二穂「第四次聖杯戦争メロンパン風味」[Fate/Zero×スクストSS] (79)

Fate/ZeroとスクールガールストライカーズのクロスSS


Fate/Zeroはアニメ版のみ視聴済み


ギャグ寄りです

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518410258

[礼拝堂]


切嗣「いよいよこの時が来たよ、アイリ」


アイリスフィール(以下アイリ表記)「ようやく始まるわね、キリツグ」


切嗣「さて、今回の聖杯戦争ではサーヴァント召喚の触媒にこの“ステラプリズム”という小さなクリスタル状の物を使うのがルールという事だけど…」


切嗣「一体どのクラスのサーヴァントが現れるのかな」


アイリ「誰が来るか楽しみね!」


切嗣「アサシンかキャスターで強くて口答えのしないサーヴァントなら僕は誰でもいいよ」


切嗣「それじゃあ、そろそろ召喚の儀式を始めようか」


切嗣「素に銀と鉄、礎に石と契約の大公…」


~中略~


切嗣「…抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」


パァァァ…

「…」


切嗣「こいつは…」


切嗣(赤いドレスのような甲冑に身の丈ほどある大剣…)


切嗣(恐らく…セイバーのクラスのサーヴァントだろう)


アイリ「やったわキリツグ!セイバーのクラスよ!」


切嗣「そうだね」


切嗣(やっぱりアサシンかキャスターが良かったな)


切嗣(しかし金髪でツインテールの少女か…)


切嗣(絡み辛そうだな…)


「…む?お前は…?」ムクリ


切嗣「目が覚めたようだね」


切嗣「僕は衛宮切嗣、こっちは僕の妻のアイリだ」


アイリ「よろしくね」


切嗣「聖杯からの知識で既に状況は把握しているとは思うが…」


切嗣「君にはこれから僕のサーヴァントとして共に聖杯戦争を戦ってもらう」


二穂「ほう?」

二穂「聖杯戦争というとアレか」


二穂「確か…7人のマスターがサーヴァントを召喚して最後の1人になるまで殺し合うとかいうやつか」


切嗣「まぁそんな所だね」


二穂「呼び出されて早々に悪いが私はそんな戦いには参加せんぞ?」


二穂「縁もゆかりも恨みも無いやつを殺すほど私は戦いに飢えてないし、殺される気も無いからな」


切嗣「…なるほど、誇り高き騎士様というわけか」


切嗣(これだからセイバークラスは)


切嗣「しかし…聖杯戦争を勝ち抜いた者には、どんな願いも叶う万能の願望機である聖杯を手に出来る」


切嗣「…と聞いたらその考えも変わるんじゃないかな?」


二穂「どんな願いも叶う…か」

アイリ「あなたにだってどうしても叶えたい願いの1つぐらいはあるんじゃないかしら?」


二穂「まぁ、無くはないが…」


二穂「願いというのは自分で叶えてこそだろう?」


二穂「それに世の中、大抵の事なら望めば叶うぞ?」


二穂「本気で望む者が極端に少ないだけでな」


切嗣「…それでも個人の力では叶えられない願いもあるんだよ」


二穂「うーむ…大抵は何とかなると思うがなぁ…」


切嗣「…」


切嗣(どうしようアイリ、僕この子と上手くやっていける自信が無いよ)ヒソヒソ


アイリ(頑張ってキリツグ!これも私達とイリヤと世界の為よ!)ヒソヒソ


切嗣(分かった、もう少し頑張ってみるよ)ヒソヒソ

切嗣「ところで…まだ君の名前を聞いていなかったね」


二穂「おお、そういえばそうだったな」


切嗣「真名とクラス、それから宝具を教えてくれるかな」


二穂「宝具とかクラス…とかいうのはよくわからんが、私の名前は緋ノ宮二穂だ!」


切嗣「緋ノ宮二穂…」


切嗣(聞いた事の無い名前だな)


切嗣(よほど辺境の英雄とかなのか?)


切嗣(冬木での知名度補正は期待出来そうにないな)


切嗣「…って、その剣は宝具じゃないのかい?」


二穂「これしか使ってないというわけでもないからな」


二穂「強いて言うなら…」ゴソゴソ


二穂「このパトリ端末とメモカの方が宝具と言えるかもな」スッ


アイリ「なんだか急に近未来的な物が出てきたわよキリツグ」


切嗣(あれは何かしらの機械…なのか?)

二穂「あとクラスとかいうのは確か…」


二穂「セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、アサシン、バーサーカーの7つだったな」


二穂「ならセイバーのクラスであろう」


切嗣「知識がある割には随分と適当だな」


二穂「知識といっても人づてに聞いたものだからな」


二穂「教えてくれたのは…遠坂凛とかいう女子高生だったな」


切嗣「遠坂凛だと…!?」


切嗣(遠坂の娘…遠坂凛はまだ小学生ぐらいの子供だったはずだ)


切嗣(とすると…)


切嗣(この子は未来から来たサーヴァントという事か?)


切嗣(それならこの時代で無名なのも、パトリやメモカとかいうやけに近未来的な物を持っているのにも説明が付くが…)

切嗣(過去の聖杯戦争でも未来からサーヴァントを召喚したなんて前例は無かったはずだ)


切嗣(そんな事があり得るのか…?)


二穂「自己紹介はこんな所か」


二穂「まぁ、ここで出会ったのも何かの縁だ」


二穂「殺し合いに荷担する気は無いが…」


二穂「元の世界に戻るまでの間、護衛ぐらいはしてやろう」


アイリ「そうしてもらえると助かるわ!ニホ!」


切嗣「それじゃあアイリの護衛をお願いするよ」


切嗣(いざとなったら令呪を使って強制的に戦わせればいいだけだし)

二穂「…む?お前が私のマスターではないのか?」


切嗣「いや、僕が君のマスターだ」


切嗣「だが他のマスターにはアイリがマスターだと思わせておく」


切嗣「アイリに襲撃が来た際、その裏で僕が動けるようにね」


切嗣「要はデコイさ」


二穂「お前、自分の妻を囮に使うとか腐れ外道にもほどがあるぞ」


アイリ「あまりキリツグを責めないであげて、ニホ」


アイリ「キリツグが腐れ外道なのは昔からなの」


切嗣「フォローになってないよアイリ」

[遠坂邸]


時臣「…来たれ天秤の守り手よ!」


パァァァ


「…」


時臣「これは…!」


綺礼「…」


時臣(巨大な弓を携えたこの姿…)


時臣(間違いない!アーチャーのクラスのサーヴァントだ!)


