ま、鞠莉さん…!そんなんじゃありませんわ…!!」プイッ


鞠莉「ふーん、あっそう。まいいけどー?」ひらひら

――放課後



曜「…それ、ホント?」

千歌「…うん、果南ちゃんに見せてもらった。念能力ってものを」

曜「で、その能力が…」

千歌「今言ったこと、全部ホントだよ!実際に見た私ですら理解できないんだから、いくら説明しても理解してもらえないかもしれないけど…」

曜「ううん、信じるよ!というか今は何言われても受け入れるしかないって感じかな…」あはは

花丸「千歌さんの話が本当なら、人間の運動能力を…というかこの発想自体が常識の物差しを前提にしてることになるずら…。もう、今更今までの常識なんか役に立たないんだもんね」

曜「これに準ずる化け物、という言い方もあれだけど、念能力者3人を相手にしなくちゃなんだよね。というよりその後のラブライブを考えるとこれ以上の―――」

梨子「…」

千歌(あれ?)

千歌「…梨子ちゃん大丈夫?確かに、気の晴れる話題ではないけど…」あはは…

梨子「あっ、ごめんね!そういうことじゃないの。あのね、一応合宿の件話は通しといたよ。東京にいる親戚に」

曜「東京?、凄い!さすが梨子ちゃん!向こうはやっぱスクールアイドルの聖地だし、何か情報もあるかも!」

梨子「まだok貰ったわけじゃないけどね…」あはは


善子「…」ふるふる



善子「…いいわ!!」

曜「うわ、びっくりした」

善子「念能力、…いい。素晴らしい!!何でもありじゃないの!!まさに堕天使ヨハネにこそふさわしいチカラだわ!!!」

曜「善子ちゃんのこういう所にはホント助けられるよ」あはは

千歌「うん…、そうだね!まずは、オーラを出せるようにならなくっちゃ…!悩んでいてもしょうがない!!」


千歌「今日も練習がんばろう!!Aqours~~」

みんな『サンシャイン!!!』



ルビィ「…」


花丸(ルビィ、ちゃん…?)

―――
――

休憩時間

花丸「う~疲れたずら…」

ルビィ「そうだね…」

花丸(…)

花丸「…ルビィちゃん、ダイヤさんとなんかあったでしょ。」

ルビィ「え、ど、どうして…」

花丸「…どうして分かるかって?だってマルはルビィちゃんの親友だからね。えへへ、よかったら話して」


―――
――
――
―――


花丸「…そんなこと言われちゃったんだ」

ルビィ「…私は、ただ…お姉ちゃんと…」ぽろぽろ

花丸「…よしよし」

ルビィ「うっ…うっ…ありがとう…花丸ちゃん」

―――――


花丸「それで、ルビィちゃんはどうしたいの?」

ルビィ「私は…」


『あなたには、力も覚悟もありませんわ』


ルビィ「スクールアイドルが好き…」


『今のあなた達じゃただの足枷よ』


ルビィ「大好きなの…!!」


花丸「…うん、マル知ってるよ。ルビィちゃんがスクールアイドル大好きなこと」

私が中学2年生のころ、お姉ちゃんは突然スクールアイドルの話をしなくなった。

もしかしたらスクールアイドルが原因で、嫌な想いをしたのかもしれない
お姉ちゃんはもう、スクールアイドルを嫌いになっちゃったのかもしれない


千歌さん達に誘われて、スクールアイドルを始めたとき、
そんなお姉ちゃんへの遠慮は勿論あった



でも結局私はスクールアイドルを始めた

――だって、スクールアイドルが大好きだから…!!

ルビィ「この気持ちには嘘つけない…!」

ルビィ「私のアイドル活動とお姉ちゃんは、関係ない。私は私がやりたいからラブライブを目指すの…!。もう、お姉ちゃんの後に着いていくだけなのは、やめる…!!」


花丸「…そっか」にこ

ルビィ「…。聞いてくれてありがとね、花丸ちゃん」ぐすっ

花丸「どういたしましてずら♪」


―――――

善子(…ふふ)

善子「花丸~!ルビィ~!…もー、あんたたちこんな所にいたのね!もう練習始めるそうよ」


花丸「あっもうそんな時間ずら?!。ありがとう、善子ちゃん!」

善子「善子ゆーな!せっかく厚意でわざわざ呼びに来てあげたってのに…!」

花丸「ありがとう、善子ちゃん。じゃ、行こっか。ルビィちゃん♪」

ルビィ「あははは。うん!じゃ、私たち先行くね、善子ちゃん♡」

善子「あーー!もう、ルビィまで!」




善子「…ったくしょうがないんだから」くすっ



タタタタ


ルビィ(私は、みんなとラブライブに出る)



――たとえ、お姉ちゃんが相手でも…!!

#.3

――あれから1週間

放課後はもちろん、朝早くから集まって
私たちは猛特訓を重ねた。

今日は夏休みの前日―――


鞠莉(…あら、見違えるようじゃない♡)

千歌「鞠莉先輩、適性はもう皆あると思います」


鞠莉(…そのようね。よくまぁ一週間でここまで…。執‘念’かしら♡)

鞠莉「ok~♪じゃ皆、そこ並んで」


鞠莉「や っ て あ げ る か ら」


ゾゾゾゾ…!!



曜(今なら感じられる…。鞠莉先輩のオーラを…!!)


千歌(…あ)ゾクゾク


――「全身から鳥肌が立つような感覚」




鞠莉「じゃあ、いくわよ♪」


千歌「は、はい…!!」ごくり




ドンッ



…と背を押されたその直後


鞠莉「成功ね♡」



――私たちの体が、オーラに包まれた…!!


―――――
―――

千歌「うわっ…うわっ…」

ゴオォォォ…!

梨子「何これ、凄い…!!」


鞠莉「ふふ、おめでとう。それがあなた達のオーラです」

曜「こ、これが…!」

善子「私たちの、オーラ…!」

鞠莉「そう♡、たった今全身の精孔は開かた。もうオーラ視えてるでしょ?、目の精孔も開いたからね」


千歌「ついに、やったんだ…私たち…!」

千歌(私のオーラ…。ちっぽけだけど、これが…!)シュウゥゥ…


―――私の、輝き!!


ルビィ「やりましたね!千歌さん…!!」


千歌「うん、ルビィちゃん!!」

千歌「鞠莉さんのおかげです…!ありがとうございます…!!」にこにこ

鞠莉(あらあら、感謝されちゃった♡自分たちの置かれてる立場忘れちゃってるわね~、感謝されるのは悪い気はしないけど。ま、今くらいはいっか♪)

鞠莉「ふふ、私は何もしてないわよ」

鞠莉(これは、お世辞でも謙遜でもない。この子たち自身の努力の賜物。まさか、本当に1週間で仕上げてくるなんて)


鞠莉(――おもしろい♡)

鞠莉(でも)

わーわー♪
きゃっきゃ♡

鞠莉「えー、うおっほん!!…お喜びのとこ悪いんだけど」

千歌「なんですか?」にへにへ


鞠莉「そのオーラ、何とかしないと明日以降動けなくなるわよ♡」

みんな『へ?』

鞠莉「オーラってつまりは生命エネルギーだからね~。つまり現在進行形であなた達の体から生気が抜けて行ってるの」にやにや

花丸(うわ、すっごい悪い顔ずら…)

曜「ど、どうすればいいんですか?!」


鞠莉「これサービスよ?ほんと私ったら優しい♡そうね、まず体をラクにして。そしたらオーラを体に纏うようにイメージするの。自然に精孔開けた場合は勝手に出来るんだけどね、これも無理に開けるデメリットの1つかな」

鞠莉(ま、最悪1日2日は動けないかしら)


曜「こう…かな?」ズズ…

鞠莉(お?、やっぱ曜は筋がいいね…ってあれ?)

善子(う~ん)ズズ…

梨子(こんな、感じ…?)ズズズ…

シュ‥ゥ…ゥ…



…ピタッ

鞠莉(ふふ♡見くびってたつもりは決してないけど…)


善子「止まった―!」

梨子「…ふぅ」

曜「やったね!」

千歌「え~、3人とももう止まったのお!」

曜「あはは、いえーい」

鞠莉「ほーら集中集中、そしてリラックス」

善子「うふふ♪、イメージするのよ、オーラの動きをね」ドヤッ

花丸「善子ちゃんはよく妄想してるからイメージとか得意なんだろうね」

善子「なっ、あんたいつも一言多いのよ~!!」


花丸(うーん、こうかな…)ズズズ

ルビィ(うぅぅ…)ズズズ

千歌(…イメージ、オーラの動きを~~)ズズズ←素直


――――
―――

鞠莉「お疲れ様♡」

千歌「やっととまったぁ」へたり

ルビィ「つ、疲れた」

千歌「曜ちゃんたちと比べて結構時間かかっちゃったな…」

鞠莉(いやいや、上出来よ。ふふ、やるわね)

――――――
―――

鞠莉「…それでは改めて。ようこそ、スクールアイドルの世界へ。あなた達は今、ようやくスタートラインに立った」

みんな『…!!』ごくり

鞠莉「約束通り、私ができるのはここまで。今日までお疲れ様ね。次会うときは、すべての決着がつくときよ。なにか最後に言っておきたいことはある?」

・・・。

千歌「…鞠莉さん、今までありがとうございました。」

鞠莉「…ふふ、どーいたしまして。ま、あなた達に気持ち良く負けてもらうための施しよ、気にしないで。他には…?」


鞠莉「…ないみたいね。それじゃ健闘を祈るわ、‘Aqoursの皆さん’ ♡次に会う時を楽しみにしてるわ」

――――――
―――


曜「これで…私たち『壁』は超えたことになるのかな」ズズ…

ルビィ「鞠莉さんはスタートラインって言ってましたけど…」

花丸「オーラを使えるようになって分かったずら。抑えてたはずなのに、私たちの中で鞠莉さんのオーラが1番大きかった」

千歌「うん…。やっぱり果南ちゃんが見せてくれたアレとはまだほど遠い」

梨子「鞠莉さんは、人を惹きつけると言われているオーラを念能力にまで昇華させるようになってはじめて勝負の舞台には立てる、って前に言ってたよね。オーラを出せるようになったのは、文字通り念能力の入り口に立っただけなのかもしれない…」

善子「なーに暗い顔してるのよ、もー!私たちオーラを出せるのよ!オーラよ、オーラ。凄くない?かっこよくない?!」

千歌「あはは、そうだね。このオーラが私たちの輝きなんだよ…!私たち、確実に前へ進んでる!!」

曜「うん…!そうだね」

千歌「明日からは梨子ちゃんの親戚の別荘で合宿だし、この調子ならきっと念能力もつかえるようになるよ!!許可貰えたんだよね、梨子ちゃん♪」

梨子「うん、事情話したら喜んで貸してくれた」

千歌「ほんとありがたいし有難いことだから、もうエンリョせず使わせてもらうよ。明日会ったらお礼言わなくっちゃ」

梨子「うん」

曜「じゃ明日は早いし、今日はもう解散にしようか。」


千歌「そうだね。じゃあ明日は朝7時に駅集合で!」

――――
――

果南「へー、もう『纏』まで」

鞠莉「そうなの。筋いいわよ、あの子達」

ダイヤ「頼もしいですわね。まぁ大変なのはここからなのですが」

鞠莉「ふふ、どうなるかしら。足掬われないように、私たちも頑張らなくっちゃよ♡」



ついに私たちはオーラが出せるようになった!

そして、
夏が、始まる――!!

