【ミリマス】765学園物語HED √C (1000)

夢を見ていた

誰かと一緒に物語を綴る夢を

あの物語はハッピーエンドに辿り着けたのだろうか

そんなことを考えていると意識が浮上していくのを感じた

どうやら目を覚ますときが来たようだ

P「…ん?」

何かに頬を突かれる感触があった

薄ら目を開けると…

「~♪」

クラスメイトの島原エレナが笑顔で俺の頬を突いていた

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1488210178

P「え、エレナ!?」

エレナ「あ、起きたネ!よく眠れタ?」

P「ああ…ていうか何してたんだ?」

エレナ「んー…Pがスキだらけで寝てたから眺めてたノ!そしたら何だかイタズラしたくなっちゃったんだヨー」

P「だから頬を突いてたのか」

エレナ「そ!それよりも、せっかく起きたんだし一緒に帰ろうヨ!」

P「もしかして、待っててくれたのか?」

エレナ「目を覚ましたとき教室にひとりぼっちだと寂しいからネ!」

P「なんか悪いな…」

エレナ「こういう時は謝るんじゃなくてありがとうって言えば良いんだヨ!」

エレナ「反省するよりお礼を言って前向きに進む方がゼッタイ楽しいかラ!」

P「…そうだな、ありがとうエレナ」

エレナ「どういたしまして!ホラホラ、帰ろうヨ!」

エレナがギュッと俺の手を握る

P「え、エレナ!?」

エレナ「?P、声裏返ってるヨ?」

P「い、いや、いきなり手を握るからさ」

エレナ「友達なんだから手を握るくらい普通だヨ?」

P「普通か…?」

少なくとも男子はそんなことはしないと思うが…女子は違うのだろうか

間島や冬馬とお手々繋いでらんらんらんしてるシーンを想像して少し気持ち悪くなった

ちなみに武内の場合はシュールすぎて笑いを堪えるのが大変だった

P「そういや今日琴葉と恵美は?」

エレナ「コトハはプロダクション、メグミはミカとカレンと遊びに行ったヨー」

P「そっか」

エレナ「でもワタシにはPがいるから寂しくないヨ!今日もこうやって一緒に帰れるしネ」

P「そ、そっか」

何故か妙に小っ恥ずかしい

エレナ「あ、そうだ!珍しく2人だけだし町に行こうヨ♪」

P「町に?」

エレナ「ウン、もしかしたら楽しいことあるかも知れないしネ♪」

P「そういえばエレナと2人で出掛ける機会って余りなかったな」

エレナ「じゃあ早速出発だヨ-!」

P「おっとっと…引っ張るなって」

エレナと手を繋いだまま、俺達は町へ向かった

P「町に来るのも久しぶりだな」

エレナ「そうなノ?」

P「ああ」

去年の暮れに来てから一度も来ていなかった気がする

エレナ「あ、でも確かにワタシも久しぶりかモ」

P「意外だな、恵美とよく来てるのかと思ったよ」

エレナ「メグミは余り町に行きたがらないヨ?だから大抵ファミレスでお喋りしてるノ」

P「町に来たがらない…ああ、そういうことか」

やっぱりそう簡単には割り切れないか

エレナ「というわけでワタシも町は久しぶりなノ」

P「なるほどね」

エレナ「それじゃ、色々見て回ろうヨ!」

P「ああ」




エレナと2人で町を見て回る

といっても簡単にショーウインドウを覗く程度で、特に店に入ったりするわけではない

しかしエレナと話しながら歩くのは楽しかった

エレナ「クレープ美味しいネ!」

P「ああ」

知らないうちに出来ていたクレープの屋台でクレープを買い、食べながら歩く

エレナ「Pのクレープも一口ちょうだい!」

P「あっ、こら」

返事も待たずに俺のクレープをかじるエレナ

エレナ「うん、チョコバナナも美味しいネ♪」

P「まったく…」

2人で歩いていると

「あれ、Pとエレナ?」

誰かが声をかけてきた

P「恵美」

恵美「どしたのこんなところで?」

P「ん、まあ」

恵美の視線が俺とエレナを見た後、エレナに握られたままの手に移る

恵美「……………………デート?」

P「いや、普通に一緒に町に来ただけだ」

微妙に声のトーンが落ちて怖い

「恵美、知り合い?」

恵美の隣にいたピンク色の髪の子が声をかける

恵美「うん、友達」

「あ、もしかしてこの男子が恵美がいつも話してる…」

恵美「べ、別にいつもは話してないから!?」

「あー、うん、そうだね、9割くらいだね」

恵美「そ、そんなには話してないって」

「…えっ、自覚ないの…?」

恵美が何やら真っ赤になって反論している

珍しい光景だ

エレナ「メグミ、ミカとカレンが呆れてるヨー」

恵美「だ、だって2人があること無いこと言うから」

「あることしか言ってないけどね」

恵美「も、もう!ほら次はあの店行くんでしょ!早く行くよ!」

「はいはい、あ、エレナ、周防君、またね」

P「あ、ああ」

エレナ「またネ~」

恵美は2人を連れて早足で歩いていった

P「恵美はなんであんなに焦ってたんだ?というかそんなにしょっちゅう俺の話をしてるのか」

エレナ「メグミの話って大抵Pのことばっかりだヨー」

P「そんなに話すことあるのか…?」

エレナ「うーん、しょっちゅう話はループしてるネ」

P「なんか良くわからんが、悪口じゃないならそれでいいや」

エレナ「メグミは多分Pの悪口は言わないと思うヨ」

P「そうか?」

エレナ「うん」

一旦ここまで

P「そろそろ帰るか」

エレナ「もう良い時間だしネ!パパンもママンも帰ってくる頃だヨ」

P「送ろうか?」

エレナ「大丈夫!P、今日は楽しかったヨ」

P「ああ、俺もだ」

エレナ「じゃあまた明日!」

P「ああ、また明日」

エレナが手を振り、走って行く

今日は中々に楽しかった

久しぶりにエレナと遊んだからだろうか?

P「また遊びに行くとするか」

たまにはこうやって2人で何かをやるのも悪くない、そう思った

翌日

P「あれ」

エレナ「どうしたノ?」

P「ちょっと待ってくれ…あー、マジか」

エレナ「?」

次の授業は現国なのだが、どうやら教科書を忘れてきたようだ

P「いや、現国の教科書を忘れたみたいでな」

エレナ「珍しいネ」

P「鞄の整理をしたときに出しっぱなしにしちまったんだな」

もうちょっと注意していれば良かったか

P「ちょっと海美に借りてくる」

あいつのことだ、間違いなく置き勉しているだろうし教科書を借りられるはずだ

エレナ「あ、それなラ」

エレナが俺の机と自分の机をくっつける

エレナ「ワタシが教科書見せて上げるヨー」

P「良いのか?」

エレナ「その代わり今日の数学、ちょっとだけ助けて欲しいナー」

P「ああ、そう言うことなら」

俺も助かるしエレナにも得がある

これならわざわざ海美に教科書を借りに行く必要も無い

エレナ「あ、先生も入ってきたヨ」

P「だな」

高木「諸君、今日も楽しく授業をしようじゃないか!」

高木先生の号令で授業が始まる

高木「…ん?Pくん、どうしたのかね」

机をくっつけているのを見つけた高木先生が聞いてくる

P「あー、教科書を忘れてしまったのでエレ…島原さんに見せて貰ってます」

高木「なるほど、友人同士助け合うのは良いことだ」

高木「私も若い頃は黒井と切磋琢磨しながらもお互いに助け合い…」

いつものように高木先生の昔話が始まる

P「また始まった」

エレナ「ワタシは高木先生の話結構好きだヨー」

5分ほど話した頃、高木先生が帰ってきた

高木「おっとっと…それじゃあ授業を始めよう」

高木「13ページを開いてくれるかな?」

P「13ページね」

エレナがページを捲る

その時、どこからか良い匂いがした

P「ん?」

エレナ「どうしたノ?」

P「いや、何でも無い」

何の匂いだったんだろう

エレナが教科書に視線を戻す

エレナの髪が肩越しにさらったと流れたその時だった

P「あっ」

またあの良い匂いがした

…この匂い、もしかしてエレナの?

あまり意識したことはなかったけど、エレナはこんなにも温かな良い匂いがしたのか

意識した途端今の状況が恥ずかしくなってくる

エレナ「?P、顔が赤いけど風邪かナ?」

P「い、いや、大丈夫だ」

友達を相手に何を照れているんだ俺は

落ち着け…

エレナは友達…エレナは友達…

…けど、割と好きな匂いだったな

いやいや、自分から落ち着けない方向に行ってどうする

落ち着け…



…結局授業のことは何一つ頭に入ってこなかった

一旦ここまで
マドンナガチャで教科書を見せて貰うシチュがあったからエレナでやってみた

エレナ「P、お昼行こうヨ!」

昼休みに入るやいなやエレナが昼のお誘いをしてくる

P「良いけど、学食か?」

エレナ「ううん、コトハからプロダクションで食べようって誘われたノ!」

P「俺弁当とか持ってないぞ」

エレナ「最近ミナコが学食でお弁当売り始めたからそれ見てみようヨ」

P「へえ、学食で弁当売り始めたのか、ちょっと興味あるな」

恵美「エレナ~、あっ、Pもいる」

教室から出ると恵美も丁度教室から出て来たようで、声をかけてきた

P「よう」

エレナ「Pも誘ったヨ~」

恵美「ああなるほどね…でもPって弁当だったっけ?」

P「いや、大抵学食か購買だ」

恵美「だよね、アタシの覚えてる限り弁当見た事なんて数えるくらいしかないし」

P「それを覚えてるのは凄いな」

恵美「へへ~まあね~」

エレナ「メグミは好きなこと覚えるの得意だもんネ~」

恵美「え、エレナ!アタシは別に…」

P「恵美は他人の弁当とか見るの好きなのか?そんなに食いしん坊だったっけか?」

恵美「…はあ~」

エレナ「…カイショウナシ」

P「え、俺が悪いのか?」

何故か2人から呆れた視線を向けられるが、俺が何をしたと言うんだ

恵美「ま、なんでも良いけどさ…それよりもPのお昼どうすんの?購買?」

P「いや、エレナから学食が弁当売り始めたって聞いてさ」

恵美「あ、アタシも友達からそれ聞いた」

恵美「大学いもが買えなかったって愚痴ってたけど、結構美味しいんだって」

P「話を聞く限り期待値は高そうだな」

恵美「ま、あんまりここで話してても仕方ないしちゃちゃっと見に行こうよ」

エレナ「そうだネ!コトハを待たせちゃうのは駄目だヨ~」

P「良し、行くか」




P「これか」

学食の一角に結構な種類の弁当が積まれていた

P「結構種類あるんだな」

どれも美味そうで目移りしてしまう

恵美「アタシは胡麻団子にしよっかな~」

エレナ「じゃあワタシはアンニンドーフ!」

弁当持ちの2人はデザートを選んでいるようだ

P「これにするか」

俺はエビチリ弁当を購入し、恵美とエレナの元に戻った

P「待たせた」

恵美「何にしたの?」

P「エビチリ」

恵美「ふーん、エビチリ好きなの?」

P「好きかな」

恵美「じゃあ今度アタシが作ってきたげよっか」

P「良いのか?」

恵美「一人分作るのも二人分作るのもそんな変わんないからね~」

P「じゃあその時は頼むよ」

恵美「ま、期待してなよ~?…へへ~」

エレナ「メグミ、良かったネ~」

エレナ「コトハ!お待たせ!」

エレナが事務所の扉を開ける

琴葉「いらっしゃいエレナ、恵美…あれ、Pくん?」

P「久しぶり、琴葉」

琴葉「うん、久しぶり」

以前俺はプロダクションに準所属していたことがあった

しかし色々あってプロダクションから離れたものの、今でも必要であれば手伝いに来ている

恵美「とりあえず食べよっか、アタシもう腹ペコでさ~」

エレナ「メグミ、ナオみたいだネ!」

琴葉「Pくんはお弁当?」

P「ああ、学食で買ってきた」

それぞれが自分の弁当を広げる

P「いただきます」

恵美「うわっ、それ結構量あるね」

P「ん、まあ確かに」

普通にコンビニで売っている弁当よりも明らかにボリュームがある

エレナ「ミナコのお弁当だしネ」

恵美「それもそっか…ん?」

エレナの言葉を聞いて恵美が何かを考え込む

エレナ「今日はコトハはサンドイッチ何だネ!」

琴葉「うん、今朝はあまり時間が無かったから簡単な物しか作れなくて」

P「プロダクション、忙しいならいつでも手伝うから」

琴葉「うん」

一旦ここまで
なんかエラー吐いて書き込めず待たせてしまって申し訳ない

P「ご馳走様」

結構なボリュームと味だった

これで350円なら学食を利用するよりコスパが良いかもしれない

恵美「あ、P口にソースついてるよ」

P「むっ」

舌を出して舐め取ろうとするが、ソースの付着箇所がわからない

恵美「あーほらほら、行儀悪いからアタシがふい」

琴葉「Pくん、ちょっとジッとしててね」

P「むぐっ」

琴葉に口元を拭われる

P「琴葉、小さい子じゃないんだから」

琴葉「ごめんなさい、でもちょっと楽しかったかな」

P「楽しかった?」

琴葉「うん、去年私はPくんに頼りっきりだったから、何かしてあげるのは新鮮で」

P「そっか…って恵美、どうしたんだ?」

ポケットティッシュを持った状態で固まっていた恵美に声をかける

恵美「別に、なーんでもない」

硬直がとけた恵美はどこか不機嫌そうに頬杖をついてそっぽを向いた

P「?」

琴葉「?」

P「恵美はなんで不機嫌だったんだ?」

エレナ「さあネ~」

昼食を終え、教室に戻った俺はエレナに恵美が不機嫌だった理由を聞いてみたのだが、期待したような返事は帰ってこなかった

P「俺何かしたっけ」

エレナ「Pも悪いけど一番悪いのはメグミだネ」

P「恵美が悪い?どういうことだ?」

エレナ「ヒミツ!」

P「?」

謎は深まるばかりだ

放課後になり帰り支度をしていると恵美が教室に入ってきた

P「よう、どうしたんだ?」

恵美「エレナと買い物行こうと思ってさ」

P「買い物か」

恵美「Pも来る?」

P「邪魔じゃないなら」

恵美「アタシがPのこと邪魔だって思うわけ無いじゃん」

P「そうか?」

恵美「うん、それだけは絶対にない」

妙に力強い恵美の言葉を聞いてすぐ、エレナが教室に戻ってきた

エレナ「メグミ、待たせちゃってゴメンネ!」

恵美「や、アタシも今来たところだからさ」

エレナ「それならよかったヨ」

恵美「あ、ところでエレナ、今日の買い物Pも連れて行って良い?」

エレナ「ワタシは全然構わないヨ~むしろPが一緒だと楽しいネ!」

恵美「ありがと、せっかくPもいるし商店街じゃなくて町の方行こっか」

P「わかった」

P「で、何を買うんだ?」

恵美「ん~買いたくなったものかな?」

P「なんだそりゃ」

恵美「にゃはは、まあ色々見て回ろうよ」

エレナ「町は色々あるから見てるだけで楽しいもんネ!」

P「そんなもんかねぇ」

まあこのみ姉さんや海美ですら買い物は長いから女子はそういう何かがあるんだろう

一旦ここまで
この時期は色々と駄目だ

恵美、エレナと一緒に町を歩く

忙しなくあっちこっちに意識を移す2人の声を聞き流しながら俺は俺でショーウインドウなどを眺めていた

恵美「あ、エレナあれ」

エレナ「良いネ!」

恵美「こっちのやつも」

エレナ「これコトハが喜びそうだネ!」

恵美「そだね、また琴葉も誘って一緒に来よっか」

エレナ「その時はPも一緒にネ!」

P「ん?」

急に名前を呼ばれ、意識を二人に戻す

恵美「聞いてなかった?春物の新作出たし琴葉、エレナと一緒に見たいからついてきてよ」

P「なんで俺が?」

恵美「そ、それは…」

エレナ「こういうのは男の子の感想が大事なんだヨ~」

恵美「そ、そゆこと!」

P「男の子の感想ね…」

まあ女子同士じゃ気付きにくいこともあるんだろう

P「仕方ないな」

恵美「よし、じゃあ体空けといてよ?」

P「善処する」

恵美「そいえばさ」

P「ん?」

恵美「前町で2人に会った時に食べてたクレープってどこで買ったの?」

P「ああ、あの店をちょっと行ったところにクレープの屋台があってさ」

恵美「へー…アタシちょっと行ってみようかな」

エレナ「じゃあワタシはあそこのベンチ取って待ってるヨー」

P「?エレナは要らないのか?」

エレナ「ワタシはこの前と同じノ」

P「わかった」

恵美と2人でクレープを選ぶ

P「恵美はどれにするんだ?」

恵美「うーんどれも美味しそうで迷っちゃうね~」

P「俺はこれにするかな」

恵美「よし決めた、アタシはこれ」

P「すいません、コレとコレとコレください」




クレープを持ち、エレナの元に戻る

恵美「Pのクレープも美味しそうだね」

P「おいやめろロックオンするな」

恵美「油断してるとパクッといっちゃうかもよ?」

P「お前ら似た者同士だな…エレナも俺のクレープを囓っていったし」

恵美「…エレナが?」

P「?どうかしたか?」

恵美「んー…何でも無い」

恵美「…P、あれ」

恵美が突然指を差す

それを視線で追うと、エレナが男に声をかけられていた

恵美「…っ」

恵美の足が竦んでいるのがわかる

P「恵美、ちょっとクレープ預かっててくれ」

恵美「え?う、うん」

恵美にクレープを渡すと、俺は駆け出した

「チャオ☆君一人?良かったら俺と遊ばないか?」

エレナ「うーんゴメンネ!ワタシ今日は友達と来てるかラ」

「そうなのか、それじゃあ仕方ないな」

P「エレナ!待たせた!」

エレナ「あ、P」

「うん?」

男とエレナの間に割って入る

P「すみません、こいつ俺の彼女なのでナンパは

「ああ大丈夫、俺は振られたからね、大人しく退散するよ」

そういって男は言葉通りすぐに立ち去った

P「な、なんか拍子抜けだな…っと、エレナ、大丈夫か?」

エレナ「う、うん、平気だヨ~」

P「なら良かったよ」

エレナ「それよりもさっき彼女っテ…」

P「ああ、そう言ったら諦めるかと思ってさ」

エレナ「だ、だよネ!ちょっとびっくりしちゃったヨ」

P「悪いな…とりあえず恵美を迎えに行こうぜ」

エレナ「あ、うん」

俺はエレナを連れ、恵美の待つ場所へ戻った

一旦ここまで
この√は全体の8割くらい恵美と琴葉が出てくる

恵美「あっ…え、エレナ大丈夫だった?」

エレナ「大丈夫だったヨー、Pも来てくれたし、相手もすぐに行っちゃったシ」

恵美「それなら良かった…ごめん、アタシ動けなくて…」

エレナ「メグミのせいじゃないから気にしないデ!それよりもクレープ食べヨ?」

恵美「…うん、ありがと、エレナ」

恵美「Pもありがと」

P「当然のことをしただけだって」

恵美「うん、わかってる…でも、ありがと」

その後クレープを食べた俺達は恵美の提案でファミレスに行き、そこで他愛ない話をして解散した

ゴールデンウィークの出来事募集

冬馬「なあ」

P「うん?」

ゴールデンウィークが近付いてきたある日の昼休み

俺は冬馬、翔太と一緒に食堂に来ていた

冬馬「お前らゴールデンウィークどうすんだ?」

翔太「僕は特に予定はないよ、ダンス部も半分引退状態だし」

冬馬「お前は?」

P「俺も特に予定は無いが…敢えて言うなら琴葉に頼まれたらプロダクションの手伝いをする位だな」

P「ゴールデンウィーク、何かあるのか?」

冬馬「…予定が無いんだよ」

P「は?」

冬馬「だからゴールデンウィーク、何一つ予定が無くて暇なんだよ」

翔太「僕達は受験も関係ないしね~」

P「ん~、それならどっか遊びに行くか?」

冬馬「お前の家に集まってゲームでもやるか」

P「俺の家かよ…まあ良いけどさ」

翔太「まあ無理に予定作る必要も無いしね~家でごろごろするのも良いんじゃない?」

P「休みの日に俺がごろごろ出来ると思うか、翔太?」

間違いなくあいつが窓から部屋に入ってくる

そして何故かはわからないが、窓に鍵をかけても無駄な気がする

冬馬「まあ無理だろうな」

翔太「Pくんもそろそろ応えてあげたら良いのに」

P「何の話だ?」

翔太「内緒」

P「?」

一旦ここまで

ゴールデンウィークの初日を迎えた

俺は休みの日に早起きをする気はさらさら無いので布団に籠もり、惰眠を貪る

志保も桃子もそれを理解しているからか、今日は起こしに来ていない

このまま昼まで寝るか…

そう考えていると窓が開く音が聞こえた

P「…」

間違いなく海美が侵入しに来たんだろう

だが俺は今日は昼まで寝ると決めた以上は無視を決め込む

「ほら、こっちこっち!」

「お邪魔するヨ~」

P「…?」

どうやら二人いるようだ

もう1人は一体…?

「ウミはどうやってPを起こすノ?」

海美「普段は布団を剥いで揺すったりするけど冬とかなら布団に潜り込んだりするよ!」

「普段ってコトハ今日は違うノ?」

海美「うん、お休みモードのPは中々起きないからね!多少力尽くでやらないと起きないんだ~」

「へ~」

海美「さてと、それじゃあ…」

海美が動く気配がして、俺は体を丸めて防御態勢を取る

布団を引き剥がされるのは確定事項だが…何をやってくるか

トントンと海美が床を鳴らす

…何をする気だ?

チラッと布団の隙間から覗いてみると

海美「よしっ!」

海美が助走をつけ、走ろうとしていた

P「ちょっ、待て海美!」

これから起こることが容易に想像出来、ベッドから逃げようとする

…が、逃げた場合海美が怪我をしてしまう可能性が頭をよぎり、俺はその場に留まった

海美「起きて!」

P「どわぁ!」

飛び付いてきた海美を抱き止めるが勢いは殺しきれず、ベッドに押し倒される

P「う、海美」

海美「あ、起きた?」

馬乗りになって俺を見下ろす海美

乗っかっているのが腹の近くだから良かったものの寝起きに腰に乗られていたら色々とヤバかったかも知れない

「ワオ!ほんとに起きたネ!」

声のした方を見ると、予想外の人物が立っていた

P「エレナ?」

エレナ「エレナだヨ~」

P「なんでエレナがここに?」

上半身を起こした俺に抱き付いてきた海美の頭を撫でながら聞いてみる

エレナ「実はパパンとママンが出張に行っちゃってネ…流石にワタシ1人だと寂しいからウミの家に泊めて貰うことになったノ!」

P「なるほど…だから窓から入ってきたのか」

エレナ「誰かの家に泊まるってあんまり無いから楽しいヨ~!」

海美「昨日の夜いっぱい話したんだよ!」

P「へ~」

海美「聞きたい?」

P「いや、別に」

海美「そっか!学校での事とか、好きな人の話とかしたよ!」

P「俺今別にって言ったよな?」

相変わらず俺の話を聞かない奴だ

エレナ「好きな人の話はウミが喋り倒してたネ」

一旦ここまで
語彙力低下してる、どうしよう

海美「うん!その気になれば何時間だって喋れるよ!」

P「なんだ、そんなに好きな奴がいるのか?」

海美「うん!大好き!」

P「へ~」

エレナ「うわぁ…」

エレナが何故かドン引きしている

エレナ「あ、ウミ、時間ハ?」

海美「あっとっと、そうだった」

海美が俺から離れ、窓に足をかける

P「ん、出掛けるのか?」

海美「うん、ひびきんに誘われてて」

P「そっか、いってらっしゃい」

海美「うん、いってきます!」

海美が窓から部屋に戻り、開けっ放しで出掛けていった

P「相変わらず朝から慌ただしい奴だ」

エレナ「でもP、楽しそうだったヨー」

P「そうか?」

エレナ「うん!」

P「まあ、いつもの事だからかな」

エレナ「ウミも凄くイキイキしてて楽しそうだしネ!」

P「あいつはいつも楽しそうにしてるよ」

エレナ「Pと入るときは十割マシぐらい楽しそうだヨ~」

P「そんなにか?」

いつもと変わらない気がするが…

そんなことを話していると

志保「兄さん、何やら騒がしいですが、もしかして体の調子が悪かったりしませ…ん…」

扉を開けて従妹の北沢志保が入ってきた

P「あ、おはよう志保」

扉を開けた態勢で固まった志保に声をかける

志保「」

エレナ「オハヨウ!お邪魔してるヨ~」

志保「」

P「志保?」

志保の反応がない

視線はエレナを向いたまま、体は完全に固まっていた

しばらくして

志保「…に…」

P「に?」

志保「兄さんの部屋に…朝から知らない女の人が…」

P「ちょっ」

志保が膝からくずおれる

エレナと二人で志保が倒れないように支えた

P「志保、大丈夫か?」

志保「朝チュン…?」

志保が意味の分からないことを呟いているが良く聴き取れない

エレナ「あ、もしかしテ…」

エレナが志保の耳元に口を寄せ、何かを囁いている

するとみるみるうちに志保は元気を取り戻していった

志保「おはようございます、兄さん」

P「あ、ああ、おはよう志保」

志保「すぐに食事を用意しますね」

P「あ、ああ」

急にくずおれたりいきなり元気になったりと志保はよくわからないな

エレナ「うーん…Pは罪深いネ」

P「なんだよいきなり」

エレナ「ヒミツ!」

P「?」

その後、志保とエレナと朝食を食べた

朝食を食べた後、俺は部屋に戻りエレナは海美の部屋に戻ると思ったのだが…

P「何でまだ俺の部屋にいるんだ?」

エレナ「ンー、1人だと退屈だかラ?」

P「なんで疑問符…いやまあ良いけど」

ベッドをエレナに譲り、俺は床に座る

エレナはその辺にあったクッションを抱き、それに顎を乗せ胡座をかいていた

P「けど俺といても退屈だろうに」

エレナ「そんなことないヨ~なんだかんだでPの話は楽しいシ」

漫画でも読むか…

そう思い本棚に向かおうとした時、携帯が鳴った

P「俺のか?」

エレナ「ワタシのみたい」

エレナが携帯を取り出し、耳に当てる

エレナ「もしもしー、メグミ、おはようだヨ-!」

どうやら恵美から電話がかかってきたらしい

エレナ「今日?うん、大丈夫だヨ」

エレナ「うん、うん、わかったヨ、それじゃあその時間に待ち合わせだネ!」

エレナ「あ、ちょっと待って、切らなくても繋がるヨ~」

エレナが立ち上がり俺の方に向かってくる

エレナ「はいP、メグミからだヨ」

P「恵美から?なんだ」

エレナからスマホを受け取る

P「もしもし?」

恵美『あ、Pほんとにエレナと一緒にいたんだ』

P「まあちょっとな」

恵美『今どこ?』

P「俺の部屋だけど」

恵美『…え?』

P「どうした」

恵美『えーとごめん、良く聞こえなかったからもう一回どこにいるか教えて』

P「俺の部屋だ」

恵美『Pの部屋に、朝からエレナと…?』

一旦ここまで

凄くどうでも良いと思うけど
√UU Aに出て来たデストコローは氷を自由に操る能力を持ってて、相手の手足を凍らせて動きを封じた後首筋から背中に小さい氷を落とすのが得意技
っていう設定だった

うみことは良い物だよ

誤爆

P「?どうしたんだ?」

恵美『な、何でも無い…』

P「それで、通話を変わったのは良いんだが用事があるのか?」

恵美『あ、うん…あー…どうしよ』

P「?」

何やら恵美が言いにくそうにしている

恵美『…うん、やっぱりもう一回エレナに変わってくんない?』

P「まあ良いけど」

P「エレナ、恵美が変わってくれって」

携帯をエレナに返す

エレナ「もしもし、メグミ、どうしたノ?」

エレナ「…え?ち、違うヨー、昨日ウミの家に泊まったノ!」

エレナ「で、ウミがPを起こしに行くからってワタシを誘ったノ」

エレナ「うん、それだけだから安心して良いヨ」

エレナ「うん、うん、それじゃあもう一度代わるヨ?」

再度エレナが電話を差し出してくる

P「また?」

エレナ「うん」

P「もしもし」

恵美『もしもし?さっきはごめんごめん』

P「なんだったんだ?」

恵美『Pは気にしなくて良いよ、それより今日って暇?』

P「まあ暇だけど」

恵美『じゃあさ、今日ちょっと付き合ってくんない?』

P「何に?」

恵美『前言ったやつ、春物の新作を見に行くってやつ』

P「ああ…」

そういえばそんなこと言ってたっけな

P「俺は構わないぞ」

恵美『ありがと、じゃあ今からそっち行くから』

P「ん?俺の家に来るのか?」

恵美『うん、街で待ち合わせするのはちょっとね…』

P「…ん、わかった」

恵美『琴葉と一緒に行くから、準備しといて』

P「ああ」

恵美『それじゃ』

通話を終了した携帯をエレナに返す

エレナ「メグミはなんて?」

P「一旦うちに来るってさ」

大体30分くらいかな、今のうちに準備するとしよう

俺は着替えるためにエレナを部屋から追い出し、身支度を始めた

琴葉「これ、可愛い」

恵美「琴葉-、これ琴葉に似合うと思うんだけど」

エレナ「ワタシはこっちも似合うと思うヨー」

俺の家で待ち合わせた後、街に到着した俺達は目当ての店に入る

そして店に入るなり俺を放置し、お互いに似合う服を選び始めた

しかし女物の服が並んでいるところにいるのは微妙に居心地が悪い

恵美「P、ちょっとこっち来て」

P「ん、どうした?」

恵美に呼ばれ、側に行く

恵美「この服、琴葉に似合うと思うんだけどどう思う?」

琴葉「私はちょっと派手かなって思うんだけど」

P「ふむ…」

琴葉の言う通り少し派手だが、恵美の言う通り確かに似合うかも知れない

P「気になるなら試着してみたら良いんじゃないか?」

琴葉「試着…うん、そうね、ちょっと着てみる」

琴葉は試着室に入っていった

恵美「アタシのならともかく琴葉の着替え、覗いちゃ駄目だからねー」

P「俺を犯罪者にしようとするのはやめろ」

一旦ここまで

√重ねてるからかなり薄れてるけどほんの少しだけ感覚的に覚えてはいる
ただ男性恐怖症の方はあんまり変化してない

恵美「琴葉が着替えてる間に次はエレナの服見よっか」

エレナ「メグミのファッションセンスは凄いから安心して任せられるヨ~」

恵美「褒めるな褒めるな」

エレナに褒められ機嫌良さそうに服を選び始める恵美

恵美「あそうだ、Pはどんなエレナが見たい?」

P「どんな、とは?」

恵美「ファッションにも傾向があるからさ、例えば元気そうとかクールに決めるとか、色々あるの」

P「なるほど…そうだな」

P「それなら普段とは違う、大人しめな感じのが見てみたいかな」

恵美「大人しめね…うーん、それなら…」

恵美は顎に手を当てて少し考えた後、店の奥に行ってしまった

エレナ「メグミがどんな服を持ってきてくれるか楽しみだヨ」

P「そうだな」

大人しめのエレナを想像してみる

大人しいというとやはりお嬢様系か…

身近なお嬢様キャラは…

エレナ『おーほっほっほ!ワタシ、島原エレナですことよ!』

千鶴先生が混じったせいで高笑いしながらむせるエレナを想像してしまい噴き出しそうになる

エレナ「ムッ、P今凄く失礼なこと考えてない?」

P「気のせいだ」

気を取り直してもう一度想像してみる

高笑いエレナはそれはそれで面白いのだが大人しめとは違う気がする

となると他にお嬢様キャラと言えば…伊織?

