春香「火傷をしたら大変なことになった」 (90)


―その日、765プロに衝撃が走った!―


春香「お仕事お疲れ様です。コーヒー淹れてきますねっ」

P「ああ、頼む。ありがとな」

春香「はいっ♪」


(ボボボボッ)

(ピィーーーッ)

春香「あ、お湯が沸いたね。ええと……」

(ピトッ)

春香「あっ?! 熱っ!」ジュッ!

春香「あつつ……やっちゃった……火傷しちゃったかなぁ……」チラッ


ハム蔵「じゅっ!」


春香「……」

春香「……?!」




\きゃああああああああああああああ!!!!!!!!!!/

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P「どうした、春香ァっ!?」ガラッ

春香「あ……わ……私……親指を火傷して……それで……」

P「大丈夫か!?」

春香「そ、それが……」

春香「私の、親指、が……」

P「ん?」チラッ


ハム蔵「じゅっ!」


P「……」

P「……?!」




\うわあああああああああああああああ!!!!!!!!!/


小鳥「どうしたんですか、プロデューサーさん!?」ガラッ

春香「あ……わ……私……親指を火傷して……それで……」

小鳥「大丈夫なの!?」

春香「そ、それが……」

P「春香の、親指、が……」

小鳥「ん?」チラッ


ハム蔵「じゅっ!」


小鳥「……」

小鳥「……?!」




\きゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!/


響「どうしたんだ、ピヨ子!?」ガラッ

春香「あ……わ……私……親指を火傷して……それで……」

響「大丈夫か!?」

P「そ、それが……」

小鳥「春香ちゃんの、親指、が……」

響「ん?」チラッ


ハム蔵「じゅっ!」


響「……」

響「……?」


響「ハム蔵、何してるんだ、そんなとこで」

ハム蔵「じゅっ!」


P「どうして、どうしてこんなことに……」

春香「分かりません……ジュッと火傷をしたと思ったら、親指が……」

響「やったなぁ、ハム蔵。春香の親指だなんて一等地だぞ!」

ハム蔵「じゅいじゅいっ!」

小鳥「まずは病院、病院に行かないと!」

春香「でも、今日はこの後グラビアの撮影が――」

P「馬鹿野郎、そんなもの後回しだ! まずはお前のことが大切に決まってるだろ!」ガシッ

春香「ぷ、プロデューサーさん……」キュンッ

響「いってらっしゃーい」

ハム蔵「じゅいっ!」


双海父「こ、これは……!」

P「先生! 春香は……春香は、大丈夫なんですか!?」

春香「……」ブルブル

双海父「こんな症例は未だかつて見たことがない……」

双海父「あまり無責任なことは言えませんが、一先ず、命等に別状はないでしょう」

双海父「しかし、元に戻す方法については、調べてみないと……」

P「切除はできないんですか!?」

ハム蔵「じゅいっ!?」

双海父「できなくはありませんが……その場合、天海さんの親指はなくなってしまいます」

双海父「天海さんご自身の判断もありますが、まずは戻す方法を探るのが賢明でしょう」

春香「そうですか……」

ハム蔵「じゅっ……」


P「お医者さんでも分からないか……」ガックリ

春香「私……私、どうなっちゃうんでしょうか……」

P「大丈夫だ、春香。事務所のみんなも、俺もついてる」

春香「プロデューサーさん……」ジワッ

ハム蔵「じゅっ」

春香「どうして……どうして私の親指にっ!!」

ハム蔵「じゅっ!?」ビクッ

春香「……ひっく……ぐす……」ポタッポタッ

P「春香……」

ハム蔵「じゅ……」


春香「どうしよう……当面はこのまま活動なんて……できっこないよ……」

千早「春香……」

春香「ねぇ千早ちゃん、私、どうしたらいいのかな……」

千早「それは……ごめんなさい。私にも分からないわ」

千早「私が何を言っても、他人事にしかならないと思うから……」

春香「怖いよぉ、千早ちゃん……!」

千早「春香……」ギュッ

ハム蔵「じゅい……?」

春香「……っ」プイッ

ハム蔵「じゅ……」


【オーディション】


(ザワ...ザワ...)

審査員「……? では、次の方、お願いします」

(ザワ...ザワ...)

春香「は、はいっ! えっと、765プロダクション所属の、天海春香です!」

審査員「はい、天海さんね……ん? 随分袖が長いですね」

春香「っ!? こ、これはっ……」

ハム蔵「じゅいっ!」ビシィッ

春香「は、ハム蔵は黙っててよ!!」キッ!

ハム蔵「じゅっ?!」

審査員「……それは、腹話術ですか?」

春香「い、いえっ! その……」オロオロ

審査員「んー……今日のオーディションは、そういう一芸は求めてないんだけどねぇ……」ポリポリ

春香「い、一芸とかじゃないんです! これはっ!」


(パサッ)

春香「あっ、上着の袖が――」


<キャアアアアアアッ?!

     ユ、ユビカラハムスターガ!>


春香「あ……!」

審査員「……け、結構です。袖を……」

春香「……はい」


春香「……今回も不合格かぁ」

春香「親指がこんなになってから、ずっと……」

ハム蔵「じゅいじゅい」

春香「ハム蔵のせいでしょ!?」キッ!

ハム蔵「じゅっ……」

春香「どうして……どうして私なの……!」

ハム蔵「……じゅい」

春香「ハム蔵は黙っててよ!」

ハム蔵「……」


春香「折角、いろいろお仕事貰えるようになってきたのに……私、どうしたら……!」

ハム蔵「じゅ……」


(ブロロロロロロ)

(キキィーッ!)


春香「え? 隣に車が――」

黒服「攫え!」

春香「えっ!? ちょ、ちょっといきなりな――むぐっ!?」

黒服「くそっ、暴れんな、暴れんなよ!」グイグイ

春香「むーっ! むーっ!」


(バタンッ)


黒服「よし、車を出せ!」

春香「んーーーっ!!」


(ブロロロロロロ...)


