勇者「安価でわらしべ長者でもしながら魔王の城を目指す」 (52)

勇者「不景気、不景気って言って王様もひのきの棒しかくれなかった」

勇者「仲間を雇う金も無いし、一人で魔王ぶったおすは」

勇者「とはいえこれじゃ戦えないからこの棒を交換しながら旅をしよう」




勇者「ちょいとそこのおにーさん」

おにーさん「なんだい?」

勇者「このひのきの棒とおにーさんの持ってる>>5を交換してくれないか?」

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むう

>>3
すまんミスった

鉄の斧

勇者「このひのきの棒とおにーさんの持ってる鉄の斧を交換してくれないか?」

おにーさん「おぉ! もちろんいいよ!」

おにーさん「ちょうど姪っ子がチャンバラに夢中になっていてね。鉄の斧じゃ相手してやれないし、手頃な棒を探していたんだよ」

おにーさん「木こりも廃業してしまったし、ぜひ交換しよう!」

勇者「さんきゅー」



勇者「いきなり武器らしい武器をゲットしたな。これはラッキーだ」

勇者「これなら村の外のモンスターの相手も出来るし、冒険スタートといきますか」

勇者「と、その前に門番に何か持ってるかきいてみよう」

勇者「門番さん、もし何か持ってたらこの鉄の斧と交換してくれない?」

門番「あぁ、いいよ。俺は>>6を交換しよう」

門番「これは失敬。>>8の間違いだったよ」

聖剣:エクスカリバー

門番「俺はこの聖剣:エクスカリバーを交換しよう」

勇者「なんかかっこいい名前と見た目だな。やたらごついし、装飾品もゴテゴテついてるし」

門番「俺にはこの剣は使いこなせないんだ。武器屋で売ろうにも価値がつけられないと言われた」

門番「俺には純朴な鉄製の武器がお似合いなのさ。斧は持っていなかったし、有難く交換させてもらうよ」

勇者「よっしゃ分かった。さんきゅーな」



勇者「さて、村の外に出たが……早速、魔物の登場みたいだな」

勇者「こいつはスライミーか。だがちょっと待てよ?」

勇者「何か持ってるぞ。どうやら>>10のようだな」

勇者「俺が前々から欲しかった代物じゃないか。どれ、交渉といこうか」

木の槍

勇者「おい、そこのスライミー。お前の持ってる木の槍をくれたらこの聖剣:エクスカリバーをやろう」

スライミー「ピギー!」

勇者「物分りの良い奴だな。ほら、ありがとな」

スライミー「……ピ、ピギ……」

勇者「お前にはその剣はデカすぎるかもなー。とはいえそんな胡散臭い剣はいらん」

勇者「俺は小さなころから槍術の達人になるのが夢だったんだ! これで訓練しながら旅ができる」




勇者「おっと、あそこで旅商人がクマに襲われているな。この木の槍でボッコボコにしてやんよ」

勇者「商人よ! この勇者が現れたからには安心しろ!」

旅商人「おぉ、勇者様!」

勇者「デカいだけのクマめ! 俺の突きをくらえ!」

ガキッ

クマ「ヴォー」

勇者「だにぃ!? 皮膚が固すぎて槍が通らん……」

勇者「おい、商人! 木の槍をやるからお前の手持ちの武器と交換してくれ!」

旅商人「安心して損しました! 仕方ないから>>12をあげましょう!」

プラスチック・ナックル(略してプラナク)