エレナ『あら気に入ったわ、とりあえずあんたはワタシの下僕ね』

エレナ『ほら下僕、はやくオレンジジュース持ってきなさいよ!』

…うん、ないな

というか俺の知ってるお嬢様って活発なのしかいないんじゃないだろうか

お嬢様系が駄目となると…知り合いの大人しめな人から考えてみる

同級生なら…貴音か可憐か

エレナ『真、このラーメンは美味だヨ~』

…うん、ないな

可憐は可憐で想像するのが難しいし…

悩んでいると恵美が店の奥から戻ってきた

恵美「お待たせー」

エレナ「おかえりー」

P「ん、おかえり恵美」

恵美「ただいま、あ、エレナこれ着てみて」

エレナ「うん!」

エレナが恵美から服を受け取り試着室に入る

恵美「結構良さそうなのがあったからさ、期待してなよー?」

P「楽しみだ」

エレナが試着室に入るのと入れ替わるように琴葉が試着室から出て来た

琴葉「待たせちゃってごめんなさい」

恵美「良いって良いって!…うん、やっぱりよく似合ってるよ琴葉!」

琴葉のファッションは普段とは違い少し派手なものだが、確かによく似合っている

琴葉「ど、どうかなPくん?肩とか出しちゃってるけど、大胆過ぎたりしない?」

P「大丈夫だ、よく似合ってるよ」

琴葉「う、うん、ありがとう」

顔を赤くしてはにかむ琴葉に少しドキッとする

恵美「…うーん、アタシもたまにはイメチェンしよっかな…」

琴葉「その時は私とエレナが手伝うわね」

恵美「うん、お願い」

一旦ここまで

恵美「ねえ、Pはアタシがイメチェンするとしたらどんなのが良い?」

P「なんで俺に聞くんだ?」

恵美「まあ良いじゃん良いじゃん!…で、何が良い?」

P「そうだな…」

恵美がイメチェンするなら…

P「お淑やかな感じかな」

恵美「お淑やか…琴葉みたいな?」

P「ちょっと違うけど…まあ、似たような感じかな」

恵美「そっか…Pの好みのタイプは琴葉なんだね」

琴葉「え!?」

P「いやいや、なんでそうなる」

琴葉「Pくんあのその気持ちは嬉しいんだけど私達にはまだ早すぎるというか私の心の準備が!」

P「落ち着け」

テンパっておかしな事を口走る琴葉を宥める

琴葉「も、もう、恵美!」

恵美「にゃははは」

真っ赤になって恵美に抗議する琴葉を恵美は笑いながら受け流していた

エレナ「コトハ、なんだか楽しそうだネ!」

いつの間にか試着室から出て来たのか、エレナが隣に立っていた

P「もう着替えたのか?」

エレナの方を向く

P「」

エレナ「?どうしたノ?」

清楚な服に身を包み、伊達眼鏡をかけたエレナがそこにいた

恵美「お?エレナやっぱりよく似合ってるよそれ!」

琴葉「凄い…エレナ、とっても可愛いと思う」

エレナ「えへへ…照れちゃうヨ~」

恵美「なんか清楚な感じの演技してみてよ」

エレナ「清楚な感じ?うーん、じゃあ…」

エレナが俺の方を向き

エレナ「ふふ、P、私達とティータイムなど、ご一緒しませんか?…なんてネ♪」

P「行きます」

即答だった

恵美「で、Pの方は感想とか無いの」

P「感想か…」

もう一度よくエレナを良く見る

普段の動きやすそうなラフな格好とは違い、露出が少なくスカートを履き、とても…

P「可愛い」

エレナ「え?」

P「あっ」

思ったことがそのまま口から出るくらいによく似合っていた

エレナ「い、今可愛いって」

P「いやだって滅茶苦茶似合ってるし」

エレナ「も、もう!からかわないで欲しいヨ-!…バカ」

恵美「…………お?どうしたどうした-?エレナ顔が真っ赤じゃーん」

エレナ「め、メグミ!」

琴葉「ふふ」

結局エレナと琴葉は試着した服を購入するようだ

その後何故か拗ねてしまったエレナに謝りながら、俺達は店を出た

一旦ここまで

ファミレスでしばらく雑談した後、解散する事になった

P「送らなくて大丈夫か?」

恵美「ここまで送ってくれたんだし大丈夫」

琴葉「ありがとうPくん」

エレナ「コトハ、メグミ!またネ!」

二人の姿が見えなくなった後、俺達もまた帰路に着く

P「なんかこうやってエレナと同じ方向に帰るって新鮮だ」

エレナ「そうだネ!ワタシも誰かと一緒に帰るってあまりないから新鮮だヨ~」

P「なあエレナ」

エレナ「ん?」

P「今日、楽しかったな」

エレナ「…そうだネ、ワタシはやっぱりみんなで一緒にいる時間が一番好きだヨ」

P「そうだな…」

その気持ちはとても良くわかる

俺も同じだから

だから俺は、今この時間を大切にしていきたい

P「エレナ、今日はうちで飯食べていかないか?海美も来るし」

エレナ「良いノ?」

P「ああ」

エレナ「じゃあお邪魔するヨ-!」

俺達は話をしながら、家に帰った

エレナ「良いお湯だったヨ~」

海美「おかえりー」

ウミのお家でお風呂に入った後、ウミの部屋に戻る

昨日と同じく布団は既に敷かれていたから後は寝るだけだネ♪

海美「そういえばエレナは今日はどうしてたの?」

エレナ「ワタシは今日メグミとコトハとPと服を買いに行ったヨ~」

海美「良いな~私もPと一緒に服買いに行きたい」

エレナ「ウミがお願いすれば来てくれると思うヨ?」

海美「そうかなー?」

エレナ「うん」

二人は仲良しだしネ!

海美「Pと一緒に買い物行って-、女子力高い服着て可愛いって行って欲しいな~」

エレナ「か、可愛い…」

今日Pに言われたことを思い出してお風呂上がりの火照りとはまた違う熱で顔が熱くなっちゃう

うー…Pのバカ

海美「その後買った服に着替えてそのままデートしたいな~…って、エレナ、どしたの?」

エレナ「え?」

海美「なんか顔赤くなってるよ」

エレナ「お、お風呂上がりだからだヨ-!」

海美「あ、じゃあ窓開けよっか?きっと風が気持ちいいよ!」

エレナ「う、うん!」

ウミが窓を開けると心地良い風が入ってきて顔の熱も引いていってるネ

海美「うん、気持ち良い風!あっちの窓も開ける?」

ウミがPの部屋に繋がる窓を指差す

エレナ「そっちは良いヨー」

海美「うんわかった!じゃあPにお休みの挨拶してくるね!」

ウミ、ワタシの言葉聞いてた?

Pの部屋の窓が開く音がした後

P「きゃー!海美さんのえっちー!」

そんな声が聞こえてきたヨ

P「いきなり窓開けるのはやめろって何遍言えばわかるんだお前は」

海美「いひゃいいひゃい」

海美とPがじゃれ合ってる

やっぱり二人とも楽しそうだネ

P「…ったく、そういやエレナは?」

海美「私の部屋!さっきお風呂から出て来たから今窓開けてるの!」

P「そうかい、開けるなら自分の部屋の窓だけにしてくれ」

海美「善処する!」

P「やれやれ…」

今日可愛いって言われたことで熱くなった顔とお風呂上がりの今の姿を見られたくなくて、ワタシはPとウミのじゃれ合いを見てることしか出来ない

海美「ね、ね、お休みのちゅーしてよ!」

P「アホかお前は」

海美「ケチー」

P「ケチで結構、ほら帰れ帰れ」

海美「ちぇー」

ウミが部屋に戻ってくる

P「海美」

海美「?」

P「お休み」

海美「!うん、お休み!」

ウミが凄く良い笑顔でPに返事をする

P「エレナも、お休み」

エレナ「う、うん、お休みだヨー」

海美「えへへ…」

蕩けそうな笑顔でクッションを抱き締めるウミ

エレナ「ウミはほんとにPがダイスキだネ」

海美「うん!大好き!」

エレナ「Pもきっと、ウミの事がダイスキだヨ-!」

その言葉を言った時、ワタシの胸がチクリと痛んだ

エレナ「…?」

海美「もしそうだったら両想い!そうだったら良いな~」

ワタシはメグミの気持ちも知ってるからウミだけを応援は出来ないけド

ウミとメグミ、どっちかの想いが報われたら良いなってワタシは思うヨー

そしてまた、胸がチクリと痛んだ

一旦ここまで

私の胃が最初に限界を迎える

エレナ「お邪魔するヨ~…」

翌朝、窓を開けてPの部屋に侵入

ベッドを見るとPはまだグッスリ寝てるみたい

もうすぐ昼前なのに

ウミが言ってたとおりだネ

さて、どうやって起こそうかナ~

ベッドに近づいてPの顔を覗き込む

無警戒に寝ていてちょっと可愛い

そういえば教室でも同じように寝てたっけ

エレナ「…」

せっかくだし、もうちょっと寝顔をみてよっかナ♪

エレナ「あ、そうダ」

せっかくだしメグミにも写真撮って送ってあげよう

スマホを取り出してカメラを起動する

パシャリと小気味良い音がして、撮った写真が表示される

…うん、良い感じに撮れたヨ

そのままLINNEを起動して画像を添付する

既読はついたけどメグミからの反応は無し

予想通りだネ

目的は果たしたから画像を消そうとする

けど途中で指が止まった

…別にスマホの容量はまだまだ余裕あるし、消さなくても良いよネ、うん

なんだか消すのが勿体ない気がして、適当な理由を作って納得した

スマホをしまいもう一つの目的を果たすために行動する

エレナ「P-、朝だヨ~」

まずは身体を揺すってみる

が、反応なし

エレナ「P~」

次はもうちょっと強く揺すってみる

やっぱり反応なし

エレナ「ム~…」

中々に手強いネ

エレナ「あっ」

以前教室でやったみたいにほっぺを突いたら起きるかモ?

エレナ「起きてヨ~」

ほっぺに指を突き入れてみる

エレナ「…」

何度か突いてみるものの反応なし

…これ、生きてるよネ?死んでないよネ?

呼吸してるのは確認したから死亡説は無くなったけド…

エレナ「どうやったら起きるかナ…?」

ウミは確か…

海美『ベッドにダイブすれば大抵起きるよ!』

…うん、やってみよう

布団を引っ剥がした後、ワタシは怪我しない程度の勢いでPに向かってダイブした

エレナ「起きテ!」

P「ごふぁ!?」

変な声を上げて目を開けるP

P「こら海美ぃ!お前が怪我しそうで危ないからやめろっていつも言ってるだろうが!」

割と本気で怒ってるヨ

P「…ってあれ、この感じ海美じゃないな、誰だ?」

やっぱりすぐわかるんだネ

エレナ「ワタシだヨ~」

P「エレナ?エレナが起こしに来たのか」

エレナ「うん、あまりに起きないからウミに教えて貰ったやり方で起こしたんだけド…」

P「あー、悪いな怒鳴って…あいつは俺の言うこと聞いてくれないからさ」

エレナ「ううん、ワタシも危ない事したから怒られても仕方ないヨ」

ダイブしたからPに跨がる形で座り込む

P「ちょっ、え、エレナ、そこは」

エレナ「?」

ワタシが腰の辺りに座った途端Pが焦りだしたヨ

それと同時にお尻に何か固い感触が…

エレナ「…」

俺の目の前でエレナの顔が見る見る赤くなっていく

でも仕方ないじゃないか、生理現象なんだから

P「あー、エレナ、そのだな」

エレナ「ぴ、Pも男の子だからネ!仕方ないネ!」

P「あ、ああ、そうなんだよ仕方ないんだ」

良かった、エレナが朝勃ちに理解があって

エレナ「朝からえ、エッチなこと考える時もあるよネ!」

P「待て誤解だ」

全く理解されていなかった

一旦ここまで

P「…というわけだ」

エレナ「ふーん…」

なんで俺は朝から女の子相手に朝勃ちの説明しているんだろう

P「とにかくだ、いやらしいことを考えてた訳じゃないんだよ」

エレナ「オトコのコは大変だネ」

エレナ「毎朝…その…お、おち…おち…」

P「いや無理して言わなくて良いから」

朝から変なプレイみたいになりかねん

P「で、なんでエレナが起こしに来たんだ?」

エレナ「ウミが代わりに起こして欲しいってワタシに頼んだんだヨ~」

P「海美は?」

エレナ「朝出掛けてから戻ってきてないヨ」

P「ああ、走りに行ったんだな」

エレナ「あ、そういえバ…」

P「うん?」

エレナ「今日は出掛けるから空けといて欲しいって言ってたヨ」

P「どこかに遊びに行くつもりだな、よしわかった」

海美が帰ってきたら詳しい予定を聞くとしよう

しかし…

チラッとエレナの方を見る

かなりラフな格好をしており、正直目の毒だ

海美も俺の部屋にいる時は大抵ラフな格好をしているが慣れているので問題はないが…

エレナは違う

そしてそんな格好でさっき俺のアレの上にいたと考えると…

…いかんいかん、邪な妄想は捨てろ

次は朝勃ちじゃ済まなくなる

P「はあ…」

朝…いや、もうすぐ昼か…から一気に精神力を削られた気がするな

しかしエレナの身体、柔らかかったな

海美とはまた違った柔らかさで…

海美「ただいま!」

再び邪な妄想が浮かんできた時、海美が帰ってきた

おかげで考えずに済みそうだ

P「おかえり」

海美「ねえP、今日遊びに行こうよ!」

P「良いぞ、どこに行くんだ?」

海美「うんとね、身体動かしたいからグラウンドワンいこ!」

P「ああ、スポッヂャか」

海美「うん!皆も誘おう!」

P「わかった」

海美「エレナも行くよね?」

エレナ「もちろんだヨー」

P「じゃあ俺は冬馬と翔太に…」

エレナ「ラセツにはワタシが連絡するから、Pはメグミに連絡して欲しいヨー」

P「恵美に?まあ良いけど」

エレナ「ヨロシク!」

とりあえず恵美に電話をかける

ワンコールで電話は繋がった

P「もしもし」

恵美「も、もしもし?」

電話に出た恵美は妙に早口だった

P「今時間大丈夫か?」

恵美「う、うん、大丈夫だけど…ちょっと待って、服整えるから」

P「あ、悪いもしかして着替え中だったりしたか?」

恵美「着替えじゃないなら大丈夫…よし、良いよ」

P「今日グラウンドワンに行こうと思うんだが、一緒にどうだ?」

恵美「グラウンドワンか…他に誰か来る?」

P「今のところ海美とエレナだな」

恵美「…女の子だけ?」

P「冬馬と翔太には海美達が連絡してるけど、どうなるかはわか」

恵美「行く」

P「らない…早いな」

恵美「どこ集合?」

P「俺の家で良いよ」

恵美「わかった、すぐ行くから」

P「あ、ああ」

一旦ここまで
割と早い段階で関係進める予定

そりゃあナニよ

恵美はヒートアップ中に電話かかってきて不完全燃焼だけどPから電話で遊びに誘われてこれはこれでって喜んでるよ

オカズフォルダは無いけど、Pだけ写ってる画像だけが入ったPフォルダならあるよ(使ってないとは言っていない)

エレナ「メグミ、なんて?」

P「すぐこっち来るって」

海美「翔太は今日用事あるんだって」

P「冬馬は?」

エレナ「アマトウはピージーフェネクス?かなにかを組むのに忙しいからパスだっテ」

P「ああ…あいつアレ買ったのか」

海美「琴葉は?」

エレナ「今日はプロダクションって言ってたヨ~」

海美「じゃあ私、P、エレナ、めぐみーで四人かな?」

P「だな」

エレナ「とりあえずメグミ待ちだネ!」

30分後

志保「兄さん、恵美さんが来てますが」

P「ああ、俺の部屋に上げてくれ」

志保「はい」




恵美「お待たせ」

P「おう、おはよう」

恵美「あれ、海美とエレナは?」

P「一旦部屋に戻って準備してる」

恵美「そっか、じゃあちょっと待ってようかな」

志保「兄さん、どこかにお出掛けに?」

P「ああ、グラウンドワンにな」

P「あ、そうだ、せっかくだし志保も来るか?」

志保「え?」

P「志保がうちに来てからまだ遊びに行ってないし、どうだ?」

志保「…」

志保は少し考えた後

志保「少し待っていてください」

そういってスマホを取り出した

P「あ、もしかして何か用事があったか?」

志保「問題ありません、キャンセルしますから」

P「待った、元の予定があるならそっちを優先してくれ」

志保「大丈夫です、兄さんからのお誘いより大切なものなんてこの世界にはありませんから」

P「それが志保個人の予定ならそれでも構わないけど、どこかに電話しようとしてるって琴葉誰かと約束してるんだろ?」

P「ならそれは蔑ろにしちゃいけない」

志保「ですが…」

P「また今度、みんなで行こう」

P「いつだって遊びに行けるさ、家族なんだから」

志保「兄さん…はい、わかりました」

P「よし、良い子だ」

志保「兄さん、楽しみにしてますね」

P「ああ」

志保は嬉しそうな表情で階段を降りていった

恵美「アタシ、お兄ちゃんしてるPって初めて見たかも」

P「そうか?」

恵美「うん、新しい一面が見れて惚れ直…ちょっと新鮮」

P「まあ、志保が素直な良い子だっていうのもあるかな」

P「何だかんだで兄さんって慕われるのも悪くないし」

恵美「…まあでも、志保の目、あれは従兄とか兄に向ける目じゃなくて…」

恵美「…」

P「どうした?」

恵美「何でも無い」

P「?」

海美「あ、めぐみー来てる」

エレナ「メグミ、おはようだヨー」

恵美「おはよ、海美、エレナ」

一旦ここまで

恵美が今回積極的なのは√TPでの電話の夢を見たのとPと違うクラスになって寂しいのが理由

スポッヂャに来た俺達

まずは定番の屋外スポーツを遊んだ

P「次、どうする?」

恵美「うーんと」

エレナ「テニス、サッカー、バスケはやったからそろそろ屋内のスポーツに行こうヨ」

海美「賛成!」

エレナ「あ、ローラースケートがあるネ」

P「ローラースケートか…」

あまり経験はないが、楽しそうだ

P「よし、じゃあローラースケートにするか」

ブーツをレンタルし、リンクに入る

P「っと」

足下の慣れない感覚に戸惑いながらもまずは足を動かしてみる

しかし思うように進めず、へっぴり腰になってしまう

海美「P!怖がらずにローラーに足を任せれば良いんだよ!」

海美が綺麗なフォームで滑りながら言ってくる

P「ローラーに足を任せる…か」

やってみるか

P「こ、こんな感じか?」

確かにさっきよりマシになったが、あくまでマシになったくらいであまり変わっていない気がする

海美「まだ腰が引けてるからもっと堂々と!重心をしっかり維持して!」

P「簡単に言ってくれる…」

恵美「P、アタシが手を引いてあげよっか?」

P「そ、それは流石に…」

女子に手を引かれながら滑るのは気恥ずかしいというかかっこ悪い気がする

恵美「はいはい、遠慮しない」

恵美が手を差し出してくる

ここで手を振り払うのは感じ悪い気がして、俺は恵美の手を取る

恵美の手はひんやりとしていて、少し気持ち良い

恵美「まずはアタシが手を引くから、重心を意識しといて」

P「…」

恵美「P、聞いてる?」

P「あ、ああ、聞いてる」

恵美「じゃ、行くよ」

恵美に手を引かれ、リンクを滑る

手を引かれながら滑っていると、段々と重心が後ろにズレていくのがわかる

…これを意識すれば良いんだな

重心のズレを意識しながら滑るとさっきまでの不安定感が嘘のように消えていった

P「なるほどな…」

恵美「何かわかった?」

P「ああ、重心のズレがわかってきた」

恵美「じゃあ次はアタシと併走してみよっか」

P「わかった」

恵美と並んでリンクを滑る

恵美「お、ちゃんと滑れるじゃん」

P「やり方さえわかればなんとかなるみたいだ」

恵美「にゃはは、出来るようになると楽しいでしょ?」

P「ああ、恵美のおかげだな」

P「ありがとう、恵美」

恵美にお礼を言う

すると恵美は顔を赤くし

恵美「た、大したことじゃないから!」

そう照れくさそうに言った

恵美「その…さ」

P「うん?」

一緒に滑っていると恵美が口開く

恵美「もし明日とか暇ならアタシと…」

恵美が何かを言いかけた時

エレナ「ぴ、P!どいて、どいて~!?」

P「エレナ!?」

海美と競争していたエレナがこっちに向かって滑ってきた

恐らく止まれないのだろう

P「っ!」

このままではどこかに激突して怪我をするかも知れない

ならば

俺はその場に留まり、腰を落とす

そして向かって来たエレナを抱き止め、エレナがぶつからないようにしながら壁に激突した

エレナ「P!?大丈夫!?」

P「いつつ…エレナ、無事か?」

エレナ「わ、ワタシは平気、それよりもPの方が!」

P「俺も平気だ、海美のおかげで何かに激突するのは慣れてるからな」

普段から海美を受け止めていて良かった

P「競争するのは良いけど、ちゃんと周りに注意しないとダメだぞ?」

エレナ「うん、気を付けるヨ…」

海美「エレナ、P、大丈夫?」

エレナ「うん、Pが抱き止めてくれたかラ」

恵美「怪我無くて良かったよ…ところで」

P「うん?」

恵美「いつまで抱き合ってんの?」

エレナ「え?」

P「あっ」

ずっとエレナを抱き締めっぱなしだったことを思い出し、体を離す

P「わ、悪いエレナ」

エレナ「う、うん」

恵美「…」

海美「エレナ良いな~」

その後もダーツをしたり、他のスポーツも楽しみ、俺達はスポッヂャを後にした

海美「楽しかった~!」

恵美「やー、いい汗かいたね~」

P「そうだな」

何だかんだで体を動かすのは楽しいものだ

エレナ「…」

P「エレナ、どうしたんだ?」

さっきから一言も喋ってないエレナに声をかける

エレナ「…?どうしたノ?」

P「いや、なんかずっと黙ってるからさ」

エレナ「ンー…はしゃぎすぎて疲れちゃったかモ」

P「なら今日はゆっくり休まないとな」

エレナ「…うん、そうだネ、そうするヨ~」

恵美「…」

一旦ここまで

今更ながら>>177>>178で恵美の台詞が「」になっていることに気付いた
『』の方で自己補完頼んます

エレナ「ふう…」

ウミの家で湯船に浸かって息を吐く

今日Pにぶつかって抱き止められた時、凄くドキドキした

Pにはバレなかったみたいだけど、顔も赤くなっちゃったヨ

エレナ「…」

なんでこんなにドキドキするんだろう?

今も思い出しただけで凄くドキドキしてる

エレナ「うー…」

いくら考えても答えは出ない

もやもやしたものを胸に抱きながらお風呂を出る

こんな時は早く寝ちゃおう

エレナ「あがったヨー」

P「おう、おかえり」

エレナ「」

ウミの部屋に戻るとPが窓に腰掛けていた

エレナ「ぴ、P!?」

P「ど、どうしたエレナそんなに驚いて」

エレナ「だ、だってウミの部屋にいるから」

P「ああ、実はだな」

海美「あ、エレナもう上がったの?」

Pが部屋にいる理由を聞こうとしたらウミが戻ってきたヨ

エレナ「ウミ、どうしてPが?」

海美「私が呼んだんだよ!」

P「明日にはエレナは家に帰るし友達が泊まりに来るってあまりないし、一杯お喋りしたいから来て!って言われてな」

P「まあ俺も今日は寝付きが悪いし少しだけ付き合うことにしたんだよ」

海美「そういうこと!」

なるほど

しかし話をするのは良いけど…お風呂あがりの姿を見られるのは結構恥ずかしい

普段なら絶対気にならないのに

P「けどあれだな、海美の部屋久しぶりに来たけど変わらないな」

海美「前に来たのって何時だっけ?」

P「中等部上がる前だから大体6年前だな」

海美「もうそんなになるんだ」

P「ああ」

二人がワタシの知らない話を始める

…やっぱり仲良いネ

そんな二人を見ていると、やっぱり胸がちくちくする

うーん、体調悪いのかナ?

