海未「静岡旅行です!」 (71)

昨日ラブライブ!板に投下していたものです。
続きも込みで投下していきます。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1502758107

園田海未です。
この日記を使うのも久しぶりですね。もう捨てられていると思っていましたが、ちゃんと綺麗に保管してあったのは驚きです。
スクールアイドルダイアリーと高校の時ににこは言っていましたが、もう高校生どころか社会人になってしまっていますしこれは何の日記なのでしょう?
そのうち穂乃果あたりが名前を付けそうですが…それは今は置いておきましょう。

今回、この日記をつけたのは9人でとある事情から静岡県へ旅行へ行く機会があり、
まるで高校生に戻ったかのように楽しかった数日間を、文字に残しておこうと私が思ったからです。
そのことをにこに話したときにこの日記を渡されて現在に至っています。

後々みんなが読むと思うと少々気恥ずかしい気持ちもありますが…
前置きが長くなるのもいけませんね。思い出せる限り、書いていこうと思います。

~1日目~

真姫「ちゃーす」

海未「お久しぶりです、今年の頭以来ですね」

真姫「そうね。わざわざ北海道からお疲れ様」

私は高校を卒業し大学へ進みましたが、その後就職の都合で北海道に住むことになりました。
おかげで9人に会うのはちょっとした一大イベントになってしまっています。

初日は私が東京にいき真姫の家で一晩泊めてもらい、2日目の朝に出発する予定になっています。

真姫「とりあえず突っ立ってないで乗りなさいよ」

海未「そうですね。それでは失礼します」

真姫は彼女らしい真っ赤な外装の車で空港まで迎えに来てくれました。私は車には疎いので車種などはわからなかったのですが、いつも私が買った軽自動車の百倍は良い車だというのは素人目でもよくわかりました。

海未「真姫、これが私の運転することになる車ですか?」

真姫「違うわ。こっちは私が運転するX1、海未に任せるのはX2よ」

海未「ふふっ、上司にガンダムで物を例える人でも居るんですか?」

真姫「いけない、完全に素でイミワカンナイこと口走ってたわ」

海未「いえいえ、私の上司にも居ますからわかりますよその気持ち。でも真姫の上司はそこまで年上じゃなさそうですね」

真姫「すごいわよね。例えなくてもこれだけである程度お互いの近況がわかるんだもの」

今回の旅行では真姫の家から2台車を出してもらうことになっており、片方が真姫でもう片方が私が運転して、2台に分かれて移動することになっています。
保険もばっちりという真姫のお墨付きもあったので、大人になった今だからこその車での旅行にしました。
就職してからはずっと北海道なので、実はこちらの土地での運転は免許を取ってから初めてで少々緊張していたのは正直なところです。

真姫「楽しみね、明日」

海未「ええ、とても」

真姫「Aqoursの子たちに会えると思う?」

海未「どうでしょうか…いい大人が声をかけたら警察を呼ばれてしまうかもしれませんよ」

真姫「そこまで犯罪臭するような雰囲気出してないでしょ!常識の範囲で挨拶すれば大丈夫よ…」

海未「そうですか?真姫みたいなサングラスをかけた人が車から降りてきて声をかけたら誘拐犯に見えるかもしれませんよ?」

真姫「…中々言うようになったわね」

海未「ふふっ、すみません」

私たちの今回の旅行の目的は、たまたま動画で見かけたAqoursというスクールアイドルに興味を持ったからです。
同じ9人だからなのか。はたまた別の惹かれる理由があったのかはわかりませんが、私たち9人はいつの間にか彼女たちを熱心に応援していました。
そこで穂乃果が「Aqoursのみんなのことをもっと知りたいから、今年は9人で静岡に行こうよ!」と突拍子もないことを言い出して…
たまたま社会人の9人の予定が空けれたのは奇跡に近いですが、なんとか9人での旅行が実現しました。

もっとも、明日から全員揃うというわけではないのですが…そこは仕方ありませんね。みんな忙しいでしょうから。

真姫「着いたわ。荷物だけ家に置いてちょうだい」

海未「これからどこかへ向かうのですか?」

真姫「夕ご飯、まだでしょ?せっかくだし家の人に車出してもらってどこかで一杯飲みましょうよ」

海未「真姫からそんな言葉が飛び出すなんて、人生何が起こるかわかりませんね」

真姫「何よ、別にいいでしょ」

海未「ええ、手持ちはあるのでどこでも大丈夫ですよ」

真姫「どうせ海未なら奢られないだろうし、高いとこなんて行かないわよ。明日からが本番なんだから」






海未「かんぱーい!」
真姫「かんぱーい!」

他愛のない近況の話から、私たちのラストライブのことまで…酔った勢いで変なことも言っていた気がします。

1日目の夜はこうして更けていきました……

~2日目~

気づけば真姫の家の天井を見上げていました。
飲みすぎたから記憶が飛んでしまった…というわけではなく、あまりに楽しすぎて一瞬で時間が過ぎてしまい内容を詳しく書き出せないといった感じですが。
込み入った話もしていましたからちょっとここには書けないというのもありますが。

海未「真姫は…まだ寝ていますか。癖でどうしても無駄に早起きしてしまいますね」

少し身支度を整えて、おそらくまだ寝ているだろうことりと穂乃果と私のグループLINEに今日の合流場所・時間を改めてメッセージで送っておきました。
送ってから気づきましたが、頻繁にやりとりしてますし通知とか切ってますよね?でもことりは切ってなさそうな感じも…

海未「既読はついていませんし、睡眠の邪魔はしなかったみたいですね」

今日からうんと遊ぶのですから、今のうちに寝ておいてくださいね。
そんなことを思いながら時間を潰しているうちに真姫も目覚めて朝食へ。

真姫「やっぱり海未って早いわよね」

海未「どうしても早く目覚めてしまって…このままではあっというまに老け込んでしまいそうです」

真姫「食も細いし、ほんとに早死にしそうよね」

海未「今日は真姫がキレキレですね」

真姫「ふふ、昨日のお返し」

社会人になってからは泊めてもらうためにこうして真姫と2人で会うことが多くなったのもあって、高校時代よりも親密になれたような気がします。
昔はあまりこういう軽口は言わなかったので新鮮です。