#.4

――翌日、明け方

黒澤家

ルビィ(行ってくるね、お姉ちゃん)

ガチャ

…バタン


ダイヤ(…。行ってらしゃい、ルビィ)


夏休み、1日目。

――東京都内某所
ラブライブ運営局、事務室


カタカタカタ.....


奇抜な眼鏡のお姉さん「あー疲れた~」ノビ-

奇抜な眼鏡のお姉さん(凄い応募数…。まだ増えるだろうなぁ…、各地の予選会場の備品も今からもう抑えとかなくちゃ…)カタカタカタ......


「お疲れ様。今年も凄い応募数ですね」

奇抜な眼鏡のお姉さん「あはは、スクールアイドル界が盛り上がるのは嬉しいことなんですけどね…。いかんせん量が」


奇抜な眼鏡のお姉さん「…って!?」



ツバサ「お久しぶりです」にこり


奇抜な眼鏡のお姉さん「き、綺羅ツバサさん?!」

―――電車の中。


千歌「本当にいいの?いきなりみんなでお世話になっちゃって」

梨子「だいじょうぶよ、『お姉ちゃん』優しいし」

千歌「いちおーお母さんが菓子折り持たせてくれたけど…。こんなので喜んでくれるかなぁ…。梨子ちゃんの親戚ってどんな人なの?」

梨子「まぁ、会えばすぐ分かるよ」

千歌「そう?」

梨子「…うん」

千歌(…梨子ちゃん?)


――――
――

お姉さん「あなたがこんな所に来るなんて珍しいじゃないですか!」

ツバサ「ふふ、たまたま近くを通ったので」

お姉さん「でしょうね~、お忙しいでしょう?毎日メディアで拝見しない日はないです!」

ツバサ「ふふ、ありがとう。でも今のあなたよりよっぽど楽ですよ。どうです、最近の後輩たちは?」

お姉さん「曲といいダンスといい例年レベルが上がってきてますよ。毎年のように現れる新しいスター、見ていて飽きないです!」

ツバサ「後に続いてくれる子達がいるってことは嬉しいですね」

お姉さん「スクールアイドルの先駆けになったあなたからすれば、感無量でしょうね。ラブライブも今や、これほどまでに大きな大会になったのですから。」

ツバサ「でも―――」


ツバサ「――1番伝えたかったことは伝わらなかったようです」ボソ

お姉さん「え?今何か…」


ツバサ「ふふ、何でもありません」

お姉さん「でも見ていて一番楽しかったのはあなた達の代ですよ」

ツバサ「ふふ、お世辞はいいですよ」

お姉さん「お世辞じゃないですって。やっぱり、なんて言うのかなぁ。素人目で、しかも抽象的ですが‘オーラ’、とでも言いましょうか、が違いましたよ。A-RIZEも、μ'sも」

ツバサ「…今年面白そうなグループはいないのですか?」

お姉さん「色んなイベントでも見て来ましたが、新たな時代の担い手と呼べそうなグループはには会えませんでしたね。いや、皆さんそれぞれ素晴らしいですよ!でも、今年はもう出揃っちゃった感じです。伝説はまたお預けですかね」

ツバサ「…そうかしら?μ'sが伸びてきたのも夏以降ですよ?」



ツバサ「まだ分からないわ」ふふ


――――
――

――――
――

車内

…。


善子(どうしてこうなった…!どうして……!!)


――さかのぼること10分前

東京、駅構内

善子「着いたーー!」

曜「何度来ても凄いね、東京は」

千歌「そうだねぇ」

曜「ちょっと早く着いちゃったし、どっかで座って待ってようか」


『―――?!』バッ


梨子を除いた全員が瞬時に振り返る
突如、背後に感じる圧倒的な存在感

間違いない、『彼女』だ

梨子「…」スッ

ゆっくりと、振り返る



梨子「…久しぶりだね、‘英玲奈お姉ちゃん’」

ルビィ「え」

ルビィ「えええ」

英玲奈「…久しぶりだな、梨子」


ルビィ「ビギィィィィィィィィ!!!!!!!」


統堂英玲奈――――
梨子の従姉である

―――
――


千歌「も、もしかして…梨子ちゃんの言ってた親戚の人って…」

梨子「…そう。元伝説のスクールアイドルA-RIZE、そして現トップアイドルA-RIZEの統堂英玲奈よ」

みんな「ええ~!!!」

周り「…」ジロジロ

英玲奈「はじめまして、君達がAqoursだね。梨子から話はよく聞いている。ここはちょっと目立つから場所変えようか、車呼んであるんだ」

みんな『は、はい…!』

――そして今

…。

英玲奈「後ろ、キツくないかな?」

千歌「…は、はい!だいじょうぶです…!」

ルビィ「あわ…わわわ…、夢かなこれ?夢だこれ。そうだ、サイン貰わなくちゃ…!お、お姉ちゃんの分も…」あわわわわ

花丸「ル、ルビィちゃん落ち着いて…」


善子「ま、まさか親戚って言って統堂英玲奈が出てくるなんて思いもしなかったわよ…!」

梨子「統堂はいわゆる芸名だからね。本名は桜内英玲奈っていうの、公表してないけど。昔はよく遊んでたよね」

英玲奈「ふふ、そうだな」


梨子「…」

#.5

統堂英玲奈、本名桜内英玲奈。
私たちは従姉妹だ。

私たちは小さいころよく2人で遊んでいた
とても仲が良くて、本当の姉妹みたいだった


梨子(でも)

歳を重ね、モノが分かるようになるにつれて、
いつしかお姉ちゃんと自分の間には明確な『壁』がある事に気付く

―――何をしても敵わない


彼女の存在は、いつしか梨子にとってのコンプレックスになっていった

私、地味だからーーー
梨子がよく口にするこの言葉、これは英玲奈と自分を比べての言葉だ


絶対に敵わない人
しかもそれが一番の身近にいる、というのがどれほど彼女に圧迫を与えていたか
想像に難くない

周りは口にこそ出さないが、事あるごとに英玲奈と比べた
それは幼い梨子にもはっきりと分かった

梨子(でも、それは仕方ない)


優れた人間というのは相対的な地位なのである

優れた人間のまわりには、比べられる対象が不可欠で、
それはどうしようもないことなのだ

梨子(自分の能力のなさを呪うしかない)


いずれにしても、従姉という関係は
英玲奈という存在に対してあまりにも近すぎた。

幼い2人には、音楽という共通の趣味があった
しかし同じ音楽といっても英玲奈はダンスや歌唱を好み、梨子はピアノを好んでいた

だからこそ『壁』を感じて以来、梨子はよりピアノに熱中していくようになる
英玲奈と交わらない道をゆくために――



―――初めて2人が出会った日

千歌『ねぇ、スクールアイドルって知ってる?!』

梨子『…スクールアイドル?なにそれ』

千歌『えっ、嘘知らないの?!』

梨子『…。初めて聞いた』


梨子は、英玲奈と同じ道に進むのを避けてきた
比べられることが、怖かったからである



しかし今、同じスクールアイドルとして―――


―――2人は再会する。

―――
――

千歌「な、なにここ…」

みんな(すっごい豪邸~~!!)

英玲奈「はは、これは私のモノじゃないよ、知り合いものだ。都内に別荘作るほどお金も余ってないし、悪趣味もない」

千歌「…あの、見ず知らずの私たちが使って本当にいいんですか…?」

英玲奈「綺麗に使ってくれればそれでいいそうだ。ほとんど誰も使ってないからな、物置同然なんだよ。ここ」

善子「な、何者なの…、その人」

千歌「是非会ってお礼がしたいんですが…」

英玲奈「…。彼女も忙しいからな、今医学部にいるんだ。できれば引き合わせてあげたいんだけどね。私のほうからよろしく伝えておくよ」

千歌「そうですか…、ありがとうございます…」

英玲奈「私が言うのもおかしいが、遠慮せず使ってくれ」


英玲奈「ああ、もう時間だ…。すまないな、これから打ち合わせがあるんだ。もう行かなくては。何か困った事があったら連絡してくれ。バタバタしてて悪いな」

千歌「い、いえ!あ、あのこれ、つまらないものですが!お菓子です…!!ああっ、本当につまらない~~。英玲奈さんだって知ってたらこんなお菓子用意しなかったのに…!」

英玲奈「いや、おいしそうだよ。ありがとう」

英玲奈「…。もしかして、君が高海さん?」

千歌「…は、はい!そうです。でも、どうして私の名前を…?」

英玲奈「ふふ、よく梨子から聞いていてね。あの子のこと、よろしく頼む」

千歌「は、はい…!どちらかといえば、私が助けてもらってばかりですが」あはは

英玲奈「ふふ、そんなことないだろう」

英玲奈(助かってるよ、梨子は)

英玲奈「時間だ。それじゃ、また」

花丸「か、かっこいいずら~」

ルビィ「ほ、本物はやっぱり全然ちがう…」


梨子「あ、私、見送ってくるね」

―――
――

英玲奈(私は梨子がピアノに失敗したとき、何もしてやれなかった。私は近くにいることで、余計に辛い思いをさせてしまう。でも、高海千歌―――あの子は)

梨子「英玲奈おねえちゃん…!」


英玲奈「なんだ梨子、わざわざ出てこなくてもよかったのに」

梨子「…ありがとね、急な話だったのに」

英玲奈「ただ手を回しただけだ。大した事じゃない」

梨子「でも、すごく忙しいのに…。本当にありがとう。大切なみんなの為にも、どうしてもお姉ちゃんを頼らざるを得なかったの。どうしてもラブライブに出たいから…!」


英玲奈(…ふ)

英玲奈「そうか。でも梨子がスクールアイドルやってるって聞いたときは驚いたよ」

梨子「あはは…だよね」

英玲奈「いや、合ってると思ったんだ。梨子はかわいいからな、私よりよっぽど向いてるよ」

梨子「そ、そんなこと…」あせあせ


英玲奈「これは本心だよ。もしどうしてもお礼がしたいっていうなら是非ラブライブで返してくれ。Aqoursのステージ、楽しみにしているから。本当は私からもいろいろしてあげたいんだが、残念ながらそういう訳にもいかないんだ」


梨子「うん。後は私たちでなんとかするよ」

英玲奈「ふふ、そうか」

英玲奈(あの子は、梨子と同じ目線で接してくれるのだろう。そしてもちろん、他のメンバーも…)


英玲奈「梨子、がんばってな」

梨子「…うん!」

―――
――

ルビィ「英玲奈さん、もう行っちゃいましたか?忙しいですもんね」

梨子「うん、がんばってだって」

ルビィ「はぁぁぁぁ、やっぱかっこいいなぁ…。」

善子「反則でしょー、親戚のお姉さんが統堂英玲奈なんて」

梨子「あはは、びっくりさせるつもりはなかったんだけどね」

千歌(…ふふ、いつもの梨子ちゃんに戻ったみたい)

花丸「…ここ、本当に自由にしていいのかな」

曜「いいんじゃないかな。正直もう誰かに遠慮してる暇もないよ」

千歌「そうだね、甘えられるものにはことごとく甘えさせてもらおう…!」

梨子「うん、そうしてくれだって!」

曜「じゃあ荷物置いてからぼちぼち特訓始めようか」

善子「ok~、ねぇ、荷物置きがてらちょっと中を探検してみない♫」

ルビィ「いくいく~♫」

千歌「こら、あんま変な事しちゃダメだよ~」

1年生『はーい♫』

梨子「ふふ…。ねえ千歌ちゃん、ちょっといい?」

千歌「うん、いいよ♪」


―――――
――

梨子「ごめんね、私嘘ついてた」

千歌「え、なんのこと?」

梨子「知ってたんだ、スクールアイドルのこと。」

千歌「ああ」

梨子「怒らないの?」

千歌「怒らないよ、そんな事で」えへへ


梨子「…ありがと。うん、でも知ってたどころじゃないな。多分、英玲奈お姉ちゃんがやってるの見て私は既にスクールアイドルに憧れていたんだと思う。必死に自分に嘘ついたけどね、そんな事ないって」

千歌「そっか」

梨子「千歌ちゃんにだけじゃなく、自分にも嘘ついてたんだ。最低だよ。大好きなピアノを逃げ道にしてさ。私はね、怖かったの。英玲奈お姉ちゃんと一緒の道を選んで比べられるのが」

千歌「…梨子ちゃん」


梨子「でもね。千歌ちゃんと出会って、みんなと出会って、変わった。もう嘘がつけなくなっちゃったの。スクールアイドルをやりたい気持ちに…!」

梨子「私、変わりたい。地味な私から…!!」

千歌「同じだね、私たち。私も普通な私を変えたくて、スクールアイドルに憧れたんだもん」

梨子「うん…、そうだね…。同じだね、私たち」

千歌「…」ギュ

梨子「…千歌ちゃん?」

千歌「…うまく言えないけど、なんだか抱きしめたくなっちゃった。がんばろう、梨子ちゃん。そして皆でラブライブに行こう…!」

梨子「あはは、何それ」うるっ


梨子(あれ?)


