佐藤心のすったもんだ (60)

アイドルマスターシンデレラガールズ 佐藤心 のSSです

18禁シーンを含んでおりますのでご注意ください


◆◇◆◇◆◇◆


「マジ…?」

これ、なんていうんだっけ? 床ドンだっけ? 下がベッドの場合でも床ドンって呼んでいいのかな…?
じゃなくて!


「お、おいおい…落ち着いとけー?」


そう! 落ち着かなきゃ☆ って別に自分に言ったワケじゃないんだけど!


「なんでそんな驚いた顔してるんですか? ヤるって言いましたよね?」

「え、えー? そうだっけー? はぁと、忘れちったー☆」


何の意味もなさそうな誤魔化しをしながら目を逸らすと、自分の部屋とは違って白いクロスの貼られた天井。
シーリングライトでけぇ~…そんなことを頭の中で呟いてすぐにそういう状況じゃないって改めて思い知らされる。
Pの手が今現在はぁとが唯一身に着けているバスタオルを解きにかかっていたから…ってこのヤロー、マジで担当アイドルに手出すつもりー!?


「ちょ! ホンっトにするつもり…?」

「なんなんですか? シャワーまで浴びといてやっぱりナシとか勘弁してくださいよ?」

「いや、そのぉ…」


そのためにシャワー浴びたわけじゃないんだけど…。その証拠にほら見ろよ☆ お化粧だってばっちり落として…やっぱ見るな!


「ちょーっとだけ待って? ていうか待てよ☆ 待って☆」


はぁとを素っ裸に剥こうとするPの手は止まるも、いまだ貞操の危機真っ只中!
精一杯平静を装いつつ、このピンチをどうにか切り抜けるヒントを見つけるため、佐藤心ことしゅがーはぁとは状況のおさらいをするのであった☆

ん~~でもヤバげかも…?

◆◇◆◇◆◇◆


「シンデレラといえばガラスの靴ってことになってますけど、心さんはどっちかっていうとアクリルの靴ですよね」


イベントの打ち上げでもなければ誰かの誕生日会でもなく、たまたま事務所にいた数人で近場の居酒屋に繰り出したいつもの飲み会。
皆の顔がイイ感じに赤くなってきた頃、はぁとの担当プロデューサーのPがそんなことを言い出した。


「アクリル…? はぁとディスってんのか? あぁん!?」


はぁとの威嚇はPを薄く笑わせるだけ。


「あはは! え? どういうこと?」


はぁとの隣に座っていた早苗さんが身を乗り出して正面に座るPに詰め寄った。
酒酔い特有のデカ目の声量に、すぐ隣で別の話題で盛り上がっていた瑞樹さん、美優ちゃん、楓ちゃんもこっちの話に聞き耳を立て始めてた。
ちなみにこの美女軍団の中でPが担当しているのははぁとと早苗さん。他の三人は別のプロデューサーが担当してる。


「いやいや、ディスってるわけじゃありませんよ。そもそもの話ですけど、ガラスの靴ってすぐ割れそうじゃありませんか? ちょっと階段で躓いたらパリン、足首ひねってパリン、踏ん張ってもパリン」

「勝手にアイドルを踏ん張らせんな☆」


Pが言いながら空になったグラスでコツコツとテーブルを小さく叩くから、はぁとは条件反射的にビールを注いだ…んだけど、もしかしたらグラスをガラスの靴に見立てていただけかもって気付いてデリカシーの無さに心の中でどっせいとローキック。
それより、Pの言いたいことがまだよく分からない。


「もしそんなことになったら足の裏ズタズタですよ?」

「ちょっとエグいぞ☆ 想像しちゃったじゃん☆」

「はは、すんません。でもアクリルってちょっとぶつけたくらいでは割れたりしないじゃないですか。だからタフで落ち着きのない心さんにはアクリルの靴の方が安全かなぁって、そう思いませんか?」

「誰が落ち着きがないか☆」


タフっていうのも言われて喜んでいいかビミョー…うん、やっぱりはぁとディスられてたぞ、おい☆


「そうね! 心ちゃんにはアクリルの靴がぴったりだわ! あははは!」


ついでに早苗さんにもディスられたけど、あまりに気持ちいい笑い声にこっちは許しちゃう。


「いや、笑ってますけど、早苗さんもアクリルタイプですよ?」

「あぁん!? 何よアクリルタイプって!」

「早苗ねぇさんこいつシメちまってくださいよ☆」


早苗さんがテーブル越しにPの襟首を掴みにかかったけど、それはひらりと躱された。


「あとおこちゃま組と愛海や鈴帆あたりの一部の中高生組は強制的にアクリルかなぁ。あれ? 俺の担当してる娘ってだいたいアクリルかよ…」

「アタシらおこちゃまレベルで落ち着きないってこと? え、マジ?」


がっくりとうなだれた早苗さんだけど、その右手は早速ビール入りのグラスに伸びていた。たぶんそういうとこだぞ☆


「というよりは、お二人に関しては、自分から脆いガラスよりはアクリルを選びそうってイメージです」

「ん~~? そう…かしら?…足元に不安があると戦えないし…そうかも…?」

「何と戦うんだよ☆」


頭の中でガラスの靴とアクリルの靴を並べてみる。
片方はまさしく透明。でも重くて硬くて、そして脆い。
もう片方は透明度と高級感はすこーしだけ負けるけど、軽いし粘りがあって砕け散ることはなさそう。
舞踏会を過ごすことになるなら、選ぶのはたしかにアクリルの靴かも…。
いや待て☆ はぁとのイメージではいくらアクリルでもヒールのとこで折れそうだぞ☆ もうちょっと太くしてっと…そうなるとチャンキーヒールだな☆ シンデレラ的にこれオッケーなの?
まいっか☆ フィクションフィクション☆

「背伸びしたい子たちは憧れ優先でガラスの靴を選ぶのかなぁ。でも、早苗さんは8:2の割合でアクリル選ぶでしょ? 心さんに至ってはたぶん10:0でアクリルですよ」

「アタシもガラスの靴にも憧れはあるけど…そんなもんかもねぇ~」

「おい☆ 早苗さんとの違いはなんだよこら☆」

「心さんの私服って、なんていうか…アクリルとよく合いそう」

「それはぁとの服が安っぽいってことか? 表出ろオラぁ☆」

「じゃあ私にはどっちの靴が似合いますか? 私もアクリル?」


どうやってPに物理的ハートアタックを叩きこもうか考えていると、楓ちゃんが身体をPの方に向け上目遣いに聞いてきた。
ほっぺは桜色で唇は艶々、肌はトゥルトゥル。かしげる首は計算し尽くされた(でも天然な)角度! ザ・愛嬌! くぁ~~嫁に欲しいぞ☆


「おっ、巻き込まれに来たわね楓ちゃん。ほら、もっとこっちに寄りなさい♪」


なのに、オヤジっぽく腰を引き寄せてせっかくのシナをぶち壊しにする早苗さん。


「高垣さんがアクリル? そんなわけないじゃないですか! 楓さんはダイヤモンドの靴ですよ! えぇ、決まってます」

「あら嬉しい♪ ダイヤだなんてそんな大役…もしかして口説かれちゃってます?」

「その通り、口説いちゃってます! どうですか、この後二人っきりで飲み直しませんか?」

「あら…どうしようかしら…うふふ♪」

「是非とも!」

「駄目に決まってるでしょうが!」「駄目に決まってるだろ☆」

「ちっ」


分かり易い冗談だけど、一応早苗さんと二人でツッコんどいた。


「あ、あの…では私はどうでしょうか…?」


はぁと的嫁にしたい娘ランキング上位ランカーの美優ちゃんも聞いてきた。でも美優ちゃんは…。


「三船さんは……」

(ガラスね!)(ガラスだな☆)


早苗さんとアイコンタクトしながら、Pの出方を待つと…。


「三船さんは…三船さんも、もちろん…ダイヤモンドですよ」

「そんな…私もダイヤでいいんですか…? ふふ…」


Pのヤロー空気読みやがって☆
でも照れてる美優ちゃん眼福だし、ま、いっか♪


「ねぇねぇ、じゃあ私は? 私ももちろんダイヤよね?」


ここで瑞樹さんが満を持して介入☆
んー、でも瑞樹さんは…どれだろ…?


「川島さんは………強化ガラス?」

「……は?」

「ぶはっ!! 強化ガラス! 似合う~!! あははは!」

「ちょ、早苗ねぇさん…ぶふふ…笑っちゃ悪いっすよ~♪」

「う、うっさいわね! アクリルよりマシよ!」

「なんですって!?」「なんだとー!?」


こんな風にして内容があるんだかないんだかわからない話でグダグダと盛り上がり始めた。あの娘はガラスだのアクリルだの勝手に決めていく。
最終的に礼子さんと志乃さんにはルビーの靴が似合いそうだなんて結論を出したりして、初めの趣旨からズレてきてることもわからなくなった頃、お店から出る時間になった。


「じゃあ俺はここで帰らせてもらいます。早苗さんと心さんもほどほどにしておいてくださいね」


Pが二軒目以降に付き合うことはかなり稀。大きな仕事の打ち上げでもない限り、大抵さっさと帰っちゃう。ったく、担当プロデューサーならもっと付き合えよなー☆


「だーいじょうぶ、だーいじょうぶ。まだいくらでも飲めるわ~♪」

「このパターンだと心さんが介抱役になりそうですね…。お願いしますよ?」

「やーん☆ めんどくさいぞー♪」


Pは次の店に向けて歩き出している美女三人に律儀に声を掛けてから帰宅していった。
いや、あれはただ楓ちゃんと喋りたかっただけか? スケベめ☆

次に向かった二軒目ではまだ会話らしい会話ができていたと思う。
でも三軒目ではひたすら大笑いしていた記憶しかない。
馴染みの店主に追い出されるように(覚えてろよ☆)お店を出て見渡してみれば生き残ったのは瑞樹さんとはぁとだけ。
それで、ちょっと早いけど今日はもうおひらきにしようかと瑞樹さんと笑いあった。
つっても魔法が解ける時刻からもう結構経ってるんだけど☆
前職から業界人の瑞樹さんは慣れた様子でタクシーを捕まえると、これまた手慣れた荒っぽさで早苗さん、楓ちゃん、美優ちゃんを後部座席に放り込んでいくから、はぁとが手伝う暇もなかった。


「この娘たちは私が責任をもって寮に連れて帰るから、悪いけど心ちゃんは別のタクシー捕まえてね」

「いやいや、はぁとの方が申し訳ないです。はぁとだけ別のとこに住んでるからって、いつもメンドーな役目を瑞樹さんに押し付けちゃって」

「そんなこと気にしないの。気を付けて帰るのよ? 帰ってからもクレンジングさぼっちゃダメよ? それと前に教えたむくみ予防のマッサージもちゃんとするのよ? あと…」

「あは♪ はぁい、大丈夫っす☆ おやすみなさーい♪」


面倒見の良さには結構自信があるはぁとも瑞樹さんのオカンオーラには敵わない。
危うくホームシックになりそう☆

四人が乗ったタクシーのテールランプが他の車のと見分けがつかなくなると、さっきまで騒がしかったのが噓みたいにロンリネス。


「いいなぁ、寮住まい…」


正確には寮じゃなくて会社の借り上げマンションだけど。
ミシン数台に作業台、お裁縫用のたっくさんの道具、布生地、芯材、トルソーマネキン、エトセトラ…それに何より百着を軽く超えるはぁと印のお洋服と衣装。これだけ物が多いと単身者向けの寮の部屋にはとても入りきらない。
だからはぁとのお家は都心からはちょーっと離れたトコにある。
昔とは違いライフラインを止められる心配はなくなった今日この頃、それでも都心からそう離れていない寮の近くに引っ越すことはまだ当分出来そうにない。
東京の家賃高すぎだろ☆


回送中のタクシーを見つけてへ手を振ると目の前で止まって、無機質なドアの開く音と


「お客さんどこまで?」


運ちゃんの業務的な言葉。


「あ…えっと……」


それにしても瑞樹さんはあの酔っ払い三人をちゃんとそれぞれの部屋まで連れて行けるのかなぁ?
エレベーターがあるとはいえ部屋を開けるにはみんなのバッグの中を漁って鍵を見つけないとだよね。
それに一人ひとりをベッドまで運んで寝かせて…瑞樹さんのことだし、メイクを落としてあげたりもするのかも?
そしたらもういっそのこと三人とも自分の部屋に連れ込んじゃって、勝手知ったるマイルームでゆっくりと寝支度をした方が良くない?
そしたらそうこうしてるうちに、早苗さんが復活してまた飲みだして四次会がスタートしたりして。
でもはぁとは…静かな部屋でお化粧落としてお風呂入って、冷たいお布団で一人でおねんね…。
ちょっとはぁと、アナタ何を考えているのよ? 疲れてるの? いや酔ってるだけか☆ だよね?


「ちっ……起きてますかー?」


運ちゃん、分かってるから。だからそんな風に舌打ちしないでよ。
元はと言えば運ちゃんが機械的だからイケないんだぞ?
そのせいで余計はぁとの寂しさが疼いちゃったっていうのに。
深夜の東京で一人寂しくタクシーに乗るほろ酔い美女だよ?
プロの運ちゃんなら一つや二つの小粋なジョークがあってもいいじゃない。ぷーんぷん☆


「ぁ………っ」

「お客さん、いい加減に……」


なんでもないことのはずなのに、妙に心に引っかかる瞬間ってあるよね?
あーーーもう! 歳をとる毎に涙脆くなっていくなぁ…って悲しくなるだけだし自虐やめやめ☆


「○×消防署まで…お願いします」

「……はいよ」


口からポロリしたのはPが住むのマンションへ行くときの目印の消防署だった。

P宅にこれまで何度か他の娘たちと一緒に押しかけて宅飲みしたことがあるのを、ふっと思い出していたのかも。
そこを選んだのに深い意味はホントのホントになかった。ただ久しぶりにPともっと喋りたいなぁってなんとなく思っていたのは確かだけど。
それにたまたまだったけど、今日のはぁとのお洋服はかなり大人しめだから…こうして髪を解きさえすれば、万が一誰かに見られてもはぁとだとは気づかれないはず。オーラがないから、じゃないぞ☆

Pってばいつもの飲み会では当たり障りないこと言って笑ってるくせに(楓ちゃんへは別! いや、本気じゃないのは分かってるけど☆)今思えば今夜はちょっとだけはぁと達に踏み込んできてた、と思う。
はぁとがアイドルになりたての頃はお互いの考えをすり合わせるためにじっくりと話し合うことも珍しくなかったのに、曲がりなりにもアイドルとして軌道に乗ってからはお仕事については基本はぁとの好きなようにさせてくれるようになって…放置ともいうけど…いつの間にかPとガッツリ考えを戦わせる機会もなくなってた。
今日のアクリルのくだりはたぶんその場の思いつきを言っただけだろうけど、それでもお互いに対してあーだこーだ言い合ってた懐かしき日々を思い出しちゃって…これはもう久々に朝までアイドル談義に花を咲かせるっきゃないっしょ☆


―――
――



P宅のドアの前まで来ると、そういえば非常識な時間だとか、もう寝てるかもだとか、そんな面白くない考えは頭の隅に追いやって、酔いの勢いに任せてインターホンを連打した。
室内に呼び出し音が鳴り響くのがドア越しにも聞こえた十数秒後、ドアのすぐ向こうにでフローリング床を踏みしめる微かな音が聞こえた。
でもドアは一向に開く気配がなくて、もう一回連打をお見舞いしてやろうかと手を伸ばしたところで、やっと鍵の回る音がした。