時臣「勝ったぞ綺礼!この戦い…我々の勝利だ!」


綺礼「師よ、おめでとうございます」


綺礼「では私もサーヴァント召喚の儀を執り行うので失礼します」


時臣「ああ、頼むよ」


時臣(綺礼と秘密裏に手を組み、2騎のサーヴァントを保有するという圧倒的に有利な状態で挑む今回の聖杯戦争)


時臣(さらに三大騎士クラスとして名高いアーチャーの召喚に成功したともあれば勝利は確定したも同然だ)


時臣「フフッ…」


「…ここは…?」ムクリ

時臣「ああ、ここは私の家だよ」


時臣「そして私は遠坂時臣という者だ」


「ほほぅ…なかなかダンディズムなお髭のおじさまですなぁ」


時臣「今回の聖杯戦争では君のマスターとして共に戦わせてもらうよ」


「せーはいせんそー?っていうのは良く知らないけど私の力が必要なら協力するよ!」


時臣「それで君の名は?」


「あっ、どうもお初にお目にかかります」


悠水「わたくし沙島悠水改め、アーチャー・サジマという者でございます」


悠水「以後お見知り置きを」ペコリ


時臣「こちらこそ短い間だがよろしく頼むよ」


時臣(しかし聞き覚えの無い名前のサーヴァントだ)


時臣(名前からして日本の英霊なのは間違いないだろうが…)

綺礼「師よ、サーヴァントの召喚が無事完了いたしました」


時臣「ご苦労、綺礼」


悠水「おっ、ムキムキマッチョな神父さんだねぇ」


綺礼「鍛えてますので」


時臣「それで召喚したサーヴァントのクラスは?」


綺礼「恐らくアサシンかと」


時臣「ほう、という事はハサンか」


時臣「直接的な戦闘ではやや不利だが情報収集などでは役に立つだろうね」


綺礼「それなのですが…少しイレギュラーな事態が起きてしまったようでして…」


時臣「イレギュラー…?」


「おやおや、ここにも良い男が居るじゃないか」


時臣「…綺礼、そちらの女性は?」


綺礼「アサシン…だと思います」


ハヅキ「不知火ハヅキさ、よろしくねぇ」


悠水「ハヅキさん!」

時臣「…2人は知り合いなのかい?」


ハヅキ「知り合いっていうか戦友かねぇ」


悠水「あと同じ高校に通ってる先輩・後輩でもあります!」


時臣「なるほど」


時臣(高校という概念がある時代の英霊なのか)


時臣(個々の戦力はまだ不明だが、チームワークには期待出来そうだ)


時臣(しかしどちらかを捨て駒…あるいはハサンを召喚出来た際には脱落を偽装させようかと思っていたのだが…)


時臣(一気にやり辛くなったな…)


綺礼「ところで師は不知火ハヅキという名をご存知でしょうか?」


時臣「いや、初めて聞いた名だね」


時臣「君も沙島悠水という名を聞いた事があるかい?綺礼」


綺礼「いえ」


時臣「私もだ」


時臣(少し不安になってきたな…)

[蟲蔵]


パァァァ


雁夜「…ハァハァ…」ガクッ


臓硯「ふむ、急拵えとはいえサーヴァントの召喚には成功したようじゃな」


雁夜「これも…桜ちゃんの為…だからな…!」ゼェゼェ


雁夜「はぁ…」フゥ


雁夜「それでジジィ…俺のサーヴァントは?」


「…」


雁夜「こいつは…」


臓硯「バーサーカーじゃよ」


雁夜「バーサーカー…」


雁夜(黒い甲冑を纏った姿)


雁夜(兜のせいで素顔は見えないが、身体のシルエットからして女性か?)


雁夜(しかし…なかなか強そうなサーヴァントだ)


雁夜(これなら時臣にも勝てそうだな)


「…む?貴様は?」ムクリ


雁夜「よろしくバーサーカー」


雁夜「俺はお前のマスター、間桐雁夜だ」


「は?」

雁夜「だからバーサーカーのサーヴァントであるお前のマスターだって…」


「すみませんちょっと何言ってるかわかんないです」


雁夜「何でわからないんだよ!」


雁夜「おいジジィ!どうなってんだ!」


雁夜(吐血)「げっほげっほ!」ビシャッ


「うわキモッ」


臓硯「興奮しすぎじゃ」


臓硯「しかし…狂化を加えたバーサーカーを召喚したはずじゃが…」


臓硯「このステラプリズムという未知の触媒が原因か、雁夜が魔術師として未熟だったのが原因か…」


臓硯「まぁ、さほど問題は無いじゃろう」


雁夜「そりゃあ戦ってくれさえすれば構わないけどさ…」


雁夜「それでお前、名前は?」

「あ、気になる?気になっちゃう感じ?」


雁夜「気になるから教えろって」


「えー!どーしよっかなー?」


雁夜(ウザいな)


臓硯(ウザいの)


「まぁまぁ、そこまで言うなら教えてやらんでもないよ、うん」


雁夜「何も言ってないが」


「よーし!耳の穴かっぽじってよく聞けよ!」


オディール「我が名は黒鳥の騎士、オディール!」ビシッ!


オディール「陰ながら世界を崩壊から守る者なり!」シュバッ!


オディール「あ、ふつつか者ですが何卒よろしくお願い致します」ペコリ


雁夜(情緒不安定なのか?)

[森林]


ウェイバー「…来たれ天秤の守り手よ!」


パァァァ


「…」


ウェイバー「よしっ!」グッ!


ウェイバー(見たかケイネス・エルメロイ・アーチボルト!)


ウェイバー(僕だってサーヴァントを召喚するぐらい出来るんだぞ!)


「…あら?あなたは…?」ムクリ


ウェイバー「僕はお前のマスター、ウェイバー・ベルベットだ!」ムフー


ウェイバー「それでお前は?」


「あなた…歳はいくつ?」


ウェイバー「19だけど?」


「へぇ…それで19歳なのね…」


ウェイバー「なんだよ、文句でもあるのか?」


「あのね、初対面の相手にその言葉使いはどうかと思うのよ」


ウェイバー「はぁ?」

「私はあなたより年下だけど、私より年下の子だってもう少し礼儀をわきまえてるわよ?」


ウェイバー「口うるさい奴だな…」


ウェイバー「マスターはサーヴァントより偉いんだから別にいいだろう?」


「偉い?自分が偉いからって相手を邪険に扱っていいってわけにはならないわよね?」


「むしろ偉いならそれに見合う振る舞いをすべきよね?」


「そもそも初対面の相手に対してその態度は偉いとか関係なく人間としてダメよ?」


「あなた…そんな感じで良くその歳まで生きてこれたわね…」


ウェイバー「うっ…」


「大きな失敗をする前に改めるべきだと思うわ」


ウェイバー「わ、悪かったよ…」

「それで…さっき言っていたマスターとかサーヴァントとかって何の話なのかしら?」


ウェイバー「あっ、聖杯戦争っていうのがあって…」


~ウェイバー説明中~


ウェイバー「…っていう事なんだ」


「へぇ、英霊を召喚して願いを叶えるために戦う…ね」


「なかなか滾る設定ね」


ウェイバー(滾るってなんだよ)