結局胸の痛みが何なのか、どうしてPの顔を見るとドキドキするのか、わからないままゴールデンウィークが終わった

一旦ここまで

ゴールデンウィークが明けた登校日

P「ふわ…ぁ…」

ワタシの隣ではPが大欠伸していた

エレナ「P、眠そうだネ」

P「昨日は冬馬が寝かせてくれなくてな…」

エレナ「え」

P「かなり遅い時間までやってたから寝不足だ」

エレナ「P、昨日アマトウと何やってたノ?」

P「んー…ゲーム」

エレナ「ゲーム?」

P「ああ、イベントが今日の朝まででさ…それに付き合わされてたんだよ」

エレナ「うーん、大変だったネ」

P「まあそういうわけで、寝不足でな」

P「まあでも、確か一限目は歴史だろ?予習は済んでるし少し寝るわ」

エレナ「あ、うん、わかったヨ」

危なかった…あまりにもウミやメグミからの好意にドンカンだからもしかしたらPはホモなんじゃって思ったけど

違うみたいで安心したヨー

…あれ?なんでワタシが安心するんだろう

…うーん

ま、いっか

寝息を立て始めたPを頬杖ついて眺める

ホント、気持ち良さそうに寝るネ

エレナ「…」

P「んん…エレナ…」

エレナ「えっ」

名前を呼ばれてドキッとする

夢にワタシが出て来てるのかナ

P「だ、ダメだ…それは…とれる…」

一体どんな夢を見ているのやら

でも

エレナ「~♪」

なんだか嬉しかった

昼休みになった

P「飯どうすっかな」

学食にするか、弁当を買うか

恵美「あ、いたいた」

P「ん、恵美、どうしたんだ?」

恵美「や、P昼はどうするのかなーって」

P「まだ決めてないんだよ」

恵美「あ、じゃあさ、はいこれ」

恵美が何故か二つ持っていた弁当箱の片方を俺に渡す

P「これは?」

恵美「前に事務所で言ったじゃん?今度アタシが弁当作ってあげるって」

P「ああ、そういえば…」

すっかり忘れてたけど

恵美「だから食べてみてよ」

P「ああ」

恵美「よし、それじゃあ…エレナー」

エレナ「メグミ、どうしたノ?」

恵美「一緒に昼食べようよ」

エレナ「わかったヨ-、机くっつけてくるネ」

恵美「Pも、食べよ?」

P「そうだな」

一旦ここまで
ちなみに弁当の中身はソースだったりケチャップだったりと口元に付きやすいものが多め

弁当を食べながらふと思ったことを聞いてみる

P「そういえば琴葉は?」

恵美「今日プロダクションの会議だってさ」

P「会議…ああ、時期的に球技大会のやつだな」

エレナ「そういえばPは去年契約社員だったネ」

P「ん、まあな」

プロダクションか…合わなかった訳じゃないけど…

恵美「あ、P、口元にケチャップ付いてる」

P「ん、どこだ?」

恵美「はいはい拭いたげるから動かない」

P「教えてくれたら自分で…いや、なんでもない」

何故か恵美の目が据わっていたので俺は大人しくすることにした

恵美「はい、とれたよ」

P「悪いな」

拭き取ったハンカチを畳む恵美

P「それ、こっちで洗濯して返すけど」

恵美「え?うーん…」

恵美は少し考えた後

恵美「…うん、大丈夫、こっちで洗うから」

そう答えた

P「そうか?」

恵美「うん、ありがと」

恵美「それよりも、味、どう?」

P「うん、美味いぞ」

結構好みの味付けだ

恵美「へへ~、でしょ?」

エレナ「…メグミ、良かったネ~!」

恵美「うん、頑張った甲斐があったね」

そうか、俺のために頑張ってくれたのか

恵美の気持ちが嬉しかった

エレナ「…」

P「エレナ、どうしたんだ?」

エレナ「え?」

P「いや、なんかぼーっとしてたから」

エレナ「えっと…ちょっと考え事!」

P「悩みがあるなら相談に乗るぞ?」

エレナ「うーん…今のところは大丈夫だヨ」

P「…ん、わかった」

エレナ「さ、さ、お弁当食べちゃおうヨ!」

P「そうだな」

恵美「…もしかして、エレナも…」

P「美味かった、ご馳走様」

恵美「お粗末さま、Pさえ良ければまた作ってあげよっか」

P「良いのか?」

恵美「うん、誰かのために作るのって結構楽しいし」

P「じゃあその時はまた頼むよ」

恵美「おっけー」

P「あ、弁当箱どうする?俺は洗って返すつもりなんだが」

恵美「あー良いよ良いよ、アタシの自己満足だしこっちで洗うから」

P「そうか?なんか何から何まで悪いな」

恵美「気にしなくて良いって」

恵美「んじゃ、アタシはそろそろ戻るね」

P「ああ、ご馳走様」

恵美「にゃはは!…エレナ、んじゃまた後で」

エレナ「うん、また後でネ」

恵美が微妙に軽い足取りで教室を出て行った

エレナ「…あれ?」

P「どうしたんだ?」

エレナ「ンー…なんでもないヨ」

P「そうか?」

一旦ここまで
恵美は別にPが誰かとくっつく夢を見ているわけじゃ無くて結構な頻度でどれだけ手を伸ばしてもPが手の届かないところに行ってしまう夢を見ているだけだよ

あの√??、実はPうみめぐだけで人間関係完結してるから理性を抑えるストッパーがいない上に三人とも幼なじみ設定だからどうしてもね

放課後

恵美と一緒に早々に帰ったエレナを見送った後、俺自身も帰ろうとしていたところ琴葉が教室に入ってきた

琴葉「あっ、Pくん」

P「琴葉、どうしたんだ?」

琴葉「その…この後、時間あるかな?」

P「ああ、大丈夫だけど」

琴葉「ありがとう、じゃあちょっとプロダクションに来て欲しくて」

P「ああ、わかった」

P「琴葉、プロダクションの調子はどう?」

琴葉「うん、新しく入った子達が優秀で、私がいなくても大丈夫なくらい」

P「そんなことはない、琴葉はプロダクションに必要なプロデューサーだ」

琴葉「ありがとう、そう言ってくれると嬉しいな」

P「…それで、俺に話しって?」

琴葉「あ、うん…実は…その…」

琴葉にしては珍しく歯切れが悪い

P「琴葉?」

琴葉「…」

太陽が傾き、あかね色に染まった事務所で窓を背にした琴葉が俺を見つめる

その頬は赤くなっており、これではまるで…

琴葉「Pくん、お願いがあるの」

P「あ、ああ」

琴葉のお願い…一体何だろうか

琴葉「私と…」

目を瞑り一息置く

そして

琴葉「私と、付き合ってください」

はっきりとそう言った

短いけど一旦ここまで

P「………え!?」

琴葉の口から紡がれた言葉に混乱する

つ、付き合うってあれがそれしての付き合うだろうか

P「こ、琴葉、付き合うって…」

琴葉「うん…その…私と、お付き合いしてほしいなって」

P「な、なんで急に?」

琴葉「それは…」

P「…何か、理由があるのか?」

琴葉「…」

P「琴葉がいきなりこんなことを言い出したってことは何か理由があると思う」

P「もし俺に出来ることなら協力してあげたい」

P「だけど理由がわからなければ協力も出来ない」

P「だから、教えてくれないか?」

琴葉「そうね…Pくんにお願いするのに理由を明かさないなんて卑怯よね」

琴葉「…実は私、演技の道に進もうと思ってるの」

P「将来の話?」

琴葉「うん…それで、色々と勉強をしているんだけど…」

琴葉「恋の演技が出来なくて…」

P「恋の演技?」

琴葉「私は男の人を好きになったことが無いから、恋する女の子の気持ちがわからないの」

琴葉「だからその…一番仲の良い男の子のPくんに手伝ってほしくて」

P「なるほど」

P「…付き合うことは出来ないけど、手伝うことは出来る」

琴葉「良いの?」

P「ああ、プロダクション途中で投げ出しちゃったしこれくらいはな」

琴葉「Pくん、ありがとう…」

P「ただ手伝うとは言ったものの、何をすれば良いんだ?」

琴葉「今日はその、私と一緒に街に出て欲しいの」

P「わかった」

一旦ここまで

おつおつ。

そういう事か
ちなみにこの√の琴葉はPに対する恋愛感情は完全に無しって事でおk?
恵美がその事を知ってるかどうかで今後の展開が変わって来ると思われ

>>276
「現時点」では恋愛感情はあんまりない

P「それで、どうするんだ?」

琴葉「ちょっと待って」

琴葉が可愛らしい手帳を取り出し、何かを確認する

琴葉「えーっと、まずは…」

手帳と睨めっこすること数分

琴葉「よし、まずは待ち合わせからやりましょう!」

P「ま、待ち合わせ?」

琴葉「うん、やっぱり待ち合わせは重要みたい」

P「その情報は、どこから?」

琴葉「百合子ちゃんから借りた本とか、お芝居とかのデ、デートシーンとか」

琴葉「後は百合子ちゃんが言ってたの、夢で凄く楽しいデートをしたって」

P「…百合子」

何だろう、初めて聞く名前の筈なのに前から知っているような…

琴葉「だからまずは待ち合わせから始めようと思って」

琴葉「えーっと、待ち合わせの台詞は…」

P「…」

時折見る夢、俺だけど俺じゃない誰かの夢

あの経験が俺の中にあるなら…いけるはずだ

P「琴葉」

琴葉「どうしたの?」

P「待ち合わせは無し」

琴葉「え?」

P「型にはまったことをいくらやっても猿真似にしかならないよ、だからさ」

P「琴葉が楽しみたいことをやろう」

琴葉「私が楽しみたいこと?」

P「そう、どうせ演技をするなら楽しんだ方が良い」

P「だから琴葉が本当にデートをするとしたら、どんなことがしたいか」

P「それをやってみると良いんじゃないかな」

琴葉「私がデートをするとしたら…」

琴葉は少し考えた後

琴葉「…うん、ちょっとやってみる」

一旦ここまで

765学園の琴葉は超が付くほどの鈍感
自分が男子から人気があることに気付いてないし海美や恵美のPへの好意にも気付いてない

琴葉「その、色々見て回りたいんだけど…良いかな?」

P「もちろん」

琴葉「ありがとう」

琴葉の言葉通り色んな店を見て回る

街には様々な種類のものが売っており、見て回るだけでも楽しい

琴葉「あっ、あれは…」

40m級の宇宙用ロボを見ていると琴葉が何かを見つけたようで、声を上げた

P「何か見つけた?」

琴葉の視線を追うと、そこにはアイスクリーム屋があった

P「アイスクリームか…」

そういえばあれ、まだあったかな

財布の中を確認する

使ってないから財布に入ってる筈なんだが

少し財布の中を探す

…あった

去年千鶴先生にもらったアイスクリームの引換券

P「琴葉、アイス食べないか?」

琴葉「そうね…食べたいなぁ」

P「じゃあ注文しに行こう」

二人でアイスの列に並ぶ

琴葉「何にしようかな…♪」

心なしか楽しそうな琴葉を見ていると俺も楽しくなってくる

P「俺はこれにしようかな」

琴葉「うーん…どれも美味しそうで迷っちゃうな…」

P「全部食べられたら良いのにな」

琴葉「うん、凄くそう思う」

その後琴葉は注文を決め、俺達はアイスを注文した

琴葉「ん~!甘くて美味しい♪」

P「やっぱりアイスは良いな」

琴葉「うん、駄目だってわかってても夜中に食べちゃったりするの」

P「へ~」

琴葉「蓋に付いたアイスが勿体なくて、たまに舐めたくなったりするの」

P「ちょっと意外だな」

琴葉はそういう行儀悪いことは嫌いだと思ってた

琴葉「…もう1カップいこうかな」

P「早いな」

考え事をしているうちに琴葉はあっという間にアイスを食べ終わっていた

P「よし、そろそろ行こうか」

アイスを食べ、しばらく雑談していた俺達だったがそろそろ暗くなり始めたので伝票を持ち席を立つ

琴葉「あ、Pくん、アイスのお金」

琴葉が財布を取り出すが

P「大丈夫、気にしなくて良い」

俺はそれを断り、引換券で会計を済ませた

琴葉「さっきの引換券って…」

P「ああ、去年のやつだよ」

P「去年、アイスを食べに行く約束をしたのに破っちゃったからこれくらいはさ」

琴葉「あ…覚えててくれたの?」

P「ああ」

琴葉「Pくん…」

琴葉「それならまた一緒に、アイス、食べたいな」

P「約束、か?」

琴葉「うん、Pくんは約束を守ってくれるよね?」

P「もちろん」

琴葉「ふふ、楽しみにしてるね」

上機嫌な琴葉と帰り道を歩く

その道中、アクセサリーの屋台を見つけた

P「お、アクセサリーの屋台だ、ちょっと見てみようか?」

琴葉「うん」

P「色々あるな」

よくあるシルバーアクセサリーではなく、櫛や髪飾りといったものが中心のようだ

琴葉「この髪飾り、可愛い」

琴葉が花をあしらった髪飾りを手に取っている

P「確かに、琴葉に似合いそうだ」

去年の和服を着た琴葉がこの髪飾りをつけた姿を想像する

…うん、とても良く似合う

よし、決めた

P「すいません、この簪をください」

琴葉の見ていた髪飾り…簪を購入する

琴葉「Pくん?」

P「はい、これ」

琴葉に買った簪を渡す

琴葉「良いの?」

P「琴葉的には今日は初デートみたいなものだからさ」

P「何か演技のきっかけになればと思って」

琴葉「あっ…Pくん…ありがとう、大切にするね」

簪を両手で包み込む琴葉

どうやら喜んでくれたようだ

琴葉「ここまでで大丈夫」

P「わかった」

琴葉を家まで送り届ける

琴葉「Pくん、今日はとても楽しかった」

琴葉「途中から演技だって忘れるくらいに」

P「俺も、楽しかったよ」

琴葉「…Pくんさえよければ、また一緒に…」

P「大丈夫、約束、しただろ?」

琴葉「…うん!」

P「またいつでも、遊びに行こう」

琴葉「私、次が待ち遠しい」

P「俺もだ」

二人で笑いあう

琴葉「Pくん」

P「ん」

琴葉「お休みなさい、また明日」

P「ああ、また明日」

琴葉が家に入るのを見届けた後、俺は満ち足りた気持ちで帰路に着いた

翌日

恵美「おはよー琴葉」

琴葉「おはよう、恵美」

恵美「あれ、今日はいつもと髪型違うじゃん」

琴葉「ちょっと変えてみたの」

恵美「へ~…あれ、その簪は?」

髪型を変えるだけで無く、普段とは違うものを身につける親友に興味をもつ恵美

琴葉「これ?これはね…ふふ」

恵美「なんか上機嫌じゃん、良いことあった?」

琴葉「うん、昨日ちょっとね」

琴葉「この簪も昨日買って貰ったの」

恵美「へ~、誰に」

琴葉「Pくん」

恵美「…え?」

琴葉「昨日Pくんと街でデートして、帰りに買って貰ったの」

恵美「で…」

一旦ここまで

恵美「Pと…デートに?」

琴葉「うん」

恵美「…どっちから誘ったの」

琴葉「私の方から、かな」

恵美「…琴葉は、Pが(異性として)好きなの?」

琴葉「ええ、Pくんは私にとって(友達として)大切な人よ」

恵美「…っ、そう…なんだ」

琴葉「恵美?」

琴葉「恵美、顔色が悪いけど…」

恵美「大丈夫、平気だから」

琴葉「でも…」

恵美「ほんとに大丈夫だって!琴葉は心配性だな~」

笑ってごまかす恵美

恵美「アタシちょっと手洗い行って来るね」

琴葉「うん…」

恵美「じゃ、また後で」

恵美が教室を出て行く

琴葉「恵美…どうしたんだろ」

恵美「…」

まさか琴葉まで…

もう悠長なことは言っていられない

ここで動かないと、Pが手の届かないところに…

エレナはよくわからないけど、志保に琴葉

…そして海美

ライバルは多いけど、もう一歩も退く気は無い

全身全霊をかけて、Pを振り向かせてみせる

そんな決意を胸に、アタシは前に向かって歩き出した

エレナ「…」

P「…」

なんだろう、エレナにジッと見られてる気がする

エレナ「…」

P「え、エレナ」

エレナ「…ん、どうしたノ?」

P「な、何を見てるんだ?」

エレナ「ンー、窓の外」

P「そ、そうか…」

俺が窓際だから窓の外を見ているなら仕方ない…のか?

エレナ「…」

この間からずっともやもやする

何でだろう?

自分の事なのに全くわからない

理由がどうあれもやもやしっぱなしというのもあまり気分の良い物じゃ無い

エレナ「…よくわかんないネ」

Pの方を見ると、少しだけもやもやが晴れた気がした

昼休み

P「エレナ、飯食おうぜ」

エレナ「あ、うん、用意するヨー」

P「海美とか板橋も誘うか」

エレナ「…ンー…今日は2人で食べない?」

P「?良いけど」

エレナ「じゃあ…」

恵美「P」

P「うおっ、恵美か…どうしたんだ?」

いつの間にか恵美がすぐ側に立っていた

気配がまったくしなかったので少し驚いてしまう

恵美「昼、どうすんの?」

P「昼ならエレナと食うところだ、パン買ってきてるしな」

恵美「そっか、でもパンだけじゃ栄養偏るでしょ?アタシのオカズ分けたげる」

P「良いのか?」

恵美「うん、ちょっと作り過ぎちゃってさ」

P「じゃあ分けて貰おうかな」

恵美「うん、エレナも食べる?」

エレナ「…」

恵美「エレナ?」

エレナ「…あ、うん、食べるヨ」

恵美「じゃあ机をくっつけてと…」

恵美「食べよっか」

P「ああ」

エレナ「うん」

パンの袋を開けようとした時だった

琴葉「Pくん、今…大丈夫?」

琴葉が教室に入ってきた

琴葉「あ、もうお昼食べてる?」

P「いや、まだだけど…どうしたんだ?」

琴葉「ちょっとプロダクションのお手伝いをお願いしたくて」

P「プロダクションの?…ああ、そういうことか」

琴葉「もしかしたら長くなるかも知れないから、出来ればお昼は持ってきて欲しいんだけど…」

P「わかった、手伝うよ」

琴葉「ありがとう、Pくん」

P「悪い、エレナ、恵美、昼はまた今度」

恵美「あ、アタシも手伝う」

恵美がそんなことを言い出す

恵美「Pを呼ぶって事は人手が足りないんでしょ?だったらアタシも…」

琴葉「恵美…気持ちは嬉しいけど、Pくんに手伝って貰いたいのは球技大会の男子の部に関わることなの」

恵美「でも…」

P「恵美」

P「恵美の気持ちは嬉しい、ありがとな」

恵美「P…」

P「こっちは大丈夫だから、心配しないでくれ」

恵美「…うん、わかった」

エレナ「P」

ずっと黙っていたエレナが口を開く

P「どうした、エレナ?」

エレナ「あ、いや…うーん…」

妙に歯切れが悪い

P「エレナ?」

エレナ「…うん、お仕事、頑張ってネ」

P「ああ、ありがとうエレナ、頑張るよ」

一旦ここまで
ヴァンパイアガール読んでたら海美とイチャイチャしたくなってきた

エレナ「あっ…」

教室を出て行くPとコトハの背中を見送る

2人の背中が、とても遠く見えた

エレナ「…」

恵美「…エレナ」

エレナ「メグミ…」

恵美「2人で食べよっか」

エレナ「うん…」

いつも美味しく食べられるお弁当が

今日はあまり美味しくなかった

正直真剣に書こうかどうか悩んではいる>HED√FW

琴葉「Pくん、最近エレナはどう?」

P「エレナ?」

書類を整理していると琴葉にエレナの話を振られた

琴葉「うん、最近エレナが落ち込んでる気がして…」

P「…」

確かに、以前のような元気さはなくなっている気がする

P「まあ確かに、最近少しテンションが低い気はする」

琴葉「エレナは寂しがり屋だから、出来れば気にかけてあげて欲しいの」

P「それはもちろん」

エレナだって大切な友達だからな

琴葉「良かった…今朝は恵美の様子も何だか変だったし最近エレナとゆっくり話す機会が無いから少し心配だったの」

P「琴葉は友達想いなんだな」

琴葉「うん、2人は私にとってとても大切な人だから」

琴葉「もちろん、Pくんも私にとってとても大切な人」

琴葉「一緒にいたら楽しいし、ちょっとドキドキするけど…」

P「えっ」

それではまるで…

琴葉「とても大切な…友達だから」

P「あ、うん」

知ってた

琴葉「こっちはもう少しで終わるけど、Pくんのほうは?」

P「ああ、これで最後だよ」

最後の書類を琴葉に渡す

琴葉「ありがとう、特に問題は無かった?」

P「ああ、完璧だったよ、流石は琴葉」

琴葉「ふふ、褒められるとやっぱり嬉しいね」

P「他に仕事は?」

琴葉「他は大丈夫」

P「わかったよ」

琴葉「ちょっと遅くなっちゃったけど、お昼食べよう?」

P「そうだな」

正直かなり腹が減ってる

琴葉「Pくんも食べるかもって、オカズも作ってきたから」

P「ありがたい」

琴葉「それじゃあ用意するわね」

P「ああ」

琴葉と昼食を楽しんだ

エレナ「…」

恵美「…」

メグミと2人でお弁当を食べる

だけど会話はなく、お互いただ黙々と食べているだけ

だけど今のワタシにはこの沈黙が少しだけ、有難かった

エレナ「…」

恵美「…ねえ、エレナ」

エレナ「?」

メグミが話し掛けてくる

恵美「エレナはさ、Pのこと、好きなの?」

エレナ「!?…げほっ!げほっ!」

恵美「ちょっ、エレナ大丈夫?」

メグミが変なこと聞くからむせちゃったヨ

メグミに背中を擦って貰い、なんとか落ち着く

エレナ「メグミ、ありがと」

恵美「良いって…それで」

エレナ「ワタシは…」

Pの事が好きかどうか?

ワタシは…ワタシは

エレナ「…わかんないヨ」

自分の気持ちが分からなかった

恵美「…アタシは」

恵美「アタシは、Pが好き」

エレナ「…」

恵美「Pの隣にいたい、隣にいて欲しいって言って欲しい」

恵美「だからアタシは、逃げるのはやめる」

恵美「アタシはアタシ自身のために、Pを手に入れる」

恵美「…例え海美にだって、アタシは譲る気はもう無いから」

エレナ「…どうしてそれを、ワタシに?」

恵美「なんでかな、ただ…」

エレナ「ただ?」

恵美「遠くから眺めてるだけじゃ勝負にもならないってわかったから」

恵美「だからもしエレナもその気なら…逃げて欲しくない」

エレナ「ワタシは別に逃げてなんて…」

逃げてなんて…いないはず

一旦ここまで

球技大会は特に見所無いのでカットします

夏休みの出来事募集

提供感謝

球技大会が終わり、梅雨が明け、海水浴の日がやって来た

P「良い天気だ」

海美「そうだね!」

この日は見渡す限りの青空で、照りつける太陽がとても眩しい

海美「ね、ね、何して遊ぶ?」

P「寝る」

海美「えー!?」

P「昨日百合子と板橋に夜中中付き合わされて眠いんだよ…」

昨日の夜、百合子と冬馬に誘われひたすらダンジョンで狩りをしていた

おかげで寝不足だ

訂正>>350から

恵美「それなら良いけどさ」

エレナ「…」

恵美「エレナ、後悔だけはしないでね」

エレナ「…うん」

モヤモヤする

でも、なんでモヤモヤするのかな

メグミの口からはっきりとPへの気持ちを聞いてから、もっとモヤモヤしてきた

ワタシは…

ワタシは、どうしたいんだろう?

いくら問いかけても、答えは返ってこない

そんな想いを抱えたまま、季節は夏に移っていく

P「とりあえず俺は少し寝る」

そういって俺は借りてきたパラソルを砂浜に突き刺し、シートを敷いて寝転がった

海美「あ、じゃあ私も一緒に寝て良い?むしろ添い寝したい!」

P「阿呆、こんな暑さで添い寝されたら蒸されて死ぬわ」

P「俺のことは良いから適当に遊んで来いよ」

海美「うー…」

どこか不満そうな顔で海美が歩いていく

海美がある程度離れたのを確認すると、俺は欠伸をして目を閉じた

眠気はすぐに襲ってきた

P「…ん」

何かが身体にのし掛かっているような違和感を覚え、目を覚ます

身体が、正確には首から下全体が重い

起き上がろうとするが身体が動かなかった

まるで身体全体が固められているような…

P「なんだ…?」

状況確認のため頭だけを起こして身体を見ると

首から下が砂で固められていた

P「な、なんだこれっ!?」

砂で身体を固められた状況に戸惑う

「あ、起きた?」

さっきは気付かなかったが、俺の側に誰かがいた

P「お前…」

声のした方を見ると

エレナ「エヘヘ、Pを埋めちゃったっ!」

エレナがハンドスコップで砂を叩いていた

P「エレナ」

なんだか久しぶりにエレナが笑っているところを見た気がする

エレナ「どう?出られないでしょ!」

P「ふん、このくらいの砂!…このくらい…」

P「…」

思ってたより重い

エレナ「これでイタズラし放題だネ」

そういって俺の鼻を突く

P「こ、こら、やめろ」

エレナ「つんつん♪」

楽しそうに俺の顔を突くエレナ

ここ最近見れなかった、楽しそうな笑顔だ

楽しい

Pと遊んでいると、凄く楽しい

今日は全然モヤモヤしない

エレナ「♪」

Pはワタシのイタズラにちょっと困った顔をしながらもなんだかんだで相手をしてくれてる

だからワタシはもっと遊びたくなる

エレナ「砂、重い-?出して欲しい?」

P「俺を舐めるなよ、このくらいの砂なら時間をかければ…!」

Pが歯を食いしばって力を込めると固めた砂にヒビが入る

エレナ「おー、P凄いネ!」

P「ふふん」

エレナ「でもまだダメだヨー」

ワタシはPの身体を固めている砂に覆い被さる

P「ぬあ!?え、エレナ!卑怯だぞ!」

エレナ「ふふーん♪Pがワタシの言うことを一つ聞くなら出してあげるヨー♪」

P「ぐぬぬ…」

ちょっとイジワルだったかな?

P「…はあ、仕方ないな、わかったよ」

エレナ「え?良いの?」

P「ああ、買い物とかなら付き合うよ」

エレナ「やた!約束だヨ!」

Pと買い物

もう何度も行ってるのに

とても嬉しく思えた

一旦ここまで
しばらくエレナのターン

P「それじゃあ出してくれ」

エレナ「やだ」

P「は?」

エレナ「今日はこのまま遊ぶヨー」

P「ちょ、ちょっと待て!俺言う事聞くって言っただろ?」

エレナ「うん、だからワタシの命令は、このまま遊ぶ事だヨー!」

P「な、なら買い物は!?」

エレナ「Pが勝手に言ったことだもん♪」

P「は、謀ったな!」

エレナ「ふふーん♪」

エレナ「そ・れ・じゃ・あ」

エレナが舌舐めずりして俺に覆い被さる

P「え、エレナ」

エレナ「どうやってイタズラしよっかなー♪」

エレナの顔や胸が近くにあり、ドキドキする

普段でもこんなに近付かれたら間違いなくドキドキするのに今は水着だから尚更だ

エレナ「えいっ、えいっ」

エレナが俺の顔で遊ぶ

俺はドキドキを落ち着かせるため、目を閉じエレナの好きなようにさせるのだった

エレナ「むー…」

Pが目を閉じて力を抜いちゃったから反応が鈍くなったヨ

エレナ「…」

目を閉じて抵抗しないP

それが今目の前にいる

エレナ「…」

目を閉じるPの頬に手を添える

それだけなのに凄くドキドキする

エレナ「…ネ、P」

声をかけるが返事はない

集中してるみたい

なら

ちょっと大胆なイタズラ、して良いよネ?