「来ちゃった☆」

「心さん? こんな時間に一体どうしたんですか…?」

「おうプロデューサー、飲もうぜ☆」

「帰ってください」

「は? ちょ」


バタム♪ ガチャリ♪ ってオイ☆
すかさずインターホンを連打しても遠ざかった気配が戻ってこないので、反則技を使うことにする。


「ね~~♪ ぷ~ろでゅ~さ~♪」


深夜の静まり返ったマンションの廊下にはぁとの美声が響き渡る~☆
そしたら狙い通りドアの奥からドタバタと近づいてくる音がして…


「はぁ、じゃなくて…アタシを~~♪ お部屋にぃ~~♪」

「何考えてんだ!」

「あん☆」


勢いよく開いたドアから伸びたPの手に腕を取っ捕まれて室内に引きずり込まれた☆


「いやん☆ 強引なんだから♪」

「何を考えてるんだアンタは!」

「ああーん☆ 怒っちゃやーよ☆」

「帰るタクシー代が無いとかですか? お金なら貸しますから帰ってください」

「やだ…はぁと、今夜は帰りたくないの…ぽっ☆」

「……ごめんなさい、本当無理です、帰ってください」


一回大きな溜息をついたPが玄関ドアを開けて、はぁとの背中を押して追い出しにかかってきた。って、これ本気の力籠ってるー☆


「まって! ウソウソ冗談だって! ほんと寂しいの! はぁとを一人にしないで! ちょっと話し相手になってくれるだけでいいからっ! 寝るのもソファで、いや床でいいからお願いっ!」

「バカなこと言ってないで…ほらっ! 出て行って…っ!」

「あ、あーー! いいの? ホントにいいの!? 追い出したらドアの前で一晩中はぁとリサイタル開催だからね!? そうなったらアレよ! 明日のワイドショーこの話題で持ち切りよ!? そしたらプロデューサーもはぁとも仲良くクビなんだから!」


そこまで言ってやっとPの腕の力が抜けた。


「はぁ~~……心さんはああ見えてちゃんとわきまえてる人だと思ったんですが…」

「ああ見えてってどういう意味だよ☆ いやいや今日はホント特別だから。なんか大人になるとさ、無性に寂しくなるときってあるじゃん?」

「そう、ですか…。わからなくは…ないですが…。でも…」

「っしょっと♪」

「でもウチに泊まる以上はヤりますよ?」


お酒のせいで足元が少しふらついてしまって、靴を脱ぐのに苦戦しているところでPはそう言った。


「はひ…?」

「いいんですか?」


冗談を言ってる顔じゃなかった。
ヤルって何を?だなんて聞き返したりはしない。夜に女の子が男の部屋に行くんだし、そのことについてはやっぱりちょっとだけ考えてた。
でもPだし? アイドルと一線を引いてるPだし? 前にもここで雑魚寝したことあるし?
だからそれもまだはぁとを帰らせるために脅してるんだと思っちゃった…ううん、思い込もうとした。
前に泊まった時は、はぁと一人じゃなかったってことも意識的に考えないようにしてたし。


「またまた~。冗談キツイぞ☆」

「……本気ですけどね」


はいはい、脅し脅し☆ 脅し…だよね?
はぁとが靴を脱ぎ終えたところで、Pは壁に寄ってはぁとを部屋の中へ促した。


「そ、そういえばっ…寝てた?」

「寝てたと言えば寝てましたけど…どうやらソファでうたた寝してたみたいです」

「そのまま寝てたら風邪ひいてたんじゃない? だから、むしろはぁとに感謝しろよ☆」

「いや、すっごく迷惑かけられてるんで、完全に相殺されてますからね?」

「細かいこと気にすんな☆」


リビングまで入ってバッグ置いてすぐに


「俺はもうシャワー浴びてますから、心さんも浴びてきてください」


ってバスタオル渡されて、なんか引っかかる言い方も熱いシャワーがカラダに沁みていくうちに意識から消えてた。
きっとそのせいで、脱衣場の洗面台にあったドライヤーで髪を乾かしてる最中にちょっとからかってやるかって悪戯心が湧いてきちゃったんだ…。
どんな面白いリアクション見せてくれるのかななんてニヤニヤしながら、バスタオルを身体に巻きつけた状態でリビングに行ったら、Pには驚く素振りも無く、はぁとは当然のようにベッドに押し倒されて…。


あ、これで回想終了か☆ う~ん結構長かった☆


◆◇◆◇◆◇◆


うん、これ完全にはぁとの自業自得だ☆

入ってきたらヤるってPはちゃーんと宣言してたのに、ズカズカと入り込んだのははぁと自身…。
もし友達の女の子が「えーん、こんなことがあってヤられちゃったよー。シクシク」って相談してきても、いやそれアンタが悪いでしょ!って言うわ☆ ウケるー☆


「心さん? どうしました?」

「ぁ…なんでもな…くはないけど…」


Pがはぁとをじーっと見つめていた。
こっちは何をどうすればわからなくて何故か大笑いしてしまいそうだってのに、なんでPは薄ーくニヤついてられるんだよ☆


「あぁ、心さんがどうしても無理っていうならしませんよ? でもその場合、帰ってもらいますけど」

「そう、なんだ……ど、どーしよっかなー……」


Pって…はぁとよりほぼ同い年なんだっけ?
背ははぁとより10センチほど高くて、顔は普通で、まぁ悪くない。
仕事中は飄々としていて情熱があるのかよくわからないけど結構有能らしい。
はぁとに自由にお仕事させてくれて、はぁとが無茶しそうなときは冷静に修正してくれる…正直感謝してる人…。

帰るってなると…ノリでPの部屋に来て、Pが止めるの無視して入り込んで、雲行きがあやしくなったら迷惑をかけっぱなしでしっぽ巻いて逃げ帰って、タクシーの運ちゃんに舌打ちされながら何十分もかけてお家に帰って、やっぱり冷たいお布団でってことになる……。

このままPに抱かれるか、それともオメオメと逃げ帰るか…。
胸の中の天秤ははっきりと片方へ傾いてた。大事なことなのにこんな雑で打算的な決め方をしたってよっちゃんが知ったら絶対怒られるわー…。
でも…ごめんよっちゃん…お姉ちゃん今日はとっても寂しいの…☆


「よ、よーし…もうOK…い、いいよプロデューサー…しても……」

「いいんですか? 帰っちゃうかなって思ったんですけど、まぁ良かった…かな?」

「で、でも約束して…っ」


Pに抱かれるってことはアレをPに捧げるってことだ。
別に大事にとっておいたわけじゃないけど、ここまで来たらもう、ね…?
しかも絶賛ナントカ適齢期でもあるんだし…このままアイドル続けていって、いざ一般人に戻ったとき年齢的に誰にも相手にされないなんてことになったら悲しすぎるから…。


「これからもずっと…はぁとと…はぁとの面倒をみるって……。それが約束できないなら、帰る…」

「それは…あぁ、そういうことですか…わかりました。約束します」

「え? いいの…?」


Pは意外なほどあっさりと承諾しちゃったけど…ってマジ? いいの?
あれー? もしかしてPってば素っ気ないふりして実ははぁとのコト…そうだったの? やーん照れるぅ☆


「えへ…えへへ……♪」

「急にニヤニヤして…はは、結構ちゃっかりしてますよね。いや、そういうところも心さんらしくて良いと思いますよ」

「ちゃっかりは余計だぞ☆」

ここに来て初めて視線を絡め合ってクスっと微笑むと、緊張で固まっていた身体が幾分マシになったような気がした。


「ぁ……っ」


それも束の間のことで、Pは何の躊躇も無くはぁとの素肌を隠していたバスタオルを解いてしまい、途端に味わったことのないレベルの恥ずかしさが顔を焼いた。


「うわ…本当に『ぼんっ』て感じですね。形も綺麗で、透き通るようなピンクだし…」

「ゃぁぁ、恥ずい…!」


ベッドに仰向けになったままのはぁとは身じろぎもできずに、床ドン状態で見下してくるPの肩あたりで視線を泳がせるしかなかった。
真っ赤になってるはずのはぁとの表情そっちのけで、Pの視線が胸に注がれているのが見なくても分かった。
触られてもいないのにで胸がチリチリと甘痒くなって、そんなしみじみ言う程ピンクだったっけ?と気になって薄眼で見てみたら自慢の美巨乳で確かにピンクで、いや! というか!


「で、電気! 電気消してっ!」

「…残念。恥ずかしがることない綺麗な身体なのに」

「い、いいから消せよ…消して…」


Pがベッド脇のナイトテーブルに置かれていた小さなリモコンらしきものに手を伸ばして丸いつまみを捻ると部屋がだんだんと暗くなってく。
ハイテクだな…はぁとのお家は紐引っ張るヤツなのに。


「もっと暗く…もうちょっと!」

「これくらいでいいでしょ? 真っ暗だと面白くないじゃないですか」

「オイ、面白さ必要か?」


Pの唇が灰色っぽく見えるようになったところで、Pはリモコンを手放した。
つまりははぁとのお胸のスウィーティ―な部分の色もよくわからなくなったけど、輪郭は少しぼやけた程度。
でもそれに抗議する間もなくPの手がお腹をさすってきたから、はぁとはまず何を言えば良いのか分からなくなっちゃう。


「はぁ…んっ、んゃぁ…くすぐったぃ……ぁっ」

「くびれはきゅってしてるし、腹筋も…おぉすごい、鍛えてますねぇ」

「だ、だろ? 見直した…か…? はぁっ、はぁっ…んやぁっ…触り方…やらしい……ぞっ」


撫でたいのか、くすぐりたいのかわからないゆったりとした触り方…それなのにマッサージなんかよりもずっとカラダの内側に響いて滲みてきて、言いようのない不安が次から次へと湧いてくる。


「ぁっ…はぁ…はぁ…ぁぁぁ……」


お腹を撫でていただけの手が別の目的を見つけたのを感じた。
Pの手はお腹を撫でながらジリジリと上へあがっていく。
はぁとの胸を目指しているのが丸わかりだぞ? そらまぁ当然だろうけど…。
肋骨の一番下の骨を指先で散々撫でまわされた後、ついに夢と希望が詰まったはぁとの膨らみがPに触られる。


「はぁぁっ、ぅそぉ……っ!?」


Pの人差し指と親指が膨らみに沿うように軽く触れただけなのに、鋭い痺れが背中まで突き抜けた。
思わず身を捩ってしまっても、Pの指遣いは相変わらずソフトにはぁとの素肌にまとわりついてくる。
微かに触れ合っている部分からPの体温以上の熱が伝わってくるような気がするし、動けば指紋の凹凸がヤスリになってるんじゃないかってくらいにビリビリと疼いてきた。
自分で触るのとは何から何まで違い過ぎた。男に触られているから? Pだから? それともエロ目的で触られているから?
はぁとの乏しい経験値では答えは出せそうにない。


「んん……ふぁっ……」


胸全体がじんわり熱っぽくなったと思ったら、はぁとの両おっぱいがブラで寄せて上げてしてるみたいになってた。Pの手によって!


「や…んやぁぁ……っ」

「あは…すげえ……」


そのままPが指先を揺らすとはぁとのお胸が震えて先端の…とんがっちゃってるのが…あっちへっこちへ可愛く動いて、薄暗くてもPがやらしくニヤついたのがはっきり分かった。
はぁとの胸で遊ばれているのに何故か咎める言葉が出せなくて、代わりに出るのは自分でもびっくりするぐらいの甘い声…。

しゅがは期待

段々とPの指の熱が強くなってく…。揺すり方も雑になってきて指がおっぱいにグイグイめり込んできて、そのたびにうなじら辺が内側からくすぐられているように疼いてしょうがない。


「んっ…うぁ……はぁとの…む、ねが……ふぁぁ……っ」


知らない刺激が次から次に襲ってくるのが堪らなく不安で、やめさせられるならそうしたいのに、Pの手首を掴んでいた両手には全然力が入らなくて…それでやっともう逃げることも抵抗さえもできなくなっていたことに気が付いた。
Pがスケベな顔をしながら原型が分からなくなるくらいにヘンテコな形に揉みしだくのを、はぁとには見ていることしかできなかった。ゾワゾワしたうなじの疼きにプライドを乗っ取られないように耐えるのが精いっぱい。


「ああっ!」


それなのに、はぁとの全力の努力を嘲笑うように指先だけでではぁとは負かされた。
クニクニグニグニ…練りケシでもこねるみたいにグニグニグリグリ…はぁとの胸の薄ピンクが手ひどく弄繰り回される。


「んん~~っ! んぅぅっ! はぁぁっ!」


平常時より硬くなってるはぁとの大事な大事な先端が、まるで一粒五円のグミみたいに弄ばれて簡単に潰された。
潰されて、それで、弾けた。
はぁとの胸の先端で点いた導火線がカラダの奥まで伝わって、何かが弾けた。
堪らず目をギュッと瞑り、つま先からつむじまで駆け巡った電流をやり過ごして、次に目を開けたら靄がかかっているように見えるのに妙にチカチカする視界…。
おかしいなって思うけどはぁとにはもう何も分からない。


「はは…心さんってベッドでは大人しくなるんですね……それに巨乳なのに感度も良いみたいで……じゃあこれは?」

「んいっ!? あああっ!」


いきなり乳首に爪を立てられた。
乳首からの刺すような危険信号をはぁとブレインが受け取った結果が桃色の叫び声。
右から左から爪を立てられて、上から爪で押されて、爪を立てたままグリグリこすられて、その度にはぁとの胸の奥の大切なモノのカタチが強引に変えられていくみたい。


「はっ…たまんねぇ……んああ……」

「はあああ……ら、めぇぇ……っ」


手の動きを止めたPが顔をおっぱいに近づけ口を開けて…乳首が食べられてしまう。
すると一瞬で爪でいたぶられてたのがリセットされて、今度はそこだけお風呂に入れられたみたいに熱くなってくる。
いや、熱いだけじゃなくて、やっぱりまた潰されてた。


「んあぁぁ…はぁぁぁっ! らめ…らめぇぇ……っ!」


熱くて重い刺激はより一層視界の靄を濃くしてく。
Pの顔を止めようとする手は相変わらず無力で、Pの後頭部を抱きながら撫でるだけになっていた。
疼いてるのももう乳首だけじゃない。
Pが顔をうずめるおっぱい全体が、さっきPに撫でられたお腹が、そして…股のアソコが痛いくらいにキュンキュン疼いてた。


「はぁぁ、はぁぁっ……ぷ、ろでゅさ……も、らめ……らめなの……っ」

「んれっ…と……あは、心さん…なんかしおらしくて…いいな…」


両乳首を唾液でベトベトにしたPはやっと顔を上げて、だらしなくなってるはずのはぁとの顔を覗き込んでくる。
熱い手のひらをはぁとの頬に添えて、もう片方の手で顔にかかる髪を耳に掛けてくれた。
それはもしかしたら、はぁとの恥ずかしい表情をよく見るためなのかもだけど、はぁとにはどうでもよかった。
もしそうでも、Pの手が触れていてはぁとを見つめてくれてるのが異様に心地よかったから…。


「ぁぅ…っ!」


不意に股に触れられた。
さっきまではぁとの髪を整えてくれてたPの右手だった。

股間をピタリと覆ったPの手の熱が、なのに、はぁとの全身を凍ったように硬直させる。


「ぁっ………はっ、はっ、はっ……」


ついにはぁとの女の子の全部がPに触れられてしまうっていう不安と理解不能の高揚感で、胸が張り裂けそうなくらいに高鳴り始めてた。


「心さん…結構濡れてるね? 指、入れるよ?」

「はぁ、はぁっ……だっ、ま、待って……まっ……」


何で聞いたのかわからないくらい、Pははぁとの言葉を聞かずに股間に置いた人差し指から小指までの四本の指を曲げていく。
人差し指と小指はすぐに止まった。でも中指と薬指はどんどん曲がっていく。


「はぁっ、はぁっ! ぃゃ…まって……んやぁぁっ!」


そして異物感。
Pの二本の指がつるりとはぁとのアソコに入り込んでしまったらしい。


「はぁっ! はぁぅ……あぅぅ!」

「あは…入っちゃった…心さんのココ、トロトロですね…」

「はぁぁっ! ぃゃ…ぃゃぁぁぁ……っ」


痛みなんて全然なかった…。
恥ずかしながらはぁともアイドル以前に一人の大人の女の子だし…相手はいなくても一人でこうなんていうの…慰めたりしたことも…ヤメヤメ!
でも胸のときとおんなじで、自分の手とは明らかに違うゾワゾワとした刺激がカラダを強張らせて、不安と混乱のどん底に叩き込まれた気分だった。