「まぁ、話は大体わかったわ」


「面白そうだし協力してあげる」


「勿論、その態度を改めたら…だけどね?」


ウェイバー「…わかったよ」


ウェイバー「これから僕のサーヴァントとしてよろしく頼む…ええっと…」


栞「よろしくねウェイバーさん、私の名前は神無木栞よ」


栞「ライダーと呼んでもらってもいいわ」

ウェイバー「アーチャーじゃないのか?」


栞「ライダーよ」


ウェイバー「弓持ってるのに?」


栞「騎馬隊だって剣や槍や銃を持つ事もあるでしょう?」


ウェイバー「いや、そうだけどさ…」


ウェイバー「それでライダーは何に乗ってるんだ?」


栞「馬よ」


ウェイバー「馬…」


ウェイバー(弓使いの騎馬兵、しかも女性の英霊とか聞いた事が無いんだけど…)


ウェイバー(名前も聞いた事ないしコイツ強いのかな…)


栞「ここに呼び出すのも…どうやら可能みたいね」


ウェイバー「あっ、魔力が足りなくなるから今は呼び出さないでくれよ?」


栞「そうね」


ウェイバー(しかし実質、アーチャーとライダーのハイブリッドみたいなものだし強そうだな)

[ホテル]


ケイネス「…」


ソラウ「…」


「…あっ、あのぉ…」


ケイネス「…」


ソラウ「…」


「ここは一体どこなんでしょうか…?」


ケイネス「…」


ソラウ「…」


「…うぅ…」


ケイネス(可愛い)


ソラウ(可愛い)


「あの…微笑んでないで答えてもらえますか…?」


ケイネス「…ああ、すまない」


ケイネス「ここは極東の外れにある日本という国の陳腐なホテルの一室だ」


ソラウ「これでもスイートルームなんですって」フゥ


「いやいや、十分豪華だと思いますよ…?」


ケイネス「ほう、どうやら君は見た目通り慎ましい女性なのだね」


ソラウ「可愛いわね」

ケイネス(しかし銀色の甲冑を身に纏い、手には三叉槍か)


ケイネス(三叉槍というとトライデントやトリシューラが有名だが…)


ケイネス(見たところ彼女の三叉槍はそのどちらでもないようだ)


ケイネス(クラスはランサーで間違いないだろうが彼女は何者だ…?)


ソラウ「それで貴女のお名前は?」


ケイネス「ああ、私もちょうどそれを聞こうと思ってたんだよソラウ」


「わ、私の名前ですか…?」


雪枝「私の名前は蒼井雪枝といいます…」


ケイネス「ミス・ユキエか、良い名前だ」


ソラウ「名前まで可愛いわね、ケイネス」


ケイネス「そのようだ、ソラウ」


ケイネス(名前から察するに彼女はこの国の英霊のようだが…)

雪枝「それであなた達は…?」


ケイネス「おっと、こちらの自己紹介がまだだったね」


ケイネス「私は魔術師のケイネス・エルメロイ・アーチボルト」


ケイネス「そしてこちらが同じく魔術師で私の許嫁でもあるソラウだ」


ソラウ「ソラウ・ ヌァザレ・ソフィアリよ」


ケイネス「今回の聖杯戦争では私が令呪を」


ケイネス「そして魔力供給をソラウが担当する」


ケイネス「つまり私達二人がマスターというわけだ」


雪枝「そうなんですかぁ…って今魔術師とか魔力とか言いましたよね!?ね!?」ガタッ


ケイネス「あ、ああ言ったが…」


ケイネス(急にテンションが上がったな)


ソラウ(可愛い)

雪枝「うわぁ…!魔法がある世界とか本当にあるんだぁ…!」キラキラ


ケイネス(可愛い)


ソラウ(可愛い)


ケイネス「…あ、魔法ではなく魔術だがね」


雪枝「へぇ、魔術と魔法って違うものなんですねぇ」


ケイネス「全く別物と言ってもいい程にね」


ソラウ「細かい男ね」


ケイネス「魔術師としては聞き過ごせ無い違いだと思うが」


ソラウ「雪枝ちゃんが喜んでるんだからどっちでもいいじゃない」


ケイネス「いや、君も知っているとは思うが魔術と魔法は似て非なるもので…」


ソラウ「…」キッ!


ケイネス「ま、まぁ一般人からしてみればどちらも同じようなものだろう、うん…」


雪枝(あっ、この二人ってそういう力関係なんだぁ…)

ソラウ「そうだ!雪枝ちゃんに何か魔術を見せてあげたらどうかしら!」


雪枝「えっ!良いんですか!?」


ソラウ「ほらケイネス、何か適当に」


ケイネス「いや、さすがにいつ戦闘が起きるか知れない時に魔力を使うのは…」


ソラウ「ほら」


ケイネス「準備をするから少し待ってくれ」ガタッ


ケイネス(出来るだけ魔力消費の少ない魔術だと…ガンド辺りか?)


ケイネス(いや、この狭い室内で使う訳にはいかんな…)


ソラウ「ああ見えてもケイネスは魔術の天才だから期待していいわよ」


雪枝「わぁ!楽しみです!」


ケイネス(ハードルを上げないでくれソラウ)


ソラウ「迷ってるようならあの水銀のスライムとかでいいんじゃない?」

ケイネス「あれはスライムなどではなく月霊髄液なんだが…」


ケイネス「それに見て楽しいように形態を変えると魔力の消費が激しくてだな…」


ソラウ「…」ギロッ!


ケイネス「あー、この試験管の中に入っている水銀は月霊髄液というもので…」ドロロ


月霊髄液〈プルルン


雪枝「あっ、可愛いですねぇ!」


ケイネス「このように様々な形態に変化させる事ができ、攻撃・防御・索敵とあらゆる用途に対応出来るのだよ」


月霊髄液〈シャキーン!