真姫「そういえば穂乃果って夜勤明けをそのまま回収するのよね?」

海未「そのはずですね。今日は東京で穂乃果とことりを回収して車で沼津へ、現地で凛と花陽と落ち合う予定です」

真姫「その次の日ににこちゃん、絵里、希が合流するわけじゃない。つまり行きの車は2台使って4人なのよ」

海未「そう…ですね。何か問題が?」

真姫「2人と2人になるんだから、寝るであろう穂乃果が乗ったほうが退屈しちゃうじゃない」

海未「本当に気が回るようになりましたね」

正直全く考えていませんでした。真姫がここまで周りを気遣ってくれるのは、最初を知ってるだけに感慨深いです。
この日記を見られたら怒られてしまいそうですが。

真姫「穂乃果も留年していまだにコンビニで夜勤だものね。最初は涙出るほど笑っちゃったけど」

海未「大丈夫です。本人もまるで気にしていないので」

社会人9人と前述していましたが、実は穂乃果だけまだ大学生なんですよね。
一時期は留年と聞かされ眩暈がしましたが、「遊びすぎて留年しちゃった!」と笑いながら聞かされた時は私まで笑ってしまいました。
一年分の学費は自分で払うとバイトを始めた行動力は素直に素晴らしいのですが、その気概を最初から課題と単位に出していれば…

真姫「おかげで穂乃果はバイト代わってもらうだけで予定が空けられたから、不謹慎だけど今回に限っては好都合ね」

海未「そうですね…不謹慎もなにもにこや凛がネタにしていじってますし今更ですよ」

真姫「まぁわざわざ北海道からきてもらって運転手までさせるんだから、穂乃果は私が引き受けるわ」

海未「そこまで気を回さなくても私は大丈夫ですよ」

真姫「私が気にするのよ。久しぶりに海未と会えて寝ないかもしれないけど、それはそれで穂乃果が後々しんどいだろうし」

海未「それもそうですね…本当に真姫はしっかりしていますね。ありがとうございます」

真姫「べ、別に!当たり前でしょ!」

真姫の心遣いに感謝しつつ、それぞれ真姫はX1に。私はX2に乗りそれぞれ穂乃果とことりの家に向かいました。

海未「ことりとも会うのは久々ですね…2人だけというのはそれこそ数年ぶりかもしれません」

向かう途中に色々なことを考えるたびにみんなに会いたい気持ちが一層強くなっていきます。
普段メッセージのやり取りや電話を頻繁にしているので寂しくはないのですが、会うとなるとやはり特別な気持ちがこみ上げてくるものです。

カーナビ通りに車を走らせて、近くのコンビニへ駐車すると既にことりが待っていました。

ことり「海未ちゃーん!」

海未「こっとりー!」

幼馴染との久々の再会に少し変な言い方で呼んでしまいましたが、気にもせず抱き合ってしまいました。
昔なら恥ずかしさが上回っていたでしょうが、今となっては私のほうからこういうことをしてしまっているのですから人生何が起こるかわかりません・
真姫に言える立場じゃないですね、これでは。

ことり「海未ちゃ~ん、くすぐったいよ~」

海未「はっ、すいません。ついどさくさに紛れておしりを撫でてしまいました」

ことり「海未ちゃん、大人になってから平気でこういうことするようになったよね~」

海未「何故でしょうね。邪な気持ちは微塵もないのですが…学生時代をお固く過ごしてきた反動が行動に出てしまうのかもしれません」

ことり「最初はびっくりしたけど、もう何も感じなくなるくらいおしり触られちゃったよ」

海未「すいません…ちゃんと他のメンバーのおしりも触るのでそれでどうにか帳尻を…」

ことり「帳尻でうまいこと言ったみたいな顔されても…あとそれ状況が状況ならとんでもない浮気発言だよ」

海未「変な状況にならない人間関係だからこそ言ってるんですよ」

ことり「ええ~ことり傷ついた~」

海未「あっはっは、ジュース一本で手を打ってください」

ことり「ありがと~♪」

学生時代とは違うおふざけをしながらも、やはり変わっていない私たちの友情を再確認しつつ、私たちは出発しました。
行先は沼津インターを出た近くにあるコンビニです。

海未「くっ!なんなんですかここは!!まるで地獄絵図じゃないですか!!」

ことり「ひぃぃ~!海未ちゃ~ん!」

まさか東京で最初のハプニングが起こるとは夢にも思っていませんでした。ハプニングというほどでもないのかもしれませんが…

海未「町田から高速に乗るというのに真姫が良い顔をしていなかったのはこういうことですか…!」

町田のインターは北海道の広く走りやすいぬるま湯に浸かっていた私にはまさしく地獄。
とんでもない渋滞にくわえて高速の乗り口は(え?これどうやってこの車の波に乗っかればいいんですか?)と固まってしまうほどでした。

ことり「ていうかどうして北海道から来た海未ちゃんが運転してるの?」

海未「ことりはまだ免許を持ってなくて、穂乃果は夜勤明けでとても人の命を預けられる状況ではなかったからです…」

ことり「あ~確かに…あはは」

海未「いや~~~!!こわいこわいこわい!!無理です無理です!!」

ことり「ひぃ!海未ちゃん頑張って~!おねがぁい!」

海未「んはぁっ!ことりはずるいです!仕方ありません…首都高アタックです!」

ことり「行先は沼津だからね!?大丈夫!?」

海未「わかっています!わかっています!行きますよぉおおおお!!」

ことり「わぁ~~~~~~!あっはははははは!!」

大人になったからこその状況、会話のはずなのに。
私たちの心は、あのときのように。学校で過ごしていたあの頃のような。そんな気がしました。

海未「想いんぉぉぉん乗せてぇぇぇ♪ハッピーハッピートレイントゥゴー♪」

ことり「汽車ぽっぽ~って感じの振り付け可愛いよね!ぽっぽ~♪」

高速に乗ってしまえば後はなんのその。曲を大音量で流しながら私たちはAqoursについて話しながら風を切っていました。

海未「なんだかAqoursの曲の歌詞はすごく私は魅力的に思えるんですよね。中には私たちにも向けられているような…といいますか」

ことり「例えば?」

海未「『ダイスキだったらダイジョウブ!』、『夢で夜空を照らしたい』あたりですかね。『待ってて愛のうた』もそんな感じがします」

ことり「あ~確かに言われてみればそうかも。作詞してた海未ちゃんが言うとほんとにそんな感じがするかも」

海未「歌の解釈は人それぞれですからあくまで私個人の感想ですよ」

ことり「うんうん、でもやっぱり私もそう思うな」

海未「解釈が一致するのは珍しいですね。…いえそういう部分が近いからこそ9人全員が応援できたのかもしれません」

ことり「ふふ、そうかも」

きっと、こうして集まって同じものに夢中になって、話しあえて意見を交換して。
こんなにも居心地がいい友を持てたのが本当に幸せなんだなぁと。久々の再会がそう思わせたのかもしれません。
そのとき車内で『届かない星だとしても』が流れていました。