…そうか

千歌(…)ぎゅぅぅ

梨子(千歌ちゃんは、Aqoursのみんなは、こんな私を受け入れてくれるんだ…。ずっと、誰かにこうして欲しかったのかな)

ぽろぽろ

梨子「…ありがとね、千歌ちゃん。みんなで、Aqoursのみんなで絶対ラブライブ行こうね…」

A-RISEの間違い前も指摘されてたな気を付けます

―――
――

ツバサ「どうだった?、あなたの従妹がいるっていうAqoursは」

英玲奈「…なかなか面白いよ、彼女達。ひいきするつもりはないがね」

ツバサ「へぇ、あなたがそこまで言うなんて。それは楽しみね。でもお疲れ様、新曲控えてるんでしょ。ここ最近はかわいい従妹のためにずっと奔走してたじゃない」

英玲奈「梨子が世話になっているからな。私なりの礼だよ」

ツバサ「そ。別荘、真姫がいて都合がよかったわね。念に関してはどうするの?まったく、念なんて、面倒な大会になったわね。ラブライブも」ふふ

英玲奈「一応ちゃんと手は回しといたよ、でもこればかりは彼女達次第だ。」

ツバサ「ま、そうね。じゃあお手並み拝見て感じかしら、‘お姉ちゃん’」くすくす

英玲奈「ふふ。ツバサ、からかわんでくれ。…そろそろ仕事に戻ろう」


ツバサ「そうね♪」

ツバサ(…)

――『私は、限られた時間の中で精一杯輝こうとするスクールアイドルが好き!!』

ツバサ(…か。ふふ、穂乃果さん)


「学校が大好きで」「音楽が大好きで」「アイドルが大好きで」「踊るのが大好きで」「メンバーが大好きで」「この毎日が大好きで」「がんばるのが大好きで」「歌うことが大好きで」「μ'sが大好きだから」


ツバサ(そう。少なくとも、‘彼女たち’は勝ち負けなんてこだわっていなかった)


ツバサ(――ラブライブ東京地区予選。勝ち負けにこだわった私たちが負けた日。私たちが、彼女たちの純粋な輝き(オーラ)に負けた日。…そして訪れたスクールアイドル新時代。自分たちが楽しむことから、すべてが始まる)


ツバサ(…しかし今はどうかしら?)



ツバサ「濁ってしまった水たまり。そろそろ新しい‘水’が欲しいわね」

そうですね
多少ですが足したり引いたりしています

#.6


千歌「やっぱり東京に来たからにはさ、まず神田明神にお参りしに行こうよ」

善子「誰かに遠慮してる余裕がないほど時間がないんじゃなかったの?遊びに来たんじゃないでしょ」

梨子(善子ちゃんはさっきノリノリで探検隊とかやってたよね)

千歌「そうだけど、私たちにとってはもうお決まりみたいなものだし…。ここから近いし、気分転換に行ってみようよ」


―――
――

――神田明神、男坂


千歌「あれ?誰かいる」

ルビィ「…!!」

曜「行ってみよー!」ダッ

ルビィ(神田明神…と言えば‘あの人’だけど)

善子「ま、待ちなさいよ~」ダッ

梨子「…あれ、前来た時はこの階段で悶絶してたけどなんか、体が軽い…!特訓の成果かな…?」はぁ、はぁ

ルビィ(まさか…?!英玲奈さんと来て…まさかそんな事ないよ…ないよね?!!)はぁ、はぁ

千歌「やっぱ来てよかったね。同じ所走ってるとなかなか気付けない事もあるし」はぁ…はぁ…

善子「走ることになったのは曜が走り出したからでしょ…!」はぁ…はぁ…


曜「あーー!あなたは!!」


ルビィ(…!?)ビクッ

ルビィ(まさか、まさか…!!?!)


―――!


ルビィ(まさかね…)


理亞「…え。だ、誰?!」ビクッ


聖良「あらこんにちは、Aqoursの皆さん。奇遇ですね」


千歌「セ、セイントスノーのお二人…!」

―――
――

聖良「皆さんも東京に来ていたんですね。」

梨子「は、はい。私達、ラブライブを目指して、こっちで合宿するんです」

聖良「それも奇遇、私達もです。やはりこちらの方がいろいろ刺激が多いですから」


理亞「…へぇ」 ジロッ

千歌「…?」

理亞「…あなた達も本気でラブライブを目指す事にしたんだ。多少はスクールアイドルらしくなったじゃないですか、少し見違えましたよ」

千歌(…)

―――――
―――

理亞『馬鹿にしないで…!』


理亞『ラブライブは遊びじゃない。あなた達のやっていることはスクールアイドルへの侮辱です…!』

――
―――――

千歌「…そうです、私達はラブライブを本気で目指しています。その為にここに来ました。」

理亞「…ふうん、舐めた考えは捨てたんだ。でも大口叩くのは早すぎませんか、ちょっとオーラが使えるようになったくらいで」

みんな(…!!)

曜「…やっぱり念の存在を知ってるんだ」

理亞「当たり前でしょう、念は‘本気でラブライブを目指す’と言う人なら当然知っていて――」


理亞「―――使えるべきもの」ズズズ

みんな「…!!」


聖良「…あのステージで知らないのはあなた方だけでしたよ」

梨子「そ、そんな…」

聖良「当時の私達がマスターしていたのは『四大行』。念において決して高度な技術ではありません。それでも、‘念’という存在を知って、‘オーラ’を使いこなせて初めてなし得るものです。その私達が、あの場で9位でした。言ってる意味、分かりますよね」

みんな『…!!』

聖良「あなた達がスクールアイドルに真摯に向き合って努力しているのはとても良いことだと思いますよ。私たちも負けてられません。でも、そういう‘事実’があるという事は知っておいても良いかと」クス


曜(ほんと私たちは何も知らな過ぎだ…。理事長の言ってたスタートラインは、まさに文字通りだったんだ…!)


理亞「今思えばここに居たのが私達じゃなくて、東條希だったら良かったですよね。μ'sっていう旧世代の輝きだけを追いかけていられたんだから。いや、この場合私たちにも会わなかった方がいいのか」

ルビィ「…!」

聖良「まああの日東京に来たことがあなた達の間違いだったんですよ。現実は、私達スクールアイドルは、甘くない。地元で虚構を追いかけてスクールアイドルごっこするだけなら楽しいだけで済んだでしょう」


千歌「…でもそれは、あなた達に言わせればスクールアイドルへの侮辱なんですよね」

理亞「そうよ。勝負する事から逃げて、負ける事からも逃げた人達に、スクールアイドルを名乗って欲しくない」


聖良「だからって負けちゃ何も意味ないですけどね。残念ですが、ラブライブは勝たなくちゃ意味がないんです。今のあなた方がまさにそうですよ、確かに逃げはしなかったかもしれません。でもこのまま行けば十中八九負けます。つまり、無意味。意地悪を言っているのではなく、ただの事実です。」

みんな『…』

千歌(勝たなくちゃ意味がない、か。…確かに)


千歌「その通りですね」

理亞「…へぇ、思ってたより物分かりがいいですね。勝ち負けがすべてじゃない、なんて言い出したらほんと『この子馬鹿?』って感じだったんですが」

千歌「本気でラブライブを目指す、だからここに来たんだって…言いましたよね。私達は‘勝つ’ためにここに居るんです…!」

理亞「…はぁ、やっぱり話通じてなかったみたい。いいですか。はっきり言いたくは無かったけど、あなた達にラブライブは無理――」

聖良「理亞、もういい。時間が勿体無い」

理亞「は、はい、姉さま…!」


聖良「ふふ。お互い忙しいですからね、時間は限られていますし。まだオーラが出せる程度じゃどれだけ時間があっても足りないでしょう。それではAqoursの皆さん。健闘を祈ってますよ」


―――――
―――

善子「なんなのよー!まったく、何でいつもああ突っかかってくるのかしら!」

曜「何か言い返してやりたい所だけどね。でも現状じゃ何も言い返せないよ。今の私たちじゃ何言ってもズレて聞こえるんだと思う」

梨子「…やっぱり凄いね、ラブライブって。上が全然見えない。決してなめているつもりはなかったけど」

千歌「…でも勝たなくちゃ」

千歌「みんなでラブライブに出る。そのために、3年生にも、他のスクールアイドルにも負けるわけにはいかない」

曜「うん、そうだね」


千歌(勝ち負けがすべてじゃない…、確かにそうかも。でも今は、あくまで結果に拘りたい。だって私は、スクールアイドルだけは譲れないから)

再開します

#.7


理亞「まったく、身の程をわきまえて欲しい。何がラブライブよ」テクテク

聖良「もういいよ、理亞。自分たちのことに集中」テクテク

聖良(残念です、Aqoursの皆さん。見違えたってのは決して嘘じゃない。あの短期間であそこまで成長するってのはなかなか出来ないことですよ。…でも、あなた達にはあまりに時間が足りない)

「おっとごめんな」スイ~

聖良「あっ、いえ」ササッ

理亞「それじゃあ姉さま、今日は―――」

聖良「…」


理亞「姉さま?」

聖良(恐ろしく程よい『絶』。完全にオーラを断つのではなくあくまで一般のレベルに留めて放出している。この微妙で繊細な技術…素晴らしい。これならその後の彼女達の消息が明らかになっていない理由も頷けます…!)ゾクゾク

聖良「戻るよ、理亞」

理亞「え?」


聖良(私じゃなきゃ見逃しちゃうね)ニヤリ

――――
――

ミステリアスなお姉さん「こんにちは。君たちもお参り?」

千歌「あ、はい…!」

梨子「あ、あはは。そうだった、お参りに来たんだったね私達。すっかり忘れてた。すいません、今済ませます」

ミステリアスなお姉さん「ふふ、ゆっくりでええよ」


―――
――

千歌「あの…!どうぞ!お待たせしてすいませんでした!」

ミステリアスなお姉さん「いーえ、ちゃんとお願い出来たかな?」

千歌「はい!」

ミステリアスなお姉さん「ふふ、よかったね」


理亞「姉さま待って!」はぁはぁ

梨子(あれ、セイントスノー。帰ったんじゃ…?)



