雑兵の雑草記(188)

ジャラララララララwwww リ-チ!! ザンネン...

男(ッチ…)

男(二万の負けか…)

男(今月に入って当たりは四、五回…あと一回やろ…)ッス...

男「泣きの千円だな…」

思えば産まれてこのかた、頑張るだの努力だのは一切したことが無かった
と思う、小学校の最初は勉強も簡単すぎてやるだけ無駄と思ってやってこなかった
し、遊び仲間も沢山いた、楽しかった。
しかし、学年が上がるにつれて勉強は難しくなり、遊び仲間は皆んな勉強をし始めた、
いや、勉強は最初からしていたのだろう、何もして無かったのは俺だけだ。

中学は行かなくても学年は上がれたし、まだ少しの遊び仲間はいた、小学生の時に比べ
かなり減ったけど。
そんなこんなで日々を自堕落に過ごし、周りは高校入学、今は高3位だろうか。
こんな過ごし方をしているのに、親は何も言わなかった、父も母も、怒りもせず、笑いもせず
ただ父は黙って家に帰って来て、母の飯を食って、寝ていた。
今思えば、多分信じてくれてたのだろう。

男「...4ぱちじゃ千円なんて紙切れだな」

男「かねがね金がねぇっとくらぁ...」

男「帰ろ...」

ミ-ンミンミンミ- ミ-ンミンミンミ-

男「あっちぃ...」

季節は夏、受験生にとっては追い込みの夏だろうか、俺には関係ないが。

男「ジュース買う金もねぇ...アホみたいに喉乾いたなぁ...」

男(ちょっとこの喉の渇きはヤベェ...唾も出やしねぇ...)フラフラ

男「...ぅ」バタッ
キャ- 人が倒れたぞ!
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『脱水症状ですね、店を出てすぐ倒れたという事は自覚症状が著しく欠如していたでしょうね』
あ...?白衣...?
『はい...ご迷惑をおかけして...』
医者か?って事は病院...?
『いや...息子さんを亡くされたのですから、お母様のお気持ちは心中お察しします...
まだ若いのに』
亡くなった...?なんで?
『最期の最期まで何も考えなかったのね...』
死んだ...?のか?
『俺らの育て方が悪かったんだ、こいつは悪くない...』
何言ってんだよ、おい
『でも...』
『生まれ変わったら頑張るんだぞ』
あっさりしすぎじゃねぇか...?なぁ...
『ご臨終です』
うわぁ...

キュィィイン

「ん...んん?」
サァァァァァ...
「...森?」

(え?俺の仏さん山に捨てられた?墓にも入れられずにか?)

「うわぁ...ガチの森じゃねぇか...」

「アホみてぇに苔むしてんな、青木ヶ原に捨てられたのか?」

ガサッ...ガサガサッ!

「?!」

(自殺者か?いや、っても俺死んでるかもしれねぇから驚いても意味ねえか)

?「おや?」

(うっわ、ガチの人間だ)

?「...あぁ、また流れ着いたか」

「え?流れ着いた?てか...誰っすか?」

?「ワシのことはどうでもええ、ついて来なさい」

(んだよ、ドラクエの神父ミテェなコスプレして...青木ヶ原ヤベェ)

神父?「この森は...よくこの世の者ではないのが流れ着いてくる」

「この世の...者?」

(痴呆入ってんのかな、まぁコスプレして青木ヶ原いるくらいだからマトモじゃねぇか)

「そのこの世の者じゃねぇってのはどういうことだ?」

神父?「別の次元...そうさな、君の世界とは別の世界と言ったら分かりやすいかの?」

「そりゃあ...あんたの格好とか見てたらあんたの世界の人間とは違うと思うが」

神父?「何とでも言えばいい、そろそろ森を出る」

「あ...街...?」

鬱蒼とした森を抜けた先には、広い平原があった、地名とかよく分からないが北海道的な感じ
の平原が広がってた、ちょうど平原の真ん中に、とても栄えているであろう街が見えた、
だが何かが違う。

神父?「ここはビギニング平原、ビギニング王国の領土で、あの街はビギニング国王が直接統治しとる街、ビギニングじゃ」

「ビギニングビギニングうるせぇな、俺をそのニキビ王国につれて来てどうするんだ」

神父?「それは君次第じゃ、ワシは知らん」

「はぁ?」

神父?「街へ行き、手に職をつけるか、また森へ引き返し野垂れ死ぬか、選ぶのは君次第という
ことじゃ、まぁ最も、大体の人間は街へ行くがな」

「手に職って...」

神父?「ワシの知っとる者では...」ッス

「?あのシンデレラ城がどうかしたか?」

神父?「騎士団長や、勇者もおったな」

「勇者...ってことはよ?アレか?魔物的なのも?」

神父?「魔物?あぁ、うじゃうじゃおるよ」

「...」

父さん、母さん、親不孝な息子はただいま異世界へ流れ着きました。

「異世界流れ着いたらよ...アレしかねぇじゃねえか!!!」
エルフ!女騎士!ケモミミ娘!ハーレム!!
「そして...この世界にはない知識...」
新技術!発展!莫大な富!!!
「そして何よりも俺自身が...!!!」
チート!チート!!チート!!!
あぁ父さん母さん!生まれ変わったら頑張る必要なくなりました!!
プロローグ『なんてことは無く』

数ヶ月後...

「...」


町人「あの乞食ずっとあそこにいるな、よく生きながらえてるよ」

町人「まだ若いのになぁ、働く気力もねぇのかな」


(ひそひそウッセェな...噂料取るぞマヌケ...)
この異世界()にきて早数ヶ月、最初の5日くらいは何かすげぇ能力が俺にはあると思い、必死に探ってみた、棒切れを剣みたく振ってみたがいかんせんタダの悪ガキにしか見えなくて、炎を出せそうな魔法も何を言えばいいか全くわからず、有り体に言えば飽きた。

チートなんて能力は勿論備わっておらず、無学な俺に豊富な知識なんてトイレ砂の一粒ほどもなく、俺が思いつく程度のことはこの世界ではもう昔からあった。

(この世界ある程度発展してる感あるしなぁ)

一番の望みと言って良いハーレム展開なぞ、この世界の女はアニメやネット小説よりもちょろくは無く、寧ろ俺らも遥かにしっかりしているわけで。

(そりゃこんな乞食に何が群がるってんだよ、ハエくらいしかこねぇよ)

この世界でも俺は頑張る気力も出ず、どこの誰からしらねぇが、俺に与えられた二度目の人生は前世と同じく自堕落に過ごすしかやらなかった、簡単に言えば詰んだ。

(さぁてゴミでも漁ってくるか...)

初夏、街の路地裏はまだ涼しい。

「...」

孤児「...」ガサゴソ

「...おい」

孤児「ッヒ...」

「そこは俺の狩場だぞ、なに勝手に漁ってんだクソジャリ」

孤児「す、すいません...2日も食べてなくて...」

「親はどうした、きったねぇ身なりでもその歳じゃ親はいんだろ」

孤児「あ、その...戦争で...死にました...」

「...両方もか?」

孤児「は、はい、父は兵隊に行って...母と僕は...住んでた村を襲われて...」

「あっそうなの、運が悪かったな」ガサゴソ...

孤児「...大人は助けてくれないんですね」

「当たり前だろ、むしろなんで助ける義理があると思ったんだ?俺は明日食う飯もママならねぇんだぞ?知らない孤児をなんで気にかけられる?」

孤児「...」

「恨むなら死んだ親を恨め、それが嫌なら誰も恨まずなにも考えず生きろ、身勝手に人恨んで迷惑かけんじゃねぇぞマジで」


?「...腐っているな、貴様は」

「あぁ?んだと?」

女騎士「腐っている、と言ったんだ、聴覚まで腐っているのかこのウジ虫が」

「んなっ、てめぇいきなりしゃしゃり出て...」

女騎士「罪もない小さな子供に、自堕落な自分を差し置いてよくもまぁ高説を垂れれた物だな?」ヒョイ

孤児「あ...」

女騎士「安心しろ、私と一緒に城へ行こう」

孤児「でも...」

女騎士「大丈夫だ、辛かっただろうな、親も殺されて、優しさも受けられず...」

「...ッチ」ガサゴソ...

女騎士「...何も言い返さないのか?」

「どうでもいい、明日にゃ忘れてるから」

女騎士「貴様...」

「てかさぁ、お前よくわからねぇけど、軍人かなんかだろ?その格好、お前らが戦争しといてよく、親も殺されてなんて言えるな」ガサゴソ...

女騎士「どういう意味だ...」

「そのまんまだろ、そのクソジャリの両親を殺した張本人らが、なんでそのジャリに同情出来るんだ?そいつの父を徴兵したのはお前らで、こいつの村を襲わせるほどお前らクソ弱かった訳じゃん?」

女騎士「なっ...」

「いや、まぁこの国がどことどんな戦争したとか興味ねぇけどよ、流石の俺もそんないけしゃあしゃあとは喋れねぇや、この同情買いの虫けらが」

女騎士「きっ、貴様は!」

「そんな無責任な行動しといて、よく俺に高説を垂れれたな?正義のねぇ軍隊なんか
ただの人殺しだろマジで、しかも同情勝手に買い漁って乞食かよおめぇ」

孤児「?」

女騎士「...確かに...私はこの子に同情した、戦争を行うための行動も私たちは取ったし、徴兵もした...」

「ふーんそうなの」ガサゴソ

女騎士「ただ償いなんてことはしない、これは私の自己満足からくる行動だ、私たちが一端を作ったのなら私たちで収集をつけねばいけないんだ」

「...」

女騎士「こんな子はこのビギニングのスラム街にはたくさんいるだろう、この子はほんの氷山の一角に過ぎないのも分かっている、しかし原因を作った私が見たのなら...助けたいと思ったんだ...そこは分かってくれ」

「ん?勝手にすりゃいいじゃん、俺はお前が何しようと興味ねぇし、助けてぇなら助ければいいじゃん」

女騎士「お前...不思議なやつだな」

「もういい?腹減ってんだけど」

女騎士「...お前、軍隊に入らないか?」

「話聞いてねぇのかよ、俺はハラヘッタって言ってんの」

女騎士「軍隊にはいれば衣食住はタダだぞ?飯だってたらふく食える」

「はいはい考えときます」ガサゴソ

女騎士「...考えておけ、今の生活を続けるか...行こうか?」

孤児「うん」


「...この生活、かぁ」
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この話を聞いてから、なぜか俺はこの生活を変えたいという欲が湧いてきた、生きてる時は軍隊なんて俺には程遠い話だったし、寧ろネット小説で得たクソみたいな知識しか無かった。
この世界の軍隊って言うのは何度かみかけたことがある、みんな甲冑的なのを身に付けていて、腰には剣、ホント昔の外国の軍隊みたいだった、みんな凛々しくて下の人間でさえ、えも言えぬ輝きがあった。
そんな一員に俺はなれるのか?
あのクソジャリなんかをも守れる人間になれるのか?
気付けば俺は街で配られてた志願用紙に記入をしていた。
第1章『人生初の試み』完
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第2章『だってやってらんないじゃん』
ビギニング王国 広場

「今日、我がビギニング王国には、勇気ある諸君らは晴れて我がビギニング王国軍の
一員となる!志願をしてくれた忠勇なる君達に、国王は感謝の念を込め、諸君らの武運長久を
願っている!!そもそも...


(うっわ、なげぇよカス...)

この場に何故俺は立てたのか自分でも理解できない、名前の記入欄に名前を書いたら
やっぱりこの国は漢字なんてものはなく、そしてこの国の国語なんてこれっぽっちも知らない
俺はまたも早々に諦めるモードに入っていたが、何故か漢字でも志願用紙は通り、その日のうちに
兵舎に入営、まぁ当たり前たがすぐ風呂に入れられ、数ヶ月分の垢とヒゲが綺麗さっぱり流れ落ちた。

(右端に溜まってる奴ら、なんかタダならねぇオーラがあるなぁ、ぜってぇチート的なのあるだろ)

予感は後で的中した、右端の連中はやはり優れた奴らばかりで魔法も使えたり、剣術も槍術もなんでも
ござれの連中が固まっていた、あいつらは大体騎士団とか呪術を得意とする部隊に編入されるらしい。

(対しておれらは...)

芋芋芋、じゃがいもかおめえらってくらい煮っころがしたくなるような連中ばかりだった
チラホラなんか優秀賞取れそうな奴らがいるが、右端の連中には勝てなさそうだ。

(まぁ周りから見りゃ俺も芋か、あんま悪く言うのやめよ)

「では最後に、ビギニング王国騎士団長直々に訓示を賜ります!」

(え?じゃあお前誰なんだよ、なんで長々と喋ってたの?)

?「はい」


「あ」


女騎士「諸君、大体の者はお初にお目にかかる、ビギニング王国騎士団長の女騎士だ、
諸君らはこれから兵隊になる為の基本的な教育を一月半受け、部隊に配属されて行く。」

(あの女...思った以上に偉い奴だったんだな)

女騎士「私はこの先、諸君らに大切にしてほしいことが1つある、それは同じ教育小隊の
同期を大切にして欲しいと言うことだ、苦楽、寝食をこれから共にする仲だ、同期と共に切磋琢磨し
自分の能力を高めて、どの部隊もこいつは欲しいと言ってくれるような人材を沢山作ってくれ、以上だ」

パチパチパチパチ...