姿勢を変えて顔を近付ける

Pの顔とワタシの顔がどんどん近付いていく

お互いの息がかかるくらいの距離

そして

一瞬、唇に何か柔らかい感触があった

その感触に目を開く

目の前に口元を隠したエレナがいた

P「い、今何をしたんだ」

エレナ「…」

P「エレナ?」

問いかけるがエレナは答えない

エレナは黙ったまま立ち上がると、後ろを向いてしまった

P「ふんっ!」

気合を入れて砂を崩し、立ち上がる

P「エレナ、さっきのは…」

エレナ「…」

P「エレナ」

エレナ「なーんちゃって!」

P「ほ?」

振り返ったエレナはイタズラっぽい笑みを浮かべていた

エレナ「イタズラ大成功だヨー!」

P「な、何をやったんだ?」

エレナ「Pが余りにも無防備に目を瞑ってたから、唇に手のひらを当てたノ!」

P「手のひら…」

じゃああの感触は手のひらだったのか…

一瞬でもキスと勘違いしてしまった自分が恥ずかしい

エレナ「なんだと思った?」

P「い、いや…何でも良いだろ」

エレナ「にひひ」

からかうように笑うエレナ

P「お、俺はちょっと泳いでくるからな!」

恥ずかしくなってきたので逃げるように海に向かって走った

エレナ「~~~!」

Pの姿が見えなくなった後、パラソルの下にしゃがみ込む

なんであんなことを…

最初は本当に手のひらを当ててからかうつもりだったのに

なんでワタシは…

自分の唇に触れる

初めての感情がワタシの中に渦巻いて、ぐちゃぐちゃになりそうだった

最近色々と自分の事が分からなかったけど、今日はますます分からない

今日一段と変だったのはきっとこの暑さのせいだ

太陽に手を翳して空を見る

雲一つ無い空に太陽は輝いていて

悩みも吹き飛んじゃいそうな、そんな気がする

そんな青空を見ていると

誰かが近付いてきた

恵美「エレナ」

エレナ「メグミ、どうしたノ?」

恵美「ちょっと話したいことがあるんだけど」

一旦ここまで

君達は恵美を何だと…

夏休み

家でごろごろするつもりだったのだが…

俺は学園の教室にいた

P「ったく…だからあれほどちゃんと勉強しろと」

海美「だってー…」

P「だってじゃない」

海美がテストで全教科赤点を叩き出したため、夏期講習に付き合わされていた

P「しかし…」

課題を始めてすぐに頭から煙を噴いている海美ともう1人

P「お前まで赤点取るとはな」

エレナ「あはは…やっちゃったヨ」

P「海美じゃあるまいし、普段は赤点なんて取らないだろうに」

机に突っ伏して機能停止した海美の旋毛を指でぐりぐりして再起動させる

エレナ「うーん…ちょっと寝不足だったからかナー」

P「寝不足?」

そういえばテスト前ちょっと元気なかったっけ

P「なんか悩み事か?」

エレナ「…なんで?」

P「いや、眠れないってことは何かあるのかもって思ってさ」

エレナ「ンー…大丈夫」

P「そうか?」

エレナ「うん」

P「ま、相談したくなったらいつでも言ってくれよ、いつでも力になるからさ」

エレナ「ありがとう」

海美「じゃあ私の力になって!この課題の答え教えて!」

P「うるさい自分でやれ」

文句を言いつつもウミの課題の解き方を教えるP

なんだかんだで甘やかされてるネ

ワタシはワタシで自分の課題に目を落とす

だけど問題なんか頭に入ってこない

ワタシの頭を占めているのは、あの日…海水浴でのメグミとの会話だった

恵美『アタシは、夏休みにPに告白する』

エレナ『…どうして、それをワタシに?』

恵美『見てたから』

エレナ『えっ』

恵美『さっきのイタズラ、アタシ見てたから』

恵美『やっぱりエレナもPの事が好きだったんだね』

エレナ『ち、違うヨ-、あれはブラジル式の挨拶で…』

恵美『…』

恵美『…そっか、まだ自覚ないんだね』

恵美『なんにせよ、アタシはもう後戻りはしないから』

恵美『もし…もしエレナがPに対して恋愛感情が無いなら』

恵美『アタシを応援してほしい』

エレナ『それはもちろん、ワタシはいつだってメグミを応援してるヨ』

エレナ『だからPとメグミがカップルになったら…』

なったら…なんだろう、凄く胸が痛い

エレナ『…』

恵美『…エレナ、ありがと』

恵美『話はそれだけ、じゃあまた』

エレナ『…うん』

胸が苦しい

メグミとPが付き合う未来を想像すると、張り裂けそうになる

…どうして

どうしてワタシは、大切な友達の気持ちを

応援出来ないのだろう

どうして

ほんの少しでも、失敗して欲しいと思ってしまったのだろう

一旦ここまで

「…ナ」

あの時に抱いてしまった気持ちを、ワタシは嫌悪していた

友達の気持ちを応援出来ないどころか失敗を望むなんて

「エレナ」

最低以外の何ものでもない

「エレナ!」

突然の叫び声に、思考が現実に引き戻された

P「大丈夫か?」

エレナ「え?あ…」

P「急に考え込み始めて、妙に辛そうにしてたぞ…どうしたんだ?」

エレナ「…」

P「…もしかして、調子でも悪いのか?」

エレナ「調子は…うん、大丈夫だヨ」

P「ちょっとジッとしてろよ」

そういうとPはワタシの額に手を当てた

エレナ「!?」

P「んー…微妙に熱っぽくないか」

エレナ「ぴ、P!」

額に手を当てられただけなのに顔が一気に赤くなる

P「顔が赤いな…風邪の引き始めかもしれないな」

Pはワタシの額から手を離した後

P「エレナ、帰る準備をしといてくれ、今日は大人しく寝てた方が良い」

そういって教室から出て行った

額に手を当てられただけなのに、まだ顔が赤く、頬が熱い

今まではこんなこと無かったのに…

海水浴であんなイタズラをしてからまともにPの顔が見られなくなっていた

エレナ「うー…」

心臓がすごくドキドキして止まらない

一旦落ち着こう…

ワタシは深呼吸して、気持ちを落ち着かせる

気持ちを落ち着かせていると、Pが戻ってきた

P「早退の許可が出たから、今日は帰ろう」

海美「うん!帰る!」

P「お前の許可は出てないからな」

海美「そんな~」

P「当たり前だろう」

P「エレナ、送ってくよ」

エレナ「え?」

P「もし途中で倒れたら困るだろ?」

エレナ「あ、うん…」

カバンを持って、席を立つ

そして歩き出そうとしたとき、注意力散漫だったからか自分の足に引っ掛かり、前のめりに倒れそうになった

エレナ「アレ?わわわっ!」

P「エレナ!」

顔面直撃コースだったけど、衝撃はこなかった

代わりに、あの時と…スポッヂャでPに抱かれた時と同じ感触があった

P「大丈夫か?」

エレナ「…うん」

Pの胸板に顔を埋める

…すごく落ち着く

もう少しこうしていたかったけど、ワタシは身体を離した

エレナ「助かったヨー」

P「足元が覚束ないならタクシー呼ぶか?」

エレナ「ううん、大丈夫」

ワタシは大丈夫なことを証明するために、一歩踏み出そうとして

エレナ「あ、アレ?」

腰が抜けて上手く歩けなかった

P「本当に大丈夫か?」

エレナ「あ、あはは…大丈夫じゃないかも…」

P「仕方ない、ほら」

Pがワタシの前で背を向けてしゃがみ込む

エレナ「?」

P「校門までならおぶるからさ、そこからはタクシーを呼ぼう」

エレナ「お、おんぶ?ちょっと恥ずかしいヨ」

P「大丈夫だ、今は夏休みだし学園にいるのは琴葉達くらいだ」

そういう問題じゃない

だけど本当に心配してくれているのが分かるから、無碍にも出来ない

エレナ「…はあ、わかったヨー」

ワタシはPの背中に乗る

…思ってたよりも、大きな背中だ

P「よし、行くか」

Pがワタシを背負って立ち上がった

海美「ねえP!帰ってきたら私もおんぶして帰ってよ!」

P「良いぞ、俺が帰ってくるまでに課題を終わらせてたらな」

海美「…………………………無理!」

P「笑顔で言うな、やれ」

海美「ううー…」

ワタシを背負ったまま、Pが教室を出た

校門に到着し、Pがスマホを取り出してタクシーを呼ぼうとする

だけど

エレナ「ネ、P」

P「ん?」

エレナ「嫌じゃなかったら…このまま帰りたいナ」

P「おんぶしたまま?」

エレナ「…うん」

P「…わかった、良いよ」

エレナ「ありがとう」

Pに背負われて帰り道を進む

かなり新鮮な体験だ

エレナ「…Pの背中、大きいネ」

P「そうか?」

エレナ「うん…」

この背中に、ワタシが今抱えている想いを吐き出したくなる

だけどそれはメグミの気持ちを踏みにじるのと変わらない

だからワタシは、Pの背中に頭を押し付けて、気持ちを飲み込んだ

P「着いたぞ」

エレナの家の前に到着した

エレナ「鍵、これだヨー」

P「ん」

エレナから鍵を渡され、玄関を開錠する

P「お邪魔します」

エレナの家に上がり、部屋まで運んだ

着替えるためにエレナの部屋から出た後、扉の前で待つ

数分後、寝間着になったエレナが部屋の扉を開けた

P「熱はないみたいだけど、念の為ちゃんと温かくしておくんだぞ?」

エレナ「うん」

エレナをベッドに寝かせ、布団をかける

エレナ「♪」

P「ん、なんか機嫌良いな」

エレナ「うん、なんだか新鮮だからネ」

P「…そっか」

流石に布団に入った女の子がいる部屋に長居するのも失礼なので立ち上がる

P「それじゃあ俺は帰るよ」

エレナ「…」

P「エレナ、お大事に」

そういって後ろを向いたとき

俺の手はエレナに握られていた

エレナ「やだ」

P「エレナ…?」

エレナ「1人でいるのは、寂しい」

P「…」

エレナの両親は仕事、弟くんは部活

そう考えると家にいるのはエレナだけになるのか…

ジッと俺を見るエレナの目に負け、俺はベッドの傍に腰を下ろした

P「もうちょっとだけな」

エレナ「…うん!ありがとうだヨー」

エレナが眠り、弟くんが帰ってくるまで俺はエレナの傍にいたのだった

一旦ここまで

【ミリマス】765学園物語HED √PG
【ミリマス】765学園物語HED √PG - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1478784771/)
そろそろこれを終わらせるのでこっちは一旦小休止

P「それじゃあ、エレナの事お願い」

玄関からPの声がする

弟が帰ってきたようだ

少ししてからワタシの部屋の扉が開き、弟が入ってきた

調子はどう?

エレナ「ちょっと寝たら良くなったヨ」

すると弟は呆れた顔で

寝たからじゃなくてP先輩といたからだろ?

そう言った

エレナ「そ、そんなことない!」

赤くなってるからバレバレだって

エレナ「こ、これはそう!布団を被ってたからその熱だヨ!」

なんで認めたがらないのかわからないけど、そんなんじゃP先輩誰かに取られるんじゃない?

エレナ「…え?」

今日はじめて会ったけど、普通に良い人だったし、他にも先輩の事好きな人がいてもおかしくないでしょ

Pがいなくなる…そう考えると胸が締め付けられるように痛んだ

エレナ「で、でも、それじゃあメグミとウミが」

友達に遠慮して、譲って一生後悔するなんて馬鹿らしくない?

そんな風に好きな人を譲り合うのが友達なら俺は友達なんか要らないネ

エレナ「…でも、ワタシは」

メグミを応援するって約束したし…

あーもう鬱陶しいな

いつまでもぐずぐずしてないでさっさと先輩に告白すれば良いだろ

エレナ「でも、ワタシまだPの事が好きかどうかわかんないヨ…」

…は?冗談は片言だけにしてくれよ姉さん

あんだけ先輩の話しばっかりしてて好きかどうかわかんないってあり得ないだろ

エレナ「そ、そんなにしてないヨ!」

してるから、姉さんの話をずっと聞かされた父さんと母さんはもう先輩に会う気満々だからな?

エレナ「ええ…」

そんなことになってたなんて

我が姉ながら面倒な奴…とにかくさ、逃げるんじゃ無くて自分の気持ちに素直になりなよ

エレナ「…逃げる」

メグミにも言われた言葉だ

今のワタシはそんなに逃げているんだろうか?

弟は立ち上がると扉を開けた

じゃあ、俺戻るから何かあったら呼んでよ

エレナ「うん」

弟が部屋から出て、再びワタシは独りになる

ワタシは…逃げてる

少なくともメグミや弟に言われた以上はそう見えているのは間違いない

だけど、どうしてワタシは逃げてるんだろう?

Pから、逃げる理由なんか無いはずなのに

ワタシは…

ワタシは…Pの事が好きかどうか確かめるために、答えを出そう

そうじゃないとメグミを心から応援出来ないから

Pへの気持ちに答えを出して、全力でメグミを応援する

それがワタシに出来る事だから

痛む胸を押さえながら、ワタシはそう決意した

一旦ここまで
エレナ弟とかいうオリキャラ

翌日の補習

エレナ「おはようだヨ-!」

P「お、エレナ」

海美「すっかり元気だね!」

エレナ「おかげさまでネ」

P「あんまり無理するなよ?」

エレナ「うん」

…うん、普通に話せてる

なんにも問題なんて無い

やっぱりここ最近は体調が悪かっただけ

エレナ「ねえねえP」

P「ん?」

エレナ「明日暇?」

P「暇だぞ」

海美「明日も私補習あるけど!」

P「うるさい」

エレナ「暇ならちょっと付き合って欲しいヨー」

P「良いぞ」

エレナ「メグミも来るから」

P「恵美も?了解」

エレナ「それじゃあ集合場所は…」

集合場所を伝えようとした時、教室の扉が開いてコトハが入ってきた

エレナ「コトハ」

琴葉「おはようエレナ、海美、Pくん」

P「おはよう」

海美「おはよう琴葉!」

琴葉「Pくん、今時間は大丈夫?」

P「ああ」

琴葉「少し事務所に来て欲しくて」

P「プロダクションの手伝いだな?わかった」

Pが席を立つ

P「悪いエレナ、また後で」

エレナ「あっ…」

また、胸が痛み始める

琴葉「ごめんね、エレナ」

Pとコトハが教室から出て姿が見えなくなる

…どうして

未だ痛み続ける胸に問い掛けても答えは返ってこない

琴葉「エレナ、やっぱり調子悪いみたい」

P「何が原因なんだろう」

プロダクションに向かいながらエレナが不調な原因を考えるが、単なる体調不良以外の答えは出て来ない

琴葉「…やっぱり、寂しいのかも」

P「寂しい?」

琴葉「うん、エレナは明るく振る舞ってるけど本当はすごく寂しがり屋なの」

P「知らなかった」

琴葉「普段の言動からはそれを感じさせないから」

琴葉「だからエレナはすごいの、私なんかより、ずっと」

琴葉「恵美も最近は忙しいみたいだし…」

P「恵美が?」

夏休みに入ってから毎日暇かどうか聞かれてるが…まあ今は置いておこう

琴葉「Pくん」

P「大丈夫」

琴葉「え?」

P「俺が必ずエレナを元気にしてみせる」

P「俺はエレナの笑顔が好きだからな」

琴葉「Pくん、ありがとう……っ?」

P「琴葉?」

琴葉「何でも無い、大丈夫」

琴葉「それじゃあ事務所に行きましょう?」

P「ああ」

琴葉「…」

一旦ここまで
そろそろいちゃいちゃを書かないと死んでしまう

今のは…何?

Pくんがエレナの笑顔が好きだって言ったとき、胸が痛んだ

何かの病気…?

最近忙しかったら、体調が悪いのかな

…もし私が体調を崩したら、Pくんは心配してくれるだろうか?

昨日エレナを背負って帰るPくんを見たとき、少しエレナが羨ましかった

私が熱を出しても、同じように背負ってくれるのかな…

P「こんなところか」

琴葉「ありがとうPくん、おかげさまで助かったわ」

茜「いやーPちゃんがいると仕事が捗るねぇ!茜ちゃんも手抜き…力をセーブ出来るよ!」

P「言い直せてないからな、茜」

百合子「でもやっぱり男の人がいると違いますね、力仕事をお任せできますし」

伊織「そうね、ねえP、この伊織ちゃんが特別にあんたを雑用としてプロダクションに置いてあげても良いわよ?」

P「寝言は寝てから言えば良いって思うな、デコちゃん」

伊織「誰がデコちゃんよ!」

プロダクションの業務が尾張、それぞれが自由に帰宅する

俺は琴葉が施錠するのを待ってから、一緒に歩き出した

P「相変わらずプロダクションは賑やかだな」

琴葉「そうね、忙しいけどとても楽しい」

琴葉「…」

P「琴葉?」

琴葉が急に黙り込んだ

P「どうしたんだ?」

琴葉「…ねえ、Pくん」

琴葉「伊織ちゃん程じゃないけど、私も同じ事を思ってるの」

P「伊織ちゃんと同じ事ってことは…俺を雑用としてプロダクションに置いておくって?」

琴葉「そうじゃないの、でも」

琴葉「私はPくんに、プロダクションにいて欲しい」

琴葉「Pくんと一緒に仕事がしたいの」

P「…」

琴葉「まだ、マネージャーは空席だから…」

P「琴葉…」

琴葉「残された時間は少ないけど、私はPくんと一緒にこの765学園を良いところにしたい」

琴葉「だからPくん、あなたをマネージャーにスカウトします」

一旦ここまで

P「琴葉…」

琴葉はまっすぐ俺を見つめている

強い意志の宿った瞳で俺を見据え、俺の答えを待っている

P「俺は…」

琴葉から目を逸らす

一度逃げた俺がもう一度戻る事なんて許されるはずが無い

きっとまた責任感や劣等感に押し潰されて逃げてしまう

だから俺は…

琴葉「Pくん」

いつの間にか琴葉がすぐ近くに来ていた

琴葉「逃げないで」

俺の手を取り、琴葉はそう言った

琴葉「Pくんが責任を持ちきれないなら、私が支えるから」

琴葉「一人じゃ持てなくても、二人なら持てるから」

琴葉「だから、逃げないで」

琴葉「私が不甲斐なかったからPくんに負担を押し付けて、それで疲れたのはわかってる」

琴葉「でもPくんがいなくなってから、私はまるで胸にぽっかり穴が空いてしまったような感覚があって」

琴葉「私にはPくんが必要だって、わかったの」

琴葉「これは私のわがままだってわかってる、だけどPくんがいないと、私は…」

P「琴葉…」

琴葉「お願い、Pくん」

琴葉「私を最後まで、プロデューサーでいさせて欲しい」

琴葉の言葉が、俺を貫いていく

琴葉は、偽ること無く本心をぶつけてきている

そんな琴葉が、俺には眩しかった

どうして琴葉はこんなにも真剣になれるんだろう

プロダクションに…琴葉の隣にいれば俺もそれが見つけられるのだろうか

P「…退社まで、後二ヶ月足らずだっけ」

琴葉「うん…私達の任期は、9月末までだから」

P「わかった」

見つけられるにせよ、見つけられないにせよ、俺は琴葉と約束したんだ

何かあったら、必ず手伝うと

P「俺に何が出来るかはわからないけど、もう一度やってみるよ」

琴葉「それじゃあ…!」

P「そのスカウト、受けるよ」

琴葉「ありがとうPくん!」

俺の答えを聞いた琴葉は感極まったのか、俺に抱き着いてきた

P「こ、琴葉!?」

急に抱き着かれて混乱する

琴葉の匂いや柔らかさがダイレクトに伝わってきてドキドキしてしまう

琴葉「あ、ご、ごめんなさい、つい…」

P「い、いや、大丈夫だ」

抱き着いた琴葉も、抱き着かれた俺も赤くなっているのがわかる

琴葉「そ、その、改めてよろしくお願いします、Pくん」

P「あ、ああ、よろしく、琴葉」

エレナ「…」

偶然だった

本当にただのきまぐれで

補習が終わって、Pを迎えに行ったら

Pとコトハが抱き合っていた

それを見たとき、ワタシは咄嗟に隠れて

二人のやりとりを眺めてた

だけどだんだんと胸の痛みが強くなって

今はもう、一歩も動けなかった

一旦ここまで

廊下にしゃがみ込んだワタシに、誰かが近付いてくる

その足音に顔を上げると、メグミがワタシを見下ろすように立っていた

恵美「エレナ」

エレナ「メグミ…」

恵美「話したいことがあるからさ、ちょっと移動しよっか」

そう言って恵美が手を差し伸べてくれる

ワタシはその手を取って、立ち上がった

恵美「とりあえずさ、二人になれるところに行こっか?何処が良い?」

エレナ「んー…恵美に任せるヨ」

恵美「じゃあさ、エレナの家行こっか」

エレナ「うん」

メグミと一緒にワタシの家に行く

エレナ「はい、お茶」

恵美「ありがと、いやー暑いね」

エレナ「そうだネ」

恵美「ふう…」

恵美はお茶を飲んで一息吐いた後

恵美「それじゃ、早速本題に入ろっか」

そう言った

恵美「アタシはPが好き、それは今も変わらない」

恵美「この夏休みに、必ず振り向かせてみせる」

恵美「でもさ、琴葉に先手を打たれちゃってさ」

恵美「一応夏休みに入ってから毎日Pの予定を聞いてたんだけど、中々上手くはいかないね」

エレナ「コトハ…」

廊下で抱き合ってた二人が、目に焼き付いて離れない

恵美「…琴葉がさ、Pをプロダクションにスカウトしたの、見たよね」

エレナ「…うん」

恵美「琴葉も、Pの事好きみたい」

エレナ「…」

恵美「ま、琴葉の事だから自覚はしてないみたいだけど…」

恵美「ねえ?エレナ」

エレナ「そうだネ…コトハはドンカンだから…」

恵美「…鈍感はもう1人いるけどね」

恵美「ねえ?エレナ」

エレナ「…」

恵美「…エレナさ」

エレナ「?」

恵美「前に自分の気持ちが分からないって言ってたよね」

恵美「それは今も変わらない?」

エレナ「…うん」

恵美「そっか」

恵美「…」

メグミが腕を組んで目を瞑る

恵美「…いつまで逃げてんのさ」

エレナ「えっ」

顔を上げたメグミは、怒っているように見えた

恵美「あんなところで胸を押さえて蹲ってさ」

エレナ「あれは…」

恵美「胸が痛かったんでしょ?まるで刺されてるみたいな、締め付けられてるみたいな」

恵美「アタシも経験あるからね、それくらいわかる」

エレナ「…」

恵美「エレナさ、Pの事が好きなんでしょ?」

エレナ「…わから」

恵美「分からないってのは無しだからね」

エレナ「…っ」

恵美「海での事とか、今日の廊下での事とか…なんで自分の気持ちを否定してんのさ」

エレナ「う、海での事とはただのイタズラだヨ-、深い意味は…」

恵美「エレナはイタズラで好きでもない男とキスすんの?」

エレナ「それは…」

恵美「前にも言ったよね、逃げて欲しくないって」

恵美「もしエレナがアタシを理由に自分の気持ちから逃げてるのなら…アタシはエレナを許さない」

恵美「アタシを舐めるな!」

恵美「アタシは誰かに譲ってPを譲って貰っても嬉しくなんか無い!ただ惨めになるだけ」

恵美「アタシはアタシの手で、Pを振り向かせる!」

恵美「例えそれで琴葉や海美と争うことになっても、アタシは遠慮も容赦もしない」

恵美「2人をねじ伏せてでも、アタシは前に進むって決めたんだ」

エレナ「メグ…ミ…」

恵美「それでもまだ逃げるなら…」

メグミが席を立つ

恵美「アタシ達は、友達じゃない」

エレナ「っ!」

弟に言われた言葉とメグミに言われた言葉がワタシを責め立てる

恵美「…」

エレナ「ワタシは…」

恵美「…じゃあね、エレナ」

メグミが靴を履いて、出て行く

ワタシは1人、部屋に取り残された

一旦ここまで
胃がいたたたたたた

恵美「…意気地無し」

自分の気持ちに気付かない振りをして、自分をあそこまで追い込んで壊れそうになってる

ちょっと前のアタシと同じだ

正直あんな状態のエレナを1人にしておくのは危険だと思う

だけど誰にも本人も認めていないエレナの気持ちを認めさせることなんて出来やしない

それが出来るとしたらただ一人だけ

恵美「…ほんと、ウチら全員面倒くさいね」

琴葉もアタシもエレナも、みんなみんな面倒くさい

恵美「この先、どうなるのかな」

少し先の誰も分からない未来

願わくば彼の隣にいるのは自分でありたい

だけど彼の気持ちが分からない以上は過度な期待は持てない

恵美「…」

みんなが笑って過ごせる未来なんて来ないのは分かってる

彼がアタシ達以外を選ぶ可能性も高い

だけど…

せめて悲しみの少ない未来を選び取ろう

例え傷付いても、笑って思い出に出来るような、そんな未来を

…ねえエレナ

アタシはエレナと友達でいたいよ

翌日

昨日メグミに言われた言葉が耳から離れなかった

恵美『アタシ達は友達じゃない』

どれだけ振り払おうとしても、ワタシを責めるように耳に残っていた

ワタシはあの時、どうすれば良かったんだろう

そんなことばかり考えてしまう

そんな時、携帯が鳴った

ディスプレイに表示された名前は…Pだ

エレナ「…もしもし?」

P『おはようエレナ、今時間良いか?』

エレナ「…うん、大丈夫だヨー」

思考がループしていたので誰かと話すのは思考をリセットするのに丁度良い

P『エレナ今日は暇か?』

エレナ「今日?うん、空いてるヨ?」

P『じゃあさ、どっか遊びに行かないか?二人で』

エレナ「えっ」

P『昨日遊びに行きたいって言ってただろ?だから丁度良いかなって』

一旦ここまで
紬ちゃんがドストライクだったので√紬(仮称)書きます

P『あ、それとも恵美とか海美とか誘った方が良いか?』

エレナ「う、ううん!二人で良いヨ」

P『了解、じゃあどこで待ち合わせる?』

エレナ「えっと、町の広場が良いナ」

P『わかった、じゃあ一時間後に町の広場に集合な』

エレナ「う、うん!」

電話を切り、Pと出かけるために身支度を整える

普段着ないような服も引っ張り出して色々と試してみる

…せっかく二人っきりの息抜きだし、思いっきり楽しまないとネ♪

エレナ「…」

町の広場に到着して時計を見る

…予定より30分も早く着いちゃった

もっと遅く着くつもりだったのに、不思議だネ

何をして時間を潰そうか悩んでいると

P「エレナ、早いな」

もうPが来た

エレナ「P、早いネ」

P「エレナこそ…もしかして待たせたか?」

エレナ「ううん、ワタシも今来た所だヨー」

P「そっか、それなら良かった」

P「それじゃあ暑いし、何処か涼しい所に行くか」

エレナ「そうだネ」

そう言って歩き出そうとしたPの服の裾を

P「エレナ?」

エレナ「え?あっ」

ワタシは無意識に掴んでいた

P「どうしたんだ?」

エレナ「え、えっと…その…」

何か、何か言わないと

エレナ「ワタシの今日の服…どうかナ…?」

P「その服は…あれか、前に琴葉と恵美と一緒に買いに行ったやつだな」

エレナ「正解だヨ-、良く憶えてたネ?」

P「よく似合ってて可愛かったからな…うん、本当によく似合ってる」

エレナ「あ、あう…」

可愛いと言われてとても恥ずかしい反面とても喜んでいるワタシがいる

P「じゃあさエレナ、お前がそれを着たときに言った言葉、憶えてるか?」

エレナ「?」

ワタシ、何か言ったカナ?

P「私とティータイムご一緒しませんか?って、憶えてないか?」

エレナ「あー、うん、憶えてるヨ」

P「だからまずはどこか喫茶店にでも行こう」

エレナ「ん、わかったヨー」

二人で近くの喫茶店に入ると

突然クラッカーが鳴った

P「!?」

エレナ「!?」

突然の騒音に二人で混乱していると奥から店長らしき人が出て来た

なんでもワタシ達は通算100万組目のお客さんらしく、スペシャルなサービスがあるんだって

エレナ「えっ」

さらにカップルにはスペシャルな企画があるらしいんだけど…

エレナ「わ、ワタシ達はカップルじゃ」

P「エレナ」

言いきる前にPが手でワタシの次の言葉を遮る

P「せっかくだし乗ってみないか?滅多に出来ない経験だし」

エレナ「で、でもPは良いノ?ワタシとカップル扱いされテ…」

P「そうだな、悪くないよ」

エレナ「P…」

そうこうしているうちに奥の席に案内された

P「しかし100万組記念か、一体何があるんだろうな」

目の前のわくわくしているPを尻目にワタシはさっきのPの発言をただひたすらに深読みしていた

…ワタシとカップルに見られるのは悪くない?それは友達だから?

だけど友達ならそんな関係じゃないって否定するはず

…わからない

エレナ「むむむ…」

色々と頭を悩ませていると最初のドリンクが運ばれてきた

思考を一旦中断してドリンクを飲もうと顔を上げると

P「」

固まっているPがいた

エレナ「P?」

固まっているPの視線を追うと

エレナ「」

ワタシも思わず固まった

ワタシ達の視線の先には、一つのグラスにハート型のストローが刺さっているドリンクがあった

一旦ここまで
昨日からずっと紬の事ばっかり考えている気がする
一刻も早くプロデュースしたい√書きたいプロデュース()したい

歌織さんはHEDの最初に新任としてやってきて今までに無かったタイプの年上キャラを発揮して優しくリードしてくるけどもプロデュース()になると苛めてくるSキャラでイメージしてるよ

√紬(仮称) パターンA
三年生の春、1人の女の子がPのクラスに転入してくる
クールな印象のその子に思わず見惚れる
エレナに誘われてグループ入りした紬だが中々馴染めずにいた、そこでなんとかみんなと一緒に楽しんで欲しいPは紬のために色々と画策する

√紬(仮称)パターンB
ある日母親から許嫁がいると伝えられるP
今は亡き父親と相手の父親は親友同士で、お互いに生まれた子供同士を結婚させることを約束していた
時を同じくして許嫁…紬はその約束のためにかつて住んでいた町に戻ってくる
しかし紬は顔も知らない相手と結婚なんかしたくないのでなんとか回避しようと画策する
紬の境遇に自分を重ねたPはその相手が自分だと気付かずに紬を手伝ってなんやかんやで恋仲に

エレナ「こ、これ」

所謂カップルドリンクというやつだろうか?