聖良「…あの」

ドクンドクン…


聖良「はじめまして、μ'sの東條希さんですよね?」

みんな『…え?』

えぇ~~~~っっ?!?!?!!!

希?「…」ガラガラ


希?「ふぅ。…あれ、ごめんなんか言った?」くるり

聖良(ガクッ)

理亞(ね、姉さまがペースを崩されてる…!)


聖良「…すいません、参拝中でしたね。これじゃあ常識のないファンと一緒でした、非礼を詫びます。あの…もしかしたらμ'sの東條希さんじゃないですか」

希「そうですよ」

聖良(嘘ついても無駄ですよ。私の目は誤魔化せないって…え?)


聖良(あっさり認めた…?!あの謎に包まれたμ’sメンバーが…!今の彼女なら他人の空似で済ませられるのに。それほど絶妙な『絶』なのに…!)

曜「え、嘘だよね…?」

千歌「うん、あの人からは何も‘感じない’よ…?」ズズ

ルビィ「し、心臓に悪い…」どきどきどきどき


理亞「あ、あの、姉さま…本当なの?だってこの人からはオーラが―――」


あっ――――!?


みるみるうちに
そこにいるただの1人の女の人は

―――‘ただの’1人の女の人ではなくなった


希「初めまして」ズズズズ



希「μ'sの、東條希です♫」あは

『絶』を解いた瞬間、本来希が持つオーラが彼女の体から溢れ出した

不思議な感覚だ
見た目は何1つ変わらないのに、
目の前にいる人間が別人に変わっていく


全員が、彼女を東條希と確信する!!!

千歌(ああ、この感じ)

千歌(秋葉原で、初めてμ'sを見た時と…、同じだ)

曜「嘘…じゃないの…」


全ての始まりのμ's
あの日秋葉はーーー

ルビィ「ピギィィィィィィッッ!!!!」


千歌「…。」

ルビィ「…(失神)」バタン


花丸「ル、ルビィちゃん失神しちゃったずら…」

千歌「あ、あはは…」

希「ごめん、少し驚かせすぎちゃったかな…」てへ


気を取り直して…

μ'sと出会ったことで始まった私たちの物語

今ここ東京で再びμ'sと出会い―――


―――物語は動き出す!!

#.8


花丸「ルビィちゃん、大丈夫?」パタパタ

ルビィ「う…うん、ありがとう花丸ちゃん」

理亞(変装も何もしてないのに本人だと気付かれないなんて。私の知ってる『絶』の範疇を超えている。これが第2回ラブライブであのA-RISEを下したμ’s…!『絶』ですら、別種の能力にしてしまうというの…!)


千歌「私μ’sに憧れてスクールアイドルになったんです!だから、その。えっと、あの…!うぅ~!なにお話していいか分からないよ~~」

曜「あはは、千歌ちゃん落ち着いて」

希「ふふ、ありがとうね」

わーわー
きゃっきゃ

ルビィ「それにしても…、今日一日でμ’sの希さんとA-RISEの英玲奈さんに会えるだなんて…。ほんと夢みたい…!」


理亞(…え?)

理亞「あなた統堂英玲奈にあったの…?!」

曜「ここに来る前にね、ていうか英玲奈さん梨子ちゃんの従姉なんだよ。驚くよね」あはは

理亞(…!!)

理亞「ずるい…」ボソ

ルビィ「…え、あの…何か言いました?」

理亞「な、何もいってないっ!」プイ

希(この子たちが英玲奈の言ってたAquorsやね、そして…)

聖良「あの…、申し遅れました。私たちスクールアイドルやっています、セイントスノーといいます」

希(…セイントスノーな♪)


聖良「突然のことで大変不躾なのですが…、私たちのセイントスノーの特訓を見てもらえないでしょうか…!」

希「構わんよ」

聖良(絶対、食い下がってでも特訓をみてもらう…!…て、あれ?)

聖良「ほ、本当に…?!いいんですか?!」

希「うん、暇やしね♪」

希(もともと英玲奈とはそういう約束だし)

千歌「えっ、えっ、えっ!?!?」

曜「!?そ、それなら…!!」

千歌「わ、私たちもお願い…できませんか?」

希「ふふ、もちろんいいよ」にこ

みんな『…!!』パァァ

千歌「や…やった!!」

希「ふふ。で何見てあげたらいいの?ダンスとか?もういい歳やからなあウチも。時代遅れとか言われちゃうんじゃないかなあ今の子たちからしたら。」あはは

ルビィ「そ、そんなことないです…!μ’sは未だにすべてのスクールアイドルの憧れの的です!」

理亞「…A-RISEもね」ぼそ

ルビィ「えっ…?また何か言い―――」

理亞「だ、だからなんでもないってば!」

ルビィ「ご、ごめんなさい…!」

希「ふふ、嬉しいこといってくれるね。みんなも聞けば喜ぶよ」


聖良「見て欲しいのは…念です」

希「念ねえ」

曜「わ、私たちも、念について教えて欲しいです!」

希「うん、いいよ」

理亞「い、いいんですか…!」

千歌「本当に…!?」

希「あはは、嘘じゃないって」

聖良「頼んでいる身ですが、…いいんですか?特定のスクールアイドルに、機密情報の念能力を教えて」

希「そもそも念は教えた知識がそのまま実力になるって世界じゃないからね。できない人は何をしてあげてもできないし、出来る人は放っておいてもできるようになる。全部君たち次第ってことやな。そういう意味じゃ結局ウチはあなた達に対して何もしてあげられない。だからウチは何もしてないってことにならんかな。あはは、これはちょっと暴論やね」


希「まぁ特定のスクールアイドルをひいきするつもりもないよ。逆に聞くけど、ウチが断ったら君たちは引き下がる?」

聖良「絶対に、引き下がりません…!」

千歌「私たちも引き下がりませんっ!」

希(ふふ)

希「そういうこと。それに今日ここで出会ったのが別のスクールアイドルだったとしてもウチはちゃんと教えてあげるし、少し思う所もあるんよ」

千歌「?」

聖良「…ありがとうございます。希さんがそれでいいのなら、私たちはただこの機会を最大限活かせるように努めるだけです」


―――――――
――――

希「じゃ、練を見せて貰おうかな♡」

聖良・理亞『はい…!』

ズオオオ…!!

希(へー♡)

千歌「おおー」

花丸「すごいズラ~」

Aqours『すごいネー、そだねー』ワーワー

希「…あの、君たちは?」

理亞「ち、ちょっと!希さんが『練』見せてって言ってるのになんでボサッと突っ立てるだけなの!!」

千歌「…へ?」

聖良「あなた達まさか…」

希「あはは。両グループの力量はバッチリ把握しました」

希(まったく英玲奈っちも随分な子たちを押し付けてくれたもんやね。あはは、これは育てがいがある…)


希「両グループの修行進捗に差があるみたいやし練習日は当分別にした方が良さそうやね。さ『四大行』は基本やし確認の意味も含めて今日はみんなで一緒にさらって行こうか」

――――――
―――


希「一応オーラは出せるようやし、それやってみてくれない?」

Aqours『は、はい!』

ズズズ

希「今やってるそれが『練』やね」

曜(…これが『練』。オーラを出す、って理解で一応はいいのかな。セイントスノーの『練』を見た時はこれが『練』だとは思い至らなかった…!さっき見せてもらった『練』と私たちの『練』はまったく別モノだ…)

希「『練』は、体内の精孔を広げて通常以上の大量のオーラを生み出すことやね。念能力者の『練』を見れば、一応はその人の実力ってのがある程度分かったりもします」

梨子「だからさっき練を見せてって言ったんですね」

希「そして、『纏』。まぁ、これも順当に身についてるようやね。オーラを纏うことで体が普通よりも丈夫になるね。オーラの拡散を防いぐから老化をおさえるとも言われてるな」

善子「これのことね」ズズズ

希「ここからが君たちにとって初見になるかな。まず『絶』から。聖良ちゃん、見せてあげて」

聖良「分かりました」

――フッ

Aqours「…!」

ルビィ(オーラが完全に消えた…!それに眼の前にいるはずなのに気配がない)

希「ありがとね、聖良ちゃん。これが『絶』です。精孔を閉じて完全にオーラを閉ざす技術。疲労回復とか気配消しに有効やね」

花丸「おお~」

希「それで、最後が『発』。四大行の集大成や。オーラを自在に操って、『系統』に乗っ取った個別能力を使う。君たちスクールアイドルがおそらく目指してるところなんじゃないかな」

千歌(そういえば鞠莉さんも…)


―――
――

鞠莉『人を惹き付けるというオーラを念能力にまで昇華させる程になれば取り合えずラブライブで勝負の舞台には立てるわね♪』

――
―――


千歌「はい…!」ぎゅっ

希「これについての詳細は修行が進んでからでいいかな。Aqoursのみんなは当分練、纏、絶をスムーズに行えるようにしていくことやね。」

Aqours『はい…!!』

希「セイントスノーには復習になっちゃうけど、今日はその3つを一緒にやっていこうか」

聖良・理亞『はい!!』



――――
――

希「そろそろ時間やし上がろうか。みんなお疲れ様」

みんな『ありがとうございました!!!』

希「じゃあ次からは練習別やね。順番は君たちで決めといて。このあたりで練習してればウチも時間みて顔出すから♪」

みんな『ありがとうございます…!!!』

希「ふふ、どうも。復習忘れんようにな」




――――――
――

帰り道

聖良「とんだ一日になりましたね」

千歌「あはは、そうですね」

聖良「まさか伝説のスクールアイドルに修行を見てもらえるなんて。せいぜいお互い頑張りましょう、aqoursの皆さん。この機会を無駄にしないために」

千歌「は、はい」

聖良「希さんの弟子どうし仲良くしましょう。では」

理亞「…」ペコリ

梨子「お、お疲れ様です…」


曜(あはは…、どう見ても仲良くしようとする人がする目じゃないよね)

別荘


千歌「ちかれた…」ぼすっ

花丸「マルはお腹すいたずら…」ぐぅぅぅ

曜「私はお風呂入りたいな~」

梨子「そういえば何も決めってなかったね、そういうこと」

善子「にしても凄いわねここ…。ほんと誰のよ」

梨子「じゃあ食事は私が担当してもいいかな。普段から趣味で結構やってたし」

曜「おぉ~ナイス梨子ちゃん」

花丸「やった~♡梨子さんの手料理ずら」

ルビィ「じゃあルビィもお手伝いします…!」

梨子「うふふ、ありがとルビィちゃん♡じゃあキッチン借してもらおっか」

曜「じゃあ残ったメンバーでお風呂の準備と練習着の洗濯やっちゃおっか」

『おー!!』

――――――
――


――21:30

千歌「あーさっぱりした♡」ほかほか

ルビィ「ご飯もおいしかったぁ♡」

梨子「うふふ、ありがとう。ルビィちゃんが手伝ってくれたおかげだよ」

千歌「よし、それじゃあ恒例の枕投げ行こうか」

梨子「そうね♪明日は5時半起きだから早くやっちゃいましょう♡」

曜「OK♪じゃどうチーム分けしようか」

梨子「ごめんなさい。待って」

千歌「えーと枕…枕…」

善子(枕投げ…。リア充っぽい…)ぽ~

梨子「ごめんなさい。待って」

曜「やめようよ、梨子ちゃん」

梨子「え?」

千歌「そうだよ。枕投げ…、これをやらずに眠れるスクールアイドルなんて絶対いない…!!あのμ’sだってきっとやってたよ」

梨子「いや、やってないと思うけど。え、やってないよね…?」

梨子(…なんだろうこの雰囲気。…おかしい。絶対おかしい。千歌ちゃんだけじゃなくて曜ちゃんまで…。なにかがおかしいけど理由が分からない…)

ルビィ「枕投げ…、怖いけどがんばルビィ」

梨子「え」

千歌「大丈夫だよルビィちゃん、私のとこおいで♡」

曜「じゃぁ花丸ちゃんは私のチームにおーいで」

花丸「ずら~♡」すりすり

梨子(…疲労、ね。この場にいる誰も正常な思考ができてない…。早く寝かさないと…!!)
梨子「み、みんな。あのね―――」

善子「戦争ってのはね、誰かが引き金を引いたら始まってしまうのよ、リリー?」

梨子(リリーて誰?え私?)