穂乃果「海未ちゃーん!ことりちゃーん!」

海未「穂乃果~!お久しぶりです~!」

ことり「穂乃果ちゃ~ん!」

真姫「ほんとに夜勤明けなのかしら…ずっと元気に起きてたけど」

先に着いていた真姫たちと車を降りて再会できました。穂乃果が元気そうでなによりですね。
着くまで熟睡してるかもとことりろ話していましたが、そもそもこの旅行の発案者は穂乃果でしたね。
私たちを同じか、それ以上にこの旅行を楽しみにしていたのでしょう。

海未「ところで穂乃果、単位のほうは大丈夫なのですか?ちゃんと余裕をもってこの旅行に参加しているのでしょうね?」

ことり「就活だってしなくちゃだもんね~。穂乃果ちゃん大丈夫?」

穂乃果「んも~~~~~!!車の中で真姫ちゃんに散々いじられたネタでいじめないでよぉ~~!!」

海未「ふふふ…すみません…!」

ことり「なんかお約束だから言わなくちゃいけないかな~って」

穂乃果「二人ともひどいよ!!穂乃果怒っちゃうよ!!」

真姫「おこりんぼ大会~」

穂乃果「んんんんぅ~~~~~~~~~~~~!!!!!!!」

ことり「穂乃果ちゃん迫真すぎだよ!怖いよ!」

海未「元スクールアイドルがしてはいけない顔ですよ…」

笑いながら馬鹿なやり取りをしつつ軽く話をしてから今夜の宿にチェックインする流れに。
本当なら高海さんのところの旅館や小原さんのところのホテルに泊まりたかったのですが、諸々の事情からお流れに。
流石に9人を夏の旅行シーズン直前に予約できる宿は有名どころにはありませんね…もう少し早く計画すべきでした。

海未「もう既に宿には凛と花陽が待ってるみたいですね。待たせても申し訳ないですし向かいましょうか」

真姫「そうね。早く会いたいし、食事でもしながらゆっくり話しましょ?」

穂乃果「さんせー!真姫ちゃん!GOだよ!」

ことり「海未ちゃん、ホテルまでよろしくね」

再びX1とX2に乗り込み、私たちは再び車を走らせました。

穂乃果「凛ちゃ~~~ん!花陽ちゃ~~~~ん!!」

凛「穂乃果ちゃ~ん!」

花陽「みんな~~~!」

宿で迎えてくれた凛と花陽に穂乃果が飛び込んでいきました。まるで犬のようで微笑ましいです。

凛「穂乃果ちゃん!クソ学生はもう卒業したかにゃ??」

穂乃果「よーし!凛ちゃんちょっと表出ようか!」

凛「望むところだよ!夏のパッショネイトにゃ!」

宿に入ったかと思ったらすぐさま駆け出していく穂乃果と凛。
ちょっと騒ぎ出すきっかけに仲良し特有のマナーの悪さが見え隠れしていて、凛が絵里の物真似をしていた時やにこに寒いと言い放っていた時を思い出します。

凛「あ!真姫ちゃん!海未ちゃん!ことりちゃん!ひっさしぶりにゃ!後でじっくりお話聞かせてね!」

とだけ言い残して穂乃果の後を追って外に飛び出していきました。

花陽「あはは…とりあえずみんな、久しぶり♪」

海未「ええ。花陽も凛も元気そうで何よりです」

ことり「花陽ちゃん久しぶり~♪」

真姫「私は二人にはなんだかんだで結構会ってるのよね」

飛び出していった凛のぶんも合わせて花陽と互いの近況報告を。
私以外は東京で職に就いていますが、凛と花陽が先に電車で現地の下見を引き受けてくれてたので前日から沼津へ向かってくれていました。

花陽「バッチリ美味しいところはリサーチ済みだから安心してね!」

真姫「という名目で早めに言ってたくさん食べてたわけね」

花陽「そ、そんなことないよ真姫ちゃん!ほんとに!ちゃんと回るところだってリサーチしたんだよ!」

海未「花陽のことですからちゃんと両立させているとは思っています。ですがそれはそれとして太りますよ?」

花陽「うう~…それを言われるともう絶対太る予感しかしないよ~…」

ことり「でもっ、花陽ちゃんのオススメのところに行きたいな~!」

真姫「まぁ花陽なら間違いはないから信頼はしてるわ」

海未「そうですね。体重が増えたら昔みたいにみんなで走ればいいだけですし」

花陽「みんな…!」

真姫「いや感動するポイントじゃないでしょ」

そんな花陽の案内で私たちが向かうことになったのは、そう。


『炭焼レストランさわやか』

花陽「というわけでやってきました!さわやか!!」

真姫「すっごいテンションね」

凛「ここのハンバーグほんとに美味しいんだよ。これで凛たち3回目だもん」

海未「昨日で2回も行ったのですか!?」

花陽「それぐらいしないとここは味わいつくせない…!仕方がなかったの…!」

ことり「そんなに…?」

穂乃果「とりあえずはやく頼もうよ~!穂乃果もうお腹ペコペコだよ~!」

真姫「はいはい、げんこつハンバーグを6人前でいいんでしょ?」

凛「そうだよ!ソースはオニオンがおすすめにゃ」

ことり「セットでご飯も付けていいよね?」

穂乃果「うん!やっぱりハンバーグにはご飯を…」

花陽「待って!!!!!!!!!!ご飯は待って!!!!!!!!!!!」

4人「!?」

花陽が、あの花陽がご飯の注文に待ったをかけた…?
あの思考停止ご飯一択こそが至高と言い続けて、ご飯への感謝の曲を作詞してほしいとこっそりLINEしてきたことのある花陽が…?
私は何が起きたのかわかりませんでした。最初に音ノ木坂が廃校になるかもという張り紙が目に入った時を思い出すほどの衝撃が全身を駆け巡りました。