旅商人「プラスチック・ナックル、略してプラナクと交換です!」

勇者「よっしゃサンキュ……って、お前これじゃほぼ素手と変わらんだろーが!」

熊「ヴォー」

勇者「あぶねっ。あぶねーだろ!」

旅商人「しかし木の槍と釣り合う品物はそのくらいしか……」

勇者「生死をかけた場面でも己の商売の損得を優先する……そのあきんど精神、感服」

勇者「するかボケ!」

勇者「くっそ、仕方ないか。このプラナクを両手に装着して……」

勇者「お……? なんかもの凄いパンチが打てそうな気が……魔力でも帯びてるのか?」

勇者「とりあえず全力パンチかましたる」

熊「ヴォゲェェェ!」

勇者「おぉこりゃいいな。ワンパンだぜ、ワンパン」

勇者「商人無事か……って、逃げたか。逃げ足だけは早い……なら、最初から逃げろや」



勇者「まぁなにはともあれ旅は無事に進んでおります」

???「そこの勇者さん、ちょっとよろしいかしら」

勇者「声はするのに、姿は見えない。誰だよっ、どこだよっ」

???「これは失礼、魔物に襲われないように透明化の魔法を使っておりました」

???「わたくし、魔法少女と申します」

勇者「ほーん」

勇者「で、その魔法少女が俺に何のようだい?」

魔法少女「私の持ち物と勇者様のプラナクを交換して頂きたいのです」

勇者「逆ナンきたこれ。どれ、見せてみいや」

魔法少女「はい、>>14が私の交換品です」

もしかして全然人いない?


連投すいません

魔法少女「私はサブマシンガンを交換します」

勇者「銃火器ですね、ありがとうございます」

魔法少女「そういえばどこかから謝罪の声が聞こえてきましたが?」

勇者「人がいな過ぎて不安になった人が安価を間違えて踏んでしまったらしい」

魔法少女「なんのことかしら」

勇者「ま、失敗は誰にでもある。確かに人もいない。時間が時間だからな。気にするこたぁない」

魔法少女(この人、意味不明なこと喚いている……犯される前に逃げなきゃ)

魔法少女「そ、それではさようなら」

勇者「あ、ちょ待てよ!」

勇者「……また透明化しやがった。まぁいいか」




勇者「結構あるいたな。次の村が見えてきたぞ」

勇者「だけど様子がおかしい……火事か?」

勇者「いや違う! 魔物の群れに襲われてるんだ!」

村人A「うわぁぁぁ、助けてくれぇぇ!」

村人B「俺には嫁も子供もいるんだ、殺さないでくれ!」

勇者「これはひどい」

勇者「おらおらー!」

ズガガガガガガガガガ

魔物「!?」

村人C「あ、あなた……私たちを救ってくれるのですか!?」

勇者「あぁ、まかせとけ!」

カチカチ

勇者「って、弾切れかよっ!」

魔物「キー!」

勇者「いってぇ! くそ、肩を切られちまった……」

勇者「おい村人C! 回復できるものと新しい武器を頼む!」

村人C「分かりました! すぐに用意します!」

村人C(確かここに>>18>>19があったはず……!)

作られてから数週間放置されたレバニラ炒め

その気になれば、世界すら破壊できるはずの魔剣

村人C「作られてから数週間放置されたレバニラ炒めとその気になれば、世界すら破壊できるはずの魔剣です!」

勇者「ちょ、おま、その2つこえーよ。色んな意味でこえーよ」

勇者「とはいえありがとよ」

勇者「世界すら破壊できるはずの魔剣……その気になれば肩の傷を完治させることもできるはずの魔剣!」

シュワー

勇者「よっしゃ、傷はオッケーだ。世界を破壊するのは忍びないので、この魔剣はもう用無しです」

勇者「次は俺のターンだぜ、魔物どもぉ!」

魔物「キー!?」

勇者「1週間か2週間か3週間か知らねぇが、長期間放置されたレバニラの悪臭攻撃を食らえ! 主にニラの!」

魔物「キー! クシェー!」

バタリ

勇者「ふふ、臭いのあまり気絶どころかショック死してしまったようだな」

村人C「あぁ、ありがとうございます」

村人C「あなたは私の、いえ、この村の恩人です!」

勇者「いいってことよ」

勇者「それよりもこのレバニラを何かと交換してくれないか?」

勇者「さっきの攻撃に使ったから、もう一口くらいしか残ってないんだ」

勇者「これじゃ戦えない」

村人C「……そ、そうですか」

村人C(こいつ色々と、いやほぼ全てにおいて間違ってるけど……恩人には変わりないしなぁ……)

