まゆ「プロデューサーさんと身体が入れ替わりました」 (164)

佐久間まゆ(16)
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まゆ(まゆはPさんのことが大好きなのに、Pさんはいつもいそがしそう)

まゆ(他の子とも、お仕事だからおしゃべりしないといけなくって……寂しい……)

まゆ(もっと、距離が近くなる方法……なにか、ないかしら……)

まゆ(たとえば、そう。身体も心も、近くなる――)


小梅「……お、おまじない?」

文香「はい………そういった本もありますけれど……」

小梅「こ、今度………見せてほしい、かも……」

文香「わかりました。それなら……効果があるか、わかりませんが……」

小梅「し、信じることが………大事なの……」

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白坂小梅(13)
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鷺沢文香(19)
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まゆ(おまじない………? それなら――)

文香「信じること………ですか……」

小梅「特に、心に関係することなら……そう。相手に届くかどうかは、送る念の強さにもよるから……」

まゆ「……その話、詳しく聞かせてもらってもいいかしら?」

小梅「あ……まゆさん………うん、大丈夫……」

まゆ「おまじないって、たとえば……相手に自分の気持ちを知ってもらったり、共有したりもできるの?」

小梅「も、モノにもよる、と思う……強いものなら、自分の考えを相手にうえつけたりとか……」

まゆ(植え付ける……まゆの気持ちを、Pさんにもわかってもらえる……? そうしたら、今よりもっと、ずっと近くに……)

まゆ「うふ、ふふふ……」

文香「あ、あの………大丈夫ですか……?」

まゆ「はい、大丈夫ですよぉ……まゆにも、その本を見せてもらえませんか?」

文香「……かまいません………けれど……」

まゆ(……こういう本は初めてだけど、これで………)

まゆ(少し、試してみるだけ……Pさんに、まゆの気持ちが伝わったら……)


まゆ「……ありがとうございました。面白かったです」

文香「………よかったです……」

小梅「あ、あの………」

まゆ「なにかしら、小梅ちゃん……?」

小梅「ひ、人の心に干渉するのは……つまり、自分の心を相手にさらけ出すのと同じことだから……」

まゆ「相手に、自分の心をさらけ出す……それぐらい、大丈夫。心配してくれてありがとう……」ナデナデ

小梅「う、うん……でも、気をつけて……」

まゆ「……うふふ。それじゃあ、また」



小梅「まゆさん……なにか、深刻そうな顔してた……大丈夫かな……」

文香「………? これ、って……あっ」

小梅「?」

まゆ(相手に心を見せつける方法……まずは、Pさんのところへ行って――)

P「うん? まゆじゃないか、偶然だなー」

まゆ(会ったら、手順を間違えないようにしないと。確か、最初に……)

P「あれ、まゆ? まゆー?」

まゆ「え?」

P「やぁ」

まゆ「P、Pさん……!?」

P「うん、おはよう。どうしたんだ? 今日はオフだったはずだが」

まゆ(こんなに早く会うことになるなんて……やっぱり運命。ちゃんと、手順通りに……!)

まゆ「………」

P「おーい、まゆ?」

  クルッ

まゆ(まずは足を肩幅に開いて――)

P「お、おう?」

  グググッ……

まゆ(相手を思う気持ちを高めて――)

P「まゆ、どうした? お腹でも痛いのか?」

   バッ!

まゆ(両手を左右に広げて、叫ぶ!)


まゆ「チェーンジ!!」

  ―――カッ!

P「……!?」

モクモクモク…


(けほっ……すごい煙……でもこれで……)


P「Pさんに、まゆの気持ちが……」

まゆ「おいおいまゆ、いったいどうしたって……」


P「えっ」

まゆ「えっ?」





文香「これ……ドラゴンボールの24巻です……」

小梅「た、たいへん……!」

P「ど、どういうことですか? どうしてまゆが、まゆを……えっ」

まゆ「お、俺……俺が目の前に。いや、待て。この小さく細い手。服のワンポイント……まゆか!」

P「え、じゃあこのたくましい胸板に着こなしたスーツ……Pさんの身体……!?」

まゆ「ううん……まゆ、だよな?」

P「は、はい。Pさん、ですよね?」

まゆ「ああ……うん。自分に話しかけられるってなんだか不思議な気持ちになるな」

P「まゆだって、そうですよ……これって、ひょっとして……」

まゆ「……入れ替わった、のか?」

P「そ、そんな……!?」

まゆ「理屈はさっぱりわからないが、そうとしか考えられない。なんてことだ」

P「ど、どうしましょう……こんなことになるなんて……」

まゆ「………」

P「Pさん、まゆは……」

まゆ「………」

P「……Pさん?」

まゆ「……いや、結構あるなって思って」モミモミ

P「」

まゆ「やっぱり女の子の身体は違うんだなぁ。世界も大きく見えるぞ」

P「お願いですから、恥ずかしいのでやめてください……」

まゆ「あぁ、ごめん。でも……うん、感覚はちゃんとあるみたいだな……」

P「そ、そうですよね。確認ですよねぇ……?」

まゆ「そうだな。確認だ……うぅん、俺だな……」ペタペタ

P(まゆの身体がPさんを……! でも触ってきてるのはまゆであって、Pさんじゃなくて、うぅ、こんなの……)

まゆ「まゆは、どうだ? 何か違和感はないか?」

P「え? は、はい」

まゆ「そうか………違和感がないってことは、逆に安定してるってことか……?」

P「そうなんでしょうか……?」

   パタパタパタ…

文香「まゆさん………あの…………!」

小梅「た、たいへんなことが………!」

P(文香さんと、小梅ちゃん……? ひょっとして、何か――)

小梅「プ、プロデューサーさん……まゆさん、実は……」


まゆ「うん? おぉ、おはよう小梅、文香!」ニカー

文香「」

小梅「」

P(あっ、固まってる……あんな笑顔、まゆの身体にできるんですねぇ……)

まゆ「あれ、小梅? 大丈夫か? おーい……」

小梅「……だ、だから………あれはおまじないの本じゃなかったの……」

まゆ「そうか、ドラゴンボールか……なるほどな……」

P「何か変だとは思ったんですけれど……」

まゆ「はっはっは、まゆはドジだなぁ」

文香「………まさか、一冊だけすり替わってるなんて思わず……」

P「まゆも気づかなかったんです。仕方ありませんよ……」

まゆ「不思議なこともあるもんだ」

小梅「一念岩をも通すってこと……だと思う……」

まゆ「信ずる一念ってことか……大したもんだ」ググッ…

P「……Pさんの身体は大きいですもんね」スッ

まゆ「おぉ、ありがとう。すごいなー、まゆは」ナデナデ

P(Pさんに撫でてもらえるなんて……でもまゆの身体……だけどPさんの身体にまゆが触れて……?)

まゆ「まゆ? ……大丈夫か?」

P「え、えぇ……ありがとうございます」

まゆ「それならいいんだ。しかし自分の身体を撫でるのは不思議だなぁ。まゆの身体を使ってるっていうのも妙な感じだが……」

P「まゆの身体をPさんが……使う……」

まゆ「うん?」

P(ということは……まゆの身体をPさんが好きにできるってこと……?)