「ねぇ? ほら、わかりますか?」

「んっ……んんんっ! はぁっ!」


入り込んだ指がいつまでもじっとしていてくれるワケがなく、蠢き始めたのを大きくなった刺激で知らされる。
指を曲げ曲げしているのかそれとも出し入れしているのか分からないのに、弄られ方が変わるとそれに応えるように勝手に腰が痙攣っぽく震えてしまう。
自分がどうなろうとしているのがわからないのが怖くて恐くて、無意識に縋りついてたのはPのもう片方の腕。


「おっぱいだけでこんなに濡らしちゃったんですね。心さんて結構エッチ?」

「ちが…んぅぅっ…ば、ばか、ばかぁ……っ」


生温い声が鼓膜にねっちょりと絡みついて胸が一層甘痒くなる。
イジワルなPにハートアタックを食らわしてやりたいのに、カラダが自由に動かない。
このままPに縋りついていても余計に恥ずかしい思いをさせられるのが分かっているのに、Pの腕から離れることも出来ない。


「聞こえてます? あーすごい音」

「ばか……ぅく…ふぁっ…ば、ばかばか……」


はぁとの股の方から響くとっても下品な音…。聞きたくないのにPの言葉でどうしても耳を澄ましちゃう。

自分のカラダの一番大切なところにズブズブとPの指が沈み込んでる…。
数時間前まで仕事上の関係しかなかったPと裸で肌を触れ合わせて、はぁとははしたなく大股開いてて…まるで現実感がない。
夢の中にいるみたいで、エッチだとかスケベだとかイジワルだとかハズカシイとか、そういうのがもうどうでもよかった。
Pが与えてくる刺激を感じて、それに身を任せること以外にすべきことが見つけられなかった。


「はは…心さんのおまんこきゅっきゅしてる…入れたら気持ちよさそ…」

「はぁっ、はぁっ! ぃゃっ、ぃゃぁぁ……ぷろ…でゅ……っ」

「あぁもう心さん、こんなにギャップ見せちゃって…ちゃっちゃと終わらせるつもりが……あっ」


急に止まった指の動き。
Pの顔を見上げてみると、はぁとの股とは逆方向のある一点を見つめてるみたい。


「あー……もうこんな時間か…明日休みだったらなぁ…しゃーないかぁ…」


そうつぶやくと、はぁとが腰をどれだけ震わせても離さなかったイジワルな手をあっさりと離した。
Pが膝立ちでマットレスの上を動くとベッドフレームがギシリと鳴った。
続いてティッシュが二枚引き抜かれる音。
その後でナイトテーブルの引き出しが開かれたみたいだった。


「んっ……はぁ、はぁ、はぁ……」


Pが何かごそごそやってる間、はぁとは開いた脚を閉じる気さえ起きず、ぼんやりと灰色の天井を眺めたまま自分の息切れを聴いていた。
荒かった息が元に戻りそうなところで、はぁとの脚の間にPが膝立ちで割り込んでくる。
そのときのPははぁとと同じでもう何も着ていなかった。


「あっ、あっ、あああ…っ」


整いかけた呼吸が吹き飛んで、胸が猛烈に痛み始める。
はぁとの太ももを押し持ち上げながらPが更に近づいてきて股間同士が触れ合うと、はぁとの入り口辺りに何かとんでもなく熱くて硬いモノが当たってた。
M字開脚状態にさせられたことよりも、その硬いのがよっぽど大問題…たぶん避妊具のテカテカしたヤツに包まれて窮屈そうなソレは、明らかにPの指何本か分の長さと太さだった。
悪なレベルの大きさではないっていうのはなんとなく分かるけど、はぁとにとっては疑いようもなく最大なワケで…また味わったことのない刺激が来るのを予感すると、背骨をしごかれたように一気に全身の毛穴が開いていく。


「……あは…本当に心さんとヤろうとしてる…やば…やっば…」

「…プロデューサーは……ちゃんと一線引いてるヤツだと…思ったんだけどな…」

「ははっ…それ、心さんが言っちゃうんですか? ちゃんと引いてたのに、踏み込んできたのは、ふっ…心さんでしょ…っ」

「んぁ…っ!」


Pの腰が微かに後ろに引くと同時に、はぁとのアソコに硬い先端が押し付けられる。このままPが腰を前に突き出せば、はぁとは貫かれる…!


「あぁっ! はぁっ! はぁっ! ぷ、ぷろでゅさぁ…っ! まっ、待って……お…」

「はぁ、はぁっ……なんですか、心さん?」

「お、お願い…やさしく…して?」

「……ははっ」


一瞬、Pが舌を出して笑ったような気がした。だけどその悪い笑みに不安を感じている暇ははぁとにはなかった。


「あああ゛う゛っ!」


何かを感じるよりも早く、スウィーティ―さの欠片もない呻き声を出していた。
呻き声が呼吸と一緒に止まると全身も硬直する。


「あ゛…っ、あぅっ、あぅっ、あぅっ」

吸ったのか吐いたのか分からなかったけど、呼吸の再開と同時に圧迫感と異物感と熱と痛みとがごちゃ混ぜになった刺激の塊が襲い掛かってくる。
ただの幸いかそれとも若気の至りの必然か、痛みはそれほどでもなかった…と思う。


「心さん…優しくは…たぶん無理…はぁっ、はぁ、くっ、でも…こんなキツイの…絶対長くもたないですから…っ!」


Pは一度も止まらずに腰を前に突き出して股間同士を密着させたままそう言うと、はぁとのきゅっとしたくびれをがっちり掴んで動き始めた。
ちなみに言葉の通り、Pは優しくはしてくれなかった。


その後のことはテレビで見た映像みたいな記憶になってる。
ごちゃまぜの刺激があまりに鮮烈過ぎてびっくりして、はぁとの感覚がおかしくなっていたのかも。
はぁとはずぅ~っと汚い声をあげながらPに懇願していた。
まって、ゆっくりして、やさしくして、たすけて…って。
でもPははぁとがお願いすればするほど目をギラつかせて歯を食いしばりながら激しく動いた。
言ってダメなら、Pのお腹を押して動きを止めようとしたけどそれも無意味。
力が全然入らなかったし、そもそも力が入ったとしてもPの腰はそれよりも全然強く動いてたから。
はぁとを見下すPの瞳が、腰と腰のぶつかり合う音が、とんでもなく大きな刺激が、カラダとココロに刻みつけられていくのが分かった。
そしてその大きくて生々しい刺激ははぁとの頭を何度か真っ白にした。
そうなる瞬間には世界に存在するのははぁととPの二人だけで、Pと繋がってるところの感覚だけがリアルだなんて錯覚してしまう。
錯覚。そう、錯覚のはず…。
でもその錯覚を知る前と後で、はぁとのナカにはっきりとした線が引かれたように感じていた。
はぁとのカラダの奥にあるココロのさらに奥の真っ白な部分にくっきりと跡が残ってしまったイメージ…?


Pと繋がってどのくらい経ったのかはぁとには分からなくなってたけど、一際力強くPが腰を突き出すとそれまでの激しさが嘘みたいにピタリと止まった。


「くっ……イク…っ!」

「あ゛っ……ぅ………」


子犬みたいにブルブルと小刻みに震えるPは、そのくせはぁとの腰を指の跡がつきそうなくらい力任せに掴んで、自分の腰に引き寄せる。
そして止まってから十秒もしないうちに、下腹部でグジュグジュと鈍い響きが起こった。


「ぁ……で、てる……?」


Pはこの上なく気持ちよさそうなで情けない表情をしているし、これがたぶんシャセーってやつなんだろう。
これで激しい刺激はとりあえず終わりだと分かると、全身に安堵感が沁みていって強張りが溶けていくよう。


「んっ……ぅぁ…っ」


グジュグジュするのが収まった後、Pは深呼吸しながらゆっくりとした前後運動を三回繰り返してから引き抜いた。


「ふぅーー……。めっちゃ良かったです」


そう言ってPは避妊具を引っぺがして口を結んで、ティッシュでくるんでゴミ箱にポイ。

ドキドキドキとはぁとの胸はまだ高鳴り続けていて、ついPを見つめてしまう。
でももうそのときのPの表情はいつも会社で見せているのと大して変わらなくて、あっさりとはぁとから目線を外して、体を起こしてベッドから下りた。


「トイレ行ってくるんで、心さんはもう寝てていいですよ。あ、またシャワー浴びたいなら自由にどうぞ」

「ぇ……ぁ…ぷろでゅ……」


ただ呼んだだけなのか、引き留めようとしたのかはぁと自身もわからなかったけど、結局Pは止まらずそのままトイレへ向かった。


一人残されたベッドの上、全身の脱力感に服を着る気さえ起きずぐったりとただ自分の心臓の鼓動に耳を澄ます。
もう何も入っていないはずなのに下腹部にはいまだに微かな異物感…。
それが逆に無いはずの空洞を意識させてくるようだった。
お腹の中をかき混ぜられているときにはこんにゃろめって感じだったのに、なくなってしまうとそれはそれで…寂しい、かも…?
その寂しさも指先でお腹をさすると少し紛れるように感じた。

死にそうだなんて何度か思ったりもしたけど、終わってみれば満足感に似た決して悪くない気分…。
でも不満はある。今この瞬間がものすごく孤独だぞ!
ピロートークっていうんだっけ? たしかにすごく大切だわ~。
だからP、早く戻ってきてはぁとの…こ、恋人の頭撫でて☆ 撫でろ☆


「ふぁ……あ…らめ…ねむ………」


だけど願い虚しく、はぁとは睡魔に負けてしまったのだった。クスン☆


◆◇◆◇◆◇◆


ちゅんちゅん。ちゅんちゅん。

うん、覚えてる☆
それなりの量のお酒が入ってたのは確かだけどほとんど覚えてるぞ☆
覚えちゃってるぞ……。


「ちゅんちゅん……ちゅんちゅん……朝ちゅんちゅん……」


知らない肌触りのシーツと毛布。
いや、ちょっと待った。この感触…全身が毛布に包まれてる…?


「薄眼でチラリ……」


ぜ・ん・ら だこれ…。
そうかぁ…。あのまま寝落ちしちゃったんだっけ?
そんで、身体の左側が妙に温かいのは…Pだな。ってコイツ、自分だけ服着やがって…しかも背中向けて寝てんじゃねーぞ☆

それはそうと…ヤっちまったな☆


「はぁ……」


ヤっちまった……。


「ふぅ…………」


ヤっちまったー!!
アナタのはぁとをシュガシュガスウィートのアイドルなのに!
ファンもようやく増えてきた大事な時期なのに!
ヤっちまったーー!
恋人できちまったよーー!

ゴロゴロ転がりながら絶叫したい気持ちをなんとか抑えて、頭の中でだけそうすることにした。

恋人!
恋人……恋人……。


「はぁとの…初めての…恋人……でへへ♪」


仕方ないよね…? 成り行きとはいえね…? ヤっちゃったしね…?
これからも変わらずファンは大切にするし、バレないように気を付けるからイイよね…?



「ん……」


隣のPが寝返りをして仰向けになったけど、まだ起きそうな気配はなかった。
今一度自分の格好を思い出して、起こさないように静かにベッドから下りて昨日と同じ服を着る。
着終わったところでヘッドボードの置き時計が目に入って、自分が随分早い時間に起きたことを知った。慣れない環境だから早く目が覚めちゃったのかもしれない。
ほんの数時間しか寝てないにしては頭と体はかなりスッキリしてたけど。


「せっかくだし、恋人らしいことしてあげよっかな☆」


できる女しゅがーはぁとはキッチンに立つことにした。
冷蔵庫の食材の粗末な在庫に愕然としながらも、どうにか一応の体裁を整えた朝食を拵えたところでタイムアップ。
といってもお米を炊いて、目玉焼きと具の少ないお味噌汁を作っただけだけど。
今日のお仕事の時間と、一度はぁとの家に帰ることを考えると、そろそろP宅を出ないとダメな時間になっていた。
Pの様子を見るとまだしばらくは夢の中っぽい。


「ぐっすり眠りすぎだろ…ふふ♪」

「すぅ…すぅ……」

「……あ」


そこでやっと気づいた。
昨日、ヤることヤっときながらキスしてなかったことを…。


「マジで? うわー…いや、コレ順序どーなの…?」


Pのすぐ傍で立膝になって顔を覗き込む。
見慣れた顔のはずなのに…別にイケメンでもないのに…見つめていると胸の奥がチリチリとしてきて…苦しいのに心地よくて…温かいのに切なくて…何故かPの顔がどんどん近づいてくる……あ…あと少し…あと少しではぁとの唇がPの………


「んっ……ぐぅ……」

「…っ!?」


触れ合う直前、Pがまた寝返りを打って、はぁとは正気に戻った。
何をしようとしていたのか気付くと心臓はトクトクと高鳴り始める。
それなのにまた同じことを繰り返したい気分。


「あぁ~~……コレ、頭バカになりそう………」


でも、しばらく待ってもPは寝返りを打つことはなくて、いい加減マズイ時間になってしまい、結局駅まで駆け足するハメになった。
お仕事にはなんとか間に合わせたから。
恋もイイけど、プロとしてウツツを抜かしちゃ駄目だから、そこはしっかりとね♪
矛盾には気付いてるから、うん、突っ込んじゃ、らめだぞ☆


―――
――



この日もはぁと一人でスタジオに行ってレギュラーのお仕事をした。
テンションがいつもより上がってたせいか、かなり良い仕事ができたと思う。
それから昼食を摂って、その後は夕方までレッスン。
これまでなら一緒にレッスンをしてた娘たちとご飯食べに行ってから帰宅することが多いんだけど、事務所に用があるってことにして抜け出した。

夕方の事務所は下手すると日中よりも騒がしい。
親が迎えに来るのを待ってる年少組が走り回っていたり、レッスンや仕事の報告を担当プロデューサーにしてる娘がいたり、大人組が飲みに行く前の待ち合わせ場所にしたり。
Pのデスクを覗いてみると、Pは横に立つ愛海ちゃんにこんこんと何かを喋っていた。
愛海ちゃんのしょぼくれた表情のせいで、職員室に呼び出しをくらった生徒と先生みたいな風に見える。
その内容が断片的に聞こえてくる。


「…だから……他の事務所……特に女優さんは……シャレが……訴訟……今回は見逃して…せめてうちの……くるみとか………」


大体把握した☆ というか思った通りだった☆
そういえば勢いで来てしまった訳だけど、愛海ちゃんがいなかったとしても、こんなに人の目がある場所でナイショの会話ができるはずがないことに今になって気付く。
それでも…遠目からでもPの顔が見れただけでもなんだか嬉しくなってしまって…来た甲斐があったかもなんて感じていた。


「…我慢……さもないと………早苗さんか………お注射………あ」


いつの間にか、ぼーっとPを見つめていたみたいで、Pがはぁとへ手を振ってきていたのに気付くのが一瞬遅れた。
そして気付いた瞬間、胸がきゅっと痛くなって、思わず回れ右をして出入り口のドアに向かって歩き始めてしまう。


「心さん? 今日は直帰する予定だったと思いますが、どうかしましたか?」


ドアまであと数歩だったのに、追いついてきたPに声を掛けられてしまっては立ち止まるしかない。


「ぁ…いや…ちょっと…わ、忘れ物! 忘れ物取りに来ただけだから…!」

「あぁ、そうでしたか…なら、いいんですけど」


嘘をつく必要なんてないのに、気恥ずかしさのあまりつい見栄を張ってしまう。


「だから…もう帰る……お、お仕事…頑張るんだぞ☆」

「ありがとうございます。心さんも気を付けて帰ってくださいね」


それでまた回れ右してドアノブに手を伸ばしたところで…


「あ、そうだ。心さん」

「ん?」


振り向くとPはすぐ目の前。否応なしに昨晩のことを思い出してしまいカラダが固まった。
Pの顔がさらに近づいてきて、でもどこも触れることはなくPの息だけがはぁとの耳を撫でる。


「朝ごはんありがとうございました。お味噌汁すごく美味しかったです」

「ぁ………っ」


ボソリと低い声で耳打ち。
それで顔が爆発した。
ほんとに『ボンっ!』って聞こえるぐらい顔が猛烈に熱くなって、その爆発で顔のネジがぶっ飛んだのか表情も勝手にユルユルになっていく。って、顔のネジってなんだよ☆
それはアイドルとして絶対に人に見せちゃいけない顔だって直感したから、はぁとは口を押えて事務所を飛び出した。
そしてほとんど人が来ることの無い非常階段の方へ駈け込んで、両手で顔を覆って壁に背中をつけながらへたり込む。


「~~~~っ!」


ヤバい! これヤバいって! ホント無理っ!
なんであんななんでもない言葉がこんなに嬉しいの!
こんなのおかしい! おかしすぎる!
あぁもう!
うれしいうれしいうれしいうれしい!!
はぁとバカだ…こんなにすごいこと26年間も知らなかったんだから!
なんて勿体ないことをしてきたんだろう!
さよならも言わないで立ち去っちゃって、Pに変な風に思われてないかなぁ…。


「う~~~~プロデューサー……P……っ」


名前を呼ぶだけでも胸がときめいてる。
恋する乙女かっつーの! その通りか、ははは…。


「すぅ~~~はぁ~~~………表情筋良し! かーえろ☆ ……えへへ♪」


念のため、変装用のマスクも付けておくことにした。


帰宅してすぐに携帯のPからの着信音の設定を変えてみる。
その後もベッドの上で携帯を弄りながら、いつ電話が来てもすぐ出られるように構えていたんだけど、結局お目当てのコール音が鳴ることはなかった。
照れ屋さんかな☆
ま、昨日の今日だしね♪


◆◇◆◇◆◇◆


翌日はPとはすれ違いで会うことはできなかった。夜になっても電話もメールもなかった。

次の日も同じ。夜寝る前、はぁとの方から電話してみようかなとも考えたけど、働いてるPの仕事の邪魔になるのは嫌だったから、結局やめておいた。

その次の日は朝の挨拶だけできた。でも電話もメールもやっぱりなし。

さらに次の日も似たような感じ……。


社会人カップルってこんなもん?
忙しいのは分かってるけど、メールくらい欲しいぞ☆
……はぁと、わがまま?