花陽「私みたいにご飯だけでもガンガンイケるって人はご飯でも大丈夫だけど、私でもここだけはパンを勧める」

真姫「どういうこと…?花陽、頭でも打ったんじゃない?」

凛「まぁまぁ、ここはかよちん以外はパンにしとこ?穂乃果ちゃん飢えて隣のことりちゃん食べちゃいそうだよ」

穂乃果「ことりをおやつにしちゃうぞー!」

ことり「やんやん!食われそうですぅ~!」

真姫「そうね…わかったわ。それじゃご飯は1つで…」

海未「いえ、2つでお願いします」

花陽「!?」

海未「覚悟は、あります」

花陽「海未ちゃん…!本気なんだね…!」

凛「別に好みの問題だからご飯派は普通にご飯でいいと思うにゃ~」

負けられない戦いがそこにはありました。私はどちらかというとご飯派。正直どっちでもよかったのですが花陽のノリにあてられてしまいました。
配られたパフェが書いてあるシートを目の前で焼いてくれるハンバーグの油避けに使うなど、初見ではまず狩られる罠を花陽と凛のアシストで回避。
そしてソースは自分でかけ、お好みでソースの量の調節や塩胡椒を振る。

その赤みがかったままの肉は口に入れるとジューシー、しかし店の名のとおりの爽やかな味わいでとても食べやすい。
そう、まるでハンバーグだけを永遠に口に運んでいたくなるような…

海未「…はっ!」

花陽「気づいたようだね、海未ちゃん」

海未「そんな…!この私が…!」



海未「ご飯とおかずの食べるペース配分を間違えた…!?」

花陽「そう、私くらいのご飯好きじゃないと初見でのペース配分は無謀…!だからこそパン…!パンが安牌…!」

海未「そんな…!こんないつも穂乃果に注意していたことを私が…!」

花陽「そして海未ちゃん、周りを見て」

海未「周り…?」

そこには焼きたてふわふわのパンをゆったり食後に手を付ける4人の姿がありました。

真姫「悪くないわね…また来てあげてもいいわ」

ことり「ほんとにおいしー!女の子でもすっごく食べやすいよ~!」

凛「穂乃果ちゃん!この余ったソースをパンにかけるのもね…」

穂乃果「うめええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!」

なるほど…。これは花陽の言うとおりでしたね。私があまりにも迂闊でした。
花陽はこれに昨日の時点で気づき、自分のポリシーに反してでも私たちを導こうと…

海未「は、花陽…」ポロポロ

花陽「海未ちゃん、泣かないで。いいんだよ」

海未「ですが花陽!私が軽率なことをしたばかりに、花陽の経験を…!」

花陽「いいの。例え間違えてしまっても、何度だって最初からやり直せる。誰かの言葉を胸に、最初から…新しい気持ちで!」

海未「やり直せる…」

花陽「そう、だからまた明日に始めよう。私たちの…」

海未「2ndさわやか…!!」

名残惜しくもさわやかを後にした私たちは、軽く車で下見も兼ねて内浦のほうを見て回ってから宿へ戻りました。
三津シーパラダイスや淡島への観光は9人揃ってから行きたいと前々から計画していたので、そちらは明日へ回すことになりました。

宿に戻ったところで温泉にも入り、布団の準備も済ませ語らいの時間へ…これぞ旅行の醍醐味といったところでしょう

凛「は~~…落ち着くにゃ~」

海未「やはり畳の部屋はいいものですね。大部屋ですし6人で寝れるというのもいいですね」

穂乃果「今回は花陽ちゃんたちもいるから、もっと豪華になった修学旅行って感じがするよ!」

真姫「確かに、合宿の時に私の別荘以外で寝泊まりするって高校の時はできなかったものね」

ことり「そうだよね~。なんだかすっごく新鮮な気分」

花陽「あ、私トランプ持ってきたよ♪」

その時、私の周りの世界が色を変えました。
どうして今まで忘れていたのでしょうか。穂乃果をことりに一度も勝てなかった、あの屈辱を。

穂乃果「ははははははは花陽ちゃん!??べべっべ別に今日じゃなくてもいいんじゃないかな!!!」

ことり「そっそそうだよね~~!明日には9人揃うわけだしそのときでも…」

海未「ダメです」

一刻でも早く、あの時のリベンジがしたい。
一度も勝てなかった、あの結果を。勝ち数0を。

0を1にしたい。

海未「ことりィ!!はやく、はやく配ってください!!!」

ことり「ひぃ!はいぃ!!」

穂乃果「もうダメだよ…今日はもう寝られないかも…」

真姫「どういうことよ…」

私に見えるのはいかにして勝つか。あの日掴みとれなかったものを諦めないという一点のみ。
きっとAqoursの方々も同じ気持ちだったのでしょう。今、ようやく私と彼女たちの想いが一つになった気がします。

凛「海未ちゃんが考えてること、よくわからないけど絶対違うと思うな」

花陽「ほ、ほら!作詞していた海未ちゃんだからこそ感じ取れる何かがあるのかもしれないし…」

海未「何をわけのわからないことを!いざ尋常に…勝負です!」

ことり「こっちかな~?」

海未「はぁ…(恍惚)」

ことり「こっちだ!」

海未「うわぁああぁ!!!!!!!!!!!!」

ことり「やったー!あがりー!」

穂乃果「ことりちゃんおめでとー!」

真姫「なるほどね…そりゃ海未が勝てないわけだわ」

凛「海未ちゃん顔に出すぎにゃ」

海未「どうして勝てないのですかッ!!!!!!」

花陽「そ、そういうときもあるよ。今日はこれくらいにして…」

海未「ダメです!もう一度です!何か!何かあるはずですッ!!」

花陽「うう…ダレカタスケテー」

穂乃果「こればっかりは…」

ことり「と、とりあえず海未ちゃんが負けちゃったから海未ちゃんが配って…ね?」

海未「わかりました…!!次こそ勝ちます!!」

息を切らしながらカードをシャッフルする私。ですがどうして負けてしまうのでしょうか…?
何か不正な行いがあるのでは…?

ことり「6人なら海未ちゃんにババが渡らずにあがる可能性も高いから、それまでがんばろ?」

真姫「どうやらそれしかなさそうね…」

凛「でもこういうのってどうしてか海未ちゃんのとこにババがいっちゃうもんなんだよね」

穂乃果「考えてても仕方ない!私たちの全力を精一杯ぶつけよう!」

海未「あなたたち…まさかとは思いますが不正を働いてはいないでしょうね!」

花陽「してないよ!ババ抜きで不正するほうが難しいよ!」

真姫「馬鹿なこと言ってないでさっさと配んなさいよ」

海未「くっ…!わかりました…ですが、ですが何かあるはずです…!」

気持ちは晴れませんがしぶしぶカードを配り始めます。おかしいです…!私だけ負けが込むなど…!
絶対にありえません!何かの間違いなはずです!

