サターニャ「ほーらカエルよカエル」 ラフィ「……」サッ (39)




サターニャ「どしたの?」

ラフィ「いえ? なんでもないですよ?」

サターニャ「かわいいわよカエル」スッ

ラフィ「……」サッ

サターニャ「……」

ラフィ「う、うふふ~」ニコ


サターニャ「……」スッ!

ラフィ「ひぃっ!」ズサッ!

サターニャ「……」



サターニャ(おもしろっ……!)




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サターニャ「ほれほれー」

ラフィ「きゃあああああ! やめてください!」

サターニャ「はーん…?」ニヤニヤ

ラフィ「……はっ!」

サターニャ「ラフィエル、カエルが苦手なのね?」

ラフィ「え、ええー? そんなことは」

サターニャ「……」スッ

ラフィ「ひぃぃ!!」

サターニャ「そんなことは?」

ラフィ「う、うう~~!」

サターニャ(楽しい! 楽しいわこれ!)




サターニャ「苦手なんでしょ? ねえ、苦手なのよね?」

ラフィ「に、苦手なんかじゃありません」

サターニャ「じゃあなんで避けるのよ」

ラフィ「それはその……生理的に無理といいますか」

サターニャ「そういうのを苦手っていうんでしょ」

ラフィ「ちがいます! 無理なだけで苦手じゃないんです! 全然平気です!」

サターニャ「もうめちゃくちゃじゃない」

ラフィ「サターニャさんは私の玩具なんですから、苦手なものなんて知られたら…」ボソ

サターニャ「えっ?」

ラフィ「いえ、なんでもありません」コホン

サターニャ「ふうん」ピトッ

ラフィ「ひゃわああぁぁあああああっ!!?」



サターニャ(もっとしたい…!)ゾクッ





ガヴ「合同で体育とかだるいな」

ヴィーネ「文句言わないの。ほら、準備運動するわよ」


サターニャ「いた! ラフィエルー!」

ラフィ「…!」ビクッ

サターニャ「一緒に組むわよ!」

ラフィ「あのう、私は自分のクラスのお友達と組もうかと」

サターニャ「何言ってんのよアンタ友達いないじゃない」

ラフィ「……」

サターニャ「いいから背中合わせやるわよ。後ろ向いて」

ラフィ「はい…」

サターニャ「あれ、髪にカエルが」

ラフィ「ええっ!?」

サターニャ「背中にぽいっと」

ラフィ「いやあああああああああああっ!!?」






ラフィ「いやあっ! いやあああああ!!」ポロッ

サターニャ「あ、落ちてきたわ」

ヴィーネ「どうしたの? なんかすごい悲鳴が…」

ラフィ「はあっ、はあっ………サターニャさんっ!!」

ヴィーネ「ラフィ? 何があったのよ」

ラフィ「サターニャさんが私の背中にカエルを入れてきたんです!」

ヴィーネ「ええ!? ちょっとサターニャ!?」

サターニャ「いやぁそんなに驚くと思わなかったのよ。ほらこれおもちゃだし」

ラフィ「お、おもちゃ…」

ヴィーネ「なんだ、驚かさないでよ」

サターニャ「ごめんごめーん」

ラフィ「……」キッ

サターニャ「!」

サターニャ(その目………いいわ…!)ゾクゾクッ





サターニャ「ラフィエルいるー?」

ラフィ「サターニャさん…」

サターニャ「はいこれ」

ラフィ「ひっ」

サターニャ「何びびってんのよ」

ラフィ「い、いえ」

サターニャ「昨日借りた教科書返すわ。次使うでしょ?」

ラフィ「ああ……はい」

サターニャ「おかげでグラサンに怒られずに済んだわ、ありがとね」

ラフィ「お役に立てたようでなによりです」




< きゃああああああああっ!!




サターニャ(お礼に栞(リアルなカエル絵)挟んでおいてあげたわ!)


ヴィーネ(今の声……ラフィ?)

ガヴ(今日はよく叫ぶな)





サターニャ「見て見て購買にこんなの売ってたわ! カエルパン!」ジャーン

ラフィ「ひいいいいいっ!!」



サターニャ「着信音変えたんだけどどうかしら?」グワッグワッ!