【某倉庫】


春香「わ、私をどうするつもりですか!?」

黒服「……」

ハム蔵「……」

春香「やめて……私に乱暴するつもりですよね!? エロ同人みたいに!!」

黒井「するか!」カッ!

春香「あ、あなたは……961社長!!」

黒井「くくく……天海春香、貴様のアイドル人生、ここで終わらせてくれる!」

ハム蔵「じゅっ!?」

春香「ど、どうしてこんなことを!? 響ちゃんや四条さんがしゃべくりに出演した時に黒井社長の二丁目通いを暴露したからですか!?」

黒井「黙れ! ジュピターをそういう目で見るんじゃない!!」

春香「あんたが見てるんじゃないかって話だよ!?」


黒井「ふん、コイツを見るがいい!」バッ!

メカハルカ「ドンガラガッシャン、ドンガラガッシャン」

春香「!?」

黒井「ククク……天海春香、お前はそろそろ目障りなのだ」

黒井「お前を監禁し、その隙に出演予定の番組へメカハルカちゃんを送り込む!」

メカハルカ「ア、イタタ、テヘ、コロンジャイ、マ、シタ」ウィーンガッシャン

黒井「そして番組をめちゃくちゃにし! 芸能界から追放してやろう!!」

春香「そ、そんな!!」

ハム蔵「じゅいいっ!?」


黒井「番組が終わったらその縄を解きに来てやる。まァその頃にはお前のアイドル人生は終わりだがなあ!!」

春香「うぅ……私、何もできないの……?!」

メカハルカ「プロデューサーサン、オイルデスヨ、オイル」ギギギ...

黒井「何? 仕方のない奴だ……関節部を出してみろ」

メカハルカ「ウワア」グイン

黒井「オアアアアァァァッ!? 私の指が挟まァーーーッ!?」

黒服「社長!!」

メカハルカ「マーメイ、マーメイ」ガションッ

黒井「ぬおおお……! メカハルカちゃァん、ヒトの手を挟んだら危ないじゃないか……!」

メカハルカ「ゴメンナサイ、ワタシ、オッチョコチョイデ」ウィンウィン

黒井「ふん、まったくとんだお茶目さんだ! ……まあ、間違いはつきものだ、気を付けるんだぞ」

春香「黒井社長って意外と子煩悩ですよね」

黒井「誰が鉄の塊を産むかァ!!!!!!」


(ガシャンッ!)


春香「黒井社長達、行っちゃった……」

春香「せめて、何とかしてプロデューサーさんに連絡しないと……!」グググッ

春香「……ダメ、解けないよ……」ガクッ

春香「このままじゃ、私のせいでみんなに迷惑かけちゃう……!」

春香「うぅ……」グスッ



「じゅいっ!」


春香「え?」

ハム蔵「じゅじゅいっ」ガジガジガジガジガジ

春香「……! そっか! 親指の位置からなら縄へ届くんだね!」

ハム蔵「じゅいっ!」ガジガジガジガジガジガジガジガジ

春香「お願い、ハム蔵! 縄を噛み切って!」

ハム蔵「じゅいいっ!」ガジッ


(ブチンッ!)


春香「!!」パラリ...

春香「やった……解けたあ!」

ハム蔵「じゅいいっ!」ガッツポ

春香「それじゃあプロデューサーさんに……あっ!? 電池が切れてる!」

春香「そんな……このままじゃ、間に合わない……!」

ハム蔵「じゅじゅいじゅいじゅいじゅじゅじゅじゅいっ!!!」ペシッ!

春香「いたっ!」

春香「そっか……そうだよね。私が諦めちゃ、ダメだよね!」

ハム蔵「じゅいっ!」

春香「急ごう! 何とかして、黒井社長を止めなきゃ!!」ゴソゴソ


覆面女「へい、タクシー!」ビッ!

覆面ハム「じゅじゅいっ!」ビッ!


(キキーッ)


タクシー「どちらまd」

覆面女「さっさと車を出せぇ!」バッ!

タクシー「ひっ!?」

覆面女「ブーブーエステレビまで道交法無視で最速で飛ばせ!」

覆面女「言うことを聞かないとこの『親指がハムスターになる病』を感染させるぞ!!」グイィッ!

覆面ハム「じゅじゅじゅいじゅい!!!」

タクシー「そ、それだけは!! 走ります! 走りますから!!!」


(ブロロロロロロ...)


【テレビスタジオ】


P「春香、なんだか大らかになったなぁ。成長期か?」

メカハルカ「プロデューサーサン、ロボデスヨ、ロボッ」ウィーンガッシャン

P「はっはっは、新ネタか? 出しどころを間違えるなよー」

メカハルカ「チクビミサイル!」バシュゥ-z_ン!!



黒井「ウィッウィッウィッ……奴め、メカハルカちゃんを全く疑っていない!」

黒井「あのまま番組を進行させ……」

黒井「生放送ステージの最中、この自爆スイッチでメカハルカちゃんをボン!!」

黒井「奴らを社会的に抹殺してくれるわ!!!」




黒井「……」

黒井「このボタンを押すとメカハルカちゃんは死んでしまうのだな……」

黒井「……」

黒井「そのためにこの子は生まれてきたのだ……今更何を迷うことがある、黒井崇男……!」


涼「RYOと!」

メカハルカ「ハル、カ、ノ」ウィーンガッシャン

涼・メカハルカ「「エンジョーイクッキング!!」」

涼「さあ春香さん、今日はどんな料理を作りますか?」

メカハルカ「キョウ、ハ、キョウ、ノ、リョウリ、ハ」ジジジッピーキュルルルル

メカハルカ「カブトガニ、ノ、ミシシッピーフウ、ツクダニ、ナポリタンソース!」ギュルァァァァァァアア!!!