村人C「いいでしょう! >>21と交換です!」

先程は失礼しました。


ナイトスピア

村人C「ナイトスピアをあげましょう!」

勇者「よっしゃ、槍やんこれ!」

村人C「これは私たちの村に代々伝えられる伝説の槍です」

勇者「伝説とかどーでもいいけど、槍はありがてえ。もらっとくわ」



勇者「さ、そろそろ魔王の城を目指していきますか」

勇者「ここら辺は魔物も強いな……」

ドラゴン「ガオー」

勇者「早速でたな! っていきなりドラゴンかよっ!」

勇者「もっと段階ふもーぜ! サル型の魔物とか大型化した鳥とかさ!」

ドラゴン「ガオー」

勇者「あっちぃ! 話し合いの余地もなくブレスかよっ!」

勇者「この単細胞め、俺の突きをくらえ!」

ブス

ドラゴン「グアー!」

勇者「よし、木の槍と違ってちゃんと刃は通るな」

勇者「おらおら! おらおらおらおら!」

ドラゴン「プンスカ!」

パクッ

勇者「……あり? 俺のナイトスピアが……飲みこまれた!?」

ドラゴン「ヴォゲェェ」

勇者「今度は何か吐き出したぞ。拒食症なのか、このドラゴン」

勇者「ん? 吐しゃ物の中に何かが……」

勇者「これは>>23か」

ドラゴンの卵

勇者「ドラゴンの卵だな」

勇者「口から卵うむとか、随分ハードな生命の神秘だな」

勇者「おいお前! これ以上、俺に攻撃したらこの卵を不本意ながら叩き割るぞ!」

ドラゴン「グヌヌ……」

勇者「よし、このまま卵を抱いてとんずらや」




勇者「いやー、危なかったな」

パリパリ

勇者「ん? 卵が割れて……これは孵化か!」

コドラ「ピギャー」

勇者「産まれよったで……」

コドラ「ワクテカピー」

勇者「こいつ、俺を親だと思ってやがる」

???「ちょいといいですかね?」

勇者「ん、誰だあんた」

???「あっしは物好きと申します」

物好き「もしよければあなたの抱いているそのコドラを頂きたいのですが」

勇者「こいつをか……」

勇者「こんなつぶらな瞳で見つめやがって……愛着がないわけじゃないしな」

物好き「そうですか……それは残念です……」

勇者「とはいえ出会って5秒の愛着なんぞ、チャラ男みたいで嫌だ」

勇者「交換が条件だ。何かいい武器と交換してもらおう」

物好き「おぉ! 話の分かる方でよかった!」

物好き「それではあっしは>>25を差し上げましょう」

本当に人いないなあ

ファランクス

物好き「このファランクスをどうぞ!」

勇者「この小さな黒い水晶? ファランクスってなんだ?」

物好き「古代ギリシャ重装兵の陣形の名前です!」

勇者(ファランクス……これであっているのだろうか……)

物好き「この水晶を手にもってファランクスと叫べば、万を超える重装兵の群集が加勢してくれますよ」

勇者「そうか、まぁ珍しいものみたいだし、とりあえずもらっておくよ」





勇者「……ついに魔王の城の城門までたどり着いたな」

魔門番「シンニュウシャ、スベテコロス」

勇者「出たな! 俺の旅の物語、最終章の1ページ目はお前ってわけだな」

魔門番「オマエモ、スグニコロス」

勇者「無駄無駄ぁ! いくぞ!」

勇者「ふぁ、ファランクス!」

勇者(これ叫ぶの恥ずかしい)

ドドドドド

勇者「来たか! お前……たち……?」

勇者「なんで3人しかいねーんだよ。万を超えるんじゃなかったのかよ、万をよぉぉ!」

魔門番「コノテイド、アカゴドウゼン」

ファランクス「うわー」

勇者「くっ、恥じらいがあると真の力は引き出せないのか」

勇者「ここは俺の交渉力で勝負だ!」

勇者「おい! 俺のこの水晶と、お前の武器を交換だ!」

魔門番「ナニ? ワレノ>>27ヲコウカンダト?」

>>26
ある意味当たりです。面倒くさいなの出してすいません。


グングニル

勇者「そうだ、お前のグングニルと交換だ」

勇者(さすがに断られるかなー)