ラフィ「ひゃあああああっ!?」



サターニャ「かえるぴょこぴょこみぴょこぴょこ」

ラフィ「ふえぇえええっ!!」




翌日


ガヴ「ラフィエルが学校行きたくないって」

ヴィーネ「……サターニャ? やりすぎよ?」

サターニャ「そ、そうかしら?」テヘへ






サターニャ(ちゃんと謝ってきなさいってヴィネットに言われちゃったわ)


ピンポーン


サターニャ「ラフィエル! 私よ! いるんでしょ?」

サターニャ「……」

サターニャ「あれ、鍵あいてる」ガチャ

サターニャ(無用心ね。入っていいかしら)


サターニャ「……」ソ~

サターニャ「ラフィエルー? いるのよね?」

サターニャ(カーテンも開けずに…真っ暗じゃない)



ラフィ「……」




サターニャ(気配はするんだけど姿は見えないわね)

ラフィ「サターニャ…さん?」

サターニャ「!」

サターニャ「いるんじゃない。明かりくらいつけなさいよ」

ラフィ「……なにしに来たんですか」

サターニャ「なにって、まあその……謝りに」

ラフィ「なにをですか」

サターニャ「アンタをからかったこと。ちょっとやりすぎたかなって」

ラフィ「……」




サターニャ「あんなに苦手なものを続けて押し付けられたら、そりゃあ嫌な気持ちになるわよね」

ラフィ「……苦手じゃありません」

サターニャ「ちょっ、この後に及んでそれはないでしょ」

ラフィ「無理なだけです。苦手とはちがいます」

サターニャ「だからそれもう苦手でいいじゃない」

ラフィ「ダメなんです!!」

サターニャ「えっ?」

ラフィ「ダメなんです…私に苦手なものがあっては」

サターニャ「アンタほんと変な意地張るわね」

ラフィ「サターニャさんにそれを知られては……私が常に優位に立っていじっていなければ……」

サターニャ「はあ?」

ラフィ「そうでなきゃ…」

ラフィ「いずれサターニャさんは私から離れていっちゃうじゃないですかっ…」




サターニャ「はっ? えっ?」

ラフィ「……」

サターニャ「……つまり?」

ラフィ「分からないならいいです。どうせ一方通行ですから」

サターニャ「ええー…」

ラフィ「……」グスッ

サターニャ(えーっと)

サターニャ「その、ラフィエルが私の上に立ちたいっていうのと、私が離れていくっていう2つがうまく繋がらないんだけど」

サターニャ「別にお互いの立場がどうなろうと、関わらなくなるなんてことは無いと思うわよ?」




ラフィ「本当にそうでしょうか」

サターニャ「逆になんでそうじゃないのよ」

ラフィ「だって、サターニャさんはいつだってガヴちゃんかヴィーネさんばかりじゃないですか!」

サターニャ「へ?」

ラフィ「勝負勝負っていつもガヴちゃんに迫って、困ったことがあればいつもヴィーネさんに頼って」

サターニャ「そりゃあガヴリールはライバルだし、ヴィネットは悪魔の仲間だし…」

ラフィ「じゃあ私はなんですか?」

サターニャ「えっ…」

ラフィ「私は、サターニャさんにとって何なんですか?」




サターニャ「な、何って言われても」

ラフィ「もし私がサターニャさんにちょっかいを出さなかったら、どうですか?」

ラフィ「サターニャさんは私とお話してくれますか?」

ラフィ「クラスの違う私の所に来て、お昼ごはんを食べてくれますか?」

ラフィ「一緒に帰ろうって、雨の日に私を誘ってくれますか?」

サターニャ「それは…」

ラフィ「全部…してくれないと思います」

サターニャ「……」

ラフィ「それはサターニャさんにとって、私という存在がガヴちゃんやヴィーネさんと一緒に居る人でしかないからです」




ラフィ「だから私は、いつだってサターニャさんを支配する側に立ってないといけないんです」

ラフィ「そうでもしなきゃ…サターニャさんは私を見てくれませんから」

サターニャ「なん…」

サターニャ(なんでそこまでして私を、なんて聞くのは野暮なのかしら)


