女「私はこの世界をクズだと思っている」 (93)

男「はぁ……今日から始業式か」

男「二年生になってもぼっちなんだろうなぁ……」

男「まぁ気楽でいいけど」

男「みんな歩きスマホして登校してる……。まぁ僕も本読みながら登校してるし人のこと言えないけど……」

女教師「こら!歩き通学中の携帯電話は禁止よ!」

男「やべ……本隠さないと……」



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遅筆ですが、書きたい欲あったので投稿します。

ゆっくり付き合い頂ければ。

ガラガラ

クラスメイト達「ざわざわ……」

女子生徒「春休みにさぁ~、イケメン君に告られてさぁ~」

男子生徒「えぇー!まじかよお前、あいつと別れたのかよー!」

男「……」

(退屈だなぁ……。寝たふりしよ)



ピンポンパンポーン

スピーカー『全校生徒は、始業式を始めますので体育館に集合してください』

ざわざわ……ざわざわ……

男(……一番最後に出よ)

―――体育館

ざわざわざわざわ…………

学年主任「始業式を始めるので静かにしなさい」

男(うるさいなもう……早く静かにしろよ……)

ざわ……

キイィィーン ゴゴッ

校長「ん゛ん゛っ……皆さんおはようございます」

男(この時間に何の意味があるんだよ全く……)


校長「であるからして、今後も我が校の生徒として慎みのある―――云々」

男(ふぁぁー、眠。早くおわんないかな)

学年主任「えー、では各担任の教師を紹介します」

男(あー、帰ったら昨日買った小説読もう)

学年主任「それでは、各クラスにクラス分けが表示されてますので、1組から順に退館してください」

ざわざわ……


―――教室

ざわわ……ざわわ……



男(プリント貼ってあるけど、人多すぎるな)


野球部男子「やったぁ!!同じクラスじゃん!」


ケバい女子「えー、ブス美と離れるの嫌だよぉ~」


ざわざわ……


男(まだ20分もあるな……)


男(ひと段落着いてから確認するか……)


スタスタ……。


男「どうせ早く行っても一人で狸寝入りをする羽目になるだけだろ。自動販売機いこ」




シーン……

男「さすがに誰もいないな」


男「まぁ、みんなクラス替えで忙しいだろうし」

ピッ ガコン


男「ふぅ。やっぱ静かだと落ち着くなぁ」


男(いつか就職して、めんどくさい人付き合いもしなくちゃいけないことを考えると……こんな時間は今しかないのだろうか)


男「んっ?」


パタッ……パタッ……


男「あー、めんどくせ。もう誰か来た……」


女「……」




男(赤色のネクタイ……同学年か。クラス分けの答え合わせが終わったのかな……だとしたらぼちぼち人増えそうだし、戻るか……)

ピッ ガコン

男「……」

スタスタ……

女「……?」

女「おい、君」

男「……?」

男(うわぁ、話しかけられた……めんどくさい。しかも何だよこの子、頬にガーゼ当ててるし。怪我してんのかよ)

女「ちょっと待ってくれ」

男(かかわりたくないな……)



男「なんだろう。僕はまだ今年度の配属先のクラスも確認していないから、教室に戻って確認するところなんだけれど」

女「……いや、すまない。別に君に絡むつもりはないのだけど、なんだ。君、お釣りを忘れているようだったから」

男「お釣り?」

チャリッ

女「今年度から缶コーヒーは百十円に値下げされてるようだ。私も引っかかってしまった。私は百二十円しか入れてないから、二枚のうち一枚はきっと君の物だろう」

男「律儀な奴だな。十円くらい、大体のやつなら気にせずポケットにしまってしまうものだと思うけど」

女「何を言う!一円に泣くものは何だと言う言葉があるくらいだ。親から金を貰っているうちは、例え一円でも大切にするのが道理だ」

男(なんだ、ちょっといいやつじゃん。話し方変だけど)

男「成程、正論だよ。ありがとう、恩にきるよ」

女「あぁ、呼び止めてすまなかったな」

スタスタ……

男「今年も3組か……」


男「三年生は一階だから楽だな」


男「担任も同じみたいだし、気が楽だな」


ガラッ


ざわざわざわ……


男(やっぱうるせえな……)


男(僕の席は……前の方か)

設定ミス

>>1

二年生じゃなくて三年生

申し訳ない



男「ふぅ……」


男(勉強道具全部しまっとこ)


キーンコーンカーンコーン

ガラッ

担任「はいみなさん、チャイムが鳴ったので席についてくださいね」


担任「今年度も三組の担任をすることになりました。みなさんよろしくお願いします。それでは、新しいクラスになって沢山思うところもあると思いますが、先ずは出席を取っていきたいと思います。元気よく返事してくださいね!」


担任「男君!」


男「はい」


ガヤガヤ……


男(今日すごくいい天気だなぁ)


男(外でゆっくり本を読みたいけど……流石に今日はダメかな)


担任「―――さん!……あれ?女さん、欠席かしら?」


気怠げな男子生徒「先生、女さんさっき保健室に行くの見たよ」


担任「そう、登校はしているのね。後で連絡しておかなくちゃね」


男(さっきの女子生徒かな……保健室行ってたっぽいし)




担任「―――それでは年間の行事予定表が配られたら、春休みの課題を回収します!それで今日の始業式は終わりです」

キーンコーンカーンコーン

担任「それでは皆さん、明日から入学式までは通常通りの授業になりますので、時間割をよく確認してくださいね。これから卒業まで、よろしくお願いします!」

男(ふぅ……)

ざわざわ……

男(あと一年、なんとなく過ごせば高校生活も終わりか……それにしても、先生は若いから人気があるな。どうでもいいけど)

チラッ

チャラ男「今年先生が担任でマジラッキーなんですけどwwwほんとマジ俺本気だそっかなwww」

担任「はいはい、ならいつもより勉強していい大学入ってくれると先生嬉しいなー」

パチッ

男(あ、やべ……目があった)




