世にも不思議な平行動物達について (22)

果てしなく不思議な冒険譚であり、以後この学界において途方も無い価値を孕むであろうこの文章を記す前にこの動物たち全体について語るとしよう

ただし"動物"とは一般に言うアニマルではなく、漢字そのまま"動く物"という意味を記すために使う

何故ならばこの不可思議な動物たちは、成長という概念がなく、死という概念すらないのだ

死の無い物を果たして生きていると言えるのだろうか

それだけではなく、この動物たちは黙視でしか観測できない
(ロシアのロマノフ=チャベルスキー教授が示した実験によれば犬や鳥など我々人間以外の生き物も見えている)

臭い、味、触感、射影機、その他全てにおいて確認できず。肉眼で見ることしかできないのである

餌を食べることなく、傷を負うことすらなく、足跡さえ残さない
他の何ものにも干渉することなく、何ものにも干渉されない
現れるところは観測されず、消えるところも観測されない

まるで時間という概念に縛られず、ただこの空間に存在するだけのような動物たち

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1520410207

色は皆一様に夜の色であり、色のついた光やフィルターを遠そうとも別の色を以て我々の目に映ることはない

目視以外での物理的干渉。つまりは素手、有機物、無機物、全ての物質において触れようとするとたちまち影色の塵になって文字通り雲散霧消してしまうのである

そのために幻覚や蜃気楼、動物霊、またはUMA等非現実または亜現実の存在とされてきた

だが近年、様々な統計、観測例、その他演繹的手法の照らし合わせによって確かに存在する(原子ほどの物理的質量もない存在を"存在する"と定義してと良いものかは散々議論を重ねられ、未だ結論には至っていないが便宜上"存在"と表現する)動物だと結論付けられた


この動物をどのような総称で呼ぶべきかは幾度となく議論され、未だ結論に至っていない


そのまま特殊動物と呼ぶ学者がいる

この不可思議で不明瞭な動物に意味を持つ言葉を宛がうのは不明瞭さを欠くとして意味の無い言葉、アルファ動物群と名付けた学者がいる

彼らは他の次元に存在する動物として(此れは後に解説するとする)高次元、または四次元動物とする学者がいる

影色を見て陰影動物と呼ぶ学者がいる


さて、この本の著者である私はというと、かのレオ・レオーニが著した架空植物の学術書にして生物系三大奇書の一つ「平行植物」から名称を借りて平行動物と呼称しようと思う

このような不思議な動物たちにつける名称としては同じく不可思議、死の概念が無く、夜色で、触れると塵になって霧散してしまう、かの植物に沿うのが適当であろうと私は思う

さて、個々の平行動物を著す前にイギリスのエドワード・レオナルディ教授の興味深い説を紹介しよう

彼は先に記した高次元生物説の提唱者である

曰くこの生物たちは四次元に生きる動物であり、三次元の立方体の一面が平面、つまり二次元であるように、四次元に存在する物の一面が三次元として我々の目に映るのだと

だからこそ目には映れど触れることの叶わないのだと

今のところこの説を裏付けることは出来ておらず、否定も肯定も不可能であるがいずれこの説を基底にしての実験も行われるであろう

平行動物~亜現実と幻想のあわいに潜み、我々の知覚を寄せ付けない動物たち~


濃い影の色をした動物

発生、成長、死は確認されていない

有機物、無機物限らず触れると塵となって霧散し、少し離れたところにまた現れる(消滅現象)

臭い無し、味無し、触れても触れた感触は無いまま消滅現象が起こる
鳴き声無し、音を立てず、足跡さえ残さない

それらの特徴のために現状捕獲は出来ず、研究は遅々として進んでいない

ホネミイタチ~無いのは肉か、肉の色か~

1827年7月、アルバード・ラクトマ教授率いる調査団がミャンマーのクレトナ山に立ち入った

ある地点に立ち止まって十日待ち、また次の地点で十日待ちを繰り返すという気の遠くなるような辛抱強さを見せて追っていたのは現地に住む人々の間で語られる民話に登場する動物の亡霊たちだ

彼らはその亡霊を不幸の兆しとし、また狩りすぎた動物の霊だと信じていた
そのために必要以上に狩りをすることはなく、常に敬意を表しながら狩りを行い、狩りの後は御霊を鎮めるための儀式を欠かさないという

今もたまに"動物霊群"の目撃例があり、そしてその外見が例外無く一致することから平行動物だと確信をもって山に立ち入った


そしてL地点と定められた地点で待つこと8日目、彼らは月光の下で蠢く影達を見た


なるほど、亡霊と言われるわけだ
彼らの第一印象はそれであった

その平行動物には肉がなく、骨格のみの四つ足で立ち、動く度に骨が擦れ、目の無い頭蓋骨で仲間を見、顎を噛み合わせては音無き音を出してコミュニケーションを取っていた

骨の隙間は完全に空いており、向こう側が濁ることなく見えている

彼らが骨の隙間に細い棒を通そうとすると(死という概念の無い平行動物に危機感は無く、大抵は容易く近付ける)塵となって霧散し、また少し離れたところに姿を現した

何度試しても骨と骨の隙間に棒を通すことはできず、必ず霧散してしまう

その現象は平行動物に触れた時に現れる現象であり、骨と骨の間には見えないだけで実体があるのではないかとアルバード教授は結論付けているが、平行動物は一様に濃い影色をしているため、透明の肉や膜などありえないと抗議する声もある