こんな風に、恋人らしいことが何もないまま一週間が経ってしまった。
もどかしさを発散するようにレッスンに打ち込んだ後の更衣室で、明日のお仕事が午後からだったことを思い出してついに決心。

押しかけよ☆

そうと決めれば即行動♪ この後の飲みのお店をどこにするかの相談を始めていた早苗さんたちへさよならを伝えて、捕まる前にそそくさとレッスンスタジオを出る。
外は初夏とはいえもう薄暗くなっていて街灯が点き始めていた。
P宅に行くってメールを送っておこうかとも考えたけど、Pの携帯は会社から貸し出されているものだってことに気付いて、念のためやめておいた。
そういえばプライベートの方の携帯の連絡先知らないや。

今からお家に帰って準備して、P宅に着くころにはたぶんPも帰宅してるだろな…。
Pとまた二人きりになることを想像すると、それだけで心臓の鼓動が早くなって体温が上がったような気がした。

―――
――



「来てやったぞ☆」

「帰ってください」


バタム♪ ガチャリ♪ ってオイ、またそれかーい☆

一旦はぁとのお家に帰って、お気に入りの服に着替えて、明日用の着替えとお化粧品もバッチリ用意して…再出発するには予定よりだいぶ時間がかかったけど、ドアの隙間から見えたPがまだネクタイ姿だったってことはちょうど良いタイミングだったみたい。
いや、良くない。なんで閉めるか☆


「ちょいちょいちょーい! 入~れ~ろぉ~~」

「っ…」


ドア前で声量を上げていくと、前回のおかげか、すんなりと入ることが出来た。
部屋に入ればデスクチェアに座ったPが真剣な表情で真っすぐこっちを見てくるもんだから、妙に落ち着かない気分。
ライトイエローのワンピースのプリーツを指でなぞりながら、そわそわと部屋を見渡す。


「あ、相変わらず殺風景な部屋だな…。冷蔵庫も…やっぱりしなびた野菜しかないし…ちゃんと食べないと倒れちゃうぞ☆」


お行儀が悪いと思いながら勝手に冷蔵庫を開けてみる。
別にそれでPに叱られたりはしなかったんだけど。


「今帰ってきたところ? 最近忙しそうじゃん、どうしたの?」

「ははっ、それ心さんが聞きます?」

「ん…?」

「あぁ、いや、それはいいとして…お酒は飲んでいないようですが、一体何しに来たんですか?」


あれぇ? 折角恋人が来たってのになんかカタくない…?


「何って、そりゃ…分かるだろっ☆ ってか理由いる?」

「はい…?」


思い切ってベッドに腰かけてやる♪
さ・ら・に☆ ワンピースの上に羽織った桃色のカーディガンの襟を正すフリしながらデコルテをチラ見せしてぇ…脚も組んでぇ…♪
なのに…Pの視線を引くことはできず、表情もカタいまま…。
見ろよ☆ ナマイキだぞ☆


「そ、それに! この一週間だって電話もメールもないし…。会社の携帯がダメならプライベートの方でメールの一つくらいくれてもいいじゃん……い、いくらはぁとでも寂しかったぞ☆」

「え、いや…何のことですか…? 心さんにわざわざ連絡しなくちゃいけないようなことありましたっけ…?」

「んもう♪ 照れんなって☆」

「別に照れてないですけど。いや、だからなんで来たんですか? あの話ならちゃんとこっちで進めてますし、こんなに頻繁に来られても…振れる仕事には限度がありますよ?」

「ぇ、え~~っと…どの話…? 仕事…振る…? あり…?」


さっきから会話がかみ合ってないような?
何故かボタンの掛け違いもしているような気がしてきて、思わず胸元に手をやってもフリルと細いリボンがあるだけで、そもそもカーディガンのボタンは全部開いていたし…。
知らず唾を飲み込み、はぁとは言った。


「こ、恋人に…会いに来たのが、そんなに不思議? 恋人に会いたいって…その気持ちに理由なんてないだろ?」


顔が燃えそうなくらい熱いぞ…☆
こんな当たり前で恥ずかしいこと…だから言いたくなかったのにっ!
せいぜいPも赤面して爆発しろ♪


「んん? 恋人…? 誰と誰が?」


だけどPは眉間に皺を寄せながら…そんなとぼけたことを言った。
心地よかったはずのベッドのスプリングが急に不確かなものに感じられてくる。


「ちょ、はぁととプロデューサーに決まってるだろ!」

「えぇ…? いつ…そうなったんですか?」

「はぁ!? つまんない冗談はそれくらいに…っ」


Pの表情は至って真面目で…冗談どころかむしろ深刻な問題を考えているときみたいな雰囲気。
ベッドのスプリングがもう綿みたいに柔らかくなってきて、だからこんなに視界が揺れて見えるんだ…って、そんなことがあるはずがなくて、はぁとが肩で息をしているだけだった。


「ずっと…はぁとの面倒をみてくれるって…言った。言った、だろ…?」

「言いましたけど…そりゃあ、面倒みますよ。心さんのプロデューサーなんですから。それにヤることヤらせてもらった以上、ちゃんと心さん用に良いお仕事の企画練り始めてますから。えと…そういう話でしたよね?」

「は…? はぁ!? おまっ…それ、それって!」


にゃんにゃんしたPがイイお仕事をはぁとにくれるって…ソレいわゆる…。


「バカっ! そんなキタナイこと…ことはぁとがするわけないだろーっ!」

「あれ…売れるためだったら裏工作とか、 スウィーティーアタックするとか言ってませんでしたっけ? んふっ…そういう貪欲な姿勢、俺は嫌いじゃなかったんで、んふふっ…う、WINWINだと思って乗ったんですが…」

「ジョーク真に受けんな、ばかぁっ! ってこら、何ニヤついてんだ!?」


深刻な表情は何処へやら、Pは笑いを堪えるように口を押えながら肩をプルプルと震わせている。


「ふはっ…い、いや…ごめんなさい…だいたい分かりました…こんな勘違い…ぶふっ…ホントにあるんですね……ふふ……っ」

「わ、笑うな……笑うなよ……」


なんだこれ? オイP…何がそんなにおかしいんだ?
はぁと変な汗かいてきてて、寒くも無いのに体が震えてきてるんだけど?
コレ、ヤベーやつなんじゃない?


「んふふっ…め、面倒みるって…そっち? そういう意味…? くふっ…くははっ…あんなんで……お、お、お、乙女かっ! あははははははっ!!」


デスクチェアから滑り落ちたPがフローリングに手を着いて大笑いし始めた。
そしてはぁとの方をチラチラ見てはまた笑い転げる。

これは、つまり、なんだ?
はぁとの一人相撲?
はぁとだけが舞い上がって浮かれてたってこと?


「笑うな……ぐす……笑うなぁ……っ」

「ご、ごめんなさ……ぶふっ!! 無理っ! なはははっ! 心さんは結構好きですけど、んふっ! アイドルと付き合うとか…そんなメンドーなの…あははは!」

「わらうなぁぁぁっ!!」


身体中の震えが右手に集中したかと思うと勝手に動いて手元にあった枕を投げつけてた。
Pの後頭部にぶち込むつもりで投げたのに、変に引っかかった指のせいで狙い通りには飛ばず、背中を掠って床に転がっただけだった。


「ごめっんなさ、い……これが…ば、バットコミュニケーション……ぶふっ! あぁ、心さん可愛いなぁ! やばい、マジで好きになりそう! あははっ」

「るっさい! バカっ!」


笑い転げ続けるPに向かってベッドの壁際に置いてあったクッションを投げ、ナイトテーブルの上のティッシュ箱を投げ、文庫本を投げつける。


「ちょっと、うわっ……危ないですよ。ごめんなさ…って顔真っ赤じゃないですか……んふふっ」

「バカ! バカ! バカっ!」

「あ、でも、そうだ! カラダの相性は悪くないと思うんで、せふれとかどうですか? お互いの都合のいい時だけ」

「は…? せ、ふれ…?」


せふれ? せふれってなんだっけ? 聞いたことあるぞ?
せふれ…せふれ…セフレ…って…おい。


「ふざけんな…………っ」

「やっぱダメか。あはっ」


あと残るはヘッドボードに置かれた四角形の置時計。それも手に取る。


「あっ、それは! あぶなっ!?」


ニヤケ面があっという間に慌て顔。いい気味だわー。でもまだまだムカムカムカムカ。


「ふざけんなよ…この、クズっ!!」


頭がカーッとなってて、気付いた時にはぶん投げてた。
そんでその瞬間、しまったと思った。
鈍い光沢のある表面の素材は金属で…つまりどう考えても人に投げつけていい重さと硬さのモノじゃなかった。
はぁとの手から離れた置時計は一直線にPの顔へ向かっていって…


「ぐっ!?」


幸い? それはPの顔面じゃなく、顔を守ろうとした左手首あたりに当たった。
時計が床に落ちたときの重い音に、頭の熱が急激に冷めていく。
もし顔に当たっていたらと想像すると申し訳ない気持ちまで湧いてくる。


「あ……だ、だいじょ……」

「痛ってぇ………っ!」


手首を摩るPは眉間に皺を寄せて見事に痛そうな表情。
Pの肩に手を触れようそしたところでPが立ち上がり、怒りのこもった瞳で見下される。
だけどPはそのまま目を瞑って二度三度深呼吸をして、目を開けた時にはもう怒りを抑え込んでしまったようだった。


「……危ないなぁ。ケガするところだったじゃないですか」

「ご、ごめっ……」

「あの日のことは、お互い様…ですよね? もう今日は帰ってもらえますか? これ以上暴れるなら…俺も何するか分かりませんよ」
「ぁ……ぅ……手大丈夫…?」

「もういいですから……はぁ」

「ぁ……っ」


うんざりした…そう書いてあるPの顔を見ているのがすごく辛くて、玄関へ向かってトボトボ歩き始める。

本当に反省してた。
モノに当たるとか本当に大人げないって…。
でもね、玄関のドアノブに手を伸ばしたところでね、Pが吐き捨てるように言ったの…



「…一回ヤったぐらいで何をカリカリと…処女でもあるまいし……」



Pなりのブラックジョーク?
いやいや、ジョークにしても流石にデリカシー無さ過ぎだけど。
あぁ、Pってデリカシー無い方だったか。まぁ、アイドルに対してもアケスケで変に壁を作らないところは別に嫌いじゃなかったけどね。
分かってた。
分かってたけどね。
分かってたとしても、目の前が真っ白になってしまったんだからしょうがない。



「はぁとの純潔返せぇぇ!!」


自分の叫び声で我に返ると右手がヒリヒリ傷んでいた。どうやら玄関から引き返してPの顔にビンタをお見舞いしたらしい。
喉がキョドってうまく息も吸えなくて、ひっくひっくと最悪な音が口から漏れ出る。
目尻が熱くなるのは自分ではどうしようもなくて、頬の上を怒りの滴が滑り落ちていく。


「うぅ…ひっく…ちくしょう……」


別に26年間大切に守ってるつもりもなかったけど…それでも…あんな言い草は…ないだろ…?
一人の女の子としてそこが誤解されたままなんて…黙っていられなかった。


「………はは…マジ?」


ほんの少しの間だけぽかんとした表情を見せたPは意外にもニッコリと満面の笑みを浮かべて、はぁとの両肩に手を置いた。


「アレが初めてだったんですか…? ははは…マジかよ……」

「ぐすっ……ぁ…っ」


でもPの手の力はどんどん強くなっていって…


「ほんとに、可愛いなぁっ!!」

「きゃああっ!?」


放り投げられるようにベッドに押し倒されてしまう。
そして間髪入れずお腹の上に座り込まれてしまい、身動きできなくなった。


「だけど流石にムカつきました…あぁ…口ン中切れてるわ…」

「あっ……ウソっ!? イヤぁっ!!」


Pは両手をはぁとの胸に載せると何のためらいも無く揉み始める。


「んあっ!? ああアンタ! 何するつも……い゛っ!?」


状況に理解が追い付いていないのに、胸に痛みが走って思わず変な声が出る。
前回初めて触られたときとは似ても似つかない揉み方…いや目的が違う…今Pははぁとを痛がらせるために揉んでいるんだと気付く。


「あぁああっ!! 痛っ! 痛いって! やめてぇっ!」


その証拠に声を上げても揉み手は止まるどころか、余計に強くなる。
Pはゲスい顔ではぁとを見下してた。


「モノ投げるわ、ぶっ叩くわ…オイタが過ぎますねぇ心さん。ちょっとお仕置きしましょうか」


スケベでエロっちくていやらしいことを考えてますって、そんなギラついた目に射竦められる。

もしかしなくても、はぁとはこれからPに…いわゆる乱暴をされちゃう?

やっとこさ状況が見えてきて…見えてきてしまって、すごく怖くなってくる。
いつの間にかドクドク音が喉元を叩いていた。
このままPに抵抗できなかったらはぁとは………抵抗?
そうだ、抵抗すればいいんだ。抵抗しなくちゃ。

お腹に乗っかかられてるけど、幸い両手は自由のまま。
びっくりしたから、肘を曲げておっぱいの横でプルプル震えているだけになってたけど、これでPの手首を掴んで引き離して…!


「ち、力…はいら……っ! やめっあぁぁっ!! 」


はぁとの手はもうダメだった。
震えて動きは鈍いし握力も無くなってて、それでもなんとかPの手首は掴めたけどほとんど触れてるだけで、Pの動きに振り落とされないでいるのに精いっぱい。
Pはお構いなしにまた手に力を籠め始める。
男の手の力の前ではブラのカップも防御力ゼロで、五本の指がどんどんはぁとのおっぱいに食い込んでくる。


「うぁぁぁっ! やめっ…やめて…っ!」


Pはたぶん本気の力で握ってた。
籠められるだけの力を籠めて、それでも飽き足らず今度は体重をかけてまでおっぱいを潰そうとしてくる。


「やめ………や゛……め゛………………っ!」


おっぱいのお肉の更に奥まで握り潰したいのか、Pはその状態をしばらく続けた。
痛みと胸の苦しさにはぁとはもう地獄。
というか痛い以前に息も吸えないし、だからできるのはPを涙目で見つめながら口をパクパクして息ができないことをアピールすることだけだった。


「……はぁああっ!! はぁーーーっ! はぁーーっ!」


ふっと胸元が軽くなる。
酸素が体中に行き渡る感覚にひとまず安心したけど、Pがお腹からどいてくれる気配はなかった。
息切れしているはぁとを見下すPの目はこれ以上ないくらいに愉しそうで、これからもっとヒドい展開が待ち構えているのが嫌でも分かってしまう。
だからカラダ中のパワーをかき集めて威嚇する。
それが虚勢で、たとえ今のPには効果が無いと分かっていても、威嚇するしかなかった。


「どけよ! はぁっ、はぁっ、も、もう帰るから! 今やめれば誰にも言わないでおいてやるからっ!」

「はは、まだ元気ですね心さん……」

「ん……っ!?」


胸に置かれてた手が上に動いてくる。
胸元のフリルを指先で弄んで、デコルテを撫でまわした後、右手がはぁとの左頬に添えられて左手ははぁとの顎を…って、これ顎クイ…?


