これから日記を書く 七冊目 (546) 【現行スレ】

このSSについて簡易QA。これを見れば何となくわかるよ。

Q,ジャンルは?
A,ゾンビ近未来ファンタジー人外日記式SSだよ

Q,ただのSSでいいの?
A,ダイスが全てを決めるSSだよ

Q,主人公は?
A,主人公格がいるだけで、主人公という扱いはいないよ

Q,キャラは死ぬ?
A,緩いけど、死ぬ時は容赦はないよ

Q,なんかゾンビ以外のがちらほら
A,何をいまさら

新スレ、うおぉつっっ!

何か変なのに埋められそうだったけど、何とか>>1000は踏めたな。取り入れてもらえるかは別として

物好き用簡易設定&用語集。読めばまぁ、最初から読まなくて済むようにしたい。

モチーフ:
読者がゾンビ(その他もろもろ)がばっこする世界を生き、各地にある生存者の日記やメモを読んでいるという設定で書いてたのが、もはや形骸化してるだけ。

基本はリアルタイム形式で、紙媒体更新はキャラ一人につき、作品内での1日の間で基本1レスのみ。展開自体に深くかかわらない「ブレイクタイム」、本編には一応関係ない「幕間」、それ以外での記録媒体とか、台本形式とか、地の文ありとかの場合は特に制限はありません。


ダイス:
TRPGのごとくダイス様を振って、その結果でその日一日がどうなるか決まる仕様。6面ダイス5個を振り、合計値が高ければ良い結果、低ければ悪い結果。後は細かい判定に12面、8面、4面ダイスまで投入されている。

オール6:
出たら、むっちゃ良い事起こるよ(死ぬ場面だと、奇跡的に生き残るよ)

オール1:
出たら、死ぬよ(死ぬような場面でなければ、不幸な目に合うだけ)


ゾンビ:
モチーフはロメロ型感染拡大型ゾンビ。全人類の敵。ゾンビ化初期の頃なら走ってくるが今は大体のろのろしてる。ただし、そのまま放置してると更に凶悪な存在になったりする。

強化ゾンビ:
より凶悪、より脅威になったゾンビの総称。筋肉だるまのようなマッスルゾンビ、猿のようにいろいろ移動できるモンキーゾンビ、更にはそう言った類の亜種など、多種多様な存在がある。

ミュータント:
ゾンビ感染によって変異した際、何らかの適応をした存在。人間の意志が残ってるか、人間またはその種以外になってしまったものを指す。

また、変異後に更に変異する場合もあります。強化ゾンビもカテゴリ的にはこの分類。

登場人物:
ダイスの結果によっては死にます。書き手であれば更新がなくなり、書き手でなければ仲間が書いて知ることができます。が、状況によっては書かれることなくお別れになる場合もあります。 まぁ、今は日記(しょめん)形式少なくなってきたからどうなるやら。


勢力:
作中に出てくる登場人物以外の周囲で、それ以外の生存者達のグループを指します。


感染:
ゾンビからの攻撃を受けた場合、あるいは変異に関するものを摂取した場合に発生。これによりゾンビ化、あるいはミュータント化する。適切な治療あるいは肉体耐性があればそのまま。 感染は何によって引き起こされるかは、実のところまだ不明。

これ以外に通常の病気感染などもある。


物資:
探索の際に回収したり、生産したり。食料、建築、作成、弾薬、戦闘用具といった分類がある。食料以外は無くても生き延びることは一応できる。ダイス様に愛されればよろし。 愛されすぎると人間辞める羽目になるけど。


惨劇:
ゾンビが発生した日(事件)を指す。この世界でのアポカリプスの始まり。


WWP:
世界大戦プロジェクト。諸悪の元凶らしい研究機関。 U.S.A.Uが共同出資して設立。

第三次世界大戦を仮定した研究が主で、わりとろくでもない研究が目立つ。 ちなみにこの機関に関連するプロジェクトや制作物が下記。


ホムンクルス:
HP(ホムンクルス計画)で生み出された存在。登場人物である藍が該当。

HPはかいつまんで言うと、人工的に優秀な兵士を作るぞ計画。詳しくは2スレ目>>742を参照。


アラクネシリーズ:
戦闘用の義足。基本的は通常時は2本足で、戦闘時は槍のような足だったり、特殊な足が飛び出す。

神経接続装置が組み込まれていて、自分の足のように動かせる。

現在は戦闘を前提とされたペガサスが作製されている。詳しくは6スレ目>>76あたりを参照。


ファントムシリーズ:
アラクネの神経接続装置のノウハウを生かした特殊な装着具。

かいつまんでいうと、盾付きで左腕から杭打機で杭を撃ちだし、右腕はフックショットがついていて、上り下りや鞭に利用でき、足は空気の噴射でダッシュ、ホバリング、多段ジャンプが可能。ついでに剣も、神経連動で高周波を発生させて切れ味抜群。その上空も飛ぶ。

世界感:
実はあんまり踏み込んでなかった気がするのでこちらにて。世界は現代よりも先に進んだ近未来、国際情勢はロシアによる各国への軍事介入により緊迫感を増し、第三次世界大戦の幕開けを世界的に薄々感じていた状況。

技術などは今よりも緩やかに向上しており、ある程度のエネルギー問題の解消等は図れていた。ただし、直面する問題を先延ばしにする程度のもので、根本的な解決に至ってはいない。

ロシアが中国を併合した後、一気に緊張感が増したことにより各国々で連合や共同体が結ばれ、そのまま一気に世界大戦が起きると思われた矢先、惨劇が発生した。


U.S.A.U:
世界中のきな臭い国際情勢を理由に、日本、東南アジア、アメリカ、カナダなどが連合を組んだ共同体のこと。WWP創設をした共同体でもある。

登場人物

放浪者:
主人公格、人間だと思われる。ファントムシリーズを装着した、奇襲されても剣でカウンターする化け物で、ダイス様が最も寵愛してる存在。拠点兼探索組リーダー。なお、自分が化け物並という自覚はやや薄いけど、最近当たり前みたいにヘリとか落とし始めた上、五感が研ぎ澄まされて更に勘が鋭くなった。


山中沙奈:
アラクネシリーズを装着した研究者。放浪者の相棒といえる存在。怒ると怖い。拠点兼探索組サブリーダー。表だって誰も言わないが、完全に拠点サイドのおかん。結構ヒロインしてますが、最新のアラクネシリーズのペガサスのおかげで、近接だけでなく高速移動によるヒットアンドウェイもできるように。


野木賢介:
研究所主任。WWPの不穏な動きを察知し、研究所を緊急時用に魔改造していて、完成できないままに惨劇を迎えた。ヘビースモーカー。

最近は印象が薄いという特徴すら薄れてきた気がします。


アリス・ブルーフィールド:
善良なマッドさん。アラクネの神経接続装置とファントムの開発者という天災。アニメや漫画などをヒントにして開発を行っている。やっぱり天災。

放浪者が凶悪してるのも大体この人のせい。というか、彼女が絡んだ装備は大体凶悪してる。


エクス:
天才ハッカー。オンライン上で情報を集め、監視カメラで放浪者達の安否確認しながらサポートしたり。重要な位置についてます。そして過労気味です。

その上、不遇のおまけつき。>>1に増やされたり消されたりとか。


保安官:
着てる服装はウェスタン調だが、保安官と名乗ってる。ライフルの免許持ちで、たまに狩猟に出かけるナイスミドル。放浪者達とは別行動だが、拠点メンバーにとっておとん的な立ち位置。出番はあまりないけれど、都市の東側のエリアを一人で抑える化け物。

それ以外はBARでお酒をふるまうマスターでもある。最近出番が薄いやも。


スライム:
ミュータント。放浪者達のマスコット。健気。拠点における癒しといえる存在。ちなみに拠点組最初に加入した仲間がスライムだったりする。

子ども扱いすると怒るよ。


浜村美香音:
拠点警備組のリーダーで、拠点内の設備の管理や設置もこなす電子技師。酒好き。畑いじりも板についてきた。

なんだかんだで人の面倒見のいい姐御肌。それでいて、拠点の脇を固め。


蒲谷勘二郎:
拠点警備組。わりとオタク。最近手先の器用さを生かして建設作業をこなしてる。簡易シャワーも出来て、次は発電施設の着手に移行中・

名字の読みは「かまや」と読む。


井門圭司:
元防衛軍兵士。敵だったけど味方になった。物事に対するバランス感覚は優れるが苦労人気質。拠点メンバーで唯一きっちり銃を使いこなせ整備もできる、貴重な要員。そして、放浪者、山中がいない時の拠点リーダー代行、やっぱり貴重な要員。後、わりと武器マニアで、銃器をいじってるのが楽しかったり。


一ノ瀬美尋:
医大生。戦うお医者さん。割と不幸気質で、何かのトラブルの際ほぼ被害にあっている。生き延びられてるところからして悪運はあるらしい。

後、妹気質が強いです。


覚美弥:
ミュータント。目がつぶれた代わりに、人の視界を見たり頭の中を読んだりできる。その能力はカオスなメンバーの人間関係の均衡を裏で支え、拠点周囲の危険な存在を感知する生体レーダー。立場的に出番薄めだが、割と強い存在感は主張してる気がする。

名字の読みは「おぼえ」


佐原有登:
ミュータント。ワーウルフになった舎弟気質な奴。わりとというか、そこそこバカ。でも60kgのハンマー貰って振り回したり、重い瓦礫をスリングで投げ飛ばしたり、とげのついた盾でぶん殴ったり、地味に凶悪な戦闘力を持っている。そして、印象もなぜか地味。

名前の読みは「あると」


三間弘幸:
仕立て屋と言えるまでにはまだまだ修行中。性格は普通だが、見た目は女っぽい、いわゆる男の娘。レインコート作ったり、佐原に合う鞄を作ったりと、腕は上がってきているが、いかんせん>>1が最近そういったところ描けてない。でも、最近は放浪者用の防弾仕様の革ジャン作ったりした。


大木勝:
覚を守る小さな騎士。金属バットでそこそこのゾンビを処理してきたので、わりと強い子供。警備組と覚の世話を兼任している。最近は日本刀貰って、林道に本格的な武術訓練中。

遠征に参加してわりとピクニック気分だったりするところはまだまだ子供。

ジェーン・カナリー:
保安官が拾ってきた金髪さん。かなり悲惨な目にあったのに、救ってくれた保安官に一目惚れ中で、奥さんになるため花嫁修業中。ここのところ空気ですけど、私は元気です。

名前の元ネタはカラミティ・ジェーン。


藍:
ホムンクルス。四肢なら自由に、それ以外は表面までを自由に変形、変質できる。尊大な態度をとるが、普通にいい子。武術の教えも身につけて、戦闘力も充実。

スライムとは義理兄弟姉妹の関係で、お姉ちゃんしてます。


西切緑:
弓使いなカメラマン。那須与一さんレベルで弓矢の扱いに長け、遮蔽物越しに敵の急所を狙い撃ったりする。放浪者と山中の様子が気になっている模様。

この名前も某ゾンビゲーのシリーズから1つずつ取ってたりする。


小間城:
ミュータント、人間ではなく犬が感染し、結果として四本の触手を持つことになったワンコ。群れに入れず1匹でいたところを放浪者が飼いならすことに成功。以後、拠点内を自由気ままに過ごしている。放浪者のことを群れのボスと認識して、敬意を払っている。

作ってもらった犬小屋(段ボール)に敷かれた布団をもふもふしたり、スライムから貰った人形をもふもふしている。


ビジョン:
赤外線や無線などを視認し、そしてそれを捻じ曲げたり、いじったりすることができるが、生体的エネルギーも視れてしまうため、何でも視える。それを使って遠距離間通話もできるそういう超能力者。話す前に必ず笑うが、楽しくて笑う訳ではなく勝手にそうなる。

現在、光線銃を使いこなすために鍛錬中。また、光の屈折をいじることで視覚的な意味合いでの認識させないレベルで姿を消せる。


林道正綴:
小学校教諭。田舎で古武術を習い師範クラスの実力を持っている。棒術と柔術をベースにしていて、棒を使いゾンビを転がした後素早く首をへし折ったりする。その古武術を藍と勝に教えている。 子供達への勉強を教える関係で、探索組と警備組を両方兼任する。また、亡くした小林の関係で、子供達への危険が関わることは割と過保護的な反応をすることも多い。

この人も教員日誌ある割に空気という。強いは空気のこれ日。


ハンター:
各地を放浪する生存者。常にコートを着用していて、その中には大量の火器と弾薬が詰まっている。愛用しているのは改造した小型のチェーンソー。家族をミュータントと思われる化け物に殺され、すべてのそういった類を殺すために各地を放浪している。

デルフィアという新しいCPP規格の義手を手に入れて、大暴れしていたがDJフレンドの遠回しな呼び掛けで現在拠点に留まり、都市で大暴れしている。


DJフレンド:
ラジオ放送をしている女性と思われていた人物で、実際は性同一性障害の男性。情報と称して、今まで得てきた体験などを話し、音楽を録音で流している。拠点と研究所では、数少ない娯楽としてリスナーも多い。

4スレ目にて放浪者が接触したことで、勢力間での同盟を結び、放浪者などが得た情報をラジオで放送するようになっているが、>>1が作品に合いそうな曲がなかなか見つからず、最近は皆さんのリクで成り立ってる気がするよ。

伊吹くるみ:
元々覚の勢力にいた子供の一人エクスの下でハック技術を学び、サポートしている。サポートチームの人員として欠かせない存在。放浪者に好意的な反応を見せる。クールな性格で、エクスに毒舌を浴びせるが、気心の知れた相手にしかしないので、彼女なりの砕けた接し方の模様。


錬浄:
戦うお坊さん。錫杖の先端を尖らせたものを武器として利用し、ゾンビを供養するため処理していたお坊さん。放浪者を超える寡黙なお方。ゾンビに咬まれたが、ミュータント化もゾンビ化もしていない。ただ、佐原のようなミュータント張りの身体能力を持っていて、放浪者並に亜種とサシで勝てたりする。そして強すぎて空気。

名前の読みは「れんじょう」


千護 巴:
元防衛軍狙撃兵。井門と同じ、彼がいた部隊の隊長にしごかれた。オリンピックに出場して活躍した経歴を持つ。アビスと呼ばれるWWPの大型研究施設を探していて、現在研究所から得た情報をもとにとある新興都市で探索を進めている。性格は爽やかな姐御肌。

苗字の読みは「せんご」。元ネタは巴御前。


ロバート・ハイマール:
WWPの元研究者。RP(再生計画)という計画を研究していて、それがゾンビ化現象の原因ではないかと考え、解明しようと千護と行動を共にしている。小心者で話す時は大体どもってしまう。それでいて優しくて不器用。出番はあるけど、大体ビクビク怯えてます。

名前の元ネタはある。ヒントはニューヨークに存在する島。


平山源子:
各地を放浪し、ハンターから拠点に関する話を聞き、やってきた生存者。ブラストシューターと呼ばれる自作射撃武器を使って戦う。現在回収組のリーダーを担っている。クールな性格で、女性版の放浪者のような存在。最近までいろいろあって自身を追いつめていたが、心機一転力強い活動をしている。


岸本フェイ:
平山の相棒ともいえる生存者。平山が作製したディフェンススパイクと呼ばれる武器を使って戦う。かなり足が速く、生き延びてきた理由もそれ。佐原みたいだが、どちらかといえば、こちらの方がアホの子。料理大好きで、拠点での調理も率先してやりたがる。唐辛子は使わせるな。


EVE:
MEP(ミトコンドリアイブ計画)により、山海沙維により生み出されたオーパーツに近いアンドロイド。元々足のない山中の介護を目的として作られた。学習し学ぶことも、人間と同じく忘れることもできる。自己再生する人工皮膚とシリコンにより、見た目も感触も人間そのもの。ただし額に「∵」の形で光るダイオードが見える。

自分と同じ、アンドロイドを見ていろいろ思うところがある様子。


ミーナ:
DJフレンドの勢力にいる地下アイドルグループ『ヴァルキリー・ミラージュ』の1人。歌唱力が高く、その部分での評価が高かった。主張ははっきりの気の強いタイプ。ちょっとした銃器マニアで、主に周辺の警備をしている。


ミーシャ:
DJフレンドの勢力にいる地下アイドルグループ『ヴァルキリー・ミラージュ』の1人。こちらはダンスの方が得意。常日頃からアイドルを意識するのか、わりと妙な口調で話す。好き勝手するようで、ちゃんと周りは見てる方です。


ファイブキラー:
DJフレンドの勢力にいるメンバー。思い込みがひどく、ミーシャに執事になってよと言われて燕尾服着たり片眼鏡つけてメンバーの補佐をしている。 けど最近は、執事の振る舞いや仕事も板についた。


西村新:
ハンターに助けてもらった経緯でDJフレンドの勢力に転がり込んだ人。話好きで、とある胡散臭い商人達でも和やかに会話したりする。>>1のせいでよくわからない関西弁なのかすらも怪しい方言っぽい話し方をする。放浪歴が長い分、実はDJフレンド勢力内では一番強い方。


風虎:
生物兵器。鳥のような顔と立派なくちばしを持ち、背中に大きな翼がある。前脚とかで思いっきりゾンビをぶん殴ると吹っ飛んでくぐらいには強い。

のだが、親と認識したからか放浪者にべったりの甘えん坊で、まだ放浪者達と一緒に寝たがる。


喜読都:
いろいろ危険すぎる局面で見つかった生存者。男っぽく見える女性(というか>>1が男だと書いたのを忘れてた)。営業マンらしく、交渉事を請け負い行商やモーテルでの交渉を一手に担っている。

名前の由来は、キャラ設定の一部を皆様の投票で決めたので、読者と入っている。


佐田豊吉:
最近拠点にやってきた生存者。今までのメンバーに比べると社交性は低く、頑固おやじタイプな人。平山に機械工学を教えていた師匠に当たる人。

独断で勝手に動くが、その分精力的に活動する人。拠点の施設の設置や増設も積極的。

登場人物(NEW)

門日泊姚:
サムからの情報により、拠点を目指しやってきた女医さん。なんだかんだで拠点に慣れてきてるけれど、時折拠点の特殊性に面食らってたりする。胸はない。

名前の読みは「もんび はくよう」


フェアリー:
超能力創造計画 (PCP)により生み出された超能力者の1人。物を浮かす、というシンプルな超能力だが、対象に制限がない(ただし基本単体にしか効果を発揮しない)。また、自分自身もそれは対象であり、空を飛ぶことも浮遊することも可能。人見知りは激しいが、懐くと無邪気に甘えてくる。

超能力者グループのリーダー、芸羅と離れて彼女を探している。現在、サポートチームにいる仲間だったビジョンが調査してくれるということで、拠点の活動を手助けしている。


本造 文彦:
元々は覚の勢力にいた男の子。研究所の技術者達に教えを受けている技術見習い。技術者達も自分の技術を引き継ぐ存在として、手厚くしごかれ中。

もともとNEWじゃないんだけど。書き忘れっていう。


ストーク:
レジスタンスの一員。現在千護のいる新興都市で活動している。WWPが新興都市で活動していることもあり、現在手を組んでいる。性格は優しい方だが、押しには弱い。


アイビス:
レジスタンスの一員。彼女も同様新興都市で活躍している。性格はかなり難があり、毒舌も割と吐く。

また、この惨劇により変異したミュータントでもある。見た目が変化したのは、見る角度によって色味が変わる眼で、そこから何種類かの周波を発生させられる。これにより、マイクロ波をゾンビに照射して、急速加熱で頭をボン、なんてことも可能。


カミロ:
元WWPのメンバーで、現在WWPから脱走している陽気な黒人さん。また、その経緯でレジスタンスと思われる勢力に接触しようとしている模様。

これから日記を書くWIKI

http://ss.vip2ch.com/ss/%E3%81%93%E3%82%8C%E3%81%8B%E3%82%89%E6%97%A5%E8%A8%98%E3%82%92%E6%9B%B8%E3%81%8F_%E3%82%B7%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%BA#.E3.83.95.E3.82.A1.E3.82.A4.E3.83.AB.E9.9B.86


有志の方が作成していただいたWIKIに、>>1がつらつらと情報書き入れてます。
どちらかというと、奇特にもまだお読みされている方向けで、初見の方はネタバレ祭り。

ただまぁ、地味に何かしでかす時の告知とかもしてたりと、あと閲覧者1万超えるとか思わなかった。うん。

>>3
はい、どうも!

>>4
うーん。正直悩みどころではあるのよねぇ…。実のところ>>1がダイスを振る時にひりついてないと、この世界に反映されてない気もしてね。
まぁ、折角なので要検討というところですかの。


と言う訳で、今日は新スレ作成のみです。それに時間かかりすぎな気もするけどNE。

>>1
他のスレでも950付近で現れて埋められたから今後も気をつけた方がいいかも
sage推奨ですな

これ日は振り直しとかしない方が現実味があって面白いと自分は思ってるが>>1の好きにしたい様にすれば良いと思います

>>15
うーん。まぁ、振り直しというか、そこいらはやってみんことにはねぇ・・・。


あぁそうそう、WIKIの告知欄に変なことしでかしてみたので、興味あったらどうぞ。

>>1
とりあえず投票しといた

そろそろラストスパートっぽいけど最後まで見とるから頑張って

EVEの中に広がるVR空間は、本当の意味で現実と同じだった。触る地面の感覚や、流れる川の冷たさ、何よりエクスを驚かしたのは。

「やぁ、旅人さん。お泊りかな? それだと、あそこの建物が宿だからそこに行くといいよ」

「あ、あぁ。わかった。どうも」

予想していないやり取りに、エクスはやや挙動不審なりながら村の中に入っていく。なんであれ、今の時代も前時代と同じ、こちらから話しかける(クリック)することで、内部のAIは反応した。自立的に反応するのは自動的に始まるイベント絡みぐらい。

今、エクスに話しかけた門番も、自動判定なのかもしれないが、それでも彼の動きを見て不思議そうな顔をしたりと反応が現実味を帯びている。

気持ちを落ち着けたかったエクスは、そのまま言われた通りに宿に入って、そのまま部屋を取った。荷物管理はシステム管理なので普段持ち運ばなくてよく、支払いも手間がないということろは、ゲームとして認識出来る部分に少し安堵した。

「やれやれ、その調子で大丈夫かね?」

ベッドに座って一息ついたエクスの前に、山海のAIがビジョンのように現れる。

「何もかもついていけてねぇよ」

「そうか。私には君の理解力が早いと考えている」

どういう訳か、山海のAIは満足そうだ。言ってしまえばエクスはハックによって内部に入った不法侵入者、恐らくEVEの管理が目的であろう目の前のAIにとって、排除すべき対象のはず。

「君なら、EVEを理解できるだろう。根幹の意味を持ってね」

「どういうことだっての、もったいぶらずに教えろよ」

「山海の思考を持つ私が言うのであれば、解というのは、与えられるものではなく、自身で解析するもの。少しすればイベントが起きるだろう。それまではゆっくり休むと言い」

伝えたいことは伝えた、という様子で山海のAIは姿を消した。

探索組に起こった異変は比較的すぐだった。警察署での制圧作業が終わり各班に分かれて、細かな処理と物資収集に移行してから攻撃が起こった。

襲われたのは一ノ瀬、西切、藍の3人。周囲にゾンビがいないことを確認してから探索に入った建物は、すでに包囲されている状況。予想できるのは、パラノイアの攻撃が始まった。元々覚悟していたこともあり、3人が冷静にいることが、この状況下での救いだろう。

3人は素早くバリケードを張り、立て籠もる。他のメンバーに連絡は幸い取れていて、自分達に出来るのは可能な限り生き延び続けることだけだった。

西切は建物内から、バリケード破壊が可能なマッスルゾンビや、侵入してこれるマッスルゾンビやモンキーゾンビを優先して弓矢で射る役目、一ノ瀬と藍はバリケードの隙間から破壊しようとするゾンビを処理することになった。

「…なーんか、妙ですねー」

統率がとれているところを考えると、コマンダーゾンビ、つまりパラノイアだと思える状況なのに、彼女のいる矢によって、マッスルゾンビなどの変異体は処理されてしまっている。だからこそおかしい。警察署での籠城の際、彼女の弓矢は当たりはすれど急所を外れ、思った結果を発揮することが出来なかった。

こうも当たると、この包囲自体が自分達を使った罠なのではないか。そんな疑問すら湧いてくる。

連絡を受けて、最初に放浪者とフェアリーが包囲を受けている3人の下へ、文字通り飛んできた。見える範囲でも、それなりの数がいるのを確認しながら、放浪者はすぐに違和感を覚える。

「…妙だな」

「なにがーなにがー?」

前の籠城に比べて、ゾンビの総量が圧倒的に少ない。緩衝地帯からゾンビを兵として引っ張れないとしても、まだまだ警察署エリア内をうろついているゾンビは多数いる。今回のゾンビの数は、例えばコールゾンビに叫ばれて囲まれた時より少し多いぐらいだ。

何より、西切が処理したと思われる変異体が転がっている。彼女は当時の包囲された時、パラノイアは狙撃を予知して急所に当たらず、なかなか処理できなかったとすまなさそうにしていた事を思うと、これは何か違う可能性を帯びていた。

「…周囲に妙な存在がいないか偵察を頼む。恐らく、頭部が肥大しているはずだ」

「頭が大きいんだね、わかったー!」

周囲の偵察をフェアリーに任せ、放浪者はそのまま群れの中に突撃して、ファントムスピアを使い厄介な変異体を処理する。

「(…俺の攻撃を把握してない?)」

今処理した変異体は攻撃を受ける寸前まで、3人に対しての攻撃を意識していた。どうも、これはパラノイア以外の何かが絡んでいるようにしか、放浪者は思えなかった。

「あれかなー? みーつけたー!」

フェアリーは興味津々と言った様子で、そのまま変異体に向かって急降下する。子供のような無邪気さは、時に危険性を理解しないまま、アクセルを踏み込んでしまう。それとも、幼くなってしまった心ながら、自身の超能力に過信でも抱いているのか。

そこにいる変異体は長髪で、肌は珍しい褐色。どういう訳か、人間と同じように武器を所有していた。全体的に人間味を帯びているが、赤い目が普通の人間でないことを表しているようだ。

「ねーねー、お姉ちゃん達襲っちゃダメだよー」

恐らく、人間ではないという意識からだろう。人見知りなはずの彼女が、その存在に後ろから話しかける。変異体は、振り向いて彼女に気づいた後、武器、消火斧を振り下した。しかし、それよりも早くフェアリーの超能力を使い、変異体は浮き上がらせて、壁に叩きつける。

「むー、悪いのはやっつけちゃうぞー」

近くにあった瓦礫を浮かび上がらせ、更にフェアリーが変異体に投げつけると、素早い動きで回避された。そのまま襲ってくる、そう思って構えたものの、変異体はそのまま逃走を始める。

「あー! 逃げるなー!」

追いかけようと彼女が浮遊しようとした時、放浪者が様子を見にきた。

「…フェアリー、いたのか?」

「うん! あれ? 見えなくなっちゃった」

さっき逃げた方向を指差した時には、その変異体の姿は見えなくなっていた。それからしばらく、2人は周囲を探索したが件の変態は見つからず、その間に届いた連絡は包囲が解けたというものだった。

「感度の方は良好かい?」

新興都市における千護達の活動は、一歩ずつ全身を見せている。WWPがこの都市での活動を開始したこともあり、それに伴う防備として今いるアジトの周囲に監視カメラを設置した。

今はその試験テストの為、いつもアイビスが使っている端末に配線を接続したところだ。そういうことに慣れた人間がメンバー内に居なかったが、幸い監視カメラから映像は端末に無事届いた。これで、ある程度の安全性を確保できることになった。

もっとも、活動を続けているWWPの目的がわからなければ、対応としては後手だ。そろそろ危険を冒して今行っている任務がなんであるのか探らなければいけない。ただ、意外と言えば意外なのだが、これだけ大規模に動いているにもかかわらず、まだWWPの駐屯地らしきところは見つかっていない。

どこか、この都市にあるWWPの施設を利用している可能性もある。そうなると、うかつに近づくのはかなり危険なのは想像できた。

「アイビス、悪いがそれでここの守りを頼む」

「言われなくてもそうしますよ」

だが、それでも先に進むために、その場所を探すことは決定していた。その為に手薄になるアジトをカバーする為、今回の監視カメラを導入したのだから。

>>17
ありがとう

まぁ、流石にラストになるよねー?(ダイスを見ながら)


ちょっと予定があるので、ここまでです。続きは書けたらかなー。

ちょろっと投票の話もあったので、一応ここでやってます。お気軽にどうぞ。
(2番目は特に必須じゃないです)

http://start30.cubequery.jp/ans-0280075b

エクスって現実になぞらえると魔法職だと思うんだけど、ゲーム内で戦士職にされてるのは大丈夫?

五百八十六日目

警察署エリアの制圧について、コマンダーゾンビらしき襲撃を受けた。らしきというのは、コマンダーゾンビと一致しないところがいくらかある為だ。一つ目はフェアリーの証言だと、そいつの頭部の肥大化は確認されていない。二つ目は俺達の動きを感知していない所があった。

美尋達が建物内に入ってから包囲されたことを考えると、こちらの動きを把握している様子はあるのだが、救援に行った自分を含めて攻撃を仕掛けた時に反応した様子はなかった。それが一番の奇妙だな、何かしらの反応は絶対あるのだが。

頭部の肥大化が視覚上確認できないことを考えると、その能力が通常より低い可能性があるのか。それは覚も同じで、あいつはかなりの範囲を感知しているはずなんだがな。

ただ、消火斧を攻撃に使ったということから、目は生きているようだ。コマンダーゾンビの知能で、視覚もあるなら武器を使うことは不思議ではない。それはそれで厄介だがな、もしかしたら銃なんかを使っている可能性がある。

後は、同じ地域に2体以上のコマンダーゾンビがいるというのは聞いたことはない。パラノイアと何らかのトラブルが起きそうなものだがな。

いろいろ謎だが、新たな脅威というところか。パラノイアまでとは言わないが、厄介なのは変わらない。幸いなのが、包囲によりゾンビが集められていたことで、思いのほか制圧処理がスムーズに進んだぐらいだな。

レポートNO.149

井門圭司


新たな脅威と遭遇ってところだな。コマンダーゾンビらしい動きをしながら、そうじゃないところもある。亜種なのは確からしい。武器を使うところをフェアリーが目撃してるってのが、今までのゾンビと違うのはそこだな。

まぁ、コマンダーゾンビの亜種ってなら不思議な事じゃないか。奴等はもしかしたら俺ら以上の知能を持ってる可能性すらありやがる。武器位使ったって、当然かもな。連中が使わないのは、大体視覚がないか、良い状態じゃないからってところだろ。闇雲に振り回したって意味はないからな。

ただ、そうなるとそれ以外の武器を使うこともあり得るだろうし、それ以外の攻撃手段もあるかもしれねぇ。要注意ってところだな。

【脅威の中で】
「…パラノイア戦を前に、まるで前哨戦のような戦いだったな」

「あっけなく総崩れになったところが気になりますね…」

「…同一エリア内にコマンダーゾンビが複数いる。個体数の少なさから考えたことはなかったが、それで問題はないものか」

「少なくとも、互いに干渉しあうのは間違いないでしょうし、大型駅エリア内でなんらかの変化が起きているのかもしれません」

「…次も同じ変異体が襲ってきたら、俺達を狙っているのは間違いないだろう」

「幸い、そこまで強いコマンダーゾンビの亜種ではないようですけど…」

「…コマンダーゾンビとしての基本的な能力な部分はな。武器、道具を使うという部分を考えると、生存者を相手にするような厄介さかもしれない」

「緩衝地帯の確保は、もう間もなくです。それまでに処理できれば…」

「…そうだな」

>>24
まぁ、そこは一応ゲームですし。


>>21の修正
×それからしばらく、2人は周囲を探索したが件の変態は見つからず、その間に届いた連絡は包囲が解けたというものだった。
○それからしばらく、2人は周囲を探索したが件の変異体は見つからず、その間に届いた連絡は包囲が解けたというものだった。

乙!
向こうにゃまだ捨て駒ゾンビを用意する余裕があるか……

まぁ戦士職は単純にやりやすいし...

この存在って割と珍しくない気がしてきた・・・。

DJフレンドがいる隠れアジトの周囲は混沌と化してきていた。WWPと情報提供者がこのあたりをうろついている。流石の彼等も、WWPと連続して交戦する気はなかったらしく、身を隠しているようだ。フレンド達は当然、隠れアジトからほとんど出ることはできない状況だ。

幸いなのは、WWPは春になったからかヘリを飛ばしてくる様子はない事。ただし、軍用車両や人影はそれなりに見るようになってきていた。そんな場所に新たな人影が現れた。

「…。WWP。手がかりが…」

その人影は外套をかぶっていた。顔も覆われ、姿を見ることはできない。それでもわかるのは、ここにいるのは目的あってのことなのは、明確だった。

人影の周囲から、音が消えていく。それは文字通りの無音だった。その周囲だけ音を目印にその周囲と外で区切られていくようだ。

「…。3人、WWPと無関係。5人、こっちが目的の方達。それ以外は、WWP…」

胸をなで下ろすように、右手をそっとその場所に人影は当てた。どんな方法かわからないにしても、その存在が周囲を知覚できるのは間違いなかった。

「…。皆を見つけるんだ…」

足取りも確かに、人影はDJフレンドの隠れアジトへと向かっていった。

「……この上」

たどり着いたDJフレンドの隠れアジト、だがしかしそこにたどり着くには、今いる場所の上、2階部分あたる部分の空中廊下に行かなければならない。人影も他からの侵入ができないか調べてみたが、この場所ぐらいしか見当たらなかった。

また、周囲から音だけが消えていく。それが何を意味しているかは分からなくても、人影がただの存在ではないことを証明している。

「DJフレンド。僕の声、聞こえる?」

人影の耳は、フレンドが息を呑む音を捉えた。

「聞いて。僕は敵じゃない。聞きたいことがあるんだ。お願いだ、聞いたら僕はすぐいなくなる。約束する」

それは誰が聞いても必死だった。何かを叶えるために、ただがむしゃらに突き進むような愚鈍さえも感じさせる純粋さだった。目の前にいないはずの声、お願いだと言い続けるそれを聞き流そうとするフレンドは、目を閉じる。

「お願い、その場で話して。それで僕は聞こえる。だから、答えて…」

『……そこはまだ危ないよ。中に入れるから、待っていてね』

その必要はない、人影は驚きながらいった事に、フレンドはここで目立たれると僕達も困るからねと、素直に理由を答えた。

人影はDJフレンドが普段いる放送室の中にいた。落ち着かない様子で、周囲を見渡していると、メンバーへの説明を終えたDJフレンドが中に入ってくる。扉を閉めようとして、人影は制止する。

「音が、この場所だと聞こえない。閉めないで…」

フレンドは言う通りに、扉は閉めずに開いた椅子に腰を掛けた。

「…聞きたいことは何かな?」

外套代わりにしていた一枚布はテーブルに置かれ、姿を現した人影。ウエーブがかった長い髪に、シュッと伸びた鼻先。耳がやや尖っているのも特徴的か。手足も長く、日本人には見えない。それに何より。

「僕はエコー。こう見えても男なんだ」

フレンドは少しばかり呆然とする。その美しさに加えて女性らしい肉体、明らかな胸のふくらみとくびれも見受けられるのに、男と言ったのだから。

「…。身体が、こうなだけだよ」

「……。それは自分もよくわかるよ」

エコーはハッとしてフレンドを見るが、フレンドはただ微笑むだけだった。

「それで、聞きたいことは何かな?」

「ミーシャって人が言ってた、空を飛ぶ人は、どこで見たかは知らない? きっとフェアリーのことなんだよ」

その名前には聞き覚えがあった。というよりも、それは拠点にいるその超能力者(ひと)で間違いないだろう。状況から推察するに、どう考えてもエコーと名乗る目の前の存在も、そうと思われる力でフレンドに接触してきたのだから。

「そうじゃないかなってのは知っている。でも、教える前にこちらにもいろいろあってね。まず、聞いてどうしたいんだい?」

「僕が、あいつらに捕まったせいで、皆を困らせちゃったんだ。謝らないと、いけないんだ」

贖罪の顔、誰もかれもこの世界を生きる者はこの顔を持っている。

フレンドは、信用していいと思えた。PCPに関連する超能力者は、何らかの精神的あるいは肉体的なトラブルを抱えていると聞いている。状況からして、エコーは性別を誤認している可能性があった。後天的に、性同一性障害にさせられるなど、その苦しさを知っているフレンドからすれば、同情せざるを得なかった。

「…そうか。知っているまでは言えるよ。でも、それを答えていいかまでは、まだ判断がつかない」

「どうして? 教えてくれないの?」

「そうじゃないよ。簡単に言うと、許可がいるんだ。君は、WWPに追われている身だよね? ある勢力もWWPとは敵対している。そしてその場所に聞いた子はいる。だけど、その場所を伝えた後、君が捕まってしまえばそこがバレてしまう恐れがある。だから、その場所に許可をもらわないといけないんだ」

わかってくれるかな、と穏やかに言うフレンドに対して、エコーは頷いた。

「DJフレンド。貴方の言葉(おと)に嘘はなかった。信じるよ、後はその勢力が良いって言ってくれれば、教えてくれるんだよね?」

「そうだね…。でも、音で嘘を言ってないのかわかるのかい?」

音は僕そのものだからと、エコーは答えた。

>>29
まぁ、かき集めた分以外でも、そこから出た所の先にいるゾンビは駆りだせますしの

>>30
とりあえず要領よく叩け。



さて、予定してなかった生存者判定がフレンドのところにて発生。しかもまた超能力者である。もうちょっと判定難易度上げるべきだろうか。
おかげでこんな時間ですよ。続きはまた余裕があればです。

あ、引き続き投票はお待ちしてます。

オト・ソ・ノモノ!? いや、多分、分かりやすく言ってるだけだよな
存在が稀っていうなら、もうちょっと判定基準上げても良いかもね
そのままでも、まぁ、被験体の数も半端じゃなかっただろうし。もしかしたらまだ新たな被験被害者も居るかも知れないしね?

惨劇からしばらく経ってるし今も生きてる人間は普通じゃないのが普通だと思うから正常じゃ?

普通ってなんだっけ?(哲学)

乙!
いや、まだ、ちゃんと普通の貧弱一般人代表の三間君が居るから、一応だとしても普通の概念は守られてるぞw

「あぶな、このやろ!」

剣を大振りで叩きつけ、モンスターはダメージを負って霧散した。このVR空間において、プレイヤーのレベルは上がらない。そもそもステータスというものは存在しない。ダメージを負い、それが致命傷であると判断されれば消えてなくなる。それはエクスも例外ではない。

VRを用いて、リアリティを追求したRPGがあった。それもこのシステムに似ていたが、それでも爪で引っ掛けられた痛みは、恐らくなかっただろう。幸い道具としてある、傷を塞ぐ塗り薬があってすぐに治ったものの、また同じ怪我を負う気はさらさらなかった。

「RPGのキャラの気持ちって、こんなもんなんだろうな…」

戦闘が終わり、近くにあった木に寄りかかる。肉体的な疲れはなくても、精神的な疲れがこの世界における疲労なのかもしれない。なまじ、現実と同じ感覚が与えられるこの空間では、意識が無意識に疲労を呼び起こしている。

「あそこに必要なものがあるっつー話だけどな…」

起きたイベントはよくあるものだ。この先に必要な物を聞かされて、それがある洞窟までたどり着いた。後は中に入るだけだが、この道中での戦闘でも十分命がけだっただけに、気後れするところはある。

ただ、現にこのゲーム攻略がEVEのAI解析となっていることは間違いなかった。AIの構成と構築部分に関するデータも、そ半透明なタブレットように開かれたウィンドウ内に表示されている。

「そこに必要なものがあるのは間違いない。しかし、呼び出しが来たようだ」

その言葉に従うと、もう1つウィンドウが開かれた。伊吹からの緊急呼び出しだ。

「ここはゲームには違いない。このまま君が戻るのを待つとしよう」

「いいのかよ?」

良くも悪くもないだろう。いつも通り、山海のAIは澄ました様子だった。

五百八十七日目

警察署エリアの制圧は進んでいる。好調とまではいかなかったが、それでもトラブルがあるよりはマシだろう。少なくとも、昨日フェアリーが目撃した変異体が今日も襲ってくるということはなかった。もっとも、ただ単にその準備が整っていないだけとも考えられるか。

警察署エリアの緩衝地帯の確保は、もう間もなく終わりになる。そうなると、最後に残る大型駅エリアの探索が残されるのみだ。それは当然、パラノイアとの最終決戦を迎えることを意味する。しかし、すぐにそれを実行できるかと言えば、違うな。

パラノイアを処理することだけを考えれば、できるだろうと考えられる状態にはなっている。だが、そこにメンバー全員の生存、都市を可能な限りそのまま確保することを考慮すると、相変わらず厳しいのは変わらずか。

出来れば、BAPの解析によって操作するタイプのアンドロイドでも構わないな。こちらは一人でも多く人員が必要だ。その意味でフェアリーが参加したことは、ありがたいことなのだがな。

後は例の変異体もそうだな。パラノイアと挟み撃ちになんて合えば、犠牲が出るのは間違いない。少なくとも、そいつを処理するまで本格的な探索は難しいだろう。

一ノ瀬DIARY Mar.31

警察署エリアの任務は進んでるよー。もうそろそろ終わりみたい。そうなると、準備が出来たら大型駅エリアに行くことになるんだろうな。

パラノイアと戦うと思うと、やっぱり、怖いよ。探索組の中で私は戦える方じゃないから、皆の足を引っ張りそう。そんなことを言っている場合じゃないのは、わかってるんだけど…。

何かもっと、パラノイアに向けていい方法はないのかな。放浪者さんは誰かを犠牲にするような方法は選ばない、そして私もそんなことは絶対に嫌。そんな都合のいい方法があればなぁ。

でも本当に脅威なのはパラノイアだから、なんとかしてパラノイアがいる位置を調べて皆で一気に攻撃すればいけるような気がするんだけど…。

>>37
覚えてるのは、タコ・ソ・ノモノかな。

まぁ、数値変えてもダイス様のご意向なのでね。そもそも判定時に26なんて出る時点でご意向だよもう。

>>38
普通は普通だよ(思考放棄

>>39
まぁ、強さの面でいけば彼は普通だね。属性変だけど


587日目はもうちょっとだけ続くんじゃ。

「回収組の活動エリアを変える」

今までの活動内容を参考にして、平山は現在の都市入口エリアでの任務をいったん終了することにした。元々、最初期に確保されていたエリアであり、ゾンビも少しはいたが回収組の活動でほとんど見られなくなり、バリケードの修繕や補強も完了した。物資も細かな探索をしたことで大体は集まったと言え、もうメリットと言えることはなくなっていた。

それに伴い、どのエリアで活動をするかが焦点になった。候補は商業区南エリア、都市中央大型公園エリア、都市中央大通りエリア。どれも、今探索組が確保している緩衝地帯より手前のエリアになる。目的は緩衝地帯を超えられた際を含めた、確実な逃走経路の確保。

全てのエリアでその任務を行う時間は、確実に無い。その為、どのエリアで活動するかを絞らなければいけない。フェイもそのこともあり、どこで活動するのか気になった。

「大通りエリアだ。あそこは、都市東エリアに隣接してる。保安官殿が抑えているエリアだが、それだけに未知だと言える。あの方でも全てのゾンビの処理は出来る訳もない。そこから何を招き寄せるかもわからんからな。防波堤の役割も想定する」

ほとんどその活動を意味を成す時間はあるかはわからない。しかし、何もしないという選択肢は、拠点側には残されていない。

3/31 担当門日 朝

パラノイア以外の新しい変異体ねぇ…。

フェアリーちゃんしか見てなくて、パラノイアが目撃されてないなら、やっぱりそうなんだろうね。


担当浜村 昼

きな臭くなってきたわね。

気を引き締めるわよ。死にたくはないでしょ。


担当平山 夜

死なない為の戦いです。

サポートチームより無線連絡あり。放浪者さんに取り次ぐ。

「…新しい超能力者か」

『そのようだね…。場所を教えていいかの確認だよ』

DJフレンドからの緊急入電が、夜に入った。フレンドの勢力にPCPにより生み出された超能力者が訪れている。そして、彼等の周囲はかなり危険な状況となっていることも知った。

この通信もビジョンの能力を使ってのもので、盗聴の心配はないが、それでも以前の逃走時にそれ自体を感知されたことがあった。それに、いかに強力な超能力を持っていたとしても、集団で襲われてただですまないのは自明の理。この状況下で教えた後にその超能力者が捕まってしまえば、拠点の危険性はパラノイアだけでは済まなくなる。

しばらく熟考し、放浪者は口を開く。

「…教える必要はない」

『……。そうだね、それは仕方のない判断だよ』

「…あぁ、俺が直接迎えに行く」

2人分の息を呑む音が聞こえた。DJフレンドと、回線を繋ぐビジョンからだ。

「君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない」

「…フェアリーの超能力を使えばいける。フロートボードをあいつの超能力を浮かせれば、理屈的に少ない推進力と消費電力で移動できる。以前のスカイミッション時に、フレンドのいる地域を超えた所まで移動できているのと、そちらの状況も解消しなければいけない」

いつも通り淡々としていた。誰が聞いても、無茶でしかないことだが、彼には出来るという確信を持っている。

「そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?」

「…それならフレンド、お前達の勢力も、俺には守るべきものだ。それに、この話を聞けばフェアリーは飛び出していくだろう、それを避ける為には必要なことだからな」

もちろん、そんな悠長な時間があるかはまったくの別だ。したいことなのか、しなければならないことなのか。放浪者はわからない人間ではない。

しかし、教えないことでエコーがDJフレンドに何をしでかすかもわからず、教えたとしても先ほどの危険性が伴う。エコーが拠点に紆余曲折を経て拠点にたどり着こうとするのは確かで、更にフェアリーがこの話を何かで聞いて拠点からいなくなられても戦力の喪失になる。

それならば打てる最善が、フロートボードを使ってエコーを迎えに行くこと。それが彼の結論だった。

「…たどり着き次第、フロートボードの充電を行い、その間に情報提供者及びWWPの問題を可能な限り解消。当日中には拠点に帰還する」

『ひひひ。放浪者の旦那、いくらなんでも無茶が過ぎる』

普段なら口を閉じているビジョンが、思わず釘をさすのも聞かず、このまま任務のサポートを頼むと彼は告げた。

「…僕を迎えに? どうやって?」

それはDJフレンドにとっても説明が難しかった。すでに放浪者とフェアリーは飛び立ったと報告を受けており、こちらに向かっていることは間違いない。言葉に窮したフレンドは、とりあえず空を飛んでとだけ伝えると、フェアリーを知っているからか、エコーは静かに納得した。

「……。エコー、自分もそれなりにWWPについては話を聞かされている。君達、超能力者がPCPというもので生み出され、そして人間を恨んでいるともね。だからこそ、不思議なんだ。どうして人間である自分達に話を聞こうとしたのか、やっぱり皆に会いたいからかい?」

エコーは首を振った。間を置いて、自身は恨んでいないと答える。ひどい目にはあったのは間違いはなく、けれど、この1人で放浪している間で、生存者達に救われたこともあった。憎むべきはWWPであって、全てではないと。

それと合わせて、エコーはフレンドの放送に共感していた。音を操るエコーは、フレンドの言葉(おと)が新年を持ち、そして危険を承知で善意で行われていることを理解できた。そんな人間なら、きっと悪いことはしないだろうと確信をもって、超能力を駆使してここにきたのだ。

「そうなんだね」それだけ言う言葉も、照れくささと喜びが混ざっていることが、エコーにはわかる。

「でも、情報提供者さんだったよね。その人は勘違いしてるみたいだよ、悪い人達じゃないから話せばちゃんとわかってくれると思う」

「…。それなら、彼に任せた方が良さそうだね。今までどんな無茶も最高の結果を出してきたんだ、今の状況も、きっと」

彼の任務は相変わらず無茶だとは思っている。しかし、彼が出来ると考えているなら、きっとうまくいく。そう思わせる力が、放浪者は持っていた。

【緊急時こそいつも通りに】
『エクスは倒れちゃいそうだかラ、私がナビゲートするヨ!』

「…助かる」ビュオー

『フロートボードは前のスカイミッションより研究が進んデ、それから移動を重点に改良した奴だから行き来はできると思うヨ』

「…一応だが、夜の間にはたどり着くな?」ビュオー

『もちろん』

「…闇に紛れないと、WWPに見つかるからな。それならいい」ビュオー

『それはいいけど、早く戻らないとダメだよ?』

「…問題はない。次の夜には戻る」ビュオー

『……。ちなみになんだけど、そのエコーって人には何を求めてるノ?』

「…さてな。会ってみなければわからんが、一人でも多くの戦力が俺達には必要なのは確かだ」ビュオー

『ふぅん』

「…納得できないか?」ビュオー

『少しネ』

「…。だろうな」ビュオー

『………』

「…無難も、ベターも、それだけでは足りないのが、この世界だ」ビュオー

『そうだネ』

「…迷惑をかける」ビュオー

『いいヨ。でも、ちゃんと帰ってきてネ』

「…あぁ、バレットパレードを開始する」ビュオー

「開始だよー!」ビュオー

判定結果とか選択肢とか自分が出しているうえで言うなら、放浪者のむりっぷりに自分もついていけてないよ?