(うわぁガチのやつじゃん、怖)


女騎士「最後に、私は考えさせられる事が最近あった、この場を借りて話したいと思う、
みんなも知ってると思うが、この国にはスラム街が存在する、貧民や戦災孤児が流れ着く
そんな街で、一人逞しい男がいた、長い月日風呂に入っていなかったのだろう身なり、戦災孤児
に対する横暴な態度、私は人生で一番最悪な出会いをした。」

(ヤベェ)

女騎士「最悪な男であったが、私にとても考えさせられる疑問を投げかけてきた、
虐げられていた戦災孤児を保護し、その男は私の放った言葉に反応した、「お前らが戦争しといてよく、
親も殺されてなんて言えるな」...と、一瞬私は自分の言葉に疑問は持たなかったが、後々からその言葉の意味が
分かり、とても恥ずかしい、私は矮小な人間だと自覚した、その戦災孤児は父は兵隊で、先の戦争で戦死
母は村を襲われ、殺害された、その原因を作った張本人でもある私に何故そんな言葉が出てくる、当然の疑問を投げかけられた」

女騎士「それから私は思った、自分の戦争に対する考えの甘さを...人が死んだ後というものに対する認識の甘さを...

(俺全く考えなく言ってたが、そんな事言ってたんだな、恥ずっ!)

女騎士「君達は平和の為に戦って欲しい、私も君達と共に歩もう、この国の為に、自分自身の為に、
この国を国民と共に作っていこう、以上で終わる」

ワ-!!!!!

(うっわ迫力ある歓声、大地が震えてらぁ)

俺はあの騎士団長とやらに会わないか震えていた、会おうものなら多分すぐにバレ取り巻きに
フルボッコにされる事だろう。

(頭低くして生きよ)

「では!これより各人の教育部隊を通知する!!保有認番順に前へ!!」

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雑兵「独立大隊...新兵教育隊...?」

独立大隊、何がなんだかさっぱりだが...

「うわぁ...もう昇任は無しだぁ...」

「父さんになんて説明すれば...」


「可哀想にねえ、新兵の時分から吹き溜まり部隊...独立雑兵大隊って...」

「何人残るのかね、今年は...」

「例年どうりゼロだろ」

吹き溜まり大隊...確かに落ち込んでる連中は見た目からして役に立ちそうにない
ってこたぁ、俺も役立たずってことだ

雑兵「まぁ...楽はできるかな」

「よいしょっよ...ふぅ...あ、すいません...!」

雑兵「ん?俺か?」

「はい...!独立大隊って...」

雑兵「あぁ、ここであってるらしいよ」

この身のこなし...線の細さ...まさか...

雑兵「お前...お

「あ、こんな見た目だけど...男なんだ、僕」

雑兵「でしょうね」

「え...?すごい、初めてだよ...僕の事を最初から男ってわかるなんて」

アブねえ、女って聞くとこだった...

「あ、ごめん、何か聞きたいことが...?」

雑兵「ん?(裏声)なにも?」

兵長「はいはいはい、落ち込んでる暇があんなら家にでも帰りな赤ちゃん!受付はあっちだぜ、マジで」

「くっそ!」ダダダッ!

「雑兵なんかやってられるか!」


兵長「え?マジで?入隊の時点でゼロ?」

上等兵「へーちょー何やッてんです?大尉にどやされます...おっとぉ?」


「この本分厚いね、新兵に配られる本なんだって」

雑兵「おれ字読めないんだよね」

「え?そうなの?」

兵長「君達二人は...」

雑兵「あ、その...」

「新兵です」

兵長「新兵...」

上等兵「残られたら残られたで...どう教育すんでしょうね、隊長」

兵長「うわぁ...」

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__
_

上等兵「ココが居室だ、教育期間、たしか一ヶ月と半分だったか?ココで寝泊りしてくれ」

雑兵「結局、俺ともう一人だけなんですか?」

上等兵「あーまぁ...そういう事だ」

「ありがとうございます、事後の指示は...」

上等兵「追って伝えるから、今は身の回りの整頓でもしていてくれ、では」


雑兵「吹き溜まり...ねぇ」

「本格的な訓練は明日からかな...緊張するね...」

雑兵「そうか?なんか楽できそうでいい部隊だと思うが」

「もう、教育期間中は楽なんか出来ないんだよ?軍隊ってそういうもんなの」

雑兵「まぁ気張らずいこうや、なんて呼ぼうかなしかし、入隊前は何してたんだ?」

「お父さんの診療所の手伝い、こう見えても看護士見習いだったんだ」

雑兵「看護士...じゃあなんだ?アレ、軍隊の医者集めた感じの部隊...」

「衛生部隊?」

雑兵「そう、それそれ」

「あー...一応希望は出したけど...適正がなかったのかなぁ」

雑兵「...まぁ、軍隊に入ったんだ、幾らでもチャンスはあると思うぜ」

俺みたく、何の計画もなく入隊した奴もいれば、夢があって入隊した奴もいるみたいだ。
そんな俺がこいつに高説なんか垂れるなんて出来るはずが無い、そう思ってこれ以上
の慰めはやめにした、その後上等兵殿は現れず、明日のことも分からないまま床についた。

チュン... チュンチュン...

点呼~!!
並べ!遅い!!!


雑兵「あららら...」

上等兵「並みの教育隊じゃ点呼やるが...ウチはもう暫くやってねぇから習慣付いてねぇんだよなぁ...」

「アレはどこの...」

上等兵「初っ端から飛ばしまくりのあの部隊は...多分近衛混成連隊の教育隊だろ、なにぶん国王に一番近い部隊だからな、厳しかろうぜ」

雑兵「上等兵さん、自分たちは何をする部隊なんですか?独立大隊じゃよく分からないっすよ」

上等兵「あー...まぁまわりから言われての通り、雑務?」

兵長「ほんと雑務、戦場でも...ココでも、俺らが教えられることなんて...軍隊の基本中の基本以外にねぇ」

上等兵「仕事が多過ぎると言えば聞こえはいいですよ」

雑兵「仕事多いんですか?」

兵長「つっても雑務だからな、たかが知れてる、荷物運びやお掃除...教育期間終わって、お前らここに来るが...なーんにもやることねぇから、マジで」

「...」

兵長「お、楽しくなさそうだな天使ちゃん」

「て、天使ちゃん??」

兵長「ウチの隊長が君を見て一言、天使ちゃんだなってさ、他に呼びかたねぇし」

天使「...そ、そうですか」

雑兵「うわぁ駆け足まだ始めてらぁ」

天使「何か...もっとこうないんですか?」

上等兵「え?ニックネーム?」

天使「いや...なんか訓練とか...」

兵長「あー...なに教える?」

上等兵「あんた兵長でしょ...そうだな...基本教練...剣術...くらいだなぁ」

兵長「えー?どうせ配属されてもやらなくね?」

上等兵「この部隊はどうでもいいんですがね、恥をかくのはこの子らですよ、
それは流石にかわいそうですよ」

兵長「まぁそうねぇ」

上等兵「じゃぁ、今日は剣術の教育といきますが~、自分は何分剣術は得意という訳では
ないから、基本的なことしか教えられません、勘弁してくれや」

雑兵「本物の剣持てるんすか?」

上等兵「当たり前よ」」

天使「...」
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『錬兵場』

いちっ!! にっ!! いちっ!!


上等兵「おーおーやってる、おっちゃん、武器庫開けて」

管理人「独立大隊の坊主じゃねえか、珍しいなこんな所にいるなんてよ...ん?
新兵さんか?」

雑兵「ど、どうも」

天使「よ、よろしくおねがいします!」

管理人「いやぁ、気張らなくてもいいんだよ、俺ぁ非常勤だしな」

上等兵「このひとはウチの元大隊長で、一昨年退官したんだ、再就職で武器庫の管理人
やってる」

管理人「まぁそういうことだ、気落ちせず気楽にやろうや、な?」

天使「え...?僕ですか?」

管理人「おめえ、町はずれにある診療所の倅だろ?父さんとは旧知の仲でな、そうかぁ独立大隊にかぁ、いいところ
だぞ、まぁやる気ある奴にゃちょいと楽すぎるが」

天使「はは...頑張ります」

雑兵「...」

上等兵「では、まずは基本の剣を使ってた斬りつけ方を説明しまーす」
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雑兵「っはぁ...っはぁ...」

上等兵「おいおい大丈夫か?まだ十分も経って無いぞ」

兵長「まぁ最初だからねぇ、慣れない事だから、気長にやろうや」

天使「っふ...っふ...」

兵長「お、いいねぇ...この身のこなし...ちょっと...エロい...」

上等兵「あんたねぇ」


天使「大丈夫?」

雑兵「はぁ...腕あがンねえ...お前よくできるなぁ...いい軍人いなるよ」

天使「まあ...ちょっと鍛えてたからね、筋トレしないと駄目だよ?」

雑兵「はい...」

天使「ふぅ...」

雑兵「...おまえさ、最近あからさまに元気に無いけど、どうかしたのか?」

天使「え...そんな事...」

雑兵「...まぁ喋りたくねえなら良いけど」

天使「...実はさ...憧れてたモノが...」

雑兵「全部吹っ飛んだ?」

天使「...うん」

雑兵「そっかぁ、大変だなぁ」

天使「...?」

雑兵「はぁー疲れた...」

天使「え?」

雑兵「ん?」

天使「...何か...他に無いの?」

雑兵「え?ねえよ?」

天使「...は?」

雑兵「だって他人の理想なんて知らないし、理想が違ったとて
それでもやり遂げるかどうかは結局自分の気持ち次第だろ?俺がどうこう言えるの?」

天使「...いや...それでもなんかあるじゃん」

雑兵「ねえよ」

天使「...っはぁ?!」


「なんだ?」

「お、もう新隊員同士の喧嘩か?」


天使「っあぁ!!!もう!!」

雑兵「んだよお前、女が腐ったみてえなこと言いやがって...俺のアドバイスが欲しかったのか?」天使「君が聞いてきたんじゃん!?それで僕は話したんだよ!?」

雑兵「お、おう、聞いたな、それが何に繋がるんだ?」

天使「なんか...!アドバイスとかさぁ!!」

雑兵「ねえよ」

天使「なんでぇ?!」

雑兵「だって...ねぇ?おれあんまよく分からずに入ったし」

天使「っそ、それでも...うーん!!」

雑兵「うっせぇなぁ、嫌なの?軍隊」

天使「そういう訳じゃ...」

雑兵「お前の理想って何だ?なんなら聞いてみるかお前の理想を、あそこで剣ぶん回している奴らに、
一人一人に聞けばいいじゃねえかよ」

天使「...」

雑兵「あのさぁ、衛生隊に入れなかったからかどうかは興味ねえがよ、その事で
萎えてんのなら辞めたら?マジで、自分に何が出来るかも考えずにグチグチッグチグチ言いやがって!」

天使「っそ、そこまでいってないだろ!」

雑兵「あー!!なんか腹立ってきたぞてめぇ!!」


「おい...とめろって...どこの部隊だ」

「独立大隊だよ、あそこの新隊員だ」


雑兵「ごちゃごちゃ言いやがって!!そのケツ引っ叩いてやる!!」ッペチーン

天使「いったぁ?!やったな?!」

上等兵「ちょいちょい!兵長!?」

兵長「うわぁ...」

雑兵「言いそびれてたけど入隊した時お前のこと女って思ってたからぁ!!」

天使「はぁ?!嘘ついたの?!最っ低!!!この変態!!!」

雑兵「優しさだろうが!!!」

天使「知らないよ!!!」

兵長「はいはいやめんか!!このボンクラども!」ガシッ

上等兵「なに天使ちゃんの方抑えてんすか」ガシッ

雑兵「だってこいつが!!」

天使「離してください!!」

兵長「他の部隊の目もあるだろうが、言いたいこと言い合うのは良いが、場所を弁えろ場所を」

上等兵「今日は戻るぞボンクラども」

管理人「はっは!元気があって良いなぁ今回のは!」

上等兵「すいませんでした、よく指導しときます」

管理人「いや、元気があって素晴らしいぜ、教育期間が始まってすぐこんな腹割って喧嘩できるなんてなぁ、いいコンビになるぜ」


「っへ、独立大隊の連中かよ」

「新隊員にあんなの見せたら悪影響だぜ…」


上等兵「…」

管理人「大丈夫だ、あんま気にするなよ」

上等兵「はい、大丈夫です」

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兵長「さぁてと?先ずはあの公衆の面前で大喧嘩を始めた経緯を教えて貰おうか」

雑兵「いやこいつがね?元気ねぇから何があったのかなぁって思って聞いたんですよ」

天使「聞いただけじゃん!聞くだけ聞いただけじゃん!」

雑兵「はぁ?!」

兵長「うるせぇ!!!今は雑兵に聞いてるんだ!!黙ってねぇとしばくぞ!!」

天使「…っ」

兵長「雑兵、聞くだけ聞いただけってのはどういう事だ?」

雑兵「はぁ、天使のやつが軍隊が理想と違ったって…」

兵長「それで?」

雑兵「はい、それで…そうなのと」

兵長「…え?」

兵長「…それ聞いた後に…アドバイスとかなんか…」

雑兵「え?無いっす」

兵長「…それで天使がその態度にキレた…?」チラッ

天使「…」コクッ

兵長「…これはだなぁ…雑兵が…ちょっと思いやりが…」

雑兵「えぇ?!自分ですか?」

兵長「雑兵なりになんか心配になったんだろ?それで聞いたんだから…なんか言ってやれよ」

雑兵「いや、心配にはなって無いですよ」

兵長「はぁ~…??」

雑兵「元気なさそうだったからどうしたのかなって思っただけで」

兵長「よし、お前は後でもう一度話を聞くと…天使、お前の理想と違ったってなんだ?正直に言えよ?」

天使「あ…その…別の教育隊と…違うじゃ無いですか、やり方が」

兵長「あー…大体わかった、他は…まぁ近衛混成連隊は除くとしても厳しそうだから…って事だな?」

天使「はい…」

兵長「そうきたかぁ…それは…こちらに完全に落ち度があったなぁ…」

天使「教育期間は厳しくて…その厳しい期間を仲間と乗り越えて一人前の兵士になりたくて…その乗り越える憧れもあって…入隊したので…」

兵長「だよなぁ…そういう奴もいるよなあ…」

天使「…」

兵長「…わかった、天使は戻っていい、雑兵はちょっと残れ」

天使「はい…」ガタッ

雑兵「…」

兵長「で、だ…雑兵、お前は本当に心配してなくて、その気持ちだけで天使に聞いたのか?」

雑兵「はい、その後のことは全く考えてません」

兵長「…もしかしてだけど、それが心配してる奴じゃないのか?天使が元気ないの気づいてたんだろ?」

雑兵「はい、どうしたんだろとは思いました」

兵長「……いいか雑兵、それは心配してるってことだわ」

雑兵「えぇ?」

兵長「お前は早いうちに天使の異変に気付いて、聞いたんだんだろ?それは…えーっとなんて言えばいいかなぁ…多分、無意識のうちに心配してたんだと思うんだわ、お前は」

雑兵「そんなまさか」

兵長「まぁ心配の度合いもピンキリあるけどな?お前のそれは、間違いなく心配からでた質問だから…まぁ後のことは考えてなくてもな、お前は人の異変をいち早く気づけて、心配してたんだよ」