担任「チャラ男くん、その前に遅刻減らさなきゃダメよ!明日もちゃんと来なさいね!」


チャラ男「ウィッスwwちーっすww」

スタスタ

男(あ、こっちくる。めんどくさい)


担任「男君、今年もよろしくね」


男「えぇ、よろしくお願いします。僕に何か用事がありましたか?」


担任「ええ、大した用事じゃないんだけどね」


担任「女さんの分のプリントを帰り際に、保健室に届けてくれないかしら?」


男(何で僕が……今話してたチャラ男に頼めよ……)


担任「本当は今日はダメだけど、屋上の鍵、申請してたことにしてあげるから。ねっ?」


僕「……わかりました。後で鍵、取りに行きます」




男『説明しよう。我が校の屋上は任意的に開放して良いことになっている。
理由は様々だが、部活の練習であったり、文化祭の練習であったり、その他学校生活に必要な場合は、申請さえ出せば自由に開放できる。
しかし、これは模範的な生徒であることが前提条件で、通常一人では鍵を貸し出しすることはできない。と、生徒手帳には記入されているのだが。
そこら辺のルールは、経年によってなんとなく緩和されていき、むしろ視聴覚室や武道場、モニタールームなど普段授業や部活で使用されない部屋が増えていくうちに、その規律すら忘れられていき、今では屋上を開放する規律など誰も必要としていない。
そこに目をつけた僕は、駄目元で放課後の開放を申請してみたところ、すんなりと許可をもらえるようになったので、特に用事がない晴れの日などは、静かな屋上で読書をするようになった。
風を感じる校舎での読書は、僕の数少ない楽しみである。』




男(流石に始業式の日までは、と思っていたが、今日はかなりいい天気だし、気温も暖かくなって来た頃だ。)


男(家に帰っても誰もいないし、昼食も外で済ますように言われてるし、売店で昼食を買って本の続きを読むのも良いかもしれない)



僕(女さんとやらに受け渡すプリントは、もう使っていないクリアファイルにまとめといてやるか。これごと彼女に渡せばそれで任務は簡単に達成だ)



―――校舎


ガヤガヤ……


男「始業式なのに結構人いるな」


男「それもそうか。半数以上は部活動してるもんな」


ざわわ……ざわわ……ざわわ……

男「げっ、売店も行列出来てるよ」


男「後でよる時にはまともなもん残ってないな……」

―――保健室

ガラッ

男「三年の男です。クラスメイトのプリントを持って来たんですけど」


(保健医の女性は、眼鏡を少し下げながらこちらを見る。まだ初老のようだが、どうやらすでに老眼らしい)

保健医「あぁ、女ちゃんのクラスメイトね。この娘、まだ寝てるみたいだから先生が預かっておくわ」



男(任務完了だ)


男「それじゃ、失礼します」

ガラッ


男(教室からは僕の方が先に出たので、多分先生はしばらく職員室には戻らないだろう)


男(昼食の調達を済ませるか)


―――売店
男「人結構減ってる。よかった」


おばちゃん「いらっしゃい。もうあんま残ってないよぉ~」


男「……やっぱりか……」


男(袋詰めのスティックパンとラスクしかない……)


男「まぁ、仕方ないか……これとカフェオレください」


おばちゃん「はいよ、358円ね」


男(むしろこれだと、本を汚す心配もないのでちょうど良いかも)


男(職員室行くか……)


スタスタ……

担任「あら男くん。書類は届けてくれたかしら?」

男(先生、ちょうど戻るところだったのか)

男「はい。女さんは寝ているようでしたけど」

担任「あら、それは残念ね」

男(馬鹿な。好都合だよ)

男「そう言えばちょうど僕も職員室に行こうとしていたところです。鍵をお借りしたいので」

担任「あはは、相変わらず固いわね、男くん」

担任「一緒に職員室行こっか」


担任「女さんね、君と同じで周りに馴染めないんだって」


担任「一年生の時に編入して来たらしいんだけど、それから周りと打ち解けないまま過ごして来たみたいで」


男「僕の場合は自己責任ですよ」


担任「あはは、そうだね。でもまぁ、私が今年受け持つようになって、少しでも何か変われば良いなと思ってるんだけどねぇ」


男「それで、同じ境遇の僕に渡しに行かせたわけですか」


担任「あら、バレちゃった?」


担任「まぁでも、少しずつでも変わって欲しいなぁ」


僕「多分余計なお世話だと思いますよ。僕も彼女も」


担任「えー、そうかなぁ」



職員室

担任「申請書は私が提出しておくから、いつも通り気が済んだら返しに来てね」


男「えぇ。ありがたくお借りします」


(校内はすっかり静けさを取り戻している。

帰宅部の生徒たちはもう学校を出ているようで、部活動に励む生徒も今は昼食をとっているようだ。)


(少し気の早い運動部員が準備運動を始めている。

こんな光景を見ると、ふと思いつくことがある。

『この日常は、くだらなく平和だ』

平和に日々が過ぎて行くことは素晴らしいことなのだろうが、

日常に刺激がなくては生きてる意味を問うこともある。)

(だから、他の生徒たちは暇を見つけてはゲームセンターやカラオケに行くのだろうし、僕だってこうやって屋上へ本を読みに行くのだろう。

日常の中にあるちょっとした非日常感を求めて。)


(平常運転する日常は、きっとそれだけで退屈なのだ。)


屋上

ガチャッ

―――ヒュオッ

男「っ……」


男「はぁ……風気持ちいいなぁ」


男「……気温もいい感じだな」


男「日陰は……あったあった。あそこに座るか………よいしょっと」

ガサガサ


男「昨日買った新人作家の本、いいとこでとまってたんだよな。こっちから読むか」





男「……」

(主人公が、夕焼けをバックに、ヒロインに作品のタイトルになっている言葉を告げるところだった。
恐らくここが、この本の一番の見どころなのだろう。)