>>46の細かい訂正


×「君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない」
○『君は何を言ってるんだい。そんな簡単に来れる場所じゃないんだよ、それに君の拠点だって君が抜ける訳にはいかない』

×「そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?」
○『そこまでしなくていいんだ。君には君の守るべき勢力があるだろう?』


>>47の訂正

×音を操るエコーは、フレンドの言葉(おと)が新年を持ち、そして危険を承知で善意で行われていることを理解できた。
○音を操るエコーは、フレンドの言葉(おと)が信念を持ち、そして危険を承知で善意で行われていることを理解できた。


>>32の訂正

×幸いなのは、WWPは春になったからかヘリを飛ばしてくる様子はない事。
○幸いなのは、WWPは春になってもヘリを飛ばしてくる様子はない事。

乙!!
デスゲームだけど中断許されてたんだ、アレ。解析データも、クリアしなきゃダメとかじゃなくて段階開放みたいだし。意外と甘かったか?死ぬとこを除けば。でもヘタに帰れる事で油断も少しは湧きそうだな

放浪者、本当に無茶すぎ(汗
でもまぁ移動中にトラブルさえ無ければ、本当に大体の問題は解決してくれちゃいそうだな。フレンドと情報提供者達は直接対話する必要はあるだろうが
そしてエコー君もまた読心勢(副次的効果だけど)……チートが増えるよ!やったね放浪者!

電波を操るビジョンに音を操るエコーに人の意識を操る(リスク有り、実質感知)の覚

これもう死角ねぇな
やろうと思えばパラノイア達撹乱しまくって電撃作戦いけるんじゃね?

フレンドの拠点では、話し合いまで持ってって無事に終わってほしいもんだねぇ

長い一日が始まる…。

なっ、んだとぉ……?

闇夜に紛れて、未確認の飛行物体が弾道のように上空を進んでいく。それを目撃する者はいなかったが、それでも耳を澄ませば、風を切る音は聞こえたかもしれない。

『フレンドの居る場所は覚えてル?』

大まかな位置は放浪者も覚えているが、当然うろ覚えになっている記憶だ。そのままアリスに、場所の誘導を指示する。

まだまだ相変わらず、夜間帯のこの移動は寒さが伴う。それでも幾分なしなのは、フェアリーが抱き付いた状態で一緒に航行しているからだろう。今回の無茶な任務にも、彼女は返事1つで同意した。そこにはもちろん、散り散りになった新たな仲間に会えるというシンプルな理由だけ。まだ、複雑なことを統合して判断できるようには、戻れていないのだ。

今も、早く会えないかなとのん気な様子がその証拠だろう。もちろん、放浪者は誰にであれ対等な立場として話をする。向かう先の危険性なども説明していて、この状態なのだ。その分自分が気を引き締めるしかないかと、放浪者は心の中でぼやく。

『もうそろそろ、見えてくると思うヨ!』

ナイトビジョン越しに、暗闇の地上に目を凝らす。確かに前見たような工場地帯が遠くに見え始めた。

「…加速する、しっかり掴まれ」

グンとスピードをフロートボードは上げ、少し慌てた声がフェアリーはあげた。

「……。君に驚かない要素はあるのかな?」

本当にたどり着いた放浪者に、驚き、戸惑い、諦めといったものが混ざった、言葉にできない感情をフレンドは覚えた。こちらに向かうと言っていたが、なかば半信半疑ではあったからだ。放浪者が信頼に足り、有言実行を続けた人間だとしても、それほどにこの移動と拠点の状況は芳しくはない。

だから、エコーに拠点の場所を教えていいかのやり取りで、その必要はないだけ言われた時に、フレンドは仕方のない判断したほどなのだ。本来、ここは彼がいるべき場所ではない。

「おおー! 本当にいらっしゃりますよって、自分、西村新言います」

「…話には聞いている。西村さん、すまないが、そこのフロートボードの充電を頼めるか?」

お安い御用と、西村は早速フロートボードをファイブキラーと一緒に、隠れアジト内に運び込んでいく。

「…他の2人は?」

ヴァルキリーミラージュの2人は、エコーの見張りを兼ねて一緒にいるとのことだった。音を操る相手と聞いたこともあり、放浪者は簡単に言っていいのか聞くと、わかる相手だから了承はもらっているという回答だ。

「早くエコーちゃんに会いたいよ…」

放浪者に隠れながら、フェアリーが催促する。時間が限られた任務ということもあり、話も早々放浪者もエコーへの対面に向かった。

「…フェアリー!」

「エコーちゃん!」

休憩室にいたエコーは、フェアリーを見て立ち上がる。フェアリーもエコ-を見つけると、放浪者から離れて抱き付いた。離れ離れになった仲間との再会を果たしているのだから、当然の光景だったが、放浪者にはそれを悠長に見ている時間はない。

フレンドに、現状の状況を再確認する。今このエリアで活動しているのは、DJフレンドに敵対する情報提供者のグループと、WWPの小隊。その2つの勢力自体も敵対している状態で、三者三様の勢力が動き、そこにゾンビが絡んでいるような状況だ。

「…何にしても、まず情報提供者と会う。エコーだったな? 音から相手のことがわかると、フレンドから聞いている。間違いはないか?」

少し身構えているエコーに代わり、フェアリーが間違いないと答えた。それなら、情報提供者達も危険な状態にあるということだ。それに、見た目には若い人間のグループということもあって、今後の人員補給も見込める。下手に敵対すれば全体を危険に陥ることも考えられるが、そこまで高い可能性ではないと踏んでいた。

むしろ、この拠点における問題は、WWPが活動していること。そしてその活動理由についてだ。仮にすべて掃討したとして、それが危険なものだとすると奴等にはいてもらう必要がある。その危険から身を守るための盾として。

「…夜の今ならまだ見つからずに移動できる。エコー、位置は特定できるか?」

警察署エリアでの任務を終え、ここまでの強行軍をしたはずの放浪者に、疲れの色は見えない。

「…皆はここにいてくれ。エコーも出入り口付近で、情報提供者の位置を確認したら、ここに戻ってくれ。逐一の連絡は携帯を介す、質問は?」

普段使っている地下道の休憩室と思われる一室、そこに放浪者、DJフレンド、フェアリー、エコーの4名がいた。作戦はシンプルなものだ、放浪者はWWPに見つからないよう情報提供者達に接触し、その後この休憩室で会合を設ける。

隠密行動を得意とする放浪者とはいえ、他の人間を連れてとなればその特技は生かせない。問題は、休憩室までの戻り道がどうなるかという部分だろう。

「話した通り、未明になれば戻るから、放浪者も見つからなければ、素直に戻ってね」

「…考えておく。では悪いがエコー、ついてきてくれ」

検討しているかは怪しい様子で、放浪者はエコーを連れて出ていった。休憩室に残されたのは、天井に張り付いて距離を取るフェアリーと、真剣な眼差しで携帯を持つフレンドだけになった。

「……本当に考えてるの?」

恐る恐るという様子で、放浪者の後ろを歩くエコーはそう言う。エコーが捉えた音は、嘘でも本当でもないという、微妙なものだった。

「…そうならないよう終わらせるだけだ」

エコーにとって、初めて会うタイプの人間だった。エコーもこれから行うことは危険なのは想像できていて、容易いことだとは思えない。だというのに、目の前の男は出来て当然のように振る舞っている。

短い時間で、フェアリーから彼は超能力者ではないこと、ファントムシリーズという特殊なものを装着していることは聞かされた。その上で、まるで超能力者のように戦うとも。その意味は、この側にいてエコーは察していた。

音。彼から発せられるそれはとても静かだった。その上、目の前で見てるにも関わらずどこかおぼろげにさえ感じる。気付けばゾンビの背後に回り、首を刎ね飛ばすという話が現実味を帯びていた。

「…扉を少し開ける。探査を頼む」

もちろんあったばかりのエコーだったが、放浪者今、この時も、普段通りなのを感じながら、周囲の音を引きつけた。

>>50
まぁ、殺すことは目的にしてないからね

あとは放浪者の無茶いつも通りだけどねぇ(遠い目


>>51
どうなんだろうね。


>>52
さてどうなるやら


>>54
むしろ長くならない訳がない。


さて、まだまだ深夜帯ですよ。588日目は。なので続きはまた・・・。かけたら(なんでか予定一気に入った)




引き続きこちらでも投票募集中です。
http://start30.cubequery.jp/ans-0280075b

や、本当にお疲れ様です

乙 エコーもなかなか頼もしそうだ

放浪者は闇に紛れていた。彼の視界には、WWPの兵士が動いているのを捉えているが、兵士達は放浪者を視界に捉えてはいない。普段の彼なら、目の前にいる8人程度の兵士を、理解できる間もなく屠れる確信はあった。しかし、彼としてはわずかな危険性だとしても、それを冒す価値は今のところない。

重要なのは情報提供者と名乗る、DJフレンドに敵対している勢力。エコーの音響探査によって潜伏しているであろうと言われた場所へ急ぐ。

工場地帯は、その立地や建築物の関係で潜みやすいところが大半だ。集団とはいえ、少数の人間を探すには骨が折れるだろう。それに、まだWWPの目的ははっきりとしていないが、それを理由にここへ訪れているであろうWWPとって、情報提供者を探すのは二の次だろう。精々、探索の障害として認識され、目撃したら容赦なく撃ち殺す、その程度の腹積もり。基本的な部分について、放浪者はそう読んでいる。

ただ、気になる点がない訳ではない。情報提供者は、明らかにWWPが敵と認識して攻撃と思われる発言があったのはミーナ達から聞いている。小競り合いのようなその時の戦いも、元々は情報提供者が仕掛けたのかもしれない。そうなってくると、事情は変わってくる。情報提供者がDJフレンドについて、気に食わないのが解消できなかったとしても、同じ敵と認める相手なら一時協力は見込みやすい。

バレットパレードに与えられた時間は短い。可能な限りの状況をシミュレートしながら放浪者は目的の建物に、音も存在もなく侵入した。

「…先輩。マジ、寝すぎ」

「仕方がないわ。無茶をしているのは先輩なのだし…」

1階に部分の物置が物資を置くためと思われる小さめの部屋に、三人組はいた。先輩と呼ばれている男は簡易に作られた寝床で横になっている、疲れているのか側にいる女が額の髪を払っても、身じろぎもしない。もう1人の女は、その部屋の北側にある2つのうち右側の窓から外を警戒している。

この部屋にあるのは、建物内部から入る為のメインと、裏口に当たる2か所の出入り口があり、部屋の中央には2列金属製の収納棚が、4つずつ並んでいる。ある程度は実を隠せるのと、気付かれず棚を押し倒せば足を止めることもできる。何より出入り口が複数あれば逃げ出しやすい。3人とも明らかに若いが、この世界で生き延びてきたことを感じさせる選択だった。

だが、もしそうだとしても、放浪者のような人間がいるとは、想定はしていないかもしれない。

「…誰か、マジでいる?」

「何を言って…」

時間も経ち、わずかとはいえ劣化している工場。立てつけも悪く、裏口部分の出入り口は開閉時にやや音が鳴るのを確認していた。建物に通じる出入り口は普通ではあったが、音が少なくなって久しいこの世界であれば、それは注意さえ怠らないという前提で、警報装置の役割を果たすはずだった。

しかし、気付けば闇に紛れていた放浪者は、ゆっくりと3人の前に姿を現した。

2人の少女共に、銃へと手を瞬間的に伸ばそうとして、止まった。1人は自身が身に着けた護身術から相手の戦力を理解してしまい、もう1人は攻撃しようとした時に相手の攻撃を止められない予感が身体を貫いた。頼りの綱は眠っているもう1人の仲間だが、それでも目の前の男に敵う想像は出来ない。じわりと、汗がにじむ。

「…驚かしてすまない。俺の名は放浪者。単刀直入に言おう、DJフレンドとの会合の場を設けたい。着いてきてくれるか?」

放浪者の言葉を2人が素直に受け止めることはない。それは彼もわかってのこと。しかし、敵対する気はないと理解に時間を割くより、目的を話した方が齟齬は起きないと判断してのことだ。

「マジで、どうしよう…」

「放浪者…、さんでしたね。そもそも私達がなぜDJフレンドとお話しなければならないんですか?」

その質問に、何も隠さない。3人組について、状況からどういう勢力であると考えているかや、自分とDJフレンドの関係を伝える。まだ、半信半疑な様子は隠せず、ゆっくりと2人は放浪者から距離を取ろうとしている。だが、この状況から逃げ出すとは放浪者は思っていない。眠っている仲間がまだいて、かつ追跡者に追いかけまわされながら、WWPがいる地域を逃げ回るのは現実的ではない。

目の前で自分と対話しようとしている女、いや、少女はかなり理知的と言えた。こちらを探るために、あえて対話をしようとする意志も感じられる。それだけにやりやすさを放浪者は感じていた。

「…一部、信じられない話をしたとは思うが、事実だ。あとは君達がどうするかに任せる」

「……。えぇ、わかりました」

後は本当にこの勢力の判断次第だ。自分達は敵対意思がないことを伝える、という最低限は達した。その上で、可能であれば今後どうすればいいかの話もしたい訳だが、無理強いできることではない。

ただ、この若い男女3人組を少なくともDJフレンドの勢力として組することが出来れば、結果としては最高になる。

「ど、どうすんの?」

「…先輩を起こそう。話は、それからだよ」

放浪者はそれを聞いて、ゆっくりと、壁にもたれかかり待つこととした。

「それであんたは、DJフレンドの知り合いなのか!?」

「…騒ぐな。奴等に気取られる」

警戒を含めて、放浪者が剣の柄に手をやるのを見て、3人とも身構える。信頼を勝ち得るとも思っていない放浪者は、それを特に気にする様子はなかった。

「…同盟を組んでいる者だ。敵対しているWWPがこの周辺で活動し、君達もいると聞いた――」

「え、あんたらWWPと敵対してんのか?」

その言葉に驚いた様子。エコーが言っていたはどうやらその部分にありそうだ。しかし、そのことを解消するよりも前に難しい問題が1つだけある。簡単に肯定だけして、会合をするのであれば着いてきてもらうが、WWPと遭遇の危険性もある。その上でどうするか決めてほしいと言ったのものの。

「そりゃあ、人から聞いて信じられねーからな。直接会って確かめるとするぜ」

「…決まりでいいか? これ以上時間をかければ日の出だ。全員で行動は出来なくなる」

放浪者は3人に目をやる。少女の1人は不安げに、もう1人の少女は決断を待つ表情で、少年の一言を待った。

「おう、連れてってくれ」

「…了解。準備があるなら十分以内に頼む」

頷き、3人とも出る準備を開始した。

>>61
ありがとう

>>62
さて、どこまで実力を出すのやら


投票は引き続き。今月末までが締め切りです。
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乙!
よしよし、ここまで何とか上手くいってる!

久しぶりに普通の生存者グループっぽいな

世闇の中を4人は進む。当然、WWPの兵士は周囲にいる、場合によっては放浪者が持ってきたナイトゴーグルのように、闇に対しての装備を備えている可能性もあるだろう。そういう装備を自分達は揃えられないのだから、一ヶ所に留まってやり過ごすことが賢明ではある。

だというのに、放浪者の足取りに迷いはない。3人にとって内心ヒヤヒヤする場面があって、それでも放浪者は問題ないの一言で突き進んでいき、見つからずに済んでいる。今のところは。

相対した時から3人は、それぞれに放浪者に対して気圧されていた。そして、この振る舞いを見るだけで、有利な状況で3人で襲い掛かっても、勝てる想像が出来ない。彼等もここまで生き延びてきた生存者、それなりの戦いの経験を積んでいる。その上での話だ。

「…先輩、大丈夫だと思います?」

その深層的な恐怖感は、心配という形で表面に出た結果、香坂と名乗った少女が小声で問う。その瞬間、放浪者は左手を上げる。即席のハンドジェスチャーで止まれ、という意味だ。

次に、3人を一回ずつ指差して、その後、近くにあった瓦礫を指差した。これはそのまま、指定の場所に隠れる為の指示と、最後に口元へ人差し指を当てた。これはプラス、絶対にしゃべるなという意味だ。3人――香坂だけは焦ったように――は素直に隠れる。

鋭い眼差しで指示をした放浪者のこともあり、3人とも顔を見合わせて誰一人として口を開かず、ジッと彼が戻ってくるのを待つことにした。

しばらくの間、3人の息遣いだけが響いた。香坂が話したことだけなら、注意すれば済むだけのはず、こうやって身を隠すよう指示した以上、何かが起きた。そう彼は判断したということだ。しかし、疑念が残っていない訳ではない。もし仮に、放浪者がDJフレンドとの関係者ではなく、WWPに組する者だとしたらこれ自体が罠ではないのかと。

恐怖感から育まれたその疑念を持って、香坂は先輩と呼ぶ少年。新井へ視線で訴える。しかし、そうされても彼は答えようがない。この状況下で3人だけで行動して、果たして無事に隠れ場所へ戻れるかと言えば、ほとんどあり得ない。彼等が潜んでいた建物はかなり離れてしまっている。

静かなやり取りは、緊迫による時間経過の遅さを助長させる。もう一人の少女、大倉もその緊張感に耐えられない様子で震えている。

その調子でいた3人に放浪者がいつの間にか側にいた。驚きはしたが、全員は声は出さない。またハンドジェスチャーで付いてくるよう指示を出すのを見て、それに従う。

その後は特に何事もなく、隠し通路に当たる出入り口にたどり着いた。全員が入り込んだのを確認してから、放浪者は静かに施錠した。

「…声を出して構わない。あと少しだ」

また、先導する為に前へ出ようとして、放浪者は振り向いた。

「…香坂、だったな。なぜ喋った?」

それは質問だった。そして、それは明確に微弱な怒りを含んでいる。そのことを感じた香坂は、言葉に詰まる。

「放浪者さん、わざとやったわけじゃー…」

「…声を聞かれたわけではないが、WWPの兵士がそのことで起きた違和感で、移動する俺達へ向かってきてしまったのは事実だ」

 どこまでも断定的だった。使用しているファントムシリーズの影響で、五感が研ぎ澄まされている彼だから理解できることであり、だからこそ誰も理解できることではない。

「でも、聞かれたのでないなら…」

「…信じるも信じないも自由。どちらにせよ、対処せざる得なかった。迂闊な行動は避けてくれ、それだけだ」

話はそれだけだという様子で、踵を返して再度移動を開始した。納得できない様子の香坂に、新井は肩に軽く手を触れてから、行こうと呟き、彼女は頷いた。

しばらく地下道を歩く。何のための通路か、放浪者含めわからない。しかし、それでもWWPがここを見つけていない為か、足音と、それとどういう訳かが生きている電気が通電する音だけがする。

先ほどの放浪者の発言もあってか、3人は一言も発していない。放浪者もそのことを気にする様子もない。ただ淡々と目的地に歩いていくだけだ。その状態で、しばらくすると彼はとある扉の前で立ち止まり、1度だけ軽いノックをする。しばらくしてから、そこから誰かが飛び出してきた。

「遅いよー、おにーちゃ…ひゃ!」

それも、出てきたのは文字通り飛ぶ少女。恐らく、見たことはないものを見るだろうとだけ言われていた3人は、想定してないことに固まる。その少女も、放浪者に隠れてビクビクと固まっているのだが。

「…連れてきた。DJフレンドは中にいる。俺はもう少し、WWPの様子を伺ってくる」

その少女が付いていくと駄々をこねるのをなだめてから、まだ中にいる、エコーという人間に扉を開けておくから危険を感じたらすぐに全員で逃げるよう言って、また放浪者は元の道へ戻っていった。

3人は恐る恐るという様子で、中を見ると、そこには女性が2人いた。1人は中央に置かれたテーブルの向かいの椅子に座り、もう1人はその右斜め後ろに座り、まるで耳を澄ますように目を閉じて軽く俯いている。

「自分がDJフレンドだよ。君達が、情報提供者だね?」

「そうだ。で、あいつがあんたはWWPの味方じゃねーって…」

時間はある。ゆっくり話そうと、フレンドは座るように促して、会合は始まった。

>>68-69
はてさて、どうなることやら。

>>70
うんまぁ、多分。


一応こちらも引き続き。月末までなので、出来ればご協力つかーさい。
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乙!
香坂さんって人はちょっと危うげね
それにしても放浪者はいつ見ても半端ないな

会合の結果はもうダイス様ってるの?それとも今日?

>>76-77
香坂の反応はまともな反応だね。他の2人も話をうのみにしてる訳ではないけれど。

まぁ、放浪者はいつも通りです。いつでも。

>>78-79
判定はその日の間で起こり得ることは全て出してから。なので、この長い一日の基本的な顛末は決まってます。
まぁ、あえて基本的と書いたのは、書き起こしてる間にこういう判定が起きないかと気づいて補足的な追加の
判定をするので、何かしら変わることもありますが。

まぁ、まだまだ未明ですね。しばらくは地の文続きや。


今日もちょっと続き書こうと思ったけれど、最近ちょくちょく行ってるお店で遊び呆けてこんな時間や。
まぁ、明日(今日)には休みなので更新はします。夜に中途半端な予定入ってるけど。

『でモ、会合に出なくてよかったノ?』

1人になった放浪者に、アリスは当然の疑問を投げかけた。勘違いがほぼ濃厚で、人間として悪い連中ではないであろう3人組だったが、何が起こるかがわからない。それが世の常だ。それが惨劇後であれば尚のことで、更にエコーやフェアリーの存在が、更にカオス化させる可能性もある。

「…問題なのは、他勢力に気付いているWWPの動向だ」

そのことを踏まえたうえで、放浪者が重要視しているのはやはりWWPの存在だった。3人組との接触は、いざ戦うことになった際の危険性と彼等の安全を守る為のものであり、WWPそのものに関しての解決にはならない。

それに、頭を悩まさなければならないのは、ここにいる部隊がWWPの全部隊ではまったくないことだ。HP(ホムンクルス計画)によって、兵隊はいくらでも増やすことができる。その事実がなんであるかと言えば、ここにいるWWPを殲滅したとしても、また次の部隊がやってくる。それも、より武装を強固にした上で。

そのことを考えれば、会合への参加よりも戻りの際に対処せざる得なかったことで、WWPの動きに変化がないか偵察する方が重要と言えた。

「…出入り口に着いた。通話はこのままにしておくが、緊急及び通達事項がある場合を除き会話は禁ずる。通達事項は話す前に通話口を2度叩いてくれ。以上」

2度目となる出入り口から出ると、空は白んできていた。夜が明ける、それは間違いない。しかしそれはまだ、長い一日の一区切りを知らせる程度のものに過ぎなかった。

「なるほどね」

3人組の事情と共に、DJフレンドに敵対していた理由もわかってきた。まず彼らのメンバーである香坂、どうやら身内が惨劇前にWWPの手によって殺された疑惑があるとの話だった。

3人は同じ学校の先輩後輩という間柄で、香坂と大倉がクラスメート。それ以外での関係は特になく、偶然惨劇時に行動することとなり、今に至る。その間に、香坂の話から彼等独自で惨劇の事実を追っていた。

DJフレンドが敵対的な発言をしていたのは、初期以降、WWPに触れられることがほとんどなかった事から、乗っ取られたか手を結んだ疑念を持った為。もっとも、これはリーダー格の新井の思い込みの部分があり、他の2人はそうは思っていなかったらしい。

「そうかー。やっぱり香坂がいうみてーに、あぶねーからしてなかっただけか…」

「ただ、フレンドさん。なぜ、今この場所であんなにWWPが? 関連付けられるような情報を発信していたとは私達も思えません」

そのこと自体はフレンドもわからないとしか答えられなかった。自分達が気づかなかっただけで、ここに何らかのプロジェクト関連が眠っている。それが一番可能性は高い。そう聞かされた香坂は、まだ疑念が残った眼差しのまま、考え込んだ。

「…。もう1つだけ、あの放浪者という方は、何者なんですか?」

それは、いろいろな意味でDJフレンドにも答えづらいものだった。フレンド自身も、彼をどう説明すればいいのかが難しい。ただ1つ言えるのは、不可能と思えることを現実にしてきた人間。

「彼は、人間離れしているからね。聞きたい気持ちもわかるよ。でも、悪人じゃない。それだけは、間違いないよ」

人間離れという部分に、3人組は納得していた。闇夜に紛れるとはいっても、放浪者の場合はまるで闇そのもののように、付いていく時もそこにいるのか確信を持てないことがあった。大倉に至っては、実は幽霊と遭遇しているのではないか、とも思ったほどに。

「でもあれ、人間離れつーか。へんな機械とかも着けてるし」

「…。それを説明する前に、WWPに関してこちらが知る情報を説明しないといけなさそうだね」

WWPは研究機関であり、多数に及ぶプロジェクトが存在していたが、それはそれぞれ独立していたことや、予算の関係で争いけして一枚岩の組織ではなかったことを伝えた。その上で、放浪者が使っているものは、その元WWPの研究所が作り出した、ファントムシリーズと答える。

「…。それが、嘘でない保証はありますか?」

揺さぶりと言っていいだろう。香坂は、内に敵対的意識を抱えて、答えを待った。

「どちらにも嘘はないよ」

それに答えたのは、DJフレンドではない。その後ろにいたエコーだった。会話にいきなり入ったこともあり、全員の視線がそこに向く。

「………。言葉(おと)に嘘はつけない。言っても信じないだろうけど、僕は音が操れる。だからわかる」

「音を…、操る?」

放浪者が危険を感じたら逃げろと言った相手が、恐らくエコーにだったのだろうと香坂は思い出す。妙なことを言うと不思議には思っていたことは、疑問へと変わる。

「……。信じるかは任せる。僕と、そして後ろにいるフェアリーは超能力者。WWPのプロジェクトで生み出された。力のせいで、記憶が曖昧で場合によっては肉体が変形した仲間もいた。僕達は、人間がそんなに好きじゃない」

醒めた様子でいるエコーと、震えながらこちらを伺うフェアリー。エコーの超能力の真偽ははっきりしない、しかし、相変わらず浮いているフェアリーを見れば、嘘だと切り捨てることも難しい。

「それに、僕はフレンドの仲間じゃない。フレンドに超能力者の情報がないか、聞きに来たんだ。今はこういう状況だから、協力してる」

それだけ、と呟いてエコーはまた俯いて目を閉じた。言葉通りなら、音を捉えて危険を感知しようとしているということになる。無言の間が続いてからしばらくして、香坂が口を開く。

「…。こちらも、この状況が終わるまでは協力します。ただ、何かあれば自分達は逃げます。それでいいですよね。先輩」

「そーだな。大倉もそれでいいか?」

「2人がそういうなら、平気」

これで、ひとまずの問題は解消に至った。しかしまだ、WWPの脅威という大きな問題が、差し迫っていた。

ぼちぼち出かけるのでこれまで。ようやっとの夜明けでございます。


宣伝も引き続き。投票は今月末までが締め切りです。
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乙乙

ひとまず情報提供者の問題は片付いたけど次はWWPをどこまで引っ掻き回すかが問題だな

乙!
アンケ書いたけど、本当は必要だと思う物事の所に、ネタで[メタルウルフ(搭乗者に大統領魂を刷り込む仕様)]って書こうとしたけど、最後には冷静さが勝って、普段からの願望を書いといた

陽は当に昇っている。朝特有の澄んだ冷たい空気で、放浪者は開けた窓から入るそれを肺に満たした。WWPの動きは慌ただしいが、警戒の度合いを高めたことは容易に理解できる。情報提供者と名乗っていた新井達を救出するのは当然であったとはいえ、これからの任務の難度が上がったことに心の中でため息をつく。

もちろん、だからといって放浪者がこれからすべき任務。ここにいる目的を知るための偵察をしない、という選択肢はそもそもなかった。新井達の件は、言ってしまえば本来DJフレンド達で解消すべき事態。だが、WWPは彼等だけでは手が余る事態で、そこにエコーが絡んできた。

隠れおおせれば、WWPのこともどうにかはなるだろうと考えていた放浪者も、エコーが絡んだことで静観できる状況ではない判断を下すしかなかった。もっとも、彼にとってはエコーという超能力者を、とりあえず一時協力させることもでき、DJフレンドの活動を正常化できるちょうどいい理由付けとは思ったようだが。

危惧しないことがなかったわけではない。突然現れた新たな武器を使うコマンダーゾンビの存在だ。昨日時点での襲撃はなかった、しかし、それがもし今日探索組や回収組あるいはハンター、もし考えづらくそして最悪を含めるなら拠点を襲うという状況も想定できる。

だがこれまでも、彼が離れたからと言ってどうにかなるような、そんなメンバーとは微塵も思ったことはない。それぞれに役割を理解し実行できる強さを持っている。ハンターも猛者の1人で、その亜種とも互角に渡り合えるだろうし、メンバーの近くで行動すること自体を守れば、その間にメンバーが救助に向かうことも出来る。なんら心配する要素はないと彼は考えている。

唯一の危惧があるとすれば、この任務、バレットパレードの補佐をしているサポートチームの負荷だ。すでにエクスはVRによるハッキングで体力を消耗しており、BAPの解析を進めるアリスが付いている。何より、生体回線とも言えるビジョンの負荷は、接続を継続している以上は避けられない。

一気にけりを付けたかった放浪者にとっては、昇ってしまった朝日は恨めしいものだが、急ぎすぎることは任務の失敗を招きかねない。危惧していることや、自身の体調のことを考えればそろそろ小休止が必要だ。1人で放浪していた時代なら、3時間以上眠れる機会があれば幸せなことだった。それを思えば今回もそれぐらいは眠れそうな算段がつく以上、気楽な任務だろう。

「…聞こえるか?」

動きを監視しながら、放浪者は呼び掛ける。少しして、間の抜けた、恐らく寝ぼけたであろうアリスから返ってきた。

『くくく、すまない放浪者の旦那。アリスの姐さんも、BAP関連で徹夜明けなんだ』

「…奇遇だな。WWPは警戒を更に厳しくしているが、むしろ奴等の任務に力を入れているようだ。生存者を探す素振りはない…。ある地点を中心に集まっている様子だが、もうこれ以上は近づけず詳細不明。言い換えれば、その間は休みがとれる。いったん、回線を切ってくれ。追って再コンタクト希望時間をオンラインに上げる」

ありがたいことだと笑うビジョンの声は、疲労の色合いが見え隠れした。この手の任務の際、ビジョンの時間的な拘束は回線を繋いでもらう以上かなり多い。放浪者には珍しく、まとまった時間休もうという提案は、乗らない理由は全くない。

海戦は途切れ、放浪者はそのままDJフレンドの隠れアジトに戻ることにした。会合の是非については、あまり心配はしていない、そんな足取りだった。

放浪者がDJフレンドの隠れアジトに戻る。彼としては自然に入ってきたつもりだが、その姿にミーナやミーシャが驚くのを見て、少しだけ不思議そうな顔をする。

「せ、せめて入るとか言ってくれよ」

「放浪者さん、実は昔暗殺者だったりしたのかな☆」

いや、とだけ言いながら放浪者は近くの椅子に座る。いったんの休憩という認識があるからか、疲れと眠気が混ざった疲弊した様子をわずかに見せる。ミーシャがDJフレンドを呼んでこようかという提案に、静かに頷いた。

しばらく放浪者が座って休んでいると、DJフレンドが疲れた様子を見せ、その後ろに飲み物を持ったファイブキラーとミーシャがやってきた。ミーシャはそのままミーナを連れ、ファイブキラーも飲み物を置くと一礼して部屋から去っていった。

DJフレンドのメンバーが食事などで使う広い共同スペースに、DJフレンドと放浪者の2人だけがいる状況だ。

会合の結果は悪くはない。3人の最低限の協力を得られる。ただ、この事態が終わり次第、ここに留まることなく彼等の目的の為に去るのは残念な結果となった。それでも、彼等の内で新井と香坂は多少のPCスキルを持っているということから、稼働可能な端末から不定期だが放浪中の情報提供ということはするという形で、同盟は結べたのだから御の字だろう。それは結局、拠点とも同盟を組んだと言えるのだから。

「…2人は?」

DJフレンドはわずかに思案して、フェアリーとエコーは用意した部屋で休んでいると答えた。そして軽く、フェアリーを見てどのメンバーも驚いていたと軽口をたたいてみるが、放浪者が表情を崩さないままなのを見て口を閉ざす。

「…すまない。後は3人組も用意された部屋というところか」

「あぁ、そうだね」

ここにいる人間の中で、一番疲れているのは放浪者なのはわかっている。DJフレンドは彼も休むよう促すと、恐らく部屋の外で待機していたであろうファイブキラーがスッと現れ、こちらへと案内の為に出てきた。放浪者も休むことに同意して、ファイブキラーの案内に付いていった。

朝はもう明けきっていた。これからまた緊迫した一日が始まる、更に言えば放浪者の目が覚めてから本番。WWPの目的を調べがつき、そして放置すれば危険性がある場合、あるいはWWPの手に渡ってはいけないものと判断すれば一戦交えることになるだろう。

どう転ぼうとも、各自身体を休める必要がある。DJフレンドもその例外ではない。ゆっくりと立ち上がり、淹れられた飲み物を全て胃に流し、私室へと戻っていった。

探索組は、当然放浪者不在のまま、警察署エリアの緩衝地帯確保の任務を進めていた。日は昇り、昼になるかならないか程度と、井門は考えながら周囲を見回す。今いるのは井門を主体とした一ノ瀬、林道の3名の班だ。役割は集合地点の確保とその周囲の探索といったところ。

今は集合地点に彼1人だけ、残った2人が周囲を探索している為だ。安全そうに見えるが、実はそうでもない。一番怖いのは銃を持った生存者、言葉を正せば略奪者だ。狙い撃ち出来るような場所で黙っていれば、ホールドアップは間違いなしで、だからと言って回収した物資を盗られるのも癪。

なので、定期的に周囲を確認しつつ、適度に集合地点を動き回る。適度な緊張を維持できるというのは、優れた兵士と言えるだろう。油断をしている素振りは、一切見えない。

その彼が、サプレッサー付きの拳銃を取り出し、構えた。わずかにだが、足音を捉えたからだ。しかし、近づくようなことはしない。何かがいることは間違いないのなら、単独で向かうのは危険。ゾンビならその内出てくるだろうし、生存者もこちらが警戒しているとわかれば攻撃を仕掛けづらいだろう。明らかな警戒状態の姿勢を見せれば、声を出さずとも今離れている2人にも異常を伝えることができる。そういった点も踏まえながらだ。

力強く、蹴る音が響きその方向の上空を見る。ジャンピングゾンビが、こちらに飛びかかってくる光景。反射で1発放ち、膝の力を抜いて前に前転した。その動作から1秒前後で、後ろを滑る音と薬きょうの落ちた音が聞こえる。

素早く井門は立ち上がり、視線だけそこに向けると頭部が欠けたジャンピングゾンビが少しだけ痙攣して、気を少しだけ抜こうとしたその時、先ほどの足音が聞こえた方面から、今度は。

「ちっ、きやがったか」

それなりに想定の範囲内であった井門は、忌々しく呟きながら、アサルトライフルに持ち替える。その向こうには、ぞろぞろと湧いて出るようにゾンビが路地から出てくる光景があった。

>>86
その前のひとまずの休憩です

>>87
れっつぱーりぃー!! 
アンケートご協力ありがとうございます。


さて、とっくに気づいてるだろうけど、本気で長い一日が続きます。


さて、投票は明日(今日)までとなっております。登場人物だけでも結構なので、よろしければお願いします。
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>>92の訂正
×素早く井門は立ち上がり、視線だけそこに向けると頭部が欠けたジャンピングゾンビが少しだけ痙攣して、
○素早く井門は立ち上がり、視線だけそこに向けると頭部が欠けたジャンピングゾンビが少しだけ痙攣しているところ、

素早く丁寧に、一弾一弾をゾンビの頭部に滑り込ませる。このあたりは制圧が終わり、ここまでのゾンビがいるはずはない。潜んでいた、と考えるのが無難だろう。そんな策を実行してくる相手は、パラノイアか例のコマンダーゾンビの亜種のどちらか。

井門は、あの警察署包囲網時以外でも戦っている経験から、この理知的さはパラノイアにはないと判断して、亜種が襲ってきていると判断していた。となると、自分は徐々に包囲されていると考えるべきかと、いったん射撃を止めて周囲を見回す。

「(…。いねぇな)」

来るのは前方からのゾンビの集団のみ。井門が主要に持つ武装は、文字通り火器。目立った遮蔽物もなく、建物が左右にある通りは、変異体であっても文字通り的に成り下がる場所だ。うまくやれれば、1人だけで目の前の集団を処理できなくもない。しかし、井門はそういう甘さは持たない男だ。

「集合ポイントより井門。例の亜種と思われる襲撃に遭っている、繰り返す、例の亜種と思われる襲撃に遭っている。現状、集合ポイント確保と探索兼ね合いで、班を分けポイントにいるのは自分だけになる。支給救援を求む。以上」

連絡から伝わる情報とは裏腹に、井門の報告は淡々と冷静だった。

「急がなきゃ!」

発砲音が聞こえた2人、一ノ瀬と林道は集合ポイントへと走っていた。井門の戦闘スタイルは、あまり音が出ないよう、基本はサプレッサー付きの拳銃とナイフで戦うことが多い。発砲をするということは、その音によって後々ゾンビが集まる可能性を差し引いても、必要な状況ということだ。

それがなんであるかは、2人も大方察しはついている。だから、最も近くにいる自分達がそこにたどり着く必要がある。

「止まるんだ…! 来るぞ」

林道が一ノ瀬を制止する。アリスから支給された電気ロッドを構えると、マッスルゾンビが2体現れその奥に、話に聞いた褐色、長髪、赤い目。そして、今回は盾と剣らしきものを持っている。その剣を2人に付きつけるように向けると、マッスルゾンビが2人に襲い掛かった。

「くぅ…!」

ボーガンの初弾は急所を外し、頭上から降る拳を、後ろに飛びながら盾で受け止める。身体は当然、そのまま吹っ飛ばされる。なんとか着地し、腕のしびれは多少残るものの、最小限の威力に抑えられたことで一ノ瀬に怪我はない。

一方、林道も苦戦していた。電撃ロッドで麻痺を狙おうとするが、マッスルゾンビは回避し、その新たな亜種の剣が側面、それも死角から襲ってくる。彼が素晴らしいのはそれを難なくいなすことができる、卓越した生存者ということだ。切っ先が首筋を目がけていることを理解し、それを攻撃により空ぶった姿勢の状態のまま、柄を使って切っ先を払う。身体の勢いが消えないうちに、今度は身体を反転して亜種の腹部に蹴りを入れて距離を稼いだ。

幸い、この3体の他にゾンビが含まれていない。しかし、それがいつまで続くのかが、この場合の問題だった。

厄介なのは、コマンダーゾンビの指揮下にいるからか、マッスルゾンビの動きは通常よりもいい。巨大すぎる筋肉が肉体のバランスを崩した結果、緩慢な動きをするのがもはや常識。それを覆していることになる。

距離が取れている間に、一ノ瀬がボーガンの矢を装填している。林道も、その隙に横へ立つ。

音を気にしなければ、2人とも拳銃は所持している。しかしながら、的確に当てる技量は持ち合わせていない。これからのパラノイア戦のことを思うと、無駄遣いは避けたいという余裕が邪魔な形で2人に残っていた。

ゆっくりと3体が向かってくるのを見て、もう一度ボーガンの矢を、今度は亜種に撃ち込む。しかし、マッスルゾンビが盾となって、ダメージには至らない。

無線は井門が持っている。その代わりに、ホイッスルは一ノ瀬が持っていた。それを使って救援を呼ぶこともできる。ただ、彼女が危惧していることがある。

「(ここに亜種がいるのに、どうして井門さんは銃を…)」

それはつまり、井門が戦っている相手はパラノイアなのではないか。そうなればホイッスルは、邪魔でしかない可能性もある。林道が視線を向ける、どうすべきかの結論はあと数秒以内で彼女は決めなければならない。

ここまで。あっちもこっちも大騒ぎである。


さて、投票結果です。とりあえず、一位が出せる程度にはご参加いただきました。では発表。

1位は放浪者&スライムでした。同数ですね。


後は、やはり古参キャラが上位というところです。新規さんとかも頑張らせないとね・・・。

あっと、忘れてた。もう一つの質問の方はその内の悪だくみに使わせていただきます。ではでは

まじかー。悪だくみに使われちゃうのかー

ホイッスルを取り出し、大きく息を吹き込む。甲高い音が周囲に広がっていく。この状況下で支援にすぐ来られそうなのは、高速移動が可能になった山中、身体能力が強化された佐原。井門は当然交戦中。

援護がすぐに来るわけではないことを察し、一ノ瀬は吹く覚悟を決めた。一番まずいのは、互いの状況がわからないこと。そして何より、人数的な意味では井門よりもこちらの方が多い。それがたった1人であろうとも。いや、1人で出来ることが限られるなら、誰かいることはとても力強いことだ。

「やりましょう!」

自分は探索組の中で、最も弱いということに引け目を彼女は感じていた。メンバーは誰も気にしたことなどなかった。そう、気にする必要などそもそもなかったのだ。

林道が再度マッスルゾンビに攻撃を仕掛ける。そのタイミングで、亜種が振るう剣が、殺意と防御の意図をもって奔り、その間に一ノ瀬の盾が滑り込む。振り上げられた盾の縁(ふち)を剣はなぞり、亜種は大きな隙ができる。これを逃すまいと、メイスが亜種の頭部目がけ振り落とされて、相手の盾とぶつかる音が響く。

それがゴングの合図代わりだったように、マッスルゾンビの拳が振り下ろされた。バックステップで一ノ瀬は距離を取ると、入れ替わりに林道がその腕を使って飛びあがる。跳躍の勢いのままマッスルゾンビの顎と頭頂部をそれぞれ両手でつかみ、身体をひねった勢いで首の頸椎を破壊すると、まずは1体目は地に伏した。

こういった光景を目の前にすることで、彼女は劣っていると思い込むが、結局彼女もまた、放浪者が作った探索組のメンバーなのだ。一介の生存者、などではない。

戦闘力が高い変異体を1体でもすばやく処理できるのは、もちろん話が変わってくる。相手に状況を知らせつつ、井門の負担を減らすを持ってホイッスルを吹いたのだから、これでより優位に事を進められる。

林道、もちろん一ノ瀬も人間と同じように武装して、それなりに踏み込んだ攻撃をしてくる亜種に面食らったが、それでも戦えないという訳ではない。2人いれば、十分相手の虚と捉えることが可能だ。

林道の武道家としての感覚は、戦いになれる前に仕留められれば、そこまでの脅威ではないという認識を、亜種に対している。パラノイアと戦って時はこちらの意図を読まれて苦戦したものの、この亜種はどうもこちらの動きを読んでいる節がない。何故なら動き出した後に合わせているからだ。

ただ、ゾンビを操っているというのはマッスルゾンビの動きを見る限り、間違いはない。ただ、それを踏まえるとこの場にゾンビがいないことは、解せない。

「(井門君のところに集まっている、というところかな)」

まだいくらか銃声は聞こえている。放浪者、山中の補佐を務める彼が簡単にやられるとは思えない。けれど、それを考えて余裕を持つという考えを持てない経験を、林道はしている。急ぎ目の前の亜種を処理する、それがこの忌々しい状況を解消できる策なのは間違いない。

電気の出力を上げて、構える。狙うは、ここ戦いの頭、先にいる赤い目の亜種だ。

乙!
さて、とりあえずお二人は来てくれるのかどうか……

素早く弾倉を入れ替え、再装填を終えた井門はトリガーを引く指を休めない。目の前には、彼が処理したゾンビ達が並べ、覆いかぶさるように倒れている。しかし、それでもゾンビの群れも休むことを知らないように前進を続けていた。

まだ援護が来る気配はない。それでも井門に焦りの様子はなかった。それもそうだ、変異体と言える襲撃は最初のジャンピングゾンビの強襲ぐらいで、今いるのはゾンビだけ。スプレーゾンビによって強化もされていない、言ってしまえば普通のゾンビだ。

処理の仕方がわかり、ある程度の弾薬を持っていて、かつ真正面からノロノロとしか進んでこないなら、焦る理由はない。

「(…一ノ瀬たちのとこに早めにいきてぇんだがな)」

発砲音から自分の状況を想定できるにも関わらず、ホイッスルを鳴らしたい意図を井門がわからないはずもない。あちらにも似たような状況が起きているということだ。話に聞いた亜種がいない以上、そっちにいる可能性が高い。

しかし、そうだとすれば、このゾンビの群れが説明できない。回収ポイントは制圧処理を行ってから確保している、一種の安全地帯だ。それまでにゾンビを処理しているのだから、今相手にしている量が残っているとは考えられない。何らかのコントロールによって隠れていたと考えていい。近くの建物にはちょうど、7階建てのビルがあってそこに隣接する路地から出てきている。その想定に間違いはないはず。

そうなると問題なのは、このゾンビの群れを操っているのは何なのか、ということだ。これまでの培った経験が、これはパラノイアではないと告げていた。

思考に気を取られていた井門に、瞬間的に赤い棒状のものが映り、瞬時、地面を蹴って横に避けた。金属質の音が響き、ちょうどいた場所の後ろに消火斧が突き刺さっている。

「この…!」

次の瞬間に、また斧が彼に襲い掛かってきた。アサルトライフルを盾にし、受け止める。今度は斧だけではなく、その亜種も現れ、そして文字通り攻撃を仕掛けてきた。咄嗟に前蹴りを放ち、亜種と距離を取る。そのまま銃弾を叩きこんで、この戦いを終わらせようとした。

だが、このわずかな間にゾンビが押し寄せてきているのに気づく。一部は亜種の壁になるよう動き、残りはそのまま井門になだれ込んできている。

突然の攻撃の対処で体勢を崩していた井門は、いったん距離を取る。コマンダーゾンビとの戦いの厄介さを感じながら、持っていた手榴弾のピンを抜き、ゾンビの群れに紛れた亜種がいた方に向かって投げつける。放物線を描いて、転がっていき破片をまき散らして地面で爆発したのを見届けた。

>>99
そのうちねー

>>102
はてさて


訂正いっぱいあるけど、この時間なのでねます・・・。

乙!
井門さん一人じゃ厳しくなってきたな。手榴弾は何個残ってるかな

爆発した周囲に亜種の姿は確認できない。ただ、井門にそれを確認している余裕はなく、引き金を絞る。

彼はサポートすべき存在や、守るべき存在がいる時に、結局一番力を発揮できる。惨劇後の世界で、1人というのはゾンビとの戦いで、もっとも大きなデメリットでしかなく、彼は1人の時に力を発揮できるタイプではない。

信頼していた者が狂っていくのを止められず、心ならずも略奪行為を行わなければならなかった。その自分に生きる価値があるのかを、問い続けることを止めるか。答えを見出さない限りは。ずっと。

退路は十分にまだある。けれど、迫るゾンビを目の前にして井門はどこか、来るべき日がきたのだと感じていた。それが一時撤退という考えを失わせ、ただ交戦することだけを選ばせている。

そんな状況が続けば、持ってきている弾薬の数は心もとなくなってきている。相手のゾンビも、少しは減ってきているがコマンダーゾンビという系統であるなら、恐らくすぐに追加されてしまうだろう。彼の冷静な側面はそれを理解している。けれどまだ、撤退の道を選ぼうとはしていない。

新しい弾倉に入れ替え、再度銃を構えて発砲を続ける。それが無限に続くのではないかと思わせた時、頭上から灰色の物体が降ってきた――。

一ノ瀬と林道は苦戦していた。コンビネーションやコンディションについては、まだ2人は何ら問題ない。しかし、亜種と操っている変異体のコンビネーションもまた、かなり高度なものだった。互いに決定打に至らないのは、一ノ瀬達が感染の恐れからくる、負傷覚悟の一撃を加えられないのと、亜種側は数が少ないということにあった。

そう、まだ2人はゾンビの攻撃は受けていない。あえて言うなら変異体のみと戦っている状況だ。マッスルゾンビを倒した後に、ジャンピングゾンビ2体が追加された。普段なら、他の変異体以上に動物的な反応を見せるジャンピングゾンビが、亜種の周囲を取り巻くようにして側におり、すぐに襲ってこない。それこそ、その亜種を守るかのように。

数が少ないなら、あえてこのまま井門のところへ向かう。そういうことも考えたが、コマンダーゾンビは思考を読む相手、それをかき消して一ノ瀬は戦いに集中していた。林道はどこか考え事をしているようで、動きが普段より精彩を欠くようなところがある。

亜種、マッスルゾンビ、ジャンピングゾンビのコンビネーションによる攻撃を2人は退けた。そう思った矢先、死角となっていた場所から、もう1体のジャンピングゾンビが一ノ瀬へ向かって飛びかかってきた。

「しまっ…!」

反応は林道、その後に一ノ瀬という順番で、林道が動き出した時にはもう半分まで、彼女とジャンピングゾンビの距離は詰まっていた。防御行動をし始めているが、間に合うか。本能で考えながら動く刹那のわずかな時間に滑り込んできたのは、たなびく白い何かだった。