魔門番「ムムム……」

魔門番「イイダロウ、コウカンダ」

勇者「! マジか! ありがてぇ」

魔門番「ファファファ……ファランクス!」

ドドドドドド

勇者「いきなり使いやがった!」

勇者「でも一人しかこなかったでござる」

魔門番「ナンダト!」

勇者「俺以上に恥じらいがあったらしいな、お前の負けだ」

ズシャ

魔門番「グ……オノレ……」

勇者「よし、門番クリア」

勇者「いよいよ城に突入だ」

勇者「広いな……最上階に魔王がいるんだよな、たぶん」

魔法少女「あ! あなたは!」

勇者「ん? その声は魔法少女か?」

魔法少女「魔門番が強そうだったから姿を隠して忍び込んだのですわ」

勇者「あぁ、あいつなら倒したよ」

魔法少女(うそ! 意外とやるのね、この人)

勇者「ここにいるってことは、お前も魔王を倒しにきたのか?」

魔法少女「えぇ、そのとおり」

魔法少女「でも魔物の気配がそこらじゅうにするから、進めなくて……」

勇者「おい! ふせろ!」

魔法少女「え? きゃっ」

幹部A「私の攻撃を女を抱いて避けるとは、なかなか生意気ですね」

勇者「てめぇ、いきなり攻撃とはいい度胸してるでやんすね」

勇者「くらえ! 狙ったモノは必ず貫く! グングニル!」

ビュン

幹部A「くだらない」

スパパパパパ

勇者「だにぃ!?」

幹部A「避けられないなら、斬ればいいのです」

勇者「なんてこったい」

魔法少女「見て! 壁に武器がかかってるわ! あれを使うのよ!」

勇者「どこだ……あった!」

勇者「これは>>29か!」

モーニングランス(長い棒の先に棘付き鉄球)