P(なんだかそれって……とてつもないステップアップなのかも……)

文香「あの………プロデューサーさん……」

まゆ「どうした、文香?」

文香「いえ………その……」

小梅「そ、そのままだと……あんまりよくない、かも……」

まゆ「そうなのか?」

小梅「うん………他人の感覚を受け取り続けるだけでも、結構影響されるから……」

まゆ「そういうものなのか……じゃあ戻った方がいいのかな。なぁまゆ?」

P「え?」

まゆ「大丈夫か? ぼーっとしてたみたいだが」

P「え、えぇ……平気です……」

まゆ「じゃあ、戻らないか? このままじゃいろいろ不便だろう」

P「戻るんですか……?」

まゆ「あぁ、このままだとよくない影響が出るらしいんだ」

P「……そうなの、小梅ちゃん?」

小梅「たぶん、そう…………かも……」

P「そう……」

P(……これはPさんにまゆの身体を自由にしてもらうチャンス……)

P(でも、それでPさんに迷惑をかけちゃったら……ダメダメ。だって、Pさんはお仕事も楽しいって言ってるんだから)

P(まゆは我慢しなきゃ……)

まゆ「まゆ?」

P「……わかりました。じゃあ戻りましょうか」

まゆ「それで、どうやってするんだ?」

P「まずは足を肩幅に開いて……」

まゆ「ふむふむ……」

P「相手への気持ちを素直に高めて……」

まゆ「………」

P「両手を左右に広げて――叫ぶ!」

まゆ「こい!」

P「チェーンジ!」

 ………

 …シーン

P「……あらぁ?」

まゆ「うん……?」

まゆ「……戻ってないよな?」

P「……そう、みたいですね」

文香「………どういうことでしょう……?」

小梅「手順は、最初のまま……?」

P「えぇ、間違いなく……」

まゆ「うーん……まゆの身体から使わないといけない、とか?」

P「それじゃあ、お願いしてもいいですか?」

まゆ「うん、確か足を肩幅に開いて……」

P「はい、それで……」

まゆ「気持ちを高めて………」

P「………」

まゆ「両手を左右に広げて叫ぶ!」

 バッ!

まゆ「チェーンジ!」


 ……シーン

まゆ「……でないな」

P「そう、ですね……」

まゆ「どうした?」

P「いえ、なんでもありません……」

まゆ「そうか。ならいいんだが……」

P(あれ、はたから見るとなかなかに恥ずかしい動きなのね……なんてことを……)

P(Pさんに恥ずかしいところを……はぁ……

まゆ「小梅、どういうことかはわからないか?」

小梅「……精神は、肉体にひっぱられるから………そのせい、かも?」

まゆ「ひっぱられる?」

小梅「うん……まゆさんの身体にまゆさんの精神があって初めてできたこと………なのかも……」

P「そ、そんな……!?」

まゆ「そうなのか……参ったなぁ……」

P「な、なんでそんなに冷静なんですか?」

まゆ「うん? いや、なんでだろうな……でも、大丈夫だ。何とかしてみせるさ!」

P「なんとかって……」

まゆ「アイドルに嘘はつかないぞ! 任せとけって!」

P(まゆの身体で張り切ってるところ……うぅん、まゆなのにまゆじゃないみたい……)

まゆ「?」

P「あ、いえいえ……なんでもありませんよ……?」

まゆ「それで、どうだろう? なにかいい手はないかな」

小梅「……時間が、解決する、かも………?」

まゆ「時間?」

小梅「無理に入れ替わって、ずっとそのまま……っていうのは、考えづらいから……」

P「そうなのかしら?」

小梅「たとえば……夢でハエになってた男の人が、鼻の中にハエが入っていって意識を取り戻して宝のあった場所を言い当てた話、だったり……」

小梅「知らない誰かの生活を経験して、一日の終わりにふと本当の自分のことを思い出して目が覚める話だったり……」

まゆ「……つまり、そのうち治るってことか?」

小梅「……あくまで、可能性だけど………わ、私も調べてみるから……」

文香「同じように戻る方法もふと見つかるかもしれませんし……私も……」

まゆ「うん、ありがとう。頼んだ!」

文香「………はい……」

小梅「うん……まかせて……」

P(Pさんだけじゃなく、周りのみんなにも迷惑をかけちゃうなんて……)

まゆ「2人もこういってくれてるし、まぁ大丈夫だろう。まゆも気に病むなよ?」

P「ありがとうございます………」ナデナデ

小梅「え、えっ?」

文香「あ、あの……」

P「……?」ナデナデ

まゆ「……どうした、まゆ?」

P「え? なんの――ハッ!? どうして小梅ちゃんと文香さんをまゆは撫でてるんですか!?」

まゆ「……無意識でか。なら仕方ないな」

小梅「そ、そうなんだ……びっくり、しちゃった……」ニコッ

文香「………驚きました……」カァァ…

P(……2人ともすごく可愛い……何かしらこの気持ち……?)

P(も、もう少し撫でても……)

まゆ「とりあえず、小梅と文香は調べてみてくれるか?」

小梅「う、うん………わかった……」

文香「はい……あの、レッスンは……」

まゆ「レッスンは……軽めにだけでもしておいたほうがいいかな。あんまり広めて混乱させちゃまずいし」

文香「……わかりました………」

まゆ「じゃあ連絡……って、俺がしちゃまずいか。まゆ、お願いできるか?」

P「え? あ、はい……なんでしょう?」

まゆ「いや、まゆがレッスンメニューにあれこれいうのはおかしいだろ? だから俺が言わないといけないけど、俺の身体はまゆが使ってるわけだし……」

P(Pさんの身体をまゆが使ってる……イケない響きがする……!?)