雪枝「おおお…!凄い!凄いです!」キラキラ


ケイネス「ははは」テレッ


ケイネス(こうして素直に褒められるのも久しぶりだな)


ソラウ「…」


ソラウ(ケイネスの事は大して好きじゃないけど他の女の子にデレデレしてるのを見るとなんかムカつくわね)

[民家]


龍之介「…満たせ、満たせ、満たして、満たして、満たっせーっと」グチャグチャ


TV〈…事件の続報です


龍之介「お?」


TV〈これまで起こった三件の…


龍之介「ちょーっとハメを外し過ぎちゃったかもなー」


TV〈描かれた魔法陣は一体…


子供「…うっぷ…」


龍之介「…悪魔って本当にいると思うかい?坊や?」


龍之介「新聞や雑誌だとさぁ、よく俺の事“悪魔”呼ばわりしたりするんだよね」


龍之介「でもそれって、もし本物の悪魔がいたりしたら、ちょっとばかり失礼な話だよね?」


龍之介「そこんとこスッキリしなくてさぁ…」

龍之介「ま、そんなわけだから本物の悪魔を呼び出してさ」


龍之介「俺が悪魔を名乗っても良いものか聞いてみよっかなって…痛って!」ズキッ


龍之介「…なんだ?これ?」シュイーン


パァァァ


龍之介「…!」


「…」


龍之介「おぉ…!」


「…おや?貴方は?」


龍之介「ええっと…雨竜龍之介っす」


「ほぅ、リュウノスケ…ですか」


龍之介「そうそう」


龍之介「ま、とりあえずお近づきの印にさ」


龍之介「あれ、食べさせない?」

「食べさせる…ですか?」


龍之介「ほら?最近の子って低カロリーだの合成甘味料だのばかりでマトモな食事とか取らないじゃん?」


龍之介「だからこうして高脂質・高カロリーの食べ物を食わせて回ってるんだけどさぁ」


龍之介「世間からは暴食の悪魔とか言われちゃって」


「椅子に縛り付けてムリヤリ食べさせるからでは?」


龍之介「だって普通に食べさせようとしたって食わないんだもん」


龍之介「しかし、ケチャップで描いた魔法陣でホントに悪魔が召喚出来るとはねー」


「状況は良く解りませんが…あの子供を私の好きにしていいのですね?」


龍之介「ご自由にどうぞ」


「わかりました」


子供「ひっ」ジタバタ


「…」

子供「やだっ!もう食べたくない!」ジタバタ


「…」ビリビリ


子供「…えっ?」


「…ふむ」パァァ


子供「…あれ?さっきまでお腹がいっぱいだったのに」


「摂取した栄養を取り除く事は出来ませんが…満腹感は取り除きました」


「これで立てますね?」


子供「…っ」スクッ


龍之介「…」チッ


「さぁ坊や、あそこの扉から外に出られますよ」


「1人で行けますね?」


子供「…うん!」


「よろしい」


子供「…っ!」タッタッタ


龍之介「なぁ!ちょっと…!」


「まぁ見ていなさい」


子供「…」タッタッタ


子供(もう油ギトギトの料理は嫌だ!)


子供(これでようやくさっぱりした料理が…)


子供(…ってあれ?…急に身体が重く…)フラッ


子供「…お腹が…」バタリ

龍之介「おいおい!アンタ何したんだよ!?」


「食事というものには限度があります」


「食べれば食べるほど食事を楽しむ気持ちは死んでいくものなのです」


「真の意味での食事とは空腹である時に食べるもの」


「空腹が満腹に変わるその瞬間の事を言います」


「あの子供には空腹になってもらった上で、意識を別のチャンネルに飛ばし…」


「三食をスタミナ太郎で限界まで食べた後、シメとしてラーメン二郎のぶたダブルを食べてきてもらいました」


「いかがでしたか?満腹で倒れるあの姿は?」


龍之介「んんん…クール!」グッ


龍之介「太郎からの二郎かよ!超クールだよアンタ!」

龍之介「俺はアンタについていく!」


龍之介「さぁ食わせよう!もっともっとクールな食わせっぷりで俺を魅せてくれ!」


「ふふ、貴方のような面白い人間と会えたのは僥倖ですね」


龍之介「あ、そういえば俺まだアンタの名前聞いてない」


「名前ですか?そうですね…」


モルガナ「ではモルガナとお呼び下さい」


龍之介「おお!これからよろしくな!モルガナの姉御!」


モルガナ「ええ、こちらこそ」クスッ

~数日後~


[空港]


アイリ「ここがキリツグの生まれた国…!」


二穂「なんだ、アイリスフィールは日本に来るのは初めてなのか?」


アイリ「この国が…というより外の世界を出歩くのが初めてなの」


二穂「ほう、これまでの生涯をあの城中のみで過ごしてきたというのか」


アイリ「ええ、私は聖杯戦争の為に作られた人形だったから…」


二穂「なら拠点に向かう前に少し観光でもしていこうじゃないか」


アイリ「いいの!?」キラキラ


二穂「せっかく日本まで来たのだぞ?楽しまなければ損ではないか!」


アイリ「ありがとうニホ!」

[遠坂邸]


時臣「…」


悠水「ほほぅ、綺礼さんは激辛の麻婆豆腐がお好みですか」


綺礼「ええ、ただし単純に辛いだけではダメです」


綺礼「辛さの中に旨味が有ってこそで…」


悠水「あー分かる!分かるよその気持ち!」


時臣「…」


ハヅキ「ねぇ時臣さん、葵さんの胸を少しばかり揉ませてはくれないかねぇ?」


時臣「ダメに決まっているじゃないですか」


ハヅキ「先っちょだけ、先っちょだけでいいからさ?ね?」


時臣「先っちょが一番ダメです」


時臣(アサシンは葵に手を出そうとするし)


時臣(私のサーヴァントであるアーチャーは私を差し置いて綺礼と意気投合しているし)


時臣(先行き不安だ…)

[ホテル]


ケイネス「ふむ、セイバーとそのマスターがこの国に来たようだ」


ケイネス「一応使い魔にも尾行はさせているが、いつでも戦えるようにユキエには偵察に行ってもらうか」


ソラウ「いきなりセイバーと?危険じゃないかしら…?」


雪枝「あっ、私なら普段から危険とは隣り合わせな状況で戦ってますし大丈夫ですよ」


ソラウ「そう?でも…」


ケイネス「大丈夫だソラウ、もし戦闘になったとしてもユキエには最大限の防御魔術を掛けてサポートする」


ケイネス「ユキエに怪我をしてもらいたくはないからな」


ソラウ「まぁケイネスのサポートがあれば危険は少ないかしら」


雪枝「じゃあちょっと行ってきますね!」

[路地裏]


雁夜「セイバーとそのマスターがこの国に来たようだな」


雁夜「ようやく聖杯戦争の始まりか」


雁夜「他の陣営との戦闘…特に時臣のサーヴァントが出てきたら叩けるように近くで監視しておくか」


オディール「いや、そんな面倒くさい事しなくても普通に戦えばよくね?」


雁夜「正面から戦って連戦にでもなったら俺の身体がもたない」


オディール「あー、確かにそうだわ」


雁夜「そういうわけだから、いつでも戦えるように備えておいてくれ」


オディール「おうよ」


オディール「まー、大して備える事もないけどなー」


雁夜「お前、基本的に蹴るだけだもんな」

[ウェイバーの居候先]


栞「ねぇ、ウェイバーさんは闇の魔術!とか、禁忌!とかは使えないの?」


ウェイバー「使えないし、たとえ使えたとしても使うわけないだろ」


栞「じゃあ異世界への扉を開いたり天候を操ったりとか…」


ウェイバー「無茶言うなよ…」


栞「そう、魔術師なんて言うから期待したけど…その程度なのね」


ウェイバー「失礼な言い方するなぁ」


栞「あ、ケルベロスとかを召喚するぐらいなら…」


ウェイバー「出来るかぁ!」

[街中]


