エレン「みんながおかしくなった」(34)

ミカサ「安心して、エレン。あなたに纏わり付く害虫は、この世から一匹残らず駆逐してあげるからね」

エレン「お、おう」

アルミン「君も馬鹿な割には罪深い男だよね」

ユミル「クリスタ愛してる。結婚しよ」

クリスタ「ごめん、私が愛してるのはエレンなの。ユミルみたいな子には興味ないかな……」

サシャ「……ライナー、私の肘打ちを喰らって下さい!」

ライナー「うごぉッ!?」

アニ「なにしてんだよアンタら」

ベルトルト「……」

マルコ「一体、何が……」

コニー「な、なあ……この状況が理解できないのは、俺が馬鹿だからじゃないよな……?」

ジャン「ちょっと黙ってろ馬鹿……」

ジャン「とりあえず、状況を整理しよう」

コニー「あ、ああ」

ジャン「昨日はいつも通りだったよな?」

マルコ「うん……午前は立体起動の訓練で、午後には格闘術だね」

ジャン「そうだ。強いて変わった点を言うなら、昨日はエレンがミカサと組んでいた事ぐらいだな」

アニ「ま、そんなのは偶にある事だ。昨日に限った話じゃない」

ベルトルト「そうだね……」

ジャン「そうなると……後は、普通に風呂入って飯食って寝るだけだが」

マルコ「ああ、そこでも全く変わった点は見受けられなかったよ」

アニ「私もだ」

ジャン「そうか……となると、昨日なにか異常が起こってこうなったって線は成さそうだな……」

ミカサ「エレン、口の周りに食べカスが付いてる」

エレン「うおお!? 顔近づけてさりげなくキスしようとすんな!」

アルミン「人の好意を踏みにじるなんて……エレンは酷いね」

エレン「はあぁ!? どうしちまったんだよアルミンまで!」

クリスタ「エレン! 今日の格闘術、一緒に組まない?」

エレン「クリスタ……?」

ミカサ「……どうやら、害虫が来たようだ。駆除しなくちゃ」

ユミル「お、なんだ腹筋女。私のクリスタに手出そうってのか?」

ミカサ「まずは、お前から削ぐ」

クリスタ「うえーん、ミカサが虐めるよエレンー」

エレン「おお落ち着けお前ら!!」

ベルトルト「……」

アニ「これは酷い……」

ジャン「……正常なのは、俺、マルコ、コニー、ベルトルト、アニ、サシャ、ライナー、エレンか……」

サシャ「あちょー!」

ライナー「ぐわぁッ!?」

ジャン「前言撤回。サシャとライナーを除いたうち六人か……」

コニー「ギリギリ、ライナーは大丈夫なんじゃないか?」

ベルトルト「……いや、彼ももう手遅れだろう」

アニ「……だね」

マルコ「しかし、どうする……原因が分からない今、一刻も早く原因究明を急がないと……」

ジャン「とりあえず、エレンをうまくこちら側に取り入れよう」

ジャン「少しでも戦力を増やすんだ」

コニー「で、でもよ! エレンの周りにはあいつらが居るし、難しいんじゃねぇか……?」

アニ「確かにな……下手すれば大怪我だ」

ベルトルト「大怪我で済めばいいんだけど」

マルコ「なら、計画を建てでもエレンを奪還するしかない。名付けて、エレン奪還作戦だ」

ジャン「ああ……あいつがいれば、色々と捗るだろうしな」

ベルトルト「……でも、作戦と言っても何かいい案はあるのかい?」

コニー「……」

ジャン「いや、皆無だ……」

ジャン「こんな時、アルミンなら非凡な発想を閃いてくれるんだけどな……」

コニー「……なあ」

ジャン「あ? なんだコニー」

ユミル「やるじゃねぇか腹筋女……!」

ミカサ「忌々しい虫め……」