ラフィ「もう、帰ってください」

サターニャ「……」

サターニャ「あのねラフィエル、聞いてほしいんだけど」

ラフィ「はい…?」




サターニャ「ガヴリールとヴィネットは元々同じクラスだし、よく相手してあげてるのは確かよ」

サターニャ「ラフィエルと比べてつるむことが多いのも認めるわ」

ラフィ「……」

サターニャ「それにラフィエルはいつも私を貶めようとするじゃない? 私としては得意な相手じゃないのよ、正直ね」

ラフィ「…分かってます」

サターニャ「だから避けようとしてた節はあるし、近づいてきただけで裏に何かあるんじゃないかって疑うようにもなってたし」




サターニャ「けど、よく考えたらそれだけじゃないのよね」

サターニャ「この前だって傘入れてくれたし…」

サターニャ「案外いいやつなのかもってちょっと思ったわよ」


サターニャ「それに今回は仕返しのつもりでひどいことしちゃったけど、それで気づいたこともあるわ」

ラフィ「気づいたこと?」

サターニャ「ラフィエルが私にちょっかいかけてくる時って、こんな気持ちなのかなって」

ラフィ「……楽しい、ですか?」

サターニャ「そうね、楽しかった」

ラフィ「……」

サターニャ「なんだか変な気分になりそうにもなったし」

ラフィ「ふふ、同じです」

サターニャ「やっぱりそうなのね」




ラフィ「ですが……今はそれだけじゃないんです」

サターニャ「えっ?」

ラフィ「今はもういじったりなんかしなくても、サターニャさんといること自体がとても楽しいんです」

ラフィ「でも何もしないと離れていってしまいそうで、またちょっかいをかけて、もっと距離が開いてしまって」

ラフィ「最近はその繰り返しでした」


ラフィ「私は怖かったんです。いつか立場が逆転したら、サターニャさんが私を簡単にかわせるようになってしまったら……」

サターニャ「……」

ラフィ「そして昨日、とうとうその時が来てしまったと思いました」





ラフィ「そう思ったら、私もうどうしたらいいのか分からなくて……」

ラフィ「それでお布団から動けなくなってしまったんです」

サターニャ「仕返しが怖いから休んだわけじゃなかったのね」

ラフィ「もちろんカエルは無理です。でも本当に怖いのはその先なんです」


ラフィ「サターニャさんが私の手から離れていくのが…そのことを実感するのが……たまらなく怖いんです…っ!」

サターニャ「ラフィエル…」

ラフィ「怖くて怖くて…震えが止まらないんです…」





ラフィ「すみません…こんなこと言って、困りますよね」

サターニャ「……」スタスタ

ラフィ「…?」

サターニャ「ん~~?」サワサワ

ラフィ「なにかしているんですか?」

サターニャ「暗くてよく…このへんかしら」ペタ

ラフィ「ひゃっ!」

サターニャ「ああ、ここにいたのね」

ラフィ「えっ?」


ギュー


ラフィ「…!?」

サターニャ「捕まえたわよ」

ラフィ「さ、サターニャさん!?」





ラフィ「な、なにしてるんですか」

サターニャ「アンタが意味分かんないことばっか言うからよ」

ラフィ「へっ?」

サターニャ「離れるとか離れないとか、怖いのがなんだとか、ほんっと全然意味分かんない」

ラフィ「うっ……すみません」

サターニャ「……」

サターニャ「けどなんていうか、アンタが私と一緒にいたいって思ってる感じは伝わってきた」

ラフィ「っ…!」

サターニャ「だからこうして応えてあげてるのよ。感謝しなさい」

ラフィ「サターニャさんっ…」ギュッ





サターニャ「それとなんだか勘違いしてるみたいだけど」

サターニャ「アンタの言う、立場が逆になったら私が離れていくって話……それはないわよ」

ラフィエル「えっ…?」

サターニャ「そりゃそうよ。今は得意な相手じゃないって避けてるんだから、弱点を見つけたらむしろ私のほうから突っかかって行くに決まってるじゃない」

サターニャ「それがどうして離れるって発想になるのかが見当もつかないわ」

ラフィ「だ、だって」

ラフィ「最初はそうかもしれないですけど、サターニャさんは私のこと絶対嫌いですし…」

サターニャ「は?」

ラフィ「飽きたら相手にしなくなるんじゃないかって…」

サターニャ「……」




サターニャ「はあー…」

サターニャ「あのねぇ、誰が嫌いなんて言ったのよ」

ラフィ「サターニャさんです」

サターニャ「え」

ラフィ「この前はっきり言われました。おまえキライって」

サターニャ(そうだっけ…)

