ガヴリール「ヴィーネ、宿題見せて!」ヴィーネ「イヤよ」 (27)

ガヴリール「えぇっ!? せっかく重い腰を上げてヴィーネの家まで来たんだぞ!」

ヴィーネ「そんなこと言われても…だって、今日は8月25日よ?夏休みはまだ残ってるでしょ」

ガヴリール「それが明後日から大事な用があってさ」

ヴィーネ「大事な用? あ、もしかして天界帰りとか?それなら少しだけなら――」

ガヴリール「いや、ネトゲのイベント」

ヴィーネ「全部自分でやりなさい」

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ヴィーネ「ほら、教えてあげるから座って」

ガヴリール「えー……仕方ない、今回はそれで手を打とう」

ヴィーネ「何様なのよ……」

ガヴリール「あ、さっそく聞きたいことがあるんだけど」

ヴィーネ「どこどこ?」

ガヴリール「書くものを忘れた場合はどうすればいい?」

ヴィーネ「素直に貸してって言いなさいよ」

ヴィーネ「宿題どれくらい残ってるの?」

ガヴリール「どれくらい……?何言ってんの?」

ヴィーネ「…………まさか」

ガヴリール「うん、全部」ドサッ

ヴィーネ「……まあ、ガヴだしね…」

ガヴリール「おいおい、失礼だな」

ヴィーネ「事実を言ったまでよ……しょうがないわね、まず何からやる?」

ガヴリール「ゲーム」

ヴィーネ「宿題の中で!」

ガヴリール「数学かなー」パラ

ガヴリール「どこまでやったっけ……あ、どこまでもやってなかったわ、てへ」

ヴィーネ「そういうのいいから」

ガヴリール「んー……」

ガヴリール「…………」カキカキ

ガヴリール「ヴィーネ、ここどうやるの?」

ヴィーネ「どれ?」

ガヴリール「ん」トントン

ヴィーネ「あぁ、それは簡単よ、こっちで出たのをそのまま持ってきて…」

ガヴリール「持ってきて……でもこれ違くない?」

ヴィーネ「だからそれを…」

ガヴリール「あー分かった、なるほど」カキカキ

ヴィーネ「……あんた、地頭はいいのにもったいないわよね」

ガヴリール「何が? 別にそんな成績悪くないじゃん」

ヴィーネ「いや……やる気出せばもっと点数取れそうなのに…」

ガヴリール「私がこんなことでやる気出すと思うか?」

ヴィーネ「思わないけど」

ガヴリール「そういう事だよ」

ヴィーネ「清々しいほどの開き直りね…」

ヴィーネ「でも天使としては成績良くないじゃない」

ガヴリール「お前も悪魔としては駄目だろ」

ヴィーネ「わ、私は……! 私はちゃんと努力してますので!」

ガヴリール「なんで敬語だよ」

ヴィーネ「ガヴもちょっとは天使らしくしようとか――」

ガヴリール「わーシャーペンの芯が折れたー」ポキッ

ヴィーネ「誤魔化さないの!」

ガヴリール「でも私だって天使らしい行動を全くしてないってわけじゃないぞ」

ヴィーネ「何をしたのよ?」

ガヴリール「……ゴミを家から出さないことで世界を綺麗に――」

ヴィーネ「なってない!あんたの部屋が汚くなってるだけよ!」

ガヴリール「じゃあヴィーネは何か悪魔らしい行動してるの?」

ヴィーネ「し、してるわよ!この前なんて制服を着崩しちゃったんだから!」

ガヴリール「なんだそれ……私休んでたのか知らないけど、どんなんだったの?」

ヴィーネ「えっ?いたわよ?」

ガヴリール「……じゃあ着崩せてないな、気付かなかったし」

ヴィーネ「わ、悪いことできてない!?」

ガヴリール「できてない」

ヴィーネ「うぅ……そうかー……」

ガヴリール「……まあそんな気落とすなよ、ヴィーネは優しくていいところいっぱいあるからさ、まるで天使みたいだよ」

ヴィーネ「褒められてるのに複雑な気持ちよ!わざと言ってるでしょ!」

ヴィーネ「ああ、確かにそれやった時も仕送りは増えてなかったわね…」ズーン