ジャンピングゾンビの右あばら部分に、鋭い金属の足が突き刺さり、それこそ鈍い音というべきものが聞こえた気がした。

「ご無事でしたか」

山中がそういって二人の前に降り立った。ペガサスの鉄製の足による蹴りは、一ノ瀬を襲おうとしたジャンイングゾンビに深いダメージ与えた。痛覚があるのかはわからないが、悶えているように動く。慈悲を含め、展開したペガサスの足で頭部を貫いた。

優位に立った3人は亜種達と対峙する為、向かい合おうとした。しかし、そこにいるのはマッスルゾンビとジャンピングゾンビの2体だけ、亜種は姿を消していた。そのことに驚きの声をあげ、急いで処理をしようとする彼女を、山中が制止する。

「落ち着いて、一ノ瀬さん。まずはこの場を切り抜けるのが大事、井門君の援護に向かう為にもです」

その言葉に同意しつつ、林道は更に付け足す。

「それにこの亜種は、どうやら俺達の思考は、読めてないようだよ」

それを聞いた2人は、わずかに驚いた表情を見せた。

>>106-107
はてさて、どうなるでしょうのう。

佐原!いつの間にアメリカンヒーロー着地を習得したんだ!?(まぁ跳ねるのは狼男の移動の基本だから、序盤で塀跳び越えて放浪者に紛らわしいと言われてた頃から兆候はあったんだけどねw)

「これで一通り片付いたぞ」

変形させた両腕を戻し、藍、そして佐原が井門がいる場所へ戻ってきた。ある意味では自主的に追い詰められる形になった井門の援護は、佐原とその背中に乗った藍の2人。複数になったことで連携が取れるようになった3人に、ゾンビだけの集団はそこまでの時間を置かず壊滅した。

しかし、井門に直接攻撃を仕掛けた亜種の姿は、すでにない。

「亜種はいねぇか…。手榴弾でやれりゃあ御の字だったんだけどな」

ボヤキながら、無線を使って危険が去ったことをまだ来れていないメンバーに報告する。ひとまずの苦境を終え、井門はゆっくりと側にあったビルの壁に寄りかかった。目の前に広がる惨状は、いつも脳裏に惨劇初期の光景を思い起こさせる。何かを思い出すのはいつも、防衛軍として活動していた時期だ。

「井門さん、どうシたんすか?」

ヘビーハンマーを肩に乗せながら、聞かれた。なんであるかは、もはや古い付き合いと言えるほどの関係の井門にわからないことではない。

「……。本気で死ぬ気はねぇさ。俺含めて、メンバーを守るのが俺の役目だ。じゃねぇと、放浪者さんまで裏切ることになる」

それを聞いて、佐原は静かに頷く。ミュータントとなった彼は、今は誰かを守ることを出来る力を持っている。だが、前の勢力に居た時の彼は、無力で、そしてメンバーを失っている。自由奔放、マイペースと思われているが、内心ではあの時に今の状態だったならばと思うこともあるのだ。

守りたかったものを守れなかった。それが、2人の共通項であり、そして多くの生存者が持つ、重く苦しい体験。

「…何の話だぞ?」

だからこそ、それを知らない者がいるに越したことはないと、2人は思えるのだった。

「皆さん、無事集合できましたね」

山中の点呼で、放浪者を除くメンバー全員の生存を確認する。コマンダーゾンビの新たな亜種の襲撃を受け、切り抜けることができた。件の亜種を処理できなかったことが悔やまれるものの、誰か欠けることがないのが、常に最高の結果なのだ。

亜種に遭遇した3人の話を統合すると、それぞれに違う亜種と戦ったことになる。盾と剣を持つ1体、斧を持つ1体。パラノイアほどの脅威は持たないとはいえ、そもそもが厄介なコマンダーゾンビ。全員がその事実に更なる緊張を抱いた。1人を除いて。

「自分が戦った感覚では、相手はこちらがどう攻撃できるか理解していなかった。西切さんが、以前の襲撃に比べて矢が当たったというお話を統合すると、ゾンビ達を操るだけのコマンダーゾンビなのではないかと考えています」

武器を使ってきているのは知能を持っているから、待ち伏せのような襲撃はゾンビの視界を監視カメラ代わりに使っているからだろうと、林道は追加した。

彼の話はあくまで憶測の域ではある。しかし、2回受けた襲撃の情報をまとめると、筋が通る考えだった。これを絶対と考えるのは危険ではあっても、特徴として捉えれば今後戦いやすくなる。

「どちらにしても、3体のコマンダーゾンビが確認された今、今後単独での行動は禁じます。最低でも2人1組で行動をしてください」

指針が決まれば、迷いない行動が可能になる。それもまた、惨劇後の世界を生き延びるの、重要な事だ。

日が傾いている、もうそろそろで夕方になろうとしていることもあり、探索組は今日の任務を終える拠点へと戻ることにした。

>>112
>>1的には、佐原の登場シーンはバイオのハンターが飛び出してくるのをイメージしてます。

追い付いたと思ったら結構危ないところだった、乙

DJフレンドの隠れアジト内は、説明しがたい空気が流れている。WWPの多数の部隊がこの地域で活動していることでの、刺激を帯びた圧迫ような感覚。他勢力の人間が、同じ密室めいた環境に固まる息苦しさ。そして、圧倒的な力を持つ人間がいることの安心感。それらが混ざりあい、神経だけが摩耗していくようにフレンドは思えた。

「…状況はどうだ?」

この中で、その最も力を持つ放浪者が共同スペースにやってきた。来た時と様子は変わりはない。それでも、ゆっくり休めたことでこれからの活動は楽になったはず。

状況に大きな変化があったことを伝える。WWPの部隊が、どうやら今回の目的の場所を発見したのか、大多数を同じ場所に集めている状態になっていた。残りは、その活動に問題が起きないよう防備に回っている様子。おかげで動きやすいといっていい。

「問題は、何の任務を帯びているかだね」

放浪者がすべきことは、それを探ること。そして、その内容によってはその目的を破壊することが必要になってくる。

今までこの工場地帯で活動をしていたDJフレンド達が、その何かによって危険に晒されたことはない。完成していないか、それとも暴走するようなものではなかったと考えられる。

勝手に動き暴走しないのなら、BAP(有機人造兵器計画)のようなアンドロイドではないだろう。WWPが必要とする、という部分では何らかの兵器の可能性は高い。幸いここは工場地帯で、何らかの製造作業をしたところで隠し通すことは可能だろう。

なら、もしそれが該当するなら、ついでに兵器の破壊も出来れば、完璧な任務の遂行。その為に使えそうな道具と言えばファントムジャベリンに、エレクトロスピアを装填して兵器に撃ち込むあたりだろう。ただ、問題は残ってしまうエレクトロスピアが相手に手に渡ってしまうこと。それは上手いやり方とは言えなかった。

それに、バレットパレードに設けられた時間は少ない上に、破壊となれば最悪戦闘することも前提にしなければいけない。戦闘後に対象を破壊するとなれば、そのまま追跡を振り切り、夜の間に拠点へ一気に戻らなければ、ばれずに逃走するのが難しくなるどころか、拠点へいつ戻れるかもわからなくなる。諸々を考えれば、その内容によって、確認しただけでそのまま撤収するのが、今はベストな方法と判断がつく。

「そろそろ出るのかい? 無茶しないようにね」

「…考えておく」

そもそもが拠点の任務を終えてから、徹夜をしてまでここに来ていることが、そもそもが無茶。だからこそDJフレンドは、君にとっての無茶だけは絶対にしないでねと、強調した。

>>117
あらま殊勝な。


もうそろそろ、この長い一日も区切りがつきそうですが。帰るまでが任務です。

乙!
やれやれ、今回のびっくりドッキリ企みはどんなモノなんだか……

放浪者は装備を整えている。外は夕焼けの朱から、黒に染まりつつある蒼に変わり始めていた。夜が来る、そしてバレットパレードに与えられた時間も、終わりに迫りつつある。

三間が仕立てた防弾性の革ジャン、通常のカーゴパンツ、右腕にスパイダーウィップ・ツィンズ、左腕にジャベリン。両足にブースター、腰にウェーブソード・デュエルを差す。ファントムシリーズを装着すると、時折自分は人間なのか、アンドロイドなのか。そんな疑問をよぎらせる。BAP(有機人造兵器計画)を見つけてきた時からは、そう思うことも多くなってきていた。

しかし、だからといって放浪者がすべきことは何も変わらない。これから行う任務も、拠点に戻ってから行う任務も、全てはただ静かに暮らす為、必要と判断したから行動しているに過ぎない。強い意志を保てる彼が何者になろうと、結局、彼は放浪者なのだ。

「またおにーちゃんだけ出掛けるの?」

フェアリーは不満げな様子で、放浪者の周囲をゆっくりと飛び回る。彼女も周囲にWWPがいることは承知だが、同じ場所にずっと籠っているということが不満のタネになっていた。

「フェアリー、わがままを言っちゃダメだ」

エコーは、椅子に座り目を閉じたままでいた。音を操る超能力者ということもあって、視覚よりも聴覚での周囲の把握するのが楽になっていた。もちろん、空中を浮いて移動できるフェアリー――そして動作が静かな放浪者――は、わかりづらい。

それに聴覚での探知は、音を発していることが前提だ。制止されてしまえば、視覚に頼ることになるが、それでも探知するということにおいて、優れていることは間違いない。

「…奴らに動きはないか、探ってくれ」

頷いて、深くWWPの動向(おと)を探っていく。それが広範囲になればなるほど、訪れる音が洪水のように流れ込む、大まかな位置や内容は理解できても、混戦したラジオを聞いているかのようだ。

「位置は、変わってないよ。放浪者がいってた、兵器を探してみるみたいだ」

予想していた内容ということなら、後はどういうものなのかが重要になる。強力な戦車や戦闘機、あるいは戦闘ヘリ。それとも、想定もしないものか。アーマークラッシュのような、特殊な武器である可能性もある。

何にしても、探りに行かなければ答えは出そうにない。2人には出発の準備だけはするよう伝えて、放浪者は部屋から出ていった。

>>121
さて、そこいらもある意味ダイス様次第だねぇ

乙!
もう、何難去って何難目なんだろうねぇ……

「まだ発見できないのか!」

「ADSP(自動防衛システム計画)に関わる防衛装置により、探索は難航しております」

苛立たしげな指揮官風の男と、少し色白な中性的で恐らく男と思われる兵士が、話をしている。その報告も何度も繰り返されたもので、指揮官は感情のままに簡易机を叩く。それを見ても、兵士は眉ひとつ動かさず、命令を待つ機械のように立っていた。

「…クソ。引き続き任務は継続だ、お前らを殺(や)った生存者が近づいてくるやもしれん。警戒を怠るな、行け!」

敬礼も何もせず兵士は簡易テントから出ていく。残された指揮官風の男は、簡易机の側にあるパイプ椅子に座り目の前の端末を見てため息をついた。与えられた任務も、惨劇後に置かれた自分の状況も、何もかも納得できずいる苛立ちが、心に平穏を与えない。

苛立ちは集中力を乱し、そして隙を生じさせる。だからこそ、側、それも背後にいる放浪者にも気づけない。指揮官が端末にパスワードを撃ち込んだのを見届けた上で、ウェーブソード・デュエルの、もう1つの刃を首筋を横に払う。それに違和感を感じた指揮官は、左手を上げて触れた時、視界が落ちた。

後頭部から地面に落ち、その衝撃で白濁する意識の中で見たのは、冷酷に映える放浪者の真顔と、首のない自分の身体だった。

『OK、ハッキング進めるぜ』

そちらも休みが十分取れたのか、エクスは指揮官が操作していた端末をハッキングを開始した。ここにいるWWPの目的を探る間、放浪者は先ほどの死体を隠して、物陰に身を隠していた。定時報告から間を持たず指揮官を処理していることから、発覚までに時間はあると言える。だからこそ、安全を追う必要があった。

孤立無援で、単独であるということ。その意味を知っている放浪者が、この行動をするのはむしろ自然なことだ。

携帯を通し、サポートチームがハッキングをしている作業音が聞こえてくる。周囲にはWWPの兵士が動き回ることでのざわめきが感じられる。このざわめきは、その何かが見つかるまでは続くだろう。

『…。兵器の類だな、Wings of Icarus Project。通称、WIP。イカロスの翼計画ってとこだろーな』

兵器と聞いたことで、放浪者は少しだけ安堵する。それなら少なくても、フレンド達に危険性はない。ただ、問題になるのは、それを回収された場合に自分達へ向けられた場合だ。

「…どういう用途だ?」

その場合に向けての確認、もし後々に脅威になっていくのならその破壊は回避できないことだからだ。

タイピング音が激しくなる。エクスもバレッタパレードの時間が迫っていることを知っている。既に、研究所へ新種の亜種2体が確認されたことは報告されていた。その状態で放浪者、そしてフェアリーが欠けたまま拠点の活動を、かなりの危険性となる。

夜は長く、そして短い。闇に紛れて、高速で移動する。それも、フロートボードに3人ほど乗せた状況で。そうなると、移動に使える時間は多ければ多いほどいい。この任務、というよりこの世界で重要なのは生きて、帰ることだ。そして放浪者が戻ってくることを、誰しもが待ち望んでいる。

『……、対空兵器みたいなもんだな。でもって、目的は…、衛星の破壊?』

それはあまりにも高度すぎる場所だが、考えられることすれば、ミサイルを発射できる戦車とか、砲台のようなものを想像させた。ただ、それでもWWPが作るものなら考えの斜め上に行く。更に凶悪な何か、と放浪者は考え直すと、それは同時だった。

『放浪者、聞こえるかい。フレンドだよ…。こちらの位置を捕捉された。だから、頼みたいことがある』

渡されていた無線から、緊急を知らせる内容が届く。なぜ、位置を捕捉されたかは今は問題じゃない。それを解決する案に同意できるかどうかだ。

『WWPの目的のものを、奪取、あるいは破壊して欲しい。指揮系統が乱れれば、何とかして見せる!』

「…了解した」

対空兵器ならばと思っていたが、こうなったなら何もしない訳にはいかない。フレンドがいっていたのが、ここの部隊なのか別働部隊かどうかさえも不確かな今、サポートチームに確認を依頼する。

バレッタパレードのフィナーレは、もう始まっている。

>>125
大丈夫、もう終わると思うよ。誤字がひどいから締まらないけどね!


>>128の訂正
×タイピング音が激しくなる。エクスもバレッタパレードの時間が迫っていることを知っている。
○タイピング音が激しくなる。エクスもバレットパレードの時間が迫っていることを知っている。

×それはあまりにも高度すぎる場所だが、考えられることすれば、
○それはあまりにも高度すぎる場所だが、考えられることとすれば、

×バレッタパレードのフィナーレは、もう始まっている。
○バレットパレードのフィナーレは、もう始まっている。

乙!
イカロスの翼なんて縁起悪い名前付けてくれたおかげで、羽ばたきすらさせずに壊せそうかね?
まぁそれ自体は飛べるモノですらなくて、飛ぶ鳥を落としたいマシーンの様だけどww

>>130
はてさて、結末はダイス様のみぞ知るとだけ。


いかんせん、ラストには向かっているので筆は遅くなってます。しばしお待ちを。

あ、流石にそろそろきり良いとこで終わらせる感じ?
そこからエピローグより未来の事も、どうなるのかざっくりとは教えて欲しいところだなぁ

無線を切り、DJフレンドは拳銃を構える。今いるのは、3人組との会合で使った休憩室がある地下道だ。放浪者の指示で、隠れアジトが発見されないようその場所に待機の為に移動した。それは結果的に、功を奏して一方では今の危険な状況を招いていた。

功を奏したのは隠れアジトそのものが発見されたわけではないという部分。そもそもそこに隠れていれば見つからなかったのではないか、という疑問は起きる。だが、別働部隊が隠れアジト方面から増援としてやってきたのだ。状況からして、WWPが敵対的な生存者からの攻撃を受けたことによる応援だろうとフレンドは予想している。

幸い今いる場所は地の利がある。すぐには見つからないだろう。あくまで、すぐには。人海戦術を使える相手にしらみつぶしにされれば、ひとたまりはない。

人数的には分隊程度、DJフレンドの5名、新井達3人、超能力者の2人。フレンド達の勢力は戦いに慣れていない。それ以外で残った者が主力、それも超能力者が2人もいる。強力なそれは大きく当てにはなる、問題になるのは協力的にやってもらえるかということだ。

「終わりだよー」

フレンドが近づこうとすると、バリケードの設置を終えたフェアリーは、エコーの後ろに隠れてしまう。それに意を介さず今度はそのエコーに音響探査で、どれぐらい近づいているか確認をしてもらう。

今のところ、推移は順調だった。無作為にバリケードを作りながら、退避をするというシンプルなもの。この状況に置いて、突発的な逃走となったこと。それに、ほとんど見も知らずの人間が混ざり、それなりの数がいるとなると、指示は単純明快にならざる得ない。幸い、バリケード敷設は、フェアリーの力でほとんど時間をかけずに出来ている。追ってきている相手が撤去するなり、破壊するなりの手間。それも逃走方向とは関係のないところにもバリケードを作っている。このまま逃げ切る時間は十分に稼げる。

――それはあくまで、この地下道にいる相手に限っての話だ。

エコーの探査で、このバリケードで時間を稼げていることは確認できても、その考えがあるフレンドの顔に余裕はない。この集団のリーダーがその表情をしているの必然的に全体へと伝播していく。

「フレンドさん、これからどーするってんです?」

新井が聞いてくる。笑みはなく、焦りさえも感じられる様子。今時間を稼いでいるのは、別働部隊が放浪者がいるあたりに向かわせない為の陽動でもあったが、それを続けられる余裕はそろそろで無くなる。まだ、流石に放浪者もWWPの目的のものを見つけられるほど、無線連絡から時間は経過していなかった。

「…。今、地上に出るのはまずい。ここの中に入ってきた兵士達も、まさか全員じゃないだろうからね。出入り口は、隠れアジト近くのを抜かして3ヶ所。2ヶ所は放浪者が今潜入しているエリアに入っていて、残った1ヶ所が候補だけれど、ついさっきその方向から兵士がやってきたからね。放浪者が、その目的のものをどうにかしてくれた時に起きる、混乱のどさくさに紛れて逃げるしかない」

作戦らしい作戦ではないのは、フレンドも承知だった。それはあまりにも希望的観測が過ぎると言っていい。放浪者ならその目的のものを破壊できるだろう。しかし、自分達がそれまでに耐えられるのかということが問題だった。

香坂が口を出そうとして、止める素振りを見せる。言いだしたところで仕方のない。この状況で、やれることを提示してくれるだけマシなのだ。大抵の場合、ただ逃げるだけになり、今頃被害も出していることだろう。小規模とはいえ、勢力の長を務め、慎重にそれでいて大胆に情報発信を続けてきた人間。緊急時において即座に判断し、紛いなりでも指揮を執れる人間は少数だ。

「全員、持ってこれた銃の弾薬と状態チェックをお願いするよ。もうそろそろ行けば、出口と行き止まりに分かれる通路に繋がる。その前に、この場所で銃撃戦をして時間を稼ぐよ」

倒す必要はない。必要なのは放浪者が任務を完了するまで、自分達が生き延びている時間だけだった。

>>133
一応コメのラストはこのバレットパレードに関してかな。ただまぁ、放浪者達が何を目的にしてるかを考えれば、それも自ずとわかるかと。
そこの未来展開ばかりは何ともね。ダイス様は知ってるだろうけども。

乙!
いやいや完結しちゃうのかと思って焦ったんだぜ。どうかWWPは遅く来ます様に

それは静かな戦場だったといっていい。兵士達は恐怖するまもなく斬り伏せられていく。闇にまぎれて動く放浪者は、もはやそれが意思を持って彼らに襲い掛かっているかのようだ。

彼は間違いなく人間だが、彼がここまで培ってきた人知を超えた体験、そして得た武装はオーバーテクノロジーと形容できる。その2つを生かすことのできる彼自身の高いポテンシャルも相まって、それこそ人間離れしている。

しかし、それは表面上のことに過ぎない。彼という存在を形成するものということでは、切り離せはしないが、器の部分ではない。彼を支える器の部分は、どんな局面でもあきらめることはない、揺らがない信念。

それはまるで進み続ける古い蒸気機関車のようだ。己の信念で出来たレールの上、達するべき目的地へ向け、表面には見えない熱い意思を元で作られたその強力な推進力をもって、障害を破壊しながら進む。その後ろには、どうしようもなかった多数の犠牲が転がりながらも、ただ前へと。

今、彼の手で作り出した夥しい死の光景も、その犠牲の1つに過ぎない。だからこそ放浪者は、虚しさを覚えていた。その上で、彼は前に進むしかない。同盟を組む者達を救うため、羽ばたく翼を撃ち落すためにだ。

「地上部隊及び、確認に向かった部隊からも応答はございません」

報告した兵士は淡々としていた。軍服の上から巻かれた包帯に血が滲み、戦闘が行われ生々しい負傷の姿には、あまり似つかわしくはない態度だった。

その姿とは対照的に負傷のない、ここの指揮官として活動している男は地上で放浪者が暗殺した指揮官とは違い、まだ平静さを装っていた。それでも、生存者との小競り合いで兵士が負傷し、次に分隊規模の兵士が消息を絶ちしばらくして斬殺されていたことを確認。そして今は、小隊規模の兵士の消息が不明。戦闘行為が行われたにしては異常だ。

攻撃の状況から見ても、WWP(じぶん)を対象にしているのは間違いない。今こんなことが出来る勢力は、例の組織が浮上する。

「ありえない。だとしても、戦闘が起きた報告はできるはずだ」

激しい銃撃戦が行われたとしても、誰かしら連絡する時間はある。それが出来なかったとすれば、瞬間的に部隊が壊滅に陥る攻撃を行うしかない。ただの人間がそれをやるなら、それこそ罠を張り、ほぼ同時に爆殺するといった、そんな手段が必要だ。しかし、それが実行されれば、地下のこの研究所にもその余波は感知できる――。

「奴等か…!」

男は1つだけ答えになるものを持っていた。ただの人間でない、なら、そうではない集団がひとつだけある。芸羅率いる、超能力者達のことだ。

まずい、それしか言葉は浮かばない。たった1人でも能力の種類によっては一部隊と遜色ない力を持つ。研究所(ここ)にいる部隊は、内部のADSPの防衛装置を鎮圧したとはいえ、負傷者も抱えている状況。とても太刀打ちできない。

援軍として来ている別働部隊が、生存者に攻撃を仕掛けていると聞いたことも、今は恐怖の種でしかない。その相手が超能力者だったら、一気に叩き潰すため地下道へと誘い込み、一網打尽にする罠とも最悪は考えられる。

飛び出す身体のまま、男は無線を取り別働部隊に連絡を入れる。同じ地下、中の本隊に連絡が取れずともそちらの地上部隊とは連絡が取れるはず。祈りながら周波数を合わせ、激昂とも取れる声量で呼びかける。

そして繋がった先も、混乱の渦中にいた。それは内部での戦いにおいて、想定していない事態により起きていることだった。心が張り裂ける手前まで、男を追いやっていく。

「生存者の中に超能力者がいる」そう、はっきり聞いた時、無線がみしりと音を立てた。もはや、WIPのサルベージどころではない。部隊が壊滅するか否かの瀬戸際に立たされている。

すべての部隊が健在だったなら、痛手を負いながらも勝利は出来たかもしれない。だが、半分以上失われた今出来るのは、敗走の言葉だけ――。

「…。『サンシャイン』の稼動急げ!」

その言葉が心を満たす前に、男は思い出す。自分達が回収した目的のもの、その兵器の名を。それはまさしく、今の状況に射す希望の光と言っていい。

本来の目的である、衛星を落とすための装置はここまで懐に入られれば利用できない。だが、懐に入られることや、その兵器を爆撃機が狙うという状態を想定はしている。

今この場において、もっとも有効と思われる対空砲や機銃は、その兵器に当然積まれている。サンシャイン、それは高高度の位置にある衛星を破壊するに飽き足らず、移動する要塞のごとく大量の火気も備えていた。

>>138
とりあえず終焉はまだとだけ。目処は決めてるけどね。はてさて、どうなることやら


>>140の訂正
×芸羅率いる、超能力者達のことだ。
○芸良率いる、超能力者達のことだ。

>>142の訂正
×移動する要塞のごとく大量の火気も備えていた
○移動する要塞のごとく大量の火器も備えていた。


そこいらに転がってる防衛装置なんかとは訳が違う兵器群が相手か……幸運の女神よ、どうかまた、放浪者に微笑みを

「…そうか」その事実をエクスから知らされた放浪者は、いつも通り冷静だった。これから破壊するものが、もし使える状況だった場合、たった1人で立ち向かわなければいけない。それも、そういった大型兵器破壊できる重火器は所持していないという状況にも関わらずだ。

『お、前なぁ…』

エクスが言いよどむのは間違いないことだ。稼働していなければそれは鉄の塊だとしても、動いていれば人間一人ぐらいミンチにするのもたやすい武装も有している。

拠点と研究所をここまで発展させた功労者だが、当初会った時から考えて、この人間離れしていく感じは、時折得体のしれないものを見せられる気分になる。

それでも、エクスを含めた拠点、研究所のメンバーが彼についていくのは。

「…心配するな、無事に戻る」

彼の行動が、仲間を守る為にあるということを、理解しているからだ。

侵入した研究所内は明らかに慌ただしい動きをしている。ロック&サーチと類似するであろう装置も、破壊されていた。この場所をWWPが支配下に置いた、そういう状況だ。

その代償として、ここの部隊は何人かの死傷者を出しているのも見受けられた。素早くここの兵士を処理すれば、兵器、サンシャインを稼働させないまま破壊することもできる。

破壊の方法は、すでにエクスと相談して決まっている。サンシャインの正体は、巨大なレーザー砲。それを使って上空にある対象の衛星を燃やし尽くすものだった。その大量のエネルギーを暴走させれば、内部から自壊させることができる。

その制御は当然システムで管理されている。そこにエクスがハッキングをかけて暴走させる手はずだが、内部に兵士がいれば対処されてしまう。その兵士を処理してサンシャインを無効化する、それまでが放浪者の役割になる。

『中は武装やらそういう装置を詰め込みまくってかなりせめーな。乗り込まれてたら、厄介だぜ』

かなり内部まで侵入しているが、処理した兵士は3人ほど。その厄介ということは、真実という確信を放浪者は抱く。バレットパレードも大詰め、だとしても大きな困難は望みはしない。

素早い足取りで、サンシャインがあるとされる格納庫に向かい続ける。兵士の数も多くなり、必然的にそれは目的のものが存在していることを示していた。

エクスが調べた情報で完成間際とあったそれが、稼働しない状態とは想像できない。すべてが情報通りに研究が推移しているなら、この先は困難が待ち受けている。最後の兵士の首を跳ね飛ばして、格納庫の出入り口を鏡を使って覗き込んだ。

鏡に映るのは、城塞のように見える兵器だった。長方形型、詳しくはわからないが装甲車をモチーフにしているようだ。前方に機銃4門、側面にも何門か機銃のようなものが飛び出している。上部から大きな砲身らしきものが1門と、それより小さいその左右に2門ずつある。大きな砲身は、恐らくメインとなるレーザー発射部分。そして、何よりもデカい。

そう、デカい。分厚い装甲は見るだけでわかり、大型トラックを左右二台分、高さもちょうど2台分ぐらいか。見たこともないこれまた分厚い車輪が前と後ろに2つずつ付いている。そもそもこんな大きさのものが走れるのかという疑問さえ湧く。

だが、間違いなくただの人間がこれに立ち向かうことはできない。戦車という兵器があって、ようやっと攻撃が出来ると判断できるものだ。ただ、攻撃をしてダメージを与えるというだけならば。

けたたましい警報が鳴り、天井が開いていく。そしてサンシャインは昇降機によって地上へと昇っていく。つまりこれは、今このサンシャインはWWPの手によって稼働を始めようとしているということだ。このまま様子を伺うという、悠長なことをしている暇は、なくなった。

瞬時、放浪者は格納室に突入し、地上へ姿を現していくサンシャインに向かって跳躍した。

>>144
ただの防衛装置と、人間が登場した兵器、さぁ、どちらが厄介か。

乙 放浪者はいったいどこまで上っていくのか    

乙!
ちょっと、こんなのガンハザのヴァンツァーとかそんなんに乗ってようやくの仕事でしょ!?
武装があるからって、アルベルト氏みたいに腕立て伏せさえしてりゃ無事って訳じゃあるまいし、生身でする事じゃないじゃんか……!

これ知ってる
コマンド間違えると即死するカプコンの例のアレでしょ?(ゲーム脳)

照明や可動を示すランプにより格納庫が照らされる中を放浪者は駆ける。流石に警戒している相手だけあり、少しの間を置いてから前方の機銃が一斉に放浪者へ向けられた。まだ、昇降機が上がりきらない今、近づいてくる敵に対抗できる手段はそれしかない。

拒絶の咆哮のように、一斉に火を噴く。普通なら、そう普通ならミンチになる運命だ。生身で特攻を仕掛けるなど、牙を持つ鉄の塊に敵う要素など、ただの人間ならば一切ない。

だから、その銃弾の嵐の中から瞬時姿を消す人間は、それでもうただの人間な訳がなかった。

そこにいたはずの人間を見失い、操縦席から機銃を端末で操作する兵士は戸惑っていた。今まで認識していた人間が存在しないはずはない。そしていたとしても、そこには血が飛び散っているはず。あるのは無機質な弾痕だけだ。

端末を忙しなく操作する兵士の視界に、一瞬闇が落ちる。フロントガラスを見上げるとそこには何もいない。だが、他の仲間が何かが上に行ったと声を出した。

敵の侵入を許した、それも今の一瞬の出来事を考えれば、超能力者かもしれない危険な存在を。自然とその緊張感は全体へと伝播していく。

大体の兵器に言えることだが、内部への侵入を想定した作りはしていない。その前に破壊されるか、破壊するか、撤退するかといったことを想定するからだ。もちろん、内部に限らず、例えば外壁部分に張りつかれることも想定しない。

だから、戦車なら歩兵が随行するし、艦艇だとその時点でミサイルや砲は意味をなさなくなる。サンシャインも間違いなく強固で強力な兵器と言っていいだろう。だからこそ同じ弱点を持つ。

そして今、敵は上部にいる。運転席にいる兵士達はほぼ同時にその認識を持った。もちろん、できたとしても通常はそれまで。ぎりぎり相手が人間だったとして、機銃を避けられるほど俊敏な動きをするには、重火器を持つことはできない。この状況でありうることは、設置するタイプの爆薬を所有して、出入りできるハッチを爆破しての侵入程度。エンジン部は外部から破壊できる位置にはなく、それ以外で恐れることと言えば、ハッチではなく足を止めるために車輪を爆破すること。

だがそもそも、相手が超能力者ならばいったい何をしでかすかすらも想定できるものではない。運転席中央にいる指揮官の男は、一斉に武装準備の号令を出した。その合間に一度ガシャンという鉄同士が衝突する音がして、何かが転がるような音を聞いて、サンシャインが大きく内部から揺れた。

少しおいて、対空砲の弾薬庫部分が爆破されたと報がくる。話の状況から、杭のようなものが発射機関に食い込み、手りゅう弾何個か投入されたようだ。言ったように、兵器は間近に接近されることは想定しない、その上、対空砲がある位置はサンシャイン上部。砲の内部に攻撃を仕掛けられた際の対策など、していない。

この状況で、対空砲に配置されていた兵士に死傷者が出ている。弾薬自体が暴発する恐れもあり、急ぎ人員をそちらに回す。

指揮官の男の内情は、黒く蠢く。ただのプロジェクトの試作品を回収するはずが、増援部隊を呼ぶ羽目になり、あまつさえそれも含めて全滅の危機に瀕している。どこで、歯車が狂った? そもそも今襲撃を仕掛けているのは何だ? まだ報告では超能力者を含めた集団と別働部隊は交戦中というのが事実なら、攻撃を1人で仕掛けてきた人間。人間か? 自分の目が捉えていた人型は、本当に、人間なのか?

もはや混乱状態だった。指揮官の男は別働部隊に超能力者の勢力は攻撃を集中させていると考えていた。いくら連中でも、少数、それこそ単独で攻撃を仕掛けてくるはずはない。その読みは大きく狂わされ、内部からかなりのダメージを負わされた。

サンシャインを使えば、状況は幾らか好転する。しかし、その陽の光は曇天により遮られ、イカロスの翼をもぎ取ることは出来なくなりつつある。

「全部隊! 出入り口を塞げ! 絶対に侵入させるな!」

だが、指揮官の男もこれまでに修羅場を潜り抜けてきた人間であることに変わりはない。絶望に蓋をし、この戦いに生き延びる渇望を糧に、部下に指示を飛ばす。不意を突かれ、対空砲を潰された事実は変わらない。だが、それでも変わらないのは相手がこの中に侵入してこれないという現実だ。

対空砲が潰されたところで、実際のところ痛手ではない。手数を稼げる機銃が潰される前にサンシャインを超能力者にぶつけ、細切れにしてやればいい。それが終われば、今襲撃をかけている人間の始末をつける。そう、フロントガラスの前にい――。

強化を施し、そこいらの銃弾では傷もつかないそのガラスが、1本の太い杭で穴があけられて、指揮官の男の右腰の上側を貫き、壁に張り付いた。そして、先ほどやった手段と同じだろう。その穴の中に手榴弾を放り込む。あっという間の状況に誰も反応できず、爆発とともに運転席も内部からダメージを与えられた。

その間姿を消してきた放浪者(にんげん)は、ボロボロになったフロントガラスを蹴破り内部に侵入してくる。中にいた者達は、うめき声を上げることしかできない状況だった。

「な…、ぜ」

指揮官の男は、今の状況の疑問が勝っていた。死ぬのは覚悟できてなかったが、こうなれば諦めの境地だというのもあるのだろう。

「…工具はどんな硬いものでも加工できる。それだけだ」

放浪者(にんげん)が腕を振るうと、指揮官の男は数秒後に意識が途絶えた。

>>150
いやぁ、ほんとにね

>>151
どこぞの動画で生身プレイしてるのは見たけどねぇ。実際にやることじゃあないわな。やっちゃったけど

>>152
何度か周回してる癖に、ナイフシーンは常にハラハラしてたよ



ちなみに防弾ガラスを、釘打ち機でぶち破って宝石を堂々と盗んだっていうのをTVで見たのを思い出してこんなことに。
まぁ、アリス特製のファントムシリーズだしできるよね。うん。

サンシャインの内部の抵抗は激しい。その上、エクスの情報どおり通路は狭く、人がすれ違うのもやっとというところだ。こうなると、いくら放浪者でも、その空間で起きる弾幕の中を潜り抜けて攻撃を仕掛けるのは難しい。彼の殺意なき攻撃や動作は、動きを認識しづらくするだけであり、銃弾が彼そのものをすり抜けるわけではない。

放浪者も、運転席で処理した兵士達から奪った銃で応戦しているが、場は拮抗している。卓越した身のこなし、剣技を持つ彼だが銃の取り扱いについて今一つ。兵士側は扱いに慣れているとはいえ、この狭い通路では有効な攻撃を加えるのは難しい。自然とその場に縛り付けられるのは自然な流れだった。

4つ目に装填した弾倉が空になり、無造作に投げ捨ててリロードしなおす。慣れない長銃の使用は、それなりの負担をもたらしていた。それに、自分に向けられる銃弾の雨は、神経の方もすり減らしていく。それに、この撃ち合いは技能的な部分だけではなく、物資面からも放浪者には不利だ。処理した兵士分の数しか弾薬はないのだから、このまま続ければ先に弾切れになるのは放浪者だ。

だから、この状況を変動させるのに必要な、ちょっとしたきっかけを用意する必要がある。

『OK、まだ引きつけてくれ』

向こう側から激しいタイピング音が聞こえてくる。まだ制圧しきってはいないが、レーザー砲のシステムにハッキングを仕掛けている。対処される可能性は高く、暴走させた際、下手をすれば放浪者も巻き込まれる恐れがある。

エクスも当然止めた、賭けにしてはあまりにも危険すぎる。生身で移動砲台の武装の一部を破壊して、指揮官らしき人間を処理できたならそれだけで十分すぎる戦果。そう説いた。だが、それ以上を考える放浪者の答えは当然ながら拒否だった。

放浪者の考えるそれ以上、今後のDJフレンドの安全確保だ。発見され戦闘中のはずと考えられる彼らは、まだDJフレンドとは知られているはずもない。それはまだいいのだが、このWIPの襲撃に関連した生存者達と判断されることがまずい。恐らく、虱潰しにするように探し出そうとするだろう。

だから、生半可な勢力だと判断されるのが一番怖い。下手に手を出せば自分達もやられかねない。強大な相手だと思わせることが重要だった。

それには、このサンシャインの破壊は効果的だ。城壁を思い起こさせる巨大な移動砲台。惨劇後にそれを破壊できるほどの戦力があるところなど、WWPも想像しないだろう。

大きくキーを叩く音の後、銃弾が一瞬だけ止んだ。それを待っていた放浪者は通路へ飛び出し、奥にいる兵士へ向かいブースターを使い弾け飛ぶ。

人がそれこそ高速で飛んでくる、システム暴走の報を受け士気が乱れている彼らに、その乱れが拍車をかける。このサンシャインと同じく、許してはいけない接近をされ、斬り払われていく。

点と線、範囲だけ考えても近距離でどちらの攻撃が危険かはいうまでもない。それに加えて、銃には狙うという初動作が必要。同じようにナイフに切り替えるとして、抜き身の剣と収納しているナイフ。リーチの差もあれば、取り出すまでのわずかな時間も、この場合致命的な時間だった。

それはあまりにも瞬間的な出来事だったが、そう片付けるにはやはり甚大な被害だった。対空砲の弾薬庫の暴発を防ぐために移動していた兵士達は、壊滅を余儀なくされた。

「…ナビゲートを頼む」

暴走を止められるわけにはいかない。まだ残存兵力がいるであろう場所の案内を、彼は依頼した。

サンシャインを載せた昇降機はすでに上がりきり、その姿を工場地帯の一角に晒していた。その姿は、放浪者が感じたとおりに威圧的ではあった。しかし、対空砲から煙が出、フロンドガラスが叩き割られた状態を見ると、城壁のような圧倒は薄まっている。

その状態で、奇妙な、振動と言えばいいのか。何かがサンシャインから発せられていた。それは徐々に増幅していき、それを感じる範囲を広げていく。

ついには、サンシャイン自身が振動していることに気付く。内部で何かが起きていることは間違いない。入り込んだ侵入者が何を仕掛けたかを考えれば、起きている事態は想像に難くない。

そしてしばらくして、ガラス部分から強烈な光が内部から照射された。その光を浴びた周囲は焼かれていく。その後、上部が大爆発により吹き飛び、上空へと大量の光が放出された。

天へと飛ぼうとした者の羽をもいだ光、暗闇に映える光は、まさしくそれを形容しているようだった。

その後、サンシャインからの光は電源を切ったように消える。残ったのは陽の光に溶かされ、内部からの爆発によって砕かれた鉄の塊だけだった。

サンシャインの崩壊の姿を見ている者達がいた。DJフレンド達に攻撃を仕掛ける別働部隊、その地上で待機している兵士達だった。それが何であったのか最初はわからなかった、しかし、それが自分の目的のものであったことに気づき、それは同時に破壊された事実を突きつけられることでもあった。

戦慄が奔った。それもそうだろう、サンシャインを破壊に至れる戦闘車両の姿はどこにもないのだ。それどころか重火器を使ったような爆音があったかも怪しい。そういったものを使わずにあれを破壊する、事前に受けたブリーフィングで受けた能力を考えて、想像できない。代わりに想定は出来た。

「全部隊、撤退開始! サンシャインは破壊された! 繰り返す、サンシャインは破壊された! 地下にいるのとは別の敵と想定され、先発隊も壊滅と判断して相違ない! 繰り返す、撤退を開始しろ!」

その想定は、別の超能力者達による攻撃。それ以外にありえない。それに、今地下にいる超能力者グループは時間稼ぎと思われる行動をしていたのは、逃げる時間ではなく、自分達をこの場に留めることが目的としていた可能性が高い。そして、サンシャインを破壊できる超能力者ならば、自分達は吹けば飛ぶような存在だと言っていい。

「こちら、WIP回収後続隊! 作戦は失敗した! 超能力者達が待ち伏せを仕掛け、サンシャインは破壊。先発隊は壊滅している! 後続隊はこのまま撤退する。本部の許可を待つつもりはない!」

乗ってきていた車両に次々と乗り込み、WWPの残存勢力は工場地帯から退避していく。静けさと、陽の光により燃える草木があるだけだった。

乙!
これはWWPからすれば、サンシャイン回収部隊の内部分裂と捉えた方が自然に思えそうだな……(汗

DJフレンド達は、しばらく地下道に籠ってからエコーの音響探査の結果を基に、地上へ移動していた。激しい戦闘があったにも関わらず、ゾンビの姿がないのが救いだろう。過去には、強力な武力を持っていた裁判所の勢力が周囲の処理を進め、DJフレンドも定期的に経過をしている。元々、人がいる地帯ではないことを含めると、このあたりにはあまりゾンビはいないという事実だろう。

フレンド達もサンシャインの残骸にすぐ気づけた。陽の光によって燃える周囲が、その場所を照らしているからだ。急いでその場所に全員向かう。フレンドの依頼通り、放浪者はサンシャインを破壊した。その放浪者の姿は、どこにもいない。無線を使って呼びかけても、返答はない。

「まさか…」DJフレンドから言葉が漏れる。何があったか想像できない。しかし、もはや事が終わったというのに放浪者が姿を現さないということは、何か予期しない事態が起きた。最悪の場合。

サンシャインの周辺を探すようフレンドは指示を出す。もしかすれば負傷して動けないでいる可能性もある。それ以上のことは、考えることを放棄した。まずは放浪者の痕跡を探すことが先決だった。

「……何も聞こえない」

エコーの呟きも、フレンドは頭の隅に追いやった。

「おにーちゃん、どこー?」

天真爛漫と言えるフェアリーも、心配そうな様子で飛び回るのが印象的だ。

DJフレンドと新井がサンシャイン内部を探索しているが、ほとんど熱で変形している状態。彼等にはサンシャインの詳細は知らされていないが、内部が融解した状態から考えられない高音が発生したことは伺わせた。もしこの中に人が留まっていれば、跡形もなく消えてしまうだろう。新井は首を振り、DJフレンドは更に奥へと入っていく。

「…あり得ないよ。放浪者さんが、こんなことでやられたりしないよ」

「ミーシャ……。まだやられたって訳じゃねぇ。あっち探してみようぜ」

放浪者の実力を知る者は、そういうことが起きたという可能性すら否定していた。

「殺されてしもたんやろか…。ご無体な、自分らを守るために…」

「この惨状では、そうだとしか…」

その惨状という言葉は、香坂の意図は少し違っていた。サンシャインの破壊された事だけではなく、その周囲に斬り伏せられた兵士の死体の数だ。放浪者が単騎で行動していることは、当然周知のことで。その上で、目の前の死体分、彼は相手にしたということだ。

それは、到底信じられないことだ。どう戦おうとも、自分の中の戦闘能力(じょうしき)で解を出すと、不可能の文字しか浮かびあがらない。そして、目の前にある巨大な兵器の残骸。WWPが自ら破壊する理由はない。恐らく、この惨状に対しての対抗として起動し、そして放浪者がこうするに至った。どうやったかまでは、想像さえもできない。それに、彼女は身震いする。

「この音は…」

エコーは何かを捉えた。何かが高速でこちらに近づいてくる。その音は、エコーには一度聞いたことのあるものだった。

今はもう、WWPはここに来る理由はない。それでいて、高速で移動できるものを持っている存在がなぜこちらの方面に向かって移動しているのか。エコーは、音が聞こえる方、闇に向かって聞き耳(ぎょうし)した。

聞き覚えがある音は、迷いなく一直線に近づいてくる。風切り音と、その上に何かが存在しているような音が特徴的。ついにその音は、周囲の炎に照らされる形で姿を現す。フロートボードに乗った、放浪者その人である。

「…どうした、何かあったか?」

周囲の状況を見て聞いてくる。自分が探されていたなどというのは、露ほども思っていない様子だった。彼が着陸した近くにいたファイブキラーが、今の状況と今まで何をしていたかの尋ねる。

「…あぁ、別働部隊の追撃だ。1台は残して殲滅しておいた」

さらりと、とんでもないことを言ってのける。拠点にいるメンバーなら驚きもしなかっただろうが、聞いていた人間は絶句した様子を見せる。例外としては、超能力者の2人は反応はなかった。

騒ぎに気づいたDJフレンドが、サンシャインから出てくる。そのまま放浪者に気づいたフレンドは彼に走り出し、礼を言う。

「…任務も終了だ。悪いが急ぎアジトに戻り、フロートボードの充電を頼む」

それでも放浪者、いつも通りだった。

>>164
まぁ、確かにいろいろ錯綜してるからねぇ・・・。


>>165の修正
×陽の光によって燃える周囲が、その場所を照らしているからだ。
○陽の光によって燃えた周囲が、その場所を照らしているからだ。

>>166の修正
×サンシャインの破壊された事だけではなく、
○サンシャインが破壊されている事だけではなく、

乙乙

1日でこれだけの事が起きたの?マジで?
WWPからしたらレジスタンスか芸良達かと考える事あって大変そうだが残した部隊がどんな風に報告するのやら

最初のスレじゃ生き延びるだけで精一杯だった放浪者が今では立派な戦闘マシーンに
やだ素敵

WIPの回収部隊は、壊滅状態に陥っていた。唯一残った後続部隊の兵士達も、仲間が無残にやられ配送するしかできることはない。残った指揮官も失い、頼みの綱は残された無線だけ。だというのに、今から連絡しようとする中性的な兵士は、どこか淡々としている。別人だが、最初に放浪者が処理した指揮官に報告した兵士と、同じ雰囲気を漂わせていた。

後続隊も大多数失ったこと、その原因を読み上げるのように無線から告げる。事務的な冷たさがあった。

この結果は、WWPにとって損失でしかない事態だ。責任をとれる上官がいれば、どんな処罰が下されるかもわからない。彼らにとって最悪なのはWIPに残されたプロトタイプ、サンシャインは完全に破壊されている。一部回収されたデータの解析が進み、再現はできるかもしれない。しかし、惨劇後の世界は物流は止まり、必要な物資を収集できる見込みは薄いとなれば、そのプロトタイプを確保できることが、一番の成果。その機会は永遠に失われてしまった。

そして報復すべき判断する相手は、WWPの間でも始末に負えないと評されている、あのPCPで生み出された連中。縛るべき鎖がない、超能力者。

ただ、驚くべきことはWWPにはあった。超能力者たちに共通する、自分は人間とは別であるという認識。その特異性ゆえに排他された彼らは、人間を憎んでいる。徒党を組むとすれば超能力者同士でのみと思われていた。それが今回、人間と共闘していたという事だ。

それは更に厄介さを増したという事だ。超能力は程度があれ、脅威に変わりない。だが、人数は少ない。それは勢力維持の観点でかなりの不利を意味していた。だから、WWPも『ある程度』の無視を決め込むことができたのだ。

とはいえ、事ここに至りその判断は早急に切り替えなければいけなくなった。手を結んだ人間が、超能力者の力を発揮できるようサポートするだけで、被害は拡大していく。それこそ、今回のようにだ。

状況からして目撃はされていないが、PCP時代のリーダーである芸良が今回の指揮を執ったと考えていい。どこで今回の任務を知ったかは不明でも、ハッキングにかかわる超能力者がいなかったわけではないし、人間の中でそういったことに長けた人物がいてもおかしくはない。

もはや全力を持って叩かなければいけない勢力に成長している。連絡を受けた本部はそういう認識になった。

詳細を知りたい本部は、指定した救助ポイントへ向かうよう指示し、車両はそこへ向かって走る。あそこまで苛烈に攻撃を仕掛け、なぜ自分達が生き延びられたのかという疑問は、もう少しでこの任務が終わるという気持ちで忘れ去られていく。

先ほどの感情がないように見えた兵士にしても同じことだった。脳裏には仲間の無残な姿が焼き付いている。思い出すたび、身体が震えた。それは他の生き延びた仲間も同じ。忘れ去られていくと言うよりは、忘れたいと言うべきだ。

まだ、今この時も空中から強襲を仕掛けてきた人型が、自分達の隙を狙っている。その想像は恐怖を胃の奥底からこみ上げさせる。惨劇後は死が常に纏わり付いてくるが、それでもこれはその中でも異質だ。

捉えられず尋常ではない体捌きで襲われる。瞬く間に、頭を胴体を、時には四肢を、仲間の体から分断される様は、地獄絵図と言わなければなんと呼べばいいのか。

それはまるで死、そのもの。それが具現化して仲間を襲った。超能力さえも超える、超常現象のよう。それが、生き残りの兵士達の心を蝕んでいる。

乙!
そんなどうしても逃れようのない現象の様な人物が生まれるに至った原因(ゾンビ化物質散布)はWWPが作り出した訳だからな
いつか壊滅させられる時が来るなら、それは因果応報と言う以外に無いね

