幽霊を撃退した (74)

妻は平成元年一月七日、昭和天皇が崩御有らせられたのと同じ日になくなりました。

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その年は、妻の病状の悪化により年賀状の自粛をお送りしていましたがそれに加え陛下の病状からの自粛ムードが年末から漂っておりました。

それでも、結局は届くもので2,3枚のはがきが正月には届けられました。

陛下に遅れて23時に水を飲んでから亡くなりました。まだ、まだ39歳だったのです。

子供たちは来年度から高校で、母を亡くすことになったのです。

悲しいことに年末に準備を済ませていたこともあって数時間後には葬式の段取りもできてしまいました。

そのころはまだ黒電話でした。
何時間も何時間も親戚たちに葬式の電話を出しました。

あっけないほど早く葬式は終わり、気づいたら妻は両手分の骨粉に成り果てておりました。

時がたち、

子供達は地元の大学に進学しました。

そのころには私は42で、独り暮らしするには早すぎるというものです。

私は家を売り、子供たちに生前の内に渡して隠居でもしていようと思っておりました。

95年1月17日のことです。

私は仕事で福島におりました。
朝のホテルのラジオで、惨状を知った次第です。

高速神戸線が高架から倒れたと知り驚きを隠せませんでした。

途中で車を捨て、徒歩で子供の下宿先へ向かいました。

ダメでした。

葬式すら挙げられず共同祭で終わってしまったのです。

50になり、私は早期退職しました。

子供を失ってから周囲から「やる気を失った」と言われ続けた末の退職でした。

退職して周囲をきれいにした後、一度妻の実家に訪れました。

妻の部屋に綺麗な白い水仙の絵と、大きな建物の絵が飾っておりました。

そのとき知りました。妻が元美術部でいろんな絵を描いていたことを。

決めました。あの絵を再現してやろう
あの二つの絵を合わして再現してやろう。

そして02年の二月からその夢をかなえることになりました。

広い庭一面に水仙の咲き誇る一棟のアパートです。

ほんこわこわいまじむりCM中

早速いろんな人が訪ねてきていて、4部屋全てがすぐ埋まりました。

若い学生と、若い夫婦と、中年女性とじい様です。

私は、満足でした。妻の墓には相変わらず毎日通っておりましたが
いろんな人と、会社とは、社会とは違う距離で接するようになり変わったのです。

ある日、学生が落ち込んでいたのです。

私は自分の部屋に彼を連れ、うまいもんを食べさせながら何があったのか聞いたのです。

彼は何も語らず、あまり食べずに自分の部屋に戻っていきました。
私は、いつでも助けになってやると最後に彼の背中に言いました。

04年の10月、彼は自殺しました。

学校から週明けに学校に来ないといわれ、
彼の部屋の戸を叩きました。

首を吊った彼を見つけた時、涙が出てきました。
無力さと、
悲しみと、
彼への憎しみで。

私は別に鬼ではございません。
ただ、妻の絵と共に生きる私をさらに穢すのかと、心の隅で思ったのです。

しかし、それからでした。


私の怒りすらも。

05年の1月に次の方が決まりました。
格安に惹かれたと男が語りました。

>>14-15の間に
「私は車で10時間飛ばしました」の一文入れるべきですね。すいません。

2月には青ざめた顔で引っ越していきました。

糞ッタレ、お前はまだ穢すつもりなのか?

そのまま新年度に合わせてすぐ次の人が決まりました。
私としては封鎖でもしてやろうかと思っていましたが心霊物件なんのそのの人も結構いるのだな、と思いました。

5月、隣の夫妻が私に話を持ちかけました。

音がする
夜中に音がする
何かつぶやいているんだ
彼女はおかしい
この前の人もそうだ
私達までおかしくなりそうだ

私は彼女の部屋に入りました。

午後七時彼女に通達した時刻に訪問しました。

暗い部屋の中、独りでぶつぶつつぶやいておりました。

彼女を私の部屋で横にさせ、医者が鎮静剤をうちました。

もう許せない

何様のつもりだ?

人がわざわざ気を使ってやってもお前は自分で断ったよな?

それなのに自殺してあまつさえ無関係な人間に迷惑かけるだと?

私は部屋「白」に乗り込みました。

深夜二時だったか
彼が現れました。

殺してやろ
殺してやろ
お前を殺してやろ
なあ?なあ?
お前を殺してやろ

殺すだと?
ふざけるな若造が。

なんだ?おい。
お前は自分で助けを拒んだよな。

なんでお前はそんなことしてんだよ。
お前は所詮心の底から恨んでないんだよ。

お前は不良と同じだクソガキが。
周囲の手を振り払って周りに迷惑かけて!

何かを心の底から恨むやつが自殺するわけねえんだよ。
女無くして子供無くしてじゃあ自分もしんだろってか?
ふざけやがってふざけやがってふざけやがって。

気づいたら、夜が明けておりました。

私は彼の実家と連絡を取り、彼の墓を教えてもらいました。

その日、私は真夜中に彼の部屋に向かいました。

お前が出続けるなら、お前に地獄をみせたろ

なあ

なあ

今更逃げるなよ?

彼に一言伝えてから、彼の墓に向かいます。



スコップを持って。

彼の墓についた私は、スコップを思い切り振り下ろしました。
花崗岩が周囲に飛び散ります。

なああああ???随分と脆いじゃぁあああないか????
お前は中国産の安物のの石つかまされたんだよヨヨヨ

お前の親はバカだなぁああああああ

墓石を完全に破壊したあと、彼の骨壺を崖から投げました。

無様だなと笑いながら私は帰路に就いたのです。

アパートについて、彼に一言告げてから彼の部屋で一泊しました。

次はお前の親の番だ。と

異常です。主にスレ立て時の精神状態が。

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