ガヴリール「でしょ?できてないって」

ヴィーネ「どうしたらいいのかしら……ガヴ!教えて!」ガシッ

ガヴリール「だから天使に聞くなよ…」

ヴィーネ「だって!ラフィに相談したらくまの着ぐるみ着せられたりサターニャのモノマネさせられたりしたし!」

ガヴリール「何してんだあいつ…」

ヴィーネ「とにかく、マトモな答えを出してくれそうな人があまりいないのよ!」

ガヴリール「私だってろくな事言わないぞ」

ヴィーネ「ガヴだったら悪いこととか分かると思って…」

ガヴリール「おい」

ガヴリール「じゃあ私の生活を真似すれば……って言いたいところだけど、ヴィーネには宿題をやってもらわないと困るからな」

ヴィーネ「自分でやりなさいよ……それに、ガヴの生活なんて真似したら……」

ガヴリール「……真似したら?」

ヴィーネ「真似したら……」

ヴィーネ「堕天、しちゃうわよ……」

ガヴリール「お前元から悪魔だろ!」

ヴィーネ「どうしたら悪魔らしくなれるのかなぁ……」

ガヴリール「……あ」

ガヴリール「ねえ、ヴィーネって悪魔じゃん」

ヴィーネ「? そうだけど…」

ガヴリール「でも悪いことができないと」

ヴィーネ「そ、そうね…」ズーン

ガヴリール「でもさ、『悪魔なのに悪いことをしない』っていう悪いことはできてない?」

ヴィーネ「……た、確かに!」

ヴィーネ「………………」

ヴィーネ「……いやいやいや!!」

ガヴリール「え、ダメ?」

ヴィーネ「何も解決してないわよ!」

ヴィーネ「もういいわよこの話は……私の心が抉られていくだけだわ…」

ガヴリール「そう? ……ところでさ」

ヴィーネ「ん、何?」

ガヴリール「今話してる間1ページも進めてない」

ヴィーネ「堂々と言うことか!ちゃんとやりなさいよ!」

ガヴリール「へーい」カキカキ


~数時間後~

ヴィーネ「そこそこ進んだんじゃない?」

ガヴリール「ちょっとは進んだけどさー……終わらないだろこれ…」

ヴィーネ「終わるかどうかじゃない、終わらせるのよ」

ガヴリール「マジっすかヴィーネ先生」

ヴィーネ「まあ、頑張った形跡があれば最後の日にでも見せてあげるから……もう夜だし、今日泊まってくわよね?」

ガヴリール「夕飯はまかせた」

ヴィーネ「なんでもいい?」

ガヴリール「美味しいのを頼む」

ヴィーネ「はいはい」

ヴィーネ「……~♪」トントン

ガヴリール「………」カキカキ

ガヴリール「………ねえヴィーネ」

ヴィーネ「ん?どうしたの?」

ガヴリール「携帯覗いていい?」

ヴィーネ「……いや、特に変なものは入ってないけど…」

ガヴリール「好きな人へのポエム書き溜めてるとかないの?」

ヴィーネ「ないわよ!私に何を求めてるのよ!」

ガヴリール「じゃあいいや」

ヴィーネ「あんたね…」

ヴィーネ「そういうガヴは触られても大丈夫なの?」

ガヴリール「私は嫌だ」

ヴィーネ「他人のは見たがるのに…」

ガヴリール「でもちゃんと聞いたじゃん?サターニャとか問答無用で見てきそうだから怖いよな、まあ見たら殺すけど」

ヴィーネ「サターニャ、気をつけてね…」

ヴィーネ「っていうかまた手止めてるでしょ、そんなんじゃ終わらないわよ?」

ガヴリール「だってなんかやる気出ないんだよ……夏だし」

ヴィーネ「いつもでしょあんたは」

ガヴリール「まあねー」

ヴィーネ「まあねーじゃないわよ……」

ガヴリール「んー……」カキカキ

ガヴリール「あれ?違うな……なんだこれ、問題がおかしいんじゃないか」

ガヴリール「……」カキカキ

ガヴリール「…………」

ガヴリール「……あー……だりー…」グデー

ヴィーネ「ダメ人間か!」

ガヴリール「天使だけど?」

ヴィーネ「天使に見えないわよ……」