「あなたは何者なの?」

出発準備を進めている放浪者に、エコーは当然とも言える質問をした。超能力者といっても、今回のサンシャインの破壊ができる存在は限られてくる。エコーの持つ超能力についても攻撃能力は存在するが、あの城壁のような装甲には無力だ。次にフェアリーならば、単体ならば何も問わず浮かすことができる。だが、近づかなければいけないという部分でいくと、奇襲以外だと大きな危険が伴う。

超能力者であってもそういう状況なのだから、いくらファントムシリーズを有している放浪者と言えど、そこから更に困難が伴う。その事実が、超能力者であるエコーにとっても、驚愕するしかない。

「…そこいらにいる生存者と変わらんさ」

ありえないと言ってやりたいが、その音(こえ)は本気でそう思っていた。わかってしまうと、それ以上に追求もできない。そういう人間なのだと思うしかない。「そう言うなら…」としか言えなかった。

準備が終わった放浪者が、近づいてきた。軽く身構えるエコーに差し出されたのは、右手だった。

「…しばらくの間、よろしく頼む」

逡巡してから、エコーも手を差し出して握手を交わす。無骨な手だったが、握り返す手は優しかった。

今後のことを含めて、DJフレンドと放浪者は放送室で会議をしていた。まず、フレンド達がこの場所から退避するかについてだったが。

「…必要はない。今回の件、どうも奴等は超能力者の集団によるものと誤解したようだからな」

WWPの追撃時に、兵士達が超能力者だと叫んだことを放浪者は聞き逃さなかった。そして、それは都合のいい解釈と言えた。DJフレンドの勢力がいたと言う事実を覆い隠せる暗幕になる。

「エコー達がいたのが幸いだったということだね…」

だが、利用すると言うことは彼らにとっては気持ちがいいものではないだろう。誤解を受ければ、不和を受ける可能性さえある。

「…俺から説明するつもりだが、エコーのことだから聞いているだろうな」

隠し事をするつもりはなかった放浪者は、あえて放送室の扉を開けて話をしていた。彼にとって普通だが、今回の戦果でエコーが自分にあまり良いとはいえない印象を受けたのを感じたからだ。

だから、少なくとも敵対する気はないこと、何かに利用する気はないことを理解してほしいという考えがあった。

「それにしても、ここいらの発電がWIPという関連のものだったなんてね」

工場地帯のみならず、周辺で電気が使えていた理由は、サンシャインのメインであるレーザー砲への充填用の発電システムによるものだった。DJフレンド達も発電所等がたまたま生きているのだろうとしか思ってなかった。

電気を必要となる活動をしているフレンド達にとっては、プロジェクトの副産物を享受していたことになる。皮肉な事実だが、それによって得られる強みは、他の勢力の人間にはないものだろう。

「…しばらく外には出ないほうがいいだろう。新井達のことも頼む」

危険な勢力と判断されただろうとはいえ、実際に起きた被害やその勢力の位置を把握しようと動くことは想像できる。当然、生存者がこの周囲をうろついているとなれば、関連する人間と判断して捕らえようとするのもまた、必然の話だ。

危機を完全に脱したわけではない。しかし、脱することができればしばらくDJフレンドの安全は確保できる。そしてここからはもう、フレンド達が成すべきことだ。

開けられた扉がノックされる、そこにいたのは香坂の姿。神妙な面持ちで、放浪者と話がしたいとのことだった。話をしなければいけないことは大体終わり、DJフレンドも全体への周知の為、放送室を後にする。

扉は閉められ、二人きりになる。だからと言って恐縮する様子もなく、彼女の眼には強い光が宿っている。

「単刀直入に聞きます。貴方は本当に、ただの生存者なのでしょうか?」

少し食傷気味になる程度に、聞きなれた言葉だった。それだけに、そうだとしか答えようがない。

「ただの人間がこんなことができるとは思えません」

香坂の胸中にあるのは、畏怖。あの惨状は、彼女の眼にも焼き付いていた。だから恐れている、ここまで一緒にやってきた2人の仲間、それが何かのきっかけで同じ目に遭う事を。

放浪者はしばらく黙した。有効な言葉が浮かばないというのもあるが、ここまで来た自分の軌跡を思い出していたからだ。相棒、山中と会うまでは一介の生存者でしかなかったのは事実。しっかりとした休みはあまり取れず、武器もわずかにしかなかった頃、ゾンビ、そして兵士といった人間相手にここまで大立ち回りをすることは、想像もしていなかった。

けれど、それが自分だけの力でやっていると、放浪者は思ったこともない。全てはメンバーに支えられてきたからこそ。探索組と共に危険を退け、回収組のおかげで背中を任せられ、警備組がいるからこそ拠点で穏やかに過ごせる。

手を結ぶ者たちの存在もそうだ。研究所のサポートにより困難を切り開き、DJフレンド達の放送で世界は動いていることが知れる。保安官の店で語らう事も惨劇前の幸福を思い出させ、ハンターの苛烈さを見て現実を再確認する。千護達の切実な誓いが希望を思い起こさせる。

そして、今目の前にいる若き香坂達も未来に託せる存在として、彼は見ている。

「…俺はただの人間に違いない。俺一人でここまでやってこれた訳じゃない。君達と同じく、俺を信じてくれる人間がいたからこそ、死なずにやってこれた。この力も、そのおかげで得た。それだけだ」

そう語る放浪者の目は、とても穏やかなもので。それは衝撃的なものだった。彼女の印象は冷たく、彼の鋭い目が強く残っていたからだ。

>>169
1日で起きてるんじゃよ。
結果はこういう風に誤認した感じやね

>>170
人間というか、もはやそのまま放浪者というくくりよね。彼は

>>174
まぁねぇ。でも末端の人間ならそもそもよくわかってない可能性もあるからねぇ。



>>171の訂正
×仲間が無残にやられ配送するしかできることはない。
○仲間が無残にやられ敗走するしかできることはない。

乙!
んで、サンシャイン騒ぎの熱も冷めやらぬ内に拠点に出戻りか……予想された襲撃に、放浪者はまた顔を顰めるだろうな

「…ではな、しばらくは気をつけてな」

ここにいるすべての人間は、屋上に集まっていた。放浪者達の見送りの為だ。彼が来てから少ししか経っていないように思えるが、もうまもなくで、1日が経過しようとしている。

フロートボードの上に、放浪者、エコー、フェアリーの順で乗っていて、放浪者とエコーはアクシデント時に備えて腰と腰をロープで結んでいる。バレットパレードの任務の終了は、まだ真の意味で終えていない。WWPに気取られず、『無事』に戻る。それが出来てこそ、この任務は完璧な遂行となる。それが分かっている放浪者に、いつも通り気を抜いた様子はない。

窮地を救った英雄は、いつも通りの様子で飛び立っていった。また、惨劇後の日々が戻ってくるように感じられる。しかしまだ、この戦いの余波は残っている。ここまでのお膳立てをしてくれたことを、水泡に帰す訳にはいかない。

その思いを胸に、DJフレンドは全員に戻って身体を休めるよう、指示した。

用意された部屋に戻る最中、香坂は放浪者の言葉を反芻していた。畏怖する気持ちは残っていたが、あの短い間での会話でそれはだいぶ薄れている。この世界において、彼が実直な人間だと理解できたおかげだ。

『…もし、君達の目的を無事に終えたら、ここでも俺たちのところでもいい。戻ってきてくれると助かる』

WWPが親の死にどう関わっていたのか調べ、どうなるにせよその後に3人でどこかの場所で拠点を構えることになる。そういった事を話し合ったわけではないが、そんな未来を彼女は想像していた。だから、戻れる場所などないと思っていた。それはもう、失われたものと考えていたからだ。

自分達を迎え入れてくれる場所があること、それも大切だが、重要なのは失われないこと。その経験を色濃くしている香坂にとって、その事の恐れは人一倍だった。畏怖するほどの力を持つ放浪者がいる場所、あるいは関連する場所(ここ)なら、その心配は他よりは低い。その提案は悪いものではなかった。

「どしたん、香坂」

彼女の様子に気付いた大倉が話しかける。マイペースないつもの調子でいることに、落ち着きを感じる。部屋に戻ったら話す、それだけを伝えた。

『じゃあ、あんたらの帰還を待ってるぜ。伊吹が残るから、なんかあったら言ってくれ』

エクスとのやり取りも終わり、聞こえてくるのは風切の音。WWPの別同部隊追撃時に無茶をさせたが、今のところ不調の様子はない。

「あとどれくらいでつくのー?」

離れた位置にいるフェアリーの声が、風切の音の中でも鮮明に聞こえた。彼女が大声を出しているわけではなく、エコーの超能力によって聞き取りやすくなっている状況だ。1時間程度と伝えると、眠いと訴えられる。

「フェアリーの力が頼りなんだ。しっかりして」

「あいあいあー」

少々不安な帰路ではあるが、その能力は電力消費を抑えるのが目的だ。今のままでいけば、戻るまで余裕はある。夜空も程よい闇を提供してくれている。WWPの調査隊と鉢合わせにならない限りは、このまま姿を消して移動できるだろう。

サンシャインに関わる戦いの熱は、夜風によって冷めていくのを放浪者は感じていた。


身体が夜風によって冷え切った頃、放浪者達は無事に研究所の屋上へと降り立った。危惧していたWWPとの遭遇はなく、拠点という存在を気取られないままの帰還だった。

出迎えに来た野木主任達と共に、放浪者は今回の結果報告を含めて会議室へと向かう。その場に残されたのは、エコー、フェアリー、そしてビジョンの3人。

「ひひひ、無事で良かったーよ。エコーの旦那」

「うん…。そっちも、無事で…、良かった」

思わず泣き出すエコーの頭を、フェアリーが心配そうになでる。ここにきてようやっと、探していた仲間が2人も見つかって安堵したのと、サンシャインに関わる戦闘の緊張も相まって、緊張の糸が切れたようだった。

「くくく、疲れただろーさ。部屋は準備してもらえたかーら、案内するーよ」

それに対するように、ビジョンはいつも通りの様子で案内しようと背中を向けて屋上の出入り口へ歩き出すが、エコーは戸惑ったようにその場に立ち尽くしてから、ただごめんと謝った。ビジョンは立ち止まる。

「ききき、誰もエコーのことを責めちゃいないーさ。本当に、無事で良かったーよ」

「…うん!」

仲間に拒絶されたらどうすればいいのか、そう思っていたエコーに、その言葉は優しく染み渡った。

>>181
どんなに熱くてもいずれ熱は冷めゆく。まぁ、放浪者の場合は次々烈火の中に飛び込んでいきそうだけども。

乙!
また、一つの事態の鎮静化と、感動の再開……でも、ここからが殊更にキツいんだよなぁ

長い一日だったな。疲れはだいぶ残っているが、今後の為に簡単に情報は残すことにする。

バレットパレードは588日目に行われた、DJフレンド勢力下に置けるWWPを含めた脅威の排除、及びエコーの回収を目的としたもの。用意された時間は、拠点の状況もあり24時間。選出されたメンバーは俺とフェアリーの2名だ。

到着後すぐに、情報提供者と名乗っていた3名の学生グループと接触。事前にエコーから悪意ある勢力ではないと聞いていたこともあり、処理はせず説得。結果はDJフレンドと3人の会合を設けることができた。

3人を連れてDJフレンドの待つ場所へ移動する際、そのメンバーの香坂が話したことによるトラブルが発生。そのグループの兵士を処理することになった。

早朝を迎え、その後のWWPの動向を偵察した後、DJフレンドの隠れアジトに戻りいったんの休憩を取った。

夕方から任務を再開。すでに慌ただしい動きを始めていたWWPの簡易キャンプに潜入。報告を受けていた指揮官らしき人間を処理した後、エクスのハッキングによりWIPという計画の為に活動していることが判明。

その直後、DJフレンド達がWWPの別働部隊に発見され交戦状態に。隠れアジトから別の避難場所に移動の際に見つかったのが不幸中の幸いとなった。この状態を打破する為に、WIPにより作られた、サンシャインの破壊が必要となった。

サンシャインは巨大な移動砲台。衛星をも破壊できるレーザー砲を持ち、そのほかの装備として対空砲2門と多数の機銃を備えていた。印象的には、移動する城壁のようだった。

破壊する手筈は、そのレーザーを発射する為の装置をエクスのハッキングで暴走させ内部から破壊。ただ、サンシャインはすでに兵士が乗りこみ稼働していた為、そのハッキングが妨害を受ける可能性もあり、突入。

危険はあったが、無事にサンシャイン内部の投入が完了し、内部の兵士を処理。暴走による自壊にギリギリのところで巻き込まれずに脱出した。
(どうもこの際、DJフレンドから借りていた無線を落とした模様)

サンシャインの破壊を確認した別働部隊が撤退を開始。急ぎDJフレンドの隠れアジトに戻り、フロートボードを回収して追撃。

警戒はしていたようだが、統率のない状態で移動していることもあり、奇襲は容易だった。この際、超能力者の襲撃と叫ぶ声を聞いたこともあり、全て処理する予定だったが、1台は見逃して別勢力による戦闘と報告してもらうことにした。

追撃後に戻ると、DJフレンド達に死者は出ていなかった。連絡できないまま追撃したこともあり、俺がやられたかの心配をかけてしまったようだ。

結論として、バレットパレードは成功を収めた。期間の際もフロートボードの不調もなく、WWPと鉢合わせせずに済み。エコーも連れてくることができた。

拠点ではなく、研究所に来たのは、任務の報告もあるがフロートボードをサンダーボルトへの改修と、エコーをビジョンに会わせるためだ。後はBAPの具体的な進捗についてもだな、EVEがいない状況が続くのはきつくいったん戻せないかの相談も必要だ。

明日も明日でまた忙しくなりそうだな。もう眠るとしよう。

4月1日

警察署エリアの制圧作業については、例の亜種の襲撃により中断状態となった。襲撃を受けたのは井門さんを主体とした一ノ瀬さん、林道さんの3名。運悪く、井門さんが集合地点の確保と他2名が周囲の探索で分かれた所で攻撃を受けた形となった。

その襲撃について、どうやらコマンダーゾンビ系列の亜種が2体いることがわかった。以前、フェアリーが目撃した斧を使う亜種と、更に剣と盾を使う亜種。林道さんが言うには、ゾンビを操る能力は健在でも、人間の思考は読めていないようだったと話している。

井門さんは1人で襲撃を受けたこともあり、そこまでの推察が出来る状態ではなかったと答えている。ただ、前の襲撃を受けた際も、予想よりあっけなく攻撃が当たったという証言は出ている。彼の推測は、恐らく正しいだろう。

次の襲撃があれば判明すると考えられるが、しかし一番手っ取り早いのはその襲撃の際に処理してしまうことだ。そうすれば、パラノイア以外のコマンダーゾンビに悩まされるということはなくなる。

もっとも、それができるまでは2人1組での活動は絶対になる。この状況下で1人でいるのは、あまりにも危険だ。


山中沙奈 記す

「はぁい、DJフレンドだよ。世紀末の世を生きる皆さんこんにちは」

「4月を迎えることができたね。この国ではこの月がいろいろな始まりな訳だけど、この世界ではもう、始まりは自分で進んで行くことなんだろうね」

「さて、オンライン上は珍しく情報が錯綜しているようだよ。とある地域で、謎の光を目撃されたみたい」

「自分は見ていないから詳細はわからないけれど、結構な数の報告があるから、多分何か起きたんだろうね」

「懸命なのは君子危うきに近寄らずかな。多分何かの爆発とかだと思うから」

「ただ、それだと説明がつかないところもいくつかあるんだけどね…。調べられればいいんだけど」

「とりあえずの注意喚起の放送だよ。皆も何か起きているような場所に近づくなら、可能な限り慎重にね」

「さて、ここいらで音楽を1つ。とあるところからお勧めされたのなんだけど、アニメ『けものフレンズ』より曲目『ぼくのフレンド』。よくは知らないんだけど、有名らしいね。聞いてみたけどいい歌だと思う」

「それでは良い終末を」

【とあるところ】
「やった」

「大倉、何もフレンドさんのとこで聞く意味あるの?」

「このリク自分のだし」

「……。何してるの貴方」

「いいじゃん。他でもマジでリク受けて放送したみたいだし」

「放浪者さんのところかな…。あまり迷惑かけないでね」

「香坂はそういうところ、マジで真面目だよね」

「ここに居させてもらってるんだから、当然でしょう」

「香坂も何かリクすればいいのに」

「あんまり音楽聞いてないからわかんないよ」

「ふーん、じゃあ一緒に聞こうよ」

「本当に貴方は自由ね」

>>187
うん、言ってしまえば一つのことが終わった。それだけなのよねぇ。



長い一日とはいったけれど、まさかここまでかかるとは。まぁ、ちょっと毎日やれてなかったのが原因だけれどもね。
これにて588日目、バレットパレード終了と相成ります。

乙乙

日記の読者(物語の中の人)から見たらあっさり流されてるけど実情を知ってるメタの俺たち的には長い1日だったなw

放浪者的には第一次パラノイア襲撃の1日がもっとも一番長く感じたんだろうなぁ
そもそもそんな余裕さえ無かったか

五百八十九日目

警察署エリアの制圧作業は進んでいる。今日で予定していた緩衝地帯エリアの確保は完了している。話に聞いていた新たな亜種二体の襲撃は無かったのは幸いだが、明日の最終点検時に襲ってこないとも限らないだろう。処理するまでは警戒を怠ることはできない。
(二体の亜種については、それぞれソードマン、アクスマンと呼称。発案は佐原だ)

EVEについては研究所にまだ残ることになった。当人が残ることを望んだからだ。選択をしたと言う以上、それはEVEの中にあるAIが自我に目覚めた。ということなのだろうか。それが良い事かはわからない、映画ではそう言った存在は人間に関して反旗を起こすというのはよくあることだ。しかし、相棒の父が人類と共に歩む新たな存在だというなら、俺はそれを信じることにする。

エコーについては拠点の活動の協力をしてもらえることになった。今のところ探索組として活動してもらうことにしている。本来なら回収組か警備組に回ってもらいたいところだが、パラノイアの件を考えると今探索組に回せる人材はいくらあっても足りないからな。

DJフレンド達については、今のところ特にWWPが来る気配はないようだ。できれば来てしまってそのまま去ってくれた方が話が早いのだがな。こればかりは仕方がない事か。

レポートNO.150

井門圭司


警察署エリアの制圧も、何もなければ明日で無事終了って訳だ。長かったような短かったような気がするな。パラノイア襲撃までには間に合わねぇと思ってたんだが。いや、考えようによっちゃあ、今受けてるあの亜種共の攻撃、パラノイアが仕向けてるやつだろうな。

林道さんが言ってた、亜種は俺らの思考を読めないってのは同意見だ。じゃなきゃ、あの時俺はとっくの昔にくたばってる。あの消火斧当たりでも喰らうか、かなりうまく包囲されて、そのどっちかでだ。

佐原のつけた、あのアクスマンか。妙な縁が出来ちまったな、奴に取っちゃ俺は仕留めようとしてし損なった相手、コマンダーゾンビが脳の肥大化でゾンビをコントロールするっていうんなら、感情は間違いなくあるだろう。しつこい奴なら、俺を狙ってくる可能性は高い。

その時はきっちり迎撃できるかってところだ。自信はあんまないな。放浪者さんはパラノイアに目を付けられてる見てぇだけど、それに比べりゃいくらか気楽だろうけどな。

4/2 担当勝 朝

なんか新しい人来た。エコーっていうらしい。

女の人なのに自分は男って言ってる。変なの。


担当喜読 昼

WWPの手による超能力者ということなので、何らかの影響なのでしょう。

しかし、本当にこの場所はいろんな方が来る場所ですね。


担当フェイ 夜

いろいろ来るのは良い事だよ!(笑顔の絵)

エコーはいろんな音が聞けたり操れたりするって言ってたよ

でも、操ってどうするんだろう?(疑問の顔の絵)

放浪者さんは無事お帰りに、それでお話には出てた超能力者さんは無事お連れになりました。まる。

いやもういろいろやりすぎててこの程度普通に思えちゃうのが怖いかなー、なんて。

更に聞くと、どうもサンシャインなる兵器があったようで、それも単騎で破壊したとかなんとか。

メンバーの皆様方もあんまり驚いてなかったというか。新しい方は驚いてはいましたけども。

しかし、そのサンシャインというのを使えないのは残念というか。そこを移動拠点にしたら楽そうですし。

でもWWPの目をかいくぐるのは難しそうですから、結局危険かな。

後は学生さん達の勢力もいたそうな。同盟ということで手は結んでますがフレンドさんのところには残らないご様子。

それでも、こうやっていろんな活動をしている人と繋がれるのはいいことでしょうし。他の地域とかもそういう方のおかげでわかる訳で。

後は今後のエコーさんの様子に注目ですねー。

【それが正常】
「……」

「あれ、門日先生。どうしたんですか?」

「あぁ、三間君。ちょっとね、心の整理がいろいろと」

「心の整理ですか? 何か悪い事でもあったんですか?」

「…三間君は、放浪者さんの話を聞いてどう思ったのかな?」

「えーと。いつも通りの放浪者さんだなって」

「そ、そうか」

「あ、エコーさんがちゃんとやってくれるのかが心配なんですか?」

「それはそれとしてだね…。そもそも今回の、バレットパレードだったね、それが1人でやるどころか時間的なものが少なすぎると思うよ」

「そうなんですかね? 俺ずっと警備組だし、放浪者さんはいつもそれぐらいやってたんで…」

「…うん。いやいいんだよ。自分の考えすぎなんだと思うからね」

「そうですか? でも何かあったら言ってくださいね」

「うん、ありがとう」

「(なんだか自分が正しいのかわからなくなってきたね…)」

>>193
しばらく話せるほど濃密な1日も、要点だけ書き起こすと短く。

襲撃時は突発的かつ放浪者ですらかなりの疲労があったからねぇ。体感的にはむしろ短いかも。



久しぶりの形体に戻ったらそれはそれで書きづらくなっているという。ペースはこれぐらいを維持できればなぁ

乙!
無事ラジオも再開して、放浪者達も普段通りの苦境へ(汗
EVEの関連もどうなる事やら

明らかにその存在は執着を隠そうとしていなかった。あの標的は1人でいる。あの数の部下を退け、自分の攻撃さえも防いで見せた。仕留められると考えていたアクスマン、そう名付けられた亜種はその対象である井門を付け狙っていた。

男は今日も1人である地点を守っている。部下の視線から男を監視し、襲うタイミングを計っていた。同じミスを犯すつもりはない。今度こそは仕留める。その気概に溢れていた、部下の視界が消えていく中、それでも下す指示は突撃だけだ。

攻撃は手筈通り、2方面から井門をゾンビで挟撃する。銃を持った攻撃は強力で、すぐに倒せないのはわかっている。そして、時間をかけていれば奴らの仲間が増援として駆けつけてくることも。つまり、短時間で一気に近づかなければいけない。

部下による攻撃の成果は期待していない。壁として利用し、そして持っている消火斧を持って仕留める。近づけば近づくほど響く銃声に臆することもなく、アクスマンは紛れるように井門へと近づいている。

包囲網は狭まり、一気に近づけば攻撃を仕掛けられるところまで近づいた。アクスマンは、持っている消火斧を強く握りしめた。

「獣は飛び込んだ!」

井門は無線越しにそう叫んだ。アクスマンは咄嗟のことで反応できなかったが、意味は理解した。分かれて行動していたはずの男の仲間達が、自分達を包囲している。

「なぁ、アクスマンよ」

自分のことに気づいていた男は、こちらを睨みつけ、真剣な表情で言った。

「これが、人間が得意な戦術ってやつだ。卑怯なんて言うなよ?」

銃弾が飛んでくる。寸でかわしたが、また部下が何人か失われた。この壁も、いくつもの視界が急速に消えていくことを思えば、長い時間は持たない。そして、今は逃げ場のない包囲を自ら味わっていた。

自分が消える。考えたこともなかったことに、アクスマンは言いようのない感覚を覚えた。それがなんであるかは理解することはない。しかし、その感覚に押されたように、アクスマンは井門に飛びかかった。消えるのであれば、敵を一人でも始末する。無意識の覚悟を決めたからだ。

「なめんな!」

不意を突かれなければ、兵として、そして惨劇下の修羅場を潜り抜けた強者の一人。それが井門だ。見え見えの攻撃を流し、ウェーブナイフで首を一突き。

「じゃあな」

素早く引き抜いて、今度は頭部に刺しこまれる。程なくして、アクスマンはその意識を永遠に失った。

五百九十日目

警察署エリアの制圧に関する最終点検は終了した。これで、警察署エリアと高速道路エリアを結ぶ緩衝地帯の確保が終了したということだ。後残されているところは、大型駅エリアの探索。というところか。

こちら側の朗報としては話に出ていた亜種の一体、アクスマンを処理することに成功した。作戦の立案は井門、前回の襲撃で殺しきれなかった自分を狙ってくる可能性が高いことから、囮を買って出た。通常のコマンダーゾンビなら全く賛成できないものだが、今回の亜種は俺達の思考を読めない可能性があったことから、それを判明させる意味合いもあり許可をした。

はっきり言うならかなり危険な賭けではあったが。実のところ読めないというのが演技という可能性も少なからずあったからな。だが、結果は俺達の予想通りだったこと、アクスマンを処理出来たということは大きな戦果だろう。

問題はこれからだな。恐らくアクスマンは、パラノイアの配下、と考えていいはずだ。貴重な配下を失った奴が、このまま攻勢を仕掛けてくる可能性は十分にある。このままいけば小競り合いが大きくなることは明白だからな。

このまま大型駅エリアの探索して奴とぶつかるか、それとも確保したエリアの更なる制圧を進めて安全性を高めるか。選択というところだな。

一ノ瀬DIARY Apr. 3

警察署エリアの最終点検は終わったよ。後は、アクスマンって名前を付けた亜種も倒せたから、すごくこれからは楽になると思う。でもまだ、ソードマンっていう亜種が残ってるから、気をつけなきゃ。

それに、今回のは井門さんがすごく危ない事をしたから倒せただけなんだよね。普段なら安全面を気にする井門さんらしくない気がする。終わったこととしてはすごく良い事なんだけど…。書いたらお話に行こうっと。

そうそう、エコーさんの超能力を見たけど、かなり強力みたい。エコーさんいわく、音が収集できる範囲なら何がいるかはわかるみたい。それと、バインドみたいに音を弾みたいにぶつけてた。音をわざと立てなきゃいけないから、そこが多分ネックなのかな?

自分のことを男の人だと思ってる以外は、何か精神的疾患も見られなくて、超能力者さんの中では普通な方なのかも。

【心配なのです】
「ん、一ノ瀬か。どうしたよ?」

「えと、お元気かなと」

「俺か? いつも通りってとこだな」

「そうなんですけど、今日とかも危ない事してましたから…」

「そりゃあそうかもな。放浪者さんに比べりゃマシだろうけどな」

「…違うんです」

「何がよ?」

「なんかその、井門さんが死にたいんじゃないかって…」

「…ねぇよ」

「本当、ですよね?」

「あぁ、誓ってな」

「……何かあったら言ってくださいね」

「わかってるって」

>>200
いつも通りの苦行だねぇ。EVEは、うん、どうなるかな。

やっと追いついた
今週は仕事もそこそこにずっと読んでた

井門は別に、死にたいとか死に場所云々って感じじゃないかな
やられた際に、死んだらそれまでとかは思うかも知れないけど

乙!
ヤバめの刺客ではあると思っていたが、放浪者が帰って来てからの事だから内心安心していた

放浪者とフェアリーは大型駅エリアの上空にいた。放浪者はサンダーボルトの上から双眼鏡を使ってエリアの状況を偵察し、フェアリーがそれに着いてきているという状況だ。パラノイアに感知されないよう、一定の感覚と距離を取る為、旋回するように移動している。

「(…当然だが、奴も俺達の対策は打ってきてるようだな)」

そこに見えるのは、既視感のある大きな城壁を思わせるもの。エリアの名称となっている大型駅を中心として、大きなバリケードが張り巡らされていた。

これは惨劇時に行われているバリケードである。という可能性はない。大掛かりなバリケードを敷設できる余裕はなく、そもそもここのバリケードは倒壊した建物の瓦礫も利用している。今こんなものを作り出せるものと言えば、パラノイアぐらい存在しない。

バリケードは全体的にかなりの高さだ。通りや建物に隙間なく積み上げられ、人どころかゾンビの通り道すらないように思える。完全に区切られ、周囲から独立した立地。その場所で俺達を迎え撃とうとしているのだろう。

バリケードは自分の、言わば拠点を確保する目的と、もう1つの狙いが放浪者の中でよぎる。探索組の中であのバリケードでも越えられるのは何人かいる。つまり、それが出来る出来ないでメンバーがわかれる。協力すれば全員で乗り越えることはできるが、その隙を狙って攻撃を仕掛ければ戦力の分散させられるだろう。

戦力が分散されることはコマンダーゾンビとの戦いに良いとは言えない。戦略・作戦の意味で、メンバーを班分けをして行動するなら別として、突発的に分散されることはかなり致命的なことになりかねない。

パラノイアもこれだけで全てを塞ぎきれるとは思っていないはず、そういう部分を持ってこのバリケードを敷設したと考えられたが、少しだけ引っかかることが放浪者にはある。その疑問の元となる、フェアリーを一瞥する。

いくら強固なバリケードを敷いても、シンプルで強力な対象を浮かすという能力の前では無力だ。フェアリーがバリケードを破壊するまでの間、全員でその援護をするだけで内部への突破は可能だ。可能性を挙げるなら、パラノイアはその能力を軽視したか、認識していないか。

前者はあまりにも考えづらい。素早くバリケードを破壊するということは不可能だ、しかし、破壊そのものができないということではない。そうなれば、バリケードの意味は無くなってしまう。となると、やはり後者の認識がないという考えが妥当になってくる。

パラノイアとの直接的な戦いは、警察署での包囲網戦以降無くなっている。攻撃を仕掛けて着ている事実はあるが、それはあくまで配下を仕向けたものでしかない。直接戦った時の攻撃の苛烈さを考えれば、居なかったと断定していいものだ。その部分だけで考えれば、フェアリーの認識していなくても不思議ではない。

ただ気になるのは、処理をしたアクスマンとフェアリーは接触している。そこから情報が共有されてもおかしくはない。その上で考えられるのは、彼女はアクスマンを浮かして吹き飛ばし、瓦礫を投げ飛ばしただけでその能力の真価を見せた訳ではない。そこまで含めると、認識していない可能性は高いが、認識したとしても超能力を過小評価しているという結論が正しいものになるだろう

「(…予期しない超能力者二人の力でパラノイアは十分混乱させられるだろう、それとあえて、分断作戦に乗ってみるとするか)」

放浪者の眼下に映るのは、高速道路エリアから伸びる、1つの文字通り高速道路だった。

研究者も技術者も、大多数がBAPの急速な解析により雑魚寝の様相で倒れていた。そんな中で、疲労は隠せていないが野木とアリスが最終チェックの段階までこぎつけたアンドロイドの操作を行っている。

研究所がこうなるまで解析を急いだのも、拠点から届く任務の進捗に合わせたというのもある。もうすでに大型駅エリアの探索を開始しているとなれば、それは当然パラノイアとの戦いは秒刻みになってきていることを意味した。この戦いの結果、拠点がどうなるかで研究所の行く末も決まる。これはどちらかと言えば、必要に迫られたという結果だ。

「…。動作チェックを頼む」

いつも元気なアリスも、頷くだけで端末の操作を開始する。エクスがEVEにプログラムされたAIを解析し、それをこのアンドロイドに引用する訳だが、その前に正常な動作をするのかという部分を解消しなければ使いようがない。

合わせて、もし解析できなかった場合にはこのアンドロイドを何らかの形で、パラノイアとの決戦時に稼働させなければいけないのだから、動作確認は言うまでもなく必要なこと。

いくつかの試験的な動作用のプログラムを起動させ、動作1つ1つに問題ないかをチェックして、全ての確認を終えた。原型はほとんど回収してきたアンドロイドと同じだが、6本足の先端に車輪がついており、悪路でも動くことができるよう工夫されている。

「あとは、エクスの仕事だネ…」

そうだなと、答えて椅子に野木が腰かける。ドスンと音がしたのが聞こえて目をやると、アリスがそのまま机に突っ伏して眠ったところだった。

>>207
追いつかれるとはお疲れ様です。お仕事はほどほどに。

>>208
まぁ、他のメンバーに比べれば、生きようとする気概は希薄かもねぇ。責任(つみ)を抱えてるだけに)

>>209
放浪者がいればとりあえずなんとかなるんじゃないかという風潮。
まぁ、>>1もそう思ってますが。



>>211の訂正
×その隙を狙って攻撃を仕掛ければ戦力の分散させられるだろう。
○その隙を狙って攻撃を仕掛ければ戦力が分散させられるだろう。



一番負担かかってるのはエクスなんだろうけどアリスもかなり働いてるよなぁお疲れ

乙!
寝てる……だけだよね? ね?

EVEの中に存在するVR空間内、そのハッキングをエクスは再開していた。松明を片手に、この洞窟に必要と言われたものを探しに探索を進めている。

ここのところの急務で肉体的な疲労を感じている。そのことが影響するとすれば、何かの事態に対しての反射ぐらいで、この空間で身体を動かすことそのものに影響はなかった。身体と思考がわかれているかのような矛盾を抱えて、闇の奥へと進んで行く。

この洞窟に入る時に、君なら大丈夫だろうと慰めにもならない言葉をかけて消えた以降、山海を模したAIは姿を見せていない。何を企んでいるかわからない分、いないことの方が余計な心配がよぎる。もはや背後には明かりはなく、狭く暗い空間に居れば明るい発想は出来なかった。

奥へ奥へと入っていくと、下り階段が現れた。その先を見ようと松明を掲げると、眼下に扉が見えた。何かがいる様子はない。ここまで罠といったものはなかったが、変な物はないか警戒しながら降りていく。

長く感じるその道を降りきる。見えていた扉は、灰系統の色合いで出来た石できている。高さはエクスの2倍はあって、あからさまにこの先には何かあると言っているようだ。

1つ、2つと意識的に呼吸をしてから、扉に手を触れる。軽く押すと、重さを感じずに開いていく。この先に何があるのか、AIの構成と構築部分に関するデータが表示されるウィンドウはまだ、答えは表示されていない。

五百九十一日目

大型駅エリアの偵察を行った。結論から言うと大型駅を中心として、パラノイアの拠点が築かれている。そう言って差し支えない状態だった。残念ながら、奴の所在は全くわからない。まぁ、堂々と屋外で活動する訳もないだろうからな。

敷設されたバリケードの中心に大型駅があることから、恐らくその周辺にいるのは確かだろう。大まかな位置さえ後はいい、どうせ一筋縄ではいかない相手だからな。

また、敷設されたバリケードはかなり高い。とりあえずは二階程度の高さがある、簡単に飛び越せるようにはできていない。全員で乗り越えようとする間に攻撃を喰らえば、メンバーが分断されるのは見えている。防護壁であるのと、そのことが目的のものだろう。

それ以外でも何か仕掛けてはいるはずだ。なんせ、バリケードの内部はゾンビの姿が見えなかった。外側の付近でも同様なのだから、恐らく意図して潜ませている。考えられるのは、俺達が徐々に徐々にゾンビを処理してきた際の戦力減を避ける為か。

今のところ、考えているのは二手に分かれての大型駅エリアに突入。一つはフェアリーをメインにしたバリケード破壊班、もう一つは高速道路から直接内部に突入する強行班。戦力を割くこと自体、危険性は高まる。しかし、バリケード内部に侵入した際、負傷か何かによって行動不能になれば、助ける手立ては難しくなる。安全性の確保と早急な行動を求められる以上、避けられはしないことだ。

それに、研究所からの報告でBAP、いや、研究所仕様のアンドロイドの試作機が完成したと報告が来た。そいつの性能を活かす為にも、移動できる経路の確保は、必須だ。

4月4日

今日は大型駅エリアの偵察を行うこともあり、残ったメンバーはその大型駅エリアと隣接するエリアの境目を中心に、ゾンビ処理を進めることとなった。

その偵察の結果、パラノイアはこちらの攻撃に対しての用意を進めている。バリケードで自分が確実に感知、及びゾンビのコントロールが効く範囲を囲ったと考えている。バリケード内部に入れば、間違いなく強烈な攻撃を仕掛けてくると予想できる。

今のところ案としては、バリケードを破壊する班、内部に強行突入する班の2班にわかれてパラノイア攻略を行う。突入する班は、バリケード破壊までの陽動、パラノイアの処理。破壊する班はバリケード破壊と破壊後の逃走経路の確保が主な役割になる。

現状のメンバー構成は検討中ではあるが、バリケードの破壊する班についてはフェアリーが組み込まれるのは間違いないだろう。回収した物資で爆破といった破壊は出来なくなくても、量がある訳ではない。今回は1ヶ所だけではなく、複数個所を破壊する予定でそうなると無難なのが彼女の超能力を利用することだ。

ただ、いまだ放浪者とエコー以外と行動を取りたがらないことを考えると、うまくいくかは不安ではある。来た当初よりメンバーと交流するようになってはいるから、大事にはならないと思いたいところだ。


山中沙奈 記す

4/4 担当蒲谷 朝

いよいよ大型エリアの探索か。

何があっても動けるようには、しておかないと。


担当佐田 昼

コマンダーゾンビか、見たことも遭ったこともない。

だが、やり手の連中が警戒するぐらいだ。よほどの相手なんだろう。


担当平山 夜

私も片鱗を知っている程度ですが、恐ろしい相手です。

しかし、恐れを感じるほどに脅威なら、排除するしかないのです。

文明を復活させるためにも。

『将軍(ジェネラル)が殺された、か』

月明かりが差し込む、大広間。壇上に置かれた大きな椅子にいつも通り何者かが座っていた。その近くで跪くのは、側に剣と盾を左右においた褐色肌の赤い目の亜種。ソードマン。

それは、次の言葉を待つかのような態度なのだが、この場所に響き渡るのは無音という名の音だけ。しかし、音に限らなければ確かに圧迫感もこの場所を支配している。

『また、大切な血が流された。なぜ、放っておかない?』

まるでこの場所に存在するのは矛盾だけのようにも思える。何もないが高音、あるいは、叫びはあるような、存在を主張してくる。何もありえないはずなのに。

『……。お前も失う訳にはいかないが、攻撃を仕掛けるのだけは忘れるな。外の者は好きに使って構わん』

そう思えるのは、この場所に飾られた装飾品の類が飾られているからだろうか。何もないはずなのに、華美であることの矛盾が、違和感としてそう思えるのかもしれない。

『…………。許さん』

飾られているその作品の詳細はわからない。一部かすれているが、例えばアリエとまで読める作者名が絵画なら書かれているぐらいだ。

『絶対に、許さん』

圧迫感はますます濃く、矛盾を持ってこの場所の中を広がっていく。

>>215
まぁ、研究所もなんだかんだで大忙しだからねぇ

>>216
綺麗な顔してるだろ。寝てるんだぜ。

乙!
なぜほっとかないかといえば、まず場所が悪い。砂丘ででもやっていろ
次に、知性があると分かっていても、既に交渉など出来ない状況なうえ、ゾンビ共の食料が基本的に人間で、そっちから襲ってくるからだ

アリエ……アリエ……アリエール

扉の向こうには現実で見ることはないエクスの眼前に光景が広がっていた。前方には今入ってきた扉と同じ石でできた祭壇らしきのものがある。台形型で恐らく四方から登れる階段があるように見えた。そして、その祭壇の上部には光り輝くクリスタルが浮かんでいる。

必要なアイテムと言われたものは、どう考えてもそれぐらいしかない。問題はゲームの世界でよくいるボスがいるかいないか。ステータスといったものが存在しない以上、自分はゲームの中で強くはならない。これまで出てきた敵も情けないながら倒したというのに、更なる強敵となれば、考えたくもなかった。

クリスタルの明るさで視界は確保できている。松明を置き、武器を装備しなおして祭壇へと向かう。緊張が思考を支配し、現実と同じように手から汗がにじむのを感じる。祭壇手前まで来て左右を見回してみたが、何かがいる様子はない。

「うっし」

静けさに呑まれそうになり、声を出してから階段を上がっていく。その先にあるクリスタルを無事確保できるのか。更にこの命がけの茶番を続けなければいけないのか。いろいろな思考が浮かぶ中、1つ、理由のない確信があった。

この世界のことを、理解できているという感覚が、エクスの中に存在し始めていた。

ここのところ、天候が大きく荒れることのなかった拠点周辺だが、今日の限って大雨が続いていた。視界は悪く、濡れたい服は体力を奪う。こんな日に活動すべきではないが、だからといって悠長にやっていられない状況が続いている。

ハンターは大雨の中で佇んでいた。いつも通り独りで単独行動は、アクスマン処理前から、つまりずっとそうしていた。

煙草でも吹かしてみたいところだったが、生憎の大雨のおかげで火は意味をなさない。既に身体はずぶぬれで、今更雨宿りする意味はない。ゆっくりと、近くにあったコンクリートの瓦礫で、腰かけられそうなところに座る。

見上げたそこには灰色のカーテンでも見たような空模様。終始ほの暗いのが、今日は続くことを思わせる。気が滅入る、そう思ってからチェーンソーを起動させた。遠くから変異体交じりの一団が見える。動きの感じからすると、統一性があるようには見えない。自分に向かって、単調に歩いている。

エンジンを吹かし、力強い動きで斬りこんでいく。だが、一瞬見せた動きでハンターも素早く攻撃を取りやめると、自分の居た所にジャンピングゾンビが左右から飛びかかってきた。

「ち、コマンダーってことは。ソードマンあたりか」

視界が利いて、かつ広い場所ならやれなくもないが、楽しい楽しいパラノイアとの戦いの前に負傷する可能性は負いたくなかった。

「ま、大将に言っとけや。放浪者と同じようなやつが、まだいるってな」

それに、自分の戦闘力を見せる訳にはいかなかった。未知であることは誰にとっても脅威だが、知ることが武器のコマンダーゾンビには、出来うる限りの手の内は見せないことが、処理する為の近道だ。

相手の思考が読めないと考えられるソードマンとの接触で助かったな、あえて退避を選び、危機的状況が去ったわけでもないにも関わらず、ハンターはそんなことをのん気に考えていた。

乙!
ハンターさん、最近何してるのかと思ったら、濡れ鼠になっていたとはw

うまく にげきれた!

予期していた事態だったが、DJフレンドのいる工場地帯に新たなWWPの部隊が派遣されてきた。人数は前に比べれば多くはないが、明らかに重武装されているのと戦闘ヘリの姿もあった。幸いなのは、光線があった地域を調べているだけで、大々的に交戦相手を探している様子はないということだった。

DJフレンド達は隠れアジトから確認できる範囲から、WWPを偵察している。しかし、相当な部隊が処理されたというのに数日もせずそれに近い戦力を送ってくる。元々強大な勢力だと認識はしているが、それでも拠点やレジスタンスと言った勢力からは敵対されている。

レジスタンスは知らないが、少なくてもこれまで気づかれずに拠点や放浪者絡みでWWPの部隊が壊滅に追いやられた情報はいくつかある。その上で、この状態を維持できるというのは、やはりHP(ホムンクルス計画)があってこそなのか。

愚痴交じりにこぼすフレンドのその内容に、西村は「人間がすることやおまへん…」と嫌悪感を露わにしていた。

放浪者が処理した兵士達は、疾病対策としてすでに処置を終わらせていて、回収可能なものも全て隠れアジトに運び込みは終わっている。更に言えば、WIPに関する情報は全て研究所でバックアップを取った後、全て情報は消し去っている。ある種のもぬけの殻状態だった。

交戦から間を置かずにこの部隊がきていれば、それこそ徹底して敵対する生存者を見つけ出そうとしただろう。どのような判断で今時点でこちらに来たのかはわからないが、好都合なのは間違いなかった。

後はこの嵐が何事もなく過ぎ去るのを、DJフレンド達は待つしかない。

「長かったね…」

もう慣れてきた簡易な寝床で、横になった千護は、同じく隣の寝床で横になるロバートに話しかけた。探索を引き続き行っている新興都市において、アビスがあるかははっきりしていない。しかし、それでも大型研究施設があると思われる情報を得ることができた。

惨劇が過ぎ去った後の彼女は、言葉にするならそれこそ生きた屍だった。仲間をすべて失い、守るべきものは壊された世界に、ただポツンと自分はいるような感覚を今も覚えている。自分が生きた屍だとさえも思った、そう思うたびに八つ当たりでゾンビを処理して回っていた。

そんな時に出会ったのがロバートだ。情けなく逃げ回る男の代わりに、ゾンビを処理してやり、関わる気もなくて去ろうとした。そこで言われたのが、ゾンビ化現象を解明する為に力を貸してほしい。だった。最初は内心喜んだ、無為な自分に色を与えられる、そういう任務だとさえ思えた。

だが、目の前の人間がその惨劇の原因だと聞かされた時の激昂が喜びを取り去った。

今でもロバートに対して、千護は愛憎めいた感情を抱いている。不思議な感情である。

「もし、解明できなかったら殺してやるから覚悟しなよ」

「う、うん。頑張るよ…」

だからこそ言葉こそ物騒にも関わらず、ロバートがそこまで怯えていないのは、これまでの信頼を含めた。その語気に真意ではないことがわかるからだろう。

>>223
まぁ、互いの主張はどうやってもあわんからねぇ

>>224
エリエール

>>227
雨も滴る良いハンター

>>228
しかし、回り込まれてしまった!


いろいろ修正あるけど、もう寝まふ

乙!
ハンターさん回り込まれちゃったの?