「ねぇ心さん。じゃあ付き合いましょうか」

「え…は?」

「枕とかそういうのは無しにして、普通に彼女になってくださいよ」

「な、何言ってんだ!」


よくもまぁいけしゃあしゃあと!
なんで今頃になって言うんだよ!!
それもそんな真剣な顔で…!


「ふ、ふっざけんな!! 誰がアンタみたいなクズと!」

「あはっ! 心さんならそう言うと思いました。心さんのそういうとこ、好きですよ」

「ぁ……いや……待っ……っ!」


Pが上体を前に屈め始めると同時に、顎クイがハッキリとした形になる。
何をされるのかのイメージが一瞬で頭に浮かんで、胸の奥がキュッと絞られたみたいに疼いてしまった。


「ま、待って…ぷろっ……ぁ…ゃ……んんっ」


鼻先同士が触れ合ったところで、はぁとは目を閉じてしまう。
すぐに来ると思った感触はなくて、クスッと微かな笑いが聞こえた瞬間、右耳に熱い吐息を浴びせかけられた。


「ふぁあああんっ!?」

「スハスハ…うわ、ヤバクソいい匂い…」


全く予想外の熱に右半身一帯に鳥肌が立ったのが分かった。
それからすぐの、ぐちゃあ、という水の音で左半身まで同じになって、耳をしゃぶられてるのが分かると叫び声まで勝手に出てしまう。


「はぁひっ! んやっ! やぁぁあーーっ!!」


熱くて柔らかくてヌルヌルしたのが耳に入り込もうとして暴れまわって、聞いたことのないくらいいやらしい音が頭の中で反響して、戻り始めていた力がまた散らされていく。
エロ音が止むと今度は首が異常状態になる。
チロチロと丁寧に突かれたのも最初だけ。すぐに大きなナメクジかヒルがのたうち回っているんじゃないかって錯覚するぐらいに、激しく動くPの舌。
舌の感触なんて分からない。何も理解できない。
ただ確実なのは、Pが舌をちょっと動かすだけで、はぁとは全身を震わせるハメになっていたってこと。


「ふやぁああっ! もぉ……っ! ひぃぃいんっ!!」


Pの舌と唾液でめちゃくちゃにされたはぁとの右側がジンジンと疼く…。
感覚が鈍って、ひょっとして溶けて輪郭が変わってしまったのかもと思ってしまうくらい。


「はぁぁあ…心さん…んれっ…付き合おうよ…なぁ?」

「んあああっ! やぁ…やぁ! やぁぁあっ!!」


もう何が嫌なのかさえ分からなかった。
ドクズのPが嫌なのか、勘違いしていた自分が嫌なのか、Pの舌が嫌なのか、ヌルつく唾液が嫌なのか、はぁとを溶かすこの甘い疼きが嫌なのか。


「もぉ…っ、はなし…てっ……おねが……っ!」


女の子にしては身体が大きい方のはぁとと言えど、Pの体を押し返すのはたぶんどう頑張っても無理っぽい。
なら後ろ髪でも引っ張てやれ、とPの後頭部に回した手は勝手にグーを作ってしまって、こんな状態で指を使えるわけがないと愕然とした。
苦し紛れにPの背中を叩いても猫パンチみたいなものにしかならないし。


「はぁっ!? んあああっ!?」


それなのに、その仕返しとでもいうように首に牙を立てられてしまう。
Pの歯の間からふしゅーふしゅーってケダモノみたいな息が漏れてて、首の肉を食い千切ろうとするみたいに頭を振ると、痛いのと一緒にうなじと心臓にジクリと電流が走った。
それで完全に力が抜けてしまって、両手をPの背後に回したまま何もできないまま震え続ける。


「ねぇ…いいでしょ? あぐっ…心さん…んあむっ」

「やぁぁっ! だぁ…めぇぇ……っ! ん……ふぁぁぁ~~~っ」


自分のじゃないみたいな声を上げてしまったところで、首元が急に涼しくなる。
歪んだ視界の向こうでは、上半身を起こしたPがはぁとを見ながらまだニヤついていた。


「んひぁぁあっ!?」


急に太ももをまさぐられ、意識が上半身に向いていたせいもあって情けない叫び声が出る。
でも違った。太ももを触ってるんじゃなかった。
Pはワンピースの裾をめくり上げようとしていた。


「やぁぁ! やめっ! ほんとにやめてっ! おねがいだから…っ!」

「あぁ、ほらっ…腰上げて…こーらっ、暴れるなって」


ショーツも露わになるぐらいたくし上げられて、そこで何故かお腹の圧迫感が消える。
Pが一瞬だけ腰を上げて、手早く前身頃を掴んでPのお尻をくぐらせていた。


「うううそっ! やめてって、ぃゃ、ぃや、いやぁぁっ!」


ゾゾゾッと、うなじ辺りにいるはずのないムカデの蠢き。
それに加えてはぁとの可愛らしいお臍まで見えて、完全に恐慌状態に陥ってた。
裾がお臍で止まっているのはまだ背中側の裾がはぁとのお尻で止まっているから。
当然すぐにPの手がベッドとはぁとのお尻の間に割り込んできて、お尻を浮かせようとしてくる。
これがめくられたら本当に取り返しのつかないことになる気がしていたので、はぁとは必死になってお尻をベッドにグリグリする。
Pの手がお尻にめり込むのにももう構っていられなかった。


「はぁっ! はぁぁっ! んやぁあっ」

「……ちっ」


何十秒か抵抗するとPの手の感触がお尻から消えた。
だから諦めたんだって、そう安心した。
安心してしまった。
だから……


ブチチッ! ビィィィイイッ!!!


そんな音が胸元からお臍で鳴り響いてしまう前に止めることが出来なかったし、はぁとのお気に入りのブラが急に目の前に現れてもまだ何が起こったのか理解できなかった。


「ぁえっ? ぁ……れ……?」

「ごめんね、心さん。新しい服買ってあげるから許して」

「なに……これ……?」

「でも、思ったより簡単に破けたなー」


数秒して、それでやっと理解できた。
Pははぁとの襟口から裾までを力いっぱい引き裂いたんだ。
これでもうお尻で後ろ側を抑えようが無駄になってしまった。

簡単に破けたって!? 当たり前だろ! 女の子の可愛い服が!
男に力ずくで破られるのを想定してるわけないだろ!!
こんなこと…!
なんで……こんな………。
はぁとの……愛情と思い出がたっぷり詰まった…お洋服……。
悩んで…はぁとが持ってる中で…Pの好みに一番近いのは…これかなって…悩んで…それで…着てきたお洋服なのに……っ!


「なん、で…こんな……ヒドイこと……ひっく…するんだよっ!」

「ごめんって。明日服買いに行こう?」

「うぅっ…ば…かぁ…そんなの…いらな……んんっ!?」


言いたいことの1%も言えてないのにPは胸を触り始めた。
ブラのレースにもはぁとの手が入ってて、一番のお気に入りなのに…、それを一撫でしただけで大して気にもせず強引にズリ上げてしまう。


「やぁっ! もうやだっ! 帰るぅぅっ! ばかぁ! クズ! レイプ魔ーーっ!!」


力の抜けた手でPをポコポコ叩いてもなんの意味もない。
いやむしろ…叩いてしまってから思い出す。抵抗すればそれを超える仕返しをされたことを…。
Pは満面の笑みを浮かべた後、桃色のカーディガンまで脱がしにかかってきた。
そして袖が引き抜かれる直前で両手首にぐるぐると巻き付け、さらにその上からワンピースだったものまで巻き付けて縛り付けて…それではぁとは完全に両手の自由を封じられてしまった。


「あああっ! とれ…っない…っ! こわいこわいっ!! いやぁあっ!」


首筋にいたムカデが全身へ這い広がっていく。
はぁとの人生で最大のピンチだっていうのに、カラダの力は戻ってこない。
口角を上げたままごくりと生唾を飲み込んだPは罪悪感の一かけらも感じていないらしい。

それではぁとは…どうあがいても…助からないんだって…分かってしまった。


「も、もぅ…帰らせて……いや…いやぁ……」

「……ねぇ、心さん」

「むぐっ!?」


また上体をかがめたPははぁとの口を手で覆ってから耳元で囁く。


「もう大丈夫ですよ? もう痛いことしませんから安心してください」

「んんっ!?」

「一週間前みたいに…何回もイカせて、頭真っ白にしてあげますからね?」

「 ん゛ん゛ん゛~~~っ! ん゛ん゛っ!!」

「あぁ…このマンションは防音しっかりしてるんで別に叫んでも構いませんけど、あんまり耳障りだと口に詰め物させてもらいますから」

「んん…ぐ……っ」


Pが起きあがり手を離すと、すぐに口を衝いて出てくる言葉は…


「んぐっ……はぁとに…こ、こんなことして……ただじゃ済まさないから……」


精一杯凄んで見せたつもりなのに、虫の羽音みたいな弱々しい声だった。


「あはっ! 心さん…最高ですね…ここまできてまだそんな強がりが言えるなんて…」

「つ、強がりなんかじゃ……っ!」

「心さんのこと…ホントどんどん好きになっていってますよ」

「は?……しんで…ホント死んで……死ね!」

「好きですよ、心さん。大好き」

「死ね! 死ねっ! し…ひぁぁっ!?」


おっぱいが掴まれ、ついさっき握り潰されかけた痛みが瞬時に蘇ってきて、つい悲鳴を漏らしてしまった。
でも痛みは襲って来なくて、代わりに蕩けそうなほど優しい感覚に身を捩る。


「んっ……ふぁっ! ぃゃ…っ!」

「構えちゃいました? 大丈夫ですって、気持ち良くしてあげますから」

「き、きもちよくなんて……んんっ……ない…し…っ!」


さっきよりかは全然弱く、先週よりかは強くPの指がはぁとのカラダに食い込んでくる。
いやらしく、しつこく、強引に、繊細にはぁとの内側をいじくりまわしてくる。
食い込みが過ぎて痛みの予感にカラダを震わせると力は弱まるくせに、ピリッと変な感じがするところで震えるとむしろ力が強くなって、グニグニとイジメてくる。


「ひぃいっ…んああんんっ…ひぅっ!」


何度か声を上げさせられたらソコは解放されて、また違う揉み方をしだして…はぁとの弱いところを見つけてはイジメての繰り返し。


「んゃぁあ…っ! はぁとの…んぁぁうっ……か、カラダで遊ぶなぁ……っ!」


ひょっとしたら…男がおっぱいを好きなのは単純に柔らかそうな膨らみに惹かれているだけじゃなくて、揉んで潰してそれで女の子に声を上げさせるのも込みで好きなのかもと、ふと思った。
それくらいPは愉しそうにはぁとのおっぱいをもてあそんでる。
はぁとのアタマの中がゴリゴリと弱らされてるせいで、おっぱいにPの指が沈み込むと、まるで皮膚を通り抜けてカラダの中を直接触れられているように錯覚してしまう。


「ぅぅぅう゛っ! はぁあうぅ…っ! ぅ゛あ゛っ」


いつしかPの動きとはぁとの叫びが直結するようになった。
Pが動けば必ず変な感じがして声が我慢できないから、それならもうPが動きと一緒に声を出した方が…なんかマシだった。
でもこんなの…まるでPのおもちゃで……。


「ん゛ひぃぃ゛っ!」


ごてーねーに両乳首を二本の犬歯で噛み潰されたはぁとは、これまでで最低の叫び声を上げてしまう。
目の前にパチっと火花が散って完全に無意識に出た声だった。


「はぁ、はぁ、はぁ……心さんのパイオツ…いつまでも弄ってられるわ…。でも心さんももうだいぶツラそうだしな……っと」

「う゛っ……んぁ……っ」


そこでやっとはぁとのお腹にのっていたPがどいた。
反撃するなら今だ。


「…んっ……ら、め……っ」


今しかないのに…もう寝返りさえ打てなかった。
Pは悠々とワイシャツとその下に着ていたTシャツを脱ぎ捨てると、はぁとの脚の間に割って入る。


「ぃゃっ…ぃゃぁぁ……」


ショーツのウエストにPの指がかかる…。そこで何故かPは止まった。
恐る恐る見てみると、Pはショーツをじぃっと見つめていた。


「あれ…もしかして、このパンツのレースって心さんが縫い付けたんですか? それに良く見るとブラもそうっぽいですね」

「だ、だったら…なんだよ…」

「素直の感動してます。こういうこともできるんですね。こんなに綺麗で可愛らしいブラとパンツ、初めて見ましたから」

「…………ふ、ふんっ」


なんで今まさにはぁとを襲ってるヤツがこんなことを言うのか…。
それに…褒められてるとはいえ、こんなヒドイ状況なのになんではぁとは…。


「下着のプロデュースできないか下着メーカーに聞いてみましょうか?」

「ぇ……ぅ、ぅん……って、なんで仕事の話してんだよ!」

「おっと、すみません。そうですねエッチの最中でしたね。あんまりに下着が可愛かったんで」

「………バカアホっ!」


そうしてはぁとの隙を突いて、Pはするりとショーツを剥ぎ取った。
直に空気に触れたアソコが清々しいくらいに涼しく感じられて、どういう状態になっているのか見なくてもはっきりと分かってしまう。


「心さん…前も思いましたけど、おっぱいだけで感じ過ぎじゃないですか? びちゃびちゃですよ?」

「もうっ………ほんっっっと、サイテー!! か、感じてないしっ!」

「ははっ、感じてないって? ほら、見てよ、こんなに濡れてるのに?」

「あっ!? やだっ!!」


はぁとの太ももが持ち上がって腰を浮かせられたかと思った次の瞬間、強引に太ももが上半身に押さえつけらる。
目の前には膝がブラブラ。そしてその向こうに、想像以上に水分たっぷりな有様になっているはぁとのアソコが天高く掲げられていて、しかもリビングライトの白色光をモロに受けていた。


「ぁぐ…っ!? やぁっ!? 恥ずかし…っ!」


身体を無理矢理折り曲げられる窮屈な息苦しさなんかより、その屈辱的なポーズにうなじがざわついて、耳が熱くなる。


「感じてないなら、はぁっ、この、濡れてるヤツはなんなんですか? ションベンですか? ねぇっ?」

「ちがぁあっ! いやぁああっ! やめてぇっ!!」

「ションベンなわけないですよね? だって、こんなに…あぁくそ…匂いやば…エっロ…」

「ふああっ! うそっ! いやぁっ! いやぁぁぁ!」


Pがはぁとのアソコに鼻を近づけて…いや、鼻先をお手入れの行き届いた芝生に微かにくっつけて…! スハスハと匂いを味わうのを止める手立ては何もなかった。
匂いの感想なんていうのも聞きたくないのに、この両手では耳も塞げない。
ヤベェ、エロい、めっちゃクル…そんな頭の悪い言葉をどうしても拾ってしまって、胸がグチュグチュと疼き続けてる。