穂乃果「ていうか配ってるの海未ちゃんなんだから不正できるの今は海未ちゃんしかいないじゃん」

海未「!!! 私は正々堂々戦いますッ!!!!!!」

興奮した私は最後の一枚、穂乃果に配り勝負の開始の合図となるその一枚を穂乃果の布団に叩きつけました。

花陽「あっ、めくれちゃう」

あまりに勢いよく叩きつけたそのラストカードがふわりとめくられながら浮き、6人全員にジョーカーの絵柄を見せつけました。

穂乃果「お前が不正してんじゃねえか!!!!!!!!!!!!!!」

凛「正々堂々wwwwwwww勝負wwwwwwwwwwwwwwww」

真姫「ぷっ…くく…」

花陽「待って…ふふふ…動画撮っておけばよかった…うふふふ…」

海未「わ…わた、しは正々堂々…アッハッハッハッハハアwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

ことり「海未ちゃんまでわっら…ヒィ…!息できない…」

穂乃果「園田ァ!おまえぇ!おまえが不正…不正やぞ…wwwwwwwwはっハッハwwwwwwwwwwww」

あまりの衝撃的な出来事に私も笑い転げてしまいもはや勝負どころではなくなっていました。
まさか故意ではないとはいえ私が不正を働くことになるとは思ってもみませんでした。

海未「いえ…え、えっへwwwwwwwwwwすみません、ちゃんとこれから正々堂々勝負しますので…wwwwwwww」

穂乃果「もう遅いんだよ!!!やるけどさ!!!いいよこれくらい!!!」

ことり「や、やるんだ…!ヒィ…ー、ヒィ」





私は負けましたが、笑い疲れてしまいみんな穏やかな顔で布団に入ることができました。

穂乃果「海未ちゃん、起きてる?」

海未「…明日も早いですよ」

穂乃果「うわ、珍しい。まだ起きてる」

海未「さっきのババ抜きで興奮しすぎてしまって、まだ眠気がうまく来ないんですよ」

穂乃果「穂乃果もだよ…夜勤明けからずっと起きてるのに」

海未「最後まで持たないんじゃないですか?ことりはもう寝ていますよ」

穂乃果「だよね…」

花陽「穂乃果ちゃんはしっかり休まないとダメだよ…」

海未「花陽も起きてるのですか」

花陽「うん…凛ちゃんと真姫ちゃんはもう寝ちゃってるけど」

その瞬間、私たちの本当の夜は始まりました。

穂乃果「…あっ」

海未「どうしました穂乃果」

穂乃果「花陽ちゃん花陽ちゃん」

花陽「どうしたの」

穂乃果「ゲームのポケモンの鳴き声でどのポケモンかわかる?」

海未「どうしたんですか急に」

花陽「うーん…ダイヤモンドとパールくらいまでならたぶん」

穂乃果「カメックスの物真似します…バンダナ!」

花陽「んんっ…んふ、穂乃果ちゃん特徴とらえるの上手いね」

海未「穂乃果、あまり騒ぐとほかの3人を起こしてしまいますよ」

穂乃果「海未ちゃん、何かリクエストはある?」

海未「……ルージュラで」

花陽「海未ちゃん?」

穂乃果「ンマンマンマンマ、ジュラジュラジュラジュラ!!」

海未「んんんっ」

花陽「んん、ふっ、くふ、なんで無駄にクオリティ高いの」

海未「ルージュラ、悪魔のキッスです」

花陽「園田さん?」

穂乃果「ジュラー」

花陽「え?普通に起き上がってるよね穂乃果ちゃん」

穂乃果「ジュラルー」

花陽「待って待って、布団入ってこないでよ」

穂乃果「んちゅ~~~~~~~」

花陽「本当にやるの待って待ってんんんんんんんん」

海未「wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

穂乃果「ジュラー」

花陽「ちょっと…ふふふ、気が済んだら戻ってよ」

穂乃果「ンンジュラァン、アァン」

花陽「なんで今度は踊り始めてるのwwwwwwwwww」

海未「官能的な踊りですね」

花陽「海未ちゃん、そういうのいいからこのルージュラ止めてよ」

海未「ジュラァー」

花陽「うわルージュラ増えたよ」

穂乃果「ンジュラアルゥン」

花陽「いつまで踊ってるのほんと!もういいから!」

海未「花陽、花陽」

花陽「どうしたの、はやく止めて」




海未「ティガレックスの突進の物真似をします」

花陽「どうしてなの?wwwwww」

海未「ガァァアッ!!!」

花陽「うわこっち来た!」

穂乃果「ジュララーwwwwww」

花陽「なんで取り押さえるの!ずっと踊っててよ!」

海未「ガアアアアッ!!!」

花陽「うぼぉ!」

穂乃果「あははwwwwww報酬金減ったねwwwwww」

海未「く…ふふ…情けないですね花陽」

花陽「2人ともすぐに寝るタイプなのにどうして今日はそんなに元気なの?wwwwww」

真姫「…超うるさい」

こうして2日目の夜は更けていきました…

~3日目~

穂乃果「いや~よく寝た~!」

海未「最高に気持ちのいい目覚めですね」

真姫「どの口が言うのよ…」

花陽「でも不思議と私も目覚めはいいかも」

ことり「昨日何かしてたの?」

真姫「ことりと凛はぐっすりだったわね。穂乃果と海未が夜中にもあんなに騒いでたのに」

凛「え、海未ちゃんって深夜に騒ぐの!?もったいないことしたかも」

海未「昨日は特別ですね。今夜からはきちんと寝ます」

凛「え~~そんな~~」

真姫「はいはい、いいからみんな支度して。絵里たちが沼津駅に着く前には私たちも準備してないと」

ことり「午前中にはもう着くんだよね?」

海未「そのようですね。LINEで改めて連絡も入っています」

穂乃果「よーし!それじゃ急いで準備するよ!」

絵里・希・にこは今日からの参加です。3人は特に忙しそうだったので予定をどうしても昨日に合わせられなかったのですが、今日と明日の2日間だけでも空けてくれて本当に感謝です。
やはり私たちは9人揃ってこそ、ですからね。
全員が揃うのはいつ以来でしょうか…なんて。これから会うのですから、今は今を楽しまなければなりません。

凛「にこちゃんに昨日から撮ってる写真を無言で送り続けるにゃ」

真姫「やるなら昨日の夜にやっといたほうが効果的だったんじゃない?」

穂乃果「希ちゃんはそういえば会うのひっさびさかも!」

ことり「私は絵里ちゃんも久しぶりだよ。にこちゃんはちょこちょこ顔を合わせるんだけど」

花陽「私もにこちゃんとは割と会ってる気がするなぁ」

真姫「部長気質が抜けなくてみんなのこと気になっちゃうんじゃない?」

海未「ふふ、そうかもしれませんね」

話しているうちにX1とX2に荷物を積み込み、準備は終わりました。
真姫の運転するX1には穂乃果と花陽と凛。絵里たちには私とことりの乗っているX2に3人まとめて乗ってもらうことにしました。