男「……」

―――ガサガサ


男「ふぅ……ん、パンもラスクももうないや……」

パタッ

男「しかし、またいい作品に出会えたなぁ」


男「まだ30分しか経ってないや」


男「ゴミは袋にまとめておいて……」


男「もう一冊読むか……ガリレオも買ったし」



男「…………」


男(ダメだ、さっきの作品のインパクトが強くて頭に入ってこない)


男(ガリレオは毎度読んでるから……新鮮味はないし)


男(それに昨日少し夜更かししたから眠い……)


男「ダメだ、寝よう」

ガサゴソ

男「zzz……」


ソヨソヨ……
ビュォッ………パチッ

男「んん……」

チラッ

携帯『16時44分』

男「え……やばっ!」

男「どうやら熟睡してしまったようだな……。はぁ……」

男「んんっ、ふぁあ……。まぁ焦っても仕方ないか。それより……」

男「綺麗な夕日だなぁ。風情があっていいや」



男「さっきの小説も、クライマックスのシーンじゃやけに夕焼けが印象的だったなぁ」

男「フェンスが邪魔でよく見えないな。潜ってみるか。向こうに柵もあるし大丈夫だろう」

ごそごそ

男「やっぱり綺麗だ……」

風「ビュォッ」

僕「風も気持ちいいなぁ……」

?「おい、君!」

僕「……?あ、君は」

女「そんなところで何をしているのだ!」

僕(どうしたんだ?そんなに焦って……)



女「はっ……いや、すまない。君を驚かせるつもりはなかったのだ。しかし、少し一緒に考え直さないか」

男(さっきはボサボサだったけど、実は長くて綺麗な髪をしてるな。よくみると結構可愛らしい……)

男(ガーゼ当ててる頬が気になるけど……いや待て、そんなことよりもしかして……)

男「あの、女さん……だっけ?君は多分……」

女「少し私の話を聞いてくれ、クラスメイトくん」

男(いや、まずお前が人の話を聞け)


女「私はこの世界をクズと思っている」





男「……えっ?」






女「君の思うように、生きる価値もない世界かもしれない。何の罪もない人が虐げられ、罪を犯したものがのうのうと生き永らえて甘い汁を吸う。そのような世界だ、くだらん」


女「だからこそ私は、むしろ生きてやろうと思っている。この救いようのないクソみたいな世界にある、救いようのある何かを掴むために、生きてやろうと思うのだ!」



男「クックッ……」

女「な、何が可笑しい!」

男「ハッハッハッハッ!」

女「なっ……///笑うのをやめろっ!」

男「あー、可笑しい」

女「な、何だ君は、生意気だぞ!今にも死のうとしている分際で!」

男「ははっ、全くやめてくれよ。僕はここで夕日を見てただけだ」

女「何だと!」カァー///


男「あー、こんな面白い事も、現実にあるもんなんだね。それで女さん、こんな時間に、どうしてこんな所にいるんだろう?」

女「あぁっ、そうだ。私は君に用事があったんだった。保健室にプリントを届けてくれたのは君だろう?担任の先生に挨拶に伺った時、ついでに君がここにいることを聞いたのだ」

男「それで、わざわざお礼を言いに来てくれたわけか。お釣りのことといい、本当に律儀な奴だな君は」

女「あぁ、やはりあれは君だったのか。通りで見覚えがあると思ったのだ」

男(気づいてなかったのか)


女「あーいや、お礼を兼ねてももちろんそうなのだが。ほら、君ファイルごと私にくれただろう」

男「あぁ、それはもう使っていないものだから、必要なければ処分してくれて構わないのだけれど」

男(何だ、そんなことか。本当にどこまでも律儀な奴だ)

女「ニヤリ……」

男「……?」

女「”まるでステンドグラスみたいだ”」

男「????」

女「”割れる瞬間の方が綺麗に見えるなんてさ”」


男(何だか聞き覚えがあるような……いや、正確には見覚えか?……そういえば、あのクリアファイルはいつの……ハッ!)

男「返せ」

女「さぁ、どうしたものかな」

ズリズリ

(フェンスから出る。)

男「返せ」

女「冗談だ、勿論返すよ。君のものだしな。プリントも助かった、礼を言う」


女「しかし、蒸し返すようだが、純粋に良い詩だった。私は好きだ。他にはないのか?」

男「作家になるのは諦めているけど、詩ならどうかと一度書いてみただけだよ。残念ながら後にも先にもこれっきりだ」

女「そうか、残念だな」

男「まぁ、お互い恥ずかしいものを見られたってことで。痛み分けで頼むよ」

ガサゴソ
(鞄にしまう)

男「さぁ、日も暮れたし、そろそろ先生に鍵を返しに行かなくちゃ」

女「職員室までお伴しよう」


屋上扉前

ガチャガチャ

男「これでよし」

ヒョコッ
女「あれ、その南京錠は閉めなくても良いのか?」

男「うん、これは巻いているだけなんだ」

男(女さん、初めて気づいたけど案外背が低いな。僕だって、男子の中では少し背の低い方だけど……それでも10センチ以上差があるぞ……)

女「そういえば、君の名前は男と言うそうだな」

男「うん、先生に聞いたのかい?」

女「ああ、良い名前だなっ」

男(なんで上から目線なんだよ……まぁいいけど)

女「ときに、男」

男(偉そうな話し方をする上に、呼び捨てかよ)

女「男は、放課後はいつも屋上にいるのか?」

男「いつもじゃないけど、天気が良くて、放課後にすることがない日は大体いるよ」

女「そうなのか。屋上で一人きりとは、健全な男子高校生たるもの、もっと楽しい放課後を過ごしてはどうだ?」

男「放課後まで保健室で寝て過ごす奴に言われる覚えはないな。」


男「それに、僕は屋上で一人きりで本を読むのが楽しみなんだ。充分楽しい放課後を過ごしているよ」

女「おぉ、男は活字を嗜むのか」

男(先生は、こいつ友達いないって言ってたのに……なんでこんな人懐こいんだよ。めんどくさい)