涼「わぁ、すごいっ! 火炎放射器、チェーンソー、ドリルにプレス機と春香さんの全身が調理器具のパリコレだぁっ!」

P「すごいぞ春香! いつの間にこんな特技を……!」

メカハルカ「タカオ、ヨ、タイシヲ、イダケ」ギュルァァァァァァア!!!



黒井「め、メカハルカちゃァん……!」ウルッ


メカハルカ「キザミ、キザ、キ、キ、キキキキ」ガガッギリリッ


黒井「……? メカハルカちゃんの様子が変だな?」


メカハルカ「ユユユユユユウパパパパパパパパパパ」


黒井「しまったァ!? オイルが足りなかったァ!!」


メカハルカ「ユ、ユウ、パパパックゥーーーーーー!!!」ボボンッドンッボガァンッ!!


P「は、春香が火を噴いた! 春香ぁーーーっ!!!」

涼「ぎゃおおおおおおおおんっ!!!!」ドガァーーン!


黒井「め、メカハルカちゃんの右腕がぁーーーっ!!」


黒井「ぐぅっ! なればここまで! メカハルカちゃんよ、永遠なれ――」


~ お父さん ~


黒井「はッ!? こ、この心に語りかけてくる声は、メカハルカちゃん!」


~ 私は、この世に生を受けて、幸せでした ~


黒井「や、やめるんだメカハルカちゃん! それ以上何も言うんじゃない……!」


~ だから私は、笑って逝けます。さあ、そのボタンを押して―― ~


黒井「む、娘にそんなこと言われて……押せるわけなかろうがァーーーーっ!!」


(ガシャァンッ!!)


メカハルカ「タ、タカ、オ」ギギギッ

黒井「メカハルカちゃァん……」スッ

P「黒井社長、どうしてこんなところに!? それより今の春香に近付いちゃ危ない!」

メカハルカ「ドウ、シテ、スイッチヲ、コワシ、タノ」ギギッギギギギ

黒井「いいんだ、もういいんだ、メカハルカちゃん……」

黒井「詩花が反抗期を迎えて家を飛び出し、ショックだった私はお前を作った……」

黒井「最初は失敗だと思った! だからメカハルカとしての使命を与えた! だが……」

黒井「だがっ……お前も大切な、娘なのだっ……!」

メカハルカ「デモ、モウ、ゲンカイ」

黒井「ああ、分かっている……大丈夫だ、私も一緒に逝こう……」


~ブーブーエステレビ前~


(キキィーーーッ!)


覆面女「釣りは駄賃だ、取っておきな!」

覆面ハム「じゅじゅいっ!」

タクシー「は、はい!」ブロロロロロ

警察「あのタクシーを追え! 追えぇぇぇぇぇえ!!」ファンファンファンファン

(ファサァッ)

春香「間に合うといいけど……」


(ドガァンッ!)


春香「?! 上層階のスタジオから爆発音!?」

ハム蔵「じゅいっ!?」


(タカタカタカタカパーンパーンパーパラパパー♪パーンパーンパーパラパパー♪パーンパーンパーパラパパー♪パーンパーーン♪)


春香「まずい、もう始まっちゃってる! なんとか少しでも被害を減らさないと!」タタタタタッ!


P「もうやめろ、やめるんだ春香!」

メカハルカ「タカオ、タカ、オ、タカ」ギュリイイイイイイッ!!

黒井「メカハルカちゃァん、私は最期まで一緒にいるぞ! それが父親の責務だ!」



―誰もが絶望し、諦めかけていたその時!―

―しかして彼女は、その姿を現した!―



『忘れた頃にやってくる!!』



黒井「!? 何者だ、その声は!!」



『視聴率なんてのは単なる目安……あとはあざとさで補えばいい!』イヨォーーーッ


『ファイナルリーボン、承認!』カカンッ!


(ズァッ!!!)



ハールカッカー「人呼んで、正義の味方、ハールカッカー!」ハッ!

ハムゾー「じゅじゅいっ!」ドドンッ!


P「ハールカッカー!?」

黒井「き、貴様! どうしてここに……!」

P「じゃ、じゃあ黒井社長の横にいる春香は!?」


(デン♪デン♪デン♪デデンデデン♪デンデンデンデデンデンデデン♪)


P「この初代メカゴ○ラのテーマは……?!」


(シュィィィイイイン!)


P「なっ……春香のリボンがほどけて……!」


メカハルカ「カッカァーーー!」ガショィーーーン!!


黒井「この子こそはハールカッカーを元に造り出した究極マッシーン! メカハルカちゃんなのだァ!!」

P「ロボットだったのか!!」


ハールカッカー「黒井社長! あなたの野望は、このハールカッカーが打ち砕く!」ビシィッ!

ハールカッカー「いくよ、ハムゾー!」

ハムゾー「じゅじゅいっ!」

黒井「オ・ノーレ! メカハルカちゃァん、やってしまえ!」

メカハルカ「ドンガラ、ガッシャン、ドンガラ、ガッシャン」ゴゴゴゴゴゴ

ハールカッカー「悪・即・斬!! リボンビィーームッ!!!」


(ズビビィッ!!)


メカハルカ「カッカァーーーッ!」バチチチッ!

ハールカッカー「きゃぁっ!」バチィッ!

P「なっ!? メカハルカの装甲に弾かれた!!」

黒井「馬鹿め! メカハルカちゃんの装甲はリボニウム製だ! 貴様の技は全て反発し合い、通用しない!」

ハールカッカー「やんっ! スカートの裾が破けちゃったよおっ♪」

P「でもピンチの時でも可愛さアピールを忘れない! あざといぞ!」

ハールカッカー「くっ、リボンギロチンッ! リボンスラッシュッ!」

メカハルカ「マーメイ、マーメイ」ズビビビィッ!