クリスタ「いけーユミル! ミカサなんてやっつけちゃえ!」

アルミン「全く……こんなままごとに付き合ってられないよ。僕はもう行く」

コニー「今が、チャンスなんじゃないか?」

ジャン「ッ……!!」

マルコ「そうか……! エレンから注意が逸れてる今の内に奪還すれば……」

ジャン「……今だッ! 今しかない!」

ジャン「突っ込め! どのみち何も行動しないよりはマシだ! 行け!」

アニ「……!」

ジャン「とにかく、短期決戦だ……!!」

ジャン「エレンを抱きかかえてでもこの場から去るぞ!」

コニー「しかし、すげぇなあいつら……フォークで戦ってやがる……」

ユミル「オラァッ!」

ミカサ「くっ……」

エレン「おい、お前らいい加減に……」

エレン「って、ジャン……?」

ジャン「おい、エレン! 今すぐこの場から去るぞ!」

エレン「な、何でだよ! ミカサとユミルが戦ってんだぞ、早く止めねぇと……」

ジャン「エレン!! こいつらがこうなっちまった原因を追求して、早く解放してやるんだよ!!」

エレン「ッ……!」

コニー「早く来いよ! こいつらに何されっか分かんねぇぞ!?」

エレン「……くそったれ! 分かったよ!!」



エレン「はぁッ……はぁ……」

ジャン「ここまで来れば、大丈夫、だろう……」

アニ「結構走ったな……」

コニー「もう、ヘトヘトだぜ……」

ベルトルト「威勢任せに走って来ちゃったけど、ここは……?」

エレン「分からん……見たところ、資料室の様だが……」

マルコ「この際、もう何処でもいいよ……今はそれより、原因究明が先だ」

コニー「ああ……そうだな」

エレン「議題は一言に尽きる……あいつらに何があった?」

ジャン「さあな……朝起きて、食堂に来てみたらあの有様だ」

コニー「……」

アニ「なあ、エレンとベルトルトは、アルミン達と同室なんじゃないのか?」

エレン「……ああ、そうだ。俺とアルミン、ベルトルトとライナーでいつも一緒に寝てる」

ベルトルト「でも……朝起きたら二人共あんな感じで……あ、いや、ライナーはいつも通りだったかな」

ベルトルト「とにかく、僕達にも何が何だか分からないんだ……」

エレン「クソッ……何があったんだよあいつら……あれじゃあまるで、別人じゃねぇか」

ミカサ『エレン!』

エレン「ッ!?」

アニ「この声は……ミカサ!?」

ジャン「や、やべぇぞ……!? あいつ、お前の事探しにきやがった……!」

クリスタ『隠れてないで出てきてよ』

ベルトルト「クリスタまで……」

ユミル『チッ……この部屋にも居ねぇな』

コニー「あのブス……! 部屋を一つ一つ開けて探してやがる……!」

マルコ「声が段々近付いてきてるぞ! みんなどこかに隠れろ!」

エレン「あ、ああ!」

ガチャ

コニー(来た!)

ミカサ「……」

ユミル「広いな……」

クリスタ「誰か、隠れてるなら出て来た方が身の為だよ?」

ジャン(息を潜めろ……)

ミカサ「エレン、居るの? 居るなら返事をして」

エレン(やばい……! 部屋の中を歩き始めた……!)

ユミル「おいミカサ。ここもどうせ誰もいないって」

ミカサ「あなたは爪が甘い。こうやって隅々までちゃんと探さなければ意味がないでしょ?」

コニー(クソッ……早く行けよ……!)

パタン

コニー(しまった!? 足が物に当たって音が……!!)

ミカサ「……今の音は?」

ユミル「おいおい、まさかホントに誰かいるのか?」

マルコ(コニーの方に向かってる……!)