書き溜めてたぶんは投下し終えたのでここからゆっくり投下していきます

真姫「さて、駅には着いたけど…ちょっと早く着いたわね」

海未「待たせてしまうよりはいいでしょう。みんなで出迎えてあげましょう」

穂乃果「あ~もう絶対にこちゃんにいじられるよ~」

予定よりも少し早く着いた私たちは改札口の近くで3人を待っていました。
みんな楽しみで落ち着かないのが見て取れます。凛がせわしなく改札の奥を確認していて変わっていないな、と微笑ましく思いました。

凛「あ!来たよ!お~~~~~い!!」

絵里「みんな~!おまたせ~!」

希「お~みんな揃っとるな~!久しぶりやね~!」

にこ「6人ともにこが居なくて寂しかったでしょお~?宇宙No.1アイドルにこにーが来たからにはもう」

凛「そういうのいいにゃ」

にこ「ぬわんでよ!!」

ことり「久しぶり~!3人とも元気そうでよかったよ~」

希「うちとえりちはもう…にこっちの相手をしてヘロヘロやから後はみんなに頼むで」

海未「ダメではないですかにこ。保護者に迷惑をかけては」

にこ「あんたたちねぇ…」

穂乃果「やーい!にこちゃん怒られてる~!」

にこ「あんたはマジで保護者に迷惑かけてんでしょうが!」

凛「そうだにゃそうだにゃー!」

穂乃果「あ~~~~~~そういうこと言うんだ~~~~~~~!!」

絵里「全く、前よりも騒がしくなっちゃってるわね」

花陽「あはは…でもなんだかすごく安心するよね」

希「せやな、実家のような安心感ってこういうこと言うんやろなぁ」

絵里「ふふふ、きっと海未や真姫がみんなの面倒を見てたんだろうし、今度は私たちがしっかりしないとね」

海未「絵里や希が居てくれると心強いです。よろしくお願いしますね」

ことり「昨日一番厄介だったのは海未ちゃんだったような…」

書き込む媒体ちょこちょこ変わるかもなので一応酉

話はひと段落して私たちはそれぞれの車に乗り、目的地である「伊豆・三津シーパラダイス」に向かいました。
「恋になりたいAQUARIUM」…いわゆる恋アクの舞台となっている場所ですね。