善子「たった一発の銃弾でね。ごめんなさい、あなたが最初の被弾者よ。そして聖戦の始まり―――おぶ!!」ドサッ

花丸「命中」

曜「いいね~花丸ちゃん♪」なでなで

千歌「始まりだー!!!」

ワーワー


梨子(始まっちゃった―――。もう、私の声は届かない―――)


ワーワー


梨子(現在21時42分。私に止められるのかな…この戦い。うん。やることは1つ、だよね)


梨子「…そろそろ狩るか」スッ

梨子(みんなをノックダウンさせて、一刻も早く眠って貰うッ!!)


…。

開始早々チームなど関係なくなった
戦いは早くも混戦状態へ
そして、戦場に残るものが誰もいなくなった時、時計は21時56分を指していた―――


21時56分
Aqours、就寝ッ!!



疲労の濁りは跡形もなく消え去り
透明な…
積み重ねた結果だけを残して2日目へ…



夏休み一日目、終了ッ!!!

#.9

2日目、午前



希「おはよ、みんなやっとるね」

千歌「あっ希さん、おはようございます!!」

希(あはは、早朝からずっとやっとるな)

希「じゃ、はじめよっか」


――――
――


スゥゥ…

――――ピタッ



希(うん、いい『纏』やな。オーラの動きも静かでいて力強さも感じる)

曜「どうですか…?」

希「いい感じやね」

希(『点』は完璧ってとこかな)くすっ

千歌「やった…!」ブワワ…

希「ほら、集中切らしたらダメよ」

千歌「は、はい…!」

――――――
――――



希「うん、そこまで。良くなってきてるよ、ひとまず先に進んでみよっか。もっともより高度に使いこなせるように練習しとくように♡」

みんな『はい!』


希「見たとこ君たちは自分たち以外の念能力者にちゃんと出会ったのは昨日のセイントスノーちゃんがはじめてって感じだったな。会ってみてどうだった?」

曜「…オーラの量も質も私たちの比じゃありませんでした」

希「あの子達いい『燃』持ってるからね。今はしかたないな。でも安心して。オーラはその時の状態や生まれつきの才能に左右される部分があるけど、総量は修行によって増やしていくことができるんや」

善子「…それが『練』ね」

希「うん。念能力はオーラの総量がかなりモノいうからね。総量によって扱える能力も戦術も変わってくるし。『練』が念において大きなウエイト占めてることが分かったかな」

ルビィ「はい…」ごくり

希「まあじっくりとやっていけばいいよ。戦闘が一番手っ取り早く念の妙を覚えられるから、非戦闘向けに能力を開発しようとする人も修行に取り入れることが多いんやけど…。さてどう修行を進めてくかな~」

梨子「戦うことが修行の近道…」

希「そ、オーラってのは生命の根幹のエネルギーやからな。だから大目標の生存に直結する単純な『強さ』が求められる戦闘こそ、早くオーラを成長させられましたるって訳や」

曜(…どうもおかしいなぁ。やっぱりあれって)

希「あはは、話が横道行っちゃったね。じゃあお手本見せてあげるよ」ニヤリ

千歌「お、お願いします!」


―――――――――
―――――――
――――

夕方

…。

千歌「むむ…む…」

千歌「むずかしい~!」どさ

希「あはは。そんなすぐはできんよ」

曜「あの…コツとかないんですか?アドバイスとか…」

希「オーラの感覚ってみんな同じじゃないからね。ウチがあんま口出すと余計に混乱するかもしれないよ?」

花丸「まさに私たち次第ってことだね…」

希「そ。それじゃあウチは帰るね。あんまり遅くならないようにね、お疲れ様♪」


『お、おつかれさまでーす…』


千歌「…じゃあまだ時間あるし、また初めからやっていこうか」

みんな『おー』

―――――
―――
――

――夜
――内浦


鞠莉「ん~気持ちいい♡」ぱしゃ

…小原鞠莉の1日は風呂で始まり風呂で終わる


鞠莉「ふぅ…」ちゃぷ

それにしても

鞠莉(みんなはちゃんとやってるかしら…♡)

夏休みの終わりが、今から待ち遠しい

鞠莉(我ながらクサい芝居ね)


鞠莉「うふふ…♡」

ズズズ…



鞠莉「うふふふふふ」

ゾゾゾゾゾゾゾゾ…!!!


バシャバシャバシャバシャ


鞠莉「オウオウオウオウ、いけなわ」チャプ


ペロッ



鞠莉「けほけほ。またお湯『激辛』にしちゃった♡」

――――――――
―――――
――

夏休み7日目

初日から早くも1週間…!



はぁ…、はぁ…

理亞「こんな感じです…。あくまでベースなんですが」

希「なかなかいい能力やね。理亞ちゃんのキャラクターにも合ってると思うし、単純であるが故に伸びしろが大きいと思う。今後必要に応じてルールなんかで強化していけるし、『発』そのものが奥義になる強化系の強みやね」

理亞「ありがとうございます…!」

希「一旦休憩入れよっか」



【踊るんだよ、音楽の続く限り(ダンス・ダンス・ダンス)】
強化系能力。バック宙返りなどを軽々とこなすほど身体能力をオーラによってさらに強化。瞬時に局所にオーラを振る『流』が能力のカギとなるのだが、現状ではまだオーラで体を覆っている(つまり無駄が多い)。

希(ふふふ、おもしろいなぁ、2人の能力)

希(お互いがお互いの欠点を埋めるような能力になっている…。でも2人は決してお互いの能力に合わせ念能力を開発してないんだよね。絵里ちのとこも穂乃果ちゃんのとこもにこっちのとこも…姉妹は仲良くなるように出来てるんかな♡)

聖良「ところで、もう1週間ですがaqoursの方は順調ですか?」

希「あはは、気になるん?」

聖良「い、いえ、そういう訳ではないです。ただ一緒に修行しているよしみと言いますか…、希さんに会えたのも彼女たちの引きの良さって面もあると思いますし…」

希「ふーん。実はここ数日放っておいてるんよ。成果待ちってところやね」

希(確かに照れ隠しって訳じゃないみたいやね。今のところは眼中にないかー。いいライバルになれると思うんやけどね)

聖良「それじゃあそろそろ…」

希「そうやね。続きやっていこうか」


希(aqours~、早く追いつかないと届かなくなっちゃうぞ~)

――――――――
――――
――


千歌(…やばい)

千歌(『練』の修行を始めてもう1週間…)

千歌「えいっ!!」ズズズ!!


ズ…ズズ…、ズ

千歌「むむむ」



バシュゥゥゥ…


千歌「だ、だめだ~」

焦り。

千歌(私が一番遅れてる…。リーダーなのに…)

千歌(オーラ…。オーラがある人なんてよくいうけど、考えてみれば私に一番縁遠い言葉だもんなぁ…)


千歌(やっぱり私なんかじゃ…)

千歌(…。)


千歌「ってだめだめ!!あーもうなんで私はこうなんだろ。こんな私でも輝ける、誰でも輝けるのがスクールアイドルなんだもん」

千歌「こんなところで諦めちゃう訳にはいかないぞ~!!」

千歌「うーん。何がいけないんだろ」


『体からオーラをかき集めて一気に解き放つイメージやね』


千歌(…なんて希さんは言ってたけど。やっぱり私にはオーラ量そのものが…。ってだめだだめだ…!)

千歌「うぉ~。えーと、体からオーラをかき集める、と…」



―――
――

回想

善子『イメージするのよ、細胞1つ1つから湧き上がる漆黒の衝動を…!!』

花丸『イメージなのか妄想なのかかあやふやだけど…。確かに善子ちゃんの言ってることは間違ってないと思うずら。なんというか全体よりもまず局所を意識するというか…』

ルビィ『原点を意識する…ってイメージかなぁルビィは。千歌さん、がんばりましょう…!!まだルビィも出来てないですけど』あはは

――
――――
――――――

千歌(えへへ、ありがと。善子ちゃん、花丸ちゃん、ルビィちゃん…。)

千歌(全体よりも局所…)

千歌(…原点か)

目を閉じる

千歌(私の原点…)


思い起こされるのはこれまでのaqoursでの活動―――


千歌(―――私の原点は、『憧れ』)


千歌(みんな…!!)



―――千歌のオーラの源泉は、スクールアイドルに対する憧れである
オーラの根源に迫る際aqoursのことを考えてしまうのは必然であった。


曜ちゃん、梨子ちゃん、ルビィちゃん、花丸ちゃん、善子ちゃん…

千歌(みんな、こんな私についてきてくれてる…)

皆をラブライブに連れて行ってあげたい


そしてもちろん、私も行きたい…!!

千歌(…そのためにはまず念を覚えて3年生たちに勝たなくちゃいけない)

千歌(そうだ、私のオーラはもう)

千歌(私一人のモノじゃないんだ…!)

ズズズズズ…

―――みんながいて、今の私がいる


念は「燃」、心の力

『練』で意識を高めれば、『発』(結果)に至る


千歌(そう…。こんなところで立ち止まってる訳にはいかない…!!)

ズズズズズズズズ…!!

私はラブライブで―――――


千歌「輝きたいんだ!!!」




ボッッ!!!

シュゥゥゥゥ…


千歌「…あはは」

千歌「そりゃそうだ。世の中そんなに甘くはない」

千歌「うーん。また初めからやろう」


曜「」こそこそ

曜(落ち込んじゃってるかと思ったけど…大丈夫みたい。あはは、千歌ちゃんならきっと諦めないの知ってるはずなのに。いらぬ心配だったね。がんばれ、千歌ちゃん)

――――
――

梨子「曜ちゃん、千歌ちゃんどうだった?…やっぱり落ち込んじゃってるんじゃ…」

曜「あはは。だから大丈夫だってば、千歌ちゃんは。言ったでしょ。それに私、こんなに頑張ってる千歌ちゃん初めて見たもん」

梨子「そっか…そうだね!うん、千歌ちゃんなら絶対こんなことじゃ諦めないよね!やだな私。いらない心配しちゃった」

曜「まったくもー。梨子ちゃん心配症なんだから」あはは

曜(私たちなら、きっと大丈夫…!!)