クリスタ「早く出て来なよ。たっぷり可愛がってあげるから」

コニー(あ、これ俺バレたな……)

ミカサ「もし、エレンを攫った人間なら……」

ミカサ「それ相応の制裁を下さなければ」

コニー(……一体、何されるんだろ……怖えよ……)

ミカサ「誰なのか、楽しみで仕方ない」

ユミル「んじゃいくぞ。せーの……」

コニー(ッ……!! ここ、までなのか………)

クリスタ「せーで!」

バッ



ねずみ「チュウ……チュウチュウ」

ミカサ「ッ! ………ねずみ?」

ユミル「ケッ……何だよ、期待して損したじゃねぇか」

クリスタ「はぁ……余計な時間とっちゃったよ。最悪」

コニー(あ、危ねえ……!!)

エレン(良かった……これでこいつらも懲りただろ)

ミカサ「チッ……行こう二人共。モタモタしている時間は無い」

クリスタ「……そうだね」

ユミル「ま、私はクリスタと一緒に居れればそれでいいんだけどな」

クリスタ「ユミル、気持ち悪いよ」

ジャン(……? 何かが引っ掛かる……)

ジャン(こう、危険信号の様な何かが………)

ガチャ

コニー「よっしゃああああ!! あいつら、俺に気付かずに行ったぞ!!」

ジャン(―――そうかッ……!)

コニー「馬鹿め! まさか、ねずみに助けられるとは思ってもみなかったぜ!!」

ジャン「やめろ、コニー―――」

ガチャ


ミカサ「みーつけた」

コニー「………」

コニー「…………え?」

ユミル「こんな簡単な罠に引っ掛かるとは、お前も相当の馬鹿だよな」

クリスタ「まさか、コニーだったとはねえ……」

コニー「は、ははは………ま、まあ待てよお前ら。隠れてたのは謝るからさ、な?」

コニー「そんなマジな顔すんのやめろよ。ちょっと本気にしちゃうじゃねぇか!」

ミカサ「何を言っているの? 私達は本気だけど」

クリスタ「うん……エレンが何処に居るのか、吐いてもらわないとね」

コニー「お、おい……冗談だよな……? ……なあ、そうなんだろ!?」

ユミル「コニー、覚悟しといた方がいいぞ。私は兎も角、この二人は何するか分かったもんじゃないからな」

コニー「ッ!? やめろ!! 近付くなぁ!!」

エレン(コニー、今助けるぞ!!)

ジャン(ッ! よせ、エレン!)

エレン(離せよ! このままじゃコニーが……!)

ジャン(辛抱しろ! ここでお前が出てったら、本末転倒だろうが!)

エレン(だからって、仲間を見殺しにしていい理由にはならないだろ!?)

ジャン(てめぇは、コニーの犠牲を無駄にするのか!?)

エレン(なに……?)

ジャン(見ろ! あんな状態になりながらも、あいつは俺達の名前をいっさい口に出してない!)

エレン(ッ……!)

コニー「くそおおお! 離せよ!!」

ユミル「こいつ……いい加減大人しくしろ!」

コニー「うっ……!?」

エレン(コニー………!)

ミカサ「早く連れて行こう」

クリスタ「うん! たっぷり尋問しないとね」

エレン(ちくしょう……! 俺は………!)

コニー「……エレン………」

エレン「ッ! コニー………?」

コニー「……俺の、分……まで……」

ジャン「ッ………」

コニー「あとは………たの、ん………だ」

ガチャ

アニ「あいつ……」

ジャン「あのバカ野郎……! どんだけ仲間思いなんだよ……」

マルコ「くそっ……これで残り五人になってしまったぞ……」

ベルトルト「事態は芳しくないね……」

アニ「ああ、絶望的だな……これからどうする?」

エレン「……いや、全くもって絶望的じゃないぞ」

アニ「……何?」

ジャン「仲間が一人連れてかれたんだぞ、これのどこが絶望的じゃないんだ」

エレン「違う、連れてかれたんじゃない。連れて行かせたんだ」

ジャン「……!」

エレン「……俺は、あいつの分まで生きなきゃいけない。生き延びて、絶対にこの事件を解決しなきゃいけないんだ!」

マルコ「エレン……」

ジャン「………そうだな。このままじゃ、あいつも報われないもんな」

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