>>232
ノリなんでそういう訳では。


ちょと疲れのせいかあんまり集中できなかったので、もう寝ますだ。
明日は出来ると思うけれど。

ご無理のありませんように

五百九十二日目

今日から大型駅エリア、いや、パラノイア討伐戦の為に動き始めることになった。作戦はバリケード内部に入りパラノイアを処理する強襲班と、バリケードを破壊して脱出路を確保する工作班の二手に分かれて侵攻する。今日からはその侵攻ルートを確保する為の、足がかりを進めたというところだ。

強襲班は、高速道路エリアから大型駅エリアに伸びる経路の一つを確保する。高速道路からバリケードを一気に乗り越え、内部に侵入。その後、更に二手に分かれて内部をかき回しながら、パラノイアを探し出し処理する。指揮系統の混乱させることで、脱出路の確保の時間を稼ぐのも目的の一つだ。

はっきり言うと、強襲班はかなり危険を伴う。内部は何の仕掛けを施されているかはわからない。戦力も正直言って未知数だ。死者を出す可能性はかなり高いだろう。はっきり言うなら俺一人でやるつもりだった。だが、この班に参加するとして名乗り出たのが、佐原、藍、錬浄の三名だ。藍に関して林道さんはかなり反対していたが、本人の強い意向に折れたというべきか。

工作班はその残ったメンバーで行う。主力は『浮かす』ことが出来るフェアリーと、火器が扱える井門の二人でバリケード破壊を行い、他のメンバーはそのバックアップ。まず一カ所破壊できたなら、まず付近のゾンビを処理してから更に内部からバリケードの破壊を進めていく。この行動は、万一パラノイア討伐に失敗した時を含めて考えると、次からの攻撃が容易になるという状況は奴らにとって許しておけるものではないからな。

だから、どちらの存在も容易に無視できるものではないとするのがこの場合の一番だ。わかったところで、被害が避けられない。そういう状態にするのが望ましいからな。

自分達以外の人間が当日どう動く予定かは不明だ。俺達も大まかな作戦しか伝えていない、その状況が全体がうまく動けるかはわからないのは、どうしようもない。

さぁ、ラストの詰めだ。これで水の泡になるかが決まる。拠点のこれまで積み上げてきたものに対しての審判が決まるな。それを決めるような存在がいるというなら、ここまで放置したことに対して首を刎ねてやるが。

レポートNO.151

井門圭司


今日からパラノイア処理の為の任務が始まった。部隊は放浪者さんが率いる強襲班、山中さんが率いる工作班に分かれる。強襲班は文字通りパラノイア処理の為、俺達はバリケードを破壊して逃げ道を作るの役割だ。

まぁ、強襲班に組まれたメンバーなら、バリケードを破壊しなくても、負傷さえしなけりゃ行き来できるだろうけどな。念には念をってとこだ。

問題なのはむしろ工作班側じゃねえかって気もする。主力はもちろんそっちにいる訳で、バリケード破壊なんてしようもんなら、大多数はこっちに向かってきそうなもんだ。

ただ、それが普段のコマンダーゾンビならって考えもある。攻撃そのものはどうやったってパラノイアは苛烈だろうから、どっちかに偏るなんてあるかどうか。でも、この間のアクスマンから感じた、執着、みたいなもんは絶対パラノイアにはある。となると、あと一歩まで追いつめた放浪者さんが一番やべぇのは確かだ。

…あの人を死なすことはできねぇ。それは拠点そのものの崩壊になるっていっても過言じゃないからな。

【譲れないこと】
「絶対だめだぞ、自分は強襲班にいくぞ!」

「藍。強くなったのは認めている。しかし、こればかりは認める訳にはいかない」

「嫌だぞ!」

「藍、どうしてそこまで強襲班にいきたいんだ?」

「放浪者が言ってたぞ。パラノイアさえ倒せば、ここは安全な場所なるって」

「だが…」

「安全になれば、スラが怖がらなくて済むぞ。それに、自由に遊ばせてやれるぞ」

「……」

「それに、いずれ…。自分はお父様を探し為にここを離れるんだぞ。だから、スラが安心して過ごせるようにしてやらなきゃいけないんだぞ」

「藍…」

「自分はお姉ちゃんだから、スラを守ってやらなきゃいけないぞ。でも、ずっとずっと一緒じゃないんだぞ。だから…、だから、パラノイアは自分が倒すんだぞ!」

「……。無謀だ、藍。参加するメンバーの中で、はっきり言うなら君が一番弱い。もし、何かの拍子に1人で戦うことになれば、多勢に無勢だ」

「大丈夫だぞ。皆一緒に戦うんだから、怖い事なんてないぞ!」

「…。その強情さ、誰に似たんだか…」

「何の話だぞ?」

「わかった。本当に短い時間しかないが、更に教えをつける」

「わかったぞ!」

>>234-235
うんまぁ、なんだろうね。妙に眠いというか。知らないうちに疲れてるのかねぇ。


決めるような存在「私を消したいというのなら、ダイスという存在・概念を消してこいというのだ」

最初にその違和感に気づいたのは西切だった。大型駅エリア攻略の為、工作班に割り振られた、フェアリーを除くメンバーが途中までの侵入路の確保、周囲の確保及び状態の確認を行っていた。

ゾンビの数は相変わらずだったが、変異体の姿は奇妙なほど見当たらない。パラノイアがバリケード内に確保していることは予想されたが、それにしても奇妙といってよかった。

変異体は、ゾンビの更なる変異状態だ。言ってしまえば、ゾンビいる限りその脅威は常に内包している。今この時も、探索しているエリア内に変異体に生まれ変わっていることさえもありうること。

任務を開始してから、終了まで折り返しへきている時間までに、1体も確認できないこと。それは不自然といって差し支えなかった。

「…なぜか、変異体の姿がありませんねー」

いつもどおり飄々と、それでいて、言葉の意味は重い。彼女ほどの手練れが、今の状況がいつもと違うと告げている。薄々と違和感に気づいていたメンバーの一部は、無言で賛同を返す。

「何体か…。潜んでいるよ、待ち伏せじゃないかな」

耳を『澄まして』いたエコーが、周囲の状況を報告する。待ち伏せ、という事であれば、亜種を含めたほとんどのゾンビは本能のまま動くことを踏まえ、コマンダーゾンビの仕業か、後は何らかの生存者か。

ただ後者も、このゾンビが跋扈する中でただの人間が待ち伏せできるはずがない。ここまでの結論から導き出せるのは、残った新たな亜種、ソードマンが何かを張り巡らせている。その予感だった。

乙!
どれだけの防衛線が張ってあるのやら

メンバーのいる地点は、前後が十字路に繋がっている道路。大型駅エリアに近いからか、道幅そのものは広い。左右は大型の建物が連なっていて、逃げ込むことはできる。しかし、考え方を変えれば、十字路を抑えられれば包囲と挟撃を余儀なくされる位置。

前進したとして、待ち伏せの奇襲を受ける危険。この場に留まれば包囲される危険。内容は違うだけで、策謀の渦の中にいるのは間違いはなさそうだった。

山中は素早く後退の判断を下した指示をする前に、甲高い、いや、表現しがたい高音が背後から響き渡る。ほとんどのメンバーが振り向いた頃には音は止み、爆ぜる音がして頭部がないゾンビが倒れるのを目撃した。少し遅れて、エコーが地面に片膝をつく。

「音は…、集めたけど、ゾンビ達が来ちゃう…。逃げよう」

エコーの超能力は、亜種のバインドに近い。自身で高音を発する、ということはないが、周囲に発生した音を収束、対処に向かって放ちそれこそ打撃を与える。コールゾンビが発するそれを集めて対象にぶつければ、人体を破壊するに至るものだった。

井門は素早くエコーに肩を貸し、全メンバーは交代を始める。途中、何かが破裂した音がどこかに聞こえたように、感じられた。エコーが何かを告げる前に反応したのは、少し鳴き声を出し、前脚で鼻をこする小間城だった。

後方の十字路にたどり着くころには、音で招き寄せられたゾンビと、正面からは早足で近づいてくる強化ゾンビの姿があった。自身に迫る予想された危険に晒されていることを、全メンバーはしっかりと自覚する。それをこれまでに培ってきた信頼を持って、山中はこの場での迎撃を指示した。少し戸惑っているのは、新参のエコーだけ。

確かに今、後方についてはゾンビの姿は見えない。更なる後退が可能なように、見える。しかし、この襲撃はソードマンが仕向けたと言っていい状況だ。こんなに都合よく挟撃できる位置にいた状態で、コールゾンビが背後で鳴き、正面でスプレーゾンビが爆発することは、そうそうあり得ない。

林道の読み通り、自分達の思考が読めないとしても、コマンダーゾンビとしての知能がある以上、逃げる先を誘導している可能性は十分ある。3方向から攻撃を受けると言う事態は本来避けなければいけないが、全ての勢力が自分達に集中する前に、現時点の危険を排除する方が賢明。それが彼女が下した判断だ。

ペガサスを展開した彼女は素早く正面にある電柱を、槍の足で刺し壊してバリケードを作成する。その間に、遠距離攻撃が可能なメンバー、井門、西切、エコーが正面の強化ゾンビに攻撃を加え、残ったメンバーは左右からのゾンビが十字路に侵入されるまでの時間を稼ぐ。

主要な戦力を持つメンバーほとんど強襲班に組み込まれた今、その補助に回ることが多かったメンバーの底力が試されていた。

>>240
それ消しちゃうとこのSS進行しなくなっちゃうからねぇ。

>>242
まぁ、面倒なことはしてくれてるでしょう。

乙!
始まった、か。

DJフレンドがいる工場地帯にいたWWPの調査隊は、もうすでに姿を消していた。WIPのサルベージに来た部隊の残した記録や、サンシャインの破壊状況を確認しにきたと考えて間違いない。

WIPの情報に関しては、バレットパレード時点でエクスのハッキングにより研究所にデータを移動させてから、ビジョンの能力によって端末はすべて破壊している。WWPにとってその痕跡を確認できるのは、融解したサンシャインが全てと言っていい。

もちろん、派生のプロジェクトや他にバックアップを取っている者が残っている可能性は高い。しかし、それを担当していたであろう研究者が存命しているとは思えない今、サンシャインが再現される可能性は、ごくわずかなことだ。

フレンド達は、ヘマをやらかす連中ではないとは思うが、何か新しい情報はないかと調査隊が何か残していないか一帯を確認している。

「…何もなさそうだね」

フレンド達が回収しなかった、テントなども無くなっており、ここにWWPが存在していた痕跡は残っていない。

「けど、あれを持ってくたー思わなかったな」

そして、その最大の痕跡であるサンシャインも、新井の言う通りこの場所から消え去っていた。

「それで、どうする気ですかストーク」

いつものアジトで、アイビスは彼に回答を求めた。彼女が聞きたいのは、千護とロバートの2人についてだ。少なくともレジスタンスとしては、千護の持つ戦闘能力、ロバートの持つ研究可能な知識、どちらも貴重なものだ。千護と気が合わないということを、彼女として置いておけばだが。

「どうするもこうするも、仲間ってことでいいんじゃないか?」

「ストーク、やはりあなたは馬鹿ですか? いい加減2人のことを組織に黙っているのは、難しいと言っているのです」

レジスタンスが創設されたのは、WWPへの対抗。元であり、彼の意思であった訳ではないが、ロバートはWWPのメンバーであったという事実が、報告を遅らせていた理由だった。すでに、2人と接触した時点でレジスタンスにその事は報告しているが、詳細な情報はまだわからないと結論は出していなかったのだ。

「ただの協力者って訳にはいかないか?」

「既に千護は元防衛軍兵士、ロバートは怪しい研究者風の男と伝えています。このまま黙っているのは、ここの活動に関して良い心証は得られない訳がありません」

考えてなかったわけではないが、ストークはその部分をどうすべきか、しばし思案した。

>>246-247
はてさて


でもまぁ、どう考えたってその時は今でも、近くでも不思議じゃないからねぇ

>>249の訂正

×「既に千護は元防衛軍兵士、ロバートは怪しい研究者風の男と伝えています。このまま黙っているのは、ここの活動に関して良い心証は得られない訳がありません」
○「既に千護は元防衛軍兵士、ロバートは怪しい研究者風の男と伝えています。このまま黙っているのは、ここの活動に関して良い心証は得られる訳がありません」


どうしてこうなった

乙!
巨大な鉄くずを持ち帰るか……まぁ資源として使えない訳ではないしな

怪しいが、事態のカギを掴み取る可能性はある  とかそんな報告ならどうなんだろ

五百九十三日目

大型駅エリアに侵入するため、高速道路からの侵入路確保は進んでいる。工作班については、ソードマンと思われる攻撃を受けたようだが、負傷者はなく迎撃自体はできたようだ。残念ながら、ソードマン自体の処理には至っていない。

アクスマンに比べると、まだソードマンは理知的に見える。比較的力任せなのがアクスマンだとすれば、ソードマンは堅実的な罠を仕掛けていたようだからな。狡猾な相手、という方がこちらとしてはかなり厄介だ。

可能であれば、パラノイアとの一戦を交える前に処理してしまいたいところだが、奴がどう判断するかだな。奴のいるエリアまで近づいていることは確かで、そのことも認識しているはず。

防衛の為にソードマンを残すか、戦力を削るためにこちらへ向かわせるか。今回の戦いの結果をどう捉えるかだな。

もっとも、俺が確実に迫ってくると考えれば、後先考えずに全勢力を仕向けてくる。その予想に外れはないだろうが。

しかし、アクスマンやソードマンを通して、こちらの戦い方を把握している部分を考慮すれば、それでメンバーの危険が薄まる保証はどこにもない。

奴にもっと、俺に集中させるように動かなければな。

>>253
まぁ、持ち帰って正直価値ってそれぐらいしかないよね

>>254
でもまぁ、痕跡が残っているわかりやすいものってそれぐらいよね



うたたねしてしまったので、今日はこれまでですだ・・・。

教員日誌 四月六日 林道正綴

パラノイアを倒す為の作戦で、今日はソードマンが相手と思われる攻撃に遭った。計算された攻撃なのは認められて、それでいてこちらの動きに合わせて作戦を変える柔軟性はなかった。自分が読んだ通り、ソードマンは思考を読めない、それに確信を持てる戦いとだった。

ただし、倒しきれなかったことは心残りだ。パラノイアを倒す時にソードマンが残っているのは、藍のことを考えると避けたい。パラノイアが手強いことに違いない、そこに補強できるソードマンもいれば、より苦戦は避けられない。

藍への手ほどきは入念にしている。しかし、全て出来るほどの時間もない。疲労が溜まり実践となっては何ら意味を成さない。何よりあの子の命にかかわる部分になってくる。それでいてどちらにも過不足な対応はできないということでもある。

本人の意思を組んでいるといっても、それは死地に追いやることだ。自分に出来る全てを、あの子に教えなければいけない。

4/6 担当浜村 朝

当たり前だけど、ピリピリしてるわね。

ほんと、背が高くてイケメンで、バズーカでも持った兵士達がディナーもついでに用意してきてくれないかしら。

は、いてくれたらこんな苦労してないか。


担当三間 昼

本当にそういう強い人がきてくれたら…。

でも頑張ってる放浪者さん達に失礼かもしれないですね。そう考えるの。


担当フェイ 夜

そうだよ。放浪者達は強いから大丈夫だよ(力こぶの絵)

フェイ達も当日はお手伝いするよ。すごく、怖いけど。

【それぞれの意義】
「…………」スッヒュンッ

「…………」

「…どうした、錬浄」スチャッ

「いろいろ、気負われているようですな…」

「…かもしれないな」

「…………」

「…錬浄。一つ聞かせてくれ」

「なんなりと…」

「…お前がこの戦いに参加する意味だな」

「というと……?」

「…本来、お前の目的はWWPのことを知ること。今までの経緯でどんな連中かはわかるはずだ」

「御意…」

「…目的は果たしている、俺にはそう思える」

「…………」

「…協力は求めている。それでも、沈むかもしれない船に乗せるのは強制するつもりもない」

「…………」

「…………」

「拙僧の道は…、人々を救うこと…」

「…………」

「故に、お手伝いさせていただいてるに過ぎませぬ…」

「…ならいい」

>>258の訂正

×そうだよ。放浪者達は強いから大丈夫だよ(力こぶの絵)
○そうだよ。リーダー達は強いから大丈夫だよ(力こぶの絵)

「あ、アビスじゃないっていうのかい?」

その事実を知り、先に声を挙げたのはロバートだった。2人がこの新興都市に来たのは、エクスの調査結果を元に、ここにアビスがある可能性があったからだ。

「組織が調べた情報によれば、地下研究施設のアビスではないときています」

「…けど、何かあるんだろ? もったいつけないで続けてくれよ」

説明とは順序立てるものだろうと、少し嫌味を含んで千護に答えてからアイビスは続けた。

「2人がお話しているアビスは、北米にあるとの情報を得ました。なので、ここにあるのは別のものということになります。その姉妹的な関係に当たる地下研究施設。名称は『ディープノア』と呼ばれているそうです」

ディープノア、それはアビスの派生した研究施設であり、目的はアビスが行っているプロジェクトとは別のアプローチで研究を行ったり、補助を目的としていた施設。そして、この場所で行われていたプロジェクトで行われていたのは、確信的な冷蔵保存技術の確立。ありていに言えば冷凍睡眠(コールドスリープ)。

「U.S.A.Uは来たる第三次大戦を勝利する為、違法合法問わないプロジェクトを行っていた。ディープノア、というよりアビス関連は最悪を想定したプロジェクトを進めているみたいだ」

説明をストークが引き続く。WWPが想定した最悪は、核ミサイルを撃ちあうことによる文明の崩壊。アビスに関連するプロジェクトは、その崩壊後に素早く文明を復活させるためのもので、ディープノアは重要な人材を冷凍保存(コールドスリープ)させ、汚染が除去される時期に解凍。その後、文明を復活させる目的だったようだ。

「け、研究設備自体があるなら、だ、大丈夫だよ」

そもそも、アビスが行っているプロジェクトが目的だったわけではない。ほとんど壊れていない可能性が高い、設備を利用し、ゾンビ化現象を解明する。その事に変わりがある訳ではない。

強襲班、それにプラスしてフェアリーは高速道路の確保の任務を行っていた。高速道路はその構造上、ゾンビが多数いる訳ではない。動線、つまりは移動経路として重要な意味はあるが、何かが留まるような場所ではないからだ。それと合わせ、基本的には高速道路の出入り口や点検の為の出入り口以外、ゾンビが寄ってくることは少ない。

その意味では、強襲班のような少人数でも確保の任務を進めることはできる。しかし、だからといって安全とは言い難い。高架状にあるのと、基本的な行き来は前後だけだ。つまり、何かの拍子で囲まれれば一切の逃げ場はない。ほとんどないとわかっていても、強襲班は本来の目的のルートと、それと別に分かれるルートにメンバーを分けて処理を進めていた。

そうすることで、囲まれるリスクを抑えている。目的のルートは放浪者、藍、フェアリー。その他のルートは残った佐原と錬浄の2人だ。フェアリーは侵攻ルート上に塞がる障害を取り除くためにいて、佐原と錬浄はその逆にゾンビを処理したうえで簡易なバリケードを作るのが目的だ。

今のところ、任務について問題は起きていない。そのはずだが、静かに放浪者はウェーブソード・デュエルを抜いた。

ちょいと出かけるので、中途半端ですがここまで。


>>261の訂正

×そして、この場所で行われていたプロジェクトで行われていたのは、確信的な冷蔵保存技術の確立。ありていに言えば冷凍睡眠(コールドスリープ)。
○そして、その場所で行われていたプロジェクトは、革新的な冷蔵保存技術の確立。ありていに言えば冷凍睡眠(コールドスリープ)。

乙乙

アビスは北米にあるのか
って事は惨劇が初期から広がったのはアメリカと姉妹施設があった日本か…

乙!
抜いた。って事はお出ましか

3人の前方には横転している大型トラックがある。道路中央からやや右寄りにあり、貨物部分が後ろに運転席が前で斜めに倒れている状態だ。そのトラックから姿を現したのは、褐色肌に長髪の赤い目をした人間。それぞれ剣と盾を持ち、明らかにこちらを待っていた様子だった。

「あれー、この間のゾンビさんに似てるなー」

のんびりとした様子で、フェアリーは額に手のひらを合わせ相手を見る。それとは対照的に、藍も戦闘形体に変わり放浪者は当の昔に準備が出来ている。それを待っていたかのように相手、ソードマンが剣をこちらに付きつける。その動作は戦闘開始を知らせる合図代わりのように、貨物の扉が開け放たれ変異体が飛び出してくる。

コールゾンビが高音を発し、ゴーレムゾンビが前衛の壁として歩み寄り、後続としてマッスルゾンビが迫る。その間からジャンピングゾンビとクローゾンビが飛び出してくる混成部隊。通常ではありえない、変異体ばかりの集団。それと対峙することは、攻撃を行うという事前準備でもなければ、限りなく死に近いものだ。

それを迎え撃つのは、人間離れした技量を持つ生存者、驚異的な肉体構造を持つホムンクルス、単純故に凶悪な力を持つ超能力者の、たった3人。

これから日記を読む



ジャンピングゾンビの攻撃を避けると、クローゾンビの爪が伸びてくる。その対応に手間取っていれば、近づいてくるゴーレムゾンビとマッスルゾンビの強力な攻撃、そして奥から集まってくるゾンビもそれに加わることになる。

「くう、こんなの初めてだぞ!」

変異体のみによる波状攻撃は、ここまでやってきた探索組の誰も経験したことはないことだったが、放浪者は心の奥底で思う。ゾンビが変異体への道を歩んでいるのなら、これもその内、当たり前になるという事実を。

高い金属がぶつかる音が響く。この攻撃に対して、更にソードマンも加わりその剣を放浪者に振るい、それを放浪者はウェーブソード・デュエルで受け止めた。その剣越しから見えるソードマンの表情、それを見た放浪者は言葉に出さずとも意志を感じた。

自分を処理するという、強い意志。

ソードマンを蹴り飛ばすと、背後から迫りゆっくりと殴り掛かってきたゴーレムゾンビの頭部にジャベリンの杭を打ち込む。数は減らせているが、まだまだメンバーに危険は残っている。コールゾンビの高音で佐原達が気づいているとしても、増援に来れるまではまだしばらくの時間はかかるのは事実だ。

>>264
アビスがゾンビ化現象の研究元だったのか、はてさて

>>265
なんでかきちゃったというね(ダイス的には襲撃確率低めだった)

>>267
お付き合いいただければ幸いです。


ちょいと短いですがここまで。

ゾンビの癖に意思があるとか、ナマイキなんだよッッ!(強がり)

誰が見ても窮地であるのは間違いない。その上で、放浪者は気落ちも恐れも感じさせない。むしろ、ソードマンの意志に共鳴し、彼もまた強い意志を瞳に宿している。

ソードマンをこの場において処理するという意志を。

昨日の工作班へ対しての攻撃、以前の一ノ瀬と林道へ対しての攻撃、そして今回の襲撃。それらを統合して放浪者は1つ用意しておいた仮説を、確信として理解した。ソードマンはやはり特殊な亜種であり、ゾンビではなく変異体を操るコマンダーゾンビなのだということを。

「…フェアリー! ゴーレムゾンビをマッスルゾンビにぶつけるんだ。藍! そのカバーをしてくれ!」

ゴーレムゾンビはまさしく障壁として立ちはだかっている。飛び越えていくことは可能でも、更に何かを用意している可能性は高い。だからこそ、陣形を崩し、相手のペースを乱すことが何よりも肝要。あるいは、完全な虚を突くかだ。

「えーい!」

「フェアリー! ちゃんと周りを見るんだぞ!」

いつでも離脱できるという余裕で、不用意に近づき超能力を行使するフェアリー。そこへ攻撃を仕掛けてきたジャンピングゾンビを藍は斬りつけて逸らす。カバーのおかげでゴーレムゾンビの頑強な体は浮き上がり、それを叩きつけられたマッスルゾンビは、トラックの貨物とその体の間に挟まれる。

障壁の一角に、穴が開いた。

音もなかった。それは藍達を含めて誰も認識できないまま、放浪者はすでにソードマンの目の前に存在していた。ソードマンすら、そこまでの接近を許してなお、彼が攻撃の姿勢になってからやっと反射したように後方へと体を動かし――、盾を持つ左腕は斬り飛ばされた。

『―――――――――!』

声はない、苦痛もない。浮かんだ表情は明らかな困惑。

策を練り、強力な兵で強襲し、まだ優勢だとさえソードマンは思っていた。陣形が少し乱された程度で、間隙を突かれるなど、想像するはずもなかった。この一撃はもはや、結果だけが起きたかのような錯覚に陥る。それを現実として受け入れるまでの、同じくわずかな間。

その間を埋めるように、放浪者が持つ刃がソードマンの身体へ再度滑り込んだ。

カランと音を立て、左腕が落ちる。その間を理解できないソードマンが残った腕で剣を振るおうとして、右半身は後ろに、左半身は右側に向かってそれぞれ倒れる。

放浪者が振り返ると、変異体の集団が止まり、藍達も何が起きたか理解していない状況。その奥から法衣を纏った人間と、灰色の狼男がこちらに向かっているのが見えた。

「…殲滅を開始する」

そしてまた、彼は一陣の風のように、烏合の衆と化した変異体の群れへと斬り込んでいった。

輝くクリスタルの前に、エクスは立っていた。VR特有の、現実味を帯びた非現実の美しさがそこにある。これが、話にあった目的の物なのは間違いなさそうだった。

彼は、体力の消耗を感じていた。特にこの場所に来て、クリスタルへ向かう一段一段が、一瞬とは思えないほど長く感じられることもあった。本音を言えば、いったんこのまま倒れて眠りにつきたいと思っている。

「ふむ。予定通りに到着したか」

山海のAIが、当然のようにスッと現れて、エクスに声をかける。予定通りの意味を聞きたいが、それすらも億劫なほど疲れがあり、次の言葉を待つことにした。

「この場所は、EVEの根幹が眠っている。山海が、時期が来るまで封印したものだ」

「時期…?」

天才という事だからこその、当然の危惧があった。自身が生み出した学習するAIは、すべてを学習できる。それだけにこの惨劇を招いた、そう断定していい人間に対して、嫌悪する可能性があった。

今のEVEは、ゾンビを含め攻撃を行わない。それは、その本来のAI部分も封印した結果に他ならない。開放した際に、EVEは人間と同じく思考を持つこととなる。その時に、理解を得られないまま人間を、EVEは攻撃しないとも限らない。

だからこそ。

「君のように、プログラムを熟知する人間を、VR空間に招く必要があった」

言葉は出せず、エクスは息をのんだ。AI解析としてハッキングをしていたはずだが、その実ここに招き寄せられたという事なのだから。

「長く1人で廃墟の中を彷徨った孤独感、そして、自分が人間ではないことへの疎外感を、理解しないままEVEは過ごしていた。故に、あのアンドロイドに仲間として興味を示していた。それ自体は構わないが、アンドロイドだけで固まれば、どこぞの超能力者集団のような顛末を待つだけだ。我々はアンドロイドと人間はわかりあえるという確信を、山海と山海として生み出された私は持っている。だからこそ、架け橋足りえる存在は今のEVEには必要だった」

名づけるのであれば、AI思考。それを持つ人間を作り出すことが、今後アンドロイドと人間が共に歩むために必要。山海、そのAI、2人共の総意だった。そしてこのVR空間は、そのために用意し、山海のAIは必要となる時まで管理し続けていた。

「クリスタルに触れるといい。今の君なら、理解できる。それで私の役割も終わる」

こびりついた無愛想な表情に、疲れを帯びた安堵のものに変わっている。そしてエクスは、クリスタルに触れるのを躊躇し、そして魅せられているプログラムの世界に触れた。

強烈な情報がエクスという媒体を通っていく。頭がはち切れそうになる感覚の中で彼が見たのは、美しいクリスタルではなく、消えていく山海のAIだった。

>>270
まぁ、実際ゾンビが意思持って襲ってこられたらこっち何もできんよね。

日記ハザードだと思ってたら日記無双になってた
な、なにをいっ(ry


やっぱ、やまだのじゅつは強力だなー
まぁそれ以上に放浪者の戦闘力が飛び抜けまくってるんだよなぁ
そしてそれゆえに、いまだ放浪者の一本柱で成り立ってる組織という枠を越えられていないのが、今後どう響くか……

エクス は クリスタル に ふれた!
クリスタル が エクス の なかに はいりこむ!

...さんかい は くだけちった!

五百九十四日目

高速道路の侵入路確保は進んでいる。今日の大きな成果は、ソードマンの処理に成功したことだ。変異体のみの攻撃を受けるという、今までにない経験だったが、幸い想定より早くソードマンを処理出来たことでメンバーへの被害はない。

これでパラノイアの配下と思われる亜種は処理出来た訳だが、同時に俺達への憎しみは高まったことになる。俺達を向かい受けるつもりだったのが、打って出てくる可能性も高まってきたな。

だが、油断は出来ない。パラノイアはアクスマンとソードマンを、自分の支配下に置かず俺達への攻撃を仕向けさせた。それは、そうしてもいい戦力がまだあのバリケード内に眠っていると考えていい。それが何なのかは、わかりはしない。ただ、そういう隠し玉を持っているだろうな。

あくまで予感に過ぎない。しかし、俺としてはそれは間違いと思っている。問題は、どういう厄介さを備えているかということだな。少なくとも、自分と同じコマンダーゾンビ。それも亜種を失っても、それと同等と考える備え。

もう一つ間違いないのは、それは間違いなく、厄介極まりないだろう。ということだ。

それは 紛れもなく やっかいさ~

4月7日

工作班による地上ルートでの侵入路確保について、本日はトラブルもなく進めることができた。これも強力な戦力が強襲班へ攻撃の為、ソードマンが強力な変異体を集めていたからだと考えられる。

現状、脅威としていたアクスマン、ソードマンの2体を無事処理を完了し、拠点としてパラノイア攻略に勢いがついているといっていい。しかし、放浪者はその中でこの程度ではないという判断を下している。

確かに彼は、根本的に慎重な人間だ。その意味では想像できる判断とも言えるが、どちらかと言えば危惧しているというよりも、そうであると確信しているように思える。

ファントムシリーズを長く着用していることに起きている、感覚の鋭敏化。それが元々あった彼の、勘としか表現できないそれを強化している。予知とさえも言っていいその部分を持つ彼が言うのだから、それは間違いない。

それが現実的ではないことは、承知している。私が、彼に個人的な感情を抱いていることを差し引いても、彼の言葉の重さは、この拠点のメンバーにさえ、ないものだ。

私は彼のことを信じている。


山中沙奈 記す

「お目覚めになられましたか?」

それは流暢で、それでいて聞き覚えのない口調だった。全身に鉛でも注ぎ込まれたように重く、エクスは身じろぎもできないまま、瞼をゆっくりと開ける。

薄暗い室内、そこにいたのはEVEだった。

「連続した時間、VR空間にいたため、身体が消耗しております。このまま休まれるのと、食事をお取りになれば回復いたします」

「…そうかい」

会話している間、EVEの様子が変わったことはすぐ理解したものの、自分に流れ込んできたプログラムが、嵐のように頭を駆け巡っている。パチパチと火花が出る感覚に、またエクスは瞼を閉じた。

「友よ、貴方に伺わなければいけません」

「…。自己AIの移植だろ? お前の好きにすればいい」

よろしいのですかと重ねてEVEは確認する。仕方なく、エクスは自身は問題ないと思うが、実際にやるかは野木かアリスあたりに相談して決めてくれと、返した。

「……。山海のAIが気にしてたけどよ。お前、人間は嫌いだとは思ってねーのか?」

「…。私が知っている人間は、拠点や研究所の皆様、物語を通してでしかわかりません。学んだのは、人間にはいろいろな側面を持っていること。そして、皆様は悪人ではないということだけです」

それならいい。エクスは本格的に意識を闇にまた落とすことにした。

大広間。その壇上にある机には深々と斧と剣が突き刺さっていた。そして、その机の前に何者かが立っている。それはゆっくりとした動作で、机の中央へ手を持っていき、中央にあった蝋燭に火をつけた。

『将軍(ジェネラル)が死に、今度は公爵(デューク)が殺された。奴等は我々からいくらの血を奪えば気が済むのだ?』

怒りを湛えて、強く握る右手が震える。作戦に失敗がしたことに、怒りなどない。公爵は勇敢に戦いを挑み、そして敗れた。その結果自体に、何も疑いはない。

内包する怒りは、ただ美しい世界を守ろうとする自分達を襲う、蛮族達だけにしかない。

『貴様らの血はけして無駄にはしない。無駄にしてなるものか!』

だんと、机に拳が振り落とされる。その事に痛みを受ける様子もない。ただ、その瞳に映る蝋燭の炎。それがまるで業火のように広がるように映る。

『蛮族の王、放浪者。けして許しはせぬ』

その机の剣を引き抜き、高らかに頭上へ突き出す。

『血濡れの蛮族、略奪者どもよ。貴様らは一人残らず、根絶やしにしてくれる!』

そしてそれを、横になぎ、蝋燭の炎は消えた。

【それぞれの意義2】
「…………」

「あ、放浪者さん。ここだったんですねー」

「…どうした。西切」

「ははは。こんな状態ですから、まぁ、お話でもと思いましてー」

「…そうか」

「どうせ無茶されるのはわかってるんですけど、バリケードの中で1人に成ったりしないでくださいよー」

「…考えておく」

「えぇ、まぁ。そう言われるとは思ってんですけどね」

「…西切、一ついいか」

「はいはい、何なりと」

「…お前は何でこの戦いに参加する?」

「……んー。どういう意味でしょうか」

「…この惨劇の真相を突き止めること、それがお前の目的だろう」

「えぇ、そうですねー」

「…それなら、千護達やカミロあたりに付いていった方が、その近道だろう」

「…………」

「…長くやってきた仲間だから言う。沈むかもしれない船に、無理に乗る必要はない」

「………。はー、放浪者さん?」

「なんだ?」

「自分にやりたいことがあるから、危険な皆さん放ってさよならー。なんて社会に出て通用することじゃないですよ?」

「………」

「好きでいるんです。そりゃあ、その内真相を知れる機会があるとなったら、いなくなるかもしれませんけども」

「…そうか」

「あ、でも気にしてくれて嬉しかったですよー」

「…当然のことだ」

「ははは…。じゃあそんなとこです。今日はお疲れ様でしたー」

「…あぁ」


「(…そりゃあ、怖くないなんて言ったらウソですけど)」

「(だから、まぁ、居るんですよね)」

「(ここが無くなるのも、放浪者さんが居なくなるのも、そっちの方が、あたしには怖いから)」

>>276
うん、いろいろ変わりすぎたよ

>>277
シンプルゆえの脅威。

まぁ、放浪者もそこらへん危惧して、後の連中を育ててる節はあるけどもね

>>278
クリスタルと言えばFFだね

>>280
カーン


寝落ち更新なり

ロウソクを消すとハートが出ます。

もうダイス様が何求めてるのかわからんよ

一体これ以上何が起きたってんだ…

「じゃあフレンドさん、お世話んなりました!」

新井達3名は、身支度を整えて隠れアジトの外にいた。DJフレンドのメンバーも、警備としてミーナを残して全員で見送りをしているところだ。

WWPは姿を見せなくなったとはいえ、それはまだ数日。危険性を話して、まだ留まった方がいいのではとフレンドも提案したが、新井は香坂の両親の件があるからと断った。

勘違いからオンライン上で目の敵にされていた訳だが、大きな火種にならずに終えられた事も、バレットパレードにおける成果と言えるだろう。

「今後いただきましたアドレスからご連絡を取らせてもらいます。お世話になりました」

「マジでお世話になりましたー」

それでも、若い人間が危険な道を歩むことに関して、フレンドとしては止めたかったことではある。だが、強い意思を持つ止める手立てがないのも、また事実だった。

3人が去るということは、本当の意味でフレンド達がいる工場地帯にいつもの日常が戻ってきている。しばらくの間続いた重圧から、開放されるのを感じてフレンドは胸を撫で下ろしていた。

いつもの仕事にかかる為、それぞれのメンバーが隠れアジト内に戻っていく。最後まで彼らを見送ったフレンドが戻ろうとした時、その視界に人影を捉えた。

こちらの存在には気づいているようで、その生存者は軽く手を振っている。この時代において、無用心なことだが敵意はない様子ではあった。警戒は怠らず、フレンドはそっと拳銃に手を当てながら近づいてくるのを待つ。

近づいてきて見えたのは、いろいろと奇妙な格好をした男の生存者だ。頭には消防士がかぶるヘルメットと、衣服には加工した金属の鉄板――恐らくはガードレールを加工したもの――が縫いこまれている。鉄板は両手の前腕部分、脛と太ももにある。スポーツ用品と思われる肘当て、膝当ても身に着けて、登山用と思われる大型のバックと、主装備らしい消化斧も持っていた。

「おたくらも、DJフレンドの話にあった例の光の正体を見に来たクチ?」

手をさし伸ばしてきたのを一瞬逡巡しながら、握り返す。その手からうえける感覚で、この生存者の力強さを感じる。敵意は本当にないようで、西村とは違うさっぱりとした人懐っこさを感じさせた。

「そういうわけではないかな。失礼だけど、君は?」

「俺かい? 柳瀬ってんだ。見てのとおり各地をぶらぶらしてる。おたくさんは? どっかで聞き覚えがあるんだけど、会ったことあったっけ?」

正体を隠している訳ではない。当然、不要なトラブルを招く可能性もあったが、素直に自分がそのDJフレンドだと名乗る。

「あー、通りで聞き覚えのある…。へ? おたくがフレンドなの?」

まるで有名人にでも会ったかのような反応に、DJフレンドは少し苦笑した。

「ここがその場所ですね」

以前、佐原と藍が見つけた、大型駅エリアの中心に繋がる地下道、そこにアクセスできるルートの1つを、工作班は確認していた。

地下道はバリケードを通り抜けて唯一侵入できる場所だ。しかし、すでに佐原がその場所には大量のゾンビが埋め尽くされているということから、パラノイアもその場所の危険性は把握していると判断できる。しかし、それは考え方を変えると、非常に厄介な場所であるということだった。

「佐田さん、お願いします」

「ふん、周囲の警戒を頼む」

探索組は、最後の障害となるであろうパラノイア攻略に挑む。それは当然総力戦となってくるだろう。戦いが長引きこう着すれば、その地下道を埋め尽くす大量のゾンビは、十分強力な戦力であり、伏兵としての奇襲も兼ねることができる。

佐田は溶接機が稼働させて、出入り口部分を固めていく。変異体によっては効果的とは言えない可能性はあるが、即座に利用できない、そのわずかな時間を稼げれば十分なのだ。何より、あのバリケード自体がパラノイア、その配下達も自由に行き来できなくなっている。つまり、この地下道――あるいは別の手段――で出入りの手段を確保しているのは間違いない。

だからこそ、この移動経路の封鎖はパラノイアへの先手を打てると、山中は判断していた。

>>286
たまに鳥の丸焼きも出るね

>>288-289
いやまぁ、言うほど大したことでもなかったのだけれどね。けども、この状況下で、放浪者のとこじゃなくて
DJフレンドに生存者イベント発生とか出されても、事ここに至って出るキャラを今更どうすれば(ry

という苦悶が昨日あって寝ました。能力的には、体力とカリスマ性がむっちゃ高いけど、頭が少し悪くて、
運も悪いというキャラになりました。


なにその主人公みたいな奴
頭脳派の相棒がいると最強の二人組的なアレ?

それ聞くとやっぱ放浪者はもう放浪者ってカテゴリーになってるんだなって

乙!
柳瀬君の一般人が用意した精一杯の対策装備感好き

敵側出入り口溶接!これは良い仕事だ

EVEは研究所にて開発されたアンドロイドの側にいた。その様子を伺うように、野木を含めた研究者達とエクスが立っている。EVEとアンドロイドには互いを繋ぐケーブルで繋がれている状況だ。

目的は、覚醒したEVEのAIをアンドロイドに複製すること。それにより、もう1体の自立したアンドロイドを生み出し、対パラノイア決戦兵器とすることができる。

「うまくいくのか、エクス」

「さぁね。こればっかりは試してみないとな」

まだ疲労はある様子ではあったが、それでもエクスは飄々としている。それを見て、アリスはVR空間へのハッキング前と雰囲気が違うような気がしてならなかった。それは言葉に出せるほどの違和感ではなく、他の誰にも説明できないズレ。

彼女の様子に気づいたのか、エクスが視線をよこす。首を横に軽く振ると、彼はまたEVEの方に視線を戻した。確かにそのズレは重要なことかもしれないが、今この場において大事なのは、自分達の生み出すアンドロイドがどうなるかの局面なのは、間違いなかった。

「やっていいぞ、EVE]

「わかりました、友よ」

駆動音が響き渡り、しばらくしてアンドロイドに繋いだ端末の中にデータがインストールされていくのが表示される。エクスは、その内容をチェックしながら、少しだけ眉をひそめた。

駆動音が止まり、EVEは自らケーブルを外した。インストールが終わったはずの端末を忙しなく操作するエクスを見て、心配そうな表情をしている。

「気にすんな。やっぱり互換性の問題ってやつだ」

EVEの優れたAI、もはやそれは一個人と言っても差し支えないレベルのものだ。また、自我を抜かしても基本的な行動や学習するというのは、この世界をどこに探しても存在しない。唯一無二と言っていい。

その優れ過ぎたAIであるが故に、それを受け入れる器は早々簡単に作れるものではなかった。稼働させる部分に相違からのトラブル起きるのは予想していたが、ここまで完全に不完全になるのは想定外というか。そのAIを実行できる器を生み出した山海の天才さを伺わせるものだった。

ここにいる研究所のメンバーは、一流といっていい実力を持っていて、その結晶であるアンドロイドでこの結果なのだから。

「だがま、俺様がこのAIをカスタマイズしてやりゃあ問題はない。EVEみたいなってのは無理だが、それでもそこらのAIなんぞよりも良いのにはなるだろうさ」

問題はその良いAIを、パラノイア攻略前までに改良しなければいけない。エクスはそれだけシンプルに考えて、まだ疲れの残る身体に鞭を打ちキーをタイピングを続けた。

>>294
熱血系おバカ主人公。いろいろ登場が遅すぎる。

放浪者はまぁ、放浪者です


>>295
前からやりたかったスクラップ装備をつけてもらいました。こういうとりあえずの防具もゾンビ世界ならではよね


>>296
手に入れてからちょっとしか役立ってなかった節のある溶接機の出番です。



>>291の訂正
×その手からうえける感覚で、この生存者の力強さを感じる。敵意は本当にないようで、西村とは違うさっぱりとした人懐っこさを感じさせた。
○その手から受ける感覚で、この生存者の力強さを感じる。敵意は本当にないようで、西村とは違うさっぱりとした人懐っこさを感じさせた。

乙!
エクス有能

五百九十五日目

強襲班による高速道路からの侵入路確保の任務は進んでいる。高速道路から例のバリケードへ近づける範囲まではもうだいぶ近づいている。予定している確保のラインまでは、もう間もなくだが、トラブルを想定すると隣接する別ルートへ向かう部分の確保も進めなければいけないだろう。

工作班についても侵入路の確保は進んでいるようだ。また、地下道への入り口を封鎖する活動もしていると相棒から聞かされた。佐原の話に合った地下道にいるゾンビの群れ、パラノイアが利用しようとすればその危険性は高いからな。

それに、奴もバリケード内に閉じ込められている訳はない。地下道を含めて移動経路は確保しているはずだ。そしてそれは多くはないはず。少しでもそう言ったところを封じられれば、奴も焦りが生まれるだろう。

また、朗報として解析を終えたEVEが戻るとの報告があった。つまりは研究所でアンドロイドが完成したということなのだろうが、その事は何も聞いていない。パラノイア攻略戦において参戦するのは確かだろうが、結局知らない方がいい。

それに、EVEの持つ防御能力も重要だ。それに、パラノイアに知覚されない貴重な存在だからな。奴と戦う前に戻れたことのは喜ばしいことだ。

その上で、全員無事で奴との戦いを終わらせる為には、更に予期しない戦略を打ち出す必要があるか。

レポートNO.152

井門圭司


工作班の任務は順調ってとこだ。侵入ルートの確保以外にも、地下道の封鎖もやってる。これで少なくても地下道経由でゾンビの増援を送って、攻撃を仕掛けるってのは難しくなってくだろ。もっとも、大型駅エリアはパラノイアが周辺の奴らを集めたから、他とは比較できねぇ量だがな。

ありがたいことにEVEが戻ってくるのは決まってるから、工作班もこれで楽になるな。1体でも多くの戦力が欲しい訳だし、特に今回みたいな足を止めてバリケード破壊するってんなら、防壁になれるEVEの存在はでかい。

それに、話に聞いたアンドロイドも当日に参加するみてぇだし、こっちの準備は着々ってとこだな。パラノイアがそれに関してどう動くってのは気になるところではあるけどよ。元々、この侵入ルートの確保の邪魔でアクスマン達をよこしてたはずだからな。

手駒が無くなった今、それ以上になんかしでかしてくるのかってことだよな。

4/8 担当勝 朝

なんだか緊張してきた。パラノイアについてはもうそろそろだよな。

俺も、当日戦いたい。


担当門日 昼

それは流石にダメじゃないかな。

放浪者さんが認めない気がするよ。


担当平山 夜

そう思います。拠点が狙われる、その可能性は十分にある。

ほとんどの戦力になるメンバーはいなくなることを考えれば、そう判断されるかと。

【それぞれの意義3】
「お疲れ様でございます、放浪者さん」

「…どうした、喜読」

「はい、山中さんよりもう休むよう伝えてほしいと、言伝をいただきましたものですから」

「…もうこんな時間か」

「えぇ、夜の番は警備組はいつも通り行いますので、お休みください」

「…そうだな」

「………どうされましたか?」

「…悪気はないが、なぜまだ喜読はここに残っている?」

「どういう意味でございますか」

「…パラノイアの脅威を身をもって知っているのは、一番は喜読だろうからな。それと戦うとなれば、逃げ出したいと考えても普通だ」

「なるほど、そういうことでございますか」

「…無理に危険と付き合う必要はないとだけ、伝えておく」

「考えておきましょう。その時が来た場合にはでございますけれど」

「…………」

「パラノイアの危険は知っております。そしてもう1つ、知っていることがあります」

「…なんだ?」

「事情がなんであろうと、皆様はあの窮地の中で私を救いだしていただいたということです」

「…当然のことだ」

「はい、それでしたらそのお礼を返すのも当然のことではございませんか?」

「…そうか」

「疑問は晴れましたなら幸いです。明日も早いと伺っていますので、お早めにお戻りください」

「…おやすみ」

「はい、おやすみなさい」

>>300
まぁ、名の売れる程度にそっちの道のプロでございますからの。
まぁ、VR空間で何か刷り込まれてますが。

乙 みんな頼もしい存在に成長してるな 戦闘能力に限らずね

エンタキーを少し強めに叩いてから、エクスは目頭を押さえながら椅子にもたれかかった。操作していた端末には、EVEのコピーされたAIを、彼特製のソフトによってアンドロイドの仕様に合わせて、自動的に改良されていることが表示されている。これが終われば、ついにアンドロイドの完成に至る。

彼がいる開発室にEVEが飲み物を持って入ってくる。その動作が前に比べれ自然であり、もはや額の発光ダイオードを見ない限りは、EVEがアンドロイドであると見ただけで判断するのは困難だろう。エクスの為に飲み物を置く動作さえも、もはや人間のそれだった。

「友よ。あの子は問題なさそうですか」

心配そうに、生み出されたアンドロイドを見て確認をしてくる。確信はあっても確証を持てないエクスは、多分として答えられなかった。異次元の天才である山海を抜かせば、自立しそして自ら判断するアンドロイドの製作は、惨劇前を含めても今この時が初めてなのだから。

ソフトが改良を終えたことを示す表示がされる。起動するかの選択肢を少しの間眺めてから、エクスは『YES』と答えた。

機動を知らせる駆動音がアンドロイドからわずかに零れ落ち、しばらくしてから自ら旋回して、エクスとEVEの方を向く。

「…。マイマスター、ご命令を」

「……。人間の文明復興をお手伝いします。よろしいですか?」

畏まりましたと、アンドロイドは応えた。

五百九十六日目

強襲班による高速道路からの侵入路の確保は進んでいる。大まかな予定は進んでいるから、後は全体的な補強と確認か。おおよそ奴も侵入してくるであろうルートは予想しているだろうから、その妨害を防ぐ意味合いになる。

まぁ、どちらにしてもパラノイアとして、侵入が予想できる箇所に対策はすでにされていると考えるべきだろうな。妨害に戦力を割くよりは、その方がよっぽど現実的な手段だ。少なくても、確実に俺を処理したいであろうパラノイアにとって、侵入されての迎え撃つ以上、その対策に手を抜く理由は一切ない。

一番厄介なのは、その対策に加えて思考を読むことでの臨機応変さが、当然コマンダーゾンビ特有の脅威だからな。どんな対策をされてるかによっては、抵抗も出来ず処理されるかも知れない。

しかし、そうはわかっていても、都市解放には大型駅エリアの探索は抜かすことはできない。何より、凶悪な存在が隣接しているなど、安定した活動もできないからな。

その上でもし、この戦いで俺達が負けたとしたら、もう大型駅エリアを消滅するような攻撃を加えるしかないだろう。

一ノ瀬DIARY Apr. 9

工作班の大型駅エリア、パラノイアの侵入ルート確保は進んでます。地下道からこっち側に出られるところの封鎖も始まって、今のところ問題はないかな。

地下道の封鎖は、パラノイアが私達の裏をかいて拠点を襲う可能性を封じられるから、出来る限りちゃんとやらなくちゃ。多分、回収組の2人も佐田さんも参加する気がするから、そうなるとほとんど人がいなくなっちゃうし…。

研究所の人達がきてくれるかもしれないけど、聞いたアンドロイドの事とかで拠点から離れちゃうかもしれないから。うーん。

でも、ようやっとEVEちゃんが戻ってきてくれたから、もっと楽になるね。研究所に行く前とだいぶ様子は変わってたというか、本当の人間みたいになっててビックリ。話に聞くと、本来眠ってた力も解放出来たからみたい。機械はよくわからないけど、良い事なんだと思う。

これで、明日からはもっと安全にやっていけそうだなー。

【それぞれの意義4】
「ふん、バリケードの補強は終わったぞ」

「助かるわ。これで、襲われてもちょっとは大丈夫そうね」

「どうだかな。聞く限り、パラノイアはかなり厄介そうだ」

「あたしも遭ったことも見たこともないけどね。少なくともここまでゾンビが大量に来る事態になったら、多分そういうことよ」

「ふん、難儀なことだ」

「……。言おうと思ってたけど、別にあんたがここに居なきゃいけない理由もないし、嫌なら出てってもいいのよ?」

「気が向いたらな」

「それとも、あんたの弟子だった平山が気になるってとこ?」

「……。知っている限り、不出来だろうとなんだろうと、俺の技術を唯一引き継いだ弟子だ」

「だから残るって訳?」

「ふん。何か問題あるのか」

「ないけど。一応警備組のリーダーらしいから、そういうのは確認すべきじゃない?」

「そうか」

>>306
士気の高い連中相手にするのは、大変な物よねぇ

乙!
アンドロイド起動おめでとう!
しかしEVE共々、世界レベルの快挙なんだけれども、こんな情勢にならなければ作られていなかったんだろうな、と考えると複雑だね
それはそうと、「友よ」って呼びかけ方格好良いなw


前書いた理想のアンドロイド部隊に近づきつつあるね
むしろ資材と人員さえあれば達成出来そう

シールダーのEVEが、人間性解放して帰って来たッッ!
キャタピラガンナーの……呼称未定君を引っ提げてッッ!
ここからの二体の活躍、大いに期待だッッ!