―――――
―――

夏休み10日目

都内某所


あんじゅ「お疲れさま♡にこ」

にこ「あ、お疲れあんじゅ。にしても意外だったわ。あんたバラエティも行けるのね」

あんじゅ「あはは、でしょ。他の2人はこういうの出たがらないからね」

にこ「それは…。でしょうね」

あんじゅ「にしてもにこの方が凄いよ。一緒に仕事して分かった。場の回しとかもうアイドルじゃないわあれ」

にこ「ちょっと、褒めてくれてるのそれ」

あんじゅ「もちろん♪ねぇにこ、時間あったら少しお茶してかない?なかなか会える機会ないでしょ」

にこ「そうね。次の現場まで少し時間あるし付き合うわ」


――――
――

喫茶店


あんじゅ「にこってまだスクールアイドル追ってるの?」ズズ―

にこ「当たり前でしょ。あんじゅは?」

あんじゅ「デビューしてからは忙しくて最近の子たちは見れてないんだよね。嬉しいことにまだ変わらずドーム大会が開かれてることは知ってるけど」

にこ「語ってほしいなら語るけど?それにしても突然ね。どうしたの?」

あんじゅ「英玲奈の親戚の子がスクールアイドルやってるみたいで今こっちに来てるんだって。それ聞いたらなんだか懐かしくなっちゃってさ。聞いてよ、あの英玲奈が『お姉ちゃん』なんて呼ばれてるらしいの!」

にこ「あー、aqoursでしょ。知ってるわよ」

あんじゅ「えー誰に聞いたのー?はっ、もしかしてみんなの中で知らなかったの私だけとか?!」

あんじゅ(…あー♡)

あんじゅ「そっかぁ、真姫ちゃんも一枚噛んでたね。そういえば」にやにや

にこ「べ、別にー?あの子は関係ないわよ…!」

あんじゅ「ハイハイ。それにしても別荘貸出か、気前がいいことで。最近みんなで集まる機会も減ったわよね。真姫ちゃんは元気にしてる?大学大変そうよね」

にこ「しーらない」ズズ―

あんじゅ(あらら、スネちゃった)

あんじゅ「久しぶりにみんなで集まりたいなー。もう2、3年はそういう機会なかったんじゃない?にこはどう思う?」

にこ「…いいんじゃない。でも集まるなら今から声かけとかないと掴まらないわよアイツ等。ことりとか日本にいないし、絵里もあちこち飛んでるし。穂乃果にいたっては何してるのかさえ良く分からないっていう」

あんじゅ「そういう話が出てるってことμ’sのみんなにはにこから伝えといてよ。日取りはまた考えとくから」

にこ「分かったわ」

ピロリン♪

にこ「ん、メッセージだ。こういうとき狙ったように送ってくるのは…」

にこ「やっぱり!希よね」

あんじゅ「のんちゃんなんだって?」

にこ「集まる件賛成~♡、だそうよ」

あんじゅ「特質系はハンパないな~。こういうことも分かっちゃうんだ」

にこ「ほんと油断できないわ。英玲奈もいいのかしらね。かわいい従妹を希に預けちゃって。私の方が心配なんだけど」

あんじゅ「あはは、のんちゃんならだいじょうぶでしょ。でも今のスクールアイドルって聞いた話じゃ良くも悪くも別物に近いんでしょ。教えるにしても大変そう」

にこ「…まぁね」

あんじゅ「かなりレベルが上がってるんだよね」

にこ「よりにもよって念能力習得がラブライブ出場の裏条件、とまで言われてるからね。楽しもう、とは言ってられないでしょうね今の子たちは。ことごとくふるいにかけられるようになっちゃったんだもの」

あんじゅ「勝ちにこだわるからこその面白さだったり美しさがあるってことね。私たちが行きついた答えとは違った考えだけど」

にこ「まぁ現状少し行き過ぎてるわね。でも私に言わせればそろそろこういう時代を変えるグループが出てくる頃よ」

あんじゅ「にこがそういうならそうなのかもね♪どちらにせよ私たちが口出しする権利なんてないからね。…あ、そろそろ次の現場に行かなくちゃいけない時間」

にこ「あ、もうそんな時間たってたの」

あんじゅ「じゃあね、にこ。同窓会の件よろしく~」

にこ「りょーかい」

にこ(にしてもaqoursか…。どこかで聞いた名前よね。いつだったかしら)


――――――
―――

――――――
―――

#.10

夏休み12日目


希「おーす、久しぶり。10日ぶりやね」

ルビィ「あ、希さん!お疲れ様です!!」

希「メッセージ見たよ。『練』、できるようになったんだって?見せてもらおうか」

千歌(…)ごくり

Aqours『はい…!!』


―――――――
――――
――

希「…うん、梨子ちゃんもいいでしょう♪」

梨子「やった!」

希「最後は千歌ちゃんやね」


千歌「は、はい…!」

どくん…どくん・・・

曜「大丈夫だよ、千歌ちゃん」こそっ

千歌「…うん、ありがと。曜ちゃん」

千歌(届いて―――)


―――私の『輝き』…!!


千歌「いきます」

ズズズ…


千歌」(『練』!!)




ズオォォッ!!

希「…」

希(…10日でここまできたか)ふふ

希「…うん、全員合格やね♪」

千歌「やった…」

ルビィ「やりましたね、千歌さん!」

千歌「うん!みんなのおかげだよー!」ギューッ

ルビィ「い、痛…」えへへ

千歌「やったよぉ~~!!」

希「まったく、既に奥義を会得レベルの喜びようやな。ま、今はいいかな」


ワーワー

希「ほーらみんなひとまず休憩にするよ。そのあと『絶』教えてあげる♡」

希(…『練』を見れば実力が分かる、か。ふふ、おもしろいオーラやね。千歌ちゃんのオーラの動きにはaqours全員の特徴が表れている。…みんなからいろいろアドバイス貰ったんやろうな)


希(皆と一緒に進んでいくリーダー。それもいいな)うふふ

――――――
――――
――

夏休み14日目

初日から2週間が経過

ズズズ…


聖良「…」ズズズズ!

聖良「…ふぅ。どうでしょうか」

希「お疲れさん、前より凄いよくなってるよ」



【たったひとりの最終決戦(プライベート・ウォーズ)】
具現化系能力。自分と対象1人を念空間に強制入室させる。理亞と同じく未完成の能力であり、詳細なルール等はまだ決められていない。自分も同一の念空間に拘束されるのは1つの制約であると言えるが、この場合はあえて1対1なら誰にも負けないという聖良の自信を色濃く反映した結果ということを強調しておきたい。A-RISEの曲名を冠したのは彼女の強い信念と憧れのあらわれである。

希(近距離・攻撃型の理亞ちゃんと中距離・補助兼攻撃型の聖良ちゃんか。いいコンビやな。2人の能力が本当に真価を発揮するときは2人揃ったときやね)

希「聖良ちゃんは自分の能力のどこが欠点だと思う?」

聖良「…そうですね。やはり拘束時間でしょうか。現状のオーラ総量では縛れて2分が限度かと」

希(やっぱり致命的な欠陥には気づいてないな。それに気づくきっかけすら持ち得ていない。でも仕方ないな。スクールアイドルに本来求められる資質じゃないし、そこまで求めている現状が異常なだけや)


――『発』
念能力の集大成。
つまり自身の能力を完璧に仕上げることがラブライブ出場の最低条件となる。



希(大概の出場者は能力開発に時間をかけることが多い。けどそれは間違いや。スクールアイドルというある意味で異常な状況。限られた時間のなかで、限られた結果を求めなくてはならない。その目的意識下で生まれる能力は概して好戦的、戦闘向きが多くなる。つまり実戦で使っていくことで能力が洗練されていくってことやな。高校生がこんな発想に至るのもなかなか無理があるけどね)

希(…そろそろかな)


prrrrr…

希「おっとごめんよ、2人は水でも飲んできて」

希「ほーい、どした」

希「うん、うん。分かった。じゃあ明日な」

――――
―――

聖良「aqoursですか?」

希「も~、盗み聞き?聖良ちゃんのえっち!」

聖良「えっ…ち…、じゃないです!…もういいですよ。再開しましょう」

希「あはは、ごめんな。反応がかわいくて。『絶』を習得したから見て欲しいだって」


聖良(…!)

理亞「…『絶』って」

聖良(…もうそこまで)

聖良・理亞(…)

聖良「思ったよりも…頑張っているみたいですね」

希「『燃』やね。ウチも正直驚いてるよ。ここまで喰らいついてこられると」

希「…気になる?」くすっ

聖良「ふふ、どうでしょうね。…少なくとも初めて会ったときはここまでくる子達ではないと思ってました。完全にあの舞台で折れると。その点で言えば、認識を改めざるを得ませんね」

希「あはは、そっか。じゃ、練習再開しようかね」


希(一応、aqoursのこと意識するようになったかな。前進やね。aqoursにとってもそうだけど、セイントスノーにとってもこれは大きな前進なんじゃないかな。勝ちにこだわりつつも、他のスクールアイドルを認めていく。念なんかよりよほど重要だと思うけどな。ふふ、せいぜいお互い高め合っていくことや)

今回から前回エタった先の展開まで進む予定です!!

#.11

――翌日

夏休み15日目


『絶』…

スッ

希「うん、いいでしょう」にこ

千歌「やった!」

曜(…これで一応は四大行のうちの3つをマスターしたことになる。残すは『発』。念の集大成にして、ラブライブ入賞の最低条件…!!)

善子「ついにここまで来たわね…!はやく『発』を…!」

希「こら、焦りすぎ。修行してて気付いたことは何かあった?」

ルビィ「うーん、やっぱり習得速度かな…?『練』は結構苦戦したけど、『絶』はあまり時間がかからなかったです」

希「そうやね、まさにそれ。『練』の時オーラを貯める予備動作で一瞬『絶』に近いことやってるからね。全部の修行が繋がってるんや。焦らず、復習が大事なのです♡」

善子「は、はーい」


希「…なーんてね」

「念」は「燃」
すなわち意志の強さ

―――全員が1つの目標に向かって「点」になり、

千歌『私たちは絶対にラブライブに行く!、アクアーーー!』

みんな『サンシャイン!!!』



―――「舌」で想いを口にする。

千歌『私悔しいんだよ…!』ぽろぽろ

ルビィ『私はただスクールアイドルが大好きなの…!』

梨子『もう嘘がつけなくなっちゃったの…。スクールアイドルをやりたい気持ちに…!』



―――「練」で意志を高め、

千歌(私の原点…)

千歌(―――私の原点は、『憧れ』)

千歌(届いて―――。私の輝き―――――)





そして「発」で行動に移す――――――




希(…と)

希(あはは、これは言葉遊びやけど。ついにここまで来たねaqoursちゃん)

希「焦らすのも趣味やけど、ここは敢えて先に進もうかな♡」

Aqours『…!!??』


希「『発』、いっちゃおう」


―――!!!

希「はい、これ」

みんな「?」

花丸(コップになみなみと入っているのは水かな。その上に浮かんでるのは…、葉っぱ?)

希「こうしてコップに手をかざして『練』して変化を見ることでその人がどの『系統』に属しているのか知ることができるんよ」ズズズズ

曜「コップから湯気が…!」

希「うちの反応はちょっと特殊なんやけどね。水の温度が変わる…、系統としては『特質系』に分類されるね」

善子「…」わくわく

希「待ちきれないみたいだね、ふふ。皆もやってごらん♪」


ドキドキ…

千歌(…いくぞ!)ズズズ…!