龍之介「美味しい美味しい揚げバターはいかがっすかー?」


龍之介「カロリーと脂質満点ですよー!」


龍之介「はーい!まいどありー!」


龍之介「いやー、モルガナの姉御の言う通り揚げバターの屋台をやって正解だわ!」


モルガナ「礼には及びませんよ」


モルガナ「人間は身体に悪いと思うものほど食べたくなる衝動を持ち合わせている生き物ですから」


龍之介「知ってる知ってる!カリギュラ効果ってやつだよな!」


モルガナ「それで次はどうするつもりですか?」


龍之介「どうしよっかなー?」

[遠坂邸]


綺礼「師よ、セイバーとそのマスターが来日したようです」


時臣「ついに来たか」


綺礼「それに合わせてランサーとバーサーカーの両陣営が動き出しました」


時臣「ふむ、早々に勝負を仕掛ける気か…」


綺礼「我々はいかがなさいますか?」


時臣「そうだね、では私達のサーヴァントにも近くで待機してもらい漁夫の利を狙う」


時臣「優雅な戦術とは言い難いが、慢心で倒せる相手を見逃すよりは良いだろう」


時臣「そういうわけだ、二人共頼んだよ」


ハヅキ「はいよ」


悠水「らじゃ!」

時臣「それで他の陣営の様子は?」


綺礼「は、ライダーはマスターの居候先でやけにカッコいいポーズと何らかの魔術詠唱の練習をしています」


時臣「身振りと詠唱の練習か…」


時臣「何か宝具の使用に関係しているのかもしれないな」


時臣「使い魔による監視を増強しよう」


綺礼「そしてキャスターは街中で揚げバター売りの屋台をしています」


時臣「揚げバターか…」


時臣「それについて君はどう思う?綺礼?」


綺礼「わけが分かりません」


時臣「私もだ」


時臣「しかし分からないという事は一層警戒すべきという事だ」


時臣「こちらも監視を増やそう」


綺礼「かしこまりました」

~夜~


[湾岸部]


アイリ「今日は楽しかったわ…!ありがとうニホ!」


二穂「私はエスコートをしたまでだ」


二穂「むしろ、そこまで喜んでくれたならこの国の人間として誇り高い」


アイリ「…今度は家族で楽しみたいわね」


二穂「そうだな、ところで…」


アイリ「ええ、少し前から何者かにつけられてる事よね」


二穂「ああ、どうするアイリスフィール?」


アイリ「このまま拠点に連れて行く訳にもいかないし、どこか人目に付かない場所で迎え撃ちましょう」


二穂「うむ、賢明な判断だ」


二穂「近くにコンテナヤードがある、そこならちょうど良いであろう」


アイリ「そうね」

[コンテナヤード]


二穂「…さて、そろそろ姿を現したらどうだ?」


二穂「そこにいるのであろう?雪枝」


ザッ


雪枝「…久し振りだね、二穂」


二穂「感じた事のある気配と視線だとは思ったが…まさか本当に雪枝とはな」


雪枝「私もまさかセイバーが二穂だったなんて驚いたよ!」


二穂「…しかし温厚なお前が聖杯戦争などという殺し合いに賛同するとは意外だな」


雪枝「…殺し合いって?」


二穂「ん?聖杯戦争というのは自分以外のサーヴァントとマスターを全て殺した者が勝利すると聞いたが?」


雪枝「必ずしもそうしないといけない訳じゃないよ?」


雪枝「それこそジャンケンで勝敗を決めても有効らしいし…」


二穂「えっ」

二穂(ふむ、どうやら遠坂凛の言っていた聖杯戦争とは似て非なるものらしい)


二穂(私が会った遠坂凛の世界とはチャンネルが異なるのかもしれん)


二穂(まぁ私と雪枝で殺し合うような目に遭わなくて何よりだな)


二穂「それでどうする?ジャンケンでもするか?」


雪枝「ええっと…それなんだけど…」


雪枝「出来るだけ本気で…勿論死なない程度にだけど…」


雪枝「私と戦ってもらえない…かな?」


二穂「戦う…それは私の剣とお前の槍でという意味か?」


雪枝「うん、今の私の力がどれだけ通用するのか試したいんだけど…ダメかな?」


二穂「ふっ、いいだろう」


二穂「私もお前とは一度、訓練ではなく本気で戦ってみたいと思っていたんでな」

二穂「そういう事だアイリスフィール」


二穂「もし私が致命傷を負ったら治癒の魔術を頼む」


アイリ「ええ、分かったわ」


二穂「雪枝のマスターも分かってるな?」


雪枝「“言われなくても分かってる”だって」


二穂「よし、では本気で戦おうではないか!」


二穂(神装変身)「かかってこい!雪枝」シュイーン


雪枝(神装変身)「うんっ!」シュイーン

[倉庫・屋根上]


切嗣「…ランサーのマスターを見つけた」カチャリ


切嗣「舞弥からも見えるか?」


舞弥(通信)《いえ、こちらからは死角になっていて狙えません》


切嗣「わかった、セイバーとランサーの戦闘が終わる前に僕がランサーのマスターを仕留める」


切嗣「舞弥はそこからランサーのマスターを狙える位置に移動し、万が一僕が撃ち漏らした際のバックアップを頼む」


舞弥《了解》


切嗣(戦闘が始まる前に仕留めてもいいが、これはセイバーの実力を知るいい機会だ)


切嗣(可愛い騎士様のお手並み拝見といこうか)


舞弥《切嗣、クレーン上にアサシンと思われるサーヴァントを発見しました》


切嗣「なんだと…!」

[クレーン上]


ハヅキ「…よっと」カタン


ハヅキ(ここからなら全体が見回せるかね)


ハヅキ(念話)《神父さん?聞こえてるかい?》


綺礼《ああ、聞こえている》


ハヅキ《しかしこの念話ってやつは便利だね》


綺礼《それで状況は?》


ハヅキ《セイバーとランサーがこれからサシで戦うところみたいさ》


ハヅキ《それから…どうやらセイバーとランサーは私達の顔見知りだ》


ハヅキ《それもかなりの手練れだから迂闊に手を出さない方がいいだろうねぇ》


綺礼《…分かった、指示があるまで待機してくれ》


ハヅキ《はいよ》


ハヅキ《だってさ》


悠水《えー!私もコンテナの影なんかに隠れてないで二穂ちゃんや雪枝ちゃんと戦ってみたいのにー!》


ハヅキ《今飛び込んだら袋叩きにされるから止めときな》

雪枝「ええいっ!」シュバッ!シュシュシュッ!


二穂「っ!」ガキン!


二穂(っ…!なんてスピードの速い突きだ…!)


雪枝「やあっ!」シュッ!