メグミが雑誌の特集で熱心に読んでいた記憶がある

P「あー…うん、これは…」

Pも想定外のものが出て来て困惑してるみたいだネ

エレナ「どうする?」

P「…飲もう」

エレナ「えっ」

P「出された以上は仕方ない、責任をもって俺が飲みきる」

エレナ「でも、結構多いヨ?」

二人で飲むことを想定しているからかかなり多い

P「それはまあ…なんとかするさ」

1人で飲むと間違いなくお腹を壊してしまう量だ

せっかく二人っきりで遊びに来たのに、お腹を壊して解散なんて嫌だ

だからワタシは

エレナ「わ、ワタシも飲むヨー」

そう言った

P「良いのか?」

エレナ「う、うん、こんなに冷たいもの飲んだらPがお腹壊しちゃうからネ」

P「悪いな」

エレナ「気にしない気にしない!じゃあ早く飲んじゃおうヨ」

P「ああ」

二人でストローを咥える

そして気付いた

これ、別に一緒に咥えなくても良かったんじゃ…

しかしここでいきなり口を離すのも失礼な気がして、ワタシはそのままジュースを飲み始めた

そしてふと、Pの顔が想像以上に近いことに気付いた

エレナ「!!」

ストローが短いから仕方ないとはいえ、Pの顔がほんの数cmの距離にあり、一気に恥ずかしくなる

頬が熱を帯び、顔が赤くなっていくのがわかる

ワタシは顔の赤さと頬の熱を誤魔化すために、急いでジュースを飲んだ

P「美味かったな」

エレナ「うん」

あの後運ばれてきた料理が想像以上に美味しかったので恥ずかしい気持ちは吹き飛んだ

P「次は…あそこに行くか」

エレナ「オッケーだヨー」

Pの指差したところ…ゲームセンターに入るワタシ達

P「そういやエレナってダーツ好きだったよな?」

エレナ「え?うん」

P「よし、じゃあダーツにするか」

エレナ「…」

ワタシ、Pとダーツに行ったことって無かったし、話も一度したかしてないかってくらいなのに…

覚えててくれたんだ

エレナ「…うん、そうだネ!ダーツで遊ぶヨ-!」

凄く、嬉しいな

一旦ここまで

P「ぐぬぬぬぬ…」

エレナ「ふふ~ん♪」

一回目の勝負が終わった

結果はワタシがPにトリプルスコアをつけて圧勝

Pは凄く悔しそうだネ

P「もう一回!もう一回勝負だ!」

エレナ「良いヨ、ワタシが勝つけど、ネ♪」

P「ふん、すぐに前言撤回させてやるからな」

二回戦が始まる

P「」

エレナ「前言撤回するのはPのほうだネ♪」

二回戦が終了し、結果はまたしてもトリプルスコア

P「何故だ…」

エレナ「ンー、Pは投げる時無駄な力が入ってるんだヨー」

P「無駄な力…?」

エレナ「そ、だからまっすぐ飛ばないんだヨー」

そう言いながらエレナが近寄ってくる

エレナ「まずは姿勢を正して」

P「!?」

まるで抱き着くような体勢でエレナが密着する

エレナ「こうやって立って、で、まっすぐ見据えるノ」

P「あ、ああ」

しかしこんな状態で集中出来るはずが無い

エレナ「もー、P、ちゃんと聞いてル?」

P「き、聞いてる聞いてる」

聞いてるけど意識は密着した部分に持って行かれている

…エレナ、柔らかいなぁ

P「ふっ」

Pがワタシが教えたフォームで綺麗に投げる

エレナ「おー流石P、飲み込みが早いネ」

P「エレナの教え方が上手いからだよ」

エレナ「えへへ~」

うんうん、これなら教えた甲斐が…………

アレ?ワタシ確か密着しながら教えてたようナ…

エレナ「」

P「え、エレナ!?」

一瞬で顔が熱くなる

エレナ「な、何でも無い、何でも無いヨ-」

何でも無いわけない

凄く心臓がどきどきして、爆発しちゃいそう

エレナ「う、上手くなったから、もう一回勝負する?」

P「俺は構わないけど、大丈夫か?」

エレナ「だ、大丈夫だヨー、なんなら賭ける?」

P「何を?」

エレナ「勝った方が負けた側にひとつ命令出来るノ」

P「良いぞ、負けないからな」

エレナ「ふふん、ワタシ、本気出すからネ」

こうして始まった三回目の勝負も佳境を迎えた

点数は僅差でワタシが勝ってるけど…

P「よしっ!これで抜いたぞ!どうしたエレナ、調子が悪いみたいだな!」

エレナ「う~…やるネ」

勝負に集中出来ていない

さっき引っ付いてた時のPの匂いとか、逞しさとかが頭から離れない

そんな時に投げたからだろうか

エレナ「あっ!?」

矢を見当外れのところに投げてしまった

P「もらったな」

そういって真ん中に矢を投げたP

ワタシの負けが決まった

一旦ここまで

エレナ「ま、負けた…」

P「っしゃあ!」

まさか負けるなんて…

P「さて、何を命令しようかな~」

エレナ「お、お手柔らかに、ネ?」

P「ふふふ…」

Pがワタシを舐め回すようにジロジロと見てくる

うう…そんなに見られるとドキドキしてくるヨ~…

P「…よし、決めた」

命令が決まったみたい

何を命令するんだロ…お、おっぱいを触らせるとか?

P「命令は…」

まあ…おっぱいくらいなら別に…良いカナ?

P「おーいエレナー聞いてるか?」

エレナ「う、うん!おっぱいなら大丈夫だヨ-!」

P「いや何の話だよ…命令を伝えるぞ?」

エレナ「あ、うん」

P「また遊びに来よう」

エレナ「えっ」

P「また二人でさ、こうやって遊ぼう」

P「それが俺からの命令、絶対守れよ~?」

エレナ「あ…うん!約束するヨ!」

P「よ~し、じゃあもう一回やるか?」

エレナ「良いヨ~!次はワタシが勝つからネ!」

P「今度も俺が勝つさ」

結局この日は、日が暮れるまで二人で目一杯遊んだのだった

エレナ「楽しかったヨ~」

P「な、なんで勝てなかったんだ」

あれからダーツ以外にもボウリングもやってどれも勝っちゃったヨ

エレナ「ふふん♪」

P「つ、次は勝つからな!」

エレナ「リベンジはいつでも受けて立ってあげるヨ~」

P「…やっぱりそっちの方が良いな」

エレナ「?どうしたノ?」

P「いや、やっぱりエレナは笑ってる方が似合うなって思ってさ」

P「ここ最近ずっと何か悩んでただろ?だから気分転換になるかなと思って連れ出したんだ」

エレナ「…ワタシのために?」

P「いいや、俺のため」

P「エレナのしょげてる顔を見てるとなんかこう…モヤモヤしてさ」

P「だから思いっきり遊んで、エレナを笑顔にしてすっきりするために誘ったって話」

そう言いながら歩くPの耳は微妙に赤くなっているように見えた

エレナ「そっかー…ふふ」

P「なんだよ」

エレナ「んーん、何でも無いヨ~」

そっか

分かったヨ、メグミ

一緒にいて楽しい

心の奥から暖かな気持ちが溢れてくる

友達と一緒にいるのとはまた違う気持ち

これが…これが

エレナ「P」

P「んー?」

エレナ「今年の夏休み、ワタシに色々付き合って貰うヨ~?」

エレナ「海での命令権はまだ生きてるからネ~♪」

P「げっ、覚えてたのか…」

エレナ「どうしよっカナ~」

P「お手柔らかに頼むぞ?」

エレナ「考えとくヨー」

P「やれやれ…」

エレナ「まずは手始めに手を繋いで帰ろうヨ~!」

P「えっ、なんで」

エレナ「んー、繋ぎたいから?」

P「まあ良いけど…うん、まあ、良いけど」

…メグミ

知っちゃったら、戻れないネ

Pと手を繋いで少し前を歩く

だってそうしないと

赤くなっただらしない顔が見られちゃうからネ

一旦ここまで

エレナ「…」

その日の夜、ワタシは友達に電話をかけた

少しのコールの後、相手が電話に出る

恵美『…もしもし?』

エレナ「こんばんはメグミ、今時間大丈夫カナ?」

恵美『うん、平気…どしたの?』

エレナ「ワタシのキモチ、話しておこうかなっテ」

恵美『…ん、聞くよ』

エレナ「今日、Pと一日遊んだヨ」

恵美『…へえ、どうだった?』

エレナ「うん、良くわかんなかったヨ!」

恵美『…エレナ、からかってんの?』

エレナ「でもね」

エレナ「Pともっと一緒にいたいってキモチは分かったヨ」

エレナ「一緒にいると心が暖かくなって…メグミやコトハ、ウミといる時とは違うキモチ」

エレナ「ワタシはこんなキモチ初めてだから何て言うキモチなのかは分からないケド」

エレナ「私はこのキモチ、離したくない」

恵美『…そっか、わかったんだ』

恵美『ねえエレナ、その気持ち、なんて呼ぶか知ってる?』

エレナ「知らないけど、分かるヨ」

恵美『そっか…じゃあさ、もう遠慮はいらないね』

エレナ「そうだネ、ワタシも全力で行くヨ」

恵美『じゃあここから先は抜け駆け騙し討ち不意打ち何でもありだから』

エレナ「それはちょっと…」

恵美『にゃはは、まあ抜け駆け以外は冗談だとして、一番大事なルールを伝えるね』

エレナ「うん」

恵美『後悔しないこと』

エレナ「…うん」

恵美『どんな結果になってもさ、好きで良かったって、自分の気持ちを褒められるように頑張ろうよ』

エレナ「そうだネ、後悔したくないもん」

恵美『誰が勝っても恨みっこ無し!ま、勝つのはアタシだけどね~』

エレナ「メグミには渡せないヨ~」

恵美『…ふふ』

エレナ「えへへ…」

恵美『それじゃあエレナ、アタシはそろそろ寝るね』

エレナ「うん、お休み!」

恵美『…ねえ、エレナ』

エレナ「どうしたノ?」

恵美『結果に関わらずさ、終わったらまた遊びに行こっか』

エレナ「!うん!」

恵美『そんだけ!じゃあお休み!』

通話が切れ、ワタシはベッドに寝転がった

メグミもウミもずっとこんなキモチだったんだネ

甘いけど、ちょっぴり苦しいこのキモチ

ワタシならきっと何年も待てないネ

きっとこの胸の中の情熱に身を焦がされて灰になっちゃう

でも

エレナ「この感じ、嫌いじゃないネ」

ドキドキして顔も熱くなるけど、楽しい

もっとPと一緒にいたい

ワタシの情熱を感じて欲しい

だから

エレナ「始めよっか、ワタシ達のカーニバルを」

エレナと遊んだ翌日

志保「兄さん」

P「ん、どうしたんだ?」

志保「恵美さんが来ていますが」

P「あ、じゃあ上がって貰ってくれ」

志保「はい」

志保が恵美を呼びに行く

そしてすぐに恵美が部屋に上がってきた

恵美「おはよ」

P「おはよう恵美、それじゃあ早速」

恵美「うん、よろしく」

昨日の夜、恵美が電話をしてきた

恵美『今年の夏休みはさ、ちょっとやりたいことがあるから課題を早めに終わらせたいんだよね』

P「珍しいな」

恵美『まあね、それでさ、良かったら課題消化するの手伝ってくんない?』

P「別に構わないが」

恵美『ありがと、そんじゃ明日朝からPの部屋に行くから』

P「ん、わかった」

テーブルを出し、恵美と一緒に課題をこなす

リビングでも良かったのだが恵美の強い要望により俺の部屋でやることになったのだ

課題を進めて一時間、時折解き方を聞く以外は喋らずに課題に集中する恵美

その横顔は思わずドキッとしてしまうくらい綺麗だった









P「ふう…」

恵美「疲れた~」

課題をやり始めてから大体8時間くらいか

かなりの時間を集中してやったおかげで2人とも課題が粗方片付いた

恵美「いや~…集中すれば終わるもんだねーんー!」

P「まあ…な」

恵美が伸びをしたときにその大きな胸が突き出されるような体勢になり、思わず見てしまう

P「…」

恵美「お?アタシの胸に興味あるんだ、触ってみる?」

P「ば、馬鹿なことを言うんじゃない」

恵美「アタシは真剣だよ」

急に恵美の声のトーンが変わった

恵美「アタシはPにならアタシの全部を捧げても良いと思ってる」

P「恵美、一体」

何を言ってるんだ、そう言う前に

恵美「…」

俺は恵美に押し倒されていた

P「め、恵美?」

恵美「…」

恵美は無言で、押し倒した俺を見つめる

恵美「Pはさ、本当に鈍感だよね」

P「何を」

恵美「アタシの気持ちにも、海美の気持ちに気付かなくてさ」

恵美「行動で示さないと、気付かないんだよね 」

P「俺は」

恵美の指が俺の喉に当てられ、そのまま胸の真ん中をなぞるように掻かれる

P「っ」

恵美「本当に嫌なら撥ね除けられるのにさ、なんで撥ね除けないの?」

P「そ、それは…」

無理矢理撥ね除けると恵美が怪我をしそうなのもあるが、何故か力が入らなかった

恵美「ねえ、P?」

P「なんだ?」

恵美「アタシがなんでこんな事してるか、分かる?」

P「…いや」

恵美「じゃあ教えてあげる、言葉じゃなくて、態度で」

そういって俺の頬に手を添えた恵美は

そのまま俺にキスをした

一旦ここまで

各√開始時のヒロイン親愛度(上限700)

√RRR 800
√FW 700
√HW 0
√BMC 0
√Pn 0

√LR 800
√TP 0→600
√PG 100
√SSL 50
√C 200
√MT 0→100

√RRR A 1000
√FW A 700
√UU A 700 900
√BMC A 700
√HW A 700
√Pn A 400

P「っ!?」

咄嗟に撥ね除けようとするも間違いなく力加減は出来ない

もし全力で撥ね除けてしまったら間違いなく恵美は怪我をするだろう

それだけは避けなくてはならない

恵美「ん…」

恵美はまだ俺の唇から離れない

流石に息が苦しくなってきた

P「っ!」

恵美の腕をタップする

恵美「…はっ」

合図が伝わったのか、恵美が唇を離した

P「ぷはっ!はっ…はっ…めぐ」

新鮮な空気を吸い込んだ俺だったが、再び恵美に口を塞がれてしまう

それからしばらくの間、それを繰り返された





P「はあ…はあ…」

恵美「苦しかった?」

P「ああ…酸欠だよ」

恵美「アタシも苦しかったよ、ずっと」

P「…そろそろ説明してくれ、なんでこんなことを」

恵美「分かってるくせに」

P「…」

わかっている

こんなことをされて分からないはずがない

だけど分からないのは恵美がいつから俺に好意を抱いていたのか…

あの一件以来恵美は男を怖がっていたはずなのに、いつから?

P「…いつからだ?」

恵美「何?」

P「一体いつから恵美は俺を」

恵美「あの日から」

P「え?」

恵美「あの日、アタシがPに助けて貰った日、アタシとあなたが初めて出会った日」

恵美「あの日から、アタシはPの事が好き」

P「…知らなかったよ」

恵美「知ってる」

三年近くもこんな俺を好きで居てくれたのか…

恵美「アタシの想い、分かってくれた?」

P「…ああ」

恵美「じゃあ返事をちょうだい」

P「恵美の気持ちは凄く嬉しい、だけどまだ恵美とは付き合えない」

恵美「…なんで」

P「正直混乱してるのもあるけど、まだ俺自身の気持ちが分かってないんだ」

恵美「…」

P「確かに恵美の事は好きだ、だけどそれは友達として接してきたからだ」

P「女の子として見てないわけじゃ無い、だから…切り替えるのに時間は欲しい」

P「自分の気持ちが分かったら、ちゃんと答えを出すよ」

恵美「…」

しばし恵美と見つめ合う

やがて

恵美「…わかった」

恵美が頷いた

恵美「Pの答えは待つけど、なるべく早めにお願いね」

P「…ああ」

恵美が筆記用具を片付け、帰る準備をする

P「あ、帰るなら送っていこうか?」

恵美「別に良いけど、油断してたら暗がりに引き摺り込むよ?」

そういって妖艶な笑みを浮かべる恵美

その笑みに惹かれそうになるが、俺は警戒をしながら恵美を送っていくことにした

恵美「あんがと、送ってくれて」

P「流石に1人は危ないからな」

恵美「相変わらず優しいね、アタシに無理矢理キスされたのに」

P「ま、まあある意味役得だったし」

恵美「…そっか、じゃあさ」

恵美が俺の首に腕を回し、再びキスをしてきた

P「め、恵美!また…!」

恵美「にゃはは、役得でしょ?」

楽しそうに笑いながら玄関に逃げる恵美

P「全く」

恵美「ねえ、P」

P「ん?」

恵美「絶対手に入れるから、覚悟しててね」

真面目なトーンでそう告げると、恵美は家に入っていった

P「…」

一旦ここまで
分岐点作ろうか悩む

今までは失恋描写はなるべくマイルドにしてきたけど√Cの失恋描写は間違いなく胃に拳サイズの風穴が複数空く自身がある

P「…」

昨日の恵美の行動と伝えられた想いが頭から離れない

琴葉「それで、その時恵美が…」

確かに何かと連むことは多かったし、何故冬馬や翔太ですら怖がっていたのに俺だけは平気なのかって思ったときもあった

P「…」

琴葉「Pくん?」

その理由がまさか俺の事が好きだったからなんて…本当に、微塵も気付いてあげられなかった

気付かない俺に一体どんな気持ちで接していたんだろうか

そしてそれに対して俺は恵美に何が出来るのか、何をしてあげればいいのか

それがわからない

俺は…

思考が沼にハマる直前に、誰かに肩を叩かれた

P「!?」

琴葉「きゃっ」

思わずビクッとすると近くから可愛らしい悲鳴が聞こえてきた

P「こ、琴葉?」

琴葉「ご、ごめんなさい、何だか凄く悩んでるみたいだったから…」

琴葉「もし私に協力出来るならって思って…」

P「あ、ああ…そうだったのか…ん?」

そう言えば琴葉は恵美と親友だ、それなら何かアドバイスが貰えるかも知れない

P「実は…」

いや、待て

いくら琴葉でも恵美に告白されました、なんて相談されても困るんじゃないだろうか

それにこれは人に相談するようなことなのか?

P「…いや、何でも無い」

琴葉「本当に?」

P「ああ…」

やっぱり人に相談してどうにかなるような問題じゃない

これは俺が向き合わなければならない問題なんだ

琴葉「…Pくん、嘘ついてる」

P「別に嘘なんか…」

琴葉「嘘…だって今凄く辛そうにしてる」

琴葉「本当に何も無いなら、そんな顔しないと思う」

琴葉「Pくんが何に苦しんでいるのか、私には分からない」

琴葉「そして私にその悩みが解決する力があるかも分からない、でも、Pくんのその悩みを聞くくらいは出来るから」

琴葉「誰かに聞いて貰うことで何かが変わることもあるって、私はPくんに教えて貰ったから」

琴葉「だから今度は私が、あなたに教えて貰った通りにしたいの」

琴葉「だからもし良かったら、私に聞かせて欲しい、Pくんが抱えてる悩みを、苦しみを」

P「琴葉…」

…確かに、聞いて貰うことで少しは楽になるかもしれない

このまま袋小路で行き詰まるよりもそっちの方が良いだろう

P「ありがとう琴葉、じゃあ、聞いてくれるか?」

琴葉「うん、聞かせて」

P「実はさ…昨日、恵美に告白されたんだ」

琴葉「えっ」

一旦ここまで

P「俺はずっと友達として接してきたけど、恵美は初めて会った時からずっと好きだったって」

P「俺はその気持ちにずっと気付けなかったんだ」

P「だけど昨日、直接気持ちをぶつけられて…」

P「恵美とどう接すれば良いのか、分からないんだ」

琴葉「…」

P「俺は、どうすれば良いんだろう…」

琴葉「恵美は…」

P「?」

琴葉「恵美はPくんの事、好きだったのね…」

P「琴葉も知らなかったのか?」

琴葉「うん…去年の授業中とかにチラチラ見てたりいつもPくんの話ばかりしてたのも、今思えばそういう事だったのかな」

P「琴葉が知らなかったのなら誰も気付いていなかったのかも知れないな…」

P「恵美も、誰にも相談出来ずに苦しかったのかな」

琴葉「うん…恵美は自分の悩みをひた隠しにするから、きっとそうだと思う」

P「俺はずっと恵美を苦しめてきた」

P「だけど恵美は、ずっと笑ってた、楽しそうに」

P「ずっと苦しかった筈なのに、笑ってたんだ」

P「でも俺は、そんな恵美に何もしてあげられないんだ」

P「気持ちをぶつけられて、戸惑って、今こうして逃げようとしている」

P「そんな俺が恵美の傍に居て良いんだろうか…?」

P「俺は…」

琴葉「Pくんは恵美の事、どう思ってるの?」

P「もちろん好きだよ」

琴葉「っ」

P「だけどそれは友達としての感情だ、異性に対するものじゃない」

P「だけど、あんなことをされたら意識するなって方が無理だ…」

琴葉「…あんなこと?Pくん、恵美に告白以外に何かされたの?」

P「え?あ、いや、な、なんでもない」

しまった、余計なことまで言ってしまった

なんとか誤魔化さないと

琴葉「嘘、だって挙動不審になってる」

P「…そんなことはないぞ?」

琴葉「…恵美に、何をされたの?」

P「…何でも無い」

琴葉「…わかったわ、じゃあ」

琴葉が立ち上がると携帯を取り出した

琴葉「恵美に直接聞くわ」

P「ま、待った琴葉!本当に何もされてないから!」

琴葉「なら恵美に聞いても大丈夫よね?」

しまったー!

流石に押し倒されてキスで蹂躙されたなんて知られるのは恥ずかしすぎる

何としてでも阻止しなくては

P「あっ!窓の外にヤーネフェルトが!」

琴葉「え!?」

琴葉の注意が一瞬逸れる

P「今だ!」

俺はその隙を逃さず、琴葉の電話をやめさせようとするが

足下に奇妙な感覚があり、俺は足を滑らせた

P「えっ!?」

一瞬足下を見ると

俺に頭を踏み潰されている茜ちゃん人形があった

琴葉「きゃっ!」

足を滑らせた俺は琴葉の方へつんのめり、琴葉を壁に押し付けるような体勢になる

P「だ、大丈夫か?」

琴葉「う、うん」

いわゆる壁ドンの体勢になっているからか、琴葉の顔が凄く近い

琴葉「~~~!!」

そして琴葉の顔が凄く赤い

P「ご、ごめん、すぐ退くから」

そう言い切る直前

伊織「あー暑いわ…全く校舎内も冷暖房完備にしなさいよね」

伊織が事務所に入ってきた

P「あっ、伊織」

伊織「ん?」

伊織「…」

帰ってきた伊織は俺と琴葉を交互に見る

そして

伊織「こ、この変態!ド変態!何昼間っから事務所で琴葉を襲ってんのよ!」

顔を真っ赤にして怒鳴った

P「ち、ちがっ!誤解だ!」

伊織「誤解も何も見たまんまじゃない!」

P「こ、琴葉からも何か言ってくれ」

琴葉「え!?あ、その、凄くドキドキしてるの!」

P「琴葉!?一体何を言ってるんだ!?」

結局伊織の誤解を解くのに一時間ほどかかったのだった

一旦ここまで

琴葉「ふう…」

お風呂上がりに、ベッドに寝転がる

窓から入る風が火照った体に心地良い

琴葉「…」

今日はPくんの悩みが聞けて良かった

…ある意味無理矢理聞きだしたようなものだけど

ちょっと強引だったかも知れないけど、去年みたいに気持ちも聞けないままよりよっぽど良い

…今日聞いた話

恵美がPくんの事を好きだったなんて全く知らなかった

それにPくんの言っていた事…あんなことってなんだろう

もしかして、手を握られたりしたのかな

Pくんと恵美が楽しそうに手を繋ぐ姿をイメージした時

琴葉「っ…また…」

微かに胸が疼いた

Pくんがエレナの笑顔が好きだって言った時も、恵美が好きだって言った時も、同じように胸が疼いた

一体どうして?

胸が疼いた後は決まって嫌な気持ちになる

エレナの時も、恵美の時も、2人の事が嫌になる

そして何より、そんな自分が嫌になる

琴葉「…」

私は一体どうしてしまったんだろう

前まではこんな気持ちにならなかったのに…

どうせなら胸が疼いて嫌になるより、今日みたいにドキドキする方が…

琴葉「…」

どうしよう、思い出したらまたドキドキしてきちゃった

Pくんの顔が、あんな近くに…

Pくんの顔も赤くなってたし、もしかしたらPくんは私の事も友達じゃなくて女の子として見てくれているのだろうか

もしそうなら

…もし、そうなら

琴葉「…」

なんだろう、心が温かい

Pくんに女の子として見られて、私は喜んでる?

どうして?

今まであまり男の子と関わってこなかったから?

わからない

わからないけど…

琴葉「ふふ♪」

やっぱり嬉しい

体を起こして窓の方を見る

体の火照りはとっくに無くなったけど

顔の火照りはまだまだ取れそうになかった

一旦ここまで
琴葉は清涼剤

今日は無しで

P「…」

プロダクション業務からの帰宅後、僅かに残っていた夏休みの課題を片付けようとしたのだが…

どうしても、一緒に課題を片付けた昨日の事を思い出してしまう

この場所で、自分の部屋で恵美に押し倒されキスをされた

それからずっと恵美の事を考えている

P「キス…か」

自分の手を唇に当ててみるがやはり感触は全然違う

手では唇の柔らかさは到底再現出来ない

そう、手と唇の感触は…

P「…ん?」

何かが引っかかる

もう一度自分の唇に手を当ててみる

…やっぱり違う

手の柔らかさと、唇の柔らかさは明らかに異なっている

そして俺は恵美にキスをされる前にも一度、唇の柔らかさを感じている

海水浴の日に感じたのは、手の感触じゃなかった

P「…エレナ…?」

キスをされたからこそわかった

やっぱりあの時…海水浴の日にエレナは俺にキスをしていたんだ

P「まさか、エレナもそうなのか…?」

もしそうだとしたら、いつから?

一体いつから俺を?

P「…一体何だってんだ」

頭を抱えて考え込む

自分の周りの世界が急速に形を変えていく

俺はその変化について行けず、今こうやって頭を抱えることしか出来ない

P「俺は…どうすりゃ良いんだ」

自分のやるべき事も見えず、俺の悩みと思考はどんどんと坩堝にはまっていった

一旦ここまで

翌日

P「…」

結局昨日は課題にも手が付かなかったので早々にベッドに入ったのだが、色々と考えてしまい結局寝付けなかった

普段なら二度寝するところだが…そんな気にはならない

P「どうすっかなぁ…」

今日はプロダクションも無いからやることも無い

しかしずっと家に居るとまた悩むだけなのは目に見えてる

P「…冬馬でも誘って遊ぶか」

そう思いスマホを起動すると、エレナからLINNEのメッセージが来ていた

エレナ:起きてたら連絡欲しいヨ~

既読 今起きた、どうした?

返信するとすぐに既読が付き、電話がかかってきた

P「もしもし」

エレナ『P、おはようだヨ-!』

P「…おはよう、エレナ」

エレナの声を聞いて少しドキッとする

昨日気付いた事が事なのでどうしても動揺するな

P「どうしたんだ?」

エレナ『実は今日ママンとピクニックに行く予定だったんだケド…ママンお仕事が入っちゃって』

エレナ『でもお弁当作っちゃったし1人じゃ食べきれないからPと行こうかなっテ!』

P「なるほど」

ピクニックか…良い気分転換になりそうだ

P「わかった、付き合うよ」

エレナ『ありがとう!Pならそう言ってくれるって思ってたヨ~』

P「どこ行くんだ?」

エレナ『ぷっぷか山、ハイキングコースもあるんだっテ』

P「了解」

エレナ『バス停で待ち合わせで良いカナ?』

P「そうだな、バス停にするか」

エレナ『それじゃあ11時にバス停に集合だヨ~』

P「ああ」

通話が切れ、一息吐く

…ピクニックか

間違いなく汗だくになるだろうが、部屋にこもって悩んでるよりは数倍良い

P「準備するか」

俺はベッドから降りるとピクニックに行くための準備を始めた

俺がバス停に到着すると、エレナは既に来ていた

P「早いな」

エレナ「うん、だって楽しみだからネ♪」

P「俺も楽しみだ」

P「エレナ、珍しい服着てるな」

今まで見たことが無い服だ

エレナ「あ、これはママンが昔パパンとのデートで着てた大切な服なんだっテ」

P「そ、そうか…よく似合ってるぞ」

エレナ「ありがとう!」

母親がデートで着ていた服を着て俺とピクニックに?

何か意図があるのか、それとも特に理由は無いのか…

そうこうしているうちにバスが来たので乗り、ぷっぷか山へ向かう

30分ほどでバスは到着した

P「…暑いな」

エレナ「そうだネ~」

バスの中が快適だったのもあり、うだるような暑さに思わず愚痴が出る

チラッとエレナの方を見ると周りに俺達以外誰も居ないからか胸元をパタパタしており、下着が見えそうになっていた

P「と、とりあえずこれからどうするんだ?」

目に毒なので話題を振り、エレナの行動を中断させる

エレナ「えっとね、山を登るコースと湖をぐるっと回るコースがあるヨ~」

P「よし、湖だ」

涼しい方が良いからな

一旦ここまで
汗で濡れて透ける服には浪漫が詰まっているとは思わんかね?

P「風が気持ち良いな」

エレナ「うん!空気も美味しいネ!」

エレナと湖を泳ぐ魚や鮫を眺めながら歩いて行く

木陰を歩いているので涼しくて風も気持ち良い

心が安らぐようだ

俺の前を楽しそうに歩くエレナを見る

少し前までかなり落ち込んでいたみたいだが、どうやら解決したみたいだ

P「…」

代わりに俺が悩みを抱えてしまったわけだが…

…いや、今日は遊びに来てるんだ、余計なことを考えるのは止そう

エレナ「P!こっちこっち!凄いヨ-!」

少し先を歩いていたエレナが何かを見つけたらしく、興奮気味に俺を呼んでいた

エレナ「はやくはやく!」

P「今行く」

手招きしているエレナの所に向かうと、開けた場所に出る

そしてそこには

P「これは…」

辺り一面に広がる向日葵があった

P「これ…凄いな」

エレナ「うん!ワタシこんな光景写真とかでしか見たことないヨ!」

どの向日葵も丁寧に手入れされていてとても活き活きしている

「わーい♪」

そして奥ではぷっぷか山の管理人さんらしき人が空を飛びながら向日葵に水をやっていた

エレナ「ワタシ、ヒマワリ好きだヨ」

P「そうなのか?」

エレナ「うん!太陽みたいで見てると暖かくなるヨ」

そう言って向日葵の幹を撫でるエレナ

P「あっ…」

何だかとても画になる

P「なあエレナ」

エレナ「?」

P「向日葵と一緒に、写真撮って良いか?」

エレナ「うん!綺麗にとって欲しいヨ~」

P「ああ、任せろ、絶対に綺麗に撮ってやる」

この光景を写真に残さないなんて失礼だ

P「それじゃあ、撮るぞ?」

エレナ「いつでも良いヨ~」

P「よし、じゃあエレナ、最高の笑顔を見せてくれ」

エレナ「うん!」

エレナがにこっと笑う

俺はスマホのボタンを押して

二つの地上の太陽を写真にしたのだった

一旦ここまで

向日葵畑を後にした俺達は再び湖の周りを歩く

P「うん、良く撮れてる」

エレナ「そんなに見られると恥ずかしいヨ~」

さっき撮った写真を2人で見ながら歩いてい ると、ちょうど木陰で休憩出来そうな場所を見つけた

P「そろそろ昼にするか」

エレナ「そうだネ」

俺達は木陰に移動し、腰を下ろす

エレナ「結構自信作だヨ~」

そういって重箱を取り出すエレナ

モチベ上げのために二、三日休憩します

2、3日休む(大嘘)
明日辺りからボチボチ再開します

P「本当にいっぱい作ったんだな」

エレナ「うん!Pならこれくらい食べると思ったからネ!」

P「そっか…ん?」

そう言えば当初の目的はエレナが食べきれないからついでにハイキングだった気がするが…

エレナ「ほらほらP、この唐揚げ自信作だヨ~」

P「うお、マジで美味い」

まあ、いっか

美味しそうに食べるPを眺める

…なんかこういうのも良いかも

自分が作った料理を美味しそうに食べてくれるのって凄く嬉しいネ

ママンもパパンにお弁当を作った時、同じ気持ちだったのカナ?