千歌「み、水が…!!」ズズズ

ちょろちょろ

千歌「溢れてきた…!!」ズズズズ

ちょろちょろ

曜「…というより漏れ出たって感じじゃない」にしし

千歌「…そうとも言う」

希「かわいい溢れ方やな。千歌ちゃんは強化系やね」

曜「よーし、つぎは私!!」ズズズズ

…。

曜「…てあれ、変わんない」

希「ちょっと舐めてみ」

曜「…」ペロッ

曜「しょっぱい!…かも?」

希「味が変わるのは変化系の特徴やね」

梨子「じゃあ、次私行きます…!!」ズズズ

みんな『じー…』

梨子「色が若干桜色に…なってるよねこれ?」

希「放出系の反応やね♪」

ルビィ「よーし、次は私が…」ズズズ

ゆらゆら

ルビィ「葉っぱが…ちょっとだけど動いてる…!」

希「ほー。ルビィちゃんは操作系やな」

花丸「マルは…」ズズズズ

みんな『じー』

花丸「かすかだけど澱(おり)がういてるずら…!」

希「丸ちゃんは具現化系やな」

希(2人のタイプから見ると逆のイメージだったけどな)

善子「フフフ…。最後はこの堕天使ヨハネね」

善子「この漆黒のオーラに当てられて、いかに変化するのか…!!」ズズズ…

善子「見ものね」ズッ!!!

…。

曜「…目視で変化は認められないであります!」

善子「てことは曜と同じ変化系かしら…?」スッ

希「…いや」

善子「て何これ!!なんかゼリーみたいになってるぅ!」

希「善子ちゃんは特質っぽいな」

善子「と、特質…?!…なんか」

善子(かっこいい…!!)ぱぁぁ

希「仲間やね。うまく付き合っていけば面白いオーラだよ」


――――
―――
――

まとめ①


…ということで

千歌、強化系
曜、変化系
梨子、放出系
ルビィ、操作系
花丸、具現化系
善子、特質系


という振り分けになりました。

希(6人が六性図で綺麗に別れてる…。あはは、いいチームやね。果たして偶然か、それとも千歌ちゃんには何か『そういう』力があるのか)ふふ

わーわー

希「はーい、いいかなみんな。これからは水見式の変化がよりハッキリ現れるようになるまで修行してもらいます。それと並行して、今までの復習やね。自分のオーラがどこに属するのか知れたことでよりオーラに対するイメージが持ちやすくなったんじゃないかな」

Aqours『はい…!』

希「それと能力の開発やね。そろそろ具体的にどんな能力にするか考え始めてもいいと思うよ」

善子「ついに来た…!私の能力…!」ワクワク

曜「善子ちゃんはもう何か考えてるみたいだね」

花丸「ノートに色々描いてるもんね、善子ちゃんは」

善子「…な、ななな何で知ってるのよずらまる!!」かぁぁぁ

梨子(見られるのは恥ずかしいんだ)あはは…

希「ふふ、でもやっぱ自分の世界観を持ってる子は強いよ。念においても、スクールアイドルにとっても。ウチの周りにも自分を宇宙ナンバーワンアイドルを自称してた子いるけど、やっぱその信念に裏打ちされた情熱はホンモノやったからね」

ルビィ「ルビィは独自のスクールアイドル観持ってる善子ちゃんのこと尊敬してるよ」えへへ

善子「な、なによ急に…!」

希「結局自分で合ってると思える能力が一番効果を発揮するからね。そういう意味じゃ、意思を高める『練』かな。スクールアイドルとしての自分自身と向き合う所からやっていこうか。『練』から修行再開しよう」

Aqours『…はい!!』


ズズズズ…


善子(…私の『世界観』、か。やってやるわよ…!)

#.12


夏休み、21日目

修行開始から3週間が経過…!!


希「千歌っち溢れてるね~」

千歌「えへへ…」ごぽごぽ

希「善子ちゃんの特質は水を完全に固まらせるんやな。ゼリー状にするんじゃなくて」コンコン

善子「私のオーラに触れたものは石になってしまうの…。その美しさ故に…!」

希(『発』の修行ももう十分やな)

希「OKでしょう!みんなの想いは確実にオーラに乗ってる。系統の性質が完全にオーラに反映されてるよ」

Aqours『…!』

希「あとは、想いを形にするだけ…。それが君たちの念能力になる」


希「…ふふ、みんな。ラブライブの裏試験合格!!おめでとう!」

Aqours『…!!!!!』

希「一応区切りやしね。みんなならもう十分戦えるよ」

ルビィ「…うぅ」ぐすっ

希「…ふふ、辛かったろうね。ここまでいろいろと。輝きだけを追いかけて、こんなところまで来た訳や。何もかも手探りだったろうし、不安ばかりだったと思う。よくがんばったよ」

ルビィ「うぇぇぇん」がくっ

梨子「…ルビィちゃん」なでなで


千歌「…希さん」

希「?」

千歌「…ありがとうございました。何も知らない私たちに、いろんなことを教えてくれて。色々と助けてもらって」

希「ウチは何もしとらんよ。最初会ったときに言ったでしょ、君たち次第って」

千歌「…私たちはここで立ち止まるわけにはいかないんです。私たちにはまだやらなくちゃいけないことがある…」

ルビィ「…こんなところで泣いてちゃダメ、だよね」ぐし

希「ウチはもうみんなに100点満点付けてあげたいところやけどね。そう言うと思ってた」

千歌「私はラブライブで、ここにいるみんなと一緒に頂点に立ちたいんです…!!」

曜(…千歌ちゃん)

千歌「ラブライブはやっぱり…勝たなくちゃ、意味がない。誰にも譲れないから、」

希「そっか」

希(…まぁ、今のスクールアイドルならそうやろね。それでもいい。今はまだ)



希「じゃ、どうかな。能力の方は。何かひらめくものはあった?」

曜「それが…、いざ考えてみるとなかなか」

希「だろうね」ズズズ…!!

みんな『…!!』

希「みんな明日の予定は?」

善子「まさか、試験合格祝いをするとでも…?私たちは立ち止まらない、もちろん修行よ!!」

希「ふふ、よろしい。今後しばらくはウチが付きっきりで修行みるよ。『あの子達』もそろそろマンネリやしな。いい機会やね」


希は、袖口からタロットカードを取り出した。
その動作はあまりに静かで、それでいて素早く、何者の意思もそこに介入できないように思われた。


みんな『!!』


希「ちょっと明日の天気が気になってな。ふふ、ウチの占いは『100%』当たる。それは天気に関しても例外じゃない。明日からちょっと修行の形式変えるよ」

曜「…占い、ですか」 

希「あはは、そ。ウチの能力は『占い』や。イメージ沸かないなら見てもらおうと思ってね。千歌っちは一度見たらしいけど、やっぱり念を覚えた今とじゃ感じるものも違うと思うし」ズズズズズ

【もしもからきっと(ヒューチャー・レンズ)】
特質系能力。未来を占う能力。占われた結果は100%起こる(回避行動をしなければ)。占いにはタロットカードが用いられるため、結果は暗喩に満ちたものとして提示されるが、それが制約的に働いてより能力を強力にしている。既に希を前に暗喩は暗喩として働いていない節がある(つまりほぼ完璧な未来視)。



希「…」バッ



―――1枚カードを引き抜く
宗教画が動いたら、このような所作をするのだろうか

まさに神からの啓示をうける、1人の聖女―――

あミス

×ヒューチャー
〇フューチャー

カタカナ難しい

希「ん、ほぼ1日晴やね。一時的に崩れるみたいだけど、まオッケーやな。あ、時間は15時24分から30分ほどね。昨日みたいな土砂降りに会ったら大変だもん」

――それ、本当なんですか?

曜(なんて疑問を挟む余地がない…。疑問を持つことも出来ない。そう思わせない説得力…!)

花丸(希さんの言ったことはたぶん、絶対に起こる…!)

千歌(…そう、この感じだ。あの日より、よりはっきりと感じる…!これが…)ゾクゾク

みんな((念能力…!!))

希「じゃあウチは明日の準備もあるしここらで上がらせてもらうね。お疲れさん~」



――――――
――――
――

その夜

別荘、お風呂

カポーン



千歌「…」ぼー

曜「失礼」ちゃぷん

千歌「…あ、ごめんね」よけよけ

曜「洗い場空いたよ~、次の人~」

ルビィ「はーい」ばしゃっ

善子「…どうしたのよ。ぼーっとしちゃって」

曜「ふー。…当てようか?希さんの念能力でしょ」

千歌「…うん」

―――
――


鞠莉『今のラブライブは当初想定していたレベルを遥かに超える事態になってるわ。μ’sやA-RISEの影響でね。スクールアイドルの技術自体は当時と比べ物にならないほど進化した。オーラが必須になるほどに。』

鞠莉『でも未だに彼女たちは夢見る少女を惹き続けている…。一体どれほどの念能力者だったのかしら…♫』


――
――――


ルビィ「『ほぼ完璧な未来視』…、凄かったですね」ジャー

花丸「もう何も言えないずら。実際に見ちゃったし、それを否定することはできない」

曜「事実は何よりも雄弁…ってことだね。いきなり最上級のモノ見せられちゃった感じかな。…希さんの能力は1つの極地に近いと思う。それだけに念能力の可能性の広さを知ることができたんじゃないかな」

千歌「果南ちゃんと能力のベクトルが全然違うから単純に比べられないけど…、共通してることがあって」

梨子「それは…?」

千歌「やっぱり『その人に合った』能力なんだってこと。あの能力はやっぱり、変な言い方だけど希さんらしいと思った。果南ちゃんの能力も、同様に果南ちゃんらしい」

曜「方向性は見えたね。オーラの性質、制約と誓約(ルール)、そしてパーソナリティ。そろそろ誰が誰と当たるかってのも考え始めたほうがいいんじゃないかな…。能力開発にも左右するだろうし」

善子「そうね。3年生1人に対して私たち2人が当たる…。さて、どうする?」

曜「…判明してるのは果南ちゃんの能力だけ。恐らく強化系だろうね。あとの2人は未知数だけど」

ダイヤ『夢を語るには力と覚悟が必要なのですよ、ルビィ。今のあなたにはそのどちらも欠落している』



ルビィ「…私は」

ルビィ「…私はおねぇちゃんとやる。やらせてください…!!」がたっ

花丸(ルビィちゃん…)


曜「ルビィちゃんの気持ちも分かるけど…。やっぱり姉妹で戦うなんて…。もう少し冷静になってゆっくり考えるべきなんじゃないかな?」

梨子「…私はいいと思う」


曜「え、どうして梨子ちゃん?!」

梨子「『お姉さんと向き合う』ってことが、ルビィちゃんにとって、スクールアイドルとして必要なことなら…私たちに止める権利はないと思うの」


千歌「うん。ルビィちゃんがやりたいっていうならやるべきだと思う。決着を付けに行くんだよ、私たちは。ルビィちゃんにダイヤさんと白黒つけたいことがあるのなら、その日に決めるべきだよ」

千歌「だから私も賛成」(梨子へウインク)

梨子(…千歌ちゃんてば)ふふ


曜「…うん、確かにそうだね。ルビィちゃん、がんばって!」

ルビィ「はい…!!」



ルビィ(お姉ちゃん…!)

