狐娘「またお主か」 ショタ「……」 (8)

狐娘「よう飽きもせずに来るのう。 童は童らしく村で遊ばんか」

ショタ「……」

狐娘「はぁ……全く…、普段この社に訪れると言ったら供物を捧げにくる村人程度なのじゃが。 まさかお前みたいなヒネた童が供物という訳はないしの。 クハハ」

ショタ「……だって」

狐娘「む?」

ショタ「ここは神様のお家だって、村のみんなが言ってた」

狐娘「神様のう…ワシは精々雨を降らせたり晴れにしたり出来る程度なんじゃが。 それもこの村一帯だけじゃ」

狐娘「ん? もしや何か願い事でも叶えに来てもらったのかの? クハハっ、残念じゃが供物も無しに願いを叶えるなぞワシはやらぬぞ」

ショタ「…本当に天気を変えることしか出来ないの?」

狐娘「むっ、それだけな訳なかろう。 この土地の豊穣もある程度操ることは出来るし、ある程度の怪我と病なら癒すこともできるわ」

ショタ「……そう。 わかった。 じゃあ」

狐娘「なんじゃ? 帰るのか?」

ショタ「うん。 ……さようなら」


狐娘「ホントに帰っていきおった。 ……変な童じゃのう…」

数日後


ショタ「……」

狐娘「また来おったか」

狐娘「ほんになんじゃお主は何をして欲しいんじゃ」

ショタ「…別に」

狐娘「はぁ……せめて油揚げぐらい持ってきて欲しいのう」

ショタ「そんなの食べたことない」

狐娘「なぬ? 食べたことないとな? 可哀想じゃのうあんなに美味いものを食うた事がないとは」

ショタ「そんなに美味いの?」

狐娘「うむうむ。 生でも十分イケるんじゃがやはり焼いて醤油を付けて食うのが1番じゃな。 あの香ばしい匂いだけでも飯5杯はイケるわ」

狐娘「それと味噌汁かの。 良く汁が染み込んだ油揚げはこれまた……ん?」

ショタ「……//」グゥ~

狐娘「……ほんにしょうがないのう……ちょっと待っとれ」

ショタ「え?」

狐娘「ほれ」

ショタ「え……」

狐娘「なんじゃ握り飯も食うた事がないのか?」

ショタ「そ、そんなことない! で、でもこれ……」

狐娘「童の腹のさえずりがうるさくてのう。 具も入ってない塩にぎりじゃが童にはそれで十分じゃ」

ショタ「……」

狐娘「はよ食わんか」

ショタ「う、うん……ーーうまい」

ショタ「うまいっ! うまいっ……!」

狐娘(笑みを浮かべて食うとる。 ……中々可愛らしい顔をするんじゃのう…)

ショタ「……ん。 ごちそうさま」

狐娘「どういたしまして。 ……そろそろ日も沈む。 帰り刻じゃな」

ショタ「……うん」

狐娘(落ち込んでおるのか……? はぁ……ほんにしょうがないのう…)

狐娘「おのこがそんな顔をするでない。 次も塩にぎりを食わせてやるから」

ショタ「え? 次?」

狐娘「来るたびに腹の虫を聞かされるのも気が滅入るからの」

ショタ「また…来ていいの?」

狐娘「来るな言うても構わず来とったじゃろうが。 ほれ、はよ帰れ」

ショタ「う、うん。 ま、またね!」

狐娘「はいはいまたの」


狐娘(それから童は日を置かず毎日来るようになった)

狐娘(前とは違って来るたびに山菜やら持ってくるようになり、ワシと話をしたがるようになった)

狐娘(日照りもない今、やる事も特にないから暇つぶしにはうってつけじゃからワシも付き合うてやった)

狐娘(ワシがここに来る前に旅をしておった頃の話を食い入るように聞くあやつが滑稽でついワシの口もなめらかに滑る)

狐娘(……思えば、人とこんな他愛ない話をするなどいつ振りかのう)

狐娘(……たまには、具の入った握り飯でも食わせてやるかの)

1ヶ月後


狐娘「む、足音が…童が来たのかの」

狐娘「おい、今日はお主に油揚げを……なんじゃ、貴様か。 何の用じゃ」

村長「お狐様、お狐様にお願いがあって参ったのでございます」

狐娘「……なんじゃ」

村長「今年の収穫をもっと増やしたいのでございます。 今のままでは、祭りを開く事も出来ませぬ」

狐娘「…年貢を納め、冬を越せるぐらいの収穫は出来るはずじゃがのう」

村長「は、はい。 ですが、昨年お狐様の力で収穫量は今までと比較にならぬほど多くなりました。 どうか、今年もその力を振るってもらいたいと……」

狐娘「たわけっ。 昨年多ければ今年は少ないというのは道理じゃ! 昨年の実りが多かった分土地は疲弊しておる。 今年は休ませる年じゃ! 祭りなど我慢せいっ!」

村長「そ、そこを何とかっ、一年に一度の祭りは村の者皆の楽しみなのでございます」

狐娘「一度の楽しみのために土地を使い物にならなくしなくても良いてか! 村長がその様な言葉を吐くか!」

村長「ぐっ……」

狐娘「はぁ……一度贅沢をさせたらもうこれか…。 とにかく、今年はこのままじゃ。 去年あれだけ実りを享受しておきながら今年も飢えずに年を越すことが出来る。 ーーこれが贅沢ではなくてなんなのだ」

村長「……その通りでございます」

村長「村の者にもそう伝えます……」

狐娘「ふん。 ならはよ帰れ」


村長「……」

ここまで

次か次の次ぐらいにはHシーンいきたいなぁ

あとお気づきでしょうがおねショタ物でございます

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