ハールカッカー「ふわぁっ! ……ねね、今の表情よくありませんでした? ちょっとムラッとしちゃいませんでした?」エヘヘ

P「あざといぞ! くそっ、ダメだ、全く通用していない……!」

ハールカッカー「どうすれば……!」


ハムゾー「じゅいっ! じゅじゅいのじゅいっ!」

ハールカッカー「え? なるほどなるほど……ふんふん……」

ハールカッカー「うんっ! やってみる価値はありそうだね!」

(ダダダッ!)

P「は、ハールカッカー! そんなまっすぐ近付いたらいい的だぞ!?」

黒井「ウィウィウィッ! メカハルカちゃん、切り裂いてやれ!」

メカハルカ「メカリボンギロチン!」ギュアッァァァァアア!!

P「お、お茶の間に鮮血がぁーーーーっ!」


ハールカッカー「……そこだっ!」


ハールカッカー「のワの」ササッ


(スカッ)

黒井「何ィ!?」

P「あれは、ののワステップ! いつの間に使いこなせるようになっていたんだ!」

ハールカッカー「いつまでも私がおっちょこちょいであざとくて可愛いだけだと思ったら大間違いですよ!」ウィンクッ


ハールカッカー「懐に潜り込んだ! ハムゾー、今だよ! リボンファング!!」

ハムゾー「じゅじゅいっ!」ガリィッ!

メカハルカ「ドンガラッ!?」バシュウーーーッ!

黒井「め、メカハルカちゃんの冷却パイプが! 馬鹿な、どうしてリボニウムが破られたのだ!?」

P「そうか……親指に生えたハムゾーはハールカッカーに非ず! 牙はリボニウムと組成が違うから弾けないんだ!」

黒井「オ・ノーレ!!」

ハールカッカー「さぁハムゾー、この調子でメカハルカをバラバラにしよう!」

ハムゾー「じゅじゅいっ!」



黒井「……くっくっく……」

黒井「ククククク、ぬぁーっはっはっはっはっはァ!!!」



ハールカッカー「!?」

黒井「リボニウムを食い破られたのは少々想定外だったが……だが、メカハルカちゃんはこんなものではなァい!!」


黒井「メカハルカちゃん! モォーーーード・チェンジィッ!!!」

メカハルカ「ガッテン・ショウチノスケ」ウィーンッ


(ガショショショショガシィンッ!)


P「め、メカハルカの装甲が……」

ハールカッカー「剥がれていく……!」


黒井「装甲などではない! これは私ですら御しきれなかったメカハルカちゃんの真の力を押さえる鎧だったのだ!」

黒井「冷却パイプが壊れた今、最早纏い続けることはできん! ならばいっそ、全てを破壊しつくしてしまうのだ!」


(ギュォンッブゥンッ!)


ハールカッカー「モノアイが……鋭く光って……!」


黒井「さァ思う存分暴れるがいい! メカシュタインちゃァァァァァアん!!!!」


「オソレ」


「ヒレフシ」



メカシュタイン「アガメタテマツリウィーンガッシャァン!!」バァ---z___ン!!!!



P「うわぁっ、な、なんてオーラだ! このままじゃ危ないぞ!」


ハールカッカー「そっちがそのつもりならっ……!」

ハールカッカー「みんな、どうか私に……力を……!」ペカー


(キィィィィィイイン!)


――忘れたころにやってくる――



黒井「ぐぅっ! こ、この気配は……!」ツツゥ



『春閣下を』


『忘れるな』


(ブォッ!!!)


P「き、来たか!」


『恐れ』


『平れ伏し』


ハルシュタイン「崇め奉りなさいっっっ!!」ザンッ!!

ハムシュタイン「じゅじゅいっ!!」ザザンッ!


黒井「現れたな……正統派皇帝ハルシュタイン!!!」

P「何シュタインのバーゲンセールだな……!」

黒井「だがメカシュタインちゃんは、ハルシュタインとタカネー星人の戦闘記録を元に造られている……」

黒井「ハルシュタインを超えるべくして生まれた究極ロボなのだ! やってしまえェェエ!!!」



メカシュタイン「イザ、ジンジョウニ」


ハルシュタイン「勝負っ!!」


メカシュタイン「クッキーバルカン∞!」ズガガガガガガガガッ!!

ハルシュタイン「のワの」スタタタタタタタッ!!

P「流石は本家のののワステップだ! 敢えて目を逸らすことで心眼が開いている!」

ハルシュタイン「ツイン・リボンキャノン!」バシュシュゥッ!

(ヒュンッ!)

ハルシュタイン「いない!?」

P「違う、わざとこけてるんだ!」

メカシュタイン「テヘッ」ドンガラチラッ

黒井「転びつつもカメラ目線での可愛さアピールを忘れない……完璧だ、メカシュタインちゃァん!!」

P「くっ、小癪な……!」

ハルシュタイン「でも、偽物に負けるわけにはいかない!」


ハルシュタイン「はっ! ……やぁんっ♪」ドテッチラッ

メカシュタイン「ウィーンガッシャン! ダッ、ダメダヨオッ」グィングィンピシュゥッ

ハルシュタイン「わ、私……ほんとはプロデューサーさんのこと……」テレテレ

メカシュタイン「キョウ、オカシツクッテキタンデス……アマイアマイ、ワタシノオカシ……」カァァァッ


黒井「ええいメカシュタインちゃァん! お茶の間にそんな姿を見せるなんてパパは許さんぞ!!」

P「あざとさも抜け目なさも完全に互角……! この戦い、どうなるんだ!?」


ハルシュタイン「あっ!?」ズルッ

メカシュタイン「スキアリィッ!」バシュゥッ!!


P「ああっ!? ハルシュタインがバランスを崩した一瞬の隙を突かれた!」


(ドガァッ!)