まゆ「……まゆー、大丈夫か?」

P「え? あ、はい……大丈夫ですよ」

まゆ「そういうわけだから、まゆにお願いしたいんだ。いいかな?」

P「はい、わかりました……えっと……」

まゆ「あぁ、できれば俺の口調の真似をしてほしいんだけど……できるか?」

P「Pさんの口調……ん、あーあー……それじゃあおれが連絡をいれるから……こうか?」

まゆ「うふふ、上手ですね♪」

P「!?」

まゆ「あれ、なんか変だったかな?」

P「い、いえ……Pさんもお上手ですねぇ……」

まゆ「あはは、照れるなぁ」

――――

――


小梅「そ、それじゃあ……いってきます……」

文香「………きっと、見つけますから……」

まゆ「うん、頼んだ。無理はしなくていいからなー」

P「……なんだか不思議な気分です」

まゆ「どうしたんだ?」

P「いえ、まさかまゆがPさんの真似をしてPさんのお仕事をすることになるなんて……」

まゆ「あぁ、確かに妙な気分にはなるよなぁ……あ、でも」

P「どうしました?」

まゆ「……その、今日のスケジュールが結構詰まっててさ。送迎のあたりは車の調子がおかしいとかで各々がタクシーを使うにしても話をしないといけないこともあるし」

P「それは……そうですよねぇ……すみません、Pさん……まゆはこんな……」

まゆ「あぁ、いい。気にするなって! 大丈夫だよ。たぶんなんとか――」

ちひろ「なるとお思いですか、プロデューサーさん?」



P「ちひろさんっ!?」

まゆ「い、いつの間に……」

ちひろ「はぁい、いつもあなたのお隣に! 事務員千川ちひろですよ♪」

P「い、いえそういう話ではなくってですねぇ……」

まゆ「いったい、何のお話ですかぁ……?」

ちひろ「ふむ。とっさに切り替える……いいですねプロデューサーさん、ナイスフォローですよ」

P「き、切り替えって何の話ですか?」

ちひろ「まゆちゃん、大丈夫です。事情はだいたいわかってますから」

P「えっ」

ちひろ「だって私、千川ちひろですよ? それぐらいのトラブルがかぎつけられなくてどうして事務員がやっていられますか」

まゆ「……なるほど、流石ですね」

ちひろ「えへへー♪」

P「えっ」

ちひろ「まぁ、そういうわけでで……2人が入れ替わったのは知ってますよ?」

まゆ「それなら遠慮なく相談させてもらいますけれど……どうすればいいと思います?」

ちひろ「どうって……まぁ、プロデューサーさんにお仕事はしてもらわないと困りますねぇ」

P「……ごめんなさい、ちひろさん」

ちひろ「いえいえ、大丈夫です♪ そういうわけでまゆちゃんにはプロデューサーさんをしてもらいますからね!」

まゆ「それ、本当に大丈夫なんですか? いくらなんでも無茶じゃ……」

ちひろ「だから、プロデューサーさんにはまゆちゃんをしてもらいます♪」

P「え?」

ちひろ「まゆちゃんは今日はオフ……なら、プロデューサーさんにまゆちゃんとして補助をしてもらうんです! どうですかこの案、いいでしょう?」

まゆ「……ふむ、なるほど。それならいけるかもしれませんね」

P「そ、それでいいんですかぁ……?」

ちひろ「大丈夫。わからないことはプロデューサーさんに聞いてすればいいんですよ♪」

P「プロデューサーさんに聞いて……ですか……」

ちひろ「……形はどうあれ、プロデューサーさんのこと考えながらそばにいれますよ? どうですか……?」ボソボソ…

P「……! が、がんばります!」

まゆ「ふむ、じゃあ外にいる間は俺はまゆの真似をしたままのほうがいいですかね?」

ちひろ「あ、そうですね。まゆちゃんもちゃんとプロデューサーさんの真似をしてくださいねー」

P「え? はい、わかりまし……た。少し、心配ですけれど……」

まゆ「大丈夫ですよぉ、自分を信じましょう?」

P「は、はい……」

まゆ「あらぁ? どこか変かしら……」

ちひろ「いやぁ、なかなかの演技力ですねプロデューサーさん! それじゃあ頑張ってくださいねー♪」

P「は、はーい!」

まゆ「いってきます♪」

まゆ「送迎の問題はちひろさんがどうにかしてくれたらしいし、あとはちょっとした営業と外回りか……移動は電車でいいかな」

P「はい、わかりました……」

まゆ「それと、誰かの前じゃなければ普通に接してくれても大丈夫だけど……人の周りだったら敬語はやめたほうがいい、かな?」

P「敬語を……えっと、こう……かな?」

まゆ「うんうん、いい感じですよぉ……♪」

P「……やっぱり、すごい違和感があるなぁ」

まゆ「うーん、そこは頑張って慣れるしかないかな。他の人に不審に思われないためにも、頑張ろう?」

P「はい……そうで……だな?」

まゆ「それじゃあ、ここからはまゆでいくから……頑張ってくださいね、プロデューサーさん?」

P「が、がんばる……よ……」

誰かと絡ませたい
↓5まで登場アイドル指定。かぶったらその分繰り下がり

――――

――

D「それじゃあ今度の収録は明るい子とクールな感じの子でよろしくね」

P「えぇっと……はい。大丈夫です、その日は未央……と、加蓮を」

D「いいねぇ、ところでプロデューサーさんこの後あいてたりしたない? 昼とかいっしょにどうかな」

P「え? あ、それじゃあ――」

まゆ「残念ながら、駄目です。そろそろ時間ですよぉ、プロデューサーさん?」

P「え?」

D「おや、まゆちゃん。そうなの?」

まゆ「はい、そうなんですよ……すみません、プロデューサーさん今日はいそがしいらしくって……まゆもお手伝いしてるんです♪」

D「へぇー、えらいねぇ。じゃあまた今度ね、プロデューサーさん!」

P「は、はい。ありがとうございました」

まゆ「ありがとうございました。じゃあいきましょう?」

P「は……う、うん。そうだな……」

P「どうしてですか……? 時間もあるしご飯ぐらいなら平気かと思ったんですけれど」

まゆ「あの人な、悪い人じゃないんだけれど……昼から飲むんだ。まゆには飲ませられないだろ?」

P「なるほど……」

まゆ「いそがしいっていうのもあながちウソじゃない……でしょう?」

P「そう……だ、な。うん、じゃあこれから――」


??「プロデューサーッ!」

  タッタッタッタッタ   …… ドォーン!

P「きゃっ――!?」

まゆ「あぶないっ……!」

P「い、いったいなんですか……?」

光「プロデューサー、隙ありだぜ! おはよう!」

まゆ「……あらぁ、おはようございます。光ちゃん?」

光「あっ、まゆさん! おはようございます!」

P「急にタックルなんて何を――むぐ」

光「え、でもいつもは――」

まゆ「光ちゃん、今日はプロデューサーさん体調が悪いらしいの……いつものは無しよ?」

光「そ、そうだったのか!? ごめんなさい!」

P「え、いや……大丈夫、だよ……」


南条光(14)
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P「いつものってなんですか?」ボソボソ

まゆ「光とはよくヒーローごっこしててだな……隙があったらかかって来いって言ってあるんだ」ボソボソ

P「あぁ、なるほど……」チラッ


光「そっか、調子悪かったんだ……大丈夫? 頭痛いとか?」

P「い、いや。なんでもないよ……ありがとう」

光「だけど調子悪いなら仕事なんて……休むときには休む! これも大事なんだよ、プロデューサー?」

P「う、うん。ありがとう……」

光「……本当に大丈夫? ごめんね、アタシ気づかなかった」

P「た、大したことないさ! ほーら、こんなの」ダキッ

光「わ、わぁっ!?」

P「たかいたかーい! この通り!」ヒョーイッ

光「ちょ、ちょっと待って! たかっ……わあっ!?」ワタワタ

P「はっはっはー、たかいたかーい……」ヒョーイ

光「お、おちるぅーっ! アハハハッ! すごいぜプロデューサー! さっすがー!」

P(あらぁ……? これ、楽しい……)

P「ほーら、心配いらないだろー?」

光「うんっ!」

まゆ「プロデューサーさぁん? いつまで光ちゃんを抱っこしてるんですか?」

P「え、あっ……はい」

まゆ「光ちゃんもあまり困らせちゃだめよ?」

光「うん、そうだよね……楽しくって、つい。ごめんなさい!」

まゆ「いいの。えらいえらい……」ナデナデ

光「な、撫でないでくれっ! アタシそんなに子供じゃないよ!」

まゆ「あら、ごめんなさい? 楽しそうだったからつい……」

光「う、それは………そうだけど……」

まゆ「プロデューサーさんも、光ちゃんが可愛いからって危ないことしちゃだめですよ?」

P「はい……」

光「ところでなんでまゆさんといっしょにいるんだ? お仕事?」

P「えぇ、実は……まぁ、そういうこと、だな」

まゆ「お手伝いしてるの。光ちゃんはこれから……千佳ちゃんとお仕事だったかしら?」

光「うん! アタシのほうがお姉さんなんだし、しっかりしなきゃね!」

まゆ「ふふ、麗奈ちゃんも応援してたわ……がんばってね?」

光「応! まかせてくれ!」

P「がんばれ、光ちゃ……光。おれはこれからまだ仕事だ……お互い頑張ろう」

光「うん! いってくるぜ、おやっさん!」

P「おやっさ……!?」

  タッタッタッタ ……

P「おやっさん……おやっさん……?」

まゆ「あはは、光なりの信頼の表れなんだよ。他意はないから気にしないでくれ」

P「は、はい……」

まゆ「まぁ、まゆとしてはおじさん扱いはクるものがあるんだろうけど……」

P(でも光ちゃん、小さくて可愛かったわぁ……なんだか今日のまゆは変なのかも……)

まゆ「……まゆー? 大丈夫かー?」

P「え? あ、はい。大丈夫ですよ」

まゆ「それならいいんだ。光も悪気があったわけじゃないし、あれはいつものじゃれ合いだから気にしないでくれ」

P「はい……あ、でも」

まゆ「どうした?」

P「どうして抱っこしてる時に止めたんですか……?」

まゆ「……危ないかな、と思っただけだよ。慣れてない身体だし、まゆも光もケガしたらまずいじゃないか」

P「そうだったんですか。ごめんなさい……」

まゆ「いや、ちょっと言い方がきつくなっちゃったな。ごめん」

P「別に気にしてるわけじゃありませんよ? えっと、ご飯食べにいきましょうか」

まゆ「うん、そうだな。何がいい?」

P「それじゃあ……うーん……」

まゆ「……?」キュッ…

P「……?」

まゆ「……」

P「……あの、Pさん?」

まゆ「どうした、まゆ?」

P「どうして手を繋いでるんですかぁ……?」

まゆ「……!?」バッ

P「あっ」

まゆ「な、なんでもない。気にしないでくれ」

P「でも……」

まゆ「いいから。ほら、ご飯食べよう?」

P「……わかりました。何にしましょう?」

まゆ「そうだなぁ、ここからだったら確か近くに定食屋が……食堂使わせてもらってもいいけど……」

P(……Pさんのほうからまゆの手を繋いでくれるなんて……)

P(嬉しいけど、複雑な気分……元に戻ってから、またお願いしようかしら……?)