雑兵「はぁ…?」

兵長(こいつ…著しく自覚心ってもんが欠如してる…)

兵長「よし、追々養っていこう、お前は著しく自覚心ってもんが…そのちょっとないえら…」

雑兵「そうなんですか…」

兵長「いや、人を心配する気持ちがある分にゃマシだからな!大丈夫!」

雑兵「はい…」

兵長「よし、雑兵は戻っていいぞ、俺もお前らと話ができてよかった」

雑兵「失礼しました…」ガチャ


兵長「はぁ…中々すごいのが来たなぁ…」

ガチャ

隊長「今回の粋のいい新隊員はどうだ?」

兵長「はぁ、磨けば光る奴らですよ…この部隊にいるのがもったいねぇ」

隊長「そうだな、新隊員然り、この部隊にいるのが勿体無い人間なんか沢山いるさ、上等兵の奴もお前も…いつまで昼行灯やってる気か知らないが…」

兵長「昼行灯なんてそんな…」

隊長「厳しくやる必要なんかねぇさ、この部隊はとうにどこからも見捨てられているしな、ただお前らのやり方が…あいつら二人の今後を決めるんだからな」

兵長「はい、わかってます」

隊長「大切にしねぇとな…」ガチャ バタン...

兵長「…仕方ねぇな…まぁやってらんねぇ仕事だけどよ…」

第2章『だってやってらんないじゃん』 完

第3章 『ウィシャル オーバーカム』

雑兵「…まぁ悪いとは思ってるよ、多少はな」

天使「…」

雑兵「いや…俺実質小卒だからさ、中学なんてマトモに行ったことねぇし…」

天使「…」

雑兵「あー中学って分かるか?アレだ…なんか…大人気取ったガキが集まる場所…」

天使「…」

雑兵「それでまぁ…大人気取りもできず…なんかよく分からずにここまで来たってわけでして…」

天使「…中学って何?」

雑兵「そこ?あー…そこの下りは忘れてくれ、大したこたぁねぇから…」

雑兵「まぁ…ぼちぼちやろうやってことだな…」

天使「…っふふ、何それ?」

雑兵「あーアレだ、あんま気ィ張らずにやろうやってことで…」

天使「まぁいいけど?て言うか、まず雑兵さぁ国語の勉強しないとダメだよ?文字読めないのはヤバすぎだもん」

雑兵「うっ…まぁそうだけどよ…」

天使「こう見えても僕国語も得意だから教えてあげるよ、徐々に雑兵を仕上げて行ってあげる」

雑兵「仕上げるってオメェ…手柔らかに頼むぜ」

天使「明日からやる気出す?そしたら許してあげる」

雑兵「あぁ出す出す、吹き出しまくってやるよ」

天使「なーんか適当だなぁ…」
カチャ
上等兵「おらポンコツ野郎共、明日からの予定表だ、天使ちゃんたってのお願いだからな、明日からは倒れねえ程度にビシビシ行くぞ」

雑兵「ありがとうございます…うーん?野営?」

上等兵「他の教育隊と合同で管理野営するのさ、兵隊としての基本的な野営中の行動や、戦闘訓練がある、今のまま野営にぶち込んだらお前ら多分死ぬからな、体力つけるぞ」

上等兵「午前は剣術、格闘訓練で、午後からは体力錬成、夜は…まぁ雑兵の勉強の時間だな…天使、付き合ってやれるか?」

天使「みっちり仕込みます」

上等兵「上等、やるぞ雑兵」

雑兵「あ、はい…」

__
____

___
__
それからというものはほぼ毎日体育の授業みたいなもので、腕立て、腹筋、ランニング…ちょっとした移動時も駆け足になったわけで…

上等兵「連続歩調~!ちょーちょーちょー数え!!」

天使「いち!」雑兵「いぃちぃ」
そーれ!
天使「にぃ!」雑兵「にやぁ…」
そーれ!
天使「さん!」雑兵「あぁん…」
そーれ!
天使「しぃ!」雑兵「死ぬ」
そーれ!
天使「いち!に!さん!し!いちにさんし!いちにさんしぃ!」

雑兵「オロロロロロロ」

上等兵「朝飯吐くなオラァ!剣術と格闘訓練の時間に死ぬぞ!!」

天使「はぁい!」

雑兵「はあオロロロロロ」

上等兵「はぁ…」

剣術も今まで以上に厳しくなったわけで

管理人「しかしあいつら元気になったなオイ…」

上等兵「叩くのではなく、引いて斬りつけろ、叩き斬ると刃が食い込むので俊敏な行動が出来なくなる、なるべく急所を引いて切りつけろ、そこのダミーで各人実施」

天使「はい!」

雑兵「あい」プルプル

上等兵「たったの2.8kgだぞ?片手で持て片手で」

雑兵「お、思いっす…」

上等兵「野営じゃこれよりも重いものをたくさん待つぞ、今のうちに慣れてろ」

「情けねぇなぁ独立大隊のやつ」

「野営で他部隊に迷惑かけなきゃいいがな、まぁ野営前にへばって辞めるだろうぜ」


上等兵「だってよ、さてどうする?辞めるか?」

雑兵「はぁ…はぁ…」

辞める、か…まだ入隊して二週間、紆余曲折あってやる気的なものもあったが、もうそろそろ潮時じゃね?と思い始めてきた、せっかくの転生だし、まだなんか知らないだけで能力あるかも知れないし

雑兵「そ、そうっすね…や、やめm


「気をつけぇ!」

「王国騎士団長だ…」

「騎士団長直々に練兵場へ来てくださるとは…」

「今日はついてるな」

女騎士「ほら、サボってないで続きをやらないか」

「はっ!よし!では素振り開始ぃ!」


上等兵「あいつら休憩してんじゃなかったのか」

兵長「ダリィ…省けちまうか?」

上等兵「なに言ってんですか…」


雑兵(やべぇ…いやでもさすがに俺とはわからねぇか、髭も剃ったし)コソコソ

天使「どうしたの?」

雑兵「ちょ、ちょっとトイレに…」

女騎士「ほう、独立大隊の新隊員も剣術か、うんうん良いことだ」

兵長「はっ…今回の新隊員がなかなかどうして変な奴らで…」

上等兵「あんたが言いますか…まぁ同感ですが」

女騎士「独立大隊は…確か2名が残ったんだったな、他の新隊員が辞めたのは残念だが大切にしているようで安心したよ、2名はどこにいるんだ?」

上等兵「はい、あそこで一名が伸びてますから、休憩しておりました」


雑兵(バカこっちに振るんじゃねぇ!)

天使「わっ…こんな近くで見たの初めて…綺麗だね」

雑兵「そ、そうっすね」


女騎士「…っふ、やっと見つけたぞロクデナシめ…」ボソッ

上等兵「え?」

女騎士「いや、こちらの話だ、今後も精進しろよ、野営訓練、独立大隊の活躍を期待しているぞ?」

兵長「はっ、努力します」

女騎士「今回の野営は前回よりも大規模にいくからな、評価支援大隊も要請したからとんでもないことになるぞ」

兵長「評支って…あの傭兵団を呼んだんですか?」

女騎士「昨年は小規模で新隊員に可哀想だったからな、団長も快く承諾してくれた」

上等兵「うへぇ…自分らも大変ですよそれ…」

女騎士「ははっ、励め励め」


雑兵「よかった…」

天使「?」

上等兵「この後に及んで評価支援大隊まで繰り出してきたかぁ…」

兵長「いつかの野営訓練では、竜騎兵大隊の教育隊が助教陣諸共壊滅まで行ったからなぁ…今年は…もしかしたから我々かも知れんなぁ…」

上等兵「騎士団長直々に声かけられましたからね、あり得ますよ」

兵長「独立大隊壊滅なんていつものことだろ…なんで今回に限って」

上等兵「さぁ、知りませんけど」

雑兵「野営訓練えげつない事になるんですか?」

上等兵「うーん…お前が可哀想で仕方がない…」

天使「評価支援大隊ってなんですか?」

上等兵「あぁ、非公認の部隊でな、いつもは傭兵稼業をやってる連中が集められて野営訓練の仮想敵として支援してくれるんだ」

兵長「それがまた強いのなんの…傭兵団長によっちゃ今季の全部隊の新隊員教育隊は壊滅になるぜ…」

雑兵「マジッすか…」

兵長「ウチは人数が少ねぇから、多分他の部隊と混成になるだろうが…まぁあんま期待しねぇ方が良いかもな」

上等兵「どこ行っても鼻摘まみですからね」

天使「そ、そんな…」

雑兵「…」

評価支援大隊の話は新隊員連中の間でも瞬く間に広まった。

「すげぇ強いらしいぜ…」

「あの魔術使う部隊も1回の戦闘で壊滅まで追いやられたらしいぜ…」

「いや俺が聞いたのは竜騎兵が…」

評価支援大隊は傭兵団の混成部隊で成り立っているらしく、強いと言ってもやはりピンキリまであるらしい、しかも噂によると…
「勇者様が傭兵団のリーダーやってるらしいぜ」
との事だ、前森の中で聞いた転生した件の勇者なのかも知れない。

雑兵「勇者ってどんな奴なのかな」

天使「勇者様?とっても強い人らしいよ?別の大陸であった話なんだけど、突然勇者様が現れたらしくて、その大陸を支配していた悪い魔王をやっつけたんだ」

雑兵「いつの話だ?」

天使「僕が産まれてすぐの事らしいよ?」

雑兵「ふーん…なるほどねぇ…」

天使「はい、勉強再開だよ」

雑兵「クゥ-ン...」

雑兵「…そう言えば」

あの森であった神父、騎士団長と勇者って言ってたな、てことは…あの女騎士も転生したってのか?あいつが転生したってんなら…

雑兵「あいつはどっから来たんだろ…」

天使「もー聞いてる?」

雑兵「へいっへいっ聞いておりやす!」
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__

__
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それから俺はあの騎士団長に興味が湧いた、年は若そうに見えるし、外人みたいな髪色と眼の色してるから恐らく同胞ではないだろう、しかし転生者だとしたら、あの地位までどうやって登ったのか気になる所もあった。勇者ならチート能力が有ればバカでもなれると思うが、騎士団長でしかも女となると、多分並外れた努力をしないと昇り詰めれないだろう。

雑兵「騎士団長ってフッ どんな人なんです?フッ 」

上等兵「腕立てフッ 中に聞くそれ余裕が出来たのか…嬉しいやらフッ 複雑やら…」

兵長「良家のフッ 産まれだぜ、昔から文武両道で頭も良けりゃフッ 運動も出来て、剣術馬術フッ 槍術はお手の物だ」

雑兵「突然出て来たとかフッ じゃないんですか?」

上等兵「突然?フッ ンなわけないだろ?ぽっと出をフッ 騎士団長にする程バカじゃねぇと思うぜウチの国は」

兵長「はい50回終了」

上等兵「雑兵お前もやるようになったなぁ」

雑兵「ありがとうございます…」

兵長「まだ腕プルプルしてっが、最初よりゃ上々だ」

上等兵「しかしなんでいきなり?」

雑兵「いや…気になって…」

兵長「お!恋か?」

雑兵「違いますって…ただ…まぁ上の人間だし」

兵長「そうかぁ?」

あの騎士団長は昔から有名だったらしい、では森で神父が言ってた騎士団長は別のやつなのか?それとも…

雑兵「小さい頃に…とか?」

天使「雑兵?どうしたの?最近なんか元気ないけど…」

雑兵「あ、いや、何でもない」

天使「…騎士団長のこと?」

雑兵「いや…」

天使「うそ、上等兵さんがなんか話してた」

雑兵「あー…まぁ」

天使「なんで騎士団長の事を?」

雑兵「いや…ちょっと気になったことがあってな…話すと複雑になるからどう話せばいいかわからねぇ…」

天使「雑兵が心配だもん、なんかあったら話してよ」

雑兵「天使だな」

天使「変態」

雑兵「うるせぇ…その、さぁ…悩みじゃないんだ、ただ….俺一回死んでるって話したら…笑う?」

天使「し、死んでる??」

雑兵「あー…俺死んだんだ、前住んでた世界って言うの?そこの世界で…」

天使「嘘、生きてるじゃん」

雑兵「いや、そりゃ今を生きてるけどさ、なんか記憶が鮮明でさ、逆にここの国で産まれた記憶なんかないし親いねぇから…確実におれ生まれ変わりなんだと思うんだ…」

天使「…」

雑兵「なんか放り込まれた感じ?知らないトコに、天国か地獄か分からないけどさ…」

天使「それが…騎士団長とどう繋がるの?」

雑兵「その目覚めた時にさ、森で目覚めたんだけど、変なおじさんが居たんだよ、神父みてぇな?そいつが騎士団長や勇者も転生したーみたいなこと…」

天使「そんな訳ないじゃん、騎士団長は昔から有名だし、まぁ勇者様はよく分からないけど…魔法とかも使えるらしいから珍しくないよ」

雑兵「いや、なんか生まれ変わったら魔法とかも使えるらしい、システム的なのはよくしらねぇし俺は使えねぇけど…まぁ…そう言うことだ」

天使「…ごめん、よく分からないや」

雑兵「まぁそうだよな…」

天使「…今の生活いや?」

雑兵「え?まぁ嫌じゃねぇけど」

天使「なら良しだよ、ホントに2回目の人生で、今の生活嫌だったら雑兵可哀想だもん」

雑兵「…」

天使「いきなりここへ来て…何にも分からないのに軍隊に入ったんだから雑兵はすごいよ…前の人生がダメだったのなら、今の人生大切にしなきゃ、ね?僕も雑兵の事をずっと大切にするから…」ナデナデ

雑兵「マ…」

天使「?」

雑兵「ママぁ!」ガシッ!!