ガヴリール「いやいや私は天使だよ、その証拠にほら」ズズズ…

ヴィーネ「輪っか真っ黒なんだけど!この会話前もしたわよね!?」

ガヴリール「えー」

ヴィーネ「んーと……」カチッ

ヴィーネ「……」パク

ヴィーネ「……うん!」

ヴィーネ「ガヴ、そろそろご飯できるわよー?」

ガヴリール「何その言い方、お母さんかよ」

ヴィーネ「……私がお母さんなんじゃなくてガヴが子供なんじゃない?」

ガヴリール「子供だから宿題やらなくていいよね?」

ヴィーネ「子供なら余計やらなきゃダメでしょ!」

~~~~~~~

ガヴリール「はー食った食った……デザートある?」

ヴィーネ「ないわよ……」

ガヴリール「ちぇー」

ヴィーネ「ガヴはこれから宿題の続きする?」

ガヴリール「えー……まだやんの?」

ヴィーネ「まあ大変だろうけど、ツケが回ってきたってやつよ……それとも先にお風呂入る?」

ガヴリール「あー、そうするー」

~お風呂~

ガヴリール「ふー……」チャポン

ヴィーネ『ガヴー?』

ガヴリール「んー?」

ヴィーネ『脱いだの洗っちゃっていいわよね?』

ガヴリール「着替えとかないけど」

ヴィーネ『私の着る?』

ガヴリール「あーうん、じゃあそうする」

ヴィーネ『……ガヴー?』

ガヴリール「なに?」

ヴィーネ『下着も洗って大丈夫なの?』

ガヴリール「え?あー……確か前泊まった時置いてったのなかったっけ」

ヴィーネ『あったわね、じゃあ洗っちゃうわよ』

ガヴリール「へーい」

ヴィーネ『…………』

ヴィーネ『ガヴー?』

ガヴリール「もうなんでもいいから!ゆっくり入らせて!」

~~~~~~~~

ガヴリール「あー、さっぱりした」

ヴィーネ「さて、じゃあ続きやるわよ」

ガヴリール「えー……」

ヴィーネ「えーじゃないわよ、ほら」

ガヴリール「もう疲れたんだけどー……ヴィーネだって教えるの疲れるでしょ」

ヴィーネ「そりゃ疲れるけど仕方ないでしょ、そこを気遣ってくれるなら最初から宿題やりなさい」

ガヴリール「それは無理な話だな」

ヴィーネ「どこがよ」

ヴィーネ「まあそろそろ寝る時間だし、今日のところは終わりにしましょうか」

ガヴリール「やった!」

ヴィーネ「ただし、ちゃんと寝なきゃダメよ?生活リズム崩しちゃ」

ガヴリール「ああ、それに関しては大丈夫」

ヴィーネ「本当?」

ガヴリール「昨日めちゃくちゃ変な時間に寝起きしてたから今眠い」

ヴィーネ「それを大丈夫とは言わないわよ…」

ガヴリール「じゃあおやすみー」

ヴィーネ「おやすみー……明日は早く起きるのよ?」

ガヴリール「え、早く起きる必要ないでしょ」

ヴィーネ「生活リズム直さなきゃ休み明け大変だし……それに」

ガヴリール「それに?」

ヴィーネ「明日は宿題地獄が待ってるからね」

ガヴリール「えっ!?」

ガヴリール「きょ、今日頑張ったし明日は休憩で…」

ヴィーネ「何言ってるのよ、明後日からイベントがあるんでしょ?」

ガヴリール「いやそうだけど…」

ヴィーネ「頑張った跡があれば見せる、って言ったけど……頑張ったって、ちょっとやったくらいのことじゃないわよ」ギラッ

ガヴリール「ひっ!?」ゾッ

ヴィーネ「本気で終わらす気で……」

ヴィーネ「や・る・の・よ?」ゴゴゴ…

ガヴリール「…………」

ガヴリール「…………」

ガヴリール「……すー、む、むにゃむにゃ……?」

ヴィーネ「寝たふりやめろ!!」


おわり

見てくれた方いたらありがとうございました
>>8の「堕天」はガヴが「堕天ってなんかカッコいいしやってみようかな~」って言ってた時と同じ堕天なので間違ってないと思います、と一応

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