「はぁ、はぁ…何喰えば…んれっ…こんなエロい匂いに…じゅずず…やば…んれぇぇぇっ」

「はぁあふっ!? ばっ…バカぁっ!! そんなトコ…き、きたないのにぃっ!」


恥ずかしいやらあり得ないやらで目の前のことが信じられない。
嬉々としてはぁとのアソコに顔をうずめて、激しく啜り音を響かせるP…。


「んずずっ! ぜんっぜん…んれっ! 汚くないんですけど! じゅるっるる! はあっ、はぁっ! めちゃウマですよっ! 心さんのおまんこ汁…じゅずずずっ! んぐっ」

「へ、へんたい! へんたいぃいい! 飲むなぁっ!! やらぁぁああっ!」


アソコもおしっこが出るところもおマメのところも、ベロンベロンってして、ほっぺを凹ませてながら恥ずかしいお汁を啜って…これ見よがしにそんなことをされてしまったら、嫌でも全神経がソコに集中してしまう。


「んぐ……っ」

「はにぁあああっ!?」


Pが口をべったりとアソコにくっ付けてくると、全身に緊張が走って自然とお尻にキュッと力が入って腰が跳ねるように持ち上がる。
気付けば窮屈な姿勢は終わっていて、はぁとはだらしなく大股を開いてPにされるがまま、任せるままの状態だった。


「んひっ! ひぁぁぁ……っ!」


ウネウネとPから這い出してきた熱いベロが、はぁとの入り口を簡単に見つけて入り込んでくる。


「はぁひ…はぁひぃっ!!」


Pは荒い鼻息のまま目を閉じて、身動きをピタリとやめた。ううん、はぁとのナカの舌だけを動かしてた。
はぁとのアソコの形と匂いと味を確かめるみたいにゆっくりと蠢いてた。
Pにつられてはぁとも体の動きを止めてしまうと、そのせいで舌からの刺激が鮮明になる。


「あ…はひ……ふぁっ!…ぁっ!……んぁっ…」


ジクジクとした甘い疼きに思考力がゆっくりと確実に溶かされていくのを感じていた。
そのせいなのか、アソコにしゃぶりつくPの姿が異常だと分かっていながら、もう抵抗することができないし、そもそも抵抗する理由もわからない。


「んっ……はぁぁ………ん゛ひ…っ!!」


何十秒か何分か経った頃に一際大きくほじられて、それではぁとの意識にもずっぽりと穴をあけられてしまったみたい。
腹筋が勝手にピクピク痙攣して、視界から遠近感が消え失せてしまう。
下っ腹がキュンとした直後に、ぶちち、と微かな音がアソコから聞こえてきた。
新たにしみ出たはぁとのお汁が、もうとっくにグズグズのアソコから溢れ出る時に鳴りそうな、とってもエッチな音だった。


「ぁ゛……ら、め……ら゛めぇ………っ」


焦点が戻ったときには、スラックスとボクサーパンツを脱ぎ捨てて全裸になったPがアレを握り締めてはぁとに狙いをつけてた。
初めて光の下で見るソレは赤黒くテロテロして、エグくて、モサモサで、見るからに凶悪そう。
前回あんなモノが入れられていたということに今更ながら怖気が走って堪らないのに、何故か目が離せない。
怖い。恐い。こわくてしょうがない。
何がこわいんだろう?
P? おちんちん? Pのおちんちんでめちゃくちゃにされること? めちゃくちゃにされて、それではぁとが********?
考えようとするだけで耳の裏とおっぱいの奥と下腹部がすごく…切なくなってくる。


「やっば…、すげぇカウパってるし…ははっ、ソッコーイキそう」

「ぃゃ…ぃゃぁあ…………………んあっ」


パンパンに膨らんだ先端がはぁとの入り口と粘膜同士で触れ合って…。
そして止める間もなく、おまけになんの引っかかりも無く、一番奥まで串刺しにされてしまった。
そう、だからつまり、あまりにあっけなさ過ぎて我慢のしようがなかった。


「ん゛きゅっ!」


Pのアッツイ体温が不意打ちでおナカを焼いて、一瞬で脳みそが湯気を噴いてしまう。
白い視界の向こうのPはニヤニヤとで舌なめずりしながら、はぁとのカラダを自分のモノみたいに横柄にベタベタ撫でてた。


「ふはっ…これで二回目とか噓くさー。あぁでも…トロトロなのに…このキツさはたしかに…? まぁいいや」

「ぅぁっ………ぁぐ…っ」

「心さ~ん? 先週まで処女だったくせに、入れられただけでイっちゃったんですか?」

「ふぁっ……イ、イって…ないし…Pなんかに…イかされるわけないし…っ!」

「あはっ、いいですねぇ心さん。その調子その調子」

「ぅぁん……っ!」


Pが腰を引くと内臓が擦りあげられるような感覚に危うくまた脳が溶けそうになる。
先端だけを残してはぁとのアソコから出てきたPのおちんちんは、デロデロに濡れていて卑猥さが三割増し。
そこであることに気が付いて、息が止まった。


「ま、まっ……ぷろでゅ…ひ、ヒニン…ヒニンは……っ!?」


避妊具を装着した状態を実際に見たのは先週が初めてだったけど、その印象的な見た目は暗がりだったにもかかわらず目に焼き付いてる…。
一目見て、何か半透明のモノを被っているのがわかったのに…今の、はぁとに入れられているPのおちんちんは明らかに何も被ってなかった。


「あっ、バレちゃいました?」

「い……いやぁっ! やめてっ! 早く出してぇっ!」

「だぁい…じょうぶですって……っ!」

「うぎっ!?」


腰を捩ろうとしたのに…Pは腰をがっちりと掴んで勢いよく突き出してくる。


「あああ……っ! ぅああっ、ぷ…でゅさぁ…だ…まっ…」

「んっ……外で出せば、そうそう当たるもんじゃないですって…っ!」

「いやぁあっ! らめぇえぇっ!!」


中で出さなければ大丈夫、そう言って聞かないPは愉し気に腰でリズムを奏で始めた。
そんなのは迷信ですらない男に都合のいい思い込みだってことははぁとだって知ってる。
中で出してないのに出来ちゃったっていう話も聞いたことがある。
だから気が気じゃなかった。


「んやあぁんっ! やめてぇええっ! ぷおでゅっ! おっ、おねっ! おねがいぃぃっ!」

「はぁ、はぁ……だから…くっ、ふっ、大丈夫だって…ん、んれぇぇ…」

「んんぅううううっ!? ひゃぁあっ! んやあっぁああっ!!」


腰をガツガツしながら覆いかぶさってきたPがはぁとの耳を貪る。
脳内に唾液が塗りたくられる音が反響すると悲鳴を上げることしかできなくなってしまう。


「んはあぁあっ! やぁぁぁあ…あかちゃ…っ! あいろる…できゅなく…なりゅ……っ!」


耳と首を貪り終えたPは今度ははぁとにバンザイさせて腋に顔を突っんできた。
ハッキリ言ってアタマおかしい。


「すはっすはっ……うわっ…うわぁ……すは…っ!」

「いやあっぁあっ! ちょっ! まじで…っ! おぃぃいっ!」

「すぅぅうっ……んれぇぇっ…くぁ……んちゅうぅっ」

「ふひゃっ!? ああっ! んもぉぉーーっ!!」


豚かよってくらいにフガフガ鼻を鳴らした後は両腋に唾液を練りつけてきて、それもやり終えると流れるように腕に舌を這わせてくる。
チロチロとくすぐるように舐めたかと思えば舌の腹を擦り付けてきたり、噛んだり…特に、唇をちゅっちゅと軽く付けてくるのをされると何故か異様にストレスが溜まった。
二の腕と力こぶが全部好き勝手されてしまったら次は肘…の、その前に、思い出したように腰を揺すってはぁとに情けない声を出させようとするP。


「ひぐぅううっ…はぁん…はぁ…んっ…オマエ…お、おぼえて…ろよ……っ」

「そんなこと言って感じてるくせに…。おまんこがヒクついてるのわかってますよ?」

「んんぁっ…ちがっ…ゃ、ゃぁぁあ…っ」


Pなんかの言葉で胸の奥が掻き乱されてしまうのが本当に悔しい。
悔しいのに…。
Pの指と舌とアレが動くたびに流れる、カラダを痺れさせるこの甘い電流が…感じてるってことなんだろうか…?
すぐにでも蹴り飛ばして離れてしまいたいぐらいなのに、そんなはぁとの気持ちなんて関係なくて、憎いはずのPの動きにカラダは反応してしまってゾクゾクしっぱなし。
押しつけがましくて、暴力的な…………気持ち良さ?
そうかぁ…これ気持ちよかったんだ…。
この目の前が白くなって脳みそが溶けそうになる感じって、快感だったんだ…。
これまでしてたひとりえっちなんて霞んで見える、これが本当の快感…はぁとイっちゃってたんだ…。


「ふぁあんっ、らめぇぇーっ!」

「くっ…急に甘い声出しはじめて…ナカもうねってきてる…っ」


はぁとのカラダの中で暴れまわっていた疼きの正体を知ってしまった途端、ゾクゾクの重さが一段と深刻になった。
ほぼ同時にPの腰の動きが激しさを増してくる。


「はぁっ、はぁっ、くぁっ! イキそ……っ!」

「はぁぁんっ! いゃぁぁああっ!! ぷおっ…でゅ!! 」


おちんちんを出し入れすることしか考えられませんっていうようなおバカな顔のP。限界が近いんだ…。
ベタベタに濡れた腰同士がぶつかって、ばちゅばちゅと下品な音が鼓膜をくすぐってた。
白靄に流されそうななったところで、おちんちんがナマだってことを思い出す。


「んんぅっ!! やっ、やめてぇぇっ! あかちゃん…できちゃううっ!!」

「くっ………わかって、ますって………っ!」

「ひぃぃい゛ん゛っ!?」


痛みが無いのが不思議なくらいの勢いで奥まで突かれて、その衝撃で横隔膜がせり上がりそうになる。
でも実際に上がってきていたのは深い絶頂で、悲鳴を上げることすらもできずただ悶えた。
Pは奥に入ったまま一瞬完全に止まってから、また勢いよく腰を戻しておちんちんを引き抜く。


「あーーーっ! くそっ! あ、いく、イク……っ!!」

「んあっ…あっ…はぁぁっ……」


はぁとのお汁でテカテカに濡れたガチガチをPが手でこすり始めるとすぐに…。


「く……っ! うっ!」

「んやあぁ……でてるぅ……あ、ちゅい………っ」


Pの赤黒い先端からすごい勢いで白い液体が噴き出して、はぁとのお腹にびゅーびゅー降りかかる。
熱くて重くて臭いPの精液…こんなの絶対にナカに出されちゃダメだと改めて思い知る。
いやそうでなくても、こんなのでカラダを汚されているなんてアタマがおかしくなりそうな光景だった。


「はぁ、はぁ……めっちゃ出たな……っと」

「んんっ! こ、こら…」


全部はぁとのお腹の上に吐き出したPは、柔軟性の出てきたおちんちんをしならせて悪戯っぽくはぁとのアンダーヘア辺りを叩いた。
その刺激でまたアソコが疼いてしまったけど、それはたぶん誤魔化せたと思う。
Pはティッシュペーパーを何枚か取り出すとそれでおちんちんを拭いて綺麗にして、その後ではぁとのお腹の精液を拭き取った。


Pがベッドから下りてデスクの上に置いてあった携帯を手に取って操作し始める。どうやら何か文章を入力しているみたいだった。


「……で、おねがいします……送信っと」

「おい…コレ、いい加減解けよ」

「え? なんでですか?」

「なんでって…もう終わっただろ…も、もう帰るからっ。両成敗ってことでゆ、許してやるから…っ」

「なーんでそんな冷たいこと言うんですか? 」

「ぁ……っ」


Pは携帯をデスクに置くと、ベッドに座ってはぁとと引き起こした。
右腕ではぁとの肩を抱いてPの胸に押し付けて、左手ははぁとの太ももとお腹を摩り始める。
治まりかけていた疼きがあっという間にまた全身に広がっていく。


「心さん用の特別なお仕事は別に急がなくてもいいみたいだから、スケジュールにだいぶ余裕が出来たんですよ。だから明日は午前休にしますって、アシスタントさんに送ったとこなのに」

「も…もぅやだぁ……っ、これ以上は…おかしくなる、からぁ……っ」

「心さんも明日のお仕事午後からでしょ? だからもう少し愉しみましょうよ」

「はぁ…はぁ……っ、ゃ……ぃゃぁぁ……あふっ」


Pの左手がアソコへ向かう。
クリちゃんを一つまみされて緊張が走ったカラダが、おっぱいの鷲掴みで無防備にされて、左耳に入り込んだ舌で溶かされてしまう。


「あは…もう新しいマン汁出始めてる…ね? わかる?」

「はぁわううっ! うぁああっ、うあぁあ~~~っ!」

「あ~~心さんの声めっちゃチンコにくるわ~。ほら見てよ、もうこんなになってる」

「んぁっ…ぃ、いやぁぁ……な、んで…あんなに出したのにぃ…っ」


Pのおちんちんは元気を取り戻していて、それだけじゃなく先端にはぷっくりと透明な雫まで溜まっていた。
固そうなおちんちんを見て下腹部がきゅうううっと切なくなる。
なんでこんな…カラダがPのを欲しがってるみたいに…。

ナカを軽く一掻きされただけで首筋にゾクゾクが走った。
そうなるともう体を起こしていられなくなってベッドにへたり込む。


「ほら、ボケッとしてないでケツ上げて」

「ぅあっ……んやぁっ」


お尻を上げさせられて無理矢理に四つん這いの体勢にされてしまう。
背後で膝立ちになっているPがお尻をがっちりと掴んで……そこでイヌやネコの交尾ポーズなことに気付いた。


「はぁああっ! んゃああああ゛あ゛ん゛っ!!」


そして、気付いたと同時に成す術も無く後ろから貫かれてしまった。
はぁとのお尻のお肉もお腹のお肉もアソコのお肉も、内臓も、背骨も、何もかもを掻き分けてPが入ってくる。
まるでPのおちんちんが背骨を貫いて脳みそにまで届いているみたい。


「はぁ゛~゛~゛っ゛!! こ…れ゛…ら゛っ…めぇええ゛え゛……っ!」


こんなのを繰り返されたら壊されてしまう。
アイドルのしゅがーはぁとも、ただの佐藤心でさえもぶち壊されてしまって、きっとただ叫び声を上げるだけのメスになってしまう…。
その確信にハートの底から震え上がった。

震え上がって、結局、どうしようもなく、その通りになってしまった。


「ん゛お゛っ! お゛お゛お゛っ!!」

必死にマットレスに顔を押し付けても豚みたいな声は全然止められないし。
くぐもった叫び声はかえって汚らしく響いたかもしれない。
それに気付いて顔を上げようとしたけど、別に自分の意思で顔を押し付けていたわけじゃなかったみたい。
ただもう顔を上げることさえできなくなっていただけ。
はぁとにできるのは、カラダの中をPのおちんちんでかき混ぜられて潰される絶望的な快感に身を任せることだけだった。


「ハリがあるのに柔らかくてっ…最っ高のケツだなっ!」

「ひぃイ゛イ゛っ!!」


空気の破裂するような音と同時にお尻に走った甘い痛みが、遠ざかりかけた意識を引き戻して、それをまたおちんちんでくちゃくちゃにされる。
丸裸にされた頭の中で、こんなに気持ちいいことがこの世にあったってことに戦慄してた。
そして…悲しかった。しゅがーはぁとのすべてが否定されたような気分だった。
アイドルとしてステージに立って、スポットライトと沢山のファンの声援を受けること以上に気持ちいいことなんて無いと思っていたから…。
それなのに…こんな気持ちいいの知っちゃったら…もう絶対ライブだってこれまでとは同じに楽しめない。
きっとエッチの気持ち良さと比較しちゃう…。
ううん、それだけじゃなくて…ライブの最中にだってエッチのこと…Pのおちんちんのこと…考えちゃうかもしれない…。


「お゛っ……ん゛お゛……っ!?」


意識がまた落ちる直前でPに羽交い締めにされるように上半身を引き起こされて、つながったままPの腰に尻もちをついた。
それからPははぁとのカラダを後ろから優しく抱きしめると、自分だけベッドに寝そべった。
仰向けで寝そべるPの腰にはぁとが女の子座りしている状態になっていた。