エレナ「うん!出汁巻きも美味しいヨ~」

P「どれどれ?お、ホントだ」

2人でお喋りしながらお弁当を突く

今、凄く楽しいネ

P「あー、食った食った…ご馳走様」

エレナ「美味しかった?」

P「ああ、美味かった…ウチの味ともまた違うから新鮮だった」

エレナ「それなら良かったヨ~」

エレナの弁当を食べた後、足を崩す

湖の傍の木陰は風も気持ち良く、とても涼しくて快適だ

エレナ「P、食べてすぐ横になるとウシになっちゃうヨ?」

P「はは、エレナの弁当を食べて牛になるのはそれはそれで有りかもな」

P「良い風だ…」

俺は自然と目を瞑る

この気持ちの良い環境にいると、悩みやもやもやが全部溶けていきそうだ

自然セラピーとはこういうことか

P「…」

エレナ「P、眠いノ?」

P「ん…ああ」

エレナ「寝るならワタシの膝を貸してあげるヨ~」

P「んー…良いのか?」

エレナ「うん」

P「悪いな…」

眠れなかった分の眠気が一気に来たからか、自分が何を言ってエレナが何を言ってるのか全くわからない

が、意識が落ちる直前、柔らかい何かが後頭部に触れたことだけはわかった

P「…」

エレナ「…」

あっという間にPが寝落ちしちゃったヨ

もしかして、疲れてたのカナ?

エレナ「ありがとネ」

もし疲れていたのだとしても、こうやってワタシのわがままに付き合ってくれて凄く嬉しいヨ

寝ているPの頭を撫でる

…うん、やっぱり何度見ても子供みたいな寝顔だネ

ワタシはスマホを取り出して、Pの寝顔を撮る

だけど今回は、LINNEを起動しなかった

だって

この寝顔が見られるのは、世界中でワタシだけだもんネ

エレナ「♪」

写真を一通り眺めた後、スマホをしまってもう一度Pの頭を撫でる

P「…めぐ…み…」

聞こえてきた寝言に、頭を撫でる手が止まった

一旦ここまで

エレナ「…」

メグミの名前が出てきた

ワタシといるのに一体どんな夢を見てるんだろう?

楽しい夢なら良いけど、ちょっと嫌だネ

P「…なんで…こんな…」

…魘されてるから楽しい夢じゃないみたい

ワタシはPの頭を再びゆっくりと撫でる

夢の中で他の女の子と居ても良い

せめてワタシと居る間くらいは、魘されるような嫌な夢じゃない、楽しい夢を見て欲しいネ

P「め、恵美…」

俺は今、恵美にベッドに押し倒されていた

恵美『ねえ、なんで今まで気付いてくれなかったの?』

P「お、俺は」

恵美『アタシはずっと好きだったのに』

P「俺は、恵美を友達として」

恵美『アタシは違う、ずっとPを男として見てた』

恵美『ずっと想いを寄せてた』

恵美『辛かったよ、ずっと』

P「…ごめん、気付けなくて」

恵美『謝るくらいなら、アタシを受け入れてよ』

P「それは…」

恵美の顔が近付いてくる

恵美『あの時のキス、Pは拒まなかったじゃん』

恵美『Pの力なら女のアタシから逃げられたはずなのに、それをしなかった』

P「ち、違う、あれは恵美に怪我をさせたくなくて」

恵美『じゃあ今なら?今ならアタシを撥ね除けても、怪我はしないよ』

P「恵美…なんでこんな…」

恵美『好きだからって言ってんじゃん』

恵美『アタシはもう自分を抑えきれない』

P『そうしたのは俺だ』

P『俺が恵美をここまで追いつめた』

P『俺のせいで恵美は何年も苦しんだ』

恵美の声と、誰かの声が重なって聞こえる

その声はただひたすらに、お前のせいだと俺を責め立てた

P「分かってる!俺のせいで恵美は…」

頭を抱えて首を振る

しかしそんなことをしても纏わり付く声を振り払えはしない

P「俺は…俺は…恵美に好かれるような人間じゃない…」

P「恵美と釣り合うような男じゃないんだ…」

そう呟き目を閉じる

気が付くと声は聞こえなくて

恵美の姿も見えない

代わりに何か暖かいものに包まれているような、そんな感覚があった

この暖かさに包まれていると、さっきまで抱いていた気持ちが溶けていくような、そんな気になる

P「暖かい…」

心の奥まで照らすようなまるで太陽のような光

俺はその光に手を伸ばす

眩しい光に思わず目を瞑るが…

伸ばした手が誰かの手に包まれる感覚があって、俺の意識は浮上した

一旦ここまで
全員追い詰めていくスタイル

P「!」

急に意識が覚醒し、目を開く

茜色に染まった空が目に入り、結構な時間眠っていたのだという事は把握出来た

P「エレナは…」

体を起こして辺りを見渡そうとしたとき、自分の手が握られている事に気付いた

そちらに視線を向けると

エレナ「うーん…にへへ~」

俺の手を握りながら幸せそうによだれを垂らして眠るエレナがいた

P「…そうか、エレナが」

内容は思い出せないが悪い夢を見ていた

だけどその途中、暖かな感触があったのを覚えている

…エレナが手を握ってくれたんだな

スマホを確認するとちょうど17時を回ったところだ

そろそろ帰る時間だろう

P「…」

…そして1件だけ、着信がある

発信者は…恵美だ

スマホをスリープにし、ため息を吐く

俺は恵美とどう向き合うべきなのだろう

恵美を受け入れるのが一番良いのだろうか…

いずれにせよ恵美を何年も苦しめてしまったケジメはつけなければならない

恵美を受け入れるのか…残酷だが今までのように友達としての関係を続けるのか

決断の日は近い

P「…帰るか」

エレナを起こすために体を揺する

P「エレナ、そろそろ帰ろう」

エレナ「うーん…後5分…」

P「ほら、5分経ったぞ」

本当は10秒も経ってないけど

エレナ「ん~…」

エレナが体を起こすが、その目は完全に寝ている人間の目だ

エレナ「…おやすみだヨー」

体を起こしたエレナはそのまま俺の方へと倒れ込んできた

P「ちょ、エレナ!」

そのまま俺の腹に顔を埋め、がっちりとホールドされる

エレナ「んふふ~♪」

そのまま頭で腹をグリグリと押してくる

抱き枕か何かと勘違いしてそうだ

しかし俺の方はそれどころではない

P「え、エレナ」

エレナの柔らかな体、甘い香りが俺の腹回りを包む

ギューッと抱きしめられ、俺は完全にお手上げだった

一旦ここまで
近いうちに√HBと√LIの導入だけ

瑠璃色金魚と花菖蒲がどうにも記号化しにくかったから
瑠璃色=Lapis lazuli
花菖蒲=Iris
でLI
とりあえず紬は方言ポンコツ可愛いし歌織さんはコミュ見てると色々捗るし二人ともソロが素晴らしかったから昨日からずっと興奮してる

とりあえず更新待ちの間お茶請けどーぞ
765学園物語HED √LI 序章
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8363522

765学園物語HED √HB 序章
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8360444

エレナ「ごめんネ~寝惚けちゃってたヨ~」

P「い、いや…気にしないでくれ」

帰り道にエレナが謝ってくるが、正直謝られる必要がまったくない

P「…」

エレナに抱き着かれてからずっとドキドキしている

色々と変わり始めた環境に合わせて、俺の心境も変わり始めたんだろうか

エレナを、女の子として意識してしまう

町に着き、普段エレナと別れる道に到着した

エレナ「今日は楽しかったヨ~」

P「そうだな、弁当も美味かったし」

エレナ「嬉しいこと言ってくれるネ!えへへ♪」

P「また機会があったら、行こう」

エレナ「そうだネ、じゃあP、またネ!」

エレナが手を振って歩き出す

俺はそんなエレナの背中に、声をかけた

P「エレナ!」

エレナ「?」

P「どうして、その服を着てきたんだ?」

ずっと気になっていた

何故母親がデートに着ていた服を借りたのか

エレナ「…知りたい?」

P「…ああ」

エレナが俺に近付いてくる

そして

エレナ「ん」

俺の頬にキスをした

P「え、エレナ!?」

キスされた場所を手で押さえる

エレナ「今はまだ、秘密にしておくネ♪」

そういって走って行ってしまった

P「…」

走って行くエレナの背中を見送りながら、今の行動の真意を考察する

…もっとも、考察するまでもなく答えはほとんど出ているようなものだが

やっぱり、エレナも…

P「…」

どうして、俺なんだろうか

恵美もエレナも、とても魅力的な女の子だ

なのにどうして俺なんかを…

考えても答えは出ない

幸い明日は765プロの業務がある

また、琴葉に相談してみよう

そう考え、俺は帰路についた

一旦ここまで

高坂家の職業どうなるんだ?
かおり&うみみパパが自衛官で
うみみ姉がかおりさんだから音楽の先生でバレエもプロ並みということになるのか?

家族見るとうみみの体力凄いのは遺伝な気がしてきた

>>676
多少設定はねじ曲げてる
父親は自衛官なのは変わらず、姉がプロバレリーナなのは母親に変更
歌織さん海美共にバレエは経験済み
ということに

まあ父親はともかく母親の方は出てこないからバレエに関しては設定しただけの死に設定っていう認識で問題ない

√HB
久しぶりに海美の姉、高坂歌織が帰ってきた
昔のように歌織に甘やかされるPだったが、ふとした拍子に歌織を女性として意識するようになる
しかし今の関係を壊すのは怖く、男と弟の間で揺れるP
そんなある日、Pは風邪を引いてしまい…

√LI
新学期前日、Pは母親から許嫁がいることを伝えられるP
名前も知らない相手と結婚なんて出来ないと憤慨し話を打ち切る
翌日、新学期の始まりの日、転校生がやってきた
転校生の名前は白石紬
紬に一目で心を奪われたPはエレナの計らいで紬と友人になる
そして紬にも名前の知らない許嫁がおり、結婚を阻止しようとしていることを知ったPは紬を手伝うと誓う

翌日

P「なあ琴葉」

琴葉「どうしたの、Pくん?」

P「ちょっと相談したいことがあるんだけど…大丈夫?」

琴葉「!う、うん、大丈夫」

P「ありがとう…実はさ、恋愛に関する事なんだ」

琴葉「恋愛…?」

P「ああ」

琴葉「…うん、聞くわ」

聞きたくない

P「実は昨日、エレナとピクニックに行ったんだ」

琴葉「エレナと…?」

P「ああ」

…どうして?

P「その時、エレナは母親から服を借りてきた」

P「なんでもエレナの母親がエレナの父親とのデートの際に着ていた服らしい」

琴葉「…」

P「帰りに聞いたんだ、どうしてその服を着てきたのかって」

琴葉「エレナは…なんて?」

P「何も答えなかった、代わりに俺の頬にキスを…」

胸が締め付けられる

これ以上聞きたくない

この感情は、一体…?

Pくんがエレナの話をする度に、心の中に黒い感情が湧いてくる

そして同時に湧き上がる感情…

私を見て欲しい

私だけを見て欲しい

P「やっぱりエレナも、俺のことが」

琴葉「Pくん」

P「ん?」

琴葉「今から、出掛けない?」

P「今から?まだプロダクションの仕事が」

琴葉「大丈夫、Pくんのおかげでかなり余裕があるから」

P「まあ琴葉が良いならそれで良いけど」

琴葉「それじゃあ、行きましょう?」

琴葉と街に出る

P「どうするんだ?」

琴葉「そうね…暑いから、まずは涼める場所に行きましょう」

P「わかった」

俺は歩き出そうとして

琴葉「…」

琴葉に手を握られた

P「こ、琴葉?」

琴葉「この前の…恋人の演技の続きをしたいから、手を繋いで欲しいの」

一旦ここまで
ついでにこちらも宣伝

765学園物語HED √LI 1話
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8368727

あ、そうだ
√LIと√HBのGWの出来事募集中

P「手を?」

琴葉「うん」

P「わかった、じゃあ行こうか」

琴葉に手を差し出す

琴葉は俺の手に指を絡め、そのまま腕に抱き着いてきた

凄く得意気な顔をしているが顔色は真っ赤だ

琴葉「じゃ、じゃあ行きましょう」

P「そうだな」

琴葉の歩幅に合わせて歩き出す

琴葉「まずはお昼にしましょう」

P「わかった、何が食べたい?」

琴葉「そうね…かつ丼、かな」

P「かつ丼?」

琴葉「な、何でも無い!Pくんに任せるわ」

P「ふむ、それなら…」

スマホを取り出し付近の飲食店を検索する

P「よし、こっちだ」

P「ここにしよう」

琴葉「ここは…」

俺達が来たのはそこそこ人気のあるとんかつの店だった

P「ちょうど俺もかつ丼が食べたかったからな」

そう言いながら暖簾を潜る

琴葉「ありがとう、Pくん」

P「何のことやら」

奥の席に案内され、メニューを確認する

P「よし、俺は決まった」

琴葉「私も、決めたわ」

P「じゃあ注文するか…注文お願いしまーす」

店員を呼び、注文をする

P「ソースかつ丼を赤出汁で」

琴葉「私は、かつ丼をしじみ汁で」

店員が厨房に戻っていく

P「ここ、結構評判が良いみたいでさ」

琴葉「そうなのね、楽しみ」

他愛ない話をしていると先に琴葉のかつ丼が運ばれてきた

P「お、来た」

琴葉「美味しそうね」

P「ザ・かつ丼って感じだな」

琴葉「良い匂い…」

P「甘~い醤油の香りが食欲をそそるな」

P「しかも卵も良い具合に半熟で見た目だけで美味さが伝わってきそうだ」

P「冷めたら勿体ないし先に食べてくれ」

琴葉「良いの?」

P「ああ」

琴葉「それじゃあ頂きます」

手を合わせて頂きますをする琴葉

割り箸が上手く割れず微妙に落ち込んだのが可愛らしかった

琴葉「!」

かつ丼を一口食べた琴葉は驚いた顔をした後

琴葉「…」

無言でそのまま食べ始めた

なるほど、琴葉は美味しいものを食べると無口になるのか

間もなく、俺のソースかつ丼がやってきた

P「おお…」

カラッと揚がったとんかつに程よく染み込んだソース

滴る肉汁や脂を下に敷き詰められたキャベツが吸い、輝いていた

P「頂きます」

俺はさっそくかつに齧りつく

P「!美味い!」

サクッとした衣に簡単に噛み切れる肉

噛むと肉汁が溢れ、その風味が口の中いっぱいに広がる

口直しのキャベツも脂を吸って良い感じにクタっていて食べやすく、あっという間に食べてしまいそうだ

赤出汁も絶妙で、最高の昼食となった






P「ご馳走さま」

完食し、箸を置く

非常に満足度の高い昼食だった

今度冬馬達を誘うのも良いかもしれない

琴葉の方はかつ丼を完食し、今はしじみ汁を飲んでいる

琴葉「ふう…」

琴葉がお椀を置いて一息吐く

琴葉「ご馳走さまでした」

P「どうだった、琴葉?」

琴葉「うん、えーっと、その、なんて言えば良いのか、コクがあってしじみでかつ丼で」

P「簡潔に言うと?」

琴葉「凄く美味しかった…」

P「なら良かった」

琴葉は食レポとかは出来なさそうだ

なんだか微笑ましい

琴葉「ど、どうして笑ってるの?」

P「いや、なんか面白くてさ」

琴葉「もう…」

P「ん、琴葉」

琴葉におべんとが付いているのが見えたので指で差して教える

しかし上手く取れないようで空振りしていた

P「仕方ないな、動くなよ」

ティッシュで琴葉に付いていたおべんとを取る

琴葉「あ、ありがとう、Pくん」

琴葉は赤くなって顔を伏せてしまった

一旦ここまで
かつ丼を食べに行く

P「はは、何だかんだで抜けてるところがあるよな、琴葉は」

琴葉「そう…?もしかして、Pくんに迷惑とか…」

P「いやいや、そういうのじゃないよ、ただ…」

琴葉「ただ?」

P「…あの時逃げなければ、もっと早くに知れてたかもしれないって思ってさ」

琴葉「Pくん…」

P「まあ、過ぎたことだ」

琴葉「…あのね、Pくん」

P「うん?」

琴葉「私は、もっと私のことを知って欲しい」

琴葉「Pくんは、私がその…ドジだって知らなかったでしょ?」

P「…あー、うん」

琴葉「私も、Pくんの事をよく知らない」

琴葉「でも、ちゃんと話し合って、分かり合えば…」

…そうすれば

P「琴葉は…琴葉はどうして俺の事が知りたいんだ?」

琴葉「それは…お互いをよく知ればその…相談に乗るときも適切なアドバイスが出来るかもしれないし…それに」

P「それに?」

琴葉「その…友達、だから」

違う

友達じゃ嫌だ

でも、友達じゃ嫌なら私はどうしたいの?

Pくんと一緒にいられたら、それでいい

じゃあ、一緒にいるために私はどうすれば良いの?

わからない

私は、どうすれば良いの?

P「琴葉?」

Pくんに声をかけられ我に返る

琴葉「え、えっと、どうしたの?」

P「いや、いきなり黙り込んだからさ」

琴葉「その…ちょっと考え事をね」

P「そっか…もし悩みがあるなら聞くからさ」

本当は聞きたい

どうすればあなたは私だけを見てくれますか?って

でも…

琴葉「うん、ありがとう」

今はまだ聞けない

昼食を食べた後、俺達は再び街を歩く

本屋で参考書を買いに行くと百合子と遭遇したり

香水を見に行くと可憐と遭遇したり

何故か電柱に亜利沙が隠れていたり

気配に振り向くと隠れ損ねた青羽さんが転んだり

プロダクションのみんなと楽しい時間を…

P「って何でだよ!」

行く先々で遭遇するプロダクションの面々に思わず突っ込んでしまう

伊織「偶然よ偶然」

カフェで俺達と同じテーブルに座っている伊織がオレンジジュースを飲みながらしれっと答える

P「こんにゃろう…」

デコピンしてやろうか

琴葉「伊織ちゃん、プロダクションのお仕事は?」

伊織「あんなのちょっとしか残ってなかったんだからちょちょいのちょいよ」

伊織「それよりも琴葉とこいつを二人にする方が危険だわ」

P「誤解解けたんじゃ無かったのか…」

伊織「あの時が事故でも次も事故とは限らないもの」

P「そうかい、信用ねえなぁ…」

伊織「仕事ほっぽり出して逃げたアンタを信用出来るわけ無いでしょ」

P「…」

ぐうの音も出ない

琴葉「伊織ちゃん、Pくんは…」

P「いや琴葉、伊織の言う通りだ…」

伊織「ま、信用して欲しかったら逃げない事ね」

P「ああ」

伊織「さ、デートはもう十分楽しんだでしょ?そろそろ帰るわよ」

琴葉「えっ、でも今日の仕事は…」

伊織「今日の分は終わってもあんたまだ引き継ぎ資料作ってないでしょうが」

琴葉「うっ…」

伊織「まだ時間はあるけど早いにこしたことはないし、ちゃちゃっと作っちゃいなさいよ」

伊織「ほら、帰るわよ」

伊織が琴葉に手を伸ばした次の瞬間

俺の手は琴葉に掴まれていた

琴葉「Pくん、走って!」

P「ほ?」

P「こ、琴葉!?」

伊織「あ!こら待ちなさーい!」

琴葉に牽かれるがまま走る

そしてカフェから離れたところで走るのをやめ


P「こ、琴葉急にどうしたんだ?」

琴葉「邪魔されたくなかったから」

P「え?」

琴葉「この時間は私にとって大切な時間だから、誰にも邪魔されたくないの」

あまりにも真剣な琴葉の目に、俺は何も言えなかった

P「…」

P「…」

琴葉「…」

太陽が傾きあかね色に染まる帰り道を、俺と琴葉は歩いていた

あの後も街を歩き、色々と見て回っているとあっという間に時間が過ぎていった

琴葉「…あ、あそこに出店が」

P「本当だ」

見に行ってみると地方のお土産を売っている店だった

沢山の地方土産が売っている

P「へえ、沢山あるんだな」

土産物を見ていると

琴葉「すいません、これを二つください」

琴葉が何かを買っていた






P「何を買ったんだ?」

土産屋から離れ、再び帰り道を歩く

その道中で俺は琴葉が何を買ったのか聞いてみる

琴葉「これを買ったの」

P「…しゃちほこ?」

琴葉が俺に見せたのはしゃちほこのキーホルダーだった

P「二つあるんだな」

琴葉「うん、だから」

琴葉が片方のキーホルダーを俺に差し出し

琴葉「受け取って欲しいの、Pくんに」

P「俺に…?」

琴葉「私、今日はとても楽しくて、何かを思い出として残したいって思ったの」

琴葉「だから、形ある物として、思い出になればって思って」

P「…わかった、受け取るよ」

俺は琴葉からしゃちほこのキーホルダーを受け取る

琴葉「ありがとうPくん…私は」

P「?」

琴葉「私は、こうやってPくんと沢山思い出を作りたい」

琴葉「思い出を重ねて…毎日をかけがえない今日に、明日にしていきたい」

琴葉「だからPくん、また…私とデートしてくれますか?」

琴葉の真剣な眼差しに見据えられ、息を飲む

俺は…

一旦ここまで
そしてセーブ1

ちなみに琴葉はHEDに至るまでが√HWを主軸にしているため割と最初からPに対して依存気味だったりする

P「…約束は、出来ない」

琴葉「…」

P「今は不確定な事が多すぎて、俺自身どうなるか分からないんだ」

P「だから、守れるか分からない約束をすることは出来ない」

琴葉「Pくん…」

P「でも」

P「俺が全てに答えを出せたら、その時にまた聞いて欲しい」

P「その時は、ちゃんと答えるから」

琴葉「…うん、わかった」

P「帰ろう、琴葉」

琴葉「…うん」

琴葉と並んで歩く

別れるまで、俺達の間に会話は無かった




痛い

胸が痛い

琴葉「…っう」

締め付けられるように痛い

さっきまで…Pくんと一緒に居たときに感じた幸せな気持ちとは違う、冷たくて苦しい気持ちが私の心を苛む

今までは約束してくれたのに

どうして

何か、何か繋がりが無いと、Pくんはきっとまた私の手の届かないところに行ってしまう

…また、いなくなってしまう

あの時感じた哀しさ、悔しさ、無力感…

またあれが襲ってきたなら、きっと私は耐えられない

何か、もっと強い繋がりが欲しい

ずっとPくんを私の隣に繋ぎ止めておけるような、繋がりが、欲しい

そこまで考えて、ふと疑問が湧いてくる

どうして私はこんなにもPくんに傍に居て欲しいのだろう?

…優しいから?

違う、Pくんはああ見えて結構意地悪だ

…格好いいから?

違う、確かに格好いいけど、それが理由じゃない

…私を、受け入れてくれるから?

…私は、恵美やエレナ以外で初めてホントウノワタシを受け入れてくれる人と出会えた

私のわがままも、弱さも、全部受け止めてくれる

だから私は、Pくんに傍に居て欲しいのかもしれない

よく考えたら私は彼に甘えてばかりだ

だけど彼の傍に居るとつい甘えてしまう

そして私は思いついた

彼が私を甘えさせてくれるのなら

私は彼を甘えさせれば良いのだと

そうすればきっと、彼も私を求めてくれる、私が必要だって言ってくれる

私は彼に必要とされたい、隣にいるのは琴葉がいいって言って貰いたい

だから私は、Pくんが欲しい

私の心が決まった

するとさっきまでの痛みが嘘のように消えていく

そして私の中に残ったのは、Pくんが欲しいという欲だけだった

自分自身がここまで欲深い人間だとは思わなかったけど、認めてしまえば楽なものだ

むしろこの気持ちが私に力をくれる

必ずPくんを手に入れる

そんな決意を胸に、私はPくんを手に入れるための計画を練るのだった

一旦ここまで
なんか色々とテンションがおかしい

【お知らせ】
765学園物語HED √LI及び√HBのタイトルを765学園物語TDに変更しました

【お知らせ】
本日は私用により臨時休業とさせていただきます

P「ふう…」

風呂から上がり、一息吐く

少しは心が楽になった

琴葉のおかげかな

P「…」

しかし何時までも琴葉に甘えるわけにはいかない

きちんと二人と向き合わないと

未だわからない自分の気持ちを定めるためにも、そろそろ前に進まなければ

そんなことを考えていると、スマホに着信があった

ディスプレイに表示された名前は「所恵美」

P「…」

俺は1度だけ深呼吸をしてから通話ボタンをタップした

P「…もしもし?」

恵美『もしもし、P?今大丈夫?』

P「ああ、大丈夫だ」

恵美『良かった、明日空いてる?』

P「明日?明日は…」

恵美『ちなみにプロダクションが無いのは知ってるから』

P「…一体どこからそれを?」

恵美『琴葉から』

P「なるほど…」

恵美『で、明日は暇?』

P「そうだな、特に予定は無いよ」

恵美『じゃあさ、ちょっと付き合ってよ』

P「どこに?」

恵美『街でも良いしPの部屋でも良いけど』

P「俺の部屋はちょっと…」

次また押し倒されたら間違いなく勢いに流される

恵美『そ、アタシはPの部屋でも良かったんだけど』

P「…」

恵美『まああれだね、アタシとデートしてよ』

P「恵美…」

直球で来たな

恵美『時間は12時でどう?』

P「問題ない」

恵美『集合場所は…その、さ、Pの家で良い?』

P「それはもちろん」

恵美『ありがと、それじゃあ明日12時にね』

そういって電話を切る恵美

P「…」

デート、か

今までも恵美と二人で買い物に行ったりはしたがいざデートと言われると意識してしまう

いや、もしかしたらそれが狙いなのかもしれないが

いずれにせよ恵美と話し合う良い機会だ

俺自身の気持ちを確かめるためにも、恵美とのデートを全力で頑張るしかない

そんなことを思いながら、俺は財布の中身を見た後このみ姉さんに小遣いの前借りをしにいった

一旦ここまで
恵美のターン

翌日

俺は玄関から少し出たところで恵美を待っていた

時刻は11時半、普段ならそろそろくる時間だ

恵美「あ、P早い」

予想通りの時間に恵美がやって来る

P「まあな」

恵美「もしかして、結構待った?」

P「いや、2分前に出て来たところだ」

恵美「…」

恵美がじーっと俺を舐め回すように眺める

恵美「…うん、汗も掻いてないみたいだし嘘じゃないね」

P「嘘つく理由が無いからな」

恵美「それもそうだね、じゃあ行こっか」

そう言いながら恵美が腕に抱き着く

俺の右腕は柔らかいものに包まれ、その感触に顔が赤くなる

P「め、恵美」

恵美「にゃはは、言ったでしょ?ガンガン行くって」

P「言ってたけどさ」

ジャブではなく最初からストレートで攻めてくるとは

恵美に抱き着かれたまま歩き、街に到着した

ずっと密着していたので滅茶苦茶暑い

P「あ、暑ぃ…」

恵美「まあそりゃずっと抱き着いてたらねぇ」

恵美が胸元をパタつかせながら言う

俺はなるべくそれを見ないように顔を逸らした

P「まずはどうする?」

恵美「ん~…実は目的って無いんだよね」

P「なに?」

恵美「アタシはただPと一緒にいたいだけだからさ」

恵美「だから正直どこだって良い、Pといられるなら、それで」

P「…」

とことんストレートに好意をぶつけてくる恵美

その真剣な言葉の一つ一つが俺の心を揺さぶる

P「…とりあえず、飯にするか」

恵美「ファミレス行く?ドリンクバーのタダ券あるし」

P「ファミレスか、じゃあそうするか」

暑いと言いつつも全く離れる気のない恵美を腕にぶら下げながら俺はファミレスへ向かう

P「なあ恵美、暑くないか?」

恵美「暑いねぇ」

P「そうか…」

多分何を言っても無駄なんだろうな感じ、説得は諦めた

それから少し歩き、ファミレスに入るとようやく腕が開放された

P「腕が汗だくだ…」

恵美「にゃはは、ファミレスのエアコンが気持ち良いっしょ?」

P「まあな」

空いていたボックス席に座る

…恵美は何故か隣に座っていた

P「なあ恵美」

恵美「んー?」

メニューを見ている恵美に声をかける

P「何で隣に座ってるんだ?」

恵美「この方が色々やりやすいしねー」

P「色々?」

恵美「そ、色々」

含みを持たせた言い方をしながら俺にもメニューが見えるように見せてくる恵美

俺は考えるのをやめてメニューを選び始めた

恵美特製のミックスジュースを飲んでいると恵美の注文していたポテトが運ばれてくる

しかし恵美はスマホと睨めっこしており、何やら必死に文字を打っていた

やがて

恵美「…よしっ」

何か決まったのかスマホをしまった恵美はポテトを摘まんでケチャップをつけると

恵美「P、あーん」

俺の方に差し出してきた

P「えっと」

恵美「あーん」

P「…」

恵美「…」

じりじりとポテトが近付いてくる

P「…あーん」

割と熱いポテトを囓る

恵美は俺がポテトに食い付いたのを確認するとポテトを一つまみ食べた後、もう一度ポテトを差し出してくる

恵美「あーん」

P「…」

恵美「…」

その後も一進一退の攻防が繰り広げられ、結局恵美のやりたいことに付き合うことにした

恵美「次は…」

再びスマホに何かを入力しながら何やら考え込んでいる恵美

一体何を見ているのやら

恵美「…流石…嘉…的確…」

何やらボソッと呟いた後スマホをしまい、いつの間にかグラスからジョッキに変わっていたジュースにストローを2本刺す

恵美「さあ、P」

自分の分のストローを確保した恵美がもう片方のストローを俺に向ける

…これを一緒に飲めって事か

一旦ここまで

ちなみに恵美のサポートのためにJMさんは幼なじみのHKさんと(D)Pさんを家に呼びOKさん、MRさん著作のデートマニュアルを読んでいる
なお集まった三人にそういう経験は一切無い模様

P「それじゃあ、飲むぞ?」

恵美「ん」

恵美がストローを咥えながら返事をする

俺もストローを咥えて、ジュースを飲み始めた

ジュースを飲みながらチラッと恵美を見ると

恵美「~~っ!」

顔を真っ赤にしながらジュースを飲んでいた

P「…」

その後もちょくちょくスマホを見ながらアクションを起こす恵美に付き合いながら昼食を終え、俺達はファミレスを出た

P「この後どうするんだ?」

恵美「ちょっと待って、えーっとご飯の後は…」

再びスマホを見ながら考え込む恵美

俺がリードした方が良いんだろうか?