ハルシュタイン「きゃああああああっ!」

ハルシュタイン「あっ、こ、こんなとこ見ちゃダメぇっ」テレテレ


P「服が破れた胸元押さえてあざといが気を付けろ! 飛ばされた先はビルの壁が崩れてる!!」


ハルシュタイン「へ……ひゃああああああっ!?」


(ゴウッ!)

ハルシュタイン「あ……ビルの、外に――」

P「は、春香ぁーーーーっ!!!」



ハムシュタイン「じゅじゅぃーーーーーーっ!!!」

(ガジィッ!!)



ハルシュタイン「は、ハムシュタイン!?」

ハムシュタイン「ぐぎ、ぐぎぎぎぎ……!」

ハルシュタイン「そんな! いくらハムシュタインでも、ビルのコンクリートに齧りついてたら……歯が折れちゃうよぉっ!?」

ハムシュタイン「じゅいいいいいいっ……!」ギリッ


響「は、ハム蔵!!」ダダダッ

P「響! お前、どうしてここに!?」

響「テレビを見てたらハム蔵が映って……いてもたってもいられなくて!」

P「ハム蔵はなんて言ってるんだ?!」

響「あいつ……ずっと春香に迷惑をかけてたって……辛い思いをさせてたって……」

響「だから命を懸けて、春香を助けるんだって……!」ウルッ

P「そ、そんな……!」


ハルシュタイン「もういいよハムシュタイン! 歯茎から血が出てるよぉっ!」

ハムシュタイン「じゅいいいい……!」ギリギリ


黒井「ふん……惨めな姿だな、ハルシュタイン」テク...テク...テク...

ハルシュタイン「黒井社長……!」

黒井「見るに堪えん……メカシュタインちゃん、楽にしてやれ」

メカシュタイン「ソコニヒザマヅイテ」ガシィッ!

ハルシュタイン「わ、私の手を押さえつけて何を――!?」

メカシュタイン「ミトメタイノ」ギュイイイイイイイイ!

ハルシュタイン「ちぇ、チェーンソーっ……!?」

黒井「その醜いハムスターをぶった切ってやるのだァ!!!」

メカシュタイン「アナタヲ」ギュイイイイイイ!

ハルシュタイン「や、やめ……!」

ハムシュタイン「じゅい――!」

メカシュタイン「ワタシノ、ヤリカタデエエエエエエエ!!!」ギュオオオオッ!


ハムシュタイン「……!」ギリッ

ハルシュタイン「は、ハムシュタイン! 何を――」

ハムシュタイン「じゅいいいいいいっ!!!」

ハルシュタイン「わっ!」ブワッ!

黒井「き、牙の力だけでハルシュタインの身体を持ち上げただとおっ!?」

ハムシュタイン「じゅわっ!」ヒュッ!

黒井「くっ、身体を宙に浮かせ、我々を飛び越えてビルの中へ戻った!」

メカシュタイン「マーメイ」ギュアアアアアッ

黒井「む? ぬおおおおおおおおおお!??!」バッ!

メカシュタイン「オッチョコチョイ、オッチョコチョイ」ウィーンガッシャン

黒井「私は生ハムではなァい!!! ……全く、メカシュタインちゃんは仕方のない奴だ!」


ハルシュタイン「ハムシュタイン……ハムシュタイン!!」

ハムシュタイン「じゅ……」

(パシュウッ...)

ハム蔵「じゅい……」

春香「ハム蔵! ハム蔵っ!!」

ハム蔵「じゅ……」ニコッ

春香「そんな……私を、庇って……!」


ハム蔵「じゅい、じゅいじゅい、じゅ……?」

春香「ううん、そんなことない! ハム蔵は迷惑なんかじゃなかったよ!!」

春香「上手くいかなくて八つ当たりしちゃったこともあったけど……ハム蔵は、いい親指だったよ!」

春香「タクシー止めた時だって、最高のサムズアップだったよ!!」

ハム蔵「じゅ……」

春香「黒井社長に捕まった時も、ハム蔵がいなかったら逃げられなかった……全部、ハム蔵のお陰なんだよ!?」

ハム蔵「じゅい、じゅいぃ……」フワァァァア

春香「え……? ハム蔵、身体がだんだん、透けて……」

ハム蔵「じゅ……」パァァァアッ

春香「待って! ハム蔵、行かないで、行かないでぇ!!」ウルッ

ハム蔵「――」ファサァッ...

春香「あ……」



春香「あああああああああああああああああああああああっ!!!!!!」


(ヒュォォォォォォォォォオオオオ...)


響「な、なんだ!?」

P「春香を中心に、風の渦が……!」


黒井「むむゥ……奴め、何をする気だ!?」

メカシュタイン「……」ウィイイイイイン




春香「ハム蔵……私の、せいで……」ゴゴゴゴゴ...




春香「もう、これで終わってもいい……だから……」ゴゴゴゴゴゴ




春香「ありったけ、を……」ズォォォォォオオオオ




P「だ、ダメだ春香! その先に進んでは――!」


『脳に響く警告』


黒井「こ、この私より黒い力は……!?」


『抑えきれない欲望』


P「起きてしまった……春香の、闇の人格が……!」


『禁忌の扉が開く』


響「中二心が疼くぞ!」




―覚醒めし者は……?―




「時は、満ちた」



ダーク・シュタイン「裁きを、始めよう!!」ザンッ!!


黒井「ええい、メカシュタインちゃァん! やっておしまい!!」

響「黒井社長! その口調、やっぱり二丁目通いは本当だったんだな!!」

黒井「黙れィ!!!」


メカシュタイン「クッキーバルカン∞」ドガガガガガガガガガッ!


ダーク・シュタイン「遅いよ……」ヒュヒュヒュヒュッ!