P(嫌がられたり、しないかな……)

P「ここですか?」

まゆ「うん、割と慣れてる場所だから堂々としててくれればいいよ」

P「わかり……んん、わかったよ」

まゆ「うん、上手……さてと……」


??「あれ、プロデューサーとまゆ?」

P「えっ?」

まゆ「あ……」

凛「偶然だね、何やってるの?」

まゆ「凛……ちゃん……」

渋谷凛(15)
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P「えっと、それは……」

まゆ「凛ちゃんは今日のお仕事は終わったんですか?」

凛「うん? えーっと、そうだね。オッケーもらったし、午後はオフだからちょっと散歩してたんだ」

まゆ「そっか、うまくいったならよかった……ですねぇ。流石は凛ちゃんです」

凛「なんか、そんなに褒められるとちょっと照れるかな……」

P「やっぱりいろいろ忙しい……だろう、し。心配にもなるよ」

凛「心配しすぎだよ、プロデューサーも。私のこと、信じられない?」

まゆ「……プロデューサーさんは凛ちゃんのことをすっごく信頼してますよ。ねぇ?」

P「え? あぁ……そうだよ。だから、最近は他の子の監督なんかも任せてる……よな? ありがとう」

凛「別に、それぐらい……簡単だとは言わないけど。信頼されてるなって感じるし嬉しいかな」

P(やっぱりPさんは凛ちゃんのこと信頼してるし、信頼されてるのね……)

凛「プロデューサーもご飯なんだ。いっしょに食べていい?」

P「え? えっと……構わないよ、なぁまゆ?」

まゆ「……そうですね。お仕事の話も聞かせてほしいですし」

凛「へぇ、熱心だね……ところでなんでまゆとプロデューサーが一緒にいるの? スケジュール合わない気がするんだけど」

P「いや、えーっと……」

まゆ「実は、Pさんのお手伝いをしてるんです……」

凛「まゆが? ……ふーん。そうなんだ」

P「そう、なんです……えぇ、そうなんだ」

凛「まったく、無茶なスケジュールでも組んだの? 私も手伝おうか」

P「いや、大丈夫だよ。ありがとう……凛」

>>77
まゆ「実は、Pさんのお手伝いを~」

じゃなくって

まゆ「実は、プロデューサーさんのお手伝いを~」

なの

凛「まゆも大変だね。大丈夫?」

まゆ「うふふ、大丈夫ですよ? ありがとうございます」ニコッ

凛「それならいいんだけど……まったく、ひっぱりまわしちゃだめだよ?」

P「あ、あぁ……気を付けるよ」

凛「まゆも、ホイホイ受けてると苦労するよ? 最近はしっかりしてきたと思ってたのに……」

P「あはは、面目ないなぁ……」

まゆ「そうですねぇ、まったく……凛ちゃんにはいろいろと苦労を……」

凛「私はいいよ、慣れっこだし。でもまぁ……プロデューサー」

P「なに、かな?」

凛「悪いと思うなら、今度私とまゆになにか奢ってね?」

P「ぜ、善処する……」

凛「ご飯は……まぁいいや。また今度ね、プロデューサー?」

P「えぇ、それじゃあまた……」

まゆ「今度、いっしょに食べましょうねー」

凛「あ、まゆから誘いもらった。プロデューサーは来ちゃだめだからね?」

P「えぇっ?」

凛「いいでしょ、たまにはガールズトークしたって……ね、まゆ?」

まゆ「そうですねぇ」

P「えぇぇ……?」

凛「じゃ、またね」

まゆ「はい、また今度♪」

P「……なんでまゆと凛ちゃんでお食事の誘いを……?」

まゆ「いやぁ、まゆが凛と話してるのあんまり見たことないなって。仲良くなる機会になったら嬉しいじゃないか」

P「そうかもしれませんけれど……もう、大丈夫か心配です……」

まゆ「凛はなんやかんや言っても最古参の1人だからなぁ。アイドル論とかを聞いてみるのも悪くないんじゃないか?」

P「……そうかもしれませんね」

まゆ「あと、『今度』って言えば今回は見送ってくれるかなってね。凛だし」

P「そのあたりも絆なんでしょうか……」

まゆ「慣れだよ。お互いのやりたいこととかについての、ね」

P(……凛ちゃんとお話とご飯……うぅん……)

P(確かにアイドルとしての凛ちゃんには、まだまゆもかなわないし……参考にはなるのかも……)

P(だから、きっとそのせいよね……?)ドキドキ…

――――

――

P「……ごちそうさまでした」

まゆ「ごちそうさまです……一応領収書もらっておきましょうか」

P「あぁ、そうで……だなぁ。ちひろさん、おろしてくれるのかな……」

まゆ「きっと都合してくれますよ……」

P「えーっと、それじゃあここからは……」

まゆ「事務所に戻ってデスクワークですねぇ。お手伝い、できますよ?」

P「あぁ、それなら安心……だ、ですね」

まゆ「じゃあ、いこう……?」

P「えぇ……」キュッ

まゆ「……♪」

P(……自然に手が繋げるのは嬉しいけれど、まゆなのよね……)

まゆ「ただいまー」

P「ただいま戻りました……」

ちひろ「あぁ、まゆちゃんとプロデューサーさん! お帰りなさい。いいお知らせと素晴らしいお知らせがありますよ♪」

まゆ「……いい知らせと」

P「素晴らしいお知らせ、ですかぁ……?」

ちひろ「まず、いいお知らせです。戻り方がわかりました!」

まゆ「本当ですか?」

ちひろ「はい! そして素晴らしいお知らせについてなんですが」

P「いったい、どうやって……?」

ちひろ「ふふふ、それですけれどね。簡単ですよ! 2人がそばにいるだけでいいんです!」

まゆ「……2人が」

P「そばに……?」

ちひろ「えーっとですね、小梅ちゃん曰く――」


 小梅『たぶん、幽体離脱の一種……に、近いものだと、思う……』

 小梅『元の身体……えっと、あるべきところに引き戻される力っていうのは、強い……から………』

 小梅『近くですごしていると、元に戻る……と、思う……』


ちひろ「とのことです」

まゆ「ちひろさん、なんですかこれ! 小梅が浮いてますよ!」

P「小梅ちゃん……まさか本当に幽霊に……!?」

ちひろ「あ、それは立体テレビ電話です」

まゆ「なるほど」

  小梅『えへへ……』

P(あら可愛い……)

P「それは、本当に大丈夫なんですかぁ……?」

ちひろ「えぇ、小梅ちゃんがこう言ってますし!」

 小梅『ち、違う方法も探してるけど………たぶん、あってるはず……」』

まゆ「小梅がいうなら、間違いないかな?」

P「それでいいんでしょうか……」

ちひろ「他にも」
 
 『入れ替わり……いっしょに抱き合ったまま坂道を落ちたりとかですかね?』
  
    『状態異常は教会か、宿屋で一泊すれば治るよ』
 
  『どうでもいいけどアメ食べたい』

ちひろ「といった意見をいただきましたが」

P「それはいいです……」

ちひろ「あらあらー」

まゆ「とりあえず、事務仕事の手伝いはしますね……あと昼食、領収書です」

ちひろ「ありがとうございます♪ まゆちゃん……プロデューサーさんも、形だけでもお願いできますか?」

P「え? はい……」

まゆ「机は自分の使いますねー」

ちひろ「はいはい、お願いします♪」

まゆ「………」カタ…ペラッ

P(……よく考えたら、こういう時間にまゆがいるのは珍しいのよね……)

P(Pさんの凛々しい姿……って、まゆなのだけど……)

P「……なにか、お手伝いは……?」

まゆ「うん? そうだな……その気持ちが嬉しいから、大丈夫だよ」

P「そう、ですかぁ……」

ちひろ「まゆちゃんは、じゃあこれのコピーを」

P「あ、はい……わかりました」

ちひろ「すみませんね、プロデューサーさん夢中になっちゃうと周りが見えないですから……」

P「そうですねぇ……そこも素敵だと思いますけれど」

ちひろ「それはそれは……んー、あぁそうだ!」

P「なんですか?」

ちひろ「プロデューサーさーん、まゆちゃんお借りしますねー」

まゆ「はーい、わかりましたー」

P「え、あの……」

ちひろ「せっかくプロデューサーさんなんだし、アイドルの子と触れ合ってきてくださいねー♪」

P「ち、ちひろさん……!?」

P(どうしましょう……追い出されちゃうなんて……)