「あう゛……っ!」


はぁとのお尻とベッドの間のPがバウンドするように動き始める。
こんなの無理耐えられない、即座にそう感じて横に倒れ込もうとしたのに、それは叶わなかった。


「ひぐぅう゛っ!? や゛ぁぁあ゛っ!!」


後ろから首根っこを掴まれて、はぁとが倒れられないように…たとえ脱力してもPの腰の上で踊り続けられるように、無理くり吊り上げられていた。


「う゛ゆ゛う゛ううっ! む゛っ…り゛ぃ゛ぃ゛っ!」


これまでの体勢に比べれば腰の動きはゆっくりとしたものだったけど、間違いなく一番強烈…。
すでにトロトロに弱ってるのに…何かに縋りつくことさえも禁止されて、完全に無防備むきだしにされたはぁとをPのおちんちんが責め立ててくる。
横でも前でも後ろでも、倒れさえすればベッドかPの肌触りがはぁとに拠り所を与えてくれるはずなのに、首に食い込んだPの五本の指がそれをゆるしてくれない。
だらしなく開いた口からは重力に引かれるままに舌が垂れ落ちそうになっていて、その先からは涎がダラリと滴っていく。
首を絞められる息苦しさなんてどうでもいい。
宙ぶらりんがこわい、ひとりがこわい、今にも気が狂いそう。
それなのに目の前には火花が飛びまくって気持ち良すぎて、それがまたこわい。


「も゛う゛や゛め゛でぇえ゛え゛っ!! しんじゃうぅううう゛っ!!」

「はぁっ! はぁっ! くっ……はぁっ、はぁっ……」

「ン゛っ……はぁあ゛あ゛ん゛っ!」


アタマの中で何かが切れる直前、首を抑えていた力が無くなって、やっとPの胸の上に倒れ落ちることができた。

さっきの姿勢はPにとっても負担が大きかったみたいで、Pは胸の上のはぁとを強く抱き締めたまま荒い呼吸を繰り返してる。
呼吸が整うまでの間に、何故かはわからないけどPははぁとの両手を縛り付けていたワンピースとカーディガンを解いた。
やっと自由になった両手。でも今頃自由になったところで、はぁとにはもう何もできないことは試さなくても分かっていた。


「んんっ……」


おちんちんが抜かれて、Pの胸の上ではぁとの身体の向きが180度回転させられるとPと向き合う形になった。
汗ばんだ男くさい胸に頬をぺったり付けているのも気にしていられない程にはぁとは虫の息。


「はぁ…ん、はぁ……ぅ…うあぁぁぁぁ…っ」


小休止も束の間。
割り開くようにお尻を両手で掴まれて、持ち上げて落とされたら簡単におちんちんがおまんこに入ってしまう。
Pは何度かユサユサと動いただけで、はぁとのお尻を動かす手と腰を突き上げるリズムを合わせるコツを掴んでしまったらしく、すぐにぱちゅぱちゅと小気味のいい音が鳴り始めた。


「あっ、あっ、あ゛っ、んぎゅ、あ゛っ、あっ、あ゛~゛~゛~゛っ゛」


これまでの嵐みたいな強烈な快感と比べれば、天国に思えるくらいスウィーティーな心地…。
Pの胸に縋りついて、口の端から涎がダラダラ垂れていくのも無視して、おまんこでおちんちんを味わう。
おちんちんが優しくおまんこを突く刺激で全身に甘い電流が走って、うなじがゾクゾクするのがすごく好きになってた。

心地いいリズムでカラダを揺すられてアタマがぼーっとしてきて、本当に夢の中にいるみたいに思えてくる…。


きもちいい? ってきかれてはぁとはすなおにこたえる。


あっ、んあっ……きも…ちぃぃ~~


どこがきもちいい?


おっ、おまっ…おまん、こ……っ


なにがきもちいい?


おちん……ちんっ、おちんちんっ!


おちんぽ


おっ、おちんぽ! おちんぽっ! Pのおちんぽっ!


ああ、くっそかわいなぁ…なかだししてぇ……
しんさんせいりいつだっけ? あれ? たしからいしゅうぐらいじゃなかったっけ?


んっ、あっ、あっ…せ、いり…? なんで…? せいり…? んあっ


いいから。こたえろって。


んおっ、そう…はぁとのせーり、らい、しゅう…んあっ…くらいから…っ


おぉ、やっぱり! あんぜんびじゃん! さいこーのたいみんぐ!


んおおっ、おっ、あぅっ……いくっ、いきゅっ……んあっ


あはっ、ちょーこうふんするっ、ほら、しんさん、いつまでもぼけてたら、ナカダシされちゃいますよ?


あうっ、P…はぁと、もっとゆっくりが…あぁあんっ、しゅき…もっとぉ…や、やさし……な……な、かだ…し……?
ナカダシ…?


可愛らしさのあった水音が、いつの間にかただの強烈なエロ音になってた。
心地よかったお腹の疼きが今では燃えるよう。
汚い絶叫を上げているのは他でもないはぁとだった。


「う゛そぉおお゛っ!? な゛かっ! やめてぇえ゛え゛っ!!」

「あああっ! くそっ! イクぞっ、あああっ、イク、イク…っ!!」

「イ゛ヤ゛ぁああ゛ーーっ!!」


Pの突き上げが激し過ぎてアタマの中がバチバチにショートして、動こうにも動けない。
おちんちんの一回のストロークが異様に長く感じられて、これが噂に聞く走馬燈かなんて呆れたり、でもかといって動けるわけじゃないから、いつ熱い精液をナカにぶちまけられるのかの恐怖を延々と味わい続けるだけじゃないのこれ?
仕舞にはおちんちんのゴリゴリが、アソコのお肉をゆっくりこする刺激まで鮮明に感じられて、全てを投げ出したい気分だった。
でも時間を稼げたおかげか、一つだけ光明を見つけた。


「イクっ!!」

「ン゛ぃいい゛い゛っ゛!!」


この瞬間だ。
Pが最後に大きく突いた後のほんの少しの完全な停止時間。
はぁとがPのおちんぽから逃げ出すにはこの瞬間しかない。


「ふお゛お゛っ! ん゛おお゛お゛~~っ!!」

「くあっ……」


Pの胸の上を必死に這った。芋虫…ううん、ナメクジみたいに。
汗でねちゃつくからおっぱいが引っかかって、デコルテの皮膚がピリッと痛んでも構わず這った。
使い物にならない腕をブルブル震わせて、カラダをくねらせて、腰をあげようとしてヘコヘコなって…たった十センチ程度動くのに全身全霊。
その甲斐あってか、それともそもそもPはそこまで本気じゃなかったのか、ヌルンと抜ける感覚がおまんこに走った。
そして安堵を感じる間もなく、お尻に熱いのが撒き散らされる。


「うぁっ…あっ…あぁ……っ!」


かかったところが火傷しそうなくらい熱いし、しかもソレ自体が意志を持ってはぁとの皮膚を食い破ろうと動いているみたいにヒリヒリする。
やっぱりこんなのをナカダシされたら終わりだ。安全日とか関係なくきっと妊娠してしまうに決まってる。
ホントに危機一髪だった…。

お尻で感じるおちんちんのヒクつきもほとんど治まって、それでやっと安心して深く息を吐く。


「はぁ~っ、はぁ~っ、はぁ~……ん、んゅ?」


唇に垂れた涎を舐めとろうとして、はぁとの唇じゃない別の柔らかい何かも一緒に舐めてしまったみたい。
その柔らかいのは湿っていて、ほのかに甘くて、なのに臭みもあって、何故だかくせになりそうな舌触りだった。


「んっ…んぁむ……っ?」


また舐めてみたらその柔らかいのがピクリと動いた。
それでやっと気付く。
今はぁとがうつ伏せ気味にほっぺたを付けていたのはPの顔だった。
おちんちんから無我夢中で這い逃げて、Pの顔にしがみついていたらしい。
それと知らずにペロペロしていたのは…。


「……もぅ、ゃだぁ……ふぁ…すと…きす…こんなの……」


もう泣きたい。いやもうずっと泣いてるか。じゃあ、泣き喚きたい。
でもだからって、そうする気力ももうなかった。
後頭部を押されて成す術も無くPの唇に押し付けられてしまう。


「はぉぉ゛……っ、んっ、んんお゛っ! んぁっ…んれ゛ぇんんんっ」


ほとんど強制的に開口させられて、そこにPの舌が我が物顔で入り込んでくる。
それから逃げるために舌を奥に引っ込めても、舌以外のところを舐めまわされてうなじをゾクゾクさせられる。
特に上顎を舌先でチロチロされるのが、くすぐったさと気持ち良さのダブルパンチで変な呻き声が出た。
それで気を抜いた瞬間に舌を吸い出されて、結局しゃぶられてこすられて噛まれてしまう。


「んはっ…キスは、ちゃんと付き合ってからに、しようと思ってたのに…心さんから、されたら…我慢できないって……んっ」

「え゛む゛っ!? んん゛ん゛ーーっ!」


抱き締められたまま寝返りを打たれて、はぁとが下になってしまった。
Pは両手ではぁとの頭を抑えつけて執拗にキスしてくる。
両耳が塞がれているせいで、口の中を犯される音が頭蓋骨に大音量で響いて何も考えられない。


「はぁあおおっ! んあっ、あむっ、ちゅ、ちゅず…っ!?」

「んむっ……心さん…ほら、舌、舌絡めて…ん」

「んれぇぇ…っ、えぁっぁっ! んぁっ! んはぁっ、んひぅうっ!」


息が出来なくて苦しい。
でも気持ちいい。
目の前がチカチカしてるのに何も見えないのは白目を剥いてるから?
何もわからなくても、命令される通りにしていれば気持ちいいから別にどうでもいいか。


「ん……んんっ?」


唇が離れてしまって、なんでだろって目を開けてみたら、Pがはぁとの顔のすぐ横に膝をついておちんちんを向けてた。
はぁとの恥ずかしいお汁とPの精液でベッタベタに汚れたおちんちん。
しかももう大きくなってるし…。
それをはぁとの口にグイグイ近づけてくる。


「うっ……」


ムワッと漂ってきたエグイ匂い…。
それは半分以上ははぁと由来の匂いだけど、反射的に顔を背けてしまう。


「ほら、綺麗にしないと。精液がこびり付いたままおまんこ入れちゃいますよ?」

「ぁ………うぅ…っ」

好き勝手自分勝手に無理矢理やって汚したくせに、それをはぁとに綺麗にさせようとしてる。
さっきみたいにティッシュで拭けば良いのに、わざわざ口でさせようとしてる。
知ってる…お掃除ふぇらちおっていう、女の子をバカにしたヤツだ…。
こんなふざけた真似、怒鳴って突っぱねてやりたい。
でも…怒りが湧いてこない。
怒っても無駄だって…どうせPには敵わないっていい加減分かっちゃったのかも。
抵抗してもどうせその分余計に辱められるだけだから、だったら最初から従順になった方が…、って。
はぁとは…Pの快楽のために使われる存在なんだって…もう納得しちゃった…。


「………あぁむっ……んぐっ……じゅる……ひっく…ひっく……」


あぁそうか…。
はぁとの白無垢はもうとっくにP色に染められちゃってたんだ…。
だからPに逆らおうとしても力が出ない…。
だからPのカラダが気持ちいい…。
だから涙を拭ってくれるこの手を優しく感じてしまう…。


「心さん、もういいよ、ありがと」

「んぶ……んくっ……ぁむ…んーーー…んちゅ…ちゅ…っ」


だから…キスがこんなにも嬉しい…。
はぁとの初めてをPに奪われたあの時から全部決まっていたことなのに、それに気付くのに随分無駄なことして遠回りしちゃったね。


「あぁ…もう流石に…これが最後…っ」

「ふぁぁんっ」


仰向けに寝そべるはぁとの太ももを押し開いてPが入ってくる。
オナカとアタマがジュクジュクしてもう気を失ってしまいそう。涎がこぼれていくのに口は閉じられなし。


「はぁぁ…っ! あひっ、ああっ……んああっ!」


ひと突きごとのおまんこの甘い疼きで全身が震えた。
叩きつけられるPの腰の衝撃は激しいみたいだけど、朦朧としてる今はそれぐらいが丁度良いらしい。
Pははぁとのくびれを掴んだり、おっぱいを揉んだり、腕を痛いくらいに握ったりしながら、ハァハァ言って腰をパンパンしてる。
Pももう限界が近いみたい。


「はぁっ、はぁっ…し、心さん…ねぇ、いい?」

「んんん……っ」


覆いかぶさってきたPが脇の下から肩に手を回して、ぎゅううっと抱き締めてくる。
しかも耳元でオナカに響く低い声で囁いてくるから思わず抱き返してしまう。


「ひぁんっ……な、なぁに…?」

「最後は…んっ…心さんのナカに出したいな…」

「ぇ? ……ぁぁぁ………ん゛ぅっ!」


Pの言葉に胸が強く甘く痛んで、そして軽くイってしまった。
ナカで出したい…?
Pは性懲りもなくまたそんなことを…。
さっきはぁとが見事逃げおおせてみせたのを忘れたのかな?
また今度だって……


「ぁ……ぃゃぁぁっ」


そういえば、ベッドとPに挟まれて、しかも上半身同士が密着するくらいにしっかりと抱きしめられてた…。
つまり今度は絶対逃げられない…。


「ゃぁぁ…ひあっ…んゃぁっ……ゃ……んおお゛っ」


奥まで入ったままで腰を電動マッサージ機みたいに小刻みに揺さぶられて思考能力を根元から刈り取られてしまう。


「ねぇ…大丈夫だって。安全日だよ? 一回だけで出来るわけないって」

「ひうんっ……ほ、ほん…と…?」

「ほんとホント。それにね、んっ、んっ…中出しってすごく気持ちいいよ?」

「んあっ、んああ……きもちぃ? ナカダシ、きもちぃの…?」

「あは……当たり前じゃん。想像してみてよ、おまんこと子宮に精液かけられちゃうんだよ? ね? 絶対気持ちいいでしょ?」

「あぁ…っ、らめぇ……いく、イク、イクっ……ん゛ん゛っ゛!」


熱いのが注がれるのを想像すると、子宮がヒクついてあっけなく深い絶頂の波に飲まれた。
ナカダシしてもらったらこれよりもっと気持ちいい…。
キモチイイの欲しい…。
ナカダシはキモチイイ…。
なら…?


「いいよね? 中出し、していいよね…?」

「ぁ…………っ」


もうはぁとは自分を抑えられなくなっている。

だってナカダシはキモチイイから…。

Pがそう言ってるんだもん。だからナカダシは絶対キモチイイ…。

キモチイイの欲しい…ほしい…。

Pのせいえき…おまんこに………




「………………だめ……っ」

「えっ…?」


耳元から口を離してはぁとを見つめるPは驚きの表情。
でも実ははぁとだってすごく驚いてた。
Pの甘い言葉に流されて…もうどうにでもなれって…我慢するのを諦めちゃってたから…。
そうかぁ…これもはぁとなんだ…。


「お、おねがい…ナカで出さないでぇ……っ! アイドルしたいの…はぁとまだアイドルしてたいの…っ!」


簡単に染められちゃうはぁとだけど、そんなはぁとにだって譲れないモノがあったんだ…。
1%でも危険があるなら、それをはぁとは見過ごせない。


「ぅぅぅ……っ。アイドル…続けられなくなることは…だめぇぇっ! それ以外なら……何でもするから…っ! おねがい、ぷろでゅさぁ……ひっく…お、おねがいします……っ」

「心さん…」


Pの唖然とした表情が笑顔に変わっていた。
その笑顔にはこれまでのギラついた感じはなくて、ハートの底から安心できる優しい笑顔に見えた。


「は、ははは…そうか…そうですね…それでこそ、か…。ごめんね心さん。安心して」

「ぁ…うん…よかったぁ……ナカダシさせてあげられなくてごめんね…っ」

「いいよ。でも今何でもするって言ったよね?」

「ぅ、うん…」


改めて聞き直されるととんでもないことを口走ってしまったことに気付いて、喉元がジクリと冷たく疼いたけど、それはすぐに下腹部の甘い疼きに変わることになった。


「じゃあ本気で、付き合って」

「………うんっ」


Pとはぁとの腰がリズムを合わせて動き始める。

Pは耳元で恥ずかしくなるくらいに甘い言葉を囁いてはぁとを求めて、はぁとはそれに全部応える。

それからキスをして、舌を絡めて吸い合って、見つめ合って、またキスをした。

Pが歯を食いしばるようになってしばらくすると…Pに言われるままに口を開けて舌をべぇ~ってして、出された熱いの全部飲んであげた。

喉を鳴らすはぁとをPは切なそうな顔で見つめてたから可愛く思えてしまって、この屈辱的な行為もついゆるしてしまう。


その後はずっと抱きしめ合ったまま、変な味がしても構わずいっぱいキスをして、スウィーティ―なことを囁き合い続けて……いつの間にか寝りに落ちてしまった。


◆◇◆◇◆◇◆


ちゅんちゅん。ちゅんちゅん。

うん、覚えてる……。
お酒なんて一滴も入ってなかったしそりゃそうか……。


「ちゅんちゅん……ちゅんちゅん……朝ちゅんちゅん…うわ…くっさ☆」


全身が汗とか色々な体液で濡れたのをそのままにして寝ちまったせいでケモノ臭がすごい…。
特に口の中が…もう…なんか…とにかくヤバいぞ☆


「うわぁ…マジかぁ……」


そうだ…女の子としてかなーりヒドイ目に遭わされて、プライドもケチョンケチョンに凹まされて…。


「う゛…ぐごご……」


それをした張本人のPははぁとを背後から抱きしめたまままだ夢の中…。
昨晩はもう二度とコイツに歯向かえないだなんて思ったけど、うん…大丈夫…別に何ともない。いつものしゅがーはぁとだ。
手にも足にも力は入るし、引っ叩いて蹴り飛ばすことも出来そう。
出来るんだぞ☆
しないでいてやるのはただのはぁとの気まぐれなんだからな?