二穂「ふっ…!」ヒラリ


雪枝(今のを避けられるの…!?)


雪枝「当たって…!」ズシャッ!


二穂「くっ…!」ギリリリ…!


二穂(スピードだけじゃなく一撃が重い…!)


雪枝「はぁっ!」ブンッ!


二穂「ふっ…!」サッ


二穂(大きく薙払う一撃…!)


雪枝「それっ!」ブォン!


二穂「はぁっ!」ゲシッ!


雪枝「なっ…!?」


雪枝(回し蹴りで押し返した…!?)


雪枝「っ…!」ズザザザッ…!


二穂「はぁはぁ…なかなかやるな!」


雪枝「はぁはぁ…二穂もね!」


二穂「まだいけるな!?」ダッ!


雪枝「もちろん!」ダッ!


ガキン!シュバッ!ザッ!

二穂「くっ…!」ガキン!ギリリリ…!


二穂(剣道三倍段という言葉がある)


二穂(これは剣術に対して槍術が有利であることを表す言い回しであり…)


二穂(槍術の使い手に剣術で勝利するには相手の三倍は強くなくてはならないという意味を持つ)


二穂(それほど剣と槍には戦略的アドバンテージがあるのだ)


二穂(とはいえ…とはいえだ)


二穂「…っ!…っ!」ギリリリ…!


二穂(この私が防御一辺倒に追い込まれるだと…!?)


二穂(目で捉えるのが難しいほど速く手数が多い上に、一撃一撃にきちんと重さが乗った丁寧な攻撃…)


二穂(攻撃方法も刺突だけではなく、薙払いや柄による棒術も用いたりとバリエーション豊かだ)


二穂(強くなったな、雪枝…!)

雪枝「ええぃっ!てぇい!」シュバババッ!


雪枝「…っ!」ゼェゼェ


雪枝(二穂の大剣は大きくて分厚く、レイドオブリのような大型の敵相手では効果的だ)


雪枝(しかし、その鈍重な剣は人のように小さく小回りの利く相手との戦闘では不利なはず)


雪枝(そのはずなのに…)


雪枝(もう限界に近い速度で攻撃しているのに一撃も通らないなんて…!)


雪枝(いくら攻撃を加えても弾かれるか、ガードされるか、避けられてしまう)


雪枝(その原因は二穂の剣術と蹴りといった体術を組み合わせた複合的な戦闘スタイルにある)


雪枝(いかなる間合い・方向からの攻撃にも瞬時に対応出来るのはさすが二穂だとしか言えない)


雪枝(やっぱり二穂は強くてかっこいいなぁ…!)

切嗣(うちの騎士様はなかなかの手練れのようだ)


切嗣(しかしそれと対等に戦っているランサーもなかなかやるな)


切嗣(どちらが勝ってもおかしくない状況だ)


切嗣(ただし…他者の介入が無ければ、だが)


切嗣「舞弥、アサシンをどう思う?」


舞弥《巨乳ですね》


切嗣「舞弥…?」


舞弥《私の見立てではGカップはあるかと》


切嗣「舞弥」


舞弥《形もかなり良いです》


切嗣「舞弥」


舞弥《あっ、ランサーのマスターを狙える位置につきました》


切嗣「わかった、これよりランサーのマスターを仕留める」カチャ


切嗣(早く帰ってアイリとイチャイチャしたい)

[コンテナ上]


ケイネス「…」ウロウロ


ケイネス(ああ、ユキエは大丈夫だろうか…)


ケイネス(やはり私も助太刀するべきだろうか…?)


ケイネス(しかし彼女の意志も尊重したい…)


ケイネス(とはいえ怪我をされたくはないしだな…)


ケイネス(うーむ…どうしたものか…)


ケイネス「…」ウロウロ

切嗣「くそっ…!」カチャ…チャ


切嗣(ランサーのマスターが動き回っているせいで狙いが定まらない…!)


切嗣(ただでさえ海風の影響も考えなくてはいけないというのに…!)


切嗣(いい大人が落ち着きもなく歩きまわるんじゃないよ…!)


切嗣「…こちらから狙うのは失敗のリスクが高すぎる、舞弥からはどうだ?」


舞弥《駄目ですね》


舞弥《狭い範囲を小刻みに歩き回っているのでパターンが読めません》


舞弥《失敗すればこちらの位置を悟られる恐れがありますし、タイミングを待ちましょう》


切嗣「そうだな、しかし…」


切嗣「それまでにセイバーが負けなければいいが…」

綺礼《戦況はどうなっている?》


ハヅキ《五分五分ってところだね》


ハヅキ《ただランサーはスタミナ切れ寸前という感じだよ》


綺礼《ふむ…ではそろそろ襲撃の準備を頼む》


ハヅキ《はいよ》

[倉庫裏]


雁夜「…!」


雁夜「見つけた見つけた見つけた!」


雁夜「コンテナの裏に時臣のサーヴァントがいる!」


雁夜「やれ、バーサーカー!」


オディール「フゥー!」ダッ!

ハヅキ《悠水、そろそろあたしらも出向くよ》


悠水《おおっ!ようやくですな!》


ハヅキ《それじゃあ準備を…って悠水!》


〈ウォォォォ!


ハヅキ《そっちにヤバいのが向かってるよ!》


悠水《ヤバいのってなに!?》


綺礼《こちらからもバーサーカーの反応を確認した》


悠水《バー…なんだって?》


綺礼《師よ、いかがなさいますか?》


時臣《厄介な相手だ、セイバーとランサーの事はひとまず置いておいてアサシンとアーチャーの2人で迎撃にあたるようにしてくれ》


ハヅキ《了解っ!》ダッ!


悠水《ねぇ私だけ何が来るか把握してないんだけど!?》

オディール「往生せいやぁー!」ダダダダッ!


悠水「うぉぉ!?黒糖のキッシュじゃん!」


オディール「黒鳥の騎士、な!」


オディール「なんか知り合いだけど容赦なく蹴り飛ばすから覚悟しろよな!」


悠水(神装変身)「わぁ!来るな来るなぁ!」バシュンバシュン!


オディール「ふんっ!そのような矢など…」ヒラリ


オディール「当たらなければどうとでもない!」サッ


オディール「食らえ超必殺!」バッ!


オディール「デンジャラスオディールキッーク!」ゴオゥ!


悠水「ひぃぃ!」


ハヅキ(神装変身)「やらせないよっ!」ガキン!


オディール「ぬおっ!」グッ!


悠水「ハヅキさん!」


オディール「貴様、短剣で私の蹴りを防ぐとはなかなかやるな!」

ハヅキ「そりゃどう…もっ!」ガッ!