P(お仕事を邪魔しちゃいけないし……でも、私どうすればいいのかしら……)

P(戻る……Pさんの身体でレッスン? それも……)


P「うーん………」

  トテトテトテトテ…

P「………?」

      パタパタパタ……

P「………」

        チラッ

雪美「…………見つかった……」

P「あぁ、雪美……か。どうしたの?」


佐城雪美(10)
ttp://i.imgur.com/3YhSlBi.jpg

雪美「………しょんぼり……してる………」

P「そう、見えたかな?」

雪美「……うん………大丈夫……?」

P「心配、させちゃったかな。ありがとう………」

雪美「………へーき……」

P「そう、か……」ナデ…

雪美「……私…………P………絆………」ギュッ…

P「ふふ……可愛い………」

雪美「……?」

P「あ、いや……なんでもない、よ……」

雪美「……そう………」

雪美「……じー………」

P「どうした、雪美?」

雪美「……本当に………P………?」

P「えっ……」

雪美「………同じ顔……同じ声………でも………」

雪美「……違う……心………?」

P「な、なにいってるのかな。おれだよ、プロデューサーだよ」

雪美「……違う……」フルフル

P(ど、どうしましょう。まさかバレちゃった……!?)

雪美「………じー……」

P「……どうしたら信じてくれるんだ?」

雪美「……いつもの………」

P「い、いつもの?」

雪美「………だっこ……」

P「抱っこ……いいの、かな……でも……」

雪美「…………いや……?」

P「そんなわけ、ないでしょう?」ギュッ

雪美「……ぎゅー…………」

P(……あらぁ? いつの間に抱きしめてたのかしら……でも、可愛い……)

雪美「…………撫でて………」

P「……そう、だな。いつも通りに……」ナデ…

雪美「……あったかい…………」

P(……雪美ちゃん、可愛らしいのね……撫でたり、ぎゅっとしたり……羨ましい……)

P(まゆも…………)

雪美「………ぎゅー……」

P「そろそろ、仕事に戻らないと。雪美も……そうだろう?」

雪美「………うん………」

P「いい子だから、いこう? ちゃんとお仕事できたら……撫でてあげるから……」

雪美「……わかった………」

P「えらいなぁ……よしよし」ナデナデ…

雪美「………♪」

P「えっと……送るのは、美優さんね。それじゃあお願いしてこないと……」

雪美「……手………」

P「手? あぁ……・繋ごう、か」

雪美「…………♪」

―――――

P「ふぅ。これでいいのかしら」

ちひろ「あら、お疲れ様です」

P「ちひろさん……見てたんですか?」

ちひろ「えぇ。プロデューサーさんのほうも一区切りついたので呼び戻そうと……」

P「すみません、雪美ちゃんに見つかってしまって……」

ちひろ「いえいえ、雪美ちゃんも満足気でしたしいいんじゃないですか?」

P「だけど、何か見抜かれてたような感じで。大丈夫かしら……」

ちひろ「ふふっ、まゆちゃんだってきっと見抜けるでしょう? そういうことですよ」

P「そういうものなんでしょうか……」

ちひろ「とりあえず、こちらの……プロデューサーさんが、まゆちゃんの身体で終わらせられる業務は概ね問題なく済みました」

P「そうなんですか?」

ちひろ「えぇ、なのでこの後はプロデューサーさんが送迎するはずだった子でどうしても合わない子を私が迎えにいってですね」

P「……すみません」

ちひろ「いえいえ、その間はまゆちゃんとプロデューサーさんでちょっと話し合っててもらえますか?」

P「はい、わかりました」

ちひろ「うふふ、ではごゆっくり♪」

P「そ、そういう時間ではありませんよ……?」

ちひろ「あら。そういうってどういう時間のことでしょう?」

P「も、もうっ……」

まゆ「あ、お帰り。まゆ」

P「ただいま、です……」

まゆ「何か飲むか? ちひろさんが帰ってくるまで暇だろ?」

P「それじゃあ、紅茶を……」

まゆ「うん、わかった。ちょっと待っててくれ」

  コトッ   トテトテトテ…

P(……Pさんの、のみさし……いつものコーヒー……)スン…

P(……じゃない? これ、紅茶かしら……珍しい……)


まゆ「まゆー、持ってきたぞー」

P「あ、はいっ。ありがとうございます」

まゆ「ん、どうしたんだ?」

P「いえ、なんでも……」

まゆ「そっか。はいどうぞ」

P「ありがとうございます……」

まゆ「……」コク…

P「ん……美味しい……」

まゆ「そっか、よかった」ニコッ


P(……あれ? なんでまゆは普通にPさんに飲み物を淹れてもらっちゃってるのかしら?)

P(だけど……不思議と落ち着く……)

P「………」コトッ

まゆ「んーー………」グイィィ……プルプル

P「お疲れですか?」

まゆ「……ふぅ。いや、そういうわけじゃないんだけど」パタッ

P「そう、ですか………」

まゆ「……」

P「………」

まゆ「……その、さ、まゆ」

P「はい、なんでしょう?」

まゆ「なんだか違和感、ないか?」

P「違和感………あります」

まゆ「やっぱりか……うん。いっしょだな」

まゆ「どんな違和感があるか、聞いてもいいかな?」

P「はい。その………」

まゆ「うん」

P「なんだか、他の女の子にときめいてしまったりとかして……」

まゆ「……うん?」

P「私、変な子になっちゃったんでしょうか……? 雪美ちゃんも小梅ちゃんも可愛いんです」

まゆ「そーなのかー……?」

P「そうなんです……凛ちゃんに誘われて嬉しかったですし、光ちゃんも……」

まゆ「………」

P「……あの、Pさん?」

まゆ「別に、なんでもないから続けてくれ」プクー…

P(……ひょっとして、妬いてる? まゆに? それとも、アイドルの子に……?)

P「ふふふ……」

まゆ「……どうしたんだ?」

P「いえ、なんだかいつもと違う感じで。少し楽しくなってきちゃいましたぁ……♪」

まゆ「今日のまゆはなんだか意地悪だなぁ……」

P「そうですか? それはたぶん……あら?」

  ガタッ


P「……誰かいるのか?」

まゆ「…………みくちゃん、ですよねぇ?」

 ガチャッ

みく「にゃ……ぬ、盗み聞きする気はなかったんだけどにゃあ……?」

前川みく(15)
ttp://i.imgur.com/8Pour2F.jpg


P「……聞いて、たの?」

みく「にゃ、にゃははっ! なーんのことかさっぱりにゃ!」

まゆ「本当、ですかぁ……?」ヒタッ

みく「ひっ!」

まゆ「………」ジッ…

みく「ま、まゆちゃん……Pチャン……?」

まゆ「……聞いたん、ですよねぇ……?」

みく「し、知らないにゃ。Pチャンとまゆちゃんが入れ替わったかもなんてまったくわからないにゃあ!!」

P「あら……」

まゆ「あぁ、やっぱり聞いてたのか……」

みく「……にゃんと。なんでバレたのかにゃ?」

P「自分で白状しましたよねぇ?」

みく「みくは過去を振り返らない女なんだにゃあ……?」

まゆ「そうなのかー」

みく「……というか、マジかにゃ?」

まゆ「マジなんだなぁ、うん」

みく「……」

P「本当ですよ?」

みく「うん、確かにその通りみたいだね……なんなんにゃあ……」

まゆ「え、にゃんにゃんにゃん?」

みく「な! ん! な! ん! にゃあ!!」

P(……にゃあにゃあ言ってるみくちゃんも可愛い……)