ホネミイタチ
tantum Mustelinae osmodo

肉は無く、骨格のみの平行動物

その骨格はイタチに似ているが指が皆一様に内巻きに巻かれ、首が異様に長い

骨の隙間に触れただけで消滅現象が起きるがその隙間に実体があるかどうかは現時点では不明

ミナシミハミ~意味のある行為か実の無い捕食か~


南ノルウェーの森に棲むその小鳥は小さな体に更に小さな羽をもっている
どうやって飛んでいるのか不明なほど小さな羽を必死にばたつかせて木と木の間を跳び周っていた

何度も同じ木の間を飛び回ってその果実を啄んでいた

しかしその果実は食べられたわけではなく、齧った跡すらついていない

ただ嘴で咥え、何もせずに飛び去ってまた別の果実を咥えて枝からとることすらなくまた別の果実へ飛ぶ

彼らが咥えた果実と咥えてない果実を比べても何の違いもなく、咥える前と後をそれぞれ調べても全く変わりがない


地元の人の話では彼らが咥えた果実は精霊の祝福を受けた証であり、食べると長生きできるとされている

もちろん咥えた果実に長生きできるような物質が増えていたり活性化していること等は確認されない

ミナシミハミ
Horornis nulfructu manduca


羽の小さなウグイスのような小鳥 嘴の中に牙があり、長い舌がある

果実を咥えて離し、また別の木になった果実に飛ぶという習性があるが何の意味があるのかは不明

こういう雰囲気いいね
期待

平行植物か!