天使「へぇ?!」

雑兵「んだてめぇ!母性がエグいんじゃ!」

天使「は、はぁ?!」

雑兵「ナデナデしやがって!!ママかお前は!!甘えさせろオラァ!?」

天使「ちょ!勉強は?!」

雑兵「今日はいい!!お前を抱く!!長年の欲求をお前を抱いて晴らす!!」

天使「バ、バカ!///お母さんにそんなことしないでしょ!!」

雑兵「し、しない…?!なぁ…確かに…」

天使「も、もう!///次の小テストで良い点取らないと許さないからね?!///」

雑兵「す、すいません…気が動転して…」

天使「もう…一緒に頑張ろ?」

雑兵「うん」
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女騎士「今回の訓練は盛大に頼むよ、勇者様」

勇者「その言い方はやめてよ、なんかむず痒いんだ」

女騎士「勇者なのは本当のことだろう?それに今の立場じゃ前みたいにはもう出来ないんだ」

勇者「だとしても...まあいいや、何人くらい連れてこようか?」

女騎士「そうだね...今回の新隊員が...597人だったから...2千人くらいがいいんじゃないか?」

勇者「マジでいってる?お金大丈夫なの?」

女騎士「あぁ、新隊員を育てられるなら痛くも痒くもないさ、国王もその方針だ」

勇者「変な国だね本当に」

女騎士「その国に私たちは救われたんだ、恩返しはしないと」

勇者「そうだね、おkなら盛大にやるよ、ではそろそろかき集めてくる」

女騎士「気を付けていけよ」

勇者「わかってるよ、姉さん」

バタン

女騎士「お姉さん...か、久々に聞いたな」

女騎士「あんなに泣き虫だった妹が...」


『おねえちゃん!死んじゃダメだよ!』

『もう救助隊が来る!君も避難を...ん?』

『土砂崩れだ!!逃げろ!!!!』

『もうダメだ!!山全体が...
ゴゴゴゴゴゴゴ...

『速報です、先ほど○○町一帯が大規模な土砂災害に見舞われました、県は自衛隊に派遣の要請をしました、
消防庁及び警視庁の情報によると、町の消防署並びに警察署への連絡は依然取れず、土砂災害の被害にあっている
可能性が高いと発表しました』

『最初は小規模だったんですよ、家一軒飲まれましたが...その後に山全体が崩れたんですよ』

『あの山は林業が盛んだったんですが、いかんせん植樹をしない企業が多くて...それに付随して頂上に大規模な気象観測所も出来たから耐えられん
かったんだと思いますよ』


女騎士「...っうわ、寝てた...」

女騎士「...小さい頃の...はぁ...」

女騎士「...まだ寝れる」
_
__

__
_
雑兵「野営ってどこでやるんすか?」

上等兵「山ン中とかが定石だが、今回は違うっぽいな」

兵長「平原の演習場だとよ、どうしようもねえよもう」

雑兵「平原って、ここの城の周りマジの平原で隠れるとこまったくないじゃないですか」

上等兵「そうなんだよなぁ...」

兵長「俺らは近衛混成連隊の隣か...嫌味ばっか言われるんだろうなーバンダレイんとこ広くしようぜ」

上等兵「無理でしょ」

天使「自分たちはどんな動きをすれば…」

上等兵「あー…まぁ…焚き火囲んでる時に襲われれば良いんじゃないですか?」

天使「えぇ…」

兵長「いや、マジで野営ってもそれしかやることねぇんだ俺らの部隊って、初っ端の戦闘で撃破されなきゃいけない部隊の一員」

上等兵「悲しいけどな、確かに俺らが切り込みやっても意味ねぇし…」

雑兵「やられなきゃいけない…って事はやられなくても良いんすか?」

兵長「え?」

雑兵「やられなきゃいけないんですよね?って事は逆を言えばやられなくても良いって事でしょ?」

上等兵「え…お前何言ってんの」

雑兵「なんか命令でやられろって言われてんすか?」

兵長「それは無いけど…いてもあんま俺ら意味ねぇし」

上等兵「いいか、雑兵?俺らはな?野営で勲功をあげたら結構萎えられるタイプの部隊なんだわ、アレだ、テンション上がってる時に空気読めない奴が変な事言った感じの空気になる」

兵長「それにお前が優秀賞を取るのは無理だと思うぜ、こんなこと言ったらアレだが

上等兵「確かにお前らは頑張ってきて、慣れてきたけど、他部隊の新隊員達は最初から頑張ってきてな、基本中の基本の動きも出来る、コレらは俺らの教育の問題だが…」

兵長「何が狙いなんだ?まさかとは思うが…」

雑兵「騎士団長とやらに聞きたいことがあるので」

兵長「はぁ~…やっぱり」

上等兵「何聞くんだよ、騎士団長相手によ」

天使「…」

兵長「頼むから面倒な気は起こさないでくれ…やる気出してくれるのはありがたいし、応援したいが…」

上等兵「身分差がヤバイんだよ」

天使「…それはおかしいです!」

上等兵「うおっ…」

天使「先程から黙って聞いていれば…何なんですか?!」

兵長「え?俺ら?」

天使「確かに雑兵はバカだし!空気読めないとこもあります!!」

雑兵「ンヴッ(即死)」

天使「でも!何もわからない所で一から始めて!!初めて挑みたい事が産まれたんです!!頑張りたいって思えた事が生まれたんです!!それをなんで!!」

上等兵「ご、ごめんって…でも俺らは…」

天使「独立雑兵大隊だからなんなんですか!!みんなと同じ兵隊でしょ!?雑用しかしないからなんなんですか?!剣を貰って軍服を貰ったんなら兵隊でしょ!」

兵長「…」

上等兵「た、確かに俺も最初はこの部隊を変えたいって思ったこともあったが…やっぱ一度ついたイメージはな…」

天使「何で応援できないんですか!?一度諦めて、挑戦したい後輩がいるのに何で!!」

上等兵「…」

兵長「…天使、そこまでにしろ」

天使「でもっ…!」

兵長「そこまでにしろって言ってんだ」

天使「っ…」

兵長「すまんな、天使、辛い気持ちにさせて、俺らも卑屈になってたんだ、努力したって所詮は雑用部隊…戦争に出ても後方支援のこの字にもいられなかったからな…だが今回のお前らを見て、俺ら独立大隊もちょっと挑戦してみようと思った、これは本当だから」

雑兵「…」

天使「…」

兵長「雑兵、騎士団長に会いたい理由はもう聞かねぇ、会いたきゃ勝手にしろ、ただ優秀隊員をとらねぇとまず会えねぇってことを分かってんなら…やるこたぁわかるな?」

雑兵「評支大隊をギャフンと言わせることっすか?」

兵長「えらくざっくりしてるが…まぁそんなところだ」

上等兵「お前一人で出来ることとは思ってないが、お前の頑張り次第では協力してくれる隊員もいるかも知れん、まぁ俺からも掛け合ってはみるが」

雑兵「死んでもやります」

兵長「いや死ぬなよ…まぁそんくらいの覚悟がありゃもう何も言わねぇさ、野営中は好きにやりな」

雑兵「はい、大将首勝ち取ってきます」

上等兵「それは…流石に無理だと思うが」

天使「傭兵団長誰だか分かってる?」

雑兵「じゃあ…ぼちぼちやります[

兵長「うーん…」

上等兵「諦めが早いというか…」

兵長「隊長にも言ってくるわ、多分好きにやらせてくれると思うが」

雑兵「ありがとうございます」
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隊長「骨ありすぎじゃね?」

兵長「そうなんです、どこでスイッチが入るか分からんで…中々困った奴ですよ、雑兵のやつ」

隊長「まぁ評支をぶち倒すのは面白そうだからいいけどさぁ…あいつ一人じゃ無理だろ」

兵長「はい…なので隊員にも軽く協力してもらおうかと…」

隊長「ウチの隊員たちになぁ…協力かぁ…うーん…」

兵長「まぁ難しいっすよね…協調のきの字もないっすから…」

隊長「ちょっと…雑兵と天使連れてきてくれねぇか?まだあんま話してなかったからこの機会に話してみてぇんだ、野営で何するかも」

兵長「はい、連れてきます」

そして…

隊長「さぁて、教育期間も来週の野営で終わりだ、改めて挨拶をする、俺が独立大隊の大隊長だ、顔だしてやれんですまんな」

天使「い、いえ!大隊長とお話しできて嬉しいです!」

隊長「この前の救護の学習、いい成績だったな、衛生隊の新隊員よりもいい成績だったぞ」

天使「と、取り柄はそれしか無いもので…」

隊長「いや、素晴らしい隊員だ、ウチには勿体無いくらいにな…して雑兵」

雑兵「はい」

隊長「お前、今度の野営でブチかますらしいな?」

雑兵「その予定です」

隊長「結構、大いにやれ…たがな、途中で投げ出すんじゃねえぞ?どんな手を使って勝ち取ってもいいが…中途半端に投げ出されちゃお前の今後どんな事を言われるか分かったものじゃ無い…勝つか負けるかしか無いからな」

雑兵「分かってます、死ぬ覚悟でいく予定です」

隊長「うん、お前ら野営では俺らに構わず思う存分暴れてこい、これが俺の命令だ」

天使「はい」

雑兵「はい」

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天使「野営ドキドキするね…雑兵本当にやる気なの?」

雑兵「うん、なんか今までに無いくらい昂ぶってるからやろうかなと」

天使「なにそれ…でもこんなにやる気がある雑兵見たの初めて」

雑兵「そう俺も戸惑ってるんだよ、実は」

天使「ップ…何か手伝って欲しかったら幾らでも言ってね?」

雑兵「そうしたいが天使には天使の立場があるからな、なんとか頑張ってみるよ」

天使「ふーん?僕じゃ頼りない?」

雑兵「いやっそういうわけじゃ無いんですが」

天使「ふふっ冗談だよ、でも雑兵が困ってたら助けるから、これだけは譲れない」

雑兵「…あぁ、俺もお前の為に頑張るよ」

天使「じゃあ、おやすみ」

雑兵「あぁ」

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野営は三泊四日で行われる、初日から次の日の半日は各部隊は有事の際の基本的行動を学び、それが終了次第兵士としての基本的行動…まぁ大規模なチャンバラが始まる。独立大隊の有事の際の基本的行動は主に…本当に雑務ばっかりで各部隊に三名の隊員が配置され、それぞれの雑務を行う。トイレ掃除 厩の設置 馬に干し草をあげたりフンの処理…ただ部隊と一緒に死ねというわけでは無いらしく、戦闘が始まれば折を見てげんたいに帰るらしい。意味がわからない。

雑兵(俺と他2名は騎士団の新隊員と行動を共にする…隊長に感謝しないと)
伍長「なぁ坊主…おめぇなんかブチかますって本当か?」ヒソヒソ

雑兵「はい…まだ時期じゃ無いっすけど」

一等兵「いいねぇいいねぇ、おらそう言うの大好き、で、なにやんの?」

雑兵「騎士団の新教のチャンバラが始まったら自分たちは逃げてもいいじゃ無いですか」

一等兵「ん、そうだなや?」

雑兵「多分騎士団を狙うのは評支のお偉方部隊だと思うんですよ」

伍長「かもなぁ」

雑兵「そこで、逃げるふりして状況外になった傭兵の服を剥ぎ取って傭兵に化けるんです」

伍長「マジぃ?大丈夫かそれ?」

雑兵「傭兵の格好はバラバラらしいんで、俺が傭兵に扮装してもバレんと思うんですよ」

一等兵「確かにそうだけんども…見つかったら大目玉だでや」

伍長「最悪営倉入りだな」

雑兵「俺はそれでいいんです、ただ騎士団長に聞きたいことがあるので」

伍長「はぁ~おめぇ肝座ってるなぁ9…よっしゃ気に入った!俺らも手伝ったるわ!」

一等兵「んだすな!独立大隊にきて久々に楽しそうなことがあんだもんな!新隊員がやるなら俺らも立ち上がらにゃ!」

雑兵「ありがとうございます…」

伍長「…しかし傭兵になってどうするんだ?」

雑兵「そこなんです…」

一等兵「あたーそこだなや…」

伍長「おいいたずら小僧、なんかないか?」

一等兵「そうだすなぁ…定石にいきゃあ傭兵の格好して、本陣までいって傭兵団長をブスリと…」

雑兵「それでいきましょう!」

伍長「はや!」


「おい!雑兵大隊!厩を綺麗にしとけ!」

一等兵「へいへいただいま!雑兵話しは後で固めるだ、行くど」

雑兵「はい…!」

雑兵(みんな俺のために…俺も頑張らねぇとな)
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「おい…聞いたか?傭兵団長ってあの勇者様らしいぜ…」