確かにそう言ったけどもさ・・・。

研究所にて製作されたアンドロイドは、初めて成功したアンドロイドとしてロッサと名前を付けられた。自立しての活動できるように生み出すことは出来た。だからこそ、ロッサは絶対的に経験不足だった。

EVEとは違い、ロッサは戦うことを前提として作られたアンドロイドだが、間違いなく今は赤子と全く変わりのない状態に過ぎない。そして、その状態でパラノイアとの決戦を迎えれば、逆に足を引っ張りかねない。

回収していたライフルを装備させ、実射訓練をさせていた。その指導についているのは、やはりエクスだった。

静止しての射撃は文句なく高水準を叩きだしたが、的を移動させたり自身が動いての射撃となると、エクスが想定していた水準を下回っている。

恐らく当日は、全体の援護の為にロッサは駆けずり回ることになる。認識できない戦闘可能な存在がいることは、パラノイアにとって無視しようがない事態だからだ。つまり、留まるような動きではロッサを活かすことが出来ない。

「ロッサ。もっと予測しろ、入力された正しい射撃方法だけが全てじゃねぇぞ」

「はい。情報(データ)を累積します」

今この時ですら、いつ拠点から任務開始の連絡がきてもおかしくない。それまでに最低限の調整をすることも、エクスに求められる急務だった。

>>312
まぁ、ここまでじゃないけれどアンドロイドもどきは以前触れられた分ではあるんだけどね。
「友よ」はプログラムに戻った山海のAIの名残だね

>>313
作るだけならまぁそれでもいいんだろうけどね。

>>314
そんな訳で名前が決まりましたよと。一応元ネタはあります。



さて、597日目の判定がまた悩ましいので気分転換に外言ってきて戻ったら書きますよっと。

乙!
”あ”が4っつ……四阿(あずまや)かな?






























































ああ
2017/07/12(水) 17:38:04.11ID: FO/WkdNt0 (4)
372: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします [sage]
乙です
2017/07/12(水) 17:46:27.91ID: HeBea9beo (1)
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『皆様にお伝えしておきます。この状況ですが、あまり良いとは言えない人間が都市に紛れ込んだようです。警戒頂くのはもちろん、可能なのであればその方に警告はしてください。また…、脅威が生まれるのも、なられるのも厄介ですから』

任務へ向かう前に、覚から受けた忠告を平山は反芻していた。それは自分達回収組だけではなく、全体に周知されたものだったが、最後の脅威が生まれるという部分に胸騒ぎを覚えなければいけなかった。

パラノイアだけでも脅威極まりないのに、新たな第三勢力の存在は抜き差しならない事態にもなりかねない。話しの感じからして単独で動いている相手にも思えるが、もしかすればその背後に何らかの勢力が付いている可能性も十分にある。

だからこその、忠告ということではあるのだろうが。

「大丈夫スかね…」

その事を聞いているフェイも、普段より警戒した様子でいた。本能で動くゾンビの対処はいくら慣れていても、対人としての対応に慣れているとは、自分達は言い難い。それに、悪意ある相手だとして、躊躇なく攻撃できるか。

ゾンビに成ってしまった人間を処理出来ても、人間そのものを処理できるかはまた、別のことだ。

歩む先に、左右の視界が聞かないT字路の交差部分が近づいてくる。視界が通らないのは、バスが壁になっている左側。見える範囲ではバス内にゾンビの姿は見えない。ハンドサインで平山はフェイに停止と周囲の警戒をするよう指示し、小さな手鏡を懐から取り出す。

まず、バスを背にして、正面の通りを慎重に確認し、そちらにゾンビがいないことを視認してから、手鏡を使って反対の通りを確認した。こちらの通りにも何もいない、そう判断して手鏡をしまおうとしたその時だった。路地裏から1人の生存者が、姿を現した。

鞄を背負って、鈍器系の武器を持っている以外はどちらかというと身軽な出で立ちだった。しばらく様子を見ていたが、その後に仲間が続く様子はない。単独で間違いないなら、覚から話の合った生存者に違いないはずだ。

問題は接触をするかどうか、人数的な分や相手がこちらに気づいていないという有利な状況。だからといって友好ではないだろうと想定できる生存者にわざわざ接触するのも、かなりのリスクだ。

「(接触する気はないが…、大型駅エリアに近づかれても面倒だからな)」

慎重に通りへ出て、その生存者の背後を身を隠しながら尾行を始める。目的は大型駅エリアのパラノイアの脅威を知らせる為。そして、それは直接接触しないという難儀なものが追加されていた。

工作班の新たな任務である、バリケード外にある地下道へアクセスできる出入り口の封鎖の任務は、探索中に手に入った地図の情報によって好調に進んでいた。もちろん、EVEによる対応の多様性が取り戻せたという事実も大きい。

アクスマンやソードマンといったわかりやすい襲撃もなく、この好調に1人だけ危機感を覚えているメンバー、それは井門だった。

もちろん、全体的に油断があるとまでは言わない。しかし、わずかな隙間のような緩みがあるのは、否定できない状況の中で、井門だけ違うのは彼の持つ性格と今まで受けてきた影響によるところが大きい。

更に言えば、連携は確かに取れていると言っても、EVEは以前と変わったことを踏まえて、その変化に注視しているところもある。

バランスが良いからこその、全体の把握。それができるからこそのサポートの動きを最も得意とする彼らしい反応だった。

「井門さーん、どうしたんですか?」

「いや、なんでもねぇよ。封鎖終わったのか?」

一ノ瀬が終わりましたという声に、じゃあ次だなと周囲の警戒を怠らない井門。彼のその姿を見て、彼女はいつもよりピリピリしているなという感想を抱いた。

強襲班の高速道路からの侵入路確保については、ほとんどの終わりが見えている状況だった。後は工作班での侵入路の確保さえ終われば、後はパラノイアとの決戦が待っている。

放浪者は高速道路から眼下にあるバリケード内部を、いつも通りの無表情で見ている。恐らくは何かの新たな策を練るための何かがないか探っていた。

無線からの報告で、工作班の出入り口封鎖も順調に進んでいることは聞いている。それに近い事をできないか、そんなことをあえて模索している状態だった。

「兄貴、どうシたっすか?」

確保がある程度終わり、戻ってきた佐原が放浪者の様子を見て声をかける。その態度はいつもの、突拍子のなく考えていることを実行に移しかねない、そんな空気を漂わせていたからだ。

「…いつ突入するか考えていた」

ある程度の任務の進捗が進んでいることもあり、それは当然の検討内容で、佐原は少し胸をなで下ろしてた。確かに、この侵入路の確保もあまり時間をかけてはいられない。悠長にしていればパラノイアが何かしでかしてくるのは、当然のこと。

「…四日後だ」

だが、その断定した日程を聞かされるとは、佐原は思っていなかった。

五百九十七日目

強襲班による高速道路からの侵入路確保はほぼ終了したと言っていい。残っているのは、他のルートへ繋がっている部分のゾンビ処理程度だからな。後は工作班の任務の進捗によるが、パラノイアの決戦が待つだけだ。

それを持って、俺の本来の任務になる文明復活の為の足がかりが出来るということだ。始まってすらいないことを始める為の終わりが、奴を倒すということになるな。

しかし、気がかりな不確定要素も増えた。覚が感知し、回収組が確認した生存者だ。覚が言うには友好的とは言い難い相手のようだ。他の勢力でひっそりと物資を盗み出すタイプで、戦闘経験もそれなりにあるようだ。

平山さんは直接的には接触せず、大型駅エリアの危険を知らせるメモを描いた用紙を石にくるんで、それを側に投げ飛ばしたらしい。相手が拾うところまで確認してから離脱したようだから、情報は伝わっていると思っていいはずだろう。

後は、DJフレンドのところにも新たな生存者がきているようだ。名前は柳瀬という元消防士で体力自慢の男らしい。とりあえず敵ではなさそうだが、経過を見ているといことだ。バレットパレードの時に比べれば小さな事態だが、何かトラブルが起きなければいいが。

さてさて、工作班の侵入路確保と地下道の封鎖も順調ですね。

あんまり好調過ぎて、井門さんがパラノイアの策略じゃないか的にいつもより警戒してましたね。

ありがたいことにそういった事は特になし。

でも、もうパラノイアはあたし達を感知しててもおかしくないはずなんですけどねー。

多分配下じゃないかって言われたアクスマン、ソードマンを処理されて、ただ黙ってるタイプにも思えず。

うーん。全く想像できないかな。

覚ちゃんが言ってたのは、極彩色の世界を守るために動いてるってなことらしいんですけどね。

想像できない世界かな。なんでそんな世界を頑なに守ろうとしちゃうのか。

まぁ、分かるような相手じゃないのは確かなんでしょうけどね。

とりあえずは、EVEちゃんも戻ってエコーさんも居てくれてる訳ですから。

やれることをやるしかありませんね。

ただまぁ、放浪者さんがまた勝手しそうな雰囲気で気になりますなところですけども。

「ふんふふーんふー♪」

フェアリーは楽しそうに、拠点の外で、その周囲に浮遊していた。放浪者の側にいる訳でもなく、1人でいる状態だ。

「フェアリー、ここにいたんだね」

「あー、エコーちゃん!」

嬉しそうにフェアリーは、エコーの周りと飛び回る。その後、抱き付いてきたフェアリーの頭をエコーは優しく撫でた。しばらく、その状態が続いてから、ゆっくりとフェアリーは離れ、愛らしく笑い、そして首をかしげて何か用事があるのか聞いた。

「そうだね。以前より、楽しそうにしていたから」

「えー、楽しんじゃダメなの?」

そういうことじゃないよと、言いたかった真意が言えず言葉が止まってしまう。結局のところ、エコーが知るフェアリーは人見知りで、自分達超能力者以外で懐くことは想像できなかった。それこそ、放浪者にあそこまでべったりしていること自体も、驚きだったのだから。

その上で、今はまだおっかなびっくりな様子はあっても、拠点のメンバーに接することができている。それが出来るとさえ、エコーは思っていなかった。

「(…。この子が信じる人達なら、きっと大丈夫かな)」

もちろん、エコーもここにいることに不安を感じていない訳ではないが、それでもフェアリーのこの様子を見て、それは多少和らいでいた。

男は一枚の紙きれに目を通していた。内容自体はシンプルなもので、この都市にある主要な駅の周辺に近づくなというものだった。

この都市で活動している勢力が、その場所を根城にしていることからの警告だと思い、近づいてみると大掛かりな工事でもしたようなバリケードが張り巡らされた場所を発見した。最初はそこが、警告を発した勢力の居場所と判断して確認してみると、不気味なほどの無人だった。

今はいったんそこから離れて、適当な商業ビル内にあった宿直室にいる。そして、この都市を歩き回って分かったのは、大型駅があったバリケードの周辺と、それ以外の場所ではゾンビの個数が明確に違うということだった。

この周辺を活動している勢力がいることを含めても、気になる偏りだった。まるで、何かがバリケード周辺にゾンビを集めた、そんな表現ができそうだった。

警告には嘘はなさそうだ。そして、何らかの勢力がバリケードを警戒していることは想像できた。めぼしい物資を持っていそうな雰囲気もあり、わざわざ警告してくる程度にお人よしな連中なのも想像できる。が、今は敵対的な行動は避けた方が良さそうだと判断していた。少なくとも、バリケードの正体が知れるまでは。

宿直室にあるベッドへ横になり、明日はここいらにいる生存者を見つけて、どこに根城があるか確認することにして、眠りについた。

【緩やかに見える時間】
「………」カラン

「もうそろそろか、放浪者」

「…あぁ、パラノイアとの決着は、秒読みと言っていい」

「それが終われば、後はのんびりできるといいんだがな」

「…しばらくはな。まだ問題は山積みだ」

「やれやれ、無茶しないようにな」

「…そのつもりだ。保安官」

「……文明の復興、できるかね?」

「…するさ。それが、俺の平穏に生きるという願いにも繋がる」

「平穏ね、なんだかお前さんには縁遠く感じるぜ」

「…好戦的なつもりはないんだがな」

「今までの無茶を思い出せってこった」

「…ふむ」

>>319
なんだろね?


謎の生存者が生き残る道は放浪者に捕らえられて街から出ることかなー?
ってか放浪者なら明日に単独で動いて捕らえてそう

乙!
警告メモには、素直に大規模戦闘の予定があるから近付くなって書いた方が脅しになったかねぇ?

こんなとこに居ると思えない生存者って書いたけど、そういや喜読さんも大型駅エリアで発見したんだっけな

対パラ戦ではなぜか生存者に水を差される事が多いのか……
ダイス神の望みはアニメみたいな場面引き伸ばし……?

来るなら面倒臭いから食べもんだの多少用意しといてやるか?それでなおせびる様なら……

>>331
まぁ、生きながらえるならそこらかね

>>332
どこまで提示するかが問題よね

>>333
まぁ、喜読も警察署でひょこって出てきてるからね

>>334
いろいろ聞きたいよダイス様には

>>335
素直に来るかも謎だけどねぇ


ちょっといろいろ判定の擦り合わせ難航&ちょっと時間取れないのでまだちょっとかかりますでや



乙!
まぁた>>1的判定地獄かぁ。如何せん、判定してもらう事が多過ぎるみたいだからなぁ

そしてたまの登場、みんなのおとん。また狩猟もしてほしいなぁ。出来れば技術修得にお供を数人引き連れて……

『もう1つ(IF)のフェアリー』

WWPの兵士達は恐怖していた。理解できない、その超能力(いじょうげんしょう)に。もちろん、相手は想像もできない力を持つ超能力者であることは承知の上での話だ。これまでもゾンビ、同じような異常を持つ変異体とも戦ってきた部隊を持ってして、そう感じられる相手だった。

そう、殺したにもかかわらず次々現れる敵、しかもそれは同じ可憐な少女なのだ。

銃で撃ち殺して倒れた後、力なく地面に崩れ落ちて透明になって消える。切り殺そうと、爆殺しようと、同じよう死を感じさせる動きをして消え、そして新たな同じ少女が周辺で微笑んでいる。

殺したはずなのに殺せないのか。そもそも自分達が幻覚を見ているのか。少なくても、相手はどこからか回収した武器を持ち、攻撃を仕掛けてくる。近接武器なら、それは感触を持って襲ってきた。こちらが刺し殺す時も、その感触は手に残る。だから、これは少なくても幻覚ではない。

こんな戦いを続ければ、銃弾は空にならざる得ない。兵士全体で合わせて50人以上と相手をしたのだ、これは通常の一戦闘行ったのと等しい。なのに、いくら処理しようと少女達(それ)は包囲するように居る。

そして今度は、お返しとばかりに隠していたらしい火器を持っていた。兵士達は装備があるとは言っても、生身に当たれば死に、そのまま残る。

――降る銃弾の中で、また新たに出現することなど出来る訳もない。

骸が転がり、血が広がる。その中で這いずるように動くのは1人だけ、コツコツと何かが近づいていく。誰であるか、瀕死の兵士には否応にでもわかりきったこと。肩を蹴飛ばされ、仰向けになると少女がほほ笑んで顔に向けて銃で狙いを定める。

「ふふ、私と遊んでくれてありがとう」

発砲音がこだまして、粘ついた液体に金属が落ちる。戻ったのは静寂と、残ったのは撃った骸、そして一人の少女の姿だけ。

>>337
まぁある程度はダイス様にしない方が統合性は取れやすいんだけどね。

それができるようになるのは、都市解放出来たらかな。



フェアリーの超能力候補の1つ、肉体複製(ドッペルゲンガー)。イメージ的には特殊能力を持たない近距離型スタンドを
複数体生み出す感じです。ざっくり言えば分身の術。

まぁ、今の能力自体もダイス様で決まってるので、こっちだった平行世界もあったって感じですかの。



今回の幕間は、時間が取れないのとちょっと時間かかってるので、執筆開いてるのでその準備体操がてらのものです。

乙!
パラレルの分身フェアリーちゃんは、殺し合いを遊びとか言ううえにサイドテールも相まって、もうほぼフランちゃんやな

探索組と回収組が任務遂行へ向かってからしばらくして、行商が久しぶりにやってきていた。相手をするのはいつも通り喜読と、その側に浜村もいる。内容自体はいつも通り、拠点で生産された野菜を元手に不足しがちな物資を交換している。

一通りの取引も終わり、行商達も帰り支度を始める。浜村も喜読に物資を保管庫へ搬入をお願いして、見張りの意味を含めて行商を様子を見ていた。

「どうかされましたかぁ?」

彼女が行商達に良い印象を持っていないということもあり、それが視線に出ていたのだろう。何でもないと取り繕うことは出来たが、一応の協力相手ということもあり話さなければいけないことがあった。

「あんたら、大型駅がある辺り通る予定はないわよね?」

「ございませんよぉ。そちらがどうされましたかぁ?」

覚も言っていたが、今不確定にパラノイアを刺激したり、あるいは、襲われた生存者が出るのは避けることだった。前々から行商達にパラノイアの危険性は伝えていたが、今はより明確に、その戦いが最終段階に進んでいることを伝えた。

「もしかしたら、次に来たら無くなってるかもね」

笑えない冗談だと、当人も思いながらその言葉で締めた。社長もいつも浮かべる胡散臭い笑みも、少しばかり陰る。

「別に協力して欲しい訳じゃないし、まぁ、しばらくは離れてた方がいいわよ」

「…さようでございますねぇ」

社長は部下に呼ばれて、ではまたと言葉を残して去っていった。もしかすれば行商達が二度と来なくなる可能性はあったが、今は目先のパラノイアとの戦いが先だった。

「えーっと、どこらへんにあるスかねぇ」

フェイがいるのは大人向けのおもちゃが売られているショップ。いわゆる、アダルトショップなどではなく、価格帯的にもやや高めなラジコンと言った分類のものだ。それ以外にも個人用の無線も売られている。あまり荒らされた形跡がないのは、それをすぐに必要とする生存者がいなかったからというところだろう。

今回のパラノイアの戦いにおいて、いくつかの携帯型の無線の確保は可能であれば必要だった。連絡手段は恐らくパラノイアが攻撃にしてくる対象になりえる。予備の無線機があれば、いざという時の役立つ。

据え置きタイプの無線機が目立ち、持ち運ぶものがあまり見当たらない。そういう趣味の人は、持ち運ぶより家の中でいじる方がいいのだろうかと、フェイは思いながらいろいろ漁っていく。

なかなか思ったようなものは見つからず、仕方なく店内そのものに何かないか探す。誰の手も入ってないとなれば、その分手つかずの物資が残っている。店柄、良いものがあるかは少し想像できなかったが。

「お、これは見たことあるスね」

四方に埋め込み式のプロペラが組まれた、飛行させるタイプのラジコン。その用途を閃き、フェイは持ち帰ることにした。

「そんな訳で持ってきたス」

フェイが回収したのはドローンと呼ばれる撮影に特化した、マルチコプターと呼ぶものだった。かなりの広範囲を飛行させることもできる優れたものだ。

彼女の考えはこれを使って今度偵察などに利用できないかということだった。それに、パラノイアとの戦いにおいても、素早く状況を把握できることはかなり優位になる。うまくやれば、サポートチームとの連動でより高度な情報収集、各組との連携がとれるかもしれない。

「いい考えだが、操作は出来るのか?」

「え? 飛ばせばいいんスよね?」

はっきり言って、持ってきたドローンのコントローラーを見て、平山はかなり難解そうな印象を受けている。多分いじればわかると、フェイはコントローラーを持ったまでは良かったが、動かない。まずは電源はどこからか探すところから始まった。

何とか説明書を読み解き、起動するところまでは成功させた。後は飛ばすだけというところで、次は安定して飛行させることがなかなかできない。

「ああぁ、どこいっちゃうんスかー!」

仕舞いにはドローンがあらぬ所へ飛んで行ってしまう始末だった。

「あれは…、井門君。あそこに飛んでいるのが何かわかるかな?」

林道が指さす方向を、井門は双眼鏡を使って確認する。そこには四方にプロペラがついたマルチコプター、ドローンらしきものがあった。WWPがまた何らかの理由でこの都市の何かを探しに来た、最初はそう思ったのだが、どうにも動きがフラフラしているというか、見当違いな飛び方をしている。時折、建物の壁にぶつかっていたりするものの、大きなバランスを崩さず飛べていることが、いろいろと奇跡的な状況だ。

見たものをとりあえずメンバーに報告して、万一撮影だった場合に備えてドローンから隠れた位置に全員移動する。その間も明らかに挙動不審な動きでドローンは飛び回っている。

「……。何なんでしょうかね、井門さん」

「わかんねーな」

一ノ瀬の問いに彼も答えようがない。言えるのは、とにかく奇妙だということだけで、今は無線を持っている山中が情報共有がてら各チームに連絡を取っているところだ。もしかしたら、それで何かわかるかもしれない。とりあえず今は、あの奇妙な飛行物体から目を離すことはできない。それは間違いなかった。

>>340-342
属性的にもEVILタイプなので、まぁ、放浪者でも躊躇なく襲い掛かってたかもねと。
どうなるかは、うん。屠るか仲間にするかのどちらかだろうね。

乙!
とりあえず不審物として撃ち抜かれなくてよかったなw

空を飛ぶドローンの姿は、都市に紛れ込んでいる生存者の目にも映っていた。奇妙な動きをするそれに、誰であっても警戒心を抱かない訳がなかった。

生存者の目には、それはこの周囲を活動している勢力が偵察の為に飛ばしているものに見えていた。その割に下手なのは、恐らくそこに映っている映像を頼りに飛ばしているからだろう。警告してきた自分がまだいないかの確認や、バリケード周辺を刺激しない方法としては、かなり優れている。

そうなってくると、警告自体はかなり真実を帯びている。間違いなくそこには変異体か何かの危険な存在が眠っているのは想像に難くない。気になるのはあの見えるバリケードは、どちらが作ったのかということだ。

このゾンビの量を考えれば、ここにいる勢力がやったとは思えない。なら、中にいる存在が自らの為にということになる。知恵を持つ、かなり危険な相手。

そこまで推察して、後ろから何かに飛び付かれ、生存者は潜んでいた室内の廊下に倒れこむ。何とか、身体を仰向けにすると、襲い掛かってきたのはジャンピングゾンビであることに気づき、手のひらが自分の顔目がけ降ってくる光景だった。

右顎と頬の部分にそれはぶつかり、固い床に後頭部が叩きつけられ、意識を集中させることが出来なくなった。

ジャンピングゾンビが生存者の上をどけると、後から入ってきたゾンビが、その生存者を食べることなく、どこかへと連れて行った。

あ、あら?雲行きが何かおかしな事に……

ともかく乙!

五百九十八日目

強襲班による高速道路の確保はほとんど終わっている。工作班の任務も新たに追加されたものを含めてかなり好調のようだ。推移は悪くなく進んでいると言っていい。

ただまぁ、今日は回収組のメンバー、フェイのせいでひと悶着あったようだがな。回収したドローンが高性能でかなりの範囲まで飛び、工作班が活動しているエリアまで奇跡的に飛んだらしい。ドローンは無事工作班の手によって回収している。

時期が時期だけにあまりトラブルは起きてほしくはないものだが、仕方がないか。大事に至らなかっただけまだよかったというしよう。この好調に水を差すのは、良くはないからな。

後は来たるパラノイアの決戦については、間違いなく近日中に行う予定だ。この侵攻ルートの確保が読まれていることは重々承知している。今この時も奴が対策を進めているのはわかり切ったことだからな。

だが、それはいつであるかをはっきりさせることはできない。それだけは確かだな。

4月11日

工作班による大型駅エリアの侵入路ルート確保、及びバリケード内と外側を繋ぐ地下道の出入り口に封鎖は好調に進んでいる。トラブルらしいトラブルは、回収組がテストで飛行させたドローンが、制御できないまま工作班の任務エリア内まで来てしまったことぐらいだろう。

ドローン自体は、無線でのやり取りで状況を把握したため、破壊せずに回収している。それ以外はむしろ好調に任務を終えることが出来たと言っていい。

しかし、それが続けば最終的なパラノイアとの決戦も早まると考えていいだろう。放浪者も具体的な日程は言っていないが、近い内ということは話していたようだ。とりあえず、これを書き次第具体的なことは聞こうと考え
ている。

また、1点だけ気がかりな生存者の気配についてだが、覚ちゃんいわく認識できない状態と報告を受けている。大型駅エリア付近ともなると、拠点から大幅に離れていることもあって、存在を感知出来る程度ということもあり、死んだかどうかははっきりした訳ではないが、何か起きた可能性は高いだろう。


山中沙奈 記す

さて、連れ去られた生存者の未来は、ダイスで何分岐?

人質にするのかおびき寄せる為の餌にするのか…
後者っぽいなぁ…

まぁ、危険を冒してまで助ける人材じゃないって所が誤算だろうけど

山中が記録を書き残して、一息ついた頃。放浪者が寝室の中に入ってきた。いつも通りの様子でベッドに腰かけたが、ここのところ普段の寡黙さから更に押し黙るような雰囲気を出している。もっとも、それがわかるのは最も近しい山中だからこそだろう。

「そろそろパラノイアとの、戦いを始めるということでいいですか?」

放浪者はその言葉に即答せず、目を閉じた。互いに総力をかけることになるそれは、全て安易に決められることでは一切ない。何より総力戦ということは、どのような結果であれ双方に血が流れることになる。メンバーに何も問題なくパラノイアを処理する。その願いは、絵空事と言ってもいい。もしできればそれは、奇跡という言葉が相応しい。

不可能を可能にする、そういえることを何度か実行した放浪者でもそれは容易なことではない。例えるなら、英雄は1人、2人なら救えるだろう。だが全ては救えない。それは放浪者も同じことだ。

それを理解し、そして戦いは避けようがない現実を突きつけられている。その上で放浪者は、誰も死なず、その上でパラノイアを処理するという不可能に挑む。そう、結局のところ、やらなければ永遠にそれは成せない。

「…三日後だ」

短くもはっきりと彼は答えた。山中は頷き、ゆっくりと近づいて彼の手に触れる。何も言わず、そのままゆっくりと撫でる。温かみの中に、武骨で力強い手触りだった。

「どうされようと、貴方を信じます」

「…あぁ、苦労をかける」

そのやり取りの意味がわかるのは、2人だけだった。

>>348
全くである

>>350
どうなることやら


>>353
それは見てのお楽しみ

>>354
確かにそうなるねぇ



眠気がきつすぎて断念。すまぬ

>>1さんは最近どう?夏バテったりしてない?

これは拠点壊滅ゲームオーバーで更新なしですわ

パラリと、いくつか持っている手帳を西切は目を通していた。彼女がこの惨劇中に起きた情報が詰まった、重要なものだ。今まで自分が見聞きし、書き残したものに何か見落としはないか。彼女の習慣のようなものだった。

「ふわー、あれ。西切、まだ起きてたの?」

「あぁ、浜村さん。ちょっと眠れないものでー」

欠伸をしながら入ってきた浜村は、西切のその様子を気にする訳でもなく、冷蔵庫から飲み物を取り出す。西切も同じように、また目線を手帳に戻した。しばらく、互いに会話はなかったが、その口火を開いたのは浜村からだった。

「パラノイアと戦い。三日後なんだって?」

西切は当然驚いた。そういった話は、まだ放浪者や山中からは聞いてない。それに、そういうことは思考を読むパラノイアに知られるのはまずいことだ。だから、やるとすれば思い付きのように実行するとばかりと彼女は考えていた。

「その様子、聞いてないって感じね。佐原が放浪者がそう言ってたってのを聞き出したんだけど、周知してない感じなのかしら」

「さぁ、どうなんでしょうね」

あまり言わない方が良さそうねと言う言葉に、西切は頷く。一部だけに伝えていること、それ自体に何かの目的が放浪者にあるのは、想像しやすかった。

「ううーん。うまくいかないス」

室内にて回収したドローンを飛ばし、操縦の訓練していた。風の影響を受けない室内とはいえ、かなり難しい精密な作業を要求される。大ざっぱなところがあるフェイにはあまり相性のいいこととは言えなかった。

しかし、今回の一件。偶然かどうかはさておき、飛行自体が出来ていたと聞いたこともあって、自分ならできると彼女は思ってしまったところだ。

また、ドローンを壁にぶつけて、ため息をついて机に置く。もちろん遊び目的でこんなことをしている訳ではない。このドローンをうまく飛ばせるようになれば、そのことで優位に立てることも多い。これからのパラノイア戦において、こちら側が優位に立てる可能性もある。

もちろん、そこまで容易く身につけられる技術である訳ではない。一朝一夕でどうにかなるのであれば、それに資格が必要になるものではないのだから。

「…もうちょっと頑張るス」

誰に言うまでもなく、フェイは操作の練習を再開した。まだまだ自在に操れる訳ではないが、それでも徐々に、操作そのものに彼女は慣れ始めているのは事実だった。

>>357
バテるってまでではないけど、寝落ちしてること多くなったから疲れてはいるんだろうねぇ

>>358-360
始まった当初はリアルタイムだったけれど、今は判定等の作業量の都合で関係なくなったからねぇ。
単純に仕事が多くなったのと、苦手な夏の暑さにやられ気味ってとことです。


というか、疲れとかの言い訳もあるけれど、だらだらしすぎたね…。あんまり延びないようにはするでや。

一ノ瀬は、火器保管室にいた。銃を整備している井門の姿をジッと見ていて、いつも通りのことに彼もそのことを気にしている様子はない。そのいつも通りが崩れたのは、佐原がそこに姿を現したからだった。

「井門さン、今大丈夫っすか?」

真面目な様子に、井門は作業を止めてそちらに向き直る。言うべきかどうか、明らかに迷っているのが佐原の態度から出ている。

「井門さんも、何も聞いテないっすかね?」

何をという問いも、そのこと自体が言いにくいことのようで、うーんとうなる。一ノ瀬もどうしたのかと困惑した表情をしていた。

急かした所で意味はなさそうだと判断した井門は、そのまま佐原から話すのを待った。

「ソの、パラノイアとの戦いの日―――」

そこまで話した彼に、井門は素早く手を上げて静止した。

「それは言うな。パラノイアに読まれちまう」

「てことは、放浪者さんから聞いたノはやっパり、俺だけっすか」

井門は頷き、それを見た佐原は一ノ瀬を見るが、今度はきょとんとした顔をしていた。

「奴とやりあう日は迫ってるってことだ。放浪者さんが佐原にいったのは、人狼になっちまったからそうは読めないだろうってとこだろ」

「なるほどですね…」

ただ1つ気になるのは、放浪者が佐原にそのことは誰にも言うな。といった様子がなかったことだった。思慮深い彼には少し考えられないことに、井門はしばし考えを巡らせた。

「スラ、いるんだぞ?」

「(いるよー)」

スライムの為に用意された手作りの小屋の中は明かりはなく、外も明かりが失われた今、ほとんど暗闇と言っていい状態だった。

迫る戦いは周知されていなくても、拠点を包む空気でわからせるものだ。それは、幼さを残す2人が、敏感に感じるのは当然の事だった。いつもは仲良く話す2人が、ただ静かに側にいるだけだ。

「(お姉ちゃん)」

スライムのひんやりとした手が、探りながら動き、触れた藍の手に乗せる。暗闇の中で、お互いを認識できるのはその感触だけだった。

本当の姉妹ではけしてない。作られた人造の生命、変異により種さえも変わった生命、それはどちらも交わることはない。それでも、前からそうだったと言える絆が2人にはある。

「ちゃんと帰ってくるぞ。安心するんだぞ」

「(うん…)」

優しく手が握られる。それに応えて藍も握り返す。暗闇の中、2人はただ互いを感じていた。

いつものように花を添え、いつものように今日のことを一言二言だけ話し、そして小さな墓から拠点へと林道は戻ってくる。拠点の裏側、研究所へと続く道から中に入ると、錬浄が設置されたベンチに座り、空を仰いでいる姿があった。

何も言わずに、林道はその横に座る。放浪者を超える寡黙さを持つ錬浄も、それに何も言わずに視線を真っ直ぐ戻した。

「…。この戦い、勝機はありますかね?」

答えない、いや、それは誰も答えられない。以前、包囲されたという事実はあれど、探索組はパラノイアに追い詰められた。誰も死なず、喜読を救出できた。それは言ってしまえば、奇跡でしかない結果。

この戦いで誰しもが望むのは、誰も死なないという同じ結果。それはつまり、また奇跡を起こさなければいけないということだった。

「為せば成る為さねばならぬ成る業を成りぬと拾つる人のはかなき…」

「…。確かに、やらなければ勝ちようもないですね」

御意と、言葉を返した後、また錬浄は空を仰ぐ。そこには明かりを失った代わり、星の明かりが目に付いた。そしてこれが本来の夜空の姿。

錬浄は目を閉じ、周囲を感じて、そうあることが自然のように佇む。その姿勢は、隣にいる林道と対照的なものだった。

戦いの中に身を置くようになったとは言っても、それでもまだ2年にも満たない。それなのに、惨劇後の記憶はどの記憶よりも色濃かった。それが、時間の経過を誤認させる。

負傷により失った片腕、そして得た強力な片腕。本来無いはずのそこが疼くのは、デルフィアを外しているからか、それとも元々あった名残が残っているからか。この感覚を覚えると、ちょっとした衝動を抑えなければならないことに、ハンターは複雑な気分を味わっている。

家族を奪ったミュータントは未だに見つかっていない。道中それらしい情報を聞き出し、見つけ出したのはそれとは違う驚異の存在達ばかりだった。そしてその戦いも熾烈を極めていた。

そう言った存在と戦う時に、彼に恐怖心がない訳ではない。しかし、それを上回っているのは、殺意。家族と同じように人間に仇名すことへ、そして何より、それから守ってやれなかった自分へ対して。

無くなった右腕の感覚が疼くと感じる衝動は、結局のところ、うっすらと自覚している無力だった自分を責める思いが起こさせている。きっとそれから解放されるのは。

「…。そろそろ大暴れできそうだな」

来たるパラノイアの決戦に思いを馳せて、そう呟いた。

ここまで。やっぱり涼しいのはええのう。

乙!
いやぁ、全くですなぁ



放浪者が言った4日後ってのがブラフの可能性も出てきたか敵を騙すならまず味方からっていうし

>>369
のう

>>370
もちろんその可能性も充分やの


現在帰省中です。普段ならなんか特別編でもやりますが、こう差し迫ってる状況もあり。やるとするなら幕間か通常更新です

とりあえずコメ返と近況報告まで

実家から戻っておりますが、妙な頭痛に悩まされております。まぁ、寝れば治るでしょうがの。相変わらず帰省時は休めはしてないので。

まぁ、ここのところほとんど更新できてなかったWIKIをいくつか追加してます。まぁ、全部ではありませんが。
本編は問題なければ明日予定。寝ますだ。

まぁ、無理せんでボチボチ頼むで

黙々と針を動かす。だがそれはいつもの動きと比べて精彩を欠いていた。そのことをわかっていながらも、何かしなければ三間は落着けないでいる。

ゾンビが攻めてくることを前提とした備えにより、だんだんと様変わりしていく拠点。それはこれから来る戦いが、否が応でもやってくること、その事実を自分に突き付けられているようだった。

変わらないことを望み、そして、友を失った。それが拠点に来るまでの間に、彼が経験したことだ。また望まぬ変化が起きようとしているこの状況に、動揺を隠せるほど彼はまだまだ成熟していない。

「三間君、大丈夫かい、うん」

その様子に気づいた蒲谷が、彼に声をかける。力のない返事を聞いて、少し沈黙の間が空いた後。

「僕も、うん。怖いよ」

彼もまた、安全な研究所から出れず、家族を助けに行こうという思いはあっても、恐怖でそれができなかった経験を持つ。だからこそ、言えることもあった。

「だからもし、うん。彼らがどうしようもなくなったら、僕らも駆けつけよう。何かできなくても、そこに、うん。見たくないことが待ってたとしてもね」

2人はあまりにも非力だ。そうしたからといって、何かできることはほとんどないだろう。だが、2人に共通する仲間を大切に思う強い気持ちは、間違いないことだった。

「こ、こんばんは…」

恐る恐るという様子で、フェアリーは拠点の2階にあるテラスの外側から、顔だけ出して平山に挨拶した。最初は驚いていた彼女も、最近では当たり前になったこともあって、どうしたのか確認する。

「ん~ん、なんにもないよ」

その言葉とは裏腹に、フェアリーはテラスの中に入って、平山の後ろに浮遊している。何かいたずらをするということもないので、彼女も気にしないで警備に戻った。

まだ冷たい夜風が入り込む。肌寒いが、それが刺激になることで重要とわかりつつも、冗長になりやすい警備の仕事で起きる眠気を取り払ってくれる。

「ねー、みなこおねーちゃん」

「なんですか?」

振り向きはしないものの、話を聞いている態度から、フェアリーは言葉をつづけた。

「おにーちゃんとみなこおねーちゃんは兄弟なの?」

それが、放浪者とのことだと少し遅れて気づいて、流石に驚いた平山は振り向く。フェアリーはおずおずとした様子ながら、だって2人とも似てるからと理由を告げる。

「いえ、自分には兄弟はいないはずですから、違いますよ」

「そうなんだー、でもおにーちゃんといる時みたいに、みなこおねーちゃんといるとホッとするよー」

慣れてきたのか、微笑みながらその場でクルクルとフェアリーは回る。

「(似ている、か)」

考えたことはなかった。だが、そう言われたことに、彼女は悪い気はしなかった。

今となっては門日が治療室の主となっていた。ここへ来る前の放浪期間、そして身を置いていた他勢力のように、この場所が常に負傷者で利用されると思っていた彼女にとって、在庫管理と警備の任務だけで済む日々は、穏やかなものではあった。

探索組、回収組が優秀なのは今更語るまでもない。だが、そんなメンバーがここに運び込まれる――であろう――日が迫っている。その思いから、ここの処治療室の管理に力が入ってしまっているのが、ここのところだった。

ノックの後、扉が開く。入ってきたのは喜読だった。聞いても具合が悪い訳ではないようで、診察用に置いてある椅子に彼女は腰掛け、門日と対面する形になる。

「どうしたのかな」

「今回のパラノイアとの戦い、門日様はどのようにお考えでございますか?」

「…それは、難しいことを聞くね」

危険にわざわざぶつかる必要はない。それが門日の本音だ。拠点のある位置と、大型駅エリアのある位置はかなり離れている。下手に刺激するぐらいなら、そのままにした方が結果的に安全なのではないか。そう思わないでもないのだ。

しかし、現実にパラノイアは地下を使って拠点へゾンビを差し向けた経緯、これまでの小競り合いを考えれば、それはもはや願い事と言うしかない。

「そうだね、やっぱり難しいよ。どうなるかが想像つかなくてね」

それが答えだ。

乙!
思えば最初期から因縁があった訳だしなぁ。まぁそいつはみんなと佐原が何とか頭を潰してくれたけど
まさか二体目が出てくるなんてなぁ

一方の喜読はやや身体を震わせていた。一度、彼女の身体に刻まれた斬り傷を門日は見ている。その傷は、以前パラノイアに襲われて、操られたクローゾンビによって負ったものだとは聞いている。

この意味がなんであるかと言えば、拠点のメンバーの中で最もパラノイアの脅威を知っているのは、喜読。そう言い切れるということだ。

「私は、はっきり言うなら逃げ出してしまいたい。そう考えています」

いつもの営業的な微笑みもない。冷たい恐怖に侵された、無機質のような怯えの表情。

「ここの、探索組の皆様に恩はございます。それでも、私があの存在に立ち向かえるのかは…、わからないのです」

死への一歩手前へ追いやった存在にトラウマを抱くな、そう言えるわけもなく、そう出来る訳もない。骨身に染みる死の恐怖が簡単に取り除けるほど、人間の理性は完全なものではない。

「……。それは自分も同じさ。未だにそういう存在を自分は知らない、けど、ここにいるメンバーが脅威と口々に言うなら、それは間違いない。それに自分が立ち向かえるのかどうかなんて、程度の違いがあっても、わからないさ」

かけるべき言葉があっているのかはわからない。それでも、その答えに喜読は頷いた。

>>373-374
まぁ、なんのかんの言っても自由気ままにやってるだけだからねぇ

>>378
思えばそうね。覚が一番大変な目にあってるやも

おつ
おずおずフェアリーちゃん可愛いねぇ

モーテルの台所には、佐田が自分で書いた図面に目を通していた。拠点にこれから設ける予定の大型の発電施設。これができれば、この場所における施設の建設、設備の設置など、大掛かりなものの着手が可能になってくる。

しかし、今回の発電施設は大がかりのものだ。知識がある者は限られているのは当然として、物資に関しても潤沢ではない。失敗した、では済まされるものではない以上、その真剣さはいつもより増している。

「……何を見ているの?」

与えられた部屋から飲み物を取りに来たらしいエコーが、その様子が気になり声をかける。佐田はエコーを見て、何も言わず図面に視線を戻す。

聞ける様子もなく、エコーはそそくさと飲み物を取って去ろうとした。

「ふん、発電システムについてだ」

話しかけられると思っていなかったエコーは、少し驚いてゆっくり振り向いた。

「この都市(ばしょ)に化け物がいなくなれば、必要なものになる。ふん、それがどうなるかはわからんがな」

「電気…、足りてないんだ」

それは明確に、呆れたという意味で長く鼻からため息を佐田は漏らす。

「どう考えてもカツカツだな。今のままでは電気を使う設備は増やせん。ふん、今後また大がかりな戦闘の時に、本格的な医療設備が使える方がいいからな」

「…また大きな戦いがあるの?」

「ふん。それが人の世の常だろう。パラノイアが片付いても、WWPがいるなら何も変わらん」

エコーは少しだけ驚いていた。佐田は明確に、次の段階のことを考えている。パラノイアの脅威を知らないはずはない彼が、なぜその心配を抱かないのか不思議でならなかった。

勝は静かにトレーニングをしていた。彼には守るべき存在が居る、肉親と言ってもいい覚美弥のことだ。パラノイアとの戦いにおいて、誰よりも彼女を守ることに比重を置いている。林道から教えを施されるようになってから、自主的に始めたそれは、ここのところ念入りに行われていた。

水を少し飲みほして、一息つく。拠点(ここ)に来てから、彼も成長している。教えと訓練のおかげで鍛えられた身体になり、更に一回り大きくもなった。

覚はその姿を自分の目で見ることができないことを、寂しく思っている。彼女にとっても、勝は愛おしい、弟のような存在。メンバー(ひと)の目から彼の成長を伺えても、それはまるで切り貼りされた写真を見ているようなもの、どんなに望んでも失った眼はもう戻らない。そんなことは、強化され肥大化している脳で、理性的に理解もしている。どうしようもないのだと。

それがただの人間以上に、欲を理性でコントロールしていたとしても、溢れて洩れることは止められないのも、人間である以上変わらなかった。

だからこそ、もう1つの思いがそれ以上に漏れ出るのは仕方のないことかもしれない。静かに彼女が手を伸ばし、それに気づいた彼はその手を握る。そのまま優しく引っ張られ、勝は覚の胸の部分に頭を預ける形になり、ゆっくりと頭を撫でられる。

やや不満そうな表情を勝は浮かべるものの、覚がこうすると落ち着くと言われてされるがままになっている。胸の中にある暖かさと、撫でる髪の感触。自分自身の五感を通して、しっかりと勝を感じられる。だから、彼に呼びかけ、「ん」と短い返事がきた。

「死んじゃ、嫌だからね」

「死なねーよ」

出来るだけ軽く、それでも重いやり取りを短く終わらせた。

EVEはいつも通り、与えられている夜間の警備を行っている。アンドロイドであるEVEには、多少の明かりがあれば周囲を見回すことが可能だ。また、ある程度の遠方も見ることができる。何より睡魔が存在しない彼女にはこの任務は適任だと言えた。

眠っていた部分が解放され、人間味を増した今でも、この結論に変わりはない。しかし、1人で佇むことになるのが多いこの時間帯で、EVEもまた人と同じように考え事が多くなっていた。

生まれ落ちた自分は、なぜ1人しか存在しないのか。ロッサという存在が生まれた今でも、彼女の中で湛える孤独という虚無は眠っていた。そしてその思いさえもまた、自分を生み出した山海による産物に過ぎないのではないか。という思いが、その孤独を色濃くさせている。

救いなのは、自分をここの存在を必要としていて、頼りにもされているということ。そしてAI思考を理解することになったエクスのことも、心の拠り所と言えた。

小さな鳴き声が聞こえ、足元を見ると小間城がいる。普段なら寝ているはずだが、眠れない様子だった。ゆっくりと膝をついて目線を近づけ、そのまま小間城の頭を撫でると気持ちよさそうに尻尾を振る。

知識にあるそれが、犬が喜んでいる動作だと認識して、EVEも認められたとして静かに喜んでいた。

そこには多くの群衆らしい人影がいた。壇上の上にある机には蝋燭が灯され、群衆はその前の広いフロアにある外周に身じろぎもせず立っている。そしてその中央には、両腕を一人ずつ捕まれ、膝立ちの状態になっている人間がいた。その中央部分の周囲にも蝋燭が灯され、人間を拘束しているのは、ゾンビだ。

壇上に1人だけいた人影がゆっくりとその人間に近づく。人間、男は恐怖に染まる顔が蝋燭から放たれる柔い光で浮き彫りで、足音だけが近づいてくることで増す恐怖が、身体をも震わせる。

足元が見え、そして全体が現れる。褐色肌に、赤い目。羽毛付きの白色のロングコート、腰には西洋の剣が鞘に収まっている。その存在が、ゆっくりと男に近づき、顎に手を添えた。その表情は、言ってしまえば品定めをするようなものだ。

『貴様のような下賎の者が、なぜ我が王国に来るのだろうな?』

男は衝撃を受けた表情をする。それは直接、脳の中に叩きつけられた言葉、聞く聞かないではなく。聞かされるものだった。

『だが光栄に思い給え。我が王国は、試練さえ乗り越えればどんなものでも受け入れる』

にいと、褐色肌のそれは口元を歪ませた。それは、人間が遠く昔に忘れた、捕食者の顔。本能で理解できた男は、声にならない嗚咽のような悲鳴を上げ、拘束を振りほどこうとする。だが、捕縛された際に負ったダメージが、その抵抗を弱弱しくさせている。

歪んだ口元を大きく開け、男の首元にかぶりつき、そして引きちぎる。褐色肌のそれが、口のものを吐き出すと拘束していたゾンビは男から手を離す。首元に手をやり、出血を抑えようとするが、そもそも身体に力が入らなくなった男は、そのまま床に突っ伏す。

『ほぉ…』

しばらくして、ビクンと男は身体を跳ねあがらせ、激しく痙攣を始める。それを見て、ますます褐色肌のそれは嬉しそうに微笑んだ。

『試練を乗り越えたようだな…。貴様を歓迎しよう』

見る見ると変異していく男に、その言葉が届いたかは、定かではない。

【プロジェクト】
「主任ー、ロッサの調整はどうなってるノー?」

「順調だな。そっちはどうなんだ?」

「うーん、準備はしてるけどどうなるかわからないヨ」

「…。いつ彼等が決行するかだな」

「何も聞いてないノの?」

「聞いていない。簡単に決められないからだろう」

「ふーン」

「考えても仕方はない…」

「そうだネ。こっちもやらなきゃいけないプロジェクトばっかりだヨ」

「いずれやらなくてもいい日が来ることを祈るしかない」

「……。うン」



【いつも通りに】
「ねぇ、保安官(シェリフ)」

「どうしたい」

「放浪者達は、何も言ってないの?」

「あぁ、何も言っちゃいねぇ」

「そうなんだ…」

「戦いに行くときゃあ、連絡あるだろ。俺が出てる時は、その対応はまかせたぜ」

「うん…」

「元気ねぇな」

「だって、保安官、死んじゃうかもしれないんだよ…」

「そりゃ誰だってそうじゃねぇか。俺もジェーンもな」

「そうだけど…、そうだけど…!」

「おいおい泣くなよ」

「………」グスッ

「死にゃあしねぇよ。お前も守ってやる。約束は守ってやるさ」

「…。絶対だよ」

「あぁ」

>>381
好奇心とおっかなびっくりのせめぎあいだねぇ


さて、それぞれが進み。これからどうなることやら。

乙 敵のコマにされちゃったか  厄介だね

っというかパラノイア進化してない?
自分の意思をゾンビじゃない普通の人間に直接頭に伝えるって
つまり覚がした自爆を放浪者相手にも出来るんじゃ…?

乙!
バケモノが増えたか……ハンターさんの血が騒ぐな

俺だって、みんなに死んでほしくなんかねーよっ……!