もしかして連投かな。すいません

勇者「モーニングランスとフォアグラとはミスマッチな壁飾りだな」

勇者「ま、ここは当然モーニングランスっと」

幹部A「そんなもので私と闘うのですか?」

勇者「おい魔法少女! なんか魔法つかえ!」

魔法少女「それが人にものを頼む態度ですかっ!」

魔法少女「とはいえ、この敵は非常に手強いみたいですね……」

魔法少女「あなたのモーニングランスに聖魔法を付与します!」

幹部A「こんな小娘が、聖魔法だと!?」

勇者「よっしゃ、なんかやれる気がする」

勇者「やってみせます、やりますとも!」

ズギャ

幹部A「ウグ……まさか人間ごときに負けるとは……」

バタリ

勇者「なんだ、おまえ結構やるやん」

魔法少女「甘く見ないで下さい! 隠れてるだけが仕事じゃないんです!」

勇者「はいはい」

魔法少女「もうっ! ……でもこれから先、壁にかけてあったような武器だと不安じゃないですか?」

勇者「確かにそれもそうだな。よし幹部Aの>>32をもらうとしよう」

乖離剣『エア』

魔法少女「その魔力……もしかして乖離剣『エア』?」

勇者「マジすか。俺が槍術から剣術に浮気しそうになった最大の原因の伝説の剣じゃないすか」

魔法少女「そうですわ……でもなんでそんな剣を魔王じゃなくて幹部Aなんかが……」

勇者「しかしこの剣を握ってると、体力を急激に吸われてる感じがするぜ」

魔法少女「もしかして、魔力が強すぎるゆえの副作用なのかもしれませんね」

魔法少女「その剣は魔王に攻撃するまで使わないほうがよさそうです」

勇者「なるほどな。それじゃとりあえずこれは使わないでおくは」






勇者「あれから何も出てこないまま最上階についちまったな」

魔法少女「ここに魔王がいるのでしょうか……」

幹部B「ふふっ、貴様らごとき、魔王様がお相手する必要もない!」

幹部C「ここで亡骸にしてやんよ!」

魔法少女「出ました! 敵です! 聖魔法で攻撃を……」

幹部C「遅いわボケカス!」

魔法少女「きゃー!」

幹部B「この程度の実力でよく魔王様を倒そうなどと考えましたね」

勇者「くそっ、待ってろ! 今すぐに助けてやる!」

魔法少女「ダメです! その剣は今は使ってはいけません!」

勇者「そんなこと言ってる場合じゃねーだろ!」

魔法少女「私が……命を懸けてもこの2人を倒してみせます!」

幹部C「頭沸いてるんですかね、おつかれさまです」

幹部C「死ねやコラァァァ!」

勇者「やめろぉぉぉ!」


???「ウヴォー!」

バキバキ

勇者「なんだ!? 天井が割れて……」

魔法少女「ドラゴン?」

勇者「そのつぶらな瞳は……もしかしてコドラか!?」

コドラ「ヴォゲー!」

勇者「この短い間に成体になったのか……! さすがはドラゴンだな」

幹部B「いったいなんなんですか、こいつは!」

幹部C「この糞ドラゴン、つえーぞ!」

勇者「いけコドラ! 焼き尽くせ!」

コドラ「ヴァオーン!」

メラメラ

幹部B「なん……ということだ」

幹部C「くそがぁぁぁぁ! こんなところでぇ……」

勇者「コドラ! 助かったぜ!」

コドラ「ワクテカヴォー!」

勇者「一度はお前を捨てたのに、まだ俺を親だと思ってくれてるんだな……」

勇者「よっしゃ! 一緒に魔王もぶっとばそうぜ!」

魔法少女!「勇者様!」

勇者「ん? どうした?」

魔法少女「この幹部たちの武器を頂戴したほうがいいのではないでしょうか?」

勇者「なんでや」

魔法少女「乖離剣を魔法に使うのはとどめの一撃でなければなりません。それまでは他の武器で戦う方がいいと思います」

勇者「なるほど」

勇者「でも持てるのは後1つ」

勇者「幹部Bの>>36か、幹部Cの>>37か、どっちにしよう」

ファルシオン

魔槍ゲイ・ボルク

勇者「コドラ、どっちがいい?」

コドラ「ゲイヴォー!」

勇者「魔槍ゲイ・ボルグか!」

勇者「よしこっちにしよう! 槍と剣どっちも持ってるとかワクワクが止まらんわ」

魔法少女「でも……いったい魔王はどこに?」

ピシピシ

勇者「おい! 地面が割れるぞ!」

魔法少女「何か来る!?」

???「まったく、手間をかけさせてくれる」

勇者「お前は……」

魔法少女「幹部A!」

幹部A「さっきの聖属性を乗せた攻撃はきいたぞ」

幹部A「この体ではすぐに回復することが出来なかった」

勇者「この体?」

幹部A「私は石橋を叩いて渡るタイプでな。仮の体を使って侵入してきた者と一度戦うことにしているのだ」

幹部A「はぁぁぁぁ!」

勇者「姿が変わっていく……まさか……お前は」

ゴゴゴゴゴゴ

幹部A「そう、私こそが魔王だ!」

魔王「さっきは確かに負けた。仮の体では力が満足に出せんからな」

魔王「しかし元の体に戻った私に敗北は有り得ん」

魔王「さぁ、乖離剣を返してもらおうか。お前の命と一緒にな!」

勇者「魔法少女!」

魔法少女「分かっています! 聖なる力をゲイ・ボルグに!」

勇者「おんどりゃー!」

ガキン

勇者「効かない……だと?」

魔王「同じ手は2度くらわん。聖魔法に対する耐性をつけることくらいたやすいわ。くらえ!」

魔法少女「炎の魔法です! ……もの凄い魔力!」

勇者「あっちぃ! ぐわぁぁ!」

コドラ「ヴォゲー!」

魔王「ふん、その程度のブレスでは私の髪一本ですら焦がすことはできん」

ヒュンヒュン

勇者「今度は氷魔法か!」

コドラ「ヴォ、ヴォアー!」

勇者「コドラ!」

魔王「次はお前だ」

バチバチ

魔法少女(雷! 回避が……間に合わない!)

魔法少女「いやぁぁぁ!」

魔王「お前たちの刃が私の喉元に届くことはない」

勇者(くそっ……けたが違う)

勇者(ふざけてないでちゃんと修行すればよかったでござる……)

勇者(でも……わらしべ長者の旅も中々おもしろかったな)

勇者(色んな奴にあったし、色んなものを手に入れた)

勇者(もう少し……続けたかったな……)

魔王「さぁ、これで終いだ! 塵になれ!」

勇者(終わり……か)

???「ピギー!」

魔王「くっ! なんだ!」

勇者(ん? 今の声は……)

???「ピギッ! ピギッ!」

魔王「ただのスライミーごときがっ! なぜ聖剣エクスカリバーの魔力を持っている!」

勇者(ス、スライミー? エクスカリバー?)