サターニャ「い、言ったのかもしれないけど!」

ラフィ「言いました…いつも通り録音してますし。聞きたくないですけど」

サターニャ「私はその事実を聞きたくなかったわ」





サターニャ「と、とにかくっ」

サターニャ「アンタはいつも私を貶めようとするし、クラス違うぶんガヴリールたちより関わり少ないし、そもそも天使だから私の敵だけど…」

サターニャ「本気で嫌いだなんて思ったことは一度もないわ!」

ラフィ「……本当ですか? 神様に誓えますか?」

サターニャ「ええ。魔界の大魔王様に誓って」

ラフィ「そう…ですか」

サターニャ「むしろそうね……す、好きだと思うし」

ラフィ「っ…!!」

サターニャ「あっ、べっ別に変な意味じゃ」

ラフィ「私も好きですっ!」

サターニャ「へっ」

ラフィ「好きです…サターニャさんっ……大好きです」ギュウ





サターニャ「ええっ!? ちょっ、だからそういう意味じゃないってば!」

ラフィ「分かってます! でもいいんです」

ラフィ「私がサターニャさんに思ってるような好きじゃなくても…サターニャさんにそう言ってもらえただけで、すごく嬉しくて」

サターニャ「そ、そう」


ラフィ「サターニャさん、ひとつわがままを言ってもいいですか?」

サターニャ「…なに?」

ラフィ「このままの姿勢でいいので……サターニャさんのほうから強めにギューってしてほしいんです」

サターニャ「はっ!?」

ラフィ「ダメ…でしょうか」

サターニャ「……まあ、いいけど」




サターニャ「……」ギュー

ラフィ「~~っ!」

サターニャ「こ、こんな感じでいいの?」

ラフィ「はいっ……こんな感じです」

サターニャ「なによこれ…すっごい恥ずかしいんですけど」ドキドキ

ラフィ「サターニャさんのドキドキしてる音が聞こえてきますね」

サターニャ「なあっ!? うっうるさいわね! しょうがないでしょ!」

ラフィ「ふふっ、私も同じです…」ドキドキ

サターニャ「っ……そ、そうみたいね」カァァ





ラフィ「サターニャさん、やっぱりもうひとつお願いしてもいいでしょうか」

サターニャ「まだ何かあるわけ?」

ラフィ「はい。すみません」

サターニャ「……で、なに?」

ラフィ「その」

ラフィ「これからも離れないで……私と一緒に居てくれますか?」

サターニャ「え…」

ラフィ「ずっとだなんて言いません。いつか別れる日は来ると思います」

ラフィ「ただ、どうしようもない力によって分かたれてしまうその時まで……私と一緒に居てほしいんです」

サターニャ「ラフィエル…」




サターニャ「……分かったわ」

ラフィ「っ!! 本当ですか!?」

サターニャ「ただし一生私に忠誠を誓うなら、だけどね」

ラフィ「はいっ。それでサターニャさんと一緒に居られるなら!」

サターニャ「えっ!? ばっ、冗談よ!」

ラフィ「…………冗談……なんですか?」

サターニャ「そうじゃなくて!」

サターニャ「そんなことしなくても一緒に居てあげるって言ってんのよ…」

ラフィ「ーーっ!!」


ラフィ「さ、サターニャさぁん…!」ギュウゥ

サターニャ「ぐえっ」

サターニャ「サターニャさんっ……うっ…ううっ……えぐっ…!」

サターニャ「く、苦し…ってなにも泣くことないでしょ!」

ラフィ「だってそんなこと言われたら私……嬉しくて…」

サターニャ「あーもー、大げさなんだから」





ラフィ「……」

サターニャ「落ち着いた?」

ラフィ「…はい」

サターニャ「ならそろそろ離れなさいよ」

ラフィ「えっ? 離れないって言ったじゃないですか」

サターニャ「物理っ!?」

ラフィ「ふふっ、私も冗談です」

サターニャ「びっくりさせないでよ!」

ラフィ「今日のサターニャさん、なんだかもふもふして心地良いんですもん」

サターニャ「はあ…? ていうか、いいかげん電気つけないの?」

ラフィ「そうですね。そちら側の壁にスイッチがあるのでサターニャさんつけてください」

サターニャ「仕方ないわねー」




サターニャ「……動けないんだけど」

ラフィ「うふふ、バレました?」ギュー

サターニャ「バレるもなにも。いいから離しなさいよ」

ラフィ「はーい」

サターニャ「まったく……」

ラフィ「つけたらまたギュッてしますねっ」

サターニャ「何がそんなにいいのよ。えーっと…」サワサワ

ラフィ「だって本当にもふもふなんですもん。なに着てるんですか?」

サターニャ「んー? なにって…」

サターニャ(あ、そういえば)


パチッ


ラフィ「うふふ、それー…………っ!!?」



サターニャ(カエルの着ぐるみ着てきたんだった)

ラフィ「きっ」


ラフィ「きゃあああああああああっ!!!」バチーン!!

サターニャ「へぶっ!!」




おわり

以上です。
読んでくれた人ありがとござます

サターニャがつよいサタラフィもいいなとたまには
まあガヴィーネ派だけど

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