「ふぅ………はぁぁぁぁぁぁぁぁ~~~~」


いやいやいやいやいや!!!
白無垢がP色に染められちゃうってなんだよ!? そんなのあり得ないっつーの!
はぁと雰囲気に流され過ぎ!?
違う違う違う! ちょっとビビっちゃっただけだからね?
そうだ! 無理矢理はぁとを…て、テゴメにしやがって…このクズ! 犯罪者! 女の敵!
あんなヘロヘロな状態で言ったことなんて無効だもんね!?
ノーカンだノーカン! ぜーんぶ、ノーカン!! ノーカンなの!!


「…………よし」


大丈夫、やっぱりいつものしゅがーはぁとだ☆
そうと分かれば、とにかくまずはシャワー浴びなきゃ♪


「このっ…力いっぱい抱きしめやがって……どんだけはぁとのこと…す、好きなんだよ……♪」


Pの腕から抜け出して、コスメポーチを持ってバスルームへ。

身体の汚れを落として歯を磨けば生まれ変わったみたいに爽快な気分だった。

バスルームを出て、持ってきてた替えの下着を着ける。

喉の渇きを感じて、そういえばと冷蔵庫を見てみると記憶通りにスポーツドリンクが入っていたから問答無用で拝借☆


「くぴっ…くぅ~~沁みるぅ~~。本当に美味しいんだな……ふふっ♪」


ベッドに目をやるとPは目を覚ましたみたいで、ベッドに腰かけて膝に肘をついてうなだれてた。


「あ゛~~~~ダルくて死にそう……ヤリすぎたぁ……」


骨の軋む音が聞こえそうなくらいぎこちなく首を回してこっちを見るPの目はほとんど明いていない。
昨日あれだけハッスルしやがったんだ、自業自得ぅー☆


「あ゛…心さん…それ…俺も…ちょうだい……」


でも? はぁとだって鬼じゃないし? むしろ天使だし?
スポーツドリンクを渡してあげるくらいは…ね♪


「………ぁっ」


飲みさしのペットボトルを渡そうとした右手の手首を掴まれて、引き寄せられ隣に座らされてしまう。
ウエストに巻きついてくるPの両腕と、鎖骨の窪みに埋まるPの顔。
せっかくシャワーを浴びたのに臭いのが移っちゃいそうで嫌なんだけど、胸がキュンと痛んで…だからちょっと様子見することにする。
だって、ホラ、動悸かもしんないし。いや年齢は関係ないからな☆


「あぁ…いい匂い……心さん、キャップ開けて」

「なんではぁとが……………おらよ」

「ありがと心さん、大好き。ごくっ……お゛~~~生き返る…。あ…ずっと昔のCMでこういうの覚えてませんか? スポーツドリンクのCMなんですけど、お父さんと娘が喋ってるところにお姉さんが朝帰りしてきて…」

「…………知らないっ」

「あら、そうですか」


もう…なんでコイツはこうやって……!


「そだ…俺もこれからシャワー浴びますから、その後に買い物に行きませんか?」

「え…なんで…?」

「心さんの服、昨日俺が破いちゃったじゃないですか。その埋め合わせってことで。それでちょっと考えたんですけど、服を買うよりかは…」


そうだ。
そうだ!
そうだった!!
こんにゃろ、我が子みたいに大切なはぁとのワンピースをビリビリに破いたんだった!
ベッドの脇に無造作に落ちたまま…あぁ、可哀想に…。ぐすん。
忘れちゃいけないこの恨み☆


「離せこのクズぅーーっ!」

「わっ、急にどうしたの心さん」

「オマエなぁ…オマエなんかなぁ…!」


言いながらバッグから着替えを取り出してそそくさと身に着ける。


「プロデューサーなんか…こ、恋人じゃ………っ! お、覚えてろよー! うわ~~ん!」


色んな思いで感極まりかけたはぁとは、そうしてPのマンションから戦略的撤退をしたのであった☆


―――
――


はぁとのマンションのインターホンが鳴ったのはその日の夜21時前。お仕事を終えて飲みに行く気にもなれず、一人寂しくお家に帰り付いてすぐのこと。
宅急便だった。


「あのバカ……」


送り主はP。
中身は洋服の生地がどっさり。
見るだけでも、手を触れれば尚のこと高級とわかるそれは、たぶん海外の一流ブランド品にも使われるレベルのもので…単価的にも普段はぁとが使うような生地の何倍もしそう。
はぁとにとっては紙幣で編まれているようにも見えるそんな生地が、それはもう何種類も届いた。


「P! このバカヤロー!! 何してんだ、コラーーーっ!」

『ちょ!? 急にどうしたんですか?』


気まずい気持ちなんて吹っ飛んでしまって、勢いのまま電話をかけて、繋がると同時に怒鳴りつけた。


『あぁ、受け取れましたか。時間指定がうまくいって良かったです』

「はぁーー!? そんなことどうでもいいし! おまっ、これっ…どういう…なんでこんなの送ってくるんだよ…っ!?」

『心さんには新しい服を買うよりかは洋服の生地の方がいいかなぁって。今朝も言おうとしたんですけど、急に帰っちゃうから』

「はぁっ!? いや…まぁ、生地の方が良いのは、確かだけどさ…じゃなくて! 高い生地をこんなにたくさん買いやがって!」

『えっ? 値札入ってましたか…? 値段が分かるものは取っておいて下さいってお願いしたのになぁ…』

「んなもんなくても、見りゃわかるってーの! はぁとナメんじゃねぇぞ☆」

『ははははは』


何が面白いのか全然わからないんだけど、ケラケラ笑うPに呆れてしまい、こっちまで乾いた笑いが出てくる。
何度触れてみても生地の手触りは素晴らしくて、もちろんそれだけじゃなく…。


『それよりも。色とか柄ってどうでしたか? なるべく心さんの好きそうなの選んだつもりなんですけど…』

「ぁ…そ、それは……」

『…………あちゃー、やっちゃいました俺…?』

「いや…だ…だいじょうぶ…」

『あぁ、気にしなくてもいいですよ。また後日、今度はちゃんと一緒に買いに行きましょう?』

「だから大丈夫だってっ! だって……っ」

『……ん?』


だって、どの生地も胸キュンするぐらい好みの色と柄だったから…。
そう言おうとして、でもそれは負けたみたいに思えてしまって、結局言えなかった。


「な、なんでもない! 生地はもう当分はいらないからっ」

『そうですか…? ならいいんですけど』


気恥ずかしさが蘇ってきたせいか急激に顔が熱くなっていく。


「あーーもう! とにかくっ、今度からは勝手にこんなことするんじゃないぞっ☆ あと……………………………ありがと」

『いやいやそんな、悪いのは俺ですから』


電話を切った後、たしかにPの言う通り、はぁとがお礼を言うのはおかしい気もしてきてちょっと複雑な気分だった。


十種類ほどあった生地を作業台に並べてみる。
表だけじゃなく裏もじーっと見て、触って、頬擦りもしてみる。
今まで手にしたことのなかった素材にはぁとの感性が刺激され、インスピレーションがどんどん湧いてきた。


一つ、賭けをすることにした。


湧いたイメージから一つを選んで、それ以外の生地は保管棚にしまう。

残したのは小花柄の入ったアイボリー色のシルク生地。シルクってオイ…完全に本物だこれ…。
地直しは必要なさそうだし丁度いいといえばいいけど。

このシルクをあえて、とっても大人でカッコいいテイストの半袖のワンピースに仕立て上げる
Pに破かれちゃったから同系統の色のを作っとく必要もあるし。
型紙はすでにあるのを軽くアレンジすれば流用できるはず☆

最初ハサミを入れるときには緊張したけど、値段が高いってだけで扱う難易度はまぁそこそこ。これより難しい生地なんて過去に何度も扱ったことがある。
それがわかって調子が出てくるとミシンも軽快に走るようになって、日付が変わる前には完成させることが出来た。
出来上がってみればいつもの凝ったお洋服と比べると、随分と簡単でちょっと拍子抜けだったくらい☆ 嗚呼、流石はぁと☆

はぁと流のアレンジは明日以降のお楽しみ、かな♪


そして翌朝。

作りたてのワンピースに袖を通して、手持ちの中でも比較的大人しめのバッグとヒールをコーデして玄関の姿見の前に立つ。
今日はツーサイドアップはお休みで、自然に下ろしてる。


「…………よしっ☆」


はぁとのブロンドの髪と手入れの行き届いた白い肌とシルクの光沢が、うっとりするほどスウィーティ―なハーモニーで少しだけ胸が高鳴ってた。
身体のラインが浮き立ってとってもセクスィーだけど、決していやらしくは見えない絶妙なバランス☆
それに、動きやすさも確保できてるのははぁとお手製だからこそ☆
きっと今日のはぁとはかなり美人だ。いや、普段だって美人だけどね♪
どんなタイミングで写真を撮られてもファッション雑誌の表紙が飾れる自信があるし、誰にも…今日だけは元モデルのあの娘にだって、真正面から張り合っても負ける気がしなかった。
とはいえ、こういう部分で競うことは別にはぁとは求めてないんだけど。
それにPからの高級生地で下駄をはいてるからってのはちょっと癪だし☆

すれ違うオジサマ方の視線もなんだか今日は熱っぽい。
いつもは痛々しいモノを見るような視線送ってくるくせに、現金だぞ☆
事務所に着いたら着いたで、槍が降るんじゃないかって言ってる娘や、初対面の人みたいに挨拶してくるスタッフさんがいるし。
それらをさらりとすり抜けてPのデスクへ向かう。


「………………お、おはようございます、心さん…?」

「ぉ………おはよ」


あんぐりと口を開けたままのP。
はぁとはぁとで、何故かバッティングしてクリンチに持ち込んでしまいたい欲求が湧いてた。
それをなんとか押し留めて「ちょっとツラ貸せよ」とだけ言って事務室を出て、二人してビルの屋上へ入る。


「いい天気だな☆」


背の高い金網で囲まれた殺風景な屋上にば初夏の朝特有の気持ちのいいサンシャイン。
ぐるりと見渡してみてもはぁととP以外には人影はない。


「あ、あれ? 心さん、それってもしかして…」

「あん?」


屋上のドアの前で立ち止まっていたPがはぁとに近づいてきて、あと体一つ分てところで立ち止まり、目を細めながらはぁとの胸元をしげしげと見つめてくる。
突然の接近に跳ね上がる心拍数。でもすぐにPのセクハラともいえる視線に気付いて胸の前で腕を組んだ。


「ど、どこ見てんだよっ☆」

「おっと、すみません」


視線をはぁとの目に戻したPは苦笑しながら聞いてくる。


「もしかして、そのワンピースって俺が贈った生地で作ったんですか?」

「おう、そうだよ☆ てか今気づいたのかよ☆」

「えー、うそぉー、まじでー、すげー」

「ふふん♪そーだろ、すごいだろ☆」

「あれがこーなるのかー」

「ん……っ」


肩を撫でるようにワンピースの袖に手を触れたPは、布地の手触りを確かめてから手を滑らせてはぁとの手を握った。


「昨日までただの布だったのに、一晩でこんなに素敵なワンピースにしちゃうなんて…それもこんなに綺麗な手で…」

「お、おい…や、やーん、照れるぅ…ってのっ☆」


そのまま手の甲にキスされるイメージが頭に浮かんできたので、慌ててPの手を振り払ってしまい、それを冗談っぽく取り繕う。
Pの奴、何でこんなに落ち着いて気障ったらしいことを言えるんだろう…?
なんなのよ? やっぱりはぁとが意識しすぎなの? それともただの経験の差?
どっちにしても腹立つわ~☆
いや、今はとりあえずいいか。


「でっ! どう?」


言って、はぁとは正統派のモデル立ちをして見せる。


「え…? そりゃもちろん、よく似合ってますよ。心さんのスタイルの良さがシンプルなデザインのワンピースで際立って見えますし。なんていうか自然と視線が釘付けに…」

「へ、へぇ……」


言葉の通り胸元から裾までが視線で舐め回されて、恥ずかしさと微かな快感に胸が甘く疼く。


「前々から心さんって地が美人だと思ってたんですけど、やっぱりなって感じです。落ち着いた感じの服を着て、髪型を変えれば絶対似合うと思ってたんですよね」


そして聞いてるこっちが恥ずかしくなるくらいの誉め言葉が続いた。
肌の綺麗さがシルク並み、半袖から見える二の腕のラインが堪らなく可愛い、ふくらはぎから膝さらに隠れた太ももの流れがドキドキするくらい色っぽい…だとかそんなのが。

ちょっと待て、褒め殺す気か☆
う~~、Pってこういう奴だったの?


「じゃ、じゃあ…いつものはぁとと…今日のはぁと…どっちが良い…?」

「そんなのいつもの感じの方が良いに決まってるじゃないですか」

「……え?」


全てを賭けたはぁとの問いに、あっけらかんと、Pはそう言った。


「あぁ、けなしてるとか、バカにしてるとかじゃないんで怒らないで欲しいんですけど…。やっぱり、心さんはいつもの痛い感じがしっくりくるっていうか、安心感…? それにこういう格好は他にもできる人はいますけど、あの格好が出来るのは世界で心さん一人しかいないですからね。あと…こんなに綺麗な恰好されても俺としてはちょっとイジリにく…じゃなくて緊張しちゃうかな、ははは…いや、たまにはこっちも見たいですけど。……心さん? 怒ってます…?」


「……………………はぁ…」



賭けははぁとの負けみたい。ん? 勝ち? どっちなんだろ?
いやいいや♪ 今のところは負けで良い☆
そのうちきっとはぁとが勝ち越してみせるから☆


「心さん…?」


「はぁともそー思う☆ あはっ♪」


訝しがるPに不意打ちでハートアタック☆
癪だけどスウィーティ―に物理的なやつ。

それからPの手を取ってやる。
今度こそしっかりと☆




【終わり】

何かしら感じてもらえましたら幸いです。

乙でした

なんでこんなにDV野郎なのか

どクズだな、純愛エンドもはよ

こういうの大好きよ。おつ

実は当初、タイトルは『佐藤心「プロデューサーがクズだった」』にするつもりでした。
冒頭にその旨の注意も入れておくべきだったかと反省しております。
あと、この後にただひたすら甘いいちゃらぶ濡れ場シーンを書くつもりでしたが割愛させていただきました。
(割愛の主な理由は文字数)

いちゃらぶ濡れ場見たいなあ

イチャイチャセックスみたいな

>>56
割愛すんなよ!

おつ

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