「嘘だろ?なんで勇者様が傭兵団なんかに…」

「んな事はどうだっていい…勇者様が指揮してるんだ…エライ精強な傭兵団だぜ…」


天使「…」

兵長「…雑兵が心配か?」

天使「はい…何をしでかすか判らないので」

上等兵「そっちか…しかし騎士団付きの雑務隊に行くとはなぁ…隊長のお陰だぜあのやろう」

天使「騎士団付きの雑務隊が良いって、どうしてなんですか?」

兵長「直接勲功を見てくれるしな働きようによっちゃあ優秀隊員…」

上等兵「しかし雑務隊は会敵したら帰隊するのが定石ですからね…伍長さんと一等兵が乗ってくれるか…」

兵長「伍長さんと一等兵コンビなら多分のってくれると思うぜ…あのいたずらコンビなら楽しむかもな」

上等兵「一等兵のやつはこといたずらに関しては頭が軍師並みに切れますしねぇ、雑兵の作戦が何かは知らないが…」

兵長「大丈夫だろ…まぁ無理でも今は新隊員だし…」

天使「…」

上等兵「祈るしかないっすね」

「天使さーん、ちょっと救急キットの使い方を教えてあげて欲しいんだけど」

天使「は、はい!」


兵長「まぁ今は自分の心配だな」

上等兵「衛生部隊にはこんでしょう」

兵長「だといいが…?ん?」

上等兵「どうしました?」

兵長「あの丘…木茂ってたっけ」

上等兵「…て、敵襲!!!!」
_
__

__
_
「衛生の新隊員教育隊の展開地が奇襲されたそうだ…」

「衛生って事は…俺ら展開地の近くじゃん」


騎士団長「いいなぁいいなぁあの狼狽っぷり」

副団長「趣味が悪いですよ騎士団長…まぁ楽しいですが…」

騎士団長「我々が新隊員の時を思い出すな、副団長?」

副団長「はい、自分もあの時は、あの子らみたく右も左も分からないまま展開地に入れられましたからね」

騎士団長「覚えてるか?当時の騎士団長が奇襲攻撃のため敵が集結してるのを気付いて無くて、我々も行軍してたら…」

副団長「あぁ、鉢合わせで傭兵団長も騎士団長も腰抜かして…あん時はほんと笑いを堪えましたねぇ」

騎士団長「…ではそろそろ仕掛けてもらうかな…」

副団長「傭兵団長の所に打ち合わせに行くんですか?」

騎士団長「あぁ、盛大にやるぞ」



一等兵「だとよ…付いて行ってみるか?」

雑兵「しかしまだ会敵もしてないのに離れたら…」

伍長「大丈夫、助っ人きたから」

兵長「よっ…ウチんとこはこてんぱんにやられてたよ」

上等兵「まーた悪さしようとしてるな?一等兵」

一等兵「うひぁあ勢揃いだすなぁ、おろ?もう一名の新隊員は…」

兵長「捕虜になっちまったよ、怪我人手当してる最中に」

上等兵「まぁ状況外だな…しかし最後まで怪我人の手当してたなぁあいつ」

雑兵「マジですか?今はどこに…」

上等兵「分からんが…大方傭兵団の展開地の近くだろ」

雑兵「…」

一等兵「ほら、行くど」

雑兵「はい」


兵長「雑兵…ありゃあ助けに行くかもな…」

伍長「どうさねぇ、目の前のことにいっぱいいっぱいって感じだったぜ」

上等兵「どうなる事やら…」

傭兵団の展開地は城下町に近く、襲撃なんのそのと言ったテンションでどんちゃん騒ぎをしていた。

一等兵「剥ぎ取るにぁあ…あの外れで寝っ転がってるやつを剥ぎ取るべや」

雑兵「分かりました…一人しかいないっすね…」

一等兵「お前ならどうする?」

雑兵「もちろん自分が行きます」

一等兵「よし、おらはちょっくらいたずらしてくるべ…上手くやれや」ザッ...ザッ...


雑兵「ふぅー...よし」

雑兵「失礼っと…」 ガザゴソ...

「Zzz...」


雑兵「うっわ…汗でドロッドロ…まぁいいや…」

雑兵「一等兵さん…何するつも…


ズド----ン!!!!


「な!なんだぁ!?」

「オイ!燃料樽に引火してっぞ?!!誰だあそこで火焚いたの!!?」

「おい!みな燃えちまったら俺らの賃金向こう半年は燃料代に消えちまう!!」

「消せ消せ!」


雑兵「や、やるぅ…」

雑兵「よし、傭兵団が混乱してるうちに…」

「おい!そこのお前!」

雑兵「うへぃ!」

「団長に報告してこい!!燃料樽に引火!ダイナマイトで爆破された可能性アリと!!」

雑兵「り、了解!!」ダダダッ


「ん?なんかあったのかぁ…Zzz」

勇者「なんの騒ぎ?」

「まだ情報が…奴ら何してんすかねぇ」

雑兵「ほ、報告します!物資集積所の燃料樽がダイナマイトで爆破された模様!!」

「うっそ?!せっかく国からタダでくすねたってぇのに!!」ダダッ


雑兵「あ、行っちゃった…じゃあ自分も~…」キョロキョロ


天使「…」ジトッ

雑兵『もうちょい辛抱してくれ!必ず助けるから!』(伝わってないハンドサイン)
天使「???」


雑兵「さ、さぁてとぉ火消しまくろっかなぁ…と」ソソクサ

勇者「ねぇ」

雑兵「ひゃい!?」

勇者「明日の合言葉って…何だっけ?」

雑兵(この子…心なしか騎士団長に似てる…てか誰?傭兵団長ってさっき走ってたやつだし…多分)

俺はこの時、傭兵団長の顔を知らない事に気づいてしまった。

雑兵(だが俺よりも小さいからな…多分子どもだろまだ)

雑兵「ここは子どもの来るとこじゃねぇぞ、早く家帰れよ」

勇者「こ、こ、子ども??」

雑兵「ダメだぞ?親が心配するから帰らない…とぉ?」

勇者「君…何者だ?」ゴゴゴゴゴゴ...

雑兵(素人の俺でもわかる…この覇気的なやつはヤバイやつだ…なんでキレてんの?)

雑兵「お、おい…落ち着けって、まだ小さいんだからこんな物騒な…キラキラした…Oトの剣みてぇな…???」

雑兵「…」

勇者「…」ゴゴゴゴゴゴゴ...

雑兵「よ、傭兵団長でございますよねぇ?」

勇者「曲者」

雑兵「っ!!」ダダダッ!!!

勇者「待て!!」


雑兵「やべぇって!!やべぇって!!」

勇者「逃げられると思った?!」

雑兵「う、うわぁ!!はや?!キショ?!」

勇者「ちょ!キショ?!って何?!なんで忍び込んてんの?!新隊員の野営でしょコレ!?」

雑兵「し、忍び込んでねぇし?!俺傭兵団だし?!」

勇者「じゃあ明日の合言葉 渡る世間は?」

雑兵「バネ秤?」

勇者「アホ」

雑兵「あ、アホって…まぁ頭悪いけど…」

勇者「見た所、君は新隊員だね?怒らないから何しにきたか言ってごらん?」

雑兵「ヤダよ、ガキ」

勇者「っうらぁ!」ッバッチィイン!!

雑兵「ア!(即死)汗で引っ付いて更に痛え!?!?背中ビンタはあかん!!」

勇者「怒らないから、ほんとに」

雑兵「ックソ…優秀賞取りに来たんだよ…」

勇者「ゆ、優秀賞?何でそんなものを…」

雑兵「ゆ、優秀賞取ったら騎士団長に会えるからな…少し話す時間あるらしいから…ちょっと聞きたいことが…」

勇者「…忍び込んで団長である僕を?」

雑兵「まぁ…大将やっつけたら終わるかな?って」

勇者「んん~…多分組織的な動きをさせたいから…僕やっつけてもあんまり…意味無いんだよね…?基本君たちの動きに合わせるのが野営だから…」

雑兵「は?じゃあ何で襲撃を…」

勇者「一応は演習という事で僕らもやってるから、ある程度の状況は必要だろ?だから襲撃するの」

雑兵「ってことはよ?俺がお前を倒しても大体は出来レースだから…」

勇者「まぁ僕の指示なしでも予めしめされた動きで動くよね?僕指揮官じゃないし…」

雑兵「」

雑兵「兵長ぉ!言ってること違うじゃないすかぁ!!」

勇者「その服は…ウチの傭兵団員の服だね?どこから拝借したか知らないけ…ど?」

雑兵「こうなりゃ評支の陣にダイナマイトでも投げ込んで…」カリカリカリカリ

勇者(とても物騒なこと考えてる…?!)

勇者「と、とにかく君は捕虜になってもらうよ?色々聞かないといけないからね」

雑兵「捕虜…あぁ、あの鉄格子ん中に入れられてた奴らか?」

勇者「君も入るんだよ、話はそこで聞こうか?」

雑兵(そいやぁ天使の奴もあんなかにいたなぁ…捕虜…逃したら…うーん)

雑兵「…わかったよ、つかまりゃいいんだろ」

勇者「話が早くて助かるよ、じゃあ戻ろうか」

_
__

__
_

雑兵(さぁて…どう天使を助けて逃げ出すか…相手は勇者…)

雑兵(無理ゲじゃね?これ、普通に詰んでる気がする)

勇者「ねぇ」

雑兵「なんすか?」

勇者「なんでお姉…騎士団長と話したいの?」

雑兵「あぁ…まぁ、色々つもる話しがありまして…」

勇者「へー…好きなの?」

雑兵「全っ然?あんま知らねぇし」

__
_
勇者「騎士団長にあってなに聞くの?」

雑兵「別に、お前には関係ない…かな?」

勇者「いや、知らないよ」

雑兵「…お前ってさ、前世的な記憶ある?」

勇者「前世?いや無いけど…」

雑兵「なんかさ、突然目が覚めたような感じでこの世界に来たとかさ」

勇者「うーん?保育園の年少組の記憶がないとかそんな感じのやつ?」

雑兵「言ってることわかるけど違げぇよ…なんか…こう言っちゃアレだけど前世で死んでさ、目が覚めたらここにいた的な」

勇者「し、知らないよ…普通に育ってきたつもりだよ…」

雑兵「じゃ、じゃあ騎士団長…あの女はどっから生まれた?いや知ってんだよ、お前がどうやってこの世界へ来たかってのは、お前も自分のことだ、何か知ってんだろ?」

勇者「え…?え…?分からないって…本当だって…」

雑兵「この世界へ来て魔法とかエライ強くなったんだろ?元からあった力じゃねぇんだろ?教えてくれって!なぁ!俺にもなんか力とかあるんだろ?!」ガシッ

勇者「ひぅ…し、知らないよぉ…」

雑兵「こんなトコに来てまでなんもねぇ俺じゃいられねぇだろ!?ここまで協力してもらってなんもねぇままじゃ申し訳がねぇんだよ!頼むからどうすればお前みたいな力が貰える?騎士団長みたいな強さを得られるんだ?」

勇者「ど、努力すればいいじゃん…!僕だって姉ちゃんだって努力したんだよ…!女の子なのに血反吐吐くまで…!何もかも捨てて努力したんだよ!!!」

雑兵「っ…」

勇者「何なんだよいきなり!!おかしいよお前!!」

雑兵「…クソが…やってらんねぇやマジで」

勇者「何なんだよ…知らないよ…」


騎士団長「…」

副団長「あの新兵…!」ッダ

騎士団長「待て副団長」

副団長「しかしあの新兵にあるまじき態度は…」

騎士団長「私が話をする、このことは内密にしていてくれ」

副団長「…わかりました、隊を引かせます」

騎士団長「後で合流する」


雑兵(うわー恥ずかしっ…年端も行かねぇ女の子に必死こいてた…どうしよ)チラッ

勇者「…」ムッス-

雑兵「そ、そんな怒るなって」

勇者「うるさい」

雑兵「ってぇか、騎士団長とお前姉妹なのな、確かに軽く面影あると思ったが」

勇者「うるさい」

雑兵「クゥ-ン...」

雑兵(果てし無く怒ってんな、どうしましょう…)

勇者「…君の前世の記憶ってさ、なんなの?」

雑兵「え?前世の…あぁ、大した人生じゃ無かったなぁ、小さい頃から勉強もせずブラついて、パチンコ屋出た時に脱水症で死んだ」

勇者「パチンコ屋…?」

雑兵「博打ミテェなもんだよ、結構面白かったが…ハマるほどになったら運の尽きだな」

勇者「ふぅーん…なんか逆にリアリティないね」

雑兵「俺の人生の説明にリアリティなんか求めてたら紙切れ一枚で終わるぜ、本当に何もしなかったからなぁ」

勇者「じゃあ今の方がアグレッシブなの?」

雑兵「まぁそうだなぁ、今ならお前の尻もしばける気がするくらいだからなぁ」

勇者「キッショ、て言うか僕勇者なんだけど何その口の聞き方、この世界を災悪から救ってあげたんだよ?」

雑兵「俺はその災悪とか知らねぇから救われてねぇ、無関係だ」

勇者「変な奴…」

雑兵「

勇者「変な奴…」

雑兵「うるせぇ、そんな歳なのに死ぬ気で努力した人間に言われたかねぇや」

勇者「は?つーか野営どうすんの?もうそろそろ評支の部隊が教育隊にぶつかる頃だよ」

雑兵「そうだった…うーん…紛れ込むのももう遅いよなぁ」

勇者(ていうか優秀隊員貰えるの?めっちゃ単独行動してるけど…まあ言わないとこ)

雑兵「よし、ここは一等兵さんに習って宿営地燃やすか」

勇者「だからなんでそうなるのさ!!」

雑兵「敵どうにかしねぇとダメだろ!?他になんかあんのかよ!!」

勇者「ないけど!?あっても言うわけないじゃん!」

雑兵「しょうがねぇな…よし、ついてこい勇者」

勇者「は?」

雑兵「は?」

勇者「いや…君捕虜じゃん?」

雑兵「いやそんなん知らんし」

勇者「…はぁ~あぁもう!めんどくさ!いいよ!ついてってあげるよ!」

雑兵「よし、評支の部隊んとこまで俺を送り届けてくれ」

勇者「はぁ?…もう勝手にすれば」

騎士団長「あいつら何してんだ…」コソコソ


雑兵「まぁ優秀隊員取るまでの辛抱だからさぁ、そんな怒るなよ」

勇者「そんなこと言って姉ちゃんにあんな変なこと言わないでよホントに」

雑兵「優しく聞くから」

勇者「聞くなっつってんの!」


騎士団長(私の何を聞くんだ…?力を得るとか言ってたが…)

勇者(てか…常識的に考えて…エラい単独行動してる隊員が優秀なんか取れないんだけどね…)

雑兵「あー疲れたぁ…まだ二日目だぜ、あんな大量の敵さんがまともに突入したらヤベェよな、一気に過労死するわ」

勇者「する訳ないじゃん…実戦じゃないんだから、まだヌルい方だよ、天幕建てれる時点で」

雑兵「天幕なんかねぇよ、いろんな部隊に派遣されてっから、邪魔だしたてねぇんだと」

勇者「ふーん」

雑兵「木っ端にゃ興味なしですか、まぁ俺も上の人間にゃ興味なしだからいっか」

雑兵「ってか、評支次どこ攻めんの?」

勇者「言うわけ無いジャン」

雑兵「ってか勇者って何が目的でそんなど偉い力手に入れたの?魔王?」

勇者「いや...特にこだわりとかはなかったけど...」

雑兵「へぇー、いいんちゃう?」

勇者「そんだけ?敬意の念とか無いの?」

雑兵「ねえよ、自分のやりたいことできりゃそれで良いんじゃね」

勇者「ほんっと捻くれたやつ...」



騎士団長(そろそろ評支の部隊にぶつかる...何をするつもりなんだ...)