オディール「おっと」スタッ


ハヅキ「悠水、怪我は無いかい?」


悠水「やだこの人おっぱいのついたイケメン…!」


ハヅキ「頭以外は無事でなによりだ!」


悠水「それでどうするんですか?」


ハヅキ「決まってるだろ?」


ハヅキ「オディールさん、あんたに恨みは無いけれど…」


ハヅキ「あんたにはここであたし達に倒されてもらうよ」


ハヅキ「悪いがここで負ける訳にはいかないもんでね!」


ハヅキ「あとベガを負かした時の借り、ここで返させてもらうよ!」


オディール「最後のは個人的な恨みじゃねーか!」


悠水「あ、私も河原で蹴られた時の借りを返しておくね」


オディール「おい!」

ハヅキ「悠水!援護頼んだよ!」ダッ!


悠水「任せろい!」ギリリリ…


ハヅキ「せやっ!」シュバッ!


オディール「ふっ!」サッ


ハヅキ「そらっ!」シュッ!


オディール「そぉい!」ガキン!


バシュン!


オディール「おっと」ガシッポキッ


悠水「嘘ぉ!?飛んできた矢を目前で掴んだ!?」


オディール「フハハハハ!見たか私の動体視力!」


ハヅキ「よそ見してる場合かい?」ザシュッ!


オディール「ふっ」ピョン


ハヅキ「ちっ…!」

ハヅキ(ヤツの攻撃手段は殴る・蹴るといった単純なもののみ)


ハヅキ(至近距離での戦闘が主戦場のあたしと中~遠距離からサポートする悠水の二人を相手にするには限界があるはず)


ハヅキ(そのうえヤツがUR装備なのに対して、こちらは二人共EXR装備でメモカのスペックも段違いだ)


ハヅキ(それなのにこうも圧されるとは…!)


ハヅキ(あの滅茶苦茶な戦い方とポテンシャルの高さはまさにバーサーカー)


ハヅキ(黒鳥の騎士の名は伊達じゃないってわけだね)

悠水(いやー、全然当たらんね!)


悠水(威力とスピードに優れた直線弾は掴まれるし、それが劣る誘導・多弾のやつは避けられるし)


悠水(このままハヅキさんがやられちゃったら私もボコられるしどうしたものかねぇ)


悠水(いっそ至近距離でハヅキさんと手数で圧してみるとか?)


悠水(いやぁ、邪魔だよね)


悠水(あ、ガスの元栓閉めたっけ?)

[冬木大橋・アーチ上]


栞(念話)《…で、あそこのコンテナヤードで他のサーヴァントが戦闘中ってわけね》


ウェイバー《ああ、すでに5つの陣営のサーヴァントが戦闘中らしい》


ウェイバー《上からなにか見えるか?》


栞《うーん…戦闘の火花や土煙は見えるけれど誰と誰が戦ってるかまでは分からないわね》


ウェイバー《しかし最初の戦闘からこんな混戦とか…》


ウェイバー《他のマスターには戦略とかないのかよ…》


栞《あら、あえて死地に飛び込むというのもオツなものよ?》


ウェイバー《僕にはよくわからない美学だな》


栞《じゃあ私達も乱入しにいきましょうか》


ウェイバー《なんでだよ!》

栞《だってこういう状況で乱入するのってカッコイイじゃない?》


ウェイバー《カッコイイか?》


栞《こう…戦闘中にいきなり現れて意味深な事を言うのとかカッコよくて私は好きよ》


栞《攻撃の最中に割って入って“この技…!そうか…お前があの…いや、気のせいか…”とか言うのよ》


ウェイバー《どのポジションのキャラだよ》


栞(ifUR装着)《じゃあ乱入しましょう…月詠!》


ヒヒーン


ウェイバー《いやいやいや、なに勝手に馬出してるんだよ!》


栞《行くわよ!私を信じるなら乗って!》


ウェイバー《お前自分に酔いすぎだよライダー!》


栞《乗るの?乗らないの?》


ウェイバー《ああもう!乗るよ!乗ればいいんだろ!》

…ドゴーン!


二穂「…なんだ?」ピタッ


雪枝「近くで爆発…?」ピタッ


ヒュー


悠水「ぐへっ」ズシャー!


二穂「空から人が飛んで…ってお前はアルタイルトルテの…」


雪枝「悠水さん!?」


悠水「いててて…おお!二穂ちゃん雪枝ちゃん久し振り!」


二穂「お前もこの世界に来ていたとはな」


悠水「私だけじゃないけどねー」


ドゴーン


ヒュー


ハヅキ「ちぃっ!」ズザザー


雪枝「ハヅキさんまで!?」


オディール「とうっ!」スタッ


オディール「見たか!これこそ私のパワーぢからだ!」ビシッ!


二穂「お前もか!?」


オディール「あ、ご無沙汰してます」ペコリ


二穂「お、おう…」ペコリ

切嗣「…大変だ舞弥」


切嗣「なんか色々出てきた」


舞弥《ええ、見えてます》


切嗣「どうする?とりあえず全員撃つか?」


舞弥《落ち着いてください切嗣》


舞弥《動揺しすぎて雑になってます》


切嗣「おっと、僕とした事が…」


切嗣「しかし…これだけサーヴァントがいるという事はそれだけ近くに多くのマスターがいるという事だろう」


舞弥《恐らくは》


切嗣「これは一網打尽にするチャンス…と考える事にしよう」


切嗣(早く帰ってアイリとイチャイチャしたい)

二穂「それで?お前達も聖杯戦争に参加していると思ってもいいのだろうな?」チャキリ


ハヅキ「おっと、随分と好戦的じゃないか」


二穂「否定はしないのか?」


ハヅキ「まぁ本当の事だからね」


ハヅキ「悠水!こうなったら…」


悠水「全員倒すってわけだね!」


雪枝「えぇっ!?」


オディール「よーし全員まとめてかかってこいやぁ!」


〈待ちなさーい!


ピシャーン!


二穂「なっ…!空からイカズチだと!?」


雪枝「凄い…!魔法みたい…!」

栞「我こそはライダー!またの名をケイオス・ブリンガー神無木栞!」バッ!


栞「この神無木栞に敗北という二文字は存在しないわ!」シュバッ!


栞「さぁ躍りましょう!」クルッ


栞「全ては神の御心のままに…!」 バァーン!


二穂「…」


雪枝「…」


ハヅキ「…」


オディール「…」


悠水「…」


栞「」


二穂「あー…神無木」


二穂「お前、そういうキャラだったのか…」


栞「違うのよ」


雪枝「あっはい、私達は何も見てないですから」


栞「待って」


ハヅキ「何も聞いてない、何も聞いてないよ」


栞「目を合わせて」


悠水「ド、ドンマイ!」


栞「やめて」


オディール「お前めっちゃ痛いやつだな」


栞「あなただけには言われたくないわよ!」

栞「あー!あー!あー!もう、あー!」ジタバタ


栞「なんで知り合いばかりいるのよ!」


ウェイバー「落ち着けって!」


栞「自害させてください」


ウェイバー「やだよ!」


栞「あー…この瞬間に隕石でも落ちて世界滅びないかしら」


ハヅキ「縁起でもない事言うんじゃないよ」


二穂「シャレにならんぞ」


ゴゴゴゴゴ…


雪枝「うわっ…!地震…?」ヨロッ


オディール「いや、この感じは…!」


悠水「…あっ!みんな海の方見て!」


二穂「なっ…!あれは…!」


巨大マギレオブリ〈グオオオオ…!