男「……あぁ、そういえば、ずっと気になって居たんだけど、女さんってどうしてそんな、侍のような話し方をするんだ?」

女「いやぁ、これには深くはなくとも、恥ずかしい訳があるのだが」

女「私の父方は、実は由緒正しい貴族の血が流れて居てな」

女「そして、私の父自身もやり手の青年実業家だったらしく、物心もつかぬ幼い頃は、私の家もそれなりに裕福な家だったと聞いた。私は、そんな父の事を小学生の頃に祖母から聞いて、尊敬していてな」

女「父の娘であることに恥じないよう、規律正しい話し方を、幼いながらに勉強しようとしたのだが」

男(お父さん、もう亡くなってるのか……深くは聞かないでおくか)

女「しかし、私は男のように活字の本を、当時は全く読めなくてな。資料として取り入れるものが、漫画やアニメなどしかなかったのだ」

女「そして、当時は敬語と謙譲語の違いがわからなくてなぁ……。気づいた時にはこのような話し方が定着してしまっていたのだ……にひひ」



女「あぁ、しかし今は違うぞ。変わらず漫画やアニメなども好きだが、活字の本も嗜むようになった。最近では〇〇という新人作家が私の中ではイチオシでな」

男「その人のデビュー作、さっきまで読んでいたよ」

女「ほう、やはり本の見識が広いな。そうかそうか、当然抑えているか。私もあの作品から入ったのだ」

男「三作品出しているみたいだね。まだ読んではないけど、手は出すつもりだよ」

女「そうか、ならば詳しくは言うまいが、他の二作もやはりいい作品だった」

男(こんなに同級生とまともに会話を交わすのは、もしかすれば高校に入ってからは初めてかもしれないな)


職員室

男「失礼します」

担任「あら、男君。今日は随分遅くまでいたのね」

男「えぇ、少し居眠りしてしまいまして」

担任「あら、寝不足は体に毒よ」

女「先生、先程はどうも」

担任「あら、女さん。無事男君と会えたのね。良かったわ」

女「えぇ、おかげさまで、男にも挨拶が出来ました」ピトッ
(腕を組む)

担任「あら、もうそんなにも仲良くなったのね。先生も嬉しいわ」

男(やめろ、仲良くなってない)


担任「二人とも、クラスにも少しずつ馴染めるといいわね」

女「えぇ、ご心配をおかけしますが、一年間よろしくお願いします」

男「それでは失礼します」

担任「えぇ、また明日ね」



男「それじゃ、また明日」

女「……」テコテコ

男(なんなんだ一体。用事は済んだはずだろうに)

女「男も、クラスに馴染めていないのか?」

男「……別に、僕はあまり人と絡むのが得意じゃないと言うだけだ」

女「ほう、コミュニケーションが苦手という様子は見受けられんが」

男「得意じゃ無いってのは、好きじゃないって意味の方だよ。自分の意思で馴染んでないだけだ。気にするな」

スタスタ……

テコテコ……

男(まだ後ろをついてくる……)


女「健全な男子高生たるもの、友人の一人や二人は残しておかねば、先の未来苦労するというぞ。男にもそういう間柄の人間はいないのか?」

男「いないよ。必要ない」

女「しかしだな」

男「うるさいなぁっ!」


男「僕が可哀想に見えてるなら余計なお世話だ。僕は僕の価値観がある。君のものさしで僕を測るのはやめてくれないか」


男「大体、君の方こそ、保健室に書類を届けてくれるような友達すらいないようじゃないか。先に自分の心配をしたらどうなんだ?」


女「……」ジワッ……

男(しまった、少しきつく言い過ぎた……)



女「仕方ないだろう。皆も私のような気味の悪い女には近づきたいと思わない」

男「…………気味が悪いって、話し方のこと……じゃないんだよな?」

女「……男は、私の噂を知らんのか?」

男「……なるほど、想像はついたよ」

(大方、彼女にはそれなりに深刻なバックグラウンドがあって、きっとそれはあまり気持ちのいいものではないのだろう)

(そして、編入後にどこからかその情報をリークした誰かがその噂を広めて、彼女の居場所を奪ってしまったのだと推察する)

(なんともまぁ、物語で言えば割とありふれた話だ。それでも、そんなことは僕には関係ない。)


男「あのな……。僕は他人のものさしで君を測ることだってしないんだ。僕は僕の価値観でしか他人を見たりしない」


男「噂がなんだか知らないが、僕には関係のないことだし興味もない。それとも、その噂は君にとっても君を測るのに十分な物なのか?」


女「それは……」


男「だったら、君自身がそんなくだらないものさしで君を測ることをやめたらどうなんだ」


男(やめとけよ、柄でもない)


男(他人に興味はないはずのこの僕が、何をどうして他人のことでこんなにも怒っているんだろう……馬鹿みたいだ)




女「男は……いい奴だったんだな」ジワッ

女「ずっ……んなごっ……いわれ……ぅう……」ゴシゴシ……ズビッ

男「……何言ってるかわからないよ」
ハンカチを取り出して渡す。

男「はぁ……他の生徒たちが君に対してどうやって接して来たのか、少しだけわかった気がするよ……」

男「苦労したんだなぁ、君は」

女「ぅう……んっ……皆は悪くないのだ」

男「全く……なんなんだよ、お人好しかよ」


―――下駄箱

女「なぁ、男はどんな音楽を聴くのだ」

男「なんだよ、藪から棒に。さっきまで傷ついて居たんじゃないのか。僕には理由はさっぱりだったけど」

女「まぁ、それはいいじゃないか。で、どんな音楽を聴くのだ」

男「あまり好んで聴かないよ。詳しくも知らない」

女「そうなのかぁ。詩を書くから、音楽を嗜むのかと思ったがなぁ」

男(本当にこいつは……。まぁ仕方ない、確認しなかった僕も悪かった)