希「あの曲の『なんで水の中でも息ができるの?』からのパワーワードの強烈な押しつけの連続はなんなんやろな」

にこ「あそこ凄いわよね。熱いお茶のせいにしたと思ったらそんなことは気にしないんだもの」

絵里「あの出だしのインパクトのせいで耳に残るのよね…国木田さんがあざといし」

車内の話題もやはり恋アクの話に。私もお気に入りの一曲です。
演出は可愛らしく華やかで。それでいて盛り上がりどころもあると非常に聴いていて楽しくなれます。

ことり「誘っちゃうんだうぉうお~♪」」

希「ことりちゃんが言うとちょっとえっちやんな」

ことり「え~?そんなことないよ~」

海未「破廉恥ですよ希!そんなことりがあわあわでしちゃいたいなどと…」

にこ「あんたが一番破廉恥じゃないのよ」

絵里「海未もだいぶ大人になって頭のネジが飛んだわよね」

海未「失礼ですね!私は希が言わんとしてることをずばり言い当てたまでです」

希「いやいやうちはそこまで考えて言わんかったけど」

そんな話を続けていると目的地の三津シーはもう目の前でした。
駐車場に車を止め、入り口前のベンチで真姫たちの合流を待ってから9人で中へ入りまし

た。

穂乃果「うわ~~~~すご~~~~い!!」

にこ「近くで見るとセイウチの迫力やばいわね」

絵里「水族館って意外と行くことがないから、こうして来てみると新鮮でいいわね」

魚はもちろんながらセイウチを始めとして、アシカ・トド・オットセイ・アザラシ・イルカなどの見どころが盛りだくさんです。
みんな思い思いの場所を見て回っていました。

ことり「うわぁ~!このカワウソちゃんかわいいっ!」

真姫「本当ね。木に体を擦りつけてるのは汚れを取っているからなのかしら」

ことり「どうなんだろう…あっ!もう片方の子もこっち来たよ!」

真姫「ふふ、仲が良さそうね。あの2匹」

ことり「はぁ~~~…しあわせ~~~~~…」

花陽「凛ちゃん!あそこ!」

凛「あ、イルカが跳ねて3人がびしょびしょになったところ!」

花陽「そうそう!こうして来てみると、PVの撮影に使われた場所が実際にあるって凄いことだよね!」

凛「凛たちのときって住んでる場所とかを紹介するような感じのPVは作らなかったもんね」

花陽「うん!はぁ~私たちもこういうのやっておけばよかったよね~…」

凛「秋葉を巡りながら紹介してくみたいなのいいかも!帰ったら穂乃果ちゃんに言ってみよ?」

花陽「それすっごくいい!帰ったら…って」

凛「あ~…こっちに来てから楽しくてスクールアイドルをやってる気分になってたにゃ」

花陽「でも、ここってそういう気持ちにさせてくれるのかも。Aqoursを通して見てるのもあるかもだけど」

凛「…スクールアイドルの世界は広がっていくってこういうことなのかな」

花陽「凛ちゃん?」

凛「凛たちは元スクールアイドルだけど、まだ普通の高校生の人たちが凛たちと同じ気持ちになってたら…それって新しいスクールアイドルが生まれるきっかけだと思うんだ」

花陽「凛ちゃん…」

凛「えへへ…自分でもよくわからないけど、ふとそんなこと考えちゃった」

花陽「ううん、私も凛ちゃんと同じ気持ち。そうだったら嬉しいっ

海未「ここは…」

希「曜ちゃんがいた光るクラゲの水槽やね」

海未「やっぱりそうですよね。ここで…」

希「どうしたん海未ちゃん、神妙な顔で」

海未「いえ、確か彼女は高海千歌さんと幼馴染だとどこかで読んだのですが」

希「そのはずやね」

海未「…きっと彼女も、どこかで壁にぶつかるのかもしれない…と」

希「ああ~なるほどね」

海未「幼馴染だからこそでしょうかね。必ずどこかで今まで以上に本当の気持ちをぶつけ合わなければいけないときがあると思うんです。スクールアイドルならば」

希「ふふふ、海未ちゃんらしいなぁ」

海未「そんなことは…ですが、きっとあんな輝ける子たちなら余計な心配だとも思います。きっと私たちとは別のやりかたを見せてくれる…そんな気もするんです」

希「せやなぁ。案外、幼馴染とは別のところから新しい風が来てるかもしれんしね」

海未「ふふ、また占いですか」

希「あのカードはμ'sのことしか見えんよ。そういうもんなんや」

希「だからこれは、うちの直感」

海未「…スピリチュアル、ですね」

希「も~それうちのセリフやん!」

穂乃果「すごーーーい!!あのイルカめっちゃ跳んでる~~~~!!」

絵里「ハラショーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」

にこ「し、飼育員の人乗せてサーフィンみたいなことしてるわよー!!」

絵里「ハラショォ~~~~~~~~~!!!!」

穂乃果「すっごいなぁ~…穂乃果、あんなの初めて見たかも」

にこ「そりゃそうでしょ、あんなの水族館通い詰めてるような人じゃないとぽんぽん見られないわよ」

絵里「ハrrrrrrッラショーーーーーーーーー!!!!!」

にこ「巻き舌使えるようになったのね」

絵里「こっそり練習してたの」

にこ「どこで使うのよそんなもん!」

穂乃果「…なんかさ」

絵里「…?どうしたの穂乃果」

穂乃果「スクールアイドルを集めてライブしたときのこと…思い出しちゃった」

にこ「海外から帰ってきた後の?」

穂乃果「うん。あの時も私は思ったんだ…『飛べる』って」

にこ「…飛べる」

穂乃果「どこまでだって行けるって、そう思えたの」

絵里「確かに、イルカも水の中からあんなに高いとこまでいけるんだものね」

穂乃果「えへへ…それを思い出したってだけで別にそれ以上のことは何もないんだけど」

にこ「いいんじゃない、それで」

穂乃果「にこちゃん…」

にこ「改めてあの頃の気持ちを思い出せた…私だってそう。それだけでも私はここに来てよかったって思えるわ」

絵里「にこの言うとおりね。私もさっき水族館の人とお話をしたんだけど…」

絵里「私も元スクールアイドルで、Aqoursに興味があってここに来たって話したのよ」

絵里「そうしたらちゃんとAqoursの一人ひとりの名前を覚えてて…誰ちゃんが居たところはあそこだよ~って教えてくれて」

絵里「本当にこの町の一員としてAqoursは在るんだ…って、そう思えたの」

にこ「地元と一緒に…てわけね。私たちにはなかったというか、こういうところだからこそよね」

穂乃果「…穂乃果もみかんを実家に送ろうと思って昨日、真姫ちゃんに寄ってもらったんだけどさ」

穂乃果「お店のおばちゃん、わざわざ次の入荷の美味しいやつにしなって言ってくれてさ。後日伝票送るからそれで払いなって」

穂乃果「『千歌ちゃんの好きなみかんで適当なの渡せないよ』って…。なんだかこっちまで嬉しくなっちゃったよ」

にこ「スクールアイドルは…それだけ色んな人に受け入れてもらえる存在になったってことよ」

絵里「それもあるけど…この町、あたたかいのよ」

にこ「そうね…もちろん商売なんだし、そういうふうにするってのもあるとは思うけど。受け取る側からは嫌な気持ちは全然しないし」

穂乃果「…なんか変な話にしちゃったね!ごめん、次見て回ろう!」

絵里「別に変ではないけど…そうね。他のところも回りましょうか」

又聞きではありますがみんな、思うところがあったようで話し込んでいたみたいです。
ほどなくして三津シーを後にした私たちは淡島のほうへ定期船を使って移動しました。
水族館を連続で回るという謎のスケジュールではありましたが、淡島マリンパークを訪れてから淡島をぐるっと一周することになりました。

花陽「ここがAqoursが練習で使っているとブログなどで書いている神社までの階段ですね」

絵里「こんなところにあるのね…」

ことり「神田明神を思い出すね…最初は海未ちゃんを鬼教官だーって穂乃果ちゃんが言ってた」

穂乃果「今でも鬼だよ~」

海未「ほう…なら私たちもここの頂上までランニングしましょうか」

にこ「あんた本気!?」

なんて冗談ですよ…と続けて言おうとしたのですが。

希「ええんやない?」

真姫「そうね、Aqoursのことを知りたいって趣旨なんだから」

希「そうそう。どんな練習なのか知るってのもまた面白そうやん?」

にこ「まぁ…確かにそれはそうかもしれないけど」

意外なことに乗り気なメンバーも多く、そのまま私たちは頂上を目指して階段を駆け上がることになりました。
社会人になってからも走り込みなどはしていますが、他のみんなはどうなのでしょう。

凛「よーし、凛が一番速くゴールしてみせるよ!」

穂乃果「穂乃果だって負けないよ!今だって体力づくりはしてるんだから!」

ことり「私はこういうの久しぶりかも!」

花陽「わ、私も…最後まで行けるかな…」

ランニングとはいえ9人揃って練習をするのなんて、本当に絵里たちが卒業した年の3月以来です。
みんなの顔がとても眩しく、キラキラしていたのがとても印象深いです。

凛「それじゃあ練習、いっくにゃーーーー!!!」

凛の掛け声と同時に一斉に駆け出す9人…私も負けていられません。
と思ったら穂乃果が急に立ち止まりました。私とことりと穂乃果以外は先に上へと向かっていきます。

ことり「穂乃果ちゃん、何かあった?」

穂乃果「…これ」

海未「白い、羽根ですか。海鳥のものでしょうか」

穂乃果「うん、なんだかすっごく懐かしい」

海未「不思議ですね…私も同じことを思いました」

ことり「私も…どうしてだろう」

穂乃果「でも、これは私たちが持ったままじゃダメなものなんだよ」

海未「…そうですね」

穂乃果「もっとたくさんの人のところへ。これからもっともっと輝いていく人のところに」

穂乃果「もっともっともっと新しい世界が広がっていってほしい」

穂乃果「だから…今は今を楽しむために」

白い羽根は風に乗り、青空へ舞い上がっていきました。
まるで翼に戻ったかのように高く高く飛んでいき、やがて…

ことり「飛んでいったね…」

穂乃果「うん」

海未「…それでは私たちも行きましょうか」

淡島を後にした私たちは来たる2ndさわやかに向けて、再び車で移動。
X2にもだいぶ慣れてきました。車での旅行は車にも一緒に旅をしているパートナーのような感覚が芽生えてきますね。