響「か、かすりもしない!」

P「あざとさの欠片もない、完全な実力主義……」

P「これが……これが、伝説の眠り姫を身に宿らせた、春香のダークサイドか……!」ツツゥ


黒井「オノレッ! もっとだ、もっと撃ちこめメカシュタインちゃん!!」

メカシュタイン「ヴァイヴァイヴァイヴァイヴァイヴァァァァアイ!」ドガガガガガガガガッ!

ダーク・シュタイン「無駄だよ」ヒュヒュッ!


ダーク・シュタイン「……わっ砲、トリプル・すたんヴぁい」ピシャシャシャァッ!


(ヴォンヴォンヴォンッ!)


P「み、三つもわっ砲が! 隠れろ、響!」ガバッ

響「で、でも黒井社長が――」


(ピカカカァッ!!!)


黒井「うぉっ、まぶしっ――」

ダーク・シュタイン「みんな消えちゃえばいいって思うな!!!」


(ヒュパパパァッ!)


(ゴバババァーーーーーーーーッ!!!)


黒井「ぬおおおおおおおおおおお!?」

メカシュタイン「ガードデスヨ、ガード!!」ガシィィイッ!


(バチィィィィィイッ!)


黒井「メカシュタインちゃん!」

メカシュタイン「カロウジ、テ、ハジイテ」バチチチチチッ

黒井「だ、だがこのままでは装甲が……!」



ダーク・シュタイン「……ぐっ!」ズキンッ!


(フォンッ)


P「わっ砲が消えた!」

響「一体何が……?」


ダーク・シュタイン「違う……違うの、私は、ハム蔵のために……!」


『じゅじゅい』


ダーク・シュタイン「やめてハム蔵、そんな目で見ないで……!」


『じゅい』


ダーク・シュタイン「違う……違う違う違う! どうして私と同じ声でそんなこと言うの!!」


黒井「な、何か分からんがメカシュタインちゃん! チャンスだ!」

メカシュタイン「ワッホウ、スタンヴァイ」ガションッ!

黒井「出力ではさっきのには勝てんが……無防備な貴様になら十分だ!!」


メカシュタイン「ウーー」

メカシュタイン「ワッホイ☆」ピカァッ!


(シュゴォォォォォォオオオ!!!)


ダーク・シュタイン「な……きゃあああああああああ!!!」ドバァァァァアア!


P響「「は、春香ぁーーーーーっ!!!」」


(ドガァッ!!!)


ダーク・シュタイン「ぅ……」ガラッ...

P「春香、春香、しっかりしろ!!」

響「春香!」

ダーク・シュタイン「プロデューサーさん……響ちゃん……私……」

P「喋るな! すぐに手当てを……」


黒井「させるとでも思ったか?」


P「くっ……」


P「春香に手出しは、させない!」

黒井「最初はライバルを追い落とすだけのつもりだったが……」

黒井「そいつは最早危険因子だ! 生かしてはおけん!!」

メカシュタイン「ウィーンガッシャン」

黒井「今ここで……確実にトドメを刺す!」

黒井「今後どんなあざとい真似をしても、お茶の間に受け入れられないようになぁ!!」

響「春香をメチャクチャにするつもりなんだな!? エロ同人みたいに!!」

黒井「誰がコミケで売るかァ!!!」


黒井「もういい! BPOで審議入りになるがいいッ!!!」

P「ここまでか――!」


(ヒュパァッ!!)

黒井「ムッ!?」

メカシュタイン「ワッホイ!?」バシィッ!


「銀髪うぃっぷ……」


貴音「ハルシュタイン様に、手出しはさせません……!」

P「貴音!」



『『『忘れた頃にやってくる!!!』』』



響「こ、この声は!」


『悪あるところにリボンあり……』イヨォーーーッ

『リボンで繋がる、絆を信じて……』カカンッ!

貴音「私が!」ハッ! ドドンッ!

小鳥「いやいや私が!」ハッ! ドドンッ!

千早「私こそが!」ハッ! ドドンッ!

律子「いいえ、私こそが!」ハッ! ドドンッ!

亜美「ううん、亜美が!」ハッ! ドドンッ!

真美「真美も真美も!」ハッ! ドドンッ!

あずさ「私ですよ~!」ハッ! ドドンッ!

雪歩「わ、私もですぅ!」ハッ! ドドンッ!

真「違う、ボクが!」ハッ! ドドンッ!

美希「ミキ達が!」ハッ! ドドンッ!

伊織「違うの! 私が!」ハッ! ドドンッ!

やよい「えっとえっと!」ハッ! ドドンッ!


響「うるさいぞ!!!!」カカッ!


P「みんな……!」

貴音「皆、てれびを見ていて、いてもたってもいられなくなったのです!」

美希「前はミキが助けてもらったの。今度は、ミキが助ける番だよ!」

ダーク・シュタイン「美希……」

美希「そんなこと、ハム蔵は望んでないよ!」

響「ハム蔵はいつだって、春香のことを心配してた!」

ダーク・シュタイン「そんなの……今更だよっ……もう私は、私は……!」

P「バカヤロウ!」

ダーク・シュタイン「っ!」

P「ハム蔵はお前の未来を願っていたんだ!」

P「ハム蔵を想うなら、どうしてお前自身が前を向こうとしない!!」

ダーク・シュタイン「私、は……」ポポポゥッ

ハルシュタイン「私、はぁっ……!」ポロッ...ポロッ...