勇者(……まさか!)

スライミー「ピギー!」

勇者「お前はあのときのスライミー!」

勇者「体が輝いている……エクスカリバーを吸収してパワーアップしたのか!」

魔王「しょせんはただのスライミー! 下等な反逆種はこの手でひねりつぶしてくれる!」

ズギャ

スライミー「ピー!」

勇者「スライミー!」

魔王「……雑魚がっ! 余計な魔力を使わせおって……」

???「まだよ!」

勇者「今度は何だ!?」

???「にっくき魔王め! 叔父さんとひのきの棒で特訓した私の剣術をみせてあげるわ!」

勇者(叔父さん? ひのきの棒?)

勇者「君はもしかしてあのおにーさんの!」

???「あなたがおにーさんにひのきの棒をくれた人ね? そう、私はおにーさんの姪っ子よ!」

姪っ子「魔王と討伐するために剣を練習したのよ!」

魔王「餓鬼が調子に乗るな!」

ガキンガキン

魔王(こ、こやつ……魔力は微量ながらも剣術は私よりも上か!?」

魔法少女「勇者様! あの子が戦っている間に隙を見つけて乖離剣をお見舞いするのです!」

勇者「あぁ! いくぜ!」

魔王「そうはさせるか! はぁ!」

バキバキ

姪っ子「うわっ!」

魔王「私に上級雷魔法を使わせるとは……」

魔王「しかし無駄なあがきだったな」

魔王「次こそは……」







魔門番「ファラーーーーンクスッッ!」

魔王「なにごとだ!」

ドドドドドドドドドド

勇者「今のは……魔門番?」

魔法少女「城が傾いていく……!」

勇者「目が覚めた魔門番が、いらついてファランクスを召喚したんだ! 暴走だ!」

魔法少女「見て! 魔王の足元が崩れていくわ!」

魔王「くっ、足場が……」

魔王「魔力の消費が大きいが、浮遊魔法を使うしかあるまい!」

魔王「ふぅふぅ……今度こそは……」

???「待て!」

魔王「くそぉぉぉぉ! 次はなんだ! しつこいぞ!」

勇者「あんたは……俺の村の門番!」

門番「久しぶりだな。お前にもらった鉄の斧を見ていたら思い出したよ」

門番「勇者を目指していたころの自分をな! 俺はこの鉄のように決してくじけんぞ! 夢はあきらめんぞ!」

魔王「ただの人間がほざくな!」

門番「うぉらぁぁぁ!」

魔王(ぐっ、こいつもなかなかやりおる……)

姪っ子「私も加勢するわ!」

勇者「魔法少女! 俺たちもいこう!」

魔法少女「分かりました!」

コドラ「ヴォゲー!」

スライミー「ピギー!」




魔王(いつまでも魔王である私をコケにしおって……)

