男「これが究極のかけごはんだ!」 (38)


司会「さあ始まりました、究極のかけごはんを決定する…」

司会「かけごはんナンバー1、決定グランプリ!」

審査員1「いやぁ、楽しみだなぁ」

審査員2「どんなかけごはんが登場するのかしら?」

審査員3「フォフォフォ。期待が膨らむわい」


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司会「それではさっそく行きましょう、まずはこちら!」

司会「納豆かけごはんです!」

審査員1「どれどれ、早速頂きますか.…パクリ、モグモグ」


審査員1「…うーん、クセは強いけど、その分旨さも濃い!」

審査員2「日本の食卓の定番ね!」

審査員3「これは、いきなり優勝候補かのぉ」

司会「粒や、ひきわりなど」

司会「バリエーションが豊富です、納豆かけごはん!」

司会「さて、続いてのエントリーは、こちら!」


司会「とろろかけごはんです!」

審査員1「…うん、ほのかな甘みが醤油と相性バッチリ!」

審査員2「これはご飯が進むわ!」

審査員3「スルスルッと、いくらでも食べれるのぉ」

司会「すり下ろしたとろろと熱々のごはん、たまりませんねぇ」

司会「続いては、こちら!」



司会「焼肉のたれかけごはんです!」

審査員1「おお、ごはんに焼肉のたれをかけただけだけれど!」

審査員2「手軽さの割に、この美味しさ!」

審査員3「これぞ肉無し焼き肉丼じゃのう」

司会「低カロリーで焼肉丼を食べた気分になるから、ダイエットにも効果的です!」

司会「続いては、こちら!」


司会「大根おろしかけごはんです!」

審査員1「これは、サッパリとしていて爽やかな味だ」

審査員2「大根おろしとごはんって、意外と合うのね!」

審査員3「醤油をたらすのもいいが、ポン酢もいけるのぉ」

司会「大根には消化を助ける酵素も含まれていて、消化にもいいです」

司会「続いては、こちら!」


司会「バター醤油かけごはんです!」

審査員1「うっほー、こってりとした濃厚な味!」

審査員2「あらやだ、つい食べ過ぎちゃいそう」

審査員3「油っけと塩っけは、ごはんと相性ピッタリじゃからのう」

司会「バターの風味が、食欲をたまらなくそそります!」

司会「続いては、こちら!」


司会「卵かけごはんです!」

審査員1「うん、やっぱかけごはんといえばこれ!」

審査員2「本命中の本命ね!」

審査員3「TKGと略称まである、卵かけごはんの人気は本物じゃ」

司会「専用の醤油もあったりしまして、まさにかけごはんのキングオブキング!」


司会「以上で全て出揃いましたが、いかがでしたでしょうか?」

審査員1「いやー、どれもこれも美味しかったけれど」

審査員2「やっぱり、卵かけごはんが一番かしら?」

審査員3「そうじゃのう」


司会「どうやら意見が一致したみたいですね」

司会「それでは、かけごはんナンバーー1決定グランプリ」

司会「優勝は、卵かけご…」

男「ちょっと待ったぁぁーーーーーっ!」


司会「なっ、何ですか貴方は?」

男「こんなものが、かけご飯のナンバー1…?」

男「ハッ、ちゃんちゃらおかしい」

審査員1「なんだと!」

審査員2「聞き捨てならないわね」

審査員3「卵かけごはんの何が悪いんじゃ」


男「あんたらは、究極のかけごはんを食べた事がないんだな…」

審査員1「ほおう、でかい口をたたくじゃないか」

審査員2「あなたなら究極のかけごはんを用意できるっての?」

男「もちろん」


男「これだ!これが究極のかけごはんだ!」

審査員1「これが、究極のかけごはん…?」

審査員2「何もかかってない、ただのごはんじゃないの」

審査員3「これの、一体どこが究極のかけごはんなんじゃ?」


男「まあとりあえず、食べて見てくれよ」

審査員1「どれ、モグモグ…。うーん、普通のごはんだ」

審査員2「本当に、ただのごはんね」

審査員3「一体これが何だというのかね」


男「わからない?どうやら説明が必要みたいだな」

審査員1「だから、どうしてこれが究極のかけごはんなんだ?」

審査員2「説明してよ!」

審査員3「そうじゃ。理由を説明せんか」


男「まず、この米。この米は俺が一から田んぼで育てて収穫したものだ」

審査員1「まあ、丁寧に作ってはいるのか」

審査員2「けれど、それだけじゃねえ」

審査員3「とても究極のかけごはんとは言えんのう」


男「しかし、この米はただ普通に収穫しただけじゃない…」

審査員1「というと?」


男「収穫する時、田んぼに噛まれたら死ぬ毒を持ったヘビを100匹ほど放って収穫した」

審査員1「はぁ?何だそれ?」

審査員2「それに何の意味があるの!?」

審査員3「わけがわからんのう」


男「そして、この米を炊く時に使った水」

審査員2「それがどうかしたの?」


男「これは、人食い虎のウヨウヨいるシベリアの奥地から汲んできた水だ」

審査員1「な、何でそんな所からわざわざ?」

審査員2「その水で炊くと美味しく炊き上がるの?」

審査員3「食べた感じだと、別に普通じゃったがのう」


男「そして、このごはんを炊き上げる時には!」

審査員3「どうしたんじゃ?」


男「耐熱服を着て、炊飯器ごとマグマの中に飛び込んで炊き上げたんだ!」

審査員1「何でそんなマネを!?」

審査員2「それが一体何なの!?」

審査員3「さっきから、さっぱり意味がわからんわい」


男「わからないか?」

男「これを作るのに、俺は命をかけた」

男「そう、これこそ、究極のかけごはん…」


男「命がけごはんだぁぁーーーーーーーーっ!」

審査員1「なっ、何だとぉぉーーーーーっ!?」

審査員2「いっ、命がけでつくった命がけごはん!?」

審査員3「なっ、何と言うことじゃ…」


男「さあ、それを踏まえてもう一度食べてみてくれ!」

審査員1「うん、どれどれ…。うん!命がけで作ったごはんだと思うと」

審査員2「何だか、すごく美味しく感じるわ!」

審査員3「命をかけて作った、命がけごはん…こりゃあ、1本取られたわい」


司会「さーて、最後に思わぬハプニングがありましたが」

司会「どれが究極のかけごはんか、決まりましたでしょうか?」

審査員1「ああ。これはもう決まりだな」

審査員2「ええ、そうね」

審査員3「どうやら、意見は一緒のようじゃのう」

男「へへ…」


司会「それでは、発表します!」

司会「かけごはんナンバー1、決定グランプリ!」

司会「優勝は…」


司会「卵かけごはんです!」

男「は…?」

男「なっ、何でだぁぁーーーーーー!?」


審査員1「だって、よく考えたら普通のごはんだし」

審査員2「そもそも、上に何もかかってないわよね」

審査員3「卵かけごはんの方が普通にうまいしのう」

男「チックショォォォーーーーーーーー!!」


終わり

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