ハルシュタイン「でも私一人じゃ、メカシュタインには勝てない……!」

伊織「一つだけ、可能性があるわ」ズイッ

ハルシュタイン「なんですって?」

伊織「かつて水瀬研究所がハールカッカーの変身リボンを開発した時、元にした石碑」

伊織「そこには伝説の正統派皇帝ハルシュタインのことについて、更なる碑文が記されていたわ」


伊織「ハルシュタインの、真の姿について――」


ハルシュタイン「っ!?」


美希「かつて世界を制したハルシュタイン――」

千早「彼女は億の愚民を従え、世界を平定したのち――」

小鳥「後進に統治を譲り、眠りについた――」

あずさ「眠り姫と呼ばれた彼女――」

貴音「歴史が大きくかわるとき――」

伊織「眠り姫は、その姿を現す――」

やよい「はじめには、漆黒の悪魔として――」

真「悪魔は、その力をもって――」

雪歩「大地に死を降り注ぎ、やがて死ぬ――」

亜美「しばしの眠りのあと――」

真美「眠り姫は再び現れる――」



P「どこかで聞いたことがあるぞ……!」

黒井「馬鹿な! それはおとぎ話のはずだ!!!」




律子「英雄として……現れる――」



ハルシュタイン「そんなのおとぎ話だよ! 私はっ、ただのっ……!」

美希「春香、涙を拭いてなの」

ハルシュタイン「美希……」

美希「ミキたちね、春香のために歌も覚えたんだよ!」

伊織「そう。石碑に刻まれた、ハルシュタインに捧げる祈りの歌」

貴音「それを歌い上げたとき――」

千早「――奇跡は、起こるのよ」


黒井「何だかこの流れとノリは不味いぞ! メカシュタインちゃん、やってしまえ!!」

メカシュタイン「ワッホウ、スタンヴァイ」ガショ...


貴音「銀髪そにっく!」ヒュパパッ!

メカシュタイン「!」ピシィッ!

貴音「邪魔はさせません!」


亜美真美「「ハルカヤ ハルカ」」


貴音響「「ドゥンガン カサクヤン インドゥムゥ」」


伊織やよい「「ルスト ウィラードァ」」


真雪歩「「ハンバ ハンバムヤン」」


美希千早「「ランダ バンウンラダン」」


律子あずさ「「トゥンジュカンラー」」


Pことり「「カサクヤーム」」


(ペカァーーーッ!)

ハルシュタイン「あ……胸に付いてるブローチが……!」

ハルシュタイン「紅く、燃え上がって……」ソォッ...

(ピトッ)

ハルシュタイン「あっ?! 熱っ!」ジュッ!

ハルシュタイン「あつつ……やっちゃった……火傷しちゃったかなぁ……」チラッ


ハム蔵「じゅっ!」


ハルシュタイン「……」

ハルシュタイン「……?!」


ハルシュタイン「ハム蔵ーーーーーっ!!!」ウルッダキッ

ハム蔵「じゅじゅぅーーっ!」


響「ハム蔵!」

P「良かった……無事だったんだな!」

美希「火傷すれば何度でも蘇るなの!!」


ハルシュタイン「良かった……本当に良かったよぉっ……!」ウルッ

ハム蔵「じゅじゅいっ……」


(ポタッ...)


(ピカァッ.......!!)


P「春香の涙が、ブローチに当たって……!」

響「紅い光が迸ったぞ!!」



黒井「ぬぉあーーーっ! 目が、目がぁぁぁぁああ!!」

メカシュタイン「メグスリ、メグスリ」ピチャァッ

黒井「ぬぐわあああああああ目にオイルがあぁあああああああ!!!!!」ガクガク



ハルシュタイン「ああ……全身が、紅い光に包まれて……暖かい……」ポウッ


暖かい炎に包まれる中で。


ハルシュタイン「私は、守りたい――」


私は、もう一人の私の影を見ました。


メカシュタイン「ワッホウ、スタンヴァイ」ガショショションッ!!!


かつて愚民たちを従え、守った勇姿。


ハルシュタイン「もう、誰も失わない――」


ただ強いだけでなく、誰かを護るための決意。


ハルシュタイン「その決意を、その姿を――忘れない」



見えたのは、黒き力をも愛で包み込む、リボンの戦士。


メカシュタイン「ウー、ワッホイ☆」


(ゴパァァァァアアア!!)


響「こ、このままでは直撃だぞ!?」

P「っ!」ダダッ!

P「春香はやらせないっ!」バッ!

小鳥「プロデューサーさん!?」


ハルシュタイン「あ……」



――私が、守る……!――


(ズルッ)



ハルシュタイン「わきゃっ!?」



――りめんヴぁーい――



(ドンガラ)



――ハールカッカー!――



(ガッシャーン)





(カッ!!!!)


(チュドォーーーンッ!!!)


美希「ハニーっ! 春香ぁーーーっ!!」

黒井「やったか!?」

メカシュタイン「……」ピクッ

美希「春香……春香ぁっ……!」グスッ

メカシュタイン「……オカシイ、デス」

黒井「……何?」

メカシュタイン「ハルシュタインノ、ハンノウ……」ピピッ


メカシュタイン「イマダ、ケンザイ……!」ピピピッ





――忘れたころにやってくる――





黒井「?!」


(ゴォォォォォォォォオ)


黒井「爆炎の……奥に……!」ツツゥ

美希「何かが、いる……!」

響「あ、あのシルエットは!」


(ブォッ!!!)


千早「火の海の中で……一か所だけ、何かが守っているように……!」




P「はる、か……」ムクッ

「プロデューサーさん。もう、大丈夫です」


――それは、最強のリボン神――



――それは、あざとさの究極の姿――



――我々が辿り着いた、大いなる遺産――




『かわいさの英知と!』イヨォーーーッ


『人気ある誓いと共に!!』カカンッ!


ハールカッカー「人呼んで、リボン王、ジェネシック・ハールカッカー!」ハッ! ドドンッ!