みく「超科学ってやつかにゃ……とんでもないことが起きてる気もするんだけど……」

P「こう、がんばったらチェンジできちゃって……」

みく「そういうものなのかにゃ……?」

まゆ「そういうものなんだよ。ふふふ」ナデナデ

みく「にゃ……そ、それなら……」

P「……ずるいですよぉ?」

みく「ちょ、ちょっと待ってまゆちゃん! こ、これは」

P「ふふふふ……」ナデナデ…

みく「……にゃ?」

まゆ「仲良しだなぁ……」ナデナデ…

P「……ふふっ♪」ナデナデ…

みく「にゃ、にゃんにゃんにゃあ……」

P「……ふぅ」

みく「もみくちゃにされちゃったにゃ……せきにん、とってね……?」

まゆ「バカなこといってるんじゃない、まったく」ペチッ

みく「にゃっ」

P「……えーいっ」ペチッ

みく「にゃあっ」

まゆ「………」ペチペチ

みく「ふにゃ、にゃっ」

P「……楽しくなってきちゃいましたぁ」ペチペチペチ

みく「にゃあ! にゃああぁぁぁっ!」

みく「もう……にゃんにゃのにゃあ……」

まゆ「ごめんな、なんかこう……」

P「……ねぇ?」

まゆ「ねー」

みく「フシャーッ! みくの心はふかーく傷ついたのっ! ごまかされないにゃ!」

まゆ「ごめんな、みくー」ナデナデ

P「ごめんなさい、この通り……」ナデナデ…

みく「にゃ、にゃ……にゃあぁ……♪」

P(あらかわいい)

みく「みくはオモチャじゃないの! 2人ともハンセーしなさいハンセー!」

P「ごめんなさい……」

まゆ「ごめんなさい」

みく「……まゆちゃんに撫でられるのは新鮮だったけど。Pチャンはセクハラで捕まっちゃうよ?」

まゆ「ごめんなさい……」

みく「でもまゆちゃんもPチャンの身体だからアウトだよ?」

P「ごめんなさい……」

みく「みくは心がひっろーいから、許してあげるけどにゃあ……?」ムフー…

P「……今度、お詫びの気持ちを込めてご飯を作りますね?」

みく「にゃっ! ホント? ホントかにゃ?」

P「はい。楽しみにしててくださいねぇ……」

みく「うんうん!」

P「ア ジ フ ラ イ ♡」

みく「えっ」

まゆ「いっしょに食べようなー、みくー」

みく「」

P「レッスンにいくって飛び出していっちゃいましたね」

まゆ「あぁ、まだ時間に余裕はあるのにな」

P「ふふっ……可愛かったですね」

まゆ「あぁ、本当……」ナデ…

P「………? なんですか?」

まゆ「いや、どうせだから……なんとなく……」

P「そうですか……」

まゆ「……」ナデナデ…

P(……まゆの身体だけれど、Pさんに撫でてもらえるなんて嬉しい……♪)

P(今度、みくちゃんにアジフライを食べさせてあげるのを忘れないようにしないと……お礼も兼ねて)

――――

――

ちひろ「ただいま戻りましたー……あら」

P「……ん……すぅ……」

まゆ「………くぅ……」

ちひろ「あらー♪ これはこれは……仲睦まじいことで」

ちひろ「もしもし、小梅ちゃん?」ピッ

 小梅『はい……小梅です……あれ?』

ちひろ「みてみて、かわいいですよー♪」

 小梅『本当、だ………えへ、仲良しで……よかった………』

ちひろ「ねっ! とりあえずあったかくしてゆっくりさせてあげようと思います」

 小梅『わかった……たぶん、戻るのも近い、かな………?』

ちひろ「そうですか。もう戻っちゃうんですね……」

 小梅『えっ……?』

ちひろ「いえいえ、なんでも♪」

――

――――


P「ん、ぅ……」

まゆ「…くぅ……くぅ……」

P(……まゆの顔……まゆ……? 鏡……じゃなくて……)

P「あっ」ガタッ

まゆ「………ん、んっ……」

P「あぁ、起こしちゃう。まだ寝てても……じゃなくって、撫でてもらってるうちに寝ちゃった……?」

P「ソファで……んんっ、身体は平気みたいだけど、Pさんも起こさないと……」

P「起きてくださーい……」ユサユサ

まゆ「……んー………」

P「寝てると風邪ひきますよ、ほら……」ユサユサ

まゆ「……んぅ……」トサッ…

P「ちょ、ちょっと……Pさ……」

 フニッ…

P(……思ってたよりも、柔らかいものなのね。まゆの胸も捨てたものじゃ……)

P(……自分の身体。だから、ちょっと触るぐらい……)


    壁|ーニャ<……

P「……!?」

    壁|ーニャ<アー……おきになさらず、ごゆっくり……?