勇者「で?そろそろ...ぶつかっちゃうよ?ウチの部隊に」

雑兵「お、いいねぇ...じゃあちょっと失礼して...」ガサゴソ

勇者「?」

雑兵「ちょ、ちょっと縛らして...」

勇者「アホ!?」

雑兵「いや、そういうのいいから...」シュルシュル

勇者「よくねえよ!」

雑兵「ええい!頑固者めが!」ガシッ

勇者「ッヒイ?!どっからこんな力...」

雑兵「ウヘヘヘ...徹底的にやるんだよオ...」

ドスッ

雑兵「う...」ドサッ

騎士団長「ったく...会った時から変な事しか...」

勇者「ね、姉ちゃん?」

騎士団長「騎士団の新隊員は壊滅だよ、さすが評支...いや、傭兵団」

勇者「まぁ、いつもどうりだよ、こいつどうするの?」

騎士団長「原隊に返すさ、兵一人にこの演習をむちゃくちゃにされたら示しが付かない」

勇者「確かに」

騎士団長「傭兵団の指揮はいいのか?」

勇者「あらかじめ動きは示しているから良いと思うよ」


雑兵(ん?俺の首取れた?首から下の感覚がねえ)


騎士団長「お灸をすえないといけないな...このトンでも新兵にゃ...」

勇者「一生タダ働きでいいんじゃない?」


雑兵(うっわ、怖っツートップがそろってら)

雑兵(あーあ、優秀賞は無しかぁ…どんな顔して戻ろっかなぁ…)

騎士団長「おい、起きているんだろ?体もそろそろ動くはずだ、起きろ」

雑兵「っへ、お見通しって感じか」ムクッ

騎士団長「まったく…とんでもない新兵だよお前は…所で原隊へ帰すまえに聞きたいんだが…」

雑兵「…分かってんなら俺から言うよ、騎士団長…いや女騎士、勇者…お前らはどこの世界の人間だ?」

勇者「ま、またそんなこと聞いて…!」

女騎士「…お前と同じ世界だと思う、ただ私たちがこの世界に来たのは本当に小さい頃だ」

雑兵「理由っつうか…死因は?」

女騎士「平成入ってすぐ位か…大規模な土砂災害があったのは知っているか?」

雑兵「あー…なんか夏にワイドショーとかでやってた気がする…なんとか町大規模土砂災害とかってやつ…」

女騎士「そう…私とこの子はあの土砂災害で死んだ、と言っても最初に起きた小規模な土砂崩れに巻き込まれて死んだんだけどね」

雑兵「…」

勇者「…知らないよ、そんなこと」

女騎士「一瞬だったからね、でも私の名前ずっと呼びかけてたよ、何が起きたかなんて小さかった君にはまだ分かんないよね…」

勇者「…」

雑兵「そうか…んで、その二人の力ってぇのはこっちに転生した時に?」

女騎士「それは違うね、勇者なんか特に死ぬほど努力して…今の地位があるんだよ」

雑兵「勇者なんか死ぬほど努力すりゃ誰にでもなれる、俺が聞きたいのはお前のことだ女騎士、お前だって並大抵の努力なんかじゃ敵わねぇ地位じゃねぇかよ」

雑兵「なんか不思議な力とかねぇのか?」

女騎士「魔法の類はまったく使えないな、ウチから湧き上がるものはやる気だけだ」

雑兵「…」

女騎士「確かにこの様な世界に来てしまったら…不思議な力が欲しくなるね、特に強い力が…でも何もなかったよ、私たちは死ぬ程努力したんだ、それだけ」

雑兵「…そうかい、やっと諦めがついた気がするよ…」

女騎士「諦め?」

雑兵「俺が今まで見て来たラノベやネット小説みたいな事はねぇってことさ、不思議な力とかエグい魔法とか…」

女騎士「その…ラノベやネット小説っていうのは良くわからないが、その作品の中ではどんな書き方をされているんだ?」

雑兵「主人公は元の世界で死ぬかひょんな事からファンタジーの世界へ飛んで来た、その世界へ行ったら不思議な力とかエグい魔法がで初期設定で備わってましたとさ…的な?」

女騎士「ふーん、欲望を素直に表すのはいいことだと思うぞ」

雑兵「面倒クセェなぁ、兵隊辞めよっかな」

女騎士「何でそうなる、軍隊は頑張れば頑張る程上に上がれるぞ?」

雑兵「えー?無理だって、無理」

女騎士「大隊長だって最初は下っ端だったんだぞ?お前も努力すれば…」

雑兵「どっからそのやる気バロメータだせってんだよ、身寄りもねぇし目標もねぇのに」

勇者「うーん、じゃあ今からここで目標設定すれば?金貯めるとかなんかで賞取るとか」

雑兵「賞?しょうなら…」

女騎士「悪いが優秀賞はもう無理だぞ…分からないと思う新隊員

雑兵「面倒クセェなぁ、兵隊辞めよっかな」

女騎士「何でそうなる、軍隊は頑張れば頑張る程上に上がれるぞ?」

雑兵「えー?無理だって、無理」

女騎士「大隊長だって最初は下っ端だったんだぞ?お前も努力すれば…」

雑兵「どっからそのやる気バロメータだせってんだよ、身寄りもねぇし目標もねぇのに」

勇者「うーん、じゃあ今からここで目標設定すれば?金貯めるとかなんかで賞取るとか」

雑兵「賞?しょうなら…」

女騎士「悪いが優秀賞はもう無理だぞ…分からないと思うがな、新隊員の部隊の全てを指揮する総司令部も一応あるからな?そいつらの指揮系統を無視した動きをしたらな…」

勇者「大隊長も分かってると思うけどね、そこらへんは」

雑兵「やっぱ?」

勇者「やっぱ?ってあんた...」

雑兵「どうやって辞めようかなぁ~、何かいい手無い?」

女騎士「無いよ、観念して原隊へ帰れ...」

雑兵「うへぇ...」
_
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__
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隊長「クックックッ....」

兵長「…」プルプルッ...

上等兵「…ッブッ」

伍長「まぁ…これが独立大隊だな…ンフッ」

雑兵「分かってたんスか?…」

一等兵「わかるに決まっとるがな、新兵訓練でガチる奴なんか初めて見たわいや…」

雑兵「…ッ」

天使「ざ、雑兵…?」

雑兵「んほぉぉおぉぉ!!!恥ずかしいぃぃぃぃい?!」

隊長「んなぁっは!ぶふぅ!?」

上等兵「リアルな話…っぶふっ…優秀賞なんかもう最初から出来レースで決まってたんだよ…あの入隊式では端っこに変なの集まってただろ?あいつらは特殊な力を持っててな、魔法やらなんやらなんでもござれで…まぁ謂わば将来の幹部コースだな」

雑兵「やっぱりっすか…」

隊長「いやぁでも騎士団長の話聞いてて面白かったなぁ…勇者様を縛りあげようとするなんて…」

雑兵「んぬぅっ!(憤死)」

天使「もう…ホントにバカ…」

兵長「なかなか濃い教育期間だったなぁしかし…お前らうちに来れると思うが」

雑兵「え?他にもあるんすか?」

天使「独立大隊にも分派があるんですね…」

上等兵「あぁ、ここから東にあるフィッハー港の分屯地に独立大隊の分遣隊、南東の国境地帯にある街の駐屯地に分遣隊があるんだ、南東は人が充足してるから多分フィッハー分屯地かもな、行くとしたら」

雑兵「へぇ~初めて知りました」

天使「ここにいたいなぁ…」

隊長「まぁそこらは上の人事の気持ちひとつだからな、気持ちの準備はしとけや」

雑兵「じゃあ自分達は営内の後片付けしてきます、いくか」

天使「うん」

バタン...

隊長「…天使は間違いなくうちに来るだろうな」

兵長「はぁ、自分もそう思います、患者に対する対応が衛生隊の現役隊員よりも確実でした、上が移動させる訳が無いですよ…」

隊長「問題は雑兵だな」

上等兵「命令不履行、単独行動…上からの評価は正直…」

兵長「無茶苦茶言われてたよ、素行不良の烙印ときたらもう…」

一等兵「素行不良でしたら自分も異動っすかね」

隊長「大丈夫、まだ上にゃ燃料爆破したのバレてねぇからほっとけ」

隊長「両方手放したかぁねぇが…仕方ねぇな…焚きつけた俺にも責任がある」

兵長「ただの部隊配置としての異動なので文句も言えませんよ」

伍長「しかし最近のフィッハー港近辺の良い噂は聞きませんな、なんでも変な宗教が…」

兵長「あぁ、あの世界終末論がどうこうって言ってたブルジョワの?」

伍長「はい、まだ港には直接的な影響は無いですが、近辺の村や町には洗脳された住民が多数いるそうですよ」

隊長「過激じゃねぇと良いがなぁ」
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修了式当日…

女騎士「諸君、この一月半の新隊員訓練、誠にご苦労であった、実は国王も諸君らの訓練を陰から見ていたが…今年の新隊員は精鋭揃いと太鼓判を貰った、誇りを持って各部隊へ配置されたい!以上!」

「それでは、只今から配置部隊を達する!王国騎士団!…」

「ど、独立大隊…?天使!独立大隊 ビギニング駐屯地へ!」

天使「はい!」

「同じく 雑兵! 独立大隊分遣隊! フィッハー分屯地へ!」

雑兵「は、はい!!」


女騎士「…」

勇者「やっぱあいつ飛ばされるんだね」

女騎士「仕方ないよ、人事発令は上からの評価もある」

勇者「ま、良いけどね、あんな変態」

女騎士「しかしフィッハーか…今の情勢で…」

勇者「あぁ、あの世界終末なんたらの?…どうなんだろう、あの人達って」

女騎士「あぁ…何人か諜報員を送り込んでいるが、皆…」

勇者「結構ヤバ目なトコだね…でも分屯地だから大丈夫だと思うよ?」

女騎士「いや…あのバカなら風俗街に行くだろうなと思って…そこから問題が起こりそうだ」

勇者「あー多分行くね…」


雑兵「ッイックシ!」

隊長「まさか本当に行くとはなぁ…」

兵長「単独で行くことになるが大丈夫か?」

雑兵「馬車で一本なら多分平気だと思うんすけどねぇ」

上等兵「フィッハーの風俗街でハメ外しすぎるなよ?あそこマジでハマるから、な?一等兵」

一等兵「独立大隊でハマらん人はいないっすからねあそこ、ヘルスで我慢しとけよ」

雑兵「風俗街ってでかいんですか?」

伍長「うーん…大きさ的にはこっちとどっこいどっこいかなぁ…」

上等兵「ただ選べる種類が豊富なのはフィッハーだな」

一等兵「出発は明後日か?」

兵長「荷造りが早く済むんなら明日でもいいけどな、早く行ったらそこの部隊のことも早く知れるぞ?」

雑兵「そうっすね、荷物もそんなないんで明日でも良いっすかね?」

隊長「そんな早く出たいのか…なら一応フィッハー行きの馬車切符渡しとくぞ」

雑兵「ありがとうごさいます」


天使「…」

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雑兵「っしゃあこの生活も明日までだなぁ」

天使「…」

雑兵「……んだよ」

天使「あっさり行っちゃうんだね、と思ってさ」

雑兵「そりゃあ移動ならシャーないんじゃないのか?」

天使「でもさ…今までの思い出とか振り返らないのかなって…ずっと二人で頑張ってきたじゃん…」

雑兵「えー…そこ行くか天使…」

天使「だって…」

雑兵「…この異動の理由だって分かってんだよ、いろいろ好き勝手やったからな」

天使「だからってそんなあっさり…」

雑兵「仕方なかろうて、独立大隊だって厄介払いできてよかろうもん、天使だって俺と絡むよりももっと別の人間と絡んでだな…」

天使「うるさい!!バカ!!」

雑兵「うっおっと…ンダてめぇ…?」

天使「雑兵の中で僕は何だったのさ!ただの同期?!僕は違う!家族みたいなものだと思ってた!!」

雑兵「し、知らんがな、どう泣いても足掻いても異動するんだから…俺だって…寂しいけどもさぁ、考えちまったらなんか果てしなくね?」

天使「果てしなくても良いじゃん!もっと思い出とか噛み締めてよ!!僕との思い出とか!」

雑兵「…俺のこと好きなの?」

天使「家族としてだよ!!?」

雑兵「じゃあもっと知らんが、ん10年近くもまともに会話せずに金だけむしり取ってただけの仲だ、元の家族とはな、普通の家族なんか知らん」

天使「…サイッテー…」タタタッ...ガチャ!バタン!