二穂「オブリ…!」


雪枝「しかも凄い大きい…!」


ハヅキ「10mぐらいあるかねぇ」


悠水「あっ、頭に何か乗っけてるよ」

オディール「なに乗せてるんだあれ、歩道橋か?」



ティエラ「ああっ!あれはクロスオーバーオブリ!」


全員「!?」


二穂「いつの間に!?」


雪枝「というよりどうやってここに!?」


ティエラ「その話は後です!」


ティエラ「あれはクロスオーバーオブリと言いまして、とにかく様々な作品・世界を繋げるのが大好きなオブリなのです!」


ティエラ「しかし作品の世界観や設定を無視してでも繋げてしまうので矛盾が生まれたり…」


ティエラ「そもそも繋げる必要があったか?という誰得なコラボを生み出してしまったりする端迷惑なやつなのです!」


ティエラ「なかでも進○の巨人・魔法少女ま○かマギカ・Fa○eを特に好むとか…」

切嗣「大変だ舞弥」


切嗣「巨大な怪物が出てきたと思ったら今度は老けたアイリスフィールみたいなのが出てきた」


舞弥《見えてます》


切嗣「しかもオブリ?だのコラボだのわけの分からない事を言っているようだし…」


舞弥《ええ、マダムが話についていけなくてアワアワしてます》


切嗣「可愛いな」


舞弥《可愛いですね》


切嗣「さて…全員撃つか」


舞弥《落ち着いてください》

二穂「なるほど、私達がこの世界にいるのもあいつの仕業というわけか」


ティエラ「そういう事です!」


雪枝「じゃああのオブリを倒せば元の世界に戻れるんですね!」


ティエラ「はい!その通り!蒼井さん賢い!」


雪枝「馬鹿にしてます?」


アイリ「あの…ニホ?さっきから何の話をしているのかしら?」


二穂「あー、なんと言っていいやら…」


ハヅキ「話せば長くなるからねぇ」


アイリ「それに元の世界に帰る?なんて事になったら聖杯戦争は…?」


ティエラ「それならご心配なく!」


ティエラ「あのオブリを倒しさえすればクロスオーバーの影響は無くなり、お互いの世界が繋がる前に戻りますので!」


二穂「…だそうだ」

悠水「要するに、あれを倒してしまっても構わんのだろう?」


ティエラ「そういう事です!」


オディール「うし!じゃあ早いところ片付けるか!」ダッ


ハヅキ「そうだね、あんたとのバトルはひとまずお預けさ」ダッ


悠水「あっ、二人共抜け駆けはズルいぞ!」ダッ


二穂「あいつら少しはこの世界に思い入れとか無いのか」


雪枝「何日か過ごしたのにね…」


二穂「…まぁ、そういうわけでだなアイリスフィール」


二穂「短い間ではあったが世話になった」


二穂「またどこかで…会う事も無いだろうが達者でな」


アイリ「ニホ…」


二穂「大丈夫、アイリスフィールとあの腐れ外道なら勝てるであろう」


二穂「ではさらばだ!」ダッ!

雪枝《ええっと、そういうわけなので私も…》


ケイネス《そうか》


雪枝《はい…》


ソラウ《寂しくなるわね…》


ケイネス《…短い間だが楽しい一時を過ごせた》


ケイネス《ありがとうユキエ》


雪枝《いえいえ!私こそ、本物の魔術が見れて良かったです!》


雪枝《ソラウさんも色々良くしてくれてありがとうございます!》


ソラウ《じゃあ元の世界に帰っても元気でね!》


雪枝《はい!》


雪枝《じゃあ…行ってきますね!》ダッ!

栞「私はここで朽ち果てますから」


ティエラ「何言ってるんですか!行きますよ!ホラ!」


栞「もう放っておいてください…」


ティエラ「いや、神無木さんがいたら別世界との繋がりが残ってしまいますから…」


栞「でもあれがバレちゃったら皆に会わせる顔が無いのよ…」


ウェイバー「人に散々言ったくせにワガママなやつだな」


栞「だって…」


ウェイバー「はぁ…ったく仕方ないなぁ」スッ


栞「えっ?」

ウェイバー「我がサーヴァントよ、ウェイバー・ベルベットが令呪をもって命ずる」


ウェイバー「ライダーよ、必ずやあの怪物を倒せ」


栞「ちょっ…」


ウェイバー「重ねて令呪をもって命ずる」


ウェイバー「ライダーよ、必ずやあの怪物を倒せ」


栞「待って」


ウェイバー「さらに重ねて、令呪で命ずる」


ウェイバー「ライダーよ、必ずやあの怪物を倒せ」


ウェイバー「失敗なんて許さない」


栞「あっ、身体が勝手に…」


………………


…………


……

[キャスター厨房]


モルガナ「…おや?」パァァ


龍之介「あれ?なんか姉御の身体半透明になってない?」


モルガナ「どうやらこの世界にいられる時間も残り僅かなようですね」


龍之介「マジかよ!」


モルガナ「では最後に一言」


モルガナ「良く聞いてくださいね龍之介」


龍之介「うん聞く!めっちゃ聞くよ!」


モルガナ「ステビア、アステルパーム、 アセスルファムKは脂肪と糖の敵です」


モルガナ「必ず滅ぼすように…」


フッ…


龍之介「姉御ー!」


………………


…………


[礼拝堂]


切嗣「…はっ!」パチッ


アイリ「…大丈夫?」


アイリ「召還の準備をしてる途中にふらついたみたいだけど…」


切嗣「ああ、大丈夫だよアイリ」


切嗣「ただ…とても長い悪夢を見ていたような気がしてね」


アイリ「悪夢…?」


切嗣「ああ、僕が堅物で少女なセイバーを召還してしまう夢だ」


切嗣「とてもやりづらかった」


アイリ「それは災難だったわね…」


切嗣「…よし、じゃあ気を取り直して召還の準備を続けよう」


~中略~


切嗣「…抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ!」


パァァァ…

「…」


アイリ「…!」


切嗣「こいつは…!」


「…」ムクリ


切嗣「…」


セイバー「…問おう、貴方が私のマスターか?」


切嗣「…」


セイバー「…」


切嗣「…」


セイバー「…?」


切嗣「…」


切嗣(舌打ち)「…チッ」


セイバー「!?」


END

コスイベのノリ


ここまで読んでいただきありがとうございますm(_ _)m


アニメしか見てないですが、FateはUBWよりアポクリファよりzeroが好き

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