P「ち、ちがっ……違うんです! これはっ!」

アナスタシア(15)
ttp://i.imgur.com/ydJJKm6.jpg


アーニャ「……アー、据え膳、ですか?」

P「ち、違うんだ。これは、その……」

アーニャ「プロデューサー……ゼヴェィエル……ケダモノ、ですか?」

P「これはまゆが、いえ、そう。まゆが悪くて、でもこれはプロデューサー、お、おれがわるいというか、そのっ!」

アーニャ「……?」

P「あぁ、説明がなんでこんなにややこしいなんて!」

まゆ「う、ん……? あれ、アーニャ。おはよう……」ムクッ…

アーニャ「まゆ……? シトー? どうしました?」

P「あぁぁもうっ、どうすればいいんですか!」

アーニャ「イ・レカワーリ……ですか……」

P「なんでちょっと発音を変えたんですか……?」

アーニャ「アー……フランチャ……フランスのことを勉強してますので」

P「……誰から聞いたか教えてもらってもいいですか?」

アーニャ「フレデリカです」

P「やっぱり……」

まゆ「まぁまぁ、いいじゃないか。そういうわけなんだ」

アーニャ「実は……みくに聞きました。相談……コンシュルタチーヤ? されて……」

まゆ「なんと」

P「あらー」

まゆ「つまり、知ってたのか?」

アーニャ「一応です。ヒァセイ……またぎき? です」

まゆ「……事務所のみんなには?」

アーニャ「……イズヴィニーチェ……ごめんなさい、わかりません。でも、ナイショは言われました」

まゆ「じゃあ、まぁ言いふらされはしてないか……みくだしな」

P「みくちゃんですしねぇ」

アーニャ「みくですから」

まゆ「……あはは」

P「ふふふ……」

アーニャ「にゃーっはっはっはー」

P「!?」

アーニャ「……普段から猫キャラを意識するのが大事と聞きました」

まゆ「なるほど」

アーニャ「なので、猫です……にゃ?」

P「なるほど……」

アーニャ「……アー」

まゆ「どうした、アーニャ?」

P「大丈夫?」


アーニャ「……恥ずかしいので、撫でるのをやめてほしいです……にゃ」

P「………」ナデナデナデ…

まゆ「………」ナデナデナデナデ…

アーニャ「にゃあん……ランボーする、です?」

P「優しくしますよぉ……」ナデナデナデナデ…

アーニャ「………はふぅ」

まゆ「うん。楽しい」

P「猫ちゃんっていいですねぇ……」

アーニャ「2人は……楽しそうですね。なかよし、ですか?」

P「そうですね……」チラッ

まゆ「そうだなぁ、仲良しかもしれないな」

アーニャ「ハラショー! なかよきことは、うつくしきかな。ですね?」

まゆ「……」ナデナデ

アーニャ「……あー。撫でられるのは、照れますよ?」

P「知ってますよ。やっぱりアーニャちゃんは綺麗だけど可愛いなぁって思ってるんです」ナデナデ…

アーニャ「……まゆも、私を撫でますか? どうして……」

P「……可愛いから、ですかねぇ」

まゆ「可愛いから、だろうなぁ」

アーニャ「にゃぁ……猫可愛がり、ですね」

アーニャ「……少し、余計だったかもですね」

まゆ「余計って……なにが?」

アーニャ「みくは、2人がちょっと変かも……言いました。だから、少しトゥリエヴァジェニィ……心配、でした」

P「……ありがとうございます。アーニャちゃん」

アーニャ「アー……仲間、ですから。まゆも、プロデューサーも」

まゆ「仲間か………そうだよな……」

アーニャ「プロデューサー?」

まゆ「いや……うん。少し変なのは事実かもしれないな」

アーニャ「……そうなんですか?」

P「……たぶん、そうですね」

アーニャ「お手伝い、することは……?」

まゆ「いや、大丈夫。ちょっとそのあたりは……まゆと話をして決めるからさ」

アーニャ「ダー。わかりました」

まゆ「気をつけて帰るんだぞー」

アーニャ「スパシーバ。ご心配ありがとうございます……平気ですよ」

P「でも、送るぐらいなら……」

アーニャ「話がある、でしょう? なら大丈夫です……私は、アー……パパ仕込みのCQCもありますし」

P「……CQC?」

アーニャ「ダー。クマにはまだ勝てませんが」

まゆ「まぁ、アーニャは女の子だもんなぁ」

アーニャ「鍛えなきゃ、ですね。アイドル……カツドウ……」

P「まってアーニャちゃん、それ以上はダメ。なんだかダメな気がするの」

まゆ「ぷろかつ!」

P「Pさぁん!」

――――

――

P「それで、Pさん?」

まゆ「はぁい、なんでしょう?」

P「……やめてください、なんだかまゆみたいですよ?」

まゆ「あはは、ごめんごめん。アーニャはたぶん大丈夫だよ」

P「それは……まぁ、わかりますけれど……」

まゆ「それに、のあさんもいたし」

P「えっ」

まゆ「たぶんアーニャが心配だったんだろうなぁ。面倒見がいいからさ」

P「……そうなんですかぁ」

まゆ「そうなんですよぉ」

P「んもう!」

P「どこにいたのか聞いてもいいですか?」

まゆ「さっきはそっちの壁のところかな」

P「……」

 トントン  トントン  コンコン  トントン

P「……ここですか?」

まゆ「うん。のあさんなりに他のアイドルのことを心配した結果じゃないかな」

P「真面目にやってるんですか?」

まゆ「本人は真剣だよ、間違いなく」

P「なるほど……」

まゆ「………なぁ、まゆ。そろそろ本題に入ろうか」

P「ん……そう、ですねぇ」

まゆ「違和感はあるか?」

P「あります」

まゆ「どんなふうに?」

P「まず……」コトッ

まゆ「……コーヒー?」

P「と、紅茶です。どっちを飲みますか?」

まゆ「……普段なら、コーヒー」

P「えぇ、普段なら、紅茶です」

まゆ「………紅茶が飲みたいんだ」

P「はい、コーヒーが飲みたいです」

P「……アイドルの子が可愛いです」

まゆ「そうだな、すごく可愛いと思う」

P「………ホントに?」

まゆ「うーん、いや。可愛いとは思うんだ、だけどな……」

P「……」

まゆ「バカなこと言ってもいいか?」

P「はい。バカにしませんよ」

まゆ「俺の身体がモテるのがなんか悔しい」

P「あぁ、やっぱり」

まゆ「なんだろうなぁ、これ」

P「たぶんなんですけれど、入れ替わったせいなんじゃないかって……」

まゆ「……なるほどなぁ」

P「ごめんなさい、Pさん」

まゆ「いいよ、まゆの身体も新鮮だったし……」

P(……お手洗いとか、たいへんだったものね。まさか、こんな機会で見ることに、見られることになるなんて)

まゆ「……まゆ?」

P「え、あっ、はい!」

まゆ「そのだな、こう……入れ替わったことでわかったことがあるんだ」

P「なんでしょう?」

まゆ「ズルいなぁ、俺」

P「……ズル?」

まゆ「うん。アイドルの女の子に囲まれてて羨ましい! って思ってたんだろ、まゆ?」

P「……ふふふ、そうですねぇ。そうですよ」

まゆ「今度からまゆにもそういうお仕事回すからな」

P「ありがとうございます……」

まゆ「……それで、ここからが問題なんだが」

P「はい、なんでしょう?」

まゆ「今日は離れないでいればいいってことだったよな」

P「そうですねぇ」

まゆ「どこで寝るんだ……?」

P「あっ……」

まゆ「流石に女子寮に俺の身体はいれられないし、まゆを俺の家に上げるわけにはいかないし」

P「……仮眠室、見てみましょうか」

まゆ「そうだなぁ……うーん、まゆはちゃんと休んでもらわないといけないけど、でもまゆの身体をないがしろにもできないしこれは結構困ったぞ…・・・」

― 仮眠室 ―

P「……これは」

まゆ「あれ? なんだか広くなってるような……」

P「あ、書置きがありますよ」

まゆ「なになに……?」

[こんなこともあろうかと 仮眠室を増設しておきました♪ ごゆっくりお楽しみください  千川ちひろ]

まゆ「なんと」

P「……なんと」

まゆ「まぁ、おかげで眠れそうだけど」

P「そうですねぇ」

P(………)

まゆ「じゃあ、寝ようか……ベッドも2つあるし、食べ物もいくらか……」

P「あの、Pさん?」

まゆ「ん、どうした?」

P「……いえ、そっちのカップ麺が食べたいなーって」

まゆ「そうか、わかった。じゃあ俺はこっちのにしようかな」

P「ふふふ、悪い子ですね」

まゆ「そうだなぁ、あんまり褒められたことじゃないかも」

P「Pさんのお腹ぷにぷにしちゃいましょうか?」

まゆ「や、やめてくれよなんかいろいろとこっぱずかしい」

P(……Pさんが入っているとはいえ、まゆの身体)

P(自分の身体を、自分でなんて……流石にないと思いたいのだけど……)

まゆ「まゆー、こっちのもいいけどこれもおいしそうだぞー」

P「え、どれですか?」

まゆ「ほら、この――」

 ヒタッ

P「っ!」

まゆ「あっ、い、いや。ごめん……」


P(………あらぁ?)

まゆ「あ、あはは。やっぱりこっちにしとこうかな?」

P「……ねぇ、Pさん?」

まゆ「どうした、まゆ?」

P「まゆの身体、楽しいですかぁ?」

まゆ「楽しいって……うーん、普段と違う感覚はあるけど。いったい何の話かわからないな」

P「いえ。そうじゃなくって……まゆの身体で、Pさんを見てて……」

まゆ「まゆ……?」

P「感じること、ありませんか?」

まゆ「………」ゴクッ

P「なんて………」

P「冗談ですよ。たぶん、元に戻りたくって仕方ないんでしょうね?」

まゆ「そ、そうだよな!」

P「まゆも、自分の身体を見ててちょっとドキドキしちゃうヘンな子になったのかって心配になっちゃいました」

まゆ「まったくだ。俺、男なのに自分のこと大好きになっちゃったら戻れなくなっちゃうもんなぁ……」

P「女の子のこと、ちゃんと好きですかぁ?」

まゆ「大好きだよ」

P「なら、大丈夫です。まゆもちゃんとPさんのこと大好きですから」

まゆ「えっ」

P「えっ?」

まゆ「……え?」

P「あっ……いえ、その……」

まゆ「あは、ははは……」

P「うふ、ふふふふ……」

P「ね、ねましょー! おやすみなさい!」

まゆ「う、うん。おやすみまゆ!」

P「はい、おやすみなさい」

  カチッ


P(電気は消して……あぁ、なんてこと。思わず口が滑っちゃった)

P(聞き間違いだったってことにならないかしら……こんなタイミングで告白なんて……)

P(本当なら、一生懸命頑張って、トップアイドルの座を勝ち取って……)

P(いろんな人の『特別』よりも、あなたの『特別』になりたいんです。なんて告白をして……)

P(それから、ロマンチックな一夜を………)


P「うふ、うふふふふふふ……」

まゆ「」ビクッ

(暗いなぁ……真っ暗。明日には戻るって聞いたけど、ちゃんと戻るのかしら……)

(……心配しても仕方ないわよねぇ。小梅ちゃんのいうことは信じないと)


「……なぁ、まゆ?」

「なんですか?」

「手、繋がないか」

「……いいですよ?」

「うん、ありがとう……あぁ、なんか今日はいろいろあったなぁ……」

「そうですねぇ……」

「とりあえず、戻ってから考えようか……」

「そう、ですねぇ……」

(あったかい手……まゆの手ってこんなに小さいのね……)

(Pさんの手。こんなに男らしくてたくましくって……)

(……あら? おかしい。まゆったら、今どっちの手を……)

(この握っているのは、まゆの手? 握られているのは、どっちの手……?)