ガサゴソ
(靴を履くぼく)
男「じゃあまた明日」

女「……」テコテコ

男(そんなセリフはなかったかのようについてくるぞ……)

女「男の家はどの辺りなのだ?」

男「……K町だよ」

女「おぉ、ならば徒歩通学か!私は、N町なのだ!」

男(隣……最悪だ、帰り道も同じかよ……。)

(ちなみに、うちの高校は通学時間が三十分を下回る生徒は、駐輪場の敷地の関係で駐輪許可が下りないため、徒歩通学を要せられる。)

男「女さん、もしかして僕達は一緒に帰らなきゃいけないのかな」

女「冷たいことを言うなよ、男。わたしは一人で帰るのは退屈だ」

男(帰り道も本来読書の時間なんだけどなぁ。しかも女子生徒と一緒なんて……目立ちたくない)


女「ときに男。男が好んで読む作家を教えてくれないか?私も読書の幅を広げたくてな」

男(質問が多い娘だなぁ)

男「沢山読むから、これって言うのは難しいな。〇〇が好きなら△△なんかも好きなんじゃないか?」

女「おぉ!あの作品は、映画化されたものを見たが、原作はまだ見てないな」

男「他にもミステリーとか、恋愛物があるけど、そこらへんが読みやすいんじゃないか?」

女「恋愛物?男は恋愛物も読むのか」

男「別に、選り好みをしないってだけだよ」

女「ほぉ、そうかそうか。やはり健全な男子高生たるもの、色恋の一つや二つに興味が無ければな!」

男(この娘、もしかして人の話を聞けない病気なのだろうか)



男「そんな女さんは、どんな本を読んでるんだ?」

女「私か?私はそうだなぁ、偏らないように読む努力はしているが、やはり青春ものを好んで読んでいるなぁ。人生の思い出は、やはり青春であると思わないか?」

男(まるで自分はもう通り過ぎたかのような言い方だ)

男「客観視して、『きっと彼らは楽しいんだろうなぁ』とかは思うけどね。自分に置き換えるとどうも、気力を注ぐ気にはなれないな」

女「むむっ……そうか…」

女「男はよく言えば固定概念がなく、悪くいえば無関心と言うような男なのだなぁ」

男「そう言われるとそうかもな。でもただ面倒臭がりなだけだよ。ズボラなんだ、なにに対してもさ」

女「なんと、ズボラはいかんぞ!のちの苦労を生むからな」

男「ははっ、何だよそれ。母親かよ」

女「……!」ジーッ

男「な、なんだよ、顔に何かついてるか?」

女「……」ジーッ

男(なんだか、このまま見つめられるのは少し、と言うかとても気まずい)

女「にひひっ」

女「男は、笑うととてもいい顔をするな。私は笑顔の方が好きだぞ」

男(なんだその、用意されたようなセリフは……)



「青春がつまらない、めんどくさいというならば、私が男を笑顔にしよう。私と男は、今日から友達なのだ、そうだな?」

男「そんな、勝手に決めるなよ。本当に気を使われるのは迷惑だ」

女「気を使っているわけではない、私がそうしたいと思ったから言っているのだ」

女「私が、私の価値観で男という人間に触れて、友達になりたいと思ったのだ。それでも駄目なのか?」


男「……なんだ、まぁ、そこまでいうなら好きにしたらいいよ」

男(本当に、やめとけよ、柄でもない。それに加えて、らしくもない)

(そう思ってしまったのは他でもなく、僕は結局、彼女の言葉が嬉しかったからだった)

ストック切れたのでひとまずここまで。

結構長くなるかもです。

気長になんとか頑張ってかく。よろしく

???数日後。
屋上

男「ふぅ……」

パタッ

男「やはり、件の作家の作品はなかなか面白いな」

男「女さんも進めていたが、やはり二作目も面白かった」

携帯『17時05分』

男「まずい、今日こそ早めに帰らないと……」

ガサゴソ

男「よし、片付けも済んだし帰るとするか」

ガチャ

女「おお、男。遅くなってすまないな。待ったか?」

男「待ってない」

女「そうか、男も今来たところか。なんだ、このようなやり取りは初めての逢引のようでなんだか小恥ずかしいな」
テレッ……///

男「僕は15時過ぎからここにいるよ。そろそろ君が保健室で起きる頃と思って、撒いて帰ろうとしてたところだ」

女「なんだ、そうなのか。しかし男よ、私は昨日たくさん寝たので、早めに起きることができたぞ!よかったな男!」

男「君は人の話を聞かないよね」

女「細かいことは気にするな!」

男(友人宣言されて二週間ほど経つけど、もう7日ほどはこの調子だ……)

期待レスさんくす
泣くほど嬉しい、頑張る


女「ともかく、今日も仲睦まじく一緒に帰ろうではないか、親友っ!」
ムギュー

男(ちょ、当たってる……)

男「女さん……朴念仁のようだとはいえ、僕も健全な高校生男子なんだから……ん?」

女「お、どうした男」

男「女さん、その背中のやつなにそれ」

女「ん?あぁ、これか。これはアコースティックギターだ」

女「男が屋上を開放しているというので、先生にお願いして持って来たのだ。屋上なら気にせず音を出せるだろ」

男「僕が開放してるってことは、僕がいるってことなんだけど」


女「まぁ細かいことは気にするな。どのみち今日は寝過ごしたから、明日にするとしよう」

男「はぁ……。まぁいいけど、楽器やりたいなら軽音部に入れば良いじゃないか」

女「むっ、男は音楽のことをなにもわかっておらんな!」

男「はいはい、わかっておらんよ。聞かないからね」

ガラガラ
職員室

男「鍵返却しに来ました」

学年主任「あぁ、そこかけといて」

男「はい。ありがとうございました。失礼します」

ガラガラ

女「軽音部の連中は、信念がない!やれ、ギターを弾ければ格好いいだの、モテるだのと言いながら、一番女子に受けるようなアーティストの選曲でライブして、群がった女子とまぐわう事しか考えておらん!非常に不純な連中なのだ!」