千歌「私は果南ちゃんとやろうと思う。能力自体をこの目で見てるわけだし」

善子「強化系同士がぶつかったら完全に習熟度と力の勝負になりそうなんだけど…大丈夫なの?操作とか具現化でハメるほうが定石だと思うけど」


千歌「…果南ちゃんの能力は身体強化って意味じゃある意味で強化系の極みに近い形だと思う。同じ強化系だけど、私なんかじゃどれだけ時間があってもたどり着けない能力だって…」



千歌「だからこそ、正面からたたかって勝ちたい。果南ちゃんとは違う、私の『輝き』で。どんな人でも、こんな普通の私でも輝けるってことを証明するために、私はスクールアイドルになったんだから…!!」


曜「…『決着』、だね」

千歌「うん…!」

曜「…千歌ちゃんは果南ちゃん、と」


梨子「そうなると問題は…」

善子「…理事長ね。念能力はパーソナリティに影響を受けることが多いってさっきの話…。そういう意味じゃあの人何考えてるのか分からないのよね、1番。アタリの付けようがない」

曜「じゃあ私が行くよ」

みんな「えっ」


梨子「確かに…、1番修行の進みがいい曜ちゃんなら不測の事態にも備えられるかもしれないけど…」

曜「そんなことはないよ、ただ」

千歌「ただ…?」


曜「なんか私と似てるところがある気がするんだよね、あの人。案外1番分かりあえるかも、なんて」あはは

善子「曜と理事長が似てる…、ねぇ。まぁ曜が理事長と当たることに異論はないけど」

千歌「じゃあひとまず私たち3人は決定ね!残りのみんなも考えちゃお~」


曜「今度は系統とかでの相性とか能力の方向性まで考慮して考えた方がいいね」


―――――――
――――
――

#.13

夏休み、22日目


曜「あれ?」

聖良「おや、aqoursのみなさん」

善子「おかしいわね、今日の練習は私たちって話だったと思うけど…」

理亞「そんなはずない。私たちも希さんに呼ばれたもん」

梨子「うーん、ダブルブッキング…?」

希「おーす」

千歌「あっ、希さんどうも~す」

聖良・理亞「希さん、おはようございます」シュビッ

千歌(…はっ)

Aqours『お、おはようございます、希さん!!』

希「みんなおはよ♡」

聖良「…それで、今度はいったい何をお企みなのですか」

希「聞きが悪いなぁ。えーごほん。突然ですがこれから3日間、aqoursセイントスノー合同練習を開催したいと思いまーす」

千歌「ご…」

みんな『合同練習~~~!?』

――――――
――――
――

希「ここにいる全員は既に四大行を修めました。晴れてラブライブ裏条件をクリアしたことになります」

聖良・理亞「…!!」

聖良(…まさかそこまで)

希「でもそこがゴールじゃないんだよね。目指す場所は今よりももっと高いところにある」

希「君たち、『輝きたい』んだよね?」

千歌「はい…!」

聖良「…もちろん」

希「という訳で実戦の場を用意しました!今いるこの8人で戦ってもらいます」

梨子「…た、戦う?」

希「前にも話したよね。オーラは生命E。生存に直結する行動に強く影響される。君たちにはオーラをより輝かせられるようになる場が必要なんや」

聖良「それが今回の合同練習、ですか」

希「そゆこと」

聖良「…正直、あまり乗れませんね。昨日今日でたどり着いたような念が私たちに通用するとはとても思えませんが」

千歌「む」

希「あはは、そこらへんはもちルールとかでバランスとるよ。大丈夫」

希「じゃ、まずは千歌ちゃん曜ちゃんと理亞ちゃんで当たってみようか」

千歌・曜・理亞「!!!」

曜「うわ、いきなりだ…。心の準備が」

希「ルールは千歌ちゃんと曜ちゃんは理亞ちゃんに『触れられたら』勝ち。触れるについてはいちいち定義しないよ。で、対する理亜ちゃんは二人の『背中』を『2回』タッチすること。いいかな?」

千歌「は、はい…」

曜(いちいち定義しないってことは具現化した腕伸ばしてタッチしても、それは触れたってことになるんだよね。ま、できればだけど)

希「じゃ、初めよっか。あはは、理亞ちゃんご不満かな?そんなむくれず行った行った♪」


――――――
――――
—――

ヒュゥゥゥゥ


千歌・曜「…」

理亞「…」コキコキ


両者、10数メートルの距離をもって対峙


ルビィ「なんだか、見てるこっちがドキドキしちゃう‥」

聖良「もう出会って結構立ちますけど希さんはほんと掴みどころないですね」

梨子「…ですね」あはは

聖良「それにしても」

梨子「え?」

希「それじゃあ…。始めッ」バッ


聖良「ああいえ」






ポン。ポン。

千歌・曜「…え?」

理亞「はい、1回」

聖良「ほんと人悪いなぁって思って、希さん」くす


―――――!!??

千歌曜「へ?!?」

理亞「…動かないなら、止め刺していいってことですか」

千歌・曜(―――!!)

千歌・曜「!!!」ババッ

ふたたび距離を取る千歌と曜
今回は約30m。さっきの3倍

――たったの1度で刷り込まれた十分すぎる間合い

理亞「ふふ」ザッ

この距離は今の実力差…?

曜「…。」ツー

曜(速い)

聖良「ハンデありとはいえ勝負として成り立っているか疑問ですね」

梨子(…)ごくり

曜(反応、できなかった…)

千歌「…」どくんどくん

理亞(さて、どうするaqours?諦める?前みたいに…!)



千歌「…」

千歌「はー」

千歌「…あはは、油断しちゃったね。曜ちゃん」

曜「だね。理事長たちと当たる時はこれ以上の不確定要素の中戦うのに、反省」

千歌(…理亞ちゃんも強化系かな。速さは果南ちゃんとほぼ互角か)

千歌(…えへへ。いいじゃん)

千歌「次はそう簡単にはいかないよ、理亞ちゃん」ズズズ

曜「そうでありまーす」ズズズ


聖良(へぇ…)

曜(相手は上手(うわて)。攻撃を受けてからの反撃は無理。相手が攻撃に移った時がたぶん私たちにとって敗北の時だ…!)

曜(それなら―――)

曜「千歌ちゃん!」ダッ

千歌「うん!!」ダッ

曜(―――とるのは常に先手!!!)ダダダッ

理亞「…賢明」スッ

曜(!!)

曜(オーラが脚に集中してる…!)ズズ


希(…まだぎこちないけど曜ちゃん無意識に『凝』を使ってるな。そうそう、それでいいんよ)

希(…今後君らが闘っていく相手は常に上手。闘いながら成長していくしかないんや)にこり

曜(私も…、行けるか!?オーラを脚に集めて…)ズズズ

曜(加速ッ…!!)ダッ

曜「確保おぉ―――!!」バッ

―――確実に触れた

と思った

が既に理亞は曜の目前にはいなかった

曜「くっ」

予備動作0で、
理亞の初速は曜の全速力を優に超えた

理亞「…まずは一人目!!」

曜(背後かっ)バッ

曜「おりゃッ」バッ

理亞(あの体制から蹴りを!!)サッ

聖良「いいバネですね、渡辺さん」

理亞「くッ」ズズ

曜(脚にオーラが集中してるから他の箇所への注意が疎かだ…!攻め続ければ隙が生まれる…!!)

曜「千歌ちゃんっ、今!!」

千歌「りょ~~かいッ!!」

理亞「!」

理亞を捉えるため、千歌のオーラは無意識に1つの正解にたどり着いていた


――――『円』、である

【『円』】
『練』で増幅したオーラを『纏』で自身から広範囲に留めることで、オーラに触れたモノの位置や形状を肌で感じ取ることができる。


千歌(反応できないなら――――)


千歌(オーラで感じ取ればいい…!!)



ズッ!!


理亞(これはッ!?)

千歌のオーラが曜、理亞をも包み込む


ズズズズズズズ…!!!

千歌(これならオーラに触れたものすべてに反応できるよ!)


…あの日から千歌の中で幾度となく反芻される果南の動き

それと理亞を千歌は重ねて見ていた

そして、あの動きに対応する自身の姿が今!!!


千歌「行くぞ!!」ズォッ!!



―――現実と重なる!!!


ズズズ…!!

重なる!!

ズズズ…

重な…!

シュゥゥゥゥ

重…


ぽすん


・・・。


千歌「…あれ?」

理亞「はいタッチ」

千歌「あ」

希「狙いは良かったんやけどね~」

理亞「まったくびっくりさせないでよ」タタタ

千歌「あああああ」がく


―――千歌の『円』、わずか20数cm…ッ!!

※厳密な『円』とは、自分を中心にオーラを半径2m以上1分以上で維持する技術を指す


千歌(イメージだともっとぶわわわって広がってくはずだったんだけどなあ…。十分とは程遠いしていうかこれが限界)

曜「うわ~千歌ちゃん~!よくも~~」

―――


…5分後

善子「曜思ったより生き残ってるわね」

梨子「うん、さすが曜ちゃん」

曜(背後さえとられなければ、それにだけ反応できれば…!)はぁはぁ

ルビィ「あ、でも…」

理亞「タッチ」ポン

曜「あああ~」ガク


希「はいそこまでー」

――――
――


希「おつかれ~。どうだった、実際に念能力使って色々やってみて」

曜「習うより慣れろって感じですねまさに。色々足りないモノが見えた気がしますよ」

希「うんうん。千歌ちゃんも面白いことしようとしてたね」

千歌「でもうまくいかなかった~。悔しい!これから何をしなくちゃいけないのか、何が必要かが分かった気がします!」

千歌(あれを極めれば果南ちゃんとも渡り合えるかもしれない…)うず…


梨子「2人とも~」

曜「あ、みんな!」



わーわー
曜ちゃんすごかったよ~
えへへ~
千歌さんも頑張ってました!
きゃっきゃ

希「はは、元気ええな~。で理亞ちゃんはどうだった?色々言いたそうだったけど」にや

理亞「…」むー

理亞「楽勝だった。まぁ当り前ですけど…!」

希「あはは、そうだね」

じー。

理亞「まだ何か聞き出したそう…」

希「いやぁ、そんなことないけど」

理亞「…そうですよ。今足りてない事も、やらなくちゃいけない事のも気付けた気がしてます。…あの2人と一緒ですよ。前に私たちに聞いてましたよね?能力の欠点て奴。今なら何か掴めそうな気がしています」

希「ほほー」にやにや


理亞「それと―――」

―――『練を見ればその人の実力が分かる』

理亞(さっきの戦闘中に2人が見せた『練』…。別人かと思うほど強くオーラが輝いてた。)


『ラブライブは遊びじゃない』

理亞(今aqoursはこうして私たちの前に立ちはだかっている…。共に、肩を並べて修行している。あの時…、初めて会ったあの時と全く違う。)


今ならもう、彼女たちを何の疑問の余地なく『スクールアイドル』として認めることができる―――


理亞(なんて言うんだっけ、こういう人間関係って。あー確か)


ライバ――――――


千歌「おーい、理亞ちゃーん。ちょっとこっちおいでー。お話聴かせて~」

理亞「!」

曜「理亞ちゃん速いねぇ~。やっぱあの発は強化系?」このこの~

希「…それと?」

理亞「…なんていうかあの人たち見てると調子くるいます」ぷい、すたすた

希「ふふ、そっか」

千歌「あー理亞ちゃんどこ行くの~~」

善子「アンタがいきなりなれなれしくするからよー!アンタ基本誰に対いても距離感掴めてないの!こういうのはもっとねぇ、すこしずーつ…」

ルビィ「ちゃんと理亞ちゃんと仲良くなりたいもんね、善子ちゃん♪」

善子「ルビィ!そんなことないわよ~~!!」


ぎゃーぎゃー

聖良「希さん」ザッ

希「聖良ちゃん、よかった呼び行く手間はぶけたわ」

聖良「理亞、いい顔してました」

希「あはは、ならよかった。」

聖良「…希さんはどこまで考えてるんです?」

希「ん、なんのことかな」にこ

聖良「ふふ…、まぁいいですよ。でもあの子が私以外の誰かとあんなに楽しそうにしているのを見るのは久しぶりだった、それは確かです。私は理亞を信頼しています」

聖良「…理亞が彼女たちに何かを見たのであれば、私はそれを信じるしかないですよ」

希「そっか」ふふ

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