五百九十九日目

強襲班による高速道路からの侵入路確保は完了した。パラノイア攻略において、安全にバリケードを突破して中へ強襲する目途はついた。安全という部分については、比較的というところではあるがな。それでも、俺以外のメンバーにトラブルが起こらない為ということでは、重要なことだ。

工作班も順調に侵入路の確保と、バリケード内に通じている地下道の出入り口部分の封鎖も進めているようだ。強襲班が地下道を使っての脱出ができなくなるというデメリットもあるが、結局のところ包囲されない状態を作る方のメリットの方が大きい。

後は、全体がうまく奴との決戦時に機能することを祈るしかない。機能して全員無事かは別でも、機能しなければ無事である可能性は出てこない。

後はいかに俺が、パラノイアを引き付けられ続けるかだな。それによって、全てが決まる。俺はそう思っている。だが、そうだとしてもはっきり言ってどうなるかは、もはや誰も、パラノイアすらも分らないだろう。

明日は早い、もう寝なければな。

レポートNO.153

井門圭司


工作班の大型駅エリアの侵入路確保は進んでる。次の地下道の入り口封鎖出来る場所までは手が遠いけどな。それでもやれることはやってる訳だしな。

もちろん、時間は全然足りねぇ。昨日の佐原の話じゃ、パラノイアとの戦いは秒読みってとこで、強襲班の侵入路確保は終わったってことだからな。放浪者さんがその気になりゃあ、もうすぐにでもだろ。

佐原に話したことだけは謎だけどな。山中さんにそれとなく聞いたけど、あの人は何も答えなかった。知ってる感じはしたけど、こうもバリケード近くまで俺達も近づいてる訳だから、相手が相手なの含めやっぱ話してはねぇんだろうな。

全体が大まかな意思疎通しかできねぇってのは、やっぱりきついな。とりあえず、何が起きてもいいようには心構えだけはしとかねぇと。

4/12 担当蒲谷 朝

あんまりいい天気とは言えないかな。雨とかにならないといいけど。

視界が良くないと、パラノイアとの戦いに影響はありそうだからね。


担当浜村 昼

見えないよりは見えたほうがいいわよね。

ロックとサーチとかも、その方がスムーズに反応するだろうし。


担当平山 夜

ロックとサーチは今や拠点のメインの戦力ですからね。

ただ、銃弾を使う以上過信はできない事と考えなければいけませんね。

>>388 >>390
はてさて、それがゾンビ程度なのかそれともなのか

>>389
まぁ、覚はコマンダーゾンビの完全体と言っていい存在なので。そこらはね。
ただまぁ、放浪者達がとてつもない集団になっていること。ゾンビ達は変異を続けていること。
それ自体はまぁ、同じこと。

>>391
欠けるか否か、ダイスのみぞ知る。作者もわからないってとこが、このSSの妙なとこよねぇ

乙!
明日か……

深夜。拠点でもこの時間活動しているのはEVEと、今日の夜間警備に配属されたメンバー以外は休みを取っている。その自室で、放浪者は静かに探索へ出る為の装備を暗闇の中で整えていた。暗闇に射しこむ、わずかな月光に照らされる彼の表情は、いつも通りに見える。

装備が整い、彼はその明かりを下で、滑らかにメモ用紙にペンを動かす。必要なことを書き終えて、ペンに蓋をして静かに机の上へそれを置く。

振り返ると、自分のベットで横になる相棒、山中の姿があった。自分のベッドの方には、フェアリーがベッドの上、風虎がその下で眠っている。惨劇後の世界には似つかわしくない。穏やかな光景がそこにはある。

静かに目を閉じて、ここに来てからのことを反芻する。早いのか遅いのか、一年半以上の月日がたった今、ようやっと都市をゾンビの手から解放するという目標に、手が届く状態になった。だが、それもパラノイアという障壁により、どうなるかわからない状況だ。

もちろん、人的被害や都市機能の破壊を考慮しなければ、倒すことは不可能ではないと言えるだろう。しかし、それらは、文明復活という目的に相反するものになる。自分達の否定であり、そして拠点という勢力の力を、失わせてしまう結果をもたらす。

目を開け、椅子から立ち上がり、この困難を処理するという決意は、もはや不変のものとして、彼は外へ出る。

「……信じていますからね」

「…当然だ」

メンバーを、仲間を、全てを。守ることに彼は躊躇などしない。

いつも通り、静かに気配もなく拠点から出た放浪者は、拠点の外れまでフロートボードを持って歩く。稼働しても音が聞こえないであろう距離まで来てから、フロートボードを地面に置いた。

1本だけ持ってきていた煙草を咥え、火を点ける。ゆっくりと煙を肺に入れ、吐き出す。久しぶりに吸引するそれは、身体が少しだけ拒絶したように感じられたが、特にむせることはなかった。

「あれ? 放浪者さんって、煙草吸うんですねー」

その話しかける感じもいつも通りで、放浪者も驚きもせず振り返る。そこにいたのは、西切だった。

「…どうした?」

「もー、それはこっちの台詞だと思うんですけどね?」

そして彼に近づく彼女の距離感はいつもとは違った。吐息が感じられそうなまでの近い距離、間近に見えるその表情は、悲しみとも、寂しさとも取れた。

「……山中さんがお止めしてないなら、言えるのはこれだけです。どうか、ご無事で」

「…当然だ」

わずかに吸った煙草を、放浪者は地面に捨てて足で踏み消した後、フロートボードに乗り、西切に目配せした後、月夜の空に飛んでいった。

「……止めたかったな」

その言葉が、今流れた風と共に、放浪者へと届けばと、彼女は思わずにいられなかった。

夜空の闇を、フロートボードで疾走するのはこれで何度目になるだろうか。放浪者はそんなことを考えていた。それと同時に、そういうことをする時は重要な任務しかないなとも。

遠くに、大きなバリケードが見える。人ではない、それもゾンビが設置した物など誰が想像できるだろうか。いや、想像できないことしか起きないのが、もしかしたらこの世界ではもう普通なのかもしれない。

何か頭に甲高い音が響いた。何かと直接つながる感覚、それなりに馴染んできた感覚。

『貴様はキングの名において何があって、殺す』

純粋な殺意が言葉と共に放浪者へ流れてくる。聞き覚えのある声では当然なく、誰であるかなど分かりようもない。しかし、なんであるかはそれはあまりにも明確過ぎた。

「(…仲間を犠牲にして逃げた、そんなことも忘れたか?)」

息をのんだように、それはすぐに言葉を送ってはこない。

「(…俺は何があってもメンバーを守り、そして俺が死のうともお前、いや、キング。お前とそしてその全てを処理する)」

接続されたその感覚を払う。時折、感じていた感覚がやはり覚からのものだったかと納得しながら、バリケード上空を突破して内部に突入した。

ビルの合間を、フロートボードが縫い飛ぶ。ゾンビや変異体の姿は見えない。まるで誘うようだと思い、わずかに光に照らされたそれを、ウェーブソード・デュエルにて斬り払った。

斬った感覚からして、ロープかワイヤーか。恐らく自分が単独で投入することは、想定済みだったのだろう。更にその先には、多数のモンキーゾンビが何もない空中を移動してきていた。夜の明るさで見えないが、今斬ったものを伝っているのだろう。

1体、2体と合わせたようにモンキーゾンビが放浪者へ向かって突撃する。モンキーゾンビが仕掛けてきているのは、7回程度の高さからだ。下に何かなければ、モンキーゾンビであってもただで済む高さではない。やや変異体の中で知能があると思われている存在が、躊躇なく仕掛けてきているのは、それはキングの支配下からだ。

移動する経路上の線は全て断ち斬り、モンキーゾンビの突撃は回避する。ゾンビの処理がメンバーの安全を確保できる方法だが、設置された線はフロートボードでの移動に伴う危険性、という部分もある。しかし、素早く移動できることで奇襲、布陣を整えられることによる、メンバーの危険性を下げることが優先された。

この単騎による突撃は、すべてはメンバーの安全の為に。全ての危険を飲み込み、望む結果を得る。その事に何ら、変わりはない。

>>396
NOWです


これを持って、599日目は終了。600日目になだれ込みます。
…さて、どうなるやらね。

乙!
このキリの良い日数……狙ったものかな?

いっつも大変な場面は独断専行単機突入の癖が付いてるな。放浪者……あんたはSTGの自機か何かかい?(-_-;)

まーた、放浪者が放浪者してる(褒め言葉)

仲間達は、多少無理をしてでも追って来るだろうか?

放浪者が拠点を出て、パラノイア。いや、キングがいるバリケードへ突入してから、今は朝日が出たばかりの状況だ。彼が残していたメモは山中が確認し、全メンバーにその短い一言が告げられる。

「パラノイア討伐を決行する。各組の奮闘と、生き延びることを死守せよ。以上です」

表を見ようと裏を見ようと書いていることはそれだけだ。ここにいるメンバーは、彼がいつから拠点を抜け出したのかは知らない。もちろん、山中と西切を除いて。

「……。山中さん、準備及びブリーフィングが終わり次第、各組、各班行動を開始いいですよね」

「そんな、井門さん。そんな悠長な時間があるなんてとても思えませんよ!」

彼の発言に、三間が食いつく。いつ出たかもわからないこの状況において、パラノイアと1人戦い続けることは、放浪者であっても難しい。1分1秒でも早く、そこへ向かうのが放浪者を救う唯一の道――。

「違ぇな。あの人は無茶はするけど無謀はしない。勝算ありでやってる、なら、慌てて動くのは得策じゃねぇ。警備組は悪いんですが、各勢力への報告頼みます」

「言われなくてもやるわよ。ほら、サンマ、あんたもきびきび動く!」

慌ただしい様子で警備組は集められた応接室から出ていき、何故か佐田だけその場に残った。

「師匠、行かれないのですか?」

「ふん。パラノイアという奴を攪乱させればいいんだろう? なら、1つ提案がある」

この場の状況に置いても、佐田はいつも通りマイペースな様子でこの戦いに参加を表明した。

「なんであいつは、いつも1人で行っちゃうんだぞ…?」

パラノイアとの戦いに向けた準備中、藍はそうこぼす。結局のところ、それは彼にしかわからないことだが、わかるのは全てメンバーを守るためということだ。

馴染んでいる武装のチェックが終わった佐原は、その言葉を聞いていた。もちろん、佐原にもそんなことはわかりようがない。

「うーン。兄貴は、正しいと思ったラやっちゃうタイプっすカらなー」

「でもだぞ。こんなの危険すぎるぞ」

藍の頭に過(よ)ぎるのは、自分を生み出した父を探しに行き、WWPに捕らわれた時のことだ。西切が側にいて1人ではなかったにせよ。多勢に無勢は、身に染みたことでもある。放浪者が挑んだことは、どう考えてもそれを超える状況なのは、藍にとって容易に想像できる。

「そうっすナー。でも、誰かやらナきゃいけなかったら、兄貴はやっちゃウっすよ」

「違うぞ。自分達だって強くなったんだぞ、もっと信用してくれてもいいはずだぞ!」

それを聞いて、佐原はそれこそ大げさに肩をすくめて、ちっちっと言いながら立てた人差し指を左右に動かし。

「信用していルからやったんすヨ」

「支度は整いましたか…」

2人のやり取りの間に入り、錬浄は2人の状態を確認する。準備自体は終わっている2人は、その言葉にうなづいた。そして、そのまま3人で玄関へと向かう。

「もう1つ聞きたいぞ…。なんで佐原はいつも通りなんだぞ?」

「そりゃあアれっすよ。どうせ兄貴がパラノイアを処理しちゃう訳っすシ。なら俺達がやるのは、イつものゾンビ処理っす」

そのいつも通りでいられる佐原が、藍には羨ましかった。

>>402
狙おうとして狙えるなら苦労しねーです。つまりはダイス様です

>>403
丁度当人空飛んじゃうしねぇ

>>404
いつも通りです

>>405
それぞれに戦いに赴くことにはなるねぇ。

MGSやってるとスネークってもしかして放浪者なのかなと思うようになった。

乙!
本能的に楽天家タイプ。だが、キレたりやる時はやれる様になった狼男

佐原に決行日を伝えたのは佐原の平常心をかってるからだろうな
なんだかんだで長くやってきた舎弟だし

「たく、あのバカ野郎はなぁ…」

無線からの連絡を受けて、保安官は愚痴る。半分は薄々勘付いていた事ではあっても、実際にそれを実行されると、頭も無性に掻きたくなるというものだ。しかも、独断による単体による強襲。それぞれにある都合というものがあることを含めれば、尚のこと。

「ジェーン。俺はこのまま援護に向かう、お前は拠点のところに行ってこい。多分、研究所のサポートチームが来るだろうからな、そのまま協力してくれ」

「1人じゃ危ないよ! 保安官も拠点に行って、誰かと合流してから行かないと!」

彼女のいうことはもっともだ。保安官も手練れの生存者であるとはいえ、彼の持つスキル、狙撃は本質的に多数と戦うのに向かない。つまり量、という武器を持つパラノイアとは、彼の持つスキルは相性が良くはないのだ。

しかし、状況は明らかにひっ迫している。放浪者がいつ飛び出したのかははっきりしていない。冷静な彼が、常に戦い続けているとは思わないまでも、話しに聞いたバリケードの内部に何が眠っているかはわからない。

「先に偵察ってもんが必要だろ? 安心しろ、こっちに向かってくる班が来るまで戦いやしねぇよ」

「…わかった。絶対死なないでね!」

おう、約束だからなといつも通り豪快に笑う保安官を見て、ジェーンは少し落ち着いた様子を見せた。それは、保安官の内心とは対照的なものだった。

「強襲班、早く乗れ!」

ジープの貨物部分に立つ井門が、指示を飛ばす。メンバーは素早くジープに乗車すると、そのまま勢いよく発進していく。車両を運転しているのは、佐田だ。

「しかし、良いンすか? 浜村サんだいぶ怒っテたっすよ」

「ふん、だからどうしたというんだ?」

佐田が提案したのは、攪乱と素早い移動を兼ねた作戦だ。と言っても、内容自体はシンプルなもので、強襲班を所定位置とした高速道路の入り口まで搬送後、バリケード周辺を高速移動しながら機関銃による掃射を行い、その間に向かってくる工作班と合流する。

これにより疑似的に、2か所の戦闘エリアを作り出すことができる。内部で、恐らくまだ戦いを行っているだろう放浪者を含めれば、パラノイアが全体の把握について負荷をかけられる。探索組は、sの提案を採用した。

「井門殿、保安官殿とは合流いたしますか…?」

「いや、このまま行きます。あんまし固まっても仕方ないですからね」

それぞれがそれぞれで動く。情報のやり取りも必要最低限、作戦を実行するということでは、これ以上に最悪な状況はない。兵士である井門がそれをよくわかっている。

各個の能力、特に反射的な事態の対応を何もないまま敵陣に突入させて求めるなど、愚の骨頂でしかない。

「(それができると考えて投入できるほど、俺は化け門じゃねぇからな)」

もうそろそろ危険域に入る。銃座にいる井門は構えなおし、ジープは速度を上げた。

都市を駆ける存在は1台だけではない。この騒ぎの中で、実は姿を確認されていなかったハンターは、もうすでに戦いの渦中へと自らの意思で飛び込んでいる。

どこから回収したのかわからないが、バイクに乗り込み、ただ真っ直ぐとバリケードへ向かってひた走る。その表情は、狂気を宿した笑みと言ってもいい。それに呼応するように、速度もますますと速くなっていく。

ハンターはこれまでバリケードに周辺へ近づかないよう言われ、自身もこの戦いの時に備えてそれ以外の周辺でゾンビと戯れていた。拠点メンバーの記憶から、ハンター自体の存在は認識されているかもしれないが、戦う時にいつも1人である彼の強さは、その惨状でしか知る者はいない。

言ってしまえば、パラノイアにとっても、そして拠点にとっても、不確定要素ということだ。

アクセルを全開にして、バイクは更に加速を進めていく。その先には、壁の壊れた部分があり、そして更に先にはバリケードが存在している。そう、彼が走っているのは高速道路の上だ。

躊躇もなく、壁のないその場所へ向かってバイクは駆け、車体は飛び出していった。

「搬入終わったか!?」

「あと少しです!」

研究所は慌ただしく動き回っていた。ロッサの搬入、それに伴う機材の搬入など、それらが急ピッチで進んでいく。まだまだロッサの調整は終わっているとは言えない、その状態で即実践となればどんな不具合(バグ)が発生するのか、想像もできない。

友人様、と抑揚もなくロッサはエクスに呼びかけた。

「文明の復興は、この戦いで成るのですか?」

「…わからねーよ。けど、パラノイアをぶっ倒して、そしてあいつらが全員生き延びてもらわきゃ、どうしようもない。そしてお前はその手助けが任務だからよ」

ロッサは、少し間を置いてから了解しましたと返した。まだ、グレーゾーンの要素について、ロッサのAI自体の認識は甘いのだろうと、エクスは理解する。

「サポートチームはそのまま研究所に残る。指示は俺から出すことになると思うが、場合によってはついてく奴等かEVEに判断を仰いでくれ」

同伴する研究者、技術者にエクスが目を向ける。そこにはロッサの現地で対応するメンバーとして選ばれた本造と、心配そうに話している伊吹がいた。

「大丈夫ですか、本造先輩…」

「敵に突っ込んでいくわけじゃないから。多分な。行ってくるわ、くるみ」

彼が去っていくのを見守る伊吹。研究所としても初めての戦い、それがどう転ぶかは、誰もわからない。

乙!
ハンターさん!?そんな突入危な過ぎいっ!!バイクをヨッシーみたいに乗り捨てて、サムスのグラップルとかファイターロアのぶら下がれるやつみたいにすれば平気なのかも知れんけど!それにしたってだよ!

工作班も、強襲班から遅れて出発を開始した。目指すは、第一破壊目標としているバリケードへ。放浪者が強襲をした以上、次々とバリケードに向かって進撃を開始することは、パラノイアはわかっているはずだ。もしかすれば、この道中で待ち伏せがあり攻撃を仕掛けられる可能性は十分ある。

車両は2台に分かれている。前方に山中、西切、フェアリー、小間城、風虎のワゴン。後方は残った一ノ瀬、林道、EVE、エコーが乗る乗用車だ。

反動を握る山中の目線は、強い意志を持っている。不安の陰りも見えない、最初からこうなることを知っていたかのようで、それを見た西切は確信を抱いた。

「やっぱり、止めなかったんですね。山中さん」

答えはなかった。反応する素振りさえも、まるで聞こえていなかったようにも見える。

「まぁ、私も止められなかったんですけどねー」

「だと思っていましたよ」

逆に自分は、その言葉に反応してしまう。その返しも、確信も持った強いものが宿っていた。

「でも、その事に怒ったりもしません。あの人はどうあれ、止められるような人じゃない。そして、約束を破る人でもありません。なら、それでいいんです」

「…はは、敵わないなー」

心配を抱いているなら、結局それは、信じきれないということ。そのことを理解した西切は、そうこぼすしかなかった。

>>409
あっちはリアル路線で、こっちはファンタジー路線的な隠密さだけどね

>>410
佐原は基本的にわーわー言ってるようで一番冷静なタイプ

>>411
そこは間違いなく信頼はあるね

>>416
彼もまた出来ると思ったら躊躇ないからねぇ


>>417の訂正
×前方に山中、西切、フェアリー、小間城、風虎のワゴン
○前方に山中、西切、フェアリー、小間城、風虎の乗るワゴン

>>406の訂正
×「……。山中さん、準備及びブリーフィングが終わり次第、各組、各班行動を開始いいですよね」
○「……。山中さん、準備及びブリーフィングが終わり次第、各組、各班行動を開始でいいですよね」



さて、ここまで書きましたが、これからについてはまだ未判定です。どうなるかも全く自分も知りません。
とりあえずは、長い一日になるのか、それともあっけない一日になるのか。そしてどうなるのか。

ただ1つ言えるのは、終わり間際が最も長い、ってことですかね。

回収組の2人も、パラノイア討伐の為の準備を終えていた。その状態で平山が足を運んでいたのは、覚の居る寝室だった。扉を開けると、そこに佇んでいるのが当然のようで、まるで絵画然とした覚がベッドに腰かけていた。

「答えなければいけませんね。私が、今のところ戦いの場に赴く予定はありません。私は、自分の身を守るにはあまりにも無力ですから」

平山がここに訪れた理由を、聞かずに答える。緊張や不安、それらにまったく無縁に思えるほど、静かな言葉だ。

把握しているからと言っても、今回の戦いに犠牲が出る可能性は高い。いくら、全体を把握してもどうしようもならないことはいくらでもある。だから、この落ち着きように違和感があった。

「私が行った精神攻撃は、次は容易くさせてくれることはないでしょう。それこそ、命を賭さない限りは、防がれるのが二の次です」

「…わかりました。なら、自分達はもう向かいますね」

それならと、覚は保安官が向かっている場所を伝える。彼に合流して戦った方が、何かと優位には立てるはずだろうと。

「ありがとうございます、では」

ゆっくりと寝室の扉を閉め、足早に玄関へと向かう。平山の気配が建物から出たことを認識してから、一つ大きく覚は息を吐き出した。

ジープが都市の中を疾走する。あれだけゾンビを処理してきたというのに、バリケード周辺に近づくと、それこそぞろぞろと姿を現している。まだ、変異体の姿はないのは、罠か、それとも温存か。

「ふん、正面を突っ切る。うまくやれ!」

「言われなくたって!」

まだ、機関銃の火は吹かない。移動する道中、何かのトラブルがあった時に構えてはいた。しかし、今はまだ使う時ではない。メインのバリケード破壊時の防衛、そこが使用するメインのタイミングだ。だから代わりに、ジープに積んでおいたサブマシンガンを井門は持ち、その弾頭を最も数が多いゾンビの群れに向かって流し込んだ。

倒すことではなく、数を減らすことが目的である以上、精密な射撃はしていない。火線をばらまき、とりあえず当たればいいという動きだ。ここにある火器を複数で、それも同時に使わなければ今こちらに向かっているゾンビの群れは、止められることはない。

「(間違ってもアクスマンなんぞと格が違うってことだな)」

使えるゾンビ(コマ)に限度があったとしても、それでも一度にこの量を操れはしないだろう。アサルトライフル1丁、兵士1人で抑えられる時点で十分、どうとでもなるように彼は思えた。

「井門、揺れるぞ。捕まれ!」

正面は明らかにゾンビの群れもなく、移動するのに適している。にも関わらず、佐田は狭い路地の道をスピードを出したまま左折した。車体は慣性で大きく左に寄ってからその路地の中へ入る、捕まりはしたものの、身体を車体に押し付けられる感覚はいい物ではない。

「できればもうちょっと早くお願いしますよ!」

「ふん。出来るならやっている!」

井門は体勢を立て直し、路地に入ってこようとするゾンビに向かって、また弾丸を放つ。強襲班の突入、そしてバリケード破壊の時間を、この消費と等価にいくら手に入れられるのか、そんな思いを抱いて。

ジープが旋回するたびに擦れるタイヤの音、定期的に聞こえる銃声は、音のない都市の中ではよく響く。高速道路の上を走る強襲班も、その音が聞こえていた。自分達の移動を催促するようなそれは、自然と藍を肩に背負う佐原と、錬浄の足を速めさせる。

「井門達、大丈夫なんだぞ…?」

「音が聞こエてるうチは大丈夫っすよ」

そう、聞こえている内は。聞こえなくなればそれは2人に何か起きたということになる。そして、強襲班はそれがわかってもバリケード向こうへの突入を決行しなければいけない。今、重要なのはパラノイアを処理すること、その1点だけだからだ。

処理したはずのゾンビが高速道路上にちらほらと見える。幸い量は多くない、井門達の攪乱のおかげか、すでに突入している放浪者のおかげか、どちらにせよ今いる3人で危険視するレベルのものではない。すれ違いざまに処理しながら、目的の位置まで走り切る。

何かの拍子で壁が崩れており、その下に距離はあるもののバリケードが存在している。当初の予定なら、放浪者のスパイダーウィップを使って滑走するところだったが、飛び越えるしかない状況だ。

「下を…、妙に新しいバイクが落ちております…」

「……。もウ他に誰か入ったってコとっすかね。状況的にハンターさンが濃厚っすナ」

それなら、中での戦いも楽になりそうだと、気楽に言いながら佐原は少し下がり、錬浄もそれに合わせる。

「じゃア、大暴れの時間っすよ! うおおおおおお!」

「わわ、早いぞ佐原!」

一気に崩れ落ちた壁に向かって一斉に走り出し、躊躇なくその向こう側へ3人は身を投げ出した。

ここまで。回収組のところを抜かせば、今回書いた部分はもちろん判定した結果のものですよ。

乙!
ここ一番で振り回されてるな、研究所は

自由落下していく身体は、下から突き上げられるような感覚を纏い、胃もせり上がって息苦しさを感じさせる。眼下に見えるのはバリケードの足場、どうやって積み上げたかはわからない瓦礫、そのコンクリートの上部へ身を飛ばす。

その短い時間、それを狙いすましたようにジャンピングゾンビの数体が、その身を弾丸として3人に向かって射出してきた。

空中での行動はかなり限定化される、そこを狙い撃ちにするのは当然のことだった。だが、強襲班に属するメンバーは、探索組の中で選りすぐりの戦闘力の持ち主達だ。

錬浄は身を翻してから、1体のジャンピングゾンビの背中を足場として利用して、落下地点をずらした。藍は、そのまま佐原の方から飛びあがり、接近する2体のゾンビを斬りはらう。佐原は残った1体に対し、身体を回転させた勢いで、空中でその頭蓋骨を叩き割った。

一瞬を増大させるようなやり取りの後、3人は目的の位置に落下した。縁(ふち)に着地した藍がバランスを崩して落下しかけたが、それも佐原が藍を引き戻して事なきを得る。

「なカなか派手な歓迎っすナ」

「そんなのん気なことを言ってる場合じゃないぞ! 早く放浪者を助けに行くんだぞ!」

兄貴は心配するだけ損だと答えて、今度はバリケードから下へ降りる。他の2人もそれに続いたが、今度はジャンピングゾンビが襲ってくるということはなかった。

JZ「俺を踏み台にしたぁ!?」

降りたそばには、先ほど確認したバイクがあった。壊れた状態もごく最近と思える状態に、ハンターがこの中にいる。その確信を抱ける。気になるのは、彼が愛用しているチェーンソーの音が全く聞こえないということか。外ではなく中で戦っているのか、それとも。

「先ほどのジャンピングゾンビ以外、寄ってくる気配がありませんな…」

「何を企んでるんだぞ…?」

想定していたゾンビの殺到はなく、静かな瓦礫の街並みが並んでいるだけだ。これで周囲に処理されたゾンビでも転がっているならわからなくもないのだが、当然それはない。何かを企んでいると藍が考えるのも仕方のないことだ。

ただ、佐原と錬浄は何となくの予想はついた。奥底に招き寄せ、こちらを飲み込もうという意図だろうと。パラノイアも馬鹿ではない。強襲班を潰すことが出来れば、探索組には大きな痛手だ。放浪者という例外を抜かせば、次に最も狙われるのは自分達。その事に何ら変更はない。

「何にしてモ、中心地に向かうしかナいっすな。虎穴に入らずんば…、とりあえずナんか得られないっすからな」

「御意…」

佐原の先導の元、そのまま大型駅エリア中心部に歩を進める。その先に何があるかは、誰もわかりはしない。

>>423
まぁ、なんだかんだで放浪者の方が無茶ぶり始めるようになったからね

>>425
わりといつものことです。


さて、この後予定があるので短いですがここまで。


>>413の訂正
×探索組は、sの提案を採用した。
○探索組は、その提案を採用した。


>>417の訂正
×反動を握る山中の目線は、強い意志を持っている。
○ハンドルを握る山中の目線は、強い意志を持っている。

×その返しも、確信も持った強いものが宿っていた。
○その返しも、確信を持った強いものが宿っていた。


はてさて、更新が遅くなり申し訳ない。まぁ、展開が展開なのとちょい忙し目で停滞気味です。

まぁ、まずは第一陣の戦闘分ぐらいは早ければ明日ぐらいに更新予定です。しばしお待ちを。

乙!
状況はどのように動いていくのか

たどり着いたのは広場のようになっている場所だった。仕掛けてくるとするなら、絶好の場所。3人はそれを感じつつ足を踏み入れる。整って植えられた木々が左右に並び、一定間隔でベンチが置かれている。中央には大きな噴水もある。そしてその向こう側から、それらはやってきた。

今までどこに存在していたのか、そう思いたくなるほどの量。ゾンビのみならず、変異体も多数混在するその群れは、こちらを襲う意図をもって歩み寄っていることは明確だった。周囲を見る必要はなかった、この時点で自分達が囲まれていることは明白なのだから。

「優先は変異体でよろしいか…?」

「当然っす、俺達は『変異』しなイっすかラね」

変異済みである佐原、変異しなかった錬浄、変質化により生半可では傷を負わない藍。ただのゾンビであっても、変異することの脅威がない以上、彼等の戦い方はシンプルに戦闘力が高い対象を処理することになる。

工作班がバリケードを破壊するまで、この場所から脱出することは困難。つまりは退路はないということ。今することが許されるのは、強襲班という名に恥じぬよう、パラノイアの群体に一撃を与えることだ。

「予想通りジャンピングゾンビが来たぞ!」

「じゃア、ちゃっちゃト叩き潰すっすよ!」

それはまさしくなだれ込むと言っていいものだった。惜しげもなく投入されるジャンピングゾンビは、四方から3人へ向かって飛びかかってくる。普通なら狼狽するどころではなく、それだけで死を予測できる一手。だが。

次に起きる場面は、それを否定する。佐原がヘビーハンマーを叩きつけるたびに、藍が刃の両腕を振るうたびに、錬浄が錫杖を鳴らすたびに、ジャンピングゾンビは吹き飛び、貫かれ、切り裂かれ、脅威然とした飛び付きは無に帰していく。

瞬く間の電光石火に、連携が鈍ったと感じさせるのは間を置かずに襲ってきたモンキーゾンビ。仕掛けるタイミングが良ければ、3人の内を誰かを最低でも負傷出来る上空からの飛びかかり。

「イつも通り過ぎっすナ!」

今度はそれをスパイクシールドで、カウンター代わりに殴り飛ばす。飛びかかりのタイミングが遅れたとは言っても、ここまでうまく処理出来ているのは、佐原の言葉通りこれまでパラノイアの支配下の有無にかかわらず、多くの戦いで積んできた経験と練度が成せる業だった。

工作班と合流を急ぐ井門達だったが、想定以上に攻撃が激しさを増していた。確実に拠点のメンバーの人員を減らそうとしている。そんな意図を持っているようにも思えた。

井門が救いだと思っているのは、運転手が佐田ということだった。運転技術ということも十分あるが、この状況に置いてもさほど動じていない。もし、これが他の警備組のメンバーだったとしたらこうはいかなかっただろう。

「ふん、予定地点から遠ざけられているな」

「なんとなく予想はつきますがね」

火線をあまり止めないように、自分へ向かってくるゾンビへ撃ち込みつつ、この状況になったことを判断する。

「(つまりは、銃を使う奴が結局厄介ってことだな。パラノイアにとっても)」

バリケードの破壊は、一時とはいえその場所に待機しなければいけない。そうなると、距離を詰められるまでに襲ってくるゾンビをいかに減らせるか、それが成功へのカギとも言える。言葉を変えれば、それを阻止することがパラノイアにとっての成功のカギということだ。

今やっていた作戦自体、強襲班をバリケード内部へ侵入させる為の攪乱ではあり、それは恐らくは成功している。だが、パラノイアも又その成功の代わりに自分達も目的地へ行かせないという手に、切り替えた可能性が高い。

「遠回りだが…。ふん、いったんエリアから出るぞ!」

「快適なドライビングで頼みますよ!」

ほざけと短く返して、佐田はアクセルを踏み込む。彼であっても今襲ってきているゾンビの間を縫って、合流ポイントへ向かうのは至難だった。ならば、放浪者の言葉に従い、確実な手段を選ぶしかない。合流が大幅に遅れたとしても、それが生き延びる為なのだから。

>>429
現状はこの通り。強襲班はパラノイアの第一波と交戦、井門達は作戦行動に遅延というところ。


次はもう少し早めに交信できればいいんだけどねぇ

乙!
もしもコーエーなら、これ日の世界をどういう風に作ってくれるかねぇ?言うなれば、探索者無双?
いや、そう書くとまずはクトゥルフ系TRPGが連想されちゃうか?

今回の佐原のカウンターのモーションは、丁度サムスリターンズのメレーカウンターが良い例っぽいかな?

明らかに射撃音が遠ざかっていく。井門達との合流ポイントとして大まかに決めたエリアから。そこへ向かう工作班は2人がトラブルに巻き込まれたことを確信した。だからと言って移動の歩みを止めることはない。

「時間がありません、バリケードの破壊を急ぎます」

山中は冷静な表情で指示を飛ばし、先陣を切る。すでに、ゾンビだけだが工作班にもその群れはやってきていた。これ以上の遅れは、バリケードそのものへたどり着くことさえもこんなになりかねない。変異体の姿が見えないのは気がかりだが、罠を躊躇することは許されない。それは中へ突入したメンバーを、見殺しにするのと同じだ。

例えそれが、今危機に瀕している可能性がある2人を切り捨ててでも、バリケードの破壊は急務だった。

「(…音がする限りは、大丈夫)」

一ノ瀬は助けに行きたい気持ちを、そう考えて抑えている。本当に避けなければいけないのは、私情に駆られて勝手な行動をした末、探索組全体が壊滅の憂き目にあうことだ。そのことも、井門本人からきつく言われている。だから、信じるしかない。彼がその危機を何とか自力で切り抜けることを。

「…音をぶつけるよ」

持っていた爆竹に火をつけて、投げ捨てる。目の前で火花が爆ぜたにも関わらず、そこから音は聞こえない。その代わり、正面にいるゾンビ達が何かにぶつかった動きをして、その動きが鈍る。

それに合わせて西切がいくつかの矢を放ち、その急所を貫く。音の打撃によって動作が鈍ったか、それとも各エリアで発生している戦闘の処理が、パラノイアでも追いつかないのか。それは今のところ、定かではない。分かっているのは、群れに亀裂が入った。その事実だけだ。

ペガサスを起動させ、山中は飛翔する。白衣をなびかせ、展開した槍と刃で群れに接近し、処理を開始した。それに続き、フェアリー、風虎、小間城がその群れへ飛び込み、ゾンビの身体は空中を舞い、壁に叩きつけられ、噛み砕かれていく。

「いつも通りカオスな光景ですよねー、林道さん」

「この状況でのん気に言える貴方もなかなかですよ。西切さん」

残った4人、一ノ瀬、西切、林道、EVEも到着しその群れを切り裂いていく。向かうのは先にある第一に破壊目標のバリケードだ。

ハンターは薄暗い闇の中にいた。奇妙なほどゾンビがいない状況でバリケード内を歩き、招かれるように訪れたのは地下道だった。大型駅に直通する大きなそこの左右に、店舗などが見受けられる。

ここだなと直感したハンターは、愛用のチェーンソーを起動させる。ガソリンの匂いが、ちょっとした閉鎖空間に紛れ、動作音がこだまする。そして用意しておいた懐中電灯を、床に置き、非常灯で淡く見える通路へ向けて点灯させた。

その向こうにいたのは、ゴーレムゾンビで出来た壁と、そこから飛び出してきたクローゾンビの2体だ。奇声をあげながら走り、爪が同時に迫るのをそのデルフィアで防ぐ。力比べは流石に分が良いとはいえず、爪を掴んで1体を引き倒した。

愉しい。ハンターはそれで身体が満たされていることを感じ取っていた。今日この時まで、大暴れすることができなかったことを思えば、それは十分な対価なのかもしれない。

そして何より、今視界に捉えている範囲にただのゾンビは1体もいない。変異体のみで構成された、絶望的な光景が映っている。

更に爪を振りかざしてきたクローゾンビの顔面に、チェーンソーを突き立てる。粘着質が混ざった悲鳴の後、顔が半分に割れて倒れる。

「全部、狩り獲りがいがありそうだなぁ。おい?」

加速する狂気を象徴するように、赤く染まるチェーンソーはエンジン音を轟かせ、刃は回転した。

>>434
まぁ、しいて言うなら生存者無双かな? 一部の連中がそうなだけだけど。

>>435
やってるところをみたけど、距離を取るよりはそのままスパイク部分を顔面にシューって感じかな。

乙!
チームプレイな場面は今のところ気楽に読めるけど、ハンターさんの場面は肝が冷えるわ

俺にとって、チェーンソーと言えば、ジェイソンか神殺しか、ぶっぽるぎゃるぴるぎゃっぽっぱー!のアイツなんだよなぁ……だから何だって話だけどw

>>440
まぁ、ワンマンプレイだからねぇ

>>441
なんとまぁカオスなキャラ・・・


割と真面目に重めの風邪でダウンしておりました。だいぶ治ってので早ければ明日に更新予定です。一応のご報告までに。

なっ、なんと。お大事に

『ロッサ、準備はできてるな?』

通信越しで友人であるエクスが、ロッサに入力された文字(じょうほう)で話しかけてくる。ロッサもそれに対して、文字入力にて完了している旨を返答した。目標は監視カメラにて確認したゾンビの群れ。走り抜けるジープに井門と佐田が乗っているのを確認しており、その後へ向かって移動していることから、何らかの事情で2人はロッサと同じ遊撃を行っているとサポートチームは判断した。

それならば、アンドロイドであるロッサならば、勘付かれずにその本体の横腹に攻撃を仕掛けることができると判断し、ロッサは全速力で廃墟の都市を駆け抜けている。

ジープまでとはいかずとも、キャタピラによる走行は遅い訳ではない。それでも、不整地で荒れた地面を走行するという経験はまだなく、即実践による経験の累積を余儀なくされている。それはつまり、自身のスペックを発揮できるかは未知数ということだった。

「目標を視認、処理モードへ移行します」

音は聞こえているはずだが、まだそれに反応しないのはパラノイアの支配下にいる為か、近づくロッサの方をゾンビの群れは見ようともしない。

射撃に関する基礎は、はっきり言うなら人間用のものだ。ロッサのように両足がキャタピラになっている人間などいない。的を使った射撃による調整は行ってきたが、俊敏とは言えないまでも動くゾンビが今は対象だ。

ほとんどのことが初めてのロッサにとって、全てのことが素早い情報処理を要求される。人間でいうなら高度な数式を暗算しながら精密な動作とその学習を要求される、そんな状態なのかもしれない。もしかするなら、すでに赤子の頃に人間、いや生命はその経験を経て、成体となるのだろうか。

無機物の赤子は、ゾンビの群れに距離100mの位置から両手にそれぞれ持つアサルトライフルの銃口から、火花を咲かせた。

『精密な射撃はまだ考えるな。急所に当たればいい程度に狙いながら、弾をばらまけ。侵攻の足止めと、群れを分断させてやれ』

友人からの指示に素直に従い、急所として入力されている頭部を狙いつつも火線を全体に広げるように撃ち込んでいく。

やはり、想定外だったのか予期しない攻撃に群れの動きは中断する。それがなんであるか確認するように、ゾンビ達は攻撃を受けた方面を見る。そこにいたのは銀色を纏い、脚部がキャタピラになっている人型の何か、それが銃を持ち自分達を狙っている。見た通りの事実を視認(にんしき)した。

「友人様の助言に従い、貴方達を排除いたします」

そして次に視えたのは、その手に持つ銃が火を噴きながらこちらに突撃するところだった。

都市内の戦闘の激化が、各地から聞こえてくるわずかな音で知らしめるようだ。保安官との合流を急ぐ回収班の2人も、覚から聞いたエリアに向けて急いで移動していた。

拠点から大型駅エリアまではどうしても距離がある。その手前のエリアにいると言っていたとはいえ、時間はかかる。合流できるかははっきり言うと確実ではない。むしろここまで音が聞こえてきているのなら、その音の1つが保安官の可能性もある。

「止まれ!」

小さいが力強い声で、平山はフェイを制止した。そのまま出ようとした通りを、鏡を使って見ると小規模ながらゾンビの群れが移動しているのが見えた。

「どうするすか…」

回収組は、残念ながら戦闘に特化している訳ではない。処理もするが、正面だって戦うことは基本的に避けている。だが、今ここに至り、そんな悠長なことを平山は言うつもりはなかった。

「群れにはなっている。しかし、以前のパラノイアとの戦いの時に比べて、動きに統一はない。恐らく支配下から抜け出したゾンビだろう。となると、それはそれで厄介だ。撤退時に障害となりかねない。やるぞ」

「うぅ、こうなったらヤケす」

出来れば保安官と合流出来たら、そう考えていたフェイにとっては本音として避けたいところだった。

平山は通りから飛び出して、ゾンビの群れに向かってブラストシューターが弾丸を吐き出させる。銃弾に比べて劣る部分はあるが、この武器にしかない利点も十分にある。石や瓦礫と言ったいくらでも回収できるものを使い、拳銃に比べれば静音だという事。気兼ねなく使える遠距離武器で、尚且つ連射もできる。

音に気付いてただウロウロと近づいてくるゾンビだけの群れなら、回収組でも油断さえしなければどうにかなる。気になるのは変異体が周辺にいないか、その1点。

この決戦において、パラノイアも戦力の出し惜しみをするとは、平山には想像しがたかった。ゾンビと変異体の混成で攻撃を仕掛けて着ているはず、その読みがあったからだ。

「フェイ、周囲の警戒は怠るな。モンキーゾンビ、ジャンピングゾンビが居そうな場所は、特にだ」

「了解す!」

フェイも、それがあって平山との距離が離れないよう、最近練習していた投げナイフを取り出した。ブラストシューターのダメージが薄く、比較的近づいてきたゾンビに絞り、手首のスナップを利かせて投げつける。

ナイフの投擲が百発百中とは言えなくても、その攻撃も相まって何とか危険域になるまで近づかれないよう連携して処理は出来ている。しかし、平山はこれがどこまで維持できるか、それとも、危険になる前に処理しきれるか、慎重な思考で次の手を計算し始めていた。

>>443
まぁ、大体完治。咳は出るけど



大体の戦闘の開始まではようやっと行けた感じだねぇ・・・。

乙!
どれだけ、動く為に動けるかだなぁ

風邪ひきはじめの喉には大根飴が良い……って、老女的少女ひなたちゃんで書いてた

>>449
連携の取れない強き意志の個々と、連携の取れる孤独な群体。さてどちらが目的の為に動けるか。

>>450
大根飴、そんなものがあるのか



さて、別に風邪はもうなんともないですが、正式な会社の歯車になったり休みに予定が入って割と環境的にバタバタしてます。
時間取れるのはまだちょいと先になりそうなので、近況までに。

ぐわぁ~、そういう状況か……本当にお疲れ様です。

oh...

『オリジン』

死人が歩き回る世界、そして私がいる世界。はたして、どちらが地獄か考えてみた。死を恐れる場所がない、それだけ聞けば天国だと、外の人は思うのかもしれない。でもここは、砂上の楼閣。捕らわれている私は外へ出る術はない。私は静かに長い時間をかけて死に絶えるしかない。

今日も窓の外を見る。強化ガラスで作られた景色は、以前と変わり映えはしない。あるのは、自然の光景。そこへ行きたくても、忌々しい透明な境目は破壊することはできない。指先で、つま先でその冷たい境界を触れる。

ここに来たのはいつのことかも覚えていない。そもそも、今私を捕らえている人間達が誰かさえもわからない。ただ私はずっとここにいる。

最近では私の力に関する分析もされなくなった。唯一の出入り口が開かなくなって、久しい。それはつまりこの場所も、安全ではなくなったということかもしれない。けれど、出られないということは、入っても来られないということでもある。死人のことを考えれば、その方がいいのかもしれない。

外に出たいという願いはかなわず、正気を失おうにも力によってそれもできない。長い、長い生は、どこに終着しようとしているのか。

窓の外にある木の葉に、手のひらを向ける。しばらくすると、そこだけ枯れ、風によって散っていく。

「少しだけもらうのじゃ」

ゆっくりと、部屋の中にあるベッドに向かう。その隣の化粧棚の上には、小さな鏡があり、変わらない顔が映し出されていた。見慣れたそれが今日はいつも以上に嫌になり、静かに伏せてから、ベッドへ横になる。

この場所だけ、全てから隔離され、そして時が止まっている。それが動き出すことを望みながら、ゆっくりと目を閉じた。

>>452
働きたくないでござる

>>453
うん



さて、あまりにも期間が置きすぎているんので、リハビリ程度の幕間です。まぁ、本編出るかも怪しいのに、
設定だけ作ってた人が題材です。

乙!
まさかのドレインとはね。オリジンてのも中々えげつない

おつ~
オリジンさんは女性なの?んでもってのじゃロリなの?
それとも普通にお年寄りな感じなの?

ところで、小生も常々働きたくないと思ってるでござる

よりにもよって書くのが一番大変そうな所で……

十年も経てばハイライト消した目で全自動で会社にいる自分が出来上がるよ(狂気)

放浪者が放浪すればいつか助けてもらえる…はず

>>456
もしくは そうしてぇ! の方かも

保安官は聞こえてきていた音に向かって移動していた。自分の能力を最大限生かす為、探索組を狙撃による援護する、予定だった。

入り込んだ建物内のゾンビに包囲される。十分警戒している彼が、そんな油断をする訳もない。パラノイアもこの決戦について、そういう行動があるのは読んでいる範疇だった。そう考えるしかない。

幸いまだバリケード近くではないエリアだからか、変異体の姿は見えない。それとも、音が鳴る周辺に集まっているのか。

素早く投げ縄を飛ばし、近くのゾンビの首にかけて引き倒す。素早く抜いたナイフで手慣れた様子で急所を保安官は貫いていく。

「1人でやってきた頃に比べりゃあ、楽なもんよ」

軽口交じり、いつもの豪快な笑みを浮かべたまま、近距離にいたゾンビを処理して、少し移動するには距離のあるゾンビは、拳銃にて仕留めていく。ライフルに比べれば不慣れ、という程度の腕前は、その近さもあり難なくこの状況を退いていく。

問題なのは、ここからのことだ。この動きがあったということは、保安官もパラノイアのテリトリー内に入ったことを示している。恐らく数分後にはまた同じようなゾンビが来ることを匂わせる状態だ。素早い行動は求められた。

「戦闘は続々と始まっているようですねぇ」

屋根の身体を出せるところから身を乗り出し、双眼鏡で都市の状況を見守っていた行商の社長、装甲車の運転席には課長が座り、社長の横には機関銃を持って警戒する平の姿がある。

にこやかな笑みのまま、社長ははてと手に口を添える。大掛かりな戦闘があると聞き、しばしの間遠方には回らず、都市の様子を見守っていた。そこにはいろいろな観点がある、拠点が壊滅されるのはある程度の痛手になることや、もし仮に壊滅するならば、当然めぼしい物が眠る宝箱に違いはなかった。

そういった事の色々を考えて、社長は装甲車の屋根を軽くノックすると、動き出す。彼が中に入る間も、平は都市と周囲に目を離さず警戒を続けている。

「それで…?」

「恩ぐらいは売っておきましょうかねぇ」

社長が見る限りでは、戦局は五分五分と言ったところ。どうなるかは読めるものではないし、自分達が言ったところで局面が変わるとも考えられない。その上で、手を貸すことを協力したのは、物資面のこともあるが。

「(話を聞く限り、DJフレンドと同盟を組まれているようですし、自分達の悪評が流れるのはいただけませんからねぇ。協力した方がお得ですよねぇ)」

もちろん、自分達の利が最大の理由だ。

駆ける装甲車は、見かけたジープを目標に移動を開始した。スピードを上げた車両は、瓦礫で荒れた道で時折大きく揺れ、そのたびに社長は課長に商品が悪くなると小言を挟む。課長はそれに顔色を変えることはないが、面倒くさそうに少しため息が聞こえない程度に漏れた。

平の機関銃が音を上げ、装甲車は大きく右にカーブする。商品も押し付けられたが、社長は何も言わずに上部の蓋を開けて身を乗り出した。先ほどまでは確認していなかった、ゾンビの群れと変異体のマッスルゾンビが何体か。

社長も素早くマシンガン取り出して応戦する。エリア外でうまく活動できていたつもりだったが、こうも移動先容易く抑えられたなら、パラノイアの感知内に入っていたのだろう。

「やれやれ、これじゃあ思ったより貢献できそうにありませんかねぇ?」

撃ちきったマガジンを取り換えて、やれやれと社長は次の目標に狙いを定めて引き金を絞る。2人の分の火線は群れを近づけないのに十分だったが、大きな肉体を持つマッスルゾンビは当然、進攻ルート防ぐのにも、そして装甲車にダメージを与えかねない脅威として障害でしかなかった。

「しかし、あの筋肉だるまは邪魔ですねぇ。何か良い品はっと」

のん気にそう言って中に入る間も、平は淡々と掃射を続ける。機関銃の弾は、確かに並のゾンビならかなりの威力を持っている。マッスルゾンビにも確かに効果は発揮できる。

しかし、それでも分厚い筋肉はその弾丸の威力を吸収してしまう。狙うことそのものに適している訳ではない以上、余計の弾薬の消費を強いられる。

もちろんそれを社長は望まない。今後の為に必要な出費であるとは考えているが、経費がかさむことを良しとしたわけではない。だから取り出したのは、その機関銃のように強力さを現した長身の銃。

「ふんふん。使うのは初めてですがねぇ」

対物ライフル。人の身を撃つにはあまりにも強力過ぎる代物だが、マッスルゾンビのように肉体的な防御力を持つ変異体には、有用な代物だろう。

1発、外れ。2発、肩への着弾。3発、再度外れ、4発、左太ももへ着弾。

穴の開いた左足からマッスルゾンビは崩れ、地面に足を着く時に結合部分がちぎれた断面がそこに着いた。

「邪魔ですよぉ」

最後の5発目で、ようやっとマッスルゾンビの頭を吹き飛ばし、倒れた身体を踏みつけながら、装甲車は都市内部へと入っていった。

「えいやー!」

いつも通り、気の抜けた声でフェアリーが瓦礫を撤去していく。その後ろでは、それぞれの戦闘音が奏でられていた。バリケードについてはまだ現時点、破壊には至っていない。

幸いなのは、井門がいないという戦力が減った状態で、まだ防衛状態を維持できているということだ。これが崩れれば、バリケードの破壊どころではない。工作班のバリケード破壊のコアであるフェアリーに手を届かせないこと、それがこの決戦、この班での命題だ。

「井門さん…」

その事を肝に銘じている一ノ瀬ではあっても、最も親しい井門の身を案じるのはそれもそれで当然だろう。案じることが暴走しないのは、次々とやってくるゾンビの群れに思考は忙殺されるという、皮肉なメリットがあるからだ。

「…銃声が多いですね」

「えぇ、気になるところではありますねー」

状況に周囲を確認する山中と西切。唯一突入する前の放浪者と会話し、それぞれ止めなかった者と止められなかった者。結果は違えど、意志は同じ。この任務を無事に成し遂げ、そして、放浪者を助け出す。それが2人を冷静であり続けさせている。

>>456
プラス、CPCの超能力者と違って精神疾患がある訳でもない

>>457
のじゃロリっぽい何かかな。

働かないでお金がほすぃ

>>458
うんまぁ、いろいろあるのよ

>>459
放浪者マジ助けて…。になるわけですのう

>>460
変態機動なあの人か。


さて、いろいろと。保安官は合流(工作班または回収組)失敗、単独戦闘。業者は援軍判定失敗、井門合流失敗ってな感じですね。

くだらない訂正ですよっと

×業者は援軍判定失敗、井門合流失敗ってな感じですね。
○行商は援軍判定成功、井門合流失敗ってな感じですね。

乙!
よーし、よし。まだ順調な流れのまんまだな。ただ、行商に(勝手にやった事とは言え)借りを作っちまったのは微妙な所か?