男(あ、続いてたのかこの話)


男「良いんじゃないのか。その後真剣なら、動機は何でもさ。今活躍してるアーティストだって、動機はそれかもしんないしさ」

女「む……それはそうなのだが……」

男(彼女の言いたいことはわかるが、しかしまぁ、結局世論は経過ではなく、過程ではなく、結果なのだ。)

男(完成した形こそが、完結した答えこそが、正解であり至高であり最高なのだ。)

男(僕らのような単なる一般人が、何を言ったところで、それは揺るがない。変わらない。)

女「そうか、そうだなうん。連中がその後しかと音楽と向き合うというならば、認めてやろうではないか!」

男「ははっ、一体誰目線なんだよそれ」



女「まぁ細かいことは気にするな。つまり私が軽音部に入ることはないということだ」


帰り道

女「男は音楽を聴かんと言ったが、全く嗜んだりしないのか?」


男「そうだな。別に嫌いじゃないけど、本を読むことの方が好きだからね」

女「本を読む時に、音楽流したりしないのか」

男「二つのこと、同時にできるほど器用じゃないよ僕は」

女「???……ふたつのこと?」



男「ほら、歌には当然歌詞があるだろ。聞き取ろうとしてしまうし、意味も考えちゃうんだよ。つまり、歌をBGMに出来ないんだ」

女「………?!なるほど!」

ガシッ
(手を握る)

男「え、なに?」

女「男は、歌を作るものにとって冥利に足りうるリスナーと言うわけだな!」

男「は?」

女「いいか男。歌を作ると言うことは、そこに込めた物が少なからずあると言うことでな」

女「作り手としては、自分の作品が人に理解されることは素晴らしく喜ばしいことだが……残念ながらこの現代において、楽曲が作品性で評価されることは少ない」

男「あー、最近じゃ音楽は消耗品とか言われてるもんな」

女「そうなのだ……。時代の進化に沿って媒体が進化して、一曲ごとに対する大衆の価値観が変わってしまった。それはとても寂しいことなのだ」

男(どうしょうもない、でもどうにかしたい。そんな顔をしてる。だからこそ、あの時の言葉なのかな……)

男「???この世界をクズだと思っている……か」




女「そうだ。真に良いもの、光るべきものがこんなに溢れているのに、殆どの人は世論にそれを選び見つけることを委ねている。」

女「だから真に尊く、素晴らしいものは『世界』に切り捨てられてしまう。そう思わんか?」

男「なるほどな。しかし、見解の相違だな。」

女「ぬ?」

男は「現状に対しては同意するけど、僕は人が世論に才能人を選び見つけさせることは悪いとは思わない」

女「ほう、それはどうして?」

男「才能人と見抜くのも、また才能人だからだよ」

女「……ほう、なるほど。一理ある」

男「ただ、音楽に限らず、エンターテイメント業界において、現状そういう役割の人と、お金が絶対的に不足してる悪循環は否めないな」

女「なるほど、男性らしい、理論的な解釈だな!」



男「まぁ、音楽に限らず芸術作品ってのは大多数が、浅く理解するだけで充分だと考えてるから、世論に発掘を委ねている現状は仕方がないんじゃないか?」

女「む、そうだな。芸術観の押し売りは私もよくないと思う。しかし、男のいう理屈にしろやはり現状は良くないことには変わりはないのだ」

男「成る程、確かに音楽を作品と捉える人が増えれば、もう少し世の中の音楽への関心は形を変えるかもね」

女「うんうん!」

女「ならばこそ、話は戻るが、男の様に歌を一作としてしかと耳を傾けるリスナーは、作り手側にすれば喜ばしい存在なのだ!」

男「なるほど、しかし大事なことを忘れているようだけど女さん」

女「なんだ?」

男「そんな僕は音楽を聴かないんだ」

女「む、そうであったな……」
ガクッ


女「……そうだ、男!!英語!英語は得意か?話せるか?聞き取れるか?!」
ガシッ

男「わっ!なんだよ藪から棒に」

女「どうなんだっ!」

男「成績は割と良い方だけど……リスニングまでは出来ないよ」

女「そうかそうか、ならば良いものがあるのだ」
ガサゴソ

男「?」

女「これを男に貸してやろう」

男「このご時世にCDを持ち歩いてるなんて、多分この学校じゃ君だけだよ。で、なにそれ」

女「私の敬愛するMR.BIGのグレイテスト・ヒッツだ!」


男「だから音楽は聴かないって」

女「洋楽だ。英詞なら、多少BGMとして、聞き流せるのではないか?」

男「……あぁ、成る程」

女「あとは、当然洋楽と言えばThe Beatlesも抑えなくてはな」

男「……わかった、ありがたく貸してもらうよ。僕も文芸以外に全く興味がないわけじゃないし」

女「あぁ!これで男が音楽に目覚めると良いな!本当は私も邦楽の方が好きでな。たくさんオススメしたいものがあるのだ」

男「へぇ、プレイヤーやバンドマンって、洋楽にこだわってるイメージあるけど」

女「なにをいうか!そんなものは70年代のシーンが生んだ過去のイメージだ!日本語には英詞にはない表現と哲学があるのだぞっ!」

男(本当に、くるくると表情を変える人だな)

男(特に感情移入もなく読んでた青春文学も、今なら少しだけ理解できるかもしれないな)


自室

キュイーン
トゥルリトゥルリギャギャーン
ドゥッドゥットゥイン

男「あいつ……明日あったら絶対許さない」

男「このバンド、ハードロックバンドじゃないか……」
トゥルリトゥル

男「流石に音楽ビギナーには荷が重すぎるだろこれ……」

男「雑音にしかならない……」

男「The Beatlesなら、さすがに僕も数曲知ってるし、ここまでじゃないだろ。CD変えよ」
パカッ

キュイーンギャギャーン
男「……」


―――”男の様に歌を一作としてしかと耳を傾けるリスナーは、作り手側にすれば喜ばしい存在なのだ!”