雑兵「…あいつはロマンチストなんだな」
_
__

__
_
チュンチュン...
天使「ん…」

天使「…アレ…雑兵は…」
ガチャ
上等兵「うーっす、独立大隊点…呼?雑兵の奴は?」

兵長「あー雑兵は員数にはもういれなくていい、朝早くに出発したらしい」

天使「え…」

兵長「隊長叩き起こされて報告されたってよ」

上等兵「そんなにここ嫌だったのか?」

天使「…」

雑兵『考えちまったらなんか果てしなくね?』

天使「それはないと思います…」

上等兵「…?」

ガラガラガラガラガラ...

雑兵(おっそ)

馬主「フィッハー行きに兵隊さん乗せるなんて何年振りかねぇ、しかしこの時勢にフィッハー地方に行くなんざぁ運がないよアンちゃん」

雑兵「なんかあるんす?」

馬主「カルトだよ、カルト教団…フィッハー港と港町フィッハーにはまだ来ちゃいねぇが…フィッハー地方の町村は既に洗脳済みと来たもんだ…」

雑兵「カルトって、なんの宗教っすか?」

馬主「さぁてなんだったかなぁ…確か世界終末生存論とかなんとか…終末が近いから世界終末後の秩序の維持…だったかなぁ?」

雑兵「うっへぇ、終末なったら死にたいっすねぇ」

馬主「そうさねぇ、何でも町村民のあいだじゃ…世界終末に向けての間引きやら…訓練という名の弱者排除…所謂殺しでさぁね…」

雑兵「…」

馬主「兵隊さん、あんたが最後の客だね、あっしはこの運航を最後にフィッハー地方から離れるよ…馬車主達はみんなそうしてる…フィッハーの港町は孤立するけど」

そりゃそうだ、自分の命を投げ出してまで客を運ぶ人間なんか人として信用できない、自分を大切しない奴になんで人を大切にできるのか、つまりそういうことだ。カルトの名前は最終章 世界…なんとも厨房が考えそうな名前である、しかしこの最終章は中々に侮れない教団である、私設軍もあるとか。

雑兵「いいんだよ、おっちゃん…それで」

馬主「ん?なんか言ったかい?」

雑兵「どれくらいで着きそうっす?」

馬主「あと半日さね」

雑兵(長いわアホ)
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『フィッハー港 フィッハー分屯地について』

曹長「早かったな若造、独立大隊は俺とお前だけだぜ」

雑兵「え?じゃあずっと曹長一人で…?」

曹長「前任の一等兵が…本隊にいる奴じゃないぞ?そいつがトンズラこきやがってな、独立大隊ってんで補充兵の話も相手にされなかったもんだからよ、新隊員から一人貰ったってわけよ」

雑兵「そうなんすか」

曹長「んじゃあ軽く説明するわ、ここは知っての通りフィッハー分屯地…ビギニング駐屯地の分屯地って訳だ、部隊は警備隊と業務隊、分屯地業務隊と輸送業務隊とを兼任してる、以上」

雑兵「す、少なくないっすか?」

曹長「俺ら入れても15人くらいか?警備隊も一個小隊くらいだし、業務隊なんか片手で数えられるくらいだ」

雑兵「そんで…自分ら独立大隊は…その人らの雑務をと…」

曹長「表向きはそうだな…だが実際の所そいつらと同じ仕事してるな、警備業務に輸送業務…ん?まてよあいつらより仕事あるくね?」

雑兵「あ?気付きました?」

曹長「まぁ本隊よか仕事の幅はあらぁな、俺はここ気に入ってるし」

雑兵「へぇ、そういえば輸送業務の方は何をするんす?」

曹長「フィッハー港に陸軍の施設があるんだわ、クソ小さいとこだけどな、そこに文書届けたり荷物を届けるんだ」

雑兵「なかなか大変そうっすね」

曹長「慣れりゃ楽だぜ、仕事は明日からだ、今日は休みな」

雑兵「はい、ありがとうございます」
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雑兵「港町の地図の受領に参りました~」

事務員「あらぁ?!新しい子?んまぁ~なん年ぶりかしらね!」

雑兵「はぁ…?」

事務員「おばちゃんね、この分屯地ができてからずうっとここで働いてるのよ!駐屯地の時は若い子たくさんいたんだけどねぇ、分屯地になってからは、おじさんしか来なかったのよぉ!」

雑兵「そ、そうなんすね」

事務員「あ!ごめんね!?地図よね!はいどうぞ!」

雑兵「ありがとうございます」

ヤスイヨ-!!

雑兵(やっぱヨーロッパの港町って感じだな、ご丁寧にフォークリフトまでありやがるからファンタジーの世界観ねえけど)

雑兵「ここがメイン通りで…漁港の横が旅客ターミナルって感じか?」

「おう!?アンちゃん兵隊さんかい!?」

雑兵「うおっ…は、はい、昨日に移動して来ました」

「若い兵隊さんなんか久々だねぇ!ほれ!祝いに魚でも持ってけ!」

雑兵「うえっ!?こんなに!?いいんすか?!」

「いいってことよ!出世払いな!」

雑兵「あざっす!」

雑兵(大らかすぎんだろ…先に持って帰ろ…)

雑兵「ってことなんすけど…」

「んまぁ!こんなに沢山?!」

「やるわねぇあんた!」

糧食班長「いやぁありがたいなぁ!晩飯は魚の煮付けだな!」

雑兵「じゃ、じゃあ見回りに戻ります…」


雑兵(アットホームっちゃあアットホームなのか…)

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__

__
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雑兵「で…ここが噂の風俗街ですか」


『手コキのみ!30分一万G!』

雑兵(手コキだけで一万!?)

『異種族の子集まってます!』
雑兵「あっ…///ん?」
『(すごい小さい字)ドワーフ、オーク♀含む』

雑兵「なーるへそ…いつか世話になろっと」

「兵隊さん、見ない顔っすね?どうです?」

雑兵「うーん」チラッ
『ハズレなし!90分5000G!』

雑兵(この安さが逆に怖い…)

雑兵「今回は手持ちないんでいいっす…」

雑兵(しかし生臭せぇところだな、魚の匂いがヤベェわ…ん?)

「離してって!!」
「貴様!命の恩人に楯突く気か?!」
「襲われた村にハイエナしに来ただけじゃない!!」
「ストリッパーならタッチショーの1つや2つはできるだろう!!」
「好きでやってんじゃないわよ!」


雑兵「うへぇ…やっぱあるんだねぇそういうの…くわばらくわばら…」

「ッチィ!使えん女だ!!貴様はもう奴隷商に売りに出してやる!!外のカルトにでも売り払ってやるわ!」
「っ…!!あのカルトだけは…!!」
「両親を殺したカルトにケツでも振っておくんだな!この売女めが!!」

雑兵「…」

『恨むなら死んだ親を恨め、それが嫌なら誰も恨まずなにも考えず生きろ、身勝手に人恨んで迷惑かけんじゃねぇぞマジで』

『腐っているな、貴様は…』

『これだから独立大隊は…』


雑兵「…」

『ただ償いなんてことはしない、これは私の自己満足からくる行動だ、私たちが一端を作ったのなら私たちで収集をつけねばいけないんだ』

雑兵「カルトの蔓延も…俺らが発端なのかな…」

「こい!!オラァ!」

雑兵「うーっす、喧嘩っすか?」

「?!…なーんだ兵隊さんかい…いやねぇ?ちょーっと仕事のことで揉めてただけでして…な!」

「っ…」

雑兵「へぇー大変っすねぇオーナー側も色々あるっすもんねぇ」

「そ、そうなんでさぁ…へへっ…」

雑兵「で?その仕事の話の流れで…カルトに売り飛ばすってなぁどういう了見で言ったんだ?」

「いっ!いや!言葉の綾ってやつで…」

雑兵「話を聞くにゃぁ…カルトってぇのは国様に楯突いてる団体だよなぁ?そのカルトどもにこの娘っ子売り飛ばすってことは…お前国様に楯突いてんのか?」

「っいやぁ!そんな!!兵隊さんたちゃあいい客でさぁ!!」

雑兵「知らんわ初耳じゃ、てめぇがこの街にどれだけ居座ってたか知らんがよ、次その面ァ見せてみろ、守る体面もねぇ人間が何するか…おめーが一番よぉく知ってんだろぉ…」

「…っ!き、貴様!!」

雑兵「い、いや、殺しゃしねぇよ?流石に」

「今更日和っても遅いわ!!!こんの…!!」

雑兵「うひぃ!怖い!」バッ

「คลื่นกระแทก!!!」ッシュパァン!!

「っがぁ!!?!」ズゥン...

雑兵「うへぇ…?や、やるぅ…」

「あんた…この街から逃がしてくれるの…?」

雑兵「いや…逃げるか逃げないかはお前の自由だけど…」

「はぁ?助けてくれた訳じゃないの?」

雑兵「いや…おれ煽っただけだし…カルトがこの国に楯突いてるのもしらねぇ…し?」

「な、なによ…」ピョコ

雑兵「お前…俗にいうエルフってやつ…?」

エルフ「じゅ、純粋なエルフではないけど…人間とのハーフで、寿命は人間より」

雑兵「へぇ受け継いだのは耳と魔法だけか、まぁいいや、治安悪そうだしさっさと家に帰れよ」

エルフ「んあんた…話聞いてなかったの…?」

雑兵「あ、あんま」

エルフ「ほんっっと人間の男ってサイッテー…」

雑兵「いやそんなこと言われてもなぁ」

エルフ「は?なんか文句言える訳?」

雑兵「いや、だってさあ、なんらかの原因で帰る家が無くなったのとここに連れてこられた理由ってあんま関係なくないって思って…」

エルフ「…は?」

雑兵「は?」

エルフ「どう言う意味よ…それ!!」

「な、なんだ…?」

「痴話喧嘩か?」


雑兵「なんでここ来たかしらねぇけど、家が無くなったからここに連れてこられた訳じゃねぇんだろ?自分の意思で来たんなら最終的にゃ自分でなんとかしろよ、俺はお前に逃げるきっかけを与えただけだ。残るも逃げるもお前次第で、お前が今できるのはそれだけで、それ以外は何もないぞ」

雑兵「人のせいにするにゃ今は随分楽な身分だとは思うがよ、今はそれどころじゃないだろ?どうすんだ?」

エルフ「…げるわよ」

雑兵「ん?」

エルフ「逃げるに決まってるじゃないの…」

雑兵「よし、ついてこい」

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エルフ「…あんた、兵隊なの?」

雑兵「あぁ、今年入隊したばっかだ」9

エルフ「兵隊、ね…人間の兵隊は嫌いだわ…小さい時からいい話を聞かないしね…侵略した村の略奪…女たちをレイプ…そればっかよ…」

雑兵「いや俺知らんし、モンスターの兵隊たちだって略奪もレイプもすっだろ、脳みそがある生き物はみんなそうなんじゃねぇかな、知らんけど」

エルフ「そう…なのかな」

雑兵「さぁ?ついたぞ、分屯地だ」

エルフ「ちょちょちょ…私は入っていいの?」

雑兵「いや、分からんす…」

事務員「あらぁおかえりなさい!街はどうだった?」

雑兵「あの~すいません…」

事務員「ん?…あらま…」

エルフ「…」

事務員「その格好…ううん、言わなくてもいいわ、こっちへ来なさいな、お着替えしましょ、ね?」

エルフ「え、でも…」チラ...

雑兵「その格好でうろつきたくないだろ」

エルフ「あ、あぁ…」

事務員「ささっ、奥の部屋へ…後で分屯地司令に報告しておくわ、明日くらいに呼び出しがあると思うから綺麗な服をね?」

雑兵「はい、ありがとうございます」

事務員「あらぁおかえりなさい!街はどうだった?」

雑兵「あの~すいません…」

事務員「ん?…あらま…」

エルフ「…」

事務員「その格好…ううん、言わなくてもいいわ、こっちへ来なさいな、お着替えしましょ、ね?」

エルフ「え、でも…」チラ...