とはいえ俺もそんなに経験があるわけじゃ無いし…

そんなことを考え込んでいると

「Pセーンパイ♪」

P「ごふぁ」

誰かに抱き着かれた…いや、突進された

恵美「P!?」

恵美が駆け寄ってくる

P「いてて…誰だ?」

「P先輩こんにちは!」

くりっとした赤い目に、特徴的な左右に撥ねた金髪の女の子

伊吹翼が突進してきた犯人だったようだ

P「翼…いきなり突進してきたら危ないだろ?」

翼「えー?でもでも、海美先輩はしょっちゅう突進してるじゃないですかー」

P「あいつの真似をしなくてよろしい、危ないんだから」

翼「はーい」

P「で、何の用だ?」

翼「あ、実は新しい服が出たみたいで、それを見に行こうかなーって思ってたらP先輩がいたからそれなら一緒に見て欲しいなーって、買って欲しいなーって」

P「待てい」

財布にする気満々だった

翼「まあ買って欲しいなーは3割冗談です!」

P「出来れば完全に冗談であって欲しかったな」

翼「P先輩暇ならデートしましょうよ!」

P「あー、悪いな翼、実は今日は」

俺が言葉を言い切る前に

恵美「…」

恵美が俺を抱き寄せていた

恵美「ごめんね翼、Pは今アタシとデートしててさ」

翼「あ、そうだったんですね」

恵美「うん、で、悪いんだけどこれからもデートに誘うのは遠慮して欲しいんだよね」

翼「あ、もしかして恵美さんとP先輩付き合ってるんですか?」

P「いや、付き合っ」

恵美「うん、だからごめんね」

俺の言葉を遮るように恵美が翼と会話する

翼「なら仕方ないかなー、ちょっと勿体ないことしたかも…あ、先輩、恵美さん、またねー」

そうぼやきながら翼が歩いていく

恵美「…」

微妙に力の入った恵美に抱き締められながら、俺は翼の背中を見送ることしか出来なかった

恵美「…予定変更」

恵美が俺の手を掴み、歩き出す

P「め、恵美?」

恵美「着いてきて」

恵美に手を引っ張られながらどんどん街から離れていく

P「一体何処に行くんだよ」

恵美「…アタシの家」

恵美「今日は夜まで、誰も居ないから」

P「えっ」

一旦ここまで
765学園物語CGは予定してる√が全て終わったら何時の日か

恵美「はい、お茶」

P「あ、ああ」

結局恵美の気迫に気圧されて恵美の部屋に上がることになった

恵美「そんな警戒しなくてもお茶に何も盛ってないし不意打ちもしないから」

P「俺何も言ってないぞ」

恵美「……まあ、そんな警戒してたら疲れるでしょ?リラックスしなよ」

P「とは言うがな…」

女の子の部屋に二人っきり、それもキスをした相手とだ

緊張するなと言う方が無理がある

恵美は俺の隣に座ると、肩に頭を寄せてきた

恵美「…アタシの部屋に男の子がいるってなんか新鮮」

P「そうなのか?」

恵美「うん、中等部までは特別誰かと仲が良かった訳じゃないし、高等部に入ってからは…さ」

P「ああ…」

恵美「だからアタシの部屋に入ったのは、Pが初めて」

恵美「やっぱり嬉しいね、好きな人と同じ部屋で話すのは」

P「恵美は…」

恵美「ん?」

P「恵美は、どうして俺を」

恵美「好きになったかって?」

P「…ああ」

恵美「正直、一目惚れだったかな」

恵美「あの時は逃げるのに夢中だったけど、アタシを庇って時間稼ぎしてくれたよね」

P「…ああ」

恵美「あの時の背中と、初めて会ったアタシなんかのために自分の危険も顧みずに守ってくれたPの心に、アタシは一目惚れした」

恵美「もちろん最初は一目惚れだって気付かなかった」

恵美「だけど高等部で再会して…最初はお礼を言うタイミングを見計らってたけど、いつの間にかずっとPを目で追うようになってた」

恵美「その時からかな、アタシは本当はお礼が言いたいんじゃ無くて、この人が好きなんだって気付いたのは」

主人公も変わるし登場キャラも変わるけど世界観は同じだから別に良いかなーって
まあ問題なら学園物語CGにしようかと

恵美「だからアタシはPに近付いた」

恵美「友達になりたかったわけじゃ無い、アタシが自分の事だけ考えて、自分勝手な理由で近付いた」

恵美「でも友達になったのは失敗だった」

恵美が前髪を弄りながら言う

恵美「結果的にアタシは勇気が出せずに中途半端になって、自分で勝手に苦しむ羽目になって…」

恵美「そんなアタシが嫌で、また中途半端になって」

恵美「そんな時かな、三年生になって、クラスが別々になった時、アタシの心には大きな喪失感があった」

恵美「別に会えなくなった訳じゃないのに、すごく辛かった」

恵美「だからアタシは決めた、勇気を出すって」

恵美「もう、あんな夢見たくないから…」

P「恵美…」

恵美が一体どんな夢を見たのかはわからない

だけどとても辛い夢を見ていたことだけはわかる

…俺のせいで

恵美「…ねえ、P」

恵美が俺の手を握る

恵美「アタシは…」

恵美「アタシは…Pが好き」

再び恵美に告白される

恵美「この気持ちは誰にだって負けない、琴葉にだって、エレナにだって、志保にだって…海美にだって」

恵美「何があっても、この気持ちは変わらない」

恵美「世界で一番、Pが好き」

そういって恵美が抱き着いてくる

恵美「誰の名前も、呼んで欲しくない」

恵美「もう、強がれないから、アタシはもう、自分を騙せないから」

恵美「どこにも行かないで、アタシの傍に居て欲しい」

恵美「アタシだけを、見ていて欲しい」

恵美「アタシの…自分勝手でわがままな感情が、もう溢れてぐちゃぐちゃになって」

恵美「こうしてるだけでも、1秒ごとにPが好きだって感情が強くなる」

恵美「だから、いつものアタシが壊れる前に…」

恵美「アタシを…見つけて…」

一旦ここまで
セーブ2

P「…」

今ココで恵美を抱き締めて受け入れたら、どれだけ楽だろうか

すべてを投げ出して、何も考えずに恵美と二人でいられたならそれはそれで良い未来があったのかもしれない

だけど俺はその未来を選べない

自分の気持ちすらわからないのに、恵美を受け入れてもきっと遅かれ早かれもっと傷付けてしまう

今以上に、苦しめてしまうだろう

だから俺は…

P「…恵美、それは出来ない」

恵美「…」

その言葉を聞いて俺を抱き締めている腕に力が込められる

P「…恵美を受け入れても、俺には恵美を幸せに出来る自信が無い」

恵美「別に、良い」

恵美「アタシはPが隣にいてくれるだけで幸せだから」

P「恵美…」

恵美「今だって、こうやって抱き着いてるだけですごく心が暖かくて、安心する」

恵美「アタシは、このぬくもりをアタシだけのモノにしたい」

恵美「誰にも渡したくない」

抱き締める力が更に強くなる

まるで全身で俺の体温を感じようとしているみたいに

俺は…

俺はどうして、恵美に応えてあげられないのだろうか

恵美はこんなにも素直な気持ちをぶつけてきているのに

そしてどうして

エレナの笑顔がちらつくのだろう

俺は…

恵美「…ねえ」

P「ん」

恵美「誰のこと、考えてる?」

P「…」

恵美「少なくともアタシの事を考えてないのはわかる」

恵美「志保?琴葉?エレナ?…それとも、海美?」

P「俺は、別に…」

恵美「…」

一旦ここまで
ついでにアンケ
逆レは有りか無しか

作品全体で

荒れるかもしれないと思ってただけに好意的な反応で割と驚いてたり

あ、今日は無しで

一応√RRRも√UUも両想いで√ヒロインだったからアレだけど
今回のケースは付き合ってない+両想いじゃない+√ヒロインじゃないっていう状況だからちょっと心配になった
まあ問題無さそうなので決行

胃の穴埋め用のパテ投下
765学園物語TD √HB 1話 | https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=8446762

恵美「なら…」

P「っ!?」

突然恵美が俺の股間を鷲掴みにした

恵美「アタシしか見れないようにしてあげる」

P「め、恵美!何をする気だ!?」

恵美「あんたを襲って、既成事実を作る」

P「ま、待て!そんなことをしてもい″っ!?」

恵美が握った手に力を込めてきた

恵美「抵抗するなら、握り潰すから」

文字通り急所を握られた俺は、恵美に言われるがままに行動するしかない

恵美「とりあえず、ベッドに上がって」

P「はい…」

正面から握られているので手探りで移動する

P「あ、上がったぞ」

恵美「上の服脱いで」

P「恵美…」

恵美「早く」

P「わかった…」

言われたとおりに服を脱ぐ

恵美「…」

恵美の頬が赤くなった

恵美「つ、次は…」

俺の胸板をガン見しながら恵美が次の命令を考える

やがて…

恵美「…うん、決めた、腰浮かせて」

P「…」

肘で体を支えながら腰を浮かせる

すると恵美は素早くベルトを抜き去り、ズボンを脱がされてしまった

…まさか友達の家でパンツ一枚にされる日が来るなんて思いもしなかった

恵美「…っ」

恵美はというとはっきり分かるくらい顔を赤くして俯いていた

恵美「ちょ、ちょっと待ってて」

恵美が俺から離れてスマホを見る

恵美「…」

急所が解放されたのでいつでも逃げられるのだが…

P「…」

この問題は後回しにする方が拗れそうな気がする

恵美「…よし」

方針が決まったのか、恵美が再び俺に意識を戻した

恵美「P…」

恵美が俺の上に座り、首に手を回して抱き着いてくる

素肌に恵美の柔らかな部分が押し付けられ、その感触に思わず反応してしまう

P「っ」

気付かれないように必死に抑えているが…きっと無駄な努力なんだろう

恵美「…」

俺が必死に耐えていると、恵美が俺の首筋に顔を埋め

恵美「…ん」

P「ひい!?」

首筋に吸い付いた

一旦ここまで

P「な、な、何してるんだ!?」

恵美「動かないでよ」

首筋を恵美に吸われ、ぞわぞわする

やがて恵美が首筋から離れた

P「一体何を」

恵美「Pがアタシのだって、マーキングした」

P「マーキング…?」

恵美「そ、首筋にね」

首を触ってみるが良くわからない

恵美「次はアタシに刻んでよ」

そう言って恵美が上の服を脱いだ

P「ちょっ!?」

恵美「どれだけ苦しくても、どれだけ痛くても良いから、アタシをPのものにしてよ」

P「だ、駄目だ、恵美を物扱いなんて出来ない」

恵美「…………」

P「恵美?」

俺の言葉が届いたのだろうか

恵美が動きを止めて顔を伏せる

…何とかなったかな?

そう安堵した次の瞬間だった

P「ぐっ!?」

首に手を掛けられベッドに叩きつけられる

そして恵美に完全に上を取られてしまった

恵美「その…!」

恵美が何かを呟く

恵美「その中途半端な優しさがアタシを傷付けてるって、いい加減気付いてよ…!」

顔を上げた恵美は泣いていた

…俺が、泣かせてしまった

恵美「はっきりと拒絶してくれたなら、アタシだって諦められるのに!」

恵美「いつまでも先延ばしにして、余計な期待しちゃって…!」

恵美「今だって…!」

P「めぐ…み…」

恵美「お願いだから、はっきりしてよ…」

恵美「いつまでも苦しめないでよ…」

P「…」

今、どんな言葉を掛けても恵美を傷付けてしまう

それがわかる以上、俺は何も言えなかった

恵美「…P、手を上げて」

P「こ、こうか?」

恵美の指示通りに手を上げる

すると

カシャン

手首に何かをはめられた

P「…え?」

頭を動かして見てみると、俺の手首には見慣れない銀色の輪っかがはめられていた

P「て、手錠!?なんでこんな物が!」

ベッドと繋がれた手錠を外そうと藻掻くがビクともしない

そうこうしているうちに

カシャン

足にも金属の輪が触れる感覚があった

俺を抑えていた恵美が立ち上がり、下着を外す

P「っ!」

こんな状況にも関わらず、恵美の体を綺麗だと思ってしまう

恵美「…」

そして恵美は再び俺に跨がると、俺の下着に手を掛けた

P「恵美!ストップ!これ以上はまずいって!」

恵美「関係ない」

P「め、恵美!」

恵美「アタシは、アタシのやりたいようにやるから」

下着を足下まで刷り降ろされ、恵美が俺の急所に手を伸ばす

この日、恵美とダークシンクロした

一旦ここまで

P「…」

やってしまった

恵美と一線を越えてしまった

本当に嫌なら抵抗出来たはずなのに

心のどこかで抵抗することに抵抗していた

俺は…俺の気持ちは…

終わった後また泣いてしまい、今は眠っている恵美を見つめる

一線を越えてしまった以上、責任を取らなくてはならない

とりあえず恵美にタオルケットでも掛けよう

そう思った俺は立ち上がろうとして…

恵美が俺の裾を摘まんでいることに気付いた

P「恵美?起きたのか」

恵美「…」

しかし恵美は返事をしない

P「…恵美?」

もう一度声をかける

少し待ってから返ってきたのは

恵美「…ごめん」

謝罪の言葉だった

その言葉にどれだけの意味が込められているのか、俺にはわからない

だけど

P「気にしなくて良いよ」

俺は気にしていなかった

恵美「…っ、でもアタシはPをレイプしたも同然で、Pも嫌がってたのに」

P「終わってから気付いたんだ」

P「本当に嫌だったなら、もっと抵抗してたんじゃないかって」

恵美「でもそれは…アタシが手錠で拘束したから」

P「脚を拘束されるまで十分に隙はあった、でも俺は抵抗しなかった」

P「だから俺はもしかしたら、嫌じゃなかったんじゃないかと思ってさ」

恵美「…それでも」

恵美「無理矢理酷いことして、ごめんなさい」

P「…」

深く頭を下げる恵美を

恵美「あっ」

俺は抱き寄せた

P「悪いのは俺の方だ」

P「恵美にこんな酷いことをさせるまで追い込んだ、俺の責任だ」

Pの友人

天ヶ瀬冬馬
初等部からの付き合い
事ある毎に連んでいるPの一番の親友
Pや翔太のためなら骨を折るのも厭わないくらい二人を大切に思っている
周りからはホモだと思われているらしい

御手洗翔太
初等部からの付き合い
事ある毎に連んでいるPの親友
昔名前のせいでからかわれていたがPと冬馬に助けられてから二人を大切に思っている
女子生徒からの人気が高い

間島
中等部からの付き合い
頭がPの形をしている
筋肉がムキムキで、力を入れると筋肉が盛り上がり制服が破れるほどだが、強くはない
サバイバルスキルが非常に高い

武内
中等部からの付き合い
目付きが悪く、初対面ではよく怖がられているが本人はとても大人しい性格
困ったことがあると首に手を当てる癖がある
笑顔が大好きなのだが本人の笑顔は周囲に恐怖を振りまく

多田DP
中等部からの付き合い
Pと趣味が合い、たまに徹夜でゲームをしたりしている
幼なじみの北条加蓮に対して非常に過保護で、よく世話を焼いている
一つ下の妹がいる

伊吹
高等部からの付き合い
高等部に進級してから仲良くなった
翼の兄だがPは気付いておらず、本人もPが翼の知り合いであることを知らない
妹が大好きなシスコン

恵美「…っ、ズルいってPは」

恵美「こうやって抱き締められたら…アタシ、反省出来ない」

恵美「何度だって甘えたくなる…」

P「…」

恵美「なんで…優しくするの?」

P「恵美が大切だから」

恵美「!」

P「ずっと友達でやってきたけど、恵美にキスされてから俺は、恵美を意識してたんだ」

恵美「それって…アタシは、期待して良いの…?」

恵美「Pの隣にいて良いんだって…思って良いの…?」

P「…それは、わからない」

P「俺は、俺自身の気持ちがわかってないんだ」

P「だからまだ答えは出せない、こんな中途半端な気持ちで答えを出しても…きっとまた恵美を傷付けるだけだから」

恵美「良い…アタシは、中途半端でも良い!少しでも…少しでもPが、アタシに気持ちを向けてくれるなら、中途半端でも…!」

P「…」

P「恵美は、中途半端な優しさが恵美を傷付けてるって言った」

P「だから俺は、ちゃんと答えを出したい」

P「恵美に泣かれたとき、俺は俺がどれだけ恵美に酷いことをしてしまったのかわかったんだ」

P「だから恵美、恵美を受け入れるにせよ、受け入れないにせよ、もう少し待って欲しい」

P「…ちゃんと、答えは出すから」

恵美「…うん」

恵美「Pがちゃんと決めたことなら、アタシは受け入れるから」

恵美「例えその答えがどれだけ辛くても、アタシは…」

P「…今日は帰るよ」

恵美「うん…今日はありがと、色々と」

P「気にしなくて良いよ」

恵美「うん…ねえ、帰る前に一つだけ、良い?」

P「なんだ?」

恵美「キス、して欲しい」

恵美「Pの方から」

P「…」

恵美「お願い」

P「…わかった」

恵美の頬に手を添えると、恵美が目を閉じた

P「…」

恵美「ん…」

唇が触れ合うだけの簡単なキスだったが、俺の方からキスをするのは初めてだった

恵美「…ありがと、やっぱりアタシはPが好きだって良くわかるよ」

恵美「アタシ、Pが答えを出すのを待つから」

P「ああ」

恵美に見送られて、俺は恵美の家を出た

P「…ふう」

恵美の家を出てしばらくしてから、俺は深く息を吐いた

…俺がもっと早くに答えを出していれば、今日みたいなことにはならなかった

恵美は勇気を出して踏み出したのに、俺はそれから逃げた

…また、逃げたんだ

だけどもう逃げられない

これ以上逃げたら、人として自分を許せない

向き合う時が来た

恵美と…エレナにも

かつてないプレッシャーに押し潰されそうになる

しかし先に進まなければならない

それだけのことをしてしまったツケを、払わなければならない

これ以上琴葉に頼るわけにもいかない

俺自身が、自分の気持ちを理解するためにも

P「…」

家に向かって歩き出す

俺は…どんな答えを出すんだろうか

自分に問いかけるが

当然答えは帰ってこなかった

一旦ここまで
イチャイチャ欠乏症は√BMC書いたおかげで解消出来たのでまたしばらくは更新します

P「さて…」

恵美に答えを出すとは言ったものの、その前にやらなくてはならないことがある

P「…エレナ」

隣の席になってから、俺の中で急にエレナの存在が大きくなった

決定的要因は間違いなく海水浴の日だが…

どうしてあの時エレナは俺にキスをしたのか

…自惚れじゃないのなら、俺のことが好きだから…ということになる

だけど

P「それならどうして隠すんだ…?」

この前のハイキングの時もそうだ

思わせぶりなことはしても、本音は出さない

エレナが一体何を考えているのか、俺には分からない

だけど分からないなら、聞けば良い

行動に起こさないと何も進展しないと恵美に教えられた

だから俺は

P「…」

スマホを耳に当てる

少しのコール音の後、電話が繋がった

エレナ『もしもし?』

P「もしもし、エレナか?」

エレナ『エレナだヨ~!P、どうしたノ?』

P「ああ、もし予定が空いていればで良いんだが…」

P「明日の花火、一緒に見に行かないか?」

P「…」

次の日、人混みの中で俺はエレナを待っていた

花火大会にエレナを誘ったものの呆気なくOKされ拍子抜けしたが、断られるよりよっぽど良い

そんなこんなでエレナを待っていると、女性に声をかけられた

P「え?えーっと…」

どうやら逆ナンのようだ

P「すいません、お気持ちは有り難いんですが連れと来てまして」

P「ですのでせっかくのお誘いなんですが勘弁を…」

しかし相手は何故か食い下がる

P「いえ、ですから」

必死に頭を下げながらナンパをしてくる相手に困惑していると

エレナ「P~♪」

後ろからエレナが抱き着いてきた

P「え、エレナ!」

エレナ「そこの人、ゴメンネ~、この人はワタシのカレシなノ!」

P「え?」

エレナ「だからナンパなら他の人に声をかけて欲しいナ~」

流石に彼女持ち相手にナンパは出来ないのか、女性は肩を落として去って行った

P「助かったよエレナ」

エレナ「前のお返しだヨ」

P「前の?」

エレナ「ワタシが街でナンパされた時に、カレシだって言って助けてくれたでショ?」

P「あ、あ~そんなことあったな…」

すっかり忘れてたぞ

エレナ「うーん、ケドやっぱりPは無防備だネ~」

エレナ「いつか誰かに襲われても知らないヨ?」

P「…」

手遅れだったりする

P「あ、良く見たらエレナは浴衣なのか」

エレナ「うん!ママンに着付けて貰ったんだヨ~」

綺麗な緑色の浴衣で、髪の色ともよく合っていてなんというか…

P「その、よく似合ってる」

エレナ「ありがと!どう似合ってる?」

P「どうってその…うん、可愛いと思う」

エレナ「えへへ…♪」

P「あ、あー、とにかく、屋台とか見て回ろう」

エレナ「そだネ、ワタシも色々と食べたいヨ~」

歩き出そうとして

左手が誰かの手に握られた

左手を見るとエレナの右手が俺の左手を握っていて

エレナ「こうしてた方が、他の女の人も寄ってこないよネ?」

P「あ、ああ、そうだな」

その柔らかな感触と手の温かさに

柄にも無くドキドキする

一旦ここまで

人混みの中、エレナと手を繋いで歩く

エレナ「こうやって二人だけでお祭りに来るのって初めてだネ」

P「そうだな…いつもは海美とか冬馬や翔太、恵美がいたからな」

エレナ「うん、だから新鮮だヨ」

二人だけで祭りに来ている

誘ったのは俺なのに、そう意識するとまたドキドキしてくる

P「…なあ、エレナ」

エレナ「?」

P「エレナはどうして来てくれたんだ?」

エレナ「…Pが誘ってくれたからだヨ」

P「二人だけだって分かってたのか?」

エレナ「ううん、それはわからなかったケド…」

エレナ「そうだったら良いなって思ってた」

P「…そっか」

エレナ「うん」

P「…」

…もうそろそろ花火が上がる時間だ

だが

P「…エレナ、少し寄り道しないか?」

P「…ここで良いか」

人混みを離れた俺達は、我が家の所有する花火用の空き地に来ていた

エレナ「ここは?」

P「母さんが買った土地だ、花火の場所取りが面倒だっていう理由で買ったらしい」

エレナ「へえ-」

P「…なあ、エレナ」

エレナ「何?」

P「聞きたいことがあるんだ」

エレナ「ワタシに答えられることなラ」

P「…あの時、海水浴の日」

P「どうして俺にキスをしたんだ?」

エレナ「あれは、手のひらだヨ~」

P「嘘だな」

エレナ「…根拠は?」

P「正直に言う、俺は恵美とキスをした」

エレナ「…!」

P「そして知った、手のひらの感触と唇の感触は全く別の物だ」

P「他にも気になる点はある」

P「一緒にぷっぷか山に行ったとき、エレナの母親が父親との交際の時に着ていた服を着てきたよな」

P「あれは大切なものだと言った、なら何故そんな大切な服を着てきたんだ?」

P「しかもわざわざそれを口にする必要は無かったはずだ」

P「今日だってそうだ、二人だけだったら良いなって思ったって言ったよな」

エレナ「…うん、言ったね」

P「どうして、二人だけが良かったんだ?」

エレナ「本当は、聞かなくても分かってるんでショ?」

P「察しは付いてる、でもそれはただ俺が自惚れているだけの可能性だってある」

P「だから俺は、エレナの口から答えを聞きたい」

エレナ「…そうだネ、ちゃんと示さないと分からないよネ」

時間になったのか、花火が上がる音が聞こえる

そして夜空に花火が咲いたとき

俺の唇はエレナの唇に塞がれていた

一旦ここまで

少ししてから、エレナが離れた

エレナ「あんまり驚かないネ?」

P「察しは付いてるって言っただろ?…まあ、気付いたの本当につい最近だが」

エレナ「Pは鈍感だからネ」

P「おかげ様で最近は自覚有りだよ」

エレナ「…じゃあさ、ワタシが言いたいことも、わかるよネ?」

P「…ああ」

エレナ「ワタシ、Pが好きだヨ」

P「…」

エレナ「…」

P「…」

エレナ「…」

P「え?終わり?」

エレナ「そうだケド…」

P「てっきり付き合って欲しいとか言われるのかと」

エレナ「んー、もちろん言いたいケド…」

エレナ「ケドP、何かに凄く悩んでるよネ?」

P「…」

エレナ「ちょっと前のワタシも同じだったから、すぐ分かったヨ~」

P「俺は…」

エレナ「Pが何に悩んでいるのかワタシには分からないケド」

エレナ「きっと凄く大切なことで悩んでるのは分かる」

P「…」

エレナ「本当ならワタシが傍で一緒に悩んで、一緒に解決したいんだケド…」

エレナ「Pはきっとそれを望まないよネ」

エレナ「だからワタシは待つヨ」

エレナ「Pが全部解決するまで待って、それからもう一度告白する」

エレナ「悩んでるときに押されても負担になっちゃうもんネ」

エレナ「あ、でもワタシに出来ることがあるならいつでも言って欲しいヨ~」

エレナ「いつでも、手伝うからネ」

P「…ああ、ありがとうエレナ」

エレナ「よーし、じゃあ今日は悩みをぜーんぶ忘れて、花火を楽しもうヨ!」

P「ああ」

エレナの言葉通り…今だけは、すべてを忘れよう

空に消えていく花火を見ながら、俺は現在を楽しんだ

花火大会から数日が経った

エレナのおかげで少しは楽になったものの、未だ悩みは解決出来ないでいた

恵美とエレナ…二人に対してどう向き合えば良いのか…

そんな時、琴葉からメールが届いた

その内容は

プロダクションで毎年恒例となっている温泉街に泊まりがけで旅行に行こうというものだ

P「慰安旅行…か」

そういえば去年も行ったっけ

何故かメールの出欠確認が出席以外の選択肢が存在しないことに違和感を覚えたが、欠席する理由も無いので出席でメールを返す

すると1分もしないうちに集合場所や持参物の書かれたメールが返ってきた

P「明後日か…」

去年の慰安旅行を思い出す

あれは中々に楽しかった

P「楽しみだな」

期待に胸を膨らませながら、旅行の準備を始めるのだった

琴葉「Pくん、お菓子作って来たんだけど…食べる?」

P「貰うよ」

温泉街に向かうバスの中で琴葉の手作りのお菓子を食べる

変わった甘さだが中々に美味しい

P「うん、美味いよ琴葉」

琴葉「良かった…まだまだあるから、遠慮しないで食べてね?」

P「ああ、ありがとう琴葉」

琴葉「温泉、楽しみだね」

P「ああ」

琴葉「…混浴もあるんだって」

P「へえ」

琴葉「…楽しみ、だね」

P「そうだな…温泉、楽しみだ」

バスに揺られながら景色を見る

早く目的地に到着したいな

バスに揺られること約二時間

俺達は温泉街に到着した

P「着いたな」

琴葉「バスに忘れ物とかはしてない?」

P「ああ大丈夫」

琴葉「それじゃあみんな、行きましょう」

琴葉に先導され、宿に向かう

少し歩くとすぐに宿に到着した

一旦ここまで

部屋に杏奈胃された俺は荷物を置いて一息つく

部屋の窓からは温泉街が一望出来、オマケに角部屋なのでかなり良い部屋なんじゃないだろうか

P「どこから廻るかな」

琴葉に渡されたガイドブックを見ながら予定を立てていると

琴葉「Pくん、入っても良い?」

外から琴葉の声が聞こえた

P「ああ、大丈夫だ」

琴葉「失礼します」

琴葉が戸を開けて中に入ってくる

P「どうしたんだ?」

琴葉「Pくんを誘いに来たの」

P「何に?」

琴葉「デート」

P「デート…ああ、練習のやつね」

確かにいつもと違う環境で試してみるのもアリだな

琴葉「…」

P「わかった、じゃあ行こうか」

琴葉「うん、ありがとうPくん」





琴葉と一緒に宿の入り口まで降りる

琴葉「その、Pくん、手を…」

P「ああ、ただその前に」

俺はさっきから感じている視線を排除するために懐からあるものを取り出した

琴葉「Pくん、それは?」

P「ああ、伝説のアイドル、日高舞の激レアブロマイドだ」

後ろからガタッと大きな音がした

俺はそれに気付かないフリをしながら

P「あしまったー日高舞の激レアブロマイドが風に飛ばされてー」

ブロマイドを上手く風に乗るように手から離した

亜利沙「ふおおおお!MOTTAINAI!」

物陰から亜利沙が飛び出し、ブロマイドを追い掛け始める

それに続くようにプロダクションの面々が亜利沙を追い掛けていった

P「よし、行こうか」

琴葉「うん」

琴葉と手を繋ぎ、俺達は歩き出した

見知らぬ風景を琴葉と一緒に歩く

何度も繰り返しているデートの練習だが、こうなると凄く新鮮だ

P「歩きにくくないか?大丈夫?」

琴葉「うん、大丈夫…それに、こうしてPくんが手を握ってくれてるから」

P「それなら良かった」

琴葉の歩幅に合わせてゆったり歩く

…心が落ち着くようだ

練習とはいえ琴葉とデートをしていると、心が安らぐ

琴葉の為人を知ったからだろうか?