黒井「くっ、くくく……」

黒井「ハァーーーーッハッハッハッハァ!! 進化どころか、第一形態に戻っているじゃあないか!!」

黒井「ふふん、メカシュタインちゃんの敵ではない……な…………?」

メカシュタイン「カ、カッカー……」ガタガタ

黒井「ど、どうしたんだメカシュタインちゃぁん!?」


P「一見すると普通のハールカッカーと同じ姿に見えるが……」

美希「いつもの白とピンクじゃなくて、赤と黒が基調だぞ!」

貴音「底知れない力を感じます……!」


黒井「ええい! メカハルカちゃん、何故動かん!?」

ハールカッカー「いくよ……ハム蔵!」

ハム蔵「じゅっ!!」ビシッ!


ハールカッカー「猛り狂う奈落の咆哮に――」


メカシュタイン「ピッ!?」ガシャィンッ

黒井「な、なんだ!? 身体が、動かん……!!」


ハールカッカー「立ち向かう、光の羽根――」


黒井「いかん! 動け、動けええええええ!!」


ハールカッカー「さあ、アナタの牙打ち砕いて――」


黒井「わ、悪かった! 私の負けだ! だから……」


(ピピピピピピピピ)

(キュピィーン)


―the Fate of the World―


the Fate of the World。

ハルシュタイン級の敵を迎撃するために生まれた、ハールカッカー最後の切り札である。



ハールカッカー「私は、一人じゃない!!」

ハム蔵「じゅういいいいいい!!!」

ハールカッカー「私たちは、一つだあああああああああ!!!」



黒井「メカシュタインちゃん、お前だけでも逃げ――」

メカシュタイン「……」ガシィッ!

黒井「は、放せ! 逃げるのだ!! メカシュタインちゃァん!!」


(ヒュゴォォォォォォオオオ!!!)


貴音響「「さあ!」」


―― ゲム ――


伊織やよい「「ハールカッカー!」」


―― ギル ――


亜美真美「「この!」」


―― ガン ――


律子あずさ「「戦いに!」」


―― ゴー ――


真ゆきほ「「最後の!」」


―― グフォ ――


美希千早「「決着を!!」」




ハム蔵「じゅいいいいいいいいいい!!!!!」



ハールカッカー「ウィィィィィィィィイタァァァァァアアア!!!!」



(ズゴァァァァァァァァァァアアアアァァァァァアアア!!!!!!!)


ハールカッカー「光に……なれええええええええ!!!!!」


(ゴパアアァァァァァアアアア!!!!)


メカシュタイン「オトウサン……」ピシッ

黒井「メカ、シュタインちゃん……!」


(カッ!!!)



(チュドォォォォォォォォオン!!!!)


美希「敵は完全に沈黙したの!」

ハールカッカー「これで……全部、終わったんですね……」

P「ああ……よく頑張ったな」ナデナデ

ハールカッカー「えへへ」テレテレ


黒井「ぐ……」ガラッ

響「黒井社長!!」

貴音「無事だったのですね」

黒井「ああ……メカシュタインちゃんが……自らを省みず、守ってくれたから……!」

黒井「メカシュタインちゃん……!」ホロリ


ハールカッカー「大丈夫ですよ、黒井社長」

ハム蔵「じゅいっ!」

黒井「何だと……?」


メカハルカ「ワッホイ、ワッホイ」ガラッ

黒井「メカハルカちゃん!?」

ハールカッカー「ハールカッカーは不殺の戦士……」

ハールカッカー「打ち砕くのは、相手の敵意だけ、ですよ♪」ウィンクッ

黒井「……そうか……私の、完敗の様だな……」

メカハルカ「コンド、オカシ、ツクル」ウィーンガッシャン

ハールカッカー「うんっ! みんなの分をいっぱい作るから、手伝ってね!」ハイターッチ!

メカハルカ「イエイッ」パァンッ!

黒井「……共存、か……そんなこと、考えたこともなかった」

P「ハールカッカーは全ての人々を等しく照らすんですよ」


P「その、あざとさの光で、ね」


ハールカッカー「さて、と!」

(ポンッ)

春香「それじゃみんなで帰りましょう!」

ハム蔵「じゅじゅいっ!」

響「春香、ハム蔵はいいのか?」

春香「……もうっ、今更だよ、響ちゃん」

ハム蔵「じゅじゅいっ!」

春香「私たちは一心同体。みんなみんな、仲間だもんげ!」



「「「うんっ!!」」」


♪恋したり 夢描いたりすると

♪胸の奥に 複雑な気持ちが生まれるの


♪今大人になる道の途中

♪あふれる初体験 毎日を飾る


春香「みんなみんな、ずっと一緒だよ!」


――ハールカッカー。それは、愛と勇気と、正義の名!


春香「あっ! ビルの守衛さんたちが来ちゃったよ! 早く逃げ……わきゃっ!?」ドンガラガッシャーン!


――ハールカッカー。それは、忘れてはいけない、リボンの言葉!


春香「いたたた……って、も、もうっ! どこ見てるんですか! えへへっ」チラッチラッ


――ハールカッカー。それは、あざとさと、純真の姿!


春香「ほら、みんなで一緒に逃げますよ! あと、春香さんは可愛いですよ……さらばっ!」バサァッ!


『りめんヴぁーい! ハールカッカー!』

         カッカー…
           カッカー…
             カッカー…


♪だけど この空がいつも私のこと見守ってる

♪もっともっと強く 励ましてる


♪だから 怖くない どこでも行きたいところに行ける

♪輝いた未来 まっすぐにね



              And You!






春香「火傷をしたら大変なことになった ―春香vsメカハルカ―」



                 終

火を跨いじゃったけどはるるんお誕生日おめでとう
ガオガイガー久々に観たらすげーかっこよかった
春香さん、ずっとみんなのメインヒロインでいてね

火を跨ぐってなんだ新手の荒行かよ、日だよ!
一応前作というかなんというか、

春香「りめんヴぁーい! ハールカッカー!」

からの続きでス。いつの間にか。
ご覧いただきありがとうございました。

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