魔王「許さんぞ貴様らぁぁぁぁぁ!」

ヴヴヴヴヴヴヴ

勇者「なんだ!」

魔法少女「あれは……魔法剣!」

魔王「私の闇魔法を使わせるとは……こざかしい! この闇の剣で切り刻んでやろう!」

スパパパパ

勇者「ぐぁぁぁぁ! く……そ……。ゲイ・ボルグが細切れに……」

魔法少女「いたっ!」

門番「俺の鉄の斧も……」

姪っ子「私の剣も……」

コドラ「ヴォ……ゲ……」

スライミー「……ピギ」



魔王「今度こそ、決着のようだな!」




???「勇者様ぁぁぁ! これを使って下さい!」
???「これもお使い下さい!」

勇者「お前たちは……商人と村人C!」

旅商人「お恥ずかしいことに、一度は逃げ出してしまいましたが助けて頂いたお礼はしっかり返さなくてはなりません」

旅商人「あなたと交換した木の槍に、知り合いに頼んで魔力を吹き込んでもらいました!」

旅商人「そんじょそこらの武器なんかとは比べ物になりませんよ!」

勇者「マジか……! 助かるぜ!」

村人C「私も勇者様に命と家族と村を守って頂きました」

村人C「その御恩をお返しするために!」

村人C「作ってからさほど経っていないレバニラ炒めを持って参りました!」

村人C「ささっ、お食べ下さい!」

勇者「あぁ! 遠慮なく食わせてもらうぜ!」




勇者「! 美味い、美味すぎるっ!」

勇者「傷が癒えて、力が戻ってくる……」

村人C「私の嫁のレバニラ炒めは世界一ですから!」

勇者「みなぎってきたぁぁぁぁぁ!」




魔王「さっきから聞いていれば茶番をダラダラと……」

魔王「さっさと死ねぇ!」


勇者「魔法少女! この木の槍に聖属性の魔法、俺に浮遊魔法を付与してくれ!」

魔法少女「で、でも、魔王に聖属性の攻撃は効きません! それに浮遊魔法を使ったら私の魔力は底をつきてしまいます……」

勇者「いいからやるんだ!」

魔法少女「……分かりました!」

魔法少女「聖属性を付与! 勇者様に浮遊魔法を!」

ギラギラギラギラ


勇者「ちぇすとー!」

魔王「ふん、血迷ったか。聖魔法など効かぬと言ったはず……」

ズシャ

魔王「な、なに!?」

勇者「やっぱりな」

魔法少女「どういうことですか!?」

勇者「こいつは最初に比べて魔力が減ってるんだよ。攻撃魔法やら浮遊魔法やら使ってるからな」

勇者「今は聖魔法に対する耐性が低下してるんだよ!」

魔法少女「なるほど!」

魔王「こざかしい人間どもめぇぇぇぇ!」

魔王「もうなりふりかまってられん! 全開だ!」


ビリビリ


勇者「だにぃ!? まだこんなに力があったのか……」

魔王「下等生物どもが! ふざけおって! 魔王に逆らって生きて帰れる者などいない!」

勇者(くそっ、もう魔法少女は聖属性を付与できない)

勇者(門番と姪っ子は武器を失ってしまった)

勇者(コドラとスライミーじゃ力不足……)

勇者(商人と村人Cじゃ戦いにならないだろう……)

勇者(俺が、この乖離剣で決めるしかない)

魔王「勇者よ、万が一つにもお前に生き延びる術はない!」

魔王「よく頑張った。誇っていいぞ」

魔王「……そして、その誇りを抱いたまま、死ね!」

勇者(ダメだ! やられる!)


ヒュンヒュンヒュン

グサッ グサッ 


魔王「うぐぅ……」

勇者(今……穴を抜けて、下の階から何かが……)


ヒュンヒュン

グサッ

魔王「うっ、いったいなんだぁぁ!?」

勇者(あれは……切り刻まれたグングニル!)

勇者(魔王が力を解放して、その魔力に呼応して奴を狙って動き出したんだ!)



ヒュヒュヒュヒュヒュン

グササササッ


魔王「ぬあぁぁぁ! どうなっているぅぅ!」

勇者(今だ!)


勇者「とどめだ、魔王!」

勇者「乖離剣エア!」



シュピーン





魔王「……ま、まさか……私が……負けた?」

勇者「残念ながら、そうみたいだな」

魔王「なぜ……魔王の力を持っていながら……貴様ら人間に……なぜだ」


勇者「んー、よーわからんが」


勇者「自信はないけど」



勇者「きっとさ」




勇者「わらしべ長者やりながら、色んな人と仲良くなったからじゃね?」





勇者「見ず知らずの人に交渉もちかけて、色んな品を手にして旅をする」





勇者「一文無しみたいなもんだったけど、最後はお前を倒すことができた」






勇者「つまりどういうことかっていうと」






勇者「わらしべ長者って、素敵やん?」


魔王「く、くそが……」


















勇者「おつ!」

こうして勇者は魔王討伐を果たしました。

その後、勇者は魔法少女と結婚して子供を2人授かり、コドラとスライミーを家族に迎え入れ、一生を幸せにくらしたそうな。

門番と姪っ子は歳の差はあれど、恋人からの関係がスタートしたとのこと。
実際にところは姪っ子の方が強かったのだとか。

旅商人は相変わらずの逃げ足の早さで、危険な場所もいとわずに商いの旅を続けました。

村人Cは嫁さんの絶品レバニラでツヤツヤでした。

魔門番はファランクスに轢かれて逝きました。





FIN

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