にこ「はぁ~~~!めっちゃ長かったわあの階段…」

ことり「ほんとにね…ことりももうへとへとだよ」

海未「お疲れ様です。みんな明日は筋肉痛になってしまうかもしれませんね」

にこ「あんたは絶対ならないわよ…涼しい顔して頂上までいけるとか普段からどんだけ走りこんでるのよ」

希「でも全員がちゃんと頂上まで止まらずに行けたのは流石って感じやね」

絵里「なんだかんだでμ'sでの練習は今でも活かされてるわよね」

海未「ええ」

淡島を後にした私たちは来たる2ndさわやかに向けて、再び車で移動。
X2にもだいぶ慣れてきました。車での旅行は車にも一緒に旅をしているパートナーのような感覚が芽生えてきますね。

にこ「はぁ~~~!めっちゃ長かったわあの階段…」

ことり「ほんとにね…ことりももうへとへとだよ」

海未「お疲れ様です。みんな明日は筋肉痛になってしまうかもしれませんね」

にこ「あんたは絶対ならないわよ…涼しい顔して頂上までいけるとか普段からどんだけ走りこんでるのよ」

希「でも全員がちゃんと頂上まで止まらずに行けたのは流石って感じやね」

絵里「なんだかんだでμ'sでの練習は今でも活かされてるわよね」

海未「ええ」

程なくして目的地に着いた私たちは昨日誓った2ndさわやかにて食事をしました。

にこ「うんまっ!!なにこれ!!」

花陽「でしょ!にこちゃん達にも食べさせてあげたかったんだ」

絵里「ハラショーね…ハンバーグとはまた別の美味しさだわ…」

希「これなら無限に食べられるなぁ」

海未「うう…美味しい…ハンバーグも、このパンも…」

ことり「海未ちゃんが泣きながら食べてる…」

穂乃果「どうしたの?真姫ちゃん」

真姫「どうやら今日は沼津でお祭りがあって、そこでAqoursがライブをするそうよ」

凛「ほんと!?」

真姫「今日の締めにはちょうどいいんじゃない?」

穂乃果「さんせー!いくいくぅー!」

海未「ふふ、わざわざ来て見ない手はありませんよね」

なんという偶然…いえ必然だったのでしょうか。
私たちはすぐに会計を済ませて店を出ることにしました。

穂乃果「ふぅ…ギリギリ足りそう…」

真姫「大丈夫なの?苦学生なんだから少しくらい出すわよ」

穂乃果「そんなこと言ってるけど、甘えたら真姫ちゃんなら全部払うくらいのことしちゃうもん」

真姫「いや、そこまでお人よしじゃないわよ…ていうかあのこと海未には言ったの?」

穂乃果「明日の別れ際にでも言うよ。せっかくこれから最高に楽しい時間なんだし」

真姫「確かにそうだけど…どうせ怒られるなら早いほうがいいと思うけど」

千歌「皆さん!私たち浦の星女学院スクールアイドル…Aqoursです!」

会場に私たちが着いたころにはちょうどAqoursの皆さんがライブを行う直前でした。
やはり映像越しに見るのとは全く受ける印象が違うのがわかります。生で見た彼女たちは想像以上にキラキラしていて…

凛「どんな曲を歌うのかにゃ~?」

にこ「お祭りなんだから盛り上がる曲でしょうね。スクールアイドルの生ライブなんて久しぶりだわ!」

穂乃果「はやく、はやく聴きたい!」

他のメンバーもうずうずして仕方がないといった表情です。まるでラブライブの舞台で一緒に歌うかのような。
ライバルであり志を同じくする仲間を見ているときのような。そんな印象を受けます。
…私がそう思っていたからというのもあるのかもしれませんね。

千歌「聴いてください。未熟DREAMER」






穂乃果「………!!!」

ことり「わぁ…」

絵里「ハラショー…」

花陽「……すごい」

凛「キラキラしてる…」

希「眩しいなぁ…」

にこ「スクールアイドル…」

真姫「…………」


そして私たちは…

やっとひとつになれそうな僕たちだから

本音ぶつけあうとこから始めよう

その時見える光があるはずさ





海未「やはりここの歌詞が一番好きですね…私は」

真姫「そうね…いいものを聴かせてもらったわ」

海未「いつか、そうなるといいですね」

真姫「…?どういうこと?」

海未「いえ、ちょっとした私情です」

あのライブが終わった後、私たちはそれぞれ帰ることにしました。
時間も夜でしたが不思議と全員の意見が一致して、私と真姫が車でみんなを送り届けました。
今夜は真姫の家に一泊して、明日の飛行機で北海道へと戻ります。

真姫「ま、それにしても馬鹿みたいよね。にこちゃん達なんて向こうで1泊もしてないのに」

海未「確かにそうかもしれませんね、今考えるとだいぶその場の勢いで決めてしまいましたね」

真姫「こっちの車内なんかずっと無言だったわよ。海未も明日発つのに見送りに風情も何もないじゃない」

海未「いえ、いいんです。また来ますから」

真姫「そう…ならいいけど」

なぜあのタイミングで全員が帰ったのか…私と想いが同じならば、きっと…

海未「真姫、明日の早朝は時間空いていますか」

真姫「ん?そりゃ休みだし大丈夫だけど」

海未「神田明神で朝練しませんか?」

真姫「…!」




真姫「当然でしょ!」

ほんの少しだけ、そう本当に少しだけ。あの輝きにあてられてしまったようです。
私も、真姫も、みんなも。

ですから…一度だけ。
時を巻き戻して。

今を、最高に楽しむために。

海未「…ふぅ」

海未「ようやく書き終えました。なんだかまとまりのないことばかり書いてしまいましたね」

ピンポーン

海未「はーい、只今」

ガチャ

配達員「おとどけものでーす」

海未「向こうで買ったものですね。どうもありがとうございます」

配達員「それとこちらも」

海未「…?これも静岡から?覚えがありませんが…」

海未「ふむ…中身は…」

海未「………」

トドケテーセツナサニハー、ピッ

海未「はい、園田です」

穂乃果「あっ、海未ちゃんあのね、こないだ言うの忘れちゃったんだけどね、その」

海未「はい、穂乃果のみかんを買った伝票が何故か私宛の請求でこちらに届いていますね」

穂乃果「ゴメーーーーーーーーン!ちゃんと後で事後承諾とるつもりだったの~~~!!」

海未「穂乃果ァ~~~~~~~~~~~!!」

これで終わりです。

目を通していただいた方々、ありがとうございました。

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