それにしても合流失敗とは、今頃井門氏はどうなってる事か

保安官さんも頼れるねぇ~

乙!
対物ライフルの外れ弾勿体なさ過ぎる

>>468
一応、それぞれの班で致命的なトラブルはないね。行商はいつぞやの浜村とのやり取りで発生したイベント。
井門は、まぁ、ダイスが知っておるよ

>>469
表に出ないだけの実力者だからねぇ

>>470
まぁ、武装はあるけど根本素人だからね。


仕事の内容は変わってないけど、勤務体系変わったりプライベートが予定込みでなかなか更新できないという相変わらずの言い訳タイムです。
次の休みは特に予定ないから更新は可能な限りはする予定。

「井門、聞こえてるか!?」

「いくらなんだって、近くの銃声ぐらい聞こえますよ!」

聞こえる感じ、音は移動していた。自分達と同じように車両で移動しながら、銃撃をしている。そう感じられる。探索組のメンバーで、自分達以外に車両を使いながら戦闘を行う予定はない。それに音が聞こえてきた方向も、明らかに進攻予定のルートではなかった。

つまり予期していない、第三者がこのタイミングで紛れ込んできた。その可能性が高いということだ。

「(くそ。知らずに来たんじゃ死ぬだけだ)」

パラノイアは、関係ない第三勢力だからと言って容赦する相手ではない。車両も武装も持っているのを想定すれば、すぐにやられはしないとして、それはそれで作戦行動に影響が出る可能性さえ秘めている。

「ふん。誰かは知らんが、俺達の作戦が優先だ、行くぞ!」

ジープは加速度を増し、工作班へ合流する為、死に柄の街を抜けていく。死を彩るゾンビの数も、パラノイアからの支配から外れてきたからか。数はおおよそ減りつつあった。

高速道路エリアと大通りエリアを繋ぐ大型の道路、そこをジープは横切る。バリケードがあるのは進行方向右手だが、そこは惨劇時に敷設されたと思われるバリケードによって塞がっていた。

そして、もう1つの銃声は明らかにその向こう側から近づいてきていた。

このバリケードの向こう側は、建物に挟まれていて左右に抜けられる場所はない。井門はそう記憶している。言い換えれば、第三勢力は袋小路に入り込んだということだ。

「(どうする、助けに行ってる余裕なんてあるか?)」

しかし、そんな疑問も更なる疑問によって押しつぶされていく。射撃音が止むことも、車の駆動音も明らかに止まらない。

「――離れるぞ!」

瞬時判断した佐田は、バリケードから離れる位置にハンドルを切った時だった。何かが乗り上げる音がして、そこを井門が見ると、ワンテンポ遅れて装甲車がバリケードから飛び出してくる光景だった。

スローモーションのそれが、通常速度に戻ると何度かバウンドしてから大型道路の中央に止まった。装甲車の頭に顔を出している2人に、見覚えはある。拠点に物資交換に訪れる、行商達だ。

夕食の材料買いに行くので、いったんここまで。

判定には従ってるけど、割とやりたいことは書いてる。

おゆはん美味しいと良いね!

それにしても火器積んだ車でジャンプなんて危ない事を……まぁでもこの形で合流して、そのまま付いて来てくれるんなら、それ程頼もしい事はないが

「あー、どうもどうもぉ。お噂はかねがね伺っておりますよぉ」

敵意がないというように柔らかく、聞いたこともあるその口調だが、態度は前に見たのとは違う。勢力を指揮する者として、事態を把握すべく周囲の警戒を怠らない。油断は、いつものそれと違うが、ない。

相手を確認する為、佐田が急停車した間にも、業者がジャンプしてきたバリケードから、一番最初に落ちたであろうゾンビがごしゃりと音を立て地面に突っ伏し、その後続いてゾンビが流れ込んでくる。さながら最初のゾンビは身を挺したクッションのように、無傷のゾンビがジープと装甲車に迫ってきた。

「そりゃあ、装甲車が飛べる状態なら、ゾンビも降りてこれるか…!」

再度ジープの駆動音が高鳴り、前進と井門のサブマシンガンが火を噴く。装甲車も遅れて発信を開始し、ちょうど2台並走して走る形になった。

「何のつもりだ!? とっとと逃げやがれ!」

「まぁまぁ。多少のご助力は希望でございますでしょう?」

戦闘車両は並走して2台になった。それを追いかけるゾンビの波は、未だ変わらない。

ドンとヘビーハンマーが頭から下に地面とぶつかる音がした。バリケード内にある大型公園での戦闘は未だ続いている。第一波と思われる攻撃は終わり、佐原は大きく息を吐いて地面に置いたヘビーハンマーの柄の先端に、右腕を軽く乗せた。

戦闘はまだ終わっていない。それは今いる第一波を全滅した上で、3人は理解している。今はそう、言うなら第二波へ対する、小休止。それでも、やはり全方位からの変異体交じりのゾンビの大群をやりあうのは、彼等であっても体力は消耗している。

「疲れたぞ…」

「同感っすガ…、バリケードはまだ壊れテない見タいっすからなあ」

どの位置のバリケードが壊れたかは言われないが、破壊した旨についてだけ報告は来ることになっている。それがきていないということは、工作班もまた猛攻にあっているということを示していた。

しかし、時折何かが大きく崩れる音が時折していたことを思えば、何もできてない訳ではない。強襲班にはそれで十分すぎるものだった。

「きますぞ……」

シャランと錬浄の錫杖が鳴る。それに呼応したように、2人は構え、ゾンビの第二波が視界に見える範囲に文字通り波のように押し寄せてきた。

>>476
さてどこまで付き合ってもらえるのやら。

夕飯は相変わらず水っぽいシチューになりました。



とりあえずはここまで、ちょいとおでかけ。もう1つの方も戻り次第やれればいいけど。

元軍属だと戦力不透明の連中と組むのはやりにくそうだな

乙!
むしろ行商の武器を井門に使わせた方が

一陣の風が、都市の全域が見える丘の上を吹き抜け、その後ろにある木々の中に吸い込まれていく。都市からは聞こえてくる銃撃の音は、耳をすませばその風に乗って聞こえるのかもしれない。

風に紫煙が紛れる。それ以外そこにあるのは自然そのものだ。あるがままのように見える。

戦いはまだ続いている。この都市をゾンビから取り返せるか。否か。運命がどちらに判定を下すかという次はない。余地がなければ、全力を出すのは容易く、だからこそ戦火は更に大きくなることも想像させた。

そしてそれと対比するように、この丘の状況は静かだ。その事と何も無関係と主張するような、あるべき静の姿。惨劇を迎えた後でも、戦いを止められない人間を皮肉るように、取れるのかもしれない。

もしかしたら戦いこそが、人のあるべき動の姿なのかもしれない。あるいは、動物にカテゴライズされる存在は、それがすでに自然なのかもしれない。生きる為に動く(たたかう)という自然の摂理に、従っているだけ。

一陣の風が吹き抜けた。あるのは自然のそのものだった。

オイルライターの蓋が開く金属音と、着火石から火花が出る音。薄暗い地下道で小さな火は目印としては十分なものだ。その火に咥えた煙草に火をつけて、ハンターは手首のスナップでオイルライターの蓋を閉めた。

彼がおいた懐中電灯とわずかに光る非常灯でうっすら見えるのは、襲撃を仕掛けてきたクローゾンビ2体と、ゴーレムゾンビ数体、残りちらほらと見えるのは、ジャンピングゾンビとそのほかだ。

息を切らせた様子もなく、ハンターは火種を明るくして紫煙を深く肺に取り込んで吐き出す。足りない戦闘の欲求をそれで満たしているにも見える。

吸い終えた煙草を落とし、踏みつけて火を消す。口元は、また歪んだ笑みを浮かべる。

彼にとって更にこちらに来たその量、数えるのも面倒な変態交じりのゾンビの群れ、それすらも彼にとってはただの追加された獲物でしかないのだろう。

血染めのチェーンソーがまたうなりを上げる。主人と同じように、それもまた喜びを表現しているのか。それこそ、ただの思い込みの現物か。

ハンターは走り出す、次なる獲物に向けて、どす黒い閃光のように。

>>480
意図不明で胡散臭い連中だしねぇ

>>481
火器は間違いなく井門の方が使えるだろうけど、レンタル費用とかでそうよね。



さて、相変わらずこまごまと予定があるので、短いですがここまで。しばらくの内は進められるうちはやる感じですかの。

変態交じりの……異が抜けとるw

油断をしていた訳ではない。この状況に置いて、死を覚悟しなければいけない以上、だからこそ死なない為の心構えは全員済ませている。

平山がブラストシューターの盾でゾンビを押し返し、止めを刺そうとした時だ。1体のモンキーゾンビが突如、文字通り落ちてきた。一瞬の陰影で何とか、平山は盾で体当たりを防いだが、支えきれず地面に背面から倒れ、覆いかぶさる形になる。

背負ったタンクや、盾を挟んで覆いかぶされた状態で、素早くゾンビに平山は攻撃できず、他のゾンビもそこに集まり始めた。死の予感がよぎる思考は、冷静さを霞ませ、生まれる焦りが事態の解決を遅らせる。

ワンテンポ遅れて動き出したフェイが、モンキーゾンビを蹴り上げて救出した後、いったんの撤退を余儀なくされた。行動に遅延が起きたという問題も当然あるが、何よりフェイがその一連の間で軽度の負傷を負った。今後の活動に支障が出ることは間違いない状況だ。

今も、平山が外を見張り、フェイは自身でその治療を行っている。2人がいるのはいったんバリケードから距離を取ったエリアだ。緩衝地帯と言う訳ではないが、確保したエリア内、何もなければ安全性は他より高い。

幸いフェイの負傷は咬み傷といったものではない。ゾンビ化の心配は、とりあえずはない。右手首をひねり、不慣れな左手でテーピングといった治療を施している。

「(…。自分の不始末だ)」

この状況下で誰が悪いということはない。しかし、起きた結果が責任を伴うのなら、誰かがそれを負わなければいけない。もちろんそれを果たす前に、しなければいけない絶対的な任務がある。

「しかし、死ななくてよかったす」

「この戦い、生き延びるが最も大事なことだからな」

治療は終わったようで、固定具合をフェイは確かめながら、少しだけ顔をしかめている。咄嗟に力を入れたり、重いものを持つといったことは、しばらくは無理だろう。負傷したのが足でなかったことは、撤退できた要因だが、それでもこのまま任務続行できるかは怪しい。

フェイを戻すべきか、そもそも戻したとして平山1人だけで活動することができるか。その判断を安全な今のうちにしなければならない。

「(せめて、他の班や協力者がどこに居ればわかればな…)」

連携が取れない。それは問題が起きた時において、致命的を選びかねない厳しい条件として、回収組に立ちふさがり始めていた。

何度かあった襲撃を退け、保安官はちょうどいい狙撃ポイントになる屋上へたどり着いていた。遠くでは工作班がバリケード破壊を進めているのが見える。スコープを使って確認する距離からは、合流するには少々遠い。何より、そこへ向かって移動しているゾンビの群れが、一種の壁となって存在していた。

もちろん、これら全てを流石の保安官でも処理しきることはできないが、それで変異体を優先して処理すれば、その群れの危険性をグッと下げることができる。

スコープを通して、処理すべき変異体を確認する。動物の狩猟の際、命のやり取りと感じるものが、ゾンビ達をその中に入れた時は、どこか遠くの絵空事のように、保安官は感じることがある。その雑念が、混ざりつつも弾丸は対象に飛んでいき、頭蓋を弾き飛ばした。

自分がやったことに対して、ここまで虚無を感じるのはなぜかと思いつつも、保安官はライフルをコッキングして次弾を装填した。

次の弾丸を発射した時に思ったのは、この戦いが終わった後、友達が戻ってきたら、もうこんなことをしなくて済むのか。それだけだった。

相変わらずの猛攻に変化が起きた。そろそろ立て籠もることも検討していた強襲班が、自分達を襲う群れの攻撃が緩やかになったのを、気付かない訳もなかった。

第二波を撃破し、3人は休憩を取る余裕もあった。もちろんそれはあり得ないことだと承知で、これからの戦いの為に、違和感を抱えたまま飲み物を藍は飲み込む。

「いったいなんなんだぞ…」

パラノイアを相手にする、その時点で予測できないこと自体だらけになるのは想像できても、ここまで殺そうとした集団にあっけなく手を翻し、猶予を与えることは、どう解釈してもあり得ないことだ。

あのまま力でねじ伏せることも、正直言えば出来たことだ。もちろん、その分の戦力は失うことにはなっただろう。それを嫌った、といえなくもない。

「なンか起こっテるのは確かっすな」

パラノイアにとって、強襲班の処理よりも優先すべき自体が起きた。そう考えるのが妥当な結論だった。そして、それを肯定した上で言うなら、今がパラノイアの懐に入り倒せる可能性があるチャンスでもある。

罠であるかは強襲班に関係ない。今はもう、パラノイアを処理できるかどうかが重要なことなのだから。簡単な休憩が終わり、3人はまた歩き出す。更なる奥地にある、大型駅を目指して。

>>485
キニスルナ!


>>483の訂正
×彼にとって更にこちらに来たその量、数えるのも面倒な変態交じりのゾンビの群れ、
○彼にとって更にこちらに来たその量、数えるのも面倒な変異態交じりのゾンビの群れ、


はてさて

乙!
よりによって、カバー人員が居ないチームで負傷者が出るかぁ

保安官は一番安牌なやり方してくれてるが、残弾は保つのかね?

放浪者がついに奴と接触でもしたか……?

「目標の殲滅を確認、次なる任務(オーダー)まで待機」

『OK、よくやった。弾の数と武装のチェックだけしてくれ。周囲をもっかい見る』

エクスの指示を元に、ロッサは手早く残弾と武器の状態を確認した。残弾はともかく、武器の状態についてロッサ自身も常時把握できるものではない。入力されたプログラムに従って、問題ないかを確認し『全て問題なし(オールグリーン)』にて完了した。

井門達は気づくことはなかったが、ロッサの手により分断されたゾンビの群れは、彼等を襲う数を少なくさせた。群れはロッサの動きに対して、全くと言っていいほど後手を取った。相手の状況を読み取り、最善手のみ打てたパラノイアにとって、脅威度は高いだろう。

しかし、高速で動きかつ思考から位置を特定することができない、脅威度が高いと判断するロッサにまで一群を率いて攻撃を仕掛けていないのは、それが理由なのは違いない。

状況として、パラノイアを処理する可能性が高いとすれば、ロッサが挙げられるかもしれない。もちろん、このままならどうにもならない訳だが。

『うし、工作班の動きも確認した。急いでそのままいったん、第一目標のバリケード地点に向かえ!』

「次なる任務(オーダー)を確認。友人様、畏まりました」

キャタピラは旋回し、次なる戦場へ銀色の重戦車が廃墟の都市を駆けていく。

『ジェーンいるか』

「うん、いるよ。どうかした?」

拠点内も慌ただしい動きが続く。想定内の成果を出したロッサから流れる情報の逐一の確認、またロッサ自体の状態の把握など、学習するAIという高速演算に研究者、技術者はついていくのが精いっぱいだった。

たまたま拠点に来ることになったジェーンも、猫の手も借りたいということで協力している状況だ。今は自分の端末を、仮設置した机に置き、サポートチームからの無線連絡にも対応している。

『保安官のおっさんは、元気に変異体をスナイプしてるとこだ。なんかあったら教えっから、集中してくれよ』

「うん、ありがとう」

『それから本造、つってわかるかな。うちの一番若いガキいるだろ、ちゃんとやれてっか?』

そう言われて見当がついたジェーンは、技術者が集まっている一画を見ると、少しぶかぶかな作業着を着て、動き回る少年の姿があった。「大丈夫そう」と答えると、ぶっきらと「そうか」と返ってくる。

『ロッサは補給無しでいったんバリケードに向かわせた。非常時に備えて出られるように伝言頼む』

「わかったよ」

無線が途切れた。次の連絡が悪いものではないことを祈りつつ、ロッサの今の動向についてジェーンは拠点に来ている研究所メンバーへ報告の為、椅子から立ち上がった。

それ自体は想定していたことだが、予想よりもその数は多かった。フェアリーの活躍により、第一目標のバリケードは破壊できたが、その向こう側から変異体を先頭にした群れが工作班に突撃を仕掛けてくる。しかし、タイミングは逸していた。

彼女の『浮かす』能力は、場合を選ばなければ大打撃を受ける可能性が高い。限定された出入り口、バリケードとして使用していた大型の瓦礫群。

本能か、それともセンスか、フェアリーは躊躇なく破壊の為にどかしたバリケードの部品を、その群れに投入していく。最初はそれを殴り返していたマッスルゾンビも、生身では対応が不可能な質量が飛んできた時に、呆気なく他を巻き込みながら潰された。

その頃には反応が出来たメンバーたちが見たのは、子供がおもちゃと赤の絵具で周囲をまき散らしたような光景だった。それに、対して反応をしなかったのは、エコー。

「フェアリー、これじゃあまた通るのが難しくなるから、どかさないとダメだよ」

「あー、そっかー」

山中は理解せざる得なかった、超能力者にとってこれぐらいは日常になれる。そういう力を持っているのだと。

地下道の中を進んで行く。置いていた懐中電灯を拾って、血に染まったコート姿と、同じく血でまみれたチェーンソーを持ち、狂気を含んだ薄ら笑いで歩くハンターは、はっきり言ってスプラッター映画の殺人鬼のようだ。

第二派を撃退し、悠然と闇の中を進んで行く。ハンターの中には確信があった。この地下の厳重さはただの侵入路を防ぐ為だけのものではない、ということに。

何故なら本来自分は、拠点の勢力とは別の存在。今まで直接読まれる機会は与えず、背後で淡々とそういった存在がいるとだけしか、他のメンバーを通じてパラノイアには理解できてなかったと言える。

その自分に対して仕向けてきている攻撃は、完全に殺しにかかってきていた。広いとは言えない閉鎖空間に、ゴーレムゾンビの壁とクローゾンビを仕向けてきた。

誰に対しても殺意があるのは間違いない。自分が今まで行ってきたミュータントや変異体との苛烈な戦いの記憶を、抜き取ったとしても不思議ではない。だからこそ言えるのは、やりすぎだということだ。

ハンターがもし、自身がパラノイアだとしたら、他の脅威があったとしても、確実に放浪者を殺す為に全力を注ぐ。そう考えるからだった。

暗闇の向こうに繋がる先は、大型駅。そこが本陣だと踏み、ハンターの足取りは強さを増していった。

戦いの火種は大きくなり続ける。

それを小さくするのはどうすればいいのか。

答えるまでもない事ではある。

だが、戦いが続けば続くほど、その事に疑問を持つ。

それは自然なことだ。

あの存在は、そんな疑問を抱くか。

それは考える必要もない事だろう。

一陣の風が吹く。

目指すべき場所へ向かって。

>>491
確かにねぇ

>>492
まぁ、保安官は支援が目的だろうけどもね。どれぐらい持ってこれてるのやら

>>493
ダイス様が知っているよ。

モッピーは知ってるよ(言いたかっただけ)

このターンはわりと順調に推移って感じかな?

『拠点を継ぐ者』

男は歩いていた。左手に木々という自然物と、右手に廃墟という人工物の残骸の中を目的もなく進んで行く、ぐぅと腹の虫が鳴り、食料の算段をしなければならないなと、そこに手を当ててさする。

空腹には慣れた、死に危険に関する直面は以前よりぐっと少なくなってきているが、それでも自由に食料を得られた昔を思えば、これから人間はまだまだやらなければいけないことが増えているなと。そんなことを思う。

枯れた落ち葉を踏みしめ、草木がこすれ、廃墟側で潜める息遣いといった音は捉えているが、男は大したことはないとのん気に歩き続ける。想定できる脅威は、自身を鍛えてくれた仲間の一人だけと比べてもさしたるものではない。そう感じているからだ。

「手を上げろ!」

もちろん、無力化するのだからそう言わざる得ないのはわかっている。けれど、聞きなれ過ぎたその言葉は、何かに替えられないものかと、呑気に考えていた。

「お前、死にたいのか?」

「悪いけど、殺せるのか?」

男が持っている武装で目立つのは、腰に差した日本刀だ。それ以外は、惨劇前の日本ではありふれた格好、Gパンと革ジャンの中にTシャツが見える。略奪者達からして、構えもせずにこちらは周囲を銃を突き付けている状態。圧倒的な優位の状態で、男は自分が殺されることを本当に想定していないがよくわかる――。

「はいよ、1人」

瞬間だった。全員がそのたった一歩を見逃し、男に接近を許した略奪者の一人は手首を外され、顎を左肘で強打された後、地面に崩れ落ちた。落ちてから状況の判断が完了した略奪者の残り4人は、一斉に銃弾を感じられた危機感のままに撃ち込み、また男の姿を見逃した。

「はい、2人」

いつの間に跳躍したのか、空中で頭が下になっている状態の男がそこにいて、しかも略奪者の後ろに位置し、そのまま後頭部を殴りつける。虚を突かれた攻撃はその略奪者の意識を奪うのに十分。

「あいつ、な、なんなんだよ!」

それを問われても聞かれた略奪者2人は答えようはない。あんな動きをする人間がいる訳がない、噂で人外のような活躍をする放浪者という人間がいると聞いたが、このエリアで活動しているはずはない。でも、もしその噂通りが事実なら、こんな動きでも不思議ではなかった。

「戦ってる最中に、集中切らすなっての」

今度はその大声を出した略奪者の側により、側面から柔道らしい捌きで男は相手を地面に背中から落とし、更に動こうとした残り二人は、腰に差した日本刀を鞘がついたまま抜き出し、1人は喉元、1人はみぞおちへ滑り込ませる。完全に敵の無力化を終わらせて、男は日本刀を腰に差し直し、またのんびりと歩き出した。

「あーあ。やっぱセンセーと放浪者みてぇにはいかねぇなー」

ここまで圧倒しておきながら、今の戦いにおける出来は、その表情から納得は出来てないようだった。

空腹の音が鳴り、それが去った後。痛みで呻く声だけがそこに残った。

>>500
そして私は残念ながら知らなかったぜ

>>501
まぁ、基本的に負傷しなければいい結果です。



ちょっと間が空いているので幕間でリハビリです。

乙!
なるほど。未来で、彼だけが残ってしまったか、彷徨っている状況か

しかし、~~を継ぐもの ってのを見ると、どうしても星を継ぐものが浮かんでくるな

結局また、人が減ってゆく……

ロッサ君も活躍してるなー

状況の推移は最悪だった。かく乱を企んだ戦闘車両を、工作班と呼ぶ部隊から遠ざけることに成功し、目的の地点まで誘導を進めるところで、想定外が起きる。正体がわからない謎の銀色の機械に、蛮族共に恩を売ろうとする商人の一団。それらが横槍を入れるどころか、商人は合流を果たし一筋縄に討伐できる状態ではなくなった。

何より脅威なのが銀色の機械だ。思考を読むことが出来ず、銃器を扱い何よりそれ自体が高速に移動する。監視カメラ代わりのゾンビから、行き先を追おうとすることはできるが、すでに多数のエリアで行われている戦闘も考慮しなければならない。

バリケードもすでに破られ、次のエリアに移動を開始していて、それを支援する存在も厄介だ。移動自体は同様のバリケード破壊、複数個所破壊することで脱出や、自身の処理を優位に進めること、それが目的だ。バリケードに関しては、即時に修復できるようなものではない。1ヶ所だけならまだしも、複数となれば防衛力に影響が出る。

更に頭を悩ませるのは、内部に入った化け物じみた3人組と1人。あれだけの量を送り込んだのに関わらず、疲弊する程度で具体的なダメージは与えられていない。3人組は大型駅に向かい、1人は地下道から期せず同じ場所へ向かっている。そして、バリケードが破壊された今、3人組はそれを知っても戻る意思はなく、1人は知ったところでこの戦いに悦びを見出しているのだから、同様に戻ることはないだろう。

集めた兵士達はまだ、潤沢とも言えるほどに存在はしている。それでも、出来ることには限界があった。指揮下にいる以上、高度な連携は取れるとしても、兵士達そのものに出来ることは決まっている。効率の良い戦いそのものの限界。

それさえ考えなければ、物量に任せた力押しを続けて内部にいる敵を排除することはできるだろう。だが、それさえも奴の策だとするなら、その思慮の深さに奥が見えない。

無理を押して討伐しに来ると言う予想は外れ、散発的な攻撃を加えては去っていく。しかも、行き当たりばったりではなく、殺された兵士の多くは力ある英雄達であり、そのことは確実に意図的だった。

そして、自分を処理するということへの意識に、全くのブレは存在していなかった。

不在の間に誰かしらを討伐しておきたかったという思いが叶わず、今の最悪さも相まって苛立ちだけが募っていく。そして、それをぶつける意味合いで、補助に感知範囲を広げ入り次第共有するように指示を飛ばす。

奴がもう間もなく戻ることには確信がある。すべきなのは、奴を含めて予期しない作戦を実行して、全滅に至るための流れを生み出すことだった。

>>504
まぁ、ぶらぶらと。

確かにそんなタイトルあるねぇ

>>505
うんまぁ、こんな世界だからね

>>506
なんだかんだ正面から戦える強さではないからね。

パラノイア焦れってる、ヘイヘイヘイ!

しかし、奴が用意する、予期せぬ作戦とは……

回収組は負傷したフェイを抱えて、高速道路側の緩衝地帯まで後退していた。この行動は明らかに中途半端と言える、決戦に参加しているとは言いづらく、何かあった際の補助をするには距離がありすぎる。フェイの右手首を治療するなら、拠点に戻った方が無難。

痛々しく映える簡易な治療を施した右手と、左手にはコントローラーが握られていた。その側にはドローンが置かれている、その操縦のためのものだ。

『OK、ドローンに内蔵されたカメラに接続できた。うまくやれよ。後は伊吹が引き継ぐ』

「了解ス。ふふん、初めての時は落とさずに飛ばせてたんだから大丈夫ス」

妙な自信のままフェイは電源を入れて、ドローンを浮かせる。飛んでいくドローンは先ほどまで大型駅エリアに向かって何とか飛んでいく。

平山はドローンの状態を確認する為、今いる屋上で更に高い給水塔に膝立ちで立ち、望遠鏡で状態を見ながら指示を出す。

「うーん、だいぶちっちゃくなったス…」

『大型駅のバリケード前エリアに突入、今のところ映像はクリアに来てます』

その中途半端でない理由が、ドローンを使った大型駅エリア全域の現状の偵察を行うことだった。

ドローンは何とか航行を続ける。わずかな間とはいえ、飛ばす練習をしていたのはあるが、高度とその不安定ながらもバランスを維持しているのは、フェイ自身の天性、あるいは本能的なもので成しているのかもしれない。

カメラに移されるのは、これまでの探索組などとパラノイアとの間で起きた戦いの跡だ。何かを追って移動した一部の群れや、その横ばいから攻撃を受けた一部といった、処理されたゾンビの姿。別の群れの攻撃を受ける、2台の戦闘車両。ライフルを担ぎ、ウェスタンハットをかぶった人間と、どこかへ向かうキャタピラ付きのロボットの姿。

更にその奥に進むと、大規模のバリケードの姿があり、その一箇所は穴が開いていた。そこからゾンビが溢れてくる様子はなく、バリケード沿いを進んで行く生存者の一団の姿もある。

『まもなくバリケード内に入ります、慎重にお願いしますよ?』

「慎重と言っても、こっちはもう何も見えないス」

給水塔にいる平山の方からも、小さな点しか見えないという報告をしてから、すでにフェイの近くに戻っていた。

『ひっひ。こちらに来る映像が唯一の視界な訳だーな』

「フェイへの指示を頼む。言った通り双眼鏡でもすでに見えない状況だ」

通常よりも念入りに処理を行った緩衝地帯エリア内とはいえ、パラノイアと決戦中という特殊な状態もあり、平山は操作中のフェイをカバーするように周囲の状況を伺っている。フェイも何とか勘でバリケード内を航行しているような状態だ。

「うぅ。ただ意味もなくコントローラーだけいじってる気分ス」

『フェイさん。ちょっと高度を落としてもらえないですか?』

気になるものがと、言う伊吹に従い何とか高度を落とそうとするが、何も見えないフェイからすれば、どの程度がいいのかすらも全く手探りだ。何とか、伊吹の指示を元に調整を試み続けると。伊吹から大きな声が聞こえ、次に平山のどうしたという大き目の質問が飛んだ。

『わかりません。何かがドローンぶつかったみたいで…、どこかに堕ちたみたいです。飛ばせないか試してもらっていいですか?』

フェイが何とか再度浮かしてみようと確かめてみたが、動きはするものの浮き上がる様子はない。カメラ機能は生きているが、どうやらプロペラが壊れた可能性が高かった。

「ぐぬぅ。誰が壊したんスかね」

『多分、画面に映っているモンキーゾンビ当たりでしょうね。死んでますが』

警戒して破壊を命令されたからであろうモンキーゾンビが、頭から落下してピクピクと痙攣している映像が、ドローンのカメラから映し出されていた。

「マイマスター、次なる任務(オーダー)をお願いしたい」

ドローンが撃墜されるほんの少し前、ロッサは破壊されたバリケード前に到着して、EVEに指示を請うた。ドローンにビジョンの生体回線を一時的に移していることもあり、今のロッサにとっての指揮系統はEVEに移っている状態だからだ。

『ロッサ、今どういう状況ですか』

「友人様の指示により、工作班が破壊されたバリケード前に移動。その後の任務(オーダー)は受理しておりません」

少しだけの間、その後にEVEは意志を持って問うた。

『ロッサ。それは貴方の意思で判断なさい。次なる任務(オーダー)は、友人様から連絡があるまでの間、貴方独自の判断で、拠点の手助けをすることです』

「マイマスター、了解いたしました。このまま突入いたします」

両手のライフルを持ち直し、ロッサはキャタピラを回転させてバリケード内部に突入していく。それは今までの任務(オーダー)を前提とした機械的なものではなく、またこの世界に意志ある存在(もの)が確立しようとする姿にも映る。

『ご武運を、ロッサ』

それに対して、ロッサは答えない。いや、答え方がわからない。しかし、宿り始めた意志で何かを掴めそうな解析(よかん)は出来そうと感じている。

>>510-512
なんて無茶を

>>513
まぁ、大体>>1も予期しないからね。作品柄。

乙!
どうしよう。自我はっきりしてきたら「オーダーを寄越せ!」とかって譲治声で言う様になったら

怪我はするし、ドローンは壊されるしで、踏んだり蹴ったりだな回収組

「オーダーきついですよ~」

見えないのにドローン操縦出来るとか、フェイ凄いな

行商と合流し、一度はゾンビの群れから脱したものの、井門が乗るジープは工作班との合流を果たせていない。すでに第一目標のバリケード破壊の報は聞いているのが、せめてもの救い。少なくても、自分達に向けられている分の群れは、工作班から引き離せているということだ。

残弾についは流石に心もとない状態が続いている。このままジープに乗って迎撃を続けるには、あまりいい量とは言えない。すでに、銃撃による迎撃は必要最低限に抑えている状況だ。

付かず離れずで並走する装甲車に目をやる。助力が必要だろうと、手助けをいきなり現れてしている訳だが、喜読が信用ならない相手、と言っていたことと。この状況で浮かべるうすら寒く感じる社長の笑みは、いつも通り、いやいつも以上に不気味であった。

弾丸の再装填の為か、警戒を平に任せて社長は装甲車の中に入っていく。パラノイアにとって行商は間違いなく敵だろう。だが、拠点にとって味方であるかは、それもまた謎だ。

その引き金がいつ自分に向けられるかはわからない。全てが出払っている今、もしかすれば拠点へ別の勢力を仕向けている可能性すらある。油断ならない相手、守る者である井門にとって、内在する脅威と認識するのは当然のことだった。

装甲車の中に戻った社長は、所狭しと商品が詰め込まれた車内で素早く弾丸を込めてから、自分用の水筒を手に取り、中の水分を口に含んだ。

「それで…?」

課長が井門達のジープの動向を意識しながら、この貢献をいつまで続けなければいけないのか。確認を社長に取る。

社長は、糸を理解してはてと手に口を添えながら、大仰に考えている素振りを取る。それを見て、課長は彼へわずかに向けていた視線を戻し、運転に集中する。それは彼の部下だから良く知っていることだ。

「引き続きあの方達の支援を継続しますよぉ」

課長は返事をしない。決めたことに対して、曲げない時のクセがさっき出ていたのを見て、結論は出ていたからだ。

「…社長」

「なんですかぁ?」

上部の開閉口を開けようとしていた社長は、開閉部分に手をかけたまま、課長の言葉を待った。

「この酔狂はいつまで?」

「簡単ですよ」

ガチャリと扉を開けて、営業的ではない。意志を持った笑みを浮かべ。

「財閥も足元に及ばない大企業になるまでは、続きますよぉ。覚悟してくださいねぇ」

課長は何も返さない。ただ、ハンドルの握る力は、いつもより少し強くなった。

言っても社長が自分で動かなきゃいけないレベルで、人員は不足だし、拾えてもいない訳ね

「やれやれ、老体にゃ堪えるな」

保安官は工作班がバリケード破壊を破壊し、移動するのに合わせて行動しようとしていたが、それを妨害するよう差し向けられたゾンビやモンキーゾンビといった群れを迎撃に手間取っていた。

何とか波は引き、小休憩を取れる状態にはなっている。工作班は見失ったが、バリケードになぞって移動している様子から、すぐに見つけられはするだろうと考えている。気になるのはむしろ、ついさっきバリケード内へ飛んでいった飛行物体と、突入した銀色のロボット。

ロボットについての見当はついている。研究所で作成されたアンドロイド、EVEのことがあるとはいえ、放浪者が例の研究所から情報を回収してからの日にちはあまりにも短く、与太話のようにも思えていた。実際に動いているところを見ると、本心ではないにしてもWWPの組み込まれた研究者集団の実力というものが伺えた。

しかし、気になるのはロボットが突入する前に飛んでいった飛行物体だ。仮にWWPのものならと考え、撃ち落とすことも検討したが、結局、可能性があるのは拠点メンバーの所有物と思いそのままにした。それが正しかったのかは、まだわからない。

ふと、新しい何かがバリケード内に入っていくのが見え、保安官はライフルのスコープを双眼鏡代わりにそれが何か確認する――。

>>519
いろいろ怖いぜ

>>520
エリアから離れてるから判定難易度は低いんだけど、怪我はねぇ。ドローンは飛ばす方は成功判定だけどもね

>>521
がんばれハンター

>>522
たまたまだと思うよb

>>525
まぁ、社員募集してどうやって人が集まるのか

乙!
新しい何か……?他に誰か来る予定あったっけかな?

しかし、バリケード壊すのは良いけど、崩れて上から降ってくるなんて羽目にはならないだろうね?

『放浪者ああああああああ!』

怒声。飽きもせず、繰り返される憎悪を主体とした殺意を攻撃を模すように、パラノイア、いや、キングは放浪者へ耳ではなく脳みそへ直接それを叩きこんだ。

純粋な殺意を、感覚器官の集合体であり脳へ直接送り込まれているにもかかわらず、放浪者に動揺も、恐れも、それこそ、その事へ反発するような敵意もなかった。あるのは、完全なまでに刻み込まれた目的。

「………」

何も答えない。それはもう終わったことだ、何度目かの強襲、その間に言葉を介さない精神(テレパシー)を使った問答は済んでいる。分かり切っているのは、互いに潰す敵でしかないこと。

もちろんお互い、相手を処理することに関して一切の躊躇はない。だが、放浪者だけはキングに対して憐れみを感じていた。もし、変異体(ゾンビ)にさえならなければ、もしかしたら――。

僅かに宿った夢想はかき消して、大型駅エリア。その大型駅前にある大きな広場の前に放浪者は降り立つ。周囲には、当然とばかりに用意された変異体を主体にしたゾンビの群れが彼を包囲する。

「…処理を再開する」

ウェーブソード・デュエルを抜き、放浪者同じようにその群れの中へ音もなく紛れ込んでいった。

放浪者の姿を捉えていた強襲班も、その進撃に勢いが増していた。拠点の長である彼が無事であるという事実、それは何よりもの吉報。彼が移動した航路を考えると、自分達が向かおうとしていた大型駅、彼もそこへ向かっていると考えて間違いなさそうだった。

「でも、なんで放浪者は今来たんだぞ!?」

「わかりませぬが…、一時離脱されていたのかと…」

放浪者が飛び出したと判明し、現在はまもなく昼時になると考えれば、かなりの時間経過していることは間違いない。いくら放浪者であっても、そこまでの時間を戦い続けることは不可能。フロートボードさえ問題なければ、彼だけはバリケードは関係なく行き来できるのだから、不思議なことではない。

「そうかもっすナ。ちょくちょく処理されテるゾンビの姿も、移動途中デあったっすし」

だが、そんなことは些細なことだ。今はこの勢いのままに、パラノイアを一気に処理出来る可能性がある。強襲班としてそのフォローの為の大暴れは、必須のことだ。

「さぁ、兄貴に続クっすよ!」

拠点の精神的支柱、いや、拠点そのものと言っていい彼の生存の確認、そうかもわからない時に比べるまでもなく、士気を上げるに至る事態となって伝播していく。

>>528
この人でした

>>529
もちろん、悪い判定なら起こりえるで



少しおでかけ、余裕があればもう少し更新予定。

『放浪者の野郎、生きてやがった。ロッサ、大型駅に向かってる。援護にいけ!』

「次なる任務(オーダー)を確認。友人様、畏まりました。マスターの援護へ向かいます」

散発的に破壊されたバリケード付近でゾンビを処理していたロッサに、次なる任務が下る。生存を確認した放浪者(マスター)への援護。

自身のEVE(マイマスター)が仕えるトップ。それがロッサが放浪者に対する認識(データ)だ。重要な存在を危険な場所へ突入し、戦いをすること自体、ロッサについては奇妙なことではある。そういう存在ほど、何かがあった時に備えて後方にいるべきなのではと、入力された情報をもとに意見(こたえ)を出している。

そういう存在と認識しているからこそ、インプットされた地図情報を元に最短で向かおうとする。だが、整備されていない荒れた道は、キャタピラとはいえ走破するのはなかなかの試練だ。そもそも情報通りの道もない、事故車両で封鎖されていることなどザラだ。そう、想定外のことが起きるのが、今の都市攻略では自然な事。

『ロッサ! 正面注意! 見たことねぇデカブツだ!』

横転していたはずのバスが、轟音と共に地面に付いたまま回転し、側の壁に激突。その向こう側から、それこそ象が思い切り地面を踏みつけるかのような、重い音と共に巨体と、その両手に持っている瓦礫をロッサ目がけて投げ飛ばした。

飛んでくる瓦礫を判断し回避したが、足を取られ回避しきれず左腕の二の腕部分にぶつかる。その衝撃で腕は変形し、持っていたライフルを落とす。どうするかの判断に気を取られている間に、その巨体はかなりのスピードでロッサへとつっこんできていた。

『ロッサ、とにかく回避しろ。お前でもまともに受けたら、無事にゃすまねぇ!』

完全に脅威を認識し、エクスから連絡があったとはいえ、不意を喰らっての瓦礫に比べればまだ、その突進は会費は容易かった。何より、直線的な動物的な突撃で、素直に横へ避けるだけで済むのは大きい。

だが、脅威が終わったわけではない。この巨体は自分を明確な敵として襲ってきている。それを処理しなければ、放浪者(マイマスター)の援護へ向かう任務(オーダー)はこなすことができない。

瓦礫を受けた左腕の状態だが、可動に関わる部分へのダメージがあり、動かすことが難しい状態だった。また、落としたライフルについても、今の突撃の際に踏まれたのか、無残な状態で路上に散乱している。つまり、右腕に残ったライフルで、相手を対処しなければいけない。

無効にはマッスルゾンビなど目ではない巨体が、壁にぶつかり動きを止めている。高さ的には建物2階部分に相当し、全身の筋肉が隆起している。もはやゾンビと称するにはかけ離れた、化け物(モンスター)と表現してもいいだろう。

『パラノイアの隠し玉だ! 名前はとりあえずオーガと呼称、いったん引け!』

「いいえ」

EVE(マイマスター)が言っていた、人間の文明復興の手伝い。それが継続して続く、任務(オーダー)。目の前にいる存在は、それを確実に邪魔をすると分析(りかい)したからだ。ならば、選ぶのは逃走ではなく。

「マイマスターより直々頂いた任務(オーダー)、人間の文明復興のお手伝いの為、貴方を脅威と判断。処理します」

残る武器を構え、徹底抗戦の意思を、ロッサは示した。

ここまで。もちろん何もない訳がない。


>>533の訂正
×その向こう側から、それこそ象が思い切り地面を踏みつけるかのような、重い音と共に巨体と、その両手に持っている瓦礫をロッサ目がけて投げ飛ばした。
○その向こう側から、それこそ象が思い切り地面を踏みつけるかのような、重い音と共に巨体を現し、その両手に持っている瓦礫をロッサ目がけて投げ飛ばした。

>>534の訂正
×「マイマスターより直々頂いた任務(オーダー)、人間の文明復興のお手伝いの為、貴方を脅威と判断。処理します」
○「マイマスターより直々に頂いた任務(オーダー)、人間の文明復興のお手伝いの為、貴方を脅威と判断。処理します」

まだあったい

>>534の訂正
×完全に脅威を認識し、エクスから連絡があったとはいえ、不意を喰らっての瓦礫に比べればまだ、その突進は会費は容易かった。何より、直線的な動物的な突撃で、素直に横へ避けるだけで済むのは大きい。

だが、脅威が終わったわけではない。この巨体は自分を明確な敵として襲ってきている。それを処理しなければ、放浪者(マイマスター)の援護へ向かう任務(オーダー)はこなすことができない。

○完全に脅威を認識し、エクスから連絡があったとはいえ、不意を喰らっての瓦礫の回避に比べればまだ、その突進は回避は容易かった。何より、直線的な動物的な突撃で、素直に横へ避けるだけで済むのは大きい。

だが、脅威が終わったわけではない。この巨体は自分を明確な敵として襲ってきている。それを処理しなければ、放浪者(マスター)の援護へ向かう任務(オーダー)はこなすことができない。


オーガやべぇ

乙!
ロッサ、せめて佐原チームが合流するまで耐えてくれよ……!

オーガ、な……ウイスキーでも直に飲ませたら、何か変わるかね?

ロッサが持つアサルトライフルが火を噴く。オーガと呼称された新たに確認され、そして即座に脅威と判断された変異体。恐らくはマッスルゾンビの亜種の身体、建物にぶつかりそのままになった背後にめり込む。

そう、それは文字通りめり込んでいた。筋肉が厚い背部に当たった弾丸は、内部まで貫通するどころか表面にその弾があることを視認できた。

『ロッサ。強襲班に援護を要請した。だけど、無茶すんじゃねぇぞ。お前がやられても、意味はねぇ!』

「友人様、ご配慮いただきありがとうございます」

エクスも、ロッサの視界(カメラ)からその脅威を確認している。はっきり言って、今まで確認した変異体の中で群を抜く脅威だ。建物から出てきたオーガの突進は、それこそ動物のサイや象を彷彿とさせる圧倒勘と速さ。何より、振るわれる拳の威力もかすっても致命的なダメージになりかねない勢いで、ぶつかった物を破壊する。

初陣であるロッサであっても、自身が動作不能(はかい)に至る可能性を理解した。だからこそこの脅威の排除は避けて通れないと分析(はんだん)している。

「すごい音が聞こえるぞ!」

エクスからの要請により、強襲班はロッサがいると指定されたエリアに急いでいた。本来なら、大型駅に向かった放浪者の援護に行くのが、優先すべきこと。確かにロッサを失えば、この戦いにかなりの影響が出る。それは間違いない。

だが、ロッサは生み出すことができたアンドロイド。EVEとは違い、壊れてもその気になれば同じものは量産できるだろう。究極、使い捨てにしても問題はなかった。

「早くしないとヤバいっすナ!」

「御意…」

しかし、探索組はそのEVEと共に死線を潜り抜けてきた。アンドロイドを新たな種として受け入れた、エクスとは別の意味での友人達だ。それは放浪者であっても同じだろう。

放浪者という存在が確認できた以上、パラノイアの討伐は彼が行うべき任務だ。強襲班がすべきなのは、彼が動きやすいように援護をすること、そして窮地の仲間を救うこと。ならば仲間であるロッサの援護に行くのは、当然の流れだった。

だが、それを汲んでの動きをパラノイアは見せる。ロッサの援護をさせんとばかりに、そこへ辿り着く道をゾンビで埋めていく。この鬱陶しさは、本当にどの変異体にもないもので、佐原は内心辟易としていた。妨害が予想通りだとしてもだ。

幸いがあるとすれば、妨害に利用した分の戦力は、放浪者にそれだけの負担が減っているということ。

「ぐぬぅ、いちいチ相手にしてたら、キリがなイっす」

「どうするんだぞ。このままじゃ間に合わないぞ!」

一点集中にて倒して通り抜けるには、文字通りの肉の壁となって押し寄せるゾンビの群れには不可能。そして遠回りしている余裕はない。

僅かにどうするかの思考する間に、向かうべき方面から甲高い音が鳴り響いた。連絡はないが、下手をすればロッサがやられた可能性さえも想像できる。

「強行突破するほかありませぬ…」

その群れに飛び込み、錬浄はゾンビの肩や背を足場にして一直線に駆けだす。

「錬浄さンも、わりと大概っすよネ。いクっすよ、藍」

「うわわわ!」

有無を言わさず藍を脇に抱えた佐原は、それに倣って同じように一直線に駆けだした。

>>537
イメージ的にはバキのアンチェインさんがそのまま変異体になったらな感じ

>>538
実は地味に合流自体は今回失敗判定です。

>>539
燃やした方が早いかな。



>>534の訂正
×無効にはマッスルゾンビなど目ではない巨体が、壁にぶつかり動きを止めている。
○向こうにはマッスルゾンビなど目ではない巨体が、壁にぶつかり動きを止めている。

オーガとの戦いは防戦が精いっぱいの状況が続く。その巨体に似合わない速さは、狙い撃つという動作の余裕を与えない。分厚い筋肉に覆われている以上、明確な急所、頭部に攻撃を加える他ない。

機械(アンドロイド)による緻密な計算(プログラム)を持つ正確な射撃も、回避を優先して荒道を走り回らなければいけない状況では、意味をなさない。何より、ロッサはそういった事の経験はほとんどない。その上、これまでの調整も、片腕が使えないという状況は一切想定もされていなかった。

人間であれば、この状況は絶望し、恐怖を覚えるだろう。そして大抵、その恐怖を活かせないまま、強力な拳で肉片にされるのがオチだ。アンドロイドであるロッサにそれはないことが救いか、どうか。

避けられることにしびれを切らしたように、オーガは突進後側にあった自動車を持ち上げ、ロッサに投げつける。剛速球のように飛んでくるそれを、かろうじてロッサは避けた。

同時に、投擲によって動作を止めたオーガの頭部に向けて、銃撃を行う。それが、これまでの防戦の中で唯一出来た狙える隙だった。

飛び出した銃弾はオーガの頭部を貫かず、丸太のような左腕が盾となり防いだ。ロッサの思考がパラノイアは読めない以上、それはこのオーガ自身が持つセンスとしか言いようがない。

つまり、決定打を与える為にはわずかな隙を狙うのではなく、相手が防御を取れない状態にするしかない。しかし、残された弾数はわずかで一度体勢を立て直す余裕は、自身の分析で極めて困難と結論を出す。何か、変化がない限り――。

シャランと、金属が奏でる小気味いい音を拾う。オーガ、そしてロッサも聞こえたほうを見ると、その向こうには僧が錫杖を左手に持ち、右手を供えて念仏を唱えている姿だった。その異様と言える様子に、オーガはターゲットを変えて、僧に向かって突進を仕掛ける。

「喰ラええええっす!」

物陰になっていた位置から、人型の狼が飛び出す。咄嗟のことにオーガも反応が遅れ、振りかざされたハンマーが側頭部に叩きつけられた後。

「これでトドメだぞ!」

その狼男の背後から今度は子供が飛びだし、刃状になっている両腕でオーガを斬りつけた。

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