男「………」
トゥリルルトゥリルル
ディッディーンディティー

男( 全部聞いて、それでもダメなら……それは"僕には合わなかった"ってだけだ)

男(彼らの作品を雑音で片付けるには、もしかするとまだ早いかもしれない。)
トゥリルルトゥリルル
ディッディーン

男(はぁ……今日読む本でも決めるか)

ゴソゴソ

ラジカセ「hold on little garl……♪」

男「……っ!?」

男(さっきまでの歌と全然違う……)

男(なんだか心地いいな、この歌は。ノスタルジックな感じだ)

ラジカセ「アイムザ ワンフー ウォーンツ トゥー ビー ウィズユー♪」

男「………曲名は」

男「To Be With You……」

今日はここまでにしときます。
期待レスの数だけ僕は頑張れるよ_(:3」z)_
みんな好き

すこしだけすすめますん

翌日

男「まぁ悪くはなかった」

男「英詞と言っても、結局和訳の歌詞カードがついてるから、それを見ながら聞き込んでしまったよ」

男「結果としては、聴きながら本を読むって目標は達成できなかったけど」

男「有意義な時間だったと言ってもいい」

男「MR.BIGは結局一曲しか聞けなかったけど」

男「The Beatlesはやはり世界的に人気なこともあって、シンプルに良かったよ」




男「で、そんな感想をいち早く聴きたいがために、ずっとこんなところで待ち伏せしてたのか」

女「うむ!早く男の感想が聞きたくて、昨日は早く眠ったほどだぞ!」

男「中々効率的な思考を持ってるじゃないか……」



女「やはり男が音楽に触れてくれたのは嬉しいことだな、うん!」

男「しかし女さん、やっぱりはじめにオススメするにはHR/HMというジャンルはハードルが高いと思うんだ」

女「む……まぁ気に入ってくれたなら良いではないか、気にするな!」

男「いや、気に入ってはないぞ。興味は持ったけど」

女「まぁそういうな。また今度新しいCDも貸してやろう」

男「いや、当分はいいや。結局本は読めなかったし」

女「な、なんだとっ!」

男「まぁ、気が向いたらまた借りるさ。ありがとう」

女「うむ!やはり友と趣味を共有するのは喜ばしいことだな!」

男「……」

男(友達……か。)


教室

ガヤガヤ

男「……」

男(女さん、早く登校してきても授業には出ないんだな)

ガヤガヤ

男(詳しくは知らないけど……やはり噂のことは簡単に払拭できないのだろうか)

男(まぁ、僕には関係ないか)

男(関係……ないよな?)


放課後

ガヤガヤ


ケバい女子「ほんとブス美マヂで勘違い女でさぁ~ww」

チャラ男「カラオケ行った時にノリでやっちったwww」

軽音部男子「マジかよwww超ラッキーじゃんwww」

男「……」

男(今日は授業の内容濃いかったな……。復習に時間がかかった……)

男(なんでこんな教室に人いるんだよまだ……。もう16時だぞ)

男(……遅くなったし帰るか)

ガラッ
担任「あ!男くん」
スタスタ

男「はい?」

担任「今日は、女さんが先に屋上開けてるみたいよ」

男「はぁ、そうですか」

担任「男くんを探してたみたいだから、顔だしてあげてね」

男「そうですか、わかりました」

男(なんだよそれ……めんどくさ)




屋上

男「はぁ……唯一の僕の空間も、彼女に毒されてきたなぁ」

男「本を読める時間も少し減ってしまったし……」

ガチャ

男「ごめん、復習してたから遅く……」

ポロンポロン♪
タラランジャジャーン♪

男(綺麗な曲だ……)



ジャッ……
女「ん……あぁ、男か。遅かったじゃないか」

男「あ、あぁ。復習してたら遅くなってしまった」

女「男は勤勉だな!良いことだ!」

男「いや、僕のことよりも、君の方こそ大丈夫なのか?朝早く来ておいて、授業には出てないみたいだけど」

女「私は保健室で授業を受けているし、家で自習もしているので、成績は中の上をキープしているぞ!」

男「本当か?とてもそんな頭をしているようには見えないけど」

女「失礼なっ!ならば春休み明けのテストの順位表を見てみろ!」
ピラッ

男「225名中……えっ?!35位?」

男(いや、33位だから辛うじて勝ってるけど……)

女「ふふん、私も編入前は進学校にいたのだぞっ!」

男「そうか、女さんは編入生だったっけ。そういえば、どうして編入して来たんだ?」

女「あっ……いや、まぁ……それは……」

女「まぁなんだか、色々あって引越してきたのだ!!」

男(……なるほど、噂とやらの核はここにあるのか)




男「まぁそんなことより……今日はギター弾いてるんだな」

女「ん?あ、あぁ。昨日は全く弾けなかったからな。ここで弾いて見たかったし、男が来るまで退屈だったからギターを弾いて歌っていたのだ」

男「へぇ。詳しくないけど、すごく綺麗で上手じゃないか。歌も歌えるのか?」

女「う……と、当然だ!音楽家たるもの、歌ぐらいは当然歌えなくてはな!」

男「じゃあ、聞かせてくれよ。どんなのが歌えるんだ?」

女「ふふふ……男も音楽に貪欲になってきたではないか!いいだろう、ならば男が昨日気に入ったという歌を歌ってやろう」

男「……」

男(なんとか話題をスライドできたな。しかし、彼女持ち上げたら調子に乗るタイプだ……)

女「心して聞けよ!」

ジャジャーン♪
女「ほどーんりるがーる♪しょみーわつひーだーんとぅゆー♪」

男「……」

男(なんというか……)