雑兵「その格好でうろつきたくないだろ」

エルフ「あ、あぁ…」

事務員「ささっ、奥の部屋へ…後で分屯地司令に報告しておくわ、明日くらいに呼び出しがあると思うから綺麗な服をね?」

雑兵「はい、ありがとうございます」

雑兵「いやぁ…カルトってのも考えものだな…」
ガチャ
雑兵「戻りましたー…」

曹長「うーっす、聞いたぞ坊主、ハーフエルフの嬢ちゃんを助けたんだってなぁ」

雑兵「え、あぁ…助けたと言うか…」

曹長「あーあー細かぁことはいいんだ、お陰でストリップ劇場は暫く閉鎖だよ」

雑兵「す、すいません…」

曹長「いやいや、人助けて責めるバカなんかこの分屯地にゃいやしねぇよ、よくやったな」

雑兵「あ、ありがとうございます!」

曹長「お陰でビギニングの隊に話す内容が出来たぜ、新隊員のくせに体はりやがって」

雑兵「ははっ…まぁ…」

曹長「明日は町の軍施設を案内するからな、よく使うから場所は覚えとけ」

雑兵「はい」
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隊長「はぁ、はぁそんなことが…いや私としても嬉しい話ですよ、はい、はいそれでは…」チン

兵長「どうかしたんですか?」

隊長「雑兵の奴が風俗街で絡まれてたエルフの娘さんを助けたそうだ」

兵長「マジっす?風俗街ってトコが気になりますが…やりますね」

隊長「分屯地司令直々に電話して来たからな、ここのお偉方にも話は行くだろうぜ」

兵長「まぁ…話が行ったところで、ですがね…」

隊長「いいんだよ、あいつが元気ならそれで」


天使「雑兵…すごいなあ…」

一等兵「雑兵が行く前にまーた喧嘩したんだってな?」

天使「は、はぁ…」

一等兵「あいつも不器用だからなぁ

一等兵「雑兵が行く前にまーた喧嘩したんだってな?」

天使「は、はぁ…」

一等兵「あいつ不器用だからなぁ、あっちでも変なことに首突っ込まなきゃいいが…今度こそは助けられんからなぁ…」

天使「はい…」

_
__

__
_
曹長「ここが港湾詰所、デケェ船の出入港時に割り当てられた人員でここの出入を監視するんだ、まぁあまり使わねぇな」

雑兵「この街デカいっすけど…この分屯地の人数で守ってるんすか?」

曹長「いんや、この港のすぐ下に南フィッハー地方との境界線があってな、その境界線の街にある駐屯地が有事の時は来てくれるんだ」

雑兵「へぇ」

曹長「ってもここ何年も来てねぇからな、実質俺らが治安維持してる感じだ」

雑兵「正直いっていいすか…」

曹長「言うな何も、俺も思ってはいるが治安がいいのが救いだ」

雑兵(そんな治安良い訳じゃねぇと思うけどなぁ…)

曹長「あのエルフの娘っ子さんの件で治安なんてどう見たって悪く見えるが…まだマシな方なんだよ」

雑兵「まぁマシってレベルが一番安定してるんすかね…」

曹長「そうさな、あんなエルフの娘っ子さんみたいな境遇の人間はこの町にゃ沢山いらぁ、正直ビギニングの貧民街よりも闇は深いぜ」

雑兵「まぁみんながそれで良いなら自分は特になにも…それよりもあのエルフは?」

曹長「いま面接を受けてるよ、もしかしたら昨今のカルトのパトロンかも知れねぇからな」

雑兵「ふーん…」

曹長「気になるか?」

雑兵「あー、あの若さで両親亡くしてこの先どうするんかなぁと思って…」

曹長「まぁ大体だったらエルフの国の団体さんが身柄を引き取りに来てくれるが…なんせハーフだとなぁ」

雑兵「魔法は使えてましたよ」

曹長「じゃあ…もしかしたらだがビギニング駐屯地にいる部隊に引き取られるかもな、混成騎士団とかに」

雑兵「そんなんあるんすか?」

曹長「まぁ異種族の集まりだわな、エルフは勿論…ドワーフや獣人やらなんやら…」

雑兵「うっへぇ、ごちゃ混ぜっすね」

曹長「知能がある種族が集められた騎士団だわ、王国騎士団と同じくらいの立場だぜ*

雑兵「まぁ安泰ならそれで良しっすね、自分は駐屯地の方には戻りたくないっすけど」

曹長「お?なんかやらかしたのかい?」

雑兵「やらかしたと言うか自爆したと言うか…とにかく自分は分屯地の規模が性に合ってるっすね」

曹長「若い兵隊が珍しいなぁ…まぁお前がそれでいいなら別にいいけど…そいじゃあ明日から早速仕事だ、これを港の事務所に届ける仕事な」

雑兵「

雑兵「さっきから気になってたリヤカーって荷物なんすね」

曹長「あぁ、港湾施設の小さい事務所でも軍人は軍人だってことで武器が入って来たんだ、それを明日届けに行く」

雑兵「港湾施設の人めっちゃ定年間際的な感じでしたけど」

曹長「籍がある以上は軍人だぜ、明日はこの仕事だけだ、ちゃっちゃと終わらせようや?」

雑兵「了解です」
_
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_
「はぁ、定年間際なんで持つことはないと思ってたんだがなぁ」

曹長「フィッハーものっぴきならん事態ですからな、ただの弱小宗教で終わってくれりゃ事も無し
なんですが、どうもそうしてくれんみたいで...」

「あぁいいんだよ、この組織に入ったからにゃぁな、それはそうと情報が入ったぜ」

曹長「情報?」

「あぁ、隣の大陸にある諸国連合のお偉方連中が、今月にもここに寄港する...ってのは建前で...
亡命してくるらしい」

曹長「亡命?また何で...」

「隣の大陸で国民が決起したらしい、理由は...まぁ連合をあげての賄賂や...」

曹長「はぁ~...それで関係ないウチまで巻き込まれたんですか?」

「まぁ仕方ねぇさ、確かに荷物は受け取った、ありがとよ」

曹長「うっす、情報提供感謝します、雑兵行くか」

雑兵「はい」

「頑張れよ若いの、分屯地は良いところだぜ」

雑兵「はぁ、ありがとうございます」
_
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曹長「本日の業務は終了ですっと、じゃあ俺ぁ家戻るわ」

雑兵「あ、家持ってるんすね、分屯地で寝泊まりしてるのかと…」

曹長「お前が配属されてきたからな、官舎暮らしの妻一人子一人…良い物件だ」

雑兵「ん?て事は自分あの部屋で一人なんす?」

曹長「独立大隊の営内者は一人だぜ?やったな」

雑兵「マジすかぁ、荷物妙に少ないと思ってたけど」

曹長「明日は分屯地の草刈り、開始時刻は0900、集合場所は隊舎の下以上解散」


雑兵「…何しよう」

雑兵「…あいつどうなってんだろ」

事務員「あら?今日はお仕事終わり?」

雑兵「はい、荷物届けるだけだったんで…あの、エルフの子は…」

事務員「あぁ、あの子?明日付でビギニングの混成騎士団に入隊するらしいわ…魔法使えるみたいだから苦労しなさそうね」

雑兵「そっすか」

事務員「でも寂しくなるわぁ…生きてたら娘くらいの年だもの、心配で心配で…」

雑兵「ん?事務員さん…ご家族は…」

事務員「…死んじゃったのよ、30年くらい前かしら、夫は行方不明…そのショックのせいか…流産しちゃって…双子だったんだけどね…」

雑兵「あ…そうなんすか…すみません…」

事務員「いや良いのよ、こうして若い子達に触れ合えて楽しいもの!」

事務員「あ、そうだ!会ってあげたら?今なら外来の隊舎にいると思うわ、入ってすぐ右に部屋があるから」

雑兵「は、はい、行ってみます」

_
__

__
_
エルフ「…」

『人のせいにするにゃ今は随分楽な身分だとは思うがよ、今はそれどころじゃないだろ?』

エルフ「人の…せいか」

コンコン

エルフ「…っ!ど、どうぞ」
ガチャ...
雑兵「う、うーっす…」

エルフ「あ…あなただったのね…」

雑兵「混成騎士団に入るんだって?良かったな」

エルフ「混成騎士団って良いところなの?」

雑兵「あ、ごめん知らないっす…」

エルフ「っはぁ~…適当な事ばっか言っちゃって…」

雑兵「まぁ…独りよかマシだと思うぜ?同族もいるみたいだしな」

エルフ「知ってる、私の知り合いも何人かいるわ、あ、でも口利きで入ったわけじゃないからね?」

雑兵「

雑兵「いや…別にお前がいいならどんな入り方でもいいと思うけど」

エルフ「…あなたって…思った事すぐ口に出すのね?」

雑兵「あ、ごめん…それで何回か同期怒らせたんだ」

エルフ「ほんとバカ…まぁいいわ…」

雑兵「…お前の家族ってみんな殺されたのか…?」

エルフ「…そうね、カルトの信者達に…みんな家に閉じ込められて…異端な民族は浄化とかって火を放った…直接は見てないけど生き残ってた子がそんなこと言ってたわ」

雑兵「そ、そうなのか、よく生きてたな…」

エルフ「丁度薪を山に取りに行ってたのよ、山から麓に村が見えるんだけど…そこで村が燃えてるのを見たわ」

エルフ「あいつら意味わかんない、村には普通の人間も暮らしてたのよ、私達異種族と呼ばれてる者たちが殺されるのはまぁ稀にあるけど、あいつら村ごとよ…ほんと意味わかんない…」

雑兵「…あのストリップのオーナーに拾われたのは…」

エルフ「…最初は良い人に見えたの、難民保護がどうこうと言ってたけど…女しか取らないのを早く気付くべきだった」

雑兵「そうか…まぁここいらじゃ嫌な思い出が多いと思うが…ホントに気にせず生きろ、気兼ねなくな…」

エルフ「気にせずに?気兼ねなく?あんた正気?そんな言葉よく出てくるわね…!」

雑兵「いや…辛いのは分かるがよ…その辛さに押し潰されちまったら…アレじゃねぇか、やるせねぇじゃん?」

エルフ「あ、あんた…はぁ、なんだかあんたと話してると落ち込むのもバカバカしくなってきた…」

雑兵「う、上手く言えねえけど…まぁ第二の人生もっと女の子らしく生きろ…いやなんか違うな…」

エルフ「なーに言葉取り繕おうとしてんのよバカ…あなたが心から心配してくれてることは分かったわ…ありがと…ホントに…」

雑兵「あ、あぁ、あっちでも元気でな、独立大隊をよろしく頼むよ」

エルフ「独立大隊?」

雑兵「雑用しかしない部隊だけどさ、いい人たちたくさんいっから、俺の同期もいるぜ?めっちゃ治療とかがうまいらしい」

エルフ「うん…あっち行ったら挨拶するわよ、あんたの事も話す」

雑兵「い、いや俺のことはいいよ…」

エルフ「あら何照れてるの?恩人だもの、上司の株上げたいでしょ?」

雑兵「ほ、ホントにいいから…褒められるのとかあんま慣れてねぇんだ…チャランポランに生きてきたから…」

エルフ「…」

エルフ「!」💡

エルフ「雑兵、こっち座って」

雑兵「?」スポン

エルフ「褒められるときにお母さんによくやって貰った

エルフ「雑兵、こっち座って」

雑兵「?」スポン

エルフ「はーい体の力を抜いて~」
ッス...

雑兵「!ひ、膝枕?」

エルフ「いい事したときに、よくお母さんにやって貰ったの…私の一番好きな褒められ方」ナデナデ

雑兵「…」

エルフ「あなた、多分私と歳近いのになんで兵隊に…?」ナデナデ

雑兵「…お、俺…入隊前は浮浪者でさ…いつの間にかこの国に来ちまって…こんな事言って信じてもらえるか分かんねぇけどよ…俺転生したんだ、別の世界から…」

エルフ「別の世界?」

雑兵「あぁ…暑い中でぶっ倒れてそのまま死んだと思ったら…ビギニングの王国の近くにある森で目覚めて…」

エルフ「…それが本当なら…あなたは何もわからない状態でここまで頑張ったのね…偉いね…」ナデナデ 

雑兵「ちょちょちょ、ナデナデはやめてくれ…なんか変な気分になっちまう…」

エルフ「…んふっ…変態」

雑兵「くっそ…からかうな…」

エルフ「じゃあおしまーい」

雑兵「ったっく…///なんて奴だ…」

エルフ「雑兵、また会おうね…」

雑兵「え?今日出るのか?」

エルフ「早めに出ようかと思って準備してたんだけど…事務員の人に雑兵が来るまでは待ちなさいって…でも待ってて正解だったかも…なんかスッキリした」9

雑兵「そ、そうか…待たせちまってすまねぇ…」

エルフ「いいのよ…付き合い短かったけどホントに楽しかったわ」

雑兵「あぁ、俺も」

エルフ「…次会うときは綺麗な鎧着て来るから、見惚れないでよ?」

雑兵「ワカンねぇ、四方八方に目ぇいくから」

エルフ「この節操なし…じゃ、また…」

雑兵「あぁ」
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事務員「行っちゃったのね…」

雑兵「はい…」

事務員「仕方ないわね…あの子とても苦労したみたいだから、騎士団にはいれば将来安泰だから良かったのよ」

雑兵「俺もそう思います、独りよかナンぼかいい…ん?」


「おい、例の

__
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事務員「行っちゃったのね…」

雑兵「はい…」

事務員「仕方ないわね…あの子とても苦労したみたいだから、騎士団にはいれば将来安泰だから良かったのよ」

雑兵「俺もそう思います、独りよかナンぼかいい…ん?」


「おい、例の亡命船、今週末に来るってよ」

「マジ?やべなんの準備もしてねぇや」

「王国からも直々に儀仗隊やらなんやらが来るらしい、天幕貼る部隊や風呂焚きに来る部隊まで…分屯地じゃまかなえんぞ」

雑兵「船が来るってぇことは…自分も出る感じですね」

事務員「あらー船が来るなんて久しぶりねえ、外来足りるかしら…じゃあちょっと情報収集行って来るからまたね」

雑兵「あ、はい」

_
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__
_
雑兵「ヒッマだな営内ってのはよ…」

雑兵「テレビもねぇしゲームもねぇし…この世界来て初めて後悔してんぞ…」

雑兵「…そいえば俺今幾らぐらい貯金あるんだ…?」

雑兵「ずっと駐屯地の中にいたから分かんなかった…ヤベェ、ATMとかあんのかこの世界…」

雑兵「き、聞いてみりゅぅ?」

厚生館
小さいながら売店や体育館がある場所だ、中には軍が経営してる銀行的なのもあって金利もかなりいいと専らの噂だ

雑兵「自分の給料って…」

「ちょっと待っててねぇ…でもダメだよ君、金銭関係のことはちゃんと自分で掌握しとかないと、教育隊の人言ってくんなかった?」

雑兵「あー…あんま聞いてなかったかも…」

「全く…雑兵…っと…うっわ、手付かず過ぎて教えるの憚られるわぁ」

雑兵「お、教えて下さいよぉ…駐屯地じゃほぼ缶詰だったんすから…」

「仕方ないなぁ…一月半だけど、実質二ヶ月分の給金で…知らないだろうけど入隊俸給もあるから…84万Gだね」

雑兵「84万…?」

「んでぇ…明日は何日だ」

雑兵「えーっと…18日?」

「そう、給料日で手取り16万…」

雑兵「リ、リアルっすか?」

「一般の新隊員にしちゃ持ってる方じゃないの?」

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