>>8
ミス、ミナシミハミの学名は
tantum Horornis nulfructu manduca

ホエイトカゲ~投影される影か立体の影か~

人の足程度の大きさのトカゲがいる

この平行動物を発見した日本の谷崎・徹教授は最初平行動物としての特徴以外何の特殊性もないただのトカゲだと思っていた

だが少しの間観察していると違和感を感じた
その違和感を追いかける内にある事に気がつく

彼は最初光の悪戯だと思ったらしい。というのも

トカゲ本体より先に、"影"が歩いたのである

影が歩き出してから一秒近く経ってトカゲ本体が歩きだし、影が止まると一秒近くのラグを置いて本体も止まる


影のように見えるだけで本体から繋がっている実体ではないかと考え、影をライトで照すと普通の影と同じく照らされた部分の影は薄れ、強いライトだと完全に消える

影に触れると塵になって霧散し、一秒ほど置いて本体も霧散する

しかし、ライトで照らして消えた部分に触れても消滅現象は起こらない

本体に触れた場合、影から先に消滅し、本体も消滅する

その一秒未満の時間本体に触れることができるのだが、触れている感覚はなく、傷つけることも持ち上げることも動かすことも出来なかった

影と本体とのラグには個体差があり、世界中での計測によると0.86秒から0.98秒という時間であった

ホエイトカゲ
tantum Plestiodon umbradeambulatio

成人男性の足程の大きさのトカゲ

一見普通のトカゲではあるが、本体より影が先に動き、一秒近くのラグがある

影に触れても本体に触れても消滅現象が起こるが、ライトで照らして消えた影のあった場所に触れても消滅現象は起こらない

ラグは0.86秒から0.98秒

世界中様々な場所で生息が確認されている

オオグチオソイ~無意味な狂暴性は何のために~

あるところに怖いもの知らずな少年がいた

少年はどんな猛獣も恐れず大人しか許されない狩りに参加したがった

「僕はワニに負けません」「僕は大蛇を仕留められます」「僕は熊を狩ることができます」

少年がどんなに強くても掟では成人するまで狩りに出ることを禁じられています

ついに少年は掟を破り、制止する大人達を振り払ってヤドクガエルの毒を塗った槍と鉱石で作り上げた鉈を持って森へ深く入っていってしまいました

少年は強く、語った通りにワニに負けず、大蛇を絞め殺し、熊を狩り取りました

「やはり狩りなんて簡単だ」

そう慢心していた彼の前にグリュウタルが立ちふさがりました

少年はグリュウタルをも狩ろうとしましたがグリュウタルは一口で槍と鉈を食べてしまいました

そこまできてようやく目の前に危険が迫っていることに気がついた少年は逃げ出しましたがグリュウタルはその巨大な口で食べてしまおうと追いかけてきます

少年が「僕はまだ弱いのです。もう成人するまで狩りに出ません」と自分の未熟さを嘆き、マラトマに祈りを捧げるとグリュウタルは少年を食べる寸前に霧となって消えました



上記はアクリュムア族と名乗る部族に古くから伝わる民話だ

ベネゼエラにある森に棲む彼らはその民話を子供立ちに何度も語り、自然の怖さと狩りに関する掟を言い聞かせている


さてこの民話から見いだせる真実とは単なる教訓だけではない。グリュウタルと名付けられた怪物についてだ


1983年、ロシアのユーリ・ドモチェフスキー教授がそれを確かめに森の中へ入り見つけ出したのは巨大な口を持つ平行動物のだった

体の半分以上が口であり、無数の牙が恐ろしく生えている

四本の足の内後ろ足はコイルのように渦を巻いており、それをスプリングのように縮め、飛びかかる時に瞬発的な速度を出していた

そして教授は驚くべきものを見た

なんと、この平行動物は襲いかかってきたのだ

伝承の通りに、自分目掛けて巨大な口を開いて

つい護身用の猟銃を向けて発砲した

弾はその平行動物に当たり、霧散させた

教授がその後恐怖を克服し研究した結果、他の平行動物と同じように消滅現象が起こることを確認した

つまり、襲いかかってきても傷つけられることも食べられることもないのだ

逆に平行動物を傷つけることもできない

食べるためでもなく危険を排除することも必要ない。ならばこの平行動物は何のために襲いかかってくるのか

それは不明である

オオグチオソイ
tantum magnaos impetus

熊を一口で丸飲みに出来るほど大きな口を持つ平行動物

半分が口な頭に四本の足が生えており、後ろ足はスプリングになっている

瞬発力、巨大な口、無数の牙、そして狂暴性を持つにも関わらず他の生物に触れることも補食することもできない

それに関わらず動く物を見ると見境無く襲いかかる

これをSSと呼んでいいかはわからんが、面白いな
こういうの好きだわ

キョエイカゲマネ~異次元の知覚を持つか我々の知覚に異常をきたすのか~

謎に満ちた平行動物群の中で一際謎の平行動物がいる

何故ならば誰もその平行動物の本当の姿を見た者がいないのである

キョエイカゲマネと名付けられたその平行動物は見ている物の姿を寸分違わずコピーする

見た後に変身するのではない。見付けたときには既に自分の姿そのままに色以外を模しているのである

色は平行動物特有の濃い影色をしており、ドッペルゲンガーの正体だと思われる

しかし、それはただの擬態ではない。他の動物や虫含め、キョエイカゲマネを見ている生き物が複数いる場合、キョエイカゲマネは分身するのである

分身なのか、仲間を呼ぶのか、見ている生き物の分だけ擬態して現れる

決して変身前の姿を見せることはなく、既に変身して現れるのが常である

キョエイカゲマネは基本的に群れを成さず、常に一体で見つかる

カメラを設置して離れてもカメラの向こう側で見ている者の姿を模したまま何十日も同じ格好をしていた(実験によると最大63日監視した後に目を離した内に消えてしまった)

無人操作のドローンで録画したものを見ても見た人の姿に変身していた

これを見て出た推測は、彼らは彼らの意思で変身しているのではなく、我々の目に我々自身が映って見える、意識に作用する鏡のような存在なのではないかという物
つまり、彼らの本来の姿を我々は見ていながらそれを自分の姿としか認識できないのではないかという仮説だ

だがそれでは他の人や動物に変身している姿を我々が見ていることに説明がつかないのだ

キョエイカゲマネ
tantum mysterium imitationis

見ている生き物の姿を真似し、それが複数だった場合はその数だけ増える

カメラや無人機での録画ですら見ている者の姿を真似るためその本来の姿は分かっていない

ヘビドクアルキ~例外か幻覚か~

基本的に並行動物はこの世界の物に物理的影響を与えることは無い。だがこの並行動物はその例外の一つと言われている

このヘビドクアルキは一般的なニシキヘビに毛の無い霊長類、つまりは人間に似ている足が一列に生えている

足は対では無く右足、左足どちらもが無規則に一列に生えているのだ


左右に這うように、ただししっかりと足踏みをして歩いている

数は個体によって違い、奇数か偶数かすら違う


ヘビドクアルキの特質として、足が触れた地面の半径10cmが真円に毒に侵されたように見えるのだ

土は灰色となり、草木は枯れる


しかし足が離れると共に元に戻り、色が抜けた花も枯れた木も何事もなかったように綺麗に咲きなおる

その植物や地面を調べても変化は無く、見た目だけが変わる


これに対して学者たちの意見は、実際に自然に影響を与える特異な並行動物であること、他の並行動物同様私たちの視覚に影響を及ぼしていることの二つに分かれており、現状決着は着いていない

ヘビドクアルキ
tantum venenum gradusanguis

人間に似た足が左右、数、不規則に生えているニシキヘビ

歩いた地面と生えている植物が半径10cmの真円を描いて毒に侵されたように枯れ、土が灰色になる

足が離れると即座に元に戻るが影響されている間、戻った後を調べてもデータ的な異常は見られない

シシ神様かな

どう考えてもシシガミ様

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