ジャジャーン♪
ジャジャジャジャーン♪




女「うぉーんとぅーびー……うぃずゆぅー♪ふぅうー♪」

女「ふはは、どうだ男!」

男「なんというか……」

男「あんまり上手くないな……」

女「うっ……」

男「ピッチ?が……不安定で無理して歌っている感がすごいし」

男「何よりも、この歌に対して女さんの声は可愛すぎる気がするな」

女「ぬぬ……わ、私だって本当は綺麗でハスキーなかっこいい声が出したいのだっ!」

男「ははっ、それはもう声変わりにかけるしかないだろう。女さんならワンチャンスあるよw」

女「な、なんだと!」



男「まぁともかく、唄は苦手なんだな」

女「む……男の前でつい見栄を張ったが……確かに唄はそれほど得意ではない」

男「ギターは上手なのにな」

女「あぁ!中学生からやっているからなっ!」

女「それにしても、男は素人の割に音感があるようだな。上手くはないにしろ、素人ならギリギリ誤魔化せる程度には歌えていたはずだが」

男「あぁ、母さんが小さい頃家でピアノ教室してたからね。絶対音感は流石にないけど、少しだけ音感があるみたいなんだ」

女「ピアノ教室?!では」

男「僕は弾けないよ」

女「そ、そうか……」
ガクッ

期待レスありがとう
今日のストックはここまでだよ、、
これくらいのペースでのんびり書くのでよろしく

また少し書きます。
期待コメ、応援コメありがと。
読んでくれてる人がいるだけで感動出来る。
しかし遅筆で申し訳ないヾ(:3ノシヾ)ノシ



帰り道

女「流石に、プレイすることまでは無理があるか」

男「それはそうだろう。特に僕は女さんのように、アーティストに対する憧れはない」

女「そうだなぁ、しかし男よ。私は別に、アーティストに憧れたからギターを始めたわけではないぞ」

男「……そうなのか?」

女「そうだな、一言で言うとだな。目標の為には目立つ必要があったからだ」

男「…………目標?」

女「私がなりたいのはな、実は男の言うさ「才能人を見つける才能人」と言うやつだ」

女「この世界のことはクズだと思っているが……」

男(……この言葉を聞くと、ぞくっとする。普段は天真爛漫で、純真無垢な彼女からどうしてこんな言葉が出てくるのだろう)

女「私が一番至福を感じる瞬間と言えば、それは人の生み出す情熱や感情に触れた時だ。そしてその多くは、真に洗練された作品の中にある」

男「なるほど。それで、それを見つけ出す人間になりたいと」

女「あぁ。その説得力を身につける為には、まず自分自身が経歴を積まねばならんからな」

男「へぇ。でも、どうしてギタリストだったんだ?」

女「簡単な話だ。女性で、本当に上手いギタリストというのは目立つだろう。それにギターは、しっかり練習するとちゃんと上手くなるからな」

男「……女さんって、本当はすごく頭がいいんだな」

女「ふはは、だから言っただろう!」

男(まぁ、それを簡単だという君は本当にすごいと思うよ)


--数日後
屋上

男「ふぁあー、もう17時か」

男「今日は女さん来なかったな。先に帰るか」

男(あれから結局、何枚もCDを無理やり貸し付けられてしまった。ついでにCDウォークマンまで)

男「音楽を聴くことが増えて、本を読む時間が少し減ってしまったな」

男「今日は取り返すように読みふけってしまった」

ヒュオオ

男「少し気温も暖かくなって来たな。風が吹くたびに涼しくて気持ちがいいや」


男(ここのところ、屋上ではずっと女さんのギターをBGMにして本を読んでいたから、いざ居ないとなると少し寂しいものがあるな……)

男「……あれ以来、女さんは歌ってくれることはないし」

男「ギターサウンドも悪くはないけど、やはりインストより歌の方が需要があるわけもわかる気がするな……」



男「少しだけ待って見るか……」
ゴソゴソ

男「MR.BIGのCD、なんだかんだで聴きこんでしまったな……SHINEって曲も好きになって来た」

~♪
男「Maybe on your own you take a cautious step~♪」

男「Till you want to give it up, but all I want is for you to Shine~♪」


ガチャ
女「男、すまない!遅くなっ……」

男「Shine on this life that's burnin' out~♪」

女「……」


男「I say a lot of things somet……うわぁっ!」

女「おぉ、男。遅くなってすまない」

男「女さん、いつからそこに居たんだ?!」

女「今来たところだ」

男「なんだ、そうか」
ホッ

女「しかしまさか男が歌を歌っているとは思わなかったぞ!」

男(あ、オワタ)


女「相対音感を持っていると言ったが、大したものだな!私なんかより歌はずっと上手ではないか」

男「お世辞はいいよ。僕も歌なんてまともに歌ったのは小学校を卒業して久しいよ」

女「何を言う、私はお世辞などは言わん。何よりも声が気に入った!歌物映えする声だな男は」

男「はぁ……ほんと迂闊だったよ。君には恥ずかしいところばかり見られている気がするな」

女「ははっ、それは男の方から痛み分けで頼むと言ったはずだろう」

男「それはそうだった」

女「それで、どうだったのだ?」

男「何がだよ」

女「歌を歌ってみて、どうだったのだ?」

男「……ははっ。乗せられてるようで癪だけどさ、気持ちはいいな。君が打ち込む理由も少しわかる」

女「なるほど……うむ。よし、ならそうしよう」

男「どうしたんだ、早く帰ろうぜ。もう部活動も終わりかけてる」

女「私がギターを弾いて、男が歌うと言うことにすればいいのだ!」

男「なんだそれ」


女「私とユニットを組もう!それがいいと思う!」

男「ははっ、なんだそれ。二つ返事で却下するね」

女「な、なんだと!」

男(僕が、そんな才能人みたいなこと、出来るわけないよ)

女「もう少し考えてくれてもいいだろう……」

男「ほら、早く帰るよ」

女「むむー……」

ごめんなしゃい……今日のストックはここまででする……
またお仕事がないときに溜めておきます

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