それだけに、去年琴葉と争うのが嫌で逃げた事が悔やまれる

もっと早くに知っていれば、もしかしたら…

P「…」

…たらればを考えても仕方ない

今は琴葉の夢のために、俺に出来ることをやるだけだ

寝落ちしてしまった
一旦ここまで
実質3人分の√だからかなり長くなってる
とりあえず1000越えたらSSLの方更新します

琴葉「足湯、気持ち良かったね」

P「ああ、何だか疲れが抜けていく感じだった」

琴葉「…Pくん、疲れてる?」

P「ん?あー、まあ多少は」

肉体的な疲れでは無いが…

琴葉「そ、それなら」

P「ん?」

琴葉「今日、私がマッサージするわ」

P「マッサージ?」

琴葉「うん、簡単なものだけど…駄目、かな?」

P「うーん、マッサージか…」

あんまり琴葉に迷惑をかけるのもな…

P「いや、えんり」

琴葉「それに、私はPくんの相談に乗っていたしその後どうなったのか知りたいの」

琴葉「だからマッサージは抜きにしても今日の夜、行っても良いかな…?」

P「…」

確かに相談に乗って貰ったのに何も伝えないというのは感じが悪い

P「…わかった、じゃあ待ってる」

琴葉「ありがとうPくん」

琴葉「それじゃあ、もう少し色々見て回ろう?」

P「ああ」

琴葉に手を引かれて歩き出す

琴葉に俺は何度も導いて貰った

いつか、琴葉にお礼をしなきゃな





琴葉「Pくん、アレ見て」

P「温泉…アイス…?」

琴葉「…食べてみる…?」

P「うーん…?」

お土産特有のゲテモノ感溢れる品々を眺めながら琴葉と町を廻っていたが、時間が経つのは早いもので夕食の時間がやってきた

宿で出された夕食をみんなで食べた後、ようやく温泉に入る

足湯も素晴らしかったがやはり全身で浸かると気持ち良い

余りの気持ち良さにウトウトし、危うく永遠に眠ってしまうところだった

温泉から上がった後は浴衣に着替えて部屋に戻る

敷かれていた布団に寝転がるとすぐに眠気がやってきた

しかしまだ眠るわけにはいかない

琴葉が来るんだ、だらしないことは出来ない

体を起こして頭を振る

そうやって睡魔と戦うこと数分

琴葉「Pくん…いる?」

琴葉がやってきた

P「今開けるよ」

琴葉「お邪魔します」

扉を開けて、琴葉を招き入れた

琴葉は温泉から上がってすぐなのか、体は熱を帯びて微妙に赤くなっており、髪はしっとりしている

浴衣なのも相まってなんというか…凄く艶っぽい

P「ゴクッ…」

琴葉「Pくん、どうしたの?」

P「い、いや、何でも無い」

俺は邪念と眠気を追い払うように頭を振り、部屋に戻った

琴葉「はい、お茶」

P「ありがとう琴葉」

琴葉が持参したお茶を飲む

…美味い

琴葉「それじゃあ…Pくんの悩みがどうなったのか、教えて欲しいな」

P「ああ…」

俺は恵美に襲われたことは隠しながら、今の自分の気持ち、エレナとのこと、自分がどうすれば良いのか分からない

という話をした

琴葉「そう…なんだ」

全てを聞いた琴葉はとても複雑そうな表情を浮かべていた

琴葉「…一つ、確認なんだけど」

P「うん」

琴葉「Pくんは…その…今の状態じゃなかったら、恵美やエレナと付き合いたいって思う?」

P「それは…」

…考えたこと無かったな

P「うーん、自分が誰かと付き合ってるって想像出来ないな」

琴葉「なら…私となら?」

P「え?」

琴葉「デートの練習もしたから…その、私と付き合ってるってイメージは出来る?」

P「そうだな…確かに琴葉と付き合ってるってイメージならしやすいな」

琴葉「♪それなら、イメージの私を恵美やエレナに置き換えると?」

P「ふむ…イメージしやすくなったな」

まあ恵美もエレナも性格が違うからあまり意味は無さそうだが

琴葉「なら、今はそれで良いと思う」

琴葉「一番しやすいイメージを形にするのがきっとPくんの理想だから」

P「…」

一番しやすいイメージ、か…

P「ありがとう琴葉、参考になるよ」

琴葉「どういたしまして…それで、Pくん」

P「ん?」

琴葉「うつ伏せでお布団に寝転がって欲しいの」

P「なんでまた」

琴葉「お昼に言ってたマッサージ、してあげたいから」

P「そんなに気にしなくて良いのに」

琴葉「良いの、さ、寝転がって?」

琴葉に言われた通り、布団でうつ伏せになる

琴葉「それじゃあ」

琴葉が俺の腰や背中を指圧する

P「…」

中々に気持ちが良い

マッサージが出来るという琴葉の新たな一面を見た

琴葉「どう?」

P「ああ…気持ち良い」

琴葉「良かった」

気持ち良さに身を委ねていると

俺の意識は途絶えた

一旦ここまで

琴葉「Pくん?」

P「…スー…」

返事の代わりに寝息が聞こえてきた

どうやらPくんは寝てしまったらしい

これでは薬の効果があったのかどうか分からない

琴葉「ちょっと残念…」

私は指圧を止め、Pくんの隣に座った

うつ伏せで、顔も伏せるように寝ているので苦しくないか心配になる

出来れば仰向けにしてあげたいところだけど私にそんな力は無い

…決して寝顔が見たいわけでは無い

Pくんが寝返りを打つの期待しながら私はPくんをじっと見つめる

身動ぎする度にだんだんと期待値が高まっていく

琴葉「…え?」

そして気付いた

身動ぎで少し乱れた浴衣から見える首筋に、何かが見えることに

琴葉「…」

少し移動し、見えた何かを確認する

琴葉「これは…?」

首筋に内出血らしきものを見つけた

何かあったのかな

念の為スマホで首筋の内出血の症状を調べようとして

その検索ワード候補に固まった

…キス…マーク?

…もしこれが本当にキスマークなら

誰かがこれをPくんに付けたということ

どこの女かは分からないが、Pくんは自分のものだと主張するためだろう

琴葉「…」

でも関係ない

誰が付けたキスマークだろうと、誰がPくんを自分のものだと主張しようと

私の耳には一切入っていない

それはすなわち私にとっては宣言されていないのと同義だ

だから私はキスマークがあろうと気にせず、Pくんを自分のものにする

ただしそれはそれとしてキスマークがあることが不愉快なのには変わりない

だから私は

Pくんの首筋に顔を近付ける

男の子の匂い…Pくんの…匂い

その匂いは私の頭をくらくらさせ、理性が飛びそうになる

Pくんの柔らかそうな耳たぶに噛み付きたい

Pくんの首筋に顔を埋めて深呼吸したい

Pくんの胸に飛び込んで抱き締められたい

Pくんの唇に吸い付きたい

Pくんの匂いをずっと嗅いでいたい

Pくんの髪を撫でたい

Pくんを膝枕したい

Pくんとずっと一緒にいたい

Pくんと深く深く繋がりたい

Pくんの時間を私のために使って欲しい

私の時間をPくんのために使いたい

もっともっと沢山のことをPくんとしたい

そんな沢山の想いが内から溢れてくる

自分で盛った薬の効果を今まさに自分自身が体験していた

朝のお菓子よりも沢山盛ったからか、自分を抑えるのが難しい

身体が疼く

私の前で無防備に眠るこの人を好き放題にしたい

眠っている今が千載一遇のチャンスなのは間違いない

だけど微かに残る理性が私を踏み留まらせる

勝手なことをして嫌われたくない

臆病な私が、今だけはありがたかった

P「うんん…」

私が必死に自分を抑えていると、Pくんが寝返りを打った

浴衣は開け、胸元が露わになっている

琴葉「ゴクッ…」

私はPくんのその艶やかな姿にどんどん理性が削られていく

今は二人きり

部屋に入ったときに鍵も掛けておいたから邪魔は入らない

手を出したい

でも無理矢理やって嫌われるのが怖い

琴葉「…はあ…はあ…」

身体が熱い、全身が疼く

目の前の人が欲しい

目の前の人を蹂躙して、荒々しく私を蹂躙して欲しい

下腹部に感じる湿りに急かされている

いっそ、睡眠薬でも飲ませて…

そう考えたときだった

P「琴葉…」

急に名前を呼ばれ、ビックリする

もしかして起きたのだろうか?

しかしPくんは眠ったままだった

…寝言?Pくんの夢の中に、私が…?

一体どんな夢を見ているんだろう

夢の中の私は、どんなことをしているんだろう

夢の中でPくんはどんな気持ちを夢の中の私に向けているのだろう

気になる

P「ありがとう…」

琴葉「…!」

どんな夢を見ているのかはわからない

わからないけど…

夢の中の私は、Pくんに何かをしてあげられたみたいだ

なら現実の私が、夢の中の私を貶めるわけにはいかない

理性が本能に勝り、私は冷静になることが出来た

夢の中の私に感謝したい

気持ちが抑えられないのは変わらない

だけど無理矢理襲ったりもしない

今は隣にいられるだけで嬉しいから

琴葉「Pくん…」

ぐっすりと眠るPくんを見る

私はPくんの唇にさっと唇を合わせる

今はこれでいい

だけどいつかは、この先も…

Pくんに背中を向けて隣に寝転がる

琴葉「…」

身体の火照りは収まってはいない

だから私は声を押し殺す

大切な人が隣にいる状態で、私は自分で自分を慰める

決してバレたくない気持ちと、見て欲しい気持ちが混ざり合って新たな快楽へと私を堕としていく

私が力尽きて眠るまで、夜は続いた

一旦ここまで

ちなみに琴葉が薬を盛ったのはバスで食べたお菓子と夜に持参したお茶の2箇所
お菓子の方は惚れ薬、お茶の方は√HWの媚薬お香と同効果の薬と惚れ薬(お菓子より濃度2倍)

なお媚薬には混ぜるな危険と書いてある模様

P「ん…」

ゆっくりと意識が覚醒する

体を起こして頭を振ると、意識がハッキリした

P「そうか…昨日あのまま寝ちまったか」

琴葉のマッサージがとても気持ち良く、元差眠かったのも相まってすぐに意識を落とした

P「琴葉にお礼をしないとな」

そこで俺は、左手の違和感に気付く

P「?」

左手に視線を向けると

琴葉「ん…」

浴衣の開けた琴葉が、俺の手を握って眠っていた

P「…」

俺は琴葉から視線を外すと

P「ふー…」

深く息を吐いて眉間を揉む

そして再び左手に視線を向けるが

P「…」

やはり視線の先には浴衣の開けた琴葉がいる

開けすぎて色々見えていた

P「よし、寝よう」

きっとこれは夢だ

寝て起きたら部屋には俺しか居ないはずだ

そう思い体を投げ出して目を閉じる

しかし

P「…まあ、夢な訳ないよなー」

手のひらから伝わってくる琴葉の体温が俺に現実を直視しろと語り掛けてくる

P「はあ…とりあえず琴葉を起こすか」

P「琴葉、琴葉」

琴葉の肩を揺する

琴葉「んん…」

琴葉がむず痒そうに身体を丸めた

P「琴葉、起きてくれ」

しかし俺はそれに構わず琴葉を揺らし続ける

するとようやく琴葉がうっすらと目を開けた

P「琴葉、起きたか?」

琴葉「Pくん…?おはよう…」

寝惚け気味に微笑みながら挨拶をする琴葉

その可愛らしい表情にドキッとする

P「おはよう琴葉、とりあえず状況を整理したいんだが」

琴葉「状況…?」

寝惚け眼のまま辺りを見渡した後、もう一度俺の顔を見た琴葉は

琴葉「!?!?!?」

顔が爆発したように真っ赤になった

P「こ、琴葉!?」

琴葉「あ、あ、そ、その違うの!これはその、違うの!」

P「な、何が…?」

琴葉「とにかく違うの!」

P「何が違うのか俺にはさっぱりなんだが…」

琴葉「これはその、自分でやるよりPくんからって思って!」

P「待ってくれ何の話だ」

琴葉「と、とにかく違うの!私はまだ手は出してないから!」

P「???」

琴葉が何を言っているのかさっぱりわからない

とりあえず昨日琴葉が持ってきたお茶を飲んで一息つく

P「えーっと、結局俺はマッサージして貰いながら寝ちゃったんだよな?」

琴葉「うん…」

P「で、琴葉もそのまま眠くなって寝ちまったと」

琴葉「そうなる…かな」

P「じゃあ俺が無意識に琴葉を襲ったとか、そういうのは一切無かったんだな?」

琴葉「うん…そういうことは無かった…私が襲いそうにはなったけど…」

琴葉が小声で何かを呟いたが聞き取れなかった

P「良かった…」

琴葉「え?」

P「もし無意識に琴葉を襲ったりしてたら、俺はもう誰とも顔を合わせられない」

P「何より琴葉を思いっきり傷付けるのと変わらないからな…そんなことになっていたら俺は…」

琴葉「Pくん…」

P「とにかく、何も無くて良かったよ」

琴葉「そうね…」

P「とりあえず琴葉、タイミングを逃してたからアレなんだけど浴衣が開けてるから直した方が良いぞ」

琴葉「う、うん、ありがとう」

朝食を摂るために一度琴葉を部屋に帰す

そのまま布団に胡座を掻いた俺は深く息を吐いた

…気付かれなくて良かった

起きた時からずっと自分の息子が自己主張を続けていた

琴葉と話しているときもずっと甘い香りのような匂いがしていて、頭がくらくらしていた

琴葉を一旦帰したのもあのままだと危険だったからだ

P「とりあえず鎮めないとな…」

このままだと間違いなく支障が出る

琴葉「…っはあ…はあ…」

部屋に戻った私はその場でへたり込む

やってしまった

Pくんが差し出したお茶、あれは私が薬を盛ったお茶だ

つまり私の身体は昨夜と同じ状態になっている

全身が火照り、疼く

彼が、Pくんが欲しくてたまらない

もう一度彼の声が聞きたい

彼の体温を感じたい

…私に、触って欲しい

そして気が付くと私は

Pくんの部屋の扉を開けていた

一旦ここまで
薬漬けックス

P「ん?」

部屋の扉が開く音がしたのでそちらを向くと

琴葉「…」

琴葉が戻ってきていた

P「どうしたんだ琴葉?何か忘れ物か?」

自分の状態を気付かれないように平静を装って話し掛ける

琴葉「…」

しかし琴葉は何も答えず、俺の方へと歩いてきた

P「?琴葉?」

俺に向かって歩いてきた琴葉は

琴葉「…」

何も言わず俺に覆い被さった

P「なっ!琴葉!?」

この体勢はマズい

琴葉「…Pくん」

俺を押し倒してから、ようやく琴葉が口を開く

P「琴葉、一体どうしたんだ?」

琴葉「触って」

P「え?」

琴葉「私を触って欲しい、私の全部を」

P「何を言って…」

琴葉「…好きなの」

琴葉「Pくんの事が、好きなの」

P「えっ…」

琴葉「きっと去年から…自覚したのは最近だけれど、ずっと傍に居て欲しかった」

琴葉「Pくんと一緒にプロダクションの仕事をやるのは楽しかった、だから夏休みが明けてからPくんが辞めたのは…すごく辛かった」

P「琴葉…」

琴葉のためにと思ってやった事が結果的に琴葉を傷付けていたのか…

俺は…一体何をやってるんだ

琴葉「もう、あんな気持ちは嫌なの」

琴葉「だからPくん、私の傍に居て」

琴葉「私の心も体も、Pくんのモノにして」

琴葉が真剣な表情で俺を見つめる

だけど俺は…

P「それは…出来ない」

琴葉「…どうして?」

P「俺は琴葉をまた傷付けるかもしれない」

P「そんな事になったら、俺は…」

琴葉「そんな事、ない」

P「駄目だ、琴葉」

P「俺は琴葉に好きになって貰えるような人間じゃない」

P「俺は自分勝手に人を傷付ける最低な奴なんだ」

P「だから、駄目だ」

琴葉「それなら…私はそんなPくんも受け入れるわ」

琴葉「最低でも良い、Pくんは私にとって大切な人だから」

琴葉「私の…傍に居てください」

P「…」

P「少し、時間をくれないか」

ああ…

琴葉「…」

P「必ず答えを出すから、少し時間が欲しい」

また俺は

琴葉「分かった…待ってるから」

P「…ああ」

逃げたんだ

夏休みが明け、学園が再開された

しかし俺の気持ちは未だ決まらず、宙ぶらりんな状態を続けている

環境にも変化があった

それぞれの状況を知っているのか、仲の良かったエレナ達が喋らなくなった

あんなに仲が良かったのに、俺のせいで仲違いをさせてしまった

俺がもっと早くに答えを出していれば、こんなことにはならなかったのに

冬馬「元気ねえな」

P「…そうか?」

翔太「うん、窶れてるし」

P「…ちゃんと飯も食ってるし睡眠も摂ってるんだがな」

嘘だ

最近は眠れていないし食欲も湧かず、カロリーは味方のチーズ味で済ましている

冬馬「なんか悩みがあるみたいだな」

翔太「相談、乗るよ?」

P「…いや、大丈夫だ」

冬馬「大丈夫に見えねえけどな」

P「本当に大丈夫だって」

翔太「…」

冬馬「…ま、今はその言葉を信じるけどよ」

冬馬「潰れる前には絶対に相談しろ、良いな?」

P「…その時が来たらな」

二人に甘えるわけにはいかない

これは俺の問題だから

一旦ここまで
確かに色々と詰めすぎた感
ちょいと調整します

今日は無しで

明日より更新再開

P「…」

自室のベッドの上で何をするでも無く、ただ無意味に天井を眺める

誰を選んでも必ず誰かが傷付く

…いや、今更傷付けたくないなんてただの自己満足か

もう散々傷付けているのに本当に今更だ

P「…」

何をどう考えても良案が浮かばない

一体何度同じ思考をループしているんだろうか

志保「兄さん」

P「ん?…うわぁ!」

気が付くと志保が俺の顔を覗き込んでいた

P「な、なんで俺の部屋に?」

志保「少し聞きたいことがあったので聞きに来たのですが…ノックをしても返事が無かったので」

P「ああ…ごめん、気付かなかった」

志保「気にしないでください…それで」

P「ん?」

志保「兄さんは今、どんな悩みを抱えているんですか?」

P「悩み…か」

志保「はい、ここ最近食欲も無いようですし窶れて見えます」

志保「それに最近は睡眠時間も極端に短くなっているみたいですし体重も3Kgは落ちているようなので」

志保「…このままだと、倒れてしまいます」

P「…悪い、心配かけちゃって」

志保「なら、私が心配しなくて済むように自愛してください」

志保「兄さんが倒れてしまったら、私は…」

P「…」

志保「悩みがあるなら、聞かせてください」

志保「私では力になれないかもしれません、でも兄さんが苦しんでいるのに何も出来ないのは嫌なんです」

P「志保…」

志保が本当に心配してくれているのがわかる

やっぱりこの子は優しい子だ

P「…わかった、実は…」

俺は志保に微妙に暈かしながら現状を伝えた

P「っていう相談を受けていてな」

志保「…」

志保は少し考えた後

志保「…それならば、その男性がその三人の女性を振れば良いんです」

そう言った

P「えっ」

志保「その男性は自分の気持ちが分からないんですよね?」

P「あ、ああ」

志保「だったら、中途半端に誰かを選んでも成功なんて絶対しません、全員が不幸になるだけです」

志保「それならその三人との関係を断った方が後腐れも無いかと」

P「だけどそいつはその三人とは友達でいたいらしいんだ」

志保「それは甘えです、傷付けたくないっていう言い訳を使って逃げているだけ」

P「…」

志保「何かを変えるなら、必ず痛みを伴います」

志保「だけど痛みを最小限に抑える方法だってあるんです」

P「…だけど、また友達として笑い合ったりしたいだけなんだ」

志保「環境は既に変わっています、兄さんがまたその環境を望むのなら、やっぱり誰かが傷付いて悲しい思いをするんです」

P「…もう、変わってしまったんだな」

志保「…はい」

楽な方に逃げたい、全てを捨てて楽になりたい

そんな気持ちが俺の中に渦巻く

志保に言われた三人とも振るという選択も、今はとても魅力的に思えた

一旦ここまで
次は冬馬の見せ場有り

P「一体どうするのがベストなんだろうな」

志保「正しい答えなんて無いと思います」

志保「結局は当人達が自分にとってベストな答えを出さないといけませんから」

P「…」

志保「仮にですが、三人の女性を振って目の前にいる従妹を選ぶとします」

志保「それは私にとってはベストですが兄さんにとってのベストでは無いはずです」

P「それは…確かに」

志保「…結局は兄さんが答えを出すしか無いんです」

志保「苦しんで苦しんで苦しんで、激しい痛みを伴ってでも…兄さんがやらなくてはならない」

志保「私はそれを見守ることしか出来ないんです…」

P「志保…」

志保「でも兄さん、もう時間は無いんです」

志保「兄さんが答えを出して先に進まないと、みんな駄目になりますよ」

P「分かってる、分かってるんだ…でも」

志保「…どんな選択をしても、必ず後悔は残ると思います」

志保「私にもそういう後悔はありますから」

志保「でも、いくら後悔したって私達の道は前にしか存在しないんです」

志保「立ち止まっても何も変わらない、むしろ悪化するかもしれない」

志保「一番辛いのは、何もせずに後悔すること…」

志保「私は、兄さんに私と同じ後悔をして欲しくないんです」

P「後悔…か」

P「…ありがとう志保、もう少し考えてみるよ」

志保「はい、兄さんがどんな答えを出しても、私は兄さんを応援していますから」

そういって寂しげに微笑んだ志保は、部屋から出て行った

P「…」

俺はスマホを取り出して電話をかける

『もしもし』

P「相談がある、聞いてくれないか?」

『わかった』

P「助かる」

短い会話の後、俺は着替えて外に向かった

冬馬「来たぞ」

翔太「やっほーPくん」

P「悪いな、呼び出して」

冬馬「気にしてねーよ」

翔太「それで、相談って?」

P「ああ、実は…」

俺は冬馬と翔太に今の状況を包み隠さずに話した

冬馬「…」

翔太「そっか、最近Pくんが元気なかったのは恵美ちゃんや琴葉ちゃんの態度と同じ理由だったんだね」

P「…ああ」

冬馬「で、自分の気持ちが分からないって?」

P「ああ」

翔太「うーん、でも僕もそんな状況になったら答えは出しにくいと思うよ?」

冬馬「…ま、今までダチでやって来たわけだからな」

P「ああ…だから俺はどうしたら良いのか、分からないんだ」

冬馬「答えなんか最初から二択しかねえだろ、誰かを選ぶか誰も選ばないかだ」

P「…そう、だな、だけど俺は」

冬馬「先に言っとくが誰も傷付けたくないなんて甘ったれたことは言うなよ」

冬馬「こんな状況になった時点でそんなもん自己満足ですら無いからな」

P「…わかってる」

P「…どうして俺なんだろうな」

翔太「え?」

冬馬「…何?」

冬馬達を前に、ずっと思っていたことが口から出てしまった

P「どうしてあいつらは、俺なんかを好きになったんだろうな…」

P「俺は誰の気持ちにも気付けずにみんなを傷付けたのに」

P「俺なんかを好きにならなけりゃ、あの三人が傷付く事も、仲違いをする事も無かったのに」

P「…俺は、あの三人に好きになって貰えるような人間じゃない」

P「だからきっと、三人とも何か勘違いして…」

翔太「Pく」

冬馬「P」

P「なんだ?」

冬馬「歯、食いしばれ」

P「歯?一体何を」

言いきる前に、俺の頬に冬馬の拳が突き刺さった

突然の衝撃に仰向けに倒れ込む

殴られたと気付くのにそう時間は掛からなかった

翔太「冬馬くん」

冬馬「止めんな、翔太」

翔太「止めないけど、やり過ぎないようにね」

冬馬「わかってるよ」

P「この…っ!何しやがる冬馬!」

冬馬に掴み掛かろうとするが

冬馬「うるせえ!」

掴み掛かる前に逆に胸倉を掴まれ再び殴られた

冬馬「痛えかよ」

P「は…?」

冬馬「殴られて痛いか聞いてんだよ」

こいつは一体何を聞いてるんだ

P「痛いに決まってるだろ!」

冬馬「俺だって痛えんだよ!」

冬馬が叫び、俺の胸倉を掴んで無理矢理起こす

冬馬「だがな、あいつらの方がよっぽど痛い思いをしてんだよ!」

冬馬「友達と喧嘩してでもお前の事が好きだって言ってんだ!」

冬馬「誰にだってあいつらの気持ちは否定させねえ、誰にだって…お前にだってだ!」

P「冬馬」

冬馬「お前が自分を否定して、馬鹿にすればするほどお前はお前の周りの人を馬鹿にしてんだよ!」

P「違う!俺はそんなことはしてない!」

冬馬「してるだろうが!」

冬馬「所に島原に田中、高坂や北沢、桃子にこのみさん、俺や翔太」

冬馬「みんなお前の事が大切だと思ってんだよ!」

冬馬「なのに自分で自分を馬鹿にしやがって、あいつらの思いを踏みにじるんじゃねえ!」

P「ふざけんなっ…!お前に何がわかんだよ!」

冬馬「言わなきゃ分かんねえだろうが!構ってちゃんかお前は!ええ!?」

P「わかんねえくせに偉そうなことを言うんじゃねえ!」

冬馬に向かってストレートを放つ

俺の拳は冬馬の左頬に突き刺さった

冬馬「分かって欲しいなら分かるように説明しやがれ!」

カウンター気味に冬馬が俺の顔面を正確に殴打する

P「がっ!…それが出来たら苦労しねえよ!」

冬馬「やろうともしてないくせに諦めてんじゃねえよ!」

P「はあ…はあ…」

冬馬「…っはあ…」

何度か殴り合い、お互いに肩で息をしていた

P「はあ…はあ…俺は…」

P「俺は…前みたいな関係のままで、良かったんだ」

冬馬「なら…そう言えば良かったじゃねえか」

P「だけど恵美に告白されて、あんなに必死に訴えかけられて、そんな事言えるわけ無いだろ…」

冬馬「…」

P「だけど」

P「…俺が、何か変わりたいって思ってたのも事実だ」

冬馬「…はあ…お前の気持ち、今はどっちなんだよ」

P「俺は…変わりたいし、変わりたくない」

P「誰かを受け入れるにせよ、受け入れないにせよ、またみんなで笑っていたい」

P「自分勝手なのは分かってる、でも俺は、そうしたいんだ」

冬馬「本当に…勝手な奴だ、けど」

冬馬「言えたじゃねえか」

冬馬がニッと笑った

一旦ここまで
残り15しかないので次スレに移行
適当に埋めて貰えるとありがたかったり

心配せずとも√MT

物理的な意味なら並以上、精神的な意味なら琴葉より少し強い程度

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