(……だめ、ねむい………あぁ、でも……)

「Pさぁん……」

「どうした、まゆ?」

「………うふふ、やっぱり、なんでもありません……」


(ちゃんとPさんも、まゆにときめいているっていうのは、わかっちゃった……♪)

ピピピッ ピピピッ ピピピッ

「ん………朝……」

ちひろ「おはようございます、まゆちゃん♪」

まゆ「あ……おはようございます。ちひろさん……」

ちひろ「手をみてくださーい」

まゆ「……まゆの手ですね」

ちひろ「あなたは?」

まゆ「まゆは、まゆです……佐久間まゆ」

ちひろ「うん、大丈夫みたいですね。Pさんもさっき目が覚めてもう働き始めてますよ♪」

まゆ「昨日の今日でですか?」

ちひろ「あの人ですからねぇ」

ちひろ「あと、服の着替えです。どうぞ」

まゆ「……ありがとうございます。あとでシャワー室お借りしますね」

ちひろ「はいはい♪」

まゆ「……本当に戻りましたねぇ」

ちひろ「あら、戻れないかもって思ってましたか?」

まゆ「少しだけ。怖かったです……戻れなくなったらって……」

ちひろ「じゃあ気をつけなきゃですよ?」

まゆ「はい……Pさんにはたくさん迷惑をかけちゃいましたし……」

ちひろ「ふふ、怒ってなんていませんよ! だって可愛いアイドルのことですから」

まゆ「そうですねぇ……アイドルのみんな、可愛いですよねぇ……」

ちひろ「……あらぁ?」

まゆ「?」

ちひろ「いえ、まゆちゃんがそういうことをいうのは珍しいなあと」

まゆ「そうですか? まゆはPさんになってよくわかりましたけれど……他の子たちとのおしゃべり、楽しいんですよねぇ……」

ちひろ「ほほーう……」

まゆ「だから、まゆが聞いた時すごくいい笑顔で『楽しい!』って即答されたのも仕方ないかなぁって思えるんです」

ちひろ「そんなことがあったんですか?」

まゆ「ありました。先に私用の車に乗ってた時は『タクシー代わりか! ハッハッハ!』って笑ってくれました」

ちひろ「まゆちゃんも大変ですねぇ」

まゆ「Pさんが一番大変だと思います……」

ちひろ「今度、されてみるのはどうですか?」

まゆ「……Pさんにされるのなら、いいですけれど。他の人にされたら怖いですねぇ」

ちひろ「そうですか。ふふっ♪」

―― シャワー室 ――

 シャワァァァァァァ…

まゆ(結局、失敗……)

まゆ(Pさんに迷惑かけちゃっただけ。ちゃんと謝らないと……)


まゆ「ふぅ……」キュッ


まゆ(Pさんの身体……たくましかったなぁ……)

まゆ(まゆの身体、昨日たくさんPさんの身体に触ってもらったり、触ったりしたのよね……)

まゆ「……」ペタペタ

まゆ「……うぅ、もう少し大きかったら満足してもらえたのに……」

―――

――

まゆ(……ふぅ、シャワーはあがったけれど)

まゆ(だんだんPさんの顔を見るのが怖くなってきちゃった……)


まゆ「……Pさぁん……?」

P「……ん、おぉ。まゆ! 起きたのか、おはよう」

まゆ「おはようございます、その」

P「体、おかしいところはないか? 大丈夫?」

まゆ「は、はい。ありがとうございます……」

P「そうか、よかった。無理しちゃだめだぞー。昨日の今日なんだから」

まゆ「……ごめんなさいっ!」

P「どうした、急に」

まゆ「だって昨日は……その……」

P「昨日……あぁ、入れ替わりはなぁ。驚いたけど、でも楽しかったぞ?」

まゆ「た、楽しいって……」

P「他の人の身体や感覚を味わうなんてめったにないことだろ? だから楽しかった」

まゆ「……うふふ。Pさんは優しいんですねぇ」

P「そうかな。ちょっと女の子っぽくなっちゃったかしら?」クネッ

まゆ「あらやだ、じゃあまゆは男の子になっちゃいますね……」

P「男の子のまゆか……」

まゆ「お好きですかぁ? オ・ト・コ・ノ・コ」

P「いや、女の子のままのまゆのほうが好きだよ」

まゆ「ふぇっ」

まゆ「ま、まゆが好きって……」

P「ハッハッハ。まぁ俺は男の子だからな」

まゆ「も、もうっ。からかっちゃダメですよぉ……?」

P「うん、ごめんごめん。それじゃあ今日から通常業務に戻ろうか」

まゆ「は、はい」

P「じゃあ準備して……と、その前に」

まゆ「なんでしょう?」

P「よかったら、紅茶を一杯淹れてくれないかな?」

まゆ「……はい、喜んで♪」


おわり

@おまけ1


仁奈「それで、入れ替わっちまったんでごぜーますか?」

まゆ「そうそう。不思議でしょう?」

仁奈「仁奈もやってみてーです!」

まゆ「でももうまゆもできないし……」

仁奈「どうするんでやがりますか?」

まゆ「えぇっと、足を肩幅に開いて……」

仁奈「ふむふむ……」

まゆ「気を高めて……」

仁奈「ふむふむふむ……」シュインシュイン…

まゆ「叫ぶんです! えぇい、チェーンジ!」

仁奈「チェーンジ!」

  ――カッ

まゆ「え、なんで光って――」

美優「あ、仁奈ちゃん。さっきプロ――」

仁奈「きゃー♪」




  シュゥゥゥ…


美優「あ、あらぁ……? こ、これは……」

まゆ「わー! すげーです! おっきくなれたですよー!」

仁奈「……あ、あのっ。これはどういう………?」


P「なんですか今の音! あ、まゆ、仁奈……」

仁奈「プロデューサーさん……あの、私……」

まゆ「わー! Pの顔がちけーですよ! えへへー、モフモフしほーだいでやがりますね?」

美優「Pさぁん……」

P「なるほど、だいたいわかった」

まゆ「なんでごぜーますか?」

P「……これはこれでありだ! ユニットを組もう!」

仁奈「え、えぇっ……!?」

P「グループ名は……そうだな……」

美優(これでいいのかしらぁ………)

@おまけ2

まゆ「やっと元に戻れましたぁ……」

雪美「……まゆ……」

まゆ「あら、雪美ちゃん。どうしたの?」

雪美「……Pのカケラ………感じる……」

まゆ「!?」ビクッ

雪美「…………あったかい……」

まゆ「い、いえ。その」

雪美「………撫でる……?」

まゆ「……な、撫でます。撫でますよぉ……うふふ……」ナデナデ…

雪美「………♪」

まゆ(……何かしらこの気持ち……まゆ、やっぱりヘンになっちゃったのかしら……?)

まゆ(雪美ちゃん……可愛い……!)ドキドキ…

P「おーい、まゆー」

まゆ「あ、Pさん……」

P「と、雪美も………撫でてもらってるのか?」

雪美「……うん………あったかい……」

P「そうか。よかったなぁ」ナデナデ

雪美「……♪」

まゆ「……」

P「まゆも、雪美を可愛がってくれてありがとうな」ナデナデ…

まゆ「い、いえ。別に……これぐらいは……」

P「ところで、そんなまゆにお知らせだ! 確か、可愛い子との触れ合いが欲しいって言ってたよな?」

まゆ「え、まぁそうですね……」

P「そこで――」

P「愛海といっしょにレギュラーを取ってきた!」


愛海「ふひひひひ、よろしくおねがいしまぁす!」


まゆ「」

P「頼んだぞ、まゆ!

まゆ「」

愛海「さぁ、いきましょうまゆさん! あの丘の向こう側には何があるんだろう? って思ったことはないですか?」

まゆ「い、いや……」

愛海「いっしょに見ましょう、丘の向こう側の景色!」

まゆ「いやぁぁぁぁぁ……」ズルズル…

P「ハッハッハ、仲良きことは美しきかな!」


おわり

以上、お粗末様でした

まゆ⇔P入れ替わりで鬱シリアスやったから、リフレッシュ
本当はこれぐらいのノリで書こうと思ってたの

あの入れ替わって監禁されるのと同じ人?
おつおつ、どっちもすごく良かった

>>158
一応、そう
本当はこっちもその日のうちにか2日で終わらせるはずだったけれどいろいろ書いてたら遅れたの。ごめんね

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